平成十六年東京都議会会議録第二号

   午後一時二分開議

○議長(内田茂君) これより本日の会議を開きます。

○議長(内田茂君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(内田茂君) これより質問に入ります。
 百十四番大西英男君。
   〔百十四番大西英男君登壇〕

○百十四番(大西英男君) 平成十六年東京都議会第一回定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問をいたします。
 私は、石原都知事や議会の代表とともに、先月七日、小笠原返還三十五周年記念式典に出席のため小笠原諸島を訪れ、南島などを視察する機会を得ました。無秩序な観光によって荒らされていた自然が見事に回復し、一千五百年前に死滅したといわれる貝殻が砂浜一帯に打ち上げられたまま保存されているのには、深い感動を覚えました。ガラパゴス諸島における自然保護の制度を参考にして、自治体主導のエコツーリズムとして全国に先駆けて実施された試みは、着々と成果を上げています。
 知事は、東京の空をきれいにして、都民の健康と生活の安全を守るため、全国で最も厳しいディーゼル車排出ガス規制を行いました。我が党は、この問題で、不況の中で過重な負担を強いられている事業者のために、特別融資制度の設置や助成金の大幅な増額などを提案し、実現いたしました。
 最近、都民から、東京の空気がきれいになったという声をしばしば聞くようになりました。環境局の各種の調査からは、ディーゼル車からのPM排出量は六〇%以上削減されたことなど、それを裏づけるデータが発表されています。東京都が提案した政策が近隣自治体を動かし、関係事業者の献身的な協力を得て、見事に大きな成果を上げることができたのです。
 都の財政再建は、平成十二年度からの四年間で、約六千人の職員を削減し、給与のカットなどの内部努力や施策の見直しや再構築などにより、五千九百億円余の財源を確保しました。議会側も報酬カットを七年間続け、七億六千万円余の削減効果を上げました。東京都の行財政改革は、みずからの肉をそぎ、骨を削り、血の出るような思いで、行政と都議会が一体となってなし遂げてきたのです。
 こうした具体的な成果は、まさに東京発都市革命が着実に進展していることを物語るものです。
 政治の役割と責任は、しっかりと将来を見据えて、ビジョンをつくり、どんな困難があろうとも、夢や政策を一つ一つ実現をすることなのです。
 一方、東京の成果とは裏腹に、国の改革は、一向に長いトンネルから抜け出す気配が見えないままです。小泉内閣が誕生して三年になりますが、この間、民間にできることは民間に、地方でできることは地方にという構造改革を主張しながら、道路公団や郵政事業の民営化はいまだ具体策を示すことができず、地方税財政制度の改革もいまだ先が見えません。ましてや国家公務員や給与の削減などは、全く国民に見えてこない現状です。私たちは、政権与党の一員として、国に対して常に、東京の改革をしっかり見習うべきと訴え続けているのです。
 さて、知事は昨年四月、二期目の出馬に当たり、東京発都市革命を掲げ、再選を果たされました。本定例会に提案された知事二期目初年度予算は、極めて重い意味を持つと考えております。都民の熱い期待にこたえ、都政のさらなる展開を図っていくことが求められております。同時に、都財政の再建や都政の構造改革をさらに進めていかなければなりません。
 極めて難しいかじ取りをしながら新年度の予算を編成されたと思いますが、まず、十六年度予算の基本的な考え方を伺います。
 また、十六年度予算では、第二次財政再建推進プランの初年度として、財源不足を圧縮するなどの成果を上げましたが、今後とも、手を緩めることなく財政再建の歩みを着実に進めるべきと考えますが、知事の決意を伺います。
 一方、財政状況が依然として厳しいことは我々も理解していますが、将来を見据えた都市基盤整備を進め、東京は、世界経済の中心都市としての地位を死守していかなければなりません。雇用を確保し、明るい兆しが見え始めた景気を支えていくことも重要です。また、一定の事業量が確保されてこそ、民間の技術開発も促されるのです。厳しい財政状況の中で、投資的経費の確保と都市再生への取り組みにどのように対応したか、伺います。
 次いで、行政改革に向けた取り組みについて伺います。
 都は、第二次都庁改革アクションプランにおいては、民間との協働を行政改革の重要な柱の一つとして取り上げていますが、その中でも、体育施設、公園などの公の施設への指定管理者制度の導入は特に重要です。
 東京の再生には、民間の創意工夫や官民協働は欠かすことができません。官から民への流れは、より一層顕著になっています。こうした時代の流れを、都もみずからが積極的に推し進め、加速させていくべきです。
 また、都民サービスを一層向上させるためにも、指定管理者制度を積極的に導入すべきと考えますが、今後、都は、この制度の導入に向け、どのように具体的に取り組んでいくのか、伺います。
 ところで、今定例会において、都市整備局、福祉保健局の設置などを内容とする東京都組織条例の一部を改正する条例が提案されています。都の組織については、都民サービスの向上を図りながら、社会経済状況に応じた最適な体制を常に目指すべきものと考えます。
 また、職員定数についても、平成十六年度から十八年度までに、さらに四千人程度を削減するとしています。この定数削減目標は、主要な道府県の定数削減計画の中では最も高い数値目標であり、平成十六年度は、その約三分の一である千四百四十四人を着実に削減しており、我が党は、こうした取り組みを高く評価しています。
 そこで、さらなる行政改革に向け、今回の組織改正や定数の削減などの考え方と、今後に向けた決意について、知事に伺います。
 次に、三位一体の改革について伺います。
 昨年夏に閣議決定した骨太の方針二〇〇三で、国庫補助金の削減、基幹税による税源移譲、交付税制度の見直しの方向性がはっきり示されたものの、中央省庁の官僚ベースでは改革が進まず、小泉首相が国庫補助負担金の一兆円削減を指示し、やっと動き出しました。
 その後の動きは、周知の事実です。難産に難産を重ね、国庫補助負担金の一兆円削減、基幹税の移譲までのつなぎの措置としての所得譲与税、税源移譲予定特例交付金の創設などが図られました。
 この過程で、中央省庁が国民の税金を我が既得権と考え、それを守ることを第一とする、許しがたい姿勢があらわとなりました。また、ぎりぎりになって地方交付税の大幅な削減の方針が示され、多くの地方自治体が改めて地方交付税依存の姿勢を強く示す混乱が生じています。
 知事は、これまで国や全国知事会に対し、さまざまな提案や提言を行ってきましたが、今後、真の三位一体改革の実現に向け、都としてどのような取り組みを行っていくのか、所見を伺います。
 次に、法人事業税の分割基準について伺います。
 法人事業税の分割基準については、これまでも都に不利益となる改正が繰り返し行われ、その影響額は膨大なものになっています。加えて、国においては、税源移譲に伴う地域間の財政力格差拡大への対応を理由に、さらなる分割基準の見直しを行う動きがあります。
 都は、このような国の動きに対し、今後どのように対応していくつもりか、所見を伺います。
 次に、治安対策について何点か伺います。
 治安対策は、依然、現下の都政において緊急かつ最重要な課題です。都を挙げて、これまで総定数の徹底した抑制を進めてきた中で、来年度は警察官の増員二百人、都職員の派遣は千人──いや、百人。これは希望的な数値を申し上げましたけれども、再雇用の拡大が約三百人となっています。治安対策にこれだけ手厚い配慮をすることは、まさに知事の英断であると評価します。
 しかしながら、警察力の強化だけで、今日の東京の治安が回復されるとは考えにくいと思われます。治安対策の根幹に置かれるべきは、犯罪の機会を与えない、犯罪に強いまちをつくることだと思います。そのためには、都民一人一人の防犯意識を喚起し、地域からの防犯活動を盛り上げて、地域の防犯力を高めていく必要があります。
 都民の防犯意識を高め、被害を未然に防ぐという観点からは、警察の側から、地域により積極的にアプローチする必要があると思われますが、防犯活動の中心的役割を果たしている警視庁としては、十六年度に向けてどのような支援策を考えているのか、伺います。
 また、地域の住民の中には、警察の敷居が高いと感じている方も少なからずいるとも聞いています。今後、警視庁としても、地域により開かれた警察の実現に向けて、一層の努力をお願いしたいと思います。この点について、警視総監の見解と決意を伺います。
 次に、東京港や東京湾の危機管理対策について伺います。
 我が党はかねてより、水際の危機管理を強化していくべきことを主張してまいりました。これに応じるかのように、問題のある船舶の入港規制などを盛り込んだ港湾設備条例の改正を提案されたことに敬意を表します。
 既に条例改正を行った新潟県や富山県では、入港規制が可能な船舶は、あくまで港湾管理に支障を来す、事故のおそれの多い整備不良の欠陥船や損害賠償保険に未加入の無保険船に限るというものでした。
 しかし、一部の外国船舶は、海上貿易を隠れみのに、明らかに我が国で密輸、密入国等の犯罪行為を行おうとしております。したがって、私は、他県のような港湾管理の視点からのみの規制では全く不十分で、都の条例改正においては、都民の生命、財産の安全を積極的に守るとの観点からの、さらに踏み込んだ規制がぜひとも必要と考えます。
 そこで、この条例改正について、知事の基本的な考え方を伺います。
 また、都は、今回の条例改正によって、具体的にどのような船舶を、どのような手法で規制しようとするのか、さらに、今回の条例改正では、SARSや鳥インフルエンザのような伝染病などの危機にも対処できるものなのか、伺います。
 このような水際の危機管理は、東京のみならず、横浜、川崎、千葉など東京湾の主要港が歩調を合わせて取り組むことがより効果的と考えます。入港規制に関する東京湾全体の広域的な取り組みの状況について伺います。
 次に、中小企業対策に関連して伺います。
 まず、中小企業金融についてですが、景気にもようやく明るい日が差し込んでまいりましたが、中小企業にとって、底離れの実感はまだ乏しいのが現状です。金融機関には、依然として過度な担保や保証を求める傾向が強く、金融仲介機能が十分に果たされておりません。こうした状況に風穴をあけることが求められています。
 その一方で、融資という間接金融だけでは限界があります。ベンチャー企業や再生途上にある企業などは、リスクが高いことから、どうしても融資という手法はなじみません。投資、すなわち直接金融による資金供給が図られなければなりません。しかし、日本では、この直接金融が、アメリカと比べ大きく立ちおくれています。リスクの高い分野への資金供給、さらには担保や保証に依存しない資金調達の道を開くためにも、直接金融を充実させなければなりません。
 都は、十六年度予算案において、中小企業向け投資法人及び中小企業再生ファンドの創設を打ち出していますが、改めて知事の直接金融に関する認識とファンド創設への意気込みを伺います。
 さて、中小企業への資金供給を促進するためには、間接金融をこれまで以上に充実させることも必要です。我が党は、昨年の第四回定例会等の代表質問において、制度融資のさらなる充実強化を図る観点から質問を行いましたが、その後の検討を踏まえた来年度の制度融資の新しい姿がどのようなものになるのか、伺います。
 次いで、新銀行について伺います。
 昨年第四・四半期のGDPが、年率換算で七%と、十三年ぶりの高成長となったと報道されています。一部には景気回復への兆しとの見方もありますが、これは、リストラなどによって勝ち組となった大企業中心の好景気であります。依然として雇用や所得の不安がぬぐい切れず、我が国の活力を根底で支える中小企業には、いまだ景気回復の実感がなく、その大勢は暗やみのただ中にあります。
 こうした閉塞状況を打破するために今必要なことは、新しい時代を切り開くための挑戦であり、これまでの枠組みの延長に我々の未来はありません。リスクのないところに成果はなく、リスクを恐れたら何も生まれません。いまだ厳しい経済環境のもと、東京の経済再生を図ることが都政の緊急の課題であり、そのためには、これまでの常識の壁を突き破る覚悟と信念を持って取り組むことが必要です。
 振り返れば、銀行税がまさにその試みの一つでありました。都の先駆的な取り組みが、メガバンクの思い上がったスタンスに大きな影響を与えると同時に、地方自治五十年の悲願である外形標準課税が全国の制度として導入される直接の契機となったわけです。
 知事が現在着々と創設に向けて準備を進めている新銀行は、まさにリスクを恐れず、時代の閉塞感を打ち破らんとする挑戦です。
 メガバンクを初め既存の銀行は、晴れた日には傘を差し出し、雨の日に取り上げるがごとく、市場経済の中でリスクをとって信用創造を行うという、銀行本来の役割を十分に果たしていません。新銀行には、ぜひとも金融機関の本来あるべき姿をモデルとして示すとともに、疲弊した都内の中小企業にとって、救世主としての役割を果たしていくことを期待したいと思います。
 ところが、先日、全国銀行協会は、新銀行構想に対して、その抜本的見直しを求める意見を表明しました。メガバンクを初めとする既存の銀行が、その果たすべき責任をないがしろにしながら、新規参入者を阻む姿勢は言語道断であります。
 中小企業の支援に限りない情熱をお持ちの知事は、このような意見に対してどのように考えるのか、所見を伺います。
 次に、新銀行の想定するマーケットとその役割について、具体的に伺います。
 現在の金融システムは、民間金融機関の行う市場金融を中心として、政府系金融機関が行う政策金融がこれを補完する構造となっています。しかし、今日の状況を見ると、民間金融機関に加え、政府系金融機関も、中小企業の多様な資金需要に柔軟に応じ切れていないなど、システムが十分に機能しているとはいえません。その結果、中小企業融資の実態は、約十八兆円もの貸し出しが、高金利の商工ローンを含む事業者向け貸金業者に依存しているなど、中小企業の経営を圧迫しています。
 こうした金融環境の中で、新銀行は、具体的に中小企業融資のマーケットを想定し、どのような役割を果たそうとしているのか、伺います。
 次に、都と新銀行との関係について伺います。
 新銀行は、中小企業への金融支援という都の政策を達成することを目的に、都が出資して設立する民間銀行です。都のマスタープランでは、民間銀行としての健全性を確保しつつ、経営の大枠を監視するとしていますが、新銀行の経営に都はどのようにかかわっていくのか、所見を伺います。
 次に、新銀行の事業戦略について伺います。
 最近の日銀の短観や政府の月例経済報告によれば、景気は、輸出や設備投資などに支えられ、回復の兆しを見せています。
 一方で、メガバンクなど大手の金融機関は、不良債権処理を加速させており、財務内容が徐々に改善され、最近では、中小企業に対する無担保融資への取り組みも行われています。
 こうした状況を踏まえて、新銀行はどのような事業戦略で中小企業を支援していくのか、伺います。
 次に、商店街の振興について伺います。
 都内の商店街では、コンビニやチェーン店が増加していますが、こうしたチェーン店等は、地元の商店会に加入しなかったり、また、地域活動に熱心でなかったりして、商店街の振興やまちづくりにおいて大きな問題となっています。
 我が党は、さきの第四回定例会でも、チェーン店等と商店街が今後の商店街の振興をともに考えるための協議の場をつくるよう、都が関係者に働きかけるべきと提案いたしました。
 先月十八日には、東京商工会議所の主催により、第一回の協議会が開催されましたが、こうした話し合いを実りあるものにしていくことが重要と考えますが、見解を伺います。
 また、商店街が地域住民にとってさらに魅力的なものになり、地域経済やコミュニティの核として一層発展していくためには、商店街自身のたゆまぬ努力と創意工夫が何よりも重要です。
 都は、本年度、これまでの商店街振興施策を新・元気を出せ商店街事業として再構築しましたが、都の商店街振興に対する基本認識を改めてお伺いするとともに、新・元気を出せ商店街事業の今後の事業の充実と展開について所見を伺います。
 次に、外国における知的財産の侵害対策について伺います。
 中小企業にとっても、中国を初めとする東アジア諸国は有望な市場となりつつある一方で、外国における日本製品の模倣品問題は深刻になっています。特に中国、台湾、韓国などでは、産業技術の発展により、従来の商標権侵害から意匠、特許権侵害へと拡大し、模倣品が世界じゅうに輸出され、被害が急速に甚大化しているのが現状です。
 しかし、中小企業は人的、資金的に脆弱であり、また、海外に営業拠点を持つところが少なく、被害実態を把握し、的確な対応をとることは困難です。
 そこで、都は、こうした事態をどう認識し、対応するのか、所見を伺います。
 次に、都市再生に関連して伺います。
 まず、幹線道路の整備について伺います。
 都は現在、環状八号線や調布保谷線などの幹線道路の整備に重点的に取り組んでいますが、都内の都市計画道路の整備率はいまだ五〇%程度で、まさに道半ばにあります。加えて、交通渋滞の解消に効果の大きい、都市の骨格となるような幹線道路のネットワークさえも、戦後から五十年以上経過しているにもかかわらず、未完成の状況です。
 道路の整備がおくれていることによる交通渋滞は、経済活動などの支障になっているばかりでなく、大気汚染など都市環境の悪化の要因にもなっており、道路整備を着実に進めていくべきことは論をまちません。
 ついては、今後、道路整備をどのように進めていくのか、所見を伺います。
 また、幹線道路の整備を進めるためには、財源の確保とともに、環境対策などについて地域住民との合意形成を進めることが非常に重要だと考えますが、どのような取り組みを行っていくのか、所見を伺います。
 次に、昨年末に案が公表された、区部における都市計画道路の整備方針について伺います。
 この整備方針では、二十年ぶりに都市計画の見直しを行うとともに、今後十二年間で優先的に整備する路線を選定し、第三次事業化計画として取りまとめることになっています。そこで、この整備方針決定のねらいについて伺います。
 また、これまでも、重要課題として、国に対して税財源の移譲や道路特定財源の適正な配分などの要求を強く行ってきたわけでありますが、財源確保の取り組みを継続することはもとより、整備においても何らかの工夫が必要です。とりわけ優先整備路線に選定されなかった路線については、完成までに今後も相当の期間を要することも考えられることから、沿道地権者へ配慮した取り組みが求められます。
 このような状況において、整備方針の中ではどのような工夫や配慮をしているのか、所見を伺います。
 次に、これからの道路管理について伺います。
 東京のインフラは、東京オリンピック前後から高度経済成長期にかけて集中的に整備、蓄積されました。これらの施設は、整備から約四十年を迎えることから、施設の更新が喫緊の課題となっています。とりわけ道路においては、最も基本的で重要な社会基盤施設であり、今後迎える橋やトンネルの更新集中に適切な対応ができなければ、都市活動等に重大な影響が懸念されます。
 この危機を回避するため、新しい道路管理の手法である道路アセットマネジメントを導入していくことにしていますが、その意義と効果及び今後の取り組みについて所見を伺います。
 次に、踏切対策について伺います。
 都内には数多くの踏切が残されており、交通渋滞を初めとしたさまざまな問題が発生し、二十世紀の負の遺産とまでいわれています。東京の国際都市としての魅力向上、経済活動の向上、都民生活の安全性、利便性向上のためには、今、踏切対策を強力に推進すべきと考えます。
 先ごろ、踏切対策基本方針が公表されましたが、改めて方針策定のねらいについて伺います。
 また、昨年の中間のまとめ公表後の本方針策定に向けたこれまでの取り組みと、財源の確保も含めた今後の予定についてはいかがでしょうか。
 ところで、京成高砂駅から京成小岩駅付近では、あかずの踏切が大きな問題となっています。江戸川区、葛飾区、東京都、京成電鉄で構成される検討会における検討状況と今後の予定について伺います。
 次に、東部低地帯の水害対策について伺います。
 最近、宮城県北部の地震や北海道東部の十勝沖地震など、被害を伴う大きな地震が多発しています。昨年九月に発生した十勝沖地震では、堤防や道路、橋などの損壊に加えて、津波による被害も報告されています。このときの津波は、場所によっては四メートルを超え、十勝川では十一キロ以上、河川を遡上したという報告もあります。
 一方、東京の東部低地帯には、河川水位よりも低い土地に人口や資産が集中しており、これらの地域の堤防や水門の損壊と津波が重なった場合の人的、物的な被害は、はかり知れないものがあります。
 そこで、まず、東部低地河川での津波を含めた、地震時の水害対策への取り組みについて伺います。
 次いで、地震時には、水門の操作を迅速かつ確実に行う必要がありますが、そのためには、設備等の十分な備えとともに、確実に機能する水門の管理体制の強化が必要と考えますが、今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 次に、羽田空港の国際化について伺います。
 昨年一月、羽田空港再拡張事業に関する協議会が設置され、再拡張事業についてさまざまな論議がなされる中、先ごろ、知事は、この事業の財源スキームに都として協力することを表明されました。
 しかし、羽田空港の再拡張、国際化は、本来は国の負担と責任のもとで実施されるべきであり、今回の都の協力について十分な説明が必要であると思います。羽田空港再拡張事業の事業スキーム及びこれに対する都の協力内容は具体的にどのようなものなのか。また、今回、知事はどのような観点から、この事業に対し協力すると判断したのか。財源面での協力を行う以上、羽田空港の運営について、東京都の意向をきちっと国に反映させる仕組みが必要と考えますが、知事の所見を伺います。
 さらに、去る二月九日には四回目の協議会が開催され、国土交通省から再拡張後の飛行ルート案が示されました。その中には、東京の上空を新たに飛行するルート案も含まれており、関係区並びに住民の中には、その騒音影響について懸念している状況もあります。
 一方、千葉県は、首都圏全体で騒音を共有することが必要と主張しています。このような中、飛行ルートについて知事はどのように考えているのか、所見を伺います。
 次に、住宅対策について伺います。
 まず、民間賃貸住宅施策についてですが、東京では、全世帯の約四割、二百万を超える世帯が民間賃貸住宅に居住していますが、近年、退去時の敷金精算など、賃貸借に関する紛争が増加しています。これは、契約時点で、原状回復の費用負担など不透明な部分を残していることが原因であると考えます。
 我が党は、都に実効性ある方策を求めてきましたが、今回、都が多くの相談事例等をもとに検討し、東京ルールとして、紛争の防止に関する条例案と、性格が不明確で借り主の負担も大きい礼金、更新料のない契約の普及を打ち出したことは、大変有意義な取り組みであると考えます。
 そこで、まず、安心して貸し借りできる民間賃貸住宅市場の確立に向けた知事の決意を伺います。
 紛争の未然防止には、契約する前のきちんとした説明と合意が有効です。本条例案では、宅地建物取引業者に、退去時の損耗等の復旧や管理に関する基本的な考え方と、当該契約の内容について説明義務を課すこととしていますが、その意義や効果はどこにあると考えているのか伺います。
 また、都民が安心して賃貸借契約を結ぶためには、的確かつわかりやすい説明がなされることが必要です。そのために都はどのような方策を考えているのか、また、原状回復に関する基本的な考え方や具体的な事例について、どのようにして広く普及啓発を図っていくのか伺います。
 次いで、都営住宅の建てかえにおける民間活力の活用について伺います。
 南青山一丁目団地建てかえプロジェクトは、都営住宅敷地を有効活用して、全国でも初めて、都営住宅、民間住宅、公共施設等を民間事業者が一体的に整備するものであり、平成十八年度の完成を目指して、この三月に着工の運びとなり、せんだって、知事出席のもと、起工式がとり行われました。
 そこで、まず、プロジェクト実施に対する知事の所感を伺います。
 我が党は、この事業を、民間事業者の知恵や創意工夫を活用することで、敷地の持つ可能性を最大限に引き出した、すぐれたプロジェクトであると高く評価しております。地域にふさわしい多様な都市機能を整備し、東京の再生を図るとともに、定期借地権制度を活用することにより、多くの賃料収入を安定的にもたらし、都財政への貢献も多大なものとなっています。
 そこで、都として、今までにない画期的な本プロジェクトを推進するに当たり、どのような取り組みを行ったのか伺います。
 老朽化により建てかえ時期を迎えている都営住宅は、現在約三万戸あります。建てかえは、漫然と行うのではなく、高度利用により生み出した土地を、民間の力を活用して、地域のまちづくりに貢献していくことが重要なことだと考えます。民間活用は、地域により取り組みが異なりますが、事業実施が可能な地域については、これまでの取り組みの成果を生かし、都営住宅の建てかえを推進し、民間活用事業を積極的に実施すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、都市と地球の持続可能性の確保に向けた取り組みについて伺います。
 地球温暖化に関する国際的な枠組みである京都議定書については、アメリカの離脱に加え、ロシアはいまだあいまいな態度を続けており、現時点でも発効のめどは立っていません。
 一方、我が国では、二〇一〇年までに六%削減という議定書の目標を達成する必要があります。しかし、CO2排出量は今なお増加基調にあり、今後の地球温暖化対策大綱の見直しに当たっては、追加的な施策の検討が不可欠な状況です。
 こうした中、このたび発表された東京都環境審議会の中間のまとめでは、オフィス等の大規模事業所におけるCO2削減対策の強化、新築建築物の環境配慮設計の推進、及び家庭部門対策としての家電製品等の省エネラベリング制度の創設の三点について、制度化の方向性が提言されています。
 そこで伺いますが、温暖化対策においても、先駆的な取り組みを東京が率先して実行することこそが重要であると考えますが、知事の所見を伺います。
 京都議定書の発効が不透明な状況の中にあっても、企業においては、事業活動における環境配慮について、これまでのように事業活動を制約するものという認識から、企業経営に必須のものとして取り込むようになってきています。すなわち、環境と調和した新しい社会経済システムを構築し、環境を日本企業の強みにしていく、環境立国を確立するための取り組みが始まっているのです。
 このように、企業の温暖化対策に関する認識は確実に高まっており、今後の温暖化対策の制度構築に当たっては、企業の先進的な取り組みを引き出す仕組みづくりが必要と考えます。
 都は、こうした対策の検討に当たっては、よりCO2の総量削減を進めていくためにも、企業の積極的な取り組みを促す仕組みが必要と考えますが、いかがでしょうか。
 次に、廃棄物対策について伺います。
 東京を持続可能な都市とするためには、限られた資源を大切に繰り返し利用していく循環型社会を構築する取り組みを、より一層確実に進めていくこともまた必要です。
 このたび、東京都廃棄物審議会が、プラスチックごみの発生抑制やリサイクル促進について、中間のまとめを公表しました。その中でも指摘されていますが、東京では、化石燃料の塊であるプラスチックごみが大量に埋め立てられ、有効利用されていません。プラスチックごみを貴重な資源として積極的に活用する観点から、埋立処分を見直し、資源を循環利用する持続可能な社会の構築に向けて踏み出すべきであると考えますが、知事の基本的な考え方を伺います。
 また、中間のまとめでは、プラスチックごみをエネルギー源としてリサイクルすることも重要な選択肢であるとされています。このような選択肢が可能となった背景には、どのような状況の変化があるのでしょうか、伺います。
 次に、福祉保健医療について伺います。
 まず、福祉改革について伺います。
 平成十二年の社会福祉法の制定や介護保険制度の導入を初め、福祉の大きな転換期の中で、都は福祉改革を着実に進展させてきました。この福祉改革の大きな柱の一つに、サービス提供主体の改革があります。民間でできることは民間にという我が党の主張に沿い、都はこれまで、都立の入所施設の改革を進めてきました。
 一方で、通所施設である生活実習所、福祉作業所の運営については、住民に身近な区市町村で行うことが適当との観点から、これまで区市町村移管を進め、区については移管を実現しました。
 しかし、市については、財政事情等から協議が調わず、現在に至っておりましたが、先月の市長会の中で、都は、これまでの市移管から民間移譲へと大きな方針転換をすることについて説明したと伺っています。
 私は、今回の方針転換は、民間活力の導入により競い合いを促すという観点から、望ましい方向であると思います。
 そこで、今回、民間移譲という新たな方針を打ち出したことについて、都としての基本的考え方を伺います。
 次に、高齢者施策について伺います。
 都の高齢者人口は年々ふえていますが、その伸びをはるかに超える勢いで、介護を必要とする高齢者が増加しており、介護保険制度を将来的にも持続可能なものにするためにも、抜本的な対策がまさに求められています。こうした中にあっては、そもそも要介護状態にならないような介護予防の取り組みが極めて重要です。
 知事の著書「老いてこそ人生」の一節に、老いに正面切って向かい合い、老いに関するさまざまな情報を心得ながら、若いころにはなかった経験とそれが培ってきた冷静さをもって老いを迎え撃つことです、というくだりがあります。私は、まさに、この老いを迎え撃つ取り組みこそが介護予防なのではないかと思っています。
 そこで、改めて知事に、この介護予防についての基本的な認識について伺います。
 また、私は、この介護予防の取り組みを成功させるためには、福祉、保健、医療などの分野において、民間を含めたさまざまな組織、団体が、お互いに連携した施策を展開することが大切であると思います。しかも、これらの取り組みは、保険者であり、かつ住民に身近な区市町村が主体となって進めていくことこそが必要です。都としても、区市町村に対して積極的に支援を行っていくべきと考えますが、所見を伺います。
 また、高齢者が、たとえ介護が必要な状況になっても、在宅のまま安心して暮らし続けていくためには、デイサービスセンターなど在宅サービスの拠点が地域の中に数多く整備されていることが必要です。
 一方、都内には、空きオフィスや空き店舗、例えば公衆浴場等、高齢者のコミュニケーションに利用される場など、サービスの拠点として活用可能な既存ストックが数多くあります。これら既存ストックを改修等によって活用していくならば、地域経済の活性化にも寄与し、いわば一石二鳥の施策になるものと確信します。今後、在宅サービス拠点の新たな形態として、これら既存ストックを有効活用する方策を推進すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、社会福祉施設整備に係る国庫補助問題について伺います。
 厚生労働省は、社会福祉施設の整備に係る国庫補助について、年明けになってから、極めて唐突に、これまでの経過を無視したルールの見直しを提案しました。
 その内容は、高齢者施設、児童施設及び障害者施設のそれぞれの補助採択基準において、原則として単年度実施のものに限るなど、新たな条件を設けるというものです。
 加えて、特別養護老人ホームにおいては、新規着工分の国庫補助採択枠については、前年度実績の三分の二を上限とするとも聞いています。これによって、現在予定されている平成十六年度の東京都の特養老人ホームの建設は、半分は中止せざるを得なくなるのではないかという実情にあると聞いています。
 こうした一方的な補助金の見直しは、税財源の移譲がない中で、極めて問題があります。都として撤回を強く求めるべきであると考えますが、所見を伺います。
 我が党も、政権与党として、国に対してこの問題を強く要求していく決意です。
 次に、食品安全条例の制定に関連して伺います。
 平成十三年九月のBSE発生以降、我が国においては、徹底したBSE検査を実施することにより、現在では、食肉の安全について国民の信頼にこたえることができるようになりました。
 ところで、山口県で七十九年ぶりに発生した鳥インフルエンザは、その後、大分、京都でも発生しました。食品として、鳥肉や鶏卵を食べることにより人に感染した例はないとのことですが、都においても、都民に不安を生じさせることのないよう、万全を期すよう要望しておきます。
 さて、今定例会に上程された食品安全条例案は、改めてその理念や実効性が、都民、事業者の注目を集めていると考えます。この条例の目的に明示されているように、食品の安全を確保することは、都民の健康を守る上で欠かせない条件の一つであり、その第一義的な責任が事業者にあることはいうまでもないことです。都民も、食の安全を確保する当事者として、事業者、行政とともに一定の役割を果たすべきであると考えます。こうした点も踏まえて、食の安全確保についての知事の所見を改めて伺います。
 一方、都民生活に不可欠である生鮮食料品の流通を担う卸売市場は、これまで以上に食品の安全性確保への対応を行うことが求められています。現在、国において、卸売市場制度の大幅な見直しが行われていますが、食の安全性確保についても重要な検討事項とされています。都としては、卸売市場の食の安全・安心の確保にどう取り組んでいくのか、所見を伺います。
 次に、都立病院改革について伺います。
 都立病院が今後とも都民に高度専門的な行政的医療を適切に提供していくためには、各病院が現有の医療資源を最大限有効に活用しながら、それぞれの役割を果たしていくことが必要であり、それらを具体的に実現するのが都立病院の再編整備であると理解しています。
 一方、住民に身近な地域医療の確保は、基本的には区市町村の役割でありますが、都は、地域医療確保に向けた基礎的自治体の取り組みを支援する立場から、さまざまな施策を行ってきました。
 そこで、まず、豊島病院の地元板橋区が昨年十一月に、豊島病院を区立病院としての運営を目指すという、相当踏み込んだ意思表示を行いました。このような区の動きは、地域の医療提供における都と基礎的自治体である区との役割分担という点で評価できるとともに、特別区の自治権拡充の観点から、都として積極的に区の要望にこたえるべきと考えています。板橋区による豊島病院の区立病院構想に関して、今後、都はどのように対応していくのか、改めて都の考えを伺います。
 また、台東区も、旧都立台東病院を、区みずから病院を整備するための具体的な取り組みを進めています。都は、こうした台東区の積極的な取り組みに対し、病院建設用地の早期譲渡はもちろん、病院整備に向けた具体的な支援策を早急に明らかにすべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、水道及び下水道局の事業について伺います。
 地球は水の惑星といわれています。しかし、実際に我々が使える水は、地球上にある水の一万分の一にすぎません。地球に存在する水資源は有限で、節水がいつの時代にも求められています。一方、我が国は、蛇口から直接水が飲める数少ない国ですが、質という面では、満足できるレベルには達していないと考えます。水に対する安全・安心は、だれもが願うところです。
 このたび、水道局では、向こう三年間の施策の方向を明らかにした中期事業指針を策定しましたが、こうした都民の願いを実現していくため、どのように施策を展開していくのか、その基本的な考えを伺います。
 また、事業指針では、水道料金体系の見直しは、早期に成案を得るよう検討を進めるとしています。節水は社会の要請でもあり、一層節水を促す仕組みを料金体系の中で実現していく必要性は十分理解できます。
 しかしながら、体系の見直しとなれば、個々の都民にとっては、現在の水準と比べて値上げあるいは値下げになるケースが考えられます。このため、経営の効率化によるコストの圧縮など、なお一層の企業努力はもとより、実質的に負担増にならないよう、思い切った工夫が必要と考えられます。今後の検討に当たっての見解を伺います。
 先ごろ、下水道局は、今後の事業運営の指針となる経営計画二〇〇四を公表しました。老朽化した施設の再構築や浸水対策等のさまざまな事業課題を抱えているにもかかわらず、厳しい都財政を反映し、三年間で五百億円もの建設投資を削減する内容となっています。
 こうした中で、局がいうお客様サービスの向上のために今後どのように施策を展開していくのか伺います。
 また、雨水整備、再構築、合流改善の三つのクイックプランの導入により、例えば、浸水が多発していた地区で目に見えて浸水被害が軽減するなど、都民は事業効果を短期間に実感できるようになりました。これらのクイックプランの改定、充実をこの計画に盛り込んだことは、時宜を得たものと思います。
 そこで、具体的にどのような考えで進めていくのか、局の見解を伺います。
 最後に、教育問題に関連して何点か伺います。
 まず、都立の新しい大学についてであります。
 来年四月に開学を予定しております都立の新しい大学の名前については、首都大学東京という斬新なネーミングが、先日知事から発表されました。さらに、教育研究の責任者である学長の予定者、経営の責任者である理事長の予定者それぞれに、著名で高い見識を持ったすばらしい人材を迎えることも決まりました。開学まで残すところ一年余、新大学の骨格が形成されてきた感があります。
 さて知事はかねてより、ダイナミックな旧弊に陥らない新しい大学をつくっていきたいといわれるように、学生一人一人の個性と才能を伸ばし、社会が求める人材を育成することが、これからの大学には強く求められています。
 そこで、まず、四月の文部科学省への申請を前にして、新しい大学のモデルとして、どのような教育上の特色を打ち出していくのか、具体的に伺います。
 大学時代は、講義を受けて専門的な知識や技術を習得していく一方で、部活動、サークル活動、さまざまな体験や交流などを通じ貴重なキャンパスライフを謳歌したり、将来を見据えたキャリアを形成していくときでもあります。
 現在、私立大学などでは、大学間競争の生き残りをかけ、積極的な学生支援策を展開していると聞いています。教育面の改革だけでなく、学生支援策についても魅力ある取り組みが必要と考えますが、就職活動や学生生活への支援など、具体的にどのように取り組んでいくのか伺います。
 ところで、多くの高校二年生が、平成十七年四月の入学に向け受験勉強を始めているこの時点、また、四月の文部科学省への設置申請を目前にしたこの時点において、なお、大学改革に反対している教員もいるようであります。こうした動きに屈することなく、断固として都立の大学改革を進めるべきと考えます。首都大学東京の開学に向けた知事の意気込み、強い決意をお聞きいたしたいと思います。
 次に、青少年の健全育成について伺います。
 繁華街には、少女の身につけている下着や排せつ物までも商品化する生セラや、少女を風俗店に勧誘するスカウトが堂々と横行しています。渋谷の少女監禁も、青少年が安易に金銭を得られる社会環境と関連して起きた事件といわれています。また、卑わいな雑誌や成人向けビデオなど有害情報のはんらんも目に余るものがあります。
 このように、現在の青少年を取り巻く環境の悪化は、我々の常識をはるかに超えており、もはや規制の強化は避けて通ることはできません。この一刻も猶余を許さない状況に対処するため、青少年健全育成条例の改正が提案されたわけですが、今回の条例改正では、事業者も含め、大人の責任について知事はどのように考えているのか、まず所見を伺います。
 また、書店やコンビニエンスストアの店頭には多くの不健全な図書類が並び、カラオケボックスや漫画喫茶、インターネットカフェが深夜の青少年のたまり場となるとともに、繁華街には、子どもを非行に誘う事業者の誘惑が満ちあふれています。このような健全な成長を阻害する有害な環境を、明確な考え方を持って規制することが、不可欠かつ喫緊の課題です。
 そこで、今回の条例改正における規制の基本的考え方と主要な改正点について伺います。
 今日の青少年問題を考えるとき、青少年を取り巻く環境の悪化と並んで、青少年自身や親の側にも大きな問題が見られます。万引きを犯罪だと思わない子どもたち、子どもが何日も家に帰らないでも無関心な親たちなど、規範意識の著しい低下は、社会の存立の基盤を掘り崩す事態を招くものです。規範意識の回復の問題にどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 次いで、教育改革について伺います。
 学校教育における国旗及び国歌に関する指導は、日本を愛し、日本に誇りを持つとともに、外国の国旗や国歌、文化や伝統も尊重するという国際的な視野を持った日本人を育成する上で極めて重要なことです。
 昨年十月に、入学式や卒業式などにおける国旗掲揚及び国歌斉唱が、学習指導要領に基づき適正に実施されるよう通達を出しました。これから卒業式や入学式が始まります。そこで、卒業式、入学式における国旗掲揚及び国歌斉唱の適正実施に向けての教育長の決意を改めて伺います。
 次代を担うべき子どもたちの現状をあれこれ考えますと、戦後の豊かさの中で、私たちは物質的、経済的な価値を優先しがちで、子どもたちの育成にとって大事な正義感や倫理観、思いやりの心など、精神的な価値を十分伝えてこなかったし、自由や権利を重視する余り、責任や義務を軽視してきたのではないでしょうか。都教委は、今年度、東京都教育ビジョンを策定し、都における今後の教育改革の道筋を中長期的な展望に立って明らかにしていくこととしています。
 そこで、お尋ねします。次代の東京、ひいては日本の発展を担う人間は、国際社会の中で信頼され、尊敬される日本人でなければなりません。そのためには日本の伝統文化を尊重し、日本人としての自覚や誇りを持って国際社会で活躍できる、しんのしっかりした人間を育成していくべきです。教育長の見解を伺います。
 私は、先日、「ラスト サムライ」という映画を見ました。米国人によって武士道をテーマにつくられたものです。映画館は青年たちや若いカップルを中心に満員の盛況でしたが、涙をぬぐう人たちの多いことに感激しました。利己主義よりは自己犠牲、欲望よりは倫理観、権利よりは義務と責任を求める侍たちの行動に青年たちが感動し、涙していたのです。このことは大多数の若い世代が、自己の利益や欲望のためにはだれを犠牲にしても、どんなことをしても構わないという昨今の社会的風潮を決して認めてはいないのだということではないでしょうか。
 今、次代を担う青年たちは、私たち大人の後ろ姿を見ています。ことしは日露戦争の開戦から百年目を迎えました。あの明治維新をなし遂げた指導者は、西欧列強によるアジアの植民地化のあらしの中で、全知全能を傾けて日本の独立を守り、西欧先進国に肩を並べる近代国家をつくり上げてきたのです。私たち政治に携わる者が、本質とかけ離れた、木を見て森を見ない揚げ足取りや、ささいな事柄を殊さら拡張して、おのれの保身のために中傷を繰り返すようなことでは、都民の政治や行政に対する不信を助長し、国の将来を危うくするものです。
 我が党は、東京をよみがえらせるために確かな政策理念を掲げ、揺るぎない倫理観のもと、どんな自己犠牲もいとわず、政治家としての義務と責任を果たしていくことを表明して、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 大西英男議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、十六年度予算の基本的な考え方についてでありますが、十六年度予算は、第二次財政再建推進プランの初年度の予算として、東京の将来を見据えつつ、財政再建に新たな一歩を踏み出し、東京の再生を確実に進める予算と位置づけて編成いたしました。
 編成に当たっては、引き続き都税の収入が四兆円を下回る状況の中で、内部努力のさらなる徹底や、新たな視点からの施策の見直しなど、財政再建への取り組みをより強化、向上して、財源を生み出すとともに、都民の安全・安心の確保や、東京の活力再生のため、限られた財源を重点的に配分することといたしました。
 十六年度予算は緊縮型となっておりますが、現下の緊急かつ重要な課題など、新たな行政需要に積極的に取り組む予算ともなったと考えております。
 次いで、財政再建に向けての決意でありますが、就任以来進めてまいりました財政再建は、東京の将来を見据えた積極的な取り組みでありまして、単に財源不足の解消だけでなく、東京を再生させるための先進的な施策展開を図りつつ、持続可能な財政体質を確立するものであります。
 瀕死の状況にあった都財政は何とか回復の道を進んでいるものの、十六年度予算では、なお財源不足が生じ、臨時的な財源対策に頼らざるを得ませんでした。
 都税収入の先行きが不透明でありまして、巨額の財源不足が見込まれる中、今後とも内部努力の一層の徹底、施策の見直しとともに、国からの税源移譲を強く求めるなど、不退転の決意で全庁挙げて財政再建に取り組んでいきたいと思っております。
 次いで、行政改革についてでありますが、都はこれまでも約六千人の定数削減や、政策実現を支える執行体制の整備など、行政改革に積極的に取り組んでまいりました。
 今回の組織改正では、都市整備局、福祉保健局の新規の設置などによりまして、現場での実践を重視した執行体制を整備し、実効性のあるまちづくりや子育て支援、健康危機の未然防止などの課題に機敏に対応していくつもりでございます。
 また、職員の定数についても、都政が抱える重要課題に人員を優先的に配置する一方で、四千人の削減目標を着実に達成するため、事業の執行体制を徹底して見直してまいりました。
 日本の頭脳部、心臓部であります東京に先鋭的にあらわれるさまざまな問題を、周知を集めて、従来にない発想で克服し、東京から日本を変えていくため、新たな政策展開と、それを支える行政改革を今後とも不断に進めてまいるつもりであります。
 次いで、いわゆる三位一体改革への取り組みについてでありますが、平成十六年度予算案において国が示した内容は、改革の本旨からも大きく外れたものでありまして、評価に全く値しないことは、衆目の一致するところであります。全国知事会もまた目先の利益を守ろうとする余り、本来の地方自治の展望を持ち得ておりません。しかも、東京を初めとする大都市の再生が我が国全体の再生に不可欠であるにもかかわらず、大都市の膨大な財政需要が全く配慮されていない意見が出されております。
 国は年内に三位一体改革の全体像を示すとしておりまして、いよいよ改革は正念場を迎えるわけでありますが、都としては、その前に、都の立場を踏まえた、歴史的に正統ないわゆる三位一体改革の試案のようなものを発表し、改めて地方自治のあるべき姿を明らかにして、広く全国自治体や国民に示すことが必要と考えておりますし、行うつもりでおります。国と地方の役割分担や地方制度のあり方、地方税財政制度などの具体的な課題について提言し、それを踏まえて国を動かしていきたいと思っております。
 次いで、港湾管理条例の基本的考え方についてでありますが、国際的テロや密輸、密入国、さらにはSARSなどの脅威に対しては、関係自治体とも連携して、国を挙げた徹底した取り組みが必要だと思います。とりわけ東京の海の玄関である東京港の水際において、危機管理を強化することは極めて有効であると思います。
 都民、住民の安全に責任を持つ自治体として、欠陥船や無保険船の規制にとどまらず、全国で初めて密輸、密入国やテロなど、犯罪に関与する船舶等に対する入港の拒否を条例化するつもりでございます。
 また、これにより、不当な侵害を許さないという断固たる決意を国の内外に示すべきだと思っております。
 既にこの件につきましては、東京湾全体を首都圏の共通した水域と心得、これを取り囲む神奈川県、千葉県、そして海はございませんが、しかし、間近な東京の海あるいは神奈川、千葉県の海を通じてある危機にもさらされ得る埼玉の知事とも合意を得まして、これは首都圏の知事が強い合意を持って、こうした条例を共通した形で実現していきたいと思っております。
 次いで、直接金融とファンド創設についてでありますが、日本の金融システムは、金融機関からの融資、すなわち間接金融に偏重しておりました。とりわけ中小企業において顕著な、投資すなわち直接金融による資金調達がアメリカでは四割であるのに対して、日本では一割にも満ちておりません。日本の直接金融は圧倒的に未成熟といわざるを得ない。
 このため、ベンチャー企業などリスクの高い分野に資金が回らず、新産業がなかなか育ちにくいのが現況であります。その結果、経済活力が阻害されまして、直接金融を充実させることが日本の未来にとっても不可欠だと心得ております。
 都は既にCLO、CBOの発行により、中小企業の直接金融による資金調達の道を開いてまいりました。これはこれなりに大きな実績を上げたと思います。既に、対象とした数千社の中から、二十に近い企業が上場を果たしたということで、これは非常にうれしい結果だと思います。
 来年度は都みずから二つのファンドを創設しまして、直接金融を開拓するつもりであります。一つは、ベンチャー企業向け投資法人を創設し、成長途上の段階で必要な資金が得られずに、いわゆる死の谷に苦しんでいる企業に手を差し伸べ、株式公開に向け支援していきたいと思います。二つは、中小企業再生ファンドを創設し、地域において重要な役割を果たし、再生の見込みのある中小企業を再生させ、そのすぐれた人材やノウハウを活用し、地域経済の活性化や雇用の確保を図るつもりでございます。
 これにより日本の金融システムを直間のバランスのとれたものに改革し、東京から日本の産業を育成する新機軸を構築したいと思っております。
 次いで、全銀協の新銀行創設に対する意見表明についてでありますが、私は、世界に誇り得る日本の中小企業の潜在的な力を十分発揮できる環境を整えることこそが、経済再生を実現する最も確かな道筋であると考えておりまして、新銀行設立を公約として都民にも提示してまいりました。
 既存銀行が本来の役割を果たしていないにもかかわらず、一般的な官民の役割分担をもとに都の取り組みを否定するもので、到底都民の理解を得られるものではないと思います。
 既存銀行は不良債権の処理に追われ、その体力低下とも相まって、とりわけ中小企業の資金需要に十分こたえることができておりません。こうした銀行のリスク回避の姿勢こそが中小企業を存立の危機に立たせる一因であると思っております。
 苦境にあえぐ中小企業に生きた資金を供給し、東京の経済再生を実現するため、都は計画どおり新銀行を創設いたします。
 来年はいよいよ四月からペイオフがやってまいりますが、東京の変わりある、既存の大銀行、その内情というものは、武士の情けで詳しくは申しませんが、かなり危ういものであると私は心得ております。そういうものにも備えて、この自由競争原理の中で、都は確かに出資はいたしますが、後は民間の一金融機関として、新銀行が他の銀行、金融機関が担い得ない荷物を、東京のためだけでなく日本のために担っていくことを期待しております。
 中小企業融資の中で新銀行が果たすべき役割などについてでありますが、東京の経済再生のためには、巨大な個人金融資産を生きた資金として中小企業へ供給する安定的な仕組みを構築することが喫緊の課題であります。
 しかし、経済環境の激変などにより、既存の金融システムは機能不全に陥っておりまして、中小企業融資のマーケットでは、融資利率が三%を超える貸出先に対する優良な資金供給主体が存在せず、極めて高利の商工ローンなど、事業者向け貸金業者に頼らざるを得ない状況となっております。政府系金融機関も、担保、保証や審査期間などの条件面において、中小企業のニーズにほとんど対応し切れておりません。
 新銀行はこうした金融システムの未充足部分について、既存金融機関に比べ、より有利な条件で積極的に融資を行うことによって中小企業の活性化に寄与し、地域経済の再生を図っていくつもりでございます。
 次いで、新銀行の中小企業支援のための事業戦略についてでありますが、景気は一部に回復の兆しが見られるものの、大企業を初め、少数の勝ち組が中心でありまして、メガバンクによる中小企業向け無担保融資も、優良企業を対象とし、総計で一兆円規模という低い水準にとどまるなど、依然として中小企業の経営環境は厳しい状態にあります。一方、中小企業が全従業者数の約九割を占め、法人全体の生み出す付加価値の六割にも達する我が国の極めて特有な産業構造のもとで、その構造変化や厳しい競争への対応も相まって、中小企業の資金需要は増加することはあっても、減少することはないと考えております。
 新銀行は、開業後二年間は、業務領域の選択と経営資源の集中により、中小企業に対する資金供給に軸足を置きながら、収益基盤の確立を図り、経営の安全化に努めます。さらに、段階を経て、顧客基盤の拡大と、異業種連携などによる金融サービスの拡充を図り、首都圏など、より広範な地域を対象として事業を展開してまいります。こうしたことによりまして、日本の経済の大部分を占める中小企業を総合的に支援し、東京からの金融改革を拡大させてまいりたいと思っております。
 次いで、羽田空港再拡張事業への協力の判断についてでありますが、これは協力と申しますよりも、かつて運輸大臣時代に感じておりました日本の航空事情の危機というものは紛れもなく迫っておりまして、私の兄弟分であります当時の亀井政調会長も同じ運輸大臣の経験者でありまして、都知事として彼の部屋に押しかけまして、ひざ詰め談判で、二人して運輸省に電話をかけ、半ば以上、局長、次官をおどして、羽田の沖合再展開の調査費をつけさせましたが、これは決して間違った判断ではなくて、日本の国力の維持のためにも本来は国が責任を持って実施すべきものと思います。しかし、現下の首都圏の逼迫する航空事情から見ても、再拡張事業の緊急性は極めて高くて、都の協力により早期事業化が可能になることなど勘案しまして、協力の方法が負担金方式ではなく貸付金方式であること、再拡張、国際化による経済波及効果が相当見込まれることなど、総合的に勘案して判断をいたしました。
 次いで、羽田空港の運用に対して都の意向を反映させる仕組みについてでありますが、これは当然のことであります。今回、都が資金面で協力するわけでありますから、国が都の意向を尊重するのは当然のことであります。
 都は、これを担保する仕組みを国に強く求めました。この結果、国は資金協力を受ける団体から意見を聞かなければならないとの規定を含む法案を現在国会に上程中であります。
 都としては、新たに創設されるこの仕組みも十分に活用しまして、羽田空港が東京のみならず、日本全体の経済活性化のため十分にその機能を発揮するよう、国に対してさまざまな建言をしていき、また措置をしていきたいと思っております。
 次いで、再拡張後の飛行ルートについてでありますが、いわゆる騒音の共有ということも大事であると思いますけれども、幸い羽田空港は東京湾に面しておりますので、まずはこの地理的条件を十二分に活用し、首都圏全体としての騒音影響を可能な限り低減させることが必要であります。
 また、現在、飛行が制限されている横田空域を最大限に活用すべきでありまして、さらには、新たな管制方式を導入するなど、その技術を今開発中であります。より騒音影響の少ない合理的な飛行ルートを設定すべきだと思っております。
 先般、国土交通省が示した飛行ルート案についても、このような観点から十分にその内容を精査し、国に対し積極的に意見を述べていくつもりであります。
 次いで、民間賃貸住宅施策についてでありますが、東京における民間賃貸住宅は全世帯の四割を占めておりまして、都民の生活の基盤として極めて重要であります。都民がニーズに合った住宅を円滑に選択できるよう、民間賃貸住宅市場の透明性を確保し、賃貸借をめぐる紛争を未然に防止することが必要だと思います。
 条例によりまして、賃貸借を仲介する宅地建物取引業者に紛争防止のための説明を義務づけるつもりでございます。
 あわせて、礼金、更新料のない合理的な契約を普及することにより、安心して貸し借りできる民間賃貸住宅市場を確立したいと思っております。
 次いで、南青山一丁目団地建てかえプロジェクトについてでありますが、これは画期的に、民間の事業者を活用してのプロジェクトでありますけれども、そもそも東京における大規模な開発というものの大きなネックでもありました容積率というのは、大分過去に決められたものでありまして、しかも、その論拠が基盤整備の水準次第ということで、これまた非常にある意味で抽象的な条件ともなっております。いずれにしろ、このプロジェクトは、都営住宅や民間住宅、公共施設などを民間事業者が一体的に整備するものであります。
 しかも、青山一丁目という東京の都心の超一等地にふさわしい高度利用を実現するために、容積率を大幅に緩和することで民間の創意を引き出すことができたと思います。
 当初、民間主導ということでもありましたが、しかし、私のもとに提出されました素案は極めて消極的といいましょうか、既存の容積率に迎合したものでありました。そこで、私は、君らの知恵じゃなしに民間の業者の差配で、これが仮に三十五階とするなら、あと何十階重ねても、つまり採算がとれるかということを聞いて、それをもとにした次の案をつくってこいということで、二つの案をそろえました上で、濱渦副知事などとも、建設省、それから後の国交省に根回ししまして、こういう開発に国の省庁が非常に古い権威を構えて古い規制で臨むならば、我々は戦いも辞さないぞ、恥をかくのはそちらになるぞといいましたら、向こうもこれを是といたしまして、そういう時代でないことはよくわかっていますということで、容積率が、やってみるもんですな、これ、四六〇%から七六〇%にふえました。よって、これによって都に入ってまいります年間賃貸料も二億三千万から五億一千万にふえたということであります。
 東京の活力や魅力を高めるためには、本プロジェクトのように、公有地や民間活力を活用したまちづくりを進めることが重要でありまして、今後とも産業、文化、福祉など、さまざまな政策的視点に立って、こうした取り組みを積極的に進めていくつもりであります。
 次いで、温暖化対策に対する都の率先行動についてでありますが、現に温暖化はどんどん進んでおりまして、私もかつて行ったことがありますヒマラヤのある地方の、ある山ろくの氷河湖などは、もう氷が解けて満杯になって、いつ決壊するかわからない。これが決壊すると、その下流に、峡谷にある幾つかの部落が全滅するということがもう見込まれておりますし、また一方、かつてダイビングでよく行きましたマーシャルの方の、何ていうんでしょうか、キリバチとかああいった国々は、まさに砂州でできた国でありますから、国の中の一番高い標高が六メートル、七メートルというていたらくで、このまま北極、南極の氷が解けて水位が向上すると、国そのものが埋没してしまう。
 これを防ぐためにかつて佐藤議員からも、カレドニアですか、あそこに鉱石を積みに行っている運搬船に、日本の瓦れき、産廃を積み込んで、あの国の標高を増すために努力をできないかということでした。これはやっぱり国際法があって、なかなか権益の問題もあって、うるさくてできないということでした。
 ということで、マーシャルの方の国々では、国が埋没したときにどこに逃げるかと。その逃げ先もオーストラリアということになっているそうでありますが、現に、これだけの問題が逼迫しているわけでありますが、ご指摘のように、大国のエゴといいましょうか、いたずらに今さら経済効率というものを追っかけて、この問題に対する対処が進んでいないということ、大変残念であります。
 まさに地球の温暖化問題は、人類の存在そのものが問われる喫緊の課題でありまして、この二十一世紀は、地球と人類の存続をかけた百年になると認識しております。
 地球温暖化対策は、国の役割が決定的に重要でありますが、日本政府はまだ緩慢な動きに終始しておりまして、実効性のある対策を打ち出せない状況にあります。
 都は、国の対策を待つことなく、温暖化の進行を阻止するため、年内を目途に、事業者の自主的な省エネルギー対策をさらに促す新しい仕組みづくりなど、大都市の特性を踏まえた独自の具体策をまとめていくつもりであります。
 こうした先駆的な取り組みを重ね、都民、企業、他の自治体などと連携して、将来を見据えた持続可能な社会の構築に向け、国を動かしていきたいと思っております。
 これはやはり世界全体を考えても、たとえばらばらでも、孤独であろうと、だれかが始めなくてはならない大事な問題だと思います。たびたび過去にも引用いたしましたが、すぐれた作家でありました開高健君がよく書いておりました。あれは、実はゲオルグというヨーロッパの詩人の言葉だそうでありますけれども、たとえあす地球が滅びるとも、君はきょうリンゴの木を植えるという姿勢を、志を私たち持ちませんと、案外近い将来、この地球そのものが大きく毀損されるということになりかねない気がいたします。
 次いで、プラスチック廃棄物を資源として活用することについてでありますが、従来の多量生産、多量消費という社会経済は、豊かさと便利さをもたらしてきました反面、膨大な量の廃棄物を排出し、環境に大きな負荷を与えてきました。プラスチック類はその典型的なものでありまして、廃棄されたものの多くが埋立処分されております。
 これらはもともと貴重な石油資源からつくられたものでありまして、可能な限り再利用、再資源化を進めた上で、エネルギー源としても活用を図ることが必要、重要だと思います。
 都としては、プラスチックを含め廃棄物が、資源として極力有効に利用される仕組みを構築し、持続可能な都市の形成に向けて積極的に取り組んでまいるつもりであります。
 次いで、介護予防についての基本的な認識でありますが、老いは時間のもたらす必然の結果でありまして、これを拒否することのできる人間は、この世にはおりません。
 しかしだれも、人間は必ず死ぬと思いながら、自分が死ぬとは信じていないわけでありまして、気がついたときには遅いということになりかねない。
 いずれにしろ、みずからの老いについての自覚は、つまり意識としての認識は人間だけのものでありまして、人間だけがそれを自分の意識で覚悟して防ぐこともできるわけであります。
 老いても生き生きと自分らしく生きることを実現するための有効な手だてが介護予防であります。科学的知見を活用しながら、自分の心身を鍛え続けるならば、健康な生活を維持し、また取り戻すことは可能であります。
 そして、老いを充実して過ごし、ある日突然ぽっくり死ぬというのが、福祉局長の説明ですと、ぴんぴんころりという理想的な老年だそうであります。
 私も実はこの間、レクチャーを受けまして、ごく簡単にできるトレーニングでありますから、実は、ここではやりませんけれども、都庁での会議中はやったりしておりますが、必要なら──まあ大西さんは大分若いから必要ないでしょうけれども、一人でも多くの都民が介護予防に取り組み、老いを冷静に迎え撃っていただきたいと思います。
 次いで、食の安全についてでありますが、この数年間、実にいろいろな問題がありました。大ブランドであります雪印の不祥事から、今回の膨大な鳥を養鶏している業者の、いってみれば無自覚、そういったものによって、食に対する都民の不安が増大する中、食品の安全を確保することは急務であります。
 そのためには、都や事業者はもとより、都民自身も食品の安全について正しく理解し行動するなど、一定の役割を担い、お互いの取り組みについて理解と協力を進めることが不可欠であります。
 このような考えのもと、今回、食品安全条例を提案いたします。
 今後とも、生産、流通、消費の各段階を通した、総合的な食の安全確保に取り組んでいくつもりであります。
 次いで、首都大学の開学についてでありますが、世の中は、新しいことをしようとすると、だれでも反対する人が、大方、人間って非常に保守的でありますから、現況が変わることを望まないが、しかし、日本の大学は、都立大学に限らず限界にきておりまして、現にこの間も申し上げましたように、日本の大学どれ一つとして、世界ランキングの百位にも入っていないというていたらくになりました。
 都立大学の改革に反対している方々の意見は、ほとんどが手続についての反対でありまして、それならば具体的な対案を出してもらいたいが、一向にそれが出てこない。
 ちなみに、この現況というのはどういうことかといいますと、平成十五年の四月、一年生から二年生への専攻決定時に、全く希望者のない専攻、ほとんど希望者のない専攻が二つあります、独文が二人、仏文はゼロ。一方、教員は、独文が十八人、仏文は十一人というのは、今日の都立大学の実態をあらわす象徴的な数字ではないかという気がいたします。
 これをどう変えていくか。これは理事者側の意気込みだけじゃなくて、彼らが教育者と任じ、子どもたちの将来のために、聖職として子どもたちを教え、生徒を教え指導しようというならば、彼ら自身もやはりこの歴史的な変革の中で、今ある自分の職場をどう変えることが、我々の子弟の将来の幸せにつながるか、国の繁栄につながるかということを、もっと具体的に考えてもらいたいと思っております。
 改革には反対がつきものでありますが、屈することなく、来年四月、首都大学東京を断固として開学いたします。経営という視点に立ちまして、さまざまな創意工夫を凝らし、徹底して改革を進めてまいります。
 そのために、経営のトップである理事長には高橋宏氏を、学長には大学教育について非常に高い見識や、一方ならぬ熱意をお持ちの、この間見事に東北大学を中興された、立て直された、ノーベル賞クラスの学者でございます、また同時に、教育者として非常に胸の熱い西澤潤一先生をお招きして、経営、教育の両面で、日本にない全く新しい魅力的な大学をつくっていくつもりでございます。
 最後に、青少年問題に対する大人の責任についてでありますが、以前もよく引用いたしました。あるキリスト教の伝導者が、子どもには大人からしかられる権利があると。これをひっくり返せば、私たちは子どもたちをしかる責任があるわけであります。
 今日の青少年の風俗、これはすべてと申しませんけれども、かなり乱れているというか、彼ら自身の人生にとっての危機を予感させるものがございます。
 青少年を取り巻く環境は日々悪化しているわけでありまして、子どもの無断外泊を許すなど、親子の関係の希薄化や、不健全図書のはんらんを招く事業者の商業主義など、親や大人の責任の放棄が悪化の大きな原因の一つにもなっていると思います。
 今回の条例改正では、不健全図書の包装や深夜外出の制限などにより、大人の無節操、無責任な行為に対する規制をも強化いたします。
 なお、その他の質問については、警視総監、出納長、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監奥村萬壽雄君登壇〕

○警視総監(奥村萬壽雄君) まず、警察から地域に積極的にアプローチし、防犯意識を高めるための支援策についてでありますが、東京の治安を回復するためには、警察力を強化することだけにとどまらず、都民一人一人の防犯意識を喚起して、地域の防犯活動を盛り上げていくことが重要であるとのご指摘につきましては、私どもといたしましても、同じ認識を持っているところであります。
 このため、警視庁といたしましても、犯罪や防犯についての情報提供を積極的に行いますとともに、地域の方々が行っておられます自主的な防犯活動をできる限り支援してきているところであります。
 具体的には、現在、警視庁本部では、警視庁のホームページに地区別の犯罪発生マップと防犯対策を掲示しておりますし、また、新聞折り込みの「広報けいしちょう」によりまして、ひったくりや侵入盗といった身近な犯罪に対する防犯対策の呼びかけを行っております。
 さらに、各署におきましても、「交番だより」等を通じまして、具体的な犯罪発生状況をお知らせしておりまして、また、地域住民や事業者の方々の防犯ボランティア活動に対しましては、いろいろな助言をしておりますほか、必要に応じて警察官をこれに同行させるなどしているところであります。
 平成十六年度におきましては、警視庁ホームページの情報をさらに詳しくわかりやすいものにいたしますとともに、これらの情報を防犯ボランティア団体や都民の方々、事務所、区市町村等に対しまして、電子メールで流すことを予定いたしております。
 また、防犯ボランティア活動を安心して行っていただくためのボランティア保険費用の補助、あるいは防犯パトロール用の腕章、ユニフォームの貸し出し、防犯パトロールマニュアルの配布といったことのほか、防犯ボランティア団体が相互に連携をしていただくための意見交換会の開催など、自主的な防犯活動の支援策を一層強化して実施をしてまいりたいと考えております。
 次に、地域により開かれました警察の実現についてでありますが、東京の安全・安心を確保するためには、都民の皆様方に警視庁の活動についてのご理解、ご協力をいただくことが必要、不可欠であると考えております。
 このため、地域の方々に気軽に警察署に来ていただけるような雰囲気をつくっていく、あるいは警察の方からいろいろな情報を地域の方々に伝えていく、そうしたことによりまして、より地域に開かれた警察、親しみやすい警察にしてまいりたいと考えております。
 警視庁といたしましては、こうした観点から、例えば、警察署、交番等を見学をしていただきますウエルカムけいしちょう運動を行っておりますし、また、ふれあい連絡協議会を初めとする地域と密着したいろいろな活動を推進しましたり、学校の行事、地域の行事へ警察から積極的に参加したりするなどしておりますけれども、今後ともこうした活動をさらに進めてまいります。
   〔出納長大塚俊郎君登壇〕

○出納長(大塚俊郎君) 都の新銀行の経営に対する関与についてであります。
 都は、中小企業への総合的な支援という政策目的の実現と、民間銀行としての経営の健全性の確保との両面から、経営の大枠を監視をいたします。
 具体的には、委員会等設置会社のもと、都は具体の執行にはかかわりませんが、大株主として、業務内容を規定する定款の決定・変更、重要な経営計画の承認、取締役の選任・解任などに関与をいたします。また、役員構成に当たって都の関係者を監査委員会委員等の社外取締役に就任させることなどによりまして、経営の主要事項についての多面的な関与を行います。
 こうした仕組みと運用を通じまして、都民や中小企業に真に貢献する銀行を実現してまいります。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教育に関します二点の質問にお答え申し上げます。
 まず、卒業式、入学式の適正実施についてですが、児童生徒が、将来、国際社会において尊敬され、信頼される日本人として成長していくために、国旗及び国歌に対して正しい認識を持たせ、国旗・国歌を尊重する態度を育てていくことは、極めて重要なことでございます。
 入学式や卒業式は、厳粛かつ清新な雰囲気の中で新しい生活への動機づけとなる大切な儀式的学校行事でございまして、この意義を踏まえまして、国旗掲揚及び国歌斉唱を適正に実施するよう、新たな通達を出すなど、各学校を指導してきたところでございます。
 都教育委員会としましては、この春の卒業式、入学式が、学習指導要領や通達に基づき、より適正に実施されるよう、学校で苦労されている校長を全力で支援し、都民から信頼される学校づくりを推進してまいります。
 次に、次代の東京ひいては日本を担う人間の育成についてでございますが、国際社会の中で、今後とも日本が発展していくためには、社会経済のグローバル化、地球環境問題など、時代の変化に主体的に対応しますとともに、さまざまな分野で日本人として国際社会に貢献し、世界の人々から尊敬される人間を育成していくことが、これからの教育の重要な使命であると考えております。
 このため、都教育委員会としまして、その教育目標において、教育は、普遍的かつ個性的な文化の創造と豊かな社会の実現を目指し、我が国の歴史や文化を尊重し、国際社会に生きる日本人の育成を期して行われなければならない、こうした基本的考え方を示しているところでございます。
 そして、これを具体化するため、学校教育におきましては、体験活動、交流活動を通じて、児童生徒が日本の伝統・文化への理解を深め、郷土や国に対する愛着や誇りをはぐくむとともに、多様な文化に対する理解を深め、国際社会に生きる日本人としての自覚を促す教育を進めているところでございます。
 現在進めております東京都教育ビジョンにおきましても、このような基本的な認識に立ちまして、世界の中の日本人としての誇りと自覚を持って、社会に積極的に参画し、貢献していく人材の育成を目指していくことを盛り込んでまいりたいと考えております。
   〔東京都技監小峰良介君登壇〕

○東京都技監(小峰良介君) 都市再生に関する五点のご質問にお答えいたします。
 まず、今後の道路整備の進め方についてでございますが、道路は、都市活動や都民生活を支える基本的な都市施設であり、都市再生を図る重要な役割を担っております。
 これまで、渋滞解消などに効果が大きい区部環状道路や、多摩南北道路などの整備に全力で取り組んでまいりました。その結果、骨格幹線道路の整備は着実に進んでおります。
 今後は、圏央道など三環状道路の整備を促進するとともに、これまでの道路ストックを十分に生かすため、区部では、幹線道路がつながっていない区間を重点的に整備し、骨格幹線道路ネットワークの早期完成を目指してまいります。
 また、多摩においては、南北幹線道路五路線のうち、調布保谷線など三路線の早期全線完成を図ってまいります。
 次に、幹線道路整備の合意形成の取り組みについてでございますが、道路整備を円滑に進めるには、事業の必要性や沿道環境への影響などについて、積極的に情報提供や説明を行い、住民の理解と協力を得ることが不可欠でございます。
 これまでも、現地にインフォメーションセンターを設け、事業をわかりやすくPRするほか、地元住民が参加した協議会を設置するなど、都民の意見が反映しやすい仕組みづくりに取り組んでまいりました。
 今後、沿道環境の保全技術の向上や地元住民との合意形成などを一層図るため、十六年度から新たな体制を整備し、円滑な事業推進に全力を挙げてまいります。
 次に、道路アセットマネジメントについてでございますが、これまでの道路管理では、定期的な健全度調査等により、施設の劣化や損傷の程度に応じ、修繕、更新を行ってまいりました。
 しかしながら、このまま推移いたしますと、今後十数年のうちに一斉に施設の更新時期を迎え、短期間に膨大な財政負担が生じます。
 このため、資産運用の手法を活用するアセットマネジメントを全国に先駆けて導入し、経費の最小化と投資効果の最大化を図る予防保全型の道路管理を行ってまいります。
 具体的には、都が独自に蓄積してきた調査データに基づく劣化予測と、最新の耐久性技術の向上により、施設を長寿命化し、投資の平準化と総事業費の縮減を図ってまいります。
 平成十六年度は、長大橋梁や重要トンネルを対象としたシステムを構築いたします。引き続き、その他の道路施設にも順次拡大し、都市再生を支える安全で快適な道路を永続的に提供してまいります。
 次に、津波を含めた地震時の水害対策についてでございますが、東部低地帯では、満潮面以下の地域に百五十万人の都民が居住しております。
 都はこれまで、相模湾での地震を想定した津波や、伊勢湾台風級の高潮に対応した防潮堤の整備を進めてまいりました。
 また、地盤が低く、液状化のおそれが大きい隅田川や中川などで護岸や堤防の耐震補強を進めており、計画延長百二十キロのうち、六割が完成しております。
 引き続き、耐震補強の推進を図るとともに、新たに、綾瀬川や新中川などでの整備計画を策定してまいります。
 今後とも、都民の生命と財産を守り、東京の再生に向け、地震に強く潤いのある川づくりを推進してまいります。
 最後に、水門管理体制の強化についてでございますが、水門や排水機場は、東部低地帯を津波や高潮から守る重要な施設でございます。
 これまでも、二十四時間体制で施設の監視制御に万全を期してまいりましたが、現在の水門管理システムは、導入より二十年近く経過し、機器の老朽化も進んでいることから、計画的な更新が必要となっております。
 このため、最新のIT技術を活用した遠隔監視制御システムの導入や、保守管理委託の拡大などのコスト縮減に努め、安全で効率的な水門管理体制の強化を図ってまいります。
   〔財務局長櫻井巖君登壇〕

○財務局長(櫻井巖君) 予算編成に関するご質問にお答えいたします。
 投資的経費の確保と都市再生への取り組みについてでありますが、十六年度予算では、投資的経費が五百四十四億円の減、率にして八・七%の減となりましたが、引き続き、骨格幹線道路整備やまちづくりなど、東京の活力を再生するための施策には財源を重点的に配分いたしました。
 また、同時に編成いたしました十五年度最終補正予算において都市再生などの重点課題に対応するため、国からの財源を確保しつつ、十六年度予定事業を前倒して執行することといたしました。
 この結果、十五年度最終補正予算と十六年度当初予算を合算した額は、前年度当初予算額を上回ってございます。
 このように、今回の投資的経費につきましては、いわゆる十五カ月予算の考え方で編成しておりまして、東京の社会資本整備に必要な事業量を確保するとともに、年度初めにおける事業執行の平準化も図られたものと認識してございます。
   〔総務局長赤星經昭君登壇〕

○総務局長(赤星經昭君) 指定管理者制度の導入に向けました取り組みについての質問にお答え申し上げます。
 現在、公共団体等に管理を委託しております公の施設につきましては、今回の地方自治法の改正によりまして、設置条例を改正の上、平成十八年九月までに指定管理者制度を導入しなければならないとされております。
 指定管理者制度を導入するに当たりましては、指定の議決を受けることになりますが、それぞれの施設の性格や目的に応じまして、管理者の資格や選定方法、管理の基準などを適切に定めますとともに、民間活力を都民サービスの向上に生かす有効な手段として、この制度を活用してまいります。
   〔主税局長川崎裕康君登壇〕

○主税局長(川崎裕康君) 法人事業税の分割基準改正の動きについてのご質問にお答えいたします。
 東京を初めとした大都市は、膨大な財政需要を抱えているにもかかわらず、現行の地方税財政制度では、それに見合う十分な財源が配分されておりません。
 加えて、国はこれまでも、法人事業税の分割基準について、大都市に不利な改正を重ねてきており、これによる都税収入への影響額は、平成十五年度において約五百億円に上っております。
 分割基準は、本来、企業の都道府県ごとの事業活動規模を適正に反映したものとすべきであり、これを地方団体間の財源調整の手段として用いることは、都道府県の行政サービスの受益に応じて課するという事業税の性格をゆがめるものでございます。
 今後とも都議会のご協力をいただき、財源調整のためのさらなる改正を行わないよう、国に対し強く迫ってまいります。
   〔港湾局長成田浩君登壇〕

○港湾局長(成田浩君) 東京港や東京湾の危機管理対策についての二点のご質問にお答えいたします。
 まず、条例改正による入港船舶の規制についてでありますが、安全面で問題のある欠陥船や船主責任保険に未加入の無保険船に加え、水際での危機管理の強化の観点から、密輸、密入国やテロ行為などの犯罪に関与している船舶はもとより、ご質問のSARSなどの伝染病の危険のある船舶についても対象としてまいります。
 規制に当たりましては、ポートステートコントロールによる検査結果や保険加入の確認を徹底するとともに、犯罪関与船等につきましては、海上保安部、検疫所などの関係機関や船舶側の情報をもとに、取り締まり当局とも十分調整の上、都民生活の安全を守るため他に適当な手段がないと認められる場合には、港湾を利用させない措置をとってまいります。
 次に、入港規制に関する広域的な取り組みについてでございますが、水際での危機管理については、ご指摘のとおり、東京湾の主要港が歩調を合わせて取り組むことが特に重要であると認識しております。
 このため、先般、知事が東京湾内の主要港を管理する各自治体の首長に対しまして、都と同様に入港の規制に関する条例改正を進めるよう要請を行ったところでございます。
 その後、これまでに、隣接いたします横浜、川崎、千葉の各港湾管理者に都の条例案について説明を行ってきたところでございますが、今後、より緊密な連携のもと、東京湾レベルの広域的な危機管理への取り組みが進展するよう、具体的な協議を行ってまいります。
   〔産業労働局長有手勉君登壇〕

○産業労働局長(有手勉君) 中小企業金融など四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、制度融資の新しい姿についてでございますが、制度融資の充実強化は、中小企業への資金供給促進に不可欠でございます。今般、大幅な改善を図ることといたしました。
 メニューにつきましては、目的や手続ごとに統合簡素化し、二十八から十七にわかりやすく整理いたします。
 金利につきましては、長期プライムレートなど、企業にとって最も有利な金利を基準としながら、これまでの長期固定型を見直し、借入期間に応じた金利を導入いたします。
 また、変動金利を導入し、選択の幅を広げてまいります。
 これにより、これまでより金融機関からの融資が受けやすく、必要な資金量を確保しやすい仕組みといたします。
 今後も、制度融資の利用促進に積極的に取り組んでまいります。
 次に、商店街とチェーン店等との話し合いについてでございます。
 商店街とチェーン店などは、地域経済を支えているほか、まちのにぎわいや安全の確保、住民生活の場の提供、コミュニティの維持などの役割をともに担っているわけでございます。
 こうした役割を地域において果たしていくために、関係団体による協議会が初めて設置され、地域商業の活性化やまちづくりを共通の課題として話し合いが始められたことは、極めて意義深いことと認識しております。
 都は、話し合いの成果が上がるように、関係団体の取り組みを積極的に支援してまいります。
 次に、商店街振興と今後の事業展開についてでございますが、都は商店街が地域で果たしている重要な役割にかんがみ、商店街振興を産業振興の柱の一つとして位置づけております。
 このため、新・元気を出せ商店街事業において商店街の行う多種多様な取り組みを支援しております。また、商店街では、地域の環境浄化やリサイクル、防犯活動、学生やNPOと連携したコミュニティ事業や高齢者向け宅配事業など、新たな取り組みが数多く芽生えてきております。
 今後、こうした意欲的な、そして先進的な取り組みの普及に努めるとともに、空き店舗を活用した創業、商店街による魅力的な店舗づくりなどを支援しまして、地域の豊かさや活性化に一層資するように、効果的に事業展開を図ってまいります。
 最後に、外国における日本製品の模倣品被害についてであります。
 お話のように、アジアを中心とした模倣品被害は、地域の拡大や手口の巧妙化などにより、価格の低下、市場の喪失、さらには企業の信用へのダメージなど、一層深刻化しております。特に中小企業は、資金や組織力に乏しく、具体的対策が困難となりがちで、積極的な支援が求められております。
 このため、来年度は、外国特許出願助成を拡充するとともに、日本貿易振興機構との連携による現地調査会社の紹介や、調査費用の助成を開始するなど、中小企業の模倣品対策を積極的に支援してまいります。
   〔都市計画局長勝田三良君登壇〕

○都市計画局長(勝田三良君) 都市再生に関する六点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、区部における都市計画道路の整備方針のねらいについてでございますが、この整備方針では、交通渋滞やこれに伴う地域環境の悪化など、都市問題の解決に向け、今後の道路整備のあり方を示すとともに、優先的に整備していく路線を明確化し、道路ネットワークの計画的、効率的な整備を進めていくこととしております。
 これによりまして、おおむね十年で放射、環状などの骨格的な道路ネットワークや主要な延焼遮断帯をほぼ完成させ、機能的で安全な首都へと東京を再生してまいります。
 次に、整備方針での整備における工夫や沿道地権者への配慮についてでございますが、整備における工夫といたしましては、渋滞の激しい交差点の前後の区間など、投資効果の高い箇所を重点的に選定をいたしまして、事業効果の早期発現に努めます。
 また、着手まで相当な期間を要する路線で建物が都市計画線まで連続して後退している場合には、歩行者空間として活用を図るため、固定資産税を非課税とするなど、これまでにない新たな取り組みを行ってまいります。
 さらに、沿道地権者への配慮といたしまして、優先整備路線以外は、都市計画道路区域内の建築制限につきまして、全地域において木造、鉄骨造などの三階建てを可能とする新しい緩和基準を設けまして負担軽減に努めることとしております。
 次に、踏切対策基本方針のねらいについてでございますが、都内には約千二百カ所の踏切が残されておりまして、交通渋滞を初めとしたさまざまな問題が発生しております。踏切解消には多額の事業費と期間を要することから、総合的かつ計画的な踏切対策の実現を目指しまして基本方針を策定することといたしました。
 具体的には、今後二十年間で重点的に対応すべき踏切を重点踏切として抽出をいたしまして、その上で、鉄道立体化の可能性を検討すべき区間とその他の区間を明示をいたします。
 とりわけ、その他の区間については、踏切の拡幅や遮断時間を短縮するための踏切システムの改善など短期対策を積極的に取り入れていく考えでございます。
 次に、「踏切対策基本方針(中間のまとめ)」の公表から現在までの取り組みと今後の予定についてでございますが、昨年末に中間のまとめを公表いたしまして、これまで都民、学識経験者、関係団体などから寄せられました意見を踏まえつつ、約三百五十カ所の重点踏切や、鉄道立体化の可能性を検討すべき区間及びその他の区間の選定などを進めております。
 引き続き、区市町や鉄道事業者などとの調整を行いまして、最終的な基本方針を十六年度当初に策定していく予定でございます。
 今後とも、対策の推進に向けて新たな取り組みや財源の確保に取り組むとともに、国、区市町、鉄道事業者などとの連携を一層強化をいたしまして、踏切問題の早期解消に取り組んでまいります。
 次に、京成高砂駅から京成小岩駅付近における踏切対策の検討会の状況でございますが、本検討会は、平成十三年に設置をされておりまして、地元区が主体となってこの区間の踏切対策について検討を進めているものでございまして、昨年六月に公表いたしました中間の取りまとめにおいては、高砂車庫の取り扱いや事業費などの課題はあるものの、鉄道の高架化を有力な案の一つとしております。
 中間の取りまとめの公表以降、鉄道と道路の立体化に合わせた地域のまちづくりや、鉄道を立体化した場合の高砂車庫の取り扱いなどについて検討を行っております。
 今後は、これらの検討を深めるとともに、早期に実施可能な対策についても並行して検討を行う予定でございます。
 最後に、羽田空港再拡張事業の事業スキームについてでございますが、再拡張事業は、国直轄によります滑走路整備事業約六千九百億円、それと、PFI方式によりますターミナルエプロン等整備事業約二千億円により実施されることとなっております。
 この滑走路整備事業の財源スキームといたしましては、事業費の約八割を国費で手当てをいたしまして、約二割の一千三百億円を東京都、神奈川県、横浜市、川崎市の四団体からの無利子貸付協力により手当てするものとなっております。このうち都は、一千億円の協力をするものでございます。
   〔住宅局長高橋功君登壇〕

○住宅局長(高橋功君) 住宅施策につきまして、四点のご質問にお答えを申し上げます。
 最初に、今回提案しております、東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例の意義や効果についてでございます。
 民間賃貸住宅におきましては、退去時の敷金精算等をめぐりまして紛争が数多く発生しております。紛争を未然に防止するためには、専門家でございます宅地建物取引業者による事前の説明が有効でございます。
 そこで、条例では、判例などにより既に定着をしております、通常の使用により生じた損耗等の復旧につきましては貸し主が行うことなどの基本的な考え方と、当該契約の内容につきまして説明を義務づけることといたしました。
 借り主があるべき姿を理解した上で契約を結ぶことが可能となりまして、紛争防止効果が一層高まるものと考えております。
 次に、本条例のわかりやすい説明のための方策と普及啓発についてでございます。
 基本的な考え方につきまして説明すべき事項を明らかにしてまいりますとともに、契約時の説明文書のひな形を作成いたしまして、宅地建物取引業者に普及を図ってまいります。
 また、具体的な事例を盛り込んだ東京都版ガイドラインを作成いたしまして、貸し主、借り主の負担区分に関する基本的な考え方やトラブルへの対応などをわかりやすく示してまいります。
 さらに、都のホームページ等を活用いたしまして広く都民へ情報提供をいたしますとともに、関係業界団体などと連携いたしまして、宅地建物取引業者、貸し主へも十分な普及を図ってまいります。
 続きまして、南青山一丁目団地建てかえプロジェクトの取り組み内容についてでございます。
 事業実施に当たりましては、都心部に立地する用地の特性を生かしながら、民間の力を有効に活用していくことが必要でございます。そのための取り組みといたしまして、総合設計制度により容積率を緩和して高度利用を図りますとともに、都営住宅や民間住宅、グループホーム、図書館等の多様な機能が融合した魅力ある複合開発といたしました。
 また、土地に対する初期投資が少ない定期借地権制度の活用や、一般公募型プロポーザル方式の採用などによりまして、民間事業者の参画を誘導いたしました。
 最後に、今後の都営住宅の建てかえと民間活用についてでございます。
 老朽化した都営住宅の建てかえに合わせまして、敷地の高度利用により生み出された土地を有効に活用し、民間の創意工夫を引き出しながら、地域の特性を生かしたまちづくりを進めていくことは、東京の再生にも重要であると考えております。
 こうした観点から、南青山一丁目団地建てかえプロジェクトに続きまして、港南四丁目におきましても民間の力を活用する取り組みを開始いたしました。
 今後とも、これらの成果を踏まえまして、民間活力の活用が可能なものにつきましては、さまざまな工夫を凝らしながら積極的に取り組んでまいります。
   〔環境局長小池正臣君登壇〕

○環境局長(小池正臣君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、地球温暖化対策としての企業のCO2削減を促す仕組みについてでございますが、近年、企業の社会的責任として、環境配慮を経営の柱に据える企業がふえてきております。こうした状況を踏まえまして、企業の積極的な取り組みをより一層引き出すことができるような仕組みの構築が重要であると認識しております。
 そこで、今後、制度構築に当たりましては、都が効率的な設備、機器の導入など省エネルギー対策を進めるためのガイドラインを示すとともに、企業がより高い削減目標を目指すことができるよう指導、助言する仕組みとしてまいります。
 さらに都は、企業の取り組み結果を公表し、積極的ですぐれた取り組みを表彰するなど、企業が社会的に評価される仕組みについても検討してまいりたいと考えております。
 次に、プラスチック廃棄物をエネルギー源として有効利用することが可能となった状況の変化についてでございます。
 近年、都内では、清掃工場の建てかえや新設が進み、安定した処理能力が確保されるとともに、ダイオキシン類対策に対応した最新の公害防止設備が導入され、プラスチックを安全に焼却することが可能となっております。これにより、再資源化の困難なプラスチック廃棄物については、埋立処分することなく、安全で効率的なエネルギー回収を図ることが可能な状況になってきております。
 今後、このような状況の変化につきまして広く都民にお知らせし、区市町村等の意見を十分に伺いながら、プラスチック廃棄物の有効利用が図られるよう進めてまいりたいと思います。
   〔福祉局長幸田昭一君登壇〕

○福祉局長(幸田昭一君) 福祉改革、介護予防に関します四点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立生活実習所、福祉作業所の民間移譲についてでございますが、都は、サービスの提供者としての役割を見直し、福祉サービスのインフラ整備など、福祉水準全体の向上を図ることに重点を移すこととし、都立施設の抜本的な改革に取り組んでおります。
 こうした取り組みの一環として、都立障害者通所施設につきましても、民間の力を積極的に活用し、創意工夫を生かした弾力的で効率的な運営により利用者サービスの一層の向上を図るため、民間移譲を行うことといたしました。
 民間移譲に当たりましては、法律に基づく通所施設として安定的な運営を図っていく方針であり、利用者、関係市等の理解を得ながら進めてまいります。
 次に、介護予防の取り組みを行う区市町村への支援についてでございますが、都は、これまでも、人材育成や普及啓発などを通して区市町村における取り組みを積極的に支援してまいりました。
 今後、介護予防の取り組みを本格化させるためには、ご指摘のとおり、福祉、保健、医療の連携のもとに、区市町村が主体となり、これまで都が先導して開発、実証してきたメニューを総合的に展開していく必要があります。
 このため都は、来年度から新たに、特定の区市町村を介護予防推進モデル地区に指定し、重点的な支援を行ってまいります。
 さらに、この成果を踏まえ、いわば東京都版介護予防システムを確立し、全区市町村への普及拡大に努めてまいります。
 次に、既存ストックの有効活用による高齢者の在宅サービス拠点の整備についてでございますが、ご指摘のように、空きオフィスなどの既存資源の活用は、地域の福祉基盤整備のための有効な一手法であり、地域経済の活性化にもつながるものと考えます。しかしながら、国の画一的な整備費補助制度は、このような取り組みに柔軟に対応できるものになっておりません。このため、都は、区市町村が地域の実情に応じ主体的かつ柔軟に取り組めるよう、来年度から新たに既存資源の改修等による在宅サービスの拠点づくりにつきましても包括補助事業のメニューとするなど、積極的に推進してまいります。
 最後に、社会福祉施設整備費に係る国庫補助についてでございますが、都はこれまで、地域のニーズや区市町村の意見を踏まえ、施設サービス基盤の計画的な整備に努めてまいりました。
 ご指摘の、税財源の移譲がない中での一方的な国庫補助基準の見直しは、こうした自治体における基盤整備への取り組みを考慮しない極めて遺憾な措置であり、都における福祉行政の推進に重大な支障を及ぼすことが懸念されます。
 このような認識から、都は、見直しの撤回を求めて、国に対して緊急要求をいたしましたが、今後とも、他の自治体とも連携を図りながら、国へ強く働きかけてまいります。
   〔中央卸売市場長森澤正範君登壇〕

○中央卸売市場長(森澤正範君) 卸売市場における食の安全・安心の確保についてのご質問にお答えいたします。
 現在、国では、卸売市場における品質管理の高度化を図るため、開設者が策定する市場整備計画の中に、その方法を定めることを義務づける法改正を予定しています。
 また、施設整備に当たっては、HACCP的な衛生管理が可能な高機能施設の整備を推進する方針としております。
 都としましては、法改正などを踏まえ、これまでの危機管理対応に加え、関係規程の見直しや市場整備計画の中で衛生水準の向上や品質管理の高度化などの方策を重点事項として位置づけ、安全・安心な生鮮食料品流通の確保が図れるよう、より一層の取り組みを進めてまいります。
   〔病院経営本部長碇山幸夫君登壇〕

○病院経営本部長(碇山幸夫君) 都立病院改革に関しますご質問にお答え申し上げます。
 都立豊島病院の区立病院化に関します板橋区の構想についてでございますが、都は、地域医療の一層の充実を図る観点から、豊島病院を区立病院として運営していくという板橋区の意向を十分に受けとめ、今後、区との間で移管に向けました協議を早期に開始いたします。
 協議に当たりましては、移管に向けて解決すべきさまざまな課題につきまして、本年夏ごろまでに一定の成果、結論が得られますよう、都と板橋区の間で具体的な検討を行っていく考えでございます。
   〔健康局長平井健一君登壇〕

○健康局長(平井健一君) 台東区の病院整備に対する支援についてのお尋ねですが、台東区は、地域医療の充実に向けて、区立病院整備のための具体的な取り組みを進めております。
 この台東区が整備しようとしている病院は、都の病院整備構想を継承するものでございます。こうした経緯も踏まえ、区の計画が着実に推進されますよう、病院建設用地を早期に譲渡するなど、病院整備に向けた具体的な支援内容について、区や関係局と早急に調整してまいります。
   〔水道局長飯嶋宣雄君登壇〕

○水道局長(飯嶋宣雄君) 水道事業に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、事業指針の策定に当たっての基本的な考え方についてでございますが、水道は、都民生活と首都東京の都市活動を支える重要なライフラインでありますことから、施設水準の向上を初め、社会経済環境の変化や都民ニーズの多様化、高度化などへの的確な対応が求められております。
 また、高度な中枢機能が集中する東京におきましては、首都にふさわしい、より高い水準での給水の安定性などを備えていく必要がございます。
 特に、近年、水道水に対する安全や安心を求める声が高まるとともに、一層の利便性の向上やサービスメニューの充実などが求められております。
 こうした状況に対応していくため、本年一月、平成十六年度からおおむね三年以内に取り組むべき事業の方向性を示す東京水道中期事業指針を策定いたしました。
 今後、この指針に基づきまして、安全でおいしい水を安定的に供給するための総合的な施策を推進いたしますとともに、都民ニーズをより一層反映した質の高い水道サービスを提供し、都民に信頼され、親しまれる水道を目指してまいります。
 次に、水道料金体系の見直しについてでございますが、水道事業を取り巻く環境が大きく変化する中、水使用の実態や都民の意識などと現行料金体系との間にひずみが生じてきております。
 このため、節水を促す仕組みづくりや負担の公平の確保などの観点から、基本水量制を初めとする料金体系の見直しについて検討し、早期に成案を得ていきたいと考えております。
 検討に当たりましては、ご指摘のような実質的に負担増とならないことが極めて重要であると認識しております。このため、都民生活や企業活動への影響に十分配慮する観点に立ちまして、不断の企業努力を行いますとともに、創意工夫を凝らして幅広く検討してまいります。
   〔下水道局長二村保宏君登壇〕

○下水道局長(二村保宏君) 下水道事業についての二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、今後の施策の展開についてでありますが、下水道財政は依然として厳しい状況にありますが、下水道に求められる役割を着実に果たしていくため、より一層効率的かつ効果的に施策を展開していくことが重要であります。
 そのため、優先度を踏まえて事業を重点化するとともに、関係機関、地元区等との連携の充実を図ってまいります。
 また、業務運営の見直しや新技術の導入による建設コストの縮減など、最大限の経営改善を図っていきます。
 今後とも、お客様、環境、経営の三つの視点を基本に、局を挙げまして取り組み、サービス水準の維持向上に努めてまいります。
 次に、雨水整備、再構築、合流改善の三つのクイックプランの改定、充実についてでありますが、これまでの事業実施により、浸水被害の軽減や道路陥没の減少、オイルボールの流出抑制など、短期間に効果があらわれております。
 改定に当たりましては、これらの効果を今後さらに検証、評価しますとともに、地元区等の要望を踏まえ、緊急性、必要性の高い地域への拡大や施策の重点化などを行い、クイックプランの一層の充実を図ってまいります。
   〔大学管理本部長山口一久君登壇〕

○大学管理本部長(山口一久君) 首都大学東京に関しますご質問にお答えいたします。
 まず、教育面での特色についてでございますが、日本経団連や経済同友会の調査によりますと、社会で求められる能力として、コミュニケーション能力、問題発見能力、論理的思考力などが挙げられております。
 首都大学東京では、東京全体をキャンパスとしてとらえ、大都市に集積する教育、研究、文化施設、人材、情報を活用しながら、学生一人一人の選択にこたえる先駆的な取り組みによりまして、これら社会が求める能力を確実に学生に身につけさせる教育を展開していきます。
 具体的には、学生全員が社会貢献を体験するインターンシップ、実践的能力を徹底習得させる英語教育、幅広い学問領域を学際的に学習する都市教養プログラムなどを実施するとともに、新しい教育の仕組みとして、単位バンクの導入により、首都大学東京でしかなし得ない教育を行ってまいります。
 次に、学生支援についてでありますが、これからの大学には、大学間競争を生き抜くため、教育の充実に加え、就職や生活の支援など学生への支援を総合的に行っていくことが強く求められております。
 首都大学東京では、学生サポートセンターを設置し、キャリア支援から心理、健康面までの多様な相談まで、学生生活を包括的にサポートしてまいります。
 就職や留学においては、企業のOBの力もかりながら、実社会と接点を持った学生支援策の展開を図ってまいります。
 さらに、学生教育をサポートする、企業などで構成させる会員制クラブ「The Tokyo U─Club」が、高橋理事長予定者の呼びかけによりまして、明後日、発起人会を立ち上げる予定でございます。
 こうした取り組みによりまして、東京全体で首都大学東京の学生を応援していく体制を取り組んでまいります。
   〔生活文化局長三宅広人君登壇〕

○生活文化局長(三宅広人君) 青少年健全育成条例に関します二点のご質問にお答えいたします。
 まず、条例改正の基本的考え方と主要な改正点についてでありますが、基本的考え方として、青少年が健全に育つ環境を整備するために、大人や事業者に対して規制するものであります。
 今回の改正に当たっては、心身ともに成長過程にある十八歳未満の青少年の世界を大人の世界と区分けすることを基本として、規制の実効性の強化を図っております。
 主な改正点は、不健全図書の包装や自動販売機の規制強化、青少年の深夜外出の制限、使用済み下着等の売買、いわゆる生セラやスカウトの禁止などでございます。
 次に、規範意識の回復の問題についてでありますが、今回の条例改正では、まず、保護者に青少年を深夜外出させないよう努力義務を課して、その意識の向上を求めております。また、書籍の買い受けに当たっても、不正行為でないことを確認する義務を課すこと、あるいは少女の着用済み下着などを売買する、いわゆる生セラを禁止することなど、新たな措置を条例に設けることにより、大人や子どもたちに警鐘を鳴らすこととしております。
 今後、心の東京革命の取り組みともあわせて、社会全体の健全な規範意識の回復に努めてまいります。

○議長(内田茂君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時二十分休憩

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