平成十六年東京都議会会議録第九号

○議長(内田茂君) 七十七番河西のぶみさん。
   〔七十七番河西のぶみ君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○七十七番(河西のぶみ君) 質問通告に従いまして、今回は狛江市の課題に絞ってお尋ねを申し上げたいと存じます。
 石原知事は、平成十一年に都財政が非常に厳しい中で知事に就任されました。就任早々、知事は都政の現状と課題を浮き彫りにし、諸課題の解決についての道筋を明らかにした上で、二次にわたり財政再建推進プランを策定、実施するとともに、思い切った行政改革を断行するなど、都の財政再建に全力で取り組んでこられました。
 その間、平成十二年度から十五年度までの四年間で職員定数を五千八百七十五人削減し、さらに、今年度から十八年度までの三年間で約四千人の定数を削減する方針を明らかにされました。また、時代の変化に対応した組織の見直しを行うとともに、十五年度までの四年間で、監理団体を六十四団体から十七団体減らして四十七団体とする統廃合を実現するなど、着実な成果を上げてこられました。
 そうした行革努力に加え、政策面でも、ディーゼル車規制や認証保育所の創設など、都民の期待にこたえる大きな成果をおさめられ、その後も手綱を緩めることなく都政改革を推進し続けております。
 ところで、私の住む狛江市においては、豊かな自然と市民の高いポテンシャルを融合させ、だれもが安心して暮らせる快適で安全なまちづくりを進めることが重要課題となっております。
 しかしながら、市政の現状は、これらの課題への取り組みが進んでいないばかりか、財政状況は極めて憂慮すべき状況に至っております。すなわち、平成十四年度の経常収支比率は、多摩二十六市中最悪で、しかも唯一、一〇〇%を超える一〇二・一%になっているほか、基金もこの八年間で八分の一にまで落ち込み、ほぼ底をつく状態に陥っています。さらに、地方債現在高は約二百五十億円、市民一人当たりに換算すると、実に約三十三万円にも上っております。
 こうした状況を打開し、だれもが安心して暮らせる快適なまちづくりを進めることが緊急の課題となっておりますが、これまで都政改革にらつ腕を振るってこられた政治家、石原知事の目からごらんになって、このような狛江市の現状をどうお感じになっていらっしゃるか、また、将来をどう展望されるか、政治家としての率直なご所見を参考までにお伺いしたいと思います。
 次に、狛江駅周辺のまちづくりについて伺います。
 狛江駅周辺では、これまでに、都市基盤の整備として小田急線の連続立体交差事業や駅前交通広場、狛江通り等の整備が行われ、踏切解消や渋滞緩和など一定の成果は出てきていますが、近年の急激な市街化の進展に、まちづくりのおくれや道路整備のおくれとも相まって、市街地のスプロール化や交通渋滞などが生じております。
 例えば、駅北口付近への最短アクセスである調布三・四・四号線、通称六郷さくら通りの整備のおくれによるボトルネックが生じております。
 また、駅南口付近では、世田谷通りからのアクセス道路、調布三・四・一九号線、通称狛江駅南口通りは整備されましたが、その周辺では細街路が多く、狭小な宅地に木造建築物が立地するなど、駅前としての土地の有効活用が図られず、街並みへの配慮も不足しているように思われます。
 狛江駅周辺は狛江市の中心であり、玄関口であるにもかかわらず、まちづくりの面で目立った成果が見られません。
 さらに、先般、都市計画決定された東京都の都市計画区域マスタープランにおいても、狛江駅周辺は、駅周辺整備に資する拠点的な地区としての位置づけが明確ではありません。
 私は、狛江駅周辺地区は、交通結節点としての特性を生かし、人々が豊かな都市生活を実感し、楽しめるよう、商業、業務、福祉、文化など、さまざまな都市機能が充実したエリアとして整備すべきと考えます。東京都として、狛江駅周辺のまちづくりをどのようにお考えでいらっしゃるのか、お伺いをいたします。
 次に、駅周辺の道路整備について伺います。
 駅周辺の道路の整備が完了していないために、交通混雑が依然として解消されていません。このため、交通の分散化が期待されている調布三・四・四号線の整備が急務となっています。
 そこで、現在、みちづくり・まちづくりパートナー事業により整備をしている調布三・四・四号線の進捗状況と今後の予定について、ご所見を伺います。
 ところで、都心への近接性が高い狛江市は、古くから住宅都市として発展してまいりました。成熟した社会経済環境の中、市内にも複数ある住宅団地において、住みやすい住宅改善を求める声が聞かれております。
 特に、高齢化社会が進展する中、住みよい環境を持続するためには、住まいのバリアフリー化が重要な施策であり、今後ともさまざまな対応を一層推進する必要があります。中でもバリアフリー化の効果が大きい中高層住宅棟へのエレベーター設置については、新築住宅はもちろん、既存の住宅においても、未設置の住棟への新たな増設が望まれています。
 その点、都民の住まいにおけるセーフティーネットとして重要な役割を果たしている都営住宅は、高齢者の居住割合が高く、エレベーターの必要性はより大きいと考えられます。都営住宅は、高層住宅や平成元年以降建設された中層住宅には、当初からエレベーターが設置されていますが、既存の住棟にも、その後設置を開始し、一定の成果を上げていることは理解しています。
 そこで、既存都営住宅のエレベーター設置について、都としてどのような方針で具体的に取り組んでいるのか、お伺いをいたします。
 狛江市内にも、戸数約千八百戸の大規模団地、都営狛江団地がありますが、昭和四十年代に建設された時点ではエレベーターは設置されていませんでした。入居当初は若い世帯が大部分でありましたが、はや四十年が経過し、他の都営住宅同様、高齢化が著しい状況です。
 そのため、居住者の間でエレベーターの必要性がいわれ、平成十三年五月に当該自治会からエレベーターの設置要望が出され、平成十五年度に階段室型住棟二棟に六基のエレベーターが設置されました。冒頭にお伺いした駅前整備や道路整備などに比較し、住民の要望などが直接都の担当者に届くこの事業の進捗は、比較にならないほど対応が早いとの感覚がございます。
 ところで、六基のエレベーターが設置されたとはいえ、これでバリアフリー化が完了したわけではありません。階段の上りおりの大変さから引きこもりがちな高齢者の外での活動の機会をふやし、より住みよい環境のために設置を進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 都市の緑は、都民の生活に潤いを与えるとともに、ヒートアイランド問題を初めとする環境問題の解決にも非常に重要な役割を担っています。こうしたことから、既存の緑を保全していくことはもとより、都市の中で生み出された遊休地を積極的に緑化していく努力も求められています。
 東京都内には、東京都が所有し、財政再建策の一環として売却される土地が多くあります。例えば、私の地元の狛江市の和泉多摩川緑地内にも、水道局が所有し、かつて資材置き場として利用していた土地が存在し、水道局は売却の方針を示していると聞いています。
 そこで、水道局では、水道事業用地としての利用計画がなくなった土地を、どのような方針で処分しているのか、お伺いいたします。
 この跡地の利用については、昨年、市が購入方針を打ち出す一方、市議会が都に対して都立公園化を求める意見書を提出するなど錯綜し、関係者間の交渉は必ずしも順調には進んでいないと聞いています。しかし、都市の中に残された貴重な空間をいたずらに開発の波にさらすことは、貴重な資源の浪費であり、避けなければならないと思います。
 あわせて、水道局には、性急に民間への売却をしないなどの慎重な対応を求めたいのですが、水道局長のご所見をお伺いいたします。
 次に、重度身体障害者グループホームについてお伺いいたします。
 障害があっても、住みなれた地域の中で、自分の生活スタイルに合った暮らし方を選ぶことは、障害者福祉の最も基本的な理念です。それは重い障害を持つ人であっても同じですが、重度の障害者が地域で暮らすためには、必要な設備や職員を配置した居住の場を整備することが必要です。
 知的障害者のグループホームについて、現在、設置促進事業本部を設けて大増設作戦に取り組んでおられることは、我が党の代表質問でもお聞きいたしました。身体障害者についても同様に、親元から自立して、また、入所施設から退所して地域で自立した生活を送るための支援が求められています。
 都は、重度身体障害者グループホームを都独自の制度として創設し、整備を進めており、既に八カ所のグループホームが開設しています。
 重度身体障害者グループホームの今後の整備の促進についての考え方をお伺いいたします。
 現在、市部には二カ所が設置されていますが、まだまだ需要は満たされておりません。私の住んでいる狛江市においても、設置を待ち望んでいる障害者の人たちがNPOをつくり、都にもご相談をしながら開設に向けて準備中でございます。当事者であるNPOが市議会に提出した狛江市の協力を求める陳情書は、去る五月三十一日の社会委員会、そして、昨日、六月八日の本会議において採択され、狛江市当局はできる限りの支援をすることが求められているところです。
 三年がかりの開設に向けての取り組みの中で、一つは、当該市の理解と協力がなかなか難しいことが挙げられますが、二つには、都の特別助成の期間の延長、さらに、高齢者向けのビルトインリースの制度の障害者への適用拡大などを要望しています。
 その上でお尋ねいたしますが、それぞれの地域においてグループホームを設置する場合、どのような条件等があれば、都はグループホームとしてお認めになるのかをお伺いいたします。
 以上、ご質問申し上げ、誠意あるご答弁をいただきたいということをもって、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
  〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 河西のぶみ議員の一般質問にお答えいたします。
 狛江市の現状等などについてでありますが、自治体の行財政運営は、それぞれの団体が住民の意思を尊重しながら、責任を持って考え、対応していくべきもの、これは当たり前のことでありますけれども、思います。
 私の知事としての経験を申し上げますと、就任当時の都の財政は一千億を上回る赤字を抱えておりまして、経常収支比率も一〇〇%を超える状況にありました。実情を知れば知るほど、えらいところに嫁に来てしまったなという感じがいたしましたが、狛江市の状況も、なかなかそれに匹敵する大変なものじゃないかという気がいたしますけれども。
 これを打開するには相当の覚悟が必要でありますが、まず、財政再建を進めることが重要であると思います。もう一つは、そのためにも、危機意識、スピード、コスト感覚を重視した職員の意識改革を行うことだと思います。この二つの上に立って、地域の活性化と住民生活の向上のため、政策面で知恵を出し、それを実行していくこと、これに尽きると思います。
 そのためにも、私、一つ、建言申し上げますが、有効な手段として、外部監査を入れられたらいいです。これは有無をいわさぬものがありますから。監査の専門家に、いかに、つまり都なら都の実態、それぞれの部門がずさんであり、民間で通用しないことがまかり通っているかということを指摘されますと、これはもういかなる価値観、いかなる思想を持っている職員でも、都民の実益ということを考えれば、反論ができない。ですから、都の場合も、非常に有効に改革が進んでまいりました。それをやはり私は、狛江市の市民の意思の表示として、財政が逼迫しているならば、いろいろな部門の改修のためにも行うべきじゃないかという気がいたします。
 その他の質問については、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔東京都技監小峰良介君登壇〕

○東京都技監(小峰良介君) 調布三・四・四号線の進捗状況と今後の予定についてでございますが、この路線は、狛江駅周辺のまちづくりや公共施設への連絡など、地域にとって重要な役割を果たすものであり、都と地元狛江市が連携して、みちづくり・まちづくりパートナー事業により整備しております。
 平成十一年度から、狛江通りの西側、百八十メートル区間において事業を進めており、これまで用地は九割を取得し、工事の四割が完了しております。今後、残る用地取得等の課題解決に向け、地元市の取り組みを積極的に支援するなど、事業の早期完成に努めてまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、狛江駅周辺地区のまちづくりについてでございますが、当地区は、広い駅勢圏に支えられた市の中心市街地であり、市の顔としての発展が期待されております。このような地区に多様な都市機能を充実させることは、人々が豊かな都市生活を享受する上で重要であると認識しています。
 こうしたまちづくりを進めていくためには、地元狛江市が中心となった積極的な取り組みが求められます。都といたしましては、このような地元の動きを踏まえた上で、駅周辺を拠点的な地区として位置づけ、随時の用途地域の見直しや、東京のしゃれた街並みづくり推進条例の活用などにより、駅前にふさわしい市街地の形成に努めてまいります。
 次に、既存都営住宅のエレベーター設置の取り組みについてでございますが、高齢社会を迎え、都営住宅のバリアフリー化は重要な施策であると認識しております。そのため、既存中層住宅のエレベーター設置を平成三年度から実施しており、その設置対象は、廊下型タイプでは四階、五階建てで二十四戸以上、階段室型タイプでは五階建て三十戸以上の住宅棟としております。エレベーターの設置に当たりましては、建築基準法、設置スペースの有無、費用対効果の検証、さらには居住者の合意などを総合的に勘案し、順次実施しております。
 最後に、都営狛江団地のエレベーター設置の推進についてでございますが、当該団地は、昭和四十年代に建設されたエレベーターのない四階、五階建てで、五十棟の大規模団地でございます。エレベーターの設置につきましては、自治会からの要望を受け、その後、技術的な調査検討などを行い、お話にありましたように、平成十五年度に二棟、六基のエレベーターを設置いたしました。今後とも、居住者の意向や財政事情などを十分考慮しながら、可能な住宅棟へ着実に設置してまいります。
   〔水道局長飯嶋宣雄君登壇〕

○水道局長(飯嶋宣雄君) 水道局用地につきまして、二点のご質問にお答えいたします。
 利用計画がなくなった水道局用地の取り扱いについてでございますが、水道事業は公営企業として独立採算により事業運営を行っており、常に経済性の発揮を求められておりますことから、事業用として利用計画がない土地につきましては、できる限り有効利用を図るとともに、必要に応じて売却することとしております。売却に当たりましては、まず、関係各局及び地元自治体等に照会を行い、希望がある場合には協議を行っております。
 次に、狛江材料置き場の取り扱いについてでございますが、狛江材料置き場は水道事業の財政運営にとって貴重な資産でありますことから、ただいま議員からございましたご意見並びに関係者間のこれまでの交渉経過等を踏まえ、適切に対応してまいります。
   〔福祉局長幸田昭一君登壇〕

○福祉局長(幸田昭一君) 福祉施策に関します二点のご質問にお答えいたします。
 まず、重度身体障害者グループホームについてでございますが、平成十二年度から都独自に開始いたしました本事業は、食事、入浴など日常生活に介助を必要とする重度身体障害者の地域での自立生活を促進することを目的としております。具体的には、障害に配慮した設備構造を備えた住居において、介助員を配置するとともに、ホームヘルパーなども活用しながら、重度身体障害者の生活支援を行っております。
 今後、都は、障害者地域生活支援緊急三カ年プランに基づく整備費の特別助成によりまして、平成十七年度末までに計画どおりの整備を図ってまいります。
 次に、重度身体障害者グループホームを設置するための条件等についてでございますが、設置に当たりましては、重度身体障害者の日常生活に適した居室などの設備を備えるとともに、介助や相談援助を行う職員を配置するなどの設置基準を満たすことが必要でございます。
 引き続き、都は、運営法人に補助を行う地元区市町村と十分に協議をしながら、増設に努めてまいります。

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