平成十六年東京都議会会議録第八号

   午後六時十六分開議

○議長(内田茂君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 八十番大山とも子さん。
   〔八十番大山とも子君登壇〕

○八十番(大山とも子君) 日本共産党を代表して質問いたします。
 石原都政が始まり、五年がたちました。この五年は、住民の福祉の増進を第一の課題とすべき地方自治体のあり方を根本から否定し、都政に大きなゆがみをもたらしています。私は、この都政のゆがみと都民への影響について、以下、質問をいたします。
 第一のゆがみは、福祉を初めとした都民施策の切り捨てにあらわれています。それは、予算の削減にはっきりあらわれています。石原知事が就任した九九年度と今年度当初予算を比べると、都税収入は若干減にとどまる中、社会福祉関係費はマイナス九・三%、六百六十一億円もの大幅削減となっています。政令市がある十一の道府県で、社会福祉関係費のこんな削減をやったところは一つもありません。東京と大阪以外はすべてふやしています。大阪は、減らしはしましたが、マイナス〇・三%、八億円で、東京だけがけた違いの削減であることは明白です。他県では、例えば岩手県が患者団体の要望を受けとめて呼吸器障害者に必要な在宅酸素濃縮器の電気代助成を今年度から始めたほか、青森、栃木、大阪、鳥取、岡山の各県が高齢者虐待防止対策をスタートするなど、税収が落ち込み、東京に比べもっと財政が厳しい中でも、何とか住民の要求にこたえようと頑張っているのです。大きな違いだと思いませんか。
 石原都政の福祉切り捨てによる都民の痛みは深刻なものです。
 一つは、高齢者、障害者の福祉手当や医療費助成など経済給付的事業の廃止、縮小による痛みです。シルバーパスは、有料化で三万人もの利用者が減りました。マル福の老人医療費助成は、既に十八万人が対象外となり、医療費の負担増に苦しんでいます。月五万五千円の老人福祉手当は既に廃止され、東京の要介護高齢者の二割に当たる五万六千人の寝たきり高齢者から取り上げられました。これにより、訪問入浴の利用料や介護用ベッドのレンタル料が払えず、すべて解約せざるを得なくなり、半年間も入浴しない状態が続いたなど、深刻な問題が生まれています。
 日本共産党都議団は、高齢者の介護状況調査に取り組んでいますが、その中でも、介護保険の負担も重いけれど、それ以外にも、おむつ代など毎月何万円もかかる、貯金を取り崩したが、何とかやっているが、底を突きそう、何らかの経済的支援が欲しいという切々とした訴えが多数寄せられています。その上、今度の年金改悪で給付は下がり続けます。そして、年金保険料の負担はふえ続けるのです。ほかにも、医療費や国民健康保険料の負担もふえています。
 知事は、国の社会保障が充実したことを経済給付的事業見直しの理由としましたが、強行採決された年金法は、今後、都民の生活を充実させるものだと考えているのですか。
 東京都民の老齢基礎年金受給額は平均わずか五万三千円で、全都道府県の中で十八位です。家賃や物価が高い東京で、年金だけで生活するのは無理があるのです。だからこそ東京都は経済給付的事業を重視してきたのです。その上、今回の年金改悪による給付の切り下げで、二十年後の平均受給額は実質四万円程度まで落ち込んでいき、保険料の負担はふえ続けるという新しい問題が生まれたもとで、経済給付的事業の役割は一層重要になっていると考えますが、答弁を求めます。
 岩手県などでやっている在宅酸素濃縮器の電気代助成は、約一億二千万円あれば実現できるのですから、この創設に踏み切ること、所得の低いお年寄りに重い負担となっている介護保険の保険料、利用料への都独自の軽減の実施、拡充にも直ちに踏み出す必要があるのではないですか。お答えください。
 二つは、福祉や暮らしの補助金の削減、廃止による痛みです。二十三区と市町村及び組合の国民健康保険に対する補助は、五年前に比べ二百三十億円も削減され、国保料の値上げにつながっています。二十三区で見ると、一人当たり平均国保料は年額六万七千円もの値上げとなっています。その結果、収納率は落ち込み、滞納による制裁措置で医療費十割負担となる資格証発行は、年間十五件から一万件に急増しており、医療を受けたくても受けられない事態が広がっています。
 特別養護老人ホームの運営費補助は、二百二十一億円から、今年度わずか三十一億円まで削減されています。介護保険が始まり、全国的には特養ホームの運営は充実し、個別対応のユニットケアなどが前進していますが、東京だけは逆に運営が厳しくなりました。施設の利用者はこの五年間に四千人ふえたのに、常勤専任職員は逆に二千人以上も減り、夜間の対応などが難しくなっています。
 その上、第二次財政再建推進プランで、千二百億円に上る補助金の削減、廃止を行おうとしています。長期にわたり継続している補助、補助率の高いもの、年間一千万未満の少額補助、さらに私学助成などを例示していますが、その根底にある考え方は、要するに国基準のことしかやらない、都独自の上乗せや横出しの補助は削減、廃止の対象にするというものです。そんなことをしたら、地方自治体としての存在意義はなくなってしまうではありませんか。
 しかも、重大なことは、知事が先日の所信表明で、地方分権に向けた基本的見解として、国庫補助負担金の原則廃止を提言したことです。これは、国基準そのものを義務教育や生活保護などごく一部の基礎的サービスだけに限定し、それ以外はなし崩しにしてよいという、国基準そのものの破壊につながる重大な発言です。
 国庫補助負担金制度は、公共事業関係を中心にさまざまな改善すべき問題があり、地方自治体みずからの基準と裁量を広げる改革が必要です。しかし、国庫補助負担金の多くは、福祉や教育を初め、憲法で保障された国民の生存権、基本的人権にかかわる最低基準であるナショナルミニマムを国が財政的に保障する責任を明確にした大事な制度です。この基本をなくすことは、福祉や教育に対する国の責任を放棄することにつながるのではありませんか。
 その上、自治体が不十分な国基準を補う努力もしないというのでは、福祉、教育を初め生存権、基本的人権にかかわるナショナルミニマムの限りない低下を招くことは明らかです。知事はそれでよいと考えているのですか。そうではなく、国の責任を明確にした上で自治体独自の施策を展開してこそ、本当の住民福祉の増進につながると考えますが、見解を伺います。
 都は、ことし四月から、大きな反対を押し切って私立保育園のサービス推進費補助を改悪し、削減した上、五月に出された児童福祉審議会報告を受け、公立、私立保育園の都加算補助を縮小していくことをねらっています。さらに、認可保育所制度を崩して、営利企業による認証保育所を中心にしようとしてきました。これも、今まで述べてきた、国基準のことしかやらない、さらに、その国基準さえ破壊していこうという石原知事の考えに沿ったものといわなければなりません。
 公立、私立保育園の都加算補助は、ゼロ歳児保育のための保健師配置や、離乳食を初め質の高い給食を提供するための調理員の増配置など、いずれも根拠が明確で、保育内容の充実に直結しているものです。余りにも不十分な国基準を補い、東京都において望ましい保育水準を確保するためになくてはならないものです。現行どおり存続するとともに、補助の水準を維持し、さらに拡充することを求めるものです。
 また、国に対し、認可保育所の運営及び施設設備にかかわる国基準の抜本的な拡充を迫ることこそ必要だと考えますが、見解を伺います。
 認可保育所のみにとどまらず、すべての家庭を対象にした子育て支援の充実は、重要な課題であり、児童福祉審議会報告のように、保育所都加算補助の見直しや包括化によって対応するのではなく、独自の新たな財源措置を行う必要があります。お答えください。
 都民に対する痛みの三つ目は、施設の縮小、廃止によるものです。この五年の間に、都立施設の廃止や民間移譲、区市町村への移管が次々行われてきました。老人ホーム、都立病院、保健所、看護専門学校、知的障害者福祉園、児童養護施設にとどまらず、商工指導所、労政事務所、高齢者就業センターのような中小企業や労働者が必要としている施設も対象となりました。そのほか、都立高校を初めとした教育施設、緑の相談所、都バスの営業所など、都民のための施設が軒並み切り捨ての対象とされ、わずか五年で百に及ぶ都立施設がなくなりました。こんなことは、都政史上かつてなかったことです。
 知事は、東京は国と違い現場があることが強みだといいますが、その現場を次々投げ出しているのは、自己矛盾だとは思いませんか。都民生活になくてはならない施設をなくすことはやめて、守り抜くこと、さらに、必要な施設は積極的に増設、拡充を進めることこそ自治体の役割だと考えますが、答弁を求めます。
 都は、今後、第二次都庁改革アクションプランに基づいて、経済効率最優先の立場から、都立病院など都立施設の廃止、縮小や民間市場への開放を一層推進しようとしています。この四月、保健医療公社に移管された大久保病院は、入院、外来とも患者が大幅に減り、五月の病床利用率は、何と六六%まで落ち込みました。何よりも大事な地域からの信頼を失ったのではないでしょうか。
 しかも、患者が減ったため、四月の収益は、前年に比べ四千万円も落ちる結果となっています。病院の命である医師も、昨年からことしにかけて、部長、医長クラスの人たちが六人、定年でもないのに退職しています。信頼していた主治医がいなくなれば、患者の足が遠のくのも当然のことです。
 大久保病院の公社化は、始まったばかりでこれだけの問題が明らかになりました。少なくとも今後の推移を見きわめ、検証を重ねることが都民への責任であり、このまま多摩老人医療センターや荏原病院の公社化を進めることは許されないと考えますが、お答えください。
 また、都立病院として残す駒込病院と府中につくる予定の小児総合医療センターの運営に営利企業を参加させるPFIのやり方を導入することも、都民にほとんど情報が知らされないまま検討が進んでいます。既にゼネコンなどの企業は、八百億円のビジネスチャンスだと色めき立っています。PFIでは、医師と看護師は公務員ですが、企業の利益をいかに生み出すかが運営の中心になることは明らかです。こんなやり方では、小児科や救急など不採算医療、難病などの行政的医療、地域の要望にこたえる医療など、都立病院ならではの役割がどんどん後退していくのではないでしょうか。
 私は、こうした民間主導のやり方ではなく、駒込病院は東京におけるがん対策のあり方、小児医療センターは東京全体の小児医療のあり方や課題、問題点を、それぞれの専門家、関係者と患者、都民が参加して総合的な検討を十分に行い、その中で都立としての各病院の役割や医療機能を明らかにしていくことが必要だと考えます。
 そして、がん対策では、在宅ホスピスケアや地域医療機関の検診、治療の質の充実への支援、小児医療では、すべての地域で三百六十五日二十四時間、初期から入院まで対応できる小児救急体制を確立することや、周産期医療、障害児医療、子どものリハビリテーション医療など、抜本的拡充を進めることを提案するものです。見解を求めます。
 イギリスで始まったPFIの病院では、実際に医師、看護師の削減や医療水準の低下が問題になっていることが報告されています。また、アメリカでは、今までの利潤追求型の医療経営を反省する機運が高まっており、昨年一月には、大統領でさえ一般教書演説で、株式会社的経営から、病院を、医師、看護師を国民のもとに取り戻そうといわざるを得ない事態になっているのです。
 現実に医療の民営化に見過ごすことのできない問題が生まれているのですから、私は知事に、目先の経済効率最優先の民営化という考え方を転換して、都立病院は都民と患者が必要としているよりよい医療をいかに提供するかを最優先にして運営の充実を進めることを求めるものです。いかがでしょうか。
 経済同友会は、石原知事が就任した直後の九九年六月に発表した市場主義宣言の中で、国や地方などの公的部門全体の活動範囲を、民間主導、市場原理、自己責任、自立自助を基本として大幅に縮小するとともに、公的部門の活動にも市場原理を導入することが急務だといい、さらに、昨年は、この立場を発展させ、保育について、認可保育所をゼロベースから見直すことや、認可保育制度自体の廃止、調理室必置義務などの見直しを求める提言を発表しました。また、ことし四月に、医療分野の規制緩和と公立病院の株式会社化などを求める提言を発表しましたが、これらの財界の提言に共通していることは、いかに福祉を初めとする地方自治体の仕事を民間の営利企業に開放させるかに目標が置かれているものです。
 取り上げてきた福祉を初めとする都民施策の切り捨てや都立施設からの撤退などは、こうした財界の要望に沿ったものであることは明らかです。なぜ財界の要求がこのように露骨に都政に持ち込まれたのでしょうか。石原知事は、五年前の知事就任直後から二〇〇二年の間に、東京の問題を考える懇談会を六回にわたり開催しましたが、その出席者十八人のうち五人が日本経団連や経済同友会の幹部によって占められていました。そのうちの何人かは、その後、都の税制調査会や大学運営諮問会議などの審議会に名を連ねるなど、都政運営に深くかかわることになったのです。石原知事就任後、各種の審議会に参加している財界関係者は十六人に及んでいます。
 その財界がもう一つ都政に持ち込もうとしているのが、東京を多国籍企業にとってより活動しやすい都市に仕立て上げることです。経団連が発表した都市再生への提言では、企業の活動の場としての都市も魅力を高めることは国の競争力を強化する上で必須条件だとして、東京への集中的な投資を要求、鉄鋼メーカーやゼネコンで構成されている日本プロジェクト産業協議会、JAPICも、都市再生研究会を設置して、そのもうけ仕事に期待を寄せています。
 石原知事はこれを受けて、都市再生の名のもとに、所信表明で取り上げた大手町の再開発を初め七カ所の緊急整備地域を指定し、企業が進出しやすいように、圏央道、外環道、首都高速中央環状線の三環状道路や羽田空港の再拡張などを一気に進めようとしています。この方向は東京への経済、人口、交通のさらなる集中を激化させるものにほかならず、都市機能、環境、都財政などに深刻な影響を与えることは避けられません。
 そもそも、これまで国も都も、基本方向としては東京一極集中の弊害を認め、その是正と多極分散型の国土構造、そして経済の中心としてだけでなく、都民の生活の場として東京を整備していくことを目指すとしてきました。ところが、石原知事が進める東京構想二〇〇〇とその具体化である都市再生の路線は、これまでの都市政策を覆して、専ら多国籍企業の活動基盤を整え、都民の生活基盤をないがしろにし、東京一極集中を強めようとするものです。
 このやり方の矛盾は、都財政、環境、行財政運営などに二つ目の重大なゆがみとなってあらわれています。石原知事は、投資的経費を抑制しているといっていますが、投資経費は一兆円台に高どまりし、都民施策を圧迫するものとなっていますし、三環状道路の建設などの幹線道路予算は増額され、この四年間に二百七十九億円も膨らんでいるのです。三環状道路で結ばれている神奈川、埼玉、千葉の三県の幹線道路などの街路費は、同じ期間に、埼玉県が百七十八億円も削減するなど、押しなべて縮減に踏み出しているのとは対照的ではありませんか。
 その一方で、都民の生活環境を整える事業は大きく減らされ、都営住宅や福祉施設の建設、多摩地域の生活道路の整備などを求める都民の声は、顧みられることはありません。
 知事は所信表明でも、熾烈な国際的経済競争に巻き込まれているなどといって、東京集中を一層強める立場を表明しましたが、こうした多国籍企業の利益第一主義のもとで、都民の福祉や生活環境をないがしろにしていることに痛みを感じないのですか。
 最近の都民の世論調査でも、要望の第一は高齢者福祉で、医療、衛生が二位、環境が三位となっているのです。これに対し、道路交通網の整備は十四位に登場してくるにすぎません。東京の都市づくりのあり方、公共投資のあり方を、都民の生活環境を守り、充実する方向に転換すべきだと考えますが、どうですか。
 都民には痛みを押しつけながら、都市再生のための高速道路づくりには大盤振る舞いすることは許されません。三環状道路の一本の道路の負担をやめるだけで、たくさんの生活密着型公共事業などに振り向けることが可能なのです。例えば、一千億円を節約すれば、特別養護老人ホーム二十施設、都営住宅一千戸の建設、立ちおくれている生活道路整備を初め介護保険の減免制度の拡充、公立小学校で三十人学級に踏み出すことが実現できるのです。
 知事、これらの仕事にこそ多く税金を使う方が都民のために役立つと考えますが、それぞれ知事の答弁を求めます。
 また、今後、これまで以上の規模で財政を投入しようとしていることは重大です。首都高速中央環状新宿線と品川線の負担に二千億円から三千億円、圏央道も一千億円以上が見込まれ、外環道も、道路公団の民営化によって国直轄事業となれば、数千億円の負担が生じることは間違いありません。さきの圏央道の裁判では、三本もの環状道路は必要ないとして、事業認定の取り消しを命じられたばかりではありませんか。
 また、知事自身、国直轄事業負担金は考え直してもらいたい、国の事業として考えてもらいたいと、いわば不合理である旨の発言をしていたではありませんか。羽田空港の再拡張についても、国みずからの負担と責任において進めるべきといっていたではありませんか。
 知事、費用は関係地方、政府が共同で分担すべしとする財界の主張に唯々諾々として従うのですか。都財政が厳しいというのならば、これこそ身の丈に合わせて支出を吟味し、国いいなりの負担金などはきっぱりと断るべきではありませんか。答弁を求めます。
 環境行政も大きくゆがめられようとしています。これまで指摘してきたように、都市再生による超高層ビルの開発によって、二十三区内の自動車交通発生量は十万台も増加しますし、ビルから排出される二酸化炭素は年間百十万トンも増加すると見られ、地球温暖化は改善されるどころか悪化の一途をたどることになります。この二酸化炭素を吸収するには、千代田、新宿初め都心七区をすべて森林にしなければならなくなるのです。
 ところが、石原知事はしゃにむに開発を進めようとし、その障害となる環境審議会に経団連の財界委員を送り込んで、規制の緩和を進めることまでやっているのです。二〇〇二年には都市再生緊急整備地域の指定が問題となりましたが、石原知事は、整備地域について、アセスの対象要件を高さ百メートルから百八十メートルへ、面積要件を十万平方メートルから十五万平方メートルへと緩和し、事実上アセス対象案件がなくなるようにしてしまったのです。
 さらに、今回の事業者への二酸化炭素排出量削減の義務化についても、環境審議会の答申は、財界代表の二人の臨時委員の働きによって後退させられ、義務化が見送られました。経団連は、二酸化炭素排出量の削減について、義務化することは自主的取り組みのメリットを著しく損なうとして義務化が反対の論陣を張り、審議会でも繰り返し、自主的取り組みでは効果がないという部分の削除を求めたのです。
 二酸化炭素の排出規制について、イギリスやドイツなどでは、政府と企業との間で協定を結び、成果を上げ、進出している日本の多国籍企業もこれに従っているのです。進出先の外国でできて、東京でできないわけはありません。
 知事、義務化を見送った答申をそのまま受け取るのですか。財界の利益を優先し、東京と地球の環境を犠牲にすることは許されません。答申を差し戻すとともに、オフィスビルなどの事業者に対して二酸化炭素の排出削減量を具体的に示して、規制を強める方向こそ追求すべきと思いますが、どうですか。
 また、都市再生によって東京の環境がどのように変化するのか、科学者などを初め第三者機関を設置して研究すること、その間、都市再生による開発を抑制することを求めるものですが、それぞれ見解を伺います。
 東京の環境を守る上で、緑と自然の保全と拡充は待ったなしです。ところが、石原知事のもとで、都市公園の整備を初め緑の関係の予算はどんどん削減されてきました。少なくとも欧米の都市並みに都市公園の整備率を引き上げることや里山保全対策、風の道、水の道などのクールランド対策に予算を配分することを求めるものですが、どうですか。あわせて答弁を求めます。
 以上、知事が財政難を理由に進める福祉や教育の切り捨てと、その一方での都市再生の路線は、都民の暮らしと営業、さらには都財政や環境に取り返しのつかない打撃を与えることになることが改めて浮き彫りとなりました。
 今、指摘してきた都政のゆがみは、都政運営の転換が差し迫った課題となっていることを示したものといえます。石原知事自身、介護保険制度にかかわって、人間のつくった制度ですから、最初から十全、一〇〇%正しいということはあり得ないと思います、ある時間が経過した後に見直すべきものは見直すべきだといわれたではありませんか。であれば、都政運営について一たん立ちどまって検証を行い、都民の立場から見直すべきものは見直すことを強く求めるものです。
 第三に、都政のゆがみが鋭くあらわれているのが教育です。夜間定時制を初めとする都立高校の統廃合、人事考課による学校への管理と締めつけ、性教育への乱暴な調査、処分など教育内容への介入など、いずれも都教委の一方的で乱暴なやり方が子どもたち初め学校関係者を苦しめ、追い詰めています。
 とりわけ重大なことは、都内の学校では卒業式や入学式での日の丸・君が代の押しつけが広がり、子どもや教員、父母を苦しめている問題です。
 都教委は、昨年十月、卒業式や入学式で日の丸を正面に掲げ、子どもや教員を正面向きに座らせ、起立、斉唱の仕方まで詳細に指示した実施指針を通達しました。その結果、卒業生と在校生が向き合う対面形式は、国旗に正面向きでなくなると禁止、卒業制作を正面に飾るのも、国旗が掲げられないと禁止、式場には監視役の教育庁職員が複数で配置され、各学校で子どもの晴れの日をみんなで祝う心温まる式をと創意工夫してきた努力が乱暴に踏みにじられる結果となりました。
 そもそも日の丸・君が代が国旗・国歌に法制化されたといっても、それは国の象徴として公式の場で使うことはあっても、国民に強制することが認められたわけではありません。国旗・国歌法制定当時、小渕総理大臣も、国民に対し、国旗の掲揚、国歌の斉唱等に関し、義務づけることは考えておらずと明確に答弁しているように、個々の人に対して強制することがあってはならないというのが最低限のルールです。
 都教委は学習指導要領に基づいているといいますが、学習指導要領の押しつけ自体が行政による不当な支配を禁じた教育基本法に反することです。
 しかも、指導要領でさえ日の丸の掲示や君が代の斉唱の仕方までは決めていないばかりか、みずから学び、みずから考える力の育成、特色ある学校づくりをうたっています。がんじがらめの統制や命令は教育の場になじまないのはもちろん、学習指導要領をもってしても正当化できないものです。
 都教委の実施指針は、政府の国会答弁からも学習指導要領からも逸脱しており、学校教育の場に持ち込んではならない日の丸・君が代の強制であることは明白です。都教委の実施指針は直ちに撤回すべきです。答弁を求めます。
 都教委が指針に基づく職務命令に従わなかったとして、延べ四回にわたり二百四十八人の教員に処分を強行したことは、断じて容認できないことです。
 とりわけ重大なのは、生徒が起立、斉唱を拒否したことまで教員の責任として、五十七人の教員に厳重注意など事実上の処分を行ったことで、生徒自身の良心の自由まで踏みにじっている問題です。先生が処分されるなら起立しなければならないと感じる生徒は少なくありません。これは、みずからの意に反してでも起立、斉唱せよという生徒への卑劣なおどしといわなければなりません。
 実際に、ある都立高校では、卒業式の前に、君たちが立って歌わないと先生が処分されかねないので、大きい声で歌ってほしいと、校長が卒業生に頼んだと報道されています。これに対し、日の丸・君が代に対する評価の違いはあっても、学校教育の場でこんなやり方は許せないとの批判が各方面から集中しているのは当然です。多くのマスコミも社説で、起立せずで処分とは、生徒を苦しめるなと批判し、国際的に異常なこととして世界にニュースを流しました。
 都教委は、強制ではなく教育指導上の課題として指導などと説明していますが、都教委が、生徒が集団で起立しなかったり歌わない場合に担任教師を処分する方針は、明らかに子どもたちに、事実上、立って歌えと強制していることになるのです。
 この間、知事は、都教委の一連の処分を含む対応を、適切に対処していると記者会見で支持する発言を繰り返してきました。しかし、学校で生徒たちが日の丸・君が代にどういう態度をとるかは、憲法上の最も基本的な権利である思想及び良心の自由にかかわる根本的な問題です。教員の処分まで振りかざして生徒の心を縛りつけ、君が代を起立、斉唱させるのは、明らかに生徒自身の良心の自由を侵す憲法違反ではありませんか。
 知事、教員の処分を振りかざして生徒の良心の自由を踏みにじるようなことは直ちにやめさせるよう求めるものです。知事の答弁を求めます。
 学校教育で何より大事なのは、子どもたちが生き生きと学び、みずから考える力をつけることではないでしょうか。都教委は、教育行政本来の姿勢に立ち返り、学校への上からの管理統制や押しつけをやめ、卒業や入学の式を初め学校運営のあり方は、学校ごとに子どもたちを主人公にして創意工夫できるようにすべきことを強く求め、再質問を留保して質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 大山とも子議員の代表質問にお答えいたします。
 相も変わらぬ、木を見て森を見ないというか、換言すると、物事を一向に複合的に考えられない、とらえられない、まことに短絡的で、こういう共産党というのは、外国には昔──一昔、二昔前あったんでしょうが、非常に珍しい存在になっておりますな。老婆心で申し上げますけれども、今日の日本の社会における共産党の限界をしみじみ感じさせます。まあ、せいぜい次の選挙で頑張ることだと思います。
 まず、年金制度についてでありますが、現在、我が国は、世界の中でも相対的に豊かで平等な社会を実現し、高い生活水準を維持していると思います。これは、国民の自助、自立を前提とした努力に加え、国民皆年金制度や生活保護制度など、我が国の社会保障制度が一応有効に機能してきたせいともいえると思います。
 今回の年金制度改革の目的は、将来にわたって持続可能なものへと改革することと解釈しておりますが、改革についてさまざまな議論がありましょうが、どうも現況、多くの課題を先送りしている点では、決して十分ではないと思います。将来を担う世代に信頼され、かつすべての国民にわかりやすい仕組みとなるよう──そもそも、いろいろ知名の人間の未払いが問題になる、私もその一人ではございましたが、とにかくわかりにくい。それから、これは何も政治家だけじゃなしに、国民の納入義務者のうちの四〇%、額にして四〇%が未払いになっているというのは、これはやっぱり制度として異常な現況でありまして、そういう点でも、国民にわかりやすい仕組みとなるよう、制度の抜本的な再構築が必要だと思っております。
 次いで、経済給付的事業について、これまた毎度変わらない質問でありますけれども、基本的に所得格差の是正や所得保障は国の責任で対応すべきものでありまして、都が果たすべき役割は福祉サービスのインフラ整備など、都における福祉水準全体の向上を図ることであります。多様化する都民の福祉ニーズにこたえるため、都は、見直すべき事業は見直し、合理化し、必要な施策には財源を集中投入し、福祉改革を進めております。経済給付的な事業の見直しは、利用者本位の福祉の実現を目指す福祉改革の一環をなすものとして実施したものでありまして、既に都民の十分な理解を得ていると思います。
 次いで、国庫補助負担金についてでありますが、これは質問を聞いていて驚きましたな。共産党の皆さんとは意見をいろいろ異にすることが多い現況ですけれども、感覚のずれというか、認識のずれというか、まさか地方自治まであなた方が否定するとは思いませんでした。
 現行の国庫補助負担金は、地方交付税と並んで、国が地方の手足を縛る道具として利用されておりまして、自治を破壊している元凶の一つであります。国庫補助負担金を大事な制度とたたえるのは、本質的な改革を避けて、国の地方支配と地方の国依存を温存しようとする中央の官僚と同じ姿勢であります。到底、東京という自治体関係者の発言とは思えません。
 国庫補助負担金をなくすと国の責任の放棄につながるという主張のようでありますが、都は、抜本的な税源移譲とあわせて、生活保護や義務教育など基礎的行政サービスについて国の全額負担を求めております。何ゆえ批判されるか、全く理解ができません。
 次いで、住民福祉についてでありますが、都の提案の趣旨は、中央集権、官僚統制の画一的な制度を抜本的に改革し、自治体が自立して地域の実情に即した住民サービスを創意工夫できるようにすることであります。質問をお聞きする限りでは、都の基本的見解に賛同されてもよいのではないかと思いますが、内容をよくよく読まれることをお勧めしたいと思います。
 都立施設のあり方についてでありますけれども、社会経済状況や都民ニーズの変化に的確に対応するためには、都の限られた資源を有効活用していくことが重要であります。都はこれまでも、都民サービスの向上に向け、民間活力の活用や区市町村との役割分担の見直しを推進してまいりました。認証保育所や痴呆性高齢者グループホームの設置など、新たな都民ニーズにも的確に対応しながら、多様な主体による良質なサービスの提供と拡大を実現していきたいと思っております。
 執行体制の見直しは、現場の知恵を生かしながら都民サービスをより効果的に提供するためのものであり、ご指摘の点は全く当たりません。断っておきますけれども、現場というのは建物ではありません。
 次いで、都立病院改革についてでありますが、都立病院改革は、三百六十五日二十四時間の都民の安全と安心を支える患者中心の医療を実現し、都立病院から二十一世紀の新しい医療を創造し、東京から全国に向けて発信したい、そのために全都民の医療ニーズを鳥瞰的、バーズビューで見据えて改革を進めているところであります。
 改革に当たっては、民間活力の導入も視野に入れた効率的で質の高い医療の提供を目指しております。
 都民の期待と信頼にこたえるべく、今後とも都立病院改革を積極的に推進してまいります。
 次いで、都市再生についてでありますが、いつもながらのお尋ねですけれども、皆さんは熾烈な国際競争にさらされている日本の経済の現実を正確に認識しておられるんでしょうかな。逆にお聞きしたいような気持ちであります。
 日本の企業は今、中国や欧米との競争に勝ち抜くために、現場で働く人々が創意工夫を重ねながら必死に努力をしているのが実情であります。こうして生み出された貴重な富の中から都民サービスに投入される税金が賄われております。富を生む経済活動を支えるために必要な都市インフラを整備するのは、行政として当然のことでありまして、こうした生活環境の整備そのものも大きな福祉の一つだと心得ております。
 もとより都民生活への配慮をないがしろにしているわけでは決してありません。福祉や医療、環境など、全国に先駆けた積極的な取り組みを展開してきたことは、共産党は納得されないかもしれませんが、都民の方々はよくご承知のはずであります。選挙でそれを問いなさい、あなた方、この次。
 次いで、政策の方向転換をとのことですが、今申し上げたとおり、都は、都市再生の取り組み、福祉や環境など一体として都民サービスの充実に努めてまいりました。こうした都の姿勢は、都民の皆様に十分理解されていると確信しております。むしろ、生きた現実に目をつぶり、判で押したように空疎な批判を繰り返す皆さんを不思議に思っている向きが多いのではないでしょうか。それも次の選挙ではっきりと形にあらわれてくると思いますが、ゆえにも政策の方向を転換する必要は全くありません。
 次いで、社会資本整備の進め方についてでありますが、都財政は依然として厳しい現況にありますが、東京の再生にとって必要不可欠な施策であれば、それが経常経費であるか投資的経費であるかを問わず、限りある財源を重点的、効率的に振り向けていくというのが財政運営における私の基本姿勢であります。
 お話しの三環状道路の整備、羽田空港の再拡張及び国直轄事業などは、これまでも再三答弁してまいりましたとおり、現在及び将来の東京にとっては必要性、緊急性が非常に高く、東京が熾烈な国際競争を勝ち抜いていく上でも極めて重要な事業であります。
 今後とも、その着実な推進に向け、国と連携しながら、都としても必要な措置を講じてまいります。
 なお、この際、はっきり申し上げておきますが、私はこれまで国直轄事業負担金そのものが不合理であるといったことは一度もなく、また、内容の吟味もせずに国や財界のいいなりになったことは一度もございません。
 次いで、国旗・国歌の指導についてでありますが、教育公務員としてその職責を果たさない教員の責任を問うことは当然であり、都教育委員会の方針は妥当なものであると思っております。
 国家や公を批判することが正義であるかのような風潮がありましたが、地に足のついた現実感覚を身につけさせる教育が必要であります。
 今後とも、都教育委員会は毅然とした姿勢で学校教育の正常化に取り組んでいただきたい。
 なお、その他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 入学式、卒業式の実施指針についてでございますが、児童生徒が国際社会において尊敬をされ、信頼される日本人として成長していくためには、学校教育において国旗及び国歌に対する正しい認識を持たせ、それを尊重する態度を育てることは、極めて重要な教育課題でございます。
 にもかかわらず、入学式や卒業式等の儀式的行事において、国旗が参列者から認識できない位置に掲揚されたり、指導すべき立場の教員が国歌斉唱時に起立しなかったりするなど不適切な実態があったために、昨年秋に、学習指導要領に基づき適正に実施するよう具体的な実施指針を示し、通達を行ったところでございます。
 この通達に基づきまして、各学校長、校長が努力したことによりまして、この春の入学式、卒業式では大幅に改善をされました。
 都教育委員会としましては、今後とも、学習指導要領や通達、実施指針に基づき、教育課程の適正化を図り、都民に信頼される学校づくりに取り組んでまいります。
   〔福祉局長幸田昭一君登壇〕

○福祉局長(幸田昭一君) 福祉と都民施策のあり方に関します四点の質問にお答えいたします。
 まず、在宅酸素濃縮器の電気代助成及び介護保険利用料等の軽減措置についてでありますが、酸素濃縮器は医療保険によって貸与されており、利用に際して必要となる消耗品も医療保険の対象とされていることから、電気代の負担については、基本的に医療保険制度の中で解決されるべきものと考えています。
 また、介護保険制度においては、低所得者に配慮した所得段階別の保険料設定や高額介護サービス費の仕組みによる利用料の負担軽減などを行っています。
 さらに、都では、国の特別対策を拡大し、生計困難者に対する利用料の軽減措置を独自に実施しており、さらなる軽減措置を実施する考えはございません。
 次に、保育所の都加算補助についてでありますが、このたびの児童福祉審議会の意見具申は、都が認可保育所に対して、国基準の運営費に加えて手厚い補助を行っているにもかかわらず、都民ニーズの高い延長保育やゼロ歳児保育などの実施率が低い実態を踏まえ、サービス向上に向けた取り組みを促すとともに、子育て支援全体を拡充する方向で都加算補助を見直すべきことを提言しています。
 都は今後、この意見具申も踏まえ、補助のあり方についてさまざまな観点から検討してまいります。
 なお、各種補助金につきましては、時代状況の変化を踏まえて、その必要性や事業効果などについて不断の見直しが必要なことは当然であると考えます。
 次に、認可保育所の運営等に関する国基準についてですが、保育所の運営等は、基本的に国基準によって必要な水準を確保することができるものと考えます。問題は、現行の認可保育所は、公立と社会福祉法人を中心とした全国一律の画一的な制度となっているため、開所時間の延長やゼロ歳児保育などの大都市特有の切実な保育ニーズに的確にこたえられていないことであります。
 このため、都は国に対して、認証保育所を制度的に認めること、及び多様な事業者の参入とサービスの競い合いにより真に利用者本位の保育が実現するよう、直接契約の導入など認可保育所制度の抜本的改革を強く提案要求しています。
 最後に、子育て支援の充実と財源措置についてでありますが、申し上げるまでもなく、すべての子育て家庭に対する支援を充実していくことは重要なことであります。昨年の児童福祉法改正においては、子育て全般にわたる施策を担う区市町村の役割が一層明確になりました。こうした点を踏まえ、児童福祉審議会の意見具申においては、既存財源の効果的配分に努めるとともに、保育所への都加算補助などを見直し、区市町村が保育サービスの拡充を含む子育て支援全般の充実に活用できる包括的なものとすべきとの提言がなされたと受けとめております。
   〔病院経営本部長碇山幸夫君登壇〕

○病院経営本部長(碇山幸夫君) 都立病院改革に関します三点のご質問にお答えを申し上げます。
 まず、都立病院の東京都保健医療公社への移管についてでございます。公社への移管でございますが、地域におきます中核的病院として、地元の医療機関、診療所と密接に連携しながら地域に不足する医療を提供することによりまして、地域全体の医療サービスの向上を図るために行うものでございます。
 お話にありました大久保病院でございますが、これは四月から保健医療公社に移管したわけでございますが、この大久保病院につきましては、お話にありましたとは全く反対に、地域から、大変、大久保病院よくやっているという評価を私は受けてございます。
 加えまして、これもお話にありまして、ちょっと私も気になるわけでございますが、移管に当たりまして、医師がどんどんどんどん流出しているみたいなお話がございました。これは、病院というのは何かということになりますけれども、病院は、私ども──これは大久保病院だけではございません。病院におきましては毎年多くの医師が自主的に退職し、私どもはそれに伴ってさらにいい医師を大量に採用するという、これの、いわゆる繰り返しと申しますか、医師の流動性のこれは問題でございますので、この流動性の問題と、大久保病院の公社化に伴いますただいまのお話は、全く関係がないということをお話し申し上げておきたいと思います。
 今後とも、医療サービスの向上を目指しまして、かかりつけ医との連携を強化するなど、地域病院としての大久保病院のさらなる充実を図りますとともに、多摩老人医療センター及び荏原病院の公社への移管、これを今後とも着実に推進してまいります。
 次に、都立病院の役割や医療機能についてでございますが、都立病院改革に当たりましては、医療におきます各分野の専門家、医師会、民間病院など関係団体の代表、都民の代表などから成ります都立病院改革会議におきまして、都全体の医療提供体制を踏まえまして、都立病院の役割や各病院の医療機能などを既に明らかにしておりまして、ご指摘の点は全く当たらないと考えてございます。
 最後に、がん対策及び小児医療についてでございますが、都立病院の再編整備におきましては、駒込病院をがん・感染症医療センターとして整備し、他の医療機関では対応が困難ながん治療に取り組み、また、新たに、都におきます周産期・小児医療の拠点といたしまして小児総合医療センターを整備し、心と体を密接に関連づけた総合的な小児医療を提供していくものでございます。
 今後とも、都立病院では、このような医療機能の集約によります質的向上を図りながら、基礎的な自治体であります区市町村や民間医療機関との適切な役割分担のもとに、都におきます医療サービスの向上に努めてまいる考えでございます。
   〔知事本局長前川燿男君登壇〕

○知事本局長(前川燿男君) 三環状道路の整備に関連したお尋ねにお答え申し上げます。
 日本の経済活力の十分な発揮を阻んでおります大きな要因の一つに首都圏の都市インフラ整備のおくれがありますが、いわゆる三環状道路はその典型であります。三環状道路を整備して渋滞を解消することが、地方も含めた交通ネットワークの効率化をもたらし、日本経済全体の発展につながります。ひいては福祉や生活環境の向上など、都民サービスの充実にも大きく寄与することとなります。
 私どもは、そもそも三環状道路などの都市インフラ整備と住民生活の福祉とを対立させてとらえること自体が間違いであると考えております。例えば、都民生活を支える住宅の供給には交通インフラの整備が不可欠でありまして、各種の行政サービスは相互にすべて連関しているという現実を正確に認識することが必要であると考えております。
   〔環境局長小池正臣君登壇〕

○環境局長(小池正臣君) 環境にかかわる三点のご質問にお答えいたします。
 まず、環境審議会答申についてでございますが、現行の計画書制度は、事業者が任意にCO2削減目標を設定することになっておりますが、今回の審議会答申は、都が作成するガイドラインに基づき、事業者が削減計画を策定し、評価、公表することを義務づけており、さらに、東京都が指導助言を行うとともに、取り組み結果が社会的に評価されることにより、より高い水準の削減を達成される仕組みを提言しております。
 この答申内容は、全国に例を見ない先駆的な制度でございます。これは審議会として十分に議論して取りまとめられたものであり、お話のような、財界の意見により後退したとの批判は全く当たっておりません。
 都は、年内を目途に、実効性ある制度の構築を全力で進めてまいります。
 次に、都市再生の環境に与える変化についてでございますが、都市再生は、都市機能の高度化と合わせて公共的なオープンスペースの確保、敷地内の緑化、省エネルギーなど、環境に配慮した都市づくりを目指すものであり、お話のような、都民の生活環境をないがしろにするものでは決してございません。
 都は、開発事業については、条例に基づく環境アセスメント手続や建築物環境計画書制度、屋上等の緑化計画書制度などにより指導しており、都民の良好な環境の確保に努めております。
 今後とも、都市再生の中で、環境に配慮した都市づくりを推進してまいります。
 最後に、緑の自然の保全と拡充についてでございますが、緑は都市の温暖化を緩和し、生物多様性をはぐくみ、人に潤いや安らぎを与えるなど、東京の持続的発展に欠くことのできない重要な機能を持っております。
 このため都は、都市公園の整備や屋上緑化による緑の創出、丘陵地の里山保全、多摩の森林再生など、さまざまな施策に各局が連携して取り組んでおります。
 今後とも、限られた財源を有効活用するとともに、民間が設置した緑地などを含めた緑のネットワーク形成や緑地保全活動における企業との連携など、創意工夫を重ね、緑の東京計画に掲げる風格ある都市東京の実現に向け、緑をつくり、育て、守る政策を総合的に推進してまいります。
   〔八十番大山とも子君登壇〕

○八十番(大山とも子君) 二点の質問と、一つは意見をいいます。
 まず、国庫補助負担金についてですけれども、知事はこの国庫補助負担金について、国が地方の手足を縛る道具として利用されているといいましたけれども、補助金制度を理解していない発言で、私こそ驚きました。そもそも国庫補助負担金は、福祉や教育などの憲法で保障された国民の生存権、基本的人権にかかわるナショナルミニマムを保障する制度であり、そのための財源保障機能としての国庫補助負担金制度と、その運用上の問題とは別のものなんです。
 知事自身、義務教育や生活保護などの補助負担金の存続を求めているわけです。問題は、金も出すが口も出すではなく、地方の裁量と自主性をどう保障していくかの問題なんです。
 二酸化炭素排出量削減についてですけれども、私は、知事に質問を通告しました。知事、逃げないで答えてください。
 知事自身、記者会見で答申について、規制を伴わないああいう誘導策だけで、私はこの問題の解決はとても進まないと発言しました。私も同感です。であれば、審議会に再度諮問し、義務化に向けた取り組みを直ちに開始するべきではないですか、答弁を求めます。
 最後は、日の丸・君が代の問題です。
 知事は、私の質問にきちんと答えていません。知事に質問したのは、とりわけ重大な問題、すなわち卒業式などで生徒が起立して歌わなかった場合に、その責任まで担任の教員に負わせていることです。生徒に対して、教員への処分をされたくなかったら起立しなさいという強制になっていること、生徒の良心の自由の侵害になっていることを聞いているんです。
 知事は、学校の生徒は、憲法が保障する良心の自由も守られなくて当然というのですか。改めてお答えください。(拍手)
   〔教育長横山洋吉君登壇〕
   〔発言する者あり〕

○教育長(横山洋吉君) 先ほども申し上げましたが、学習指導要領に基づく国旗・国歌の指導といいますのは、内心の自由というよりも、重要な教育課題として位置づけられているものでございます。教員が準拠すべき学習指導要領が法規性を有することは、既に確立をした判例でございまして、その学習指導要領に基づいた教育を行わない、つまり適正な教育課程を実施しない教員に対して処分することは、至極妥当な対応であろうと思っております。
 いずれにしろ、教育委員会といたしましては、今後とも、教育現場の正常化に向け鋭意取り組んでまいります。
   〔環境局長小池正臣君登壇〕

○環境局長(小池正臣君) 先ほどの環境審議会の答申内容に関連いたしまして、義務化でいっていたのではないかと、また、それは規制的な内容ではないか、こういうようなことに関連しましてのご質問でございますので、私の方からお答えいたします。(発言する者あり)
 諮問に当たりまして、東京の地域特性を十分に踏まえ、一律削減義務を含め、CO2削減に向けた実効性ある仕組みづくりの検討を審議会にはお願いいたしました。
 検討を進める中で都が実施した実態調査によれば、事業所の省エネに対する……
   〔発言する者多し〕

○議長(内田茂君) 静粛に。

○環境局長(小池正臣君) 取り組み状況や事業形態は種々さまざまであることから、一律に削減義務を課すことは……(発言する者多し)方法は困難であり、仮に一律削減を課しても低い削減効果にとどまるという問題が明らかになりました。
 このようなことを踏まえまして審議会で議論され、今回の答申では、先ほど申し上げましたように、都が作成するガイドラインに基づいて事業者が削減計画を策定し、都が示す評価基準により、みずから評価、公表することを義務づけるとともに、個々の事業者に対して都が行う指導助言や都の評価、公表によりまして、事業者の取り組みが社会的に評価されることで、より高い水準の削減を達成される実効性ある仕組みが提言されたものでございます。
   〔発言する者、離席する者あり〕

○議長(内田茂君) 席に着いてください。

○環境局長(小池正臣君) これは全国に例のない先駆的な提言であり、都としては、この答申を踏まえ、制度構築を全力で進めていくものでございます。

○議長(内田茂君) 席に着いてください。

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