平成十七年東京都議会会議録第二号

平成十七年三月一日(火曜日)
 出席議員(百十六名)
一番谷村 孝彦君
二番東村 邦浩君
三番村上 英子君
四番秋田 一郎君
五番矢島 千秋君
六番鳩山 太郎君
七番後藤 雄一君
八番福士 敬子君
九番林  知二君
十番伊沢けい子君
十二番相川  博君
十三番山下 太郎君
十五番河野百合恵君
十六番長橋 桂一君
十七番小磯 善彦君
十八番野上じゅん子君
二十一番高橋かずみ君
二十二番山加 朱美君
二十三番小美濃安弘君
二十四番吉原  修君
二十五番山田 忠昭君
二十六番臼井  孝君
二十七番林田  武君
二十九番山口 文江君
三十番柿沢 未途君
三十一番初鹿 明博君
三十二番酒井 大史君
三十三番清水ひで子君
三十四番かち佳代子君
三十五番小松 恭子君
三十六番東野 秀平君
三十七番藤井  一君
三十八番ともとし春久君
四十一番野島 善司君
四十二番真鍋よしゆき君
四十三番松原 忠義君
四十四番田代ひろし君
四十五番三宅 茂樹君
四十六番川井しげお君
四十七番鈴木 一光君
四十八番吉野 利明君
四十九番こいそ 明君
五十番執印真智子君
五十一番花輪ともふみ君
五十二番真木  茂君
五十三番大津 浩子君
五十四番大塚 隆朗君
五十六番古館 和憲君
五十七番松村 友昭君
五十八番丸茂 勇夫君
五十九番木内 良明君
六十番鈴木貫太郎君
六十一番森田 安孝君
六十二番石川 芳昭君
六十三番土持 正豊君
六十四番倉林 辰雄君
六十五番遠藤  衛君
六十六番鈴木あきまさ君
六十七番近藤やよい君
六十八番串田 克巳君
六十九番中屋 文孝君
七十番三原 將嗣君
七十一番樺山たかし君
七十二番田島 和明君
七十三番宮崎  章君
七十四番大西由紀子君
七十五番樋口ゆうこ君
七十六番中村 明彦君
七十七番馬場 裕子君
七十八番和田 宗春君
八十番大山とも子君
八十一番東ひろたか君
八十二番池田 梅夫君
八十三番中山 秀雄君
八十四番大木田 守君
八十五番前島信次郎君
八十六番桜井良之助君
八十七番新藤 義彦君
八十八番星野 篤功君
八十九番いなば真一君
九十番高島なおき君
九十一番服部ゆくお君
九十二番古賀 俊昭君
九十三番山本賢太郎君
九十四番立石 晴康君
九十五番清原錬太郎君
九十六番小山 敏雄君
九十七番大山  均君
九十八番大河原雅子君
九十九番田中  良君
百番小林 正則君
百一番藤川 隆則君
百三番曽根はじめ君
百四番渡辺 康信君
百五番秋田かくお君
百六番中嶋 義雄君
百七番石井 義修君
百八番橋本辰二郎君
百九番藤井 富雄君
百十番桜井  武君
百十一番野田 和男君
百十三番比留間敏夫君
百十四番大西 英男君
百十五番山崎 孝明君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十番田中 晃三君
百二十一番藤田 愛子君
百二十二番尾崎 正一君
百二十三番土屋たかゆき君
百二十四番富田 俊正君
百二十五番名取 憲彦君
百二十六番吉田 信夫君
百二十七番木村 陽治君

 欠席議員(二名)
十一番  新井美沙子君
百十二番 野村 有信君
 欠員
十四番  十九番  二十番
二十八番 三十九番 四十番
五十五番 七十九番 百二番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事福永 正通君
副知事濱渦 武生君
副知事大塚 俊郎君
副知事竹花  豊君
出納長櫻井  巖君
教育長横山 洋吉君
知事本局長前川 燿男君
総務局長赤星 經昭君
財務局長松澤 敏夫君
警視総監奥村萬壽雄君
主税局長山口 一久君
生活文化局長山内 隆夫君
都市整備局長梶山  修君
環境局長平井 健一君
産業労働局長関谷 保夫君
建設局長岩永  勉君
港湾局長成田  浩君
交通局長松尾  均君
水道局長高橋  功君
消防総監白谷 祐二君
福祉保健局長幸田 昭一君
下水道局長二村 保宏君
大学管理本部長村山 寛司君
病院経営本部長押元  洋君
中央卸売市場長森澤 正範君
新銀行設立本部長津島 隆一君
選挙管理委員会事務局長高橋 和志君
人事委員会事務局長佐藤  広君
労働委員会事務局長久保田経三君
監査事務局長高橋 道晴君
収用委員会事務局長嶋津 隆文君

三月一日議事日程第二号
第一 第一号議案
平成十七年度東京都一般会計予算
第二 第二号議案
平成十七年度東京都特別区財政調整会計予算
第三 第三号議案
平成十七年度東京都地方消費税清算会計予算
第四 第四号議案
平成十七年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
第五 第五号議案
平成十七年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
第六 第六号議案
平成十七年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第七 第七号議案
平成十七年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
第八 第八号議案
平成十七年度東京都農業改良資金助成会計予算
第九 第九号議案
平成十七年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
第十 第十号議案
平成十七年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
第十一 第十一号議案
平成十七年度東京都と場会計予算
第十二 第十二号議案
平成十七年度東京都都営住宅等事業会計予算
第十三 第十三号議案
平成十七年度東京都都営住宅等保証金会計予算
第十四 第十四号議案
平成十七年度東京都都市開発資金会計予算
第十五 第十五号議案
平成十七年度東京都用地会計予算
第十六 第十六号議案
平成十七年度東京都公債費会計予算
第十七 第十七号議案
平成十七年度東京都多摩ニュータウン事業会計予算
第十八 第十八号議案
平成十七年度東京都市街地再開発事業会計予算
第十九 第十九号議案
平成十七年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
第二十 第二十号議案
平成十七年度東京都病院会計予算
第二十一 第二十一号議案
平成十七年度東京都中央卸売市場会計予算
第二十二 第二十二号議案
平成十七年度東京都都市再開発事業会計予算
第二十三 第二十三号議案
平成十七年度東京都臨海地域開発事業会計予算
第二十四 第二十四号議案
平成十七年度東京都港湾事業会計予算
第二十五 第二十五号議案
平成十七年度東京都交通事業会計予算
第二十六 第二十六号議案
平成十七年度東京都高速電車事業会計予算
第二十七 第二十七号議案
平成十七年度東京都電気事業会計予算
第二十八 第二十八号議案
平成十七年度東京都水道事業会計予算
第二十九 第二十九号議案
平成十七年度東京都工業用水道事業会計予算
第三十 第三十号議案
平成十七年度東京都下水道事業会計予算
第三十一 第三十一号議案
平成十六年度分の都と特別区及び特別区相互間の財政調整の特例に関する条例
第三十二 第三十二号議案
都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
第三十三 第三十三号議案
特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十四 第三十四号議案
東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
第三十五 第三十五号議案
東京都人事行政の運営等の状況の公表に関する条例
第三十六 第三十六号議案
東京都職員定数条例の一部を改正する条例
第三十七 第三十七号議案
職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第三十八 第三十八号議案
東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十九 第三十九号議案
東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四十 第四十号議案
東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四十一 第四十一号議案
東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第四十二 第四十二号議案
職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
第四十三 第四十三号議案
東京都非常勤職員の公務災害補償等に関する条例の一部を改正する条例
第四十四 第四十四号議案
災害派遣手当の支給に関する条例の一部を改正する条例
第四十五 第四十五号議案
東京都国民保護対策本部及び緊急対処事態対策本部条例
第四十六 第四十六号議案
東京都国民保護協議会条例
第四十七 第四十七号議案
東京都統計調査条例の一部を改正する条例
第四十八 第四十八号議案
東京都人権プラザ条例の一部を改正する条例
第四十九 第四十九号議案
審理、喚問、聴聞等に出頭した者及び公聴会に参加した者の費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第五十 第五十号議案
東京都都税条例の一部を改正する条例
第五十一 第五十一号議案
東京都収入証紙条例の一部を改正する条例
第五十二 第五十二号議案
東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例
第五十三 第五十三号議案
東京都江戸東京博物館条例の一部を改正する条例
第五十四 第五十四号議案
東京都写真美術館条例の一部を改正する条例
第五十五 第五十五号議案
東京都現代美術館条例の一部を改正する条例
第五十六 第五十六号議案
東京都美術館条例の一部を改正する条例
第五十七 第五十七号議案
東京文化会館及び東京芸術劇場条例の一部を改正する条例
第五十八 第五十八号議案
東京都育英資金条例
第五十九 第五十九号議案
学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
第六十 第六十号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第六十一 第六十一号議案
都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
第六十二 第六十二号議案
東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第六十三 第六十三号議案
東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例
第六十四 第六十四号議案
東京都立学校校外教育施設設置条例の一部を改正する条例
第六十五 第六十五号議案
東京都体育施設条例の一部を改正する条例
第六十六 第六十六号議案
東京都文化財保護条例の一部を改正する条例
第六十七 第六十七号議案
東京都立埋蔵文化財調査センター設置条例の一部を改正する条例
第六十八 第六十八号議案
東京都屋外広告物条例の一部を改正する条例
第六十九 第六十九号議案
東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
第七十 第七十号議案
東京都営住宅条例の一部を改正する条例
第七十一 第七十一号議案
東京都福祉住宅条例の一部を改正する条例
第七十二 第七十二号議案
東京都引揚者住宅条例の一部を改正する条例
第七十三 第七十三号議案
東京都特定公共賃貸住宅条例の一部を改正する条例
第七十四 第七十四号議案
東京都地域特別賃貸住宅条例の一部を改正する条例
第七十五 第七十五号議案
東京都小笠原住宅条例の一部を改正する条例
第七十六 第七十六号議案
東京都リハビリテーション病院条例の一部を改正する条例
第七十七 第七十七号議案
東京都立心身障害者口腔保健センター条例の一部を改正する条例
第七十八 第七十八号議案
東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例
第七十九 第七十九号議案
東京都婦人保護施設条例の一部を改正する条例
第八十 第八十号議案
東京都障害者スポーツセンター条例の一部を改正する条例
第八十一 第八十一号議案
東京都肢体不自由者自立ホーム条例の一部を改正する条例
第八十二 第八十二号議案
東京都身体障害者更生援護施設条例の一部を改正する条例
第八十三 第八十三号議案
東京都知的障害者援護施設条例の一部を改正する条例
第八十四 第八十四号議案
東京都児童相談所条例の一部を改正する条例
第八十五 第八十五号議案
東京都障害者施策推進協議会条例の一部を改正する条例
第八十六 第八十六号議案
公衆浴場の設置場所の配置及び衛生措置等の基準に関する条例の一部を改正する条例
第八十七 第八十七号議案
東京都薬事審議会条例の一部を改正する条例
第八十八 第八十八号議案
旅館業法施行条例の一部を改正する条例
第八十九 第八十九号議案
食品衛生法施行条例の一部を改正する条例
第九十 第九十号議案
食品製造業等取締条例の一部を改正する条例
第九十一 第九十一号議案
東京都立看護専門学校条例の一部を改正する条例
第九十二 第九十二号議案
東京都軽費老人ホーム条例を廃止する条例
第九十三 第九十三号議案
東京都心身障害者福祉作業所条例の一部を改正する条例
第九十四 第九十四号議案
東京都薬物の濫用防止に関する条例
第九十五 第九十五号議案
東京都しごとセンター条例の一部を改正する条例
第九十六 第九十六号議案
東京都立食品技術センター条例の一部を改正する条例
第九十七 第九十七号議案
東京都立産業貿易センター条例の一部を改正する条例
第九十八 第九十八号議案
東京都工場立地法地域準則条例
第九十九 第九十九号議案
東京都農業関係試験等手数料条例
第百 第百号議案
改良普及員の資格試験に関する条例を廃止する条例
第百一 第百一号議案
東京都農業振興事務所設置条例の一部を改正する条例
第百二 第百二号議案
東京都立技術専門校条例の一部を改正する条例
第百三 第百三号議案
東京都労政会館設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例
第百四 第百四号議案
東京都中央卸売市場条例の一部を改正する条例
第百五 第百五号議案
東京都地方卸売市場条例の一部を改正する条例
第百六 第百六号議案
東京都立芝浦屠場条例の一部を改正する条例
第百七 第百七号議案
東京都港湾管理条例の一部を改正する条例
第百八 第百八号議案
東京都漁港管理条例の一部を改正する条例
第百九 第百九号議案
東京都海上公園条例の一部を改正する条例
第百十 第百十号議案
東京都港湾区域及び港湾隣接地域占用料等徴収条例の一部を改正する条例
第百十一 第百十一号議案
東京都海岸占用料等徴収条例の一部を改正する条例
第百十二 第百十二号議案
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
第百十三 第百十三号議案
東京都都民の森条例の一部を改正する条例
第百十四 第百十四号議案
東京都自然公園条例の一部を改正する条例
第百十五 第百十五号議案
東京都廃棄物条例の一部を改正する条例
第百十六 第百十六号議案
東京都浄化槽保守点検業者の登録に関する条例の一部を改正する条例
第百十七 第百十七号議案
東京都駐車場条例の一部を改正する条例
第百十八 第百十八号議案
東京都特殊車両通行許可申請手数料徴収条例の一部を改正する条例
第百十九 第百十九号議案
東京都立公園条例の一部を改正する条例
第百二十 第百二十号議案
東京都葬儀所条例の一部を改正する条例
第百二十一 第百二十一号議案
東京都霊園条例の一部を改正する条例
第百二十二 第百二十二号議案
警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第百二十三 第百二十三号議案
警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第百二十四 第百二十四号議案
東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例
第百二十五 第百二十五号議案
火災予防条例の一部を改正する条例
第百二十六 第百二十六号議案
都営住宅十六H―一〇七東(百人町四丁目第四)工事請負契約
第百二十七 第百二十七号議案
都営住宅十六H―一〇三東(板橋清水町)工事請負契約
第百二十八 第百二十八号議案
警視庁小岩警察署庁舎(H十六)改築工事(その二)請負契約
第百二十九 第百二十九号議案
警視庁三田警察署庁舎(H十六)改築工事(その二)請負契約
第百三十 第百三十号議案
警視庁有家族待機宿舎三田住宅(仮称)(H十六)新築工事(その二)請負契約
第百三十一 第百三十一号議案
平成十六年度新海面処分場Gブロック西側護岸(二重鋼管矢板式)建設工事(その一)請負契約
第百三十二 第百三十二号議案
平成十六年度新海面処分場Gブロック西側護岸(二重鋼管矢板式)建設工事(その二)請負契約
第百三十三 第百三十三号議案
包括外部監査契約の締結について
第百三十四 第百三十四号議案
全国自治宝くじ事務協議会への静岡市の加入及びこれに伴う全国自治宝くじ事務協議会規約の一部の変更について
第百三十五 第百三十五号議案
平成十六年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担の変更について
第百三十六 第百三十六号議案
平成十七年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担について
第百三十七 第百三十七号議案
平成十六年度東京都一般会計補正予算(第二号)
第百三十八 第百三十八号議案
平成十六年度東京都特別区財政調整会計補正予算(第一号)
第百三十九 第百三十九号議案
平成十六年度東京都地方消費税清算会計補正予算(第一号)
第百四十 第百四十号議案
平成十六年度東京都都営住宅等事業会計補正予算(第一号)
第百四十一 第百四十一号議案
平成十六年度東京都都市開発資金会計補正予算(第一号)
第百四十二 第百四十二号議案
平成十六年度東京都公債費会計補正予算(第一号)
第百四十三 第百四十三号議案
平成十六年度東京都都市再開発事業会計補正予算(第一号)
第百四十四 第百四十四号議案
平成十六年度東京都高速電車事業会計補正予算(第一号)
第百四十五 第百四十五号議案
平成十六年度東京都下水道事業会計補正予算(第一号)
第百四十六 諮問第一号
地方自治法第二百四十四条の四の規定に基づく審査請求に関する諮問について
第百四十七 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した平成十六年度東京都一般会計補正予算(第一号)の報告及び承認について

   午後一時一分開議

○議長(内田茂君) これより本日の会議を開きます。

○議長(内田茂君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(内田茂君) これより質問に入ります。
 百十三番比留間敏夫君。
   〔百十三番比留間敏夫君登壇〕

○百十三番(比留間敏夫君) 平成十七年第一回東京都議会定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表いたしまして、質問をいたします。
 平成十七年は、戦後六十年に当たります。人にたとえれば還暦ですが、国内外の情勢を見ますと、北朝鮮の核所有宣言や拉致問題、北方領土問題、中国との歴史認識問題、持続可能な社会保障制度の確立など、対応のおくれや問題の先送りなど持ち越された課題が山積をいたしております。
 こうした中で、六十年の節目に、ぜひとも解決の目途を明らかにし、これ以上先送りしてはならないものに、現行憲法と教育基本法の見直しがあります。
 敗戦直後から占領政策をしいたGHQは、日本を再び世界のひのき舞台に上がらせないため、巧妙な言論統制やマスコミ操作を通して、いわゆる戦後思想を押しつけました。憲法九条の戦争の放棄は、前文にいう平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼して成り立つほど、現実の国際情勢は甘いものではありません。一国平和主義の幻想を捨て去るべきではないでしょうか。
 近年の世論調査でも、憲法改正容認派が六割を超えております。同様に、これまでの伝統や慣習を排除した結果、教育基本法は、個人の尊厳を強調する余り、今日の教育の乱れや規律の低下、学力の低下などをもたらしております。既に、米国や英国では、教育改革を実施し、学力向上を目指しております。多くの国民的議論の上に、一刻も早く新しい時代にふさわしい法規に書き改めるべきであります。
 さて、大企業の多くは、収益力を回復しております。しかしながら、消費が依然として伸び悩むなど、多くの中小企業者や都民、国民は、景気の回復を実感しておりません。
 こうした中で編成された十七年度の国家予算では、歳入の四二%、三十四兆円を起債で生み出し、バブル時代のツケも回って、国債の残高は十七年度末には五百三十八兆円にならんとしています。これは税収の十二倍、ほぼGDPに相当します。先進国では最悪であります。
 これに対して、都の起債残高は六兆八千億円と、税収の一・六倍におさまっております。財政再建はいまだ道半ばであり、引き続き気持ちを引き締めて財政運営を行う必要があることにかわりはありませんが、都の財政構造改革への取り組みは、国を一歩も二歩も先んじていると評価することができます。
 明治の啓蒙思想家、福沢諭吉は、立国は私なり、公にあらざるなりと述べているとおり、国家建設は官僚によるべきものではなく、個人や民間の結集で行われるべきものであります。そのためには、構造改革を一層推進して、中央から地方へ、官から民への流れを促進し、経済を活性化する必要があります。
 我が党は、石原知事の与党として、知事とともに都民の負託にしっかりこたえてまいりますことをお約束し、質問に入ります。
 まず初めに、中国による違法な海洋調査が繰り返されている沖ノ鳥島について伺います。
 日本最南端に位置する沖ノ鳥島は、我が国の固有の領土であるとともに、都の区域であり、国土の保全や漁業の操業、海底資源の開発など、極めて重要な海域を有しております。
 ところで、沖ノ鳥島は、国連海洋法条約上、れっきとした島であるにもかかわらず、中国は、昨年来、島ではなく岩であり、排他的経済水域は設定できないと主張し始めました。また、この主張に合わせて、中国は同島周辺水域において、我が国の同意を得ない違法な海洋調査を活発化させています。
 その一方で、中国は、南沙諸島の岩礁にコンクリート製の構築物を設置し、自国の島と称しており、ご都合主義のきわみであります。中国のこうした理不尽な主張や行動に対し、国家の威信をかけ、毅然として対処するのは当然であります。みずから領土であることを明確にして、航行する船舶の安全を図るため灯台を設置するなど、断固たる措置を講ずるべきと考えます。我が党は、中国のいわれのない主張や行動に対して、東京が日本を守るの気概を持って臨みます。
 そうした中、都は、来年度から国に先駆け、率先して漁業操業などの経済活動を行うことを表明いたしました。我が党は、こうした知事の力強い姿勢に敬意を込め、絶大なる賛意を表するものであります。
 そこで、改めて、国家とは何か、国土とは何かという観点から、沖ノ鳥島に対する知事の所見を伺います。
 次に、十七年度予算案について伺います。
 石原知事は、就任から今日に至るまで、持続可能な都政運営を求めて、血のにじむ思いをしながら財政再建に取り組んでまいりました。十七年度予算は、これまでの取り組みを十分に踏まえ、さらに、二千人を上回る職員定数の削減を図るなど、財政再建に向けた取り組みが数多く盛り込まれております。
 同時に、これまでの我が党の主張を真摯に受けとめ、都市再生、治安対策、さらにはヒートアイランド対策やディーゼル車対策といった、環境対策などの充実が図られております。その意味では、施策の充実を図るとともに、一層の構造改革を進めるバランスのとれた予算であると評価しております。
 加えて、今回、臨時的な財源対策を行わず、予算編成を行うことができたとのことでありますが、これは石原都政にとって初めてのことであります。
 ただ、都税収入の大幅な伸びが追い風になったことも事実であります。いみじくも知事が記者会見で、追い風参考記録と述べられましたが、追い風に助けられることもなく記録が出せるように、今後も引き続き職員の削減や給与の見直しなど、厳しい内部努力をさらに重ね、都財政の構造改革に努める必要があることはいうまでもありません。
 そこで、石原知事にとって六度目の予算編成となる、十七年度予算に対する基本的な考え方を伺います。
 さて、十七年度予算における都税収入は、企業収益の好転を受け、三千三百億円の大幅な増となることを見込むことができたわけでありますが、今後とも、さらに税収が増加する保証はどこにもありません。今後の景気動向、そしてそれに伴う都税収入の先行きに、一抹の不安があることも事実であります。
 十七年度における税収をどのように見込んだのか、また、今後の都税収入の先行きをどのように見込んでいるのか、伺います。
 今回の予算の特徴の一つとして、投資的経費を大幅に増加させていることが挙げられます。投資的経費は、前年度予算に比べて八・九%の増となっており、これほど大幅な伸びを示したのは、平成三年度以来であります。
 我が党は、これまで、日本再生のためには、東京の再生が不可欠であり、立ちおくれている東京の都市基盤の整備には、重点的に財源を投下することが必要だと主張してまいりました。日本経済が立ち直りを見せ始めていることについても、これまでの都市再生事業の成果が少なからず寄与しているはずであります。
 都民生活の利便性を向上させるためにも、また、激化する世界規模での都市間競争に打ち勝つためにも、まだまだ東京の都市基盤は整備が必要であります。今後も、都市基盤の整備は重要な課題であるとの認識のもとで、全体の予算編成を行うべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、地方分権改革について伺います。
 国の三位一体改革は、我が党が懸念したとおり、本来、国が財政負担を負うべき義務教育費国庫負担金などが削減対象とされ、地方分権改革とはほど遠いものになっているばかりか、生活保護費などの具体的取り扱いが先送りされ、先行きが不透明なものとなっております。
 さらに重大なのは、法人事業税分割基準の見直しなど、東京をねらい撃ちにした不当な財源調整の動きがはっきりとしたことです。我が党は、こうした理不尽な動きに断固として反対するものであります。
 国は、この改革を十八年度までに終わらせる考えだと聞いていますが、このまま幕を引かせることなく、引き続き地方分権改革に取り組むべきであると考えます。
 知事は、国の三位一体改革の現状をどのように認識し、今後、地方分権改革にどう取り組もうと考えているのか、ご所見を伺います。
 次に、都区制度改革に関連して伺います。
 平成十二年に、地方自治法の改正と地方分権一括法の制定によって、特別区は東京都の内部団体的な性格から脱却し、市町村と同様の基礎的な自治体に位置づけられました。本来なら、これによって特別区の区域における都区の大都市事務の役割分担について、一定の整理が行われ、これに沿った財源配分も行われるべきであったと思われます。
 しかし、法が施行されるときまでに具体的な協議が調わず、制度改革の積み残し課題とされて今日に至っております。現在、都区間の最大の懸案事項となっております。具体的に、都区間の大都市事務の役割分担を踏まえた財源配分のあり方を中心にした五項目の課題であります。
 この問題の根幹は、特別区の区域内において、都が行うべき大都市事務とは具体的に何かということに尽きるわけでありますが、石原知事が日ごろから国に対して主張している三位一体改革における国と地方の役割分担と財源配分の問題と同根のものであります。いいかえれば、都区制度改革を進めることが、東京から国に対して真の地方自治のあり方を指し示すことになるのではないでしょうか。問題は、都がこの都区制度改革をどう理解し、評価するかということであると考えます。
 そこで、まず、地方自治法の改正、地方分権の一括法の制定によって明確にされた都区の役割分担を、知事はどのように認識し評価しているのか、伺います。
 これらの課題は、十七年度末までに解決することが都区間で確認されておりますが、相変わらず議論が平行線であることなど、協議が進んでいないのが実情であります。解決までに残された時間もわずかでありますが、我々の働きかけもあって、ようやく具体的な協議が始まったところであります。
 都区制度においては、法定の協議機関である都区協議会も整備されております。これからも積極的に活用し、速やかな解決に向けて努力すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 これからの都と区の関係は、都区制度の特殊性を踏まえながら、区の行財政基盤を強化するとともに、都自身の広域的な対応力を高め、双方の連携のもとに、首都東京の抱える課題を解決する体制を築いていくことこそ、東京という他に類を見ない大都市地域における行政の充実強化を図る道筋ではないかと考えます。
 そのためには、基礎的自治体優先の原則に立って、身近な事務を区に任せ、より戦略的な対応が図れるよう、都は、都内市町村の地域を含めた府県行政と区間にまたがる広域的大都市行政に徹するべきではないでしょうか。知事の決意を伺います。
 次に、指定管理者制度について伺います。
 平成十五年六月に地方自治法が改正され、全国の自治体が有する公の施設に指定管理者制度が導入されることとなりました。都においても、現在管理委託を行っている施設について、平成十八年度に新しい制度へ移行することが義務づけられており、具体的な手続が開始される時期を迎えています。
 本定例会でも、このための条例改正が三十三件提案されていますが、民間の力も活用しつつ、都民サービスの向上と経費の削減を実現するという制度の趣旨を、どのように生かし制度を導入するかが重要です。
 そこで、まず、都全体を通して指定管理者制度導入の考え方、対象となる公の施設及び導入の方法はどのようなものか、伺います。
 本制度では、民間事業者の参入も想定されていますが、都が有する公の施設にはさまざまなものがあり、その特性を踏まえて制度を導入する必要がありますが、基本的な方法や手続については、それぞれの施設が別々に対応するのではなく、都として統一的な考え方が必要と思いますが、その点に関して、どのように進めていくのか、伺います。
 さらに、この制度では、事業者選定のいかんが、都民の利用に影響しかねません。そこで、都民の代表である議会に対して、指定の議決だけでなく、今後、募集や選定の過程についても、適切に報告を行っていくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、防災対策について伺います。
 ことしは、阪神・淡路大震災から十年という節目の年でもあります。改めて震災の記憶がよみがえるとともに、昨年のたび重なる風水害の襲来や、十月の新潟県中越地震、十二月のスマトラ沖大地震による甚大な災害が発生したことで、都民の災害に対する不安や危機感は、これまでになく高まっています。新潟県中越地震においては、発災当時の混乱や食糧、物資の不足が報道されましたが、今、多くの課題が明らかになりました。
 そこで、まず、今後の都の震災対策にどのように生かしていくかを伺います。
 都は、先般、小笠原諸島の津波浸水予測調査報告書を発表しましたが、これによりますと、東南海、南海地震が同時発生した場合には、小笠原諸島では十メートルを超える大津波が発生すると予測をしています。
 東京湾は安全であると思われていますが、過去には、約二メートルの津波が押し寄せたとの記録もあります。しかも、防潮堤などは整備されているものの、近年、臨海部や河川沿いでは、親水性を高めるために、人工なぎさやスーパー堤防のように、だれもが水辺に近づける施設がふえており、津波に対する警戒も怠ってはなりません。
 十七年度重点事業として、島しょ部の津波対策に取り組むとしていますが、東京湾においても、新たな津波対策を早急に講じるべきと考えますが、所見を伺います。
 一方、東部低地帯では、満潮面以下の地域が区部面積の五分の一に当たる約百二十四平方キロにわたって広がっています。これらの地域の堤防が地震により被災した場合、人的、物的な被害は、はかり知れません。このような事態を防ぐために、地震への備えを着実に実施すべきと考えます。
 そこで、東部低地帯の河川では、地震に備えてどのような対策を進めるのか、今後の取り組みについて伺います。
 昨年の台風二十二号や二十三号では、区部の広い範囲で被害が発生をしました。下水道局は、現在、一時間五〇ミリの降雨に対応できるようにするため、幹線やポンプ所などの施設整備を進めていますが、整備はまだ半分程度しか進んでおりません。そのため、従来の雨水整備クイックプランを改定し、これまで以上に浸水対策の効果を短期間に上げられる新・雨水整備クイックプランを策定しました。しかし、十月の台風では、新クイックプランの対象となっていないところでも、浸水地区が見受けられました。
 そこで、これらの地区についても新たに追加するなど、浸水対策を一層強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 都では、かねてより、震災時の飲料水を確保するため、応急給水槽の整備を進めておりますが、これに加えて、浄水場や給水所などの施設も、給水拠点としての役割が期待されております。
 しかしながら、浄水場は、都県境などの周辺部に位置しており、また応急給水槽は、震災時の必要最小限の水量を確保しているにすぎません。こうしたことから、給水所が一層重要な意味を持ってまいります。特に、首都機能が集中する都心部においては、芝、淀橋などの給水所もあるものの、いまだに地域的な偏在などの問題もあると聞いております。
 そこで、都心部を初めとした今後の給水所整備の取り組みについて伺います。
 次に、治安及び健全育成について伺います。
 近年、増加の一途をたどっていた都内の犯罪認知件数も、ようやく鎮静化の兆しを示し始めています。しかし、その一方で、最近、おれおれ詐欺や架空請求などのいわゆる振り込め詐欺、スキミングによるカードの偽造、さらにはフィッシングと呼ばれる新たな手口による犯罪の頻発が、都民の日常の暮らしを脅かしています。こうした犯罪の増加を食いとめるためには、都民一人一人に対して、被害を受けないよう適切な情報を伝え、指導啓発することが大切だと思いますが、これまで警視庁ではどのような対応をしてきたか、また、今後どのように取り組んでいくつもりかを伺います。
 一方、都の消費生活総合センターでは、本日から架空請求緊急対策がスタートしましたが、今後、具体的にどのように取り組んでいくのか、あわせて伺います。
 ところで、最近の治安情勢を反映して、警視庁でも十六年度は二百人、十七年度は三百人の増員が行われる予定であると聞いています。せっかくの増員を、こうした新たな手口の犯罪対策や、近隣住民をいまだ不安に陥れている未解決の凶悪事件の捜査などに、重点的に振り向けて対応すべきと考えますが、警視総監の所見を伺います。
 次に、健全育成について伺います。
 都は、青少年を取り巻く環境の悪化に対応するため、先般、青少年健全育成条例を改正し、図書規制、深夜外出規制などの取り組みを開始をいたしました。しかし、インターネットからの有害情報の規制や性行動の低年齢化に対する取り組みなど、新たな課題に対応するため、今定例会で育成条例を改正することになりました。
 これらの条例の内容は、青少年問題に対し積極的な対応を図るものですが、条例改正の基本的な考え方について知事の所見を伺います。
 次に、脱法ドラッグ対策について伺います。
 先日、警察庁より公表された資料によりますと、昨年一年間に我が国で薬物の乱用により逮捕された人は、過去最高の二千六百人以上に上り、錠剤型合成麻薬MDMAや大麻は、二十歳代の乱用が目立っております。
 我が党は、これまで脱法ドラッグを規制するための条例制定について、提案を行ってまいりました。今回、我が党の要請にこたえ、都が脱法ドラッグを規制するための条例案を提案したことについて、高く評価するものであります。
 脱法ドラッグの規制に関しては、都や国が他の自治体に先駆け、行政としての明確な対応方針を示したものであります。しかしながら、条例をつくるだけで都内から脱法ドラッグの乱用がなくなるわけではありません。都は、今後、この条例をもとに、脱法ドラッグ対策をどのように進めていくか、所見を伺います。
 次に、多摩振興について伺います。
 まず、十七年度予算案の復活について、我が党の強い要望にこたえ、市町村調整交付金が前年度比二十億円増の二百十億円となりました。市町村支援に対する知事の姿勢を高く評価をいたします。
 我が党は、これまでも、多摩振興について、実効性のある振興策を実施し、多摩の山積する課題を着実に解決していくべきであると主張してきました。こうした中、知事が、都の振興策を積極的に展開していくため、多摩の基本施策として多摩リーディングプロジェクトを取りまとめたことは、大変意義があります。
 そこで、このプロジェクトについて何点か伺います。
 今回のリーディングプロジェクトでは、横田基地の軍民共用化を視野に入れることを多摩振興の基本的な視点の一つに加え、横田基地に対する都の姿勢を明らかにしています。最近、報道を見ても、基地の軍民共用化はいよいよ現実味を帯びており、その実現によって、多摩を中心にした人や物の動きを活発化させることが見込まれ、多摩の将来を大きく変革するものであると考えます。一方、騒音や交通面で基地周辺の自治体や住民は不安を感じていることも事実です。
 こうした点を踏まえ、多摩振興の観点に立って、軍民共用化について、都として今後どのように取り組むか、伺います。
 多摩地域には、企業の研究機関や大学等が数多く立地するなど、豊富な地域資源が存在しています。四月には、首都大学東京の開学に合わせ、産学公連携センターの開設も予定をされております。
 こうした中、リーディングプロジェクトにおいても、産業支援システムの再整備として、多摩地域における産業支援機能の充実を図るとしています。今後、多摩地域における産業振興をより一層推進することが必要であると考えますが、新たな産業支援体制の構築に向けた基本的な考え方と方向性について伺います。
 さらに、多摩振興の実を上げるためには、都と市町村とが一体となった施策展開が不可欠であります。市町村にとっては厳しい財政運営が続く中で、都として、今後どのように市町村事業への支援を行っていくのか、所見を伺います。
 最後に、このプロジェクトが目指す多摩振興に向けた知事の決意を伺います。
 次に、環境確保条例の改正案に関連して、都市と地球の持続可能性の確保に向けた取り組みについて伺います。
 先月十六日、温室効果ガスの国際的な削減目標を定めた京都議定書がついに発効し、温暖化防止の世界的な行動が開始されました。しかしながら、最大の温室効果ガス排出国である米国が議定書から離脱し、中国やインドなど途上国には削減義務が課せられていないといった、議定書の実効性に関する課題も指摘されております。
 京都議定書の発効は、我々人類に課せられた最初の一歩にすぎないわけでありますが、議定書発効を契機として、今後、都はどのように地球温暖化問題に取り組んでいくのか、知事の所見を伺います。
 都では、大規模事業所の温室効果ガスの削減を図る地球温暖化対策計画書制度の強化や、家電製品の省エネ性能を店頭で示す省エネラベリング制度の創設など、四つの制度の強化、創設によって実効性のある温暖化対策を推進していくこととし、条例改正案を本定例会に提案をしています。
 実際に平成十四年度の都内の温室効果ガス排出量は、平成二年度比で一五・九%も増加しており、早急な対応強化が必要なことはいうまでもありません。都は、これまでも、大規模事業所の温室効果ガス削減を図るため、地球温暖化対策計画書制度を実施してきましたが、今回の改正によって具体的にどのように制度を強化しようとしているのか、見解を伺います。
 また、今回の地球温暖化対策計画書制度の対象外となる中小規模事業者などに対して、都はどのように温暖化対策を働きかけていくのか、見解を伺います。
 さらに、こうした中小企業者も含め、温暖化対策に積極的に取り組む事業者が、例えば金融面などでも評価され、インセンティブが得られるような動きが広まるよう、都も努力すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、廃棄物条例の改正について伺います。
 旺盛な経済活動に伴って大量の産業廃棄物が発生しています。依然として産業廃棄物の不法投棄が全国的に問題となっており、産業廃棄物の処理に対する不信を招いています。これまで、不法投棄に対して、たび重なる法改正により規制が強化されてきました。都としても、産廃Gメンの活動や広域的な自治体連携によって不法投棄の取り締まりに努めてきていることは、承知をいたしております。
 しかし、取り締まりの強化だけでは不法投棄の問題を解決することはできず、それを生じさせる要因にまでさかのぼった対策を講じていく必要があります。今回提案されている条例改正案は、その趣旨を踏まえたものと考えます。
 そこでまず、都は、この条例を提案するに当たって、不法投棄を生じさせている要因をどのようにとらえ、その問題をどのように解決しようとするものなのか、伺います。
 改正条例案では、産業廃棄物の排出事業者とともに処理業者に対しても報告を求め、その内容を公表するとされていますが、この処理業者に対する報告・公表制度を導入することによって、産業廃棄物処理業の健全な環境産業としての発展に具体的にどう結びつくのか、伺います。
 次に、道路整備について伺います。
 三環状道路の整備は、羽田空港や東京港と軍民共用化による横田など多摩の内陸部との連絡をする極めて重要な取り組みであります。知事は、就任以来一貫して、東京の再生に不可欠な三環状道路の整備に積極的に取り組み、先般も中央環状品川線を有料道路事業に先駆けて、十七年度から街路事業として整備に着手すると英断されました。
 そこで、改めて品川線の早期完成に向けた知事の決意を伺います。
 また、現在整備中の新宿線に続き品川線が完成することで、中央環状線が全線開通し、東京の都市再生にとってはかり知れない効果が発揮されると思われますが、東京の都市機能向上にどのような効果をもたらすのか、伺います。
 さらに、品川線を、公団民営化に先立ち、都が十七年度に先行着手するとのことですが、有料道路事業とあわせ、今後、どのように事業に取り組んでいくのか、具体的に伺います。
 ところで、道路整備のおくれによる慢性的な交通渋滞は、社会経済活動や都市環境に大きな影響を及ぼしています。三環状道路の整備にあわせ、骨格幹線道路ネットワークの早期完成などに向けたさまざまな取り組みが、そろそろ実を結ぶ時期に差しかかっていると考えます。このような取り組みの平成十七年度末の成果をどのように考えているのか、伺います。
 また、これまで進めてきた道路整備効果をより一層発揮させ、都民にその効果を実感していただくには、既存道路のボトルネックの解消を進めることも重要であります。その主要な対策の一つとして、都では、渋滞対策に大きな効果を上げている、都民の高い評価を得ている、交差点すいすいプランを実施しています。
 現行のすいすいプランもおおむね完了し、新たな展開を図るため、今回、第二次交差点すいすいプランを策定しましたが、現行プランの成果と今後の取り組みについて伺います。
 次に、地域経済の活性化に関連して何点か伺います。
 まず、金融施策について伺います。
 中小企業の資金繰りは、ここ二、三年、改善傾向にあり、かつての貸し渋り、貸しはがしは鎮静化しているといわれております。しかしながら、最近の都の調査では、金融機関の貸し出し姿勢が厳しいとする中小企業の割合が二割程度で推移するなど、資金繰りの改善は頭打ちの傾向にあります。さきの第四回定例会において、我が党は、資金繰りの改善や新たな事業展開を支えるため、制度融資の一層の充実を図るべきと訴えました。
 そこで、新年度に向けた制度融資の見直しでは、具体的にどのような面で充実を図ろうとしたかを伺います。
 さて、新銀行東京については、先日、知事の施政方針表明で開業時期が明らかにされ、いよいよ四月から、融資や預金などの銀行業務が開始される運びとなりました。一方、日本の金融界においては、大手銀行の不良債権処理が峠を越え、大規模統合や証券会社との複合企業化、中小企業に対する無担保融資の積極化などの動きが出ています。また、インターネット銀行への異業種参入が始まるなど、本格的な金融競争の時代に入る様相を見せています。
 このような状況において、新銀行は、我が党がかねてから主張してきたように、地域金融機関と緊密に連携し、中小企業融資に軸足を置いた銀行として開業するわけですが、真に都民、中小企業に貢献する銀行として、実績を着実に上げていただきたいと考えます。
 そこで、新銀行の開業を間近に控え、改めて知事の新銀行への期待と展望について伺います。
 新銀行の業務については、当初、本店業務を開始した後、段階的に店舗開設を行い、七月中に全面的に業務展開をするとのことです。国内金融機関トップクラスの高い格付を手にした新銀行の開業時期等を決定するに当たっては、ペイオフの全面解禁に伴う金融環境の変化などにも配慮しながら、相当慎重な判断が行われたものと推測しますが、開業時期の決定に至った考え方と業務及び店舗展開の具体的な内容について伺います。
 また、新銀行東京では、都からの出資一千億円に加え、民間企業から幅広く出資を募ることとしていますが、開業を目前に控え、出資の確保状況はどのようになっているかを伺います。
 次に、商店街振興について伺います。
 商店街が大型店やショッピングセンターに負けずに繁栄していくためには、住民と密接なコミュニケーションをとりながら、地域のニーズにきめ細かくこたえていくことが大切です。今、都内各地の商店街では、高齢者への配慮や防犯、防災など、さまざまな地域課題に住民と連携して取り組み、コミュニティ機能を高めようとする動きが盛んです。こうした動きが、町のにぎわいや地域経済の活性化につながる例も数多く見られます。
 これは、我が党の提唱により創設された、新・元気を出せ商店街事業の大きな成果であります。我が党の要望にこたえ、来年度予算は大幅に拡充されており、都は、商店街の振興にさらに力を入れていくものと期待をいたしております。来年度の都の商店街振興施策の方針について伺います。
 次に、固定資産税、都市計画税の負担緩和について伺います。
 我が党は、さきの定例会において、現在の固定資産税が、同じ評価額の土地でも土地ごとに負担額が異なるという矛盾を抱えていることを指摘するとともに、そうした不均衡を是正し、過重な負担を緩和するため、二十三区の商業地等については負担水準の上限を引き下げるよう求めました。また、小規模非住宅用地などに対する都独自の軽減措置についても、引き続き景気に配慮し継続すべき旨を申し上げました。
 知事が、商業地等の負担水準の上限を引き下げる都税条例改正案を今定例会に提出し、また、都独自の軽減措置を継続するとされたことは、我が党の主張に合ったものであり、英断を高く評価をいたします。
 そこで、知事は、今回の一連の措置の意義及び効果をどのように考えているのか、改めて所見を伺います。
 次に、東京港の港湾計画の改訂について伺います。
 現在、港湾局では、おおむね十年後を目標年次とする第七次改訂港湾計画の策定に取り組んでいると聞いております。東京港が将来にわたって世界の主要な国際貿易港として発展していくためには、産業構造の変化や進展著しい民間の物流革新に適切に対応できるよう、港湾機能強化のための戦略的な港湾計画を策定し、着実に施設整備を進めていかなければなりません。
 そこでまず、国際貿易への依存度が高まり、その相手国について、中国が米国を抜いて第一位となるなど、我が国の貿易に大きな変化が見られる中、東京港における物流動向はどのような状況なのか、所見を伺います。
 さらに、羽田空港の再拡張に伴い、東京港を含む臨海地域では、陸海空の結節点として、今後一層重要度を増すことになりますが、これらの動向に適切に対応し、東京港の将来に対して新たな戦略的道筋をつけていくことが、日本の国際競争力の強化に結びつくものと考えます。東京港における物流機能の強化策を第七次改訂港湾計画にどのように反映していくのか、所見を伺います。
 次に、福祉保健施策について伺います。
 昨年八月、新たに福祉保健局が誕生しましたが、それ以降、従来、旧福祉局と旧健康局が実施していた施策を統合化し、都民サービスの向上に結びつけようとする姿勢が顕著に見られるようになったと感じます。
 十七年度の重点事業を見ても、例えば高齢者分野では、老人保健法による健康診査と介護予防健診「おたっしゃ21」の取り組みをうまく一体化させ、高齢者が要介護状態に陥ることを防ぎ、健康寿命の延伸を図る真の意味での介護予防を全国に先駆けて打ち出しました。今後とも、子育て支援などさまざまな分野で、こうした福祉、保健、医療の総合的かつ一体的な施策展開を一層進めていくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、次世代育成支援について伺います。
 我が党の要請を受け、都は、十七年度予算案に二十億円の次世代育成支援緊急対策総合補助制度の創設を盛り込みました。都として、この次世代育成支援の基盤整備を緊急的に進めていく決意のあらわれと、高く評価するものであります。
 現在、次世代育成支援東京都行動計画の最終的な取りまとめを行っている段階と聞いております。
 そこで、本計画の基本的な考え方及び計画に盛り込む予定の具体的な内容について伺います。
 なお、すべての子育て家庭を支援していくためには、今後、地域における認証及び認可保育所の役割がますます重要になります。その際には、施設運営の中核となる専門性の高い保育士の確保が不可欠であります。このことについて、特段の配慮をお願いしておきます。
 加えて、これまでも我が党が主張してきました今後の次世代育成支援対策の一環として、対象年齢の拡大など、乳幼児医療費の助成をさらに拡充することを強く要望しておきます。
 次に、介護保険制度改革について伺います。
 平成十二年度に創設された介護保険制度は、現在開会中の通常国会に介護保険制度改革関連法案が提出され、審議が進められております。改正法案の内容を見ますと、高齢者ができる限り自立した生活を継続できるよう、介護予防を重視する仕組みに改めることや、施設入所者の居住費及び食費について、在宅の方とのバランスなどの観点から見直すこと、要介護高齢者の地域での生活を支えていくため、地域密着型サービスを創設することなどが盛り込まれています。
 また、今回示された介護保険法の改正案についても、都の提案がかなり取り入れられたと聞いております。大きな制度改革の際には、多くの混乱が生じるのが常であります。来年四月の制度改革が円滑に実施できるよう、都としても事前準備を十分に尽くすべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、国民健康保険制度の見直しについて伺います。
 国は、唐突に昨年十二月、三位一体改革の一環として、国民健康保険制度における国庫負担と都道府県負担のあり方を見直す方針を打ち出しました。地方への権限移譲という名目のもとに決定されたこの方針では、これまで国が行ってきた財政調整の一部を都道府県が行い、あわせて、新たに都道府県に財政負担を求めています。
 一方、保険者である区市町村にとっては、従来、医療給付費等の四〇%が国から定率で措置され、一〇%が国の財政調整として実施されていたものが、定率負担は平年度ベースで三四%となり、残りの一六%は国と都道府県による財政調整となります。こうしたことから、今回の見直しは、区市町村の事業運営にも大きな影響を与えるものと懸念をされます。
 そこで、仮にこの方針が実施されることになった場合、都として、区市町村への国民健康保険制度上の財政調整をどのように行っていく予定か、所見を伺います。
 次に、文化政策について伺います。
 石原知事は、就任以来、さまざまな文化施策を展開してこられました。民間人の館長を登用し、その経営感覚を生かした文化施設の改革、公園や地下鉄駅などの公共空間の開放として始まったヘブンアーチスト事業など、先駆的な取り組みもなされています。
 一方、財政再建を進める中で、限られた予算を有効に使うためにも、文化政策全体をこれまで以上にめり張りあるものにしていく必要があります。
 そこで、知事に伺います。二期目の折り返し点を迎えた今こそ、これまでの取り組みを集大成し、時代を先取りした文化政策のビジョンを示すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、教育問題について伺います。
 大阪府寝屋川市の小学校において、教員が卒業生に襲われるという大変悲しい事件が発生をいたしました。亡くなられた先生のご冥福をお祈りするとともに、子どもたちの心の傷が一刻も早くいやされることを願っております。
 この事件を受け、幾つかの自治体においては、安全対策を強化するという新聞報道等がされています。都教委といたしましても、学校の安全対策をより一層強化すべきであると考えますが、所見を伺います。
 さて、教育は国家百年の計といわれるように、国家戦略としての国家、社会の形成者たる国民の育成にそのねらいがあるといっても過言ではないと思います。しかしながら、現在、教育内容やそのあり方などをめぐって、さまざまな問題が生じております。
 昨年十二月に、相次いで二つの国際機関により、世界の児童生徒の学力に関する調査結果が公表されました。現在、国内で児童生徒の学力低下に関するさまざまな議論が活発になされているところであります。我が党としても、二十一世紀の東京、ひいては日本の創造的発展を支える人間を育成するためには、児童生徒に基礎、基本を確実に身につけさせる教育を着実に推進し、東京の子どもたちの学力を向上することが極めて重要であります。
 今後、都として、児童生徒の学力向上を図るため、どのように取り組んでいくのか、伺います。
 また、教育の成否は、学校教育の直接の担い手である教員の資質、能力に負うところが極めて大きいと考えます。次代を担う子どもたちを託することができる高い志と豊かな感性を持ち、実践的にすぐれた教員を育成することは、変化の激しい時代にあってますます重要なことであります。
 児童生徒の学力向上のためには、教員の資質、能力の向上、とりわけ授業力の向上が急務であると考えますが、このことに関して、今後、都はどのように取り組む所存なのか、見解を伺います。
 さて、我が国は今、官民挙げて、デフレからの脱却、景気回復に全力を挙げております。都の予算案にも、そのことがにじみ出ています。先進国の経済成長には、とりわけ技術進歩が重要とされています。これからの経済社会においては、どれだけつくるかよりも何をつくるかの方が重要であり、そうした意味からの技術革新こそが今後の我が国の死命を制する最重要課題だといっても過言ではありません。
 いうまでもなく、技術革新の究極の要因は人的資本であり、単なる頭数だけではありません。昨年の国際特許出願件数ではトップの米国に次ぐなど、我が国の科学技術は世界のトップクラスにあります。まさに人材こそ宝です。
 二十一世紀は、知恵が世界を制します。官庁や企業の中枢部門、それに多くの高等教育機関や研究機関が立地する東京において、我が党は知事としっかり連携し、産学公連携や、新たな価値創造に向けた研究開発、人材育成などの推進に全力を挙げて邁進することを申し上げ、代表質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 比留間敏夫議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、沖ノ鳥島についてでありますが、国政の大眼目というのは、やはり国民の財産、生命を守るということがもう第一義だと思います。そして、まさにこの沖ノ鳥島はその国民の財産たる領土の一部でありまして、これは、国連の海洋法条約に照らしてもれっきとした島であることは明白でありまして、東京都下の我が国固有の領土であることも、歴史的経緯から見て厳然たる事実であります。
 ご指摘のとおり、中国は、我が国の領土、領海、排他的経済水域への侵犯を意図的に繰り返しておりまして、これを、そのたび、ご都合主義的な主張で正当化をしようとしております。
 一年前の尖閣諸島魚釣島への不法上陸に続きまして、今回の沖ノ鳥島の周辺海域をあえて除いて海洋調査を通告してきましたが、その意図は火を見るよりも明らかでありまして、これまでも中国は、我が国の経済水域で違法な調査を繰り返しておりまして、条約に基づくその調査結果の提供を一向にいたしておりません。政府は遅まきながら腰を上げようとしておりますが、総合的な戦略に裏づけられた確固たる国家的意思がどうもまだはっきり感じられないうらみはございます。
 我が国の国益を侵害しようとする行動に対しては、断固たる態度で臨むべきであると思いますし、また東京都も、東京都の責任においてその先鞭をつけられたらと思って、今回のいろいろ計画を立てました。
 国に対しては、今後も毅然とした対応をとるよう強く求めるとともに、来年度からは、都は独自に沖ノ鳥島周辺において漁業活動を開始し──たまたま東京都の漁業組合長は前の小笠原の組合長で、硫黄島出身であの地域を非常によく知っている人でありまして、挙げて協力したいといっておりますが、いずれにしろ、その漁業活動によってこの海域が我が国の排他的経済水域であるということを、事実として広く周知していきたいと思います。
 先般、たまたま、佐賀大学の上原さんという教授が、既にパテントをとりまして、文部科学省も予算をつけまして、深層の、深いところの水をくみ上げて──これは非常にミネラルとプランクトンの多い水ですけれども、それをくみ上げますと、大体二度、三度の水温が、あのあたりの表面では二十五度を超すわけであります。その温度差で、アンモニアと水を混ぜたある溶液を作用させますと、アンモニアの気化によってエネルギーが生じて簡単な発電ができる、それをもう成功しておりますが、さほどお金のかからない装置なので、この島で発電もし、あそこに住居も構えて、一つの既成事実というものを都も国も協力してつくっていきたいと思っております。
 先般、私も非常に親しいボルトンという国務次官が来まして、来るたびいろいろ話してはおるんですが、そのとき、彼にあのあたりの地図を見せましたら、アメリカ人もそういう認識を欠いておるんですけれども、あの沖ノ鳥島というのは、まさにグアム島から日本近海、中国大陸に対する艦船、特に原潜の通路にかかっておりまして、そういう認識をアメリカ側もまた的確に持っていかなかったということを私、指摘しました。非常に参考になったといっておりましたが、いずれにしろ、東京都は東京都の意思で、日本の、東京都の国土であるこの沖ノ鳥島をしっかりと守っていきたいと思っております。
 次いで、十七年度予算についてでありますが、都財政は、一時の危機的な状況をこそ脱しましたものの、基金残高が底をつき、巨額の隠れ借金が存在するなど、その再建はいまだ道半ばであります。一方で、治安の回復や都市再生、産業力の強化、福祉、医療の充実など、多くの課題を抱えております。
 そのため、十七年度予算は、東京の新たな発展を目指しつつ、財政構造改革を一層推進する予算と位置づけて、現下の都政が直面する緊急課題に財源を重点的、効率的に配分しまして、都民の負託に積極的にこたえるとともに、財政再建と都財政の体力回復の取り組みを進め、財政構造改革を一層推進することを柱として編成をいたしました。
 今回の予算は、都政の将来を展望して、都民のために必要な施策をしっかりと進めながら、同時に、強固で弾力的な財政基盤の確立を目指したものになっていると考えております。
 ちなみに、各自治体、国もそうでありますけれども、財政を支えるために起債をしておりますが、東京都の起債依存度は六・二%、国はこれ、何と四〇%、四二%でありますが、他の地方自治体も平均が一四・六%ありまして、多分東京の起債依存度は、日本で一番低いものになっていると思っております。
 次いで、都市基盤整備の重要性についてでありますが、まさにご指摘のとおりでありまして、幾ら基礎の弱い、やわい地盤に立派なものを建てても、非常に貧弱なものにしかなり得ない。やはり都市というものが発展していくためにも、インフラのきちっとした整備というものが絶対に不可欠であると思います。
 東京都の都市基盤は依然として立ちおくれた状況にありまして、都民生活の利便性や東京の産業の活性化、さらには国際競争力を向上させる上で、一層の整備促進が必要と認識しております。このため、今回の予算では、首都高速道路品川線や骨格幹線道路の整備、連続立体交差化の推進、羽田の空港の再拡張など、将来に向かって投資効果の高い事業を積極的に推進しております。都市基盤の整備については、今後、厳しい財政状況にあっても、東京の再生のために、引き続き限りのある財源を重点的に投入していく考えでおります。
 次いで、いわゆる国の三位一体改革についてでありますが、国の各省と地方を巻き込んで、鳴り物入りで進められてきましたけれども、結局、国の支出を地方につけかえるだけで、何ら実質的な分権に結びつかない結果と相なりました。国の権限を温存する交付金化に至っては、改革の趣旨に逆行するものといわざるを得ません。
 先般、前全国知事会の会長の梶原君と個人的に会って意見交換しましたが、私、そのときに真顔で、君はこの間のできは六〇%といったけれども、本気でそう思っているのかといったら、彼は苦笑いしながら、これは限りなくゼロに近い六〇%、六十点だということで、彼自身もほぞをかむ思いでいると思います。
 国と地方を合わせた長期債務は、数年後には一千兆という天文学的な数字に膨れ上がろうとしておりまして、地方交付税を含めた抜本的な改革が不可避であるにもかかわらず、どうも国の対応はその場しのぎに終始しておりまして、一向に財政的な危機感が感じられません。国の政治家も官僚も、この国の将来にどうも一向に責任を持とうとしていないという感じがして、憂慮にたえないわけであります。
 大都市圏の集積のメリットが経済発展をリードするのは、二十一世紀の都市文明の社会工学的な必然でありまして、今求められるのは、確固とした歴史観に立って、我が国全体の発展につながる改革を実現することだと思っております。
 東京を初めとする大都市が、持てる力を十分に発揮できる制度としなければならないと思います。まして、東京ひとり勝ち論などという議論の横行を許してはならないと考えております。
 次いで、都区の役割分担についてでありますが、地方分権改革は、地方の営みとの総和が国を支える新たなシステムに国の形を変えることでありまして、日本再生への道筋であると思っております。
 そのためには、地域がみずからの足で立ち、個性を発揮していく仕組みを構築するとともに、東京を初めとする大都市が、集積のメリットを生かして我が国の発展を促進することも重要であると思います。
 平成十年の法改正によりまして、区は基礎的自治体に位置づけられましたが、都は、広域自治体として大都市の一体的な行政を行うことが明らかにもされました。大事なことは東京をどうするかでありまして、そのために基礎的な自治体である区が何をすべきか、また、その区そのものの行政区分も、ちょっと私はいろいろ問題あると思いますけれども、いずれにしろ、そういった問題も含めて、大都市行政、府県行政を担う都が何をすべきか、こういうことを具体的に都と区で真摯な議論をしていくことが必要であると思っております。
 次いで、都の役割についてでありますが、東京都には都市の病理ともいうべき諸問題が先鋭的にあらわれておりまして、環境、治安の悪化、交通渋滞などへの対応が喫緊の問題として迫られております。都市の病理を克服し、日本の首都であり、頭脳部である、心臓部である東京は、世界に誇り得る政治、経済、文化活動を展開することが、国家のためにも必要だと思います。
 このため、身近な住民サービスは基礎的自治体である特別区に任せる一方、都は、特別区という大都市地域を総合的、一体的にとらえた都市経営を強化するとともに、首都圏全体を見据えた行政に力を注いでいきたいと思っております。
 次いで、青少年健全育成条例改正の基本的な考えについてでありますが、まさに人材こそ国家の最大の財産でありまして、現下の青少年を取り巻く状況は、大変憂慮すべき状況にあると思います。
 先般も、改正のために、また、今後の問題のために、専門家に任せて、盛り場における青少年の実態なるものを、私、映像として見ましたが、これは本当に慄然とする思いがいたします。しかも、彼らを子弟として抱えている親御さんたちを含めた周囲の大人たちが、そういう現状を実際に熟知していない。
 ご承知のように、条例では、唾尿の売買なるものを禁止しまして、これは読めばわかります、何と何であるかが。しかし、実際それを、どういう価値観というか、どういう心象で、実に平然と、全く何の価値観も感じさせない、非常に漂白された印象で若い人たちが平気で売買しているという実態というものは、これはもう映像として見なければその実感がつかめない。
 そういうものが実ははんらんしているわけでありまして、ある専門家、識者に聞きますと、東京などはまだつまりほかの遊び場があっていいけれども、地方の大都市、地方の中都市に行くと、これはもっと性に関する風俗というものが直截に紊乱していて、本当に慄然とする状況だそうであります。
 今回の条例改正は、こうした認識を踏まえ、子どもたちが安心して育つ環境をつくること、インターネットの利用や青少年の性のあり方などで、親や関係者が子どもに適切な指導を行うことを強く求めるものであります。条例改正の趣旨について理解を広め、日本の未来を担う青少年たちを健全に育成したいと思っております。
 例えば一つの事例をとらえますと、渋谷あたりで週末に放浪して、もう深夜家へ帰らずにいる少女たちにインタビューをしまして、親は心配していないかといったら、親にはちゃんと連絡している。親なら親の電話を聞きまして、逆にそのスタッフが親に電話をしますと、ちゃんと携帯でさっき電話をしたと、今何々ちゃんのうちで勉強していると。とんでもない、当人たちは手つないで、そこで男あさりしてふらふらしているわけでありまして、親に電話して、親がそのまま引っかかって、うちの子どもはどこでちゃんと勉強していますというと、横で電話が終わった後、ほら、ごらんなさいと、きゃあと嬌声を上げて、親も含めて大人をばかにする。
 つまり、親は親としての責任というものを放棄して、携帯で子どもと着実につながっているという一種のバーチャルな親子の関係に安住していて、全く本質的に子どもの心配をしない。こういった認識は、やはり現況というのは、私は、やっぱり子どもの責任よりも大人の責任だと思います。
 そういう点で、条例を通じて、改正を通じて、大人の方々にやっぱり子どもが今どういう状況にあるかという、正確に、できれば視覚的に認識してもらいたいなと思いますが、これはなかなかちょっと難しいんです。
 次いで、横田の軍民共用化でありますけれども、軍民共用化については、これまで日米両政府に早期実現を求めてまいりまして、先日も、日米安全保障協議会の委員会のいわゆる2プラス2、国務省、国防省、日本の外務省、防衛庁が合議する会議が開催され、具体的な協議が行われる段階に入りまして、ようやく機は熟しつつあるような気がいたします。
 軍民共用化は、人や物の流れを活発にし、産業の活性化や雇用の促進につながるなど、今後の多摩振興の引き金になるものであると思っております。
 ちなみに、一部の新聞が報道しておりましたが、あそこに空軍の本部を持ってくるというのは、決して、その空軍の本部が来るから飛行機がふえるということじゃないんです、これは。それは誤解しないでいただきたい。ほとんどの機材は全部グアムに移しまして、要するに機能としての、こういう電子工学の時代に、日本の空における日米安保にのっとった防衛の体制の要するに推進も含めて、機能としてあそこに中心部を移すということのようでありまして、決してそれに伴って機材がふえるということではございません。
 この問題については、近県からも非常に期待が多くて、山梨県の知事なども、羽田、成田は三、四時間かかりますが、横田なら圏央道ができると一時間以内で行くことができる、もうぜひとも早く実現してほしいと要請もされております。
 共用化の実現のためには、道路や鉄道など交通網の改善や騒音対策などが必要でありまして、こうした課題に対して、国が責任持って対応するよう積極的に求めつつ、都としても、国と連携しながら取り組んでまいります。
 今後とも、地元の理解と協力を得ながら、国に対米交渉の促進を強く働きかけ、軍民共用化の早期実現を図っていきたいと思っております。
 次いで、多摩振興についてでありますが、東京の三分の一の人口を擁する多摩地域は、最先端技術が集積し、製造品の出荷額は区部を上回るものになっておりまして、豊かな自然環境にも恵まれておりまして、都心へのアクセスのよさも、アクセスもだんだん改良されまして、首都を牽引する大きな可能性を秘めたまさに未来的な地域であると思います。
 こうしたポテンシャルを十全に開花させていくために、多摩リーディングプロジェクトを策定いたしました。横田基地の軍民共用化に積極的に取り組むとともに、圏央道アクセス道路や南北道路の整備など、都の事業を重点的に推進していきたいと思っております。
 国や市町村との連携をさらに強化し、首都圏の中核をなす多摩の実現に力を尽くしていきたいと思っております。
 次いで、温暖化対策についての都の取り組みでありますが、世界じゅうに干ばつや豪雨が頻発し、島しょ国家の水没の危機、現にキリバチですか、どこだかはもう完全に数年後に水没すると。何しろ一番標高の高いところが五メートルしかない国家ですから、この国は、国がなくなったらオーストラリアへ逃げていくというのが決まっているそうでありますけれども、そういう現況がどんどんどんどん深刻化しているわけでありまして、あるいは一方では、マラリアの蔓延の恐れなどに加えて、食糧や水資源を巡る国際紛争の発生までもが懸念されておりまして、一時好転を期待されておりましたインドとパキスタンの関係も、あそこのヒマラヤの水源を確保するためのダムをどうするかということで、また険悪な状況になっておりますが、地球温暖化は、人類の生存そのものにかかわる喫緊の課題でありまして、現に中国の黄河などは干上がってしまって、ほとんど水が流れていない。地図の上には川として残っておりますけれども、河口にはまだ一滴の水も流れてこないという現況であります。
 先月発効しました京都議定書は、地球温暖化を阻止するための初めての国際的枠組みでありますが、グローバルな気候変動に挑む第一歩にすぎません。温室効果ガスの濃度を安定化させ、気候変動による深刻な影響を防止するためには、社会を構築するすべての主体が、早期かつ永続的に温暖化対策に取り組まなければならないと思っております。
 都は、今回の条例改正によって、エネルギーの需給両面にわたる総合的なCO2削減の取り組みを展開するとともに、環境に配慮したマンションや、省エネ型の家庭電気製品の普及を促すラベリング制度などを創設しまして、先駆的な対策を着実に推進してまいります。
 いずれにしろ、こういった取り組みというのは、ごくささいに見えますが、まさにちりも積もれば山となるということです。だれかがとにかくできることから始めないといけないことだと思います。
 私、かつて、講演を聞きました。ブラックホールの発見者のホーキングは、人間が文明を発達させることで非常に不自然な循環が地球を覆っていって、このままでいくと、人間はもたない、地球はもたない。多分宇宙全体の時間からすれば、本当に瞬間に近い形で、もう百年足らずで地球は惑星として崩壊するだろうと恐ろしい予言をしたのを、私、印象的に聞きましたが、まさにそういった事態が下手をすると現実のものとなりかねない現況だと思っております。
 いずれにしろ、もうとにかく事を防ごうという、ちりも積もれば山となるという志で都民や企業などと連携し、持続可能な社会の構築に向けた取り組みを推進して、その成果を全国に発信していきたいと思っております。
 次いで、中央環状品川線の早期完成についてでありますが、三環状道路の整備は、高コスト構造を是正し、首都圏全体の活性化を図るために不可欠なものでありまして、品川線を整備することで最も内側の中央環状線が完成し、首都圏の屋台骨としての重要な役割を果たすはずであります。
 本年秋には、首都高速道路公団の民営化が予定されておりますが、そのことによって品川線の整備がおくれることがあってはならないと思います。そのために、民営化後の新会社が行う有料道路事業に先駆けて、都みずからが十七年度の街路事業で品川線の建設に着手し、早期完成を目指していくつもりでございます。
 次いで、新銀行についてでありますが、日本の金融界には、これまで顧客重視の視点に立ったサービスを競い合うという土壌が非常に希薄でありました。今回の大手銀行の経営統合などの動きも、いわば金融機関側の利益に沿った動きでしかなくて、地域経済を支える中小企業にとって必ずしも有益とはいい切れません。
 新銀行が金融界の新しいプレーヤーとして中小企業支援を中心に活動する意義はきわめて大きいと思っております。地域金融機関を初めとする多様な連携を基軸とした新銀行の業務の仕組みは、中小企業支援の先進的な試みとして、従来の金融機関ではできなかった新しい金融、つまり新しいシビルバンキングを創設していきたいと思っております。
 新銀行が将来にわたって日本の金融界に健全な競争を生み出すとともに、都民や中小企業にとって真に貢献する民間金融機関として着実に成長していくことを強く期待しております。
 次いで、固定資産税、都市計画税についてでありますが、税制は公正公平でなくてはならないことはもとよりであります。社会経済の変化に対応したものでなくてはまたなりません。
 今回の新たな条例措置は、バブルに伴って生じた制度のゆがみにより著しく不均衡となっている商業地等の負担を是正するものでありまして、これにより、負担水準が高い約六割の商業地等で新たに百六十億円の負担軽減となるはずでございます。
 小規模非住宅用地などに対する軽減措置とあわせて負担の公平を図り、固定資産税に対する納税者の信頼を確保するとともに、東京の活力の再生に資するものと考えております。
 最後に、文化政策についてでありますが、東京は、文化芸術にかかわるさまざまな人材が集まっておりまして、例えばワンダーサイトなどで、いわゆる現代芸術、美術の展覧会へ応募しますと、年ごとに、ことしなどは、昨年が五百点だったのが八百点の応募がありまして、非常に水準も高くなりましたし、また、画商たちの手に届かなかったそういう若い芸術家に画商たちが注目して、画商が、要するに、ついたといいましょうか、扱うような芸術家も数人誕生しておりますし、また、ある画商などは、この次のビエンナーレに自分の責任でそういった作品を提出してオークションにかけるというところまで来ておりますが、いずれにしろ、ここには芸術に関する、美術に限りませんけれども、非常に分厚いヒンターランドがありまして、そういった方々が創造的な文化を生み出す大きな可能性を持っているわけであります。
 行政の役割は、行政が感覚をいじることは非常に危険ですし、またできっこありませんが、しかし、いずれにしろ行政の責任は、みずから切磋琢磨する芸術家の創造の場や発信のチャンスを広げていくことだと思います。そういう観点から、これまでもワンダーウオール、ワンダーサイト、ヘブンアーチストなどの取り組みをしてまいりました。
 今後、東京都の文化施策を語る会において徹底的に議論をしていただきまして、二十一世紀の首都東京にふさわしい文化施策をまとめていきたいと思っております。
 なお、他の質問については、警視総監、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監奥村萬壽雄君登壇〕

○警視総監(奥村萬壽雄君) 振り込め詐欺など新しい手口の犯罪の被害防止対策と、警察官の増員に関するご質問についてお答えをいたします。
 まず、新たな手口による犯罪の被害防止対策でありますけれども、ご指摘のとおり、新手口の犯罪の発生があった場合には、これを検挙することはもちろんでありますけれども、同時に、その手口内容や被害防止策を都民に速やかに情報提供いたしまして、さらなる被害の防止を図っていくことが大変大事であると考えております。
 このため警視庁では、新聞、テレビ等のマスメディアを通じまして積極的な広報を行い、あるいは新聞の折り込みで各戸に配布しております「広報けいしちょう」や警視庁のホームページあるいはメール等のさまざまな広報媒体を活用いたしまして、こうした犯罪の実態について広く都民への周知を図っているところであります。
 それからまた、例えば振り込め詐欺につきましては、警察署ごとに実施しております防犯教室におきまして、おれおれ詐欺の再現テープを利用した広報をこれまでに千回以上実施いたしましたほか、注意喚起のための被害防止ステッカーを約五十七万枚作成いたしまして、高齢者宅への個別訪問や巡回連絡の際に配布するなど、さまざまな方法による指導、啓発に努めているところであります。
 今後とも、新たな手口による犯罪が発生した場合には、こうした観点から、引き続き迅速かつ効果的な対策を講じてまいりたいと考えております。
 次に、増員した警察官の配分についてでありますが、平成十六年度増員につきましては、その一部を重要凶悪事件の捜査にかかわる体制の充実強化に充て、平成十七年度の増員につきましても、引き続き、増員の趣旨に沿って、未解決事件を含めた重要凶悪事件の捜査体制の強化を図る予定であります。
 また、警視庁では、継続的な内部努力によりまして、その時々の犯罪情勢を踏まえた部内体制の強化を実施してきておりまして、昨年におきましては、ご指摘のいわゆる振り込め詐欺に対応するため、都民に身近な知能犯罪緊急対策本部を設置いたしますとともに、外国人犯罪組織や暴力団組織を背景にしたスキミング等新たな手口の犯罪に対する捜査体制を強化いたしました。
 今後とも、警察官等の増員による人的基盤のさらなる強化と継続的な内部努力によりまして、都民の体感治安を脅かす新たな手口の犯罪や身近な犯罪に的確に対応してまいりたいと考えております。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教育に関します三点の質問にお答え申し上げます。
 まず、学校の安全対策についてでございますが、本来、児童生徒が安心して学ぶ場でございます学校におきまして、生命が脅かされるようなことは絶対にあってはならないことでございまして、設置者の責務として、学校における安全対策に万全を期すことは極めて重要なことでございます。
 平成十三年に発生しました大阪教育大学附属池田小学校の事件を受けまして、東京都では、警視庁の協力を得て、都内のすべての公立、私立の幼稚園、小中学校及び保育所等に緊急通報体制、学校一一〇番を設置しまして、学校の安全管理体制の整備を図ってまいりました。
 また、今回の寝屋川市立中央小学校の事件を受けまして、各区市町村においては、警備員の配置や防犯設備の配備などさまざまな安全対策に努めているところでございますが、東京都におきましても、緊急に区市教育委員会の生活指導担当者連絡会を開催しまして、学校一一〇番の有効活用や学校の安全管理の総点検を改めて行うよう指導してまいりました。
 今後、学校の安全管理についてのチェックリストを掲載しましたリーフレットを新たに作成しますとともに、平成十七年度からはすべての小中学校を対象にした防犯教室指導者講習会を実施するなど、学校の安全対策を一層強化してまいります。
 次に、学力向上を図るための今後の取り組みについてでございますが、お話のように、国におきましても児童生徒の学力に関しましてさまざまな議論がなされており、学力向上への都民の関心にも極めて高いものがございます。
 都教育委員会では、これまで、児童生徒の学力向上を図るため、授業改善の具体策を発信します研究推進校の先進的な授業の公開や、各学校の成果や課題を協議する教科別協議会の開催、さらに、各教科の専門の指導主事がチームで指導する特別訪問等を実施してまいりました。
 今後、これらの取り組みの充実をさらに図りますとともに、平成十七年度からは新たに、計画、実施、評価、改善による授業改善推進プランの着実な実施や、大学教授などによる授業改善アドバイザーの導入、少人数指導等の優秀な、すぐれた実践を紹介する指導事例集の作成等を行いまして、各学校の授業改善を一層支援してまいります。
 最後に、教員の資質、能力の向上についてでございますが、お話のように、児童生徒の学力向上を図るためには、教育に直接携わる教員の意識を改革しまして、資質、能力、中でも授業力の向上を図ることが極めて重要でございます。
 このため、都教育委員会では、教員のライフステージに応じた研修体系を整備しますとともに、人事考課と連動した能力開発型の研修を効果的に実施してまいりました。
 今後、これらの研修を充実しますとともに、平成十七年度以降、初任者研修の実施に加えまして新たに、教職経験二年、三年目の教員を対象とした二、三年次授業研究の実施、授業リーダー育成のための東京教師道場の設置や校内研修担当者の育成などを行いまして、組織的、計画的に教員の授業力の向上に努めてまいります。
   〔主税局長山口一久君登壇〕

○主税局長(山口一久君) 平成十七年度予算の税収見込みについてでございますが、輸出、設備投資に支えられ、景気の回復基調が続く中で、上場企業の十七年三月期決算が過去最高益を更新すると見込まれるなど、大企業、製造業を中心に企業収益は大幅に改善してございます。
 こうした経済状況を背景に、都税収入の約四割を占める法人二税が十六年度当初予算対比で約三千億円の大幅な増収が見込まれることなどから、都税総額で約三千三百億円増の四兆二千五百八億円を見込みました。
 都税収入の先行きについてでありますが、これまで都税収入は、景気変動の影響を受け、極めて不安定な形で増減を繰り返してきております。景気の回復は底がたく推移すると見込まれるものの、このところの足踏み状態に加え、不安定な為替、原油価格など懸念材料もあることから、都税収入の先行きについては、今後の景気動向を注視しつつ慎重に見きわめてまいります。
   〔総務局長赤星經昭君登壇〕

○総務局長(赤星經昭君) 都区制度を初め七点の質問にお答え申し上げます。
 まず、都区制度改革におきます五項目の課題についてでございますが、五項目のうち基本となります都区の役割分担につきましては、現在、都区財政調整制度を活用して、都が具体的にどのような事務を行うべきかについて、都区協議会のもとで都区双方が考え方を出し合い、議論を進めております。
 都といたしましては、区部が大阪や横浜を上回る規模の大都市であり、都が一体的に行うべき事務は広範囲に及ぶと考えております。一方、区は、都が行う事務は一般的な市町村が行う事務の範囲に限定されるとしております。
 今後の議論におきましては、東京の将来を見据えまして、都区がともに協力して東京の発展に取り組むことができるよう、十七年度の合意形成に向けて精力的に協議を進めてまいります。
 次に、指定管理者制度の導入についてでございますが、指定管理者制度は、公の施設におけるサービスの向上と経費の削減を目的としておりまして、制度の趣旨を踏まえ、これまでに管理委託を行っております施設につきましては、平成十八年四月に導入をいたします。対象となります公の施設は、公園や体育施設、福祉施設、文化施設などでございまして、都営住宅全体を一つと数えますと二百施設程度となります。
 制度導入に必要な規定整備を行うため、関連する条例改正案を今定例会に提案しており、条例改正後、各局における募集、選定を経まして、平成十七年第三回ないし第四回定例会で指定の議決をいただく予定となっております。
 次に、統一的な考え方に基づく指定管理者制度導入の進め方についてでございますが、都が有します公の施設は多種多様でございまして、個々の施設の設置目的や特性を十分踏まえ、最も適切な形で制度を導入していきたいと思っております。しかし、選定方法や指定期間などの全体に共通いたします基本的な考え方につきましては、都として統一的な取り扱いとなるよう各局と調整してまいります。
 次に、議会への報告についてでございますが、指定管理者の指定の議決の際には、選定の経過や理由を十分にご説明し、透明性や公平性を明らかにすることが必要であると考えております。
 したがいまして、条例改正後に行う募集や選定につきまして、その内容を公表することを統一的な考え方としており、議会に対しましても、適切な時期をとらえ、関係局から説明を行ってまいります。
 次に、新潟県中越地震を踏まえました震災対策についてお答え申し上げます。
 昨年十二月に新潟県に調査団を派遣し、間もなく報告書がまとまる予定でございます。このたびの地震では、情報の途絶、国、県、市町村間の調整不足、避難所の耐震性の不足、避難者への対応の混乱、山間部の孤立などの問題点があったと考えております。
 こうした教訓を踏まえまして、今後、職員参集態勢の再検討や、さまざまな場面を想定し合同で通信訓練を実施するなど、国、都、区市町村間におきます情報連絡体制の確立、連携強化を図りますとともに、避難所の耐震補強の促進、避難所運営マニュアルの充実、山間部での救出、救助の具体的行動を定めた計画の作成などに取り組んでまいります。
 次に、東京湾の津波対策についてでございますが、津波から身を守るには、まず地震発生後速やかに水辺から避難することが重要でございます。これまでも地域防災計画に基づきまして津波対策に取り組んでまいりましたが、防潮堤の外側にある施設も増加しております。
 このため、都は、今回の津波浸水予測調査報告書をもとに、既に関係区及び関係機関との津波対策連絡会議を開催いたしました。今後、関係区と連携し、津波情報を伝達する方法の統一化や、避難方法の周知を図るなど、素早い避難が可能となるよう取り組みを進めてまいります。
 最後に、多摩リーディングプロジェクトについてでございますが、このプロジェクトでは、都が実施いたします多摩重点推進事業の推進などと並びまして、重要な役割を担う市町村への支援を今後の振興策の柱の一つに位置づけております。
 都といたしましては、今後とも、自主的、自立的な行財政運営を行い、地域発展のために努力している市町村に対し、市町村調整交付金、振興交付金、振興基金によります財政支援や情報提供などを適切に実施してまいります。
 また、新たに多摩島しょ底力発揮事業を創設し、地域資源を発掘、発信するなど、今後の多摩の発展に向けて市町村が取り組むまちづくり事業を積極的に支援してまいります。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕

○建設局長(岩永勉君) 河川と道路に関する四点の質問にお答えします。
 まず、河川の地震対策についてでありますが、東部低地帯は地盤が軟弱であることに加え、満潮面以下の地域に百五十万人が居住しております。都は、都民の生命と財産を守るため、隅田川や江東内部河川など計画延長百二十キロにおいて堤防や護岸の耐震補強を進めております。このうち、荒川と並行する中川の下流部など特に整備が急がれる五キロにつきましては、新たな五カ年計画に基づき、平成二十年度までに完成させます。
 さらに、液状化のおそれのある綾瀬川や新中川などにつきましても、耐震補強の調査検討を進めてまいります。
 今後とも、都民が安心して暮らせるよう、地震に強く、親しみのある川づくりを着実に推進してまいります。
 次に、中央環状品川線の具体的な取り組みについてでございますが、品川線は、中央環状線のうち唯一未着手の区間で、その完成により高速道路全体のネットワークを効率よく機能させ、首都東京の再生に資する極めて重要な路線であります。
 品川線の早期完成のため、有料道路事業に先駆け、十七年度に都が街路事業に着手いたします。
 現在、事業の実施に向け、施行区分、工程、施設の管理運営などにつきまして国及び首都高速道路公団と協議を行っております。
 今後、財源の確保に努め、地元の理解と協力を得ながら、環境に配慮し、事業に積極的に取り組んでまいります。
 次に、骨格幹線道路整備などの取り組みの成果についてでございますが、十七年度には、区部では環状第八号線が全線開通するとともに、新交通「ゆりかもめ」の有明─豊洲間の延伸部が完成いたします。
 多摩では、JR南武線の高架化による踏切の除却や多摩川原橋の完成などにより、調布保谷線の川崎街道から甲州街道までが四車線となります。また、府中清瀬線も、西武新宿線と交差するトンネルが完成するなど、甲州街道から清瀬市の小金井街道まで交通開放いたします。
 この結果、都内の渋滞が緩和され、交通利便性や臨海地域へのアクセスが大幅に向上し、首都東京の再生に大きく寄与するものと考えております。
 最後に、交差点すいすいプランについてでございますが、現行プランは、対象交差点百カ所のうち、本年度末で一部完成を含め八十三カ所が完成する予定でございます。完成した主要交差点では、平均通過時間が半減するなど、大きな整備効果を上げております。
 本事業は、比較的短期間に少額の投資で効果があり、都民や市、町の強い要望もあることから、本年二月に第二次交差点すいすいプランを策定いたしました。
 このプランでは、対象交差点百カ所、計画期間を十七年度から十カ年とし、実施に当たっては、地元市、町との緊密な連携など、より効率的な執行体制を築きまして、ボトルネックの解消に積極的に取り組んでまいります。
   〔下水道局長二村保宏君登壇〕

○下水道局長(二村保宏君) 浸水対策の強化についてでありますが、従来のプランの効果を検証し、新たな事業手法などを取り入れ、これまで以上にお客様が効果を実感できるよう、昨年九月に新・雨水整備クイックプランを策定いたしました。
 しかし、十月の台風では、対策箇所となっていないところでも浸水が発生いたしました。このため、浸水の範囲や規模、実施中の事業との関係などを早急に調査、分析した上で、必要な地区を追加していきます。
 今年度中には具体的な地区を選定いたしまして、できるところから速やかに実施し、一刻も早い浸水被害の軽減に努めてまいります。
   〔水道局長高橋功君登壇〕

○水道局長(高橋功君) 震災対策としての今後の給水所整備の取り組みについてでございますが、水道局では、平常時はもとより、事故時や震災時にも強い、より信頼性の高い水道施設の整備に取り組んでおります。
 とりわけ給水所は、安定給水を維持するためのかなめとなる施設であるとともに、常時数万トンに及ぶ多量の水が蓄えられておりますことから、震災時におきましては応急給水の重要な拠点として機能することとなります。
 しかし、ご指摘のとおり、都心部を初めとした地域では、給水所の地域的な偏在などにより震災時等における給水の安定性確保に課題を抱えている地域もございます。
 こうした状況を踏まえまして、今後、代々木給水所や板橋区の大谷口給水所などを計画的に整備し、平常時の安定給水はもとより、災害時におきましても必要な水を都民に供給できるよう万全を期してまいります。
   〔生活文化局長山内隆夫君登壇〕

○生活文化局長(山内隆夫君) 架空請求に対する都の具体的な取り組みについてでございますが、都内の消費生活センターでは架空請求の相談が激増し、手口の悪質、巧妙化によりまして被害が深刻化しております。このため、架空請求緊急対策班を設置し、相談部門と事業者指導部門が一体となった強力な取り組みを本日から開始いたしました。
 具体的な取り組みとして、専用相談電話、架空請求一一〇番を開設し、相談体制を充実するとともに、相談現場から直ちに悪質業者に対し、電話やメールで警告を行ってまいります。
 また、メールによる架空請求が急増しているため、都民からの通報制度を創設いたしまして、この通報に基づき、電話会社に対しては、悪用されている携帯電話の利用停止を、金融機関に対しては、不正に使用された預金口座の凍結を要請してまいります。
 さらに、架空請求専用ホームページやビデオの作成などによりまして、最新の手口や対応策などを広く都民に提供し、被害の未然防止を図ってまいります。
 実施に当たっては、警視庁等関係機関との連携を一層強化し、都民の不安解消に向け、全力で取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長幸田昭一君登壇〕

○福祉保健局長(幸田昭一君) 福祉保健施策に関します五点のご質問にお答えいたします。
 まず、今後の脱法ドラッグ対策の進め方についてでありますが、今回提案している条例により、これまで法律での規制が困難であった脱法ドラッグについて実効性のある取り締まりが可能となります。
 具体的には、脱法ドラッグを迅速に知事指定薬物に指定をし、その製造、販売などの禁止や、必要な立入調査を行うとともに、違反者に対しては罰則を科するなど、脱法ドラッグの取り締まりを強力に実施いたします。
 あわせて、学校やボランティア団体と協力し、青少年への正しい知識の普及啓発の充実に努めるなど関係機関と連携を図り、条例の規定を最大限に活用し、都内における薬物乱用の根絶に向けて全力で取り組んでまいります。
 次に、福祉、保健、医療の施策の展開についてでありますが、福祉保健局は、少子高齢社会に的確に対応し、健康に対する都民の不安を払拭するため、福祉局と健康局が統合し、昨年八月に発足いたしました。
 統合後、児童相談所や保健所など専門機関の連携による児童虐待の早期発見と未然防止に向けた仕組みづくりに着手するとともに、社会福祉施設などにおける感染症予防対策の強化、健康づくりや疾病予防の観点も含めた介護予防に関する取り組みなど、質の高い福祉、保健、医療サービスの総合的、一体的提供に努めております。
 今後とも、局統合のメリットを具体的に都民の皆様に実感していただけるよう、施策の充実に取り組んでまいります。
 次に、次世代育成支援東京都行動計画についてでありますが、次代を担う子どもが健やかに生まれ、育成される環境の整備を図ることは、親はもとより、私たち大人に課せられた責務であり、社会全体の課題であります。
 こうした基本的な考え方のもとに、本計画では、お話の、次世代育成緊急対策総合補助制度の創設や、福祉、保健、医療、教育が一体となって子どもと家庭を支援する、仮称子ども家庭総合センターの設置のほか、区市町村や企業、学校などと連携した、すべての子育て家庭を視野に入れた取り組みや、子どもの自立に向けた支援策などを盛り込む予定であります。
 次に、介護保険制度改革に向けた取り組みについてでありますが、都は、よりよい制度改革が実現されるよう、国に対し、昨年四月の制度全般に及ぶ提案に加え、本年一月には、介護サービスの質の向上に向けた適切な対応など実務的な提案を行いました。
 法案成立後、具体的な事項を定めた政省令が公布されますが、都としては、引き続き国に働きかけるとともに、介護予防重視の観点から、制度改正に先駆けて来年度新たに、介護予防マネジメントを担う人材の養成や介護予防拠点の整備などに取り組んでまいります。
 今後とも、区市町村と密接に連携し、改革後の制度の円滑な実施に向けた準備に遺漏のないよう努めてまいります。
 最後に、国民健康保険制度の見直しについてでありますが、お話のとおり、国は、区市町村の国民健康保険財政の安定化を図るとの考えから、新たに都道府県調整交付金を導入するための改正法案を今国会に提出しています。
 それによれば、調整交付金は、都道府県が条例を定めて交付することとされており、国はそのためのガイドラインを作成する予定であると聞いておりますが、現時点では、何ら詳細は示されておりません。
 都としては、今後、国の動向も踏まえながら、保険者である区市町村の代表などで構成される東京都国民健康保険委員会に諮り、調整に当たっての基本的考え方や具体的な配分基準などを検討してまいります。
   〔産業労働局長関谷保夫君登壇〕

○産業労働局長(関谷保夫君) 多摩振興及び地域経済の活性化に関する三点のご質問にお答えを申し上げます。
 まず、多摩地域における産業振興についてでございますが、産業力を強化するためには、地域の資源を有効に活用し、地域の持つポテンシャルを引き出すことが不可欠でございます。このため、企業ニーズの把握や地域特性分析等の調査を踏まえ、現在の経営技術支援機能を抜本的に再検討し、新たな支援体制の具体的な姿を提示してまいります。
 産業技術研究所につきましても、独立行政法人化を進める中で、支援体制の整備を図ってまいります。
 そうした中で、多摩地域の中核拠点の整備を含め、多摩地域の強みを生かし、時代に合った専門性の高い支援体制を構築してまいります。
 次に、制度融資についてでございますが、十七年度は過去最高の融資目標額一兆七千五百億円を維持するとともに、経営の自律性の向上や新たな事業展開を支える観点から、次のような見直しを行いました。
 第一に、税理士連合会作成のチェックリストを活用したクイック融資を創設し、会計情報の適正化に取り組む企業に対し、迅速な資金供給を行ってまいります。
 第二に、例えば従業員が事業を引き継ぐ場合など、第三者の事業承継に対する融資メニューを創設いたします。
 このほか、中小企業の海外への事業展開を対象に加えるとともに、新たなチャレンジを行う企業を金利面でさらに優遇するなど、一層の充実を図ってまいります。
 最後に、来年度の商店街振興施策についてでございますが、商店街は都民生活を支え、地域経済を活性化させるとともに、コミュニティの維持発展に重要な役割を果たしており、都内各地の商店街では、地域住民やNPO等と連携して、まちづくりなどに取り組む例も数多く芽生えております。
 都は、今後こうした取り組みがさらに多く実施されるよう、新たに先進的な取り組みを表彰する制度を創設いたします。
 また、商店街が地域と連携して、まち全体の活性化に取り組む事業を支援するなど、区市町村との協力体制を一層強めながら、商店街振興施策を拡充してまいります。
   〔環境局長平井健一君登壇〕

○環境局長(平井健一君) 環境確保条例の改正などに関しまして、五つのご質問にお答えいたします。
 まず、地球温暖化対策計画書制度の強化についてでございますが、これまでは事業者の任意な目標設定などを求めてまいりました。今回の制度は、都の指導助言と評価公表によって、より高いCO2削減目標の設定と、着実な対策実施を誘導するものでございます。温暖化対策に積極的に取り組む企業が、社会的にも高く評価される仕組みでございまして、省エネ法や他の自治体の制度にはない、都独自の制度でございます。
 計画策定に当たりましては、都が削減対策指針に基づき取り組むべき対策メニューを示すとともに、計画の中間年及び終了時に成果を評価公表することで、事業者の積極的取り組みを促していくなどにより、制度の実効性を確保してまいります。
 次に、中小規模事業者への働きかけについてでございますが、CO2削減に向けた積極的な取り組みを促すため、条例改正案におきましては、中小規模事業者が計画書を任意提出できることといたしました。計画書を提出し、温暖化対策に率先して取り組む中小規模事業者に対しましては、都の指導助言を通じて、計画策定や対策の実施を具体的に支援してまいります。
 また、東京商工会議所など関係団体等と協働いたしまして、温暖化対策の推進組織でございます地球温暖化対策推進ネットワークを新たに設立し、省エネ対策に関する相談窓口の開設や、インターネットによる省エネ技術情報の提供を行ってまいります。
 次に、事業者に対する金融面などでのインセンティブについてでございますが、近年、幾つかの金融機関におきまして、環境に配慮した経営を行う事業者に対する低利融資など、企業の環境対策を促進する金融商品が開発されてきております。
 温暖化対策に率先して取り組む事業者が経済的なインセンティブを得られるようにすることは、対策を促進する上で有効と考えられるため、都は、こうした金融商品の拡大などを目指す環境金融プロジェクトを開始することといたしました。
 今後、都の呼びかけに賛同する金融機関との協議検討の場を設置いたしまして、企業の環境配慮行動を促す金融機関の取り組みを積極的に促進してまいります。
 次に、廃棄物条例の改正についてでございますが、不法投棄が発生する要因といたしましては、産業廃棄物を排出する事業者が、価格優先で安易に処理業者を選定するなど、排出事業者としての責任を必ずしも十分に果たしていない現状や、また、一部の処理業者が能力を超えて処理を請け負うなど、不透明な処理を行っている状況がございます。
 そこで、排出事業者には適正処理のための取り組み状況について、また、処理業者には処理の状況について、それぞれ報告を義務づけまして、これを都が公表することとするものでございます。
 これにより、排出事業者の適正処理への取り組みが促進されるとともに、処理業者の処理状況が透明化され、不法投棄問題の解決に資するものと考えております。
 最後に、処理業者に対する報告・公表制度についてでございますが、本制度に基づき、処理業者からの処理状況に関する報告内容を公表することによりまして、排出事業者が処理業者を選定しやすくなり、より信頼性の高い廃棄物処理が行われていく環境が整えられるものと考えております。
 また、施設における処理の状況が透明になり、産業廃棄物の処理に対する社会的な理解と信頼性が高まるものと考えております。
 このようなことを通じて、産業廃棄物処理業が健全な環境産業として発展していくものと期待しているところでございます。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君) 中央環状線の完成と都市機能の向上についてでございますが、中央環状線は、都心部への過度な交通の負荷の軽減や、人や物の円滑な流れを実現するなど、都市再生を推進する上で重要な路線であります。
 品川線の完成により、東京港や羽田空港が、東名や中央道、圏央道と連結し、国際物流機能が強化されるとともに、新宿から羽田空港までの走行時間が、現在の四十分が半分になるなど、利用者全体に大きな時間短縮便益が発生いたします。
 加えて、品川線の整備により交通分散が図られ、一般街路の渋滞解消や環境改善などの効果が期待できます。
   〔新銀行設立本部長津島隆一君登壇〕

○新銀行設立本部長(津島隆一君) 新銀行に関する二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、新銀行の開業時期の考え方などについてでございますが、新銀行においては、一刻も早い開業を待つ中小企業の期待にこたえるために、四月一日から、原則としてすべての業務を開始することといたしましたが、ペイオフ解禁に伴う地域金融機関への影響等を勘案して、開業時は本店のみとし、段階的な業務展開を行うことといたしました。
 具体的には、四月から原則としてすべての業務を取り扱いますが、ポートフォリオ型融資、インターネットバンキング及びJR東日本との提携カードの取り扱いについては、顧客への周知等も考慮して、七月からといたします。また、店舗については、本店に引き続き、五月上旬に新宿、蒲田、七月上旬に上野、錦糸町、立川の各店舗を開設することといたします。
 現在、監督官庁と調整しながら、円滑な開業に向けた準備を進めております。
 次に、民間企業からの出資状況でございますが、新銀行東京は幅広い都民からの支持を体現するため、多様な企業からの出資を確保いたします。あわせて、資本コストや市場金利などを考慮した弾力的な資本構成とするため、普通株式とともに、市場を活用した資金調達を実施してまいります。
 具体的には、開業年次に民間企業五十社程度の資本参加を含む五百億円を超える自己資本調達の見通しがつき、現在、その準備を進めております。
 その後、新銀行の業務拡大に合わせて、引き続き適切な資本調達を行ってまいります。
   〔港湾局長成田浩君登壇〕

○港湾局長(成田浩君) 東京港の港湾計画の改定についての二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京港における物流動向についてでございますが、昨年の貨物取り扱いについて見てみますと、外国貿易貨物が国内貨物を上回る勢いとなっておりまして、輸出入貿易額で過去最高の九兆九千億円余に上るとともに、外貿コンテナの取扱個数においても約八%の伸びを示して、日本最高を更新する三百三十万個程度の実績を達成する見込みでございます。
 ご指摘のとおり、日本の貿易相手国は、昨年初めて中国が米国を抜いて第一位となりましたが、東京港においても中国航路のコンテナ取り扱いの伸びが著しく、既に一昨年から、中国が東京港最大の相手国となっております。
 このように、我が国を代表する国際貿易港東京港の物流動向に、全国の貿易の趨勢が先行して象徴的にあらわれてきているところでございます。
 次に、改訂港湾計画における物流機能の強化策でございます。
 新しい港湾計画におきましては、急増する輸出入貨物に対応する新規コンテナふ頭の整備、国内貨物船の大型化に対応するふ頭の再編、さらに、羽田空港再拡張に伴い、中央防波堤外側埋立地に、航空貨物も視野に入れた高機能物流拠点の整備を位置づけてまいります。
 来年度じゅうに改訂港湾計画を策定し、外貿貨物の増大など、新たな国際貿易の動向に適切に対処していきたいと考えております。
 このため、コンテナふ頭などの早期整備を進めるとともに、東京港と直結する中央環状線等の道路網や、ITを活用した民間の新しい物流システムとの連携を図るなど、東京港の物流機能の一層の充実強化に取り組んでまいります。

○議長(内田茂君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時四分休憩

   午後三時二十七分開議

○副議長(中山秀雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百七番石井義修君。
   〔百七番石井義修君登壇〕

○百七番(石井義修君) 私は、都議会公明党を代表して質問いたします。
 今、日本は二つの危機に直面しています。確実にやってくる日本各地を襲うスーパー地震災害であり、もう一つは、放置すれば日本沈没になりかねない超少子社会の到来であります。東京は、あらゆる英知を結集し、この危機を回避しなければなりません。
 また、東京は、国を変えるだけでなく、世界の危機回避にも貢献しなければならない使命があります。前任の大統領が世界に呼びかけ、その枠組みを決めておきながら、自国の利益を盾に、地球温暖化防止条約京都議定書から、現アメリカ大統領は一人抜け出したのであります。世界の異常気象からかけがえのない地球を守るために、世界の諸都市に呼びかけ、アメリカ大統領を包囲し、同じテーブルにつくよう忠告できるのは、ノーといえる石原知事以外ないのであります。
 無所属の時代を含め、公明党が都議会に初議席を置いてことしで五十年になります。人の命は地球より重い、政治の主権者である庶民大衆一人一人のその重い命を守ることに志を定め、先輩から後輩議員に、そしてまた、その後輩議員にたいまつを引き継ぎ、懸命に戦って半世紀になります。
 私たちは、知事と同じ思いに立って、未曾有の危機を回避し、安全・安心の東京をつくるため奮闘する決意であります。難局に立ち向かう知事の決意を、まず伺います。
 震災対策について伺います。
 政府の中央防災会議は、首都直下地震が起きた場合、最悪で死者は阪神大震災の二倍近い一万一千人、建物の全壊、焼失は八十五万棟、七百万人が避難生活を強いられ、経済被害は阪神大震災の十倍で、百十二兆円とする被害想定をまとめました。東京は日本の政治経済の中枢機能が集中しており、直下地震のダメージは国内のみならず、世界に及ぶことは確実であります。
 私は、十年前、阪神大震災の翌日、平成七年一月十八日午後二時、同僚の公明党都議会議員五人と神戸に飛び、阿鼻叫喚の地獄を体験してまいりました。また、新潟中越地震の直後、十一月三日、橋本議員団長、中嶋政調会長らとともに、六日町、十日町、小千谷、震度七の川口町に急行し、地震被害の惨状を目の当たりにしてまいりました。
 都としても、石原知事を先頭に、安全・安心のまちづくりを掲げ、災害対策に取り組んでいるところでありますが、この被害想定の発表を受けて、これに対応するため、知事を本部長とする全庁的な直下地震対策本部を立ち上げ、都としても、区市町村別の、しかも、どのまちのどこが危ないのかという詳細な被害想定の策定、防災計画の見直しなど、直下地震対策に総力を挙げて取り組むべきと考えます。知事の所見を伺います。
 第二に、住宅の耐震改修について伺います。
 阪神大震災の死者六千五百人の約八割が建物の倒壊が原因であるところから、都内の昭和五十六年耐震基準以前の住宅百万棟の耐震化こそ、最重要課題であります。
 これまで国の財務省は、住宅は個人の財産であり、公的支援は公益性を損なうから適当でないとしてまいりました。都も同様の考えに立ち、これまで一般民間住宅の耐震診断、耐震改修事業は全く実施しておりません。
 しかし、十五年前の雲仙普賢岳噴火災害、阪神大震災、三宅島噴火災害、新潟中越地震を経験する中で、被災者支援のための被災者生活再建支援法が制定され、それに基づき支援金額が徐々に拡大されて、公的支援は公益性を損なうとする財務省の方針は、国民世論に促される形で大きく転換されてきているのであります。
 国土交通省は、私たち都議会公明党の強力な要請にこたえ、十七年度予算で耐震改修にかかわる補助制度について、従来のばらばらであった事業を統合化し、地方公共団体の状況に応じた柔軟な事業内容に変えてきております。さらに、今後十年を目標に、住宅耐震化目標を九〇%に設定し、財政、税制の両面から耐震化を強く進めていく検討に入っております。
 ところが、国と各区に耐震対策の補助制度がありながら、安心・安全を標榜する肝心かなめな東京都には制度がないのであります。全国をリードすべき東京が、全国で一番おくれているのであります。寂しい話であります。
 先ほど、我が党の中嶋政調会長が国の内閣府に行き、首都直下地震対策にかかわる被害想定をもらってまいりました。その中では、人的被害の概要ということで、自力脱出困難者五万五千人と出ております。そこで、国は、この五万五千人に対して、夏までに総合的な対策、マスタープランそして減災計画をつくると述べているところであります。したがって、都としても、全力を挙げてこれに取り組むべきであります。
 住宅の耐震化が進まなければ、建物倒壊によって多数の死者が発生します。また、建物倒壊によって道路が閉鎖されれば、災害救助活動が遮断されます。震災後の莫大な復興費用の前倒しと考えれば、耐震対策に公費を投入することは何ら公益性を損なうものではありません。金がなければ知恵を出せであります。国と都が連携し、区市町村と連携し、民間事業者と連携し、住民力、地域力を呼び覚まし、あらゆる手段を駆使して、今こそ都は耐震対策に乗り出すべきであります。今すぐにでも、国の耐震改修に上乗せする形で、耐震改修事業を実施すべきであります。また、新耐震基準に適合する耐震改修事業費の一定割合を、個人住民税から控除する減税制度についても、検討すべきであります。
 耐震改修事業は、中小企業への景気波及効果も抜群であります。耐震診断によって耐震性が不十分な住宅は、建てかえるか耐震補修をすることになりますが、仮に十万棟が建てかえ、十万棟が耐震改修事業を行うと仮定しますと、その経済波及効果は約二兆五千億円になります。
 また、耐震改修に名をかりた悪徳商法に対する訴えが、既に都消費者センターに寄せられておりますが、したがって、悪徳商法に対する対策も早急に実施し、信頼できる耐震診断士や耐震改修産業の育成など、耐震診断から改修に至るまで、信頼できるシステムの構築を検討すべきであります。
 例えば、仮称耐震改修五カ年戦略などと、具体的で時限を切った計画を策定し、全庁的な組織を立ち上げ、総力を挙げて住宅の耐震改修に取り組むべきであります。知事の決断を伺います。
 第三に、木造密集地域の整備についてであります。
 知事も施政方針で、豊島区東池袋地区、墨田区鐘ヶ淵地区など、道路整備と一体化した木造密集地域の不燃化を進め、災害に強い都市基盤の整備に取り組むと述べておりましたが、この事業は、先ほど述べた木造密集住宅の耐震化とともに、防災都市づくりの車の両輪の事業であります。想定される直下地震では、犠牲者を出さない、家をつぶさせない、家を燃やさせないという決意で、地域の住民の理解、協力も得て、あらゆる手段を駆使して、木造住宅密集地域の不燃化を進めるべきであります。見解を伺います。
 第四に、地下鉄の安全対策について伺います。
 元東大地震研、溝上恵教授は、「大地震が東京を襲う その時あなたはどこにいるか」という著書の中で、地下鉄に乗っているときに東京直下地震に遭遇した場合のシミュレーションを小説風に書き上げております。そして、地下鉄の構造は地震に対し十分な強度を持っているので、致命的な被害を受けることはないと考えるが、地下鉄の暗い空間は人間の本能に恐怖と不安をもたらし、それによって起こるパニックこそ最も危険な災害といえると述べております。
 去る二月十八日、都営地下鉄新宿線の曙橋─市ヶ谷駅間で、笹塚発本八幡行き列車に非常ブレーキがかかり、乗客四百五十人が一時間にわたって車内に閉じこめられる事故が発生いたしました。幸いにけが人もなく、駅員の誘導でトンネル内を百メートル歩き、無事市ヶ谷駅に避難することができたのでありますが、震度六を超える東京直下地震が発生すれば、地下鉄の全線にわたり地下鉄が急停車し、パニック同然の大混乱に陥ることは目に見えております。
 新年度予算において、韓国の地下鉄火災事故を教訓に、危険度の高い地下鉄駅の避難路の確保、そして排煙設備に対する助成が新規事業として実施されることは、時宜を得たものと評価するものであります。
 今後は、既存の避難誘導マニュアルなどを再度点検し、さらに有事を想定した乗客や駅員の避難訓練などの教育を行うべきであります。また、地下鉄構内に水、食料、医薬品、簡易トイレなど、帰宅困難者用のトランジットバッグを備蓄すべきであります。
 アメリカの国土安全保障省、DHSや、労働者安全保健公社、OSHAでは、被害が起こる前の危機管理、すなわちリスクマネジメントとあわせて、不測の災害やテロ攻撃に備える事故後の被害者管理、すなわちコンセクエンスマネジメントを実行しております。乗客や駅員に対する教育を平時から行うとともに、トランジットバッグの備蓄を義務づけております。
 都としても、先進国の先例に倣い、コンセクエンスマネジメント、すなわち事故後の被害者管理体制を整備すべきであります。今回発表された首都直下地震の被害想定でも、新幹線の脱線で二百人が死亡し、在来線や地下鉄でも五十から百編成の車両の脱線を想定しております。明快な所見を伺います。
 第五に、一年前、本会議で指摘した墨田区白鬚東の防災拠点の再整備について、重ねてお伺いいたします。
 昨年九月、知事も防災訓練の際に立ち寄っていただきましたが、東京東部の広域避難場所として整備されて以来二十五年、施設の老朽化とともに、さまざまな問題点が浮き彫りになっております。有事の際は四万人の仮設テントや仮設住宅が設置されますが、肝心な非常用トイレの数が決定的に少なく、しかもくみ取り式で、囲いも衛生対策もないのであります。地元墨田区と協議し、早急に整備すべきであります。
 また、震度七にも耐えられる非常用給水栓の整備、非常用電源の設置、住宅棟の耐震診断の実施と補修、地盤の沈下及び液状化の調査の実施などであります。これらについては、避難民を受け入れる地元自治会の皆さんと、都の関係各局がこれまでも協議してきている課題でありますが、誠意ある回答を示すべきであります。希望が持てる見解を伺います。
 第六に、「地震に対する十の備え」についてであります。
 地震の際に人の命を守るのは、だれあろうその人自身であります。生きるも、命を落とすも、すべては発災後一分間で決まります。公助、共助も大事でありますが、自分の命は自分自身で守る心得を、すべての住民に一刻も早く周知することが大切であります。
 八十一年前、関東大震災の際も、本所の被服廠跡地に家財道具を大八車に満載した群衆が、警察官の制止も聞かず後から後から殺到し、そこに火の粉が降り注ぎ、やがて天高く舞い上がる火災旋風に巻き込まれた地獄絵が、横網の慰霊堂に掲げられております。
 東京消防庁は、昭和五十三年の宮城沖地震の教訓から「地震 その時十のポイント」を作成し、さらに阪神大震災の教訓、十勝沖地震の教訓を集約し、大震災に備え、個人でできる備えを十の備えとしてまとめ上げられております。これであります。
 「地震に対する十の備え」、家具類の転倒・落下防止をしておこう、けがの防止対策をしておこう、家屋や塀の強度を確認しておこう、消火の備えをしておこう、火災発生の防止対策をしておこう、非常用品を備えておこう、家族で話し合っておこう、防災環境を把握しておこう、過去の地震の教訓を学んでおこう、知識・技術を身につけておこう、グラッときたら身の安全、すばやい消火・火の始末、慌てた行動けがのもと等々、さまざまな、住民の皆さんに喚起する内容が掲げられております。幾多の災害の教訓を重ね合わせた力作であります。東京消防庁の皆様に感謝申し上げます。
 まさに人を守るのは人そのものであります。防災の備えを自覚した一人一人の住民は、十人、百人、千人、一万人の消防士に匹敵すると思います。こうした住民の力、住民力、地域の力、地域力を総結集し、来るべき東京直下地震に備えるべきであります。都内の区市町村、そして東京のすべての町会、自治会に協力をいただき、すべての住民の方々に「地震に対する十の備え」を周知すべきであります。消防総監の見解を伺います。
 あわせて、消防総監に伺います。
 昨年末、私は、歳末警戒で、向島消防署長、向島消防団長とともに各分団を巡回させていただきました。郷土愛の精神に燃え、生業の傍ら、昼夜を分かたず献身的に活躍される消防団の皆様に感銘いたしました。しかし、消防団の分団本部の建物や防災資機材格納庫が老朽化したものも見られ、消防団の皆様から改善を強く要望されたのであります。
 阪神大震災の教訓を受けて、倒壊家屋の人命救助に使用するチェーンソーやバールなどがおさめられた防災資機材格納庫が、直下地震で真っ先に倒壊したのでは話にならないのであります。予算を伴うものでありますが、あす地震が来ることを想定して、総点検し、計画的な防災資機材格納庫の耐震対策を実施すべきであります。
 また、命をかけて活動してくださる消防団の皆様の恩に報いる対策でありますが、さらなるきめ細かい顕彰制度の実施、消防団ハンドブックの改定、制服の見直し、消防団の日の設定、可搬ポンプ積載車の配置等についても前向きに検討すべきであります。消防総監の明快な見解を伺います。
 次に、ライフラインの復旧について伺います。
 中央防災会議の被害想定によると、東京は、発災初日に水道の断水人口が約三百九十万人、下水道被害が十三万件などとなっております。この中で特に早期の復旧が必要なのは水道であります。電力、ガス、通信は民間であるのに対し、水道は都の所管であります。水道の復旧は、都の震災対策の中の重要な課題であります。
 今回の被害想定は、平成九年のそれと比べると、地震のエネルギーは一・五倍、震源域の広さは二・二五倍であり、阪神大震災と同規模の被害想定となっております。従来、水道局は、平成九年の想定に基づく復旧日数を三週間程度として、昨年の第四回定例会でも答弁しておりましたが、新たな想定下での復旧期間の見通しは立っているのか、また、水道局の耐震対策の再構築について見解を伺います。
 なお、関連して、包括外部監査の水道局に対する指摘について質問いたします。
 未利用資産の活用や料金収納コストの見直しなどは、かねてから公明党も主張してきた問題であります。さらに、待機職員など営業所業務の効率的な改善などについても、今後具体的に取り組むべきであります。企業的経営による効率性、経済性を発揮するとともに、地方公営企業としての公共性や公益性をいかに守っていくか、難しい課題でありますが、この二つの要請に水道局は正面からこたえていく必要があります。
 財政基盤の強化を初め、外部監査の指摘を踏まえ、今後の改善策について、水道局長の所見を伺います。
 次に、総合防犯対策について伺います。
 最近、防災、防犯、防疫、防衛の境目がなくなりつつあり、総合的な対策が必要であると指摘されております。
 こうした状況の中で、知事は、危機に備える対策を積極的に推進しております。二年前に治安対策担当副知事を登用し、緊急治安対策本部を設置し、安全・安心まちづくり条例の制定、スクールサポーターの配置、青少年健全育成条例の改正、警察力を強化するため、警察官OBを活用した空き交番対策、都職員の警視庁や東京入国管理局への派遣など、矢継ぎ早に対策を打ち出していることを高く評価するものであります。
 また、警視庁でも、平成十五年を治安回復元年と位置づけ、三年間で十年前の治安水準に戻すことを目標に、警視庁の総力を結集して、全庁的な取り組みを強力に展開しております。
 今定例会初日の警視総監の報告でも明らかなように、二年連続で都内の犯罪件数は減少し、逆に犯人逮捕の検挙率は上昇しているところであります。しかしながら、警視総監も依然として厳しい状況にあると率直に述べられましたように、世論調査を見ても、都民の生活実感からも、振り込め詐欺など新手の犯罪の多発や国際テロの脅威など、都民を取り巻く環境は依然として安全とはいえず、いわゆる体感治安を高めてほしいと、多くの都民が切実に願っております。
 そこで、竹花副知事に伺います。
 治安担当副知事として、これまで精力的に取り組んでこられたことを高く評価いたしますが、二年間近い今日までの取り組みのご自身の評価とこれからの課題について、具体的に明らかにしていただきたいと思います。
 また、警視庁がこの三年間、十年前の治安水準に戻すことを目標に掲げ、警視総監陣頭指揮で全庁挙げて取り組んでいることを高く評価するものでありますが、警察官やOB警察官の増員、スーパー防犯灯、街頭防犯カメラのさらなる設置などにより、都民の皆さんは、まちの安心・安全、学校の安全・安心を求めております。現在の治安状況と今後の対応について、警視総監の所見を伺います。
 次に、急増するネット犯罪対策について伺います。
 急速に発展したインターネットの普及に伴い、その利便性とともに、そこに潜む危険性が指摘されております。はんらんする情報の中には悪質で有害なものが多く、いつ自分自身の周りに犯罪やトラブルが発生してもおかしくない状況にあります。その対策は急務であります。
 実際に、架空請求メールに伴うトラブルが急増し、社会問題となっております。いきなりパソコンや携帯電話に対して、債権回収業者を装った人物がメールで、アダルトサイトや出会い系サイトなどの利用料を請求し、銀行口座に振り込ませるなど、悪質で巧妙な手口が横行しております。
 そこで、第一に、警視庁は、ハイテク犯罪対策総合センターを中心に、ネットワーク利用犯罪などの取り締まりに取り組んでおりますが、都民の不安を一掃するため、関係機関と連携を図り、集中的な取り締まりが必要であります。警視総監の見解を伺います。
 第二に、都の取り組みについてであります。
 都も、消費者センターでの相談体制の強化や、架空請求にかかわる違反事業者の公表などを行い、ホームページで注意を促しております。しかしながら、急増するネット犯罪から都民を守るために、具体的な方策を講じるべきであります。そこで、学校や公共施設などで、犯罪やトラブルに巻き込まれないための教育や啓発を行うネットインストラクターを積極的に養成し、活用することが考えられます。都の見解を伺います。
 青少年の健全育成について伺います。
 有害な情報のはんらんや、青少年が悪質な犯罪に巻き込まれる事件の発生など、青少年を取り巻く環境はますます悪化しております。
 先日、大阪・寝屋川市の小学校で十七歳の少年が起こした殺傷事件は、社会総体に大きなショックを与えました。何が原因なのか、我々は何をなすべきなのか、今こそ真剣に、家庭教育、学校教育、社会教育の立場から、青少年の健全育成はいかにあるべきか、答えを出さなければなりません。知事の所見をまず伺います。
 第二に、学校教育の立場から伺います。
 私は、昨年末、錦糸町駅頭で新潟中越地震の募金活動を行いました。大勢の人が賛同し、真心の浄財を預かりました。その中に中学生や高校生、そして多くの若者も立ちどまり、僕たちの応援メッセージを新潟の人たちに届けてほしい、そういって、財布からお小遣いをカンパしてくれたのであります。今どきの若者は、などとよくいいますが、とんでもないことであります。この善意を伸ばさなくてはいけないと率直に感じました。青少年健全育成の立場から、教育長の見解を伺います。
 第三に、社会教育の立場から伺います。
 都は、有害な情報から青少年を保護するため、平成十六年の青少年健全育成条例の改正で、不健全な図書類についての規制を強化する措置をとりました。しかし、今やインターネットから有害情報が大量に流され、青少年は、犯罪に巻き込むおそれのある情報に無防備にさらされております。
 今回提案されている条例の改正は、これらの情報から青少年を保護するため、事業者がフィルタリングの提供に努めることを規定するなど、他の道府県より踏み込んだ内容となっております。これはインターネット利用に伴う危険な現状を踏まえた対応であり、高く評価するものであります。今後、条例施行の効果を上げるため、具体策を竹花副知事に伺います。
 あわせて、私は昨年の本会議でも指摘いたしましたが、青少年の健全育成を阻害する一部の低俗なメディア対策についてであります。
 まちのコンビニや駅頭に堂々と、だれはばかることもなく、卑わいな写真や漫画本が並べられております。子どもたちにとって知らなくてもよい情報がはんらんしております。先進国では到底見られない恥ずかしい光景であり、これは形を変えた虐待ではないかと思います。
 社会は子どもの鏡であり、その鏡であるべき社会が、自分の子どもや孫にも見せられないような不条理なことをやっていて、一方で青少年に健全になれといっても説得力はないのであります。売れれば何でもあり、後は野となれ山となれ、一部の商業主義的なメディアへの自主規制の呼びかけを含め、竹花副知事の対応策を伺います。
 次に、東京港の保安対策について伺います。
 改正SOLAS条約が発効して半年後の本年一月、四日市港に入港したコンテナ船において、密入国した男女五人が逮捕されました。その後、この船が横浜港に入港した際には、さらに二名の密入国者と乗組員が逮捕されております。この船は最終的には東京港へ寄港する予定でしたが、取り調べのため、東京港への寄港は取りやめとなっております。
 このような密入国事件が今なお発生している現状を踏まえ、外国人犯罪を水際で断固防ぐため、港湾における保安体制のなお一層の充実強化が求められるところであります。
 東京港では、昨年七月までに、フェンス、ゲート約十二キロメートルの整備は完了しておりますが、そこでさらに、改正SOLAS条約発効後の取り組み状況と、隣接港湾や関係機関などとの広域連携の進渉状況について、港湾局長の見解を伺います。
 次に、国民保護法に関連する条例制定について伺います。
 国際テロ組織による脅威が顕在化するなど、我が国を取り巻く危機管理、そして安全保障は大きく様相を変えております。このような状況のもと、昨年、武力攻撃や大規模テロ等から国民の生命、財産を守るため、国民保護法が制定されました。今定例会には、この法律を受け条例案が提出されております。都が国民保護の対策に本格的に取り組むことは大きな意義があります。
 そこで伺います。
 第一は、首都東京の責任を担う立場として、国民保護の法制度が整備されたことに対する認識と評価を知事にお伺いいたします。
 第二は、武力攻撃や大規模テロ等において、国民を迅速、安全に避難誘導するためには、警察、消防、自衛隊との連携が極めて重要であります。計画作成においても、こうした機関と緊密に連携して取り組む必要があります。見解を伺います。
 第三は、国民保護のため、さまざまな措置が円滑に行われるためには、計画作成に当たり、都だけではなく、区市町村や民間団体なども含めた幅広い意見を反映させるべきであります。見解を伺います。
 次に、少子化対策について伺います。
 石原知事は、所信表明において、深刻化する少子化問題に懸念を表明し、その対策に取り組むことを明らかにされました。
 私たち公明党も、坂口前厚生労働大臣をトップに、少子社会対策本部を立ち上げ、福祉、医療、教育、仕事、住宅、環境など、総合的な対策に取り組んでいるところであります。この三月末を目途に、少子社会トータルプランをまとめる方針であります。
 少子化の進行の歯どめをかけ、そして東京の明るい展望を開くため、以下質問いたします。
 第一に、子育て対策のかなめである医療費の助成制度についてであります。
 平成五年十二月、私たち都議会公明党は、乳幼児医療費の無料化を実現するために、財務当局とちょうちょうはっしの激論を展開し、財源捻出の折衝を行い、第一会派の自民党執行部の皆様とともに、医療費助成制度の意義を確認し合い、当時の鈴木知事を粘り強く説得し、第四回定例本会議の公明党代表質問で提案し、実現にこぎつけたのが、乳幼児医療費助成制度のスタートでありました。十二年の歳月を超えて再び提案するものであります。
 現在、この助成制度は小学校入学前まで実施されておりますが、各区市では、所得制限の撤廃や対象年齢の引き上げなど、さらに上乗せの助成制度を実施しております。都としての制度の拡大を多くの都民の皆様が求めているのであります。
 公明党は、厚生労働省とも直接折衝しているところでありますが、国への要望、また区市町村を支援する次世代育成支援補助金などを使うなど知恵を出し、医療費助成制度を中学生まで拡大すべきであります。所見を伺います。
 次に、子育て支援における住宅対策について伺います。
 子育て支援においては、子どもを健やかに育てる環境を整えることが必要であります。その環境整備の一つとして、住宅政策は重要であります。
 そこでまず、民間住宅についてであります。
 東京の住宅事情は、改善の方向にあるとはいえ、子どもの数がふえるにつれ、戸建ての住宅やマンションを購入することが困難になってきております。これが少子化を加速させる要因の一つであります。そこで、良質で低廉な住宅の供給がさらに促進されるよう、市場の環境を整備することが必要であります。
 都は現在、一般の市場価格より三割程度安い住宅を供給する実証実験を進め、合理的な住宅生産システムの確立を目指しています。さらに、良質で低廉な中古住宅が活発に市場に出回るようにするために、仲介業者、金融機関、検査・保証機関等が連携し、中古住宅の流通を活性化するための仕組みづくりも検討しております。見解を伺います。
 次に、公共住宅、とりわけ都営住宅に関連して伺います。
 都内には約二十六万戸の都営住宅ストックが存在し、住宅困窮者である都民のセーフティーネットとしての役割を果たしております。さきにも述べましたが、子どもの数がふえればふえるほど、戸建ての住宅やマンションの購入が遠のいていきます。せめて一定の広さが確保できる都営住宅に入りたくても、なかなか当選しないというのが現状であります。
 現在、都では、子どもが三人以上いる世帯に対しては、入居について優遇措置を講じておりますが、少子化対策の意味から、多子世帯に対する優遇措置をさらに拡充すべきであります。見解を伺います。
 都営住宅の多子世帯への優遇政策とともに重要なのが、若年ファミリー世帯に対する都営住宅の供給であります。
 都は、平成十三年度、若年ファミリー世帯を対象に、都営住宅に都独自の期限つき入居制度を導入いたしました。現在、二十三区のうち十二区にこの期限つき入居制度が導入されていますが、少子化対策を考えた場合、若年ファミリーに対する期限つき入居制度を他の地域でも実施すべきであります。この期限つき入居制度は、高齢化が著しい都営住宅の活力の維持にも効果があります。所見を伺います。
 現在、国土交通省は公営住宅法の改正を検討しております。そこで、次回の改正に合わせて、子育て支援住宅の導入を国に強く働きかけるべきであります。都営住宅の建てかえ時に導入するとか、民間の借り上げ型の可能性も検討すべきであります。生活の最も重要な基盤は住宅であります。少子化対策のベースには、やはり子育て支援のための住宅が不可欠であります。国への働きかけを含め、所見を伺います。
 次に、少子化対策における喫煙対策について伺います。
 先進国の中でいまだ喫煙率の高い我が国も、最近は低下傾向にありますが、育児中の二十代、三十代の若い世代では、男女ともに高い傾向が続いております。たばこは本人の好みの問題であり、とやかくいうつもりはありませんが、乳幼児の周辺の喫煙は、乳幼児の健康、安全面から問題があります。乳幼児の周辺での喫煙による受動喫煙によって、乳幼児突然死症候群、肺炎、気管支炎、ぜんそく発作、中耳炎のリスクが高まります。
 また、妊娠、出産、育児にかかわる年代の喫煙は、男女ともに不妊の大きな原因となっております。
 また、妊娠中の喫煙は、流産、早産、低体重、未熟児、情緒不安定、小児がんの原因につながります。
 我が国は、WHOたばこ規制枠組み条約に九十八番目に署名し、また昨年、都は、健康増進法の施行に伴い、禁煙・分煙対策を徹底し、各種のリーフレット等による啓発を行っているところでありますが、若い世代へのさらなる啓発を徹底すべきであります。
 小中高では、単にリーフレットを配布するだけではなく、健康教育の一環として、たばこ問題を取り上げるべきであります。また、若い男女、そして子育て世代に対し、たばこによる健康被害の知識の普及を行うべきであります。明快な所見を伺います。
 次に、ドメスチックバイオレンス、DV対策について伺います。
 昨年十二月、改正配偶者暴力防止法が施行され、保護命令制度の拡充を初めとする幾つかの改善が図られました。しかし、依然として、DVによる殺人事件は二日に一人の割合で起きております。今後、都においては、今回の改正法で策定が義務づけられた基本計画を速やかに策定し、配偶者暴力の防止と被害者の支援のための実効性のある取り組みを進めるべきであります。
 東京都に寄せられた配偶者暴力の相談件数は、平成十三年度三千三百三十四件から、平成十五年度には九千百二十七件と大幅に増大しております。また、被害者の中には、直接電話をして相談することをためらい、その結果、支援を受けるまで相当な期間を要した事例もあると聞いております。配偶者暴力の被害者を速やかに支援につなげていくためにも、被害者の状況に応じて適切に対応していくことが重要であります。
 こうしたことから、近年進歩が著しいIT技術を活用し、例えばネットによるQアンドAのように、自分の知りたい情報を検索できるネット相談室の創設を図るなど、被害者にとってより利用しやすい相談方法を検討すべきであります。見解を伺います。
 次に、生涯を通じた女性の健康支援策について伺います。
 働く女性の増加や高齢化を背景に、女性が直面する病気や健康上の問題が多様化しております。また、妊娠、出産年齢の上昇が乳がんや子宮がんなどの増加を招くなど、女性の生涯を通じた健康維持増進のため、より一層の体制整備が求められております。
 これまで公明党は、性差に基づく医療の必要性を指摘し、女性専用外来を都立病院に設置すべきであると強く主張してまいりました。その結果、都立大塚病院、墨東病院、府中病院、保健医療公社大久保病院において順次開設されております。
 私は先日、墨東病院の女性医師から、開設以来、病院を訪れる人たちに対し、きめ細かな配慮と行き届いた診察をしてくださっている様子を伺い、大変に感動いたしました。完全電話予約制で、地域的な縛りもなく、紹介状がなくても診察してもらえるこの制度は大変に好評であります。提案した私たち公明党としても誇りに思っております。決断した知事を、利用者の方々とともに高く評価するものであります。
 現在、多摩南部地域病院でも設置に向けた具体的な検討が進められておりますが、一日も早い開設を要望いたします。
 さらに、今後は、女性が生涯、健康で生きがいのある生活を送るために、また、女性特有の心身に関する悩みを解決するためにも、女性がその健康状態に応じて的確に自己管理を行うことができるよう、身近な地域に利用しやすい相談体制の整備を進めることが重要であります。
 例えば千葉県では、県内十四カ所の保健所で女性のための健康相談窓口を開設し、保健師による電話相談を実施し、さらに、女性医師が予約制により面談相談を実施しております。都においても、女性の身体的、精神的な悩みや不安などについて気軽に相談できる体制を整備していくことが重要であります。生活に密着した身近な区市町村において、女性が相談しやすい相談窓口の設置などを進めるため、都は支援すべきであります。所見を伺います。
 次に、女性の仕事と家庭、子育ての両立支援策について伺います。
 現在、東京都では、昨年七月に東京しごとセンターをオープンさせ、ヤング向けサービス、ミドル向けサービス、高年齢者向けサービスなど、各年齢別の相談窓口を設置し、職業相談やキャリアカウンセリング及びセミナーなどを行っております。このしごとセンターに、子育て中の仕事探しのための支援策として、仕事と子育ての両立支援相談窓口を設置すべきであります。所見を伺います。
 次に、女性専用車両の導入について伺います。
 電車などでの痴漢、わいせつ行為は、卑劣な犯罪であります。こうした犯罪は、届け出があったものだけでも、昨年一年間に二千二百件にも上り、過去最悪を記録しております。さらに、届け出ずに泣き寝入りした被害者はこの十倍以上といわれております。また、都のアンケート調査でも、六〇%以上の人が電車の中で被害に遭ったと答えております。一方、男性にとっても、冤罪により社会的地位を失い苦しんでいる人も少なくありません。
 知事も先月の定例会見で、電車内における痴漢の問題に触れ、痴漢行為は卑劣な性犯罪であり看過できないと述べ、女性や未成年者等が安心して利用できる車両の導入を主張し、さらに痴漢は都民の恥だという強いメッセージを発すべきだと述べております。
 女性専用車両は既に関西において、朝のラッシュ時に八社、二十三路線で導入され、痴漢行為の減少という効果を上げております。しかし、首都圏においては、夜間での導入を含め、京王電鉄、JR埼京線、横浜市営地下鉄の三線のみであり、大きくおくれております。
 このような事態を重く受けとめ、昨年十二月、東京都緊急治安対策本部と警視庁生活安全部が協議し、首都圏の各鉄道事業者に対し、駅構内・電車内等公共空間における反社会的行為の防止のための統一キャンペーンへの協力を要請し、その中で、女性専用車両実現を求めたことを高く評価いたします。痴漢等の犯罪から女性を守るために、性犯罪の抑止に向けて竹花副知事の決意を伺います。
 また、女性専用車両の導入について、交通局長の所見を伺います。
 次に、新銀行について伺います。
 開業を間近に控え、幅広い都民や中小企業関係者の新銀行への期待はいよいよ大きなものとなっております。景気が底を打ったとはいえ、なお中小企業を取り巻く経済環境は厳しく、平成十六年の都内の中小企業倒産件数は依然として三千件近くに及んでおります。一度倒産した中小企業は、優秀な技術や人材、豊富な事業実績を持ちながらも資金調達が妨げられ、事業再建が著しく困難なため、関連企業の連鎖倒産を招くなど、地域経済停滞の要因ともなっております。東京の経済再生を図る上での重要な課題が、こうした倒産企業を支援する、いわゆる敗者復活を可能とする社会システムの構築であります。公明党は再三このことを指摘し、具体的提案を行い、施策に反映してまいりました。
 我が国においては、倒産企業向けの資金調達環境が極めて未整備であります。その中にあって、再建企業向け融資、すなわちDIPファイナンスは、民事再生法を活用して事業再建を目指す中小企業の、企業再生を支援する数少ない有効な手法の一つでありますが、リスクを伴うことから、これまでは政府系金融機関のみで取り扱うという限界がありました。
 そこで新たな提案として、中小企業の総合的支援を目的としている新銀行においては、これまで明らかにされた融資メニューに加え、DIPファイナンスにも積極的に取り組むべきであります。また、倒産による関連企業への影響を最小限にするための融資も、あわせて実施すべきと考えます。所見を伺います。
 さらに新銀行は、すぐれた技術を有する中小企業に対しても、技術力・将来性重視型融資で支援を行ったり、あるいは公明党の主張を受け、個人保証の解除システムを導入するなど、内容の充実が図られておりますが、こうした取り組みとあわせて、創業期の企業等に対する支援も充実すべきであります。新たな技術やノウハウをもったベンチャー企業の市場参入を促すことは、既存企業をも巻き込んだ新たな競争を生み出し、産業全体の活性化を促します。しかし現状では、創業期においては資金調達に制約があり、スムーズな起業の妨げとなっております。
 そこで新銀行では、こうしたすぐれた技術力を有するベンチャー企業に対し、創業期においても資金面から支援を実施していくことが重要であります。都が設置したベンチャーファンドとの連携を含めて、所見を伺います。
 次に、地球温暖化対策について伺います。
 先月十六日、京都議定書が発効し、CO2削減という世界共通の課題に向けて、多くの国々の対策と取り組みが求められることになりました。しかし、これは最大の排出国であるアメリカが参加せず、一方、今後、排出量が増大するであろう途上国に対する削減義務がなく、問題を抱えたままの発効であります。
 ところで、日本における温室効果ガスの排出量は、二〇〇三年で九〇年度比〇・八%増となっており、目標達成には極めて厳しい状況にあります。これは東京についても同様であり、都としても独自の対策を講じているところでありますが、改めてCO2削減に対する知事の所見を伺います。
 また、今定例会には、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の改正案が出され、大規模事業所のCO2削減強化など、四つの制度の強化充実が提案されております。特に従来から課題であった家庭部門対策では、エアコン、冷蔵庫、ブラウン管テレビの三品目について、家電販売業者に省エネラベルの表示を義務づけています。昨年の第一回定例会で公明党の質問に対し、省エネラベルの対象品目の拡大を検討すると答弁しておりますが、上記の三品目以外の拡大について、方針を明らかにすべきであります。あわせて、この省エネラベル制度の効果を高めるためには、全国的な普及拡大が不可欠であります。全国各地の自治体との連携について所見を伺います。
 また、今定例会では、東京都廃棄物条例の改正案が提出されました。ここ数年、企業の倫理性や社会的責任が問われています。廃棄物処理はまさにこれに該当します。廃棄物排出事業者の中には、処理を安易に委託業者に任せ切りにして問題を起こしている例が少なくありません。
 今回の改正案では、まず排出事業者の社会的責任を強調していますが、条例の実効を上げるためには、業者の報告義務の徹底、公表のあり方の検討が不可欠であります。所見を伺います。
 同時に、処理業者の社会的責任も重要であります。産業廃棄物の処理状況について報告を求め、それを公表することになりますが、報告の正確性が強く求められております。排出事業者が信頼できる処理業者を選択するためにも、報告の内容の正確性が問われます。所見を伺います。
 次に、多摩の振興策について伺います。
 多摩地域は都民の三分の一に当たる四百万人が暮らすエリアであり、最近では、先端技術産業や大学、企業の研究開発機能等の集積を生かした産学連携の取り組みが積極的に図られております。
 また一方では、森林や丘陵、里山などの自然にも恵まれ、都心部に隣接した利便性も相まって、生活に優しい地域でもあります。特に多摩の自然は世界遺産にも匹敵する貴重な財産だと私は思います。
 私は多摩の市町村議員の皆さんと連携し、多摩の諸問題解決に力を合わせて活動している立場から、今回、都が発表した多摩リーディングプロジェクトについて高く評価するものであります。すなわち、多摩の施策展開の視点、振興策の三つの柱、多摩重点事業の推進、国等の事業への働きかけなど、詳細に練り上げられております。実施に当たっては、地元市町村の意向を踏まえ実施すべきであります。
 なお、リーディングプロジェクトに関し、多摩の市会議員から指摘された二点について伺います。具体的な事例でありますが、南北道路の整備に当たっては、地元に反対運動などがあると、そこの市で事業がぷっつりと切れてしまい、道路がつながらず、渋滞解消に連動しない事例が見られます。また、国の圏央道整備と都のアクセス道路との関係と同様、都の南北道路整備と市の東西道路整備が連携したとき、初めて多摩における道路ネットワークが確たるものになります。関係市との連携を図りつつ進めるべきであります。
 また、多摩の森林再生事業についてですが、手入れのおくれている杉、ヒノキの人工林について、計画的に間伐を行い、森をよみがえらせるとありますが、特に杉の針葉樹林については、広葉樹林もまざった針広混交林化、すなわち針葉樹と広葉樹の混合林化を進め、森をよみがえらせる事業を着実に行うべきであります。畑を荒らす猿やイノシシ、そして多摩の水源林を食い荒らすシカを、木の実のなるふるさとの山に戻すことになり、スギ花粉削減対策にも有効であります。これらを含め所見を伺います。
 最後に、財政問題について質問いたします。
 十七年度予算案は、都税の三千三百億円の増収という、いわば追い風に乗って編成されました。この追い風を活用して、隠れ借金への対応、財政調整基金への積み立てで都財政の体力回復を図りつつ、七年ぶりに無理な財源対策を行うことなく予算案を編成することができたのであります。
 税収増をすべて予算執行に回すべきという一部の人々がおりますが、乱暴な主張であります。これは財政の基本を知らない暴論であります。増収分を思い切って都財政の体力回復に投入した知事の決断を高く評価するものであります。
 また、都市再生事業に投資的経費を投入することを否定する人々がおりますが、誤った主張であります。来るべき直下地震に備え、安全・安心の都市基盤整備は、東京の重点課題解決と中小企業への経済的波及効果を伴う景気対策にも連動する重大な事業であります。こうした偏見に惑わされることなく、毅然として予算編成した財務当局の努力を高く評価するものであります。
 さまざまな諸課題に適切に対処しつつ編成された十七年度予算案には、これまで私たち公明党の主張が数多く反映されております。一般歳出に占める保健と福祉の割合は過去最高の一七・四%に上り、都民福祉の充実と改革を着実に進める予算となっております。
 また、新年度予算では重要政策を決めて、そこに重点的に予算を配分することも時宜にかなっております。改めて予算編成の特徴について、財務局長の所見を伺います。
 なお、こうした基本的な財政配分を高く評価しながらも、あえて一言申し上げます。私が冒頭から申し上げておりますように、あす来るかもしれない首都東京直下地震への対策、そして日本沈没を回避する少子化対策への備えの究極の二つの命題については、都は総力を挙げて取り組むべきであります。
 その意味で、木造住宅の耐震改修や医療費助成制度の拡大は喫緊の課題であります。ただし、既に十七年度予算は編成されておりますので、今後の都の全体予算の執行の段階で柔軟に対応したり、十八年度の国への概算要求に都として強く要望することも重要であります。また、区市町村との連携によるなど創意と工夫を凝らし、英知を結集して対応すべきであります。知事の所見を伺います。
 なお、こうした重要課題については、来る予算特別委員会の中嶋政調会長の質問、また引き続く常任委員会の我が公明党の会派の質問の中で、第二弾、第三弾の質問を展開することを申し上げまして、代表質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 石井義修議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、難局に立ち向かう決意についてでありますけども、少子化の問題にせよ、あるいは隣国とのかかわりにせよ、あるいは当然やってくるでしょう大災害に対する対策にせよ、我が国は本当にいろんな危険に囲まれながら、それがいつ爆発するかわからない危機に直面していると思います。しかし、どうも国の政治においても、一向にその危機感が感じられずに、国民にその実態を知らしめようともしていない感が否めません。国の政治家や官僚が、この国の将来に責任を持とうとしていないのは本当に残念なことであります。
 トインビーという歴史家が、自己決定能力を失った国家は必ず滅びるだろうといっておりますが、やはり我々は、とにかく現実を直視し、それを正確にとらえることで、持つべき機関というものを持たなくてはならないと思っております。都は、こうした国の姿勢を座視することなく、産業の活性化、都市基盤の整備や、あるいは大気汚染対策、治安、青少年対策など、独自の取り組みを進めてきたつもりでありますが、いずれにせよ、頭脳部であり心臓部である東京が沈めば、日本にあしたはないという危機意識を持って、今後とも東京の再生に取り組んでいくつもりでおります。
 次いで、直下地震への取り組みについてでありますけども、世界有数の火山脈の上にある地震国でありまして、東京においても大地震が発生する可能性が高く、自助、共助、公助に基づく備えを講じていくことが重要であると思います。
 東京の地震の必然性と申しましょうか、非常に重厚な可能性について明かすものの一つは、先般も火事を起こしましたが、どこを掘っても、とにかく東京でも、日本そこらじゅう温泉が出るという地政学的な条件を私たちは忘れるわけにいかないと思います。
 都は、全庁的な体制を強化するために、平成十五年度に知事直轄の危機管理監を設置し、実践的な訓練を積み重ね、防災力を高めてまいりました。また、八都県市が連携し、首都圏の震災対策を強化してもまいりました。国の被害想定が出されたことも踏まえ、平成十七年度には、私が会長を務めます防災会議で、お話の都の被害想定や地域防災計画の見直しに着手するつもりでございます。今後とも地震対策に全力で取り組んでまいりますが、しかし、東京というのは広うございまして、直下型といっても、どの時点でどこに来るかということがなかなかつかめない。都市の構造も地域によって違いまして、一概に──このごろ、どこまで信憑性があるのか、新聞はいろいろ予想を報道してくれていますけども、私たちはやっぱりそういうことに右往左往することなく、やはりできるだけ冷静な現状を把握して、着実な手だてというものを講じていかなくてはならないと思います。
 ただ、この地球そのものは非常に鳴動しておりまして、先般もスマトラの大津波で物すごい被害というのを目にしましたが、調べてみますと、十九世紀の末にクラカタワというロンボク海峡の島が全部爆発して、すっ飛んでなくなったんですね。そのときの記録を見ますと、大西洋までとにかく津波が行って被害が出ているという事実が歴史にございまして、そういう点で、日本に限らず地球そのものがまだ動いているという現況の中で、繰り返して申しますけど、日本は世界最大のファイアリングの上にあるという事実を私たちは片時も忘れてはならないと思っております。
 次いで、住宅への耐震対策への取り組みについてでありますが、阪神・淡路大震災の例を見ましても、死者の多くが住宅の倒壊を原因としているなど、住宅の耐震化は絶対に重要、必要でございます。私もあの直後、濱渦副知事と運輸省に頼まれまして港湾の被害状況の視察に参りました。ついでに一軒だけあいていましたホテルの近くの東灘区と、それからもう一つ、長田区、非常に被害の多いところに徒歩で、歩いていって視察いたしましたけども、印象的なのは、鉄筋、鉄骨の建物は全部残っていますが、木造の建物は全部倒壊しておりました。こういう事実を他人事じゃなしに、東京の方々も認識していただいて、うちは大丈夫だ、まあ大丈夫だ、ここは大丈夫だということで済むものではございませんので、やはりこういった問題の意識を、そういう危険な家屋に住んでいらっしゃる方自身が持っていただきたいと思います。
 都としても、災害に強い都市を目指し、木造住宅の密集地域等の整備、改善を進めるとともに、住宅の耐震改修についても、都民への普及啓発などにより、住宅の安全の確保に努めてまいりましたし、これからも努めてまいるつもりでございます。今後とも、首都東京の安全性を高めるため、関係各局が連携し、ソフト、ハードの両面から住宅の耐震性を促し、災害への備えに万全を期すつもりでございます。
 次いで、青少年健全育成に関する基本的な考え方でありますが、やはり人材こそ最大の国家の財産でありまして、現下の青少年を取り巻く状況は、これはもう彼らの責任というよりも、むしろ私たち大人の責任でありますが、非常に憂慮すべき状況にあると思います。そういう実態を大人は、子どもの将来のために、国家の将来のために直視する必要があると思います。
 青少年の育成については、ご指摘のとおり、学校教育のみならず、やはり地域、家庭の、特に家庭の教育、しつけが親を含めた大人たちの責任だと思います。昔は本当に、近くで遊んでおりますと、非常に横町のうるさいおじさんとかおばあさんがいまして、そこで遊んじゃいかんとか、ああしろ、こうしろと怒られたもんですが、そういう風習が全くなくなってしまったというのは本当に残念なことであります。
 繰り返して申しますけども、子どもには大人からしかられる権利がありますし、逆にいえば、大人は子どもをしかる責任があるわけでありまして、青少年の健全育成のためにも親や地域が責任を自覚し、子どもを厳しくしつけるということが絶対に必要だと思います。
 しかし、この間、条例の改正に関していろいろ意見をお聞きしました。六本木で婦人科のクリニックを開いていらっしゃる赤枝先生という先生に聞きますと、子どもに小遣いをせびられて、それまで余裕がないから、おまえ、援助交際したらどうだという親がいるそうであります。この援助交際というのも売春そのものでありますけど、そういう言葉のあやに、何か親まで幻惑されて、そういうことを子どもに親がいうというこの事態というのは、本当に肌にアワを生じるような現況にあると思います。
 いずれにしろ、私たちは、コンラッド・ローレンツという動物行動学者はいいましたが、やはり幼いときの子どもに抑制を強いる、我慢を要するに教える。寒けりゃすぐ暖房、暑けりゃすぐ冷房ということじゃなしに、あるいはおなかすいたらすぐ間食ということじゃなしに、やはり子どものこらえ性というものを幼い時期から培っていく努力というものを特に家庭でしませんと、結局、野方図に育てた子どもは、外へ行ってああいう実態の風俗にまみれて堕落していくということになるのではないかと思います。
 次いで、国民保護の法制度についてでありますが、武力攻撃やテロ等において、国民の生命、財産を守るために必要な手だてを講じることは当然の国家の責任であります。法整備はむしろ遅きに失したほどでありますが、ようやく国家そのものも、拉致の問題とか、あるいは隣国とのかかわりその他で、ある種の危機感というものを持ち出したようで、いずれにしろ、こういう事態の中で、国と自治体が一体となった体制が整いつつあるということは、評価というか当然のことだと思います。万が一のときには、地方自治体としても国に全面協力して、全力を挙げ都民の生命、財産を保護する努力をするつもりであります。
 次いで、都の地球温暖化対策についてでありますが、干ばつや豪雨の頻発、あるいは島しょ国家の水没の危機、キリバチとかマーシャルの方の本当に標高の五メートル無いような砂地でできた国というのは、本当にこのままいくと埋没するわけですけども、あるいはマラリアなどの疫病の蔓延などに加えて、食料や水資源をめぐる国際紛争の発生も頻発しているわけであります。地球の温暖化は人類の生存そのものにかかわる喫緊の課題であると思います。
 先月やっと発効しました京都議定書は、地球温暖化を阻止するための初めての国際的枠組みでありますが、この地球全体、つまり非常に大規模なグローバルな気候の変動に挑む本当にわずかの第一歩でしかないと思います。これを続けていくこと、先ほど申しましたけど、ちりも積もれば山となるという、そういう志で、私たちはやはり一つずつ、少しずつつまり努力を実現していく必要があるんじゃないかと思います。
 温室効果ガスの濃度を安定させ、気候変動による深刻な影響を防止するためには、社会を構成するすべての主体が早期かつ永続的に温暖化対策に取り組まなければならないわけであります。そういう形にならない緊密な連携というものが、結果としてはこの地球を救い得るのかもしれません。
 都は、今回の条例改正により、エネルギーの需給両面にわたる総合的なCO2削減の取り組みを展開するとともに、環境に配慮したマンションや省エネ型家電製品の普及を促すラベリング制度などを創設するなど、先駆的な対策を着実に推進していくつもりでございます。
 たびたび例に引きましたが、東欧の詩人のゲオルグの、たとえ地球があす滅びるとも、君はきょうリンゴの木を植えるという、一人一人が自分の足元を固め、自分たちの子孫のためにこの地球を守るという、そういう志というものを私たちは改めて固めていかないとなりません。それがないと、本当に地球は、ホーキングがいったように、割と簡単に惑星として崩壊してしまうという感じが非常に強くいたします。これは一時はやった変な終末感覚ではなしに、やはり信憑性を帯びてきただけに非常に恐ろしい感じがいたします。それなりに私たちはすべき努力を重ねていかなくてはならないと思っております。
 そうした志を持って、都民や企業などと連携し、持続可能な社会の構築に向けた取り組みを推進して、その成果を全国に発信していきたいと思っております。
 最後に、喫緊の課題への予算の執行についての対応でございますけども、十七年度予算は、災害への備え、子育て支援など、現下の都政が抱える喫緊の課題に的確にこたえ、都民のために必要な施策を進めていくための予算になっております。今後、緊急かつ臨時的に対応すべき事態が生じたときには、補正予算も編成するとともに、場合によっては、十六年度の途中で三宅島への帰島支援を行ったように、その時点で果断に適切な措置を速やかに講じるなど、機動的に対応していくつもりでございます。
 他の質問については、副知事、警視総監、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔副知事竹花豊君登壇〕

○副知事(竹花豊君) 防犯対策等四点につき答弁いたします。
 まず第一に、都の治安対策についてであります。
 都は一昨年八月以降、外国人組織犯罪対策、繁華街浄化対策、子どもを犯罪に巻き込まない対策、安全・安心まちづくりなどを中心に犯罪抑止対策を進めてまいりました。この対策には、警視庁、入国管理局はもちろんのこと、区市町村等の関係機関と緊密な連携を保ちつつ、都民の警戒心を高め、その自主的な取り組みを促すことにも努力してまいりました。
 その結果、警視庁の格段の努力や都民のさまざまな防犯活動が相まちまして、強盗、ひったくり、侵入窃盗等が前年に比べ一八ないし二六%の減少を見ておりますし、外国人組織犯罪や少年の凶悪あるいは粗暴犯罪も激減しております。
 今後、これまでの施策を継続、発展させるとともに、痴漢等の抑止対策など、新たな課題にも挑戦しまして、犯罪抑止の多様かつ広範な力を構築してまいりたいと考えております。
 次に、インターネットからもたらされる有害情報からの青少年の保護についてであります。
 我が国も批准しております子どもの権利条約第十七条によれば、児童の福祉に有害な情報及び資料から児童を保護するための適当な指針の発展が奨励されております。援助交際や女子の下着の売買サイト等、青少年に有害な情報が、青少年が多数利用する携帯電話やパソコンにあふれている我が国の状況は、この条約の規定に反しているといい得るものであります。
 そこで、都は国に先駆けまして、青少年健全育成条例の改正を通じて、この状況の改善に二つの方向から取り組みたいと考えております。
 その一つは、青少年が危険の少ない携帯電話等の機器を所持できるようにすること、もう一つは、青少年自身が危険を遠ざける力を向上することの二つであります。
 このような観点から、都においては、今後、条例の改正がなされますれば、これをバックアップにいたしまして、インターネット事業者やインターネットカフェに自主的な取り組みを促すとともに、保護者向け啓発用ガイドブックを作成し、またNPO、事業者、学校、保護者等が連携しまして、家庭、学校等における多様な対話、討論、啓発セミナーを実施することとしております。
 ご指摘の寝屋川の事件等の幾多の事件が私どもに発しております警告を深く受けとめまして、青少年をバーチャルな世界に奪われてしまわないように、ネット社会の危険から青少年を守る取り組みに全力を傾けたいと考えております。
 次に、青少年の健全育成を阻害するメディアへの対応についてでございますが、まず、昨年の青少年健全育成条例の改正後、不健全図書のはんらんを改善するための関係業界の自主的な取り組みが強化をされまして、大半のコンビニ店を中心に、状況が大きくよい方向に変わってきております。
 今後、ことし一月に施行されました自動販売機の図書の販売にかかわる規制の実施状況を検証するなど、さらに関係業界の指導に努めていきたいと考えております。
 一方、中高生を対象といたしました一部メディアには、性行動をせかす情報があふれておりまして、知らぬは親や大人だけという状況でございます。
 今回の条例改正では、青少年に安易な性行動をいたずらに助長することがないように、青少年に情報を提供する者に自主的な努力を求める規定を設けたいと考えております。これをてこに、今後、関係事業団体に対し、自主的な取り組みを働きかけてまいりたいと考えております。
 また、駅頭などで売られている不健全な出版物が電車内に持ち込まれ読まれていることも、ご指摘のように恥ずかしい光景でございます。そこで新年度から、こうした行為の防止対策を検討するための協議会を新たに設置することといたしております。
 最後に、痴漢対策についてであります。過日の警視庁の発表によれば、昨年中の電車内での痴漢犯罪の検挙者は、平成八年の約三倍に増加をし、被害者の約半数は未成年であるという状況でございます。暗数を考えますと、いつまでもこんな状況を放置しておくわけにはまいりません。
 都は昨年七月以降、鉄道事業者や警視庁と、そのための方策を検討してまいりました。その中で、ご指摘の女性専用列車の導入を初め、新たな取り組みを開始する機運が高まってきております。都としては警視庁と連携をいたしまして、さらに検討を重ね、できるだけ早期に事業者、さらに利用者なども巻き込んだ、痴漢問題解決に向けた統一的な行動を行うこととして準備を進めております。
 被害者の皆さんの無念や怒りに思いをいたしまして、何とかこの状況を切り開いてまいりたいと考えております。よろしくお願い申し上げます。
   〔警視総監奥村萬壽雄君登壇〕

○警視総監(奥村萬壽雄君) 治安状況とインターネット利用犯罪に関するご質問にお答えをいたします。
 まず現在の治安状況についてでありますが、一昨年、昨年続けての犯罪認知件数の着実な減少と、また検挙率の上昇によりまして、治安回復は一応軌道に乗せることができるものと考えております。
 ただ、ご指摘のとおり、振り込め詐欺やスキミングといった新たな手口の犯罪が急増していることに加えまして、未成年者にかかわる社会的反響の大きい事件など、凶悪かつ特異な犯罪が全国的に続発していることなどもありまして、いわゆる体感治安が十分に回復しているとは必ずしもいえない状況にあります。
 警視庁におきましては、これまで犯罪抑止総合対策を、検挙、防犯の両面から鋭意推進してきておりますが、ご指摘の防犯対策につきましては、例えばスーパー防犯灯を世田谷区の上祖師谷など八地区に、また街頭防犯カメラを新宿歌舞伎町など三地区にそれぞれ設置しておりまして、さらに来年度予算で上野地区等への設置をお願いしているところであります。
 加えまして、各地で商店街等による街頭防犯カメラの設置促進の動きがありますけれども、警視庁といたしましても、その運用等につきまして引き続き助言をしてまいりたいと考えております。
 また、学校の安全対策につきましては、去年の四月から各警察署に警察官OBのスクールサポーターを配置いたしましたほか、小中学校等における不審者侵入の対応訓練、あるいは被害防止教室など、昨年中、延べ二千五百回にわたりまして実施をしております。
 なお、警察官等の増員につきましては、昨年は東京都職員百人の派遣や私どもの内部努力によりまして、警察官の第一線現場への配置転換など、部内体制を強化いたしておりますが、人的基盤のさらなる強化のため、今定例会におきましても、警察官や再雇用職員の増員をお願いしているところであります。
 次に、インターネット利用犯罪の実態と取り組みについてでありますが、昨年中、警視庁に寄せられましたインターネット利用犯罪などのハイテク相談は約六千六百件に上っておりまして、おととしに比べて一割近く増加しております。このうち、架空請求や不当請求といった詐欺悪質商法等に関する相談が全体の約三割を占めておりますほか、インターネットオークションに関する相談が千百件と、前年から倍増をいたしております。また、相手をだまして個人情報を入手するいわゆるフィッシングを手段とした詐欺など、次々と新たな手口も出現しております。
 こうした情勢の中、警視庁では、平成十二年に設置をいたしましたハイテク犯罪対策総合センターがサイバーパトロールを常時実施をいたしまして、ネットワーク上の有害、違法な情報収集を行っておりますほか、悪質なインターネット利用犯罪等の集中的な取り締まりを推進しているところでありまして、昨年二百三十六件、二百二十六人を検挙いたしております。
 また、防犯対策といたしまして、インターネットオークション事業者に対しまして、犯罪の被害が発生しないようにシステムを改善することを指導しておりますし、あるいは青少年を含む利用者個々のセキュリティー意識の向上を図るため、各種の広報、啓発活動を行っているところであります。
 今後とも、プロバイダー等の関連業界、あるいは教育機関などとも連携を図りながら、ネットワーク社会の秩序の維持とその健全な発展のため、インターネット利用犯罪等の検挙と対策を強力に推進してまいります。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教育に関します二点の質問にお答えを申し上げます。
 まず、青少年の健全育成についてでございますが、児童生徒がボランティアなどの社会奉仕体験活動を通して、お話にありましたように、相手を思いやる心や、互いに助け合い協力し合って生きていく態度を身につけますことは、健全な社会を築き上げていく上で極めて重要なことでございます。
 現在、各学校では、総合的な学習の時間や学校行事などにおきまして、地域の清掃や高齢者との交流などの社会奉仕体験活動が盛んに行われておりますし、また、こうした児童生徒のとうとい活動の普及啓発をするために、東京都としましても、未来を拓く体験発表会や児童・生徒表彰などを開催しているところでございます。
 今後とも、これらの取り組みを一層充実させていきますとともに、都立高校におきましては、平成十九年度からの奉仕体験活動の必修化に向けまして、来年度には奉仕体験活動実践・研究校を二十校指定しまして、お話のような青少年の健全な育成を図ってまいります。
 次に、健康教育の一環としての喫煙対策を取り上げることについてでございますが、ご指摘のように、若い世代の喫煙率が高い傾向が続いておりまして、学校における喫煙防止に関する指導は一層重要な事項となっております。現在、保健体育、特別活動等におきまして、小学校では喫煙の身体への影響や受動喫煙につきまして、中学校ではたばこの煙の有害性や喫煙の依存性につきまして、高等学校では喫煙の胎児への影響や適切な意思決定と行動選択につきまして、各発達段階に応じた指導を行っておりますが、今後ともこれらの指導の充実に努めますとともに、昨年七月に作成、配布をしました喫煙防止リーフレットをホームページに掲載をしまして、各学校での活用を図ってまいります。
 また、本年二月策定の都立学校における健康づくり推進計画に基づきまして、新たな取り組みとして実施する青少年健康危険行動調査の中で、生徒の喫煙についての実態把握を行いまして、その分析結果をも踏まえまして、より実効性のある健康教育を推進してまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君) 震災対策など六点のご質問にお答えいたします。
 まず、木造住宅密集地域の整備についてでございますが、木密地域の防災性の向上には、延焼遮断帯となる幹線道路の整備とともに、地域内の細街路の拡幅や木造建物の建てかえによる不燃化が重要でございます。このため、都は、東池袋や鐘ヶ淵地区などで、都市計画道路整備に合わせ沿道の建物の共同化や不燃化を図る事業に取り組んでおります。
 延焼遮断帯の内側の区域においては、細街路の拡幅整備に努めるとともに、新防火規制や地区計画などの規制誘導策を活用し、住宅の建てかえや共同化による不燃化を、区とともに進めてまいります。
 こうしたことを実現するためには、都と区の連携強化、地域協議会の設立、住民や民間企業を含めたまちづくり勉強会の実施などにより、地域の防災意識の高揚を図っていくことが重要であります。
 木密地域の防災性の向上に向けて、このようなさまざまな活動と手法が実態に即して各地域で展開できるように、都は積極的に取り組んでまいります。
 次に、白鬚東の防災拠点の施設についてでございますが、この拠点は、建物が昭和五十七年に完成し、これまで墨田地区の防災拠点として機能しており、それぞれの施設につきましては、施設管理者ごとに維持管理してまいりました。
 非常用トイレにつきましては、災害時において使いやすいように、地下便槽のふた部分を平成十七年度に四十カ所改善する予定であります。防災拠点内の建物及び附属する非常用の防災設備などの施設につきましては、関東大震災級の地震にも十分耐えられるよう整備されたものであります。
 しかしながら、建設時より相当の年数を経ていることから、施設の状況を十分把握し、必要な修繕を行うなど適切に対応してまいります。
 次に、戸建て住宅の実証実験等の今後の取り組みについてでございますが、子どもを健やかに育てる上で、生活の基盤である住宅が果たす役割は大きいと考えております。
 都は、戸建て価格三割引き下げの実証実験を現在進めておりますが、今後、この成果を生かして生産システムの合理化の指針を策定し、講習会などを通じて中小工務店などに広く普及する、このことにより、大手メーカーも含めた価格競争を活発化させ、住宅市場の構造改革を進めてまいります。
 また、中古住宅の検査、仲介、融資などを連携して行うネットワークづくりについて、現在、関係事業者と協議を進めており、できるだけ早期にその具体的な仕組みを取りまとめ、中古住宅の流通を活性化してまいります。
 次に、都営住宅における多子世帯に対する優遇措置の拡充についてでございますが、現在、都営住宅への入居におきましては、子どもが三人以上いる多子世帯に対して、当選の確率が高くなる優遇抽せんや特別枠による優先入居といった優遇措置を実施しております。
 今後、募集方式の工夫など、少子化対策に都営住宅を一層活用していくための方策を検討してまいります。
 次に、若年ファミリー向け期限つき入居制度の拡充についてでございますが、本制度は、都民共有の財産である都営住宅の利用機会の公平性の確保を図るとともに、地域の活性化にも寄与するものとして、平成十三年度に都が単独で建設した一部の都営住宅に、全国に先駆けて導入したものでございます。
 平成十五年度には、対象とする住宅を利便性の高い地域の一般都営住宅にも拡大し、制度の充実を図ってまいりました。
 今後、これまでの実施結果やご提案の趣旨も踏まえ、制度拡充に向け取り組んでまいります。
 最後に、子育て支援住宅の導入についてでございますが、住宅供給の大部分を民間が占めている現在におきましては、都民ニーズに対応した住宅の供給に向け、市場の整備、誘導を図るとともに、市場では対応できない部分を公的住宅が補完していくことが、住宅政策の基本的枠組みでございます。
 この枠組みのもと、都はこれまでも、良質、低廉な住宅供給促進に向けた市場の整備、誘導や、子育て支援のための公的住宅ストックの有効活用などを図ってまいりました。
 今後とも、子育て支援に関する国の動向も注視しながら、住宅政策における少子対策のあり方について幅広く検討してまいります。
   〔交通局長松尾均君登壇〕

○交通局長(松尾均君) まず、地下鉄の事故後の被害者管理体制の整備についてでございますが、大規模地震が起きた場合、都営地下鉄におきましては、列車はできる限り最寄り駅まで走行することとしておりますが、万が一、脱線等により駅間で停止した場合は、乗務員と駅係員が連携し、お客様の動揺防止に努めながら最寄り駅まで誘導いたします。
 また、負傷者への対応につきましては、お客様の協力も得ながら駅務室等に誘導し、応急処置を行います。このため、各駅に救急医療品を配備するとともに、乗務員及び駅係員全員の救命救急研修を実施しております。
 今後、中央防災会議の新たな被害想定も踏まえながら、事故後のお客様への対応を強化する観点から、脱線等を想定したパニック防止や避難誘導訓練を充実するとともに、救急医療品の整備を図るなど、事業者として万全を期してまいります。
 次に、女性専用車両の導入についてでございますが、痴漢や迷惑行為の防止は、鉄道事業者にとって重要な課題と認識しております。今後一層、警備員の配置、巡回や啓発ポスター、放送等の充実強化を行うとともに、計画されております統一キャンペーンに参加し、その防止に取り組んでまいります。
 また、安全で安心してご利用いただけるよう、輸送力の増強を図り、混雑緩和に努力するとともに、女性専用車両については、安全性、定時性の面からさまざまな課題があることから、引き続きその試行的導入について検討してまいります。
   〔消防総監白谷祐二君登壇〕

○消防総監(白谷祐二君) 震災対策に対します二点のご質問にお答えします。
 まず、「地震に対する十の備え」の徹底についてでありますが、ご指摘のとおり、都民の一人一人が、みずからの命はみずからが守るという自助の意識と防災の備えは、地震被害の軽減に重要であると認識しております。
 このため、東京消防庁では、阪神・淡路大震災、十勝沖地震等の教訓を踏まえまして、都民のとるべき「地震に対する十の備え」を取りまとめ、意識啓発に当たっております。
 「地震に対する十の備え」につきましては、今後さらに当庁のホームページへの積極的な掲載を行いますとともに、区市町村などの関係機関や町会、自治会の協力を得まして、地域のケーブルテレビ、町会等の掲示板及び各種広報誌への掲載並びに各住戸へのリーフレットの配布等により、早期の普及啓発に努めてまいります。
 次に、防災資機材格納庫の耐震対策等についてでありますが、火災や震災時に地域を守る消防団の拠点となる施設に耐震対策を実施することは重要なことであります。このため、東京消防庁ではこれまでも、耐震対策を踏まえ施設の整備を図ってまいりました。今後は、老朽化した分団本部施設を優先しまして耐震対策の推進に努め、防災資機材格納庫につきましても、その後順次整備してまいります。
 また、消防団員のためにご提案のあった、きめ細かな顕彰の実施、消防団員ハンドブックの改定や制服の見直しなどの事項につきましては、今後十分に検討し、日夜地域のために貢献されている消防団員のご労苦にこたえるよう努力してまいります。
   〔水道局長高橋功君登壇〕

○水道局長(高橋功君) 水道事業に関します二つのご質問にお答えをいたします。
 まず、国の被害想定に基づいた復旧見通し等についてでございます。
 今回、国が発表いたしました被害想定は、平成九年に都が行った想定よりも地震の規模が大きいため、水道施設に及ぼす影響もより大きいものとなっております。そのため、復旧には、従来都が想定した三週間程度よりも多くの日数を要することが見込まれております。
 一方、国の想定では、復旧日数の目標を三十日以内としております。水道局といたしましては、引き続き施設の耐震性強化を計画的に行い、地震に強い水道施設を整備してまいります。
 あわせまして、新潟県中越地震の教訓なども踏まえ、初動態勢を初めとする復旧態勢の強化や資材の確保などにつきまして、本年中を目途に局の震災応急対策計画を再構築し、一日も早い復旧に向け全力を挙げて取り組んでまいります。
 次に、外部監査の指摘を踏まえた今後の改善策についてでございます。今回の外部監査では、水道事業の経営に関しまして、財務状況の分析から事業所の執行体制に至るまで、専門的な見地から具体的な実務に即して指摘、意見をいただいております。こうした監査の指摘等を真摯に受けとめまして、直ちに局内に包括外部監査改善計画推進会議を設置し、現在、改善計画の策定に向け全力で取り組んでおります。
 公営企業である水道局といたしましては、将来にわたり都民の期待にこたえていくため、公共性を踏まえた上で、効率性、経済性を最大限に発揮していく必要があると考えております。今後、執行体制や資産活用など、事業全般にわたり監査の指摘等を踏まえまして、局を挙げて見直しを行い、速やかな改善を図ってまいります。
   〔生活文化局長山内隆夫君登壇〕

○生活文化局長(山内隆夫君) ネット犯罪対策、女性支援対策についての二つの質問にお答えいたします。
 まず、架空請求メールなど、ネット犯罪に対する都の取り組みについてでございますが、架空請求メールなどによる都民の不安を解消するために、本日から、専用相談電話架空請求一一〇番を開設するとともに、架空請求メールを都民から通報していただき、その通報に基づき違法サイトの削除をインターネット接続事業者に要請することとしております。
 また、ネットトラブルの防止に向けた都民への啓発を効果的なものにするため、都が講師を学校や地域に派遣する出前講座におきまして、業界団体等の専門家の派遣を新たに開始し、より多くの都民に対する消費者教育を実施するなど、被害の未然防止に向けた取り組みを強化してまいります。
 次に、配偶者暴力に関する相談の方法についてでございますが、配偶者暴力に関する相談は、情報提供を求めるものから緊急に対応を必要とするものまで多岐にわたっております。これらの相談に適切に対応していくためには、情報提供や相談方法の多様化を図り、相談者にとって利用しやすい環境を整えていくことが重要と考えております。
 このため、ご提案のインターネットを活用したQアンドAなどによる相談の実施についても具体的に検討してまいります。
   〔港湾局長成田浩君登壇〕

○港湾局長(成田浩君) 東京港の保安対策についての二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京港における保安対策の取り組み状況でございます。
 密入国などの外国人犯罪を水際で阻止する取り組みの充実が求められておりますのは、ご指摘のとおりでございます。このため、東京港では、水際の第一線でございますふ頭の出入り管理の徹底を図っているところであり、フェンス等の整備に引き続き、今年度内に監視カメラや照明設備の設置を完了させます。
 さらに、本年四月には東京港管理事務所に指令センターを新設するとともに、十三名の専任監視員を配置し、二十四時間の常駐監視体制を構築してまいります。
 東京港が今後とも日本を代表する国際貿易港として発展していくためには、世界に信頼される港づくりが不可欠であり、水際保安対策の取り組みを一層強化してまいります。
 次に、隣接港湾等との広域連携の進渉状況でございます。
 広域連携の新たな取り組みといたしまして、都が横浜港などの隣接港湾に呼びかけ発足した東京湾保安対策協議会に、本年二月、木更津港及び横須賀港の参加を得まして、文字どおり東京湾全域の広域連携体制を整えたところでございます。
 この協議会では、昨年の晴海ふ頭での合同保安訓練に続き、本年は、横浜港ですべての機関が参加しての情報伝達や密輸、密入国への現場対応の訓練を六月を目途に実施する予定でございます。
 都は、民間事業者とも連携し、東京港における保安対策の充実に取り組むとともに、この協議会を通じ、東京湾岸の港湾関係機関との連携をさらに強化して、水際の危機管理に万全を期してまいります。
   〔総務局長赤星經昭君登壇〕

○総務局長(赤星經昭君) 国民保護及び多摩振興に関します三点の質問にお答え申し上げます。
 まず、国民保護計画におけます警察、消防、自衛隊との連携についてでございますが、武力攻撃や大規模テロなどに際しまして、住民の避難誘導等の国民保護措置を迅速に行うためには、警察、消防、自衛隊との緊密な連携が不可欠でございます。
 このため、都ではこれまでも、これらの機関の参加を得まして、天然痘やサリンを想定いたしましたNBCテロ災害図上訓練などを実施してまいりました。
 既に、庁内各局、関係機関でつくります国民保護計画策定検討会議を設置しておりますが、今後とも、効果的な連携のあり方について十分に検討してまいります。
 次に、国民保護計画への都民意見の反映についてでございますが、国民保護措置を円滑に行うためには、避難、救援から復旧に至るまで、都民及び多くの機関、団体の理解と協力を得ることが必要でございます。そのためには、計画を作成する段階で、広く関係者の意見を聞くことが重要であると考えております。
 今回提案しております東京都国民保護協議会条例で定めます協議会の委員には、区市町村や民間団体からも選任し、幅広いご意見をいただき、それらを計画に反映してまいります。
 最後に、多摩振興についてでございますが、分権時代におけます多摩振興には、都や国の施策だけでなく、住民に身近な行政を行う市町村の役割が大変重要でございます。
 このため、多摩リーディングプロジェクトによりまして、都が実施いたします二十の重点推進事業を明らかにいたしますとともに、市町村への支援といたしまして、多摩島しょ底力発揮事業の創設、自主的、自立的な行財政運営に努力する市町村に対する財政支援等を適切に行ってまいります。
 多摩振興策の推進に当たりましては、市町村の意見を十分に踏まえますとともに、連携を密にして事業の実効性を高めてまいります。
   〔福祉保健局長幸田昭一君登壇〕

○福祉保健局長(幸田昭一君) 少子化対策、女性支援対策に関します三点のご質問にお答えいたします。
 まず、乳幼児医療費助成制度についてでありますが、本制度は、少子社会において子育てを支援する福祉施策の一環として、区市町村に対し都が補助を行っているものであり、対象年齢については、義務教育就学前まで段階的に拡大してまいりました。
 また、これまでも国に対して、少子社会対策推進のため、乳幼児に対する医療保険制度の充実を提案要求してまいりましたが、国は、昨年末に策定した子ども・子育て応援プランで、社会保障の枠にとらわれることなく、次世代育成支援施策について総合的かつ効果的な視点に立って幅広く検討することとしており、今後、この点も踏まえて適切に対処してまいります。
 次に、若い男女及び子育て世代に対する、たばこによる健康被害の知識の普及についてでありますが、若い世代の喫煙対策は、本人及び乳幼児の健康を守る観点から重要と考えており、都は、その対策の一環として、妊婦の喫煙や乳幼児の受動喫煙の健康への影響についても明記したリーフレットを作成するなど、普及啓発に努めております。
 また、区市町村が効果的に喫煙対策に取り組むことができるよう、母子保健に携わる指導者を対象に研修を実施しております。
 今後とも、さまざまな広報媒体を活用しながら、あらゆる機会をとらえて効果的な喫煙対策の普及啓発に努めてまいります。
 最後に、女性の健康相談窓口の設置についてでありますが、女性特有の疾病や健康課題に適切に対応していくためには、女性医師などが同性ならではのきめ細かな対応を行っていくことが大切であると認識しております。
 こうした観点から、都はこれまで、都立病院や公社病院に女性専用外来の設置を進めるとともに、東京都女性のための健康ホットラインや不妊ホットラインを開設し、看護師等による電話相談を実施しております。
 お話の女性が安心して身近な場所で相談できる体制の整備を進めていくことは重要であり、包括補助制度の活用などにより、区市町村が行う女性のための健康相談の取り組みを積極的に支援してまいります。
   〔産業労働局長関谷保夫君登壇〕

○産業労働局長(関谷保夫君) しごとセンターにおける仕事と家庭の両立についてのお尋ねでございますが、しごとセンターは、一人一人の適性や状況を踏まえたきめ細かな対応を特色としております。仕事と家庭の両立支援も大切な役割と認識しております。
 このため、情報コーナーを設置するとともに、六月の男女雇用平等推進月間に女性の再就職講座や各種セミナーを開催するなど、両立支援の相談窓口としての機能の充実を図ってまいります。
   〔新銀行設立本部長津島隆一君登壇〕

○新銀行設立本部長(津島隆一君) 新銀行に関する二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、DIPファイナンス等による中小企業に対する支援についてでございますが、倒産企業は、すぐれた事業実績や将来性が認められたとしても、資金調達が極めて困難なために事業再建の道が閉ざされる場合が多いのが現状でございます。
 新銀行では、こうした倒産企業の再建の道を広げるため、一定の条件のもとに融資の対象としてまいります。具体的には、民事再生法に基づく再生計画の認可を受けた事業者等で、その計画の実現可能性が十分見込まれ、代表者の保証や債務関係等について問題がないと判断した場合には、DIPファイナンスの実施を検討してまいります。
 また、連鎖倒産を防止する観点から、倒産企業の関連会社に対する融資についても、当該企業の状況見通し等を判断の上、融資の対象としてまいります。
 次に、ベンチャー企業等に対する支援についてでございますが、新銀行は、技術やノウハウを持ち、将来の成長が見込まれる企業に対して、技術力・将来性重視型融資により資金を提供してまいりますが、とりわけベンチャー企業については、ベンチャーキャピタルとの提携などにより、積極的に融資機会を拡大してまいります。
 また、創業直後で、キャッシュフローが回っていなかったり、審査に必要な決算書類等がそろわないため融資できないベンチャー企業に対しては、一手法として、ベンチャーファンドへの出資を通じて必要な資金を供給してまいります。その際、都が設立したベンチャーファンドについても出資の対象としてまいります。
   〔環境局長平井健一君登壇〕

○環境局長(平井健一君) 環境対策などに関する四つのご質問にお答えいたします。
 まず、省エネラベルの品目拡大及び制度の全国普及についてでございますが、今回の条例改正は、省エネ性能の高い家電製品の普及を図るため、エアコン、冷蔵庫、ブラウン管テレビの三品目につきまして、省エネ性能を示すラベルの表示を販売店に義務づけるものでございます。
 これは、家電製品の省エネ基準の達成度に基づき、都が独自に作成した相対評価を示すものでございまして、液晶テレビ、プラズマテレビにつきましては、来年度の国の省エネ基準の策定動向を踏まえ、品目拡大を図ってまいります。
 また、都は、八都県市や、この取り組みに積極的な自治体、NPOと共同いたしまして、全国的な推進組織を立ち上げたところであります。今後は、この組織を活用しながら、制度の全国的な普及を進めてまいります。
 次に、廃棄物条例の改正についてでございますが、条例改正案では、産業廃棄物を排出する事業者が社会的責任を果たすことを求める観点から、排出事業者に対し、適正処理に向けた具体的な取り組み状況についての報告を義務づけまして、都は、それをわかりやすく公表することとしております。
 都は、報告の持つこうした重要性について事業者に周知し、報告の徹底を図ってまいります。
 なお、報告のない事業者に対しては勧告を行いまして、これに応じない場合は、その事実を公表することとしております。
 次に、産業廃棄物処理業者からの報告についてでございますが、本制度は、処理業者の処理状況を公表することにより、その透明性を高め、排出事業者が適正な処理を確実に行う処理業者を選定しやすくするものでございまして、この制度を有効に機能させるためには、報告内容の正確性の確保が極めて重要でございます。
 このため、処理業者に対しましては、制度の趣旨を十分に周知し、適切な報告を求めていくほか、必要に応じて立入調査などを実施いたしまして報告内容の確認を行うなど、その正確性の確保に努めてまいります。
 最後に、多摩振興に関しまして、多摩の森林再生事業についてでございますが、森林は、水源の涵養、土砂の流出防止、野生動植物の生息環境の提供、さらには観光レクリエーションの場の提供など、さまざまな機能を有しております。
 多摩の森林再生事業は、計画的な間伐によりまして、針葉樹と広葉樹のいわゆる針広混交林化を進め、森林が持つこれら公益的機能を回復させるもので、多摩地域の振興にとっても重要な事業でございます。
 ご指摘を踏まえまして、市町村との連携をさらに深めるとともに、森林所有者の理解も得ながら、間伐が着実に実施できるよう積極的に取り組んでまいります。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕

○建設局長(岩永勉君) 多摩南北道路の整備に当たっての関係市との連携についての質問にお答えします。
 多摩リーディングプロジェクトにおきましては、多摩南北道路主要五路線の重点的整備を、都市間連携の強化や渋滞解消のかぎを握る事業として位置づけております。
 この南北道路は複数の市にまたがるため、整備に当たっては、交差する都道や市道の計画内容、整備スケジュール、地元対応の方法や手順などにつきまして、関係市と十分調整しながら事業を進める必要があります。
 今後とも、所管事務所と関係市とが密接な連携を図りながら、住民の理解と協力を得て、道路整備の推進に取り組んでまいります。
   〔財務局長松澤敏夫君登壇〕

○財務局長(松澤敏夫君) 十七年度予算編成の特徴についてのご質問にお答えいたします。
 十七年度予算は、東京の新たな発展を目指しつつ、財政構造改革を一層推進する予算と位置づけまして、まず、都民の負託に積極的にこたえる面では、立ちおくれている都市基盤を整備するため、投資的経費が前年度比で八・九%増と、平成三年度以来の高い伸びを確保したことが特徴として挙げられます。
 また、都民福祉の充実を図るため、目的別の歳出では、一般歳出に占める福祉と保健の構成比が一七・四%と、過去最高水準になっております。
 一方、財政構造改革を一層推進する面では、都税収入の大幅な増加を改革の好機としてとらえまして、七年ぶりに臨時的な財源対策をすることなく均衡予算を組むとともに、都財政の体力回復を図るため、隠れ借金を約千八百億円解消し、財政調整基金につきましても、久方ぶりに大幅な積み立てを行ったことが挙げられます。
 さらには、都債の発行を抑制し、起債依存度は六・二%と極めて低い水準にとどめていることなどが、今回の予算での主な特徴というべきものでございます。

〇副議長(中山秀雄君) 百二十五番名取憲彦君。
   〔百二十五番名取憲彦君登壇〕

○百二十五番(名取憲彦君) 私は、都議会民主党を代表して、都政の重要課題について知事並びに関係局長にお伺いします。
 まず、平成十七年度東京都予算案について伺います。
 平成十七年度東京都予算案は、一般会計で前年度比二・六%増の五兆八千五百四十億円、一般歳出で前年度比一・一%減の四兆一千七百五十九億円となっています。都税収入を八・四%、三千三百二億円増の四兆二千五百八億円と見込んでいますが、これは十六年度当初比であり、十六年度最終補正後の比較では、一・一%、四百六十四億円の増しか見込んでいません。乱高下を繰り返す都税収入の特徴と景気の先行き不透明感から、手がたく見込んだといえます。
 一方、歳出においては、重点事業に予算を配分するとともに、昨年度に引き続き九十二億円を計上した羽田空港再拡張事業、二十六億円を計上し、十七年度より着手するとした中央環状品川線など、従来ならば国と東京都の負担問題で先送りされかねない問題に東京都が率先して予算を計上して、ずうたいが大きくてなかなか動き出せない国や公団を牽引する役割も果たしています。
 不安定な都税収入、国の負担を自治体に押しつけるだけのいわゆる三位一体改革のもとで、財政構造改革を進めつつ、都民の負託に積極的にこたえるという困難な課題をこなして十七年度予算を編成された知事の評価をお伺いいたします。
 また、十六年度最終補正、十七年度予算を通じて、財政調整基金の積立額の確保と、いわゆる隠れ借金の圧縮に努められたわけですが、市街地再開発事業や臨海地域開発事業における欠損については、個々の事業展開を超えて、東京の再生、経済の活性化がこれらの負担を軽減させる決め手となるものであります。
 しかし、巷間、二〇〇七年問題といわれるように、団塊の世代の大量退職が始まり、東京都の予測では、本年、二〇〇五年をピークに生産年齢人口が減少に転じることになります。その一方で、高齢人口は、二〇〇五年の二百二十六万人から二〇二〇年の三百二万人へと大幅に増加することになります。財務当局も、老人医療費等高齢者三事業について、今後五年で四百十三億円、十年で九百八十七億円の負担増が見込まれるとしています。社会資本ストックの更新には、新規建設以上の経費がかかることになります。
 経済の活性化に向けたプラスのための努力に、生産年齢人口減というマイナスの影響と、社会保障費や社会資本更新経費の負担増という重荷が加わり、ますます困難な都政運営を求められることになります。こうした状況を踏まえ、都財政の将来展望についてどのようにお考えか、お伺いします。
 次に、行財政改革について伺います。
 現在、平成十二年二月の都区制度改革の都区合意に際して確認された五項目について、都区間の協議が進められています。これらの五項目のうち、大都市事務の役割分担を踏まえた財源配分のあり方は、都区の見解に隔たりが大きく、合意するには相当な困難が予想されています。
 平成十二年十二月の都政改革ビジョンⅠにおいて、広域的自治体と基礎的自治体の役割分担を整理し、今後の大都市行政のあり方についても検討するとした課題が、今改めて問われているのです。
 民主党は、道州制のもとでの大都市行政を展望しながら、特別区間の財政力格差の是正を図りつつ、将来的には行政の広域化に対応し、財政面からも自立するため、特別区を再編し、市として自立する自治制度改革を進めるとしていますが、この課題については、今後半年程度で結論を出すのは難しいと思われます。
 しかし、少なくとも、今回の都区間の協議が、財源配分のあり方にとどまることなく、今後の大都市行政のあり方についての検討につながるものとすることが、今回の協議をむだにしない道でもあります。
 五項目の確認事項についての協議、とりわけ大都市事務の役割分担を踏まえた財源配分のあり方についての協議に臨む東京都の基本的姿勢について伺います。
 次に、指定管理者制度の導入について伺います。
 平成十五年六月の地方自治法改正によって、公の施設の管理を民間事業者もできるようにする指定管理者制度が創設されました。これにより、新規施設については設置当初から、既存の管理委託施設については平成十八年九月までに指定管理者制度に移行しなければならないこととなりました。
 東京都では、既に新規二施設について指定管理者制度が採用され、本定例会には、既存の管理委託施設について指定管理者制度を導入するための条例改正案が提案されることになっています。
 この指定管理者制度の導入により、現在管理委託を行っている外郭団体等が民間と競争することとなり、競争原理を通じた財政支出の削減、民間のノウハウの活用によるサービスの向上、民間と同じ土俵で競争することによる既存の外郭団体の改革推進が期待されるわけですが、知事はこの指定管理者制度の導入についてどのようにお考えか、伺います。
 次に、多摩・島しょ振興について伺います。
 まず、三宅島の安全と村民の生活再建について伺います。
 二月一日に三宅村長が避難指示を解除し、村民は待ちに待った故郷三宅島に帰ることができるようになりました。四年五カ月ぶりに島で生活ができるようになったことに対し、ほっとするとともに、やっと復興の第一歩を踏み出したものと感じております。
 帰島は無事に進んでいると伺っていますが、三宅島では依然として火山ガスの放出が続いておりますし、四年を超える避難生活をしてきたことから、避難前の生活に戻ることは容易でないと考えます。
 そこで問題になってくるのが、避難指示が解除された後の三宅の安全と帰島した村民の生活再建です。
 三宅村が策定した火山ガスに対する安全条例では、規制区域の設定や二酸化硫黄の濃度に応じた注意報や警報の発令、それに応じた村民みずからの安全確保のための行動が規定されています。しかし、こうした村の対応だけでは、必ずしも十分とはいえないことも考えられます。三宅島の火山ガスから安全を確保するため、都としてもどう支援していくのか、お伺いします。
 帰島後の村民生活については、村民の皆さんが早期に自立し安定した生活を送れることが重要ですが、発災前に島の主要な産業でありました観光業や農業などは、復興までにかなりの時間がかかります。それまでの間は、砂防ダム工事や降灰除去等の公共事業を村民の雇用の場に活用するなど、村民の方に就労の場を確保するような自立支援策が必要と考えます。
 既に帰島が始まっている中で、村民の方が現在どのような事業に雇用されているのか、また、今後どのような形で村民の雇用を進めていくのか、お伺いします。
 次に、多摩の振興について伺います。
 多摩地域は、多数の大学や試験研究機関が立地し、先端技術産業が集積するとともに、豊かな自然や豊富なゆとり空間など、さまざまなポテンシャルを有しております。これらを生かしながら、市町村はもとより、企業やNPOなど多様な主体が参加して、多摩の地域発展に取り組んでいるところです。
 こうした中で、都は、多摩リーディングプロジェクトを発表し、南北道路の整備や森林再生事業など、都が重点的に取り組む二十の多摩重点推進事業を明らかにしました。いずれも多摩の振興に資する重要な事業であると理解しますが、一方で、今回の選定から漏れた事業にも、多摩ニュータウンの活性化やIT環境整備など、多摩の都市づくりに大切な役割を有する事業もあるのではないかと考えます。
 今回の二十の事業を選定した考え方と、今回選定されなかった事業の取り組みについて伺います。
 次に、次世代育成について伺います。
 人口減少時代の到来に対する危機感から、少子化対策の機運がにわかに高まっています。次世代育成支援には、少子化対策、子育て支援、健全育成、教育、労働、治安など多様な施策を実施し、子どもを持ちたい人が安心して産み、健やかに育てることができる社会づくりが必要です。
 少子化は先進国の一般的な傾向であることに加え、ニューエコノミーの時代に入り、収入の伸びが鈍化し、将来の雇用や生計の見通しが立ちにくい若年者が増加していることが拍車をかけていると指摘されています。
 東京都では、子どもたちが健やかに生まれ育つことを目指し、次世代育成支援対策推進法に基づく次世代育成支援東京都行動計画の策定作業を進めていますが、特に留意すべき視点として、家庭が抱える問題を包括的、一体的にとらえるとともに、福祉、保健医療、教育、警察等が連携協力し、一体的に支援していく体制を整えていきますと掲げておられます。まさにこの点が大きな課題であり、私たち民主党も、似たような施策の重複や連携不足による非効率を解決するために、子どもに対する支援策という視点で、多くの分野に点在する施策を包括し、責任ある支援推進体制を構築すべきと考えます。
 次世代育成に取り組まれる知事の所見を伺います。
 東京都は、福祉改革の一環として、平成十三年度から独自の認証保育所制度をスタートさせました。認証保育所は、利用者アンケートでも、開所時間や立地のよさ、保育士の対応や雰囲気のよさなどに満足度が高くなっています。
 一方、不満が多い点として、保育料の高さが挙げられています。私たちも、認可保育所の保育料保護者負担が一万九千円から三万円程度が主流であるのに対して、東京都独自の制度である認証保育所の保護者負担はおおむね五万円から六万五千円程度と、著しい格差があると認識しています。
 東京都は、認可保育所制度の改革とともに、認証保育所制度の認知を国に求めてきましたが、この実現までの間、二倍強となる格差を放置すべきではありません。私たちは、認証保育所を利用する保護者の負担を軽減する補助制度を実施すべきと考えます。
 そこで、認可保育所と認証保育所の保護者負担の著しい格差についてどのような認識をお持ちか、また、認証保育所の保護者負担軽減についてどのようにお考えか、所見を伺います。
 こうした格差是正措置を当面の措置として行っていくと同時に、将来的には、すべての子どものいる家庭が必要に応じて使えるサービスの提供を実現していかなければなりません。
 東京都は、認証保育所における直接契約制度の導入などの、保育における新しい試みを実現してきました。しかし、重厚な認可保育所制度は依然変わらず、保育市場全体に、保護者の選択を可能とする、柔軟で多様なサービス提供への取り組みが波及しているとはいいがたい状況です。
 そこで、東京都独自の取り組みをさらに進めて、今こそバウチャー制度を導入すべきと提案したいと思います。制度のメリットとして、利用者の選択が市場に作用し、需給のミスマッチが解消されるとともに、サービスの多様化が進むことなどがあります。また、東京都は、既に平成十二年の福祉改革推進プランにおいて、平成十四年の導入を目指すとしていました。
 私は、関係者の皆さんの熱意ある取り組みで高い成果を上げている福祉改革により、バウチャー導入の機は熟していると考えます。東京都の目指す、すべての子育て家庭を対象とした保育サービスの実現へ、改革の総仕上げとしてバウチャー制度を導入すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、青少年の健全育成について伺います。
 性の低年齢化や薬物乱用、そしてフリーターやニートの増加など、青少年の深刻な状況については、私たちも全く同じ認識です。環境の悪化に対抗する措置が必要なことも十分理解していますが、青少年健全育成条例の改正案には幾つかの疑問があります。
 改正案を見ていますと、無菌状態で子どもを育てよ、悪環境から隔離せよが基本の姿勢なのか、家庭に対して、青少年に対して、いささか過保護、過干渉ではないかとの印象を持ちます。あれはだめ、これはだめでは、よき社会人は育たないのです。
 今回の処方せんで病状がよくなるとしても、将来的に社会の病巣を拡大させることにはならないでしょうか。無菌状態で育った子どもが大人になったとき、本当に危険なことや取り返しのつかないことがわからずに、自分や他人を傷つける結果に結びついていくのではないでしょうか。
 青少年の健全育成に取り組む知事の所見を伺います。
 子どもを無菌状態で育てようという姿勢が顕著にあらわれた点として、インターネットの有害情報への対応をフィルタリングサービスによって進めることが挙げられます。フィルタリングソフトは、幼い子どもたちには有効だと思いますが、解除操作が可能な青少年には効果が少なく、こうしたソフトへの過大な期待は、むしろ危険ではないでしょうか。
 小学校や中学校、高等学校やその保護者に対して普及に血道を上げるよりは、有害情報に惑わされない健全な精神を育て、インターネット情報の功罪について理解する教育を全都的に、かつ強力に進めることこそが、不可逆的に進む情報化と社会の変化に対抗し、青少年を危険から守る処方せんであると考えます。
 東京都は、インターネットの有害情報に対する青少年の情報判断能力の育成にどのように取り組んでいこうとしているのか、見解を伺います。
 青少年の性に関する規定は、一部のマスコミでセックス禁止条例といわれましたが、性の低年齢化、性的被害で保護された青少年も増加するなど、問題は深刻です。
 東京都は、他の道府県が軒並み淫行処罰規定を設けてきた中、導入を見送って独自の対応をとってきました。今回、東京都は他の道府県と同様に、淫行処罰規定を設けるとのご提案です。そこで、これまでの方針を転換して導入する際に、既に運用している道府県での成果をどのように認識されているのか、また、青少年自身の判断能力を育てるなど独自の対応をとってきたことで、かえって東京都の状況が深刻化したとお考えなのか、お伺いいたします。
 また、改正案では、青少年とみだらな性行為をした大人を処罰するとしていますが、青少年の交際相手の年齢や交際期間などから外形上判断することは難しいなど、規制の対象となる範囲が明確でないとの指摘もされています。この点についても、ご所見を伺います。
 次に、脱法ドラッグ条例についてです。
 法律で禁止されている薬物と同じような成分で、多幸感や快感を高めるなどの作用がありながら、わずかに成分の構造が異なるために規制の対象外となる脱法ドラッグが問題となっています。
 脱法ドラッグは、含まれている成分が同じでも、さまざまな製品名で販売されており、意図的にラベルを張りかえて法規制を逃れるなどの事例もあり、それぞれの製品を検査してからでないと取り締まりができず、非常に手間がかかるとも聞いております。
 さらに、脱法ドラッグは、販売形態を見ても、全国レベルでのインターネット販売など、自治体間のエリアを超えた問題となっており、当然ながら国のレベルの規制が必要です。このように、脱法ドラッグ対策には困難な課題も多いと思いますが、東京都は、条例制定により実効性のある対策をとるためどのように取り組むのか、所見を伺います。
 次に、障害者施策について伺います。
 国は二月十日、障害者自立支援法案を国会に上程しました。障害種別ごとに提供されている福祉サービスを共通とする仕組みの創設や、自立した生活ができるよう適切な支援をするなどの内容です。
 財政面では、決められた予算内でしか使うことのできない仕組みから、国や都道府県が責任を持つ安定した仕組みにするかわりに、サービス利用量に応じて、原則一割の負担が導入されることとなります。
 しかし、この法案に対しては、その理念や目的を評価する声がある一方、サービスの量に応じた負担を導入することに対しての不安の声が上がっています。
 障害者の実態は、基礎年金のみを収入とする方が多く、経済的自立が難しい、地域生活基盤の整備はまだ途についたばかりで、地域生活移行はこれからという時期です。こうした現実を踏まえた自立支援の具体化がなければ、負担のみを求めることになります。この法律により何を実現していくかという課題も多いと思いますが、東京都はどのように評価しているか、伺います。
 障害者が地域生活をする上で、まずグループホームなどの生活基盤を整備することが必要です。そして、障害者が地域社会の一員として暮らしていけることが必要であり、障害のある人もない人も、ともに暮らすノーマライゼーションを推進していく上では、社会の障害への理解を進めることが必要です。しかし、グループホームや養護学校の建設に反対する請願などが議会に出されるなど、偏見や差別の問題はあります。
 また、障害者は、車いすや、つえを使っている人ばかりではありません。心臓など体の内部や免疫に障害がある内部障害や、知的発達障害、精神障害など、外見からはわかりにくい障害もあります。こうしたさまざまな障害を持った方が、尊厳を保ち、安心して地域での生活を送れるようにするためには、生活の場などの整備に加え、障害者の権利をしっかりと擁護する取り組みが求められています。本来は国として取り組むべき課題ですが、東京都としても具体的な差別を禁止する条例を定める必要があると思います。
 障害者差別禁止条例の制定など、障害者に対する偏見や差別のない社会に向けた取り組みについて、所見を伺います。
 次に、温暖化対策について伺います。
 今定例会には、環境確保条例の改正案が提案されています。温暖化対策の実施に当たっては、事業者への一律削減義務を課すという選択肢もありますが、私たちは、事業者のこれまでの取り組みや業務実態などが多様であることなどから、より実効性のある温暖化対策を求めてきました。
 条例案では、事業者が東京都の対策指針に基づいて削減目標を定めることを義務づけており、この指針の内容は極めて重要なものとなります。
 私たちは、昨年六月の代表質問などにおいても、対策指針の内容を、一九九〇年比で六%削減という目標は最低限の原則とし、事業者がより高いレベルでの削減目標を設定できるように求めてきました。
 今回の条例案では、私たちの主張に基づき、それぞれの事業者がより高いレベルでのCO2削減に取り組むものと考えていいのか、見解を伺います。
 条例案では、昨年五月の環境審議会の答申になかった、エネルギー環境計画書制度の創設が盛り込まれています。この制度は、東京都が作成した指針に基づいて、都内にエネルギーを供給している事業者が、エネルギーをつくるときに出すCO2の量の削減目標や、再生可能エネルギーの導入目標などを計画し、報告するものです。
 電気事業者に対する太陽光や風力といった新エネルギーの導入については、RPS法でもその目標が定められています。しかし、二〇一〇年度で一・三五%というこの目標について、東京都が大幅引き上げを国に対して提案している一方で、この目標ですら大変厳しいという話もあります。
 このような中、東京都は、エネルギー環境計画書制度によってどのように再生可能エネルギーの普及拡大を図っていくのか、見解をお伺いします。
 条例案では、建築物環境計画書制度の強化として、マンションの環境性能表示を打ち出しています。しかし、対象となる建築物は延べ床面積が一万平米以上であり、マンションでいうと、おおむね百戸以上の大きな集合住宅に限られています。
 昨年五月の環境審議会答申では、対象規模については中長期的な視点から検討していくべきであるとしており、条例案の他の制度では、新たに対象規模未満の事業者による提出も可能としています。また、今通常国会に提出されている省エネ法の改正では、マンションなどの建築物に対する省エネ措置の報告義務化が盛り込まれ、その対象は、延べ床面積二千平米以上となっています。
 私は、民生部門での温暖化対策を推進するためにも、対象建築物の拡大を図り、マンション環境性能表示を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 東京都は、環境確保条例の改正とあわせて、先駆的に温暖化対策に取り組む企業などとの連携プロジェクトを発表しました。その中で、私は、キッズISO一万人参加計画に注目しています。
 キッズISOは子ども向けの環境教育プログラムで、子どもたちが省エネやリサイクルなどに主体的に取り組む活動に対して国際的な認定証を交付し、子どもたちの環境への意識をはぐくむもので、今年度、既に都内の公立十一校で小学校五年生約七百人が参加していますが、東京都は来年度、これを百五十校、一万人の参加にまで拡大するとしています。
 私は、環境教育の推進に当たっては、区市町村を初めNPO、企業などとの連携も図りながら、教育現場への普及拡大に取り組んでいくとともに、このプログラムを、公立だけでなく、私立学校も含めて拡大していくべきと考えます。
 そこで、キッズISOが、地球温暖化対策を推進する上で、また、区市町村や企業との連携を進める上でどのように有効なものなのか、見解を伺います。
 次に、運輸、物流政策について伺います。
 運輸、物流の効率化は、地球温暖化に寄与するだけでなく、日本の国際競争力を向上させる上で欠かせない課題です。昨年四月にIMDが発表した二〇〇四年世界競争力年鑑によれば、日本の国際競争力は二十三位、一九九三年まで一位をキープし続けてきましたが、今では、シンガポール、香港、台湾、マレーシアなどの後塵を拝しています。
 こうした危機感もあって、石原知事は、非効率的な物流分野での構造改革を断行するために、総合物流ビジョンを十七年度中に策定するとしています。
 私は、物流改革に当たっては、陸海空の個々の改革やハード面だけでなく、ソフト面も含めた総合的な取り組みを求めるものですが、現在策定中の総合物流ビジョンの基本的な考え方について、見解を伺います。
 次に、港湾物流について伺います。
 東京港は首都圏における外貿貨物の六割を扱っており、外貿コンテナ貨物の取扱量が七年連続日本一という港です。しかし、この東京港にも、急伸著しいアジア巨大港湾の脅威が迫っているのです。
 例えば、昨年、日本国内で韓国政府が誘致セミナーを開催し、ある日本の商社が釜山港への進出を決めました。こうした事態が続けば、首都圏の物流センターは東京港ではなく、他国の港に取ってかわられることにもなりかねません。
 これまで東京港は横浜港をライバル視し、必ずしも十分に連携してきませんでした。しかし、国際物流が大きく変革する中で、今や、東京港だ、横浜港だといっている時代は過ぎ去り、日本の二大港湾である両港が力を合わせていくことが不可欠となっています。
 先ごろ、東京港は、横浜港と一体となって、国のスーパー中枢港湾の指定を受けましたが、私は、港湾の管理運営を一体的に行う京浜ポートオーソリティーともいうべき新たな運営主体を自治体主導で創設するなど、国際競争力の強化を検討していくべきと考えます。そのために、新たな港湾運営のあり方を目指し、東京港、横浜港の連携を積極的に進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 また、港湾物流改革に関しては、既に、港湾労使の英断により、元日を除く三百六十四日二十四時間フルオープン化が実現していますが、例えば昨年、青海と品川の公共コンテナふ頭でスタートした全国初の毎日曜日ゲートオープンについては、内陸部の受け入れ側の体制が整っていないこともあって、必ずしも十分な取扱実績が上がっていないとも聞いています。
 港湾物流改革の実績を上げるためには、港湾エリアだけの対応では限界があり、港湾貨物の発生地であり、目的地である内陸部との連携を深めていくことが必要であるのではないでしょうか。
 私は、港湾エリアと内陸部の荷主などの連携を深め、特に、荷主等への周知や体制変革を促すことで、港湾物流のさらなる効率化に取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、羽田空港の再拡張、国際化について伺います。
 かねてより、台頭著しいアジア諸国の国際競争力に伍していくため、一日も早い羽田空港の再拡張、国際化が強く求められてきましたが、国では、財源問題から、これまでなかなか事業化ができませんでした。これに対して東京都が、この事業に一千億円を無利子で貸し付け、協力するとしたことにより、平成十六年度から事業がスタートしております。私たちも、羽田空港の再拡張、国際化は推進の立場であり、都の判断を高く評価するものであります。
 再拡張事業の大きな柱である新滑走路の整備については、平成二十一年末の供用開始に向け、既に昨年七月、国において入札手続が開始され、この三月下旬には契約が締結されることになっているなど、事業が具体的に進展しつつあると聞いております。
 今後も、引き続きこの国家的大プロジェクトを着実に推進させることは極めて重要と考えますが、知事のご所見をお伺いします。
 再拡張、国際化が図られた羽田空港は、国内航空ネットワークの拠点としてますますその重要性が高まるとともに、アジア圏を視野に入れた国際空港として生まれ変わることになります。この事業に伴い、羽田空港に隣接する多摩川沿いに、約五十三ヘクタールの跡地が生まれます。この跡地の活用方策は、PFI方式で整備が予定されている新設ターミナル等の内容によって大きく変わると思いますが、これをどのように活用していくかは、将来の羽田空港のありようにも大きくかかわるものといえます。
 跡地利用に関する都としての取り組み姿勢について、知事の所見を伺います。
 昨年十一月、首都高速道路中央環状品川線が都市計画決定されました。これを受け、平成十七年度予算案には整備費用が計上され、平成二十五年度を目標とした中央環状線の全線開通に向け前進したことは、私たちも評価するものであります。品川線の整備により、都心の交通渋滞の大幅な緩和など、高速道路網のみならず、一般街路への波及効果が期待されます。
 しかし、品川線の整備は現段階で総事業費が約四千億円とも試算され、都も負担する巨大プロジェクトであり、本事業への都民の理解と協力を得るためには、整備効果の事前検証はもとより、開通後もきちんと検証し、都民に対し説明していく必要があると考えますが、所見を伺います。
 また、本事業は、その大きさゆえに、ややもすれば、事業費の大幅な増加など、都民にとってはさらなる負担となることも考えられますが、過去の大規模プロジェクトの例を引くまでもなく、事業費が当初の試算から膨れ上がることがあってはなりません。事業の抑制に努めるべきと考えますが、所見を伺います。
 以上で、都議会民主党を代表しての質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 名取憲彦議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、十七年度予算の評価についてでありますが、十七年度予算は、三位一体改革の動きなど、さまざまな課題がありました。一般歳出の伸びをマイナスに抑え、緊縮型とする中で、治安の回復や都市の再生、福祉・医療の充実など、都政が直面する緊急課題には積極的に取り組んだつもりでございます。特に、投資的経費を八・九%増と大幅に伸ばすなど、めり張りのきいた内容となっていると思います。
 また、税収の増加に助けられたとはいえ、これまでの財政再建の成果が着実に実り、七年ぶりに臨時的な財源対策を講じることなく均衡予算を編成することができました。加えて、起債依存度を低く抑えつつ、基金残高の確保や隠れ借金の圧縮などにも積極的に取り組んでおります。
 このように、今回の予算では、都政の将来を展望し、都民のために必要な施策をしっかりと講じながら、同時に、都財政の再建と体力回復を思い切って進めておりまして、都民の皆様にも必ず納得いただける予算に仕上がったと思っております。
 次いで、指定管理者制度の導入についてでありますが、公の施設の管理を民間にも開放する指定管理者制度は、規制改革の一環であるとともに、これまでほぼ独占的に管理を受託してきた監理団体について、民間との競争を通じて経営改革を求めるものでもあります。
 今後、それぞれの施設の性格や目的に応じて適切に制度を導入することによりまして、サービスの向上と経費の削減を確実に図り、施設の効率的運営を実現していくつもりでございます。
 都は、あちこちにいろいろな施設を持っていますが、中には本当に、私も知事に就任して、行ってみて、びっくりするような立派なものもございますけど、もう一つ、やっぱりそういうものの運営、経営というものに知恵が足りないような節もございますので、こういったものを利用して、都民の、実は潜在している大きなニーズにこたえていきたいと思っております。
 次いで、次世代育成への取り組みについてでありますが、次代を担う子どもたちが、個性を生かし、創造力を培いながら、健全に成長できる環境を整備することは、親はもとより社会全体の責任だと思います。
 都はこれまで、国に先駆けて認証保育所の創設や小児救急医療体制の整備を初めとする福祉・医療改革や教育改革など、子どものためのさまざまな施策を推進してきたと思います。あわせて、子どもたちが将来に希望を持てるよう、環境の危機、雇用や治安の問題などを克服し、東京が都市としての活力を取り戻すための取り組みを強化しております。
 今後とも、次世代の健全な育成を支援するために、組織を超え、横断的、複合的、総合的に取り組んでいくつもりでございます。
 次いで、青少年健全育成に関する基本的な考え方でありますが、これは、いささか今のご質問に私は異論がございまして、条例を改正することで、東京にいる若者たちを無菌状態にして、抵抗力をなくするおそれがあるといわれますが、しかし、今、東京の、例えば盛り場一つ見て、その実態を見ますと、彼らはまさにばい菌の巣窟にいるという感を私は否めません。そういうところから若者たちを救出するというか、守るということは、私はやっぱり行政の責任だと思いますし、行政だけではなしに、彼らに次代を託す、私たち大人の責任だと思います。
 それから、淫行禁止条例ですか、東京都はそれを整備しておりませんけれども、これがないために、例えば、神奈川県や埼玉県でこんなことをするととっ捕まるが、東京に行ったらできるぞというけしからぬ大人がたくさんおりまして、現にそういう人たちが、まさに未成年を対象とした、恋愛感情を伴わない、しかも対価というものを保証したり、それはお金であったり、ある場合には甘言を弄して、おまえをモデルにするとか、女優にするとか、そういう甘言で子どもたちを誘って、まさに未成年と大人が要するに性的関係を結ぶ。これは、私はやっぱり許されるべきことではないと思いますし、こういったものの整備も必要じゃないかと思っております。
 それから、有害情報、こういったものにも抵抗力をつけろということですが、それはそうでしょう。しかし、この日本ほど、例えばお読みになったことがあるかどうか、中学生の女の子向けの数十万出している雑誌がございますが、それはファッションとか、要するにそういう若い女の子向けの情報は整備しておりますよ。しかし、その中で、とにかく、あなたにこれこれの性的な体験があるかないかという巧みなアンケートで、読む子どもたちが、私もおくれてなるかというような、そういう衝動を誘発するみたいな、そういう書物がはんらんしているというのは、これは日本だけじゃないでしょうか。
 しかも、その編集長が、この間、ある座談会に出ていましたけれども、ニーズがあるから、それにこたえるのはおれたちの義務だ。チンピラ上がりみたいな編集長がたんかを切っていましたけれども、私は、本当に見て腹が立ちましたが、やっぱり物には限度というものがあると思いまして、今、ご指摘の、こういうことを構えることで、子どもたちを過保護にして抵抗力をなくするというのは、他の先進国ではいい得ることでしょうけど、特にこの東京、しかも、他県に比べてそういう法的な整備がない、特に淫行禁止条例などはないわけですから、そういった整備というものは、風俗の紊乱がここまで来ますと、やはり都の責任で、皆様の理解を得ながら、行き過ぎは困りますけれども、整備をしないと、まさに先ほどのご質問の、次の世代の育成というものの責任を果たしたことにならないと、私は思います。
 次いで、羽田空港再拡張事業の着実な推進についてでありますが、時間的、空間的に世界が狭くなりまして、人間とか情報の往来というものが飛行機で簡単にできるような時代になった。しかも、日本は依然として世界第二の経済大国でありまして、隣の中国は何か成り上がって、偉そうなことをいってますけれども、世界全体のGDPの中で占めている量というのは、日本の四分の一でしかない。しかも、あの国は、非常に周りの国にいろいろな形で迷惑をかけてますけれども、その問題は別にして、いずれにしろ、経済的に拡張、発展するのは結構なことでしょう。ただ、公害の問題などで、私たちは非常に被害をこれからもこうむりますし、既にこうむってますが、いずれにしろ、とにかく世界が狭くなったときに、日本のような経済大国に簡単に人が来れない。ビジネスを構えても来にくい。特に、私は九・一一のときに、たまたま向こうにおりまして、ハドソン研究所の招待で行ったんですが、私の親友のトム・ドナヒューという、向こうの、日本でいうと商工会議所の会頭がディナーをしてくれまして、何十人かの、あの東部の代表的な経営者と歓談しましたが、彼らが一番横田の問題について理解があった。
 それは、つまり、ビッグビジネスを構えて、急な用事ができて、日本に飛んでいこうと思うと、とにかく重役を連れて、飛行機の中で会議をしながら行こうと思っても、二カ月前に通告しないと、日本にはプライベートジェットを飛ばせない、会社のジェットを。こんな不便なことはない、ぜひ横田をあけろ、おれたちは大賛成だということでしたが、反面、今度は逆に、アメリカの航空機はファーストクラスには盗聴施設がありまして、外国のビッグビジネスマンが乗って、そこで数人のグループが飛行機の中で密談、戦略を、ビジネスの交渉の戦略の討議をすると、全部それは盗聴されているという、これは多分、あり得ることでしょう。エシュロンなどという装置が三沢にもあって、アングロサクソン以外の情報というのは全部、とにかくアメリカは盗聴して、しかも、ネゴシエーションが進んで、土壇場でアメリカがちょっといい条件で割り込んできて、ビジネスをとられるという、そういう時代ですから、私はやっぱり、話が右往左往するようですけれども、とにかくたくさん飛行機が頻繁に日本へ来ること、そのキャパシティーを構えることが必要だと思います。私が、政調会長時代の亀井君にいって、かなり基本的な線を乱暴に決めましたが、それから、決まった後、時間がかかり過ぎて、やっと事が運ぶようになりました。
 いずれにしろ、ご指摘のように、さまざまな英知を結集して、この大きなプロジェクトを責任を持って推し進めるよう、国に強く求めていくとともに、都としても引き続き関係自治体と協力して取り組んでまいりたいと思っております。
 次いで、羽田空港の跡地利用に関する都の取り組みについてでありますが、跡地は、国際線ターミナルなど、国際化の拠点施設に隣接する重要な空間でありまして、空港機能をサポートするとともに、空港の持つ可能性を活用した利用計画を立てることが重要だと思います。
 このため、都としては、現在、国が検討中の国際線地区のありようも見きわめながら、地元自治体とも調整し、跡地利用に主体的に取り組むつもりでございますが、これはやはり、今、次のプロジェクトとして、川崎の工業地帯が非常に過疎になってきて、膨大な空き地ができている。これをどう活用するかというのは、川崎なり神奈川県の大きな問題で、横浜市長の中田君なども、羽田を軸にして、ほとんど東京のダウンタウンと等距離にある横浜市に外国人の客を誘致するために、このプロジェクトに賛成して、無利子貸付を、東京ほどの額じゃございませんけども、横浜も提供しておりますが、そういう点で、決して東京だけの問題じゃなしに、首都圏というものを構成する川崎市なり、横浜市なり、あるいは神奈川県と諮りながら、充実した跡地の利用というものを、いろいろお知恵もかりながら、考えていきたいと思っております。
 なお、他の質問については関係局長から答弁いたします。
   〔財務局長松澤敏夫君登壇〕

○財務局長(松澤敏夫君) 都財政の将来展望についてのご質問にお答えいたします。
 都財政を取り巻く今後の状況について見ますと、十八年度以降、税収を左右する景気の動向が不透明なことに加えまして、法人事業税の分割基準見直しによる約六百億円の減収、国民健康保険など三位一体改革の影響による財政負担増が憂慮されるところでございます。また、九千二百億円に及ぶ隠れ借金への対応や職員の大量退職に伴う退職手当の増大など、負担増加要因がございます。
 さらに、中長期的に見ても、今後、社会保障関係需要の増大と同時に、行政サービスの財源を負担する世代が減少する、二重に厳しい時代が到来するとともに、老朽化した社会資本ストックの更新も行っていかなければならない状況が見込まれるところでございます。
 このため、今後の財政運営につきましては、財政健全化が着実に進んでいるものの、決して楽観視することはできず、どのような社会経済状況下においても安定した行政サービスが提供できる財政基盤の確立を目指して、引き続き財政構造改革に積極的に取り組んでいくことが不可欠と、このように考えております。
   〔総務局長赤星經昭君登壇〕

○総務局長(赤星經昭君) 都区制度及び多摩・島しょに関します四点の質問にお答え申し上げます。
 まず、都区制度改革におけます五項目の課題についてでございますが、現在、都区協議会のもとで、都が大都市行政としてどのような事務を行うべきかにつきまして、都区双方が考え方を出し合い、議論を進めている段階でございます。
 都といたしましては、区部が、大阪や横浜を上回る規模の大都市であり、都が一体的に行うべき事務は広範囲に及ぶと考えております。
 重要なことは、東京の活力と魅力を高めていくため、都と区が適切に役割分担し、大都市機能の維持強化を図っていくことでございまして、東京にふさわしい自治のあり方まで含めて、幅広く議論していくことだと思います。
 今後の議論におきましては、東京の将来を見据え、都区がともに協力して東京の発展に取り組むことができるよう、十七年度の合意形成に向けて精力的に協議を進めてまいります。
 次に、三宅島の火山ガス対策についてでございますが、火山ガスの放出が続く中で村民が生活を送るには、みずからがガスの危険性について正しく理解し、適切に対応するとともに、行政による安全確保対策が重要だと考えております。
 安全確保対策につきましては、これまで、国、都、三宅村が共同で検討してまいりました。この検討結果を踏まえまして、村は、安全確保のための条例を制定いたしますとともに、帰島に合わせ、村民相互の協力体制の構築や、職員の巡回による要援護者に対する安全対策活動などを実施することにしております。
 今後とも、都は、専門的、技術的な協力を初め、状況に応じ必要な支援を実施してまいります。
 次に、三宅村民の雇用についてでございますが、村民の生活再建に当たりましては、村民がみずから就労し、自立していくことが重要でございます。都といたしましては、これまでも、砂防ダム建設や道路整備などの災害復旧事業に村民を雇用するよう努めてまいりました。
 村民の本格的な帰島に当たりまして、今後の島内復興や産業振興に伴う工事などに村民が就労の場を確保できるよう、村と連携しながら積極的に取り組んでまいります。
 最後に、多摩リーディングプロジェクトについてでございますが、今回策定いたしましたプロジェクトでは、多摩地域を総合的にとらえ、多摩振興を効果的に推進するために、都みずからが重点的に取り組む二十の事業を明らかにいたしました。
 この多摩重点推進事業は、広域的に大きな効果や複数の事業分野への波及効果、また、多摩固有の資源を生かし、はぐくむ効果が期待される事業を中心に選定したものでございます。
 今回選定した事業以外にも、福祉や治安対策など、暮らしに直結した事業で重要なものがございます。これらにつきましても着実に取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長幸田昭一君登壇〕

○福祉保健局長(幸田昭一君) 次世代育成、障害者施策に関します五点のご質問にお答えいたします。
 まず、認可及び認証保育所の保護者負担についてでありますが、認可保育所の保育料は、八万円を上限とする国の徴収基準をもとに、区市町村が設定しております。認証保育所の保育料も同様に国基準の範囲内で設定する仕組みとなっていますが、区市町村が独自の判断で認可保育所の保育料を国基準より低く設定しているため、保育料に差が生じているのは事実であります。
 ただ、サービス内容を見ると、すべて十三時間開所を実施している認証保育所に比べ、認可保育所は、これに相当する二時間以上の延長保育を実施しているところは少ない状況にございます。このため、保育時間の延長を希望する場合、認可保育所の場合はいわゆる二重保育を余儀なくされることになり、保育料の総額は十万円以上になると聞いております。
 こうした点を踏まえれば、現在の認証保育所の保育料は妥当なものであると認識しております。
 次に、保育サービスにおけるバウチャー制度についてでありますが、バウチャー制度とは、施設への補助ではなく個人に対する補助であり、例えば、サービスを利用する際の引きかえ券を直接配布する方法など、利用者みずからが必要なサービスを選択し、利用できるようにする仕組みであります。
 保育サービスにおける外国での導入例を見ると、利用者の満足度を高め、事業者の競い合いを通じてサービス向上が図られることが効果として挙げられていますが、その実現のためには、現在の施設に対する補助の見直し、児童手当制度との調整、低所得者に配慮した利用方式など、いまだ多くの検討すべき課題があると認識しております。
 次に、脱法ドラッグ対策についてでありますが、この問題は、本来国が法令により対処すべきことでありますが、大都市東京では、脱法ドラッグの乱用は既に看過できない状況となっています。そのため、都は今回、都民の健康と安全を守るため、独自の条例を制定することといたしました。
 条例では、有害な薬物成分を規制の対象とし、その製造、販売などの禁止や立入調査、罰則などの規定を設け、脱法ドラッグの迅速かつ効果的な取り締まりを行うこととしております。
 また、関係機関とも連携し、青少年への正しい知識の普及啓発に努めるなど、都内における薬物乱用の根絶に向けて全力で取り組んでまいります。
 次に、障害者自立支援法案の評価についてでありますが、この法案は、身体障害、知的障害、精神障害に共通なサービス提供の仕組みの創設、就労支援の強化、公平な利用者負担の導入などにより、障害者の自立を支援するとともに、制度運営の安定化を図るものであり、障害者施策を一元化する方向性は評価できるものです。
 ただし、法案では、低所得者への配慮など、制度の詳細な内容が規定されておらず、障害者本人やその家族、地方自治体等に与える具体的な影響は明らかでございません。
 都は今後とも、国に対し、障害者の自立支援に資する制度となるよう、障害者などの意見を聞くとともに、都や区市町村とも十分意見交換を行うよう要請してまいります。
 最後に、障害者に対する偏見や差別のない社会に向けた取り組みについてでありますが、昨年六月に障害者基本法が改正され、障害者に対する差別のない社会の実現に向けた国民の努力義務が明確に規定されました。
 障害者への差別をなくしていくためには、何よりも障害に対する都民の理解を深めるとともに、すべての個人が尊厳を持って生きる社会を実現していくことが重要であります。
 このため、都は今後ともあらゆる機会をとらえて、障害のある方とない方との触れ合いの機会を広げていくとともに、グループホームの整備や就労支援の強化など、障害者の自立を支援する具体的施策を着実に積み重ねてまいります。
   〔環境局長平井健一君登壇〕

○環境局長(平井健一君) 温暖化対策について、四つのご質問にお答えいたします。
 まず、事業者のより高いレベルでのCO2削減の取り組みの確保についてでございますが、今回提案した制度は、事業者の個々の状況を踏まえた、都の指導助言と評価公表によって、より高い削減目標の設定と着実な対策の実施を誘導するものでございます。
 計画策定に当たりましては、削減対策方針に基づき、取り組むべき対策メニューを示しまして、事業者の積極的な取り組みを促してまいります。
 さらに、計画の中間年及び終了時には、CO2削減の取り組みを評価公表することに加えまして、特にすぐれた事業者を表彰するなどにより、より高いレベルでの削減が可能になるものと考えております。
 次に、エネルギー環境計画書制度についてでございますが、温暖化を防止するためには、省エネに加えまして、CO2を排出しない再生可能エネルギーの普及拡大が重要でございます。
 都では、エネルギーの環境性の向上を図るため、条例改正により、新たにエネルギー環境計画書制度を創設し、電力の供給事業者に対しまして、毎年、再生可能エネルギーの導入計画の作成と実績の報告を求め、その内容を公表することといたしました。
 この制度によって、電力の需要側が環境性のすぐれた電力を選択することが容易になり、再生可能エネルギーの普及拡大につながっていくものと考えております。
 次に、マンション環境性能表示についてでございますが、本制度は、延べ床面積一万平方メートルを超える大規模なマンションの販売広告に、環境性能に関する表示を新たに義務づけるものであり、購入者に環境性能に関する情報を提供することによりまして、新築マンションにおける環境配慮の取り組みを促すものでございます。
 本制度の対象規模に係るご提案につきましては、昨年五月の東京都環境審議会答申におきまして、中長期的な視点で検討すべきものと提言されておりまして、今後、この提言の趣旨を踏まえて検討してまいります。
 最後に、環境教育プログラム・キッズISOについてでございますが、このプログラムは、子どもたちが学校の授業の中で温暖化問題などを学びまして、家庭において家族と協力して、身近な省エネ等に取り組むものでございます。
 これまでの実施結果によりますと、子どもたちの省エネ等への意識が高まるため、プログラム終了後三カ月たっても約七割の家庭で取り組みが継続されるなど、家庭部門での温暖化対策として有効なものと考えております。
 また、区市町村が参加校の募集を行い、協賛する企業が資金や人材を提供するなど、区市町村、企業などとの連携を進める上でも効果的なプログラムでございます。
 都は、今後、より多くの自治体、企業などに連携を呼びかけまして、一万人参加計画の実現に取り組んでまいります。
   〔生活文化局長山内隆夫君登壇〕

○生活文化局長(山内隆夫君) 青少年健全育成に関する二つの質問にお答えいたします。
 まず、インターネットの有害情報への対応についてでありますが、青少年がインターネットを適正に利用するには、フィルタリング利用の拡大が必要であるため、すべての事業者に自主的な取り組みを徹底するよう働きかけを行ってまいります。
 また、来年度、保護者向けに啓発用ガイドブックを作成し、家庭における取り組みを促す予定でございます。
 さらに、NPO、事業者等の協力を得ながら、小学校と連携し、保護者や生徒等を対象に啓発セミナーを実施し、早い時期からインターネットの適正な利用ができる能力の育成を図ってまいります。
 次に、青少年健全育成条例の淫行処罰規定についてでございますが、今回の条例改正は、青少年問題協議会の提言を踏まえまして、性的被害に遭いやすい青少年を保護するため、児童買春法及び現行条例などの規制の対象とならない、大人の青少年に対するみだらな性行為等を規制するものでございます。
 同様の規定を持つ他県では、ここ三年間の検挙件数は年間約千七百件でありまして、青少年保護のため条例が活用されております。都においては、この規定がないため摘発できない事例がございます。
 規制対象となる範囲は、青少年に対する反倫理的な性行為等でありまして、各県で発生した事件の判例が積み重ねられており、最高裁判例では、婚約中の青少年またはこれに準じる真摯な交際関係にある青少年との間の性行為等は含まれないとするなどの明確な解釈が示されております。
 また、各判決においては、交際経過に照らし、青少年を誘惑し、困惑させるなど、青少年の心身の未成熟に乗じた不当な手段を講じたかなど、個々の事情を踏まえた客観的な判断がされております。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君) 運輸、物流政策に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、総合物流ビジョンの基本的な考え方についてでございますが、近年、国際競争が激化する中で、CO2削減による環境への対応が求められるなど、物流を取り巻く状況は急激に変化しており、コスト削減やサービスの向上など、物流の効率化が喫緊の課題となっております。しかしながら、これまでの陸海空における個別の物流対策では限界があり、加えて、品目ごとの物の流れの把握が不十分であることから、総合的な対策が求められております。
 総合物流ビジョンの策定に当たりましては、物の流れを一体的、総合的に把握した上で、渋滞解消や輸送ルートの改善によるコストの削減、物流施設の高度化によるサービスの向上など、ハード、ソフト両面からの総合的な対策を構築いたしまして、国際競争力の強化や環境、暮らしの向上を図ってまいります。
 次に、中央環状品川線の整備効果の検証と都民への説明についてでございますが、品川線の完成により、首都高速道路のネットワークが形成され、走行時間の短縮や走行経費の節減など、直接的な経済便益だけでなく、環境への負荷を低減する効果も期待されております。
 開通後にこれらの整備効果を把握し、検証することは重要と考えており、これまでも王子線などで実施してきております。具体的には、開通後の旅行速度や利用台数などから整備効果を検証し、この内容を広く都民に周知することで、道路整備に対する理解と協力を求めてまいります。
   〔港湾局長成田浩君登壇〕

○港湾局長(成田浩君) 運輸、物流政策についての二点のご質問にお答えいたします。
 まず、新たな港湾運営に向けた横浜港との連携でございます。
 国際物流が大きく変化する中で、我が国港湾運営のあり方も転換期を迎えておりまして、ご指摘のように、港湾間の自主的な連携を進めて競争力を強化し、世界の主要港に伍していくことが今日重要な課題になっております。
 このため、昨年、横浜港、川崎港とともに立ち上げました京浜三港広域連携協議会を推進母体として、コンテナ輸送効率化や施設使用手続の共通化など、京浜三港における連携施策の積極的な展開を図っているところでございます。今後、情報化やアクセス向上などの共通課題の解決に向け、京浜三港の連携を一層充実強化し、国際競争力の向上に取り組んでまいります。
 次に、荷主等との連携による港湾物流の効率化についてでございます。
 東京港で取り組んでおります港湾物流改革の実効性を高めていくためには、港湾関係事業者のみならず、内陸部の荷主等との連携推進が強く求められております。
 このため、東京港の利用促進を荷主の方々等に働きかける東京港のつどいの定期開催に加え、現在、主要荷主等に対し、東京港改革の取り組みの周知を兼ねて、広く港湾物流に関する意向調査を実施しているところでございます。
 今後、この調査結果等を踏まえ、関係局ともタイアップいたしまして、首都圏の荷主企業のトップ層も対象としたポートパートナーシップ作戦を展開しまして、日曜利用促進の働きかけなどを行うなど荷主との連携強化に取り組んでまいります。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕

○建設局長(岩永勉君) 中央環状品川線の事業費についての質問にお答えします。
 社会資本整備を進める上で、最小の費用で最大の効果を発現させるため建設コストの縮減を図るなど、事業費の抑制は重要な課題でございます。そのため、品川線の事業では、品質や安全の確保を図りながら、計画段階、契約段階、工事実施段階において、事業費の抑制に向け、街路事業と有料道路事業の総合的な管理を実施してまいります。
 今後、都と首都公団がこれまで培ってきた技術や経験を最大限に活用し、地元の理解と協力を得ながら、効率的な事業の推進に努めてまいります。

○副議長(中山秀雄君) この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後六時二十九分休憩

   午後六時五十七分開議

○議長(内田茂君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百四番渡辺康信君。
   〔百四番渡辺康信君登壇〕

○百四番(渡辺康信君) 私は、日本共産党都議団を代表して質問します。
 今、小泉政権により、国民に総額七兆円に及ぶ大増税、負担増が押しつけられようとしております。これに対し、新聞各紙も負担増路線が確定とか、老いも若きも負担増と厳しい論調で報じています。今議会において、都政の課題を論じ、予算のあり方を考えるときに、この問題を避けて通ることはできません。
 主なものだけでも、所得税、住民税を減額している定率減税の縮小、廃止が勤労者世帯を直撃します。消費税の免税点の引き下げで中小業者に大きな負担増が襲いかかります。青年には、年収わずか百万円台のフリーターに対する課税の強化、国立大の学費の値上げ、働く世代には国民年金、厚生年金の保険料値上げ、高齢者には老年者控除の廃止、公的年金控除の縮小など年金課税の強化、さらには生活保護の老齢加算の削減、特別養護老人ホーム利用者からの家賃徴収、介護保険料値上げなど、まさにあらゆる世代から搾れるだけ搾り取るというものであります。
 この四年間連続して家計の所得は数兆円規模で減り続けているときに、こんな大増税、負担増路線に踏み出すことは、戦後前例のないことであります。七兆円の負担増は、橋本内閣の大失政の二の舞というだけでは済みません。国民生活と日本経済にはかり知れない打撃となることは明らかではありませんか。国民、都民の怒りが日に日に広がっております。政府が、この大増税、負担増を都民に押しつけることは許されません。知事、そう思いませんか。
 私は、知事が政府に対して、この大増税、負担増計画を撤回するよう強く要求すべきだと考えますが、見解を伺います。
 小泉政権が、都民生活に一層の痛みを押しつけようとしているときに、石原知事が編成した来年度予算案には、この国の悪政から都民を守るという立場がないのは驚くべきことです。福祉予算は、三位一体改革に伴う国民健康保険に対する国庫負担が都に押しつけられた予算増を除けば、実質マイナスです。医療、教育、住宅、中小企業、環境など、都民生活にかかわる予算は軒並み減らされました。その一方で、巨大ビルと大型道路の都市再生の予算は大幅に増額されています。今年度と来年度で六千億円もの増収が見込まれるのに、福祉や都民の暮らしのためにはほとんど回されていないことに対して、おかしいじゃないかという声が多くの都民から上がっているのは当然であります。
 中でも福祉関係費は、これまでに、決算で見ると八百五十六億円も削減されてきました。高齢者の人口がふえているのに福祉関係費がこれほど減らされたのは、本当に異常なことであります。
 これに対し、知事は、歴代知事と比べると福祉予算の構成比は自分のときが最も高いといいわけしました。とんでもないごまかしです。歴代知事が福祉予算をどれだけふやしたのか。美濃部都政は、福祉の構成比を三・二%から六・五%へと倍加させ、予算額を十二倍にふやしました。鈴木知事は、構成比を〇・四%伸ばし、予算額で二・四倍にふやしました。青島都政は、構成比を二%ふやし、予算額では一・二倍にふやしたのであります。
 これに対し、石原知事はどうでしょうか。青島知事のとき八・五%だった福祉費の構成比を二〇〇三年度決算では七・九六%へと後退させ、額も一割も減らしたではありませんか。
 福祉削減の中身もひどいものです。医療費助成や福祉手当など、都民の命綱をばっさり削り、シルバーパスは全面有料化で、以前は七十歳以上の高齢者の七割以上が利用していましたが、今では五割程度まで落ち込みました。
 マル福は来年度六十八歳と六十九歳だけの制度となり、二〇〇七年六月末で廃止です。
 東京都患者調査の結果によれば、六十五歳から六十九歳の高齢者十万人に対する医療機関の診療を受けた人数は、マル福廃止前の七九%まで落ち込んでいます。他の年齢層や全国平均の同じ年齢の状況と比べても、受診抑制がはっきりと現れています。
 寝たきり高齢者の老人福祉手当が廃止され、必要なサービスが受けられない、入院費用が払えないなどの事態が広がっています。
 このほか、特別養護老人ホームや私立保育園の運営費補助、区市町村の国民健康保険などへの補助を大きく減らし、保健所、都立病院、福祉施設などの廃止や民営化を次々と進めています。福祉の改革だといいますが、福祉改悪ではありませんか。
 知事は、福祉削減による都民の痛みを考えたことがあるんでしょうか。国の悪政が都民生活を直撃している今こそ、東京都の予算のあり方を都民の立場で検証し、福祉予算を大幅にふやすなど、都民の暮らしへの応援を拡充すべきです。知事、お答えください。
 特に、今、緊急の課題になっているのが高齢者福祉の充実です。石原知事は、年金が充実した、高齢者は豊かになったといって、経済給付的事業の切り下げをしてきました。当時でも事実とは違っていましたが、その後、医療費の負担はふえ、年金は減り、高齢者の生活は豊かになるどころか、苦しくなるばかりです。
 都内高齢者の老齢基礎年金受給額の平均額はわずか五万三千円で、九九年度の全国六位から、二〇〇三年度には十八位まで落ち込んでいます。年金が中心の高齢者世帯の家計は赤字で、預貯金の取り崩しがふえています。それに加えて、今後、小泉内閣による年金課税強化による高齢者の負担は雪だるま式に膨らんでいくのであります。
 ことし一、二月の年金から所得税が増税され、一年間に受け取る年金の額が何万円も減る高齢者が多数生まれており、大きな不安と怒りの声が上がっています。これはまだとば口にすぎません。次は住民税が増税され、住民税をもとに計算される国民健康保険料や介護保険料などが連動して値上げになります。
 私は、足立区に住む八十四歳のひとり暮らしの女性から話を聞いてまいりました。
 この方は年金収入が二百二十六万ですが、区役所の試算によれば、所得税も住民税も非課税だったのが、ことしから所得税が年額四万九千円、住民税が来年から三万八千円取られることになります。これに加えて、国保料と介護保険料が合わせて年間六万五千円から何と二十四万四千円に、三・七倍化。その上、シルバーパスが千円から二万五百十円にはね上がります。全部合わせると、一年間に二十八万円を超える負担増になるのであります。
 どうして年寄りに今になって税金をかけるのか、政治は私たちの暮らしを苦しめるためにあるのでしょうかと、怒りをあらわにしていました。
 所得税や住民税非課税が課税となり、負担増に苦しむ高齢者は、我が党の試算では東京でおよそ二十万人、そのほか何らかの負担増の影響を受ける人を入れると、数十万に及ぶといわれます。
 年金に対する所得税、住民税の増税と、それに連動したシルバーパス、国民健康保険料、介護保険料などの負担増の影響を受ける人数や影響額について、都として明らかにしていただきたい。答弁を求めます。
 高齢者の平均所得は、他の世代と比べて遜色ない、高齢者は豊かだという知事のいい分は間違っています。ごく一部の高額所得者が平均を引き上げており、年間所得二百五十万円以下の世帯が全体の六割に及びます。だからこそ、高齢者福祉では所得の低い人の負担は軽くする、いわゆる応能負担といわれる社会保障の大原則が、特別の重要性を持っているのであります。
 中でも東京の高齢者は、家賃を初め世界一物価が高い東京で、年金の額は全国一律の低い水準という厳しい条件に置かれています。ところが、石原都政の福祉施策は、事実をねじ曲げ、応能負担という原則を次々に崩しています。月額わずか三万円、四万円という国民年金の高齢者から厚生年金の世帯まで、支援を切り下げ、負担を強化する方向を続けてきました。こんなむごいことはありません。
 知事、今までになかった負担増が次々押し寄せるという新しい事態が生まれているのです。これまでのやり方を見直し、高齢者への新たな経済的支援を都として確立していくことが強く求められていると考えるものですが、見解を伺います。
 具体的提案の第一は、年金への課税強化により、シルバーパスや国民健康保険料などの負担がふえないようにすることであります。
 住民税課税か、非課税かで天と地の違いになるような所得基準の見直しを初め、シルバーパスや都営住宅家賃などの都民の負担軽減を図るための具体策を講じる必要があると考えますが、お答えを願います。
 シルバーパスは、東京都が全面有料化を行ったのに対し、政令市のほとんどが所得制限なしで、八自治体が全面無料を継続しています。有料化を導入したところでも、例えば、神戸市は、本人所得三百七十八万円未満の人は無料です。東京都のように、住民税を課税されたら、千円から一気に二万五百十円になるところなどありません。
 厚生省が資料として全国に配った研究論文の中でも、自治体が実施している敬老乗車証は、高齢者の閉じこもり予防に大きな貢献をしている、バスに乗っていると最高のバランストレーニングになる、楽しい、したがって、公共交通料金の助成事業は、介護予防の十分な効果が期待されるものとして高く評価されているのであります。
 シルバーパスは無料に戻すことが必要ですが、せめて当面、所得に応じて三千円や五千円、一万円のパスをつくり、負担軽減を図ることや、半年ずつ年二回の分割払いを認めることは都民の切実な要求です。利用したいが二万円では手が出ないという声が多数上がっており、改善を求めるものです。見解を伺います。
 高齢者の医療費の負担が重くなる中で、経済的負担による受診抑制が深刻な問題になっています。医者に行くのを我慢しているなどの声は、本当に切実なものです。高齢社会に対応するためには、病気の早期発見、早期治療を推進すること、重症化する前に医療を受けやすい条件をつくることが極めて重要です。そのために、介護予防や健康づくりなどの対策強化とともに、医療費の負担軽減がどうしても必要であります。
 京都府は、六十五歳から所得の低い高齢者に対する医療費助成を実施していますが、事業の休廃止をした場合の影響評価を行った結果、所得の少ない高齢者にとって、医療費にかかる経済的負担から受診抑制につながりかねず、高齢者の健康の保持増進に支障を来すことが考えられるとして、存続を決めております。自治体として当然のことではないでしょうか。
 都独自のマル福は、これ以上の縮小、廃止をやめ、六十七歳から六十九歳までの現行制度を当面維持するとともに、六十五歳からの制度に戻す方向で再検討することを求めるものです。お答えを願います。
 第三に、介護の負担軽減です。
 老人福祉手当の廃止をめぐり、都議会でも、経済給付は介護の社会化に逆行するなどの意見がありました。しかし、昨年、内閣府経済社会総合研究所の研究員が、介護保険導入後、介護の社会化がなぜ進まないかという分析結果を発表し、一割の自己負担がサービスへの需要を減少させ、結果として家族に介護を強いていることを明らかにしました。そして、長時間介護を強いられている世帯に対しては、自己負担を軽減する措置が必要だと提言しています。このような現実があるからこそ、群馬、富山、山梨、兵庫、愛媛の五県を初め、千葉市、さいたま市、このほか全国の少なくとも百を超える市町村が独自の介護手当を実施しているのであります。
 介護度の重い高齢者や家族の負担を少しでも軽減するため、都独自の新しい介護手当の創設に踏み出すことを提案するものであります。答弁を求めます。
 介護保険の利用料について、国は、介護保険制度以前からヘルパー派遣を利用していた低所得者の利用料を六%に軽減する特別対策をこの三月限りで廃止する方針です。都内の多くの区市町村は、この国の制度を活用して対象者を広げたり、負担を軽減しており、国が廃止すると大きな影響を受けます。都も国に追随して廃止することにしておりますが、四億六千万円の予算でできるのですから、国のいかんにかかわらず、都独自に存続すべきであります。
 石原都政のもとで大きく後退させられたのは福祉だけではありません。知事が施政方針演説で日本の産業を支える重要な役割を担っていると述べられた中小企業への支援の取り組みも後退させられてまいりました。
 中小企業対策予算は、ピーク時には四千億円以上あったのに、来年度はその半分に落とされ、この六年間だけでも千二百億円も後退させられました。このため、都内の事業所当たりの予算は、この六年間に四位も順位を下げ、全国で下から八番目の三十七位というありさまです。石原都政の産業政策は、大企業や一部の優良企業が栄えればよいというものに等しく、中小業者には制度融資の後退、試験研究機関の廃止、商工業施策の縮小、商店街総合支援事業の見送りなど、さらなる痛みを押しつけるものとなっております。
 石原都政のこのような姿勢は、全国の自治体が厳しい財政状況でも商工予算を守り、それなりに拡充しようとしているのとは大違いです。
 我が党は、全国のこの分野での予算と施策を調査しました。他の自治体が中小企業対策を押しなべてよくやっているということではありませんし、よくやっているところでも問題がないわけではありません。しかし、他県と比べるだけでも、東京都の中小企業対策がいかに軽視されているか、歴然としています。
 そういう意味で、地域経済が大きく落ち込んできた大阪府と比べるとどうでしょうか。大阪府は、二〇〇〇年に大阪産業再生プログラムを策定しましたが、この中で、大阪の産業の中心であるものづくりの復活を位置づけ、商工予算を倍加させるなど、力を注いでいます。大阪府の来年度の商工予算は四千五十五億円、二千百億円台の東京都のほぼ二倍に当たり、一般会計に占める割合も、大阪府の一二・八%に対し、東京都はわずか三・七%にすぎません。
 知事、予算の裏づけなしに施策の拡充はありません。全国の中小企業対策費の平均は予算の六・八%ですが、東京都も予算をふやして施策を拡充してほしいという中小業者の声に耳を傾けて、せめて各県並み、今の二倍の水準に引き上げることを求めるものですが、見解を伺います。
 ものづくり支援でも大きな違いが生まれています。
 大阪府は、ものづくり再生のためには試験研究機関の拡充が不可欠として、その拡充に当たり、この四年間に、ものづくり支援拠点としてもともとあった産業技術総合研究所や試験機関などに加え、新たに業者がげた履きで通える地域密着型のものづくり拠点としてワンストップサービスが受けられるクリエイションコア・東大阪や、産学公連携の拠点となる大阪TLO、さらには研究成果活用プラザ大阪、いずみテクノサポートセンターなどを開設して支援に当たっています。試験研究機関は現在全部で九カ所あり、業者に活用されているとのことです。
 京都府では、友禅やちりめんなどの伝統織物産業の衰退を防ぐために、伝統工芸、地場産業振興を目的とした県条例の準備を進めております。
 また、今、着目すべきことは、これまで仕事が海外に流出していた精密加工部品の製造が国内に戻り出したことです。これは世界的な競争に打ち勝つ上で、高品質の製品を製造できる日本の製造業の高い技術力が改めて必要となってきたことを示すものです。城南地域で話を聞いたところ、中国やインドから仕事が戻ってきた、人材育成や技術革新など支援してほしいというものでした。
 東京では、十年間に約二割、一万八千の工場が閉鎖されるなど、急速な空洞化が進んでいます。にもかかわらず、こうした中小企業の要望にこたえず、東京の中小企業の頭脳的役割を果たしてきた商工指導所や、経済事務所を廃止したり、工業集積活性化事業を打ち切りにしてしまうなど、有効な対策がとられず、工場用跡地が次々とマンションに変わっています。
 商工指導所の再開を初め、ものづくりのコアとなる大学と連携した研究室や産学公連携、インキュベート、常設展示室などを持った総合的な研究、支援施設を集積地域ごとに開設することを提案するものですが、どうですか。
 これ以上のものづくりの衰退に歯どめをかけるために、工場用地の転用を防ぐべきだと考えます。また、工業集積地域に着目した支援制度を再構築することを求めるものであります。それぞれ答弁を求めます。
 大型店の無秩序な進出から地域商業を守るという問題はどうでしょうか。既に都内の大型店の売り場面積が、全小売商床面積に占める割合は四五%を超え、地域によっては八割近いところも生まれ、地域商店街の衰退だけでなく、高齢者など都民の生活にも深刻な影響を及ぼす事態が生まれております。都内でもイオンやイトーヨーカ堂など超大型のショッピングセンターの進出計画などがメジロ押しとなっており、地元商店街や住民の反対運動も各地で広がっています。
 この点でも、幾つかの県では、大型店の出店を規制するための条例づくりが進められています。中心市街地の空洞化が深刻化している福島県では、一昨年五月に、まちづくり懇談会を立ち上げ、大型店に地域との共生を求める、広域的なまちづくりのあり方に関する提言を発表、行政による大型店の立地の調整の必要を提案しております。県は提言を踏まえ、まちづくりの視点、生活者の視点、県の施策の効果的推進の立場から、大型店の出店について調整を行うよう、条例を年内に議会に提案する方向で準備を進めています。また、兵庫県でも、同様の条例を開会中の県議会に提案しています。
 国は、立地法の見直しを進めていますが、商業調整を伴わない規制には限界があります。地域経済と地域コミュニティの破壊をもたらす無秩序な大型店の出店について、自治体の権限で規制できるよう改正することを求めるべきではありませんか。知事の答弁を求めます。
 あわせて、小売商業調整法に基づく申請について、中小業者の営業を守る立場から積極的に対応することを求めておくものであります。
 引き続き、業者の要望の高い制度融資の問題ではどうでしょうか。東京では、石原都政のもとで預託原資が大きく削られ、それまではすべての融資が低利の政策金利であったものが、今ではその半分が金融機関指定の高い金利に変えられてしまいました。また、景気が長期にわたって低迷するもとで、多くの業者が融資の残金を返すための借りかえ融資を必要としています。しかし、これにこたえるメニューがないのです。このため、融資実績が伸びるどころか後退し、都政史上初めて融資額が目標額を下回るという事態を迎えたのであります。
 これに対して、例えば京都府は、すべての融資を一・五%の超低利のものとすることや、国のセーフティーネットと抱き合わせの借りかえ融資を新規に立ち上げることで、融資目標の二倍もの貸し出しを実現しております。このほかにも、予算をふやして融資を拡充している自治体が生まれています。
 東京でも預託原資を積み増しし、すべての融資に預託を行い、低利の政策金利とするなど、業者が使いやすいものと改善することを求めるものです。見解を伺います。
 知事は、福祉や中小企業対策の切り捨てを、財政が厳しいから、このままでは財政再建団体に転落するなどといって推し進めてまいりました。しかし、本当に東京都には都民のために使うお金がなかったのでしょうか。
 この間の都政の予算の使い方を見れば、決してそんなことはありません。福祉や中小企業の予算を削ったお金を都市再生につぎ込んできたことは、この間の決算を見れば明らかです。すなわち石原知事が最初に編成した二〇〇〇年度予算では、福祉関係費の方が土木関係費よりも七百五十三億円も多かったのです。ところが、都市再生が本格化するもとで、二〇〇三年度にはこれが逆転し、土木費が福祉関係費を七百八十五億円も上回りました。ちょうど福祉関係費が減った分、土木費がふえた勘定になるわけです。
 なぜこんなことになったのか。この五年間で秋葉原や北新宿、丸の内・大手町などの大規模開発、大型幹線道路、臨海関連道路などの予算には六千億円以上もつぎ込みました。国直轄事業負担金や首都高速道路への貸し付け、羽田空港再拡張など、本来、東京都が負担する必要のない公共事業だけでも、この五年間で四千億円近くもつぎ込まれたのです。こうした都市再生を中心とした投資の全体額は、補正予算も含め毎年一兆円規模に及んでいます。
 さらに、臨海副都心開発に対しては、一般会計による以外の会計も総動員して、現金投入や土地の提供など二兆五千億円もつぎ込んできました。
 このように、石原都政のもとで都市再生に集中的な投資が行われた結果、都債の残高は一般会計だけでも過去最高の六兆九千億円台を記録し、借金の返済に充てる公債費も今や五千億円規模にも膨れ上がって、福祉を切り縮め、都財政を大きく圧迫するものとなっています。
 都税収入が伸びても、そのかなりの部分を借金返済に充てざるを得ないという現状について、知事は、その責任をどう認識しているのでしょうか。
 知事は、経常収支比率が高く、財政の弾力性がなくなっているといいますが、その最大の原因が、巨額な投資と、そのツケである公債費にあることは明白です。そのことは口をつぐんだまま、あたかも福祉や教育などの都民施策に原因があるかのようにいうことは間違いです。知事の答弁をそれぞれ求めます。
 今定例会に提案された来年度予算では、この方向に一層の拍車がかけられております。来年度の投資的経費は、幹線道路や再開発に力が注がれた結果、八・九%増と十四年ぶりの大幅増となったのです。投資型経費は、当初予算の段階で既に一兆円に近い規模に達し、福祉や教育、中小企業予算を圧迫するものとなっていることは、見過ごすことはできません。
 しかも問題は、これらの支出が今後さらに膨れ上がり、都財政をさらに圧迫するものであることです。例えば、首都高速道路中央環状品川線や羽田空港の再拡張にそれぞれ一千億円もの都民の税金を投入しようとしています。圏央道もこれから自然の宝庫である高尾山のトンネル工事が控えています。一兆五千億円といわれる外かく環状道路も、国直轄事業になれば、三分の一の負担や関連街路として数千億円の支出が求められることが予想されます。区部、多摩地域の都市計画道路などもあわせて、幹線道路建設に今後十兆円をはるかに超える財源が投入されます。臨海開発にも、今後、一兆円以上の都財政投入が予定されています。こうした大型公共事業に、今こそメスを入れることが最も求められているのではないでしょうか。
 中でも問題なのは、首都高の中央環状品川線です。この道路は、本来、道路公団が自己資金で賄い、料金で回収すべきものです。現在、実施されている都による無利子貸付も、渋滞解消と銘打っていますが、実際は、料金に転嫁できないために、その肩がわりをしているものです。だからこそ、知事でさえ、かつては問題があることを認めていたではありませんか。それを今回は、民営化されると資金調達が困難、先行きが不透明といって、地方自治体が直轄事業として行うという前例のないことまでやることにしたものです。これほど理屈の通らない話はありません。この知事の決断によって、これからの公共事業は税金で、しかも地方自治体に負わせるという財界の要求がまかり通ることになってしまったのです。これでは幾ら税金があっても足りません。中央環状品川線を初め、このような都市再生のため、何でもありの無謀な財政運営は改めるべきではありませんか。知事の見解を伺います。
 臨海副都心開発の抜本的見直しも急務です。臨海開発は、計画から既に二十年以上が経過し、当初の予定では、二十一世紀当初、すなわち今日では都市の整備が終わり、未来都市が完成しているはずだったのであります。しかし、バブル型の開発計画が破綻し、あれだけ都財政をつぎ込んだのに、一兆円を超える借金と売れない土地が残されています。臨海副都心開発事業会計が借り入れ、返済しなければならない借金は、今後、残された土地のすべてが売れたとしても、完済することは困難です。数年後から始まるその借金返済で資金ショートし、それこそ知事のいう隠れ借金を膨らませていくことが現実の問題となっているのです。
 抜本見直しのチャンスがあったにもかかわらず、石原知事がこれをしなかったことが今日の事態を迎えている重大な原因の一つになっています。これこそ過去の知事に責任を押しつけることのできない石原知事固有の責任であります。
 知事、臨海副都心開発が都財政を大きく圧迫している事実をどう認識しているんですか。直ちに臨海副都心開発の抜本的見直しに着手すべきです。知事の見解を伺います。
 臨海関連の第三セクターの破綻処理も避けて通れない問題です。東京都がこれまで三百億円以上の財政支援を行ってきたにもかかわらず、昨年の決算では、臨海関連三セク五社は軒並み赤字で、その累積損失は合計で千三百億円を超えるという異常事態です。にもかかわらず、知事は、破綻処理をただ先送りし、事態を一層深刻化させているのです。このまま放置すれば、さらなる都財政投入は避けられません。
 こうした事態を踏まえ、臨海三セク都民オンブズマンは、去る二月に、臨海関連第三セクター破綻処理の提言を行い、税金投入などの支援を打ち切ること、出資金や貸付金などを全額回収することを前提に完全民営化すること、それができない場合は、法的整理を行うことを求めています。
 知事、この道理ある提言を真摯に受けとめ、臨海ビル三セクについては先送りせず、直ちに破綻処理に踏み出すべきではありませんか。知事の見解を伺います。
 このように、福祉や教育の予算を削って、都市再生の大型公共事業につぎ込むという都財政運営は、全国の自治体の動向と比べても極めて異常なものです。我が党は、全国の予算編成方針を取り寄せて確かめてみましたが、ほとんどの道府県が投資的経費の抑制を掲げ、うち三十道府県が投資的経費のマイナスシーリングをかけているのです。そして、注目すべきことは、こうして確保した財源を、不十分ではありますが、中小企業や少子高齢化対策の財源として活用する考え方を示していることであります。実際に提案された各道府県の来年度予算案では、昨年の水害や地震被害などに対する臨時的な予算が増加しているところもありますが、全体の基調は公共事業の抑制であり、ひとり大幅に投資的経費を膨らませている東京の異常さが浮き彫りとなっているのであります。
 改めて、東京都が住民の福祉の増進という地方自治体の本来の姿に立ち返ることを求めるものであります。
 今、都財政を立て直し、都民の暮らしを守るためにも、そして、環境と共生し、地震に強い都市づくりを進めるためにも、都市の再生という問題を新たな視点から見直すことが求められています。既に我が党が繰り返し指摘してきたように、ヒートアイランド現象や大気汚染の激化など、今でも大問題が発生しています。それに加え、近い将来、急激な人口減少時代を迎えます。ある試算では、二〇五〇年には、日本の人口は今日の三分の二の八千五百万人に減少するということが予測されており、東京都も同じ傾向にあります。したがって、都市の再生もこれに対応した方向に転換することを求められることは当然です。
 ところが、東京都が都市再生路線を打ち出した東京構想二〇〇〇は、東京の人口や経済が伸びていくピークを想定して都市づくりを進めるものとなっています。その後に訪れる人口減少社会を無視して超高層ビルや大型幹線道路を建設しても、将来、だれがそれを利用するのかという問題には口をつぐんでいます。
 ある経済学者は、この問題について、人口の減少、高齢化とその結果としての日本経済の縮小は避けられないと指摘した上で、都市の収支は今後確実に、かつ大幅に悪化せざるを得ない。そして、収支の悪化は大都市ほど著しい、都市の収支の悪化は、財政収支の悪化となってあらわれ、行き着く先は都市の老朽化であり、スラム化であるとまで警告を発しているのであります。
 東京に必要な都市の再生とは、いたずらに超高層ビルを建て、高速道路を張りめぐらせて、環境や暮らし、都財政への負の遺産を拡大することではありません。環境との共生、地震に負けない都市構造、さらには、人口減少という将来を見据えた視点で適正な規模の都市計画の方向に改めることが必要であります。知事の見解を求めます。
 そして、成長神話に基づく公共事業は、人口減少や環境を見据えて見直し、浪費を改めるべきです。公共事業については、むしろその軸足を老朽化した橋や学校施設などの改修、木造密集地域の改善や、木造個人住宅の耐震化、さらには、都市公園など緑の回復、生活道路の緊急整備など、今あるストックを大切にし、その維持更新に努めることではありませんか。見解を求めます。
 真に都市の再生というのであれば、そこに住み、働いている都民が主人公であるべきです。経済の活性化だけでなく、老いも若きもだれもが安心して健康で文化的な生活を送るにふさわしい都市をつくり上げることではないでしょうか。知事の見解を伺います。
 最後に、都民の切実な要望である三十人学級についてです。
 今年度少人数学級を実施していない五都県のうち、佐賀県、石川県が昨年、岐阜県が二月の予算内示で来年度実施を表明したため、未実施は香川県と東京都だけとなりました。しかもつい先日、香川の教育をよくする会が少人数学級の実施を求める七万八千人の署名を集めて、三十人学級実現を要請したのに対して、今後の方向を改めて検討する姿勢を示したと伝えられております。
 また、二月二十三日、中山文部科学大臣は、衆議院で、我が党の石井郁子議員の質問に、集団的な行動を学ぶにはある程度の数は必要ではないかという認識だったが、少しでも少人数、クラスの人数を減らす方向にいかないといけないと思っていると、文部大臣として初めて少人数学級の必要性を認める注目すべき答弁を行いました。
 知事、いよいよ三十人学級の実施はもちろん、少人数指導との比較検証さえ拒否し続けているのは、文字どおり東京都だけになろうとしているのであります。
 昨年の第四回定例会で、横山教育長は、三十人学級にした場合、十五人と十六人の小規模な学級が増加することで、学級内の人間関係が固定したり子ども同士の切磋琢磨する機会が不足するとして、生活集団としては望ましくないと答えています。
 ところが今、急速に少人数学級が全国に広がる中で、どこでも、教育長の答弁とは全くあべこべに、すばらしい変化が日々新たに起きています。
 我が党は、すべての道府県にアンケート調査を実施し、四十二道府県から回答を得ました。
 その結果、少人数学級実施の効果を問う質問には、未実施で調査検討中の数県を除き、すべての回答の中で、学習面はもちろん生活面でも大きな前進が見られたことが書かれています。
 例えば生活面での変化として、生活や学習のしつけが身につく、授業中席を離れたり教室から出なくなった、朝礼や当番など集団生活への適応が早くなった、学校が楽しいという子どもがふえたなど、大いに歓迎されており、保護者にも、すべての学年でやってほしいなどと、期待が広がっている様子が手に取るようにわかります。
 全国に先駆けて三十人学級に取り組んでいる山形県では、不登校児童が二割以上減ったこと、一人の児童の欠席日数が年平均四日から三日以下に減ったことなどを明確な成果として報告されているのです。
 東京でも、校長を含めた多くの教員関係者は、少人数学級の子どもは、何よりも担任教員が、集団生活でも個別指導でも子ども一人一人の個性に応じた指導が充実でき、むしろ切磋琢磨が保障されるようになると述べています。小一プロブレムなど、これまでにないさまざまな問題を抱えた子どもたちを見れば、当然の指摘ではないでしょうか。
 子どもの社会性を養うとか切磋琢磨が必要などの集団生活の指導が、少人数学級の中でこそ充実できるという報告が全国から続々と寄せられているのです。全国での少人数学級の実践、経験の成果を大いに学び、分析して取り入れるべきではありませんか。お答えください。
 百二十万人を超える都議会請願に込められた都民の世論を初め、まさに都民的な要求となっているのです。そして、どの県でも最後は知事の決断で、三十人学級は実現の道が切り開かれております。
 知事、ぜひ圧倒的多数の声である三十人学級実現に向けて取り組みを開始すべきではありませんか。答弁を求め、再質問を留保し、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 渡辺康信議員の代表質問にお答えいたします。
 小泉政権の国政運営についてでありますが、小泉政権には、構造改革を標榜しながら、どうも問題を先送りし、十分な成果を上げていないなど、心もとないところがあるのは確かであります。こうした事柄については、私は総理に対しても直接何度も申し込んできました。
 しかし、撤回を要求すべきだとおっしゃっている七兆円負担増なるものは、何を根拠としているか定かでありませんな。本来、この問題は、我が国の行財政制度全体のあり方を見直す一環として考えるべきであります。都合のいい数字を寄せ集めて、殊さら不安感をあおるのはいかがなものかと思います。(発言する者あり)興奮しないで聞きなさいよ。
 次いで、福祉施策についてでありますが、お話を聞いていささか驚きました。かつて福祉施策の実績は実額の増減で評価すべきと主張された方々が、予算額が増加すると今度は実質減だと主張される。いずれにしても、都が果たすべき役割は、福祉サービスの基盤整備等、都における福祉水準全体の向上を図ることであります。多様化する都民の福祉ニーズにこたえるため、都は、長期的、歴史的視野に立って、見直すべき事業は見直し、必要な施策には財源を集中投入して福祉改革を推進してまいります。
 都独自の認証保育所制度の創設や、認知症高齢者や知的障害者のグループホームの増設などの施策を展開し、着実に成果を上げていると思います。
 ちなみに、十三年度、十七年度の施策数を比べますと、十三年度は四十二、十七年度は二百五十二。三年間で二百五十二カ所、この認証保育制度を推進してきました。
 また、認知症高齢グループホームは、十一年度に四十四でありました。現在、二千八十五、五年間で四十七倍になっております。知的障害者グループホームは、十一年度は七百六十二、十六年二月現在では千六百四十五、五年間で二・二倍になっております。
 次いで、都民福祉の拡張についての繰り返しの主張でありますが、都はこれまで、狭義の福祉だけではなく、治安対策、中小企業支援、インフラ整備など、これも立派な福祉であります。都民福祉の充実を目指して、さまざまな施策を複合的に展開してきております。
 中でも、共産党がいう福祉については、一連の福祉改革を通じて施策の見直しに取り組み、いわゆるばらまき的な現金給付や入所施設中心の画一的なサービスから、利用者本位の福祉へと転換を図ってきたところであります。
 十七年度予算においても、こうした取り組みを積極的に推進しており、こうした姿勢を、既に多くの都民から十分なご理解をいただいていると思っております。
 次いで、高齢者への経済的支援についてでありますが、現在、我が国は、世界的に見ても、豊かで平等な社会を実現し、高い生活水準を維持しております。ちなみに、高齢者といいますか、平均寿命は世界一になりましたし、これは、基本的に国民が自助、自立を前提として努力を積み重ねてきた結果であると思います。同時に、さまざまな社会的リスクに対応するための国民皆保険、皆年金や生活保護制度などの社会保障制度が有効に機能してきたためともいえます。
 しかしながら、人口減少社会の到来を目前にして今必要なのは、新たな経済的支援を実施することではなくて、こうした社会保障制度全体を将来の世代に信頼されるものへと改革、改新していくことだと思っております。
 次いで、中小企業対策予算についてでありますが、首都東京の再生には、東京の産業力を支える中小企業に対し、社会経済状況やその実態等を踏まえた効果的な施策を推進することが不可欠であります。
 来年度予算には、厳しい財政状況の中、中小企業再生支援、ナノテクノロジーによる新技術、新産業の創出など、中小企業を経営、技術の両面から支援するさまざまな新規の施策を盛り込んでおります。加えて、新銀行や債券市場の創設など、民間資金を効果的に活用した支援の仕組みも構築してまいりました。
 このように、都はこれまで独自の取り組みを講じてきており、他県と予算の構成比だけでの比較は、社会工学的に、予算という数字を理解する能力を欠いた証左ではないかと思います。
 次いで、公債費の負担についてでありますが、都債の発行に当たっては、これまで財政再建推進プランを進める中で、将来の公債費負担にも十分に考慮しながら、抑制を基調としつつ適切に活用してまいりました。この結果、私が就任して以来、起債依存度は五%から八%程度で推移しており、都道府県の中で最も低い水準を保っております。また、十七年度予算においては、都債残高は前年度に比べて減少しております。
 こうしたことから、ご指摘のように、都税収入が伸びても、そのかなりの部分を過去の借金返済に充てざるを得ない状況についての責任というのは全くの見当違いでありまして、また、今日の都債残高や公債費の増加の責任は私にあるなどというのは、全くのいいがかりとしかいいようがないと思います。
 経常収支比率についてでありますが、財政硬直化の主要な原因は、税収が低迷する中で、人件費や補助費などが依然として高どまりを続けることにあり、公債費が最大の原因であるという事実はありません。
 したがって、ご指摘は全く当を得ておりませんし、また、私は、福祉や教育などの都民施策に硬直化の原因があるんだといった覚えは全くございません。
 次いで、都市再生のための財政運営についてでありますが、これまで再三答弁しているにもかかわらず、いまだにご理解がいただけぬのでありますけれども、都が進める都市再生は、首都東京の国際競争力を高めて東京の活力を維持し、あわせて都民生活、都民福祉の質を向上させる上で不可欠の取り組みであります。
 中でも(発言する者あり)いや、それがとんでもないというのは、あなた方は、やはり大都会というものを、文明的な工学の力学というものを知らないので、そういうことを全く理解しないから、だんだんやせてきたわけですな、共産党も。
 中でも空港、鉄道、道路などの都市の根幹となる施設の建設は、立ちおくれた社会資本を整備し、活力ある東京を次世代に引き継ぐ重要な事業であります。
 今後とも、財政構造改革を進める一方で、限りある財源を重点的、効率的に配分しながら、将来を見据えた都市再生に引き続き積極的に取り組むつもりでございまして、無謀な財政運営という指摘は全く当たりません。
 次いで、都市計画の方向についてでありますけれども、人口減少社会が今後到来するにせよ、国際的な都市間の競争の時代にあって今求められているのは、首都東京の活力であり、国際競争力の向上であります。道路や空港など絶対的に不足する交通インフラの整備や、優良な民間プロジェクトによる都市の機能更新などの取り組みは、そのために進めているものでありまして、こうした取り組みの推進こそが首都東京を再生させるものであり、将来の世代に対する我々の責任だと思っております。
 次いで、都市再生についてでありますけれども、東京は日本の頭脳、心臓でありまして、東京が沈めば日本は沈むという現実を皆さんがご存じいただいているかどうかわかりませんが、今求められることは、大都市東京の魅力と活力を高め、都民生活の質の向上を図ることであり、そのため、我々は都市再生に取り組んでまいりました。
 東京が豊かであるとか、ひとり勝ちといいますけれども、しかし、市民生活の豊かさの指標というのはいろいろありまして、例えば居住空間の相対的な比率であるとか、その他この他、渋滞もそうでありますけれども、東京は決して豊かな都市とはいい切れない。
 そのために私たちは努力しているわけでありまして、例えば皆さんが批判している三環状道路の整備は、首都圏の慢性的渋滞を解消し、交通ネットワークの効率化をもたらすことで日本経済全体の発展につながる。経済活動の活性化は、新たな富を生み出し、その貴重な富の中から、福祉や医療などの都民サービスに投入される税金が賄われる。
 そもそも都市再生と福祉や中小企業対策とを対立させるとらえ方自体が間違いだと私は思いますね。都市再生の本質を理解することなく、つまり都市工学というものの本質をとらえることなく空疎な批判を、また、いたずらに数字を籠絡して繰り返すことは、やめられた方がお互いのためではないかと思います。
 次いで、三十人学級についてでありますけれども、これは都民の切実な要求といわれましたが、私はそう思いませんな。これは、共産党のごくごく限られた支持者の意見であって、これまでも答弁しているとおり、学級編制基準をどう定めるかは教育行政の根幹にかかわることであり、法的にも所管する教育委員会がその専門的な立場から判断すべきものであります。
 教育委員会が、児童生徒が集団生活の中で社会性を養うという観点から、生活集団としての学級について一定規模が必要であるとする点については全く同感でありまして、学級編制基準を四十人とする教育委員会の判断は、ごくごく妥当であると考えております。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 全国での少人数学級の成果を分析し、取り入れるべきとの指摘についてお答え申し上げます。
 東京都教育委員会としましては、これまでも、学級編制等に関して国や他の道府県の情報収集を行いました。他の道府県での少人数学級の取り組みは承知しておりますが、少人数学級の教育効果に関しまして、平成十六年に公表されました国立教育政策研究所の調査で、現行規模学級、少人数学級及び少人数指導を比較してみまして、学力の形成においては少人数指導が有効であるという結果が明らかになったところでございます。
 学校におきます学級といいますのは、学習集団としての機能と生活集団としての機能をあわせ持つものでございますが、社会性を培う生活集団としての教育効果を考えた場合、教師と児童生徒との関係、無論これも大事ではございますが、それだけではなくて、児童生徒同士が相互に触れ合い、多様な人間関係を通して成長するという面も重視すべきでございます。
 また、これは、ある民間の教育者から伺った話でございますが、学級には当然、インフォーマルなグループが形成されますけれども、あるグループにいられなくなった子どもが出た場合に、先生が他のグループへ入れるような努力をしますが、それが三つですとどうしても入りにくい。これが五つのグループがありますと容易に入れることができる。こういう実証的なあれもあるそうでございます。そうした観点から考えた場合には、やはり学級には一定の規模が必要であると考えております。
 ただ一方、これは学力向上の問題につながりますが、学習集団としましては、教科等の特性に応じた多様な集団を編成できるよう、習熟の程度等に応じた少人数指導の充実を図っているところでございまして、今後とも、学級編制基準につきましては、義務標準法に基づきつつ、基礎学力の向上に配慮したきめ細やかな指導を行っていくため、少人数指導の充実に努めてまいります。
   〔主税局長山口一久君登壇〕

○主税局長(山口一久君) 年金課税見直しによる影響額についてでございますが、所得税の影響額は全国で約二千四百億円、影響を受ける人数は約五百万人とされております。
 また、個人都民税の影響額は、課税資料や厚生年金にかかわる統計資料等に基づき試算しますと約百億円、影響を受ける人数は約七十万人であり、このうち新たに納税義務が発生する人に係る影響額は約二十億円、影響を受ける人数は約二十万人でございます。
   〔福祉保健局長幸田昭一君登壇〕

○福祉保健局長(幸田昭一君) 福祉施策に関します六点のご質問にお答えいたします。
 まず、年金に関する税制改正の影響についてでありますが、お尋ねのシルバーパス事業などでは、利用者本人への市町村民税課税の有無などにより取り扱いを区分していることから、今回の年金に関する税制改正が実施された場合には、一部の高齢者への影響があるものと認識しています。
 具体的に影響を受ける高齢者数については、市町村民税の課税対象となる所得が、公的年金収入のほか、配当や不動産所得など多種類である場合もあり、正確に把握することは困難でありますが、国民生活基礎調査による高齢者の所得分布や国勢調査などをもとに推計いたしますと、シルバーパス事業では、現在の千円パス利用者のうち約七万七千人が影響を受けると予想されます。
 なお、介護保険料につきましては、平成十八年度に予定されている制度改革に伴い、保険料額の改定や負担軽減のための所得段階区分の見直しが予定されていること、また国民健康保険料については、今後、区市町村の判断で料率を決定することから、これらの具体的な影響額等を算定することは現時点では困難であります。
 次に、シルバーパスの所得基準の見直しなどについてでありますが、今回の税制改正案が実施された場合、市町村民税非課税で千円のシルバーパスを利用している方の一部に影響が出ると予想しております。
 しかしながら、現在、まだその改正案が国会で審議中であること、市町村民税は前年の所得をもとにしているため、シルバーパスが影響を受けるのは平成十八年度になることから、今後、税制改正の動向などを踏まえ慎重に対処してまいります。
 次に、所得などに応じたシルバーパスについてでありますが、本制度は、若年世代との間に負担の不公平があるなどの課題があったことから、平成十二年度に見直しを行ったものであります。現在、多くの高齢者がパスの発行を受け、社会参加と生きがいの活動に活用されており、現行の仕組みは、パス本来の目的に十分沿っているものと考えます。
 次に、老人医療費助成制度についてでありますが、老人医療費助成制度など一連の経済給付的事業の見直しは、制度間の整合性や世代間の負担の公平性などの観点に立って、利用者本位の新しい福祉の実現を目指す福祉改革の一環として実施したものであります。したがって、本制度を現状で凍結する考えも再検討する考えもございません。
 次に、介護手当についてでありますが、従来家族が担っていた高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みとして創設された介護保険制度では、介護が必要な人には、その必要度に応じて、一定の利用者負担のもと、サービスを直接給付する仕組みとなっております。また、低所得者の利用者負担が過重とならないよう、世帯当たりの負担上限額を定めた高額介護サービス費の仕組みが設定されております。
 これらのことから、新たな経済給付的手当を創設する考えはございません。
 最後に、介護保険制度における国の特別対策についてでありますが、この特別対策は、介護保険制度の導入以前から訪問介護サービスを利用していた低所得者の負担の激変緩和を目的に、平成十二年からの五年間の時限措置として実施されてきたものであり、本年度末で廃止となるものであります。よって、東京都独自に存続する考えはございません。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、年金税制の見直しにより都営住宅家賃が上昇する場合の負担軽減についてでございますが、このたびの公的年金や老年者の控除にかかわる税制改正は、世代間及び高齢者間の負担の公平を確保するため実施されたものであり、これに伴う法令の改正により、都営住宅の家賃算定方法が変更されたところであります。
 法令では、老年者控除の廃止により都営住宅家賃が引き上げとなる場合、激変緩和のため、三年間の経過措置が設けられております。
 次に、工場用地の転用防止についてでございますが、東京のものづくり産業には、世界に誇れる技術力や高度な技能を有する企業が数多く存在しており、こうした産業集積を強化し、東京の活力を高めていくことが重要であると認識いたしております。
 これまでも都は、工業等制限法や特別工業地区建築条例の廃止などを通じて、工場の立地規制の緩和を既に行ってきております。
 今後とも、工場の集積を図るべき地域におきましては、住宅の立地規制や工場の立地誘導を行う特別用途地区などを積極的に活用することにより、産業力の維持、強化に努めてまいります。
   〔産業労働局長関谷保夫君登壇〕

○産業労働局長(関谷保夫君) 中小企業対策に関します四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、総合的な研究、支援施設についてでございますけれども、都は、中小企業振興公社、産業技術研究所等において産学公連携やインキュベート施設の提供を初め、中小企業の経営、技術に対する支援を行っております。また、城東、城南、多摩の中小企業振興センターにおいて、地域特性に応じた総合的な支援を実施しているところでございます。他の集積地域に新たな施設を開設する考えは持ってございません。
 なお、今後、企業ニーズの把握等の調査を行い、さらに専門性の高い産業支援体制を構築してまいります。
 次に、工業集積地域への支援についてでございますが、都はこれまで、区市を通じて地域のものづくり企業を支援する工業集積地域活性化支援事業を実施してまいりました。この事業は、対象が工業に限られ、また、ものづくり産業の広域化など産業構造の変化に十分対応していないため、今年度で終了いたします。来年度からは、多様な経営資源を生かし、広域的に連携して事業展開を図る中小企業のグループに対する支援を行い、元気なものづくりの中小企業群を創出してまいります。
 次に、大型店の出店についてでございますが、大規模小売店舗立地法は、大型店の設置者に対し、周辺地域の生活環境の保持のため、施設の配置及び運営方法に適正な配慮を求めるものでございまして、地域的な需給状況は勘案しない旨を明文で規定しております。
 一方、大型店の立地の適否は、都市計画法等のゾーニング手法で対応することとなっております。
 現在、国においては、いわゆるまちづくり三法の関連施策についての評価、検討が進められているところであり、都としては、その議論を注視してまいりたいと考えております。
 最後に、制度融資についてでございますが、中小企業金融の円滑化のためには、金利水準だけでなく、迅速な手続や金融機関がスムーズに融資実行できる貸付条件などにも配慮する必要がございます。
 こうした考えから、都は、小規模企業向けなど各種の融資で政策金利を設定する一方で、例えば借りかえ融資などは金融機関所定金利とし、円滑な資金供給を促しているところでございます。
 平成十七年度に向けては、新たなチャレンジを行う企業を金利面でさらに優遇するとともに、会計情報の適正化に取り組む企業に対するクイック融資などを創設し、制度の充実を図ってまいります。
   〔港湾局長成田浩君登壇〕

○港湾局長(成田浩君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、臨海副都心開発の抜本的見直しについてでございますが、臨海副都心は、国際的な人、文化、情報の交流が行われるにぎわいのある空間として、また時代をリードする特色ある空間として、職・住・学・遊の機能が複合した魅力あるまちづくりを目的に、これまで十七年にわたり開発を進めてまいりました。
 その結果、都市基盤の整備は約八割が終了し、土地も約八割が有効に活用されております。また、年間四千万人を超える来訪者があるなど、都民の方々の認知度も高まり、まちとして着実に成熟してきていると認識しております。
 今後とも、東京の活力を支え、新たな東京を創造する有力な拠点として積極的に開発を進めてまいります。
 次に、臨海ビル三セクについてでございます。
 臨海副都心開発関連第三セクターは、臨海部のインフラ整備、管理とともに、商業、業務の多様な集積の拠点として重要な役割を果たしております。また、第三セクター各社を取り巻く経営環境は厳しいものの、都や金融機関の支援、会社の内部努力により一定の成果を上げてきております。
 このような第三セクターの役割や経営状況を考えますと、引き続き経営改善の着実な実施を図っていくべきであると認識しております。
   〔財務局長松澤敏夫君登壇〕

○財務局長(松澤敏夫君) 公共事業のあり方についてでございますが、都はこれまで、厳しい財政状況の中で、鉄道、道路など都市の根幹となる社会資本整備や公園など、都民生活に密接した生活関連の基盤整備を着実に進めてまいりましたが、その整備はまだまだ不十分な状況となっております。
 また、東京の既存の社会資本は、その多くが高度成長期に整備されたため老朽化が進んでおりまして、今後更新期を迎えることから、適切に維持更新することが不可欠となってきております。このため、公共事業につきましては、財政状況についても十分勘案しながら、今後、新たな投資と維持更新をバランスよく行っていく必要がございますし、そのことが東京の将来の発展、活性化につながるものと、このように考えております。
   〔百四番渡辺康信君登壇〕

○百四番(渡辺康信君) 再質問を行います。
 臨海副都心開発の現状に対する認識と見直し、臨海三セクの破綻処理に関する質問は、知事の見解を聞いたものでありまして、知事は逃げないで素直に答えていただきたい。これが第一点ですね。
 二つ目は、福祉切り下げによる都民の痛みを考えたことがあるかということを、私は聞いているんです。それに全く答えておりません。七兆円の根拠は不明といいましたが、国会で決まっているものと、今議論しているものがあるではありませんか。そういうものが通れば、これは大変なことになるんです。七兆円になるんです。それも知らないんですか。大変な大増税、負担増税が押し寄せてくるんです。そのときに、知事は、都民の痛みに思いを寄せたことがないのですかと、こういうことを聞いたわけであります。答えてください。
 知事は、東京が沈めば日本が沈むということをいいましたが、思い上がりも甚だしいと私は思っています。東京が栄えても、地方が同じように栄えるわけではない。これは今日の事態を見れば、明らかなんです。今年度の税収も、大企業が大もうけした東京は大幅に税収が伸びたけれども、地方は沈んだままではありませんか。知事は、経済活動の活性化は新たな富を生み出す、こういうこともいいましたけれども、その恩恵を受けているのは一部の大企業だけであって、地方や、あるいは中小企業、都民には回っていないのが現実ではありませんか。
 そのことを再質問として、三点お答えいただきたいと思います。
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) まず臨海については、これは、あのバブルのころ、とにかく日本じゅうが浮かれて、とんでもないプロジェクトを展開してきた。あのお台場の開発も騒動の一つでありまして、そしてまた、建てなくていいものを建てて、通産省などに踊らされて、さしたる目測もなしに投資した結果が今焦げついて、大きな隠れ借金になっているわけでありますけれども(「だから見直すんですよ」と呼ぶ者あり)いや、しかし、見直しは見直しでしてきたんですよ。ですから、私たちがやっているお台場の再建といいましょうか、これはもう少し時間をいただきたいし、また、時代が変われば、新しい施設も出てくるかも知れませんけれども、それはそれなりに関係当局も一生懸命知恵を尽くしてやっているんで、あなた方にがたがたいわれる筋じゃない。(発言する者多し)
 それから、東京が沈めば日本が沈む、まさにそうじゃないですか。東京は心臓部であり、頭脳部であると私は思いますよ。それが機能しなくなったら、私は別に手足をないがしろにしているわけではありませんけどね、しかし、やっぱり心臓、頭脳というものが麻痺してしまったら、体全体が麻痺して動かなくなる。それはまあ、いろいろな都道府県があって、全国知事会でもいろんな話題がいろんな形で出ました。しかし、五十万を切る人口しか持たない、さしたる産業もない、そういった地方自治体というのが一つの県としてあること、そのものがやっぱり私は無理だと思うし(「失礼じゃないか」と呼ぶ者あり)だからこそ地方分権、失礼じゃないよ、日本全体にとっても重荷になっているんだから。だから、そういったものの整理も含めて地方分権といい出したわけでしょう。
 それからもう一つ、私は、別に高齢者に対して不親切のつもりもない。しかし、やっぱり都全体を考えれば、あなた方が熱烈に支持してきたばらまきの、要するに福祉というのはもう時代おくれで、だれも相手にしない。
   〔「そうだ」「答弁に全然なっていないよ」と呼び、その他発言する者多し〕
   〔福祉保健局長幸田昭一君登壇〕

○福祉保健局長(幸田昭一君) 再質問にお答えをいたします。
 国民生活基礎調査によりますと、昭和六十一年から平成十三年までの十五年間で、所得五十万円未満で貯蓄のない高齢者世帯の割合は約三分の一に減少しており、所得も資産もなく公的な扶助を必要とする高齢者はごくわずかというふうに認識をしております。
 また、平成十二年度の東京都社会福祉基礎調査、高齢者の生活実態によりますと、年収五十万未満の高齢者は九・四%、そのうち九割は子どもさんとの同居や夫婦で生活をしているという状況にございます。年収五十万円未満のひとり暮らし高齢者は、全世帯の〇・五%おりますが、その四割以上は子どもが近くに暮らしており、三割以上は生活保護を受給している状況にございます。
 このことからも、真に生活に困窮している高齢者はごくわずかであり、その方々に対してはセーフティーネットが十分機能しているというふうに思っております。

〇議長(内田茂君) 百二十一番藤田愛子さん。
   〔百二十一番藤田愛子君登壇〕

○百二十一番(藤田愛子君) 私は、都議会生活者ネットワークを代表して、質問いたします。
 今年度の予算要望の柱を、私たちは、分権改革と財政再建、二〇〇六年をピークに顕著となる人口減少問題への取り組み、京都議定書発効を受けての環境重視政策といたしました。このことを中心に質問をいたします。
 国と地方の借金は七百兆円を超え、改めて財政改革の必要性が問われています。都においては増収ということで、都市の整備のみが増額となっていますが、今後の震災対策や都市基盤の更新を考えれば、ビルドばかりでは立ち行かなくなり、ここでも財政改革は必然です。三位一体改革による国からの財源移譲は中途半端で、地域の裁量を尊重した分権改革の視点とは全く異なったものです。今後、国と地方の役割分担のあり方を十分に検討し、真の分権をかち取ることが不可欠です。
 一方、私たちは、都から区市町村への第二次分権を確固たるものにするように、都に求めてまいりました。さらに第三の分権、いわゆる市民への分権が協働とともに重要になってきます。市民と行政の協働を進めるために、みずから納めた税の一部を応援したいNPOに助成する仕組みが実践され始めています。今後は、都も、こういった取り組みを応援することが求められてくると思います。
 まず初めに、人口減少問題に対する取り組みについて伺います。
 国の合計特殊出生率が一・二九、東京では一・〇を切り、来年をピークに人口減少が現実のものとなってきます。人口減少が直ちに悪いものだとは考えませんが、これまでのピラミッド型の人口構成を基本とした社会保障制度や、右肩上がりの経済が未来永劫続くとする考えのままでは、人口減少は大きな選択のミスを誘導することになります。
 東京の適正規模の人口及び都市基盤を提示する必要があります。少子化対策を真剣に考えるならば、すべてを子どもの側から見直す体制が重要です。社会保障のために、財政のために、産業のために、という経済面だけを論じていても、少子化問題は解決をしません。人口減少を自明の前提として受けとめ、財政、社会基盤整備、福祉、就労、教育等多岐にわたる制度の転換が必要ですし、行政のあり方自体も変化を求められるようになると考えます。この問題に関しての将来ビジョンを知事にお伺いいたします。
 また、世代間の不公平感や社会保障自体に対する不信感は、必要に基づく給付が能力に基づく負担を上回ることに、つまり負担しても返ってこない、返ってくるという実感が持てないというところに大きな原因があります。
 なぜこのような状況が生まれたかというと、一つには負担能力がある人を育ててこなかったということです。若者がニートになっていくのを放置する社会なのです。現在の社会保障制度が、こうした矛盾を解決できないことに問題があります。社会保障による自立援助を、若者、障害者、高齢者、女性の能力開発と自己実現の機会の創出に結びつけなければなりません。
 福祉国家といわれるスウェーデンでは、社会保障だけでなく、人材を育てるのに多大なコストと手間と社会環境を用意し、人間の尊厳を大事にする施策に熱心に取り組んでいます。今後の日本において重要なことは、最終的な社会的コストの増大を防ぐために、若者の就労支援、長期失業者の再就職支援、高齢者・障害者の雇用と社会参加の促進、子育てに対する支援など自立を促す施策を中心に据え、社会政策として一体的に推進していくことが何よりも重要です。
 その際に、これからの福祉政策においても自立を中心に位置づけていくことが必要だと考えますが、都の取り組みの展望をお聞かせください。
 次に、次世代育成について伺います。
 ここ十年間でも多くの議員が少子化問題を取り上げました。しかし、発言は男性議員のみ、経済の観点からだけで、違和感を覚えました。
 子育てが本当に楽しいものだということを実感しない限り、女性は子どもを産まないだろうと思っていましたが、これが現実のものとなりました。終身雇用が崩れ、労働人口の四割を女性が占めるなど、女性たちが働くのは当たり前の時代なのですが、出産費用は高い、不妊治療となれば長期に費用がかさむ、二人目を産もうとすれば、会社でストップがかかります。仕事を持っていた女性の六割以上が出産後は無業となり、孤立した閉塞感のある子育てでは、個人の双肩に物心両面の重い負担がかかります。
 このような社会環境では、女性の側からすれば、少子化は当然です。少子化の原因は多様であり、解決策も、性別役割分業の固定化や男女間の賃金格差などの間接差別をなくし、男女ともの子育てと仕事の両立支援や労働時間の規制など、あらゆる分野での方策が試みられなければなりません。しかし、都議会において、女性は家庭に戻って子どもを産んで育児に専念すべきなどの意見が堂々とまかり通ってしまうことに、日々のおくれを感じています。
 さて、二〇〇三年に国が示した次世代育成支援に関する当面の取り組み方針の中の男性を含めた働き方の見直しは注目に値しますが、都の次世代育成支援東京都行動計画の検討状況には、その考え方が全く示されていません。女性だけが子育てと仕事を両立させるのではなく、男性の働き方を見直し、アンペイドワークをどのように分かち合えるかが大きな課題です。
 一方、都では、特定事業主行動計画を策定することになっており、父親の育児休業取得に関して、具体的な取り組みによる目標値の設定が不可欠です。スウェーデン、ノルウェーなどでは、父親だけが取得できる育児休業、パパクオーター制度を導入し、父親の育児参加、両立支援に効果を上げています。
 都の事業主としての行動計画には、民間を先導する力があります。父親の育児休業取得率の向上に向けた積極的な取り組みの方向性を伺います。
 ひとり親家庭の次世代育成、子育て支援も急務です。特に母子家庭の収入状況が厳しい中、確実な現金給付としての児童扶養手当の一般財源化が、三位一体改革の中で検討されることになります。
 主要先進国では、経済基盤の脆弱なひとり親に対する生活維持のための経済支援が行われていますが、日本のひとり親に対する支援は余りに乏しいといわざるを得ません。所得保障をベースに、低家賃の住宅の確保や安定した就労を支援する自立支援をいかに充実させるかによって、今後の社会的コストは変わってきます。
 都では現在、次世代育成支援東京都行動計画とあわせて、ひとり親家庭育成支援計画を策定すると聞いていますが、その内容について伺います。
 人口減少社会における社会保障は、まず人口構造の変化に中立的な制度に迅速に変更することが必要です。また、近い将来、高齢者人口が総人口の三分の一を占める規模になったときに、制度上、従来のように年齢によって一くくりにとらえることが可能かという問題もあります。
 今後は、老若共同参画社会ともいうべきエージフリーの観点で施策を位置づけ直す必要に迫られ、六十五歳以上をすべて高齢者として位置づける今の施策のあり方が問われることになります。都としての基本的な考え方を伺います。
 次に、若者施策について伺います。
 右肩上がりの経済が終えんし、社会全体が目標を喪失した感がある中で、漠然とした将来不安と、努力しても仕方ないという感覚が一気に広がっています。ここ数年、三万人を超す中高年男性の自殺とホームレスの増加が顕著です。反面、個人消費が冷え込んでいるにもかかわらず、都心の億ションが即日完売するという現実があります。単なる不況というにとどまらない、深刻な二極化が進行しているといわざるを得ません。
 このような中で、問題になっているのがニートと呼ばれる、教育も就労も就職活動も職業訓練もしていない若い人のことです。労働人口の中にカウントされるフリーターとは異なり、このニートと呼ばれる人は非労働力人口なのです。昨年九月の労働経済白書で五十二万人という数字が出ましたが、実際には百万人近くいるであろうというふうにいわれています。
 労働力人口が減少する時期を目前にして、企業も次世代に対し、雇用に向けた訓練などの社会的責任を負わなければなりませんが、都の役割も大きいものがあると思います。就労問題の観点から、こうした若者の実態を把握する必要があると思いますが、所見を伺います。
 次に、ニート対策ですが、まず第一に、教育の問題です。
 小中学校にも課題はありますが、ここでは、都立高校で、生活するということと職業をどのように教えているかについて伺います。
 現在、インターンシップが実施されていますが、一日のみの経験では仕事ということを知ることにはなりません。すべての都立高校で、せめて二週間の実践をすべきと考えますが、いかがでしょうか。
 また、都立高校の中退者総数は減少傾向にあるようですが、それでも実数は約五千人を超えています。実際にその高校が子どもに合わないとしても、他の高校を紹介し、卒業までたどり着かせるべきです。成績不振による退学も、入試ではそのレベルに達していたわけですから、後の指導が足りなかったということではないでしょうか。達成感を味わわせないことが、その後の職業観にも関係してきます。ひきこもりやニートを生み出してしまうことにもなるのです。
 本人の意思を尊重することはいうまでもありませんが、学校側としては一人の中退者も出さないということに評価があってしかるべきです。高校改革で種々の学校をつくっても、目標値を持たない、評価をしないということでは、やりっ放しになってしまいます。一人の中退者も出さないことは教育長の責任であると考えますが、見解を伺います。
 ニートに陥る原因を、若者の能力不足といった個人の問題に帰するのではなく、社会構造の問題として受けとめるべきです。イギリスでは、若者に提供されてきた従来のさまざまなサービスを互いにつなぎ合わせ、若者が社会とのつながりを持つよう包括的支援を行っています。
 ところで、東京都では、しごとセンターに就労に関する窓口としてジョブカフェがありますが、この相談窓口を若者に身近な繁華街などに設置するなど、きめ細かな対応が求められていると考えますが、いかがでしょうか。
 若者の自立を阻む一因として住宅問題があります。東京の住宅は、高い、狭い、遠いが当たり前ですが、多摩ニュータウンのように一挙にまちが高齢化してしまうところには、若者を積極的に誘導することも有効と考えます。人との関係性を紡ぐ意味でのルームシェアが可能となるような住宅の提供も求められています。公営住宅法による制限も承知をしていますが、その時代に応じた公営住宅の使い方が積極的に考えられるべきと強く要望しておきます。
 さて、青少年健全育成条例改正事項の青少年の性に対するかかわり方に関してですが、都では、これまで、一九八八年、一九九七年の青少年問題協議会で議論を深め、児童福祉法で規定されている淫行処罰には踏み込まずに来ました。取り締まり対象が大人とされているにもかかわらず、かかわった青少年が偏見を持たれがちであり、行為に愛情があるかないかなどもあいまいで、罰則規定を設ける改正には問題が残ります。現在の青少年の性の乱れを正すことと罰則規定を設けることが直結するとは考えにくいものです。
 自己決定権を持つ子どもたちに、自分の身を守るための性教育や、メディアリテラシーの教育の実施など、子どもに正面から向かい合う施策を早急に実施することが何よりも重要と考えますが、条例改正による具体的な取り組みをお示しください。
 最後に、地球温暖化対策について伺います。
 京都議定書が二月に発効され、ようやく世界規模の温暖化防止への第一歩が踏み出されました。社会経済活動の中心であり、直接、間接に大量のエネルギーを消費している大都市東京が、国に先駆けて持続可能な社会の構築を目指して率先行動をとろうとしていることは、日本全体の地球温暖化対策にとって意義のあることと考えます。
 しかしながら、都としてのエネルギー政策全般の見直しが行われていないことは問題です。特に、CO2削減目標を達成するためには、部門ごと、年度ごとの削減目標の設定、持続可能な社会実現のための制度を整備し、着実に成果を上げていかなくては、最終目標を達成することはできません。一九九九年に策定された東京エネルギービジョンを改定して、二十一世紀型のエネルギーシフトを視野に入れた新たなエネルギービジョンを構築する必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 京都議定書のCO2削減の数値目標は、今ある緑の保全が前提となっていますが、緑を残すだけではなく、いかに育てるかが重要なポイントです。臨海副都心構想で、森づくりを市民団体とともに提案したものとして、十三号埋立地の百年の森構想を大いに評価をしています。
 ソローの「森の生活」を思い浮かべながら、大木も一粒のドングリからという海の森づくりに、環境問題に関心のある多くの都民、特に若者の参加を期待し、また、東京が環境重視のまちづくりに転換することを期待して、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 藤田愛子議員の代表質問にお答えいたします。
 人口減少社会における行政のあり方でありますが、おっしゃるとおり、人口減少というのは必ずしも悪いものではないと思います。例えば、人口が減っても、教育の総量というのはなかなか減らないそうで、つまり、そういう国家社会の教育というのは非常に重厚なものになるということを専門家はいっておりますが、しかし、やはり人口の構造の問題でありまして、今のように年寄りがふえて若者が要するに欠落するというのは、非常に社会的に危険な問題だと思います。
 でありますから、日本はやはり今、歴史的に大きな転換点にあるといわざるを得ない。人口減少への評価はいろいろあるでしょうけど、これから先、社会のあらゆる分野に影響を与えることは確かでありまして、これまでの行財政制度全般の見直しが明らかに迫られていると思います。
 しかし、どうも国は、いわゆる三位一体改革に見られるように、どうもこういう歴史的な本質的な変化というものを正確に把握しているとは思えませんで、非常に危機感が乏しく、抜本的な改革はいつも先送りをされて、しかも、結局、国家財政は、まさに破綻寸前の状況に追い込まれています。
 こういう国の姿勢を座視することはできませんで、従来から、都市インフラの整備、大気汚染対策、福祉改革、財政再建など、都としては一連の東京の再生に向けた取り組みを進めてきたつもりでございます。
 また、かねてから申し上げているように、積極的な移民の受け入れなど、大胆な政策の転換を国に対して、機会あるごとに、これからも求めていきたいと思います。
 大脳生理学者にいわせますと、異民族──もともと日本人というのは混血民族でありますから、オリジナルの日本人というのは、北はアイヌの方々、それから南は沖縄の方々で、これは本当に等質の言語感覚を持っている人たちですけれども、いずれにしろ、日本が中世、近世で徹底した混血を繰り返した、鎖国の中で。これが日本の非常に著しい急速度の近代化というものを招来したわけでありますが、そういう点で、私はやっぱり本気で移民政策というものを考える時期に来ていると思います。しかし、どうも国は、これは何かタブー視していて、なかなかやろうとしない。検討もしない。
 いずれにしろ、今後とも、時代の大きな変化を視野に入れて、都政の各分野の連携を強化し、都民の求める施策を、この人口激減の時代に備えて展開していきたいと思っております。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教育に関します二点の質問にお答え申し上げます。
 まず、都立高校におけるインターンシップについてでございますが、一人一人の生徒が将来にわたる生き方を考えまして、主体的に進路を選択する能力と、望ましい勤労観や職業観を身につけることは重要なことでございます。
 現在、都立高校では、校長の学校経営計画に基づきまして、九十八校が、保育園、介護施設、地域企業などにおいてインターンシップを実施しておりまして、なお、二週間以上行っている学校は十五校ございます。
 来年度は、職業観を育成するため、職業観育成推進校を十校指定しまして、インターンシップの充実等に取り組みまして、その成果を検証してまいります。
 次に、中途退学への対応についてですが、中途退学対策は、高等学校教育における最も重要な課題の一つでございまして、生徒一人一人が豊かで充実した学校生活を送ることができるよう、その解決に努めなければならないと受けとめております。
 これまで都教育委員会は、チャレンジスクールやエンカレッジスクールなどの新しいタイプの高校の設置を初め、習熟度別授業や少人数による指導、スクールカウンセラーの配置等、さまざまな取り組みを行ってまいりました。その結果、東京構想二〇〇〇で定めた、二〇一五年度までに達成すべき中途退学率の数値目標は、既に実現をいたしました。
 中途退学には、みずからの信念に基づいて主体的に進路変更するという場合もございますが、今後とも、生徒の能力、適性に応じた学習指導や進路指導を充実させまして、個々の生徒に十分配慮した適切な指導を行いますとともに、学校の実態に応じて中途退学率の数値目標を掲げるなど、中途退学の防止に努めてまいります。
   〔福祉保健局長幸田昭一君登壇〕

○福祉保健局長(幸田昭一君) 福祉施策、次世代育成に関します三点のご質問にお答えいたします。
 まず、これからの福祉についてでありますが、だれもが地域の中でみずから必要なサービスを選択し、利用しながら、自立して生活できるよう、東京の福祉全体の水準を向上させていくことが都の責務であります。
 都は、これまで、こうした考え方に立って福祉改革に着手し、認知症高齢者や知的障害者のグループホームなどサービス基盤の整備や、第三者評価など利用者支援の仕組みづくりを進めてまいりました。
 来年度は、こうした取り組みに加え、企業内で授産活動を行う都独自の障害者の就労支援策や、生活保護世帯の自立促進事業を開始するなど、地域での自立を支える新しい福祉の実現に向け、改革を一層進めてまいります。
 次に、ひとり親家庭自立支援計画についてでありますが、母子家庭などひとり親家庭が地域で自立して生活していくためには、住まいや就労、子育てなど、さまざまな面からの支援が重要と考えています。こうした考え方のもとに、都は、これまでも、区市町村による、地域の実情に応じた柔軟かつきめ細かな取り組みを支援するひとり親家庭総合支援事業や、児童育成手当の支給などを独自に実施してまいりました。
 現在策定中の計画におきましては、就労による自立の支援や身近な地域での相談体制の整備などの施策を中心に据え、ひとり親家庭の自立をより一層促進する内容とする予定でございます。
 最後に、人口減少社会における社会保障制度についてでありますが、現行の社会保障制度は、公的年金制度に見られるように、基本的に人口の増加と右肩上がりの経済成長を前提につくられております。将来にわたって制度を安定的に維持し、国民全体の信頼を得ていくためには、人口減少社会の到来を踏まえ、制度のあり方を国全体で議論しながら、公の責任、国と地方自治体の役割分担、給付と負担の公平性などについて根本から問い直すことが必要であると認識しています。
 年齢を基準とした個別の福祉施策も、このような視点から検討し、社会経済状況を踏まえながら、適時適切に見直していくことが必要であると考えます。
   〔総務局長赤星經昭君登壇〕

○総務局長(赤星經昭君) 特定事業主行動計画についての質問にお答え申し上げます。
 都は、次世代育成支援対策推進法に基づきます、特定事業主としての行動計画の策定を進めております。職員、職場の意識改革、妊娠、子育て中の職員や男性職員に対する支援などを内容とし、年度内に公表する予定でございます。
   〔産業労働局長関谷保夫君登壇〕

○産業労働局長(関谷保夫君) 若者施策に関する二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、就労問題から見た、いわゆるニートの実態把握についてでございますが、若者に対する就労支援といたしまして、現在、しごとセンターにおいて、キャリアカウンセラーによる相談や求職活動支援セミナー等を実施しております。来年度は、カウンセリング機能をさらに強化するなど、一層の充実を図る予定としております。
 こうした取り組みを通じまして、また、NPOや有識者との情報交換などにより、お話のような若者の実態の把握にさらに努めてまいります。
 次に、若者に身近な就労相談窓口の設置についてでございますが、就労を支援するためには、若者と接する機会をふやし、さまざまな働きかけを行うことが効果的でございます。このため、しごとセンター事業の一環といたしまして、新たに区部や多摩の繁華街等において相談に応ずる街角カウンセリングを開始し、効果的かつきめ細かな支援サービスを展開してまいります。
   〔生活文化局長山内隆夫君登壇〕

○生活文化局長(山内隆夫君) 青少年健全育成条例改正の具体的な取り組みについてでありますが、青少年は、現在、インターネットや性の問題が生み出す大きな危機に直面しております。改正条例は、青少年がこの危機を乗り越える力を身につけることができるように、大人社会が青少年に向き合うための基本的な考え方を定めたものでございます。
 改正条例を踏まえ、青少年の性のあり方について、学校での生徒に対する指導を行うとともに、心の東京革命の事業においても、保護者に対し啓発等の取り組みを強化することにより、青少年の性に関する判断能力の育成を図ってまいります。
 また、青少年がインターネットを適正に利用するため、保護者向けガイドブックの作成や、小学生及び保護者等に対するセミナーの実施により、啓発に努めてまいります。
   〔環境局長平井健一君登壇〕

○環境局長(平井健一君) 新たなエネルギービジョンの構築についてのお尋ねですが、都では、平成十四年に策定いたしました環境基本計画に基づきまして、現在、省エネ対策及び再生可能エネルギーの普及などの地球温暖化対策を進めております。この基本計画を踏まえ、今回、四つの制度を創設、強化するための条例改正案を提出いたしました。
 大規模事業者につきましては、都の指導助言と評価公表により、より高いCO2削減目標の設定と着実な対策の実施を誘導してまいります。
 また、新たにエネルギー環境計画書制度を創設いたしまして、電力の供給事業者にエネルギーの環境性の向上を求めてまいります。
 さらに、来年度には、再生可能エネルギー普及プロジェクトとして、民間における導入の促進に関する調査を行うこととしております。

○六十七番(近藤やよい君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(内田茂君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後八時四十二分散会

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