平成十六年東京都議会会議録第八号

○議長(内田茂君) 五十番新井美沙子さん。
   〔五十番新井美沙子君登壇〕
   〔発言する者多し〕

○議長(内田茂君) ご静粛に。

○五十番(新井美沙子君) 都議会生活者ネットワークを代表いたしまして、質問をさせていただきます。
 石原知事は、一九九九年に都知事に就任されてから、三人の副知事体制で都政運営を進められてきました。昨年には第二次財政再建推進プランや都庁改革アクションプランを出され、大幅な職員削減にも取り組まれています。さまざまな見直しが求められている厳しい時代に四人の副知事体制をしくに当たっては、その役割と全体的な都政運営の構想を、所信表明などで都民に対し明確に説明する責任があったと考えます。
 さて、地方分権改革に関する東京都の基本的見解で、都は、財政的に国と地方のこれまでのシステムが既に破綻したことを明確に示されました。地方財政制度の抜本改革を具体的な数値を掲げて提起したことは、分権、自治を最大の課題とする私たちにとって、評価できるものです。
 この基本的見解に示されたように、日本の社会システムは大きな変革期にあります。政府単独で多様化した市民ニーズを満たすことは不可能ですし、財政的にも、これまで行ってきたサービスが提供できなくなったことは明らかです。国から都道府県へ、そして市民に一番身近な市区町村へ税財源の移譲を進めなければなりません。
 しかし、改革案を提示して国が実施するのを待つばかりでなく、みずからが実践することで実質的な分権を進めることも必要です。寄附金控除制度の抜本的な強化を進め、自治体の政策を提示して、そこに納税者から寄附を募ることも分権推進の効果があります。
 都は、国に向けた制度改革を要求するだけではなく、地方が起債や交付税に頼らない自治が獲得できるような具体的な仕組みを提示するべきではないでしょうか、お考えを伺います。
 一方、この社会の大きな変化に伴い、期待されているのがNPOです。NPO法が制定されてから六年、認証数は東京で三千三百二十三、全国では一万六千を超え、資金難や制度面での課題を抱えながらも、環境、福祉、教育、まちづくりなど、さまざまな分野で社会の大きな担い手に育ちつつあります。
 NPOとの協働を進めることは、市民にとってはきめ細かなニーズが満たされ、NPOにとっては経営基盤の強化につながり、結果として地域社会全体に活気が生まれることになります。都では、平成十三年にNPOとの協働の指針、そして協働のマニュアルを策定し、その推進に取り組んできましたが、この四月の組織改正に伴い、都民協働部が都民生活部へ、市民活動推進課が管理法人課へと変更になりました。
 都民協働、市民活動推進という二つの象徴的な名称が組織図から消えましたが、その取り組みについて、都の姿勢を伺います。
 直接的な現場を持つ市区町村では、NPOとの協働事業が進みつつあります。都においても、公の施設の管理運営に対して指定管理者制度導入を打ち出しましたが、NPO参入への取り組みは緒についたばかりです。他県では、県民税の一%をNPO支援に導入予定、また、契約の仕方に工夫を凝らし、NPOのみを対象としたプロポーザル方式を採用するなど、着々とNPOとの協働を進めています。
 NPO活動の一層の推進のため、行政とNPOとの協働に対してさまざまな情報を把握する生活文化局が、各局や市区町村に強力に働きかけることが重要と考えます。推進の考え方を伺います。
 次に、公務員の働き方についてです。
 先般、人事院は、営利企業への就職に関する年次報告、いわゆる天下り白書を国会と内閣に提出しました。課長、室長級以上の天下りは七十八件で、就職に至る経過では、官のあっせん、仲介が五六%、自発的就職活動、知人の紹介が二七%、公正な人材活用システムが一二%ということでした。
 国家公務員の場合、在職中の仕事とのつながりの深い企業への再就職に一定の法的制限があり、役所の許認可などを必要とする民間企業への再就職は、人事院規則で禁止されています。
 しかし、地方公務員には定めがないため、都には職員の民間企業への再就職に関する取扱基準がありますが、強制力はありません。いうまでもなく東京都は、中規模の国並みの予算を持つ日本最大の自治体です。毎年多額の公共事業を発注し、さまざまな補助金支給、許認可の決定を行う権限を有しています。特に局長級以上の幹部の再就職先に関して、都の公共事業の公正さへの影響が懸念されるのは当然です。
 これまで知事は、さまざまな行財政改革に取り組まれていますが、不況が続く中、公務員はリストラもなく、再就職にも手厚く、優遇されているといった都民の声を真摯にとらえ、自治体としての説明責任を果たすためにも、東京版天下り白書を作成し、公表する必要があるのではないでしょうか。
 まず、局長級以上の再就職先を公表すべきと考えますが、知事のお考えを伺います。
 次に、近く導入が決まる一般職の任期付職員について伺います。
 この制度によって、任期付短時間労働公務員の採用が可能になります。この短時間労働の公務員という制度は、フルタイムでは勤務できない人たちにも地方公務員としての就労を可能にするという点、さらに勤務時間を短縮できる部分休業などが盛り込まれている点で画期的な制度です。
 私たちはこれまで、オランダ型ワークシェアリングを一つのモデルとして、ライフスタイルに応じた働き方が選択できるような新しいワークルールを提案してきました。この任期付短時間労働の導入は、新しい働き方に一歩近づくものと考えられます。
 東京都の職員の働き方は、常勤以外、再任用、再雇用、専門的非専務的非常勤など、非常に多岐にわたっています。この際、それぞれの勤務形態や仕事内容を整理、把握し、短時間職員を導入するため、条例化を検討すべきと思いますが、見解を伺います。
 次に、産業廃棄物についてです。
 この五月に、東京都廃棄物審議会より産業廃棄物の適正処理の徹底についての最終答申が出されました。この中にあるように、産廃の不法投棄事件は全国的な社会問題であり、違法に捨てられた側では、環境破壊にとどまらず、地域産業にも影響を与える状況になっています。
 生活者ネットワークでは、全国最大級の事件となった青森、岩手県境の不法投棄現場を視察してきました。八十八万立方メートルの廃棄物で埋め尽くされた現地に立つと、鼻をつく揮発性の臭気とともに、ヘドロ状の水分が流れ出し、これがふもとの川にまで流れ込んでいました。地元や周辺住民は、安全な自然を次世代にとの思いで、国や県に原状復帰を働きかけていますが、廃棄物の全量撤去には、十年以上の年月と六百六十億円の費用がかかるといわれています。両県とも、まず、不法投棄した処理業者の責任を問いましたが、二社とも倒産、一社の社長は自殺という状況です。
 許可を出した県職員も責任を問われ、許可のない業者に委託した都内の排出事業者六社にも撤去命令が出されました。しかし、首都圏だけで約七千ある排出事業者のほとんどは責任を問われていません。産業廃棄物は広域処理が前提ですが、可能な限り、排出元での処理が望ましいのはいうまでもありません。
 受け入れ地域側では、首都圏からの産業廃棄物の流入を抑制しようとしており、首都圏自治体は、適正処理の徹底に向けて、これまで以上に真剣に取り組んでいかなければなりません。特に排出事業者を多数抱える東京として、排出事業者責任の徹底についてどのように考えるか、知事の見解を伺います。
 今、企業の社会的責任、いわゆるCSRに対する関心が高まり、CSR会計や環境会計、環境報告書に積極的に取り組んでいるところがふえています。今回の審議会の答申では、排出事業者に適正処理への取り組みの報告を求め、それらを公表する制度が提言され、企業の社会的責任を徹底していく上で大変有意義です。
 今後、排出事業者が優良な処理業者を選定できるような仕組みを構築する必要があります。都は、優良な処理業者の育成に向けてインセンティブを働かせる取り組みが必要と考えますが、いかがでしょうか。
 次に、遺伝子組みかえ作物についてです。
 遺伝組みかえ食品の安全性について、消費者の関心は極めて高く、アメリカでの異常なまでの普及に強い不安を抱いています。食物に関する技術開発は目覚ましく、安全性が未解明なまま、私たちは食品の安全行政の新たな段階に直面しています。
 この五月に西東京市の東京大学附属農場内で、遺伝子を組み込んだジャガイモの屋外栽培実験が計画され、東大は、栽培計画書を公表して説明会を開催しました。多くの都民や生産者からの疑問や不安の声にこたえ、東大が試験栽培を見送る決断をしたことは、評価できます。
 遺伝子組みかえ農作物については、多くの都民が食品として食べることに不安を持っているだけでなく、花粉が飛んで交雑、混入が起こり、一般作物の生産、販売に混乱が生じるおそれもあります。しかし、今回東大は、重要な当該者たる一部の農協への説明を欠くなど、その対応は余りにも不十分でした。
 都が情報提供等についてすぐさま対応されたことは、一定の評価はできます。しかし、都民の不安や混乱を未然に防ぐためにも、屋外実験等に関する周辺住民への説明責任を果たすための基準を都が示していく必要があると考えますが、見解を伺います。
 遺伝子組みかえ作物については、生態系などの周辺環境への安全性の研究は確立されていません。都民が交雑防止対策について不安を持つのは当然です。今回の説明会においても、現行の防止策に対して多くの不安が寄せられました。今後、同様な例が出てきた場合、情報開示や指導方法など、都はどのように対応していくのか、見解を伺います。
 今や、消費ばかりでなく、生産においても、選択の権利をいかに確保するかが重要な時代です。有機農産物の生産の原則には、遺伝子組みかえ技術により育成された種、苗、作物体及び収穫物は使用しないことが挙げられていますが、仮に交雑してしまえば、農家の苦労も無になる可能性があります。
 ドイツの有機農業に取り組む一部農業者は、遺伝子組みかえ作物の汚染から消費者と有機農家を守るために、GMOフリーゾーンを設置し、苗の純血性確保の自衛策に取り組んでいます。都でも国に先んじた有機農産物認証制度の経験があり、都内農家にも見られるGMフリーの努力を育て、消費者の選択を確保する仕組みづくりは可能です。東京GMOフリーゾーンの基準づくりを積極的に検討すべきと考えます。
 東京のブランド豚であるトウキョウXの飼料のトウモロコシと大豆は、遺伝子組みかえではないものを指定しています。都として、GMO汚染から、都内農家のGMフリーを含めた有機農産物などへの努力をどのように守っていくのか、見解を伺います。
 次に、水資源について伺います。
 生活者ネットワークは、貴重な自前の水源である地下水の保全から地域の水循環の回復、河川やダム問題まで、幅広く水問題に取り組んできました。
 多摩地区では都営水道への一元化計画が立てられ、その結果、計画対象二十八市町のうち、二十五市町が都営水道に統合されています。この間、都は、地下水を地盤沈下や水質の面から長期的には安定性に欠ける予備的な水源としながら、可能な範囲で活用を図るとして、実際には日常的にくみ上げて都民に給水してきました。
 多摩地域の地下水については、くみ上げの実態があることから、私たちは、長年、その正規水源化を求めてきたものです。ところが、この春、都は、国の指導を受けて、地下水三十五万トンを認可水源に加えました。長年の正規水源化の要求をはねつけてきた東京都の姿勢が変わったことは、まさに晴天のへきれきです。
 国の指導は、日常的にくみ上げ実態のある多摩の地下水は予備水源には当たらないという、私たちの主張どおりのものでした。国の指導を都はどのように受けとめたのか、国のいう予備水源と都が使ってきた予備的水源とは、大きく意味合いが異なると考えますが、見解を伺います。
 国の指導は、既に昨年六月の時点で明らかになっていました。秋には、八ッ場ダム事業費の増額議論の中で、都は新しい水需給計画を示し、新たな水需要を予測しましたが、正しい保有水源と水需要予測値を比較して水需給の過不足を議論すべきでした。実際に認可水源となった日量三十五万トンは、奈良俣ダムなら二基分にも匹敵するものであり、これを計上しないままで将来の水需給の過不足を論じたことは、到底認められるものではありません。
 正規水源として多摩の地下水源を入れた水需給計画を示すべきであり、異なったデータに基づく八ッ場ダムの同意議決については検討し直すべきであると申し上げておきます。
 次に、DV被害者の自立支援について伺います。
 今国会で、配偶者暴力防止法、いわゆるDV防止法が改正され、都議会の男女議連でもこの法改正についてのシンポジウムを開催いたしました。まだ課題は残っているものの、さまざまな支援策が明記され、DV被害者や支援者にとっては朗報です。都も積極的にDV被害者の支援を進めるよう強く求めるものです。
 改正DV防止法には、被害者からの苦情の申し出に対する、適切かつ迅速な処理が明記されました。被害者が相談したことで責められたり不愉快な思いをしたりという二次被害について、都では調査をしていませんが、栃木県の調査によると、回答のあった百九十三件のうち、警察と行政機関で七十九件の二次被害が出ており、看過できるものではありません。
 最近、相談を受けた警察官が、立場を利用してDV被害者をレイプし、告訴され、容疑を認めたことが新聞に掲載されました。これは二次被害を超えた事件ではありますが、相談や支援の現場での二次被害を防止するために、職員に対する研修等の充実に努めるとともに、法に明記された迅速な苦情処理を進めるための対策が必要です。見解を伺います。
 最後に、一言申し上げます。
 知事が、所信表明において、ジェンダーフリーへの対応として述べられた内容について、都議会生活者ネットワークは、大きな失望と危惧を抱きました。
 ジェンダーという考え方は、文化的、社会的につくられた性差として、一九四〇年代に文化人類学者のマーガレット・ミードによって構築され、その後、第三回国連世界女性会議で、ジェンダーからの解放の概念が取り入れられました。
 英語の文献には、一九八〇年代からジェンダーフリー教育という言葉があり、ジェンダーによる偏り、固定観念をなくした教育の意味で使われています。日本においては、一九九九年に、ジェンダーフリーやジェンダーにとらわれない教育に関する国会質疑が行われ、ジェンダーの課題がやっと認識され、男女共同参画社会基本法が制定されるに至りました。
 このように、ジェンダーフリーとは、男女の性別をなくすことではなく、文化的、社会的につくられてきた男女の性に対する偏見や先入観を取り除こうという当たり前の考え方です。
 しかし、知事は、男女の違いを無理やり無視しようとするジェンダーフリー論のばっことして、本来のジェンダーフリーとは誤ったとらえ方で、ゆがめられたジェンダーフリー論にすべて集約させてしまいました。これは、東京都男女平等参画基本条例の推進を後退させることになりかねず、男女がともに自分らしい生き方を発揮できる社会づくりを阻害することになります。
 今回の知事発言はまことに不適切であると指摘し、ジェンダーフリーへの正しい認識を深められることを強く求めて、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 新井美沙子議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、局長以上の再就職先の公表についてでありますが、率直に申しまして、この問題は、国よりも都の方が進んでいると思います。
 国家公務員の営利企業への再就職については、白書の作成など、法律的に規制が、制限がありまして、再就職の状況について、国会及び内閣への報告が義務づけられております。また一方、特殊法人などの再就職先において退職手当の支給を受ける、いわゆる天下りについての改革が余りなされていないのが現況だと思います。
 一方、都は、一定期間の民間企業への再就職の制限、監理団体の退職手当の廃止、年齢制限の設定など厳しい規則を設けまして、適正に運用しております。
 都職員の再就職は、在職中に培った知識、経験を社会に還元するものでありまして、いわゆる天下りとは異なるという認識を持っておりますが、監理団体あるいは報告団体、公共団体への再就職はすべて発表しております。ただ、民間の企業に行く場合に、退職前の五年間、業務でかかわりのあった会社へは行っちゃいかぬという規則がありまして、それを踏まえて、民間の企業に再就職される方々は自分の努力で勤め先を探しているわけでありまして、これは私は発表の必要がないと思いますし、別に発表することでの障害はないと思いますけれども、現況はそういうことで、大体、局長、部長クラスの再就職先は、今いった監理団体、報告団体、公共団体と民間とは、大体五分五分、大方五分五分の比率になっております。
 次いで、産業廃棄物の排出事業者責任の徹底についてでありますが、今日の大量消費型の文明の中で、東京の旺盛な経済活動に伴って発生する産業廃棄物の多くが、残念ながら他県で処分され、一部が不法投棄もされております。これが現況だと思います。廃棄物処理法は排出事業者責任をうたっておりますけれども、不徹底で十分機能しておらず、処理業者任せとなっているのが実態であります。
 そこで、都は、不法投棄の防止に向けて、排出事業者に対してその責任を徹底するため、適正処理の報告を義務づけるなど、法令以上の取り組みを求めていくつもりでございます。さらに、八都県市を初め広域的な連携を一層強化し、不法投棄の撲滅に取り組んでまいるつもりです。
 それから、最後に、有益なご指摘をいただきましたが、私は、男女の差というのは資質としては当然ある。なければ困るわけで、しかし、資格、つまり、何というんでしょうね、つまり男女は決して同等でない節がありますから、それを等しいものにすることは私は賛成です。だったら英語使わなきゃいいじゃないですか、わけのわからない、ジェンダーフリーだとか何だとか。日本語使いましょう、日本語。正しい日本語でいって、それが要するに国民の理解に通じると思いますよ。ジェンダーフリーなんていうこと、私も外国人の友達がたくさんいますけど、外人記者クラブにいったら、みんなわかりませんと。やっぱり日本語使いましょう、日本語。それが本当の物事の理解につながり、物事の改正につながっていくと思います。このごろ、本当にやたらに英語が多くてね。日本語で立派な、わかりやすい言葉があるんですから、使ったらどうですか。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔知事本局長前川燿男君登壇〕

○知事本局長(前川燿男君) 地方分権改革についてでありますが、また改めて申し上げるまでもなく、改革の目的は、全国の自治体が自立をして、地域の実情に即した政策を自主的に展開できるようにすることであります。
 そのためにどうすべきかでありますが、ご提案も含め、さまざまな議論があることは承知いたしておりますが、今、何より肝要なのは、現行制度の枠内での工夫にとどまらず、制度そのものを抜本的に改めることだと考えております。
 また、改革は、単に国に要求するだけで実現するものでないことは十分承知をいたしております。だからこそ、首都圏を初め全国の自治体と連携しながら改革に取り組むことが何より重要であると考えております。
 こうした観点から、庁内一丸となって改革の実現に向けて取り組んでまいります。
   〔生活文化局長三宅広人君登壇〕

○生活文化局長(三宅広人君) NPOとの協働及びDV被害者支援に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、NPO活動への都の取り組み姿勢についてでありますが、都はこれまで、NPOと行政との協働を推進するために、市民活動の促進に向けた環境整備を図ってまいりました。現在、各局や区市町村においては、共催や委託、情報交換など、さまざまな形態でNPOとの協働が実施されております。
 この四月に、都民協働部から都民生活部に名称は変更いたしましたが、引き続き行政と都民やNPOなどとの連携を推進する立場から、各局や区市町村への情報提供などを図ってまいります。
 次に、NPO活動の推進の考え方についてでありますが、現在、行政とNPOとの協働につきましては、災害対策や自然保護、防犯等、具体的な分野において行われております。NPOの中には、専門性やすぐれたアイデアを有するものもございます。事業内容や規模によっては、行政とNPOが協働することで、多様できめ細やかなサービスを安価に提供できる場合もございます。先駆的な協働事業を行っている他県の事例を含めまして、具体的で幅広い情報を各局や区市町村に提供するなど、今後とも行政とNPOとの協働事業を適切に推進してまいります。
 最後に、DV被害者の二次被害の防止についてでありますが、これまでも、区市町村や民間団体も含め、相談窓口や関係機関の職員を対象にしたマニュアル等を作成するとともに、相談員等の研修を実施し、被害者への適切な支援に努めてまいりました。職員の対応に苦情があった場合には、当該機関に事実関係を確認し、処理経過を調査の上、必要な措置を講じております。また、苦情等の内容によっては、関係機関との連絡会議等の場で対応のあり方を検討し、情報の共有化を図っております。
 今後さらに、苦情への対応を含め、二次被害に関する研修を強化するなど、法改正の趣旨を踏まえまして、各機関において適切かつ迅速な処理が行われるよう努めてまいります。
   〔総務局長赤星經昭君登壇〕

○総務局長(赤星經昭君) 一般職の任期付職員についての質問にお答え申し上げます。
 今般の法改正は、地方公共団体の公務の能率的かつ適正な運営を推進するため、任用、勤務形態の多様化を図ることを目的としてございます。
 都におきましては、これまでも、非常勤職員を初めとする多様な勤務形態を設定し、きめ細やかな活用を図ることで効率的、効果的な業務運営に努めてまいりました。今後とも、最少の経費で最大の効果を上げることのできる都政運営を目指しまして、人材活用のあり方について検討してまいります。
   〔環境局長小池正臣君登壇〕

○環境局長(小池正臣君) 優良な産業廃棄物処理業者の育成についてのお尋ねでございますが、廃棄物審議会の答申では、処理業者に対して、廃棄物の搬入、搬出量や保管状況、施設の稼働状況などを報告するよう求め、これを公表する制度が提言されております。この制度を構築することによりまして、処理の透明性が高まり、排出事業者が信頼性の高い処理業者を選定しやすくなることから、産業廃棄物処理業の健全な発展が促されるものと考えております。
 あわせて、環境への配慮や情報公開などに積極的に取り組む処理業者が、第三者機関により客観的に評価される仕組みにつきましても検討してまいります。
   〔産業労働局長有手勉君登壇〕

○産業労働局長(有手勉君) 遺伝子組みかえ作物についての三点のご質問にお答えいたします。
 まず最初に、遺伝子組みかえ作物の屋外実験に関する周辺住民への説明についてでございますが、今回の栽培実験は、法に基づき、国が承認した基礎実験でありまして、説明責任を義務づけられたものではございません。
 しかし、遺伝子組みかえ作物には、多くの都民が食品として食べることに不安感を抱いております。また、他の作物との交雑に対する不安があり、農業者の中にもこうした栽培実験などについてのコンセンサスを得られていない状況がございます。このまま栽培実験を行えば、都内の農産物の生産、販売に混乱が生ずるおそれがあると思われます。このため、こうした課題への対応につきまして、都といたしましては、年内に学識経験者を含めた検討組織を設けて検討を進めてまいります。
 次に、今後、同様な屋外での実験例が出た場合の当面の対応についてでございます。
 遺伝子組みかえ技術は、社会的に有用な面もありまして、その研究自体を否定するものではないと思います。しかし、遺伝子組みかえ食品に対し、都民の不安があるので、法により栽培承認を受けた遺伝子組みかえ作物であっても、混乱を未然に防ぐための指導が必要であると考えます。このため、遺伝子組みかえ作物の栽培実験を行う場合には、事前に都に対して情報提供を行うことや、実験計画書の公表と説明会の開催などにより、関係の市町村、近隣の農業者、住民の理解を得ていくなどの指導を行ってまいります。
 最後に、いわゆるGMフリーについてでございます。
 ドイツでは、有機農業に取り組む農業者等が、遺伝子組みかえ作物を栽培しないという地域をGMOフリーゾーンとして自主的に設定し、本年四月からEUで解禁されました遺伝子組みかえ作物の商業栽培に対処しております。我が国では、遺伝子組みかえ作物の商業栽培はまだ行われていません。
 いずれにしましても、都としては今後、遺伝子組みかえ栽培に対し、都内農業者の意向の把握や遺伝子組みかえ作物に関するさまざまな動向を注視し、的確に対処してまいります。
   〔水道局長飯嶋宣雄君登壇〕

○水道局長(飯嶋宣雄君) 水資源についての質問にお答えいたします。
 多摩地区の地下水についてでございますが、平成十五年度末に受けました水道事業の変更認可では、予備的な水源であっても、水道水として現在供給されているという実態があることから、認可対象として整理されたものでございます。
 しかし、長期的に見ますと、多摩地区の地下水は、地盤沈下や水質の面から、将来にわたる安定的な水源として位置づけることは困難であると考えております。こうした認識について、都と国は基本的に一致しておりまして、今後の水源確保につきましては、少雨傾向により利根川の実際の供給能力が低下していることなどから、地下水の活用や節水施策などとあわせまして、八ッ場ダム等の建設促進が、都民に安定給水を確保していく上で必要であると考えております。

○六十七番(吉野利明君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(内田茂君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後七時五十二分散会

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