平成十七年東京都議会会議録第四号

平成十七年三月三日(木曜日)
 出席議員(百十五名)
一番谷村 孝彦君
二番東村 邦浩君
三番村上 英子君
四番秋田 一郎君
五番矢島 千秋君
六番鳩山 太郎君
七番後藤 雄一君
八番福士 敬子君
九番林  知二君
十番伊沢けい子君
十三番山下 太郎君
十五番河野百合恵君
十六番長橋 桂一君
十七番小磯 善彦君
十八番野上じゅん子君
二十一番高橋かずみ君
二十二番山加 朱美君
二十三番小美濃安弘君
二十四番吉原  修君
二十五番山田 忠昭君
二十六番臼井  孝君
二十七番林田  武君
二十九番山口 文江君
三十番柿沢 未途君
三十一番初鹿 明博君
三十二番酒井 大史君
三十三番清水ひで子君
三十四番かち佳代子君
三十五番小松 恭子君
三十六番東野 秀平君
三十七番藤井  一君
三十八番ともとし春久君
四十一番野島 善司君
四十二番真鍋よしゆき君
四十三番松原 忠義君
四十四番田代ひろし君
四十五番三宅 茂樹君
四十六番川井しげお君
四十七番鈴木 一光君
四十八番吉野 利明君
四十九番こいそ 明君
五十番執印真智子君
五十一番花輪ともふみ君
五十二番真木  茂君
五十三番大津 浩子君
五十四番大塚 隆朗君
五十六番古館 和憲君
五十七番松村 友昭君
五十八番丸茂 勇夫君
五十九番木内 良明君
六十番鈴木貫太郎君
六十一番森田 安孝君
六十二番石川 芳昭君
六十三番土持 正豊君
六十四番倉林 辰雄君
六十五番遠藤  衛君
六十六番鈴木あきまさ君
六十七番近藤やよい君
六十八番串田 克巳君
六十九番中屋 文孝君
七十番三原 將嗣君
七十一番樺山たかし君
七十二番田島 和明君
七十三番宮崎  章君
七十四番大西由紀子君
七十五番樋口ゆうこ君
七十六番中村 明彦君
七十七番馬場 裕子君
七十八番和田 宗春君
八十番大山とも子君
八十一番東ひろたか君
八十二番池田 梅夫君
八十三番中山 秀雄君
八十四番大木田 守君
八十五番前島信次郎君
八十六番桜井良之助君
八十七番新藤 義彦君
八十八番星野 篤功君
八十九番いなば真一君
九十番高島なおき君
九十一番服部ゆくお君
九十二番古賀 俊昭君
九十三番山本賢太郎君
九十四番立石 晴康君
九十五番清原錬太郎君
九十六番小山 敏雄君
九十七番大山  均君
九十八番大河原雅子君
九十九番田中  良君
百番小林 正則君
百一番藤川 隆則君
百三番曽根はじめ君
百四番渡辺 康信君
百五番秋田かくお君
百六番中嶋 義雄君
百七番石井 義修君
百八番橋本辰二郎君
百九番藤井 富雄君
百十番桜井  武君
百十一番野田 和男君
百十三番比留間敏夫君
百十四番大西 英男君
百十五番山崎 孝明君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十番田中 晃三君
百二十一番藤田 愛子君
百二十二番尾崎 正一君
百二十三番土屋たかゆき君
百二十四番富田 俊正君
百二十五番名取 憲彦君
百二十六番吉田 信夫君
百二十七番木村 陽治君

 欠席議員(三名)
十一番  新井美沙子君
十二番  相川  博君
百十二番 野村 有信君
 欠員
十四番  十九番  二十番
二十八番 三十九番 四十番
五十五番 七十九番 百二番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事福永 正通君
副知事濱渦 武生君
副知事大塚 俊郎君
副知事竹花  豊君
出納長櫻井  巖君
教育長横山 洋吉君
知事本局長前川 燿男君
総務局長赤星 經昭君
財務局長松澤 敏夫君
警視総監奥村萬壽雄君
主税局長山口 一久君
生活文化局長山内 隆夫君
都市整備局長梶山  修君
環境局長平井 健一君
産業労働局長関谷 保夫君
建設局長岩永  勉君
港湾局長成田  浩君
交通局長松尾  均君
水道局長高橋  功君
消防総監白谷 祐二君
福祉保健局長幸田 昭一君
下水道局長二村 保宏君
大学管理本部長村山 寛司君
病院経営本部長押元  洋君
中央卸売市場長森澤 正範君
新銀行設立本部長津島 隆一君
選挙管理委員会事務局長高橋 和志君
人事委員会事務局長佐藤  広君
労働委員会事務局長久保田経三君
監査事務局長高橋 道晴君
収用委員会事務局長嶋津 隆文君

三月三日議事日程第四号
第一 第一号議案
平成十七年度東京都一般会計予算
第二 第二号議案
平成十七年度東京都特別区財政調整会計予算
第三 第三号議案
平成十七年度東京都地方消費税清算会計予算
第四 第四号議案
平成十七年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
第五 第五号議案
平成十七年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
第六 第六号議案
平成十七年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第七 第七号議案
平成十七年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
第八 第八号議案
平成十七年度東京都農業改良資金助成会計予算
第九 第九号議案
平成十七年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
第十 第十号議案
平成十七年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
第十一 第十一号議案
平成十七年度東京都と場会計予算
第十二 第十二号議案
平成十七年度東京都都営住宅等事業会計予算
第十三 第十三号議案
平成十七年度東京都都営住宅等保証金会計予算
第十四 第十四号議案
平成十七年度東京都都市開発資金会計予算
第十五 第十五号議案
平成十七年度東京都用地会計予算
第十六 第十六号議案
平成十七年度東京都公債費会計予算
第十七 第十七号議案
平成十七年度東京都多摩ニュータウン事業会計予算
第十八 第十八号議案
平成十七年度東京都市街地再開発事業会計予算
第十九 第十九号議案
平成十七年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
第二十 第二十号議案
平成十七年度東京都病院会計予算
第二十一 第二十一号議案
平成十七年度東京都中央卸売市場会計予算
第二十二 第二十二号議案
平成十七年度東京都都市再開発事業会計予算
第二十三 第二十三号議案
平成十七年度東京都臨海地域開発事業会計予算
第二十四 第二十四号議案
平成十七年度東京都港湾事業会計予算
第二十五 第二十五号議案
平成十七年度東京都交通事業会計予算
第二十六 第二十六号議案
平成十七年度東京都高速電車事業会計予算
第二十七 第二十七号議案
平成十七年度東京都電気事業会計予算
第二十八 第二十八号議案
平成十七年度東京都水道事業会計予算
第二十九 第二十九号議案
平成十七年度東京都工業用水道事業会計予算
第三十 第三十号議案
平成十七年度東京都下水道事業会計予算
第三十一 第三十一号議案
平成十六年度分の都と特別区及び特別区相互間の財政調整の特例に関する条例
第三十二 第三十二号議案
都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
第三十三 第三十三号議案
特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十四 第三十四号議案
東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
第三十五 第三十五号議案
東京都人事行政の運営等の状況の公表に関する条例
第三十六 第三十六号議案
東京都職員定数条例の一部を改正する条例
第三十七 第三十七号議案
職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第三十八 第三十八号議案
東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十九 第三十九号議案
東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四十 第四十号議案
東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四十一 第四十一号議案
東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第四十二 第四十二号議案
職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
第四十三 第四十三号議案
東京都非常勤職員の公務災害補償等に関する条例の一部を改正する条例
第四十四 第四十四号議案
災害派遣手当の支給に関する条例の一部を改正する条例
第四十五 第四十五号議案
東京都国民保護対策本部及び緊急対処事態対策本部条例
第四十六 第四十六号議案
東京都国民保護協議会条例
第四十七 第四十七号議案
東京都統計調査条例の一部を改正する条例
第四十八 第四十八号議案
東京都人権プラザ条例の一部を改正する条例
第四十九 第四十九号議案
審理、喚問、聴聞等に出頭した者及び公聴会に参加した者の費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第五十 第五十号議案
東京都都税条例の一部を改正する条例
第五十一 第五十一号議案
東京都収入証紙条例の一部を改正する条例
第五十二 第五十二号議案
東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例
第五十三 第五十三号議案
東京都江戸東京博物館条例の一部を改正する条例
第五十四 第五十四号議案
東京都写真美術館条例の一部を改正する条例
第五十五 第五十五号議案
東京都現代美術館条例の一部を改正する条例
第五十六 第五十六号議案
東京都美術館条例の一部を改正する条例
第五十七 第五十七号議案
東京文化会館及び東京芸術劇場条例の一部を改正する条例
第五十八 第五十八号議案
東京都育英資金条例
第五十九 第五十九号議案
学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
第六十 第六十号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第六十一 第六十一号議案
都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
第六十二 第六十二号議案
東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第六十三 第六十三号議案
東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例
第六十四 第六十四号議案
東京都立学校校外教育施設設置条例の一部を改正する条例
第六十五 第六十五号議案
東京都体育施設条例の一部を改正する条例
第六十六 第六十六号議案
東京都文化財保護条例の一部を改正する条例
第六十七 第六十七号議案
東京都立埋蔵文化財調査センター設置条例の一部を改正する条例
第六十八 第六十八号議案
東京都屋外広告物条例の一部を改正する条例
第六十九 第六十九号議案
東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
第七十 第七十号議案
東京都営住宅条例の一部を改正する条例
第七十一 第七十一号議案
東京都福祉住宅条例の一部を改正する条例
第七十二 第七十二号議案
東京都引揚者住宅条例の一部を改正する条例
第七十三 第七十三号議案
東京都特定公共賃貸住宅条例の一部を改正する条例
第七十四 第七十四号議案
東京都地域特別賃貸住宅条例の一部を改正する条例
第七十五 第七十五号議案
東京都小笠原住宅条例の一部を改正する条例
第七十六 第七十六号議案
東京都リハビリテーション病院条例の一部を改正する条例
第七十七 第七十七号議案
東京都立心身障害者口腔保健センター条例の一部を改正する条例
第七十八 第七十八号議案
東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例
第七十九 第七十九号議案
東京都婦人保護施設条例の一部を改正する条例
第八十 第八十号議案
東京都障害者スポーツセンター条例の一部を改正する条例
第八十一 第八十一号議案
東京都肢体不自由者自立ホーム条例の一部を改正する条例
第八十二 第八十二号議案
東京都身体障害者更生援護施設条例の一部を改正する条例
第八十三 第八十三号議案
東京都知的障害者援護施設条例の一部を改正する条例
第八十四 第八十四号議案
東京都児童相談所条例の一部を改正する条例
第八十五 第八十五号議案
東京都障害者施策推進協議会条例の一部を改正する条例
第八十六 第八十六号議案
公衆浴場の設置場所の配置及び衛生措置等の基準に関する条例の一部を改正する条例
第八十七 第八十七号議案
東京都薬事審議会条例の一部を改正する条例
第八十八 第八十八号議案
旅館業法施行条例の一部を改正する条例
第八十九 第八十九号議案
食品衛生法施行条例の一部を改正する条例
第九十 第九十号議案
食品製造業等取締条例の一部を改正する条例
第九十一 第九十一号議案
東京都立看護専門学校条例の一部を改正する条例
第九十二 第九十二号議案
東京都軽費老人ホーム条例を廃止する条例
第九十三 第九十三号議案
東京都心身障害者福祉作業所条例の一部を改正する条例
第九十四 第九十四号議案
東京都薬物の濫用防止に関する条例
第九十五 第九十五号議案
東京都しごとセンター条例の一部を改正する条例
第九十六 第九十六号議案
東京都立食品技術センター条例の一部を改正する条例
第九十七 第九十七号議案
東京都立産業貿易センター条例の一部を改正する条例
第九十八 第九十八号議案
東京都工場立地法地域準則条例
第九十九 第九十九号議案
東京都農業関係試験等手数料条例
第百 第百号議案
改良普及員の資格試験に関する条例を廃止する条例
第百一 第百一号議案
東京都農業振興事務所設置条例の一部を改正する条例
第百二 第百二号議案
東京都立技術専門校条例の一部を改正する条例
第百三 第百三号議案
東京都労政会館設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例
第百四 第百四号議案
東京都中央卸売市場条例の一部を改正する条例
第百五 第百五号議案
東京都地方卸売市場条例の一部を改正する条例
第百六 第百六号議案
東京都立芝浦屠場条例の一部を改正する条例
第百七 第百七号議案
東京都港湾管理条例の一部を改正する条例
第百八 第百八号議案
東京都漁港管理条例の一部を改正する条例
第百九 第百九号議案
東京都海上公園条例の一部を改正する条例
第百十 第百十号議案
東京都港湾区域及び港湾隣接地域占用料等徴収条例の一部を改正する条例
第百十一 第百十一号議案
東京都海岸占用料等徴収条例の一部を改正する条例
第百十二 第百十二号議案
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
第百十三 第百十三号議案
東京都都民の森条例の一部を改正する条例
第百十四 第百十四号議案
東京都自然公園条例の一部を改正する条例
第百十五 第百十五号議案
東京都廃棄物条例の一部を改正する条例
第百十六 第百十六号議案
東京都浄化槽保守点検業者の登録に関する条例の一部を改正する条例
第百十七 第百十七号議案
東京都駐車場条例の一部を改正する条例
第百十八 第百十八号議案
東京都特殊車両通行許可申請手数料徴収条例の一部を改正する条例
第百十九 第百十九号議案
東京都立公園条例の一部を改正する条例
第百二十 第百二十号議案
東京都葬儀所条例の一部を改正する条例
第百二十一 第百二十一号議案
東京都霊園条例の一部を改正する条例
第百二十二 第百二十二号議案
警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第百二十三 第百二十三号議案
警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第百二十四 第百二十四号議案
東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例
第百二十五 第百二十五号議案
火災予防条例の一部を改正する条例
第百二十六 第百二十六号議案
都営住宅十六H―一〇七東(百人町四丁目第四)工事請負契約
第百二十七 第百二十七号議案
都営住宅十六H―一〇三東(板橋清水町)工事請負契約
第百二十八 第百二十八号議案
警視庁小岩警察署庁舎(H十六)改築工事(その二)請負契約
第百二十九 第百二十九号議案
警視庁三田警察署庁舎(H十六)改築工事(その二)請負契約
第百三十 第百三十号議案
警視庁有家族待機宿舎三田住宅(仮称)(H十六)新築工事(その二)請負契約
第百三十一 第百三十一号議案
平成十六年度新海面処分場Gブロック西側護岸(二重鋼管矢板式)建設工事(その一)請負契約
第百三十二 第百三十二号議案
平成十六年度新海面処分場Gブロック西側護岸(二重鋼管矢板式)建設工事(その二)請負契約
第百三十三 第百三十三号議案
包括外部監査契約の締結について
第百三十四 第百三十四号議案
全国自治宝くじ事務協議会への静岡市の加入及びこれに伴う全国自治宝くじ事務協議会規約の一部の変更について
第百三十五 第百三十五号議案
平成十六年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担の変更について
第百三十六 第百三十六号議案
平成十七年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担について
第百三十七 第百三十七号議案
平成十六年度東京都一般会計補正予算(第二号)
第百三十八 第百三十八号議案
平成十六年度東京都特別区財政調整会計補正予算(第一号)
第百三十九 第百三十九号議案
平成十六年度東京都地方消費税清算会計補正予算(第一号)
第百四十 第百四十号議案
平成十六年度東京都都営住宅等事業会計補正予算(第一号)
第百四十一 第百四十一号議案
平成十六年度東京都都市開発資金会計補正予算(第一号)
第百四十二 第百四十二号議案
平成十六年度東京都公債費会計補正予算(第一号)
第百四十三 第百四十三号議案
平成十六年度東京都都市再開発事業会計補正予算(第一号)
第百四十四 第百四十四号議案
平成十六年度東京都高速電車事業会計補正予算(第一号)
第百四十五 第百四十五号議案
平成十六年度東京都下水道事業会計補正予算(第一号)
第百四十六 諮問第一号
地方自治法第二百四十四条の四の規定に基づく審査請求に関する諮問について
第百四十七 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した平成十六年度東京都一般会計補正予算(第一号)の報告及び承認について
議事日程第四号追加の一
第一 東京都収用委員会委員の任命の同意について(一六財主議第五八五号)
第二 東京都収用委員会委員の任命の同意について(一六財主議第五八六号)
第三 東京都収用委員会予備委員の任命の同意について(一六財主議第五八七号)
第四 東京都収用委員会予備委員の任命の同意について(一六財主議第五八八号)
第五 東京都収用委員会予備委員の任命の同意について(一六財主議第五八九号)

   午後一時一分開議

○議長(内田茂君) これより本日の会議を開きます。

○議長(内田茂君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(内田茂君) この際、会議録署名議員の変更について申し上げます。
 本日の会議に限り、相川博君から十三番山下太郎君に変更いたします。ご了承願います。

○議長(内田茂君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、東京都収用委員会委員の任命の同意について外人事案件四件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(内田茂君) 昨日に引き続き質問を行います。
 四十四番田代ひろし君。
   〔四十四番田代ひろし君登壇〕

○四十四番(田代ひろし君) 多摩メディカル・キャンパス構想は、集積のメリットを生かすという理念を掲げておりますが、現在の整備方針では、単なる別組織の集合でしかありません。
 一例を挙げますと、患者さんがCT検査の際、長期間待たされるという事例が、我が国の医療現場で問題になっておりますが、その例に漏れず、府中病院でも一カ月待ちが当たり前になっております。
 ところが、同じ敷地内の神経病院では長くて一日待ちであり、さらに、開設以来一度も使用されていないオペ室や入院施設があるという多摩がん検査センターは、これは隣接している公社施設ですけれども、ここのCTは、特定時間以外は待たずに使える状態であるのに、別組織であるという理由で、手続が煩雑で時間がかかり、府中病院外来中では診療の妨げになるため、ほとんど利用されておりません。
 連携、協力というかけ声だけでは解決できません。将来、高度医療機器の共同利用ができるような計画性を持ち、意思疎通の実効が上がる配置方法とネットワークをつくる真摯な取り組みを図るべきですが、それには、十分な予算づけと、広範囲な専門家によるボランタリーなサポート、それを確実に受けとめる行政の姿勢が必要であります。知事のご所見を伺います。
 平成十六年度から始まった医師の臨床研修制度の義務化により、研修医が自由な意思で研修病院を選択する、いわゆるマッチングシステムに移行し、長年続いてきた大学病院医局制度の一部崩壊が始まりました。
 地方の公立、民間病院では、人材が手薄となった大学病院医局による派遣医師の引き上げが顕著となり、診療に支障を来すなど、また、麻酔科医が人材派遣会社からの派遣で賄われるといった大学病院の実態があるなど、アンバランスな医師不足が深刻な社会問題となっております。
 若手医師がみずからの研さんをする医療機関を選択する際、金銭や処遇は問題ではなく、どれだけ充実した臨床経験を積めるかにかかっております。
 都立病院の臨床研修医の申込倍率は、十七年度採用者で十二倍を超えたと聞いております。しかし、大学病院における既成の研修システムの問題点が明らかになる中、目新しい都立病院に一時的に希望が集中したのでなければよいと心配しております。
 残念ながら、これまでの都立病院や公社病院は、名目のみの医療教育システムであり、人材育成が行われておりませんでした。とはいっても、大学病院や他県の公立病院も同様であり、最近の医療事故多発の原因となっております。
 これは、我が国が、どのような医療提供体制を構築していこうとしているのか、医師の教育のグランドデザインがないまま進められているのが大きな理由です。
 そこで、都立病院や公社病院にしっかりと予算づけをし、インセンティブを高める制度をつくり直せば、充実した研修システムができ上がり、その結果、病院の質の向上が図れ、将来、羽田の再拡張や横田基地の利用が活性化したときなど、アジア諸国からの患者さんの来日が飛躍的にふえ、アジア版ユーロの必要性も論じられ始めたこの地域での、医療を通じた国際貢献として認められ、さらに、東洋の医療シンクタンクとしての実績をつくり、現在、我が国を素通りして米国に向かっている医学部留学生や研究者の流れを変えることができ、あわせて観光産業など新たな活性化が得られるはずです。
 そのためには、まず、都の千二百人を超える行政マンとして働いている医師を中心に、テーマ別に研究会を立ち上げ、現場の改革案とモチベーションを高める具体的な方策をまとめ、さらに、在京にとらわれず、大学医学部のスタッフとの交流を盛んにし、東京都のみならず、アジアにおける臨床医療教育の一大拠点として、都立、公社病院を発展させていくことが、結果、東京都の民間病院や一般開業医のための公平な東京方式EBM、根拠に基づく医療の実現を進め、世界に冠たる国民皆保険制度を継続するため、適正な医療費の設定と二十四時間の医療提供システム構築の基礎となる、広範囲な真の病診連携の実現となります。
 国がグランドデザインをうまくつくれないのであれば、戦後の医療制度疲労が顕著になってきた今こそ、医療行政維新に向けて、その実行能力と施設を持つ東京都が率先してつくっていくべきではないでしょうか。東京都がつくれば、地方にも波及し、その積み上げが日本のグランドデザインとなっていきます。リーダーとして、アジア地域の医療、福祉向上に取り組もうとの気概を持って事に当たられてはいかがでしょうか。知事のご所見を伺います。
 次に、昨今、SARSや鳥インフルエンザなど、新興感染症に対する危機管理の必要性が叫ばれ、こうした感染症を初めとする緊急を要する事態は、一たん発生すると、罹患者がいる地域を中心に周辺地域に拡大し、地域住民に大きな不安を与えていくものです。したがって、できるだけ地域内で迅速かつ大規模に検査、診断、治療を行っていくことが望ましいと思います。
 万が一、こうした事態が発生した場合は、パニック状態にある膨大な来院者に対して、開業医の対応には限度があり、地域の中核病院である公社病院や都立病院で、一般外来の時間を臨時的に変更し、緊急の事態に対応する医療に特化させ、場合によっては、いわゆる野戦病院化して、緊急医療の最前線として、地域の中核病院の役割を果たしていくべきと考えますが、法令化や条例化を踏まえての都のご意見を伺いたいと思います。
 次に、介護保険では、ケアマネジャー、利用者、家族、ヘルパー、主治医などの関係者が連携し、利用者の状況や援助目標を共有化するサービス担当者会議の開催がほとんどなされていないという実態があります。
 ケアマネジャーにとって、医師は忙しく、一方、主治医意見書を書いた医師は、その後ケアマネジャーから連絡がないということに不満を持っているなど、両者に高い壁があり、改善が必要です。
 東京都の調査によれば、ケアマネジャーの三六・二%が、ケアプラン作成に当たり、所属する事業所から経営的な配慮を求められていることが明らかになっています。本来、利用者に最もふさわしい事業者を公正に選ばなくてはならないのに、自社の事業所を優先していることがうかがわれます。
 ヘルパーをお手伝いさんがわりに使ってしまっている利用者、本来本人ができる家事を提供することによって、かえって本人の心身の機能を低下させていたり、ホームヘルプサービスで実際に提供しているサービスは家事援助なのに、すべて単価の高い身体介護で請求するなど、悪質な事例も後を絶ちません。都の考えを伺います。
 東京都は、緊急三カ年計画として、社会福祉法人のみならず、民間企業へも区を通じて間接補助を行い、グループホームの整備に乗り出していることは高く評価します。
 夫婦二人で暮らしていても、どちらかが認知症になったケースは、お互いの生活を分けざるを得ませんが、ともに暮らしてきた二人が全く離れ離れになるのではなく、近くにグループホームがあれば、日中は行き来しながら生活することができます。今後ますますふえるであろう認知症高齢者対策の切り札として、グループホームに期待します。
 しかし、現在の制度では、グループホームは二ユニットまでしか認められておりませんが、今後の需要増大を考えますと、二ユニットにこだわる理由がわかりません。家庭的な環境が確保されることを条件に、もっと自由に認めるべきであり、国を動かすための取り組みを伺います。
 今回の制度改革の中で、区市町村に対する交付金制度が導入されることとされています。この交付金制度では、日常生活圏域ごとの整備計画の策定を前提としており、区市町村から提出された計画を国が評価し、評価順位の高い計画から順に予算の範囲内で交付する仕組みとなっております。
 全国から提出された整備計画が多数に上った場合、交付の対象が調整されることもあります。また、従来、九人一ユニットの場合、国庫補助基準では、設置主体が社会福祉法人の場合三千六十万円、医療法人の場合二千万円であったものが、交付金制度では一律一千五百万円に減額されることになります。
 このように、交付金制度になると、現行の補助水準が低下することになり、せっかくの増加軌道に乗った整備状況にブレーキがかかってしまいます。現在の補助水準が低下しないよう、引き続き認知症高齢者グループホームの設置促進に取り組むべきと考えますが、所見を伺います。
 また、新たな施設をつくるという発想から、現在使用されていない住宅を改修することで施設整備を図るという転換が必要でありまして、そのためには、都は、不動産業界との話し合いを積極的に進めるとともに、社宅などの有効活用を企業に働きかけていくことが重要ですが、ご所見を伺います。
 また、建築基準法や建築安全条例の用途の取り扱いや消防法などとの整合性を図り、関係省庁で調整し、規制を緩和していくことを国に働きかけていくべきです。
 グループホームは、建築基準法上は寄宿舎としての取り扱いを受け、厳しい制約があるため、古い家を改造して使う場合、断念せざるを得なかった例もありました。
 具体的には、建築用途が住宅となっている既存家屋をグループホームに使用するためには、寄宿舎に用途変更する必要があります。それには、天井裏に至るまで防火仕様に改修する必要があり、工期が長くなり、その間収入が入ってこないなど、資金的に大きな負担がかかることになります。
 これらのことが整理され、家屋改造での整備が可能となれば、コンビニの数ほどグループホームができることも夢ではなさそうです。
 また、特養ホームからの在宅復帰を視野に入れますと、グループホームは、認知症の人に限らず、虚弱な高齢者にも門戸を広げられるよう、国に制度見直しを働きかけていく必要があります。
 さらには、グループリビングのような、血縁関係のない少人数の高齢者が、相互扶助をベースに、お互いの自由やプライバシーを尊重しながら、家庭的な雰囲気の中で共同生活を行う場をつくる手助けをする仕組みづくりを都として進めていくべきですが、ご所見を伺います。
 特養ホームにおいては、ことし十月から、光熱水費を含む居住費や食費が介護保険の対象外になり、自己負担は、要介護五、相部屋、食費込みで、標準的な世帯では現在六万円程度のものが九万円に、個室ユニット型だと、十万円前後のものが十三万円前後になると想定され、低所得者層への配慮が必要と考えますので、対応を要望いたします。
 四十歳以上の都民の一五%が糖尿病有所見者で、また、さらに一五%の人が高脂血症といわれ、放置すると、失明や冠動脈疾患、脳梗塞の合併などを誘発いたします。
 健康保険制度を守るためにも、今後の行政の視点として、高齢者を介護保険や医療保険の対象者とするのではなく、健康で主体的に行動する都民をふやしていくこと、すなわち予防医学の運動実施が重要となります。
 その観点から、スポーツ、文化などサークル活動の場として、公的施設の開放が必須であり、当然、従来の発想を変えて、行政は施設を都民に全面開放することを前提とし、一方、利用者は、例えば損害保険に入るなど、自己責任の明確化をもとに施設を使用するといった発想が必要です。
 そこで、住民に身近な施設である学校を、他局の施設に先駆けて積極的に開放すべきと考えますが、教育長の所見を伺い、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 田代ひろし議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、多摩メディカル・キャンパスの整備についてでありますが、このキャンパスには、病院、福祉施設、学校など、複数の局が所管するさまざまな施設が集積しております。
 ただ、その集積があだになって、患者さんをいたずらに待たせるというようなことはやはりいけないと思いますね。きのうの森田議員の質問にもありましたけれども、例えばGISのような情報管理システムというんでしょうか、ああいうものを適用して、集積というものをやはり機能的にさばいていく努力が必要じゃないかと思います。
 整備に当たっては、各施設間のネットワークを構築するなど、相互に連携、協力を図り、キャンパス全体として施設の一体的な運用を目指していきたいと思っております。
 将来の医療ニーズを見据えて、これらの施設の有する人材、情報、技術などを最大限効果的に活用することにより、多摩地域はもとより、都全域を視野に入れた、総合的で質の高い医療サービスを提供していきたいと思っております。
 次いで、医師の人材育成等についてでありますが、医療の質を一層向上させていくためにも、何よりもお医者さんの育成が重要だと思いますが、お医者さん個々の質もさることながら、どうも概観しますと、お医者さんの数がいかにも足りないような気がいたします。これは県によって違うのかもしれませんけれども、首都圏においてはそれはいえると思いまして、私の息子の一人のお嫁さんも勤務医ですけれども、これは本当に見ていて気の毒なぐらい苛酷で、出産の後の休暇も最低限しかとれないという実情ですが、国は、現場を重視した新たな臨床研修制度を開始しましたが、これを指導できる病院の体制は不十分のまま運用されているのが実情でございます。
 都立病院や保健医療公社の病院は、地域の基幹的な病院として、特色のある医療機能を生かした臨床研修を実施しております。
 今後とも、魅力のある臨床研修を実施し、三百六十五日二十四時間の安心の医療の提供と、患者中心の医療の実現を目指して、次代を担う質の高いお医者さんの育成に努めていきたいと思っております。
 他の質問については、教育長及び福祉保健局長から答弁いたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 学校施設の開放についてのお尋ねでございますが、現在、都教育委員会では、都民の学習、文化、スポーツ活動を振興し、地域社会に開かれた学校づくりを推進するため、学校教育に支障のない限り、都立学校の施設開放を全校で行っております。
 しかしながら、学校に施設開放の意義が十分に浸透せず、グラウンド、体育館など体育施設については、実際に開放している施設は限られまして、開放日数の少ないケースがございますし、また、音楽室、会議室など学習、文化施設の開放は一部の学校にとどまっているなどの課題がございます。
 教育委員会といたしましては、お話しのように、健康で主体的に行動する都民の増大、こういう観点からも、学校施設を積極的に開放していくことが必要と考えておりますので、ご提案の保険への加入も含めまして、解決すべきさまざまな課題がございますが、多くの都民が利活用できるような施設開放の一層の充実に向け、最大限努力してまいります。
   〔福祉保健局長幸田昭一君登壇〕

○福祉保健局長(幸田昭一君) 新興感染症並びに介護保険に関します六点のご質問にお答えいたします。
 まず、緊急を要する事態への都の対応についてでありますが、ご指摘のとおり、新興感染症を初めとする緊急を要する事態が発生した場合には、迅速かつ的確に必要な医療を確保することが何よりも重要であります。
 万が一、こうした事態が発生した場合に、地域の中核病院である都立病院や公社病院が、一般外来の時間を臨時的に変更するなど、直ちに緊急時の医療体制に特化できるよう、常日ごろから準備しておくべきであるというご指摘は、貴重なご意見でございます。
 都立病院や公社病院は、これまでも、感染症指定病床の確保やSARS診療協力医療機関への参画など、万一の場合に備えた患者の受け入れ態勢を整備してまいりました。
 現在、東京都新興感染症対策会議において、大規模発生時を想定した新興感染症対策の行動計画について検討しておりまして、今後、その検討結果を踏まえ、都民の安全と安心の確保に努めてまいります。
 次に、介護報酬の不正請求などについてでありますが、お話しのような事例は、介護保険制度の健全かつ円滑な運営を脅かすものと考えます。
 このため、都は、高齢者を対象とした介護保険活用読本を作成し、利用者に対し、サービスの適切な利用を啓発するとともに、事業者に対しては、新規指定時の悉皆研修や集団指導などを通じ、関係法令の周知徹底を図っております。
 また、区市町村とも連携して、効率的かつ重点的な事業者指導を行っており、悪質な事業者に対しては、今後とも、指定を取り消すなど、厳正に対処してまいります。
 次に、認知症高齢者グループホームのユニット制限についてでありますが、東京は地価が高く土地の高度利用化が進んでいることから、ご指摘のとおり、ユニット数の全国一律の制限は、認知症高齢者グループホームの設置促進だけではなく、事業者の新規参入も妨げていると考えます。
 このため、都はこれまで、ユニット数の規制について、東京の地域特性を踏まえて緩和するよう、再三国に提案してまいりました。今後とも、国に対し強く働きかけ、整備の促進を図ってまいります。
 次に、認知症高齢者グループホームの整備についてでございますが、補助金の交付金化に伴い、補助基準額の大幅な減額など、お話しのように、国の姿勢は大きく後退しております。
 しかし、都は、国の動きに左右されることなく、これまでの補助水準を維持するとともに、平成十七年度からは新たに、土地所有者等が建物を新築し、グループホーム事業者に賃貸する場合も補助対象に加えることといたしました。
 引き続き、さまざまな工夫を凝らし、グループホームの設置促進に積極的に取り組んでまいります。
 次に、既存建物の有効活用についてでありますが、これまで都は、グループホームの設置促進を図るため、社宅などの既存建物の改修による整備に対しても独自の補助を行ってまいりました。
 また、平成十六年四月には、グループホーム設置促進事業本部を局内に立ち上げまして、宅地建物取引業界を初め、農協、金融機関、建設事業者、ハウスメーカーなど、幅広い事業者への個別訪問を実施いたしまして、設置に向けた協力を要請してまいりました。
 現在、土地または建物のあっせんにご協力いただける不動産事業者と運営を予定している事業者とを結びつける仕組みづくりを検討しており、今後とも、ご提案を踏まえ、都内に存在する社会資源を有効に活用できるよう、工夫を重ねながら整備に努めてまいります。
 最後に、高齢者の新たな住まい方についてでありますが、ご指摘のように、虚弱高齢者のためのグループホームやグループリビングは、少人数の高齢者が家庭的な雰囲気の中で共同生活を行う場でありまして、ひとり暮らしの高齢者がふえている東京におきましては、安心の確保や相互扶助の観点からも、有効な住まい方であると考えております。
 今後、東京の高齢者が地域で安心して暮らし続けていくことができるよう、その方策の一つとして、住まい方の新しいあり方について、その仕組みづくりも含めて検討してまいります。

〇議長(内田茂君) 七十四番大西由紀子さん。
   〔七十四番大西由紀子君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○七十四番(大西由紀子君) 地球温暖化防止に向けて、先進国に二酸化炭素、CO2などの温室効果ガス削減を義務づける京都議定書が二月十六日に発効されました。
 国連の統計では、東京圏は三千四百万人が住む世界一の大都市で、二位のメキシコシティー圏を大きく引き離しています。巨大都市東京の一人当たりのCO2排出量は、公共交通の発達した運輸部門では低く、世界のモデルとなっています。しかし、家庭や企業では排出量が急増しており、この部門でも東京モデルを世界に示すことが東京の課題と考えます。
 その視点で十七年度予算を見ますと、開発に関する予算はほぼ一兆円であるのに対し環境局予算は二百七十億円未満と、四十分の一です。単純に比較することはできないことは承知しておりますが、持続可能な環境優先の都政への転換が迫られていることを考えると、非常にバランスを欠いた予算といわざるを得ません。
 多摩地域に残された湧水や緑地を保全するとともに、新たな緑の創出にも取り組んで、CO2を吸収し、自然エネルギー利用を高め、中水道や光触媒を利用して、ビル壁面を常に湿った状態にし、都市の気温を下げることも進めるべきです。これらの対策はヒートアイランド対策とも通じます。
 さらに、都市再生の規制緩和に当たっては、街区全体でのCO2排出削減を条件とするなど、さまざまな方策を組み合わせ、CO2削減を図ることが必要です。
 知事は、教育、環境重視の都政を目指すと明言されています。現在進めている都市再生においても、京都議定書発効を契機に、地球環境保全型都市再生へ転換し、開発と環境の調和を図るべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、環境への配慮が企業イメージを高める時代です。温暖化対策計画書作成に当たっては、積極的に取り組んでいる企業を参考にすることは、追随する企業にとって、よい計画書づくりにつながり、さらなる削減への動機づけになります。
 また、大規模事業者の一つとして都庁がプレゼンテーションに参加すれば、民間企業への模範となります。温暖化対策に積極的な企業の取り組みを広く紹介するために、プレゼンテーションを一般公開で行うべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、JR中央線連続立体交差事業について伺います。
 多摩地域の中央部を東西に横断するこの事業は、十三・一キロメートル、沿線六市にまたがる事業です。
 事業推進に当たっては、事業主体としての東京都の役割は非常に大きいものがあります。十八カ所の踏切解消ばかりでなく、完成後には、高架によって生まれる空間の利用なども期待されます。工事はまだ緒についたばかりですが、その高架下の利用については、今から協議をしていく必要があります。このことについて都はどのようにかかわっていくのか、伺います。
 鉄道の立体化によって新たに生み出された高架下の空間は、高架下貸付可能面積の一五%を地方公共団体が公租公課相当額として利用できます。公共的な使い道としては、歩行空間や集会施設、あるいは防災施設などのほか、駐輪場の設置が求められ、地方公共団体は公租公課相当分の中でみずから設置に努めてきました。
 ところが、小田急連続立体交差事業では、鉄道事業者がみずから高架下に駐輪場を設置し、自社の退職者を雇用しながら運営する駐輪場が各駅にできています。駐輪場運営は、用地費や設備費を除けば、利用料によって採算が見込める事業になっています。鉄道事業者は退職者の雇用を創出し、利用者は駅に近くて雨の当たらない場所に自転車をとめることができ、自治体は一五%の範囲内を駐輪場以外のことに使うことができるという、鉄道事業者、利用者、自治体、いずれにとっても優位性のある解決と考えます。現在、都は沿線自治体の意向を取りまとめていますが、高架下利用の検討状況はどのようになっているのでしょうか。
 また、中央線沿線は多摩川流域の集水域であり、東京都環境確保条例に基づき雨水涵養を積極的に進めるべき地域として位置づけられています。ヒートアイランド化の進展は多摩地域でも顕著であり、湧水の枯渇傾向と相まって、緑地や水辺の空間による開水面の確保、蒸散機能の維持強化が急務です。中央線高架橋の上に降る年間十七万トンの雨水をそのまま下水として流してしまうのではなく、雨水浸透施設を設置し、防災用水や生活水として使い、できるだけ大地に返して、雨水循環活用を図るよう要望しておきます。
 次に、介護保険制度改革について伺います。
 膨らむ介護保険会計と、給付を受けることにより介護度の軽減が図られていない現状から、予防重視型システムへ転換する法改正が提案されています。
 東京都は介護保険制度の円滑な実施に向けた提案をまとめました。都は、介護保険導入以降の状況をどのようにとらえ、予防重視型への転換の意義をどのように考えているのか、伺います。
 軽度の介護度の高齢者にとって、制度の変更は大きな関心事です。新予防給付の対象者の選定は、新たに高齢者の生活機能を評価する調査項目を加え、主治医意見書もこの点を拡充するということですが、その人の家族構成や住宅事情などの生活環境についてどのようなアセスが行われるのかが注目されるところです。
 要介護認定を受けた方々を五年間にわたって聞き取り調査してきたNPOの報告では、介護度が横ばいまたは軽減された方々もあり、毎日の暮らしの中で適切な生活支援を受ければ、パワーリハビリでなくても、元気に地域で暮らすことが可能です。新予防給付の対象者に対しては、生活環境面からの評価を行い、必要な生活支援を行うべきではないかと考えますが、見解を伺います。
 具体的な介護予防や地域の包括的、継続的なマネジメント機能を強化するため、自治体は地域支援事業を創設し、地域包括支援センターを設置することになりますが、事業規模や財源などに格差があり、途方に暮れている自治体もあるやに聞いています。特に介護予防マネジメントを担う人材の養成と確保は、東京都の役割として急務であると考えますが、都はこれにどのようにかかわるのか、伺います。
 次に、化学物質対策についてです。
 私たちの生活する周辺には、十万種の化学物質が市場に出回り、毎年千から二千種類が新たに製造されているといわれ、健康や環境への影響が懸念されています。このような中で、EUでは一昨年十月にREACHと呼ばれる化学物質規制案を発表しました。そのポイントは、対象物質を三万、評価を必要とする物質を五千とし、予防原則や代替原則を徹底し、根本的な施策の転換を図っています。
 ところが、日本は、あろうことかアメリカとともにREACHの弱体化に向けて動いているともいわれており、施策の転換に消極的です。
 しかし、一方、都は、私たちの提案にこたえ、平成七年にパラ剤を学校環境から追放して以来、環境ホルモン対策や有害化学物質対策基本方針を策定し、さらに、室内環境の配慮指針や、環境確保条例によるPRTRの上乗せ運用、そして子ども基準の設定など、全国的に見ても先駆的施策を展開し、すぐれた政策水準を維持してきたことは高く評価しております。
 また、環境確保条例による化学物質の適正管理制度の導入により、化学物質の使用合理化や有害性の少ない代替物質への転換を促してきた結果、環境に排出される化学物質の全体量は減少してきています。しかし、化学物質の種類は多く、自然界で分解しにくく人体に蓄積しやすいものもあり、こうした化学物質の環境中の残留実態を明らかにしていくことが今後の化学物質による被害を未然に防ぐために必要と考えますが、見解を伺います。
 さきのような国際動向を踏まえ、都としては環境確保条例の改定も視野に入れた検討が必要です。先駆的な化学物質対策への転換を進めるためにも、市民や事業者の参加を含む総合的な検討の場を設定すべきと考えますが、見解を伺います。
 最後に、遺伝子組みかえ作物について伺います。
 遺伝子組みかえ作物について、食べる側の不安や疑念は根強いものがあります。しかし、現在、この問題は遺伝子組みかえ作物による周辺環境への汚染の問題、すなわち生産する側の問題として提起されています。生産者が精魂込めてつくった作物が、花粉を通じて交雑することによって、生産者の努力が全く無になるおそれです。
 昨年の五月、西東京市で、遺伝子組みかえジャガイモ栽培実験計画の説明会には、多くの都民や生産者から疑問や不安の声が上がり、試験栽培が見送られました。東京では都市化が進み、農地が限られたものになったとはいえ、身近なところで生産する農産物への消費者の信頼性は高いものがあります。生産者を守り、育てることに対し、都は積極的であるべきです。
 昨年実験栽培を断念した東大農場が、ことしの五月に実験栽培を行う可能性もあることから、現在、都も都内での遺伝子組みかえ作物の栽培に係る指導指針の作成に向け検討を開始しているということを評価しているんですが、指針策定の目途について伺います。
 欧州では、有機農業が盛んな地域で遺伝子組みかえ作物禁止区域、いわゆるGMフリーゾーンの設置運動が盛んになっています。ギリシャでは五十四の地方政府のすべてが、また、イタリアでも全土の八割でフリーゾーン宣言するなど、地方政府を中心に広がっています。日本でも、滋賀県の農業者が、自分の農地でGMOの栽培をしないということを宣言するなど、取り組みが始まりつつありますが、GM菜種が輸送中にこぼれ落ち、道路わきなどで生育していることが環境省や農水省の調査で明らかになっており、交雑が心配されています。安心・安全の農産物を都民に供給する取り組みを進めてきた東京都として、東京の農業の今後のあり方を見据え、GMフリーゾーンについて、農家の意向も含め、改めて取り組む必要があると考えます。見解を伺い、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 大西由紀子議員の一般質問にお答えいたします。
 都市の開発と環境の調和についてでありますが、一年ほど前でしたでしょうか、「ナショナルジオグラフィック」は、中国での大都市周辺の乱開発がいかに環境を破壊しているかという、非常に生々しい、たくさんのそれに対するリポートをしておりました。現に北部の、中国を流れている黄河はほとんど干上がってしまって、河口では水が一滴も流れていないという惨状でありますが、この東京自身も、やはりそういう反省というものをしながら都市の開発に努める必要があると思います。ともかく東京はカナダ一国に匹敵する経済規模を有しておりまして、多量なエネルギーを限られた地域で消費する大都市でありまして、都市活動に伴うエネルギー利用の効率化の視点からも、都は、三環状道路の整備や都心居住の推進などにより、エネルギー効率の高い都市構造への転換を目指してまいりました。
 また、本定例会で提案している環境確保条例の改正による建築物環境計画書制度の強化などによりまして、再生可能エネルギーの活用やCO2排出抑制の取り組みを進めていくつもりでございます。今後とも、持続可能な、人間が持続して安心して住むことの可能な都市を目指して、環境に配慮した都市づくりを推進してまいります。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔環境局長平井健一君登壇〕

○環境局長(平井健一君) 環境問題について三つのご質問にお答えいたします。
 まず、温暖化対策の取り組みの紹介についてでございますが、事業者の温暖化対策を促進していくためには、具体的な省エネ対策や、企業の積極的な取り組みを広く紹介していくことが有効でございます。そこで、都は、事業者が地球温暖化対策計画書を策定する際に、具体的な省エネ対策のメニューを提示するとともに、対策の導入効果を示した事例集を提供していくこととしております。
 さらに、関係事業者団体等と協働いたしまして、先進的取り組みやESCO事業などの効果的手法に関する事例の発表会等を開催いたしまして、その普及に努めてまいります。
 次に、化学物質の環境中の残留実態調査についてでございますが、化学物質による環境汚染を防止する観点から、これまでも、農薬類や船底などの塗料に使われております有機スズ化合物など、残留性の高い化学物質の環境調査を実施してきているところでございます。平成十六年度からは、防水スプレーなどに使用され、将来の健康影響が懸念されます有機弗素化合物について調査に着手いたしました。今後も、都民にとってリスクが高いと考えられる物質について順次調査を進めていきます。
 最後に、総合的な検討の場の設定についてでございますが、化学物質を適正に利用し、健康影響を未然に防止するためには、事業者や消費者が、化学物質に関する正確な知識に基づいて、その過剰な使用を避けることなどが必要でございます。このため、都は、子どもガイドラインの策定など、化学物質の適正な使用を促す取り組みを進めてきました。事業者、都民、研究者など、さまざまな立場の方々が化学物質に関する知識を共有する機会を持つことは重要でございまして、今後、その手法について検討してまいります。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕

○建設局長(岩永勉君) 連続立体交差事業に関する二点の質問にお答えします。
 まず、JR中央線の高架下利用についてでございますが、中央線連続立体交差事業は、交通渋滞や地域分断を解消し、多摩地域における南北交通の円滑化や地域の活性化に寄与するなど、極めて効果の高い事業であります。本事業によって新たに生み出される高架下は貴重な都市空間であり、地域のまちづくりと密接に関連しております。このため、高架下利用について協議する場として、昨年六月、都は、沿線六市及び鉄道事業者から成る検討会を設置いたしました。今後、この検討会を通じて、地域のまちづくりや鉄道利用者等の利便性に配慮した利用が図れるよう、沿線六市の意向も踏まえ、鉄道事業者と調整してまいります。
 次に、高架下利用の検討状況についてでございますが、現在、鉄道事業者において、利用可能な箇所や面積などの基礎調査を進めております。沿線六市におきましても、防災倉庫や市の出張所など、今までの高架下利用例を参考にしながら、設置する施設の検討を始めております。今後、これらの結果を踏まえ、施設の内容、規模、配置などについて、これまで都が蓄積したノウハウを活用し、検討会において具体的な利用計画を策定してまいります。
   〔福祉保健局長幸田昭一君登壇〕

○福祉保健局長(幸田昭一君) 介護保険制度に関します三点のご質問にお答えいたします。
 まず、介護保険制度の現状認識等についてでありますが、介護保険制度は平成十二年四月の施行以来、おおむね順調に推移しておりますが、その一方で、軽度の要介護者が大幅に増加しており、健康寿命の延伸という視点からも、介護予防の取り組みが重要となっております。
 今回の制度改革における柱は、予防重視型システムへの転換であり、要介護状態になるおそれのある高齢者に効果的な介護予防サービスの創設などの新たな施策が法律案に盛り込まれております。このことから、今回の改革は、高齢者の自立促進に資するとともに、介護保険制度の健全な運営を実現する上からも意義があるものと認識しております。
 次に、介護予防のための新たな給付についてでありますが、今回の制度改革では、軽度の要介護者に対するサービスを真に自立支援に資するものへと改めていく方針が示されております。こうした改革を実施するためには、個々の利用者のケアプランを策定する際に、本人の希望や家族の状況など、生活環境に関するアセスメントを適切に行い、具体的な目標を設定するとともに、その実現に向けた手段や方法を明確にすることが重要であると認識しております。
 また、新たな予防給付の内容につきましては、軽度の要介護者の生活援助ニーズにも適切に対応したものとすべきであり、国に対してその旨を本年一月に提案しております。
 最後に、介護予防マネジメントを担う人材についてでありますが、介護予防の取り組みを進めていくためには、介護予防マネジメントを担う人材の養成と確保が何よりも重要な課題であります。そのため、都は、来年度、アセスメントから評価までの一連の介護予防マネジメントを実施できる能力を有する地域の指導者を育成するために、在宅介護支援センターの職員などを対象に実践的研修を実施する予定でございます。
 あわせて、区市町村が実施いたします介護支援専門員などを対象とした育成研修などへも財政支援するなど、介護予防が実践的かつ効果的に実施されるよう、人材の養成に努めてまいります。
   〔産業労働局長関谷保夫君登壇〕

○産業労働局長(関谷保夫君) 遺伝子組みかえ作物に関します二点のご質問にお答えを申し上げます。
 まず、栽培に係る指導指針の策定についてでございますが、ことし一月に、農業者、消費者及び学識経験者の外部委員で構成いたします遺伝子組みかえ作物の栽培に関する検討委員会を設置いたしました。この検討委員会では、国の制度の問題点を明らかにし、事前の情報提供や近隣住民等への説明を求めることなど、都の指導指針のあり方などについて、今年度中を目途に報告をいただくこととしております。今後、これを踏まえ、速やかに指導指針の策定を行ってまいります。
 次に、遺伝子組みかえ作物の栽培を拒否する地域、いわゆるGMフリーゾーンについてでございますが、昨年十二月に都が行った都内農業者へのアンケート調査の中間集計では、半数以上が遺伝子組みかえ作物を栽培したくないとしておりますが、一方で、消費者に安全性が納得されていることなどの条件つきであれば、遺伝子組みかえ作物を栽培したいという農業者も少なからず存在しております。こうした点をも踏まえ、現在検討委員会でGMフリーゾーンへの対応のあり方について検討をしていただいているところでございます。

〇副議長(中山秀雄君) 四十六番川井しげお君。
   〔四十六番川井しげお君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○四十六番(川井しげお君) 最近私が感動した二つの事柄を話しながら、何点か質問をいたします。
 一つは、新潟中越の地震災害の話であります。
 長岡市の土砂崩れの現場で車が埋もれていると国からの要請があったのは、地震から四日後の二十七日午前四時でありました。大型ヘリで現地に着いたのが十時五十分。二次崩落の危険性があり、専門官の到着を待ちました。待っている間にも、どのルートから入るか検討する。十三時二十五分、岩一つどけるのも専門官の指導を受けながら、お母さん、雄太君、真優ちゃんと呼びかけながらの捜索。十三時五十二分、呼吸音のようなうめき声がかすかに聞こえる。無線を切れ。聞こえる。一言も発しない中で、何人かの隊員が目と目で確認をし合う。重機を使うことができない。どんな小さな土の固まりも落とすことができない。男の子の声だ。雄太君。十四時十分、指先が見える。さらに土砂を取り除く。予想もしなかった、車と岩の空間の奥に子どもが立っている。十四時三十九分、雄太君救出。拍手をした。歓声が上がった。救助中もたびたび余震に見舞われた。救助隊員の中には涙を浮かべる者もいた。
 先日、このハイパーレスキュー隊の清塚光夫部隊長にお話を聞かしていただけた。十六時三十分、お母さんを救出。病院にて死亡確認。車の後部座席より真優ちゃんの小さな足先が確認された。引き続き救出作業にかかる。翌二十八日正午、法医学の専門家の判断で死亡を確認。長岡市長から活動打ち切りの命令が出た。若い隊員の中には、なぜ、体の一部が見えているのに打ち切るのか、涙ぐむ者もいた。惨事ストレスのおそれもある隊員を、内に込めないように、小グループに分かれ話し合いをさせる。それでも行動が定まらなかったり、子どもの足を見たらその場面が出てくる。いわゆるフラッシュバックだ。三月七日、真優ちゃんの遺体の収容報告を受けてから、少しずつおのおのが落ちつきを取り戻したようであります。
 この一連の救出劇の中、雄太君の小さなとうとい命を救ったときに感動を与えられたのは、私ばかりではないはずであります。
 そこでお聞きをします。このような悲惨な現場に立ち会った署員の方々の惨事ストレスに対する対応は重要なことであると思います。消防庁の惨事ストレスに対する取り組みについてお聞かせを願いたい。
 この後、部隊は、タイ政府の依頼を受け、国際緊急援助隊としてインド洋スマトラの方に行って活躍されたということを聞いております。このハイパーレスキュー隊は、東京都に三部隊、立川、大田、渋谷に配置されておりますが、さらに増強することが必要と考えますが、ご見解をお伺いします。
 先月十八日、産経新聞、ナイスプレー一一九番、お手柄、命を救った消防職員という記事が目にとまりました。十三日、午後七時二十分過ぎ、総合指令室に男性から通報があった。救急と、かすかな声が聞こえ、言葉が途絶えた。固定電話だと発信元を逆探知して救助に向かえるが、男性の通報は携帯電話、これは緊急事態だ、場所を決定しなければ出動ができない。待ちますから深呼吸をしてください。一分、二分、長く感じた。とっさに判断をし、行政区を読み上げていく。わかったらトントンとたたいてください。十三番目に練馬区といったときに、トントンと聞こえたような気がした。他の行政区を幾つかいってみて、もう一度練馬区に戻ってみると、トントン。再確認をした。そのやり方で町の名前を根気よく挙げさせていただいた。北町、八丁目。町名がわかった段階で出動をしてもらった。電話から聞こえるサイレンの音でも特定をしたかった。順番に読み上げていった。一番ですか、二番ですか。電話の中から出動してもらった救急車のサイレンがわずかに聞こえてくる。最後に○○番ですか。トントンという音。サイレンの確認ができた。患者さんは脳梗塞。ドクターの話では、手当ての時間によっては危険であったそうです。
 一日二千件以上の一一九番通報。五十件から百件のいたずら電話があるという。通報者のわずかな異変に気づき、とことんまで確認するように指導している東京消防庁と、そのわずかな異変に気づき、とことん努力した柴沼義行消防士長に大きな感動をいただいた。表部隊と裏部隊のそれぞれの努力と経験が救った命だろうと思います。
 そこでお聞きをします。ハイパーレスキュー隊は東京都知事賞、消防総監賞をいただいたとお聞きをしております。トントン、ナイスプレーの総合指令室、そして柴沼消防士長にはどのようなプレゼントがあるのか。そしてこの事例を今後どのように生かしていくのか、お聞かせを願いたい。
 都立高校における性教育についてお伺いをします。
 若い世代を中心に性感染症が流行している。とりわけ東京都においては、青少年のクラミジア感染症の報告が増加するなど、青少年の性にかかわる問題は深刻であり、早急に解決を図らなければならない。特にエイズについては現在でも完治できない病気の一つとなっており、次代を担う青少年をエイズから守るための教育の充実が求められていく。
 そこで最初に、都立高校におけるエイズや性感染症に関する指導の現状についてお伺いをいたします。
 次に、都立高校への産婦人科医の派遣についてお聞きをします。生徒に指導する教職員がエイズや性感染症について現状を認識し、効果的な教育を行うには、専門医などの指導が有効と考えます。そのため、都立高校に産婦人科医を派遣し、性感染症予防の充実を図るべきと考えますが、ご見解をお聞かせ願いたい。
 さらに、都立高校への産婦人科医の派遣に対しては、東京都医師会も積極的であると聞いています。そこで一歩進んで、都立高校の生徒に直接専門医である産婦人科医などがかかわることができる環境づくりをお願いしますが、ご見解をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、東京の臨海部の空間利用についてお聞きをします。
 先月二十日、日曜日、代々木公園におきまして、バスケットボールコート二面がソフトオープンされました。多くの若者が集い、BGMを流しながら、司会者がリズムに乗って、ラップを歌うような口調で呼びかけていました。このバスケットボールコートは、スニーカーのゴム底を再利用してラバーコートとして敷き詰め、その上に樹脂系の塗料を七回塗った、テニスの全豪オープンの決勝が行われるコートと同じコートであります。おおよそ三千万ほどかかった費用。東京都の支出は一切ありません。場所の提供だけであります。このコートを寄附した企業の社会貢献のたまものです。この場所は代々木公園の陸上競技場とサッカー競技場の間であります。この空間は、ふだん散歩道であったり、イベント会場の一カ所として使われていた空間であります。公園を管理している建設局は、最初は理解を示しませんでした。公園内に広告物原則禁止であり、屋外広告条例に触れる可能性があるからとのことでした。
 しかし、石原知事の日ごろの指導もあり、建設局は従来の役所の殻を打ち破り、企業の社会貢献に応じました。今は、多くの若者や子どもたちが集っております。楽しんでおります。この仕事は、石原知事、あなたの存在感が成し得た仕事です。六月にはNBAの選手をアメリカから呼び、小中学生にクリニックを行うなど、お披露目の記念式典を開催すると聞いております。時間がありましたら、知事もご参加いただければと思います。
 さて、観光日本、千客万来、その重要な核の一つである水辺空間、お台場を含める臨海副都心の海上公園に、同様な手法でフットサル、スリーオンスリー、スケボーなどのストリートスポーツの聖地をつくることを提案します。多くの人が集う、楽しむ、声をかけ合う、競い合う、若者の動きを見ながら穏やかな目で見詰める多くの都民を考えただけで、すばらしい空間が創造されると思います。
 二、三の企業が力を合わせ社会貢献として参加したときに、港湾局は、代々木のときの建設局のように、その空間を提供していただけるだろうか、ご見解をお聞かせ願いたい。
 東京臨海地域の水際では、親水性の高い護岸や防潮堤の整備が進められ、そのうちの三分の一が都民からアクセスが可能となり、水辺空間のにぎわいを取り戻しています。隅田川、小名木川などの低地河川、そして港、品川、大田区などの運河沿いには、戦後の日本の復興、経済発展を支えた多くの産業が集積しておりました。
 しかしながら、その多くの工場群は、産業構造の変化、安価な労働力を求め地方や国外に移転することを余儀なくされました。いまだ未利用のまま、工場が廃墟化した場所も少なくありません。これは地域のにぎわいの喪失だけではなく、治安の確保の視点からも重大な問題であると考えます。
 また、これまで、河川や運河沿いの工場跡地の活用の方法として、業務・住居系の施設への転換が中心であったが、最近はマンションの需要も先が見えてきたといわれております。このような状況の中で、河川や運河沿いの工場跡地の活用の方法として、現在不足しているといわれているヨットやボートなどの陸置きの保管施設を考えてはいかがでしょうか。
 これをおしゃれに整備すれば、水辺と青空の開放感を求め若者が集まり、ショップやレストラン、カフェテラス、マリーンスポーツグッズの店、やがてアミューズメント施設なども自然と集積してくるでしょう。工場をそのまま再生利用することにより、比較的安価な費用で大きな効果を得ることになります。いわゆる陸のヨットハーバーをつくり、それを核に新しいまちをつくるということです。
 知事も、十七年度重点事業として東京の水辺空間の魅力向上を挙げられ、観光、景観などを重視した長期構想を策定することとしております。にぎわいのある水辺空間の核が地域に誕生することにより、多くの若者や都民が集い、水辺や後背地などの周辺地域との連帯をしたまちづくり、まちおこしの推進にもつながります。このような考え方を東京水辺空間の魅力向上に関する全体構想の中に取り入れてもらいたいと考えますが、知事のご見解をお聞かせ願います。
 使用料などの滞納金回収の取り組みについてお聞きをします。
 主税局においては、これまで、徴収努力により都税徴収率の向上を図っておるところですが、この徴収ノウハウを活用し、使用料、手数料等の滞納金回収に活用していくことは有効であろうと思います。
 そこでまず、全国自治体での初の試みとして、昨年より主税局が各局と連携をし取り組んでいる、使用料などのオール都庁の滞納金回収トライアルについて、改めてその実施目的をお伺いします。
 また、昨年度、過去最高の徴収率を達成し、滞納繰越金額についてもピーク時の四分の一まで圧縮したという都税を初め、これまで、都において滞納債権圧縮の努力がされていると聞いておりますが、今回のトライアルで主税局のノウハウをどのように生かして行ってきたのか、お伺いをします。
 さらに、今年度の滞納金回収トライアル処理目標と現時点の実績についてお伺いします。
 今後とも、培ったノウハウを十分に生かして、各局と連携をし、回収努力をすべきと考えますが、その決意をお聞かせ願います。
 最後に、都営住宅の期限つき住宅についてお伺いします。
 二十六万戸ある都営住宅を二十六万世帯だけの財産で終わらせるのか、あるいは一千二百万都民全体の財産にするのかは、これからの期限つき住宅の導入の決意にかかっていると考えられます。年齢が若いために給料が薄給で、なおかつ子育てで苦労している若い多くの住宅困窮者にチャンスを与えようではありませんか。一度入ったら孫子の代までこれを占有していくということを許していいんだろうか。まず、期限つき住宅の導入状況についてお伺いをします。
 次に、公営住宅法の改正について、国にどのように働きかけているのか、お伺いをします。
 最後に、期限つき住宅の目標数値についての考え方をお聞かせ願いたいと思います。
 これをもちまして、すべての質問を終了させていただきます。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 川井しげお議員の一般質問にお答えいたします。
 水辺空間の魅力向上に関する全体構想についてでありますが、前にも申し上げましたけれども、日本の初代の商工会議所の会頭の渋沢栄一さんは、江戸時代から続いているこの江戸の、東京の運河あるいは川というものを活用して、日本を東洋のベニスにするという構想を持っていましたが、それに反して、暗渠化など含めて現在では、当時に比べて東京の水面積というのは半分近くに減ってしまいました。
 しかも、護岸が進むのは結構ですけれども、非常にとっつきにくい護岸になったために、簡単に船から上がれない。私も学生のころ、言問に艇庫があったときに、ナックルフォアを駆り出しまして、仲間とウイスキー一本持って浜離宮まで行って、先輩に注意されたんですが、お酒を飲んだために最後は支離滅裂になりまして、水路に迷って、気がついたら御茶ノ水の駅の下に寝てて、往生したことがありますが、そういう思い出すに楽しい娯楽というものが、若者たちにとっても、東京の河川に関しては不可能になりましたね。これは本当に残念なことだと思います。
 そういうことで、先般も晴海ですか、天王洲のある倉庫会社の友人に聞きましたが、東京と横浜を合わせますと五百隻、使わなくなったバージがあるそうで、それを幅の広い運河で活用して、水上レストランをしたいと。建設省の河川局が反対するというから、構わないからやっちまえと。やって、その後、けんかはおれが買って出るから、恥をかくのは向こうだからやれといったら、その前に、実は国交省になった河川局の局長に会って、あるところで話ししましたら、どうぞおやりくださいということで、役人は役人でその認識を持っているようでありますけれども、いずれにしろ、来年度からは東京の水辺空間を観光資源として大いに活用し、再生させるための全体構想を策定中でございます。
 河川や運河沿いの工場跡地などを活用した、若者が集うにぎわいのある空間の創出についても、構想の中で検討しております。
 質問にもございましたが、はやりのスケートボードなどの、何というんでしょう、シャンツェが、実にああいうものがはやっていながら、東京にもどこにもないんですね。空き地はあちこちにありますから、あんなものは仮設で簡単なものができますし、そうすることで、いろんな新しいにぎわいができてくると思います。
 なお、その他の質問については、教育長及び関係局長から答弁をいたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教育に関します三点の質問にお答え申し上げます。
 まず、エイズや性感染症に関する指導の現状についてでございますが、児童生徒にエイズや性感染症に対する正しい知識を身につけさせ、感染を防ぐための実践的な態度や能力を育てることは極めて重要なことでございますことから、現在、都立高校では、保健体育やホームルーム活動等におきまして、医師や助産師などの専門家を招聘するなどして、エイズや性感染症の予防等に関する指導を行っておりますが、今後とも都教育委員会としましては、本年度作成しました「性教育の手引」や児童生徒用リーフレット等を活用しまして、各学校がエイズや性感染症の予防に関する指導の充実に努めるよう支援をしてまいります。
 次に、都立高校への産婦人科医の派遣についてでございますが、教員が専門医等からの助言を受けまして生徒に指導していくことは、効果的な性教育を実施していく上で有効な取り組みであると考えております。
 このため、都教育委員会としましては、本年二月に策定しました都立学校における健康づくり推進計画に、性感染症予防への取り組みとして、産婦人科医による学校相談活動を位置づけました。今後、東京都医師会の協力のもとに、都立高校に産婦人科医を派遣しまして、教員を対象とした生徒の性感染症予防等の相談支援活動を、モデル校において実施をしてまいります。
 最後に、都立高校生に産婦人科医などが直接かかわる環境づくりについてでございますが、都立高校生に対する性教育におきまして、産婦人科医などの専門家と連携して指導していくことは有効なことでございまして、こうした指導を充実していくためには、これらの専門家の方々に、学校における性教育について十分理解をしていただくことが大切なことでございます。
 このため、都教育委員会としましては、東京都医師会と連携をしまして、外部講師として依頼します産婦人科医などを対象に、学校における性教育の進め方について示した「性教育の手引」の説明会を実施するなど、専門家との連携に向けた新たな仕組みづくりを図ってまいります。
   〔消防総監白谷祐二君登壇〕

○消防総監(白谷祐二君) 消防に関しまする三点のご質問にお答えいたします。
 その前に、ただいま職員に対しまして大変なお褒めのお言葉を賜りまして、まことにありがとうございます。大変光栄なことでございますので、大いに士気が上がるものと思います。私から、彼らに確実にお伝えさせていただきます。
 まず、惨事ストレスに対しまする取り組みについてでありますが、東京消防庁では、凄惨な災害で心理的影響を受けた職員が、災害現場の悲惨な場面を思い出し、日常生活や消防活動に支障を来すことを回避するために、ストレスの軽減を目的とした自由な会話としての一次ミーティングと、臨床心理学的訓練を受けた職員及び心理学の専門家が行う二次ミーティングによる惨事ストレス対策を実施しております。
 新潟県中越地震に出場した消防救助機動部隊、通称ハイパーレスキュー隊の職員に対しましてもミーティングを実施し、その後の経過観察におきましても、ストレス障害のないことを確認しております。
 今後も惨事ストレス対策につきましては、有資格者の増員と質を高め、充実強化に努めてまいります。
 次に、ハイパーレスキュー隊の増強についてでありますが、東京消防庁では、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえまして、ハイパーレスキュー隊を平成八年に二部隊整備し、その後、平成十四年にはNBC災害に対応する一部隊を増強してまいりました。
 さらに、首都東京に地震等の大規模な災害が発生した場合、甚大な被害が想定されていますことから、ハイパーレスキュー隊の増強整備を検討してまいります。
 最後に、総合指令室職員の臨機応変な対応についてでありますが、名前が挙がりました柴沼消防士長の今回の功労に対しましては、二月二十四日、消防総監賞を授与いたしました。
 今回の事例を踏まえまして、脳梗塞などの急病により声が発せられなくなった方からの一一九番通報に適切に対応するため、直ちにマニュアルを整備してまいります。
   〔港湾局長成田浩君登壇〕

○港湾局長(成田浩君) 臨海副都心でのストリートスポーツ振興についてでございますが、ストリートスポーツを行うことは若者にとって大きな魅力の一つであり、また、臨海副都心のにぎわいの創出にもつながることから、これまでも、ストリートバスケットともいわれておりますスリーオンスリーのイベントの開催に、都としても協力してきたところでございます。
 また、現在、海上公園は都民と協働で育てる公園として、民間の協力を積極的に受け入れているところでありまして、企業の社会貢献活動によりストリートスポーツの場を設けることは、意義のあることと考えております。
 お尋ねの件につきましては、安全管理や地元調整などの課題がございますが、これらに十分配慮しながら、実現に向けて具体的に検討してまいります。
   〔主税局長山口一久君登壇〕

○主税局長(山口一久君) 使用料等滞納金回収の取り組みについての四点のご質問にお答えします。
 まず、使用料など滞納金回収トライアルの実施目的についてでございますが、現在、使用料、手数料、貸付金など主なものでも、都全体ではおおよそ二百億円に上る滞納金があると想定されています。
 そこで、厳しい都財政の状況を踏まえまして、主税局がこれまで培ってきました徴税ノウハウを生かし、関係各局との連携のもとに、歳入確保を通じて都財政の再建と住民負担の公平性を図ることを目的としまして、滞納金回収の取り組みを実施することといたしました。
 次に、主税局の取り組みでございますが、直接的な回収方法といたしまして、局内に都債権特別回収班を設置し、各局の困難事案を引き受け、回収を実施しております。
 具体的には、関係六局の債権を今年度の回収対象として、都税の徴収に倣って、電話、文書による催告、納付交渉、捜索、差し押さえを実施いたしました。
 また、差し押さえ財産をインターネット公売を活用して売却し、滞納金を回収しました。
 そのほか間接的な回収対策として、各局との事案相談や研修実施により、回収ノウハウの提供を行っております。
 次に、今年度の処理目標と現時点の実績についてでありますが、昨年十月に六局から九種類の債権、人員ベースで約六百七十人、金額にして約十六億円の滞納事案を主税局が引き受けました。
 処理目標は、地方税滞納処分の例により処理できる滞納債権については、五〇%以上を目標とし、一月末で約四割を処理済みでございます。
 また、裁判所の関与が必要な債権につきましては、既に九件の支払い督促申し立てを実施いたしました。
 最後に、今後の取り組みについてでございますが、十七年度の本格実施に当たりまして、都の重点事業を支える取り組みの一つと位置づけております。そして、新たな体制での一層の回収の促進が期待されております。
 そのため、トライアルとして実施した十六年度の回収手法をよく精査、分析しまして、主税局の持つ徴税ノウハウをさらに生かしつつ、対象債権の順次拡大や関係各局との一層の連携のもとに、全庁的な滞納金の解消に全力を尽くしてまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君) 都営住宅の期限つき入居に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、期限つき住宅の導入状況についてでございますが、期限つき入居制度は、都民共有の財産でございます都営住宅の利用機会の公平性の確保と、地域の活性化を図るため、平成十三年度に若年ファミリー世帯を対象として、都が単独で建設した一部の都営住宅へ、全国に先駆けて導入したものでございます。
 平成十五年度には、対象とする住宅を、利便性の高い地域の一般都営住宅にも拡大するとともに、マンションの建てかえなどで一時的に住宅に困窮する世帯にも広げるなど、制度の充実を図ってまいりました。
 次に、公営住宅法にかかわる国に対する働きかけについてでございますが、平成十三年六月、国に対し、公営住宅を公平かつ有効に活用するため、事業主体が地域の実情を勘案して期限つき入居制度を導入できるよう、提案要求いたしました。
 その後も、引き続き東京都独自に、また、他の都道府県や大都市とも連携して、期限つき入居を公営住宅制度の中に明確に位置づけるよう、国に対し提案要求しております。
 最後に、期限つき住宅の目標数値についてでございますが、期限つき入居制度は、住宅に困窮する子育て世帯などの都民に対しまして、都営住宅が居住面でのセーフティーネットとして機能を発揮するための重要な施策であると認識いたしております。
 現時点では、具体的な目標数値を設定することは困難でございますが、これまでの実施結果などを踏まえ、制度の拡充に向け、積極的に取り組んでまいります。

〇議長(内田茂君) 九十番高島なおき君。
   〔九十番高島なおき君登壇〕

○九十番(高島なおき君) まず初めに、文化振興について伺います。
 東京には多くの文化施設や文化団体が集まり、日々、さまざまな文化活動が行われています。このような活動をさらに活性化させ、文化都市として成熟させるには、都民が文化を享受するだけではなく、文化の創造を支援し、文化の担い手になることが必要だと考えます。
 アメリカでは、文化団体などの民間非営利団体への寄附が個人所得の五〇%、法人では一〇%まで所得控除になるなど、税制面では幅広い優遇がなされています。このため、多くの個人や企業が美術館やオーケストラなどに対する寄附を行っており、文化活動への支援の九〇%以上をこれらの民間支援が占めているそうです。
 しかし、我が国では、優遇対象が極めて限定されている上、所得控除や損金算入が認められる寄附の額も低く、例えば資本金百億円、年間所得十億円の企業であっても、限度額は、すべての寄附を合わせてもわずか二千五百万円にすぎません。寄附をしやすい仕組みをつくることは、文化に対する都民の機運を醸成する意味からも重要であり、都が率先して国に働きかけるべきではないかと考えるが、所見を伺いたい。
 同時に、寄附を受ける側にも寄附を集める努力が必要です。例えばニューヨーク市にあるメトロポリタン美術館では、厳しい経営の打開策として、五十名以上のディベロプメントと呼ばれる専門部署を設け、企業からの寄附や個人収集家からの美術品を集め、世界に誇れる美術館に変貌させました。
 指定管理者制度の導入を控えた都の文化施設においても、都民や企業との連携を深め、民間から資金を集めるという視点を持つべきと考えますが、所見を伺いたい。
 また、一昨日の代表質問で、我が党の比留間幹事長が文化施策について質問した際、知事は、東京都の文化施策を語る会での議論を踏まえ、今後の方針をまとめると答弁されました。
 そこで、知事に伺います。知事ご自身は、文化施策を語る会での議論にどのような期待をなされているでしょうか。
 次に、つくばエクスプレス沿線のまちづくりについて質問をいたします。
 都民を初めとする沿線住民が待ち望んでいたつくばエクスプレスの開業が、本年八月二十四日と発表されました。まず、開業に向けた都の取り組みについて伺いたい。
 開業後の安定した需要確保を図っていくには、全線を通して沿線での開発などを促進し、利用者拡大を図っていく必要があると考えるが、都としての所見を伺いたい。
 これまで、私の地元足立区では、交通渋滞の中、バス等を利用して最寄りの駅まで出る必要がありました。新線整備により、区内には北千住駅のほか、青井、六町の新駅が開設され、大変便利になると沿線住民は大いに期待しているところであります。
 この新線の整備効果を最大限に発揮するには、駅の整備にあわせ、バスやタクシー等に乗りかえるためのターミナル機能を担う駅前広場の整備が重要であります。
 そこで、足立区内三駅の駅前広場の整備状況について伺いたい。
 また、つくばエクスプレスの起点となる秋葉原では、目前に迫ったITセンターの開設など、まちの姿が見え始めており、開業により一層にぎわいのあるまちになると期待をしております。これらの開発により変貌を遂げる秋葉原周辺の未来像について、どのように考えているのか、伺いたい。
 次に、PCB廃棄物処理事業について伺います。
 PCB廃棄物については、保管が長期化し、紛失、不明などの問題が懸念されていたところ、平成十三年六月にPCB特別措置法が制定されました。都は、知事の英断により、国の拠点的広域処理施設整備構想に基づき、東京臨海部に一都三県のPCB廃棄物の処理を目的とした施設整備を受け入れることとしました。施設の整備も順調に進み、本年十一月には処理が開始されると聞いておりますが、PCB処理事業においては、まず、何よりも安全に処理されることが重要であると考えます。
 十分な措置がなされているとは思いますが、PCB廃棄物の処理及び収集運搬についての安全面についてどのように対応されているのか、伺いたい。
 また、事業所が集積する都内では、PCB廃棄物を保管する事業所も多数存在しているものと考えます。これらの事業所にあるPCB廃棄物は、今後できるだけ早く、かつ適正に処理されなければなりません。
 そこで、都内のPCB廃棄物の届け出事業所数と、それらの事業所から排出されるPCB廃棄物をいつまでに処理するのか。また、円滑かつ確実な処理に向けて都はどのように対応するのか、伺いたい。
 次に、コミュニティスクールについて伺います。
 先日、日本で第一号のコミュニティスクールとなった足立区立五反野小学校の実践研究の発表会が開催され、私も区民の一人として参加をしました。本校には、保護者、住民、学校関係者らで構成され、学校の予算、経営、教育の最高意思決定機関である学校理事会が設置されております。五反野小学校では、保護者、地域の学校運営への参加の枠を超え、住民の代表みずからが学校を運営することで、家庭、学校、地域の三位一体の教育が創意工夫のもとに行われ、多くの新たな試みが実践をされております。
 公開授業の中で文部科学省の担当課長が、五反野小は日本の義務教育改革のフロントランナーであり、文科省が後追いをしている。今後も挑戦を続けてほしいとあいさつされ、会場を沸かせました。
 そこで、地域住民や保護者が学校運営に参画できるコミュニティスクール制度はどのような意義があり、都教育委員会として今後どのように取り組んでいくのか、伺いたい。
 また、コミュニティスクールは、地域に開かれ、信頼される学校づくりの観点から、当該学校の教職員人事について直接任命権者に意見を述べられることとなりました。しかし、コミュニティスクールが望む教員の配置に関する情報がほとんどない状況となっています。
 そこで、このような制度に賛成する熱意ある教員の配置について適切に意見を述べることができるよう、都教育委員会として支援することが必要と考えますが、所見を伺いたい。
 次に、福祉改革について伺います。
 福祉改革は、これまでの行政主導の福祉システムを改め、福祉サービスの分野に民間企業などさまざまな主体を参入させ、選択、地域、競い合いのキーワードのもとに、サービスの量の確保と質の向上へ取り組んでおり、率直に評価しております。
 例えば、介護サービスの分野では、多くの民間企業、NPOが事業者に参入し、利用者が自分でサービスを選択できるようになり、また、都市型保育ニーズにこたえるために、都が独自に創設した認証保育所も民間企業の参入が相次ぎ、三年で二百五十二カ所が開設するなど、確実にその成果は上がっております。しかし、多様な事業者の参入や福祉サービスの量の拡大を図ることは、決して市場原理に任せるままにしてはなりません。福祉サービスが対人サービスであり、利用者の特性がさまざまであることを踏まえるならば、福祉サービス市場へ事業者が参入するルールと合わせ、参入後のチェックと問題のある事業者を強制的に排除するルールをきちっと整えていくべきであると考えます。
 私は、こうしたルールづくりと、そのルールに基づいて監視していくことが、これからの行政の重要な役割の一つであると考えます。いわばレフリーとしての役割です。ちまたでは、不必要な介護サービスが提供されているとか、不正請求が後を絶たないとか、よくいわれていますが、そのような実態を放置するようなことでは、制度に対する都民の信頼が失われてしまうことは明白です。
 先般も、介護保険報酬を不正に請求する事業者に対する不正防止策に、自治体間で大きな格差があるとの新聞報道がありましたが、こうしたことは断じてあってはならないことであります。指導監督権限を持っている都では、このような介護保険の諸問題に関してどのような成果を上げてきたのか、さらには今後どのように強化していくかを伺いたい。
 また、こうしたレフリーの役割と同時に、行政に求められている役割は、福祉サービスの質を向上させるために、第三者評価や自分で契約を結ぶことができない人への契約支援など、利用者を支援する仕組みづくりを一層進めていくことであると考えます。
 これまで、都は、NPOなどの多様な評価機関を活用した都独自の福祉サービスの第三者評価制度を全国に先駆け導入してきました。都として、今後、第三者評価制度の普及定着に向け、どのような取り組みを行っていくのか、所見を伺いたい。
 また、だれもが地域の中で安心して暮らせるようにするためには、契約支援などの利用者支援の仕組みも構築していくことが重要です。
 都は、来年度の重点事業として、認知症高齢者などの判断能力が不十分な方々を、さまざまな権利侵害から守る成年後見制度の活用促進事業を立ち上げるとしています。この制度は、高齢者をねらった悪徳商法や最近、社会問題化している高齢者虐待を防止する上での有効な手段です。
 私も、この制度の普及定着を図るためには、区市町村の役割が極めて重要と考えます。既に足立区を初め、品川区や調布市等多摩南部の五市では、成年後見制度の推進機関を立ち上げ、制度の普及定着に取り組んでいます。こうした取り組みを他の区市町村にも早急に広げていくために、都はさまざまな面で区市町村を強力にサポートすることが必要であると考えますが、所見を伺いたい。
 都は、これまでの行政主導の福祉の分野に民間活力という新たな風を吹き込み、福祉サービスの量の確保と質の向上を進めてきました。だれもが安心して地域の中で暮らし続けることができる、真の意味で利用者本位の福祉を実現するために、こうした福祉改革の取り組みをより一層進めることを希望し、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 高島なおき議員の一般質問にお答えいたします。
 東京都の文化施策を語る会についてでありますが、東京は文化芸術にかかわるさまざまな人材が集まっておりまして、日本の他の地域に比べてはるかにその後背地は大きいと思います。ゆえにも、東京からこそ、その新しい創造的な文化が生み出される大きな可能性があると思います。
 しかし、行政というのは、じかに人間の感性を育てるわけにはいきませんし、まして芸術を行政が手がけるということはあり得ることではございませんが、ただ、やはり文化芸術にかかわっての行政の責任というのは、やはり芸術家の創造の場や発信のチャンスを広げていくことだと思います。
 この文化施策を語る会では、メンバーも多岐にわたるようで、実は限られておりまして、この方々から十全の案ができると私はとても思っておりませんが、いずれにしろ、芸術家の創造活動への効果的な支援策、あるいは文化芸術を地域の活性化や観光振興に結びつける方策、あるいは既存の都立の文化施設が、時間がたてばたつほど企画そのものもマンネリ化してきますので、そういったマンネリズムを脱して、常に新しい試みをし、その役割というものを果たしていくための徹底的な議論を期待しているわけであります。
 これとは別に、廃物利用という形で順天堂の病院の裏に設けましたワンダーサイトなどは、非常に成功しまして、あそこから、普通、画商が手がけないような若い画家が画商の対象になって、今度はビエンナーレのオークションにも出るような、そういう育ち方をしておりますし、NHKもそのうち特集をするようでありますけれども、ともかく限られた世界でありますが、むしろ日本の中よりも外国のそういうコンテンポラリーのアーチストの中で、その存在が有名になっている。大変うれしい事実もございます。
 それから、先ほど質問の一部にありました、局長も答えるでしょうが、やはり教育とか文化に対する寄附というものの無税化というものをしませんと、アメリカなどはそういうことで成り立っているわけでありまして、私は、義務教育の例の国庫負担をどうこうするという問題がどうも進みそうなんで、その後の措置の一つとして、だったら全国知事会でとにかく声を上げて、一致団結して、文化とか教育に対する寄附というものの無税化を提唱したらどうだというけど、わからないのです、それが、なぜか知らぬけど。(「頑張ってください」と呼ぶ者あり)いやいや、本当にお役人出身の知事が多いせいか知りませんがね、全然反応が返ってこないというのが実情でありまして、残念でありますけれども、都は都で頑張ります。
 その他の質問については、教育長及び関係局長から答弁します。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) コミュニティスクールに関します二点の質問にお答え申し上げます。
 まず、コミュニティスクール制度の意義と、この制度に対する都教育委員会の取り組みについてでございますが、ご指摘のように、足立区立五反野小学校が文部科学省の実践研究校として、開かれた学校づくりのために取り組まれたさまざまな実績が、コミュニティスクール制度に結実したものと認識をいたしております。
 コミュニティスクールに置かれます学校運営協議会は、学校運営につきまして教育委員会や校長に意見を述べること、教職員の人事に関する意見を任命権者に述べることができることとされておりまして、この制度を通じまして、地域住民や保護者が学校運営に参画することにより、そのニーズを迅速、的確に学校運営に反映させ、学校、地域、家庭が一体となった教育の実現に取り組むことができるものと考えております。
 都教育委員会としましては、保護者や地域住民の意向を適切に反映させるための効果的な実施体制や、学校運営協議会の役割と責任のあり方など、各学校の取り組みにつきまして、区市町村教育委員会への情報提供に努めてまいります。
 次に、コミュニティスクールへの支援についてでございますが、ご指摘のように、学校運営協議会が法令の規程に基づきまして、教職員人事に関する意見を述べようとするに当たりまして、適切な意思形成が行えるよう、都教育委員会として十分な情報提供に努めていくことは極めて重要であると認識いたしております。
 このため、都教育委員会が学校運営協議会を置くコミュニティスクールの意向を踏まえまして、専門性や指導力等を備えた教員を公募し、これは都教育委が公募し、その結果について区市町村教育委員会を通じて情報提供を行いまして、学校運営協議会がこの情報に基づき、当該教員の任用に関して意見を述べることができるような仕組みを今後導入してまいります。
   〔生活文化局長山内隆夫君登壇〕

○生活文化局長(山内隆夫君) 文化振興についての二点の質問にお答えいたします。
 まず、文化活動への支援に対する税制面の優遇措置についてでございます。
 文化芸術を支えていくためには、行政だけではなく、企業や都民を含めた多様な取り組みがなされることが不可欠であります。ご指摘のように、芸術文化活動や文化団体に対する企業や都民の寄附について、税制上の優遇措置が拡充されることは非常に重要な課題であると認識しております。これまでも優遇の対象となる特定公益増進法人の認定要件の緩和や所得税などにおける寄附金控除額、損金算入額の引き上げなど、国に提案要求を行っておりまして、今後とも引き続き強く働きかけてまいります。
 次に、文化施設が民間から資金を集める努力についてであります。
 都立の文化施設では、企業経営者を館長に起用するなど、民間の経営感覚を生かした運営に努めております。美術館の企画展などにおいては、新聞社等との共催や企業の協賛により、直接間接に民間の資金を活用し、事業の充実を図っております。
 また、個人、法人の賛助会員などの制度を設けまして、その拡充に努めております。一例といたしまして、東京都写真美術館では、専任の職員が個別に企業を訪問しまして、加入の働きかけを行い、その会費を新進作家の発掘と育成、自主企画展の充実に充てるなど、文化施設それぞれが創意工夫を凝らした取り組みを行っております。
 今後ともご指摘の趣旨を生かし、企業や都民からより一層の支援が得られるよう努力してまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君) 常磐新線に関する四点のご質問にお答えいたします。
 まず、開業に向けた取り組みについてでございますが、本路線におきましては、地域の活性化や知名度のさらなる向上を図る必要がございます。そのため、沿線地域の商店街などの協力も得ながら、イベント開催やPR活動など、さまざまな取り組みを行い、開業に向け機運を高めてまいります。
 今後、八月二十四日の開業に向けて、都を初め沿線自治体、会社などが連携し、より一層の取り組みを行ってまいります。
 次に、利用者拡大に向けた取り組みについてでございますが、開業後の安定した経営を図るためには、会社の努力はもとより、沿線自治体と緊密に連携を図りながら、沿線開発などを促進し、利用者拡大に努めることが重要でございます。
 都といたしましては、住宅やまちづくり、地域開発に関するノウハウを沿線自治体に提供するとともに、沿線にある多くの観光資源についても広くPRするなどの集客対策を行ってまいります。今後とも沿線自治体などと協力し、より一層の利用者拡大に取り組んでまいります。
 次に、駅前広場の整備についてでございますが、駅前広場は交通結節点として円滑な乗りかえ機能を担うとともに、多くの人々が集うまちの顔となる重要な施設でございます。足立区内に整備される三駅のうち、北千住駅西口では既に組合施行の市街地再開発事業によりペデストリアンデッキなどを整備し、駅前広場の機能を向上させております。また、青井駅では、都有地を活用した区施行の道路事業により、さらに六町駅では周辺地域と一体となった都施行の土地区画整理事業により、それぞれ駅前広場の整備を進めております。このように地域特性を考慮し、さまざまな事業主体と事業手法を組み合わせ、常磐新線の開業に合わせた整備に努めてまいります。
 最後に、秋葉原の未来像についてでございますが、現在、土地区画整理事業に合わせて秋葉原ITセンターを初めとする民間による開発が進むとともに、この開発を起爆剤とした新たなまちづくりが周辺でも始まるなど、都市再生に向けた動きが活発化しております。
 また、常磐新線の整備により、その沿線となるつくば研究学園都市や柏の葉地区の学術・研究開発拠点と秋葉原が結ばれます。このことにより、新たな高付加価値産業の創出が期待され、内外から多くの人々が訪れる世界に誇れるIT拠点が形成されると考えております。
   〔環境局長平井健一君登壇〕

○環境局長(平井健一君) PCB廃棄物の処理事業に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京臨海部で行いますPCB廃棄物処理事業の安全面での対応についてでございますが、都は処理施設を設置運営する事業者に対しまして、安全性の高い処理方式の採用に加え、万が一の事故にも備えた二重三重の安全対策を、また、住民代表や専門家などで構成する環境安全委員会の設置などを進めさせてまいりました。
 今後、処理事業者や収集運搬業者に対しまして、収集運搬ガイドラインの遵守徹底や、運搬車両の位置が把握できるGPSシステムの採用など、安全対策に万全を期すよう指導してまいります。
 次に、PCB廃棄物の処理に向けた対応についてでございますが、都内のPCB廃棄物の届け出事業所数は約七千三百ございますが、国が定めた処理期限を五年間前倒しして、平成二十二年度までに処理を完了させることとしております。
 PCB廃棄物の円滑かつ確実な処理を進めていくためには、各届け出事業者の搬入希望時期を把握いたしまして、計画的に受け入れていくことが必要であります。都は、事業者に対し、早期に処理の申し込みを行うよう促すとともに、他の自治体などとも連携しながら、円滑な搬入に向けて調整を行ってまいります。
   〔福祉保健局長幸田昭一君登壇〕

○福祉保健局長(幸田昭一君) 福祉改革に関します三点のご質問にお答えいたします。
 まず、介護保険事業者に対します指導監督などについてでありますが、都は、介護サービス事業者の健全な事業運営に資するよう一般指導を行っております。あわせて、都民からの苦情なども受けとめ、当該事業者に対して重点的に指導した結果、今年度はそれらの約八割の事業者に対して具体的な改善を指導することができました。
 また、不正または著しい不当が疑われる場合には、特別機動班による重点的、集中的な監査を実施しており、特に悪質なものとして指定取り消しに至った事業所が三、廃業した事業所が四となっております。
 今後はより機動的かつきめ細やかな指導が実施できるよう、保険者である区市町村との連携強化に努めてまいります。
 次に、福祉サービス第三者評価制度についてでありますが、第三者評価は利用者の選択を助け、サービス提供事業者の質の向上に向けた取り組みを促すものとして極めて有効であり、早期に普及定着を図る必要があります。
 これまでも、都は、対象サービスの拡大に努めるとともに、サービス提供事業者向け研修会などの計画的な開催や第三者評価受審経費の補助などの取り組みを行ってまいりました。平成十七年度は、こうした取り組みに加えまして、利用者にとって評価結果がさらに活用しやすいものとなるよう、評価項目や公表画面の改善を図るとともに、第三者評価を受審した事業所には、受審したことが容易に判断できるよう受審済みステッカーを発行するなど、より一層の普及定着を図ってまいります。
 最後に、成年後見制度についてでありますが、認知症や知的障害などの方々の幅広い日常生活を支える成年後見制度を普及定着させるためには、お話しのとおり、住民に身近な区市町村の取り組みが重要であります。
 こうした観点から、都では、来年度の重点事業として成年後見活用あんしん生活創造事業を創設いたしました。本事業では、区市町村における成年後見制度の推進機関の立ち上げと、その運営にかかわる財政支援を行うとともに、都みずからも関係機関と連携して、実務を担当する区市町村職員への研修や、困難事例などへの対応への助言、後見人の育成、紹介などを行い、区市町村の取り組みを総合的に支援してまいります。

○議長(内田茂君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時四十七分休憩

   午後三時六分開議

○副議長(中山秀雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 七十五番樋口ゆうこさん。
   〔七十五番樋口ゆうこ君登壇〕

○七十五番(樋口ゆうこ君) 私の目指す政治というのは、民の政治でございます。それは、お父さん、お母さん、そして子どもたち、おじいちゃん、おばあちゃんが一堂に集って、そして笑顔で食卓を囲み食事をとる、この幸せを実現し、きょうもあしたも続くように守っていくことです。民の政治が実現されるべき姿は、一軒一軒の家庭の、一つ一つの家族の、一日一日の食卓の上にあります。もちろん、多様な家族の形態があります。この食卓に不安の影が差さないように、そして笑顔が消えないようにする、これこそが私たちの務めだと思っております。
 その大きな支えとなるのが、子どもたちです。しかし、残念ながら、子ども、若者をめぐって日々いろいろな問題が起こっています。本日は、この問題意識のもと、子どもと若者の問題から質問に入らせていただきます。
 初めに、教育現場の安全性について伺います。
 いい教育を受けられるかどうかが、多感な青春時代を過ごす子どもの人生の将来に大きな影響を及ぼします。そのため、親は学校教育にいろいろな期待を持つものですが、それ以前に最低限必要な問題として、学校は、子どもが安心して教育を受けられる場であることが求められております。しかし、寝屋川市の小学校で先生が殺傷された、または奈良県の小学生が下校の途中に誘拐犯に誘拐されてしまって殺害された事件など、痛ましいお話が後を絶ちません。
 教育現場の安全を確保するのは市区町村の務めです。しかし、都としても支援が必要だと考えます。ひとたび事件が起きた、あるいは不審者がいたなどの情報を近隣の公立小学校、中学校、そして都立の高等学校、また、国立、私立、保育園、児童館など、子どもたちが集まるような場所と連携をし、情報を共有することは、犯罪の抑止につながると思います。
 そこで、警視総監にお伺いさせていただきます。今年度から、都内の学校には警察からスクールサポーターが派遣されていますが、学校における子どもたちの安全確保のために、警視庁の取り組みについて所見をお伺いします。
 次は、職業教育についてお伺いします。
 バブルの崩壊は、さまざまな面で戦後日本の社会に変化をもたらしましたが、雇用に関していえば、リストラ、アメリカンスタンダードの導入が進みました。それまで、日本は、終身雇用、年功序列によって発展してまいりましたが、成果主義が主流となってまいりました。しかし、本当は、そのときに学校教育に職業教育を取り組むべきだったわけです。人間は働かなければ食べていくことなんかできない、食べるために努力をし、働くことを通してみずから必要とされることを実感する、それをわからせばよかったわけです。今、職業教育の必要性が問われております。
 小中高等学校における発達段階に応じた勤労観、職業観の育成をどのように考え、具体的にどのように定職に結びつけるような指導をしているのでしょうか、お伺い申し上げます。
 職業教育は、健常者に対するものだけではなく、障害児、とりわけ発達障害児に対する教育もまた重要になってまいります。人間にとって就労とは、経済的な自立のみならず、人間としての生きがいを感じ、自分の居場所を見つけるための大きな機会です。
 昨年十二月三日、発達障害者支援法が成立いたしました。東京都を初めとする各自治体は、これを受けて、特別支援教育に本格的に乗り出すことになりました。これまで、居場所がなく、サポートを受けることができなかった親と子にとっては大きな前進であります。
 しかしながら、事態は一歩先を行っております。実際、学習障害を持った子どもたちの多くが既に青年期を迎え、大学、専門学校、そして高校を卒業し、就職をしようとする段階に達しておりますが、就労に当たってさまざまな困難が待っているのが現実であります。
 ことし一月に全国LD(学習障害)親の会がまとめた、教育から就業の移行実態調査報告書によりますと、学校教育修了者のうち就業しているのは、一般枠、障害者枠を含めて五五%でございます。また、本人が、相談できる人や機関がないと答える人が半数弱にも及んでいます。その解決には、例えば、教育、医療、就労に通じた人材を育成し、コーディネーターとして就労の援助を行っていける窓口や機関を設けていただくというのは一つの方法だと思います。
 東京都として、特別支援教育のさらなる先を見て、発達障害を含め、障害のある生徒が一般企業に多く就職して定着していくための就労支援をどのように進めていくか、見解を伺います。
 次に、若年者雇用の問題について伺います。
 厚生労働省によれば、二〇〇三年のフリーターの人口は全国で二百十七万人を上回ると推計されています。東京のフリーターの数は三十四万人ともいわれ、十五歳から三十四歳の人口の一割を占める状況にあります。一方、ある計算によりますと、四百十七万人フリーターの数がいらっしゃる、そのようなことも聞いております。そして、十八歳から三十四歳までは二四%、四人に一人が定職を持っていないという試算もあります。
 今やフリーターはすっかり社会に定着してしまった感がありますが、さらに、最近ではニートと呼ばれる、働く意思のない若者が急増しています。また、全国ひきこもり親の会によりますと、ひきこもりの人数は百万人を超えたともいわれています。若年者雇用は非常に難しい問題を抱えております。
 知事は、よく、仕事とは自己表現の場であるとおっしゃっているように記憶しております。定職を持とうとしない、あるいは働こうとしない若者が増加する原因はどこにあるのでしょうか。福沢諭吉さんが、世の中で一番寂しいことは仕事がないことですと述べております。フリーターは、仕事をしているものの、定職についていないため、収入が安定せず、満足な社会保障も受けられません。今は食べていける、だけれども、五年後、十年後先、家族を持ち、家庭をつくることは困難なんではないでしょうか。
 日本労働研究機構の調査によりますと、フリーターのうち、フリーターをやめて正社員になろうとした者の割合は、男性で七割を超えております。フリーター自身も現在の状況に満足しているわけではありません。フリーターの若者たちを切り捨てるのではなく、だれでもなり得る存在として支援していくことが大切です。
 一たんフリーターになってしまった若者が正社員を目指そうとしても、自分だけではどうすればよいのかわからないのが実態です。また、雇用をする立場も忘れてはなりません。雇用を継続させるために取り組むべき総合的な対策も進めていただけたらと思います。
 フリーターや仕事についていない若者たちに対して、都としても何らかの適切な就職支援策を講ずるべきだと考えますが、所見を伺います。
 次は、保育についてです。
 子どもを産むか産まないかは個人、家庭の問題であり、行政の関与には限度があります。しかし、子どもを産みたいんだけれども、子育てと仕事は両立できないとか、子育てに自信がないので、子どもを産む決心ができない、また、一人で手いっぱいなので、とても二人目の子どもは持てないといった声をよく聞きます。もっともっと行政による支援が必要だと痛感しております。
 東京には五十八万人を超える未就学児を抱える子育て世帯が存在いたします。もちろん、全国で最も多い数です。そうなれば、当然、多様な子育て支援が必要になってまいります。知事が始められた認証保育所は、認可保育所では対応できない子どもたちを預かる施設として非常に重要でありますが、それ以外にも多様な保育の場が必要であると思います。その一つとしてお願いをしたいのが、家庭内保育の充実であります。
 現在は施設型保育が中心ですが、今後、多様な保育サービスの一つとして、きめ細やかな、家庭的な保育を充実するお考えはないのでしょうか。ご答弁をお願い申し上げます。
 以上、子どもの問題、若者の問題をるる述べてまいりました。そこで、最後に知事にお伺いをさせていただきます。
 知事は「スパルタ教育」という子育てに関するベストセラーをお書きになっておられ、知事としてだけではなく、作家としても一家言をお持ちだと推察いたします。これまでの私の見解を含め、今の子どもや若者に対する知事のご見解をお伺いしたいと思います。
 次は、子どもと若者の話から離れ、地下鉄の安全性とバリアフリーについてお伺いをします。
 韓国の大邱市で地下鉄火災事故を受けて、地下鉄の安全性を私も訴え続け、地元でさまざまな取り組みを続けてきたところです。
 地元のことで大変恐縮ですが、中野区は、平成九年に開通しました新しい路線であります大江戸線と、昭和三十年代に開通いたしました丸ノ内線の二つの路線があります。大江戸線については、新しい路線ということもあり、バリアフリーですが、丸ノ内線にはエレベーターもエスカレーターも設置されていない駅が多いように見受けられます。エレベーター、エスカレーターに限らず、バリアフリー化、駅舎整備大型改修などを同時に進めて行えば二重投資にならず、都民の利便性が図れると思います。このような配慮をして事業を進めていただければよいかと思いますが、中野区内の駅にはいつごろエレベーターあるいはエスカレーターが設置されるのか、お伺いをいたします。
 次は、警察病院についてお伺いします。
 中野区の警察大学校の跡地に警察病院が移転することになりまして、地元区民は大きな期待を持って三年後の開設を望んでおります。
 病院が地域の人々から信頼されるためには、患者中心の開かれた医療を提供するという病院の運営コンセプトをはっきりしておく必要があります。警察病院が警察官の方々にとって重要な病院であることは理解できますが、それと同時に、地域住民の期待にこたえていただくことも重要であります。第二次医療圏で必要とされる大病院は、既に新宿など近隣に多数そろっています。地域の人々が昼夜の別なく三百六十五日二十四時間安心して駆けつけることのできる初期及び二次救急医療に加え、一般医療に取り組み、地域に開かれた医療を提供すべきと考えますが、警視総監のご見解をお伺いします。
 最後に、脱法ドラッグ規制条例について申し上げます。
 私は、都議会に入りまして一番初めにたださせていただいたのが脱法ドラッグでした。ダイエットに効くといわれて、脱法ドラッグとは知らずに手を出した少女の涙から、脱法ドラッグ撲滅は私のライフワークとなりました。昨年、私の所属します薬事審議会が答申を出し、そして条例ができようとしている今、本当に脱法ドラッグがなくなることを願ってやみません。関係者のこれからの取り組みを大いに期待をさせていただきまして、私の一般質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 樋口ゆうこ議員の一般質問にお答えいたします。
 最近の子どもについてどう思うかということでありますが、私は、今の子どもたちは本当に不幸だと思います。いろんな意味で不幸だと思います。それは、今の限り、子どもの限りで不幸な人間が、大人になったら幸せになれるわけがない。私は、そのゆえんは、やっぱり、主に家庭における親のしつけというものの足りなさだと思います。
 ノーベル賞をもらった動物行動学のコンラッド・ローレンツは、人間も哺乳類も皆同じであって、等質にいえることは、子どものころ、幼いころ肉体的な苦痛を味わったことのない人間は長じて非常に不幸な人間になるということをいっています。それは、子どものころ、じゃあ肉体的な苦痛って、何も親から虐待されるとかたたかれるとか、そういうことじゃないんですね。つまり、やっぱり寒さに耐えるとか、暑さに耐えるとか、親からいいつかったちょっと苦しい仕事を一生懸命やるとか、そういう耐性、我慢性というものがこのごろの子どもにはない。暑いというとすぐ冷房、寒いというとすぐ暖房、それから、おなかがすいたといったらすぐ間食で、すぐに願望が充足されてしまって、こらえ性がない。
 これは、大脳生理学的に脳幹という人間の一番大事な部分が虚弱になっている証左でありまして、つまり、トレランス、こらえ性のない人間というのは、やっぱり情報がこれだけはんらんしていますといろんなことを覚えますけども、大脳ばかりが肥大して、肝心の、それを支える幹が細いものですから、何かのぐあいで、実がなり過ぎたリンゴの木のように、あらしが吹くと簡単に幹が折れてしまう。今の子どもはまさにそれだと思います。
 今度、都の健全育成条例、変えましたけども、それの対象とした子どもたちの性に関する風俗の便覧を見ても、最後は全部物欲です。普通に買えば数百円しかしないTシャツにブランドの何とかが押してある、それだけで数千円するものがどうしても欲しい。親にそれをせがむと、親も小遣いを与え切れないんで、この間、いろいろ参考の意見を聞いた赤枝先生という、六本木で婦人科を開業していらっしゃる、本当に今の若者の性風俗に憤りというか懸念を持っている人がいっていましたけども、何と、その親が、年配の人間なら安全だろうから援助交際したらどうと子どもにいったと。援助交際というのは売春ですよ。小遣いを賄い切れないから、親が子どもに向かって援助交際、援交しろという、こういう親の、これは責任にもならない。こういうかかわりというのは、全部子どもに物欲を満たせる、子どもの願望に親が何かこたえるすべがないから、売春を親がそそのかす。そういう意味で、私は、今の子どもというのは非常に不幸だと思います。
 ということで、私たちはやはり、子どものしつけの中で、やっぱり厳しさといいましょうか、物事に耐える、そういう習慣というものをもう一回取り戻していきませんと、やっぱり次の時代を担う子どもたちは非常に不幸な人間にしかならないと思います。
 他の質問については、警視総監、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監奥村萬壽雄君登壇〕

○警視総監(奥村萬壽雄君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、学校の安全対策につきましては、警視庁では、不審者の学校侵入等を防ぐため、さまざまな対策を講じてきているところであります。
 具体的には、昨年の四月、警察官OBを、お話がありましたようにスクールサポーターとして各警察署に配置いたしまして、学校との連絡助言体制を強化いたしますとともに、学校周辺における制服警察官のパトロールを適時行いまして、不審者の発見、検挙に努めております。
 また、学校周辺で不審者がうろうろしているなどの情報があった場合には、直ちに警察官による警戒措置を行いますとともに、学校側にもその旨連絡するなどして、速やかな情報の共有に努めているところであります。
 昨年中は、学校側と協力いたしまして、不審者が侵入した場合の対応要領の実践的な訓練を約九百回、学校の防犯設備の点検を約二千九百回実施いたしておりますが、今後とも学校とは十分な連携を図りまして、子どもたちの安全確保により一層努めてまいりたいと考えております。
 次に、新しい警察病院の運営方針についてでありますが、中野の警察大学校跡地への警察病院の移転改築計画につきましては、都議会を初め各方面のご理解、ご協力をいただきながら、平成十九年度末の開院を目指しているところであります。
 新しい病院は、危険な職務執行に当たっております警視庁職員の職域医療を担い、また、災害発生時や国公賓来日時等における緊急的な医療機能を果たすことも想定しておりますが、同時にまた、地域に開かれた病院として、地域医療機関との緊密な連携を図り、三百六十五日二十四時間体制の二次救急医療を初め、住民の方々に対するスムーズで最適な医療を提供してまいりたいと考えております。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 職業教育に関する二点の質問にお答え申し上げます。
 まず、発達段階に応じた勤労観、職業観の育成についてでございますが、児童生徒が将来、社会で自立して生きていくためには、小学校の段階から、働くことの意義を理解し、望ましい勤労観、職業観を身につけていくことが重要でございます。
 現在、教科や総合的な学習の時間などにおきまして、例えば、小学校では野菜づくりや工場見学、中学校では地元の商店街や企業などでの職場体験、高等学校では公共施設や企業でのインターンシップなどを通しまして、児童生徒が働くことへの関心や意欲を高めていくための教育活動を行っておりますが、今後とも、都教育委員会としましては、教員向け啓発資料を継続して作成しますとともに、新たに中学校における職場体験を一週間程度実施をします推進地域の指定、都立高校における職業観育成推進校の指定を行いますほか、国の委託事業でございます、若年者の雇用を促進するための、学びなおしの機会の提供推進事業を実施しまして、子どもたちが将来にわたって望ましい勤労観、職業観を持ち続けることができるよう教育活動を支援してまいります。
 次に、障害のある生徒に対する就労支援についてでございますが、障害のある生徒に対する就労支援は、将来の社会参加、自立を図る上で極めて重要でございます。
 都教委としましては、昨年十一月に東京都特別支援教育推進計画を策定しまして、生徒全員の一般企業への就職を目指す職業学科を置く、知的障害が軽い生徒を対象とした養護学校高等部を設置しますほか、就労拡大、職場定着に向けた学校版ジョブコーチを導入するなど、盲・ろう・養護学校で学ぶ障害のある生徒の社会参加と自立に向けた施策に取り組んでおります。
 また、都立高校におきましても、さきに述べたような勤労観、職業観の育成についての取り組みを行っておりますところでございますが、今後は、在籍するLD等の障害のある生徒や、その保護者の方に対しまして、新たに知的障害が軽い生徒を対象とした養護学校高等部に配置をいたします臨床発達心理士を活用した巡回相談を行うなど、学習や生活面の指導助言を行うとともに、生徒の希望に応じて一般企業への就労支援をするなど、進路指導の充実に努めてまいります。
   〔産業労働局長関谷保夫君登壇〕

○産業労働局長(関谷保夫君) 若者の就職支援につきまして、お答えを申し上げます。
 しごとセンターにおいて、来年度、新たに街角カウンセリングを行うなど、相談体制の一層の充実を図ってまいります。
 また、仕事を理解し、職業意識を形成する上では、就業体験が極めて有効でございます。このため、企業の現場での就業体験に加えまして、新たに、職人によるものづくりや農業等の仕事を体験する機会を提供してまいりたいと考えております。
 こうしたさまざまな取り組みを通じまして若者の就職を支援してまいります。
   〔福祉保健局長幸田昭一君登壇〕

○福祉保健局長(幸田昭一君) 家庭的保育についてのお尋ねにお答えいたします。
 保育所などの施設型保育とともに、家庭的な雰囲気の中で少人数の子どもに対して行われる、いわゆる家庭的保育は、都民の多様な保育ニーズに柔軟にこたえることができる保育サービスであると認識しております。
 保育士資格や子育て経験を持つ人が自宅を活用して保育を行う家庭福祉員制度は、家庭的保育サービスの一つでありまして、これまでも利用者からは高い評価を受けております。
 今後とも、家庭的保育が都民により一層利用されるよう、実施主体である区市町村と連携して普及啓発に努めてまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君) 中野区における地下鉄のエレベーターなどの設置についてでございますが、公共交通機関のバリアフリー化は、高齢者、身体障害者などの利便性、安全性を確保する上で重要でございます。
 お尋ねの中野区内には、丸ノ内線、東西線、大江戸線の地下鉄八駅があり、丸ノ内線の三駅にはエレベーター、エスカレーターともに設置されておりません。このうち、新中野駅は今年度内に、中野富士見町駅は平成十七年度にエレベーターの設置に着手する予定であり、残る中野新橋駅は、現在、鉄道事業者において設置を検討しているところでございます。都としても、今後とも交通施設のバリアフリー化を促進してまいります。

〇副議長(中山秀雄君) 八十九番いなば真一君。
   〔八十九番いなば真一君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○八十九番(いなば真一君) 初めに、東京の街並み景観づくりの取り組み状況について伺います。
 先月、都市整備委員会の一員として沖縄を訪れ、那覇市壺屋地区を視察いたしました。壺屋地区は、琉球王朝時代より続く陶器の一大生産地であり、また、国指定重要文化財の新垣家や登り窯、石垣などが、さきの大戦の戦禍を免れて残されているなど、往時の風景を今に伝えております。
 この地区は、那覇市により、那覇の歴史文化景観を代表する地域として都市景観形成地域に指定されており、建物の壁面後退、壺屋地区にちなんだ素材を使った店舗、自動販売機を目立たない配置とするなどの景観基準を定めています。
 私は、実際に壺屋地区を歩きながら、伝統的な琉球赤がわらを使用した街並みや、必要最小限に制限された広告看板、壺屋の焼き物を素材に使った石垣などに接し、深い感銘を受けました。
 さて、私の地元の板橋区にも、都市景観上、重要な地域として常盤台があります。この地域は、昭和初期に計画的に開発され、平均約百坪の宅地規模を基本に、袋地道路や並木道の配置、地区内を一周する遊歩道など、他のまちには見られないすぐれたデザインによる極めてまれな住宅地で、独特な歴史と文化を有した地域であります。
 板橋区は、まちづくり方針の中で、旧街道など地域の景観特性を生かすとともに、魅力ある建物、デザインを誘導するなど、魅力ある都市景観の形成を掲げており、常盤台一丁目、二丁目地区についても、まちづくり推進地区と位置づけて、地域住民から提案された常盤台まちづくり憲章を生かしていくこととしております。
 しかしながら、常盤台も開発から七十年近くが経過し、世代交代などにより建てかえや土地の分割が進み、建て詰まりや緑の減少など、良好であった住環境が少しずつ劣化しつつあります。このため、常盤台では、住宅の所有者や駅前商店会の人々などの地元住民が協同して、常盤台のよい環境を残そうと積極的に景観まちづくりへの取り組みを始めたところであります。
 一方、国は昨年六月、美しく風格のある国土の形成、潤いのある豊かな生活環境の創造及び個性的で活力ある地域社会の実現を図り、もって国民生活の向上並びに国民経済及び地域社会の健全な発展に寄与することを目的に、景観法を制定しました。
 都は、既に平成九年に東京都景観条例を、平成十五年には東京のしゃれた街並みづくり推進条例を制定し、景観づくりを進めています。このような地元、都、国の動きを見ますと、今こそ街並み景観づくりへの取り組みを強化する好機ではないでしょうか。
 そこでまず、常盤台一、二丁目地区では、地元の住民が主体となって景観まちづくりに取り組んでいると聞いておりますが、現在どのような活動を行っているのでしょうか。
 また、常盤台のように、みずから景観まちづくりに取り組んでいる地元住民に対して、都としても積極的に支援するべきと考えますが、見解を伺います。
 常盤台は、住宅地と駅前商店街が隣接した地域であり、良好な住環境の保全とともに、商店街の振興も重要な課題であります。この地区では、住民が駅前マンションの屋上看板広告の撤去を求める事例も発生しており、住環境の確保と商店街の振興の両立が求められています。そのためには、地域の特性に応じて、屋外広告物を適切に誘導していくことが必要だと思います。都はこのような課題に対し、どのような対応を考えているのでしょうか、お伺いいたします。
 景観法は、昨年十二月施行され、新たに景観行政団体や景観地区の制度などが創設されています。景観まちづくりは、地元住民の意向もさることながら、行政の役割も極めて大きいものと考えます。今後、景観法の活用に当たり、都の役割をどのように考えているのか、見解を伺います。
 景観法の施行を受け、都は、今後の景観施策のあり方について検討を始めたと聞いております。これまで、多摩では丘陵地や崖線など、区部では隅田川などに着目して景観づくりを進めてきていますが、今後は市街地を対象にした取り組みにも力を入れていくべきではないでしょうか。今後の景観施策の検討の課題についてどのように考えているのか、見解を伺います。
 景観法の活用や今後の景観施策の検討など、都の取り組みには今後の景観形成に向けた新たな展開が期待されております。これからの東京の景観づくりはどのような方向を目指すべきとお考えなのか、知事の所見をお伺いいたします。
 続いて、都営住宅の指定管理者制度について伺います。
 これまで、東京都住宅供給公社しか管理できなかった都営住宅の管理に、指定管理者制度を導入することによりまして、民間事業者が参入する道を開くとのことであります。民間にも賃貸住宅を管理している事業者はたくさんいますから、民間のノウハウを都営住宅の管理に生かすことにより、効率的な管理が実現することは望ましいことと考えます。
 ところで、都営住宅には、お年寄りを含めて多数の都民が居住しております。また、何度も出てきておりますけれども、二十六万戸に及ぶ膨大な戸数があることなど、他の公の施設とは大きな相違があると思います。都営住宅への指定管理者制度の導入はもとより賛成でありますが、こうした都営住宅という施設の特性を踏まえますと、円滑に導入していく必要があります。
 そこで、今後の指定管理者制度においては、指定管理者にどのような業務を行わせていくのか、基本的な考え方をお聞かせいただきたいと思います。
 次に、都営住宅のような大規模な団地を管理している民間事業者はほとんどないと思いますが、指定管理者制度を円滑に導入するためには、都としてどのように導入していくのか、お尋ねいたします。
 続きまして、水辺環境について伺います。
 都は、隅田川や運河など水辺空間の魅力を高め、都市のにぎわいにつなげたいとの考えで観光施策連携推進会議を設置し、平成十七年度中に全体構想を策定されるとのことであります。
 水辺空間は、都市のにぎわいをもたらすのみでなく、都市に潤いをつくり出すとともに、人間にとって精神的な安心感を与える貴重な資源であるといわれています。今日、大都市における人々の心の病は、都会から水辺空間が喪失したことが大きく影響しているものと思うところであります。というのは、水辺や噴水などの水が人間にとっていやし効果が大きいといわれていることと関係しているものと思うところであります。イタリアのベネチアやフランスのパリなど欧州諸国の中心都市では、水辺空間を観光資源として活用していると伺っています。
 東京の水辺空間を活用した魅力ある観光資源として積極的に活用が望まれる隅田川を例にとると、隅田川の水質は、下水道整備のおかげで昭和四十年代後半から改善され、早稲田、慶応ですね、早慶レガッタや花火大会の再開に象徴されるように、人は水辺に再び戻りつつあります。
 しかし、水質についてはまだ十分とはいえず、また、スーパー堤防やテラスの護岸も整備されてきておりますが、いまだに高潮対策としての護岸は垂直となっているものがあります。この貴重な観光資源を本来の機能に蘇生させることが、千客万来のまちづくり、観光立国にもつながるものと考えております。
 隅田川のように、河川の水質がよくなれば、人は川に目を向け、関心を寄せることが多くなることから、河川等に関する水質改善対策について何点かお尋ねいたします。
 まず、河川などの公共用水域の水質を改善するためには、下水道整備や事業場等への排水規制を行うこと等が必要と思いますが、環境局では具体的にどのような取り組みを行っているのか、お伺いいたします。
 次に、水質を改善するためには、区市町村や地元住民の果たす役割は大きいと考えています。水質改善に向けた区市町村や地元住民の取り組みがどのようになっているのか、お伺いいたします。
 また、都会では、大雨などが降れば、下水に流れ込んだ水の一部が河川などにあふれ、水環境に悪い影響を与えています。運河に浮かぶレストランや隅田川沿いのカフェテラスなどが設置されたとしても、河川に浮かぶごみや油などがそこにあれば、すばらしい施設をつくったとしても魅力は半減してしまうのではないかと思うのであります。そこで、良好な水環境を創出するために、どのような施策を実施しているのか、伺います。
 都市における河川などの水質は、流域における市民生活、経済活動や都市活動の影響を反映しています。水質を改善するためには、環境部局のみでの対応では十分とはいえず、総合的、横断的な組織をつくって対応することが必要であると思っています。河川などの公共用水域の水質改善を図るためには、都民、他の自治体、国との協働と連携により、おのおのの地域にふさわしい水質改善に向けた取り組みを推進していくべきと考えますが、所見を伺います。
 大都市東京における水辺空間をルネサンスすることは、観光客を多数呼び寄せる上で最も大事な施策と思いますので、石原知事が掲げられている千客万来のまちづくりを実現する上にも、最も大切な施策の一つになるものと思っています。したがいまして、都市における健全な水循環と良好な水環境の実現を図るため、区市町村はもとより、近隣自治体や国等とも連携をとるなど、都の率先した対策を要望いたします。
 次に、踏切対策について伺います。
 都内に数多く残されている踏切は、交通渋滞の発生、都民生活の不便、都市環境の悪化などを招いております。国際都市として、その魅力の向上、都市再生の推進のためには、こうした踏切問題を一刻も早く解消することが必要であります。
 私の地元板橋区でも、踏切によるまち、商店街の分断や、周辺地域の交通渋滞などが問題となっております。平成三年には、板橋区議会に東上線立体化促進・交通対策調査特別委員会が設置され、東武東上線の立体化について調査を進めた経緯があります。この中で、特に立体化が必要な箇所として、大山駅、ときわ台駅、上板橋駅が挙げられていました。昨年六月に策定された踏切対策基本方針で、これらの箇所が鉄道立体化の検討対象区間に位置づけられたことは、まことに喜ばしいことであります。
 そこでまず、踏切対策基本方針において、板橋区内の踏切がどのような位置づけとされているのか、お伺いいたします。
 さらに、鉄道立体化の検討対象区間に位置づけられた箇所については、今後どのような進め方になるのか、お伺いいたします。
 以上で私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) いなば真一議員の一般質問にお答えいたします。
 東京の景観づくりについてでありますが、とにかくこの都庁の屋上から眺めても、東京というまちは、都市計画に関してもいかに景観に無神経であったかが、本当に一べつしてわかりますな。海側の方はかなり緑が見えますけれども、北側に至っては本当にまあめちゃくちゃで、何かごみをまき散らしたみたいにしか見えない。
 これは、かつての江戸の街並みに比べますと、本当に江戸の時代というのは、議会に渡ってくるワンダーウオールの入り口のところに掲げてありますけども、本当にモノクロームで、日本に近代ホテルをつくれということで頼まれてやってきましたフランク・ロイド・ライトが日記にも書いていますが、本当に美しい見事なまちだと感嘆して、コンクリートをやめて大谷石を探し出して最初の帝国ホテルをつくったわけですが、とにかくそれに比べると現在の東京というのは本当に惨たんたる印象でしかございません。これをいかに変えるか、効率的な都市機能もさることながら、首都にふさわしい風格ある都市づくりというものを、やっぱり私たちはこれから心がけなきゃだめだと思います。
 かつてドゴールの時代に文化担当相になったマルローは、かなり反対がありましたけれども、非常に思い切って一方的に広告物を規制しました。特にパリのネオンというのは、たしか二色か三色に限られておりました。これが非常にパリ全体の印象をよくしましたけれども、いずれにしろ国際都市東京の活力と魅力を向上させるために、そろそろ今ごろから思い切った都市景観への取り組みが必要だとも思います。
 日本人はもともと感性豊かな国民だと思いますし、日本人がかつては持っていたすばらしい感覚、感性を、今後は都市づくりに反映して、美しい東京を再生していきたいと思っております。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君) 街並み景観など九点のご質問にお答えいたします。
 まず、常盤台地区の景観まちづくりについてでございますが、この地区では、良好な住環境の保全を目的とした活動が長年続けられてまいりました。平成九年には、住民主体のまちづくり委員会が設立され、環境を大切にしたまちをつくる、緑豊かなまちを未来に残すなどを目指す常盤台まちづくり憲章が策定されております。
 こうした活動が引き継がれ、現在は地元協議会が組織されており、地区内住民による勉強会などを通じ、地区の特徴や課題の把握などを行い、地域の目指すべき将来像の検討に取り組んでおります。
 今後、良好な街並みを保全、創出していくための景観ガイドラインを取りまとめていくと聞いております。
 次に、景観づくりに取り組む住民に対する支援についてでございますが、東京の多様な魅力と個性を生かした景観づくりを進めるためには、地域住民の主体的な取り組みを促すことが重要でございます。このため、都は、景観づくりに積極的な地域団体を支援するため、東京のしゃれた街並みづくり推進条例に基づく街並み景観重点地区を指定して、専門家である街並みデザイナーを派遣しております。これまでに常盤台地区を初め都内七地区を指定し、各地域でその実態に即した活動が行われております。
 都は、引き続き区市町村と連携し、この制度の活用を通じて地域の景観づくりの取り組みを支援してまいります。
 次に、地域特性に対応した広告物の誘導についてでございますが、今回の定例会で提案している屋外広告物条例の改正案では、地権者等が合意し、広告物のデザインなどに関するルールを定めた場合には、これを条例上の許可基準にできることとしております。
 この制度の導入は、これまでの都内一律、画一的な広告物規制にかわり、まちの個性や魅力を補い、地域特性に対応した景観の創出を促すものでございます。
 ご質問にございました駅前ビルの屋上広告物の事例につきましても、この制度の活用により、駅前地区にふさわしい広告物を誘導することができるものと考えております。
 次に、景観法の活用と都の役割についてでございますが、都は国に先駆けて景観条例を制定し、広域的な視点からの景観づくりに取り組んでまいりました。
 景観法では、都道府県は景観計画を定め、その実現に必要な場合には建築物の形態、色彩について変更命令を出せることとしております。
 この制度の活用により、これまでの取り組みの実効性を高めることができると考えており、都は本年一月、景観審議会に今後の景観施策のあり方について諮問し、区市町村との連携を含め、景観法も活用した新たな施策を検討しております。
 今後とも景観審議会における審議などを踏まえ、広域的自治体の立場から景観づくりに取り組んでまいります。
 次に、今後の景観施策の検討課題についてでございますが、都はこれまで、景観条例に基づき、東京を特徴づける地形や自然などに着目し、広域的な景観づくりを進めてまいりました。
 近年、都市再生など民間開発の推進などを通じ、都市の活力、利便性の向上がもたらされる一方で、市街地の街並みも変わりつつあり、良好な景観形成が都市づくりの重要な課題となっております。
 今後、都は、景観審議会における審議などを踏まえ、市街地における眺望景観、スカイラインのあり方、観光施策や公共施設との連携策など、新たな施策の構築に取り組み、実効性ある景観づくりを進めてまいります。
 次に、都営住宅において指定管理者が行う業務についてでございますが、指定管理者制度を円滑に運営し、都営住宅を適切に管理していくためには、都と指定管理者とが行う業務を明確に区分する必要がございます。
 都営住宅の指定管理者の業務としては、日常的な管理業務を中心に、使用料の徴収など入居者に直接対応する業務や、エレベーターや消防設備の保守点検などの施設管理業務を考えております。
 また、都営住宅を公的資産として適切に維持、保全していくための修繕や、統一性、信頼性が強く求められる入居者の募集については、都の業務と考えているところでございます。
 次に、指定管理者制度の円滑な導入についてでございますが、都営住宅は二十六万戸にも及ぶ管理戸数があり、また、民間賃貸住宅にはない大規模な団地を有することなどから、指定管理者制度の導入に際しては、民間事業者の管理の実情などを十分踏まえる必要があると考えております。
 そのため、公募による指定管理者の指定は、全管理戸数の一割程度を目途に一部地域から実施し、その実施状況を踏まえ、公募地域を段階的に拡大していく予定でございます。
 次に、踏切対策基本方針における板橋区内の踏切の位置づけについてでございますが、本指針では、区内にある東武東上線、JR埼京線の三十九カ所の踏切のうち十七カ所を、交通の円滑化や地域分断の解消などの視点から、対策が急がれる重点踏切として位置づけております。
 中でも、東武東上線につきましては、重点踏切九カ所が含まれる大山駅付近及びときわ台駅から上板橋駅付近の二区間を鉄道立体化の検討対象区間としております。
 最後に、鉄道立体化の検討対象区間の今後の進め方についてでございますが、この区間に位置づけられた箇所は、まちづくりと一体となった道路と鉄道の立体化について、地元区など関係者とともに議論を重ねていく必要があります。
 東武東上線の板橋区内では、都、区、鉄道事業者などによる研究会において、立体化及びまちづくりについて検討してきた経緯がございます。都としては、これらの経緯も踏まえながら、関係者と連携し、当該箇所の検討を深めていくよう努めてまいります。
   〔環境局長平井健一君登壇〕

○環境局長(平井健一君) 水辺環境についての三つのご質問にお答えいたします。
 まず、公共用水域の水質改善の取り組みについてでございますが、都は、公共用水域の水質改善を図るために、法に基づきまして、工場、事業場から河川や東京湾に排出されますシアンや水銀などの濃度規制及び窒素、燐に係る総量規制を実施しております。
 さらに、総量削減計画に基づきまして、大規模事業場等に対して、提出された削減計画書をもとに、きめ細かな水質改善の指導を行っているところでございます。
 今後とも、水質測定計画に基づく水質調査により、公共用水域の状況を把握しながら、より一層の水質改善に努めてまいります。
 次に、水質改善に向けた区市町村等における取り組みについてでございますが、区市町村は、地域の河川等の水質を改善するため、環境確保条例に基づき、工場、事業場に対する立入調査を行いまして、規制基準を遵守させるための指導などを行っております。
 また、下水道が普及していない地域におきましては、合併処理浄化槽の設置を推進しているところでございます。
 一方、住民やNPOによりましては、身近な河川等の環境改善を図るため、水質調査や魚類の生息調査、研究会の開催、河川敷の一斉清掃など、幅広い活動が行われているところでございます。
 最後に、都民や自治体等との連携についてでございますが、河川等の水質改善を図るためには、関係各局の連携とともに、都民、近隣自治体や国との協働と連携による取り組みが必要でございます。
 都は、これまで、国や流域自治体等から構成される各種の協議体におきまして、水質を改善するための行動計画の策定に参画するほか、水環境の現状等について、ホームページなどにより広く都民への広報活動を行ってきました。
 今後とも、国や関係自治体、都民やNPO、事業者と幅広く連携を図りまして、河川や東京湾の水質改善に取り組んでまいります。
   〔下水道局長二村保宏君登壇〕

○下水道局長(二村保宏君) 良好な水環境の創出についてでありますが、大雨のときに、雨水で希釈された汚水の一部が河川などへ流出する量を減らし、水再生センターでの処理量をふやすため、幹線管渠の増強や降雨初期の雨水を一時的にためる貯留池の整備などの対策を実施しております。
 また、ごみや油などの流出を抑制するため、はけ口にろ過スクリーンやオイルフェンスなどを設置しております。
 今後とも、こうした施設整備を着実に推進するとともに、雨水の浸透や貯留などに取り組んでいます区市町村や地域の方々等と連携して、公共用水域の一層の水質改善に努めてまいります。

〇議長(内田茂君) 四十五番三宅茂樹君。
   〔四十五番三宅茂樹君登壇〕

○四十五番(三宅茂樹君) 初めに、地域商業について伺います。
 知事は、昨日の答弁の中で、局をまたぎ、ラインを超えて、縦割り行政を打破していくと明言されました。縦割り行政の打破こそ、なすべき行政改革そのものであります。
 そこで思い起こしたのは、現在の国の審議会で議論されている、いわゆるまちづくり三法における地域商業とまちづくりの問題であります。
 まちづくり三法は、商業施設の立地規制を都市計画法のゾーニングで定め、その上で、大店立地法により周辺環境との調和を図り、中心市街地活性化法で商業集積を再生するというスキームになっており、経済産業省、国土交通省、総務省などが省を超えて総合的に取り組むということになっております。
 しかし、その理念はむなしく虚空を漂い、相変わらずの縦割り行政の中で機能不全に陥っているようであります。
 そうした中で、国はどうあれ、我が党は、東京の伝統ある地域商業を守り抜いていくことをここに表明するとともに、東京都が国と同様の縦割り行政にならぬよう、強く求めるものであります。
 都は、まちづくり三法が機能していないことについて、どのような課題があると認識しているのか、所見を伺います。
 地域社会の重要な担い手は商店街であります。一昨年、江戸開府四百年を記念して、江戸から続く東京の商人の心意気をアピールする、史上最大の商店街まつりが都民広場で開催され、大きな話題を呼びました。単なるお祭り騒ぎではなく、内容的にも、コミュニティの核としての商店街の魅力を多角的に紹介する、充実したイベントでした。
 このイベントのテーマとしても取り上げられましたが、商店街が実施する事業で、環境、福祉、観光など行政課題にマッチし、地域振興やまちづくりへの寄与度の高い事業については、特に強力な支援のスキームをつくるべきであると提案してまいりました。
 都は、来年度、商店街が地域と連携して、まち全体を活性化する事業を支援するとしていますが、どのような支援を実施するのか、伺います。
 東京の地域社会を活力に満ちたまちに再生していくためには、さまざまな活動を通じて、地域経済の活性化やまちづくりに貢献する商店街や、企画力のある商人を正当に評価し、光を当て、一層意欲的な事業に元気に取り組んでもらうことが有効であると考えます。
 都は、来年度、新たに商店街活動への表彰制度を、商店街グランプリと称して創設するとしています。新たな表彰事業の意義と内容について、都の考えを伺います。
 次に、商店街の防犯活動についてお尋ねします。
 我が党の提案により、平成十五年度には都内十四の商店街が、新・元気を出せ商店街事業を活用して、防犯カメラを設置し、大きな反響を呼びました。十六年度からは、この事業は知事本局に所管が移り、都の防犯対策の柱として展開しているところです。
 ところが、十六年度の事業では、あらかじめ区市町村が制定する推進地区でなければ防犯カメラを設置することができず、また、区市町村の所管が産業セクションでないところもあるため、商店街活動への理解や、予算自体も少ないからでしょうか、せっかく商店街が申請しようとしても断られる例もあり、商店街の防犯に対する意欲を減退させています。
 都は、安全・安心なまちづくりに果たす商店街の役割に改めて着目し、円滑な事業執行をしていくよう望みますが、所見を伺います。
 次に、屋外広告物行政についてお尋ねします。
 商店街がさまざまな活動を展開していくためには、商店街組織を強化していくことが必要です。会員を拡充し、会費収入の確保を図るとともに、より計画的、効果的に事業を推進していくため、組織の法人化を進めていくことも重要になっております。そうした努力にあわせて、商店街なりの創意工夫で会費以外の自主財源を確保し、財務基盤の安定化を図る方策を具現化する必要があります。我が党は、昨年の第四回定例会で、商店街の自主財源確保策を支援すべきと提案しました。
 商店街の街路灯は、まちのにぎわいを演出するばかりでなく、先ほども触れましたが、防犯など公共的役割も有しています。ところが、電気料や維持補修費を商店主のみの拠出金で賄っており、街路灯の維持が商店街にとり過重な負担となるところから、商店会を解散し、街路灯を撤去するケースさえあります。補助金に頼らずにこの問題を解決する工夫として、企業のペナント広告掲出などによる広告料収入を充てていくことが考えられます。
 しかし、街路灯への広告掲出については、屋外広告物条例の規制がかかっており、認められるためには、一件ごとに東京都広告物審議会の議を経て、特例として許可をもらわなければならない仕組みになっております。これでは余りに非効率であります。
 私は、区や市の商店街連合会などに、有識者や消費者代表、自治体職員などを交えた自主審査機関を設置し、区域内の商店街の広告掲出についての基準を設け、取りまとめて審査するような方法をとることができれば有効だと思いますが、都市整備局長に所見を伺います。
 商店街の道路には、風俗営業やサラ金などの捨て看板が多く、非常に目立つ状況にあります。これらの違法にはんらんした屋外広告物は、景観を無秩序なものにするだけでなく、青少年の健全育成上の問題があります。違反広告物については、我が党の小美濃議員も指摘してきましたが、捨て看板を撤去しても、イタチごっこが続くだけです。
 こうした現状を踏まえ、規制強化に向けた実効性ある取り組みを講ずるべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、観光振興について伺います。
 海外からの観光客を引きつけるのは、由緒ある歴史的建造物や近代的な高層ビル群などと思われがちですが、最近では、裏通りの町並みや地場産業、地域に根づいた文化や地域住民との触れ合いなども、重要な観光資源としてとらえられるようになってきています。
 先ほど、商店街と地域の連携について伺いましたが、都内では、商店街と周辺の観光施設を組み合わせたウオークラリーや、空き店舗を活用した観光案内など、地域が一体となって魅力を高め、にぎわいを創出している例が数多く見受けられるようになっています。
 今後の観光振興においては、こうした地元商店街の取り組み、地域の特色ある観光資源や地場産業などを生かして、地域が一体となった取り組みを進めていくことが不可欠であると考えます。都はこうした取り組みをどのように支援していくのか、所見を伺います。
 さて、国の規制緩和によって、地域商業に混乱をもたらす問題が生じています。昨年六月、国の卸売市場法が改正され、公営卸売市場の卸・仲卸業者が場外で小売業を営業できるよう規制が緩和されました。これを受け、今定例会で中央卸売市場条例改正が提案され、改正案では、法の改正を踏まえた取引の規制緩和や品質管理の徹底など、さまざまな措置が講じられています。
 これらの措置は、市場経由率の低下や市場業者の経営悪化など、市場が直面する課題に対応して、市場を存続するためにやむを得ないのかもしれません。しかし、今回の規制緩和は、取引の拡大をもたらす一面で、市場の取引秩序に混乱を生じる懸念が大であります。
 都内小売商業統計調査によると、市場の買い出し人であり、地域社会の重要な担い手である生鮮食品の専業小売店は、平成六年に一万六百七十四店あったものが、平成十四年には六千八百八十店へと、八年間で三五%も減少しています。このような厳しい現実を前にして、専業小売店の方々からは、資本力のある卸業者、仲卸業者が市場外に進出した場合は、小売業者の業域が侵されたり、経営に大きな影響が生じるのではないかとの不安の声が寄せられています。
 条例改正案では承認制が採用されていますが、さらなる歯どめの措置を講じてほしいという要望が、我が党に届けられました。
 卸業者、仲卸業者の市場外販売の承認に当たっては、商店街の主要な構成員であり、威勢のよいかけ声で商店街の元気のシンボルでもある、魚屋、八百屋さんなど専業小売店の経営に大きな影響が生じないよう、十分な配慮が必要だと考えますが、所見を伺います。
 また、今回の条例改正は、卸売市場を安全で効率的な流通システムへ転換することを目指したものとのことであります。効率的な流通の実現ということ自体は大事なことでありますが、効率性や利便性を追求し過ぎると、量販店や大口の業務需要者との取引がますます拡大し、専業小売店が東京のまちから死滅してしまい、その結果、市場がトラックターミナル化する懸念もあります。
 公営市場はもう不要との声もありますが、専業小売店にとって唯一ともいえる仕入れの場を提供していくことは、公的に設置された中央卸売市場の重要な役割でもあると考えますが、所見を伺います。
 地域商業にかかわる質問を続けてまいりましたが、最後に、中小企業の生死を左右する金融政策について質問いたします。
 平成十一年、国は、大手十五行に公的資金を注入いたしました。それ以来、国はメガバンクを半ばみずからの監督下に置き、不良債権処理を加速させてきました。その陰で泣かされ続けてきたのが中小企業であることはいうまでもありません。
 知事は、就任の翌年、都民のどぎもを抜く施策を発表しました。銀行税であります。銀行税という発想に驚き、次の瞬間、都民が喝采を送ったのは、メガバンクに対する知事の痛烈な一撃が、納得のゆかぬ国の金融政策に対する都民の思いを揺さぶったからにほかなりません。
 一方で知事は、従来からの制度融資については、預託金額を変更、さらにCLO、CBOやベンチャーファンド、再生ファンドの創設など、これまでとは次元の違う施策を次々と打ち出しました。
 腰を折り、手を伸ばして地域経済の実態に触れていない国の金融政策に比べ、知事のこれまでの一連の金融施策は、東京の中小企業の可能性を信じ、これを育てていこうという信念のあらわれであると、私は素直に評価いたしております。来月の新銀行東京の開業により、東京発の金融革命はまた新たな一歩を踏み出すことになります。
 そこで、新銀行という強力な手段を加え、知事は東京の中小企業金融を今後どのように展開しようとしておられるのか、基本的な考えと熱い思いをお尋ねし、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 三宅茂樹議員の一般質問にお答えいたします。
 金融施策に対する基本的な考え方についてでありますが、東京の産業活力を支えているのはまさに優秀な技術力と人材を抱えた中小企業であります。大手の企業が持っていない技術を持ち、かつまた発想力を持っている企業が、この東京には幸いたくさんございますが、しかし、政府の金融政策の欠陥にさらされて、わずかな融資を得れば立ち直るものが、結局立ち直れずに、立ち枯れて、倒産するような会社が続出しておりました。
 就任以来、ご指摘のように、中小企業に生きた資金を提供するため、CLO、CBO、あるいはファンドの創設などに取り組んできましたが、その総額は一兆に足りない知れたものであります。対象にした会社は、約九千社という数でありますけれども、しかも、その中から三十七、上場する会社が出たというのは、私はちょっと足りないんじゃないかと思ったら、いや、とんでもないって、専門家に怒られましたが、その上場にこぎつけた会社が、実はその融資、わずかな融資を受けるまでは、本当に瀕死の重症で、いつ倒産するかわからない状況にあった。
 ただ、我々が行った融資の額というのは、何億なんというものじゃございません。せいぜい数百万、一千万、二千万というお金ですけれども、それでも、その企業が立ち直って上場まで行った。これはやはり刮目すべき事実でありまして、私はやっぱりそういう実情というものを国にも認識してもらいたいと思います。
 来月開業する新銀行は、地域金融機関を初めとする多様な連携によりまして、やはり信用金庫、信用組合というのは、一番地域の中小企業の実態を知っておられますから、それとの連携によって、従来の金融機関ではできなかった新しい金融を創造していきたいと思っております。
 これら直接、間接金融を通じた施策を総合的に活用しまして、東京の中小企業の潜在力を十分に引き出し、東京、ひいては日本の再生につなげていきたいと思っております。
 ただ、これはやっぱり金融だけではなくて、もう一つ私たちが考えなくちゃいけないのは、中小企業の働いている人材、非常にすぐれた技術というのを持っている人たちが、後継者を欠いて、どんどんどんどん淘汰されていっている。
 先般、私、ベトナムに、アジアの大都市ネットワークのついでに行きまして、向こうに設けられている経済特恵区、そこに進出しているのはほとんど日本の企業でしたけれども、幾つかの工場を見て回りましたが、そういういい方は他国には失礼かもしれませんけれども、ベトナム人というのは、圧倒的に、つまり水準が高い。意欲はある。日本の工場の責任者にいわせても、とにかく工夫をする。それから、在ベトナムの大使にいわせますと、この人は東南アジア専門の方ですが、とにかく水準が高い。まちでろくな靴もはかずに物を売っている子どもたちでも、客が来ないときは本を読んでいるというのは、唯一ベトナムだけだといっていました。
 そういう点で、実は、先般、産業労働局長を現地に送りまして、そういう大規模な企業ではなくて、中小企業の受け入れ対策というものを考えようじゃないか。例えば、アメリカの新しい宇宙船、あるいはロケットの最初のモデルというのは、ご存じでしょうけれども、へら絞りという日本の技術を持っていなかったらできないわけで、その技術の継承者がもういないわけです、だんだん。ならばですね、かつてアメリカと戦って勝ったベトナムが、アメリカの宇宙船、これからのミサイルの最初の試作品の先頭をつくってやるというのは愉快じゃないかといったら、先般、前の市長も来ましたし、うちの局長も行きまして、その交流を具体的にどう進めるかも諮っているところでございます。
 他の質問について、副知事及び関係局長から答弁いたします。
   〔副知事竹花豊君登壇〕

○副知事(竹花豊君) 防犯設備の設置費補助事業についてでございますが、この事業は、安全で安心なまちづくりを早期に実現するため、商店街、町内会、自治会等が防犯カメラ等の防犯設備を自主的に設置しようとする場合に、地元区市町村とともに、その経費の一部を補助するものでございます。
 十六年度におきましては、既に二十二の商店街に対して補助金を交付することにしておりまして、商店街等の地域団体が、それぞれの地域において熱心に防犯活動を進めていただいていることにつきましては、高く評価するとともに、敬意を表したいと存じます。
 また、各区市町村に対しましても、こうした地域団体の活動を支援し、活性化するという立場から、都とともに、この事業の推進に協力していただけるように要請をしておりまして、十七年度も含め、事業の円滑な執行にさらに努力してまいりたいと考えております。
   〔産業労働局長関谷保夫君登壇〕

○産業労働局長(関谷保夫君) 地域商業及び観光振興に関します四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、いわゆるまちづくり三法の課題についてでございますが、中心市街地の活性化や改正都市計画法における特別用途地区の指定は区市町村が主体であるのに対しまして、大店立地法における環境調整は都が担当しており、三法の一貫した運用が難しいこと、中心市街地活性化事業の実施機関であるTMOの組織化に当たりましては、リーダーが見出しにくいこと、また、商業施設立地のゾーニングは地元の意向調整が難しいことなどの課題があると認識しております。
 現在、国の審議会では、まちづくり三法の関連施策につきまして、評価、検討が進められており、夏までに方向性が取りまとめられる予定になってございます。
 都といたしましては、その議論を注視していくとともに、関係局で十分連携をとりながら、適切に対応してまいります。
 次に、商店街と地域との連携事業についてでございますが、商店街では、地域団体や行政と協力し、地域の再生やまちづくりと商店街の活性化を結びつけていく取り組みがふえてございます。
 そこで、都は来年度、商店街が地域の住民や団体等と協議会を設置して地域連携事業に取り組む場合、新・元気を出せ商店街事業の中で、新たなモデル事業として支援を行うことといたしました。申請のあった取り組みの中から、地域の課題解決などに効果の高いものを選定し、専門家を加えた支援チームによるアドバイスを行うなど、関係局とも連携して、地域全体の活性化に資する事業としてまいります。
 次に、商店街活動への表彰制度についてでございますが、すぐれた取り組みを表彰することは、選ばれた商店街の意欲を一層引き出すとともに、商店街同士が切磋琢磨する機運をつくり、より効果的な取り組みを促していく上でも有意義でございます。また、商店街の果たしているさまざまな役割に対し、広く都民の関心を高めることができると考えております。
 実施に当たりましては、有識者を交えた審査会で多面的に審査し、先進的な取り組みや地域貢献度の高い事業など、特にすぐれた内容のものを選考してまいります。さらに、受賞した取り組みにつきましては積極的にPRして、都内商店街全体への普及を図ってまいります。
 最後に、地域における観光振興の支援策についてでございますが、観光振興を図るためには、地域の商店街、地場産業を担う事業者、住民などが一体となって、地域の特性を生かし、魅力を磨き上げる取り組みが不可欠でございます。
 都内各地では、まち案内ボランティア、イルミネーションの設置など、さまざまな取り組みが実施されております。また、モデル事業の上野地区観光まちづくりでは、文化施設や商店街、観光連盟など地域が一体となり、推進組織を立ち上げて取り組んできたことが、回遊性の向上や、にぎわいの創出につながっていると考えております。
 今後、こうしたモデル事業の成果をも生かし、人材育成、推進組織の立ち上げ、各種支援策に関する情報提供など、地域の観光振興を積極的に支援してまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君) 屋外広告物行政に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、商店会による企業広告の自主審査についてでございますが、屋外広告物条例では、道路内の街路灯に広告を出す場合には、個別に都の広告物審議会の議を経て、地元区の特例許可を得る必要がございます。
 広告物審議会の個別審査にかえて、ご提案の商店会による自主審査を行う場合には、その責任範囲の明確化、審査水準の確保、実施後の評価体制の整備などの課題があると考えております。
 今後、都といたしましては、良好な景観形成を図る観点から、これらの課題について検討してまいります。
 次に、違法な捨て看板対策についてでございますが、電柱や道路に見られる捨て看板等については、まちの景観を損ねる、通行を妨げることなどから、屋外広告物条例で設置が禁止されております。条例に基づき区市が撤去する捨て看板等は、年間二百万件を超えているのが実情であります。このため、今回提案している条例改正案では、違反者の氏名を公表するとともに、道路上に捨て看板等を繰り返し設置する者に対し、過料を科すことができることとしております。
 今後、都は、区市と連携し、これらの制度の活用により、道路上の安全確保や景観の向上に努めてまいります。
   〔中央卸売市場長森澤正範君登壇〕

○中央卸売市場長(森澤正範君) 中央卸売市場条例の改正案に関する二つのご質問にお答えいたします。
 まず、卸売業者、仲卸業者による市場外販売の承認についてでございますが、専門小売店が減少する中で、卸・仲卸業者の出店が地域商業の活性化に寄与する場合もあると考えますが、市場の取引秩序に支障となる市場外販売を防止する観点から、都は承認制を導入することといたしたところでございます。
 また、承認の際には、小売業の代表者も構成員となっております市場取引委員会の意見を聞かなければならないこと、この場合において、少数意見にも十分配慮しなければならないことを条例に明記いたしました。
 今後、制度の運用に当たりましては、専業小売店への影響に十分配慮するなど、適切に対応してまいります。
 次に、中央卸売市場の役割についてでございますが、生鮮食料品の円滑な流通を確保し、都民の消費生活の安定を図ることが中央卸売市場の役割であると認識しております。流通経路が多元化する中で、市場が今後とも生鮮食料品流通の基幹的システムとして機能していくためには、取引、物流の両面で効率性を高めることが必要となっております。
 また、地域で生鮮食料品の円滑な流通の一翼を担っている専業小売店の仕入れの場を確保することも、市場の重要な役割でありますので、こうした専業小売店の期待にこたえられるよう、適切な運営に努めてまいります。

○議長(内田茂君) この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後四時二十七分休憩

   午後四時四十一分開議

○議長(内田茂君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 三番村上英子さん。
   〔三番村上英子君登壇〕

○三番(村上英子君) 私は、自由民主党の結びの質問者として、石原知事、教育長並びに関係局長にご質問を申し上げます。
 安全・安心は都政の重要課題です。昨年の国内外の地震と台風により、多くの被害が出たことはまことに悲しいことです。改めて被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げ、一日も早い生活再建をご祈念申し上げます。
 新潟中越大地震発生とともに、東京都はいち早く支援態勢を組み、職員の派遣や生活物資の輸送に努力され、特に東京消防庁が誇るハイパーレスキュー隊の活躍は、瓦れきに埋もれた優太君が救出されたときの感激と感動は忘れることができません。
 備えあれば憂いなし、渋谷消防団では、訓練千回・震災一瞬を合い言葉にしておりますが、今回の災害を教訓としてしっかりと受けとめるべきと考えます。
 我が党の川井議員からの質問にもありましたが、ハイパーレスキュー隊の増強、強化に対し、白谷消防総監よりご同意を得たことは大変うれしく思います。
 昨年十月二十三日の新潟中越地震の死者四十人という被害は記憶に新しいところです。そこで、災害が発生した十月二十三日を防災点検の日にするなどにより、都民がこの災害を長く記憶にとどめ、新潟中越地震の被害や教訓を風化させない取り組みが必要であると考えますが、今後、都としてどのような方策を講じていくのか、お伺いをいたします。
 また、スマトラ地震に見られるように、地震により津波が発生し、不幸にも、海岸などでサーファーや釣り人、観光客などが被害に遭い、数カ月たっても行方がわからない事態が起こることも予想されます。このような場合、行方不明者の捜索は警察、法律上の宣告は裁判所、住民関係の事務は行政で行うなど、事務手続が煩雑で、被害者の家族にとって負担が大きく、わかりにくいのが実情です。
 サーファーや釣り人など、観光客が津波被害に遭わないためにも、島しょでの津波対策を今後どのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。
 次に、まちづくりについてお伺いいたします。
 人がまちをつくり、まちが活気を呼ぶといわれるように、安全・安心、元気できれいなまちづくりは、そこに住む人、働く人、学ぶ人など、英知とエネルギーを結集した協働型まちづくりが必要と考えます。
 政府は、経済効果と地域の活性化を考えて、税制、金融などを中心とした都市再生についての特別措置法を制定いたしました。
 渋谷駅を中心とした地域は、JRを初め私鉄四路線の始発駅ターミナルに加え、バスの発着所を結んだ文化商業都市でもあります。このときに当たり、地下鉄十三号線が、平成十九年度完成を目指し、池袋─渋谷間八・九キロの工事が進行中であります。そして、東急東横線も、正式に、国土交通省認可のもと、この十三号線と相互乗り入れをし、横浜へと運行することになりました。まさに渋谷駅を中心として、都民のために大きく飛躍、発展することが約束されております。
 ところで、政府から都市再生に関する指定を受けるためには、地元、区の努力はもとより、何よりも東京都の支援が不可欠と考えます。私は、さきの定例会の一般質問でも、強く指定方のお願いを申し上げてまいりましたけれども、再度強く重ねてお願いをするところでございます。
 また、放置自転車については、駅前周辺が多く、地元自治体は困惑しております。このことについて、東京メトロ十三号線工事を行っている駅舎に地下駐輪場の設置を進めるべきと思いますが、都としてどのように支援をしていくのか、お答えください。
 次に、建築の高さ制限に関しての質問であります。
 東京都の環境保護条例、そして景観条例は、生活文化の向上にはすばらしい成果を上げているところであります。
 ところで、周辺住民とともに、すべての関係地権者の同意による地域の建築に関する協定で、高さ制限を加えることが法律上可能とされております。また、既に表参道の両沿道は、同意をもってみずからの私有財産に規制を加え、高さを三十メートルまでとする地区計画を定め、地域の環境と緑の保護を達成しているところです。
 今、各地で、教育施設周辺の高層ビル建築をめぐり、建築主と住民との紛争が後を絶たず、地域の環境とコミュニティが破壊されてしまっております。そこで、教育、文化の環境を守るための地域ルールが考えられないか、お伺いをいたします。
 次に、環境問題でもあるハト、ドバト対策について伺います。
 カラス対策に続いて、都がハト対策に乗り出したことは時宜を得た取り組みだと思います。今回いろいろとお伺いする中で驚いたことは、ハトの被害の中に、建物などの汚損のほかに、ふんによる健康被害もあるとの指摘があったことでした。
 これまで、ハトの被害がこのような形で取り上げられることは少なかったと思いますが、ハトの被害に関する都民からの苦情や相談にはどのような傾向があるのか、また、今回の取り組みについてどのような反響があったのか、お伺いをいたします。
 また、都は、ハト・ドバト公害防止対策にえさやり防止を挙げ、上野公園でえさやり防止キャンペーンを開始いたしました。今後、この対策の効果を検証し、全都的な取り組みに拡大することを考えていると聞いております。こうしたことを踏まえ、今後、区市町村との連携をどのように進めようとしているのか、お伺いをいたします。
 次に、中高一貫教育についてですが、現在渋谷区では、都立広尾高校と区立広尾中学校の間で連携教育を実施しており、立地の面でも、かつて東京水産試験場の広大な土地を区分した敷地であり、フェンスで仕切られた隣接校という恵まれた環境で、着実に実績を上げております。
 こうした区立中学校との連携型中高一貫教育の取り組みを広く保護者に理解していただくため、例えば、連携する区立広尾中学校から都立広尾高校へ一定程度の推薦枠を設定するなど、都教委としての支援をすべきと考えますが、いかがでしょうか。
 また、平成十八年度には千代田区立九段中等教育学校が開設いたします。千代田区のこの取り組みは、千代田区のみならず、都内の公立小中学校全体の活性化につながるものと期待しております。都教委はどのように認識されているのか、また、都全体から生徒を受け入れるこの学校の開校に向けての支援策について、教育長のご見解を伺います。
 次に、障害のある生徒の部活動活性化についてお伺いをいたします。
 折しも、ただいま長野県で、スペシャルオリンピックスとして世界じゅうの知的障害者が集まっての競技が行われており、国際交流が図られ、日本選手も大活躍をしております。
 そこで、先日、東京都の知的障害養護学校の生徒によるサッカーの試合を見て、非常に感激をしたところでございます。青少年が一つのことに夢中になり、取り組む姿はすばらしいものだと考えます。このような取り組みなどについて、ぜひ多くの人に理解をしてもらうことが必要であり、知的障害養護学校を初め、障害のある生徒の部活動の活性化を図り、こうした活動を保護者や都民に積極的にPRする必要があると思いますが、ご所見を伺います。
 次に、少子化対策について伺います。
 東京では、合計特殊出生率がとうとう一割を割り込む事態となりました。少子化の要因としてはさまざまなものがありますが、その一つとして、子育てに対する負担感の増大が挙げられています。在宅の夫婦だけで子どもを育てる場合は、夫が会社に行っている日中は子どもと二人で、時には不安を抱えたまま、気分転換を図ることも、買い物に行くことさえままならないのです。
 そこでお伺いをいたします。
 こうした子育てに奮闘している若い親たちの孤立感、不安感を取り除くため、親子が気軽に集える子育てひろばや、親の急な病気などに対応できる一時保育などの在宅サービスを一層充実させ、身近な地域全体で温かく支援していくことが必要と考えますが、ご所見を伺います。
 次に、次世代育成緊急対策総合補助制度について伺います。
 我が党の要請を受け創設したこの制度には、都民から大きな期待が寄せられております。この補助制度で、これまでの懸案であった子育て支援の基盤整備が着実に進み、地域住民からも大いに喜ばれるものとなるよう、区市町村の意向を十分に踏まえ、使いやすい制度とすべきと考えますが、ご所見を伺います。
 次に、介護保険制度改革についてお伺いをいたします。
 現在国会で審議されている改正法案の中で私が注目いたしますのは、軽度の方への給付の見直しです。ヘルパーを家政婦がわりに使うなどの例はもちろん論外です。しかし、要支援、要介護一の方の中には、ひとり暮らしや外出が困難な方など、ヘルパーの手助けがないと日常生活もままならない方もいらっしゃいます。こうした軽度の方に対する最低限の介護や生活支援が切り捨てられるとすれば大いに問題ですが、都はどのように考えているのか、ご所見を伺います。
 また、今回の制度改革では、要介護にならないための予防が重要視されています。私は、これからの超高齢化社会においては、都民一人一人が自覚を持って、主体的に介護予防に取り組むことが大変重要だと考えております。
 そこで、介護予防に対する知事のご所見を伺います。
 最後に、昨日、三月二日、「動揺する思春期の子ども」と題する講座が渋谷区の旧知事公館で開催されたようですが、施設の規模も小さく、大規模な講演会などを開催するのは無理にしても、貴重な都民共有の施設として、このような講座の開催に活用するのは大変有意義なことだと思います。
 本日、私は、震災対策、治安対策、環境問題、まちづくり、福祉保健、教育改革などについて質問をさせていただきましたが、このような都政の重要課題に対する講座などにも旧知事公館を有効に活用することを考えてみたらよいと思います。
 今後の知事公館の活用方についてご所見を伺い、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 村上英子議員の一般質問にお答えいたします。
 介護予防についてでありますが、ある哲学者のアフォリズム、箴言に、人間はだれしも必ず死ぬ、しかし、自分が死ぬということを信じている人間は一人もいないというのがありました。同じように、人はだれしも必ず年をとり、老いていくわけでありまして、これを拒否することのできる人間はいないと思います。
 みずからの老いについて自覚を持つことにより、人生の成熟の時代をより一層充実させることができると思います。つまり、転ばぬ先のつえということでしょうか。
 老いても自分らしく生きることを実現するための有効な手だての一つが介護予防だと思います。みずからの心身を鍛え続けるならば、健康な生活を維持し、また取り戻すことも可能だと思います。一人でも多くの都民が、日常生活の中にトレーニングやバランスのいい食事などを取り入れながら、老いを前向きに迎えていただきたいものだと思っております。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教育に関します三点の質問にお答え申し上げます。
 まず、連携型中高一貫教育校についてでございますが、都立高校と公立中学校によります連携型中高一貫教育校は、都立高校の教育目標に沿った連携校からの一定程度の生徒の受け入れを前提としておりまして、教員の生徒理解や教科指導等の指導力向上などによります学校の活性化や、中学生の高校進学への目的意識の形成などをねらいとしております。
 お話の区立広尾中学校から都立広尾高校への生徒の受け入れにつきましては、連携後初めて中学卒業生の出ます平成十八年度までに具体的に検討してまいります。
 次に、千代田区立九段中等教育学校の設置に係る認識と支援策についてでございます。
 新たな中等教育学校の設置を通しまして、公立学校が互いに刺激を受け合い、切磋琢磨していきますことは、地域住民から信頼される学校づくりの上で重要なことでございまして、広く公教育の充実発展につながるものと認識いたしております。
 都教育委員会としましては、千代田区教育委員会からの要望に基づきまして、入学者の公募から決定に至る手続のノウハウであるとか、あるいは教員の研修、PR活動につきましてアドバイスを行うなど、積極的に支援してまいります。
 最後に、障害のある生徒の部活動についてでございますが、学校における部活動は、生徒の個性、能力の伸長を図りますとともに、豊かな人間関係や、生涯にわたり文化、スポーツに親しむ態度を育成する有意義な教育活動でございます。
 現在、盲・ろう・養護学校等におきましては、生徒の障害の程度や発達段階を踏まえまして、文化、スポーツの部活動が積極的に行われておりますし、こうした活動の成果を保護者や都民に発表する場としまして、総合体育大会や総合文化祭等が開催されております。
 都教育委員会としましては、今年度設置をしました部活動基本問題検討委員会におきまして、障害のある生徒を含め、公立学校における部活動のあり方や活性化のための方策について検討を行っておりますが、お話の部活動の状況を広く都民の皆様に伝えることは重要なことでございますので、広報活動も含めた部活動の総合的な振興策を策定しまして実施をしてまいります。
   〔総務局長赤星經昭君登壇〕

○総務局長(赤星經昭君) 災害対策についての二点の質問にお答えいたします。
 まず、新潟県中越地震を風化させないための方策についてでございますが、都は、地震発生後、直ちにさまざまな人的、物的支援を実施いたしますとともに、現地に十二月に調査団を派遣し、これらにつきまして、間もなく報告書をまとめる予定でございます。今月中に、新潟県へ支援で派遣した職員による報告会も予定しております。
 この支援、調査で得られた教訓につきましては、過去の大地震と同様、地域防災計画や防災訓練など、都の震災対策に生かしてまいります。
 今後、都民の皆さんを対象といたします講演会などでも取り上げ、地震の被害や教訓を風化させないよう努めてまいります。
 次に、島しょの津波対策についてでございますが、津波から身を守るには、地震発生後、速やかに水辺から避難することが重要でございます。今回都が作成いたしました津波浸水予測調査報告書をもとに、既に島しょ町村や関係機関との津波対策連絡会議を開催いたしました。
 津波対策は平成十七年度の重点事業でございまして、今後、大規模地震によります津波災害に備えまして、島しょの町村が実施いたします避難階段や避難誘導用の看板などの施設整備、ハザードマップを作成するための技術指導など、必要な支援を行ってまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君) まちづくりに関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、地下駐輪場設置に対する都の支援についてでございますが、地下鉄駅舎工事にあわせた地下駐輪場は、単独で設置する場合に比べ、事業費が大幅に縮減されるとともに、土地の有効利用が図られます。
 これまでも、大江戸線、半蔵門線などの地下鉄工事に際して、地元区が駐輪場の設置、管理を行い、都はその支援を行うことで、駐輪場の整備を進めてまいりました。
 都といたしましては、地下鉄十三号線工事にあわせた駐輪場の設置についても、設置主体である地元区の意向を把握した上で、技術的支援や国費の導入、鉄道事業者との調整など、必要な支援を行ってまいります。
 次に、教育施設の周辺環境を守る地域ルールについてでございますが、教育施設周辺での環境を守っていくには、教育や環境面に配慮した地域のルールを定め、まちづくりを進めていくことが重要だと思います。
 こうしたまちづくりに当たっては、ご指摘の建築協定のほか、区市町村が主体となり、地域住民の理解を得ながら、建物の高さの限度を定める高度地区や、地区計画などの都市計画制度を有効に活用することが考えられます。
 都は、よりよい地域づくりという観点から、今後とも、区市町村が主体となって進めるまちづくりに技術的支援を行ってまいります。
   〔環境局長平井健一君登壇〕

○環境局長(平井健一君) ハト対策について、二つのご質問にお答えいたします。
 まず、ハト被害に関する都民からの苦情相談や都の対策への反響についてでございますが、都に対しまして、今年度は既に約八百件の苦情や相談が寄せられており、特に、対策を発表いたしましたこの一月から苦情や相談が激増しているという状況にございます。
 その内容は、洗濯物の汚れや建物の汚損などに関するものが多いというのが実情でございますが、ベランダ等に堆積したふんによりまして健康被害を訴えるものもございます。このほか、ハトにえさを与えている人に対して注意をしてほしいとの声も多数届いており、都が開始したハト対策に対する都民の反響といたしましては、大多数が積極的な対策を求めるものでございました。
 次に、区市町村等との連携についてでございますが、ハト被害は地域に密着した問題でございまして、効果的な対策を進めるためには、都民の身近な地域での取り組みが必要と考えております。
 このため、区市町村に対して、ハト被害の現状や対策のノウハウ等に関する情報提供を行い、独自の取り組みが進むよう働きかけているところでございます。
 また、都内の小中学校に対しましては、ポスターを配布するなど普及啓発を進めており、今後、区市町村、関係団体等と連携して、ハト対策が全都的な取り組みとなるよう努めてまいります。
   〔福祉保健局長幸田昭一君登壇〕

○福祉保健局長(幸田昭一君) 少子化対策、介護保険制度に関します三点のご質問にお答えいたします。
 まず、子育て家庭への支援についてでありますが、地域で安心して子どもを産み育てられ、子育ての喜びを実感できる社会の実現のためにも、子育て家庭への支援策を充実することが重要であります。
 都はこれまで、在宅で子育てをしている孤立しがちな親などが交流できる子育てひろばの設置や、親の病気や育児疲れなどの際に利用できますショートステイや一時保育などのさまざまな在宅サービスの拡充を図ってまいりました。
 今後とも、身近な地域での子育て支援策がより一層充実されるよう、区市町村を積極的に支援してまいります。
 次に、次世代育成緊急対策総合補助制度についてでありますが、この補助制度は、次代を担う子どもたちの健全育成を目指し、地域の総力を挙げた取り組みを醸成するための緊急対策として都独自に創設をいたしました。
 補助の内容は、学童クラブなどの子ども施設の安全対策や、ショートステイなどの各種在宅サービス実施のための設備整備費など、区市町村が行う子育て環境整備を幅広く支援していくものであります。
 今後、身近な地域での子育て環境の整備に向けまして、お話のように、区市町村の意向を十分に踏まえながら、本制度がより使いやすいものとなるよう適切に対処してまいります。
 最後に、介護保険制度改革における給付の見直しについてでありますが、要支援などの軽度の要介護者が大幅に増加している状況を踏まえますと、介護予防重視の観点から、こうした方々に対する給付のあり方を見直すことは必要と認識しております。
 要介護状態が軽度であっても、生活援助のニーズを有している場合があることから、都は、こうしたニーズに適切に対応した給付内容となるよう、昨年の四月、そして本年一月の二回にわたりまして、国に対し提案をしてまいりました。
 引き続き、ご指摘の点も含めまして、よりよい制度改革が実現されるよう、国に対し働きかけてまいります。
   〔財務局長松澤敏夫君登壇〕

○財務局長(松澤敏夫君) 旧知事公館の活用についてでございますが、これまで、公共的な目的で使用することを基本に、応接室や会議室を配置している建物の構造や室内仕様、立地など、施設の特性を生かす方向で検討を進めてきたところでございます。
 その結果、今回、建物の一部を利用しまして、都政の重要課題をテーマに都民を対象とする研修、講習、交流の場として、都が暫定的に使用することとしたところでございます。
 こうした利用趣旨に沿いまして、ご指摘のあった点などを検討しながら有効に活用してまいります。

〇議長(内田茂君) 六番鳩山太郎君。
   〔六番鳩山太郎君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○六番(鳩山太郎君) 私は、東京都議会議員最年少の三十歳という立場から、党派の枠にこだわらず、すべての若い世代の立場を代表するつもりで、当選以来この二年間取り組んでまいりました。そうした現場の視点から、平成十七年度予算、環境問題、治安、教育問題について一般質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 先日、総務省から発表されました平成十六年十月一日現在の推計人口では、この一年間の総人口の増加は六万五千人で、増加数、増加率とも戦後最低となり、特に男性は初めて減少に転じるというものでした。また、国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計では、急速に進む少子化の影響により、我が国の総人口は平成十八年をピークに減少過程に入ると予測されています。
 さらに、同研究所の推計は、高齢化の進行と相まって、日本の労働力人口は縮小を続け、今世紀半ばには五〇%台前半にまで落ち込むとしており、次世代の若者一人一人の果たすべき役割や負担は、今後ますます重くなってまいります。
 東京が今後も活力を持ち続け、発展を続けていくためには、次世代の若者たちが夢や希望を持てる、魅力ある都市づくりが急務であり、持続可能な財政体質をつくり、中長期的な視点で将来を見据えて、都政運営を行っていかなければなりません。
 基礎的自治体である特別区や市も、行財政改革を推進し、新たな社会構造の変化、将来の人口構成や行政需要などについて対応すべく、文京区ではNPM予算編成システムを導入し、みずから大胆な組織改革、管理職のマネジメント、経営能力の向上など職員の意識改革に全力で取り組んでおり、さらに十九年度に訪れる団塊の世代の大量退職に伴う退職金の増大にも適切に対応する準備を進めています。
 そこで、平成十七年度予算案について見ますと、都税収入が前年度比八・四%増となる中、政策的経費である一般歳出は一・一%減と、総額の抑制に努め、平成十年度以来七年ぶりに臨時的な財源対策なしに財源の確保がされました。これは、石原知事が就任以来取り組んでこられた財政構造改革による大きな成果があらわれており、東京の将来を見据えた施策に積極的に対応するとともに、引き続き手を緩めることなく財政再建に取り組み、さらに都税の増収を活用して、財政調整基金への積み立てや隠れ借金の圧縮に取り組むなど、将来への備えにも配慮されています。
 都債の発行についても、引き続き抑制をしており、国が歳入の四割以上を国債に依存しているのに対し、都の起債依存度はわずか六%にすぎません。こうした知事の将来を見通した財政運営の姿勢は、まさに次世代の期待にこたえたものと評価させていただきます。
 国の三位一体改革の影響、都区改革制度で残した主要五課題など、乗り越えなければならない課題も山積しておりますが、知事のこれまでの財政構造改革は、今後の地方財政運営における工夫や示唆に富んでおり、全国の自治体の手本となるものと認識しています。
 そこで、地方財政のこれからの進むべき道についてどうお考えか、地方全体を牽引する首都東京の知事の立場から、ご所見をお聞かせいただきたいと思います。
 次に、環境問題について伺います。
 私は、平成十六年第二回定例会の一般質問において、環境問題に取り組むに当たっての知事の基本認識について質問させていただきました。知事は、ルーマニアの作家、コンスタンチン・ゲオルグの、たとえ世界の終末があしたであろうとも、わたしはきょうリンゴの木を植えるという言葉を引用され、それぞれの立場でこの危機を食いとめる志を持つことが必要であると答弁されました。私同様、多くの人が感銘を持ってこのご答弁に聞き入ったと思います。
 昨年は、ヒートアイランド現象の影響もあり、都心区の小中学校では、冷房を設置しなければ体温を上回る教室も出てきたほどの猛暑となりました。地球温暖化は、まさに進行していますが、その対策は、この二月十六日に、京都議定書が締結から七年を経て発効し、世界的な取り組みがようやく本格化したところです。
 この間の日本の現実は、温室効果ガスの排出量は減るどころかふえ続け、平成二年比で八%の増加となっており、我が国の削減義務量六%を達成するためには、一四ポイントもの削減が必要となります。さらに、この削減義務量は、あくまで平成二十四年までのものであり、気候変動を長期的に安定させるためには、温室効果ガスの排出量を半減しなければならないという、大変な取り組みを中長期にわたって続けていかなければなりません。
 政府は、削減義務量六%のうち、三・九%を森林吸収により達成するとの計画を立てていますが、林業経営が困難となり、森林管理が十分行われず、このままでは森林吸収による削減は二・六%にとどまるとの試算を農水省は示しています。六%削減の目標を実現するためには、森林吸収に大きく依存するのではなく、国、自治体、事業者、住民それぞれが、みずから責任を持って取り組みを進めることです。
 石原知事は、これまでも地球温暖化の問題について、この二十一世紀は地球と人類の存続をかけた百年になると発言されてきました。まさに温室効果ガスは、我々一人一人のエネルギー消費などによって排出し続けられているものであり、その削減は、我々自身の取り組みの総意があって初めてなし遂げられるものです。
 京都議定書の発効を受け、都民に対して、ともに地球温暖化阻止へ取り組むよう、改めて明確なメッセージを発するべきと思いますが、知事の所見をお聞かせください。
 東京の二酸化炭素排出量のうち、家庭部門の排出量は四分の一を占めており、その伸びは平成二年比で二三%にもなっています。単身世帯数の増加、大型電化製品の普及拡大などにより、このままでは、ますます家庭からの温室効果ガスの排出は増加し続けます。
 今回、より実効性のある地球温暖化対策の推進を図るため、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の改正案が提出されていますが、その中で、家庭部門対策としてどのような仕組みを取り入れているのか、伺います。
 家庭部門以上に二酸化炭素排出量の伸びが大きい部門に、オフィスビルなどの業務部門があります。東京の業務部門の排出量は、平成二年比で三九%もふえています。旺盛な企業活動は、経済の活性化をもたらす一方、地球温暖化を確実に進めています。経済効率性のみが突出すれば、我々人類を含む全地球上の生物が生存し続けられる環境を維持していくことは不可能になります。いかに経済的な利益につながるとはいえ、エネルギー消費が過剰なものや、自然生態系のサイクルを断ち切るような活動は避けていく姿勢が求められ、自然との共生は、企業の社会的な責任でもあると思います。
 若い世代にとってこれからも安心して住み続けられる東京にしていくためには、自動車産業におけるハイブリッドカーの取り組みに代表されるような、二酸化炭素の排出を半減できる産業構造、社会構造を目指すことで、さらには日本経済を押し上げると考えます。
 今回の条例改正における大規模事業所の二酸化炭素削減の具体的な仕組みと効果について、お聞かせください。
 最後に、治安、教育問題について伺います。
 先日、知事の施政方針表明の中に、治安の問題を掘り下げていくと青少年の問題に突き当たるというご発言がありました。私も大いに共感するところであります。
 東京都では、緊急治安対策本部を設置するなどの取り組みによって、治安回復の兆しが見え始めているとのことであり、来年度も、警察官や交番相談員の増員、警察署の新設、防犯カメラの増設など、さらなる取り組みの強化を図られる点は、大いに評価されるべきでしょう。
 しかし、その一方、少年による犯罪が気がかりです。少年が母校の小学校の教職員を殺傷する痛ましい事件はまだ記憶に新しいところですが、少年犯罪全般について見ますと、この十年間で、全国の少年刑法犯検挙人数は約一・四倍に、東京については、少年の凶悪犯検挙人数が一・九倍に、不良行為少年の補導人員も一・九倍に、それぞれ増加しています。
 今日の子どもたちについては、規範意識や公共心、学ぶ意欲の低下や忍耐力の不足などが指摘され、将来への夢や希望が描けず、社会への参加意識も希薄な若者が多くなり、フリーターの増加や、さらにはニートといわれる若者も出現して、社会問題になっています。
 しかし、若い人々は社会への関心を失っているのではないことは、ボランティア活動などの地元の活動へ参加してみると、よくわかります。
 子どもたちの規範意識をはぐくみ、社会参加への促進や社会活動の保障など、息の長い取り組みと、彼らを取り巻く環境づくりを私たち大人が責任を持って示すことが大事であり、子育て支援など保護者にも支援し、児童虐待や登校拒否が起こらないようにしなければなりません。
 私は、地域活性化も考えた、未利用地を利用した世代を超えた交流事業を検討していますが、時代に合った迅速な政策展開で局を超えた施策で示すことを強く望みます。
 また、都教育委員会では、今後の取り組みの方向を中長期的な視点に立って示す東京都教育ビジョンを昨年策定しております。もとより、教育の根幹は家庭であり、これに加え地域や学校との相互連携が重要になりますが、子どもたちの将来を見据えて策定された東京都教育ビジョンに基づいた十七年度の学校における主な取り組みには、どのようなものがあるのかお伺いいたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 鳩山太郎議員の一般質問にお答えいたします。
 今後の地方財政の進むべき道についてでありますが、それは各地方自治体によって、いろいろ条件も違うと思います。ゆえに、一概にはいえないところもございますが、いずれにしろ、太政官制度以来続いている中央集権という現代性を欠いた政治のスキームに影響を非常にこうむっているわけでありまして、国は、戦後一貫して、みずから配分権を持つ地方交付税や国庫補助金などの財源を通して地方の税財政運営を支配してきました。
 一方で、現在の国家財政は、国税の収入の十二倍にも達している借金を抱えて、まさに破綻寸前であると思います。
 こうした中、今日の地方団体の姿を見ますと、平成十二年度から地方分権一括法がスタートはしましたが、税財源の移譲にはほとんど手をつけられていないこともありまして、相変わらず国の政策に振り回され、国への依存体質から脱却できないまま、みずからの改革努力も不十分な自治体もあるように思えます。
 例を挙げて申しわけありませんが、このごろ新聞でしきりにいわれている大阪市などは、その一つの例なんじゃないんでしょうか。
 都は、不交付団体ということもありまして、これまで、将来を見据えて、みずからの意思と努力で、懸命に財政構造の改革に取り組んできましたが、他の地方も、まずは、みずから血を流す覚悟をいとわずに行財政改革に積極的に取り組むことが不可欠であると。また、それが県民に対する責任の履行の大きな眼目だと思います。
 いわゆる国の三位一体改革に対しても、真の地方の自主自立に向けた制度の確立を目指して、基本論から始めて、地方全体が一丸となって国に対していくべきだと思っております。
 次いで、地球温暖化対策についてでありますが、今になってみますと、私、十数年前に東京で聞きました、例のブラックホールの発見者であるホーキングが、文明の過剰な進展がもたらした非常に不自然で悪い循環が、この地球を多分滅ぼすだろう、それも、宇宙全体の時間から見ればほとんど瞬時に近い将来のことだろうということをいったのを、強く思い出すわけであります。
 干ばつや豪雨の頻発、あるいはヒマラヤの氷河湖の決壊、島しょ国家の水没の危機などに加えて、食糧や水資源をめぐる国際紛争の発生までもが懸念されておりまして、地球温暖化は人類の生存そのものにかかわる喫緊の課題となってきたと思います。
 先月発効した京都議定書は、地球温暖化を阻止するための初めての国際的枠組みでありますが、グローバルな、非常に広範な気候変動に挑む本当に第一歩にすぎないと思います。温室効果ガスの濃度を安定させ、気候変動による深刻な影響を防止するためには、都民を初めとするすべての主体が、早期かつ永続的に温暖化対策に取り組まなくてはならないと思います。
 都は、今回の条例改正により、エネルギーの需給両面にわたる総合的なCO2削減の取り組みを展開するなど、一応先駆的な対策を着実に推進していくつもりでございます。
 今後とも、都は、都民や企業などと連携して、持続可能な社会の構築に向けた、都独自の取り組みを推進し、その成果を全国に発信していきたいと思っております。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 東京都教育ビジョンに基づきます取り組みについてのお尋ねでございますが、児童生徒に日本人としての自覚と誇りを持たせ、社会貢献の精神を身につけさせますことは、我が国の伝統・文化の理解を深める教育活動や奉仕体験活動などを推進することが極めて重要でございます。
 このため、都教育委員会としましては、未来を開く体験発表会を開催しまして、児童生徒の奉仕体験や伝統・文化の継承活動などの成果を広く普及しますとともに、トライ&チャレンジふれあい月間や、都立高校ボランティアの日を設定しまして、養護施設への訪問や環境美化、地域清掃などの活動を推進してまいりました。
 今後、都内の公立学校におきまして、日本の伝統・文化理解教育推進校を指定しますとともに、都立高校におきましては、奉仕体験活動の必修化に向けた研究開発を行うなど、人間性豊かな日本人を育成してまいります。
   〔環境局長平井健一君登壇〕

○環境局長(平井健一君) 地球温暖化に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、地球温暖化に対する家庭部門対策についてですが、今回の条例改正では、家庭部門対策として、二つの新しい制度を創設することとしております。
 まず、大規模マンションの販売広告に、環境性能の表示を義務づけまして、新築マンションの環境配慮の取り組みを促すことといたしました。
 また、家電販売店に、エアコン等の三品目について、省エネ性能の表示を義務づけ、省エネ家電の普及を図ることといたしました。
 これらにより、家庭部門におけるCO2削減を進めてまいります。
 次に、大規模事業所におけるCO2削減についてでございますが、新たな地球温暖化対策計画書制度は、事業者が計画を策定する際に、削減対策指針に基づき取り組むべき対策メニューを都が示すとともに、計画の中間年及び終了時には、成果を評価公表いたしまして、より高いCO2削減目標の設定と、着実な対策の実施を誘導するものでございます。
 本制度は、温暖化対策に積極的な事業者が社会的にも高く評価されることによりまして、事業者に一層のCO2削減努力を促すものでございます。

〇副議長(中山秀雄君) 七番後藤雄一君。
   〔七番後藤雄一君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○七番(後藤雄一君) 火葬場についてお伺いをします。
 東京二十三区には、火葬場が九カ所あります。民間が七カ所、世田谷、目黒、品川、大田、港区が組合をつくって設立した臨海斎場、そして、東京都が財団法人東京都公園協会に業務委託をしている瑞江の葬儀所です。
 私の話で恐縮ですが、昨年暮れ、母が亡くなり、渋谷区にある代々幡の火葬場を利用しました。代々幡の火葬場は、民間の経営です。火葬料金は、普通のクラスで四万八千三百円を支払いました。葬儀について関心を持ち、調べてみると、都営瑞江斎場の火葬料金は、申請者が都民の場合は一万八百円、都民以外の場合は五万四千円です。亡くなられた方が都内に住んでいても、申請者が都外に住んでいた場合には、五倍の料金を請求されます。
 葬儀は、亡くなられた方の地元で行うのが一般的です。亡くなられた方が都内に在住していたら、都民の料金一万八百円が適用されるべきと考えます。
 また、料金表を見ると、七歳を境に、一般でいうところの大人料金、子ども料金の区別がついています。
 政令指定都市を調べたところ、四市は、十二歳を境にしています。東京都も十二歳としてはいかがでしょうか。都民へのサービスと考えて、あわせてお答えください。
 瑞江斎場における火葬料の原価を聞いてみましたら、五万六千九百七十円です。平成十五年度の東京都の赤字補てん分は、二億一千八百万円といいます。火葬場は、市区町村の事業となっており、都道府県で火葬場を持っているのは東京都だけです。葬儀は、亡くなられた方の地元で行うのが一般的であり、瑞江斎場を利用する申請者は、地元の江戸川区、墨田区、江東区、葛飾区の利用が七六%を超えています。
 知事の所信表明にあるように、瑞江の葬儀所も民間に任せる、または地元の自治体に譲り渡すべきと考えますが、知事のお考えをお聞かせください。
 公共工事の不正事件についてお伺いをします。
 二月十八日、港湾局は、式根島野伏漁港の改良工事で、業者から九百四十一万七千円を返還させました。この不正事件には、大島支庁新島出張所の職員が、監督員として、工事写真の捏造に深く関与していたことが、行革一一〇番の調査で判明しています。その上、海洋不法投棄の疑いまで持たれているのです。
 概要です。
 式根島から一通のメールが行革一一〇番に届きました。漁港のしゅんせつ工事で出た砂まじりの岩を海に不法投棄しているというものでした。調べると、平成十六年一月、港湾局は、式根島野伏漁港のしゅんせつ工事を行い、約一万立方メートルの砂まじりの岩をしゅんせつしました。そのまま海に投棄すればよいものを、一度陸揚げし、野伏漁港から数キロにある、村が管理する産業廃棄物一時保管場所に運び込み、仮置きをしました。工事は三月三十日に完了しています。
 (写真を示す)これが、仮置きをした一万立方メートルの砂まじりの岩です。仮置きというのですから、次の利用目的が決まっているはずです。利用目的をお答えください。
 そして、たった三カ月後の六月に、一時保管場所に保管していた約一万立方メートルの砂まじりの岩を海洋投棄することとし、前抗建設と契約を結びました。計画性が全くありません。一度陸揚げした土砂は、産業廃棄物がまざる可能性もあり、再度海洋投棄することを海上保安庁は認めていないといいます。
 そこで、行革一一〇番は、港湾局に工事写真の提出を求めました。写真を一枚ずつ調べると、投棄場所が野伏漁港から十キロ先の新島沖であることを示す写真がありました。この写真です。監督員がGPSを指さしている姿が写っているのです。
 しかし、行革一一〇番が島の方々から野伏漁港の岸壁から目と鼻の先に海洋投棄したと聞いていたので港湾局を追及すると、港湾局は、岸から二百メートルから三百メートルのところに海洋投棄したことを認めました。ということは、この工事写真はでたらめだったのです。なぜ大島支庁新島出張所の監督員が工事写真の捏造に積極的に関与をしたのか、事実経過をあわせてお答えください。
 工事の写真をよく見ると、撮影の日付が入っていません。財務局の監督基準には撮影日は記入しろと明確に書かれているのに、港湾局の監督基準には撮影日の欄が二本線で消されているのです。
 港湾局の工事は天気に左右され、日程どおりに作業ができないので、撮影日は削除したと内部告発がありました。不正を防止するためにも、工事写真には撮影日を記入すべきと考えますが、見解をお伺いします。
 行革一一〇番は、海洋投棄する前に岸壁に積んであった砂まじりの岩の中に鉄筋コンクリートなどがまざっている写真を入手しました。また、野伏漁港のわきにある魚礁付近にも投棄されているというので、一月二十九日、行革一一〇番は、地元のダイバーに頼み、一緒に潜ってもらいました。海底には、工事用のビニールシート、土のう、ワイヤー、ビニールホース、タイヤなどが岩の間に挟まっているのです。水産試験場のダイバーを潜らせ、魚礁の現状を調査すべきだと考えますが、見解を伺います。
 前抗建設は、海上保安庁に、魚礁をつくるとし、投棄地点の変更届を出し、九月十五日から海洋投棄を始めました。実際には七月から始めています。変更届には、深さが二十メートルの海底に四十メートル掛ける二百メートル、高さが二メートルに岩を積み上げ魚礁をつくること、船はアンカーで固定し、岩を投入すること、ダイバーを潜らせることと書かれています。しかし、島の方々は、船はアンカーも打たずに、潮に流されて行ったり来たりして、ただ捨てていたと証言をしています。
 この写真を見てください。これが海洋投棄の状況です。海面は茶色く濁っています。ほとんどが砂です。島の方の目撃証言が正しければ、海上保安庁に提出した変更届もでたらめだったことになります。港湾局の文書は疑ってかかる必要があるようです。事実経過をお答えください。
 また、港湾局の撮影基準には、水中について、規模、構造を明確に把握できるようにすると書かれています。しかし、港湾局によると、海底の工事写真は一枚もないといいます。港湾局は何をもって工事が完了したと判断したのか、伺います。
 今回の砂まじりの岩を投入した地点を調べると、平成十五年度に産業労働局水産課が国の補助金を五〇%入れた魚礁事業をした地点と完全に一致します。つまり、国の補助金を含めて八千万円でつくった魚礁の上に、港湾局は砂まじりの岩を投棄したようです。国の補助金を受けてつくった魚礁は、耐用年数を考慮して三十年間維持すると明記されています。港湾局は産業労働局に相談して海洋投棄をしたのか、事実経過をあわせてお答えください。
 離島港湾部は工事の設計だけを担当し、監督業務はすべて大島支庁に任せています。そして、実行部隊の大島支庁がこの不正行為、不法投棄を行いました。これが離島港湾部で行っている公共事業の実態です。こうした工事執行体制は見直すべきと考えますが、局長の見解をお伺いします。これでは、組織といえません。抜本的に見直すべきです。また、離島港湾部、そして大島支庁に外部監査のメスを入れていただきたいと考えます。知事の見解をお伺いします。
 周囲十二キロの小さな式根島に建設中の都道二三七号線があります。ボックスカルバートというトンネルをつくり、立体交差をつくっているんです。上を走る都道から下の村道におりるために、車いす、自転車でも利用できるようにとスロープをつくっているんです。
 この写真がスロープです。現在、工事中です。幅が二メートル、コンクリートの高さが一番高いところで四メートルあります。長さが九十九メートルです。迂回路の村道を使っても五分もかかりません。だれがこのスロープを使うんでしょうか。島の方々もあきれています。埋め戻すべきと考えます。だれが設計をしたのか、スロープの設計に建設局がどこまでかかわっていたのか、お伺いをします。
 平成十七年度に、スロープの一千万円を含め、延長工事に四千万円を計上しています。利用しない、必要としない道路より、都の公共工事で壊した自然の回復、復元に使うべきです。
 知事の決断がなければ、役人は、むだとわかっていながらも工事を続けるだけです。式根島は自然豊かな島です。都民の財産です。石原知事のことをよく知っている島の方々は、島の自然を知っている石原知事に現状を伝えれば、石原さんならわかってくれるはずだといっていました。知事のお考えをお聞かせください。
 消防庁の査察についてお伺いをします。
 ドン・キホーテの放火事件で消防庁の査察が話題になりました。行革一一〇番が荏原消防署を視察したところ、ベランダや屋上にプレハブの倉庫が建てられていました。このうちの一棟は、廊下とベランダの壁をぶち抜き、新たにドアをつけ、電気、水道、配水の設備、そして冷蔵庫、コーヒーメーカーを置いて、給湯室として利用していました。
 消防庁に問いただすと、査察の指摘事項といいます。消防署にも査察を行ったらばいかがでしょうか。消防総監の見解をお伺いします。
 どうもありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 貴重なご質問、ありがとうございました。
 私は、自分の選挙区でもございましたが、その前に、ヨット乗りとしてもダイバーとしても式根島を本当にこよなく愛している一人でありまして、去年も、新島まで行ったんですけれども、式根へ渡ろうと思ったら珍しく強い西風が夏に吹きまして、船が出せずに終わったんですが、こういうものがあるということは、そのとき島へ上陸していればわかったんでしょうけれども、私の感覚からいったら、無用なことですな。大体、舗装なんか要らない島ですよ、本当。
 それで、アレックス・カーという、日本をこよなく愛して、最後は愛想尽かして外国へ移ったんでしょうか、あの人の「犬と鬼」という非常に不思議な本があるんですけれども、これは日本の土木事業についての非難、分析をしていますけれども、それを聞いて私、驚いたのは、日本で使われるセメントの数というのは、年間、アメリカの倍だそうです、こんなちっぽけな国で。つまり、要らざる工事があちこちにおいて、例えば遠州灘のようにずっと長い海岸線に、要するに上陸するような村がないところにまでテトラをぶち込んで、わけのわからぬ工事をしている。これもその伝でしょうね。
 それから御蔵島なんかも、つくらなくていい道を、とにかく昔そこに住んでいた、海から回ればいいじゃないかと。しけたとき行けないから道をつくった、これは本当に情けない話で──それから、あの魚礁は、あれは非常に浅い海峡でして、明治時代はつながっていたんですね、あそこ、新島と。それが地震で陥没して、非常に浅い海で、あそこに魚礁を埋めたのを私、潜って見ていますけれども、あれは古いバスを持っていって埋めたんですが、これはこれで非常に効果があったんですけれども、しかし、さっき見せられたような、ああいう土砂のまじったものを投棄するというのは、これは言語道断な話でして、それは本当にかたい岩ならば別にそのまま魚礁になりますけれども、これは本当に恥ずべき、何というか、しなくてもいい余計な仕事で、加えてその海上投棄は、私は許せないし、これは厳に調査して、二度とこういうことの行われないように厳重に注意をいたします。
 再発防止のための問題点を洗い出して、適切な工事施工を徹底して行うように指導いたします。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕

○建設局長(岩永勉君) 瑞江葬儀所及び式根島の道路整備についてのご質問にお答えします。
 まず、瑞江葬儀所の火葬料の区分についてでございますけれども、瑞江葬儀所は、昭和十三年に東京市における唯一の公営火葬場として開設し、現在に至っております。
 火葬料の負担区分についての他都市の状況を見てみますと、故人、すなわち亡くなった方を基準とするものや、施設を使用する申請者を基準とするものなど、さまざまでございます。
 現在、都におきましては、施設を使用する申請者に負担をしていただくことを原則としており、その申請者が都民か都民外かで火葬料に差を設けております。また、火葬料については、開設当初は十歳、昭和二十三年からは七歳を基準として、一定の年齢で料金を区分しております。
 次に、瑞江葬儀所のあり方についてでございますけれども、瑞江葬儀所は、昭和十八年に、東京都制の施行に伴い、東京市から東京都に引き継がれ、現在に至っております。瑞江葬儀所のあり方につきましては、第二次都庁改革アクションプランを踏まえ、現在、そのあり方の見直しを行っております。
 次に、式根島の都道の整備についてでございますけれども、まず、この都道の設計でございますけれども、大島支庁が担当し、建設局は、技術指導や予算の執行管理など、包括的な管理を行っております。
 それから、ご指摘のありましたスロープの件でございますけれども、これは都道から五メートル下にあります村道に向かう連絡路として整備するものでございまして、歩行者や自転車利用者のために必要な施設でございます。
 ただ、ご指摘のありました、景観にマッチしていない点など反省すべき材料もございますので、今後、検討してまいります。
   〔港湾局長成田浩君登壇〕

○港湾局長(成田浩君) 公共工事についての七点のご質問にお答えいたします。
 まず、式根島野伏漁港整備工事で発生した岩塊の利用目的についてでございますが、岩塊は、建設資材として有効利用を図るため、一時保管していたところでございます。しかしながら、新島村や地元漁業協同組合から、魚礁としての有効利用の要望が出され、十六年度工事で海洋投入したものでございます。
 次に、工事記録写真についてでございますが、地元漁業協同組合からの要望は、これまでもたびたび変更されており、魚礁設置場所についても変更される可能性があったため、当初設計の場所の撮影を行ったものでございます。請負者は、指示書で投入場所の変更がなされているにもかかわらず、当初設計である十キロメートル地点の工事記録写真を提出いたしました。監督員からは、請負者にこの写真の訂正の指示は行われておりませんでした。
 次に、工事記録写真の撮影日についてでございます。
 写真撮影は、工事記録写真撮影基準に基づき行っており、日付の記入は定められておりませんが、今後、工事記録写真への撮影日記入を検討してまいります。
 次に、岩塊の海洋投入についてでございます。
 港湾局が行った調査では、所定の場所に岩塊を投入するため、アンカーを設置の上、潜水士の指示により施工がなされたことを確認しております。
 次に、工事の完了についてでございますが、海洋投入の目的は、しゅんせつにより発生した岩塊を有効利用することであり、魚礁の形状、寸法までは定めていないため、海底の写真を撮影する必要はございません。また、工事は、定められた数量を所定の場所に投入し、完了しております。
 次に、岩塊の海洋投入場所についてでございますが、産業労働局が設置いたしました魚礁の位置に配慮した上、隣接した場所に魚礁として海洋投入したものであり、産業労働局と協議は行っておりません。
 なお、この投入場所は、地元の漁業組合の強い要望に基づいたものでございます。
 最後に、工事執行体制の見直しについてでございます。
 今回の事態は、工事監督部門における不十分な検討、設計部門のフォローアップの不足、請負者を含めた情報交換や進行管理が十分になされていなかったことなどが重なり、起こったものと考えております。
 既に、港湾局工事執行体制等適正化委員会を設置したところでありまして、今後、厳正な事業執行を図るため、執行体制を見直してまいります。
 なお、投入場所の変更により生じた過払い金については、既に請負者から返還を受けております。
 また、請負者に対しましては、一カ月の指名停止措置をとったところでございます。
   〔産業労働局長関谷保夫君登壇〕

○産業労働局長(関谷保夫君) 産業労働局としての魚礁の現状調査についてでございますが、当局では、従来から、各島の周辺漁場の魚介類や海藻等の状況を継続的に調査をしてございます。
 お尋ねの式根島につきましては、先ほど港湾局長から申し上げましたとおり、港湾局が平成十六年度に投入いたしました近接地に、当局が独自に平成十三年度から平成十六年度にかけて魚礁を設置し、漁場の造成を行ってまいりました。この漁場につきましては、来年度から一部利用が開始されるため、その前に伊勢エビ、海藻など資源の着床状況等につきまして把握する必要がございます。そのため、本年度中に潜水により調査を実施する予定としております。
   〔消防総監白谷祐二君登壇〕

○消防総監(白谷祐二君) 消防署への査察の実施についてでありますが、消防庁舎への立入検査につきましては、各消防署、各消防出張所の庁舎に対しまして、今後とも、定期的に実施いたしますとともに、庁舎の適正な維持管理に努めてまいります。

〇議長(内田茂君) 八番福士敬子さん。
   〔八番福士敬子君登壇〕

○八番(福士敬子君) 中越、スマトラ沖、イラン地震と世界各地で立て続けに地震が発生し、東京でも直下地震が起きるといわれる中で、政府の中央防災会議の専門委員会では、首都直下地震の被害想定を出しました。
 国家予算をはるかに上回る直接間接の経済被害額百十二兆円という予測も、損害想定をしにくい物価の変動その他を加えると、さらに膨らむとのことです。また、死者の想定数一万三千人も、病院機能の低下による死者などは含まれていないそうです。
 これらのほかに、核燃料輸送ほか危険物輸送の被害は想定されていません。しかし、原発を持たない東京でも、核燃料輸送時に、隊列をなした大量の核物質を抱えることになります。
 核燃料の輸送回数は年間で百回以上、単純平均で三日に一回程度、都内の道路を通過しますが、これは陸揚げされたものを発電所に運ぶ数だけです。再処理されたものなどが行き交う場合は、全くわかりません。したがって、現実には、さらに多くの核物質が日常的に都内の道路を走っていることになります。陸揚げは、最近では青海ふ頭も使われ、大江戸温泉でにぎわう近くを核が通り、レインボーブリッジを渡って横須賀へ行くのを確認しております。
 このような核燃料輸送時に直下地震が起き、核物質が漏れ出た場合、地震による被害のみならず、孫子の代まで被害が及ぶ可能性があります。また、被害対策も、単なる火災とはまるで異なる対応が求められます。
 初動対応で被害を抑えるよう、核輸送の実態を関係局はつかんでおいていただくよう、一昨年、私は質問をいたしました。その折のご答弁では、輸送情報は、テロなどに対する安全確保の観点から慎重に取り扱うとしつつも、庁内各局と十分連携をとり、非常時の対応に万全を期すとのことでした。
 しかし、現実には、真っ先に現場に行く各区の消防署などには、相変わらず何も知らされていないようです。JCO事故の際には、消防隊員が放射能漏れを知らず、被曝しました。どのような連携体制となっているのか、伺います。
 また、核燃料に限らず、日常的に実にさまざまな危険物が都内を通過しています。危険物輸送に関する国連勧告では、危険物の表示に関し国際的ルールを示しています。四けたの数字により、危険物の化学物質や発火点がわかるように分類されているものです。
 日本では、海上及び航空はそのルールに従っていますが、なぜか陸上輸送だけは取り入れておりません。そのため、かつて事故のとき、運転者が重体で危険物の中身が不明という例がありました。本来であれば、内容を示すカードを携帯しているはずですが、その運転者は何種類ものカードを持っており、当日運んでいたものを確認するのに手間取ったというものです。
 ことしから、IAEA輸送規則の改正により、輸送従事者への教育訓練が法令上の義務となりました。しかし、施行前のことですが、核燃料輸送車の助手席で、搭乗者が足を窓に乗せているのを見た方もいます。なれというのは怖いものです。都内を通過中の車の事故は、都の関係者及び都民生活に大きな影響を与えます。
 核燃料の場合は、一車両ということはほとんどなく、四台で一隊列とし、前後に伴走車がつき、通常、数隊列で走ります。さまざまな性質の異なる核物質の種類をだれも示せないということはないと思いますが、災害時などで高速道路が破壊されるやもしれません。そのような場合、放水していいもの、悪いものなど、核を含む危険物の内容がわかる表示があれば、警察、消防ともに対応しやすいと思われます。
 核燃料を含む危険物の陸上輸送についても国連の勧告を取り入れるよう、都民の命を預かる都として、早急に国を動かす力を発揮し、申し入れていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 続いて、都内の避難場所は、国有地や民有地など都の関与が難しいところも指定しています。私が住む杉並区では、民間の三井上高井戸グラウンドも指定されていますが、現在そこに六階建てのマンションを建て、その中庭を避難場所にするという動きがあります。発端は、企業がグラウンドの維持管理が大変ということのほか、企業論理が働いているようです。
 しかし、六階のマンションが、火災やそれに伴う熱風を本当に守れるのか、マンションの切れ目から、また、マンションを越えて火の粉が飛んできても、避難場所としての機能が確保できるのか、周辺の人々からも疑問と反対の声が上がっています。
 このような民有地では、開放された空間を保つために、固定資産税の減免など、避難場所の確保策をまず考えるべきではないのか、伺います。
 同様に、杉並区と隣接した警察大学校の跡地も、中野区は開発計画を進めています。杉並区としても、跡地利用計画案に伴う三者合意も無視され、申し入れをしたところです。特に直下地震において都心西部に被害が多いとされている以上、警察大学校跡地は、帰宅困難者が環七沿いに西へ帰る場合の中間地点としても重要な拠点になると思われます。ここは、中野区の中でも数少ない貴重な緑地があり、国有地です。
 昨年三月に都が発表した防災都市づくり推進計画を見ても、各地域で公園不足の記載はあっても、どうするのかという点が不明です。せっかく災害避難場所として指定したものの、指定者の責任はほとんど省みることなく、次々と消えていくのは相手次第というのも、余りにも無責任ではないでしょうか。
 災害避難場所については、指定者の責任として、できる限り公的資産としていくべきだと思いますが、お考えを伺います。
 次に、災害時のペット対応ですが、災害発生後の避難場所では、被災者の心の安らぎも含め、ペットの避難場所の確保など多様な課題がクローズアップされています。
 ペットはもはや家族の一員であり、安らぎ、いやし、コミュニケーションの機会の増加など、ペットとの触れ合いの重要性はますます高まっています。
 とりわけ犬は、近年、年間約二万頭ずつ登録数がふえ、今や都内で三十七万頭が家族とともに暮らしています。
 都立公園での犬の散歩において、犬を飼っている方いない方、双方からのマナーやモラル向上の機会をつくってほしいとの意見により、現在、二つの公園でドッグランが開設されています。さらに、今後、他の公園でも開設計画があると聞いています。
 そこで、災害時のペットの避難場所としてドッグランの広場を活用できれば、被災者の心の安らぎと健康面に有効と思います。このことは、昨年三月質問したときに、意見として申し述べました。
 地方と異なり、都会のペットの災害対策は野放しにできない状況になっています。ペットの種類もさまざまです。災害対策の一環として、ドッグランの各施設の活用を工夫してはどうかと思います。お考えを伺います。
 また、都立公園でのドッグランは、都民のボランティアの理解と協力により運営されています。さらに、しつけ教室やマナー教室を運営しているNPOなどの団体が活動し、効果が出てきていると聞いています。これらの団体に、各施設でのペットの管理運営などの対策をお願いできるのではないかと思います。いかがでしょうか。伺って、次に移ります。
 二〇〇五年度の予算案は、思いがけない増収があり、補正も含め、二〇〇四年度当初比で約六千億円税収増になりました。知事は追い風参考記録といわれましたが、むしろ棚からぼたもち予算の感があります。したがって、新年度も緊縮予算の方向は是とします。しかし、緊縮体制にありながら、首都高速道路の中央環状品川線の建設費約四千億円のうちの二千億円を、今後、都が担うとされています。
 現在、低所得の高齢者や障害者など、社会保障として行政が担うべき分野まで、自立、自己負担をいや応なく押しつけている現状があります。そのような中で、首都高速道路公団の仕事まで、二千億円もかけてなぜ都が肩がわりするのか、その目的をお聞かせください。
 また、将来的には、日本全体のみならず、主要先進国も含め緩やかな人口減となっていく中で、この事業の経済効果をどのようにとらえているのか、将来的見通しも含めてお伺いいたします。
 次に、昨年十一月に出された東京都特別支援教育推進計画の中で、現在十一舎ある寄宿舎を五舎に再編整備することが打ち出されました。
 現在の寄宿舎は通学困難者の対策となっているため、通学バスがふえ、対象者が減っているのは事実です。しかし、寄宿舎に入った子どもたちは、親元を離れ、同じ仲間たちと生活することで自立につながったというお話を多々聞き及んでいます。
 障害児の保護者たちが心配される中に、親なき後ということがあります。現在、福祉保健局ではグループホームなどの施設づくりを進めておられますが、建物があっても、そこに入り、自立して暮らせるかということが重要なかぎを握ります。
 私も、昨年九月の文教委員会の中で、福祉保健局との連携を提案し、予算のマイナスシーリングが続く今だからこそ、グループホームや自立したアパート暮らしにつながるような施策として、福祉保健局とともに寄宿舎の存在価値を考え直すよう申し上げてまいりましたが、否定されています。
 現在、寄宿舎の統廃合と並行して、学校内の生活訓練施設が整備されています。しかし、こちらは短期訓練で、真の意味での生活自立にどこまで結びつくのか、疑問に思います。新たに似たような制度をつくり、施設建設や改修をすることがスクラップ・アンド・ビルドとはいえません。
 また、災害時における体育館などでの避難生活は、障害者の場合、一層の苦痛と思われます。寄宿舎が健在なら、災害時の避難場所としても最適だと思われます。
 今ある施設を最大限活用する方法を、局間連携で進めるべきだと思います。単に統廃合だけが行政改革とはいえず、今後は、寄宿舎の弾力的な活用も含め、生きた生活訓練の充実を図る必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 最後に、災害対策としては、防災プロジェクトとしての局間連携のほか、避難場所確保その他、都民の視点からの局間連携が重要です。
 また、寄宿舎の件に限らず、一定目的でつくられている施設や制度が疲労すると、すぐに廃止の方向でしかとらえられていないのが現状です。
 ちょっと話が飛んで恐縮ですが、昨年、私が質問した都立公園などの福祉目的利用についてもいえることですが、同じ団体内で、障害者は無料、認知症の方は付き添いの方も含め有料という矛盾に目を向け、都民の利便性を向上させることを優先課題とすべきと思います。
 行政改革といえば、指定管理者制度や民間への外部委託に限らず、事業により、わずかな金額でも局間の連携さえあれば、矛盾も、納税者である都民の不満も解消することができるものは多々見受けられます。目的枠をもう少し広げることで、問題がなければ、局間の連携で生きる施策はさまざま考えられます。
 知事を初めいろいろな方々が、局の壁を打破し局間連携をといわれ、また先般の監査報告でも、各局の連携についてご注意がありました。局間連携には、やわらかな発想と、局自身、連携の必要性をキャッチするアンテナが求められます。これを進めるためには、知事の強いリーダーシップにより、まず各局の意識を真に変えることが重要だと考えます。
 最後に知事のお考えを伺います。
 今回は再質問の時間がございません。各局の真摯なご答弁を期待いたします。よろしくお願いいたします。
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 福士敬子議員の一般質問にお答えいたします。
 局間連携を進めるための意識改革についてでありますが、これはもう至極当然のことでございます。行政が扱うすべての物事は複合的、重層的でありまして、硬直したライン、ラインで事が処せるものでは決してございません。
 ゆえに、知事本部というのがありましたが、これを本局にしまして、内閣における官房というような形で機能させておりますが、まだまだ及ばぬところがございます。私の知らないうちに随分いろいろなことが行われることがございまして、都政が直面している課題を解決するには、局の壁を超えて横断的、総合的に取り組まなければならないとも自戒しております。
 そのためにも、各部局が全庁的な視点に立ち、相互に連携を図るという意識を持って行政の効率化を進めることが重要であると思います。
 都民の負託にこたえるため、今後とも都庁の改革に懸命に取り組んでいくつもりでございます。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 盲・ろう・養護学校における生活訓練の充実についてのお尋ねでございますが、障害のある児童生徒に対する基本的な生活習慣や集団適応能力の伸長は、盲・ろう・養護学校における重要な指導内容でございますので、これまでもすべての盲・ろう・養護学校におきまして個別指導計画を作成し、生活指導や宿泊行事を通して、身辺処理や好ましい人間関係の構築ができる能力の向上を図っております。
 今後ともこうした指導を充実しますとともに、寄宿舎が設置されている学校以外の児童生徒であっても、長期休業期間中に施設利用ができるようにするなど、寄宿舎の活用方法についても検討を行っているところでございます。
   〔総務局長赤星經昭君登壇〕

○総務局長(赤星經昭君) 核燃料輸送についての二点の質問にお答え申し上げます。
 まず、庁内連絡体制でございますけれども、核燃料の輸送中に万が一事故が発生いたしました場合には、国が速やかに対策会議を開催して必要な措置を実施し、都は、国や区市町村と相互に連携して、住民の避難誘導などの安全確保対策を講じます。
 都では、昨年NBC災害対処マニュアルを作成いたしまして、核物質によります災害が発生した場合の通報連絡体制の整備、現地におきます連絡調整所の設置など、各局及び警察、消防、自衛隊を初めといたしました各機関との一層の連携強化に努めております。
 今後とも、国や関係機関と十分に連携し、核物質による災害への対応に万全を期してまいります。
 次に、陸上輸送に関します表示についてでございますが、核燃料など危険物の陸上輸送につきましては、法令に基づき、輸送容器の見やすい箇所に危険物の内容を明記して標識を表示することが義務づけられております。
 また、核燃料の輸送に当たりましては、輸送容器に表示するだけでなく、輸送車両にも放射性物質を示す三つ葉マークが表示されております。
 したがいまして、陸上輸送に関する表示について、国に申し入れることは考えておりません。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、固定資産税の減免などによる避難場所の確保策についてでございますが、周辺市街地の大火による輻射熱などに対し安全とされている避難場所は、現在、区部で百七十カ所、総面積で約五千八百ヘクタールを都が指定しております。
 このうち、面積の八割は公園や河川敷などの公共用地でありますが、残る二割の民有地は、土地所有者等の協力を得て、大学用地や寺社境内などを指定しているのが現状でございます。
 したがいまして、民有地における避難場所の指定は、土地所有者の自由な土地活用を拘束するものではなく、お話の税の優遇措置などでは、必ずしも避難場所を確実に担保することにはつながらないと考えます。
 都といたしましては、今後とも、土地所有者の理解と協力を得て、避難場所の確保に努めてまいります。
 次に、避難場所を公的資産とすることについてでございますが、これらの民有地を公的資産にするには、多大な資金が必要となり、財政的な面からも現実的ではないと考えております。
 都といたしましては、これまで進めてきたような再開発や区画整理、木密事業、大規模な民間プロジェクトなどを推進する中で、逃げなくても済むような安全な地区を拡大するとともに、避難場所周辺の建物の不燃化などを促進し、安全な都市づくりに努めてまいります。
 次に、都が中央環状品川線の整備を行う目的についてでございますが、品川線は首都圏の人や物の流れを円滑にし、都市再生を図る上で重要な路線であり、その整備効果は極めて高く、一日も早い整備が必要でございます。
 公団民営化後の新会社が事業に着手するのは、早くとも平成十八年度以降であり、これを待っていたのでは都市再生におくれが生じ、経済活動や都民生活に重大な損失を及ぼすものと考えます。
 こうしたことから、都は、品川線を有料道路事業に先駆け、街路事業で整備することとし、その早期完成を目指します。
 最後に、品川線の経済効果についてでございますが、品川線の完成により、首都高速道路ネットワークが形成され、走行時間の短縮や走行経費の節減など、直接的な経済便益だけでなく、環境への負荷を低減する効果も期待されております。
 今後、人口は緩やかに減少するものの、首都圏の都市活動は依然として旺盛であることなどから、自動車交通量は増加傾向にあると予測されております。これらのことから、品川線の経済効果の推計は、適切であると考えております。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕

○建設局長(岩永勉君) 災害時のペットの対応に関する二点の質問にお答えします。
 まず、災害時のドッグラン施設の活用についてでありますが、都は平成十五年に修正した地域防災計画で、災害時における動物の保護について、区市町村や東京都獣医師会など、関係団体との協力体制を確立することとしております。
 ご指摘のドッグラン施設の活用につきましては、災害発生時にペットの避難場所を管理する区市町村と、今後調整を図ってまいります。
 次に、災害発生後のペットの管理についてでございますが、ペットの避難場所の設置や管理については、区市町村が中心となり、行っていくものでございます。
 ドッグランにおいて活動しているボランティアなどが区市町村と連携をとり、その実績を生かして、災害時に活動できれば意義あることと考えております。

○議長(内田茂君) 以上をもって質問は終わりました。

〇議長(内田茂君) これより日程に入ります。
 日程第一から第百四十七まで、第一号議案、平成十七年度東京都一般会計予算外議案百四十四件、諮問一件、専決一件を一括議題といたします。
 本案に関し、提案理由の説明を求めます。
 副知事福永正通君。
   〔副知事福永正通君登壇〕

○副知事(福永正通君) ただいま上程になりました百四十五議案及び諮問並びに専決についてご説明申し上げます。
 まず、第一号議案から第三十号議案までは平成十七年度当初予算でございまして、一般会計、特別会計、公営企業会計を合わせた三十会計で、総額十二兆五千三百九十九億円となっております。
 第一号議案は、一般会計予算で、総額五兆八千五百四十億円を計上いたしております。
 歳出予算の主な内訳は、教育と文化九千三百五十五億円、警察と消防八千四百六十四億円、福祉と保健七千二百七十五億円となっております。
 次に、歳入予算の主な内訳でございますが、歳入の大宗を占める都税収入は四兆二千五百八億円となっております。
 平成十七年度予算は、都税の増収を改革の好機ととらえ、財政構造改革に積極的に取り組んだ結果、臨時的な財源対策を行うことなく、当初予算を編成することができました。
 次に、第二号議案から第十九号議案までの十八議案は特別会計予算で、それぞれの事業に必要な経費として、総額四兆五千六百八十七億円を計上いたしております。
 次に、第二十号議案から第三十号議案までの十一議案は公営企業会計予算で、病院、交通、水道、下水道などの経営に要する費用として、総額二兆一千百七十二億円を計上いたしております。
 次に、第三十一号議案から第百二十五号議案までの九十五議案は条例案で、新設の条例が七件、全部を改正する条例が一件、一部を改正する条例が八十五件、廃止する条例が二件となっております。
 まず、新設の条例についてご説明を申し上げます。
 第四十五号議案、東京都国民保護対策本部及び緊急対処事態対策本部条例は、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律、いわゆる国民保護法の施行に伴い、両対策本部に関する組織、職務、会議及び現地対策本部の設置等についての規定を定めるものでございます。
 第九十四号議案、東京都薬物の濫用防止に関する条例は、都内において薬物の乱用が拡大し、深刻化している状況を踏まえ、薬物の乱用から都民の健康と安全を守るとともに、平穏かつ安心して暮らせる健全な社会の実現を図るため具体的な方策を推進するため、条例を制定するものでございます。
 このほか、平成十六年度分の都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関するものなど、新設の条例は七件でございます。
 次に、全部を改正する条例でございます。
 第五十八号議案の東京都育英資金条例は、国の高校奨学金事業が平成十七年度に地方移管されることに伴い、都の育英資金貸付事業全体を再構築し、事業実施主体を都から公益法人に移し、法人への支援を行うとともに、国の制度との整合を図るため、全部を改正いたすものでございます。
 次に、一部を改正する条例でございます。
 まず、第五十号議案の東京都都税条例の一部を改正する条例は、商業地等の固定資産税及び都市計画税について負担水準の不均衡を是正し、過大な税負担を緩和するため、負担水準が六五%を超える場合、六五%の水準まで税額を減額する措置を講じるものでございます。
 また、小規模住宅用地に係る都市計画税を二分の一とする軽減措置を平成十七年度においても継続するなどの改正を行うものでございます。
 第五十二号議案の東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例は、大人が責任を持って青少年を保護し、育成するとともに、青少年を危険から守るため、新たにインターネットの有害情報への対応、青少年の性に対するかかわり方、青少年に対する保護者の責務の規定を設けるほか、規定を整備するものでございます。
 このほか、住民間の負担の公平を図る観点などから、使用料、手数料の改定等を行うもの、指定管理者制度の導入を行うもの、都職員の定数を改めるもの、法令等の改正に伴い規定を整備するものなど、一部を改正する条例は合計で八十五件となっております。
 次に、廃止する条例は二件ございます。
 次に、第百二十六号議案から第百三十二号議案までが契約案で、都営住宅建設工事など合計七件、契約金額は総額で約百三十三億五千万円となっております。
 次に、第百三十三号議案から第百三十六号議案までの四件が事件案でございます。
 このうち第百三十三号議案は、地方自治法の規定に基づき、包括外部監査契約を締結するものでございます。
 次に、第百三十七号議案から第百四十五号議案までの九議案は平成十六年度最終補正予算で、一般会計、特別会計、公営企業会計を合わせまして、五千二百五十七億円を計上いたしております。
 次に、諮問でございます。
 介護老人福祉施設の利用不承認通知について審査請求がありましたので、地方自治法第二百四十四条の四の規定に基づき、諮問するものでございます。
 次に、専決でございます。
 閉会中に専決処分した平成十六年度東京都一般会計補正予算(第一号)の報告及び承認を求めるものでございます。
 上程になりました百四十五議案及び諮問並びに専決についての説明は以上でございますが、このほか人事案を送付いたしております。
 まず、東京都収用委員会委員でございます。
 三月三十一日に任期満了となります坂井利夫氏の後任には、鎌田薫氏を任命いたしたいと存じます。熊澤光司氏につきましては、再任いたしたいと存じます。
 次に、東京都収用委員会予備委員で、三月三十一日に任期満了となります池田眞朗氏、早川通治氏、金岡昭氏の各氏については再任いたしたいと存じます。
 同意につきまして、よろしくお願いいたします。
 以上で説明を終わります。
 よろしくご審議をお願いいたします。

○議長(内田茂君) 以上をもって提案理由の説明は終わりました。
 なお、本案中、地方公務員法第五条第二項の規定に該当する議案及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律第五十五条第四項の規定に該当する議案については、あらかじめ人事委員会及び教育委員会の意見をそれぞれ徴しておきました。
 議事部長をして報告いたさせます。

○議事部長(谷村隆君) 人事委員会の回答は、第三十七号議案から第三十九号議案、第四十一号議案、第四十二号議案、第四十四号議案及び第六十号議案について、いずれも異議はないとの意見であります。
 また、教育委員会の回答は、第六十六号議案について、異議はないとの意見であります。

一六人委任第一五五号
平成十七年二月二十二日
東京都人事委員会委員長 内田 公三
 東京都議会議長 内田  茂殿
   「職員に関する条例」に対する人事委員会の意見聴取について(回答)
 平成十七年二月十六日付一六議事第四一一号をもって照会があった議案に係る人事委員会の意見は、左記のとおりです。
       記
提出議案
一 第三十七号議案
職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
二 第三十八号議案
東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
三 第三十九号議案
東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
四 第四十一号議案
東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
五 第四十二号議案
職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
六 第四十四号議案
災害派遣手当の支給に関する条例の一部を改正する条例
七 第六十号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
 意見
異議ありません。

一六教生計第二三八七号
平成十七年二月二十一日
   東京都教育委員会委員長 木村  孟
 東京都議会議長 内田  茂様
   「都道府県教育委員会の権限に属する事務の一部を、市町村が処理することとする条例」に対する教育委員会の意見について(回答)
 平成十七年二月十六日付一六議事第四一二号をもって照会があった議案に係る教育委員会の意見は左記のとおりです。
       記
一 提出議案
第六十六号議案 東京都文化財保護条例の一部を改正する条例
二 意見
  異議ありません。

○六十七番(近藤やよい君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議案のうち、日程第一から第三十までについては、三十九人の委員をもって構成する予算特別委員会を設置し、これに付託されることを望みます。

○議長(内田茂君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、日程第一から第三十までは、三十九人の委員をもって構成する予算特別委員会を設置し、これに付託することに決定いたしました。
 委員は、委員会条例第五条第一項の規定により、議長から、お手元に配布の名簿のとおり指名いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、委員は、お手元に配布の名簿のとおり選任することに決定いたしました。

  予算特別委員名簿
東村 邦浩君(公)  矢島 千秋君(自)
相川  博君(民)  野上じゅん子君(公)
小美濃安弘君(自)  臼井  孝君(自)
林田  武君(自)  柿沢 未途君(民)
初鹿 明博君(民)  清水ひで子君(共)
藤井  一君(公)  野島 善司君(自)
真鍋よしゆき君(自) 吉野 利明君(自)
こいそ 明君(自)  大塚 隆朗君(民)
古館 和憲君(共)  森田 安孝君(公)
石川 芳昭君(公)  倉林 辰雄君(自)
鈴木あきまさ君(自) 近藤やよい君(自)
中屋 文孝君(自)  樺山たかし君(自)
中村 明彦君(民)  和田 宗春君(民)
池田 梅夫君(共)  大木田 守君(公)
前島信次郎君(公)  高島なおき君(自)
服部ゆくお君(自)  清原錬太郎君(自)
大河原雅子君(ネ)  曽根はじめ君(共)
中嶋 義雄君(公)  野田 和男君(自)
藤田 愛子君(ネ)  富田 俊正君(民)
吉田 信夫君(共)

○議長(内田茂君) なお、本日の本会議終了後、役員互選のため、委員会を本議場に招集いたしますので、ご了承願います。

○議長(内田茂君) お諮りいたします。
 ただいま議題となっております日程第三十一から第百四十七までは、お手元に配布の議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、日程第三十一から第百四十七までは、議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。
(別冊参照)

○議長(内田茂君) これより追加日程に入ります。
 追加日程第一及び第二、東京都収用委員会委員の任命の同意について二件を一括議題といたします。
   〔谷村議事部長朗読〕
一、東京都収用委員会委員の任命の同意について二件

一六財主議第五八五号
平成十七年二月二十三日
         東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 内田  茂殿
   東京都収用委員会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、東京都収用委員会委員坂井利夫は平成十七年三月三十一日任期満了となるため、後任として左記の者を任命したいので、土地収用法第五十二条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     鎌田  薫

      略歴
現住所 東京都府中市
鎌田  薫
昭和二十三年一月十八日生(五十七歳)
昭和四十五年三月 早稲田大学第一法学部卒業
昭和四十七年三月 早稲田大学大学院法学研究科修士課程修了
昭和四十八年四月 早稲田大学法学部助手
昭和五十一年四月 早稲田大学法学部専任講師
昭和五十三年四月 早稲田大学法学部助教授
昭和五十六年十月 日本土地法学会理事
昭和五十八年四月 早稲田大学法学部教授
平成四年五月   社団法人日本都市計画学会理事
平成七年十一月  臨時大深度地下利用調査会委員
平成八年五月   社団法人日本都市計画学会評議員
平成八年十月   金融法学会理事
平成九年十一月  医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構評議員
平成九年十二月  財団法人医薬情報担当者教育センター理事
平成十年十二月  法務省法制審議会民法部会委員
         法務省法制審議会倒産法部会委員
平成十一年四月  日仏法学会理事
平成十一年七月  財団法人民事法務協会理事
平成十三年一月  法務省法制審議会臨時委員
平成十三年一月  厚生労働省薬事・食品衛生審議会臨時委員
平成十三年三月  経済産業省産業構造審議会臨時委員
平成十三年四月  財団法人日弁連法務研究財団評議員
平成十三年七月  東京都収用委員会予備委員(12/19~31まで委員)
平成十五年六月  司法修習委員会委員(委員長代理)
平成十五年十月  法制審議会不動産登記法部会長
平成十六年三月  法制審議会人名用漢字部会長
平成十六年四月  日本さい帯血バンクネットワーク会長
現在       早稲田大学法学部教授

一六財主議第五八六号
平成十七年二月二十三日
         東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 内田  茂殿
   東京都収用委員会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成十七年三月三十一日任期満了となるため、再び任命したいので、土地収用法第五十二条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     熊澤 光司

      略歴
現住所 神奈川県茅ヶ崎市
熊澤 光司
昭和十八年十二月二十八日生(六十一歳)
昭和四十三年三月 早稲田大学第一法学部卒業
昭和四十三年四月 財団法人日本不動産研究所入所
昭和四十七年三月 不動産鑑定士登録
平成六年七月   地価公示東京都区部第二分科会幹事
平成七年四月   地価調査東京都区部第二分科会幹事
平成七年十一月  東京都財産価格審議会委員
平成十一年三月  社団法人東京都不動産鑑定士協会副会長
平成十二年三月  社団法人全国市街地再開発協会債務保証審査会委員
平成十三年九月  年金資金運用基金保養基地資産処分検討委員会委員
平成十四年四月  東京都収用委員会委員
現在       不動産鑑定士

○議長(内田茂君) 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、いずれも知事の任命に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(内田茂君) 起立多数と認めます。よって、本件は、いずれも知事の任命に同意することに決定いたしました。

○議長(内田茂君) 追加日程第三から第五まで、東京都収用委員会予備委員の任命の同意について三件を一括議題といたします。
   〔谷村議事部長朗読〕
一、東京都収用委員会予備委員の任命の同意について三件

一六財主議第五八七号
平成十七年二月二十三日
         東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 内田  茂殿
   東京都収用委員会予備委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成十七年三月三十一日任期満了となるため、再び任命したいので、土地収用法第五十二条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     池田 眞朗

      略歴
現住所 東京都港区
池田 眞朗
昭和二十四年五月十一日生(五十五歳)
昭和四十八年三月 慶應義塾大学経済学部卒業
昭和五十年四月  慶應義塾大学法学部助手
昭和五十三年三月 慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程終了
昭和五十三年四月 慶應義塾大学法学部専任講師
昭和五十八年四月 慶應義塾大学法学部助教授
平成元年四月   慶應義塾大学法学部教授
平成三年四月   国土庁不動産鑑定士試験第二次試験委員
平成八年一月   法務省司法試験第二次試験考査委員
平成十一年五月  法務省法制審議会民法部会委員
平成十三年二月  経済産業省産業構造審議会臨時委員
平成十三年七月  東京都収用委員会予備委員
平成十四年一月  東京都収用委員会委員
平成十四年四月  東京都収用委員会予備委員
現在       慶應義塾大学法学部教授

一六財主議第五八八号
平成十七年二月二十三日
         東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 内田  茂殿
   東京都収用委員会予備委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成十七年三月三十一日任期満了となるため、再び任命したいので、土地収用法第五十二条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     早川 通治

      略歴
現住所 千葉県白井市
早川 通治
昭和二十二年一月十九日生(五十八歳)
昭和四十四年三月 早稲田大学第一商学部卒業
昭和四十四年四月 株式会社樫山入社
昭和四十四年六月 同社退社
昭和四十六年四月 株式会社中央不動産鑑定所入社
昭和五十年三月  不動産鑑定士登録
昭和五十七年四月 同社千葉支所長
昭和六十三年二月 同社取締役千葉支所長
平成三年四月   同社取締役業務部長
平成九年一月   同社常務取締役
平成十一年四月  社団法人不動産鑑定士協会業務推進委員会委員
平成十四年四月  東京都収用委員会予備委員
平成十六年四月  同社代表取締役社長
現在       不動産鑑定士

一六財主議第五八九号
平成十七年二月二十三日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 内田  茂殿
   東京都収用委員会予備委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成十七年三月三十一日任期満了となるため、再び任命したいので、土地収用法第五十二条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     金岡  昭

      略歴
現住所 埼玉県入間郡大井町
金岡  昭
昭和十六年五月十七日生(六十三歳)
昭和四十年三月  島根大学文理学部卒業
昭和四十年四月  入都
昭和四十九年四月 司法修習終了
昭和五十年七月  東京都総務局法務部法務副主幹
昭和五十五年七月 東京都総務局法務部民事訟務課長
昭和六十年八月  東京都総務局主幹
平成四年七月   東京都総務局訟務担当部長
平成六年七月   東京都総務局審査法務担当部長
平成八年七月   東京都総務局法務部長
平成十三年七月  東京都退職
平成十三年八月  弁護士登録
平成十四年四月  東京都収用委員会予備委員
現在       弁護士

○議長(内田茂君) 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、いずれも知事の任命に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(内田茂君) 起立多数と認めます。よって、本件は、いずれも知事の任命に同意することに決定いたしました。

○議長(内田茂君) 請願及び陳情の付託について申し上げます。
 受理いたしました請願四件及び陳情十件は、お手元に配布の請願・陳情付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
(別冊参照)

○議長(内田茂君) お諮りいたします。
 明四日から八日まで五日間、委員会審査のため休会いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、明四日から八日まで五日間、委員会審査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、三月九日午後一時に開きます。
 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後六時二十九分散会

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