平成十五年東京都議会会議録第十八号

   午後四時十二分開議

○議長(内田茂君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 五番秋田一郎君。
   〔五番秋田一郎君登壇〕

○五番(秋田一郎君) 知事は、所信表明で財政再建こそ最重要課題であると述べられましたが、私もまた同じ思いです。しかし、歳出を削減し、税収の回復を待つという従来型の取り組みではもはや限界です。第一次財政再建推進プランで、既に従来のやり方による方策は出尽くしたはずです。当たり前のやり方だけで財政再建ができるとは思えません。
 今必要なのは、前例がない、規制があるからできないとあきらめることではありません。新しい発想と呪文のように唱えることでもありません。既成概念を取り払って、とりあえずやってみることだと私は思います。
 そこで取り上げたいのが、トヨタ自動車の経営手法の一つである「カイゼン」です。現場の社員が常に問題意識を持って仕事に取り組む一方、会社は彼らのアイデアを幾つも吸い上げて、本当に小さなことから改善をし、進化を続け、今日の大企業を築き上げました。
 トヨタの「カイゼン」は、かんばん方式とともに、すぐれた経営手法の一つとして、世界じゅうの大企業で有名ですし、ビジネススクールの授業でも取り上げられています。トヨタにできて都庁にできないとすれば、それは都庁内にも抵抗勢力が存在し、組織風土にも問題があるからだと思います。
 都の職員の数は膨大です。難しい試験を突破した優秀な方々です。膨大な数の分だけ、知恵やアイデアがあると私は良心的に解釈しています。特に、若い方は発想も柔軟ですし、世の中の流れにも敏感です。ここをこうしたらいいのじゃないか、ああしたらいいのじゃないかと、疑問もアイデアも豊富なはずです。彼らの疑問や意見を、それは無理だと一刀両断に切り捨てるのではなく、小さなことでも、とりあえずやってみようと積極的に取り入れることによって、他の職員を刺激し、ひいては組織のモチベーションが上がり、結果として財政再建にも結びつくと思います。
 危機的ともいえる財政状況の中、知事はどのようにして職員の意識改革をし、「カイゼン」のように現場の意見を取り上げ、結果として財政再建に結びつけるのか、知事の所見を伺います。
 また同時に、都みずからが資産戦略を持つべきであると考えます。第一次財政再建推進プランの期間中に一千億円を超える財産売却収入を上げましたが、これは時代の変化や政策の変化の見直しにより、不用な資産を抱え込んでしまったことの証左でもあります。
 財政再建と今後の都政運営について、資産をどう保有し、活用していくかは重要です。例えば、日産自動車が本社を売却して経営を効率化したように、都が保有する庁舎を売却する、あるいは六本木ヒルズの森ビル、丸ビルの三菱地所等、実績のある民間に運営管理を委託することを含め、いま一度、都の資産保有のあり方や、その活用方法を総点検すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、PFIについて伺います。
 先般、海外視察団として訪れたイギリス財務省によれば、英国においてPFI法が施行されたのは一九九二年、現在では約五百件のPFI事業が営まれており、まさに官民協働の時代といわれているようです。
 イギリスにおけるPFI事業は、学校、病院、刑務所といった箱物が多く、IT関連施設はPFIに適さないと考えられています。なぜなら、技術革新のスピードが速いITの分野では、二十年、三十年という長期の事業期間中に技術が劣化するリスクが非常に大きいため、民間事業者が進出したがらないからとのことです。
 PFIのような長期にわたる事業を成功させるためには、次の二点が極めて重要と考えます。第一は、事業に関連して発生する可能性のあるさまざまなリスクを官と民が適正に分担すること、第二に、官側において、財政縮減効果、いわゆるバリュー・フォー・マネーのみを追求せず、民間事業者の経営の採算性、安定性にも一定の配慮を行うことです。
 PFIの導入に当たっては、事業スキームについて、リスク分担が適正か、また民間事業者の採算性は確保されるかといった視点から慎重に判断していくべきと考えますが、所見を伺います。
 また、イギリスでは、PFIには一定の事業規模が必要と考えられており、そのため、複数の案件を複数の自治体が共同で発注するといった形式も採用されています。その背景には、財政規模の小さな自治体では相当の経済的負担となること、また民間事業者側でも、銀行から事業融資を受けるためには、ある程度の事業規模を求められることなどがあるようです。
 財政規模の大きい都では、共同発注方式の導入は必要ないでしょうが、今後、財政再建と行政改革を着実に実行していくためには、一定規模以上の事業について、これまで以上に積極的にPFIを推進していくべきと考えますが、所見を伺います。
 また、イギリスでは、道路整備や河川改修といった公共事業にもPFIが採用されています。我が国においても、現在、内閣府の総合規制改革会議が公物管理のあり方の見直しを進めるなど、規制緩和の動きがあります。都がコスト縮減を推進するためには、従来、官が独占してきた公共事業の分野へもPFIを導入することが不可欠であることを申し上げて、次の質問に移ります。
 昨年、新宿駅周辺地域は、都市再生特別措置法に基づく都市再生緊急整備地域に指定され、特に新宿西口地域においては、市街地再開発事業が六地区完成し、現在、四地区で事業が進められています。
 西新宿三丁目西地区は、パークタワー、オペラシティ、新宿中央公園に囲まれた、非常に恵まれた立地特性を持ち、なおかつ約八・六ヘクタールという大規模な面積を有する、潜在能力の高い地域です。
 本地区において市街地再開発準備組合が設立されたと聞いていますが、現状はどのようになっているのか、伺います。
 また、市街地再開発事業を進めるに当たっては、権利者の合意形成が必要です。本地区は、百五十六名という比較的多くの権利者がいますが、合意形成の状況について伺います。
 当地は、私が生まれ育った思い入れの強い地域でもあります。しかし、都庁が移ってきて以来、バブルによる地上げなどにより、商店は減り、多くの住民がまちを離れ、残った人々は今後を憂えているのが現実です。再開発に対する住民の期待も非常に高まっています。
 六本木ヒルズのような、統一した中にも個性ある街並み、魅力あるデザインのまちづくりを大いに期待していますが、東京都は本地区のまちづくりについてどのように取り組もうと考えているのか、伺います。
 また、平成十四年三月の都市再開発法の改正により、再開発会社が新たに施行者として追加されました。これにより、施行者として資金調達能力が増し、専門的な知識を有する者による事業運営が可能となる一方、地権者は出資の範囲でリスクを負担するにとどまり、民間活力を生かした迅速かつ効率的、合理的な事業を推進することが可能となりました。当地区のまちづくりを進めるに当たって、再開発会社施行も含めて検討する必要もあると思いますが、所見を伺います。
 次に、不妊治療について伺います。
 急激な少子化の進行は、我々の生活に深刻な影響を及ぼすものであり、喫緊の課題です。今回、私が質問するのも、同世代の友人の、周りでは少なくない数の夫婦が経済的理由で子どもを持つことを断念しているぞ、一人が一生の間に納める税金の額を考えれば、少子高齢化対策を声高に叫ぶ前に、行政はもっと具体的に支援をすべきではないかという一言がきっかけです。
 折しも、国は、ことし九月に少子化社会対策基本法を施行しました。この法律は、少子化の進展に歯どめをかけ、生命をとうとび、豊かで安心して暮らすことのできる社会の実現に向け新たな一歩を踏み出すことを趣旨としており、その基本的施策の一つとして、初めて不妊治療が盛り込まれました。
 そもそも、子どもを持つ、持たないということは本人が決定すべきことでありますが、不妊治療を受けて子どもを持ちたいと望む方々に対して支援をすることは、重要なことであると考えます。
 そこでまず、不妊に悩む方々は実際には何人ぐらいいるのか、東京都の状況もあわせて伺います。
 不妊の治療法にはさまざまな方法があると聞きます。できるだけ薬などは使わずに、ストレスを避け規則正しい生活を送るなど、生活習慣を改善することにより妊娠できるのが一番だと思いますが、中には特別な治療を行わないと妊娠しない場合もあるようです。
 不妊治療は、一部を除いて健康保険が適用されず、人工授精などの治療にかかる費用は全額が本人負担となっています。一回の治療に何と数十万円かかり、経済的に余裕がない場合は治療をあきらめざるを得ません。治療を始めたところで、何回も治療を受けなければ妊娠しないことも多く、不妊治療を受ける方々の経済的負担は極めて大きいようです。
 国においては、平成十六年度予算概算要求の中で、不妊治療の経済的支援を新規事業として掲げていると聞いています。このことは、治療を受ける方々にとっては朗報であり、一刻も早い実現が望まれます。国が検討している支援策について、都としてどのように対応する考えなのか、伺います。
 不妊治療は、妊娠を望んで受ける治療とはいえ、決して楽なものではありません。先週十二月六日の日本経済新聞にも、体外受精の成功は三割程度にすぎず、失敗するたびに、どの女性も大きな失望感と心身の負担を味わっているという記事がありました。
 不妊については、治療に対する支援も重要でありますが、このようなさまざまなつらさや悩みを相談できる場を確保することも重要です。不妊に悩む方の相談に応じられる体制を整備することが重要であると考えますが、所見を伺います。
 次に、都立病院改革について伺います。
 大久保病院のある区西部地域にある多数の大病院は、主として全国を対象に高度専門医療を提供する役割を担っており、地域における医療の提供だけを役割とした病院ではありません。もちろん、こうした病院も必要ですが、地域の住民には、いつでも安心して適切な医療を受けられる、地域の中核となるような病院が必要です。
 大久保病院の公社移管に関する報告書は、移管後の大久保病院を地域の中核病院として位置づけていますが、区西部地域における中核病院として、具体的にどのような役割を果たしていくのかを伺います。
 移管後の大久保病院は、これまでどおり、透析医療やリハビリ医療などの特色ある医療を提供していくとのことですが、一方で、高齢化社会を迎え、ますますふえる在宅医療への支援を求める声が地域から多数寄せられたと聞いております。
 そこで、移管後の大久保病院が、在宅医療を本格的に支援し、地域の医療ニーズにこたえることで、地域の中核病院として特色を一層発揮できるものと私は考えますが、公社に移管された後の在宅医療の支援についてどのように取り組んでいくのか、伺います。
 大久保病院は、公社へ移管されることで、より地域に根差した病院として、また他の医療機関との相互連携の中心となる病院として、地域において重要な役割を果たす病院になると考えます。公社への円滑な移管に向けて、これまで以上の都の努力を求めます。
 ところで、十一月に板橋区が豊島病院の区移管について意思表示を行ったことが、昨日の我が党の代表質問で明らかになりました。豊島病院は老人医療センターと統合民営化する計画となっていますが、豊島病院の区立病院化に向けた動きを踏まえ、老人医療センターについては、今後のあり方を含め、どのように検討していくのかを伺って、最後の質問に移ります。
 木造住宅密集地域の再生について伺います。
 これらの地域は、防災上、住環境上、多くの問題を抱え、災害時には甚大な被害を受けることが危惧されます。一方、都心に近接しているこれらの地域の整備は、東京の再生を図るためにも重要な課題です。都が精力的に木造住宅密集地域で整備事業に取り組んでいることは承知しておりますが、目に見える形で進まない現実を見ると、現在の取り組みだけでは不十分です。
 特に、自宅に賃貸アパートを併設している建物所有者は、建てかえ期間中は家賃収入がないだけでなく、仮住居も確保しなくてはならず、負担が大きいものとなっています。都として何らかの取り組みが必要と考えますが、所見を伺います。
 また、都は、燃えにくいまちづくりを目指して新たな防火規制を導入し、この十月から、指定区域内で建物を建築する場合、耐火性能の高いものとすることを義務づけました。こうした枠組みの中で、自力更新が一層進むことが望まれますが、木造の戸建て住宅に対する行政の取り組みは必ずしも十分ではありません。耐火性能の高い戸建て住宅への建てかえを促進するため、新たな方策を検討すべきと考えますが、所見を伺って、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 秋田一郎議員の一般質問にお答えいたします。
 職員の意識改革と財政再建についてでありますが、財政再建の取り組みに当たっては、これまでにも増して都政の守備範囲や施策の体系などについて、その根本にまでさかのぼり、踏み込んで再構築していくということが不可欠であると思います。
 そのため、現場からの発想に基づきまして、何といっても東京は最大の生々しい現場でありますから、そこから生まれる発想に基づいて、改めて新たな目で施策を見直すなど、各局や各職場が今まで以上に自主的、主体的に取り組むことが必要であると思います。
 ことしの入庁式にも申しましたが、とかく従来の官僚というのは、官僚の特質として、金利感覚、時間コスト、それから保険、保証というものの感覚が欠如しておりまして、非常にむだが多かったと思います。特に、国の官僚においてはまだそれが続いておりますが、ただ、東京の場合には、こういう時代に沿って、現場というものを踏まえながら、だんだん意識が変わってきました。特に、就任してから設けました東京スピリット賞とか、あるいは例年行っております職員の表彰などを見ますと、やはり本当に現場をとらえた者でなければ出てこない発想が、ある意味でコロンブスの卵的なものがありまして、逆に本当に感動を覚えさせられることがございますが、そういった意識をもっともっと育てはぐくみながら、大胆に取り入れることは、やっぱりこちらの責務でもあると思いますし、そういった現場の知恵を積極的に生かしながら、仕事のやり方や執行体制などを改革し、財政再建を推進していきたいと思っております。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔財務局長櫻井巖君登壇〕

○財務局長(櫻井巖君) 財政、PFIに関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都の資産保有のあり方や、その活用方法の総点検についてであります。
 社会経済の動向や政策の変化に対応した財産の有効活用を図るためには、各局が保有している財産を見直し、全庁的な視点に立ちまして、新たな事業への転活用の可能性などについて、幅広く検討していく必要があると思っております。
 そのため、このたび策定しました第二次財産利活用総合計画におきまして、各局の庁舎など行政財産の利用状況を詳細に調査しまして、その必要性や、さらなる有効活用策などにつきまして評価して、新資産アセスメントを実施することといたしました。
 この新資産アセスメントの実施に当たりましては、組織や予算、人事などの部門と連携して、局の壁、事業の壁を超えまして、より効率的な財産活用の視点から、改めて都の資産保有のあり方や、その活用方法について総点検してまいります。
 次に、PFIの導入についてであります。
 ご指摘のように、PFIは長期にわたる事業であるため、導入に当たりましては、慎重な判断が必要であります。そのため、都におきましては、PFI導入の可否についての統一した判断及び審査を行うため、民活手法検討委員会を設置しているところであります。
 都としましては、今年度中に、この委員会のあり方を見直しまして、弁護士、金融アドバイザーなどの専門家を外部委員として加えて、その機能強化を図る予定であります。
 これにより、財政縮減効果、いわゆるバリュー・フォー・マネーの検証はもとより、官民のリスク分担や民間事業者の採算性等につきまして、より慎重かつ的確な判断が行えるようになると考えております。
 次に、このPFIの推進についてでありますが、都にとっては、財政縮減効果とともに、民間のノウハウによる良質な都民サービスの提供が可能になるといったメリットがあり、一定規模以上の公共事業には、これまで以上に導入を促進すべきと考えています。
 そこで、都としましては、大規模な公共事業について、計画策定の段階で、PFI等、民活手法の導入の可否を必ず検討するよう、先ほど申し上げました民活手法検討委員会の見直しの中で制度改正を行う予定であります。
 今後とも、都民サービスの向上、ひいては財政再建の推進、行政改革の着実な実現のため、国にも規制緩和を働きかけるなどしまして、PFI等の民活手法の導入をより一層推進してまいります。
   〔都市計画局長勝田三良君登壇〕

○都市計画局長(勝田三良君) 新宿のまちづくりに関します三点のご質問にお答え申し上げます。
 西新宿三丁目西地区の市街地再開発事業の現状についてでございますが、当地区は、甲州街道、山手通り、十二社通り、水道道路に囲まれました約八・六ヘクタールの地区でございまして、狭隘な道路や行きどまり道路が多く、老朽建築物も密集しておりまして、防災面などの課題も抱え、再開発の機運が高い地区でございます。
 平成三年に、権利者によります街づくり研究会が発足し、以来、地元区である新宿区との話し合いなどを経まして、平成十四年には市街地再開発準備組合が結成をされまして、本組合結成に向け、合意形成の努力がなされております。
 次に、権利者の合意形成についてでございますが、当地区には百五十六名の権利者がいらっしゃいまして、平成十四年の準備組合設立時における組合加入率は五八%でありましたが、地元権利者の方々の話し合いが進みまして、本年九月時点では六八%となっております。現在、準備組合により、さらに加入率を高める努力がなされております。
 都といたしましても、地元区及び権利者とともに、早期の都市計画決定に向けまして調整を図ってまいります。
 最後に、まちづくりへの取り組みと再開発会社施行についてでございますが、当地区は、首都東京としての中心的な役割を担う新宿副都心の一角を占めておりまして、業務・商業、住宅、文化など、にぎわいのある複合市街地の形成を図る必要がございます。そのためには、民間活力を活用したまちづくりを民間と行政の協力のもとに進めることが重要であると考えております。
 また、ご指摘ございました再開発会社施行につきましては、組合施行とともに、市街地再開発事業の促進を図るため極めて有効な手段であると認識しております。
 今後、再開発会社施行を含めまして、地元特性に応じた施行形態が選択され、事業の促進が図られるよう支援してまいります。
   〔健康局長平井健一君登壇〕

○健康局長(平井健一君) 不妊治療について三つのご質問にお答えいたします。
 まず、不妊に悩む方々の数についてでございます。
 不妊症に悩む夫婦は十組に一組程度といわれております。こうした方々のうち、何らかの不妊治療を受けている方の数は、平成十四年度の厚生労働科学特別研究による調査結果によりますと、全国で約四十六万七千人と推定されております。
 東京都の患者数につきましては、人口比から勘案いたしますと、全国の患者数の一割程度と考えられます。
 次に、国の不妊治療支援策に対する都の対応についてでございます。
 現在の時点では、国の事業内容の詳細は明らかにされておりませんが、不妊治療のうち、医療保険が適用されず治療費が高額である体外受精等の特定の治療法が助成の対象になる予定と聞いております。
 都といたしましても、多くの方が不妊治療費の助成制度を待ち望んでいることは承知しておりますので、事業内容等が明らかになり次第、速やかに対応してまいります。
 最後に、不妊相談体制の整備についてでございます。
 都は、平成九年一月から電話による不妊相談を実施しておりまして、専門知識を有する医師や、みずからも不妊に悩んだことのある相談員によりまして、助言指導を行っております。
 平成十四年度の相談件数は一千八百三十七件でございまして、相談開始以来、延べ一万件を超えております。
 今後とも、より的確な助言指導が行えますよう、相談員の資質の向上のための研修を実施し、不妊に悩む方々に対する支援に努めてまいります。
   〔病院経営本部長碇山幸夫君登壇〕

○病院経営本部長(碇山幸夫君) 都立病院改革に関します二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、都立大久保病院の東京都保健医療公社移管後におきます役割についてでございます。
 区西部地域におきます中核病院としまして、患者の症状に応じました適切かつ一貫性のある医療を提供していくため、公社移管後の大久保病院は、診療所を初めとします地域の医療機関とより一層連携していくとともに、高度専門医療を担います大学病院などとも積極的な連携を図るなど、地域医療のシステム化を推進する中心的な役割を果たしていく考えでございます。
 次に、同公社への移管後の大久保病院におきます在宅医療の支援についてでありますが、現在、大久保病院では、さまざまな在宅医療の支援を、移管に向け、試行的に行ってございます。公社移管後は、こうした試行の結果や、地域におきます医療ニーズを踏まえまして、在宅患者の緊急入院用の病床確保や、検査入院の実施、患者、家族を対象としました相談窓口の設置、さらには医療従事者の研修会の開催など、地域の医療機関との連携を踏まえながら、在宅医療への支援を充実、拡充してまいりたいと考えてございます。
   〔福祉局長幸田昭一君登壇〕

○福祉局長(幸田昭一君) 老人医療センターの今後のあり方などについてのご質問にお答え申し上げます。
 豊島病院の区立病院化に向けての検討に並行して、老人医療センターにつきましても、都立病院改革マスタープランで示された民営化という基本的考え方に基づき、医療資源の効率的な配置という観点も踏まえ、関係局とも調整を図りながら、できるだけ早い時期に都としての方向性を明確にしてまいります。
   〔住宅局長高橋功君登壇〕

○住宅局長(高橋功君) 木造住宅密集地域の再生について、二点のご質問にお答えいたします。
 まず、木造住宅密集地域整備事業におきます建てかえへの取り組みについてでございますが、都はこれまでも、事業実施の際に、建てかえに伴い転出せざるを得ない賃借人等に対しまして、都営住宅の提供を行ってまいりました。
 ご指摘のような、自宅に賃貸アパートを併設している建物所有者に対しまして仮住居を確保していくことは、事業の一層の促進を図る上で有効な方策であると認識しております。
 今後、こうした仮住居が必要な建物所有者に対しましても、さきに創設いたしました期限つき入居制度を活用いたしまして、都営住宅の提供を行ってまいります。
 次に、戸建て住宅の耐火性能の高い住宅への建てかえについてでございますが、戸建て住宅の自力更新を促進していくためには、建てかえ資金の融資を円滑に行うことが必要でございます。
 しかし、木造住宅密集地域におきましては、狭小な敷地が多く、住宅金融公庫の全国一律の基準では融資を受けられないという状況がございます。
 このため、都は、耐火性能の高い住宅への更新と、道路からの壁面後退を条件といたしまして敷地面積基準を緩和する融資の仕組みにつきまして、現在、住宅金融公庫と協議を進めております。
 今後、この仕組みを早急にまとめまして、耐火性能の高い戸建て住宅への建てかえを促進してまいります。

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