平成十六年東京都議会会議録第一号

平成十六年二月二十五日(水曜日)
 出席議員(百二十二名)
一番谷村 孝彦君
二番東村 邦浩君
三番村上 英子君
四番鈴木あきまさ君
五番秋田 一郎君
六番鳩山 太郎君
七番後藤 雄一君
八番福士 敬子君
九番林  知二君
十番伊沢けい子君
十一番執印真智子君
十二番富田 俊正君
十三番山下 太郎君
十五番河野百合恵君
十六番長橋 桂一君
十七番小磯 善彦君
十八番野上じゅん子君
十九番ともとし春久君
二十番中屋 文孝君
二十一番北城 貞治君
二十二番高橋かずみ君
二十三番山加 朱美君
二十四番串田 克巳君
二十五番吉原  修君
二十六番山田 忠昭君
二十七番臼井  孝君
二十九番山口 文江君
三十番柿沢 未途君
三十一番初鹿 明博君
三十二番酒井 大史君
三十三番清水ひで子君
三十四番かち佳代子君
三十五番小松 恭子君
三十七番藤井  一君
三十八番東野 秀平君
三十九番中嶋 義雄君
四十一番林田  武君
四十二番野島 善司君
四十三番服部ゆくお君
四十四番真鍋よしゆき君
四十五番三宅 茂樹君
四十六番いなば真一君
四十七番近藤やよい君
四十八番高島なおき君
四十九番鈴木 一光君
五十番新井美沙子君
五十一番花輪ともふみ君
五十二番真木  茂君
五十三番大津 浩子君
五十四番大塚 隆朗君
五十五番樋口ゆうこ君
五十六番古館 和憲君
五十七番松村 友昭君
五十八番丸茂 勇夫君
五十九番鈴木貫太郎君
六十番森田 安孝君
六十二番石川 芳昭君
六十三番土持 正豊君
六十四番こいそ 明君
六十五番倉林 辰雄君
六十六番小美濃安弘君
六十七番吉野 利明君
六十八番川井しげお君
六十九番矢島 千秋君
七十番野田 和男君
七十一番三原 將嗣君
七十二番田島 和明君
七十三番宮崎  章君
七十四番大河原雅子君
七十五番相川  博君
七十六番中村 明彦君
七十七番河西のぶみ君
七十八番馬場 裕子君
七十九番和田 宗春君
八十番大山とも子君
八十一番東ひろたか君
八十二番池田 梅夫君
八十三番中山 秀雄君
八十四番大木田 守君
八十五番前島信次郎君
八十六番桜井良之助君
八十七番野村 有信君
八十八番比留間敏夫君
八十九番新藤 義彦君
九十番田代ひろし君
九十一番松原 忠義君
九十二番遠藤  衛君
九十三番星野 篤功君
九十四番山本賢太郎君
九十五番立石 晴康君
九十六番清原錬太郎君
九十七番小山 敏雄君
九十八番藤田 愛子君
九十九番土屋たかゆき君
百番田中  良君
百一番小林 正則君
百二番藤川 隆則君
百三番曽根はじめ君
百四番渡辺 康信君
百五番秋田かくお君
百六番木内 良明君
百七番石井 義修君
百八番橋本辰二郎君
百九番藤井 富雄君
百十番大山  均君
百十一番桜井  武君
百十二番古賀 俊昭君
百十三番樺山たかし君
百十四番大西 英男君
百十五番山崎 孝明君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十番田中 晃三君
百二十一番大西由紀子君
百二十二番坂口こうじ君
百二十三番青木 英二君
百二十四番名取 憲彦君
百二十五番尾崎 正一君
百二十六番吉田 信夫君
百二十七番木村 陽治君

 欠席議員(なし)
 欠員
十四番 二十八番 三十六番
四十番 六十一番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事福永 正通君
副知事濱渦 武生君
副知事竹花  豊君
出納長大塚 俊郎君
教育長横山 洋吉君
東京都技監建設局長兼務小峰 良介君
知事本部長前川 燿男君
総務局長赤星 經昭君
財務局長櫻井  巖君
警視総監奥村萬壽雄君
主税局長川崎 裕康君
生活文化局長三宅 広人君
都市計画局長勝田 三良君
環境局長小池 正臣君
健康局長平井 健一君
産業労働局長有手  勉君
住宅局長高橋  功君
港湾局長成田  浩君
交通局長松尾  均君
消防総監白谷 祐二君
福祉局長幸田 昭一君
水道局長飯嶋 宣雄君
下水道局長二村 保宏君
大学管理本部長山口 一久君
病院経営本部長碇山 幸夫君
中央卸売市場長森澤 正範君
選挙管理委員会事務局長押切 重洋君
人事委員会事務局長高橋 和志君
地方労働委員会事務局長久保田経三君
監査事務局長松澤 敏夫君
収用委員会事務局長山内 隆夫君
包括外部監査人守屋 俊晴君

二月二十五日議事日程第一号
第一 第一号議案
  平成十六年度東京都一般会計予算
第二 第二号議案
  平成十六年度東京都特別区財政調整会計予算
第三 第三号議案
  平成十六年度東京都地方消費税清算会計予算
第四 第四号議案
  平成十六年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
第五 第五号議案
  平成十六年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
第六 第六号議案
  平成十六年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第七 第七号議案
  平成十六年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
第八 第八号議案
  平成十六年度東京都農業改良資金助成会計予算
第九 第九号議案
  平成十六年度東京都林業改善資金助成会計予算
第十 第十号議案
  平成十六年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
第十一 第十一号議案
  平成十六年度東京都と場会計予算
第十二 第十二号議案
  平成十六年度東京都都営住宅等事業会計予算
第十三 第十三号議案
  平成十六年度東京都都営住宅等保証金会計予算
第十四 第十四号議案
  平成十六年度東京都都市開発資金会計予算
第十五 第十五号議案
  平成十六年度東京都用地会計予算
第十六 第十六号議案
  平成十六年度東京都公債費会計予算
第十七 第十七号議案
  平成十六年度東京都多摩ニュータウン事業会計予算
第十八 第十八号議案
  平成十六年度東京都市街地再開発事業会計予算
第十九 第十九号議案
  平成十六年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
第二十 第二十号議案
  平成十六年度東京都病院会計予算
第二十一 第二十一号議案
  平成十六年度東京都中央卸売市場会計予算
第二十二 第二十二号議案
  平成十六年度東京都都市再開発事業会計予算
第二十三 第二十三号議案
  平成十六年度東京都臨海地域開発事業会計予算
第二十四 第二十四号議案
  平成十六年度東京都港湾事業会計予算
第二十五 第二十五号議案
  平成十六年度東京都交通事業会計予算
第二十六 第二十六号議案
  平成十六年度東京都高速電車事業会計予算
第二十七 第二十七号議案
  平成十六年度東京都電気事業会計予算
第二十八 第二十八号議案
  平成十六年度東京都水道事業会計予算
第二十九 第二十九号議案
  平成十六年度東京都工業用水道事業会計予算
第三十 第三十号議案
  平成十六年度東京都下水道事業会計予算
第三十一 第三十一号議案
  東京都組織条例の一部を改正する条例
第三十二 第三十二号議案
  東京都外部監査契約に基づく監査に関する条例の一部を改正する条例
第三十三 第三十三号議案
  平成十五年度分の都と特別区及び特別区相互間の財政調整の特例に関する条例
第三十四 第三十四号議案
  都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
第三十五 第三十五号議案
  特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十六 第三十六号議案
  市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十七 第三十七号議案
  東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
第三十八 第三十八号議案
  職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例
第三十九 第三十九号議案
  東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第四十 第四十号議案
  東京都職員定数条例の一部を改正する条例
第四十一 第四十一号議案
  公益法人等への東京都職員の派遣等に関する条例の一部を改正する条例
第四十二 第四十二号議案
  外国の地方公共団体の機関等に派遣される職員の処遇等に関する条例の一部を改正する条例
第四十三 第四十三号議案
  東京都知事等の給料等に関する条例の一部を改正する条例
第四十四 第四十四号議案
  東京都知事等の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四十五 第四十五号議案
  非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第四十六 第四十六号議案
  東京都附属機関の構成員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第四十七 第四十七号議案
  職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
第四十八 第四十八号議案
  東京都選挙管理委員の報酬及び費用弁償条例の一部を改正する条例
第四十九 第四十九号議案
  選挙長等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第五十 第五十号議案
  東京都人事委員会委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第五十一 第五十一号議案
  職員団体の登録に関する条例の一部を改正する条例
第五十二 第五十二号議案
  東京都監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第五十三 第五十三号議案
  東京都事務手数料条例の一部を改正する条例
第五十四 第五十四号議案
  東京都地方公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例
第五十五 第五十五号議案
  東京都新住宅市街地開発事業会計条例を廃止する条例
第五十六 第五十六号議案
  東京都議会議員の報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例
第五十七 第五十七号議案
  租税特別措置法施行令に基づく譲渡予定価額審査に係る手数料に関する条例の一部を改正する条例
第五十八 第五十八号議案
  東京都都税条例の一部を改正する条例
第五十九 第五十九号議案
  アメリカ合衆国軍隊の構成員等の所有する自動車に対する自動車税の賦課徴収の特例に関する条例の一部を改正する条例
第六十 第六十号議案
東京都固定資産評価員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第六十一 第六十一号議案
  東京都固定資産評価審査委員会の委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第六十二 第六十二号議案
  東京都収入証紙条例の一部を改正する条例
第六十三 第六十三号議案
  東京都収用委員会委員等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第六十四 第六十四号議案
  東京都江戸東京博物館条例の一部を改正する条例
第六十五 第六十五号議案
  東京都写真美術館条例の一部を改正する条例
第六十六 第六十六号議案
  東京都現代美術館条例の一部を改正する条例
第六十七 第六十七号議案
  東京都美術館条例の一部を改正する条例
第六十八 第六十八号議案
  東京文化会館及び東京芸術劇場条例の一部を改正する条例
第六十九 第六十九号議案
  東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例
第七十 第七十号議案
  東京都青少年センター条例を廃止する条例
第七十一 第七十一号議案
  主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律関係手数料条例を廃止する条例
第七十二 第七十二号議案
  東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第七十三 第七十三号議案
  学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
第七十四 第七十四号議案
m  学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第七十五 第七十五号議案
  東京都教育委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第七十六 第七十六号議案
  義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例
第七十七 第七十七号議案
  東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第七十八 第七十八号議案
  東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例
第七十九 第七十九号議案
  東京都立学校校外教育施設設置条例の一部を改正する条例
第八十 第八十号議案
  東京都高尾自然科学博物館条例を廃止する条例
第八十一 第八十一号議案
  東京都青年の家条例を廃止する条例
第八十二 第八十二号議案
  東京都体育施設条例の一部を改正する条例
第八十三 第八十三号議案
  東京都建築安全条例の一部を改正する条例
第八十四 第八十四号議案
  東京都都市計画局関係手数料条例の一部を改正する条例
第八十五 第八十五号議案
  東京都国土利用開発審議会条例の一部を改正する条例
第八十六 第八十六号議案
  使用済自動車の再資源化等に関する法律関係手数料条例
第八十七 第八十七号議案
  特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律関係手数料条例の一部を改正する条例
第八十八 第八十八号議案
  都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
第八十九 第八十九号議案
  東京都環境保全基金条例を廃止する条例
第九十 第九十号議案
  東京都保育士関係手数料条例の一部を改正する条例
第九十一 第九十一号議案
  東京都立老人医療センター条例の一部を改正する条例
第九十二 第九十二号議案
  東京都地域福祉振興基金条例を廃止する条例
第九十三 第九十三号議案
  社会福祉協議会の行う事業の補助に関する条例を廃止する条例
第九十四 第九十四号議案
  東京都授産場条例を廃止する条例
第九十五 第九十五号議案
  東京都食品安全条例
第九十六 第九十六号議案
  食品衛生法施行条例の一部を改正する条例
第九十七 第九十七号議案
  食品製造業等取締条例の一部を改正する条例
第九十八 第九十八号議案
  東京都ふぐの取扱い規制条例の一部を改正する条例
第九十九 第九十九号議案
  東京都健康局関係手数料条例の一部を改正する条例
第百 第百号議案
  プール等取締条例の一部を改正する条例
第百一 第百一号議案
  興行場の構造設備及び衛生措置の基準等に関する条例の一部を改正する条例
第百二 第百二号議案
  東京都小規模貯水槽水道等における安全で衛生的な飲料水の確保に関する条例の一部を改正する条例
第百三 第百三号議案
  東京都看護師等修学資金貸与条例の一部を改正する条例
第百四 第百四号議案
  東京都立看護専門学校条例の一部を改正する条例
第百五 第百五号議案
  保健所運営協議会条例を廃止する条例
第百六 第百六号議案
  東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例
第百七 第百七号議案
  東京都中小企業振興基金条例を廃止する条例
第百八 第百八号議案
  東京都立産業技術研究所条例の一部を改正する条例
第百九 第百九号議案
  東京都立産業貿易センター条例の一部を改正する条例
第百十 第百十号議案
  東京都農業事務所設置条例の一部を改正する条例
第百十一 第百十一号議案
  東京都林業事務所設置条例の一部を改正する条例
第百十二 第百十二号議案
  東京都都民の森条例の一部を改正する条例
第百十三 第百十三号議案
  東京都労政事務所設置条例の一部を改正する条例
第百十四 第百十四号議案
  東京都労政会館設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例
第百十五 第百十五号議案
  東京都労働資料センター条例の一部を改正する条例
第百十六 第百十六号議案
  東京都高年齢者就業センター条例の一部を改正する条例
第百十七 第百十七号議案
  東京都立技術専門校条例の一部を改正する条例
第百十八 第百十八号議案
  東京都海区漁業調整委員会委員及び東京都内水面漁場管理委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第百十九 第百十九号議案
  東京都中央卸売市場条例の一部を改正する条例
第百二十 第百二十号議案
  東京都海上公園条例の一部を改正する条例
第百二十一 第百二十一号議案
  東京都営空港条例の一部を改正する条例
第百二十二 第百二十二号議案
  東京都港湾管理条例
第百二十三 第百二十三号議案
  東京都地方労働委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第百二十四 第百二十四号議案
  東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例
第百二十五 第百二十五号議案
  東京都道路占用料等徴収条例の一部を改正する条例
第百二十六 第百二十六号議案
  東京都駐車場条例の一部を改正する条例
第百二十七 第百二十七号議案
  東京都立公園条例の一部を改正する条例
第百二十八 第百二十八号議案
  東京都風致地区条例の一部を改正する条例
第百二十九 第百二十九号議案
  東京都葬儀所条例の一部を改正する条例
第百三十 第百三十号議案
  東京都霊園条例の一部を改正する条例
第百三十一 第百三十一号議案
  東京都河川流水占用料等徴収条例の一部を改正する条例
第百三十二 第百三十二号議案
  東京都公営企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例
第百三十三 第百三十三号議案
  東京都給水条例の一部を改正する条例
第百三十四 第百三十四号議案
  警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第百三十五 第百三十五号議案
  東京都公安委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第百三十六 第百三十六号議案
  警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第百三十七 第百三十七号議案
  東京消防庁の設置等に関する条例の一部を改正する条例
第百三十八 第百三十八号議案
  火災予防条例の一部を改正する条例
第百三十九 第百三十九号議案
  東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例
第百四十 第百四十号議案
都立世田谷地区工業高等学校(仮称)(十五)増改築及び改修工事(その二)請負契約
第百四十一 第百四十一号議案
  都営住宅十五H─一〇三東(百人町四丁目第三)工事請負契約
第百四十二 第百四十二号議案
  都営住宅十五H─一〇二北(村山)工事請負契約
第百四十三 第百四十三号議案
  平成十五年度新海面処分場Gブロック西側護岸地盤改良工事請負契約
第百四十四 第百四十四号議案
  包括外部監査契約の締結について
第百四十五 第百四十五号議案
  東京都と神奈川県との境界にわたる町田市と相模原市との境界変更について
第百四十六 第百四十六号議案
  境界変更に伴う財産処分に関する協議について
第百四十七 第百四十七号議案
  建物の売払いについて
第百四十八 第百四十八号議案
  東京都立東部療育センターの指定管理者の指定について
第百四十九 第百四十九号議案
  平成十五年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担の変更について
第百五十 第百五十号議案
  平成十六年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担について
第百五十一 第百五十一号議案
  一級河川の指定の変更に関する意見について
第百五十二 第百五十二号議案
  多摩川流域下水道北多摩一号処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
第百五十三 第百五十三号議案
多摩川流域下水道多摩川上流処理区の建設に要する費用の関係市町の負担について
第百五十四 第百五十四号議案
平成十五年度東京都一般会計補正予算(第五号)
第百五十五 第百五十五号議案
  平成十五年度東京都特別区財政調整会計補正予算(第一号)
第百五十六 第百五十六号議案
  平成十五年度東京都都市開発資金会計補正予算(第一号)
第百五十七 第百五十七号議案
  平成十五年度東京都都市再開発事業会計補正予算(第一号)
議事日程第一号追加の一
第一 議員提出議案第一号
  東京都議会議員の報酬及び期末手当の特例に関する条例の一部を改正する条例

   午後一時三分開会・開議

○議長(内田茂君) ただいまから平成十六年第一回東京都議会定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。

○議長(内田茂君) まず、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
   三番   村上 英子さん 及び
   六十七番 吉野 利明君
を指名いたします。

○議長(内田茂君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(谷村隆君) 平成十六年二月十八日付東京都告示第百六十九号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、同日付で、本定例会に提出するため、議案百五十七件の送付がありました。
 次に、本定例会に提出するため送付された議案について、平成十六年二月二十四日付で、一部訂正の通知がありました。
 次に、知事及び監査委員、並びに各行政委員会より、平成十六年中における東京都議会説明員及び説明員の委任について、地方自治法第百二十一条及び会議規則第四十二条の規定に基づき、それぞれ通知がありました。
 次に、選挙管理委員会委員長より、平成十五年第四回定例会の会議において選挙された選挙管理委員は、平成十五年十二月二十三日をもって就任したとの通知がありました。
 次に、知事より、平成十五年第四回定例会の会議において同意を得た教育委員会委員及び監査委員の任命について発令したとの通知がありました。
 次に、包括外部監査人より、平成十六年二月二十五日付で、平成十五年度包括外部監査報告書の提出がありました。
 次に、知事より、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づく専決処分について、報告が二件ありました。
 内容は、訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告について、並びに東京都高等学校・大学等進学奨励事業に係る貸付金の償還免除に関する報告についてであります。
 次に、監査委員より、平成十五年度事務事業監査、行政監査及び例月出納検査の結果について、それぞれ報告がありました。
(別冊参照)

○議長(内田茂君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 平成十五年第四回定例会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。
   〔文書質問趣意書及び答弁書は本号末尾(二〇ページ)に掲載〕

○議長(内田茂君) 次に、警視総監石川重明君の退任に伴い、新たに奥村萬壽雄君が警視総監に就任いたしましたので、ご紹介いたします。
 警視総監奥村萬壽雄君。
   〔警視総監奥村萬壽雄登壇〕

○警視総監(奥村萬壽雄君) 去る一月十九日付で警視総監を命ぜられました奥村でございます。
 東京都議会の皆様方には、平素から、警視庁の運営につきまして格別のご理解とご高配を賜り、この機会に厚く御礼を申し上げます。
 都内の治安情勢につきましては、昨年の警視庁全庁挙げての取り組みや、都庁を初めとする自治体、関係機関、そして都民の皆様方のご協力によりまして、犯罪の増加傾向や検挙率の低下傾向に一応の歯どめをかけることができたところであります。
 しかし、今なお大量の犯罪が発生し、また、凶悪な犯罪が頻発するなど、厳しい犯罪状況が続いておりますし、一方で国際テロの脅威や依然として多発する交通事故等、数多くの課題がございます。
 私は、この首都東京の治安を守り、都民の皆様方の安全と安心を確保するため、全力で仕事をしてまいりたいと思っております。
 今後とも一層のご指導、ご支援を賜りますようお願いを申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。
 どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)

○議長(内田茂君) 以上をもって紹介は終わりました。

○議長(内田茂君) 次に、閉会中の常任委員の所属変更について申し上げます。
 去る二月十日付をもって、東野秀平君より、総務委員から都市・環境委員へ、また、二月二十三日付をもって、かち佳代子さんより、都市・環境委員から厚生委員へ、渡辺康信君より、厚生委員から都市・環境委員へ、それぞれ常任委員の変更の申し出がありましたので、委員会条例第五条第三項ただし書きの規定により、議長において、それぞれ同日付をもってこれを許可いたしました。
 お諮りいたします。
 本件は、それぞれ議長の許可のとおり承認することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、それぞれ議長許可のとおり承認することに決定いたしました。

○議長(内田茂君) 次に、東京都議会海外調査団について申し上げます。
 本議会において、去る二月三日から十二日まで、ロンドン、ストックホルム、ベルリン及びフランクフルトへ海外調査団を派遣いたしました。
 海外調査団を代表いたしまして、報告のため発言の申し出がありますので、これを許します。
 百二十三番青木英二君。
   〔百二十三番青木英二君登壇〕

○百二十三番(青木英二君) 都議会民主党の富田俊正、酒井大史、そして私、青木英二の三名は、東京都議会海外調査団として、去る二月三日から十二日まで、ロンドン、ストックホルム、ベルリン、フランクフルトの四都市において調査を実施してまいりました。これは、第十六期都議会における議会運営委員会理事会での決定事項に基づいて行った調査であり、その成果を議会における政策展開に積極的に生かし、東京都及び都議会の活性化、住んでいてよかったと思える東京づくりに努力していきたいと思っております。
 最初の調査地ロンドンでは、さきの定例会で酒井大史議員が一般質問で取り上げた犯罪被害者支援を調査いたしてまいりました。被害者にとってかなり充実した支援活動が展開されており、特に裁判所における証人支援については、国に対する法整備の要求とあわせて、現状で行い得る施策の早急な取り組みの必要性を感じたところです。
 犯罪被害者支援組織の本部で、東京都として何をすべきか尋ねたところ、犯罪被害者支援担当職員の位置づけの明確化、一般的な犯罪の態様調査、被害者支援意識の高揚、警察等関係機関との調整が必要とのことでした。
 また、犯罪被害者情報の連絡が常時警察からなされること、ボランティアスタッフの圧倒的な多さ、また、政治のリーダーシップにより被害者支援が進められ、関係機関相互の連携がとられていることなど、日本との明らかな違いを見ました。
 東京都においても、予算措置を講じるとともに、地域での被害者支援活動を、被害者支援都民センターなどと連携しつつ、さらに推し進めていくべきです。
 次に、福祉の先進都市ストックホルムでは、まず、社会的援助を必要とする方々に派遣されるアシスタントの位置づけについて、手話通訳に着目して調査をいたしました。
 重要な点は、手話通訳者の社会的な位置づけを明確化するとともに、しかるべき収入を保証する必要があるということでした。そのために、スウェーデンのように、公務員として採用する、NPOなど手話通訳派遣団体を補助する、あるいは介護保険同様のシステムを構築するか、介護保険の中に位置づけ、必要なサービスの量などを明確にした制度の中に組み込むことです。これらは、結果として手話の普及、ひいては手話を話せる教員の増加につながると考えます。
 これを東京都が独自に推進するには、重い課題です。障害を持つ方々がそれを意識しないで生活できることが当たり前であるとする考えを広く浸透させる取り組みの重要性を改めて実感しました。その上で、手話の必要性を政府が認識し、改めてその位置づけを考えることが必要です。
 続いて、富田俊正議員が積極的に取り組んでいるバリアフリーのあり方についても調査をいたしました。
 二〇一〇年までの完全バリアフリー化政策は、実現に向けて着実に進んでいると感じました。特に交差点のつくりなど、人と車との関係では、人優先が徹底されていることに意味があります。調査の結果、東京が進めるバリアフリー政策には、誤りはないように思いました。施策が財政負担を理由として遅々として進まないことは大きな問題ですが、このことについては、一昨年、富田議員が提案した広告収入を活用する方法で解決できるのではないでしょうか。
 次のベルリンでは、都市の観光のあり方について調査をいたしました。
 この課題については、市の観光行政を一手に担うベルリン・ツーリズム・マーケティング社のネルガー社長の言葉に集約されます。それは、東京のイメージをビジネスから脱却させること、さらには、売りたいものと求めるものを一致させる努力が必要であるということです。同社は、当初、宿泊税での運営を予定いたしましたが、税の導入見送りにより、大変苦労したとのことです。東京には既に宿泊税があるわけですから、この収入を活用して、このような会社の運営費に充てるといった英断が必要ではないでしょうか。
 また、東京の売り込みについては、国内他都市やアジア諸都市との連携も視野に入れ、観光インフラの整備については、車線ごとに切符を買いかえなければならないような状況を変え、公共交通機関の利便性向上に力を入れるべきです。
 ドイツの空港中心地フランクフルトでは、首都の空港のあり方を調査いたしました。
 米軍基地であったハーン空港は、低価格を売り物に急成長しており、また、フランクフルト空港は、米軍との共同利用に終わりを告げ、ヨーロッパのハブ空港としての位置づけを確保しようと躍起になっています。これら公の手を離れ自由な発想で営業戦略を展開する姿勢に頼もしさを感じました。
 我が国においても、既存の米軍基地の活用が今後の展開上重要であり、また、羽田空港の再拡張など、首都に隣接した空港機能の充実が国際社会を勝ち抜くために不可欠であると、改めて感じたところであります。
 最後に、現在、地方議会の海外視察がいろいろと注目されております。今回の海外視察では、移動日や予約を取りにくい休日にも精力的に調査を行い、かなりの強行軍となりました。公費ゆえに当然との考えもあると思いますが、都市の現況などを実際に見聞し、把握することさえなく、ただ訪問先での調査に終始する方法はいかがなものか、海外調査のあり方について考えさせられたものがありました。このことも一言申し添え、以上で私の調査報告とさせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(内田茂君) 以上をもって東京都議会海外調査団の報告は終わりました。

○議長(内田茂君) この際、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第一号、東京都議会議員の報酬及び期末手当の特例に関する条例の一部を改正する条例が提出されました。
 これを本日の日程に追加いたします。

○議長(内田茂君) 会期についてお諮りいたします。
 今回の定例会の会期は、本日から三月三十日までの三十五日間といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、会期は三十五日間と決定いたしました。

○六十七番(吉野利明君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 平成十五年度包括外部監査結果の報告について、地方自治法第二百五十二条の三十四第一項の規定に基づき、包括外部監査人の説明を求めることを望みます。

○議長(内田茂君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、平成十五年度包括外部監査結果の報告について、包括外部監査人の説明を求めることに決定いたしました。
 ここで、守屋俊晴包括外部監査人の出席を求めます。
   〔包括外部監査人守屋俊晴君入場、着席〕

○議長(内田茂君) ただいまご出席いただきました包括外部監査人をご紹介いたします。
 守屋俊晴さんでございます。
   〔包括外部監査人あいさつ〕

○議長(内田茂君) 本日は、ご多忙のところ、監査結果報告の説明のためにご出席いただき、まことにありがとうございます。

○議長(内田茂君) この際、知事より、平成十六年度施政方針について発言の申し出がありますので、これを許します。
 知事石原慎太郎君。
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 平成十六年第一回都議会定例会の開会に当たりまして、都政の施政方針を申し述べ、都議会の皆様と都民の皆様のご理解、ご協力を得たいと思います。
 日本は今、財政的に国家破綻ともいえる危機的な状況に直面しております。国家予算の歳出の半分が借金で賄われ、国と地方をあわせた債務残高は、GDPの約一・四倍に当たる七百兆円という天文学的な数字にまで膨らんでおります。我が国の財政がこのように極度にゆがんだ状況に陥ったのは、第二次世界大戦以来のことであります。
 こうした危機を客観的にとらえられないところに、今日の日本の危機の本質があります。国の政治家も官僚も、目の前にある危機を正視しようとせず、その場しのぎのびほう策にきゅうきゅうとするばかりでありまして、事態は修復不可能なレベルに達しようとしております。
 この間、都民、国民、民間企業は、景気低迷や雇用不安にひるむことなく、生き残りをかけてたゆまぬ努力を続けてきました。その結果、景気の先行きにようやく薄日が差し始め、雇用状況の悪化にもどうにか歯どめがかかってきたようには思えます。
 この機会をとらえて、国家全体の利益のために総合的に調整し、先導するという政治本来の機能を発揮し、長期的な国家戦略を示すべきときであります。しかし、現実には、戦後の繁栄の陰で増殖した既得権益構造を維持しようとして、無用な駆け引きばかりが繰り広げられ、時間が空費されております。
 国難を乗り切るために断行されるはずの国の改革は、国際社会の常識からすれば氷河の動きのごとく遅々としており、逆に後ずさりしているようにさえ感じられます。鳴り物入りで始まった三位一体改革も、地方交付税制度にはほとんど手がつけられないなど、矮小化されようとしており、改革の本旨から大きく外れたものとなっております。年金や道路公団の改革も、目先の利害にとらわれて、小手先のつじつま合わせに終始し、本質的な改革が先送りされております。既存の利害関係という呪縛から脱することができないようでは、二十一世紀にふさわしいこの国の新しい行政システムをつくり出すことはできないと思います。
 国政の担い手たちが現実を直視する勇気を持たずに改革をかけ声倒れにしている中、この五年間、東京から日本を変えるという視点に立って、東京の潜在力を引き出し、全国へ波及させることに力を尽くしてまいりました。
 また、首都圏を初め、危機意識を共有する大都市自治体と連携して、国が放置してきた課題に積極的に取り組んでまいりました。
 個々の政策の到達点と今後の展開については、以下、申し述べたいと思いますが、国の怠慢をただ嘆くだけではなく、みずからの知恵と発想力を鍛えながら、日本の全体の利益のために行動を起こすことが何よりも重要であります。東京都はその先頭に立って、地方自治の新しい形を模索し、日本再浮上の道筋を切り開いていきたいと思います。
 足かけ五年にわたって取り組んできたディーゼル車規制では、首都圏自治体の連携による成果を目に見える形で示すことができました。気象などの影響を受けない環状八号線井荻トンネルでの調査では、排気ガスに含まれるカーボンが二年前に比べて半減し、発がん性物質も最大で六割近く減少いたしました。
 都は、来年度も粒子状物質減少装置の装着費補助を継続し、いわゆる自動車Gメンによる違反車両の取り締まりを徹底するなど、引き続き大気汚染対策に取り組んでまいります。
 首都圏にとどまらず、全国の大都市で同様の取り組みを展開されてこそ、日本に澄んだ空気を取り戻すことができると思います。本来、大気汚染を改善する責任は国にあり、首都圏以外でも直ちに対策を講じるべきであります。
 地球温暖化については、京都議定書の発効がおくれる中、一向に国の戦略が見えてきません。都は、年内を目途に、事業者の自主的な二酸化炭素削減策をさらに促す新しい仕組みづくりなど、大都市の特性を踏まえた独自の具体策を取りまとめてまいります。
 自然エネルギーの利用拡大も温暖化対策の重要な柱であります。昨年三月、臨海部では、風力発電施設、東京風ぐるまの運転を開始しましたが、これに加えて、朝霞浄水場を初め八カ所の浄水場で、ろ過池の上部をパネルで覆い、太陽光発電を行ってまいります。
 また、有機性資源であるバイオマスも大都市にとって貴重なエネルギー源であり、本年四月から、森ヶ崎水再生センターにおいて、下水汚泥によるバイオマス発電事業をPFI方式により開始いたします。今後とも、自然エネルギーの利用の可能性を追求してまいります。
 東京に残された自然の保護、活用も重要な課題であります。
 都心からはるか南一千キロに位置する小笠原諸島には、海洋に浮かぶ島特有の生態系やサンゴ礁など豊富な自然が残されております。しかし、移入種の繁殖や動植物の密猟、不法採取などによって、多くの貴重な固有種が絶滅の危機に瀕しております。既に今年度からエコツーリズムを実施しておりますが、来年度、自然保護の専門家であるレンジャーを都独自に配置をいたします。また、ユネスコの世界自然遺産登録を目指し、関係機関と協力して取り組んでまいります。
 御蔵島においても、この四月からエコツーリズムを導入いたします。海域も含めて島全体を自然環境保全促進地域に指定し、観光経路を限定し、ガイドの同行を義務づけることにより、オオミズナギドリの世界最大の営巣地や多数生息するバンドウイルカなど、貴重な自然を保護してまいります。
 次に、都市再生についてであります。
 宿願であった羽田空港の再拡張、国際化がいよいよ来年度から始動いたします。都が沖合再拡張を提案してから三年半、国はようやく新たな滑走路の建設を予算案に盛り込みました。
 都は、この事業に対して総額一千億の無利子貸付を実施することとし、来年度は初年度分の十五億円を貸し付ける予定であります。事業完成の暁には、年間の離発着回数が二十八万回から四十一万回に増大し、首都圏の空の利便性が格段に向上するばかりか、日本経済の活性化にも大きく貢献いたします。都は、関係自治体とともに積極的に協力する決意であり、国は全力で整備を進めてほしいと思います。
 また、横田飛行場の軍民共用化についても、ようやく国も重い腰を上げ、具体的な取り組みが始まりました。昨年十二月、都と国の関係省庁との局長級による連絡会が設置され、事務レベルの協議を開始しております。首都圏の逼迫する空港需要に対応するため、関係自治体とも連携して早期実現を目指してまいります。
 次に、首都圏の交通インフラの骨格をなす三環状道路など、幹線道路の整備についてであります。
 先般、圏央道予定地の土地収用をめぐり、東京高等裁判所において執行停止を取り消す決定がありました。圏央道を初めとする三環状道路の整備は、首都圏の再生、日本全体の交通ネットワークの充実のために不可欠な事業であります。この決定を受け、今月上旬から自主的な土地明け渡しが進められておりますが、残る箇所についても適正に対応してまいります。
 外環道については、先月から環境影響評価の現地調査に入っております。中央環状線のうち新宿線は、平成十八年度完成を目途に建設を進めており、品川線は来年度じゅうの都市計画決定を目指していきます。環状八号線など区部環状道路や多摩の南北道路についても引き続き重点的に整備を進めるとともに、交差点での渋滞解消を目指すスムーズ東京21拡大作戦を五カ年で百カ所実施してまいります。
 都内の膨大な道路ストックは、東京オリンピックの開催前後に集中して建設されたものが多く、今後十数年のうちに一斉に更新時期を迎えます。都市機能が麻痺してしまうような事態を未然に防ぐため、新たな予防保全型の道路管理手法の導入に向けた取り組みを来年度から開始し、経費の最少化と投資効果の最大化を図ってまいります。
 次に、住宅政策についてでありますが、民間賃貸住宅は、東京の全世帯の約四割、二百万を超える世帯が生活の場としておりますが、退去時の敷金精算などをめぐってトラブルが絶えません。原状回復の費用負担に関する紛争の未然防止を目的とする新たな条例を本定例会に提案しております。あわせて、礼金、更新料のない合理的な契約の普及を促進するなど、だれもが安心して住宅を貸し借りできる市場を整備してまいります。
 東京が問題提起し、行動を開始した治安回復の取り組みは、全国へと広がり、国もようやく警察官の増員など具体的な取り組みを始めました。都はこうした流れをさらに加速し、徹底した対策を講じてまいります。
 まず、子どもが安心して育つ環境を大人が責任持ってつくり出すため、青少年健全育成条例を改正したいと思います。
 不健全図書については、販売業者に対して、図書の包装と自動販売機への年齢識別装置の設置を義務づけてまいります。
 深夜徘徊を防止するため、保護者に子どもを深夜に外出させない努力義務を課すとともに、保護者の承諾なく大人が深夜に子どもを連れ歩くことを禁止し、新たに漫画喫茶やインターネットカフェなどへの深夜立ち入りを制限いたします。
 着用済み下着等の買い受けや風俗店へのスカウトなど、勧誘行為を規制してまいります。
 また、警察官に深夜立入禁止施設等への立入調査権を付与し、対策の実効性を確保したいと思います。
 子どもを犯罪に巻き込まないため、来年度から三年間で、すべての公立学校でセーフティー教室を開催するとともに、警察官OB約百人をスクールサポーターとして定期的に学校に派遣し、教職員へのアドバイスなどを行う制度を導入いたします。
 子どもが犯罪に巻き込まれる兆候を敏感に感じることのできるのは、教え子に日々接している教職員にほかなりません。教職員一人一人が自覚を高め、さらに真剣に取り組むことを期待したいと思います。
 外国人組織犯罪を封じ込める上で、不法に入国しようとする者を水際で阻止することが重要であり、入国審査の厳格化と体制強化が急務となっております。国に対してさらに厳しい審査を求めていくとともに、都としても東京入国管理局に十五人の職員を派遣し、協力して取り組んでいきたいと思います。
 また、都内の来日外国人刑法犯検挙者の約四割が留学、就学名目で入国した者であり、こうした学生を受け入れている日本語学校などのあり方が厳しく問われております。新宿区、渋谷区、豊島区には、都内の留学生の半数以上が集中しております。都は、この三区や警視庁、東京入国管理局などと連携して情報交換、実態把握を進め、今後、問題のある学校に対して改善指導を行うほか、特に不適正なケースについては学校名の公表を検討するなど、効果的な対策を講じてまいりたいと思います。
 先日、日本に長く居住する心ある中国人の方々と、都、法務省などによる意見交換会を開催いたしました。その中で、検挙者の多くが中国人である現状には恥ずかしさと憤りを禁じ得ない、中国人犯罪の撲滅に向けて都と協力していきたいとの発言が相次ぎました。こうした声にこたえて、一致協力して中国人犯罪組織を孤立化させることが必要であり、今後、緊密なコミュニケーションを図りながら、さまざまな具体策に取り組んでいきたいと思います。
 街角の交番は、住民にとって最も身近な防犯拠点であり、日本が誇るすぐれたシステムでありましたが、近年、いわゆる空き交番が増加し、困ったときに警察官がいなくて不安だという声が多く聞かれます。来年度、当面の対策として、退職警察官による交番相談員を二百人増員するほか、交番に駆け込むと自動的に警察署とつながる対話型のテレビ電話を導入するなど、空き交番を実質的に解消していきたいと思います。
 この四月から都職員百人を警視庁に派遣いたします。派遣職員が内勤業務を担うことで警察官を現場に振り向け、治安回復につなげていきたいと思います。
 さらに、警察官二百人の増員や警察官OBの再雇用拡充などにより、合わせて千人規模の警察力を増強いたします。
 また、地域での自主的な活動を支援するため、来年度、防犯カメラなどに対する補助の枠を百カ所分確保するほか、まちかど防犯隊などボランティア活動に対する支援策を講じてまいります。
 区市町村においても、地域に根差した防犯対策が進められております。都民の皆さんも一人一人が自助、共助の精神を大いに発揮し、身近な地域で安全なまちづくりに取り組んでいただきたいと思います。
 都内の留置場は、基準の人数を超える収容者であふれており、その増設が緊急の課題となっております。原宿警察署の移転に当たっては、周辺との調和したまちづくりを民間活力の導入により進める中で、大規模な留置場を整備してまいります。
 また、臨港警察署の整備や鮫洲の都有地活用など、さまざまな機会をとらえて留置場を確保してまいります。
 先日、一都三県の治安担当副知事による連絡会を開催いたしました。都県境を越えた広域的な連携をさらに強化し、治安回復に向けて首都圏が一体となって取り組んでいきたいと思います。
 次に、危機管理についてであります。
 平成十三年九月の同時多発テロ以来、国際的テロへの対策が急務となっております。東京港では、来年度、港湾施設に監視カメラやフェンス、照明を設置するなど、二十四時間の監視体制を強化してまいります。
 また、不法入国、密輸、SARSなど、新たな感染症を水際で阻止することも重要であります。現在、国においても、船舶の入港規制に関する法案の検討が進められていますが、住民の安全に責任を持つ自治体としても、欠陥船や無保険船の規制にとどまらず、危険な船舶に対して断固たる措置を講じる必要があります。
 船舶の入港により都民生活の安全が害されるおそれが強く、これを防止するため、他に適当な手段がないと認められる場合は港湾を利用させないよう、港湾設備条例を全面的に改正したいと思います。
 今後、東京湾に港を持つ自治体とも連携を図りながら、危機管理に万全を期してまいります。
 住宅の防火性能の向上や火災予防のさまざまな取り組みにもかかわらず、火災による死傷者は増加傾向にあります。火災警報器の設置により、就寝中の逃げおくれなどを防止することで、死者の発生率を三分の一に抑えることができるといわれております。このため、条例を改正し、全国で初めて、すべての新築住宅に対して火災警報器の設置を義務づけたいと思います。
 昨年暮れ、韓国で発生した鳥インフルエンザは、瞬く間にアジア全域に拡大し、各地で猛威を振るっており、人から人への感染も懸念されております。先月、国内でも七十九年ぶりに発生しましたが、都は直ちに全養鶏農家を調査し、感染の事実がないことを確認いたしました。
 また、新型インフルエンザへの変異を防止するため、養鶏業者等へのワクチン接種を無料で実施いたしました。
 今後とも、定期的な調査を行い、先手、先手で対応策を講じてまいります。
 このほか、アメリカでのBSE発生などに伴って食品の安全に対する関心が高まっており、正確な情報提供が強く求められております。生産地や収穫期日、栽培方法、飼料など、生産流通情報を自主的に公開する業者の登録制度をこの春にも都独自で創設し、都民が安心して食品を購入できるようにしてまいります。
 都は、昨年から、食品安全情報評価委員会の設置や自主管理認証制度の創設など、さまざまな取り組みを進めております。こうした取り組みの集大成として、生産から流通、消費に至る各段階での食の安全・安心を確保するため、食品安全条例を提案しております。
 既に三年半近く全島避難が続く三宅島では、火山活動が徐々に低下してきているものの、火山ガスの放出は依然として終息せず、今後も同程度で続くと予測されております。
 国、三宅村と設置した帰島プログラム準備検討会において、安全対策、基盤整備、生活再建など、帰島に向けた課題の検討を続けており、先月末には、六軒の旅館、民宿が復旧作業員の宿泊施設として再開いたしました。一日も早く帰島をという島民の皆様の切実な願いにこたえるため、着実に準備を進めてまいります。
 次に、中小企業への金融支援についてであります。
 これまで都は、CLO、ローン担保証券やCBO、社債担保証券などの発行を、国に先駆けた独自の取り組みとしてやってまいりました。中小企業に対する直接金融の道を切り開いてまいりました。平成十二年からは毎年発行を重ね、これまで七千五百社に対し、総額三千億を超える資金供給を行い、参加企業のうち二十社が株式上場するなど、大きな成果を上げております。
 東京発の新しい中小企業支援策は、福岡、大阪、千葉など全国にも広がっており、今後、他の自治体との共同発行についても検討していきたいと思います。
 都内には優秀な技術力を持ったベンチャー企業が多数存在しております。成長過程にある企業に十分な資金を提供するため、都の出資による投資法人を来年度新たに設立し、一般投資家からも広く参加を募りながら、新しい産業を担う競争力のある企業を育成してまいります。
 また、中小企業の再生を目的とするファンドを来年度新たに創設いたします。すぐれた人材や技術を持ち、再生の見込みがありながら、既存の金融機関から融資を受けられず、資金繰りが悪化している中小企業に対し、都内の地方銀行、信用金庫、信用組合などと協力して、出資、経営支援を行ってまいります。
 中小企業制度融資については、融資メニューや貸付期間、金利を見直すなど、さらに利用しやすい制度へ再構築していきたいと思います。
 このたび、新銀行東京の業務運営の基本的な指針となるマスタープランを策定いたしました。来年度予算で、資本金一千五百億円のうち、都から一千億を支出することとし、平成十七年春以降の開業を目指してまいります。
 業務の中核となる中小企業融資については、ポートフォリオ型融資を初め、新銀行単独で行うもののほか、シンジケート型融資、金融機関の融資への保証など、地域の金融機関等とさまざまな局面で提携、協力して取り組んでまいります。
 人員、店舗数を極限にまで絞り込んだ低コスト体質により、積極的に中小企業向け融資を行うとともに、ICカードを活用して豊富なサービスを実現するなど、特色のある銀行といたします。
 新銀行の経営陣にはすぐれた人材を各界から迎え、開業三年後には、総資産一兆六千億、自己資本比率は邦銀トップクラスの一三%とすることを目指してまいります。東京の中小企業の活性化を支援し、真に都民に役立つ銀行としてまいります。
 都内の失業率は改善の兆しも見られますが、雇用情勢には依然として厳しいものがあります。国のハローワークだけで雇用のミスマッチを解消するには限界がありまして、民間企業が集中し、旺盛な求人ニーズを抱える東京の強みを生かした雇用就業対策が求められております。
 ことしの夏を目途に、就職の相談、紹介、能力開発などをワンストップで行うしごとセンターを都独自で開設いたします。豊富な求人情報とノウハウを持つ民間事業者の人材をキャリアカウンセラーとして活用し、一人一人にきめ細かく対応することで、確実に就職につなげていきたいと思います。
 また、求職者の適性に応じた能力開発の需要にも積極的にこたえていきたいと思います。
 高い失業率に苦しむ若年層から雇用機会に恵まれない高齢者まで幅広い層を対象に、年間就職一万件を目指してまいりたいと思います。
 救急医療の充実は、都民の切実な願いであります。都では、平成十三年以降、墨東、広尾、府中の各都立病院に、順次、東京ERを開設し、三百六十五日間二十四時間の医療体制の充実を図ってまいりました。
 ことしの夏を目途に、ビル火災や大規模な交通事故、NBCテロなど、都市型災害の際に活動する救急災害派遣医療チーム(東京DMAT)を創設いたします。患者が病院に搬送されるのを待って救命措置を行うのではなく、医師、看護師が現場に急行することで一刻を争う人命救助につなげてまいります。
 まず、都立病院を中心に七チームを編成し、将来的には十二の医療圏すべてに配置していきたいと思います。
 救急車の出動件数は、近年、増加の一途をたどり、昨年は六十六万件を超えました。このまま増加が続くと、近い将来、緊急事態に対応できなくなるおそれがあります。来年度、救急隊を増設するとともに、救急車が、真に必要とされるケースに確実に対応できるよう、救急搬送の効率的な運用についても検討を進めてまいります。
 また、気管挿管など、救急救命士による措置を拡大し、救命率の向上につなげてまいります。
 法律の規制対象となっていない脱法ドラッグが公然と売買され、健康被害や犯罪の誘発など、青少年の心身をむしばんでおります。被害の多くは潜在化していますが、国の対応を待つことなく、一歩踏み込んだ規制策を講じていきたいと思います。
 来年度、専門家による調査会とドラッグGメンを新設し、健康被害が認められる商品名の公表や販売者への指導など、対策を実施してまいります。
 次に、福祉改革についてであります。
 国は、保育所についても全国一律の基準を押しつけていますが、都は、大都市特有のニーズに的確にこたえるため、独自の認証保育所の設置を着実に進めてまいりました。利用者本位の福祉を実現するこの仕組みは、都民、事業者の広範な支持を得て、今年度末には二百カ所以上に増加する見込みであります。
 来年度は、民間事業者の参入をさらに促進し、駅前型を中心に増設を図ってまいります。
 高齢者福祉では、都は独自に民間企業の参入を図ることにより、痴呆性高齢者のためのグループホームの整備を積極的に進め、二年前に比べ十倍を超える定員枠を確保いたしました。整備率が特に低い区市町村に対する補助を拡充するなど、今後三年間で集中的に増設を図ってまいります。
 三年後には、都内の高齢者の六人に一人が要介護者になるとも予測されております。高齢者が地域で健康に暮らしていくためには、適切な介護予防対策を講じる必要があります。来年度、区市町村と協力して、福祉、保健、医療の各部門が一体となって介護予防事業を実施する推進モデル地区を選定し、重点的に支援していきたいと思います。
 児童虐待の痛ましいニュースが後を絶ちません。児童相談所では、相談件数は十年前の十倍に急増しております。今月初めから、児童相談センターに、土日、祝日にも対応できる相談窓口を設置し、全国に先駆けて三百六十五日間切れ目のない相談体制を整えました。
 児童相談所の職員には立入調査権が認められておりますが、現実には、親の抵抗により立ち入りができないケースがあることから、国に対して法改正を強く求めております。
 児童虐待の防止には早期発見が不可欠であり、待ちの姿勢では子どもを救うことができません。都はこれまでも、立入調査権に基づき積極的に対処してきましたが、今後とも学校や警察などと連携し、ちゅうちょすることなく子どもの安全を確保していきたいと思います。
 都と区は、これまで協力して、就労意欲のあるホームレスを対象に緊急一時保護センターを設置するなど、全国に先駆けて自立支援システムを整備してまいりました。こうした取り組みの成果もあり、全国的には増加傾向にある中で、区部のホームレスは四年間連続で減少しております。ホームレス自身の自立に向けた努力への支援を基本としながら、公園などの公共空間がブルーテントで占拠された状態を是正することが重要な課題でもあります。都は、国の動きを待つことなく、来年度から区と共同で、公園でテント生活を送るホームレスを対象に民間アパートや都営住宅を低家賃で貸し付け、就労支援や生活相談などを行う新たな取り組みを開始いたします。こうした支援策によって、ホームレスの自立促進と公共空間の適正利用を同時に実現していきたいと思います。
 次に、教育改革についてであります。
 都はこれまで、生徒の個性と能力に応じた教育を実現するため、都立高校改革を積極的に推進してまいりました。学区制を全廃し、競争原理を持ち込むことで、学校経営の改善や教職員の資質向上などを促すとともに、進学指導重点校やエンカレッジスクールなど、魅力ある学校づくりを進めてまいりました。
 来年度から、校長の裁量権をさらに拡充し、夏休みなどの日数や時期を弾力的に決められる制度を導入いたします。これにより、体験学習や特別講義を実施する時間を生み出し、各校の創意工夫を生かした特色のある教育をさらに充実してまいります。
 来年開校する都立学校初の台東地区中高一貫校では、学校説明会に延べ約八千人もの保護者、児童が詰めかけ、都民の関心の高さを実感いたしました。六年を通じた総合的なカリキュラムを組めるメリットを生かして、日本の伝統文化の教育も取り入れながら、生徒一人一人の可能性を最大限に引き出してまいります。
 世界の主要大学を評価、比較した「ゴーマンレポート」によれば、ランキング上位は欧米の大学で占められ、日本の大学は一校も入っておりません。しかし、大学や国の危機感は薄く、国際的な視点に立った質の向上策にはほとんど手がつけられておりません。
 東京から日本の教育を立て直すため準備を進めている新しい大学については、名称を首都大学東京とし、理事長に高橋宏氏を、学長には岩手県立大学学長西澤潤一氏を迎えて、平成十七年春の開学を目指してまいります。
 学生一人一人の個性と才能を伸ばし、社会が求める人材を育成するため、ボランティアなどの社会貢献を全学生に体験させるほか、弾力的なカリキュラムを設定できる単位バンクの導入により、早期卒業、長期在学など、将来設計に応じた履修を可能としてまいります。一定以上の英語力を卒業要件にすると同時に、これを満たす学生には語学の受講を免除するなど、これまでの形式的で非実践的な大学の語学教育を変革していきたいと思います。
 また、企業OBを活用して徹底したキャリア開発と就職支援を実施するなど、学生生活を総合的に支援してまいります。
 東京全体が応援団となってサポートしていきますので、我こそはと思う学生諸君は雄志を抱いて首都大学東京に集ってほしいと思います。
 観光は、東京の産業で最も成長が期待される分野の一つであります。都は、観光振興を産業政策の一環と位置づけ、上野地区と臨海地区をモデルとして観光まちづくりを進めてまいりました。
 来年度は、各地域で観光まちづくりの牽引役となるリーダーを養成し、区市町村や民間施設を活用した観光案内窓口を百カ所新設するなど、都全域で具体策を展開してまいります。
 かつての江戸・東京は、掘り割りが縦横に張りめぐらされた水の都であり、現在でも総延長六十キロに及ぶ運河が存在しております。この運河を観光資源として大胆に見直し、身辺に水辺を感じることができるよう、まちづくりと一体となった整備を進めることとして、来年度、天王洲や芝浦などで具体策を検討してまいります。
 昨年のロンドン、ミュンヘンに次いで、民間事業者との共同のシティーセールスミッションを、先ごろサンフランシスコとロサンゼルスに派遣いたしました。東京の魅力を広く世界にPRし、外国人旅行者の誘致につなげていきたいと思います。
 都はこれまで、財政再建、行政改革、都独自の政策展開を一体のものとしてとらえ、都政の構造改革を進めてまいりました。平成十六年度重点事業の策定、来年度予算案の編成、組織、定数の見直しに当たっても、こうした視点を堅持してまいりました。
 平成十六年度予算案については、第二次財政再建推進プランの初年度として、財政再建に新たな一歩を踏み出し、東京の再生を確実に進める予算と位置づけております。
 財政再建はいまだ道半ばにあり、来年度も都税収入が引き続き四兆円を割り込むとの見込みでありまして、予算規模は三年連続で緊縮型といたしました。制度の根本にまでさかのぼった事業の見直しや、国以上に厳しい退職手当の削減を初めとする徹底した内部努力を行うとともに、これまで述べてきたように、都民の安全・安心の確保や東京の活力の再生などに限られた財源を重点的に配分し、めり張りのある予算としております。
 また、将来の都政を見据えて基金残高の確保に努めるとともに、起債依存度は八%台に抑制いたしました。
 職員定数については、業務の効率化などを進め、千四百四十四人を削減する一方で、重点事業などに対して必要な人員を措置いたしました。
 組織については、都市計画局、住宅局、建設局の再編による都市整備局や、福祉局と健康局の統合による福祉保健局の設置など、直面する政策課題に的確に対応してまいります。
 あわせて、都政を横断的、総合的に調整する役割を明確にするため、知事本部を知事本局に改称いたします。
 情報化、IT化の進展は、都民サービスの向上と行政の高度化、効率化に大きく寄与するものであり、新しい自治のあり方を切り開く可能性を秘めております。
 日本の情報化はここ数年で急速に進展し、ブロードバンドの普及率ではアメリカを抜き去りました。数年前までインターネットにつながってさえいなかった都庁でも、パソコン一人一台体制と各組織をつなぐネットワーク化を実現し、IT技術は日常の業務に欠かせないものとなっております。
 IT化をさらに進めるため、今月、都と五十一の区市町村による協議会を立ち上げ、住民票などの電子申請や電子調達の共同運営事業に着手いたしました。全国でも最大規模となる取り組みでありまして、来年度にはサービスを開始してまいります。
 日本人は、戦後半世紀にわたってむなしい夢を見続けてきたような気がいたします。外から与えられた平和や安全を当たり前のものと考え、恵まれた条件のもとで達成された経済成長による豊かさがあたかも永久に続くかのような錯覚に陥り、厳しい現実を直視することなく過ごしてきたのであります。
 こうした状況の変化に鈍感な姿勢は、東西冷戦の終結と相まって、この国がかち得てきた豊かさそのものをも毀損しようとしております。日本は今、国家として歴史的な岐路に差しかかっており、覚醒を促されているのであります。
 しかし、日本という国は、こうした正当な歴史認識を持つことができずに、戦後の成功体験に縛られて身動きができないまま、進むべき進路を見出せずにおります。今こそこうしたタブーから解き放たれるべきときであります。
 私は、就任以来、日本全体の利益という視点から、既存の制度や常識の壁を越えて、さまざまな改革の苗を植えてまいりました。心ある都民、国民は、自分の意思で立ち、自分の力で生きるという国家や国民にとって当たり前の原理に気づき始めております。
 今後とも、現場を踏まえた斬新なアイデアを武器に、いわば行政の前衛として、新しいフォーマットを東京からつくり出し、全国に発信していきたいと思います。
 なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含め、予算案三十四件、条例案百九件など、合わせて百五十七件の議案を提出しております。よろしくご審議をお願いいたします。
 以上をもちまして、施政方針を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

○議長(内田茂君) 以上をもって知事の発言は終わりました。

○議長(内田茂君) 次に、警視総監より、都内の治安状況について発言の申し出がありますので、これを許します。
 警視総監奥村萬壽雄君。
   〔警視総監奥村萬壽雄登壇〕

○警視総監(奥村萬壽雄君) 都内の治安状況についてご報告をいたします。
 ご案内のとおり、近年、犯罪が多発し、また、その内容も悪質化するなど、厳しい犯罪情勢が続き、一方で、イラク問題等をめぐる国際テロの脅威が高まる中、警視庁では、犯罪抑止のための総合対策の推進や国際テロ防圧のための情報収集、警戒警備の強化、さらには安全で快適な交通社会の実現に向けた諸対策の推進、また、地域に密着した街頭警察活動の強化など、都民の皆様方のご理解とご協力をいただきながら、首都東京の治安維持と都民生活の安全・安心の確保に努めてまいりました。
 以下、その状況につきましてご説明を申し上げます。
 第一は、犯罪抑止のための総合対策と犯罪捜査活動の推進状況についてであります。
 一昨年の平成十四年度の犯罪情勢は、刑法犯認知件数が三十万件を超えて戦後最高を記録し、犯罪の発生に検挙が追いつかないという、まことに厳しい状況でありました。
 こうした情勢に対応するため、警視庁では、昨年を治安回復元年と位置づけ、犯罪発生を抑止することが何よりも重要であるという観点から、犯罪抑止のための総合対策の推進を最重点目標として掲げ、各種対策を強力に実施いたしました。
 具体的には、都民の皆様方に著しい不安感を与えている街頭・侵入犯罪、とりわけ強盗、侵入窃盗、ひったくり、性犯罪を指定重点犯罪とする街頭・侵入犯罪抑止総合対策を策定し、組織の総力を挙げて検挙と防犯の両面の活動に鋭意取り組んでまいりました。
 その結果、平成九年以降増加の一途をたどっておりました刑法犯認知件数が、昨年は三十万件を割って、二十九万九千四百六件となり、初めて減少に転じたほか、検挙の方も件数、人員ともに増加し、平成七年以降、下降を続けていた検挙率が上昇に転じて、二八・七%となりました。
 また、強盗、侵入窃盗、ひったくり、性犯罪という指定重点犯罪につきましても、認知件数が前年比七・三%減の約三万九千九百件となる一方、検挙件数も増加し、検挙率は九・三ポイント上昇して五二・六%となるなど、犯罪の抑止について一定の効果が認められたところであります。
 しかしながら、犯罪の増加傾向は一応抑えたとはいえ、昨年の刑法犯認知件数、約二十九万九千件というのは、戦後の昭和時代の平均に比べて四割多い件数でありますし、また、強盗やひったくりが急増するなど、犯罪情勢は依然として厳しい状況にあるといわざるを得ないところであります。
 次に、以上の街頭・侵入犯罪抑止総合対策の重要な柱である少年犯罪対策と来日外国人犯罪対策、そして、これらと密接な関係にある暴力団犯罪対策について申し上げます。
 まず、少年犯罪対策についてであります。
 昨年中の都内における非行少年の検挙、補導人員は、前年比六・三%、九百四十三人増の一万五千九百九十八人でありますが、その九二%は刑法犯を犯した少年であり、成人を含めた刑法犯全検挙人員の実に四人に一人が少年という憂慮すべき実態にあります。特に屋外で行われる、いわゆる街頭犯罪におきましては、検挙人員の半数を少年が占めており、中でも路上強盗とひったくりでは六割を超えるなど、少年犯罪は極めて深刻な状況にあります。
 このため、少年犯罪対策は、当面、最重要の治安対策の一つでありますが、同時にまた、犯罪や非行を犯した少年を立ち直らせ、二度と悪の道に走らせないようにすることは、中長期的な治安対策としても、また我が国の将来を担う少年を健全に育成するという意味からも、非常に重要な課題であると考えております。
 警視庁といたしましては、このような観点から、少年の健全育成とその特性に配慮しつつ、少年犯罪について厳正に捜査をするとともに、昨年十月には非行集団特別捜査隊を発足させるなど体制を強化して、非行集団の取り締まり、解体、補導活動を積極的に展開し、昨年は非行集団百六グループを解体し、約八百人を脱退させておりますが、まだまだ十分ではありません。
 本年は、少年事件の検挙や非行少年の補導をさらに強化いたしますとともに、警察、学校、地域のパイプ役としてのスクールサポーター制度の導入や、東京都を初めとする関係機関・団体と連携を強化し、少年の健全育成に一層努めてまいります。
 また、こうした少年犯罪や非行の一方で、いわゆる出会い系サイト利用等による児童買春、児童ポルノ法違反など、少年の福祉を害する犯罪や、昨年、渋谷で発生いたしました小学生女児四人監禁事件のような少年少女を被害者とする犯罪も依然として後を絶たないことから、少年の被害防止対策としての街頭補導活動の強化やセーフティー教室の実施など、子どもが犯罪に巻き込まれないためのさまざまな施策につきましても、関係機関や都民の皆様方と協働して取り組んでまいります。
 次に、来日外国人犯罪対策と暴力団犯罪対策についてでありますが、来日外国人犯罪組織、暴力団あるいは銃器、薬物の密輸・密売グループは、相互対立や相互依存を繰り返しながら、殺人、強盗等の凶悪犯罪や各種偽造犯罪、薬物犯罪などの資金源犯罪、あるいは巧妙な手法による密入国等を敢行し、その手口も凶悪化、巧妙化、武装化を一層強めるなど、平穏かつ健全な社会生活に著しい悪影響を及ぼしております。
 当庁では、このような来日外国人犯罪並びに暴力団犯罪に的確に対処するため、昨年の四月に組織犯罪対策部を新設するとともに、東京入国管理局等の関係機関と連携を強化し、このような犯罪組織の壊滅に向けた諸対策を推進しているところであります。
 まず、来日外国人犯罪対策につきましては、犯罪組織の中枢に迫る取り締まりを強化し、侵入強窃盗を繰り返し敢行していた中国の福建省出身者による犯罪組織、鼈頭グループなどを検挙、解体したほか、三年間で四十億円を国外に不正送金していた地下銀行事件、あるいは偽装結婚、不法就労等の生活基盤に係る各種犯罪を多数検挙いたしました。
 加えて、歌舞伎町地区特別対策を初めとする諸対策を波状的かつ恒常的に推進するとともに、来日外国人犯罪組織の人的、資金的供給源となっている不法滞在者や密入国者の大量摘発に努めてまいりました。その結果、昨年の来日外国人の検挙人員は、前年比三九%増の約八千人となっております。
 このほか、昨年十月に発表いたしました法務省、東京入管、東京都並びに当庁による、首都東京における不法滞在外国人対策の強化に関する共同宣言に基づく施策の一つとして、十月二十七日から約二カ月間、逮捕した不法滞在者を早期かつ効率的に強制退去させるため、悪質な場合を除いて速やかに入国警備官に引き渡すことといたしましたが、その結果、この期間だけで、年間の不法滞在者検挙人員の二七%に当たる約千五百人を検挙しております。
 少年犯罪が犯罪の量的悪化の一つの要因とするならば、来日外国人犯罪は犯罪の質的悪化、すなわち凶悪化の大きな要因であり、引き続き厳正な取り締まりを行ってまいります。
 一方、暴力団犯罪対策につきましては、現在、都内の暴力団として約六百四十の組織、一万六千八百人の構成員等を把握しておりますが、関西地域における景気の低迷や勢力の飽和状態を背景とする山口組の東京進出により、在京の暴力団との間で、資金源をめぐり依然として緊張した状況が続いているほか、善良な都民の皆様方を巻き添えにしかねない暴力団によるけん銃発砲事件が昨年中十八件発生しております。
 また、本年も、今月二十一日から、都内を初め近県などで連続して同種の事件が発生していることから、被疑者の検挙はもとより、警戒を強化し、続発防止に努めているところであります。
 警視庁では、強制捜査を原則とする暴力団員等の大量検挙や資金源犯罪の検挙はもとより、組織的犯罪処罰法など、あらゆる法令を適用した取り締まりを行っており、昨年は前年比一〇%増の約六千七百人の暴力団員等を検挙するとともに、武器庫の摘発などによりまして、暴力団保有のけん銃五十二丁を押収しております。
 また、薬物犯罪では、全体で前年より二百十キログラム多い二百八十キログラムを押収しましたが、このうち暴力団からは、前年より八十一キログラム多い百十四キログラムを押収しております。
 さらに、地域、職域における暴力団追放運動を積極的に推進した結果、暴力団対策法に基づく中止命令四百三十九件、再発防止命令三件を発出したほか、関係機関や弁護士会等との連携により、暴力団の事務所四十六カ所を撤去させておりますが、暴力団の勢力はまだまだ根強いものがあります。
 暴力団は、それ自体が犯罪集団でありますが、同時に、犯罪や非行を犯した少年の受け皿としての役割も持っており、また、来日外国人犯罪組織と結託して、その手引きや下請も行っている反社会的存在であり、本年も強力な取り締まりを行ってまいります。
 以上が街頭・侵入犯罪抑止総合対策としての少年犯罪対策、来日外国人犯罪対策、そして暴力団犯罪対策でありますが、当庁では、これらの取り組みに加えて、昨年八月に発足した東京都緊急治安対策本部と、治安回復に向けたさまざまな施策の推進について緊密な連携を図ってまいりました。あわせて、十月に施行されました東京都安全・安心まちづくり条例による東京都、区市町村、そして都民の皆様方との連携をさらに強めますとともに、地域ごとの具体的な犯罪発生状況を都民の皆様方にお伝えするなど、情報発信を推進し、安全で安心なまちづくりのためのさまざまな施策を一層積極的に推進してまいります。
 次に、各種の事件の類型ごとに昨年の犯罪捜査活動の概要をご報告いたしますと、まず、重要特異な事件としては、三鷹の薬局内強盗殺人事件を初め、知識、経験のない医師らが前立腺がんの手術を行い、患者を死亡させました慈恵医大附属青戸病院における医療過誤事件などが発生いたしました。
 当庁では、昨年中、こうした事件について特別捜査本部を二十件開設し、懸命な捜査活動を展開した結果、前年以前に開設した事件を含めて十九件を検挙しておりますほか、本年に入り、この三鷹での薬局内強盗殺人事件などを検挙したところであります。
 しかしながら、世田谷の一家四人強盗殺人事件など、幾つかの重要事件が未解決のままであり、これらについては引き続き全力を投じて、一刻も早く犯人を逮捕し、都民の皆様方の不安感の解消に努めてまいります。
 侵入窃盗やひったくり、すり等の重要窃盗犯の検挙率につきましては四四・六%で、前年を六・七ポイント上回りました。ピッキング用具を使用した侵入窃盗は約千七百件となり、前年に比べて六〇%減と大幅に減少したものの、サムターン回しや焼き切りによる侵入手段が多発傾向にあります。
 大きな社会問題となったヤミ金融事犯につきましては、昨年一月、悪質金融事犯特別捜査本部を設置し、また、十月には金融犯罪対策室を新設して体制の強化を図るなど、諸対策を展開してまいりました。
 その結果、金融事犯関係の検挙が大幅に増加し、特に山口組旧五菱会系のシステム金融による高金利事犯では同会会長らを組織犯罪処罰法で逮捕するなど、ヤミ金融事犯の一掃を図っているところであります。
 一方、全国的に多発している、いわゆるおれおれ詐欺につきましては、都内における被害は、昨年、千二百九十四件で、被害総額十億六千万円に上り、そのうち百五十一件、四十一人を検挙しておりますが、いまだ模倣事犯が後を絶っておりません。このため、被害に遭いやすい高齢者を中心に防犯対策を実施しているほか、金融機関に対し、不審な口座の通報について協力を依頼するなど、今後とも被疑者の検挙と被害の拡大防止に努めてまいります。
 また、急増するハイテク犯罪では、架空請求メールにより九百十二人から約二千百万円をだまし取った詐欺事件や、国際ハッカーグループのメンバーによるホームページ改ざん事件等、前年を二五%上回る百八十七件を検挙しております。
 第二は、警備情勢についてであります。
 イラクを初めとする世界各地で無差別な爆弾テロ事件が相次いで発生し、多くの市民が犠牲になるなど、イスラム過激派によるテロの脅威は世界的に極めて高い状態が続いているものと認識しており、自衛隊のイラク派遣などをめぐり、我が国がテロの標的とされる可能性も否定できないものと考えております。
 警視庁では、このような国際テロ情勢を踏まえて、テロリストを国内に入れない、拠点をつくらせない、テロを起こさせないとの観点から、管内の実態把握やテロ関連情報の収集、分析を強化し、国内へのテロリストの潜入阻止、テロに使用されるおそれのある化学物質の管理強化などの諸対策を推進するとともに、重要施設等に対する警戒、警備を徹底するなど、テロの未然防止を図っているところであります。
 また、極左暴力集団につきましても、自衛隊のイラク派遣などをめぐり、昨年、都内において、防衛庁等に対し二件のゲリラ事件を敢行しており、本年も今月十七日に同種事件の発生を見ていることから、これを未然に防止するための諸対策を推進しているところであり、極左暴力集団の活動家も、昨年、三十七人を検挙しております。
 なお、革マル派につきましては、いわゆる酒鬼薔薇事件に関連して平成九年に発生した神戸大学医学部建造物侵入事件の被疑者の検挙を初め、都内二カ所の同派非公然アジトを摘発いたしております。
 一方、右翼は、北朝鮮の拉致事件、核開発問題や「万景峰号」入港等に焦点を合わせた活発な抗議、要請行動を展開しておりますが、当庁では、元右翼団体構成員による自民党本部車両突入事件や暴騒音条例違反などで、右翼構成員等二百九人を検挙いたしました。
 また、建国義勇軍や国賊征伐隊を名乗るグループによる朝鮮総連やオウム真理教の施設に対するけん銃発砲事件、あるいは政官界要人に対するけん銃実包送付事件等につきましては、当庁が十二道府県警察との合同捜査本部を設置して被疑者十七人を一網打尽に検挙し、けん銃等十丁、実包約二百発を押収するなど、これら事件の全容を解明したところであります。
 さらに、拉致問題では、三鷹市のガードマンの方がだまされて北朝鮮へ拉致されました、いわゆる宇出津事件につきまして、昨年一月、主犯格の北朝鮮工作員金世鎬を割り出し、国外移送目的拐取罪で令状を取り、国際手配をいたしました。
 北朝鮮による日本人拉致事件につきましては、引き続き、当庁といたしましても、全容解明に向けた捜査を展開してまいります。
 次に、オウム真理教につきましては、アーレフと改称した今もなお、全国二十六カ所に主要施設と、出家、在家を合わせて約千六百五十人の信者を擁しておりますが、都内には南烏山外七カ所に主要活動拠点が存在し、約六百三十人の信者が居住しております。
 当庁では、昨年、有印私文書偽造・同行使事件で信者三人を検挙いたしましたが、その過程で、麻原彰晃をいまだ信奉する分派グループの実態も明らかになっており、また、オウム真理教自体においても、麻原への帰依が高まっております。あさっての二十七日には麻原の第一審判決が予定されておりますが、オウム真理教については、引き続き関係機関、自治体等と緊密な連携を図りつつ、その動向を注視し、違法行為に対しては厳正に対処してまいります。
 第三は、交通対策についてであります。
 警視庁では、昨年、「交通死亡事故減少二〇〇三」をスローガンとして、特に死亡事故に占める割合が高い二輪車や高齢者の事故防止対策を強力に推進いたしました。
 二輪車の事故防止対策では、二輪車の事故多発路線において、同路線の交通事故情報をわかりやすい形で繰り返し発信するとともに、事故実態に応じた重点的、効果的な取り締まりを行うなど、総合的な対策を実施いたしました。
 また、高齢者対策では、高齢者宅を訪問して直接に指導を行う訪問型の交通安全教育や、交通ルールの遵守を呼びかけるための広報啓発活動を推進いたしました。
 そして、交通規制、交通管制の面からは、各町会、ボランティア等、多くの都民の皆様方のご参加をいただき、都内の交通安全総点検を実施して、重大交通事故を少なくするための交通規制の見直しや交差点の改良等を行ったところであります。
 こうした諸対策の結果、昨年中の都内における交通事故の発生状況は、前年より、人身事故の発生件数、死亡者の数、負傷者の数ともに減少いたしました。特に死亡者の数は、前年に比べて五十六人減少して、戦後三番目に少ない三百二十人となり、第七次東京都交通安全計画に定められている交通事故死者数三百五十人以下の目標を、計画より二年早く達成したところであります。
 本年も関係機関・団体、そして都民の皆様方の幅広いご支援、ご協力をいただきながら交通情勢と都民のニーズに応じた諸対策を積極的に推進し、交通事故による死亡者を三百人未満に抑える「交通死亡事故連続減少 チャレンジ・アンダー三〇〇」をスローガンといたしまして、交通人身事故の減少傾向の定着化に努め、あわせて交通の円滑化と交通公害の防止を推進するなど、安全で快適な交通社会の実現に努めてまいります。
 第四は、都民の視点に立った各種警察活動についてであります。
 初めに、交番等を基盤とした街頭警察活動についてであります。警視庁では、空き交番対策など地域の方々のご要望に的確におこたえするため、地域の犯罪情勢や警察事象に応じた弾力的な警察官の配置、ハイテク交番の整備、都市型駐在所への転換及び交番相談員の支援機能の充実による執行力の強化に努めてまいりました。
 さらに、昨年九月に交番機能の強化方策検討委員会を設置いたしまして、これまでの施策に加え、交番の新設や統合、交番用テレビ対話システムの導入など、総合的な観点から検討を進めているところであります。
 次に、犯罪被害者支援についてでありますが、当庁では、従来行ってまいりました被害者支援活動に加え、新たに昨年四月から、犯罪被害を受けたショックにより事情聴取や検証の立ち会いなどが困難な犯罪被害者に対して、精神科医または臨床心理士に精神的ケアを依頼する制度を創設いたしました。
 今後も、被害者支援都民センターや警察署犯罪被害者支援ネットワーク等の関係機関・団体と協力しながら、被害者の心情に配意したきめ細かな支援活動の充実に努めてまいります。
 以上、都内の治安状況について申し上げましたが、当庁では昨年増員をしていただきました警察官二百五十名を実働部門に配置する一方で、懸命に内部努力を行うことにより、必要な部署の体制強化を図ってまいりました。
 しかしながら、依然として厳しさが続いている都内の治安情勢に対応していくためには、人的基盤の強化が何としても重要でありますことから、今定例会におきまして、警察官の増員及び東京都職員の警視庁派遣に伴う一般職員の期限つき増員等に関する条例の改正をお願いしているところであります。
 警視庁におきましては、今後とも警察力の最大限の効果的な運用を図り、首都治安の維持に万全を期して、都民の皆様方の安全と安心を確保するため、全力を尽くしてまいります。
 都議会議員の皆様方におかれましては、警察活動を取り巻く諸般の実情をご理解いただき、なお一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げまして、治安状況報告とさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)

○議長(内田茂君) 以上をもって警視総監の発言は終わりました。

○議長(内田茂君) 次に、監査委員より、監査結果の報告について発言の申し出がありますので、これを許します。
 監査委員星野篤功君。
   〔九十三番星野篤功君登壇〕

○九十三番(星野篤功君) 監査委員を代表いたしまして、過去一年間に実施した監査結果につきましてご報告申し上げます。
 地方分権が本格的に進む中で、行政に対する住民の監視の目は厳しさを増しており、行政の透明性や説明責任の向上を図ることがますます重要となっております。
 一方、都財政につきましては、昨年十月に発表された第二次財政再建推進プランでは、今後、都税収入に大幅な伸びが期待できない中で、毎年度巨額の財源不足が生じると見込まれるなど、依然として厳しい状態が続いております。
 このような状況の中で、都政はこれまで以上に都民の視点に立って効率的、効果的な行財政運営の実現を目指していくことが強く求められております。
 私ども監査委員は、こうした認識のもとに、都の各種事務事業が法令等の趣旨に沿って適正に行われているかという観点はもとより、投下した経費に見合う効果を上げているか、また、所期の目的を達成しているかという経済性、効率性、有効性の観点からも積極的に検証、評価を行いながらチェックしてまいりました。
 この一年間に、定例監査、事務事業監査、工事監査、決算審査等の各種の監査を実施いたしましたが、その結果、事務事業は、全体としてはおおむね適正に執行されているものの、なお一部に是正、改善すべき事項が見受けられました。
 これら各種の監査におきまして、指摘や意見等として取り上げました件数は、全体で百八十件でございます。
 また、収入漏れや不経済支出等の金額としては、合計で約七億一千万円が見込まれまして、昨年までと比べますと、かなり増加している状況でございます。
 以下、監査種目ごとに、その実施状況をご報告申し上げます。
 まず、定例監査でございます。
 この監査は、都の財務に関する事務の執行などが法令等の趣旨に沿って適正に行われているかなどにつきまして、毎年度実施するものでございます。
 平成十五年度におきましては、本庁、事業所合わせて四百五十三カ所につきまして監査を実施いたしましたが、その結果、五十件の指摘及び五件の意見を付しております。
 その主なものを申し上げますと、固定資産税等の課税に当たり、地目の認定を誤ったため課税不足が生じているものや、個人住宅建設資金融資あっせん制度に係る債権で、履行期限が来ているのにもかかわらず調定していないため、債権額が一億一千七百万円ほど過大計上となっているもの、あるいは駅舎工事に当たり、関係部署との調整が不十分だったため、ユニットシャワーが一度も使用されないまま新しいユニットバスに交換されており、むだな支出となっているものなどがございました。
 また、今回重点的に監査する事項といたしまして、公営企業における各種の使用料等の減免を取り上げ、検証を行いました。
 このうち下水道料金につきましては、使用水量と汚水排出量とが著しく異なる場合には、使用者の申告に基づいて減量認定を行っておりますが、この減量分全体を換算すると、平成十四年度では約六十三億円に相当しております。しかしながら、この減量認定に当たっては、審査基準が設けられていないため、下水道に排出されない水量の多寡にかかわらず、申告があったすべてが認定されており、適切でない状況にありました。そこで、審査基準の設定について検討し、適切な収入を図るよう求めました。
 次に、事務事業監査につきまして申し上げます。
 この監査は、各局に共通する事務事業から特定テーマを選定し、効率的、効果的に執行されているか、横断的に検証し、評価を行うものでございます。
 平成十五年度では調査研究委託の実施状況を、平成十四年度は事業所における庁舎管理をそれぞれ実施し、今回あわせてご報告いたします。
 このうち調査研究委託につきましては、毎年度、金額にして六十億円から八十億円の規模で実施されておりますが、各局の個々の委託事業を、必要性、実施方法、結果の活用などの観点からチェックいたしました。
 その結果、今後は、調査研究委託の執行を全庁的に管理する体制を整備することが不可欠であるなどの総評とともに、十六件の指摘及び二件の意見を付しております。不経済支出等の金額では、約一億七千万円となっております。
 その主なものを申し上げますと、自由処分の建設発生土に係る積算基準について、現行のような統一単価を用いることなく、施工場所と処理場との関係を考慮して施工地区ごとに単価設定し、処分経費の削減を図るよう求めたもの、また、国の依頼を受けて実施している交通事故調査について、国が全く財政負担をしていないため、その応分の負担を求めたものなどがございました。
 一方、事業所における庁舎管理につきましても、特命随意契約で行っているエレベーター保守点検委託の契約方法を見直すよう求めたものなど、十三件の指摘及び七件の意見を付しました。
 また、行政監査は、特定の事務事業を選定し、検証、評価するものでございますが、今回は、精神障害者の社会復帰対策に関する施策から三事業、水域環境の保全対策に関する施策から三事業についてそれぞれ実施し、六件の改善すべきとの意見を付しております。
 次に、知事からの審査依頼を受けて実施する決算審査でございます。
 まず、出納長が所管する一般会計を初め、各特別会計の平成十四年度決算につきましては、財産に関する調書の一部におきまして、公有財産の登録等の誤りが五局で九件認められ、是正を求めましたが、それ以外の決算計数は適正に表示されていることを確認いたしました。
 また、決算全体に対する意見として、引き続き厳しい財政状況の中で、都民の期待にこたえ、山積している都政の重要課題を解決しながら、いち早く自主的な財政再建をなし遂げるよう、さらなる努力を求めるとともに、各局で所管する事業につきましては、六件の意見を付しました。
 このうち、世界都市博覧会の中止に伴い、平成七年度に特別対策として行われました総額約七十七億円の融資あっせんにつきましては、金融機関が借り受け人から回収できなかったものを都が全額補償することから、平成十四年度末で百二件、約二十一億円の債権を金融機関から譲り受けておりました。
 この債権につきましては、一部回収等を図っているものの、未収となっている件数及び金額などを正確に把握しておらず、歳入調定も行われていないため、整理回収にかかわる事務処理を適切に行うよう求めました。
 次に、公営企業各会計の平成十四年度決算につきましては、十一会計のうち三会計において会計処理の誤りが認められましたが、それ以外の決算計数は適正に表示されていることを確認いたしました。
 また、各企業会計別では、十会計に対して十五件の意見を付しております。
 このうち臨海地域開発事業会計は、当年度決算では純利益となっているものの、今後、多額の企業債の償還を控えているなど、引き続き厳しい経営環境が見込まれることから、臨海地域開発財政基盤強化プランを今後とも着実に実施するよう求めました。
 また、高速電車事業会計では、積極的に増収を図るため、都営地下鉄各駅の利用されていない空間を貸し出して収益を得る構内営業事業に取り組んでおります。
 しかしながら、これを見ますと、七十七駅の百三十八カ所について、約一万三千八百平方メートルの有効活用可能な空間があることを把握しながら、テナント企業に対する誘致活動を行っておりませんでしたので、新規出店に係る積極的な働きかけを行うなどの取り組みを強化するよう求めました。
 次に、財政援助団体等監査につきまして申し上げます。
 この監査は、都が補助金等を交付している団体が補助等の目的に沿って適正で有効かつ効率的な事業を執行しているか、また、都が資本金を四分の一以上出資している団体が、出資目的に沿って効率的に事業運営を行っているかなどを主眼として実施するものでございます。
 今回は、補助金等を交付している百六十団体及び出資をしている十五団体の計百七十五団体を対象に監査を実施いたしましたが、その結果、二十五件の指摘及び四件の意見を付しております。
 このうち補助金等交付団体に対する監査におきましては、私立学校に対する四十人学級編制推進補助について、補助対象学級数の把握に誤りがあったことから、補助金の返還を求めました。
 一方、出資団体に対する監査におきましては、東京夢の島マリーナの係留区画利用料につきまして、平成十三年度では年間利用料収入の約一〇%に当たる六千四百万円が未収となっていることなどから、速やかに回収するとともに、その発生の防止に努めるよう求めました。
 また、営団地下鉄における駅エレベーター等設置工事に伴う工事監理業務の委託につきましては、契約の相手方に関連の子会社二社だけが選定されておりました。そこで、今後は、新規参入を促進するなど、透明性、競争性を確保した契約事務を行うよう検討を求めました。
 次に、工事監査につきまして申し上げます。
 この監査は、都が行っている工事につきまして、不経済な支出や施工不良がないかなど、技術面から監査するものでございます。
 今回は十八局の千七百六十七件の工事につきまして監査を実施いたしましたが、その結果、十二件の指摘及び五件の意見を付しております。
 その主なものを申し上げますと、福祉施設の厨房の排気ダクトの施工に当たり、仕様書で規定しているものより薄い板厚のダクトを使用するとした施工計画書が提出され、これをそのまま承諾して施工したため、施工管理が不適正なものなどが見られました。
 また、高度浄水施設の電気設備工事において、電気室に設置するコントロールセンター盤につきましては、片面にのみユニットを収納するタイプを採用することとしておりました。しかしながら、近年、一般的に使用されている両面にユニットを収納するタイプにした場合、コスト縮減につながることから、コントロールセンター盤の形式選定に関する局の手引の改訂を早期に検討するよう求めました。
 次に、住民監査請求につきまして申し上げます。
 住民監査請求は、住民が、執行機関や職員による財務会計上の行為に違法または不当な行為があるとして監査委員に監査を求め、必要な措置を講ずることを請求するもので、近年、増加傾向にございます。
 この一年間には五十一件の請求がございましたが、このうち、要件を欠いているために監査を実施せず、いわゆる却下したものなどが三十七件、監査を実施したもののうち、措置すべき事項を執行機関に勧告したものが二件、請求人の主張には理由がないとして、いわゆる棄却したものが十二件となっております。
 勧告した二件は、都立病院等において発注された寝具類の賃貸業務等について、談合行為による損害をこうむったにもかかわらず損害賠償請求権の行使を怠っているもの、及び江東区枝川地区に所在する都有地が不法占有されていることは財産の管理を怠るものとして、それぞれ必要な措置を求めたものでございます。
 以上、この一年間の監査の実施状況につきまして述べましたが、監査の結果指摘した事項等につきましては、各局に対して早急に是正、改善するなど適切な措置を講じるよう求めております。
 執行部局におきましては、これらの監査結果に十分留意し、今後の事務の適正かつ効率的な執行に一層の努力を望むものでございます。
 なお、平成十五年度におきまして、これまでの監査結果に基づいて措置を講じた旨の通知が知事等から二百四十五件ございました。
 また、都民の方々に監査の結果などをわかりやすく理解していただくため、都民向けパンフレットとして、「監査二〇〇三|都政を見つめて|」を配布したことをあわせてご報告いたします。
 最後になりますが、私ども監査委員は、監査委員監査の役割がますます重要となっている中で、その使命をさらに重く受けとめ、今後とも、都の行財政の公正かつ効率的な運営を確保すべく、監査業務に万全を期してまいることを申し上げまして、報告を終わります。(拍手)

○議長(内田茂君) 以上をもって監査委員の発言は終わりました。

○議長(内田茂君) 次に、包括外部監査人より、平成十五年度包括外部監査結果の報告について説明を求めます。
 包括外部監査人守屋俊晴さん。
   〔包括外部監査人守屋俊晴君登壇〕

○包括外部監査人(守屋俊晴君) 平成十五年度包括外部監査人の守屋俊晴でございます。
 本日、貴重なお時間を割いてこのような機会を設けていただきましたことに心から感謝いたします。
 それでは、早速、平成十五年度に実施いたしました包括外部監査結果の概要につきまして説明させていただきます。
 本年度の監査の対象としたテーマは、一、下水道事業の経営管理について、二、農林水産事業の補助金等について、三、監理団体の経営管理についてでございます。
 監査の結果は、指摘が三十二件、意見が七十五件、合計で百七件になります。
 時間の制約もございますので、主な点をご説明申し上げます。
 第一は、事業の実施内容が都民のための施策になっているか、また、都民の生活の向上に役立っているかという視点からでございます。
 下水道関連施設は大規模施設が多く、建設から供用開始までに長い期間を要するものですが、建設を終えても長期にわたり使われていない施設があります。中には、工事完成から二十年以上たっているものもあります。これら長期の未供用施設に投資された額は、区部で五百三十一億円、流域下水道で四十二億円になります。未供用となった原因としては、計画時点からの処理水量の変化等がありますが、それにしても税金や下水道料金を財源としてつくられる高額の資産が都民生活の向上に役立っていないことになります。民間の事業では考えられないことです。高度処理施設や雨水対策用施設として積極的な転用を図るべきであります。
 また、保有土地のうち未利用地が、流域下水道の代替地を含めますと、帳簿価格で一千二十六億円に上ります。こうした土地につきましても、維持管理費や金利負担が発生していることを十分認識し、早急に有効活用を図るよう意見を付しました。
 そのほか、固定資産以外にも、有効活用を図るものとして内部留保資金があります。平成十四年度末で普通預金が一千二百十九億円あり、これは将来の企業債償還財源等でもありますが、全額を預金としておく必要はありません。普通預金と現在発行されている企業債との利率の差が一%以上あることを考慮すれば、新たな企業債の発行を抑制するなど、資金の有効活用を図るべきであるとの意見を付しております。行政においても、資産の活用によい意味でのがめつさが必要と考えます。
 二つ目は、事業の経済性、効率性及び有効性の視点からでございます。
 まず、農業関連補助金の総括的な問題であります。国の補助制度の影響もありますが、都においても、農業振興地域へのハード事業を中心とした補助金となっています。東京農業振興プランの中では、産業として魅力ある東京農業の確立や、東京農業から都民、全国への情報発信をうたっています。こうした施策の方向から補助金事業の有効性を見ますと、対象事業をブランド生産物の開発、育成及び販路の拡大等を含めたソフト事業へとシフトしていくことが必要であると考えました。
 同様に、島しょ漁業関連補助については、整備した施設を効率的に生かすためのソフト事業へと、補助事業の軸足を移していくことを検討すべきとの意見を付しました。
 次に、各事業の評価についてであります。
 民間では、実施した事業について厳しい評価を行い、事業の経済性、効率性の向上を図っております。
 補助金事業について忌憚なく申し上げれば、事業執行の確認は行われていても、事業の有効性を評価する点では不十分と考えます。補助の目標を具体的に、できる限り数値的に設定するとともに、補助実施後には必要なデータを収集、分析し、事後評価を行い、事業選択の検討に反映させていく必要があります。特に財政難の折、限られた予算の範囲内で最大の事業効果を得るためには、このことは必要不可欠です。
 具体的に個々の事業について、評価の視点から、廃止すべきもの、他の事業との統合をすべきもの、少額補助金で見直しをすべきものなど、幾つか挙げました。例えば、交付額より事務費の方が多額となる少額補助金については見直しをすべきです。
 また、多年度にわたる工事で単年度実施を図るべきものがあります。同時並行的に進められている農道や林道などの工事は、単年度化することにより、工事代金の引き下げや事業完了効果の早期実現が図れます。しかし、これも事業評価を確実に行い、事業の優先づけをしていくことなくしては、実現困難であると考えます。
 下水道事業においても、事業に対する評価を踏まえた見直しを急ぐべきものがあります。汚泥の資源化事業として、区部でのメトロレンガ事業や流域下水道でのコンポスト処分事業等は、需要が停滞し、経費の高騰を招いたまま継続されてきております。新たな技術の開発も進んでおり、事業の評価を迅速に行い、事業の撤退、他の方法への転換等を早急に検討すべきであると考えます。
 三つ目に、組織内部では容認されていても、外部の者から見ると至急改善に取り組んでいただきたい問題として、下水道局関連での業務手当があります。下水道局及び流域下水道本部では、本庁職員も含めて、管理職を除く全職員に、基本給の四%相当額が業務手当として支給されております。手当創設等の経緯及びこれまでの削減努力につきましては、局側から丁寧にご説明いただきました。しかし、処理場作業手当や危険現場作業手当などの特殊勤務手当とは別に、この業務手当を支給する必要性、合理性について、どうしても納得することができませんでした。その総額は、平成十四年度で七億三千万円に上ります。
 なお、この手当は、水道局職員にも同様に支給されております。
 人件費が一般会計からの補助金や料金にはね返ることを考えますと、段階的引き下げ、さらには廃止に向けた一層の取り組みがなされるべきであると考えます。
 最後に、監理団体の経営管理についてですが、監査の対象といたしました監理団体は、財団法人東京都農林水産振興財団及び東京都下水道サービス株式会社の二つの団体であります。
 事業の原価管理意識をより一層高めるための会計処理や契約方法等について、幾つか指摘、意見を述べました。
 特に東京都農林水産振興財団の屋上緑化事業は、今後、収益事業としての展開が期待されるところであり、人件費等も含めた原価管理を徹底するよう意見を付しました。
 東京都下水道サービス株式会社については、取締役会の活性化、余剰金融資産の活用、経費の抑制等について指摘、意見を述べました。何よりも都は会社の筆頭株主であり、同社の所管局である下水道局は、具体的な指導監督責任を果たすべきであると考えます。
 以上、本年度の包括外部監査結果の概要について述べてまいりましたが、執行部局におかれましては、外部監査の結果に十分留意され、事業の改善に取り組まれることを切に望みます。
 最後に、今回の外部監査に対しまして、都議会を初め関係各機関からのご協力をいただきましたことに感謝申し上げまして、平成十五年度包括外部監査結果の説明を終わります。(拍手)

○議長(内田茂君) 以上をもって包括外部監査人の説明は終わりました。

○六十七番(吉野利明君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日は、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一を先議されることを望みます。

○議長(内田茂君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一を先議することに決定いたしました。

○議長(内田茂君) 追加日程第一、議員提出議案第一号、東京都議会議員の報酬及び期末手当の特例に関する条例の一部を改正する条例を議題といたします。
 案文はお手元に配布してあります。
(議案の部参照)

○六十七番(吉野利明君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議員提出議案第一号については、趣旨説明並びに委員会付託を省略し、原案のとおり決定されることを望みます。

○議長(内田茂君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、議員提出議案第一号は、原案のとおり可決されました。

○六十七番(吉野利明君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会し、明二十六日から三月一日まで五日間、議案調査のため休会されることを望みます。

○議長(内田茂君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明二十六日から三月一日まで五日間、議案調査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は三月二日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後二時五十四分散会


文書質問趣意書及び答弁書

平成15年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

 提出者 後藤雄一

質問事項
 一 職免の運用について
 二 (財)東京都福利厚生事業団が行う退職職員の損害保険団体契約について
 三 通り抜けが出来る私道と公道の交差点について
 四 監理団体の指導の問題点について
 五 消防庁の施設監理について
 六 聖域なき財政再建について

一 職免の運用について
  都は元気回復事業と称し、年16時間(警視庁は3日間)の職免を認めている。元気回復事業は昭和26年当時に作られ、昭和40年はじめに最終改正された条例・規則を運用している。しかし、この古びた条例・規則を組合が勝手に拡大解釈して、デタラメな運用をしていることが明白になった。
  職免基準の備考欄には、「原則として勤務時間外に実施すべきものであるが、勤務の特殊性、実施場所の確保の困難等真にやむを得ない場合においてのみ、勤務時間内において実施できるものであること、」と書かれている。
  しかし、行革110番が調べたところ、ほとんどのスポーツは平日昼間の勤務時間中に職免でおこなっている。その理由を「土日祭日は都民(民間)が使うので、平日に行う」と、恩着せがましく言う。また、知事部局では囲碁、将棋を、消防庁はボーリング、ウォーキングまでを勤務時間中に職免で行っている。
  民間は生き残る為に、頑張っているのに、都は勤務時間中に野球・サッカー・ボーリング・囲碁・将棋、ウォーキングで遊んでいる。これでは、都庁はお遊び集団と言われても仕方なく、都民の理解は得られない。
  都道府県でも、元気回復事業を行っていない県等が4、職免扱いをしていない県等が29、特別区でも行っていない区が1、市町村では、行っていない市が9、職免扱いしていない市が7ある、と言う。この際、役所も民間と同じと認識し、現状の元気回復事業を廃止し、原則に戻り、勤務時間外に行う新しい形態に変えさせなければならない。さもなければ、納税者の納得は得られないだろう。
  元気回復事業の廃止を含め、厳正に対処すべき、と考える。
  見解を伺う。
二 (財)東京都福利厚生事業団が行う退職職員の損害保険団体契約について
  (財)東京都福利厚生事業団は、退職職員の損害保険団体契約を(有)エイドセンターと結んでいる。エイドセンターの謄本を取ってみると、都庁管理職等の天下りの受け皿会社であることが判明した。保険の代理業務(手数料)等で得た収益は、天下り役人の給料分と相殺するという、費用対効果を考えない、非効率的な経営をしている、という。
  エイドセンターは福利厚生事業団の保険代理店(子会社)的性格の会社であり、民間なら、子会社といえども利益を上げさせるため合理的な経営が求められる(バブル崩壊以前は行われていたかもしれないが)。
  エイドセンターは民間企業として位置づけられているが、前述にように、利益の大部分を天下り職員の給与に当てている、親方日の丸のお役人天国と言わざるを得ない。
  福利厚生事業団の事業に多額の税金が投入されているにも係らず、上記のように、お役人天国を維持する為に手を貸すのであれば、退職職員に関する業務は削除すべきである。
  都民の理解が得られ、都民に説明できる福利厚生事業団にする為にも、福利厚生事業の本来のあり方について、費用対効果・市場原理が働くよう検討すべき、と考えるが、見解を伺う。
三 通り抜けが出来る私道と公道の交差点について
  都庁から新宿税務署に行く裏通り、西新宿8-3「人も車も危険、意識を高めよう」と書かれた立て看板がある。よく見るとこの交差点、「止まれ」の標識が一つもない。しかし、よくよく見ると立て看板が3枚もたっている。
  「人も車も危険、意識を高めよう」
  「安全確認(月2回以上発生)この看板は危険なので立てました」
  「警防 駐停車中の車上荒らし多発 変質者・放火等にも注意」
  変質者と放火はともかくとして、どちらが優先道路なのか解らない交差点には、「止まれ」の標識が有効ははずだ。
  行革110番が新宿警察に指摘したところ、交差点部分をカラー舗装、中心に白色の交差点マークを描いた、そして、一旦停止の標識は、私道の管理者と相談して前向きに進めるという。
 1 しかし、行革110番が現地で調査中にも、ぶつかりそうな場面に遭遇している。
   私道の管理者と相談というが、一般都民が利用することの出来る「通り抜け道路」の場合は、都民の安全確保に向けて、強制力がある条例・規則等で対処すべき、と考える。
   見解を伺う。
 2 都内に同様の交差点が存在すると思うが、警視庁が確認している場所のリストの提出を求める。
四 監理団体の指導の問題点について
  行革110番が平成15年9月議会から取り組んできた、都監理団体の非常勤役員・評議員に支払った費用弁償に対する源泉徴収義務違反!の問題について伺う。
  (財)東京都駐車場公社が源泉税徴収義務違反!で新宿税務署から指導を受け、過去にさかのぼり源泉税を徴収されることが決まった。しかし、駐車場公社と同じく、源泉徴収義務違反をしている多くの監理団体は、他人事!真剣に取り組んでいない。本来なら、総務局行革推進室、生活文化局都民協働部市民活動推進課が各監理団体を指導しなければならないのに、積極的に行っていない。源泉徴収の時効は5年、先延ばしにすることで、源泉税を納めなくて良くなるケースが出てくるかもしれない。そこで、行革110番は適正に源泉徴収していない都監理団体に、1件ずつ電話作戦をした。
  その中の「(財)都人権啓発センター」の事務局長は、「税理士に頼んで浅草税務署と相談してもらったら、今後は源泉徴収するように!と言われたが、過去は源泉徴収しろ、と言われていない。」という。そこで、浅草税務署に電話で聞くと、「税理士と電話で話したが、過去は徴収しなくてもよい、などと言うはずがないし、言ってもいない。法律に基づいて適正に払っていただく、と言った」と、担当者はいう。税務署が過去にさかのぼり徴収すると言うのに、この税理士さん、源泉徴収の制度を知らないはずがない。
  監理団体には、税金が多く注ぎ込まれている以上、適正な手続きで行うべきだ。役人は庶民から税金を取り、使うことしか知らず、払うことは知らない!これでは、庶民は税金を払う気がしなくなる。
  12月現在、都監理団体の費用弁償に関する源泉徴収の現状を把握していると考えるが、各監理団体ごとの実情のご報告を願いたい。
  また、各種審査会等の実情もあわせてお願いする。
五 消防庁の施設監理について
 1 消防庁の単身寮の管理
   東京消防庁には、震災・火災等の大規模災害発生時において、勤務時間外の職員を非常参集し、早期に災害活動態勢を確立して対処する必要がある。その為の職員宿舎として、防災員宿舎があり、単身者用と家族寮がある。
   単身者用の「消防待機寮(単身寮)」を調べてみると、何と、180%の入居率の寮があることが解った。
   荒川区町屋の単身寮は、1988年12月に建てられた3階建て、6畳間が10室、入居者が18人、つまり、6畳の8室が2人部屋と言うことになる。
   消防庁から提出された資料を計算すると、2003年10月現在、部屋数は1,672部屋、入居者数1,545人で、単純に計算すると、空き部屋が127部屋となる。
   担当者は、「消防署管内の単身寮に入居を基本としている。いままで苦情・不平もない。」と答える。しかし、消防庁には組合がない。組合がない分だけ幹部、そして、人事担当者は、職員の事を考えなければならないはずだ。志村消防署内で起きた火災!職員の放火(関係者の話では「いやがらせ!」)?の可能性も含め調査中という。多数の消防署職員から「命をかけている職員の為!」と題し、消防庁幹部職員、そして、体質の改善を求める告発文が行革110番に多く届く。若い職員に不平・不満がないはずがない。予算がないなら、せめて、近所の単身寮を融通するぐらいの対策を講じるべきだ。現場の消防職員は、火の中に突入する任務がある。尚更、職員のストレスを考えた人事管理が大切だ。
   東京消防庁消防待機寮管理規定20条2項に「消防署長は、自己の運営監理する単身寮に入居させることが出来ないときは、方面本部長に報告し、方面単身寮への入居調整及び指定を受けるものとする。」と書かれている。
   消防庁は、原則2人としているのなら、現状のままでも規定違反にならないが、一人一部屋を確保することも時代の求めているところであり、部屋数も余っており、一人一部屋にすべき、と考えるが、見解をお尋ねする。
 2 消防庁本部の管理
   消防庁本部の自動ドアが開き中に入ると、テロ対策の警備としてエレベーターフロアーに通じる廊下に消防庁制服姿の職員2人が、来庁者一人一人に胸に付けるワッペンを渡しながら、受付簿に入庁時間・氏名・会社名・電話番号・行き先(階・所属)・胸章Noを記入させている。「受付簿」を記入しないと入れてくれない厳重な警備をしているようにみえる。
   しかし、現状はどうだろうか?
   消防庁本部には、12階に食堂・喫茶室がある。
   受付で、受付簿の用件欄には「12階」又は「食堂」と記載すれば、身分の確認等は一切行われずに、誰でも食堂・喫茶室を利用できるのだ。
   受付の責任者曰く、「近所の官庁、民間会社の方が食堂を利用しています。入り口で、受付簿に氏名等を記入してもらっている。」と強調する。
   消防庁は、東京の防災の指揮系統の元締と聞いている。その消防庁の建物に入る用件が「食堂・喫茶室の利用」で良いのだろうか?これでは、受付にいる制服姿の消防庁職員は、食堂・喫茶室のガードマンと変わりない。テロ対策をしているのなら是正する必要があるし、今後も誰でも食堂・喫茶室を利用できるとするなら、受付簿・ワッペン等は廃止した方が経費の節減になる。消防庁本部の危機管理とは口先だけの事だったことが証明された。見解を伺う。
   志村消防署内で起きた火災!の報告を求める。
六 聖域なき財政再建について
  石原知事は「聖域なき財政再建」を断行すると宣言している。都民の支持率が高い理由も、知事が行政の仕組みを変える為に、正面から取り組んでいることが、一つの理由と思われる。
  11月、日本テレビ「特捜プロジェクト」で、議会専用公用車が「選挙応援、支持者回り」をしている現状が放映された。都民の目に公用車の実体が鮮明に焼き付いたはずだ。
  そこで、いままで手を付けずにいた、議会の公用車、議会棟地下駐車場、そして、局長の公用車、を聖域扱いせず、厳正に取り組むことを求める。
 1 議会の公用車・ハイヤーについて
   11月にテレビで放映された事実を厳正に受け止め、議会に対し、議会公用車・ハイヤーも、使用基準を明確にするよう求め、シーリングの対象にするべき、と考えるが、見解を求める。
 2 議会棟地下駐車場について
   都は施設の利用の見直しをおこなっている。行革110番の指摘で、(財)東京都中小企業振興公社の土日祭日しか利用していなかった公社地下駐車場を、平日の利用に向け準備を進めているという。
   しかし、議会棟地下駐車場は入り口には、ゲートがあり、駐車券を発行する機械等が設置され有料駐車場用の料金徴収の機器が一式整っており、駐車場公社職員2名が常駐しているにも係らず、無料である。
   無料であることから、議会関係者が6月24日から4ヶ月以上も無断駐車していた事も明るみになった。
   また、議員に面会と言えば駐車場に入れるので、議会に関係ない車も利用している。
   議会が開催されるときは満車になるが、平日はガラガラなので、一般に解放して有料駐車場にすべきだ。東京都は財政難、ならば、いっそのこと、議員からも駐車料金を徴収すれば良い。(議員には1万円の交通費、そして、調査活動費として一人当たり720万円支給されている)
   本件駐車場を有料にすることにより、料金収入が入るばかりでなく、適正な監理が行える。
   議会棟地下駐車場を有料にすべき、と考えるが、見解を伺う。
 3 局長の公用車について
   行革110番は、以前から専用公用車による局長の朝晩の送迎の廃止を提案している。聖域なき!と言うのであれば、民間でも黒塗りの車による役員等の送迎をおこなっているところはほとんどなくなった。
   即刻廃止すべき、と考える。
   見解を伺う。
 4 職員のビジネスクラス航空券利用について
   職員の旅費に関する条例第34条2項「前項第1号ロ又は第2号ロの規定に該当する場合において、搭乗する航空機の目的地までの予定所要時間が8時間を超える時には、第1号ロの運賃は中級の運賃に、第2号ロの運賃は上級の運賃によることができる。」と書かれている。
   簡単に言えば、8時間を超える、つまり、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアの旅行は、一般職員でもビジネスクラスに乗れることになっている。
   民間では、経費の節減でビジネスクラスの使用は廃止している会社が大多数である。
   下水道局では、課長のアメリカ出張にビジネスクラスを利用し、1週間の旅行に90万円を支出している。下水道局総務部長はビジネスクラスを利用することについて、「職員がエコノミークラス症候群にならないように、使用者として配慮をしている」と説明する。
   この説明で都民が納得するだろうか?財政再建に取り組んでいる公営企業として、また、公務員として配慮を欠いた発言である。
   行革110番が調べたところ、商社、銀行、大手新聞社でも海外航空券のビジネスクラス利用が廃止されている。特別の事情があるときも、申告が必要で、許可を必要と聞く。
  特別な事情以外は、ビジネスクラスの利用を禁止すべき、と考えるが、見解を伺う。
   また、平成12年6月20日事務連絡「航空運賃の支給・清算手続きについて」「…この取扱に際し、航空運賃については、実費額を確認する必要があることから、航空会社営業所又は旅行代理店が発行した領収書等の実費額が確認できる書面を清算時に添付する。」と書かれている。
   しかし、航空券はビジネス・エコノミーを問わず、航空会社で料金はちがい、そのうえ、各種割引運賃が存在し、代理店と結託すると、いくらでも誤魔化すことができる。
   上記、事務連絡にように現在は、「領収書等の実費額が確認できる書面を清算時に添付する」だけでは、不正を防止する為に、帰国後、清算する時に航空券の半券(パッセンジャーレシート)、ボーディングパスを帰国後に提出させるべきと考える。
   見解を伺う。

平成15年第四回都議会定例会
後藤雄一議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 元気回復事業は勤務時間外の実施が原則となっているが、例外規定を拡大解釈して、勤務時間内に職務専念義務を免除して実施している。現行の元気回復事業は廃止し、勤務時間外に行う新しい形態に変えるなど、厳正に対処すべきと考える。見解を伺う。

回答
  都の元気回復事業は、地方公務員法第42条に基づき、職員相互の緊密度を高め、勤務能率の増進に資することを目的として実施しています。
  元気回復事業は、原則として勤務時間外に実施すべきものでありますが、交替制勤務等の勤務の特殊性がある場合、実施場所を勤務時間外に確保することが困難な場合等には勤務時間内に実施しており、これに伴う職務専念義務の免除については、条例等に照らし合わせて業務に支障のない範囲で承認しています。
  今後とも、勤務時間外実施の原則をより徹底することなどにより、厳正かつ適切な運用に努めていきます。

質問事項
二 福利厚生事業団の事業に多額の税金が投入されているにも係らず、お役人天国を維持する為に手を貸すのであれば、退職職員に関する業務は、削除すべきである。福利厚生事業の本来のあり方について、費用対効果・市場原理が働くよう検討すべきと考えるが、見解を伺う。

回答
  (財)東京都福利厚生事業団の退職会員事業は、退職会員の会費及び事業団の事業収益により運営しています。
  今後とも、退職会員に対する福利厚生事業の充実と業務の効率化について、事業主体である事業団を引き続き指導していきます。
  なお、ご質問にある有限会社は、都が出資している監理団体ではなく、保険代理業を主たる業務とする民間企業です。

質問事項
三 通り抜けができる私道と公道の交差点について
 1 西新宿8丁目3番の交差点について、新宿警察に指摘したところ、一旦停止の標識は、私道の管理者と相談して前向きに進めるという。私道の管理者と相談というが、一般都民が利用することの出来る「通り抜け道路」の場合は、都民の安全確保に向けて、強制力がある条例・規則等で対処すべきと考える。見解を伺う。

回答
  道路における交通規制については、道路交通法第4条により、「公安委員会は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るために、信号機又は道路標識等を設置し、及び管理して、交通規制をすることができる。」と定められており、また、最高裁判決(昭和44年7月11日)によれば、「たとえ私有地であっても、不特定の人や車が自由に通行できる状態になっている場所は、道路交通法上の道路である。」とされております。
  したがいまして、私道につきましては、現行の道路交通法で標識の設置が可能であることから、条例・規則等での対処は必要ないものと考えております。
  なお、私有地に道路標識を設置する場合には、事前に地権者の承諾を得て行うこととしており、平成16年1月16日、同交差点について、道路交通法に基づき地権者の承諾を得て、一時停止の道路標識を設置いたしました。

質問事項
三の2 都内に同様の交差点が存在すると思うが、警視庁が確認している場所のリストの提出を求める。

回答
  警視庁には、私道と公道の交差点のある場所を示す資料はありません。

質問事項
四 監理団体の指導の問題点について
 1 12月現在、都監理団体の費用弁償に関する源泉徴収の現状を把握していると考えるが、各監理団体ごとに実情について伺う。

回答
  監理団体の非常勤役員及び評議員に支払われる費用に係る所得税の源泉徴収については、各団体が所轄税務署と協議を行っていますが、その指導に基づき適正に処理するよう指導していきます。

質問事項
四の2 各種審査会等の費用弁償に関する源泉徴収の実情についても併せて伺う。

回答
  各種審議会等の委員に対する報酬及び費用弁償は、「東京都附属機関の構成員の報酬及び費用弁償に関する条例(昭和28年東京都条例第127号)」などに基づき、所管する局等において支給しています。

質問事項
五 消防庁の施設監理について
  1 消防庁の単身寮について、消防庁は、原則二人としているのなら、現状のままでも規定違反にならないが、一人一部屋を確保することも時代の求めているところであり、部屋数も余っており、一人一部屋にすべきと考えるが、見解を伺う。

回答
  単身寮への入居については、大規模災害発生時等における初動態勢確立のため、勤務する消防署管内にある寮への入居を原則としています。
  入居の指定にあたっては、都民を災害から守る活動態勢を確保しつつ、職員の意向も踏まえながら対応するとともに、入居者の居住環境についても改善に努めてまいります。

質問事項
五の2 消防庁の建物に入る用件が「食堂・喫茶室の利用」で良いのか。テロ対策をしているのなら是正する必要があるし、今後も誰でも食堂・喫茶室を利用できるとするなら、受付簿・ワッペン等は廃止した方が経費の削減になる。見解を伺う。

回答
  東京消防庁では、現在、本部庁舎警戒の一環として、全ての来庁者を対象に、受付において訪問先を記帳させるとともに、訪問先の階を表示した胸章を着用させ警戒しています。
  今後、社会情勢等の変化により、手荷物の検査や食堂利用者も含めた入庁の制限など、状況に応じて段階的に警戒を強化してまいります。

質問事項
五の3 志村消防署内で起きた火災の報告を求める。

回答
  志村消防署の火災は、平成15年5月17日(土曜日)7時57分に覚知し、8時50分に鎮火した火災で、耐火造、地下1階、地上5階建て、延べ面積4,137平方メートルのうち地下1階200平方メートルを焼損したものです。
  現在、原因については調査中であります。

質問事項
六 聖域なき財政再建について
  1 日本テレビ「特捜プロジェクト」で、議会専用公用車が「選挙応援、支持者回り」をしている現状が放映された。この事実を厳正に受け止め、議会に対し、議会公用車・ハイヤーも、使用基準を明確にするよう求め、シーリングの対象にす
るべきと考えるが、見解を求める。

回答
  議会公用車の使用については、都議会において、使用に係る必要な事項を定めて運用しています。
  また、議会公用車の維持運営費については、シーリング対象となっています。

質問事項
六の2 議会棟地下駐車場は無料であることから、議会関係者が4か月以上無断駐車していた事も明るみになった。議会に関係ない車も利用している。一般に開放して有料駐車場にし、議員からも駐車料金を徴収すればよいと考えるが、見解を伺う。

回答
  本駐車場は、都議会議事堂の付属施設であり、各議員の意向を踏まえながら、議会活動の利便性確保を目的として、運用しているものです。
  したがいまして、広く議会活動の利便の確保という本来の目的を損ねない利用・管理が重要と考えます。
  このことを踏まえ、今後とも関係各局と連携し、本駐車場の適切な管理に努めてまいります。

質問事項
六の3 局長の公用車について、即刻廃止すべきと考える。見解を伺う。

回答
  局長は、都政の各事業分野のリーダーとして、その職務遂行のために、通勤時を含め、いついかなる時でも必要な情報収集、判断及び指示が行えるなど、迅速で適切な行動がとれる体制を常に整えておくことが必要です。
  公用車による送迎は、一種の危機管理であり、公務遂行上の必要から行っているものです。

質問事項
六の4 職員のビジネスクラス航空券利用について
   ア 特別な事情以外は、ビジネスクラスの利用を禁止すべきと考えるが、見解を伺う。

回答
  職員が外国へ出張した場合における航空機の座席クラスについては、原則としてエコノミークラスとしていますが、移動時間が8時間を超える場合には、長時間の移動による疲労が現地到着後の業務に影響することなどを考慮し、必要に応じてビジネスクラスを利用することも可能としています。
  今後とも、旅費制度のあり方やその運用については、社会経済情勢の変化に応じて、適切に対応していきます。

質問事項
六の4のイ 不正を防止する為に、帰国後、清算する時に航空券の半券(パッセンジャーレシート)、ボーディングパスを提出させるべきと考える。見解を伺う。

回答
  航空運賃については、条例に基づき、現に支払った実費額を支給することとしており、旅費の精算時に実費額を確認できる書面を提出させています。
  提出する書面については、航空会社営業所又は旅行代理店が発行する領収書等、実費額が確実に確認できるものとしています。
  今後とも、制度の適正な運用を図っていきます。

平成15年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

 提出者 清水ひで子

質問事項
 一 都立の大学改革について

一 都立の大学改革について
  東京都はことし8月、都立大学の「新大学構想」を発表しましたが、その「改革」の内容と強権的な手法にたいして、大学関係者はもとより、都民、マスコミのなかからも、疑問と批判の声がひろがっています。
  その一つは、この大学「改革」が大学を良くするものとなるのか、どうかということです。
  石原知事は、「新しい大学を東京から発信する」、「学生の需要が大きく変化している」などといって、いかにも都立大学の大改革が必要であるかのようにいいましたが、そもそも都立の4大学は、都市問題など独自の分野の学術研究で成果をあげ、弁護士など国家資格者を輩出、産学公連携の地域連携など、全国の大学のなかでも独自の位置をしめ、たかい評価を受けている大学です。受験には、北海道から九州まで全国からおおくの学生がかけつけ、高倍率をほこるなど、進学希望者にとって、欠くことのできない大学となっているのです。
  また、直下型地震など都市型災害、地域金融問題、都市と居住など先進的な研究は、東京都のそれらの分野の政策化や施策化にあたっておおきな役割を果たしていることも、無視できません。
  したがって、いま、設置者である東京都にもとめられていることは、都立大学のこれらの側面を積極的に評価し、その成果をいっそう実りあるものとするための支援をおこなうことです。
  しかし、東京都が発表した「新大学構想」は、これらの都立大学の役割を否定し、4つの大学を廃止、統合しようというものです。その内容も、これまでの学部を解体し、都市教養学部や都市環境学部、システムデザイン科など、学問的にも不明瞭な分類で学部を再編するなど、大学関係者から疑問が出されているものです。
  また、学部の構成に関する調査を、こともあろうに大学受験のための進学塾に委託までおこないましたが、これこそ東京都が大学のあり方について、必要な見識も学術的蓄積もまったく有していないことを証明するものに他なりません。
  また、「新大学構想」は、法にもとづく「独立行政法人」の適用や、独立採算性の方向をつよくうちだしましたが、その狙いは、東京都の負担を軽減することにあることは間違いありません。このような方向が押しつけられることになれば、大学は経営をなりたたせるために、採算の合わない基礎研究から、外部資金のおおい分野の研究にシフトせざるを得なくなるなど、大学の変質、後退を招きかねない危険をもったものです。
  結局、「新大学構想」の方向は、石原知事がかねてからいってきた、ビジネススクールなどに力をいれることや、「独立採算性」を視野に、「民間」の経営感覚をとりいれることなどの主張に忠実にそったもので、本当に大学をより良いものとしていく立場からの建設的な提案とは到底、言い難いものです。また、これまでの都立大学のめざしてきたものとはまったく逆方向を向いたものと言わざるを得ません。
  二つ目は、この「改革」が、大学人による自主的、自発的なものではなく、石原知事と大学管理本部からのトップダウンによる強権的ともいうべき押しつけによるものということです。
  東京都が、2001年の最初に4大学の再編・統合を打ちだした「東京都大学基本方針」、さらにそれを発展させ、2005年4月に、4大学を統合し、短大を廃止した上で「新大学」を発足させるとした「東京都大学改革大網」のいずれも、大学の先生や大学の側から自主的に提案されたものではなく、知事の意向を受けた大学管理本部が、事実上、大学関係者の声をおさえつける形で、とりまとめたものに他なりません。しかも、大学関係者は、都側の強権的なやり方に、やむなく合意にいたった経過があります。
  しかも、重大なことは、こうしてまとめられた構想案についても、石原知事が、気に入らないとして、一方的に破棄し、設置者権限をふりかざして、8月1日に「新大学構想」を押しつけるにいたったのです。
  その過程は、自由、自主、独立が尊重され、自治的運営がおこなわれることによって本来の役割と機能が発揮されるべき大学運営を、都が乱暴にふみにじろうとするものにほかなりません。
  「新大学構想」の内容と、都のこのようなやり方がいかに道理のないものであるかは、都立大学総長が異例の反対声明を発表し、学部部長会、教職員組合、院生、助手の会、学生まで、大学を構成する人々がこぞって、「新構想」に反対し、都民的な再検討をもとめていることで明らかです。
  都立大学の学生のアンケートでは、「絶対反対だ」、「もっと学生にとって良い改革にして欲しい」などの声が寄せられ、86%が「今回の改革に反対」と答えるにいたり、学生の声が生かされていないという回答にいたっては93%におよんでいます。
  しかも、重大なことは、「新構想」への疑問や反対の声は、大学内にとどまっていないということです。すでに大学OBや都民による「都立大学を考える都民の会」が発足し、全国の大学の教職員有志による反対の声もあげられています。
  マスコミからも、「都の新構想には、安上がりの大学作りが透けて見える。都が示した『都市教養学』とは何か、といった根源的な問いかけもある」(12月12日付・読売新聞)などの報道もおこなわれています。
  また、法曹界からは、都の強権的な手法について、質問状が提出されるとともに、「いま都立大学にもとめられるものは、真にすべての都民に開かれ、平和と共生に寄与できる人々を生み出す学園であって、断じて企業本位・競争本位の大学ではない」というきびしい批判もあげられています。
  このようななか、都立大学の法科の教授が4人辞職を表明するにいたりました。この4人の教授は、都が来年開校を予定していた法科大学院の専任教員に予定されていた方々であり、この結果、来年1月に予定していた法科大学院の筆記試験を延期せざるを得ないという前代未聞の不詳事態をまねくことになったのです。その責任はひとえに、強権的に「新構想」をおしつけた都にあることは明らかです。
1 知事、このような前代未聞の不祥事を招いた責任をどううけとめているのですか。見解を問うものです。
  最近、あるビジネス誌が「ザ・大学ランキング 本当の実力がわかった」という特集をおこなっていますが、そのなかで、都立大学は、国の科学研究費取得を急速にのばし、トップをしめていること、国家資格取得者が多いことなど、全国の大学のなかでたかいランクに位置づけられています。このように、いまでも都立大学は、たかい水準にたっしているのです。もちろん、現状に安住することなく、さらなる努力と改革も欠かせませんが、それは上からおしつけるものではなく、あくまでも大学の自発的・自主的なとりくみによってなされるべきものです。
2 「新大学構想」はただちに白紙撤回し、都立大学のめざす方向について、大学関係者の自主的な検討にゆだねることこそ、問題解決の道ではありませんか。
3 また、「第2次都庁改革アクションプラン」にもとづく、独立行政法人化についても撤回し、都直営の大学として、必要な予算を確保して、全国に誇りうる大学にしていくことをもとめるものですが、それぞれ知事の答弁をもとめるものです。
以上

平成15年第四回都議会定例会
清水ひで子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 都立の大学改革について
1 都立大学の法科の教授の辞職により、来年1月に予定していた法科大学院の筆記試験を延期せざるを得ないという前代未聞の不祥事を招いた、その責任をどう受け止めているか、見解を伺う。

回答
  都立大学法科大学院については、専任教員に就任する者から平成15年6月1日付けで就任承諾書が提出され、6月27日には文部科学省に設置認可を申請して、開設に向け着々と準備を進めていたところです。しかし、「大学設置・学校法人審議会」に設置を認められた直後から相次いで専任教員の退職願が提出されたため、急きょ学生募集と入学試験を延期せざるを得ない状況となったことは、誠に残念なことであり、受験を予定していた学生の皆さんに多大な迷惑をお掛けしました。
  退職する教員は法学部の教員であるので、就任承諾書提出の意味合いは十分理解できたはずであり、法科大学院の内容に変わりがない中で、専任教員就任の承諾を突然反故にすることが社会に対して通用するものか、考えてほしかったところです。
  その後、平成16年1月23日に「大学設置・学校法人審議会」から教員の補充が認められましたので、予定どおり平成16年4月に法科大学院を開設することができるようになりました。今後は、法科大学院の充実を図り、社会が求める法曹の育成に取り組んでまいります。

質問事項
一の2 「新大学構想」はただちに白紙撤回し、都立大学のめざす方向について、大学関係者の自主的な検討にゆだねることこそ、問題解決の道ではないか。見解を伺う。

回答
  新しい都立の大学は、「大都市における人間社会の理想像の追求」を使命として、大都市の複合的な課題の解決に向けて積極的に取り組む、旧弊に陥ることのないダイナミックな大学にしていくことが何より重要です。
  都立の大学が現状のままで社会からの要請に応えていけるかは疑問であり、現行の大学関係者だけでは、根本的な見直しを行うことは困難です。
  今後とも、積極的に大学改革に取り組んでまいります。

質問事項
一の3 独立行政法人化についても撤回し、都直営の大学として、必要な予算を確保して、全国に誇りうる大学にしていくことを求める。見解を伺う。

回答
  少子化の影響で今後ますます大学間の競争が激化する中、現状のように経営の視点が希薄では生き残れなくなります。そこで、新大学は独立行政法人とし、学長とは別に経営の責任者として理事長を置いて、柔軟な人事・会計制度のもと、限られた人員・予算を有効に活用し、効率的な経営を行ってまいります。
  法人化と合わせ、大学を抜本的に改革し、全国に誇りうる全く新しいタイプの大学としていきます。

平成15年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

 提出者 小松恭子

質問事項
 一 市町村に対する定期予防接種費補助等の見直しについて

一 市町村に対する定期予防接種費補助等の見直しについて
  都は、2003年6月、第2次財政再建推進プランの策定にむけて発表した「途半ばにある財政再建」において、市町村補助を何度も例示し、最大の見直し対象としていく方向を明らかにした。そして10月に発表した「第2次財政再建推進プラン」では、都の補助率が2分の1をこえる「高率の補助金」、20年、30年と継続している「長期継続補助金」を幅広く見直し対象としていく方針を示している。これが実行されたら、都の補助金が大きな役割を占めている市町村財政と、福祉、保険、医療など市民サービスに深刻な影響を及ぼすことになる。
  すでに都は、「第2次財政再建推進プラン」にもとづく見直しの具体化の第一歩として、2004年度予算編成にむけ、多摩市長会、町村会に対し、28項目に及ぶ補助金の見直しを提示し、市長会、町村会から、きびしい反対の声があがっている。この問題について、以下、文書質問をするので、答弁をお願いしたい。
 1 定期予防接種費補助事業について
ア 日本の予防接種は1948年度から始まり、都では1963年度から、ジフテリア、百日せき、破傷風のいわゆる「3種混合」と、日本脳炎、ポリオ(急性灰白髄炎)の定期予防接種を市町村が無料で実施できるようにするため、都の全額補助がスタートして以来40年間、補助率は2分の1まで段階的に減らしながらも継続されてきたものだ。これを廃止するという都の提案に対し、多摩26市すべてが反対を表明し、都民からは「赤ちゃんの予防接種の補助まで打ち切るのか」と、怒りの声があがっている。
   かつての全額補助から、すでに補助率2分の1まで減らされており、「高率の補助」の見直しにあてはまらないため、今度は「長期継続補助」だという理由を持ち出して廃止しようという、とんでもない話であり、きびしい批判の声があがるのは当然だ。
 40年の長期にわたり補助が継続されてきたのは、それだけ必要性が高い、なくてはならないものであるからにほかならない。しかも、感染症予防のための予防接種の重要性を指摘する声は、専門家のあいだから近年とりわけ高まっており、いま補助を廃止する理由など、どこにもない。
 多摩26市すべてが、そろって反対しているという重い意味を、都はどう受け止めているのか。
イ 都が1999年に策定した感染症予防施策実施計画(「東京都の感染症の予防のための施策の実施に関する計画」)でも、「感染症の予防については、感染症の発生後に防疫措置を講ずる事後対応の行政だけでなく」「平常時から感染症の発生とそのまん延を防止していくことに重点を置いた事前対応型行政の体制を構築していく」とうたい、「予防接種は、感染症対策の一環として極めて重要なものである」として、「予防接種の推進」を明確に位置づけている。今回の定期予防接種費補助の廃止は、こうした東京都自身の方針に逆行しているのではないか。
ウ 都は、都道府県で定期予防接種の補助を行っているのは東京だけであり、全国的に市町村の全額負担による無料接種が定着していると言うが、日本外来小児科学会が2001年に行った調査によると、香川県では39市町のうち20市町が、5百円から3千円の自己負担を徴収しており、山形県では44市町村のうち23自治体が自己負担を徴収しているなど、必ずしも全国的に無料接種が定着しているとは言えない実態が明らかになっている。
 その中で、東京都が事業概要にも、「対象者が無料で受けられるよう、実施主体である各区市町村に対し補助を行う」と明記し補助を行ってきたことは、むしろ誇るべきことだ。いま、これを廃止した場合、市町村は総額8億円もの負担増となる。市町村では、1997年から母子保健の移管が始まり、2002年度からは全額市町村の負担となった。これによる事務費と人件費のために、東村山市だけで、年間1億1千5百万円もの負担増になっている。「都は補助を廃止しても、市は定期予防接種を廃止するわけにいかない。が、市が全額負担するには、他の補助金カットや事務移譲などもあり、負担が大きすぎる」――これが、多くの市から共通してあがっている切実な声だ。
 予防接種法第24条は、区市町村は「予防接種を受けた者又はその保護者から、政令の定めるところにより、実費を徴収することができる」と定めている。無料接種を原則とすることが明確にされていない。このような不十分な法の下で、都の定期予防接種費補助を廃止した場合、重い財政負担にたえられない市町村では、都内ではせっかく無料で定着している定期予防接種の有料化を促進することにつながる心配があるのではないか。有料化につながる心配は絶対ないと断言できるのか、明確な答弁を求める。
エ いま都に求められているのは、定期予防接種費補助の廃止ではなく、拡充だ。
 予防接種法の改定で、風しん、麻しん(はしか)、高齢者のインフルエンザが定期予防接種の対象疾病として追加されているが、いずれも都の補助は対象外だ。
 しかし、たとえば麻しん(はしか)は、予防接種率の向上により根絶をめざす運動が、全国各地で始まっている。国立感染症研究所感染症情報センターは2002年10月に「麻疹の現状と今後の麻疹対策について」を発表。その中で、日本は「ワクチン予防可能疾患として国際的に認識されている一部の感染症に対する対策は、他の先進国のみならず、数多くの途上国にも最近では大きく遅れをとっている。特に麻疹においては、毎年乳幼児を中心とした多数の患者及びそれに伴う重症患者が毎年発生しているのが現状である」と警鐘を鳴らしている。
 同報告では、日本の麻しん患者は年間約10万人から20万人と推計され、患者の半数が2歳以下であり、成人麻しんの増加も特徴としてあげている。これに対し、ワクチン2回接種を基本としているアメリカでは、01年の患者数は100人で、死亡は2人にすぎない。患者発生のほとんどは輸入例で、アメリカの場合、その第一位が日本からの輸入となっている。
 麻しんは、重症化する場合が多く死亡率も高い危険な感染症のひとつだが、特効薬がなく、ワクチン接種による予防が唯一の決め手だ。日本の麻しんワクチン接種率は90%こえており、東京の場合も02年度実績で94.8%だが、これは分母が1歳人口、分子が1歳から7歳半までの間に定期予防接種として麻しんワクチンを受けた人数となっているため、正確とは言い難いと言われており、実際の接種率は80%ていどと推計されている。実際に東京においても、2000年に、北区の中学高校一貫校で集団発生、02年には世田谷区内の小、中学校で集団発生の事例が起きており、麻しんワクチン接種のいっそうの推進が緊急の課題となっている。
 またインフルエンザの予防接種は、SARS対策の重要な柱のひとつとして、きわめて重要なものとなっているが、94年の法改定で任意接種になって以来、全国的に接種率が低下し、冬場にインフルエンザの大流行を引き起こす結果となっている。この打開のため、ワクチン接種率を抜本的に引き上げることが急務だ。
 65歳以上の高齢者については、インフルエンザは定期予防接種の対象だが、全国の12政令市が自己負担額1000円に対し、東京23区は2200円だ。また、東京における高齢者インフルエンザの接種率は、02年度実績で30%にとどまっている。
 東京都の定期予防接種費補助の廃止は、ただでさえ「他の先進国のみならず、数多くの途上国にも最近では大きく遅れをとっている」日本の感染症対策と予防接種の立ち遅れをいっそう後退させるものであり、中止すべきだ。
オ 定期予防接種費補助の廃止どころか、風しん、麻しん、高齢者インフルエンザを対象に加えるとともに、麻しん(はしか)ワクチンの2回接種や、1歳未満での接種、高齢者インフルエンザ自己負担の引き下げあるいは無料化、さらにインフルエンザの合併症にハイリスクな難病患者や小児に対する公費助成など、予防接種推進対策の抜本的拡充こそ必要だと考えるが、答弁を求める。
カ 高知県は、県民が居住する市町村の区域をこえて、県内どこの医療機関でも予防接種を受けることができる全県統一型の広域予防接種システムを、02年4月からスタートした。費用は、高齢者インフルエンザをのぞいて全額公費負担だ。これは、県が、全市町村、医師会、国民健康保険団体連絡会等といっしょに「県予防接種広域化検討委員会」をつくり、練り上げたものだ。
 大分県も、県内どの市町村の医療機関でも予防接種を受けることができる「全県的な相互乗り入れ」を実施している。
 予防接種の推進は、市町村の努力にまかせるだけでなく、広域的なとりくみが重要であり、都が果たすべき役割は、ますます大きくなっている。
 都においても、関係者と共同の検討委員会を設置し、区市町村をこえた全都的な相互乗り入れの実施に向けた具体化に踏み切るよう提案するが、見解を伺う。
2 健康診査に対する補助について
 東京において、がん検診だけでなく、基本健康診査まで自己負担を導入する自治体が現れている下で、健康診査(胃がん検診・事業実施通知費・精度管理推進費)の補助を廃止するというのも、重大な問題だ。自己負担を導入した自治体では、いずれも有料化した健診(検診)項目の受診率が低下しているのが特徴だ。
ア 都の補助を廃止した場合、これを市町村が全額負担すれば、1億5千万円をこえる負担増になる。こうした重い財政負担にたえられない市町村では、胃がん検診の有料化につながる心配があるのではないか。有料化につながる心配は絶対ないと断言できるのか、明確な答弁を求める。
イ 東京の胃がん検診の受診率は、2000年度実績で、全国平均13.1に対し、わずか5.5であり、全都道府県の中で下から数えて2番目だ。一方、東京におけるがんによる死亡は年々増加し、1977年に第1位となった。その中でも、がんの部位別死亡率で見ると、胃がんは男性で第2位、女性では第1位となっている。胃がん検診に対する都の補助金廃止はやめ、受診率向上のために支援を強めることこそ必要だと思うが、見解を伺う。
3 心身障害者(児)通所訓練等事業について
 都は市町村補助削減のひとつとして、心身障害者の小規模作業所運営費の補助率を、3分の2から、2分の1に下げることを提案した。この問題について、以下、何点か伺う。
ア そもそも東京の小規模作業所は、法内の通所授産施設整備の致命的な遅れを背景に設置され、都と市町村の補助制度が基盤となって発展してきたものだ。今日では、重度重複障害者や、高次脳機能障害、アルコール依存症など多様な障害者を対象にしており、法内施設をふくめた通所施設全体の7割をしめるに至っている。小規模作業所は、障害者の地域生活をささえる重要な社会資源としての役割をはたしていると思うが、都の認識を伺う。
イ 小規模作業所の存立をささえているのが、都と市町村の補助金だが、その運営の実態はきびしい。利用者の工賃は、1カ月フルに通所している人でも最高1万円ぐらいで、給食代を引くと6千円ていどになってしまう。そのうえ深刻な不況により、仕事の確保そのものが非常に厳しくなっている。
 そうした中、作業所の職員と利用者は、資金の不足を補うため、バザーや支援コンサート、物品販売など必死の自主的な取り組みの努力を続けている。
 正職員の場合でも平均給与は月20万円前後で、都の補助単価が据え置かれている現状では、昇給の財源はない。重度の利用者が増えており、人手も多く必要だが増員もできず、パートやボランティアに頼らざるをえない。こうした状況の下で職員は、日中にできなかった事務処理や職員会議、行事の準備など、時間外にもちこす仕事が増え、残業にとどまらず土日の勤務が常態化している。
 以上は、多くの施設長や職員が共通して訴えている小規模作業所の実態だ。このような、小規模作業所のきびしい運営の実態を、都はどう認識しているのか。
ウ 第4回定例会のわが党の代表質問に対し、福祉局長は、都の補助率削減の小規模作業所に及ぼす影響について、「今回の見直しは、特別区においては補助率が平成12年度から2分の1となっていることなどを踏まえ、市町村への補助率を現行の3分の2から2分の1とすることを提案したもの」「補助水準を変更するものではなく、小規模作業所の運営に影響を与えることはないと考えております」と答弁した。
 23区との比較では、そもそも財政基盤がまったく違うことに加え、障害者施設は歴史的に多摩地域に多く整備されてきた事情があり、小規模作業所の設置数が比較的多い多摩市町村への補助率削減の影響は、大きなものがあることを見落としてはならない。
 都は、「補助水準を変更するものではなく、小規模作業所の運営に影響を与えることはない」と言うが、都の補助率削減の影響額は7億円をこえる。これを全額市町村が負担することは到底できない、というのが多摩26市の一致した声だ。この声を、どう受け止めているのか。
エ また、多摩26市すべてが、一致して補助率削減に反対しているという重い意味を、どう受け止めているのか、伺う。
オ わが党の代表質問で指摘したが、東久留米市では年額276万円を上限とした家賃補助、小平市では180万円が上限の家賃補助など、多くの市は独自の努力で小規模作業所の運営費の加算や家賃補助などを行っている。都が補助率削減により、市町村への負担転嫁を行った場合、これらの市独自加算の事業が維持できなくなり、小規模作業所の運営に現実の影響を及ぼすことが絶対ないと言えるのか、明確な答弁を求める。
カ また、都として市町村による小規模作業所に対する運営費の独自加算や家賃補助などの実態を、どのように把握しているのか。各市町村の独自施策の状況を明らかにしていただきたい。
4 最後に、小規模作業所の整備促進に関連して伺う。
ア 東京は、これから障害児学校卒業生の急増期を迎え、今後10年間に、生活寮など住まいの場とともに、相当数の小規模作業所をはじめとした通所施設の増設が必要になると関係者により指摘されているが、都の認識はどうか。
イ 小規模作業所の運営費補助について、都が補助率を削減し市町村に負担転嫁した場合、財政がきびしい市町村は運営費の後年度負担を抑制するため、増設の抑制につながる心配があると考えるが、都の見解を伺う。
  以上、いくつかの角度から見てきたが、小規模作業所の運営の実情、市町村における小規模作業所の位置づけの大きさと財政事情、整備促進の重要性・緊急性など、あらゆる点で、都の補助率削減は、断じて容認できない。撤回を求めて質問を終わる。
以上

平成15年第四回都議会定例会
小松恭子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 市町村に対する定期予防接種費補助等の見直しについて
1 定期予防接種費補助事業について
ア 定期予防接種の都の全額補助を廃止するという都の提案に対し、多摩26市すべてが、そろって反対しているという重い意味を、都はどう受け止めているのか、見解を伺う。

回答
  本補助制度は、都民が積極的に接種を受けることを推進し、定期予防接種を定着させるため、昭和38年に開始したものです。
 制度開始から既に40年余りを経過し区市町村の取組が定着したこと、予防接種法では、定期予防接種を行うために要する費用は区市町村が負担すると定められていることなどから、制度の廃止を提案したものであり、今後とも市町村の理解が得られるよう引き続き協議を行っていきます。

質問事項
一の1のイ 都が策定した感染症予防施策実施計画でも、「予防接種は、感染症対策の一環として極めて重要なものである。」として、「予防接種の推進」を明確に位置づけている。今回の定期予防接種費補助の廃止は、こうした東京都自身の方針に逆行しているのではないか、見解を伺う。

回答
  予防接種制度は、感染症予防対策の根幹をなすものであり、予防接種法に基づき、区市町村、都道府県、国の役割分担において、それぞれが推進しています。
  定期予防接種の実施主体は区市町村とされており、都道府県は、麻しんなどの感染症の発生動向の情報収集・提供や、健康被害救済制度の適正な執行を図ることとされています。
  都においては、予防接種法や「東京都の感染症の予防のための施策の実施に関する計画」などに基づき、今後とも区市町村と連携して予防接種の推進に努めていきます。

質問事項
一の1のウ 予防接種法は、無料接種を原則とすることが明確にされていない。このような不十分な法の下で、都の定期予防接種費補助を廃止した場合、有料化を促進することにつながる心配があるのではないか。有料化につながる心配は絶対ないと断言できるのか、明確な答弁を求める。

回答
  予防接種法第24条においては、接種に係る実費の徴収ができるとされており、住民から自己負担を求めるかどうかについては、実施主体である各区市町村が判断するものです。

質問事項
一の1のエ 都の定期予防接種費補助の廃止は、「他の先進国のみならず、数多くの途上国にも最近では大きく遅れをとっている」日本の感染症対策と予防接種の立ち遅れをいっそう後退させるものであり、中止すべきだ。見解を伺う。

回答
  予防接種制度は、昭和23年に予防接種法が制定されて以降実施され、感染症予防に大きな役割を果たしており、定着しております。世界的に見ても、わが国では感染症によるり患率、死亡率は極めて低く、感染症対策は高い水準に達しています。
  また、予防接種の重要性、必要性は都内区市町村においても十分に認識されており、本補助事業の廃止が制度の後退につながるものとは考えていません。

質問事項
一の1のオ 定期予防接種費補助の廃止どころか、風しん、麻しん、高齢者インフルエンザを対象に加えるとともに、麻しんワクチンの2回接種や1歳未満での接種、高齢者インフルエンザ自己負担の引下げあるいは無料化、さらにインフルエンザの合併症にハイリスクな難病患者や小児に対する公費助成など、予防接種推進対策の抜本的拡充こそ必要と考えるが、答弁を求める。

回答
  予防接種について、国は、各疾患の流行状況に対応して、最新の科学的知見に基づき、これまでも対象疾患の見直しや接種方法の改善に努めています。
  こうした状況を踏まえ、今後とも、都と区市町村がそれぞれの役割分担の下、効果的な予防接種対策に取り組んでいきます。

質問事項
一の1のカ 高知県は、県民が居住する市町村の区域を越えて、県内どこの医療機関でも予防接種を受けることができる全県統一型の広域予防接種システムをスタートした。都においても、関係者と共同の検討委員会を設置し、区市町村を越えた全都的な相互乗り入れの実施に向けた具体化に踏み切るよう提案するが、見解を伺う。

回答
  住民が居住区域外でも接種を受けることができる都内全域での広域的なシステムの構築については、都としても、住民の利便性への配慮や区市町村の意向も踏まえ、検討課題としていきます。

質問事項
一の2 健康診査に対する補助について
   ア 都の補助を廃止した場合、こうした重い財政負担にたえられない市町村では、胃がん検診の有料化につながる心配があるのではないか。有料化につながる心配はないと断言できるのか。明確な答弁を求める。

回答
  がん検診は、国の指針に基づき、各区市町村が実施しています。受診者から自己負担を求めるかどうかについては、実施主体である各区市町村が判断するものです。

質問事項
一の2のイ 東京の胃がん検診の受診率は、2000年度実績で全国平均13.1に対し、わずか5.5であり、東京におけるがんによる死亡は年々増加し、1977年に第1位となった。胃がん検診に対する都の補助金廃止はやめ、受診率向上のための支援を強めることこそ必要だと思うが、見解を伺う。

回答
  胃がんの早朝検診等に対する補助については、事業開始から相当年度が経過し、胃がんによる死亡率も減少傾向にあるため、都として一定の事業成果が得られたとの理解に立ち、平成16年度からの廃止を市町村に提案し、現在協議中です。
  現在、国は専門家による検討会を立ち上げ、がん検診のあり方などを検討しており、都としては、その状況も踏まえ、専門的な情報提供や研修事業などにより、市町村への支援を行っていきたいと考えています。

質問事項
一の3 心身障害者(児)通所訓練等事業について
   ア 東京の小規模作業所は、法内の通所授産施設整備の致命的な遅れを背景に設置され、今日では、重度重複障害者や、高次脳機能障害、アルコール依存症など多様な障害者を対象にしており、法内施設をふくめた通所施設全体の7割をしめるに至っている。小規模作業所は、障害者の地域生活をささえる重要な社会資源としての役割をはたしていると思うが、都の認識を伺う。

回答
  通所施設全体のうち、定員数で47%を占める法外の小規模作業所等は、障害者の地域における日中活動の場として、重要な役割を担っていると認識しています。

質問事項
一の3のイ 小規模作業所の利用者の工賃は、1カ月フルに通所している人でも最高1万円ぐらいで、不況により、仕事の確保そのものが非常に厳しくなっている。重度の利用者が増えており、人手も多く必要だが増員もできず、職員は、土日の勤務が常態化している。このような、多くの施設長や職員が共通して訴えている小規模作業所のきびしい運営の実態を、都はどう認識しているのか、伺う。

回答
  都は、法外の小規模作業所等に対しても、法内の小規模通所授産施設と同水準の運営費補助を行うなど、これまでも都独自の支援に努めています。
  なお、利用者の工賃は、小規模作業所における箱の組立作業や食品の製造・販売などの事業収益によって賄われるべきものであり、仕事を確保するとともに工賃の増収を図るためには、施設関係者の工夫と努力が求められていると認識しています。

質問事項
一の3のウ 都は、「補助水準を変更するものではなく、小規模作業所の運営に影響を与えることはない」と言うが、都の補助率削減の影響額は7億円をこえる。これを全額市町村が負担することは到底できない、というのが多摩26市の一致した声だ。この声を、どう受け止めているのか。見解を伺う。

回答
  心身障害者(児)に対する通所訓練等の事業は、住民に身近な区市町村が主体となって実施すべきものであり、特別区においては既に平成12年度から補助率が2分の1となっています。これらのことを踏まえ、都は、市町村に対し、平成16年度から現行の3分の2の補助率を2分の1とすることを提案したものです。
  都としては、市町村の理解が得られるよう引き続き協議を行っていきます。

質問事項
一の3のエ 多摩26市すべてが、一致して補助率削減に反対しているという重い意味を、どう受け止めているのか、伺う。

回答
  本事業は住民に身近な区市町村が主体となって実施すべきものであり、かつ、特別区においては既に平成12年度から補助率が2分の1となっていることを踏まえ、都として提案したものであり、市町村の理解が得られるよう引き続き協議を行っていきます。

質問事項
一の3のオ 東久留米市では年額276万円を上限とした家賃補助、小平市では180万円が上限の家賃補助など、多くの市は独自の努力で小規模作業所の運営費の加算や家賃補助などを行っている。都が補助率削減により、市町村への負担転嫁を行った場合、これらの市独自加算の事業が維持できなくなり、小規模作業所の運営に現実の影響を及ぼすことが絶対ないと言えるのか、明確な答弁を求める。

回答
  今回の提案は、補助水準を変更するものではなく、小規模作業所の運営に影響を与えることはないと考えています。

質問事項
一の3のカ 都として市町村による小規模作業所に対する運営費の独自加算や家賃補助などの実態を、どのように把握しているのか。各市町村の独自施策の状況を伺う。

回答
  小規模作業所等に対し、市町村が自らの判断で独自の支援を行っていることは承知していますが、個別具体的な内容については把握していません。

質問事項
一の4 小規模作業所の整備促進について
   ア 東京は、これから障害児学校卒業生の急増期を迎え、今後10年間に、生活寮など住まいの場とともに、相当数の小規模作業所をはじめとした通所施設の増設が必要になると関係者により指摘されているが、都の認識を伺う。

回答
  都は、「障害者地域生活支援緊急3か年プラン」による特別助成などにより、障害者の地域における日中活動の場である通所施設等の増設を支援しています。

質問事項
一の4のイ 小規模作業所の運営費補助について、都が補助率を削減し市町村に負担転嫁した場合、財政がきびしい市町村は運営費の後年度負担を抑制するため、増設の抑制につながる心配があると考えるが、都の見解を伺う。

回答
  小規模作業所等は、障害者の地域における日中活動の場であり、区市町村において需要を把握の上、設置されていると認識しています。したがって、今回の見直しが増設の抑制につながるとは考えていません。

平成15年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

 提出者 真木茂

質問事項
 一 小規模通所授産施設に対する支援の必要性について
 二 福祉施設の新設時における設計予算に対する補助の必要性について
 三 東京都の契約制度の改革に伴う弊害対策の必要性について

一 小規模通所授産施設に対する支援の必要性について
  東京都内には平成14年度末現在262の小規模作業所がある。一方、平成13年度より新しい概念として「小規模通所授産施設」という制度ができ、それまで無認可として法律の枠の外に置かれていた小規模作業所が社会福祉法人として認可されることが可能となった。無認可の施設が法人格を取得することは、施設運営の安定につながり、当事者にとって好ましいことであるばかりか、それまでは都と区市町村だけで補助をしなければならなかったものが、国からも補助金が1施設につき550万円支給されることとなり、それを折半する都および区市町村にとっても275万円の財政負担の軽減につながると言うことができる。
  しかしながら、新制度がはじまって3年が経過しようとしているものの、平成15年度までの設置予定数は、計画数を下回ることが予想されている。これは一重に、無認可から法内化することに伴う負担増に比し、メリットが少ないことに起因するものである。法内化しても、平成15年度から始まった支援費の対象とはならず、一方で法人格を取得したことによる複式簿記等の事務負担が相当に大きいことが先行の施設関係者の経験から明らかになっている。
  社会福祉法人に要求される文書の量とそのための作業量は相当な負担である。そのため事務処理をはじめ小規模通所授産施設の事務能力の向上は、ひいては福祉の質と量の向上につながり、福祉の前進につながるものと確信をする。
  前述のように、法内化することにより国庫補助金が交付されるのであるから、その一部を活用して、例えば、法内化の障害となっている事務作業を担当するための事務職員を非常勤で雇用するなどの支援策を講じることが法内化への移行促進につながると考える。無認可施設の法内化の促進は、当事者にとっても、利用者にとっても、また都にとっても好ましいことである以上、法内化を促進するためのこうした補助制度の新設は極めて必要性の高い事業であると考える。
  以上の問題意識に基づき、以下について東京都の見解を問うものである。
1 無認可の小規模作業所が法人格を取得することの意義とその必要性について、都としてどのように認識しているのか。
2 小規模通所授産施設の新設が進まない原因を東京都としてどのように分析をしているのか。
3 法人格の取得促進に向けて、障害となっている「事務作業の増大」を克服するため、小規模通所授産施設に対し、事務負担の軽減のための支援を行うことについて、その必要性をどう考えるか。
二 福祉施設の新設時における設計予算に対する補助の必要性について
  社会福祉法人が認可され、そのための施設が建設されることに対し、工事に関しては国・都・区市においてそれぞれ役割分担に応じて補助金制度を有している。ところがその工事の前提となる基本設計に関しては補助金の対象となっておらず、多くの施設が工事事務費として基本設計費を全額自己負担で捻出している。
  建設にあたっては、〔1〕施設整備費補助協議に不可欠な「基本設計」、〔2〕適正な入札および工事を実施するために必要な「実施設計」、〔3〕建築過程の管理にあたる「工事監理費」と大きく分類し3種の費用を設計業者に支払わなくてはならないが、現在の施設整備費補助制度では、補助内示後かつ法人認可後の契約に基づく経費のみを補助の対象としている。
  高齢者施設、障害者施設、保育園など社会福祉法人の新設にあたっては、通常の施設以上にそのコンセプトである「設計」がしめる重要性は高いと言える。しかしながら現状では多くの設計士の善意によって成り立っている面が強く、システム上「設計」が軽視されている現状は施設建設の障害となっているばかりか、適正な入札・工事の履行に支障をきたしかねない状態と言うことができる。
  設計業者の報酬は工事費の5%から10%程度が相場であり、広く工事金額や工事の種類によって一定の基準が示されている。社会福祉法人への補助事業が国基準で行われるものである以上、国基準の2.6%という数字を変更することができないことは承知しているが、それ故に都として独自の取り組みを進める必要があると考える。
  以上の認識に立ち、以下質問を行う。
 1 工事事務費は工事費の2.6%を限度に補助対象としているが、本来はどのような趣旨でどのようなものに支出されることを想定された補助と認識しているか。
 2 社会福祉法人の新設にあたって、認可申請に必要な基本設計の費用はどういう形で支出されていると認識しているか。また、認可後に必要となる実施設計の費用ならびに工事監理費は工事費の2.6%である工事事務費で充足されていると考えているのか、都の認識を問う。
 3 社会福祉法人の施設の新設にあたり、設計をしっかりと補助の中に位置づけ、適切な施設の設計と適正な入札及び工事の履行のために、都として設計費への補助を新設する必要があると考えるが、どうか。
三 東京都の契約制度の改革に伴う弊害対策の必要性について
 東京都は公共工事の契約をめぐる数々の不祥事が続出した事態を受けて、これまでに数次にわたる改革を実施してきた。その不断の努力の一方、改革の取組みを進めていくことで新たな弊害が生じてきている現実がある。
 その代表的な事例が、昨年度より拡大実施された「予定価格の事前公表」に伴い、くじ引きによる入札の落札者決定が急増してきていることである。くじ引きが急増した大きな要因として、東京都が最低制限価格の幅を従来から予定価格の3分の2から10分の8とし、公表していることがあげられる。予定価格の公表により、最低制限価格を10分の8相当と推測して応札する企業が現下の「買い手市場」の状況下で増えており、その結果くじ引きとなる契約案件が多くなっているものである。
 この状況は、昨年度に予定価格の公表対象工事が250万円超にまで引き下げられて以降、日増しに増加する状況にあり、現在は予定価格8千万円以上を扱う財務局入札よりも、それ以下の金額を扱う各局や建設事務所等の事業所での入札で、その傾向が顕著に見られている。また、地域的にみた場合、くじ引きが頻繁に行われている地域とそうでもない地域があり、地域ごとの事情も違うことがうかがえる。
 公共工事の契約は競争原理によることが原則であり、これまでも一般競争入札範囲の拡大をはじめ競争を促す取組みが行われてきた。しかし一方で、最低制限価格上でのくじ引きの増加は、業者のモラルを喪失させるだけでなく、適切な見積能力を有しない不良不適格企業の参入を許すことともなり、優良な建設事業者の育成のためにも何らかの対策をとることが是非とも必要である。
 東京都の定める最低制限価格の積算内訳は、直接工事費及び共通仮設費の全額と現場管理費の2割となっており、これに基づき全体の予定価格からみた最低制限価格が10分の8から3分の2の範囲内に収まるものとして設定している。しかし、工事案件によっては、東京都の積算ベースで上限の80%を超えるものがあり、これについては80%を超える部分が削られ80%に抑えられてしまっているという不合理な最低制限価格が設定されているのである。このことが、健全な業者の見積努力の意欲を削いており、入札のくじ引き化に走る要因となっていると思わざるを得ないものである。私は、このような不合理な最低制限価格の制度下におけるくじ引き増加の問題を指摘するだけでなく、公共工事における適正履行と不良不適格企業の排除ということを目的に、平成14年11月の財政委員会において、工事成績評定結果を入札参加業者の指名に反映させる制度の導入を提案した。東京都は私の提案を受け、この制度導入を約束し、平成15年4月より、工事成績75点以上の業者については、優先指名の優遇措置が受けられる制度を導入するなど大きな前進を見ることができた。このことについては、大いに評価するものである。しかし、一方でこの工事成績の評価を行う現場監督員の権限が大きくなったことへの懸念がある。以前から、現場監督員の不適切な言動を聞くことがあったが、今回の改革に伴い、工事成績評価の結果によっては指名停止又は優先指名といったように、次の仕事への影響につながることとなり、現場監督員の不適切な言動や恣意的な評価は絶対に排除されなければならない。東京都においても、工事成績評定における主観性の排除に向けた努力はされてきてはいるものの、客観的な成績評定と結びつかないような不適切な言動をいまだに聞くことがある。現場監督員の責務は極めて重いものがあり、その権限をチェックすることのできる機能を整備することが強く求められるところである。
  以上のような問題認識に基づき、以下の質問を行うものである。
1 入札において、くじ引きが多発している状況について、東京都として問題意識を持つ必要があると考えるが、どうか。
2 入札の規模や地域の違いで、落札率などに一定の傾向があると考えるが、東京都としてどのように分析をしているのか。
3 現行制度における10分の8から3分の2までの間で設定される最低制限価格について、工事案件によっては、その上限を上回ったものは上限まで引き下げられているものがある。これが安易に10分の8で応礼し、結果的に「くじ引き」入札につながり健全な企業の見積努力を損なう大きな要因になっているものと考える。
  そのため、この問題を改善する対策として、最低制限価格については、現行の東京都の積算ベースの結果をそのまま反映させる必要があるものと強く考えるものであるが、どうか。
4 平成15年4月から工事成績評定結果が、次の仕事の指名にも影響がでるようになったことに伴い、現場監督員の公平さを担保することが一層求められており、現場監督員に対する苦情・意見を受け付けるための体制作りが必要と考えるが、どうか。

平成15年第四回都議会定例会
真木茂議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 小規模通所授産施設に対する支援の必要性について
1 無認可の小規模作業所が法人格を取得することの意義とその必要性について、都としてどのように認識しているのか。見解を伺う。

回答
 法外の小規模作業所は、任意団体などの運営主体が事業を実施しており、安定的な施設運営の確保が課題となっています。運営主体が社会福祉法人になることにより、施設運営の安定化及び事業運営の透明性の確保が図られるとともに、税制上の優遇措置等を受けられることとなります。
 このことから、都としても社会福祉法人への移行を促進しています。

質問事項
一の2 小規模通所授産施設の新設が進まない原因を東京都としてどのように分析をしているのか。見解を伺う。

回答
  小規模通所授産施設への移行に当たっては、社会福祉法人に関する設立要件の充足が求められており、基本財産、運用財産及び就任要件を満たす役員等の確保などが必要になります。
 また、法人設立後の施設運営等に係る事務の簡素化を求める声があることは承知しています。

質問事項
一の3 法人格の取得促進に向けて、障害となっている「事務作業の増大」を克服するため、小規模通所授産施設に対し、事務負担の軽減のための支援を行うことについて、その必要性をどう考えるか。見解を伺う。

回答
  都では、小規模通所授産施設について、国の補助基準額を大幅に上回る運営費補助を行っているほか、開設年度に行う業務省力化のための設備補助として、パソコン及び関連ソフトの購入費を独自に補助しています。
 また、福祉活動を行う団体の職員に労務・会計などの専門的知識を付与するため設置されたナレッジバンクの制度の活用について、今後とも、周知を図っていきます。

質問事項
二 福祉施設の新設時における設計予算に対する補助の必要性について
1 福祉施設の工事事務費は工事費の2.6%を限度に補助対象としているが、本来はどのような趣旨でどのようなものに支出されることを想定された補助と認識しているか。見解を伺う。

回答
  都は、社会福祉施設を整備する法人に対し、施設整備を行うために必要となる事務経費を支弁するため、旅費、消耗品費、通信運搬費、印刷製本費及び設計監督料等に要する費用を対象として、各種の施設整備費補助要綱に基づき補助を行っています。

質問事項
二の2 社会福祉法人の新設にあたって、認可申請に必要な基本設計の費用はどういう形で支出されていると認識しているか。また、認可後に必要となる実施設計の費用ならびに工事監理費は工事費の2.6%である工事事務費で充足されていると考えているのか、都の認識を問う。

回答
  社会福祉法人の設立を予定する者が施設整備補助の申請を行う場合、基本設計の費用は、法人認可前に係る経費であることから、補助の対象とされておらず、法人設立予定者が自ら負担しています。
 工事事務費については、都は全国統一的な基準として国が定めた、「社会福祉施設等施設整備費及び社会福祉施設等設備整備費国庫負担(補助)金交付要綱」と同様に工事費又は工事請負費の2.6%を限度に補助対象経費を算定しています。

質問事項
二の3 社会福祉法人の施設の新設にあたり、設計をしっかりと補助の中に位置づけ、適切な施設の設計と適正な入札及び工事の履行のために、都として設計費への補助を新設する必要があると考えるが、見解を伺う。

回答
  社会福祉法人が施設を新設する場合については、国の施設整備費補助と同様に、工事費又は工事請負費の2.6%に相当する額を限度として設計費を含む工事事務費を補助対象経費として算定しています。
 都としては、補助単価について国基準に上乗せして補助を行っていることから、設計費に対する新たな都独自の補助を行う状況にないものと考えています。

質問事項
三 東京都の契約制度の改革に伴う弊害対策の必要性について
 1 入札において、くじ引きが多発している状況について、東京都として問題意識を持つ必要があると考えるが、見解を伺う。

回答
  くじ引きの増加については、予定価格の事前公表により、最低制限価格の推測が容易になったことも一因と考えられますが、引き続く不況と公共工事の減少の中で、入札参加者が、企業戦略を考えた上で積算を行い、応礼金額を判断していることによるものと考えます。
 くじ引きは現行法上認められた制度でありますが、その増加は、ご指摘のような積算能力のない不良不適格企業の参入を招くおそれがあります。そのためこの対策の一環として、民間技術力を評価の対象とすることがふさわしい工事に対して、価格面のほか工期短縮やライフサイクルコストなどの観点を加えた総合評価の手法を適用することも含め、不良不適格企業の排除に努めていきます。

質問事項
三の2 入札の規模や地域の違いで、落札率などに一定の傾向があると考えるが、東京都としてどのように分析をしているのか。見解を伺う。

回答
  落札率は、発注規模が小さいものの方が若干低くなる傾向がありますが、入札に参加する企業は、発注規模や施工場所等の発注内容を考慮するとともに、企業戦略により応札内容が異なってくることが考えられるため、発注規模や特定の地域ということで傾向を判断することは困難と考えます。

質問事項
三の3 現行制度における最低制限価格について、工事案件によっては、その上限を上回ったものは上限まで引き下げられているものがある。これが、結果的に「くじ引き」入札につながり健全な企業の見積努力を損なう大きな要因になっているものと考える。最低制限価格については、現行の東京都の積算ベースの結果をそのまま反映させる必要があるものと強く考えるものであるが、見解を伺う。

回答
  企業が応礼に当たって設定する金額は、企業戦略を考えて最大限の経営努力を行い、積算するものです。これに対し現行の最低制限価格の設定幅については、これと異なり、いわゆる標準単価によって積み上げた予定価格を基に、履行の確保を図る観点から適正な履行が可能と考えられる価格幅として設定しているものであります。
 この最低制限価格をお尋ねの趣旨により設定することは、結果として最低制限価格が上昇し、競争性を狭めることにもなり、また企業の経営努力を削ぐことにつながるおそれがあることから、困難と考えます。

質問事項
三の4 平成15年4月から工事成績評定結果が、次の仕事の指名にも影響がでるようになったことに伴い、現場監督員の公正さを担保することが一層求められており、現場監督員に対する苦情・意見を受け付けるための体制作りが必要と考えるが、見解を伺う。

回答
  工事成績評定を行う現場監督員及び検査員の役割は極めて重要であり、東京都はこれまでも監督員の能力向上に努めるとともに、評定が公正・公平・客観的に行われるよう、東京都工事成績評定要綱を定め、客観的な評定の仕組みを整備し、一般にも公開しております。
 また、成績評定結果を含む工事契約の利害関係者からの苦情等の申立てについては平成14年3月に設置した東京都入札監視委員会の設置要綱等において、その処理の手続を定めて、周知徹底を図っております。今後さらに、これまでの苦情処理対応の状況を踏まえ、要綱等の見直しも含め、より適切な運用に努めていきます。

平成15年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

 提出者 和田宗春

質問事項
 一 電磁波健康被害と予防原則について
 二 東京都行政における外来語・外国語の言い換えについて

一 電磁波健康被害と予防原則について
 電磁波・電磁環境が人体に与える影響についての議論は電磁波が各分野で多用されるようになった第二次世界大戦前後から健康に及ぼす面から意識されるようになり議論がすすめられるようになった。
 1928年にジェネラルエレクトリック社が建設したラジオ放送局の施設で労働者が気分が悪くなったいこうから始まる。
 また1960年代にアメリカで電磁波漏れを起こす電子レンジが出回ったこにより不安が広がり回収騒ぎが起っている。
 1980年代には電子レンジなどのマイクロ波などが人体に与える影響がマスコミで取り上げられるようになってきている。
 電磁波を被曝し、あるいは電磁環境におかれることによる人体における影響については大きく二つに分類できるとされる。
 一つは電磁波が細胞を被曝することによって細胞の温度が上昇して健康に何らかの影響を及ぼすのでないか、というものであり、もう一つはこの熱効果以外の作用が健康に対して影響をもたらすのではないかというものだ。
 私は平成十年第二回定例会で電磁波健康被害の文書質問を行なっている。
 今回はその後の進展、変化について質問したい。
 1 平成11年から13年度の研究期間で独立行政法人国立環境研究所などが「生活環境中電磁界における小児の健康リスク評価に関する研究」を行なっている。
 調査は7億円余の予算をかけて行なわれ、送電線などから出る電磁波と小児白血病、小児脳腫瘍の患者発生との関連が調べられている。昨年夏までの中間解析では、電磁波が0.4マイクロステラすなわち通常環境の4倍以上になると小児白血病の発症が2倍に増えるとされていた。
 この研究の最終解析が今年1月に出されている。
 世界保健機関(WHO)が電磁波の新環境保健基準(EHC)を決める際の有力資料となるものと考えられる。
 2 都ではこの最終解析をどのように理解しているのか、小児の電磁波健康被害との関連について伺う。
 次は電磁波健康被害と予防原則についてである。
 世界の新しい傾向として、科学的に不確実性のある健康リスクについて更なる科学的な研究の結果を待たずに潜在的な重大なリスクへの措置が必要な時に適用されるのが予防原則である。
 数々の異なる解釈があるが、2000年に欧州委員会は原則を定めている。
 措置が必要であると考えられる場合、予防原則に基づく対策は次のようにあるべきである。
一、選択された防護レベルに比例すること
一、対策の適用は無差別であること
一、すでに実施されている同様の対策と一貫性があること
一、対策を実施する場合と、対策を実施しない場合の潜在的な利益とコ
   ストの検討に基づくこと
一、新しい科学的データに照らしてレビューを受けること
一、より包括的なリスク評価に必要な科学的証拠を提出する責任を課す
   ことができることとしている。
 また、1992年のマーストリヒト条約では「何もしなければ健康被害が生じうるという十分な科学的証拠があり、措置が費用対効果の合理的判断に基づいて正当化できる場合に、慎重な措置をとること」としている。
 世界保健機関が国際電磁界プロジェクトを設置して1996年から10年計画をたて、現在、わが国を含む約60ヵ国の研究者や国際機関が参加してきている。日常生活に密着している携帯電話などの高周波については2006年以降の評価であるが、送電線などの50、60ヘルツの超低周波の評価は来年にもまとまるといわれている。
 各種の疫学調査は全く安全とも、リスクありとも明確な証拠はいまのところない。しかしながら予防原則の観点からすれば、先のわが国の中間解析さらに2000年にスェーデンと米国の研究者が個別に出した疫学調査の「四ミリガウス以上の磁場にさらされ続けると、小児白血病の発症率は二倍になる」とする報告から何らかの対策を世界保健機関もわが国もとるべきである。
 とりわけ1,300万都民が生活する東京都にあっては、潜在的な電磁波のリスクを都民に知らせるべきであると思うが、見解を伺う。
二 東京都行政における外来語・外国語の言い換えについて
 言葉は意思伝達の手段であるとともに、その言葉を母語とする人々の文化と深く結びついている。
 このような文化の基盤としての国語の重要性を考えるとき、学校教育にあっては国語教育が十全に行なわれるように関係者が努力することが求められる。
 永い歴史のなかで築かれてきている国語の特色ある表現や豊かさはこれからもわれわれが大切にしなければならない。
 また地方の伝統文化や地域社会の豊かな人間関係を担う方言も引き継いで尊重され継承されていくべきものである。
 近年、問題となっている外来語・外国語の氾濫は社会における情報伝達の妨げになるばかりでなく伝統的な国語の良さを損なうおそれがある。
 情報化社会ということで安易に外来語・外国語を用いる傾向があるのは残念なことである。
 先きの第四回定例会の石原知事の施政方針のなかにも50語を越える外来語・外国語が表出しているほどである。
1 文化庁は平成12年、14年とにわたって外来語・外国語の取扱いについ
  て各省庁、都道府県に通達しているはずであるが、その内容を伺う。
2 また文化庁は外来語・外国語の言い換え例も示しているが総務局は都
  行政全般にわたってこの通達の趣旨を伝達し国語の乱れの改善に努力す
  べきであるが、具体的にどのような方策をとってきたのか。
3 教育界においても国語の時間はもとより学校はもとより社会教育など
  の関係者などにも徹底すべきと思うがどうか。

平成15年第四回都議会定例会
和田宗春議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 電磁波健康被害と予防原則について
 1 都では、国立環境研究所などが行った「生活環境中電磁界における小児の健康リスク評価に関する研究」の最終解析をどのように理解しているのか、小児の電磁波健康被害との関連について伺う。

回答
  文部科学省の科学技術振興調整費により、国立環境研究所が平成11年度から13年度まで実施した研究では、御指摘の結果が得られたと報告されています。
 これについて、文部科学省は、同省の設置した科学技術・学術審議会研究評価部会が、症例数が少なすぎることなどから「当該研究の結果が一般化できるとは判断できない。」と評価したことを平成15年1月に公表しています。
 電磁波の健康影響については、この研究を含め、これまで国内外において様々な研究が行われてきていますが、いまだ未解明の状況にあり、明確な結論は得られていないのが実情です。

質問事項
 一の2 潜在的な電磁波のリスクを都民に知らせるべきであると思うが、見解を伺う。

回答
 電磁波による影響等については、WHO(世界保健機関)や国の動向を含め、関係情報の収集に努め、インターネットの活用などにより、適宜都民への情報提供を行ってまいります。

質問事項
二 東京都行政における外来語・外国語の言い換えについて
 1 文化庁は、外来語・外国語の取扱いについて各省庁、都道府県に通
   達しているが、その内容を伺う。

回答
 外来語・外国語の取扱いについて、平成12年12月に国語審議会は、「外国語・外来語を使用するか否かは、一般的には個々人の判断に属する事柄」であるとしつつも、「官公庁や新聞・放送等においては、発信する情報の広範な伝達の必要性及び人々の言語生活に与える影響の大きさを踏まえ、一般に定着していない外来語・外国語を安易に用いることなく、個々の語の使用の是非について慎重に判断し、必要に応じて注釈を付す等の配慮を行う必要がある」旨の答申を行いました。
 これを受けて、同月に文化庁次長から各都道府県知事あてに「外来語・外国語の取扱い及び姓名のローマ字表記について(依頼)」が通知され、国語審議会の答申の趣旨に沿った対応について配慮の依頼がありました。
 また、平成15年5月に文化庁文化部国語課長から各都道府県文書事務担当部局長あてに、外来語・外国語に関する対応を検討する際に外来語・外国語の言い換え等について配慮をするよう依頼がありました。

質問事項
 二の2 総務局は、都行政全般にわたって、文化庁通達の趣旨を伝達し、国語の乱れの改善に努力すべきであるが、具体的にどのような方策をとってきたのか、伺う。

回答
 言葉は、意思や情報を伝え合う重要な手段であり、都民に開かれた都政としていくためにも、できるだけ分かりやすい言葉を使うことが必要であると考えています。
 このため、平成3年3月に「分かりやすい 親しみやすい ことばの手引」を作成し、具体例を挙げながら、一般に馴染みのない片仮名言葉については適切な日本語に言い換え、適切な日本語の表現が見つからない場合や言い換えるとかえって意味がわかりにくくなってしまう場合には、注釈をつけるなどの工夫をするよう、全庁的な周知を図りました。また、平成6年3月には、東京都の印刷物作成についての留意事項を示す「よりよい印刷物をつくるために」を作成し、同趣旨の徹底を図っています。
 さらに、平成12年及び同15年の文化庁からの通知等については、各局への周知を行っています。
 今後とも、都として一層適切な用語の使用、表現について努めていきます。

質問事項
 二の3 教育界においても、国語の時間はもとより、学校、社会教育関係者などにも、徹底すべきと思うが、見解を伺う。

回答
 学校教育においては、国語科の目標として、表現する能力、理解する能力を育成するとともに、伝え合う力を高め、思考力や想像力、言語感覚を養うこと、国語を尊重する態度を育てることが学習指導要領に示されており、各学校では、児童・生徒が母語としての日本語を正しく豊かに使うことを目指した言語の教育を進めています。なお、外来語や外国語については、教科書等でも日本語の中に定着している範囲で使用されております。
 社会教育においては、外来語・外国語の安易な使用は、社会的な情報の共有を妨げ、特に高齢者にとってはその意味が分からないことにより世代間コミュニケーションの障害となるおそれがあります。そのため、個々の用語の使用の是非については慎重に判断する必要があると考えます。
 都教育委員会としては、今後とも、児童・生徒が日本語を大切にし、継承・発展させていくよう、学校における国語教育の充実を図るとともに、学習指導要領の趣旨を踏まえ、教師の話し言葉や掲示物、印刷物など、適正な言語環境の整備に向けた教員の意識の向上を図るよう指導・助言に努めてまいります。また、社会教育事業において、都民に分かりやすい用語を用いるなど十分な配慮を行うよう、区市町村も含めた社会教育関係職員への周知に努めてまいります。

平成15年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

 提出者 大山とも子

質問事項
 一 都の労政事務所統廃合などについて

一 都の労政事務所統廃合などについて
  長引く不況の中、東京都の労働行政に求められていることは、失業者の生活支援、職場の労働者の生活・権利を保障するルールづくり、労働者の雇用の場が確保され、その能力や経験を生かして、職場で健康で安心して働けるようにする施策など労働行政の拡充です。しかし、東京都が第2次財政再建推進プラン、第2次都庁改革アクションプランで示し、来年度予算で進めようとしている方向は、新宿労政事務所廃止、王子職業訓練校廃止など、まったく逆行するものです。そこで、私は、これらの点で都の姿勢を質すものです。
1 最初に、今年度末で新宿労政事務所を廃止しようという問題です。
 東京都の労政事務所は、もともと労働者と使用者の間にあって「働く人たちの豊かな、ゆとりある生活の実現」をめざし1.労働条件の改善向上、2.勤労福祉の充実の2つを柱として取り組むことを目的に、〔1〕労働関係調査・情報提供、〔2〕労働教育講座、〔3〕労働相談・あっせん、〔4〕労働者福祉など事業を主な仕事としてきたものです。
 現在、労働者をとりまく環境は、派遣労働者、契約社員、パート労働者など不安定雇用労働者の増加、リストラ、雇用調整の増加、高失業率が続くなど、大変厳しい状況がつづいています。さらに職場の労務管理は、いわゆるサービス残業、労働条件の引下げ、会社都合による解雇、賃金不払問題など、雇用、労働条件をめぐる問題が増加してきています。残念ながら、労政事務所がめざしている「働く人たちの豊かなゆとりある生活」とは程遠いといわざるを得ません。労働者自らがどのような働く権利を持っているのかさえ、知らずに働き、サービス残業が横行するなど、法律さえも守らない使用者がいます。だからこそ、ますます労政事務所の役割は大きくなっているといえます。にもかかわらず、新宿労政事務所を廃止にするなら、石原知事が就任した時には8箇所あった労政事務所が、6箇所になってしまいます。
 労政事務所には、「親会社が海外生産を始めたので仕事がほとんどなくなった。会社は借金も返せず、給料もまったく出せない状態だと言われた」「派遣会社から『長期の仕事』と紹介されたのに、更新1回で雇い止めになった」「休み明けに出社したら、シャッターに『長らくお世話になりました、閉店させていただきます』の張り紙。社長の行方もつかめない」などの年間5万件を超える、本来であれば、国の労働基準監督署が相談に当たるべきものなどもふくめて、深刻な労働相談がよせられています。
 また、こうした相談をうけた場合、労政事務所が、退職強要などの相談について事業主の説明も聞き、労働関係法などの説明もして、両者の理解を深めて、問題解決にあたる、あっせんも1000件を超えています。
 こうした労政事務所の役割について日本労働弁護団は、「簡易で迅速・柔軟に対応できる相談窓口が求められており、都の労政事務所は行政機関のなかでピカ一」と評価しています。
 さらに、区市町村が開催する労働相談活動、就職面接会、労働関係法の啓発セミナー等も、所管の労政事務所が協力しなければ、成功はおぼつかないといわれているものです。
 東京の労政事務所は、セクシャルハラスメント防止マニュアルの作成、「退職強要」「職場での嫌がらせ」「人間関係」などいわゆる職場の「いじめ」防止のとりくみでもおおきな役割を発揮しており、これらは全国に先駆けた先進的な取り組みということができます。
 こられのことが示すものは、労政事務所に求められていることは縮小ではなく、拡充であるということです。都はこうした現状を無視し、新宿労政事務所を廃止することを持ち出しました。
 新宿労政事務所の受け持ち区域は、新宿、渋谷、杉並、練馬、中野、世田谷など23区内の事業所の4分の1あまりが集中しているところです。この労政事務所が廃止されることになれば、この区域の受け持ちは飯田橋にある中央労政事務所と北区にある王子労政事務所、品川区の大崎労政事務所に分散されることになります。この結果、それぞれの事務所のうけもち事業所は増大することになり、中央労政事務所は現在の約10万の事業所から、約9万増え、約19万事業所に増大することになります。これは、23区内の事業所の3分の1にあたる数字です。また、新宿労政事務所の廃止によって、現在、王子労政事務所がうけもっている足立区の事業所が亀戸労政事務所に押し出されることになります。これによって、亀戸労政事務所の受持つ事務所は、11万5000から14万5000に、3万も増えることになります。
 このような統廃合によって、これだけ広大な地域と事務所、従業者をもたされたら、労働知識の普及啓発、労使の調査及び情勢の把握などおこなうことは到底、できなくなってしまうではありませんか。
 また、労働相談もさらに困難をかかえることになります。これだけの広域で、多数の労働者をかかえて、労政事務所の職員が、職場訪問をして実態を調べるなど、およそ不可能になってしまうではありませんか。
 相談者にとっても、これまで新宿での労働相談をうけていた人のうち、たとえば、練馬区のひとが、これからは王子労政事務所までいかなくてはならなくなるなど、不便をきたすことになります。
 現在、都内には、全産業で70万以上の事務所、860万人の従業者がおります。「豊かな勤労者生活の確保と労使関係の安定を図るため」という労政事務所の役割の拡充こそが求められている時です。
 だからこそ、新宿労政事務所廃止の局案が発表された直後の、11月19日には東京都にたいし、新宿、渋谷、世田谷、中野、杉並の地域の労働組合でつくる東京西部春闘共闘会議が、新宿労政事務所の存続、労働相談体制の充実を求め要請を行い、労働者の切実な声が寄せられました。
 また、アクションプランなどの聞き取りのなかで明らかにされた労政事務所を労働相談センターにして、中央労政事務所に庶務の機能を集中し、中央センターにして各労政事務所を労働相談センターの支所にするということも問題です。労政事務所の機能は、労働相談活動だけではありません。それを労働相談に特化させてしまえば、労使への労働知識の啓発活動など、労働相談以外の労政事務所の機能が後退しかねません。また、これらの機能は、民間や国ではやっておらず、雇用情勢の悪化のなかで、充実こそ求められている重要な事業です。
ア 新宿労政事務所は廃止しないこと。これからの労政事務所のあり方については、廃止・縮小ではなく、拡充の方向を基本に、労政事務所関係者、労働組合、学識経験者などによる民主的な検討の場を作ること。それぞれ答弁を求めます。
イ 本来の労政事務所の役割を後退させる労働相談センター化はおこなわないこと。増加する労働相談に労政事務所が積極的にこたえることができ、本来業務に支障をきたさないようにするために、職員の増員など必要な措置を講じることを求めるものですが、それぞれ答弁をもとめます。
ウ また、労働基準監督署による都民の労働相談の対応もますます重要になっています。そこで、国に対して、労働基準監督署が労働相談にきちんと対応できるようにするための体制強化などを強くはたらきかけることを提案するものですが、答弁をもとめます。
2 次に職業訓練に関する問題です。
  技術専門校の再編、委託化の動きがあります。
  技術専門校には毎年、平均で募集枠の2倍以上の応募があり、希望しながら入校できなかった方々は1万人近くおります。圧倒的に技術専門校が足りないのです。にもかかわらず、知事は、1998年度に19校あった技術専門校を2005年度には王子校を廃止し、16校にしようとしています。
  都の公共職業訓練は、もともと国の補助金の枠内でしか事業を行っていないために、まだまだ都民の要望に応えきれていません。また、技術専門校の専任講師が少なく、せっかく施設内で授業をしておりながら一部の科目では時間講師のために、入校から就職まで、生徒と連携して、就職の相談までのれないと聞いています。技術訓練校は、拡充こそ求められているのではありませんか。
  王子校の廃止について「敷地の狭さや、時代に合わない科目、近くに赤羽校がある」などを理由に廃止しようとしていますが、交通の便や、王子労政事務所や王子ハローワークとの連携の点でも有利な場所にあり、昨年度の応募倍率も1.7倍です。科目設定を工夫すれば、希望者は殺到するはずですし、全都的にも需要が高い技術専門校を減らすことなど断じて認められないことであり、廃止どころか拡充こそ必要なのです。
 ア 知事、いま、東京都がおこなうべきことは、一日も早く入校して、再就職したいという失業者の願いに積極的に応えることです。都民の願いに逆行する王子技術専門校の廃止計画を撤回すべきですが、答弁を求めます。
 イ また、技術専門校の定員を大幅に増やし、専任講師を増員すること。
   雇用保険受給資格のない失業者にも職業訓練手当や生活費について都として支援する制度をつくることなど、失業者の職業訓練拡充の要求に応えることこそ本来の都政の姿勢ではないですか。それぞれ答弁を求めます。

平成15年第四回都議会定例会
大山とも子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 都の労政事務所統廃合などについて
1 新宿労政事務所の廃止について
 ア 新宿労政事務所は廃止しないこと。これからの労政事務所のあり方については、廃止・縮小ではなく、拡充の方向を基本に、労政事務所関係者、労働組合、学識経験者などによる民主的な検討の場を作ること。それぞれ答弁を求める。

回答
 今回の労政事務所再編は、労政事務所の事業の効率化を図るとともに、労働相談機能を充実させるため実施するものです。
 なお、新宿労政事務所は、労政事務所の地域上のバランスや環境上の問題等から、廃止します。
 また、労政事務所の事業については、平成15年4月に、労使、学識経験者からなる「東京都労政事業評価委員会」を設置し、効果的な進め方を検討しています。

質問事項
一の1のイ 本来の労政事務所の役割を後退させる労働相談センター化はおこなわないこと。増加する労働相談に労政事務所が積極的にこたえることができ、本来業務に支障をきたさないようにするために、職員の増員など必要な措置を講じることを求める。それぞれ答弁をもとめる。

回答
  労政事務所については、その業務内容が利用者に分かりやすく伝わることが重要なことから、名称の変更を検討しますが、従来の事業については、不断の見直しを行いながら引き続き適切に実施していきます。
 今後とも労働相談に適切に対処するため、体制の整備を図っていきます。

質問事項
一の1のウ 労働基準監督署による都民の労働相談の対応もますます重要になっている。国に対して、労働基準監督署が労働相談にきちんと対応できるようにするための体制強化などを強くはたらきかけることを提案するが、答弁をもとめる。

回答
  労政事務所が労働相談・あっせんを行うに当たっては、法に基づく取締り権限を有する労働基準監督署と密接な連携を図りながら適切に対処しています。

質問事項
一の2 職業訓練に関する問題について
   ア いま、東京都がおこなうべきことは、一日も早く入校して、再就職したいという失業者の願いに積極的に応えることである。都民の願いに逆行する王子技術専門校の廃止計画を撤回すべきだが、答弁を求める。

回答
  厳しい雇用情勢の中、職業訓練の実施に当たっては、産業界や求職者のニーズに的確に応えるため、不断の見直しを行っています。
 なお、王子技術専門校は施設が老朽化しているとともに、敷地面積が狭隘であることなどから、効率的な訓練の実施が困難な状況にあります。

質問事項
一の2のイ 技術専門校の定員を大幅に増やし、専任講師を増員すること。雇用保険受給資格のない失業者にも職業訓練手当や生活費について都として支援する制度をつくることなど、失業者の職業訓練拡充の要求に応えることこそ本来の都政の姿勢ではないか。それぞれ答弁を求める。

回答
  職業訓練の実施に当たっては、効果的かつ多様な職業訓練の機会の確保に努めるとともに、必要な講師等の配置を行っています。
 また、雇用保険受給資格を有しない求職者に対する都独自の職業訓練手当や生活費の給付制度の創設については、かえって就業意欲をそぐおそれもあり、適切ではないと考えています。
 なお、平成15年度から新たにフリーターや自営業廃業者等の雇用保険受給資格を持たない求職者などを対象とした「駅前ナイトスクール」を実施しています。

平成15年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

 提出者 大西由紀子

質問事項
 一 産業廃棄物処理施設について

一 産業廃棄物処理施設について
  国立市の南部地域に位置する産業廃棄処理施設株式会社リストは、このほど最新型の焼却炉を導入した新工場を建設しました。この会社は3年前、2002年12月からのダイオキシン対応の法規制に備えるため建て替えを計画し、焼却後の排ガス中のダイオキシン類濃度の値は、法的に最も厳しい0.1ナノグラムを計画条件にしたと聞いています。廃棄物処理法による許可申請に対しては、東京都が生活環境影響調査を指導し、当該の行政や市民の意見あるいは専門家の意見を聴く会なども行い、いわゆるミニアセスの初のケースとして注目されました。2002年4月に設置許可が下り、同年10月に着工、2003年10月に竣工しています。
 地域住民は、これまで旧施設での営業や解体時の大気汚染等安全性に疑問を抱いてきました。新施設が環境に配慮した設備を備えているとはいえ、廃プラスチックや感染性産業廃棄物も大量に焼却することへの不安は拭えません。竣工後11月に施設内に何らかのトラブルが発生した模様なのに、はっきりした説明が得られなかったことでますます不安をつのらせた人も多くいます。今後、安全な操業を行ってもらう上でも、住民への情報公開は欠かせません。
 そこで、以下のことを伺います。
1 当施設の計画時の説明によれば、ダイオキシン類の発生を抑制するためには、安定した高温状態での燃焼が必要なこと。また、排ガス処理においてもダイオキシン類の再合成を防止するため急激に冷却する装置を設け、ダイオキシン類が最も発生しやすい温度(400度から500度)を避けるとのことでした。よって24時間連続運転が基本と考えてきましたが、現在、当施設の稼働率は30%ほどで毎日夜は火を消しているとのことです。また本格的に軌道にのるのは5、6月になるということですが、現状におけるダイオキシン類等の発生はどうなっているか検査し、データを公表していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
2 2002年4月以降に当施設の設計に変更があったと聞きますが、どのような変更だったのでしょうか。また、どの程度の変更であれば、当該の市や住民へ説明が必要と考えているのか、見解を伺います。
3 11月20日の事故については、ダンパーの誤作動により施設内に煙りがたちこめたものと判明しましたが、市にも報告がなく住民の問い合わせに答えられませんでした。事故が起きた場合の対応と届け出について、どのような指導をしているのか、伺います。
4 今後、本格稼動に向け運搬車両等のトラブルも懸念されます。地域住民あるいは広範な住民の安心・安全のため、行政、事業者、周辺住民がともに協議する場として安全委員会の設置を要望したいと思いますが、いかがでしょうか。

平成15年第四回都議会定例会
大西由紀子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 産業廃棄物処理施設について
1 国立市の南部地域に位置する産業廃棄物処理施設株式会社リストは、最新型の焼却炉を導入した新工場を建設した。当施設の現状におけるダイオキシン類等の発生はどうなっているか検査し、データを公表していただきたい。所見を伺う。

回答
  ダイオキシン類対策特別措置法では、ダイオキシン類による汚染状況について、毎年1回以上測定し、その結果を都道府県知事に報告しなければならないと規定されています。また、報告を受けた都道府県知事が測定結果を公表することについても規定されています。
  当該事業者は、新施設について、平成15年12月にダイオキシン類の測定を初めて実施しており、都は、事業者からダイオキシン類の測定結果の報告を受け次第、毎月更新している環境局ホームページで公表を行います。

質問事項
一の2 2002年4月以降に当施設の設計に変更があったと聞くが、どのような変更だったのか。また、どの程度の変更であれば、当該の市や住民へ説明が必要と考えているのか、見解を伺う。

回答
  施設を変更する場合は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律により、都道府県知事の許可又は届出が必要とされています。処理能力の変更や煙突の位置の変更など許可を要する場合は、申請書の告示・縦覧、関係市長及び利害関係者からの意見を聴くなどの手続を行うことが定められています。許可を要しない軽微な変更については、都道府県知事に届け出ることとされています。
 今回の変更は、ダイオキシン類の再合成を防止する排ガス急冷塔や排ガス中のばいじん等を除去するバグフィルターの能力増の変更、廃棄物の保管タンク等の形状、材質、容量の変更などすべて軽微な変更であり、平成15年10月10日付けで届出が行われています。

質問事項
一の3 2003年11月20日の事故ついては、ダンパーの誤動作により施設内に煙がたちこめたものと判明したが、市にも報告がなく住民の問い合わせに答えられなかった。事故が起きた場合の対応と届け出について、どのような指導をしているのか、伺う。

回答
  都は、産業廃棄物処理施設の許可に当たって、火災、事故、爆発等の緊急事態が発生した場合には、申請時に策定した緊急時連絡網により、警察署、消防署、都、国立市に連絡するよう指導しております。
 今回の事故は、排風機の制御系の故障によりダクトのダンパーが閉じたため、工場内に煙が充満したとの報告を受けております。今後、再発防止を徹底するよう指導するとともに、緊急事態が発生した場合は、速やかに関係機関へ連絡・通報するよう厳しく注意しました。

質問事項
一の4 今後、本格稼動に向け運搬車両等のトラブルも懸念される。地域住民あるいは広範な住民の安心・安全のため、行政、事業者、周辺住民がともに協議する場として安全委員会の設置を要望したいと思うが、見解を伺う。

回答
  都は、産業廃棄物処理施設の許可権者として、施設が適正に稼動するよう、法令等に基づき立入検査などを行い指導しております。
 施設の運営については、処理事業者がその責任において行うものと考えております。

平成15年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

 提出者 吉田信夫

質問事項
 一 石原知事の韓国併合正当化発言について

一 石原知事の韓国併合正当化発言について
  石原知事のいわゆる韓国併合正当化発言について文書質問します。
  知事は、10月28日、都内で開かれた集会で、日本による韓国併合について「武力で侵犯したんじゃない」「彼らの総意で」行われた、「どちらかといえばこれは彼らの祖先の責任」などと発言し、その後の記者会見では日本の植民地支配が、人道的で人間的であったかのように発言をしました。
  知事のこうした韓国併合正当化、植民地支配美化発言は、歴史的事実をねじ曲げるものであり、知事という立場を利用して都民に誤った歴史観を植えつけるという点でも、韓国・朝鮮の人々を侮辱しアジアの友好に重大な障害をつくりだすという点でも見過ごせません。
  よって知事発言について、以下の点で質問します。
 1 第1に、韓国併合が当時の韓国・朝鮮の人々の総意によったという発言です。
  ア 「韓国併合条約」締結にいたる経過をみれば、明治政府による開国要求段階から武力の威嚇と行使をくりかえしながら屈辱的条約を次々とおしつけてきたことは明白です。開国を認めさせた「日朝修好条約」は軍艦六隻と砲兵小隊、歩兵中隊が取り囲むなかで締結されました。日本の支配に反対する中心だった王妃・閔妃を、日本公使の命令で宮殿内で襲撃し暗殺するという事件まで起こしたことは、陸軍省関係の報告書にもしるされています。1910年の「韓国併合条約」も、二千数百人の兵隊と海上での艦隊による示威行動が展開され首都を戒厳令下において結ばれたものです。知事は、韓国併合が、こうした武力の威嚇と行使を中心とした無法なものであったという歴史的事実をどう認識しているのですか。
  イ 「総意」といいましたが、1905年の「第2次日韓協約」によって外交権は日本の外務省に奪われ、独自に外交を展開することができる状態ではありませんでした。また当時の大韓帝国には国会に相当する合議機関は存在せず、大臣会議はありましたが、1907年の「第3次日韓協約」以降は各部(日本の省に相当)の実権は日本人次官に握られていたというのが朝鮮史研究家の指摘です。知事は何を根拠に、当時の韓国の人々の総意で決まったというのですか。
  ウ なお、知事は会見のなかで当時「国際連盟もありましたけれども」日本は批判されなかった旨の発言をし、韓国併合を正当化する根拠の一つにあげていますが、国際連盟の設立は1920年で、当時は存在していませんでした。国際連盟が存在していたかの発言は明らかに誤りであり、訂正すべきです。
2 第2に、知事の日本の植民地支配が他国にくらべ人道的であったかの旨の発言です。
 ア しかし、武力によって民族の主権を奪い、植民地支配を行うことそのものが、韓国の人々の主権を踏みにじり人道に反することは明白ではありませんか。知事は、植民地支配そのものを肯定するのですか。
 イ 知事が人道的と評価する根拠にあげているのは、朴元韓国大統領の発言や、一部の学者などの断片的発言にすぎません。しかし、日本の植民地支配が「人道的」どころか屈辱的で非人間的であったかは、創氏改名や神社参拝、日の丸掲揚などの強要、さらに日本での強制労働などの歴史的事実をみても明白です。知事はこうした事実が人道的で人間的と評価するのですか。
   いかに屈辱的であったかは、日本の軍隊や警察の残虐な弾圧のもとでも、「民族独立」を叫んだ3・1運動など日本の支配に反対し民族の誇りの回復を求める抵抗がつづいたことでも明白ではありませんか。
 ウ 知事発言が、いかに歴史的事実をねじまげ、韓国・朝鮮の人々を侮辱するものであるかは、知事発言にたいする在日の韓国・朝鮮団体からの厳しい撤回、謝罪を求める行動、さらに東京都と友好都市にあるソウル市が批判の声明を出すという異例の対応でも明らかです。ソウル市の声明では「歴史を歪曲する反時代的妄言が繰り返されることに失望感を隠せない」「1千万ソウル市民の名において深い遺憾を表明する」というものです。知事はこうしたソウル市の声明をどのように受け止めますか。
3 戦後の日本は、日本が行った侵略戦争と植民地支配にたいする反省から出発し、アジアの国と人々との信頼を回復し友好をきづいてきました。21世紀にはいり東アジアの平和と安定をきづくことが、日本の平和にとってもますます重要になっています。
  そのとき、首都東京の知事が韓国併合を正当化し、植民地支配を美化する発言を行ったことは、アジアの人々との平和と友好に重大な障害をつくりだすものです。韓国外交通商省スポークスマンは「日本の責任ある政治家が誤った歴史観にもとづき、時代に逆行するような発言をしたことに深く失望せざるをえない」と発表しました。
  知事はこれまでも、靖国神社公式参拝や三国人発言など、アジアの人々から厳しい批判をうけてきました。知事が都民の代表、都知事としての立場を利用し、都民に誤った歴史観を植えつけ、アジア諸民族を侮辱する独善的な排外主義をあおる発言を行うことは、歴史を逆行させるものとして許せません。知事は韓国併合を正当化し、植民地支配を美化した発言を撤回し謝罪すべきです。

平成15年第四回都議会定例会
吉田信夫議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 石原知事の韓国併合正当化発言について
 1 知事の、韓国併合が韓国・朝鮮の人々の総意によったという発言について
 ア 知事は、韓国併合が、武力の威嚇と行使を中心とした無法なものであったという歴史的事実をどう認識しているのか、見解を伺う。

回答
  当時、朝鮮半島の政治情勢は極めて不安定であり、清国、ロシアあるいは日本のいずれかに委ねざるを得ないところまで追いつめられておりました。その結果、彼らの総意として日本を選んだものであり、決して日本が武力で朝鮮を侵犯したのではないと考えております。

質問事項
一の1のイ 「総意」と言ったが、「第二次日韓協約」によって外交権は日本の外務省に奪われ、当時の大韓帝国には国会に相当する合議機関は存在せず、「第三次日韓協約」以降は各部の実権は日本人次官に握られていたというのが朝鮮史研究家の指摘である。知事は何を根拠に、当時の韓国の人々の総意で決まったというのか、見解を伺う。

回答
  日韓併合に関する条約を締結するに当たって、李朝政府は、閣議に諮るなど、国家意思決定の手続を踏まえており、こうしたことから総意と申し上げました。

質問事項
一の1のウ 知事は会見のなかで当時「国際連盟もありましたけれども」日本は批判されなかった旨の発言をし、韓国併合を正当化する根拠の一つにあげているが、国際連盟が存在していたかの発言は明らかに誤りであり、訂正すべきである。見解を伺う。

回答
  日韓併合条約を締結するに当たり、欧米諸国から実質的に支持されたという歴史的事実を申し上げたものであります。
  国際連盟が当時存在していなかった点はご指摘のとおりです。

質問事項
一の2 知事の日本の植民地支配が他国にくらべ人道的であったかの旨の発言について
   ア 武力によって民族の主権を奪い、植民地支配を行うことそのものが、韓国の人々の主権を踏みにじり人道に反することは明白ではないか。知事は、植民地支配そのものを肯定するのか。見解を伺う。

回答
  植民地主義はとりわけ19世紀から20世紀半ばにかけて世界を動かした歴史原理ともいえるものであり、世界中で植民地支配が行われたことは歴史的事実であります。

質問事項
一の2のイ 日本の植民地支配が「人道的」どころか屈辱的で非人間的であったかは、創氏改名や神社参拝、日の丸掲揚などの強要、さらに日本での強制労働などの歴史的事実をみても明白である。知事はこうした事実が人道的で人間的と評価するのか。見解を伺う。

回答
  19世紀から20世紀にかけての欧米諸国による植民地支配は、現地の住民を大量に殺戮し、その恐怖支配のもとで劣等視し差別する、極めて非人間的なものでありました。これに比べて日本の植民地統治は、社会的インフラや教育制度の整備にも配慮したものであったと考えております。

質問事項
一の2のウ 知事発言にたいするソウル市の声明は「歴史を歪曲する反時代的妄言が繰り返されることに失望感を隠せない」「一千万ソウル市民の名において深い遺憾を表明する」というものである。知事はソウル市の声明をどのように受け止めるのか。見解を伺う。

回答
  歴史に対する見解が立場によって食い違うのはいたしかたありませんが、歴史的事実を正確に認識して議論する必要があると考えております。私はそのように心掛けており、妄言と謗られるものではないと思います。

質問事項
一の3 知事が都民の代表、都知事としての立場を利用し、都民に誤った歴史観を植えつけ、アジア諸民族を侮辱する独善的な排外主義をあおる発言を行うことは、歴史を逆行させるものとして許せない。知事は韓国併合を正当化し、植民地支配を美化した発言を撤回し謝罪すべきである。見解を伺う。

回答
  日韓併合の歴史を100パーセント正当化するつもりはないことは、再三、申し述べてきました。発言の一部だけが針小棒大に取り上げられ、故意に捻じ曲げられて報道されることは誠に遺憾であります。
  また、日本の朝鮮半島で行った植民地支配については、韓国の近代化を指導した朴大統領が自らの体験をもとに相対的に積極的な評価をしていたことをふまえて、私は発言しており、欧米に比べれば人道的なものであったと理解しております。
  故に発言を撤回する必要はないと考えております。

平成15年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

 提出者 木村陽治

質問事項
 一 子どもの安全と東京の治安について

一 子どもの安全と東京の治安について
  子どもの安全と東京の治安について質問いたします。
 1 まず、治安対策を考える場合、なぜ今日の日本で犯罪が激増しているのか、その背景をつかむことが必要です。平成14年版法務省「犯罪白書」によれば、1996年以降の5年間で一般刑法犯(交通犯を除く刑法犯)として検挙された人のうち、職業をもっているか否かを分析した結果、「有職者」の増加率は2%、無職者(学生、主婦、年金生活者を除く)の増加率は41%となっています。
   つまり、犯罪の急増の最大の原因は、近年の失業者やリストラなど経済的・社会的要因であり、これまでも一般的には犯罪の背景には貧困や失業があると言われてきましたが、今日ほど、直接的にあらわとなっているときはないと言えます。さらに、痛ましいのは、強盗、傷害、恐喝など暴力的9罪種についての検挙者増加率が50代で100% 2倍、60代で159% 2.5倍となっており、暴力的9罪種の検挙総数の全体では39%増ですから、ここにはリストラ、失業、再就職の困難にあえぐ中高年の実態が、くっきりと反映されています。
   また、暴力的9罪種+殺人の罪種による成人検挙者のうち前科の有無の内訳は、前科なしが65%増、前科ありが30%増となっており、これまで犯罪とは無縁だった人たちが、犯罪者となっていく傾向が強く、あらわれていることも重大です。
   たしかに、治安の悪化の要因には、来日外国人犯罪の増加や、地域社会の犯罪抑止機能の低下など、さまざまな問題があげられますが、都がなすべき治安対策の根幹には、まず都政が犯罪の予防のために不況など経済情勢や社会不安などから都民のくらし、営業を守ることに全力をつくすという立場を据えることが必要ではないでしょうか。基本的な認識を問うものです。
 2 さて、こういう社会状況のなかで子どもの安全を守る地域社会をどうつくるか、ということはきわめて重要な課題です。なぜなら、ストレスと社会不安に追いつめられた人が弱者への攻撃をはけ口に自己を救済しようとする傾向がつよまり、その場合、そのはけ口が子どもにむけられる可能性がつよまるからです。
   子どもが地域のなかで、どのような犯罪の危険に遭遇しているかを都市計画の立場から調べている千葉大学の中村攻(おさむ)教授によれば、警察や行政当局には、子どもが万引きしたり、シンナーを吸ったりした犯罪を犯した資料はあっても犯罪の被害者としてどんな危険にあったか、という資料は全くないということです。そこで、中村教授は、子どもに安全なまちづくりをどう進めるかという必要から、自ら首都圏を中心に小学校4年生から6年生の子どもたち15000人以上にアンケートを送り調査したのです。アンケートは、学校の先生や親たちの協力を得て実施されていますが、子どものプライバシーを守る観点から封筒を子どもたち自身が封印して回収されたものだそうです。
   それによると、中学生になるまでのあいだに、なんらかの犯罪に巻き込まれる危険に遭遇した経験をもつ子どもの割合は、全体の4割程度となっており、人口流動の激しい地域では5割を超えています。被害のうち、粗暴犯や風俗犯といった直接身体に危害を加えられる被害が全体の55%をしめ、窃盗犯は45%となっています。女子では「変な人に追いかけられた」「男の人に体を見せられた」など性に関わる犯罪におおく会い、男子は暴行、恐喝・脅迫など暴力にかかわる犯罪におおく遭遇しています。窃盗は、男子、女子かかわりなく高い比率をしめています。「青年期になって、平気で自転車など他人の所有物を失敬する若者の出現は、彼ら自身が子どもの頃に、金品を盗まれた被害者体験をもつことと無縁ではないでしょう」と中村教授はその著書のなかで述べています。
   中村教授の調査で注目すべきは、この他にも第1に被害を受けるもっとも多い時間は午後3時頃から5時頃までであること。第2に被害の発生する場所は大人たちが安全と考えている昼間の住宅街や公園などであること。第3に、加害者は「よく見かける人」「たまに見かける人」ではなく圧倒的に「見かけたことがない人」であること、また「高校生ぐらい」が1割、「老人」が1割程度で、あとは「おとな」となっており、子どもへの犯罪の四分の三が「見たことがない成人」によって引き起こされていることが伺えます。東京を中心とする都市の子どもたちはいま、親がはたらきに出ている間に、親の世代では想像もつかないほど危険な環境で生活しているといえます。
    飾亀有地域では、この3年間、学校、PTA、町会、青少年委員、保護司など、子どもの健全育成にかかわるすべての団体が協力し合い、中村教授の協力のもとで、子どもたちへのアンケートをおこない、これをもとに、危険な目にあった場所を地図におとして、歩いて調査をし、解決策を話し合い、行政、警察と連携して、「子どもが犯罪の被害者にならない街をどうつくるか」をめざしてのとりくみがすすめられています。
   この亀有地域のとりくみは、治安対策を住民が主体となって解決する上で、都政が生かすべき、いくつかの重要な視点があります。そのひとつは、地域の犯罪の実態を子どもたちに教えてもらうと言うことです。それが子どもたちへのアンケートです。その結果、大人たちは、改めてわがまちにひそむ危険を子どもの目線で知り、生け垣を低くして公園の死角をすくなくしたり、マンションのベランダに向いている南側より、北側にある公園は犯罪が多いことが分かり、花壇の水やりを子どもたちの登下校時にあわせておこなうなどの解決策を生みだしたのです。
   二つは、これがあくまで地域住民の自主的なとりくみとしておこなわれているということです。上から行政が組織をつくり、行政の長がその頂点にたつというものではなく、行政と警察はそれぞれの分野の専門家として協力するパートナーとして、住民のとりくみをバックアップするという立場です。住民自身が、子どもたちから教えられた危険箇所を歩き調査し、その解決策をだしあい、それをさらに地域全体でもちより、そのうえで、まとめて行政や警察と懇談する、というとりくみは地域からの自主的な自発性があってはじめてながつづきします。
   もちろん、フィールドワークから具体的政策をつくり、行政につないでいくなどということに、不慣れな住民の自発性をひきだすためには、生涯学習の専門家の支援が必要です。亀有地域でのとりくみも、 飾区立亀有社会教育会館での「この町で共に暮らし共に育つ講座」としておこなわれていることが三つ目の特徴です。
   一方、石原都政におけるこの問題についてのとりくみはどうでしょうか。知事はさきの本会議で治安対策の強化、子どもが関係する犯罪の抑止、及び、安全安心のまちづくりについておおくの言葉を費やして所信を表明しましたが、そこでは子どもはもっぱら犯罪をおかす者であり、これを罰し、教育し、矯正すべき対象としてとらえられており、現代の苛酷な社会のひずみから生れる危険から、いかに子供を守るかという視点はありません。あげられた対策も監視カメラと万引き対策であり、また、対策の具体化を急ぐとして引用されている「子どもを犯罪にまきこまないための方策を提言する会」の緊急提言の対策も、子どもの深夜外出規制、有害図書の販売防止などいわば権力的な規制策が主なものになっています。
   知事は、自らが会長となって60の関係団体とともに「安全・安心まちづくり協議会」を設立しましたが、行政が上から声をかけて権力的な規制策を実現するための住民組織をつくっても、はたして地域再生につながる都民の自助・共助の精神が発揮されるのかどうか疑問を抱かざるを得ません。
   地域の犯罪を防止するコミュニティの再生・強化のための住民のながつづきするエネルギーをひき出すためには、あくまで住民の自主性を尊重し、行政がこれを支援することが重要です。ところが、都がこうしたコミュニティ行政から手を引き、生活文化局のコミュニティ文化部を廃止してからすでにかなりの歳月がたちます。都は、コミュニティづくりの支援はもっぱら区市町村の役割だとしていますが、近年の急激な治安状況の悪化ひとつとっても、コミュニティづくりを区市町村まかせにするのではなく、大都市ならではのコミュニティづくりの探求がもとめられる分野はあり、この際都としてのコミュニティ行政を再構築する必要があるのではないでしょうか。答弁をもとめます。
3 また、こどもたちが公園など地域での日常生活でおおくの危険に遭遇している現実からみて、都がかつて実施していた「子どもの遊び場調査」などを復活することも必要ではないでしょうか。
4 さらに、葛飾区でとりくまれている社会教育施設を軸とした、地域が自主的におこなう子どもたちの安全な環境づくりを普及し、都として支援する仕組みをつくるべきではないでしょうか。それぞれ答弁を求めます。
5 さらに、渋谷や新宿、池袋など、青少年が犯罪にまきこまれる危険のおおい場所で、生活指導員、教育経験者などによる、常時体制でのパトロールや生活指導の強化など、都としての対策を強めていくことも重要です。答弁をもとめます。
6 さて、地域で、子どもを犯罪から守っていくためには、交番・駐在所の役割が重要であることはいうまでもありません。ところが、近年、都民からの要望が強いのは、お巡りさんのいない空き交番をなくしてほしい、というものです。
  そこでわが党は最近、全都に存在する交番・駐在所の数の40%にあたる498ヶ所の交番・駐在所の調査を行いました。その結果は、警察官常駐301ヶ所(60.4%)、一時常駐99ヶ所(19.9%)、空き交番98ヶ所(19.7%)でした。これを23区地域と多摩地域を比較してみると、23区が常駐63.2%、一時常駐と空き交番の合計が36.8%であるのに対し、多摩地域では常駐51.7%、一時駐在と空き交番の合計が48.3%という結果でした。もとより、すべての交番・駐在所に足を運んだわけではありませんでしたので正確な数値ではありませんが、およその傾向を伺うことができます。
  この調査で痛感されたのは、住民の立場から頼れる交番にしてほしいという警察活動の見直しと空き交番解消への都民要望の強さでした。クルマのキーを拾ったので届けようと交番を訪ねたら留守で、次の交番も無人、三ヶ所目の交番に行ったら「パトロール中」で電話先が書いてある立札があり、しばらく待ってやっと届けたという事例や、突然強風が吹いたために歩行中の住民同士にささいなトラブルが発生、近くの交番へ行ったらハイテク交番という名の空き交番、ボタンを押すとテレビ電話で「相談したいことがあれば警察署まで来い」との対応事例など、交番と都民の関係のさまざまな実情も明らかになりました。
  地域と警察の信頼関係なしに、地域の防犯活動は成功しないことは明らかです。
  そこで伺います。予算や人員の配置を、公安中心から刑事・防犯活動中心に切りかえ、交番やパトロールなど現場体制を抜本的に強化すべきではないか。
7 また、全都の空き交番の実態調査をおこなうとともに、交番の警察官の常駐化を行うべきと思うがどうか。
  それぞれ答弁を求めます。

平成15年第四回都議会定例会
木村陽治議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 子どもの安全と東京の治安について
1 治安の悪化の要因には、来日外国人犯罪の増加や、地域社会の犯罪抑止機能の低下など、さまざまな問題があげられるが、都がなすべき治安対策の根幹には、都政が犯罪の予防のために不況など経済情勢や社会不安などから都民の暮らし、営業を守ることに全力をつくすという立場を据えることが必要ではないか。基本的な認識を伺う。

回答
  東京の治安を回復するためには、犯罪の取締りの強化はもとより、街頭や住宅などにおける防犯対策、学校教育の充実、地域・学校・家庭等による相互協力の強化、更には都民の経済生活面等における不安の解消など、都民生活にかかわる様々な面で、総合的に取組を進めていかなければならないと考えています。

質問事項
一の2 地域の犯罪を防止するコミュニティの再生・強化のための住民のながつづきするエネルギーをひき出すためには、住民の自主性を尊重し、行政が支援することが重要である。コミュニティづくりを区市町村まかせにするのではなく大都市ならではのコミュニティづくりの探求がもとめられる分野はあり、都としてのコミュニティ行政を再構築する必要があるのではないか。見解を伺う。

回答
  地域コミュニティの活動を、より一層活発にするためには、地域の実態に即した地域住民の自主的な取組を尊重することが重要です。そのためには、地域の実態に精通している区市町村において、行政と都民が一体となって地域コミュニティづくりを進めていくことが何より効果的と考えます。
  都としては、このような区市町村における取組を支援するとともに、誰もが安全で安心して暮らし、活動できる東京のまちを実現するため、東京都安全・安心まちづくり協議会を平成15年10月に設置し、様々な地域及び職域団体の自主的な取組を促進しています。今後とも、地域の犯罪防止をはじめ震災への備えなど、それぞれの行政分野に応じ、地域コミュニティとの連携・協働を進めてまいります。

質問事項
一の3 こどもたちが公園など地域での日常生活で多くの危険に遭遇している現実からみて、都がかつて実施していた「子どもの遊び場調査」などを復活することも必要ではないか。見解を伺う。

回答
  子どもの遊び場に関する調査は、東京都青少年問題協議会(昭和41年7月25日)において、東京都の遊び場は絶対的に不足しており、増設を図ることが緊要との意見具申がなされたことを受けて、昭和42年から「東京都の遊び場」の年次調査として実施されてきました。
  現在は、調査開始時に比べ都立公園、区市町村立公園共に大幅に増設されてきたため、平成14年から「都有地の一時開放による幼児・児童の遊び場並びに青少年及び老人の運動広場等の設置に関する要綱」に基づく「都有地の一時開放による遊び場」に限定して調査し、情報提供しています。
  今後とも、地域の遊び場確保に資するため、「都有地の一時開放による遊び場」の情報提供に努めてまいります。
  なお、ご指摘のように子どもたちが公園など地域での日常生活で多くの危険に遭遇している現実がありますが、都においては、昨年の9月から10月にかけて、都の管理する施設、公園等の緊急安全総点検を実施するとともに、区市町村に対し、それぞれの管理する公園を含む諸施設の安全総点検と安全な環境づくりを促したところです。

質問事項
一の4  飾区で取り組まれている社会教育施設を軸とした、地域が自主的におこなう子どもたちの安全な環境づくりを普及し、都として支援する仕組みをつくるべきではないか。見解を伺う。

回答
  社会教育施設を軸とした、地域が自主的に行う子どもたちの安全な環境づくりについて、都教育委員会では、平成15年12月19日、「子どもを犯罪から守るための『地域の教育力』とは 危険のない街をみんなでつくるために 」と題し、 飾区社会教育館の「子どもを犯罪から守る講座」の取組を政策的・現代的な課題として区市町村職員等研修で取り上げたところです。
  都教育委員会としては、今後とも、区市町村や地域の団体が実施する、こうした特色ある社会教育事業の取組を研修会で事例紹介するなど、子どもの安全な環境づくり活動の普及・啓発に向け、情報提供に努めてまいります。

質問事項
一の5 渋谷や新宿、池袋など、青少年が犯罪にまきこまれる危険の多い場所で、生活指導員、教育経験者などによる、常時体制でのパトロールや生活指導の強化など、都としての対策を強めていくことも重要である。見解を伺う。

回答
  繁華街などで子どもが犯罪に巻き込まれる例が依然として数多く見られますが、15年10月に出された「子どもを犯罪に巻き込まないための方策を提言する会」からの緊急提言では、街頭補導や盛り場パトロールを積極的に行うことが提案されています。
  都内の繁華街などでは、これまでも警察官と少年補導員、教員などによる街頭補導や、NPO・ボランティア団体によるパトロール活動が行われてきましたが、今後は、こうした繁華街を抱える関係区市の取組も促しながら、警視庁、学校、ボランティア団体等と協力して、子どもが犯罪に巻き込まれないための対策を進めてまいります。
  また、青少年が犯罪に巻き込まれる危険をできるだけ少なくするための有害環境の除去も必要であり、いわゆるブルセラ、生セラ、スカウト、有害図書といった問題にも新たな対策を進めてまいります。

質問事項
一の6 地域で、子どもを犯罪から守っていくためには、交番・駐在所の役割が重要であることはいうまでもない。近年、都民からの要望が強いのは、空き交番をなくしてほしい、というものである。予算や人員の配置を、公安中心から刑事・防犯活動中心に切りかえ、交番やパトロールなど現場体制を抜本的に強化すべきではないか。見解を伺う。

回答
  警視庁では、複雑多様化する犯罪情勢に的確に対処するため、これまでも、適正な予算執行及び人員配置に努めてきました。
  平成15年には、業務の見直しによる人員の再配置等により、ひったくり等の街頭犯罪の検挙・抑止を目的として、4月に「遊撃自動車警ら隊」を編成し、街頭犯罪が多発している地域、時間帯における集中的なパトロールや検挙対策を強化したほか、凶悪化、集団化が著しい最近の少年事件情勢等に的確に対処するため、10月に「非行集団特別捜査隊」を編成し、捜査、取締体制を強化してまいりました。
  さらに、平成16年4月1日からは、子供を犯罪の「加害者にさせない」、「被害者にさせない」ため、学校、地域と警察署の連携強化のためのパイプ役として、再雇用職員等をスクールサポーターとして配置するほか、交番機能の強化を図るため、交番相談員の大幅な増員を予定しています。
  警視庁といたしましては、あらゆる警察事象に対応するため、今後も適正な予算執行及び人員配置に努め、都民生活の安全と安心の確保を図ってまいります。

質問事項
一の7 全都の空き交番の実態調査をおこなうとともに、交番の警察官の常駐化を行うべきと思うが、見解を伺う。

回答
  平成16年1月末現在、警視庁管内には939か所の交番があり、このうち約8割の交番は、警察官を常時配置して運用しております。
  いわゆる「空き交番」につきましては、警視庁では、勤務員の配置がない交番と、勤務員が不在がちになる交番の約200か所が、これに該当するのではないかと考えております。
  次に、交番の警察官の常駐化についてですが、警視庁では「交番には常に警察官がいて欲しい」という地域の方々の強いご要望に応えるため、従来から、地域の犯罪情勢や警察事象等に応じて、犯罪多発時間帯に必要な人員を配置するなど弾力的な運用を図っているほか、
 ・交番相談員の配置による支援機能の強化
 ・交番の都市型駐在所への転換による人員の効率的配置
 ・事件・事故等の対応のため、一時的に勤務員が不在となる交番への隣接交番勤務員、パトカー勤務員による立寄り・駐留警戒
 などの施策を講じております。
  なお、警視庁では、犯罪情勢や人口の推移に加え、地域の方々のご期待に沿うように、平成15年9月に副総監を長とする「交番機能の強化方策検討委員会」を設置して、交番の新設や統合を含めた問題点について検討を進めており、いわゆる「空き交番」対策など地域警察全体の運営改善に努めてまいります。

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