平成十五年東京都議会会議録第十八号

○議長(内田茂君) 六十五番倉林辰雄君。
   〔六十五番倉林辰雄君登壇〕

○六十五番(倉林辰雄君) ただいま人権週間であります。そこで私は、最初に、ハンセン病について、人権という観点から何点か質問をさせていただきます。
 先日、熊本県内のホテルがハンセン病の元患者の方々の宿泊を拒否するという事件が発生いたしました。そのホテルの本社は東京です。本社が宿泊拒否に深くかかわっていることが明らかになり、東京にとっても見過ごすことのできない問題だと考えます。
 私の地元であります東村山市には、多磨全生園というハンセン病の施設がございます。今もなお四百五十人の元患者の方々が暮らしております。私も時々訪問し、元患者の方々と親しくお話をする機会がありますが、過去に受けた筆舌に尽くしがたい差別や苦悩、苦労の話には涙を禁じ得ないものがございます。いかに誤った偏見が人を苦しめるのか、人権の大切さを痛感するものであります。
 既に、ハンセン病については、一昨年の五月、裁判で、過去に行われた国の隔離政策が誤りであるとの判決が出され、現在、元患者の方々に対する名誉回復のための取り組みが行われております。また、くしくも、本日十二月十日は、世界人権宣言が国連で採択された記念すべき日であります。それを前にこうした事件が起きたことは大変残念であり、憤りすら覚えるものであります。
 そこでまず、今回の事件も含めまして、ハンセン病の元患者の方々の人権について、施設が所在しております都としてどのように考えているのか、基本的認識をお伺いいたします。
 また、今回の事件では、ハンセン病に関する認識や人権に対する配慮が欠けていたことを企業みずからが認めているなど、今なお企業や都民の間には、ハンセン病や元患者の方々に対する知識や理解が必ずしも十分でないことが明らかになったと思います。
 そこで、都として、理解を促進するため、これまでどのような取り組みをしてきたのか、また、今回の事件を契機に取り組みを一層強化する必要があると考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、ハンセン病元患者に対する偏見や差別を解消するためには、学校教育の役割が極めて重要であります。ハンセン病に対する人権教育を都教育委員会としても充実していく必要があると考えますが、教育長の見解をお伺いいたします。
 ところで、この多磨全生園は、ハンセン病施設として明治四十二年に開設以来、約百年の歴史を持っております。それだけに、石原知事にも一度ぜひお出かけをいただけたならば、元患者の方々にとっても何よりの励みになるのではないかと思いますが、ご多忙な知事と存じますので、お願いだけをさせていただいて、次の質問に移ります。
 次に、三位一体の改革と合わせて、改めて大きな問題であります不合理な財源調整措置と法人事業税の分割基準についてお伺いいたします。
 東京を初めとする大都市は、治安対策、環境対策、都市再生など、膨大な財政需要を抱え、財源不足に苦しんでおります。しかし、国は、大都市需要を適切に反映する仕組みとなっていない現行の地方交付税算定結果をもって、都を巨額の財源超過を抱える富裕団体とみなし、都に対して、地方道路譲与税の譲与制限や義務教育費国庫負担金の減額など、十五年度で約百六十三億円もの不合理な財源調整を加えております。
 この問題を私は予算特別委員会でも取り上げましたが、三位一体の改革が議論されている今こそ、従来以上に力を入れ、不合理な財源調整措置の見直しを求めるべきだと考えますが、所見をお伺いいたします。
 また、複数の都道府県で事業を行う法人の法人事業税収入を、都道府県間で案分するルールである分割基準も問題であります。これまで、国は都に不利となるような分割基準の改正を重ね、東京の税収を地方に流す手段として利用してきました。
 法人事業税の分割基準の不合理さについて、都の認識と都税収入に対する影響額を伺っておきます。
 ところで、国は、三位一体の改革を矮小化し、財政負担を地方につけ回すだけでなく、既得権に固執しております。ここから明らかなのは、地方分権の時代といいながら、地方の意見も聞かずに、何でも勝手に決めようとする国の旧態依然たる姿勢であります。
 私は、ここで改めて、三位一体の改革の目的は、地方自治体の自主性、自立性を保障する地方税財政制度の確立であることを申し上げ、今後の都の取り組みを強く求めておきたいと思います。
 次に、石原知事は、横田基地の共用化について、就任以来、これまで首都東京の知事として現況を打開したいとの強い意欲のもと、みずから訪米し、米国の政府要人等と会談する中で、横田基地の軍民共用化について理解を求めるなど、直接米国側への働きかけを行ってこられました。
 その成果については、昨年の第四回定例会において、私の質問に対し、政府間の協議の重要な問題だと米国側の理解が得られ、そのことを小泉総理にも進言したとの答弁をいただいております。
 そうした知事自身の精力的な活動があって、本年五月二十三日の日米首脳会談の場で、共用化の実現可能性を日米共同で検討するとの合意に至るという大きな成果に結びついたものと考えます。
 横田基地共用化の問題は、多摩地域の振興の観点はもちろん、脆弱な首都圏の航空機能を高め、日本の国力の回復につながるものであります。私は、日米首脳会談後、早期に具体化の道筋が示されるものと大いに期待をしておりましたが、実際には国における具体的な動きが見られず、いささか心配もいたしていたところであります。
 しかし、知事は、そうした現状をさらに進めるべく、果敢に行動をされ、先般、ハワイで開催されましたシンポジウムの出席の機会をとらえまして、アジア太平洋地域の米軍最高責任者であるトーマス・ファーゴ太平洋軍司令官を訪ね、横田基地の共用化について意見交換をし、その必要性を改めて訴え、大きく前進することができたと、先日の所信表明で明らかにいたしております。
 そこで、司令官との会談ではどのような話があり、いかなる成果が得られたのかをお伺いいたします。
 また、国においては、共用化への取り組みを検討するため、政府関係者と東京都による連絡会が設置され、横田の共用化の検討が一層加速されるのではないかと大いに期待するものでありますが、この連絡会ができたことにより、今後どのように検討が進められていくのかもお伺いします。
 さらに、今後、こうした枠組みを通じて、横田の共用化を早期に実現するためには、東京都が地元自治体として主体的な役割を果たしていくことが大変重要であります。そのためにも、庁内体制の強化を図るべきと考えますが、ご見解を伺います。
 最後に、共用化を具体化するに当たっては、周辺の交通基盤整備を含めた飛行場へのアクセスをどう確保するのか、ターミナルなどの施設をどこに整備をするのか、騒音問題をどう解決していくのか、地元の理解と協力が必要な課題が数多くございます。
 そのうち、騒音についてでありますが、共用化に対する地元の理解を深めるためにも、民間航空機の騒音が軍用機に比べて相当小さく抑えられているということならば、わかりやすく私は示していくべきだろうと思います。
 そのためには、例えば、チャーター便を試験的に飛ばしてみて、周辺住民に音の実感をつかんでもらうとともに、影響範囲のデータ収集を行うということも必要ではないだろうか。こうした騒音対策についての取り組みも含めて、今後、地元との調整にどのような姿勢で臨むのか、ご見解をお伺いいたします。
 次に、都立病院改革についてお伺いいたします。
 多摩老人医療センターについては、平成十七年度に東京都保健医療公社への移管が予定されております。同医療センターは、昭和六十一年の開設以来、高齢者の高度専門医療機関として、多摩地域の高齢者医療に寄与しております。
 同病院の利用率は常に満床に近い水準で推移しており、地域からの信頼も厚いものがあります。公社移管に当たっては、高齢者に限らず、一般患者を受け入れるとともに、新たに小児科の設置も予定し、二次医療を担う地域病院としての機能を充実させていくとの方針に、地域の期待も高まっております。
 こうした点を踏まえ、幾つかお尋ねいたしたいと思います。
 まず、多摩老人医療センターを公社に移管し、地域病院として再編する基本的な考え方について伺うとともに、今後どのような手順で検討を進められるのか、所見をお伺いいたします。
 次に、地域で診療対象が拡大することに大きな期待を寄せつつも、これまでの高齢者医療がどうなるのか、歯科医療はどうなるのか、診療科はどうなるのか、緊急医療の充実がどのように図られていくのか等々、期待と心配が入りまじっております。高齢者医療の機能は基本的に継続していくとのことでありますが、これら医療機能の検討に際しては、地域の意見を十分に踏まえるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、多摩地域における小児医療の確保についてという意味からも、多摩老人医療センターの小児科設置に向けた取り組みについては、以前、できるだけ早急に検討を進めていくとの見解が出ておりますが、その後の検討はどのようになっているのでしょうか、お伺いいたします。
 次に、同病院が公社化し、主として二次医療機能を担うこととなれば、同構内の高齢者福祉施設に入所している多数の利用者の一次医療の確保について、不安のないように対応すべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 私は、多摩老人医療センターがこれまでの実績の上に立って、北多摩北部地域における中核病院としてますます充実し、地域の住民に適正な医療が提供できることをお願いし、次の質問に移ります。
 続いて、ダイオキシン類対策に関連して伺います。
 ダイオキシン類対策特別措置法に基づく廃棄物焼却規制が十四年十二月から全面適用となりました。自治体や民間の廃棄物処理事業者の努力の結果、ダイオキシンの排出量が減少し、大気中の濃度についても大幅に改善されてまいりました。
 こうした中で、法に基づく排出基準を達成するために、市町村が設備更新して廃止した一般廃棄物焼却施設については、解体工事の際に、暴露防止や拡散防止などに多額の経費がかかるため、市町村の大きな負担となっております。都は、この施設の廃止に伴う解体工事費について、国庫補助対象とするように、国に対して強く求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 また、都は、ダイオキシン類の排出抑制が困難な小型焼却炉や野外焼却を禁止しております。私は、本年の二月の予算特別委員会の席上、農家の肥料づくりなどのために、農作物の残渣を燃やすことまでを野焼きとして条例で禁止していることについて、都側に再検討を求めました。そのことに関する現在の検討状況はどのように検討されているのか、お伺いをして、次に移ります。
 次に、定期借地権制度の活用促進について伺います。
 東京の住宅は、広さの面で着実に改善され、価格もバブル崩壊後、低下してきてはいるものの、依然として欧米諸国と比べ、狭く、かつ高いといわれております。成熟社会を迎えようとしている現在、これからは真の豊かさを実感できる、ゆとりある住宅の供給を誘導していくことが重要であります。
 定期借地権制度は、東京のように地価が高い地域で、地価を顕在化させずに、住環境にすぐれた住宅を供給するために非常に効果的な制度と考えます。しかし、都内における定期借地権つき住宅は、供給が始まった平成五年からの十年間で約三千戸にとどまっております。そこで、普及が進まない状況について、都としてどのように認識をしているのか伺います。
 また、都営住宅の再編整備により生み出された土地を活用した、東村山本町団地プロジェクトや港南四丁目第三団地プロジェクトにおいて、定期借地権制度を活用する際には、制度の普及促進に寄与するモデル的な方式を提示する必要があると考えます。どのような検討を行っているのか伺います。あわせて、これら二つのプロジェクトの今後のスケジュールもお伺いいたします。
 最後に、多摩地域の河川整備について伺います。
 多摩地域には未改修の区間が多く、まだ満足のいくものではありません。特に、河川のネックとなっております橋梁などのかけかえを急ぐ必要があると思いますが、都の取り組みを伺います。
 多摩の主要河川の一つであります空堀川については、ここ数年のうちには、懸案であった西武多摩湖線区間の改修が完了する予定でありますが、その上流の奈良橋川と合流する高木橋付近においては、たびたび橋梁が冠水するなど、依然として水害の危険性が高いのでありますが、どのように整備を進めていくのかをお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 倉林辰雄議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、不合理な財源調整措置についてでありますが、現行の地方交付税制度は、大都市特有の膨大な財政需要を適切に反映していないばかりか、その土台そのものが制度疲労を来しておりまして、時代に合わないものになっていると思います。その上、都に対して、地方交付税の不交付に加え、二重の財源調整を加えることは極めて不合理であります。
 厳しい環境のもとで、懸命に財政再建を進めている都の足を引っ張るようなこの不合理な措置は、三位一体の改革をまつまでもなく、直ちに中止、廃止されるべきものでありまして、国に対してその是正を強く求めてまいります。
 次いで、ファーゴ司令官との会談についてでありますが、本年度の五月の日米首脳会談におきまして、事前に総理からも電話がありましたが、外務省に連絡するとまたごたごたするんで、自分が直接やるということで、いきなりこの問題が出されて、首脳の合意を得ました。これは、日本側の受け取り方とアメリカ側と大分違いまして、いずれにしろ、両国の首脳の合意であるということで、これは一足飛びに急転直下、アメリカ側では国務省を飛び越して、国防総省の問題になりました。そういうところで都の高瀬参与が活躍してくれまして、しげしげ現地の司令官とも会っていろんな話をしておりましたが、むしろそちらの方のいろいろ具体的な話し合いの方が進みまして、肝心のそのファーゴ総司令官が実態を掌握し切れてないというそういうギャップもありまして、そこで、ぜひ会って話をしたいというオファーがございました。
 まあそういうことで面談いたしましたが、非常に長時間話しましたけれども、その事前に、もう既に出発前に、官邸の方も、この問題に対してちゅうちょしていた外務省を督励しまして、外務省からも代表が出まして、関係の国交省、法務省、経済産業省、そして防衛庁、防衛施設庁、外務省、官邸ということで、二橋副官房長官がチェアマンになった連絡会が立ち上がりました。今後、共用化に本格的に取り組む日本側の体制ができたわけでありまして、こうした動きを背景に、横田基地の指揮権を持つファーゴ司令官と会いまして、経過の説明と今後のこちら側の要求についても話をしたわけであります。
 今回の会談によって、今後の具体的協議に向けてのお互いの理解を深めることができました。事態は大きく動いていくことと存じます。
 また、その連絡会の今後の進め方についてでありますが、関係省庁と東京都を核に据えた連絡会ができたことは、共用化を軌道に乗せる上で非常に大きな前進だったと思います。連絡会は近々、今月中に一回目の会合を開催いたしますが、今後、連絡会による事務レベルの検討を踏まえまして、アメリカ側と協議を進めることになりますが、その際、都は、現場の状況を十分に踏まえた協議が可能となるように、地元地方自治体の立場から、国や米軍をつなぐコーディネーターとしての役割を果たして、共用化の早期実現を目指していきたいと思っております。
 次いで、地元との調整でありますけれども、周辺の都市だけではなくて、米軍側からもいろいろな要望があります。
 共通したのもございますが、駐車場の整備であるとか、そのスペースの確保であるとか、あるいは幹線道路の拡幅であるとか、あるいは新しいアクセスの可能性についてでありますとか、いずれにしろ、国が責任持って進めるべきものでありますけれども、地元の理解と協力は肝要でありまして、それを踏まえて、都としても、連絡会を初めとする国との協議の進捗状況を踏まえながら、そういった共同使用にかかわる社会資本の整備を、これまた関係省庁と連携しながら取り組んでいきたいと思っております。
 騒音に関しましては、ご指摘のとおり、地元の方々に体験していただき、正確な数値もはかりまして、環境問題としての対処をすべきであると思っております。ご指摘の点も含めまして、実現のための有効な手だてについて、今後、国とも検討して事を進めていきたいと思っております。
 他の質問につきましては、教育長、技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) ハンセン病に関します人権教育についてのお尋ねでございますが、ご指摘のように、学校教育において児童生徒に人権尊重の理念を正しく理解させ、さまざまな人権課題について認識させることは重要なことでございます。
 都教育委員会としましては、新たに作成をしました人権教育プログラム、これは学校教育編でございますが、その中にハンセン病患者等の理解を図る指導事例を掲載しまして、公立学校の全教員に配布したところでございます。これに基づきまして、各学校では、社会科や公民科、学級活動、総合的な学習の時間などにおきまして、ハンセン病に関する人権について考えさせたり、施設訪問などの交流活動を通して、人権尊重について理解させたりする指導を行っております。
 今後とも、児童生徒がさまざまな人権課題について学び、人間尊重の精神を生活の中に生かしていくことができるよう、区市町村教育委員会を通しまして各学校を指導してまいります。
   〔東京都技監小峰良介君登壇〕

○東京都技監(小峰良介君) 多摩地域の河川整備についての二点の質問にお答えいたします。
 多摩地域では、三十六河川、二百十七キロのうち、市街化が進展し水害の危険性の高い空堀川など十四河川で重点的に河道の拡幅などを進めており、平成十五年三月末の整備率は六三%でございます。河道拡幅には、道路橋や鉄道橋などのかけかえを伴う箇所がございますが、多額な費用と長期間を要することから、護岸整備にあわせ計画的に実施しております。現在、西武多摩湖線の空堀川橋梁など、六河川、十カ所で橋梁かけかえを行っております。
 今後とも、国費等の財源確保に努め、水害の早期解消を目指して効果的な河川整備に取り組んでまいります。
 次に、東大和市の空堀川高木橋付近の河川整備についてでございますが、高木地区の空堀川と奈良橋川との合流点付近におきましては、高木橋が河道が狭くなっており、平成十一年八月には浸水被害を発生しております。そのため、この区間の河道拡幅に先行して早期に水害軽減を図るよう、地元の協力を得ながら、合流点付近に仮流路を設置するなど、暫定的な河道整備を進めてまいります。
   〔総務局長赤星經昭君登壇〕

○総務局長(赤星經昭君) ハンセン病に関します二点の質問にお答え申し上げます。
 ハンセン病元患者の方々の人権に対します基本的認識についてでございますが、今回熊本県内で発生いたしました事件は、国の調査によりますと、元患者の方々がホテルへの宿泊を拒否されるという差別的な扱いを受けたものでございまして、著しい人権の侵害であると認識しております。
 ハンセン病は、有効な治療薬によりまして確実に治癒する病気でございますが、過去に国によります隔離政策が長期間にわたり実施されたことや、病気の感染源や感染経路につきまして一般の理解が必ずしも十分でないことなどによりまして、残念ながら現在においても偏見が残っているものと考えます。
 次に、ハンセン病や元患者の方々への理解を促進するための取り組みの強化についてでございますが、これまで「広報東京都」やテレビの人権に関します特別番組で取り上げましたり、講演会を行うなど、病気への正しい理解と、元患者の方々に対します差別解消のために、幅広く都民や企業に啓発を行ってまいりました。
 今回の事件を契機に、人権意識の向上と再発の防止をホテルなどの関係業界に強く要請していきますとともに、企業や都民の理解を一層促進するため、差別解消に向けた新たなリーフレットを作成するなど、取り組みを強化してまいります。
   〔主税局長川崎裕康君登壇〕

○主税局長(川崎裕康君) 法人事業税の分割基準についてお答えいたします。
 国は、これまでも、本社従業者数を二分の一と算定するなど、東京都に不利となるような分割基準の改正を重ねてきました。これによる都税収入への影響額は、平成十五年度におきましては約五百億円に上っております。このため、都は国にその是正を求めてまいりましたが、国は、税源移譲に伴う地域間の財政力格差の拡大への対応を理由として、さらに改正を行う姿勢を見せております。
 分割基準を財源調整の手段として用いることは、応益税としての事業税の性格をゆがめるものであり、今後とも都議会の皆様のご協力をいただきながら、その是正とともに、さらなる調整を行わないよう国に強く迫ってまいります。
   〔知事本部長前川燿男君登壇〕

○知事本部長(前川燿男君) 横田基地の共用化に向けた庁内体制の強化についてでございますが、共用化は国が責任を持って進めるべきものでありますが、都といたしましても、共用化の内容、アクセスの確保策など、共用化を実現するために必要な事項を幅広く調査検討し、国に働きかけていくとともに、地元の理解と協力を得ていくことも必要となります。
 こうした多方面にわたる事項を総合的に調整し推進するため、担当スタッフの増強や庁内連携体制の強化を図ってまいります。
   〔福祉局長幸田昭一君登壇〕

○福祉局長(幸田昭一君) 多摩老人医療センターに関する四点のご質問にお答えいたします。
 まず、多摩老人医療センターの公社への移管についてでございますが、同センターの立地する地域は、急性期医療を行っている医療機関が少ないという現状にございます。このため、再編に当たりましては、高齢者に限らず患者を受け入れ、地域の医療機関などとの連携のもとに、地域全体の医療サービスの向上を図ることとし、公社へ移管するものでございます。
 今後、先月末に設置いたしました運営協議会準備会におきまして地域のご意見を伺うとともに、関係局で構成する公社化検討委員会において検討の上、来年夏を目途に、新たな病院のあり方についてまとめてまいります。
 次に、公社への移管に向けた医療機能の検討についてでございますが、現在の医療資源を最大限活用することを基本とし、ただいま申し上げました運営協議会準備会におきまして、地元自治体を初め地域の医師会などのご意見を伺いながら、医療ニーズを踏まえた医療機能、診療科構成などについて検討を進めてまいります。
 次に、小児科設置に関します検討状況についてでございますが、多摩地域における小児医療体制の充実は重要な課題であると認識しております。このため、現在関係局との間で、多摩老人医療センターにおけるできるだけ早期の小児科設置につきまして、診療規模や機能などのさまざまな課題を実務的に検討しております。
 今後、運営協議会準備会などのご意見も踏まえまして、結論を取りまとめてまいります。
 最後に、福祉施設利用者の一次医療の確保についてでございますが、多摩老人医療センターの公社への移管に当たりましては、構内の高齢者福祉施設利用者が引き続き適切な医療を受け、安心して暮らせるよう配慮する必要がございます。このため、施設に診療所を新たに設置することにより、日常の健康管理や必要な一次医療に対応できるよう検討しているところでございます。
 なお、施設の利用者が入院を要する場合には、これまでと同様、移管後の地域病院において対応してまいります。
   〔環境局長小池正臣君登壇〕

○環境局長(小池正臣君) ダイオキシン類対策についての二点のご質問にお答えいたします。
 まず、一般廃棄物焼却施設の解体費用の国庫補助についてでございますが、現在の一般廃棄物焼却施設の解体に対する国の財政措置といたしましては、ダイオキシン類の測定費補助と地方交付税措置がございますが、区市町村にとりまして不十分なものであり、解体費用が大きな負担となっております。このため、かねてから、廃棄物焼却施設の解体費用を国庫補助対象とするよう、都は国に強く要求してまいりました。また、八都県市等におきましても連携して要求してきたところでございます。
 その結果、環境省は今回初めて、来年度予算の概算要求に廃棄物焼却施設の円滑な解体促進を重点施策として盛り込んでおりまして、都といたしましては、引き続き国に対してその実現を強く求めてまいります。
 次に、農作物残渣の焼却規制についてでございますが、環境確保条例では、野外焼却について、周辺への環境影響、ダイオキシン排出抑制の観点から原則として禁止し、伝統的行事に伴う焼却や農作物の病害虫の防除等、影響が軽微な焼却については例外としております。
 このほど、条例施行後の区市の指導実態や意見、東京の農業の実情、ダイオキシン類の排出状況等を総合的に考慮し、肥料づくりや土壌改良を目的とする農作物残渣の焼却につきましては、生活環境への支障とならないよう配慮することを条件に、例外扱いとすることにいたしました。
 今後、区市にその旨を徹底し、条例の適切な運用に努めてまいります。
   〔住宅局長高橋功君登壇〕

○住宅局長(高橋功君) まちづくりにつきましての二点のご質問にお答え申し上げます。
 最初に、定期借地権制度に対する認識についてでございますが、本制度は、契約更新がなく、定められた期間で確実に土地が地主に返還されること、また、土地価格が顕在化しないため、借り主の住宅取得時における負担が少ないことなどの特徴がございます。しかしながら、制度が一般に十分に理解されていないことに加えまして、地主側の地代滞納リスクや、借り主側の地代に対する将来の不安などがございます。
 このため、今後、これらの課題解決に向けた取り組みを進めまして、低廉な住宅の供給や都心居住の推進などを目指し、制度の活用促進を図っていく必要があると認識をしております。
 次に、定期借地権制度を活用したモデルプロジェクトについてでございますが、お話しの東村山本町団地や港南四丁目第三団地では、例えば、住宅供給を行う事業者が地主と借り主の間に入り、借地権を一括して管理する手法の採用や、定期借地契約における地代改定ルールの明示など、地主や借り主の不安を解消する工夫を行ってまいります。
 こうした定期借地権を活用する具体的なモデルを示すことによりまして、制度の普及に努めてまいります。
 プロジェクトのスケジュールにつきましては、事業実施方針を、東村山本町団地は年度内に、また、港南四丁目第三団地は本年十二月中にそれぞれ公表をしていく予定でございます。

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