平成十六年東京都議会会議録第八号

○副議長(中山秀雄君) 六十二番石川芳昭君。
   〔六十二番石川芳昭君登壇〕

○六十二番(石川芳昭君) 私は、都議会公明党を代表して、当面する都政の重要課題について、知事並びに関係局長に質問をいたします。
 初めに、地方分権改革について伺います。
 これまでの経緯を見ていると、国のいわゆる三位一体改革は、国の財政再建を優先し、地方分権改革への配慮、とりわけ地方への税財源の移譲に関する配慮を欠いたものといわざるを得ません。
 先週末には、原案を一部変更して、骨太の方針二〇〇四が閣議決定されました。しかし、既定路線の税源移譲三兆円という数字合わせの目標を盛り込んだだけであり、具体案の審議を秋に先送りし、今後の改革の行方は依然不透明となっています。
 都は、これまでも地方分権改革の推進を主張してきましたが、先月には、地方分権改革に関する東京都の基本的見解を発表しました。この見解は、国のこれまでの取り組みを痛烈に批判し、正当な歴史認識を踏まえて、単なる地方税財政制度改革という枠を超え、我が国全体の発展を目指すべきことを基本的な視野に据えています。
 全国知事会を初めとして、これまでの提言は、いずれも現行制度を前提にした小手先の改善という域を出ていないのに対し、都の提案は、国の統治のあり方にまで踏み込み、あるべき自治の姿を目指すものとなっています。このような確固たる理念に基づく改革の提案が示されたことは、高く評価できます。
 今後、秋に向けて具体的な提案、東京試案、石原試案の発表を行っていくとのことですが、地方分権改革は、都民から見ると、自分たちの生活にどのようなかかわりがあるのかいまひとつわからない、それが率直なところであると思います。都の取り組みを大きな運動としていくためには、都民、国民の理解が不可欠であります。
 そこで、改革の必要性と意義を都民にわかりやすく示すべきでありますが、知事の所見を伺います。
 また、基本的見解では、大都市と地方が共存共栄を図るシステムをつくり出すべきであると、提案されています。大都市の経済活動や先端技術などが地方にもたらされる一方、地方の農産物、海産物などが東京を初めとする大都市の消費活動を支えるというように、もともと大都市と地方は共存共栄で成り立っております。大都市も発展し、地方もみずからの知恵と力を発揮して自立することが、日本全体の発展にとって今後一層重要であり、その意味で、都の基本的見解はまさに正鵠を得た提案だと思います。
 地方分権改革は、これからまさに正念場を迎えます。都として、改革を実りあるものとしていくために、大都市対地方という構図を超えて、全国の自治体が一丸となって国に対峙していくことが重要であります。そのためには、地方の自治体にとっても改革が必要だということを納得してもらう必要があります。
 都がこの秋に示す具体案は、地方の自治体にとってもプラスとなり、共感と安心感を与えるものでなければならないと思いますが、知事の所見を伺います。
 次に、介護予防対策について伺います。
 少子高齢化が急速に進む我が国は、既に六十五歳以上人口が二千五百万人に迫り、このまま推移すれば、二〇二五年には三人に一人が六十五歳以上の高齢者になります。したがって、社会保障制度の総合的な改革は、まさに待ったなしの緊急課題であります。
 中でも、介護にかかわる問題は少なくありません。厚生労働省の資料によれば、二〇二五年時点での要介護高齢者は五百三十万人にまで増加し、これにかかる費用は、今年度の五兆円から二十兆円へと、実に四倍にも拡大することと予想されております。
 一方、介護保険制度が導入されて以来、軽度の要介護者である要支援、要介護1の高齢者が急増するとともに、軽い症状の人が重度化する傾向が目立ちます。これは、現状の介護サービスの一部が、高齢者の生活機能の改善に結びついていない実態を浮き彫りにしています。
 このため、我が党は本年四月、健やかに年を重ねて介護を必要としない元気な高齢者をふやすため、介護予防十カ年戦略を発表しました。これは、高齢者人口に占める要介護者の割合を、十年間で三割減らすことを目標に掲げています。
 具体的な施策としては、高齢者向けの筋力向上トレーニングなど、介護予防プログラムに基づき、軽度の要介護者を対象に、身近な場所で身体機能の向上や健康増進、疾病予防などに取り組むことなどを提案しています。そして、その拠点を、当面は中学校区に一カ所、将来的には小学校区に一カ所整備することを目標にしています。これまで介護予防に熱心に取り組んできた都として、我が党の介護予防十カ年戦略についての評価、あるいは感想を、改めて示していただきたいと思います。
 次に、転倒予防対策についてであります。
 高齢になると筋力が衰え、転倒による骨折から寝たきりになる例が多いと聞いています。東京消防庁の統計によると、家庭からの救急搬送のうち、四五%が転倒による事故となっています。また、高齢者の転倒は骨折になる確率が高く、しかも当初の症状は軽いものの、治りにくいことが特徴となっています。
 現在、東京都老人総合研究所では、高齢者のそしゃく能力と運動機能低下の因果関係を研究しており、また、東京都老人医療センターにおいても、転倒予防策に積極的に取り組んでいると聞いています。
 そこで、この老人総合研究所の研究成果と現在までの取り組み、及び老人医療センターなどで検討、実施されている転倒予防対策を明示するとともに、筋力トレーニングの実施などの具体策について、見解を示していただきたいと思います。
 続いて、誤嚥性肺炎対策についてであります。
 日本では、現在、肺炎により死亡する人が急激にふえており、しかも、肺炎で死亡された人の九割が六十五歳以上の高齢者であります。この高齢者の肺炎がふえている要因は、誤嚥性肺炎の増加にあると指摘する専門家もいます。
 誤嚥とは、加齢などにより飲み込む力が弱くなり、誤って気管支に食べ物などが入ってしまうことをいいます。その際、口腔内の歯周病菌などの細菌が肺に入ると、肺炎を誘発しやすくなります。
 特に、身体機能が弱っている高齢者は、就寝中に繁殖した口腔内細菌を誤嚥しやすくなります。このため、日ごろから適切な口腔ケアを行うことにより、口腔内での細菌増殖を抑えることが、結果的に高齢者の肺炎を減少させ、生命を守ることにつながると考えられます。
 そこで、誤嚥性肺炎を防ぐため、歯科医療分野との連携を図り、口腔ケアを介護予防対策に取り入れ、広く啓発していく必要があります。所見を伺います。
 最後に、現在、特別養護老人ホームや老人保健施設には医師が配置されていますが、歯科医師や歯科衛生士による口腔ケアは十分になされていないのが現状です。要介護の入所者に対して適切な口腔ケアを行うことは、適度な脳への刺激にもなり、結果として介護時間の短縮や痴呆の抑止にも役立つと、専門家が指摘しています。
 そのため、特別養護老人ホームなどの入所施設についても、地域の歯科医師との連携を図り、歯科検診を定期的に実施するなど、歯科医療環境の整備を進め、介護予防を推進すべきであります。今後の都の取り組みを伺います。
 次に、都立病院改革について伺います。
 近年、医療を取り巻く社会状況は大きく変化しており、患者の権利擁護やインフォームド・コンセントに対する意識の高まりなど、患者のニーズが多様化、高度化しています。これらの変化に柔軟に対応していくことが、病院に強く求められています。
 そこで伺います。まず初めに、都立病院等の女性専用外来についてであります。
 昨年七月から、都立大塚病院で初めての女性専用外来が開始され、利用者から、女性の立場に配慮して診察していただけた、十分に時間をかけて診てもらえるので安心です、などの高い評価の声が寄せられています。患者中心の医療を進める施策として、高く評価するものであります。
 さらに、今後は、都立病院改革マスタープランの中で広域基幹病院として位置づけられている都立墨東病院と府中病院、また、都保健医療公社が運営する多摩南部地域病院、大久保病院にも女性専用外来を開設する方針でありますが、その開設時期がまだはっきりしておりません。都民の期待にこたえる意味で、いつオープンするのか明らかにすべきです。
 第二に、都立病院の歯科診療についてであります。
 歯科医療については、命に直接かかわることが少ないためか、がんや脳血管疾患などの疾病に比べ、その重要性が見過ごされがちであります。しかし、歯や口腔の健康は、食生活やコミュニケーションの充実のために重要な役割を果たすだけではなく、全身の健康や介護予防にも大きな影響を及ぼすものであり、都民の健康を守るためには、歯科診療の充実が重要であります。
 とりわけ、多岐にわたる疾病を持ち、全身管理が必要な患者の歯科診療については、いろいろな診療科の連携が必要であるにもかかわらず、現状では、十分な対応がなされないケースが多いと聞いています。
 そこで、都は、このような全身管理が必要な患者の歯の治療についても適切に対応できるよう、それぞれの地域の歯科医師会などと緊密な協力関係を築き、都立病院における歯科診療の充実を積極的に図るべきであると考えます。所見を伺います。
 次に、小児救急医療について伺います。
 合計特殊出生率が全国で最も低い東京では、社会保障制度の長期展望を開く上でも、少子化に歯どめをかける対策が不可欠です。そして、その最も重要な要素の一つが小児医療の充実であり、我が党は再三にわたって主張してまいりました。
 しかし、ここではいわゆる初期小児医療、つまり子どもの急な発熱やけがにどのように対応したらいいのかという、親たちの不安への対応策について質問をいたします。
 国は、本年度から夜間や休日にも小児科医師等が電話で相談に応ずる、小児救急電話相談事業を開始することになりました。その電話番号は全国共通でシャープ八〇〇〇番であり、この番号に電話すると、都道府県の転送器を経由してそれぞれの地域の小児科医師につながり、電話相談が受けられる仕組みです。幼い子どもを持つ親たちにとっては、夜間診療に駆け込む前に、電話で的確なアドバイスを得られるため、安心材料であり、朗報であります。
 また、救急患者を受け入れる病院側では、混雑が緩和され、重症患者の待ち時間が減るなどの効果も期待されます。
 そこで伺います。
 第一に、都はこれまで夜間電話相談を受け付ける母と子の健康相談室を実施していますが、電話相談事業のより効果的な展開を図るため、早急にシャープ八〇〇〇番を活用した小児救急電話相談事業を実施するべきであります。所見を伺います。
 第二に、小児三次救急医療についてであります。
 現在、都は、生命の危険を伴う重症患者に対応する二次救急医療については、救命救急センターを都内二十一カ所に整備して対応しています。しかし、小児は、先天性疾患など小児特有の疾患が多く、また臓器が発育途中で身体機能が未熟であるなど、成人とは異なる特徴があるため、二次救急医療機関での対応が困難な場合が少なくありません。症状が重症化する場合、小児はそのスピードが速いといわれており、小児の症状や疾患に対応できる医療機関に迅速に搬送できる体制の整備が必要です。
 そこで、都は、都内に存在する大学病院などの高度な小児医療の機能を、三次救急医療体制においても有効に活用し、初期、二次救急と合わせ、小児がいつでもどこでも症状に合った適切な救急医療を受けられるネットワークを、早急に構築すべきであります。所見を伺います。
 次に、温暖化対策について伺います。
 先月十六日、経済産業省は今後のCO2の排出見通しを発表しました。それによると、今後省エネなどの対策を進めても、二〇一〇年度の排出量は十一億トンに上り、京都議定書の目標達成は極めて困難であることが明らかになりました。
 一方、東京都では、環境基本計画において基準年度である一九九〇年度に比べ、二〇一〇年度には温室効果ガスを六%削減することを目標としています。そのために、都は屋上緑化、低燃費自動車、建築物環境計画書制度を導入してきましたが、これらによる温室効果ガスの削減効果を明示し、あわせて今後の見通しを明らかにしていただきたいと思います。
 また五月十日、東京都環境審議会は、「東京都における実効性ある温暖化対策について」と題する答申を出しました。ここでは、地域温暖化に加え、都市の温暖化ともいうべきヒートアイランド現象を取り上げ、さらに他県に比べ特にシェアの多くなっている業務部門対策に着目するなど、東京の地域特性を生かした対策の提言が行われています。
 今後、都の削減目標を達成するためには、これらの提言の制度化を進めることが極めて重要であります。
 都内におけるCO2排出量は全国の約五%に過ぎず、また答申の提言が対象としている分野も限定的であるとはいえ、国内最大の自治体である東京都が、国に先行する施策を展開することは極めて大きな意義があります。ディーゼル対策同様、再び都が国をリードすべきであります。知事の所見を伺います。
 こうした個々の省エネ対策の積み重ねも重要でありますが、より本格的な対策としては、エネルギー源の転換を避けて通ることはできません。再生可能エネルギーやクリーンエネルギーの導入を進めるとともに、今、注目を集めている燃料電池の活用を図るべきです。トヨタやホンダなどの自動車メーカーが開発に熱心ですが、こうした自動車への活用だけではなく、事業所などの電力需要を賄うことができれば、環境への影響は極めて大きいものがあります。まず手始めに、都の公共施設や文化・スポーツ施設などで試験的に燃料電池システムを導入できないか、所見を伺います。
 次に、防災対策として、災害発生時における通信機能の確保について質問します。
 正確で迅速な情報収集と伝達は、災害対策上の生命線の一つであります。情報の収集伝達手段としては、有線の固定電話や携帯電話などがありますが、例えば昨年七月二十六日、震度六強を観測した宮城県北部の地震では、通信施設そのものに被害が少なかったにもかかわらず、安否を確認する電話などが殺到し、有線電話や携帯電話の回線が混乱を来しました。そのため電話会社では、通信システムの機能停止を防ぐ目的で、約四時間にわたる回線規制を行い、一般市民などの電話が全く使用できなかった実例があります。
 災害対策を進める上では、あらゆる社会的機能を利用して情報伝達手段を確保することが重要であり、その意味で注目すべきはアマチュア無線であります。
 アマチュア無線は、災害時、電波法五十二条で、人命の救助、災害の援助、交通通信の確保または秩序の維持のための無線通信による非常通信業務が可能とされています。したがって、都はこうしたアマチュア無線を活用した情報システムを構築すべきです。
 現在、社団法人アマチュア無線連盟東京都支部に加盟する会員は約九千人に上ります。災害時にこうしたアマチュア無線家の方々の協力を得ることができれば、災害発生時の情報収集、情報伝達等をより飛躍的に向上、拡大することが可能です。都の認識を伺います。
 また、アマチュア無線を活用するには、関係分野との日ごろからの連携、協力が不可欠であります。そのため、都の総合防災訓練にアマチュア無線家の皆様にも参加していただき、災害発生時に必要な情報の収集伝達の方法について研修や訓練を行うことが重要です。所見を伺います。
 さらに、アマチュア無線を活用した情報システム構築のために、災害時における役割分担や行政との連携、あるいはマニュアルの作成など、事前の体制の整備が不可欠であります。そこで、これらの課題を検討する連絡協議会などの立ち上げを提案するものでありますが、所見を伺います。
 次に、心身障害教育の改革について質問します。
 障害を持つ児童生徒が、福祉という公助に頼った一生を送るのではなく、持てる能力を最大限に拡大し、地域社会を支える担い手の一人として社会参加を果たし、生きがいのある生活を送れるようにするために、新しい障害教育のあり方が模索されています。
 国は、そのために特別支援教育を打ち出しましたが、これが目的どおりの成果を得るためには、都としてのさまざまな対策や独自の取り組みが必要です。そのため都は、この秋までに心身障害教育改革に関する行政計画を策定し、東京独自の障害教育の中長期的な展望を明らかにすると聞いています。
 そこで、まず最初に、この秋策定される行政計画を貫く理念について、その内容を明らかにしていただきたいと思います。
 第二に、行政計画策定に当たっては、知的障害養護学校の教室不足解消、肢体不自由児養護学校の通学負担の軽減、都立高校に通う障害を持った生徒に対する支援など、克服すべき課題が数多くあります。これらの緊急に取り組むべき課題については、行政計画とは別に、柔軟かつ速やかに実施していくべきであります。
 同時に、数ある課題の中には、中長期的なスタンスで取り組んでいくべきものもありますが、実現するまでの期間を明らかにすべきです。
 さらに、養護学校の再編整備は、学校関係者や保護者、都民の意見を十分に踏まえ、合意と納得を得ることが重要です。行政計画の計画期間や計画実現への取り組みの方針について、都教委の所見を伺います。
 第三に、都立盲・ろう・養護学校の再編整備に当たっては、児童生徒の急増対策といった緊急的対応にとどまらず、社会参加と自立を促すための後期中等教育の充実という観点が必要であります。
 その意味で、我が党が従来から主張してきた知的障害学校への職業学科の増設、病弱養護学校の高等部設置、さらには、ろう学校の中高一貫型教育校の設置などは早急に実現すべきであります。そして、こうした新たな学校の整備に当たっては、高校改革により閉校となる高校跡地の有効利用を考えるべきですが、所見を伺います。
 次に、本年三月に公表された都立学校評価システム確立検討委員会の二次報告に関連して伺います。
 この報告では、都教育委員会に学校経営診断の導入を提言しております。私は、都が学校の設置者として教育活動を検証する必要性については十分理解しますが、この都教委の診断が学校のランクづけとなったり、校長、教職員の一方的な評価につながるようなものであってはならないと考えます。そこでまず、この学校経営診断導入の目的と意義を明らかにしていただきたいと思います。
 さて、学校の設置者として都道府県教育委員会が学校を診断するというのは、全国でも初めての取り組みであり、大きな注目を集めることは必至であります。その意味で、実施に当たっては慎重な検討が必要です。
 例えば、あらかじめ学校経営上に問題があることを把握していながら、都が特別の支援もせず、いきなり診断を実施することは、ただ単なる問題点の指摘あるいは譴責にとどまり、学校にとって非常に酷なことであります。
 学校経営診断を実効性のあるものにするためには、都教委が人事や予算面で既に支援している学校を対象として、支援内容が適切であったかどうかを検証すべきです。そして、その中でノウハウを蓄積し、適切な診断方法を確立するとともに、その成果を他の学校の支援に生かしていくべきであると考えます。
 いずれにしても、二次報告で学校経営診断の導入が提言された以上、具体的な実施方法を早急に明らかにし、いたずらに学校を不安に陥れることは避けなければなりません。今後の都教委の学校経営診断に臨む方針を明らかにすべきです。
 次に、都立学校経営支援センターについて質問します。
 この経営支援センターは、各学校の事務量を軽減するとともに、さまざまな原因で学校運営に苦慮している校長、副校長を支援することが目的です。いい方を変えれば、真の意味での学校の自立的経営を支援するため、現行の縦割り行政を廃し、学校の身近なところでよりきめ細やかな支援を実現するところに重要な意義があると考えます。
 特に、学校経営の根幹である教職員の人事や教育課程の管理などについての支援は、学校の自律的経営を実現する上で効果は非常に大きいと思われます。経営支援センターには、ぜひともこの人事異動と教育課程の管理に対する支援を加えるべきです。センターの機能、組織、設置数などを含め、所見を伺います。
 次に、学校の安全について質問します。
 今月一日には、佐世保市で痛ましい事件が起きました。真相の解明が待たれますが、今は心から被害者のご冥福をお祈りしたいと思います。
 しかし、事件の持つ重みを考えると、都としても、インターネットと子どもたちのかかわり方について改めて検証し、再発防止に努める必要があると思います。最初に教育長の所見を伺います。
 さて、町の安全や治安の問題とともに、学校の安全に改めて関心が集まっています。大阪池田小学校の事件を持ち出すまでもなく、全国的に児童生徒を凶悪犯から守るための対策が重視されています。
 ちなみに、外部からの侵入者によって引き起こされた学校内での犯罪は、昨年一年間で九十九件に上っています。したがって、学校における子どもたちの安全の確保は、保護者のみならず都民の最大の関心事の一つであります。このような状況に対して知事はどうお考えか、所信をお示し願いたいと思います。
 さて、我々公明党は、本年二月から三月にかけて、都内の区議、市議、町議と連携し、小学校安全サポート運動と位置づけて、学校長を初めとする関係者を対象に、学校の安全確保に関する聞き取り調査を実施しました。訪問した小学校は約五百三十校、これは都内全小学校千三百二十三校のおよそ四〇%に当たります。
 この調査で判明したことは、現在の学校は外部からの侵入者に対して極めて脆弱であるということです。学校を建設する際にはそもそも外部からの犯罪者の侵入など想定しておらず、これはある意味では仕方がないことでもあります。
 そこで、学校の現場からは幾つかの安全確保のための共通した要望があることがわかりました。
 まず、最も多かったのが安全監視員、スクールガードとでも呼ぶべき人員の配置です。都は、OB警察官による巡回型のスクールサポーター制度を予定していますが、それをもう一歩進めた対策が求められています。ボランティア、シルバー人材センターなどの活用を含め、検討すべきであります。教育長の所見を伺います。
 また、地域ぐるみで学校を支援し、見守るための体制づくりも不可欠です。現在、学校運営評議会が各地に設置され、地域参加の学校運営が試みられていますが、学校の安全確保の観点からの協議も重要です。地域参加の安全確保策について見解を伺います。
 さらに、我々の調査に寄せられた要望には、警察、消防と連携しての通学安全マップの作成、総合的な学習の時間を活用しての防犯教育の実施、教職員のための防犯訓練や研修の充実強化、防犯カメラや出入り感知センサーの設置、盲・ろう・養護学校と警察を結ぶ緊急通報システムの整備、携帯電話やパソコンのメールを活用した防犯情報システムの整備などが挙げられます。どれももっともなことばかりであり、可能なことから一つ一つ手をつけていくべきであります。
 小学校の管理は、基本的には区市町村の管轄でありますが、都教委も必要な支援、施設、制度の整備などを実施すべきであります。所見を伺います。
 次に、文化行政について伺います。
 二十一世紀の我が国のあるべき姿は文化芸術立国であると考え、公明党は、文化芸術を振興する基本法の制定を強く提唱し続けてきました。こうした活動が実り、平成十三年には国において文化芸術振興基本法が制定され、今後の文化政策の進むべき方向性が示されました。さらに、引き続き平成十四年には、国は、文化芸術振興策を総合的に推進するための文化芸術の振興に関する基本的方針を制定いたしました。これには国の具体的な振興策が盛り込まれています。
 一方、都においては、我が党の強い主張により、国に先駆けて昭和五十八年に東京都文化振興条例を制定しております。この条例のもとで、伝統的な文化や歴史的建物を保存、継承するとともに、音楽や現代アートなどさまざまな芸術分野を支援し、広く都民に芸術文化に親しむ機会を提供してまいりました。
 最近では、公園や駅の広場などで大道芸人が活躍するヘブンアーチスト事業や、築地市場の事務所を練習場として演劇団体に貸し付けるけいこ場支援など、石原知事が就任して以来、ユニークな文化事業が展開され、都民からも好評を博しているところであります。
 そこでまず、文化人でもあり、文化芸術振興について高い見識をお持ちの知事に、文化芸術振興策に対する所信を伺います。
 ところで、最近、都内にはさまざまな文化芸術団体が活動しておりますが、練習を重ね、技量をアップさせても、彼らには発表の場がなかなか見つからないとか、練習したいのに適当なけいこ場がない、たとえ見つかっても、騒音や振動などの苦情が心配で十分な練習ができないなどという悩みをたびたび耳にいたします。また、若い芸術家の皆さんの多くは、すばらしい才能を持っているにもかかわらず、経済的な理由からその才能を開花させる機会が持てないという実例も数多くあります。
 都としては、知事みずからがワンダーウオールやワンダーサイトの事業を立ち上げるとともに、東京アートインデックスという応援サイトをアーチストに開放するなど、新進アーチストの要望にこたえております。
 そこで、こうした事業のさらなる発展を図るとともに、一つの窓口に行けば多様で複雑な文化芸術施策の相談が可能な、ワンストップサービスの制度を設けるべきであると提案いたします。所見を伺います。
 また、今後、こうした新進アーチストのための発表の場や練習の場の確保により一層力を入れていくべきであります。そして、このような若手芸術家支援など、文化芸術振興策や支援策を着実に前進させるためには、都の条例のもとで新たな文化芸術振興基本方針を定め、公表すべきであります。見解を伺います。
 次に、指定管理者制度について伺います。
 指定管理者制度の導入により、これまで都の監理団体など公的な団体にしか管理を委託できなかった公の施設について、民間事業者が参入できるようになりました。新たに民間事業者が参入することにより競争性が働くことで、結果として都民がより高いサービスが受けられるようになれば、まことに結構なことであると思います。
 しかし、公の施設を一くくりにして、どの施設でも効率性と採算性で競争させ、民間活力を一律に導入すればよいという短絡的な考え方であれば、強い危惧を覚えます。公の施設は、公の目的のために行政が設置する施設であり、したがって、指定管理者制度を導入し、民間事業者を参入させるに当たっては、施設の性格と目的に十分配慮する必要があると考えます。例えば、民間でも同種の施設が数多く存在するとか、また、十分な経験がなくとも比較的容易に管理できる施設であれば、積極的に民間参入を進めるべきだと思います。
 しかし、都の公の施設の中には、そうではなく、むしろ民間の参入には慎重に対処すべき施設も少なくありません。したがって、指定管理者制度はあくまでも施設の性格や特性に応じて運用していくべきであります。見解を伺います。
 最後に、水道局及び下水道局職員に支給されている業務手当について申し上げます。
 本年二月の定例会で包括外部監査人から、下水道局職員に支給されている業務手当について、支給する必要性、合理性についてどうしても納得することができないと厳しく指摘されました。
 この手当の支給が始まった当時の事情や、その後、幾度か自主的な見直しが行われてきたことは十分承知しています。しかしながら、現在の社会経済情勢や都民感情からは、両局の職員であるだけで特別な手当が支給されるなどということは到底理解されるものではありません。監査報告の趣旨を受けて、廃止を含めた抜本的な見直しを行うべきであります。
 見直しに当たっては、労働組合との協議も必要なことから、水道、下水道の両局は既に組合に同趣旨の見直し提案を行ったとのことですが、労使双方が都民の目線に立って速やかに合意するよう強く求めまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 石川芳昭議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、地方分権改革の必要性と意義についてでありますが、繰り返して申し上げてきましたけれども、現在の自治制度なるものは、戦後日本の発展に大きく貢献はしましたが、今日の国際環境や社会状況の変化に対応できず、既に有効性を失っていると思います。全国画一の、国の地方丸抱えの行政の制度が自治体の創意工夫を妨げ、またその発想力も阻害して、持っている可能性というものを十分に発揮させていないと思います。
 いつもいっていることですけれども、保育サービス一つ見ましても、東京という大都会の働く若いお母さんが多い地域性というものを全くしんしゃくせずに、相変わらず国の決めた規格にそぐわない保育所は認可の対象としないと、こういう非常に硬直的な発想で行政が行われているわけでありまして、東京はそれを認証保育所ということで拡大しておりますけれども、こういう国の画一的な姿勢というものは、保育のニーズに的確にこたえることができないと思います。
 また、財政面から見ましても、国と地方を合わせた長期債務というのは七百兆円にも上っているわけでありまして、既に破綻していることは明らかであります。
 分権改革は、我が国の将来を左右する極めて重要な問題でありまして、幅広い都民、国民の理解が不可欠でありますが、行財政制度のあり方全般にかかわり、なかなかなじみにくい。
 先般もある会合で、与党を構成している国会議員の諸君に会いましたけれども、この問題について余り熱心でないというか、某大与党の都連会長は、そういえばうちの国会議員でこれを議論するのいませんなというから、君だって国会議員だろう、頼むよといってきましたが、やはり税制そのものが干からびてこんがらがっておりまして、まして一般の国民には理解しにくいような対応でありますが、いずれにしろ、これをもう一回ばらばらにして仕組みをつくり直す必要が歴史的にあると思います。
 都は、具体的な制度提案とともに、改革の本質的な意義についてもわかりやすく示していくつもりでございまして、住民と日夜接しておられる都議会の皆様の積極的なご協力とご理解、またご意見を賜りたいと思うわけでございます。
 分権改革の具体案についてでございますが、現在の自治制度は、自治とはいいながら、中央集権、官僚統制の建前でありまして、それが本質的に一向に変わっておりません。
 国税の再配分は国家財政の四割にも達しておりまして、これが国の地方支配と地方の国依存をはぐくんでいるわけであります。全国の四十七の都道府県のうちで地方交付税の不交付団体が東京だけという現状は、異常としかいいようがありません。
 政策面を見ても、地方は、国の縦割り、全国画一の仕組みのもとで、地域の実態に即した政策を創意工夫できないのが実情であります。
 国の財政責任を明確にし、あわせて抜本的な税源移譲を実施すれば、多くの自治体の財政的自立が可能になるはずであります。例えば国と地方の税源配分を現行の三対二から一対一に改めるだけでも、我が国の人口のおおむね半分を擁する自体が不交付団体となってまいります。
 すべての自治体にとってプラスとなる改革を実現するため、全国の自治体と力を合わせて取り組んでいきたいと思っております。
 次いで、温暖化対策で都が国をリードすることについてでありますが、先般も、東京都環境審議会で非常にポジティブな答申をいただきました。その答申の基本認識は、現在、国のレベルにおいてCO2削減の実効性のある総合的な対策は打ち出せていない、都が経済活動を阻害することなく効果的な対策を率先して取り組み、国を動かすことが肝要であるという基本的なスタンスでございます。ゆえに、新しい制度として、ガイドラインに基づく削減目標を設定し、次いで削減結果等についての評価を公表する、そして特にすぐれた事業者は表彰させていただくという、今まで全国に例を見ない先駆的な制度をこれから実現していくつもりでございます。
 地球温暖化対策は、何といっても国の役割というか、その前に決心が必要でありますけれども、どうも国は実効性のある対策をなかなか打ち出せない状況にあります。
 東京は、カナダ一国に相当する経済規模を持っております。ゆえに、エネルギーの多量の消費都市として、温暖化対策に率先して取り組むことが必要であると認識しております。
 都は、年内を目途に、大都市の特性を踏まえた先駆的な、今申しました温暖化対策の制度構築を進めてまいります。
 温暖化阻止に向けた明確なメッセージを発して、八都県市など他の自治体とも連携して、国を動かす大きなうねりをつくっていきたいと思っております。既に、首都圏を構成する四都県でディーゼルの規制をしまして、大きな効果が上がっているんですが、なぜかこれが国の認識にとまらずに、東京にやってくるとひっかかる車が、みんな大阪とか名古屋に回っている。こういうていたらくを何で、──国が掌握して国民全体のために、東京だけじゃなしに同じ規制をして、日本全体の、特に他の大都市圏の空気、環境というものを改善する努力をしないのか。これは私、認識不足というか、知っていて知らぬふりをする、地方に先にやられたことがいまいましくて国ができないというなら、これは政治家の責任の履行にはならないと思いますので、これから国を督励して、この問題もそうでありますし、またディーゼルの問題も、首都圏で先鞭をつけた成功事例というものを──決して個を誇るわけではございません、国民のために国全体に普遍していく努力を、都議会の声援を背中にしながらやりたいと思っております。
 次いで、学校における子どもたちの安全確保についてでありますが、先般、大阪の池田小学校で、宅間なる異常な犯人が異常な無差別の殺人事件を起こしました。これは非常に象徴的な事件だと思いますが、社会が非常に大きくゆがんで、予期できない出来事が次々に起こってくる、そういう風俗、社会の変化の中で、学校といえども、決して児童生徒にとって安全で安心のできる聖域とはいえなくなっているわけでありまして、そういう社会の本質的な変化というものを、学校の管理当事者も、また父兄もやはり認識して、新しい危機意識と申しましょうか、時代に即応した危機意識で学校の安全管理の体制づくりを行うことが、何よりも優先されなくてはならないと思っております。
 ただ、学校が第一義的には対応するとしましても、おのずから限界がありまして、その実効性を高めるためには、学校と保護者と、さらに地域が一体になって、まさに共助という形での地域ぐるみの地道な活動を行うことが必要であると思っております。
 次いで、文化振興についてでありますが、芸術文化は、人間の個性の一番鋭い発露であります感性、情念が収れんされてでき上がってくる、いわばフルーツであります。
 スポーツの競技者が、勝負に勝つために肉体を訓練してすばらしいものに仕立てていくように、芸術家もやはり、肉体の芸の表示の触手と申しましょうか、情念を整えて磨かなくてはなりませんが、そういう極めて個人的な、目に見えにくい仕事というものを行政がとやかく左右できるものではありません。
 ただ、やはり芸術家が切磋琢磨する、自分の個性を伸ばしていき、作品を完成していく、そういう創作活動をできる限りにおいて支援していくことは、成熟したこの国家社会において、まして東京のようないろいろな集積のある大都市では必要なことではないかと思います。
 それなりに、せっかくあいている議会棟へつながるあそこの壁も、私も今でも描いていますが、これはいい壁だなと思いましたので、若い人に開放しようということで、今もなかなかおもしろい作家が展示しております。きょうあたりから作品がかわったんじゃないでしょうか。彼もワンダーサイトの方で応募して、しかも、この壁から、ワンダーウオールから育った人ですが、この間、知事賞をとった人であります。
 小さな試みでありますけれども、ワンダーウオールからワンダーサイト、あそこでやっている催しが非常に、限られておりますけれども、外国の若い作家の中では有名になりまして、東京のコンテンポラリーアートというとワンダーサイトになったようで、若い人材が東京のポップなアート、コンテンポラリーなアートというものを説明するときに、自分たちの作品を発表してパフォーマンスに参加した、あのワンダーサイトを挙げてくれるようになった。非常にうれしいことで、わずか二年足らずの間ですけれども、大変充実してきたなと思いますが、ひとつ皆さんにご協力願いたいのは、そういうところにやってきて作品を発表する外国の若い作家も、そう裕福ではありません。日本にもうちょっと長いこと滞在して、安く住みながら仕事をしたいと。一年も二年もというわけにいきませんけれども、そういう居住の空間というものを、ちょうど墨田の方でやりました、インキュベーターのために建物をただで三年間開放する。だめなら出ていってもらうけれども、もうかったら半分株を持たせてもらうと。芸術の場合にはそうもいきませんが、そういう施設をつくりたいと思っています。
 渋谷に何かわけのわからぬ建物がありまして、上は都営住宅になっていまして、下は何かごちゃごちゃありますが、最初、あそこはちょっとにぎやか過ぎるということだったんですけれども、私は、あそこは使いようで、ああいうところの方が若い人は刺激も受けますので、新しいそういう施設をワンダーサイトの分店として、画廊も兼ねて渋谷につくりたいなと。予算措置についても、ひとつ議会のご理解を賜りたいと、この場所を利用してお願いする次第でございます。
 なお、他の質問については、教育長及び関係局長から答弁します。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教育に関します十点の質問にお答え申し上げます。
 まず、特別支援教育に関しまして、今年度策定を予定します、心身障害教育改革に関します行政計画の基本理念についてでございますが、行政計画の策定に当たりましては、障害のある児童生徒一人一人の能力を最大限に伸長するために、乳幼児期から学校卒業後までのライフステージを見通した多様な教育を展開して、社会の担い手となる力や身近な地域の一員として生きていける力を培い、ノーマライゼーション社会の実現に寄与していくことを基本理念としてまいります。
 次に、この行政計画の計画期間や計画実現に当たっての取り組み方針でございますが、行政計画は十年間程度の長期計画としまして、それを第一次から第三次の実施計画に分けまして、段階的に実施していく予定でございます。ご指摘のような普通教室の確保や通学負担の軽減といった緊急に対応すべきものにつきましては、個別に必要な対応をしていきますとともに、計画に盛り込んで、可能な限り早い時期に実施できるよう検討してまいります。
 また、この計画は今年秋に策定する予定でございますが、都立盲・ろう・養護学校の再編整備を含む計画の骨格など中核部分につきましては、ことし夏に案としてお示ししまして、学校関係者、保護者を初め、広く都民の意見をお聞きしながら策定をしていく予定でございます。
 なお、お話の都立高校に通う障害のある生徒に対する支援につきましては、都教育委員会はこれまでも、生徒、保護者の意向を踏まえまして、障害の状況などに応じて、施設、設備への配慮や指導方法、内容の工夫を行っているところでございますし、今後とも、学校と連携をしながら、障害のある生徒が充実した高校生活を送ることができるよう、施設、設備の整備や校内体制の構築、指導方法、内容の工夫など、学習環境の整備を適切に実施してまいります。
 次に、後期中等教育の充実や高校跡地利用についてでございますが、ご指摘のとおり、障害のある児童生徒が社会参加や自立を実現できるためには、後期中等教育の充実が重要であると認識をいたしております。そのため、今年秋、策定する行政計画におきましては、知的障害の軽い生徒のための職業教育の充実、病弱者を対象とした後期中等教育の充実を図りますとともに、ろう学校の中高一貫型教育につきまして、その実施に向け具体的に検討してまいります。
 また、都立盲・ろう・養護学校の再編整備に当たりましては、現在の盲・ろう・養護学校の施設だけでは、児童生徒の増加などの諸課題への対応が困難でございますことから、閉校予定の都立高校の活用など、現有教育財産の有効活用を図っていきたいと考えております。
 次に、学校経営診断に関しまして、まず学校経営診断の導入の目的と意義でございますが、都教育委員会による学校評価である学校経営診断は、学校のランクづけを目的としたものではございませんで、各学校長が策定しました学校経営計画に基づく教育活動が組織的かつ適切に行われているかどうかを検証するものでございまして、その検証結果に基づきまして、個々の学校に応じた支援、指導を行い、都民に信頼される魅力ある学校づくりを進めてまいります。
 次に、学校経営診断に臨む方針についてでございますが、設置者によります学校評価は、全国で初めて実施するものでございまして、診断手法が確立いたしておりません。このため、まず都教育委員会が重点的に支援策を講じている学校を対象に診断を行いまして、有効な診断手法を確立する必要があると考えております。
 学校経営診断導入の初年度となります平成十六年度につきましては、平成十五年度に重点支援校に指定し、人事、予算、施設面で支援を行っております十五校を対象に、目標の達成度合い、支援の効果等を中心に経営診断を実施したいと考えております。
 なお、経営診断は、外部の有識者の意見を取り入れまして、より実効性のあるものにしていく予定でございます。
 次に、学校経営支援センターの機能、組織及び設置数などについてでございますが、この支援センターは、業務支援と経営、教育支援の二つの機能を担う組織でございまして、業務支援につきましては、学校事務室が経営企画機能を担えるよう、現在、各学校ごとに行っております経理、施設管理その他の事務を、可能な限り支援センターが集中処理するよう検討いたしております。
 一方、経営、教育支援につきましては、学校を身近なところで支援するため、柔軟で機動的、専門的な支援体制を整備しますとともに、ご指摘の趣旨を踏まえまして、学校経営の根幹となります実施権限を支援センターに移譲するなど、着実に改革を進めていきたいと考えております。
 また、この支援センターは、地区は東部、中部、西部の三つに分けまして、都内六地域に設置して、これまで以上に目の行き届いた支援を行うことができるよう、今後検討を図ってまいります。
 次に、学校の安全に関しまして、まずインターネットと子どもたちのかかわり方についてでございますが、情報化社会におきまして、児童生徒にインターネット等の適切な活用の仕方を指導することは極めて重要でありますことから、都教育委員会としましても、インターネットやコンピューターの適切な活用について各学校に指導しますとともに、警視庁と連携を図りまして、児童生徒や保護者、地域の人々が参加しますハイテク犯罪対策シンポジウムの啓発活動等を実施しているところでございます。
 今後、情報教育推進のための協議会におきまして、インターネットと児童生徒との望ましいかかわり方について検証いたしまして、その結果を指導資料としてまとめて都内の全公立学校に配布するなどしまして、インターネット等の適切な活用方法について啓発を進めてまいります。
 次に、学校の安全管理についてですが、これまでも区市町村教育委員会におきましては、各学校で児童生徒に防犯ブザーを持たせたり、地域の健全育成団体やPTAが中心となりまして、地域ボランティアを募り、地域パトロールを行ったりするなど、安全な学校づくりに取り組んでいるところでございます。
 しかしながら、近年、児童生徒が犯罪被害に遭った事件が発生しておりまして、児童生徒が安全で安心できる学校生活を送れる学校づくりがより一層求められておりますことから、今年度から三年計画で、警視庁と協力しまして、家庭、学校、地域社会が連携しましたセーフティー教室を全公立小中学校で実施するとともに、その成果を生かしまして、地域ぐるみの自主的な活動をより一層促進してまいります。
 さらに、お話のような、義務教育を担う学校の安全管理を図っていく上で必要な人員の配置につきまして、国が区市町村の取り組みを補助する制度を新たに創設するよう、国に要望してまいります。
 次に、地域参加の安全確保の方策についてでございますが、学校安全につきましては、学校が防犯についての危機意識を持ちまして、地域や関係機関との連携を深めますとともに、危機管理マニュアルに基づく防犯訓練を行うなど、計画的に安全指導を行うことが重要でありますことから、都教育委員会としましても、昨年度から、警察等関係機関と連携しまして指導者防犯教室を実施して教員の危機管理能力を高めるなど、学校における安全管理の充実を図ってまいりました。
 今後、地域と連携をした安全体制づくりの推進に取り組んでいる学校の実践などを紹介したリーフレットを作成いたしまして、児童生徒が犯罪被害に遭わないための安全指導や、保護者、地域社会と連携した犯罪被害防止の取り組みを推進してまいります。
 最後に、学校の安全管理に対する必要な支援についてですが、児童生徒が健康で安全な学校生活を送るために、お話のように、安全指導の充実とともに施設、設備の整備も重要でございます。
 都教育委員会としましては、平成十三年に大阪府の小学校で起きました児童殺傷事件を受けまして、都内の小中学校と警視庁を結びます非常通報装置、学校一一〇番でございますが、これを設置しまして、これを活用した防犯訓練及び施設面も含めたチェックリストによる安全点検を実施するよう指導してまいったところでございます。
 今後、安全点検に関しますチェックリストを改善しますとともに、校内研修のための指導資料を新たに作成、配布しまして、区市町村教育委員会と連携して、学校安全の一層の推進に努めてまいります。
   〔福祉局長幸田昭一君登壇〕

○福祉局長(幸田昭一君) 介護予防に関します四点のご質問にお答えいたします。
 まず、介護予防十カ年戦略についてでございますが、都はこれまで、老人総合研究所が開発した科学的な根拠に基づく介護予防プログラムについて、区市町村への従事者研修や技術支援を行うなど、その普及に取り組んでまいりました。
 お話の十カ年戦略は、筋力トレーニングを初め、介護予防に効果のあるプログラムの開発など、都の取り組みと軌を一にするとともに、まさに時宜を得た具体的な提案と認識しております。
 都は、既に国に対し、介護保険制度の見直しに向けて介護予防の普及促進等を提案しており、国の動向も踏まえながら、今後とも介護予防の開発、普及に取り組んでまいります。
 次に、高齢者の転倒予防対策についてでございますが、老人総合研究所では、転倒予防に必要とされる筋力、バランス、歩行能力を総合的に向上させることにより、転倒率がほぼ半分になることを実証した老研式転倒予防プログラムを開発しております。
 また、老人医療センターでは、骨粗鬆症外来での診療にこの転倒予防プログラムを取り入れております。
 お話の筋力向上トレーニングなども含め、都は、対象者の状態に合った複数の介護予防メニューを提供し、区市町村への技術支援などを行っております。
 今後とも、ご提案の趣旨を踏まえ、転倒予防を含めた介護予防事業に積極的に取り組んでまいります。
 次に、口腔ケアを介護予防に取り入れることについてでございますが、誤嚥による老人性肺炎を未然に防ぐためには、嚥下力を高めるとともに、口腔内の細菌を減少させることが有効な方法と考えております。
 こうした観点から、老人総合研究所では、そしゃく機能を向上させて唾液の分泌を促すことや、口腔内清掃などを内容とする口腔ケアプログラムを開発しております。
 今後、都は、このプログラムを活用し、区市町村の介護予防指導者や保健師などを対象に、口腔ケアの意義や具体的な実施方法などにつきまして研修を行うなど、歯科医師会など関係団体と緊密な連携を図りながら普及啓発に努めてまいります。
 最後に、歯科医師との連携による介護予防についてでございますが、都はこれまで、高齢者が身近なかかりつけ歯科医を持ち、口腔と全身機能とのかかわりを含めた健康管理が行えるよう、包括補助事業により、区市町村が行う地域の歯科医師との連携事業を支援してまいりました。
 また、本年五月には、学識経験者を初め医師会、歯科医師会などの関係団体や、都民、区市町村などの委員で構成する東京都介護予防推進会議を設置し、今後の介護予防事業の推進策について検討しております。今後、この会議でのご意見も踏まえ、介護予防の着実な推進に努めてまいります。
   〔病院経営本部長碇山幸夫君登壇〕

○病院経営本部長(碇山幸夫君) 都立病院改革に関します二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、都立病院におけます女性専用外来についてでございます。
 都立病院初の女性専用外来を開設いたしました大塚病院の実績を踏まえまして、墨東病院及び府中病院におきまして、診療体制や医療連携のあり方などについて検討を重ねてまいりました。
 これまで医師の確保や診察室等の整備を進めまして、墨東病院につきましては本年七月を、また、府中病院につきましては本年九月を目途に開設を予定してございます。
 次に、都立病院におけます歯科医療についてでございますが、合併症などで全身管理が必要な患者の方々に対します歯の治療は、一般の医療機関では対応が大変困難な医療でございます。こうした患者の皆様には、都立病院の高水準で専門性の高い総合診療基盤を活用いたしまして診察を行っていく必要があると考えてございます。
 このため、墨東病院、府中病院など口腔外科を有します都立病院におきまして、ご指摘の趣旨を踏まえまして、地域の歯科医師会や歯科診療所などとの密接な連携を図りながら適切に対応してまいりたいと考えてございます。
   〔健康局長平井健一君登壇〕

○健康局長(平井健一君) 医療に関しまして三つのご質問にお答えいたします。
 まず、東京都保健医療公社が運営いたします多摩南部地域病院及び大久保病院における女性専用外来についてでございますが、多摩南部地域病院におきましては、現在、女性医師の確保など、課題の解決に向けて努力しているところでございます。大久保病院については、本年七月に開設する予定でございます。
 次に、小児救急電話相談事業についてでございますが、都は、これまで平日の夜間に実施しておりました保健師などによります母と子の健康相談室を、本年四月から休日の昼間にも拡大したところでございます。
 シャープ八〇〇〇番を使いました小児救急電話相談につきましては、母と子の健康相談室に小児科医師が必要に応じて相談を受ける体制を整えまして、七月からの実施を目途に取り組んでいるところでございます。
 最後に、小児三次救急医療ネットワークにつきましては、この二月に学識経験者等で構成いたします検討委員会を設置いたしまして、現在、重症の小児救急患者の受け入れ体制や、救急医療機関で対応が困難であった事例につきまして実態調査を行っております。
 今後、この調査を踏まえまして、より効率的で組織的な医療ネットワークの構築について検討を進め、本年秋までに結果を取りまとめてまいります。
   〔環境局長小池正臣君登壇〕

○環境局長(小池正臣君) 温暖化対策についての二点のご質問にお答えいたします。
 まず、温室効果ガスの削減量についてでございますが、都は、さまざまな温暖化対策に取り組んでおりますけれども、現在、CO2削減量を明確に把握できるものは、地球温暖化対策計画書制度で年間約十二万九千トン、太陽光発電等の再生可能エネルギーの導入で年間約五千トンでございます。
 しかしながら、他の対策による効果につきましては、種々の条件設定が必要なこと、あるいはまた、統一的な効果測定方法が未確定であるため、現時点で数値を明確に示すことは難しい状況にございます。
 ご指摘のように、都民、事業者の積極的な取り組みを促していくためには、低燃費自動車の導入効果など、個々の対策の削減効果をわかりやすく示すことは必要なことでございます。今後、その具体的な方法について積極的に検討してまいります。
 次に、燃料電池の普及についてでございますが、燃料電池は低公害で高効率な発電システムであり、温暖化防止技術として二十一世紀に期待される新エネルギーでありますが、現在、技術開発の途上にあります。
 都はこれまで、開発支援の一環として、昨年から事業者と連携して水素ステーションを開設し、全国で初めて燃料電池バスを営業運行し、性能のデータ収集等を現在実施しております。あわせて、環境科学研究所と浄水場におきまして、耐久性等の検証のため、燃料電池を実証実験しております。
 燃料電池の早期実用化が望まれることから、今後、事業者から試験導入の要請があれば、都有施設を活用するなど積極的に対応してまいりたいと思います。
   〔総務局長赤星經昭君登壇〕

○総務局長(赤星經昭君) 災害時におけますアマチュア無線の活用及び指定管理者制度についての四点の質問にお答え申し上げます。
 まず、アマチュア無線の活用についてでございますが、都はこれまで、災害時の情報収集伝達手段といたしまして、防災行政無線や衛星通信の整備、災害時優先電話の確保などを行ってきております。
 災害時におきまして迅速に的確な情報を収集するためには、これらに加えまして、多様な手段を活用することが重要と認識しております。アマチュア無線も、その有効な手段の一つであると考えております。
 次に、総合防災訓練へのアマチュア無線家の参加についてでございますが、東京都では、災害時の応急対策の検証と都民の防災意識の高揚を目的に、区市町村と合同で、毎年、総合防災訓練を実施しております。
 これまでの訓練では、ボランティア参加の一つといたしまして、アマチュア無線家によります通信訓練を実施してまいりましたが、今後、ご指摘の趣旨も踏まえ、アマチュア無線家の参加規模を拡大し、情報収集方法の習熟を図ることによりまして、災害時におけます協力関係を築いていくことが重要と考えております。
 次に、連絡協議会の設置についてでございますが、アマチュア無線の活用に当たりましては、あらかじめ都とアマチュア無線家の役割分担の明確化や情報伝達のルールづくりなど、災害時に有効に機能する体制を検討していく必要がございます。
 このため、都としても、今後早期にアマチュア無線の団体と検討協議の場を設けてまいります。
 最後になりますが、指定管理者制度についてでございますが、この制度は、ご承知のように、公の施設の管理に民間のノウハウや発想を生かしまして、都民サービスの向上を図る有効な手段として活用するものでございます。
 一方、都が有します公の施設は、社会福祉施設や公園など、その目的や性格は多様でございます。指定管理者制度の導入に当たりましては、都民が安心してよりよいサービスを利用できますよう、それぞれの施設の目的や性格に応じまして、指定管理者の資格や管理の基準、選定方法などを適切に定めていく必要があると考えております。
   〔生活文化局長三宅広人君登壇〕

○生活文化局長(三宅広人君) 文化行政に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、文化芸術活動の支援に関するワンストップサービスについてでありますが、現在、都は、芸術家や文化団体に対する活動支援策として、ギャラリーやホールの貸し出し、練習場の提供、活動資金の助成情報の提供、みずからの活動をPRできるホームページの開設などを行っております。
 また、組織の面では、この四月から局内に活動支援課を新たに設置するなどして、体制の充実を図りました。
 今後は、常設の総合窓口を設置して、活動支援のためのワンストップサービス機能の充実に努めてまいります。
 次いで、文化芸術振興に関する基本方針についてでありますが、東京には多様な文化資源があるにもかかわらず、文化都市としての独自の存在感を示しているとはいいがたく、また、若い芸術家が多く集まっているが、発表の場が少ないなど、活動支援の必要性が増しております。
 また、都立文化施設については、指定管理者制度の導入や施設の老朽化への対応などが課題となっております。
 舞台芸術施策につきましても、鑑賞型から参加型への転換が求められております。
 このように、今後、これからの東京の文化のために取り組むべき課題と必要な施策を、年内を目途に基本指針として明らかにし、魅力ある東京の文化活動を支援してまいります。

○副議長(中山秀雄君) この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後六時休憩

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