平成十六年東京都議会会議録第四号

   午後四時一分開議

○副議長(中山秀雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 二番東村邦浩君。
   〔二番東村邦浩君登壇〕

○二番(東村邦浩君) 初めに、首都圏高速道路構想について伺います。
 東京都は、昨年十二月、道路関係四公団の民営化に合わせて、圏央道内側をエリアとして一体的に高速道路の建設、管理を行う仮称首都圏高速道路構想を提案いたしました。この構想は、首都圏の三環状道路の整備に当たり、合理的な投資が可能となるものとしています。
 そこでまず、首都圏高速道路構想の目的と意義を明らかにしていただきたいと思います。
 国においては、道路関係四公団の民営化に際し、現行道路網を基本として、首都高速道路公団を独立させる方向で政府・与党が申し合わせを行っています。このような流れからすると、現状では首都圏高速道路構想の実現は困難な状況です。しかし、首都再生の促進には、首都圏高速道路構想の実現が不可欠であります。石原知事のリーダーシップで、首都圏の八都県市の知事や市長に構想実現を積極的に働きかけていくべきであると考えます。知事の決意を伺います。
 昨年十二月、我が党は、国土交通省に対して、東京都民の税金約四千五百億円が首都高速道路公団に投入されている事実を指摘した上で、多摩地域の住民も首都高速の恩恵を受けられるように、高井戸─八王子間を首都高速に位置づけるべきであると要望いたしました。対応した大臣政務官は、東京都民の中で一部の人だけが別料金を払わなければならないのは明らかにおかしいと述べていました。
 首都圏高速道路構想の実現には時間がかかるとしても、長年の多摩都民の宿願である高井戸─八王子間の首都高編入については、知事のご子息が国土交通大臣である間にぜひとも実現をしていただきたいと強く望むものであります。知事の所見を伺います。
 次に、多摩地域の小児医療の充実について伺います。
 多摩地域の小児医療の充実は喫緊の課題であります。多摩地域の出生率は、区部の七・九に対して八・六と高く、その反面、周産期医療におけるNICU病床は、出生千人当たり二・二床の区部に対して、〇・九床と極めて少ない状況にあります。
 平成十九年度、府中キャンパスに小児総合医療センターが開設される時点でも、八王子及び清瀬小児病院が統廃合されるならば、多摩地域のNICU病床は、出生千人当たり一・一四床と低いレベルにあることには変わりありません。
 こうした状況を改善するため、都は、多摩地域における小児医療体制検討会の報告を昨年九月に発表し、平成十六年度の重点事業において、民間病院の連携による小児医療ネットワークシステムの構築に取り組むことになりました。
 また、昨年十月、厚生委員会での私の質問に対して、健康局は、広域な多摩の地域での新生児搬送を適切に行うため、新生児ドクターカーを新たに配備すると答弁をしました。これを高く評価し、大いに期待したいと思います。
 しかし、周産期医療は医師や看護師の手厚い配置を必要とし、病院経営上は不採算部門であることから、大学病院等の民間病院が自主的に取り組みを促進していくことは決して容易ではないと聞いています。
 都が都立八王子小児病院の統廃合を実施するのであれば、人的、そして財政的支援など、八王子市を初めとする多摩地域の周産期医療の充実に対する取り組みを明らかにすべきであります。都の見解を伺います。
 私の地元八王子市も、必死になって小児医療体制の充実に取り組んでいます。昨年十月より、市単独事業として、小児二次救急医療を三百六十五日二十四時間体制で実施しています。担当を偶数日と奇数日に分けて、それぞれ東京医科大学八王子医療センターと東海大学八王子病院が引き受けています。多摩地域に不足をしている高度医療である周産期医療についても、都が責任を持って支援すべきであります。
 次に、都立知的障害養護学校の職業教育について伺います。
 現在、都立知的障害養護学校の職業学科は、世田谷区の青鳥養護学校都市園芸科と八王子市の南大沢学園養護学校産業技術科の二校であり、都議会公明党はこの両校の視察をさせていただきました。
 この二校の職業学科への応募者は年々増加をし、最近の応募倍率は三・五倍から四倍にもなり、都立高校の中でも狭き門になっているのが現状であります。それほどまでに応募が集中するのは、職業学科で学び、卒業後は一般の企業への企業就労を果たし、自立した生活を送りたいという生徒や保護者の期待のあらわれであります。したがって、都立知的障害養護学校の職業学科の果たす役割は極めて大きいといえます。
 そこでまず、昨年度の二校の職業学科の卒業生の企業就労の状況を明らかにしていただきたいと思います。
 私は、昨年、知事の諮問を受けた東京都雇用・就業対策審議会の委員として、東京の直面する雇用、就業問題についての審議に参加をさせていただきました。その際、障害者の社会参加を促進するためには、養護学校等において、社会の変化や障害の多様性に対応した職業教育の充実を図るべきであると提案し、答申の中にも盛り込まれました。
 また、昨年十二月に発表された東京都心身障害教育改善検討委員会の最終報告においても、特に知的障害が軽度の生徒の場合、将来の社会参加、自立に必要な知識、技能を養うため、職業教育のより一層の充実を図ることが重要であると述べています。生徒や保護者のニーズにこたえ自立への支援を行うためにも、職業学科を増設していく必要があります。教育長の見解を伺います。
 次に、視覚障害者の安全対策について伺います。
 昨年十二月、JR阪和線杉本町駅で、視覚障害のある男性が線路に転落し、通過中の天王寺行き快速電車にはねられ、即死するという痛ましい事故が起きました。
 視覚障害者の方々と懇談をした折、そのうち約半数の方が、過去に駅ホームでの転落事故を経験されていました。後を絶たない視覚障害者の駅ホームでの転落事故の防止は、まさに喫緊の課題であります。
 現在、交通局と福祉局は、都営地下鉄大江戸線の若松河田駅と視力障害者自立支援センターにおいて、視覚障害者を対象とした情報提供システムの実験に協力をしています。このシステムは、誘導ブロックの下にICチップを埋め込み、その情報をつえの先端のセンサーで読み取り、現在位置や目的地へのルートなどを音声で案内するというシステムです。
 しかし、誘導ブロックを利用した情報提供システムでは、駅ホームでの転落事故は防げないという指摘があります。現在都は、視覚障害者の方に、日常生活用具として、カード型の音声案内送信機を給付しています。私が今持っております、このポケットに入る薄いカードがそれでございます。この音声案内送信機に対応する受信機は、現在、病院等の施設入り口、公衆トイレなどの小規模施設、地下鉄の入り口、バス乗り場、交差点などに設置をされています。
 最近では、この音声案内システム同様、このような音声案内送信機に対応し音声で危険を知らせて、駅ホームからの転落事故を防ぐシステムも開発されていると聞いております。こうしたシステムが鉄道駅のホームに設置されると、視覚障害者が今よりも安心して鉄道が利用できるようになります。
 そこで、効果的な音声案内システムの開発普及のため、都営地下鉄の駅構内を実証実験の場として提供し、バリアフリー施策に協力すべきと考えます。所見を伺います。
 またその際、多くの視覚障害者の方に実験に参加していただくことが重要であります。福祉局は、効果的なシステムの開発のため、視覚障害者の方に実験への参加を呼びかけていただきたいと思います。所見を伺います。
 最後に、臨海副都心での外国人観光客の誘致について伺います。
 施政方針で知事は、観光は東京の産業の中でも成長が期待される分野の一つであり、都としても積極的にシティーセールスを展開し、外国人旅行者の誘致につなげていきたいと述べました。
 しかし、外国人旅行者の大半を占めるアジア人観光客は、ほとんどが千葉県に位置する東京ディズニーリゾートヘ行ってしまい、東京では、秋葉原や新宿、お台場といったところが健闘しているくらいです。
 その中にあって臨海副都心は、お台場の商業施設を初め多くの観光資源を有しており、外国人観光客を引きつけるポテンシャルがあります。私も、東京にあっては、地元八王子に次いでこの臨海副都心が大好きであります。
 そこで私は、臨海副都心での外国人観光客の誘致については、アジアで人気のある日本映画、例えば、お台場を舞台とした「踊る大捜査線」などの日本映画とも連携した大型イベントを誘致し、毎年の恒例行事にしていってはどうかと提案したいと思います。石原知事の見解を伺います。
 アジアからの来訪者は、本国でインターネットにより最新情報を入手しているようです。アジアからの外国人観光客を誘致しようというのであれば、ポータルサイトで中国語や韓国語による情報発信をしていくことが不可欠であります。
 そこで、英語に加え、中国語や韓国語にも対応している臨海副都心の進出企業のホームページをネットワーク化することにより、多様な言語に対応できる公的ポータルサイトを構築することができるのではないかと考えます。
 都の見解を伺い、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 東村邦浩議員の一般質問にお答えいたします。
 仮称首都圏高速道路構想の実現に向けた働きかけについてでありますが、道路は本来、公共財でありまして、その整備に当たっては、国や行政が責任を持って進めるべきであります。
 今回の道路四公団民営化では、引き続き全国プール制が、不本意にも温存されておりまして、地方の採算性の低い路線を建設するために、首都圏の通行料金収入を充てているわけであります。
 首都圏の高速道路の整備は、日本全体の国際競争力の向上、ひいては日本の再生にとってのかぎとなるものと思っております。
 本構想によれば、首都圏三環状道路など、首都圏にとって必要な道路の整備が、早期かつ確実に可能になると思われます。構想実現に向け、今後とも国に要請していくとともに、関係県市と調整を進めて、その進展に努めるつもりでございます。
 次いで、中央道の高井戸─八王子間を首都高に組み入れることについてでありますが、首都高速道路は、東京の交通渋滞を解消し、環境の改善にも寄与する重要な都市基盤であります。
 東京の高速道路は、利用度が極めて高く、地方の高速道路に比べて、経済性にも極めてすぐれております。
 中央道と首都高は経営主体が異なることから、利用者や都民感覚から見ても、合理的な料金体系とはなっておりません。今後とも、高速道路の料金体系については、利用者などの視点に立った適切な見直しが行われるよう、都としても強く要望していくつもりでございます。
 次いで、臨海副都心への外国人観光客の誘致についてでありますが、都は国に先駆けて、外国人観光客を倍増させる目標を掲げ、積極的な観光振興を展開してまいりました。臨海副都心は、アジアを初めとする多くの外国人観光客を引きつける観光のリーディングエリアの一つだと心得ております。
 アジアヘは日本の映像情報が多く発信されておりまして、映画などは、言語を超えたインパクトがありまして、日々アジアの人たちに、有形無形いろいろな影響を与えると思いますが、人気の映画、テレビをテーマとした大型イベントは、多くの外国人を呼び込み、この地域の一層のにぎわいを創出して、千客万来の世界都市東京の実現に貢献していると思いますが、内容を検討しますと、まだまだという感じが否めません。いろいろ衆知を集めまして、もっと多くの外国人の観光客をお台場にも引きつける、その努力をしたいと思います。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 養護学校に関します二点の質問にお答えします。
 まず、知的障害養護学校職業学科卒業生の企業就労の状況についてですが、都立青鳥養護学校の都市園芸科は、平成十四年度の卒業生全員が企業就労しております。就労先は食品会社や家電販売店等でございます。
 また、都立南大沢学園養護学校の産業技術科は、卒業生十五名のうち十三名が企業就労しておりまして、就労先は総合量販店や書籍販売店等でございます。
 次に、知的障害養護学校の職業学科についてですが、都教育委員会としましても、知的障害の程度が軽い生徒が、将来の社会参加、自立に必要な知識、技能、態度を身につけるためには、職業教育をより一層充実することが重要であると認識をしております。
 知的障害の程度が軽い生徒の後期中等教育の教育環境の整備、充実を図るため、今後策定します都立盲・ろう・養護学校の再編整備計画の中で、ご指摘の新たな職業学科の増設の必要性も含めまして検討してまいります。
   〔都市計画局長勝田三良君登壇〕

○都市計画局長(勝田三良君) 仮称首都圏高速道路構想の意義についてでございますが、本構想は、東名や中央道など既存の高速道路の料金収入を活用することによりまして、首都圏三環状道路など首都圏にとって必要な路線の整備を、早期に、かつ確実に行うことを目的としております。
 また、首都圏の高速道路を一体として管理、運営することによりまして、料金体系等、首都圏の利用者にとってよりよいサービスを実現することが可能であると考えております。
   〔健康局長平井健一君登壇〕

○健康局長(平井健一君) 多摩地域の周産期医療の充実についてのご質問にお答えいたします。
 多摩地域は、小児総合医療センター、これは仮称でございますが、この整備後におきましても、区部と比べてNICU病床数が少なく、その充実が喫緊の課題であると考えております。
 しかしながら、周産期医療は高度専門医療でありまして、対応できる医療機関が少ないこと、小児科医師等の人材確保が困難なことなど、さまざまな課題がございます。
 そのため、小児総合医療センターの開設時期を踏まえまして、八王子市内を初めとする多摩地域における民間医療機関でのNICU整備に向けまして、人的、財政的支援の具体策を検討するなど、周産期医療の充実を図ってまいります。
   〔交通局長松尾均君登壇〕

○交通局長(松尾均君) 視覚障害者を対象とした音声案内システムの開発への協力についてでございますが、交通局はこれまでも、バリアフリー施策として積極的に取り組んできたところでございます。
 視覚障害者を対象とした案内システムは幾つか開発されていると聞いておりますが、交通事業者として、視覚障害者の方にとってより利便性の高いシステムの開発のために、安全に支障のない範囲で駅構内を実験の場に提供するなど、協力してまいります。
   〔福祉局長幸田昭一君登壇〕

○福祉局長(幸田昭一君) 視覚障害者の方に対する実験への参加の呼びかけについてのご質問にお答えいたします。
 障害者の社会参加に向けて、道路や鉄道などの交通機関をより安心して利用できるよう、最新の技術を取り入れた福祉機器やシステムを活用することは極めて有意義であると認識しております。
 当然のこととして、こうした福祉機器などの開発に当たっては、利用者である障害者の声を十分に反映させることが大切でございます。お話しの実証実験が行われる場合には、東京都障害者団体連絡協議会などの場を通じて、視覚障害者の方々に実験への参加を呼びかけてまいります。
   〔港湾局長成田浩君登壇〕 

○港湾局長(成田浩君) 臨海副都心への外国人観光客の誘致促進に関連しての、ポータルサイトについてのご質問にお答えいたします。
 インターネットでアクセスする際のいわば玄関口であるポータルサイトは、情報提供に際して、極めて重要な役割を担っております。
 このため、臨海副都心の情報を世界に発信するには、ご指摘のように、中国語や韓国語など多言語によるポータルサイトの構築が必要であると認識しております。今後、臨海副都心への進出企業とも連携して、ネットワーク化を進めてまいりたいと考えております。
 案内板やポータルサイトの充実により、外国人観光客の受け入れ体制を整備し、外国人を含めた来訪者を増加させることによってにぎわいを創出し、臨海副都心の魅力をより一層向上させてまいります。

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