平成十五年東京都議会会議録第十八号

   午後一時二分開議

○議長(内田茂君) これより本日の会議を開きます。

○議長(内田茂君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(内田茂君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、東京都教育委員会委員の任命の同意について外人事案件一件が提出されましたが、これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(内田茂君) 昨日に引き続き質問を行います。
 六十七番吉野利明君。
   〔六十七番吉野利明君登壇〕

○六十七番(吉野利明君) 去る十月二十三日、都教育委員会は、国旗を正面に掲げるよう、各学校に通達を出しました。至極当然のことであると思います。私も最近、地元の小中学校四校の周年行事に参加をいたしましたが、すべての学校で国旗である日の丸が正面に掲げられており、厳粛な気持ちで臨むことができました。
 翻って、我が都議会の議場を見ますと、国旗はわきに置かれているとの印象を禁じ得ません。まず、率先して、都議会議場の正面にこそ日の丸を掲揚すべきであると思います。
 かつて、アルベール冬季五輪のスキー種目で、荻原健司選手が、観客から手渡された日の丸を振って、ゴールに入った当時を顧みて語った言葉が胸に響きます。「ぼくら、政治家よりずっと重い日の丸を背中に負っていましたから」と。
 さて、軽い日の丸を背負って、質問に入らせていただきます。
 さきに行われた衆議院選挙の公示直前、三鷹駅前にある私の事務所のはす向かいの薬局店主が、中国人と思われる二人組の強盗に刺殺されました。私のよく存じ上げていた方で、ショックの大きさと同時に、三鷹という繁華街もない静かな住宅都市にまでこんな凶悪犯罪が発生する事態に、治安の悪化を肌で感じさせられた出来事でした。
 治安対策につきましては、昨日の我が党の代表質問でも取り上げたところでありますし、石原知事も何度も触れられていることは承知しています。しかし、その上で、あえてこの事件を踏まえた感想をお伺いしたいと思います。
 さて、次に、外国人による犯罪の増加について伺います。
 警視庁組織犯罪対策一課のまとめによると、ことし一月から九月に刑法犯で摘発された来日外国人のうち、留学生、就学生などの占める割合が四割以上に上っています。法務省は、先般、外国人留学生らによる不法就労などの違法活動を防止するため、留学生、就学生に対する入国在留資格の審査強化に乗り出すことを決めました。
 ことし一月現在、留学生の不法残留者が五千四百五十人、就学生の不法残留者は九千七百七十九人で、いずれもその約八割を占めるのは、中国だということです。こうした状況を見ると、不法残留と凶悪犯罪が直ちに結びつくものではないにしても、不法残留者の一部が深刻化する外国人犯罪の温床となっているとの指摘は、否めないものと思います。
 代表質問の中でも、共同宣言に基づく取り締まりの効果を伺っておりますが、警視庁として、こうした不法残留者への取り組みは、今後どう対応していかれるのか、総監の決意をお伺いいたします。
 話はそれますが、先月の産経新聞のコラムに、こんな文章が載っていました。戦後の日本人は戦争という言葉を聞くと思考を停止した。私のための生命や権利や享楽の主張はするが、公のための義務や責任や犠牲というとこれを拒否した。万一の有事のことなど考えたくもない、だから習性として考えようとしないのだと。
 こうした状況は、何も戦争ということに対してだけのことではなく、まちの中の出来事にもあらわれており、小さな迷惑行為をも見て見ぬ振りをする習慣が身についてしまっていることは、早くからいわれていることです。
 そこで、教育長に伺います。私は、治安対策を充実させ、体感治安を回復させていくためには、都民一人一人が国や地域を守ろうとする意識、すなわち公に対する義務や責任という意識を醸成していくことも必要であると考えます。そこで、こうした意識を学校教育の場で児童生徒に身につけさせていくことが必要であると考えますが、いかがでしょうか。
 次に、外かく環状道路の整備について伺います。
 外環は、首都圏の交通渋滞の解消、環境の改善に寄与するとともに、整備による経済効果も年間三千億円とも試算され、整備が急がれている重要な路線であります。首都圏においてもその整備効果は著しいものでありますが、特に、都内の区部西部地域及び多摩東部地域においても、外環が整備されることにより、沿線における土地利用の効率化を促し、人の交流、物の移動を容易にするなど、その整備効果ははかり知れない路線となっております。
 そこで、外環について何点かお伺いいたします。
 外環は、区部と多摩地区の境で、環境の良好な地域に計画されており、このため、整備に当たっては、沿線の環境保全に配慮しつつ進める必要があります。都では、環境に関する現地の状況を把握するため、本年七月に環境影響評価の手続に着手しましたが、まず、現在の進捗状況と、今後の予定について伺います。
 外環の整備に当たっては、都民の利便性向上のため、一定の区間にインターチェンジが必要であると考えます。しかし、国土交通大臣は、整備のスピードを重視し、都内においてはゼロインターで整備を進めると発表いたしました。高速道路をつくっても、インターチェンジがなければ都民にとっては使うことができず、トンネル内の排気ガス処理のための換気設備や、既存高速道路との連絡路などの施設だけがつくられることになってしまいます。
 このような計画では、幾らスピード重視とはいえ、地元としては賛成できるものではありません。外環道路整備に当たってのインターチェンジ設置について、方針をお伺いいたします。
 次に、都市計画道路調布保谷線整備の用途地域の見直しについて伺います。
 多摩地区の南北幹線道路である都市計画道路調布保谷線は、多摩地域の活力と魅力を高める上で、外環や圏央道と同じく、開通が待たれている都市計画道路であります。
 調布保谷線は、重点的に整備する路線であり、用地買収も進展し、その姿が見えてきています。それに伴って、新たな沿道の土地活用が進みつつあります。沿道の土地活用については、幹線道路と一体となった良好な沿道空間を形成するために、沿道にふさわしい用途地域の指定を行い、適切に誘導していくことが必要であります。また、用地買収に応じ敷地の一部を提供した事業協力者にとっては、生活再建のために残地で速やかに建築物建てかえを行えることが重要であり、そのためにも、道路整備にあわせて時期を失することなく用途地域を見直すことが不可欠であります。
 そこで、お伺いいたします。
 現在、用途地域について、来年度早々の見直しを目指して手続が進められておりますが、私の地元であります三鷹市を初めとして、事業中の調布保谷線の沿道は、先般発表された見直し素案においては見直し対象とはなっていません。これでは、道路を重点的に整備している東京都の姿勢が問われるのではないでしょうか。この際、多摩地域の南北幹線道路である調布保谷線の用途地域見直しを積極的に行うべきものと考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、多摩地域における土地区画整理事業の推進についてお伺いいたします。
 都市再生が都市づくりのキーワードとなって数年が経過し、都心部においては、都市再生の名のもとにさまざまな大規模プロジェクトが具体化されつつあります。しかし、東京の再生は、都心部の再生だけで実現できるものではありません。多摩地域における都市環境の再生、核都市間の広域連携など、東京の都市構造を再編することが、東京の都市再生につながるものと考えます。
 土地区画整理事業は、東京の市街地区域面積の約二割を占める約二万ヘクタールを整備するなど、東京の都市づくりに大いに貢献してきました。多摩地域においては、多摩ニュータウンや八王子ニュータウンなどの大規模な区画整理事業を初め、良好な新市街地の形成を図るため、道路、公園等の都市基盤施設の整備、改善と宅地の利用増進を一体的に進められておりますが、近年の多摩地域における土地区画整理事業の動向についてお伺いいたします。
 多摩地域においては、今後とも積極的に土地区画整理事業を推進していく必要があります。しかし、長期にわたる経済情勢の低迷とともに、地価の下落傾向が続くなど、区画整理事業を取り巻く環境は、大変厳しいものと認識しております。特に、多摩地域における組合施行の区画整理事業においては、保留地処分が進まず、事業が完了できない地区があると聞いております。このような地区については、都としてどのような対応をしていくのか、お伺いいたします。
 多摩地域でも、周辺区部と同様に、三十年代から四十年代にかけて土地区画整理事業を施行すべき区域を都市計画決定しましたが、いまだに土地区画整理事業の着手の目途が立っていない地域が四百七十ヘクタールもあります。このような地域は、土地区画整理事業区域から除外すべきと思います。しかし、これらの地域では、開発行為などにより一定の基盤が整備された地域もあり、他の整備手法などを活用しながらまちづくりを進めるべきであると思いますが、都は、どのような取り組みをしていくか、お伺いいたします。
 次に、多摩地域の幹線道路の整備について伺います。
 多摩地域の幹線道路は、地域の自立性の向上や都市間の連携を図る上で重要な都市基盤であり、現在、都は、特に整備のおくれている南北方向の幹線道路について重点的に整備を進めております。
 一方、東西方向の幹線道路に目を転じますと、比較的整備が進んでいるものの、多摩地域と区部を結んでいる幹線道路は、甲州街道や青梅街道などに限られています。東八道路とそれに接続する放射第五号線についても、区部と多摩地域を結び、調布保谷線や環状第八号線などの南北道路や環状道路と交差し、道路ネットワークを形成する上で重要な幹線道路であるにもかかわらず、区部と多摩の境界付近において道路がつながっておりません。
 このうち、放射第五号線は、現在、総合環境アセスメントを完了し、都市計画変更の手続を進めており、事業化に向けた準備が着実に進んでいる中で、多摩地域側の三鷹三・二・二号線についても整備を促進していくべきと考えますが、現在事業中の区間の進捗状況と、未着手区間の今後の見通しについてお伺いいたします。
 次に、住宅政策について伺います。
 居住者の流動性の高い大都市東京にあっては、全世帯の約四割が民間賃貸住宅に居住しております。しかし、賃貸借の契約に当たっては、退去時の敷金精算の取り扱いが必ずしも明確になっていないなど、不透明な部分が見られることから、紛争が増加しております。
 中でも、退去時に部屋の補修をどうするかといった原状回復にかかわるトラブルが最も多く、その解消が大きく課題となっております。国では、既に平成十年に、原状回復に係る費用負担のあり方についてガイドラインを作成していますが、一般の都民にとってわかりやすいものとなっておらず、普及も進んでいないことから、未然防止に大きな効果を発揮していないのが現状です。この際、東京都として、紛争防止のための原状回復義務の範囲等を明確にし、都民にわかりやすく示すべきであると考えますが、所見を伺います。
 さらに、日常の管理においても、管理分担が不明確なことから、設備の修繕や清掃等の維持管理、また、相隣関係に関するトラブルが多発しております。賃貸借も一つのビジネスであり、どのような管理をだれが窓口になって分担すべきかを明確にし、わかりやすい管理、近代的な管理にしていく取り組みが必要であると考えますが、所見を伺います。
 紛争を未然に防止するためには、原状回復などに関する基本的なルールについて、都民一般に知識として普及させると同時に、現実の契約の場面で徹底させることが必要です。そのために、宅地建物取引業法による規制が不十分であるならば、都独自に実効性のある対応を義務づけるなどの方策を検討すべきと考えます。
 いずれにしても、契約の時点で原状回復や管理に関する責任区分が明確となるような仕組みづくりが必要と考えますが、所見を伺います。
 最後に、中央卸売市場の活性化について伺います。
 都民の食卓に、安全で新鮮な食材を提供する上で、中央卸売市場の担う役割は重要です。在住、在勤を合わせると千二百万人以上の人たちの胃袋を毎日満たすための不断の取り組みは、大変なものであると思います。
 一方で、市場における流通形態は変化しています。地域の商店街において生鮮三品を扱う個人商店が減少をし、大型店への依存の度合いが高まる中、市場経由率の低下など、生産者から消費者への流通経路が変わってきているのが実態です。
 そこで、こうした卸売市場が直面している現状について、どのように認識しているのか伺います。こうした状況は、どの市場ということはなく全体に当てはまるものであり、今後も一層厳しい環境にさらされるものと思われます。流通環境が変化する中で、卸売市場を活性化するため、都としてどのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。
 多摩地域における中央卸売市場の整備は、現在の多摩ニュータウン市場だけで、その後一向に進展が見られません。しかし、その一カ所の市場も、取引高から見る限り、また現場を見ても、活力が感じられません。流通ということからすると好環境に立地していると思いますが、多摩ニュータウン市場については、地域の特性や施設的な条件を十分に生かした活性化に取り組む必要があると考えますが、ご見解を伺って質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 吉野利明議員の一般質問にお答えいたします。
 三鷹駅前の事件を初めとする凶悪犯罪の多発についてでありますけれども、三鷹のような駅前の商店街でこうした凶悪犯罪が発生したこと、大変遺憾でありますけれども、もはやこれは、驚きと改めて感じるよりも、非常にもう多発して、こういったものがしょうけつしているために、またかという感じしかいたしませんが、とにかく、今までの常識では考えられない凶悪な犯罪が普通の商店街や住宅地で多発しておりまして、つくづくその治安というものがこう悪化してきたということを痛感いたしますけれども、世界が時間的、空間的に非常に狭くなりまして、情報が簡単に伝達される、また、その外国からの渡航も割と簡単になる中で、日本と周囲の外国との経済格差、通貨の格差というものが如実になっておりまして、日本人にとってはわずかなお金でも、外国人にとってはかなりの額のお金という意味を持つ。それゆえに簡単に凶悪な犯罪が惹起されるということになっているんだと思いますが、いずれにしろ、罪のない都民が突然その理不尽な被害に遭うということに怒りを禁じ得ません。
 警視庁には、一日も早く犯人を検挙するように努力してもらいたいと思います。この犯人が果たして本当に中国人であったかどうか、いずれの外国人であるかということは、これからも明らかにされるでありましょうが、とにかく徹底して、好ましからざる不良の外国人による犯罪の増加はもうまさに都民の脅威となっているわけでありまして、これはまた、真っ当に暮らしている、日本、東京在住の外国人の方々にも迷惑なことだと思います。
 これは、日本の移民政策の欠陥といいましょうか、入国管理のあり方にいろいろ問題があると思いますけれども、一昨日ですか、野沢法務大臣とも一緒に、歌舞伎町に新設しました入国管理局の出張所を視察いたしましたが、非常に効果を上げていると思いますし、こういったものを増設することも必要だと思います。
 また、防犯カメラの設置など、あらゆる角度から治安の回復に全力で取り組んでいきたいと思っておりますが、ただ、あのときも指摘をしましたが、法務大臣に、過去のいきさつがいろいろあったようですけれども、不法入国、不法滞在の外国人であろうと、請われれば区市町村は外国人登録証明書というものを出さざるを得ない。それを持って回りますと、一々不法滞在か不法入国かわかりませんから、それを持っている外国人を、受け入れ側は簡単に、証明書があるんだからと、正規の外国人と錯覚して就労させるという非常に悪い循環がありまして、こういったその時代におくれた法律のあり方というものは、やっぱり国の責任で一刻も早く修正してもらいたいということを強く申してまいりましたし、これからもしてまいります。
 他の質問については、警視総監、教育長、東京都技監並びに関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監石川重明君登壇〕

○警視総監(石川重明君) 不法滞在者に対する取り組みについて、お答えを申し上げます。
 議員ご指摘のとおり、不法滞在者の存在が、多発をしております外国人組織犯罪の温床になっていると。また、近年では、留学生、就学生等による犯罪も増加をしているという現状にかんがみまして、警視庁では、新設の組織犯罪対策部を中心に、全庁を挙げまして、偽装結婚、地下銀行事犯など、不法滞在者等の生活基盤を支えている各種犯罪の取り締まりを徹底をしているところであります。
 また、東京都、東京入国管理局等の関係機関と連携をしながら、新宿歌舞伎町等の繁華街における地区特別対策を波状的かつ継続的に実施をして、不法滞在者等の大量摘発に努めるほか、留学生、就学生等の不法就労事犯等の取り締まりを実施をいたしました結果、本年は、十月末までに、来日外国人にかかわる犯罪につきまして約一万八百件、約六千三百人を検挙をいたしておりまして、これを、前年同期と比較をいたしますと、件数で約三千件、人員で約二千人増加を見ているところであります。
 さらに、東京都のイニシアチブで発足をいたしました留学生・就学生の違法行為防止のための連絡協議会と連携をしながら、留学生等を受け入れている各種学校、雇用先等に対する指導などを警視庁としても行っているところであります。
 警視庁といたしましては、さきの共同宣言にありますように、都内における不法滞在者を今後五年間で半減をさせるということを志向いたしまして、関係機関と緊密な連携を図って、さらに不法滞在者対策の強化を図ってまいります。
 なお、ご指摘の本年十月二十四日に三鷹警察署管内で発生をいたしました下連雀三丁目薬局店内強盗殺人事件につきましては、特別捜査本部を設置をいたしまして、早期検挙に向けて鋭意捜査を推進しているところであります。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 公に対する義務や責任の意識を児童生徒に身につけさせることについてのお尋ねでございますが、ご指摘のように、安全で安心して暮らすことのできる社会の実現を図りますためには、これからの社会を担う子どもたちが、社会の一員としての自覚を持ち、公に対する義務や責任の意識を高めることは、極めて重要なことでございます。
 現在、各学校では、総合的な学習の時間や学校行事における社会奉仕体験活動、家庭、地域と連携した道徳教育などを通しまして、子どもたちが地域を愛し、社会の一員としての自覚と責任を持って、進んで義務を果たそうとする態度の育成を行っております。
 また、都教育委員会が推進しております心の東京革命教育推進プランに基づきます道徳教育及び社会奉仕等の体験活動を一層充実させまして、子どもたちが、安全で安心して暮らすことのできる社会の形成者となるよう、その育成に努めてまいります。
   〔東京都技監小峰良介君登壇〕

○東京都技監(小峰良介君) 三鷹三・二・二号線の整備についてでございますが、本路線は、放射第五号線と連続する東八道路で、区部と多摩地域の連携強化、甲州街道の渋滞解消、生活道路の通過交通排除等に寄与する重要な路線でございます。
 計画延長五・八キロのうち、既に四・八キロが完成し、現在外環道付近の〇・五キロで用地取得を進めております。進捗率は十月末で六二%でございます。残る〇・五の区間は、現在、用地測量を実施しており、平成十六年度に事業認可を取得してまいります。
 今後とも地域住民の理解と協力を得ながら、事業の推進を図ってまいります。
   〔都市計画局長勝田三良君登壇〕

○都市計画局長(勝田三良君) 六点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、外かく環状道路の環境影響評価についてでございますが、外環の整備に当たりまして、周辺環境の保全を図ることは大変重要なことであると認識しております。このため、環境影響評価に着手することとし、調査方法などを明らかにした方法書を本年七月に縦覧をし、幅広く都民や沿線の区長、市長の意見を聞くなど、適切に手続を進めてまいりました。
 引き続き、この冬から現地調査を実施するため、大気、騒音・振動、動植物、地下水などを対象とした調査方法等の確定を進めております。今後、外環に関する計画内容がまとまり次第、予測、評価を行ってまいります。
 次に、インターチェンジの設置についてでございますが、ご指摘のございましたとおり、インターチェンジがなければ、都内を通過するだけで、都民が利用できない道路となりまして、環状八号線など既存道路の交通量削減や環境改善などの効果も十分に発揮できません。
 このため、都といたしましては、インターチェンジは必要不可欠と考えておりまして、設置に当たっては、都民の利便性確保や時間短縮効果など、社会工学的な観点から検討するとともに、その際には幅広く地域の意見を聞いてまいります。
 次に、調布保谷線の道路整備に伴う沿道の用途地域見直しについてでございますが、現在公聴会が終了いたしておりまして、来年五月の東京都都市計画審議会に付議する都市計画案を作成中でございます。公聴会において、調布保谷線の地元の方々からも、ご指摘のような幹線道路にふさわしい用途地域に見直してほしいとの公述がなされております。
 今後、都市計画案の作成に当たりましては、用地取得が進むなど、事業の進展が著しく図られた区域につきましては、適切な用途地域に見直しをしてまいります。その他の区域につきましては、道路の整備状況に応じて、新たな用途地域が適用可能となります誘導容積型の地区計画の決定とあわせ、見直しを図ってまいります。
 次に、多摩地域における土地区画整理事業の動向についてでございます。
 近年、多摩地域においても、移転補償などに係る事業費の増大や、土地価格下落による計画的な保留地処分ができないなど、さまざまな課題が生じております。このため、事業が長期化すると同時に、新規地区の事業化に向けた合意形成が困難となっておりまして、施行面積、地区数、ともに新規着手は減少傾向にございます。また、施行地域につきましては、駅周辺などの既成市街地を再編する地域に移行してきております。
 次に、事業を完了することができない地区への対応についてでございますが、組合区画整理事業では、事業費を賄う財源といたしまして、保留地処分金によるところが大きく、近年の保留地価格の下落が事業に多大な影響を及ぼしております。このため、地価の下落傾向を踏まえた保留地の再減歩や資金計画の見直し、現況道路を生かした施設計画など、事業計画の変更を進めるとともに、計画的な保留地処分の促進策といたしまして、ハウスメーカーや地元不動産業界との連携、事業の業務代行方式の導入などを指導しております。
 今後とも、関係組合と調整しながら、早期の事業完了を目指してまいります。
 最後に、多摩地域における土地区画整理事業を施行すべき区域の取り組みについてでございますが、地権者の事業化の意向が強い地区などにつきましては、施行区域を縮小するなどの工夫をいたしまして、事業化に向けた指導を行っております。
 また、事業化が困難な地区につきましては、昨年四月に策定をいたしました周辺区部における土地区画整理事業を施行すべき区域の市街地整備のためのガイドラインを準用いたしまして、都市基盤などが一定の整備水準に達している地域においては、地区計画を活用するなど、良好な市街地を形成する整備手法の見直しを進めております。
 今後とも、関係市と連携を図りながら、多摩地域にふさわしいまちづくりを進めてまいります。
  〔住宅局長高橋功君登壇〕

○住宅局長(高橋功君) 民間賃貸住宅施策についての三点のご質問にお答えをいたします。
 最初に、退去時の原状回復をめぐる紛争防止についてでございますが、居住者が退去をする際に、例えば、通常の使用による損耗にもかかわらず、原状回復の対象とされ、敷金が返還されないなどといった苦情や相談が多く寄せられております。
 国におきましては、原状回復に係る負担区分のルールを示すため、ガイドラインを作成しておりますが、記述が専門的であり、一般に利用しにくいものとなってございます。
 そこで、都は、具体的な事例を示すなど、原状回復のルールにつきまして、わかりやすく解説した実用的な東京都版のガイドラインを作成いたしまして、広くこれの普及を図ってまいります。
 次に、民間賃貸住宅の管理についてでございますが、給排水設備の故障や建物等にふぐあいが生じた場合の修繕など、日常の管理につきましても多くのトラブルが発生してございます。
 このため、借り主からの修繕等の要望に対しまして、対応すべき窓口や管理の担当区分をあらかじめ賃貸借契約の際に明確にしておく必要がありますことから、ご指摘のようなわかりやすい管理が行われるよう、具体的な方策を検討してまいります。
 最後に、実効性ある仕組みづくりについてでございますが、安心して貸し借りできる賃貸住宅市場を確立するためには、賃貸借に関するトラブルの未然防止を図ることが重要でございます。
 宅地建物取引業法は、適正な不動産取引を目的とするものでございますが、賃貸住宅におきまして最もトラブルの多い、退去時の原状回復や入居中の管理に関する問題に対しましては、十分に対応できておりません。
 そのため都は、契約時点で、原状回復に関する基本的なルールなどを踏まえた対応がなされるよう、実効性ある新たな仕組みを早期に構築してまいります。
   〔中央卸売市場長森澤正範君登壇〕

○中央卸売市場長(森澤正範君) 中央卸売市場の活性化についてのご質問にお答えいたします。
 まず、中央卸売市場の現状認識についてでありますが、生鮮食料品流通においては、輸入食品や冷凍、加工食品の増加、生産者から量販店などへの直接販売などにより、市場経由率が低下しています。加えて、商品の低価格化が進み、市場関係者の経営状況は悪化傾向にあります。
 また、現行の卸売市場制度では、電子商取引が導入できないなど、取引上の規制が多く、変化に柔軟に対応できないことや、市場関係者による経営効率化への取り組みがおくれていることなどから、競争力は低下しております。
 このように、中央卸売市場は大きな転換期に来ており、これまでの仕組みや運営を見直していく必要があると考えております。
 次に、活性化への取り組みについてでありますが、都は、これまで、商品管理や衛生管理のための低温施設の整備、経営力の強化のための公認会計士等による特別指導などを実施してまいりました。
 今後とも、取引規制の緩和による商品提供機能の強化が図れるよう、国と連携し、卸売市場システムを見直すとともに、市場関係者の経営体質の強化に努め、中央卸売市場の競争力強化を図ってまいります。
 最後に、多摩ニュータウン市場についてであります。
 多摩ニュータウン市場の活性化のためには、集荷力、販売力の向上が不可欠であり、これまでも市場業者の新規参入を図るとともに、鮮度を保持するための施設整備などを行うなど、その活性化に努めてまいりました。
 多摩地域の生鮮食料品は、集荷力のある民間の地方卸売市場を中心に供給されており、今後は、こうした地方卸売市場との連携を図るとともに、市場業者とも十分協議を重ね、多摩地域の潜在的な消費需要、交通事情、施設の広さなどを踏まえた市場運営に努めてまいります。

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