平成十六年東京都議会会議録第十四号

平成十六年十月七日(木曜日)
 出席議員(百十九名)
一番谷村 孝彦君
二番東村 邦浩君
三番村上 英子君
四番秋田 一郎君
五番矢島 千秋君
六番鳩山 太郎君
七番後藤 雄一君
八番福士 敬子君
九番林  知二君
十番伊沢けい子君
十一番新井美沙子君
十二番相川  博君
十三番山下 太郎君
十五番河野百合恵君
十六番長橋 桂一君
十七番小磯 善彦君
十八番野上じゅん子君
二十番北城 貞治君
二十一番高橋かずみ君
二十二番山加 朱美君
二十三番小美濃安弘君
二十四番吉原  修君
二十五番山田 忠昭君
二十六番臼井  孝君
二十七番林田  武君
二十九番山口 文江君
三十番柿沢 未途君
三十二番酒井 大史君
三十三番清水ひで子君
三十四番かち佳代子君
三十五番小松 恭子君
三十六番東野 秀平君
三十七番藤井  一君
三十八番ともとし春久君
四十一番野島 善司君
四十二番真鍋よしゆき君
四十三番松原 忠義君
四十四番田代ひろし君
四十五番三宅 茂樹君
四十六番川井しげお君
四十七番鈴木 一光君
四十八番吉野 利明君
四十九番こいそ 明君
五十番執印真智子君
五十一番花輪ともふみ君
五十二番真木  茂君
五十三番大津 浩子君
五十四番大塚 隆朗君
五十六番古館 和憲君
五十七番松村 友昭君
五十八番丸茂 勇夫君
五十九番木内 良明君
六十番鈴木貫太郎君
六十一番森田 安孝君
六十二番石川 芳昭君
六十三番土持 正豊君
六十四番倉林 辰雄君
六十五番遠藤  衛君
六十六番鈴木あきまさ君
六十七番近藤やよい君
六十八番串田 克巳君
六十九番中屋 文孝君
七十番三原 將嗣君
七十一番樺山たかし君
七十二番田島 和明君
七十三番宮崎  章君
七十四番大西由紀子君
七十五番樋口ゆうこ君
七十六番中村 明彦君
七十七番馬場 裕子君
七十八番和田 宗春君
八十番大山とも子君
八十一番東ひろたか君
八十二番池田 梅夫君
八十三番中山 秀雄君
八十四番大木田 守君
八十五番前島信次郎君
八十六番桜井良之助君
八十七番新藤 義彦君
八十八番星野 篤功君
八十九番いなば真一君
九十番高島なおき君
九十一番服部ゆくお君
九十二番古賀 俊昭君
九十三番山本賢太郎君
九十四番立石 晴康君
九十五番清原錬太郎君
九十六番小山 敏雄君
九十七番大山  均君
九十八番大河原雅子君
九十九番田中  良君
百番小林 正則君
百一番藤川 隆則君
百二番坂口こうじ君
百三番曽根はじめ君
百四番渡辺 康信君
百五番秋田かくお君
百六番中嶋 義雄君
百七番石井 義修君
百八番橋本辰二郎君
百九番藤井 富雄君
百十番桜井  武君
百十一番野田 和男君
百十二番野村 有信君
百十三番比留間敏夫君
百十四番大西 英男君
百十五番山崎 孝明君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十番田中 晃三君
百二十一番藤田 愛子君
百二十二番尾崎 正一君
百二十三番土屋たかゆき君
百二十四番富田 俊正君
百二十五番名取 憲彦君
百二十六番吉田 信夫君
百二十七番木村 陽治君

 欠席議員(一名)
三十一番 初鹿 明博君
 欠員
 十四番 十九番 二十八番
三十九番 四十番 五十五番
七十九番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事福永 正通君
副知事濱渦 武生君
副知事大塚 俊郎君
副知事竹花  豊君
出納長櫻井  巖君
教育長横山 洋吉君
知事本局長前川 燿男君
総務局長赤星 經昭君
財務局長松澤 敏夫君
警視総監奥村萬壽雄君
主税局長山口 一久君
生活文化局長山内 隆夫君
都市整備局長梶山  修君
環境局長平井 健一君
産業労働局長関谷 保夫君
建設局長岩永  勉君
港湾局長成田  浩君
交通局長松尾  均君
水道局長高橋  功君
消防総監白谷 祐二君
福祉保健局長幸田 昭一君
下水道局長二村 保宏君
大学管理本部長村山 寛司君
病院経営本部長押元  洋君
中央卸売市場長森澤 正範君
新銀行設立本部長津島 隆一君
選挙管理委員会事務局長高橋 和志君
人事委員会事務局長佐藤  広君
地方労働委員会事務局長久保田経三君
監査事務局長高橋 道晴君
収用委員会事務局長嶋津 隆文君

十月七日議事日程第四号
第一 第二百三号議案
  都立葛飾地区総合学科高等学校(仮称)(H十六)改修工事請負契約
第二 第百九十五号議案
  東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第三 第百九十六号議案
  東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例
第四 第二百八号議案
  地方自治法等の一部を改正する法律による改正前の地方自治法第二百四十二条の二第一項第四号の規定による訴訟に係る費用の負担について
第五 第二百六号議案
  日暮里・舎人線鋼けた製作・架設工事(その二十八)請負契約
第六 第二百七号議案
  日暮里・舎人線鋼けた及び鋼支柱製作・架設工事(その二十九)請負契約
第七 第百九十二号議案
  学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第八 第百九十三号議案
  学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第九 第百九十四号議案
  東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第十 第百九十七号議案
  東京都建築安全条例の一部を改正する条例
第十一 第二百号議案
  東京都給水条例の一部を改正する条例
第十二 第百九十号議案
  特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第十三 第百九十一号議案
  東京都職員定数条例の一部を改正する条例
第十四 第二百四号議案
  都営住宅十六H─一○一北(村山)工事請負契約
第十五 第二百五号議案
  多摩大橋鋼けた製作・架設工事(その二)請負契約
第十六 第二百九号議案
  工作物収去土地明渡等の請求に関する民事訴訟の提起について
第十七 第百九十八号議案
  東京都海区漁業調整委員会委員及び東京都内水面漁場管理委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第十八 第百九十九号議案
  東京における自然の保護と回復に関する条例の一部を改正する条例
第十九 第百八十九号議案
  平成十六年度東京都水道事業会計補正予算(第一号)
第二十 第二百十号議案
  多摩川流域下水道野川処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
第二十一 第二百一号議案
  火災予防条例の一部を改正する条例
第二十二 第二百二号議案
  救急業務等に関する条例の一部を改正する条例
議事日程第四号追加の一
第一 東京都監査委員の選任の同意について(一六財主議第三四一号)
第二 東京都監査委員の選任の同意について(一六財主議第三四二号)
第三 東京の将来像を展望し、社会・経済情勢の変化に柔軟に対応する都政を実現するための行財政改革の基本的事項についての調査・検討(行財政改革基本問題特別委員会報告)
議事日程第四号追加の二
第四
一六第四五号
  卒業式・入学式に係る東京都教育委員会の通達と教職員の処分の撤回に関する陳情
一六第三七号
  都営仙川アパートの建て替えに関する陳情
第五
一六第三六号
  地域間で違う中学校調査書記載評定の付け方の見直しに関する陳情
第六
一六第三八号
  京王線飛田給駅北口駅前広場周辺の未利用の残地解決に関する陳情
第七
一六第四○号
  都市計画道路放射二七号線の整備・計画変更に関する陳情
一六第四四号
  都立武蔵国分寺公園のドッグラン設置計画に関する陳情
一六第三四号
  調布警察署下山谷駐在所の存続に関する陳情
第八
一六第一九号
  東京都の聴覚障害教育の改善充実に関する請願
一六第二○号
  ウイルス肝炎対策の拡充に関する請願
一六第二一号の一
  足立区扇一丁目西交差点の早期改善に関する請願
一六第二六号
  江東区新砂一丁目の工業専用地域における土壌汚染の改良に関する請願
一六第二一号の二
  足立区扇一丁目西交差点の早期改善に関する請願
第九
一六第四三号
  汐先橋交差点周辺地区のアクセス改善に関する陳情
一六第三二号
  麹町消防署九段出張所の移転に関する陳情
議事日程第四号追加の三
第十 議員提出議案第十八号
  義務教育費国庫負担金の廃止に関する意見書
第十一 議員提出議案第十九号
  生活保護費国庫負担金の負担率引下げに関する意見書
第十二 議員提出議案第二十号
  新たな「食料・農業・農村基本計画」の策定に関する意見書
第十三 議員提出議案第二十一号
  「犯罪被害者基本法(仮称)」の制定に関する意見書
第十四 議員提出議案第二十三号
  三十人学級の実現に関する意見書
第十五 議員提出議案第二十四号
  道路特定財源の地方譲与税化に反対し、特定財源として堅持することに関する意見書
第十六 議員提出議案第二十五号
  郵政事業の民営化に関する意見書
第十七 議員提出議案第二十六号
  地方分権改革の一層の推進に関する意見書
第十八 議員提出議案第二十七号
  台湾からの観光客に対する査証免除に関する意見書
第十九 議員提出議案第二十二号
  警視庁警察官の増員に関する意見書
第二十 常任委員の選任

   午後一時一分開議

○議長(内田茂君) これより本日の会議を開きます。

○議長(内田茂君) まず、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(谷村隆君) 知事より、東京都が出資または債務保証等をしている法人の経営状況について、財団法人東京都福利厚生事業団外二十七法人の説明書類の提出がありました。
 次に、平成十六年第一回定例会において採択された請願・陳情の処理経過及び結果について報告がありました。
(別冊参照)

○議長(内田茂君) この際、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第十八号、義務教育費国庫負担金の廃止に関する意見書外意見書九件、知事より、東京都監査委員の選任の同意について二件、委員会より、行財政改革の基本的事項についての調査・検討報告書及び卒業式・入学式に係る東京都教育委員会の通達と教職員の処分の撤回に関する陳情外請願五件、陳情八件の委員会審査報告書がそれぞれ提出されました。
 これらを常任委員の選任の件とあわせて本日の日程に追加いたします。

○議長(内田茂君) 次に、文書質問について申し上げます。
 お手元配布の文書質問事項表のとおり、質問の通告がありました。
 本件は、直ちに執行機関に送付いたしておきました。
 なお、本件答弁書は、速やかに提出されるよう希望いたしておきます。

文書質問事項表
氏名件名
後藤雄一君 警視庁の情報公開について ほか
河野百合恵君 高齢者虐待防止について
かち佳代子君 生活保護制度の改善・充実について
小松恭子君 呼吸機能障害者の施策拡充について ほか
和田宗春君 平成十七年高速道路等の自動二輪の二人乗りについて ほか
大山とも子君 遺伝子組み換え食品について
木村陽治君 二十三区消防団への支援策の強化について

○議長(内田茂君) これより日程に入ります。
 日程第一から第二十二まで、第二百三号議案、都立葛飾地区総合学科高等学校(仮称)(H十六)改修工事請負契約外議案二十一件を一括議題といたします。
 本案に関する委員会審査報告書は、お手元に配布いたしてあります。
 朗読は省略いたします。

   財政委員会議案審査報告書
 第二百三号議案
  都立葛飾地区総合学科高等学校(仮称)(H十六)改修工事請負契約
 本委員会は、九月二十九日付託された右議案を審査の結果、原案を可決すべきものと決定したので報告します。
  平成十六年十月五日
財政委員長 近藤やよい
 東京都議会議長 内田  茂殿

   文教委員会議案審査報告書
 第百九十五号議案
  東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
 第百九十六号議案
  東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例
 本委員会は、九月二十九日付託された右議案を審査の結果、原案を可決すべきものと決定したので報告します。
  平成十六年十月五日
文教委員長 東ひろたか
 東京都議会議長 内田  茂殿

   総務委員会議案審査報告書
 第百九十号議案
  特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
 第百九十一号議案
  東京都職員定数条例の一部を改正する条例
 第二百八号議案
  地方自治法等の一部を改正する法律による改正前の地方自治法第二百四十二条の二第一項第四号の規定による訴訟に係る費用の負担について
 本委員会は、九月二十九日付託された右議案を審査の結果、原案を可決すべきものと決定したので報告します。
  平成十六年十月四日
総務委員長 土屋たかゆき
 東京都議会議長 内田  茂殿

   財政委員会議案審査報告書
 第二百四号議案
  都営住宅十六H─一○一北(村山)工事請負契約
 第二百五号議案
  多摩大橋鋼けた製作・架設工事(その二)請負契約
 第二百六号議案
  日暮里・舎人線鋼けた製作・架設工事(その二十八)請負契約
 第二百七号議案
  日暮里・舎人線鋼けた及び鋼支柱製作・架設工事(その二十九)請負契約
 第二百九号議案
  工作物収去土地明渡等の請求に関する民事訴訟の提起について
 本委員会は、九月二十九日付託された右議案を審査の結果、原案を可決すべきものと決定したので報告します。
  平成十六年十月五日
財政委員長 近藤やよい
 東京都議会議長 内田  茂殿

   文教委員会議案審査報告書
 第百九十二号議案
  学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
 第百九十三号議案
  学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
 第百九十四号議案
  東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
 本委員会は、九月二十九日付託された右議案を審査の結果、原案を可決すべきものと決定したので報告します。
  平成十六年十月五日
文教委員長 東ひろたか
 東京都議会議長 内田  茂殿

   都市整備委員会議案審査報告書
 第百九十七号議案
  東京都建築安全条例の一部を改正する条例
 本委員会は、九月二十九日付託された右議案を審査の結果、原案を可決すべきものと決定したので報告します。
  平成十六年十月四日
都市整備委員長 相川  博
 東京都議会議長 内田  茂殿

   公営企業委員会議案審査報告書
 第二百号議案
  東京都給水条例の一部を改正する条例
 本委員会は、九月二十九日付託された右議案を審査の結果、別紙付帯決議を付して原案を可決すべきものと決定したので報告します。
  平成十六年十月五日
公営企業委員長 鈴木貫太郎
 東京都議会議長 内田  茂殿

(別紙)
   付帯決議
一 我が国経済は、一面において回復基調にあるものの、中小企業には景気回復の実感が依然乏しく、都民生活は厳しさを脱したとは言い難い状況にある。
  こうした中で、中小企業や都民生活を守り、景気回復に寄与する立場から、低所得者世帯、社会福祉施設、公衆浴場、用水型企業については、特別の減免措置を講ずること。
二 前項の減免に基づく減収分については、適切な措置を講ずること。
三 口座割引制度の導入を機会に、口座振替未利用者に対して、積極的に口座振替への切替えを働き掛けること。
四 経営計画に示された企業努力については、必ずこれを完全に実施するとともに、財政基盤の強化に努めること。

   経済・港湾委員会議案審査報告書
 第百九十八号議案
  東京都海区漁業調整委員会委員及び東京都内水面漁場管理委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
 本委員会は、九月二十九日付託された右議案を審査の結果、原案を可決すべきものと決定したので報告します。
  平成十六年十月四日
経済・港湾委員長 真鍋よしゆき
 東京都議会議長 内田  茂殿

   環境・建設委員会議案審査報告書
 第百九十九号議案
  東京における自然の保護と回復に関する条例の一部を改正する条例
 本委員会は、九月二十九日付託された右議案を審査の結果、原案を可決すべきものと決定したので報告します。
  平成十六年十月四日
環境・建設委員長 鈴木 一光
 東京都議会議長 内田  茂殿

   公営企業委員会議案審査報告書
 第百八十九号議案
  平成十六年度東京都水道事業会計補正予算(第一号)
 本委員会は、九月二十九日付託された右議案を審査の結果、原案を可決すべきものと決定したので報告します。
  平成十六年十月五日
公営企業委員長 鈴木貫太郎
 東京都議会議長 内田  茂殿

   公営企業委員会議案審査報告書
 第二百十号議案
  多摩川流域下水道野川処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
 本委員会は、九月二十九日付託された右議案を審査の結果、原案を可決すべきものと決定したので報告します。
  平成十六年十月五日
公営企業委員長 鈴木貫太郎
 東京都議会議長 内田  茂殿

   警察・消防委員会議案審査報告書
 第二百一号議案
  火災予防条例の一部を改正する条例
 第二百二号議案
  救急業務等に関する条例の一部を改正する条例
 本委員会は、九月二十九日付託された右議案を審査の結果、原案を可決すべきものと決定したので報告します。
  平成十六年十月四日
警察・消防委員長 服部ゆくお
 東京都議会議長 内田  茂殿

○議長(内田茂君) これより討論に入ります。
 討論の通告がありますので、順次発言を許します。
 五十六番古館和憲君。
   〔五十六番古館和憲君登壇〕

○五十六番(古館和憲君) 日本共産党都議団を代表して、第二百三号議案、都立葛飾地区総合学科高等学校(仮称)(H十六)改修工事請負契約外二議案に反対する立場から討論を行います。
 二百三号議案は、都立高校全体を二百八校から二十八校も削減するという大幅な統廃合計画の一環であり、都立水元高校、本所工業高校という東部地域でいずれも貴重な普通科高校と工業高校をそれぞれ廃校した上で、本所工業跡地に総合高校を新設するものです。
 地域から学校がなくなる水元高校は、今年度応募倍率が一・六九倍と、地元生が身近に通える学校として人気も高く、廃止計画に対して区内過半数の中学校PTA会長が名を連ねるなど、教育関係者はもとより、地元挙げてその見直しを求めています。都議会への請願も現在継続審査となっており、地元合意が全くされていない統廃合計画に基づく本議案には到底賛成することはできません。
 そもそもマンション急増などにより都内の人口が計画当初の予想を超えて増加し、中学卒業生で四千五百人余りも予想を上回るとされている中で、学校削減の是非が根本から問われています。都立高校の統廃合計画そのものを再検討することを強く求めるものであります。
 次に、水道料金改定についてです。
 今回の提案は、全体として料金の値下げ提案であり、賛成です。我が党は、委員会において、基本料金の改定に伴い値上げとなる生活保護世帯の従来どおりの減免の継続を初め、公衆浴場、口座振替ができない世帯などの料金が値上げの引き下げ、負担抑制を求める付帯決議を提案しました。理事者がこれらの対策を講じるよう強く求めておくものであります。
 水道事業で最大の問題は、この料金改定の前提となる東京水道二〇〇四が水需要計画と投資計画を従来どおり過大に見込む計画となっているため、構造的に資金が不足する仕組みがつくられ、料金値上げが繰り返される仕掛けとなっていることです。水道局は、新たな中期事業計画の終了後に値上げをすることについて否定しませんでした。我が党は、過大な投資計画は抜本的に見直しをし、さらなる料金の引き下げを実現するために、引き続き力を尽くしてまいります。
 なお、自民、公明両党が公営企業委員会に提出した付帯決議は、経営計画に示された企業努力の完全実施を求めておりますけれども、現在、業務手当をめぐって労使が話し合っている最中であることから、我が党は、労使合意の形成こそ重要だとの立場から、この付帯決議には反対いたしました。
 今定例会で我が党は、石原都政の五年間に、医療費助成や福祉手当などの経済給付的事業や補助金の削減、都立施設廃止などの一方で、知事が充実すると約束してきた福祉の基盤整備などは大きく立ちおくれており、東京の福祉は冬の時代というべき状況にあることを具体的に指摘しました。そして、福祉予算がこの五年間に全国に例がない六百六十一億円もの大幅削減となっている事態を打開し、福祉予算を拡充する方向に転換をして、高齢者福祉や少子化対策を本格的に推進することを提案しました。石原知事は、このまま福祉予算を減らし続けてよいのかという我が党の再質問に対して、答弁に立つこともできませんでしたが、福祉予算を拡充し、切実な都民要望にこたえることを改めて強調しておくものであります。
 なお、乳幼児医療費助成の所得制限について、公明党が代表質問で、少なくとも三歳未満は撤廃すること、自民党の議員が一般質問で、平等な医療保障の立場から撤廃することを提案したことは重要であります。都として、所得制限撤廃に踏み出すことを強く求めるものです。
 子どもたちを健やかに育てる環境整備がかつてなく重要な課題となっている中で、三十人学級の実現は都民の切実な願いです。今や少人数学級は四十二道府県がその実施に踏み出し、来年度には新たに佐賀県、石川県が実施を表明しており、まさに全国の大きな流れになっています。我が党は、実施県では不登校が減り、落ちついて学習ができるなど、その大きな成果が明らかになっていることを示して、東京都としても、文部科学省の地方自治体の判断にゆだねるという新しい方針を活用し、実施に踏み出すことを求めたのに対して、知事はこれを拒みました。知事がかたくなに拒み続けることはやめ、都民の願いに素直にこたえるべきことを重ねて求めておくものであります。
 我が党が提出した三十人学級の実現に関する意見書案は、国の責任において三十人学級への移行を直ちに開始するよう求めるものであり、行き届いた教育を求める多くの父母、都民、学校関係者の願いにこたえようとするものであり、ぜひとも賛同をお願い申し上げます。
 都市再生について、石原知事の五年が、都市再生の名のもとに、これまでの都市政策を覆して、超高層ビルの都心集中を進め、ヒートアイランド現象など東京の環境や都財政をさらに悪化させる方向に踏み出すものであることを指摘し、その転換を求めました。しかし、知事は、高層ビルの集中は大変よいこと、国際競争力を高めていくために都市開発が不可欠などと、改めて多国籍企業のための都市づくりを推進することを表明しました。これは、今夏の異常気象など環境問題や過去最高の借金に苦しむ都財政の現状を直視することなく、さらなる東京の環境の悪化と都財政破綻を進めようというものであり、認められないものであります。
 我が党は、成長管理型や修復型のまちづくり、自動車を総量として抑制することなど都市づくりの抜本的転換を求め、海風の利用、排熱を抑制する空調システム、都市公園の増設や暗渠化された河川の復元などのクールスポットなどを具体的に提案しましたが、この方向にこそ東京のまちづくりの未来があることを表明するものであります。
 今定例会では、議会運営をめぐって重要な問題がありました。第一に、行財政改革基本問題特別委員会の廃止であります。
 本委員会は、一九九七年の都議会議員選挙後に設置されたもので、開会に当たって当時の委員長は、二十一世紀を展望し、時代の変化に柔軟に対応する都政を実現するため、行財政改革の基本事項について調査検討することを委員会の役割と発言されています。
 実際に青島都政が打ち出した財政健全化計画について、各会派が議論を尽くし、その実施をとどまらせる上で大きな役割を果たしました。そして、二十一世紀を迎えた今日、本格的な少子高齢化社会への対応、三位一体改革を初めとする地方分権の確立、地方自治の本旨の実現など、本委員会が果たすべき役割はますます重要となっています。また、本委員会は、知事本局、総務局、財務局の都政の官房的役割を果たしている三局を合同して所管する委員会であり、その調査、審議の内容は横断的であり、他の常任委員会に解消できないものであります。よって、同委員会は継続すべきものであります。
 また、委員会報告は、本来、委員会での質疑の内容を本会議に報告することを目的としているものであり、その内容は、特定の会派の意見に偏ることなく、委員会で議論されたこと、各会派の主張したことを客観的に反映すべきものであります。ところが、まとめられた内容は、この原則が守られず、都の方針を追随するものとなっており、客観性に欠け、到底容認できないことを申し上げておきます。
 第二に、意見書についてであります。
 都議会では、意見書案は各常任委員会に諮られ、全会一致したものに限って本会議に付議するということが基本的ルールとして確認されてまいりました。意見書採択については、全会一致を最大限に尊重する都議会の築き上げてきたルールを守ることを強く訴えるものです。
 自民党などから提案される意見書案は、その内容も都民の願いにこたえるものではありません。例えば道路特定財源の地方譲与税化に反対し、特定財源として堅持することに関する意見書案については、揮発油税などを原資とする特定道路財源は不要不急の大型道路など浪費的公共事業の温床となっていることから、その改革こそが今求められているものであります。しかるに、意見書案は、改革に反対し、同制度を温存することを求めるものであり、これを多数決で採択するようなことをするなら、都議会の見識が問われることを強く指摘をして、私の討論を終わります。(拍手)

○議長(内田茂君) 二十一番高橋かずみ君。
   〔二十一番高橋かずみ君登壇〕

○二十一番(高橋かずみ君) 私は、東京都議会自由民主党を代表し、今定例会に付託された議案中、第二百号議案に付帯決議を付して賛成し、そのほかの知事提出議案については全議案賛成の立場から討論を行います。
 まず、第二百号議案、東京都給水条例の一部を改正する条例案について意見を申し上げます。
 今回の条例改正は、これまでのような会計の赤字を穴埋めするために料金改定を行うものではなく、社会経済状況の変化や多様化、高度化する都民ニーズを踏まえ、節水努力が報われる仕組みの構築やコストに見合った負担の実現という視点に立って料金体系を見直しし、二・二%の料金引き下げを行うものであります。この考え方は理にかなったものであり、適切な内容であると考えます。
 さらに、単なる料金体系の見直しにとどまらず、思い切った企業努力を実施するとともに、新たに口座割引制度を導入することによって、基本的にはすべての使用者が値下げまたは据え置きとなるよう措置したものであります。この点についても、都民生活などへの影響をよく配慮しており、高く評価いたします。
 しかしながら、生活保護世帯や公衆浴場事業者の一部については値上げとなることから、我が党は、低所得世帯等に対する減免措置や口座振替未利用者に対する口座振替への促進などを要望し、付帯決議を付したものであります。
 さて、水道局は先月、東京水道経営プラン二〇〇四を発表し、その中で、平成十八年までの三年間で定数削減や業務手当の見直しなどの企業努力を行うとしております。業務手当は、その支給の根拠が今ではほとんどなくなっている手当であり、その見直しについては、我が党も第二回定例会の代表質問において強く求めたところであります。
 手当支給の根拠、さらには昨今の厳しい社会情勢を勘案すれば、業務手当の廃止は当然のことであります。しかし、組合側は、この手当の見直しを不服とし、去る一日にはストライキを決行し、さらに二十二日にも再度ストライキを予定するなど、都民感覚からかけ離れた行動をとっていることは理解に苦しむところであります。都民の生命にかかわる重要なライフラインを預かる者がこのような行動を起こすことは、都民に不安を与えるものであり、猛省を促したい。
 企業管理者には、経営プランに盛り込んだ企業努力にしっかりと取り組むと同時に、長期的視点に立って施設整備を計画的に実施するなど、首都東京にふさわしい水道サービスの実現に向けて、その歩みを着実に進めていただくよう要望いたします。
 次に、行財政運営について申し上げます。
 先ごろ都は平成十五年度決算を発表し、実質収支が四百四十九億円の赤字と六年連続の赤字決算となっております。これまでも財政健全化に懸命に取り組んできたにもかかわらず、いまだに財政再建が達成できていないことが、この問題の深刻さをあらわしていると思います。財政再建については、これまでも我が党は繰り返し主張してきましたが、行財政そのものの構造改革を進めることなくしては真の財政再建を達成することはできません。
 しかし、このような厳しい財政状況にあっても、都市再生を初めとする都政の喫緊の課題に対してはしっかりと取り組むことが必要であります。限られた財源を真に必要とする施策に重点的に投資する選択と集中こそが、これからの財政運営に何よりも求められるものであります。
 さて、都政の喫緊の課題の中でも最も重要であるのは都市の再生であります。日本経済にもようやく一筋の光が差しております。この一筋の光を真の夜明けにつなげ、中小企業者を初めとする都民に本当の明るさをもたらすためには、東京を再生し、東京の活力を呼び戻すことが不可欠であります。しかるに、日本共産党は、都市の再生を多国籍企業のための都市づくりであるとか、多国籍企業栄えて、環境、地域経済、都民生活滅ぶの道であるとか、さらには都市再生を推進するために福祉を切り捨てているといった、相も変わらず型にはまった同じような主張を繰り返しております。
 このような主張は、極めて一面的な見方を主張しているにすぎず、物事の全体を見据えて判断することのできない無責任な発言であります。このような主張がまかり通るようであれば、先ほどの会派が主張している東京の福祉は冬の時代どころか、東京、いや、日本全体が永久に冬の時代に陥ってしまうことは間違いありません。
 我が党は責任政党として、東京の活力を取り戻す施策について、今後の議会審議等の場において建設的な議論を行ってまいります。
 なお、二十一世紀のあるべきグランドデザインを描くことを目的とし、行財政基本問題特別委員会では、七年間にわたる議論を経て、このたび報告書をまとめました。この報告書に関する我が党の代表質問に対して、知事からは、東京から日本を変えるという思いを新たに、改革の取り組みを具体的に進めていきたいとの力強い答弁をいただきました。
 地方自治体が真に自主的、自立的な行財政運営をかち得ることができるかどうかは、ここ数年の取り組みが非常に重要であります。
 我が党は、この問題に対して、石原知事とともに積極的に取り組んでまいりますことを申し上げ、討論を終わります。(拍手)

○議長(内田茂君) 十六番長橋桂一君。
   〔十六番長橋桂一君登壇〕

○十六番(長橋桂一君) 私は、都議会公明党を代表して、今定例会に提案された議案において、第二百号議案、東京都給水条例の一部を改正する条例に付帯決議を付して賛成し、外二十一議案に賛成する立場から討論を行います。
 まず、第二百号議案、東京都給水条例の一部を改正する条例について申し上げます。
 今回の改正は、節水を促す仕組みづくりや使用者負担の公平性の確保並びに節水への動機づけを図る観点から料金体系を見直すものであります。内容は、同一の基本料金が適用される基本水量を、節水努力に報いるために十立方メートルから五立方メートルに引き下げ、使用量に応じて徴収する従量料金の単価を最高十三円値下げをすることにしています。また、口座振替を利用すれば月五十円割り引く制度や、転入転出者への日割り計算の導入を行い、その結果、都民の約七割の方が値下げになり、さらに口座割引制度を利用すれば、平均で二・二%引き下げになります。
 しかしながら、生活保護世帯という弱い立場の都民や公衆浴場事業者の一部には厳しい改正案であります。料金体系を見直すことは評価いたしますが、社会的弱者等への負担増については認められません。したがって、公明党は、付帯決議をつけて負担増への配慮を求めたものであります。
 次に、東京都特別支援教育概要案について申し上げます。
 ここで示されたろう学校と寄宿舎の再編整備については、関係者から多くの不安が提示されました。そこで我が党は、再編の渦中にある品川ろう学校、青鳥養護学校を訪問し、学校関係者やPTAの方々から直接意見を聞いてまいりました。
 ろう学校の再編については、通学時間の増大に対する配慮、分教室の継続とサテライト教室の設置、専門的教育の継続などを求めましたが、我が党の本会議代表質問答弁で、都はこれらの要望にすべて対応することが明らかになりました。
 一方、青鳥養護学校の寄宿舎については、PTAの代表の方々は、教室不足の具体策が明示されないまま、寄宿舎の廃止のみが先行するのは納得できないと申しておりました。改めて教室不足の具体的な解消策を明らかにすべきであります。寄宿舎設置校と未設置校の格差をなくし、すべての児童生徒が適切かつ効果的に寄宿舎を活用できる仕組みを早急に整備すべきです。あわせて、通学保障の観点や教育的な効果についても十分な配慮を行うべきであります。
 次に、三宅島村民の帰島について申し上げます。
 我が党は代表質問において、都独自の支援策を強く求めておりましたが、このほど知事が記者会見で新たな支援策を発表されたことを高く評価いたします。ぜひ島民の方々の実情に適合した支援策の実施を望むものであります。あわせて、保健医療システムの復活も急務です。都の全力挙げての取り組みを強く求めます。
 また、今定例会では、シカによる奥多摩の森林被害が取り上げられました。奥多摩町の森林は都民の貴重な水源林でありながら、ふえ過ぎたシカによる被害、台風による被害で大変に荒れ果てております。水源林を守ってくださってきた奥多摩町民にこたえるためにも、都は森林の再生、シカの適正捕獲による頭数管理等に全力を挙げていただきたいと思います。
 そのほか我が党は、環境問題ではヒートアイランド対策として、熱環境マップの作成、保水性舗装や屋上緑化、壁面緑化の普及、介護予防のための新たなプログラムの整備と普及、中小企業対策としての事業承継融資制度の創設、震災対策の実現などを強く主張いたしました。特に震災対策では、建物倒壊による人的被害を抑えるための建築物の耐震化、また減災の数値目標設定を強く要請いたしました。震災対策は今や都政の最重要課題であります。我が党は、引き続き震災対策の強化を強く求めてまいります。
 これらはすべて東京の明るい将来展望を開き、安心・安全の都民生活を実現するために不可欠な事業ばかりであります。ぜひとも早期の実現を改めて強く求めたいと思います。
 今後も公明党は、あくまでも都民本位の立場に立ち、住民の視線を我が視線として、都政の向上、発展のため、全力で政策展開に当たることを表明させていただき、討論とさせていただきます。(拍手)

○議長(内田茂君) 三十番柿沢未途君。
   〔三十番柿沢未途君登壇〕

○三十番(柿沢未途君) 私は、都議会民主党を代表して、知事提出の第二百号議案については付帯決議を付し賛成、その他の知事提出議案については原案に賛成の立場から討論を行います。
 まず、第百九十七号議案、東京都建築安全条例の一部を改正する条例についてです。
 本議案は、六本木ヒルズで起きた死亡事故をきっかけとして社会問題化した、自動回転扉での事故防止のための安全基準を設けるものです。本来ならば、自動回転扉が普及し始めた当初に、事故の危険性を予期し、安全基準を盛り込んでおくべきでありました。事後対応的で遅きに失した感も否めませんけれども、今後の事故予防のための措置として私たちも評価するものであります。
 都内には、既に七十七施設で計百八十台もの大型自動回転扉が設置されているということです。この中には、本条例で定める安全基準に適合しない、いわゆる既存不適格の自動回転扉も含まれることが予想されます。本条例はこれから新設される自動回転扉に対してのみ適用されるものですけれども、既存不適格となる自動回転扉を有する施設管理者に対しても、条例に定める安全基準に準じるよう働きかけを行うことが必要です。とりわけ、子どもや障害者、高齢者の利用が比較的多いと考えられる病院などの既存施設に対しては、条例の基準に準じるよう強く要請することを求めるものであります。
 なお、エスカレーターでの事故が自動回転扉での事故よりも多く発生していることから、東京消防庁において事故防止対策検討委員会が立ち上げられ、検討が進められております。今後はその報告内容も踏まえて、エスカレーターでの事故防止策についても、建築及び建築設備的に対応が必要な部分については条例に盛り込んでいくことを要望いたします。
 次に、第二百号議案、東京都給水条例の一部を改正する条例についてです。
 本議案は、節水を促し、負担の公平を確保するために水道料金等を改定するものであります。改定内容は、料金水準の平均一・三%、口座割引制度を導入することで平均二・二%の引き下げとするものであり、全体的には都民の負担増を抑える方向で組み立てられており、私たちも評価するものであります。
 しかしながら、今回の改定内容では、水を大量に使用する者については負担減となる一方で、一部の使用者、特に低所得者世帯、社会福祉施設、公衆浴場、用水型企業の中には、低額であるとはいえ負担増となるものが出てくることは明らかであります。これら負担増となる対象者に対しては、社会福祉や公益性といった観点から一定の配慮を行うべきと考えます。また一方で、こうした配慮を行うことによって、逆に水道事業の地方公営企業としての健全な経営が損なわれることがあってはなりません。
 こうしたことからも、私たちは本議案に対し、低所得者世帯、社会福祉施設、公衆浴場、用水型企業については特別の減免措置を講ずることなど四点を付帯決議として付し、賛成することといたしました。
 今後、東京都においては、長期的な事業展望を持ちながら、適正な料金水準による水道事業の推進に努めていくことを求めます。
 次に、第二百一号議案、火災予防条例の一部を改正する条例についてです。
 本議案は、昨年二月、韓国大邱市で発生した地下鉄火災を教訓として、鉄道の地下駅における防火安全対策を強化するためにまとめられたものです。この火災が起きた昨年二月時点で、日本国内の地下駅における火災対策の状況は、地下駅総数六百八十四駅のうち、昭和五十年に定められた火災対策基準にすべて適合している駅四百十六駅、六一%、一部適合していない駅二百六十八駅、三九%でありました。その後も各鉄道事業者による対策が進められていますが、本条例はさらに進んで、すべての地下駅舎の地階部分にスプリンクラーと無線通信補助設備を設置するよう規定するとともに、防火管理体制の強化を求めるものであります。
 設備の設置は新駅より順次進められることになりますけれども、東京には全国の地下駅舎の半数が集中し、大型売店の増加、駅員数の減少、大都市特有の傾向である地下駅舎の深層化、重層化が進んでおり、その危険度は極めて高いといわなければなりません。
 鉄道事業者にとってすべての地下駅舎に設備の設置を図ることは、費用の面でも、場所の確保の面でも大変膨大な負担となりますけれども、煙は横に向かっては秒速〇・五から一メートルの速さですけれども、上に向かってはその何倍も速く、秒速三メートルから五メートルの速さで移動するといいます。地下で火災が発生すれば、乗客にとっては非常に危険な煙が上がってくる中で避難をすることになるわけですから、都民の安全、そしてそこで働く人たちの安全を守るために、火災被害を最小限にとどめるためにも、最大限の取り組みを各鉄道事業者に要請をしてまいりたいと思います。
 以上で、都議会民主党を代表しての討論を終了させていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)

○議長(内田茂君) 二十九番山口文江さん。
   〔二十九番山口文江君登壇〕

○二十九番(山口文江君) 私は、都議会生活者ネットワークを代表して、本定例会に提案された第二百号議案、東京都給水条例の一部を改正する条例に付帯決議を付して賛成、第百八十九号議案以下第二百十号議案までのすべての知事提案に賛成する立場から、あえて執行上の問題点について討論を行います。
 初めに、水道事業について申し上げます。
 水道は、すべての人のライフラインであり、水道事業の運営に当たっては、公共の福祉の増進と同時に、効率的な事業運営が求められていることはいうまでもありません。今回の料金体系の見直しに当たっては、さきに学識経験者から成る水道事業経営問題研究会を設置し、検討してきましたが、改正案は、研究会報告に沿い、環境配慮の逓増料金制を維持しつつ、さらに節水インセンティブと負担の公平性を考慮したものと理解します。また、口座割引の導入で、すべての使用者が値下げまたは据え置きになるよう工夫され、水道局の努力を多とし、賛成するものです。
 しかし、一方、財政不足や料金収入の減少があり、また、八ッ場ダム事業費の倍増を率先して認める都の姿からは、今回の値下げはわかりにくいものです。
 水道会計は独立採算とはいうものの、料金収入ですべて賄われるものではなく、莫大な施設建設や改良費は長期の借金や国からの補助金、一般会計からの出資金で対応し、さらに資本的収支を見れば毎年千百億円以上の不足額が出ており、これには損益勘定留保資金が充てられています。独立採算とはいえない状況であり、返し切れない借金の返済に追われている現状認識を忘れてはならず、こうした状況を都民に説明すべきです。
 既に水需要は平成四年をピークに漸減傾向に入っており、社会経済状況の変化や少子高齢化の進展に向けて真摯に需要を見きわめ、料金体系の見直しほか水道事業の経営構造の改革が必要であり、水道局はさらなる情報公開と説明責任を徹底すべきです。
 次に、男女平等の推進について申し上げます。
 これまで東京都教育委員会は男女共同参画社会の実現に向けて、いわば男女平等教育の象徴として男女混合名簿を推進してきました。二〇〇二年策定の男女平等参画のための東京都行動計画に混合名簿の実施推進が明記されたことは、何より都教委の姿勢をあらわすものです。
 しかし、八月二十六日、都立学校長あてに教育庁指導部長名で通知したジェンダーフリーという用語に関する都の見解と配慮事項は、マスコミを通じてひとり歩きをし、無用の混乱を引き起こしています。さらにいえば、東京都教育委員会がこの見解を出した二週間も前の八月十三日、産経新聞は大きな見出しで、ジェンダーフリー、教育現場から全廃、東京都男女混合名簿も禁止と報じ、教育委員会が十二日にこれを決めたとしています。事実と異なる、明らかに誤った報道に対して、都教委は何の抗議もせず、訂正も求めなかったことは極めて不可解であり、誤報道を放置する無責任な姿勢こそ問題です。
 都教委は、都立学校長にあてた混合名簿に関する通知にも、学校において混乱を招いていると記述しており、いつ、どこの学校で、どのような混乱が生じているのかをただした生活者ネットワークの代表質問への答弁は、一部の小中学校の例を象徴的に話したとしており、実際には保護者からの相談、苦情の記録も明らかでなく、調査も行っていないというずさんさにほかなりません。
 次に、個人情報保護制度について申し上げます。
 情報処理技術や通信技術の進展によって、公的部門のみならず、民間部門においても個人情報が大量に収集され、仕事の能率や生活の利便を増すのに役立つ反面、個人情報の取り扱いに適正を欠いた事件が多く報道されています。個人のプライバシーが侵害される実害が広がっています。
 二〇〇三年七月、東京都情報公開・個人情報保護審議会は、知事の諮問を受け、個人情報保護制度の新たなあり方についての提言を発表しました。この提言の重要なところは、都が保有する個人情報の保護をさらに徹底するため、公安委員会を実施機関に加えたことです。しかし、警察責務の遂行に支障が生じることのないよう、行政機関との整合性を図り、犯罪の予防、捜査等公共の安全と秩序の維持に係る事務について例外規定を定める必要があるとの提言です。情報の開示、収集先の制限、取扱業務登録がその対象になりますが、犯罪の予防といえば何でも例外規定になるのではないかとも受け取れます。これでは実施機関に公安委員会を加えた意味がなくなります。長野県や三重県では、審議会と公安委員会が話し合いを重ね、例外規定をできるだけ少なくしたと聞いています。
 条例改正に当たっては、再度、審議会と公安委員会は十分に話し合い、情報の取り扱いの透明性を確保するために、例外規定をできるだけ排除することが必要と考えます。
 最後に、意見書について一言申し上げます。
 活力ある日本社会をつくるために欠かすことのできない公益法人改革やNPOに影響を及ぼす税制度改革、また、千二百万都民の食の安全・安心を守るBSEに関する緊急性のある意見書に対し、東京都議会がまとまらなかったことは、多くの都民の期待を裏切ることとなり、非常に残念です。
 意見書は本来、委員会に期日を守って提出し、十分な議論を経て、全会派一致をもって提出することがルールのはずです。委員会を軽視し、数に任せて強引に進めることは、討議の上、合意形成するという民主主義をなし崩しにするものです。定例会ごとに特例中の特例を繰り返し、多数決をもって意見書を出すようであれば、意見書の取り扱いのルールを根本から議論することが必要になると考えます。
 以上をもって都議会生活者ネットワークの討論を終わります。(拍手)

○議長(内田茂君) 以上をもって討論を終了いたします。

○議長(内田茂君) これより採決に入ります。
 まず、日程第一から第三まで、第二百三号議案、都立葛飾地区総合学科高等学校(仮称)(H十六)改修工事請負契約外議案二件を一括して採決いたします。
 本案に関する委員会の報告は、いずれも可決であります。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、委員会の報告のとおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(内田茂君) 起立多数と認めます。よって、本案は、いずれも委員会の報告のとおり決定いたしました。

○議長(内田茂君) 次に、日程第四から第十一まで、第二百八号議案、地方自治法等の一部を改正する法律による改正前の地方自治法第二百四十二条の二第一項第四号の規定による訴訟に係る費用の負担について外議案七件を一括して採決いたします。
 本案に関する委員会の報告は、いずれも可決であります。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、委員会の報告のとおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(内田茂君) 起立多数と認めます。よって、本案は、いずれも委員会の報告のとおり決定いたしました。

○議長(内田茂君) 次に、日程第十二から第二十二まで、第百九十号議案、特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例外議案十件を一括して採決いたします。
 本案に関する委員会の報告は、いずれも可決であります。
 お諮りいたします。
 本案は、委員会の報告のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、本案は、いずれも委員会の報告のとおり決定いたしました。

○議長(内田茂君) これより追加日程に入ります。
 追加日程第一、東京都監査委員の選任の同意についてを議題といたします。
   〔谷村議事部長朗読〕
一、東京都監査委員の選任の同意について一件

一六財主議第三四一号
平成十六年十月六日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 内田  茂殿
   東京都監査委員の選任の同意について(依頼)
 このことについて、東京都監査委員星野篤功が辞任するため、後任として左記の者を選任したいので、地方自治法第百九十六条第一項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     都議会議員 新藤 義彦

      略歴
現住所 東京都昭島市
新藤 義彦
昭和十四年八月十八日生(六十五歳)
昭和六十二年五月 東京都昭島市議会議員
平成三年五月   東京都昭島市議会議員
平成五年七月   東京都議会議員
平成九年七月   東京都議会議員
平成十三年七月  東京都議会議員
現在       東京都議会議員

○議長(内田茂君) 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、知事の選任に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(内田茂君) 起立多数と認めます。よって、本件は、知事の選任に同意することに決定いたしました。

○議長(内田茂君) 追加日程第二、東京都監査委員の選任の同意についてを議題といたします。
   〔谷村議事部長朗読〕
一、東京都監査委員の選任の同意について一件

一六財主議第三四二号
平成十六年十月六日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 内田  茂殿
   東京都監査委員の選任の同意について(依頼)
 このことについて、東京都監査委員田中良が辞任するため、後任として左記の者を選任したいので、地方自治法第百九十六条第一項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     都議会議員 小林 正則

      略歴
現住所 東京都小平市
小林 正則
昭和二十七年七月二十四日生(五十二歳)
昭和六十二年五月 東京都小平市議会議員
平成三年五月   東京都小平市議会議員
平成五年七月   東京都議会議員
平成九年七月   東京都議会議員
平成十三年七月  東京都議会議員
現在       東京都議会議員

○議長(内田茂君) 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、知事の選任に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(内田茂君) 起立多数と認めます。よって、本件は、知事の選任に同意することに決定いたしました。

○議長(内田茂君) 追加日程第三、東京の将来像を展望し、社会・経済情勢の変化に柔軟に対応する都政を実現するための行財政改革の基本的事項についての調査・検討を議題といたします。
 本件に関する委員会の報告書は、お手元に配布いたしてあります。
 朗読は省略いたします。

   〔行財政改革基本問題特別委員会調査報告書は本号末尾(一九七ページ)に掲載〕

○議長(内田茂君) 本件に関し、行財政改革基本問題特別委員長より報告を求めます。
 行財政改革基本問題特別委員長山本賢太郎君。
   〔九十三番山本賢太郎君登壇〕

○九十三番(山本賢太郎君) 先ほど来、話題に上がりました行財政改革基本問題特別委員会における調査の結果について、委員会を代表いたしまして、その概要をご報告申し上げます。
 本委員会は、第十五期都議会議員による行財政改革基本問題特別委員会の調査検討結果の中間報告を踏まえて、東京の将来像を展望し、社会経済情勢の変化に柔軟に対応する都政を実現するため、行財政改革の基本的事項について調査・検討することを目的として、平成十三年十月五日、第三回定例会において設置されたものであります。
 東京は、地方分権の推進、青少年問題の深刻化、本格的な少子高齢社会の到来などさまざまな課題を抱えております。都政はこうした課題を解決し、活力のある東京づくり、新たな都民のニーズに柔軟に対応する必要に迫られております。このため、都政の簡素効率化を目指すことはもとより、首都圏全体を視野に入れ、自治制度の根本にさかのぼり、中長期的な視点から行財政改革を行っていかなければなりません。
 本委員会が当初から念頭に置きましたことは、本来、行政改革とは、まず都政百年の計とでもいうべき二十一世紀のグランドデザインを描くことを出発点として取り組まれるべきものであるということであります。限られた期間でありましたが、さまざまな角度から、都政のあるべき姿、都政の果たすべき役割等について精力的に調査検討をしてまいりました。
 初めに、第十五期における中間報告と都が進めてきた行財政改革の実績について検証を行うため、東京都及び首都圏における地方自治の課題、問題等について理事者から報告を受け、各会派の基本的な考え方を確認いたしました。
 続いて、第二十七次地方制度調査会、地方分権改革推進会議について、また、政令指定都市、中核市、特例市の比較、大都市制度や特別区制度の沿革、海外都市における自治制度等の事例について報告を受け、これらの時代に即応した新しい自治制度のあり方について質疑を交わしてまいりました。
 次に、これまでの議論を踏まえ、自治制度改革の必要性、行政の役割分担、首都圏における広域自治体のあり方、大都市行政など自治制度改革の論点整理を行い、これに基づき、今後の大都市自治体のあり方、今後の首都圏における広域自治体と基礎自治体のあり方、及び新しい時代にふさわしい税財源のあり方について、それぞれ議論をしてまいりました。
 こうした質疑とともに、六名の参考人から専門的な見地から意見を聴取いたしました。
 その後、今までの質疑を踏まえて、新しい自治制度の方向性について質疑を交わしました。
 この間、委員会は二十七回、理事会二十三回を開き、毎回熱心な議論によって導かれた到達点として、今後の行財政改革の方向性について都議会としての考え方を示すことにより、去る九月二十二日をもって調査を終了したわけであります。
 これらの内容につきましては調査報告書として取りまとめ、お手元に配布してございますので、私からは、今後の行財政改革の方向性について簡略にご報告いたします。
 まず第一に、地方自治制度改革の必要性についてであります。
 地方自治法施行後六十年近くが経過し、社会実態は大きく変化をしております。特に大都市は、急速にその規模を拡大してきました。一方、地方自治制度そのものは、依然として国主導の中央集権的な性格を残したまま今日に及んでおります。都市の時代において東京は世界の都市間競争に打ち勝つ必要があり、また、自治体がみずからの課題に十分対応できるよう地方分権を推進し、速やかに自治制度改革を行うべきであります。
 第二に、国と自治体の新しいあり方についてであります。
 国と地方をめぐる問題として、平成十二年の地方分権一括法施行により地方の自主性は拡大してきましたが、現実には法定受託事務の存在や不十分な税源配分など国の強い関与があり、地方の自主性が発揮しにくい状況にあります。自治体がみずからの財源と責任により自主、自立的な行財政運営を行い、個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現することが地方自治体のあるべき姿であります。国の事務は本来行うべき役割に限定し、地方の事務は自治体が担い、税源移譲により自主財源で賄うことや、国庫補助負担金は原則廃止し、地方交付税は本来の機能に純化すべきであることなどご指摘がありました。
 さらに、広域自治体と基礎自治体については、住民に身近な自治体である市町村は地域の総合行政の担い手として、また、広域自治体である都道府県は市町村間の総合調整機能をより一層強化していくことが求められており、国からの権限移譲の受け皿となり、今後、その役割はますます重要性を増していくことなどを指摘したのであります。
 第三に、大都市行政の充実強化についてであります。
 東京都という制度は、広域自治体である都が基礎自治体である特別区の事務の一部を担うところに、その特徴がございます。区という狭隘な地域に約八百万人の人口が集積し、複数の基礎自治体が大都市を形成するという大都市東京の実態に即して、行政の一体性を確保するためには、都制度は大きな役割を果たしてきたとの認識に立ち、都区制度改革の状況と都の果たすべき役割、特別区の統合再編、都区財政調整制度のあり方などについて、その方向性を指摘してまいりました。
 現在の特別区の行政区域は、昭和二十二年以来、変更なく現在に至っておりますが、区域は、住民自治の実現とともに、社会実態に即した大都市地域としての一体的経営の観点から見て適当かどうかが重要であります。特別区の統合再編は、あくまでも住民意思を尊重し、区みずからが自主的、主体的に取り組む問題でありますが、大都市行政の総合性、一体性の確保と住民自治の両立を実現する観点に立ち、都制度を前提とした上で、大都市の実態に即した合理的な行政区域を検討していく必要があります。
 第四に、首都圏全体を見据えた広域行政のあり方についてであります。
 東京を中心とする首都圏は、交通混雑、環境汚染、治安悪化など大都市特有の課題が山積し、都市の魅力と活力を著しく損なっております。こうした広域的課題の深刻化と自治体間連携の問題、八都県市首脳会議における取り組み状況、広域行政にかかわる制度などについて、その方向性を指摘いたしました。
 広域的課題の解決に向けた取り組みのあり方については、これまでそれぞれの行政区域において発展してきたという意味での行政都市の分立状態から、今後は都市間連携を大いに進める必要があります。また、八都県市首脳会議においては事務局の常設化など、さらなる連携強化が必要であります。さらに、都県レベルで広域連合制度を活用して、広域行政を総合的、機動的に展開するためには多くの課題があること、道州制は、首都圏においては、実効性及び住民意識の面から見ていまだ時期尚早であるということなど指摘がございます。
 以上の委員会調査結果に対し、今後の行財政改革の方向性について、現在の都の方針に追随するものであり、認められないこと、委員会質疑における各会派の主張を客観的に反映させた内容とすべきとの一会派の反対意見が述べられたことを付言いたします。
 続いて、本委員会の成果と今後の取り組みについて申し上げます。
 本委員会は、第十五期の前委員会から通算いたしますと七年の長きにわたり、さまざまな角度から全力を傾注し調査検討してまいりました。この結果、執行機関に対し、今後目指すべき東京の将来像とその実現に向けた道筋や、都庁の行財政システム全般にわたり原点に立ち返った見直しによる新しい行政像を示すなど、一定の方向性を示すことができました。
 しかしなお、時代の潮流や都政の置かれている現状を見ますと、行財政改革が都の最も重要な政策課題であるということはいうまでもありません。都民本位の行財政運営を確保するため、理事者におかれましては、本委員会の調査検討結果を踏まえ、庁内の推進体制を整えるとともに、行財政全般にわたる新たな改革の大綱を早急に策定されますことを強く希望いたします。
 終わりに、これまで本委員会に携わってこられた歴代委員長、副委員長、理事及び委員の皆様の行財政改革に対する熱意とご努力に対し、また、知事を初めとする執行機関及び関係各位のご協力に対し深く感謝申し上げ、行財政改革基本問題特別委員会の調査報告とさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)

○議長(内田茂君) 以上をもって行財政改革基本問題特別委員長の報告は終わりました。
 本件は、起立により採決いたします。
 行財政改革の基本的事項についての調査・検討については、委員会の報告のとおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(内田茂君) 起立多数と認めます。よって、本件は、委員会の報告のとおり決定いたしました。

○議長(内田茂君) 次に、行財政改革基本問題特別委員会の調査の終了について、起立により採決いたします。
 本件に関する調査は、これをもって終了することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(内田茂君) 起立多数と認めます。よって、本件に関する調査は、これをもって終了することに決定いたしました。

○議長(内田茂君) 追加日程第四、一六第四五号、卒業式・入学式に係る東京都教育委員会の通達と教職員の処分の撤回に関する陳情外陳情一件を議題といたします。
 委員会審査報告書は、お手元に配布いたしてあります。
 朗読は省略いたします。

   文教委員会陳情審査報告書
一六第四五号 卒業式・入学式に係る東京都教育委員会の通達と教職員の処分の撤回に関する陳情
(平成十六年六月十六日付託)
  陳情者 杉並区
   卒業式・入学式に関する東京都教育委員会の通達の撤回を求める会
丸浜江里子 外二〇、七七一人
 本委員会は、右陳情審査の結果、不採択とすべきものと決定したので報告します。
  平成十六年九月十五日
文教委員長 東ひろたか
 東京都議会議長 内田  茂殿

   都市整備委員会陳情審査報告書
一六第三七号 都営仙川アパートの建て替えに関する陳情
(平成十六年六月九日付託)
  陳情者 調布市
   緑ヶ丘団地自治会建替対策協議会
委員長 高野 重夫 外一人
 本委員会は、右陳情審査の結果、不採択とすべきものと決定したので報告します。
  平成十六年九月十五日
都市整備委員長 相川  博
 東京都議会議長 内田  茂殿

○議長(内田茂君) 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、委員会の報告のとおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(内田茂君) 起立多数と認めます。よって、本件は、委員会の報告のとおり決定いたしました。

○議長(内田茂君) 追加日程第五、一六第三六号、地域間で違う中学校調査書記載評定の付け方の見直しに関する陳情を議題といたします。
 委員会審査報告書は、お手元に配布いたしてあります。
 朗読は省略いたします。

   文教委員会陳情審査報告書
一六第三六号 地域間で違う中学校調査書記載評定の付け方の見直しに関する陳情
(平成十六年六月九日付託)
  陳情者 練馬区
藤野 克彦
 本委員会は、右陳情審査の結果、不採択とすべきものと決定したので報告します。
  平成十六年九月十五日
文教委員長 東ひろたか
 東京都議会議長 内田  茂殿

○議長(内田茂君) 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、委員会の報告のとおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(内田茂君) 起立多数と認めます。よって、本件は、委員会の報告のとおり決定いたしました。

○議長(内田茂君) 追加日程第六、一六第三八号、京王線飛田給駅北口駅前広場周辺の未利用の残地解決に関する陳情を議題といたします。
 委員会審査報告書は、お手元に配布いたしてあります。
 朗読は省略いたします。

   都市整備委員会陳情審査報告書
一六第三八号 京王線飛田給駅北口駅前広場周辺の未利用の残地解決に関する陳情
(平成十六年六月九日付託)
  陳情者 調布市
斉藤 民生
 本委員会は、右陳情審査の結果、不採択とすべきものと決定したので報告します。
  平成十六年九月十五日
都市整備委員長 相川  博
 東京都議会議長 内田  茂殿

○議長(内田茂君) 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、委員会の報告のとおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(内田茂君) 起立多数と認めます。よって、本件は、委員会の報告のとおり決定いたしました。

○議長(内田茂君) 追加日程第七、一六第四〇号、都市計画道路放射二七号線の整備・計画変更に関する陳情外陳情二件を議題といたします。
 委員会審査報告書は、お手元に配布いたしてあります。
 朗読は省略いたします。

   都市整備委員会陳情審査報告書
一六第四〇号 都市計画道路放射二七号線の整備・計画変更に関する陳情
(平成十六年六月十六日付託)
  陳情者 千代田区
   丸の内食糧株式会社
代表取締役 小川 一夫 外一人
 本委員会は、右陳情審査の結果、左記意見を付して採択の上執行機関に送付し、その処理の経過及び結果の報告を請求すべきものと決定したので報告します。
  平成十六年九月十五日
都市整備委員長 相川  博
 東京都議会議長 内田  茂殿
       記
(意見)
   趣旨にそうよう努力されたい。

   環境・建設委員会陳情審査報告書
一六第四四号 都立武蔵国分寺公園のドッグラン設置計画に関する陳情
(平成十六年六月十六日付託)
  陳情者 国分寺市
   武蔵国分寺公園の環境を考える会
代表 田辺 龍郎
 本委員会は、右陳情審査の結果、不採択とすべきものと決定したので報告します。
  平成十六年九月十六日
環境・建設委員長 鈴木 一光
 東京都議会議長 内田  茂殿

   警察・消防委員会陳情審査報告書
一六第三四号 調布警察署下山谷駐在所の存続に関する陳情
(平成十六年六月九日付託)
  陳情者 調布市
   都営くすのきアパート自治連合会
会員 平井  武
 本委員会は、右陳情審査の結果、不採択とすべきものと決定したので報告します。
  平成十六年九月十五日
警察・消防委員長 服部ゆくお
 東京都議会議長 内田  茂殿

○議長(内田茂君) 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、委員会の報告のとおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(内田茂君) 起立多数と認めます。よって、本件は、委員会の報告のとおり決定いたしました。

○議長(内田茂君) 追加日程第八及び第九、一六第一九号、東京都の聴覚障害教育の改善充実に関する請願外請願四件、陳情二件を一括議題といたします。
 委員会審査報告書は、お手元に配布いたしてあります。
 朗読は省略いたします。

   文教委員会請願審査報告書
一六第一九号 東京都の聴覚障害教育の改善充実に関する請願
(平成十六年六月九日付託)
  請願者 豊島区
   東京都立ろう学校PTA連合会
会長 高山 嘉通
 本委員会は、右請願審査の結果、左記意見を付して採択の上執行機関に送付し、その処理の経過及び結果の報告を請求すべきものと決定したので報告します。
  平成十六年九月三十日
文教委員長 東ひろたか
 東京都議会議長 内田  茂殿
       記
(意見)
   趣旨にそうよう努力されたい。

   厚生委員会請願審査報告書
一六第二〇号 ウイルス肝炎対策の拡充に関する請願
(平成十六年六月九日付託)
  請願者 新宿区
   東京肝臓友の会
会長 中島 小波 外三、九九一人
 本委員会は、右請願審査の結果、左記のとおり決定したので報告します。
  平成十六年九月十六日
厚生委員長 藤井  一
 東京都議会議長 内田  茂殿
       記
◎ 意見を付して採択の上執行機関に送付し、その処理の経過及び結果の報告を請求すべき分
  第一項、第二項
(意見)
   趣旨にそうよう努力されたい。

   環境・建設委員会請願審査報告書
一六第二一号の一 足立区扇一丁目西交差点 の早期改善に関する請願
(平成十六年六月九日付託)
  請願者 足立区
   扇一丁目西交差点対策委員会
代表 田中 栄一 外一、八七八人
 本委員会は、右請願審査の結果、左記のとおり決定したので報告します。
  平成十六年九月十六日
環境・建設委員長 鈴木 一光
 東京都議会議長 内田  茂殿
       記
◎ 意見を付して採択の上執行機関に送付し、その処理の経過及び結果の報告を請求すべき分
  第二項
(意見)
   趣旨にそうよう努力されたい。

   環境・建設委員会請願審査報告書
一六第二六号 江東区新砂一丁目の工業専用地域における土壌汚染の改良に関する請願
(平成十六年六月十六日付託)
  請願者 江東区
河村 憲治 外九人
 本委員会は、右請願審査の結果、左記のとおり決定したので報告します。
  平成十六年九月十六日
環境・建設委員長 鈴木 一光
 東京都議会議長 内田  茂殿
       記
◎ 意見を付して採択の上執行機関に送付し、その処理の経過及び結果の報告を請求すべき分
  第二項、第三項
(意見)
   趣旨にそうよう努力されたい。

   警察・消防委員会請願審査報告書
一六第二一号の二 足立区扇一丁目西交差点 の早期改善に関する請願
(平成十六年六月九日付託)
  請願者 足立区
   扇一丁目西交差点対策委員会
代表 田中 栄一 外一、八七八人
 本委員会は、右請願審査の結果、左記意見を付して採択の上執行機関に送付し、その処理の経過及び結果の報告を請求すべきものと決定したので報告します。
  平成十六年九月十五日
警察・消防委員長 服部ゆくお
 東京都議会議長 内田  茂殿
       記
(意見)
   趣旨にそうよう努力されたい。

   環境・建設委員会陳情審査報告書
一六第四三号 汐先橋交差点周辺地区のアクセス改善に関する陳情
(平成十六年六月十六日付託)
  陳情者 中央区
   築地浜離宮地区自治会
会長 関口 敏幸
 本委員会は、右陳情審査の結果、左記意見を付して採択の上執行機関に送付し、その処理の経過及び結果の報告を請求すべきものと決定したので報告します。
  平成十六年九月十六日
環境・建設委員長 鈴木 一光
 東京都議会議長 内田  茂殿
       記
(意見)
   趣旨にそうよう努力されたい。

   警察・消防委員会陳情審査報告書
一六第三二号 麹町消防署九段出張所の移転に関する陳情
(平成十六年六月九日付託)
  陳情者 千代田区
代表者 橋本 憲典 外一人
 本委員会は、右陳情審査の結果、左記意見を付して採択の上執行機関に送付し、その処理の経過及び結果の報告を請求すべきものと決定したので報告します。
  平成十六年九月十五日
警察・消防委員長 服部ゆくお
 東京都議会議長 内田  茂殿
       記
(意見)
   趣旨にそうよう努力されたい。

○議長(内田茂君) お諮りいたします。
 本件は、いずれも委員会の報告のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、いずれも委員会の報告のとおり決定いたしました。

○議長(内田茂君) 追加日程第十から第十三まで、議員提出議案第十八号、義務教育費国庫負担金の廃止に関する意見書外意見書三件を一括議題といたします。
 案文は、お手元に配布いたしてあります。
 朗読は省略いたします。

議員提出議案第十八号
   義務教育費国庫負担金の廃止に関する意見書
 右の議案を別紙のとおり東京都議会会議規則第十二条の規定により提出します。
  平成十六年十月七日
(提出者)
 谷村 孝彦  東村 邦浩  村上 英子
 秋田 一郎  矢島 千秋  鳩山 太郎
 後藤 雄一  福士 敬子  林  知二
 伊沢けい子  相川  博  山下 太郎
 河野百合恵  長橋 桂一  小磯 善彦
 野上じゅん子 北城 貞治  高橋かずみ
 山加 朱美  小美濃安弘  吉原  修
 山田 忠昭  臼井  孝  林田  武
 柿沢 未途  初鹿 明博  酒井 大史
 清水ひで子  かち佳代子  小松 恭子
 東野 秀平  藤井  一  ともとし春久
 野島 善司  真鍋よしゆき 松原 忠義
 田代ひろし  三宅 茂樹  川井しげお
 鈴木 一光  吉野 利明  こいそ 明
 花輪ともふみ 真木  茂  大津 浩子
 大塚 隆朗  古館 和憲  松村 友昭
 丸茂 勇夫  木内 良明  鈴木貫太郎
 森田 安孝  石川 芳昭  土持 正豊
 倉林 辰雄  遠藤  衛  鈴木あきまさ
 近藤やよい  串田 克巳  中屋 文孝
 三原 將嗣  樺山たかし  田島 和明
 宮崎  章  樋口ゆうこ  中村 明彦
 馬場 裕子  和田 宗春  大山とも子
 東ひろたか  池田 梅夫  中山 秀雄
 大木田 守  前島信次郎  桜井良之助
 新藤 義彦  星野 篤功  いなば真一
 高島なおき  服部ゆくお  古賀 俊昭
 山本賢太郎  立石 晴康  清原錬太郎
 小山 敏雄  大山  均  田中  良
 小林 正則  藤川 隆則  坂口こうじ
 曽根はじめ  渡辺 康信  秋田かくお
 中嶋 義雄  石井 義修  橋本辰二郎
 藤井 富雄  桜井  武  野田 和男
 野村 有信  比留間敏夫  大西 英男
 山崎 孝明  佐藤 裕彦  川島 忠一
 内田  茂  三田 敏哉  田中 晃三
 尾崎 正一  土屋たかゆき 富田 俊正
 名取 憲彦  吉田 信夫  木村 陽治
東京都議会議長 内田  茂殿

   義務教育費国庫負担金の廃止に関する意見書
 国のいわゆる「三位一体改革」は、国の役割を明確にし地方が自立できる仕組みを構築するという地方分権改革の本来の目的を失ったまま、専ら国が示した国庫補助負担金三兆円廃止の枠内での議論が行われている。
 そうした中、とりわけ看過できないのは、義務教育費国庫負担金の削減が、地方六団体の改革案に盛り込まれ、これを前提に検討が進められていることである。
 本来、公教育の根幹をなす義務教育の全国的な水準の確保は、国の責任において行われるべきである。
 義務教育に関する本質的な議論が行われることなく、義務教育費国庫負担金を廃止対象とすることは断じて容認できない。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、我が国の義務教育の水準維持と教育の機会均等を図る観点から、義務教育費国庫負担金の廃止に反対する。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成十六年十月七日
東京都議会議長 内田  茂
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
文部科学大臣 あて

議員提出議案第十九号
   生活保護費国庫負担金の負担率引下げに関する意見書
 右の議案を別紙のとおり東京都議会会議規則第十二条の規定により提出します。
  平成十六年十月七日
(提出者)
 谷村 孝彦  東村 邦浩  村上 英子
 秋田 一郎  矢島 千秋  鳩山 太郎
 後藤 雄一  林  知二  伊沢けい子
 相川  博  山下 太郎  河野百合恵
 長橋 桂一  小磯 善彦  野上じゅん子
 北城 貞治  高橋かずみ  山加 朱美
 小美濃安弘  吉原  修  山田 忠昭
 臼井  孝  林田  武  柿沢 未途
 初鹿 明博  酒井 大史  清水ひで子
 かち佳代子  小松 恭子  東野 秀平
 藤井  一  ともとし春久 野島 善司
 真鍋よしゆき 松原 忠義  田代ひろし
 三宅 茂樹  川井しげお  鈴木 一光
 吉野 利明  こいそ 明  花輪ともふみ
 真木  茂  大津 浩子  大塚 隆朗
 古館 和憲  松村 友昭  丸茂 勇夫
 木内 良明  鈴木貫太郎  森田 安孝
 石川 芳昭  土持 正豊  倉林 辰雄
 遠藤  衛  鈴木あきまさ 近藤やよい
 串田 克巳  中屋 文孝  三原 將嗣
 樺山たかし  田島 和明  宮崎  章
 樋口ゆうこ  中村 明彦  馬場 裕子
 和田 宗春  大山とも子  東ひろたか
 池田 梅夫  中山 秀雄  大木田 守
 前島信次郎  桜井良之助  新藤 義彦
 星野 篤功  いなば真一  高島なおき
 服部ゆくお  古賀 俊昭  山本賢太郎
 立石 晴康  清原錬太郎  小山 敏雄
 大山  均  田中  良  小林 正則
 藤川 隆則  坂口こうじ  曽根はじめ
 渡辺 康信  秋田かくお  中嶋 義雄
 石井 義修  橋本辰二郎  藤井 富雄
 桜井  武  野田 和男  野村 有信
 比留間敏夫  大西 英男  山崎 孝明
 佐藤 裕彦  川島 忠一  内田  茂
 三田 敏哉  田中 晃三  尾崎 正一
 土屋たかゆき 富田 俊正  名取 憲彦
 吉田 信夫  木村 陽治
東京都議会議長 内田  茂殿

   生活保護費国庫負担金の負担率引下げに関する意見書
 政府においては、昨年十二月の「三位一体の改革に関する政府・与党の合意」を踏まえ、現在、生活保護費国庫負担金について、負担率の引下げを含めた見直しを検討しており、平成十七年度から実施することとしている。
 しかしながら、生活保護制度は、憲法第二十五条の理念に基づき、国が自らの責任のもと、国民生活の基盤を支える基礎的な行政サービスとして実施すべきものであり、直接執行するか否かを問わず、その経費は、本来国が、そのすべてを負担すべき性格のものである。
 したがって、負担率の引下げは、国の責任放棄であり、「三位一体改革」に名を借りた地方への一方的な負担転嫁に過ぎないものと言わざるを得ない。
 また、見直しが実施されると、厳しい状況に直面している地方公共団体の財政運営に大きな影響を及ぼすこととなり、断じて容認できない。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、地方分権時代にふさわしい地方財政基盤を確立する観点に立ち、生活保護費国庫負担金の負担率の引下げを行わないよう強く要請する。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成十六年十月七日
東京都議会議長 内田  茂
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
厚生労働大臣 あて

議員提出議案第二十号
   新たな「食料・農業・農村基本計画」の策定に関する意見書
 右の議案を別紙のとおり東京都議会会議規則第十二条の規定により提出します。
  平成十六年十月七日
(提出者)
 谷村 孝彦  東村 邦浩  村上 英子
 秋田 一郎  矢島 千秋  鳩山 太郎
 後藤 雄一  林  知二  伊沢けい子
 相川  博  山下 太郎  河野百合恵
 長橋 桂一  小磯 善彦  野上じゅん子
 北城 貞治  高橋かずみ  山加 朱美
 小美濃安弘  吉原  修  山田 忠昭
 臼井  孝  林田  武  柿沢 未途
 初鹿 明博  酒井 大史  清水ひで子
 かち佳代子  小松 恭子  東野 秀平
 藤井  一  ともとし春久 野島 善司
 真鍋よしゆき 松原 忠義  田代ひろし
 三宅 茂樹  川井しげお  鈴木 一光
 吉野 利明  こいそ 明  花輪ともふみ
 真木  茂  大津 浩子  大塚 隆朗
 古館 和憲  松村 友昭  丸茂 勇夫
 木内 良明  鈴木貫太郎  森田 安孝
 石川 芳昭  土持 正豊  倉林 辰雄
 遠藤  衛  鈴木あきまさ 近藤やよい
 串田 克巳  中屋 文孝  三原 將嗣
 樺山たかし  田島 和明  宮崎  章
 樋口ゆうこ  中村 明彦  馬場 裕子
 和田 宗春  大山とも子  東ひろたか
 池田 梅夫  中山 秀雄  大木田 守
 前島信次郎  桜井良之助  新藤 義彦
 星野 篤功  いなば真一  高島なおき
 服部ゆくお  古賀 俊昭  山本賢太郎
 立石 晴康  清原錬太郎  小山 敏雄
 大山  均  田中  良  小林 正則
 藤川 隆則  坂口こうじ  曽根はじめ
 渡辺 康信  秋田かくお  中嶋 義雄
 石井 義修  橋本辰二郎  藤井 富雄
 桜井  武  野田 和男  野村 有信
 比留間敏夫  大西 英男  山崎 孝明
 佐藤 裕彦  川島 忠一  内田  茂
 三田 敏哉  田中 晃三  尾崎 正一
 土屋たかゆき 富田 俊正  名取 憲彦
 吉田 信夫  木村 陽治
東京都議会議長 内田  茂殿

   新たな「食料・農業・農村基本計画」の策定に関する意見書
 政府は、平成十二年三月に閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」(以下「農業基本計画」という。)について、平成十七年三月に予定されている新たな農業基本計画の策定に向け、現在、作業を進めている。農林水産大臣の諮問機関である「食料・農業・農村政策審議会」は、平成十六年八月に「中間論点整理」を公表し、幅広く国民の意見を求めているところである。この中では、品目横断的な政策への転換、担い手・農地制度の見直し、農業環境・資源保全政策の確立など、一定の方向性が示されているが、東京を始めとする三大都市圏の農業振興についてはほとんど言及されていない。
 農業基本計画の根拠法となっている「食料・農業・農村基本法」では、「都市及びその周辺における農業について、消費地に近い特性を生かし、都市住民の需要に即した農業生産の振興を図る」ことが国の責務であると明記している。食料自給率の向上という国家的課題を達成する上で、大消費圏に最も近い食料生産基地として東京の農業の果たす役割は、ますます重要になっている。さらに、東京の農地は、ヒートアイランド現象の緩和、都市環境の保全、都民の農業とのふれあいなど多面的な機能を持つ貴重な存在である。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、新農業基本計画の策定に当たって、次の事項に取り組むよう強く要請する。
一 東京都を始めとする三大都市圏の農業振興を新農業基本計画の論点に加えるとともに、体系的都市農業政策の構築に向け本格的な検討を行うこと。二 相続税納税猶予制度の維持を前提とした上で、持続可能な農業を目指し、「生産緑地」など都市農地制度・税制を抜本的に見直すこと。
三 認定農業者制度とは別に都市農業独自の「担い手」育成策を国において立案し、実施すること。
四 右の課題に取り組むため、財務省、農林水産省、国土交通省など関係省庁による「都市農業連絡会議」を設置すること。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成十六年十月七日
東京都議会議長 内田  茂
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
農林水産大臣
国土交通大臣 あて

議員提出議案第二十一号
   「犯罪被害者基本法(仮称)」の制定に関する意見書
 右の議案を別紙のとおり東京都議会会議規則第十二条の規定により提出します。
  平成十六年十月七日
(提出者)
 谷村 孝彦  東村 邦浩  村上 英子
 秋田 一郎  矢島 千秋  鳩山 太郎
 後藤 雄一  福士 敬子  林  知二
 新井美沙子  相川  博  山下 太郎
 河野百合恵  長橋 桂一  小磯 善彦
 野上じゅん子 北城 貞治  高橋かずみ
 山加 朱美  小美濃安弘  吉原  修
 山田 忠昭  臼井  孝  林田  武
 山口 文江  柿沢 未途  初鹿 明博
 酒井 大史  清水ひで子  かち佳代子
 小松 恭子  東野 秀平  藤井  一
 ともとし春久 野島 善司  真鍋よしゆき
 松原 忠義  田代ひろし  三宅 茂樹
 川井しげお  鈴木 一光  吉野 利明
 こいそ 明  執印真智子  花輪ともふみ
 真木  茂  大津 浩子  大塚 隆朗
 古館 和憲  松村 友昭  丸茂 勇夫
 木内 良明  鈴木貫太郎  森田 安孝
 石川 芳昭  土持 正豊  倉林 辰雄
 遠藤  衛  鈴木あきまさ 近藤やよい
 串田 克巳  中屋 文孝  三原 將嗣
 樺山たかし  田島 和明  宮崎  章
 大西由紀子  樋口ゆうこ  中村 明彦
 馬場 裕子  和田 宗春  大山とも子
 東ひろたか  池田 梅夫  中山 秀雄
 大木田 守  前島信次郎  桜井良之助
 新藤 義彦  星野 篤功  いなば真一
 高島なおき  服部ゆくお  古賀 俊昭
 山本賢太郎  立石 晴康  清原錬太郎
 小山 敏雄  大山  均  大河原雅子
 田中  良  小林 正則  藤川 隆則
 坂口こうじ  曽根はじめ  渡辺 康信
 秋田かくお  中嶋 義雄  石井 義修
 橋本辰二郎  藤井 富雄  桜井  武
 野田 和男  野村 有信  比留間敏夫
 大西 英男  山崎 孝明  佐藤 裕彦
 川島 忠一  内田  茂  三田 敏哉
 田中 晃三  藤田 愛子  尾崎 正一
 土屋たかゆき 富田 俊正  名取 憲彦
 吉田 信夫  木村 陽治
東京都議会議長 内田  茂殿

   「犯罪被害者基本法(仮称)」の制定に関する意見書
 近年、全国的に犯罪が凶悪・悪質化し、一般市民を巻き込んだ忌まわしい事件が多発している。こうした中で、数多くの犯罪被害者等は大きな精神的苦痛や経済的損失を被っている。ところが、犯罪被害者等に対する救済・支援措置等や人権保護は不十分な実態にあり、犯罪加害者に比べ著しく公平性を欠いている。
 このような犯罪被害者等の立場や国民の議論を受けて、国は、平成十二年に犯罪被害者保護関連二法を制定し、十三年には犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律を改正するなどの法整備を行い、犯罪被害者等の権利について一定の前進が見られたところである。しかしながら、施策は個別的なものにとどまり、犯罪被害者等が望む継続した支援や刑事手続上の地位の確立などを含む総合的な施策は実現されていない。
 現在の犯罪情勢においては、国民の誰もが犯罪の被害者になり得る状況にあることから、国は国民保護の観点から犯罪被害者等の権利の確立や、精神的・経済的支援等について、十分な責任を果たすべきである。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、犯罪被害者等が受けた被害の回復と社会復帰等が円滑に行われるよう、「犯罪被害者基本法(仮称)」を早急に制定し、法制上及び財政上その他必要な措置を講ずることを強く要請する。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成十六年十月七日
東京都議会議長 内田  茂
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
法務大臣
国家公安委員会委員長
警察庁長官 あて

○六十七番(近藤やよい君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議員提出議案第十八号外三議案については、原案のとおり決定されることを望みます。

○議長(内田茂君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、議員提出議案第十八号外三議案については、原案のとおり可決されました。

○議長(内田茂君) 追加日程第十四、議員提出議案第二十三号、三十人学級の実現に関する意見書を議題といたします。
 案文は、お手元に配布いたしてあります。
 朗読は省略いたします。

議員提出議案第二十三号
   三十人学級の実現に関する意見書
 右の議案を別紙のとおり東京都議会会議規則第十二条の規定により提出します。
  平成十六年十月七日
(提出者)
 伊沢けい子  河野百合恵  清水ひで子
 かち佳代子  小松 恭子  古館 和憲
 松村 友昭  丸茂 勇夫  大山とも子
 東ひろたか  池田 梅夫  曽根はじめ
 渡辺 康信  秋田かくお  吉田 信夫
 木村 陽治
東京都議会議長 内田  茂殿

   三十人学級の実現に関する意見書
 学校における子ども達のいじめ・トラブルや学級崩壊、不登校などを解決し、行き届いた教育を目指して、平成十六年度までに四十二道府県が三十人など少人数学級制度に踏み出し、平成十七年度には四十四道府県に広がろうとしている。実施道府県では、不登校や欠席が減り、「落ち着いて学習できる」など、その大きな成果が明らかになっている。
 文部科学省は、全国の動きにこたえて平成十六年九月三日、「指導方法工夫改善」の教員加配定数を来年度基礎定数化し、少人数学級に自由に活用できるとの事務連絡を行ったところである。
 しかし、少人数学級に要する追加的経費は、地方自治体の負担とされており、地方自治体にとって重い負担となっている。本来、公立学校の学級定数の改善は、国の責任であり、標準定数を四十人に改善して以来、二十四年を経過した今、その改善は急務となっている。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、次の事項を速やかに実現するよう強く要請する。
一 国の責任において三十人学級への移行を 直ちに開始し、計画的に小、中、高等学校 で全面実施を図ること。
二 少人数学級を実施する都道府県、区市町 村に対し、教職員配置などに対する補助を 行うこと。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成十六年十月七日
東京都議会議長 内田  茂
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
文部科学大臣 あて

○議長(内田茂君) 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(内田茂君) 起立少数と認めます。よって、本案は、否決されました。

○議長(内田茂君) 追加日程第十五、議員提出議案第二十四号、道路特定財源の地方譲与税化に反対し、特定財源として堅持することに関する意見書を議題といたします。
 案文は、お手元に配布いたしてあります。
 朗読は省略いたします。

議員提出議案第二十四号
   道路特定財源の地方譲与税化に反対し、特定財源として堅持することに関する意見書
 右の議案を別紙のとおり東京都議会会議規則第十二条の規定により提出します。
  平成十六年十月七日
(提出者)
 谷村 孝彦  東村 邦浩  村上 英子
 秋田 一郎  矢島 千秋  鳩山 太郎
 林  知二  相川  博  山下 太郎
 長橋 桂一  小磯 善彦  野上じゅん子
 北城 貞治  高橋かずみ  山加 朱美
 小美濃安弘  吉原  修  山田 忠昭
 臼井  孝  林田  武  柿沢 未途
 初鹿 明博  酒井 大史  東野 秀平
 藤井  一  ともとし春久 野島 善司
 真鍋よしゆき 松原 忠義  田代ひろし
 三宅 茂樹  川井しげお  鈴木 一光
 吉野 利明  こいそ 明  花輪ともふみ
 真木  茂  大津 浩子  大塚 隆朗
 木内 良明  鈴木貫太郎  森田 安孝
 石川 芳昭  土持 正豊  倉林 辰雄
 遠藤  衛  鈴木あきまさ 近藤やよい
 串田 克巳  中屋 文孝  三原 將嗣
 樺山たかし  田島 和明  宮崎  章
 樋口ゆうこ  中村 明彦  馬場 裕子
 和田 宗春  中山 秀雄  大木田 守
 前島信次郎  桜井良之助  新藤 義彦
 星野 篤功  いなば真一  高島なおき
 服部ゆくお  古賀 俊昭  山本賢太郎
 立石 晴康  清原錬太郎  小山 敏雄
 大山  均  田中  良  小林 正則
 藤川 隆則  坂口こうじ  中嶋 義雄
 石井 義修  橋本辰二郎  藤井 富雄
 桜井  武  野田 和男  野村 有信
 比留間敏夫  大西 英男  山崎 孝明
 佐藤 裕彦  川島 忠一  内田  茂
 三田 敏哉  田中 晃三  尾崎 正一
 土屋たかゆき 富田 俊正  名取 憲彦
東京都議会議長 内田  茂殿

   道路特定財源の地方譲与税化に反対し、特定財源として堅持することに関する意見書
 首都圏には、全国の物流の約三割が集中しており、そのほとんどを自動車交通が担っている。しかし、首都圏の道路ネットワークはいまだ十分なものとはいえず、交通渋滞による損失額は年間二兆八千億円にも達する。これを解消するためには、首都圏三環状道路(圏央道・外かん道・中央環状線)を始め、環状八号線や調布保谷線等の骨格幹線道路の早期整備が急務であり、その実現には財源の確保が極めて重要である。
 国は、道路特定財源を確保するため、昭和四十九年四月、揮発油税の税率に暫定税率を適用し、本則の二倍とするなど、道路特定財源に本則の一・二倍から二・五倍の暫定税率を適用してきた。平成十五年度にはこの措置を更に五年間延長した。
 しかし、「三位一体改革」における三兆円の税源移譲とあわせて、これまで議論されている道路特定財源の地方譲与税化は、道路の面積や延長を基準とした機械的な配分につながる可能性がある。こうした配分方法は、緊急性や必要性の高い首都圏の道路整備を困難にさせるばかりでなく、道路特定財源が目的税として機能しなくなることにつながるものであり、断じて容認できない。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、道路整備により首都圏を活性化し、豊かな都民生活を実現する観点から、次の事項を強く要請する。
一 道路特定財源を地方譲与税化することなく、都市再生・地方再生に資する道路整備は、国が引き続き責任を持って重点的に補助すること。
二 道路特定財源を特定財源として堅持し、その目的にのっとり、使途拡大を含め全額を道路整備に充当すること。
三 道路特定財源の配分に当たっては、首都 圏の交通渋滞の解消に向けた道路整備を一層推進するため、受益者負担の原則にのっとり、ガソリン売上げの額に応じたものとすること。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成十六年十月七日
東京都議会議長 内田  茂
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
国土交通大臣
行政改革担当大臣 あて

○議長(内田茂君) 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(内田茂君) 起立多数と認めます。よって、本案は、原案のとおり可決されました。

○議長(内田茂君) 追加日程第十六、議員提出議案第二十五号、郵政事業の民営化に関する意見書を議題といたします。
 案文は、お手元に配布いたしてあります。
 朗読は省略いたします。

議員提出議案第二十五号
   郵政事業の民営化に関する意見書
 右の議案を別紙のとおり東京都議会会議規則第十二条の規定により提出します。
  平成十六年十月七日
(提出者)
 谷村 孝彦  東村 邦浩  村上 英子
 秋田 一郎  矢島 千秋  鳩山 太郎
 林  知二  相川  博  山下 太郎
 長橋 桂一  小磯 善彦  野上じゅん子
 北城 貞治  高橋かずみ  山加 朱美
 小美濃安弘  吉原  修  山田 忠昭
 臼井  孝  林田  武  柿沢 未途
 初鹿 明博  酒井 大史  東野 秀平
 藤井  一  ともとし春久 野島 善司
 真鍋よしゆき 松原 忠義  田代ひろし
 三宅 茂樹  川井しげお  鈴木 一光
 吉野 利明  こいそ 明  花輪ともふみ
 真木  茂  大津 浩子  大塚 隆朗
 木内 良明  鈴木貫太郎  森田 安孝
 石川 芳昭  土持 正豊  倉林 辰雄
 遠藤  衛  鈴木あきまさ 近藤やよい
 串田 克巳  中屋 文孝  三原 將嗣
 樺山たかし  田島 和明  宮崎  章
 樋口ゆうこ  中村 明彦  馬場 裕子
 和田 宗春  中山 秀雄  大木田 守
 前島信次郎  桜井良之助  新藤 義彦
 星野 篤功  いなば真一  高島なおき
 服部ゆくお  古賀 俊昭  山本賢太郎
 立石 晴康  清原錬太郎  小山 敏雄
 大山  均  田中  良  小林 正則
 藤川 隆則  坂口こうじ  中嶋 義雄
 石井 義修  橋本辰二郎  藤井 富雄
 桜井  武  野田 和男  野村 有信
 比留間敏夫  大西 英男  山崎 孝明
 佐藤 裕彦  川島 忠一  内田  茂
 三田 敏哉  田中 晃三  尾崎 正一
 土屋たかゆき 富田 俊正  名取 憲彦
東京都議会議長 内田  茂殿

   郵政事業の民営化に関する意見書
 政府は、構造改革の中心課題として、郵政事業の民営化に向けた検討を行っている。
 郵政事業は、国民生活に深く根を下ろしており、その影響は広範囲に及ぶことから、民営化については慎重に対処する必要がある。
 郵政事業は、現在、国営の公社として全国約二万四千七百の郵便局を通じて、郵便、貯金、保険の三事業を公的サービスとして全国に公平に提供し、さらに、各自治体との連携により住民票や納税証明書等の交付事務を行うなど、創業以来国民生活の安定向上と福祉の増進に大きく寄与している。とりわけ、郵便事業は、公共性の高い事業であるため、採算性を重視した民間へ移管されると、収益性の高い都市部に事業が集中し、都市部と山間部や島しょ等の不採算地域との間で料金格差が生じ、全国均一料金制度を維持することは極めて困難となり、その結果、地域住民の生活に大きな支障を及ぼすことが懸念される。
 こうした状況を踏まえ、マスコミによるアンケート等においても郵政事業民営化に疑問を呈する考えや意見が多い。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、これら郵政事業の果たす公共的・社会的役割の重要性を考慮し、民意を十分反映し民営化を拙速に進めることのないよう強く要請する。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成十六年十月七日
東京都議会議長 内田  茂
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
金融担当大臣
経済財政政策担当大臣
郵政民営化担当大臣
行政改革担当大臣 あて

○議長(内田茂君) 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(内田茂君) 起立多数と認めます。よって、本案は、原案のとおり可決されました。

○議長(内田茂君) 追加日程第十七、議員提出議案第二十六号、地方分権改革の一層の推進に関する意見書を議題といたします。
 案文は、お手元に配布いたしてあります。
 朗読は省略いたします。

議員提出議案第二十六号
   地方分権改革の一層の推進に関する意見書
 右の議案を別紙のとおり東京都議会会議規則第十二条の規定により提出します。
  平成十六年十月七日
(提出者)
 谷村 孝彦  東村 邦浩  村上 英子
 秋田 一郎  矢島 千秋  鳩山 太郎
 林  知二  相川  博  山下 太郎
 長橋 桂一  小磯 善彦  野上じゅん子
 北城 貞治  高橋かずみ  山加 朱美
 小美濃安弘  吉原  修  山田 忠昭
 臼井  孝  林田  武  柿沢 未途
 初鹿 明博  酒井 大史  東野 秀平
 藤井  一  ともとし春久 野島 善司
 真鍋よしゆき 松原 忠義  田代ひろし
 三宅 茂樹  川井しげお  鈴木 一光
 吉野 利明  こいそ 明  花輪ともふみ
 真木  茂  大津 浩子  大塚 隆朗
 木内 良明  鈴木貫太郎  森田 安孝
 石川 芳昭  土持 正豊  倉林 辰雄
 遠藤  衛  鈴木あきまさ 近藤やよい
 串田 克巳  中屋 文孝  三原 將嗣
 樺山たかし  田島 和明  宮崎  章
 樋口ゆうこ  中村 明彦  馬場 裕子
 和田 宗春  中山 秀雄  大木田 守
 前島信次郎  桜井良之助  新藤 義彦
 星野 篤功  いなば真一  高島なおき
 服部ゆくお  古賀 俊昭  山本賢太郎
 立石 晴康  清原錬太郎  小山 敏雄
 大山  均  田中  良  小林 正則
 藤川 隆則  坂口こうじ  中嶋 義雄
 石井 義修  橋本辰二郎  藤井 富雄
 桜井  武  野田 和男  野村 有信
 比留間敏夫  大西 英男  山崎 孝明
 佐藤 裕彦  川島 忠一  内田  茂
 三田 敏哉  田中 晃三  尾崎 正一
 土屋たかゆき 富田 俊正  名取 憲彦
東京都議会議長 内田  茂殿

   地方分権改革の一層の推進に関する意見書
 国においては、十一月半ばを目途に、いわゆる「三位一体改革」の全体像を示すこととしている。地方六団体の国庫補助負担金改革案が国に提出されたことで、国と地方の協議が開始されるなど、地方分権改革はいよいよ正念場を迎えている。
 しかし、地方六団体が提出した改革案は、専ら税源移譲の獲得を第一義として、国が示した三兆円の枠内での数字合わせに終始している。また、国の取組も、改革の本旨を忘れ、関係省庁による権限、財源争いが繰り返されている。
 本来、地方分権改革とは、地方自治体が自主的・自立的な行財政運営を行い、より住民に身近なところで、住民の意向に沿った施策を行うことを可能とするものでなければならない。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、改革の本旨に立ち返り、抜本的な改革に取り組み、次の事項を実現するよう強く要請する。
一 真の地方分権改革を実現するため、国と地方の役割分担を根本的に見直すとともに、国自らの行政改革を徹底して行うこと。
二 その上で、地方自治体が自立し自己責任を基本に地方の知恵と力が発揮できるよう、基幹税による税源移譲を行い、これと一体で地方交付税制度を抜本的に見直すこと。
三 国の責務である基礎的行政サービス等についてはその経費を全額国負担とし、国庫補助負担金を廃止すること。
四 こうした地方行財政制度の見直しに当たっては、我が国の発展をけん引している大都市圏の自治体について、その役割が十分に果たせるよう配慮すること。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成十六年十月七日
東京都議会議長 内田  茂
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
経済産業大臣
経済財政政策担当大臣 あて

○議長(内田茂君) 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(内田茂君) 起立多数と認めます。よって、本案は、原案のとおり可決されました。

○議長(内田茂君) 追加日程第十八、議員提出議案第二十七号、台湾からの観光客に対する査証免除に関する意見書を議題といたします。
 案文は、お手元に配布いたしてあります。
 朗読は省略いたします。

議員提出議案第二十七号
   台湾からの観光客に対する査証免除に関する意見書
 右の議案を別紙のとおり東京都議会会議規則第十二条の規定により提出します。
  平成十六年十月七日
(提出者)
 谷村 孝彦  東村 邦浩  村上 英子
 秋田 一郎  矢島 千秋  鳩山 太郎
 後藤 雄一  林  知二  相川  博
 山下 太郎  長橋 桂一  小磯 善彦
 野上じゅん子 北城 貞治  高橋かずみ
 山加 朱美  小美濃安弘  吉原  修
 山田 忠昭  臼井  孝  林田  武
 柿沢 未途  初鹿 明博  酒井 大史
 東野 秀平  藤井  一  ともとし春久
 野島 善司  真鍋よしゆき 松原 忠義
 田代ひろし  三宅 茂樹  川井しげお
 鈴木 一光  吉野 利明  こいそ 明
 花輪ともふみ 真木  茂  大津 浩子
 大塚 隆朗  木内 良明  鈴木貫太郎
 森田 安孝  石川 芳昭  土持 正豊
 倉林 辰雄  遠藤  衛  鈴木あきまさ
 近藤やよい  串田 克巳  中屋 文孝
 三原 將嗣  樺山たかし  田島 和明
 宮崎  章  樋口ゆうこ  中村 明彦
 馬場 裕子  和田 宗春  中山 秀雄
 大木田 守  前島信次郎  桜井良之助
 新藤 義彦  星野 篤功  いなば真一
 高島なおき  服部ゆくお  古賀 俊昭
 山本賢太郎  立石 晴康  清原錬太郎
 小山 敏雄  大山  均  田中  良
 小林 正則  藤川 隆則  坂口こうじ
 中嶋 義雄  石井 義修  橋本辰二郎
 藤井 富雄  桜井  武  野田 和男
 野村 有信  比留間敏夫  大西 英男
 山崎 孝明  佐藤 裕彦  川島 忠一
 内田  茂  三田 敏哉  田中 晃三
 尾崎 正一  土屋たかゆき 富田 俊正
 名取 憲彦
東京都議会議長 内田  茂殿

   台湾からの観光客に対する査証免除に関する意見書
 政府は、平成十五年七月に「観光立国行動計画」を策定し、「日本を訪れる外国人旅行者を二〇一〇年に倍増させること」を目標として掲げたところである。
 「観光立国行動計画」には、観光立国に向けた環境整備の一環として、査証取得の負担を軽減することが盛り込まれた。これを受けて、平成十六年四月からは香港のパスポート保持者に対して九十日以内の査証免除が認められ、七月には小泉首相が日韓首脳会談で、韓国人に対する恒久的な観光目的査証免除を検討する考えを明らかにした。このような政府の措置は、双方の経済交流と観光を促進したいとの思いからである。
 しかしながら、アジアの中で台湾については、貿易・経済・技術・文化などの面ではとりわけ交流が深いにもかかわらず、日本を訪れる場合には査証取得が義務付けられている。
 日本を訪れる外国人のうち、台湾からの観光客は韓国に次いで二番目に多く、また、不法就労により退去強制手続を執った外国人のうち、台湾の不法就労者の割合は極めて低い状況となっている。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、台湾からの観光客を誘致するため、また、台湾との交流を深めるため、香港・韓国と同様に、台湾からの観光客に対する査証を免除するよう強く要請する。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成十六年十月七日
東京都議会議長 内田  茂
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
法務大臣
外務大臣
国土交通大臣 あて

○議長(内田茂君) 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(内田茂君) 起立多数と認めます。よって、本案は、原案のとおり可決されました。

○議長(内田茂君) 追加日程第十九、議員提出議案第二十二号、警視庁警察官の増員に関する意見書を議題といたします。
 案文は、お手元に配布いたしてあります。
 朗読は省略いたします。

議員提出議案第二十二号
   警視庁警察官の増員に関する意見書
 右の議案を別紙のとおり東京都議会会議規則第十二条の規定により提出します。
  平成十六年十月七日
(提出者)
 谷村 孝彦  東村 邦浩  村上 英子
 秋田 一郎  矢島 千秋  鳩山 太郎
 後藤 雄一  林  知二  相川  博
 山下 太郎  河野百合恵  長橋 桂一
 小磯 善彦  野上じゅん子 北城 貞治
 高橋かずみ  山加 朱美  小美濃安弘
 吉原  修  山田 忠昭  臼井  孝
 林田  武  柿沢 未途  初鹿 明博
 酒井 大史  清水ひで子  かち佳代子
 小松 恭子  東野 秀平  藤井  一
 ともとし春久 野島 善司  真鍋よしゆき
 松原 忠義  田代ひろし  三宅 茂樹
 川井しげお  鈴木 一光  吉野 利明
 こいそ 明  花輪ともふみ 真木  茂
 大津 浩子  大塚 隆朗  古館 和憲
 松村 友昭  丸茂 勇夫  木内 良明
 鈴木貫太郎  森田 安孝  石川 芳昭
 土持 正豊  倉林 辰雄  遠藤  衛
 鈴木あきまさ 近藤やよい  串田 克巳
 中屋 文孝  三原 將嗣  樺山たかし
 田島 和明  宮崎  章  樋口ゆうこ
 中村 明彦  馬場 裕子  和田 宗春
 大山とも子  東ひろたか  池田 梅夫
 中山 秀雄  大木田 守  前島信次郎
 桜井良之助  新藤 義彦  星野 篤功
 いなば真一  高島なおき  服部ゆくお
 古賀 俊昭  山本賢太郎  立石 晴康
 清原錬太郎  小山 敏雄  大山  均
 田中  良  小林 正則  藤川 隆則
 坂口こうじ  曽根はじめ  渡辺 康信
 秋田かくお  中嶋 義雄  石井 義修
 橋本辰二郎  藤井 富雄  桜井  武
 野田 和男  野村 有信  比留間敏夫
 大西 英男  山崎 孝明  佐藤 裕彦
 川島 忠一  内田  茂  三田 敏哉
 田中 晃三  尾崎 正一  土屋たかゆき
 富田 俊正  名取 憲彦  吉田 信夫
 木村 陽治
東京都議会議長 内田  茂殿

   警視庁警察官の増員に関する意見書
 昨年は、治安の悪化を受け、警視庁が推進した「街頭・侵入犯罪抑止総合対策」の諸施策を始め、東京都、東京都議会、地域住民等が一体となり、安全で安心なまちづくりに取り組んだ結果、都内における刑法犯の認知件数は、平成九年以降初めて減少に転じ、また、平成七年以降下降していた検挙率が上昇に転ずるなど、犯罪の抑止について一定の効果が認められたところである。
 しかしながら、昨年の刑法犯認知件数は約二十九万九千件と、依然として高い水準にある。特に、都民の身近で発生するひったくりや侵入盗を始め、殺人や強盗など、都民に著しい不安感を与える多くの犯罪が多発しているほか、いわゆる「オレオレ詐欺」や「架空請求詐欺」等の急増など、新たな手口の悪質な犯罪が次々に出現している。
 とりわけ、新宿歌舞伎町に代表される都内の盛り場には、ここから得られる様々な利益を目的に、暴力団や国際犯罪組織が深く根を下ろし、凶悪犯罪発生の温床になるなど、極度に環境が悪化している。これら大規模繁華街に対して施策を総合的に推進し、安全で安心して過ごせる盛り場環境を維持し、平穏な都民生活と治安を確保する体制を確立することが喫緊の課題である。このため、都内における警察事象は複雑多様化を極め、警視庁の業務負担は著しく増大している。
 また、事件・事故その他各種の取扱いの急増等により、交番の勤務員が不在がちになって、都民の不安感が高まっていることから、「空き交番」の解消を含めた交番機能の強化は、都民の安全と安心を確保する上で、不可欠な要素となっている。
 さらに、警視庁は、皇居、国会及び総理官邸等、国の重要施設の警備、皇室及び政府・外国人要人等の警衛・警護等、東京都に特有の首都機能を確保するためにも、恒常的に警察力を投入すべき特殊事情がある。
 一方、警察官の増員については、警察庁の全国警察官増員計画の下で、平成十四年度から十六年度までの三年間に全国で増員された一万一千六百五十人のうち、警視庁には五百八十人の増員が認められたものの、警視庁の業務負担を考えると到底十分とは言えない。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、政治、経済、文化の中心である首都東京の治安を維持し、都民生活の安全と安心を確保していくため、緊急に現場警察官を中心として警視庁警察官の増員を図るとともに、首都警備も含め必要な財源措置を講ずるよう強く要請する。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成十六年十月七日
東京都議会議長 内田  茂
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
国家公安委員会委員長
警察庁長官 あて

○議長(内田茂君) 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(内田茂君) 起立多数と認めます。よって、本案は、原案のとおり可決されました。

○議長(内田茂君) 追加日程第二十、常任委員の選任を行います。
 お諮りいたします。
 常任委員の選任については、委員会条例第五条第一項の規定により、議長から、お手元に配布いたしてあります常任委員名簿のとおり指名いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、常任委員は、お手元の常任委員名簿のとおり選任することに決定いたしました。

   東京都議会常任委員名簿
総務委員会
 吉原  修君(自)    真鍋よしゆき君(自)
 古館 和憲君(共)    中屋 文孝君(自)
 樺山たかし君(自)    中村 明彦君(民)
 桜井良之助君(公)    服部ゆくお君(自)
 藤川 隆則君(民)    坂口こうじ君(民)
 中嶋 義雄君(公)    藤田 愛子君(ネ)
 吉田 信夫君(共)
財政委員会
 東村 邦浩君(公)    秋田 一郎君(自)
 鳩山 太郎君(無(友)) 山下 太郎君(民)
 酒井 大史君(民)    鈴木 一光君(自)
 執印真智子君(ネ)    松村 友昭君(共)
 森田 安孝君(公)    倉林 辰雄君(自)
 新藤 義彦君(自)    桜井  武君(自)
文教委員会
 村上 英子君(自)    福士 敬子君(無(市))
 野上じゅん子君(公)   臼井  孝君(自)
 山口 文江君(ネ)    花輪ともふみ君(民)
 石川 芳昭君(公)    遠藤  衛君(自)
 池田 梅夫君(共)    古賀 俊昭君(自)
 山本賢太郎君(自)    小林 正則君(民)
 比留間敏夫君(自)    木村 陽治君(共)
都市整備委員会
 矢島 千秋君(自)    新井美沙子君(ネ)
 相川  博君(民)    長橋 桂一君(公)
 東野 秀平君(公)    川井しげお君(自)
 吉野 利明君(自)    樋口ゆうこ君(民)
 和田 宗春君(民)    いなば真一君(自)
 立石 晴康君(自)    曽根はじめ君(共)
 渡辺 康信君(共)    大西 英男君(自)
厚生委員会
 山加 朱美君(自)    小美濃安弘君(自)
 初鹿 明博君(民)    かち佳代子君(共)
 藤井  一君(公)    田代ひろし君(自)
 鈴木あきまさ君(自)   馬場 裕子君(民)
 大山とも子君(共)    前島信次郎君(公)
 大河原雅子君(ネ)    野村 有信君(自)
 佐藤 裕彦君(自)
経済・港湾委員会
 谷村 孝彦君(公)    山田 忠昭君(自)
 柿沢 未途君(民)    清水ひで子君(共)
 ともとし春久君(公)   野島 善司君(自)
 松原 忠義君(自)    三宅 茂樹君(自)
 大津 浩子君(民)    丸茂 勇夫君(共)
 鈴木貫太郎君(公)    山崎 孝明君(自)
 川島 忠一君(自)
環境・建設委員会
 伊沢けい子君(無(し)) 河野百合恵君(共)
 小磯 善彦君(公)    北城 貞治君(自)
 高橋かずみ君(自)    林田  武君(自)
 小松 恭子君(共)    真木  茂君(民)
 大塚 隆朗君(民)    木内 良明君(公)
 三原 將嗣君(自)    宮崎  章君(自)
 大西由紀子君(ネ)    星野 篤功君(自)
公営企業委員会
 後藤 雄一君(無(行)) 林  知二君(無(と))
 土持 正豊君(公)    近藤やよい君(自)
 串田 克巳君(自)    東ひろたか君(共)
 中山 秀雄君(公)    大木田 守君(公)
 高島なおき君(自)    小山 敏雄君(自)
 田中  良君(民)    野田 和男君(自)
 三田 敏哉君(自)    富田 俊正君(民)
警察・消防委員会
 こいそ 明君(自)    田島 和明君(自)
 清原錬太郎君(自)    大山  均君(自)
 秋田かくお君(共)    石井 義修君(公)
 橋本辰二郎君(公)    藤井 富雄君(公)
 内田  茂君(自)    田中 晃三君(自)
 尾崎 正一君(民)    土屋たかゆき君(民)
 名取 憲彦君(民)

○議長(内田茂君) なお、本日の本会議終了後、役員互選のため、お手元配布のとおり各常任委員会を招集いたしますので、ご了承願います。

○議長(内田茂君) この際、継続審査について申し上げます。
 平成十五年度各会計決算特別委員長及び平成十五年度公営企業会計決算特別委員長より、委員会において審査中の案件について、会議規則第六十六条の規定により、閉会中の継続審査の申し出があります。
 申出書の朗読は省略いたします。

平成十六年九月二十九日
平成十五年度各会計決算特別委員長
宮崎  章
 東京都議会議長 内田  茂殿
   平成十五年度各会計決算特別委員会継続審査申出書
 本委員会は、平成十六年九月二十九日付託された左記決算を審査中であるが、今会期中に審査を結了することが困難であるため、閉会中もなお継続審査を要するものと決定したので、会議規則第六十六条の規定により申し出ます。
       記
 平成十五年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について

平成十六年九月二十九日
平成十五年度公営企業会計決算特別委員長
馬場 裕子
 東京都議会議長 内田  茂殿
   平成十五年度公営企業会計決算特別委員会継続審査申出書
 本委員会は、平成十六年九月二十九日付託された左記決算を審査中であるが、今会期中に審査を結了することが困難であるため、閉会中もなお継続審査を要するものと決定したので、会議規則第六十六条の規定により申し出ます。
       記
 平成十五年度東京都公営企業各会計決算の認定について

○議長(内田茂君) お諮りいたします。
 本件は、申し出のとおり閉会中の継続審査に付することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、申し出のとおり、それぞれ閉会中の継続審査に付することに決定いたしました。

○議長(内田茂君) 請願及び陳情の付託について申し上げます。
 本日までに受理いたしました請願三十四件及び陳情十七件は、お手元に配布の請願・陳情付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
(別冊参照)

○議長(内田茂君) お諮りいたします。
 ただいま常任委員会に付託いたしました請願及び陳情は、お手元に配布いたしました委員会からの申し出の請願・陳情継続審査件名表の分とあわせ、閉会中の継続審査に付したいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、本件請願及び陳情は、いずれも閉会中の継続審査に付することに決定いたしました。
(別冊参照)

○議長(内田茂君) 次に、各常任委員会及び議会運営委員会の所管事務について、閉会中の継続調査の申し出があります。
 本件は、お手元に配布の特定事件継続調査事項表のとおり、閉会中の継続調査に付したいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、閉会中の継続調査に付することに決定いたしました。
(別冊参照)

○議長(内田茂君) 以上をもって本日の日程は全部議了いたしました。
 会議を閉じます。
 これをもって平成十六年第三回東京都議会定例会を閉会いたします。
   午後二時十三分閉議・閉会


行財政改革基本問題特別委員会調査報告書

 本委員会は、平成13年10月5日に付託された、東京の将来像を展望し、社会・経済情勢の変化に柔軟に対応する都政を実現するため、行財政改革の基本的事項について、総合的に調査・検討してきたが、平成16年9月22日に本課題の調査を終了したので報告する。

 平成16年9月22日
  行財政改革基本問題特別委員長 山本賢太郎

 東京都議会議長 内田茂殿

目次

Ⅰ本委員会の設置

Ⅱ今後の行財政改革の方向性
 1 自治制度改革の必要性
 2 国と自治体の新しい在り方
 (1)国の責務の明確化
 (2)自立した地方税財政制度の確立
 (3)広域自治体と基礎自治体の在り方
 3 大都市行政の充実強化
 (1)都制度の沿革及び課題
 (2)大都市行政の新たな方向性
 (3)特別区の統合・再編
 (4)都区財政調整制度の在り方
 4 首都圏全体を見据えた広域行政の在り方
 (1)広域的課題の深刻化と自治体間連携
 (2)八都県市首脳会議による取組
 (3)広域行政に係わる制度論議の展望
 5 結び

Ⅲ 参考資料
 1 委員及び役員
 2 調査・検討の方法と経過
 (1)調査・検討の方法
 (2)調査・検討の経過
 3 調査・検討の状況
 (1)自治制度改革の必要性
 (2)国と地方、大都市と地方の関係
 (3)広域自治体と基礎自治体
 (4)大都市行政(都と特別区)
 (5)広域行政
 (6)その他の行財政改革
 (7)参考人からの意見聴取
 4 提出資料一覧
 5 行財政改革等に関する国の動き

Ⅰ 本委員会の設置
 本委員会は、都議会として、真に都民本位の行財政改革の在り方に関する基本的方向を明示し、東京の将来像を展望し、社会・経済情勢の変化に柔軟に対応する都政を実現するため、行財政改革の基本的事項について調査・検討することを目的として、平成13年10月5日の平成13年第三回定例会本会議において、谷村孝彦君外126名の動議により、下記要綱のとおり設置された。

行財政改革基本問題特別委員会設置要綱
1 名称     行財政改革基本問題特別委員会とする。
2 設置の根拠  地方自治法第110条及び東京都議会委員会条例第4条による。
3 目的     東京の将来像を展望し、社会・経済情勢の変化に柔軟に対応する都政を実現するため、行財政改革の基本的事項について、調査・検討する。
4 委員会の組織 委員の定数は、23名とし、委員長1名、副委員長3名及び理事5名を置く。

 本委員会は、第15期都議会議員による「行財政改革基本問題特別委員会」の調査・検討結果の中間報告を踏まえ、平成13年10月5日に、「東京の将来像を展望し、社会・経済情勢の変化に柔軟に対応する都政を実現するため、行財政改革の基本的事項について調査・検討する」という目的で設置され、都が行うべき行財政改革の基本的事項についての調査・検討に取り組んできた。
 これまで、財政危機など都政が直面する困難な状況に緊急の対応を図る必要から、都政の「第一次行革」として、直ちに取り組むべき当面の改革についての審議を優先させ、その議論の成果は「都庁改革アクションプラン」(平成12年12月)に結実させた。これに基づく都庁の内部改革については、既に具体的な取組が進められており、今後も引き続き、執行機関がその権限の範囲内で責任を持って着実に推進していくことを期待する。
 一方、本委員会が設置当初から念頭においてきたことは、本来、行政改革とは、まず都政百年の計ともいうべき21世紀のグランドデザインを描くことを出発点として、取り組まれるべきものであるということである。
 平成13年10月に再スタートを切った本委員会では、このような認識の下に、「第二次行革」として、首都圏全体を視野に入れ、自治制度の根本に遡り中長期的な視点から都政のあるべき姿、都政の果たすべき役割について検討を行うこととした。以来約3年間にわたり、開催ごとにテーマを絞って理事者側との真摯な議論を重ねてきた。以下、これまでの議論によって導かれた到達点として、今後の行財政改革の方向性を示したものである。
 第1章では自治制度改革の必要性についての基本認識を述べ、第2章では国と地方を通じた改革の方向性を明らかにした。その上で、第3章では都制度に即した改革の在り方について、第4章では東京・首都圏における広域行政の在り方についての考え方を示した。

Ⅱ 今後の行財政改革の方向性

 1 自治制度改革の必要性

 ○ 我が国の自治制度をめぐる状況の変化
 現行自治制度は、昭和22年の地方自治法施行をもって発足し、以来既に半世紀以上の歳月を経ている。この間、我が国は戦後復興、高度成長期を通じためざましい経済発展を遂げ、名実ともに先進国の一員となるなど、著しい社会・経済情勢の変化を経験した。我が国は、既に欧米諸国へのキャッチアップという目標を達成するとともに、国民生活の面でも、いわゆるナショナル・ミニマムともいえる水準を概ね満たすなど成熟の時代を迎えたといえる。
 このような中で、近年、人々のニーズは複雑化・多様化の一途をたどっており、行政サービスについても、必ずしも従来のような全国一律を基本とするのではなく、それぞれの地域の実情に即した個性的なサービスの提供が強く求められるようになっている。
 また、経済的にも右肩上がりの時代の終焉に伴い、地方自治体の財政状況が厳しさを増す中で、地域住民の目線で受益と負担の関係を問い直し、これまで以上に効率的な行財政運営を行っていくことが切実に求められている。
 このように、地方行政、自治体運営をめぐる環境が大きな転換期を迎えているにもかかわらず、我が国の自治制度は、国主導の中央集権的な性格を色濃く残したまま、今日に至るまで抜本的な見直しが何ら行われておらず、現在の社会実態に十分に対応しきれなくなっている。
 地方自治体が、真に住民の求めるサービスを効率的・効果的に提供していくためには、地方分権を推進し、地方自治体の行財政運営の自主性・自立性を高めることが喫緊の課題である。

 ○ 激化する都市間競争と東京・首都圏の役割
 戦後間もない現行自治制度の発足当時から今日までの大きな社会状況の変化の中で、都市と地方は誰も予想していなかったほどに大きく異なった発展の途を歩んだ。都市がその生産や消費の拡大を通じて日本経済を牽引する役割を果たす一方で、地方がそれぞれの地域特性に応じて様々な側面で都市機能を支える役割を果たすことで、日本全体の発展が実現された。このような中で、都市はその規模を急速に拡大させたが、中でも首都圏は3,300万の人口集積を擁する世界にも例を見ない大都市圏となり、その中枢となる東京は、世界の金融・経済の一大拠点へと成長を遂げた。
 世界的に見ても、今後、人類の過半数が大都市に住むであろうと見込まれているなど、まさに21世紀は「都市の時代」であるといえる。今や都市の興亡が国家の興亡を左右するといっても過言ではない。
 近年、東アジアの大都市が経済力を急速に伸ばすなど国際的な都市間競争が激しさを増しつつある。このような中で、長引く経済の低迷にあえぐ我が国全体を再生させるには、国と地方を通じた行財政システムを変え、地方が自立性を高め地域の発展を図れるようにするとともに、東京・首都圏の潜在力を十分に引き出し国際競争を勝ち抜ける都市にすることが不可欠である。

 ○ 大都市経営にふさわしい自治制度の必要性
 東京・首都圏が都市間競争を勝ち抜ける都市となるには、多彩な人材や企業などが高度に集積するというメリットを生かしつつ、国際空港や三環状道路などの産業活動を支える都市基盤とともに、住民の暮らしを支える生活基盤の整備を強力に推進していくことが何よりも重要であり、これらを効果的に実現できる大都市自治、大都市経営の確立が切実に求められる。
 東京は首都であり、政治、経済、文化の中枢管理機能と産業立地があいまって大きな求心力を持つことで発展を遂げてきたが、他方で、東京・首都圏への過度の集中が、交通渋滞の慢性化、大気汚染の悪化、廃棄物の大量発生など、過密に起因する様々な都市問題を深刻化させてきた。
 これらの過密問題を解消しながら、集積のメリットを最大限に発揮していくことこそが、大都市経営の根幹をなす重要課題である。このような観点から、国との関係を含め、東京・首都圏の大都市経営にふさわしい自治制度の在り方について検討を行うことが必要である。

 2 国と自治体の新しい在り方

(1) 国の責務の明確化

 ○ 依然残る国の関与
(第一次分権改革による地方の自主性拡大)
 平成12年の地方分権一括法施行による第一次分権改革では、国と地方の役割分担の明確化と地方の自主性・自立性の十分な発揮という基本的な考え方に基づき、国と地方自治体の関係が、従来の上下・主従の関係から対等・協力の関係に改められた。
 具体的には、国から地方、都道府県から市町村への事務権限の移譲がなされるとともに、地方自治体の事務区分が見直された。国による地方支配の象徴ともいえる機関委任事務は廃止され、地方自治体が担う事務は、法定受託事務と自治事務の二つに整理された。
 これら地方の事務に対する国の関与については、その廃止・縮小が図られ、関与は法令の根拠がなければならないという「関与の法定主義」や、関与は必要な最小限度のものとするなどの「関与の基本原則」等が規定された。
 しかし、このような法改正の取組などが行われたにもかかわらず、地方の自主性はいまだ不十分であると言わざるを得ない。
(地方の自主性を阻害する国の関与)
 自治体の行政運営に対する国の強い関与が現実にはなお存続しており、地方の自主性発揮が阻害されている。
 例えば、国から地方への権限移譲を見てみると極めて小規模にとどまり、都に移譲された事務は、わずか13項目に過ぎない。
 また、国が本来果たすべき役割に係る事務であるがために国の強い関与が認められている「法定受託事務」は、本来、例外とすべきであった。それにもかかわらず、機関委任事務の約4割もが法定受託事務として残され、国と地方の役割分担が不明確となっている。
 各自治体の自主的判断にゆだねるべき自治事務に対しても、通知・通達による国の関与は廃止されたものの、行政計画策定に当たっての国の事前同意や審議会の必置規制など、不要・不合理な国の関与や義務付けが残されている。

 ○ 国と地方の役割分担の明確化
 そもそも、国の関与の廃止・縮小が進まないのは、国と地方の役割分担の明確化が不十分なためである。
 地方自治体がそれぞれの地域の実情に応じた施策を展開できるように、まず、国と地方の役割分担を明確にした上で、国の役割を限定する必要がある。国は、外交、防衛、司法など国家としての存立にかかわる事務や国家戦略に基づき全国的な視点に立って行われるべき施策・事業など、本来の責務に専念すべきである。
 そして、国の役割以外のものは、地方が担っていくべきである。国は地方の事務に対する関与を原則廃止し、地方が自らの判断と責任で施策を展開して、個性豊かな地域の発展を実現できるようにしなければならない。
 なお、複雑化・多様化する住民ニーズにきめ細かく対応し効率的にサービスを提供していくには、行政と民間との役割分担についても見直して、公共サービス分野への民間主体の参入を促し、民間との協働を進めていく必要もある。

(2) 自立した地方税財政制度の確立

 ○ 税財政制度を通じた国の地方に対する統制
 現行税財政制度の下では、国が国税の相当部分を国庫補助負担金や地方交付税などにより地方に配分する仕組みとなっているため、国は地方に対する統制を維持し、地方は国に対する依存体質から抜け出せないでいる。
 第一次分権改革においては、国庫補助負担金の整理合理化と地方税財源の充実確保という方針が示されたものの、制度改革への取組そのものは先送りされた。
 現在の国と地方の財源配分状況を見ると、国と地方の歳出規模の比率が2:3であるのに対し、国税と地方税の比率が3:2と逆転しており、地方には、その事務と権限に見合うだけの自主財源が分与されていない。このため、地方自治体は国庫補助負担金や地方交付税などの国からの移転財源に頼らざるを得ない。しかも、国庫補助負担金は、国の定める画一的な基準による事業に対し交付されるため、地方は国の基準に合った事業を受け入れざるを得ず、その結果、地域の実情に必ずしも合わない事業が全国一律に展開されている。
 また、地方交付税は、財政調整機能と財源保障機能という本来の役割を超えて景気対策や国による政策誘導の手段として利用されるようになり、規模が肥大化してきた。交付税の原資が本来の財源である法定税分では不足することから、その不足分を借入金で賄っており、国の交付税特別会計借入金残高は50兆円にも上っている。加えて、地方債の元利償還金のうち国が交付税措置を約束した額も相当な規模で積み上がっている。この結果、現行制度の維持が困難なほどに交付税制度の借金が累増しており、その見直しが不可避となっている。

 ○ 大都市の活力を低下させる税財政制度
 さらに、これらの移転財源を通じた国による再配分には、限られた財源を真に必要なところに配分して我が国全体の発展を実現するという視点が欠けている。また、都市再生や環境対策など大都市特有の膨大な行政需要への配慮もなされておらず、このままでは、東京を始めとする大都市の活力は低下し、我が国の再生はなし得ない。
 例えば、首都圏の再生に不可欠な三環状道路の整備率は、わずか2割程度にとどまっている。
 加えて、法人事業税の分割基準や地方道路譲与税の譲与制限など、いわば大都市をねらい撃ちするような不合理な財源調整措置が執られている。そればかりか、税源移譲に併せてその不合理な財源調整をさらに拡大しようとする動きさえみられる。

 ○ 抜本的な地方税財政制度改革の実現
 このように機能不全に陥っている地方税財政制度については、国において、いわゆる「三位一体改革」の名の下に、国から地方への税源移譲、国庫補助負担金の廃止・縮減、地方交付税制度の見直しの検討が進められてきた。しかし、その過程では、関係各省の激しい利害対立が繰り広げられている。このままでは、国の財政再建のみが優先され、地方の自立性の向上につながらない骨抜きの改革になってしまうおそれが強い。
 まさに改革の成否がかかった正念場ともいえる今こそ、地方が一致団結して、国に対して改革の断行を強く働きかけていくことが何よりも重要である。
 地方税財政制度を抜本的に改革して、地方が自らの財源と責任により自主的・自立的な行財政運営を行えるようにするためには、以下のような改革を一体として実施するべきである。
(基幹税による税源移譲と課税自主権の拡充)
 地方がその事務と権限に見合うだけの自主財源を確保するためには、国と地方の税源配分を抜本的に見直し、安定した地方税体系を構築する必要がある。そのためには、税収の安定性が高く偏在性が低い税源からの移譲が望ましい。具体的には、基幹税である所得税や消費税から個人住民税や地方消費税への移譲を進めるべきである。
 税源移譲によって自主財源が充実・強化されると、受益と負担の関係が明確になり、地方が自らの判断と責任で施策を展開できるようになる。
 また、現在の地方税制では、国の法令によって税目や課税要件(課税標準、標準税率など)が全国一律に厳密に規定されているため、各自治体が地域の実情に応じ独自に課税できるように制度を改め、地方の課税自主権を拡充するべきである。
(国庫補助負担金の原則廃止)
 国と地方の役割分担を明確にした上で、地方の裁量を拡大する観点から、国庫補助金は基本的に廃止する。国庫負担金については、生活保護など真に国が責任を持って負担を負うべき分野に限定し、その経費は、国の全額負担とすべきである。それに該当しない国庫負担金は原則廃止する。
(地方交付税制度の抜本的見直し)
 地方交付税制度については、自主的・自立的な行財政運営を確保する観点から、本来果たすべき役割に限定するよう、税源移譲などと一体として、その在り方を根本から見直すことが不可欠である。
  基幹税による税源移譲などが進んでもなお財政的自立が困難な自治体に対しては、財政基盤の確保のために真に必要な水準での財政調整を行うようにすべきである。
 その際には、交付税を通じて国が景気対策などにより地方を誘導する方式を是正するとともに、できる限り簡素で行革努力を反映する仕組みにしていくことが必要である。
(地方債制度の改革)
 地方債については、これまで地方債許可制度の下で、いわば国に依存しながら自治体が資金調達を行う仕組みとなっていた。平成12年の地方分権一括法により、許可制度は廃止され事前協議制に移行することになったものの、経過措置で、平成17年度までは現行の許可制度が存続することになっており、引き続き、国の統制を受けている。
 地方税財政制度改革を進める中で、地方債制度について、国の関与を廃止し、自己決定・自己責任の原則により、自治体が自らの信用力で市場から資金調達できるように改革していくことが求められている。各自治体は、市場の信頼を得るために、財政の健全化や投資家向けの広報活動などを充実していかなければならない。
 また、資金調達だけでなく、調達した資金をどのように管理し、運用するか、その仕組みを考えていく必要がある。これからは、資金の流れを総合的にとらえて自治体運営を行っていくことが重要である。

(3) 広域自治体と基礎自治体の在り方

○ 広域自治体と基礎自治体の役割分担
 地方自治体が真に自主的・自立的な行財政運営を実現するには、先にも述べたように、まず国と地方の役割分担を明確にした上で、国の役割を限定し、それ以外のものは、都道府県と市町村が適切な役割分担の下に担っていくべきである。
 住民に身近な基礎自治体である市町村は、地域の総合行政の担い手として、政策形成能力を高め、質の高い住民サービスを効率的に提供していくことが求められる。
 一方、広域自治体である都道府県は、市町村間の総合調整機能をより一層強化していくことが求められる。また、将来的にも、現在の都道府県の役割を市町村が全て担うことは不可能であり、都道府県は、広域的な行政の担い手として、またそのために必要な国からの事務権限の移譲の受け皿としても、今後さらに重要性を高めていくものと考えられる。
 都道府県及び市町村がこのような役割を担っていくには、行財政基盤の強化が不可欠である。そのためには、各自治体が徹底した内部努力や施策の見直し、歳入確保等の行財政改革に努めることが必要である。市町村については合併も重要かつ有効な選択肢となる。

○ 地域の実情等に即した役割分担の検討の必要性
 都道府県と市町村との間の役割分担を具体的に見直すに際しては、現実の地方自治体の実態に十分に配慮することが必要である。すなわち、個々の自治体の行財政規模、地域の実情等を勘案した上で、必ずしも全国一律の観点にとらわれることなく、当該地域において最も適切な役割分担を実現する方向で事務権限の配分を考えていくことが求められる。
 例えば、東京の場合、特別区の区域のように高度に人口・産業が集積する大都市地域から山間島しょのような過疎地域まで、都市化の状況、地理的条件などが大きく異なる多様な地域を抱えている。今後、都と区市町村との役割分担の在り方を考えていくに当たっては、このような地域ごとの特性を十分に踏まえた検討を行っていくことが必要である。

○ 住民自治の活性化
 「地方自治の本旨」は住民自治と団体自治の二つの要素が兼ね備わったとき初めて実現されるものである。このため、自治体の事務権限の拡大や行財政基盤の充実による団体自治の強化だけでなく、同時に、自治体運営に住民意思がより的確に反映されるよう住民自治の活性化を図ることが不可欠である。
 自治体は、住民の公共の問題への関心を高め、自主的な参加を促し、住民の自己決定を支援していく方策をとっていくことが必要である。具体的には、パブリック・インボルブメントやパブリック・コメントの手法などをより広範に活用するとともに、住民との協働を一層進めることが求められる。
 また、各地で活発化しつつある、NPOやコミュニティ活動と連携・協力し、住民が地域行政の主体であるという参加と責任の意識を一層高揚させていくことも重要である。

○ 狭域における住民自治の仕組みの在り方
 一つの市町村の区域内においても、さらに住民生活に密着した狭域において、住民の意思を反映するとともに、きめ細かなサービスを行う上で、いわゆる地域自治組織の在り方についても検討を深めていく必要がある。とりわけ、合併により市町村の規模が拡大した場合には、住民と自治体との距離がこれまで以上に大きくなるおそれがあるため、基礎自治体内の狭域の自治組織を充実させることが必要であると考えられる。
  本年5月の地方自治法改正等では、地域住民の意見を行政に反映させるとともに、行政と住民との連携の強化を目的として、市町村の判断により「地域自治区」を設置できることとなり、また、市町村合併に際しては時限的に「合併特例区」を設置できることとなった。
 今後、これらの制度が実際の運用において、どの程度実効性を発揮するかについて注視していくことが必要である。

 3 大都市行政の充実強化

(1) 都制度の沿革及び課題

○ これまでの都制度の沿革
  東京都制は、昭和18年に戦時体制下での効率的な行政運営を進めるため、東京府と東京市を一体化して発足したものである。戦後、昭和22年の憲法、地方自治法の施行に伴い、区は、「特別区」という名称の特別地方公共団体となり、現在の23区に整理統合された。
 その後、昭和40年に福祉事務所等の事務移管が行われ、昭和50年には区長公選制が復活し、また保健所事務が移管されるなど、数次の制度改正を経て、特別区の権能の拡大と自治権の強化がなされてきた。
 そして、平成12年の都区制度改革により、特別区は、都の内部団体から基礎自治体に位置付けられた。

 ○ 今後の都制度を考える上での課題
 東京は、我が国の首都であり、区部という狭隘な地域に約800万の人口と高度な都市機能が集積している。このように我が国において他に類を見ない東京という大都市地域においては都制度が布かれ、広域自治体である都が行政の一体性及び統一性の確保を図ってきた。これは、基礎自治体が広域自治体の事務の一部を担う政令指定都市制度とは異なるものである。
 このような東京という大都市地域の一体的経営に適した仕組みは、東京のめざましい発展を実現する上で、大きな役割を果たしてきた。
 同時に、東京は人々の生活の場でもあり、生活圏レベルのまちづくりや福祉などの分野においては、特別区が身近な行政サービスを担ってきた。
 こうした基礎自治体としての特別区の役割は重要であるが、大都市の一体性の確保とのバランスをどのようにとるかが、今後の都制度を考える上で課題になっている。

(2) 大都市行政の新たな方向性

 ○ 都区制度改革の状況
 平成12年の都区制度改革では、上・下水道や消防など個別の法令により都が行うとされている事務を除き、清掃事業など市町村が担うべき事務については、基本的に都から特別区への移譲が進められた。
 都区間の財源配分についても、調整財源を法定化し、都の一般会計からの総額補てんと収入超過の特別区からの納付金の納付とが廃止された。また、税財源についても入湯税などが都から移譲された。
 このうち、事務移譲の実態を見ると、特別区へ移管された清掃事業では、自区内処理の原則を掲げながら、いまだに清掃工場が設置されていない特別区が存在する。また、大都市地域における事業の効率性が確保されているかとの声も聞かれる。
 本来、役割分担の在り方は、地方分権の趣旨に即し、地域の特性を十分に踏まえて考えていくものである。各々の区が一般市同様の事務を処理することと、大都市の一体性を確保することをどのように両立させていくか、東京の地域特性を踏まえ十分議論する必要がある。

 ○ 都の果たすべき役割
 地方分権が目指すものは、地方がそれぞれの地域の実情に応じてその発展に取り組めるようにしていくことである。とりわけ、東京は、都市間競争が激化する時代を迎え、その集積のメリットを最大限生かし、日本経済を牽引していくことが求められている。そのためには、東京の魅力と活力を高める観点から、大都市地域を総合的にとらえて都市経営を行う必要がある。
 都が大きな役割を担って進めてきた都市再生の取組は、土地の高度利用や都市基盤の整備を通じて、住みやすい都市生活と機能的な都市活動の確保を図るものである。
 今後とも、都は、こうした大都市経営の一体性を高める取組の強化に努める必要がある。

(3) 特別区の統合・再編

 特別区の区域においては、住民自治の実現と都による大都市地域としての一体的経営が重要である。
 現在の23区の行政区域を見ると、昭和22年以来、見直しが行われていない。しかし、戦後の復興期から高度成長期を経て区部への人口集中が進むなど、特別区を取り巻く社会・経済情勢は著しい変貌を遂げた。また、人々の活動範囲が行政区域を越えて広がっているなど、特別区の行政区域と現実の社会実態は必ずしも整合しているとは限らない。
 特別区の統合・再編は、あくまでも住民意思を尊重し、特別区自らが自主的・主体的に取り組む問題であるが、大都市行政の総合性・一体性の確保と住民自治の両立を実現する観点に立って、都制度を前提とした上で、大都市の実態に即した合理的な行政区域が検討される必要がある。

(4) 都区財政調整制度の在り方

 ○ 都区財政調整制度の概要
 特別区の区域には、都区間における事務配分及び税配分上の特例があるほか、特別区間には税源の地域的偏在や、昼夜間人口の著しい格差がある。
 都区財政調整制度は、こうした点を踏まえ、都が、固定資産税、市町村民税法人分、特別土地保有税等の一定割合を、特別区財政調整交付金として、各特別区に交付しているものである。
 これにより、都と特別区及び特別区相互間の財源の均衡化を図り、特別区の行政の自主的かつ計画的な運営を確保することを目的としている。

 ○ 大都市地域にふさわしい財政調整制度
 都区財政調整制度は、大都市地域の均衡ある発展に一定の成果を上げてきた。しかし、国際的な都市間競争の激化など近年における状況変化に対し、同制度が東京の持てる力を引き出す上で有効に機能しているか検証する必要がある。
 例えば、企業のオフィスは、大都市の集積のメリットを求めて都心部に集中している。税源の地域的偏在は、都心部に所在する企業が多額の税を納めていることによる部分が大きい。しかしながら、これら企業の活動は、都心部だけで成り立つものではなく、交通、通信、物流など大都市地域の都市基盤の上に成り立っており、その整備について都は大きな役割を担っている。
 こうした点を踏まえ、大都市経営の観点から、都と特別区間の財政調整について、大都市地域にふさわしい制度となるよう検討していく必要がある。また、各区相互のある程度の財源の均衡化を必要としつつも、できる限り仕組みを簡素化することで、各区がより一層自らの責任と工夫による行政運営を行えるような方向で検討していく必要がある。
 このように、都区の財政調整の在り方を東京の魅力と活力を高める観点から見直し、その中で、特別区が責任を持って自らの行財政運営を行っていけるようにしていくべきである。

4 首都圏全体を見据えた広域行政の在り方

(1) 広域的課題の深刻化と自治体間連携

 従来、首都圏の一都三県や政令指定都市は、それぞれの地域特性に応じて、自らの創意工夫で行政手腕を発揮して、都市を発展させてきた。個々の自治体がそれぞれの行政区域において分立して発展、成熟してきたという意味で「行政都市」であったといえる。
 しかし、東京を中心とする首都圏には、高度な人口、産業の集積に伴い、慢性的な道路渋滞や通勤混雑、大気汚染や水質汚濁などの環境問題、来日外国人犯罪の急増等による治安悪化、空港・港湾などの社会資本整備の遅れなど、大都市特有の課題が広範な地域にわたって生じている。このような広域的課題の深刻化が、都市機能の低下や生活環境の悪化を招いており、首都圏の魅力と活力を著しく損なっている。
 このままでは、東京・首都圏が世界の大都市との熾烈な都市間競争を勝ち抜いていくことは不可能であり、その結果として、日本全体の国際競争力のさらなる低下が懸念される。
 これらの広域的課題は個々の政令指定都市はもとより都県の行政区域をも越えた広がりを見せており、個々の自治体による単独の取組では十分な解決を図ることが困難である。
 このため、首都圏の自治体が、互いに機能的に連携しあって、首都圏全体を視野に入れて都市運営、都市づくりを考え、広域的に施策を展開していくことが切実に求められている。まさに、都市は機能でつくり上げられなくてはならない時代になったといえる。

(2) 八都県市首脳会議による取組

 首都圏では広域行政の取組として、個別分野ごとに様々な自治体間連携が行われてきたが、その中でも特筆すべきは八都県市首脳会議による広域連携の取組である。八都県市首脳会議は、昭和54年に、首都圏を構成する一都三県及びその区域内の政令指定都市の知事・市長を構成員として、六都県市首脳会議として発足した。以来四半世紀、様々な共同の取組を重ねてきたが、とりわけ近年は、ディーゼル車の排出ガスに関する規制の実施や羽田空港国際化の実現に向けた取組など、めざましい成果を上げている。
 このような実績と経験を踏まえ、さらに幅広く共同の取組を展開していくことが望まれるが、そのためには、八都県市のより一層の連携強化が不可欠である。この点で、従来から問題視されてきたのは、各都県市持ち回りによる事務局機能の弱さである。より安定的・継続的な自治体間調整を実現し、連携の実効性を高めるには、その要となる事務局を常設化することが必要であると考えられる。
 この点で、本年5月の首脳会議において、青少年の健全育成やいわゆる「三位一体改革」への取組について集中的な検討を行うことが合意されるなど、共同での政策形成に向けた連携の緊密化が図られるとともに、そのための事務局が設置されたことは、将来の事務局常設化に向けて先鞭をつけたものとして高く評価できる。
 今後、このような政策面での調整機能の強化が図られることで、八都県市共同での具体的な施策・事業がさらに促進され、広域的課題の効果的な解決が実現することを期待する。

(3) 広域行政に係わる制度論議の展望

 ○ 広域連合制度の問題点
 現行地方自治法上、複数の自治体による事務の共同処理の仕組みの一つとして広域連合制度がある。これは、特定の事務処理を目的として、関係自治体が規約に基づいて設置する特別地方公共団体である。一部事務組合とは異なり、首長、議会の二元代表制を持つこと、事務権限の受け皿となりうること、住民による直接請求ができることなどを特色としている。現在、全国で80以上の広域連合が設置されており、主に市町村レベルで介護保険事務や消防事務などの共同処理に活用されている。
 近年、広域的課題の解決を図るための自治体間連携の仕組みとして、この制度を活用し、一都三県で広域連合を設置すべきとの意見も一部で提唱されている。
 しかし、現行の広域連合は、処理する事務が構成団体の議会の判断に拘束されており、また課税自主権もなく構成団体の分賦金に財政的に依存するものであることから、構成団体からの独立性が弱く、調整にも時間を要するという大きなデメリットがある。このため、首都圏の広域的課題のように利害関係が対立する可能性もある政策的課題について総合的・機動的な施策展開を行うことは困難と考えられる。

 ○ 都道府県合併及び道州制に関する論議
 近年、都道府県の合併や道州制に関する論議が、国・地方を通じて活発化している。
 例えば、国レベルでは、第27次地方制度調査会が「今後の地方自治制度のあり方に関する答申」(平成15年11月)において、道州制について「今後議論すべき論点」を示した。その後、本年3月に発足した第28次地方制度調査会においては、「道州制のあり方」が審議項目の一つとして取り上げられている。また、本年5月の地方自治法改正では、都道府県の自主合併手続に関する規定が新設されている。
 また、地方の側では、北東北三県(青森県、秋田県、岩手県)が三県の「合体」に向けた共同の取組を行うなど、各地で県の合併や道州制への移行を視野に入れた議論が出てきている。
 これらの背景には、一つには、現行都道府県の区域を越える広域的課題に対応するための区域拡大の要請があり、また市町村合併が進展する中で広域自治体がその役割を効果的に担っていくには、国からのさらなる事務権限の移譲の受け皿として行財政基盤の強化が求められているという事情がある。
 このような議論の中で、首都圏においても、一都三県での合併や道州制への移行を求める意見もある。しかし、3,300万の人口を擁する巨大な自治体が、民意を的確に反映しながら、個々の広域的課題への機動的な対応を図れるのかについては大いに疑問がある。
 また、このような従来の都県の枠組みの抜本的な改変は、言うまでもなく、多くの住民の賛同を抜きにしては実現し得ないものであるが、一都三県の住民の間でこのような都県再編を求める気運はほとんど見受けられないのが現状である。
 このようなことから、道州制は、首都圏においては実効性及び住民意識の面から見て、いまだ時期尚早の議論であると言わざるを得ない。そもそも、道州制は国家の統治機構そのものに係わる問題であることから、幅広い国民的論議の下に慎重に検討を進めていくべきものと考えられる。

5 結び

 本委員会は、平成9年10月に設置された前委員会以来、今日まで6年余にわたり、東京の将来像を展望し、社会・経済情勢の変化に柔軟に対応する都政を実現するため、様々な角度から行財政改革の基本的事項について、全力を傾注して精力的に調査・検討を行ってきた。
 この間、本委員会の熱心な調査と意欲的な活動は、執行機関に対し、今後の行財政改革を推進する上で多くの示唆を与え、改革の推進に多大な貢献をしてきたところである。
 さらに、執行機関においては、本委員会の調査・検討過程において出された意見・要望等に対し、真摯な取組がなされ、既に具体化されたものがあるなど、都の行財政改革は確実に推進・拡充されつつある。
 この報告書は、都民の都の行財政改革に対する強い期待を受けて、各委員が熱心に調査・検討してきた成果であり、執行機関に対し、今後の大都市自治、東京の自治制度のあるべき姿を考える上で貴重な提言となるものである。
 今後は、この提言に基づき、都民生活の一層の向上と、あるべき自治の姿の実現に向けた改革推進と、さらには、現下の改革議論への取組にとどまらず、中長期的な視点での自治制度改革の在り方について、国、他団体、都民をも巻き込んで広く議論を喚起していくことが極めて重要である。
 また、国のいわゆる「三位一体改革」に端を発して、今や地方分権改革の議論は新たな段階を迎え、国・地方を通じて、税源移譲・国庫補助負担金削減を始めとし、行財政全般にわたる本質かつ抜本的な改革を断行することが求められている。このことは、都民や東京のみならず、国家の未来と次の世代に対する我々の責務である。
 執行機関は、都が現在おかれているこのような状況を厳しく認識し、今後とも都民の負託に応え続けていくため、本委員会のこの調査・検討結果を踏まえ、庁内の推進体制を整えるとともに、行財政全般にわたる新たな改革の大綱を早急に策定すべきである。

Ⅲ 参考資料

1 委員及び役員

 ア 議長は、平成13年10月5日の本会議に諮り、次のとおり委員を指名した。
 山下 太郎 君  長橋 桂一 君  真鍋 よしゆき 君
 松原 忠義 君  相川  博 君  富田 俊正 君
 鈴木 貫太郎 君 遠藤  衛 君  河西 のぶみ 君
 吉田 信夫 君  大木田 守 君  新藤 義彦 君
 田島 和明 君  樺山 卓司 君  古賀 俊昭 君
 山崎 孝明 君  大河原雅子 君  渡辺 康信 君
 石井 義修 君  川島 忠一 君  内田  茂 君
 和田 宗春 君  木村 陽治 君

 イ 平成13年10月5日の委員会において、次のとおり委員長、副委員長及び理事が互選された。
    委員長   川島 忠一 君
    副委員長  大木田 守 君
    副委員長  古賀 俊昭 君
    副委員長  和田 宗春 君
    理事    富田 俊正 君
    理事    鈴木 貫太郎君
    理事    吉田 信夫 君
    理事    樺山 卓司 君
    理事    内田  茂 君

 ウ 議長は次のとおり、委員の辞任を許可し、新たに委員を指名した旨を平成14年9月18日の平成14年第三回定例会本会議で報告し、承認を受けた。
   平成14年9月12日付
    ○辞任  川島 忠一 君  古賀 俊昭 君
         樺山 卓司 君  真鍋よしゆき君
         松原 忠義 君  新藤 義彦 君
         田島 和明 君
    ○選任  立石 晴康 君  鈴木 一光 君
         小礒  明 君  近藤 やよい君
         大西 英男 君  星野 篤功 君
         松本 文明 君

 エ 平成14年9月26日の委員会において、欠員となった委員長、副委員長1名、理事1名が次のとおり互選された。
    委員長   立石 晴康 君
    副委員長  鈴木 一光 君
    理事    こいそ 明 君

 オ 議長は次のとおり、委員の辞任を許可し、新たに委員を指名した旨を平成15年2月5日の平成15年第一回定例会本会議で報告し、承認を受けた。
   平成15年1月8日付
    ○辞任  山下 太郎 君
    ○選任  小磯 善彦 君

 カ 議長は次のとおり、委員の辞任を許可し、新たに委員を指名した旨を平成15年5月9日の平成15年第一回臨時会本会議で報告し、承認を受けた。
   平成15年5月2日付
    ○辞任  長橋 桂一 君
    ○選任  新井 美沙子君

 キ 議長は次のとおり、委員の辞任を許可し、新たに委員を指名した旨を平成15年9月18日の平成15年第三回定例会本会議で報告し、承認を受けた。
   平成15年8月26日付
    ○辞任  木村 陽治 君
    ○選任  曽根 はじめ君

   平成15年9月12日付
    ○辞任  立石 晴康 君  鈴木 一光 君
         こいそ 明 君  近藤 やよい君
         星野 篤功 君  松本 文明 君
    ○選任  山本 賢太郎君  松原 忠義 君
         臼井  孝 君  野島 善司 君
         田代 ひろし君  野村 有信 君

 ク 平成15年9月26日の委員会において、内田茂理事及び吉田信夫理事から理事を辞任したい旨の申し出があり、同委員会で許可されたため(議長は、平成15年9月12日付をもって立石晴康委員長、鈴木一光副委員長、及びこいそ明理事の辞任を許可している)、欠員となった委員長、副委員長1名及び理事3名は次のとおり互選された。
    委員長   山本 賢太郎君
    副委員長  遠藤  衛 君
    理事    松原 忠義 君
    理事    曽根 はじめ君
    理事    山崎 孝明 君

 ケ 議長は次のとおり、委員の辞任を許可し、新たに委員を指名した旨を平成15年12月2日の平成15年第四回定例会本会議で報告し、承認を受けた。
   平成15年11月25日付
    ○辞任  新井 美沙子君
    ○選任  青木 英二 君

 コ 議長は、平成16年4月18日付で青木英二委員が退職したことに伴い、新たに4月21日付で次のとおり委員を指名した旨を平成16年6月1日の平成16年第二回定例会本会議で報告し、承認を受けた。
   平成16年4月21日付
    ○選任  初鹿 明博 君

 サ 議長は、平成16年6月13日付で河西のぶみ委員が退職したことに伴い、新たに6月16日付で次のとおり委員を指名した旨を平成16年6月16日の平成16年第二回定例会本会議で報告し、承認を受けた。
   平成16年6月16日付
    ○選任  新井 美沙子君

2調査・検討の方法と経過

(1) 調査・検討の方法
行財政改革の基本的事項について、次のとおり調査・検討を行った。
ア 本特別委員会の設置趣旨を踏まえ、委員会としての審議事項を提示しながら調査・検討を行う。
イ 東京都における行財政の基本問題について、報告を聴取し、質疑等を行う。
ウ 必要に応じて、参考人からの意見聴取を行う。
〔参考〕

〔1〕本委員会が提示した委員会審議事項は別紙(後掲)のとおりである。
〔2〕本委員会に提出された資料は、「提出資料一覧」のとおりである。
〔3〕平成14年11月20日の本委員会に出席を求めた参考人は、次の2名である。
市川 宏雄 君(明治大学政治経済学部教授)
中林 一樹 君(東京都立大学大学院都市科学研究科教授)

〔4〕平成14年12月19日の本委員会に出席を求めた参考人は、次の2名である。
成田 頼明君(横浜国立大学名誉教授・日本エネルギー法研究所理事長)
古川 俊一君(筑波大学社会工学系教授)

〔5〕平成15年6月5日の本委員会に出席を求めた参考人は、次の2名である。
黒川 和美君(法政大学経済学部教授)
神野 直彦君(東京大学大学院経済学研究科教授)

(2) 調査・検討の経過
本委員会は、27回の委員会と23回の理事会を開催し、調査を行ったが、
  その開催状況は、次のとおりである。

委員会及び理事会の調査事項
年月日委員会理事会
平成13年
10月5日(金)
1委員長、副委員長及び理事の互選
2議席の決定
1委員会運営要領について
2今後の委員会日程について
3その他
10月15日(月) 1委員会運営要領について
2今後の委員会日程について
3その他
10月25日(木) 1報告事項(説明)東京及び首都圏における地方自治の問題・課題等について
2意見開陳
1本日の委員会運営について
2その他
11月7日(水) 報告事項(質疑)
東京及び首都圏における地方自治の問題・課題等について
1本日の委員会運営について
2その他
11月21日(水) 報告事項(説明・質疑)
広域的地方制度について
1本日の委員会運営について
2その他
12月12日(水) 閉会中の継続調査について 1今後の委員会運営について
2その他
12月21日(金) 報告事項(説明)
自治制度改革をめぐる状況について
1本日の委員会運営について
2その他
平成14年
2月12日(火)
報告事項(質疑)
自治制度改革をめぐる状況について
1本日の委員会運営について
2その他
2月28日(木) 閉会中の継続調査について
3月25日(月) 1今後の委員会運営について
2その他
4月8日(月) 1今後の委員会運営について
2その他
4月24日(水) 報告事項(説明)
自治制度改革の論点整理
5月20日(月) 報告事項(質疑)
自治制度改革の論点整理
ア今後の大都市自治体の在り方(理念)について
1本日の委員会運営について
2その他
6月19日(水) 閉会中の継続調査について 1今後の委員会運営について
2その他
7月8日(月) 報告事項(質疑)
自治制度改革の論点整理
ア今後の首都圏における広域自治体制度と基礎的自治体制度の在り方について
1本日の委員会運営について
2その他
9月10日(火) 報告事項(質疑)
自治制度改革の論点整理
ア新しい時代にふさわしい税財源の在り方について
1本日の委員会運営について
2その他
9月26日(木) 1委員長、副委員長及び理事の互選
2閉会中の継続調査について
10月30日(月) 1今後の委員会運営について
2その他
11月20日(水) 参考人からの意見聴取
〔参考人〕
市川宏雄君(明治大学政治経済学部教授)
中林一樹君(東京都立大学大学院都市科学研究科教授)
1本日の委員会運営について
2その他
12月11日(水) 閉会中の継続調査について
12月19日(木) 参考人からの意見聴取
〔参考人〕
成田頼明君(横浜国立大学名誉教授・日本エネルギー法研究所理事長)
古川俊一君(筑波大学社会工学系教授)
1本日の委員会運営について
2その他
平成15年
2月13日(木)
閉会中の継続調査について
6月5日(木) 参考人からの意見聴取
〔参考人〕
黒川和美君(法政大学経済学部教授)
神野直彦君(東京大学大学院経済学研究科教授)
1本日の委員会運営について
2その他
7月2日(水) 閉会中の継続調査について
7月18日(金) 新しい自治制度の方向性について(質疑) 1本日の委員会運営について
2その他
9月26日(金) 1委員長、副委員長及び理事の互選
2閉会中の継続調査について
12月10日(水) 閉会中の継続調査について
平成16年
2月17日(火)
新しい自治制度の方向性について(質疑) 1本日の委員会運営について
2その他
3月3日(水) 閉会中の継続調査について
6月9日(水) 閉会中の継続調査について
8月31日(火) 1今後の委員会運営について
2その他
9月10日(金) 委員会の「まとめ」について
9月15日(水) 委員会の「まとめ」について
9月22日(水) 委員会調査報告書について

行財政改革基本問題特別委員会審議事項
審議項目
主な内容

これまでの委員会での議論と今後の審議のための「論点整理」
○自治制度改革に関する「論点整理」についての報告
これまでの当委員会での議論を踏まえた、自治制度改革の必要性、行政の役割分担、首都圏における自治体のあり方、大都市行政、住民自治、税財政制度などについて理事者側から報告を受ける

今後の大都市自治体のあり方(理念)について
○新しい時代の行政の役割(国・自治体間の役割分担)
・地方分権と行政改革の流れを踏まえた役割分担の考え方
・自治体の自主性・主体性を確保するための国との関係のあり方
○首都圏自治体のあり方
・首都圏における広域的自治体と基礎的自治体の役割分担の考え方
・広域連携の拡大(七都県市の取組の現状、首都圏を取り巻く問題と制度)
・新たな広域的自治体のあり方(新たな広域的自治体の基本的な制度設計、段階的な取組の必要性)
・基礎的自治体の基盤強化の取組(市町村合併の推進、広域的自治体による支援のあり方)
○住民自治の拡充
・地方議会の権限の拡充
・自治体広域化に対応した住民自治拡充の方策(住民投票、直接請求等の課題)
◯民間との協働(官民役割分担)
・市民参加、行政の効率化の促進(NPOやボランティア、民営方式等の現状と今後)
・行政の果たすべき役割(暮らしを守り、都民の活動を支えるセーフティネットの構築等)
・狭域行政のあり方(コミュニティ、英国のパリッシュなどの例)

今後の首都圏における広域自治体制度と基礎的自治体制度のあり方について(大都市行政制度のあり方)
○大都市行政制度のあり方
・首都東京の活力ある発展を目指すための都区制度の見直し(特別区の自治権拡充、都市再生の視点、新しい都市政策、都市間競争)
・都が大都市事務を実施することの重要性(大都市の総合性・一体性の確保)
・広域的自治体が担うべき大都市行政(上下水道、消防などの実施主体のあり方)
・東京都における府県行政と大都市行政(特別区と多摩との関係、多摩格差)
・都区の役割分担の考え方(大都市事務の考え方の整理、大都市経営主体としての都の果たすべき役割)
・将来の大都市事務の考え方(大都市特有の行政需要への対応のあり方)
・地方自治の担う首都機能について(要人警護、外国賓客の接遇・渉外)
・特別区の再編、合併の考え方(基本的な類型の整理)
・都区財政調整制度のあり方(都区間の今後の財源配分のあり方)
・将来の財政調整のあり方(固定資産税等の調整財源をめぐる受益と負担との関係)

新しい時代にふさわしい税財源のあり方について(税財政制度)
○新たな広域的自治体・基礎的自治体のあり方に対応した税財政制度のあり方
・税源移譲に関する都のこれまでの取組と、国の動きに連動した今後の対応のあり方
・国庫支出金、地方交付税制度の問題点と今後のあり方
・地方債制度の見直し(国の関与の縮減、金融市場との関係など)

ここまでの審議を踏まえた到達点の整理
○新しい自治制度の方向性(まとめ)
・地方主権を確立するための抜本的な自治制度改革
・首都圏自治体の将来像の方向の確認
・なお不足する改革の視点等を確認

地方自治関係者および学識経験者等からの意見聴取
○地方自治の関係者および自治制度に関する有識者等から意見を聴取(招致対象者)
・先進的な取組・提言等を行っている地方自治関係者
・地方自治・財政制度の有識者
・まちづくり、都市政策分野の有識者

3 調査・検討の状況

 調査・検討に当たっては、まず、第15期都議会議員による「行財政改革基本問題特別委員会」の調査・検討結果の中間報告と、東京都が行ってきたこれまでの行財政改革の実績について検証を行うため、「東京及び首都圏における地方自治の問題・課題等」について報告を受け、委員会に臨む各会派の基本的な考えを確認した。
 平成13年12月には、自治制度改革をめぐる状況として、同年11月にスタートした第27次地方制度調査会、地方分権推進委員会の後継機関として同年7月にスタートした地方分権改革推進会議について、また、政令指定都市・中核市・特例市の比較、大都市制度の沿革、特別区制度の沿革、海外大都市における自治制度及び海外における特色のある大都市制度等の事例についてそれぞれ報告を受け、これからの時代に即した新しい自治制度の在り方について、様々な角度から質疑を交わした。
 平成14年4月には、今後の委員会審議に資するため、これまでの委員会での議論を踏まえた、自治制度改革の必要性、行政の役割分担、首都圏における自治体の在り方、大都市行政、住民自治、税財政制度など、「自治制度改革の論点整理」を行い、理事者から説明を聴取した。
 この論点整理に基づき、平成14年5月、7月及び9月の3回に分け、〔1〕今後の大都市自治体の在り方 〔2〕今後の首都圏における広域自治体制度と基礎自治体制度の在り方 〔3〕新しい時代にふさわしい税財源の在り方について論議を重ねた。
 また、調査・検討の参考とするため、平成14年11月、12月及び平成15年6月の3回にわたり、6名の参考人を本委員会に招致し、行財政改革の基本問題について、それぞれ専門的な見地からの意見を聴取した。
 平成15年7月及び平成16年2月には、今までの委員会質疑及び参考人からの意見聴取を踏まえ、新しい自治制度の方向性について、質疑を交わした。
 このように、本委員会では、今後の大都市行政、広域自治体と基礎自治体、地方税財政制度の在り方など、東京をめぐる自治制度改革の諸課題について、3年間にわたり、集中的に理事者との間で真摯な議論を重ねた。

(1) 自治制度改革の必要性

 地方自治法施行から半世紀以上が経過し、その間、我が国を取り巻く社会・経済情勢は大きく変わり、とりわけ都市と地方はだれもが想定していなかったほど大きく異なった発展を遂げてきた。にもかかわらず、自治制度自体は、抜本的な見直しが行われておらず、もはや現在の社会実態に十分対応し切れなくなっている。
 とりわけ、東京・首都圏の変化は著しく、3,300万の人口集積を擁する、世界にも類を見ない大都市圏へと発展し、その中枢となる東京は、アジアの金融、経済の一大拠点へと成長した。「都市の時代」といわれる21世紀において、都市こそが人々の活動の中心であり、活力の源泉であり、なかでも大都市は世界経済を牽引し、人類の福祉に貢献していく責務を有するといえる。このような中、東京の興亡は我が国全体の興亡を左右するといっても過言ではない。日本を再生するには、東京の都市機能を一層強化し、世界中から人、物、金、情報を引きつけ、世界的な激しい都市間競争に勝ち抜けるような魅力と活力あふれる都市にすることが不可欠である。
 そのためには、首都圏3,300万人の集積のメリットを生かしつつ、産業活動を支える都市基盤の整備とともに、住民の暮らしを支える生活基盤の整備を強力に推進していくことが何よりも重要である。このような観点から、都が大都市自治、大都市経営を行っていく上での自治制度改革の必要性についてただした。
 これに対して理事者側からは、経済活動のグローバル化など社会状況の変化に対し、旧来の行政システムでは十分対応できなくなっている。首都圏の再生、日本の再生に向けた取組をより円滑に行うためにも、中長期的な視点から自治体の在り方、行財政運営の在り方を見直すことが必要であり、さまざまな議論を重ねながら東京の自治制度改革を進め、望ましい大都市自治、大都市経営を確立していくことが都政の大きな役割であると認識しているとの答弁があった。

(2) 国と地方、大都市と地方の関係

ア 国と地方の役割分担
 平成12年の地方分権一括法によるいわゆる第一次分権改革では、従来からの国と地方自治体の関係を抜本的に改めて、新たに対等、協力の関係として位置付けるため、機関委任事務の廃止、国から地方への事務や権限の移譲などが図られたが、その成果については真に地方自治の行政運営を自主的、自立的なものにするにはいまだ不十分であると言わざるを得ない。このような観点から、現行の自治制度において、地方自治体の事務と財源の配分にはどのような問題があるのかをただした。
 これに対して理事者側からは、地方自治体の事務については、本来例外であるべき法定受託事務が現在もなお数多く残され、国と地方の役割分担が不明確となっている。また、自治事務についても、不要あるいは不合理な国の関与や義務付けが残されている。一方、財源配分についても、法定受託事務の中には、国が適正に経費を負担していないものがあり、自治事務の中には、国庫補助負担金を通じた事実上の国の統制が行われ、地方の裁量の余地がほとんどないものもある。
このように、国と地方の事務分担と財源配分の現状は、地方分権の観点から見て不徹底であり、自治体の自主性発揮を阻害しているとの答弁があった。
 そこで、このような国と地方の責任と経費負担の在り方を整理し、地方が自らの裁量で事務を執行できるようにするためには、都はどのように改革すべきと考えているかをただした。
 これに対して理事者側からは、今後、国は地方にできることは地方に任せ、国として本来果たすべき役割、機能の強化を図るべきである。そのためには権限、財源の移譲はもとより、地方への不合理な関与を排し、法令による自治体の事務の義務付け緩和などを進めていかなければならないとの答弁があった。

イ 地方税財政制度改革
 国と地方の事務分担と財源配分の現状をみると、国と地方の歳出規模の比率はおおむね2:3であるにもかかわらず、国税と地方税との税収の比率は、逆におおむね3:2となっている。国は、その乖離を埋めるために交付する地方交付税や国庫支出金を通じて、地方への統制を行ってきた。しかも、各自治体は地方債許可制度の下で、景気対策などで発行した地方債の償還財源の交付税措置など、国の保護に依存して資金調達を行ってきた。このような問題点を踏まえ、今後の地方税財政制度改革の進め方に関する都の考え方についてただした。
 これに対して理事者側からは、国から地方への税源移譲により、国と地方のそれぞれの歳出規模に見合った税源配分を実現することが必要である。税目としては、景気変動に対して税収が安定的で、比較的偏在性の少ない税源の移譲が望ましく、具体的には、消費税や所得税等から地方消費税や住民税等への税源移譲が求められる。また、課税自主権拡充の観点からも見直しを行うべきである。
 国庫補助負担金については、国庫補助金を基本的に廃止し、国庫負担金は事業の在り方を十分検討した上で、真に国が義務的に負担を負うべき分野に限定するなど、その区分に応じて積極的に整理合理化を図ることが必要である。
 また、地方交付税制度については、地方の自主的な行財政運営を阻害しないように本来果たすべき役割に限定し、交付税総額を真に必要な水準まで縮減すべきである。そして、地方自治体自らが自己責任に基づき自らの信用力で地方債による資金調達を行うことが求められているとの答弁があった。
 国はいわゆる「三位一体改革」として、平成18年度を目途に国庫補助負担金を概ね4兆円廃止、縮減し、併せて地方交付税制度の見直し、税源移譲を行うとしているが、具体的な取組についてはいまだ明確に示されていない。そこで都としての今後の改革に向けた取組姿勢をただした。
 これに対して理事者側からは、地方の自主性、自立性を高める方向で改革が行われるよう、引き続き、都議会の支援を得ながら国に強く働きかけるとの答弁があった。

ウ 大都市と地方をめぐる問題
 税源配分の在り方を考える上での大きな課題は、税源移譲が行われると必然的に大都市に税源が偏り、地方の財源が減るのではないかという大都市に対する不信感が、地方に根強く存在することである。そのため、地方交付税制度の堅持や法人事業税の分割基準の見直しを訴える動きなどがみられる。
 しかし、大都市対地方という対立軸でのとらえ方は誤りであり、大都市の活性化こそ日本全体の再生にとって重要であるとの認識に立ち、改革を進めるべきではないかとただした。
 これに対して理事者側からは、東京を始めとする大都市の財政需要に対応し、大都市に活力を呼び戻すことが日本の再生につながる。そのためには、各種の不合理な財源調整の解消はもちろん、国から地方への税源移譲に当たって大都市需要に見合った適切な税源配分が行われるべきであるとの答弁があった。

(3) 広域自治体と基礎自治体

 我が国の地方制度は、広域自治体である都道府県と基礎自治体である市町村による二層制を基本としている。このため、自治体の自主的・自立的な行財政運営を実現するには、これら二層の自治体相互間の役割分担を明確化することが重要である。このような観点から、都道府県と市町村との役割分担について、今後どのような考え方に基づいて検討を行っていくべきか、また、地方分権や市町村合併の進展により基礎自治体の規模が大きくなり、権限移譲が進んでいく中で、広域自治体の役割についてどのように考えるのかただした。
 これに対して理事者側からは、一般的には、住民に身近な行政は基本的に市町村が担い、都道府県は広域行政の分野に重心を移していく。人々の活動の広域化に伴い、基礎自治体の区域を越える問題が多く存在し、広域行政需要は今後も大きいと見込まれる。また、広域自治体は、基礎自治体の規模、能力がさらに拡大していった場合においても、基礎自治体と適切に役割を分担し、総合的に住民福祉の充実を図っていくことが地方自治の実現にとって重要である。このため広域自治体の役割や意義は依然として大きいとの答弁があった。
 行政相互の役割分担については、国の地方分権推進委員会などにおいて、基礎自治体を優先し、基礎自治体で担い得ないものを広域自治体が、広域自治体でも担い得ないものを国が担うという考え方が示されている。しかし、実際には、基礎自治体でも担うことが適当でない仕事とはどのようなものであるかについては、個々の事務事業について検討し、決定していかなければならない。また、個々の自治体の規模、能力の実情に応じて分担すべき事務も変わらざるを得ない。
 特に、東京のような大都市地域においては、基礎自治体優先の原則による役割分担では、都市の総合性、一体性を確保しながら行政課題に対応していくことが困難な面もあるのではないかとただした。
 これに対して理事者側からは、東京の大都市地域は市街地が連たんしており、複数の基礎自治体から構成されていることから、個々の基礎自治体では完結し得ない事務や、著しく非効率になる事務などについては、広域自治体が担う必要がある。また、大都市における総合的、一体的な都市づくりを進めるための計画・ビジョンの策定なども、広域自治体が主体的に担う必要がある。大都市とそれ以外の地域とでは役割分担の内容が異なるとの答弁があった。
 また、基礎自治体においては、地域の総合行政の担い手としての能力を向上することが求められており、そのための方策として、有効かつ重要な選択肢の一つである市町村合併についても活発に議論した。
 このほか、住民自治を促進する観点から、住民参加の仕組みの整備や地域自治組織、自治基本条例などについて質疑が交わされた。

(4) 大都市行政(都と特別区)

 特別区は、戦後、昭和22年の地方自治法の施行に伴い、特別地方公共団体として位置づけられ、その後、昭和50年には区長公選制を実現するなど自治権拡充の取組が行われてきた。そして、平成12年4月の都区制度改革により、清掃事業など33事業が都から区に移管され、特別区は、都の内部団体から地方自治法上の基礎自治体として位置づけられることとなった。
 東京は、我が国の首都であり、高度に人口が集中している大都市で、かつ複数の基礎自治体から構成されているという特殊性を有している。世界的な都市間競争を勝ち抜き、日本の再生を図るには、都市機能の一層の強化を効果的に実現できるような大都市制度が必要である。このような観点から、都制度について今後どのような視点で見直していくべきかただした。
 これに対して理事者側からは、分権改革の動向、大都市としての機能確保などを総合的に考慮して、東京の特性に最も適した制度を構築していかなければならないとの答弁があった。
 東京の抱える高度かつ複雑な行政需要に対応し、大都市行政の一体性・統一性の確保と住民自治の両立を実現するには、都制度を前提とした上で、大都市の実情に即した合理的な行政区域を検討する必要がある。特別区の行政区域は昭和
22年の統合・再編以来、その後の社会状況の変貌にもかかわらず23区のまま変更なく現在に至っている。そこで、特別区の統合・再編について所見をただした。
 これに対して理事者側からは、特別区が自主的・主体的に取り組む問題であるが、議会も含めて都民の意見を広範囲に聞きながら、合理的な行政区域を考えなければならないのではないかとの答弁があった。
 また、特別区域においては、大都市地域における行政を都と区が適切に執行できるよう、都区財政調整制度によって、都と特別区及び特別区相互間の財源調整が行われている。特別区域内では、集積のメリットを求める多くの法人によって都心部に税源が集中するが、この集積は都心部だけでなく周辺の住宅地や商業地、工業地など、大都市の各部分が機能を分担して支えているものであり、都心部だけで受益と負担の関係が完結するものではない。このことを踏まえ、中長期的な観点から財政調整制度の在り方についてただした。
 これに対して理事者側からは、特別区間のある程度の財源の均衡化は必要としつつも、できる限り簡素な仕組みとして検討する必要があるとの答弁があった。
 このほか、政令指定都市制度との比較や海外の大都市制度の動向などについて質疑を交わした。

(5) 広域行政

ア 自治体間の広域連携
 東京や首都圏には、交通渋滞、大気汚染など大都市特有の行政課題が山積しており、これらが都市の魅力と活力を著しく損なう原因となっている。このままでは、東京・首都圏は、国際的な都市間競争に勝ち残っていくことは不可能であり、一日も早い課題解決が求められるが、個々の自治体では解決が困難な状況になっている。
 これまで首都圏の一都三県や政令指定都市は、それぞれの地域特性に応じて自らの創意工夫で都市を発展させてきたという意味では「行政都市」であったといえる。しかし、首都圏が成熟した今日、自治体同士が互いに機能的に連携し合って、都市運営あるいは都市づくりを考えていくことが必要であり、広域的課題の効果的な解決を図るには、関係自治体が緊密に連携し合って政策、施策を展開していくことが重要である。このような認識のもと、これまでの首都圏における広域的取組についてどのように評価しているのかをただした。
 これに対して理事者側からは、現在の八都県市が連携して行ってきた広域行政は、ディーゼル車の排出ガス規制、不正軽油撲滅作戦など実績を上げてきている。これをより一層強化して、国に対してさらに強い圧力をかけられるような存在にしていきたいとの答弁があった。
 このほか、八都県市首脳会議の事務局の在り方について質疑を交わした。

イ 広域連合・道州制等に関する議論
 八都県市で地方自治法上の広域連合制度を活用すべきとの提案も見受けられることについて、どのように考えるかただした。
 これに対して理事者側からは、現行の広域連合制度は、課税権がないこと、調整に時間がかかることなど、構成自治体から独立した広域行政を総合的、機動的に展開するためには、依然として多くの課題があるため、現実的、具体的な取組を八都県市との連携を通じて進めることが、今後重要であるとの答弁があった。
 また、首都圏の広域的課題への対応を図るため、一都三県での道州制導入を目指すべきという意見が一部で主張されている。しかし、一都三県が統合すれば、人口3,300万という巨大自治体が誕生することになり、これが一人の首長の下で本当に自治体として機能するのか疑問である。また、一都三県の住民からも統合を望む声がないことを考えれば、首都圏での道州制導入を議論することは時期尚早と思われるが、どのように考えるのかただした。
 これに対し理事者側からは、首都圏が一つの自治体になって、日本の人口の4分の1強を持ち、しかも3分の1強のGDPを持つ存在になることは、様々な問題が想定されるとの答弁があった。

(6) その他の行財政改革

ア 公会計制度改革
 公会計制度改革の取組は、地方分権が進展していく中では、新たな自治制度のインフラともなり得るものと考える。これまでの取組に対する評価と、今後の公会計改革に対する決意についてただした。
 これに対して理事者側からは、現行会計制度を前提にしたバランスシートには限界があるため、国に先駆けて官庁会計制度を根本から改め、都の会計に複式簿記・発生主義会計を導入する取組に着手した。平成18年度の本格実施に向け、新しい公会計のモデルを発信し、法改正の実現など国を動かしていきたいとの答弁があった。

イ 官民の役割分担と行政サービスの責任
 公共的なサービスの提供に関する、行政と民間の役割分担の在り方についての基本的な考え方及び行政サービスの責任についてただした。
 これに対して理事者側から、NPO、ボランティア、民間企業などの民間主体が提供した方がより効率的でより住民ニーズに即したサービスが期待される場合には、民間にゆだねることが基本となるが、それには公平性の確保が必要であるとの答弁があった。

(7) 参考人からの意見聴取

ア 市川宏雄参考人
 市川参考人からは、「東京の都市づくりの課題と展開」について、意見を聴取した。

 21世紀、平成18年には人口がピークとなり、成熟社会を迎え、環境との共生、国際競争力の確保などが重要なテーマになる。人口の減少期を東京再生の好機ととらえ、社会資本の整備を行い、東京の活性化を図ることが結果的に国家に役立つ。
 また、集積のメリットがあるから都市ができ、都市が肥大することでデメリットが生ずる。多くの場合デメリットが強調されるが、メリットがある限り、デメリットを解決して、メリットを生かすべきである。これまでは成長経済の中、社会資本整備を拡大してきたが、今後は、ストックをどう生かせるか、その維持と更新が課題となる。平成8年当時、投資的経費1兆5,000億円のうち新規投資と更新需要の比率は73:27であったが、平成34年には22:78となると予想されている。そのため、公共事業への市場メカニズムの導入、事業の経済性の評価・検討、施設基盤整備の意思決定プロセスの改善、事業見直し基準の設定などが必要である。
昭和33年の第一次首都圏基本計画では、大ロンドン計画と言われている世界の大都市圏計画を手本とし、緑地帯(グリーンベルト)を設けて郊外への開発拡大を防ごうとしたが、私権制限をしなかったことや、住宅公団の大規模な住宅建設により市街地化されてしまい、そこが東京23区周辺に広がった木造密集地域となった。また、交通網については、放射状方向の道路・鉄道の整備は進んだが、環状道路の整備が遅れ、整備率はわずか2割強と、ロンドンの99%、ベルリンの96%、パリの74%と比べるといかに未整備かが分かる。これまでの都市計画では、均衡ある発展が求められていたが、これからは、人口の4分の3が集まる都市の再生を考えることが重要である。国際社会は均一でなく、全員が平等、同じ価値観で動けば国際競争力はなくなる。社会の中で成功者を生むことが結果的に社会のためになる。バブル崩壊後、都心回帰が進む中、都市の再生を図ることが、日本を良くするということを議員の方々も言わなければいけない。
 国際競争の中、富める者と富めない者との較差が顕在化してくるだろうが、富める者にはどんどん富んでもらう、それを弱者に還元する、そのメリハリをつけることが政治と行政の仕事であり、それを実行すれば、どんな批判にもこたえられるはずである。

イ 中林一樹参考人
 中林参考人からは、「災害に強い東京の都市づくり」について、意見を聴取した。

 東京は、関東大震災といった災害を契機に都市構造を大きく変えてきたが、本来は、災害に打ち勝つ都市構造を事前に造っておくことが望ましい。
 21世紀は直下型の地震が数回発生すると思われる。これまでは経済の右肩上がりの中での都市復興が行われたが、これからは右肩下がりを前提に考えるべきで、事が起きる前に備えることが重要である。また、人口減少は一方では空間に余裕をもたらすことになり、それをうまく使えば安全化が図れる。
 また、今より国際化が進んでいくことから、日本の中である程度、労働力としての外国人との混在という問題は、避けて通れなく、そうした多文化共生型の都市の中での安全都市づくりということが大きな課題になる。
 都はこれまで、被害想定あるいは地震危険度というようなリスクアセスメントを進めてきているが、現在公表されている区部で直下型地震が発生した場合のシミユレーションでは、消しきれない火が燃え広がり3日間燃え続ける場所が出てくるなど、最悪の場合、被害は木造密集地域を中心に40数万棟が焼失・倒壊し、阪神・淡路大震災の5倍の被害が出ると想定されている。
 環状道路の整備の遅れは、膨大な災害対応活動の大きな足かせになる。さらに、首都高速道路の慢性渋滞は災害時には地上道路の更なる渋滞を招くことになる。幹線インフラの整備が重要である。
 木造密集地域の延焼遮断帯の整備も遅れている。これらの地域に幅員6メートル、8メートルの道路を造ることは大変だが、それをやることで沿道の建物の更新も進み、密集市街地の環境を変えることができる。
 災害後に応急仮設住宅を建てると一世帯約300万円が掛かり、後に恒久住宅の建設も必要となる。この費用を前倒しして、被害を減らす防災都市づくりにつぎ込めば、長い目で見れば損にはならない。都には災害復興マニュアルがあるが、飽くまでも事後の復興計画である。事前に復興するという視点で計画を立て、国の支援が受けられるよう訴えることが必要である。
 また、都民に対して防災まちづくりが必要なエリア、脆弱なエリアの存在を都民に公開していく、その中で、都と区の連携があり、そこに住んでいる都民の意識が変わる、そして被害を減らす防災まちづくりが始まると考える。
 もう一つの災害として水害がある。地下空間が増え、ライフラインの多くが地下に埋設されている現在、そこに水が浸水すれば、都市機能を麻痺させる。
 首都機能移転の理由の一つに防災問題が挙げられているが、海外から見れば、首都をほかに逃がすような東京に支社は置かないと言うだろう。東京を安全にすることこそが東京再生に不可欠である。

ウ 成田頼明参考人
 成田参考人からは、「東京及び首都圏における広域自治制度の在り方」について、意見を聴取した。

 地方分権一括法が平成12年に施行され、全国の市町村を1,000にする目標で合併が進められている。何らかの形で合併を検討している市町村は、2,000近くに上っているが、正式な協議会に至ったものは現在600にとどまっている。市町村合併は、自己決定、自己責任で進めるべきである。
 市町村再編の次は、都道府県の再編だが、各都道府県の役割は画一でなく、地域ごとに様々である。全国知事会では現在、様々な観点から都道府県の役割の再検討を行っているが、具体的に制度設計の提示にまでは至っていない。
 高度成長期には道州制など都道府県の在り方について、経済界を中心に議論されたが、今回は学者、都道府県なども加わっているところに特色がある。大阪府、神奈川県、福岡県、岡山県、北海道、岩手県、九州など各自治体、地域が独自の提言、研究を行っているが、その内容は基本的な方向を示すにとどまっている。  これらの提言は各地域の実情に合った多様な制度改革となっているほか、大規模な府県合併型の自治型道州制という立場を採るものが多く、連合方式については余り提言がない。大都市問題については、政令指定都市の中に特別市への移行を目指す動きがあるが、府県との関係で税財源の配分、議会制度上の問題等があり、なかなか結論が出せない。
 都道府県の広域行政のための制度については、一つは連邦制がある。これは人種問題、民族問題など非常に深刻な問題を抱えているところにふさわしく、日本には適合していない。また、連邦制は国そのものの抜本的な再編成となり、分権の課題とは次元が違う。次は、道州制で、昭和34年の第4次地方制度調査会で全国を7ブロックから9ブロックに分けるとの答申がされたが、地方と国家の性格を併有する半官半自治に当時の自治体関係者から猛烈な反発を受け実現しなかった。現在では、ブロック単位の府県合併が提案され道州制の基になっている。
 東京及び首都圏における広域行政の在り方について、府県域を超える広域行政の問題は、生活圏域の拡大、社会経済構造の高度化、行政の質の高度化などにより、日本全域の課題となっている。特に東京などの大都市圏における広域行政が重要だか、一気に道州制へもっていくのは拙速であり、関係都市による協力・連携による段階的積み上げが必要である。広域行政の範囲は、当面は東京、神奈川、埼玉、千葉の一都三県、約50キロ圏とすべきで、関東地方の他県は個別の課題で協議していくことで足りる。
 また、広域自治政府をつくる問題については、政治的、行政的に抵抗が大きく、莫大なエネルギーもかかるので、当面は広域連合的な連携共同を目指すべきである。七都県市首脳会議は、今後、法定協議会に格上げすべきで、メンバーも首長だけでなく議会の代表、関係市町村の代表も参加させるべきである。
エ 古川俊一参考人
 古川参考人からは、「地方自治の新たな進展と東京都の在り方」について、意見を聴取した。

 広域行政に関する様々な意見を「二つの論理」と「四つのモデル」に整理した。「経済的な論理」とは、行政の在り方は規模の利益を図り、効率性を達成し、効果ある行政を行い、執行能力を高めていき、全体として経済的な効果を上げていくという論理である。一方「政治的な論理」とは、むしろ民主的な統制、住民の声の的確な反映、サービス向上が重要という論理である。そして、この二つの論理を組み合わせると四つのモデルができる。「合併モデル」は経済性を追求し、政府の数は少ないほど良く、事務の重複をなるべく避けようというモデルである。「分権・近隣政府モデル」は政治的論理を追求し、小さな政府は住民の帰属意識を高め、住民の影響力が行使できるという観点から特に都市地域で小規模な政府を目指すというモデルである。
 「二層制大都市政府モデル」はこれら二つのモデルの折衷案であり、上層は広域的な合併モデル、下層は近隣政府を目指すというモデルである。「市場機構モデル」は、市場にありとあらゆる商品が出回っているように、ありとあらゆる多様な自治体の中から、住民が足による投票で自分の自治体を選ぶというモデルである。東京都は「二層制大都市政府モデル」に近いが、規模が大き過ぎる。広域合併したとしても、純化して小さな政府が妥当である。
 連邦制は民族問題、歴史的経緯からアメリカ、ドイツなどで導入されたが、連邦制を実現するためには憲法改正が必要であり、そのような背景がない日本が導入する必然性は少ない。
 一方、道州制という言葉は集権的色彩を感じる。そこで、自治権を強化した「実質的連邦制」を提唱している。連邦制という一つの言葉を使って自治権をどうやって広域的に保障していくかに関心がある。
 一国多制度はあって当然である。集権的発想こそが改革を阻むのであり、その意味で地方自治制度のモデルはむしろ身近にあるのではないか。国民国家自身とは別個の体系もあり得るというのが地方自治である。
 広域の協力を増やすような行政がますます必要となっている。一方で、政府は小さいほど良いという考えもあり、日本のような高密度の社会では特にそうである。広域的な問題を調整・規制する機能をつくっておかないと市民生活は回らない。一方で、狭域的には身近な行政を進めていくという二本立ての行政機構をつくることが重要である。また、仕事ができない弱小市町村の権限縮小は当然であり、西尾私案の原則論には一定の理解をしている。

オ 黒川和美参考人
 黒川参考人からは、「東京都に求められる都市機能と行政の果たすべき役割」について、意見を聴取した。

 都市の構造には、東京、パリ、ロンドンのようなモノセントリシティー(単一核都市、郊外から都心に人が集まる構造)とポリセントリシティー(複数核都市、多くの都市が連携して都市群を構成)とがあり、近年は後者が注目されている。その例はオランダのランドシュタット、ドイツのルールゲビートなどで、これらは、国境を越えた公共交通により、多くの違った機能を持つ都市が連携している。
 東京も、大学・教育機能、業務機能、行政機能、空港機能などを外側に移すことでポリセントリシティー化を進めてきた。一方、今までは大手町、丸の内、有楽町などが都心だったが、最近では複合機能を持つ港区、品川区型のまちづくりが注目されている。東京周辺の未利用地を高度利用すると税収増になり、秋葉原、六本木、汐留、品川の再開発は、数年後には税収増をもたらす。幾つかの拠点的な地域がネットワークで結ばれること、国際都市にとって機能的に海外と結びついていることが重要であり、空港機能を持たないと世界の競争から取り残される。
 行政の果たすべき役割として、今後はPPP(パブリック、プライベート、パートナーシップ)といった、いわゆる民営化の時代であり、行政が技術者を抱えて公共工事の水準を維持し、入札価格で業者を決めるようなやり方は古い。民間の技術者を活用し、デザインも含めたコンペ方式を採用すべきである。行政は、民間が行政との契約を適正に行っているかチェックする「コントラクトマネジャー」の役割に徹するべきである。ロースクールから生まれる年間4,000人のロイヤーが、行政における人材不足に貢献し、「新契約国家」の体制ができる。
 都区財政調整制度は、今では既にマイナスの要素が大きくなってきている。この制度がなく、固定資産税は、自分たちが開発した地域の税収は自分たちに入ってくるという原則があったら、区はそこに最も魅力的な施設を造り、まちづくりをするはずである。TIF(タックス・インクレメント・ファイナンシング)とは、開発する財源が無いとき、開発によりもたらされる税収を想定し、それを担保に銀行から資金を借りて事業を行い、リスクは銀行が負うものである。アメリカでは48州で活用されているが、日本では制度化の検討が進んでいない。
 欧州各国の水管理会社は他国に入って競争するのが常識であり、日本とアメリカだけが行政で事業を行っている。水道事業だけでなく、道路、教育など様々な分野で外国企業が日本での事業機会をねらっている。水道事業などはもっと民間に近い形で運営されることが望ましい。港湾、広域交通、廃棄物処理、国際空港などの整備に投入すべきは、民間の資金とノウハウであり、リスクも民間がとりながら、行政はそのバックアップの役割を果たすべきである。都は税源不足ではなく、費用がかかり過ぎる。多くの事業は民間で行うべきで、幾つかの市町村が一般廃棄物を有料化しているように、公共料金の新たな徴収も可能である。
カ 神野直彦参考人
 神野参考人からは、「東京都の行う行財政改革の基本問題」について、意見を聴取した。

 地方分権推進会議の議論について、いわゆる水口試案では、地方への税源移譲について将来の増税時にあわせて実施するとしているが、増税時に税源配分の見直しを行うのでは三位一体ではなく、税源移譲の先送りである。また、地方共同税は逆交付税のようなものであり、都は税収を取られるだけで影響は大きい。
 昭和3年の第16回総選挙のポスターで、既に政友会は中央集権批判、地方への財源移譲の重要性を訴えていた。これは地租(固定資産税)、営業税(事業税)を国税から地方税に移譲しろという民主主義運動の大正デモクラシーが背景にあり、地方自治体が運動によって勝ち取ったものと理解すべきである。
 行政任務を地方自治体に多く割り当てれば分権的になるが、行政任務の決定権を国が握ったままで課税権を地方に与えない場合は、集権的のままとなり分権的にはならない。機関委任事務の廃止と税源の移譲、この二つが車の両輪にならなければ地方分権は進まない。
 平成7年に制定された地方分権推進法の第1条では、「国民がゆとりと豊かさを実感できる社会を実現することの緊要性にかんがみ」とうたっている。住民から遠い中央政府が公共サービスを決定すると、地域の多様な生活に合わないサービスとなり、ゆとりも豊かさも実感できない。身近なところで公共サービスの受益と負担を決定できるようにすることが地方分権の目的である。税源移譲は、地方分権を進めるためのベースキャンプであり、税源移譲の税目は、課税ベースが広い個人住民税や消費税などの基幹税でなければならない。このことは推進会議でも多数意見であり、基幹税が入らなければ税源移譲の先送りと同じである。
 さらに、一部には地方の課税自主権を使って税収を確保すべきとの議論があるがこれは間違いである。行政任務と課税権が非対応になっており、まずこれを是正すべきである。これは、かつて法定外独立税を行使して各地方自治体が何にでも課税し、不公平で不健全な税金が乱立したことをシャウプ勧告が批判し、地方に実質的に依存できる税源を与えるよう求めた精神からも明らかである。
 ヨーロッパ地方自治憲章でも、地方自治の範囲を「公共部門が担うべき責務は、原則として、最も市民に身近な公共団体が優先的にこれを執行するものとする。」と明確にうたっている。その財源についても、「地方自治体は、国家の経済政策の範囲内において、かつ、自らその権限の範囲内において、自由に使用することのできる適切かつ固有の財源を付与されなければならない。」としている。さらに、世界地方自治憲章でも同様のことがうたわれている。
 このように、地方分権の次の改革目標は税源移譲だとしているのは、決して世界の常識からはずれたものではない。

4 提出資料一覧
 (事項名)
平成13年10月25日配布分
資料第 1号 「都政改革ビジョンⅡ」について
資料第 2号 東京及び首都圏における地方自治の問題・課題
資料第 3号 最近の地方分権と都区制度改革の経緯

平成13年11月7日配布分
資料第1号 センター・コア内の主な大規模開発
資料第2号 生活環境に関する各種指標にみる首都圏(1都3県)と他県との比較
資料第3号 日本の独立行政法人の概要及び英国エージェンシーとの比較
資料第4号 都政への要望経年変化(都民生活に関する世論調査)
資料第5号 臨海関係第三セクターの経営状況
資料第6号 都区制度改革に関する報告書等とそのポイント
資料第7号 市町村振興交付金・調整交付金の推移(5年間)
資料第8号 都道府県別人口1人当たりの租税の還元の状況
資料第9号 国及び地方における長期債務年度末残高合計の推移
資料第10号 直轄事業負担金の決算額の推移
資料第11号 首都高速道路公団に対する出資金・貸付金の決算額の推移
資料第12号 都債発行額及び年度末都債残高の推移(一般会計)
資料第13号 都債実償還額及び年度末都債残高見込の推移(一般会計)

平成13年11月21日配布分
資料第1号 地方制度調査会等のこれまでの答申・提言(広域的地方制度について)
資料第2号 広域連合の現状
資料第3号 主な広域協議会の現状
資料第4号 諸外国の地方自治制度の概要
資料第5号 主な広域的課題
       (1)道路 (2)鉄道 (3)物流 (4)大気 (5)水質 (6)産業廃棄物 (7)水資源 (8)地震

平成13年12月21日配付分
資料第1号 第27次地方制度調査会及び地方分権改革推進会議について
資料第2号 政令指定都市・中核市・特例市の比較について
資料第3号 大都市制度の沿革について
資料第4号 特別区制度の沿革について
資料第5号 海外大都市における自治制度について
資料第6号 海外における特色のある大都市制度等の事例について
       (1)カナダ・トロント地域の大都市制度の沿革等
       (2)オーストラリア・シドニーの選挙制度

平成14年4月24日配付分
資料第1号 「自治制度の改革の論点整理」
資料第2号 委員会審議事項と「自治制度改革の論点整理」の対照表
資料第3号 大都市制度の沿革について
資料第4号 特別区制度の沿革について

平成15年7月18日配付分
 地方分権に関するこれまでの動き

5 行財政改革等に関する国の動き
  本委員会が平成13年10月5日に設置された以降、行財政改革等に関する国の動きは以下のとおりである。

国の動き
平成13年
7月3日
地方分権改革推進会議発足

11月11日
「規制緩和推進に関する第1次答申」閣議決定
・医療情報の公開
・派遣労働者派遣期間の規制撤廃検討
・保育所定員基準の弾力化

11月12日
地方分権改革推進会議「中間論点整理」
・自治体自身の「総合行政化」
・地方の創意工夫が発揮される環境整備
・現在の財政需要を踏まえた事務事業の見直し

11月19日
第27次地方制度調査会発足

12月19日
「特殊法人等整理合理化計画」閣議決定
・他の法人との統合を含め廃止17法人
・民営化45法人
・独立行政法人38法人

12月25日
「公務員制度改革大綱」閣議決定

平成14年
3月29日
「規制緩和推進3か年計画を改定」閣議決定
同日
「公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画」
「公益法人制度の抜本的改革に向けた取組みについて」閣議決定

5月21日
経済財政諮問会議-地方財政の構造改革と税源移譲について-
・経済活力を最重要視した税制改革
・国と地方の歳出を見直し「小さな政府」を目指す(片山総務大臣が試案提出)
・税源移譲案 5兆5,000億円

6月17日
地方分権改革推進会議 事務・事業の在り方に関する中間報告
・公立学校教員給与の国庫半額負担の見直し
・公共事業の国庫補助金の廃止・縮減
・幼稚園と保育所の資格、制度一元化

6月21日
経済財政諮問会議 経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002

6月25日
「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」閣議決定
・国庫補助負担金、交付税、税源移譲を含む税源配分の在り方を三位一体で検討
・改革案を、今後1年以内を目途に取りまとめる

平成14年
8月28日
総務省「制度・政策改革ビジョン」発表
・規制改革等による経済の活性化
・総人件費の抑制
・地方行政制度改革
・地方税財政制度改革
・地方行政サービスの民間委託等

10月18日
特殊法人等改革推進本部 特殊法人等の廃止・民営化等及び独立行政法人の設立等に当たっての基本方針について

10月30日
地方分権改革推進会議 事務・事業の在り方に関する意見
・国と地方の役割分担に応じた事務事業の見直しに向けて 検討
・国庫補助負担事業の廃止・縮減については、今後、政府 部内で議論する

11月20日
財政制度等審議会-平成15年度予算編成等に関する建議-
・地方交付税の財源保障機能の廃止
・義務教育費国庫負担制度の見直し

11月29日
第27次地方制度調査会-当面の地方税財政措置に関する意見-
・三位一体改革の推進
・平成15年度における地方税財政措置

12月12日
「規制緩和推進に関する第2次答申」閣議決定
・駐車違反対応業務の民間委託検討
・国税・地方税のコンビニでの納付
・医薬品のコンビニなどでの販売検討
同日
構造改革特区法成立

12月13日
行革関連法案成立(臨時国会平成14年10月18日から12月13日)
特殊法人改革関連法(民営化や独立行政法人化など49の特殊・認可法人を改革) 行政手続きオンライン化3法
構造改革特区法

12月24日
「国と地方に係る経済財政運営と構造改革に関する基本方針」
閣議口頭報告

2月5日
地方六団体 独立行政法人の制度の法制化に関する要望 地方独立行政法人法制度検討に当たっての要望

2月17日
総合規制改革会議「規制改革を加速的に推進する12の重点 検討事項(規制改革推進のためのアクションプラン)提出 「特区で実施可能な規制の特例」として「構造改革特別区域基本方針」に盛り込む事項について

3月28日
「規制改革推進3か年計画(再改定)」閣議決定

平成15年
4月1日
片山総務大臣 三位一体改革の進め方について 塩川財務大臣 地方の自立のための改革について (経済財政諮問会議で発表)
同日
郵政公社設立・独立行政法人への移行

4月30日
第27次地方制度調査会 今後の地方自治制度のあり方についての中間報告
・合併特例法失効後の市町村合併促進策の提示
・地域自治組織制度の導入
・都道府県合併手続の整備、道州制の検討

5月7日
地方分権改革推進会議 「事務・事業の在り方に関する意見」のフォーローアップ結果
・保健所長医師資格要件の廃止
・高等学校・幼稚園の設置認可の見直し
・農業委員会・改良普及事業の必置規制の見直し

5月8日
経済財政諮問会議 「三位一体の改革」の取りまとめに向けた検討の進め方

5月23日
第27次地方制度調査会 地方税財政のあり方についての意見
・地方交付税を通じた財源保障は必要不可欠
・国税と地方税の財源配分が1:1となることを目指す

6月6日
地方分権改革推進会議 三位一体改革についての意見
・「基本方針2002」に示された期間中(平成18年度まで)に、国庫補助金の数兆円削減を強く期待
・地方交付税の財源保障機能を縮小することで地方の努力を促す
・税源移譲に関する具体的な内容には言及していない

6月9日
財政制度等審議会建議 平成16年度予算編成の基本的考え方について
・自助努力、自己責任による地方行財政運営の実現
・地方交付税制度の「自立支援型」改革の継続
・行政のスリム化の観点からの国庫補助負担金制度の改革

6月11日
財政制度等審議会-「三位一体」改革に関する意見書-
・財源保障機能、財政調整機能の存続
・国税、地方税の割合を5:5に

6月13日
地方自治法の一部改正公布
・地方公共団体の内部組織に関する事項
・公の施設に関する事項(指定管理者制度)

6月16日
地方独立行政法人法成立
国立大学法人法公布

平成15年
6月17日
政府税制調査会中期答申 少子・高齢社会における税制のあり方
・地方行財政の効率化 市町村合併の推進 地方歳出に対する国の関与の廃止・縮減
・三位一体改革 税源移譲を含め国と地方との税源配分のあり方の根本的見直し

6月26日
経済財政諮問会議-経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003-
・「国と地方の改革」の項に三位一体の改革を明記
・税源移譲は基幹税の充実を基本に行い、8割程度を目安として移譲
・国庫補助金は概ね4兆円程度を目途に廃止・縮減等を行う
・地方交付税の総額を抑制し、財源保障機能を縮小

6月27日
「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」閣議決定 「公益法人等の抜本的改革に関する基本方針」閣議決定

7月15日
総合規制改革会議「規制改革推進のためのアクションプラン・12の重点検討事項に関する答申 消費者・利用者本位の社会を目指して 」提出
・「官製市場」の改革の重要性
・「規制改革推進のためのアクションプラン」の決定とその実行経緯
・第3次答申に向けた今後の取組

7月28日
行革関連法案成立(通常国会平成15年1月20日から7月28日)
個人情報保護法 改正構造改革特別区域法(株式会社による学校設置など)

9月19日
総務省「全国規模の規制改革要望への対応方針」閣議報告
全国規模で実現する規制改革67項目

9月29日
地方分権改革推進会議 今後の論点及び審議の進め方

10月17日
内閣府「行政サービスの民間開放の拡大検討について」発表
同日
経済財政諮問会議「自治体業務の民間委託推進」の方針取りまとめ確認

11月13日
第27次地方制度調査会最終答申「今後の地方自治制度のあり方に関する答申」
同日
「当面の地方財政のあり方についての意見」

12月15日
政府税制調査会答申

12月22日
総合規制改革会議答申

平成16年
3月1日
第28次地方制度調査会発足

3月19日
規制改革・民間開放推進3か年計画閣議決定

4月12日
規制改革・民間開放推進会議発足

4月20日
地方自治の在り方に関する意見書骨子案
地方分権改革推進会議小委員会
Ⅰ 事務・事業の見直しと地方の自由度の拡大
Ⅱ 地方公共団体の行財政運営の改革
Ⅲ 地方分権改革推進のための地方行政体制整備

4月26日
第28次地方制度調査会審議事項に関する論点メモ
1 道州制のあり方
2 大都市制度のあり方
3 地方行政の弾力化
4 議会のあり方
5 地方税財政制度のあり方
同日
麻生総務大臣 地方分権推進のための「地方税財政改革」 (「三位一体改革」について)
谷垣財務大臣 国と地方の改革の推進について
1 「三位一体改革」の進め方に関する見解
2 麻生総務大臣提案に関する見解(経済財政諮問会議で発表)

5月12日
地方分権改革推進会議
地方公共団体の行財政改革の推進等行政体制の整備についての意見 地方分権改革の一層の推進による自主・自立の地域社会をめざして
Ⅰ 事務・事業の見直しや様々な方策による地方の自由度の拡大
Ⅱ 地方公共団体の行財政運営の改革
Ⅲ 地方分権改革推進のための地方行政体制整備

5月17日
財政制度等審議会建議 平成17年度予算編成の基本的考え方について ・地方交付税総額の抑制方針 地方公務員給与も厳しく見直し地方向け補助金は平成17、18年度で3兆円程度
・教員給与の優遇措置や教職員定数のあり方を、関連法廃止も含めて抜本的に見直し
・公共事業のコスト構造改革、事業評価等の取組を徹底

5月25日 中央教育審議会教育条件整備に関する作業部会
「義務教育費に係る経費負担の在り方について」(中間報告)

5月26日 地方財政審議会 地方税財政制度改革(三位一体の改革)に関する意見

5月27日 第28次地方制度調査会審議事項に係る論点について

平成16年
6月3日
経済財政諮問会議 経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004

6月4日 「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」閣議決定

ページ先頭に戻る