平成十五年東京都議会会議録第十七号

○議長(内田茂君) 九十八番藤田愛子さん。
   〔九十八番藤田愛子君登壇〕

○九十八番(藤田愛子君) 私は、都議会生活者ネットワークを代表して質問いたします。
 先般の総選挙は、それぞれの政党がマニフェストで政策を競い、政権選択の選挙を実施しました。政府・与党は、選挙中には具体的な論点を示さず、選挙後になって、国民負担率全体を議論もせずに、年金負担率二〇%は重過ぎるとか、高速道路は永久に無料にしない、そして、外交官が犠牲になったイラクへの自衛隊派遣についても、前提が崩れたにもかかわらず、アメリカ追随の政策を固持するなど、説明責任を果たしているとはいえません。
 三位一体の改革についても同様です。補助金を全体で約四兆円廃止、縮減することをうたっているだけで、個々の削減すべき国庫補助負担金や税源移譲の対象とすべき税目などについては具体的に何ら示していませんでした。
 それが今になって国が示してきたのは、地方の裁量をふやさず、国のツケをただ地方に押しつけるだけのものです。小泉政治の問題先送り体質が露呈したといえるでしょう。
 こうした三位一体改革についての国の姿勢に対し、今後、都としてどう取り組んでいくのか、所信表明では言及がありませんでしたが、改めて、知事の行動と所見を伺います。
 右肩上がりの成長の時代は終えんしたとの認識に立って、少子高齢社会を生き抜くための行政課題が、知事の二期目の予算編成に示されました。
 予算編成の土台となるものは、未曾有の財政危機の中で出された第二次財政再建推進プランであり、行政改革のための第二次都庁アクションプランです。プランについてはおおよそ適当なものであると考えますが、これを実行するときに、都庁内で揺らいでいる行政哲学の再構築と明確化、そして、都民が主人公という原点に立った都政の体質転換が何より重要と考えます。
 このように考えますと、一〇%シーリングで課題にもならずに消えてしまう事業がある中で、三十事業二百十億円規模の重点事業を策定しましたが、この三十事業すべてが、シーリングを受けることなく優先される事業とは考えにくい状況です。
 財源不足額五千三百億円が提示されていますが、最近見え始めた景気の回復兆候が根本にあるのか、予算要求の状況を見る限り、各局から危機感は伝わってきません。
 しかし、今後の団塊の世代への退職金、臨海副都心への償還、羽田空港問題等、突出した支出が控えており、増要因が多く、硬直状況に変わりはありません。
 さらに、十六年度の予算要求には、新銀行への出資一千億円が含まれています。先般、新銀行の枠組みが発表になり、スキームは一見順調のように見えますが、銀行となった途端に金融庁の金融検査マニュアルで評価され、一歩踏み込んだ中小企業融資を行うことは大きなリスクを負うことになり、採算性について強い懸念があります。
 最悪のケースを想定しての議論を積み重ね、責任の所在も今から明確にすべきと考えています。財政危機に陥ってからの予算は、スクラップ・アンド・ビルドが原則です。新規の施策を実施するには、これまでの施策を廃止して財源を生み出さなければならないとされてきました。すなわち、新銀行の一千億円については、これに見合うスクラップの説明責任が厳しく問われると考えます。
 新銀行設立は、いうまでもなく知事の公約です。公約であるからこそ、根拠のあいまいな予算要求については厳しく査定すべきではないでしょうか。基本姿勢を伺います。
 次に、八ッ場ダムの事業費改定について伺います。
 十一月二十日に開かれた国土交通省関東地方整備局の事業評価監視委員会で、八ッ場ダムの事業費が現行計画の二千百十億円から二・二倍の四千六百億円へと引き上げられ、大幅な変更となりました。ダム建設費としては、全国でも突出した大きさです。
 東京都の負担額は、利水、治水での三百四十三億円の増ですが、負担はこれだけではありません。このほかに水源地域対策特別措置法事業と水源地域対策基金事業があり、さらには起債に伴う利息も背負い込むことになります。
 これらすべてを含めて八ッ場ダム関連の東京都の負担総額はどれぐらいになると推計しているのか、伺います。
 財政再建を至上命題として、聖域なき改革を標榜するなら、社会経済状況の変化と水需要の実績を直視して、国直轄の公共事業にもメスを入れるべきです。
 私たちは、長年にわたり多摩地域でくみ上げられている日量約四十万トンの地下水を正規の水道水源に位置づけ、ダム建設を優先する河川水への切りかえ計画の放棄を求めてきました。高度成長時代に照準を合わせ、水余りの状況下で、日量四十五万トンの水利権確保に巨額の投資をする八ッ場ダムの見直しは、時代の要請であることを改めて強調したいと考えます。
 関東地方整備局の事業評価監視委員会の委員からも、データの公開と詳細な調査が必要であることが指摘されています。東京都が事業費の倍増を受け入れるに当たり、どんなデータをもとに、どのような調査を行っての結論なのか、大きな疑問であります。
 周辺の県でも水余りの状況があり、新たな水需要予測を出す前に、本計画への参加継続を判断するのは早計といわなくてはなりません。国は水没予定の方々の生活再建をうたいながら、いまだ移転代替地も完成させておらず、現地を見れば明らかなように、一人として代替造成地に移転して生活を再開した人がいないという現実に目を向けるべきであります。
 また、八ッ場ダムは予定地の地質が極めて脆弱で、貯水を開始すると、奈良県の大滝ダムのように地すべり等の災害を誘発する危険性が高く、この対策に今回の事業費増額分二千四百九十億円のうち一九%をつぎ込まなければならないなど、看過することができない重大な問題を幾つも抱えているダムです。
 今こそ関連自治体とともにそれぞれの水需要の現状と予測など諸状況を照らし合わせ、相互の水融通を視野に入れた見直しをラウンドテーブルで検討すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、食品安全条例について伺います。
 森永砒素ミルク事件やカネミ油症事件は、多くの人々を長い間、さらに世代を超えて苦しめてきました。BSEの発生、その後の相次ぐ食品の偽装事件は、消費者ばかりでなく地域経済への深刻な影響を与え、事が起きてから対処するという後追い行政の限界が明らかになりました。
 ようやく国において食品安全基本法が制定されましたが、それは明らかに不十分なものです。それゆえ、都においては、これまでの実績を踏まえ積極的な食品の安全対策を進め、国において実現できなかったことや、おくれている施策を先駆的に展開することが問われているわけであります。
 十一月には、東京都食品衛生調査会から答申が出され、仮称東京都食品安全基本条例づくりが進んでいます。答申には、都民の健康を守るという視点を最優先に、未然防止の観点による情報の収集、分析、評価の重視が基本にあり、評価をするものです。
 そこで、国において法制定があっても、あえて都条例をつくる意義をどのようにとらえ、最終答申を含め、どう条例づくりを行うのか、知事に伺います。
 これまでの食品安全行政は、事業者を取り締まることによって反射的に消費者の益を考えるというものでありました。法は相変わらず消費者を保護の対象としてしか見ておらず、旧来型の保護行政では消費者の不安を解決することはできません。この点を踏まえると、消費者の自立的な選択や行動を支援することが条例における最大の課題です。まずは、市民の参加の仕組みを拡充することです。
 そのために、参加の権利と知る権利、選択の権利をうたった消費者の権利を明記し、また、未然防止を進めるに当たっての実質権限のある申し出措置請求を可能にすべきです。二つ目の課題は、食の総合行政の展開です。私たちは今、安全性の議論が続く遺伝子組みかえ作物、農産物の残留農薬や有害化学物質など、目に見えない形で健康被害を引き起こす食環境で暮らしています。
 あしき食品を排除するだけの規制行政だけでは不十分で、アレルギー、食糧自給率、都市農業の問題など、食をめぐる課題を考えるとき、何よりも食の専門家として市民の参加が欠かせませんし、行政や専門家の縦割りを超え、市民協働で総合的な取り組みが求められます。食の総合行政として、食品安全室を設置すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、介護保険制度について伺います。
 高齢者の自立を支える施策である介護保険制度は三年が経過し、多くの課題はあるものの、利用は確実に増加しています。
 本年三月に策定された第二期東京都介護保険事業支援計画によれば、要介護認定者数は、二○○○年十月の約二十万三千人から、二○○二年十月現在約二十七万八千人と一・四倍になっています。また、在宅サービスにおける介護給付費の支払い状況は、百九億円から百七十三億円と約一・六倍に増加しています。今後もさらに高齢化が進むことを考慮すると、さらなる介護給付費の増大が考えられます。
 介護保険制度は、そもそも残存能力を生かした自立支援が目的であり、サービスを受けることにより自立度がより高められるケアプランの作成が求められています。しかし、要支援や要介護一や二の人が、二、三年で徐々に介護度が上がっているのが現状です。事業者は経営面からサービスをより多く提供し、利用者は必要以上にサービスを求めるなどの傾向が見られ、このままでは高齢化とともに制度の破綻が心配されます。
 保険者、事業者、利用者の三者ともに介護保険制度の本来の目的への理解を深め、持続可能な制度として育てていかなければならないと考えますが、見解を伺います。
 また、本定例会に上程された高齢者、身体障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例に見るように、バリアフリーは着実に進んできました。さらに、今後はだれもがまちに出ることを可能にするユニバーサルデザイン化を、単体ごとの建築物だけの整備だけではなく、アクセスが自由になることで高齢者や障害者の生活圏が広がり、自立を支えられるように面整備の取り組みを期待するものです。
 次に、化学物質過敏症対策についてです。
 ことし七月、シックハウス対策を盛り込んだ改正建築基準法が施行されましたが、シックハウス問題の解決には、規制整備のことはもちろん、未然防止の観点から建築関係業界が化学物質のない安全な製品を開発することが必要です。
 都では、ことし三月、都立世田谷泉高校のトルエンの濃度が基準値を超えた事例を教訓として、十月に都立学校室内化学物質対策検討委員会で報告書をまとめました。
 厚生労働省が指針値を示しているシックハウス症候群の原因物質とされる十三種類の化学物質を低減化の対象にし、指針値の二分の一を当面の管理目標値に設定しました。
 全学校に簡易測定機器を配置し、備品の購入には化学物質の放散量が少ないものを優先的に選ぶなど、防止策を講じています。しかし、都立世田谷泉高校や調布市、墨田区、江東区の小学校などでもシックスクールと診断された子どもや教師がいるのは事実です。
 これまでの都立世田谷泉高校での対応と、健康状態の把握を今後とも引き続き行う必要について、また、他の都立学校への取り組みについて見解を伺います。
 一般的にシックハウス症候群から化学物質過敏症への移行も多く見られます。しかし、両者は厳密に区別することが難しく、未解明な部分や診断基準が定まらないこともあって、対策がおくれています。しかし、疫学的調査では七十万人の患者がいるとされています。患者は突然の発病に職を失い、生活保護に頼らざるを得ない人もいます。
 空気中にばらまかれた化学物質の削減とともに、患者への早急の対応が求められています。環境省では、化学物質の管理に関する法律などに予防原則を導入する動きがあります。因果関係が十分に立証されていなくても、化学物質などの規制を可能として、健康被害の拡大防止につなげようという動きもあります。
 都として、化学物質過敏症の対策をどのようにお考えか、伺います。
 さて、国の特殊教育見直しの動きを受けて、教育庁は、今後の心身障害教育のあり方を改善検討委員会で検討し、十一月二十七日に通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する実態調査(速報値)で、学習面か行動面で著しい困難を示す児童生徒が四・四%いるとの報告を出しました。この調査は、通常学級の担任等の判断に基づくもので、LD、ADHD、高機能自閉症の割合を示すものではなく、従来の授業においては困難を示す子どもの割合を把握するための悉皆調査です。
 今後は、改善検討委員会の最終答申を受け、新たなシステムを展開するに当たり、困難を抱える子どもたち一人一人へのニーズについて、いつ、だれが、どのようなニーズを必要とするかを見きわめることが重要な課題となります。
 子どもたちを従来の学校生活や授業に適応させるためのあるべき姿といった型にはめるのではなく、一人一人の個性に着目した教育の実現のために、人的配置の充実及び区市町村が取り組み可能な財政的な配慮についての見解を伺います。
 また、三月に出された国の今後の特別支援教育の在り方についての最終報告では、ADHDの指導において投薬の効果を認める形での記述があります。その薬剤は中枢刺激剤と書かれており、医療機関との連携だけではなく、一つの傾向性を持つ薬剤投与についての記述は非常に問題があると考えます。この薬剤は一般にリタリンと呼ばれるもので、抗うつ剤として保険適用されているものでございます。
 もちろん、多動を抑制することができることも事実で、量的なものを十分に配慮すれば副作用も少ないといわれています。しかし、このリタリンは向精神薬として覚せい剤がわりに服用する例がふえ、医者に処方してもらえる覚せい剤として売り上げがふえ続け、乱用が広がっている問題の薬剤です。
 また、厚生労働省は、十月に、わずか三年前に発売された抗うつ剤パロキセチンに対して、子どもに投与することによって自殺願望などの副作用があると判断して、十八歳未満の子どもに対しての投与を禁止しました。
 フリースクール東京シューレが実施した不登校と医療に関するアンケートによれば、不登校の原因を精神疾患と見られ、投薬治療を受けた人の六割強が精神安定剤や抗不安剤を処方されています。シューレに通うようになって薬をとめたところ、体がすっきりしたという子どもが大半だったということです。
 ADHDは脳の機能障害が推定されるだけで、確証するデータは存在していないと米国国立衛生研究所では報告をしています。また、アメリカ・コネチカット州など多くの州で、リタリンの使用を厳しく規制する州法ができています。
 投薬の前に、栄養や低血糖、アレルギー等ADHDの原因を調べる必要があるのではないかとの警告を発する医者も数多くいます。このように客観的な定義や診断方法がなく、副作用情報が浸透していない中で、中枢刺激剤との連携を明記するのは大変危険なことであります。
 都は、投薬によるコントロールを第一義とすることのない特別支援教育を進めるべきと考えますが、見解を伺って、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 藤田愛子議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、三位一体改革に対する今後の取り組みについてでありますが、この改革は、国から地方への税源移譲など、地方税財政制度改革を確実に推進し、地方主権を確立するために行うものでありますが、しかし、現在の国の動きを見ておりますと、数年前につくられました地方分権一括法の付記として、税財源の譲与は中長期の課題であるという、あの付記の意味がよくわかるような気がいたします。
 とにかく国庫補助負担金の削減を先行させて、基幹税目の移譲は先送りということなど、全くその改革の本来の本旨にそぐわないものであります。
 都は、これまでも地方主権の確立を目指す三位一体改革を実現するよう、近隣の八都県市首脳会議の場なども活用しながら、国に求めてまいりました。今後とも、国に対しては強く働きかけていくつもりでございます。
 次いで、八ッ場ダム関係の都県の協議の場についてでありますけれども、もともと水資源は都県の区域を越えた広域的な課題であります。ダム開発についてはこれまでも水源県を含め、国や関係県と協力して推進してまいりました。
 八ッ場ダムの必要性については、関係都県とも共通して認めているところでありまして、都県相互の水融通についてなども、災害時の対応などで実施しております。
 八ッ場ダムに関して、改めて関係都県の協議の場をつくることは考えておりません。
 次いで、食品安全基本条例制定の意義についてでありますけれども、東京は日本の最大の消費地かつ物流の拠点でありまして、食の安全の問題は最も先鋭的にあらわれる、そういう地域であります。
 国は、食品安全基本法を制定するなど、対策をとっておりますが、基準を設けて規制するというこれまでの枠組みは変わらず、依然としてその取り組みは不十分であると思います。
 ゆえにも、都は、法の規制だけで対処できない課題についても独自の安全性調査を行い、勧告を行い、その情報を公表するなど、実効のある未然防止策を盛り込んだ条例を制定する予定であります。
 食の危機を回避するため、我が国の食品安全行政を牽引していく決意であります。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教育に関します三点の質問にお答え申し上げます。
 まず、学校におけるシックハウス症候群についてですが、世田谷泉高校におきます生徒の健康管理につきましては、専門医の助言を受けて、学校医等による健康診断及び健康相談を重ねて実施してまいりました。現在、健康被害を未然に防止するため、定期的な環境測定体制を整備しますとともに、生徒の健康観察をきめ細かく行うなど、健康管理の充実に取り組んでおります。
 今後とも学校と連携しながら、生徒の健康状況の継続的な把握に努めてまいりますとともに、他の都立高校につきましても、お話の報告書の内容に基づきまして、室内化学物質の低減化を進めるなど、その対策の一層の充実を図ってまいります。
 次に、特別支援教育における一人一人の個性に着目した教育の実現のための人的配置などについてでございますが、LD等の障害のある児童生徒の一人一人のニーズに応じた教育の展開は、重要な課題であると認識しておりますことから、お話の人的配置などの条件整備につきましては、今後、心身障害教育改善検討委員会の最終報告や国の動向などを踏まえまして、検討してまいります。
 最後に、ADHDの児童生徒の特別支援教育についてですが、特別支援教育においては、児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握をして、教育的支援を行っていくことが重要であると考えております。
 お話の投薬によるコントロールについては、保護者が医療の専門家と連携を図り、医療的対応として行っていることは承知をしております。
 都教育委員会としましては、各学校がこうした現状を踏まえ、ADHDの児童生徒の指導に当たって保護者と一層の連携を図り、個に応じた指導計画に基づく教育を行うよう指導してまいります。
   〔財務局長櫻井巖君登壇〕

○財務局長(櫻井巖君) 新銀行に要する経費と十六年度予算の編成に関してお答えいたします。
 都民ニーズの変化にこたえ、先進的な施策を展開していくためにも、新しい発想で施策の体系や執行体制を総点検して再構築するなど、財政の構造改革を進めることが重要であります。
 編成作業中の十六年度予算におきましても、厳しい財政環境のもと、さまざまな方策を計画しまして、都民サービスの充実と直面する課題の解決に向けた財源の確保及びその重点配分に努めてまいります。
 お話の新銀行の経費につきましても、その中で的確に対応してまいります。
   〔都市計画局長勝田三良君登壇〕

○都市計画局長(勝田三良君) 八ッ場ダム関連の都の実負担総額についてでございますが、ダム建設費や水没関係住民の生活再建支援を目的とした法に基づく事業の経費と基金事業の既支出分を合わせ、約七百七十三億円と試算しております。
 水資源開発につきましては、将来の水需要や渇水に対する安全性の観点から、適宜、見直しを行っており、また、今回の事業費の改定に当たりましては、検証に努め、妥当なものと判断をいたしました。
 八ッ場ダムは、利水、治水の両面から不可欠なダムでございまして、都として引き続き参画していく必要があると考えております。
   〔健康局長平井健一君登壇〕

○健康局長(平井健一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、食の総合行政を推進するための体制についてです。
 食品の安全を確保するためには、都民、事業者の意見を反映させながら、生産から消費に至るすべての段階で関係局が、その持てる力を出し合って総合的に施策を進める必要がございます。このため、関係五局による食品安全対策推進調整会議を設置して、条例制定に向けまして基本的な考え方を取りまとめるなど、庁内連携を強化するとともに、都民や事業者に参加いただき、都民フォーラムを開催するなど意見交流の場の充実にも努めてまいりました。
 今後とも、この推進調整会議を中心に、庁内一体となって総合的な食品安全対策を強力に進めてまいります。
 次に、化学物質過敏症対策についてでございます。
 いわゆる化学物質過敏症につきましては、これまで国においてさまざまな調査研究が行われてきておりますが、その発症メカニズムや診断基準、治療方法はいまだ明らかになっておりません。
 都は、これまでも国に対し調査研究を一層推進するよう強く提案要求してきたところでございます。今後、その成果や国内外の最新の知見も踏まえ、必要な対策について検討してまいります。
   〔福祉局長幸田昭一君登壇〕

○福祉局長(幸田昭一君) 介護保険制度への理解の促進についてのご質問にお答えいたします。
 介護保険制度を将来にわたり持続可能なものとしていくためには、国民の共同連帯の理念に基づき高齢者の自立を支援するという、制度本来の趣旨に即して運営していくことが重要でございます。
 このため、都は、都民、事業者、区市町村などが参画する東京の介護保険を育む会におきまして、介護保険制度が真に高齢者の自立を支援する仕組みとなるよう検討を重ねてまいりました。また、東京都介護支援専門員支援会議などを通じまして、自立支援に向けた効果的なケアプランのあり方についても検討し、その普及に努めているところでございます。
 今後とも、要介護高齢者とその家族を対象に、介護保険制度の適切な利用を促すため、区市町村と共同して「介護保険活用読本」を作成するなど、広く都民の理解促進を図ってまいります。

○六十七番(吉野利明君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(内田茂君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後七時五十八分散会

ページ先頭に戻る