平成十七年東京都議会会議録第九号

平成十七年六月二日(木曜日)
 出席議員(百十六名)
一番谷村 孝彦君
二番東村 邦浩君
三番村上 英子君
四番秋田 一郎君
五番矢島 千秋君
六番鳩山 太郎君
七番後藤 雄一君
八番福士 敬子君
九番林  知二君
十番伊沢けい子君
十二番相川  博君
十三番山下 太郎君
十五番河野百合恵君
十六番長橋 桂一君
十七番小磯 善彦君
十八番野上じゅん子君
二十一番高橋かずみ君
二十二番山加 朱美君
二十三番小美濃安弘君
二十四番吉原  修君
二十五番山田 忠昭君
二十六番臼井  孝君
二十七番林田  武君
二十九番山口 文江君
三十番柿沢 未途君
三十一番初鹿 明博君
三十二番酒井 大史君
三十三番清水ひで子君
三十四番かち佳代子君
三十五番小松 恭子君
三十六番東野 秀平君
三十七番藤井  一君
三十八番ともとし春久君
四十一番野島 善司君
四十二番真鍋よしゆき君
四十三番松原 忠義君
四十四番田代ひろし君
四十五番三宅 茂樹君
四十六番川井しげお君
四十七番鈴木 一光君
四十八番吉野 利明君
四十九番こいそ 明君
五十番執印真智子君
五十一番花輪ともふみ君
五十二番真木  茂君
五十三番大津 浩子君
五十四番大塚 隆朗君
五十六番古館 和憲君
五十七番松村 友昭君
五十八番丸茂 勇夫君
五十九番木内 良明君
六十番鈴木貫太郎君
六十一番森田 安孝君
六十二番石川 芳昭君
六十三番土持 正豊君
六十四番倉林 辰雄君
六十五番遠藤  衛君
六十六番鈴木あきまさ君
六十七番近藤やよい君
六十八番串田 克巳君
六十九番中屋 文孝君
七十番三原 將嗣君
七十一番樺山たかし君
七十二番田島 和明君
七十三番宮崎  章君
七十四番大西由紀子君
七十五番樋口ゆうこ君
七十六番中村 明彦君
七十七番馬場 裕子君
七十八番和田 宗春君
八十番大山とも子君
八十一番東ひろたか君
八十二番池田 梅夫君
八十三番中山 秀雄君
八十四番大木田 守君
八十五番前島信次郎君
八十六番桜井良之助君
八十七番新藤 義彦君
八十八番星野 篤功君
八十九番いなば真一君
九十番高島なおき君
九十一番服部ゆくお君
九十二番古賀 俊昭君
九十三番山本賢太郎君
九十四番立石 晴康君
九十五番清原錬太郎君
九十六番小山 敏雄君
九十七番大山  均君
九十八番大河原雅子君
九十九番田中  良君
百一番藤川 隆則君
百三番曽根はじめ君
百四番渡辺 康信君
百五番秋田かくお君
百六番中嶋 義雄君
百七番石井 義修君
百八番橋本辰二郎君
百九番藤井 富雄君
百十番桜井  武君
百十一番野田 和男君
百十二番野村 有信君
百十三番比留間敏夫君
百十四番大西 英男君
百十五番山崎 孝明君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十番田中 晃三君
百二十一番藤田 愛子君
百二十二番尾崎 正一君
百二十三番土屋たかゆき君
百二十四番富田 俊正君
百二十五番名取 憲彦君
百二十六番吉田 信夫君
百二十七番木村 陽治君

 欠席議員(一名)
十一番 新井美沙子君
欠員
十四番  十九番  二十番
二十八番 三十九番 四十番
五十五番 七十九番 百番
百二番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事福永 正通君
副知事濱渦 武生君
副知事大塚 俊郎君
副知事竹花  豊君
出納長櫻井  巖君
教育長横山 洋吉君
知事本局長前川 燿男君
総務局長赤星 經昭君
財務局長松澤 敏夫君
警視総監奥村萬壽雄君
主税局長山口 一久君
生活文化局長山内 隆夫君
都市整備局長梶山  修君
環境局長平井 健一君
産業労働局長関谷 保夫君
建設局長岩永  勉君
港湾局長成田  浩君
交通局長松尾  均君
水道局長高橋  功君
消防総監白谷 祐二君
福祉保健局長幸田 昭一君
下水道局長二村 保宏君
学管理本部長馬場 正明君
病院経営本部長押元  洋君
中央卸売市場長森澤 正範君
新銀行設立本部長津島 隆一君
選挙管理委員会事務局長高橋 和志君
人事委員会事務局長佐藤  広君
労働委員会事務局長久保田経三君
監査事務局長高橋 道晴君
収用委員会事務局長嶋津 隆文君

六月二日議事日程第二号
第一 第百四十六号議案
  特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第二 第百四十七号議案
  市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三 第百四十八号議案
  外国の地方公共団体の機関等に派遣される職員の処遇等に関する条例の一部を改正する条例
第四 第百四十九号議案
  東京都恩給条例の一部を改正する条例
第五 第百五十号議案
  雇傭員の退職年金及び退職一時金等に関する条例の一部を改正する条例
第六 第百五十一号議案
  東京都都税条例の一部を改正する条例
第七 第百五十二号議案
  東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
第八 第百五十三号議案
  東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
第九 第百五十四号議案
  警視庁の警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する条例の一部を改正する条例
第十 第百五十五号議案
  特別区の消防団員に係る退職報償金に関する条例の一部を改正する条例
第十一 第百五十六号議案
  特別区の消防団員等の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第十二 第百五十七号議案
  神田川・環状七号線地下調節池(第二期)善福寺川取水施設建築工事請負契約
第十三 第百五十八号議案
  警視庁臨港警察署(仮称)庁舎(H十七)新築工事請負契約
第十四 第百五十九号議案
  債務弁済協定調停事件に関する調停について
第十五 第百六十号議案
  公立大学法人首都大学東京定款の変更に対する同意について
第十六 第百六十一号議案
  公立大学法人首都大学東京中期目標について
第十七 第百六十二号議案
  都道の路線の認定について
第十八 第百六十三号議案
  ヘリコプターの買入れについて
第十九 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例の一部を改正する条例の報告及び承認について
第二十 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した公立大学法人首都大学東京が定めた料金の上限の認可の報告及び承認について
議事日程第二号追加の一
第一 東京都公安委員会委員の任命の同意について(一七財主議第九四号)
第二 東京都公安委員会委員の任命の同意について(一七財主議第九五号)
第三 東京都人事委員会委員の選任の同意について(一七財主議第九六号)
第四 議員提出議案第十一号 東京都議会議員柿沢未途君に対する問責決議
第五 議員提出議案第十号  東京都議会議員富田俊正君に対する問責決議
第六 議員提出議案第十二号 東京都副知事濱渦武生君に対する問責決議
第七 議員提出議案第十三号 東京都出納長櫻井巖君に対する問責決議

   午後一時二分開議

○議長(内田茂君) これより本日の会議を開きます。

○議長(内田茂君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(内田茂君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第十一号、東京都議会議員柿沢未途君に対する問責決議外決議三件、知事より、東京都公安委員会委員の任命の同意について外人事案件二件が、それぞれ提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(内田茂君) これより質問に入ります。
 百十一番 野田和男君。
   〔百十一番 野田和男君登壇〕

○百十一番 (野田和男君) 平成十七年第二回東京都議会定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問いたします。
 まず、社会福祉総合学院をめぐる問題について申し上げます。
 百条委員会では、学院の運営に関して、さまざまな角度から徹底的に調査を行いました。その結果、何ら違法、不法などという問題はないとの結論を得るに至ったのであります。また、一部の特別職が、何の問題もない事柄を、大問題であるかのようにいい立てて疑惑を捏造し、あろうことか、執行機関をチェックすべき議会をも利用するという、都政史上かつてない恥ずべき行為が明らかになったのであります。
 さらに許しがたいことは、百条委員会という真相究明の場で、真実をゆがめ、事実を隠そうとするさまざまな動きがあったことです。
 会派として百条委員会の設置に賛成した民主党は、政策責任者である富田議員が再三にわたり出頭を拒否するなど、真実の解明どころか、疑惑隠しに奔走する始末です。心ある民主党の議員の中からは、こうした対応を潔しとせず、富田議員の出頭を求める声が上がったことは周知のことと思います。
 結局、この問題は、都有財産について、個々の政策目的に応じて賃借などの方法を工夫し、いかに利活用の改善を図るかということに尽きるのでございます。
 さて、もはや都政には一刻の停滞も許されません。さきの百条委員会における内田議長の発言にもあったように、災い転じて福となす、このことが大切です。都政に大きな混乱と停滞を招いた責任、真実を隠ぺいしようとした責任、都民を不安に陥れた責任を厳しく問わなければなりません。
 このたび、知事自身をもって特別職の刷新を英断したことは、高く評価するものです。 我が党は、石原知事を支える与党として、あえてこのことをまず申し上げ、質問に入ります。
 さて、本定例会は、我々第十六期都議会議員にとって最後の定例会でありますが、この四年間、日本と東京は大きな変革を迫られました。
 近年、我が国は、米国型国際化、いわゆるグローバルスタンダードが急速に進展する中、バブル経済崩壊の後遺症を脱し切れないまま、低迷を続けておりました。こうした状況は、都民一人一人に将来への強い不安を感じさせたばかりか、我が国の輝きを失わせ、日本が、東京が、閉塞感に覆われてしまったのであります。
 こうした中、我が都議会自由民主党は、石原知事とともに聖域なき構造改革を果敢に遂行し、数多くの成果を上げてきたと自負しております。
 まず、都民生活にとって最大の懸念材料である治安について、石原知事は、竹花副知事を迎え入れ、総合的な治安対策に取り組まれました。我が党としても、治安対策本部を設置し、緊急都民決起大会を開催するなど、多くの地域の団体の協力を得る努力を重ねてまいりました。
 我々と知事の取り組みにより、警察官の大幅増員や、新たな警察署の新設、青少年健全育成条例の改正など、次々と実現し、かつて世界で最も安全・安心な東京の復活に向けて、確かな動きを感じさせます。
 また、全国で最も厳しいディーゼル車排ガス規制を行い、東京の提案が首都圏自治体を動かし、都民のご理解、関係事業者の献身的なご協力を得て、見事に大きな成果を上げております。このことは、三千三百万人首都圏がスクラムを組むことの重要性や有効性を示しております。
 また、少子化の進行という、社会の活力低下はおろか、国家の存亡さえ危惧される事態に直面しておりますが、今年度から、我が党のかねてからの主張を取り入れ、都独自の次世代育成に向けた総合支援がスタートいたしました。
 同時に、時代の変化に合わせ、福祉施策を利用者本位、都民本位に抜本的に改めてまいりました。
 さらに、都市再生を進め、幹線道路や連続立体交差などのインフラ整備をするとともに、必死に頑張る中小企業や商店街のために、石原知事とともに我が党があらゆる手だてを尽くしてきたのであります。
 こうした都独自の先進的な施策を支えるため、我々は、都財政の立て直しにも取り組んでまいりました。財政再建団体転落の危機にあった都財政ですが、職員定数の一万人削減、都議会を含めた給与カットの断行、外郭団体の統廃合など、施策の見直しを徹底して行ってまいりました。
 我々と石原知事とが進めてきた改革は、自信と輝きを失いかけた日本をよみがえらせ、その牽引車である東京を再生させつつあります。この成果を発展させ、子孫のために豊かで美しい世界に誇れるまち東京を残していくために何をすべきかが、今問われております。
 こうした立場で、現下の都政について質問してまいります。
 初めに、知事の基本姿勢について伺います。
 石原知事は、グローバルスタンダードについて、単にアメリカのための価値体系、規範、基準でしかない、アメリカに迎合することで国際性を増したなどという錯覚に陥っていると指摘し、みずからの国家観、歴史観に基づき、従来の都政の守備範囲を超えて、米軍基地問題や沖ノ鳥島をめぐる国土問題も都政改革の中に位置づけ、積極果敢に取り組んでいるわけであります。
 一方、国の構造改革を見ると、地方分権を含め、明確な国家観に基づく国家戦略として改革がなされているのか、現時点において甚だ疑問なのであります。
 規制改革の目的は、豊かで魅力ある社会の実現であり、社会経済状況の変化に即して柔軟かつ弾力的に行われるべきであり、この点、認証保育所の創設など一連の石原知事による福祉改革は、現在の社会経済状況を勘案して、区市とも協力して実現してきた先駆的な取り組みであったわけであります。金融ビックバン改革や郵政民営化は、方向性としてすべて否定するものではないものの、余りに拙速で、単にアメリカの要請にこたえることが主目的であるとさえ思えるのであります。
 そこで、日ごろからグローバルスタンダードのまやかしを指摘する知事の、昨今の国政におけるこれらの動向について所見を伺います。
 次に、都政を通じた知事の国家戦略の一つ、横田基地の軍民共用化について伺います。
 横田基地を含めた米軍再編については、二月に日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2の開催により、個別基地の具体的な協議が行われる段階に入ったとのことであります。三月には、在日米軍再編について、外務大臣と防衛庁長官が米軍基地のある都道府県の知事と意見交換をする初めての会合が開かれたと聞いています。
 横田基地の軍民共用化については、知事が、国や米政府に精力的に働きかけた結果、いよいよ現実なものとして結実しつつあるようであります。そこで、軍民共用化について、現在、国や米国との交渉状況はどのようになっているのか、知事に伺います。
 さて、横田基地がある多摩地域は、首都圏における交通の要衝であり、先端技術産業や大学、研究機関の集積、豊かな自然の魅力ある資源が数多く存在する、今後も大きな発展の可能性を秘めた地域であります。
 本年一月、都は多摩リーディングプロジェクトを策定いたしましたが、産業の活性化、雇用の促進など、多摩振興の引き金として、横田飛行場の民間航空利用の早期実現に取り組むものとしています。横田基地の軍民共用化が実現すれば、多摩地域を初め、首都圏西部地域の航空需要にこたえるとともに、首都圏の空港容量の不足を補うものとして期待されます。
 地元の理解と協力を得るためにも、道路や鉄道の基盤整備を含め、地元に経済効果をもたらす施策を実施すべきであります。地元の経済発展につながるような形で軍民共用化を進めていくべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、行財政問題について伺います。
 これまで我が党は、石原知事とともに、都財政の危機を肌身に感じながら、財政再建に取り組んでまいりました。その結果、平成十七年度予算は、石原都政にとって初めて臨時的な財源対策を行わずに収支を均衡させることができたのであります。これは、財政再建の長い道のりにおける一里塚をようやく通過することができたといえます。
 しかし、先行き不透明な三位一体改革、いまだ解消されない巨額の隠れ借金、原油高を初めとする世界経済の動向など、まだまだ乗り越えなければならない峠道が続いております。今後は、未来に向かってしっかりとみずからの歩みを進めることができるよう、体力を十分回復させなければなりません。
 十七年度予算で達成した収支均衡という一里塚から後戻りすることは、もはや許されません。これまでの成果を生かし、再建の歩みを確実なものにするため、なお一層財政構造改革に邁進し、健全な自治体運営のあるべき姿を都みずから示していくべきであります。折しも来年度は第二次財政再建推進プランの最終年度ですが、このプランの総仕上げに向けた知事の決意を伺います。
 都はこれまでも、職員定数の削減を初めとした行政改革に全力を上げて取り組んできたことは評価しますが、都民に多様なサービスを効率的に提供し、将来にわたって東京の持続的発展を可能とするためには、さらなる行政改革の推進が避けて通れません。
 国においても、小さくて効率的な政府の実現に向け、PFIの積極的導入や、官民が対等の立場で競争する市場化テストなどが本格化してきております。都においても、民間への徹底したアウトソーシングや、指定管理者制度を活用した監理団体への競争原理の導入は、極めて重要な課題であります。
 都は、新たな発想により、簡素で効率的な行政体制を構築していくことが重要であると考えますが、今後の行政改革に向けた取り組みについて伺います。
 今後、人口減少社会を迎えるなど、都を取り巻く社会経済状況は、なお一層厳しさを増すものと考えられます。石原都政は、時代の変化を的確にとらえ、新たな先進的施策を展開してきましたが、今後もこうした取り組みをさらに発展させると同時に、行財政運営を改革していかなければなりません。そのために、将来の都政が進むべき方向を定めた羅針盤ともなるべきマスタープランの策定に早期に着手されることを、改めて強く要望しておきます。
 次に、都区制度改革について伺います。
 十二年の都区制度改革において積み残された五項目の課題については、現在、都区間で協議が進められています。第一回定例会の我が党の質問でも申し上げたように、都区の主張が平行線で、進展が見られない状況にあります。
 このため、我が党は、二十三区の区議会の自民党議員とともに、特別区の区長会、特別区の区議会議長会の協賛のもと、先月五月九日に都区制度改革促進決起大会を開催し、解決に向けて取り組みを始めているところであります。
 また、さきの定例会において、知事は、大事なことは東京をどうするかであり、そのために、基礎的自治体である区が何をすべきか、大都市行政、府県行政を担う都が何をすべきかを都区で議論することが必要と発言されました。
 もちろん、制度や仕組みを都区で時間をかけて根本から議論することも必要でございます。しかし、五項目の課題には、区が行政運営をしていく上で早急に解決を要する具体的な課題も含まれています。今後、これらの課題の解決に向けてどのように取り組んでいこうとされているのか、改めて知事の所見を伺います。
 次に、税負担の軽減について伺います。
 先月二十日に、知事の諮問機関である東京都税制調査会が開かれ、検討課題の一つとして固定資産税制の簡素化が取り上げられました。
 我が党は、固定資産税、都市計画税について、従来から、地価が下がっているのに税負担が下がらないなど、現行制度の問題を繰り返し指摘し、制度の抜本的改革を行うべきと主張してまいりました。特に負担が過大になっている二十三区の商業地等について、都独自の軽減措置を講じるよう強く求めてまいりました。
 そうした中、知事が、平成十七年度において、新たに条例で商業地等の負担水準の上限を引き下げるとともに、小規模住宅用地や小規模非住宅用地、新築住宅に対する独自の三つの軽減措置を継続されたことは、一つの英断であると考えます。
 そこで、これらの措置の意義について、改めて知事の所見を伺います。
 また、商業地等の税負担につきましては、多摩地域においても、商店街を中心に引き下げを望む声が強くなっております。ついては、二十三区と同様に、多摩地域におきましても商業地等の負担水準の上限引き下げが行われるべきではないかと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、都民の安心・安全対策について伺います。
 都民の体感治安の向上を阻害する主な要因となっている路上強盗、ひったくりなどの街頭犯罪は、検挙人員のうち、約四割が少年であり、オートバイ窃盗に至ってはその九割を少年が占めるなど、少年犯罪はいまだ深刻な状況にあるといえます。
 都では、青少年健全育成条例の改正など、さまざまな施策を実施していますが、警視庁として、少年犯罪に対し、現在の取り組み状況と、今後の取り組みの具体策について伺います。
 次に、震災対策について伺います。
 南関東では、今後三十年以内にマグニチュード七クラスの大地震が七〇%の確率で発生すると予測されております。国の中央防災会議も、首都直下地震の切迫性を指摘し、地震が発生したときは甚大な被害が生ずるとしています。公共交通機関が麻痺すれば、東京の政治経済活動の回復にも支障が生じ、経済被害は中央防災会議の想定している約百十二兆円を上回ることも考えられます。
 災害時の緊急輸送ネットワークに都営地下鉄大江戸線も組み込まれていますが、電車の脱線や火災の発生なども考えられます。そこで、地下鉄を運営する交通局はどのような対策を講じているのか、伺います。
 昨年十月に発生した新潟中越地震では、新幹線が脱線しました。幸いにも、直線で、高架橋から落下しなかったため、人的被害はありませんでした。しかし、東京は、地下鉄を含め、路線が網の目のように整備されており、曲線も多く、線路際には人家が接しています。このような状況で大地震が発生すれば、多くの電車が脱線し、電車同士の衝突や追突、マンションや人家への衝突という大事故につながることも考えられます。
 地震時の事故対策のために、鉄道各社とも必要な措置を講じているとは思いますが、今後、都はどのような取り組みを行うのか、伺います。
 次に、都市型水害対策について伺います。
 平成五年の台風十一号は、神田川流域に甚大な被害をもたらしましたが、昨年の台風二十二号では、同規模の降雨でも、浸水被害は比較的小規模でした。これは、たび重なる浸水被害に対する都民の切実な声にこたえ、護岸改修や調節池の設置など、我が党が強力に進めてきた治水対策の効果があらわれてきたものと考えております。しかし、近年の都市型集中豪雨の頻発、そして台風の上陸個数の多さを考えると、これから出水期を迎え、中小河川における水害発生の不安を拭い去ることはできません。
 都は、水害の解消に向けて、環状七号線地下調節池などの工夫をしておりますが、このような施設も含め、中小河川の現在の整備状況と今後の取り組みについて伺います。
 中小河川の整備は着実に進んできていると理解しておりますが、河川と鉄道が交差している区間は、護岸の老朽化など、未整備のままとなっているところも見受けられます。こうした箇所は、関係機関との調整など、整備には時間を要するとのことですが、都の取り組みについて伺います。
 次に、環境行政について伺います。
 石原知事は、環境問題を都政の最重要課題の一つとして、多くの先駆的な施策を推進してきました。とりわけディーゼル車から排出されるPMは、都民の生命と健康を脅かしていることから、知事の強力なリーダーシップのもと、八都県市が連携し、削減に全力を挙げて取り組んできました。その取り組みは、経済環境の極めて厳しい中、多くの事業者の血のにじむような努力と協力によって初めて実現したものであります。
 我が党は、規制対応に真摯に努力されている事業者を都が支援するよう強く主張してまいりました。都も、我が党の主張にこたえ、PM減少装置の装着補助や、ディーゼル車買いかえ融資あっせんを大幅に拡充するなど、中小零細な事業者を積極的に支援してきました。また、都の要請にこたえた石油連盟の努力により、国の規制を大幅に前倒して、いわゆる超低硫黄の軽油、ガソリンの全国供給が実現されました。
 都の取り組みを契機に、我が国の大気汚染行政は、かつてないほど進展したのであります。これらの成果は、東京から国を動かし、東京から国を変えるという地方主導の先駆的な環境行政のモデルを示したものと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、花粉症対策について伺います。
 近年、花粉症患者が増加しており、今や国民の六人に一人が患者と推定されるほど国民的な課題となっています。特にことしは、東京では観測史上最大量のスギ花粉の飛散が確認されるなど、大きな社会問題となっております。
 我が党は、かねてから花粉症問題の重要性を認識し、平成十三年に石原知事が首都圏再生緊急五カ年十兆円プロジェクトの中で花粉症対策を国に提案された際にも、第三回定例会の代表質問において、花粉症対策の取り組みを一層強化すべきとの主張を行ってきました。
 都は、ディーゼル車からの排出ガスと花粉症の関係を明らかにし、ディーゼル車規制によって大気汚染を改善しました。また、荒廃の目立つ人工林を間伐する森林再生事業などを推進してきました。
 本来、花粉症問題は、国民的な課題として国が抜本的な対策を講ずるべきですが、国の取り組みは全く不十分なのが実情であります。
 花粉症に苦しむ多くの都民を代表して、国に花粉症対策の強化を強く求めていくべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、東京の都市再生について伺います。
 東京は、いうまでもなく我が国経済の牽引役となる都市であり、国際競争力を備えた経済活力の向上のために、ビジネス拠点としての機能強化を初め、安全・安心で快適な、さらに国際的に見て個性的で魅力あふれる都市に再生していかなければなりません。
 このような都市を再生するために、七地域、二千四百ヘクタールに及ぶ都市再生緊急整備地域が指定されてから、間もなく三年経過しようとしています。現在は、東京駅周辺などを初め、秋葉原、新宿、大崎、臨海部などの副都心や新拠点で、民間活力を活用したプロジェクトが次々とダイナミックに動き出しており、東京の都市再生がいろいろな地域で進められていることが実感できる状況になっています。
 こうした開発プロジェクトによる都市再生効果について、所見を伺います。
 また、都市再生に当たって、経済活力を高めるだけでなく、水や緑を大切にし、特に近年問題になっているヒートアイランド対策など環境に配慮していくことが重要であり、プロジェクトを通じて良好な環境も創出していかなければなりません。
 そこで、都市再生の取り組みに当たってどのように環境への配慮がなされているのか、伺います。
 次に、交通渋滞の解消に向けた道路整備の取り組みについて伺います。
 都内の慢性的な交通渋滞は、都民の日常生活や企業活動に時間的、経済的損失を与えるばかりでなく、排気ガスの増加など環境悪化の原因となっており、その解消は待ったなしの課題であります。そのためには、三環状道路の整備にあわせ、骨格幹線道路ネットワークの整備や連続立体交差事業の推進が不可欠であります。
 これまでも我が党は、道路整備に必要な財源の確保とともに、繰り返し事業の推進を要望してまいりました。特に昨年は、三位一体改革の議論の俎上にのった道路特定財源の地方譲与税化に反対し、特定財源として堅持すべく、国に対する意見書を採択するなど、都議会として積極的に活動してまいりました。
 そこで、この四年間の渋滞解消に向けた道路整備の成果について伺います。
 また、これらの成果により、都民が実感できる事業効果としてどのようなものがあったのか、伺います。
 活力ある東京の再生に向けて、引き続き道路整備を積極的に推進すべきと考えますが、今後の取り組みについて伺います。
 次に、鉄道運行の安全対策について伺います。
 去る四月二十五日、兵庫県尼崎市で発生したJR福知山線の列車脱線事故は、百七名の方がお亡くなりになられるという大惨事となりました。また、東京においても、三月十五日に、東武伊勢崎線竹ノ塚駅付近の踏切で四名の方が死傷するという痛ましい事故が発生したことも忘れてはなりません。お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の方々に心からお悔やみ申し上げたいと思います。また、負傷された方々の一日も早いご回復をお祈りいたします。
 いずれの事故も、原因を究明し、安全確保のために対策を講じることが急務であります。竹ノ塚駅付近の踏切事故については、先日、歩行者や自転車の安全を確保する緊急対策が関係者間で合意され、新たな跨線橋を含めたすべての対策を年度内に供用開始すべく、整備が進められております。
 都のリーダーシップにより短期間で対策が決定したことは評価しますが、区民の望むのは一日も早い鉄道高架化であります。四月七日に、足立区長、議長、地元の代表の方々が国土交通大臣へ高架化の早期実現を要望した折、根本的な解決は連続立体交差事業の実施である旨の大臣発言があったとのことです。当然都も同じ考えだと思います。
 連続立体交差事業を実施するには、都の強力な支援が欠かせません。今後、踏切問題の抜本的な解決に向け、どのように進めていくのか、見解を伺います。
 次に、商店街振興について伺います。
 東京の魅力は、商店街という活気あふれた空間が東京じゅうにモザイクのように広がっていることであります。住みたいまち、訪れたいまちと呼ばれる地域に必ず元気な商店街があり、住民や来訪者の心を引きつけるさまざまな取り組みが行われ、地域全体の魅力、活力を高めております。
 我が党は、東京に元気な商店街が数多く生まれるよう、全力で応援してきました。新・元気を出せ商店街事業を中心とする商店街振興策は、今年度から、地域連携型モデル商店街事業や商店街グランプリなど新たな制度が加わり、予算規模も拡大するなど、一層充実強化されたところであります。
 そこで、こうした新規施策も含め、商店街振興施策を展開していくに当たって、都の姿勢を改めて伺います。
 次に、金融施策について伺います。
 金融機関の不良債権処理にもめどがつき、企業の資金繰りは改善傾向にあるとはいうものの、都の調査では、いまだ三分の一以上の中小企業は資金繰りが苦しいなど、中小企業は依然として厳しい経営環境にあります。中小企業は東京の産業を支える重要な役割を担っているばかりか、我が国経済の活力源であります。
 そこで、中小企業の振興を図るため、都はどのような金融施策を展開していくのか、その基本的な取り組み姿勢を伺います。
 次に、雇用就業対策について伺います。
 雇用に関するワンストップサービスを行う東京しごとセンターは、昨年の七月の開設以降、民間事業者を活用して都独自の事業を展開してきました。平成十七年三月末の時点で既に五万人を超える方が利用しているとのことであり、都民の期待の大きさを物語っております。
 雇用環境はいまだ厳しく、ニートやフリーターという若者の存在など、新たな問題も発生しています。仕事を求める都民の切実な声にこたえ、就業を支援していくために、しごとセンターの機能を充実し、引き続き積極的な事業の展開により、雇用環境の変化に適切かつ柔軟に対応すべきと考えますが、所見を伺います。
 さらに、より多くの都民が身近な地域でしごとセンターのサービスを受けることができるよう、地域拠点を整備していくことを強く要望しておきます。
 次に、三宅島について伺います。
 三宅島は、ことしの二月一日、全島避難から四年五カ月ぶりに避難指示が解除され、帰島が実現しました。避難指示解除から四カ月が経過し、帰島は無事故で順調に進んでおり、現在九百世帯、一千六百人を超える島民の皆さんが帰島し、生活の面では、学校や保育園が四月から再開し、旅館、民宿、商店、食堂なども次々と営業を始めました。
 今後は、帰島した島民自身の主体的な自助努力を前提に、生活を一日でも早く安定させることが必要です。三宅島を活性化させるとともに、島民が自立して生活できるように、都は引き続き強力に支援していくべきであると考えますが、知事の所見を伺います。
 また、三宅島の生活基盤を安定させるためには、島の基幹産業である農林水産業や観光業の再生、振興を図ることが不可欠であります。
 帰島後、農地や農業用水施設等の復旧が始まりました。伊豆地区の畑では、八王子のげんき農場から持ち帰ったアカメイモが元気に育っているとのことです。水産業では阿古漁港の冷蔵施設など復旧され、トコブシ、ハタ類が放流されています。
 観光面では、五月一日に観光客の受け入れを再開するに当たって、ホームページで民宿や商店の紹介、ガスマスクの携帯など島内ルールを伝えるパンフレットの配布、新たに雄山の火口を見るヘリコプターツアーにも取り組み、五月の大型連休には約一千七百名の方が来島されました。
 今後、三宅島の産業振興についてどのように取り組むのか、所見を伺います。
 次に、第一回定例会で我が党の比留間幹事長が取り上げた沖ノ鳥島について伺います。
 沖ノ鳥島は、国連海洋法条約上れっきとした島であるにもかかわらず、突然中国が、岩であって、排他的経済水域を有しないという主張をし出しました。我が党は以前から、国は毅然として対応すべきという立場から、知事の言動を支持してまいりました。
 知事は、沖ノ鳥島周辺海域が日本固有の経済水域であることを都が率先して実証するとして、国に先駆け漁業開始のための予算を措置し、五月十九日から二十一日に沖ノ鳥島を視察されました。漁業は既に操業を開始、成果が得られる見通しであり、視察時にはシマアジを放流し、各種調査も開始するなど、さまざまな取り組みが動き出していることを心強く感じております。
 今回の視察は、今後の多角的な沖ノ鳥島の利活用や資源開発の可能性を探るためにも有意義なものであり、国を動かす力につながっていくものと確信しております。
 そこで、知事の今回の沖ノ鳥島視察の感想を伺います。
 次に、試験研究機関の見直しによる島しょ振興への効果について伺います。
 島しょ地域の農林水産業は、輸送手段を主として船舶に頼り、毎年のように台風等に見舞われる厳しい環境に置かれております。国の内外の他の産地と競合していくためには、常に技術革新が求められており、試験研究は島の産業振興にとって重要な意義を持つとともに、島民の大きな期待が寄せられています。
 都の試験研究機関は、平成十六年度の見直しにより、島しょ地域では、水産試験場と各島しょの園芸技術センター、農業改良普及センターが統合され、東京都島しょ農林水産総合センターが設置されました。
 そこで、今回の見直しが島しょ地域の振興のためにどのような効果が期待できるのか、所見を伺います。
 次に、福祉保健施策について伺います。
 我が党は、活力ある東京の実現、さらにそれを持続させていくための土台づくりが重要と考えています。福祉はその土台の一つでありますが、都では、石原知事のリーダーシップのもと、利用者本位の福祉の実現に向けた福祉改革の積極的な取り組みを行っております。子ども、高齢者、障害者施策の各分野で福祉改革に向けて植えてきた苗も、順調に育っております。
 そうした中、現在国会で障害者自立支援法案が審議されております。この法案は、身体、知的、精神に分かれている三障害の福祉サービスを一元化することや、利用者の増加に対応できるよう、安定的かつ効率的な制度にしていくことにより、障害者の自立した生活を支援することを目的としています。
 都ではこれまでも、障害者が自立して生活できる社会の実現を目指し、サービス基盤の整備などさまざまな取り組みを先駆的に進めてきており、この法案の理念は、都の方向性と一致するものとして評価するものであります。
 地域の実情に応じたサービス基盤の充実のためには、財政支援を初めとした国の責任は非常に重大であります。しかしながら、国は、三位一体改革の中で突如として国民健康保険への都道府県負担導入を決めるなど、その責任を自覚しないばかりか、地方に負担を押しつけようとしております。
 そうした中、都は現在、整備費の国庫補助協議を行っていますが、国は、予算枠が十分確保されていないことを理由として、採択件数をかなり絞っていると聞いています。
 この国庫補助協議に至るまでには、施設の関係者の綿密な準備、障害者の家族、地元住民、区市町村関係者の真摯な取り組みなど、数限りない努力が積み重ねられています。それが国の財源不足を理由に一切無にされようとしていることは、非常にゆゆしき問題です。国がその責任を果たすよう、さらに強く働きかけるとともに、仮に不採択となった案件が生じた場合は、地域のサービス基盤の整備に強力に取り組んできた都としても方策を講ずるべきと考えますが、所見を伺います。
 また、この法案は、福祉サービス等の費用を皆で負担し、支え合う仕組みとするために、利用したサービスの量に応じた負担を障害者に求めています。この定率負担の導入には、障害者や障害者団体から不安の声が上がっています。利用料については、特に影響が大きい所得の少ない障害者に十分配慮をし、きめ細かな負担軽減措置を講ずる必要があると考えます。
 そこで、今回の定率負担の導入について、都の基本的な考えを伺います。
 次に、次世代育成支援について伺います。
 都では先般、次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画を策定しましたが、我が党は、子どもの健全育成のためには、子どもと子育て家庭全体を視野に入れた総合的な取り組みこそが重要であると考えております。国の社会保障の在り方に関する懇談会においても、高齢者給付に比べて児童家庭給付の比重が低い現状を見直す方向で検討されると聞いております。
 そうした中、都は、子育て家庭を多面的に支援するため、我が党の主張を受けて、次世代育成緊急対策総合補助制度を設けました。この制度を区市町村が活用しやすいものとして、地域における子育て基盤の整備を早期に進めていくことが重要であり、予算計上した二十億円の全額執行が強く望まれます。
 そこで、都は、この次世代育成緊急対策総合補助制度をどのように位置づけて執行しようとしているのか、伺います。
 次に、高齢者の健康づくりについて伺います。
 いわゆる超高齢社会の到来に備えて、だれもが安心して暮らせる長寿福祉社会の実現が緊急の課題となっています。社会保障の構造を改革する施策の展開が強く求められていますが、その根幹ともなる元気な長寿をいかに実現するかが極めて重要であります。
 各区市町村を初め自主グループが独自に取り組むなど、自分の健康は自分で守り、つくるという自己管理の考え方は普及されつつあるものの、社会全体で支援するという考え方はまだ十分に浸透していません。地域の自治体や関係団体等が効果的な健康づくり、介護予防を実施できるよう、健康づくり支援体制の輪を広げていくためには、関係者間の情報共有化や連携体制を整備していくことが肝要であります。
 高齢者の健康づくりに向け、今後都として施策展開をどのように進めていくのか、伺います。
 次に、ホームレス対策についてであります。
 目に見える形でブルーテントを減らしていこうとするホームレス地域生活移行支援事業は、昨年の六月に新宿区内の二つの公園で事業着手してからちょうど一年となります。この事業の取り組みにより、隅田川沿いにはまだ多くのブルーテントが残るものの、公園部分ではホームレスが減少し、この四月には盛大に桜まつりが催されたところです。
 四月には代々木公園でも取り組みが始まり、次は上野公園です。早期に事業着手してほしいと強く願うものでありますが、この代々木公園の進捗状況と上野公園の事業実施の見通しについて伺います。
 次に、教育問題について伺います。
 教育は国家百年の大計といわれるように、今、世界各国で、国家戦略として教育改革を進めています。共通していることは、児童生徒の学力向上と健全育成、教員の資質の向上などを目標に掲げているところであります。
 我が国では、社会全体に自信の喪失や閉塞感が広がり、子どもたちの規範意識や道徳心、自律心の低下や学ぶ意欲の低下、さらには家庭や地域の教育力の低下など、教育をめぐる多くの課題が指摘されています。
 これからの教育は、二十一世紀の国家、社会に主体的に参画し、日本の伝統・文化を基盤として国際社会に生きる日本人を育成するものでなければなりません。
 都教育委員会では、昨年の四月に東京都教育ビジョンを策定し、国を先導する形でさまざまな教育改革に取り組んでおります。特に日本の伝統・文化の尊重、郷土や国を愛する心、国際社会の一員としての意識の涵養は、教育基本法改正における議論の柱となることが予想されております。今年度から、重点事業として、日本の豊かな伝統や文化を学ぶ教育に取り組んでいることは時宜を得たものであります。
 そこで、学校教育において日本の伝統・文化について学ぶことの意義やねらいについて伺います。
 また、伝統・文化の学習を学校の教育活動に明確に位置づけ、計画的かつ継続的に取り組んでいくことが必要と考えます。都教委が進める日本の伝統・文化を学ぶ教育の推進のため、具体的な方策と期待される成果について伺います。
 質問は以上でありますが、最後に一言申し上げます。
 さて、我々四年の任期もあとわずかとなっております。これまでの四年間を振り返ってみれば、日々東京の直面する課題に一つ一つ真っ正面から取り組んでまいりました。都民の皆さんの声を受けとめ、それぞれの地域の実情をつぶさにつかみ、これを最大のよりどころとして、政策提言、議会活動を行ってまいりました。
 都民の真の代表として、知事を頂点とする執行機関側と協力し、知恵を出し合い、熱い思いをぶつけ合って、時には激しく議論しながら、切磋琢磨してまいりました。
 一方で、我々は、都民の目線から知事、執行機関側をチェックし、都の施策や事業が本当に都民のために役に立っているのかを精査してまいりました。
 我々と知事と執行機関との間に健全で建設的な協力関係がなくては、都政は前に進むことができません。こうしたことを常に念頭に置き、真摯に都議会議員として都政に取り組んできたことが、石原知事とともに、都政の聖域のない改革を実現させたのであります。
 そして、冒頭述べたように、石原知事と我々が進めてきた東京と日本の再生のための改革を、希望の時代に向けた新たな飛躍につなげていくことが必要となっております。
 そこで、我々は、都議会議員選挙に当たり、これまでの改革の成果をベースとして、今後の東京の未来を切り開くための政策提言として、東京グリーンプログラム二十一を策定いたしました。我が都議会自由民主党は、引き続き「ときめく東京、新しい日本」を目指し、再生から躍動へをキーワードに、さらに挑戦を続けてまいります。
 都民生活の安心と安全の確保を初めとする都政の重要課題の解決のため、各地元で都民一人一人の声に耳を傾け、政権与党として国にいうべきことはいい、首都圏での広域的連帯を広げながら、決して困難にひるむことなく突き進んでいくことをお誓い申し上げまして、私の代表質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 野田和男議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、昨今の国政の動向についてでございますが、今日本は大きな大きな転換期に差しかかっておりまして、国の統治システム全体の改革を迫られていると思いますが、どうも国のこれから進むべき的確な方向を、国政はまだ定かに定めることができていないというもどかしさを感じざるを得ません。
 ともかくも、一つの決定に時間がかかり過ぎている感じがいたします。これも官僚が決めたルーチンにがんじがらめになっておりまして、まことにやっていることに、時間的にも、労力的にむだが多いような気がしてなりません。
 この間も総理とお話ししましたときに、総理が、何で所信表明を衆参両方でやらなくちゃいけない、天皇陛下だって開場式に参議院に来られるだけで、どうして一カ所で済まないんだといったら、大変物議を醸したそうでありますが、これもまことに総理の慨嘆が当たっているんじゃないかと私は思います。
 いずれにしろ、私たちにとっても大事な案件であります地方分権改革も名ばかりでありまして、国庫補助負担金削減の数字合わせに終始しておりまして、各省の縦割りの構造から一向に抜け出せておりません。
 肝心の国と地方の役割分担についての議論はもう最初から置き去りにされたままでありまして、郵政民営化を見ましても、改革の本質は、郵便貯金や簡易保険などの資金の流れを変え、我が国の金融の構造を変えることにあったはずでありますが、郵政事業の改革に矮小化されている感が否めません。
 また、ご指摘のグローバルスタンダードでありますけれども、これもご指摘のとおりです。ただのアメリカのスタンダードにすぎませんし、これに対して日本が戦略的にはっきり対応する、批判をするということもなく、右往左往して、個別の事象に振り回されているのが現況であります。
 私、最近知りましたが、アメリカから、このところ毎年、年次の、年度年度の改革要望書なるものが来ているそうでありまして、私、それいわれて一べつしましたら驚きましたが、とにかくこの法律をああ直せ、こう直せ、一々差し出がましく、全部それがアメリカの、要するに利益につながるみたいなことを、私も議員時代にこれ反発したことがありますけれども、以来、いつの間にかこれが慣例化したようであります。これも本当に情けないというか、口惜しい話であります。
 ともかく、民間の血のにじむような努力によりまして、日本経済はバブル崩壊の低迷をようやく乗り越えようとしておりますが、この国の政治は、長期的な視点から、国全体の利益を実現するという本来の責任を一向に果たそうとしていない、して得ないという感じがいたします。国際関係にももろもろの問題が生じておりますけど、それ一つ眺めても、寒心にたえないというか、暗たんとした気持ちを抱かざるを得ないというのが国民の共通した印象ではないでしょうか。
 次いで、横田基地の軍民共用化についてでありますが、これ軍民共用化については、これまで日米両政府に早期実現を強く働きかけてまいりましたが、ようやく具体化に向けて動き出そうとしております。
 私も、これ議員時代から手がけてきたことでありますが、知事に就任して積極的に動きましたけれども、それにしてもあっという間に時間がたちました。やっと端緒についたというのは早いような遅いような話でありますが、ともかく、この問題の合議機関がやっと小泉内閣になって官房の中に設けられまして、そのときの司会といいましょうか、チェアマンを務めていた官房副長官補の谷内君が、そのころから非常によく頑張ってくれました。今度次官になりまして、非常にはっきりした姿勢を打ち出してくれまして、どうも外務省そのものは今まで非常に好ましくないとしておったようでありますが、はっきりと東京都はこれからの日米交渉の合議機関に加わりました。
 これは当然のことですけれども、ある意味では画期的なことだと思いますし、これは次官の努力もあって、むしろ、何で現場を持っている東京都がこの合議機関に出てこないんだというのがアメリカ側の不満であったんですが、これは通りました。陰でいろいろこちらも工作しましたが、やっと東京もテーブルに着きまして、何といっても現場というものを持っている、その現場の実情を踏まえて、今後とも地元の理解と協力を得ながら、国と力を合わせ、軍民共用化の早期実現を目指してまいります。
 次いで、軍民共用化による経済発展についてでありますけれども、軍民共用化といっても、向こうの軍事当事者が、東京のために働いております高瀬参与にも思わずもらしたようでありますけれども、このままでいくとほとんど全面返還になるんですが、アメリカはなかなかそこのところはずるくて、将来、このアジアにおける軍事的な緊張は一体どういうふうに展開するか。万々々々々が一に備えて、この横田という日本で一番長い滑走路を持っている飛行場を、一応基地としてヘッジしておくというのが向こうの本音でしょう。
 ですから、これから空軍の情報関係の航空自衛隊があそこに共存しましても、そこに機材が急にふえるということは決してございません。まあその方がむしろ現地にとっても有効な点もございますので、いずれにしろ、軍民共用化としてあの飛行場が活用される。それは人や物の流れを活発にし、産業の活性化や雇用の促進にもつながると思いますし、大きな経済効果が見込まれると思っております。
 一月に策定しました多摩リーディングプロジェクトにおいても、軍民共用化を多摩及び首都圏の大きな発展の引き金になるものと位置づけて、これを視野に入れた施策展開を図ることにいたしております。
 ご指摘のとおり、道路や鉄道などの交通網の改善や騒音対策などの課題に取り組むことが必要と考えております。こうした課題に対して、国が責任を持って対応するように積極的に求め続けてまいります。
 都としても、あくまでも現場を踏まえた建設的な案を打ち出して、国と連携して実現に取り組んでまいります。
 なお、この経済効果云々については、一橋大学の杉山武彦学長が、こういう交通に関係する経済効果の専門家だそうでありまして、彼に委員長を務めていただく委員会が発足しまして、この発足もアメリカが非常に歓迎しておりまして、ぜひその意見を聞かしてほしいという姿勢でおりますので、必ずこのプロジェクトの実現に役に立つ委員会になると思っております。
 次いで、第二次財政再建推進プランについてでありますが、財政再建の目的は、中長期的に見て、都税の収入の大幅な伸びが見込めない中にあっても、東京の新しい発展につながる施策の展開を可能とする強固で弾力的な財政体質を構築することにございます。
 これまで、都議会のご協力を得ながら、全庁一丸となって財政再建に取り組んできた結果、放漫財政を続ける国とは全く異なりまして、着実に成果を上げてきたと思います。十七年度予算では、税収の増加もありまして、就任以来の懸案でありました財源不足を解消することができましたが、あくまでもこれは一つの通過点にすぎません。
 十八年度には、現在のプランの最終年度でありまして、まずは、プランの目標である収支の均衡した予算を目指すことはもちろんのこと、隠れ借金の圧縮など、より一層の財政構造改革に取り組み、都民の負託に積極的にこたえていく必要があると考えております。
 次いで、都区制度改革でありますが、十二年の改革によりまして、特別区は基礎的自治体に位置づけられ、都は、広域自治体として大都市の一体的行政を行うことが明らかになりました。今後は、日本の首都であり、頭脳部であり、心臓部でもあります東京の将来の発展を見据えて、さらなる改革が必要であると考えております。
 そのためには、行政区分のあり方も含め、都と区の仕組みをどのようにしていくか、真摯に議論をしていくことが必要であると思っております。
 あわせて、分割してしまいました清掃の経費あるいは小中学校の改築、都市計画の交付金など、具体的な課題について協議を促進し、十七年度中の合意形成に向けて精力的に取り組んでいきたいと思っております。
 次いで、固定資産税、都市計画税についてでありますが、国は、バブルの生成、崩壊の過程で、固定資産税について十分な対応ができておりませんでした。その結果、現行の制度では、負担の不均衡などさまざまな矛盾が生じておりまして、とりわけ二十三区は全国に比べて過大な負担を強いられております。
 このために、都は、課税自主権を行使しまして、小規模非住宅用地などについても軽減措置を講じるとともに、平成十七年度において、新たな条例による商業地域の負担水準の上限引き下げを実施いたしました。これは、都民負担の公平公正を確保し、東京の活力の再生に資する措置であると考えております。
 次いで、多摩地域における商業地等の固定資産税などの負担水準の上限引き下げについてでありますが、平成十二年に、都が二十三区で新築住宅の固定資産税などを軽減した際、多摩の市町村に対して同様の軽減措置を働きかけた経過がございます。
 しかし、課税権は市町村にあくまでも属しておりますし、また市町村においては、税収減を補てんするために新たな税源が見つからないということなどから反対に遭いまして、実現には至りませんでした。
 多摩地域において、商業地等の負担水準の上限引き下げを導入するかどうかについては、課税権を有する市町村があくまでも判断すべき問題であると心得ております。
 次いで、環境問題の都の取り組みについてでありますが、大気汚染対策や地球温暖化対策などは、本来、これは国が責任を持って取り組むべき課題でありますけれども、どうも国はいささか危機意識に欠けておって、抜本的な対策をいまだに講じようとしてきませんでした。
 一方、都は、地方自治体であるがゆえに、国が持ち得ない現場感覚とスピード感覚という強みを持っておりまして、東京都が直面する深刻な環境問題に対しても、この強みを生かして、議会の協力もありまして、ディーゼル車規制を初め、国に先駆けた果断な取り組みを進めてまいりました。
 これは、理事者側や議会だけの功績ではなくて、実は、都民、そして関係団体、関係事業者の本当に強い共感、危機意識に支えられたものであると思います。
 例えば、石油連盟は、国から何の命令もなく、都のやっていることに大いに共感することで、サルファーフリー、硫黄分をほとんど含まない油の精製、販売というものを始めてくれました。これは本当に都民にとっても涙が出るほどありがたい話でありますし、先般、毎年表彰しております環境問題に関する表彰の中で、この石油連盟に知事賞を贈与させていただきました。
 いずれにしろ、国が何で、首都圏で成功してここまで成果を上げているこの施策を国全体に及ぼさないのか、私はいまだに理解ができません。現に、東京に来てひっかかるトラックは全部大阪回っているわけでありますから、こんな不公平な国策というのはないと思います。
 次いで、花粉症問題についてでありますけれども、花粉症は、国民の約六人に一人、首都圏においては、四人に一人が患者と推定されておりまして、深刻な健康問題であることはもとより、社会的、経済的影響も甚大なものであります。
 花粉症は、大気汚染との複合汚染の所産であることから、八都県市が一体となりまして、ディーゼル車排気ガス規制を実施し、それなりの成果を上げてきましたが、ことしのスギ花粉の飛散量というのは例年の三倍以上、昨年の四十一倍という観測史上最大となっておりまして、その症状も深刻になっております。
 花粉症問題が深刻化した背景には、皆さんご存じのように、国の林業政策の失敗によって、杉林の管理が放棄され、花粉飛散が量として増大したこと、根本的な予防、治療対策が立ちおくれたことなどがございまして、これはやはり花粉症という国民病に近い疾患の、これに対する国の怠慢にほかならないと思います。
 都は、森林整備による発生源対策の推進や、根本的な予防、治療の方法の早期確立など、花粉症対策の強化を八都県市とともに連携して強く国に迫っていくことを先般の八都県市の首長会議でも決めました。しかし、これから行われる都議の選挙で、ひとつこれを大きな争点にしていただきたいと思うわけであります。
 次いで、三宅島についてでありますが、避難指示解除から四カ月、千七百人近い島民が帰島し、火山ガスの噴出が続く中、再建に取り組んでおられます。
 都はこれまで、住宅、医療、教育などの生活関連施設や漁業施設などを緊急整備するとともに、都独自の住宅再建支援制度を創設するなど、島民生活を支援してまいりました。
 今後も、安全対策を講じつつ、産業復興や雇用確保など、生活再建のための施策を積極的に進め、自立した生活の実現に向けて全力で取り組んでいくつもりでございますが、しかし、この間の連休で観光客が戻ってきて、久しぶりに釣り人が来てたくさん釣れたと。私は、これ非常に単純というか、既存の方法にすがっただけで、このまま放置すると、また魚を取り尽くして余り釣れなくなる。
 私は、かねてから、二代の村長さんに、ちょっと思い切ったことを考えたらどうだ、ある提案をいたしましたが、率直にいって、この三宅島というのはなかなか島民の皆さんの意見がまとまりにくい島でありまして、これがどういうふうに議題にいくかというか、村長さん自身も逡巡しているようですけれども、実は、ここでは申しませんが、私が、こういうことをしたら島おこしになるんじゃないでしょうかなと申し上げたことを、全然違う所用で先般東京都を訪れた対馬の町長が同じ発想をぽろっといって、ちょっと遠いんだけれども可能性あるでしょうかと私いわれて、あるよというと向こうに案取られちゃうんで、ううん、対馬はちょっと遠いなという話をしたんですが、やはり行き詰まった、お客を招致したい、ほかの離島はいろんなこと考えているわけですね。
 三宅島もやっぱり東京都にぶら下がるだけじゃなくて、あの地の利を生かした独自の案というものを考え、これは私が押しつけるわけじゃありませんが、そういう案もあるなと思ったら、要するに論議にかけて、自分たちで視察する目的地も教えてあげたんですけれども、まあ今帰って早々ですから、その余裕もないかもしれませんが、やはり今までのままではこの島の復興というのは、荒れ果てたその山林眺めますとなかなか難しい。これはとても東京ひとりでは賄い切れるもんじゃありませんし、島民の皆さん方も、観光誘致ということに関してもいろいろ情報があるんですから、発想を新たにして思い切った試みに取り組んでいただきたいなと思っております。
 最後に、沖ノ鳥島視察についてでありますが、我が国の領土である沖ノ鳥島に上陸して、地形や施設、リーフの内外のサンゴ、魚類など、島の状況を確認してまいりました。
 現に、小笠原島の漁業協同組合の漁業操業をお願いしておりまして、成果も上がっておりますが、それを視察し、水産資源増殖のために、シマアジという高価な魚の稚魚を十万匹放流もしてまいりました。
 いずれにしろ、島の環礁そのものは非常に浅くて、波風が打ち込んで、ある意味では決して豊かな礁湖とはいえませんが、一たん外側に出ますと、一番潮の当たり、風の当たりの影の、魚の、漁のしにくい、漁師はケンミといいますけど、そこでも五十メートルの水深の状況を見ますと、非常に可能性のある豊穣な漁場であるということが確認できました。
 今後、海水温度差発電については、施設の可能性も十分実感しましたし、後は国に督促して、せっかく国が、国交省が認可し、かつ開発の予算もつけたこの日本の新しい技術をこれに適用して、深層水をくみ上げ放流することで、漁場として造成していきたいと思っております。
 それから、先ほど、国の意識の問題でありまして、私、この間、久しぶりに日本に来まして、非常に親しい、来るたびに会っていますが、ボルトンという、今度国連大使になるんでしょう、彼が私の事務所に来ましたときに、地図を示したら、彼は軍人でありませんから、初めて気がついて、ああなるほどといっておりましたが、この沖ノ鳥島というのは、アメリカが西太平洋に構える沖縄に次いだ大戦略基地のグアム島から、沖縄に向けて直線距離の真ん中にあるんです。
 これは、航空母艦や潜水艦の航路にとって、通過せざるを得ない大事な大事な水域であります。現に、中国は、潜水艦の数をやたらにふやしております。ソビエトからの購入も含めて年に十隻ずつふやしておりますと、五年たちますと、彼らの総数は百三十隻になり、アメリカの潜水艦の数はわずか二十五隻。そのうちミサイル発射できる潜水艦は七隻しかない。これは潜水艦の数だけで対応できるものじゃありませんが、もしアメリカの原子力空母が出動して日本の水域に向かう途中、非常に数の多いディーゼル型の潜水艦だろうと、これにピラニアのごとく取り囲まれて魚雷発射されたら、これは防ぎようがありません。これは専門家の意見。もしそれで五千四百人を搭載しているアメリカの航空母艦がそこで沈没すると、これはアメリカの世論というのは非常に刺激されて大きく変わりますな。
 やっぱり、そういう可能性というものを想定しているがゆえに、中国は、これからの西太平洋の、要するに海における覇権というものの推進のために、この水域に非常に関心を持って、これは資源の調査じゃないんです。現に私たちが引き上げると、すぐまた向こうの海洋調査船がうろうろしていますけれども、これはあくまでも潜水艦の戦略の水路の確認調査でありまして、それ以外の何ものでもないと私は思います。まず間違いないと思います。
 こういったことを私たちはやっぱり意識して、この島を単に経済活動をもって排他性経済水域として実効支配するだけでなくて、プラスアルファ大きな大きな意味があるということも、都民――まず都民の財産でありますから、あそこは。国民全体もこの島に関して持っていただきたいと、思いは切であります。
 他の質問については、警視総監、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監奥村萬壽雄君登壇〕

○警視総監(奥村萬壽雄君) 少年犯罪対策についてでありますが、警視庁では、少年犯罪対策は、当面の治安対策としてのみならず、次代を担う少年を健全に育成するという観点からも、極めて重大な課題であると考えておりまして、現在、全庁挙げて推進しております犯罪抑止総合対策、この中でも大きな柱の一つとして、これに強力に取り組んでいるところであります。
 具体的には、一昨年来、少年事件を担当する捜査員を大幅に増強してまいりました。また、少年犯罪が多発している地区ごとに、非行集団等検挙解体地区対策本部というものを開設いたしまして、少年犯罪の検挙を強化してきております。昨年中、非行集団等を百六十グループ解体いたしました。ことしも既に三十六グループを解体いたしております。
 また、他方で、少年の非行を防止する対策として、少年警察ボランティアや学校関係者等と連携いたしましての街頭補導活動を初めといたしまして、警察OBのスクールサポーターによる少年の非行防止や立ち直りの支援、あるいは少年の非行事案等につきまして、学校側と自主的な相互連絡を行う警察と学校との相互連絡制度、これは都下の全小中高の九五%と既につくっておりますけれども、この連絡制度の構築など、学校、地域と連携しての非行防止対策を推進しているところであります。
 その結果、ご指摘がありましたように、少年とのかかわりが深い街頭犯罪につきましては、この四月末現在で、昨年同期に比べまして二二%減少しております。とりわけ、検挙人員のうち、少年が九割を占めておりますオートバイ盗につきましては、三六%減少となるなど成果が出てきております。
 今後とも、新たに改正されました青少年健全育成条例を初めとする各種の法令を使いまして、さらに取り締まりを行ってまいりますとともに、少年を非行に走らせないための諸対策を積極的に展開してまいりたいと考えております。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教育に関します二点の質問にお答え申し上げます。
 まず、日本の伝統・文化について、学ぶことの意義やねらいについてでございますが、国際化が進展するこれからの社会におきまして、さまざまな分野で日本人として国際社会に貢献をし、世界の人々から信頼され尊敬される人間を育成していくことが重要でございます。
 そのため、都教育委員会としましては、学校教育の各段階において、日本の伝統・文化について学ぶ機会の充実を図りまして、国や郷土に対する理解や愛着を深めますとともに、世界の多様な文化や伝統を尊重する態度や資質を身につけさせることを目的とした教育を推進してまいります。
 こうしたことが児童生徒に先人の培ってきた日本の伝統・文化の価値を正しく理解させ、日本人としての自覚や誇りをはぐくみ、あわせて世界で主体的に活躍する国際性豊かな人間を育成することになると考えております。
 次に、具体的な方策と期待される成果についてでございますが、日本の伝統や文化を理解させる教育は、これまでも、各教科等において行われてまいりましたが、必ずしも系統的、計画的に実施されてきたとはいえないため、児童生徒に日本の伝統や文化に対する理解が十分定着していない状況も見られます。
 こうした状況を踏まえまして、都教育委員会としましては、日本の伝統や文化を理解させる教育の内容や方法を体系化をしまして、全公立学校で推進することといたしました。
 現在、小中学校や都立高校など六十校におきまして、地域に伝わる太鼓やおはやしなどの郷土芸能や、茶道、華道などの伝統文化の学習につきまして研究開発を行っておりますし、今後は、有識者等による推進会議を設置をしまして、日本の伝統・文化理解教育の基本的なあり方を検討してまいりますとともに、都立高校におきましては、新たな科目で、教科科目でございます日本の伝統・文化の平成十九年度からの新設に向けまして、カリキュラムの開発などの準備を進めてまいります。
 これらの成果を踏まえまして、各学校が日本の伝統・文化理解教育を計画的、継続的に推進することによりまして、日本人としての自覚と誇りを持った児童生徒の育成が図られるものと考えております。
   〔総務局長赤星經昭君登壇〕

○総務局長(赤星經昭君) 二点の質問にお答え申し上げます。
 まず、今後の行政改革に向けました取り組みについてでございますが、都は、これまでも職員定数の削減や執行体制の整備などに積極的に取り組んでまいりました。社会経済状況の変化の中で、今日、官と民の役割分担もまた見直しが求められております。民間が行えることは民間にゆだね、真に行政が行うべきことは何かという視点からサービスのあり方を徹底して見直し、行政の効率化を図っていく必要がございます。
 都は、今後、このような考えに基づきまして、行政サービスそのものや水準のあり方などを再点検いたしますとともに、さまざまな手法を活用して行政改革をさらに進め、都民サービスの一層の向上に努めてまいります。
 次に、地震による鉄道事故への対策についてでございますが、地域防災計画におきましては、各鉄道事業者は、地震による事故が発生した場合、被害情報の迅速的確な収集伝達、負傷者の救護に努めますとともに、二次災害の防止に万全を講ずることにしております。また、警察、消防、自衛隊、さらに医療機関においても、相互に連携して迅速な負傷者の救助、救急活動を行うことにしております。
 都といたしましては、今月中に都内の鉄道事業者や関係機関を集め、初動措置の再点検強化を求めますとともに、早期に各機関相互の連携マニュアルを整備してまいります。
   〔交通局長松尾均君登壇〕

○交通局長(松尾均君) 都営地下鉄の震災対策についてお答えいたします。
 都営地下鉄は、関東大震災級の地震にも耐えられるように設計しておりますが、平成十三年度までに、阪神・淡路大震災の被災状況を踏まえ、地下駅の耐震補強工事を完了するとともに、百三カ所の曲線部に脱線防止ガードを設置いたしました。
 また、消火、排煙設備の拡充や車両の一層の不燃化等の火災対策を推進するとともに、定期的に消火、避難、誘導訓練を関係機関と連携して実施しております。
 今後とも、ハード、ソフトの両面から都営地下鉄の安全性向上に取り組んでまいります。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕

○建設局長(岩永勉君) 河川と道路に関する五点の質問にお答えします。
 まず、中小河川の整備についてでありますが、水害から都民の生命と財産を守るため、緊急性の高い神田川や野川など十五河川で護岸整備を進め、平成十六年度末の整備率は六〇%であります。また、水害の早期軽減を図るため、調節池の整備を進めており、現在、二十四カ所を完成させ、その貯留量は東京ドーム一・五杯分の百八十万立方メートルであります。
 こうしたことから、昨年の台風二十二号におきまして、神田川の環七地下調節池が大きな治水効果を発揮したほか、目黒川におきましても、荏原調節池の完成により集中豪雨による浸水被害は激減いたしました。
 引き続き、水害のおそれの高い石神井川、空堀川などで護岸や調節池の整備を進めるとともに、現在事業中の環七地下調節池の二期事業におきまして、本年秋には善福寺川からの取水を開始するなど、治水安全度のさらなる向上を目指してまいります。
 次に、河川と鉄道との交差部の整備についてでありますが、鉄道橋のかけかえは、河川のネック部の解消を図る上で大変重要でございます。また、輸送の安全を確保しながら限られた空間での施工となるため、高度な技術や綿密な調整を必要といたします。
 このため、都は、これまでも神田川のJR中央線の交差部や妙正寺川の合流部など、緊急性の高い箇所から順次整備を行ってまいりました。現在事業中の空堀川では、西武多摩湖線の橋梁区間の整備が平成十八年度に完成し、東村山市や東大和市の水害の軽減に大きく寄与いたします。また、今年度、神田川の高田馬場付近などで、鉄道橋のかけかえ及び護岸の整備に着手いたします。
 今後とも、国費などの財源確保に努め、中小河川の整備を着実に進めてまいります。
 次に、この四年間の道路整備の成果についてでありますが、圏央道など三環状道路の整備促進を図るとともに、区部環状、多摩南北、圏央道アクセス道路などの整備を進め、都市計画道路など約二百カ所、六十キロが完成いたしました。主な箇所としては、環状第八号線の練馬春日町トンネル、放射第一六号線の清砂大橋、府中所沢鎌倉街道線の府中区間や綾部原トンネル、新滝山街道の戸吹トンネルなどが開通いたしました。また、交差点すいすいプランでは、北府中駅交差点など四十カ所の整備が進んでおります。
 さらに連続立体交差事業では、小田急線世田谷代田駅から喜多見駅間が高架化されるとともに、新たに代々木上原駅から梅ヶ丘駅間や京王線調布駅付近の事業に着手いたしました。
 次に、これらの事業効果についてでありますが、清砂大橋の開通によりまして、上流にかかる葛西橋の交通量が約三割減少し、橋詰めの交差点では、最大渋滞長が二百五十メートルから四十メートルに減少いたしました。また、綾部原トンネルの開通では、前後の交差点区間で、所要時間が十五分から一分へ大幅に短縮されるとともに、交通の分散化により歩行者の安全性が向上いたしました。
 小田急線の高架化では、踏切十七カ所を除却し、交通渋滞や踏切事故を解消するとともに、駅前広場が整備され、沿線のまちづくりが大きく進展いたしました。
 これら道路整備の進捗によりまして、都内の走行速度が向上し、交通渋滞が緩和されるとともに、沿道環境が改善されるなど、着実に効果を上げております。
 最後に、道路整備の推進に向けた今後の取り組みについてでありますが、三環状道路の一つである中央環状品川線は、街路事業を先行させて着手するとともに、環状第八号線の全線開通や新交通「ゆりかもめ」の有明から豊洲間の延伸部の完成は、今年度内に着実に達成いたします。
 さらに、中央環状新宿線とあわせた山手通りの拡幅、調布保谷線や府中所沢線などの整備に重点的に取り組み、骨格幹線道路ネットワークの早期完成を目指してまいります。
 また、JR中央線や京浜急行線など連続立体交差事業、都市交通の円滑化に資する新交通日暮里舎人線や地下鉄十三号線の整備を引き続き進めてまいります。
 今後とも財源確保に努め、地元の理解と協力を得ながら、交通渋滞の解消に向け積極的に取り組んでまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君) まちづくりに関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、開発プロジェクトによる都市再生の効果についてでございますが、都心や副都心など多くの地域におきまして優良な民間開発が進展しており、東京の活力や魅力が一層高まっております。
 例えば、首都の顔である東京駅周辺やIT拠点の秋葉原地区では、質の高いオフィスへの機能更新が連続的に進んでおり、我が国の経済を牽引する国際ビジネス拠点の形成が実現しつつございます。また、六本木ヒルズや汐留シオサイトでは、業務、商業、文化などの多様な機能の導入が図られ、東京の新たなにぎわい空間が創出されております。
 一方、都市型住宅の供給により、都心三区の夜間人口が最近五年間で約四万人増加するなど、都心居住が大いに進んでございます。
 今後とも、我が国の国際競争力を高め、都民が豊かで快適に暮らせる東京を実現していくため、こうした都市再生プロジェクトを積極的に進めてまいります。
 次に、都市再生の取り組みにおける環境への配慮についてでございますが、開発プロジェクトの推進に当たりましては、これまでも日比谷公園の十六個分に相当する約二百六十ヘクタールのオープンスペースや緑を確保するとともに、ビルの省エネ化を図るなど、都市環境の向上に努めてまいりました。
 最近、都市再生特別地区を指定した大崎駅周辺地域を例にとれば、オープンスペースの整備や屋上緑化、壁面緑化により豊かな緑を取り入れているほか、大崎の森と呼ばれるまとまった緑地を創出しております。さらに、目黒川を軸とした風の道の確保に配慮するなど、ヒートアイランド現象にも対応したまちづくりを進めているところでございます。
 今後とも、地域特性を生かし、環境に配慮した都市再生に取り組んでまいります。
 最後に、竹ノ塚駅付近における踏切問題への取り組みについてでございますが、都は、事故後直ちに、足立区、東武鉄道とともに竹ノ塚踏切対策会議を立ち上げ、本年四月二十二日に、踏切直近における歩道橋設置などの緊急踏切対策を取りまとめ、公表いたしました。これら対策につきましては、関係機関と連携し、本年度中に完成させる予定でございます。
 また、都内の踏切対策推進のため、都は、事故後改めて補助金確保や採択要件緩和などを国に要望いたしました。
 今後の竹ノ塚駅付近における踏切の中長期対策につきましては、区が設置いたします検討会メンバーを助役、部長級にするとともに、新たに国の委員も加え再編成し、今月中にも新メンバーによる検討会を開催する予定でございます。
 都といたしましても、引き続きこの検討会に積極的に参画し、連続立体交差事業も含めた道路と鉄道の立体化のあり方や課題について、技術面、財政面、制度面などさまざまな面から総合的に検討してまいります。
   〔産業労働局長関谷保夫君登壇〕

○産業労働局長(関谷保夫君) 地域の活性化及び島しょ振興に関します五点のご質問にお答えを申し上げます。
 まず、商店街振興施策についてでございますが、商店街が地域において重要な役割を果たしていくためには、消費者ニーズの変化に的確に対応する経営力を高め、明確な戦略とそれを実行する組織体制を整えることが必要でございます。また、地域の課題に住民とともに取り組むコミュニティ機能を強化していくことも大切でございます。
 都は、これらの課題解決に向けた商店街の取り組みを、新・元気を出せ商店街事業等を活用して幅広く支援するとともに、地域連携型モデル商店街事業などの新規施策を効果的に実施して、地域特性を生かしたまちづくり活動などの意欲的な取り組みがさらに促進されるよう、力を注いでまいります。
 次に、中小企業金融施策についてでございますが、制度融資につきましては、本年度、会計情報の適正化に取り組む中小企業に対するクイック融資や、中小企業の海外展開を支援する制度の創設など、一層の充実を図ったところでございます。また、債券市場の拡充やファンドの創設により、間接金融中心の金融施策から、直接金融にも重点を置いた施策を実施しております。
 さらに、新銀行東京は、中小企業への新たな資金供給の担い手として本年四月に開業し、七月には全面的に業務を展開する予定となっております。
 今後とも、経済情勢を的確に把握し、中小企業の多様なニーズに合った金融施策を幅広く展開してまいります。
 次に、しごとセンター機能の充実についてでございますが、都は、雇用に関する都民の不安を解消するため、しごとセンターを設置し、独自の雇用就業対策に取り組んでまいりました。開設初年度の実績を見ますと、中高年登録者の約五割が就職するなど、着実に成果を上げることができたところでございます。
 また、本年度は特に若年者に対する就業支援を強化することとし、五月から街角カウンセリングを池袋、立川で開始するなど、新たな取り組みを行っております。
 今後とも、事業の一層の充実を図り、雇用環境の変化に的確に対応してまいります。
 次に、三宅島の産業振興についてでございますが、農業につきましては、六月上旬から、荒廃した農地の改良工事に着手いたします。また、今後、種苗生産施設等の整備を支援してまいります。漁業につきましては、阿古漁港を拠点に操業を開始しておりますが、今後、テングサ倉庫や漁場の復旧を支援してまいります。
 一方、野鳥が戻り、魚もふえ始めており、自然は回復しつつございます。観光振興では、釣りやダイビングに加え、火山島の特徴を生かしたツアー等のメニューの整備を図っていくことが、今後重要と考えております。その実現に向けた三宅村の観光振興プラン策定を積極的に支援してまいります。
 これらの対策を迅速かつ着実に進め、産業活動の活性化に引き続き取り組んでまいります。
 最後に、試験研究機関の見直しによります島しょ振興への効果についてでございますが、島しょ地域における試験研究機関の見直しは、農林水産各分野の調査研究と普及指導の部門を統合し、島しょ農林水産業を一体的に振興するために行ったものでございます。
 現在、島ごとの特性を生かした島しょ地域全体の振興計画を策定中でございます。この中で、地域特産のアシタバ等の農産物や水産物の加工品開発、観光業と連携した販路開拓など、農林水産各分野の横断的な取り組みを進めてまいります。
 今後とも、島の資源を最大限に活用し、島の基幹産業である農林水産業の振興を図り、地域の活性化に努めてまいります。
   〔福祉保健局長幸田昭一君登壇〕

○福祉保健局長(幸田昭一君) 福祉保健施策に関します五点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、障害者施設の整備についてでありますが、お話のように、国からは、財源不足を理由に、かつてないほど厳しい採択の見通しが伝えられております。今年度は、重点事業として取り組んできた障害者地域生活支援緊急三カ年プランの最終年度に当たり、例年にも増して多くの計画の補助申請をしておりますが、国の採択の状況によりましては、三カ年プランの達成に大きな影響を及ぼし、長期にわたって準備を進めてきた事業者や区市町村の努力が徒労になりかねません。
 都としては、採択数を一件でもふやすよう国に粘り強く要請するとともに、仮に不採択となった場合には、三カ年プラン対象事業について、都として必要な支援策を検討してまいります。
 次に、障害者のサービス利用に伴う負担についてでありますが、定率負担の導入は、今後、障害のあるだれもがサービスを広く利用できるようにするために必要であり、また、利用にかかわる負担の公平化を図り、制度を安定的なものとするためにも、一定の合理性を有していると考えます。
 しかし、一方で低所得の障害者のサービス利用を抑制することのないよう、負担能力を適切に反映した配慮が不可欠と認識しております。
 このため、今回の制度改正が真に障害者の自立を支援するものとなるよう、先日、実効性ある就労支援策の構築などとあわせて、利用者負担についてきめ細かな軽減措置を行うよう、国に対し緊急提案をいたしました。
 次に、次世代育成支援についてでありますが、子どもが健やかに生まれ、育成される環境を整備することは、親はもとより社会全体の責任であります。その中で、子育て家庭の経済的基盤の確立や基礎的インフラの水準確保は国の責務であり、各自治体は、地域の実情を踏まえた身近なサービス基盤を整備する役割を担うものと認識しております。
 このような考えに基づき、都は、本年四月に次世代育成支援東京都行動計画を策定し、認証保育所など、これまでの先駆的取り組みをさらに前進させることとしております。行動計画の初年度に当たる今年度は、地域の総力を挙げた取り組みを喚起することが重要であり、次世代育成緊急対策総合補助制度は、そのための極めて有効な手段と考えております。
 こうした制度創設の趣旨を十分に踏まえ、区市町村との連携を緊密に図りながら、親が病気のときなどに利用できるショートステイの充実や青少年の居場所づくりなど、地域の子育て環境の整備に向けて、本制度を最大限活用してまいります。
 次に、高齢者の健康づくりについてでありますが、高齢者ができる限り自立した生活を送るためには、健康を維持するとともに、介護度の悪化を防ぐことが何よりも重要であり、都は、これまでも生活習慣病予防や寝たきり予防などに積極的に取り組んでまいりました。
 今年度におきましては、区市町村における介護予防の普及を図るため、国に先駆けて基本健康診査と介護予防健診「おたっしゃ21」を一体的に実施する新たな取り組みに着手するとともに、企業、NPOなどの団体の連携による東京都健康づくり応援団を創設し、都民の健康づくりを社会全体で支援する仕組みを構築いたします。
 今後とも、保健所などでの取り組みも通じて、生涯にわたる健康づくり施策を積極的に展開してまいります。
 最後に、ホームレス地域生活移行支援事業についてでありますが、既に事業着手した新宿区内の二公園では、対象者の約八〇%が事業を利用するとともに、実施中の隅田公園を合わせますと、現時点までに約六百人が借り上げ住居へと移り、就職活動などを行っており、地域での自立に向けた取り組みが着実に進んでおります。
 代々木公園の取り組み状況でありますが、四月下旬、現地説明会を開催し、今後、健康診断などを行った上で、借り上げ住居への入居を実施していく予定であります。
 また、上野公園につきましては、七月の事業着手に向けまして、現在、地元区と最終的な細部の協議や、事業の担い手となる団体の選定作業などを行っている段階にございます。
 今後とも、特別区と協力し、この事業に積極的に取り組んでまいります。

○議長(内田茂君) 三十六番 東野秀平君。
   〔三十六番 東野秀平君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○三十六番 (東野秀平君) 私は、都議会公明党を代表して、都政の重要課題について、知事並びに関係局長に質問いたします。
 まず、昨日の所信表明において、知事は社会福祉総合学院の件について言及し、また、これまで、都民の期待にこたえる新たな都政改革への決意を吐露しておられます。都議会公明党は、知事のこの判断を了とするものであります。
 このたびの都政改革第二幕は、二元代表制のもとでの知事と議会のそれぞれの権能と意思による協調の所産であり、今後の都政史にその経緯は深く刻まれるものと信じます。また、その端緒を開き、終始、真摯にして精力的な調査を行った百条委員会の活動は特筆されるべきものと考えます。
 知事におかれましては、いよいよその指導力を発揮し、都民の負託と期待にこたえられますよう、強く要望するものであります。
 次に、都区制度改革について伺います。
 平成十二年の都区制度改革においては、地方自治法の改正と地方分権一括法の制定によって、特別区が都の内部団体的性格から脱却し、市町村と同様の基礎的な自治体に位置づけられることになりました。しかし現実的には、財源配分のあり方や清掃関連経費、小中学校改築経費のあり方など、いわゆる主要五課題については、平成十二年度の改革時には先送りされており、平成十七年度末までに解決することが都区協議会において確認されています。
 ところが、平成十七年度末のタイムリミットまで一年を切った現在においてもなお、例えば都区間の財源配分のあり方については、都が行う大都市事務の額をめぐって都と区の見解が鋭く対立しており、一兆二千億円を計上している都に対し、区側は六千八百億円程度と、非常な乖離が生じているままであります。
 したがって、都は、主要五課題の合意、解決に向け、主導的な役割を果たすべきであります。十七年度末までの区側との協議日程をも含めた具体的な方針を明らかにすべきです。都の所見を伺います。
 また、将来の役割分担のあり方についても、議論を重ねていく必要があります。例えば、具体的な事務をどのように分け合うかは、都区双方で十分協議を尽くすことが必要です。
 さらに、どのような役割分担を構築するにせよ、これまで以上に都と区の連携を強化し、緊密なパートナーシップを確保すべきであります。効果的な人事交流の実施などを含め、都区の新たなパートナーシップ確立について所見を伺います。
 次に、介護保険制度の改正について伺います。
 今回の改正の焦点の一つは、いうまでもなく介護予防であります。公明党は、昨年、介護予防十カ年戦略を発表し、当面は中学校区に一カ所、将来は小学校区に一カ所の介護予防の拠点整備を提案しております。こうした介護予防を重視するシステムへの転換は、介護保険制度の健全で安定した運営のためにも必要不可欠であります。
 ところが、一部には、ヘルパーの利用ができなくなるなどと、いたずらに不安をあおる根拠のない情報がひとり歩きしています。これは放置できません。都民の不安を抑え期待にこたえる意味でも、介護予防重視のシステムについて、都の見解を明らかにすべきであります。所見を伺います。
 また、あわせて介護予防について、改めて意識の啓発を図る必要があります。東京都老人総合研究所が開発した介護予防健診「おたっしゃ21」の普及とあわせ、都の所見を伺います。
 なお、この「おたっしゃ21」に関しては、大きな効果があると高い評価が寄せられています。都は、今後各区市において、この「おたっしゃ21」による介護予防健診を実施する方針ですが、現在における各区市の取り組み状況を明らかにするとともに、今後の実施計画についても明確にすべきであります。所見を伺います。
 また、身体的な介護予防だけではなく、いわゆる認知症についても予防が重要であります。聞くところによると、認知症についての研究が東京都老人総合研究所で進められており、着実に成果が上がっているそうであります。しかし、残念ながらこうした研究成果は、いまだ都民に周知されておりません。
 したがって、認知症の予防についても、意識の啓発と予防策の普及が不可欠であります。また、たとえ認知症になっても、その進行をおくらせることは十分可能であると聞いております。認知症の予防、あるいは進行を抑える取り組みについて、都の所見を伺います。
 次に、自閉症、発達障害者支援について伺います。
 本年四月から発達障害者支援法が施行されました。自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害などの発達障害は、早期発見、早期療育が不可欠であり、同時に、教育、就労等への総合的な支援が必要であります。
 都は、福祉保健局に発達障害者支援体制整備検討委員会を設置し、その実態把握、支援のあり方などを検討するとしています。また、教育庁では、特別支援教育推進計画を策定し、発達障害の児童生徒への支援を行っていくとしております。
 そこで第一に、早期発見から自立及び社会参加に至るまでの支援は都庁挙げて検討すべきであります。また、その支援のあり方については、発達障害の当事者や家族、支援に当たっている団体などをメンバーに加えるべきであります。検討委員会の設置について、その構成と時期を含め所見を伺います。
 第二に、就労支援についてであります。障害者手帳がない発達障害者への就労支援はいまだ十分ではありません。発達障害者の就労で問題となるのは、相手の指示を理解することが困難であったり、うまくコミュニケーションがとれないことなどが挙げられます。
 支援法は、特性に応じた適切な就労の確保に努めなければならないとしています。そこで、就業及び日常生活上の問題について、例えば障害者就業・生活支援センターを活用することなどにより指導助言を行い、就職から職場定着に至るまでの一貫した援助を行う体制を整備すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、外見からはその人に疾患があるかどうかわからない内部障害者についてであります。体の内部に疾患があることから、見えない障害とされる内部障害者は、心臓や腎臓、肺、小腸などの内臓疾患による障害、免疫機能障害がある人のことをいいます。
 厚生労働省の二〇〇一年調査によると、身体障害者の三百二十万人のうち、内部障害者は二六%の約八十五万人、実に身体障害者の四人に一人が内部障害者であり、その半数が心臓機能に障害を持つ人であるといわれております。
 これらの内部障害者の方々は、電車やバスの優先席に座っていると冷たい視線を浴びるとか、スーパーマーケットにある障害者用の駐車スペースに車をとめたら注意されたなど、周囲からの無理解に悩んでおります。
 こうした状況の中で、近年、内部障害者や内臓疾患がある人たちでつくるハート・プラスの会によって、持ち歩いて表示できるハートプラスマークが作成されました。
 心臓にペースメーカーを装着している人の近くで、悪影響を与える電子機器を使うような事態を防ぐ意味でも、このハートプラスマークは有効であります。内部障害者支援の一環として、このハートプラスマークを周知、普及させることが重要です。都の所見を伺います。
 次に、乳幼児医療費助成制度について伺います。
 現在、都は、所得制限を設けて、義務教育就学以前の乳幼児を対象に乳幼児医療費の助成制度を実施していますが、二十三区においては全区で所得制限が撤廃されています。しかし、多摩地域においては、各市町村の財政状況から、所得制限が撤廃されているのは府中市、調布市、奥多摩町のみであります。同じ東京に住んでいながら、住む地域によって乳幼児の医療費の負担が異なるということは、不公平感が否めません。
 現在では、食生活の変化や社会環境の変化により、三歳児の三人に一人は何らかのアレルギー症状を持っているというデータがあります。乳幼児の医療費は年々家計を圧迫し、特に中堅所得層の家計の圧迫は切実なものがあります。ぜひとも都の施策として乳幼児医療費の所得制限を撤廃すべきであります。所見を伺います。
 次に、震災対策について伺います。
 政府の中央防災会議の被害想定によると、首都直下地震の被害は、最悪で死者は一万三千人、建物の全壊、焼失は八十五万棟に上り、約七百万人が避難を強いられると予測しています。阪神・淡路大震災の際、亡くなられた方の大半は、建物の崩壊や転倒した家具などによる圧死、窒息死でありました。そこで、我が党は、第一回定例会において、地震による第一撃で圧死者を出さない、あるいは火災を発生させない震災対策が不可欠であると主張いたしました。
 そこで、改めて質問します。震災対策で最重要の課題は、やはり住宅の耐震化であり不燃化であります。そして、そのためには、国、都、区市町村が連動した、税制、財政両面からの促進策が不可欠であります。国は、いまだ不十分とはいえ交付金制度を設け、世田谷区などはそれを利用して耐震助成制度を発足させました。しかし、区の財政力には限界があります。世田谷区の場合、予算額は約一億五千万円。これでは、耐震診断では三百戸程度、耐震補強では五十戸程度が対象になるのみです。
 したがって、都も助成制度や税の優遇措置を設け、住宅の耐震化に取り組むべきであります。区の努力を都がただ傍観するだけというのは理解できません。首都直下地震に真正面から立ち向かうとの決意を示す意味でも、都は住宅の耐震化に先頭を切って取り組むべきであります。知事の所見を伺います。
 また、都は、住宅の耐震化について局横断的な検討会を設置すると予算特別委員会で答弁いたしました。いつ設置するのか、明らかにしていただきたいと思います。
 また、同じく我が党は予算特別委員会において、耐震改修に名をかりた悪徳商法について強く対策を求めました。その後、都の動きは見えません。取り組み状況を明らかにすべきです。所見を伺います。
 次に、学校の安全対策について質問します。
 平成十七年度、文部科学省は、小学校を対象にして、学校安全ボランティア(スクールガード)を活用した地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業を実施します。
 この新たな制度を都も活用すべきであります。都内の区市町村教育委員会と連携を強化し、早急にスクールガード養成講習の実施やスクールガードリーダーによる巡回指導を実施すべきであります。今後の具体的な日程、手続について伺います。
 さらに、準備が整った区市町村については、できるだけ早期からの実施が可能となるよう対応すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、都営地下鉄における都民サービスの向上について伺います。
 これまでも交通局では、我が党の提案を受け、地下鉄トンネル内でのAMラジオ放送の実施、携帯電話の全駅構内での利用、女性専用車両の導入等、鉄道事業者としてさまざまなサービスの提供に取り組んできました。今後とも、都民サービスの向上と収益の確保を図る施策の展開が重要であります。
 近年、IT化の進展が著しく、パソコン等のIT機器を用いてインターネット等の情報網にアクセスし、だれでもどこでもこれを活用できるユビキタス社会の実現が重視されています。都営地下鉄においても、公衆無線LANをできるだけ早く都営地下鉄全駅に導入すべきであり、あわせてその快適な利用環境も整えるべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、目黒区の東急自由が丘駅付近の踏切対策について伺います。
 自由が丘らしい、おしゃれで文化性の高いまちづくりを進めるために、目黒区では、市街地の整備と商業等の活性化を目指し、中心市街地活性化基本計画を策定し、先日も地元の関係者とともに都に要望書を提出したところであります。地元の商店街振興組合や町会等が主体となりTMOが設立され、地域住民とともに、人に優しいまちづくりへの取り組みが進められています。
 今後、東横線と地下鉄十三号線との相互乗り入れや大井町線の急行運転が予定され、自由が丘の拠点性はますます高くなるものと思われます。しかし、今後、鉄道による地域分断、とりわけあかずの踏切による交通阻害は、地域の活性化やまちづくりを進める上で大きな課題で、踏切問題の解消は極めて重要であります。
 そこで、自由が丘駅付近における立体交差化などの踏切対策について、都の見解を伺います。
 次に、日本共産党の海外視察に関するデマ宣伝について一言申し上げたい。
 この問題は、先日の議会運営委員会理事会で各党の厳しい批判を浴びたところでありますが、都議会の海外調査は、共産党も協議に加わり、議会運営委員会での決定という議会の正式な手続を経て実施されているところであります。
 共産党は、こうした議会制民主主義のルールに基づく決定を全く無視するばかりか、取材や事実確認もしないまま意図的に豪華税金旅行などと決めつけ、都民に誤った認識を植えつけようとしています。
 しかし、共産党は、同じように公費で賄われる海外友好都市訪問には参加しており、それだけではなく、十三期までは都市問題調査にも加わっており、その際、約百七十三万円の経費がかかっている場合もあります。海外の視察が悪というなら、自分たちが公費で行った海外視察はどう説明するのでしょうか。具体的な事例を挙げれば切りがありませんが、他党のカジノ調査を問題であるように批判していますが、共産党の都議もカジノ視察に参加していることは周知の事実であります。
 図らずも今回の問題は、日本共産党の選挙向けのパフォーマンスであること、さらには、議会制民主主義の否定と独善的な体質をみずから露呈したものとして、都民の厳しい断罪を浴びることはいうまでもないことであり、共産党の猛省を促すものであります。
 最後に、今議会は都議会十六期最後の議会となりますので、一言申し上げます。
 我が党は、今議会をもって七名のベテラン議員が勇退されます。中でも、大先輩である藤井富雄議員は、四十二年間にわたり、東知事、美濃部知事、鈴木知事、青島知事、石原知事と五代の知事とともに都政の発展のために尽力されました。区議時代を入れると、地方自治とともに五十年、まさに半世紀であります。
 改めて五十年の軌跡を伺うとき、我々後輩に実に多くの教訓を残しております。その信条は、都政は永遠であり、都民のためにある、都民の側に立ち、都民福祉の向上を目指す、そのために歩かれた五十年でありました。また、政治は不可能を可能にする芸術であり、技術であるともいわれております。
 大先輩が築かれた輝かしい都政をさらに発展させるため、来るべき都議選では、公認候補二十三名の完勝をなし遂げ、都民与党の政治を貫き、都政百年の計に立って戦い抜くことを表明し、代表質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 東野秀平議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、都区制度改革についてでありますが、前回にも質問がございましたけれども、これは、十二年の改革によりまして特別区は基礎的自治体に位置づけられまして、都は広域自治体としての大都市の一体的行政を行うことが明らかになりました。今後は、日本の首都であります東京の将来の発展を見据えてさらなる改革が必要だと思いますが、これはいうに易しく非常に難しい問題でありまして、二十三区の人口が今八百三十万ですか、他の市町村部が四百万ということでありますが、先ほども申しましたけれども、これはやはり行政区分のあり方も考え直さなくちゃいけないと思いますね。
 ただ、それをどう区分するかということになると、城南、城北とか城東、城西という言葉はありますけれども、そういうことでばっさり四つに分けるわけにもいかないと思いますし、そうなると、これは八百万を超す人口でありますから、四つの政令指定都市が誕生する。そうすると、東京都知事の仕事も何となくつまんないものになっちゃう可能性がありまして、現に神奈川県は、そういう点で知事さんの何となく勢いがないんです。あそこはやっぱり横浜と川崎という代表的な政令都市がありますから、非常に行政が、ある意味で遅滞することもありまして、なかなか政令都市の存在そのものも現今の行政区分の中では、要するに都道府県という今の区分である限り、逆にいろんな問題も派生するなという感じがいたします。これはやっぱりいろんなシミュレーションを重ねて、私たち、真剣に考えていかなくてはならない問題だと思います。
 いずれにしろ、私はやっぱりこういうものの合理化の、つまり清掃事業であるとか小中学校の改築とか、先ほど申しました都市計画交付金云々の問題も、この都区制度というものを、行政区分というものをどう変えていくかによって、かなり違った意味合いを持ってくると思います。これはやはり相当慎重なというか、積極的な、かつまた多角的な検討を必要とするものだと私は思います。
 次いで、再三、公明党から提案のあります住宅の耐震対策への取り組みについてでありますが、これは私も、阪神大震災の直後、被害の多かった東灘区と長田区を視察いたしました。まことに顕著なことは、木造住宅は全部倒れて、その横に、さして頑丈につくられていると思わないけれども鉄骨、鉄筋の建物は全部残っているという実態でございました。
 都としても、災害に強い都市を目指し、木造住宅密集地域の整備、改善を進めるとともに、住宅の耐震改修についても、都民への普及啓発など住宅の安全確保にも努めてきましたが、まだまだそれは足りないと思います。
 昨夜も、私の住んでおります大田区の多摩川の河口のすぐ沖が震源地の、かなり嫌な揺れ方をする地震がありまして、その前も一度ありましたが、東京湾を震源地とする地震が二度も起こっているというのも、これは非常に暗示的な気がいたしますけれども、いずれにしろ、首都東京の防災性を高めるために、木密地域の住宅の強化というものは、いろんなケースで申し上げていますけれども、自助、共助、公助の原則を踏まえながら、やはり財政措置をする必要があると思います。
 ちなみに、都内の昭和五十六年以前の木造住宅の棟数というのは七十二万棟、しかもその中の十一万棟が木密地域の非常にひ弱な住宅でありまして、それを診断しますと、やはりそのうちの四割がもうこれは耐震性に非常に弱いということで改造の必要がある。その半分を耐震化するにしても、十年間で六十億、都の負担は十年間で六十億、そして年間六億、住民の負担は十年間で千五百億、年間百五十億ということで、国の負担もあるわけですが、これは結局やっぱり自己負担の問題になってくると思うんですね。
 それで、うちは大丈夫だろうとみんな思っているけれども、実は来ちゃったらもう間に合わないということですが、今も都市整備局長と話をしたし、この間もしたんですが、これは何というんですか、筋交いというそうですけれども、これは少なくとも寝室だけでもとにかく何か鉄骨で――昔、西洋のよく立派な王様や王妃様が寝ている寝台というのは天蓋がありましたが、ああいうふうに、せめて住宅でもそういう、要するに外からは見えないけれども部屋の中へ入ってみると、要するに柱があって、天井にもはりがあって、それがバッテンで支えられている、天井が崩れてきてもそのまま落ちてこない、そういうふうな方法というものをやっぱり積極的に考えませんと、やっぱり個人の負担というものを考えると、これを全部耐震化するというと、外づらも内づらもということはかなりの負担になりますし、やっぱり私は、本当に目前に迫っているかもしれない地震対策として、筋交いというんでしょうか、そういう方法を都としてどれぐらいのコストでできるかというのを研究したいと思っております。(拍手)
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 学校の安全対策に関します二点の質問にお答え申し上げます。
 まず、スクールガードに関する事業の具体的な日程、手続についてでございますが、都教育委員会としましても、学校安全のために地域のボランティアを活用する取り組みを進めることが重要でありますことから、ご指摘の地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業を区市町村の希望に応じて実施することとしております。
 このため、区の教育長会及び市教育長会等におきまして、この事業を通した積極的な取り組みを呼びかけまして、実施に向けた手続を進めているところでございます。
 平成十七年度につきましては、これまで学校安全のボランティアの配置について実績のある、あるいは配置計画のある区市から実施の申し出がございまして、学校安全ボランティア、これはスクールガードでございますが、これの養成講習については十四区市、地域学校安全指導員、これはスクールガードリーダーでございますが、これによりますボランティアへの巡回指導につきましては十区市、百四十二校において実施される予定となっております。
 今後、国における事業手続が終わり次第、各区市において予算上の手続も含めた準備を進めていただくことになります。秋には事業が開始できるものと考えております。
 今後とも、各区市教育委員会と十分連携をしまして、この事業の着実な実施に努めてまいります。
 次に、事業の早期実施への対応についてでございますが、この地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業は、地域社会の協力を得て、安全・安心な学校づくりを進める上で非常に重要な事業でございますことから、国と協議しつつ、可能な区市については早期からの実施ができるようにすることを含め、各区市町村教育委員会の状況に柔軟に対応してまいります。
   〔総務局長赤星經昭君登壇〕

○総務局長(赤星經昭君) 都区間のパートナーシップについての質問にお答え申し上げます。
 現在、防災、福祉などさまざまな分野で都区が抱えます共通の課題の相互理解や解決に向けまして幅広く連携協力して事業を行っております。その一環といたしまして、都区間の人事交流も実施しております。
 今後も、効果的な人事交流などを実施することによりまして、一層緊密なパートナーシップの確保に努めてまいります。
   〔福祉保健局長幸田昭一君登壇〕

○福祉保健局長(幸田昭一君) 介護保険制度など福祉保健施策に関します七点のご質問にお答えいたします。
 まず、介護予防についてでございますが、介護保険制度を予防重視型システムへ転換することは重要であると認識しており、都はこれまでも国に対し、介護予防の取り組みを強化するよう提案要求してまいりました。
 これらの中で、お話の軽度の要介護者に対する給付内容につきましても、一人一人の状態に応じ、真に必要な生活援助などのニーズに適切に対応すべきことを再三にわたり求めてまいりました。
 その結果、現在、国は、みずから家事を行うことが困難なひとり暮らしの高齢者や要介護者同士の夫婦に対し、適正なケアマネジメントに基づき提供されるヘルパーによる家事援助サービスなどは、これまでどおり利用できるとしております。
 次に、介護予防の普及啓発についてでありますが、都は、都民一人一人が介護予防に主体的に取り組むことを支援するため、お話の介護予防健診「おたっしゃ21」を初め、生活習慣病や老年症候群の予防方法などを紹介した介護予防読本を区市町村と共同で発行し、都内の高齢者などへ配布いたしました。
 また、東京都提供のテレビ番組を通じ、地域での介護予防の取り組み事例や手軽なトレーニング方法を紹介するなど、広く都民に介護予防の普及を図っております。
 さらに、今年度は、都民を対象とした介護予防の効果などに関する講演会を開催するなど、引き続き、さまざまな機会を通じて介護予防に対する都民の理解の促進に努めてまいります。
 次に、介護予防健診の実施状況についてでありますが、心身の老化の兆候を早期に発見し、適切な介護予防サービスへとつなげていくための介護予防健診「おたっしゃ21」は、介護保険制度改革を先取りする取り組みとして全国から注目されております。
 昨年度、都の介護予防推進モデル地区重点支援事業や介護予防開発普及事業により介護予防健診を実施した区市町村は十一区市でありました。今年度は、すべての区市町村を対象に介護予防健診の実施経費を補助することとしており、現時点で、既に四十二の区市町で「おたっしゃ21」を活用した介護予防健診の実施を予定しております。
 次に、認知症に関する取り組みについてでありますが、認知症は、早期に発見し、進行を抑制できるよう対応することはもとより、その発症を予防する仕組みづくりを進めることが重要であります。
 認知機能の低下を防止するためには、少人数のグループにより、料理、園芸などの認知機能を刺激する知的活動を行うことが効果的とされております。都はこれまで、区市町村職員などを対象に指導者養成研修を実施し、高齢者が自主的にこれらの活動に取り組めるよう支援してまいりました。
 さらに今年度は、モデル地区を指定し、認知症予防のためのプログラムづくりやアドバイスなどの支援を行う事業を新たに開始するなど、今後とも認知症予防に積極的に取り組んでまいります。
 次に、発達障害者支援体制整備検討委員会についてでありますが、この委員会は、発達障害について乳幼児期から成人期までの各ライフステージに対応する一貫した支援体制のあり方を検討するものであります。
 発達障害の早期発見から自立、社会参加に至るまでの支援策を検討するためには、ご指摘のように関係各局と密接な連携を図ることが重要であると認識しております。
 こうした庁内の連携に加えまして、発達障害の専門家はもちろんのこと、利用者本位の福祉を実現する観点から、障害者本人、家族、支援団体などの関係者の参画も得て、今月中に委員会を設置してまいります。
 次に、内部障害をあらわすマークについてでありますが、お話のように、内部障害者は、障害の部位や状態などが外見からは判断できないことから、周囲の人々から障害者であると認識されず、誤解を受けることがございます。
 ハートプラスマークは、内部障害についての周知、啓発を目的とする団体が作成しているものであり、こうした活動は、内部障害に対する理解を深めるための有効な取り組みの一つと認識しております。
 今後、都としても、ご意見も踏まえまして、このような取り組みを局の広報媒体を活用するなど、さまざまな機会をとらえて、都民に対して紹介してまいります。
 最後に、乳幼児医療費助成制度についてでありますが、本制度は、子育てを支援する福祉施策の一環として、区市町村に対し都が補助を行っているものであり、所得制限の基準は、国における児童手当に準拠しております。
 また、これまでも、国に対して、少子社会対策推進のため、乳幼児に対する医療保険制度の充実を提案要求してまいりました。
 現在、国の社会保障の在り方に関する懇談会において、少子化対策や社会保障の給付と負担のあり方などについて、さまざまな議論がなされております。
 いずれにしても、こうした点も踏まえて、今後適切に対処してまいります。
   〔産業労働局長関谷保夫君登壇〕

○産業労働局長(関谷保夫君) 発達障害者の就労支援についてのご質問にお答え申し上げます。
 発達障害者の特性に応じた適切な就労機会を確保するためには、医療や日常生活面も含めた総合的な支援が必要でございます。
 このため、発達障害者支援体制整備検討委員会の場におきまして、医療、福祉、教育分野などとの連携を図りながら、発達障害者の特性に応じた就労支援策を検討してまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君) 二点のご質問にお答えいたします。
 住宅の耐震化に関する検討会についてでございますが、住宅の耐震化を促進するため、関係各局から成る建築物の耐震化促進検討会を設置し、先月、第一回検討会を開催したところでございます。
 この検討会では、都民に対する普及啓発、それと、知事が先ほどご答弁いたしましたような安価な工法の紹介、研究、そして、都民が安心して耐震化に取り組むための仕組みづくりなどについて検討してまいります。
 また、いわゆる悪質商法への対策につきましては、住宅リフォーム等の訪問販売を規制する特定商取引法に基づき、消費者相談や事業者指導の強化に取り組んでおります。
 今後とも、都民が安心して耐震化に取り組めるよう、耐震改修を行う事業者の知識、技能の向上に向けた講習会を実施するとともに、講習会修了者に関する情報を広く都民に提供してまいります。
 次に、東急自由が丘駅付近の踏切対策についてでございますが、都は、自由が丘をファッションや文化を発信する魅力と活力あふれる地区として育成するよう、都市づくりビジョンの中で位置づけております。
 ご質問の踏切につきましては、東横線の都立大学駅から田園調布駅までの間に八カ所、大井町線の緑が丘駅から等々力駅までの間に十七カ所の踏切があり、地域分断や交通阻害などが地域の課題となっております。
 このため、都は、昨年六月に策定いたしました踏切対策基本方針の中で、自由が丘駅付近を鉄道立体化の可能性を検討すべき区間として位置づけております。
 都といたしましては、駅周辺市街地の整備など、目黒区が推進するまちづくりを支援するとともに、こうした沿線まちづくりと一体となった道路と鉄道の立体化につきましても、区が設置いたしました検討会に参画し、関係者とともに議論を重ねてまいります。
   〔交通局長松尾均君登壇〕

○交通局長(松尾均君) 都営地下鉄への公衆無線LAN導入と利用環境の整備についてお答えいたします。
 利便性の高いサービスを提供する上から、公衆無線LANの導入につきましては、昨年度後半から整備を始め、現在、新橋駅、神保町駅など乗降客の多い駅を中心に十九駅で設置し、今年度中には都営地下鉄全駅で利用可能とする予定でございます。
 また、利用者の動向を踏まえながら、駅構内における軽飲食店の出店やオープンスペースの整備などにあわせ、公衆無線LANを利用しやすい環境の整備に努めてまいります。

○副議長(中山秀雄君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時二十六分休憩

   午後三時四十九分開議

○議長(内田茂君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百二十三番 土屋たかゆき君。
   〔百二十三番 土屋たかゆき君登壇〕

○百二十三番 (土屋たかゆき君) 私は、都議会民主党を代表して、第十六期都議会最後の代表質問を行います。
 本年は平成十七年、日本は戦後六十年、還暦を迎えます。民主党は、この節目の年に都議会議員選挙を迎えるに当たり、改めて人やNPOや地域コミュニティに着目しました。そして、今までのような官依存でなく、官と民とが対等のパートナーシップを結び、ともに東京を支えていく、これが私たちが掲げている東京マニフェストでの考えです。
 今では、民間企業であっても、社会的責任という観点から公益的な活動を進めています。かつて地域で公というものを担っていた自治会や町内会などの地域団体も、防犯、防災に関する危機意識の高まりを契機に、その活動が活発になっています。そして、福祉や環境など、特定のテーマについて取り組むNPOの活動もますます盛んです。
 石原知事は、前回の都議会の所信表明で、新しい公のあり方を探っていきたいと述べられましたが、私たちも、この新しい公というものを積極的に推し進めていきたいと考えています。
 中でも、新しい公を担う多様な主体のうち、NPOについては、全国で認証された二万一千余の団体のうち、約五分の一が東京に集中しており、新しい公を進めるためにも、NPOへの支援は重要です。
 千葉県市川市では、ハンガリーの所得税一%法を参考に、個人市民税の一%を納税者自身が選んだNPO活動への助成金とすることができる、いわゆる一%支援制度をこの四月からスタートしています。また、幾つかの自治体でも、同様のNPO支援に向けた具体的な行動が起こりつつあります。そして、民主党の東京マニフェストでも、都民みずから税の使い道の一部を決定できる仮称都税使途指定制度の創設を掲げているところであります。
 そこで、私は、このようなNPO支援の動きを踏まえて、東京都としても、NPOへの支援について積極的に取り組むべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 また、NPOや地域団体など住民一人一人の協働の取り組みを受けとめ、これに真にこたえるためには、住民にとって最も身近な存在である基礎的自治体が、まさに地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担う主体として成長しなければなりません。
 しかしながら、全国の基礎的自治体の合併が進み、二千を切ろうという今になっても、東京都内には市町村合併の動きは見られません。都内市町村は、他府県の市町村に比較して、相対的に財政が豊かなこと、人口減少が進んでいないこと、住民の地域への愛着感などから合併の必要性を感じていないことなどが原因と思われますが、住民の協働の取り組みは、既存の市町村の枠を超えて進んでいます。
 一方、合併により自治体が大きくなることに伴うデメリットも生じていますが、既に合併した自治体では、そうしたデメリットを克服するために地域自治組織の導入を進めています。総務省によると、既に十三市町で活動を開始し、四十四市町で導入を予定しているところです。
 地方制度調査会では、現在の地域自治組織をさらに発展させる地方制度の弾力化についても調査審議されています。国のいわゆる三位一体の改革の動向も踏まえつつ、市町村合併促進の方策について積極的に検討していく必要があると考えますが、所見をお伺いいたします。
 一方、もともと東京市の行政区であった特別区が、大都市東京における豊かな地域社会を実現する行政を総合的に実施するためには、既存の特別区の枠組みでは難しいといわざるを得ません。
 石原都知事も、さきに開かれた都区制度改革促進決起大会で、特別区における一種の道州制というものを積極的に考えてくださいと訴え、東京都の中のそういう問題について私たちが積極的にかかわる時代になった、これは歴史的な必然であると述べられたと聞いております。
 さきに述べた調査会においても、かつての特別市を想起させる一般の道州から独立した、大都市州も含めた具体的な検討が進められております。都区間で残された課題について協議しているこの同じ時期に、政府では、さらにその先の調査審議が進められているのであり、安閑としていられる時期ではありません。
 東京都としても、大都市制度、特別区のあり方について早急に検討を進め、特別区と次の時代に向けた協議を開始すべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 基礎的自治体の改革に取り組んでいくと同時に、基礎的自治体を補完する広域自治体もそのあり方を見直し、新たな時代に対応したものに再編成していく必要があります。
 第二十八次地方制度調査会でも、道州制のあり方などを審議項目として、既に二十二回に及ぶ専門小委員会における検討を積み重ね、来年二月には答申を取りまとめる予定になっています。五月二十七日の専門小委員会では、総務省が道州制の具体的な区域案を示しています。
 昨年九月の行財政改革基本問題特別委員会調査報告書では、道州制はいまだに時期尚早の議論とされましたが、地方制度調査会では、具体的な区域案の検討にまで調査審議が進んでいるのであります。
 八都県市の広域連携の強化、自民党のいう首都圏連合も重要ではありますが、道州制の導入というその先の将来展望を示すことが、現在の八都県市の広域連携をより強化することにつながるのであります。
 私たちは、東京都としてもこの議論に積極的にかかわり、道州制に向けた具体的な展望を指し示すべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、震災対策についてお伺いいたします。
 民主党の東京マニフェストでは、震災対応力の向上を緊急提案として打ち出し、地震で倒れない家をふやすことなどに力点を置いています。
 阪神・淡路大震災の経験以来、昭和五十六年以前に建てられた旧耐震基準の建物、特に住宅については早急に耐震診断を行い、必要に応じて耐震改修を行うべきであるということがいわれ続けています。しかし、防災上、不適格な住宅に住んでいる多くの都民が、負担する経費に対する不安を抱え、また具体的な動機づけがないままに、我が家だけは大丈夫だと思い込もうとし、リスクを背負いながら住み続けています。
 私は、こうした状況を改善し、都民の生命と財産を守るためには、都民に対する動機づけを徹底して行っていくことが重要であると考えます。そのためにも、地震に対する地域危険度を都民が知ることが必要です。
 現在行われている地域危険度の公表方法は、防災に関心のある特定の都民の側から情報を求めてくるのを待つにすぎません。これほど重要な情報は都民が共有するよう、東京都の側から積極的に伝えるべきではないでしょうか。例えば、防災キャンペーンにあわせて、都内の全世帯に対して、それぞれのまちの地域危険度を通知することなども一考です。
 私は、都民に対する動機づけを徹底するために、地震に対する地域危険度の周知に戦略的に取り組んでいくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 また、このような動機づけの徹底とともに、耐震診断、耐震改修に対する支援策の充実も必要です。
 例えば、新耐震基準導入前の住宅について、東京都が無料で耐震診断を実施してはどうでしょうか。耐震診断は、診断の結果によっては改修工事のための費用負担が生じるため、それだけでしり込みをしてしまう建物所有者も多いようです。
 しかし、東京都が耐震診断の費用を負担し、さらに、耐震改修が必要と認められた住宅の耐震改修に対して補助や助成制度を充実することで、多くの都民が耐震診断、耐震改修に踏み切るのではないでしょうか。ただし、阪神・淡路大震災直後に導入された東京都の耐震改修支援策の実績がゼロであったことを踏まえれば、より実効性のある制度を創設する必要があります。
 例えば、費用を東京都が無利子で貸し付ける、民間金融機関からの融資に対して利子を全額補給する、あるいは都内の一部区市でも行われているように、費用の一部に補助金を出すなど、経済的余裕のない都民でも耐震改修に踏み切りやすい制度とすることが求められます。
 戸建て木造住宅の耐震改修工事費は、一戸当たり百六十二万円ともいわれておりますが、これを仮に十五年の固定金利で民間から借りる場合、一月当たりの返済金額は一万円強になります。また、この利子を東京都が全額補給する場合、住宅・土地統計調査をもとにすれば、都内の居住者のいる住宅ストック五百五十万戸のうち、新耐震基準前の木造戸建て住宅は六十三万戸、このすべてが一斉に改修し、それに対して全額利子補給すると仮定しても、一戸当たり六十万円で総額三千八百億円、一年当たり二百五十億円の負担と試算できます。診断費用は、別途総額九百五十億円必要ですが、この数字からは、各都民及び都の負担は決して重過ぎるものではないと考えます。
 私は、大地震の多発している今だからこそ、住宅の耐震診断、耐震改修に対する総合的な支援制度の充実を図っていくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、子育て家庭への支援策について伺います。
 子どもの世話をすることは、楽しく、とてもやりがいのある仕事です。一方、同時にストレスを感じる、時に孤独な仕事でもあります。
 ところが、核家族化、都市化の進行による子育て家庭の孤立化は、東京の居住環境の悪さなどとも相まって、子育てをする親の負担感、不安感だけを増大させています。そして、負担感、不安感の増大は、仕事をしているかそうでないかで変わるものではなく、子育てをするすべての親に共通のことなのです。
 しかし、東京の子育て家庭の約六割を占める共働きでない家庭への子育て支援策は、共働き家庭に比べて限られており、行政においても、これまでこうした家庭に対して手をつけようとしませんでした。
 しかし私は、東京の多くの家庭において、安心して子どもを産み育てられるようにしていくため、地域における子育て支援サービスの提供など、すべての家庭を対象に子育て支援を展開していくことが必要だと考えますが、所見をお伺いいたします。
 また、子ども関連の公費の多くが投入されている認可保育所は、親の就労形態などにより利用できるかどうかが区別されたり、サービスの拡充が進まないなど、多くの課題があります。
 一方、東京都が独自に創設した認証保育所は、待機児の解消とともに柔軟なサービス提供を実現しており、都民の支持を得て急速に広がっています。
 また、国においては、幼稚園と保育園の垣根を取り払って、幼児教育と保育サービスを総合的に提供するという幼保一元化に向けた改革など、さまざまな動きがあります。
 こうした動きに共通なのは、これまで限られた子ども、限られた家庭にしか提供されてこなかった保育サービスの普遍化という考え方です。私は、東京都においても、親の就労の有無やその形態で区別することなく利用できる保育サービスの提供拡大に向けて、抜本的な改革を進めることが必要であると考えますが、所見をお伺いいたします。
 保育サービスを改革していく上で、将来的な青写真を示していくことも必要です。そして、私たち民主党は、保育サービスが真に利用者のために提供されるべきものと考え、そのための施策として保育バウチャー制度を選択すべきと考えます。
 バウチャーとは、施設に対してお金を投じるのではなく、利用券などの形で保護者を通じて補助金を支給する制度です。保護者に選ばれなければ補助金が受けられないことになり、事業者に緊張感をもたらします。
 私は、東京都として、家庭の状況や所得に配慮した公平な金額設定などについて検討し、保育バウチャーの実施に向けて積極的に取り組むべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、環境政策について、特にヒートアイランド対策と温暖化対策について伺いたいと思います。
 ヒートアイランドや温暖化の要因として、東京の都市化、高度化などが挙げられていますが、私たちは、これをもって単に都市開発が悪いというのではなく、環境政策の内在化を進めることで環境と開発の調和を図っていくべきと考えています。しかし、現在は、環境政策の取り組みがまだまだ不十分であり、都市開発優先といわざるを得ない状況となっています。
 屋上緑化を例にとりますと、自民党は、屋上緑化を理由にして容積率を緩和することを主張しています。しかし、私たちは、そもそも総合設計や特定街区の制度でより大きなビルを建てられることから、緑化は当然であり、むしろ市街地での大規模な開発については、屋上緑化の緑化率のアップを初め緑化基準の強化を図るべきと考えています。
 そこで、石原都知事に、環境政策と都市開発とのバランスについて、現在の認識と今後の政策の方向性について見解をお伺いいたします。
 私たちは、ヒートアイランド対策として、屋上緑化などの被覆対策に加えて、かねてより都市構造そのものを変える風の道の創出を掲げていました。石原都知事は、記者会見で、今ごろ風の道なんていっても遅いなどと述べられたこともありましたが、環境問題の克服のためには、風や水や緑といった自然の力を味方にすることは有効です。
 自動車による大気汚染で有名な板橋区の大和町交差点では、三月二十六日に、交差点の一角がオープンスペース、公園として供用されるようになりましたが、これなども一種の風の道といえるのではないでしょうか。
 また、東京都が四月十一日に発表したヒートアイランド対策推進エリアでは、今後の大規模な開発が想定される地区を中心に、風の道の確保に向けた取り組みが盛り込まれています。無理だ無理だといわれていた風の道の確保も、徐々にではありますが、進みつつあるのです。
 私たちは、環境配慮の一環として、風の道の確保に向けてさまざまな政策を提案しているところであり、東京都においても、引き続き風の道の確保に向けて、都市再開発プロジェクトでの早い段階からの取り組みを進めるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、地球温暖化対策について伺います。
 温暖化対策では、東京都の積極的な取り組みに比べ、国の対応が極めて不十分であることは衆目の一致するところです。四月二十八日に閣議決定された京都議定書目標達成計画でも、強制力の伴った施策がほとんど盛り込まれず、単なる数字合わせの計画と批判されています。また、焦点であった環境税についても導入が見送られました。
 環境税については、自民党は、環境税の一形態であるグッズ減税・バッズ増税について慎重に検討していくとし、税制による環境効果を実現し、国際社会が目指す地球温暖化防止などの流れに積極的に参加すると、慎重かつあいまいな表現に終始しています。しかし、私たち民主党は、むしろ環境税の創設には積極的な立場をとっています。
 京都議定書目標達成計画は平成十九年に見直されることになっていますが、小泉・自民党政権では、京都議定書の約束を果たせないばかりか、日本の国際的な信用を失墜させるばかりです。
 東京都でも、環境税などの導入も含めた実効性のある対策を国に対して求めていましたが、国の京都議定書目標達成計画の評価と環境税への対応も含めた今後の国への働きかけについて、見解をお伺いいたします。
 最後に、この本会議場に列席されている石原都知事を初めとした理事者各位、各会派の議員各位と、この四年間、時には対立し、時には協力し合いながら、ともに都民福祉の向上のために議論を重ねてきたことを光栄に思い、皆様に心から感謝を申し上げます。
 来る都議選で、各会派の皆さんのご健闘を祈念しつつ、私たち民主党も全力を挙げて選挙戦を戦い、また皆様とともに都政発展に向けて活動することをお誓いし、私の代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 土屋たかゆき議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、特別区のあり方についてでありますが、期せずして、自民、公明と続いて、この問題についての質問がありました。同じお答えになりますけれども、やはり行政区分そのものというものを見直しませんと、それぞれの区の自治体としての活動というものがアクティブにはなってこないんじゃないかという気がいたしております。
 今、眺めてみまして、異論があるかもしれませんが、相対的にやはり特別区と他の都下の市町村の動き方を見ていますと、区に比べて市町村の方がもっといろいろ苦労を重ねているという気がいたします。そういうものを相対的に眺め合わせながら、私たちはやはりこの問題を真摯に、特にその行政区分というもののあり方について率直に真摯に討論し、考えていく必要があると思います。
 次いで、道州制をめぐる議論についてでありますが、ともかく明治の太政官制度以来、一世紀以上にわたってこの四十七都道府県というものの制度が続いているわけでありまして、日本そのものが時間的、空間的に狭くなった今日において、直面する行政課題に十分対応できていないのがまさしく実情であるとも思います。
 先般も、全国知事会議で、国民保護法でしたか、それについての議論が行われたときに、ある県の知事さんが、自分たちの県には新幹線も空港も、ろくな港もないと、こんなことをやるなら、早くもっとそういうものを充足してつくってくれといわれましたが、やはり四十五、六万の人口しかない県と、はるかに上回る人口を持った他の都道府県というものが並列に並べられて、県の行政のあり方について論じられても、本当にまさに机上の空論でしかないと思いますし、そういう点でも、私はやはり広域行政の収れんされた形として、道州制というものがいつかの時点に、できるだけ早く、やはりでき上がっていくことが望ましいと思います。
 今、それでは物足りないというご趣旨の発言もありましたが、少なくともこの首都圏を構成する八都県市では、首長会議で合意しまして、排ガス規制を初め、あるいは青少年の健全育成条例などもすり合わせをしたり、花粉症対策についても先般合意いたしましたが、既に首都圏という形での一種の広域行政が現実に、着実に始まっております。
 こういったものをやはりサンプルにして、私たち、日本全体、時間的、空間的に狭くなっているわけですから、道州制の問題についても、突き詰めた議論を進めていく必要があるのじゃないかと思います。
 一方、お話の地方制度調査会などで議論されている道州制は、国の統治機構そのものの問題でありまして、国が正当な歴史認識のもとに、この国の将来像を見据えながら長期的な視点に立って考えていくことこそが必要であると思っております。
 次いで、環境政策と都市開発のバランスについてでありますが、環境と一概にいいましてもいろいろな要因があるわけでありまして、例えば空気とか水の問題だけではなくて、治安の問題もそうでありますし、そのまちの景観もそうでありますし、またそのまちに住んでいる人たちの人気、気質というのでしょうか、まち全体の雰囲気の問題も重要な問題だと思います。
 東京がその活力を維持して高めていくためには、都市開発によって東京のポテンシャルを引き出すとともに、やはりこういった問題について我々が安息、満足して暮らすことのできる環境というものを創出していくことが不可欠だと思います。
 多様な都市機能が高度に集積するこの大都市東京におきまして、文明の便宜性を享受してきた一方で、大気は汚染され、ヒートアイランド現象など環境の危機も先鋭的にあらわれているわけでありまして、それを見ながら、都もそれなりの対策を尽くしてまいりましたけども、一方、いろいろ異論もあるようですが、都市の便宜性というものを担保するために必要な社会資本、特に、外国の首都ではもうとっくに完成されている環状線が、日本では、東京では二割強しかでき上がっていない、こういった欠落というものも、東京全体の環境破壊の一つの引き金になっているわけであります。
 いずれにしろ、そういったものの完成、補てんというものも含めながら、今後とも、東京から先駆的な施策を展開して、都民が人間として快く住み続けることのできる、環境に配慮した、今まで申しましたすべての環境を構成する要因について配慮した都市づくりを推進していきたいと思っております。
 他の質問については、関係局長から答えます。
   〔生活文化局長山内隆夫君登壇〕

○生活文化局長(山内隆夫君) NPOへの都の取り組みについてでございますが、東京都は、これまでNPO活動の活性化のために、NPOとの協働指針や事例集を作成するとともに、区市町村に対する研修や相談事業を実施してまいりました。また、NPOに対する寄附金について、税制上の優遇措置を国に要望するなど、NPO活動の促進に向けた環境整備を図ってまいりました。
 現在、災害対策、防犯、教育、環境、福祉など、多くの分野においてさまざまな形態でNPOとの協働事業が実施されております。今後とも、引き続き区市町村等に対して情報提供を行うなど、NPOと行政との連携を推進する立場から、NPOが活動しやすい環境の整備に努めてまいります。
   〔総務局長赤星經昭君登壇〕

○総務局長(赤星經昭君) 市町村合併についての質問にお答え申し上げます。
 市町村合併は、新たな行政需要への対応や行財政基盤強化などの方策として、重要かつ有効な選択肢の一つであると考えております。
 都は、これまで市町村合併支援プランを策定するなどいたしまして、市町村の合併への取り組みを支援してまいりましたが、重要なことは、市町村が住民意思を尊重しながら、自主的、主体的に取り組むことでございます。
 今後とも、地域特性、人口規模等を考慮しつつ、市町村の自主的、主体的な取り組みを支援してまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君) 震災対策など、三点のご質問にお答えいたします。
 まず、地域危険度の周知についてでございますが、地域危険度は、地震に対する危険性を他の地域と比較して五段階で評価したものであり、その周知は、都民の防災意識の高揚を図る上で重要であると認識いたしております。
 そのため、都のホームぺージに掲載するとともに、都内の図書館や区役所などで閲覧できるようにしてございます。また、図解などでその内容をわかりやすくまとめた小冊子を発行するなど、周知に努めております。
 今後、地域危険度がどの程度都民に周知されているかを把握するとともに、防災訓練などさまざまな機会や各種広報手段を積極的に活用して、より一層の周知に努めてまいります。
 次に、住宅の耐震対策についてでございますが、阪神・淡路大震災の例を見ても、死者の多くが住宅の倒壊を原因としているなど、住宅の耐震化は重要でございます。都といたしましては、災害に強い都市を目指し、木造住宅密集地域等の整備改善を進めるとともに、住宅の耐震改修についても、都民への普及啓発など住宅の安全確保に努めてまいりました。
 また、先月、関係各局から成る建築物の耐震化促進検討会を設置してまいりましたが、この検討会で、都民が安心して耐震化に取り組むための仕組みづくりなどを検討してまいります。
 最後に、風の道の確保に向けた取り組みについてでございますが、都市開発プロジェクトの推進において、水や緑の空間とあわせて風の道を確保することは、ヒートアイランド対策の有効な手法であると認識しております。
 現在、品川駅周辺におきましては、環境モデル都市の形成を目指して、エリア内における風の流れを検証するとともに、風の道の確保に向けた建物の配置計画のあり方などについて、国や区などと連携して検討を進めております。
 こうした検討結果を踏まえ、より実効性のあるヒートアイランド対策に取り組み、環境と調和した都市開発の実現に努めてまいります。
   〔福祉保健局長幸田昭一君登壇〕

○福祉保健局長(幸田昭一君) 子育て支援に関します三点のご質問にお答えいたします。
 まず、子育て家庭の支援についてでございますが、地域で安心して子どもを産み育てられ、子育ての喜びを実感できる社会の実現のためには、子育て家庭への支援策を充実することが重要であります。
 都はこれまでも、孤立しがちな親などが交流できる子育て広場の設置や、親の病気などの際に利用できるショートステイ、一時保育などのさまざまな在宅サービスの拡充を図ってまいりました。
 また、本年四月に策定いたしました次世代育成支援東京都行動計画におきましても、すべての子育て家庭への支援を主要な視点の一つに掲げ、これまでの取り組みをさらに進めていくこととしております。
 今後とも、すべての子育て家庭への支援がより一層充実されるよう、区市町村を積極的に支援してまいります。
 次に、保育所制度の改革についてでありますが、既存の認可保育所は、長時間保育など、利用者のニーズに柔軟、的確にこたえ切れていない現状があります。このため、都は、就労形態が多様化する中で、さまざまな事業主体の参入を促進し、利用者の選択の幅を広げるため、認証保育所制度を独自に創設し、大都市特有の保育ニーズに的確に対応してまいりました。
 また、現行の保育所制度を利用者の実態に即したものに改める必要があるため、都は、国に対して認証保育所を制度的に認めることや、保育に欠ける要件の見直しなどを求めております。今後とも、保育所制度の抜本的改革に向け積極的に取り組んでまいります。
 最後に、保育サービスにおけるバウチャー制度についてでありますが、この制度は、利用者みずからが必要なサービスを選択し、利用できる仕組みであるため、事業者の競い合いを通じてサービスの向上が図られることなどが、効果として挙げられております。
 国においては、本年三月、規制改革・民間開放推進三カ年計画の改定を閣議決定し、認可保育所に係る補助方式として、施設への補助ではなく、利用者への直接補助方式導入の可否について検討することとしております。
 しかし、バウチャー制度の実現のためには、現在の施設に対する補助の見直し、児童手当制度との調整、低所得者に配慮した利用方式など、多くの解決すべき課題があると認識しております。
   〔環境局長平井健一君登壇〕

○環境局長(平井健一君) 京都議定書目標達成計画と環境税についてでございます。
 都は、条例を改正いたしまして、地球温暖化対策計画書制度を強化するなど、独自の取り組みを推進してまいりましたが、京都議定書の削減目標を達成することは、本来、国の責務でありまして、国は、その目標達成に向け、とり得る有効な対策を確実に実施すべきであります。
 また、環境税につきましては、東京都税制調査会におきます検討を踏まえ、国に対して、環境税を導入する場合には、自治体の責任と役割を踏まえ、地方税を主体とするよう求めてまいりましたが、引き続き、この旨要望してまいります。

○議長(内田茂君) 百二十六番 吉田信夫君。
   〔百二十六番 吉田信夫君登壇〕

○百二十六番 (吉田信夫君) 日本共産党都議団を代表して質問します。
 今定例会は、四名の特別職の辞職が伝えられるという、都政史上例のない事態のもとで開かれています。ところが、知事は、昨日の所信表明でこのことに一言も触れなかったことは極めて重大です。
 現在の都政をめぐる異常事態について、問題の所在とみずからの責任を明らかにすることは、都議会と都民に対する責務ではありませんか。この異常な事態は、知事が週二、三日しか登庁せず、濱渦副知事など側近を重用し、都民や職員の声に耳を傾けずに、専らトップダウンで独断的な運営をするという、政治手法の矛盾と破綻を示すものです。
 私は、こうした事態を生み出し、放置してきた石原知事の責任が厳しく問われる問題であることを、まず指摘をするものです。私は、東京都政が今こそ都民の声に真摯に耳を傾け、自治体本来の原点に立ち返り、都民の暮らしと福祉を守ることに全力を尽くすことを求めるものです。
 以下、都民にとって緊急、切実な幾つかの要望に絞って質問するものです。
 第一は、高齢者の福祉と介護の拡充です。
 石原都政が進めてきたシルバーパスの全面有料化、老人福祉手当の廃止、マル福、老人医療費助成の段階的廃止など、福祉の切り捨ては高齢者の暮らしと介護に深刻な影響を与えています。それに加え、今、小泉内閣による総額七兆円もの負担増は、高齢者に新たな痛みと負担をもたらしつつあります。
 老年者控除の廃止や高齢者非課税限度額の廃止によって、七十四万人の高齢者が住民税増税となり、二十万人が住民税非課税から課税となります。さらに、介護保険の利用者負担の引き上げは、月々の年金収入が七万円の特養入所者からも八万五千円の負担を求めるもので、これでは生きていけない、こういう悲痛な声が今ほど高まっているときはありません。
 それだけに、今、東京都に求められていることは、国の負担増からの防波堤となって、都民、高齢者の暮らしと福祉を守るために全力を尽くすことではありませんか。その一つが介護保険法の改悪で、今後さらに負担がふえようとしているもとでの介護手当創設の問題です。
 日経新聞の調査でも、四人に一人が、介護費用を賄うには収入が足りないと回答しています。特に介護度の重い人は、おむつ代など介護保険の対象外の物やサービスへの出費がかさみ、介護保険を十分に利用できない実態が明らかになっています。
 東京都は、介護保険制度が始まったから必要がないといって老人福祉手当を廃止しました。しかし、このような実態があるからこそ、全国で介護手当を実施している自治体は五県、二百五十の市町村を超えているのです。
 さいたま市は、二〇〇一年に三市が合併して政令市になりましたが、三市が実施してきた介護手当を引き継いで、日本共産党だけでなく、自民、公明、民主など、全会派一致でさいたま市重度要介護高齢者手当支給条例を創設しています。
 都内でも、五区市が独自の介護手当をつくっています。江戸川区の熟年者激励手当について、自民党は代表質問で、介護保険創設後も存続するよう提案しています。中央区は、二〇〇三年にお年寄り介護応援手当を新設していますが、自民党も公明党も積極的に賛成しています。
 介護保険の改悪によって利用者の負担が重くなる中で、都として、介護度の重い高齢者に対する、せめて月一万円の新しい介護手当をつくることは切実な課題だと思いますが、答弁を求めます。
 また、老人医療費助成、マル福は、ことし七月から六十八歳と六十九歳の人だけが対象となり、二〇〇七年六月末で廃止されようとしています。
 十四ある政令市でも、十市が老人医療費助成を継続しています。高齢者の医療費の負担軽減はなくてはならないものです。これ以上の縮小廃止は中止し、六十七歳から六十九歳までの現行制度を維持することを求めるものです。
 第二の緊急要望は、乳幼児医療費助成の小中学生への拡大と所得制限撤廃です。
 小中学生のアトピーやアレルギーが大幅にふえており、厚生労働省が行った調査では、乳幼児に比べ小学生の症状が重いとの結果が報告されています。インフルエンザやけが、虫歯の治療など、義務教育の中学卒業まで、すべての子どもの医療費を無料化してほしいという都民の願いは、ますます切実なものになっています。
 二十三区は既に小学校入学までは全区が所得制限を撤廃し、さらに小学生や中学生まで対象を広げたのが十区に及びます。これに対して多摩は、全市町村が対象年齢は都制度と同じ小学校入学までで、所得制限を撤廃しているのは三市町にとどまっており、マスコミも、区部と多摩の財政力の違いにより乳幼児医療費助成に格差が生じていると指摘しています。
 都は、このような乳幼児医療費助成の拡充を求める都民の切実な声の広がり、そして、都議会の変化をどう受けとめているのですか。小学生、中学生への医療費助成の拡大と所得制限撤廃に踏み出すことを求めるものです。お答えください。
 第三の緊急要望は、小中学校での三十人学級の実施です。
 この問題では、第一回定例会以降、大きな変化がありました。それは、文部科学省が少人数学級の意義を認め、中央教育審議会で少人数学級の実施について検討を始めたことです。
 横山教育長も委員として出席し開かれた、五月十日の中央教育審議会義務教育特別部会で、文部科学省が示した調査によれば、都教育庁が三十人学級実施を拒否する根拠としてきた少人数授業、習熟度別指導を実施してきた学校からの回答として、学級編制人数を引き下げた方が効果的であるとした学校が小学校で八一・八%、中学校で八六%にまで及んでいることが明らかにされました。
 そして、この部会では、少人数学級は子ども同士のかかわりが多くなった、教員に話しかける機会が多くなったという点は非常に重要、現在の教育課程に変わったときに学級編制を検討すべきだった、小学生一年の段階で数百に及ぶ学習上のしつけの指導を行っていることを考えると、小学校低学年がとりわけ重要など、少人数学級を導入すべきとする意見が圧倒的に多数となり、来年度から少人数学級に踏み出すことを求めるまとめが行われたのであります。中山文部科学大臣も、三十人学級実現の方向で努力していかなければならないと発言しています。
 都は、国のこのような変化にどう対応するつもりですか、答弁を求めます。
 国の流れが来年度から少人数学級実施へと動き出している以上、都としても、来年度予算編成を含め、直ちに少人数学級実施の準備を始めるよう、知事の決断を求めるものですが、明快にお答えください。
 これらにシルバーパスの負担緩和を含む五つの緊急要望を実施するのに必要な予算は、総額三百十億円です。東京都の一般会計予算の〇・五%にすぎません。知事がその気があればすぐに実行できるものであり、その実現を重ねて求めておくものです。
 我が党は、一貫して大型開発などのむだ遣いを正すよう求めてきました。
 石原知事は、この六年で福祉、教育、中小企業などの都民のための予算を大幅に削減する一方、都市再生を初めとする投資経費には毎年一兆円規模で投入しています。その中には、破綻が明らかな臨海副都心開発や、今回、公正取引委員会が東京高等検察庁に告発した橋梁談合などによる高価格の工事、首都高品川線への支出など、都が本来負担しなくてもよい支出などがあり、ここにメスを入れることが不可欠の課題となっています。
 私は、きょうは知事が一千億円も投資した新銀行の問題を取り上げます。
 新銀行はこの四月に開業したものの、民間の資本金が集まらず、開業時に予定していた九店舗のうち、やっと三店舗が開店したにすぎません。しかも、昨年、都民と都議会に説明したマスタープランとは違う事業計画が存在していることが、我が党が入手した事業計画によって明らかになりました。
 それは、新銀行が昨年十一月に金融庁に正式に提出した事業計画で、その内容は、マスタープランでは三年後には五十四億円の経常利益を上げているはずだったものが、わずか四億円しか計上できないものとなっています。しかも、開業直後からつまずいているため、それすら達成が危ぶまれているのです。
 また、事業計画書では大企業向けシンジケートとか不動産プロジェクトなどが打ち出され、その一方で、多重債務など、ハイリスクの中小企業には貸し付けを行わない方針であり、困っている中小企業には役立たないことが一層鮮明にされています。
 我が党は、融資を申し込んだ中小業者の話を伺いましたが、白色申告や課税証明がない小零細業者は、それだけの理由で断られています。また、青色申告で融資が受けられるといわれた業者でも、一千万円の申し込みに対して半分の五百万円に値切られ、その上、普通の市中銀行の金利は五%程度なのに、金利は九%いただきますと、まるで町金のような高金利を要求されたと、怒りの声を上げています。これでは中小企業への貸し渋り銀行ではありませんか。
 新銀行は中小企業に役立たないばかりか、このままでは破綻した臨海ビル三セクと同じ運命をたどる危険が強まっています。
 知事、これ以上傷口を広げないために、事業を凍結し、資金を回収し、福祉や教育、中小企業のために使うべきではありませんか。答弁を求めます。
 最後に、今、都議会の姿勢が都民から鋭く問われている海外視察の問題についてです。
 自粛されていた都議会の海外視察は、今期に入り各会派ごとの視察として復活され、この四年間に九回の海外視察が行われました。
 都議会の海外視察を行う場合には、税金を使う以上、どうしても海外に行って調べなければならないものに限るべきであり、可能な限り経費節約の努力がされなければなりません。しかし、この四年間に一回一人平均百四十八万、最高では一人二百十八万円もの税金が使われて、九回の海外視察が行われましたが、その実態は、全体として観光的要素が強く、視察費用は添乗員、通訳、専用車など、いずれも常識を超えた高額なものとなっており、節約どころか浪費といわざるを得ないものです。(発言する者あり)
 我が党がこうした事実を明らかにしたことに対し、自民、公明、民主からは、豪華は当たらないとか、議会外に持ち出したことが不当であるかのような反論が行われています。しかし、事実を知った多くの都民からは、一回一人の費用は私の年金額を超えるもの、行きたければ自分で行くべき、税金は使わないでなど、怒りの声が広がっています。一人平均百四十八万円、最高で二百十八万円もの税金を使った海外視察を豪華と批判するのは、都民の生活実感から見れば当然のことではないでしょうか。(発言する者多し)
 莫大な税金を使って行われている海外視察について、我が党の反対を押し切って実施したことについて、都民に事実を知らせ、都民の判断を仰ぐことは、都議会議員の責務でもあります。多数で決めたことだからといって批判してはならないというのは、最悪の密室政治の論理といわざるを得ません。
 我が党は九二年まで参加していましたが、内容と費用に問題があったからこそ、九三年以降、参加を取りやめ、抜本的な見直しを提案し続けているのです。
 また、我が党が超党派による友好都市交流に参加していることをもって、矛盾しているかの主張がありますが、友好都市交流は、都と友好関係を結んでいる都市の議会との超党派による友好親善と相互理解を深め、意見交換を行うことなどを目的とするものです。会派ごとで行う海外視察とは全く性格の異なるものです。
 しかも、我が党は友好都市交流についても、経費節約の立場から改善提案を行い、北京、ソウル訪問の一本化や、公的行事以外の日程の自己負担が実現され、費用の大幅削減が行われました。我が党はさらに吟味を重ね、費用の節減と内容の改善を図るために力を尽くすものです。
 なお、先ほど、公明党の発言の中で、ニューサウスウェールズ州との友好都市交流にかかわって、我が党議員がカジノ視察に加わったとする発言がありました。事実は、このカジノ視察なるものは、都議会として確認された公式日程にも、当日配られた日程表にも入っていなかったものです。ところが、当日の日程の大半が終わりつつあった移動中のバスの中で、公式の日程として持ち出されました。(発言する者あり)この問題についていえば、ルールを破って、抜き打ち的にカジノ視察を公式日程に組み込んだ側の責任こそ問われるべきことを強く指摘しておくものです。
 税金の使われ方をチェックすべき都議会自身が、都民の血税の浪費を続けていいかが問われています。改めて、豪華海外視察は中止されることを心から呼びかけ、再質問を留保し、質問を終わります。(拍手)
   〔発言する者多し〕
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 吉田信夫議員の代表質問にお答えします。
 その前に、週に二、三日しか来ないといわれましたが、そういう週も確かにございますが、しかし、都知事としての仕事は、都庁の中に限らず、私の人脈、人間関係、国の役所も含めまして、外でしかできない都知事の仕事だってあるんです。そういうものがやはり知事という大きな組織の最高責任者の本質であるということもご理解いただきたいと思います。
 介護手当の創設についてでありますが、現在、国が進めている社会保障制度改革や税制改革は、受益と負担のバランス、世代間の公平性の確保等の観点から実施しているものと認識しております。
 同様の観点に立って、都は国に先駆け、一連の経済給付的事業について、利用者本位の新しい福祉の実現を目指す福祉改革の一環として見直しを行いました。
 こうした福祉改革の理念は、既に都民の十分な理解を得ていると確信しております。
 単なるばらまき的給付はもはや時代おくれであり、介護手当といった新たな給付を創設する考えは毛頭ございません。
 三十人学級についてでありますが、これまでも答弁しているとおり、学級編制基準をどう定めるかは、教育行政の根幹にかかわることでありまして、法的にも所管する教育委員会が、その専門的な立場から判断すべきものであります。
 国における義務教育制度に関する検討においてもさまざまな意見があることは承知しておりますが、児童生徒が集団生活の中で社会性を養うという観点から、生活集団としての学級には一定規模が必要とする教育委員会の判断は極めて妥当であると考えます。
 なお、他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 三十人学級などの学級編制についてのお尋ねですが、義務教育諸学校の学級編制につきましては、現在、義務教育全般について審議を行っております中央教育審議会の義務教育特別部会での検討を踏まえまして、文部科学省内に教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議、これが設置をされまして、去る五月二十日に第一回会議が行われたばかりでございます。その中で、少人数教育、これは少人数教育で、それについての検討の論点として挙げられておりますのは、少人数指導、これは少人数学級ではございませんで、少人数指導及び習熟度別指導のための教職員配置の評価や学級編制の弾力化の評価、さらに、生活集団としての適切な学級規模、学習集団と学習効果などでございまして、お話の点について、三十人学級などの少人数学級の導入を前提として検討を行っているものではございません。
 いずれにしましても、都教育委員会としましては、基礎学力などの向上に配慮しまして、きめ細やかな指導を行っていくため、少人数指導の充実に努めていくという方針は変わりはございません。
   〔福祉保健局長幸田昭一君登壇〕

○福祉保健局長(幸田昭一君) 福祉保健施策に関します三点のご質問にお答えいたします。
 まず、老人医療費助成制度についてでありますが、老人医療費助成制度など一連の経済給付的事業の見直しは、制度間の整合性や世代間の負担の公平性などの観点に立って、利用者本位の新しい福祉の実現を目指す福祉改革の一環として実施したものでございます。したがって、本制度を現状で凍結する考えはございません。
 次に、乳幼児医療費助成制度についてでありますが、本制度は、子育てを支援する福祉施策の一環として、区市町村に対し都が補助を行っているものであります。
 現在、都議会での議論を初め、さまざまなご意見、ご要望があることは十分承知しております。
 最後に、乳幼児医療費助成制度の所得制限等についてでありますが、本制度の所得制限の基準は、国における児童手当に準拠しており、一定の所得制限を設けることは必要と考えております。
 また、対象年齢については、これまで、義務教育就学前まで段階的に拡大してきており、さらなる拡大は考えておりません。
   〔新銀行設立本部長津島隆一君登壇〕

○新銀行設立本部長(津島隆一君) 新銀行東京の事業を凍結すべきであるとのご質問でございますが、新銀行東京の開業は、多くの中小企業の潜在力を十分に発揮させ、東京の地域経済を本格的に再生させる、画期的な第一歩となるものでございます。
 新銀行東京は、第一回定例会でご説明したとおり、四月に本店、五月に新宿店、蒲田店を開設し、七月には上野店、錦糸町店、立川店を開設する予定でございます。また、地域金融機関とも緊密に連携するなど、効果的な中小企業への支援を進める一方、金融機関としての健全性にも配慮しながら、業務を着実に拡大してきております。
 今後とも、新銀行東京が、都民や中小企業にとって信頼性の高い、真に役立つ金融機関として成長していくことを強く期待しており、事業の凍結は全く考えておりません。
 また、マスタープランと異なる裏の事業計画が存在するとのご指摘でございますが、現在、新銀行東京においては、マスタープラン以外の経営計画は存在しておりません。
 新銀行東京は、当然のことながら、マスタープランを基本に、経営予測の一環としてさまざまなシミュレーションを試みてきたと聞いております。ご指摘の計画は、その想定シミュレーションを誤認したものと思われます。
   〔百二十六番 吉田信夫君登壇〕

○百二十六番 (吉田信夫君) 二点について石原知事に再質問を行います。
 まず、三十人学級の問題です。
 教育長は、国は少人数学級の導入を前提として検討を行っているものではないといいました。しかし、国が少人数学級を導入する方向で検討していることは冷厳な事実です。
 中央教育審議会の専門部会では、後ろ向きの態度をとったのは横山教育長ぐらいであり、少人数学級を導入すべきという意見が圧倒的多数となったことは、横山教育長が一番よく知っていることではありませんか。
 知事、国が少人数学級を決めても、まだ四十人学級だといい張るのですか。だとしたら、許すことのできない守旧派といわざるを得ません。そうでないというなら、国も全国の自治体も少人数学級の導入の方向で動いていることを潔く認め、今こそ前向きに検討すべきでありませんか。知事の再答弁を求めます。
 新銀行についてです。
 新銀行の答弁は、深刻な実態を全く認識していないものです。私は、都議会への説明はごまかしだったこと、困っている中小企業には役立たない実態があること、臨海三セクと同じ破綻の運命をたどる危険性があることを具体的に指摘をし、責任者である知事に聞いているのです。知事の責任ある答弁を求めるものです。(拍手)
   〔教育長横山洋吉君登壇〕
   〔発言する者あり〕

○教育長(横山洋吉君) 先ほど、中山文部科学大臣の言葉を引用して質問がございましたので、その経過を、事実経過をいいますと、文部科学省は、文部科学省が少人数学級を導入する方針を決定した事実はないという、こういう文部科学省の考え方と中山文部科学大臣の考えには変わることはないとしております。
 なお、五月十二日の参議院文教委員会におきましても、中山文部科学大臣は、中教審の特別部会における議論に関して、少人数学級に関する意見を紹介しつつ、一方で、ある程度のグループがないと、集団行動とかあるいは集団的な心理、生活のさまざまなことについて学ぶ機会が少なくなるのではないかと、こういう意見を紹介をしまして、これからも部内で検討してまいりたいと答弁をいたしております。
 さらに、五月二十五日、直近ですが、二十五日の全国の中学校長会の会合におきましても、中山文部大臣は、少人数学級及び少人数の指導も含めて、現在、有識者の意見を幅広く聞いているところであり、結論は出ていない旨の発言をしているところでございます。
   〔新銀行設立本部長津島隆一君登壇〕
   〔発言する者あり〕

○新銀行設立本部長(津島隆一君) 繰り返しになりますけれども、新銀行東京の開業は、多くの中小企業の潜在力を十分に発揮させ、東京の地域経済を本格的に再生させる、画期的な第一歩となるものであり、決してむだ遣いではないと考えております。
 さらに、金融庁について、裏の事業計画で提出したという、誹謗ともとられるご指摘でございますけれども、新銀行東京は、開業手続の中で、新銀行マスタープランを具体化したさまざまな資料を金融庁に提出してきたと聞いております。現に、参議院財政金融委員会において、金融庁は、これらの資料を、審査におけるさまざまなやりとりの過程で出てきたドキュメント――もう一度申します、審査におけるさまざまなやりとりの過程で出てきたドキュメントと答弁しており、マスタープランと異なる内容であるとの見解は一切示しておりません。
 したがって、都は、これまで都議会や都民に説明してきたマスタープランが依然として新銀行の経営の基軸となるものであると認識しております。

○議長(内田茂君) 二十九番 山口文江さん。
   〔二十九番 山口文江君登壇〕

○二十九番 (山口文江君) 私は、都議会生活者ネットワークを代表して質問いたします。
 初めに、都政改革について伺います。
 私たち生活者ネットワークは、政治の主役はまさに市民であり、都知事でもなく、議員や職員でもないことを常に表明し、政策決定過程を明らかにして、市民参加で政策や制度を決定する道筋をつけてきました。しかし、現在の石原都政は、悲しいかな、逆を行っています。濱渦副知事は、不正を捏造しただけでなく、その後の百条委員会では法律を犯す偽証をするなど、都民を無視した、やりたい放題の都政運営はまさに告発に値するものです。また、十分な知事レクがあったにもかかわらず、副知事や出納長による偏った情報をうのみにして、判断を誤った知事の責任は重大です。
 四年前の本会議で、知事は、今後の都政運営を危惧する質問に対し、都政はチームプレーで、知事一人が獅子奮迅してもどうなるものではなく、多くの職員のアイデアを十分出し合っていく都政を心がけると述べていますが、石原知事が容認してきた側近政治は、内部人事や利権の争いなどがかいま見える恐怖政治となり、都政運営を大きな混乱に陥れました。これは紛れもなく知事の責任です。
 しかし、昨日の所信表明で、福祉総合学院をめぐり都政を混乱させ、都民に不安を与えたことに対する何らの謝罪もありませんでした。また、副知事を初めとする特別職の人事案も出されておりません。この都政運営を早急に立て直すためには、今回の混乱の責任を明らかにして、速やかに人事の刷新をすべきです。副知事の選任に当たっては、密室、根回し政治を変えるためにも、今までとは違う視点を持つ女性副知事の登用を強く求めます。
 また、百条委員会で告発を決定した濱渦氏に対し、問責決議で終わらせるようであるならば、議会みずからの自殺行為であり、議会の一部と手打ちをするような密室政治こそが濱渦・石原体制の都政を生み出したにほかなりません。最終的には数の論理であっても、内田議長が常々いわれる議会の権能を念頭に置きながら、十分な議論をし、根回しや口きき政治、権力闘争は今こそ排除しなければなりません。都政運営を大きな混乱に陥れた知事自身の責任はどのように果たされるのか、伺います。
 さらに、東京都発注工事の橋梁談合に、天下りした都職員OBがかかわっているとされる口きき疑惑が出ています。もしこれが事実であるとするならば、毎年多額の公共事業を発注し、さまざまな補助金支給、許認可の決定を行う権限を有する局長級以上の幹部の再就職に関して、都の公共事業の公正さへの影響が懸念されるのは当然です。再就職先の公表を昨年提案したところ、九月に初めて公表されました。第三セクターへの天下りは、発注者であった元局長が破綻した受注者の長になるなど、今後の組織の立て直しに危惧があります。民間と同様、二年間の禁止措置をすべきではないでしょうか。
 次に、地域福祉の推進について伺います。
 これまで都は、福祉改革推進プランとTOKYO福祉改革STEP2の二つの計画に基づき、NPO支援策の充実や都独自の包括補助制度など、ユニークな取り組みを積極的に進め、地域福祉の充実に取り組んできました。
 現在、介護保険制度に次いで、障害者の自立に向けた法律が審議されており、福祉分野ではこれまで以上に区市町村主体の施策展開が必要になります。区市町村をしっかりと支え、NPOやボランティア活動など市民参画を進め、住民同士の相互連携を深めることが、東京の福祉の最重要課題になると考えます。
 しかし、この二つの計画は、残念ながら、十六年度末をもって計画期間が終了しております。今後、地域をコンセプトとした取り組みをさらに発展させるためにも、今年度以降の東京の福祉施策の基本的な方向をどのように示していくのか、所見を伺います。
 年々進む高齢社会においては、外出の自由を阻害されることはだれにも起こり得ることです。生活者ネットワークは、移動困難者の移動の確保という意味で、移送サービスに取り組むNPO等への支援を提案してきました。二〇〇四年三月には、国土交通省から、福祉有償運送に関して、いわゆる道路運送法八十条許可に関するガイドラインが出されました。
 区市町村は、移動困難者の実態把握と、移動サービスを担うNPO等を支援し、自治体の交通政策等へ反映するため、来年春までに運営協議会を設置しなくてはなりません。しかし、区市町村における運営協議会の設置はまだ七区にとどまり、このままでは運営協議会の空白地域をつくりかねません。都は、十七年度末までに福祉有償運送を実施しているNPO団体が法による許可を得られるよう、運営協議会の設置についてどのような支援を行うのか、伺います。
 福祉有償運送に関しては、利用者の安全確保のため、運行管理者研修、運転者研修が重要です。人材育成及び育成者支援こそ、広域的な東京都の役割です。今後の課題としてぜひ検討されることを望みます。
 以上で生活者ネットワークの質問を終わりますが、すべての答弁は、現状では唯一責任を持つことができる石原知事にお答えいただきたいことを申し添えて、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 山口文江議員の代表質問にお答えいたします。
 人事、今会期中に人事の一新を含めて適切に対応し、私としての責任を果たしてまいります。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔総務局長赤星經昭君登壇〕

○総務局長(赤星經昭君) 監理団体への再就職についての質問にお答え申し上げます。
 監理団体は、都の行政を補完、代行するなど重要な役割を担っておりますことから、都の退職者が在職中に得た知識や経験を団体の経営に還元することは、都政にとっても有用であると考えております。
 なお、監理団体への就職後は、団体の経営を担うものとして、都民から批判を招かぬよう行動することは当然のことと考えます。
   〔福祉保健局長幸田昭一君登壇〕

○福祉保健局長(幸田昭一君) 地域福祉の推進に関します二点のご質問にお答えいたします。
 まず、福祉施策の今後の方向性についてでありますが、都はこれまで、だれもが地域で自立した生活を送ることができる利用者本位の新しい福祉の実現を目指し、福祉改革に全力で取り組んでまいりました。その結果、平成十六年度末には、十二年度と比べ、認知症高齢者グループホームの定員は五十倍、知的障害者グループホームの定員は二・二倍になり、高齢者や障害者の生活を支える地域の基盤整備は着実に進んでおります。
 また、包括補助制度である福祉改革推進事業や、昨年度から開始したユニバーサルデザイン福祉のまちづくり推進モデル事業などにより、地域の特性を生かした、区市町村の主体的な取り組みを積極的に支援しております。
 こうした改革をさらに進め、東京の福祉水準全体の向上を図っていくために、福祉施策の新たな方向性を示していきたいと考えております。
 次に、福祉有償運送についてでありますが、本事業を行うに当たりましては、国の方針により、自治体が設置する運営協議会の協議を経て、道路運送法に基づく許可を得なければならないこととされております。このため、都は、区市町村に対し、こうした方針などの説明や、事業の実態把握などに努めるとともに、運営協議会の早期設置に向けた働きかけをこれまで行ってまいりました。
 現在、区市町村の意向を踏まえまして、既に単独で設置している区市などを除き、区部、市町村部ごとの運営協議会の共同設置に向けて調整を行っている段階でございます。
 今後は、運営協議会マニュアルを作成するなど、事業の円滑な推進に向け、一層きめ細かな支援をしてまいります。

○議長(内田茂君) 以上をもって質問は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね三分間休憩いたします。
   午後五時休憩

   午後五時六分開議

○議長(内田茂君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 これより日程に入ります。
 日程第一から第二十まで、第百四十六号議案、特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例外議案十七件、専決二件を一括議題といたします。
 本案に関し、提案理由の説明を求めます。
 副知事福永正通君。
   〔副知事福永正通君登壇〕

○副知事(福永正通君) ただいま上程になりました二十議案についてご説明を申し上げます。
 第百四十六号議案から第百五十六号議案は条例案で、十一件すべてが一部改正をいたします条例でございます。
 まず、第百五十一号議案の東京都都税条例の一部を改正する条例は、地方税法の改正に伴い、自動車取得税の税率の特例措置を定めるほか、規定を整備するものでございます。
 第百五十三号議案の東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例は、女性福祉資金貸付事業技能習得資金の据置期間を延長するとともに、修学資金及び就学支度資金の一部について貸付限度額を引き上げるものでございます。
 このほか九件ございますが、いずれも、法令等の改正に伴い、所要の改正を行うものでございます。
 次に、第百五十七号議案及び第百五十八号議案が契約案でございます。
 神田川・環状七号線地下調節池(第二期)善福寺川取水施設建築工事及び警視庁臨港警察署(仮称)庁舎新築工事の二件を予定をいたしております。
 契約金額は、総額約五十億一千万円でございます。
 次に、第百五十九号議案から第百六十三号議案までが事件案でございます。
 第百六十号議案及び第百六十一号議案は、いずれも公立大学法人首都大学東京に関するものでございまして、産業技術大学院大学を新設するため、定款を変更いたしますほか、公立大学法人首都大学東京に係る中期目標を定めるものでございます。
 このほか、都道の路線を認定するものなど、合わせて五件を予定をしております。
 次に、専決でございます。
 東京都都税条例の一部改正など、施行までの間に時間的余裕がなく、議会を招集するいとまがなかったため、専決処分を行ったもの二件でございます。
 上程になりました二十議案の説明は以上でございますが、このほか、人事案を送付いたしております。
 まず、東京都公安委員会委員でございます。
 七月二十三日に任期満了となります豊藏一氏、鴨下重彦氏の各氏につきましては再任いたしたいと存じます。
 次に、東京都人事委員会委員でございます。
 四月二十五日に退任いたしました神垣英郎氏の後任には、岡田良雄氏を選任いたしたいと存じます。
 同意につきまして、よろしくお願いをいたします。
 以上で説明を終わります。よろしくご審議をお願い申し上げます。

○議長(内田茂君) 以上をもって提案理由の説明は終わりました。
 なお、本案中、地方公務員法第五条第二項の規定に該当する議案については、あらかじめ人事委員会の意見を徴しておきました。
 議事部長をして報告いたさせます。

○議事部長(谷村隆君) 人事委員会の回答は、第百四十八号議案について、異議はないとの意見であります。

一七人委任第一六号
平成十七年六月一日
東京都人事委員会委員長 内田 公三
 東京都議会議長 内田  茂殿
   「職員に関する条例」に対する人事委員会の意見聴取について(回答)
 平成十七年五月二十五日付一七議事第六五号をもって照会があった議案に係る人事委員会の意見は、左記のとおりです。
       記
提出議案

一 第百四十八号議案
外国の地方公共団体の機関等に派遣される職員の処遇等に関する条例の一部を改正する条例
意見

  異議ありません。

○議長(内田茂君) お諮りいたします。
 ただいま議題となっております日程第一から第二十までは、お手元に配布の議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、日程第一から第二十までは、議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。
(別冊参照)

○議長(内田茂君) これより追加日程に入ります。
 追加日程第一及び第二、東京都公安委員会委員の任命の同意について二件を一括議題といたします。
   〔谷村議事部長朗読〕
一、東京都公安委員会委員の任命の同意について二件

一七財主議第九四号
平成十七年六月一日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 内田  茂殿
東京都公安委員会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は、平成十七年七月二十三日任期満了となるため、再び任命したいので、警察法第三十九条第一項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     豊藏  一
      略歴
現住所 東京都世田谷区
豊藏  一
昭和二年九月五日生(七十七歳)
昭和二十八年三月  東京大学法学部卒業
昭和二十八年四月  建設省入省
昭和四十二年七月  大臣官房文書課建設専門官
昭和四十三年五月  大臣官房広報室長
昭和四十四年九月  茨城県開発部長
昭和四十七年四月  建設省監察官
昭和四十七年五月  都市局都市政策課長
昭和五十年七月   内閣総理大臣官房会計課長兼内閣参事官
昭和五十二年十二月 建設大臣官房人事課長
昭和五十四年七月  道路局次長
昭和五十五年七月  住宅局長
昭和五十七年六月  大臣官房長
昭和六十年十月   建設事務次官
昭和六十二年一月  辞職
昭和六十二年一月  建設省顧問
昭和六十二年七月  住宅・都市整備公団副総裁
昭和六十三年五月  阪神高速道路公団理事長
平成四年九月    住宅・都市整備公団総裁
平成七年六月    東日本建設業保証株式会社取締役社長
平成十三年一月   セントラル野球連盟会長
平成十三年六月   東日本建設業保証株式会社相談役
平成十四年六月   財団法人公園緑地管理財団理事長
平成十四年十月   財団法人国際花と緑の博覧会記念協会理事長
現在        セントラル野球連盟会長、東日本建設業保証株式会社相談役

一七財主議第九五号
平成十七年六月一日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 内田  茂殿
東京都公安委員会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は、平成十七年七月二十三日任期満了となるため、再び任命したいので、警察法第三十九条第一項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     鴨下 重彦
      略歴
現住所 東京都台東区
鴨下 重彦
昭和九年三月十三日生(七十一歳)
昭和三十四年三月  東京大学医学部卒業
昭和三十九年三月  東京大学大学院生物系研究科修了(医学博士)
昭和三十九年七月  南カリフォルニア大学医学部研究員(ロスアンジェルス小児病院病理部)
昭和四十二年八月  アインシュタイン医科大学神経科研究員
昭和四十三年十月  東京大学医学部小児科助手
昭和四十四年九月  東京大学医学部小児科講師 外来医長
昭和四十五年十二月 東京大学医学部助教授
昭和四十九年四月  自治医科大学教授
昭和六十年四月   東京大学医学部教授
平成三年四月    東京大学評議員
平成四年四月    東京大学医学部長
平成六年四月    国立国際医療センター病院長
平成七年五月    東京大学名誉教授
平成八年四月    国立国際医療センター総長
平成八年四月    日本医師会学術企画委員
平成八年五月    日本病院会参与
平成九年七月    日本学術会議第七部会員(第十七期)
平成十二年七月   社会福祉法人賛育会 賛育会病院院長
平成十二年七月   日本学術会議第七部副部長(第十八期)
平成十三年一月   厚生労働省社会保障審議会委員
平成十三年三月   厚生労働省医道審議会臨時委員
平成十三年六月   最高裁判所医事関係訴訟委員会委員
平成十三年九月   日本小児医学研究振興財団設立準備委員長
平成十五年九月   日本学術会議第七部長(第十九期)
平成十七年三月   自治医科大学理事
現在        社会福祉法人賛育会 賛育会病院院長、東京大学名誉教授

○議長(内田茂君) お諮りいたします。
 本件は、いずれも知事の任命に同意することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、いずれも知事の任命に同意することに決定いたしました。

○議長(内田茂君) 追加日程第三、東京都人事委員会委員の選任の同意についてを議題といたします。
   〔谷村議事部長朗読〕
一、東京都人事委員会委員の同意について一件

一七財主議第九六号
平成十七年六月一日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 内田  茂殿
東京都人事委員会委員の選任の同意について(依頼)
 このことについて、東京都人事委員会委員神垣英郎が、辞任したため、後任として左記の者を選任したいので、地方公務員法第九条の二第二項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     岡田 良雄
      略歴
現住所 神奈川県川崎市
岡田 良雄
昭和十年八月十三日生(六十九歳)
昭和三十四年三月 京都大学法学部卒
昭和三十六年四月 東京地方裁判所判事補
昭和四十六年四月 東京地方裁判所判事
昭和五十年四月  最高裁判所事務総局刑事局第二課長
昭和六十三年三月 裁判所書記官研修所所長
平成二年九月   新潟地方裁判所所長
平成四年十二月  東京高等裁判所部総括判事
平成九年一月   司法研修所所長
平成十一年四月  大阪高等裁判所長官
平成十二年八月  定年退官
平成十三年一月  帝京大学法学部教授
平成十五年四月  青山学院大学法学部教授
平成十六年四月  青山学院大学大学院法務研究科教授
現在       弁護士、青山学院大学大学院法務研究科教授

○議長(内田茂君) お諮りいたします。
 本件は、知事の選任に同意することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、知事の選任に同意することに決定いたしました。

○議長(内田茂君) 追加日程第四、議員提出議案第十一号、東京都議会議員柿沢未途君に対する問責決議を議題といたします。
 案文は、お手元に配布いたしてあります。
 朗読は省略いたします。

議員提出議案第十一号
   東京都議会議員柿沢未途君に対する問責決議
 右の議案を別紙のとおり東京都議会会議規則第十二条の規定により提出します。
  平成十七年六月二日
(提出者)
 谷村 孝彦  東村 邦浩  村上 英子
 秋田 一郎  矢島 千秋  鳩山 太郎
 長橋 桂一  小磯 善彦  野上じゅん子
 高橋かずみ  山加 朱美  小美濃安弘
 吉原  修  山田 忠昭  臼井  孝
 林田  武  東野 秀平  藤井  一
 ともとし春久 野島 善司  真鍋よしゆき
 松原 忠義  田代ひろし  三宅 茂樹
 川井しげお  鈴木 一光  吉野 利明
 こいそ 明  木内 良明  鈴木貫太郎
 森田 安孝  石川 芳昭  土持 正豊
 倉林 辰雄  遠藤  衛  鈴木あきまさ
 近藤やよい  串田 克巳  中屋 文孝
 三原 將嗣  樺山たかし  田島 和明
 宮崎  章  中山 秀雄  大木田 守
 前島信次郎  桜井良之助  新藤 義彦
 星野 篤功  いなば真一  高島なおき
 服部ゆくお  古賀 俊昭  山本賢太郎
 立石 晴康  清原錬太郎  小山 敏雄
 大山  均  中嶋 義雄  石井 義修
 橋本辰二郎  藤井 富雄  桜井  武
 野田 和男  野村 有信  比留間敏夫
 大西 英男  山崎 孝明  佐藤 裕彦
 川島 忠一  内田  茂  三田 敏哉
 田中 晃三
東京都議会議長 内田  茂殿

東京都議会議員柿沢未途君に対する問責決議
 都議会は、地方自治法第百条の権限を付与した「社会福祉法人東京都社会福祉事業団による東京都社会福祉総合学院の運営等に関する調査特別委員会(以下「同委員会」という。)」を設置し、関係者に膨大な記録を請求するとともに、多くの証人を喚問し、疑惑の真相究明に向け、精力的に調査を実施してきたところである。
 しかるに、同委員会の委員である都議会民主党柿沢未途議員が、同委員会の内外において数々の不適切な発言を繰り返してきたことは誠に遺憾である。
 まず、柿沢議員は、記者会見において「百条委員会は人民裁判の空気を帯びてしまっている」旨の発言を行った。これは、自ら同委員会の委員であるにもかかわらず、同委員会を誹謗中傷し、同委員会の権威を傷つける重大な行為である。
 また、柿沢議員は、百条調査権に基づいて提出された非公開扱いとなっている記録に記載されている個人名について、委員長の度重なる注意にもかかわらず、同委員会の場で個人名を繰り返し発言した。これは個人のプライバシーや名誉を侵害し、同委員会に対する信頼を著しく損なう行為である。
 さらに、四月二十二日の同委員会では、柿沢議員は、特定の委員が長時間にわたり尋問を行ったことが、結果として証人を入院に追い込んだかのごとき発言を行った。この発言は、当該委員の名誉を著しく傷つけるものである。
 こうした柿沢議員のこれまでの言動は、同委員会を冒とくし、都議会の名誉と品位を損なうものである。
 よって、東京都議会は、柿沢未途議員に対して、都議会の権威と信頼を失墜させた行為について反省を求め問責するものである。
 以上、決議する。
  平成十七年六月二日
東京都議会

○議長(内田茂君) これより討論に入ります。
 討論の通告がありますので、順次発言を許します。
 十二番 相川博君。
   〔十二番 相川博君登壇〕

○十二番 (相川博君) ただいま上程されました決議案について、都議会民主党としての意見を述べさせていただきます。
 まず第一に、柿沢議員の記者会見での発言が対象とされていますが、議員の議場外での発言について、議会でその責を問われるべきではありません。しかも、既に四月十九日の社会福祉総合学院の運営等に関する調査特別委員会において、本人から、批判は不徳によるものという旨の発言がなされております。
 第二に、同委員会における発言については、委員長等の指示に基づき、既に議事録の削除、訂正を行っております。
 以上のように、柿沢議員は、同委員会の審議を本筋に戻し、円滑に進めるために最大限の努力をしてまいりました。
 したがって、問責に当たるものではなく、本決議案に反対するものであります。
 以上。(拍手)

○議長(内田茂君) 二十三番 小美濃安弘君。
   〔二十三番 小美濃安弘君登壇〕

○二十三番 (小美濃安弘君) 私は、東京都議会自由民主党を代表いたしまして、柿沢未途議員に対する問責決議案について賛成の立場から討論を行います。
 柿沢議員は、調査特別委員会の委員でありながら、委員としての自覚を欠き、委員会の内外において数々の不適切な発言を繰り返してまいりました。
 まず、百条委員会は人民裁判の空気を帯びてしまっている旨の発言であります。議員の発言は自由とはいえ、議場はもちろん、議場外であっても、議会や委員会の権威を傷つけることに対して、議会として黙っているわけにはいかないのであります。
 地方自治法第百三十四条の議員の懲罰にかかわる判例においても、議会の品位を汚し、その権威を失墜するような言動は、議会外において生じた行為についても、場所的には、議場または議会の延長であり、事項的には、議会の運営にかかわるものと認めるべき事項には懲罰を課することができる、これは昭和二十四年十二月二十八日福岡地裁の判例でありますが、としておるわけであります。この判例から見ても、柿沢議員の発言は、委員会外とはいえ公開の記者会見の場で行われたことであり、本来ならば懲罰にも当たる問題であります。
 適切に運営されている同委員会を人民裁判の空気を帯びているとの発言は、民主党も設置に賛成をした同委員会の権威を傷つけ、都民の同委員会への信頼を損ねるものであります。人民裁判なるものの実態と意味をわかっての発言でしょうか。
 委員会の運営や他の委員の尋問などに対し、人民裁判の空気を帯びるなどとの表現で委員会を批判するのは、民主主義社会における議会制度に対する誹謗発言であり、猛省を求めるものであります。
 さて、我々議員は、個人や他の議員のプライバシー、名誉を傷つけるおそれのあるものに対しては特別に注意を払い、都民の意思を代表する議会人としての責任を持っての発言をしなければなりません。
 去る四月十九日と二十五日の同委員会での尋問において、非公開扱いとなっている記録の一般職員の個人名部分の発言があり、さらに、五月十二日の尋問において、委員長自身が、一般職員から提出された記録資料について個人情報等が含まれているので取り扱いに注意するようにと発言し、委員長もその記録の読み上げに注意を払って行ったにもかかわらず、同議員はその記録資料の個人名部分について特定の個人を識別できる発言を行いました。
 その結果、その職員はその後いろいろな状況により、家族と別に生活しているとのことであります。悩みかつ真剣に考え、勇気を奮って真実を陳述した職員の心を思うと、胸が痛くなります。まことに軽率な言動であると思います。
 さらに、四月二十二日の尋問において、発言していない他の委員の氏名を用いて発言したかのように尋問したこと、また、他の委員の尋問時間が長時間にわたり証人を体調不良とさせたことなど、不用意、不適切ともいえる発言をしております。
 これら他の委員に関する発言について、委員長等の指示に基づき、議事録から削除、訂正を行っておりますが、五月三十一日の同委員会で民主党委員は、削除等をしたのであるから問責されるいわれはない旨の発言をしています。しかし、これは議会の権威として、議会での不適切発言を載せるわけにはいかないので削除などしたものであって、発言者個人をそれによって免責するものではありません。
 こうした柿沢議員のこれまでの言動は、議会の権威と信頼を著しく損なうものであり、我が党は、二度とこのようなことのなきよう、同議員には反省を求め、問責決議案に対する賛成討論といたします。(拍手)

○議長(内田茂君) 五十六番 古館和憲君。
   〔五十六番 古館和憲君登壇〕

○五十六番 (古館和憲君) 日本共産党を代表して、柿沢未途議員に対する問責決議に反対の立場から討論を行います。
 本決議案は、柿沢未途議員に対して、都議会百条委員会での発言のみならず、記者会見など議会外での発言に対しても都議会の名においてその責任を問い、反省を求めるというものです。
 柿沢議員の記者会見での発言を問責の対象としている点については、議員がみずからの発言について責任を問われるのは、議会内におけるものに限るべきであって、記者会見を含めて議会外での言動に対してまでその責任を問うことは、議員の政治活動の自由に反するものであり、絶対にあってはならないことであります。
 なお、柿沢議員の百条委員会での発言については、非公開資料に記載された人物名を引用したり、委員長が慎重な扱いを要請した陳述書についても、陳述者の肩書きを述べるなど、配慮に欠ける発言が繰り返し行われました。これらは百条調査権に基づく特別委員会に対する都職員や都民の信頼を損ない、その権威を傷つける行為であることは明瞭です。
 しかしながら、これらの言動は、当該委員会の運営上の問題として委員会の中で対応すべき事柄であります。
 よって、本決議案には反対することを申し上げて、日本共産党の討論といたします。
 以上。(拍手)

○議長(内田茂君) 十六番 長橋桂一君。
   〔十六番 長橋桂一君登壇〕

○十六番 (長橋桂一君) 都議会公明党を代表して、民主党柿沢未途議員に対する問責決議に賛成の立場から討論を行います。
 地方自治法第百条に基づく社会福祉法人東京都社会福祉事業団による東京都社会福祉総合学院の運営等に関する調査特別委員会は、三月十四日の予算特別委員会の民主党の中村委員の質問に対して、濱渦副知事が、包括外部監査人によって補助金が正当ではないかもしれないという疑念を発せられた、財産が正当な形で、不法でない形で処理がされないといけないと、あたかも東京都社会福祉総合学院の運営等に疑惑があるような答弁をしたことに端を発して設置されたものであります。
 我が党は、この調査特別委員会において提出された膨大な記録を精査し、積極的に証人に対する喚問を行い、疑惑の真相究明に向けて精力的に調査をしてまいりました。
 しかるに同委員会の委員である民主党柿沢未途議員は、委員会の内外において数々の不適切な発言を繰り返してまいりました。
 まず、民主党柿沢未途議員は、記者会見において、百条委員会は人民裁判の空気を帯びてしまっているなどと、暴言に等しい発言を行いました。これは、みずから委員会の委員であるにもかかわらず、同委員会を誹謗中傷し、同委員会の権威を傷つける重大な行為であります。厳しくその行為が糾弾されるのは当然であります。それにもかかわらず、民主党柿沢未途議員は、この件については謝罪はいたしかねると、反省どころか居直り同然の発言に終始いたしました。
 また、四月二十二日の同委員会で、民主党柿沢未途議員は、特定の委員が長時間にわたって尋問を行ったことが、結果として証人を入院に追い込んだかのごとき発言を行いました。この発言は、当該委員の名誉を著しく傷つけるものであります。恣意的、主観的に過ぎるゆがんだ発言であります。
 さらに、民主党柿沢未途議員は、非公開扱いとなっている記録に記載されている個人名について、委員長の注意にもかかわらず、同委員会の場で意図的に個人を特定させる発言を繰り返しました。これは個人のプライバシーや名誉を侵害し、同委員会に対する信頼を著しく損なう行為であり、議員としての見識と資質を問われる行為であります。
 よって、我が党としては、民主党柿沢未途議員に対して、都議会の権威と信頼を失墜させた行為について猛省を求め、厳しく問責するものであります。
 以上で討論を終わります。(拍手)

○議長(内田茂君) 九十八番 大河原雅子さん。
   〔九十八番 大河原雅子君登壇〕

○九十八番 (大河原雅子君) 私は、都議会生活者ネットワークを代表して、柿沢未途議員に対する問責決議について、反対の立場から意見を述べます。
 都議会百条委員会の内外における柿沢委員の発言には、個人の名誉やプライバシーにかかわるものもあり、非公開として慎重な扱いを求められている文書についても、極めて不適切であったことはまことに残念です。
 しかし、議員の職務である審議において不適切な発言や行き過ぎた表現があったにせよ、これを委員会内での協議で是正できず、本会議で問責するというのは、議会みずからの討議能力、自浄能力が問われることです。
 よって、柿沢議員に対する問責決議には反対します。(拍手)

○議長(内田茂君) 以上をもって討論を終了いたします。

○議長(内田茂君) これより採決に入ります。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案どおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(内田茂君) 起立多数と認めます。よって、本案は、原案のとおり可決されました。

○議長(内田茂君) 追加日程第五、議員提出議案第十号、東京都議会議員富田俊正君に対する問責決議を議題といたします。
 案文は、お手元に配布いたしてあります。
 朗読は省略いたします。

議員提出議案第十号
   東京都議会議員富田俊正君に対する問責決議
 右の議案を別紙のとおり東京都議会会議規則第十二条の規定により提出します。
  平成十七年六月二日
(提出者)
 谷村 孝彦  東村 邦浩  村上 英子
 秋田 一郎  矢島 千秋  鳩山 太郎
 長橋 桂一  小磯 善彦  野上じゅん子
 高橋かずみ  山加 朱美  小美濃安弘
 吉原  修  山田 忠昭  臼井  孝
 林田  武  東野 秀平  藤井  一
 ともとし春久 野島 善司  真鍋よしゆき
 松原 忠義  田代ひろし  三宅 茂樹
 川井しげお  鈴木 一光  吉野 利明
 こいそ 明  木内 良明  鈴木貫太郎
 森田 安孝  石川 芳昭  土持 正豊
 倉林 辰雄  遠藤  衛  鈴木あきまさ
 近藤やよい  串田 克巳  中屋 文孝
 三原 將嗣  樺山たかし  田島 和明
 宮崎  章  中山 秀雄  大木田 守
 前島信次郎  桜井良之助  新藤 義彦
 星野 篤功  いなば真一  高島なおき
 服部ゆくお  古賀 俊昭  山本賢太郎
 立石 晴康  清原錬太郎  小山 敏雄
 大山  均  中嶋 義雄  石井 義修
 橋本辰二郎  藤井 富雄  桜井  武
 野田 和男  野村 有信  比留間敏夫
 大西 英男  山崎 孝明  佐藤 裕彦
 川島 忠一  内田  茂  三田 敏哉
 田中 晃三
東京都議会議長 内田  茂殿

東京都議会議員富田俊正君に対する問責決議
 都議会は、地方自治法第百条の権限を付与した「社会福祉法人東京都社会福祉事業団による東京都社会福祉総合学院の運営等に関する調査特別委員会(以下「同委員会」という。)」を設置し、関係者に膨大な記録を請求するとともに、多くの証人を喚問し、疑惑の真相究明に向け、精力的に調査を実施してきたところである。
 しかるに、同委員会を全会一致で設置したにもかかわらず、都議会民主党富田俊正議員は疑惑を解明する都議会議員という立場をわきまえず、議会を著しく軽視し、同委員会の真摯な調査を妨げる不誠実な対応で終始してきた。
 すなわち、同委員会が百条権限に基づき四月十九日、四月二十五日及び五月二日の三回にわたり、富田議員に対して出頭し証言するよう請求したところ、いずれも正当な理由がないのに出頭を拒否してきた。出頭請求に際しては、委員長が富田議員に対して証言を求める事項を具体的に書面で示したにもかかわらず、富田議員は「証言を求める事項のいずれにも該当せず、証言することはない。」という個人的判断を示した書面を提出して出頭しなかったものである。
 こうした富田議員のこれまでの行動は、疑惑解明に奔走する同委員会の活動を阻害するばかりか、都議会の権威を失墜させるとともに、都政を著しく混乱させる行為であり、断じて許し難く、同委員会において、告発に値するとの議決を求める決定をしたところである。
 よって、東京都議会は、富田俊正議員に対し、自らの行動への責任を厳しく問うとともに自覚を促し、強く反省を求め問責するものである。
 以上、決議する。
  平成十七年六月二日
東京都議会

○議長(内田茂君) これより討論に入ります。
 討論の通告がありますので、順次発言を許します。
 三十一番 初鹿明博君。
   〔三十一番 初鹿明博君登壇〕

○三十一番 (初鹿明博君) ただいま上程された東京都議会議員富田俊正君に対する問責決議案について、都議会民主党の意見を述べます。
 社会福祉法人東京都社会福祉事業団による東京都社会福祉総合学院の運営等に関する調査特別委員会、いわゆる百条委員会における証人出頭請求は、地方自治法第百条第一項の規定に基づき、地方公共団体の事務の調査の範囲に該当する場合でなければなりません。この事務の調査の範囲は、本委員会の設置要綱に示された調査事項の範囲であります。
 しかし、証人出頭請求に際して、同委員会委員長より示された証言を求める事項は、いずれもこの調査事項に該当するものではなく、また、社会福祉総合学院の運営に一切かかわりのない富田議員に証言できる事項がないことは明らかで、出頭請求そのものが無効であります。
 また、議員の行った質問に関して、資料や情報等の入手先を明らかにすることは、今後の議員の調査、行政監視、政策提案活動に重大な支障を来すものであり、議会人としての自殺行為であります。
 さらに、議員が行った質問内容を問題視し議会で追及することは、多数派による少数派の言論封殺にもなりかねず、このようなあしき前例はつくるべきではありません。
 以上の理由により、本決議案には反対いたします。(拍手)

○議長(内田茂君) 四番 秋田一郎君。
   〔四番 秋田一郎君登壇〕

○四番 (秋田一郎君) 私は、東京都議会自由民主党を代表して、富田俊正議員に対する問責決議案について賛成の立場から討論を行います。
 そもそも調査特別委員会の設置は、予算特別委員会で民主党委員の質疑に端を発したものであり、しかも民主党を含め全会派一致で決定されたものであります。さらに、民主党は、真相を明らかにするためとして調査プロジェクトチームを設置し、しかも富田議員はその委員でもあります。
 また、富田議員は政調会長として会派の質疑の方針やその調整をする政策責任者として、当然質疑に至る経緯、経過について熟知しているわけであり、積極的に調査特別委員会に出席して真実を証言すべき立場にあり、さらに議会人としても、調査特別委員会からの要求を待つまでもなく、都民の代表として都民の疑惑を晴らすためにも、真相究明に協力すべきこと言をまちません。
 しかも、ご自身の三月二十六日付のホームページでは、民主党は百条委員会でしっかりと疑惑を追及する姿勢。しかし、最大会派自民党は疑惑はないと主張している。疑惑追及の民主党、疑惑隠ぺいの自民党とまで掲げているのです。このいっていることとやっていることの何たる矛盾。
 ところで、調査特別委員会での調査により、何の問題もない事柄をあたかも不法な状態が存在するかのようにいい立て、知事や議会を巻き込んで疑惑を捏造した都政史上かつてない恥ずべき行為であるということが明白になりました。しかも、本来であれば執行機関をチェックすべき立場にある都議会が加担したかのように指弾されているのですから、その事実がないと民主党が主張するのであるなら、その汚名を晴らすべきでありましょう。
 しかしながら、党の政策責任者である富田議員は、再三にわたる調査特別委員会の証人出頭要求に対し、出頭する理由がないと拒否し続けました。
 このことは、民主党内においても批判が出ているのです。その声明によれば、責任ある議員の立場で出頭に応じないのは議会人として不適切な対応と考える。さらに、事実に基づいて真相が究明されることが必要だとしているのであります。まことに良識に基づく見解と考えます。
 このように、都政史上三十五年ぶりという地方自治法百条に基づいて設置した調査特別委員会の再三の要求に対して、出頭を頑迷に拒否し続けた富田議員の行為は、同委員会の真相究明のための努力を阻害し、調査、審査を著しく遅滞させたといわざるを得ないのであります。
 ところで、きのうの本会議での知事の所信表明において、特別職から成る調査改善委員会を設置し、調査検討した結果、東京都社会福祉事業団と敬心学園との間の契約は有効に成立しており、この間の経緯にも違法な点は認められませんでしたとの発言がありました。予算案提案者から何ら疑惑がないとの報告でございます。
 このように初めから疑惑がないのに、無理に疑惑追及などといい立てながら、調査特別委員会の調査には一片の協力姿勢も示さず、ただただ委員会外での発言に終始してきたことは、議会人としてまことに遺憾きわまりない行動であります。
 よって、我が党は、富田俊正議員は問責に値するものと思料し、賛成するものであります。(拍手)

○議長(内田茂君) 三十三番 清水ひで子さん。
   〔三十三番 清水ひで子君登壇〕

○三十三番 (清水ひで子君) 日本共産党都議団を代表して、富田俊正議員に対する問責決議に反対の立場から討論を行います。
 上程された決議案は、富田議員が都議会百条委員会の証人喚問に対して、繰り返し出頭を拒否したことをもって、同委員会の調査活動を阻害し、都議会の権威を失墜させ、都政を混乱させたとして、その行動への責任を問い、反省を求めるとするものです。
 しかし、今回の都議会百条委員会は、全会一致で定めたように、社会福祉総合学院の運営に係る東京都の自治事務を調査することを目的として設立されたものです。
 したがって、学院の運営にかかわりのない富田議員を証人喚問の対象とし、喚問を拒否したことをもってその責任を問うことや、ましてや告発に該当するとの認定を百条委員会として行ったことは容認できません。こうした百条委員会の決定をもとにした今回の問責決議案は、到底認められるものではありません。
 よって、日本共産党都議団は、富田俊正議員の問責決議に反対するものです。(拍手)

○議長(内田茂君) 十七番 小磯善彦君。
   〔十七番 小磯善彦君登壇〕

○十七番 (小磯善彦君) 都議会公明党を代表して、民主党富田俊正議員に対する問責決議に賛成の立場から討論を行います。
 これまでの調査の結果、都議会内田議長の証言や東京都職員の勇気ある陳述書によって、三月十四日の予算特別委員会の民主党の中村委員の質問は、濱渦副知事によるやらせ質問であったことが明らかになりました。
 にもかかわらず、都議会民主党の政策責任者である富田俊正議員は、全会一致で設置した調査特別委員会での疑惑を解明するどころか、同委員会での三度にわたる証人喚問に対し、出頭を拒否し続けてきました。一方、富田議員は、みずからのホームページにおいて、疑惑を解明すると発信し続けており、百条委員会の証人喚問を拒否しておきながら、疑惑を解明するなどというのは、都民を欺く欺瞞にほかなりません。
 同委員会においては、正当な理由もなく証人としての出頭を拒否し続ける民主党富田議員の行動に対し、告発に値するとの議決を求める決定を行いました。
 このような民主党富田議員の行動は、疑惑解明に懸命な努力を展開してきた委員会の活動を阻害するばかりか、都議会の権威を失墜させる行為であり、断じて許しがたいものであります。
 したがって、我が党は、民主党富田俊正議員に対して、その行動に対する責任を厳しく問うとともに、本人の自覚と猛省を促し、厳しく問責するものであります。
 以上で討論を終わります。(拍手)

○議長(内田茂君) 九十八番 大河原雅子さん。
   〔九十八番 大河原雅子君登壇〕

○九十八番 (大河原雅子君) 私は、都議会生活者ネットワークを代表して、富田俊正議員に対する問責決議については、反対の立場から討論を行います。
 都議会で最高の調査権限を持つ百条委員会は、今回、社会福祉総合学院についての調査を目的に設置されました。
 いうまでもなく、議員一人一人の政治活動の自由は十分に保障されなければならず、調査権を初め、議員の発言についても、いかなる制限も受けてはならないと考えます。
 しかし、それだけ十分な責任ある発言が求められていることを、常に議員として自覚すべきです。選挙民に選ばれた議員として、自分の発言に責任を持ち、言葉を尽くして疑問に答えることは、公職にある者の務めであり、それゆえ議員に対して十分な関与の認定なく、安易に証人として喚問するなどは自制的であるべきと考えます。
 よって、富田議員に対する問責決議には反対いたします。(拍手)

○議長(内田茂君) 以上をもって討論を終了いたします。

○議長(内田茂君) これより採決に入ります。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(内田茂君) 起立多数と認めます。よって、本案は、原案のとおり可決されました。

○議長(内田茂君) 追加日程第六及び第七、議員提出議案第十二号、東京都副知事濱渦武生君に対する問責決議及び議員提出議案第十三号、東京都出納長櫻井巖君に対する問責決議を一括議題といたします。
 案文は、お手元に配布いたしてあります。
 朗読は省略いたします。

議員提出議案第十二号
東京都副知事濱渦武生君に対する問責決議
 右の議案を別紙のとおり東京都議会会議規則第十二条の規定により提出します。
  平成十七年六月二日
(提出者)
 谷村 孝彦  東村 邦浩  村上 英子
 秋田 一郎  矢島 千秋  鳩山 太郎
 新井美沙子  河野百合恵  長橋 桂一
 小磯 善彦  野上じゅん子 高橋かずみ
 山加 朱美  小美濃安弘  吉原  修
 山田 忠昭  臼井  孝  林田  武
 山口 文江  清水ひで子  かち佳代子
 小松 恭子  東野 秀平  藤井  一
 ともとし春久 野島 善司  真鍋よしゆき
 松原 忠義  田代ひろし  三宅 茂樹
 川井しげお  鈴木 一光  吉野 利明
 こいそ 明  執印真智子  古館 和憲
 松村 友昭  丸茂 勇夫  木内 良明
 鈴木貫太郎  森田 安孝  石川 芳昭
 土持 正豊  倉林 辰雄  遠藤  衛
 鈴木あきまさ 近藤やよい  串田 克巳
 中屋 文孝  三原 將嗣  樺山たかし
 田島 和明  宮崎  章  大西由紀子
 大山とも子  東ひろたか  池田 梅夫
 中山 秀雄  大木田 守  前島信次郎
 桜井良之助  新藤 義彦  星野 篤功
 いなば真一  高島なおき  服部ゆくお
 古賀 俊昭  山本賢太郎  立石 晴康
 清原錬太郎  小山 敏雄  大山  均
 大河原雅子  曽根はじめ  渡辺 康信
 秋田かくお  中嶋 義雄  石井 義修
 橋本辰二郎  藤井 富雄  桜井  武
 野田 和男  野村 有信  比留間敏夫
 大西 英男  山崎 孝明  佐藤 裕彦
 川島 忠一  内田  茂  三田 敏哉
 田中 晃三  藤田 愛子  吉田 信夫
 木村 陽治
東京都議会議長 内田  茂殿

東京都副知事濱渦武生君に対する問責決議
 都議会は、地方自治法第百条の権限を付与した「社会福祉法人東京都社会福祉事業団による東京都社会福祉総合学院の運営等に関する調査特別委員会(以下「同委員会」という。)」を設置し、関係者に膨大な記録を請求するとともに、濱渦副知事を始め多くの証人を喚問し、疑惑の真相究明に向け、精力的に調査を実施してきたところである。
 濱渦副知事は、平成十七年度予算を提案する責任者の立場にありながら、その提出された予算案の中に不正、不適切な内容があるかのような答弁を行った。まったく不可解な、議会を愚弄する発言であるだけでなく、知事を補佐する立場にある副知事としてあるまじき答弁であった。
 これまでの調査の結果、濱渦副知事が、違法性がない東京都社会福祉総合学院の運営に対し、議会や知事まで利用して疑惑を捏造した経緯が詳らかになるとともに、真相解明の場である同委員会における証人尋問の際、虚偽の陳述を行ったと認定され、これは告発に相当するとの決定も行われたところである。
 さらに、この疑惑捏造の背景には濱渦副知事が知事にあげる情報と人事権を独占し、恐怖独裁政治となっている現在の閉塞された都政があり、その弊害は目に余るものがある。
 このような濱渦副知事の許されざる行為によって、都政は混乱し、著しい停滞を招いている。さらにこの混乱は、庁内のみならず都民にまで影響を及ぼしている。
 この責任は、厳しく問われるべきであり、都政の混乱と停滞の責任を明確にすることで、この混乱に終止符を打ち、新しい都政、生まれ変わった都政によって、都民の負託に応えていかなければならない。
 よって、東京都議会は、東京都副知事濱渦武生君に対し、自らの行動への責任を厳しく問うとともに自覚を促し、猛省を求め問責するものである。
 以上、決議する。
  平成十七年六月二日
東京都議会

議員提出議案第十三号
東京都出納長櫻井巖君に対する問責決議
 右の議案を別紙のとおり東京都議会会議規則第十二条の規定により提出します。
  平成十七年六月二日
(提出者)
 谷村 孝彦  東村 邦浩  村上 英子
 秋田 一郎  矢島 千秋  鳩山 太郎
 新井美沙子  河野百合恵  長橋 桂一
 小磯 善彦  野上じゅん子 高橋かずみ
 山加 朱美  小美濃安弘  吉原  修
 山田 忠昭  臼井  孝  林田  武
 山口 文江  清水ひで子  かち佳代子
 小松 恭子  東野 秀平  藤井  一
 ともとし春久 野島 善司  真鍋よしゆき
 松原 忠義  田代ひろし  三宅 茂樹
 川井しげお  鈴木 一光  吉野 利明
 こいそ 明  執印真智子  古館 和憲
 松村 友昭  丸茂 勇夫  木内 良明
 鈴木貫太郎  森田 安孝  石川 芳昭
 土持 正豊  倉林 辰雄  遠藤  衛
 鈴木あきまさ 近藤やよい  串田 克巳
 中屋 文孝  三原 將嗣  樺山たかし
 田島 和明  宮崎  章  大西由紀子
 大山とも子  東ひろたか  池田 梅夫
 中山 秀雄  大木田 守  前島信次郎
 桜井良之助  新藤 義彦  星野 篤功
 いなば真一  高島なおき  服部ゆくお
 古賀 俊昭  山本賢太郎  立石 晴康
 清原錬太郎  小山 敏雄  大山  均
 大河原雅子  曽根はじめ  渡辺 康信
 秋田かくお  中嶋 義雄  石井 義修
 橋本辰二郎  藤井 富雄  桜井  武
 野田 和男  野村 有信  比留間敏夫
 大西 英男  山崎 孝明  佐藤 裕彦
 川島 忠一  内田  茂  三田 敏哉
 田中 晃三  藤田 愛子  吉田 信夫
 木村 陽治
東京都議会議長 内田  茂殿

東京都出納長櫻井巖君に対する問責決議
 都議会は、地方自治法第百条の権限を付与した「社会福祉法人東京都社会福祉事業団による東京都社会福祉総合学院の運営等に関する調査特別委員会(以下「同委員会」という。)」を設置し、関係者に膨大な記録を請求するとともに、櫻井出納長を始め多くの証人を喚問するなど、これまで精力的な調査を実施してきたところである。
 しかるに、この間の、同委員会を巡る櫻井出納長の言動は、議会を著しく軽視し、同委員会の真摯な調査を妨げる不誠実な対応であった。
 まず、平成十七年二月二十五日の知事記者会見の前日に行った当問題に関する知事への報告では、けが人が出るとの誤った情報を知事に与え、事態を混乱に導いた。また、同委員会が百条権限に基づき再三再四にわたり求めた記録についても、公用車に同乗した者の職氏名等を「記憶にない」などとして提出を頑なに拒み審議を妨害した。さらに、同委員会の設置を受けて執行機関側が設置した東京都社会福祉総合学院に関する調査改善委員会においても、同委員会対策として、証言の事前調整を行うべく画策したことが明らかになった。
 加えて、社会福祉事業団に対する建設費補助の福祉保健局からの支出請求に対し突然執行停止を行ったことである。これは、本人の弁明にかかわらず出納長の職務権限を逸脱したものと言わざるを得ない。
 このような櫻井出納長の言動は、疑惑解明に奔走する同委員会の活動を阻害するばかりか、都議会の権威を失墜させるとともに、都政を著しく混乱させる行為であり、断じて許し難い。
 よって、東京都議会は、東京都出納長櫻井巖君に対し、自らの言動への責任を厳しく問うとともに自覚を促し、猛省を求め問責するものである。
 以上、決議する。
  平成十七年六月二日
東京都議会

○議長(内田茂君) これより討論に入ります。
 討論の通告がありますので、順次発言を許します。
 百二十三番 土屋たかゆき君。
   〔百二十三番 土屋たかゆき君登壇〕

○百二十三番 (土屋たかゆき君) ただいま提出された決議案について、都議会民主党を代表して見解を申し上げます。
 この決議案は、東京都議会に三十五年ぶりに設置された社会福祉法人東京都社会福祉事業団による東京都社会福祉総合学院の運営等に関する調査特別委員会、いわゆる百条委員会における調査、議論の一つの帰結として提出されているものであります。
 この百条委員会の中で、私たち都議会民主党は、社会福祉総合学院の運営をめぐって、過去に問題や不適切な点はなかったか、現在の運営のあり方に問題はないか、将来にわたって問題は生じないかといった点について一つ一つ尋問を重ね、議論を行ってまいりました。
 しかしながら、この間の百条委員会の議論は、専ら特定の個人の責任追及の場に終始してきた感が否めません。この点については、私たちはこの間、重ねて指摘をしてきたところですが、それにもかかわらず、今回、このような決議案の提出に至る事態となりました。
 これについては、私たちが百条委員会で議論すべきであったと考えている事柄とかけ離れたものであり、したがって、かかる決議案に賛成することはできません。問題の本質に関する検討を置き去りにしたままのこうした事態の展開は、私たちとしては決して容認できるものではありません。
 以上をもって都議会民主党としての見解といたします。(拍手)

○議長(内田茂君) 九十番 高島なおき君。
   〔九十番 高島なおき君登壇〕

○九十番 (高島なおき君) 私は、東京都議会自由民主党を代表し、本議会に付託された濱渦武生副知事及び櫻井巖出納長に対する問責決議について、賛成の立場から討論を行います。
 さて、濱渦副知事及び櫻井出納長については、これまでの調査特別委員会による綿密な調査から、社会福祉総合学院を対象として疑惑を捏造し、何の問題もない事柄を大問題であるかのようにいい立て、知事や議会を利用し、不信感をあおることで都民を欺き、都政に対する信頼を著しく失墜させました。都政の長い歴史の中で、このような恥ずべき行為が行われたことはかつてなく、両者が画策し、実行した暴挙は許しがたいものがあります。
 特に、濱渦副知事については、第一は、二月二十四日、社会福祉総合学院の運営に関して、櫻井出納長とともに、予断をもって説明を知事に行うことで、翌日の知事記者会見におけるけが人発言を引き出すなど、疑惑の捏造に知事を巻き込みました。
 第二は、三月十四日の予算特別委員会で、社会福祉総合学院に対する補助金について、不法性を示唆する答弁を行いましたが、問題を顕在化させるため、民主党に対して質問するよう執拗に依頼するなど、疑惑の捏造に議会を利用しました。
 第三は、調査特別委員会の場で、さきの予算特別委員会での不法性を示唆した答弁を実質上修正したにもかかわらず、その修正をかたくなに認めず、混乱に拍車をかけるばかりか、福祉保健局長の証言から、存在が明らかな弁護士意見についても不知を証言するなど、真相究明に非協力な態度を貫き、真実を隠ぺいしようとしました。
 第四は、疑惑捏造により、学校法人敬心学園は、入学辞退者など風評被害をこうむり、学生や保護者を不安に陥れました。
 また、濱渦副知事は、人事権を含む都政運営の権限をみずからの手中におさめ、お手紙行政、わび状行政をばっこさせ、都政を壟断するなど、都政に大きな混乱と停滞を招きました。
 さらに、櫻井出納長については、第一は、濱渦副知事と画策し、知事のけが人発言など、疑惑の捏造に知事を巻き込みました。
 第二は、二月二十四日の都道府県会館における知事への説明状況について、調査特別委員会で詳細に証言したにもかかわらず、同日の帰途、同乗者一名の氏名について、記録請求に対し、記憶にないなどとして提出をかたくなに拒み、審議を妨害いたしました。
 第三は、調査特別委員会の証人は自己の責任で真実を述べるものであり、その独立性は保障されるべきであるにもかかわらず、櫻井出納長は、特別職という立場を利用して、関係局長らの証言内容を事前に調整しようと画策しました。
 我が党は、こうした濱渦副知事及び櫻井出納長の行為を強く弾劾するものであります。両人に対しては、改めてみずからの行動への責任を厳しく問うとともに、自覚を促し、一層の反省を求め、問責決議に賛成いたします。
 都政のこれ以上の混乱と停滞は、もはや許されません。今回の事態を機に、都政の再出発となることを期待して、討論を終わります。(拍手)

○議長(内田茂君) 一番 谷村孝彦君。
   〔一番 谷村孝彦君登壇〕

○一番 (谷村孝彦君) 都議会公明党を代表して、副知事濱渦武生君と出納長櫻井巖君に対する問責決議に賛成の立場から討論を行います。
 濱渦副知事は、三月十四日の予算特別委員会の民主党の中村委員の質問に対して、包括外部監査人によって、補助金が正当ではないかもしれないという疑念を発せられた、財産が正当な形で、不法でない形で処理がなされないといけないなどと、東京都社会福祉総合学院の運営等に疑惑があるかのごとき答弁を行いました。
 結果的に、これは不正確かつ不適切な答弁であり、疑惑の捏造を意図したものであることが明らかになりました。
 この答弁に端を発して、今回の地方自治法第百条に基づく社会福祉法人東京都社会福祉事業団による東京都社会福祉総合学院の運営等に関する調査特別委員会が設置されました。
 これまでの調査の結果、濱渦副知事が法的にも何も問題がない東京都社会福祉総合学院の運営に対し、民主党にいわゆるやらせ質問を働きかけ、議会や知事まで利用して疑惑を捏造しようとした経緯が明らかになるとともに、真相解明の場である委員会における証人喚問の際、虚偽の証言を行ったと認定され、告発に相当するとの決定まで行われたところであります。この責任は重大であります。
 また、櫻井出納長においては、石原知事に対して、けが人が出るなどの発言を誘導するような誤った情報を与え、事態を混乱に導いたのみならず、社会福祉事業団に対する福祉保健局からの建設費補助の支出請求に対して、突然執行停止を行いました。これは出納長の職務権限を逸脱したものであり、結果的に疑惑捏造に加担するものであるといわざるを得ません。また、特別職の立場を利用して証言の事前調整を図ろうとしたことも糾弾されるべきであります。
 この両名の責任は厳しく問われるべきであります。社会福祉学院の問題にとどまらず、都政の混乱と著しい停滞を招いた責任も、濱渦、櫻井両名は自覚し、猛省すべきであります。
 したがって、我が党は、副知事濱渦武生君と出納長櫻井巖君に対して、一連の言動への責任を厳しく問うとともに、自覚と猛省を促し、強く問責するものであります。
 以上で討論を終わります。(拍手)

○議長(内田茂君) 五十七番 松村友昭君。
   〔五十七番 松村友昭君登壇〕

○五十七番 (松村友昭君) 私は、日本共産党都議団を代表して、ただいま上程された濱渦武生副知事並びに櫻井巖出納長に対する問責決議案に賛成する立場から討論を行います。
 まず、濱渦副知事については、証人尋問で、民主党議員への質問の働きかけを否定しましたが、内田議長の証言及び都職員の陳述書によって働きかけがあったことは事実として明らかになり、我が党も賛成して百条委員会は濱渦氏の証言は偽証と認定しました。当然、都議会本会議において告発されるべきものであります。
 また、社会福祉総合学院のあり方については、委員会での我が党の尋問などにより、学院事業の民間への委託と貸し付けは、特例中の特例扱いで、無理に無理を重ねて推し進められた事実も明らかになりました。
 しかし、濱渦副知事が予算特別委員会で答弁したような違法性を指摘する事実は認められませんでした。明確な根拠もないのに、あたかも不法であるかのような発言を行ったことは重大であり、副知事の発言として、その責任は厳しく問われなければなりません。
 これらの背景として、濱渦副知事が都政を私物化し、議員まで巻き込んで都政に混乱と停滞を招いていることも明らかとなり、問責するに十分値するものであります。
 次に、櫻井出納長も、濱渦副知事とともに社会福祉総合学院の問題に深く関与してきたにもかかわらず、真相究明を妨げる不誠実な対応をとりました。特に、二月二十四日の知事訪問後、公用車への同乗者の記録提出要求に対し、記憶がないと回答するなど、証拠隠滅の行為は極めて重大です。
 また、知事によって調査改善委員会が設置された際、同委員会で百条委員会での証人尋問への答弁調整を行うよう画策していた疑いが強いなど、その行為は特別職にあるまじき許しがたいものです。よって、問責決議は免れません。
 最後に指摘しなければならないのは、石原知事自身の重大な責任についてであります。濱渦副知事、櫻井出納長の問責決議に至るこの間の一連の言動が、事実上、石原知事の承認のもとで行われ、また、都庁内から恐怖政治といわれるような都政をもたらした中心人物である濱渦副知事を重用し、みずからも民主党幹事長に社会福祉総合学院の問題について考えてほしいといって、この問題に直接関与した石原知事の責任は重大です。そのことを厳しく指摘して討論を終わります。(拍手)

○議長(内田茂君) 九十八番 大河原雅子さん。
   〔九十八番 大河原雅子君登壇〕

○九十八番 (大河原雅子君) 私は、都議会生活者ネットワークを代表して、東京都副知事濱渦武生氏及び東京都出納長櫻井巖氏に対する問責決議について、賛成の立場から討論を行います。
 社会福祉法人東京都社会福祉事業団による東京都社会福祉総合学院の運営について、濱渦副知事は、包括外部監査の結果を曲解し、知事への誤った情報伝達と報告により、都政に混乱を引き起こしました。予算を提案する立場を自覚せず、知事の権威をかさに着た傍若無人な行動は、議会を巻き込んで疑惑を捏造、百条委員会においては偽証と認定されるという、都民に顔向けできない前代未聞の醜態をさらしています。
 こうした事態を、知事はみずからの管理責任と発言されていますが、濱渦副知事の発言を初め、一連の行動が、むしろ知事の指示によるという、知事公認で行われたことこそ重大です。また、知事が庁内の混乱と停滞に最近まで気づかずにいたという驚くべき発言から、まさしく知事のガバナンス、統治能力の欠如が明らかとなりました。
 濱渦副知事による都政の私物化は、辞職以外に償いようのない重大な責任を負っており、本日の問責決議に至ったことは、まことに遺憾ながら、至極当然のことであり、辞職勧告と受けとめるべきです。七月といわず、即刻辞職されるよう求めます。
 次に、櫻井巖出納長について申し上げます。本来、出納長の役割は、地方自治法に照らしても、中立公正な立場から知事部局をチェックするものであり、出納長が知事のイエスマンであることは、都民にとっては、蛇口の壊れた水道同様に、都政に大きな損失を与えかねません。
 知事も、出納長には、ご意見番、大久保彦左衛門たる出納長を求めていたのではありませんか。副知事におもねり、副知事を積極的に補佐してきたといわれる、都政の混乱を後押ししてきた櫻井出納長の問責は免れません。
 都議会百条委員会は、濱渦副知事の偽証を認定し、告発を決定しました。側近・密室政治が引き起こした混乱に対して、議会の最高調査権が発揮されて出された結論が、知事と与党会派とのさらなる密室の取引で封じられることのないよう、強く求めておきます。
 多くの都民の不信を呼び起こし、都庁職員にも疑心暗鬼とあきらめを拡大している石原都政は、都政史上まれに見る悪政であるといわなければなりません。都政に垂れ込めた暗雲を晴らすべく、生活者ネットワークは、市民力を最大限に発揮して、都議会に新たな人材を送り、市民の手で都政と都議会の改革に果敢に取り組んでいくことを都民の皆様にお約束し、濱渦副知事、櫻井出納長に対する問責決議に賛成の討論といたします。(拍手)

○議長(内田茂君) 以上をもって討論を終了いたします。

○議長(内田茂君) これより採決に入ります。
 まず、追加日程第六、議員提出議案第十二号、東京都副知事濱渦武生君に対する問責決議を採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(内田茂君) 起立多数と認めます。よって、本案は、原案のとおり可決されました。

○議長(内田茂君) 次に、追加日程第七、議員提出議案第十三号、東京都出納長櫻井巖君に対する問責決議を採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(内田茂君) 起立多数と認めます。よって、本案は、原案のとおり可決されました。

○議長(内田茂君) 請願及び陳情の付託について申し上げます。
 受理いたしました請願一件及び陳情六件は、お手元に配布の請願・陳情付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
(別冊参照)

○議長(内田茂君) お諮りいたします。
 明三日から六日まで四日間、委員会審査のため休会いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、明三日から六日まで四日間、委員会審査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、六月七日午後一時に開きます。
 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後六時三分散会

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