平成十五年東京都議会会議録第十八号

○副議長(中山秀雄君) 六十四番こいそ明君。
   〔六十四番こいそ明君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○六十四番(こいそ明君) まず初めに、米軍基地対策における多摩サービス補助施設の返還の取り組みについて伺います。
 日米安全保障条約体制のもと、日本と米国の協力関係が求められていることは当然であります。九・一一同時多発テロを境とするテロの脅威の拡大、イラク問題、北朝鮮情勢など、国際的な緊張が高まっていることも事実であります。しかし、このような情勢を踏まえつつも、米軍基地の返還について、都は主張すべきは主張していかなければなりません。
 東京には八つの米軍基地がありますが、その中の一つに多摩サービス補助施設があります。この施設は、昭和二十一年に米軍に接収され、多摩弾薬庫と呼ばれておりましたが、昭和四十二年以降、レクリエーション施設として整備をされ、今日に至るまで米軍に占有されております。同施設は、米軍人、米軍属及びその家族のためだけの福利厚生施設でありまして、全体面積は百九十六万平方メートルに及び、これは東京ドーム四十二個分にも相当いたします。このような安全保障とは直接かかわりのない施設は、即時に返還され、都民の利用に供されるべきと考えます。
 そこで、まず、都はこれまで、多摩サービス補助施設の返還についてどのように取り組んでこられたか、伺います。
 我が国は米軍に対して、いわゆる思いやり予算として、毎年二千五百億から二千八百億円の予算を計上しております。軍事施設ではない、単なるレクリエーション施設である米軍の多摩サービス補助施設も、この思いやり予算、すなわち我々日本人の税金で賄われているのであります。そして、その施設、敷地内に、戦後五十八年を経た今日においても、いまだ我々日本国民は自由に立ち入りすることすらできないのであります。
 安全保障において、米国の協力を求めている現状があるにしても、なぜここまで大きな負担をして、低姿勢で臨まなければならないのか、一国民としてじくじたる思いがするのであります。
 ある聞いた話によりますと、中国の軍高官は、我が国の防衛庁高官との会談で、思いやり予算を引き合いに出して、我々ならその半分の経費で日本を守ってあげますよといったそうであります。これはまさに、現在の我が国の現状をやゆしたもの以外の何物でもなく、ゆゆしきことであります。
 平成十一年の第二回都議会定例会の一般質問で、私は、石原都知事が多摩サービス補助施設を視察することを要望し、知事は速やかに足を運ばれました。視察により、返還への思いを一層強くされたのではないでしょうか。多摩丘陵の豊かな自然が残る多摩サービス補助施設は、都民の貴重な財産であり、私は、ここが米軍に占有され続けていることに素朴な疑問を感じます。
 首都圏に目を転じますと、最近、横浜市内の米軍基地施設の四カ所について、返還の協議が進んでいると聞いております。また、さきに来日した米国のラムズフェルド国防長官は、米軍基地の再編のための日米協議に言及いたしました。これら駐留米軍再編の動きを、東京の基地問題の解決促進の契機としてとらえて対応すべきときではないでしょうか。
 日米地位協定を見ても、米軍施設の管理権はすべて米国側にあるとされ、国内法の適用除外、米軍人の裁判権の特例など、その内容は我が国にとって極めて問題の多いものです。今こそ真に対等な日米関係の構築が必要であり、そのためにも、横田基地の軍民共用化の促進とともに、多摩サービス補助施設の早期返還に向けて、知事を先頭に、関係者一丸となってさらに取り組みを強化していかなければならないと思います。
 そこで、地元住民を初め都民の積年の悲願である多摩サービス補助施設の返還について知事はどのように取り組んでおられるのか、伺いたいと思います。
 次の二問目として、多摩地域の振興の基本姿勢について伺います。
 知事は、東京から日本を変えるための政策の苗を植え、その幾つかは芽を伸ばし、新しい動きが生み出されてきていると発言をしております。都市再生の動きは、環状道路の整備や空港機能の拡充、都心の再開発にとどまらず、臨海部や首都圏全体を視野に置いた取り組みへと、もはや国家的な動きに進化をしております。
 このような中で、多摩地域は、首都東京の一翼を担うとともに、区部をぐるりと取り巻く環状メガロポリスの都市軸のまさにかなめに位置しており、多摩地域の振興は都市再生にとって大変重要な意義を持っています。
 しかしながら、先月二十七日に発表された平成十六年度重点事業を見ると、多摩地域に直接関係する施策は、物流拠点の整備があるものの、ほかにはほとんどありません。さらに、本年三月に多摩アクションプログラムが発表されましたが、その後、これを実現するための多摩振興実施計画はいまだに示されず、いまだ取り組みも行われていません。これでは、多摩地域についての石原都政の思いやメッセージといったものが、多摩都民には全く伝わってはまいりません。
 そもそも多摩地域は、四百万人もの人口を抱え、都心に近い地理的条件などを生かして、ナノテクノロジーなど世界に誇るべき先端技術や研究開発、ソフト開発を行う企業、製品開発型中小企業などが集積をしております。事業所の総数は十三万五千カ所にも及び、また、八十に近い大学、六十を超える研究機関の立地など、人的資源も豊かな、大変にポテンシャルが高い地域であります。
 都市再生を牽引するためには、この多摩地域と首都圏の核都市間の広域連携を促進することが肝要であり、知事が目指す東京の再生、首都圏再生は、多摩地域の振興なくしては実現が不可能ではないかと思うところであります。
 このため、各局の取り組みはもとより、石原知事みずからが先頭に立って多摩地域振興を推し進めていくことが、首都圏の再生という大きな石を動かす原動力になるものと確信をするところでありますが、知事は、多摩を東京の中でどのように位置づけ、今後いかなる政策を展開していくのか、伺います。
 次に、多摩ニュータウン事業について伺います。
 多摩、稲城、八王子、町田の四市にまたがる多摩ニュータウンは、立ち上げ時から四十年近くが経過しました。業務機能の育成についてはまだまだ不十分といわざるを得ません。このような中で、今般、国において、ニュータウンの再活性化方策に関する調査が実施されるようで、内容を見ますと、住宅の住みかえ等の課題が中心であると聞いており、果たして国のこれらの調査で多摩ニュータウン活性化につながるのか、甚だ疑問を感じざるを得ません。
 もとより国は、全国を包括的にとらえており、地域に根差した課題を解決するには限界があるのは当然といえます。であれば、多摩ニュータウンの実情を熟知する東京都こそが、複合多機能都市の形成に向けて、産業振興的なソフト面も含めた、活性化のための具体的調査を今こそ行うべきと考えますが、所見を伺います。
 さて、多摩ニュータウンに隣接する地域に坂浜平尾地区があります。この地区は二百十二ヘクタールに及ぶ広大な面積で、平成九年に都が土地区画整理事業の都市計画を決定し、多摩ニュータウンと調和したまちづくりを進める予定で、既に十五ヘクタールの事業用地を先行買収するなど、この事業には地元住民の大きな協力と期待が寄せられていました。
 しかし、平成十一年、いわば東京都が急ブレーキをかけるがごとく、事業の凍結を打ち出したのであります。都道鶴川街道、三沢川は、この区域を除いてすべて整備が終わっておりますが、この区間だけが未整備のまま取り残されています。そればかりではありません。市街化調整区域を市街化区域に変更したために、固定資産税は百倍にはね上がり、その後の区画整理の都市計画により、建築制限を受けることになりました。また、鶴川街道では、九月までの九カ月に何と三十九件もの交通事故が発生している状況にあり、事業がとまってしまったことによる大変大きなハレーションが起きているのであります。
 もちろん、私は、都内にはここと同じ問題が発生していることを知らないわけではありませんが、しかし、この地域の実情は特にひどい状況にあると思います。
 現在、都は財政再建が不可欠であることを私も十分認識しているところでありますが、事業の見直しを進めるに当たっては、最低限やるべきことをやるのが東京都の責務ではないでしょうか。東京都が一方的に見直した坂浜平尾の土地区画整理事業について、都は最後まで責任を持って対応すべきと考えますが、今後どのように対処していくのか、お伺いいたします。
 また、坂浜平尾土地区画整理事業には、多摩ニュータウンの事業除外地区、いわゆる白地区が含まれています。この地区は、区画整理事業が計画されなければ、他の白地区同様、十年も前に狭隘道路の解消が図られるとともに、下水道が整備され、地域住民は安全で衛生的な生活を営んでいたはずであります。
しかしながら、現状は、いまだ水洗トイレも使えず、普通車もすれ違うことができない狭い道路のままになっています。隣接する地域が近代的なニュータウンに変貌している中で、この地区だけが近代化に取り残され、一昔前に戻ってしまったような感さえあります。事業を見直すといってから早くも三年が経過いたしましたが、私から見ると、都は、事業が自然消滅するまで時間の稼ぎをしているのではないかというふうに見えて仕方がないのであります。
 このような中で、地元住民でつくるまちづくり協議会が、住民みずからの手で、新しいまちづくりの素案を提案いたしました。これらの住民も、都市計画決定した都の責任を強く指摘しているところでありますが、この白地区の整備については全く先が見えない状況です。これまでの経緯を踏まえ、安全で快適な生活を確保したいという住民の切なる願いをぜひ聞き入れるべきであり、聞き入れていただきたいと思う所存であります。
 そこで、この白地区について、過去の経緯を十分踏まえ、広域自治体である都が責任を持って地元市を支援し、隣接する新住区域と均衡のとれたまちづくりを行うべきと考えますが、都の見解をお伺いします。
 次に、多摩の観光振興について伺います。
 これまで多摩地域については、都関係の観光ガイドブックではほとんど取り上げられてはまいりませんでした。しかしながら、多摩地域には、アジアからの観光客でにぎわうテーマパークや、歴史的、文化的な観光資源が数多くあり、豊かな自然に恵まれた温泉も点在をしています。
 都として、多摩地域を観光振興の観点からどのように認識しているのか、お伺いします。
 また、NHKでは、来年の大河ドラマで、多摩地域にゆかりの深い近藤勇や土方歳三などを主人公とした新選組を取り上げることになっております。過去の大河ドラマの例を見ても、舞台となる地域には全国から多くの観光客が訪れ、相当の経済波及効果がもたらされております。こうした点に着目して多摩地域の観光振興を図ることは、とりもなおさず東京全体の観光振興につながるものであり、それぞれの市町村の取り組みに加えて、都の積極的な関与が必要と考えますが、所見を伺います。
 次に、三問目の、東京港における保安対策について伺います。
 近年、不法入国した外国人による犯罪が多発しています。これらの犯罪は、国際的な犯罪組織及び国内の暴力団関係者が関与している密輸、密入国と大きく関係をしています。私が特に問題としたいのは、北朝鮮船籍の船舶による密輸等の不法行為であります。
 北朝鮮の船舶が日本に年間千三百四十四回も寄港している中で、先般、米国上院の政府活動委員会の小委員会が、北朝鮮の元技師や元高官らを招いて公聴会を開きました。その席上、弾道ミサイルの開発にかかわっていた元技師は、日本に向けられたミサイルの九〇%の部品が日本から来た、それらは「万景峰号」で三カ月ごとに運ばれたと、驚くべき証言をいたしました。
 また、工作員の情報活動にも使われ、不正送金にも使われたというこの疑惑に包まれた「万景峰号」は、国の法律では入港を阻止できません。地元新潟県知事は、「万景峰号」の入港は残念だが、入港を拒否できないと発言し、今でもこの船は、毎月のように、何事もなかったかのように新潟港に入港しています。
 東京港にも入港した北朝鮮の船舶「ポン・ス号」が、ことし四月、末端価格百六十七億円に上る百二十五キロもの大量のヘロインを密輸しようとして、オーストラリアで当局に拿捕されました。この船は、朝鮮労働党作戦部の直轄会社が所有しているもので、逮捕された乗組員三十名の中には、朝鮮労働党の幹部が含まれています。
 この「ポン・ス号」は、日本の港に五回も寄港したことが判明しておりますが、国際的犯罪に関与していたこのような船が日本に自由に寄港していたこと自体が大きな問題です。
 昨年十二月、東京港の晴海ふ頭から上陸した中国人密入国者五十二名が銀座で一斉逮捕された事件は、まだ記憶に生々しいところであります。この事件を含めて、過去七年間に十五件、百七十九名の不法入国事件が判明している状況があります。
 東京港は首都東京の海の玄関であり、密輸、密入国、テロなどを水際で防止する港湾管理者として、都の責任は極めて重いものがあると思います。
 そこで伺います。密輸、密入国などの不正行為や、テロにかかわってきた疑いの濃い北朝鮮を初めとする国々の船舶についてどのように対処してきたのか、また、今後どのように対処しようとしているのか、伺います。
 次に、我が国の主権を侵害し、安全を脅かすような国に対しては、毅然として、首都の港湾たる東京港が率先して、それら対象国の船舶の入港を拒否することを含めて、断固たる対応をとるべきと考えますが、石原知事の見解を伺いたいと思います。
 以上で質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) こいそ明議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、多摩サービス補助施設の返還についてでありますが、おっしゃるとおり、この施設は、基地というよりも、本来、軍事目的とは全く関係ないレクリエーションの施設でありまして、施設といいますか、一部施設はございますけれども、豊穣な、緑の豊かな山であります。これは本当に東京に残された希有なる存在でもありまして、直ちに全面返還されて、都民に開放されるべきものと思っております。そして、同時にアメリカ人もそれを使用したらよろしい。
 基地に関する協議は、横田基地の共同使用を含めて、これから始まるわけでありますが、この外交交渉の中で、これをどういう形でカードとして扱っていくというのは、やはりお互いの知恵の出しどころだと思います。
 いろいろ調査いたしましたが、あそこに付随してあります空軍専用のゴルフ場、これは彼らが非常に執着するものでしょうけど、私は、これは使わせてやったらよろしいと思う、周りに日本人のつくったゴルフ場がたくさんありますから。ただ、あの山地、山林はすばらしい財産でありまして、これは都民の自由な使用に任すべきだと思います。
 こいそさんにいわれて、一緒にあそこを視察しましたね。私は、横田の問題は議員のときから関心がありましたが、あそこに、間近にああいう施設があるということを知りませんでした。
 あのとき、今でも覚えていますけど、一番パノラマ的に全体が見渡せるクラブハウスの前まで来まして、こいそ議員ともう二人、関係の市長さんがおいでになりましたが、私、本当にうんざりして、どうも大したものじゃないかと吐き出すようにいいましたら、その語気に非常に気配を感じたのか、司令官が、一緒に来ました日本の女性の通訳に、今知事は何といった、何といったと聞いていました。
 そうしたら、その女性が、私がファンタスティックといったと。これはとんでもないですよ。私は実は、ツーマッチだ、とにかく過ぎたるものだというつもりでいったわけでありまして、そこで英語で修正してやろうかと思いましたが、まあやめておきましたけど、とにかく、この基地の共同使用を進める過程でどういう出し方をするかというのは、考えます。考えながら、取り戻します。
 同時に、こういうものの存在というものを国の役人、国の当事者は全く知りませんから、まずそれを認識させるためにも、事務の協議が進む段階で、政府と構えました連絡協議会の要員たちを、基地の視察だけではなしに、あそこに連れていくことがまず大事なきっかけになると思っております。
 次いで、多摩地域の振興の問題についてでありますけど、多摩地域は、圏央道の完成や横田基地の共用化の実現によりまして、共同使用の実現によりまして、今後、首都圏の交通の要衝となっていく地域と思います。さらに、大学や先端技術産業の集積、広い空間などが一層生かされて、従来にない特色のある都市づくりが可能だと思います。
 都市計画局なるものが東京にずっとありましたけれども、この東京に限らず、この日本に、果たして本当の都市計画があったかどうか疑問でありますが、この残された多摩の可能性というものは、やっぱり衆知を凝らして万民のために生かしていく、そういう計画が必要だと思います。これら大きなポテンシャルと地政学的な特性を生かしまして、活力と魅力にあふれた多摩を創造し、東京の再生、ひいては日本の再生を目指していきたいと思います。決して、ご懸念のように多摩を忘れているわけでもございませんし、まして、ないがしろにしているわけでもございませんから、ご安心いただきたい。
 次いで、我が国の主権を侵害し、安全を脅かすような国の船舶に対する対応でありますけれども、特に北朝鮮、論外な話で、彼らが過去にやってきたことをテロと正式に認めている政府の幹部が、副官房長官だった安倍晋三君と、中山さんという女性の参与、二人しかいなくて、総理大臣は、普通でいえばテロだなという、わけのわかったようなわからないことをいっていましたが、こういう相手に対するこれからの措置、失われたものをできるだけ取り戻す、拉致された方々、その家族も。これはやはり話し合いが大事だと思いますけれども、彼らにいわせると、話し合いはもう終わったと。これ以上のことをいうんだったら、まして経済制裁するなら、宣戦布告と認める、そして、場合によったら東京を火の海にしてやると豪語しているわけでありまして、それをまともに全部信じるつもりもありませんけれども、そういう相手を話し合いの場に着かせるために、私は日米首脳が合意した、一種の圧力である経済制裁というのは不可欠であると思います。これを反対する議員は、国の方でも、この間の選挙で調べましたが、余りいないようでありまして、かの有名な土井たか子さんも、やっとこのごろ、拉致はテロだということをお認めになりました。
 大変結構な豹変だと思いますけれども、いずれにしろ、私は、やっぱり経済制裁というものを行わなければ、相手はテーブルに着かない、話し合いに着かない、そのための一つの手だてとしても、やってくる船舶というものを入港拒否するということは有効な手だてと思います。東京に、もしそういうケースが起きましたならば、法的な手順も考えますけれども、場合によったら、都知事の責任で、そういうものを拒否することもあり得ると思います。
 他の質問については、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔東京都技監小峰良介君登壇〕

○東京都技監(小峰良介君) 多摩ニュータウン事業にかかわる二点の質問にお答えいたします。
 まず、坂浜平尾土地区画整理事業の見直しについてでございますが、都は、平成十四年に、地元市、学識経験者、住民代表で構成するまちづくり委員会を設置し、見直しの方向を検討してまいりました。本年十一月には、委員会での検討内容等を踏まえ、地権者が主体となり、鶴川街道、三沢川等の早期整備や、区画整理を促進する地域等を示したまちづくり素案が提案されました。今後は、この住民素案を基本として、まちづくり委員会で議論を深めるとともに、都と市の役割分担について早期に合意形成を図り、まちづくりの推進に向けて取り組んでまいります。
 次に、多摩ニュータウンの事業除外区域である坂浜平尾地区のいわゆる白地区についてでございますが、お話のとおり、道路、下水等、都市基盤面で多摩ニュータウン周辺地域と比較して大きな格差が生じており、早期整備が必要でございます。都としては、これまでの経緯も踏まえ、地元市と十分調整を図りながら、まちづくりの支援について検討してまいります。
   〔知事本部長前川燿男君登壇〕

○知事本部長(前川燿男君) 多摩サービス補助施設の返還に向けた取り組みの経過についてでございますが、都は、これまで渉外知事会を通じて、米軍基地の早期返還の促進を国に強く要望してまいりました。また、都から国への提案要求におきまして、米軍基地対策の推進を最重点事項の一つに掲げ、多摩サービス補助施設につきましては、特に具体的な施設名を挙げて、即時返還されるよう必要な措置をとることを国に強く求めております。
 なお、都は、川崎街道の拡幅のために同施設の土地の一部返還を求め、平成十二年十二月、約二万三千平方メートルの土地が日本側に返還された経緯がございます。
   〔都市計画局長勝田三良君登壇〕

○都市計画局長(勝田三良君) 多摩ニュータウンの活性化のための調査についてでございますが、ご指摘のように、この地域につきましては、住宅のみでなく複合機能の充実が重要と考えておりまして、これまでも業務・商業機能の育成整備に努めてまいりましたが、近年の経済情勢等によりまして、十分に機能集積が進んでいない状況にございます。このため、都において、今年度、業務系施設などの立地誘導方策等についての調査を始めたところでございます。調査では、企業に対する意向調査や立地促進策の検討を行うとともに、モデル地区を設定をいたしましてケーススタディーを行い、中長期的な視点も踏まえた方策等を明らかにしていくこととしておりますので、その成果を有効に活用して、引き続き多摩ニュータウンの育成整備を進めてまいります。
   〔産業労働局長有手勉君登壇〕

○産業労働局長(有手勉君) 多摩の観光振興に関する二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、観光振興の観点からの多摩地域に対する認識についてでございますが、多摩地域は、お話のように、豊かな自然や歴史と文化に根差した観光資源に恵まれ、東京全体の観光振興を図る上で欠かすことのできない地域であると認識しております。都は、これまでも、多摩地域の代表的な観光資源を十五のルートにまとめ、ウェブサイト「東京の観光」で広く紹介しております。今後とも、多摩地域に点在する観光資源を掘り起こし、ルート化を図るなど、市町村や民間事業者とも連携して、積極的に観光振興に取り組んでまいります。
 次に、多摩地域全体の観光振興についてでございますが、大河ドラマ「新選組!」の放映を契機に、多摩地域の市町村がそれぞれ観光による町おこしに取り組むことは、多摩地域全体の活性化につながるものと期待しているところでございます。このため、都は、新選組にゆかりのある市町村の取り組みを応援するとともに、ウェブサイト「東京の観光」などでPRしてまいります。
 また、今後、この機会をとらえ、各市町村が取り組む観光施策の連携を図るための協議の場を設けるなど、多摩地域全体の観光振興に積極的に取り組んでいきたいと考えております。
   〔港湾局長成田浩君登壇〕

○港湾局長(成田浩君) 北朝鮮等の船舶への対処についてでございますが、不正行為等の疑いがある船舶につきましては、これまでも厳正に対処してきたところでございます。ご指摘の北朝鮮の船舶「ポン・ス号」に対しましても、東京港の各取り締まり機関が監視体制をとり、東京税関を初め入国管理局等が合同で厳格な立入検査を実施いたしました。
 都が呼びかけてこの八月に設立いたしました東京湾保安対策協議会におきまして、自治体や国の機関の垣根を超えた効果的な港湾保安対策の検討を、現在、精力的に進めているところでありますが、今後、この協議会を通じて関係機関との連携を一層強化し、東京湾の水際において密輸や密入国等を阻止するための幅広い取り組みを推進してまいります。

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