平成十六年東京都議会会議録第四号

○議長(内田茂君) 四十一番林田武君。
   〔四十一番林田武君登壇〕

○四十一番(林田武君) まず初めに、多摩の振興に対する知事の基本的考えについて伺い、次に、東京都が現在施策として掲げている多摩地域の振興プロジェクトの中から何点か、検討の内容、進捗状況を伺いたいと思います。
 多摩地域は、人口の急増とともに、当然のこととして都市化が進んできました。多摩の市町村の懸命な努力にもかかわらず、行政サービスが都市化に追いつかず、区部に比べて、道路や下水道など都市基盤整備、また教育、福祉、医療、保育などさまざまな面で格差が生じてきました。
 しかし、東京都では、平成十三年八月に策定した多摩の将来像二〇〇一の中で、懸案であった格差八課題はおおむね解消した、今後は区部との対比ではなく、新たな視点からの多摩の振興が必要である、そして、多摩地域は区部との格差是正の観点から脱却し、みずから個性を伸ばしながら主体的発展を目指すべき、と述べております。そして十項目のチャレンジテーマを設立いたしました。
 さらに、昨年三月策定した多摩アクションプログラムの中で、知事は、この十項目のチャレンジテーマを軸として多摩の将来像に向けて取り組んでいくと述べられております。
 平成十六年度を迎えるに当たり、知事の多摩振興に対する果敢な取り組み、実行力に大いに期待する中、多摩格差は本当に解消しつつあるのか、多摩の将来像にチャレンジする知事の所見と決意のほどを改めてお伺いいたします。
 東京都が施策を策定するとき、広域的施策と地域支援の施策があると思います。東京都が多摩の振興、多摩の将来を見据えて夢のあるプロジェクトを展開することは重要なことであります。しかし、くどいようですが、多摩市町村の施策にも支援してほしいということです。
 多摩市町村では、地方分権の大きな流れ、三位一体の改革が進む中、いかに財政を確立し、目の前の行政課題に取り組んでいくか苦労しているというのが実態です。一方的に、多摩との格差はなくなった、区部と対比するのではなく、個性を伸ばし、発展すべきといっていいものか。多摩市町村としては、はい、そうですかとはいえないというのが本音であり、都も十分承知していただきたいと思います。
 例えば、本年一月、多摩の市長会、町村会より、平成十六年度東京都予算に関する復活要望書が出されました。毎年のことですが、市町村調整交付金の増額及び振興交付金と市町村まちづくりチャレンジ事業交付金の大幅な額の復活を図ることなど四項目について、今後の財政運営のために特段の配慮を願うというものであります。
 復活では、我が都議会自民党の努力のかいもあって、昨年並みに復活されました。都のご配慮に対し感謝はいたしますが、こういう繰り返しは問題だと思いますし、余りに切ないことであると考えます。多摩全体の振興と市町村に対する支援をどのように考えているのか、伺います。
 次に、圏央道について伺います。過去にも多くの議員が質問されておりますが、圏央道の早期完成は、多摩の振興に大きなインパクトを与える重要なことですので、改めて進捗状況を伺いたいと思います。
 本年二月四日、圏央道関係五市三町一村と国土交通省、日本道路公団、そして東京都でつくる首都圏中央連絡建設促進協議会が開かれました。あきる野地区の未買収地の解決に見通しがついたということで、さらに一日も早い完成を目指して、関係者から新たな決意が述べられました。
 しかし、その後、八王子ジャンクション建設予定地の未買収地について東京都収用委員会が公開審査を開催し、先日終了いたしましたが、会長の審理指揮に従わない一部権利者の行動により、たびたび混乱し、円滑な審理を阻害したと聞いております。立ち木一本所有し、畳一畳分程度の土地を賃借するなどして事業に反対し、事業をおくらせる、これが本当の地権者といえるのか、憤りを感じます。
 八王子ジャンクションからあきる野インターチェンジまで、トラスト地があります。借地トラストには、土地所有者は一名です。そこに賃借人が約五百名もいます。立ち木トラストでは、土地所有者三名に対し、立ち木所有者と称する者、何と約千五百名おります。しかも驚くことに、所有者と称する者は、北は北海道、南は沖縄まで存在し、海外に居住する者もいるということですから、言語道断であります。
 そこで、初めに、収用委員会におけるこれまでの審理経過と今後の取り組みについてご説明願います。
 そして、圏央道日の出インターチェンジからあきる野インターチェンジまでの現状と完成の見通し、さらに八王子ジャンクションまでの完成の見通しを伺います。
 また、現在、圏央道へのアクセス道路も約八割完成していると伺っておりますが、アクセス道路の進捗状況と今後の予定を伺います。
 次に、横田飛行場について伺います。
 横田飛行場、米軍横田基地に対して、石原知事の軍民共用化へという動きは、まさにこの一年で激しくなりました。知事の再度にわたるアメリカでの要請、小泉・ブッシュ会談におけるブッシュ大統領の横田の軍民共用化検討発言など、新しい流れが出てきました。石原知事の政治力、行動力に対して敬服いたします。
 そして、今一定での知事の施政方針表明の中でも、国が重い腰を上げ、具体的な取り組みが始まりました。昨年十二月、都と国の関係省庁の局長級による連絡会が設置され、事務レベルの協議を開始していると述べられております。連絡会の活動状況について伺います。
 横田飛行場に対して都が策定した多摩アクションプログラムに明記されておりますが、全面返還を最終目的としながら、返還までの対策として、民間航空利用の実現を国に働きかけていく。そして同時に、その実現に向けて必要となる空港アクセスの確保や騒音影響の検討に取り組み、地元や機関等の理解と協力を求めていくとあります。国を動かす大事業でも、国への働きかけと同時に、地元の理解と協力が必要であることは申し上げるまでもありません。
 こんな中で、先日報道された産経新聞のインタビューでは、知事は、早ければ一年以内に横田基地から日本の民間機を飛行させる計画をまとめ、国と都の連絡会を経て、三月中にも米側に提案する方針を明らかにしたとされております。できるだけ早期に実現したいという知事の意気込みは理解できますが、しかし一方で、共用化に伴う空港アクセスの確保策や騒音影響への対応などの課題について、地元に十分な説明がないまま進められていくならば、地元として不安を感じるのではないでしょうか。国への働きかけと同時に、地元の理解と協力を得る努力が不可欠と考えますが、知事のお考えを伺います。
 昨年十二月、東京都は、平成八年から横田基地を囲む五市一町と結んでいる協議会で毎年ともに国や米軍に対して行ってきた、横田基地に対する総合的な要請を離脱いたしました。都の理由は、共用化を含まない要請に加わるのは適当でないということです。
 しかし、この要請は、日米安保条約のもとで、日本の平和と安全を守るという大義のため土地を提供し、騒音公害に耐えている周辺自治体の切実なる要望であり、東京都も同じ痛みの中でいてほしかったと残念に思います。周辺自治体の国への要請と軍民共用化への推進とは次元が違うことだと思いますが、見解を伺います。
 次に、多摩新宿線について伺います。
 都が策定した多摩アクションプログラムの中に、多摩地域の活性化を推進するため、都心部や他の自立都市との交流、連携を促進する都市高速道路等の適正なネットワーク化が必要。このため、中央自動車道と関越自動車道の中間に位置し、新宿と西多摩、北多摩方面を結ぶ高速道路である多摩新宿線について検討を進めるということです。昨年三月に計画策定したものです。
 西多摩、北多摩地域では願ってもない構想でありますが、実際のところ、多摩モノレールの延伸も進まない中、実現の可能性はどうなのか。当然、都では実現するためのアクションプログラムだと思いますが、どのような検討を進めているのか伺います。
 次に、西多摩地区の二本の南岸道路について伺います。
 東京都では、圏央道から西の地域にアクセスを充実させることで、自然や温泉施設を初めとする観光資源の豊富な西多摩地域へ全国から観光客を呼び込むためにも、多摩川南岸道路と秋川南岸道路は必要としております。このために、二本の南岸道路では一部事業が進められており、地元では、早期完成を何よりも期待しております。これまでの進捗状況と今後の予定について伺います。
 次に、東京西南部における物流拠点整備計画について伺います。
 東京都では、昭和四十一年に策定された、東京都についての流通業務施設の整備に関する基本方針により、これまで、南部、西北部、北部、東部の四カ所の流通業務市街地が整備されてきました。以来三十八年、やっとここで、西南部に物流拠点をという検討がなされることになりました。
 まず、東京都では昨年十二月に、東京西南部における物流拠点整備計画報告書をまとめましたが、そのような調査を東京都が行うに至った経緯について伺います。
 また、多摩地域では総体的に物流施設が少ないとのことですが、現在、どのような輸送形態になっているのか、また、多摩地域に物流拠点を整備することでどのような効果が発生するのか伺います。
 今後、さらに具体化に向けた検討を関係市町とともに進めていくというが、どのように進めていくのか伺います。
 また、八王子市や青梅市などでは、誘致活動を本格化させるとして研究会を発足させると聞いておりますが、それぞれの市町も黙っていないと思いますが、東京都として今後どのように対応し、また支援していくのか伺います。
 次に、多摩の森林再生における多摩産木材、間伐材の利用について伺います。
 都の計画では、今後五十年かけて、奥多摩町、檜原村を初め、八王子市、青梅市、あきる野市、日の出町など六市町村の森林約一万八千ヘクタールを対象に間伐を実施し、森林を再生させるという壮大な計画が進められております。着々と間伐が進んでいることは承知しておりますが、地元自治体や森林組合の声は、間伐しても切りっ放しで、搬出しなければ、せっかく間伐してもだめだというのです。いわゆる切り捨て間伐の状況であるというのです。
 奥多摩町では、昨年十月、奥多摩町地場産材活用対策奨励事業と称して、間伐材を出荷した山林所有者や搬出業者に一定の奨励金を出す制度を導入いたしました。奥多摩町では、同事業に対して、平成十五年度の予算で一千万円を計上いたしました。奥多摩町の財政で一千万円は大変な負担です。
 東京都としても、森林再生のために間伐材の有効活用が重要であると考えるならば、今まで切り捨てられた間伐材の搬出を促進するための方策を充実すべきだと思いますが、見解を伺います。
 間伐材を使って何かできないかということで、東京都は、イギリス大使館前や福生市内の都道における試験施工を踏まえ、道路施設への木材利用のあり方などについて検討され、とりわけ西多摩地域の都道では、ガードフェンスや樹木の支柱等に、また河川では、木工沈床や遊歩道の木さく等に可能な限り間伐材を活用する努力が見られます。
 間伐材を含めた多摩産木材を、建設局では率先して各種事業に使用していると伺いますが、今後さらに、公共事業の主要発注局である建設局において新たな需要を開拓して、間伐材を含む多摩産木材を活用できないか、お伺いいたします。
 以上で質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 林田武議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、多摩地域の振興についてでありますが、多摩地域は、圏央道の完成や、近い将来、横田基地の共同使用の実現などによりまして、今後、交通の要衝として、地政学的な面でも大きな発展の可能性を有している地域と思われます。現に、横田に関して、先般も山梨県の知事から、これを契機に多摩地域と山梨の新しい交流というものが始まるだろうという希望の声もございました。都市基盤の整備など広域的な課題に今後も取り組みまして、多摩地域の持つポテンシャルを開花させていきたいと思っています。
 しかし、それは決して多摩の二十三区化ではありません、東京の活力の一翼を担う多摩の実現に努め、東京の再生、ひいては日本の再生を目指したいと思っております。
 次いで、横田基地軍民共用化を進めるための地元の理解と協力についてでありますが、これは本当に自明、当然のことでありまして、地元の理解、協力なくては実現のできるプロジェクトではございません。横田基地の共用化は、首都圏の逼迫する航空需要にこたえることを目的としておりますが、その実現に当たっては、空港アクセスの確保策や騒音影響への対応など、地元と密接にかかわりのある課題への対応が必要だと思います。
 しかし、これは新規に成田をつくるようなケースと違いまして、既にあそこに日本最長の滑走路がほとんど使われずにあるわけでありますし、また、燃料搬入のための鉄道も基地の中に入っておりまして、そういったものを多角的に活用すれば、非常に便利な空港もでき上がるでしょうし、また、その需要に応じてのアクセス、道路を含めた整備というものも必要になってくると思います。
 今後、地元の理解と協力を得ながら、国と連携して課題解決に取り組み、できるだけ早期の共用化を目指したいと思っております。
 他の質問については、技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔東京都技監小峰良介君登壇〕

○東京都技監(小峰良介君) 圏央道などについての四点の質問にお答えいたします。
 まず、圏央道の現状と完成の見通しについてでございますが、圏央道は、横浜、八王子、成田など中核都市の連携強化を図り、都市構造の再編を促すとともに、多摩地域の発展にも大きく寄与する道路でございます。
 懸案となっておりますあきる野インターチェンジ付近では、代執行令書の対象となった土地を義務者が自主的に明け渡し、国は代執行請求の一部を取り下げました。残る用地の解決を前提に、あきる野インターチェンジまで平成十六年度早期に完成し、八王子ジャンクションまでは十六年度末の完成を目指しております。
 都としても、国などとの連携を図り、圏央道の事業推進に積極的に協力してまいります。
 次に、圏央道アクセス道路についてでございますが、アクセス道路は、圏央道の機能を十分に発揮させ、また、多摩自立都市圏の形成を図る上で重要な道路でございます。
 都は、新五日市街道など六路線をアクセス道路と位置づけ、これまで五路線の整備を完了しております。現在整備中の新滝山街道では、二カ所、二・七キロで事業を実施しており、このうち、あきる野インターチェンジへアクセスする戸吹トンネルを含めます一・六キロを、本年四月末に開通する予定でございます。
 また、未着手となっている高尾街道から東側の二・六キロについては、平成十六年度から事業着手を予定しており、地元関係者の理解と協力を得ながら、積極的に事業を推進してまいります。
 次に、多摩川、秋川の南岸道路についてでございますが、これらの道路は、地域の生活を支え、防災性や観光産業の活性化に寄与する重要な道路でございます。多摩川南岸道路は、奥多摩駅付近の二・七キロで事業中であり、このうち愛宕大橋から海沢大橋までの二キロの区間は昨年四月に開通しております。平成十六年度は、〇・七キロの区間の工事を着実に実施してまいります。
 また、秋川南岸道路は、秋川街道から山田大橋までの二・四キロで事業中であり、そのうち五日市トンネルから山田大橋までの二キロの区間は、既に開通しております。
 今後、地元関係者の理解と協力を得て、秋川街道までの残る区間の工事を早期に完成いたします。
 最後に、多摩産材の活用についてでございますが、多摩地域における森林の保全は重要な課題であり、間伐材を含む多摩産材の有効利用について、局を挙げて取り組んでおります。
 これまでに、イギリス大使館前のガードフェンスのモデル施工や、日比谷公園百年記念事業での思い出ベンチ、さらに上野恩賜公園での園路舗装などに活用しております。
 今後、コストの低減や生産体制の確立などの課題はございますが、新たな活用方法を工夫するなど、さらなる需要の拡大を図ってまいります。
   〔総務局長赤星經昭君登壇〕

○総務局長(赤星經昭君) 多摩市町村に対します支援についての質問にお答え申し上げます。
 多摩振興を進め、地域の持つポテンシャルを開花させるためには、都と市町村が相互に連携協働して課題に取り組んでいくことが重要でございます。
 総務局は、こうした取り組みを推進するため、微力ではございますが、多摩振興の旗振り役を果たしてまいりますとともに、市町村の自主性、自立性の向上を基本としながら、努力した団体が報われますよう、引き続き必要な支援に努めてまいります。
〔収用委員会事務局長山内隆夫君登壇〕

○収用委員会事務局長(山内隆夫君) 圏央道八王子ジャンクションにかかわる収用委員会の審理についてお答えいたします。
 東京都収用委員会は、昨年の八月からことしの二月までの間に、延べ八回にわたり審理を行いました。審理においては、起業者である日本道路公団及び土地所有者などの権利者双方から、土地の区域や損失の補償など、裁決にかかわる事項について意見を聴取してまいりました。
 今後は、審理で聴取した意見の内容などを踏まえまして、裁決に向けた手続を迅速かつ着実に進めてまいります。
   〔知事本部長前川燿男君登壇〕

○知事本部長(前川燿男君) 横田基地につきまして、二点のご質問でありますが、まず、共用化に関する連絡会についてでありますが、この連絡会は、昨年末、都の積極的な働きかけにより、東京都と国の関係省庁の局長クラスが実務的に協議を進めるため設置されたものであり、日本側の共用化に関する考え方を取りまとめる場として重要な役割を果たすものと考えております。
 これまで二回開かれた連絡会では、横田基地の共用化に関する幅広い課題について率直な意見交換が行われており、今後とも、共用化の早期実現に向けて引き続き協議を行ってまいります。
 次に、都と五市一町連絡協議会の総合要請についてでありますが、都は、昨年五月の日米首脳会談以降、横田基地の軍民共用化をめぐる状況が進展する中で、政府及び米国に対し、早期実現を強く働きかけてまいりました。
 一方、都と五市一町連絡協議会は、これまで、共用化の問題を議題にしないことが申し合わされております。このため、共用化を積極的に推進する都としては、今回、総合要請への参加を見合わせることとしたものでございます。
 都と五市一町連絡協議会の枠組みの重要性は十分に承知いたしておりまして、横田基地問題の解決に向け、引き続き力を合わせて取り組んでまいります。
   〔都市計画局長勝田三良君登壇〕

○都市計画局長(勝田三良君) 多摩新宿線並びに東京西南部の物流拠点に関します五点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、多摩新宿線の検討内容でございますが、本路線は、西多摩や北多摩方面と新宿副都心を結ぶ高速道路であり、都心部と多摩地域の各拠点との結びつきを高め、活力と魅力あふれる多摩自立都市圏の形成に寄与するとして検討してきたものでございます。
 これまでの調査では、整備の必要性は高いものの、新宿から約四十キロメートルと延長が長く、事業主体や採算性など検討すべき課題が残されております。
 現在、道路四公団民営化に向け、高速道路の整備には採算性がより重視されており、多摩新宿線については、今後、長期的な視点で検討を進めてまいります。
 次に、東京西南部における物流拠点整備計画調査報告をまとめた経緯でございますが、多摩地域においては、物流量に対して相対的に物流施設が少ないことから、輸送時間が長く、また、コストも高いなど、輸送効率が低下しており、その改善が課題となっております。
 こうした状況を踏まえ、都は、多摩地域における物流拠点の整備実現に向け、物流拠点の需要推計及び整備効果等について調査してまいりました。今回、その結果を取りまとめましたので、公表いたしました。
 次に、多摩地域における輸送形態と物流拠点の整備効果についてでございますが、現在、多摩地域への輸送の多くは区部の物流拠点を経由しているため、輸送距離が長く、また、道路も混雑していることなどから、非効率な輸送形態になっております。そのため、圏央道や幹線道路の整備とともに、圏央道などのインターチェンジ周辺に新たな物流拠点を整備する必要がございます。
 物流拠点の整備により、首都圏の広域物流と多摩の地域物流を効率的に行うことが可能となり、貨物車交通量の削減や、それに伴う環境の改善が期待できます。また、新たな就業の場が創出されるとともに、地域経済が活性化いたします。さらに、災害時には緊急輸送拠点としての機能を果たすなど、多くの効果が期待できるものでございます。
 次に、今後の具体化へ向けた検討についてでございますが、都は、昨年公表した調査報告のまとめに当たりまして、関係の市や町を交えた検討会を開催するなど、これまでも関係市町と連携を密に図りながら検討を進めてまいりました。
 今回の調査報告においては、立地について、西南部地域は丘陵地が多く、大規模用地の確保が難しいことや、近年の物流活動の変化に伴い、区部の流通業務団地のように大規模拠点化する必要性が低いことなどから、物流機能を分散的に配置することが望ましいとしております。
 都は、こうした報告結果をもとに、今後、各候補地の地域特性に応じた物流拠点の整備について、物流事業者の進出意向を踏まえながら、引き続き、関係市や町などとともに検討を進めてまいります。
 最後に、関係市や町への今後の対応と支援についてでございますが、今後は、こうした調査報告を踏まえながら、物流拠点整備の具体化へ向けた検討を、関係の市や町が中心となって進めていくことになります。
 都においても、来年度、民間活力を生かした新たな物流拠点の整備手法について調査を予定しておりますので、その調査結果を提供するとともに、引き続き、首都圏の物流事業者の動向や進出意向の情報を提供するなど、広域的な立場から関係市や町を支援してまいります。
   〔産業労働局長有手勉君登壇〕

○産業労働局長(有手勉君) 東京の森林再生に関するご質問にお答えいたします。
 間伐材の搬出促進のための方策についてでありますが、森林の再生や森林資源の循環、地域産業の活性化の観点から、間伐材の活用は重要な課題であると受けとめております。しかし、従来の間伐手法では搬出効率が悪く、木材価格の低迷の中で、間伐材の活用が進まない一因となっております。
 都は、これまでも間伐材出荷経費の一部を助成してまいりましたが、間伐材の一層の活用のためには、間伐及び搬出のコスト低減を図る必要があると考えております。
 今後は、新たな間伐手法の普及、そのための搬出用高性能機械の導入、作業路開設への支援など、間伐材の搬出を促進させるための方策を充実させてまいります。

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