平成十七年東京都議会会議録第十二号

平成十七年九月二十日(火曜日)
 出席議員(百二十七名)
一番遠藤  守君
二番伊藤 興一君
三番田中たけし君
四番鈴木 隆道君
五番後藤 雄一君
六番福士 敬子君
七番宇田川聡史君
八番伊沢けい子君
九番そなえ邦彦君
十番原田 恭子君
十一番花輪ともふみ君
十二番伊藤 ゆう君
十三番原田  大君
十四番河野百合恵君
十五番小竹ひろ子君
十六番松葉多美子君
十七番大松  成君
十八番中山 信行君
十九番高倉 良生君
二十番早坂 義弘君
二十一番高木 けい君
二十二番崎山 知尚君
二十三番坂本たけし君
二十四番石森たかゆき君
二十五番高橋 信博君
二十六番村上 英子君
二十七番鈴木あきまさ君
二十八番山口 文江君
二十九番佐藤 広典君
三十番尾崎 大介君
三十一番山口  拓君
三十二番伊藤まさき君
三十三番松下 玲子君
三十四番たぞえ民夫君
三十五番村松みえ子君
三十六番橘  正剛君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番谷村 孝彦君
四十番矢島 千秋君
四十一番高橋かずみ君
四十二番山加 朱美君
四十三番串田 克巳君
四十四番吉原  修君
四十五番山田 忠昭君
四十六番臼井  孝君
四十七番野島 善司君
四十八番服部ゆくお君
四十九番大西由紀子君
五十番野上ゆきえ君
五十一番西岡真一郎君
五十二番吉田康一郎君
五十三番斉藤あつし君
五十四番泉谷つよし君
五十五番くまき美奈子君
五十六番大西さとる君
五十七番かち佳代子君
五十八番植木こうじ君
五十九番長橋 桂一君
六十番野上 純子君
六十一番東村 邦浩君
六十二番小磯 善彦君
六十三番東野 秀平君
六十四番松原 忠義君
六十五番田代ひろし君
六十六番神林  茂君
六十七番秋田 一郎君
六十八番林田  武君
六十九番きたしろ勝彦君
七十番近藤やよい君
七十一番高島なおき君
七十二番鈴木 一光君
七十三番増子 博樹君
七十四番いのつめまさみ君
七十五番門脇ふみよし君
七十六番小沢 昌也君
七十七番石毛しげる君
七十八番岡崎 幸夫君
七十九番山下 太郎君
八十番清水ひで子君
八十一番古館 和憲君
八十二番松村 友昭君
八十三番藤井  一君
八十四番ともとし春久君
八十五番木内 良明君
八十六番鈴木貫太郎君
八十七番こいそ 明君
八十八番遠藤  衛君
八十九番倉林 辰雄君
九十番川井しげお君
九十一番三宅 茂樹君
九十二番樺山たかし君
九十三番宮崎  章君
九十四番古賀 俊昭君
九十五番立石 晴康君
九十六番桜井  武君
九十七番初鹿 明博君
九十八番酒井 大史君
九十九番大沢  昇君
百番真木  茂君
百一番大津 浩子君
百二番大塚たかあき君
百三番馬場 裕子君
百四番曽根はじめ君
百五番大山とも子君
百六番石川 芳昭君
百七番中嶋 義雄君
百八番石井 義修君
百九番桜井良之助君
百十番比留間敏夫君
百十一番吉野 利明君
百十二番新藤 義彦君
百十三番野村 有信君
百十四番大西 英男君
百十五番山崎 孝明君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十番相川  博君
百二十一番柿沢 未途君
百二十二番中村 明彦君
百二十三番土屋たかゆき君
百二十四番田中  良君
百二十五番名取 憲彦君
百二十六番吉田 信夫君
百二十七番渡辺 康信君

 欠席議員 なし

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事横山 洋吉君
副知事大塚 俊郎君
副知事関谷 保夫君
出納長幸田 昭一君
教育長中村 正彦君
知事本局長山口 一久君
総務局長高橋  功君
財務局長谷川 健次君
警視総監奥村萬壽雄君
主税局長菅原 秀夫君
生活文化局長山内 隆夫君
都市整備局長梶山  修君
環境局長大橋 久夫君
福祉保健局長平井 健一君
産業労働局長成田  浩君
建設局長岩永  勉君
港湾局長津島 隆一君
交通局長松澤 敏夫君
消防総監関口 和重君
水道局長御園 良彦君
下水道局長前田 正博君
青少年・治安対策本部長舟本  馨君
病院経営本部長大塚 孝一君
中央卸売市場長森澤 正範君
選挙管理委員会事務局長渡辺日佐夫君
人事委員会事務局長佐藤  広君
労働委員会事務局長押元  洋君
監査事務局長高橋 道晴君
収用委員会事務局長嶋津 隆文君

九月二十日議事日程第一号
第一 第百六十四号議案
  東京都組織条例の一部を改正する条例
第二 第百六十五号議案
  特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三 第百六十六号議案
  東京都公立大学法人評価委員会条例の一部を改正する条例
第四 第百六十七号議案
  学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百六十八号議案
  学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第六 第百六十九号議案
  学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第七 第百七十号議案
  都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
第八 第百七十一号議案
  義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例
第九 第百七十二号議案
  東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第十 第百七十三号議案
  東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例
第十一 第百七十四号議案
  東京都立ナーシングホーム条例の一部を改正する条例
第十二 第百七十五号議案
  東京都ユース・ホステル条例を廃止する条例
第十三 第百七十六号議案
  警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第十四 第百七十七号議案
  火災予防条例の一部を改正する条例
第十五 第百七十八号議案
  日暮里・舎人線日暮里駅(仮称)建築工事請負契約
第十六 第百七十九号議案
  日暮里・舎人線西日暮里駅(仮称)建築工事請負契約
第十七 第百八十号議案
  都立八王子地区産業高等学校(仮称)(H十七)改築及び改修工事請負契約
第十八 第百八十一号議案
  道路標識設置等工事に係る損害賠償請求に関する民事訴訟の提起について
第十九 第百八十二号議案
  土地の売払いについて
第二十 第百八十三号議案
  再生手続開始申立事件において東京都が有する債権の取扱いについて
第二十一 第百八十四号議案
  再生手続開始申立事件において東京都が有する債権の取扱いについて
第二十二 第百八十五号議案
  東京都道路公社の道路の整備に関する基本計画の変更に係る国土交通大臣への認可申請について
第二十三 第百八十六号議案
  東京都海上公園条例の一部を改正する条例
第二十四 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した平成十七年度東京都一般会計補正予算(第一号)の報告及び承認について
議事日程第一号追加の一
第一 東京都名誉都民の選定の同意について
  (一七財主議第二九〇号)
第二 東京都名誉都民の選定の同意について
  (一七財主議第二九一号)
第三 東京都名誉都民の選定の同意について
  (一七財主議第二九二号)
第四 議員提出議案第十七号
都道府県議会制度の充実強化に関する意見書

   午後一時一分開会・開議

○議長(川島忠一君) ただいまから平成十七年第三回東京都議会定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。

○議長(川島忠一君) まず、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
   二番   伊藤 興一君 及び
   六十五番 田代ひろし君
を指名いたします。

○議長(川島忠一君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。
〇議事部長(松原恒美君) 平成十七年九月十三日付東京都告示第千百四十一号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、平成十七年九月十三日及び二十日付で、本定例会に提出するため、議案二十三件の送付がありました。
 次に、地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した平成十七年度東京都一般会計補正予算(第一号)の報告及び承認について依頼がありました。
 次に、平成十七年第一回臨時会の会議において同意を得た監査委員の任命について発令したとの通知がありました。
 次に、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づき専決処分した訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告がありました。
 次に、監査委員より、平成十七年各会計定例監査、平成十六年度執行分の結果について、並びに例月出納検査の結果について報告がありました。

○議長(川島忠一君) この際、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第十七号、都道府県議会制度の充実強化に関する意見書、知事より、東京都名誉都民の選定の同意について三件がそれぞれ提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(川島忠一君) 会期についてお諮りいたします。
 今回の定例会の会期は、本日から十月六日までの十七日間といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。よって、会期は十七日間と決定いたしました。

○議長(川島忠一君) この際、知事より発言の申し出がありますので、これを許します。
 知事石原慎太郎君。
   〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 平成十七年第三回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対する所信の一端を申し述べ、都議会の皆様と都民の皆様のご理解、ご協力を得たいと思います。
 初めに、名誉都民について申し上げます。
 このたび、名誉都民の候補者として、岸本忠雄さん、野村萬さん、古橋廣之進さんの三名の方々を選定させていただきました。
 岸本忠雄さんは、三代にわたって江戸木彫刻を受け継ぎ、後世に残る作品を創作する傍ら、体験学習を通して小中学生に木彫りのすばらしさを伝えておられます。野村萬さんは、和泉流狂言師の重鎮として狂言の普及に力を尽くされ、新作狂言や現代劇に取り組むなど、伝統芸能の枠を超えて活躍を続けていらっしゃいます。古橋廣之進さんは、かつてフジヤマのトビウオとの愛称で次々水泳の世界記録を樹立し、占領下の日本人を大いに勇気づけてくださいました。後進の育成にも尽力され、現在の水泳日本復活に貢献されておられます。
 お三方は、多くの都民が敬愛し、誇りとするにふさわしい方々であります。都議会の皆様のご同意をいただき、来月、名誉都民として顕彰したいと考えております。よろしくお願いいたします。
 さて、我が国は、今、戦後日本を支えてきたシステムが、加速する少子高齢化や流動化する国際情勢によって激しく揺すぶられ、憲法を初め外交、教育、社会保障制度など、国家の根幹にかかわる設計図を抜本的に見直す必要に迫られております。
 本来、改革とは、こうした歴史の大きなうねりを乗り越え、新しい国の形をつくり出すためになされるべきであります。しかし、国政の場では、日本をどうするのかという最も重要な縦軸が置き去りにされ、実質的な改革は思うように進んでおりません。官僚主導の国家運営が依然として幅をきかせ、国のかじ取りを担うべき政治からは、危機意識が余り感じられないのであります。
 さきに行われた総選挙において、都民、国民はこうした状況を是としたのでは決してなく、新たな展望を切り開くため、さらなる改革を期待し、強い意思表示を示したのだと思います。今こそ太政官制度以来続く官僚支配の構造に風穴をあけ、国際的にも国家としての意思をはっきりと示すことのできるよう改革を前進させるべきであります。
 改革に求められるのは、大きな視点に立って国のあり方を問い直し、現場から具体的に行動を起こすことであり、この姿勢は、国のみならず地方の改革においても同様であります。
 六年前、私は、東京から日本を変えようと、危機意識の徹底とスピードの重視を基本理念に掲げて都政の改革に乗り出しました。その結果、職員定数の大幅な削減や監理団体の統廃合など行政改革で所期の成果を上げるとともに、厳しい財政状況が続く中で、都財政の立て直しに向けて道筋をつけることができました。あわせて、数次にわたり重点事業を策定するなど、都政が直面するさまざまな課題に対し、迅速かつ戦略的に政策を展開してまいりました。
 八都県市が一丸となって取り組んだディーゼル車排出ガス規制や、都民ニーズと民間の力を結びつけた認証保育所の設置などはその典型であり、いち早く危機的な状況を把握して行動を起こした治安対策や教育改革もまたしかりであります。東京の産業を支える中小企業を支援するため、CLO、ローン担保証券や、CBO、社債担保証券の発行により、都独自の債券市場も創設いたしました。
 こうした東京モデルともいえる取り組みは、さまざまな形で全国に波及し、新しい行政の形を多少なりとも都民、国民に示すことができたと思います。世界全体が時間的、空間的に狭小になった今日、地方が知恵を出し合い広域的に連携すれば、国をもしのぐ大きな力になり得るのだと思います。
 しかし、東京の改革に終わりはありません。都庁内部の改革である行政改革や財政再建にとどまらず、都政を取り巻く制度全体を視野に入れた抜本的な自治改革に取り組み、より効率的で効果的な都政を実現する必要があります。自治制度から行財政システム全般にわたる改革に一体的に取り組むための新たな指針を、十一月を目途に明らかにしてまいります。
 現在、国では道州制をめぐる議論が行われておりますが、地図上の区割りや線引きを先行させても、国と地方の新しい関係を創出することはできません。都には、これまで八都県市などで積み上げた実績があります。今後、広域連携や基礎的自治体との関係も踏まえた大都市行政のあり方について、外部の専門家も交え、地に足のついた議論を通して東京発の自治論を展開してまいります。
 新たな行財政改革では、組織、財政、人事制度などの改革を社会の変化に即して徹底的に行ってまいります。同時に、世界標準である複式簿記による新しい公会計制度を国に先んじて導入し、指定管理者制度や地方独立行政法人など新たな制度を取り入れることにより、経営改革や職員の意識改革をさらに進めていきたいと思っております。改革の継続と深化にはさまざまな困難が予想されますが、十年後、二十年後の東京の姿をしっかりと見据え、東京発の改革に全力で取り組んでまいります。
 続いて、東京が直面する課題への対応について申し上げます。
 このところ、東京で大きな揺れを感じる地震や記録的な集中豪雨など、自然災害が続いております。被害を受けた方々に心よりお見舞いを申し上げます。
 去る七月に発生した千葉県北西部地震では、交通機関の混乱やエレベーターの停止による閉じ込めなど、都市機能のもろさが露呈しましたが、都の初動態勢の問題点も明らかになりました。震度計情報の送信のおくれに対して早急にシステムを増強するとともに、直ちに参集・連絡体制の再点検を実施いたしました。今回の教訓を十分に生かし、全庁的に危機意識を引き締め直して、危機管理体制の一層の強化を図ってまいります。
 昨年来、全国各地で頻発している大規模地震により、山間部で孤立する地域が発生するなど、想定外の被害が顕在化しております。今月一日の総合防災訓練では、二万六千人の参加者のもと、多摩南部の直下地震を想定した実践的な訓練を行いました。都県境を越えた広域連携や感染症対策に取り組むとともに、奥多摩町において孤立地域を想定したヘリコプター部隊による救助訓練などを実施いたしました。
 今後とも、都民と連携した訓練を積み重ねて、災害対応能力の一層の向上を図り、今年度中に被害想定を見直すとともに、木造住宅の耐震化の促進に取り組むなど、いつ起きてもおかしくない地震に対して万全の備えを講じてまいります。
 今月初め、杉並区や中野区などを一時間に一〇〇ミリ以上という想定をはるかに超えた猛烈な雨が襲いました。局地的には、短時間で二六〇ミリを上回る極めて異例な豪雨となり、約五千棟の住宅が浸水するなどの被害をもたらしました。
 都では、神田川・環七地下調節池をフル稼働させるとともに、使用開始の直前でありました第二期工事部分にも、現場の判断により水を急遽取り入れるなど、被害の拡大を阻止するため総力を挙げて対策を講じました。道路、護岸の復旧にも早急に取り組むとともに、災害救助法を適用するなど、被災者の方々の生活再建や事業再建に迅速に対応いたします。今後とも、水害から都民生活を守るため、着実に対策を進めてまいりたいと思います。
 去る七月、ロンドンの中心部において連続爆破テロが発生するなど、国際的なテロが新たな広がりを見せております。
 武力攻撃や大規模テロなどの際、都民の避難、救援を速やかに実施するため、都では国民保護計画の策定を進めております。国が緊急事態と認定する前であっても、知事独自の判断により避難指示や自衛隊の派遣要請などを実施いたします。また、ターミナル駅など大勢の人が利用する施設の危機管理やNBCテロへの対応など、大都市特有の課題にも取り組んでまいります。都民、都議会の皆様の意見を聞きながら、今年度中に計画を策定いたしたいと思います。
 青少年・治安対策本部が八月に発足いたしました。これまでのさまざまな取り組みを一つに束ねて、治安の回復と青少年の健全育成に一体的に取り組んでまいりたいと思います。
 強盗や空き巣、ひったくりなど都民が治安の悪化を肌で感じる犯罪は、警察、行政の対策はもとより、地域での自主的な取り組みが大きな威力を発揮して、目に見えて減少しております。しかし、一方では、振り込め詐欺が依然として続発するなど身近な知能犯罪が著しく増加しており、こうした新たな手口の犯罪に対しても有効な手だてを講じる必要があります。都と警視庁が中心になって、金融機関、通信業界、弁護士会などによる対策会議を来月設置し、総合的に取り組んでまいります。
 子どもたちを取り巻く環境は、悪化の一途をたどっているように思われます。携帯電話やパソコンさえあればあらゆる情報が手に入る一方で、彼らは犯罪にもつながりかねない情報に無防備のままにさらされております。来月から、有害なホームページを閲覧できないようにするソフトウエアの提供や利用促進を接続事業者、保護者に促すなど、インターネット上の有害情報から子どもたちを守ってまいりたいと思います。
 また、過度に残虐性を強調したゲームソフトが犯罪の引き金になっているとの指摘もなされております。適切な措置をとる必要があると思われます。メーカーや販売店などに働きかけ、来月、テレビゲームと子どもに関する協議会を立ち上げ、業界による従来の自主規制をさらに強化するなど、実効性ある対策を検討してまいります。
 鳥インフルエンザなどの新興感染症が、アジア地域において依然として大きな脅威となっております。
 今月初め、デリー、ハノイなどアジア大都市の実務担当者が東京に集まり、感染症対策のプロジェクトの会議を開催いたしました。この場において、都は、各都市の行政機関、研究・医療機関が感染経路や治療方法などの情報をリアルタイムで共有化できるシステムの構築を提案いたしました。来年一月を目途に稼働する合意を得ました。今後とも、新興感染症の発生の予防や早期制圧に、アジアの諸都市と連携して取り組んでまいります。
 アジア大都市ネットワークに関しては、先月末、北京から、突然ことしの総会を放棄し脱退するとの申し出が事務局あてにありました。
 そもそもこの問題は、昨年のジャカルタ総会において全会一致で合意した宣言に北京市が署名しないことに端を発しているのでありまして、これまで理を尽くして辛抱強く交渉を続けてきた事務局の努力を無にするものといわざるを得ません。危機管理や中小型ジェット旅客機の開発など、さまざまな案件で取り組みが進められているさなかでの脱退は、まことに無責任きわまりない行動であり、国際的ルールも礼儀もわきまえない身勝手な振る舞いに大変驚いております。
 先日、急遽台湾を訪れ、馬台北市長と善後策を協議した結果、来年の総会を半年前倒しにして、来春、台北で開催することを合意いたしました。年内に臨時会議を開き、正式に決定したいと思います。今後とも、参加都市と協力して、国境をまたいだ都市間連携が大きな成果をもたらすことを具体的な行動をもって示してまいります。
 アスベストによる健康被害が次々に明らかになり、都民にも不安が広がっております。都は、平成元年の時点で既に対策推進会議を設置し、全庁的に取り組んでまいりました。今回の事態に対しても、解体現場への立入検査や周辺大気中の濃度測定を行うとともに、関係団体に対して飛散防止対策の徹底と周辺住民への情報公開を実施するよう緊急要請いたしました。引き続き区市町村とも連携を図りながら、相談窓口の充実を図るなどアスベスト対策を進めてまいります。
 この問題は従前から指摘されていたものでありまして、ディーゼル車排出ガス規制と同様、国の対策のおくれが被害の拡大を招いていることを指摘せざるを得ません。国に猛省を促し、抜本的な対策を求めてまいります。
 次に、都民生活の充実について申し上げます。
 地球温暖化に対する取り組みが国家レベルで求められており、都庁自身も具体的な対策をさらに拡充する必要があります。
 先月、都庁の行動計画を改定いたしました。公営企業局や東京ビッグサイトなどの管理委託施設を新たにCO2削減の対象に加え、平成二十一年度までに十六年度比一〇%削減という高い目標をみずからに課しました。
 都庁全体のCO2排出量の四五%は下水処理の過程で発生しております。これまでも下水汚泥によるバイオマス発電や廃熱利用などに取り組んできましたが、今年度、汚泥を炭化し燃料として再利用する事業に着手いたします。処理コストを約二割減らせる上に、大幅なCO2削減が可能となります。平成十九年度の事業開始を目指してまいります。
 大都市特有のヒートアイランド現象は、熱帯夜や熱中症を引き起こす一因となるなど、都民生活に少なからず影響を与えております。
 ことし四月に指定した対策推進エリアを中心に、都内の公立学校において校庭の芝生化に取り組むとともに、都心エリアと新宿エリアで約四万平方メートルの都道を保水性舗装に改良いたします。丸の内周辺では、夏休みに合わせて都独自に路面散水を実施してまいりました。今後とも、国や関係区と連携して集中的に対策を進めてまいります。
 新進気鋭の芸術家を支援するため、トーキョーワンダーサイトを開設して三年半、二つ目の施設が七月、渋谷にオープンいたしました。文化政策とは、単に箱をつくれば済むものではなくて、そこに何を入れ、何を造成するかが最も重要であります。そうした意味からも、この二つの芸術発信基地が若い芸術家たちの試練の場として機能し、近い将来、ここから多くの才能が開花することを期待しております。
 来年度、大島南高等学校に海洋国際科を新たに設置いたします。海を通じて広く世界を知る体験型の国際教育を実践するとともに、全寮制を導入して自律の精神や規範意識を養い、たくましい人材を育成していきたいと思います。
 この春開設した都立初の中高一貫教育校白鴎高校附属中学校に続き、来年度、小石川中等教育学校など三校の中高一貫校を開設いたします。六年間の継続した教育により、社会のさまざまな分野でリーダーとして活躍する人材を育ててまいります。生徒の多様な希望にこたえるため、引き続き独自の高校改革を進めてまいります。
 昨年八月の福祉保健局の発足以来、だれもがそれぞれの能力や状況に応じて地域で生活できる社会の実現を目指し、福祉と医療がこれまで以上に一体となって施策に取り組んでまいりました。
 本年十二月、重症心身障害児施設が未整備であった区部東部地域に、東部療育センターを開設いたします。医療的ケアを必要とする方々に手厚い療育サービスを提供するとともに、在宅の障害児や家庭のための相談窓口を設置し、地域の福祉施設への技術的支援を行うなど、重症心身障害児が地域で安心して暮らすための基盤づくりを推進してまいります。
 次に、東京の活力の向上について申し上げます。
 都は、これまでCLO、CBO合わせて六回の発行により、中小企業一万社以上に対して四千五百億円を超える資金を供給し、既に四十二社の上場を実現しました。来春、全国初の試みとして、大阪府や神戸市、横浜市などと共同で広域CBOを発行いたします。東京発の取り組みを全国に拡大することにより、東京、ひいては日本をリードする中小企業を支援してまいります。
 来年度、産業技術研究所を、地方の試験研究機関としては全国で初めて独立行政法人化をいたします。外部人材の大幅な登用や外部資金の活用など民間の経営手法を大胆に取り入れ、中小企業への最先端技術の迅速な移転や産学との弾力的な共同開発などに取り組んでまいります。今定例会に関連する条例案を提案しております。
 来月、ICタグなどを活用して観光情報を提供する実証実験を上野公園及び動物園で実施いたします。最新のIT技術や専用の携帯端末を使い、園内各所の地図情報や施設情報を簡単に受け取ることができるようにいたします。純国産技術であるトロンを初め我が国の最先端技術を結集して、まちづくりにおける情報技術の新しい活用方法を提唱したいと思います。あわせて実験内容を秋葉原で紹介し、日本のすぐれた技術を国内外に発信してまいります。
 秋葉原は、今や国際的なIT拠点として発展を遂げつつあり、産学連携機能を持つダイビルがこの春オープンしたのに続き、来年三月には情報関連企業が集積するUDXビルの完成も予定されております。
 先月、つくばエクスプレスが開業し、秋葉原とつくば市が最短四十五分で結ばれました。二つの高度技術の集積地を直接結ぶこの路線の開業は、社会工学的に大変な大きな意味を持っておりまして、つくばは、もはや都心の一部になったのであります。沿線の広大な土地の有効活用も含め、つくばエクスプレスが首都圏の未来を切り開いていくことを大いに期待しております。
 三環状道路は、首都圏のみならず日本全体の道路ネットワークの充実のために不可欠な交通インフラであります。
 中央環状品川線では、有料道路事業に先駆けて都が街路事業を進めており、圏央道については、来年秋の中央道との接続に向け、あきる野インターチェンジから南の区間の整備を促進してまいります。外環道については、具体的な計画を取りまとめる時期と判断し、道路の構造や本線と同時に整備するインターチェンジなど、基本的な考え方に関して国と共通の認識を得ました。今後、沿線区市などの意見を聞き、事業の推進に努めてまいります。
 都心部と並び首都東京の一翼を担う多摩地域では、都市計画道路の完成率が約五割にとどまるなど、道路ネットワークの整備が急務となっております。厳しい財政状況にあって多摩地域の道路を重点的かつ効率的に整備するため、現在、関係二十八市町と共同で計画の見直しを行っており、今後、地元の意見を踏まえ、横田基地の軍民共用化も視野に入れながら、新しい整備方針を策定したいと考えております。
 経済のグローバル化の進展により、物流をめぐる国際競争が激しさを増しております。こうした中、七年連続でコンテナ取扱量日本一を誇る東京港の果たす役割はますます大きくなっております。
 都は、これまでも二十四時間フルオープン化や京浜三港の連携強化など、物流拠点としての改革を進めてまいりました。先週、第七次改訂となる港湾計画の中間報告を取りまとめました。十年後の東京港を見据え、大井、青海に次ぐ新たな国際コンテナふ頭を建設するとともに、羽田空港再拡張への対応や耐震強化岸壁の拡充などに取り組んでまいります。
 伊豆諸島と小笠原諸島は、美しい自然と豊かな海洋資源に恵まれ、観光地としても一層の発展が期待されるなど大きな可能性を秘めております。
 都では、今年度、観光産業の再生に意欲的に取り組む島に対して専門家を派遣する事業を開始しました。七月から二人のプロデューサーが神津島と八丈島に赴き、島内の現況を検証しております。年内に具体的な活性化戦略の提案を受け、今後の観光振興に反映してまいります。
 三宅島では、避難指示解除から半年以上が経過しました。いまだに火山ガスの噴出が続く中、生活再建に取り組まれる村民の皆様のご努力にははかり知れないものがあると思います。五月から始まった観光客の受け入れについては、この夏、九千人以上の方々が釣りやダイビングなどに訪れるなど、島に活気が戻りつつあります。
 また、現在閉鎖中の三宅島空港については、生活の利便性の向上や観光、産業の振興をさらに後押しするため、早期再開に向け、関係機関と協力し、検討を開始するように指示いたしました。一日も早く島が本来の姿を取り戻すように願っております。
 最後に、オリンピックの招致について申し上げます。
 快晴の空のもと、神宮の森の国立競技場に聖火がともされたあの日から四十年余り、東京は、政治、行政、経済、そして、文化の諸機能が高密度に集積する世界に類を見ない大都市に発展いたしました。
 今日、再び日本でオリンピックを開くとすれば、都市のキャパシティーや都市機能の充足度、さらには国際イベントの開催実績などから考えて、この東京をおいて他にはあり得ません。成長を遂げ成熟期に入った都市での開催は、発展の途上にある国での大会とは異なる意義を持っており、成熟した都市の姿を世界に示し、改めて日本の存在をアピールする絶好の機会になると思います。
 二十一世紀の東京五輪では、単なる国際的なスポーツ大会の枠を超えて、膨大な都市施設のストックを有効に活用するとともに、我が国の高度な技術力や多様な歴史文化の蓄積とスポーツとを組み合わせ、日本ならではの全く新しい価値観を提示することができるはずであります。
 招致を実現するには、国際的な都市間競争に国家の総力を傾けて勝ち抜かなければなりません。東京都だけでの努力にはおのずと限界があり、国を挙げてのバックアップと周到な招致戦略が不可欠であります。
 オリンピック開催を起爆剤として日本を覆う閉塞感を打破するためにも、ぜひ日本の首都である東京に招致したいと思っております。来月には庁内に準備組織を立ち上げ、大きな目標に向かって第一歩を踏み出したいと考えております。都議会の皆様を初め都民、国民の皆様のご支持、ご協力をよろしくお願いいたします。
 なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含め、条例案十五件、契約案三件など合わせて二十四件の議案を提案しております。よろしくご審議をお願いいたします。
 以上をもちまして所信表明を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
〇議長(川島忠一君) 以上をもって知事の発言は終わりました。

○六十七番(秋田一郎君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日は、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一から第四までを先議されることを望みます。
〇議長(川島忠一君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。よって、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一から第四までを先議することに決定いたしました。

○議長(川島忠一君) 追加日程第一から第三まで、東京都名誉都民の選定の同意について三件を一括して議題といたします。
   〔松原議事部長朗読〕
一、東京都名誉都民の選定の同意について三件

一七財主議第二九〇号
平成十七年九月二十日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 川島 忠一殿
   東京都名誉都民の選定の同意について
 このことについて、左記の者を東京都名誉都民に選定いたしたいので、東京都名誉都民条例第三条の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお取り計らい願います。
       記
     岸本 忠雄

      略歴
岸本 忠雄
大正十四年五月三十日生
大正十四年  東京市深川区(現東京都江東区)生まれ
昭和十三年  江東区立明治尋常小学校を卒業
同年     父祐則に師事
昭和二十一年 三代目岸本祐浩を名乗る。
昭和二十四年 旧最高裁判所建築木彫刻を制作
昭和二十五年 東京美術木彫彫友会設立
昭和三十年  東京美術木彫彫友会会長に就任
昭和三十四年 日本木彫連盟理事に就任
昭和三十五年 職業訓練指導員(木彫工)免許を取得
昭和三十七年 日本木彫連盟主催第一回木彫展開催
昭和四十六年 日本木彫連盟副理事長兼事業部長に就任
昭和五十五年 日本刻字協会理事に就任
同年     財団法人国際身体障害者技能競技大会日本組織委員会技術実行委員会委員(木彫部会審査主査)に就任
昭和五十八年 日本木彫連盟理事長に就任
同年     東京都優秀技能章を受章
同年     卓越技能章を受章
昭和五十九年 日本刻字協会監事に就任
昭和 六十年 黄綬褒章を受章
昭和六十三年 協同組合江戸木彫刻理事長に就任
同年     深川江戸資料館内「飾り獅子」及び新木場駅大看板文字彫刻を制作
平成元年   東京都伝統工芸士に認定される。
同年     江東区指定無形文化財工芸技術木工(彫刻)保持者に認定される。
同年     天皇陛下「即位の礼」式台の脚彫刻を制作
平成二年   日本刻字協会参事に就任
平成七年   勲六等瑞宝章を受章
同年     国営昭和記念公園内茶室「観楓亭」の欄間ほかの彫刻を制作
平成八年   法務省赤レンガ棟(霞ヶ関六号館)資料室の内装彫刻を制作
平成九年   東京都技能継承推進者に認定される。
平成十一年  日本木彫連盟江戸木彫刻代表顧問に就任
平成十四年  江東区伝統工芸保存会会長に就任

      事績
岸本 忠雄氏
 大正十四年五月三十日、東京市深川区(現東京都江東区)に生まれる。
 昭和十三年、江東区立明治尋常小学校卒業。父祐則のもと木彫刻の修行を始める。
 昭和二十一年、三代目岸本祐浩を名乗る。
 昭和二十四年、旧最高裁判所建築木彫刻を制作する。
 昭和二十五年、東京美術木彫彫友会を設立する。
 昭和三十年、東京美術木彫彫友会会長となる。
 昭和三十四年、日本木彫連盟発足と同時に事業部理事となる。
 昭和三十五年、職業訓練指導員(木彫工)免許を取得する。
 昭和三十七年、日本木彫連盟主催第一回木彫展を開催する。
 昭和四十六年、日本木彫連盟副理事長兼事業部長となる。
 昭和五十五年、日本刻字協会理事となる。同年、財団法人国際身体障害者技能競技大会日本組織委員会技術実行委員会委員(木彫部会審査主査)となる。
 昭和五十八年、日本木彫連盟理事長となる。同年、東京都知事表彰優秀技能章、労働大臣表彰卓越技能章を受章する。
 昭和五十九年、日本刻字協会監事となる。
 昭和六十年、黄綬褒章を受章する。
 昭和六十三年、協同組合江戸木彫刻理事長となる。同年、深川江戸資料館内の「飾り獅子」及び新木場駅大看板文字彫刻を制作する。
 平成元年、東京都伝統工芸士に認定される。同年、江東区指定無形文化財工芸技術木工(彫刻)保持者に認定される。同年、天皇陛下「即位の礼」式台の脚彫刻を制作する。
 平成二年、日本刻字協会参事となる。
 平成七年、勲六等瑞宝章を受章する。同年、国営昭和記念公園内茶室「観楓亭」の欄間ほかの彫刻を制作する。
 平成八年、法務省赤レンガ棟(霞ヶ関六号館)資料室の内装彫刻を制作する。
 平成九年、東京都技能継承推進者に認定される。
 平成十一年、日本木彫連盟江戸木彫刻代表顧問となる。
 平成十四年、江東区伝統工芸保存会会長となる。
 氏は、江戸時代に宮大工の技術の一部が分化、発展したものといわれる木彫刻に従事し、六十年以上の長きにわたり技を磨き上げてきた。一刀一刀丹念に彫り込まれた作品は、後世に残る貴重なものとなっている。また、木彫の美しさ、木の温もりを伝えるため、後進の指導にも意欲的に取り組んできた。
 その道一筋に精魂を傾け、伝統工芸を次の世代に伝える活動を積極的に行っている姿は、広く都民が敬愛し、誇りとするところである。

一七財主議第二九一号
平成十七年九月二十日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 川島 忠一殿
   東京都名誉都民の選定の同意について
 このことについて、左記の者を東京都名誉都民に選定いたしたいので、東京都名誉都民条例第三条の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお取り計らい願います。
       記
     野村  萬
     (本名 野村 太良)

      略歴
野村  萬
(本名 野村 太良)
昭和五年一月十日生
昭和五年   東京市北豊島郡(現東京都豊島区)生まれ
昭和九年   「靱猿」の子猿の役で初舞台。「伊呂波」にて初シテ
昭和二十五年 大曲「釣狐」を披き、四世万之丞を襲名
同年     東京音楽学校本科を卒業し、同研究科に進学
昭和三十一年 大曲「花子」を披く。
昭和三十二年 パリ国際演劇祭渡欧能楽団に参加、「棒縛」・「蚊相撲」等を上演(戦後初の狂言の海外公演)。
昭和三十九年 ワシントン大学客員教授。アメリカ各地にて公演
同年     「釣狐」の演技により芸術祭奨励賞を受賞
昭和四十六年 観世寿夫らと演劇集団「冥の会」を結成、「オイディプース」・「アガメムノン」・「ゴドーを待ちながら」等のギリシャ劇、前衛劇にも取り組む。
昭和四十七年 重要無形文化財保持者総合指定の認定を受け、日本能楽会会員となる。
昭和四十八年 「武悪」・「花子」の演技により芸術祭優秀賞を受賞
昭和五十九年 国立能楽堂開場一周年記念公演にて「父之尉風流」を復曲上演
昭和六十一年 東宮御所で催された天皇在位六十年祝賀会にて「蝸牛」を天覧に供する。
昭和六十二年 日本芸術院賞を受賞
同年     国立能楽堂養成課主任講師に就任
平成五年   七世野村万藏を襲名
平成六年   紫綬褒章を受章
平成八年   三島由紀夫作近代能楽集「葵の上」等を演出
平成九年   重要無形文化財保持者各個指定(人間国宝)
同年     豊島区名誉区民
同年     社団法人日本芸能実演家団体協議会会長に就任
同年     日中文化交流二十五周年記念公演「唐人相撲」・「舟渡聟」を歌舞伎座にて上演、皇太子・同妃殿下の台覧に供する。
平成十二年  初世 萬を名乗り、秘曲「枕物狂」を初演
平成十三年  日本芸術院会員
平成十七年  社団法人日本芸能実演家団体協議会に芸能文化振興の拠点を設置、「芸能花伝舎」と命名

      事績
野村  萬氏
(本名 野村 太良)
 昭和五年一月十日、東京市北豊島郡(現東京都豊島区)に生まれる。
 昭和九年、「靱猿」の子猿の役で初舞台。「伊呂波」にて初シテを務める。
 昭和二十五年、大曲「釣狐」を披き、四世万之丞を襲名する。東京音楽学校本科を卒業し、同研究科に進学する。
 昭和三十一年、大曲「花子」を披く。
 昭和三十二年、パリ国際演劇祭渡欧能楽団に参加、「棒縛」・「蚊相撲」等を上演(戦後初の狂言の海外公演)。
 昭和三十九年、ワシントン大学の招きにより渡米、客員教授としての授業のかたわら、各地で公演。「釣狐」のアドの演技により、芸術祭奨励賞を受賞する。
 昭和四十六年、観世寿夫らと演劇集団「冥の会」を結成し、「オイディプース」を上演。以後毎年のごとく、「アガメムノン」・「ゴドーを待ちながら」等のギリシャ劇、前衛劇に取り組む。
 昭和四十七年、重要無形文化財保持者総合指定の認定を受け、日本能楽会会員となる。
 昭和四十八年、「武悪」・「花子」の演技により芸術祭優秀賞を受賞する。
 昭和五十九年、国立能楽堂開場一周年記念公演にて「父之尉風流」を復曲上演する。
 昭和六十一年、東宮御所において催された天皇在位六十年祝賀会にて「蝸牛」を天覧に供する。
 昭和六十二年、日本芸術院賞を受賞する。国立能楽堂養成課主任講師に就任する。
 平成五年、七世野村万藏を襲名する。
 平成六年、紫綬褒章を受章する。
 平成八年、三島由紀夫作近代能楽集「葵の上」等を演出する。
 平成九年、重要無形文化財保持者各個指定(人間国宝)の認定を受ける。豊島区名誉区民の称号を贈られる。社団法人日本芸能実演家団体協議会会長に就任する。日中文化交流二十五周年記念公演として「唐人相撲」・「舟渡聟」を歌舞伎座にて上演し、皇太子・同妃殿下の台覧に供する。
 平成十二年、初世 萬を名乗り、秘曲「枕物狂」を初演する。
 平成十三年、日本芸術院会員に選任される。
 平成十七年、社団法人日本芸能実演家団体協議会に、芸能文化振興の拠点を新たに設置し、自ら「芸能花伝舎」と命名する。
 氏は、数々の古典の大曲を演じる一方、新作狂言や現代劇・テレビへの出演・演出等の幅広い演劇活動を通じてその芸域を広げ、「歌舞」と「物真似」を両立させた正統派の狂言を確立、その格調高い品格ある芸風は他の追随を許さない。
 現在も多くの舞台で活躍する一方、後進の育成にも力を注ぎ、また、広く日本の芸能の振興発展に尽力しており、その功績は、広く都民が敬愛し、誇りとするところである。

一七財主議第二九二号
平成十七年九月二十日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 川島 忠一殿
   東京都名誉都民の選定の同意について
 このことについて、左記の者を東京都名誉都民に選定いたしたいので、東京都名誉都民条例第三条の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお取り計らい願います。
       記
     古橋廣之進

      略歴
古橋廣之進
昭和三年九月十六日生
昭和三年   静岡県浜名郡雄踏町生まれ
昭和十五年  静岡県水泳大会一〇〇メートル及び二〇〇メートル自由形で学童新記録
昭和二十二年 全日本水泳選手権大会四〇〇メートル自由形で、世界新記録を出し優勝
昭和二十四年 ロサンゼルス全米水泳選手権大会で、四〇〇メートル、八〇〇メートル及び一五〇〇メートル自由形で世界新記録を出し優勝
昭和二十六年 日本大学法文学部卒業
昭和三十年  日本オリンピック委員会委員に就任
昭和三十二年 日本水泳連盟常務理事就任
昭和三十九年 東京オリンピック競技大会日本代表選手団長秘書
昭和四十二年 国際水泳殿堂入り
昭和四十三年 メキシコオリンピック競技大会日本代表選手団水泳チーム監督に就任
昭和五十年  日本大学文理学部教授
昭和五十七年 「一九八五年ユニバーシアード神戸大会」組織委員会事務総長に就任
昭和五十八年 紫綬褒章を受章
昭和六十年  財団法人日本水泳連盟会長に就任
昭和六十一年 東京都文化賞を受賞
平成二年   財団法人日本オリンピック委員会会長に就任
平成四年   バルセロナオリンピック競技大会日本代表選手団団長
平成五年   文化功労者表彰を受章
平成七年   東京都教育委員に就任
平成八年   アトランタオリンピック競技大会日本代表選手団団長
平成十年   第九回世界水泳選手権大会組織委員会会長に就任
同年     日本大学名誉教授
平成十一年  財団法人日本オリンピック委員会顧問に就任
平成十五年  財団法人日本水泳連盟名誉会長に就任
同年     旭日重光章を受章

      事績
古橋廣之進氏
 昭和三年九月十六日、静岡県浜名郡雄踏町に生まれる。
 昭和十五年、静岡県水泳大会一〇〇メートル及び二〇〇メートル自由形で学童新記録を出し、「豆魚雷」の名がつけられた。
 昭和二十二年、全日本水泳選手権大会四〇〇メートル自由形で、世界新記録を出し優勝。
 昭和二十四年、ロサンゼルス全米水泳選手権大会では、四〇〇メートル、八〇〇メートル及び一五〇〇メートル自由形で世界新記録を出し優勝。「フジヤマのトビウオ」の名で一躍世界の脚光を浴びた。
 昭和二十六年、日本大学法文学部を卒業する。
 昭和三十年、日本オリンピック委員会委員に就任する。
 昭和三十二年、日本水泳連盟常務理事に就任する。
 昭和三十九年、東京オリンピック競技大会日本代表選手団長秘書となる。
 昭和四十二年、国際水泳殿堂入りとなる。
 昭和四十三年、メキシコオリンピック競技大会日本代表選手団水泳チーム監督に就任する。
 昭和五十年、日本大学文理学部教授となる。
 昭和五十七年、「一九八五年ユニバーシアード神戸大会」組織委員会事務総長に就任する。
 昭和五十八年、紫綬褒章を受章する。
 昭和六十年、財団法人日本水泳連盟会長に就任する。
 昭和六十一年、東京都文化賞を受賞する。
 平成二年、財団法人日本オリンピック委員会会長に就任する。
 平成四年、バルセロナオリンピック競技大会日本代表選手団団長を務める。
 平成五年、文化功労者表彰を受章する。
 平成七年、東京都教育委員に就任する。
 平成八年、アトランタオリンピック競技大会日本代表選手団団長を務める。
 平成十年、第九回世界水泳選手権大会組織委員会会長に就任する。同年日本大学名誉教授となる。
 平成十一年、財団法人日本オリンピック委員会顧問に就任する。
 平成十五年、財団法人日本水泳連盟名誉会長に就任する。同年、旭日重光章を受章する。
 氏は、水泳選手として優れた才能を発揮し、「フジヤマのトビウオ」の愛称とともに、戦後、新生日本に立ち上がった日本人の希望の象徴となった。現役引退後も「魚になるまで泳げ」をモットーに、後進の指導にあたり、水泳ニッポンの復活に尽力してきた。
 水泳のみならず、日本のスポーツ界全体の競技力の向上にも力を注いできた功績は、広く都民が敬愛し、誇りとするところである。

○議長(川島忠一君) お諮りいたします。
 本件は、いずれも知事の選定に同意することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、いずれも知事の選定に同意することに決定いたしました。

○議長(川島忠一君) 追加日程第四、議員提出議案第十七号、都道府県議会制度の充実強化に関する意見書を議題といたします。
 案文は、お手元に配布いたしてあります。
 朗読は省略いたします。

議員提出議案第十七号
   都道府県議会制度の充実強化に関する意見書
 右の議案を別紙のとおり東京都議会会議規則第十二条の規定により提出します。
  平成十七年九月二十日
(提出者)
遠藤  守   伊藤 興一  田中たけし
鈴木 隆道   後藤 雄一  福士 敬子
宇田川聡史   そなえ邦彦  原田 恭子
花輪ともふみ  伊藤 ゆう  原田  大
河野百合恵   小竹ひろ子  松葉多美子
大松  成   中山 信行  高倉 良生
早坂 義弘   高木 けい  崎山 知尚
坂本たけし   石森たかゆき 高橋 信博
村上 英子   鈴木あきまさ 山口 文江
佐藤 広典   尾崎 大介  山口  拓
伊藤まさき   松下 玲子  たぞえ民夫
村松みえ子   橘  正剛  上野 和彦
吉倉 正美   谷村 孝彦  矢島 千秋
高橋かずみ   山加 朱美  串田 克巳
吉原  修   山田 忠昭  臼井  孝
野島 善司   服部ゆくお  大西由紀子
野上ゆきえ   西岡真一郎  吉田康一郎
斉藤あつし   泉谷つよし  くまき美奈子
大西さとる   かち佳代子  植木こうじ
長橋 桂一   野上 純子  東村 邦浩
小磯 善彦   東野 秀平  松原 忠義
田代ひろし   神林  茂  秋田 一郎
林田  武   きたしろ勝彦 近藤やよい
高島なおき   鈴木 一光  増子 博樹
いのつめまさみ 門脇ふみよし 小沢 昌也
石毛しげる   岡崎 幸夫  山下 太郎
清水ひで子   古館 和憲  松村 友昭
藤井  一   ともとし春久 木内 良明
鈴木貫太郎   こいそ 明  遠藤  衛
倉林 辰雄   川井しげお  三宅 茂樹
樺山たかし   宮崎  章  古賀 俊昭
立石 晴康   桜井  武  初鹿 明博
酒井 大史   大沢  昇  真木  茂
大津 浩子   大塚たかあき 馬場 裕子
曽根はじめ   大山とも子  石川 芳昭
中嶋 義雄   石井 義修  桜井良之助
比留間敏夫   吉野 利明  新藤 義彦
野村 有信   大西 英男  山崎 孝明
佐藤 裕彦   川島 忠一  内田  茂
三田 敏哉   相川  博  柿沢 未途
中村 明彦   土屋たかゆき 田中  良
名取 憲彦   吉田 信夫  渡辺 康信
東京都議会議長 川島 忠一殿

   都道府県議会制度の充実強化に関する意見書
 平成十二年の地方分権一括法の施行により、地方公共団体の自己決定・自己責任の領域が拡大したことに伴い、地方議会の役割と責任は一層増してきている。
 今後、地方議会がその役割を十分に発揮していくためには、議会の諸機能を更に充実させていく必要があり、そのため、東京都議会は自ら運用面の改革に取り組んでいるところである。
 しかし、現行の地方自治法には議会にかかる多くの権限制約的な規定が設けられており、地方議会の更なる活性化を図るためには、それらの諸規定を見直す必要がある。現在、第二十八次地方制度調査会で議論が進められているが、特に議会の自主性・自立性確保と権限強化の観点から議会の招集権を議長に付与するとともに、議会と首長との関係を見直し、さらには地方議会議員、とりわけ活動実態が専業化している都道府県議会議員について、その役割にふさわしい法的位置付けを明確にする等の制度改正が必要不可欠である。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、地方分権を推進し、議会と首長との二元代表制を一層発展させ、都道府県議会制度を充実強化するため、次の事項について早急に所要の法改正を図ることを強く要請する。
一 議会の招集権を議長に付与すること。
二 議員の位置付けを明確化するため、地方自治法第二百三条から「議会の議員」を削除し、新たに「公選職」にかかる条項を設けること。
三 議会の監視権を明確化すること。
四 委員会にも議案提出権を付与すること。
五 専決処分不承認の場合の首長の対応措置を義務付けること。
六 決算不認定の場合の首長の対応措置を義務付けること。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成十七年九月二十日
東京都議会議長 川島 忠一
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣   あて

○六十七番(秋田一郎君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議員提出議案第十七号については、原案のとおり決定されることを望みます。
〇議長(川島忠一君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。よって、議員提出議案第十七号については、原案のとおり可決されました。

○六十七番(秋田一郎君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会し、明二十一日から二十六日まで六日間、議案調査のため休会されることを望みます。
〇議長(川島忠一君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明二十一日から二十六日まで六日間、議案調査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、九月二十七日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後一時三十四分散会

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