平成十六年東京都議会会議録第十二号

平成十六年九月二十八日(火曜日)
 出席議員(百二十名)
一番谷村 孝彦君
二番東村 邦浩君
三番村上 英子君
四番秋田 一郎君
五番矢島 千秋君
六番鳩山 太郎君
七番後藤 雄一君
八番福士 敬子君
九番林  知二君
十番伊沢けい子君
十一番新井美沙子君
十二番相川  博君
十三番山下 太郎君
十五番河野百合恵君
十六番長橋 桂一君
十七番小磯 善彦君
十八番野上じゅん子君
二十番北城 貞治君
二十一番高橋かずみ君
二十二番山加 朱美君
二十三番小美濃安弘君
二十四番吉原  修君
二十五番山田 忠昭君
二十六番臼井  孝君
二十七番林田  武君
二十九番山口 文江君
三十番柿沢 未途君
三十一番初鹿 明博君
三十二番酒井 大史君
三十三番清水ひで子君
三十四番かち佳代子君
三十五番小松 恭子君
三十六番東野 秀平君
三十七番藤井  一君
三十八番ともとし春久君
四十一番野島 善司君
四十二番真鍋よしゆき君
四十三番松原 忠義君
四十四番田代ひろし君
四十五番三宅 茂樹君
四十六番川井しげお君
四十七番鈴木 一光君
四十八番吉野 利明君
四十九番こいそ 明君
五十番執印真智子君
五十一番花輪ともふみ君
五十二番真木  茂君
五十三番大津 浩子君
五十四番大塚 隆朗君
五十六番古館 和憲君
五十七番松村 友昭君
五十八番丸茂 勇夫君
五十九番木内 良明君
六十番鈴木貫太郎君
六十一番森田 安孝君
六十二番石川 芳昭君
六十三番土持 正豊君
六十四番倉林 辰雄君
六十五番遠藤  衛君
六十六番鈴木あきまさ君
六十七番近藤やよい君
六十八番串田 克巳君
六十九番中屋 文孝君
七十番三原 將嗣君
七十一番樺山たかし君
七十二番田島 和明君
七十三番宮崎  章君
七十四番大西由紀子君
七十五番樋口ゆうこ君
七十六番中村 明彦君
七十七番馬場 裕子君
七十八番和田 宗春君
八十番大山とも子君
八十一番東ひろたか君
八十二番池田 梅夫君
八十三番中山 秀雄君
八十四番大木田 守君
八十五番前島信次郎君
八十六番桜井良之助君
八十七番新藤 義彦君
八十八番星野 篤功君
八十九番いなば真一君
九十番高島なおき君
九十一番服部ゆくお君
九十二番古賀 俊昭君
九十三番山本賢太郎君
九十四番立石 晴康君
九十五番清原錬太郎君
九十六番小山 敏雄君
九十七番大山  均君
九十八番大河原雅子君
九十九番田中  良君
百番小林 正則君
百一番藤川 隆則君
百二番坂口こうじ君
百三番曽根はじめ君
百四番渡辺 康信君
百五番秋田かくお君
百六番中嶋 義雄君
百七番石井 義修君
百八番橋本辰二郎君
百九番藤井 富雄君
百十番桜井  武君
百十一番野田 和男君
百十二番野村 有信君
百十三番比留間敏夫君
百十四番大西 英男君
百十五番山崎 孝明君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十番田中 晃三君
百二十一番藤田 愛子君
百二十二番尾崎 正一君
百二十三番土屋たかゆき君
百二十四番富田 俊正君
百二十五番名取 憲彦君
百二十六番吉田 信夫君
百二十七番木村 陽治君

 欠席議員(なし)
 欠員
 十四番  十九番 二十八番
 三十九番 四十番 五十五番
 七十九番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事福永 正通君
副知事濱渦 武生君
副知事大塚 俊郎君
副知事竹花  豊君
出納長櫻井  巖君
教育長横山 洋吉君
知事本局長前川 燿男君
総務局長赤星 經昭君
財務局長松澤 敏夫君
警視総監奥村萬壽雄君
主税局長山口 一久君
生活文化局長山内 隆夫君
都市整備局長梶山  修君
環境局長平井 健一君
産業労働局長関谷 保夫君
建設局長岩永  勉君
港湾局長成田  浩君
交通局長松尾  均君
水道局長高橋  功君
消防総監白谷 祐二君
福祉保健局長幸田 昭一君
下水道局長二村 保宏君
大学管理本部長村山 寛司君
病院経営本部長押元  洋君
中央卸売市場長森澤 正範君
新銀行設立本部長津島 隆一君
選挙管理委員会事務局長高橋 和志君
人事委員会事務局長佐藤  広君
地方労働委員会事務局長久保田経三君
監査事務局長高橋 道晴君
収用委員会事務局長嶋津 隆文君

九月二十八日議事日程第二号
第一 第百八十九号議案
平成十六年度東京都水道事業会計補正予算(第一号)
第二 第百九十号議案
特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三 第百九十一号議案
東京都職員定数条例の一部を改正する条例
第四 第百九十二号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百九十三号議案
学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第六 第百九十四号議案
東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第七 第百九十五号議案
東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第八 第百九十六号議案
東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例
第九 第百九十七号議案
東京都建築安全条例の一部を改正する条例
第十  第百九十八号議案
東京都海区漁業調整委員会委員及び東京都内水面漁場管理委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第十一 第百九十九号議案
東京における自然の保護と回復に関する条例の一部を改正する条例
第十二 第二百号議案
東京都給水条例の一部を改正する条例
第十三 第二百一号議案
火災予防条例の一部を改正する条例
第十四 第二百二号議案
救急業務等に関する条例の一部を改正する条例
第十五 第二百三号議案
都立葛飾地区総合学科高等学校(仮称)(H十六)改修工事請負契約
第十六 第二百四号議案
都営住宅十六H一〇一北(村山)工事請負契約
第十七 第二百五号議案
多摩大橋鋼けた製作・架設工事(その二)請負契約
第十八 第二百六号議案
日暮里・舎人線鋼けた製作・架設工事(その二十八)請負契約
第十九 第二百七号議案
日暮里・舎人線鋼けた及び鋼支柱製作・架設工事(その二十九)請負契約
第二十 第二百八号議案
地方自治法等の一部を改正する法律による改正前の地方自治法第二百四十二条の二第一項第四号の規定による訴訟に係る費用の負担について
第二十一 第二百九号議案
工作物収去土地明渡等の請求に関する民事訴訟の提起について
第二十二 第二百十号議案
多摩川流域下水道野川処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
議事日程第二号追加の一
第一 平成十五年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
第二 平成十五年度東京都公営企業各会計決算の認定について

   午後一時二分開議

○議長(内田茂君) これより本日の会議を開きます。

○議長(内田茂君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(内田茂君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(谷村隆君) 知事より、地方自治法第二百四十一条第五項の規定により、平成十五年度東京都区市町村振興基金及び東京都用品調達基金の運用状況に関する調書等の提出がそれぞれありました。
(別冊参照)

○議長(内田茂君) この際、日程の追加について申し上げます。
 知事より、平成十五年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について外一件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(内田茂君) これより質問に入ります。
 百十三番比留間敏夫君。
   〔百十三番比留間敏夫君登壇〕

○百十三番(比留間敏夫君) 平成十六年東京都議会第三回定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表いたしまして質問をいたします。
 さて、ことしの夏は記録的な猛暑となりましたが、もう一つ、日本じゅうを熱くしたのは、アテネオリンピックにおける日本選手団の活躍であります。金メダルは東京大会に並ぶ十六個、総数では史上最も多い三十七個を獲得いたしました。選手が流すうれし涙、そして悔し涙、日本にいる私たちも共感し、ともに喜び、ともに悲しんだ十七日間でありました。
 この十七日間、選手の胸に輝く日の丸、そして、何よりも表彰式において掲揚される日の丸と演奏される君が代、この場面を見るたびに、私たちは、日の丸の美しさ、そして君が代の荘厳さを改めて認識するとともに、日本国民であることに誇りを感じることができました。
 選手たちの活躍の裏には、オリンピックという舞台に立つまでに血のにじむような懸命な努力があったということはいうまでもありません。私たちが日本にいながら選手とともに涙を流すほど感動を覚えるのは、この舞台の裏にある懸命な努力を感じているからであります。メダルをかち取った選手だけでなく、みずからの目標に向かって全力で競う姿を見せてくれたすべての選手に、感動をありがとうと、お礼をいいたいと思います。
 オリンピックがもたらしたものは、これだけではありません。この夏の猛暑と相まって、電気製品を中心に消費が拡大し、景気回復に弾みがつきました。米国や中国で景気が減退するとの懸念から、我が国経済の先行きに対する慎重な見方もありますが、景気が回復基調にあることは間違いありません。この機を逃すことなく、日本全体の構造改革を着実に進めることによって経済を活性化させ、一日も早く安定的な成長路線に乗せることが、我が党に課せられた使命であります。
 初めに、行財政問題について伺います。
 戦後六十年近くを経て、ほころびや矛盾が露呈してきた我が国統治機構を抜本的に改革し、日本を未来に向かって力強く再生させるためには、既存の中央集権システムを打破し、真の地方分権を進めることが不可欠の課題であることはいうまでもありません。地方分権を確立し、地方が真に自立を果たすためには、地方行財政運営の重要な一翼を担う議会においても、政策提案機能を強化することが重要であります。
 都議会においても、こうした観点に立ち、二十一世紀のあるべきグランドデザインを胸に、行財政改革基本問題特別委員会を設置し、七年間にわたり幅広い見地から行財政改革の議論を行ってきました。有識者のヒアリング、知事を初め理事者との議論は二十六回にわたり、この間に行った議論は、我が党の議事録だけで見ても、実に一七四ページに及んでいます。国、地方を通じた改革の必要性から、大都市行政、広域行政のあり方を精力的に議論し、区市町村との役割分担、広域連携、国からの税源移譲、課税自主権、補助金問題など、今後の自治制度のあるべき姿の方向性について、都議会から政策提案として、このたび報告書をまとめたところであります。
 三位一体改革に端を発した国の地方分権改革論議が財源配分論に終始する中、我が党は、国、地方を通じた行財政制度のあり方から論議をすることが、改革に向けた本質的な議論と考えております。骨太の改革における地方分権は、単なる財源配分の改革であってはならないのであります。
 行政改革、地方分権改革は新たな段階を迎えており、真の行財政改革、真の地方分権改革につながる考え方を具体的に示すことが重要と考えます。東京から日本を変えていく石原知事の改革の到達点ともいうべき改革大綱なるものを、都民、国民に示すべきではないでしょうか。我が党もさらに議論を深めていく決意でおりますが、知事は、今回の行財政改革基本問題特別委員会の報告書をどのように受けとめ、今後、都政にどのように生かすのか、所見を伺います。
 先ほども申し上げましたが、国、地方を通じた地方分権改革の論議は、財源配分論に終始しております。残念ながら、先月の新潟で開催された全国知事会での大方の議論では、地方分権の問題は三兆円の税源移譲と国庫補助金廃止の数字合わせだけに終始しています。その最たるものが、義務教育費国庫負担金の一般財源化の問題であります。義務教育のあるべき姿を議論せずに、財源問題だけを論じ、国庫負担金を廃止するなど、到底許されるものではありません。
 石原知事もこうした動きに強い危機感を覚え、知事会議の場にとどまらず、マスコミにも積極的に登場し、鋭い本質的な意見を述べておりますが、一部マスコミは、知事会においてあたかも石原知事が義務教育費国庫負担金の廃止に賛成したかのような、誤った報道をしました。知事はこうした報道を強く否定されましたが、都民の中には、いまだ誤った情報に不安を覚えている方もいると思います。
 そこで、改めて義務教育費国庫負担金制度に対する知事の真意を伺い、こうした都民の不安を明快に打ち消していただきたいと思います。
 さらに問題とすべきは、税源の移譲に伴い、東京と地方の税収格差がこれまで以上に拡大するという、東京ひとり勝ち論のことであります。国と各省庁は、この三位一体改革を、みずからの権益確保、予算確保の戦いととらえ、みずからの都合のよい情報ばかりを意図的に流しています。地方分権改革の根本的な議論を避け、問題を大都市対地方の構図にすりかえることにより、本質的改革から国民の目をそらそうとしております。知事は、このひとり勝ち論に対してどのようにお考えなのか、所見を伺います。
 さて、地方分権改革の議論においては、広域自治体と基礎的自治体との関係をどのように再構築していくかという議論も忘れてはなりません。とりわけ東京においては、都市間競争が激化する時代を迎え、その集積のメリットを最大限生かし、都民生活を向上させるとともに、国際競争に勝ち抜いていかなければなりません。今後、こうした観点から、新しい地方分権体制や施策の構築に向け、広域自治体と基礎的自治体がそれぞれの役目と責任をより明確にしつつ、さらに強い連携関係を築いていくべきと考えますが、所見を伺います。
 さらに、都と特別区との関係は、現行自治制度の中では特別なものであります。特別区は、平成十二年の都区制度改革により、二十三区は基礎的な自治体に位置づけられるとともに、清掃事業など住民に身近な事業が都から移管され、都と特別区は対等、協力の関係になったとされていますが、二十三区が目指す普通地方公共団体への移行は、いまだ道半ばであります。地方の中での分権を都区制度改革として引き続き骨太な議論のもとに中長期的視点から進めていく必要があります。
 一方、現実的な課題として、平成十二年の都区制度改革に伴い、都と特別区の役割分担のあり方など、引き続き協議すべき事項として五項目の確認事項がありますが、現在、都と特別区で検討を進めていると聞いております。この役割分担を含めた五項目に関する検討がどのような状況にあるのか、今後どのように進めていこうとされているのか、伺います。
 石原知事は、就任直後、財政再建団体への転落を回避すること、財政の弾力性を回復させることの二つを目標として財政再建推進プランを策定し、給与削減等の内部努力や施策の見直し、徴税努力等の歳入確保など、財政再建に聖域なく取り組んでまいりました。このプランは昨年度で一区切りとなりましたが、この計画期間中の努力により、財政再建団体への転落は何とか回避することができたものの、もう一つの目標である財政の弾力性の回復については、なお厳しい状況にあります。
 都は、先日、十五年度決算を発表しましたが、この決算の状況をどのように総括しているかを伺います。
 さて、我が国経済は、最近発表された経済指標からも、銀行の不良債権問題が大きな山を越し、雇用も全業種にわたって回復が見られるようになりました。また、本年三月期の決算では、多くの企業が経常収支を伸ばしております。ただ、中小企業には景気回復の実感は依然乏しく、継続的な振興策が大きな課題であります。日本経済が回復に向かっている原動力となっているのは、いうまでもなく、民間企業が中心となって、大きな痛みを伴いながらも構造改革を進めてきた成果にほかなりません。
 こうした反面、急速に高まる少子化により、行政サービスの財源を支える働き手が減り、その一方、高齢化が進むことで、福祉関係の支出が増大することは目に見えております。このような、そう遠くない将来の社会の変化に備えるためにも、都は、財政構造改革を着実に進めることが重要であります。
 一方、東京は、急速に進む国際化、情報化の中で、世界的な都市間競争に勝ち抜くとともに、明るさの見えてきた日本経済を引っ張り、回復を着実なものとしなければなりません。そのために、限りある財源を最大限に活用し、東京の将来を見据えて、真に必要なものに集中投資をする必要があります。このことが、東京の未来を築き、また、地域経済に活力を呼び起こし、中小企業者を初めとする都民全体に元気と明るさをもたらすものであります。
 今年度、予算編成は実質的にスタートしていますが、我が国経済の現況に対する率直な感想と、十七年度予算編成における課題について、知事の所見を伺います。
 次に、多摩振興に関する幾つかの重要課題についてお伺いをいたします。
 まず、横田基地の問題について伺います。
 新聞報道等で明らかなように、現在、世界的規模で米軍の再編が進められており、その中で横田基地のあり方に関してもさまざまな意見が出ており、協議の行方が注目されております。
 我々は、立川飛行場と同様に、横田飛行場についても、その返還を実現し、多摩の活性化に役立てていくべきと考えます。また、一都八県にまたがって存在する米軍管理の横田空域のため、羽田空港と西日本を結ぶ航空機は、不自然な非効率な飛行を強いられているばかりか、航空路の過密化により、安全面での懸念も生じています。こうした問題を解決するためには、横田空域についても一刻も早い返還を実現することが必要であります。
 そこで、横田基地並びに横田空域問題に対する知事の基本的取り組み姿勢について伺います。
 次に、道路整備について伺います。
 まず、圏央道ですが、青梅インターから日の出インター間が既に完成しており、続くあきる野インターまでの区間は十六年度に、さらに、あきる野インターから中央道に接続する八王子ジャンクションまでの区間についても十七年度開通を目指して整備が進められております。圏央道の機能を十分に発揮させ、周辺の道路交通の円滑化を図るために、これらの整備に合わせて、各インターに接続するアクセス道路の整備が重要と考えます。
 そこで、圏央道アクセス道路の整備状況と今後の取り組みについて伺います。
 圏央道を初め高速環状道路の事業が促進される一方、多摩地域の幹線道路はいまだその整備が不十分であり、加えて、踏切や交差点、橋梁など、通行の妨げにより、慢性的な交通渋滞が発生しています。都市計画道路については、現行の第二次事業計画が終了する十七年度末を目途に、新たに多摩地域における都市計画道路の整備方針の策定が進められていると聞いております。多摩地域における今後の道路整備のあり方について、知事の所見を伺います。
 多摩地域の新たな整備方針では、区部と同様、優先整備路線の選定が行われると思いますが、選定に際しての都の考え方を伺います。
 都市計画道路の中でも、調布保谷線、府中所沢・鎌倉街道線など南北幹線道路五路線の整備は、各地域が自立しつつ、それぞれの機能を効率的に結びつけ交流を進めていくためにも、早急に進める必要があります。南北道路の整備状況と今後の取り組みについてもお伺いをいたします。
 これまで我が党は、渋滞解消だけでなく沿線のまちづくりにも大きな効果がある連続立体交差事業の促進を強く求めてまいりました。既にJR中央線では線路の切りかえ工事が実施され、また、JR南武線においては一部の区間で高架化が行われるなど、事業は着実に進められています。早期完成に向けた今後の取り組みについて伺います。
 さらに、渋滞緩和の効果を早期に実現できる交差点すいすいプラン一〇〇を引き続き強力に推進していくため、次期の交差点すいすいプランを策定中と聞いていますが、現在の策定状況と今後の取り組みについてお伺いをいたします。
 関連して、中央道の料金問題についてお伺いをいたします。
 多摩地域の住民が高速道路を利用して都心に行く場合、中央道と首都高の両方の道路を使用しなければなりません。しかしながら、同じ東京都であるのにもかかわらず、その料金は、利用者や都民の感覚から見て合理的な料金体系とはなっていません。これまでこの問題については我が党としても幾度となく要請してきたところですが、残念ながら今日まで実現されていない状況です。過日、日本道路公団総裁に対して、多摩地域と区部との間の高速道路料金負担が軽減されるよう要望してきたところであります。
 そこで、これまでにない大胆な発想のもと、中央道の高井戸から八王子インター間を東京都が買い取り、この区間を無料化して都民に解放してはどうでしょうか。取得に要する費用や将来にわたる管理費など膨大な財政負担の問題があるでしょうが、多摩地域の振興の観点からぜひとも実施すべきと考えますが、見解をお伺いをいたします。
 次に、産学公連携について伺います。
 都の新しい大学である首都大学東京は、ダイナミックな産業構造を持つ高度な知的社会構築の実現を目指し、その一環として、来年四月開校に合わせ、日野キャンパス、現在の科学技術大学に産学公連携センターの開設を予定していると聞いています。日野キャンパスのある地域は、先端的な電子部品や電気・機械器具製造業などが集積するとともに、大学や企業の研究機関も数多く立地しています。産学公連携センターは、多摩地域を初めとする東京全体の産業振興に向けて、今後どのような取り組みを行っていくのか、見解を伺います。
 次に、府中病院のキャンパスに建設を予定している小児総合医療センターについては、清瀬小児病院、八王子小児病院、梅ケ丘病院の三つの小児病院の医療機能をそのまま移転するのでなく、将来を見据え、百年の計に立って、都における小児医療の拠点として整備を進めていくことが重要です。医療機能の集約や人材の有効活用など、三病院を統合するメリットを生かし、また、あすを担う子どもたちの未来を約束する施設として整備されてこそ、意味あるものと考えます。小児総合医療センターの機能について、都はどのような考え方に立って整備を進めていくか、伺います。
 小児科医の不足は、高齢化が叫ばれている今日、将来にわたり安定的な小児医療の提供体制を構築していくためには、何よりも診療を担う小児科医を育成し、定着させていくことが基本といえます。
 そこで、新しく整備する小児総合医療センターを小児科医などの臨床医を育成する場として積極的に活用していくべきと考えますが、所見を伺います。
 多摩振興の最後に、深刻な状況にあります多摩地域のシカ被害についてであります。
 本年、第一回定例会において我が党の臼井議員が本件について質問し、また八月には、宮崎、倉林、林田の三議員が、奥多摩町の厳しいシカ被害の現場を視察してまいりました。
 シカの生息数は現在三千頭と推計されるまでに急増しており、杉、ヒノキの苗木を初めあらゆる植物を食い荒らし、森林の表土がむき出しになって裸地化しています。また、七月の局地的な豪雨により、裸地化した森林から土砂の流失や土石流が発生し、町の水道施設や民間の変電施設が大きな被害を受けました。今後、被害がさらに拡大すれば、森林の機能が十分に発揮されなくなり、都民の飲み水である奥多摩湖の水質が悪化することも予想されます。
 こうした事態は既に市町村の手に負える状況にはなく、都として直ちに緊急対策を講ずるべきときであると考えます。都は、シカ被害の実態をどのように把握しているのか。また、シカ被害に対して関係各局において当面どのような対策を講じていくのか、伺います。
 対策を進めるに当たって、当面、緊急対策とともに、シカの適正な生息頭数を管理する長期的、具体的な計画が不可欠です。そして、策定した計画に基づき、関係局が密接に連携し、実効性のある事業を都庁の総力を挙げて進めるべきであります。
 また、生息域が山梨県、埼玉県にまたがっていることから、隣接県と共同で取り組む広域的な対策も必要があると思います。シカの頭数管理を含む対策について、さきに指摘をした視点も踏まえ、今後どのように取り組んでいくのか、伺います。
 以上、個別の課題を幾つか述べてまいりましたが、これまでの多摩振興策として、多摩の将来像二〇〇一や、多摩アクションプログラムが策定されているものの、実効性のある方策がいまだ十分に示されていないのではないでしょうか。多摩地域は首都東京のさらなる発展のかぎを握る地域であることは間違いなく、都としても今まで以上に積極的に事業を展開し、課題を解決していくことが必要であると考えます。
 そこで、多摩振興に関して最後に知事に、東京都あるいは首都圏の中で多摩地域をどのような地位に位置づけ、今後どのように多摩振興に取り組んでいくのか、決意を伺います。
 次に、島しょ振興について伺います。
 初めに、村民の悲願である帰島が実現することになりました三宅島から伺います。
 都は、村の支援要請を受け、三宅島帰島支援対策本部を設置して、現地にも職員を赴任させるなど、全庁的な取り組みを開始しました。我が党も、この一日、知事に対して、緊急要望書を提出して、宅地内の土砂排除、阿古漁港の施設復旧、居住不可能になった村民の住宅確保など八項目について、早急に取り組むよう申し入れを行ったところです。帰島するかどうかは最終的には村民の判断となるわけですが、行政による支援も欠かせません。
 都は、全島避難以来、さまざまな形で避難中の村民を支援してまいりました。この三月、国が法律を改正して、居住安定支援金など、最高二百万まで支給できるようになったことは大きな前進でありますが、その用途は住宅本体の建設費用には充てられず、その額も決して十分とはいえません。今回の災害の状況にかんがみ、村民の自立支援を一層促進するなど、都独自の新たな支援制度を創設することも必要と考えますが、見解を伺います。
 次に、医療体制の確保についてですが、帰島方針の発表以来、三宅支庁や三宅村の職員が島に渡り、来年二月の村民の帰島を迎えるため、準備作業に取り組んでいます。また、十月以降、公共施設復旧のため、作業員の増員や村民の準備帰島が始まります。現地において確保が困難な医師や看護師などの配置について、都はどのように考えているのか、お伺いをいたします。
 次に、帰島後に村民の皆さんが自立していくためには、さきに掲げた支援金の支給に加え、就労の場の確保が何よりも重要です。島内においてはインフラ整備はほぼ完成しているものの、今後もまだ多くの復旧事業が必要となってくると思います。このような事業に村民を優先して雇用していくべきと考えますが、所見を伺います。
 最後に、知事は、三宅村長の要請を受け、帰島への取り組みを全力で支援していくとのコメントを発表されましたが、改めて三宅島の支援に向けた知事の力強い決意のほどを伺います。
 次に、都が発表した小笠原諸島振興開発計画素案について伺います。
 小笠原諸島は昭和四十三年に日本へ復帰して以来、島民の皆さんを初め、関係者が一丸となって復興に取り組んでまいりました。その結果、今日まで、住宅、道路を初めとする生活基盤や港湾設備などの産業基盤の整備が進み、過去に比べ、島民の生活や福祉は向上してきているといえます。これは、これまでの振興開発事業の成果と考えます。
 しかしながら、高齢社会を迎えた今日、福祉、医療の充実や島内の産業活動の活性化など、課題も山積し、自立へ向けた取り組みが今後一層求められるところであります。
 小笠原諸島は、その地理的条件等がはぐくんだ貴重な固有種が生息する自然の宝庫として、世界的にも注目されています。今後の課題である島内産業の活性化には、こうした自然の財産を活用した観光業の充実が不可欠であります。都が定める振興開発計画ではどのように小笠原諸島の振興開発に取り組んでいくのか、伺います。
 次に、島しょ地域において、独特の教育活動を行っている大島南高校について伺います。
 この高校では、実習船を持ち、海洋に囲まれた環境の中で、島外からの生徒が寄宿舎で寝食をともにしながら学んでいます。大海原での実習を通じて、今の若者に不足がちの忍耐やおのれにかつ心を育成するなど、こうした環境ならではの全人的教育が可能であります。
 また、各国からの留学生を受け入れ、寄宿舎でともに生活し、学ぶことによって、国際的視野を持った人材育成が行えるなど、アジア、環太平洋諸国の国際交流の拠点とすることも可能です。
 そこで、こうした内容の実現に向けた取り組みについて、所見を伺います。
 次に、治安対策について伺います。
 危機的状況と思われていた東京の治安を早期に回復するため、昨年八月、東京都は緊急治安対策本部を設置しました。これにあわせて、我が党も同様の本部を設け、行政と議会が一体となっての取り組みを行っています。この間、関係機関や都民の方々の努力には心から敬意を表します。
 その後、東京の治安状況は、検挙件数、検挙人員、検挙率がいずれも向上しているばかりでなく、特に強盗、ひったくり、侵入窃盗など、都民が実感できる犯罪の認知件数が、本部発足前の昨年度同期と比べて二〇%以上減少し、改善の兆しがあらわれつつあると聞いております。
 知事はこの一年を振り返って、東京の治安状況をどのように評価されるのでしょうか。
 また、東京の治安を回復するためには、地域の警察活動の拠点となる交番や駐在所の役割は極めて重要です。私は地域の安全・安心の核となるのは、地域に根づいた交番、駐在所であると考えます。
 一方、交番不足から、犯罪の多発に危機感を募らせた町田市の繁華街では、民間交番をこの秋に開設するとの報道もなされています。一時よりは改善されたものの、犯罪認知件数は依然深刻な状況にあります。そうした意味で、交番の人的拡充はもちろんですが、老朽化した狭隘な交番や駐在所の新築、増改築を急ぐ必要があります。
 そこで、交番の整備促進を通じて、地域の人々の安心と信頼を回復するよう、緊急交番整備事業というようなものを提案したいと思いますが、警視総監の所感を伺います。
 さらに、青少年をめぐる問題も大変気がかりです。東京にとどまらず、全国的に少子化が進んでいる一方で、不登校の児童生徒、非行少年、児童虐待件数が増加し、青少年の性行動に関する規範が低下するなどの問題が発生し、我々も東京の将来を担う青少年が置かれている状況を憂慮しております。
 このたび東京都は、庁内、区市町村、関係機関の力を結集して、青少年育成総合対策推進本部を設置し、青少年の健全育成に複合的、重層的に取り組むこととしていますが、同本部の本部長を務める竹花副知事が青少年をめぐる現状をどのように認識され、どのような取り組みをされようとしているのか、所見を伺います。
 次に、無電柱化推進計画について伺います。
 電柱や電線は歩行者や自転車の通行の支障となり、さらに災害時の電柱の倒壊は避難や救助活動に大きな障害となります。電線類の地中化事業の推進は差し迫った課題といっても過言ではありません。
 そこで、都は無電柱化推進計画に基づき、平成十六年度から五カ年で、四百二十キロメートルの電線類の地中化を行うこととしています。これを着実に実現するためには、これまで以上に地中化事業を強力に推進する必要がありますが、そのための方策について伺います。
 豪雨災害対策について伺います。
 この七月、新潟、福島地方において、深刻な水害が発生をいたしました。一日に四〇〇ミリを超える猛烈な豪雨の結果、堤防の決壊などにより、家屋約一万四千戸、道路や橋梁の破壊や冠水など甚大な被害が発生し、特に痛ましいことは、高年齢者を中心に、十五人ものとうとい命が失われました。その後も福井県の集中豪雨や台風十六号などにより、全国各地で大きな被害が生じています。
 我が党は、災害発生直後、直ちに議員など七名を新潟県に派遣し、復旧活動を支援する中で、改めて水害の恐ろしさを実感いたしました。東京が同様の豪雨に見舞われたならば、大規模な冠水により、首都機能が麻痺し、我が国の社会経済活動に大きな影響を与えることは確実です。このような事態を防ぐためにも、水害への備えを着実に実施すべきと考えますが、水害対策の基本となる河川整備の取り組みについて伺います。
 また、今回のような記録的な豪雨に対しては、地域の方々に的確な情報を迅速に提供するソフト対策が欠かせません。そのための取り組みはどうなっているのでしょうか。
 次に、東京港の国際競争力強化と東京港から発信する物流改革について伺います。
 東京港はこの七月、隣接する横浜港とともに、京浜港として、いわゆるスーパー中枢港湾の指定を受けました。スーパー中枢港湾のねらいは、港湾コストの低減やコンテナ貨物の通過時間の短縮など、世界の先進国に匹敵するレベルまでに高め、危機に瀕する我が国国際港の起死回生を図ることにあり、東京港から発信する物流改革は、まさにこれからが正念場であります。
 我が国企業の生産拠点の海外展開に伴い、東アジア諸国との物資の輸送は、国内輸送に準じて緊密なものとなっています。また民間企業ではIT化やシステム化など、物流効率化に向けた必死の取り組みがなされています。
 一方で、東京港は首都圏における輸出入の約五割を取り扱っており、首都圏を舞台とする港湾物流を広域的な視点から展開していくことが求められます。
 そこでまず、首都圏物流ゲートウエーである東京港は日本の物流改革において先導的な役割を果たしていくべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 ところで、東京港には、アジア航路など比較的中小規模の船舶が主として利用する公共ふ頭のほかに、北米や欧州など国際基幹航路の多くが寄港する公社ふ頭があります。このうち、公社ふ頭は首都圏の輸出入コンテナ貨物の半分近くを取り扱っております。
 しかし、物流改革の必要性が高まっている今日、公社ふ頭についても、決して現状に安住しているわけにはいきません。かつて世界第三位の取扱量を誇った神戸港でも、公社ふ頭の実に三分の一が遊休施設となっているところであります。
 そこで、今後、都は港湾管理者として、公共ふ頭のみならず公社ふ頭を含め、総合的にふ頭運営の効率化を進めるべきと考えますが、どのように取り組んでいくか、所見を伺います。
 次に、中小企業対策について伺います。
 中小企業対策は産業政策の根幹であり、我が党が最も重点を置いてきた分野の一つでもあります。今後は施策のさらなる展開を図るべきと考えますが、以下、三点について、具体的に伺いたいと思います。
 まず、商店街の振興についてですが、青梅では現在、商店街を中心に、昭和三十年代をイメージしたまちづくりが進められており、往年の映画看板がたくさん飾られ、新たな観光スポットとなっています。中でも、「日蝕の夏」という大型の映画看板は、現に都知事である若き日の石原慎太郎原作、脚本、主演の作品であることから、大層な人気を博している。地域おこしの一役を買っております。
 また、府中では、市民マイバック持参運動を開始した市に協力して、三十を超える商店街が、市民とともにごみ減量やリサイクルに取り組んでおります。こうした地元商店街の協力は、市の環境行政を推進する原動力となってもいます。
 このほか、商店街が地域の福祉や防犯などに取り組む例も多く、子どもたちが健やかに育ち、お年寄りが安心して暮らせるまちをつくる上でも、商店街が果たす役割はますます重要となっております。
 行政としても、商店街を強力に後押しする必要があります。都は新・元気を出せ商店街事業を初めとして、商店街振興施策を一層充実、強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、金融施策について伺います。
 中小企業の資金繰りも一時と比べれば好転しているとのことですが、個々の中小企業にとっては、景気が本格的に回復しつつあるという実感は乏しく、依然厳しい経営環境にあるというのが実情であります。
 いうまでもなく、中小企業金融の大きな柱は制度融資であり、我が党はこれまでその充実に努めてまいりましたが、今年度、都が中小企業にとってよりわかりやすく、使いやすい制度を実現されたことは承知していますが、年末の資金需要期に向けて、真に資金を必要としている企業に対し、制度融資による支援強化策を打ち出すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、中小企業の再生支援について伺います。
 都内産業の活性化のためには、企業の経営が危機に陥った場合の人材や技術、ノウハウなど、貴重な経営資源が喪失されないような仕組みづくりが必要です。事業の再生や他の企業への承継等を円滑に進めるための総合的な支援策が求められます。
 この十月、東京都が創設する再生ファンドは、資金調達と経営支援の両面から中小企業の再生を後押しし、ひいては地域経済の活性化、雇用の確保を図ろうとするものであります。
 しかし、真価が問われるのはむしろファンド創設後の対応です。ファンドが十分に機能を発揮するためにも、再生見込みのある企業を着実に投資へとつなげていく都の主体的な取り組みが必要と考えますが、所見を伺います。
 次に、水道事業について伺います。
 水道局では、先般、中期経営計画である東京水道経営プラン二〇〇四を発表しました。プランでは、安定給水の確保を初め、安全でおいしい水の供給や都民サービスの充実、多摩地区水道の広域的経営など、東京の水道が直面する課題の解決に向けた施策が盛り込まれています。
 中でも、今回のプランの大きなポイントは、十年ぶりとなる水道料金の見直しです。見直し案では、基本水量の引き下げなど、これまでの料金体系を大幅に見直すとともに、企業努力により、料金を平均で二・二%引き下げる内容となっています。
 そこでまず、今回の水道料金見直しに当たって、基本的な考え方を知事にお伺いいたします。
 一方、生活保護世帯や公衆浴場事業者の一部については値上げとなるなど、問題点も含まれているといわざるを得ません。この点について、水道局ではどのように認識しているのか伺います。
 また、今回のプランでは、三年間の企業努力として、職員定数の三百五十人の削減や水道業務手当の廃止を含め、三百十五億円を計上しており、これらを都民に還元することで、料金の引き下げを可能とするものです。
 都市の維持、発展にとって欠くことのできないインフラである水道を健全な形で次の世代に引き継いでいくことが現在の私たちに課せられた使命であります。そのためには、厳しい経営環境の中にあっても、長期的な視点に立って、施設整備等の必要な事業を先送りすることなく、着実に実施するとともに、強固な経営基盤を確立していく必要があると考えます。都民の財産である水道を将来にわたり健全に運営していくことについて、水道局の見解を伺います。
 次に、福祉、保健、医療施策について、何点か伺います。
 まず、生活保護制度について伺います。
 六年連続して三万人を上回っている自殺者数、依然高い失業率など、一般都民にとっては景気回復が真に実感のあるものとなってはいません。こうした中、最後のセーフティーネットとして、生活保護制度は各種の社会保障制度とともに、国民の安心を支える仕組みとして、大きな役割を果たして、今後とも、その役割を担うことが期待されています。
 しかし、戦後復興期に始まった現行の生活保護制度については、保護を受けながら、自立に向けて懸命に努力している人がいる一方で、中には、手厚い保護を受け続け、自立しようとする意欲が感じられない人も多いといった指摘がされるなど、制度や運用を見直し、今日の時代状況に適合させていくことが求められています。
 都は、本年七月、国に対し、生活保護制度改善に向けた提言をまとめましたが、その中で、自立支援に向けた取り組みがこれまで以上に求められている視点から、幾つかの具体的な提案がなされ、私も全く同感であります。
 都はこうした提案だけでなく、動きの鈍い国に率先して、福祉事務所と協力して、積極的な対応策を講ずるべきと考えますが、所見を伺います。
 また、生活保護の中の教育扶助は、義務教育に必要な費用を内容としており、高等学校については、対象にしていません。高等学校への進学率が一〇〇%近くになった現在、被保護世帯における高校進学率は八割をやっと超えた程度にとどまっています。経済的な理由が大きいと聞いていますが、次代を担う子どもたちがみずからの将来を切り開くため、意欲のあるすべての子どもたちが高校教育を受けやすくするための環境を整える必要があります。
 都は、国に対して、教育扶助の高等学校等まで拡大を強く迫るべきと考えます。いかがでしょうか。
 次に、民間社会福祉施設のサービス推進費補助について伺います。
 社会福祉法人の施設に対する民間社会福祉施設サービス推進費補助については、施設代表者との合意を踏まえ、本年四月から再構築されました。しかし、福祉サービスの特性を踏まえれば、制度変更により、福祉施設の運営に支障が生じるようなことがあってはなりません。
 我が党は施設代表者との十分な意見交換と施設種別の状況に応じた加算や十分な経過措置期間の設定などを求めてきました。その結果、五年間にわたる経過措置が設けられ、四年目以降の取り扱いについては、改めて施設代表者との意見交換を行うことが合意されました。
 再構築後、六カ月が経過したわけですが、施設のさまざまな努力が進められていると聞いていますが、今回の再構築の目的を踏まえるならば、施設の実態を不断に把握し、都民ニーズの変化等に的確に対応した補助制度としていくことが重要であると考えます。所見を伺います。
 次に、脱法ドラッグ対策について伺います。
 脱法ドラッグは、麻薬や覚せい剤と比較して、使用することに対する抵抗感や警戒感が少なく、比較的容易に入手できることから、麻薬や覚せい剤などの薬物の乱用のきっかけとなると同時に、健康被害の発生や犯罪への誘引ともなる非常に危険な薬物です。
 都はこれまでも、東京都薬物乱用対策推進本部を設置して、関係方面と協力をして、薬物に対する正しい知識の普及や乱用の危険性の啓発、脱法ドラッグ対策取り組み方針の策定など、総合的な対策の推進に努めております。
 しかしながら、夜の繁華街の路上で堂々と売られ、またネット上で公然と売買されるなど、幅広い年齢層にわたって乱用されているのが実態です。脱法ドラッグの製造や販売が国の法令で禁止されていない以上、都が率先してこれを規制する条例を制定することはぜひとも必要であります。脱法ドラッグを規制する必要性や意義を踏まえ、改めて条例制定に向けての知事の決意を伺います。
 最後に、教育問題について伺います。
 初めに、特別支援教育推進計画について伺います。
 今後の都の特別支援教育推進に関する総合的な計画の策定に先立つ形で、この七月、計画の基本理念や計画の主な概要及び第一次配置計画案などを内容とする東京都特別支援教育推進計画概要案が示されました。この計画概要案の中で示された、知的障害が軽い生徒を対象とした養護学校高等部の設置など、生徒の卒業後の進路について、企業への就労や資格取得に道を開くこととなり、将来の社会的自立への可能性を高めることが期待できるものと考えます。
 特別支援教育の推進に当たっては、これまでの心身障害教育が抱える課題の抜本的解決を図るとともに、児童生徒の社会適応力を一層高め、社会的自立に向けたその成果が着実に上がるよう努めていくべきであります。
 この計画概要案をもとに、この秋策定する特別支援教育推進計画の基本的な考えと施策の方向を伺います。
 また、ろう学校再編整備では、現在の八校から四校に統廃合するとしていますが、閉校する学校の幼稚部、小学部については、当面の間、分教室として設置するという計画が示されております。
 この計画については、保護者に対する説明会等では、分教室化に伴い、早期に幼稚部、小学部を募集停止していく予定と説明したと聞いております。このことで、特に幼稚部の保護者を中心に、不安の声が広まっています。今回の計画はあくまで障害のある児童生徒のためのものであるということを考えれば、分教室の存続の仕方について、児童生徒等の状況を十分に踏まえ、柔軟に検討していくべきと考えますが、所見を伺います。
 さらに、計画概要案では、学校の関連施設である寄宿舎等の再編整備も取り上げられています。ここでは、寄宿舎本来の目的である通学困難による入舎率が非常に低いということで、規模、配置等を見直すことはやむを得ないものと考えますが、寄宿舎の利用については、このほかに生徒の基本的生活習慣、自立心を育成するという教育上の利用も認めてきたという経過もあります。こうした寄宿舎の役割について、保護者の方から、ぜひ残してほしいという意見を耳にしております。寄宿舎がこれまで果たしてきた教育上の役割についてどのように考えて対応していくのか、伺います。
 さて、公立高校の学校週五日制が平成十四年四月から完全実施され、二年が経過をしました。学校週五日制の趣旨は基本的に理解するものですが、学校の現場からは、授業などにゆとりがなくなったり、例えば中学校では、学習指導要領に示された授業時間を確保することが難しいのではないかとの声があります。
 また、都民の間でも、土曜日に塾に行って勉強している子、行っていない子との間で学力に差があらわれ、経済格差が学力格差につながっているのではないかと危ぶむ声や、私立学校の多くが土曜日にも補習等をしていることから、公立学校と私立学校での学力格差が広がることを懸念する声もあります。
 学校週五日制導入の趣旨に反し、子どもたちがみずから学び、みずから考えることの土台となるべき確かな学力が揺らぎ、授業そのものにもゆとりが失われるとしたら、まことに遺憾なことであるといわざるを得ません。都教委は子どもたちの学力についてどのように考えているのか、お伺いをいたします。
 また、保護者の学力低下への不安に対して、公立の小中学校では土曜日に補習授業を行っている学校がありますが、こうした場合の教員の半日勤務の実施などの対応について伺います。
 さらに、学校週五日制の本来の趣旨を生かすため、都教委としてはどのように取り組んでいくのか、伺います。
 次に、教科書採択について伺います。
 来年四月、都立では初めて、中高一貫校が台東地区に開校します。この学校で使用する教科書の採択が先般行われました。今回の教科書採択では、特に歴史教科書の採択に対しては、特定の教科書を採択させないという外部からの強い圧力があったと聞いています。こうした状況下にあって、都教委はそのような外部の圧力にも影響されることなく、教育委員会を公開で行い、教育委員会の権限と責任において教科書を採択したことは、我が党としても高く評価をいたします。
 来年度は、全国の中学校で使用する教科書が改訂され、新たに採択されますが、今後とも都教委、外部からの圧力に影響されることなく、毅然とした態度で、公正かつ適正に教科書採択を行うべきと考えますが、所見を伺います。
 教育問題の最後に、私学振興の立場から一言触れておきたいと思います。
 第二次財政再建プランでは、私立幼稚園の学校法人化を促進するため、今年度から私立幼稚園教育振興事業費補助の単価が削減されることになりました。我が党の要望で、五年間の経過措置が設けられたところでありますが、しかし、それでもなおその影響は少なくないとの声もあり、園児保護者への負担に影響を及ぼすことがあってはならないと思います。そこで、既定の方針は方針として、もう一歩何らかの激変緩和措置を講ずることができないかと考えますが、所見を伺います。
 さて、今年度中に、都内で新たに百歳を超える長寿者が初めて千人を超え、高齢化は一段と進んでいます。その一方、合計特殊出生率はとうとう一を切ってしまいました。少子高齢化は先進国の共通の現象ですが、経済の活力をどのように維持発展させるか、大きな問題です。これからは高齢者が長く現役として活躍でき、未来を担う子どもたちが厳しい社会変化の中で適応力を高めていくことがとても大切なことだと考えます。
 さきのオリンピックでは、我が選手たちが世界に通用するような努力と成果を示し、やればできるという自信を我々に取り戻してくれました。こうした意味から、あらゆる分野において、努力することがとうとばれ、報われるような社会の形成が極めて重要です。我が党はそのために全力を挙げて邁進することをお約束をし、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 比留間敏夫議員の代表質問にお答えいたします。
まず、特別委員会報告の都政への反映についてでありますが、この委員会が目指したものは、都政百年の大計ともいうべき二十一世紀のグランドデザインを念頭に置いて、中長期的な視点から都政のあるべき姿を描くところにあったと伺っております。その後、七年間もの長きにわたって、自治のあり方について本質にまで踏み込んだ審議を続けられました。
 このたび大都市行政の充実強化、自立した地方税財政制度の確立、広域自治体と基礎的自治体の新しいあり方についてなど、大変示唆に富んだ報告をいただきました。行財政改革の大綱の策定についても、いろいろご提言がありました。行財政改革について都議会が今後の方向性を示されたことに敬意を表したいと思います。
 今後は、これを受けて、これを大小いかなる施策に施して具体化していくかということが問題だと思います。
 今、地方分権改革の行方は混沌としておりまして、予断を許さない状況にありますが、都としては、これからも国に働きかけ、本質的かつ抜本的な改革を進めるとともに、その動向が都に与える影響を明らかにしながら、みずからもより一層の行財政改革に取り組むことが必要と考えております。
 特別委員会報告が示した方向性は時宜を得たものであり、これを生かしながら、東京から日本を変えるという思いを新たに、改革の取り組みを具体的に進めていきたいと思っております。
 次いで、義務教育費国庫負担についてでありますが、ご指摘のように一部のメディアが非常に取り違えた報告をしまして、私も大変不本意で、迷惑でありましたし、翌日改めて別途に記者会見をいたしました。要するに、官僚出身の知事さんが多いせいか、私を含めて三人ほど代議士出身の知事もおりましたけれども、採決の手続について余りなれてないんですね。それで、前日、深夜まで、一時近くまで議論をしまして、その後なお、司会の全国知事会会長の梶原さんがかなり複雑な質問書をつくって、回答を求めてきまして、それによって集計して、私たちの主張は少数ということでくくられたわけでありますが、なお、その次の日に、これをどういう形で報告するかという議論になりまして、前日深夜までやったわけでありまして、この珍しい長い時間の熱心な議論というものをないがしろにするわけにいきませんので、当然、反対の少数意見も付記して報告をすべきだと。会長もそのつもりでおりましたが、不思議なことに神奈川県の松沢君から異議がありまして、これは国対県の戦いであるので、反対意見まで付記すると足元を見られるおそれがあるから、反対意見は付記すべきでないという異論が、議論が出ました。
 私はこれに真っ向から反対しまして、昨夜の討論というものをそんたくする意味でも、当然、少数意見、反対意見を付記して述べるべきだということで、司会の梶原会長もこれを是として、そういう形で採択することに異存はございませんかということで、私は挙手をいたしました、当然ですけれども。ところが、少数意見付記を反対した松沢知事までが賛成の挙手をしたので、非常に議場が混乱したんですが、結果として──また事務局が非常に不手際で、余計なペーパーを出したものですから、非常に誤解を受けましたが、いずれにしろ、私は基本的にこれに反対でございますし、私の次の日の、またまた記者会見を、党の方も、自民党の方の保利耕輔君、これは教育問題の調査会長をしているようですけれども、彼がわざわざ来てくれまして、なお意見を詳しく聞きたいということで、いろいろ意見を開陳いたしましたが、いずれにしろ、この案件について全国知事会があそこでああいう討論をすることそのものが本末転倒でありまして、もともとこれは、地方分権というものをいかにするか、三位一体論でありますけれども、その最たるものは、既に百二十兆の、直接間接、赤字を来している交付税制度というものも考えないと、とてももたない。そのために何をどういうふうに削っていくかという議論が行われるべきなのに、これはやっぱり総務省の一つの、何というんでしょうか、大きなコントロールでしょう、一番力のない文部省にターゲットが絞られて、いきなり、総務省がサジェストした案としてでしょうね、義務教育の国庫負担というものを撤廃して、その分の三兆円を地方にくれてやるという。また、これに、地方ものどから手が出るようにお金が欲しいんでしょうが、私にいわせるとあさましく飛びついて、日本の教育というものをこれからどうするか、それに大きな寄与をしている義務教育がどうあるべきか、また、こういう制度というものを撤廃することで、義務教育のいわゆるナショナルスタンダードがでこぼこになって、地方自治体によっては非常に義務教育の質が落ちる可能性もあるわけですが、そういったものの懸念を全くしんしゃくせずに、いきなり金をもらうかもらわないかの論になったわけであります。
 いずれにしろ、この国庫負担金の使途は教職員の人件費でありまして、地方に裁量の余地のない経費であります。お金に印がついているわけじゃないんですが、しかし、これが地方の自由裁量に任せられますと、場合によっては教員の人件費というものを軽減してでもほかに回す可能性もあるわけで、それによってその地域の教育の水準が落ちる可能性もあるわけです。
 また、仮に国庫負担金を一般財源化しても、自治体の交付税への依存度は高まるばかりでありまして、これは自立どころか国の地方支配が強まるばかりであります。
 そもそも我が国の将来を左右する義務教育のあり方について、国家レベルで、閣議でも一向に議論されないままにこういったものがぽかっと出てくる。私は、ですから、出席する前に、前の文部大臣に電話をしまして、君の本意はどこにあるんだ、文部省の声が全然聞こえないじゃないか、私は、大臣というわけにいかぬでしょうから、審議官なりをその場所に出席させたらどうだ、多分それは拒否されるだろうから、私が責任持って、文部省のじかの、しかも最高責任者の君の、文部大臣の声を取り次ぐからペーパーをよこせといいましたら、これまたお粗末なペーパーが来まして、これは突き返しまして、君自身のサインのあるものをよこせということで、やっとそのペーパーが届いて、私、それを取り次いだんですが、これまたにべもなく拒否されまして、こんなものをここへ出すことそのものが筋違いだという知事まで出てきて、私はその知事に、じゃ、あなたのところは交付団体だけれども、お金が足りなくなったら一体どうするんですかということを聞きましたら、それは交付税に頼みますと。交付税そのものをどうするかしないかという問題が三位一体論であるのに、この本末転倒、それにも申し上げたんですけれども、あなたのいっていることは本当に前後左右合致してなくて支離滅裂ではないかということを反論しましたら、それに対する答えもありませんでしたが、いずれにしろ、本来、公教育の根幹である義務教育の水準確保は、あくまでもこれは国の責任で行われるべき問題であると思います。
 ちなみに、これがどう決まろうと東京は今限り痛くもかゆくもありませんが、しかし、これは東京の存在を超えて、やはり国全体の義務教育の水準の維持、平均的な維持ということが眼目であります。その見地から、都は、義務教育費の国庫負担金の廃止、一般財源化については、一貫して反対してまいりました。それについて間違った報道があって遺憾でありますけれども、その姿勢は今までも今後も全く変わりません。ちょっと長くなりましたが……。
 それから、東京ひとり勝ち論についてでありますけれども、このような主張は、地方分権改革の方向をゆがめて、我が国の進路を誤らしめるものだと私は思います。
 現行の地方自治制度の最大の問題は、自治体の自主的な課税など、財政運営の持つ自立性を著しく規制したまま、わざわざ国を介して過剰な再配分をしていることであります。その結果、都道府県では不交付団体が東京のみといういびつな現況を招いているわけであります。この制度全体の改革なくして真の地方分権制度は実現しませんし、日本の発展もないと思います。
 ちなみに、そこまで議論は至りませんでしたけれども、この問題、これからも議論しなくちゃいけませんが、東京都としては、東京都の試案を提出いたしました。これは何人かの知事から非常に強い共感を得ましたが、東京の試案を国が思い切って実行すれば、東京だけではなしに、大阪であるとか神奈川県であるとか横浜市、あるいは千葉市といった、全部やったわけではありませんけれども、かなり主要な県あるいは政令都市というものが堂々と不交付団体として立っていけるわけでありまして、それをそういう形に規制し、交付団体におとしめている国そのものの現況の制度が、私はやっぱり間違っていると思うし、非常に不公平であると思います。
 アジア諸国が目覚ましく経済発展を続ける中、熾烈な国際競争に勝ち抜くためにも、国の発展を牽引する東京などの大都市への重点投資が不可欠であると思います。
 また、都民一人一人に着目しますと、その生活の質は決して豊かとはいえません。交通渋滞であるとか住宅の狭さであるとか環境問題の解決など、大都市特有の莫大な行政需要への対応も必要となっております。
 東京がたまたま不交付団体であることで、東京都すなわち富裕団体とみなして財源を東京から地方に移そうという非常に安易な議論は、改革の本旨にもとるだけではありませんで、日本の将来の発展を危うくするものでありまして、今後とも断固として反対していく覚悟でございます。
 我が国経済の現況についてでありますが、企業収益の改善や設備投資が増加するなど、景気の回復を示す指標は着実にふえてきてはおりますが、一方では、アメリカ経済の減速や世界的な原油価格の高騰など、懸念材料も多くございまして、まだまだ予断を許さない状況にあると認識しております。
 我が国の経済がデフレから脱却し、国際競争力を取り戻してさらに発展していくためには、短期的な経済の動向に一喜一憂することなく、社会のさまざまな制度疲労がもたらす構造的な課題に的確に対応し、真の日本経済再生を図ることが必要であると考えております。
 次いで、予算編成における課題についてでありますが、十七年度予算編成に当たっては、国際競争力の向上や治安の回復、中小企業対策など、喫緊の課題に対して重点的、効果的に財源を配分し、東京、ひいては日本の再生を図ることが求められていると認識しております。
 また、一方で、都財政は巨額の財源不足や隠れ借金が依然として存在しておりまして、基金残高も減少するなど、財政の対応能力は既に限界を迎えつつあります。このため、第二次財政再建推進プランを強力に推進し、財政運営上のこうした問題を解決していくことが不可欠となってきております。
 したがって、来年度予算編成における最大の課題は、首都東京の再生と都民サービスのさらなる充実を目指しつつ、財政再建の足取りを確かなものにすることであると認識しております。
 次いで、横田基地及び横田空域の返還についてでありますが、米軍再編の動きの中、いわゆるトランスフォーメーションの中で、米空軍は主要な機材を既にグアムに移しておりまして、横田基地の平時における軍事的な比重はほとんどもう低下しております。この機をとらえ、返還に向けた第一歩として、米側に軍民共用化を迫ることが必要であると思います。
 さきにテキサス州での小泉総理、ブッシュ大統領のサミットの会談の中で、前日にも電話がかかってまいりましたが、外務省を通すと事がごたごたするだけで、自分がじかにこれを持ち出すということで、サミットの主題になりまして、ブッシュ大統領もこれを了承した瞬間、これは、アメリカ側では国務省を飛び越して国防省のマターになって、向こうの司令官が具体的にアプローチをしてくるような進展を見せましたが、だめなのは日本側でありまして、先般も、実は、軍民共用した後の、東京側がこれをいかに使うかというコンセプトを示してほしい、それは東京に依頼がありましたので、日本側の案として出しまして、それに対する回答が、米軍として出しているのに、回答など来てないということを、外務省はうそをつく。この間、どうもらちが明かないので、防衛庁の事務次官を呼びまして話しましたら、いや、来てますよということで、来てることは確かですけれども、私も詳細は知らない。つまり外務省は、何かこの問題のイニシアチブを東京都がとったことがこけんにかかわるのかどうか知りませんが、いずれにしろ、そのトランスフォーメーションの大きな動きの中で、これは一回棚上げして先送りしようというのがどうも基本的な姿勢のような気がしますので、これはもうけしからぬ話でありまして、今後も官邸を通じてプッシュしまして、トランスフォーメーションはむしろ、内容をいろいろ検討しますと、横田の返還にも通じる大きなきっかけになると思いますので、東京都としても積極的に動いていくつもりでございます。
 ご指摘のように、この空域が返還されて日本の管制下に戻りますと、西行きの幹線を飛ぶ飛行機は、大阪に行くにしろ、あるいは博多に行くにしろ、あるいは韓国に行くにしろ、十分以上時間が短縮されるわけでありまして、これは非常に経済効果もあるわけでありまして、そういったものを踏まえて、これから米側にというよりも、国といいましょうか、外務省に強く、しりをたたいて、これが早期に実現されるように努力をするつもりでございます。
 次いで、多摩地域における今後の道路整備についてでありますが、多摩地域は、圏央道の完成や横田基地のこれからのあり方次第で、都市構造が大きく変貌を遂げる地域だと思います。一方で、観光を含めたさまざまな産業の振興により、多摩を自立性の高い活力ある圏域に形成していくことが求められております。
 私も驚きましたが、巨木というのは直径二メートル以上ある木のことだそうでありますけれども、この巨木の数が一番多いのは東京都でありまして、奥多摩の森がそれでありまして、一部、御蔵島のような島もありますが、こういった、つまりだれが仰いでもさわってでも感動する巨木という観光資源が日本で一番数多くありながら、残念ながら、これが情報としても活用され切れてない。いずれにしろ、これも経済活動の一つになると思いますけれども、いずれにしろ、そういう可能性を開発するためにも、それを支えていく骨格道路を整備し、広域的に人や物の流れの円滑化を図ることが絶対に必要だと思います。
 今後も地元の意見を踏まえて道路整備を推進し、東京のみならず首都圏の活力の一翼を担う多摩を実現していきたいと思っております。
 次いで、多摩地域の振興についてでありますが、多摩地域は、圏央道が完成したり横田の基地が軍民共用、さらに返還されることによって、東京に大きな活力を呼び戻し、首都圏の発展を牽引する大きな可能性を秘めた地域であると認識しております。多摩振興に当たっては、こうした可能性を強力に開花させていくことが必要でありまして、このため、交通基盤、産業振興、医療、環境など、多摩地域の発展をリードし、重点的に取り組むべき事業を年内にも明らかにし、活力と魅力にあふれた多摩の実現に力を尽くしていきたいと思っております。
 次いで、三宅島の帰島支援についてでありますが、危険な火山ガスが発生している中での帰島については、あくまでも自己責任により、村民の方々が自身で判断されて選択されるべきものと思っております。
 この自己責任という意味が非常に強くゆがんでとられて、何か都は、我々を見放した形で、おまえら勝手にしろといっているのかというふうな誤解があるようですが、そうではないんです。しかし、例を挙げますと、今まで都は、いつ皆さん帰っていただいてもすぐ生活できるように、住宅は別でありますけれども、社会資本、特にライフラインの整備はいたしましたし、次の災害に備えての砂防ダムもほとんど完成いたしました。しかし、ガスだけは防ぎようがないわけでして、こういう作業の間に頻繁に現地に赴いていた東京の職員、課長ですけれども、体質的に非常に弱い人で、子どものころから小児ぜんそくの気があった。それはもうすっかりおさまって治ってたと思ったら、この作業をやっておられて頻繁に三宅島に行っていたために、病気が再発したんです。こういう事例がございまして、これは人によって条件が違うでしょうけれども、それがさらに悪い形で出てきた場合の責任というのは、これはやっぱりご自身が認めていただきませんと、そこまで東京都がギャランティーするわけにはとてもまいりません。現に専門家は、いまだに危険だということを申しているわけでありまして、それでも皆さんが、帰心矢のごとしということで、あえて島に帰られると、地域によっては依然として危険なところがあるわけで、そこは作業の場でもあったりするわけですから、そういう意味で自己責任ということを申し上げました。
 いずれにしろ、三宅村は、ガスの状況、村民の意向、安全対策などを総合的に判断し、来年二月を目途に帰島する方針を決定されたわけであります。
 都は、村の決定を尊重し、直ちに副知事を本部長とする帰島支援対策本部を設置いたしまして、帰島に備え、漁業施設や生活に関連した公共施設などの復旧、山林の保全などの緊急支援事業を実施してまいります。来年の二月の円滑な帰島に向けて全力で支援をいたしてまいりましたし、それは評価もし、ご理解いただきたいと思います。
 次いで、東京の治安状況についてでありますが、治安の維持こそ最大の都民福祉であるという観点から、治安対策が首都東京における緊急の課題であると考え、昨年、治安対策担当の副知事を置き、そのもとに緊急治安対策本部を設置いたしました。
 以来、東京都が率先して、不法滞在外国人対策を初めさまざまな施策を展開してまいりました。このことが世論を動かし、治安回復に向けた国の本格的な取り組みを──やや動きが見られまして、さらには、区市町村、民間団体などの動きにもつながってきたと思います。
 現在、各地で防犯のパトロールや防犯設備の自主的整備が進められるなど、都民の中に、もう自分たちの安全は自分たちで守るという積極的な姿勢が定着し始めております。
 こうしたさまざまな取り組みの結果、東京の治安にはやや回復の兆しが見え始めたと評価しておりますが、まだまだ努力が必要であります。
 例えば、不法入国者あるいは不法滞在者による犯罪を減らすためには、我が国が必要とする外国人勤労者が日本に定住し、正規に働けるような、思い切った大規模な移民政策を確立することなどが私は必要だと思います。
 私はよく勘違いされて、レイシストなんていわれますけれども、私は代議士のころから、実は、日本は大幅な移民政策をとるべきだということを主張してまいりました。そもそも日本人は決して単一民族ではございません。日本の従来の原住民の方々は、北海道のアイヌの方々と沖縄の方々でありまして、これを分断する形で、朝鮮半島経由で、あるいはシナ海を渡って、大陸などから多くの民族が日本にやってきて、ここで混血したわけでありまして、そういう意味では、アメリカ合衆国の「しゅう」を、ステーツの州ではなしに大衆の衆と書いた例もございますけれども、日本はまさに、世界で最も典型的な合衆国だと思います。その我々のルーツはシナにあり、朝鮮にあり、あるいはモンゴルにあり、メラネシアにもあり、インド、パキスタンにもあるわけでありまして、私は、そういう意味で、私たちはちゅうちょすることなく、大きな目的のために、治安もその一つでありますけれども、国としては積極的な移民政策を展開すべきだと思っております。
 今後も、都民の方々や国その他の関係機関と協力して、一日も早く東京の治安の本格的な回復を実現していきたいと思っております。
 次いで、物流改革における東京港の役割についてでありますが、我が国のトップ港湾である東京港、これは横浜港とあわせてスーパー中枢港の指定を受けました。当然のことだと思いますが、首都圏物流のゲートウエーとして、物流改革の上で先導的な役割を果たしてまいりましたし、これからも果たしてまいります。
 これまで都は、みずから、ふ頭利用の共同化や日曜ゲートオープンの実現など、先進的な取り組みを展開してもまいりました。
 また、特区提案を通じて国を動かし、税関や動植物の検疫の日曜開庁などを実現し、さらに水先制度の改善を国に要求するなど、規制緩和を促進してまいりました。
 今後も、横浜港など隣接する港湾はもとより、内陸部の自治体との連携も視野に入れて、広域的な物流ネットワークを強化していきたいと思っております。
 次いで、水道料金見直しに当たっての基本的な考え方についてでありますが、水を治め、水を安定供給することは、国や自治体の重要な責務であります。その対価である水道料金には、都民の理解があくまでも不可欠でございます。
 水道事業を取り巻く環境が大きく変化する中、現行の料金体系は、全使用者の半数近くが画一料金ということになるなど、水利用の実態にそぐわない面が出てきておりまして、もはや看過できない状況となっております。
 こうしたことから、基本水量の引き下げなど、これまでの料金体系を見直すとともに、企業努力をさらに徹底し、都民生活にも最大限配慮して、料金を平均で二・二%引き下げることといたしました。
 次いで、脱法ドラッグ対策についてでありますが、脱法ドラッグの乱用は、今はもう大都市に先鋭的に生じている現象、問題でありまして、都内における乱用の実態やその危険性、青少年に及ぼす広範な悪影響などは、既にもう看過できない状況にございます。このまま放置すれば、いずれ全国に広がるのは必至でありまして、本来は、国が法令によって率先して対処すべきものにもかかわらず、国のこの問題に対する認識はほとんど希薄でありまして、動きも非常に鈍い。
 都は、青少年を薬物乱用や犯罪から守り、都民の健康と安全を確保するため、脱法ドラッグの規制に向け、全国に先駆けて条例を制定するつもりでございます。
 なお、その他の質問については、副知事、警視総監、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔副知事竹花豊君登壇〕

○副知事(竹花豊君) 青少年問題への取り組みについてお答えいたします。
 これまで、緊急治安対策として少年犯罪対策に幅広く取り組んできましたが、その中で、青少年をめぐる危機は、少年犯罪にとどまらず、例えば不登校、高校中退者の問題、働く意欲も学ぶ意欲も持たないニートと呼ばれる若者の増加、あるいはネット社会の持つ子どもたちへの悪影響、さらには青少年の無軌道な性行動の問題など、多様な問題があることを実感してまいりました。
 また、このような状況が続けば、多くの青少年の幸せな人生を確保できないばかりか、我が国社会の将来にも重大な懸念が生じかねないと思っております。
 そこで、都といたしましては、八月に青少年育成総合対策推進本部を設置いたしまして、関係部局、国、区市あるいは警察等から職員を受け入れ、総合的な対策を講ずる体制をつくったところでございます。
 そこで、まず、青少年をめぐる、今申し上げましたような危機というものの内容について、多くの都民と認識を共有するための手だてを講じてまいります。そして、例えば社会的不適応につながる可能性のある不登校、高校中退についての対策や、ネット社会に翻弄されないための取り組み、性行動のあり方についての検討などを進めてまいります。
 この課題が簡単なものではないことは重々承知をいたしておりますけれども、子どもたちのために、日本の社会のために、議会の皆様方はもちろんのこと、都民の方々や関係団体、関係部局と一体となりまして、社会全体の動きの起爆剤となるように、真剣に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔警視総監奥村萬壽雄君登壇〕

○警視総監(奥村萬壽雄君) 交番等の整備促進についてのご質問にお答えいたします。
 交番、駐在所が地域の警察活動の拠点として大変重要な役割を担っていることは、議員ご指摘のとおりであります。
 このために、警視庁といたしましては、交番、駐在所の設置につきまして、その地域における事件、事故の発生状況あるいは人口、面積等、その地域の実情を総合的に勘案して、計画的に行ってきているところであります。
 また、交番、駐在所の増改築につきましては、必要性の高いものから、これまで順次整備をしているところでありまして、この五年間で八十九カ所の増改築を行ったところでありますけれども、今後とも、新設を含めまして、ただいま申し上げました状況を勘案しながら、交番等の整備促進を図ってまいりたいと考えております。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教育に関します八点の質問にお答え申し上げます。
 まず、都立大島南高校におけます全人格的教育や国際交流についてでございますが、お話しのとおり、海洋に囲まれた環境の中で、実習船や寄宿舎を活用した全人格的教育を行うことや、アジア・環太平洋諸国の国際交流の拠点としますことは、次代を担う国際感覚豊かな、たくましい人間を育成する上で、極めて意義あることと認識しております。
 こうした大島南高校が持ちます施設設備上の利点や地理的条件を最大限に生かした教育のあり方につきまして、今後、庁内に検討組織を設置しまして、大島町や関係機関とも十分協議しながら検討を進めてまいります。
 次に、東京都特別支援教育推進計画の基本的考え方と施策の方向についてでございますが、この計画の策定に当たりましては、障害のある児童生徒一人一人の能力を最大限に伸長するため、乳幼児期から学校卒業後までのライフステージを見通した多様な教育を展開して、社会的自立を図れる力や身近な地域の一員として生きていける力を培い、ノーマライゼーション社会の実現に寄与することを基本理念といたしております。
 また、都立盲・ろう・養護学校の生徒の社会的自立に向けた後期中等教育の充実や、児童生徒数の増減等に対応した盲・ろう・養護学校の適正な規模と配置、さらに、教員の資質、専門性の向上などの教育諸条件の整備及び小中学校におけます特別支援教育の充実への支援などを施策として推進してまいります。
 次に、ろう学校の分教室についてでございますが、都立のろう学校は、児童生徒数の減少によりまして、適切な学習集団、学級規模を確保することが困難な状況にございまして、学校の活性化や教育の充実を図ることを目的として再編整備を行う必要がございます。
 都教育委員会としましては、保護者等の聴覚障害に対します専門的な教育ニーズにこたえるため、ご指摘の再編整備の中で設置する分教室の存続期間につきましては、今後の児童生徒数の動向を踏まえまして柔軟に対応しますとともに、分教室として設置している間は、幼児、児童の受け入れを継続していく方向で検討してまいります。
 次に、寄宿舎の教育上の役割と今後の対応についてでございますが、寄宿舎は、児童生徒が基本的生活習慣を確立したり、集団生活のマナーを身につけたりすることなどの役割を果たしてきております。こうした役割につきましては、寄宿舎が設置されている、いないにかかわらず、盲・ろう・養護学校としての重要な指導内容でございまして、生活指導や宿泊行事等の中で重点的に指導を行っていくべきものであると考えております。
 今後の寄宿舎の再編整備に当たりましては、各学校の生活訓練施設を整備して、生徒指導や宿泊行事等の内容の充実を図りまして、児童生徒一人一人の社会参加、自立に向けた計画的、継続的な指導を行ってまいります。
 次に、子どもたちの学力についてでございますが、学力は、単に知識の量だけではなくて、みずから学ぶ意欲、思考力、判断力、表現力などを含めたものとしてとらえることが重要でございまして、これらの能力などを育成することによって確かな学力が身につくものであると考えております。
 都教育委員会としましては、これまで、児童・生徒の学力向上を図るための調査の実施や、習熟の程度に応じた少人数指導の実施や学習指導カウンセラーの派遣等を通しまして、児童生徒の学力向上を図ってきたところでございますが、今後は、こうした施策をさらに実効性のあるものにするため、学力調査の結果に基づきまして、すべての学校で授業改善推進プランを作成しまして、確かな学力の定着を図る取り組みを区市町村教育委員会と連携して推進をしてまいります。
 次に、公立の小中学校で土曜日に補習授業を行った場合の教員への対応についてでございますが、お話しのように、保護者の要望などによりまして、希望する児童生徒を対象に土曜日に補習授業を行っている学校や、今後、実施を検討している学校がございますが、そうした補習授業に従事している教員への対応にはいろいろ課題がございまして、早期に解決をしなければならないものと、私どもとしても認識いたしております。
 そのため、都教育委員会としましては、教員が土曜日に補習を行ったような場合、教育活動への影響にも配慮しながら、特例的な勤務の振りかえ策などを具体的に検討してまいります。
 次に、学校週五日制の趣旨を生かすための取り組みについてでございますが、学校週五日制の趣旨は、学校、家庭、地域社会での教育や生活全体で子どもたちに生きる力をはぐくみ、健やかな成長を促すことにございます。
 都教育委員会としましては、学校教育において児童生徒に確かな学力を身につけさせるとともに、心の東京革命の一環としてトライ&チャレンジキャンペーン等を実施して、児童生徒の豊かな心の育成に努めておりますが、今後は、平成十六年四月に策定をしました東京都教育ビジョンにおける提言の具現化などを通しまして、学校、家庭、地域社会が連携した教育の一層の充実に努めてまいります。
 最後に、教科書採択についてでございますが、お話しのように、今般の台東地区中高一貫六年制学校の中学校で使用する教科書の採択に当たりましては、特定の教科書を採択しないようにという要請等が多数ございましたが、都教育委員会としましては、採択権者の権限と責任におきまして、文部科学省の検定を受けた教科書の調査研究を行うなど、台東地区中高一貫六年制学校で使用するのに最も適した教科書を公正かつ適正に採択をいたしました。
 ご指摘のように、来年度は四年に一度の中学校用教科書の採択がえの年に当たりますが、都教育委員会としましては、今後とも、法令等に基づき、公正かつ適正に教科書採択を行ってまいります。
   〔知事本局長前川燿男君登壇〕

○知事本局長(前川燿男君) 広域自治体と基礎的自治体の連携についてでございますが、国際的な都市間競争が激化する中で、東京がこれに勝ち抜いていくためには、広域自治体である都が大都市地域を一体的に経営することにより、東京のポテンシャルを十二分に引き出すことがますます重要になってきております。
 一方、住民に身近な基礎的自治体は、生活に密着したサービスの主たる担い手として、都民の暮らしの質を高める観点から、その役割を十全に果たすことが期待されているわけであります。
 都としては、この二点を両立させることが大都市経営の最も重要な課題と考えておりますが、そのためには、お話にありましたとおり、基礎的自治体との連携の強化が不可欠でございます。
 今後、連携の強化に向け、種々工夫を凝らしながら一層努力してまいります。
   〔総務局長赤星經昭君登壇〕

○総務局長(赤星經昭君) 都区制度及び島しょ振興に関します三点の質問にお答え申し上げます。
 都区制度改革時の五項目の確認事項についてでございますが、東京が活力と魅力のある首都として、また世界都市として発展していくためには、都と特別区が適切に役割分担し、大都市機能の維持、強化を図っていく必要がございます。このような観点から、東京の大都市経営にふさわしい自治のあり方につきまして幅広く議論していくことが重要と認識しております。
 五項目につきましては、十七年度の合意形成に向けまして、現在、都と特別区によります検討組織を設置し、検討を進めております。
 このうち、基本となります都と特別区の役割分担につきましては、ことしの十二月から来年の一月を目途に、具体的に都の考え方を示し、協議を進めてまいります。
 次に、三宅島帰島に伴います復旧事業への村民の優先雇用についてでございますが、村が真に復興するためには、村民が就労によりましてみずから収入を得て、自立して生活していくことが重要な課題でございます。
 このため、帰島後当面の間におきましては、島内で実施されます砂防ダム建設等の災害復旧事業や農地復旧、漁場整備等の産業基盤整備事業に積極的に村民を雇用するなど、村民の就労の場の確保に努めてまいります。
 次に、小笠原諸島の振興開発についてでございますが、復帰以来、都は、島の振興と生活の安定を目指しまして、産業基盤や生活基盤の整備に重点的に取り組んでまいりました。
 今回の振興開発計画素案では、最大の地域資源でございます恵まれました自然環境の保全と観光振興の両立によります自立的発展を目指すことを基本理念としております。
 具体的には、例えば、世界自然遺産の登録に向けまして、移入種対策や、自然保護上重要な地区の指定を実施するとともに、来年のテクノスーパーライナーの就航を契機に、観光客の増加を目指し、新たな観光ルートの開発や宿泊施設など受け入れ態勢の充実に取り組んでまいります。
   〔財務局長松澤敏夫君登壇〕

○財務局長(松澤敏夫君) 平成十五年度決算による都財政の状況についてのご質問にお答えいたします。
 十五年度は財政再建推進プランの最終年度であり、財政健全化の努力を鋭意進めてまいりましたが、都税収入が二年連続でマイナスとなるなど厳しい財政運営を強いられ、実質収支は六年連続の赤字決算となったところでございます。
 また、財政の弾力性を示す経常収支比率は二年連続で悪化し、九七・九%と、依然として危険な水準が続く状況となっております。
 こうしたことから、厳しい財政環境が続く中、今後とも、財源不足の解消や経常収支比率の改善といった第二次財政再建推進プランの目標達成に向けて、財政構造改革にさらに積極的に取り組むことが必要であると考えております。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕

○建設局長(岩永勉君) 道路整備など七点のご質問にお答えします。
 まず、圏央道アクセス道路についてでございますが、アクセス道路は、圏央道の機能を十分に発揮させ、多摩自立都市圏の形成を図る上で重要な道路でございます。
 都は、新五日市街道など六路線をアクセス道路として位置づけ、これまでに五路線の整備を完了しております。
 現在事業中の新滝山街道は、あきる野インターから高尾街道までの区間が本年四月に開通し、全線七キロのうち三・三キロが完了したことにより、高尾方面とのアクセスが大幅に改善いたしました。残る三・七キロにつきましては、事業中区間の整備促進を図るとともに、未着手であった高尾街道から東側二・六キロの区間におきましても、今年度から用地取得を進めてまいります。
 次に、多摩南北道路についてでございますが、南北道路は、交通の円滑化はもとより、豊かな都民生活を支える上で重要な幹線道路でございます。
 このうち調布保谷線、府中清瀬線、八王子村山線では、早期完成に向け、多摩川原橋や是政橋など橋梁部も含め、全線にわたり事業を推進しております。
 また、府中所沢・鎌倉街道線、立川東大和線では、府中区間や国立市谷保区間等におきまして今年度末の開通を目指すなど、事業中区間の早期整備に取り組んでおります。
 未着手区間では、府中所沢・鎌倉街道線の国分寺区間の事業化に向けて、引き続き沿道環境に配慮した質の高い道路整備を目指し、必要な手続や調査を進めてまいります。
 次に、多摩地域の連続立体交差事業についてでございますが、本事業は、南北方向の交通渋滞や地域分断を解消し、都民生活と都市活動を向上させる重要な事業でございます。
 JR中央線は、三鷹─国分寺間で、本年、仮線への切りかえを完了し、来年度、高架橋工事に着手いたします。西国分寺─立川間では、来年度から仮線への切りかえを行う予定でございます。
 また、JR南武線は、現在、矢野口駅付近の高架橋工事を行っており、来年度には鶴川街道など八カ所の踏切を除却いたします。
 今後とも、圏央道アクセス道路、南北道路などの道路整備事業や連続立体交差事業について、道路特定財源を原資とする国費の拡大など財源確保を図りながら、住民の理解と協力を得て積極的に推進してまいります。
 次に、次期交差点すいすいプランについてでございますが、現行プランは、比較的短期間に少額の投資で交通渋滞の緩和や沿道環境の改善などに大きな効果を上げております。
 新たなプランの策定に当たりましては、路線全体の効果を一層発揮させるため、これまでの実績や他事業との連携を重視した箇所の選定を進めております。
 また、都と地元市町とが協力して、より効率的な事業執行ができる体制づくりにも取り組んでまいります。
 年内に中間のまとめを公表し、都民の意見を参考にしながら、本年度じゅうに次期プランを策定してまいります。
 次に、無電柱化推進計画についてでございますが、電線類の地中化事業は、防災機能の強化、安全で快適な歩行空間の確保、良好な都市景観の創出を図る上で大変重要でございます。
 この計画の推進に当たりましては、さらなるコスト縮減と事業期間の短縮の取り組みが不可欠であります。そのため、浅い位置への埋設と構造のコンパクト化を図った次世代型電線共同溝を本格的に採用するとともに、電線管理者が所有しているマンホールや管路の既存ストックを有効に活用してまいります。
 今後とも、財源の確保を図りながら、電線管理者や地元区市等と連携し、地中化事業を一層推進してまいります。
 次に、河川整備の取り組みについてでございますが、水害から都民の生命と財産を守るため、現在、一時間五〇ミリの降雨に対処できるよう河川の整備を進めておりまして、その整備率は五九%でございます。
 このため、水害のおそれの高い神田川、空堀川等におきまして引き続き河道の拡幅を進めるとともに、環状七号線地下調節池などの整備を行い、水害の早期軽減を図ってまいります。
 また、新潟、福井などでの水害を受け、直ちに緊急点検を実施いたしました。その結果を踏まえまして、護岸の補強や根固め等の防災工事を緊急度の高い箇所から早急に実施してまいります。
 今後とも、財源の確保に努め、重点的かつ効率的に事業を推進してまいります。
 最後に、河川のソフト対策の取り組みについてでございますが、大雨の際の河川水位や雨量の情報提供、ハザードマップの公表などは、迅速かつ的確な避難や都民みずからの災害対策への取り組みに大変有効でございます。
 これまでも、インターネット等による情報提供を行うほか、神田川など区部の十六河川におきまして浸水予想区域図を公表してまいりました。今回の豪雨災害を踏まえ、多摩地域の浸水予想区域図は、一年前倒しいたしまして来年度公表するとともに、新たに河川の水位予測情報の提供についても検討を進めてまいります。
 今後とも、浸水被害の軽減に向け、関係防災機関と連携し、ソフト対策に積極的に取り組んでまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君) 多摩地域の道路整備に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、多摩地域の都市計画道路の新たな整備方針についてでございますが、優先整備路線の選定に際しては、まず渋滞緩和や防災性の向上、環境改善の視点を基本に考えております。
 加えて、横田基地の軍民共用化を視野に入れるとともに、近隣県などとの広域的な道路網の形成や都市間の連携強化、沿道の街並み景観の創設など、多摩地域の特性を生かす視点を重視したいと考えております。
 今後、関係市町と連携し、多摩地域の発展に資する道路整備を推進してまいります。
 次に、中央自動車道の料金問題についてでございますが、多摩地域から都心へ高速道路を利用するに当たりましては、首都高速道路と中央道の管理者が異なることから、別料金となっております。このため、高井戸から八王子までの区間を首都高に組み入れ、高速道路利用における料金格差の是正を求める要望がかねてからあったことは承知しております。
 今般、都議会自由民主党の国や日本道路公団への働きかけなどにより、中央道のETC利用者につきましては、本年十一月より、深夜時間帯の料金が三割引に、さらに一月には、割引時間帯が広がるとともに、割引率も五割に拡大することとなりました。
 ただいまいただきました新たな提案につきましては、公団民営化に向けた高速自動車国道の仕組みを初め多くの困難な課題がありますが、都といたしましては、高速道路の料金体系について、さらに利用者の視点に立った見直しが行われるよう、関係機関に働きかけてまいります。
   〔大学管理本部長村山寛司君登壇〕

○大学管理本部長(村山寛司君) 産学公連携センターの取り組みについてお答えいたします。
 首都大学東京は、大都市東京をベースとする地場優先の大学として、研究成果を社会に還元し、中小企業等の振興に寄与する大学としていく必要がございます。平成十七年四月、新大学開学と同時に開設予定の産学公連携センターにおきましては、こうした観点から、技術移転や共同研究などを通じ、大学と企業、行政、試験研究機関などとの緊密なネットワークを組織的に構築してまいります。
 首都大学東京の研究成果を企業に移転し、製品化、実用化につなげるという明確な目的意識を持って、実効性の高い具体的な成果を上げ、東京の産業振興に貢献できるよう積極的に取り組んでまいります。
   〔病院経営本部長押元洋君登壇〕

○病院経営本部長(押元洋君) 小児総合医療センターに関します二点のご質問にお答えを申し上げます。
 まず、小児総合医療センターの機能についてでございますが、同センターは、子どものさまざまな疾患に対する高度かつ専門的な医療はもとより、小児精神部門と一般小児部門とが共同して、心と体の両面から総合的な医療を提供してまいります。
 また、隣接する多摩広域基幹病院と連携をいたしまして、出生から小児期、思春期、成人に至るまでの継続的な医療を提供するなど、将来の小児医療の発展を視野に入れ、国内外の小児医療をリードする拠点として整備をしてまいります。
 次に、小児科医などの臨床医の育成についてでございますが、医科大学を有しない東京都といたしましては、ご指摘のとおり、豊富な症例に接することができる小児総合医療センターを臨床医の育成の場として活用していくことが、大変重要なことと認識をしております。
 このため、同センターにおきまして、初期の臨床研修から高度な専門研修に至る臨床教育の体系を整備いたしまして、幅広い診療能力の修得の場として提供することにより、国に先駆けて小児医療分野における人材育成に努めてまいりたいと存じます。
   〔環境局長平井健一君登壇〕

○環境局長(平井健一君) 多摩地域のシカ被害と対策についてお答えいたします。
 まず、シカ被害の実態と当面の対策についてでございますが、急増したシカの食害により、多摩の森林では、広範囲にわたり樹木の立ち枯れ、下草の消失、土砂の流出などの被害が生じ、多摩の自然に対して深刻な影響を与えており、都民の水道水源であります奥多摩湖への影響も懸念されている状況にございます。
 被害をこれ以上拡大させないため、庁内に設置いたしましたシカ対策連絡調整会議におきまして、シカの捕獲、治山治水など、十六年度に実施する緊急対策を取りまとめたところでございます。関係各局が連携いたしまして、速やかに対策を推進してまいります。
 まず、シカの捕獲につきましては、奥多摩町などと協力いたしまして、水道水源林を含め六百頭の捕獲を行うほか、山梨県域にある水道水源林についても関係自治体と調整を図っていきます。
 また、川乗山の治山工事、峰入川支流における砂防ダムの設置、水源林の被害防止対策なども行ってまいります。
 さらに、奥多摩町営の水道施設につきましては、飲み水の安全で安定的な供給が確保されますよう、積極的に支援してまいります。
 次に、シカの頭数管理を含む今後の取り組みについてでございますが、対策を計画的、効果的に進めるため、生息調査に基づく適正な頭数管理を基本に据えたシカ保護管理計画を早急に策定いたしまして、各局連携のもと、シカの計画的な捕獲、植生の回復などの実効性ある対策を推進していきます。
 対策の実施に当たりましては、市町村及び関係団体等と十分な連携を図りますとともに、隣接する山梨県、埼玉県とシカの捕獲を共同で行うなど、広域的な取り組みも進めていきます。
 これらにより、多様な動植物の共存、水源涵養、土砂流出防止など、森林の多面的な機能が確保された多摩の豊かな森を再生してまいります。
   〔福祉保健局長幸田昭一君登壇〕

○福祉保健局長(幸田昭一君) 生活保護と福祉、保健、医療に関します五点のご質問にお答えいたします。
 まず、三宅村民に対する都独自の新たな支援制度の創設についてでありますが、村民の生活再建は、自助努力を基本に、国の被災者生活再建支援制度を初めとする既存の制度を活用しながら進められるものと考えております。
 しかしながら、今回の三宅島噴火災害は、村民が四年以上の長期にわたって避難生活を余儀なくされている過去に例のない災害であり、住宅などの生活基盤も甚大な被害をこうむっている状況にあります。
 今後、ご提案の趣旨も踏まえ、関係局と緊密な連携を図り、適切に対応してまいります。
 次に、三宅村への医師や看護師等の配置についてでありますが、依然として火山ガスが発生している三宅島において、村民が安心して帰島し、生活できるようにするためには、医療体制を十分に確保することが極めて重要であると認識しております。
 こうした観点から、今後、三宅村の要望に十分こたえられるように、村民の帰島スケジュールに合わせまして医師の確保に万全を期すとともに、看護師などの医療スタッフの配置についても積極的に支援してまいります。
 次に、生活保護における自立支援の取り組みについてでありますが、生活保護制度は、国が生活に困窮するすべての国民に対して必要な保護を行い、最低限度の生活を保障するとともに、その自立の助長を図ることを目的としています。しかしながら、現状は、自立を支援するための相談活動や支援の仕組みが十分に機能しておりません。
 このため、都は福祉事務所などの意見も踏まえ、自立支援施策の充実を初め生活保護制度の改善に関する具体的な方策を、本年七月、国に対し提案いたしました。
 今後、都としては、ご指摘を踏まえ、福祉事務所が効果的な自立支援施策を講じていけるよう、既存の仕組みの再構築を含め、積極的に対応してまいります。
 次に、教育扶助の対象拡大についてでありますが、高等学校などへの進学が一般的である状況を踏まえると、意欲のあるすべての子どもたちが進学できるよう、教育扶助の基準を見直すことが必要であります。
 このため、都は、教育扶助の対象を現在の義務教育から高等学校などまで拡大するよう、今年度、国への提案要求を行いました。現在、国においては、都の提案を受け、教育扶助の対象拡大も生活保護制度の検討課題として取り上げており、今後、その実現に向け、国に強く働きかけてまいります。
 最後に、民間社会福祉施設サービス推進費補助についてでありますが、施設代表者との合意を踏まえ本年四月に再構築したサービス推進費補助は、福祉サービスの質の向上を目的に、施設のさまざまな取り組みに対する努力加算項目を設定しております。
 その結果、例えば十三時間以上開所する保育所が昨年度実績の約二倍にふえるなど、都民ニーズにこたえる施設の取り組みが着実に進んでいると認識しています。
 今後とも、関係者との意見交換を行いながら取り組みの実態を把握し、必要に応じて努力加算項目の見直しを行うなど、社会状況や都民ニーズの変化に的確に対応した仕組みとなるよう努めてまいります。
   〔港湾局長成田浩君登壇〕

○港湾局長(成田浩君) 東京港におけるふ頭運営の効率化についてのご質問にお答えいたします。
 東京港の国際競争力の強化を図るためには、共同化やフルオープンなどを推進し、港湾諸施設を最大限に有効活用して、ふ頭当たりの貨物取扱量をアジア主要港並みに向上させることが不可欠でございます。とりわけ首都圏の生活と産業を支える重要な役割を担う公社ふ頭には、一層の企業性の発揮が求められております。
 都といたしましても、公社とともに大井、青海の協議会等を通じて、ふ頭施設の相互融通や共同利用を強力に推進するとともに、国に対し、ふ頭コスト低減策の充実を求めてまいります。
 今後、港湾管理者として、公共、公社ふ頭の枠にとらわれることなく、背後機能の充実を含めたふ頭運営の改善に総合的に取り組み、世界水準の効率性を実現してまいります。
   〔産業労働局長関谷保夫君登壇〕

○産業労働局長(関谷保夫君) 中小企業対策に関する三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、商店街の振興についてでございますが、商店街は、地域経済を支えるほか、地域コミュニティの維持、発展に重要な役割を果たしております。
 今年度の新・元気を出せ商店街事業においても、空き店舗を活用して高齢者の健康と暮らしを支える拠点をつくる事業や、子どもたちとともに商店街のエコ活動を考えるイベントなど、地域の福祉や環境等に貢献するすぐれた取り組みがございます。
 今後とも、こうした商店街の意欲的な取り組みが進むよう、区市町村と連携して商店街振興施策の一層の充実に努めてまいります。
 次に、制度融資による支援強化についてでございますが、本年四月に都が実施いたしました事業資金の調達等に関する調査によれば、借り入れ等に関する金融機関の姿勢を厳しいとする中小企業の割合は、平成九年の調査開始以来最も低くなるなど、中小企業の資金繰りは、全体的に見れば好転しつつあると考えております。
 しかしながら、本格的な景気回復に向けた足取りをより確かなものにしていくためには、ご指摘のとおり、個別企業のニーズに対応した一層の金融支援が必要でございます。
 そのため、年末に向けて、融資要件の緩和など具体的方策を検討してまいります。
 最後に、中小企業の再生支援についてでございますが、再生ファンドの効果を高めるためには、地域金融機関や再生支援協議会と連携を図るなど、再生に真剣に取り組む中小企業の掘り起こしが不可欠でございます。
 都といたしましても、再生ファンドの創設に合わせて東京都中小企業振興公社に再生相談窓口を設置し、再生支援を要する案件の発掘につなげてまいります。こうした取り組みを通じ、より多くの中小企業の再生を促進し、東京の経済の活性化に努めてまいります。
   〔水道局長高橋功君登壇〕

○水道局長(高橋功君) 水道料金の改定に関する二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、一部の使用者が値上げとなることについてでございますが、生活保護世帯や公衆浴場事業者などの一部が値上がりとなることは承知をしておりますが、今回の料金体系の見直しは、都民生活へも配慮しつつ、節水を促す仕組みやコストに見合った負担の実現を求める都民の声にこたえることを目的として行うものでございます。
 生活保護世帯に対しましては、引き続き基本料金を免除することとしておりまして、これによりまして、一般世帯に比べ安価な料金となっております。
 また、公衆浴場につきましては、従前から原価を大幅に下回る料金で供給をしているところでございます。
 次に、水道事業の経営基盤の確立についてでございますが、水道は、都市の維持、発展に欠くことのできない基本的なライフラインでありますことから、これまでも長期的な視点に立った施設整備を進めるとともに、経営基盤の強化に努めてまいりました。
 今回の計画案におきましても、おおむね十年後を見据えた施設整備長期目標を設定いたしまして、これに基づいて必要な施策を着実に実施するとともに、効率性の一層の向上を図り、強固な経営基盤を確立することとしております。
 この計画案に盛り込みました水源林管理の充実や貯水槽対策など、水源から蛇口に至るまでの総合的な施策を推進することにより、今後とも、ハード、ソフト両面にわたりまして、首都東京にふさわしい水道サービスの実現に向けて全力で取り組んでまいります。
   〔生活文化局長山内隆夫君登壇〕

○生活文化局長(山内隆夫君) 私立幼稚園に係る第二次財政再建推進プランの影響についてお答えいたします。
 第二次プランでは、私立幼稚園の学校法人化を促進するため、今年度から私立幼稚園教育振興事業費補助の見直しを行い、五年間の経過措置を設けたところでございます。
 このプランの基本方向については、今後とも堅持していく必要がありますので、私立幼稚園の経営実態を踏まえて、ご指摘の点も含め慎重に検討を行い、適切に対応してまいります。

○議長(内田茂君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時十三分休憩

午後三時三十六分開議

○副議長(中山秀雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 三十八番ともとし春久君。
   〔三十八番ともとし春久君登壇〕

○三十八番(ともとし春久君) 都議会公明党を代表して、質問をいたします。
 最初に、地方分権改革、三位一体の改革について伺います。
 先月末、全国知事会など地方六団体が国庫補助金、負担金等の改革案をまとめ、国に提出いたしました。今後、国は経済財政諮問会議などで地方六団体の改革案をもとに、国と地方の財源配分などについて議論する運びとなりますが、今後の展開について、我が党は若干の危惧を抱いております。その観点から、以下、質問をいたします。
 石原知事は、今回の一連の流れの中で、知事会のすべての日程に出席し、積極的に改革案のまとめに携わってきたと伺っております。マスコミでもその折々に報道されましたが、石原知事の独自の立場からの発言が注目を集めました。いずれにしても、今後はその内容をさらに吟味し、国の対応を注視しつつ、私たち都議会も知事との協力関係を密にして取り組んでいかねばなりません。
 そこで、こうした一連の流れに対する石原知事の認識と評価をまず伺いたいと思います。
 次に、私たちが最も危惧している地方交付税改革について質問いたします。
 都はかねてから、破綻に瀕した交付税制度の改革を訴えてきましたが、残念ながら今回の知事会の議論では、地方交付税の改革にはほとんど触れられておりません。必死に財政改革に取り組んできた不交付団体である都と、地方交付税に依存し続けてきた他自治体との意識の格差が反映されたというしかありません。
 しかし、そう嘆いてばかりいては、事態は一向に進展いたしません。都は、近く、独自の地方分権に関する本格的提言を行う予定であると聞いております。そこでは、ぜひとも交付税の抜本的改革と都市と地方が共存共栄できる内容を提示すべきであります。あわせて、安易な東京バッシングを抑えるためにも、首都圏を初め全国の各自治体への再度の連携の働きかけを行うべきであります。所見を伺います。
 次に、中小企業対策について伺います。
 東京の再生のかぎを握るのは、何といっても中小企業の活力であります。しかし、都内の中小企業では、後継者不足などから、都内製造業の実に四社に一社は事業承継の問題を抱えております。事業承継が円滑に進まず廃業などが進めば、これまで事業者に培われてきた技術、技能やノウハウ、人材、生産設備、資金などの貴重な経営資源の集積が失われ、都内のものづくり産業の存立基盤そのものが崩壊してしまいます。東京の経済再生にとっては死活問題となります。
 中小企業における事業承継に当たっての最大の問題は、事業を引き継ぐために必要な資金の供給であります。事業承継のための金融支援の拡充を、ものづくり産業活性化策として早急に検討すべきであります。所見を伺います。
 また、公明党は、商工会議所や商店街連合会などから中小企業対策の提案をいただいております。先日も、本年三月には都特別工業地区建築条例が撤廃されたことから、かつての工場追い出し政策の誤りが指摘されました。そして現在でも、用途地域等の制限により、工場や作業場の改修、建てかえができず、区部からの転出や撤退を余儀なくされている事業者が数多く存在するとの問題提起を受けました。
 ものづくりの復活を目指しても、東京から事業者の撤退が相次げば、成果は期待できません。都市計画上の課題、環境への配慮など、さまざまな克服すべき課題はありますが、知恵と工夫を凝らして、ものづくりに携わる事業者、そして地域経済の活性化に不可欠な事業者の経営環境を守る対策を講ずるべきでありますが、所見を伺います。
 次に、東京港の広域連携について伺います。
 去る七月にスーパー中枢港湾の指定が行われましたが、これは東京港の港湾改革に向けての一里塚にすぎません。日本のトップ港湾である東京港は、物流の効率化に加え、環境や安全の面からも積極的な取り組みを行い、名実ともに日本のリーディングポートにふさわしい物流改革を発信すべきであります。
 例えば東京港と横浜港との間のコンテナ貨物輸送は、行きはコンテナを積みながらも、復路では空で帰ってくるという非効率な片荷輸送の実態が一部にあるとの事実も明らかになっています。こうしたコンテナ陸上輸送の改革をモデルケースとして、物流の効率化と環境負荷の低減を同時に達成していくシステムづくりを、広域的な連携のもと、都が率先して推進していくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、物流の効率化と保安対策の両立の問題であります。改正SOLAS条約の発効に対応して、コンテナターミナルのIDカードによる出入管理など、セキュリティー対策が進められておりますが、現状は全国の港湾ごとに異なるシステムとなっており、このままでは円滑な物流に支障を来すことにもなります。
 そこで、都が率先して、IT技術等の活用により広域的な取り組みを推進し、物流の効率化と安全な港づくりが両立する仕組みづくりを行っていくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、介護予防について伺います。
 明年、国は、五年目を迎える介護保険制度の見直しを行う方針であり、早ければ本年十一月にその骨格が固められます。
 介護保険を利用する人々は年々増加し、要介護認定は、平成十五年四月末までの三年間で約百三十万件増加しています。そこで、自立支援のための介護予防の普及が緊急の課題として浮上してまいりました。
 従来から我が党は、一貫して介護予防の必要性を訴えてきました。国においては党独自に介護予防十カ年戦略プランを発表し、当面は中学校区に一カ所、近い将来には小学校区に一カ所の介護予防支援センターを設置する構想を明らかにしています。そして、先日私たちは、先進的な介護予防事業を行っている東京都老人総合研究所の介護予防緊急対策室と、我が党の提案により実現した介護予防モデル事業を稲城市で視察してまいりました。それをもとに何点か提案をいたします。
 各区市町村に介護予防事業が十分に普及されない原因として、第一に、介護予防の大切さは十分認識しているものの、事業提供の方法がわからないこと、第二に、事業を実施する人的、物的資源が不足していることなどが挙げられています。
 第一の、事業提供の方法がわからないという課題に対しては、区市町村の担当者への研修を実施している介護予防緊急対策室の体制を強化し、さらに幅広く実践的な研修とトレーニングを行っていくことが急務です。
 第二に、事業を実施する人的、物的資源が不足しているという課題では、老人総合研究所で実施している従事者研修に加え、各区市町村がそれぞれの地域で人材を育成することができる環境の整備が必要だと考えます。
 さらに、物的資源の不足に対しては、民間のフィットネスクラブや自治体の健康教室、学校の施設を体系的に活用することが効果的です。
 以上、今後の都の取り組みについて見解を伺います。
 次に、少子化対策について伺います。
 少子化問題は、今や日本の社会保障制度や経済の動向を左右する大きな問題となっております。東京都においても、合計特殊出生率が一を切るという深刻な事態を招いており、まず東京都から少子化問題について積極的な施策を打ち出していく必要があると考えますが、まず少子化問題に対する知事の所見を伺います。
 少子化問題の要因として、社会における婚姻に関する認識の変化、出産に対する女性の意識の変化、若年層の就業形態の変化などが一般的に取り上げられています。内心の自由にかかわる婚姻のあり方に対し、政治や行政は口を出すべきではありませんが、出産を希望し、就業を希望する人に対しては、行政が一定の支援を行うことは可能であります。現在一歳未満の子を養育するための育児休業給付制度が実施されていますが、給付の水準も活用状況もいまだ十分とはいえません。
 少子化に歯どめをかけるための出費は、未来に対する投資であります。その意味で、都は国とも連携を強化し、育児休業手当制度の拡充を目指すべきであります。また、育児休業制度の活用を促すには、企業等に対するインセンティブの付与が重要です。あわせて都の所見を伺います。
 また、欧州諸国において少子化対策の柱となっているのが、児童手当であります。この児童手当の拡充を初めとする少子化対策によって、欧州では出生率の低下に歯どめがかかり、上昇に転じているといわれております。いずれ我が国においても、対象年齢の拡大が議論されることは間違いありません。
 これについては後日の議論にゆだねたいと思いますが、ここではもう一点、医療費助成に触れたいと思います。
 現在、都は未就学児までの乳幼児医療費助成を実施していますが、これには所得制限があります。しかし、品川区を除く区部では、所得制限を既に撤廃しています。一方、三多摩の多くの市町村では、依然として所得制限が残されております。少子化は二十三区と多摩の市町村共通の重要課題であり、施策に過度の格差があってはなりません。少なくとも三歳未満時までの医療費助成の所得制限は撤廃すべきであります。見解を伺います。
 また、一方で、少子化の背景には、結婚しない若者あるいは経済的に自立できないために結婚できない若者の問題があります。正社員にならずアルバイトで生活するフリーターの問題は以前から指摘されてきましたが、最近では、働くことも学ぶこともなく、さらにそうした意欲すら持たないニートと呼ばれる若者の増加が大きな問題となっております。
 都は、この八月に青少年育成総合対策推進本部を設置して、青少年の健全育成に取り組むこととしていますが、既に五十二万人に上るといわれるニート問題への対応も、この本部の役割であります。
 少子化対策は、極めて幅が広く、奥の深い問題であり、このニート問題の解決は、青少年健全育成という枠にとどまらず、中長期的な少子化対策につながる側面があります。青少年育成総合対策推進本部長である竹花副知事の、ニート問題解決に対する所見を伺います。
 次に、少子化対策における都営住宅ストックの活用について伺います。
 少子化対策に果たす住宅政策の役割は極めて重大であります。都は平成十三年度に、都営住宅では初の若年ファミリー世帯向けの期限つき入居の募集を行いました。これは、公的住宅において定期借家制度を全国で初めて活用したものであり、しかも、優先枠を設けての若年ファミリー世代に対する支援策であります。
 少子化対策の一つとして、これを高く評価いたします。今後、さらにこの制度を拡充するために、新たに子どもの多い家庭、つまり多子世帯に対する優先枠を設けるべきであると考えますが、所見を伺います。
 次に、児童虐待について伺います。
 十月一日の改正児童虐待防止法の施行を目前に控え、またしても栃木県小山市で大変悲惨な事件が起きてしまいました。相次ぐ虐待死からなぜ子どもを救えないのでしょうか。 今回の改正児童虐待防止法では、同居人による虐待行為も保護者による児童虐待と定義されました。また、児童虐待の疑いがあるものも通告義務の対象となるなど、通告義務の対象が拡大され、児童相談所と警察の連携も強化されました。しかしながら、法がどんなに整備されても、それをきちんと運用する社会全体の取り組みがない限り、児童虐待の根絶は困難であります。今回の法改正では、警察の立入調査は見送られましたが、我が党は引き続き法の見直しを提案していきますが、都においても独自の取り組みの検討を期待いたします。
 我が党は、本年二月に児童虐待防止対策プロジェクトチームをつくり、児童虐待防止のためのネットワーク体制の整備について、石原知事に申し入れを行いました。各区市町村において、子ども家庭支援センターを核として、警察、医療機関、保健所、学校、保育所、民生・児童委員、児童相談所等から成る虐待防止ネットワークの整備が促進されていることは高く評価しております。
 そこで、今後はさらに医療機関や警察との連携を強化し、また民間の相談機関や支援機関の参加を促していく必要があります。児童相談所が核となってネットワークを強化し、成果を区市町村に還元できる取り組みを行うべきです。所見を伺います。
 ことしの夏の暑さは、まさに記録的であり、改めてヒートアイランド現象の深刻化を印象づけられました。都は、平成十四年度より二十三区内に百二十カ所余りの観測網を整備し、その結果、熱帯夜の地域的な偏在など、ヒートアイランド現象は二十三区内で一様ではないこともわかってまいりました。したがって、有効な対策を実施するには、舗装等による地表面の被覆状況や、人工排熱を初めとする熱環境などの地域特性を明らかにし、おのおのの地域特性に応じた対策を実施することが重要です。所見を伺います。
 続いて、緑化対策について伺います。
 先ごろ発表された環境科学研究所と農業試験場の調査では、ヒートアイランド現象に対する屋上緑化と壁面緑化の効果が確認されました。都はこれまで、新築等を対象とした緑化計画書制度により、十五年度末までに約四十五万平方メートル、日比谷公園の三倍に相当する屋上緑化面積を確保してきましたが、今後は既存の公共施設についても、屋上・壁面緑化を強力に推進していくべきであります。所見を伺います。
 十六年度では、丸の内や西新宿など、四つのモデル地区を定めてヒートアイランド対策事業を実施していますが、今後さらに効果的に対策を推進するには、保水性舗装の普及や、さきに述べた公共施設の屋上・壁面緑化、校庭芝生化など、学校施設の緑化等を都市整備事業や学校施設整備事業などに組み込んでいく必要があります。所見を伺います。
 次に、震災対策について伺います。
 都は九月一日、墨田、荒川、台東三区と合同防災訓練を実施いたしました。知事もヘリコプターで荒川河川敷におり立ち、つぶさに視察しておられました。大震災からいかに都民の生命、財産を守るのかが都政最大の課題であります。危機管理の最高責任者たる知事の決意を第一に伺います。
 第二に、減災の数値目標設定についてであります。災害を一〇〇%抑止することは不可能であります。また、地震の発生を抑えることはできません。しかし、災害が発生したとき、その被害を最小限に抑える努力、つまり、減災対策は十分可能であり、むしろ今後は、この減災の観点に立って、きめ細かな対策を確立すべきであります。
 二〇〇四年防災白書では、戦後の防災政策は巨大地震に対する備えが不十分であったと総括した上で、東海、東南海、南海地震に備えるためには、期間を定めて想定死者数の半減を目指すことが必要であると、減災の数値目標設定の重要性を強調しております。
 都としても、各種の地震被害想定について、死者、建物被害、経済被害など、いつまでにどの程度軽減するのか、具体的な数値目標を設定し、減災対策に取り組むべきであります。所見を伺います。
 第三に、耐震化対策についてであります。昨年、政府が決めた東海地震対策では、建築物の耐震強化で死者数を四分の一に減少させることが可能であると予測しています。阪神大震災の死者の八割は、建物の倒壊による圧死であったことからも、耐震強化は急務であります。国は改修を支援する自治体に対し、今年度から補助金を上乗せすることとしておりますが、いまだ十分ではありません。木造密集地域での一般住宅の耐震対策並びに災害拠点病院など医療施設の耐震対策、一時避難所となる都内小中学校など教育施設の耐震対策、さらに老人ホームや保育所など福祉施設の耐震対策を急ぐべきであります。所見を伺います。
 災害医療対策について質問いたします。
 これまで我が党は、危機管理監の設置、災害時医療救護活動マニュアルの作成、災害拠点病院の拡充、トリアージタッグの統一、NBC災害時のトリアージマニュアル整備などを提言し、これを受けて都も一つ一つ実現されてきたところであります。さらに、都はビル火災や大規模な交通事故などの都市型災害に対応するために、災害医療派遣チーム・東京DMATを新たに発足させました。先日、この東京DMATの災害医療訓練が東京消防庁立川防災施設で行われ、私たちも視察してまいりました。
 そこで、伺います。第一の課題は適切なトリアージの実施であります。医師や看護師が大災害時のパニック状態の中で冷静に被災者、患者の状況を見きわめ、適切にトリアージを行うことが重要でありますが、実際にはこれが相当に困難であることが明らかになっております。
 そこで、いざというときに迅速、適切に活動するためには、さらに実践的な訓練や研修を重ね、一定レベルに達した医師や看護師を災害医療の現場に派遣すべきであります。都の見解を伺います。
 次に重要なことは災害時のヘリコプターの活用であります。あの阪神・淡路大震災のときにヘリコプターを活用して患者を搬送したのはたったの一件のみであったといいます。患者、被災者の搬送等にヘリコプターを活用していれば、さらに多くの命が助かったとも指摘されています。さらにこのヘリコプターに医師が同乗することで、一層救命率の向上が期待できます。
 そこで、都内の災害拠点病院等へのヘリポートの整備、増設を含め、災害時にヘリコプターを活用するシステムの確立について、見解を伺います。
 続いて、災害拠点病院等の患者受け入れ体制、特に都立病院の体制について伺います。災害時には、多くの患者が災害拠点病院などに押し寄せます。その際に、混乱を最小限に抑えて的確に救命、治療に当たっていくことが重要であります。そのためには、病院内のすべてのスペースを活用し、緊急時には病床の増設にも対応できるよう、あらかじめ整備すべきです。
 現在、都は多摩広域基幹病院や小児総合医療センターの整備に取り組もうとしていますが、今こそ大災害時に備えた医療体制を確立する絶好の機会であります。都の見解を伺います。
 次に、教育問題について伺います。
 去る七月に、東京都特別支援教育推進計画概要が公表されました。この概要案が発表された直後から、ろう学校と寄宿舎の再編整備について、関係者から一斉に不安の声が上がっています。我々公明党は今月二十二日、再編計画の渦中にある品川ろう学校、青鳥養護学校を訪問し、学校関係者やPTAの人たちから直接意見を聞き、また授業の現場を拝見させていただきました。
 そこで、第一に、ろう学校の再編計画について伺います。今回のろう学校の再編計画の背景には、児童生徒の減少があります。昭和五十年代には約千二百人だった児童生徒が、現在では六百人を割るまで減少しました。こうした背景から、再編計画では、品川ろう学校、江東ろう学校、杉並ろう学校の三校は統廃合の対象となっています。しかし、この三校については当面の間、分教室として幼稚部、小学部が残されますが、将来的には閉鎖される予定と聞いています。しかし、これでは大田区、世田谷区、目黒区、品川区、江東区などに在住する児童生徒は通学時間が大幅にふえ、負担が増大します。また三校がすべてなくなることによって、必要かつ専門的な教育がおろそかになるとの不安もあります。
 聴覚障害は、乳幼児期における教育が極めて重要であり、その後の教育課程のすべてに大きな影響を与えるといわれております。したがって、将来的にはサテライト的な施設を整備して、身近なところで専門的な教育が受けられる工夫を行うなど、児童生徒と保護者の不安を解消する努力を行うべきであります。私たちが品川ろう学校を訪問した際は、近隣の養護学校などで専門教育を受けられる配慮が欲しいという声もありました。通学支援策の具体化を含め、見解を伺います。
 次に、寄宿舎の再編整備について伺います。今回の再編の基本的な考え方では、寄宿舎の入舎基準について、原則として、本来の入舎目的である通学困難に限定していくものの、当面、家庭の事情による入舎についても、一定の理由のもとに認めていくとしています。福祉的配慮による寄宿舎の支援が必要になる場合とともに、就学の保障という観点から、寄宿舎の活用は積極的に行うべきであります。また、従来寄宿舎設置校の児童生徒しか利用できなかった寄宿舎が、今回の計画では、同一障害種部門であれば、寄宿舎のない学校の児童生徒の利用も認めていく方針と伺っております。保護者が病気になった場合などの緊急時に寄宿舎を活用できるということは大きな前進であります。
 今後は、限られた施設を有効に活用し、幅広い児童生徒に対し寄宿舎への入舎の機会を提供する必要があります。迅速に入舎の手続が行われることはもちろん、多くの関係者が寄宿舎を利用できる新たなシステムを検討すべきであります。関連して、養護学校の教室不足の解消策を具体的に示すべきです。あわせて見解を伺います。
 第三に、病弱養護学校への高等部設置について伺います。今回、病弱養護学校に高等部を設置する方針を示されたことは高く評価します。しかし、病弱養護学校高等部だけでは、定員も限られており、青年期の学習環境として十分であるとはいえません。今後は、早期に高等部の設置を実現するとともに、近隣の高等学校や新たに設置が予定されている総合学科高校との連携を積極的に進めるなど、知恵と工夫を凝らすことが必要であります。所見を伺います。
 次に、公立学校の給与制度について伺います。
 公立学校教員の給与制度については、国立学校の法人化に伴い国準拠が廃止され、都道府県が主体的に給与を決定できることになりました。そこで、都教育庁は検討委員会を設置し、今後の給与制度のあり方について検討を行っています。
 現在の給与体系においては、校長、教頭などの教育管理職は、その給与が余りにも低く、長年勤めた一般教員とほとんど格差がないと指摘されています。キャリアを積んで教頭、校長になっても待遇面で冷遇されたままでは、教育管理職を目指す教員が減少するおそれすらあります。教育管理職の育成、士気高揚を図ることは、都教育委員会の責務であると考えます。
 そこで、管理職の処遇改善を図り、優秀な人材が管理職を目指す環境を整え、東京の教育を発展させるための人材を確保すべきであります。教育長の見解を伺います。
 次に、水道料金の改定について伺います。
 今回の料金改定案では、サービス向上施策の一環として口座割引制度の導入と合わせて、料金を平均で二・二%引き下げる内容となっています。しかし、本計画案の発表時に我が党が談話で述べたように、生活保護世帯という弱い立場の都民に厳しい改定案であります。
 また、公衆浴場事業者の一部についても同様のことがいえます。水道は都民生活に欠かせないもので、たとえ料金体系を見直すことに正当性があったとしても、社会的弱者等への負担増は認められません。議会としても対応を考える必要がありますが、弱い立場の方々への配慮について、見解を伺います。
 次に、新交通日暮里・舎人線について伺います。
 日暮里・舎人線については、現在、日暮里から舎人までの全線で工事が進められており、支柱や架設工事に続く駅舎工事など、次第に新交通の姿が現実になるにつれ、今後の進捗に期待が高まってきております。
 そこで、日暮里・舎人線の工事進捗状況と平成十九年度開業に向けたインフラ部分の整備の取り組みについて、現状と今後の展望を示していただきたいと思います。
 さらに、新交通の開業には駅設備や車両基地などインフラ外部の施設が必要です。舎人公園内では地下車両基地の工事が進められていますが、平成十九年度開業に向けたインフラ外部の取り組み、また補助九一号線の整備見通しについてお伺いたします。
 さらに、平成十七年度の常磐新線の開業に合わせ、六町、花畑北部地域の区画整理事業、補助一四〇号線と補助二五八号線、さらに補助一〇九号線の隅田川架橋の整備の見通しも明らかにすべきであります。あわせて所見を伺います。
 次に、奥多摩の森林被害について伺います。
 奥多摩町では近年ニホンジカの急増に伴い、森林が食い荒らされ砂漠化の危機に陥っております。加えて七月に発生したゲリラ的集中豪雨によって山林が崩落し、土石流が多摩川に流れ込み、都民の水道水源林が崩壊寸前となったため、町を挙げて救済を求めております。
 そこで伺います。町当局及び超党派の町議会が要望していることは、第一に、都の林業試験場が保有するニホンジカ被害の予防研究などの成果を、今こそ発揮していただきたいということです。第二には、車両が通れない急峻な山間地に、トロッコ型の小型モノレールを設置することです。そして第三に、都営水道との一元化の問題があります。これは要望にとどめておきますが、奥多摩町民の長年の悲願を重く受けとめていただきたいと思います。
 いずれにせよ、東京の水源林を守ってくださっている奥多摩町の人々にこたえるために、奥多摩町の森林の保護に向けて、都は全庁を挙げて支援すべきであります。奥多摩の森林保護について、平素から強い関心を持ち、エコロジーを大切にする知事の見解を伺います。
 次に、三宅島村民の帰島に対する都の支援策について伺います。
 本年七月、三宅村長は避難指示を解除し、明年二月を目途に一斉帰島をする基本方針を発表しました。これを受けて我が党は、三宅島帰島・復興事業の実施に関連して、八月六日には小泉首相に対し、また、九月九日には石原知事あてに緊急要望を行ったところであります。
 さらに、九月十七、十八の両日には、衆参国会議員と都議会議員が合同で三宅島に船で渡り、島の惨状や帰島に向けての準備作業をつぶさに視察してまいりました。現地では、道路や橋などのインフラ整備が想像以上に進んでいましたが、住宅や学校、保育園などの公共施設を初め、漁業施設や農地などは大きな被害を受けておりました。村民が帰島してもとどおり生活ができるようになるためには、都の強力な支援が不可欠であります。
 そこで第一に、改めて、円滑な帰島を進めるための都の支援について知事の決意を伺います。
 第二に、村民にとって一番切実な問題である生活再建であります。
 国の被災者生活再建支援制度においては、従来から避難時に最高百万円が支給されてきましたが、この春の法改正で、都の強い要望が実り、三宅村民のための長期避難特例制度が実現したことは高く評価いたします。また、居住安定支援という制度が新設されるなど、一定の前進がありました。
 しかし、これらの制度では、居住安定といいながら、直接の住宅建設経費に使えないこと、使える品目の対象が制限されることなど、避難者にとって必ずしも十分な支援策とはなっておりません。そこで、国の制度に加えて、都独自の生活再建支援制度を創設すべきであると考えます。所見を伺います。
 第三に、生活再建のためには産業の復興が前提となります。
 そこで都は、特に漁業、農業の復興に向けて、土地の改良や生産施設の復旧のための支援を行う必要があります。農業や漁業の再開に向けての取り組みについて明らかにすべきであります。
 第四に、帰島後の保健医療体制の充実についてであります。
 都の島しょ保健所三宅出張所と村の診療所が連携協力して、いざという場合に備えて、保健医療体制を充実、整備することが重要であります。そのためには、保健所の復旧に早期に取り組むとともに、島に必要な医師や保健師等を確保することが不可欠であります。都の取り組みについて伺います。
 いずれにしても、やみがたい帰島への島民の思いに、きめ細かくこたえていくことが大切であります。世界史的にも類例のない災害の復旧、復興、そして帰島がこれから始まります。知事以下、当局の細心の取り組みを求めて質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) ともとし春久議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、全国知事会議の評価などについてでありますが、先般、新潟での全国知事会議は、地方分権改革についてといいますか、それに伴う、先ほど申しましたが、義務教育に関する国庫負担の撤廃、つまりその分を地方に財源として回すという問題について、かなり激しい議論が二日間にわたって行われました。これは画期的な出来事だったとは思いますが、しかし、残念ながら、内容の点では、政府から与えられた三兆円の枠内での数字合わせの議論に終始した感が強い気がいたします。税源移譲を受ける千載一遇の好機と見て、とにかく、この際とれるものはという感じの議論がほとんどでありまして、肝心の義務教育の国庫負担金まで廃止の対象として、財源保障をさらに交付税にゆだねるに至っては、何をかいわんやという感じが否めませんでした。
 現状を見ますと、予想どおり、既得権益を死守しようとする国、地方を通じた政・官・財、各界からの抵抗で、改革はまさに空中分解の危機に瀕している感がございます。
 都としては、都議会の皆様のお力添えをいただきながら、真の地方分権改革の実現を目指して、引き続き国や世論に対して強く働きかけていくつもりでございます。
 先般も、東京の試案というものを提出いたしましたが、何人かの知事さんたちは非常に評価をして、感謝されましたけれども、とてもそれが議題として議論の対象になるところまではまいりませんでした。
 次いで、少子化問題についてでありますが、少子化の進展は、未婚率の上昇、なかなか結婚したがらない、それから、しても非常に遅い、晩婚化、それから初産年齢の上昇によるものでありますが、その背景については、一般に核家族化あるいは教育、住宅費の負担、女性の社会進出などの要因が指摘されております。
 しかし、もっと基本的な問題として、最終的には個人の価値観、いってみれば人生に対する価値観、あるいはそれに基づいた人生設計というものをどうするかという問題に帰着すると思います。
 私の友人にも、非常に優秀な才能を持ち、大きな仕事をしながら、残念ながらお子さんのいない人が何人かおられますが、彼らと話をすると、本当に子どもがいなくてむなしいということをよく聞かされますけれども、そういう人たちの価値観と、大分このごろ、若い方々の人生に対する価値観が変わってきたようでありまして、ヨーロッパやアメリカの例を見ても、ある程度社会が豊かになり高齢化が進んでおります先進国では、長期的に見ると、少子化は例外なく進行しているのが事実であります。
 行政の関与により、現在の少子化の急速な進展を防いだり、あるいは転換することには限界があると考えられますが、日本や東京の将来に重大な影響を与える問題であることは間違いございません。
 都としては、独自の認証保育所やあるいは小児救急医療、あるいは子ども家庭支援センターなどの整備など、安心して子どもを産み育てられる環境の整備を進めておりますが、新しい組織整備を契機として、さらに少子化対策に、行政のできる範囲でありますけれども、積極的に取り組んでいきたいと思います。
 しかし、帰するところは、自分の人生にとっての子どもの意味合い、自分の家族の未来、将来、子孫というものを自分の人生の中でどうとらえるかの問題だと思います。
 次いで、震災対策についてでありますが、この九月一日にも、自衛隊の協力も得て災害対策を行いまして、その最後の総括でも申しましたが、日本は、世界に八百ある活火山のうちの八十五が存在するという、まさに世界一の大火山脈の上にあるわけでありまして、そんな話をして、そういう事実を、地政学的にもそういう条件のある国土にいるんだということを忘れないでほしいということを都民の皆様にお話ししましたら、間もなく東京の間近の浅間山が爆発して、聞きますと、あの周辺の、特に軽井沢のような典型的な避暑地、リゾートは非常に大きな被害を受けているようでありますけれども、いずれにしろ我々は、これは我々が生まれた国土の必然、蓋然であるということを強く認識した上で災害に備えなくちゃならないと思います。
 その東京を災害に強い都市にしていくためには、ハード、ソフトの両面からの取り組みが必要で、都では、災害に強い都市構造を目指し、市街地の再編整備や広域防災拠点の整備などにより都市の再生を推進していくつもりであります。
 一方、また、みずからの命は自分で守るという自助、そして自分のまちは自分で守るという共助、それがあって初めて都なり国が動く公助が有効に働いてくるという原則に基づきまして、訓練や啓発を通じ、災害に強い地域社会づくりを促進してまいりました。
 今後も、そういう認識に立って、首都東京の一層の安全性を目指して、災害への備えに万全を期したいと思います。
 今回の災害訓練でも、日本で初めて、ご指摘のありました災害医療派遣としてDMATを実現しましたが、私も現場で眺めまして、確かに非常にやっぱり効果があると思います。
 一つの例として、衝突、大事故を起こした車両に二人の被害者がいる、一人はもう心肺停止している、一人は辛うじて生きている。そこにお医者さんが行って、その場で酸素吸入を施すことで片方の方は助かるという設定でありましたが、あれが普通、救急車で運んだのでは両方とも亡くなっちゃうわけでありまして、こういう実験というのは、国に先んじて東京がやりましたが、国もそれにつられてか、各県、全国でこれをやりなさいという、厚生省はそういう推薦をしておりますけれども、要するに、これは結局、各地方自治体が請け負わなくちゃいけないことでありまして、そういう点では、東京はいい実験を先んじてしたと思っております。
 次いで、奥多摩の森林被害についてでありますが、急増したシカの食害による森林被害は非常に惨たんたるものでありまして、先ほども、その席で資料としての写真で実態をつぶさに認識いたしましたが、いずれにしろ森林は、木材の生産だけではなくて、都民の憩いの場となるほか、水源の涵養や地球温暖化防止など多面的な機能を持っているわけでありまして、また、一度破壊された森林を機能として回復するには膨大な時間と費用も要ります。
 それでまた、シカによる被害というものは、これはシカのせいというよりも、むしろこれを放置した行政の責任だと思います。私、環境庁の大臣をしておりましたときに、岐阜県に参りまして、植林しても、ニホンカモシカがおりてきて、その植林の低い苗木のこずえを食べてしまう、全然木が育たぬという陳情を受けて、構わないからとってしまえと。
 一体どこが管理しているのかといったら文部省でありまして、文部省に、ちなみに一体、保護は結構だけれども、今どれぐらいニホンカモシカがふえているかといったら、その数字はつかんでおりませんと。それじゃ、まるで昔の話の犬公方でありまして、行政にならないじゃないか。だから、一種の高度制限をして、ある高さまでおりてきたカモシカはとってよろしい、私の責任で結構ですといって、岐阜県はそれを実施して、感謝もされましたが、本来はこれはやはり、それを保護ということを命じている文部省なら文部省の私は責任だと思いました。
 そういう点でも、奥多摩を荒らしているシカも保護の対象になっているようでありまして、そういうものの総数をまず正確につかんで、それがもたらしている森林被害との因果関係というものを、数値の上できちっととらえ直す必要があると思います。
 最後に、三宅島の帰島支援についてでありますが、先ほども比留間議員の質問にもお答えしましたが、認識していただきたいのは、専門家はまだ危険だと、明らかに危険だ、有毒だというガスが噴出されているわけでありまして、地域によっては立ち入りできないような地域もあるわけです。それを承知でとにかく帰りたいというお気持ちはよくわかるわけですから、村長も村議会も、その島民の心情を受けて帰島の決心をされました。
 しかし、それに関して、自己責任という言葉が何か曲解されているようですけれども、これは、だれをもってしても毒ガスを防ぐわけにはいかないので、そこに危険を承知で帰られるわけでありまして、先ほども例に引きましたけれども、人によっては健康というものが著しく損なわれる可能性もあるわけで、それは十分承知の上で、ひとつ帰島なり行動していただきたい。
 ただ、それも、警報を発するとか、その他いろいろ手だてを尽くす準備もしておりますが、いずれにしろ、都のできることはそこまででありまして、最後の判断は、島民の方々が自分自身のためにしていただかなくちゃならないと思います。
 いずれにしろ、都は、その村の決定を尊重して、直ちに副知事を本部長とする帰島支援対策本部を設置いたしました。また、今後も、帰島に備えて、住宅、医療、教育などの生活関連施設の復旧や、枯損木対策を中心とする緊急支援事業を実施してまいります。来年二月の円滑な帰島に向けて、都として全力で支援をするつもりでございます。
 他の質問については、副知事、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔副知事竹花豊君登壇〕

○副知事(竹花豊君) ニート問題への取り組みについてお答え申し上げます。
 働く意欲も学ぶ意欲も持たないニートと呼ばれる若者の増加は、社会の活力の維持、若者の幸せ、さらには、ご指摘の少子化の観点からも大きな問題であると思います。
 この問題は、我が国に限らず、諸外国でも起きている問題でありまして、イギリスでは、既に数年前から諸対策を進めていると聞いております。我が国の実態についてはまだよくわかっていないので、今後、その実態を把握していきたいと思います。
 また、不登校、ひきこもり、あるいは高校の中退者といった問題もその背景にあるものと考えられます。これらの問題の解決に取り組むこととあわせまして、幼いころから他人とわかり合うコミュニケーション能力を育てていくということや、職業体験を早い時期に積ませるということなどにも従来以上に真剣に取り組んでまいります。
 さらに、既にニートとなっている若者につきましても、働くきっかけや学び直すチャンスをつくり出すことが必要であると考え、その面でも対策を講じていきたいと考えております。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教育に関します四点の質問にお答え申し上げます。
 まず、ろう学校の再編整備後の対応についてでございますが、ご指摘のように、聴覚に障害のある幼児、児童にとりまして、障害を早期に発見し、乳幼児教育相談や幼稚部、小学部における適時適切な教育を実施していきますことは、言語の習得など、その後の教育にとって重要でございます。
 そのため、分教室の統合後も専門的な教育が継続して受けられるよう、幼稚部、小学部の幼児、児童を対象としたスクールバス等によるろう学校への通学の支援や、近隣の養護学校等の施設を使用して指導するサテライト教室の実施など、また、乳幼児を対象とした専門家等が巡回します教育相談の実施などについて具体的に検討してまいります。
 次に、児童生徒の寄宿舎入舎への配慮についてでございますが、寄宿舎への児童生徒の受け入れは、寄宿舎設置の本来の目的でございます通学困難による理由を原則としておりますが、ご指摘のように、家庭の事情への配慮が必要な場合があることも認識しております。例えば、家庭に複数の障害者がいる場合や、保護者が病気や家族の介護等で長期にわたって通学の付き添いができない場合など、個々の事情をよく勘案した上で対応する必要があると考えております。
 また、寄宿舎が設置されていない学校の児童生徒で入舎が必要な場合、迅速で円滑に入舎できるよう、寄宿舎設置校と未設置校間の連携の仕組みを検討してまいります。
 なお、青鳥養護学校の寄宿舎につきましては、第一次実施計画におきまして、教室及び生活訓練施設として位置づけ、有効に活用してまいります。
 次に、病弱養護学校高等部についてですが、病弱養護学校高等部は、慢性疾患等により継続的な医療や生活上の規制を必要とする生徒等にふさわしい後期中等教育を行っていくことを目的としておりますことから、早期に設置していく必要があると考えております。
 また、お話のように、同年代の生徒同士による適切な集団生活を確保することは、特に青年期において重要でございまして、高等部設置に当たりましては、近隣の都立高等学校との連携を十分に図ってまいります。
 最後に、公立学校の教育管理職の給与等についてでございますが、保護者、都民の期待にこたえて、学校の抱えるさまざまな問題を解決し、学校教育の一層の充実を図るためには、校長を初めとする管理職がリーダーシップを発揮することが必要不可欠でございます。
 都教育委員会としましては、教育管理職の育成や士気高揚策などを含めまして、現在、公務員制度改革などの動向を踏まえつつ、職責と能力及び業績を重視した教員の給与制度を検討しているところでございますが、今後、ご指摘の趣旨も踏まえまして、教育管理職を含む教員の給与制度の構築に取り組んでまいります。
   〔知事本局長前川燿男君登壇〕

○知事本局長(前川燿男君) 地方交付税制度についてでございますが、現行の制度が、地方の自立を阻害し、国の地方支配をもたらしている最大の要因であることは、今や周知のとおりでございます。しかも、財政的に見ると、国の政策誘導や景気対策、減税補てんなどで巨額の借り入れを抱え、既に破綻状態にあることも明らかでございます。
 ご指摘のとおり、抜本的な改革が不可欠であり、税源移譲と一体で新たな財政調整制度を導入する必要がございます。これにより都市と地方の共存共栄が可能となり、日本全体の発展につながるものと考えております。
 都は、こうした観点から、現行制度の本質的かつ抜本的な改革を全国の自治体に訴えてまいりました。お話のとおり、安易な東京バッシング論の横行を許さないためにも、引き続き粘り強く、首都圏を初め全国の自治体に働きかけてまいります。
   〔産業労働局長関谷保夫君登壇〕

○産業労働局長(関谷保夫君) 中小企業対策、少子化対策、奥多摩の森林被害及び三宅島対策に関する六点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、事業承継のための金融支援についてでございますが、創業期から発展期、そして事業の転換期へと、企業のライフサイクルに応じて適切な支援策を講ずることが重要でございます。
 都はこれまで、制度融資により、創業や事業の多角化、事業転換に対する支援を行ってまいりましたが、中小企業が蓄積している技術や人材、生産設備など貴重な経営資源を生かすためには、円滑な事業承継を促すための支援も必要でございます。
 今後、例えば事業を引き継いだ従業員等の後継者に対する融資など、事業承継を視野に入れた支援メニューを検討してまいります。
 次に、中小企業の経営環境についてでございますが、ものづくりに携わる事業者が積極的に事業に取り組める環境を整備していくことは、東京の産業の活性化を図る上で重要な課題と認識しております。
 都としては、これまでも特別工業地区建築条例を廃止したほか、建築基準法等の都市計画規制の見直しや、事業承継時の税負担の軽減を国に提案要求するなど、環境整備に努めてきたところでございます。
 今後とも、中小企業が安心して都内で操業できるよう、経営環境の整備に努めてまいります。
 次に、育児休業についてでございますが、少子化対策の一環として、職業生活と家庭生活との両立を推進する上で、育児休業制度は重要であると認識しております。
 育児休業給付制度につきましては、一義的には国が所管しており、現在、その拡充を内容とする法案が国会で継続審議中でもあることから、今後の国の動向を見守ってまいりたいと考えております。
 また、都といたしましても、育児休業制度の活用を促すため、各種セミナーの開催や、仕事と家庭の両立支援に成果を上げている企業の紹介など、普及啓発に努めてきたところであり、引き続き積極的に取り組んでまいります。
 次に、林業試験場のシカ被害の予防研究成果の活用についてでございますが、これまで、シカが排出したふんの数から生息数を推定する方法や、金属製の網で苗木を囲い、シカから守る方法を開発しております。
 今後、精度の向上や低コスト化を進めながら、これらの成果を生息数調査や森林回復に活用してまいります。
 次に、小型モノレールの設置についてでございますが、シカ被害地の大部分は、車両はもとより、人が山に入るのも困難な山腹あるいは尾根筋の急峻な場所に位置してございます。
 ご提案のモノレールにつきましては、被害森林の回復やシカ捕獲用の資材、捕獲したシカの運搬を実施する上での手段の一つと考えられることから、設置につきまして、関係局や市町村と協議してまいります。
 最後に、三宅島の農業、漁業の再開への取り組みについてでございますが、現状では、農地は火山灰の堆積に加え、長期にわたり放置されてきたため、竹、雑木などが繁茂しております。また、各漁港の漁業関連施設及び機器類は、地震や火山ガスにより甚大な被害を受けております。
 このため、農業におきましては、農家の営農再開の意向を踏まえ、帰島者の就労の確保も図りながら、火山灰及び雑木の除去や酸性化土壌の改良などに取り組んでまいります。
 また、漁業におきましては、トコブシやハタ類等の放流により漁場回復を図るとともに、五つの漁港のうち最も規模が大きな阿古漁港で、冷蔵庫や船揚げ機などの漁業関連施設を早急に復旧し、帰島直後からの再開に備えてまいります。
   〔港湾局長成田浩君登壇〕

○港湾局長(成田浩君) 港湾の広域的な連携と物流効率化の推進についての二点のご質問にお答えいたします。
 まず、物流の効率化と環境負荷低減の取り組みについてでございますが、この二つの目標を同時に達成していくことは容易ではありませんが、いずれもゆるがせにできない重要な課題でありまして、その実現には、隣接港湾との連携など、従来の枠にとらわれない新たな仕組みづくりが不可欠であると認識しております。
 このため、都が呼びかけて四月に設立した京浜三港広域連携協議会において、京浜間のコンテナ輸送の効率化を喫緊の課題として取り組むことといたしました。
 これを受けまして、七月には、国や民間団体等も含め検討委員会を立ち上げたところでございまして、今後、この委員会を通じまして、京浜間の片荷輸送解消のための実証実験に向け、具体的な検討を進めてまいります。
 次に、物流効率化と安全・安心な港づくりについてでありますが、東京港では、改正SOLAS条約に対応し、フェンスや監視カメラ等の整備を着実に進めるとともに、速やかに保安訓練を実施するなど、港の保安体制の確立を図っているところでございます。
 一方、保安の強化を進めていく中で、円滑な物流への影響が顕在化してきているのは、ご指摘のとおりでございます。このため、保安と物流機能の両立に向けまして、東京港におきましては、IDカードの共通化にいち早く取り組むとともに、現在、全国主要港湾と連携し、IT技術を活用した車両のふ頭出入り管理の標準化に着手したところであります。
 今後、こうした取り組みを加速させ、世界に信頼される安全で国際競争力のある港づくりを進めてまいります。
   〔福祉保健局長幸田昭一君登壇〕

○福祉保健局長(幸田昭一君) 介護予防など、福祉、保健、医療に関します九点のご質問にお答えいたします。
 まず、介護予防に関します実践的な研修などについてでありますが、都は、これまでも介護予防の普及定着を図るため、老人総合研究所が長年にわたって培ってきた介護予防のノウハウを活用し、全国に先駆けて区市町村に対する人材育成や実地指導を行ってまいりました。
 具体的には、老人総合研究所の介護予防緊急対策室におきまして、従事者研修に加え、介護予防健診「おたっしゃ21」や筋力向上トレーニングの導入などについて、区市町村に対し実地指導などを行っております。
 今後とも、実地指導の充実強化を図るなど、区市町村へのより実践的な技術の普及に努めてまいります。
 次に、介護予防に関する人材の育成についてでありますが、介護予防プログラムの普及を図るためには、区市町村において、その担い手となる人材の育成が重要であることから、これまでも老人総合研究所が筋力向上トレーニングや転倒予防など、個々のプログラムなどに関する研修を実施してまいりました。
 今後は、それぞれの地域で、区市町村が主体的に人材育成を行っていく際に、指導的な役割を担うことのできる人材を育成していくとともに、こうした人材を活用して、区市町村が独自に実施する取り組みについても、包括補助事業により支援してまいります。
 次に、介護予防拠点の整備についてでありますが、区市町村が介護予防拠点の整備を進めていくに当たっては、既存の施設をどのように活用していくかが重要な課題であると認識しております。
 特に、民間の介護サービス事業者やフィットネスクラブが多いといった東京の地域特性を踏まえますと、国が予定しているデイサービスセンターなどの既存の公共施設に加え、これら民間施設を含むさまざまな社会資源を有効活用していくことが必要であります。
 今後の介護予防拠点の整備に当たりましては、こうした観点を踏まえ、区市町村が地域の実情に応じて拠点整備が行えるよう、国への要望を含め、検討してまいります。
 次に、乳幼児医療費助成制度についてでありますが、本制度は、少子社会において子育てを支援する福祉施策の一環として、区市町村に対し都が補助を行っているものであり、対象年齢については、義務教育就学前まで段階的に拡大してまいりました。
 所得制限の基準は、国における児童手当に準拠しており、一定の所得制限を設けることは必要と考えております。
 いずれにしても、この八月の福祉保健局の発足に伴い、少子化対策に総合的に取り組むための組織が設置されました。今後、東京の実態を踏まえ、関係局とも連携しながら、少子化対策に取り組んでまいります。
 次に、児童虐待防止における民間団体との連携についてでありますが、虐待の防止や虐待を受けた子どもたちへの支援をさらに強化するためには、相談、支援を実施している民間団体との緊密な連携協力が有意義であると認識しております。
 都は、これまでも電話相談や虐待をした親へのケアなどに取り組んでいる民間団体との連携を進めてまいりました。加えて、本年六月から、集団生活になじめない子どもの保護をNPO法人に委託する取り組みを始めたところでございます。
 今後、区市町村においても、子ども家庭支援センターを核とする虐待防止ネットワークの中で民間団体と連携できるよう、その活動内容やノウハウを紹介するなど、積極的に支援してまいります。
 次に、災害医療派遣チーム、いわゆる東京DMATの訓練や研修についてでありますが、東京DMATの編成に当たりましては、救命救急医療に携わる医師や看護師などの中から、災害医療に必要な知識、技術を習得するための研修や模擬現場での医療処置訓練を終え、相応の水準に達した者を隊員として登録し、災害現場に派遣しております。
 今後とも、継続的な訓練による対応能力の向上を図るとともに、新たに生物化学物質による災害など、多種多様化する災害に対応するための研修や訓練の充実に努めてまいります。
 次に、災害時の負傷者等の搬送についてでありますが、都では、地域防災計画において、自動車、ヘリコプター、船舶などによる搬送手段を、状況に応じて確保することを定めています。とりわけ、ヘリコプターによる搬送につきましては、東京消防庁、警視庁及び自衛隊に要請するほか、民間航空会社とも協定を締結し、搬送体制を確保しております。
 緊急離発着場につきましては、現在、六十一の災害拠点病院のうち十二カ所に確保されていますが、今後、その整備に努めるとともに、関係機関と連携した搬送訓練を実施するなど、ヘリコプターによる搬送システムの充実強化を図ってまいります。
 次に、三宅村民に対する都独自の新たな支援制度の創設についてでありますが、村民の生活再建は、自助努力を基本に、国の被災者生活再建支援制度を初めとする既存の制度を活用しながら進められるものと考えております。
 しかしながら、今回の三宅島噴火災害は過去に例のない災害であり、ご指摘のとおり、住宅などの生活基盤も甚大な被害をこうむっている状況にあります。
 今後、ご提案の趣旨を踏まえまして、関係局と緊密な連携を図り、適切に対応してまいります。
最後に、三宅村民帰島後の保健医療体制についてでありますが、依然として火山ガスが発生している三宅島において、村民が安心して帰島し、生活できるようにするためには、保健医療体制を十分に確保することが極めて重要であると認識しています。
 このため、都は、保健所業務を早期に再開できるよう、専門職員の配置や検査機器の整備など、復旧に向けた準備を進めております。
 また、三宅村の診療所につきましては、村民の帰島スケジュールに合わせまして、医師の確保に万全を期すとともに、看護師などの医療スタッフの配置についても積極的に支援を行ってまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、都営住宅における多子世帯の優先枠についてでございますが、安心して子どもを産み、育てられる環境を整える上で、生活の基盤である住宅が果たす役割は大きいと認識いたしております。
 都営住宅におきましては、現在、子どもが三人以上いる世帯に対しましては、入居について優遇措置を講じるとともに、若年ファミリー世帯に対して特別枠を設け、期限つき入居募集を実施しております。
 今後、ご提案の趣旨も含め、募集方法を工夫するなど、少子化対策への都営住宅の一層の活用について検討してまいります。
 次に、住宅、医療・教育施設などの耐震対策についてでございますが、住宅の耐震対策につきましては、これまでも相談窓口の開設、簡易診断法の周知に努めてまいりました。来年一月には新たな取り組みとして耐震フォーラムを開催し、耐震工法の展示などを行うとともに、その後も、ホームぺージなどにより継続的に耐震に関する情報提供に努めてまいります。
 また、小中学校、福祉・医療施設などの公共建築物を所管する部署に対し、耐震対策を計画的に進めるよう指導しております。
 その結果、都や区市町村においては優先度の高いものから順次改修を進めており、都立学校では、補強工事を行うなどにより、本年度中に約九割の学校で耐震性のめどがつくことになります。
 さらに、病院などの民間建築物につきましては、本年九月に耐震改修促進連絡会を新たに設置し、関係団体に対し改修の促進を要請するとともに、新耐震基準以前に建てられました病院などを対象に防災査察を行い、必要な場合には耐震対策を行うよう、指導を開始いたしました。
 今後とも、関係行政機関や団体と連携を深め、各種建築物の耐震対策を推進してまいります。
 次に、六町及び花畑北部地区の区画整理についてでございますが、この事業は、道路、公園などと宅地とを一体的に整備し、防災性の向上や居住環境の改善を図るものでございます。
 六町地区では、来年秋に開設予定の常磐新線六町駅の交通広場など、駅周辺の基盤整備を重点的に進めております。
 また、花畑北部地区の進捗状況は、換地の指定率で示しますと、十五年度末で四四%であり、引き続き、地区内の幹線道路の整備に力点を置いて事業の促進に努めてまいります。
 今後とも、コスト縮減など創意工夫を図るとともに、国費等の財源確保に努め、事業を着実に推進してまいります。
 最後に、六町地区における補助第一四〇号線及び補助第二五八号線の整備見通しについてでございますが、これらの道路は、それぞれ常磐新線六町駅へのアクセスを担うとともに、地域の骨格となる重要な道路でございます。
 一四〇号線は、新線開業に合わせ、現在、駅の北側区間を先行して整備を進めております。また、二五八号線につきましては、地元区と連携し、関係権利者の理解と協力を得ながら建物移転の促進に努め、その整備に積極的に取り組んでまいります。
   〔環境局長平井健一君登壇〕

○環境局長(平井健一君) ヒートアイランド対策について、三つのご質問にお答えいたします。
 まず、地域特性に応じたヒートアイランド対策についてでございますが、都が独自に整備した観測網によりまして、最高気温が都心部から足立区や練馬区にかけて高くなる一方、最低気温は品川区、目黒区周辺で高くなるなど、ヒートアイランド現象のあらわれ方に地域差のあることが明らかになりました。
 現在、こうした地域差の要因となる人工排熱や地表面の状況などをまとめた熱環境マップを作成しておりまして、近々公表できる予定でございます。
 これに基づき、地域特性に合わせた対策等をガイドラインとして年度内を目途に取りまとめ、対策の推進を図ってまいります。
 次に、既存の公共施設の緑化についてでございますが、十五年度は、警察署など既存の都有施設で約七千平方メートルの屋上緑化を行いました。十六年度も、水道局営業所などの都有施設におきまして、ほぼ同規模の屋上緑化を行ってまいります。
 さらに、今後は都有施設の壁面緑化を推進するとともに、大きな緑化面積が確保できます小中学校の校庭の芝生化等を区に働きかけるなど、緑化面積の拡大に努めてまいります。
 最後に、効果的な対策の推進についてです。
 ヒートアイランド対策は、地域特性に合わせた対策を総合的に実施していく必要があるため、庁内にヒートアイランド対策推進会議を設置し、昨年、ヒートアイランド対策取り組み方針を策定いたしました。現在、この取り組み方針に基づき、都立学校等、公共建築物の屋上緑化や保水性舗装等の対策を実施しております。
 今後、地域特性に応じた対策メニュー等を取りまとめたガイドラインを作成の上、都市施設や学校施設等の整備において活用を図り、ヒートアイランド対策を促進してまいります。
   〔総務局長赤星經昭君登壇〕

○総務局長(赤星經昭君) 震災におきます被害を軽減させるための数値目的の設定についての質問にお答え申し上げます。
 都は、これまで被害想定に基づきまして、地域防災計画及び震災対策事業計画の中で事業目標を定めまして、地震に強い都市づくりや、自助、共助を踏まえました初動体制の強化など、被害を最小限にとどめるための対策に取り組んでまいりました。
 さきに発表されました国の防災白書では、減災対策といたしまして、住宅、建築物の耐震化と情報伝達を通じました避難体制の整備を挙げまして、減災目標を設定するという考え方を示しまして、その手法の確立などを図ることにしております。
 今後、都といたしましては、ご提案の趣旨も踏まえまして、国の動向を見きわめて、区市町村との連携を一層強化し、減災対策の推進に努めてまいります。
   〔病院経営本部長押元洋君登壇〕

○病院経営本部長(押元洋君) 多摩広域基幹病院などの災害医療対策について、お答えを申し上げます。
 多摩広域基幹病院や小児総合医療センターの大規模災害への備えについてでございますが、都立病院では、医薬品や簡易ベッドの備蓄など、大規模災害時に多くの被災者を受け入れるためのさまざまな対策を講じてまいりました。
 多摩広域基幹病院や小児総合医療センターの整備に当たりましても、多数の被災者の受け入れを想定したスペースを確保し、あらかじめ医療ガスの配管を行うなど、大規模災害時の対応を十分考慮した施設としてまいります。
 また、化学物質等によるテロや災害を想定した実践的な訓練を計画的に実施するなど、大規模災害時に備えた医療体制の確立に万全を期してまいります。
   〔水道局長高橋功君登壇〕

○水道局長(高橋功君) 水道料金の改定についてでございますが、水道事業を取り巻く環境が大きく変化する中で、現行の料金体系では、全使用者の半数近くが画一料金となるなど、水利用の実態にそぐわない面が出てきておりまして、もはや見過ごせない状況となっております。
 こうしたことから、今回の料金体系の見直しは、都民生活へも配慮しつつ、節水を促す仕組みや、コストに見合った負担の実現を求める都民の声にこたえることを目的として行うものでございます。
 ご指摘のとおり、生活保護世帯や公衆浴場事業者などの一部が値上がりとなりますが、生活保護世帯に対しましては、引き続き基本料金を免除することとしておりまして、これにより、一般世帯に比べ安価な料金となっております。また、公衆浴場につきましては、従前から原価を大幅に下回る料金で供給をしているところでございます。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕

○建設局長(岩永勉君) 日暮里・舎人線の整備など、三点の質問にお答えいたします。
 まず、日暮里・舎人線の進捗状況と今後の見通しについてでございますが、本路線は、区部北東部の交通利便性の向上や沿線の開発などに大きく寄与する、重要な路線でございます。
 インフラ部の工事につきましては、現在、支柱のすべてと橋げたの八七%が完成または施工中であり、駅舎につきましては、十三駅のうち三駅が施工中でございます。今年度内には、残りの橋げたと新たに一駅の駅舎工事に着手いたします。引き続き、駅舎や走行路などの工事を順次進め、インフラ部は平成十八年度の完了を目指してまいります。
 今後とも、財源の確保に努めながら、沿線住民や関係機関の理解と協力を得まして、十九年度の開業に向け、事業を推進してまいります。
 次に、補助第九一号線の整備の見通しについてでございますが、本路線は、地域の渋滞解消や利便性の向上を図るとともに、災害時の避難路となる路線でございます。
 尾久橋通りから江北橋までの事業延長七百メートルのうち、尾久橋通りから西四百五十メートルの区間は既に完成しております。残る二百五十メートルの区間につきましては、現在、江北橋への取りつけ道路工事を行っておりまして、今年度末の開通を目指しまして工事を進めてまいります。
 最後に、補助第一〇九号線の隅田川架橋の整備の見通しについてでございますが、隅田川にかかる本橋梁は、足立区と荒川区を結び、両区における利便性の向上を図るとともに、防災拠点である白鬚西地区への避難路の役割を果たす橋梁でございます。
 足立区側の取りつけ道路は既に完成しており、また荒川区側は、市街地再開発事業により整備を進めております。橋梁部につきましては、既に橋台、橋脚の工事を終え、本年十一月から、けたの架設工事に着手いたします。
 今後とも地元区など関係機関と連携を図り、地域住民の理解と協力を得ながら、来年度の完成に向け工事を進めてまいります。
   〔交通局長松尾均君登壇〕

○交通局長(松尾均君) 日暮里・舎人線のインフラ外部の取り組みについてでございますが、車両基地や車両製作などインフラ外部の整備につきましては、東京都地下鉄建設株式会社が担当しております。
 交通局といたしましても、平成十九年度開業に向け、引き続き建設局が施行しているインフラ部の工事と調整を行うとともに、建設資金を含め、東京都地下鉄建設株式会社と緊密な連携を図り、着実に対応してまいります。

○副議長(中山秀雄君) 五十四番大塚隆朗君。
   〔五十四番大塚隆朗君登壇〕

○五十四番(大塚隆朗君) 私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について、知事並びに関係局長に伺います。
 まず、分権改革の推進について伺います。
 現行自治制度は、昭和二十二年に地方自治法が施行されて以来、六十年近くを経過しています。この間、自治法施行時に、我が国総人口の三分の二を占めていた農村部人口が三分の一に減少し、逆に、三分の一だった都市部人口が三分の二を占めるまでに増加するなど、著しい都市化が進展しております。
 このように、地方自治をめぐる社会情勢が大きく変化する中で、現行の地方行財政制度は、今日に至るまで抜本的な見直しが行われていなかったため、社会実態に十分に対応することができず、機能不全を起こしているのが実態であります。
 さまざまな矛盾が噴出している今こそ、時代に適合した抜本的改革を行う好機であり、また、改革を怠れば日本の将来は危ういという危機意識を持って改革に臨む必要があると考えます。
 まず、この点について、知事はどのような認識をお持ちなのか、ご所見をお伺いをいたします。
 こうした中で、全国知事会、全国議長会など地方六団体は、八月十九日までに国庫補助負担金等に関する改革案を取りまとめ、二十四日、小泉総理に提出しました。
 この間の議論、とりわけ八月十八、十九、両日にわたる全国知事会議での深夜に及ぶ真摯な議論は、防災無線を通じて全国に放映され、各知事の自治体行政に臨む姿勢と熱意を感じさせるのに十分なものでした。
 しかし、この改革案は、全国の市町村を含めた地方六団体の意見を取りまとめなければならないこと、おおむね三兆円規模の税源移譲を行う前提としての改革案であることなどの制約から、市町村に係る公共事業に対する国庫補助負担金を廃止対象から外すなど、必ずしも十分なものではありません。とりわけ、税源移譲により地方交付税の原資が減少するため、別途、地方交付税の総額を確保するための対策を講ずる必要があるとした点にこの改革案の弱さがあります。地方交付税制度をどうするのか、この弱点を各自治体は早急に克服する必要があります。
 東京都は、去る五月の地方分権改革に関する東京都の基本的見解において、この秋にも制度構築に向けた具体的な提案を行うとされましたが、この地方交付税制度の抜本的見直しについてはどのようにお考えなのか、所見をお伺いいたします。
 さて、今回の改革には、義務教育費国庫負担、中学校教職員分の廃止が盛り込まれました。この問題についてはいまだに賛否両論が闘わされており、石原知事は八月の全国知事会議において、少数派として反対を表明されました。
 平成十二年の地方分権一括法施行により機関委任事務が廃止され、多くの事務は地方の自治事務として明快に位置づけられたにもかかわらず、相も変わらず国の官僚は、補助負担金を出すことを通じて、はしの上げおろしまで過剰に関与し、地方の創意工夫を阻害し続けております。こうした霞ヶ関の地方支配を打破し、自治体の自主性が真に発揮できる仕組みに改革することこそ、今、求められているのではないでしょうか。
 東京都は、総額十二兆円を上回る予算を確実に執行し続けております。バブル崩壊に伴う税収の大幅減少の影響をまともに受け、極めて厳しい財政危機に陥りましたが、どんなに苦しいときであっても、我々はまさに米百俵の故事のごとく、教育を優先した都政運営に留意してまいりました。
 現在、東京都が受けている義務教育費国庫負担金一千七百億円の全額が一般財源化された場合でも、税源移譲による税収増も大きく期待できるわけで、他府県に比べて都が必ずしも不利益にならないと思われます。このような状況の中で、あえて知事が義務教育費国庫負担金の廃止、一般財源化に反対される理由はどこにあるのか、お伺いをいたします。
 次に、ヒートアイランド対策についてお伺いします。
 石原知事は、本定例会の所信表明の中で、ヒートアイランド対策について、都市再生の一環として国が責任を持って対応すべきと指摘されました。
 政府の都市政策には、業務機能が高度に集積した大都市に集中的な投資を行い、大都市を我が国経済の牽引車として再生するという明確な哲学が欠落しているのみならず、ヒートアイランドや大気汚染など危機的現象が集中的にあらわれている大都市の環境再生に挑むという戦略も完全に欠落しております。
 私はまずもって、国が環境への配慮を欠いたこれまでの大都市政策の反省に立ち、都市再生の不可欠の課題として、ヒートアイランド対策に取り組むべきと考えます。そのためにも、石原知事がこうした方向に国を動かすために、都市環境の再生のために積極的に取り組んでいく必要があるものと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
 石原知事は、八月十三日の定例記者会見で、戦後六十年間、都市計画なしに来た、風の道など今ごろ遅い旨述べられました。確かに過去を取り戻すことはできませんが、これからさらに進む都市開発を放置するわけにはいきません。
 私たちは、都市づくりの中に風の道、水の道、緑の道を位置づけるとともに、民間を含む都市開発事業についても、計画のできるだけ早い段階でさまざまな対策を導入するなど、環境政策のウエートを高めていくべきだと考えております。
 また、都市開発の各段階で講ずべきヒートアイランド対策については、それぞれの地域の特性に合わせた対策を実施していくことが重要であり、東京都においても、現在、こうした観点からヒートアイランド対策ガイドラインの策定に取り組んでいるところであります。私は、このヒートアイランド対策ガイドラインを早期に示し、その対策の効果を明らかにすることで、計画の早い段階からヒートアイランド対策を講じていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 また、東京都が制度の強化に取り組んでいる建築物環境計画書制度は、ことし五月の東京都環境審議会答申においてヒートアイランド対策のための強化策が示されましたが、風通しを盛り込むことについては、さらに検討することとされていました。
 しかし、国が定めたガイドラインでは、建築物の設計に際して緑地や空地を設けることによる風の通り道の確保、あるいは夏の風向きに対して建築物の見つけ面積が小さくなるような配慮を求めており、こうした風通しの項目を東京都の制度の中に取り組んでいくことは可能なものと考えております。建築物環境計画書制度におけるヒートアイランド対策の強化について、見解をお伺いいたします。
 次に、大気汚染対策について伺います。
 しあさっての十月一日で、ディーゼル車規制からちょうど一年を迎えます。
 先日発表された平成十五年度の大気汚染状況の測定結果でも、幹線道路沿いの浮遊粒子状物質、いわゆるSPMが前年度比で九%減少するなど、ディーゼル車規制による効果は確実にあらわれております。
 また、今月十七日には、東京都の要請を受けた石油連盟が、硫黄分を一〇ppm以下に抑えるという世界最高水準のガソリン、軽油を出荷することを発表いたしました。こうした関係団体の取り組みは、石原知事による問題提起の結果であり、私は、東京から日本を変えるという石原知事の意気込みと行動力を高く評価するものであります。
 そこで、ディーゼル車規制から一年ということを踏まえ、このディーゼル車規制の総括とこれからの取り組みにおける決意につきまして、知事の見解をお伺いいたします。
 ディーゼル車規制に当たり、私たちはこれまでも違反者の取り締まりの徹底を求めてきました。東京都が取り締まり強化月間として六月に実施した違反ディーゼル車の取り締まりの結果を見ると、都内の事業者の違反率が一・六%であるのに対し、全体では違反率が三%を超えております。これは、主に条例規制のない東京都外のトラックがPM減少装置等の対応を行わずに都内を走り回っているという状況を示しております。こうしたディーゼル車をそのまま放置したのでは、まじめに規制に対応した都内の事業者がばかを見ることになりかねません。
 私は、これまでの取り締まりの経験を踏まえ、東京都外からの流入車両対策など、さらに違反ディーゼル車の取り締まりを徹底していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、揮発性有機化合物、VOC対策について伺います。
 VOCは、光化学スモッグだけでなく、浮遊粒子状物質の原因ともいわれており、その排出削減に取り組んでいくことは、東京の大気汚染を解消していく上で重要な課題です。
 七月七日に発表された光化学オキシダント対策検討会の中間まとめでも、その原因物質として、かねてより指摘されていた窒素酸化物だけでなく、今後はVOCの排出削減が必要であることを指摘しております。
 私は、東京都としていち早くVOCの排出削減を推進するなど、大気汚染対策に積極的に取り組んでいくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、産業振興についてお伺いします。
 初めに、商店街の振興について伺います。
 七月二十八日、私の地元である港区では、コンビニやチェーン店などの商店会への加入や事業への協力について定めた中小企業振興基本条例を改正しました。また、東京商工会議所や日本チェーンストア協会など関係八団体が「連携・協働の商業まちづくり共同宣言」を採択するなど、コンビニやチェーン店などと地域の商店会との連携、協力に向けた機運が高まっております。
 私は、こうした動きを契機として、商店会がさらに発展していくための具体的な施策として、商店街の街路灯に企業広告を出せるようにし、そのことを通じて商店街の振興が図られるような仕組みづくりを提案するものであります。
 商店街の街路灯に企業広告を認めることは、景観上のルールづくりを通じて、商店街の人たちがみずからの商店街の将来像を考える契機にもなり、またその収入を街路灯の電気料金に充てるなど、商店会の財政基盤の強化といった面からも意義のあることだと思います。
 そこで私は、屋外広告物条例や道路占用許可を担当する関係局や地元自治体などと調整した上で、こうした仕組みづくりの構築を行いながら、商店街の振興に取り組んでいくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、観光振興について伺います。
 ことし四月に日中友好議員団の中国訪問に参加した際、すばらしい上海の夜景に感動したことは、同行の議員の皆様も同感だと思います。上海の黄浦江の両側にある建築物を見事にライトアップし、その川を遊覧船が多くの観光客を乗せ、その夜景を楽しませておりました。上海の夜のまちをライトアップさせることによる夜景が一つの観光事業として成り立ち、さまざまな産業への経済的な波及効果になっていることは事実であります。
 東京都でも、東京タワーやレインボーブリッジなどのライトアップは都民の目を楽しませるとともに、観光にも一役買っています。その中でも、レインボーブリッジのライトアップについては、東京の一つの名物として多くの都民に親しまれ、大変評価できることだと思います。
 私は、さまざまな制約があり、簡単ではないかとも思われますが、このレインボーブリッジのライトアップに一つつけ加えてみてはどうかと、パネルを使って提案させていただきます。
 (パネルを示す)ぜひ知事、また関係局長にはごらんいただきたいと思いますけれども、船や車の東京の玄関口でありますレインボーブリッジに千客万来の都市東京というシンボルサインであります「ウエルカム・ツー・トウキョウ」を映し出せないものでしょうか。私たちの調査では、技術的には可能であるという結論を得ておりますけれども、ぜひ知事のご見解をお伺いしたいと思います。
 こうしたライトアップには電気代や維持管理費がかかります。この点は、先ほど述べた街路灯と同じ発想で、民間の企業広告で賄うということができないものでしょうか。
 レインボーブリッジを活用した発想の延長上で、東京都が管理する公共施設にライトアップをし、その維持管理費に企業広告を活用するなど、さまざまな展開も可能と考えられます。公共施設における企業広告の活用について、屋外広告行政の立場からどのように考えるのか、見解をお伺いいたします。
 次に、コンテンツ産業の振興について伺います。
 ことし五月、コンテンツビジネスの振興施策をまとめたコンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律、通称コンテンツ振興法が国会で成立しました。映画や音楽、アニメ、ゲームソフトなど、いわゆるコンテンツ産業の振興に国家戦略として取り組むことを示したもので、コンテンツにかかわる知的財産権の保護や流通の促進策などについて定めております。
 日本のコンテンツ産業は、今や十一兆円と自動車産業の半分、鉄鋼産業の二倍の規模に成長しております。日本のアニメやゲームが世界じゅうを席巻していることからもわかるように、日本から発信されるコンテンツには大きなマーケットが広がっており、これからの日本の基幹産業の一つになっていくことが期待されております。
 何よりも創造性、クリエーティビティーが求められるコンテンツの制作には、最先端の情報が集まってくる場所、すなわちこの東京がフロントランナーの役割を果たさなければなりません。東京におけるコンテンツ産業の振興にかねてから力を入れてきた知事のご見解をお伺いいたします。
 来月二十九日から三十一日まで、アジアのショートフィルムの映画祭、ショートショートフィルムフェスティバルアジアが開かれます。実行委員会と東京都の共催で開かれるこの映画祭は、アジアのショートフィルムだけに焦点を当てた映画祭として初めてのものです。
 このショートショートフィルムフェスティバルアジアは、もともとは昨年、我が会派の柿沢議員の一般質問にこたえて、ショートショートフィルムフェスティバルを見に行った石原知事が、その場で、来年からアジアのショートフィルムの映画祭をやりますと宣言したのがきっかけとなっております。
 若手のクリエーターが手がけることの多いショートフィルムは、映像分野における新しい才能の発掘の場として、またブロードバンド時代に適した短時間の映像コンテンツとして、最近注目を集めております。ショートショートフィルムフェスティバルアジアを開催する意義について見解をお伺いいたします。
 また、東京都が支援する映画祭として、東京国際映画祭のほか、先ほどのショートショートフィルムフェスティバルアジア、そしてアニメに焦点を絞った東京国際アニメフェアの三つがそろったわけですが、コンテンツ産業のリーダーといえる映画を中心とした映像文化の振興を東京都としてどのように図っていくか、見解をお伺いいたします。
 次に、島しょ産業の振興について伺います。
 我が会派では、島嶼振興等調査会として、毎年、伊豆諸島から小笠原諸島まで各島の視察を行っていますが、どの島を歩いても共通して、漁業者は各島に適した効果的な漁場整備を強く望んでおります。
 この漁場整備をさらに効果あるものにし、漁業資源の長期的な減少傾向を打開するためにも、磯焼けなど海の異変の発生メカニズムを解明し、その成果を資源増殖の取り組みに生かしていくことが重要と考えます。
 さきの六月都議会での私たちの代表質問にこたえて、東京都は先月、調査研究のプロジェクトチームを立ち上げ、早速活動を開始しました。今回のプロジェクトチームへの期待は大きいものがありますが、今後、プロジェクトチームでは具体的にどのような調査研究を行い、水産資源の回復につなげていくのか、改めてその考え方をお伺いいたします。
 また、東京の島々では、現在、アシタバ、芋、観葉植物などの特産品があり、それぞれの島において特産品を生かした農業振興への取り組みが行われています。私たちが昨年訪れた青ヶ島にある農地は、池之沢地区のカルデラ内や岡部地区の丘陵地など地形的に険しい場所にあり、営農通作や出荷などの交通条件は決して十分なものではありませんが、各農家は意欲的かつ熱心に農業を営んでおりました。
 今後とも、各島の農業生産上の立地的、地勢的に不利な面を克服し、特産品の生産拡大に向けた計画的、積極的な基盤整備と輸送ハンデを克服する高付加価値化などの販売戦略対策の充実が求められます。
 私は、島しょ地域のさらなる自立的な経済の確立に向け、こうした各島の農業振興の取り組みを積極的に支援していくべきと考えますが、東京都の見解をお伺いいたします。
 次に、築地市場の移転について伺います。
 ことし七月、東京都は豊洲新市場基本計画を策定するとともに、今月十五日には、初めての適用となる計画アセスメントに向けた環境配慮書を発表しました。豊洲新市場の平成二十四年度の開所に向けて、ついに具体的な手続がスタートを切ったわけです。
 このような中、私たち都議会民主党は、今月十六日の深夜から十七日の早朝にかけて、私を含めた九人の議員で築地市場の現状や豊洲の移転予定地を視察してまいりました。
 市場関係者とも懇談を持ちましたが、老朽化した現在の築地市場のままでは、生鮮食品の流通をめぐる時代の変化に対応できないという意見が確かに多いように感じました。と同時に、今回の豊洲新市場の基本計画にも、まだまだクリアすべき課題が残されていることも感じました。
 一つは、新市場の真ん中を横切る補助三一五号線の問題です。この道路があることで、新市場の水産部門は上下真っ二つに分断されてしまいます。上は卸の街区、下は中卸の街区として利用する計画のようですが、幅三十メートルもの道路を隔てて二つの街区を一体的に利用できるのか、大きな疑問を持たざるを得ません。
 東京都と市場関係者でつくる新市場建設協議会においても、補助三一五号線がこの位置にあると市場としての戦力が半減してしまうとして、東京都に再考を求める意見が市場関係者から繰り返し出されております。
 新市場の建設には別途都市計画決定の手続が必要です。今後の計画策定に当たっては、今後も市場関係者などの意見を聞きながら、必要に応じて基本計画の見直しも柔軟に行っていく必要があると考えますが、所見をお伺いいたします。
 また、築地市場の豊洲移転は、市場関係者だけでなく、地元自治体の理解と協力が不可欠です。とりわけ移転先となる江東区は、一日一万五千台もの車両が流入する巨大な市場が移転してくることで、周辺に交通渋滞や違法駐車など深刻な被害が生じるのではないかと強い懸念を持っております。
 私たちが真夜中の築地市場を視察したところ、市場の正門や青果門あるいはその付近の公道上では、深夜にもかかわらずトラックが折り重なるように駐停車し、ほかの地方に転配送するための荷物を積みおろししておりました。
 この時間帯は、駐車場を初め市場の中はがらがらでしたが、市場の外の公道上は活況を呈しておりました。市場の外での積みおろしは、行政当局による取り締まりもほとんどない野放し状態と聞いております。このような状況を放置したまま市場が豊洲に移転するのであれば、地域の住環境は破壊され、豊洲あるいは江東区全体のまちづくりに致命的な打撃を与えることになりかねません。
 私は、豊洲新市場では、市場周辺での荷の積みおろしによる交通渋滞などが生じないようにする必要があるものと考えますが、見解をお伺いいたします。
 また、地元自治体としては、場外市場を抱える中央区が最も深刻です。中央区では、築地市場移転に断固反対する会の下命を受けた築地市場地区の活気とにぎわいビジョンづくり委員会が九月二十一日に中間まとめを報告しました。
 移転を前提とした跡地利用計画を中央区が提案したことだけをとらえて、中央区が移転に向けて歩み寄ったと受けとめる向きもありますが、地元区民の東京都に対する不信感は払拭されたとはいいがたく、東京都は今回の提案が、断固反対する会によって、やむにやまれず提案されたものだと認識し、最大限尊重すべきであると思います。東京都の中央区のビジョンに対する認識と今後の協議に向けての見解をお伺いいたします。
 次に、環状二号線の整備について伺います。
 築地市場の移転計画を受け、東京都では昨年十二月、築地から晴海間の環状二号線を地下式から地表式へと変更する都市計画の素案の取りまとめをしました。これを受けて、中央区では大きな反発があったことは当然ですが、私の地元港区でも、東京都による突然の都市計画変更に大きな不安を訴える声が上がりました。
 環状二号線の新橋・虎ノ門地区は、マッカーサー道路として都市計画決定されたものの、五十年以上もの長きにわたりその整備が放置されておりました。それがようやく整備に向けて動き出し、地下道路の構造をめぐっては、掘り割り方式から完全地下化への変更について、東京都と地元の町会などと熱心な協議が進められているところであります。
 こうした経過を踏まえ、環状二号線の新橋・虎ノ門地区については、地下道路の早期整備に向けて、地元との協議に積極的に取り組んでいくべきと考えますが、見解をお伺いします。
 次に、水道料金体系の見直しについて伺います。
 去る九月七日、東京水道経営プラン二〇〇四が発表されました。この中では、水道事業の現状と今後の事業運営方針、プランの基本方針とその概要が示されており、特にマスコミなどでは、平成六年以来十年ぶりとなる水道料金体系の見直しに注目が集まっております。
 平成十五年七月、東京都水道事業経営問題研究会から、今後の水道料金のあり方について、基本水量の付与のあり方、生活用水に対する軽減措置、最高単価及び水量区画の見直しなどを内容とする最終報告がなされています。今回の料金改定では、この報告書に基づき料金体系が見直されているわけですが、見直しに至った背景と基本的考え方について所見をお伺いいたします。
 水道事業は、いうまでもなく都市の基本的インフラとして、水源から蛇口に至るまで膨大な施設を有する典型的な装置型産業です。すなわち、水道事業においては、八ッ場ダムを初め施設整備に要するコストがその大半を占めており、その必要性については、長期的な影響も含め、十分に精査した上で経費を見積もることが求められます。
 そうした観点から見ると、今回のプランの計画期間は平成十六年度から十八年度の三カ年であり、また、既に十六年度も半年が過ぎようとしているこの時期においては、今後の計画としてはいかにも短期間であるとの思いがぬぐえません。
 今回のプランでは、企業努力により生み出される原資を活用して、料金を平均で二・二%引き下げるとしておりますが、そのこと自体は評価できるとしても、今後の施設整備の見通しが不透明な中で、長期的な事業運営が懸念されることもまた事実であります。今後の施設整備の実態を踏まえ、長期的な財政見通しの上に立った事業運営が必要と考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、個人情報保護審議会の答申について伺います。
 去る七月、都の個人情報保護制度の新たなあり方についての提言が、情報公開・個人情報保護審議会から出されました。
 情報技術の進展で電子データによる情報処理が主流となり、事務の効率化に資する一方で、短時間で大量のデータをやりとりでき、情報の加工、写しが容易なため、情報がひとり歩きしてしまうため、自分の情報をコントロールすることが困難な時代になっており、個人情報保護に対しての都民の要請は高まっているものと考えます。
 完璧はないといわれる情報セキュリティーですが、情報を直接扱う職員の意識と技術が伴わなければ安全の確保はできません。東京都においては、組織的に継続的な改善を行って、安全性の向上と、都民の安心感や信頼の確保に努めていただきたいと思います。
 そこでまず、東京都の保有する個人情報の取り扱いについて伺います。
 個人情報の中でも、特に子どもやひとり暮らしの高齢者、障害、健康や財産に関する情報は、一般的に他人に知られたくないと強く感じるものであり、万が一漏えいし、悪用されれば、詐欺や強盗など深刻な犯罪のほか、悪徳商法などの消費者被害など、犯罪発生につながる確率の高いものであります。また、おれおれ詐欺にも個人情報が使われる劇団型が出現するなど、被害額、被害者数ともに増大し、悪質、巧妙化しているようです。
 東京都は、業務上こうした個人の健康、資力に関する情報を多様かつ大量に保有していることから、条例改正に当たっては、これまでに加え、個人情報への不正アクセス防止や事後チェックなどについても徹底すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 また、政府が明らかにしたところによると、二〇〇一年から二〇〇四年五月までの間に起きた個人情報漏えい事件は、国や地方の行政機関によるものが二百五十四件、同時期の民間事業者の流出百二十四件の約二倍に上っております。
 行政機関の個人情報保護については、法律、条例、各機関が定める規則や指針など、決まりはたくさんつくられています。それにもかかわらず行政機関による漏えいが多いのは、つくっただけで、その決まりが守られているかどうかをチェックする機能が存在しないことが一つの原因ではないでしょうか。
 そこで、行政による個人情報の取り扱いが適切に行われているかどうかを第三者がチェックする機能が必要であると考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、東京都の民間事業者における個人情報の保護について伺います。
 この間、情報関連事業者や小売業者による、購買履歴などを含む顧客情報の流出が明らかとなり、都民の不安も増大しています。こうした事態を受け、既に民間事業者の間には、既に蓄積した詳細な個人情報を消去する方針を明らかにしたり、セキュリティー対策をアピールするなどの動きが見られます。
 本来、民間事業者に対する規制は最小限のものとし、自主的な取り組みに任せるべきです。しかし、都民の消費行動など個人的な情報を管理する上で事業者が負う責任と、漏えいにより起こる結果は重大です。法律の規制対象外となる、保有する個人情報が五千人分以下の小規模事業者についても、セキュリティー対策の重要性を周知するための施策を実施した上で、悪質な業者に対しては厳しく対処することが必要であると考えます。条例改正にはこれを盛り込むべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、障害者施策の推進について伺います。
 障害者の施設から地域生活への移行を促進し、地域生活を支えることを掲げて昨年からスタートした支援費制度ですが、地域サービスの不足による売り手市場化への懸念と、財源の不足が当初から指摘されておりました。個人の選択による契約制度ですが、実際には選択できるほどのサービスがない、専門性のあるサービス提供者が不足しているなどの指摘があります。
 今後、障害者の地域生活移行を進め、支援を充実していく上での課題についてどのような認識をお持ちか、お伺いいたします。
 支援費制度の導入からまだ一年余り、支援費制度と介護保険制度の統合議論が本格化しようとしております。
 障害の原因は、先天的なものから病気や交通事故などさまざまであり、私たちのだれしもが、年老いて介護が必要となる可能性があるのと同様に、障害を持つ可能性もあります。そのため、年齢や原因を問わず、高次脳機能障害や自閉症、難病、がんの終末介護をも対象として、必要があればだれもが介護を受けられる制度をつくることは重要な課題です。
 しかし、障害者に対して、全国的に見ても高い水準でサービス提供をしてきた東京都内の区市町村と全国一律の介護保険制度ではサービス水準が異なることなどから、統合により現行サービス水準が低下するおそれがあります。この問題について東京都の見解をお伺いいたします。
 十年後には団塊世代が高齢期に入り、さらに十年後には高齢者人口が三千五百万人に達し、ピークを迎えるため、介護保険制度では、支え手を拡大し、財政の安定を図ることが必要となっています。そのため国は、介護が必要になる可能性が低い若年層に保険料負担を求め、同時に、給付対象を老化に伴うニーズ以外にも広げることを急いでおります。
 私たちは、財政の安定ありきで殊さらに介護保険と支援費制度の統合を急ぐことで、吸収合併となってしまい、障害者福祉の専門性が損なわれることを危惧しております。地域に障害の専門性があるサービス提供基盤ができることが先決であり、その上での対等合併とすることが、だれもが安心して暮らせる地域福祉の推進につながると考えます。
 次に、支援費制度に関連して、三障害者施策の格差是正について伺います。
 障害者基本法は、身体、知的、精神のいわゆる三障害を対象とし、すべて同様の扱いとなっていますが、精神障害者は支援費制度の対象外であり、サービス提供を含めた制度面で、ほかの障害に立ちおくれています。
 身体、知的障害については、十分とはいえないものの、サービス提供基盤は拡大傾向にあるのに対し、精神障害者施策は、東京都が医療的ケアを中心とした施策を進めてきましたが、ホームヘルプサービスの利用率は一%以下、ショートステイは都内で十床など、地域生活に必要なサービスが絶対的に不足しています。
 健康局と福祉局との統合により、障害者施策の担当が一つの部になり、医療と福祉との有機的連携や三障害者施策の格差解消とともに、障害者施策の推進に取り組まれることと期待するものです。
 多くの課題を抱えている区市町村が精神障害者施策の推進に取り組むためには、東京都が一層の支援を図っていく必要があると考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 最後に、東京都庁舎における警備について伺います。
 約一万人の職員が働き、毎日二万人以上の人々が訪れる都庁舎は、地震などの大きな災害に対応するばかりでなく、かつての都知事をねらった小包爆弾のようなテロにも対応する必要があります。都庁舎がこれらの災害やテロに突然見舞われた場合、職員や来庁者を混乱なく無事安全なところへ避難させることが重要な課題となってきます。東京都はそのためにどのような具体的対策をとっているのでしょうか。まず現状についてお伺いいたします。
 次に、広く都民に親しまれ、また、都民のシンボルとしてだれもが自由に利用できる建物であり、極めて多岐にわたる機能を持った都庁舎を警備するためには、一律に警備するのではなく、決してその機能を侵してはならないコアともいうべき中枢ゾーンや、一般都民に開かれたさまざまな相談や受付などの窓口ゾーンなど、各ゾーンごとの特性に注目し、濃淡のある、めり張りのきいた警備とすべきであると考えますが、見解をお伺いいたします。
 また、災害やテロなどにいち早く対応するためには、庁内警備を所管する総務局を中心として、横断的に取り組む協議機関の設置を検討すべきと考えます。このことは都庁舎に限らず、学校、美術館、博物館、動物園、地下鉄などの東京都が管理する施設全般にいえることだと考えますが、最後に所見をお伺いいたします。
 以上で、都議会民主党を代表しての質問を終わります。知事並びに関係局長の誠意ある答弁を求めます。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 大塚隆朗議員の代表質問にお答えいたします。
 まず地方分権改革についてでありますが、私はよく引用しますけれども、司馬遼太郎さんが、日本の政治のスキームというのは、徳川幕府が倒れて正式な議会が発効する前の太政官制度のころからほとんど変わっていないということを慨嘆しておられました。まさにそのとおりだと思います。
 ある時期、確かに中央集権・官治の統治システムというのは、戦後のような荒廃、混乱期には、経済を復興するためにも大いに力があったと思いますけれども、しかし、それがそのままだらだら続く、しかも国際環境や社会状況が大きく質的に変化している中で、既にその有効性を失っていると思いますし、この抜本的な改革はもう歴史的な必然、蓋然だと思います。
 こういう形骸化した、リアリティーのないスキームというものを踏襲するということは、国家的な危機にもつながるわけで、例えば科挙の制度のようなものを、いたずらに固執した清朝が限界に来て簡単に倒れたと同じようなことにもなりかねないと思います。
 財政面から眺めましても、国と地方を合わせて、長期債務は七百兆円にも上っているわけで、もはやこれまでの行財政の仕組みが維持できないことも明らかだと思います。
 その部分的な矛盾でもあります交付税の制度そのものも、直接、間接合わせますれば百二十兆という赤字を抱えているわけでありまして、小渕内閣のときにできました地方分権一括法というものが実際に実行されるということの成否は、我が国の将来を左右するものと思っております。
 しかし、どうも、国、地方を通じて、政官財の各界は、既得権益の維持にきゅうきゅうとしている感じが否めません。実質的な改革を先送りし続けているという感じがいたしてなりません。
 こういった認識が、政治、行政に携わる者から、またマスコミにも欠けているところに、国家の本質的な危機があるんじゃないかという気がいたします。
 まあ、こういうものはある時間がかかるものでありまして、レーガン大統領がやりました思い切った地方分権というものは、財政的にはクリントンの時代になって成果を上げたわけでありますが、いずれにしろ、せっかくつくった地方分権一括法の中で、税財源の分与は中長期の目的であるというこっけいな付記までついている現況でありますが、ようやく、それから五年たった今、議論が具体化してきつつあると思ったら、先般の長野の全国知事会議のように、とりあえずだれかがいい出した三兆円なるものの金目の争奪というものにきゅうきゅうとするという、本質論を全く欠いた実態でしかございません。
 それに付随しての義務教育費国庫負担金についてでありますけれども、多分総務省がいい出したんでしょう、とにかく三兆円というお金の額に目がくらんで、教育の本質論がなおざりにされて、取れるものはまず取ろうと、千載一遇の機会だという言葉が随分聞かれましたが、これはまあ、千載一遇といえば千載一遇かもしれませんけれども、事の本質を逸脱した非常に危険な認識じゃないかという気がいたしました。
 いずれにしろ、国家の基幹の作業であります義務教育というものが、下手をすると毀損される可能性が十分あるわけでありまして、先ほどの答弁でるる申しましたが、私は、そういう本質論というものが政府の中でも、閣議でも一向に行われることなく、どこかの省がいい出して、一番弱い省がターゲットにされて、その予算が獲物にされるという、非常にこっけいで危険な議論でしかないと思っております。
 国庫負担金が廃止されれば、東京はむしろもうかるんじゃないかという説明もございましたが、確かにそれはそうでしょう。しかし、それで私たち幾ばくの収入がふえても、それが都の財政にどう響くものでもありませんし、もっと大きなものを失いかねないという危険というものを私たちは認識すべきだと思います。
 次いで、ヒートアイランド対策についてでありますが、これはいうに易しい、しかし実に行うに難しいことでありまして、コストの問題もあるでしょう。例えば非常に保水性のあるコンクリートを使うとか、その他この他いろんな論もあるでしょうが、結局最後は安上がりにまちをつくってしまうという結果を出してきたわけであります。
 大塚さんはよく勉強していらっしゃるので、お読みになったと思いますが、アレックス・カーという、非常に日本について詳しい、日本を愛しているアメリカ人が書いた「犬と鬼」という本を読みましたら、あの膨大な国土を抱えているアメリカ、いろいろ社会事業、社会資本の整備もしているでしょう。そのアメリカに比べて、日本の年間に使うコンクリートの量は何とアメリカの二倍あるということも、私はやっぱり、建築、社会資本の整備というもののコストパフォーマンスにいろんな問題があるのではないかという気がいたします。
 いずれにしろ、これを何とかしようということで、都は都なりに独自の取り組みとして、丸の内、汐留などで保水性舗装や屋上緑化等の対策も集中的に実施しておりますし──屋上緑化といってもたかだか面積は知れていますから、壁面の緑化も私はやっぱり大きな対象になると思っております。
 今後も、都民や地方自治体、民間事業者との連携を図りながら、国の積極的な取り組みを引き出して、この問題について国ごと動かしていきたいと思っております。
 次いで、ディーゼル車規制の総括、そして今後の取り組みについてでありますが、これは何も東京だけではなしに、東京から呼びかけて、神奈川、埼玉、千葉という首都圏を構成する四県が協力してくれて実施されまして、大きな効果が上がったと思いますし、いろんな人からいろんな、何といいましょうか、感謝といいましょうか、評価をいただいております。
 先般も思いがけず、テニスの友人の日本に帰化したばかりの中国人から、自分はぜんそく持ちだったけれども、非常に空気が変わったということをいわれて、個人の意見でありましたけれども、意外な感じがいたしましたが、非常にうれしい思いもいたしました。
 ということで、先般、石油連盟の会長がわざわざ来庁されまして、東京の努力にこたえて、我々は政府がいっているよりももっと、二年ですか、前倒しして、来年のできれば一月、実際には三月ごろになるかといっておられましたけれども、いずれにしろ数年間前倒しして、サルファーフリーとも呼ばれる、つまり硫黄分が極めて少ない、ないに等しい一〇ppmの超低硫黄の軽油を全面供給いたしますといっていただきました。これは本当にありがたい話で、私も都民を代表して感謝いたしましたが、これが普遍しますと、ヨーロッパのようにガソリン車よりもむしろディーゼル車が普遍するといった新しい動きも出てくると思います。
 ただ、これは非常に民間の知恵といいましょうか、努力といいましょうか、意識というものが高いということの証左ですけれども、その一方、国は一体何をしているかということになると、これはまさに暗たんたる気分にならざるを得ない。
 昨年の暮れ近かった総選挙で、私、友人の西村眞悟代議士の応援に大阪へ行きました。東京の友人の応援をしているのと違って、大阪で国道の交差点で宣伝カーの上で演説していますと、目の前にとまるバスやトラックの排気ガスで、目が痛かったりのどが痛かったりして全然違う。東京ではこういう現象がなくなったなということで、相対的に首都圏がやった努力の評価を自分なりにしたわけですが、何でこれを国が全国に普遍する努力をしないんでしょうか。これは非常に不公平だと思います。
 私は、これを実施する寸前にトラック業界の会館に行きましたら、これを実施するためにいろいろ融資の問題もあったりして相談の窓口を設けてあって、その一つに座っている四十代の、恐らく零細企業の運送屋さんの社長でしょう、私を振り返って、おい、石原さん、こんなことやったらうちはつぶれるよといわれましたけれども、それでもその方は頑張って、東京の要請にこたえてやってくださった。
 恐らくそういう小さな会社は、せいぜい隣県にまでしか物を運ばんでしょう。しかし、あえていえば、佐川急便だとかヤマト運輸ですか、幾つかある大手は、東京に持っていくとひっかかるトラックは全部大阪へ回したり九州へ回したりしている。何で首都圏の住民だけがきれいな空気が吸えて、ほかの日本人が悪い空気を吸わざるを得ないのか。これは本当に国の怠慢であって、どうかひとつ党派を超えて、もう共産党にもついでにお願いしますがね、何でも反対の。国全体でこれを実現する努力を東京が引き金になってやらないと、私はやっぱりいかにもこれは不公平なことでしかないという気がいたします。
 今後とも、都は実効のあるディーゼル車対策を推進するとともに、国に対しても、世界一厳しい排ガス規制や抜本的な使用過程車対策の早期実施など、国としての責任ある対策を強く強く求めていくつもりでございます。
 あわせて、自動車のメーカーに対しては、さらに低公害で低燃費な自動車の早期開発を求めていきたいと思っております。
 次いで、レインボーブリッジへの「ウエルカム・ツー・トウキョウ」サインでありますが、私はこれは余りぞっとしないね。あれをライトアップするのはいいですよ。あなたの示された、部屋でもその縮小版を拝見しましたけれども、あの柱に門人様のように仏像とか何かそういうものが映るのはいいけれども、何も英語であそこに「ウエルカム・ツー・トウキョウ」と書かなくたっていいじゃないですか。何か田舎臭くて私は余り好きじゃないね。
 あのライトアップは賛成です。私は、東京新名所の一つはレインボーブリッジだと思います。あそこからとにかく内側を眺めますと、マンハッタンを眺めるみたいに実に気持ちがよくて、水路もありまして──まあ、世界の大都市にも、サンフランシスコのゴールデンゲートブリッジやニューヨークの自由の女神や、いろいろありますが、まさにレインボーブリッジは東京にとってのランドマークだと思いますし、これをライトアップするのは大賛成でありますが、「ウエルカム・ツー・トウキョウ」とわざわざ書かなくたっていいじゃないですか、英語で。
 いずれにしろ、上野などは、幾つかの小さな古い門をライトアップして非常に効果が上がっていますし、区長さんに聞きましたら、そう大した金じゃないと。私はついでに、あのうっそうとした皇居を、何だか不気味なので、ライトアップさせていただきたいということを、天皇陛下のご進講のときに申しましたら、私はむしろ陳情申し上げたんだけれども、そのことそのものがいかぬと、宮内庁から後でおしかりいただきました。まだ返事はございませんけれども、私は、東京でライトアップすると、いろいろなところが、すばらしい印象のスポットがたくさんあると思うんです。おっしゃることは基本的に賛成でございます。
 次いで、コンテンツ産業の振興についてでありますが、これは確かにこれからの日本経済を牽引する非常に重要な産業であるとともに、日本人の感性というものを表象しているわけでありますが、外国に日本の文化への理解を深めさせ、また、我が国の国際的地位向上にも大きく貢献していくと思います。
 東京には、映画、アニメ関連企業などが集中しておりまして、コンテンツ産業はまさに東京の一種の地場産業ともいえる存在だと思います。東京もその重要性に着目してまいりまして、平成十四年から東京国際アニメフェアを実施したりして、コンテンツ産業の世界への発信、新たな才能の発掘に取り組んできました。
 ただ、あの東京映画祭はもうちょっと何とかならんでしょうかね。いかにも田舎臭くて、やっぱりパフォーマンスが下手だと思います。
 さらに、本年、ショートショートフィルムフェスティバルアジアを開催いたします。
 今後とも、コンテンツ産業の振興に大いに力を入れていきたいと思っております。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔知事本局長前川燿男君登壇〕

○知事本局長(前川燿男君) 地方交付税制度についてでございますが、現行の制度は、戦後、全国的に一定水準の行政サービスを確保する上で大きく貢献してまいりましたが、既に破綻状態にございます。現行の交付税制度を抜本的に見直し、税源移譲と一体となった新たな財政調整制度の創設が必要と考えております。
 そのためにはまず、制度に累積した直接、間接合わせて百二十兆円にも上る借入金を国の責任で解消することが必要でございます。新しい制度の内容につきましては、政策誘導を排除した簡素で透明性の高いものとすることが不可欠と考えております。こうした抜本的な改革を行うことで、全国の自治体の財政的自立を高め、真の地方分権改革の実現が可能となると考えております。
   〔環境局長平井健一君登壇〕

○環境局長(平井健一君) ヒートアイランド対策など四つのご質問にお答えいたします。
 まず、ヒートアイランド対策ガイドラインについてですが、都が独自に整備した観測網によりまして、最高気温が都心部から足立区や練馬区にかけて高くなる一方、最低気温は品川区、目黒区周辺で高くなるなど、ヒートアイランド現象のあらわれ方に地域差のあることが明らかになりました。
 この結果を受け、人工排熱や地表面の状況等を示す熱環境マップを作成し、近々公表する予定でございます。これに基づき、地域特性に応じた対策メニューやその効果等を示すガイドラインを年度内を目途に作成いたします。
 このガイドラインを広く普及し、都市づくりの過程のさまざまな機会をとらえて、ヒートアイランド対策の取り組みを促進してまいります。
 次に、建築物環境計画書制度についてでございます。
 この制度は、環境確保条例により、大規模な新築建築物等における環境配慮設計を誘導する制度でございます。
 本年五月の環境審議会答申を受け、現在、本制度の見直しを進めており、この中で、ヒートアイランド現象の緩和を新たに環境配慮項目として設定し、人工排熱対策や屋上緑化等の建築物被覆対策、隣接敷地を考慮した風通しについて評価することを検討しております。
 こうした取り組みにより、ヒートアイランド対策の充実強化を図ってまいります。
 次に、大気汚染対策に関しまして、違反ディーゼル車の取り締まりの徹底についてでございます。
 自動車公害監察員によるこの一年の取り締まりからは、都外車両に違反が多いという結果が出ており、違反流入車対策をさらに強化する必要があります。このため、カメラによる監視や路上検査を組み合わせた取り締まりを、流入車の多い都県境の幹線道路などにおいて重点的に進めるとともに、この十月一日には、八都県市が一斉に、初めて八都県市の域外の高速道路に出向きまして、首都圏への流入車に対する規制周知活動を行うこととしております。
 厳しい経営環境の中、規制にご協力いただいた事業者の皆さんが不公平感を抱くことがないよう、今後とも違反ディーゼル車の一掃に努めてまいります。
最後に、VOC対策についてでございます。
 光化学オキシダント対策検討会の中間のまとめでは、光化学スモッグを抑制するため、これまでの窒素酸化物削減対策に加え、揮発性有機化合物、いわゆるVOCの排出削減対策の推進が必要であると指摘されております。VOCは、光化学オキシダントの原因であるだけでなく、大気中での浮遊粒子状物質の生成や、また、それ自体の有害性、発がん性などが指摘されており、今後の大気環境の改善のために削減対策が急務であります。
 VOCの発生源は極めて多様であり、都は、多様な発生源に応じてガイドラインの策定や技術支援など、排出削減の効果的な対策を積極的に推進してまいります。
   〔産業労働局長関谷保夫君登壇〕

○産業労働局長(関谷保夫君) 産業振興に関する三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、商店街の振興についてでございますが、ご提案の商店街の街路灯への企業広告は、商店街の自主財源を確保し、その財務基盤の強化に資するものと考えられます。一方、その実施に当たりましては、広告物の安全性の確保や街並み景観への影響なども考慮する必要がございます。
 今後、関係局とも調整を図り、商店街が住民や地元自治体の理解を得ながらこうした取り組みを進めていけるよう支援してまいります。
 次に、水産海洋研究推進プロジェクトチームの具体的な取り組みについてでございますが、このプロジェクトでは、東京の豊かな海を取り戻すため、海域・課題別に五つのチームを設置し、漁場環境悪化の原因究明と漁場回復技術の開発に取り組んでまいります。
先月下旬から活動を開始いたしまして、短期的には三宅島の漁場の回復、東京海域におけるアマモ等の海藻の人工増殖や効果的な魚礁の開発等を進めてまいります。
 また、中長期的には、伊豆諸島に広がる、海藻がなくなる、いそ焼けの発生メカニズムの解明に取り組んでまいりまして、これらの研究成果を漁場整備に生かし、東京の海の資源増殖につなげてまいります。
 最後に、島しょ地域の農業振興への支援についてでございます。
 都では、これまで農道や農業用水等の農業基盤及び温室やパイプハウスなどの生産施設、農作物の集出荷施設などの整備について支援してまいりました。お話しの青ヶ島村では、限られた農地や資源を最大限に生かし、黒毛和牛や芋じょうちゅうなどのすぐれた産物を生み出しており、島しょ産業の先駆的なモデルとして評価できるものでございます。
 こうした意欲的かつ創意に満ちた取り組みを支援することは、広く島しょの自立的な経済の確立に寄与するものと考えております。今後、一層の生産拡大のため、農道等の整備や特産品の開発、販売力強化など、積極的に支援してまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都の施設を活用した企業広告についてでございますが、地域の顔となる都の施設のライトアップは、昼間と異なるまちの雰囲気を演出し、都市の魅力を高めるなど、観光振興の面から効果が大きいと認識しております。都の施設は公共性、公益性を有するため、原則として企業広告を禁止しておりますが、一方で避難標識における広告表示など、公益的な施策を充実する場合には規制を緩和してきた実績もございます。
 ご提案の都施設のライトアップに対する広告収入の活用につきましては、良好な都市景観を創出する観点から、今後、関係機関とも十分調整し、適切に対応してまいります。
 次に、中央区が作成した築地市場地区におけるビジョンに対する認識と今後の協議についてでございますが、区がこのビジョンを発表したことは、これまでの反対の姿勢から方針転換し、市場移転や環状第二号線の地上化を前提とした、都との具体的協議に入ることを初めて公にしたものと受けとめております。
 ビジョンの内容は広範多岐にわたっており、また、豊洲新市場や環二などの整備の進捗状況と整合をとる必要性があることから、今後、関係局と連携し、地元中央区と十分協議してまいります。
   〔生活文化局長山内隆夫君登壇〕

○生活文化局長(山内隆夫君) 産業振興について及び個人情報保護についての五つの質問にお答えいたします。
 まず、ショートショートフィルムフェスティバルアジアを開催する意義についてでございますが、ショートフィルムは、シャープな切れ味が魅力の短編映画であり、パソコンや携帯電話を通して気軽に楽しむことができる映像コンテンツとしても期待されております。
 ショートショートフィルムフェスティバルアジアは、国内で初めての、アジアに焦点を絞った短編映画祭でございます。欧米の作品にはない魅力あふれる作品が期待でき、アジアからの新しい映像文化の発信、若手映像作家の育成などに寄与するものと考えております。
 次に、映画を中心とした映像文化の振興についてでございますが、都はこれまでも、東京国際映画祭の共催や撮影許可等に関する総合窓口である東京ロケーションボックスを設置するなど、その振興に努めてまいりました。また、平成十四年から東京国際アニメフェアを、今年度からは新たにショートショートフィルムフェスティバルアジアを開催することといたしました。
 東京の魅力を高め、さらに海外に広めるという点で、映像文化が持つ影響力は非常に大きいものがあると認識しており、今後とも映像文化の振興に努めてまいります。
 次に、東京都の保有する個人情報の取り扱いについてでございますが、都では、都民の生活に係る多くの個人情報を保有していることから、職員に対し個人情報の適正な取り扱いについて通知し、周知するとともに、研修を行っております。また、電算処理を行う場合の安全確保策としては、専用端末の設置、IDカードやパスワードによるアクセス制限などを行っております。
 審議会答申では、IT化の進展により、さらに技術面及び組織面のセキュリティー確保が必要であるとして、生体認証の導入、個人情報の管理責任者の設置、職員のアクセス記録の点検などを行うとともに、教育、訓練の充実強化による職員の情報倫理の確立が必要としております。
 今後は、ご指摘を踏まえ、関係部局と調整、連携を図り、セキュリティー確保に十分配慮し、個人情報の保護に遺漏のないよう体制整備を図ってまいります。
 次に、行政機関による個人情報の漏えいを防止するチェック機能についてでございますが、都においては、個人情報を適正に管理するために、電算処理管理規程の整備、個人情報を取り扱う職員の研修教育などを行っております。
 チェック機能の充実を図るため、審議会答申では、組織面のセキュリティー確保として、先ほど申し上げましたように、個人情報の管理責任者の設置、職員のアクセス制限、職員のアクセス記録の定期的な点検など、マネジメントシステムの重要性が提言されております。
 都は今後、組織的な点検を行うとともに、その結果を審議会へ報告するなど点検体制の整備を図り、都民の個人情報の保護を一層徹底してまいります。
 最後に、法の規制の対象外となっている民間小規模事業者における個人情報の保護についてでございますが、個人情報保護の重要性は事業者の規模の大小で変わりがないことから、都では、小規模事業者に対しても個人情報保護の理念や仕組みなどを周知し、事業者みずから個人情報保護に取り組んでいくよう、理解の促進を図ってまいります。
 また、審議会の答申を踏まえ、法の規制の対象外となっている個人情報が五千人以下の小規模事業者に対しても、必要に応じ調査、助言、指導等を行う仕組みを検討する必要があると考えております。
   〔中央卸売市場長森澤正範君登壇〕

○中央卸売市場長(森澤正範君) 築地市場の移転に関する二点のご質問にお答えします。
 まず、豊洲新市場の計画策定についてでありますが、七月に公表した基本計画は、市場業界のすべての団体の代表者を含む多くの関係者と協議を重ね、策定したものであります。現在、市場関係者との協議会のもとに課題別に検討会を新たに設け、施設配置や効率的な物流システムなどの具体化に向け、業界と協働して検討を行っているところであります。
 また、お話しの補助三一五号線についてでありますが、同路線は臨海部における広域幹線道路であり、豊洲地区の東西を結ぶ骨格となる道路であります。市場予定地は同路線の両側に位置しますが、敷地の一体的利用が図れるよう道路を高架化し、その下に十分な幅の通路を確保することといたしております。今後とも、市場関係者と知恵を出し合い、よりよい市場づくりに取り組んでまいります。
 次に、新市場の周辺での交通渋滞などについてであります。築地市場は、七十年前の貨車輸送時代に開設されたものであり、トラック輸送や他市場への転配送など、今日の新たな物流に十分対応できない状況にあります。
 新市場では、首都圏の基幹市場として、転配送などを新たに市場機能として位置づけ、転配送センターや多様な取引形態に対応した荷さばきスペースを設置し、荷の積みおろしをすべて市場内で行うこととしております。
 さらに、外周道路の設置による車両の円滑な入退場や必要な駐車場の確保などにより、市場周辺で交通渋滞が生じないよう、地域環境に十分配慮してまいります。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕

○建設局長(岩永勉君) 環状二号線の整備に向けた取り組みについてでございますが、環状二号線は、都心部と臨海部を結び、交通や物流ネットワークを強化する重要な路線でございます。
 本年二月、新橋・虎ノ門地区の道路構造につきまして、地元から、地表に開口部を設けるトンネル計画を、開口部がないトンネルに変更する要望がありました。この構造では、沿道環境保全の観点から換気塔が必要となります。
 そこで、地元住民、港区、都で構成する協議会を設け、換気塔を含む道路構造につきまして現在協議を進めております。
 今後とも、地元との話し合いを精力的に行いまして、理解と協力を得て事業を推進してまいります。
   〔水道局長高橋功君登壇〕

○水道局長(高橋功君) 水道料金の改定に関する二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、料金体系見直しの背景についてでございますが、水道事業を取り巻く環境が大きく変化する中で、現行の料金体系では使用者の半数近くが画一料金となるなど、水利用実態にそぐわなくなってきておりまして、もはや見過ごせない状況にございます。
 また、都民からも、節水努力が報われる仕組みやコストに見合った負担の実現を求める声が多く寄せられております。
 こうしたことから、東京都水道事業経営問題研究会の最終報告に基づきまして、今回、基本水量を十立方メートルから五立方メートルへ引き下げるとともに、最高単価を引き下げるなど、料金体系の見直しを実施するものでございます。
 次に、長期的な財政見通しに立った事業運営についてでございますが、経営計画は、社会経済状況の変化に的確に対応するため、一定の見通しが立つ三年程度を計画期間としておりまして、今回の経営計画もそれに沿ったものでございます。
 また、施設整備につきましては、おおむね十年後を見据えた施設整備長期目標を設定するなど、長期的な視点に立って必要な施策を実施することとしております。
 この計画案に盛り込みましたさまざまな施策を着実に推進することにより、今後とも、首都東京にふさわしい水道サービスの実現に向けて全力で取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長幸田昭一君登壇〕

○福祉保健局長(幸田昭一君) 障害者施策に関します三点のご質問にお答えいたします。
 まず、支援費制度の課題についてでありますが、障害者の自己決定を尊重し、障害者みずからがサービスを選択するという支援費制度への移行により、障害者の地域生活を支えるホームヘルプサービスなどの利用実績は大きく伸びております。
 今後、障害者の地域生活を一層支援していくためには、グループホームや通所施設などの基盤整備、個々の障害者の特性に対応できる人材の育成、確保は重要な課題であると認識しております。
 また、支援費制度を安定的に運営していくための財源確保は制度の根幹にかかわる問題であり、今後とも必要な財源確保について国に強く働きかけてまいります。
 次に、支援費制度と介護保険制度の統合についてでありますが、両制度には、サービス給付量の支給決定方法、利用者負担の考え方、ケアマネジメントの仕組みのあり、なしなどに違いがあります。
 また、都内の区市町村においては、支援費制度のもとで障害者が全国レベルより高い水準でサービスを利用している実態にありますが、現在の介護保険制度では全国一律の支給限度額が適用されます。
 そのため、統合につきましては、それぞれの違いを踏まえ、両制度が目指す自立支援、自己決定の理念を発展させる観点から十分な議論を行う必要があると認識しております。
 最後に、精神障害者施策の推進についてでありますが、精神障害者が地域で安心して暮らしていくためには、今般、国が精神保健医療福祉の改革ビジョンで示したように、区市町村を主体としたサービスの提供体制を計画的に整備することが重要であります。
 都におきましては、これまでも区市町村が実施するホームヘルプサービスなどの居宅生活支援を初め、地域の相談拠点である地域生活支援センターの整備促進、人材育成などに取り組んでまいりました。
 今後とも、区市町村を主体とした総合的な地域生活支援体制の構築に向けて、都民の理解を得ながら積極的な支援に努めてまいります。
   〔総務局長赤星經昭君登壇〕

○総務局長(赤星經昭君) 都庁舎の警備等に関する三点の質問にお答え申し上げます。
 まず、災害時等における避難誘導等についてでございますが、災害やテロに見舞われた場合、都庁を訪れております都民や職員を安全な場所へ避難させることは重要な課題でございます。
 都はこれまで、東京消防庁とも連携して、年二回、非常放送や監視カメラを活用いたしました避難誘導訓練などを実施しております。
 今後とも、災害等の発生時に被害誘導が効果的に行えるよう、東京消防庁など関係機関と連携を強化し、より実践的な訓練となるよう工夫してまいります。
 次に、具体的な警備体制についてでございますが、都は、多くの都民が利用する場所や中枢部門など、その特性を踏まえた警備を実施してまいりました。
 今後とも、状況に即応して警備員の増員や都庁舎の利用制限など、庁内のそれぞれのゾーンや機能に応じた効果的でめり張りのある警備を行い、秩序維持と安全確保に努めてまいります。
 最後に、協議機関の設置についてでございますが、都は、これまで都庁舎におきます安全を確保するため、国や警視庁等と連携し、警備警戒に当たってまいりました。昨年十一月からは、都庁舎出入り口の一部閉鎖や展望室等への入室者に対する手荷物検査など特別警戒を実施しております。
 今後、警備に関します情報を共有し連携を強化するため、警視庁や関係各局で構成いたします連絡会等の設置を検討してまいります。

○副議長(中山秀雄君) この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後六時十九分休憩

   午後六時三十七分開議

○議長(内田茂君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 三十三番清水ひで子さん。
   〔三十三番清水ひで子君登壇〕

○三十三番(清水ひで子君) 日本共産党都議団を代表して質問します。
 石原都政の五年間に、地方自治体が第一の課題として取り組むべき福祉が大きく後退したことを、我が党は厳しく指摘してきました。医療費助成など経済給付的事業の切り下げや廃止で二百八十七億円の予算が削減され、延べ百万人を超える高齢者や障害者に負担増をもたらしました。補助金の削減では、国民健康保険への補助、特別養護老人ホームの運営費、整備費、私立保育園などのサービス推進費補助だけでも五百三十億円が削減されました。その上、第二次財政再建推進プランで、福祉を初め千二百億円もの補助金削減が計画されています。
 この五年間に廃止された都立施設は百を超え、その中で都立病院、保健所など福祉分野が三十五施設に及びます。さらに、今後、第二次都庁改革アクションプランにより、福祉分野だけで三十一もの廃止が計画されています。
 その一方、知事が充実しますと約束してきた基盤整備などの状況はどうでしょうか。グループホームなど前進しているものは、福祉全体のほんの一部分にすぎません。例えば、訪問看護の目標達成率はわずか三〇%、訪問リハビリ二〇%、ケアハウス一八%にすぎません。老人保健施設やショートステイは依然として全国最低水準です。ゼロ歳、一歳の保育所待機児は今年度中に解消する計画でしたが、ことし四月で二千三百人を超えています。延長保育をふやす計画は、目標達成率一二%、一時保育は一八%、子ども家庭支援センターの整備四四%という現状です。
 要するに、切る方はしっかり切ったが、充実する方は大きく立ちおくれており、その結果、この五年間に都の社会福祉関係予算は六百六十一億円もの大幅削減となったのです。高齢化、少子化対策にいよいよ本腰を入れなければならないときに、本当に異常なことです。だからこそ、全国で福祉予算のこんな大幅削減をしたところは、東京のほか、ただの一つもありません。石原都政のもとで東京の福祉は冬の時代に入ってしまったのです。
 知事、今の都民生活の現状をしっかり見てください。東京都の都民の暮らし向き調査で見ても、国の医療改悪の影響で都民の医療費負担は、調査公表以来、最高額を記録しています。中でも高齢者世帯の医療費負担は大幅にふえ、毎月一万八千円もかかっています。世界一物価が高い東京で、都民の老齢基礎年金受給額は全国十八位で、平均わずか五万三千円にすぎない中での負担です。
 また、不況、リストラや社会保障改悪により、この数年間で所得格差が急速に拡大し不平等が広がっており、低所得者層だけでなく、中間所得層の生活も厳しくなり、貯蓄率が急速に低下しています。
 こういう状態だからこそ、私は、東京都政が住民の福祉の増進を第一の使命とする地方自治体の本来のあり方に立ち返り、福祉予算の削減から福祉拡充の方向に転換することが必要だと考えます。まず、知事の基本的見解を伺います。
 転換、充実すべき第一の課題は高齢者福祉対策です。
 我が党は、高齢者の介護状況調査を進めていますが、特別養護老人ホームの不足は深刻です。ひとり暮らし高齢者や高齢者のみ世帯が多く、住宅事情が悪いという大都市特有の条件のもとで、東京における施設整備の重要性は特別のものがあります。七十六歳の妻を八十一歳の夫が介護している、あるいは、痴呆がひどくなった夫を胃がんの手術をした妻が介護しているなどのケースもあります。
 二年前に都が行った調査で、特養の入所待機者は二万五千人に及ぶことが明らかになったにもかかわらず、石原都政のもとで特養の整備は抑制されてきたため、高齢者人口に対する定員の割合は介護保険前より低下しています。
 都として特養の整備目標を引き上げ、そのための十分な予算を確保することが必要です。また、痴呆性高齢者グループホームの緊急整備を促進するとともに、通えて、泊まれて、必要なら住むことができる小規模・多機能型施設の整備に都として踏み出すことを求めるものです。見解を伺います。
 介護保険の負担軽減も急務です。必要ないといっていた東京都もやっと態度を変え、国に対し、保険料の第二段階の人のうち所得が低い人について軽減する仕組みを導入することを提言しました。しかし、都独自の保険料軽減については、全国的に統一した制度の中で対応すべきだといっています。口を開けば全国画一的な福祉制度を批判する東京都が、どうしてこの問題では全国画一の制度にこだわるのか理解できません。
 改めて伺います。保険料第二段階には、現行の保険料では苦しい人がいることを都は認めているのですから、国の対応を待つのでなく、都独自の保険料軽減に踏み切るべきではありませんか、お答えください。
 利用料についても、都は特に暮らしが困難な人に対する軽減措置を拡充し、恒久的な仕組みにするよう国に提案するに至りました。だとしたら、都が行っている生計困難者に対する利用者負担軽減措置は、今年度で終了するのではなく、来年度以降も継続し、さらに拡充することを求めるものです。
 知事は、国の社会保障が充実したとか、所得格差の是正や所得保障は国の責任だといって、経済給付的事業の切り下げを進めましたが、医療も介護も年金も、国は負担増を押しつけるばかりです。高齢者への経済的支援はますます重要な自治体の責務となっています。我が党の介護状況調査の中でも、多くの人から、老人福祉手当を再開してほしい、あるいは何らかの経済的支援が必要だとの切実な訴えが寄せられました。少なくとも要介護四、五の手厚い介護が必要で、利用料限度額を超える自己負担ができない人や、月十五万円に及ぶ老人病院の差額ベッド料やお世話料などの入院費用の負担に苦しむ人に対し、何らかの経済的支援が必要です。知事の見解を伺います。
 元気な高齢者にとって最も身近な都の施策であるシルバーパスは、かつては七十歳以上の高齢者の七割が利用していましたが、全面有料化により、今では五割前後の人しか利用できなくなりました。私たちは無料に戻すべきだと考えていますが、一歩一歩改善することも必要です。
 今、大きな負担感があるのは、少しでも住民税を課税されたら千円から二万五百十円にはね上がることです。せめて五千円や一万円のパスがあればいいのに、一遍に二万五百十円を払うのは苦しい、分割で払えないかなどの切実な声が寄せられています。少なくともこれくらいの声にはこたえていただきたいと思いますが、答弁を求めます。
 転換、充実すべき第二の課題は少子化対策です。
 東京都の次世代育成支援行動計画の策定が始まっていますが、合計特殊出生率がついに一を割り込み、少子化が全国で一番深刻な東京こそ、最も本格的対応が求められています。保育の予算を削って子育て支援や少子化対策に回すというようなやり方では問題の解決はあり得ません。次世代育成支援、少子化対策の抜本的拡充は、福祉保健局だけでなく全庁的課題であり、少子化対策に必要な財源は知事が責任を持って確保するという立場に立つことが必要です。知事の答弁を求めます。
 仕事と子育ての両立支援と、子どもの豊かな成長を進めるために、保育の拡充は少子化対策のかなめをなす課題です。ところが、石原都政のもとで、ことしから私立保育園のサービス推進費補助の改悪、削減が実施されたのを初め、保育の現場にはあらしが吹き荒れています。
 東社協保育部会がサービス推進費補助について六百八の施設を対象に調査を行っていますが、回答を寄せた三百二十七施設のうち削減されたのが二百三十七施設、そのうち六十施設は年間四百万円を超える大幅削減です。我が党も影響調査を進めていますが、ことしは職員の給与、賞与の削減でしのいだけれど、来年も再来年も削減が続けば運営の見通しが立たない、職員集団の力や質は低下せざるを得ない、貧弱な国基準の運営費では都民の保育要求にはこたえられないことをわかってほしいなどの切実な訴えが寄せられています。
 その上、都は、今後、公立、私立保育園の都加算補助のあり方について検討していくとしています。ゼロ歳児保育の保健師配置や開所時間延長のための保育士の増配置、アレルギー対応など給食を充実するための調理師加配などの都加算補助の削減は絶対に許されません。
 しかも、今国が進めている国庫補助負担金制度見直しで、公立保育園に続き私立保育園運営費補助の一般財源化が行われようとしています。国の三位一体改革で財源が削られ、その上、保育の運営費補助を一般財源化すれば、保育水準の低下に直結することは明らかです。そうならないよう国に働きかけると同時に、都の負担分を堅持すべきと考えますが、見解を伺います。
 サービス推進費補助の削減はやめて、職員の経験年数をきちんと評価した補助制度にすることや、都加算補助は削減ではなく拡充するなど、認可保育園への支援を強めることこそ必要です。そして、都として認可保育園の整備目標を明らかにした計画をつくり、増設を進めることを求めるものです。
 学童クラブの不足も深刻で、希望して入れない子どもが千六百人もいます。整備計画をつくり、増設を進めることが急務です。お答えください。
 次に、私立幼稚園の保護者に対する支援です。
 私立幼稚園への依存率は、全国的には七九%に対し、東京は九一%に及びます。ほとんど私立幼稚園しか行くところがないのが実態ですが、年間の学費は平均四十二万円。幼稚園ですから共働きではない若い世帯が、結婚、出産に費用がかかった上、子どもが三歳からの三年間で百二十六万円もの学費負担というのは深刻な問題です。一方、都民の暮らし向き調査によると、三十代前半の勤労世帯の実収入は、この三年間に月額十万円も減少しています。私立幼稚園保護者負担軽減補助の充実を求めるものです。
 また、とりわけ経営が厳しい個人立幼稚園に対する経常費助成は拡充することが必要です。お答えください。
 以上のほか、乳幼児医療費助成の所得制限をなくすとともに、小中学生の医療費助成に踏み出すこと、企業における育児休業制度の充実と利用しやすい環境づくり、子育て中は家族そろって食事ができるようにするなど労働条件を整えること、子育て世帯のための安くて質のよい住宅の確保などを都の次世代育成支援行動計画に具体化する必要があると考えますが、答弁を求めるものです。
 石原知事のこの五年間は、都市再生の名のもとに、東京のこれまでの都市政策を覆し、東京の環境や都財政をさらに悪化させる方向に踏み出した五年でもありました。
 知事は、就任早々に東京構想二〇〇〇を発表し、都心を中心とした地域内の開発を打ち出し、続いて都内七カ所の都市再生緊急整備地域を指定することで、かつてない規模の再開発に踏み出しました。そして、都市再生を推進するための規制緩和、すなわち環境影響評価条例改悪を初め、大規模建築物の容積や日影などの規制緩和を相次いで行ってきました。
 こうしたもとで、この五年間に、高さ百メートル以上の業務・商業ビルだけでも、四十六地区、延べ床面積およそ五百七ヘクタールという巨大な超高層ビル群が建設され、東京の環境に大きな影響を及ぼし、このため東京の環境は、二酸化炭素の増大を初め、ヒートアイランド現象や自動車排気ガス公害などによって、かつてない深刻な事態を迎えようとしているのです。
 先日、我が党は、丸の内、汐留、虎ノ門・新橋間、さらには海の上から、都心と臨海部の開発の現状をつぶさに視察してきました。これらの地区では、容積率一三〇〇%という巨大ビルや高さ百五十メートルを超える超高層ビルが相次いで建設されており、海の上から見ると、これが品川から汐留、丸の内にかけて、巨大ビルによる壁が海風をふさぐ形で建っているのがよくわかりました。
 こうしたビル開発が、既に東京の環境に悪影響を与えていることを、ことしの異常気象が示しました。とりわけ、ことしの夏、東京では四十二・七度という観測史上最高温度を記録、また、真夏日はこれも過去最高の六十八日を記録するというヒートアイランド現象に見舞われました。そして、多くの専門家が、これらの東京の異常気象の原因として、巨大開発、とりわけ海風をふさぐ形で臨海部に沿って建設されているビル群にあることを指摘しています。
 ところが、石原知事は、記者会見で都の責任を問われて、戦後六十年間、都市計画なしに来た、都市が非常に悪化していくという予測はだれも立て得なかったという無責任な発言を行いました。しかし、東京には本当に都市計画がなく、環境悪化の予測は行われてこなかったのでしょうか。とんでもありません。
 そもそも東京都も国も、曲がりなりにも、東京、とりわけ都心に経済や人口が集中することの弊害、例えば公害の発生、住宅の不足、交通渋滞などの弊害を認め、その弊害を回避するために、集中を是正する政策、すなわち多極分散型の国土政策、多心型都市づくりの政策をとってきたのではありませんか。
 これに対し石原知事は、集中は必要論の立場から、これまでの都市政策を転換し、丸の内地区や汐留地区などの開発を促進する都心集中政策を打ち出したのであり、その責任は重大です。
 例えば、三菱地所が中心となった丸の内の再開発計画は、かつてマンハッタン計画といわれたものですが、都心一極集中の弊害が明らかになる中で、計画が凍結されていたものです。これを石原知事が都市再生の目玉に据え、緊急整備地域に指定し、至れり尽くせりのサービスをすることで息を吹き返させたのです。
 しかも、都は、丸の内地区の開発を促進するために、全国で初めて特例容積率制度の適用地域に指定し、容積率の緩和と東京駅などの未利用容積率の転用も可能にすることで、一三〇〇%などという超高層ビルの建設を可能としてあげたのです。
 また、環境アセス条例を、ビルの高さ百八十メートル、面積十五万平方メートルまでに緩和することで、丸の内地区では既にアセス手続に入っていた東京ビルディング、丸の内北口開発、丸の内二丁目一街区ビルが自動的にアセス対象外となり、また別の建物では、ビルの高さを一メートル下げただけで、アセスの適用を逃れて百七十九メートルの超高層ビルを建てることができるようになりました。
 知事は、ビルを乱立させてきた責任はみんなの責任だといわれましたが、都市再生と規制緩和でビル建設をあおっているのは知事自身なのではありませんか。知事自身の責任についてどう認識しているのか、答弁を求めます。
 さらに重大なことは、知事の都市再生がこれから本格化するということです。
 我が党の試算では、今後開発が計画されている地域は、緊急整備地域を初め七十七地区のビルで約八百二十ヘクタールとなることが予想されます。そうなったら、ビル自体と新たに発生する自動車交通によって二酸化炭素や排熱が大幅に増大し、今でさえ四十度を超えるヒートアイランド現象が激化し、灼熱化することは間違いありません。だからこそ、今、都市づくりのあり方を抜本的に見直し、転換することが緊急課題となっています。
 私は何より、今後建設が予定されているビル開発を都として掌握し、環境や住まいなどへの影響について総合的に調査、公表することによって、都民とともに今後の開発がどうあるべきかを検討することが必要と考えますが、見解を伺います。
 また、東京一極集中、都心一極集中の是正の立場に立ち返り、欧米で取り入れられている都市の開発をコントロールする成長管理や環境を重視した修復型のまちづくりの仕組みを都市計画に取り入れることが急がれていると考えますが、見解を伺います。
 東京のヒートアイランド対策として専門家が共通して取り上げているのは海風の利用です。ある学者は、熱をうまく捨てるのは河川か風、自然の力しかありませんと述べ、大手町で幅一キロメートルの空間に都心より五度涼しい海風が吹くとすれば、その冷却能力は百キロワットに匹敵するとも述べています。
 知事は、風の道を今ごろいい出しているなどといっていますが、実は研究者は二十年も前から指摘しており、福岡県では既に風の道に着目した施策を実施しています。
 そこでまず、少なくとも海風をふさぐような臨海部でのビル群の開発を抑制することを提案するものです。
 また、開発に当たっては、冷房排熱を空中以外に排出する空調システム、都市排熱処理システムを附置させること。エネルギーについても、再生可能エネルギーや風力、太陽熱、小型水力などを開発、普及させることを積極的に進めるよう提案するものです。
 クールスポットの確保も重要です。全国で最低水準の都市公園の増設、ビルの屋上や壁面、さらには公開空地の緑化、学校敷地の芝生化、さらには暗渠化されている河川の復元などに全力を尽くすことを求めるものですが、どうか。
 人工排熱の二割を占める自動車交通の抜本的対策も急がれています。ところが、都市再生は、二十三区内の自動車交通を十万台もふやすことが我が党の試算で明らかにされています。この点からも、今進められている間違った都市再生を見直すことが欠かせないのです。
 交通需要の対応を専ら道路建設によるのではなく、総合的な方法で対応しようとしているイギリスの事例などに学び、公共交通の拡充を基本に、自動車を総量として抑制する都市政策が必要です。そのためにも、ビル建設や商業施設の建設に当たっては、駐車場を最低限に抑制し、TDM、モーダルシフトなどの対策を組み合わせて、公共交通機関の利用に振りかえることで、自動車に依存しがちな交通利用を転換することが重要であると考えますが、それぞれ答弁を求めます。
 多国籍企業のための都市づくりとしての都市再生は、都財政をも大きくゆがめています。すなわち、この五年の間に、石原知事は、都市再開発と幹線道路などを中心に、毎年、一般歳出の二割を超える一兆円規模の投資を続けることで都債を積み増ししました。その結果、都の一般会計の借金残高は六兆九千六百八十二億円と都政史上最高となり、都財政を圧迫しています。
 しかも、重大なことは、国直轄事業負担金、首都高速道路公団への無利子貸付、羽田空港再拡張への負担金など、これらの借金の少なくないものが、本来東京都が負担しなくてもよい投資によってもたらされています。また、臨海副都心開発や破綻した三セクなど、都が当然メスを入れるべきであるにもかかわらず容認してきた浪費的公共事業や、むだな財政支出も、都財政をゆがめる要因となっています。
 全国でも異常な石原都政の福祉切り捨ての本当の理由は、財政危機などでは断じてありません。こうした不要不急の投資こそ福祉切り捨ての理由だったことは今や明白です。投資のあり方を抜本的に見直すことによって、都民の暮らしと福祉を守るという地方自治体の最大の使命を最優先にした政治に転換することこそ、今都政に緊急に求められていることを、強く申し述べておくものです。
 次に、都民の暮らしを守る上で緊急の課題となっている問題の中で、存亡の危機に立たされている商業支援に絞って伺います。
 二〇〇〇年の大規模小売店舗法の廃止後、第二次の出店ラッシュといわれる大型店の出店攻勢が続いています。しかも、その特徴は、商圏が広域にわたる超大型化した複合商業施設になっていることと、既存の大型店をも閉店に追い込む熾烈なものになっていることです。
 八王子でも、中央道八王子インター北地区周辺に超大型ショッピングセンターの出店計画が浮上し、大問題となっています。計画では、大型総合スーパー、大型ホームセンター、百店舗を超える小売店、飲食店、シネマコンプレックス、スポーツ・娯楽施設で構成され、駐車台数は実に三千五百台という巨大なセンターです。商圏は、八王子や周辺地域はもちろん、関東一円に及び、年間千五百万人の集客を見込むというすさまじいものです。
 八王子商工会議所などが行った影響調査によれば、同ショッピングセンターには一日六万人を集客する一方、市内の商店街は三万千五百人もお客が減少し、売り上げでは年間数百億円の被害を受けると推計しています。
 また、この計画は、既に地元商店の減少と既存大型店の撤退で衰退を重ねている八王子駅周辺の中心市街地に壊滅的な打撃を与えるものになりかねません。このため、八王子市商店街連合会は挙げて反対し、市長に対してショッピングセンター出店計画の白紙撤回を求める意見書を提出しています。
 このような超大型店の出店計画は、葛飾区の亀有で延べ床面積十六万平方メートルのイトーヨーカ堂出店、大田区大森ではアサヒビール工場跡への、これもイトーヨーカ堂の出店計画などメジロ押しで、しかも、そのいずれもが地域商業の壊滅的な破壊をもたらす危険が指摘され、地元での反対運動が巻き起こっているのです。
 このような今日の事態は、超大型店栄えて地域商業枯れるという事態を招きかねないものです。そして重要なことは、高齢者を初め消費者にも深刻な影響をもたらし、地域商店街が支えてきた地域社会の成り立ちに、取り返しのつかない打撃を与えかねないということです。
 知事に伺います。このように地域経済や地域社会に甚大な影響を与えることが予測される大型店の出店が、事実上、野放しにされている状況をどう認識されているのですか。答弁を求めます。
 また、少なくとも都として都内地域商業の現状を調査掌握し、都市政策として地域商業のあり方について方向を示すべきと考えますが、どうですか。見解を伺います。
 大店法廃止に当たって立地法が制定されたといいますが、これが何の役にも立っていないことは、今日の出店ラッシュを見れば明らかです。それは、立地法が環境に着目したものであり、こうした問題解決に欠かせない商業調整の機能が持たされていないからです。
 そこで今、小売商業調整特別措置法に着目することが重要だと考えるものです。同法は、大店法と競合するということで、事実上凍結されていた法律ですが、大店法廃止によってその規制が解除されました。この法律の理念と過去の適用事例はどうなのか。商調法に基づく調査、調停はどのように行われるのか。また、商調法に基づく調査、調停の申請があった場合、速やかに作業に入ることが必要と考えますが、所見を伺います。
 大型店の対策とともに、地域商業の支援を強化することが急がれており、そこで幾つかの問題に絞って提案を行います。
 初めに、新・元気を出せ商店街事業についてですが、この事業は、今では夏、冬のイベント事業など商店街振興にとっては欠かせないものとなっており、今後の継続と予算の拡充は強い要望となっており、拡充が求められています。事業執行に当たっては、事業の詳細な認定は区市町村の裁量にゆだねることや、申請書類の簡素化など、改めて商店街や区市町村の要望を聞き、改善が必要と考えますが、どうか。
 また、都が昨年実施した輝け店舗支援事業は、思ったほど反応がなかったことを理由に打ち切られました。しかし、その後、改めて我が党が行った調査では、多くの区市町村でこの事業が歓迎されていたこと、東京都が打ち切った今年度、二十三区では五つの区が単独で事業を継続、もしくは新規に事業化していることがわかりました。ある区の担当者は、これで東京都も本気になったと思ったと述べ、来年度は事業として復活してほしいと要望していました。
 改めて伺いますが、商店街の個々のお店を支援し、輝かせる事業の意義についてどう考えているのか、お答えください。
 さらに、区市町村が都の提案を受けて商店街振興に関するプランを一斉に策定したことは、我が国の中小企業行政の中で画期的なことではなかったでしょうか。私は、区市町村が策定したそれぞれのプランに基づいて商店街を総合的に支援することは、商店街の活性化の大きな力になると考えるものですが、見解を伺います。
 これらの事業はいずれも商店街や区市町村が事業化や拡充を切に求めているものばかりですが、都の商店街支援の予算は要望にこたえるには十分ではありません。新・元気を出せ商店街事業、輝け店舗支援事業、商店街を総合的に支援する包括的補助事業、後継者対策など、商店街支援に必要な対策が図られるよう予算を拡充することを強く求めるものですが、見解を伺います。
 最後に、水道料金体系の見直しについてです。
 我が党はかねてより、都の水道事業の料金の収支は大幅な黒字であり、水道料金は値下げすべしと要望してきました。値下げなど不可能だという議論には、実際の水需要を大きく上回る需要計画を前提にして続けられている過大な投資を見直せば、値下げは可能であるということを、議会審議でのさまざまな機会で論証してきました。今回、都の水道行政史上初めて、基本的には値下げの内容で提案されたことは、かねてからの我が党の指摘が裏づけられたものであり、歓迎するものです。
 同時に、提案には見過ごすことのできない問題も含まれています。それは、新しい料金体系を組み込んでつくられた東京水道プラン二〇〇四が、水需給計画を見直さず、過大な投資計画に基づいて財政計画がつくられていることです。
 都は既に日量六百二十三万立方メートルの既得水源を持ち、一日当たり六百九十六万立方メートルの施設能力を持っていて、なおかつ、既に十年以上にわたって一日最大配水量が六百万立方メートルを超えた日は一日もないというのに、さらに新たな水源開発と称して、多くの人が反対している八ッ場ダム開発に巨額の税金をつぎ込むなど、過大な投資事業を改めようともしていません。
 このため、今回は値下げが行われたものの、プラン二〇〇四が終了する二年後には、また累積収支不足という料金値上げの口実が生ずる仕組みになっているのです。そうでないというならば、二年後には値上げしないと、この際はっきりと明言していただきたいと思います。お答えください。
 また、基本的には値下げ提案だというものの、大口の需要者がすべて大きく値下げされるのに対して、小口の、それも生活が厳しい人々に値上げが押しつけられていることも見過ごすことはできません。そこで、口座振替を使わなくともすべての利用者が値下げになるようにすること、生活保護世帯については従来どおり十立方メートルまでは料金を免除すること、公衆浴場などについても値上げを抑えることを求めるものですが、答弁を求め、再質問を保留して、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 清水ひで子議員の代表質問にお答えいたします。
まず、福祉予算を転換せよとのことでありますが、これまで何度も何度も何度も同じことを申し上げてまいりましたけれども、一向にご理解いただけないようでありますが、我々が目指すべき福祉は、だれもが安心して快適に暮らせる東京の実現でありまして、そのために、狭義の福祉だけではなく、治安、医療、環境、雇用、インフラ整備など、さまざまな施策を複合的に実施する必要があります。
 私はこれまで、こうした住民福祉の増進を都政の第一の使命と考え予算編成に臨み、施策の充実を図ってまいりました。
 また、福祉の分野における一連の改革は、長期的、歴史的視点に立って、ばらまき的な現金給付や入所施設中心の画一的なサービスを思い切って見直し、利用者本位の福祉の実現を目指したものであります。こうした流れは、都民福祉の充実に資するものとして、既に都民の理解を十分に得ていると確信しております。
 福祉は冬の時代に入ったといわれましたが、そういうことを一向に理解できない共産党こそが冬の時代に入ったのではないでしょうか。
 次いで、少子化対策などに必要な財源の確保についてでありますが、いわれるまでもなく、少子化対策は、青少年の健全育成や治安対策などと同じく、組織を超えて横断的、総合的にとるべき課題であります。
 都はこれまでも、大都市特有の保育ニーズを踏まえた都独特の認証保育所を初め、子ども家庭支援センターや小児救急医療体制の整備など、安心して子どもを産み育てられる環境の整備を積極的に推進してまいりました。
 今後とも、長期的、歴史的視点に立って見直すべき事業や組織は徹底的に見直し、真に必要な施策に財源を集中的に投入してまいります。
 次いで、都市再生におけるビルの建設についてでありますが、政経不可分の文明論からいえば、日本の首都東京のように、行政、立法、経済の中枢が隣接して集積しているという機能的な都市は、余りほかにございません。
 丸の内周辺には経済活動の合理性から高層ビルが集中しているのであります。それは日本全体の機能にとっても大変よいことだと思います。
 今後とも、この地域の機能を維持し、大都市東京の国際競争力を高めていくためには、老朽化したオフィスビルの新陳代謝を図る都市開発が不可欠と思います。
 次いで、大店舗の出店についてでありますが、大型店はもとより、商店街などの小売業者が、創意と努力により消費者の求める商品、サービスを提供することは、東京の経済活性化にとって重要なことであります。
 消費者ニーズの多様化、モータリゼーションの進展などにより、複合的な機能を持つショッピングセンターがふえていくことも十分承知しております。
 一方、大型店は、交通量の増加や騒音など周辺環境に与える影響も大であります。大型店の出店に際しては、決して野放しではなく、大規模小売店舗立地法により地域の生活環境保持の観点から必要な規制が行われておりまして、法の趣旨を踏まえ、適切に運用してまいります。
 他の質問については関係局長から答弁いたします。
   〔福祉保健局長幸田昭一君登壇〕

○福祉保健局長(幸田昭一君) 特別養護老人ホーム等に関します福祉、保健に関する十二点のご質問にお答えいたします。
 まず、特養への支援についてでございますけれども、ケアリビングや在宅サービスの充実を、特別養護老人ホームを含めまして進めているところでございます。施設での介護が真に必要な高齢者に対応できるよう、適正な水準の介護保険施設の整備をこれまでも進めてまいりましたが、この支援につきましては、引き続き適切に支援等を行ってまいります。
 次に、特別養護老人ホームについてでありますが、現在の整備目標は、区市町村と十分な調整を図った上で、平成十四年度に策定した第二期介護保険事業支援計画において設定したものでありまして、今後とも、同計画に基づき着実に整備に努めてまいります。
 次に、痴呆性高齢者グループホームの整備促進等についてでありますが、痴呆性高齢者グループホームの整備については、今年度の都の重点事業として痴呆性高齢者グループホーム緊急整備三カ年事業を実施するとともに、グループホーム設置促進事業本部を立ち上げるなど、積極的に整備促進を図っています。
 また、小規模・多機能施設については、現在、国において、その整備費を国から区市町村へ直接交付する制度の対象とすることを検討中と聞いております。
 次に、介護保険の保険料軽減についてでありますが、低所得者に対する保険料の取り扱いは、社会保険としての介護保険制度の根幹にかかわるもので、全国的に統一した仕組みの中で対応すべきものであり、都独自の軽減措置を講じるのは適当ではないと考えます。
 次に、介護保険の利用者負担軽減措置についてでありますが、都では、国の特別対策をもとに、対象サービスを四種類から九種類に拡大するなど、都独自の支援策を行ってまいりました。
 来年度以降の事業のあり方については、現在、国において進められている介護保険制度改正の動向を見据え対応してまいります。
 次に、高齢者への経済的支援についてでありますが、老人福祉手当を初めとする一連の福祉施策の見直しは、利用者本位の新しい福祉の実現を目指す福祉改革の一環として実施したものであり、再検討する考えはございません。
 次に、シルバーパスについてでありますが、本制度は、若年世代との間に負担の不公平があるなどの課題があったことから、平成十二年度に見直しを行ったものであります。
 現在、多くの高齢者がパスの発行を受け、社会参加と生きがいの活動に活用されており、現行の仕組みは、パス本来の目的に十分沿っているものと考えます。
 次に、私立保育所の運営費負担金の一般財源化についてでありますが、現段階では、この問題に関して、国は何ら考え方を示しておりません。したがって、仮定の話を前提に議論しても余り意味がありませんが、地方六団体では、保育所の運営費負担金を廃止して税源移譲すれば、地方の裁量度を高め、自主性の拡大につながるものであるとの見解を取りまとめています。
 なお、一般財源化と保育水準の問題は別の次元の問題であり、保育水準の低下に直接つながるというご主張は理解できないものであります。
 また、一般財源化とは、事業費の全額が何らかの形で財源措置されるものであり、仮に一般財源化されても、財政運営のルールからいって、現行の都の負担分を堅持する合理的な理由はないと考えます。
 次に、保育所への補助についてでありますが、民間社会福祉施設サービス推進費補助は、職員の平均経験年数に基づくこれまでの補助が、必ずしも質の高い保育サービスの提供につながっているとはいえないことから、都として望ましいサービス水準を確保するとともに、サービス向上に向けた施設の努力が真に報われる仕組みとして、施設代表者との合意を踏まえ再構築したものであります。
 また、保育所運営費補助については、さきの児童福祉審議会の意見具申を踏まえ、今後、都として補助のあり方について検討してまいります。
 次に、認可保育所の整備についてでありますが、認可保育所は、保育の実施主体である区市町村が、地域の保育需要を的確に把握、分析し、既存の保育所の受け入れ枠の拡大などの対策を講じた上で、なお不足が生じ、必要があると判断した場合に整備するものであります。
 都としては、こうした区市町村の施設整備の取り組みに対し、必要な予算措置を行うなど、これまでも的確な対応を図ってまいりました。
 なお、改正された児童福祉法の規定に基づきまして、保育サービスの供給体制の確保に関する計画を、都としても今後策定していきます。
 次に、学童クラブについてでありますが、学童クラブは、定員設定などに関する厳格な定めがなく、あくまでも事業の実施主体である区市町村が地域の事情を的確に把握し、整備、運営を行っています。
 都ではこれまで、福祉改革推進事業の活用などにより学童クラブの設置促進に努めてまいりました。その結果、本年三月末の設置状況は千三百十一カ所となっており、公立小学校数に対する設置率は全国一の九七%であります。
 最後に、次世代育成支援行動計画についてでありますが、東京の未来を担う子どもが健やかに生まれ、育成される環境の整備を図ることは社会全体の課題であります。
 このような考え方から策定する都の行動計画には、施策の優先度や効果などを十分考慮しながら、すべての子育て家庭を視野に入れた子育て支援策を盛り込む方針であります。
 なお、ご提案いただいた施策については、ただいまの観点から申し上げれば、実現可能性が薄いものが多いと思います。
   〔生活文化局長山内隆夫君登壇〕

○生活文化局長(山内隆夫君) 私立幼稚園の補助についてお答えいたします。
 私立幼稚園児保護者の負担軽減補助につきましては、所得に応じた負担の適正化を図りながら、預かり保育の充実など施策の展開に努めてまいりました。
 また、個人立等幼稚園については、国が補助対象外としている中で、都は単独補助を実施し、学校法人化をより一層促進する観点から、事業の見直しにも取り組んでまいりました。
 今後とも、社会経済状況の変化に対応しつつ、適切に対応してまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君) 都市再生に関する五点のご質問にお答えいたします。
 まず、今後のビル開発について総合的に検討することの必要性についてでございますが、都市間の国際的な競争が激化する中、おくれている道路などの都市基盤の整備とあわせ、優良な民間プロジェクトを推進する都市再生の取り組みを強力に進めていくことが必要でございます。
 プロジェクトの具体化に当たっては、これまでも条例に基づく環境影響評価を実施してきております。
 また、特定街区や総合設計制度などに基づく都市開発につきましても、計画策定時に、環境に与える影響などについて調査、検討を行っており、ご提案のような検討は必要ないものと考えております。
 次に、都市の成長管理や修復型のまちづくりについてでございますが、大都市東京の再生にとって今必要なことは、首都東京のポテンシャルを引き出し、その活力や国際競争力を回復させることであります。
 このため、都は、交通ネットワーク、とりわけ三環状道路など広域的交通基盤を強化するとともに、業務、居住、産業、文化など、多様な機能を地域や拠点が分担し合う環状メガロポリス構造の構築を目指しております。
 このことが、バランスのとれた活力ある東京圏の形成のみならず、交通渋滞の解消や環境負荷の軽減、ひいては、環境と共生した都市の実現にもつながると考えております。
 次に、海風をふさぐようなビル開発を抑制せよとの提案についてでございますが、大都市東京の魅力や活力を高めていくためには、東京臨海地域の持つポテンシャルを生かし、今後とも優良な都市開発を推進していく必要がございます。
 風の通り道については、都の基本的な計画である東京ベイエリア21や東京都環境基本計画において、建物や緑の計画的な配置などにより確保することとしております。
 臨海地域における開発においても、このような考え方に基づき、風の通り道の確保について、可能な限り配慮してまいります。
 次に、交通需要への対応についてでありますが、効率的な都市活動と快適な都市生活を実現するためには、三環状道路を初めとする道路ネットワークの構築はもとより、駅へのアクセス道路やバスレーンの整備などにより定時性を確保し、公共交通への利用促進を図ることが重要でございます。
 あわせて、都市の機能更新や都心居住を推進し、職と住が近接した市街地の形成に取り組むことにより、交通負荷の軽減を図ってまいります。
 今後とも、おくれている道路整備を推進するとともに、交通需要マネジメントなどによる、ハード、ソフトを含めた総合的な都市交通を推進してまいります。
 最後に、ビル建設などにより集中する自動車交通の抑制策についてでございますが、商業・業務施設などの建設に当たりましては、利用者に必要な駐車場設置を義務づけておりますが、これらを抑制することは、違法な路上駐車を招くなど、道路交通の円滑化を妨げることになります。
 一方、公共交通機関につきましては、山手線内側のほぼ全域が徒歩十分以内で鉄道駅まで到達できるよう整備が進み、世界の大都市の中で最も便利で使いやすい公共交通網が既に形成されております。
 今後とも、バリアフリーによる乗りかえ利便性の向上策や、パーク・アンド・ライドなどの駐車マネジメントを推進するなど、公共交通機関の利用促進を一層進めてまいります。
   〔環境局長平井健一君登壇〕

○環境局長(平井健一君) 都市再生に関し、まず、都市排熱処理システムや再生可能エネルギーの普及についてでございます。
 都市排熱処理システムについては、その効果や排熱エネルギーの処分先での環境影響などについて研究が必要であります。
 再生可能エネルギーについては、都の率先導入事業として、臨海部に風力発電施設を設置するとともに、都議会議事堂屋上や浄水場などに太陽光発電施設を設置するなど、取り組みを進めております。今後とも、再生可能エネルギーの普及拡大に努めてまいります。
 次に、クールスポットの確保についてですが、ヒートアイランド現象を緩和するためには、公園、緑や水辺などのクールスポットを充実させ、都市を冷やしていくことが有効でございます。
 ヒートアイランド対策取り組み方針では、都の率先行動として、公園の整備促進、街路樹の再生、屋上緑化の推進などに取り組むこととしております。
 今後とも、この方針に基づき、ヒートアイランド対策に取り組んでまいります。
   〔産業労働局長関谷保夫君登壇〕

○産業労働局長(関谷保夫君) 商業支援に関する六点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、地域商業についてでございますが、都は、東京の小売業の調査や中小企業経営白書などにより、都内の地域商業の現状を調査し、実態の把握に努めているところでございます。また、具体的な大型店の出店に当たっては、区市町村から意見を聞いているところでございます。
 都としては、大規模小売店舗立地法や中心市街地活性化法などを適切に運用し、地域の生活環境保持と地域商業の活性化に努めてまいります。
 次に、小売商業調整特別措置法についてでございますが、この法律は、小売商の事業活動の機会の適正な確保等を目的としており、中小小売業がかかわる紛争解決等のための緊急避難的な措置を規定したものでありまして、商業調整につながるものではないとされております。都における適用事例はございませんが、全国では、過去に調査、あっせんが延べ十六件あったと承知しております。
 調査の申し出があった場合、相当の理由があると認めるときは調査を行うものとされております。また、調停の申請については、物品の流通秩序の適正を期するために必要があると認めるときは調停を行うものとされております。いずれの場合も、法に基づき適切に対処してまいります。
 次に、新・元気を出せ商店街事業についてでございますが、都はこれまでも、区市町村と綿密に情報交換をするとともに、商店街への定期的な実態調査等を通じて意見の把握に努めてまいりました。これらを踏まえて、申請書類の簡素化や交付決定時期の早期化など、必要な改善を図ってきたところでございます。
 次に、商店街の個店支援についてでございますが、商店街を活性化するためには、集客の核となるような魅力的な店舗が必要でございます。このため、都は、専門家の派遣や講習会の開催など、商店主の経営力向上や魅力的な店舗づくりへの支援に努めているところでございます。
 次に、商店街への総合的な支援についてでございますが、都は既に新・元気を出せ商店街事業において、区市町村が策定した振興プランに基づく商店街の自主的、意欲的で多種多様な取り組みを支援しているところでございます。
 最後に、商店街振興に関する予算についてでございますが、都は平成十五年度において、それまでの商店街振興施策を再構築するとともに、予算規模を大幅に拡充しているところでございます。
   〔水道局長高橋功君登壇〕

○水道局長(高橋功君) 水道料金の改定に関する二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、今回の計画案終了後の料金改定についてでございますが、今回の計画案は、昨年十二月に見直しを行いました水道需要予測を踏まえまして、八ッ場ダムなどの必要な施設を盛り込むとともに、最大限の企業努力を実施することにより、料金値下げを行った上で、平成十八年度末の収支を均衡させることとしたものでございます。
 また、本計画案終了後の水道料金につきましては、水道事業を取り巻くさまざまな状況変化を踏まえる必要がございますので、現時点で判断することはできません。
 なお、今回の料金改定は、東京都水道事業経営問題研究会の最終報告に基づきまして実施をするものでございまして、共産党のかねてからのご主張に沿ったものではございません。
 次に、料金値上げとなる使用者への対応についてでございますが、今回の料金見直しは、節水を促す仕組みやコストに見合った負担の実現を求める都民の声にこたえるとともに、都民生活への配慮から、最大限の企業努力を実施することにより、料金を平均で二・二%引き下げたものでございます。
 なお、生活保護世帯、公衆浴場につきましては、引き続き、一般世帯に比べ安価な料金としております。
   〔三十三番清水ひで子君登壇〕

○三十三番(清水ひで子君) 二点について、知事に再質問します。
 第一に、私は福祉予算の拡充を求めたのです。それには答えていません。福祉予算を六百六十一億円も削ったのは異常なことなんです。このことを、知事は何度いっても理解できないようです。
 経済給付や補助金を大きく削り、先ほど指摘したように、充実すると約束したものは、一部を除いて大きくおくれています。その結果、高齢者を初め都民から、特養に入れない、介護保険の負担が重いなど、本当に切実な訴えが上がっています。
 少子化対策もますます重要になります。二十三区では、中学卒業までの医療費助成に次々踏み出しています。
 どう考えても福祉予算をふやす必要があるのではないですか。このまま減らし続けてよいというのですか。知事、お答えください。
 知事がいった広義の福祉で見ても、ますます後退しています。医療では、都立病院の廃止や医療費助成の廃止を進め、環境も、ヒートアイランド現象はひどくなり、雇用も大変な状態です。インフラ整備も、都営住宅は新規建設ゼロなど、生活の質を高めるインフラ整備は進んでいない。そのことを厳しく指摘しておきます。
 第二に、超高層ビルを林立させる知事の都市再生路線は、ヒートアイランド現象をひどくし、東京の環境に重大な影響を与えていることは、多くの専門家やマスコミも指摘しています。この責任について、知事は人ごとのように答えましたが、それでは済まされません。
 知事は、多国籍企業のために超高層ビルを集中させることはよいことだ、不可欠だと答えるだけですが、それでは、多国籍企業が栄えて、環境や地域経済、都民生活滅ぶの道を進むことになります。みずからの責任についてきちんと答えていただきたいと思います。(拍手)
   〔「知事答えなさいよ、知事。知事に聞いてるのよ」と呼ぶ者あり〕
   〔財務局長松澤敏夫君登壇〕

○財務局長(松澤敏夫君) 福祉の分野における予算についてのお尋ねでございますが、ただいま知事から答弁がございましたように、福祉改革を進めていく中で、必要性が薄れた施策などは思い切って見直す一方で、厳しい財政状況にありましても、新しいニーズに沿い、大都市東京の特性に合った利用者本位の福祉の実現を目指して、さまざまな施策の充実を図ってきたところでございます。
 また、その間には、児童扶養手当を区市に移管することによる予算の大幅な当然減などもありまして、単純に予算額だけを問題としてとらえ、福祉サービスの後退とのご主張は余り意味がない、このように考えます。
   〔「知事答えなさい、石原知事。答えられないの」と呼ぶ者あり〕
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君) 先ほど知事の方からご答弁ありましたとおり、現在、都心部などで多くのオフィスビルの建設が行われておりますが、これにより、国際的に見ても優良なオフィスが供給され、機能更新が一層進むことになると思います。このことが、都市の魅力や国際競争力の向上につながるものと確信しております。
 都は、引き続き首都東京の都市再生を積極的に進めてまいります。

○議長(内田茂君) 九十八番大河原雅子さん。
   〔九十八番大河原雅子君登壇〕

○九十八番(大河原雅子君) 私は、都議会生活者ネットワークを代表して質問いたします。
 三位一体改革に関する政府と地方団体の協議会が開かれましたが、地方側が示した補助金削減案に対して官僚は反論しており、早くも省庁側の抵抗が露呈しています。
 ローカルパーティーとして分権を強く望む私たちは、今回の知事会の決定については、
初めから三兆円の数字合わせと見る向きもありましたが、分権など頭にない国の政治家と官僚が三位一体改革の中身を提示できなかったことを考えれば、一応の評価をするものです。
 しかし、義務教育費国庫負担については、義務というからには、補助金ではなく、全額国庫からの支出であってしかるべきです。今回の議論の悲しむべきは、教育水準と財源の議論が同じ土俵でなされたことです。
 地域に合った教育を実践したい、地域の工夫で画一的な教育から脱皮したいと、多くの自治体は考えています。自治体の裁量が広がったとはいえ、国に対しては、お金は出しても、口は出させない方法を議論しなければなりません。地方分権型義務教育についての見解を東京都から出すべきだと考えます。
 今回、国庫補助負担金改革に関し、知事会案が政府に投げ返されましたが、都は基本的見解で、補助金や交付税の改革の必要性を訴えています。今後、改革の具体的な考え方を、いつ、どのように示されるのか、知事の見解を伺います。
 先日発表された四月から六月期のGDP改定値は、設備投資がふえたことで上方修正されると考えられていましたが、実際には在庫投資の寄与度が下方修正されるなど、景気が上昇するばかりとは読み切れないようです。
 都財政においても、法人二税の増収が伝えられていますが、消費動向は将来不安から上昇せず、また、石油高や金利の上昇など不安定要素が大きい中、第二次財政再建プランを着実に実行していくことが重要と考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、水道料金の改定について伺います。
 水道はすべての人のライフラインとして、事業運営には、本来の目的である公共の福祉の増進を図り、同時に効率的な事業運営が求められています。
 水道料金は平成六年に改定して以来、十年間値上げを行わずに来ましたが、いいかえれば、需要構造の変化や都民ニーズにこたえる料金制度の見直しは、今日まで先送りされてきたともいえます。
 水道会計は独立採算とはいいながら、収益収支のみならず、ダムなどの水源開発など資本的収支も見なければ全体像はわからず、水道の経営構造は、都民にはわかりにくいものとなっています。今後の情報提供のあり方が一層重要です。
 公共事業やさまざまなサービスを一つの商品として価値を見きわめる、消費者の厳しい目が注がれていると、水道事業経営問題研究会の報告にも指摘がありますが、今回の料金体系の見直しを提案するに当たり、水道局としてアカウンタビリティーの確保をどう認識されているのか、見解を伺います。
 また、都民にとっては、値下げは歓迎されるはずですが、財政不足や料金収入の減少がありながらの値下げはわかりにくいものです。
 公営企業たるもの、内部努力を最大限行うことは当然ですが、サービスの質が落ちるようでは困ります。都民アンケートでも安全性を求める声も多いわけですが、水道、水質などの検査体制が簡素化、簡便化されるのではないかとの危惧も生まれています。見解を伺います。
 水道料金の見直し案は、基本水量を十トンから五トンに引き下げ、逓増制料金体系は維持しつつ、最高単価を引き下げて逓増度も下げるなど、研究会報告を丁寧にトレースしており、納得のいくものです。
 しかし、報告では、節水のインセンティブをより働かせるために、将来的には基本水量の全廃を提案しており、今後、環境への配慮を持った節水インセンティブの働く仕組みや、コストに見合った料金体系に向け検討すべきであると思いますが、見解を伺います。
 次に、水循環について伺います。
 都は、野川流域を対象地区とし、水循環再生事業として地下水涵養に最も効果的な雨水浸透ますの設置に補助を行っています。野川流域の住民や自治体からの強い要望を受け、平成二年度からの湧水保全モデル事業として、国分寺から始まり、順次対象区市を拡大してきました。
 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例のもと、地下水の保全を図るため、雨水の地下浸透の方法などについて定めた東京都雨水浸透指針を平成十三年度に策定し、平成十四年度には、全国に先駆けて湧水を取り上げ、東京都湧水等の保護と回復に関する指針を策定しています。
 また、翌平成十五年には、湧水に対する都民の関心を集め、その保護と回復を図るため、五十七カ所の湧水を東京の名湧水として選定しています。
 都市の市街化により、著名な湧水までも開発の波にさらされるなど、湧水の消滅が進んでいる現状がある中で、都は、地下水の涵養、湧水量の増加による池や河川の浄化作用、河川のはんらん防止、水辺環境の向上など、大きく寄与する雨水浸透ます設置補助事業を推進してきており、これまでの湧水の保全にかかわる施策は高く評価できるものです。
 湧水の川に下水処理水は入れるなと市民からの反対の声も上がっている下水道の野川処理区の処理場計画も、事業化が先送りとなりました。この野川流域において、清らかで豊かな水の流れを将来の世代に残すためには、雨水をより多く地下に浸透させて、地下水や湧水を守ることが重要です。
 そのために、これら二つの指針の趣旨を踏まえ、都は地下水を保全するためにどのような対策に取り組んでいくのか伺います。
 次に、男女平等施策について伺います。
 都は、他県に先駆け、二〇〇〇年から男女平等条例を施行しています。その前文で、男女平等は前進してきているものの、なお一方の性に偏った影響を及ぼす制度や慣行が存在しているとして、平等はいまだ実現しておらず、直接的にも間接的にも差別が存在することを指摘しています。
 男女雇用機会均等法の制定によって、あからさまな直接差別は解消したかに見えますが、一見、性にはかかわらないように見えても、実質的にどちらかの性に不利になる規則や制度の存在、すなわち間接差別が問題なのです。
 都は、いまだ道半ばにある男女平等を目指し、東京都行動計画、チャンス&サポートを策定し、差別解消に向けた取り組みを推進中です。世界の流れは、ジェンダーの主流化であり、都の取り組みも、いわばジェンダー格差の是正の取り組みであるといえます。
 都教委による男女混合名簿の推進もその一つであり、行動計画では、出席簿において男女に順序をつけるような取り扱いをしないため、都立学校において混合名簿の全校実施を推進するとしています。
 さて、八月二十六日の都教委の男女混合名簿に関する決定については、男女平等条例や行動計画とは相入れないものがあるように思われます。東京都の今後の男女平等及び男女混合名簿の推進について、取り組みの姿勢を伺います。
 また、都教委が都立学校長にあてた混合名簿に関する通知には、学校において混乱を招いているとの記述がありますが、具体的には、どの学校で、どのような混乱が生じているのか伺います。
 一九九九年に改正男女雇用機会均等法が施行され、それまで努力義務だった募集、採用、配置、昇進などにおける女性への差別が禁止されました。
 しかし、昨年、ニューヨークで開催された国連女性差別撤廃委員会でも、日本は、労働市場におけるポジティブ・アクションの推進や、コース別雇用管理に基づく事実上の間接差別の是正を求める勧告を受けています。
 また、ことし六月、厚生労働省が発表した男女雇用機会均等政策研究会報告は、ポジティブ・アクションについては企業の理解は進みつつあるが、なお大きな広がりを持った動きには至っていないと指摘しています。
 男女間の明白な差別的取り扱いは払拭されつつあるものの、このように事実上の格差が雇用の場に依然として残っているのです。
 こうしたことから、都も二〇〇三年に、企業が取り組む際の指針として、ポジティブ・アクション実践プログラムを作成するなど、普及啓発に努めてきました。こうした取り組みに対し、もう一歩踏み込んだ対応が必要であると考え、今後ポジティブ・アクションを効果的に普及するため、どのような取り組みを行っていくのか伺います。
 次に、公立学校の教員不足について伺います。
 今年度、都内公立中学校の教員が九月現在で約五十人も不足し、学校は臨時採用の教員で対応せざるを得ず、保護者の間から不安の声が上がっています。
 東京都では、教員が昨年より四百人多く採用されたにもかかわらず、教員の不足は隠せない事実です。一般退職や年度途中の退職がふえたためといわれますが、子どもの学びを保障する上での環境整備は都教委の果たすべき責務です。こうした事態を来年度避けるためには、どのような対応をされるのか伺います。
 さらに五年後、団塊の世代が定年退職を迎える時期には、教員の数は激減します。
 都教委は今春、東京教師養成塾を設置し、小学校教員を志望する大学四年生約百人を集め、一年間の実習や講義プログラムで指導力を磨いた塾生には特別選考で採用することや、都内公立校の五年以上の正規教員経験者の採用に特例を設けています。
 しかし、安定した教員の確保のためには、子どもたちを取り巻く状況の変化や、学校運営をめぐり教員に求められるものも多様化していること、また、何よりも都教委の管理体制の強化など、教員の置かれている現状について、都教委みずからが厳しく分析を行わなければなりません。教員が働きやすい学校運営が行われなければ、教員確保について根本的な問題解決にはつながらないと考えます。
 今後、少人数指導の定着や特別支援教育の推進には、専門性の高い教員の配置が求められることからも、都の教育行政そのもののあり方を問い直すときと考えますが、見解を伺います。
 次に、個人情報保護について伺います。
 情報処理技術や通信技術の進展によって、情報の大量自動処理や多面的な利用が可能となり、公的部門のみならず、民間部門においても、個人情報が大量に収集、データ化され、利用されています。生活の利便を増すのに役立つ反面、個人情報の取り扱いに適正を欠いた場合は、プライバシーの侵害ばかりか、人権侵害につながるおそれがあります。
 国においては、二〇〇三年五月、個人情報の保護に関する法律を初め関連五法が成立し、個人情報保護制度が整備されました。これを受け、七月、東京都情報公開・個人情報保護審議会は、個人情報保護制度の新たなあり方についての提言を発表しました。
 今回の提言では、自己に関する個人情報の開示及び訂正を求める請求権に加え、利用停止請求権を設けることとされています。
 ただし、開示決定された情報だけが対象であり、種々の状況から見て、個人情報が利用されていると本人が判断しても、文書不存在といわれることも懸念されます。都民のプライバシーを積極的に保護し、基本的人権の擁護を図る上の権利保障は不十分であると考えます。
 また、個人情報の保護をさらに徹底するため、公安委員会が実施機関に加えられていますが、警察責務の遂行に支障が生じることのないよう、犯罪の予防、捜査等公共の安全と秩序の維持にかかわる事務については、例外規定を定める必要があるとの提言です。犯罪の予防といえば何でも例外規定になるとも受けとめられます。条例改正には、この点において公安委員会と十分な話し合いを持つことが必要です。開示、収集の制限、取扱事務の届け出、公表がその対象ですが、事務の届け出については、情報の取り扱いの透明性を確保するために、できるだけ例外規定を排除する視点を持つべきと考えますが、見解を伺います。
 オンライン結合については、高度情報通信社会における都民の利便性や、行政の効率化に結びつくものではありますが、通信回線等からのアクセスによる情報の不当な改ざん、破壊、漏えいといった事故が発生する危険性も生じます。
 オンライン処理については、プライバシー保護のために十分な安全対策が求められています。現行条例では、事務の執行上必要かつ適切と認められ、必要な保護措置が講じられている場合を除き、原則外部提供してはならない、とした点について、国は、原則提供してはならない、を削除するよう求めているようですが、条例改正に当たっては、これまでの都の考えを遵守すべきと考えます。見解を伺います。
 最後に、遺伝子組みかえ作物について伺います。
 遺伝子組みかえ作物については、アメリカやオーストラリアなどの自治体で栽培規制をするなど、世界的に動きが活発になっています。ドイツ議会では、非遺伝子組みかえ(非GM)食品の生産を保護する法案が採択されています。日本でも、北海道や岩手県に続き、滋賀県でも、遺伝子組みかえ作物に対する栽培指針が策定されました。いずれも、消費者や農業者などの不安にこたえてのことです。
 都は、遺伝子組みかえ作物について、多くの都民や農業者の不安にこたえるため、年内に検討組織を設け、検討するとしており、期待するところです。この検討委員会では、東京産農産物に対する風評被害などに関する混乱を未然に防ぐ対策について、多くの農業者や都民、消費者の参加で進めるべきであると考えますが、検討方向について伺います。
 この四月に政府広報室が、科学技術と社会に関する世論調査の結果を発表しました。科学技術の発展によりどの分野に不安を感じるかと聞いたところ、遺伝子組みかえ食品などの安全性を挙げた人の割合が約六〇%と最も高くなっています。科学技術に関する政策の形成には、研究者や行政官といった専門家だけでなく、国民自身の参画がより一層必要となってくると思う人の割合は約七二%、これに対して、科学技術について知りたいことを知る機会や情報を提供してくれるところは十分あると思う人の割合は、約一八%という低さです。遺伝子組みかえ農作物に対する市民の関心に的確にこたえていくことが重要です。
 このため、農林水産省では、遺伝子組みかえ作物に関する市民からの要請、提案にこたえていくための取り組みとして、市民会議を開催しています。西東京市の東大農場での実験栽培に関して、東大側からの説明が都民の理解を得られなかった経緯を踏まえ、都においては都民との相互理解の醸成や信頼関係の構築を図るため、リスクコミュニケーションのあり方について重点を置いた取り組みが重要であると考えます。都としても今後、遺伝子組みかえ技術のあり方をめぐる社会的合意形成に向けた市民対話や市民参加のあり方、情報提供のあり方、相互理解のための場づくり等、さまざまな手法を試みていくべきであると考えますが、見解を伺います。
 以上、生活者ネットワークの代表質問を終わりますが、再質問を留保いたします。
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 大河原雅子議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、財政改革の具体的な考え方についてでありますが、政府の経済財政諮問会議は、十一月半ばを目途に、国庫補助負担金や交付税などについて改革の全体像を取りまとめるとしております。しかし、現状は、関係各省などの抵抗で、いまだに補助金改革の方向すら定まっておりません。
 私自身、既に総理を初め関係閣僚や経済財政諮問会議の主要なメンバーに直接個々に都の見解を伝え、本質的な抜本的改革を促して、大方の同意は得てまいりました。
 今後とも、真の地方分権改革につながる考え方を、東京試案として近々具体的に示しながら世論に訴え、国に働きかけていくつもりでございます。
 次いで、第二次財政再建推進プランについてでありますが、巨額の財源不足や隠れ借金が依然として存在しておりまして、基金残高も減少するなど、都財政の再建は道半ばにございます。景気の先行きを楽観視する一部の声に流され、ここで財政再建の手を緩めると、これまでの努力が水泡に帰してしまうことにもなりかねません。
 中長期的にも、安定的に行政サービスを提供できる持続可能で強固な財政体質を確立することを目指して、財政構造改革の取り組みを進めていくことこそが重要であると思っております。短期的な景気動向にとらわれずに、さらに気持ちを引き締めて第二次財政再建推進プランを推進していくつもりでございます。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁します。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教育に関します三点の質問にお答えします。
 まず、男女混合名簿における学校での混乱の事例についてですが、都教育委員会としましては、男女が互いの違いを認めつつ、個人として尊重される男女両性の本質的平等の理念を児童生徒に理解させ、その具現化を図るため男女平等教育を推進してきたところでございます。
 しかしながら、一部の学校では、身体計測や内科検診を男女混合名簿に基づき男女混合で行ったり、高学年の組体操を男女混合で行ったりする指導がございまして、これらの指導は、体に変化が生じている時期の児童に対して配慮に欠けたものであり、児童が苦痛に感じているとの苦情が保護者等から寄せられております。
 また、一部の小中学校では、出席簿が学級担任の判断によって男女混合名簿であったり男女別名簿であったり、学校としての方針が統一されていないことから、学校全体で行う教育活動等に支障が生じている例もございます。
 こうしたことは、校長の学校運営に支障を来すとともに、保護者や都民からの信頼を損ねる問題でもございますので、関係の区市町村教育委員会と連携を図りまして、指導助言等を行ってきたところでございます。
 都教育委員会としましては、これまで、望ましい男女平等参画社会の実現に向けた取り組みの一環として、男女混合名簿の導入を推進してきたところでございますが、今後とも外部からの圧力に影響されることなく、男女平等教育が適正に行われるよう、各学校を指導してまいります。
 次に、来年度の教員採用に向けた対応でございますが、平成十六年度は、お話のとおり、年度途中における退職者数が想定を上回り、新規採用者で補充できないケースが一部生じたため、区市町村教育委員会とも連携して非常勤講師等を充てるなど、教育活動に支障が生じないよう適切に対応してきたところでございます。
 こうした状況を踏まえまして、平成十七年度教員採用におきましては、児童生徒数の推移、年度途中の退職者の数等を十分に精査をしまして、必要数の確保に努めてまいります。
 次に、教員の確保等についてでございますが、都の教育改革を着実に推進していくためには、高い志を持ち実践力にすぐれた教員の確保と育成が必要と考えております。このため、人物評価の重視など選考方法の改善を図り、人材の確保に努めますとともに、採用後も教員の資質、能力の向上を図るために、教員のライフステージに応じた研修を充実させるなど、人材の育成に力を入れております。
 また、学校の経営基盤を強化するために、主幹制度の導入や異動要綱の見直しなど、さまざまな施策を展開しているところでございまして、都教育委員会としましては、今後とも教育に対する都民の信頼にこたえるために、こうした施策を積極的に展開し、すぐれた教員の確保に努めてまいります。
   〔水道局長高橋功君登壇〕

○水道局長(高橋功君) 水道事業に関する三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、アカウンタビリティーの確保についてでございますが、地方公営企業としての水道事業におきましては、アカウンタビリティーの確保が特に重要であると認識しており、経営に関する情報は、積極的かつわかりやすく公開していく必要があると考えております。
 このため、定期的に経営計画を策定し、施設整備、長期目標を設定するなど、目標管理を徹底するとともに、事業評価を導入し、その成果を公表することなどで、経営内容を都民にわかりやすく説明してまいりました。
 今回の計画案における料金体系の見直しにつきましても、パンフレットやホームページといった広報媒体を活用するなど、あらゆる機会を通して、これまで以上に積極的かつわかりやすい説明に努めてまいります。
 次に、水道事業のサービスの質についてでございますが、今回の料金改定は、事務事業の一層の効率化など、最大限の企業努力を実施することにより、料金水準を引き下げるものでございます。
 今回の計画案におきましては、より信頼性の高い水道システムを構築していくとともに、都民ニーズに的確に対応した質の高いお客さまサービスを展開していくこととしており、そのために必要な事業を計上しております。
 お話の水質に関しましても、検査体制の充実を図るなど、今後とも安全性の確保に万全を期してまいります。
 最後に、今後の料金改定に向けた検討についてでございますが、基本水量は、水道の普及促進や公衆衛生の向上を目的として導入したものでありますが、今日では水道の普及率は一〇〇%に達しており、節水など環境への配慮や、コストに見合った負担の実現も社会的な要請となってきております。
 基本水量のさらなる見直しなどにつきましては、都民生活に与える影響などさまざまな課題がありますことから、今回の見直し結果を十分に検証しつつ、今後慎重に対応してまいります。
   〔環境局長平井健一君登壇〕

○環境局長(平井健一君) 地下水の保全対策についてですが、都はこれまで、地下水のくみ上げ規制や雨水浸透施設の普及促進を行うとともに、東京の名湧水五十七選を選定し、この周知を図るなど、地下水の保全や湧水の保護と回復に努めてまいりました。
 野川流域における地下水や湧水の保全は、流域全体での広域的な取り組みが必要であり、このため関係自治体と連絡会を設け、連携して雨水浸透を進めるための効果的な対策を検討していきます。
 また、都民や事業者が地下水保全の重要性についての認識を深め、積極的に対策に取り組めますよう、雨水浸透の方法などに関する普及啓発に努めてまいります。
   〔生活文化局長山内隆夫君登壇〕

○生活文化局長(山内隆夫君) 三点の質問にお答えいたします。
 まず、男女平等及び男女混合名簿についてでございますが、今回の教育庁の通知は、男らしさや女らしさをすべて否定するような誤った考え方としてのジェンダーフリーに基づく男女混合名簿を作成することがないよう、都立学校長に配慮することを求めたものでございます。
 したがって、行動計画の策定などに係る東京都の男女平等参画の考え方と基本的に矛盾するものではないと考えております。
 今後も、男女平等参画基本条例に基づき、都民、事業者と連携、協力し、男女平等参画施策を推進してまいります。
 次に、東京都公安委員会、警視庁が、個人情報保護制度の対象となる実施機関となった場合の事務の届け出でございますが、審議会答申では、都公安委員会、警視庁が取り扱う個人情報についても、その存在を広く都民に知らせる必要があることは他の事務と変わりないとしており、遺失物に関する事務、運転免許証の発給に関する事務等は、都の一般的な事務と同様に扱われることが適当としております。
 一方、犯罪の予防、捜査等公共の安全と秩序の維持にかかわる事務については、秘匿性が強く要求されるものであるので、届け出、公表の対象外とするのが適当としております。
 今後、東京都としては、答申の趣旨を踏まえ、検討を進めてまいります。
 最後に、個人情報のオンライン結合についてでございますが、行政機関等相互で事務の必要性に基づきオンラインで情報提供を行うことがありますが、現行条例は、事務の執行上必要かつ適切と認められ、個人情報について必要な保護措置が講じられている場合を除きオンライン結合による個人情報の外部提供をしてはならない旨、規定されております。
 審議会答申におきましても、この規定を維持すべきとしており、今後もオンライン結合に関するこれらの制限を維持し、IT社会における都民の利便性の向上や行政の効率化を達成しつつ、都民の個人情報の保護をより一層図ってまいります。
   〔産業労働局長関谷保夫君登壇〕 

○産業労働局長(関谷保夫君) 三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、ポジティブ・アクションについてでございますが、ポジティブ・アクションの普及啓発を効果的に進めていくためには、企業の意識や取り組み状況を的確に把握し、問題点を分析していくことが重要でございます。
 このため、今年度、企業における女性の活躍とポジティブ・アクションに関する調査を実施し、今後の普及啓発に活用していく予定でございます。
 また、新たに、企業間の意見交換や情報収集を行うポジティブ・アクション・ネットワーク会議を開催するなど、引き続き普及啓発に積極的に取り組んでまいります。
 次に、遺伝子組みかえ作物の栽培に関する検討委員会についてでございますが、現在、検討委員会の設置に向けて準備をしているところでございまして、学識経験者、農業者、消費者等のさまざまな立場からの幅広い参加により論議を深めてまいりたいと考えております。
 この検討委員会では、国の制度の問題点を明らかにし、栽培予定者からの事前の情報提供や、近隣住民等への説明を求めることなど、都の指導指針のあり方などについて検討してまいります。
 最後に、遺伝子組みかえ技術に対する相互理解のための場づくりなどについてでございますが、専門家が遺伝子組みかえに関する技術開発等を行う上で、その技術に関する情報を積極的に提供するとともに、都民の抱く不安や関心について理解することが重要でございます。現在準備を進めている検討委員会では、意見交換の場づくり等も指導指針策定上の課題としていく予定でございます。今後とも、相互理解を進めるためのさまざまな手法について考えてまいります。
   〔九十八番大河原雅子君登壇〕

○九十八番(大河原雅子君) 教育長にお尋ねします。
 混合名簿による混乱は一部の小中学校であったと答弁されました。つまり都立学校では混乱はなかったと理解しますが、よろしいでしょうか。お答えください。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) お答えします。
 今答弁しましたのは、象徴的に小中学校の話をしましたが、高等学校でもあります。

○六十七番(近藤やよい君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(内田茂君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後八時八分散会

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