平成十六年東京都議会会議録第九号

○議長(内田茂君) 六十九番矢島千秋君。
   〔六十九番矢島千秋君登壇〕

○六十九番(矢島千秋君) 政治家の決断のおくれと右顧左べんが混迷と痛みを結果として長引かせてしまったことは、枚挙にいとまがないのであります。だからこそ、認識と説明、柔軟な組み立てと強い意思、そして果敢な実行が必要であり、東京は、その意味でも時代の重要な役割を果たしているのであります。
 国における稟議、足並み行政と規制に、現実の必要から解を求める多くの取り組みが東京都にはあり、実際、有効に機能しているといえます。
 しかし、かような国にあっても、一応評価ができる動きはあるのではないか。特区構想における動きがそうで、財源と権限を切り離した窮余の知恵が、構想を現実のものとし、行政の壁に風穴を確実にあけることになったのであります。
 この若手官僚から始まったとされる特区構想が進展したのは、特区担当相に任命された鴻池大臣の、骨はおれが拾うとの姿勢がなければ、なかったといいます。総論の改革は、既に通常のルーチンでありますから、時代を見据えた強力な意思が必要であることを示しております。
 知事は、これらの動きをどのようにお考えになっておられるのでありましょうか。たとえ現場のない国の組織であっても、独立心と闘志、モラルの高いリーダーの存在が新しい行政創造の可能性をもたらすのではないか、かように考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
 また、東京の位置と重さと組織とともに、地方自治と国のありようを求め、日本のフロントランナーとして、提案し、実行し続ける石原知事の目に、目指す社会がどのように映っているのか。この改革作業は永遠であります。この先に見えるのは何か、あわせてお伺いをいたします。
 また、東京の都市としてのあり方についても、知事の所見をお伺いいたします。
 江戸時代からの時間を断ち切ったに等しい東京であっても、その原形は残っております。摩天楼の林立する未来業務都市を否定するものではありませんが、江戸・東京の文化の継続と、まちの歴史の意義を見直すことにより、ヒューマンスケールの歴史と風格を感じさせるまちを目指すべきでありますし、都市本来の魅力もあると考えます。そこは、多様な人材が、その地の文化に根差した芳純な香りの魅力に集い、その多様な人材を引きつける人すらも居を構えたいと考える、文化の深まりと広がりを感じさせる都市であります。そこには、当然ながら、経済都市としての活力も、人の住む都会として横溢するに違いありません。知事のお考えをお伺いいたします。
 大都市需要を算入すると数千億といわれる地方交付税の不交付団体である東京都は、これまでの財政調整基金など、自前の基金の水準を考えると、決して税収低下時の抵抗力は十分ではありませんでした。だからこそ、現在の都の財政運営は、不断の見直し、不断の再建がより厳しいものとなり、それだけに、数字合わせといわれない見識が必要なのであります。
 そういう東京都は、東京都経営の自主性を失う財政再建団体への陥落をもたらす、標準財政規模の一定割合に定められた赤字限度額は、資料によりますと二千七百億程度でありますが、これは、知事の発言どおり、何としても避けねばならないことであります。
 税収が底を打ったかどうかは別にしても、現在、税収が一定水準で推移し、都債の実質償還額がピーク時に比べ低下しようとしている状況を背景に、今後、事務事業の見直しが効果を上げ、財政再建の先が見えたときに向け、現状の取り組みの中で、新しい財政システムへの準備をしていかなければならないのであります。
 そして、財政再建とともに考えるべきことの一つは、厳しく事前評価をしたであろう公共投資を、税収回復時にも流されないシステムとして、今のうちに構築すべきであります。
 また、財政再建の中でわずかでも生ませてきた資金は、後年度の制約要因である各種負債の償還と基金の積み立てにまず向けるべきであります。
 次に、まちづくりについてお伺いいたします。
 各用途の建物が混在する準工業地域、大きな敷地の工場の移転等に伴い、大規模な一団の土地として、大型マンションの開発が進んでおります。準工業地域は、商業系、住居系に比べ規制が緩く、大型の建物を建てやすい、使い勝手のよい土地であります。
 もし大型マンションの開発が完了すると、その後、適当な時期に、現状に合わせて用途地域を住居系に見直すことになりますが、この場合、それまでの準工業地域の使い勝手のよさがとがめとなり、建物が既存不適格となるおそれが生じるのであります。建物が完成し、マンションが販売される時点では準工業地域のままでありますから、購入者は既存不適格となるおそれを知りません。
 平成十五年には都市計画法が改正され、住居系にも準工業地域レベルの指定が可能となりましたが、この場合でも、隣接する住居系より規制の緩い住居系の地域が混在することになります。
 ここでお聞きしたいのでありますが、東京都はこれまで、かような状況をどのように考え、いかに対応してきたのでありましょうか。
 また、既存不適格とさせないために、東京都は現状を追認するばかりではなく、今後、住居系に変更しなくてはならないと予想される開発可能な土地の用途地域を、将来の利用用途の観点から積極的に協議し、機動的に見直し、さらには、既存の開発を含め、各種手法を活用するなど効果的に対応すべきではないか、お伺いをいたします。
 次に、安心・安全のまちづくりについてお伺いをいたします。
 日本の歴史的都市におけるまちは、環境循環的要素を色濃く持ち、自然、地形と共存がなされてまいりました。江戸のまちもそうでありました。そこには、まちとしての原風景があり、狭い路地も必要な生活空間でありました。このことは、残されている京都の町家に見るまでもなく、区画整理手法による道路などの拡大だけが正解でないということになります。
 にぎわいとコミュニティのある狭隘なまちは、ほどよくヒューマンスケールのまちとなり、何らかの方法で安全が確保できるとすれば、特色ある街並みの保全も可能であり、重要な選択肢の一つとなり得るものであります。東京でも条件が整えばできるのではないか、お伺いをいたします。
 しかし、一方で、日本の都市は更新速度が速いといわれております。イギリスの七十五年に比べ、木と紙と新建材の日本は二十六年ほどであります。東京に散在する老朽化の激しい木造密集市街地は、それだけに、安心・安全のための町割りと早急な再構築が待たれるのであります。
 そして現実に、環状七号線沿いを中心に、二万ヘクタールを超える木造密集地域が存在しており、震災や火災に対して極めて脆弱な地域であることも事実であります。行政も長年、木造密集地域の整備に取り組んでおりますが、いまだ十分な改善が行われておりません。
 そのような中、東京都は、ことし三月、防災都市づくり推進計画を策定しました。地域危険度が高く、防災都市づくりが必要な整備地域約六千五百ヘクタールを選定し、さらにそれを十一地域、二千四百ヘクタールに絞り込んで重点整備地域を定めたのであります。
 重点整備地域では、集中的に事業を実施し、街路整備や建築物の不燃化促進、早期に安全性を確保するとしております。
 また、整備の進んでいない地区では、これまでの事業手法を見直し、住民と合意形成を図りつつ整備を進めることなどが定められております。
 今回の組織再編で都市整備局が発足しましたが、早急な取り組みが必要な木造密集地域の整備の取り組み方も変わってくるものと期待をしております。新しい都市整備局で、今後、防災都市づくりを進めていく基本的な考えは何か。
 また、推進計画で定められた十一の重点地域にも、それぞれ固有の課題があり、地域の実情が異なります。十一地域の整備がすべて同じような方法で進むとは思えません。柔軟かつ多様な手法の組み合わせということになるのでありましょうが、この取り組みについてお伺いをいたします。
 次に、東京の安全でおいしい水についてお伺いいたします。
 日本は水に恵まれ、諸外国に比べおいしいといわれている水の味も、東京など都市部での水道水の評価は高くないのであります。これは水源の汚濁が原因でありましょうが、本来、日本の水はもっとおいしいはずでありました。
 このような中、東京都は、都民の声にこたえるため、安全でおいしい水プロジェクトを、去る六月一日、スタートさせました。このプロジェクトでは、東京独自の安全で高いレベルの水質目標を設定し、おいしい水を目指しております。残留塩素や有機物質など、国の定める基準よりかなり厳しい目標を立て、都民が不満を感じているカルキの指数化など、新たな取り組みを行っており、評価できるのであります。
 そこで、東京都が目指すおいしい水とはどのような水なのか、都民はどういう水道水を飲めるようになるのか、お伺いをいたします。
 水質目標達成のため、高度浄水処理の導入促進、古い水道管の取りかえとあわせ、貯水槽水道対策が挙げられております。
 貯水槽水道は、震災時など、防災上からも価値が高いのでありますが、アンケートによりますと、都民の水道水に対する不満が四割に対して、貯水槽水道水利用者では六割に達するようであります。水道の味は、貯水槽水道に大きく影響を受けることが読み取れますが、高品質の水道水も、貯水槽水道の管理次第で都民には届かないのであります。
 このことは、平成十四年の水道法改正では貯水槽水道対策が社会的な要請とされ、また、本年六月施行の改正給水条例では、直結給水範囲の拡大や適用条件の緩和がなされ、直接給水の間口が広がっております。
 そこで、水道法改正により、このうちどのくらいが直結給水の対象となるのか。また、制度面で直結給水の範囲が拡大され、今後、水道局による貯水槽水道に対する積極的な関与も必要と考えますが、具体的にどのようなことを行っていくのか、あわせてお伺いいたします。
 最後に、駐車場対策、安全対策についてお伺いをいたします。
 中心市街地に多く見られる違法駐車。駐車違反は、駐車場の整備で改善すると考えられておりましたが、現実的には後を絶たず、強力な取り締まりが必要であります。この駐車違反については、自動二輪車をどうするかという課題があります。
 自動二輪は、これまでオートバイが想像されておりましたが、現在はスクーターを多く見かけます。実際、販売台数は伸びており、メーカーも、性能、デザインに訴えた新車の宣伝を多くしております。
 まちに走る二輪の台数がふえる一方で、駐車場法に規定がないなど、自動車と自転車のはざまに置かれた自動二輪は、そのサイズにもかかわらず、都市部の目的地で置き場所を探すのは容易ではありません。
 そこでまず、自動二輪の駐車違反取り締まり状況についてお伺いいたします。
 そして、現実に需要があり、場所によっては自動二輪の違法駐車に困っている地域もある中で、東京都庁ほか各施設、一部対応が始まっていると聞いております道路整備保全公社等の有料駐車場などでの自動二輪の扱いは、全体としてどうなっているのか。もし対応が始まったばかりとするなら、今後、積極的に取り組む必要があると思いますが、お考えをお伺いいたします。
 また、自動二輪車の駐車対策の法的な不備が対策のおくれにつながっております。このため、東京都としても、国に法整備の要望を強力にするべきであります。実際、国の動きが鈍いこともあり、都として自動二輪の駐車対策について、メーカーを含む関係者と検討を進めるべきであります。お考えをお伺いいたします。
 次に、安全対策についてお伺いいたします。
 警察庁は、犯罪予防の観点から、かつて都市における防犯基準策定のための調査を行い、この研究を受けて、防犯モデル道路、防犯モデル団地の指定があり、平成十二年には安心・安全まちづくり推進要綱を制定し、防犯基準を示し、警視庁にも通達を出しております。また自治体でも、個別建物における防犯指針を条例化したところもあります。
 現状の犯罪の多発と低年齢化は、大都市でありながら巨大な田舎といわれるほど安全だった東京を、いま一度組み立て直すことを求めることとなり、当然ながらそのためには、地域と行政の取り組み、警察の強化、そして三者の連携協力が何よりも重要であります。
 しかし、日本の都市は、これまで犯罪に対する安全の観点のないまま形成されてきただけに、内包したもろさがあるといわれております。それを個別に解決しようとしているのが、アメリカで多く見られる、ブロックを要塞化するゲートシティーで、日本式ゲートシティーも誕生していると聞いております。
 しかし、都市の魅力は、たくさんの人が安心の中で活発な活動をなしていくところにあります。東京は開かれていなければなりません。だからこそ、都市計画の中に防犯の観点が重要であります。
 そこでお尋ねいたしますが、安心・安全の専門組織であり、地域を守る柱の一つである警視庁として、これまでその知識をどのように生かしてきたのか。また、持てる専門的知見は、今後のまちづくり、都市計画の重要なファクターではないか。ご所見をお伺いいたします。
 しかし一方では、現実に顕在化している治安の悪化を具体的に改善していかなくてはなりません。特に、先鋭的に課題の現出する繁華街、歓楽街には、余暇を楽しむ多くの人が無防備に集まるだけに、それを組織的にねらうなど、問題の根は深いのであります。
 無論、地域コミュニティの安全に対するしっかりとした知識と努力がなければならず、街頭防犯カメラなどはその補完でありますが、悪に向かう強力な警察力が最後の抑えであります。各警察も、限られた人員の中で積極的に姿を見せ、できる限りの努力をしていることは十分実感できます。
 有名なウィルソンとケリングの割れ窓理論も、地域の荒廃は、目が行き届かない、統制のとれていない地域のサインからの出発でありますし、カーネルの犯罪密度地図の活用も、犯罪多発の地域の重大さを示し、まさに繁華街、歓楽街の現状はそう容易な状態ではなく、継続的な、総合的、集中取り締まりを求めているのであります。
 警視庁も効果的に機動隊を投入するなど、取り組んでいることは聞き及んでおりますが、何らかの形で組織的にさらに一歩進めるべきではないか。現状とあわせ、今後の取り組みについてお伺いいたします。
 以上をもちまして、私の一般質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 矢島千秋議員の一般質問にお答えいたします。
 あなたの質問は、高尚で難しくて速くて、ちゃんと答えられるかどうかわかりませんが、この時代にあるべきリーダーシップについてでありますけれども、私はやはり、正当な歴史観というものをどんな政治家でも持たなくてはならないと思います。その歴史観というものを踏まえなければ、私は、正確な現実把握、現実感覚というものは持ち得ないと思うんです。
 毛沢東の「矛盾論」という小さな論文がありますが、私は共産主義は嫌いですけれども、これは割と小ぶりないい論文でありまして、我々が扱わなくちゃいけない現実というもの、それを彼は、改革が必要とされる現実というものを従属矛盾と呼んで、実は、その背景にもっと大きな主要矛盾というのがある。それを直さなければ本当の改革にならないといっていますが、今、政府がしきりにいっている三位一体といういいかげんな構造改革なるものは、これは全く従属矛盾をいじっているだけでありまして、主要な矛盾というものに一向に手が触れていないということでありまして、いかなる現実も、すべていろんな要因ででき上がっている複合的なものでありますが、政治は、さらにその複合に複合を重ねた、ヤスパースという哲学者は、いかなる歴史も全部重層的だといっていましたけれども、まさに複合に複合を重ねた重層的なものを私たちは扱うわけでありまして、それをきちっと把握できなければ本当の現実改革にならない。
 そしてまた、それを推進する者は、やはり立場、時代、世代を超えた垂直な価値観というんでしょうか、さらにそれを超えた、自分の仕事に対する、仕事を通じての、都なら都、国なら国に対する一つの愛着というものがなければ、本当のリーダーシップにはなり得ないんじゃないかと思います。
 次いで、目指すべき東京の将来像についてでありますが、私もこれまで、東京の特に街並みについていろいろ批判をしてきました。今でも批判的でありますし、なかなかこの改修というのは難しいと思いますが、同時に、そのまちの中にある可能性というのは非常に大きなもので、他の大都市にあり得ないようなものがたくさんあると思います。
 ともかく、かつてフランク・ロイドが感心した、モノクロームのあのすばらしい江戸の町並みが表象する、かつての江戸のけんらんとした伝統文化、当時百三十万という人口を持ちながら、世界で一番進んだ都市の構造を持った、あの江戸というものの遺産がたくさんあるわけでありまして、その伝統と最先端の経済、文化、技術というものがこの東京にひしめいてあるわけであります。そういう国際性と日本の固有性、こういった同居しているこの東京の可能性というものを、もっと引き出して定着させるということが必要だと思っております。
 東京にはいろんな集中、集積がありますけれども、先ほども議論の対象になりました、余りにもインフラの整備がおくれておりまして、環状道路一つ見ても、パリやロンドンはほとんど一〇〇%完備しているけれども、東京は三〇%もでき上がっていない。
 こういったものが整備されると、いろいろ集積している東京の機能に簡単に触れることができるわけで、正直いいまして、例えばあの新木場につくられました現代美術館、すばらしい建物であり、また可能性を持っていますが、あそこに出かけると、一旅行するつもりで行きませんと、出かけるつもりにならない。
 ああいうものに象徴される、このマイナスな東京の機能というものを変えることで、随分東京というのは印象としても違ってくるし、機能そのものも発揮されてくるんじゃないかという気がいたします。
 他の質問については、警視総監、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監奥村萬壽雄君登壇〕

○警視総監(奥村萬壽雄君) 初めに、自動二輪の駐車違反の取り締まり状況についてのご質問にお答えをいたします。
 自動二輪の違法駐車は、繁華街あるいは駅周辺等で、歩道とか車道に斜めあるいは直角に駐車をいたしまして、通行車両はもとよりですが、歩行者あるいは身体の不自由な方の通行を妨げていることが大変多く、苦情も増加しているところであります。
 このため、警視庁といたしましては、この二輪車の駐車違反の取り締まりを強化しておりまして、昨年は、おととしに比べて約六千件、五割近く多い二万件を検挙いたしました。
 また、二輪の駐車場も不足しておりますので、この整備につきまして、法律面での手当てを含めて、関係機関、団体に対していろいろなお願いをしているところでありますけれども、今後とも、自動二輪の駐車問題につきましては、警視庁といたしましても積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、安全・安心まちづくりへの警視庁のかかわりについてでありますけれども、警察が持っております犯罪情報や防犯に関する専門的な知識、これをまちづくりや都市計画に生かすことは、防犯上、大変大事であると考えております。
 このため、東京都安全・安心まちづくり条例に基づきまして、犯罪の防止に配慮した住宅、道路、公園等に関する各種指針が策定されるに当たりまして、警視庁といたしましても、防犯上の知識とかノウハウを最大限提供したところであります。
 また、この条例に基づきまして、一定規模以上の共同住宅の建築確認の申請のときには、建築主に対しまして防犯上の技術的な助言も実施をいたしました。
 さらに、本年四月には、警視庁の本部に、ほとんどすべての区市町村の安全・安心まちづくりの担当課長にお集まりをいただきまして、より効果的な安全・安心まちづくりを行っていく上で区市町村にぜひとも行っていただきたいことやご留意いただきたいことを、警察の立場から詳しく説明をしたところであります。
 警視庁といたしましては、今後とも、この専門的な知識や経験を十分に生かし、安全・安心まちづくり、あるいは都市計画に積極的に参画してまいりたいと考えております。
 最後に、繁華街対策の現状と今後の取り組みについてでありますが、新宿歌舞伎町等の繁華街につきましては、性風俗店等の乱立あるいは客引きの横行、また暴力団や来日外国人犯罪組織のはびこり、さらに違法駐車や道路の不正使用等、さまざまの風紀上、治安上の問題が見られるところであります。
 このため、警視庁といたしましては、これまで、設置中の盛り場総合対策推進本部に加えまして、この四月、特に問題がある新宿歌舞伎町、池袋、六本木の三地区の環境浄化を徹底的に行うために、三地区特別対策本部を設置いたしまして、重点的な対策を戦略的かつ継続的に進めていくことといたしました。
 繁華街は、善良な都民の方々が仕事など一日の疲れをいやし、また、家族とともに安心してくつろぐことができる空間であるべきであります。警視庁としては、こうした環境づくりの中核として、都庁、関係の区役所あるいは地元の方々とも十分な連携をとりながら、繁華街の環境浄化を強力に推進してまいりたいと考えております。
   〔東京都技監小峰良介君登壇〕

○東京都技監(小峰良介君) 自動二輪車駐車場対策についての財団法人東京都道路整備保全公社の取り組みについてでございますが、自動二輪車の放置は、渋滞や安全で円滑な通行を妨げるなど、道路管理上の支障となっております。その適正化のためには、マナーの向上のほか、受け皿となる駐車場が整備されることも必要でございます。
 公社においては、既に錦糸町など五カ所において自動二輪車を受け入れており、さらに、今月中に六本木に専用駐車場を開設する等、取り組みを進めております。
 今後、これらの実績を踏まえるとともに、民間駐車場の実態調査などを実施し、公社における自動二輪車駐車場のあり方について検討を進めてまいります。
   〔財務局長櫻井巖君登壇〕

○財務局長(櫻井巖君) 今後の財政運営についてお答えいたします。
 都が進めている財政再建は、一時的な収支の均衡を目的としたものではなく、財政構造改革を通じまして、中長期的にも安定した行政サービスを提供できる、強固な財政基盤を構築する取り組みであります。こうした取り組みなくしては、新たな都民ニーズにこたえ、東京の活力を呼び戻す先進的な施策を進めることができないと確信しております。
 我が国経済は、国内総生産の伸びが上向きに転じ、上場企業の多くが過去最高益を達成するなど、景気回復のニュースが伝わり、今後を楽観視する動きが出てきております。こうしたときこそ、短期的な税収動向に一喜一憂するのではなく、計画的な社会資本整備など、将来を見据えた財政運営の実行が重要であると考えております。
 都財政にとって、一兆円を超える隠れ借金の計画的な解消や、財政規模から見て底をついたに等しい財政調整基金の増強は急務でありまして、ご指摘を貴重なご提案と受けとめまして、財政改革にさらに努力してまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君) まちづくりなど六点のご質問にお答えいたします。
 まず、用途地域の変更に伴う既存不適格の問題についてでございますが、用途地域の見直しは、土地利用の現況及び将来の見通しを踏まえ、必要な規制の強化や緩和を行っており、規制を強化する場合には、ご指摘のように既存不適格建築物が生じることがございます。
 したがいまして、用途地域の変更に当たりましては、できるだけ既存不適格建築物が生じないよう、土地利用の状況を詳細に調査し、規制値や区域について十分配慮することといたしております。
 次に、用途地域の機動的な見直しについてでございますが、土地利用転換が進むと想定される地域におきましては、地域住民の意向を踏まえ、将来の土地利用にふさわしい地区計画などを定め、できるだけ早期に用途地域の見直しを行うよう努めてきたところでございます。
 また、既存建築物を含めたまちづくりを進めるためには、地域の実情に応じて、例えば東京のしゃれた街並みづくり推進条例を活用するなど、区市町と連携を図りながら適切に対応してまいります。
 次に、安全なまちづくりと特色ある街並みの保全についてでございますが、防災都市づくりは、延焼遮断帯となる都市計画道路などの整備を重点的に行うとともに、延焼遮断帯で囲まれた地区内では、不燃化の促進や生活道路の整備が重要であると認識しております。
 事業の実施に当たりましては、地元区の意向を踏まえ、地域の歴史やコミュニティ、特色ある街並みにも配慮しながら、地域全体の防災性の向上を図ってまいります。
 次に、防災都市づくりを進めていく基本的考え方についてでございますが、今回の組織再編は、これまで各局で進めてきましたそれぞれの施策を統合し、現場の視点に立ち、計画から事業実施まで一貫して行うことを目的としております。新しい都市整備局におきましては、組織の総合力や機動力を生かし、地域ごとの課題に対応したさまざまな規制誘導策を講じたり、あるいは都有地を活用するなど、これまで行われてきた事業手法を再構築し、実効性のある防災都市づくりを推進してまいります。
 次に、重点整備地域の取り組みについてでございますが、これらの地域は、それぞれ特有の課題を抱えている上、延焼遮断帯の整備や地区内の不燃化の進捗状況、さらには地元区の取り組みなどが異なっております。
 そのため、都が主体的に関与し、地域の実態に即した施策を展開する必要があります。地元区とも連携した地区別のプロジェクトチームを順次設置してまいります。
 その上で、事業手法の再構築、集中的な投資、区や住民、企業など地域の総合力の結集を図り、整備期間を短縮するなど、効果的に重点整備地域の防災性の向上に取り組んでまいります。
 最後に、自動二輪の駐車対策についてでございますが、都内の繁華街などにおきまして、受け入れ施設の不足から、お話のような問題があることは承知しております。これら自動二輪の駐車施設につきましては、ご指摘のように駐車場法などの対象外であることから、建築に伴う附置義務が生じないことや各種助成が受けられないことなど、制度上の課題がございます。
 今後、都といたしまして、自動二輪駐車施設の法的位置づけの明確化などを国に対し働きかけていくとともに、区市町村や駐車場事業者、自動二輪メーカーなどと連携し、駐車対策に取り組んでまいります。
   〔水道局長飯嶋宣雄君登壇〕

○水道局長(飯嶋宣雄君) 安全でおいしい水についての三点の質問にお答えいたします。
 まず、東京都が目指す水道水についてでございますが、地上に降った雨は地下に浸透して浄化され、湧水としてわき出します。川を源までさかのぼれば、そうした多くの湧水が集まり、そこに流れる水は清らかであります。
 しかし、川を下るにつれ、生活排水などに起因するさまざまな物質が混入してまいります。水道局では、こうした物質を高度浄水処理などできれいに取り除き、川の源におけるように、清浄な安全でおいしい水に戻し、その水がそのまま蛇口まで届くようにしたいと考えております。
 次に、貯水槽水道の実態についてでございますが、東京には、受水タンクを設置する貯水槽水道が約二十二万カ所あり、これを給水件数で見ますと、全件数の約四割、二百五十万件となっております。
 貯水槽水道につきましては、定期的な清掃や点検が不十分なことや、受水タンク内に水が長時間滞留することにより水質が劣化するなど、管理面での問題が指摘されております。特に、容量十立方メートル以下の小規模貯水槽水道において問題が多いのが実情でございます。
 今回の条例改正により、貯水槽水道の全給水件数二百五十万件のうち約二百三十万件が直結給水への切りかえが可能となります。また、小規模貯水槽水道の給水件数約九十三万件は、すべて直結給水への切りかえが可能となります。
 最後に、貯水槽水道対策の内容についてでございますが、二十二万カ所ある貯水槽水道のすべてを直接訪問し、受水タンクの点検や水質検査を実施いたします。点検の結果、適正な管理がなされていれば、その旨を記載した点検済み証を発行いたします。
 一方で、管理に不備があった場合は、設置者に対し、改善の指導助言を行うとともに、利用者に対しても情報の提供を行います。
 あわせて、直結給水への切りかえにより、水質の劣化がなくなることや、維持管理費が節減されることなどのメリットがあることについてPRを行ってまいります。
 これらの対策を安全でおいしい水プロジェクトの最重要課題に位置づけ、局を挙げて取り組むこととしておりまして、その早期実施に向けて、現在準備を進めているところでございます。

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