平成十六年東京都議会会議録第七号

平成十六年六月一日(火曜日)
 出席議員(百二十名)
一番谷村 孝彦君
二番東村 邦浩君
三番村上 英子君
四番鈴木あきまさ君
五番秋田 一郎君
六番鳩山 太郎君
七番後藤 雄一君
八番福士 敬子君
九番林  知二君
十番伊沢けい子君
十一番執印真智子君
十二番富田 俊正君
十三番山下 太郎君
十五番河野百合恵君
十六番長橋 桂一君
十七番小磯 善彦君
十八番野上じゅん子君
十九番ともとし春久君
二十番中屋 文孝君
二十一番北城 貞治君
二十二番高橋かずみ君
二十三番山加 朱美君
二十四番串田 克巳君
二十五番吉原  修君
二十六番山田 忠昭君
二十七番臼井  孝君
二十九番山口 文江君
三十番柿沢 未途君
三十一番初鹿 明博君
三十二番酒井 大史君
三十三番清水ひで子君
三十四番かち佳代子君
三十五番小松 恭子君
三十七番藤井  一君
三十八番東野 秀平君
三十九番中嶋 義雄君
四十一番林田  武君
四十二番野島 善司君
四十三番服部ゆくお君
四十四番真鍋よしゆき君
四十五番三宅 茂樹君
四十六番いなば真一君
四十七番近藤やよい君
四十八番高島なおき君
五十番新井美沙子君
五十一番花輪ともふみ君
五十二番真木  茂君
五十三番大津 浩子君
五十四番大塚 隆朗君
五十五番樋口ゆうこ君
五十六番古館 和憲君
五十七番松村 友昭君
五十八番丸茂 勇夫君
五十九番鈴木貫太郎君
六十番森田 安孝君
六十二番石川 芳昭君
六十三番土持 正豊君
六十四番こいそ 明君
六十五番倉林 辰雄君
六十六番小美濃安弘君
六十七番吉野 利明君
六十八番川井しげお君
六十九番矢島 千秋君
七十番野田 和男君
七十一番三原 將嗣君
七十二番田島 和明君
七十三番宮崎  章君
七十四番大河原雅子君
七十五番相川  博君
七十六番中村 明彦君
七十七番河西のぶみ君
七十八番馬場 裕子君
七十九番和田 宗春君
八十番大山とも子君
八十一番東ひろたか君
八十二番池田 梅夫君
八十三番中山 秀雄君
八十四番大木田 守君
八十五番前島信次郎君
八十六番桜井良之助君
八十七番野村 有信君
八十八番比留間敏夫君
八十九番新藤 義彦君
九十番田代ひろし君
九十一番松原 忠義君
九十二番遠藤  衛君
九十三番星野 篤功君
九十四番山本賢太郎君
九十五番立石 晴康君
九十六番清原錬太郎君
九十七番小山 敏雄君
九十八番藤田 愛子君
九十九番土屋たかゆき君
百番田中  良君
百一番小林 正則君
百二番藤川 隆則君
百三番曽根はじめ君
百四番渡辺 康信君
百五番秋田かくお君
百六番木内 良明君
百七番石井 義修君
百八番橋本辰二郎君
百九番藤井 富雄君
百十番大山  均君
百十一番桜井  武君
百十二番古賀 俊昭君
百十三番樺山たかし君
百十四番大西 英男君
百十五番山崎 孝明君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十番田中 晃三君
百二十一番大西由紀子君
百二十二番坂口こうじ君
百二十四番名取 憲彦君
百二十五番尾崎 正一君
百二十六番吉田 信夫君
百二十七番木村 陽治君

 欠席議員(一名)
四十九番 鈴木 一光君
 欠員
十四番 二十八番 三十六番
四十番 六十一番 百二十三番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事福永 正通君
副知事濱渦 武生君
副知事竹花  豊君
出納長大塚 俊郎君
教育長横山 洋吉君
東京都技監建設局長兼務小峰 良介君
知事本局長前川 燿男君
総務局長赤星 經昭君
財務局長櫻井  巖君
警視総監奥村萬壽雄君
主税局長川崎 裕康君
生活文化局長三宅 広人君
都市整備局長梶山  修君
環境局長小池 正臣君
健康局長平井 健一君
産業労働局長有手  勉君
港湾局長成田  浩君
交通局長松尾  均君
水道局長飯嶋 宣雄君
消防総監白谷 祐二君
福祉局長幸田 昭一君
下水道局長二村 保宏君
大学管理本部長山口 一久君
病院経営本部長碇山 幸夫君
中央卸売市場長森澤 正範君
選挙管理委員会事務局長押切 重洋君
人事委員会事務局長高橋 和志君
地方労働委員会事務局長久保田経三君
監査事務局長松澤 敏夫君
収用委員会事務局長山内 隆夫君

六月一日議事日程第一号
第一 第百五十八号議案
特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第二 第百五十九号議案
市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三 第百六十号議案
都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第四 第百六十一号議案
東京都有特許権及び実用新案権の管理条例を廃止する条例
第五 第百六十二号議案
東京都都税条例の一部を改正する条例
第六 第百六十三号議案
東京都公立大学法人評価委員会条例
第七 第百六十四号議案
東京都が設立する公立大学法人が設置する大学に係る入学考査料及び入学料に関する条例
第八 第百六十五号議案
東京都日影による中高層建築物の高さの制限に関する条例の一部を改正する条例
第九 第百六十六号議案
東京都住宅基本条例の一部を改正する条例
第十 第百六十七号議案
多摩都市計画多摩土地区画整理事業施行規程等の一部を改正する条例
第十一 第百六十八号議案
東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
第十二 第百六十九号議案
東京都知的障害者援護施設条例の一部を改正する条例
第十三 第百七十号議案
警視庁の警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する条例の一部を改正する条例
第十四 第百七十一号議案
東京消防庁の設置等に関する条例の一部を改正する条例
第十五 第百七十二号議案
東京都消防関係手数料条例の一部を改正する条例
第十六 第百七十三号議案
火災予防条例の一部を改正する条例
第十七 第百七十四号議案
特別区の消防団員に係る退職報償金に関する条例の一部を改正する条例
第十八 第百七十五号議案
特別区の消防団員等の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第十九 第百七十六号議案
環二地下トンネル(仮称)築造工事(十六 二環二東新橋)請負契約
第二十 第百七十七号議案
相生陸橋(仮称)鋼けた及び鋼支柱製作・架設工事(十六 四環八若木)請負契約
第二十一 第百七十八号議案
日暮里・舎人線鋼けた及び鋼支柱製作・架設工事(その二十一)請負契約
第二十二 第百七十九号議案
日暮里・舎人線鋼けた及び鋼支柱製作・架設工事(その二十二)請負契約
第二十三 第百八十号議案
日暮里・舎人線鋼けた及び鋼支柱製作・架設工事(その二十四)請負契約
第二十四 第百八十一号議案
日暮里・舎人線鋼けた及び鋼支柱製作・架設工事(その二十五)請負契約
第二十五 第百八十二号議案
日暮里・舎人線鋼けた製作・架設工事(その二十六)請負契約
第二十六 第百八十三号議案
東京消防庁本部庁舎(H十六)受変電設備改修工事請負契約
第二十七 第百八十四号議案
消防・救急デジタル無線設備の製造請負契約
第二十八 第百八十五号議案
都道の路線の廃止について
第二十九 第百八十六号議案
東京都立小山内裏公園の指定管理者の指定について
第三十 第百八十七号議案
東京都が管理する都市公園を埼玉県三郷市の区域に設置することに関する協議について
第三十一 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例の一部を改正する条例の報告及び承認について
議事日程第一号追加の一
第一 議員提出議案第十一号
地方分権の推進を求める意見書
第二 議員提出議案第十二号
地方分権改革の一層の推進に関する意見書

   午後一時開会・開議

○議長(内田茂君) ただいまから平成十六年第二回東京都議会定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。

○議長(内田茂君) まず、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
   九番   林  知二君 及び
   六十八番 川井しげお君
を指名いたします。

○議長(内田茂君) 次に、議会局の部長に異動がありましたので、紹介いたします。
 議案調査担当部長民谷嘉輝君。
   〔部長あいさつ〕

○議長(内田茂君) 以上で紹介を終わります。

○議長(内田茂君) この際、謹んでご報告申し上げます。
 名誉都民金田一春彦氏には、去る五月十九日、逝去されました。まことに哀悼痛惜の念にたえません。
 ここに生前のご功績をたたえるとともに、故人のご冥福をお祈りし、議会として深甚なる弔意を表します。

○議長(内田茂君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(谷村隆君) 平成十六年五月二十五日付東京都告示第九百十号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、同日付で、本定例会に提出するため、議案三十件の送付がありました。
 次に、地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例の一部を改正する条例の報告及び承認について、依頼がありました。
 次に、平成十六年第一回定例会の会議において同意を得た固定資産評価審査委員会委員及び公害審査会委員の任命について、発令したとの通知がありました。
 次に、先般の組織改正に伴う東京都議会説明員の変更について、地方自治法第百二十一条及び会議規則第四十二条の規定に基づき通知がありました。
 次に、平成十五年度東京都一般会計予算外四件の明許繰越について、平成十五年度東京都一般会計予算外一件の事故繰越について及び平成十五年度東京都中央卸売市場会計予算外六件の繰り越しについて、それぞれ報告がありました。
 次に、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づき専決処分した訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告がありました。
 次に、監査委員より、平成十五年度財政援助団体等監査、平成十五年度工事監査及び例月出納検査の結果について、それぞれ報告がありました。
 また、監査結果に基づき知事等が講じた措置に関する報告がありました。
 次に、包括外部監査の結果に基づき知事が講じた措置の通知内容について、提出がありました。
(別冊参照)

○議長(内田茂君) この際、平成十六年四月二十九日付をもちまして藍綬褒章を受章された方々をご紹介いたします。
   大山  均君
   こいそ 明君
 ここに敬意を表し、心からお祝い申し上げます。
   〔拍手〕

○議長(内田茂君) 次に、閉会中の議員の退職について申し上げます。
 去る四月十八日、目黒区選出青木英二君は、公職選挙法第九十条の規定により、退職者となりました。

○議長(内田茂君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 第一回定例会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了解願います。
文書質問趣意書及び答弁書は本号末 尾(一〇ページ)に掲載〕

○議長(内田茂君) 次に、先般の組織改正に伴い、異動のありました説明員の方々をご紹介いたします。
 知事本局長前川燿男君、都市整備局長梶山修君。
   〔理事者あいさつ〕

○議長(内田茂君) 以上をもって説明員の紹介は終わりました。

○議長(内田茂君) 次に、議会運営委員の欠員の補充について申し上げます。
 青木英二君の議員の退職に伴い、同委員に欠員が生じましたので、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、去る四月二十一日付をもって、花輪ともふみ君を指名いたしました。
 お諮りいたします。
 本件は、議長の指名のとおり承認することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、議長指名のとおり承認することに決定いたしました。

○議長(内田茂君) 次に、行財政改革基本問題特別委員の欠員の補充について申し上げます。
 青木英二君の議員の退職に伴い、同委員に欠員が生じましたので、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、去る四月二十一日付をもって、初鹿明博君を指名いたしました。
 お諮りいたします。
 本件は、議長の指名のとおり承認することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、議長指名のとおり承認することに決定いたしました。

○議長(内田茂君) この際、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第十一号、地方分権の推進を求める意見書外意見書一件が提出されました。これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(内田茂君) 会期についてお諮りいたします。
 今回の定例会の会期は、本日から六月十六日までの十六日間といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、会期は十六日間と決定いたしました。

○議長(内田茂君) この際、永年在職議員の表彰についてお諮りいたします。
 百十番大山均君には、東京都議会議員として、多年にわたり地方自治の確立と都政の進展のために貢献せられ、その功績はまことに顕著であります。
本議会は、その功労を多とし、表彰することにいたしたいと存じますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、本議会は、大山均君を表彰することに決定いたしました。
 お諮りいたします。
 表彰文は議長に一任されたいと存じますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 これより、議長において起草いたしました表彰文により表彰いたします。
    表彰状
            大山  均殿
あなたは東京都議会議員として
在職二十五年以上に及び
都政の発展に努力された功績は
まことに顕著であります。
ここに永年の功労を多とし表彰します。
   平成十六年六月一日
               東京都議会
   〔拍手〕
 なお、表彰状の贈呈については、議長において取り計らいたいと存じますので、ご了承願います。
 ただいま表彰を受けられました大山均君よりごあいさつがあります。
 百十番大山均君。
   〔百十番大山均君登壇〕

○百十番(大山均君) ただいま全会一致の議決をもちまして、在職二十五周年の表彰をいただきました。まことに身に余る光栄と心より御礼を申し上げる次第でございます。本当にありがとうございました。
 また、私は、このことをまずもって、私を温かく支え、都議会にお送りいただきました大田区の皆様を初め、多くの都民の皆様に深く感謝を申し上げる次第でございます。
 私は、昭和五十四年以来、昭和から平成へと時代が移り変わる中で、都民のための都民本位の都政実現に向け、精いっぱい取り組んでまいりました。その間、知事も、鈴木知事、青島知事、そして現在の石原知事と、それぞれの時期に都政の最重要な課題にかかわらせていただきました。このことは、私にとりまして、かけがえのない財産でございます。
 本日の表彰を新たな出発点といたしまして、より一層都政の発展のために頑張ってまいる所存でございます。どうかこれまで以上のご指導とご鞭撻のほどをお願い申し上げまして、私の御礼のあいさつとさせていただきます。
 本日はまことにありがとうございました。(拍手)

○議長(内田茂君) 以上をもってあいさつは終わりました。

○議長(内田茂君) この際、知事より発言の申し出がありますので、これを許します。 知事石原慎太郎君。
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 平成十六年第二回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対する所信の一端を申し述べ、都議会の皆様と都民の皆様のご理解、ご協力を得たいと思います。
 ただいま大山均議員は、はえある永年在職議員表彰をお受けになりました。都政の発展に尽くされた二十五年のご功績に対して深く敬意を表し、心からお喜びを申し上げます。
 去る五月十九日、名誉都民である金田一春彦さんが逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 さて、国内総生産の伸びが上向きに転じ、上場企業の多くが過去最高益を達成するなど、景気回復のニュースが実感もないまま声高に伝えられております。失業率の悪化に歯どめがかかり、雇用情勢にも薄日が差す中、昨年までの悲観論がまるでうそだったかのように漠とした安心感が漂い、危機意識が薄れ始めているように思われます。
 しかし、現実を直視しますと、我が国が直面する本質的な問題は何一つ解決されておりません。戦後六十年近くが経過し、戦災からの復興と高度成長を実現してきたこの国の枠組みがもはや制度疲労を来しており、時代の変化に即応し、国民が潜在的に有している大きな力を確かに発揮できる仕組みが今求められております。
 都民、国民の努力により、日本経済が長いトンネルを抜けようとしているこの機を逃さず、日本全体の長期的な発展につながる改革を実行する必要があります。
 私たちが直面している最も重要な課題の一つが、国と地方を通じた分権改革であります。
 明治維新以来の中央集権・官治の統治システムは、日本が近代国家に脱皮し、欧米先進国へのキャッチアップをなし遂げる過程では大きな役割を果たしてきました。戦後の地方自治制度においても基本的に引き継がれ、すべての国民が一定水準の行政サービスを享受できる均質な社会を形成する上で、多大な貢献もしてきました。
 しかし今、この全国画一の統治システムは、歴史的な使命を終えようとしております。経済のグローバル化や高度情報化の進展によって、東京を初めとする大都市圏に諸機能が集積し、そのメリットが経済発展をリードする時代を迎えたのであります。
 加えて、アジアの発展やEUの拡大など、日本は熾烈な国際的経済競争に巻き込まれております。先進国に共通する二十一世紀都市文明の歴史的な必然が、国、地方を通じた統治のあり方に大きな変革を迫っているのであります。
 しかし、国は、こうした歴史認識と国家経営の戦略を一向に持ち合わせておりません。国が取り組む骨太の改革とは、本来、現行の行政制度、財政制度全体の根本かつ本質的な改革を目指すべきであるにもかかわらず、いわゆる三位一体改革なるものも、その場しのぎのまやかしの議論に終始しております。このままでは、我が国が進むべき道を見誤ることは必至であり、到底看過することはできません。
 日本再生への道筋を確かなものとするには、地方の自主自立の営みの総和が国を支える仕組みへと、この国の形を根底からつくりかえる必要があります。
 現行の地方税財政制度は今や機能不全に陥り、自治の破壊と膨大なむだを生む負のシステムに変容しております。
 現況を見ると、高速道路などの大規模事業から学校、公園など身近な事業に至るまで、画一の基準、フルセットのメニューによる事業が、経済効果や採算性を度外視して全国一律で展開される仕組みとなっております。国庫補助負担金と地方交付税による国の地方丸抱えの構造によって、自治体が創意工夫を発揮できないまま、地域の実情を無視した過剰な投資が行われてきたのであります。その結果、没個性的な町が全国に生まれるとともに、日本経済の牽引役である大都市の活力をそぐこととなりました。制度そのものが既に破綻していることはだれの目にも明らかであります。
 国家全体の命運がかかるこのときに当たって、国対地方、大都市対地方といった低次元の議論で時間を空費しているいとまはありません。とりわけ、東京ひとり勝ち論などという、ためにする議論は断じて許すわけにはいきません。
 今、求められるのは、国、地方、民間の役割を明確にした上で、それぞれの地方がみずからの足で立ち、みずからの頭で考えることのできる仕組みを構築することであり、大都市と地方が共存共栄できるシステムをつくり出すことであります。
 こうした観点から、先月、抜本的な改革に向けた都の基本的見解を明らかにいたしました。国庫補助負担金を原則として全廃し、義務教育など国の責務である基礎的なサービスは国が全額負担する。さらに、所得税、消費税による大幅な税源移譲を行う。これにより、多くの自治体の税財政の自立が可能となります。その上で、財政自立が困難な自治体に対しては、現行の地方交付税制度にかわる新しい財政調整の仕組みを導入するべきであります。
 これに加えて、経済財政諮問会議が近く策定する骨太の方針二〇〇四に対して、国と地方の配分比率一対一を目指した税源移譲など、当面必要な最低限の対案を緊急提言いたしました。
 都は、今後とも、国の動きに対して随時反論を加え、全国の自治体や経済団体、国会などに働きかけるとともに、この秋には、新たな制度構築に向けた具体的な提案を行いたいと思います。先月開催された四都県知事懇談会や八都県市首脳会議においても、秋に向けて集中的に検討し、連携して取り組んでいくことを確認いたしました。
 都議会の皆様とも力を合わせながら、都の総力を挙げて地方分権改革に取り組んでまいります。
 次に、首都圏の逼迫する航空需要への対応についてであります。
 飽和状態に近い現況を打開するために、羽田空港の再拡張、国際化と横田飛行場の共用化が喫緊の課題となっております。
 羽田空港については、今年度からいよいよ具体的な事業が開始されます。先週、飛行ルートの修正案が国から提案され、着工に向けて大きな前進が見られました。都の主張も踏まえ、首都圏全体としての騒音影響を低減させるよう工夫、検討された案であると思います。引き続き、一日も早い事業完成を目指して、国、関係自治体と協力して取り組んでまいります。
 都が端緒を開いた横田飛行場の共用化は、三回にわたる都と関係省庁との連絡会議を経て、実現に向け動き出しております。今後都は、国と連携し、米国との協議の促進に努めるとともに、周辺の基盤整備や騒音への対応などにも取り組んでまいります。地元自治体の理解と協力を得ながら早期実現を目指してまいります。
 本年四月、より迅速で実効性ある市街地整備を推進するため、まちづくりの計画部門と実施部門を統合し、新たに都市整備局を設置いたしました。今後、新しい局の総合力を発揮し、民間との連携をさらに強化しながら、東京の町の再生を着実に進めていきたいと思います。
 まず、安く広く質のよい戸建て住宅の供給を目指して、住宅市場の競争原理を十分に機能させる新しい政策に取り組んでまいります。その第一歩として、東村山市本町地区において、先進的で意欲のある事業者とともに、建物の価格が市場価格より三割程度安い戸建て住宅の供給を目指す実証実験を行ってまいります。九月には事業者の公募を開始する予定であります。
 また、我が国の中枢業務機能が集積している大手町地区を、グローバルビジネスの戦略拠点として再構築する取り組みを進めてまいります。本年三月、地権者、地元区、都で構成する大手町まちづくり推進会議が、国の合同庁舎跡地を種地として、地区全体の機能更新を進める基本方針をまとめました。
 この事業は、老朽化した多数のビルを更新時期に合わせ連鎖的に建てかえるというユニークな試みであり、都としても積極的に協力してまいります。
 次に、中小企業に対する金融支援策についてであります。
 この四月、新銀行東京が発足しましたが、都民の関心と期待は大いに高まっており、行員の募集にも五十倍を超える応募がありました。来年春以降の本格開業を目指し、各界から優秀な人材を集め、準備を進めております。
 すぐれた技術を持ちながら、既存の金融機関から融資を受けられない中小企業に生きた資金を注ぎ込み、東京の経済、ひいては日本の経済の活性化につなげてまいります。
 これまでも都は、CLO、ローン担保証券とCBO、社債担保証券、合わせて五回の発行により、約九千社に対して三千八百億円を超える資金を供給してまいりましたが、新たにこの秋、神奈川県、横浜市、川崎市と共同で広域CLOを発行することといたしました。
 また、資金と経営の両面でベンチャー企業の成長、発展を支援するため、都と機関投資家の協調のもとに投資法人を設立いたします。
 さらに、すぐれた技術や人材を持ち、今後の成長が期待されながら、過剰債務などで危機に瀕している中小企業の再生を図るため、地域金融機関等と共同出資してファンドを創設いたします。
 ベンチャー投資法人、中小企業再生ファンドともに、今秋の設立を目指してまいります。
 イラク、パレスチナの情勢の先行きが不透明な中、国際的なテロの脅威は依然として解消されておりません。
 先月、晴海ふ頭において、警視庁、海上保安庁、東京入国管理局、東京税関等と合同で、不審船の接岸とコンテナへの不法入国者の潜入という二つのケースを想定した五百人規模の保安訓練を実施いたしました。今後とも、東京港の水際での危機管理を徹底してまいります。
 また、都市部での大規模な事故、災害に対する災害医療派遣チーム・東京DMATについては、現在、医療チームと東京消防庁レスキュー隊との連携訓練などに取り組んでおり、ことし九月の総合防災訓練において、都民の皆様にその成果をお見せしたいと考えております。
 ことし三月、六本木ヒルズで、自動回転扉に男の子が挟まれ死亡するという痛ましい事故が発生いたしました。都市には思わぬ危険が潜んでいることを改めて実感いたしました。直ちに調査した結果、都内には同種の大型回転扉が百八十台設置され、八十件以上の事故が既に発生したことが判明いたしました。こうした事故が二度と繰り返されないよう、都として独自の安全基準を早急に検討し、この秋にも関係条例を改正したいと思います。
 東京消防庁による救急搬送は、ここ数年、毎年三万件のペースでふえ続けておりまして、近い将来、緊急性の高い場合でも救急車を利用できなくなるおそれがあります。このため、全国初の取り組みとして、この秋から、都民に民間救急事業者を案内するコールセンターの試験的な運用を開始いたします。平成十七年度からの本格実施を目指し、増大する都民の救急需要に適切に対応してまいります。
 次に、三宅島についてでありますが、先週、私も現地を視察してまいりましたが、火山ガスの放出が当分続く可能性はあるものの、危険な地域を除けば、ライフラインの修復など帰島の条件が整いつつあるとの印象を受けました。現在、三宅村が意向調査を実施しておりますけれども、島民の皆様の帰島への思いは切実なるものがあると思います。
 具体的な時期や方法等については、島民の安全確保を第一に、専門家の意見をもとにしながら検討を行う必要があると考えております。今後とも、三宅村や国と連携して、帰島に向けた準備を着実に進めてまいります。
 この四月から、総勢百十五名の都職員が、警視庁と東京入国管理局で即戦力として働き始めました。
 都が全国に先駆けて着手した治安回復への取り組みは、都内はもとより、首都圏の自治体、さらには全国へと大きな広がりを見せております。これまでの成果を踏まえ、今後よりきめ細かな対策を講じてまいります。
 都が実施した意識調査によれば、都内の中高校生の二割以上が、万引きは大した問題ではないと考えており、こうした間違った認識を正すためにも、万引き防止の具体的な方策が必要であります。関係業界などと協力して、この夏までに実践的なアクションプランを策定いたします。
 この四月から、改正青少年健全育成条例が段階的に施行されていますが、子どもを犯罪に巻き込まないための取り組みは、広域的に実施する必要があります。既に八都県市が連携して規制の強化や共通化などの検討を始めており、この秋の実現を目指してまいります。
 駅構内など人が大勢集まる公共空間での盗撮や痴漢、暴力行為などが後を絶ちません。万引きを含めて、こうした犯罪を見過ごさずに厳正に対処することは、いわゆる割れ窓理論を持ち出すまでもなく、東京の町に安全と安心を取り戻す上で不可欠であります。鉄道事業者などの関係者と協力して協議会を早急に設置し、公共空間でのモラルの回復に向けた実効性ある対策を検討してまいります。
 都内各地で自主的な防犯活動が活発に展開され始めております。地域の治安を支えるためには、住民によるこうした地道なボランティア活動が極めて重要であり、地域の防犯活動の核となる人材を育てるため、今月、安全・安心まちづくりアカデミーを開講いたします。
 次に、地域福祉の推進についてでありますが、高齢者や障害者が地域の中で普通に暮らし、子どもが健やかに育つ環境を整備していくことが都の福祉政策の目標であります。
 この四月、高齢者や知的障害者のグループホームの大増設を促進するため、事業本部を設置し、総合的に取り組むことといたしました。
 また、高齢者が寝たきりや痴呆にならずに地域で健康に暮らしていくには、一人一人の必要に応じた介護予防サービスの提供が重要であります。モデル地区に指定した二区市において、サービスの内容と効果を検証してまいります。
 児童虐待に的確に対処することも喫緊の課題であり、すべての児童相談所に非常勤の弁護士を配置するなど、専門的機能を強化いたしました。
 地域福祉を実効あるものとするには、日夜、住民一人一人と接し、地域の実情に精通している都内一万人の民生・児童委員との連携が欠かせません。私も過日、約二千人が出席した連絡会で直接協力をお願いいたしました。力を合わせて、共助の視点に立った福祉を一層推進してまいりたいと思います。
 都は、多様な事業主体が競い合って良質な福祉サービスを提供し、利用者が選択できる社会の実現を目指して、全国に先駆けた取り組みを重ねてきました。その一環として都が独自に導入した第三者評価システムは、全国的に高く評価されており、昨日、五十を超える自治体の参加のもと、第三者評価全国会議を開催いたしました。国は相変わらず全国画一の手法を押しつけようとしておりますが、それぞれの自治体が、民間の創意を生かして、地域の実情に応じた評価システムを構築できるようにすべきであります。
 次に、教育改革についてであります。
 都はこれまで、学区制の廃止による都立高校の活性化や、進学指導重点校を初めとする特色のある高校づくりなど独自の教育改革に取り組んでまいりました。改革をさらに進めるには、校長がリーダーシップを発揮し、自律的な学校経営を行っていくことが不可欠であります。このため、都内六地域に都立学校経営支援センターを設置して、より現場に近いセンターに一般教員の人事や教育課程の指導などの機能を集約し、機動的できめ細かな支援を行いたいと思います。平成十八年度の開設に向けて準備を進めてまいります。
 次に、首都圏における広域連携についてであります。
 昨年十月に開始したディーゼル車の排気ガス規制により、首都圏の大気汚染は大幅に改善されましたが、事業者の中には、この地域内では走れない車を規制のない地方に回しているケースも出ております。こうした規制逃れともいえる動きに対しては、一都三県の取り組みだけでは限界があります。国民の健康を守るのは国の義務であり、国は即刻行動を起こすべきであります。
 廃棄物処理に関しては、来月、臨海部において一都三県のPCB廃棄物を処理する施設が着工の運びとなりました。引き続き、首都圏の自治体と協力してスーパーエコタウン事業を推進してまいります。
 近年、世帯当たりの家電製品数の増加などにより、家庭でのエネルギーの消費の伸びが大きくなっております。地球温暖化防止対策の一環として、今月から八都県市などと連携し、省エネ性能の高い家電製品の普及拡大を目指したキャンペーンを実施いたします。販売店の協力を得て、共通のラベルを用いて、エアコンや冷蔵庫などの省エネ性能を五段階で表示し、消費者が選択しやすいようにしてまいります。
 東京港は、平成十年以降、日本最大の外国貿易コンテナの取扱量を維持しており、横浜港など東京湾内主要三港と合わせると、世界第十位の規模となります。
 経済のグローバル化を反映して、世界の港の間で競争が激化している中、東京湾でも各港の連携した取り組みが求められております。既に四月には、横浜、川崎の両港と京浜三港広域連携協議会を設立し、手続の共通化やコストの低減など、直面する課題の解決に向けた取り組みを開始いたしました。近く東京港と横浜港が一体としてスーパー中枢港湾の指定を受ける予定でありまして、協力して物流システムのIT化などに取り組んでまいります。今後とも、東京湾内の広域連携を一層強化してまいります。
 最近、教育の現場を初めさまざまな場面で、男女の違いを無理やり無視しようとするジェンダーフリー論がばっこしております。男らしさ、女らしさを差別につながるものと否定したり、ひな祭りやこいのぼりといった伝統文化までを拒否するなど、極端でグロテスクな主張が見受けられます。
 男と女という二つの性が存在することは人間社会の基本原理であり、これを無視することは、自然の摂理と人類の文化を真っ向から否定することにほかなりません。男と女は同等であっても同質ではありません。男女の区別なくして、人としての規範はもとより、家庭、社会も成り立ち得ないことは自明の理であります。
 既に全国各地で反対の動きが始まっております。四都県知事懇談会においても、先月、ジェンダーフリーについて意見を交わし、全員一致で反対していくことを確認いたしました。人としてごく当たり前の感覚を共有する多くの国民とともに、この問題に対峙してまいります。(発言する者あり)
 地方分権改革や青少年の──えっ、何──地方分権改革や青少年の健全育成に見られるように、首都圏における広域連携の重要性はますます高まっております。先月開催した八都県市首脳会議において、連携をさらに強化するため、事務局の設置と、テーマごとに人材を出し合い集中的に検討することを合意いたしました。首都圏の力を結集するため、都としても積極的な役割を担っていきたいと思います。
 明治維新を例に引くまでもなく、いつの時代にあっても、停滞を打ち破り、新しい地平を切り開いていくのは若者であります。
 イラクでの邦人人質事件では、期せずして、今の若い世代の国家や公共とのかかわりの持ち方が浮き彫りになりました。事件発生直後に、ある放送局が首都圏の二十代を中心に実施した意識調査によれば、九割近くが、テロに屈せず自衛隊派遣の意思を貫くべきと回答しておりました。一昔前には考えられなかったことであります。
 男女そろってアテネオリンピック出場を決めたサッカーの試合では、国立競技場を埋めた数万の若い人たちが日の丸を振り、君が代をともに歌う姿が大変印象的でありました。彼らの中に健全で開かれたナショナリズムが芽生え始めていると感じたのは、私だけではないと思います。
 戦後長く、国家や公を批判し否定することそれ自体が正義であるとする風潮が続き、近年では、国家の存在そのものを意識しないことが時代の流れであるかのような考え方が流布しております。今の若い世代も、事あるごとに、自己中心的で公の意識がないと世間の批判を浴びてきましたが、実は必ずしもそうではなかった。戦後の日本を呪縛してきた観念的な理想主義や言葉だけの平和主義にとらわれず、地に足ついた現実感覚を身につけた若者がふえていると感じております。
 彼らが胸を張って生きていける国にこの日本をつくりかえていくことが私たち大人に課せられた使命でもあります。日本人の底力は、これまでも幾たびか大きな国難を乗り越えてきました。この国の若者の可能性を信じ、ともに日本再生の道を歩んでいきたいと思います。
 なお、本定例会には、条例案十八件、契約案九件など、合わせて三十一件の議案を提出しております。よろしくご審議をお願いいたします。
 以上をもちまして所信表明を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

○議長(内田茂君) 以上をもって知事の発言は終わりました。

○六十七番(吉野利明君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日は、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一及び第二を先議されることを望みます。

○議長(内田茂君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一及び第二を先議することに決定いたしました。

○議長(内田茂君) 追加日程第一、議員提出議案第十一号、地方分権の推進を求める意見書を議題といたします。
 案文は、お手元に配布いたしてあります。
 朗読は省略いたします。
議員提出議案第十一号
   地方分権の推進を求める意見書
 右の議案を別紙のとおり東京都議会会議規則第十二条の規定により提出します。
  平成十六年六月一日
(提出者)
 河野百合恵  清水ひで子  かち佳代子
 小松 恭子  古館 和憲  松村 友昭
 丸茂 勇夫  大山とも子  東ひろたか
 池田 梅夫  曽根はじめ  渡辺 康信
 秋田かくお  吉田 信夫  木村 陽治
東京都議会議長 内田  茂殿
   地方分権の推進を求める意見書
地方分権の推進は、「住民の福祉の増進」と、地域の活性化を図る上で、喫緊の課題となっている。しかるに、今年度予算で具体化された「三位一体改革」では、必要な税財源の移譲は一部にとどめられ、公立保育所運営費補助などの国庫補助負担金及び地方交付税の削減が実施されるなど、地方自治体に新たな財政負担を押し付けるものとなった。
 今日の地方自治体の困難の原因は、第一に、住民のための仕事を地方が六割も受け持っているのに対し、そのための財源は四割しか保障されていないことにある。国は近く、経済財政諮問会議の議を経て、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二○○四」を策定するとしているが、本来、地方分権の推進は、このような逆転を解消し、地方自治体が自主的・自立的に行財政運営を行うための権限の移譲とそれを裏付ける税財源の移譲が一体的に進められることが不可欠である。また、憲法が保障する国民の生存権、基本的人権にかかわるナショナル・ミニマムを財政的に保障することが、引き続き国の責務であることも論をまたない。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対して、次の事項を実現するよう強く要請する。
一 税財源の抜本移譲を進め、国と地方自治体との間の、仕事と財源の逆転の解消に努めること。
二 福祉・教育などの国庫補助負担金制度の基本を堅持するとともに、地方自治体の裁量の範囲を拡充すること。
三 国民の権利と暮らしを守るための仕事を、財政力の乏しい地方自治体でも行えるようにするため、地方交付税の財源保障機能を堅持すること。地方交付税制度による浪費的公共事業の押し付けをやめること。
四 税財源の移譲は、所得や資産に係る税を中心とし、地方消費税の拡充や低所得者の個人住民税の引上げなど、大衆課税の拡大にはよらないこと。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成十六年六月一日
東京都議会議長 内田  茂
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
経済産業大臣
経済財政政策担当大臣 あて

○議長(内田茂君) 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(内田茂君) 起立少数と認めます。よって、本案は否決されました。

○議長(内田茂君) 追加日程第二、議員提出議案第十二号、地方分権改革の一層の推進に関する意見書を議題といたします。
 案文は、お手元に配布いたしてあります。
 朗読は省略いたします。
議員提出議案第十二号
   地方分権改革の一層の推進に関する意見書
 右の議案を別紙のとおり東京都議会会議規則第十二条の規定により提出します。
  平成十六年六月一日
(提出者)
 谷村 孝彦  東村 邦浩  村上 英子
 鈴木あきまさ 秋田 一郎  鳩山 太郎
 林  知二  富田 俊正  山下 太郎
 長橋 桂一  小磯 善彦  野上じゅん子
 ともとし春久 中屋 文孝  北城 貞治
 高橋かずみ  山加 朱美  串田 克巳
 吉原  修  山田 忠昭  臼井  孝
 柿沢 未途  初鹿 明博  酒井 大史
 藤井  一  東野 秀平  中嶋 義雄
 林田  武  野島 善司  服部ゆくお
 真鍋よしゆき 三宅 茂樹  いなば真一
 近藤やよい  高島なおき  鈴木 一光
 花輪ともふみ 真木  茂  大津 浩子
 大塚 隆朗  樋口ゆうこ  鈴木貫太郎
 森田 安孝  石川 芳昭  土持 正豊
 こいそ 明  倉林 辰雄  小美濃安弘
 吉野 利明  川井しげお  矢島 千秋
 野田 和男  三原 將嗣  田島 和明
 宮崎  章  相川  博  中村 明彦
 河西のぶみ  馬場 裕子  和田 宗春
 中山 秀雄  大木田 守  前島信次郎
 桜井良之助  野村 有信  比留間敏夫
 新藤 義彦  田代ひろし  松原 忠義
 遠藤  衛  星野 篤功  山本賢太郎
 立石 晴康  清原錬太郎  小山 敏雄
 土屋たかゆき 田中  良  小林 正則
 藤川 隆則  木内 良明  石井 義修
 橋本辰二郎  藤井 富雄  大山  均
 桜井  武  古賀 俊昭  樺山たかし
 大西 英男  山崎 孝明  佐藤 裕彦
 川島 忠一  内田  茂  三田 敏哉
 田中 晃三  坂口こうじ  名取 憲彦
 尾崎 正一
東京都議会議長 内田  茂殿
   地方分権改革の一層の推進に関する意見書
国は近く、経済財政諮問会議の議を経て、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二○○四」を策定する見込みであり、地方分権改革は正念場を迎えようとしている。
 これまでの国の取組を見ると、地方に裁量の余地のない国庫補助負担金の削減、基幹税による税源移譲の先送りなど、極めて不十分なものであり、新たに策定される方針も改革の本旨を忘れた内容となることが強く懸念される。
 本来、地方分権改革とは、単なる国対地方の問題ではなく、地方自治体が自主的・自立的な行財政運営を行い、より住民に身近なところで、住民の意向に沿った施策を行うことを可能とするものでなければならない。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、地方分権改革の本旨に立ち返って抜本的な改革に取り組み、次の事項を実現するよう強く要請する。
一 国、地方、民間の役割分担を抜本的に見直すとともに、国自らの行政改革を徹底して行うこと。
二 地方自治体の事務と権限に見合った基幹税による税源移譲、国の責務である基礎的行政サービスの国全額負担と国庫補助負担金の廃止、地方交付税制度の抜本的見直しなど、自立と自己責任を基本に、地方の知恵と力が発揮できるようにすること。
三 大都市圏の自治体が果たしている役割にかんがみ、大都市特有の膨大な財政需要に的確に対応できるように十分配慮すること。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成十六年六月一日
東京都議会議長 内田  茂
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
経済産業大臣
経済財政政策担当大臣 あて

○議長(内田茂君) 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(内田茂君) 起立多数と認めます。よって、本案は、原案のとおり可決されました。

○六十七番(吉野利明君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会し、明二日から七日まで六日間、議案調査のため休会されることを望みます。

○議長(内田茂君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明二日から七日まで六日間、議案調査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、六月八日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後一時三十八分散会


文書質問趣意書及び答弁書

一六財主議第一一四号
平成十六年五月二十四日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 内田  茂殿
   文書質問に対する答弁書の送付について
 平成十六年第一回東京都議会定例会における左記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します
     記
   後藤雄一議員
   清水ひで子議員
   松村友昭議員
   和田宗春議員
   大山とも子議員
   曽根はじめ議員
   坂口こうじ議員

平成16年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 後藤雄一

質問事項
 一 消防庁の改革について
 二 博物館等の招待券の配布について
 三 年賀状の見直しについて
 四 付属機関の報酬額の見直しについて
 五 光明養護学校の卒業式スロープ問題について
 六 局長の専用公用車の運転手の残業代について
 七 都庁内の中古パソコンについて
一 消防庁の改革について
 1 指揮車について
   現在、東京消防庁は黒塗りの乗用車を総務部9台、人事部2台、警防部2台、防災部2台、救急部2台、予防部2台、広報部2台、装備部3台、消防学校2台、消防研究所2台、そして、各消防署、本面本部に各1台、合計118台が配置されていると言う。
   しかし、名称は指揮車と言っても、黒塗りの公用車に変わりなく、運転手も本庁では事務を取っている職員が、消防署では、現場消防署員が背広に着替えて運転手を務めているのが現状である。
   指揮車と言う以上、火災現場にいち早く到着しなければならないはずなのに、緊急警告等・サイレン等の設備はなく、消防車両等の緊急自動車の後を追うことさえ出来ない。そこで質問だが、
  ア 仮に、緊急に使用するのであれば、ボディーを消防自動車と同じ赤色にし、サイレン等の緊急装置を装着するべき、と考えるがいかがか?
  イ 今後も現状のままの黒塗りで使用するのであれば、緊急時に火災現場等にどのように早く駆け付けるのか具体的な方法をお伺いする。
  ウ 本庁の部付きの指揮車が28台ある。
    そこで質問だが、総務部等に指揮車が何故28台も必要なのか?
    また、部ごとの利用状況をお伺いする。
  エ 今年から指揮車の利用状況報告書である機械日誌が、運転日誌と名称が代わった。しかし、指揮車は緊急用車両と違い、一般公用車と同様に利用される。にもかかわらず、運転日誌の様式は、一般公用車の運転日誌とは違い利用者、利用目的等の記載欄がなく、説明責任を果たしていない。
    利用者、時間、利用目的等の記載欄を設けるべき、と考えるが、いかがか?
 2 幹部待機宿舎について
   幹部待機宿舎は新聞、テレビ、週刊誌が大きく取り上げ都民の怒りをかったところである。消防庁も改善案をお考えのようだが、税金で運用されていることを未だ理解されていないようなので、質問する。
  ア 麻布消防署の耐震改修を行うという理由で、平成15年10月から署長の宿舎用に近所のマンション(家賃375,000円)を幹部待機宿舎として借上げた。
    しかし、耐震改修工事は、平成16年度からという。何故、6ヵ月も前からマンションを借りて住まわせているのか伺う。
    また、麻布待機宿舎の耐震改修工事の正確な予定をお伺いする。
  イ 消防庁の141棟の幹部待機宿舎のなかに、借上げ宿舎が13棟存在する。借上げ住宅は、家賃を税金で払わなければならず、1ヵ月でも遅らせればそれだけ、税金がムダに使われる。借上げ住宅の早急な廃止が必要と考える。消防庁も工夫していると考えるが、どのような工夫をするのか具体的に伺う。
  ウ 消防署長の幹部待機宿舎は管内に設置するとしている消防庁の考えを改め、例えば、「管内、又は、2キロメートル以内に設置する。」等の例外規定も設けるべきと考えるが、いかがか?
  エ 各消防署は、署長が不在時でも災害対応はどのようにしているのか、お尋ねする。
二 博物館等の招待券の配布について
  江戸東京博物館で、先日行われていた平賀源内展の入場料(常設・企画展共通観覧料)は一般1,200円、大学・専門は960円、中・高・65才以上は600円だ。
  江戸東京博物館で開催された展覧会で配っている「無料招待券」の配布状況を調べたところ、
 ・都関係者に900枚
 ・当該館として、江戸東京博物館関係者に22,100枚
・事務局各館として歴史文化財団、そして、財団が管理している現代美術館、写真美術館等に2,000枚
 ・展覧会関係者として、展覧会に協力した方々に7,000枚
 ・共催者・協賛者として、新聞社等の共催・協賛者に10,000枚配付する。
  都関係者の内訳は、知事50、副知事(3)150、特別秘書100、生活文化局長100、総務部長50、総務課長20、儀典長50、知事本部企画調整部国政広域連携担当30、広報担当副参事100、企画計理課長20(係20)、文化振興部長50、企画調整課長30、展示映像担当課長30、副参事10、予備90、合計900である。
  これだけのものが必要なのだろうか? 必要のないものが多くあると考える。
  当該館と書かれている、江戸東京博物館関係者に配付した無料招待券22,100枚の行方は?と調べてみると、『ある職員は、知事部局の友人に。ある職員は家族にプレゼント!している』と言う(確認済み)。江戸東京博物館を管理している歴史文化財団の総務課長に聞くと、「総務課にも置いてある。家族でもかまわない! 新しいお客さんが増えればよい。帰りにお土産を買ってくれるかもしれない。」と答える。さすが役人集団だ。無料招待券を身内に配りまくる、とんでもない話だ。
  宣伝の為に招待券を配るのであれば、計画的に行うべきである。
  身内に配りまくることを辞めると同時に、配布方法・枚数を改善すべき、と考えるが、見解を伺う。
三 年賀状の見直しについて
 1 平成15年の年賀状は、10局で3,407枚購入していた。日本の良き習慣!なのかも知れないが、どうみても「役所同士のラブ?レター」。ある担当者は「日本の儀礼」というが、役所同士の「ただのお遊び」、納税者に関係ない。
   私のところにも送られているが、知人・友人の年賀状なら嬉しいが、役所からの年賀状は見る気もしない。お年玉の番号に関心があるだけだ。
   各局の年賀状発送リストを入手し、「国関係」の詳細の資料をみると、こんな国の役人に年賀状おくる必要はないと考える。見解を伺う。
 2 また、年賀状の裏面を印刷屋に注文する。健康局は、宛名書きまで印刷業者に頼んでいる。昨年の年賀状は筆書きで1枚187円。ハガキ代を加えれば、1枚237円。人事委員会は、たった35枚を印刷業者に発注し、1枚裏面の印刷代が80円。注文された印刷屋さんも、さぞ呆れたことだろう。石原知事が、聖域なき財政再建を掲げているのに、職員の意識改革は真っ暗だ。
   また、職員が個人的に利用しているとの情報も寄せられる始末だ。
   特殊なケースは例外とし、年賀状を原則廃止するつもりがあるか、お伺いする。
四 付属機関の報酬額の見直しについて
  都に多くある委員会・審議会、この委員の報酬額は、22,000円から34,500円と差がある。
  そこで、「審議会等の報酬額を決める根拠になる文書」を情報公開請求で入手した。
  しかし、「付属機関構成員の報酬額の決定について」という文書は全部公開されたが、「人的要素による評価表(新)」と書かれた文書はほとんど黒塗りで担当者の説明によると、報酬額を決めるには、
・委員会・審議会の各委員を「人的要素による評価表(新)」に基づき4点から1点と点数化する。
 ・点数を合計し、委員の人数で割り平均値を出す(四捨五入)。
・平均値の点数を「ランク別報酬額」に当てはめ、報酬額を決定するという。
  上記「2 決定方法」に書かれている次の文言が気にかかる。
  「・・、人事部で定める内規に基づき、その職業・役職等に応じて点数をつけ、その平均値によりランク付けする。」
  都総務局人事部はどのようにして、職業・役職に応じて点数を付けるのだろうか? その答え、内規が、「人的構成による評価表(新)」と書かれた黒塗りの文書だ。黒く塗られた部分の左側には、
  Aクラス/4点・・・都/知事・副知事、国/事務次官・本省局長以上
  Bクラス/3点・・・都/局長、国/本省部長
  Cクラス/2点・・・都/部長、国/本省課長
  Dクラス/1点・・・都/課長、国/本省係長
  と書かれ、都と国を比べても、都の部長と国の課長が「Cクラス/2点」、都の課長と国の係長が「Dクラス/1点」だ。国の役人の方がランクが上!? 人事担当者は、何か勘違いをしているのではないか!こんな基準で委員会の報酬額が決まると驚きだ。
  情報では、黒塗りの部分に「民間の職業・役職」ごとの区分が書かれているようだ。想像するに、横軸に「議員・大学・民間、・・・・・」の区分が、そして、縦軸には、
  Aクラス・・4点・・都議会議長、学長、大企業の社長
  Bクラス・・3点・・都議会議員、教授、中企業の社長
  Cクラス・・2点・・区議会議員、助教授、小企業の社長
  Dクラス・・1点・・町会議員、講師、個人企業の経営者
  役人が考えるのは、こんな具合ではないだろうか?
  では、組合関係・業界団体等はどうやってランク付けしているのだろう。弁護士・税理士・公認会計士・医者のランクは?委員会の内容が、専門性の高いものか? 都庁の内規だろうと、都民の職業・役職に点数を付けること事態とんでもない話だ。
  行革110番は、2段階に分けるのでよい、と考える。
 1 今後、改善する積もりがあるのかうかがう。
 2 また、本件基準を公開すべき、と考えるが、見解を伺う。
五 光明養護学校の卒業式スロープ問題について
 1 今年、光明養護学校は卒業式を壇上で行う為に、スロープをレンタル料金787,500円を払って1ヵ月ほど借りた。
   壇上に直接スロープを付けられないので、スロープと一緒に張り出しステージもセットで作られている大掛かりのものだ。組み立て式で、取り外しができる。小学部の卒業式は左右にスロープをセットし、高等部は2本のスロープを中央にまとめ1本にするスタイルをとる、という。
   左右にスクリーンをセットし、生徒の卒業証書授与の瞬間を父兄等に見せる工夫をしている。
   今回の父兄からの要望で作られたものなら納得できるが、都教委からスロープを作ることを指示されたと聞くが事実かお伺いする。
 2 石原知事も「全員が壇上で受け取る必要はない」「木を見て森をみないようなことは言わないほうがいい」との見解を示している。
   知事も納得がいかないような、肢体不自由児の学校の卒業式に、なぜ、壇上で卒業式の卒業証書の授与を行う必要があるのか、お伺いする。
 3 行革110番が視察したとき、これだけ大きなセット、卒業式が終わったらスロープを何処にしまうのだろう。そばにいた先生に聞いてみると、「倉庫にしまう!」と言う。しかし、倉庫は満杯!再度質問すると、ステージの上に保管!すると本音を漏らした。ステージを使うときは、どこか他の場所に一時移動させる!と言っていたが、後日、レンタルと訂正した。
   レンタルとなると来年度の卒業式にもまた787,500円の料金を払って借りるつもりか? 伺う。
 4 来年の卒業式は、今年の経験を生かし、以前と同じようにフロアーで関係者が暖かい雰囲気の卒業式を行ってはどうか? 見解を伺う。
 5 また、学校側が都教委の顔色を伺ってグランドピアノにこだわる可能性もあり、卒業式の会場にグランドピアノがないので、別の場所から運んで来た学校もあると聞く。
   音響装置もいろいろあり、ケースバイケースで柔軟に対応すべき、と考えるが、見解をうかがう。
六 局長の専用公用車の運転手の残業代について
  石原知事は職員改革を行っている。やっと職員にも危機意識が芽生えたことが感じられる。
  しかし、黒塗り公用車による局長への朝晩の送迎は今も続けられており、幹部職員の「親方日の丸」意識は、未だに抜けておらず、なにも変わっていないのが現状である。
  改革にあたって、まず、局長以下幹部職員の意識改革を行うべきである。
  局長の出勤について、「徒歩は考えておりません」とする下水道局の対応は時代遅れの納税者を愚弄するものであり、許されるものではない。
  局長が8時30分に都庁に到着する為には、運転手は駐車場から公用車を局長宅まで走らせ、そして、都庁までの時間は残業として残業代が支払われることになる。
  そこで、各局長の公用車の平成15年度の1ヵ月ごとの残業代はいくらになったか? また、年間の残業代はいくらかお尋ねする。
七 都庁内の中古パソコンについて
  職員に一人一台のパソコンが用意され、効率的な仕事を行っていると推測する。しかし、平成15年3月、労政事務所は失業対策用に、失業者が求人情報等をパソコン画面から見れるようにとパソコンを購入した。
  しかし、行革110番が新宿労政事務所を調査した際、本件パソコンは「都民が使って壊されるといけないとして、事務所の隅に置かれ、都民が利用するパソコンは職員が使っていた中古のパソコンが使われ、また、同じくカウンセリングルームにも、中古のパソコンがセットされていた。
  このように、職員が工夫して中古のパソコンを活用しているにも係わらず、新規のパソコン購入をする傾向がある。
  ここで質問だが、都が購入したパソコンで、個人で使用しているものを除いて、現在使用可能なパソコンは何台あるのか伺う。また、それらのパソコンの使用状況も伺う。

平成16年第一回都議会定例会
後藤雄一議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 消防庁の改革について
1 指揮車について
 ア 仮に、指揮車を緊急に使用するのであれば、ボディーを消防自動車と同じ赤色にし、サイレン等の緊急装置を着装するべきと考えるが、見解を伺う。

回答
  指揮監察車は、消防行政事務全般に多目的に使用しており、事前通告を伴わない立入検査や繁華街等における夜間査察などの業務、また、消防署長等指揮者の外部出向、官公庁・事業所等との業務連絡などの業務を円滑かつ効率的に行うために、一般車仕様として整備しており、サイレン等の緊急装置を着装する考えはありません。

質問事項
一の1のイ 今後も現状のままの黒塗りで使用するのであれば、緊急時に火災現場等にどのように早く駆け付けるのか、具体的な方法を伺う。

回答
  指揮監察車は、消防行政事務全般に多目的に使用する車両であり、使用目的のひとつである消防署長等指揮者の出向の際には、管内での災害発生に備えて無線機などにより連絡手段を確保するとともに、防火衣等の装備を積載するなど、出向先から現場に直行できる体制をとっています。

質問事項
一の1のウ 本庁の部付きの指揮車が28台ある。総務部等に指揮車が何故28台も必要なのか、伺う。また、部ごとの利用状況を伺う。

回答
  東京消防庁は特別区全域及び多摩地域の24市3町1村を管轄しており、本庁各部は、国や都、区市町村などの官公庁はもとより、民間団体などとの会議や、連絡・調整など多種多様な業務を行っております。
  このため、業務の円滑な執行や移動の効率性等を考慮して、各部に2台から3台の指揮監察車を配置するほか、総務部には、各部に配置した車両が不足した場合に共用とするための車両及び定期点検時の代替車両も含めて9台を配置しています。

質問事項
 一の1のエ 指揮車は緊急用車両と違い、一般公用車と同様に利用されるにもかかわらず、運転日誌の様式は、一般公用車の運転日誌とは違い利用者、利用目的等の記載欄がなく、説明責任を果たしていない。利用者、時間、利用目的等の記載欄を設けるべきと考えるが、見解を伺う。

回答
  運行日誌は、「道路交通法施行規則」第9条の10第6号に基づく事項を網羅しており、「東京都自動車の管理等に関する規則」に定める別記第4号様式の2(庁有車運転日誌)に準ずる内容であることから、記載事項の変更は考えていません。

質問事項
 一の2 幹部待機宿舎について
  ア 麻布消防署の耐震改修を行うという理由で、平成15年10月から署長の宿舎用に近所のマンションを幹部待機宿舎として借上げた。耐震改修工事は、平成16年度からという。何故、6カ月も前からマンションを借りて住まわせているのか、伺う。また、麻布待機宿舎の耐震改修工事の正確な予定を伺う。

回答
  麻布消防署と合築であった同消防署長宿舎を民間マンション借り上げとしたのは、狭隘な消防庁舎に、消防団本部室や都民対応を円滑に行うための執務スペースなどをできる限り早期に確保する必要があったためであり、平成16年度に耐震改修工事が予定されていたことから、平成15年度予算で暫定措置として実施したものです。消防署長宿舎跡は、移転後、暫定的に、消防団本部室、震災対策用資器材倉庫等として有効に活用しております。
  麻布消防署の耐震改修工事は、平成16年5月に着工しました。

質問事項
一の2のイ 消防庁の幹部待機宿舎のなかに、借上げ宿舎が13棟存在する。借上げ住宅の早急な廃止が必要と考える。消防庁も工夫していると考えるが、どのような工夫をするのか、具体的に伺う。

回答
  民間マンションの借り上げによる幹部待機宿舎の整備は、狭隘な消防庁舎に都民対応スペース等を早期に確保する必要があったことから、従来、消防庁舎と合築で整備していた宿舎を他に移転するために、暫定措置として実施したものです。
  将来的には、消防庁舎の改修・改築時に合築するなど、本格的な整備を行っていきますが、それまでに期間を要する場合は、一時的に同一管轄区域内にある家族寮等も活用したいと考えています。

質問事項
一の2のウ 消防署長の幹部待機宿舎は管内に設置するとしている消防庁の考えを改め、例えば、「管内、又は、2キロメートル以内に設置する。」等の例外規定も設けるべきと考えるが、見解を伺う。

回答
  消防署長宿舎は、消防署長が地域の安全に関する消防責任が果たせるよう、管轄区域内に設置しております。
  さらに、火災等の災害による被害の軽減には、地域の消防団、管内住民及び事業所との信頼関係や密接な連携体制の構築が不可欠であること、休日・夜間には、消防署長が管内における唯一の管理職職員であること等からも、消防署長は、管轄区域内に居住する必要があります。

質問事項
 一の2のエ 各消防署には、署長が不在時でも災害対応はどのようにしているのか、伺う。

回答
  消防署長は、職務上、管轄区域内に居住することを義務づけられていますが、休暇や旅行等で不在となる場合は、消防署の管理職を消防署長の代行として、臨時に宿直させ、災害等に対応しています。

質問事項
 二 博物館等の招待券の配布について
   江戸東京博物館で、先日行われていた平賀源内展の「無料招待券」の配布状況を調べたところ、必要のないものが多くあると考える。宣伝の為に招待券を配るのであれば、計画的に行うべきである。身内に配りまくることを辞めると同時に、配布方法・枚数を改善すべきと考えるが、見解を伺う。

回答
  江戸東京博物館など都立の博物館・美術館で開催する展覧会の招待券は、主催者が広報・宣伝を目的として発行しているもので、その配布先や発行枚数については、展覧会の内容や目標とする客層等を踏まえて計画的に決定しています。
  具体的には、まず主催者の東京都歴史文化財団や所管の博物館・美術館のほか、共催者、協賛団体、後援団体や東京都などに配布され、その上で、それぞれが仕事上交流のある関係者などに配ることにより、当該展覧会等への来場者の増加、客層の新規開拓、都立文化施設の存在の周知などを図るものです。
  招待券の配布・活用については、より適切かつ計画的に行い、宣伝効果が十分に発揮されるよう、東京都歴史文化財団並びに関係方面に指導し、助言してまいります。

質問事項
 三 年賀状の見直しについて
  1 各局の年賀状発送リストの「国関係」の資料による役人には、年賀状を送る必要はないと考えるが、見解を伺う。

回答
  年賀状の発送先については、それぞれの業務の実情にあわせ、各局が適切に判断しているものと認識しています。

質問事項
 三の2 特殊なケースは例外として、年賀状を原則廃止するつもりはないか、見解を伺う。

回答
  関係機関等に対する年賀状の対応は、各局の業務の実情に応じて、それぞれ適切に行っているものと認識しており、一律に廃止する、ということは考えていません。

質問事項
 四 附属機関の報酬額の見直しについて
  1 「ランク別報酬額」を2段階に分けるのがよい、と考える。今後、改善する積もりがあるのか、伺う。

回答
  都には平成16年3月1日現在、183の附属機関があり、約3,000人の委員
 がいます。
  附属機関には、都の政策形成に直接反映されるような事項を審議するもの、極めて専門的な事項を審議するもの、専ら権利者間の調整を図るものなど様々なものがあります。附属機関のこのような実態を適切に反映した委員報酬とするために、4段階の報酬額を設定しています。

質問事項
 四の2 本件基準を公開すべきと考えるが、見解を伺う。

回答
  附属機関の委員の報酬額は、「東京都附属機関の構成員の報酬及び費用弁償に関する条例」において上限額(36,900円)のみを定めており、それぞれの附属機関の報酬額は選任された委員の専門知識や経験等に着目し、決定しています。
  都では報酬額を決定するため4段階の内部基準を定めていますが、この基準は委員の専門性を判断するための尺度にすぎないものであり、この基準を全て公開した場合、都が様々な分野の職業、役職等をランク付けしたとの誤解を招き、附属機関の適正な運営に支障を来すおそれがあります。
  このため、東京都情報公開条例第7条第6号に基づき、本基準は一部開示としています。

質問事項
 五 光明養護学校の卒業式スロープ問題について
1 光明養護学校は、卒業式のために、都教委からのスロープを作るこ
 とを指示されたと聞くが、事実か伺う。

回答
  都立光明養護学校におけるスロープは、卒業する児童・生徒一人ひとりの障害の状態等を踏まえ、学習指導要領及び都教育委員会の平成15年10月23日付けの通達に基づき、校長が、必要と判断し、設置したものです。

質問事項
 五の2 知事も「全員が壇上で受け取る必要はない」「木を見て森を見ないようなことは言わないほうがいい」との見解を示している。知事も納得がいかないような、肢体不自由児の学校の卒業式に、なぜ、壇上で卒業証書の授与を行う必要があるのか伺う。

回答
  卒業式は、児童・生徒の希望に満ちた姿や立派に成長した姿を、式に参列したすべての出席者が、卒業生とともに、喜び、讃え合う場です。
  したがって、障害のある児童・生徒も、障害のない児童・生徒と同様に、希望と自信に満ちた晴れがましい姿を多くの人々に見てもらい、卒業証書を舞台壇上で授与することが大切であると考えます。

質問事項
 五の3 来年度の卒業式にもまた78万7500円の料金を払ってスロープを借りるつもりか、伺う。

回答
  平成16年度のスロープの設置については、学校長が費用効果の検証及び活用状況等を勘案し、設置工事又は購入、レンタルのいずれの方法によるかを判断するものであると考えます。

質問事項
 五の4 来年の卒業式は、今年の経験を生かし、以前と同じようにフロアーで関係者が暖かい雰囲気の卒業式を行ってはどうか、見解を伺う。

回答
  今年度の卒業式については、多くの都民から、厳粛かつ清新な雰囲気の中で、心温まるものであったと高く評価していただいています。
  今後とも、都教育委員会は、卒業式の実施に当たって、学習指導要領や都教育委員会の通達に基づき、舞台壇上での卒業証書の授与が行われるよう指導してまいります。

質問事項
五の5 学校側が都教委の顔色を伺ってグランドピアノにこだわる可能性もあり、卒業式の会場にグランドピアノがないので、別の会場から運んで来た学校もあると聞く。ケースバイケースで柔軟に対応すべきと考えるが、見解を伺う。

回答
  都教育委員会の通達における実施指針では、「国歌斉唱は、ピアノ伴奏等により行う。」と示しております。しかし、式典会場にピアノがない学校については、校長の判断により、柔軟に対応しています。

質問事項
 六 局長の専用公用車の運転手の残業代について
  各局長の公用車の平成15年度の1カ月ごとの残業代はいくらか、また、年間の残業代はいくらか、伺う。

回答
  公用車による局長の送迎は一種の危機管理であり、いついかなる時でも迅速で適切な行動を取ることができるように、公務遂行上の必要から行っているものです。
  各局長の公用車の運行につきましては、民間委託を基本としており、委託契約上、標準となる運行時間を超えた場合は割増料を支払う仕組みであるため、お尋ねの残業代という概念はありません。

質問事項
 七 都庁内の中古パソコンについて
   都が購入したパソコンで、個人で使用しているものを除いて、現在、使用可能なパソコンは何台あるのか、伺う。また、それらのパソコンの使用状況を伺う。

回答
  各局が事業用に使用するパソコンは、各局・所で調達・管理しており、個人使用であるかどうかを含め、個別の使用状況の把握は困難です。
  なお、事務用として個人が使用するパソコンは、東京都高度情報化推進システム(TAIMS)の端末機として、公営企業局等一部を除き、総務局が一括して調達し、各局に約23,000台を配布しています。
  また、各局が運用管理しているシステムの端末機として使用するパソコンについては、各局において調達・管理しています。

平成16年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 清水ひで子

質問事項
 一 30人学級の実施について
 一 30人学級の実施について
  わが党は30人学級について、その必要性の根拠も示して、これまで繰り返し実施を求めてきました。これに対し教育庁は、学習集団としての少人数学級についてはその効果を認めていますから、のこされた不一致は生活集団として、少人数学級が適切であるかどうかという問題です。
 1 わが党は本会議代表質問で、社会の激変が子どもたちの心と生活に大きく影響し、心の不安定な子どもや、学校の授業に集中できない子どもが増え続けている問題などを指摘し、学校での子どもの集団の基礎単位である学級を、生活集団としても、担任教員の目がゆきとどき、きめ細かく個別に対応できる規模にしていく必要があることを明らかにしました。
   さらに最近の研究や調査では、少人数学級は、生活集団としても子ども達にとって良い効果があることが明らかになってきています。
   第1に、学級崩壊の増大をどうふせぐかという問題で、25年間にわたって全国の子どもの「体」を調査している日本体育大学名誉教授の正木健雄氏は、「集中力が弱く落ち着きもない」いわゆる「そわそわ型」の子どもは、小学校に入るとぐっと減っていくというのがこれまでの傾向でしたが、最近は、小学校に入学しても「そわそわ型」の子どもが4割から5割に及んでおり、「そういう子は教師の話を1分くらいしか聞き続けられない」と報告しています。「小学校低学年で問題の学級崩壊の実態はこれだ」と述べています。
   さらに最近指摘されているのが、学校の授業に集中できず動き回る「多動性」などの子どもが増えている問題です。「知的な発達に遅れはないものの、学習面や行動面で著しい困難を示す」と通常学級の担任等が回答した子どもが、都の調査でも4.4%存在しています。特別支援教育が始まったとしても、この子どもたちの大部分は、通常学級に在籍します。こうした教室を飛び出したりする子どもの周りに、そわそわ型の子どもたちが学級の半数もいることは、事態を深刻にしています。だからこそ、少人数学級にして生活集団も小規模にして、きめ細かい対応をすることが求められているのです。
   国立教育政策研究所の研究でも、生活集団としての少人数学級の効果が明らかにされています。たとえば、「友達のせいで授業に集中できない」とか「間違えたときに笑われたり、冷やかされた」などの、いわゆるネガティブな経験は、少人数学級ほど少なく、大人数の学級ほど多くなっています。逆に、「友達が困っているときに、誰かが助けた」とか、「自分のクラスはまとまって感じる」などのポジティブな意見は、少人数学級のほうが大人数学級より多いという違いが明らかにされています。これは、小中学校ともに共通していると指摘されています。
   実際に少人数学級に踏み出した自治体では、教育実践としても成果が確認されています。長野県では学習効果とあわせて「基本的生活習慣が定着した」「仲良く遊んだり、学級の問題をみんなで話し合うなど、学級のまとまりがよくなった」など、生活集団としての効果が確認されています。山形県でも同様の報告がされています。
   生活集団の問題をもって、少人数学級をこばむ理由はどこにも見あたりません。
   知事、すでに少人数学級に踏み出している道府県は、知事の決断でスタートしています。都として少人数学級に踏み出すよう知事が決断すべきですが、答弁をもとめます。
 2 また、少人数学級にふみだした山形県の知事は、「橋の1つや2つ遅らしても」と、子どもたちの教育に、優先して税金を使うことを表明しています。たとえ財政が厳しくても、子どもたちの教育に財政を使う、ここに自治体として求められる原点があります。知事がこの原点に立ちかえることをつよくもとめておくものです。
 3 昨年、文部科学省は、少人数指導のための加配教員を少人数学級に振り向けることを認め、その意向調査を都におろしました。それについて都教育委員会は、区市町村の意向を聞くこともなく、「該当なし」と文科省に回答しました。このことについて区市町村の教育委員会は、都の態度を認めているわけではありません。区市町村側は、今後、重要事項については、十分意思疎通を行うよう要求しているし、少人数学級についても引き続き求めています。
   こうしたもとで、文部科学省の措置をうけて、30人学級をはじめとする少人数学級に踏み出す自治体が全国的に広がり、この春から43道府県と大勢を占めるにいたっているのです。
   このように少人数学級は、全国の大きな流れとなっており、このままでは、東京の子どもたちだけが取り残されることにもなりかねません。東京でも30人学級をもとめる声はおおきく広がっており、昨年も125万人を超える署名が東京都に提出されるにいたっています。
   わが党の代表質問に対し教育長は、「30人学級について…この問題は画一的に考えるのではなくて…それぞれの自治体が地域の実情に応じ創意工夫することが重要であると考えております」と答弁しています。だとするならば、区市町村の自主性に委ねたらよいのではありませんか。地方分権の流れからも当然のことです。しかも、文部科学省が認めた少人数加配を活用した少人数学級は都の新たな財政負担を伴わず実施できるものです。   少なくとも、文部科学省の少人数加配を活用して少人数学級をやりたいと希望している区市町村については、踏み出せるように応援すべきと考えます。答弁を求めます。

平成16年第一回都議会定例会
清水ひで子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 30人学級の実施について
1 すでに少人数学級に踏み出している道府県は、知事の決断でスタートしている。都として少人数学級に踏み出すよう知事が決断すべきだが、見解を伺う。

回答
  他の道府県での少人数学級への取組については承知していますが、この問題は「他団体において実施しているから都においても」という横並び意識で考えるものではなく、教育効果という視点から、主体的に判断すべきものです。
  学級編制基準については、児童・生徒の杜会性を養う観点から、現行の国の標準である40人とする一方、児童・生徒の確かな学力を育成するため、教科等の特性に応じた少人数による指導の拡充を行っています。

質問事項
一の2 少人数学級にふみだした山形県の知事は、「橋の一つや二つ遅らしても」と、子どもたちの教育に、優先して税金を使うことを表明している。たとえ財政が厳しくても、子どもたちの教育に財政を使う、ここに自治体として求められる原点がある。知事がこの原点に立ちかえることをつよくもとめておく。見解を伺う。

回答
  各自治体が地域の実情に応じて、創意工夫をしていますが、学級編制基準とすべき生活集団である学級については、その規模に定説的な見解はなく、都教育委員会では、国の標準である40人を学級編制基準としております。
  一方、都教育委員会では、限りある人材を有効に活用して、基礎学力などの向上に配慮し、きめ細やかな指導を行っていくために、教科等の特性に応じた少人数による習熟度別指導の充実に努めています。

質問事項
一の3 教育長は、「30人学級について、それぞれの自治体が地域の実情に応じ創意工夫することが重要である」と答弁している。文部科学省が認めた少人数加配を活用した少人数学級は、新たな財政負担を伴わない。文部科学省の少人数加配を活用して少人数学級をやりたいと希望している区市町村については、踏み出せるように応援すべきと考える。見解を伺う。

回答
  平成16年度における文部科学省の措置は、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律第15条第4号の「当該学校において教育指導の改善に関する特別な研究が行われていること」という規定に基づき、都道府県教育委員会が定める「少人数学級に関する研究指定校」に対し、少人数指導等の「指導方法工夫改善定数」の範囲内で、定数加配措置をするもので、「少人数学級を希望する区市町村」の学校に加配する制度ではありません。

平成16年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 松村友昭

質問事項
 一 千川上水の清流復活事業について
 一 千川上水の清流復活事業について
  千川上水は武蔵野市の境橋付近で玉川上水から分岐し、2市4区(保谷市、武蔵野市、練馬区、中野区、杉並区、豊島区)を流れ、北区滝野川にいたる延長22キロメートルの上水で、白子川、石神井川とともに、まちなかを流れる清流として親しまれてきました。
  千川上水はかつて、桜の名所として区民に親しまれてきたところで、その数キロメートルにもおよぶ川沿いの見事な桜並木は、いまも、私の脳裏に深く焼き付いています。
  その歴史は、およそ300余年前にさかのぼり、江戸時代の元禄9年、小石川御殿、湯島聖堂、東叡山寛永寺、浅草御殿などに給水することを主な目的としてつくられ、浅草方面など江戸北部80余町への飲料水の供給、さらには、沿岸の20か村に分水され、灌漑用水、水車の動力としても大きな役割を果たしたと聞き及んでいます。
  現在は、残念ながら、急速な都市化によって、区内部分については、ほとんど暗渠化され、地域から水辺空間と、みどりの風景がうばわれてしまったのです。そのうえ、地上部は都道とされているため、いまでは、そこに川があったということを知っている住民はすくなくなりました。
  こうした中、東京都は1989年ごろから野火止用水、玉川上水、千川上水などの清流をよみがえらせる清流復活事業にとりくむことになり、練馬区では、おおくの区民が、千川上水についても清流が復活するのではと期待をふくらませたのです。
  しかし、東京都の清流復活事業は、練馬区内部分については、青梅街道までのごく1部の地域にとどまったため、千川上水はほとんどが暗渠のまま残されることになりました。区民、区議会から青梅街道から下流についても清流を復活して欲しいという強い要望が出されながら、今日に至っています。
  そのため、千川上水を清流として復活して欲しいという、区民の声があらためてひろがろうとしています。
  現在、地方分権のいっかんとして、千川上水などの河川の管理について、東京都から基礎自治体に移管する方向がうちだされ、関係区市とのあいだで、協議が行なわれており、区民はその動向に注目しているところです。
  そこで伺います。
 1 大都市東京の23区は、都市化された地域が連担しており、しかも、地方と違い区市の区域もそう広くありません。その区域を流れる千川上水の管理を区市の境界をもって細かく分断する必要は見あたりません。そこで、千川上水などの河川は、東京都が広域行政の立場から、管理にあたることが合理的であり、継続して東京都がおこなうべきと考えますが、どうか。
 2 東京都は、千川上水の区移管ができない場合、暗渠をつぶす計画と聞いていますが、事実か。
 3 千川上水には、日量1万立方メートルの水が流れており、その水辺空間としての活用がいそがれています。区市との協議においては、千川上水の暗渠部分を含め、今後とも清流化をはかる立場から協議をつくすべきだと思いますが、どうか。
 4 また、当面、区内の暗渠部分を可能な場所で開渠して、水辺環境を創出して欲しいという、要望に応えるべきではないか。どうか。

平成16年第一回都議会定例会
松村友昭議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 千川上水の清流復活事業について
1 現在、千川上水などの河川の管理について、都から基礎自治体に移管する方向がうちだされ、関係区市とのあいだで、協議が行なわれている。千川上水の管理を区市の境界をもって細かく分断する必要は見あたらない。千川上水などの河川は、都が広域行政の立場から、管理にあたることが合理的であり、継続して都がおこなうべきと考えるが、見解を伺う。

回答
  千川上水は法定外公共物の国有財産であり、東京都が使用許可、維持管理など実態的な管理をしてきました。
  平成12年、「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」(以下、「地方分権一括法」という。)の施行に伴い、平成16年度末までに国有財産を地元の自治体である区市町村に無償で譲与することとなり、千川上水についても関係する区市と現在まで移管の協議をしてきました。
  地方分権一括法の趣旨に基づき、千川上水については地元の自治体が財産の譲与を受け、管理をするものであり、東京都が継続して管理することは考えておりません。

質問事項
一の2 都は、千川上水の区移管ができない場合、暗渠をつぶす計画と聞いているが、事実か伺う。

回答
  千川上水の移管については、暗渠部の取扱も含めて、平成12年から地元の区市と協議を重ねております。
  今後とも、関係する区市との協議により、円滑な移管に努めていきます。

質問事項
一の3 区市との協議においては、千川上水の暗渠部分を含め、今後とも清流化をはかる立場から協議をつくすべきだと思うが、見解を伺う。

回答
  千川上水には、現在、1日あたり6千5百立方メートルの水が流れております。
  今後もこれを踏まえて、区市との千川上水の移管の協議を継続していきます。

質問事項
一の4 当面、区内の暗渠部分を可能な場所で開渠して、水辺環境を創出してほしいという、要望に応えるべきではないか。見解を伺う。

回答
  暗渠部の上部は、都道椎名町上石神井線(通称千川通り)の歩道や緑地帯として利用されており、あらためて開渠にすることは困難です。

平成16年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 和田宗春

質問事項
 一 都電荒川線の延伸と中距離中量輸送システム(IMTS)等の導入について
 二 都内ゴルフ場の農薬使用の現状について
一 都電荒川線の延伸と中距離中量輸送システム(IMTS)等の導入について
 1 平成11年11月に公表された、「LRT導入に関する調査」の経緯及び今後の取組について、によると都電荒川線については既設路線の改良延伸によってLRT(ライト・レール・トランジット)の導入について記している。
   その交通改善の視点としては既存路面電車ルートを改良し、さらに延伸することで地域の利便性を向上させ活性化しようとするものである。
   都電荒川線沿線の自治体は特に高齢化がすすんでいるところでもある。
   運転免許証を高齢者が返上する時代となり、安全で安心して乗降できるLRTは重要な移動手段となりつつある。
   都バスの低床化によってどれほど身障者、高齢者が喜んでいるかわからない。
   都電荒川線が地域に、社会的要請に応えるための課題と対応策は次のことが考えられる。まず採算性である。延伸、改良後に採算のとれる路線にすることである。平成14年度の営業損益決算においても2億2千4百万円の黒字である。これの確保である。そのためにはより多くの利用者すなわち新規需要を誘発させる必要がある。
   すなわち電車優先信号を設置して、運行時間を守ること、またJR等の鉄道駅と連絡を強化すること、トランジットモール等の施設を一体的に検討することである。
   都電荒川線を延伸することで輸送力、速度などで柔軟に利用者に応ずることができ、地域のバスの代替、歩行支援にもなる。
   また現在延伸についてどのような計画が立てられているのか。
 2 21世紀初の万国博覧会となる愛知万博の開幕まで一年を切った。「自然との共生」をテーマに来年3月25日から185日間にわたり開催される。その会場のなかで新しい交通システムが可動することになっている。
   それは中距離中量輸送システム(IMTS)である。計画では会場内の約1.6キロを最高速度30キロで走り、1日、2万7千人を輸送することとなっている。燃料は環境への影響が少ない圧縮天然ガスを使用する。類似の交通手段といえる「ゆりかもめ」など同様の速度、輸送力をもつものと比べてコストは半分程度という点は魅力の一つといえる。
   一種のバスであるが、道路中央に数メートル置きに埋められた磁石を感知して自動走行する。電波や光センサーで車間距離を計測し、自動調節する。専用道では自動運転であるが、運転手による手動運転に切り替えることも可能といわれている。
   都電荒川線の延伸についてIMTSの導入等もあわせて、新交通技術の併用、接続も検討するべきであるが当局は21世紀の都電荒川線の望ましい姿をどのように展望しているのか。
二 都内ゴルフ場の農薬使用の現状について
 1 神戸市の六甲山にある「神戸ゴルフ倶楽部」は1903年にオープンしたわが国でいちばん古いゴルフコースである。
   グリーンはベントグラスであるが、スズメノカタビラなどの雑草が処々に生えている程度でプレーには支障がない。農薬はグリーンに撒くだけである。フェアウェーとラフはシーズンオフの冬に刈り込む以外、何の手も加えない。
   農薬の使用量は1年に約85キログラムである。兵庫県内のゴルフ場の平均の約7%であるといわれている。このようなゴルフ場も現存している。都内には24のゴルフ場があり、農薬が使われている。
   平成2年にゴルフ場農薬の安全使用に関する指導要綱が施行され13年が経過してきている。
   できるかぎり農薬の使用は抑制し、人畜および環境に害をもたらさない安全な特定防除資材を用いるべきである。
   指導要綱が施行されてから農薬の使用量にはどのような変化があるのか。
 2 散布された農薬は必ず地中に入り水に混り排水されることになる。
   都では年に2回ゴルフ場排水の農薬調査を行なっているが、最近10年間の結果はどうなっているのか。また都民にどのように公表しているのか。
 3 農薬使用量は東京にある丘陵、林間16コース、河川敷2コースの計18コースの年間農薬使用量の単位面積当たりの平均値を目標数値としているようであるが、隣接するゴルフ場同志の数値が大きく異なる場合などは都が理由の調査を行ない低量化の方向に調整するべきであると思うがどうか。
 4 千葉県のゴルフ場などでは農薬に頼らず病害虫に強い芝を育てようとする動きや海藻エキス、木酢、アミノ酸系の有機肥料を大量にまいて「芝の基礎体力作り」に力を入れたりしている。
   また鳥の巣箱をコース内の樹木につけたり害虫に寄生し体を食べる線虫を詰め込んだ生物製剤を散布したりして実効をあげている。都もゴルフ場のグリーンキーパーで作る組織と協議して農薬使用の少ない都内ゴルフ場の実現にむけて努力すべきであるがどのように考えるか。

平成16年第一回都議会定例会
和田宗春議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 都電荒川線の延伸と中距離中量輸送システム(IMTS)等の導入について
1 平成11年12月に公表された「LRT導入に関する調査」の中で、都電荒川線へのLRTの導入による延伸・改良について記されている。沿線自治体は特に高齢化が進んでいることもあり、安全で安心して乗降できるLRTは重要な移動手段であると考えるが、都電荒川線の延伸について、現在、どのような計画が立てられているのか、伺う。

回答
  都電荒川線は、営業キロ12.2キロメートルで、1日当たり約5万7千人のお客様にご利用いただいております。バリアフリーについては、平成9年度までにすべてのホームのかさ上げと道路面までのスロープ設置を完了するなど対策を進めてきました。
  都電荒川線の延伸計画についてですが、平成11年度に局で取りまとめた路線延伸や輸送機能の改善の可能性についての調査結果では、延伸に見合う需要が見込めず事業性が極めて低いこと、また導入空間の確保、道路交通への影響など解決すべき課題が多いことから、具体的な延伸計画には至っておりません。

質問事項
一の2 都電荒川線の延伸について、IMTSの導入等も併せて新交通技術の併用、接続も検討するべきであるが、21世紀の都電荒川線の望ましい姿をどのように展望しているのか、伺う。

回答
  都電荒川線については、基本的には現在の輸送システムを継承しつつ、地元区の動向やIMTSをはじめとする新交通技術の開発の状況に注視していきます。
  当面はICカード乗車券の導入などIT技術の活用を進め、より便利にご利用いただけるようサービスの向上を図るとともに、地域に密着した路線として沿線の活性化に貢献していきます。

質問事項
 二 都内ゴルフ場の農薬使用の現状について
  1 ゴルフ場農薬の安全使用に関する指導要綱が施行されて13年が経過している。指導要綱が施行されてから、農薬の使用量には、どのような変化があったか伺う。

回答
  都は、平成2年度から都内のゴルフ場における農薬使用量を調査しております。農薬使用量を、使われた製品の農薬成分含有量で示すと、平成4年度の19,552kgをピークに、年々減少しています。平成14年度は10,868kgと、平成4年度に比べ、半分近くの使用量に減少しました。

質問事項
二の2 都では、年に2回、ゴルフ場排水の農薬調査を行っているが、最近10年間の結果はどうなっているのか、伺う。また、都民にどのように公表しているのか、伺う。

回答
  都は、平成2年度から都内ゴルフ場排水の農薬調査を行っています。平成15年度の排水調査では、都内21ゴルフ場について、年2回、39種類の農薬を調査しました。
  最近10年間の調査結果で、環境省が定めた「ゴルフ場で使用される農薬による水質汚濁防止に係る暫定指導指針値(平成2年5月24日環水土第77号)」を上回ったのは、平成12年度の殺虫剤フェニトロチオン0.036mg/((指針値0.03mg/(以下)の1検体です。
  都は、指針値を上回る農薬が検出されたゴルフ場に立ち入り、農薬の流出原因を調査しましたが、原因は不明でした。なお、当該ゴルフ場に対しては、農薬使用の適正化の指導を行うとともに、農薬使用削減計画を提出させました。
  また、各年度のゴルフ場排水の調査結果は、プレス発表等で公表するとともに、平成12年度以降の調査結果を環境局のホームページに掲載しています。

質問事項
 二の3 ゴルフ場の年間農薬使用量の単位面積当たりの平均値を目標数値としているが、隣接するゴルフ場同士の数値が大きく異なる場合などは、調査を行い、低量化の方向に調整すべきと思うが、見解を伺う。

回答
  都は、毎年度都内のゴルフ場について農薬使用量を調査し、単位面積当たりの平均農薬使用量を算出して、この結果を各ゴルフ場に通知するとともに、平均値を上回った農薬を使用しているゴルフ場に対しては、農薬使用量の削減を指導しています。
  平成15年度からは、農薬使用計画書による使用計画量が多く、隣接するゴルフ場に比べても数値の高いゴルフ場については、その原因を調査するとともに、農薬使用量を削減する具体的な方策について、個別に指導を行っています。

質問事項
 二の4 千葉県のゴルフ場では、病害虫に強い芝を育てようとする動きや、生物製剤を散布したりして実効をあげている。都でも、グリーンキーパーでつくる組織と協議して、農薬使用の少ないゴルフ場実現に向け努力すべきだが、見解を伺う。

回答
  都は、ゴルフ場における農薬の適正使用を推進するため、毎年度、ゴルフ場事業者やグリーンキーパー等を対象に、ゴルフ場農薬安全使用講習会を開催しています。平成15年度には、千葉県から講師を招いて、ゴルフ場の無農薬化に関する同県の取組についての講演も併せて行いました。
  また、講習会とは別に、平成15年度は、都内ゴルフ場のグリーンキーパーの方々を対象に、野鳥の巣箱設置や環境にやさしい天敵細菌などの利用について情報提供を行い、総合防除の推進により、これまで以上に農薬使用の削減を図るよう要請したところです。
  今後とも、農薬使用の少ないゴルフ場の実現を目指して、農薬使用量の削減と適正使用について、より一層の指導を行ってまいります。

平成16年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 大山とも子

質問事項
 一 都営住宅の活用について
 一 都営住宅の活用について
  都営住宅の新規建設が停止され、石原都政は発足以来、2004年度予算も含めて5年間、都内に新規建設による新たな都営住宅をただの1戸もつくってきませんでした。とりわけ新宿区内では、1978年以来1戸の新築住宅もつくられていません。そんな中で、都民にとって、都営住宅が増える唯一の機会が建て替え事業です。
  現在、新宿区内では百人町にある戸山アパートの建て替えが順次終了しており、シルバーピアは公募に出され、従前居住者以外に新たな居住者が入居することができ、喜ばれています。しかしシルバーピア以外は、従前居住者の戻り入居のみで、多くの住戸が空き家のままとなっています。その空き家は3月現在約120戸あります。「せっかく建て替えた都営住宅をどうして空き家にしておくのか、都民の大切な財産ではないか」という都民の批判は、当然のことです。
  また、同じ新宿区内で弁天町アパートが現在建て替え工事が進められており、もうすぐ出来上がるところです。工事を間近で見ている近所の方々は、申し込めることを心待ちにしていました。ところが、ここも事業用として公募に出さないといわれており、戻り入居以外の住戸は空き家のまま放置されることになることが心配されます。「どうして公募しないのか」と、ここでも多くの方々から疑問と批判の声が寄せられています。
  住宅局は、百人町も弁天町も事業用で2年間は公募に出さないといいますが、その一方、この2年間で、新宿区内にも周辺区にも建て替え計画はないことを認めています。しかも、すでに百人町アパートでは、2年をこえ長いところで3年も空き家のままになっている状況です。
 1 百人町アパートでは、2004年3月1日現在、どの住戸が空き家になっているのか、その中で事業用はどこか、明らかにしていただきたい。
 2 弁天町アパートの総戸数は83戸と聞いていますが、戻り入居を予定しているのは何世帯か、直近の状況をお答えください。
 3 百人町アパート、弁天町アパートの空き家は事業用との説明ですが、具体的にどこの事業用に使うのか、明らかにしてください。
  新宿区内はもちろん都内では、若い世帯も高齢者も都営住宅を必要としている人は増えており、都営住宅に入りたいというのは本当に切実な要望となっています。
  新宿区は住宅相談を行っていますが、住み替えを希望する理由は立ち退きを求められているケースとともに、家賃が高い、環境改善などが高い割合を占め、年齢層は60歳代70歳代が半数以上を占めています。また、希望家賃は6万円未満で半数以上を占めています。しかも、住宅相談はするものの実際に住み替えることができた方は、今年度ではわずか7世帯のみです。つまり、都営住宅階層の方々が住居を借りようとしてもほとんどないということなのです。
  私どもの住宅相談会に来所する方も、4.5畳や6畳一間に居住している高齢者が少なくありません。また、離婚して、保育園と小学生の3人の子どもを育てているお母さんは、登録型の派遣労働者で複数の派遣会社に登録し、パソコンの技術も専門学校に通ってスキルアップしたが、昨年の8月以降仕事があったのは3週間のみという状況です。離婚前に借りているマンションのため、家賃は15万円から16万円、家賃がおおきな負担になっています。蓄えもほとんどなくなり、何とか都営住宅に入れないかと必死です。社会経済状況から言っても、都営住宅は切実に求められているのです。また、年金に入っていない67歳の女性は、午後から飲食店の洗い場で夜中の12時頃まで働いています。夜が遅い仕事なので、風呂が無いと困るので、住んでいるアパートは9万円の家賃です。「いつまで働いていられるか心配です」と、彼女は語っています。そのほかにも高齢の単身者が多く、長年通っている病院の近くから離れられない、友達と離れたくないなど、住みなれた地域から離れることは簡単にはできません。
  このように、都民の切実な住宅要求を見るならば、都営住宅の空き家をこのまま放置しておくことは絶対に許されません。現在工事中の百人町4丁目第2アパートだけでも304戸が予定されており、移転予定の世帯は約180世帯です。十分、公募に出せる数はあるはずです。
 4 百人町アパート、弁天町アパートとも早急に一般公募に出すことが切実に求められています。事業用だといっても、現時点で具体的な使い道がないのですから公募に出すべきです。また、具体的な使い道があるなら必要な戸数を精査し、それ以外は直ちに公募に出すことを求めます。お答え下さい。
  北新宿地区再開発事業では、当初再開発住宅をつくると約束していたにもかかわらず、約束を破って再開発住宅はつくらないことになってしまいました。直線距離にして1キロメートル程度しか離れていない百人町アパートには、事業用だという理由で確保されている空き家が多くあるにもかかわらず、はるか離れた亀大小、また白鬚などの再開発住宅を紹介しているのも、おかしなことです。区内にある都営住宅はほとんど紹介されません。
  その結果、98年5月の段階でこの地域に221人いた借家人のうち、区の事業用住宅含め区内に残ることができたのは、予定を含めてわずか13人のみです。住民は追い出さない、住み続けられる地域をつくるという当初の都の説明にてらしても全く約束違反と言わざるを得ません。仕事上からも新宿を離れられないという方は、仕事が休みのときには不動産屋を回っています。友達がいないところにはとても引っ越せないという高齢者など、多くの方々が途方にくれています。
  百人町アパートや弁天町アパートの空き家は事業用だと言うなら、目前にある困難な状況にこそこたえるべきではないでしょうか。
 5 北新宿再開発での区内都営住宅への転居希望者は、百人町アパートや弁天町アパートを活用することが必要だが、どうですか。
  住宅変更を希望している人のために、空き家を活用することも重要です。
  建て替え前の戸山アパートにはエレベーターがないため、住宅変更を希望する高齢者、障害者は多くいます。しかし、戸山アパートで住宅変更を出しても建て替えた百人町アパートへの住宅変更は、空き家があるにもかかわらず認められず、長期間待たなければなりません。
  4階に住んでいる夫婦は、妻が心臓病で2度も入院し4階までの階段の上り下りはとても困難です。建て替えによる住み替えまではまだ2年もあるので、昨年の7月に住宅変更を出しましたが、いまだに住宅変更はできず、通院さえも大変な状況になっています。いずれにしても建て替えれば新しいところに住み替えるのですから、すでに出来上がって空き家になっているところに変更してくれてもよいではないか、という思いはごく自然ではないでしょうか。
  このようなケースはこの方だけではありません。戸山アパートで住宅変更を提出している方は2004年3月時点で4人ですが、待ち期間の一番長い人は、3年以上にもなっています。住宅変更の理由は切実なものばかりです。
 6 戸山アパートで、住宅変更を提出している方には、百人町アパートの空き家になっているところを紹介することを求めますが、いかがですか。
 7 この問題は新宿区内だけの問題ではありません。空き家の状況を全都 的に調査し、活用することを求めます。
 8 同時に、空き家の活用だけでは都民の都営住宅要求の根本解決はできません。都営住宅の新規建設、とりわけ25年間も新規建設が行われていない新宿区内に早急に新規建設を行うことを求めます。
  以上、述べましたように、都民福祉の基本である住宅問題解決に直ちに踏み出すことを求めて質問を終わります。

平成16年第一回都議会定例会
大山とも子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 都営住宅の活用について
1 百人町アパートでは、2004年3月1日現在、どの住戸が空き家になっているのか、その中で事業用はどこか、伺う。

回答
  百人町アパートの空き家はすべて建替事業用であり、その戸数は、平成16年3月1日現在、百人町3丁目アパートに8戸、同第2アパートに27戸、百人町4丁目アパートに86戸、合計121戸です。

質問事項
 一の2 弁天町アパートの総戸数は83戸と聞いているが、戻り入居を予定しているのは何世帯か、直近の状況を伺う。

回答
  弁天町アパートの建替えに伴う仮移転戸数は、42世帯です。今後、入居までに戻り入居世帯を確定する予定です。

質問事項
一の3 百人町アパート、弁天町アパートの空き家は事業用との説明だが、具体的にどこの事業用に使うのか、伺う。

回答
  百人町アパートは、老朽化した戸山アパートの建替えとして建設を進めています。百人町アパート、弁天町アパートの住宅はともに、この事業をはじめとする新宿区周辺の建替事業に活用する予定です。

質問事項
 一の4 百人町アパート、弁天町アパートとも早急に一般公募に出すことが切実に求められている。事業用だといっても、現時点で具体的な使い道がないのだから公募に出すべきである。また、具体的な使い道があるなら必要な戸数を精査し、それ以外は直ちに公募に出すことを求める。見解を伺う。

回答
  建替事業を円滑に実施するためには、移転先となる事業用住宅の確保が必要です。現在、年間3,000戸の建替えを行っており、百人町アパート、弁天町アパートについても、すべて建替事業に活用する予定です。

質問事項
一の5 北新宿再開発での区内都営住宅への転居希望者は、百人町アパートや弁天町アパートを活用することが必要だが、見解を伺う。

回答
  百人町アパート、弁天町アパートについては、都営住宅の建替事業用住宅として活用する予定です。
  なお、市街地再開発事業等の公共事業の施行に伴い都営住宅への入居を希望する方に対しては、入居資格要件を満たす場合に、事業用住宅を除く空き家の発生状況を勘案し、入居あっ旋しています。

質問事項
一の6 戸山アパートで、住宅変更を提出している方には、百人町アパートの空き家になっているところを紹介することを求める。見解を伺う。

回答
  戸山アパートの居住者については、都営住宅建替事業の中で百人町アパートへの移転を図っています。

質問事項
一の7 空き家の状況を全都的に調査し、活用することを求める。所見を伺う。

回答
  空き家については、これまでも適切に管理を行っており、今後とも効率的に活用していきます。

質問事項
 一の8 空き家の活用だけでは都民の都営住宅要求の根本解決はできない。都営住宅の新規建設、とりわけ25年間も新規建設が行われていない新宿区内に早期に新規建設を行うことを求める。見解を伺う。

回答
  都営住宅については、都内の住宅が量的に充足され、さらに今後中長期的に見て人口や世帯数が減少に転ずると見込まれていることから、現在あるストックの維持活用に重点を移し、真に住宅に困窮する都民のセーフティネットとして一層有効に機能させることが重要であると考えています。
  都は、都営住宅の建替えや改修を進めるとともに、都民共有の財産として都営住宅を有効に活用していきます。

平成16年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 曽根はじめ

質問事項
 一 肢体不自由児養護学校における機能訓練師について
 一 肢体不自由児養護学校における機能訓練師について
  東京都教育委員会は、肢体不自由児養護学校14校に配置されている、自立活動訓練のための機能訓練師の定数を、非常勤のOT・PTの外部からの導入を理由に削減していく方針を打ち出し、2004年度から順次実施していくとしていますが、保護者、教職員など関係者に大きな不安を与えています。
  肢体不自由児養護学校の自立訓練は、1963年当時から始まった東京都独自の制度で、40年の歴史があります。
  当時は、現在のOT・PTの制度は確立していませんでしたが、文部省の学習指導要領には「体育・機能訓練」として位置づけられ、「機能訓練の時間においては、特別な技能を有する教職員が、学校医の処方に基づき、児童の積極的な参加のもとに、個々の児童の障害の改善を図るように指導をする」とされていました。その後の改定で、「自立活動」に変更され、指導時数や指導者の専任制度が緩和されてきましたが、東京都は、独自の制度を発展・充実させてきました。全国からも、重度障害児の訓練の先進的取り組みとして模範とされてきたものです。
  肢体不自由児養護学校では、通ってくる子どもたちの障害の重度化、重複化が進んでおり、一人ひとりの子どもにとって、障害の程度に応じた機能訓練によって、障害の進行をおさえ、日常生活での自立をめざすことはますます重要になっています。機能訓練を怠れば、身体の麻痺や変形が進み、食事が困難になったり生命の維持さえ危うくなりかねません。
  現在配置されている専任の訓練担当教員は、週2回程度訓練の時間を確保し、担任教諭と協力し一人一人に必要なメニューによる専門訓練を担当するとともに、登下校時の校内移動、給食指導、補助具の製作などに携わり、正規職員としてフル稼働であると同時に、重度・重複障害の実態に適応した教員配置が十分行なわれていない中で、欠かすことのできない役割を果たしています。
  都教委は、機能訓練師定数削減の代わりに、外部から非常勤でOT・PTなどを導入するとしていますが、その役割は、直接子どもたちの訓練を行なうのではなく、担任教員への専門的な指導が基本とされています。
  これでは、いままでどおりの訓練時間や訓練水準の確保、一人ひとりの障害児の系統的・経年的な機能訓練メニューの計画・管理等が、保障されなくなるおそれが強いと言わざるを得ません。
  障害児の保護者や教員など現場関係者は、国による自立活動専門教員の配置を、OT・PTの資格者で上乗せして行うなど、現在の訓練師配置による実績・役割を後退させることなく、その上にOT・PTなど外部も含めた専門家の導入による訓練の水準のさらなる向上を強く要望しています。
  以上の点を踏まえて、私は、貴重な役割を果たしている機能訓練師の削減を行なわないよう強く求めるとともに、その立場から以下、質問するものです。
 1 肢体不自由校の機能訓練の果たしている役割は、障害児の重度・重複化のもとで、ますます重要と考えますが、基本認識をうかがいます。
 2 都は、機能訓練師に代えて外部からのOT・PTを非常勤で導入し、担任教員を指導させるとしていますが、この方法では子どもたちへの直接の指導は、これまでの水準を維持・向上できる保障がなくなることは明らかであり、機能訓練師の定数削減を行なわないよう、求めるものですが、見解をうかがいます。
 3 自立訓練専門教員の配置をふやすよう国に求めるとともに、都として正規職員としてOT・PTの配置を進めるべきとおもいますが、どうですか。
 4 養護学校などの教員が、在職しながらOT・PTの資格を取れるようにするよう保障と支持が必要ではありませんか。

平成16年第一回都議会定例会
曽根はじめ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 肢体不自由児養護学校における機能訓練師について
1 肢体不自由校の機能訓練の果たしている役割は、障害児の重度・重複化のもとで、ますます重要と考える、基本認識を伺う。

回答
  肢体不自由養護学校においては、児童・生徒の障害の重度・重複化が進んでおり、自立活動の指導に当たっては、専門的知識や技能に基づく機能訓練を行っていくことが重要と考えています。
  なお、平成15年12月の東京都心身障害教育改善検討委員会の報告書においても、専門的な判断や個々の障害の特性に基づく適切な指導が必要であると提言されています。

質問事項
一の2 都は、機能訓練師に代えて外部からのOT・PTを非常勤で導入し、担任教員を指導させるとしているが、この方法では子どもたちへの直接の指導は、これまでの水準を維持・向上できる保障がなくなることは明らかであり、機能訓練師の定数削減を行なわないよう、求めるものだが、見解を伺う。

回答
  平成16年度から、肢体不自由養護学校において、自立活動の時間に教員に対し専門分野の知識や技能の指導・助言を行うため、医療機関等の協力を得ながら理学療法、作業療法等の外部専門家を導入することに伴い、都単独の措置である機能訓練担当の実習助手定数の見直しを行ったものです。

質問事項
一の3 自立訓練専門教員の配置をふやすよう国に求めるとともに、都として正規職員としてOT・PTでの配置を進めるべきと思うが、見解を伺う。

回答
  現在、国の教職員定数改善計画を踏まえ、都は自立活動担当教員の増員を図っているところです。
  自立活動は、学習指導要領に基づく教育課程の一部として実施されるものであることから、教員が担当すべきものであり、都においては、正規職員としてOT(作業療法士)・PT(理学療法士)を配置する考えはありません。

質問事項
一の4 養護学校などの教員が、在職しながらOT・PTの資格が取れるよう保障と支持が必要ではないか。見解を伺う。

回答
  OT(作業療法士)・PT(理学療法士)は、あくまで、個人の資格として取得するものであり、このための保障や支援を行う考えはありません。

平成16年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 坂口こうじ

質問事項
 一 西東京市における保谷駅南口再開発事業と都道・都市計画道路の整備及び街区再編まちづくりについて
 一 西東京市における保谷駅南口再開発事業と都道・都市計画道路の整備及び街区再編まちづくりについて
  古代から中世初頭にかけて多摩地域は、武蔵の国(東京都、埼玉県の全域、神奈川県の一部)の国府(府中市の大国魂神社付近)や国分寺(僧寺、尼寺)が設置され、約600年間にわたり政治・経済・文化の中心地であり、地政学的にも関東地方の要衝でありました。
  およそ670年を経た今日、多摩地域は人口約400万人(110年前は約20万人)を擁する地域へと大きく変貌し、水や緑など豊かな自然の魅力に加えて、大学や先端技術産業、全国から集まった新住民による市民参加の街づくりなど、様々な挑戦が行われる創造力豊な地域へと発展しつつあります。
  21世紀において多摩地域は、「環状メガロポリス構造」(人口約3,000万人)のもと、神奈川や、埼玉などとの連携・交流拠点としてさらに発展する可能性を秘めているといえます。また多摩地域内におけるそれぞれの市町村が、多様な個性を一層伸ばしながら自立し、相互に連携しながら発展していくことは、首都東京の持続可能な都市再生や、首都圏のバランスある発展にも大いに貢献するものと言えます。
  平成15年3月東京都総務局が発表した、「多摩アクションプログラム」においては、(1)多摩地域の都市基盤の着実な整備、(2)豊富な人材の連携や、産業の集積など地域資源の活用による特色ある多摩の活性化、(3)水やみどりを守り、活用することによる多摩の魅力の向上などの基本的な考え方が示されています。
  アクションプログラムに示されている、10テーマ中「広域交通ネットワークによる多摩の活性化」、「多様な主体が活躍する持続可能なまちづくり」、「南北交通を中心とした域内交通網の整備促進」などは、これからの多摩の創造にとって極めて重要なテーマであります。
  以上、多摩地域の現状と今後の展望について概観しましたが、このような中にあって、都市基盤の整備が極めて遅れている地域の一つに北多摩北部地域があります。いわゆる「多摩内格差」が指摘される地域であります。以下、地元西東京市と隣接する練馬区に係わる街づくり・道路整備等について質問します。
  平成13年(2001年)2市が合併し誕生した西東京市(人口約18万6千人)においては、都道としての主要地方道が8路線、一般都道が6路線ありますが、幅員が6メートル未満の部分や、歩道が整備されていないところが多いなど、安全や環境の面で見過ごす事ができない大きな問題があります。
  また、都市計画道路は、37路線が都市計画決定されていますが、進捗率は全体で、27%程度にとどまっているため、この整備が大きな課題となっています。加えて、市道は805路線ありますが、幅員が4メートル未満の部分も多く、市民の意識調査でも、重視すべき市の施策として「道路・交通環境の整備」が上位にあがっているのが現状であります。
  したがって、これからは道路交通の円滑化を図り、歩行者の安全や震災・救急時の対応などを含め、駅周辺の再開発(保谷駅南口地区、ひばりヶ丘駅南口地区)や交通広場の整備(保谷駅南口、西武柳沢駅北口、田無駅南口、ひばりヶ丘駅北口)、都道の整備、都市計画道路の整備などを一体的に捉え、計画的に推進する必要があります。
  そこで以下、西東京市における最重点課題の一つで、今年の9月に事業決定をひかえ、市民の関心も極めて高い「保谷駅南口地区第一種再開発事業」について質問し、関係局長・技監及び知事の所見を伺います。
1 第1に、保谷駅南口地区第一種市街地再開発事業(保谷駅南口再開発事業と略す)について質問します。
  ア 昭和50年代より再開発の検討が開始されて以来、30年近い年月が経過している、保谷駅南口再開発事業の目的、経緯、概要及び進捗状況について伺います。またこれまで、東京都や国はこの事業にどのように係わってきたのか伺います。
  イ 平成12年12月の都市計画決定後、事業化に向けて関係権利者43名(土地・建物所有者21名、借地者6名、借家者16名)の理解と協力を得る為に、施工者である西東京市はどのような努力をし、成果を上げてきているのか、また残されている課題は何か伺います。
  ウ 権利者から、これまでの再開発の進め方や計画の内容について、不信や不満の声があり、西東京市に対して「要望書」や「陳情書」が出されていると聞いていますが、どのような内容のものか、また施工者はこれらに対して、どのように応え問題の解決に取り組んでいく考えか伺います。
  エ 平成16年9月に予定している事業決定をするためには、関係権利者の理解と協力が不可欠であると考えますが、都市計画の変更、事業計画の説明、権利者への補償、権利変換計画の説明等きめ細かな対応と、合意形成のため、どのような取り組みをしていこうとしているのか伺います。
  オ 保谷駅南口再開発事業(総事業費約93億円、市費約18億円、国・都費約32億円、保留床処分金、その他)は、西東京市誕生後の最重点事業の一つであり、失敗は許されません。この事業の成功に向け、東京都としてもさらに積極的な支援をすべきと考えますが、知事のご所見を伺います。
  次に、今再開発が進められている保谷駅南口周辺にあっては、都道233号東大泉・田無線の安全対策や沿道の街づくり、都市計画道路保谷3・4・13号線及び保谷3・4・9号線の新設や沿道の街づくり、加えて、都道233号線の練馬区内の整備、南大泉にむかう都市計画道路保谷3・4・8の1(補助232)の整備の促進も、避けて通れない重要な課題です。
  そこで以下、保谷駅南口再開発に関連し、この地域の重要課題となっている、「都道・都市計画道路の整備促進及び街区再編まちづくり」について、関係局長・技監及び知事の所見を伺います。
2 第2に、都道・都市計画道路の整備促進と、この地域における街区再編まちづくりについて伺います。
  ア この再開発事業と不可分の関係にある都道233号東大泉・田無線、駅前広場に接続する都市計画道路、南北方向の保谷3・4・13号線、東西方向の保谷3・4・9号線、練馬区南大泉にむかう保谷3・4・8の1(補助232)の現況、事業の進捗状況について伺います。
  イ 都道233号線については、朝夕の通勤・通学、買い物客、バス・タクシー・乗用車の通行に加え、近年外かく環状道路の大泉インターチェンジを利用する通過車両が多く流入し、混雑と危険を増大させている(都内でワースト10に入ると言われている)。歩車道の分離を含む整備と安全対策は喫緊の課題であると考えるが、都はこれまで西東京地域・練馬区地域において、どのような対策を講じてきたのか伺います。
  ウ 他方、都市計画道路、保谷3・4・13号線は、再開発に伴う駅前「交通広場」に接続する道路として極めて重要であります。また、保谷3・4・9号線は、平成10年7月10日に事業決定がなされ、まもなく6年が経過しようとしていますが、その姿が見えてきていません。それぞれいつ整備が完了するのか、また、何が隘路となっているのか、それを解決する為にどのような取り組みをしているのか伺います。
  エ 保谷3・4・13及び保谷3・4・9の整備の促進は、避けて通れない事業でありますが、仮にこれらの道路が完成しても、通過交通は減少しないものと思われます。練馬区につながる都道233号線の安全対策や沿道のまちづくり、都市計画道路3・4・8の1などの主要道路の整備促進に、都は責任を持って取り組むべきと考えるがどうか伺います。
 3 最後に、昨年施行された「東京のしゃれた街並みづくり推進条例」と、保谷駅南口周辺地域(東町3丁目、南大泉3丁目など)への地区指定について伺います。
   新しい手法、「街区再編まちづくり制度」・「街並み景観づくり制度」、「まちづくり団体の登録制度」などの諸制度は、都市の再生、分けても私たちに身近な保谷駅周辺の密集市街地などの再生にとって極めて有効な手法であると考えます。
   都心の池袋まで電車で約15分、地下鉄有楽町線の相互乗り入れで、銀座や新木場方面まで直行できる保谷駅周辺は、住むにも、働くにも、買い物をするにも利便性に富み、将来の発展が期待できる地域です。
   地元西東京市や練馬区、地域地権者や住民の理解と協力、市民の参加を得ながら、街区の再編を図り「地区中心核にふさわしい、にぎわい」と「魅力ある商業地の整備」を図っていくことが必要と考え、以下質問します。
   保谷駅南口周辺と、都道233号線、都市計画道路保谷3・4・9号線、保谷3・4・13号線で囲まれた地域とその周辺は「地区中心核にふさわしい、にぎわい」と「魅力ある商業地の整備」が望まれる地域であります。
   「東京のしゃれた街並みづくり推進条例」に基づく「街区再編まちづくり制度」や「街並み景観づくり制度」等の活用が期待できる典型的地区でもあります。また、平成16年、特別区(23区)で行われようとしている「既成道路における新たな整備手法」などの弾力的適用も含め、「活力・安全・環境・暮らし」の向上を図るべき地区でもあると考えます。
   以上のことを勘案し、東京都が十分な支援(人、物、金、情報など)をする中で、地元西東京市や練馬区と十分協議をしながら、多摩地域(+練馬区)で最初の「街並み再生地区の指定・街並み再生方針の策定」を早急に検討すべきと考えますが、知事のご所見を伺い質問を終わります。

平成16年第一回都議会定例会
坂口こうじ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 西東京市における保谷駅南口再開発事業と都道・都市計画道路の整備及び街区再編まちづくりについて
1 保谷駅南口地区第一種市街地再開発事業について
 ア 保谷駅南口再開発事業の目的、経緯、概要及び進捗状況について、伺う。また、これまで、都や国はこの事業にどのように係わってきたのか、伺う。

回答
  本再開発事業は、保谷駅南口駅前広場と一体的に不燃化建築物を整備することで、土地の合理的な高度利用と防災性の向上を促進し、西東京市の東の玄関口にふさわしい良好なまちづくりを目指すものであります。
  当初、組合施行の再開発事業を予定していましたが、権利者等からの要望もあり、平成8年になって、市施行として再開発事業を実施することとし、平成12年12月に、市街地再開発事業の都市計画決定を行いました。
  事業の概要として、約4,200平方メートルの交通広場の整備も含めて、地区面積約7,000平方メートル、商業施設や住宅を中心に2棟合計で、延べ床面積約18,000平方メートルの施設建築物を予定しています。
  現在までの進ちょく状況は、平成16年秋の事業計画決定に向け、西東京市では平成16年6月に都市計画変更の告示を行う予定であり、施行者である市が、平成16年3月には権利者、同年4月には周辺住民への変更素案説明会を行いました。
  また、本事業については、都から職員を派遣するなど人的、技術的支援など積極的な対応を行っています。平成13年度からは、再開発事業の国の補助採択を受け、国及び都から本事業に対して補助を行っております。

質問事項
一の1のイ 平成12年12月の都市計画決定後、事業化に向けて関係権利者の理解と協力を得る為に、施行者である西東京市はどのような努力をし、成果を上げてきているのか、また残されている課題は何か、伺う。

回答
  これまで施行者である市は、権利者に対して、連絡会の開催、先進事例の現場見学、再開発だよりの発行などを実施し、再開発事業や権利変換のイメージなどについて理解を得るように努めており、大多数の権利者から理解を得ていると聞いています。
  今後の課題として、事業の推進に理解を示していない権利者に対し、引き続き合意形成に努める必要があると考えます。

質問事項
一の1のウ 権利者から、これまでの再開発の進め方や計画の内容について、不信や不満の声があり、西東京市に対して「要望書」や「陳情書」が出されていると聞く。どのような内容のものか、また施行者はこれらに対して、どのように応え問題の解決に取り組んでいく考えか、伺う。

回答
  平成16年3月に、市長あての要望書3通、市議会への陳情書1通が権利者等から提出されていると聞いています。
  要望書のうち2通は、同じ趣旨で再開発事業の実施には反対ではないが、補償や代替地についての要望であり、残りの1通は、事業の遅延による補償を求めるものです。陳情書は、交通広場整備の必要性は認めるものの、陳情者の土地を区域から除外して事業を進めるよう、求めるものです。
  これらの要望・陳情に対して、市としては誠意を持って考え方を説明し、理解、協力が得られるように努めていくと聞いています。

質問事項
一の1のエ 事業決定をするためには、関係権利者の理解と協力が不可欠であると考えるが、都市計画の変更、事業計画の説明、権利者への補償、権利変換計画の説明等きめ細かな対応と合意形成のため、どのような取り組みをしていこうとしているのか、伺う。

回答
  事業計画決定に向けては、個々の権利者の不安、不満を解消し、事業に対する理解と協力が得られるよう、本事業の趣旨や生活再建についてきめ細かく説明していくことが重要と考えています。
  都としても、市施行である本再開発事業が円滑に推進できるよう、今後とも市に対して適切な助言を行っていきます。

質問事項
一の1のオ 保谷駅南ロ再開発事業の成功に向け、都としてもさらに積極的な支援をすべきと考えるが、知事の所見を伺う。

回答
  多摩地域における都市活動の維持・発展や居住環境の向上など活力と魅力ある都市づくりを推進するため、都は、「都市計画区域マスタープラン」において、保谷駅南口地区を再開発の事業化を目指す区域と位置付けており、今後とも人的、技術的支援を行っていきます。

質問事項
 一の2 都道・都市計画道路の整備促進とこの地域における街区再編まちづくりについて
    ア 保谷駅南口再開発事業と不可分の関係にある都道233号東大泉田無線、駅前広場に接続する都市計画道路、南北方向の保谷3・4・13号線、東西方向の保谷3・4・9号線、練馬区南大泉にむかう保谷3・4・8の1(補助232)の現況、事業の進捗状況について伺う。

回答
  西武池袋線保谷駅の南側地域においては、周辺の公共施設への交通利便性の向上や交通渋滞の緩和を図るため、現在4路線で道路整備を進めています。
  都道東大泉田無線(一般都道233号)は、西東京市保谷庁舎付近1キロで事業を実施しており、すでに650メートル区間が完成し、残りの区間について用地取得を進めております。
  保谷3・4・13号線は、保谷駅の南側120メートル区間で事業を実施しており、用地の約8割を取得しています。
  保谷3・4・9号線は、保谷3・4・13号線の西側240メートル区間で事業中であり、現在、用地測量を進めています。
  保谷3・4・8の1号線は、調布保谷線と保谷3・4・13号線の間、710メートル区間でみちづくり・まちづくりパートナー事業を実施しており、用地の約2割を取得しています。

質問事項
 一の2のイ 都道233号線については、近年外かく環状道路の大泉インターチェンジを利用する通過車両が多く流入し、混雑と危険を増大させている。歩車道の分離を含む整備と安全対策は喫緊の課題であると考えるが、都はこれまで西東京地域・練馬区地域において、どのような対策を講じてきたのか、伺う。

回答
  都道東大泉田無線(一般都道233号)の西東京市内においては、市役所など公共施設を利用する歩行者の安全性を確保するため、西東京市保谷庁舎付近で道路の拡幅及び歩道設置を進めています。
  また、駅周辺では、都道東大泉田無線(一般都道233号)の代替道路として、保谷3・4・13号線と保谷3・4・9号線を街路事業で整備しています。

質問事項
一の2のウ 都市計画道路、保谷3・4・13号線は、再開発に伴う駅前「交通広場」に接続する道路として極めて重要である。また、保谷3・4・9号線は、事業決定がなされ、6年が経過しようとしているが、その姿が見えてこない。それぞれ、いつ整備が完了するのか、また、何が隘路となっているのか、それを解決する為にどのような取り組みをしているのか、伺う。

回答
  保谷3・4・13号線は、西武新宿線東伏見駅と西武池袋線保谷駅を南北に結び、西東京市東部地域における市民の利便性向上に寄与する重要な路線であり、計画延長2.1キロのうち、すでに2キロが完成しております。残る事業中の120メートルの区間については、用地の取得に努めるとともに、早期に事業効果が発現できるよう取り組んでいきます。
  また、保谷3・4・9号線は、事業推進に向け、今後も引き続き地元の合意形成に努めていきます。

質問事項
一の2のエ 保谷3・4・13及び保谷3・4・9の整備の促進は、避けて通れない事業でありますが、仮にこれらの道路が完成しても、通過交通は減少しないものと思われる。練馬区につながる都道233号線の安全対策や沿道まちづくり、都市計画道路3・4・8の1号線など主要道路の整備促進に、都は責任を持って取組むべきと考えるが、見解を伺う。

回答
  多摩地域の交通渋滞を解消するには、広域的な道路ネットワークを形成する多摩南北道路などの骨格幹線を整備し、適切な交通分散を図る必要があります。
  西東京市においても、調布保谷線や保谷3・3・11号線といった骨格幹線の整備に全力で取り組んでいます。
  また、保谷3・4・13号線や都道東大泉田無線(一般都道233号)などについては、調布保谷線の整備とあいまって西東京市内の道路ネットワークの形成を図ることにより、保谷駅周辺の混雑緩和や地域の活性化に寄与することから、着実に事業を推進していきます。

質問事項
一の3 「東京のしゃれた街並みづくり推進条例」と保谷駅南口周辺地域への地区指定について
     保谷駅南口周辺と、都道233号線、都市計画道路保谷3・4・9号線、保谷3・4・13号線で囲まれた地域とその周辺について、都が十分な支援をする中で、地元市や練馬区と十分協議しながら、「街並み再生地区の指定・街並み再生方針の策定」を早急に検討すべきと考えるが、所見を伺う。

回答
  「東京のしゃれた街並みづくり推進条例」に定める「街区再編まちづくり制度」は、密集市街地などにおいて、都市計画に基づく規制緩和を活用しながら、段階的に共同化を進めることによって、市街地の改善整備を行うものです。
  また、この制度は、地権者等の創意工夫を生かしながら、地域の実情に即したまちづくりを行う仕組みであり、この仕組みを実効性あるものとするには、地元自治体の主体的な取組が不可欠です。
  都は保谷駅南口周辺地区においても、街区再編まちづくり制度導入について、今後、地元自治体である西東京市及び練馬区の意向を踏まえながら対応していきます。

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