平成十六年東京都議会会議録第二号

○議長(内田茂君) 百二十一番大西由紀子さん。
   〔百二十一番大西由紀子君登壇〕

○百二十一番(大西由紀子君) 私は、都議会生活者ネットワークを代表して質問します。
 分権改革の焦点は、三位一体の改革です。ところが、税財源移譲のないまま、単なる国の支出カットの道具にされてしまい、地方によっては十六年度予算が組めない自治体が出るなど、本末転倒の事態を招いています。
 国は、補助金一兆円削減というノルマを果たさんがために、省庁間の争いに終始し、国と地方の関係をどうするかの議論が忘れ去られています。今こそ原点に立ち返り、国税と地方税の税源配分を見直すことから着手すべきと強く国へ訴えなければなりません。
 しかし、憂慮すべきは、昨年暮れの東京都の行動がきっかけとなり、分権が、自治体間の税財源争いなど地方同士の争いになりかねないことです。昨年十二月の全国知事会では、各県の知事から東京都に対して、大都市と地方の間でオープンな議論をすべきだとか、大都市を抱えたところのみが利するような改革とならないよう、痛みを分かち合わなければならないなどの提案がされました。
 東京は、食べ物も水もエネルギーも、そしてその廃棄物の処分さえも自立することはできません。東京も地方も栄えて、国全体が栄えることが重要です。
 全国の自治体の雄である東京都としては、これらの期待にこたえ、どのようにして国の制度を改革すればいいのか、共存共栄できるような地方制度とは何かを提言し、実現するための具体的な行動が求められています。知事の見解をお伺いします。
 大企業のリストラが進み、不良債権の処理がある程度めどが立ちそうになって、底を打った景気の回復がようやく芽を出し始めましたが、東京の、それも地域の中小企業にとってみれば、実感できない、また、消費の回復もないままの実質経済成長率、前年比七%であると思います。
 このような中で、都の十六年度予算は再び緊縮予算となりましたが、ちぐはぐな点もあります。例えば、新銀行に対する一千億円の出資です。さすがにその全額を一般財源で工面することはできず、七百億円は起債を充てました。出資金は、起債の対象を認めた地方財政法第五条に立派に該当し、都の資産、権利として、その価値を持ち続けるという説明を受けましたが、本体で赤字を出してまでも銀行をつくることには、納税者として大きな疑問です。
 今後の都財政に目を向ければ、三位一体改革の結果として、十八年度までの経過措置としての所得譲与税の行方は不透明で、一方、職員の大量退職期を迎えての退職金増、起債償還期など、財政支出が確実に膨らむ要素は多々あります。ここを考えずに借金をふやし続けることは許されません。
 本年は第二次財政再建推進プランの初年度です。新たな決意を持って予算編成に臨まれたと思いますが、見解を伺います。
 さて、今予算に都市と環境の再生が挙げられています。知事の強いリーダーシップのもと、ディーゼル車規制は着実に効果を見せています。資源のない日本で、これからの産業は必ず環境問題に直面しなければならなくなります。それは、環境対策が新たな産業として成り立つということであるともいえます。
 ここでは、今回の予算の施策体系で述べられている、東京が率先する環境重視の都市づくりにある地球温暖化対策について述べさせていただきます。
 九七年に開かれたCOP3で、温室効果ガス排出の削減目標が合意されましたが、ロシアの批准がおくれて京都議定書が発効されていないこともあり、日本国内の対策は先延ばしとなっている感が否めません。
 しかし、先進国の中では、イギリスが大胆な政策をとって効果を上げ、京都議定書の合意目標を早々と達成しています。主要なエネルギー源を石油から天然ガスに変えたことなどが有効でした。また、気候変動の税と、その減免措置を盛り込んだ国と事業者の協定、そして排出権取引制度の三本から成るプログラムをつくりました。
 日本にとっても参考になると評価も得ています。また、自治体として、ロンドン市内では混雑税を導入するなど、排出規制につながる目標を打ち出しています。
 一方、東京では、CO2排出量は二〇一〇年には約一五%増と推計されており、削減目標六%との乖離は二一ポイントとなり、達成は極めて厳しい状況です。
 このような中、環境審議会が大規模事業者に対して削減計画をつくらせ、達成結果の報告の義務づけを求める中間まとめを発表しました。しかし、事業所によって削減可能な量がばらばらで、一律の義務化は難しいことなどから、見送られることになりました。目標を達成するためには、経済的手法を取り入れることが必要であると考えます。
 自然エネルギーである太陽光発電や風力発電などが実施されていますが、今後はキャパシターの世界へと広がり、再生可能エネルギーへの転換が実現可能となってきます。
 昨年RPS法が施行されましたが、電力会社の再生可能エネルギー買い取り義務量が余りにも小さく、民間の再生可能エネルギー開発のインセンティブになり得ていません。
 エネルギー問題は国の問題とはいえ、大消費地である東京の責任は重大で、実効性ある再生可能エネルギー転換計画を展開すべきですが、知事の見解を伺います。
 次に、青少年健全育成についてです。
 不健全図書の包装や生セラ買い取りの禁止など、女性や子どもの人権の視点から、また事業者に対して規制をかける大人社会の意志が示される観点から、今回の改正案は一定の理解はできるものです。
 しかし、トータルに見たとき、表面は事業者への規制としても、行き着くところは子ども自身の規制につながるものです。
 ことし一月、国連子どもの権利委員会は、日本政府の第二回報告書に対し、五十八項目の総括所見を出し、政府が青少年施策大綱を立案したことに留意しつつも、青少年施策大綱が包括的な行動計画ではないこと、大綱の立案、実施への子ども及び市民社会の参加が不十分であることを懸念するものであると述べた上で、権利擁護の仕組みを構築すること、市民社会及び若者と連携しながら同大綱を強化し、継続的に見直すことを今後の課題と指摘し、包括的な行動計画や青少年、市民社会の参加を求めています。
 今回の東京都青少年問題協議会の答申の「おわりに」には、青少年を健全に育成するための方策には、特効薬や万能薬のようなものは存在しないし、本答申の提言の有効性が及ばない世界が急速に広がっていることも否めない。
 生セラや有害サイトから青少年を守るための新たな方策の検討や、子どもの自立支援、自分を守るための教育の推進なども不可欠である。
 青少年が希望を持てる社会づくりを進める総合的な対応なしには、抜本的な改善は望めないことを強く銘記すべきであるとありました。
 規制だけではなく、子どもの育つ力を支援する施策の拡充が必要ですが、見解を伺います。
 また、子どもたちに今の社会がどのように見えているか、どのように変えたいのか、どのような支援を必要としているかなど、子ども自身の意見を聞く場を設けながら、子ども自身の力を引き出す施策への転換が必要です。
 そのために、子ども参加をしながら、今後の青少年施策を進める必要があると思いますが、見解を伺います。
 次に、現条例第十八条の三には、青少年の性に関する健全な判断能力の育成を図るため、普及啓発、教育、相談などの施策の推進に努めるものとするとあります。
 性教育を初めとして、男女平等教育、メディアリテラシーなどの強化は、条例改正以前の喫緊の課題であるはずです。
 近ごろの子どもは手に負えないと嘆いたり、親が悪いとののしったり、教師が行き過ぎだと処分する前に、科学的な性情報の提供と育ちを応援するまなざしが必要です。
 性に関する健全な判断能力を育成するための各種施策の点検が必要であると考えますが、いかがでしょうか。
 今回の改正では、夜十一時から四時の深夜外出禁止の親への努力義務も盛り込まれています。
 社会整備の不備が家庭へのしわ寄せとなっている状況がある一方で、子どものいる場所に規制をかけ、締め出していくことになれば、新たな場所を求めて町をさまよい歩くことにもなりかねません。
 さらに、今回の罰則は、事業者や連れ歩いた大人に対するものですが、なぜその子がそこにいなければならないのか、子どもの真の姿に届くような実態調査が必要だと考えますが、見解を伺います。
 次に、子どもの権利擁護委員会について伺います。
 子どもの権利侵害を迅速に解決、救済するための電話相談と、権利擁護委員、専門員から成る子どもの権利擁護システムは、児童福祉審議会の意見具申を受け、新たな子どもの権利保障の仕組みとして平成十年十月から試行が開始されました。
 電話相談の約八割が子ども自身からの相談であることを見ても、いかに子どもの権利擁護委員会が子どもたちから信頼され、子どもたちのよりどころとなっているかがわかります。福祉分野に限らず、相談の半数を占める教育分野については、その第三者性が重要な役割を果たして、公立、私立を問わず、学校での人権侵害に対応してきました。
 子どもの権利擁護委員会への信頼は、この試行期間に着実に培われたと考えます。
 子どもがいじめや虐待に遭い、あるいは犯罪に巻き込まれて被害者となるケースは後を絶たず、子どもの権利侵害はますます深刻化している日本社会において、国連子どもの権利委員会の勧告にもあるように、子どもの人権を救済するオンブズ機能の確立が欠かせません。
 全国に先駆けて東京都が試行してきた子どもの権利擁護システムは、一層その重要性を増してきており、活動や機能の充実の必要性はいうまでもありません。
 都は、五年間の試行を経て、子どもの権利擁護委員会を見直すとのことですが、これまでの試行への評価と、この事業の今後の展開をどのように構想されているのか伺います。
 次に、食品安全条例について伺います。
 鳥インフルエンザへの対応を含め、ここ数年だけを見ても、食品安全にかかわる重大事件が発生しています。
 こうした中で、今定例会に上程されている食品安全条例は、食品の安全確保について、都民が健康で豊かな生活を営む上で、都民みずからが都民の健康を守ることが条例内容となっています。
 都においては、昭和五十年に、国に先駆け、消費者の権利を盛り込んだ東京都消費生活条例を制定し、消費者は保護される対象ではなく、主体的に行動することが明記されています。
 しかし、残念ながら、今回の食品安全条例の策定過程においての市民参加の状況は、パブリックコメントなどで都民意見を求めたに過ぎず、条例づくりにおける市民参加は不十分であるといわざるを得ません。
 しかも、策定過程におけるパブリックコメントの中で、消費者の権利の明記を求める多くの都民意見があったにもかかわらず、明記されなかったことは、都民にとり、納得のいくものとなっていないのではないでしょうか。
 国の食品安全基本法では、消費者は保護の対象としか見ていません。それゆえ、都の条例には、消費者の権利は必要不可欠です。全国への影響が大きな大消費地東京としては、国を上回るものを先駆けて行うことが、食の安全政策をこれまで誘導してきた東京都の役割です。
 この点で、食品安全確保における消費者の基本的立場をどのように考えていくのか、知事に伺います。
 BSEの発生や相次ぐ食品の偽装表示事件は、食の安全をめぐる問題に対する制度や行政機構が全く未整備なことをさらけ出すとともに、消費者の権利を担保する情報提供の基本的な部分が機能していないことを示しました。
 こうした中で、食に対する都民の不安や不信の申し出により調査を行う制度についても、さらに強化していく必要があると考えますが、見解を伺います。
 次に、増加する建築紛争を未然に防ぐために、各地で市民参加のまちづくり条例への取り組みが進んでいます。
 国立市では、長年、市民の手で景観を大切に守り育てている大学通りの住宅地をじゅうりんするように建てられた巨大マンションの景観破壊をめぐって住民が起こした裁判が、全国的な関心を集める中、進行中です。
 実際、一昨年の十二月に出た建築基準法は最低基準で、これを守れば何を建ててもいいというものではないという趣旨の民事訴訟の地裁判決は、もっとしっかり都市景観を守らなければ、日本のまちはいつまでたってもよくならない。風格が出て文化の香りがするようにならないといっているように聞こえます。
 そして、こうした声が都市に住む多くの人々の思いと重なったことが、ついに景観法の制定を促したのではないでしょうか。
 国では、景観法を三文字にし、重要な法律だとしていますが、確かにこれが景観形成元年ともいうべき流れをつくることになれば、意義があると考えます。
 そこで、まず都として、景観法制定の動きをどのように見ているのか所見を伺います。
 景観立法は、自治体の条例が先行し、法律が後を追った格好になりました。景観法と都及び区市の景観条例との連携のあり方や、画期的な法律とはいえ、景観法には大規模な景観アセスメントの規定はありませんし、またいわゆる眺望景観に関する規定もありません。
 こうした不十分性に関して、どのように都が補っていくのか、お考えを伺います。
 景観問題と大いに関連するのですが、平成十一年から、民間の確認機関でも建築確認が行えるようになりました。
 その結果、建築確認時に建築計画を把握して、地域の歴史や条例、要綱などに照らした指導を行う機会が失われたと指摘されています。
 確かに、単体規定については、民間の資格ある機関でも確認可能かもしれませんが、集団規定に関しては、地元の実情を熟知していないと確認できないケースが少なくありません。
 したがって、特に大規模建築物の集団規定に関しては、自治体などによって確認事務を行うのが妥当であると考えますが、見解を伺います。
 最後に、景観法が成立すれば、条例をつくりながらまちづくりに取り組んでいる自治体にとって追い風となります。
 そこで問題になるのが、用途地域の決定権の市区町村への移譲です。全国市長会が二〇〇三年に行った調査でも、三大都市圏の約七割の自治体が最も強く主張したのが、用途地域の決定権限の市区町村への移譲でした。
 スタッフも充実している大都市の市区がなぜ用途地域を決定できないのか、全く理解に苦しみます。
 本来国が分権改革を行うべきですが、国を動かし、分権化を進めるために、都が地方自治法の事務処理の特例制度を活用して、条例により市区町村へ権限移譲し、地方分権の流れを一層確かなものとすべき時期に来ていることを強く指摘し、質問を終わります。
 以上です。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 大西由紀子議員の代表質問にお答えいたします。
 いわゆる三位一体改革への取り組みについてでありますが、日本が国家として歴史的な岐路に差しかかっている今、将来を見据えた大胆な政策転換を行い、地方分権を実現しようというのが三位一体改革の本旨であるはずであります。
 ところが、国が示した内容は、改革の本旨から大きく外れたものでしかありませんで、全国知事会もまた、目先の利益を守ろうとする余り、本来の地方自治の展望を持ち得ておりません。
 今必要なのは、日本全体の発展を図る見地から地方分権を実現することでありまして、問題の本質をすりかえて、大都市対地方という構図に矮小化してはならないと思います。
 都としては、改めて地方自治のあるべき姿を明らかにし、広く国民に示していくつもりでございます。
 次いで、再生可能エネルギーへの転換についてでありますが、東京を持続可能な都市に変革するためには、エネルギーのさらなる有効活用に加え、環境負荷の少ない再生可能エネルギーの導入を進めることが重要であると思います。
 再生可能エネルギーの普及には、国の役割が決定的に重要でありますが、EUの積極的な取り組みに比べ、日本は大きく立ちおくれているといわざるを得ません。
 都は、昨年、大都市部で初めて風力発電施設を導入するとともに、本年には浄水場における太陽光発電の設置、さらには水再生センターでの下水汚泥によるバイオマス発電事業を開始する予定でありまして、今後とも地球温暖化対策の一環として、再生可能エネルギーの利用拡大を幅広く検討していくつもりでございます。
 次いで、食品安全確保における消費者の立場についてでありますが、今回提案している食品安全条例は、消費者を含むさまざまな立場の委員で構成する食品衛生調査会において、都民や事業者の意見を踏まえて審議をされました。その答申をもとに策定したものでございます。
 この条例では、都、事業者はもとより、都民自身も食品の安全について正しく理解し、行動するなど、一定の役割を担い、お互いの取り組みについての理解と協力を深めることにより、食品の安全を確保していかなくてはならないと思います。
 なお、消費者の権利については、既に消費生活条例においてはっきりと規定されておりまして、いわばこの消費生活条例が、憲法でいえば主文といいましょうか、前文といいましょうか。そして、それをさらに具体化して施行する、この条例が附帯条項という形になると思います。そういう意味で、あえて重ねてその権利をうたう必要がないという結論が出たと仄聞しております。
 なお、その他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔財務局長櫻井巖君登壇〕

○財務局長(櫻井巖君) 十六年度予算編成についてお答えいたします。
 十六年度予算は、引き続き都税収入が四兆円を下回る中、内部努力のさらなる徹底や新たな視点からの施策の見直しなど、財政再建への取り組みをより強化、向上して、治安あるいは中小企業対策、雇用対策など、現下の緊急かつ重要な課題に財源を重点的に配分するとともに、財源不足額を圧縮することができたところであります。
 さらに、持続可能な財政基盤の確立に向けまして、基金残高の確保や都債の発行抑制に努めるなど、今後のお話のような職員の大量退職や都債償還の状況、こういう不安定要素にも配慮しながら、都財政の将来を見据えた取り組みを行ったところでございます。
 都は、今後とも都民の期待にこたえ、都民サービスの一層の向上を図るため、第二次財政再建推進プランに基づき、都議会のご支援をいただきながら、全庁を挙げて財政再建に全力で取り組んでまいります。
   〔生活文化局長三宅広人君〕

○生活文化局長(三宅広人君) 青少年健全育成に関する四点のご質問にお答えいたします。
 まず、子どもの育つ力を支援する必要性についてでございますが、今回、極度に悪化した有害環境を改善するために条例改正を提案し、大人や事業者に対する規制の強化を図るものであります。
 一方、青少年の健全育成を図るためには、事業者や大人に対する規制とともに、青少年がみずから危険を避ける能力を育てることも重要でございます。来年度から、児童生徒を非行や犯罪被害から守るセーフティー教室を本格実施するなど、幅広く青少年施策の拡充に努めてまいります。
 次に、子どもの参加を得ながら青少年施策を進めることの必要性についてであります。
 今回の条例改正に当たっては、青少年問題協議会の検討の中で、有識者や関係業界からご出席いただいて意見陳述をいただいております。
 また、青少年を含む多くの都民から、電子メールなどによりさまざまな意見が寄せられております。
 今後とも、青少年を含めた各界各層の意見も聴取しながら青少年施策を進めてまいります。
 次に、性に関する健全な判断能力の必要性についてでございますが、都はこれまでも青少年への普及啓発に努めてまいりましたが、青少年を取り巻く環境が著しく悪化していることから、条例改正を行うことにしたものでございます。
 今回の条例改正では、少女の着用済み下着の買い受けや風俗店への勧誘を条例で禁止することによりまして、大人や事業者などの性に関する誤った意識や行為に警鐘を鳴らすこととしております。
 今後とも、条例の実施状況を踏まえて、各種施策の充実に努めてまいります。
 最後に、青少年の実態調査の必要についてでございますが、青少年を取り巻く環境は著しく悪化し、有害情報がはんらんしております。
 この状況を緊急に改善し、青少年を守るために、不健全図書の規制強化や深夜外出の制限、また深夜立ち入り制限施設の追加などを内容とする条例改正を提案したところでございます。
 今後、条例改正の実施状況を踏まえまして、親や大人、子どもたちの意識と生活について把握に努めてまいります。
   〔福祉局長幸田昭一君登壇〕

○福祉局長(幸田昭一君) 子どもの権利擁護委員会事業についてのご質問にお答えいたします。
 本事業の電話相談では、日常の悩み事から、虐待や学校でのいじめなどの深刻な問題まで、年間約千五百件に上る子どもたちからのさまざまな相談に応じてまいりました。
 そのうち、事実関係の調査や関係機関との調整が必要な事例については、弁護士などの専門員が第三者の立場に立って問題の解決に当たり、一定の成果を上げてきました。
 来年度からは、これまでの成果を生かしつつ、より実効性を高めるため、新たに子どもの権利擁護専門相談事業として、引き続き電話相談や専門員の活動を行うとともに、特に対応が困難な事例について法定の附属機関であります児童福祉審議会が関与する仕組みにしてまいります。
   〔健康局長平井健一君登壇〕

○健康局長(平井健一君) 食品安全条例につきまして、食に関する申し出制度の強化についてのお尋ねでございます。
 食品安全確保対策を進める際には、都民や事業者の意見を施策に反映させることが極めて重要でございます。
 消費生活条例第八条の申し出制度は、そのための具体的な方法の一つでございまして、食品についても数多くの申し出がなされております。
 今回提案いたしました食品安全条例は、食品の安全確保という視点から都の施策を包括する性格を持つものでございますが、他の条例等に基づく施策と一体となって、その目的を達成するものでございます。
 今後とも、消費生活条例を所管する生活文化局など関係局との連携を密にいたしまして、都民意見の反映に努めてまいります。
   〔都市計画局長勝田三良君登壇〕

○都市計画局長(勝田三良君) 景観に関する三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、いわゆる景観法制定の動きをどのように見るかについてでございますが、都及び都内十一の区市におきましては、景観条例を定め、国に先行して良好な都市景観の形成に取り組んでおります。
 今回の景観法は、景観形成のための基本理念と国民や行政などの責務を明確にした上で、建築行為等の規制誘導策や景観形成のための支援措置を創設したものでございます。
 これらの制度は、現行の都や区市町村の景観施策に対して、一定の強制力を持たせるなど、実効性を高めることができ、有効に活用できるものと期待しております。
 次に、景観法と景観条例の連携のあり方などについてでございますが、良好な景観形成のためには、国と地方の適切な役割分担のもと、地方が主体的に景観形成に取り組むべきであると考えております。
 そこで、これまでの都及び区市の取り組みと、景観法に基づく施策との調整を図り、それぞれを活用して景観づくりを進めていく必要がございます。
 例えば、建築行為等に関する景観誘導に強制力を持たせたり、歴史的建造物に対する支援などにつきましては、景観法を活用していくことが考えられます。
 また、法に規定されていない、いわゆる景観アセスメントや眺望景観につきましては、景観誘導施策として確立されたものではないため、東京都環境影響評価条例に基づく環境アセスメント制度や、東京都景観条例による眺望への配慮などの既存の仕組みを活用していくことが考えられます。
 今後とも、これらの取り組みをより充実させ、区市町村とも連携し、良好な景観形成に取り組んでまいります。
 最後に、景観づくりにおける建築確認機関の課題についてでございますが、建築確認は計画の最終段階で行われるものでございまして、この段階で景観誘導を行うことには限界がございます。
 景観づくりを誘導するには、その地域の自然的、社会的な特性に応じまして、あらかじめ景観づくりのルールを定めておき、そのルールに基づき計画誘導を行っていくことが必要でございます。
 そのためには、地区計画や東京のしゃれた街並みづくり推進条例の街並み景観づくり制度の活用、あるいは今回の景観法による景観地区の指定などが考えられます。
 今後とも、このような制度の活用を図り、区市町村や関係機関と連携いたしまして、地域の個性を大切にした景観づくりを進めてまいります。

○六十七番(吉野利明君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(内田茂君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後九時十七分散会

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