平成十六年東京都議会会議録第九号

○議長(内田茂君) 九十番田代ひろし君。
   〔九十番田代ひろし君登壇〕

○九十番(田代ひろし君) 現在、介護保険は、都民の皆さんから、昔の福祉に比べて相談や利用が楽になったとの評価を受ける一方で、費用対効果に合わない保険料の問題や、全く入所の見込みが立たない特養待機者など、さまざまな問題があります。
 全国的に見ますと、施設は多いが医療機関が少ないとか、ただ一つの病院が過疎地域を支えているなど、保健、医療、福祉のサービス資源には偏りがあるのに、国が画一的な規制で自治体の手を縛り、課題の解決を妨げております。
 都の場合、都心部には、首都機能及び高度な業務機能地域と高密度の住宅地域があり、病院などの医療サービスに恵まれ、在宅介護サービス事業者の参入も活発ですが、逆に、福祉施設は極端に不足している状況です。
 今月五日の新聞に、八十四歳妻を八十七歳夫が刺殺、介護疲れによるものかと、残念ながら、こうした事件はもはや珍しくないため、ごく小さな記事が出ておりました。
 このような事件と背景は共通ですが、例えば寝たきりのご主人を介護している奥さんが倒れた場合や、痴呆のお年寄りの症状が急に悪化して家族の手に負えなくなった場合など、住民のつながりが弱い地域では対応の方法がなく、いわゆる介護地獄の状態に陥ります。
 そのため、施設入所志向が強まる一方ですが、最近は、国が財政赤字を背景に、なりふり構わず助成金を削ってきました。施設の整備を地方に求めておきながら、必要な財源も渡さず補助を削るのみということでは、地方分権の趣旨が全く生かされません。結果として、本来自治体にとって必要な施設整備さえ不可能な状況となっております。
 その一方で、多摩地域や二十三区の周辺区など地価が安い地域で、民間事業者による痴呆性高齢者グループホームや有料老人ホームが乱立し、都心区などから高齢者が流れ込み、結果として、地元自治体が予定していなかった高齢者人口が急増し、老人医療費などの支出もふえて、財政を圧迫する要因となっております。
 巨大都市東京ならではの課題ですが、国の介護保険の運用上の予測や方針に全く先見性がなく、コストを考えると、都心部で施設の整備による対応には当然限界があります。完全に手詰まり状態である大都市東京の介護施策を改善する現実的な解決策は、身近な地域で緊急のときに高齢者を預かってくれる多様なショートステイの増設しかありません。町内のグループホームに何床かのショートステイがあるとか、デイサービス施設の一部を転用して、いざというときに預かってもらえるものであれば、在宅介護の大きな支えになりますが、都市部の特性を無視した全国一律の規制があって、区市町村が努力してこうした独自の工夫をしても、介護保険の対象にならないという問題があります。
 そこで、都の介護行政改善策の中で特に大きな意義を持つショートステイの確保が重要な課題でありますが、ご所見を伺います。
 都においては、介護事業者の参入が活発であり、良心的ですぐれた事業者も多数いますが、中には介護保険を食い物にする事業者がおり、表に出ただけで一年間に三十二億円以上の不正があると発表されておりますが、無資格者にヘルパーの業務をさせながら、平気でそのまま介護報酬を請求した事例や、過去に利用した客の名前を悪用し、全く実態のないサービスをあたかも提供したかのように装う、悪質な架空請求の事例がいまだに絶えません。都が指導して事業者の指定を取り消すなどに至った事例は、本年四月までの四年間でわずか八件のみです。指導、検査を一層強化すべきですが、実は、平成十六年度当初で訪問介護の指定事業所は都全体で約二千四百カ所、これを含めた在宅サービス事業所は約八千三百カ所と膨大な数に上り、ここ数年は月平均約百カ所ずつも増加しており、これに都だけできめ細かく対応しようとしても不可能です。
 まず、不正が疑われる事業者に的確にねらいを絞った指導が必要であり、有効なのは介護給付費の通知です。先ほど例に挙げた架空請求などは、通知を見た都民の方が、私は使った覚えがありませんとお知らせくだされば、すぐにおかしいとわかることです。
 そこで、悪質事業者の不正行為を効果的に発見し、迅速な指導に結びつけるために、介護給付費の通知を充実することが必要と考えますが、ご所見を伺います。
 実は、こうした不正請求が発見されても、審査は決して容易ではなく、証拠集めはかなり面倒な作業であり、悪質な事業者と真剣に対決する覚悟も求められます。良質な事業者のさらなる育成のためにも、今後の課題ですが、民間企業やNPO法人などによる厳正で専門的な審査の仕組みを取り入れることも検討すべきと考えます。
 同時に、良質な事業者には、現在行われているように指導の間隔をあけるなどの弾力的な取り扱いをさらに進める一方、不正が疑われる事業者には随時、迅速かつ的確に指導を行うなど、めり張りのある対応を図るべきと考えます。
 しかし、当面、行政の指導を前提に考えますと、事業者の情報が一番入りやすい区市町村にも可能な限り役割を果たしていただくことがより現実的な解決策です。
 しかし、事業者に対して報告や帳簿書類の提出を求めるのは、介護保険法第二十四条で都道府県知事の権限とされ、区市町村には強制力を伴う指導権限がありません。また制裁規定も、介護保険法第七十七条に規定された指定の取り消しのみで、期間を定めた営業停止などの、不正の程度に対応した弾力的な罰則がなく、都が勝手に罰則を設けて処罰するというわけにもいきません。特に在宅サービス事業者については、指定以前のチェックが重要であり、区市町村に指定権限を与えるなど、関与を強めていくべきです。
 そこで、指導権限の強化や弾力的な罰則規定の整備について、国に対し制度化に向けた働きかけを強化すべきと考えますが、ご所見を伺います。
 また、福祉用具でも、全く必要のない利用者に、月千円のレンタル代だけで済みますなどといって、高額な車いすや電動ベッドのレンタルを勧めている事例があります。実際には月一万円、年間十二万円もの料金が事業者に入るのに、一割の利用者負担だけを伝えてごまかしているのです。
 また、住宅改修は一回二十万円と利用限度額が限られていますが、要介護度が三段階上がれば、再度二十万円が使えることになっており、これを知っているケアマネジャーが、とりあえず要介護1の段階で一度改修しておきましょうなどと、不必要な工事を勧めることも見受けられます。介護を受ける方にとっても、お世話を受けているという意識の中で、なかなか断りづらいという現実があります。
 このような問題が起きるのは、プランをつくるケアマネジャーにとてつもなく資質のばらつきがあることや、事業者の従業員という立場で、心ならずも会社の営業方針に沿って不必要なサービス提供をせざるを得ないという事情もあります。
 もし、かかりつけ医がケアプランの内容を知っていれば、本人の心身の状態に合わない過剰サービスはやめるように助言しますし、またケアマネジャー側も、かかりつけ医との連携によって的確なプランがつくれるのであれば、利潤追求、会社本位の営業方針にも抵抗ができます。ところが、現状では、どのようなケアプランがつくられているのか、かかりつけ医には全く情報が入らないままプランがつくられ、不必要なサービスが提供されております。
 こうした保険のむだ遣いを防ぐ意味で、医療とケアマネジメントの連携をできる限り早期に本格実施すべく、強く要望いたします。
 まず第一に、事業者の従業員という立場に縛られることなく、独立したプロのケアマネジャーとして活動できる介護報酬の確保などが必要であり、この見直しが行われない限り、介護保険は健全に機能いたしません。
 さまざま指摘したとおり、東京は特殊な地域特性を持つ巨大都市であります。国の大都市における介護保険の無策の中で、いわゆる介護特区を初め、地域特性に即した今後の東京における介護施策を展望すべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、これまで多年にわたり、子どもたちの門出や出発を祝う清新で厳粛であるべき卒業式、入学式の取り扱いが混乱し、ある県では、教職員とのあつれきの中で校長先生の犠牲者が出るなど、式典にふさわしいとはいえない状況が続いてまいりました。
 その是正のため、昨年十月に出された国旗・国歌の通達以降、正常化へ向けた都教育委員会のこれまでの取り組みや、困難な状況下で奮闘された各校の校長先生方に心から敬意を表し、その成果を高く評価するものであります。
 しかしながら、昨日の古賀議員の代表質問でも取り上げましたが、さきの卒業式において、一部の校長先生が自分の社会的立場を過信し、個別的職務命令書を発しなかったということが明らかになっております。このことは、結果がよければルールを破ってもよいといった無責任な今日の社会風潮の中でさまざまな圧力と闘っている、良識ある校長先生方の団結への思いを打ち砕きました。これらの校長に対して都教育委員会としてどのように指導したか、伺います。
 また、今後、校長の任用に当たっては、学習指導要領を遵守し、ルールを守り、校長として適切にリーダーシップが発揮できる人材が任用されるべきと考えますが、教育長の所見を伺います。
 次に、昨年十二月、板橋区立板橋第五中学校において、チームティーチング担当教員の加配を受けながら、数年間にわたりTTの授業を三分の一程度しか実施していなかった事件が発覚しました。まさにゆゆしき問題であり、板橋区教育委員会に対して加配教員の人件費の返還を求めるべきであると考えますが、再発防止へ向けた今後の対応策を伺います。
 公正で適正に行われるべき教科書採択が、区市町村教育委員会において、いわゆる利権によってゆがめられた学校票によって教科書採択を行っていることを、三年前に議会で指摘し、適切な対策を講ずるとの答弁をいただきましたが、一部にいまだ同様の問題が残っているので、厳正に調査、改善すべきであると考えますが、教育長の所見を伺います。
 過日、愛媛県の加戸知事が教科書採択の正常化に取り組んでいる中、韓国総領事が加戸知事を訪問し、愛媛県における採択に関して民間交流の中止をほのめかすなど、圧力をかけたと新聞に大きく報道されました。また、今回、関係団体の大会に、小泉首相のあいさつが代読とはいえ紹介され、こうした動きに加え、民団から出されたパンフレットは、石原知事に対する全く筋違いの誹謗を行っております。
 私は、これらの国や他県の動きが知事に対する圧力にならなければよいと思っております。都政において毅然と対応すべきであると考えますが、知事のご所見を伺います。
 また、こうした問題への対策の一つとして、東京都のすべての採択区の採択決定日を同一の日にそろえて、不当な職業的集団暴力への取り組みをすべきであると考え、教育長の所見を伺います。
 介護保険の問題や教育現場の問題においても、それらを解決するためには、ただ権利を声高に叫ぶだけではなく、義務をしっかりと果たすという自覚を持つことが大切であり、教育特区の創設などを踏まえ、責任感ある日本人として自立するため、適切な徳目教育を再興すべきと考えます。あわせて知事のお考えを伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 田代ひろし議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、介護特区など今後の介護施策についてでありますが、東京は、民間企業や多様な人材など介護サービスの担い手が集積する一方で、地価が高いために施設の整備が困難であるなど、大都市としてのマイナスの特性が顕著でもあります。
 これに対して、国は、グループホームのユニット数の画一的な制限を初め、地域の特性を無視した全国一律の規制によって、自治体の取り組みを阻害しております。地域の特性というのを全く無視したこういう画一性とか全国一律というのは、いってみると国が何もしていない、無策ということの同義語であると私は思います。
 都が目指す福祉改革は、こうした状況を打破して、すべての高齢者が地域で安心して自立した生活ができる、利用者本位の福祉を実現することでありまして、さまざまな機会をとらえ、国に規制緩和を要求するとともに、いってみれば東京を介護特区にする努力をしたいと思いますが、いずれにしろ、東京の大都市の特性を踏まえた都独自の施策を積極的に展開していくつもりであります。
 いずれにしろ、既に確固とした実績が上がっている駅前の認証保育所を、依然として現場も見ずに国が認可しないという、こういう硬直した姿勢というのは、本当に無能というか、無策というか、時がたてばたつほど、怒りがあきれたものになっていかざるを得ないと思います。
 次いで、教科書採択についてでありますけども、教科書は、子どもの教育を進める上で極めて重要な役割を果たしております。各教育委員会は、その権限と責任において、教科書を公正かつ適正に採択すべきであります。
 この教科書採択に当たっては、各委員会は特定の団体や外部の圧力に決して左右されることなく、毅然とした態度で臨むべきだと思います。
 いずれにしろ、各委員会に課せられた使命のもとに、その責任を果たすものと信じております。
 なお、私に対する民団とかの圧力は全くご心配要りません。
 次いで、徳目教育についてでありますが、昨今、自分の利益を優先し、主義主張に固執して義務を果たそうとしていない大人が多く、このことが子どもたちに悪い影響を与えています。
 これは、いってみると憲法の責任でありまして、憲法を精読しますと、権利と義務ということが非常にインバランスな形でしか出てきません。どこの国の憲法を見ても、権利と義務というのは大体同じポーションで入っているはずでありますが、日本の場合にはやたらに権利ばかりの文言が多くて、非常に均衡を欠いている。これがこういった風潮をつくり、戦後の日本の社会というものの本質をゆがめたんだと思いますが、私たち大人は、まずみずからの責任を問うて、自分自身をしかることなくして、今の子どもを救うことはできないと思います。
 こうした反省に立って、学校においては、教えるべきことは教え、しかるべきときにはしかり、そして耐えるべきことは耐えさせるといった毅然とした指導が必要だと思います。
 また、家庭においては、親が親としての自覚を持ち、みずからの責任において、何が正しく、何が悪いかを、子どもに対する親の責任できちっと教えるべきであると思います。
 徳目というものをどうやって教えるか、いろいろ人によって発想も違うでしょうが、いずれにしろ私は、アメリカの小学校などを見ましても、前に申しましたが、新入生に、みんなで決めたことは嫌でも守ろうとか、それから、お父さんとお母さんのいうことと先生のいうことが違っていたら、親のいうことを聞きなさいとか、あるいは、まちでお巡りさんが困っていたら、子どもでも手伝えるものは手伝おうとか、それは民主主義の非常に根元的な原理として教えているわけでありまして、そういったものを一切教えてこなかった日本の戦後の教育そのものが、私はやはり今日、本質的な反省にさらされてると思うわけであります。
 他の質問については、教育長及び福祉局長から答弁いたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教育に関します五点の質問にお答え申し上げます。
 まず、個別的職務命令書を発しなかった校長に対する指導についてでございますが、卒業式や入学式における国旗・国歌の指導が学習指導要領や通達に基づき適正に実施されるためには、各学校の校長が一体となって問題解決に当たることが大切でございます。
 しかしながら、ご指摘のとおり、この春の卒業式においては、個別的職務命令を発出しない校長がおりまして、このことが、国旗・国歌に関する実施指針等のルールを遵守することに反対する勢力の攻撃材料になったことから、これらの校長に対しましては、卒業式後に強く指導しまして、入学式におきましては改善をいたさせました。
 今後とも、卒業式、入学式が適正に実施されるよう、各学校の校長を全力で支援をしてまいります。
 次に、校長の任用についてでございますが、以前より議員ご指摘のとおり、都教育委員会は、予算、人事権など校長の裁量権を大幅に拡大し、学校の経営者である校長がリーダーシップを発揮できるよう、教育条件の整備に努めてまいりました。
 そのため、校長には、教育に対する都民の期待を深く理解し、その職責の重さを自覚し、先見性を持って学校経営が推進できる高い資質、能力を持った人材が求められるところでございます。
 都教育委員会としましては、こうしたすぐれた校長を登用するため、都教育委員会が決定します教育管理職の異動方針に基づきまして、経験年数や職歴等にかかわらず、個人の能力、業績、適性を踏まえ、学校の経営課題に即した適材適所の人事を行うことを明らかにしたところでございます。
 今後は、この異動方針の趣旨を生かしまして、適正な任用管理に努めていきますとともに、能力、業績に基づく人事管理を一層推進してまいります。
 次に、板橋区立中学校におけるチームティーチング定数加配の不適正運用についてでございますが、この件につきましては、都教育委員会としまして、板橋区教育委員会による調査に加え、直接調査を実施してまいりました。その結果、板橋第五中学校だけではなく、他の中学校におきましても不適正な運用が判明しましたことから、六月一日付で関係者の処分を行ったところでございます。
 このような不適正な運用は、納税者でございます都民の感覚からしますと到底容認できるものではございませんことから、都教育委員会としましては、板橋区教育委員会に対しまして、学校現場において随時調査を行うなど、加配定数の適正な運用をチェックしますとともに、学校に対しましては適切な指導を徹底するよう、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第四十八条に基づきまして、文書により、再発防止のための改善を指導したところでございます。
 次に、教科書採択についてでございますが、都教育委員会としましては、平成十三年二月八日の通知によりまして、区市町村教育委員会の教科書採択が、採択権者の責任が不明確になるおそれのある採択要綱、要領の規定があるときは、速やかにその規定を改正し、教育委員会の責任と権限において、適正かつ公正に採択するよう強く指導してまいりました。
 その後、全区市町村教育委員会から聞き取り調査を行ったところではございますが、ご指摘のように、類似の行為がある場合には、適正かつ公正な教科書採択をゆがめるものでございまして、甚だ遺憾なことでございます。
 今後とも、都教育委員会としましては、区市町村教育委員会における教科書採択の実態調査を行いまして、教科書採択を各教育委員会の責任と権限のもとに行うよう強く指導してまいります。
 次に、教科書採択にかかわる不当な圧力への対応についてでございますが、教科書の採択は、教育委員会の権限と責任で適正かつ公正に行うものでございます。外部からの圧力などにより採択に影響があってはならないことでございます。
 しかし、これまで教科書採択に当たりまして、一部の採択地区では教育委員に対して深夜の無言電話があったり、かみそりの刃が入った手紙が送付されたり、庁舎を包囲するなど、教育委員会の権限を脅かし、教育委員に身の危険を感じさせるような状況があったことは事実でございます。
 ご提案の採択日を同一にすることにつきましては、有効な対策の一つとは考えますが、いずれにいたしましても、今後とも、教科書採択に当たりましては、外部からの不当な圧力に対して、区市町村教育委員会と連携を図りながら、厳正に対処し、混乱のないよう最大限努めてまいります。
   〔福祉局長幸田昭一君登壇〕

○福祉局長(幸田昭一君) 介護施策に関します三点のご質問にお答えいたします。
 まず、ショートステイの確保についてでありますが、お話のとおり、ショートステイは、要介護高齢者やその家族の暮らしを支える重要なサービス基盤であります。
 しかし、設置できる規模などについて国が画一的な基準を設けていること、また、民間企業などを対象とした国による支援の仕組みがないことから、地価の高い都心部などでは整備が進まない状況にあり、介護サービス基盤を整備する上で大きな課題であると認識しております。
 今後とも、ショートステイのより一層の確保が図られるよう、国へ提案要求するとともに、整備促進に積極的に取り組んでまいります。
 次に、介護給付費通知の充実についてでございますが、介護サービスの適正化を推進する上で、事業者からの請求内容を区市町村が個々の利用者に通知する介護給付費通知は、大変有意義な取り組みであると認識しております。
 このため、本年度から国民健康保険団体連合会と連携をし、通知の内容に新たにサービスの種類ごとの利用日数や自己負担額を追加するなど、利用者にとってわかりやすく改善をし、保険者である区市町村に活用を働きかけてまいりました。
 この通知を実施いたします区市町村は、これまでの十九団体から今年度は五十六団体へと大幅に増加しており、今後とも区市町村と連携した指導体制を強化するなど、介護サービスの適正化に努めてまいります。
 最後に、介護サービス事業者への指導についてでありますが、都は国に対し、本年四月の介護保険制度見直しに向けた東京都からの提案の中で、区市町村の指導、調査権限の強化や業務改善命令、一定期間の営業停止などの段階的な罰則規定の整備など、不正な事業者を排除する仕組みの整備について提案しております。
 ご指摘を踏まえまして、今後とも、国へ、さまざまな機会をとらえ、積極的に働きかけてまいります。
 なお、今年度から区市町村とも連携をし、区市町村の指導を拒む事業者に対し、都が協力を促すなどの取り組みを進めております。

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