平成十六年東京都議会会議録第十三号

平成十六年九月二十九日(水曜日)
 出席議員(百二十名)
一番谷村 孝彦君
二番東村 邦浩君
三番村上 英子君
四番秋田 一郎君
五番矢島 千秋君
六番鳩山 太郎君
七番後藤 雄一君
八番福士 敬子君
九番林  知二君
十番伊沢けい子君
十一番新井美沙子君
十二番相川  博君
十三番山下 太郎君
十五番河野百合恵君
十六番長橋 桂一君
十七番小磯 善彦君
十八番野上じゅん子君
二十番北城 貞治君
二十一番高橋かずみ君
二十二番山加 朱美君
二十三番小美濃安弘君
二十四番吉原  修君
二十五番山田 忠昭君
二十六番臼井  孝君
二十七番林田  武君
二十九番山口 文江君
三十番柿沢 未途君
三十一番初鹿 明博君
三十二番酒井 大史君
三十三番清水ひで子君
三十四番かち佳代子君
三十五番小松 恭子君
三十六番東野 秀平君
三十七番藤井  一君
三十八番ともとし春久君
四十一番野島 善司君
四十二番真鍋よしゆき君
四十三番松原 忠義君
四十四番田代ひろし君
四十五番三宅 茂樹君
四十六番川井しげお君
四十七番鈴木 一光君
四十八番吉野 利明君
四十九番こいそ 明君
五十番執印真智子君
五十一番花輪ともふみ君
五十二番真木  茂君
五十三番大津 浩子君
五十四番大塚 隆朗君
五十六番古館 和憲君
五十七番松村 友昭君
五十八番丸茂 勇夫君
五十九番木内 良明君
六十番鈴木貫太郎君
六十一番森田 安孝君
六十二番石川 芳昭君
六十三番土持 正豊君
六十四番倉林 辰雄君
六十五番遠藤  衛君
六十六番鈴木あきまさ君
六十七番近藤やよい君
六十八番串田 克巳君
六十九番中屋 文孝君
七十番三原 將嗣君
七十一番樺山たかし君
七十二番田島 和明君
七十三番宮崎  章君
七十四番大西由紀子君
七十五番樋口ゆうこ君
七十六番中村 明彦君
七十七番馬場 裕子君
七十八番和田 宗春君
八十番大山とも子君
八十一番東ひろたか君
八十二番池田 梅夫君
八十三番中山 秀雄君
八十四番大木田 守君
八十五番前島信次郎君
八十六番桜井良之助君
八十七番新藤 義彦君
八十八番星野 篤功君
八十九番いなば真一君
九十番高島なおき君
九十一番服部ゆくお君
九十二番古賀 俊昭君
九十三番山本賢太郎君
九十四番立石 晴康君
九十五番清原錬太郎君
九十六番小山 敏雄君
九十七番大山  均君
九十八番大河原雅子君
九十九番田中  良君
百番小林 正則君
百一番藤川 隆則君
百二番坂口こうじ君
百三番曽根はじめ君
百四番渡辺 康信君
百五番秋田かくお君
百六番中嶋 義雄君
百七番石井 義修君
百八番橋本辰二郎君
百九番藤井 富雄君
百十番桜井  武君
百十一番野田 和男君
百十二番野村 有信君
百十三番比留間敏夫君
百十四番大西 英男君
百十五番山崎 孝明君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十番田中 晃三君
百二十一番藤田 愛子君
百二十二番尾崎 正一君
百二十三番土屋たかゆき君
百二十四番富田 俊正君
百二十五番名取 憲彦君
百二十六番吉田 信夫君
百二十七番木村 陽治君

 欠席議員(なし)
 欠員
十四番  十九番  二十八番
三十九番 四十番  五十五番
七十九番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事福永 正通君
副知事濱渦 武生君
副知事大塚 俊郎君
副知事竹花  豊君
出納長櫻井  巖君
教育長横山 洋吉君
知事本局長前川 燿男君
総務局長赤星 經昭君
財務局長松澤 敏夫君
警視総監奥村萬壽雄君
主税局長山口 一久君
生活文化局長山内 隆夫君
都市整備局長梶山  修君
環境局長平井 健一君
産業労働局長関谷 保夫君
建設局長岩永  勉君
港湾局長成田  浩君
交通局長松尾  均君
水道局長高橋  功君
消防総監白谷 祐二君
福祉保健局長幸田 昭一君
下水道局長二村 保宏君
大学管理本部長村山 寛司君
病院経営本部長押元  洋君
中央卸売市場長森澤 正範君
新銀行設立本部長津島 隆一君
選挙管理委員会事務局長高橋 和志君
人事委員会事務局長佐藤  広君
地方労働委員会事務局長久保田経三君
監査事務局長高橋 道晴君
収用委員会事務局長嶋津 隆文君

九月二十九日議事日程第三号
第一 第百八十九号議案
平成十六年度東京都水道事業会計補正予算(第一号)
第二 第百九十号議案
特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三 第百九十一号議案
東京都職員定数条例の一部を改正する条例
第四 第百九十二号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百九十三号議案
学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第六 第百九十四号議案
東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第七 第百九十五号議案
東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第八 第百九十六号議案
東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例
第九 第百九十七号議案
東京都建築安全条例の一部を改正する条例
第十  第百九十八号議案
東京都海区漁業調整委員会委員及び東京都内水面漁場管理委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第十一 第百九十九号議案
東京における自然の保護と回復に関する条例の一部を改正する条例
第十二 第二百号議案
東京都給水条例の一部を改正する条例
第十三 第二百一号議案
火災予防条例の一部を改正する条例
第十四 第二百二号議案
救急業務等に関する条例の一部を改正する条例
第十五 第二百三号議案
都立葛飾地区総合学科高等学校(仮称)(H十六)改修工事請負契約
第十六 第二百四号議案
都営住宅十六H一〇一北(村山)工事請負契約
第十七 第二百五号議案
多摩大橋鋼けた製作・架設工事(その二)請負契約
第十八 第二百六号議案
日暮里・舎人線鋼けた製作・架設工事(その二十八)請負契約
第十九 第二百七号議案
日暮里・舎人線鋼けた及び鋼支柱製作・架設工事(その二十九)請負契約
第二十 第二百八号議案
地方自治法等の一部を改正する法律による改正前の地方自治法第二百四十二条の二第一項第四号の規定による訴訟に係る費用の負担について
第二十一 第二百九号議案
工作物収去土地明渡等の請求に関する民事訴訟の提起について
第二十二 第二百十号議案
多摩川流域下水道野川処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
第二十三 平成十五年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
第二十四 平成十五年度東京都公営企業各会計決算の認定について
議事日程第三号追加の一
第一 東京都教育委員会委員の任命の同意について(一六財主議第二九九号)
第二 東京都公安委員会委員の任命の同意について(一六財主議第三〇〇号)
第三 東京都公安委員会委員の任命の同意について(一六財主議第三〇一号)
第四 東京都土地利用審査会委員の任命の同意について(一六財主議第三〇二号)
第五 東京都土地利用審査会委員の任命の同意について(一六財主議第三〇三号)
第六 東京都土地利用審査会委員の任命の同意について(一六財主議第三〇四号)
第七 東京都土地利用審査会委員の任命の同意について(一六財主議第三〇五号)
第八 東京都土地利用審査会委員の任命の同意について(一六財主議第三〇六号)
第九 東京都土地利用審査会委員の任命の同意について(一六財主議第三〇七号)
第十 東京都土地利用審査会委員の任命の同意について(一六財主議第三〇八号)

 午後一時一分開議

○議長(内田茂君) これより本日の会議を開きます。

○議長(内田茂君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(内田茂君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、東京都教育委員会委員の任命の同意について外人事案件九件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(内田茂君) 昨日に引き続き質問を行います。
 六十五番遠藤衛君。
   〔六十五番遠藤衛君登壇〕

○六十五番(遠藤衛君) 私は、第三回定例都議会における、石原知事の前向きかつ大変力強い所信表明をお聞きいたしまして、安心と同時に、今日までの都の抱えている課題が、解決に向かって大きく前進するものと期待をするところでございます。
 このような観点に立って、以下、知事並びに教育長、関係局長に質問をさせていただきます。
 まず、水の確保と緑の保全についてお伺いいたします。
 ことしの夏は、一言でいえば、猛暑、酷暑の夏でした。東京では、三十度を超える真夏日が連日四十日も続き、三十八度を超える日が二日もありました。太平洋高気圧の関係で、台風による集中豪雨が、西日本を初め、新潟、福井、四国を襲い、多大な被害が生じました。
 また、NHKが八月四日、アメリカ西部ネバダ州での三十年来の干ばつで、離農者も出ていること、ダムの水位が三十メートルも下がってしまった。また、バングラデシュでも、全土の三分の二が洪水に見舞われたと伝えておりました。
 このようなことについて、「地球にやさしくなれる本」の中にも書かれておりますが、これは、ビートたけしさんのお兄さん、北野大さんの監修ですが、この中に、温暖化すると降雨量が変化をする、雨がふえる、雨が降らなくなってしまう国が出てくる、バングラデシュや太平洋の島々などのような国では、洪水と干ばつの危険性が高く、現在でも脅威となっていると書かれております。
 このような異常気象による被害が、日本にも起こってしまいました。水害に限らず、農産物の生産低下、海流の変化による漁業への影響、あるいは急激な気候の変動による森林の生態系の変化など、このような異常は、実は、私たちの身近にも起こっております。
 私の地元に野川という川がございますが、この川は、国分寺、小金井市、三鷹市、調布市、狛江市を流れている川であります。かつて、蛍が飛び交う、水の豊かな川でした。それが今、この川が異常ともいえる状況にあります。水量が激減し、水のない川になってしまっているのであります。
 皆さん、水のない川が想像できますか。ほかにも、残堀川、空堀川もございますが、例えば多摩川、神田川に水が全くなくなってしまったらどうなるのか、想像がつかないでしょう。
 こうした状況を改善するために、都は、平成二年から湧水保全モデル事業、また、平成四年から十四年まで、治水対策を主目的とする各戸貯留浸透施設等の助成事業がとられてきました。さらに、平成十年六月の定例都議会におきまして、私の質問から、JR武蔵野線からのわき水を野川に流入する対策が講じられました。しかし、今年のこの異常渇水は、こうした対策を講じても避けられないものでした。
 ご承知のとおり、崖線沿いの数々のわき水を水源とする野川は、大地が吸収した雨を湧水として川から海に流すという大自然の水循環を端的に表現しております。こうした状況を改善していくために、私は、降った雨が即、下水道や河川に流すのではなく、雨水を地下に積極的に戻し、地下水の涵養をすることが重要と考えております。
 都は、野川流域を対象に、雨水浸透ます設置補助など、さまざまな施策を行っているところであります。その中でも、地下水涵養に効果がある施策として、総合的な治水対策の雨水流出抑制施設の設置があります。公共施設や民間施設など、広範囲にわたり整備が進められております。
 そこで、これまでの野川流域における地下浸透対策の現状と、今後の取り組みについてお伺いをいたします。
 次に、私は、都市づくりという観点からお伺いをいたします。
 都市化に伴う農地や緑地の減少等で、せっかく降った雨が地中に浸透しない、これが水源の枯渇につながっていると考えられます。水循環を回復させ、多摩地域の水のない川をよみがえらせることは、都政にとって今、喫緊の課題であります。見解をお伺いいたします。
 次に、同じく水ということで、水道水についてお伺いいたします。
 水は、私たちの生活にとって欠くことのできないものですが、水源水質の悪化などの問題を背景に、水道水に対する都民の満足度が、今、非常に低いという現状であると聞いております。
 水道局では、本年六月から、安全でおいしい水プロジェクトをスタートさせました。プロジェクトの取り組みの一つとして、水道局では、このたび、金町浄水場の高度浄水処理水をペットボトルに詰め、都民に配布をいたしました。
 そこで、ペットボトル「東京水」に対する都民の評価についてお伺いをいたします。
 水道水に対する信頼の回復のために、水源から蛇口に至るまでの総合的な取り組みが重要であります。例えば、東京の貴重な水がめである小河内ダムにおいては、アオコ対策の強化が求められているところであります。また、特に水質に関して都民の不満が多い貯水槽への対策も、喫緊の課題であります。
 こうした中で、この十一月には朝霞浄水場で新たな高度浄水施設が稼働し、高度浄水処理水の給水区域がさらに拡大されます。このことは、都民にとって歓迎すべきことであり、大変大きな前進であると思います。
 しかしながら、既存の金町や三郷浄水場の高度処理施設も含めて、利根川水系の浄水施設能力の点では、まだ不十分であります。原水の水質が悪い利根川水系の浄水場には、ぜひ高度処理水が必要と考えます。
 そこで、今後の高度処理の積極的な導入について、水道局のお考えをお伺いいたします。
 次に、環境と経済、そしてフロン対策についてお伺いいたします。
 環境問題は、経済と環境が一体とならなければ解決の道は開かれないと思います。日本は戦後、経済の復興を第一にしたため、何よりも経済を優先させてきました。その成果はありましたが、環境という問題を残してしまいました。
 東京から日本を変えるといわれた石原知事は、その一つとして、ディーゼル規制を見事に実現させ、すばらしい成果が出ています。ペットボトルを振りかざして訴えたあの姿は、知事の並々ならぬ努力と決断があったからであります。
 所管局も大変ご苦労されたことでしょうが、私たちも、それぞれの立場で、この問題には勇気ある決断を求められたのであります。しかし、人間の住めない地球にしてはいけないという合い言葉で、私たちも決断をしたんです。この問題は、真に人間優先のテーマだったんです。だから、ディーゼル車両を使用して仕事をしている方も、景気の最悪なときにもかかわらず、大きな負担をしてまで理解をしていただけたのであります。
 こういう現状を見たときに、何で京都議定書での日本のCO2削減目標六%が達成できないのか、それは、それぞれの国が自分たちの立場だけを主張しているからであります。経済面だけを主張しているからであります。もっと国民、大きくは地球全体の環境を考えるならば、必ず前進をするはずであります。
 先週発表された環境局の調査によれば、都内の二〇〇二年度のCO2排出量は、減るどころか、基準年度、一九九〇年度に比べて一六%も増加をしております。石原知事、一向に進展しない国の温暖化問題に対する取り組み姿勢をどのように見られているか、所見をお尋ねいたします。
 温暖化問題は、オゾン層破壊の問題とあわせて、現代の地球環境を考える上で大変重要です。温暖化がこのまま進めば、二十一世紀後半には海面が一メートルも上がってしまう、あるいは、この夏のような異常気象や強力な台風が発生するなど、このように、地球温暖化の問題は全地球的に進行しております。
 特にフロンは、二酸化炭素に比べ、数百倍から一万倍以上の温暖化効果があるといわれております。そこで、私は、平成十二年第三回定例都議会におきまして、オゾン層を破壊しない代替フロンについても条例で規制すべきだと質問をいたしました。石原知事はこの質問に対し、フロン回収及び破壊を義務づけたい、また、国に先行して、東京都がやはりそういう問題に取り組むべきではないかと答えられました。
 そこで、フロン対策について、条例制定後の成果と課題についてお尋ねをいたします。
 次に、幼稚園と保育園の連携についてお伺いします。いわゆる幼保一元化であります。
 今日、少子化対策とあわせて、激変した子どもを取り巻く環境や、人間形成の基本を培う最も大切な幼児期における教育をしっかりとしなければならないことを痛感しております。これらの幼児期における人間形成にかかわる施策について、既に幾つかの区では試みています。
 私は、品川区にある二葉すこやか保育園に視察に行ってまいりましたが、この施設は、幼稚園と保育園の有効活用から生まれた施設であります。園長先生は、親が親になれるための親の子育ての力をつけなければならない時代だと強調されておりました。また、幼稚園と保育園の統合は、少子化の歯どめにも役立つともいわれておりました。
 幼稚園と保育所の統合を国でも検討しておりますが、都として今、どのようにこの問題をとらえているのか、まず福祉保健局長にお尋ねをいたします。
 さらに、あすの日本を背負う強い子どもを育て、思いやりをはぐくみ、心身ともにバランスのとれた子どもの育成は、喫緊の課題であります。教育改革を進められている教育長の所見をお聞かせください。
 次に、都立病院改革についてお伺いいたします。
 先般、多摩老人医療センターの東京都保健医療公社移管後の医療機能に関する報告書が発表されました。公社に移管するとサービスの低下につながるのではないかという声も一部には聞かれますが、今回の内容を見ると、診療対象を、高齢者に限らず小児から成人にまで拡大することや、救急とがん医療に重点的に取り組むことなど、充実している印象を受けました。こうした医療を提供することで、名実ともに地域の中核病院として住民の厚い信頼が得られるものと確信をする次第であります。
 ところで、報告書では、小児科の開設時期を、都立病院改革マスタープランの計画年次から二年前倒しに当たる平成十七年とするとともに、地域の医師会や自治体が進めている小児初期救急医療事業に対し、救急スペースの活用を検討するとしております。これが実現すれば、初期から二次に至る小児救急体制が構築され、地域の安全・安心に大きく寄与するものと考えます。
 他方、マスタープランでは平成十九年度とされていた小児総合医療センターの開設時期が、二十一年度になるという報告もありましたが、こうした状況の変化にかかわらず、多摩老人医療センターの小児科について、報告書どおり来年度開設を目指し、地域医療を支援する公社本来の使命を発揮すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、高齢者医療について伺います。
 高齢者医療は移管後も継続するとされておりますが、医療提供にとどまらず、福祉との連携が何よりも大切であり、また、連携が実現してこそ、初めて地域の高齢者が安心して生活できるようになるのです。
 そこで、移管後の病院では、高齢者医療の提供とともに、これまで以上に地域の福祉施設との連携を充実させていく必要があるものと考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、南北方向の公共交通整備についてお伺いします。
 多摩地域では、道路整備の推進とともに公共交通機関の充実強化が必要であり、特に南北方向の整備が不可欠であります。
 こうしたことから、平成九年、沿線関係都議会議員による多摩東部新交通システム研究会を立ち上げ、継続的に研究をしてまいりました。平成十三年には、沿線四市長より、調布保谷線の整備と連携したバス交通等の南北方向の公共交通機関の整備について、共同声明が出されました。
 現在、建設を進めている調布保谷線の整備とあわせ、住民の利便性向上のために、環境にやさしいLRT等、新たな技術を生かした公共システムの導入について検討を進めていくべきだと考えますが、都の見解をお伺いします。
 質問は以上でありますが、最後に、行財政改革と説明責任について一言申し上げます。
 日本経済にも幾らか明るみが出てきたといわれますが、まだまだ都民の皆さんには、その実感が伝わってきません。
 そんな中で、都も、来年度予算編成が本格化してくるときです。行財政改革における痛みを都民の皆さんにお願いするようなときは、現在の都政の状況や、行財政改革の取り組み状況を明らかにして、きちんと説明する責任があることを肝に銘じておいてください。あの難しいといわれたディーゼル規制が成功したのも、説明責任がしっかりしていたからであります。
 未来のある子どもたちに憂いを残さない財政運営をお願いし、私の発言を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 遠藤衛議員の一般質問にお答えいたします。
 温暖化問題に関する国の取り組み姿勢についてでありますが、文明の進展とともに、この地球のさまざまな自然の循環が大きく狂ってまいりました。地球の温暖化もまさにその一つでありまして、人類の存在そのものが問われる喫緊の課題であると認識しております。
 この二十一世紀は、地球と人類の存続をかけた百年──百年人類が生き延びれば結構ですが、先年、私もその対象になりましたけれども、ある日本の出版社が、千五百人ほどの、有識者というんでしょうかね、各分野の専門家に、地球が人間の存在の舞台たり得る、つまり人間がこの地球で何年ぐらいあと生き延びられるかというアンケートをしたときに、圧倒的に多いのが七、八十年という答えでありました。私も実は百年足らずだろうと答えたのを覚えておりますけれども、そういう中で、温暖化対策は政府の役割が決定的に重要でありますが、どうも国の動きは緩慢でありまして、実効性のある対策が打ち出せない状況にあると思います。
 都は、国の対策を待つことなく、年内を目途に事業者の省エネルギー対策をさらに促す仕組みなど、大都市の特性を踏まえた独自の具体策をまとめていきたいと思っております。
 たびたび引用しましたが、ゲオルグの、たとえ地球があす滅びるとも、君はきょうリンゴの木を植えるというあの非常に啓示、暗示に富んだ言葉、これは要するに、この不自然な循環を食いとめようという人間の志の問題だと思いますけれども、東京都もそれを踏まえて努力をしていきたいと思います。
 こうした先駆的な取り組みを重ね、都民、企業、他の自治体などとも連携して、将来を見据えた持続可能な社会の構築に向けて努力することで、国をも動かしていきたいと思っております。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 心身ともにバランスのとれた子どもの育成についてのお尋ねでございますが、幼児期におけます教育は、生涯にわたりまして人間形成の基礎を培うものでございまして、極めて重要でございます。
 都教育委員会としましては、本年四月に東京都教育ビジョンを策定しまして、乳幼児期の課題と取り組みとして、家庭の役割を重視をして、さまざまな立場から、子育て、家庭教育を支援することを提言したところでございます。
 また、本年七月に報告をされました第五期東京都生涯学習審議会の中間まとめでは、すべての家庭が教育力を向上させることを目指して、教育行政が積極的に家庭教育支援施策を展開していくことが強調されまして、家庭の担う役割の重要性と支援の必要性が示されております。
 今後、こうした提言やまとめを視野に入れまして、お話の親の子育て力を踏まえた幼児期における教育の一層の充実を図ってまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、野川流域における地下浸透対策の現状と今後の取り組みについてでございますが、都はこれまで、総合治水対策の一環として、地下水涵養に効果がある浸透管やますなどを、道路、公園の公共施設に設置するとともに、大規模な民間施設や個人住宅などについては、その普及を進めてまいりました。これらによる年間の地下浸透量は、野川流域において東京ドーム五杯分に相当する約六百三十万立方メートルと推計しております。
 都といたしましては、区市とともに、これらの地下浸透対策に加え、緑地保全地区指定の拡大や、トンネルなどの地下構造物からわき出た水の河川への導水などに努めてまいります。
 次に、水循環の回復についてでございますが、都市化の進展や生活様式の高度化などに伴い、水涵養機能が低下し、河川の平常水量が減少するなど、都市の水環境に影響が生じております。
 このため、大規模開発における緑地の確保、雨水の地下浸透施設の設置など、都市づくりの観点から、水環境に関する施策を区市とともに多面的に推進してまいりました。
 今後は、庁内及び地元区市などと連絡会を設置し、従来の水涵養機能の保全施策の検証や推進方策について検討するなど、水循環の回復に向けた取り組みを一層深めてまいります。
 最後に、新たな技術を生かした公共交通システム導入の検討についてでございますが、調布保谷線は、京王線調布駅など、鉄道五路線の駅とつながる多摩地域の南北道路でございます。この道路の整備にあわせ、バスなどの公共交通網の充実を進めることについて、これまでも東京都市長会や地元四市長から要望が出されております。
 都といたしましては、これらの要望を踏まえ、交通技術の開発動向なども視野に入れながら、この地域にふさわしい公共交通のあり方について、地域交通を担う地元自治体と議論を重ねてまいります。
   〔水道局長高橋功君登壇〕

○水道局長(高橋功君) 安全でおいしい水に関する二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、ペットボトル「東京水」に対する都民の評価についてでございます。
 ペットボトル「東京水」は、お客様に高度浄水処理を行った水道水を手軽に飲んでいただき、水道水に対する理解をより深めていただくことを目的に作成したものでございまして、これまで、安全でおいしい水キャンペーンや水の週間行事などで無料配布をしてまいりました。
 その際に行いました水の飲み比べなどにおきましては、お客様からは、おいしさという点で、他のボトルウオーターと比べ、遜色がない、もっと甘みがある、おいしい、水割りに最適などという高い評価を得ております。
 また、新聞やテレビなどのマスメディアでも取り上げられておりまして、おおむね好評を得ておりまして、高度浄水処理をした水道水のPRに大いに役立っていると考えております。
 次に、高度浄水処理の積極的な導入についてでございますが、ご指摘のとおり、利根川水系におきます原水水質の大幅な改善が見込めない状況におきましては、浄水処理における対策は極めて重要であると考えております。
 こうしたことから、高度浄水処理の導入につきましては、今回策定しました計画案の期間中におきましても、本年十一月に通水予定の朝霞浄水場、現在建設中の三園浄水場に引き続き、東村山浄水場及び金町浄水場第三期工事に着手する予定としております。
 さらに、より安全でおいしい水を求める都民の要望にこたえていくため、おおむね十年以内に、利根川水系からの取水の全量につきまして高度浄水処理ができるよう、施設整備を進めていきたいと考えております。
   〔環境局長平井健一君登壇〕

○環境局長(平井健一君) 地球温暖化対策に関しまして、フロン対策の成果と課題についてお答えいたします。
 都は、平成十二年に環境確保条例を制定し、新たに代替フロンを含めたフロンの適正管理、排出禁止、回収及び破壊の義務づけを実施いたしました。また、事業者団体等と連携いたしまして、回収業者の登録制度を創設するなど、フロンの回収ルートも整備いたしました。
 これらは、国のフロン回収破壊法制定に先んじた取り組みであり、平成十四年度の都内のフロン回収実績は約三百三十トンとなりました。
 今後は、一層適切な回収処理が行われるよう、現在、国に対し、業務用冷凍空調機器の所有者届け出制度の創設など、法制度の見直しを求めているところでございます。
   〔福祉保健局長幸田昭一君登壇〕

○福祉保健局長(幸田昭一君) 総合施設ほか福祉、医療に関します三点のご質問にお答えいたします。
 まず、総合施設についてでありますが、先月、国におきまして取りまとめ、公表されました、総合施設に関する中間のまとめでは、親の就労形態などで区別しないこと、及び利用形態については利用者と施設の直接契約が望ましいことなどの考え方が示されています。
 こうした考え方は、これまで都が国に対しまして提案してきた内容と軌を一にするものと受けとめております。しかし、職員配置や施設整備などを初めとする具体的な内容につきましては、引き続き検討とされており、都としては、今後とも、総合施設が保育所制度の抜本的改革に資するよう、国に働きかけてまいります。
 次に、多摩老人医療センターの小児科についてでありますが、小児科の開設は、地域における小児医療の確保を図る観点から、都立病院改革マスタープランの計画年次を二年前倒しして、多摩老人医療センターが東京都保健医療公社へ移管される平成十七年度の開設を目指しております。これに向けまして、現在、救急診察室の拡充や病棟の改修などを進めております。
 今後、関係市及び地域の医師会と連携しながら、小児救急医療を含む地域医療の一層の充実に向け、全力で取り組んでまいります。
 最後に、移管後の多摩老人医療センターにおける福祉施設との連携についてでありますが、これまでも、多摩老人医療センターでは、高齢者専門病院としての医療を提供するとともに、入院患者の介護保険施設などへの円滑な転院や、福祉施設職員を対象とした介護技術研修会の実施などに努めてまいりました。
 移管後におきましても、介護保険施設などからの依頼に基づく検査入院や、病状急変時における緊急入院を受け入れるなど、医療と福祉の緊密な連携を図り、地域の中核病院としての責務を果たしてまいります。

○議長(内田茂君) 四十七番鈴木一光君。
   〔四十七番鈴木一光君登壇〕

○四十七番(鈴木一光君) 質問に入る前に、皆様におわびを申し上げます。
 さきの第二回定例会における環境・建設委員会の開催中、私が体調を崩したことによりまして大変に皆様にご迷惑をおかけしましたことを、心からおわびを申し上げる次第でございます。今後は、健康に十分留意して、都政の進展のために努めてまいりますので、復活したニュー鈴木一光にご期待いただきたいと存じます。(拍手)
 まず、都市農業についてお伺いいたします。
 ことしは、まさに猛暑、酷暑という言葉がぴったりするような暑い夏でありました。東京では、最高気温が三十度を超える真夏日が六十九日となりましたが、これは、年平均日数でいうと、鹿児島県と並ぶ数字であり、観測史上の記録を更新することになりました。さらに、夜間の気温が三十度を下回らない超熱帯夜の日まで出現しました。ヒートアイランド現象の深刻さをつくづく実感した次第であります。
 屋上緑化や壁面緑化などへの取り組みは、都市化の進んだ東京にあって、極めて重要な視点であります。
 一方、都市にある農地に目を転ずると、ヒートアイランド現象の緩和効果を初め、さまざまな機能を担っています。
 都民の農業に対する意識調査によりますと、東京に農業や農地を残したいと思う人が何と九四%にも達しているのであります。その理由としては、自然環境の保全や災害時の避難場所となること、さらに教育上の観点を挙げる人が多数います。このほかにも、景観や安らぎなど多くの面で農地は評価されており、まさに都市の農地は都民にとってかけがえのない貴重な財産になっているわけであります。
 しかし、この東京の農地は急速に減少を続けています。平成十五年までのたった五年間で、約一〇%、八百八十ヘクタールもが失われている危機的な状況であります。何としてもこの貴重な農地の減少に歯どめをかけなければなりません。農業者を支援し、都市農業の振興を図ることは、お金のかからない、大変に効果的なヒートアイランド対策でもあると考えます。
 都としての都市農業振興についての基本的考え方について伺います。
 ところで、農業生産は、天候の影響を大きく受けるほか、丹精を込めて生産した農産物も、輸入農産物の増加等に押され、思うような価格で販売できないことも多いようであります。一家を挙げて一年じゅう農業に従事しても、一家の所得が一人のサラリーマンの所得にも満たない経営が多いとの調査結果が出ています。農業経営が不安定で収益性が高くないことが深刻な後継者難の一因ではないでしょうか。
 昨年度実施された農林水産関係の補助事業に関する包括外部監査によると、都市農業支援の観点から、全国一律ではなく、東京農業の特徴を見据えた補助事業へのシフトという意見が出されています。これを受け、都では、現在実施中の活力ある農業経営育成事業を積極的に見直すなど、振興施策の改革に取り組んでいると伺っています。
 今後、都市農業振興のため、農業を支援する視点から、どのような事業を検討しているのか、お伺いをいたします。
 私の地元を含む江東三区では、コマツナの生産が熱心に行われており、都の生産量は全国一と聞いています。しかし、農地の拡大は不可能な状況であり、これからは、栽培施設に資本を投入して、収穫量の増加や品質向上を図る必要があります。
 一方、こうした施設化に伴い、例えば水道使用料の増加に伴うコストアップ等が経営を圧迫することにもなります。今後、農家経営の健全化の視点から、きめ細かなサポートを強くお願いをしておきたいと思います。
 次に、都における災害時歯科医療救護活動について伺います。
 東南海地震や南関東直下型地震の発生が危惧されている中、今月一日には浅間山が噴火するなど、都民の災害に対する関心も高まっています。
 こうした中、特に、災害時の都民の生命や健康にかかわる医療救護活動については、万全を期す必要があります。災害時には、一般の医療救護活動に加え、歯科医療救護活動も、被災住民の健康保持や避難生活を円滑に過ごす上で必要不可欠のものであります。医療救護活動は、一般の医療に目を向けがちでありますが、多数の傷病者が一度に発生したり、歯科診療所が被災するなど、地域での歯科診療に対応できなくなった場合には、都が迅速かつ適切な歯科治療や応急処置など、歯科診療活動を行う体制を整備する必要があります。
 知事は、災害時の医療救護活動についてどのような認識をお持ちか、お伺いをしたいと思います。
 また、大規模な災害が発生したときには、大変残念なことでありますが、都内の広範囲で同時に多数の犠牲者が発生し、また、身元不明の遺体も多く発生することが予測されます。この身元確認作業は、災害時の歯科医師の重要な役割の一つでもあります。
 先日行われた都の総合防災訓練における身元確認訓練の中で、現場で簡便に歯形の撮影ができるデジタルエックス線画像解析装置を活用していました。災害時に発生した多数の身元不明遺体は、一定期間内に火葬するため、身元確認作業は迅速に、正確に、詳細に実施することが求められることから、こういう器材を積極的に取り入れるとともに、平常時からこのような器材の取り扱いについて、研修、訓練等を通じ、スキルアップを図る必要があります。
 そこで、都におけるこれまでの身元確認に関する研修会の取り組みと今後の方向についてお伺いをいたします。
 次に、特別支援教育推進計画について伺います。
 本年の七月十四日に、東京都の心身障害教育における新たな改革に向けた東京都特別支援教育推進計画概要案が発表されました。この計画概要案に示されている内容のうち、都立盲・ろう・養護学校の再編整備について何点か伺います。
 今回の概要案については、長期計画部分と平成十九年度までの第一次実施計画案を示していますが、長期計画と第一次実施計画の関係及びその後の展開について、基本的な考えをお伺いをいたします。
 この中の一次配置計画案では、知的障害が軽い生徒を対象とした高等部の設置が挙げられております。現在の知的障害のある高等部の生徒のうち、約六割が、中学校の心身障害学級や通常の学級から進学した、知的障害が軽い生徒ということであります。
 従来、福祉に依存する形になりがちだった知的障害がある子どもたちが、これから社会進出や就労自立を目指していくことは、保護者や生徒自身にとって喜びでもあり、願いでもあります。この高等部の設置は、こうした障害のある子どもたちの社会参加、社会貢献のための教育に力を入れていくことで、社会的にも極めて重要な役割を担うことから、大いに評価できるものと考えます。
 しかしながら、今回発表された、知的障害が軽い生徒を対象とした高等部は、区部西部の杉並地区、南多摩地区及び西多摩地区ということで、全体的に東京都の西側に重点的に配置されているように見え、地域バランスを欠いていると思います。可能性のある生徒が一日も早く社会で自立できるよう、東京都の東部においても、こうした社会的に意義のある知的障害の軽い生徒のための養護学校高等部の設置について、早期に地域バランスをとっていくような施策の推進が必要と考えます。
 仮に、今回の計画に予定されていないために、その実現までに時間がかかるというのであれば、たとえ暫定的にでも、既存の養護学校の活用などを含め、こうした有意義な教育の仕組みを早急につくるべきと考えます。ご所見をお伺いをしたいと思います。
 また、ろう学校の再編整備について伺います。
 ろう学校の場合は、減少する児童生徒の教育環境の確保が課題となっておりましたが、この第一次配置計画案では、ろう学校の再編整備として、中高一貫型教育校の設置も計画されております。生徒のニーズにこたえるため、大学等への進学により、高い学力や高度な専門的資格を身につける教育を推進することは重要であり、障害のある生徒がより高い志を持って社会に貢献できるものとして期待すると同時に、早期の実現を求めるものであります。
 一方で、その他のろう学校では、高等部を卒業した生徒の社会進出や高度資格取得に対する施策が見えてきておりません。概要案では、石神井ろう学校と大田ろう学校の高等部には、職業教育分野と専攻科がありますが、これを再編整備により、葛飾ろう学校、立川ろう学校に統合するという計画となっています。
 大幅に減少している生徒に対し、より高度な指導体制のもとに集団で教育ができる環境を確保する意味で、ろう学校の統合は必要かもしれませんが、職業教育に対する資格取得の欠格条項の見直しが行われ、各種資格取得の門戸が聴覚障害者にも開かれるようになってきました。この計画の実施に当たり、特に立川ろう学校や、ことし改築工事が完成する葛飾ろう学校などにおいて、さらなる職業教育の充実が必要と考えます。見解を伺います。
 次に、高齢社会対策について伺います。
 高齢者の介護問題については、平成十二年から介護保険制度が導入され、公的な介護サービスの仕組みとして定着しました。現在は、制度施行後おおむね五年後を控えて、抜本的な見直しが検討されております。
 しかし、現在の介護保険制度では対応が難しいと思われるさまざまな課題があり、高齢者にとって不安要因となっております。私は、こうした高齢者の不安要因の解消に向けた取り組みについて、幾つかご提案いたします。
 その第一は、高齢者の虐待の問題であります。ことし三月に厚生労働省が公表した、家庭内における高齢者虐待に関する調査によれば、虐待している人の半数以上に虐待であることの自覚がなく、しかもその結果、生命にかかわる危険な状況が一割を超え、心身の健康に悪影響があると見られるケースが半数以上であるなど、極めて深刻な事態がうかがわれます。
 こうした高齢者虐待の問題は、高齢者を虐待している家族を責めるだけで解決できるものではありません。つまり、虐待している家族は、同時に高齢者介護の問題に苦しむ当事者でもあると考えるからであります。
 このような高齢者虐待の問題の解決については、早期に虐待の事実を発見し、速やかに解決を図る仕組みを構築していくことが何よりも重要ではないかと考えますが、都の認識はいかがでしょうか、ご所見をお伺いをいたします。
 第二の不安要因は、痴呆予防の問題です。厚生労働省の調査によれば、要介護あるいは要支援と判定された高齢者の半数が、何らかの介護や支援を必要とする痴呆性高齢者であるとされています。
 高齢者の介護問題の中で、身体機能の面での寝たきりなどの予防については、東京都が介護予防の取り組みを積極的に進めており、ことしから千代田区と稲城市が、東京都老人総合研究所が開発した「おたっしゃ21」を活用して都のモデル事業に取り組んで成果を上げています。全国をリードする先進的な取り組みとして評価するものであります。
 同時に、痴呆の予防対策も忘れてはならないと思います。アルツハイマーを初めとして、一たん痴呆が進んでしまってからの治療は非常に難しいといわれます。しかし、早めに発見して対応すれば、その症状の進行をおくらせたり、悪化を防止したりすることも期待できるといわれております。
 そこでお伺いをいたします。痴呆についても、都として今後、介護予防と同様に、総合的な予防対策が求められていると考えますが、都の認識をお伺いいたします。
 第三は、成年後見制度の活用の問題です。成年後見制度は、痴呆性高齢者など判断能力が不十分であるため契約等の法律行為における意思決定が困難な方々の権利を擁護することを目的として創設された制度であります。
 この成年後見制度は、平成十二年の制度創設以来、一定の利用実績はあるものの、まだ制度自体の認知度が低く、その活用が進んでいない状況にあります。また、特に、身寄りのない痴呆性高齢者等が本制度を利用するために設けられた、区市町村長による申し立てが、二十五区市町村で実績が全くないなど、十分に行われていないことが大きな課題として挙げられます。
 この背景には、区市町村の体制、マンパワーの問題や、区市町村長申し立ての際の後見人等の候補者の不足など、さまざまな要因があるかと思いますが、こうした課題を早急に解決するとともに、区市町村と法律などの専門知識を有する専門職団体等との間でのネットワークづくりを進め、地域の中で高齢者を支えていく仕組みとして、この成年後見制度を積極的に活用していくべきであります。
 そこで、今後、都として、成年後見制度の普及、定着に向けた取り組みを積極的に行っていくべきと考えますが、都の所見をお伺いをしたいと思います。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 鈴木一光議員の一般質問にお答えいたします。
 災害時の救護活動における歯科医師さんの活用というものは、一種の盲点だと思いましたが、地震など大規模災害の発生に備え、想定される被害に対応するには、応急活動体制の万全の整備に向けて準備を尽くすことが重要だと心得ております。ご指摘の歯科医療の救護活動もその一つであるとまさに思います。
 九月一日の総合防災訓練では、私は目にいたしませんでしたが、既に会場において、被災による歯の損傷への対応処置や、ご指摘の新しい機械を使ったデータの採取、高齢者の入れ歯の紛失への対応を含む実践的な訓練が、東京都歯科医師会などの関係機関と連携しながら行われたそうであります。
 今後とも、こうしたさまざまな訓練を積み重ね、被災時の歯科医療を初めとする医療救護体制の整備に万全を期すつもりでございます。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 特別支援教育に関します三点の質問にお答え申し上げます。
 まず、東京都特別支援教育推進計画におきます長期計画と第一次実施計画の関係についてですが、長期計画につきましては、現在の心身障害教育が抱えますさまざまな課題を解決しますとともに、今後のあるべき施策の方向を明らかにするものでございまして、計画期間を平成十六年度から二十五年度までの十年間としております。
 また、その実現に向けた具体的な計画として、三次に分けて実施計画を策定いたしてまいりますが、今回の第一次実施計画は、当面、平成十六年度から十九年度までを計画期間としたものでございます。
 なお、第二次以降の実施計画の策定に当たりましては、対象となります児童生徒数や進路希望の動向、社会の動向等を考慮しながら、適切に対応してまいります。
 次に、知的障害の軽い生徒のための養護学校高等部の整備についてですが、第一次実施計画におきましては、知的障害の軽い生徒を対象とした養護学校高等部の設置を三校予定しておりますが、第二次実施計画以降におきましても、対象となります生徒数の動向や地域バランス等を考慮しながら、配置の拡大について検討してまいります。
 また、ご指摘の地域バランスの点につきましては、設置に至るまでの間、東京の東部地域を含め、既存の知的障害養護学校高等部におきまして、職業教育の一層の充実が図れるよう検討してまいります。
 次に、ろう学校における職業教育の充実についてでございますが、お話しのように、障害者の資格取得に関する欠格条項の見直しや就労先企業のIT化の推進など、聴覚障害者の企業就労への範囲が拡大してきております。
 現在、ろう学校におきましては、社会性涵養の観点から、自主的な生活態度の育成に努めますとともに、教育課程を類型化し、一般就労に向けた指導の充実に努めております。
 今後とも、生徒の職業選択の幅を広げるため、ITを活用したグラフィックデザイン技術の習得や調理師養成コースの設置など、特色ある取り組みを行い、立川ろう学校と葛飾ろう学校における職業教育の充実に努めてまいります。
   〔産業労働局長関谷保夫君登壇〕

○産業労働局長(関谷保夫君) 都市農業に関する二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、都市農業振興についての基本的な考え方でございますが、都市の農業は、市街地の中の比較的狭い農地で営まれておりますが、一方で、身近に消費者が多数存在するというメリットがございます。
 このため、付加価値の高い農産物の生産、地元での販売など、立地条件を生かした流通の取り組み、また、農産物の安全・安心の追求や環境に配慮した農業を推進することが重要でございます。
 さらに、後継者や新たな担い手を確保し、育成する方策の充実が必要と考えております。
 次に、都市農業振興のための事業の見直しについてでございますが、都市農業の活力を引き出し、持続性を保つため、収益の拡大や環境との調和を重視した農業に取り組む意欲的な担い手や後継者に対して、支援を重点化してまいります。
 具体的には、新技術の導入による効率化を図ること、農産物の加工による高付加価値化を進めること、低農薬型ハウスや雨水利用型かん水施設など、環境に配慮した取り組みを行うことなどへの支援について検討してまいります。
   〔福祉保健局長幸田昭一君登壇〕

○福祉保健局長(幸田昭一君) 災害時医療、高齢者対策に関します四点のご質問にお答えいたします。
 まず、災害時の身元確認についてでありますが、都は、災害時の身元確認の一手法として、歯形に着目し、東京都歯科医師会と連携のもと、身元確認班を編成して、平成九年から研修会において知識、技術の普及を図ってまいりました。
 さらに、遺体の歯形確認の記録方法を標準化した研修テキストを平成十一年に新たに作成し、これに基づき、実習を中心とした研修や実践的な訓練も実施しております。
 今後とも、より一層正確かつ迅速な確認作業ができるよう、ご指摘の器材の活用を含め、技術向上に努めてまいります。
 次に、高齢者虐待への取り組みについてでありますが、現在、各区市町村では、在宅介護支援センターを中心に、虐待問題を含め、高齢者に関するさまざまな相談に対応しております。また、区市町村における住民向け講演会の開催や虐待の事例検討など、先進的取り組みについて、都は、包括補助制度により支援しております。
 今後、虐待に早期に対応するためには、住民に身近な地域において、虐待防止のネットワークを構築することが重要であります。
 このため、外部委員を含む検討組織を発足させ、区市町村への具体的な支援や都民への普及啓発のあり方など、効果的な虐待防止策の検討に早急に着手いたします。
 次に、痴呆予防に関する取り組みについてでありますが、現在、都では、区市町村における痴呆予防の取り組みを進めるため、老人総合研究所が開発した痴呆予防プログラムにより、区市町村の職員などを対象として、研修やプログラム実施のためのマニュアル作成などを行っております。
 今後、この取り組みをさらに充実させるとともに、地域における痴呆予防の核として、区市町村による在宅介護支援センターや保健センターなどのネットワークづくりの支援など、福祉、保健、医療が連携した総合的な痴呆予防対策を検討してまいります。
 最後に、成年後見制度の普及、定着についてでありますが、痴呆性高齢者など、判断能力が不十分な方が地域の中で安心して生活するためには、福祉サービスの利用に関する契約や財産管理など、幅広い面にわたる援助の仕組みである成年後見制度を積極的に活用していくことが重要であります。
 そのためには、住民に身近な区市町村が、民生・児童委員やボランティアなど地域の関係者と連携し、制度の普及に努めるとともに、法律などの専門家の協力を得ながら、区市町村長による申し立てを着実に行っていくことが必要であります。
 今後、都としても、家庭裁判所や弁護士会など関係機関との連携を図りながら、成年後見制度が地域の中でだれもが利用しやすいものとして普及、定着するよう、人材育成など、区市町村への支援を積極的に行ってまいります。

○議長(内田茂君) 百二番坂口こうじ君。
   〔百二番坂口こうじ君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○百二番(坂口こうじ君) 周知のとおり、地方分権一括法成立、施行を大きな分水嶺として、地方自治は今、歴史的な転換点に立っています。
 そこで初めに、地方財政の自立改革に関連し、小泉内閣の三位一体改革の内容評価と、その手法について所見を伺います。
 今月十四日、首相官邸で、国と地方の税財政を見直すいわゆる三位一体改革について、関係閣僚と地方六団体の代表が話し合う協議会の初会合が開かれました。新聞各紙報道によれば、みずからまとめた総額三・二兆円の補助金削減案の実行を求める地方側と、これに抵抗する省庁側が早くも激突したと伝えられております。
 そこで、この国民にとって何ともわかりにくい、閣僚と代表のやりとりの本質は何なのか、国の施策及び予算に対する東京都の提案要求とも大きな乖離がある三位一体改革の中身の真の評価と、このような政治プロセスについてどのような所見をお持ちか、知事にお伺いいたします。
 次に、税源移譲と国庫補助金削減などの抜本的見直しについて所見を伺います。
 東京都は、ことし五月、緊急提案として、地方分権改革に関する東京都の基本的見解を明らかにしています。私は、この考えを強く支持するものでありますが、この中では、基礎的サービス以外の国庫補助負担金の全廃、基幹税である所得税、消費税による税源移譲、新たな財政調整制度の導入など、地方分権のあるべき方向について、東京都として極めて骨太の方向を提案したと高く評価しています。
 この内容は、わかりやすくいうならば、税源の半分は納税する地域住民に、他の半分は全国民に還元するという公平な一つの基準を示したものであり、地方財政の自立改革の理念にかなったものであると考えます。
 したがって、これらがさらなる東京と地方の格差の増幅を招くなどという批判は全く当たらないと考えますが、所見を伺います。
 あわせて、この際、税源移譲の骨太シミュレーションの最新内容と効果について伺います。
 周知のとおり、租税収入の配分において、国と地方との比率はおおむね三対二であるのに対し、最終支出では国と地方の比率が二対三と逆転しており、その間に大きな乖離が存在しているのが実情であります。
 地方自治体の自主、自立を進めるための避けて通れない最優先の課題として、基幹税である所得税、消費税の税源移譲を行うべきであり、このことは、都議会や東京都も再三政府に提案要求し、世論の大きな流れはできてきた感はあります。
 そこで、再度確認いたしますが、東京都が政府の骨太の方針二〇〇四に向けた緊急提言で示した東京都版骨太税源移譲のシミュレーションの最新の結果、六・七兆円の根拠と、それが東京都、区市町村等にもたらす租税還元効果について財務局長の見解を伺います。
 次に、国税である相続税の減税と地方税化についての論議の成果について伺います。
 東京を含む首都圏で、二十一世紀の都市再生や緑の再生戦略を考える際に避けて通れないもう一つの課題に相続税の問題があります。
 地方分権の時代、それぞれの地域が成熟させた土地など、地域の財産を国が没収する相続税ほど時代錯誤な税はありません。
 ちなみに、平成十四年度東京国税局管内における納税額は五千八百九億円、そのうち千五百七十四億円、およそ二七・一%が物納金額となっています。このような相続税は軽減するとともに、金納の場合は、そのすべてか二分の一を自治体に移譲すべきであります。また、物納の財産は、無償で自治体に活用を任せるべきであります。
 このことにより、私たちの都市を、緑の保全に歯どめがかからない現下のデススパイラルから、緑の創造が可能なクリエーティブスパイラルに切りかえることができ、公園や福祉施設、例えば特養やグループホームの整備など、私たちが抱えている課題を一気に解決し、健全な都市再生の軌道を再構築する可能性が開けると考えますが、主税局長の所見を伺います。
 次に、東大農場の緑の保全と創造について質問いたします。
 まず初めに、東大農場約二十二・五ヘクタールの処分の経緯と今後のスケジュールについて伺います。
 昨年第二回定例会で提出した文書質問、東大農場の移転と都立仮称東大メモリアル公園の設置についてに対する回答を踏まえながら質問いたします。
 最初に、ことし四月から国立大学法人法により独立行政法人となった東京大学の田無農場処分の経緯と、今後のキャンパス整備計画、その後の千葉県検見川運動場への移転計画、タイムスケジュールについて、文部科学省及び東京大学の最新動向や情報をどのように把握しているか、お伺いします。
 次に、地元西東京市の対応の現状と、東京都の今後の取り組みについて伺います。
 地元では、ことし四月十一日に、西東京市市民会館において、東大農学部前センター長の武内和彦教授の記念講演とともに、宮崎啓子さんを代表とする東大農場のみどりを残す市民の会の設立総会が開催され、東大農場の移転後も、現状の貴重な緑の農地を残し、生かしていくため、あらゆる市民、団体と手を携えていくことが確認されました。
 また、このような市民運動を受けて、市議会でも活発な議論が展開されていると聞いているところであります。
 そこで伺いますが、地元西東京市や広域行政圏協議会における基本的な方針の検討状況と、東京都としての今後の主体的な取り組みについて、総務局長の所見を伺います。
 次に、東大農場の用途地域指定の見直し、いわゆるダウンゾーニングについて伺います。
 平成三年四月に、旧田無市において、当時の東京大学先端科学技術センター教授、伊藤滋先生を委員長に策定された二〇二〇年田無都市ビジョン構想によると、東大農場周辺地区は、土地利用の現況を考慮すると、土地区画整理の導入による整備を推進していくことが望ましく、地区の北部はスポーツを主体とした総合公園としての整備を図っていくことが重要であるとしています。ちなみに、この北部ゾーン約十二ヘクタールの用途地域は、建ぺい率三〇、容積率六〇の第一種低層住居専用地域とされています。
 他方、同構想は、南部においては、研究施設の整備を図るとともに、周辺施設とあわせた良好な住宅の整備を図っていくことが重要であるとしています。ちなみに、この南部ゾーン約十・五ヘクタールの用途地域は、準工業地域並みの、建ぺい率六〇、容積率二〇〇の第一種中高層住居専用地域とされています。これは、当時、東大の理工学部などを誘致したいという田無市の強い思いがあったからにほかなりません。しかし、現状は農場のままであります。
 そこで伺いますが、過去を振り返り、現在を見詰め、未来に向けて緑の保全や新たな創造を考えるとき、当面、南部ゾーンの用途地域を、北部ゾーンの用途地域と同じ三〇、六〇の第一種低層住居専用地域とすべきと考えますがどうか。
 加えて、地元市の意向や東大の意向が調整されるならば、このようないわゆるダウンゾーニングができると考えますが、都市整備局長の所見を伺います。
 次に、防災公園街区整備事業による緑の保全と創造について伺います。
 九年前に発生した阪神・淡路大震災の教訓を受け、都市再生機構、前都市公団は、平成十一年度から、地方公共団体の要請を受けて、国土交通省の支援のもとに防災公園街区整備事業を開始しており、今日までの事業取得実績は十三カ所、全部で百四十ヘクタール、うち防災公園八十三・一ヘクタール、市街地五十六・九ヘクタールに上っています。
 身近なところでは、杉並区桃井三丁目の日産自動車工場跡地の九・一ヘクタール、豊島区上池袋一丁目の癌研究会跡地の一・四ヘクタール、千葉市蘇我臨海の川崎製鉄工場跡地八十七・五ヘクタールなどがあります。
 そこで伺いますが、将来の東大農場の移転、六年から十年後ということになりますが、跡地の利用については、二十一世紀における日本の都市の最大テーマである、災害に強く、人間と自然とが共生できるという視点、また、緑豊かな都市空間を創造するという理念と目標を明らかにしながら、西東京市や東久留米市を含む広域行政圏の防災公園街区整備事業、仮称東大メモリアル公園として、東京都としても主体的な検討を開始すべきと考えますがどうか、局長の所見を伺います。
 最後に、国連大学の有効活用について、提案を含め申し上げます。
 九月二十一日の本会議の知事発言において、緒方貞子さんが名誉都民に選ばれました。まことに喜ばしいことであります。周知のとおり、緒方さんは、ユニセフ執行理事会議長や国連難民高等弁務官を歴任し、国際的な人道支援活動に尽力された、日本の知性と心を代表する行動する国際人であります。
 二十一世紀を迎えた今、このような緒方さんの生き方に学び、国際化、情報化が急速に進む中、みずからの人生の本舞台をNGO、JICA、国連活動などを初めとする国際貢献に求める人々は、私たちの想像をはるかに超え、確実に増大しています。
 そこで提案させていただきますが、貴重な都有地を提供し、青山に誘致した、世界にたった一つの国連大学を東京都としても積極的に活用し、NGOや都立大学との教育連携、アジア都市ネットワーク会議の共催、未来に向けてのAU、アジア連合構想など、国際的な教育、研究や人材育成、国際貢献に積極的に活用すべきと考えます。
 二十一世紀における都政の発展のためにも、このような国際機関の有効な活用について、今後真剣に検討されますことを提言させていただき、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 坂口こうじ議員の一般質問にお答えいたします。
 いわゆる国の三位一体改革案についてでありますが、質問の中にも、みずからまとめた三兆円云々という言葉がありましたけれども、実はいってみれば、これは総務省が持って回って、義務教育の国庫負担というものを剥奪しようという案がほとんどでありまして、いってみると、地方自治体が合議してでき上がった案とはとてもいいがたい、一種のあてがいぶちであります。
 いずれにしろ、今まで何度か会合がありましたが、肝心の交付税制をどうするか、あるいは税財源の移譲をどこまでするかというふうな問題は、ほとんどノータッチでありまして、国は、国庫補助負担金を何の分野で減らすか、ひとつ地方で考えろということで、全国知事会が延々続いたわけでありますけれども、しかし、それなりにプラスアルファを添えて、六つの地方団体の代表の案をまとめてのこの間の合議でも、幾つか提案がありますと、それに対して関係の各省が全部反対をするということで、全く混乱のための混乱であって、そもそも、ああいうていたらくになることは自明のことでありましたが、ならば一体、最初に何のために地方に案を求めたかとしかいいようのない、ていたらくでありました。
 もっとも、全国知事会などの地方団体も、国の丸投げをある意味では大歓迎しまして、全国知事会の議論の中にも、千載一遇、千載一遇という言葉が余りにも数多く出てくるので辟易いたしましたが、ともかく、とれるものはこの場はとろうという基本姿勢が露骨でありまして、特に義務教育をどうするかという国家の基本事業というものを本気で考えるという討論は一向にありませんでした。
 国も地方も、何のための改革かという本質的な命題を置き去りにしたまま、国庫補助負担金の議論に終始しようとしている、ていたらくだと思います。
 肝心の税源移譲の実現や交付税は、もう既に百二十兆の赤字を来している、この破綻した税制の改革については、いまだに本格的な検討に一向に入っていないのが実情でありまして、このままでは、我が国の将来はとても立ち行かないのではないかという懸念が強くいたします。
 予想どおり、三位一体改革なるものは、どうも空中分解の危機に瀕しているといわざるを得ないという認識が、今のところ、その認識を抱いております。
 他の質問については、関係局長から答弁します。
   〔財務局長松澤敏夫君登壇〕

○財務局長(松澤敏夫君) 東京都の緊急提言における税源移譲の考え方についてのご質問にお答えいたします。
 本年五月に発表しました地方分権改革に関する東京都の基本的見解においてお示ししました緊急提言では、税源移譲について、本来、抜本的な税源配分の見直しが必要であるが、まず国と地方の税源と歳出の逆転現象を解消するため、当面、国と地方の税源配分の比率を一対一とすることとし、所要額を六・七兆円としております。
 また、この税源移譲に当たっては、基幹税で行い、偏在性が少なく、税収の安定した税目で行うべきことから、所得税の一部を一〇%比例税率化により住民税へ移譲するとともに、消費税の一部を地方消費税へ移譲することが適当であるとしております。
 この方法により実施すれば、大都市に税源を集中させず、税収の全国的なバランスにも配慮したものとすることが可能となり、また、東京都及び都内区市町村に対する税源移譲額を単純に試算いたしますと、全体でおおむね〇・八兆円程度と見込まれるところでございます。
 こうした税源移譲とともに、この提言の中に触れております国庫補助負担金や地方交付税の改革を行うことが、地方の財政基盤の確立につながっていくものと考えております。
   〔主税局長山口一久君登壇〕

○主税局長(山口一久君) 相続税についてでございますが、地価の高い東京におきまして、相続税の負担が、中小企業の事業承継や地域のまちづくり、緑地の保全の妨げとなっており、都は国に対し、その軽減を強く求めております。
 また、地方税化につきましては、東京都税制調査会は、道路、下水道など、地域の行政サービスが地価の形成に大きく寄与していることから、中長期的には、土地等に対する相続税を自治体の税源とすることも検討すべきとしてございます。
 相続税は、税収の偏在が大きく、地方税化する場合には、地方団体間の配分方法、新たな課税の仕組みづくりなど課題も多くございますが、都としても、地方主権の視点に立ち、相続税のあり方についてさらに検討を深めてまいります。
   〔総務局長赤星經昭君登壇〕

○総務局長(赤星經昭君) 東大農場に関します二点の質問にお答え申し上げます。
 まず、最近の動向についてでございますが、東京大学は、昨年三月の評議会におきまして、西東京市にございます東大農場を千葉県の検見川キャンパスに移転し、現在の土地を処分することを決定いたしました。
 しかしながら、具体的な移転時期、跡地の処分方法等につきましては、本年四月に策定されました平成二十一年度までの東京大学中期目標及び中期計画の中に記述がございませんで、二十二年度以降につきましても、東京大学本部からは、現段階において未定であると聞いております。
 次に、地元市や都の対応についてでございますが、西東京市では、基本計画の中で、農場の移転問題への対応を主要施策に位置づけますとともに、現在、庁内におきまして、移転跡地の取得の可能性や利活用の方法について検討を進めていると聞いております。
 また、地元五市で構成いたします多摩北部都市広域行政圏協議会での検討は、現在のところ行われていないとのことでございます。
 都といたしましては、今後とも、必要な情報収集に努め、関係機関の動向を十分見定めていきたいと考えております。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君) 東大農場に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東大農場の用途地域の見直しについてでございますが、ご指摘の南部ゾーンには大学施設が立地しており、第一種中高層住居専用地域が指定されております。
 跡地の利用計画につきましては、地元市や東大において検討を行うこととなりますが、今後、都といたしましても、都市づくりの観点から土地利用のあり方を検討しつつ、これら関係者の動向を十分見定めてまいります。
 お話の用途地域の見直しにつきましては、これらの検討状況などを踏まえ、適切に対応してまいります。
 次に、防災公園街区整備事業について、都も主体的に検討を開始すべきとのことでございますが、東大農場は、教育研究のみならず、災害時の避難場所や自然との触れ合いの場など、緑地として広く市民に開放されております。
 農場が移転した場合は、ご提案の防災公園街区整備事業も緑地を保全する手法の一つとして考えられますが、農場移転のスケジュールや跡地利用の方針が定まっていない状況にあります。
 防災公園街区整備事業などの事業手法につきましては、今後の跡地利用に関する検討状況を踏まえ、関係者間で協議すべき課題であると認識いたしております。

○副議長(中山秀雄君) 三十七番藤井一君。
   〔三十七番藤井一君登壇〕

○三十七番(藤井一君) まず初めに、新生児聴覚検査モデル事業について伺います。
 生まれてくる赤ちゃんの千人に一人か二人は、生まれつき、耳の聞こえ、つまり聴覚に障害を持っているといわれております。この聴覚障害の発見がおくれると言葉が話せなくなりますが、できるだけ早く障害を発見し、適切な療育を受ければ、言語能力を発達させることができます。
 そこで、我が党は、平成十三年、都が新生児の聴覚検査を実施するよう訴えるとともに、都内の若いお母さん方から約十七万人の署名を集め、都知事に強く要望したところであります。
 これを受けて、都は、平成十五年一月から、豊島区と立川市の二カ所を対象に新生児聴覚検査モデル事業を実施しました。都の迅速な対応を大いに評価するものであります。そこで伺います。
 第一に、新生児聴覚検査のモデル事業が始まり、一年八カ月たちましたが、現在までの実施状況とその成果について伺います。
 第二に、療育体制の整備についてであります。
 先日私は、実際に新生児の聴覚検査を実施しているドクターと種々懇談いたしました。そのドクターは、モデル事業は母親から大変好評であり、検査を受けることにより保護者が安心感を得られることや、この検査が聴覚障害の早期発見、早期治療に有効であることが明確になった、その反面、我が子に聴覚障害があると告げられたお母さんは、不安の底に突き落とされる、そこで大事なことは、障害を発見した後の療育体制を早急に整備することですと強調されていました。したがって、新生児の聴覚障害を発見した後の早期の療育体制を整備すべきと考えます。所見を伺います。
 第三に、モデル事業の継続についてであります。
 新生児聴覚検査モデル事業は、今年度で国の補助がなくなるため、来年度廃止されることが危惧されます。現在、聴覚検査によって障害が判明した新生児の療育が始まったばかりであり、療育を十分に行い、評価するためには、まだまだ時間がかかります。今ここでモデル事業をやめてはならないと考えます。モデル事業で構築した検査、相談療育体制を継続し、さらに充実させるために、都独自で事業を継続すべきであります。今後の都の取り組みについて伺います。
 次に、ものづくり人材の育成について伺います。
 本年四月、大田区東六郷に都立六郷工科高校が開校いたしました。この学校では、全国に先駆けて、ものづくり人材を育成する東京版デュアルシステムが導入されています。東京版デュアルシステムは、高校生が企業で働きながら技術や技能を身につける新しい職業教育であります。生徒は企業の一員として数カ月間企業の現場で働き、それを学校が授業の一部、単位として認めるものです。後継者不足で悩む中小企業が多い中、このシステムは産業界から熱い期待が寄せられています。開校するまでの関係者のご努力に敬意を表したいと思います。
 そこで、このデュアルシステムについて何点か伺います。
 まず、今年度は、生徒が幾つかの職種や業種を企業で体験するインターンシップが行われ、いよいよ来年度から長期の就業体験が実施されると聞いております。そこで、授業の方法及び期間、受け入れる企業数など、具体的な内容について明らかにすべきであります。
 第二に、本年度、六郷工科高校のデュアルシステム科の応募状況は、定員三十名に対して応募者が三十四名であり、若干倍率が低いのが気になります。広く周知する時間がなかったためと思いますが、初めてのデュアルシステムを導入した高校の開設です。多くの優秀な人材を集め、また、技術力のある企業に協力をしてもらうことが重要であります。デュアルシステムに対する生徒や保護者の理解を広げるために広報活動を強化し、また、さらに多くの企業の協力を得るために企業説明会などの機会をふやすべきであります。所見を伺います。
 第三に、デュアルシステムで生徒を受け入れる企業は、訓練期間中、熟練技術者が生徒にマン・ツー・マンで教えたり、また、企業が生徒に対して交通費等を支払うことになる予定と聞いています。しかし、こうした企業の出費、コストに対し、何の手当てもありません。これでは、負担にしり込みする企業も出てくる可能性があります。受け入れ企業に対しては、都知事名で感謝状を贈ったり、企業の費用負担に一定の支援をするなど負担軽減策を講じるべきと考えます。所見を伺います。
 次に、産学公連携の具体策について伺います。
 東京のものづくり産業は依然として厳しい状況にありますが、今後のものづくり産業を活性化するためには、先端技術の活用が必要であると考えます。特に最先端技術であるナノテクノロジーは、今後の産業活性化に不可欠であります。
 今後、都は、都立の大学や試験研究機関、また企業が共同して最先端技術の実用化、製品化を目指す研究を行っていくとのことであります。これらの研究を行うナノテクセンターが、来年、城南地域に開設される予定であると聞いております。このナノテクセンターの機能を十分に発揮し、貴重な都民の財産に育てるためには、ナノテクに関連の深い精密機械産業など、高度な技術力を持った企業が集積する大田区が、設置場所として最もふさわしいと考えます。そこで、まず、ナノテクセンターの設置場所、開設時期について伺います。
 第二に、ナノテクセンターで研究された成果が、将来的に地元企業に還元されていくことが何よりも重要であります。そのため、地元企業との関係を密にしていくべきであります。研究成果の地元還元策について伺います。
 次に、羽田空港の跡地利用について伺います。
 都は、本年三月、羽田空港の再拡張のため、国に一千億円を無利子貸し付けすることを決定いたしました。これを受け、国は、本年度、羽田空港の再拡張を事業化し、七月には、第四番目の滑走路を整備する工事の入札を告示しました。来年三月には契約が行われると聞いております。一方、再拡張事業の大きな柱である国際線ターミナル等の整備も着手される予定となっています。平成二十一年に、第四番目の滑走路が完成すれば、実質的な国際空港として羽田空港は生まれ変わります。これにより、再拡張事業の効果が大きく発揮されるものと期待をされております。そこで伺います。
 第一に、国際線ターミナル等の整備の仕組みや今後のスケジュールについて伺います。
 第二に、羽田空港跡地対策についてであります。
 当初、国は、羽田空港の跡地面積をおおむね二百ヘクタールとし、これを受けて平成六年、国、都、大田区で構成される羽田空港跡地共同調査に関する連絡会議が設置されました。また、平成九年には、跡地利用計画を策定するための調査委員会も設置され、種々の検討がなされてきました。しかし、その後、国は、跡地面積を七十七ヘクタールから五十三ヘクタールへ変更したために、これらの連絡会議や調査委員会は、平成十一年度以降、五年間で一回も開かれておりません。国と大田区の間に立つ東京都は、事務局という重要な立場にあります。
 そこで、平成二十一年の供用開始に向け、再拡張事業が動き出した今、空港跡地や周辺地域の利用計画を定めるため、連絡会議や調査委員会を早期に再開し、国、大田区など関係者とともに共同検討を行うべきと考えます。所見を伺います。
 第三に、夢と希望あふれる跡地利用についてであります。
 羽田空港が国際化されれば、世界じゅうから観光やビジネスで多くの人が訪れます。石原知事が力を入れている、千客万来のにぎわい創出のための受け皿の一つとして、この空港跡地を活用すべきであると考えます。例えば、魅力的な世界の商品をそろえた免税店、大人から子どもまで楽しめる総合的な文化、スポーツ、レジャー施設、北海道から九州の本物の温泉に入れる大規模温泉ランドなど、夢と希望にあふれた跡地利用を視野に入れた検討を行うべきであると考えます。空港跡地にかかわる都の取り組みについて、知事の所見を伺います。
 次に、地球温暖化対策について伺います。
 ことし、日本の夏は猛暑と豪雨に見舞われました。東京では、気温が三十度以上の真夏日が四十日も続き、連続日数の最長記録を更新しました。また、新潟や福井、さらには四国でも豪雨により家屋等に甚大な被害が発生し、多くの人命が犠牲となりました。これらの現象には、地球温暖化の影響が影を落としているといわれています。そのため、地球温暖化防止に向けた積極的な取り組みが重要であります。
 こうした中で、先日、下水道局は、地球温暖化防止計画であるアースプラン二〇〇四を策定し、地球温暖化防止対策に本格的に取り組むことを表明いたしました。この中で、温室効果ガスを二〇〇九年度までに、一九九〇年度と比べて六%以上削減するとしております。そこで、アースプラン二〇〇四の策定に至った背景と、目標を達成するための具体的な取り組みについて伺います。
 第二に、バイオマス発電についてであります。
 私は、本年四月、地元の大田区にある森ケ崎水再生センターにおいて行われた、バイオマス発電事業の式典に参加しました。バイオマス発電とは、下水の汚泥から発生するメタンガスを再生可能な資源として利用して発電を行うもので、さきの記者会見の知事発言にもありましたように、温室効果ガスの削減につながり、環境に優しい電力といえます。また、同センターでは、バイオマス発電で抑制される二酸化炭素の量を、環境付加価値として金額に換算して民間企業に売却する、グリーン電力制度の活用を進めております。
 そこで、現在までのバイオマス発電の運転状況とグリーン電力の販売状況について伺います。並びに、今後、グリーン電力の積極的な活用を促すべきと考えます。所見を伺います。
 第三に、最近、地球温暖化防止に役立つエネルギーとして、用水路等のわずかな落差を利用した小規模発電機が話題となっております。下水道局でも、森ケ崎水再生センターにおいて、小水力発電に取り組むことを明らかにしております。
 そこで伺います。森ケ崎水再生センターで計画している小水力発電事業の内容とその事業効果について伺い、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 藤井一議員の一般質問にお答えいたします。
 羽田空港跡地にかかわる都の取り組みについてでありますが、ともかく世界じゅうで、都心からあれほど近いところにある空港というのは例がございません。しかも、あそこに膨大な空間が今ありまして、かつまた、海老取川を隔てて大谷重工の跡地、それから、隣接する荏原製作所も数倍の広大なスペースを持っていますが、聞くところ、やがて千葉の方に移動する予定だそうでありまして、そういうものを勘案して、私はやっぱり、かなり大きなプロジェクトというものが時代に合った形で考えられるべきだと思います。
 非常に重要な空間、単に大田区だけではなくて、東京にとって非常に大事な空間になると思います。空港機能をサポートするとともに、空港の持つ可能性を活用した跡地の積極的な利用計画を立てることが肝要だと思っております。
 このため、都としましても、国際線ターミナルなどのありようも見きわめながら、地元自治体とも調整して、跡地利用に、今までなかったパターンのプロジェクトというものを展開できればと思っております。
 その他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 都立の六郷工科高等学校に関します三点の質問にお答えします。
 都立六郷工科高校のデュアルシステム科についてでございますが、六郷工科高校におけるデュアルシステム科は、高校生が在学中に、長期の就業訓練を通して、企業や業界が必要とする実践的な技能、技術を身につけさせる新しい教育システムでございます。生徒の企業での学習につきましては、一年次では三十日間のインターンシップを通して、適性に合った業種や職種を見きわめることとしております。また、二年次では二カ月間、三年次では二カ月または四カ月間の長期就業訓練を通して実践的な専門教育を行い、これらの成果を学校が単位として認定してまいります。
 なお、受け入れ企業数は、八月三十日現在で七十八社でございます。
 次に、デュアルシステムの広報活動についてでございますが、都立六郷工科高校におけるデュアルシステムにつきましては、これまでも中学生や保護者、企業に対する説明会の開催やパンフレットの作成、ホームページの掲載などにより、積極的にPRに努めてまいりました。今後、より一層の理解促進を図るため、中学校における出前授業や学校訪問等の機会を活用しました、きめ細かなPR活動を行いますとともに、中学校の進路指導担当教員を対象とします説明会などをふやしてまいります。また、企業に対しましては、大田区工業連合会など地元企業団体の研修会や産業労働局の支援による企業展示会など、さまざまな機会をとらえて、デュアルシステムについての趣旨を説明しますとともに、協力依頼を積極的に行ってまいります。
 次に、受け入れ企業に対する支援策についてでございますが、東京版デュアルシステムは、産業界と学校とのパートナーシップに基づく新しい職業教育システムでございまして、企業側の多大なる理解と協力を得ているところでございます。デュアルシステムの推進に当たりましては、企業側にさまざまな負担が生じることを考慮しまして、一定期間の実績を踏まえた上で、都教育委員会による──これは新しい職業教育システムの創造でございますので、都教育委員会による感謝状の贈呈や、顕著な実績を上げた企業に対する表彰などにつきまして積極的に検討し、実施をしてまいります。
   〔福祉保健局長幸田昭一君登壇〕

○福祉保健局長(幸田昭一君) 新生児等聴覚検査モデル事業について、三点のご質問にお答えいたします。
 まず、本事業は、平成十四年度から豊島区と立川市の二地区で開始し、現在までに聴覚検査を受けた新生児等の数は、豊島区で約六百三十人、立川市で約九百五十人でありました。現時点までの成果としては、聴覚障害の疑いがある乳児が二名発見され、早期療育につなげることができ、あわせて、聴覚障害に関する知識の普及や関係機関などの連携の大切さが再確認できたことであります。
 次に、早期療育体制の整備についてでありますが、聴覚障害児を早期に発見し、適切な療育に結びつけることにより、言語発達やコミュニケーションへの影響は最小限に抑えられるため、早期療育体制の整備は重要なことと認識しております。現在、都内では難聴幼児通園施設、都立ろう学校、都立療育センターなど十七カ所で乳幼児療育が行われております。検査普及に伴い、療育が必要な乳幼児はふえていくと見込まれるため、これら療育施設の乳幼児早期の療育体制の充実は必要と考えております。
 最後に、モデル事業の今後の取り組みについてでありますが、平成十六年度をもって三年間のモデル事業は終了し、その成果を来年度に最終報告としてまとめる予定でございます。現段階で明らかとなった普及啓発などの課題については、保護者向けチェックリストや関係機関向けハンドブックの作成を行うなど、新生児等の聴覚障害にかかわる早期発見、早期療育に努めてまいります。
   〔大学管理本部長村山寛司君登壇〕

○大学管理本部長(村山寛司君) 産学公連携に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、ナノテクセンターの開設についてですけれども、予定しております来年一月に、大田区を含む城南地域において開設できるよう、鋭意準備を進めております。現在、具体的な設置場所などにつきまして、最終調整を行っている段階でございます。
 次に、ナノテクセンターにおける研究成果の還元についてでございますが、ものづくりを担う中小企業は、ナノテクに対しまして、将来発展する分野として非常に高い関心を持っております。しかしながら、まだ新しい分野であるということもございまして、設備が整っていなかったり、最先端の技術情報が不足するなど、研究成果を事業に結びつけていく上では、解決すべき課題も多いというのが現状でございます。したがいまして、新たに開設いたしますナノテクセンターにおきましては、ナノテクに関する最新情報を提供したり、技術相談に応じることなどにより、研究の成果が円滑に還元される素地を培い、ナノテクに関心を持つ中小企業のニーズに的確にこたえてまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君) 羽田空港の跡地利用に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、羽田空港の国際線ターミナルなどの整備についてでございますが、国は、平成二十一年末の供用開始に向け、PFI手法などにより民間活力を導入し、一体的かつ効率的な整備を行うこととしております。現在、施設要件や整備、運営にかかわる制度設計について検討が進められており、平成十七年度中に入札実施方針の公表、事業者の募集及び契約締結が行われる予定でございます。
 次に、空港跡地などの利用計画についてでございますが、その検討に当たりましては、再拡張後の羽田空港の役割や機能との連携に十分留意することが必要であります。このため、都としては、国における国際線ターミナルなどの施設要件の検討状況などを踏まえつつ、地元自治体とも調整しながら、跡地などの利用について取り組んでまいります。
   〔下水道局長二村保宏君登壇〕

○下水道局長(二村保宏君) 地球温暖化対策についての三つの質問にお答えいたします。
 初めに、アースプラン二〇〇四についてでございますが、下水道局は、都内で使用されております電力の約一%にも達する電力を消費しております。また、東京都の事務事業活動に伴う温室効果ガス排出量の四三%を占める最大の排出者となっております。今後さらに合流式下水道の改善や高度処理の推進などに伴い、温室効果ガスの増加が見込まれるところでございます。そのため、一刻も早く地球温暖化防止対策を総合的に進める必要があり、アースプラン二〇〇四を策定したものでございます。
 本プランでは、汚泥の高温焼却などによる温室効果ガス発生の削減や、温室効果ガスの排出が少ない、再生可能エネルギーへの転換に取り組むとともに、民間との連携などを積極的に図りまして、下水道事業から排出される温室効果ガスの削減目標値六%以上を達成してまいります。
 次に、バイオマス発電の運転状況についてでございますが、森ケ崎水再生センターで本年四月に運転を開始し、八月までの五カ月間に約七百五十万キロワットを発電し、これを使用したものでございます。このバイオマス発電による環境効果といたしましては、二酸化炭素に換算いたしまして、約二千八百トンの温室効果ガスを削減しております。これは、代々木公園約十五個分の森林が吸収する量に相当するものでございます。
 また、グリーン電力制度による環境付加価値の販売は、五つの企業と合計約百二十万キロワットを契約し、これまでの販売額は約二百八十万円となっております。このたび、都庁舎のライトアップに際して、グリーン電力制度が活用されましたように、今後とも環境に貢献する視点から幅広く活用していただけるよう、さまざまな機会を通じましてグリーン電力制度の活用を促してまいります。
 最後に、小水力発電事業についてでございますが、本事業は、処理水のわずか三メートルの放流落差に着目いたしまして、豊富な水量を利用して発電を行うものでございます。発電量は、一年間に約八十万キロワットを見込んでおります。これは一般家庭二百二十世帯分の使用電力に相当するものでございます。これによりまして、温室効果ガスである二酸化炭素を年間約三百トン削減することができるものでございます。
 今後とも、再生可能エネルギーの活用など、温室効果ガスを削減するための努力を一つ一つ積み重ねまして、地球温暖化の防止に積極的に取り組んでまいります。

○副議長(中山秀雄君) 二十三番小美濃安弘君。
   〔二十三番小美濃安弘君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○二十三番(小美濃安弘君) 近年、日本の出生率は低下を続け、昨年の合計特殊出生率は一・二九と、過去最低を更新いたしました。子どもを何人持つかということは、原則的には個人の選択であります。しかし、出生率低下による人口減は、将来、我が国の経済社会を衰えさせるだけでなく、社会保障制度も立ち行かなくなるおそれがあり、もはや、個人の選択を超えた国家的な危機であるともいえます。
 少子化の原因は従来からさまざま議論されており、女性の社会参加の増加、経済状況の悪化、雇用システムの問題などなど多岐にわたっております。これらを総合的に考えてみますと、現在、子どもを産み育てることは大変な重苦であり、自分の人生の中で不利であるという考えが大宗を占めているようであります。現実に子どもを持たない多くの方から、子どもを一人産み育てると数千万円かかる、それならば、いっそ、マンションでも買って楽をしたいといったことをよく耳にするわけであります。しかし、人生の喜びは金銭だけではかれるものではなく、肝心なのは一人一人の心の持ち方であると考えております。
 私は現在、二人の子どもの子育て真っ最中であります。子どもが小さいころは、よく病気もいたしました。夜泣きに寝不足になることも幾たびかありました。しかし、子どもが中学に上がり、少し手が離れたとき、ふと感じることがありました。それは、子育ては確かに厳しく大変だけれども、子育てによって自分がどれだけ成長させられたか、子どもとともに人生を築き上げていくことは、この上ない充実感がある、子育ては楽しいということであります。
 私は、子どもを持たない多くの人の心の中にある、子育ては人生の不利といった風潮を打破し、子育ては人生の有利といった方向性をつけることこそ、少子化対策の第一歩であると考えます。
 また、これらの施策を行うには、保健、医療、治安、防災、労働などなど、さまざまな分野を所管し、国よりもスピーディーに行動できる東京都がまず先頭に立つべきと考えます。
 そこで、石原知事にお伺いをいたします。ぜひ首都東京から、心の少子化革命を推し進めていただきたいと切望いたします。
 大都市東京での子育てのしにくさを指摘する声もありますが、そんなことは決してないと思います。むしろ、東京で子どもを産み育てることは、親にとってはステータスであると考えております。
 そこでお尋ねいたしますが、知事が考える子育て観、特に東京で子育てをすることについてのご所見をお伺いいたします。
 さて、少子化対策には、世間の風潮を変えていくのと同時に、子育て支援として具体的な施策を講じなければなりません。現在までも都は、動きが鈍い国に先んじて、認証保育制度を独自に創設するなど、高い評価を受けております。
 また、昨日、他党の代表質問の答弁で、知事から、少子化対策について、行政のできる範囲で積極的に行っていくという旨の答弁を伺い、大変心強く思っております。
 さて、そこで、今最も望まれているのが、認証保育所のさらなる拡充とともに、乳幼児医療費助成の拡充であります。
 都は、段階的に乳幼児医療費助成を拡充してきており、このことについては私は大変高く評価をいたしております。しかし、現在の制度は、乳幼児の医療を保障しているというよりは、乳幼児を持つ保護者の負担を軽減しているにすぎません。昨日の局長答弁では、乳幼児医療費助成の所得制限は必要であるとのことでしたが、低所得者に対する助成は一種の経済支援施策であり、今回問題にしている少子化対策ではないと私は考えております。先ほども述べましたが、子どもを持つすばらしさは、所得のあるなしでははかれないと思います。
 行政が義務教育によって、保護者の所得に関係なく無償で子どもたちに教育を保障しているのと同様に、せめて小学校に上がる前の不安定な成長段階までは、所得に関係なく、医療を行政が、これは本来は国が行うべきと思いますが、まずは東京都が保障するということは、これから親になる人たちにとって心の安心感に必ずつながるはずであると考えているわけであります。
 先日、福祉保健局に、都内未就学児の医療費助成の所得制限撤廃をした場合の試算をしてもらったところ、都の負担は約四十三億円増ということでした。大きな数字ではありますが、一般会計から見れば千分の一以下であり、決して不可能なことではないと存じております。
 改めて、少子化対策として乳幼児医療費助成の所得制限撤廃に対して、お考えをお伺いいたします。
 次に、介護保険制度の見直しについてお伺いいたします。
 平成十二年四月から施行された介護保険制度は、五年に一度見直すことが法律で定められております。そして、来年が最初の見直しであるにもかかわらず、抜本的な見直しが検討をされております。
 その大きな論点の一つが、被保険者の範囲拡大及び障害者福祉との統合であります。
 障害者福祉では、従来の行政が行う措置だけではなく、障害者自身が福祉サービスを選択し、費用を税金で賄う支援費制度が昨年度から導入されました。しかしながら、介護保険が、一定の準備期間を費やし、サービス提供業者の育成やケアマネジャー育成など社会資本整備をした後に導入されたのに対し、支援費制度は余りに拙速に導入されたため、一年以上経過した現在でも現場では混乱を来しているのが現状であります。支援費制度はまず社会資本整備を拡充することが重要であり、介護保険との統合は時期尚早であります。
 では、なぜそういう状況下で統合問題が議論をされているのか。それは、支援費制度が施行後たった一年で百二十八億円もの財政不足に陥り、早くも破綻状態にあるからであります。
 この財政不足を補うために、介護保険の利用対象者に障害者を含める一方、保険料徴収の対象者を四十歳以上から二十歳以上に広げたいというのが、厚生労働省の考えであります。
 しかし、これは余りに短絡的といわざるを得ません。保険制度は、給付と負担の関係がはっきりしていないと成り立ちません。例えば医療保険は、だれでも風邪ぐらい一年に一度引きますので、被保険者は保険料を負担していても納得がいくわけであります。
 しかし、二十代の若者が要介護状態になる可能性は限りなく低く、国民年金さえ満足に徴収できていない現在、保険料徴収の対象を拡大したところで、果たして介護保険料が満足に徴収できるのか、疑問であります。
 また、若い世代にはほとんど給付がないのに、負担だけを強いるということは、これはいいかえれば、国が若者の財産を不当搾取することにもなりかねず、国に対する不信感を増大させることになりかねません。
 都は、これらの問題を真摯に受けとめ、ことし四月、介護保険と支援費制度の統合に当たっては、課題の解決に向けて相当の準備期間を要することから、平成十八年度からの実施は困難といわざるを得ないという見解を出しているところであります。しかし、厚生労働省は、年内に改革案をまとめ、来年の通常国会に提出する方針であります。
 本年七月三十日に出されました社会保障審議会介護保険部会報告では、統合に対して賛成と反対の両論併記となり、どちらの意見を厚生労働省が尊重するのか、予断を許さない状況であります。
 都は、この状況を座して見ているのではなく、ことし四月に出した提案に基づき、平成十八年度からの統合に関しては断固反対という姿勢を改めて国に提言すべきだと存じますが、ご所見をお伺いいたします。
 介護保険にしても、支援費制度にしても、財政面の裏づけは確かに必要ではありますが、消費税の一部を福祉目的に一部充当するなどの議論をまず進めていくことが先決であります。初めに統合ありきではなく、真に都民の理解が得られる介護保険の改革、支援費制度の拡充を心より願いつつ、次に移ります。
 次に、修学旅行における国際交流について質問をいたします。
 国際的に見てみますと、修学旅行は日本独自の教育文化ともいえ、この旅行に該当するような学校での集団的旅行を行っている国はほとんど見受けられません。また、用語もほとんどありません。
 しかし、近年、中国、韓国、台湾などの東アジアの国において、日本の高等学校に相当する高級中学校の生徒などを対象とした日本への集団旅行が注目を集めております。行き先は東京や大阪などの大都市が多く、訪問先の学校訪問と生徒同士の交流を希望しているわけであります。しかし、海外からの学生生徒の受け入れに当たり、日本の学校が積極的な姿勢にあるかというと、必ずしもそうではないようであります。
 昨年、某都立高校に台湾から六十名の修学旅行受け入れの要請がありました。当初、教職員組合は受け入れ反対の姿勢でありましたが、校長先生の説得や都教委の判断で受け入れることが決定をいたしました。歓迎レセプションでは、台湾の生徒による踊りの披露や、都立高校生によるブラスバンドの演奏などが行われ、また、その後は各クラスに移動し、生徒同士が直接会話を交わす交流が行われ、大変有意義であったということであります。
 このように、外国の生徒と直接交流できることは大変すばらしいことであると考えますが、受け入れ側の学校が消極的姿勢なのは一体なぜなのか。これは校内事情によるところが大きいといわれております。
 その中でも、レセプションなどにおける相互交流の際、国旗掲揚や国歌の取り扱いについて教職員からの反発が強いため、職員団体と長時間の交渉を行わなくてはならず、つい受け入れに対して消極的になってしまうということであります。
 これらの理由は、特に都立高校において顕著であるといわれており、教職員の思想的理由で生徒同士の国際交流が阻害されているとするならば、大変憂慮すべき問題であります。
 都は、庁内挙げて、海外からのビジットキャンペーンを実施しているところでもあり、海外からの修学旅行の受け入れを都立学校でも積極的に行うべきと考えますが、ご所見を伺います。
 また、生徒の国際感覚を養うためには、日本から海外への修学旅行も積極的に行うべきだと考えます。しかし、都立高校の海外修学旅行は原則認められておらず、平成十二年に三校を指定校と定めているにすぎません。
 都立高校は、高校改革のもと、国際的な学科を設置し、国際感覚を持った生徒の育成に力を注いでいるところですが、なぜ海外修学旅行を原則認めていないのか、納得いきません。費用面にしても、時期を考慮すれば、国内よりも海外の方がよほど安価な場合もあります。また、若いうちに海外を見ておくことは、将来において必ずプラスになると考えます。都立高校の海外修学旅行を都教委が規制することは、生徒たちが若いピュアな視線で国際感覚を学ぶチャンスをつぶしてしまうことにもなりかねません。
 海外修学旅行は、地域事情も踏まえて、学校長の判断により行われるべきと考えますが、今後、都教委として、都立高校の海外修学旅行についてどう取り組むのか、ご所見を伺います。
 教育について、もう一点、基礎学力の低下について伺います。
 公立学校に学ぶ子どもたちの基礎学力の低下が気になるところであります。昭和四十四年当時と現在の中学校における授業総時数を比較すると、マイナス二百十時間であり、学習指導要領では約三割の学習内容が削減されました。
 そういう状況下、平成十四年、週五日制が完全実施され、二年が経過しました。その趣旨は、確かな学力を育成し、生きる力をはぐくむことでありましたが、現状はどうでしょうか。子どもたちに与えられたのは、生きる力を養う時間ではなく、単なる暇ではないでしょうか。
 意識と財源がある自治体は、暇を解消するため、独自財源でさまざまな施策を行っていますが、意識はあっても財源不足のため、それらができない自治体もあると聞きます。また、総合的学習についても、ベテラン教師と新任教師とでは内容に大きな開きがあるなど、果たしてすべて有効に機能しているか疑問であります。
 週五日制と総合的学習の導入により、本来子どもたちが学校で習うべき読み書きそろばんは、明らかにその時間数を削られております。
 先日、知事の公式ホームページを拝見させていただきました。教育改革の項で知事は、今や四則演算が満足にできず、我が国の歴史も正確に知らないまま義務教育を終了する生徒がふえるなど、基礎学力の低下が懸念される現状になっていると述べられております。私も全く同感であります。
 しかし、この問題を解決するには、都や市町村ではどうにもならず、国の教育方針を改善しなければなりません。
 知事は、基礎学力の低下という現状にどのような所感をお持ちか、お伺いいたします。また、ぜひ、基礎学力向上のため、国に対して問題提起をしていただくよう要望いたします。
 最後に、インターネットオークションについてお伺いいたします。
 都は、ことし七月、全国で初めてインターネットオークションを実施し、約三千人の参加者により、差し押さえ動産の一部が見積価格の約四倍で落札されるという大きな成果を得ました。
 今後も、インターネットオークションにより税収確保を推進していただきたいと願いますが、中には、見積価格八百円のネックレスが約十万円で落札されるなど、インターネットならではのデッドヒートが繰り広げられたようであります。また、一部の財産については、買い受け辞退もあったと聞いております。
 知事の所信表明によりますと、今後、不動産もインターネット公売を行うとのことでありますが、動産の場合は当事者だけの問題で済みますけれども、不動産の場合は、余り熱が入り過ぎて、実勢取引価格を大幅に上回る落札価格となるならば、周りの土地に与える影響ははかり知れません。
 そこで、買い受け辞退など、不動産も含めたインターネットオークションの今後のあり方について所見を伺い、私の質問を終わりますが、答弁によっては再質問を留保いたします。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 小美濃安弘議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、東京での子育てについてでありますが、東京は田舎と比べて、何というんでしょうか、家族の構成も違いますし、まちの構成がそれを規制しているんでしょうけれども、いずれにしろ、若い夫婦がおじいちゃん、おばあちゃんと住んでいるというケースは非常に少のうございますし、また、近くに先輩、年配の親戚がいるという例もなかなか乏しい。
 そういう中で、必然、子どもを産んで育てるのは、若かろうが、やはり男の親、女の親、両親の責任でありまして、ゆえにも、地方、田舎と違って、東京で子どもを育てるというのは若い夫婦にとっても至難のことであると同時に、また、非常に重い責任でもあると思います。
 そういう子どものしつけ、教育の中で、何をはぐくむかということは、これは人によって価値観も違うでしょうが、いずれにしろ、私は、人間にとって本当に大切な子どもの個性を素直に伸ばす、それがまた子どもにいろいろひらめきを与えて、発想力を育てるということだと思います。
 いずれにしろ、この東京で若い夫婦が子どもを育てるのは大変難しいとは思いますが、よくいわれますけれども、子育ての苦労は買ってでもしろという言葉もありましたが、それこそ、この時代に、かつて以上に評価されなくちゃいけない金言ではないかと思います。
 どのような時代にあっても、子どもを人間の社会の後継者として育てていくということは、私たちすべての大人の責任であり、また、生きがいでもあると思います。
 そういう、ひとつ、人生観、人生に対する価値観といいましょうか、それを何とか持ち直していく努力を、私たちこれから、行政を通じてというのは効果が知れているかもしれませんが、お互いに力をかし合って、いずれにしろ努力していきたいと思っております。
 次いで、基礎学力の低下についてでありますが、今度、統合新設されます首都大学東京の学長にお迎えした西澤潤一先生というのは、すばらしい、世界に誇る学者であり教育者であります。
 その西澤先生の持論、この間もある論文で拝見しましたが、まことに的確な指摘でありまして、それは、義務教育というのは基礎教育、基礎の学力を培うプロセスであって、ゆえにもこれは徹底した詰め込み教育でなくてはならないと。かなり強いノルマを子どもたちに課さなくちゃいけない。それによって培われた感性がやがて花開いていくのが高校時代であり大学時代であるので、日本の愚かな文部省は、それを何か勘違いして、ゆとりの教育ということをこのごろいい出して、失敗はもう目に見えているわけでありますけれども、アメリカは逆に、日本の義務教育における詰め込み教育というものを評価して、それを習おうとしておりますが、私はいずれにしろ、暗算もできない、あるいは、このごろ、ガリレオが嘆くんでしょうけれども、太陽と地球の関係が天動説であるなどということをまともに信じて、そう認識している子どもがふえているようでありますけれども、いずれにしろ、こういった基礎知識、基礎学力というものを備えなければ、子どもたちは大人として成長もしませんし、そういう子どもたちに──我々が新しく迎える、可能性としての期待も乏しいんじゃないかと思います。
 義務教育は、国家繁栄の安危にかかわる根幹の問題でありまして、すべての子どもたちに基礎学力を身につけさせ、国民として必要な資質や能力を育成することこそが大切である。ゆえにも、西澤先生が指摘されているように、徹底した詰め込みというのは、この時期に私は必要だと思います。
 昨今の国の教育は、必ずしも軸足が定まっておりませんで、あっちへ行ったりこっちへ行ったり、また文部省も、つい最近いい出したことをまた反省して、何か変えるようでありますけれども、いずれにしろ、都の教育委員会はこれまで、二十一世紀の東京を担う人材を育成するため、全都で学力調査を実施し、その結果に基づいて学校での授業改善を行うなど、独自の教育改革を進めてきましたが、今後とも、子どもたちに基礎学力を身につけさせ、その上にこそ子どもたちの個性や創造力を花咲かせていく、そういう教育の実現に向けた改革を行っていくことを強く期待しております。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教育に関します二点の質問にお答えします。
 まず、海外の学生生徒の受け入れについてでございますが、海外の学生生徒と交流しますことは、一時的にせよ、長期にわたるにせよ、外国の文化に触れたり、日本の文化や伝統についての理解を一層深めたりする上で重要でございます。
 都立高校におきまして、ご指摘のような学生生徒同士の国際交流が阻害されるようなことはあってはならないことでございまして、まことに恥じ入る次第でございます。
 今後、都教育委員会としましては、留学生との交流事例等を紹介した指導資料の作成、配布や、学校が受け入れやすい体制の整備を図りまして、学生生徒同士の国際交流を通した国際理解教育の一層の推進に努めてまいります。
 次に、都立高校における修学旅行についてでございますが、海外修学旅行は、日本と異なった文化や生活などに触れるよい機会でございまして、日本人としてのアイデンティティーをはぐくむ上で大切な教育活動でございます。
 都教育委員会は平成十四年度から、都立国際高校、飛鳥高校、蔵前工業高校を海外修学旅行の試行校として指定しまして、安全の確保や交流の方法、保護者の経済的負担などについて検討してまいりましたが、今後、都立高校におきましては、試行校における成果や課題などを踏まえまして、それぞれの学校の実態を最も的確に把握している校長の判断のもとで実施できるようにしてまいります。
   〔福祉保健局長幸田昭一君登壇〕

○福祉保健局長(幸田昭一君) 福祉保健に関します二点のご質問にお答えいたします。
 まず、乳幼児医療費助成制度についてでありますが、本制度は、少子社会において子育てを支援する福祉施策の一環として、区市町村に対し都が補助を行っているものであり、対象年齢については、義務教育就学前まで段階的に拡大してまいりました。
 所得制限の基準は、国における児童手当に準拠しており、一定の所得制限を設けることは必要と考えております。
 いずれにしても、この八月の福祉保健局の発足に伴い、少子化対策に総合的に取り組むための組織が設置されました。今後、東京の実態を踏まえ、都民や関係団体の意見も聞きまして、関係局とも連携しながら、少子化対策に取り組んでまいります。
 次に、介護保険制度と支援費制度の統合についてでありますが、介護を必要とする方々に、そのニーズに応じた介護サービスを提供できるようにするためには、そのサービス提供基盤を整備するとともに、将来にわたる安定的な財源を確保することが必要と考えております。
 しかしながら、介護保険の被保険者及び受給者の範囲の拡大については、新たに保険料を負担することとなる若い世代の理解を得るほか、両制度間の調整を図る必要があるなど、多くの課題があります。
 これらの課題の解決には相当の時間が必要と見込まれるため、平成十八年度からの実施は困難と考えておりまして、こうした都の見解を改めて国へ伝えてまいります。
   〔主税局長山口一久君登壇〕

○主税局長(山口一久君) インターネット公売の今後のあり方についてでございますが、動産のインターネット公売につきましては、本年七月に実施したトライアルで、一部の財産に買い受け辞退が発生したことを踏まえまして、次回以降は、公売保証金の引き上げ、買い受け辞退者に対する公売への参加制限、次点入札者等への売却など、改善を図ってまいります。
 また、今後、インターネット公売を不動産に拡大するに当たりましては、引き続き見積価額の適正化に努めるとともに、異常な高騰を招くことのないよう入札方式で実施するなど、参加しやすい方法を採用し、税収確保に努めてまいります。
   〔二十三番小美濃安弘君登壇〕

○二十三番(小美濃安弘君) あくまでも乳幼児医療費の助成につきましては所得制限を堅持するというご答弁でありましたが、これは、経済的福祉政策であり、少子化対策の一環で医療費助成を行うのであれば、やはりすべての児童に対して行うべきと改めて申し上げておきたいと存じます。
 別な角度で再質問いたします。
 現在、医療費助成につきましては、各基礎的自治体が争って所得制限を撤廃しているだけでなく、対象拡大までしております。せっかく都が九十八億円もの巨費を半額補助をしているのに対して、果たして都民はどう評価をしているのでしょうか。各自治体の独自医療費助成に対して都はどう考えているのか、所見をお伺いしたいと存じます。
 また、この際、この現状を直視し、基礎的自治体の医療費助成の所得制限撤廃や対象年齢の拡大を、現在都が行っている包括補助制度の対象にしてはどうかと考えますが、広域自治体としての都の所感を伺い、再質問を終わります。
   〔福祉保健局長幸田昭一君登壇〕

○福祉保健局長(幸田昭一君) 二点の再質問にお答えいたします。
 まず、各自治体独自の助成に関してのお尋ねでございますが、医療助成事業の実施主体でございます各区市町村が、それぞれの地域の実情等を勘案しながら、独自の判断で対応しているものというふうに理解をしております。
 次に、包括補助の対象にしてはどうかというお尋ねでございます。いわゆる包括補助制度でございます福祉改革推進事業は、他の公的制度の対象となっている事業等を除きまして、区市町村が地域福祉の基盤整備やサービスの充実を図ることを目的として創設したものでございます。

○議長(内田茂君) 八十一番東ひろたか君。
   〔八十一番東ひろたか君登壇〕

○八十一番(東ひろたか君) 初めに、長年の都民の切実な願いである三十人学級について伺います。
 三十人学級を初め、何らかの形で少人数学級に踏み出した自治体は急速に広がり、今年度で四十二道府県に達しました。実施に踏み切ったところでは、学校の子どもたちはもちろん、保護者、教職員初め、だれもが大歓迎しています。
 小学一、二年と中学一年の一部で三十人学級とした鳥取県では、小学校の担任の九六%、保護者の八一%が、よいまたは大変よいと答え、教員からは、子どもの活躍する場面がふえた、学習理解度を把握しやすく、理解不十分な子に多く支援できた、保護者からは、心の安定、落ち着きが感じられるなど、歓迎する声が寄せられています。
 都教委は、三十人学級を拒否する理由として、学習集団は少人数がよいが、生活集団としては四十人を基準とする学級規模が必要だとしてきました。しかし、小学六年生まで三十三人学級となった山形県では、校長先生が、欠席の減少、読書の増加、保健室利用の減少が顕著で、学習と生活が相乗的に向上したと回答しており、実際に、年間四・一日の欠席が三・〇日と大幅に減ってきているのです。学習面はもちろん、生活面でも都教委のいい分が成り立たないのは明らかです。
 文科省は、全国の自治体の流れに押されて、九月三日の事務連絡で、少人数指導の教員加配定数を少人数学級にも完全に自由に使えるようにするとの新しい方針を示しました。今回の新たな条件を生かして、東京でも少人数学級に踏み出すことが求められているのです。
 多摩の市長会からは、少人数学級編制が可能となるよう、一学級四十人という東京都の学級編制基準の見直しを図られたいとの要望も出されるなど、都の少人数学級実施への決断を強く期待する声が圧倒的になっています。
 こうしたもとで、全国で残された五都県の中で、六月には佐賀県知事が来年度実施を表明、石川県でも、九月二十一日の県議会本会議で教育長が来年度実施を表明しました。東京だけが文字どおり取り残されてしまいかねない状況です。
 知事、国の措置を活用するなら、これまで加配されてきた千二百五十人の教員定数のうち八百人程度を振りかえることで、新たな都の財政負担なしに都内の全公立小学校一年生で三十人学級を実施できるのです。橋の一本、二本かけなくとも、子どもたちの教育のためには公共事業を節減しても実行したいと表明して踏み出した山形県知事のように、多くの県では知事の決断が実施の決め手となっています。
 日本共産党都議団は、都内の区市町村長や教育長と懇談していますが、板橋区の石塚区長は、三十人学級は時の流れだと発言し、新宿区の山崎教育長は、三十人学級は私たちも望んでいるところ、都が三十人学級で教員を措置してくれればありがたいと述べています。
 こうした声が上げられる背景には、東京でも不登校や学力不振などが深刻化しており、行き届いた教育が切望されているからにほかなりません。
 あるお母さんは、上の子どものときは、一学年が四十人を超えていたので、分割され、少人数学級でした。そのため、すごく伸び伸びしたクラスになり、保護者会のたびに子どもたちが褒めてもらえました。ところが、弟の場合、四十人のクラスだったため、授業中に座っていられない、話を聞くことができない子どもがいて、もう授業にならないような状態だったといい、早く三十人学級にしてもらいたいと要望していました。
 事は、他の県がやっているからというのではなく、東京でもこうした深刻な実態だからこそ、東京都が三十人学級に計画的に踏み出すことが緊急に求められています。石原知事の決断を求めるものです。知事、いかがでしょうか。
 そして、少なくとも、区市町村が国の新たな措置を活用して少人数学級に踏み出すことを希望するならば、これを尊重するのは当然であると考えますが、どうか。明確な答弁を求めます。
 次に、防災対策についてです。
 関東大震災から八十年、全国で地震が頻発するもとで、東京直下型地震は今後十年以内に四割の確率で発生するのではないかという予測も出され、地震に強い東京をつくることは喫緊の課題となっています。
 最近、日本木造住宅耐震補強事業協同組合が、全国でこの三年間に実施した木造住宅の耐震診断のデータを集計して発表しましたが、その内容は、実施した耐震診断四万五千件のうち、危険な住宅が七五%に及んでいるというものです。また、内閣府が九日発表した住宅の耐震化に関する特別世論調査は、耐震性が不足しているとわかっていても、住宅の改修を実施しようと考えている人は四分の一の人にすぎないとしています。十年前の阪神・淡路大震災では約六千五百人の犠牲者が生まれましたが、そのうち約八割が倒壊した建物の下敷きになったものでした。
 地震対策の基本となる住宅の安全の確保は、先送りすることができない都政の重要課題であると考えますが、見解を伺います。
 木造住宅、とりわけ木造住宅密集地域の改修が急がれているにもかかわらず、改修工事は遅々として進んでいないのが現状です。木造住宅密集地域の改善は、本来、従前居住者の居住継続を前提とした修復型が基本とされるべきですが、最近は、大型道路や再開発と一体で進める事業も見られます。このような事業方式は、住民、とりわけ借家や借地に住む住民の居住継続を困難にする場合も多く、疑問の声も上げられています。
 そこで、木造密集地域の整備の実施に当たっては、都として、種地を確保することや、公営住宅の建設で、事業実施によって居住継続が困難となる住民の居住を保障することが欠かせませんが、どうか。
 また、墨田区京島地区のように、住宅のセットバックなどによる域内生活道路の拡幅、既存住宅の耐震、防火改修、建てかえなどによる防災機能の向上を住民主導で進めること、停滞している現状を打開するために、都がモデル地区を定め、財政、技術、人を集中的に投入して事業を実施することなども考えられると思いますが、見解を伺います。
 個々の住宅の防災機能を高めることも急がれています。この点では、静岡県が減災の立場から、木造住宅の耐震補強に補助を行うことを開始しましたが、都内でも中野区が、古い木造住宅を耐震改修し、震度六以下の地震で全壊した場合、かかった費用を区が補償する制度を今年度実施しましたが、昨日までに、既に百八十九件の予約申し込みがあったそうです。
 また、墨田区では、木造密集地域の対策のための検討委員会を立ち上げ、区内の五万戸に及ぶ木造密集地域の住宅の倒壊防止策として、三百万円を限度にした倒壊防止策の導入を検討するなど、大地震から都民の生命と財産を守るための対策が区段階で始められています。
 そこで、区市町村が、木造住宅の耐震診断、耐震補強や防火対策への助成に踏み出した場合、都として財政的に支援することが住宅の安全化を推進する上で大きな役割を果たすことになると思いますが、どうか。
 マンションの対策も重要です。先日、紀伊半島沖の海底地震の際には、五百キロ以上離れたこの東京でもゆっくりとした震動が発生しました。これは長周期地震動といわれるもので、北海道の十勝沖地震では、遠く離れた苫小牧の石油タンクが共鳴して大災害を起こしたことは記憶に新しいところです。
 長周期地震動は、低層の家屋や中層のビルなどでは影響は見られず、高さ百メートルを超すような超高層ビルの高層部で数メートルの揺れが発生するといわれているものです。今、都心部を中心に超高層の住宅ビルが相次いで建設されており、その対策の必要が叫ばれているところです。
 我が党は、本年、この長周期地震動の対策を求めた際に、都は研究する旨答えられました。そこで、長周期地震動の対策について、都としてどのように進めているのか、改めて伺うものです。
 老朽マンションの対策では、我が党は調査を提案しましたが、その後、都は、築三十年以上の老朽マンションの調査を行い、昨年結果を発表しました。その結果、多くのマンションが耐震診断も受けてなく、診断の結果、対策が必要とされても、耐震補強できないマンションが残されています。せっかく実施した調査を宝の持ちぐされにしないために、都として、老朽マンションの耐震化促進のための計画策定に踏み出すべきではありませんか。それぞれ答弁を求めます。
 地域防災の不可欠な担い手としての二十三区消防団に対する支援策について伺います。
 いうまでもなく、消防団は、日ごろから地域社会に溶け込み、各種の災害対応や警戒活動に当たるなど、多岐にわたる活動を展開しています。特に震災等の大規模災害発生時には、地域の実情に精通し、発生時に即時に対応できる防災機関として極めて重要な存在です。
 消防団にその役割を発揮してもらう上で取り組むべき課題はさまざまありますが、本日は、最も切実な課題として、すべての分団に本部施設を整備する問題について伺います。
 もともと消防団の活動単位は分団です。二十三区内には四百三十九の分団があり、このうち百九十六分団が本部施設未整備となっています。やむを得ずそれらの分団が本部として扱っている防災資機材格納庫の多くは、会議スペースもなく、トイレもない、電気もない、電話もテレビもファクスもないというのが実情です。
 しかし、分団にとっては、責任を持つ地域に団員が集まり、打ち合わせをすることができ、いざというときには駆けつけ、待機することができる拠点施設はどうしても必要です。そういう本部施設がない分団は、台風などの警戒待機の出動などのときは、腰をおろす場所もないまま、風雨にさらされて待機しているのです。町会事務所や神社の社務所を借りる分団もありますが、急な場合や、年末警戒など何日も続く場合などは、借りることが難しいといいます。中には、近所のそば屋の二階を借りて集まるという赤穂浪士の討ち入りみたいな分団もあるわけであります。
 にもかかわらず、石原都政になってからこの五年間に、分団本部が整備されたのは、多い年で三棟、少ない年は一棟で、平均年二・四棟という状況です。これでは、全分団に整備されるには八十年かかります。
 消防団は、消防庁単独の整備だけでなく、他局や区の公共機関と連携するなど、さまざまな手段を講じて、全分団に本部機能を持つ施設を、目標年次を明記して整備計画をつくるべきと考えますが、答弁を求め、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 東ひろたか議員の一般質問にお答えいたします。
 三十人学級についてでありますが、これは、他の道府県がやっているから東京都もと付和雷同的に考える問題ではなく、あくまで、教育効果という観点から都が主体的に判断すべきものであると思います。
 教育委員会が、児童生徒が集団生活の中で社会性を養うという観点から、生活集団としての学級について一定規模が必要であるとする点については全く同感であり、学級編制基準を四十人とする教育委員会の判断は妥当であると思っております。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁させます。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 少人数学級に関します区市町村教育委員会の希望の尊重についてのお尋ねでございますが、文部科学省におきまして、少人数指導等のための加配定数の基礎定数化を検討しているとは聞いておりますが、その措置によって、四十人を下回るような少人数学級を実施するための教員定数がふやされるものではないと承知しております。都としてはこれまで、加配定数を活用しまして成果を上げてきた習熟度別授業等の少人数指導をやめてまで少人数学級を実施しなければならないとは考えておりません。
 都教育委員会としましては、教育効果の観点から、引き続き現行の学級編制基準を維持することが妥当であると考えております。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君) 防災対策に関する六点のご質問にお答えいたします。
 まず、地震対策における住宅の安全確保についてでございますが、都は従来より、災害時に危険度の高い木造住宅密集地域を対象に、住宅の不燃化、共同化を初めとする各種施策を総合的に展開し、市街地の安全性の向上に取り組んでまいりました。
 また、震災時の建物倒壊などから都民の生命を守るため、耐震診断に関するパンフレットなどを作成し、都民に配布するとともに、都民みずからが簡易に耐震診断ができる方法の周知など、地震に強い住宅づくりを支援してまいりました。
 今後とも、地震時においても逃げないで済む、安全で安心して住める、そういったまちの実現に向けて取り組んでまいります。
 次に、木造住宅密集地域の整備に当たっての居住継続についてでございますが、木密地域の安全性を高めるためには、建物の不燃化とともに、道路や公園などの防災空間を確保することが必要であります。
 これらの公共施設整備に伴って、移転や一時的な転居が必要となる住民に対しては、これまでも、コミュニティ住宅と呼ばれる従前居住者用住宅の建設や、都営住宅の期限つき入居制度の活用などにより適切に対応しております。
 次に、木造住宅密集地域における事業の実施についてでございますが、住宅の建てかえに合わせて整備を行う、お話しの修復型の事業だけでは、整備時期が明確に定められず、防災性の向上を早期に達成できない面がございます。このため、防災都市づくり推進計画で定めた重点整備地域など、整備の必要性が高い地域では、待ちの姿勢ではなく、一刻も早く成果があらわれるような取り組みが不可欠であります。
 今後は、都と区が連携し、新たな防火規制の導入や、道路、公園などの基盤整備とあわせた周辺整備を推進し、木密地域の防災性の向上に努めてまいります。
 次に、木造住宅の耐震診断への助成についてでございますが、耐震診断などは本来、建築物の所有者などの責任において行われるべきものでありますが、都としてはこれまでも、耐震診断講習会を開催するとともに、簡易診断法の周知を行うなど、都民への普及啓発に取り組んでまいりました。
 今後は、ご指摘のような区市町村への財政支援ではなく、連絡協議会を設置するなど、区市町村との連携を強化することにより、木造住宅の耐震改修の促進に努めてまいります。
 次に、長周期地震動に対する対策についてでございますが、巨大地震による長周期地震動の超高層建築物などへの影響や対策につきましては、土木学会及び日本建築学会が合同で特別委員会を設置し、検討を進めているところでございます。
 都としては、今後、この検討結果を初め、国の動向にも注目しつつ、適切に対応してまいります。
 最後に、老朽マンションの耐震化の促進についてでございますが、都では平成十二年に耐震改修促進実施計画を策定し、これに基づき、新耐震基準以前に建てられたマンションの所有者などに対しまして、耐震診断、耐震改修の必要性を周知するほか、診断機関の紹介や各種融資、助成制度の紹介を行っております。
 今後とも、区市町村と連携し、耐震化の促進に努めてまいります。
   〔消防総監白谷祐二君登壇〕

○消防総監(白谷祐二君) 特別区消防団の分団本部施設の整備についてでありますけれども、特別区消防団の分団本部施設は、平時の災害はもとより、震災時におきましても消防団の活動拠点として重要な施設であります。これらの分団本部施設の中には、老朽なものや狭隘となっているものもありますため、その整備につきましては緊急の課題であると認識しております。このため、引き続き、構造、建築年、狭隘度等を勘案いたしまして、順次計画的に整備を推進してまいります。

○議長(内田茂君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時三十九分休憩
   午後四時六分開議

○議長(内田茂君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 二十四番吉原修君。
   〔二十四番吉原修君登壇〕

○二十四番(吉原修君) 石原知事はこれまで、羽田空港の国際化に向けて国に強く働きかけ、ハブ空港実現へと多大な尽力をされてこられました。と同時に、横田基地の軍民共用化推進を掲げ、政府に対してもまた、アメリカに直接出向くなど、積極的な交渉を進められ、現在では日米間の協議をされるまでに進展してまいりました。
 しかしながら、在日米軍の再編について、昨今の報道によりますと、アメリカ側は、ワシントン州にある陸軍第一軍団司令部のキャンプ座間への移転、厚木基地機能の岩国基地への移転及びグアムと横田の空軍司令部の統合などを日本側に提案しているとのことであります。横田基地については、自衛隊航空総隊司令部の移駐なども検討されているといわれております。在日米軍の再編について、このところ多くの報道がされている一方、具体的なことは全く見えてきません。
 これまで横田基地の軍民共用化を進めている知事として、在日米軍の再編の議論についてどのようにお考えか、お伺いをいたします。
 次に、厚木基地へのスーパーホーネットの配備について伺いますが、昨年、空母キティーホークの艦載機として厚木基地に配備されていた十一機のトムキャットが、十三機のスーパーホーネットに変更されました。また、明日、三十日には、ホーネット十三機がスーパーホーネットに機種変更される予定となっております。スーパーホーネットは、従来の機種と比較するとエンジン出力が約三五%大きく、そのため、騒音の影響が今まで以上に懸念されております。現在でも町田市民は大きな騒音に我慢を余儀なくされておりますが、さらなる騒音が心配です。
 厚木基地へのスーパーホーネットの配備について、これまでの経緯と都の対応についてお伺いをいたします。
 厚木基地の飛行騒音は、配備される機種や飛行ルートの変更などによって大きく変わるわけですが、防衛施設庁では、飛行騒音による住宅防音工事助成事業の対象区域を指定しており、町田においても、ごく一部の狭い地域が現在対象区域に含まれております。しかし、現在の地域が指定されたのは二十年も前のことで、これまで長年にわたって飛行騒音に悩まされてきた市民には耐えがたいものがあります。
 防衛施設庁では対象区域の見直しの調査を進めてきており、指定区域見直しのために、先月、八月末には防衛施設庁と基地周辺の関係市との協議が開かれるのではないかと、市民は大きな期待を寄せておりました。ところが、突然の機種変更により、いまだ対象区域の見直し予定が明確ではありません。都では毎年、厚木基地の航空機騒音測定を行っており、平成十五年度の測定結果でも、測定地点でうるささ指数が環境基準を超えている結果が出ております。
 この状況を踏まえ、住宅防音工事助成事業の対象区域の見直しに対する今後の見通しと、航空機騒音への都としての今後の取り組みについて伺います。
 次に、障害者のIT利用について伺います。
 近年、IT社会の進展は目覚ましく、障害者の皆さんにとっては、日々生活していく上でITの活用はとても大きな意義があろうかと思います。
 現在、東京都は、グループホームや通所施設の整備など、障害者の地域での自立生活を支援する施策を進めておりますが、こういったハード面の整備に加え、多くの障害者がITを有効に活用することができれば、世の中の情報をより知り得る手段が広がり、ひいては、就労へのチャンスにもつながっていきますし、地域での生活がますます豊かに暮らしやすくなると思います。
 都としても、障害者の方々がITを有効に利用することの意義をどのように考え、取り組まれてきたかをお伺いいたします。
 IT技術は日進月歩であり、障害者の方々が活用するまでには数々の壁があります。障害者の皆さんや関連団体からは、パソコンの使用に当たって、いつでも相談に乗ってもらえる支援機関の設置や、自宅まで来て指導をしてもらえるボランティアの派遣制度など、強い要望があります。都としては、障害者のITの利用機会や活用能力を高めるために、ITに関しての総合的なサービスを提供できる支援センターを早急に設置すべきであります。そして、民間企業のノウハウも取り入れながら、障害者のためのIT利用を積極的に推進していくべきではないでしょうか。
 支援センターが設置できれば、多くの障害者の皆さんがこのセンターを利用してIT技術を身につけることができると思います。さらには、二十六の区や市が取り組んでいる障害者就労支援事業と連携することが行く行く可能になれば、一般企業などで働くチャンスが一層広がると思います。
 ITを通じて企業への就労を目指す意欲ある障害者を支援していくことは、障害者の社会参加や自立への機会が多くなり、さらに、就労へのバリアフリーへとつながっていくものと考えます。IT利用を支援するセンターは障害者の就労にも道を開くものと考えますが、所見を伺います。
 次に、石原知事に都民栄誉表彰について要望のみをさせていただきたいと思います。
 アテネオリンピックでは、世界のトップアスリートの目覚ましい活躍に多くの感動を覚えると同時に、かつてない日本選手団の活躍は、私たち日本人にとっても大きな勇気と希望を与えてくれました。都はその功績に対して、都民の金メダリスト六名に、明日九月三十日に栄誉賞を贈って表彰すると、先日発表したところであります。まことに時を得た表彰であり、都民だれもが異論なく拍手を送ることは間違いありません。
 さて、昨日までの十一日間にわたり、パラリンピックが開催されました。前回のシドニーパラリンピックよりも参加国が大幅にふえ、百三十六カ国・地域の約四千人の選手が世界の頂点を目指し、熱い戦いを展開してまいりました。今やパラリンピックは、競技性が高く、おせっかいな感情を必要としない大会であります。この大会で日本選手団は、五十二のかつてないメダルを獲得し、ソウル大会を上回る結果を出しました。東京都在住の選手も、世界の厚い壁を乗り越えて、金二個、銀四個、銅五個のメダルを獲得したところであります。
 パラリンピックの精神は、すべてのスポーツの礎です。自立をし、社会参加を見事に果たしながらのトップアスリートの活躍は、数々の障害を克服してきた結果ではないでしょうか。健常者であろうと、障害者であろうと、高い技術や強い精神力を競技を通じて発揮し、結果を出した選手には同等の価値があり、同等の称賛を送るべきと考えます。
 今後の都民栄誉表彰の選考時には、表彰規則にのっとって、オリンピックでの表彰者に加え、パラリンピックでの功績者にも同様の表彰をすべきと思います。ご検討くださいますよう、知事に要望をいたします。
 次に、三宅島帰島準備と教育について伺います。
 ことし七月、三宅村長は、十七年二月に避難指示を解除する内容の帰島方針を公表し、島民の悲願でありました帰島が実現する運びとなりました。島民も東京都としても、帰島に向けてさまざまな準備を進めておりますが、帰島準備の中で、児童生徒が帰島した場合の学校の再開は重要課題の一つであります。
 帰島計画によりますと、三宅高校は十七年四月の再開の方向で準備をしているようですが、学校の再開には、施設の復旧は当然のことながら、島の状況を考えると、生徒の安全を確保するための脱硫装置の設置も重要であります。そこで伺います。
 そうした安全確保のための対策も含めて、工事を完了させ、来年の四月に学校が再開できるのかどうなのか、施設整備の内容とスケジュールについて伺います。
 また、教職員住宅の整備についてもあわせてお伺いをいたします。
 次に、三宅村への支援ですが、ことし四月から、三宅島災害の被災者への授業料等の免除措置の拡充、さらに、ガス濃度レベルに応じた安全確保対策への支援を進めてまいりました。帰島に向けて重要となりますのは、小中学校の施設整備であります。村の計画では来年四月からの学校再開としておりますが、確実に再開できるのでしょうか。都はどのような支援をされているのか伺います。
 平成十三年十月に、私も現地を視察いたしました。悲惨な状況でありましたから、被災されてから約四年経過した現在、さらに荒廃した家屋の復旧を含め、通常の生活を送るまでには多くの時間を必要としますし、島民の皆さんにとって、帰島してからの生活環境は大変厳しいものがあろうかと思います。
 ハードの面でも、ソフトの面でも、不安を持ちながら生活しなければならない子どもたちにとっては、大変な負担を強いられることになります。さまざまな形で子どもたちの相談や指導に当たらなければならない教員は、帰島した皆さんの気持ちをよく理解し、島民の皆さんと一体となって復興、再建にも協力しようという熱意と意欲のある人材でなければなりません。学校にとっても、村民にとりましても、そうした教員を配置することは、都として大切な支援策の一つと考えますが、見解を伺います。
 さらに、帰島に向けての対策として、帰島したいが、帰島することが困難な生徒についても、就学機会の確保をするための支援が必要であろうかと思います。島民の方々は自己責任において帰島の判断をされると思いますが、現在、三宅高校で学ぶ生徒で、健康上の理由などにより帰島できないケースや、都内の高校に通っている生徒が、保護者とともに帰島できないので、秋川宿舎の利用を希望するケースもあるかと思います。また、帰島してから健康がすぐれないといったケースなど、さまざまなケースが考えられますが、こうした生徒に対して、学習が継続できるように、引き続き、旧秋川高校の校舎や宿舎の活用を東京都が責任を持って果たしていくべきと考えます。
 こうした状況の中で、島民の方々が置かれている状況や、今後のさまざまな事態への対応も含めて考えると、旧秋川高校跡地に計画している体育・福祉高校の設置計画は、代替案を含めた抜本的な見直しを決断すべきと思いますが、見解を伺います。
 昨日の本会議で、知事は、東京の治安は回復の兆しが見え始めたという認識をお示しいただきました。治安回復の背景には、知事の呼びかけにこたえて都民自身も立ち上がったという側面があることを、いつのときも忘れてはならないと思います。
 町田市においても、これまで青年会議所が治安確保のシンポジウムを開催したり、にろくの会というNPOが中心となって、町田市の商店会や熱心な多くの市民の方々が安全・安心シンポジウムを開催してまいりました。こうした民間団体の動きをきっかけに、町田市の中心地である町田駅前に防犯カメラや防犯灯を整備して、町田市民のみならず、町田市を訪れる方々に安全と安心を取り戻そうという機運が広がっております。
 さきに申し上げたようなNPOやボランティアの活動は、町田市にとどまらず、都内各地でも盛んに行われており、都としても、こうした活動を高く評価しているものと思います。しかし、現状では、こうした団体や市民がお互いに意見やノウハウを交換し、よい意味で刺激をし合う機会がない、あるいは、そうした時間をなかなかとりにくいという声をよくお聞きいたします。
 そこで、安全・安心まちづくりを進めるためにも、仮にインターネットを利用したもので構わないと思いますが、こうした団体の交流の場を東京都が提供してもよいのではないかと思いますが、見解をお伺いいたします。
 また、都は来月から、地域の防犯ボランティアのリーダーを養成することを目的として、前回に続きまして、安全・安心まちづくりアカデミーの後期講座を開くそうであります。その日程や内容をお伺いすると、一般の都民が参加するにはなかなかハードルが高いようであります。しかし、一方では、ボランティアの皆さんの中には、もう少し手軽に防犯に関する知識を得たいと切望している方々も少なくないと思います。
 各地域における市民の自主的な防犯活動を活性化するためにも、リーダー養成だけでなく、こうした一般の都民の要望にこたえることも必要だと思いますが、見解を伺います。
 次に、町田市における警察機能の体制強化策について伺います。
 都内の刑法犯認知数は約二十九万九千件と、引き続き犯罪の多さを示しています。私たちの身の回りには、常に不安を感じる空き巣や強盗、殺人等に加えて、昨今は、おれおれ詐欺等の悪質な新たな手口の事件が増加してまいりました。
 町田市においても、相変わらず、都内の百一の警察署の中でも刑法犯の認知数は二番目に多く、検挙率は、警視庁管内平均二八・七%に対して、町田署の検挙率は何と一四%という低さであります。都内全警察署一人当たりの警察官が担当する都民の人数は、平均で約四百四十人、三多摩管内でも約六百七十人。町田署の警察官一人当たりが担当する市民は、何と八百十人にも上ります。全都平均の約二倍近くにもなるわけであります。現在のような署員に過重な負担がかかっている町田署の体制では、平等に市民の安全を確保するまでには到底至らないと思われます。
 自分たちのまちは自分たちで守るという対策と行動は、都民の間に着実に広がってきました。人口四十万を超えた町田市は、都県境に隣接し、地理的にも東西に非常に長い面積を有している、他の区市町村とは異なる特殊性を持っている中核的な都市であります。
 ちょうど一年前にも、一般質問でこの課題に触れさせていただきました。一つは、八王子に三署目の新署として設置が予定されている仮称多摩西署に、町田の一部を、行政区を越えてその役割を担っていただきたい。二つ目は、町田市内二地区へ、警察署に匹敵する機能を有した二つの拠点の新設置について。三つ目は、東急線南町田駅、そして京王線多摩境駅への交番の設置についてお尋ねをいたしました。
 当時、警視総監には、町田市の実情をよくご理解いただき、総合的に検討し、早期に結論を得たいと答弁をされました。その後今日まで、極めて前向きに検討をいただいてきたものと思います。これまでの検討状況と今後の方針をお伺いいたしまして、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 吉原修議員の一般質問にお答えいたします。
 在日米軍の再編、いわゆるトランスフォーメーションについてでありますが、世界的な米軍再編の動きの中で、米空軍はグアムに戦略拠点を移動しておりまして、重要な機材はほとんど横田からグアムに移っております。ゆえにも、平時における横田基地の軍事的な比重は低下しておりますし、言葉をかえていえば、横田が今まで以上に込み合うということはあり得ません。この機をとらえて、返還に向けた第一歩として、米側に一刻も早く軍民共用を迫ることが必要であると思っております。
 しかし、ハンチントンの申しました文明の衝突のごとき対立というものが、イラクでの戦争を、あるいはパレスチナの問題を起点にして、中近東からアジアにかけて拡散しているわけでありますが、そういう状況の中でも、米軍にとって日本における戦略基地というものは、今まで以上に、むしろ冷戦構造のとき以上に重要な意味と価値を持つようになっていると思います。ゆえにも、この際日本は、米側に堂々と我が国の具体的な要求を主張すべきだと思います。
 しかし、どうも国の動きを見ておりますと、国益を考えたそうした総合的な戦略が見受けられません。今度政府のスタッフもかわりましたし、相手をとらえて、改めてこの問題についての東京の立場といいましょうか、東京が認識している国益というものを主張して、政府にもうちょっと積極的に、まず第一段階として横田基地の軍民共用化への取り組みを進めるよう迫るつもりでございます。
 他の質問については、副知事、警視総監、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔副知事竹花豊君登壇〕

○副知事(竹花豊君) 安全・安心まちづくりについて二点お答え申し上げます。
 防犯ボランティア団体の交流の場についてでございますけれども、ご指摘のような防犯ボランティアの活動が都内全域で急速に拡大をいたしまして、新しい犯罪抑止力が構築されてきております。そのことで、最近の街頭犯罪、侵入犯罪等の減少傾向に結びついているものと考えているところでございます。
 このような都民の犯罪抑止活動をさらに活性化する上でも、ご指摘のように、防犯ボランティア団体相互の交流の場はぜひ必要であると考えております。
 都におきましては、昨年十二月に約百五十の団体を都庁にお招きして、経験交流の場を持ったわけでございますが、現在、インターネットを利用いたしまして、防犯ボランティア団体の活動を紹介する「いいなぁ安心ボランティアネットワーク」をつくっておるところでございますが、ご提案の趣旨に沿いまして、これをさらに充実、拡大させ、都民の方々に喜んでいただけるものにしていきたいと考えております。
 次に、防犯に関する知識の普及についてでございます。
 委員ご指摘の安全・安心まちづくりアカデミーの卒業生には、いわば防犯ボランティアのリーダー・オブ・リーダーといたしまして、アカデミーで得た防犯知識を広く都民に普及することも期待をいたしているところでございます。
 また、最近では、住民の方々を対象にいたしまして、防犯知識の普及啓発を図っております区市町村もふえております。
 また、私自身も、警察等ともご協力をいたしながら、できる限り地域の方々や児童生徒と直接お話をする機会を持ってまいりました。町田にも三度出向かせていただいております。
 しかし、委員ご指摘のように、そうした情報を求めておられる方、都民の方々がだれでも受講できるという観点から、本格的な公開講座を開設することなどを含めまして、ご提案のように、さらに多くの都民の方々に防犯に関する知識を持っていただく方策を早急に検討していきたいと考えております。
   〔警視総監奥村萬壽雄君登壇〕

○警視総監(奥村萬壽雄君) 町田市の情勢と町田署の体制強化に関するご質問にお答えをいたします。
 町田署の業務負担が重いという点につきましては、警視庁といたしましても十分承知しておりまして、これまで、署員の増員を初め本部による応援態勢、あるいは隣接署との連携の強化を図ってきたところでありますが、さらに現在、管轄区域の見直し、あるいは大型交番の設置につきましても検討を行っているところであります。
 具体的に申しますと、町田署の管轄区域は町田市の一市でありますが、面積が大変広い上に、議員ご指摘のとおり、東西に細長いという特徴がありまして、特に八王子に隣接しております管内北西部の地域は、本署からの距離が遠いために、いろいろと不便、不都合が生じております。
 このため、この北西部の地域につきましては、町田市の行政区ではありますが、今後、八王子市の南大沢地区に、現在の八王子署を分割して新設を検討しております新しい警察署の管轄に含めてまいりたいと考えております。
 また、当面の対策として、町田市の北部地域に、パトロールの制服警察官のほか、刑事、防犯、交通等の要員を配置する大型の幹部交番を設置することにつきまして、現在、具体的な検討を進めているところであります。
 最後に、町田署管内の二つの駅の交番の新設要望についてでありますが、現在、都内全域で約八十カ所の交番の新設要望が出ております。警視庁では、交番機能の強化方策検討委員会というものを設置いたしまして、交番の新設、統廃合等について検討をしているところでありまして、ご質問の交番の新設要望につきましても、この委員会におきまして検討してまいりたいと考えております。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教育に関します三点の質問にお答えいたします。
 まず、三宅高校の再開時期や整備工事のスケジュール等についてでございますが、三宅高校につきましては、校舎の復旧工事とともに、脱硫装置を設置する等、生徒の安全確保に配慮した施設設備を行いまして、平成十七年四月に再開する予定でございます。
 また、整備スケジュールは、十月中旬に着工しまして、平成十七年の三月中旬には完了する予定で進めておりますし、教職員住宅の整備につきましても同様の予定で進めております。
 次に、三宅村への支援と人材の配置についてでございますが、小中学校の施設整備について、三宅村におきましては、平成十七年四月の再開に向けて、児童生徒の安全確保対策である脱硫装置を含めた復旧工事を十月中旬に着工し、三月には完了する予定と報告を受けております。
 これまで都教育委員会としましては、災害復旧にかかわる設計等に当たりまして、技術面での助言、指導や国との調整など、村に対して支援してきたところでございますが、今後も、教育庁内に設置しました帰島支援対策会議のもとで、都の三宅島帰島支援対策本部と連携しながら、小中学校の再開等、三宅村の帰島への取り組みを全力を挙げて支援してまいります。
 また、教員の適材配置につきましては重要であると認識しておりますので、ご指摘の趣旨を踏まえまして、三宅村教育委員会とも十分協議し、適切な配置ができるよう努めてまいります。
 次に、体育・福祉高校の計画の見直しについてでございますが、お話のとおり、健康上の理由などで帰島できない生徒に対しても、教育上、十分な配慮が必要でございます。関係局と協議をしまして、引き続き旧秋川高校の校舎や宿舎を活用して、生徒の実態に即した就学の機会を確保しておく必要があると考えております。
 こうした状況等も踏まえまして、旧秋川高校跡地に計画しております体育・福祉高校の設置につきましては見直してまいります。
   〔知事本局長前川燿男君登壇〕

○知事本局長(前川燿男君) 厚木基地へのスーパーホーネットの配備についてでございますが、米海軍の空母艦載機の機種の変更に伴いまして、昨年十二月までに十三機が配備され、さらに明日から十三機の追加配備が始まる予定でございます。
 スーパーホーネットにつきましては、かねてから騒音が懸念されていたため、昨年の配備に先立ちまして、東京都は町田市とともに、国及び厚木基地に対し情報提供を求め、騒音の増大につながることのないよう要請をいたしました。
 また、本年八月には、町田市と共同で、厚木基地司令官に対し、運用面での配慮を強く要請いたしております。
 都としては、引き続き騒音実態の把握に努めますとともに、今後とも、国及び米軍に対し、情報の提供と騒音の軽減を働きかけてまいります。
   〔環境局長平井健一君登壇〕

○環境局長(平井健一君) 厚木基地の航空機騒音に係る防音工事区域の見直し等についてのご質問にお答え申し上げます。
 厚木基地において、昨年に引き続きスーパーホーネットへの機種変更が行われ、あすから追加配備される予定でございます。
 防衛施設庁では、今回の変更に伴う影響を今後調査することとしており、その結果を分析した上で区域見直しを行うものと聞いております。
 都は、この機種変更に伴う都内での騒音状況の変化について、より詳細にデータの分析を行い、防音工事区域の実態に即した見直しを国に強く働きかけてまいります。
   〔福祉保健局長幸田昭一君登壇〕

○福祉保健局長(幸田昭一君) 障害者の社会参加についての三点のご質問にお答えいたします。
 まず、障害者のIT利用の意義と取り組みについてでございますが、障害者がITを有効に活用することは、コミュニケーション手段の確保にとどまらず、社会参加や企業への就労機会の拡大にもつながるなど、その意義は極めて大きいものと考えます。
 都はこれまでも、重度の視覚障害者や上肢機能障害者を対象といたしまして、パソコン周辺機器の購入費を助成するとともに、在宅の重度障害者に対するパソコン技術の講習を実施してまいりました。
 また、福祉サービスの情報提供を行うホームページにおいて、文字の拡大や読み上げの機能を設けるなど、障害者がITを利用しやすい環境整備に努めているところでございます。
 次に、障害者のIT利用の推進についてでありますが、障害者がITを利用するに当たっては、視覚障害者や知的障害者など、それぞれの障害の特性に配慮したきめ細かな支援が必要であります。ご提案の趣旨を踏まえ、ITに関する利用相談や情報提供、パソコンボランティアの養成、派遣事業など、障害者に対しまして総合的にITの利用支援を行える拠点設置について考えてまいります。
 また、パソコン機器の展示やさまざまなソフトの紹介など、IT関連企業との連携についても具体的に検討してまいります。
 最後に、障害者の就労についてでありますが、障害者がITに精通することは、重度の障害者にもインターネットを活用した在宅就労の機会が広がるなど、さまざまな可能性に道を開くものであります。
 現在考えております拠点におきまして、多くの障害者がITのスキルアップを目指すことにより、就労機会の拡大につながるものと期待しております。

○議長(内田茂君) 三十一番初鹿明博君。
   〔三十一番初鹿明博君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○三十一番(初鹿明博君) 昨年度の国の合計特殊出生率は一・二九と過去最低となり、東京はついに〇・九九八と、一を割り込んでしまいました。東京の少子化対策は、まさに待ったなしのところまで来ています。そこで、少子化対策について何点かお伺いいたします。
 私は、少子化問題を考える上で、父親の育児参加が重要な要素の一つと考えます。しかし、この国の男性の育児へのかかわりはお寒い限りで、一日平均一時間にも届いていません。また、ことし六月に国が策定した少子化社会対策大綱では、育児休業の取得率の目標を女性八〇%、男性一〇%としていますが、男性の取得率は一%にも満たないのが現状でございます。
 男は仕事、女性は家庭という考え方が、社会全体でも企業の中でも、依然根強く残っていることなどが影響しています。すべての労働者、特に男性が育児休業を取得しやすくするためには、まずは企業の経営者などの管理職が古い意識を改め、育児休業制度の理解と認識を深めるとともに、職場の同僚の理解と協力を得ていくことが不可欠であります。
 さて、東京都は、次世代育成支援対策推進法に基づき、今年度中に数値目標を盛り込むなど、具体的な目標を設定した行動計画を策定しなくてはなりません。男性の育児休業取得率の向上について積極的に取り組むべきと考えますが、ご所見を伺います。
 ところで、次世代育成支援対策推進法では、三百一人以上の企業も、国が示す策定指針に即した行動計画の策定を義務づけられています。この策定指針によりますと、企業の実情を踏まえた取り組みの推進として、企業によって、子育て中の労働者数や雇用形態など労働者のニーズが異なることから、アンケート調査や労働組合等に対する意見聴取などの方法により、労働者の意見を反映させる工夫を求めています。また、育児・介護休業法では、三歳未満の子を養育する労働者に対して、勤務時間の短縮等、育児と仕事の両立を支援するための措置を講ずるよう義務づけています。
 しかし、現実の育児支援制度は、個々の労働者の希望と必ずしも一致しておりません。個々の労働者の事情に即した、真に育児と仕事の両立を支援する制度とすべきと考えますが、ご所見を伺います。
 我が国は、間もなく人口減少社会に突入します。労働人口はますます減少し、優秀な人材の確保は、企業にとって存亡にかかわる大きな課題となります。その中で近年、労働者の家庭責任に配慮した企業、いわゆるファミリーフレンドリー企業が、優秀な人材の確保や従業員の帰属意識を高め能力を発揮させる手段として位置づけられていることに注目すべきです。企業に対する普及啓発も、このようなプラスの視点から取り組む必要があると考えます。
 次に、今後の保育のあり方について質問します。
 大都市東京は、終電終了まで、もしくは二十四時間営業するスーパーなどがあり、私たち都民は、大変便利な生活を享受しています。その便利さとは裏腹に、そのようなところで働く方々の勤務形態に配慮をした保育サービスを提供する必要が生じています。勤務時間、勤務形態が多様化する中、夜間の時間帯に対応した保育サービスの提供が求められていると考えますが、ご所見を伺います。
 さて、現在、認可保育所に入所するには、保育に欠ける要件を満たさなくてはなりません。この保育に欠ける要件は、昼間勤務を常態とする働き方が優先とされるため、夜間に飲食店など、いわゆる水商売で働く親は、対象外とされてきました。そのため、高い保育料を負担して二重保育をしたり、ベビーホテルなどの認可外保育施設を利用せざるを得ない方々が大勢います。また、こうした施設の中には、保育環境に問題がある施設も少なくありません。
 つまり、認可保育園への入所は、雇用が安定し収入も高い方が優先され、雇用が不安定で収入も少ない方は入所できず、高い保育料を負担することを強いられているのです。その背景には、パートなどの非常勤は常勤に比べ、また夜の仕事は昼間の仕事に比べて低く見る、職業に対する差別意識があるように思えてなりません。
 私は、あらゆる職業に対する偏見をなくすこと、そして本来行政が手を差し伸べるべきはどこなのかを考えたとき、この現在の保育に欠ける要件を見直すべきと考えますが、東京都の見解を伺います。
 育児休業、保育について述べましたが、これらは最低限必要なことではありますが、これだけで少子化が解決できるとは考えていません。知事のおっしゃるとおり、子どもを何人産むかは、個人の価値観や人生設計の問題で、子どもは要らないと思っている人に対して、行政が産めよふやせよと声高に騒ぎ立てたところで、子どもを産むものではないのは、いうまでもないことです。
 子どもが欲しいにもかかわらず、さまざまな理由で子どもができない夫婦に対して支援をすることが、少子化に歯どめをかける上で効果的だと考えます。その点では、不妊治療中の夫婦に対して、東京都が助成を行うようになったことは評価に値します。しかし、さらにもう一歩踏み込む必要があると考え、問題提起をさせていただきます。
 不妊は、なかなか妊娠しない状態を指しますが、妊娠するものの、産まれてこない命もあります。現在、我が国の年間の出生数は、約百十万台となっていますが、一方で、妊娠継続を望みながら自然流産に帰した妊娠は、年間三十から四十万件あるという説もあります。この子どもたちの多くが、流産することなく誕生していたら、少子化もかなり改善できるのではないかと考えます。
 さて、不育症という言葉をご存じでしょうか。育たずと書きます。不育症とは、厳密な医学用語でありませんが、妊娠は成立するものの、流産、死産、早産などが繰り返し起こり、赤ちゃんを抱くことが困難なケースを指します。昔は、流産しても、流産は自然淘汰的なものだからとして、次の妊娠に向けて特別な取り組みは行われてきませんでした。近年の医学の進展に伴って、流産の原因も徐々に解明され、適切な治療を行うことにより、子どもを授かることができるようになってきています。
 しかし、不育症は、一般的にまだまだ認知されておりません。そのため、適切な治療を行うことにより、赤ちゃんが誕生する可能性があるにもかかわらず、自分が不育症であることに気づかず、何度も流産や死産などを繰り返している可能性すらあります。
 不育症は、妊娠するにもかかわらず、何度も流産や死産などを繰り返すため、母親の身体的負担に加えて、精神的な負担も多く、仮に再度妊娠しても、また流産してしまうのではないかという不安を抱き続けてしまうといいます。
 また、不妊と異なり妊娠が成立しているため、女性のみが責任を感じてしまい、うつ状態になってしまう当事者もいると聞きます。そのため、不育症の治療には、産婦人科的な治療とともに、精神的なケアも、あわせて行う必要があります。私は、不育症に関する都民の認識を高め、なぜ赤ちゃんを抱けないのかと一人で思い悩むのではなく、適切な治療を受けるように促していくことが重要であると考えます。
 そこで、不育症について、都としても普及啓発に向けた何らかの取り組みを行うべきと考えますが、所見を伺います。
 石原知事は、昨年、東京都の出生率が一を割り込んだことを受けて、東京から子どもの声が聞こえなくなったら悲しいじゃないのといい、都ができる条件整備は行うと会見で述べられました。今後、どのように少子化対策を進めていくのか、知事のお考えを伺います。
 乳幼児を育てている母親が、買い物や保育所、幼稚園への子どもの送り迎えをする上で欠くことができないものとして、補助いすつきの自転車があります。サドルの前や後ろに子どもを乗せて、自転車を走らせるお母さんの姿を目にしたことがあると思います。中には、自分の前後に一人ずつ、場合によっては、さらにもう一人おんぶをしているという方もいます。私の妻も、その一人でした。この補助いすつき自転車の転倒による子どもの負傷事故が、十年間で約二倍と急増しています。都立墨東病院では、補助いすつき自転車の事故で、乳幼児が年間に約百五十件も治療を受けています。走行中にいすから落ちてしまうことを防止するために、シートベルトでくくりつけられているため、転倒すると、足から着地することができず、直接頭部を地面に打ちつけ、頭蓋骨陥没などの重大な結果に陥っているケースもあります。墨東病院に勤務していた脳神経外科の宮本医師の調査でも、頭部外傷が外傷全体の三六%と、部位別で最多となっております。
 また、事故の起こる状況ですが、走行中に運転者が誤って転倒してというのが、四四%と最も多くなっておりますが、スタンドを立ててとめていた自転車ごと転倒というケースも一四%もあり、保護者の認識の甘さや不注意が、事故につながっているといえます。子どもの安全を守るのは親の自己責任であるのはいうまでもありませんが、多くの親に危険だという認識が欠けているのであれば、何らかの対策を講じる必要があると考えます。
 自動車には、チャイルドシートが義務化されましたが、自転車には、自動車よりも、より身近で危険があるにもかかわらず、その危険が十分に知られておらず、また対策も立てられているとはいえません。
 そこで、補助いすつき自転車に子どもを乗せる際に、ヘルメットの着用を進める必要があると考えます。転倒事故を減少することにはつながりませんが、ヘルメットを着用することにより、頭蓋骨陥没などの重大なけがからは、子どもを守ることができます。アメリカでは州によって異なりますが、子どもが自転車に乗る場合に、ヘルメットの着用を義務づけております。私たち民主党は、この六月に、補助いすつきの自転車に子どもを乗せるとき、ヘルメットの着用を義務づける趣旨の道路交通法改正案を国会に提出し、衆議院の内閣委員会で、山花議員が、国家公安委員長に対して質疑も行いました。また、墨東病院のおひざ元の墨田区で、我が党の堺井ゆき区議もこの問題を取り上げております。
 山花議員の質問を受けて、現在、警察庁でヘルメット着用の義務化について、検討が行われているということです。また、警視庁もこの動きを受けて、全国交通安全運動などのあらゆる機会を利用して、普及啓発に努め始めています。
 東京都においても、補助いすつき自転車の危険性や安全対策について、パンフレットなどを作成して、各自治体、保育所、幼稚園、保健所、自転車販売店などと連携をしながら、普及啓発をする必要があると考えますが、ご所見を伺います。
 知事、関係局長の誠意ある答弁を求め、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 初鹿明博議員の一般質問にお答えいたします。
 少子化対策についてでありますが、これは、行政の関与によって、現在の少子化の急速な進展を防いだり、いい方に転換していくことには、やはり限界があると思います。
 しかし、この少子化は、国全体の将来に大きな影響を与える大問題であることに違いありませんが、都も、これまで大都市特有の保育ニーズを踏まえた独自の認証保育所の創設を初め、安心して子どもを産み育てる環境の整備を積極的に推進してはきましたが、また今後とも、組織を超えて横断的、総合的に少子化対策に積極的に取り組んでいきたいと思っておりますが、結局、帰するところは、やっぱり人生に関する個々の価値観の問題に帰すると思うんです。
 後で生活文化局長が答えると思いますけれども、おっしゃるとおり、私も通勤の途中に、若いお母さんが前後左右に赤ん坊を乗っけて、しかも背中にまで産まれたての子どもをしょってね、いってみりゃ、お父さんを除いて一家四人で自転車で走っているようで、ぞっとするわけですよ。こういうものにヘルメットを提供するぐらいのことは、それは金銭にすれば易しいことですけれども、しかし、せっかく三人も子どもを産んで、要するに一緒に自転車で走っているお母さん、見上げたもんだと思いますが、それに対する補助ぐらいのことは簡単でしょうけれども、そんなことをいうと、後で局長に怒られるかもしれませんが……。
 ただやっぱりですね、帰するところ、人生観というか、人生の価値観の問題を、どうポジティブに変えていくかということを、私たち本気で考えて、そういう啓蒙というのをうまくやっていかないと、これは先般、違う質問について申しましたが、思い切った移民政策をとろうが、結局そういったものが結果として実ってこない。労働力の補てんにはなっても、新しいカップルが国際的にでき上がって、子どもを産むというところまでいかないんじゃないか。
 この問題は、本当に頭が痛いというか、どこから切り込んでいっていいか、帰するところは、やっぱり最後、価値観という非常につかみどころのない、しかも決定的な問題になってくるわけで、これはお互いに、少しこれから知恵を出し合って研究しましょう。
   〔産業労働局長関谷保夫君登壇〕

○産業労働局長(関谷保夫君) 育児休業に関する二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、男性の育児休業取得率の向上についてでございますが、男性の取得率が低い原因として、一般的に男性の取得に対する心理的な障壁が高いことや、企業等において、男性の育児参加に対する認識が、必ずしも十分でないことなどが指摘されております。
 こうした状況も踏まえ、都は、男性を含めた労働者が、育児休業を取得しやすい雇用環境の整備に向けて、各種セミナーやシンポジウム、労働相談等、さまざまな機会を活用しながら、企業等に対する普及啓発に積極的に取り組んでまいります。
 次に、企業における育児支援制度についてでございますが、平成十五年度に都が実施いたしました男女雇用平等参画状況調査においても、事業主が実施している育児支援の措置と、労働者が希望するものとが、一致していない面が見られております。
 この調査結果も踏まえ、育児・介護休業法に基づき、事業主が勤務時間短縮等の措置を講ずる際には、子育て期にある労働者の意向が十分反映されるよう、国に対し制度の改善を要望するとともに、企業等に対する普及啓発を行ってきたところでございます。
 今後とも、育児支援の充実に向けて、引き続き国や企業等に対して働きかけてまいります。
   〔福祉保健局長幸田昭一君登壇〕

○福祉保健局長(幸田昭一君) 少子化対策に関しての三点のご質問にお答えいたします。
 まず、夜間の時間帯の保育サービス提供についてでありますが、東京においては、交代制勤務など多様な勤務形態で働いている人が多くおられます。このため、午前七時から午後六時の十一時間を基本とする認可保育所の開所時間では、保育サービスを十分に利用できない面がございます。
 認証保育所制度は、こうした大都市特有の保育ニーズに、柔軟かつ的確にこたえるために創設したものでありまして、すべての保育所が十三時間以上の開所を実施しております。
 なお、認証保育所の中には、二十四時間開所しているところもありますが、開所時間帯とは、大人の都合だけでなく、子どもの利益を第一に考え、設定されることが望ましいと考えております。
 次に、保育に欠ける要件についてでありますが、現在の児童福祉法では、保育の実施基準として、児童の保護者が昼間労働することを常態としていることを、入所要件の一つとしております。そのため、非常勤やパートタイムなどの就労形態や、不規則勤務や夜間勤務などの勤務時間では、認可保育所に入所することが困難な状況にございます。
 保育サービスを必要とする人が、保育所を利用できるようにするためには、保育に欠ける要件を見直し、都民の生活実態に即したものに改めることが必要であり、都は、保育所制度の改革の柱の一つとして、国に提案要求をしております。
 最後に、不育症についてでありますが、さまざまな原因で、流産、死産などを繰り返す、これまでいわれていた習慣性流産を含むお話の不育症は、適切な治療を行うことにより、無事出産に至る可能性があるとの専門家の意見があります。しかし、ご指摘のとおり、このことが十分知られていないため、自分が不育症であることに気づかず、適切な治療を受けていない方もいると考えられます。
 今後、都としては、不育症につきまして都民の理解を深め、適切な治療につながるよう医療機関の協力を得て、普及啓発に努めてまいります。
   〔生活文化局長山内隆夫君登壇〕

○生活文化局長(山内隆夫君) 補助いすつき自転車の安全対策、普及啓発についてお答えいたします。
 東京都は、これまでも自転車の安全利用については、東京都交通安全実施計画の重点施策の一つとして位置づけ、各種施策を推進してまいりました。ご指摘のように、自転車の転倒による幼児の負傷事故を防止するためには、安全対策について、特に保護者に対する注意喚起が重要であると認識しております。
 そのため、新たな取り組みとして、親子、高齢者が参加した三世代による体験型の交通安全教育を目指す、地域の交通安全ふれあいフェアを十月に開催することとしており、その中で、保護者への安全教育も実施する予定でございます。
 今後とも、区市町村や関係機関、団体等と連携しながら、各種広報媒体の活用や安全教育の充実など、積極的な普及啓発活動を推進してまいります。

○副議長(中山秀雄君) 十八番野上じゅん子さん。
   〔十八番野上じゅん子君登壇〕

○十八番(野上じゅん子君) 最初に、日本育英会高校奨学金の都道府県移管について伺います。
 国の特殊法人改革の一環として、日本育英会が日本学生機構に改組され、従来、育英会が行ってきた高校生に対する奨学金貸与事業が、平成十七年四月から都に移管されることになります。これまで東京都は、独自に育英資金貸付事業を実施してきており、育英会の高校奨学金が移管されると、来年以降、都は、同時に二つの奨学金事業を実施することになります。
 これまで都が進めてきた東京都育英資金貸付事業は、平成十四年の条例改正によって、奨学金交付の際の成績要件を撤廃し、所得制限はあるものの、学習意欲のある生徒には、だれでも貸与できる制度に改善されております。
 しかし、都に移管される予定の育英会の高校奨学金には、成績要件があります。このようなダブルスタンダードを放置すべきではありません。都に移管された後は、貸与条件から成績要件を撤廃し、事業内容は都の制度に一本化すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、食育について伺います。
 食育は、知育、体育、徳育と並んで、人間形成上、大事な要素であります。知育、体育、徳育については、学習指導要領にも明確に指導内容が提示してありますが、食育に関しては資料も少なく、系統的な指導がなされていないのが実態です。
 食育先進国の欧米では、二、三十年前から、生活教育の中に食育が組み込まれ、知識の詰め込みではなく、賢い買い物の仕方、食品の組み合わせ方、料理法、食べ方、かむことの大切さなどについて、体験を通して学習するシステムが確立されております。
 米国がん協会は、一九九〇年、がんや生活習慣病にならないためには、生活習慣を改善し、正しく健全な食生活を通して、病に打ちかつ力を身につけることが重要であると主張しています。この指摘は重要です。
 また、食生活健康ジャーナリストの砂田登志子さんは、ひとりぼっちで食事をする、いわゆる個食を否定的に考えるのではなく、子ども一人でもきちんと食べ物を選択できる力、フードチョイス、本人の責任と判断力で食べ物を上手に選び、生活習慣病とならないように食べて闘う力、フードファイトを提唱しています。
 食をめぐっては、さまざまな問題があります。朝食抜きなどの欠食、かまないため、あるいは、かめないためのそしゃく力の低下、歯が弱く、あごが細い小中学生の増加、さらに味覚障害、肥満、糖尿病の増加など、枚挙にいとまがありません。
 食育とは、食を通して生きる力をはぐくむことです。また、食育は、それぞれの国や地域の貴重な食の文化を守ることにもつながります。
 そこで、未来を担う子どもたちが豊かな人間性をはぐくみ、生きる力を身につけていくため、今こそ都として、食育の推進が重要と考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。
 また、最近、子どもたちの食べ方にも大きな変化があり、ご飯ばかり食べる、ばかり食べ、また好きなものだけを食べる偏食などが広がり、学校給食でも残菜の多さが目立ちます。したがって、今後は学校給食における食育指導のあり方、位置づけを明確にして、食育に積極的に取り組んでいくべきです。教育長の所見を伺います。
 また、乳幼児の段階から、健康的な食習慣の確立が重要です。母親学級などで、乳幼児期から食育の推進を図っていくべきであります。福祉保健局の所見を伺います。
 次に、放課後の子どもの居場所づくりについて伺います。
 平成十六年度から、江戸川区のすくすくスクール、葛飾区のわくわくチャレンジなど、学校の校庭や教室等を子どもの居場所として開放する地域子ども教室推進事業がスタートしました。放課後や週末などの一定時間、子どもたちがスポーツや文化活動などを学校施設を利用して行い、また地域の大人たちが、ボランティアとして協力する仕組みになっております。
 従来の学童クラブは、小学校三年生までが対象であるため、行き場のない四年生以上の子どもは、家に閉じこもったり、テレビゲームに明け暮れるケースが多かったといいます。
 先日、江戸川区立葛西小学校を視察しましたが、日常の学校とは異なり、異学年の子どもたちが遊びを通して自由に交わり、豊かな表情を見せていたのが印象的でした。こうした地域と学校の連携による子どもたちの居場所づくり、遊び場づくりをさらに拡充する必要があります。都がコーディネーター役を果たして情報収集、情報提供などを行い、区市町村を支援すべきです。子どもたちの個性をはぐくみ、生き生きと育てる居場所づくりについて、所見を伺います。
 次に、低髄液圧症候群について質問します。
 低髄液圧症候群とは、交通事故、スポーツ、出産、手術などが原因で髄液が漏れることにより、さまざまな障害を引き起こす病と考えられています。症状は、頭痛、腰痛、目まい、耳鳴り、動悸、倦怠感、睡眠障害、うつ症状など幅広く、日常生活もままならない患者が、全国で二十万人から三十万人に上るといわれております。
 治療法は、脊髄硬膜からの髄液の漏れをとめることであり、最近では、本人の静脈血を、髄液が漏れ出している部分に注入して、その圧力で漏出を防ぐブラッドパッチという治療法が有効であるといわれています。実際に、ブラッドパッチ治療を施した結果、治療を受けた人の九五%が、完全治癒か症状が改善されたといいます。
 しかし、現在、低髄液圧症候群の診断、治療を行うことができる病院は、まだ限られております。このような病気の存在が一般的に知られていないために、患者の皆さんは、身体的症状による苦しみに加え、周囲の理解が得られず、精神的にも苦しんでいる人が数多く存在します。
 そこで、第一に、ブラッドパッチ療法など有効な治療法については、積極的に普及啓発を図るべきであります。また、こうした有効な治療については、早急に医療保険が適用されるよう、国に要望すべきであります。
 そして第二に、近い将来、保険適用が実現されればもちろん、それ以前でも、低髄液圧症候群の治療に、都立病院などは積極的に取り組むべきです。見解を伺います。
 次に、都営交通について伺います。
 私は、女性専用車両を都営地下鉄に導入すべきであると、一年前の本会議で提案をしました。大変残念なことですが、電車の中の痴漢発生状況は、警視庁によりますと、平成十五年度千七百九十三件、平成十六年度の上半期でも千十二件であり、依然として減少しておりません。女性専用車両は全国的に要望が強く、埼京線や阪急、西鉄、さらに京阪、JR神戸線、大阪環状線でも広がりを見せております。
 交通局では、相互乗り入れをしている鉄道会社と話し合いを行った経緯もあり、都営地下鉄への女性専用車両の導入を改めて前向きに検討すべきであります。
 二点目は、地下鉄経営の健全化についてであります。
 大江戸線の全線開通から三年が経過し、沿線の開発やネットワーク効果により、都営地下鉄全体の乗客数は増加していますが、多額の資本費の負担を要するため、平成十五年度で百三十五億円に上る地下鉄事業の経常損失が計上されております。その赤字を一日も早く解消して、経営健全化を図り、都民が安心して利用できるようにしなければなりません。
 そこで、多くの人々が行き交う地下鉄駅の広い空間を、例えば小物販売、クイックマッサージ、ミニコンビニなど、多様な事業者に貸し出し、利用者へのサービス向上を図りつつ、局として一層の収益を上げるべきです。駅空間の有効活用にこれまで以上に知恵を絞り、店舗や広告事業を積極的に展開する必要があると思います。交通局長の収益向上に対する所見を伺います。
 最後に、地元葛飾区の問題について伺います。
 葛飾区では、介護予防の観点から、高齢者や運動になじみのない人も含めて、いつでもだれでも気軽に利用できる健康運動公園、仮称フィットネス・パークを計画しております。水元体育館と温水プールの改築を、水元中央公園の整備とあわせて実施する予定です。
 そこで、都においては、都立水元高校が廃校となった場合には、その跡地を区に譲渡し、地元還元施設として有効に活用できる配慮を求めたいと思います。
 次に、京成高砂駅付近のあかずの踏切対策について伺います。
 この問題では何度も質疑をしてまいりました。このたび都市整備局は、二十カ所の鉄道立体化の検討対象区間を発表し、この踏切も対象区間に加えられました。これを歓迎いたします。
 この踏切は今後、成田新高速鉄道が運用開始されると、さらに遮断時間がふえ、問題があると指摘されております。現在、地元では、高砂駅付近の鉄道立体化事業に合わせて駅周辺の再開発委員会を発足させ、検討会を重ねているところですが、今後は立体化を含めた踏切対策を早急に検討すべきです。所見をお伺いします。
 また、高砂駅近くの高砂団地は、今から四十年前に建設され、現在、千二百世帯の人々が居住する都営住宅です。しかし、エレべーターが一基もなく、高齢者の方々は階段の昇降に日々大変に苦労し、建てかえをひたすら待ち望んでおります。
 そこで、高砂団地の建てかえ計画の進捗状況をお聞きし、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 野上じゅん子議員の一般質問にお答えいたします。
 食育の推進についてでありますが、ご質問を受けまして初めて私は、その食育なる言葉の意味といいましょうか、そういう教育というんでしょうか、しつけがあるということを知りました。
 食育とは、一人一人が望ましい食習慣を身につけ、食生活における自己管理能力を育成することだそうでありまして、食の問題は、未来を担う子どもたちにとっての重要課題でありまして、日本の将来がかかる大きなテーマとも考えております。食べ物ということに限っても、非常に、すべて物事が潤沢になりまして、何を選択していいかわからない時代にもなりまして、子どもたちが望ましい食生活を身につけ、食生活における自己管理能力を高めることは、生きる力をはぐくむ上で極めて重要であると思います。
 先般、「ニューズウイーク」でしたか、向こうの雑誌を見ましたら、アメリカで、もう際限なく太る親子の何組かの写真が出ていましたが、ポテトチップに象徴されるような高カロリーの食べやすいものを一回食べ出すと、親子ともやめるいとまがなく、とにかく手を休めると不安で食べ続けるというような記事が出ていましたが。いずれにしろこれは、いろんな原因があるのでしょうけれども、どう考えても、あの対応をみても、体へ負担がかかって非常に危険なものだと思います。
 ただ、資料をちょっと調べましたら、朝食を毎日食べる児童生徒の割合というのが、小学校では八二%ですけど、高校生になるとこれが六六%。それから孤食、ひとりでご飯を食べる、そういう子どもが小学生の四年生でも四・四%。それから高校生になると一四%。つまりこれは、朝食に限っていいますとお母さんが起きてこない、朝飯つくってくれない。それから高学年になりますと、孤食に限っていうと、やっぱり母親も働いていて親が家にいなくて、自分で何かをつくって食べるということのようですが、これがまた外部的な問題でありまして、家庭の構造といいましょうか。親もまたどういうニーズがあってか、とにかく共働きして両親とも家にいない。こういう条件というのが──家庭によっていろいろ違うのでしょうけど、意味合いが。
 いずれにしろ、食事というものが子どもに健全に提供されるということが、私はやはり子どもが真っすぐ育っていく必要条件だと思います。都としても、この問題を重要にとらえて、ソフト、ハードの面でも何かできることがあればと、研究させていただきます。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁します。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教育に関します二点の質問にお答え申し上げます。
 まず、給食指導の中での食育の充実についてですが、学校給食を生きた教材として食の指導を行っていきますことは、児童生徒が望ましい食習慣を身につけていく上で極めて重要なことと考えております。
 各学校では、給食の時間を初めとしまして、家庭科等の教科の時間や総合的な学習の時間等に食に関する指導に取り組んでおります。
 都教育委員会としましては、現在、食に関する指導を充実するため、授業等で活用しやすい内容の食に関する指導資料集を作成中でございますが、今後、この指導資料集をもとに、区市町村教育委員会と連携しまして、各学校において児童生徒の実態に即した指導計画を作成をしまして、給食時間等で食の指導の徹底を図って、児童生徒の健康づくりを推進してまいります。
 次に、子どもの居場所づくりについてでございますが、お話しの事業は、安全・安心な子どもの居場所を整備するために、国から委託を受けて実施している事業でございますが、都教育委員会としましては、区市町村教育委員会に対しまして、本年四月より三回にわたり事業の募集を行いまして、現在、江戸川区や葛飾区を初め二十七の区市町におきまして、二百二十九カ所で、延ベ百九万人の児童生徒の参加が見込まれているところでございます。
 今後とも、この事業の充実に向けまして、区市町村教育委員会と一層の連携協力を図りながら、事業の成果を発表する機会を設けますとともに、ホームページなどを活用しました情報提供を行うなど、子どもたちの居場所づくり事業の推進に努めてまいります。
   〔生活文化局長山内隆夫君登壇〕

○生活文化局長(山内隆夫君) 高校奨学金制度の今後のあり方についてお答えいたします。
 今回の地方移管に当たっての国の考え方は、基本的には従来の日本育英会の貸与水準が維持され、利便性を損なわないことを前提としております。
 現在、国において、その移管財源に係る概算要求が出された段階でございまして、ご指摘の趣旨については、その財源措置の動向、また都財政への影響等を十分勘案しながら、現行の都制度との整合のあり方を含め、慎重に検討してまいります。
   〔福祉保健局長幸田昭一君登壇〕

○福祉保健局長(幸田昭一君) 保健医療に関します二点のご質問にお答えいたします。
 まず、食育の推進についてでありますが、乳幼児期において健全な食習慣を身につけていくことは、生涯にわたる健康づくりを進める上で極めて重要であると認識しております。
 都は、区市町村と連携し、このような食育に関する視点を取り入れて、今後、母親学級や乳幼児健診等における指導内容の一層の充実を図ってまいります。
 また、乳幼児期から、伝統的な食文化や地域の特性を生かした食生活と触れ合うことにより、豊かな人間性がはぐくまれるように、家庭だけではなく、保育所や子ども家庭支援センター等の地域のさまざまな機関における食育の推進を支援してまいります。
 次に、低髄液圧症候群についででありますが、交通事故等が原因となって脳脊髄液が漏れ、慢性的な頭痛、めまいなどのさまざまな症状を引き起こす、お話しの低髄液圧症候群は、近年、新しく提唱され始めた概念でありまして、その診断方法や治療方法は、いまだ未確立の領域であり、今後の評価を待つものであると認識しております。
 ブラッドパッチ療法等の普及啓発や保険適用に関する国への要望につきましては、今後、学術的な研究が進み、その成果を十分に踏まえて対応していく必要があると考えております。都としても、当面、この研究の進展状況や国の動向等について注視し、情報収集に努めてまいります。
   〔病院経営本部長押元洋君登壇〕

○病院経営本部長(押元洋君) 都立病院におきます低髄液圧症候群に対する取り組みについてお答えを申し上げます。
 現在、脳脊髄液の減少によりまして慢性的な頭痛やめまいなどの症状を呈します低髄液圧症候群に対しましては、脳神経外科などで治療を行っております。
 今後、ブラッドパッチ療法に健康保険制度が適用されます場合には、都立病院におきましても患者の症状に応じて適切に対応してまいります。
   〔交通局長松尾均君登壇〕

○交通局長(松尾均君) 都営地下鉄の駅空間の有効活用につきましてお答え申し上げます。
 交通局は、本年三月に策定いたしました経営計画に基づき、魅力ある駅空間の創出と増収に積極的に取り組んでおります。具体的には、多様なお客様のニーズ、駅の立地特性、収益性等を考慮し、今後三年間に三十店舗の新規開店を図る予定でございます。
 また、金融機関のATMやITを活用した通信設備の設置など、利便性の高いサービスを提供してまいります。
 今後とも、広告事業も含め、駅空間の持つ可能性をさらに生かすよう努めてまいります。
 なお、都営地下鉄の女性専用列車の導入についてでございますが、改めてご要望があったと受けとめさせていただきたいと思います。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君) 都市整備に関係する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、京成高砂駅付近の踏切対策についてでございますが、同駅付近には二カ所の踏切があり、いずれもピーク時間帯、一時間の遮断時間が四十分以上の、いわゆるボトルネック踏切となっております。
 都といたしましても、平成十三年に地元区が設置した勉強会に参画し、踏切対策について検討を進めております。本年九月に地元区が公表した中間のまとめでは、地域のまちづくりや、鉄道を立体化した場合の高砂車庫の取り扱い、さらには事業費などの課題があるとしております。
 今後は、本勉強会においてこれらの検討を深めるとともに、早期に実施可能な対策についても並行して検討を行う予定でございます。
 次に、都営高砂団地の建てかえについてでございますが、当団地は、昭和三十年代を中心に建設された住宅であり、一団地の住宅施設の都市計画が定められております。
 都営住宅の建てかえは、住宅を更新するだけではなく、地域の活性化や防災性の向上、住環境の整備に資することが重要でございます。この団地につきましては、地域の特性に合わせて都市計画を変更する必要があることなどから、昨年度、測量を行い、現在、地元区と調整しながら検討を行っております。

○副議長(中山秀雄君) 四番秋田一郎君。
   〔四番秋田一郎君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○四番(秋田一郎君) 現在、国と地方、それにみずからの省益を死守しようとする各省庁が加わって、三位一体改革についての議論が展開されていますが、それぞれが目先の利益にとらわれて、本質的な議論が行われていないのが実情です。それゆえ都民も国民も、どうして国と地方が金の奪い合いをしているのかという表面的な感想しか持ち得ない状況になっています。
 本来、三位一体改革で議論しなければならないのは、国家財政の半分近くが借金で賄われ、国と地方を合わせた長期債務が七百兆円にも上るという現状を打開し、我々の子々孫々の代まで持続可能な体制を構築するために、今何をなすべきかということです。
 そのためには、現行制度の何が問題で、その問題を解消するためにはどうすればよいのかという基本的な議論が不可欠なはずです。
 私は、国と地方の役割分担が不明確であり、国が国庫補助負担金や地方交付税を手段として地方に過剰な関与を行うことで、地方の自立を著しく制約し、その結果、日本全体の発展を阻害していると考えます。
 地方自治法第一条の二では、国と地方の役割分担について、国は、全国的な規模で、もしくは全国的な視点に立って行わなければならない施策の実施など、本来果たすべき役割を重点的に担い、住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねることを基本として、地方公共団体との間で適切に役割を分担すると規定しています。この基本的な考え方に沿って、国と地方それぞれが果たすべき役割について明確に区分するという作業を、まず最初に行わなければなりません。
 憲法二十六条に規定する、「義務教育は、これを無償とする」ことを、全国あまねく確保するのはだれの責任なのか。また、憲法二十五条に規定する「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」ことを保障する生活保護制度は、だれの責任で行われるべきなのか。これらの経費は、知事がおっしゃるように、本来国が全額負担すべきいわば国の義務であります。
 もし国がこうした義務を放棄するなら、もはや国は国としての体をなしていないと私は思います。議論を積み重ねた上で、国と地方の責任分担に応じて税源を配分すべきであって、何の根拠もなく四兆円の国庫補助負担金の削減と三兆円の税源移譲という議論がなされていることは、不可解としかいいようがありません。しかし、三位一体改革の議論においては、こうした本質的な議論が行われることなく、相も変わらず東京ひとり勝ち論、東京富裕論という摩訶不思議な主張が横行しています。
 この主張は、改めて説明するまでもありませんが、国から地方に税源移譲が行われると、企業の集積している東京の税収が多くなり、豊かな東京がますます豊かになる、東京と地方との格差は広がる一方だというものです。
 しかし、東京は本当に豊かなのでしょうか。確かに、東京の鉄道は網の目のように張りめぐらされています。すてきなお店で世界の流行の最先端の情報や商品に触れることができます。けれども、せっかくの鉄道網も既に飽和状態となっており、都内で働く人の大半は、殺人的に混雑している電車を使って、長時間かけて通勤しています。自動車交通も深刻な状態です。道路の渋滞は慢性化し、このことによる経済損失、さらには渋滞中の車から排出されるガスによる大気汚染は、都内で生活する人々に深刻な健康被害を及ぼしています。
 一方、インターネットがこれだけ発達した時代においては、地方においても世界中の情報に触れ、世界中の商品を取り寄せることができます。東京と地方の情報伝達速度の差はほとんどなくなっています。それでも東京は豊かというのでしょうか。
 そもそも豊かさとは、個人個人の価値観によって異なるものだと思います。便利な東京を豊かだと思う人もいれば、私のように山や川、海など自然にあふれた地方での生活こそむしろ人間らしい豊かさを享受できると考える者もいます。
 このように考えると、これまで声高に叫ばれ続けてきた東京ひとり勝ち論、東京富裕論は幻想であり、むしろ東京から財源を奪い取るためにつくられた悪意に満ちた造語とさえ感じられます。
 実際に、東京都内で納められた国税が、交付税や国庫支出金などによって都に還元される額は、納税額の一割弱にしかすぎません。一方で、島根県に対しては、納税額の三・五倍以上もの額が還元されています。
 このような事実を、国民は正しく知るべきです。都民だけではなく、遠く四国、九州の人々にも知っていただき、本当にこのような状態でいいのか、国民全体で判断することが必要だと思います。
 私は地方にも良識ある人がいっぱいいると信じています。公民館や空港や道路が都民の払っている税金によって成り立っている事実を知れば、また、東京が抱えている固有の問題を知れば、決して東京は豊かではないこと、決して東京がひとり勝ちしているわけではないことを、必ずわかってもらえると思います。むだな道路や公民館はもう必要ないという声が地方の中から立ち上がってくると信じています。
 正しい主張というものは、多くの良識ある人々に理解され、最終的には、国のへさきを進むべき方向に導く大きなうねりへと発展します。私たちはこのことを首都機能移転議論によって経験しています。都議会と行政とが一体となって、不合理性を訴えた結果、最終的にはその正しい主張が国民に理解されたのだと思います。
 三位一体改革の議論は、これから年末までの国の予算編成に向けて、紆余曲折が繰り返されることが予想されます。このように多くの関係者の利害が複雑に重なり合っている問題を解決するためには、正しい情報が関係者間において共有化されることが重要です。東京ひとり勝ち論、東京富裕論などという的外れの議論を展開させないために、今後とも、地方財政の現状や東京都の置かれている状況などを積極的に主張していくことが重要です。
 その際には、現在の日本における最も影響力のあるオピニオンリーダーである石原知事ご自身が、都民に対してだけではなく、国民に対しても直接訴えかけていくことが非常に効果的であると考えますが、ご所見を伺います。
 次に、少子化対策について伺います。
 私は、昨年の第四回定例会の一般質問で、少子化社会対策基本法で盛り込まれた、いわゆる不妊治療に対する経済的支援の必要性について質問しました。都では早速本年四月から経済的負担を軽減する医療費助成制度をスタートさせ、不妊に悩む方々の朗報となっています。
 さて、先日発表された、平成十五年の我が国の合計特殊出生率は、前年をさらに下回り一・二九となり、東京都ではついに一を切って〇・九九八七という状況となりました。このまま出生率が向上しなければ、我が国の人口は百年後の西暦二一〇〇年には三分の一の四千六百万人になると推計され、さらに驚くべきことに、大分先ではありますが、西暦三五〇〇年には一人になってしまう計算です。
 それでは、なぜ子どもを産まないのか。内閣府の調査結果では、経済的負担の大きさが五〇%を超え、一位、二位を占めています。実際、同世代の友人からも、子どもを産むのにも育てるのにも予想以上にお金がかかるという声を多く聞きます。にもかかわらず、先ほどの小美濃議員の発言にもあったように、一番お金がかかる子育てに奮闘している世代が最も重税感が強いという現実があります。
 このように、所得が決して多くはない若い世代が、子育てに大きな経済的負担を感じていること、すなわち子育てのインセンティブが働かないことが、少子化の進行に歯どめがかからない最大の原因だと思います。
 こうした事態を防ぐためには、例えば、子育ての間、思い切った減税を行うなどの抜本的な措置が望まれます。子どもたちが将来立派な納税者として育つことを考えれば、こうした施策は決してむだとはならないと考えます。
 私は先般初めて中国を訪れましたが、そのすべてに圧倒されました。同時に、国土や天然資源が乏しい我が国は、人こそが国の繁栄をもたらす唯一の財産だと改めて思いました。出生率を高める支援策は、基本的には国が責任を持って大胆に変えていくべきです。しかし、国に対しこれまでさまざまな改革を提案し、要求してきた東京都は、次の時代を担う若い世代を対象とした支援策について、抜本的に見直しを図るよう強力に働きかけていくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、自動回転ドアの安全対策についてお尋ねします。
 本年三月、六本木ヒルズにおいて、自動回転ドアに児童が挟まれて死亡するという痛ましい事故がありました。こうした事故は、二度と繰り返されてはなりません。東京には、超高層建築物や大規模建築物が多く、自動回転ドアの設置箇所が他都市に比べて多いことから、早急に安全対策を講じ、事故の再発防止に取り組むことが必要です。
 そこで、都は全国に先駆け、自動回転ドアの安全対策としての条例案を本定例会に提案していますが、条例案における考え方について伺います。
 また、都内には、既存の自動回転ドアが多数存在しますが、これらに対する安全対策も重要です。既存の自動回転ドアに対する安全対策の取り組みについて伺います。
 さらに、自動回転ドアについては、安全対策とともに、事故が起きたときの行政への報告体制を整備することが、次の事故を防ぐためにも大切です。所見を伺います。
 次に、都民の安全・安心の確保について伺います。
 都民を取り巻く状況を見ると、さまざまな面でその安全・安心が脅かされている状況があります。例えばおれおれ詐欺の都内での被害は、ことしの一月から八月までだけで八百件以上、被害額も十五億四千万円にも上っており、その被害者では高齢者が多いといわれております。また、高齢者をねらったさまざまな悪質商法が依然として多く、最近は住宅リフォームなどの住宅関連工事をめぐるトラブルがふえているそうです。
 弱い立場の高齢者の安全・安心を確保するため、悪質商法を行う事業者を取り締まることは極めて有効な対策です。都はこれまで以上に高齢者に焦点を当てた取り組みを進めるべきと思いますが、所見を伺います。
 また、はがきや電子メールなどで、利用した覚えのない有料情報サービスの支払いなどを一方的に請求する、いわゆる架空請求が急増し、大きな社会問題となっています。都内の消費生活相談窓口に寄せられた架空請求などの相談件数は、平成十五年度では、前年度の三倍以上の六万件を超えたそうです。
 架空請求を行うこのような悪質業者は、会社の実態がないなど、取り締まりが難しいとも聞きますが、まずは都民に対する被害の未然防止、拡大防止のための方策を講じることが重要です。その際には、幅広い都民の方々にその情報が届くよう、例えばマスコミの活用などが必要だと思いますが、この架空請求による被害の未然防止策について伺います。
 さて、東京が国際競争を勝ち抜いていくためには、東京の都市再生を促進することが不可欠であり、都市再生緊急整備地域内においてはさまざまな開発計画が検討されていますが、これらを適切に誘導していくことが必要です。さらに、東京全体のポテンシャルを高めるためには、地域の生活拠点となる駅前地区など身近な地域においても、都市再生を広範に展開することが重要です。
 東京都は昨年、しゃれた街並みづくり推進条例を施行し、東京の魅力を高める東京都独自の取り組みが推進されています。このたび、この条例の三つの柱の一つである街区再編まちづくり制度を適用した街並み再生地区の第一号が品川区の駅前の密集市街地で指定されました。そこで、街並み再生地区指定の目的及びその効果を伺います。
 私の地元、新宿区においても密集市街地があり、防災上の観点から早急に改善を進めることが重要です。このような市街地を再編整備し、身近な都市再生を進めるためには、この街区再編まちづくり制度の活用が有効と考えますが、東京都としてどのように取り組んでいくのか伺います。
 さて、第十六期も残すところわずかとなりました。本会議場で質問できる最後の機会ですので、私なりの思いを述べさせていただいて質問を閉じたいと思います。
 三年前の私の初めての質問の際に、知事から本当にありがたいご助言をいただきました。
 新人議員のときは、はたから注意されるくらい、好奇心を持つままいろいろなところに顔を突っ込みなさい。多くの知己を得、知識を得て、政治家として大成しなさい。
 知事のこの言葉を胸に、私なりに一生懸命努力を重ねてまいりました。
 この間、強力なリーダーシップを発揮し、スローガンどおり、まさに東京から日本を変えてきた知事、新人の私のくだらない疑問にも丁寧に答えてくださった面倒見のいい先輩たち、議論闊達、よき相談相手の同期、陰にひなたに助けていただいた政調会を初めとするスタッフの方々、そして、海のものとも山のものともわからない私を支えてくれた支援者の皆さん等、本当に多くの方からたくさんのことを学ばせていただきました。心から感謝を申し上げます。
 かのウインストン・チャーチルはこう述べています。民主主義の政治について学説は多いが、それを知ろうと思えば、凄愴苛烈な選挙戦を実際にやってみることだ。選挙戦ほど政治家にとって格好の教育はない。
 来るべき凄愴苛烈な戦いを通じて、民主主義とは何か、政治とは何かを一層学び、何よりはってでも必ず勝ち抜いて、もう一度この場に登壇することを誓って、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 秋田一郎議員の一般質問にお答えいたします。
 後段の演説を聞いていて、何か引退するんじゃないかと心配しましたが(笑声)再選を誓われたんで安心いたしました。
 いわゆる三位一体改革についてでありますが、いろいろご意見をいただきましたけれども、非常に同感できる点が多いと思います。国も地方も、どうも目先の利益にとらわれて、我が国の将来を見据えた本質的な議論が一向に行われていないという感じがいたします。
 この行政改革がいわれてから三位一体なる言葉が出てくる直前に、骨太の改革という言葉が一時はやりました。骨太というのはいろんな意味合いがあるでしょうけど、事を改革するに当たっては、やはり物事の本質から変えていくという、そういう改革でなきゃだめだと思いますけれども、さらに三位一体という、わかるようなわかんない言葉が出てきました。これは国庫補助の削減とそれから税源の移譲、それと交付税の税制の改革ということをあわせてどう行うか。それによって非常に不健全な日本の財政事情というものを好転させていくということなのでしょうが、どうもそれが一向に軌道に乗っていない。
 敗戦直後に構築されました我が国の行財政制度は、もはや時代の変化に適合できずに、改革が不可避になっておりますが、ともかくご指摘のように、国、地方合わせた長期債務が七百兆という膨大な額に上っているわけでありまして、これは、長期債務がGDPを上回るのは戦時体制以来のことでありますが、どうも、名前はあえて挙げませんけれども、この責任者である中枢の当事者たちに聞きますと、まあ塩漬けにすりゃあいいと。塩漬けということは、私は余り財政を要するに熟知いたしませんのでね、どういうことですかと聞きますと、要するに、借りかえ借りかえてそのうち時間がたって、だれか違う責任者が出てきて云々というような、結局、姑息な現状回避というか、その場しのぎという発想を出ないんで、私は非常に危惧を感じました。
 いずれにしろ、そういうことをあえて公言してはばからない政治の指導者たちが多く、しかもマスコミに至るまでも、こういった本質的な危機を危機として認識していないということを、国民はやっぱり実情として知るすべもない。国民も国民で、それほどスペシャリストではありませんから、正確な認識、分析というのは持ち得ないと思いますが、いずれにしろ、総体的に眺めますと、トインビーがいったように、いかに発展栄華をきわめた国家も必ず衰退、滅亡もすると。しかし、それはいろいろ原因があるが、その原因は正確に分析すれば不可逆的なものはほとんどない。ただ、一番危険なことは、危険な原因は、自分で自分のことを決めることができなくなった、そういった国家というのは、あるきっかけをとらえて瞬間的に近い速度で崩壊、滅亡するということをいっていますが、下手をすると、財政を誇ってきた日本は、いまだに、ボリュームとしては世界第二の経済国ですけれども、そういう危険というものを実は大きくはらんでいるという感じがいたします。
 いずれにしろ、地方分権ということを、財政というものを立て直しをしよう、政治のスキームを変えようということでいい出されたことですが、このていたらくでは、地方分権改革は空中分解をすることになりかねないという気がいたします。座視するわけにいきませんので、唯一不交付団体でもあります東京都だからこそ、冷静に客観的に物事を見据えて、東京の試案というものを、ひとり東京のためだけで決してなしに、国全体のために出しておりますが、これが何か非常にささいな目先の金の問題に血道を上げることで議論の対象にならないというのも非常に無念な感じがいたします。
 いずれにしろ、東京は東京なりのポテンシャルを持っているわけでありまして、国と一緒に衰微するわけにはいきませんから、東京なりの主張をこれからも懲りずに飽きずに繰り返し続けて、東京の主張が、国が念願している骨太の改革というものの引き金になるように努力するつもりでございます。
 他の質問については関係局長から答弁します。
   〔福祉保健局長幸田昭一君登壇〕

○福祉保健局長(幸田昭一君) 次代を担う若い世代への支援策についてのお尋ねにお答えいたします。
 未来を担う子どもを安心して産み育てられる環境を整備することは重要であると認識しております。都はこれまでも独自の認証保育所制度を創設するとともに、子ども家庭支援センターの整備など、地域全体で子育てをバックアップする支援策を積極的に推進してまいりました。
 ご指摘のとおり、本来、少子化対策は国が責任を持って抜本的な取り組みを講じていくべきであり、これまでも東京都は各局と一体となって国に対し提案要求をしてまいりました。引き続き、仕事と子育てが両立しやすいよう、職場環境の整備などの課題につきまして、一層強力に国に提案要求してまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君) 自動回転ドアに関する安全対策など五点のご質問にお答えいたします。
 まず、自動回転ドアに関する建築安全条例の改正案の考え方についてでございますが、改正案は、六本木ヒルズで起きた痛ましい事故を踏まえ、自動回転ドアによる重大事故を繰り返さないため、都独自に安全対策を講じるものでございます。
 具体的には、本条例に安全対策を規定し、建築確認制度の中で審査及び検査を行うことにより、実効性を担保いたします。また、事故の七割が高齢者、幼児という実態を踏まえ、こうした人々が主として利用する施設には設置を禁止することといたしました。
 今後とも、東京を安全・安心な都市にしていくため、建築物の安全対策に積極的に取り組んでまいります。
 次に、既存の自動回転ドアに対する取り組みについてでございますが、条例改正案による規制は、原則として既存の自動回転ドアに適用されるものではございませんが、都内には既に約百八十台の自動回転ドアが設置されており、これらに対する安全対策も重要でございます。
 都といたしましては、施設利用者の安全を確保するため、既に自動回転ドアを設置している施設の管理者及びメーカーなど関係団体に対し、条例改正案の内容について周知を図り、安全対策の遵守を求めてまいります。
 次に、事故が起きたときの報告体制についてでございますが、建築物における重大事故が発生した場合、早急に事故情報を収集し、緊急対策や再発防止策などの安全対策を講じていくことは重要なことと認識しております。
 これまでエレベーター、エスカレーターなどについては、建築物の管理者などから事故情報の報告を求めてまいりました。今後は、自動回転ドアを含め建築物に関する事故情報をより機敏かつ的確に把握するため、都は消防庁等関係行政機関並びに建築物の管理者との間で情報を共有する体制を構築してまいります。
 次に、街区再編まちづくり制度による街並み再生地区の目的及びその指定の効果についてでございますが、東京の活力を高めていくためには、都心部などの機能更新にとどまらず、密集市街地の整備など身近な地域の都市再生を広範に展開することが重要と考えております。
 街並み再生地区は、こうした身近な地域において、高さなどをそろえた計画的な共同建てかえや、跡地を活用した周辺市街地との一体整備により、安全で魅力ある街並みの実現を図ることを目的としております。また、指定の効果としては、空地の整備など地域貢献に応じて建築規制の緩和を示すことにより、地元の合意形成の促進と早期事業化が期待できるものでございます。
 最後に、街区再編まちづくり制度を活用するための都の取り組みについてでございますが、商店街の活性化や密集市街地の改善を図るため、先般、武蔵小山駅東地区において街並み再生地区第一号の地区指定を行いました。
 都内には、ご指摘の新宿区を含め、防災上課題のある密集市街地が広範に存在しております。今後、これらの地域において区市と連携して地元住民や民間事業者の参加を促す取り組みを積極的に行うなどにより、着実に街並み再生地区の指定を拡大してまいります。
   〔生活文化局長山内隆夫君登壇〕

○生活文化局長(山内隆夫君) 都民の安全・安心の確保に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず高齢者に焦点を当てた悪質商法に対する取り組みについてでございますが、悪質事業者に対しましては、これまでも局内に警視庁職員を加えた特別機動調査班を設置し、事業者名の公表など厳正な行政措置を行ってまいりました。
 今年度は新たに、床下や屋根の点検などを口実にしたいわゆる点検商法など、高齢者被害の多発している訪問販売を対象に、集中調査を九月から実施し、悪質事業者について処分や指導を行ってまいります。また、被害が広域にわたるものについては、四都県合同による初の行政処分にも積極的に取り組んでまいります。
 さらに十月には、新たに八都県市合同で、高齢者相談一一〇番を実施するなど、今後とも悪質商法による高齢者被害の防止に努めてまいります。
 次に、架空請求による被害の未然防止策についてでございますが、これまで全力を挙げて都民からの相談に対応してきましたが、八月からは、被害の拡大防止を図るため、新たに消費生活条例違反として事業者名を公表しております。また、携帯電話事業者に対しては、架空請求に使用された電話の利用停止を要請しているところでございます。さらに、九月からは、相談員等が相談を受けた後、速やかに架空請求事業者に対し警告を実施しているところでございます。
 なお、警視庁と共同で啓発用チラシの作成・配布を行うなど、都民に対する注意喚起に努めてきましたが、さらに効果を上げるためには、ご提案のマスコミの活用が大変重要であると認識しております。このため、ご指摘のようにテレビや新聞の特集などにおいて、手口や対応方法等についてわかりやすく、インパクトのある形で取り上げてもらえるよう、積極的に働きかけを行うなど、被害の未然防止に向けてより一層の努力を行ってまいります。

○議長(内田茂君) 四十五番三宅茂樹君。
   〔四十五番三宅茂樹君登壇〕

○四十五番(三宅茂樹君) 知事が東京の中小企業対策の第一に掲げている、ものづくりについてお尋ねしてまいります。
 まず、ものづくり人材育成についてお尋ねします。
 ものづくり人材を育成する教育機関として、都教育委員会が所管する二校の都立高等専門学校の改革が必要であり、都立高等専門学校の枠を超え、現在大学管理本部で構想している産業技術大学院との連携を図る必要があると考えます。
 しかしながら、都立高等専門学校の卒業生は、準学士の取得のみ許されているため、現状では産業技術大学院に至るルートが確立されていないのです。ルート確立のため、現在の都立高等専門学校二校をスクラップ・アンド・ビルドの観点から再編統合し、既存の教育資源を有効に再配分しながら、大学の学部と同様に、学士の資格が取得できる専攻科を設置することにより、ものづくり人材の育成に向けた先駆的、中核的な役割を担う新しい教育システムとして、都立高等専門学校から産業技術大学院に至る一貫したものづくり教育体系を構築すべきと考えますが、所見を伺います。
 さらには、こうした産業技術大学院に至る一貫したものづくり教育の実現により、都立高等専門学校の高等教育機関としての性格がより一層鮮明になるため、この際、都立高等専門学校の所管を見直し、設置運営形態についても一層の弾力化が図れるよう、産業技術大学院の設置に合わせて独立行政法人化も検討すべきと思いますが、所見を伺います。
 次に、ものづくり技術支援について伺います。
 設備危機の技術革新のスピードはすさまじいものがあり、加えて高額なために、中小零細事業者みずからの資金力でそれらのすべてを購入することは極めて困難であります。東京都の産業技術研究所では、設備機器を開放するなど技術支援を行っているようですが、ものづくりの事業者からは、既存の設備機器の更新がおくれ、まるで博物館に来ているようで、都のものづくりに対する姿勢を疑いたくなるとの声が上がっております。
 東京都の産業技術研究所の設備機器が常時、世界の最先端のものであるようにすべきであります。技術支援の機能を早急に強化充実すべきと考えますが、見解を伺います。
 目立たない存在ですが、東京のものづくりの代表の一つである、メッキ産業の抱えている困難な課題についてお尋ねいたします。
 昨今、都内で廃業や事業転換に伴う工場跡地での土壌汚染が相次いで表面化しております。我が党は、これまで汚染処理コストの削減及び汚染調査の猶予など、土地汚染対策に関して中小零細事業者に対する支援策の充実を求めてきました。これらについては一定の対応が図られつつありますが、中小零細事業者の置かれた厳しい状況を考えますと、一層の支援策が必要であります。
 例えば東京のものづくりの一翼を担うメッキ工場は有害物質を使用しているため、工場を閉鎖する際には、環境確保条例に基づく土壌汚染調査を行い、汚染があれば対策が必要となります。汚染対策には高額の費用がかかり、汚染による土地の資産価値低下により融資も受けられなくなり、経営困難に陥るなど、土壌汚染は事業者にとり大きなリスク要因となっております。加えて、土壌の汚染原因が過去においては合法的な行為であった場合も多く、廃業しようとする事業者にとって自己責任のない過酷な費用負担を課している実態も無視できません。
 借金に追われ、夜逃げする事業者もあり、汚染され再利用もできない工場跡地が町中に放置されたままになっていることさえあります。特に小規模な工場が多い二十三区内では、廃業が毎年三十件にも上り、汚染土壌対策が机上の理論で行われるのでなく、現実現場対応で実施されねば、汚染は拡散され、東京の土地が足元から腐っていくことになるといっても過言ではありません。放置汚染土壌問題は、良好な環境の確保を目的とした条例に、本来果たすべき機能を発揮していないという運用上の課題があることを都民に明らかにいたしました。
 調査を行って汚染がなければ土地の転用が可能となりますが、経営難で夜逃げする零細事業者にとって、調査費用だけでも負担し切れない高額なものであります。資金力の乏しい零細事業者が汚染を放置することのないように、調査を完璧に実施できる新たな支援策が必要だと考えますが、所見を伺います。
 放置はされていないが、対策費用が捻出できないために土地が遊休化してしまうことは、土地所有者の生活基盤を確保するためのみならず、地域社会の発展のためにもぜひとも避けなければなりません。そこで、汚染を拡散するおそれがない汚染土壌に、駐車場や軽量の屋舎などの造営が可能となるなど、工場跡地が有効に活用できるようにすべきと思いますが、所見を伺います。
 土壌汚染対策に関する制度は、都の環境確保条例、国の土壌汚染対策法ともに、その歴史は浅いものです。そのため、汚染土壌所有者、不動産業者、金融機関などが土壌汚染に関する法令の仕組みや対策の手順を十分に理解していないことによる、土地取引や融資をめぐるトラブルも起きていると聞いています。
 この際、メッキ工場経営者はもとより、融資、土地取引関係者に対し、土壌汚染に関する調査費用、処理コストの実態や制度の仕組みを周知徹底すべきと思いますが、所見を伺います。
 次に、まちづくりについてお尋ねしてまいります。
 今年度から都は、新たな事業として、商店街や駅周辺など一定の範囲の地域において連続性のある一体的、面的な整備を図る、福祉のまちづくりモデル事業を開始しました。この事業は、地域の特性やニーズを踏まえて、区市町村が行う先駆的な福祉のまちづくりの取り組みを支援するものであり、私は時宜に合った大変有意義で斬新な取り組みだと大いに期待しているところです。区市町村の関心も大変高かったと聞いておりますが、その状況や選定はどのように行われ、参加した区市の今後に向けての取り組み意欲はどうだったかを伺います。
 今後、都はこの福祉のまちづくりモデル事業を積極的、継続的に展開し、ユニバーサルデザインを基本とした、先駆的な福祉のまちづくりの取り組みを他の地域にも波及させていくべきと考えますが、見解を伺います。
 まちづくりにとり重要であるがなかなか進まないのが、木造住宅密集地域整備です。都は本年三月に防災都市づくり推進計画の整備プログラムを策定し、昨年の九月に指定した都内十一の重点整備地域について具体的な整備目標や整備計画などを定めました。加えて本年四月に都市整備局を発足され、今まで都市計画、住宅、建設の各局で行っていた木密整備への取り組みが一つの組織でできるようになり、木密整備の飛躍的進展を大いに期待するところです。
 世田谷区の太子堂・三宿地区も重点整備地域に指定され、近接する都営池尻アパートの建てかえと連携した取り組みは、先駆的なものとして評価するところです。都が主体となって世田谷区を初め関係機関との協力体制を構築していくことが重要であり、また、池尻アパート周辺のまちづくりに貢献することも大切であると考えます。そこで、太子堂・三宿地区の木密地域整備の現在の主な取り組みを伺います。また、池尻アパートの建てかえに当たって、近隣町会と住民の要望にどうこたえていくのか、具体的にお答えください。
 次に、まちづくりの視点から浸水対策について伺います。
 東京でも今月四日、七〇ミリを超える豪雨に見舞われ、日比谷交差点や渋谷駅前など、首都東京の顔ともいえる場所で、道路冠水による立ち往生やビル地下街が浸水するなどの被害が発生いたしました。
 都は、新・雨水整備クイックプランを策定し、新たに浸水被害の発生している地区を重点地区に追加するとともに、完了した地区については事後評価を実施するなど、きめ細かな対策に取り組んでいます。そこでまず、既に工事が完了した重点地区について、実施事例とその効果について伺います。
 下水道は、区境を越え、流域単位で下水道管理のネットワークを構成している施設です。下水道事業は、大都市が担っている事務事業であり、広域事務として重要な役割を果たしております。一方、区は、地元に密着した取り組みを行うことで、浸水対策をより効果的に進めることができます。そこで、このプランの都と区の役割分担はどのようになっているのか、伺います。
 また、平成十四年八月には、世田谷区上馬地区で集中豪雨による浸水被害が発生し、重点地区の一つとして対応しているところです。この上馬地区では、都と区の連携により、短期間に計画を立案し、事業を進めたと聞いております。この地区における事業の進捗状況と今後の見通しについて伺います。
 安心・安全のまちづくりに対する大きな課題の一つに、大都市東京であるがゆえに直面している、あかずの踏切対策があります。
 昨年二月に、京王線笹塚─仙川間のうち、世田谷区内各駅の駅前十五商店街が結集し、京王線立体化推進協議会が結成され、まちづくりの観点から、踏切解消に向け、組織的な運動が始まりました。加えて、本年七月には、区民、区、区議会が中心となり、世田谷区「開かずの踏切」解消促進協議会の結成大会が開催され、今後、踏切問題解消に向けた運動を継続的に進めていくことになりました。
 私も本大会に出席し、踏切対策の一層の推進に向け、決意を新たにしたところです。
 踏切があるがゆえに整備が進まない、都市計画道路の京王線笹塚─仙川間における状況を含め、この区間の踏切に対する都の認識と今後の取り組みについて伺います。
 まちづくりに関しては、私は、近未来都市といわれる臨海副都心についても、注目すると同時に、その発展に期待をしております。
 しかし、最近は、汐留や六本木など大都市開発が進み、地域間での競争が激しくなってきています。
 昨年は、臨海副都心では、東京ディズニーリゾートの年間来訪者数の約一・七倍にも相当する、過去最高の四千百八十万人の来訪者を記録しましたが、ことしに入って、その勢いもとまり、六月までの来街者数は前年よりも減少傾向にあるということです。これでは、企業進出が今後順調に進むのか、懸念されます。そこで、今後開業が予定されている事業がどのようなもので、どのくらいあるのかを伺います。
 また、企業進出だけでなく、臨海副都心をより魅力的なものにしていくためには、来街者を増加させ、にぎわいのあるまちづくりが不可欠と考えます。今後、都はどのように対応しようとしているのか、伺います。
 組合施行としては国内最大のまちづくりである世田谷区二子玉川東地区再開発事業は、昭和五十七年に地元地権者による再開発についての勉強会が発足し、平成七年に準備組合が結成されました。平成十二年の都市計画決定を経て、二十二年余の歳月をかけて再開発事業についての合意形成が進み、このたび、準備組合により事業計画案が作成され、組合認可申請が行われたと聞いています。
 いよいよ事業に向けて大きな一歩を踏み出そうとしていますが、都としてこの市街地再開発事業の推進についてどのように考えているのか、伺います。
 また、この再開発地区にある既存の商店街への対応や、再開発によって生ずる周辺道路の走行自動車数の増加についての対策はどのように考えているのか、所見を伺います。
 知事は、東京の喫緊の課題は治安の回復と教育の再生と言明されております。治安の悪化と教育の崩壊は、東京の地域社会の崩壊と軌を一にしていると思えます。大都市東京も、子細に見れば地域社会の集まりです。そこに住み、働く人たちが互いに防犯に目を光らせ、子どもたちを教育し、お年寄りをいたわるなどの独自のコミュニティが培われてきたところです。
 本年五月、ものづくり産業の集積施策のあり方に関する東京都中小企業振興対策審議会の答申が行われました。私も委員として会議に参加いたしましたが、近隣の工場が減少し、その跡地にはマンションや住宅が建ち、操業しづらくなっているという切実な声が寄せられました。
 町工場や商店街のある地域は、都市計画法に基づいて、準工業地域や商業地域といった用途地域が指定されていますが、用途として住宅は排除されておりません。逆に、居住系の用途の指定がされている地域に比べて、相対的に容積率が高いため、マンションの立地を促進しているのが実態であります。
 私の地元でも、町工場の集まっている地域にマンションが唐突に立地し、昔から地域で町工場を営む住民との間で、騒音やにおい、車の出入りをめぐるトラブルが多発し、工場の操業縮小や転出が余儀なくされる事例が数多く見られます。
 また、商店街においても、新たな居住専用のマンション立地により、商業施設の連檐性が失われ、地域社会の構成員としての自覚に目覚めていない新住民と、イベントの実施をめぐるトラブルも発生しています。
 このように地域産業の集積が損なわれることが、コミュニティ崩壊の一つの要因となっていることは、否めません。
 知事はよく、東京に世界に誇れる中小企業がたくさんあると申されますが、このままでは、すぐれた技術力を持つ町工場がどんどん失われ、東京のものづくりの現場はすべて中国ということにもなりかねません。また、地域の交流の場である商店街も、東京から姿を消してしまいます。
 二十三区の用途地域は、都が広域的な視点に立って定めることになっております。知事にお伺いいたします。東京の地域産業力や地域社会の活力を維持発展させるために、東京のまちづくりはどうあるべきか、大所高所からお考えをお聞かせいただくことをお願いをして、私の一般質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 三宅茂樹議員の一般質問にお答えいたします。
 私、かねがね思ってきたことでありますが、つい最近まで、東京にも都市計画局なる局がありました。しかし、東京も含めて、この国に都市計画なるものが本当にあったかということになれば、よく例に出しますけれども、今、議会に通ってくるあそこの回廊にも、要望があったんで、その写真を載せましたけど、江戸時代のまちづくりの方がはるかに計画性があり、合理的になっていたと思います。それに比べて、今の東京は、物はひしめいてあるけれども、非常に混沌として、計画性がない。
 そういう中で、やっぱり、今ご指摘の厄介な問題が起こっているわけでありまして、非常に可能性を持った、すばらしい技術を潜在して持った、現にまたすばらしい仕事もして、製品もつくっている町工場、小っちゃな企業は、周囲に高層住宅ができる、その人たちの今度は生活権ということを盾にとられた苦情で、非常に窮地に追い込まれているというのは、否めない事実でございます。
 これを一体どういう法整備で調整していくかということは、非常に難しい問題でありまして、また議会の方からも逆に、ぜひ案を出していただいて、現場というものの実情を踏まえた調整というものを、やっぱりしていかなくちゃならないと思うのです。
 それはやっぱり、東京の人口がふえるということ、人がたくさん住んで、まちがにぎわうことも結構でありますけれども、従来東京に居を踏まえて、日本の産業を一番見えないところで支えていた、そういう小さな企業、工場が余儀なくして消えていくということは、非常に無念でありますし、ひとつ議会の方からもいろいろアイデアを出していただきたいということを改めてお願いいたします。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 都立高等専門学校の今後のあり方についてのお尋ねでございますが、お話のとおり、都立高等専門学校から産業技術大学院に至る一貫したものづくり教育体系を構築しますことは、より専門性の高い実践的技術者を育成し、東京のものづくりの復権や、環境、エネルギー問題など大都市東京が抱える諸課題に対しまして、技術的側面から解決を図る上で、極めて意義があることと認識いたしております。
 このため、現在、東京都におけるものづくり一貫教育の観点から、都立高等専門学校の所管の見直しや、設置運営形態、大学院との接続方法等について、関係局並びに関係機関と検討を行っているところでございますが、ご指摘の点も踏まえまして、より具体的に協議、検討を進めてまいります。
   〔産業労働局長関谷保夫君登壇〕

○産業労働局長(関谷保夫君) 技術支援機能の充実についてのご質問にお答え申し上げます。
 ものづくり産業の育成を図る上で、中小企業が抱える技術課題の解決や技術水準の向上は不可欠であり、設備機器の開放や製品の試験などは、重要な技術支援策の一つであると認識しております。
 産業技術研究所は、平成十五年度に、設備機器の利用を約八千八百件、依頼による試験を約六万六千件受けるなど、中小企業の技術開発に大いに活用されているところでございます。
 今後とも、目まぐるしく変化し発展する技術動向を踏まえつつ、設備機器の更新を含め、計画的に技術支援機能の充実に努めてまいります。
   〔環境局長平井健一君登壇〕

○環境局長(平井健一君) メッキ工場の課題につきまして、土壌汚染対策に係る三点のご質問にお答えいたします。
 まず、資金力の乏しい事業者の土壌汚染調査に対する支援策についてでございます。
 工場が廃止された場合でありましても、建物を取り壊すことなく居住を続けるなど、調査することが困難なケースでは、調査の実施を猶予するなど、実態に即して対応してまいりました。
 また、建物を取り壊した場合であっても、事業者が調査を円滑に実施するためには、調査費用の軽減が重要な課題でございます。このため、環境科学研究所を中心に、民間とも協働して、低コストで簡易な測定法の開発を促進し、調査費用の低減化を図ってまいります。
 次に、工場跡地の有効利用についてですが、工場跡地に土壌汚染がある場合は、汚染の拡散を防止することが必要ですが、調査の結果、地下水の汚染がない場合は、地表面をアスファルト舗装するなど、比較的簡易な対策をとることができます。
 また、このような対策を講じた場合には、掘削工事などで汚染を拡散させない限り、駐車場やイベントでの使用など、さまざまな形で有効利用することも可能でございます。
 最後に、土壌汚染対策の実態などの周知についてでございますが、対策に要する費用負担が大きいことや、制度に関する理解が十分に浸透していないことが、工場跡地の適正な評価や円滑な取引の妨げとなっております。
 このため、低コストの技術開発促進を目的として、本年七月、事業者が処理技術や低コスト性を競う土壌汚染処理技術フォーラムを開催し、好評を得たところでございます。
 今後も、こうした取り組みを継続するほか、不動産業者や金融機関などに対しまして、対策事例に関する情報提供を行うなど、土壌汚染対策の正しい知識を普及し、工場跡地の評価の適正化や取引の円滑化に努めてまいります。
   〔福祉保健局長幸田昭一君登壇〕

○福祉保健局長(幸田昭一君) 福祉のまちづくりに関します二点のご質問にお答えいたします。
 まず、モデル事業についてでありますが、この事業は、区市町村が地域の特性やニーズを踏まえたテーマを設定し、創意工夫を凝らして取り組む、先駆的な福祉のまちづくり事業に対して都が支援するものであります。
 駅や商店街などの一定の区域を、ハード、ソフト両面から集中的、一体的に整備できることから、区市町村の関心も大変高く、選定枠の二件に対しまして、六つの区市から応募があり、その計画内容はいずれも意欲的なものでありました。
 また、事業計画のプレゼンテーションを公開で行いましたが、その際、多数の自治体関係者などが傍聴に訪れておりまして、この事業に対する関心には高いものがございました。
 次に、福祉のまちづくりモデル事業の展開についてでありますが、東京をだれもが暮らしやすいまちにしていくために、先駆的な福祉のまちづくりの取り組みを支援し、それを全都的に波及させていくことは極めて重要であります。
 今回選定したモデル事業においては、商店街の店舗のバリアフリー化、店舗と歩道との段差解消、音声による誘導や統一的な案内表示の整備など、ユニバーサルデザインの考え方に基づく、連続性のある一体的、面的な整備が計画されております。
 今後、こうした先駆的な取り組み内容や手法を幅広くPRすることなどにより、だれもが安心して快適に暮らすことのできる福祉のまちづくりの普及促進に努めてまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君) まちづくりに関する六点のご質問にお答えいたします。
 まず、太子堂・三宿地区の木造住宅密集地域での主な取り組みについてでございますが、当地区では、約八千平方メートルの三宿の森緑地を世田谷区が整備し、引き続いて、地区中央の区道拡幅の地元説明を行っております。
 こうした取り組みにあわせ、都は、地区内を通る補助第二六号線を、第三次事業化計画の優先整備路線に選定いたしました。
 また、国立小児病院跡地及びその周辺では、都市再生機構や東京都住宅供給公社などが、道路や公園の基盤整備と良質な住宅供給を一体的に進めております。
 今後も、都、区などが連携して、多様な施策を計画的に展開し、木造住宅密集地域の防災性の向上に努めてまいります。
 次に、都営池尻アパートの建てかえについてでありますが、当団地は、本年度中に建築工事に着手する予定であり、現在、近隣の町会や住民に対し説明を行っております。
 建てかえに当たりましては、良好な住環境の形成はもとより、敷地の有効活用や地域のまちづくりにも貢献することが重要であります。そのため、防災まちづくり用地を創出し、木造住宅密集地域の整備への活用を検討するとともに、高齢者福祉施設の併設、歩道状空地や広場、地域開放型の集会所の整備を予定しております。
 今後とも、地元区と連携し、周辺環境やまちづくりに配慮し、建てかえ事業を進めてまいります。
 次に、京王線の踏切対策についてでございますが、京王線の笹塚─仙川間七キロの区間には、優先整備路線である放射第二三号線を初め、京王線と交差する未整備の都市計画道路が七本ございます。また、同区間には二十五カ所の踏切があり、これらのほとんどが、ピーク時間帯一時間当たりの遮断時間が五十分以上となっているなど、交通の円滑化や地域分断の解消が課題となっております。
 このため、本年六月に策定いたしました踏切対策基本方針の中で、鉄道立体化の可能性を検討していくべき区間として位置づけたところであります。
 都としては、引き続き、地元区が設置している検討会に参画し、沿線まちづくりと一体となった道路と鉄道の立体化について、関係者とともに議論を重ねてまいります。
 次に、二子玉川東地区市街地再開発事業の推進についてでございますが、この事業は、民間が主体となった大規模な再開発であり、鉄道、バスなどの交通結節点の機能強化を図るため、交通広場や道路を整備いたします。加えて、国分寺崖線や多摩川の豊かな自然と調和した、住宅、商業、業務の機能を兼ね備えた複合拠点の整備を行うものでございます。
 都といたしましては、地元区と連携して、本事業を適切に誘導し、円滑な事業推進に向け支援してまいります。
 次に、地区内の既存商店街への対応についてでございますが、本事業では、にぎわいのある商店街の形成を図るため、駅周辺の施設建築物の低層部に、連続性を持った小規模店舗を配置する計画としております。
 こうしたスペースを活用し、これまで地域を支えてきた地元の商店街が営業を継続していくことは、地域の個性を生かしたまちづくりにつながるものでございます。
 今後は、地元区とともに、施行者となる再開発組合と協議、調整しながら、魅力ある商店街の形成を促してまいります。
 最後に、周辺道路の自動車交通対策についてでございますが、二子玉川地区は、交通の結節点となっているものの、交通広場や駅周辺道路の整備が十分ではなく、事業地区周辺の交通渋滞が慢性化している状況にあります。このため、本事業により、交通広場、道路などの基盤整備を行うとともに、地区外についても、都市計画道路の整備を進め、道路のネットワークを強化していく必要があります。
 都といたしましては、自動車交通の円滑化に向け、本再開発事業の進捗にあわせ周辺の都市基盤整備が推進されるよう、区とともに取り組んでまいります。
   〔下水道局長二村保宏君登壇〕

○下水道局長(二村保宏君) 浸水対策についての三つの質問にお答えいたします。
 まず、雨水整備クイックプランの重点地区についてでございますが、これまで、雨水調整池や貯留管を整備するほか、既設の下水道管の排水能力不足を補うバイパス管の新設や、下水道管をより大きな管に入れかえる対策などを実施してまいりました。計画期間の前半が終了した平成十五年度末までに、計画三十地区のうち、十二地区が完了したところでございます。
 バイパス管を新設した北区西ケ原地区や、より大きな管に入れかえた新宿区中落合地区を例に挙げますと、これまでは、一時間五〇ミリ以下の降雨でもたびたび浸水被害が発生しておりましたが、対策完了後には、一時間五〇ミリを超える降雨でも浸水被害が発生しないなど、確実に効果があらわれているところでございます。
 次に、新・雨水整備クイックプランにおける都と区の役割分担についてでありますが、都は、雨水調整池や貯留管などの基幹的な施設を整備しております。また、お客様みずからも浸水への備えを行っていただくために、東京アメッシュ等による降雨情報の提供や、区等の水防活動を支援するために、光ファイバーを活用した下水道幹線内の水位情報の提供などを行っております。
 一方、区は、雨水を速やかに下水道施設に取り入れるための区道の雨水ますの増設や清掃、雨水を浸透させる透水性舗装の整備などを実施しているところであります。
 このように都と区が役割を分担し、連携を図りながら、効果的に浸水対策を推進しております。
 最後に、世田谷区上馬地区についてでございますが、当地区は、都と区で雨水対策連絡会を設置し、雨水調整池や貯留管などの施設整備を、計画段階から緊密な連携のもとに進めております。
 このうち、雨水調整池は、既に本年三月に工事に着手し、また雨水貯留管は、年度内には工事に着手する予定となっており、平成十九年度末には当地区の対策を完了する見通しでございます。
 両施設の完成により、二十五メートルプール約二十個分に相当する五千七百立方メートルの雨水が貯留できることになり、浸水被害の大幅な軽減を図ることができるものと考えております。
 今後とも、区と連携いたしまして、浸水対策に積極的に取り組んでまいります。
   〔港湾局長成田浩君登壇〕

○港湾局長(成田浩君) 臨海副都心のにぎわいの創出についての二点のご質問にお答えいたします。
 まず、臨海副都心の開業予定の事業についてでございますが、平成十三年以降、土地処分における売却方式の導入や、りんかい線延伸などの交通アクセスの改善等により、事業者の進出意欲が喚起され、企業集積が進展しております。
 今後は、平成十七年一月に大手企業の業務中枢ビルが、また三月以降には、高度先進医療を担う病院やバイオ・IT融合研究施設が開業予定でございます。
 十八年以降も、有明北地区の私立中学・高校の開校に始まって、数件の施設が順次開業予定でありまして、暫定利用等も含めた土地活用の割合は、現在、約八割に達しているところでございます。
 次に、にぎわいのあるまちづくりについてでございます。
 臨海副都心がさらに発展していくためには、企業集積の促進だけではなく、まちを訪れる来街者を増加させるため、継続的ににぎわいをつくり出していくことも大切であると認識しております。
 このため、第十回目を迎えるトライアスロン大会などに加え、先日、二万人を集めた「東京JAZZ二〇〇四」のような文化イベントを展開するなど、常に脚光を浴びる新たな催しを打ち出していく中で、臨海副都心の地域ブランドを形成し、魅力ある地域づくりを進めてまいります。
 今後も、民間と緊密に連携しながら、臨海らしさを生かし、来街者を引きつける戦略的なまちづくりに取り組んでまいります。

○議長(内田茂君) 十番伊沢けい子さん。
   〔十番伊沢けい子君登壇〕

○十番(伊沢けい子君) 私は、都の教育行政において、個人情報が条例に従って公正に取り扱われることによって、生徒、保護者、教員、そして都民全体のプライバシーが尊重され、公正な教育行政が行われるよう求める立場から質問いたします。
 生活文化局が出している情報公開事務の手引には、個人情報の取り扱いについてこう書いてあります。個人情報に関する情報は、一度開示されると、当該個人に対して回復しがたい損害を与えることがある、個人のプライバシーに関する情報は、個人の尊厳及び基本的人権の尊重の立場から最大限に尊重するものとする、と書いてあります。
 東京都の個人保護条例の改定が十二月議会でも行われようとしている中で、東京都の行政の職員及び都議会議員自身の個人情報への理解と厳正なる運用がされなければ、都民の信頼を得ることはできません。
 しかし、大変憂慮すべきことに、現実には条例に明らかに違反することが起こっております。
 平成十一年、当時、足立十六中で社会科教員として勤めていた増田都子教諭の個人情報の載った処分説明書、発令通知書、服務事故報告書及び研修所での報告書が、土屋都議、古賀都議、田代都議に教育庁から情報提供され、これらの書類が全くそのままで、全開示の形で、翌平成十二年十一月十日に三都議によって著された著書に掲載され、不特定多数の人たちに個人情報が流れることになり、増田教諭は、プライバシーの侵害、そしてそのことによる精神的被害を理由として、都教委を相手に裁判を起こしています。
 そこで、生活文化局長にお尋ねします。
 都教委は、個人情報を三都議に提供したのは、個人情報第十条二項六号の目的外提供に相当するといっています。そして、情報提供される相手先のうち、東京都議会及び東京都公安委員会があるので、これによって提供したそうです。
 そこでお聞きしますが、東京都議会と書いてあるのは、合議体としての都議会に加えて、都議会議員自身も含まれるのでしょうか。
 もしそうだとすれば、ここに百二十七人いる都議個人がそれぞれ実施機関に個人情報を求めれば、都の情報公開条例及び個人保護条例で禁止されている個人情報を、実施機関の自由裁量で幾らでも都議個人に提供できることになります。すなわち、実施機関は、都の条例を破る自由裁量があるのでしょうか。
 そもそも、今回の個人情報の開示は、情報公開条例の中の中核をなす公文書開示制度ではなく、情報公開条例第三章三十二条の情報提供という考えに基づいて行われたと都教委はいっています。しかし、この情報提供という考え方は、報道機関や都民に、都政に関する情報を公にすることを予定しているのであって、都条例で禁止している個人情報を、実施機関が、都議個人に自由に提供できる根拠になるのでしょうか。
 また、これまでに、実施機関が、処分説明書、発令通知書、服務事故報告書、研修所での報告書と同様の個人情報を都議会に渡したような例を、生活文化局では過去に把握していますか。
 わかりやすくいいますと、教育庁は情報公開条例、そして個人保護条例に関して超法規的な存在になっているのです。土屋都議たちに全開示で提供された増田教諭の個人情報は、昨日、私が教育庁に要求しますと、やはり全開示の形で、公文書開示制度も経ないで出てくるのです。つまり、ここの百二十七人のうち、皆さんがそれを開示すれば、増田教諭の情報は今でも全開示で、何も墨塗りなしで出てくるというわけです。ということは、これは個人情報漏えいが日常的に教育庁によって行われている動かぬ証拠だと私は思います。
 そして、第三者の都民、そして本人にも開示されない個人情報が都議には出される。そして、今度はもらった側の問題です。こうして出された情報を利用して行われたのが、本などで個人情報を公開することによる三都議が行った人権侵害です。これは本当におかしいんじゃないでしょうか。(発言する者あり)
 昨年十二月十五日に都議会議事堂第一会議室にて、先ほどの三都議の主催で、過激性教育を許さない都民集会と題する集会が開かれました。これは、マスコミも含めてだれでも参加できる性格の集会でした。そこで参加者に配られていた資料の中に、七生養護学校の教職員情報誌が三枚入っておりました。この情報の中には、特定の教職員の名前が入っていました。
 私は、これは個人情報にかかわるものなので、一体どういう経路でこの情報が主催者に渡ったのか、昨日、教育庁指導部の職員を呼んで確認しました。そうしたら、これは、昨年六月中旬に七生養護学校から押収した資料を、昨年六月三十日に、現在、指導部の副参事や指導主事である薄井氏、小林氏、半澤氏三名が一緒に土屋都議に渡したとのことでした。
 そこで、私は、これは個人情報ではないですかと昨日お聞きしました。生活文化局に確認したところ、これは個人情報だとはっきりといわれました。しかし、驚いたことに、土屋都議に情報を提供したと答えた薄井氏も同席したにもかかわらず、これは個人情報かどうかわからないという結論だったのです。また、指導企画課長は、私は個人情報ではないと思うがという感じでした。つまり、昨年十二月に集会で配られた資料が個人情報かどうかについて私が尋ねているのに、個人情報かどうか調べますから、あしたまで待ってくださいときのういわれたんです。
 つまり、情報提供した教育庁の職員が、情報公開条例でみだりに公にすることのないよう最大限の配慮をしなければならないとうたわれている個人情報が、教育の職員の手によって、個人情報であるかどうかもわからないままに、昨年、土屋都議に渡され、それが十二月の集会で不特定多数の人に配られたのです。これが教育庁の情報提供の実態です。要するに個人情報が何かということも判断できない職員たちが、自由裁量でもって情報を都議に渡すことができるわけです。
 これは、情報を公開された七生養護学校の当事者への明らかなる人権侵害です。これは、平成十一年に増田教諭に対して行われたことも同様です。個人情報が情報公開条例第三十二条、情報提供、そして個人保護条例の目的外利用に当たるから個人情報を開示してよいのだと勝手に解釈し、自由裁量を行使して三都議に個人情報を開示したのです。そして、三都議たちによって、この個人情報が本にまでなって、不特定多数の人の目に触れることになったのです。このことの当事者への損害ははかり知れないと同時に、都民全体の都政への信頼を失うものです。
 こんな実態について、横山教育長、あなたはどう責任をとりますか。この法令違反の責任をどうとるのでしょうか。
 ことし、平成十六年七月十六日付で、横山教育長名で、都立学校長あてに、教職員の服務の厳正についてという通知が出されていますが、その中に、法令の遵守と個人情報にかかわる公文書などの管理について、改めて学校内の服務規律について点検するとともに、徹底した指導を行っていただきたいとあります。まず都庁内の職員について、みずからの個人情報にかかわる公文書などの管理について指導徹底してからでなければ、学校長に服務規律の指導など到底できないはずです。まずは教育庁内の職員たちに、個人情報にかかわる公文書などの管理について一から研修していただきたいと思いますが、いかがですか。
 また、都教委が教職員の職務に伴う非行の処分量を定めていますが、この中では秘密の漏えいは免職や停職の重い処分の対象となっています。当事者たちへの謝罪と、二度とこのようなことが起きないように厳正なる処分をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
 次に、知事に伺います。こうした都民の都政への信頼を根本から揺るがすようなことが教育庁内で起こっていますが、横山教育長を任命した知事としてどう対処するのでしょうか、お答えください。
 最後に、情報管理についてお尋ねします。
 増田教諭の処分説明書外三点の個人情報についてですが、研修状況報告書については、当時指導企画課長、現在指導部部長の近藤精一氏が土屋都議にファクスにて提供したことが明らかになっています。ちなみに、この研修状況報告書は増田教諭の病歴まで入った完全な個人情報です。しかし、処分説明書、発令通知書、事故報告書については、教育庁の中のだれが都議に渡したのか、本人が教育庁法務監察課に申し立てまで二○○二年に行っているにもかかわらず、いまだに明らかになっていません。
 これらの三点の書類は、教育庁人事部が管理していますが、裁判の準備書面の中には、人事部が提供した増田教諭の個人情報については古いことなので、だれが提供したかわからないと答えております。これで教育庁内の情報管理がきちんと行われているといえるのでしょうか。お答えください。
 また、これらの人事部の情報が、いつ、だれの手によって都議たちに渡ったのかを再調査して発表することを約束していただけますでしょうか。
 関係局の答弁を求め、再質問を留保いたしまして、質問を終わります。(拍手)
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 伊沢けい子議員の一般質問にお答えをいたします。
 お話の件は、東京都を被告として民事訴訟が提起をされております。現在、係争中の案件でございますが、質問の点については関連しますので、包括的に答弁をさせていただきます。
 まず、ご指摘の教員にかかわる情報の都議会議員の提供の件でございますが、この件にかかわります議員への情報提供は、東京都情報公開条例の開示請求に基づく開示ではございませんで、個人情報保護条例第十条第二項第六号によりまして、情報をチェックする立場にございます都議会議員に、行政機関がみずからの裁量により、保有する情報を提供する情報提供として都教委が行ったものでございます。
 なお、この本件情報の提供は、この提供した当時、本件教員の処分にかかわりまして、実名で既に新聞報道がなされ、都議会のみならず、区議会、国会でも取り上げられている状況がございまして、そういった状況を踏まえまして、提供することが法令上相当であると判断したものでございます。
 次に、昨年十二月に都議会議事堂会議室で開催されました過激性教育を許さない都民集会で配布されました七生養護学校の資料についてでございますが、この資料は、当時の校内性教育検討委員会が作成した情報誌と性教育に関する指導案でございます。お話のように、これらの資料には個人名が確かに掲載されておりますが、東京都情報公開条例第七条第二号の除外情報に該当しますことから、非開示とすべき個人情報ではないと判断したものでございます。
 なお、教育庁職員が議員に対し、確認した後、返答したいと対応したことにつきましては、これは組織的な対応として妥当な判断であると考えております。
   〔生活文化局長山内隆夫君登壇〕

○生活文化局長(山内隆夫君) お尋ねの三点の質問にお答えいたします。
 まず、個人情報保護条例第十条第二項第六号の実施機関等に都議会議員個人が含まれるかについてでございますが、この件は現在、裁判で係争中でございますけれども、都議会の議員については実施機関等に必ずしも含まれないものではないと解しております。
 次に、情報公開条例に基づく情報提供として都議会議員に個人情報を流すことが許されるかについてでございますが、情報公開条例における情報提供は事務事業を円滑に執行するために、自主的に、あるいは都民からの求めに応じて必要な資料等を提供し、情報を公にするものでございます。しかるに、個人情報はみだりに公にされるべきものではないことから、既に公になっているなどの例外的な場合を除き、提供されることはございません。
 また、個人情報保護条例第十条第二項に規定する六項目の例外事項に該当する場合は、目的外利用・提供ができるものでございます。
 最後に、お尋ねの四文書と同様の個人情報を都議会に渡したり、その情報を都議会議員が著書に掲載しているようなことを把握しているかについてでございますが、そのような事例については聞いておりません。
   〔十番伊沢けい子君登壇〕

○十番(伊沢けい子君) 今の答弁をお聞きいただきまして、恐らくいかに自由裁量でもって都議に渡っているのかということが、逆にわかったのではないかと思います。
 それで、日常的に都教委では、都議の権力を使えば個人情報が流れる、手に入れることができる。しかも、全面公開の個人情報、これは条例で禁止されている情報を得ることができるわけです。こういうことが許されるとすれば、都議を通じて幾らでも個人情報が都内では得られて(発言する者あり)それが場合によってはいかようにも流れていくという、都民にとっては本当に聞くも恐ろしい話が通用するということです。
 それから、先ほどの国会、都議会で増田教諭の情報が流れていたから扱っていいなどという、そんな理屈は全く通用しないと思います。
 生活文化局にお尋ねしますけれども、このように都議を通じて日常的に個人情報全面の公開の情報が流れることができる、こういう体制についていかにお考えか、お聞きしたいと思います。
   〔生活文化局長山内隆夫君登壇〕

○生活文化局長(山内隆夫君) お答えいたします。
 東京都における情報管理については、適正に管理されているものと考えております。

○議長(内田茂君) 以上をもって質問は終わりました。
○議長(内田茂君) これより日程に入ります。
 日程第一から第二十二まで、第百八十九号議案、平成十六年度東京都水道事業会計補正予算第一号外議案二十一件を一括議題といたします。
 本案に関し、提案理由の説明を求めます。
 副知事福永正通君。
   〔副知事福永正通君登壇〕

○副知事(福永正通君) ただいま上程になりました二十二議案につきましてご説明を申し上げます。
 初めに、平成十六年度補正予算案一件について申し上げます。
 第百八十九号議案は、水道事業会計補正予算(第一号)で、水道事業財政計画の策定に伴い、給水収益及び企業努力についての補正を行うものでございます。主な補正の額は、収入が、料金体系の見直しによる十五億三千万円の減額、固定資産売却等による十億一千万円の増額、支出が、コスト縮減等による十七億八千万円の減額となっております。
 次に、第百九十号議案から第二百二号議案の十三議案は、条例案でございます。
 第百九十二号議案の学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例及び第百九十三号議案並びに第百九十四号議案の三議案は、同趣旨の条例改正で、学校職員等の特殊勤務手当等について減額及び支給範囲の縮小を行うものでございます。
 第百九十五号議案の東京都立学校設置条例の一部を改正する条例は、中等教育の振興を図るため、都立白高等学校附属中学校、都立六本木高等学校等を設置するほか、規定を整備いたすものでございます。
 第百九十六号議案の東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例は、都立中学校の設置に伴い、入学考査料を定めるものでございます。
 第百九十七号議案の東京都建築安全条例の一部を改正する条例は、自動回転ドアによる重大事故を防止するため、自動回転ドアの安全基準を定めるほか、規定を整備いたすものであります。
 第二百号議案の東京都給水条例の一部を改正する条例は、使用者の節水を促し、負担の公平性の確保を図る観点から料金体系を見直し、水道料金を改定するとともに、中途使用に係る料金算定の方法等を改めるほか、口座振替割引制度に係る規定を定めるものであります。
 第二百一号議案の火災予防条例の一部を改正する条例は、地下駅舎に係る防火安全対策を推進するため、消防用設備等の設置基準を強化し、地下駅舎の防火管理に係る規定を設けるほか、規定を整備いたすものであります。
 ただいまご説明申し上げました条例を含め、一部を改正する条例は十三件となっております。
 次に、第二百三号議案から第二百七号議案までが契約案でございます。
 第二百四号議案、都営住宅十六H─一○一北(村山)工事、第二百五号議案、多摩大橋鋼けた製作・架設工事(その二)など合計五件、契約金額は総額で約七十五億二千七百万円となっております。
 次に、第二百八号議案から第二百十号議案の三件が事件案でございます。
 第二百九号議案の工作物収去土地明渡等の請求に関する民事訴訟の提起についてでございますが、本事件案は、江東区枝川の都有地を権原なく不法に占有している者に対し、工作物の収去及び土地の明け渡しを求めて地方自治法の規定に基づき、訴えを提起するものであります。
 上程になりました二十二議案についての説明は以上でございますが、このほか人事案を送付いたしております。
 まず、東京都教育委員会委員で、十月十九日に任期満了となります清水司氏の後任には、木村孟氏を任命いたしたいと存じます。
 次に、東京都公安委員会委員で、十月十九日に任期満了となります大勝也氏、安西邦夫氏の各氏につきましては、再任いたしたいと存じます。
 次に、東京都土地利用審査会委員で、十月二十四日に任期満了となります佐藤欣子氏の後任には澤井英久氏を、倉内宗一氏の後任には安倍澄子氏を、田代順孝氏の後任には池邊このみ氏の各氏を任命いたしたいと存じます。
 戸沼幸市氏、日端康雄氏、渡辺卓美氏、緒方瑞穂氏の各氏につきましては、再任いたしたいと存じます。
 同意につきまして、よろしくお願いをいたします。
 以上で説明を終わります。よろしくご審議をお願い申し上げます。

○議長(内田茂君) 以上をもって提案理由の説明は終わりました。
 なお、本案中、地方公務員法第五条第二項の規定に該当する議案については、あらかじめ人事委員会の意見を徴しておきました。
 議事部長をして報告いたさせます。

○議事部長(谷村隆君) 人事委員会の回答は、第百九十二号議案、第百九十三号議案及び第百九十四号議案について、いずれも異議はないとの意見であります。

一六人委任第八四号
平成十六年九月十四日
東京都人事委員会委員長 内田 公三
 東京都議会議長 内田  茂殿
「職員に関する条例」に対する人事委員会の意見聴取について(回答)
 平成十六年九月十四日付一六議事第一九三号をもって照会があった議案に係る人事委員会の意見は、左記のとおりです。
       記
   提出議案
一 第百九十二号議案
  学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
二 第百九十三号議案
  学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
三 第百九十四号議案
  東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
   意見
異議ありません。

○議長(内田茂君) お諮りいたします。
 ただいま議題となっております日程第一から第二十二までは、お手元に配布の議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、日程第一から第二十二までは、議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。
(別冊参照)

○議長(内田茂君) 日程第二十三、平成十五年度東京都各会計歳入歳出決算の認定についてを議題といたします。
   〔谷村議事部長朗読〕
一、平成十五年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について

一六財主議第三一〇号
平成十六年九月二十一日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 内田  茂殿
   平成十五年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
 このことについて、地方自治法第二百三十三条の規定により、左記のとおり送付しますので、東京都議会の認定をよろしくお願いします。
       記
一 平成十五年度東京都各会計歳入歳出決算書
二 平成十五年度東京都各会計歳入歳出決算事項別明細書
三 平成十五年度実質収支に関する調書
四 平成十五年度財産に関する調書
五 平成十五年度決算審査意見書
六 平成十五年度主要施策の成果
七 平成十五年度東京都決算参考書
(決算書等省略)

○六十七番(近藤やよい君) 本件は、三十一人の委員をもって構成する平成十五年度各会計決算特別委員会を設置し、これに付託されることを望みます。

○議長(内田茂君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、三十一人の委員をもって構成する平成十五年度各会計決算特別委員会を設置し、これに付託することに決定いたしました。
 委員は、委員会条例第五条第一項の規定により、議長から、お手元に配布の名簿のとおり指名いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、委員は、お手元に配布の名簿のとおり選任することに決定いたしました。

   平成十五年度各会計決算特別委員名簿
 東村 邦浩君(公)  野上じゅん子君(公)
 山加 朱美君(自)  松原 忠義君(自)
 田代ひろし君(自)  三宅 茂樹君(自)
 川井しげお君(自)  大津 浩子君(民)
 古館 和憲君(共)  松村 友昭君(共)
 森田 安孝君(公)  石川 芳昭君(公)
 遠藤  衛君(自)  鈴木あきまさ君(自)
 串田 克巳君(自)  樺山たかし君(自)
 宮崎  章君(自)  大西由紀子君(ネ)
 東ひろたか君(共)  大木田 守君(公)
 星野 篤功君(自)  いなば真一君(自)
 小山 敏雄君(自)  田中  良君(民)
 藤川 隆則君(民)  坂口こうじ君(民)
 桜井  武君(自)  藤田 愛子君(ネ)
 尾崎 正一君(民)  富田 俊正君(民)
 吉田 信夫君(共)

○議長(内田茂君) なお、本日の本会議終了後、役員互選のため、委員会を第十二委員会室に招集いたしますので、ご了承願います。

○議長(内田茂君) 日程第二十四、平成十五年度東京都公営企業各会計決算の認定についてを議題といたします。
   〔谷村議事部長朗読〕
一、平成十五年度東京都公営企業各会計決算の認定について

一六財主議第三一一号
平成十六年九月二十一日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 内田  茂殿
平成十五年度東京都公営企業各会計決算の認定について
 このことについて、地方公営企業法第三十条第四項の規定に基づき、左記のとおり送付しますので、東京都議会の認定についてよろしくお願いいたします。
       記
一 平成十五年度東京都病院会計決算書及び同決算審査意見書
二 平成十五年度東京都中央卸売市場会計決算書及び同決算審査意見書
三 平成十五年度東京都都市再開発事業会計決算書及び同決算審査意見書
四 平成十五年度東京都臨海地域開発事業会計決算書及び同決算審査意見書
五 平成十五年度東京都港湾事業会計決算書及び同決算審査意見書
六 平成十五年度東京都交通事業会計決算書及び同決算審査意見書
七 平成十五年度東京都高速電車事業会計決算書及び同決算審査意見書
八 平成十五年度東京都電気事業会計決算書及び同決算審査意見書
九 平成十五年度東京都水道事業会計決算書及び同決算審査意見書
十 平成十五年度東京都工業用水道事業会計決算書及び同決算審査意見書
十一 平成十五年度東京都下水道事業会計決算書及び同決算審査意見書
(決算書等省略)

○六十七番(近藤やよい君) 本件は、二十三人の委員をもって構成する平成十五年度公営企業会計決算特別委員会を設置し、これに付託されることを望みます。

○議長(内田茂君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、二十三人の委員をもって構成する平成十五年度公営企業会計決算特別委員会を設置し、これに付託することに決定いたしました。
 委員は、委員会条例第五条第一項の規定により、議長から、お手元に配布の名簿のとおり指名いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、委員は、お手元に配布の名簿のとおり選任することに決定いたしました。

   平成十五年度公営企業会計決算特別委員名簿
 谷村 孝彦君(公)  村上 英子君(自)
 高橋かずみ君(自)  酒井 大史君(民)
 かち佳代子君(共)  真鍋よしゆき君(自)
 鈴木 一光君(自)  吉野 利明君(自)
 執印真智子君(ネ)  真木  茂君(民)
 木内 良明君(公)  土持 正豊君(公)
 近藤やよい君(自)  中屋 文孝君(自)
 馬場 裕子君(民)  和田 宗春君(民)
 池田 梅夫君(共)  前島信次郎君(公)
 古賀 俊昭君(自)  立石 晴康君(自)
 清原錬太郎君(自)  大河原雅子君(ネ)
 渡辺 康信君(共)

○議長(内田茂君) なお、本日の本会議終了後、役員互選のため、委員会を第四委員会室に招集いたしますので、ご了承願います。

○議長(内田茂君) これより追加日程に入ります。
 追加日程第一、東京都教育委員会委員の任命の同意についてを議題といたします。
   〔谷村議事部長朗読〕
一、東京都教育委員会委員の任命の同意について一件

一六財主議第二九九号
平成十六年九月二十一日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 内田  茂殿
   東京都教育委員会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、東京都教育委員会委員清水司は平成十六年十月十九日任期満了となるため、後任として左記の者を任命したいので、地方教育行政の組識及び運営に関する法律第四条第一項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     木村  孟

      略歴
木村  孟
昭和十三年三月八日生(六十六歳)
昭和三十六年三月 東京大学土木学科卒業
昭和三十九年三月 東京大学大学院修士課程土木工学専攻修了
昭和五十七年四月 東京工業大学教授
平成二年四月   東京工業大学工学部長
平成五年十月   東京工業大学学長
平成九年十月   東京工業大学名誉教授
平成十年四月   文部省(現文部科学省)学位授与機構長
平成十二年四月  文部省(現文部科学省)大学評価・学位授与機構長(学位授与機構から改組)
平成十六年四月  独立行政法人大学評価・学位授与機構長(大学評価・学位授与機構が独立行政法人化)
現在       独立行政法人大学評価・学位授与機構長第二期中央教育審議会副会長

○議長(内田茂君) 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、知事の任命に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(内田茂君) 起立多数と認めます。よって、本件は、知事の任命に同意することに決定いたしました。

○議長(内田茂君) 追加日程第二、東京都公安委員会委員の任命の同意についてを議題といたします。
   〔谷村議事部長朗読〕
一、東京都公安委員会委員の任命の同意について一件

一六財主議第三〇〇号
平成十六年九月二十一日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 内田  茂殿
   東京都公安委員会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成十六年十月十九日任期満了となるため、再び任命したいので、警察法第三十九条第一項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     大 勝也

      略歴
現住所 東京都文京区
大 勝也
昭和三年九月十日生(七十五歳)
昭和二十五年十一月 司法試験合格
昭和二十六年三月  東京大学法学部卒業
昭和二十六年四月  司法修習生(東京)
昭和二十八年四月  京都地方裁判所判事補兼京都家庭裁判所判事補
昭和三十三年三月  最高裁判所総務局付
昭和三十六年四月  函館地方裁判所判事補兼函館家庭裁判所判事補
昭和三十八年四月  函館地方裁判所判事兼函館家庭裁判所判事
昭和三十九年四月  最高裁判所総務局第二課長兼第三課長
昭和四十一年六月  最高裁判所総務局第一課長兼制度調査室長
昭和四十三年八月  東京地方裁判所判事
昭和四十五年七月  大阪高等裁判所判事
昭和四十六年五月  大阪地方裁判所判事部総括
昭和四十九年四月  東京地方裁判所判事
昭和四十九年六月  東京地方裁判所判事部総括
昭和五十年五月   最高裁判所秘書課長兼広報課長
昭和五十二年九月  最高裁判所総務局長
昭和五十六年二月  最高裁判所人事局長
昭和五十九年九月  最高裁判所事務次長
昭和六十年六月   甲府地方裁判所長
          甲府家庭裁判所長
昭和六十一年十二月 東京高等裁判所判事部総括
昭和六十三年二月  最高裁判所事務総長
平成元年十一月   東京高等裁判所長官
平成三年五月    最高裁判所判事
平成十年九月    最高裁判所判事退官
平成十年十月    東京都公安委員会委員
平成十年十一月   弁護士登録(第一東京弁護士会)
平成十二年四月   宮内庁参与
平成十四年七月   東京都公安委員会委員長代理
平成十五年十月   東京都公安委員会委員長
現在        弁護士

○議長(内田茂君) 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、知事の任命に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(内田茂君) 起立多数と認めます。よって、本件は、知事の任命に同意することに決定いたしました。

○議長(内田茂君) 追加日程第三、東京都公安委員会委員の任命の同意についてを議題といたします。
   〔谷村議事部長朗読〕
一、東京都公安委員会委員の任命の同意について一件

一六財主議第三〇一号
平成十六年九月二十一日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 内田  茂殿
東京都公安委員会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成十六年十月十九日任期満了となるため、再び任命したいので、警察法第三十九条第一項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     安西 邦夫

      略歴
現住所 東京都渋谷区
安西 邦夫
昭和八年十月二十五日生(七十歳)
昭和三十一年三月 慶応義塾大学法学部 卒業
昭和三十一年四月 東京瓦斯株式会社 入社
昭和五十七年六月 東京瓦斯株式会社 取締役
昭和五十八年六月 東京瓦斯株式会社 常務取締役
昭和六十一年六月 東京瓦斯株式会社 代表取締役専務取締役
昭和六十三年六月 東京瓦斯株式会社 代表取締役副社長
平成元年四月   東京瓦斯株式会社 代表取締役社長
平成二年五月   経済団体連合会理事
平成二年五月   日本経営者団体連盟常任理事(政策委員)
平成五年四月   経済同友会幹事
平成九年五月   全国法人会総連合会会長
平成九年五月   東京法人会連合会会長
平成九年十二月  経済団体連合会・日本ロシア経済委員会委員長
平成十年六月   日本瓦斯協会副会長
平成十年十月   総務省情報通信審議会(旧郵政省電気通信審議会)委員
平成十一年六月  東京瓦斯株式会社 代表取締役会長
平成十一年七月  経済団体連合会常任理事
平成十二年十一月 東京商工会議所議員
平成十三年七月  東京商工会議所特別顧問
平成十三年十月  東京都公安委員会委員
平成十四年五月  日本経済団体連合会常任理事
平成十四年六月  日本ガス協会会長
平成十四年六月  東京商工会議所副会頭
平成十四年八月  経済産業省総合資源エネルギー調査会委員
平成十五年四月  厚生労働省労働政策審議会委員
平成十六年四月  全国社会保険協会連合会会長
平成十六年四月  東京社会保険協会会長
現在       東京瓦斯株式会社 代表取締役会長

○議長(内田茂君) 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、知事の任命に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(内田茂君) 起立多数と認めます。よって、本件は、知事の任命に同意することに決定いたしました。

○議長(内田茂君) 追加日程第四から第十まで、東京都土地利用審査会委員の任命の同意について七件を一括議題といたします。
   〔谷村議事部長朗読〕
一、東京都土地利用審査会委員の任命の同意について七件

一六財主議第三〇二号
平成十六年九月二十一日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 内田  茂殿
東京都土地利用審査会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、東京都土地利用審査会委員佐藤欣子は平成十六年十月二十四日任期満了となるため、後任として左記の者を任命したいので、国土利用計画法第三十九条第四項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     澤井 英久

      略歴
現住所 東京都文京区
澤井 英久
昭和二十三年七月二十三日生(五十六歳)
昭和四十八年三月 一橋大学法学部卒業
昭和四十八年四月 司法研修所入所
昭和五十年四月  弁護士登録(第二東京弁護士会)
昭和五十四年三月 澤井法律事務所開設
平成十四年十月  新四谷法律事務所開設
現在       弁護士(新四谷法律事務所 代表弁護士)

一六財主議第三〇三号
平成十六年九月二十一日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 内田  茂殿
   東京都土地利用審査会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、東京都土地利用審査会委員倉内宗一は平成十六年十月二十四日任期満了となるため、後任として左記の者を任命したいので、国土利用計画法第三十九条第四項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     安倍 澄子

      略歴
現住所 神奈川県茅ヶ崎市
安倍 澄子
昭和二十三年十月二十七日生(五十五歳)
昭和四十六年三月 日本女子大学家政学部家政経済学科卒業
昭和五十年三月  東京教育大学大学院農学研究科農政学専攻修士課程修了
昭和五十年十月  社団法人農村生活総合研究センター勤務
昭和五十二年十月 社団法人農村生活総合研究センター 研究員
平成四年五月   社団法人農村生活総合研究センター 主任研究員
平成十六年四月  社団法人全国農業改良普及支援協会 主任研究員(農村生活総合研究センターが組織統合)
現在       社団法人全国農業改良普及支援協会 主任研究員

一六財主議第三〇四号
平成十六年九月二十一日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 内田  茂殿
   東京都土地利用審査会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、東京都土地利用審査会委員田代順孝は平成十六年十月二十四日任期満了となるため、後任として左記の者を任命したいので、国土利用計画法第三十九条第四項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     池邊このみ

      略歴
現住所 東京都新宿区
池邊このみ
昭和三十二年八月三十一日生(四十七歳)
昭和五十六年三月 千葉大学園芸学部造園学科卒業
昭和五十八年三月 千葉大学大学院修士課程修了(都市緑地計画学専攻)
昭和五十八年から 千葉大学園芸学部研究生
昭和六十年から  株式会社タム地域環境研究所 協力社員
         株式会社マヌ都市建築研究所 研究員
昭和六十三年九月 株式会社住信基礎研究所 研究員
平成十五年二月  株式会社ニッセイ基礎研究所 上席主任研究員
現在       株式会社ニッセイ基礎研究所 上席主任研究員

一六財主議第三〇五号
平成十六年九月二十一日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 内田  茂殿
   東京都土地利用審査会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成十六年十月二十四日任期満了となるため、再び任命したいので、国土利用計画法第三十九条第四項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     戸沼 幸市

      略歴
現住所 東京都練馬区
戸沼 幸市
昭和八年四月十九日生(七十一歳)
昭和三十四年三月 早稲田大学理工学部卒業
昭和四十一年三月 早稲田大学大学院理工学研究科博士課程修了
昭和四十一年四月 早稲田大学大学院助手
昭和四十七年四月 早稲田大学助教授
昭和五十二年四月 早稲田大学教授
平成十六年四月  早稲田大学名誉教授
現在       早稲田大学名誉教授

一六財主議第三〇六号
平成十六年九月二十一日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 内田  茂殿
   東京都土地利用審査会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成十六年十月二十四日任期満了となるため、再び任命したいので、国土利用計画法第三十九条第四項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     日端 康雄

      略歴
現住所 東京都杉並区
日端 康雄
昭和十八年一月一日生(六十一歳)
昭和四十二年三月  東京大学工学部都市工学科卒業
昭和四十二年四月  日本住宅公団入社
昭和四十六年九月  東京大学工学部助手
昭和五十七年二月  東京大学工学部助教授
昭和五十七年十一月 筑波大学社会工学系助教授(東京大学工学部助教授併任─昭和六十年三月まで)
平成六年四月    慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授
現在        慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授

一六財主議第三〇七号
平成十六年九月二十一日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 内田  茂殿
   東京都土地利用審査会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成十六年十月二十四日任期満了となるため、再び任命したいので、国土利用計画法第三十九条第四項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     渡辺 卓美

      略歴
現住所 神奈川県小田原市
渡辺 卓美
昭和二十年十一月五日生(五十八歳)
昭和四十五年三月  早稲田大学法学部卒業
昭和四十五年四月  財団法人日本不動産研究所入社
昭和四十九年九月から昭和五十一年九月 米国ミシガン大学派遣留学
平成三年六月    財団法人日本不動産研究所研究部次長
平成十年四月    財団法人日本不動産研究所東東京支所副支所長
平成十三年九月   財団法人日本不動産研究所国際業務担当上席主幹
現在        財団法人日本不動産研究所
          国際業務担当上席主幹

一六財主議第三〇八号
平成十六年九月二十一日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 内田  茂殿
   東京都土地利用審査会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成十六年十月二十四日任期満了となるため、再び任命したいので、国土利用計画法第三十九条第四項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     緒方 瑞穂

      略歴
現住所 神奈川県川崎市
緒方 瑞穂
昭和二十二年三月六日生(五十七歳)
昭和四十五年三月 慶應義塾大学法学部法律学科卒業
昭和五十一年十月 株式会社大河内不動産鑑定事務所入社
昭和五十八年一月 株式会社緒方不動産鑑定事務所開設
昭和六十年四月  株式会社緒方不動産鑑定事務所名古屋支所開設
平成八年七月   株式会社緒方不動産鑑定事務所横浜支所開設
現在       不動産鑑定士(株式会社緒方不動産鑑定事務所)

○議長(内田茂君) お諮りいたします。
 本件は、いずれも知事の任命に同意することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、いずれも知事の任命に同意することに決定いたしました。

○議長(内田茂君) 請願及び陳情の付託について申し上げます。
 受理いたしました請願十九件及び陳情三十五件は、お手元に配布の請願・陳情付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
(別冊参照)

○議長(内田茂君) お諮りいたします。
 明三十日から十月六日まで七日間、委員会審査のため休会いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、明三十日から十月六日まで七日間、委員会審査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、十月七日午後一時に開きます。
 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後七時三分散会

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