平成十五年東京都議会会議録第十七号

○副議長(中山秀雄君) 百六番木内良明君。
   〔百六番木内良明君登壇〕

○百六番(木内良明君) 私は、都議会公明党を代表して、都政の重要課題について、石原知事並びに関係局長に質問をいたします。
 ことしは、二十一世紀の初頭に当たって極めて重要な意義を持つ統一地方選挙が四月に、また総選挙が十一月に行われました。いずれの選挙戦においても、公明党はますます重要な立場をいただいたものと自覚をしております。
 国の内外に克服すべき課題が山積している今日、都議会公明党は、現場第一主義を貫くとともに、生活与党、政策実現政党として大きな信頼と期待をいただいていることに深く思いをいたし、以下、お尋ねをいたします。
 初めに、財政再建についてであります。
 都は、去る十月、第二次財政再建推進プランを発表しました。第二次プランの収支見通しでは、今後三年間にわたり、三千五百億円から四千億円に上る財源不足が見込まれており、財政再建は、まさに待ったなしで取り組むべき最重要課題であることが改めて浮き彫りになりました。
 第二次プランは、この巨額の財源不足を平成十八年度までに解消することを目標として、内部努力、施策の見直し、歳入確保、地方税財政制度の改善の四つの柱に取り組むこととしています。このうち、特に内部努力については、今回のプランで、職員定数四千人の削減や退職手当の見直しなどを打ち出しております。
 このプランに加え、先月、都の行政改革の看板ともいうべき、二百八十九項目にわたる第二次都庁改革アクションプランも策定されました。これで都政の構造改革に向けての道具立ては整ったわけですが、問題は実行であります。
 そこで、年度別に進行状況と成果を示すアニュアルレポート、年次報告を都民に明らかにしていくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、このような内部努力を前提として、第二次財政再建推進プランでは、すべての事業について聖域なく厳しく見直すとしていますが、大事なことは、施策の見直しに当たっては、機械的に歳出を削減していくのではなく、施策や事業のプライオリティーあるいは施策創設時の背景等も十分考慮して取り組む必要があります。
 具体的には、民間活力を積極的に活用するなど創意工夫を凝らすことも必要ですが、我が党が再三指摘しているように、社会的に弱い立場の方々へ十分配慮する必要があると、重ねてこの場で申し上げるものであります。都の見解を伺います。
 さらに、財政構造を改革し、安定した財政運営を確保するためには、国から地方への税源移譲を実現し、都独自の安定的財源を確保することが何よりも重要であります。
 しかし、いわゆる三位一体の改革について、小泉総理は、十六年度予算において一兆円の補助金の廃止、削減と税源移譲を指示したところでありますが、国の各省庁は、その数字合わせに終始しているようであります。国の権限に固執する各省庁の硬直した姿勢は、三位一体の改革をおくれさせるもの以外の何物でもありません。三位一体の改革の今後の取り組みについて、知事の基本的な考え方を伺います。
 三位一体の改革に関連して、さきに国が明らかにした生活保護費負担金の負担率引き下げについても申し上げます。
 万一、この引き下げが実施をされますと、都及び区市だけで二百五十億円以上の負担増となります。また、財政事情の厳しい東京の福祉行政に重大な支障が生じることになり、初めに補助金カットありきの方針は決して容認できません。
 都議会公明党は、きのう、政府に対し、この点の申し入れを強く行ったところでありますが、都としても、現行の生活保護費国庫負担金の負担割合を引き下げないよう、国に対して強力に働きかけるべきであります。
 次に、新銀行の設立に関連して、五点について伺います。
 不良債権処理と長引くデフレの中で、いわゆる銀行の貸し渋り、貸しはがしが社会問題化し、この間、銀行の中小企業に対する融資の消極姿勢が批判されてきました。このことが東京の産業を支える中小企業の経済活動を著しく停滞させる大きな原因となっていることは、否定できない事実であります。
 こうした状況の中で、この五月に、中小企業融資を大きな柱とする新銀行構想が公表され、先ごろ、その基本スキームが発表されました。
 これまで銀行は、バブル期には地価高騰をもたらし、一転不況となれば、自己資本の保全を最優先し、本来の社会的責任を放棄した経営姿勢をとり続けたケースもありました。この既存銀行の実態とそれを招いた国の金融政策に対して、知事みずからが銀行設立を提唱し、中小企業再生を図ろうとしたことは、基本的に理解するものであります。
 しかし、中小企業融資における行政と民間の役割分担という視点から、東京都みずからが銀行を設立する必要があるのか、あるいは既存の金融機関と連携して新しい融資制度を創設し、弾力的な融資を行う方が効率的ではないのか、また、中小企業のためには、信用保証協会の機能を強化する方が効果的ではないのかなどという疑問が今なお根強く存在しているのであります。この点について改めて知事の真意を伺うものであります。
 二点目は、新銀行の経営理念についてであります。
 知事は、この銀行が、東京の経済再生、都民生活向上、IT社会整備に貢献する新しい銀行だと述べておられますが、既存の金融機関と、その経営理念においてどのような違いがあるのか、必ずしも明確ではありません。知事の言葉で、新銀行と既存金融機関との違いをわかりやすく具体的に説明していただきたいと思います。
 第三点として、新銀行業務の基本となる融資についてであります。
 五月の新銀行構想の発表以来、メガバンクを初めとする各金融機関も、無担保のポートフォリオ型融資に力を入れ始めています。これらのポートフォリオ型融資と新銀行のポートフォリオ型融資との間には、ほとんど違いがないように感じられます。具体的な商品として両者の違いを明らかにし、あわせて中小企業に対するメリットを明示していただきたいのであります。所見を伺います。
 四点目は、新銀行におけるリスク管理についてであります。
 今回の新銀行の設立は都の発案であり、東京都が多額の出資を行うことから、銀行経営の安定性についても、当然のこととして都の責任が問われています。したがって、個別融資の貸し倒れリスクを管理することも大事ですが、何よりも、都が経営を監視し、適正、健全なリスク管理を行うことが必要です。
 そこで、今回示された組織案において、リスク管理をいかに有効に機能させ、従来の金融機関との違いを明らかにするのか、見解を示していただきたいと思います。
 第五に、新銀行の設立について、今なお全庁的な議論が不足しているように思われてなりません。関係局による全庁的機関をつくるなど、検討すべきであります。所見を伺います。
 次に、第二次都庁改革アクションプランについてであります。
 我が党はこれまでも、スリムで柔軟な行政体質の確立を目指し、組織定数の見直しや一層の事務改善など、徹底した行政改革を求めてきました。そこで伺います。
 第一に、都庁改革を次のステップに進めるため、改革の視点と方向に基づき財政再建を進める、変化を改革に取り込むなど五つの重点テーマを掲げておりますが、今後目指すべき都庁の新しいイメージがよく見えません。第二次プランで目指す都庁の新たなイメージを都民に提示すべきと考えます。
 第二に、公共施設などの計画、建設及び管理のあらゆる段階において全庁的なコスト管理を徹底するため、委員会を設置するとしていますが、そのコスト縮減の数値目標と策定時期を明らかにすべきであります。
 第三に、第二次都庁改革アクションプランでは、都市計画局、住宅局、建設局の再編統合や、福祉局と健康局の統合を打ち出しております。私は、組織改革が従来の縦割り構造の弊害を打破するものとならなければならないと考えます。
 しかし、単に組織を統合するだけで、都民の期待にこたえられる執行体制が確保できるわけではありません。特に、福祉局と健康局の統合によって、福祉の後退が断じてあってはならないと考えます。
 今回の組織改革を東京の再生や都民サービスの向上にどう生かしていくのか、答弁をいただきたいと思います。
 第四に、本年六月に地方自治法が改正をされ、公的な団体にしか管理を委託できなかった公の施設について、民間事業者の参入を可能とする指定管理者制度が創設をされました。この制度を生かし、民間活力を導入しつつ、今後さらに監理団体改革を進めなければならないと考えます。
 また、民間事業者にゆだねるに当たっては、都民サービス向上の観点から、施設の性格に応じて指定の基準を定めるべきであります。
 以上四点について所見を伺います。
 次に、東京の治安対策についてであります。
 先月十一日、イラク南部のナシリヤで二十六人が死亡したイタリア警察車爆破に続き、二十日には、トルコのイスタンブールで英国総領事館と英国系銀行の爆弾テロが起き、二十七人が死亡、四百五十人以上が負傷しました。
 そして、過日、日本の外交官二人も犠牲になりました。犠牲者の方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、ご遺族には心からお悔やみを申し上げる次第であります。
 この背景には、国際テロ組織であるアルカイダの存在があるといわれています。彼らは、十月十八日にカタールの衛星テレビ局を通じて、イギリス、スペイン、オーストラリア、ポーランド、日本、イタリアに報復する権利があると宣言をしました。
 第一に、テロの危険から都民をいかに守るのかということであります。
 首都東京は政治経済の中心地であり、国会、首相官邸や各省庁、外国大使館、空港など、さまざまな重要施設があります。こうした重要施設が集中する東京は、まさに格好のテロの標的になりかねません。自爆テロなどを防止するため、具体的対策を講じる必要があります。所見を伺います。
 第二に、テロ攻撃には、化学テロ、生物テロなど多様な形態が考えられます。去る十二月一日に東京都は、天然痘ウイルスを用いた生物テロが都内で発生した場合を想定して、NBC災害図上訓練を実施しました。
 そこで、まず、今回の天然痘テロ訓練の成果を明らかにしていただきたいと思います。また、今後、こうした化学テロや生物テロ、あるいはNBC災害に向けた対策を一層強化すべきであると考えますが、所見を伺います。
 さらに、さきの定例会で指摘した東京港での改正SOLAS条約への対応について、その現状と今後の取り組みのスケジュールを明らかにされたいと思います。
 また、それに対する専管推進体制の構築を図り、準備、運営体制を盤石にすべきでありますが、都の方針を明らかにしていただきたいと思います。
 次に、民間社会福祉施設サービス推進費補助について伺います。
 社会福祉法人が経営する福祉施設に対する民間社会福祉施設サービス推進費補助は、長年にわたって実施されてきた都加算補助や公私給与格差是正事業を見直し、施設経営者による自主的かつ柔軟な施設経営を促進するため、平成十一年度に創設された制度であります。しかし、その後の社会福祉施設をめぐる状況は、介護保険制度や支援費制度の導入など、大きく変わってきています。また、現行の補助方式は、平成十一年度当時の単価をもとにしており、その後の経済状況を反映しておらず、また、施設の自律的な運営と自主的なサービス向上の努力を促すものになっていないと指摘されています。
 そこでまず、確認の意味で、民間社会福祉施設サービス推進費再構築の目的を明らかにしていただきたい。
 第二に、民間社会福祉施設サービス推進費の今年度予算額は二百七十七億円であり、こうした多額の都民の税金が使われている以上、その時々の社会経済状況を踏まえ、都民ニーズに的確に対応できるよう、不断の見直しを行っていくことが重要であります。
 しかし、急激な制度変更により福祉施設の運営ができなくなっては本末転倒であります。そのため、我が党は、再構築に当たっては、施設運営に支障が生じないよう施設種別ごとの基本項目や努力項目に対する単価について十分配慮を加えること、また、本則に至るまでの経過措置を十分にとるべきであり、特に重度障害者への配慮を重視すべきであると主張をしてきたところであります。このことについて、都の所見を伺います。
 第三に、今回の再構築により、B経費、つまり平均経験年数をもとにした人件費補助がなくなることに、関係者は不安を抱いています。経験豊かな職員がいなくなるのではないか、保育サービスの水準が低下するのではないかという指摘であります。
 そこで、今後の人材確保に関する方針を明らかにし、あわせて再構築後のサービス向上策についても明示をされたいと思います。答弁をいただきます。
 第四に、利用者本位の福祉を実現するためには、利用者を初め、広く都民の理解を得ることが重要です。そのため都は、今回の再構築の目的、内容等について、利用者や保護者を含め、広く情報提供を行い、今後さまざまな方法で十分な説明を行うべきと考えます。所見を伺います。
 次に、介護保険制度の見直しについてであります。
 まず、ケアマネジャーに関する課題についてですが、本来ケアマネジメントは、利用者一人一人の心身の状況などを勘案し、ニーズに応じて適切にサービスを組み立てるべきものであります。ところが、実際には、ケアマネジャーが利用者の希望や必要性よりも所属する事業所の事情を優先してケアプランを組み立てる、いわゆるサービスの囲い込みの問題があります。
 そこで、こうした問題を改善するためには、ケアマネジャーの資質の向上策だけではなく、所属する事業所の改善策や能力アップを視野に入れた対策が必要であります。
 例えば、利用者の満足度を高めるためには、おのおのの事業所のサービスとその効果をモデル事業として検証し、評価することが必要です。見解を伺います。
 また、今後は、介護を必要としない高齢者をいかにふやすかが重要であり、そのためには、通所サービスやリハビリの利用率を向上させなければなりません。
 そこで、十年余りの後に高齢期を迎え、今後の我が国の高齢社会のあり方を大きく左右する団塊の世代などの中高年層を対象に、介護予防やリハビリなどについて正確な理解を促すための情報提供が重要と考えますが、いかがでしょうか。
 都は、今年度から介護予防開発普及事業を実施し、高齢者筋力向上トレーニングや痴呆予防プログラムなどに取り組み、あわせて地域における指導者の養成や技術的支援など、介護予防事業の普及促進に取り組み始めました。
 そこで、今後、区市町村における効果的な介護予防への取り組みを促進するために、都内の一定の地域をモデル地区として、そこでの取り組みを重点的に支援するとともに、その成果を実証的に明らかにするモデル事業を実施すべきことを提案します。所見を伺うものであります。
 次に、都立病院改革について伺います。
 今定例会に、都立大久保病院の東京都保健医療公社への移管に関する条例改正が提案されています。我が党はかねてから、都立大久保病院が公社に移管されることにより、都民への医療サービスが決して低下しないように、具体的な提案を重ねてまいりました。
 これを受けて都は、女性専用外来の新設、在宅患者のための緊急ベッドの確保、リハビリテーション医療の充実など、この地域に不足している医療サービスを積極的に提供することを明らかにしました。
 そこで伺います。
 第一に、都は、大久保病院において、来年四月の公社移管後も、地域住民あるいは地域の医療機関に頼りにされる拠点施設として、より一層の医療サービスの向上に取り組むべきであります。都の見解をお示しいただきます。
 第二に、大久保病院の次に、平成十七年度には多摩老人医療センター、平成十八年度には荏原病院を公社化することが予定されています。これらの病院が名実ともに地域病院として機能し、都民の期待にこたえていくためには、地域の実情を十分に踏まえた医療サービスの提供を行っていかなければなりません。今後の都の取り組みについて伺います。
 第三に、多摩老人医療センターが存在する北多摩北部保健医療圏は、病床数は比較的多いものの、区部に比較すると、救急医療体制が十分とはいえない現状にあります。したがって、一年数カ月後の公社化を見据えて、多摩老人医療センターの救急医療体制の充実を今後早急に図るべきと考えます。所見を伺います。
 次に、小児医療体制について伺います。
 小児医療体制については、党としてこれまで充実を強く要望してまいりました。こうした中で、先日発表された都の平成十六年度重点事業において、小児医療ネットワークシステムの構築が選定されましたが、この事業の重要な要素の一つとして、相談体制の充実があります。
 現在の小児救急の問題点として、核家族化や共働き家庭の増加などを背景にして、若い世代の育児への不安が増大していることが挙げられます。こうした状況を改善するためには、受診前の相談体制の充実が重要であります。安心を確保できる相談体制を整備すべきと考えます。所見を伺います。
 さらに、小児医療体制の中でも特に都民からのニーズが高い初期救急医療体制の充実についてでありますが、今回の重点事業では、二次救急医療機関への患者集中を解消するために、平成十八年度までに、都内全域で初期救急医療体制の構築が予定されておりますが、そのためには、事業の実施主体である区市町村の実情や医療資源の実態を踏まえた取り組みが必要です。施策の方向性を明らかにしていただきたいと思います。
 また、小児の救急医療を実施する際の最大の課題は、小児科医の確保の問題であります。近年の急速に進展する少子化や小児医療の不採算性などを背景に、小児科を標榜する医療機関や小児科医師が減少の一途をたどっています。
 医師の養成や確保は本来国の責務ではありますが、都民の小児救急医療へのニーズに的確にこたえるために、都としても積極的に小児科医の確保に取り組むとともに、結婚などのために医療現場から離れている女性医師の復帰のための、その支援策等に取り組むべきであると考えますが、所見を伺います。
 さらに、小児科専門医についても、積極的に育成していくための体制整備が必要であります。都として都立病院を活用するなど、早急に育成のための研修体制を整備すべきであると考えます。あわせて見解を伺います。
 次に、雇用対策についてであります。
 第三回定例会で我が党が、来年度開設予定のしごとセンターにおいて、民間事業者のノウハウと実績を活用すべきであると主張したことに対しまして、都は、鋭意検討するとの方針を示されました。去る十一月四日には、構造改革特別区域法の第一号として認定された人材ビジネスを活用した雇用創出特区の事業が、あだちワークセンターとしてスタートしております。
 都は、こうした足立区方式の試みも検証しながら、民間の人材ビジネス会社のノウハウを効果的に生かし、現下の厳しい雇用情勢の改善に取り組むべきであります。しごとセンターにおける民間事業者の活用策について、まず見解を伺うものであります。
 東京では現在、二十四歳以下の若年者の完全失業率は九・八%に達し、フリーターも三十四万人を超えるなど、都における若年雇用問題は深刻であります。国では若者自立・挑戦プランを策定し、若年者の就業支援サービスを一体的に行う通称ジョブ・カフェを、来年度、都道府県単位で設置するための概算要求を行っております。
 さきに触れた都のしごとセンターでは、雇用、就業に関するあらゆるニーズに対しワンストップで対応することを標榜しておりますが、申し上げたジョブ・カフェについても、しごとセンターのこの機能の中に取り込んで、若年者の雇用問題の改善を強力に進めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
 また、昨今の失業原因の多くが雇用のミスマッチにあるともいわれておりますが、若年者の場合には、単にやりたい仕事を見つけられないという本人の職業意識が未成熟な面があることも指摘をされているのであります。平成十五年三月末の東京の高校新卒者の求人倍率は四・九倍もあり、全国平均の一・二倍をはるかに上回っているなど、若年者採用の大きな需要が東京には存在するという実態があるのであります。
 そこで、若年者の職業意識をさらに啓発し、主体的な職業選択を促すために、しごとセンターにおいて、企業が求める人材像や業界事情についての情報を若年者に提供していくとともに、教育分野との連携も積極的に図って、職業意識面でのミスマッチの改善に向けた取り組みを行うべきと考えますが、見解を伺います。
 続いて、環境問題、ディーゼル規制についてであります。
 全国の注目を集めた東京都のディーゼル規制が十月一日にスタートしました。その結果、都内を走行する車両の違反率は、都外からの流入車を含め、わずか二%にとどまるという成果を上げました。
 そこで、規制に協力してくれた多くの事業者の努力に報いるためにも、今回の規制によって東京の空気がいかに浄化されたかを明確に示す必要があります。石原知事は、先般、記者会見などの場で、都内の一日当たりのPM排出量は、ペットボトルに換算して十二万本から五万本に減ったと述べておられました。黒い粉末状のPMが入ったペットボトルを知事があちこちで振りかざすことから、今回のディーゼル規制がスタートしたといっても過言ではありません。したがって、ペットボトル十二万本が五万本に減ったという知事の発言は重みがあり、今回の規制の効果を象徴的に示すものとして極めて巧みであったと思います。
 これはこれとして、今後は、多少時間がかかっても、科学的な検証を行った上で、数字を示しながら大気汚染の改善効果を説明することが重要ではないかと訴えるものであります。規制への一層の理解を深め、あわせて事業者などの対応をさらに促進するため、都は、より具体的に、また数量的に規制の効果をアピールすべきと考えますが、いかがでありましょうか。
 次に、東京の水資源の確保についてお聞きします。
 都はこれまで、水資源の安定的確保のため、国が進める利根川、荒川水系のダム事業に参画してきましたが、そのダムの一つである八ッ場ダムの事業費改定を含む基本計画の変更案について、議会の同意が求められております。しかし、この事業費改定案は、現行事業費二千百十億円を四千六百億円に改定するもので、二倍以上の増額であります。
 私は、水の大切さを十分に認識をしております。水は、人間の生存に不可欠であるとともに、多様な都市活動を支える貴重な資源でもあります。ことしの春から夏にかけて電力危機に直面したことは記憶に新しいところですが、万一水の供給が滞れば、それ以上の社会的混乱は必至となります。また、日本は、地形の特殊性から、国土内に淡水を保持しづらい構造にあることも忘れてはなりません。
 都は、こうした貴重な水資源を、都民に安全かつ安定的に確保していかなければなりませんが、それにしても、今回の事業費改定案では、なぜ二倍以上に増額されたのか、その理由を明らかにしていただきたいと思います。
 ご承知のとおり、八ッ場ダムについては、これまでの長い歴史があります。ダムの底に沈む多くの水没予定者の方々による長期間の激しい反対運動がありました。こうした状況を十分に理解しつつも、今回の事業費改定案について広範な都民の理解を得るためには、事業費の改定について都独自の調査を行い、さらに、今後もコストダウンの取り組みについて強く国に働きかけるべきであり、またあわせて、周辺環境への配慮についても強く申し入れを行うべきであります。所見を伺います。
 次に、教育問題について伺います。
 今後の東京都の特別支援教育のあり方については、ことし五月に発表された東京都心身障害教育改善検討委員会の中間のまとめ発表の後、それに関する意見募集が行われ、また、各地域における説明会等で出された意見についても、改善検討委員会において議論されているところであります。また、我が党もこれまで、保護者の不安を解消するために、具体的提言を行ってきたところであります。
 こうした状況を踏まえて、現在、改善検討委員会では、最終報告素案についての検討作業を進めていると聞いております。いずれにしても、固定学級的機能の継続や担任の問題など、保護者の不安に十分こたえられる最終報告をまとめるべきであります。都教委の所見をお伺いします。
 一方、文部科学省においては、本年三月の国の調査研究協力者会議の今後の特別支援教育の在り方についてを受けて検討を進めているところであり、国においては、各都道府県や校長会等から意見聴取を行っていると聞いております。都教委は国の意見照会に対してどのような意見を提出したのか、明らかにしていただきたいと思います。
 今後さらに、東京都として、保護者の不安や関係者の意見を踏まえて、よりよい特別支援教育への円滑な移行を図っていくためにも、国の積極的な取り組みが重要であります。そこで、調査研究協力者会議の検討に加えて、国の中央教育審議会でも十分な検討を行うよう要望すべきでありますが、見解を伺います。
 次に、不登校、いじめ対策としてスタートしたスクールカウンセラー制度について伺います。
 平成十三年度より三カ年計画で全中学校に一人ずつのスクールカウンセラーの配置が終了しました。その結果、平成十四年度は、東京都全体の不登校生徒数七千三百三十二名のうち、復帰者数は千四百八名で、復帰率は一九・二%であったのに対し、スクールカウンセラーが配置された学校では、何と復帰率が三三・九%と高い数値を示しているのであります。児童生徒はもとより、保護者も子育てに関する悩みや、教員に相談しにくいことを安心して相談できるなど評価も高く、相談内容も多岐にわたっています。
 そこで、第一に、制度も四年目を迎え、スクールカウンセラーの質の違いが指摘されるようになってきていることから、資質の向上を図る研修制度をより充実させるべきと考えます。
 第二に、小学校にはスクールカウンセラーが配置されておりませんが、不登校児の多い小学校などに配置を検討すべきであります。
 第三に、相談方法については、相談者児が求めてくるのを待つだけではなく、より積極的に不登校生徒の家庭を訪問するなど、活動の形態を広げることにより、スクールカウンセラーのより効果的な活用を図るべきであると考えます。それぞれ所見を伺います。
 次に、東京都住宅供給公社の家賃改定についてであります。
 このほど東京都住宅供給公社は、十月発行の「公社だより」で家賃改定計画を提示しましたが、これまで幾度も同様のやり方で突然の家賃改定を発表する公社の手法に対して、居住者から不安と不満の声が上がっております。
 都の住宅供給公社の一般住宅は、昭和四十九年度以前の築年数の古いものが約七七%を占めており、設備の老朽化が進んでおります。また、平均五十平米以下の狭隘な住居が多く、最近のマンションとは比べ物にならない居住環境であり、さらに、階段室型が多く、エレベーターの設置も進んでいないなどの実態があるのであります。近傍同種家賃を導入するといっても、こうした状況をどれだけ考慮に入れているのか不明であります。さらに、居住者の高齢化も進んでおり、年金だけの生活者が多く、現行の家賃を払うのが精いっぱいという世帯が大多数であります。
 こうした状況と実態などを考慮すると、単純に三年目の見直し時期というだけで家賃改定を行うことは、到底理解を得られるものではありません。認識を伺うものであります。
 都は、築年数が古い公社住宅については家賃改定の対象から外すべきであり、また、高齢者や障害者に対して十分配慮すべきと考えるものであります。所見を伺います。
 最後に、羽田空港の再拡張、国際化について伺います。
 現在、羽田空港は、国内の航空ネットワークの拠点としての役割を担うとともに、都心に近いという優位性などから、早急に国際化を進めることが期待をされています。
 これに対し国は、平成十三年二月から、羽田空港の深夜、早朝時間帯に国際チャーター便を就航させ、また、本年四月以降、成田空港が夜間着陸禁止により着陸できない場合の羽田空港への国際便の受け入れも認めました。さらに、先月三十日からは、昼間時間帯に羽田空港と韓国ソウルの金浦空港間の国際チャーター便が就航したところであります。
 このように着々と羽田空港の国際化が進展しているとはいえ、今後、既にパンク状態にある羽田空港を再拡張し、かつ成田空港との機能分担を適切に図りつつ国際化を進めることにより、首都圏の国内、国際航空機能を早急に強化することが重要であります。
 そこで、伺います。
 第一に、羽田空港の国際化についての基本的な考え方を明らかにするとともに、具体的な年間発着回数や路線などについても見通しを示すべきであります。
 第二に、羽田空港の再拡張、国際化が実現した場合、経済波及効果と雇用の拡大効果が期待できるわけでありますが、今後の試算を明示していただきたいと思います。
 第三に、本年八月、国土交通省は、羽田空港の滑走路整備事業費約七千億円について、地方自治体に少なくとも事業費の二割相当額の一千三百億円程度の負担を要請してきました。この要請に対し、今こそ知事が強力なリーダーシップを発揮し、早期の対処を行うべきと考えます。知事の所見をお伺いし、代表質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 木内良明議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、いわゆる三位一体改革に対する今後の取り組みでございますが、今の時点での政府の姿勢には私は非常に不満であり、不安でもあります。明治以来、中央官僚に、よらしむべし、知らしむべからずという形で来た日本の政治の骨組みそのものを変えて合理化する、その必要の時代でございますけれども、現在国で行われている議論は、各省の激しい抵抗もありまして、国庫補助負担金の削減ばかりが先行して、基幹税目の移譲を先送りしようとしております。既に制度的なひずみの生じている地方交付税制度についても、見直しの姿勢すら見られません。
 都は、これまでも、地方自治体の財政基盤を確立し、自主的、自立的な行政、行財政運営を可能とする三位一体の改革の本旨を実現するよう、八都県市首脳会議の場なども活用しながら、国に強く求めてまいりました。今後とも、首都圏を初めとする他団体とも連携しながら、国に強く働きかけてまいります。
 繰り返して申しますが、国家の財政が多端なのはわかりますけれども、その打開策の一つとして、これが利用されるということに終わってはならないと思います。
 次いで、新銀行の設立の必要性についてでありますが、既存の銀行は、膨大な不良債権などから、自己資本の劣化が進んでおります。中小企業の資金需要に十分対応できず、また、新たな金融サービスの創造が困難な状態にございます。今日の厳しい経済環境の中で、中小企業や都民生活の状況を考えますと、国の対策や既存銀行の体質転換を待っている時間的な余裕はないと判断いたします。ゆえにも、新しい融資制度や信用保証協会の機能を強化するという方策もございますが、一定の効果が考えられますけれども、しかし、東京の経済全体の再生のためには、都みずからが地域経済や都民生活に貢献する新しい理念の銀行を設立し、個人金融資産が生きた資金として、中小企業に継続的に流れる仕組みを構築することがぜひとも必要であると判断をいたしました。
 お断りしておきますが、この銀行の目的は、その眼目の大いなるものの一つは、中小企業対策でもありますけれど、しかし、それだけが目的でございません。やはり今日の技術、文明に即応した新しい金融のライフラインを、既存の銀行が持ってない機能というものを備えた会社と協力することで、新しい銀行に備えさせ、それを駆使しながら、新しいその金融のライフラインというものをつくっていきたいと思っております。
 次いで、新銀行の経営理念についてでありますけれども、まず第一に、新銀行は、経営のあらゆる局面で顧客本位を貫き、社会に貢献すべきだと思います。
 第二には、株式会社でありますが、利益の極大化ではなくて、各種の融資、預金、決済サービスの提供などを通じて、都民や中小企業へ成果の還元を行うべきだと思います。
 第三に、新銀行は、みずからコーディネーターとなりまして、金融、産業、行政などの力を融合させ、ICカードの活用や各種のファイナンスなどの構築など、業種の枠を超えた横断的な連携による、新たな金融サービスを提供してまいりたいと思っております。
 次いで、目指すべき新たな都庁についてでありますけれども、先行き不透明な経済状況の中で、加速度的に悪化する治安や、急速に進行する少子高齢化、さらには大気の汚染など、日本の頭脳、心臓部であります東京に、さまざまな問題が、都市の問題として先鋭的にあらわれております。
 これらの課題を、従来にない発想で克服し、東京から日本を変えていくためにも、先例や慣習で固められた古い殻を打ち破ることが必要でありまして、このため、新たな政策展開と、それを支える財政再建、行政改革を一体的に進めたいと思っております。
 都民サービスの充実と東京の再生という都民からの負託にこたえるため、徹底した都庁改革に取り組み、既存の枠組みを超えた都独自の政策の展開ができる、実力を備えた都庁を目指したいと思っております。
 東京は、非常に広大、強大な現場でありまして、これを日々、じかに手ざわりをもって預かるという行政の仕事は、とても大事だと思います。東京に参りましてから、国の役所と交渉すること、多々ございますけれども、国交大臣、前任者の扇さんのときにも、ある問題で共同会見しましたが、都庁から出かける局長は、ほんの二、三枚の紙で済みますけれど、向こうは、こんなにとにかく書類を積み上げている。私が、一体これはだれが読むんだと、これが君らの現場だろうと、これが君らのアリバイかといって、やゆしましたが、それだけの格差がございます。私たちですと、その非常に大事な現場というものを掲げているがゆえに、やはりできるだけ機敏に、コストも安く、そういった現場の問題を解消していく、そういう姿勢というものを改めて取り戻していきたいと思っております。
 次いで、八ッ場ダムの事業費についてでありますが、ご指摘のように、埼玉県もその意向があるようですけれども、東京都も、それが可能なら、埼玉とも協力して独自の調査をしてみてはと思っておりますけれど、ただ、ご承知のように、国の、要するに官僚の不手際で、ちょうど成田に似ておりまして、だらだらだらだら時間をかけて、結局、補償というものの面でも物がかさんでいった。
 いずれにしろ、そういった要因があるわけですけれども、これを水源地として必要とするかしないかというのは、いろいろ判断もあるでしょう。しかし、やはりそれなりの分析をしまして、これからの東京の文明の生活を維持するために必要なダムだと判断しております。
 それゆえに、ダム完成に至るまでの引き続き徹底したコストの縮減と契約制度の見直しなどを国に対して求めていきますし、でき得れば、都も独自の調査をすべきではないかと思っております。いずれにしろ、加えて、周辺環境への配慮についても万全を期するように、国に強く申し入れるつもりでございます。
 次いで、羽田空港再拡張の問題、国際化の問題についてでありますが、羽田空港の再拡張、国際化は、東京の再生ひいては日本の再生の端緒を切り開く重要な国家プロジェクトでありまして、本来は、これは国がもっと果敢に責任を持って実施すべきものであります。
 ただ、国全体に、国際線も含めた空からのアクセスというものの意味合いに対する正当な認識が欠けているために、東京がまかり出た形になりましたが、いずれにしろ、この羽田の空港の再拡張事業の財源について、国土交通省は、東京都を含む関係自治体に無利子貸付による協力というものを要請してまいっております。大方は、隣の神奈川県も、横浜、川崎の市長さんも賛成のようです。ただ、神奈川県側は幾つか条件をつけております。これは、神奈川県側と国交省が交渉して、具体的に決着する問題でありますが、そういった交渉を眺めながら、都は都なりの協力をすべきではないかと思っております。首都圏の航空需要から見ても、この羽田空港の再拡張事業の緊急性は極めて高く、経済波及効果も非常に大きいことから、東京都として応分の協力はすべきものと考えております。
 いずれにしろ、現在、国による関係者間の調整が行われておるわけでありまして、その状況を踏まえて最終的に判断いたします。
 なお、他の質問については、警視総監、出納長、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監石川重明君登壇〕

○警視総監(石川重明君) 国際テロ等の防止に向けた警察の具体的な対策について、お答えを申し上げます。
 警視庁におきましては、警察庁を初め治安関係機関等と緊密な連携を図りながら、まず国際テロ関連情報の収集と分析、水際対策、重要施設周辺における警戒活動と車両突入防止対策、テロに使用されるおそれのある化学物質等の管理強化方策、ハイジャック防止対策などなど、警備諸対策をさらに強力に推進をして、都内における国際テロの未然防止に万全を期したいというふうに考えて、現在、推進中であります。
   〔出納長大塚俊郎君登壇〕

○出納長(大塚俊郎君) 三点のご質問にお答えを申し上げます。
 まず、新銀行のポートフォリオ型融資の特色とメリットについてでありますが、新銀行の融資における基本姿勢は、小規模零細企業にも対象を広げていること、キャッシュフローを重視する融資プロセスにより、債務超過や借り入れ過多の企業も対象とすること、地域金融機関等と連携したスピーディーな融資を実行することなどにより、これまで充足されていない領域への資金供給を行うことであります。
 こういった基本姿勢のもと、長い融資期間、高い融資限度額、短い審査期間等、新銀行の体力の許す限り、いずれの条件も中小企業にとってメリットの大きい商品を提供してまいります。
 また、融資後も、提携企業等の専門的能力を最大限に活用し、多様な経営支援等のサービスを提供してまいります。
 次に、新銀行のリスク管理についてでありますが、従来、海外の金融アナリスト等の専門家からは、日本の金融機関においては、リスク許容限度額が適切に設定されておらず、また、リスク管理に対する経営陣の関与が不十分であるという指摘がされておりました。
 新銀行では、信用リスク、市場リスクなどリスクの種類ごとに、管理の基本方針とそれぞれの許容限度額を定めた上で、リスクを計量的に把握し、各リスクを統合して総合管理を行ってまいります。
 あわせて、新銀行では、経営会議のもとに、業務執行部門とは独立した統合リスク管理委員会、ALM委員会等を設置し、経営陣がリスク管理に直接かつ日常的に関与する体制を確保してまいります。
 次に、新銀行の設立についての全庁的な検討についてでありますが、新銀行設立に当たっては、ご指摘のとおり関係各局との緊密な協力体制が必要であります。
 既に平成十五年八月に庁内連絡会を発足させ、その後も継続して鋭意検討を進めてまいりましたが、今回の基本スキームの発表に先立って、知事から主要関係局長に対し、全庁的な協力が指示されたところであります。
 今後、ご提言を踏まえて、この基本スキームをベースとして、関係各局とさらに一層密接な連携を図り、設立準備を進めてまいります。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教育に関します六点の質問にお答え申し上げます。
 まず、保護者の声にこたえる東京都心身障害教育改善検討委員会の最終報告のまとめについてですが、都教育委員会としましては、特別支援教育への移行は大きな転換でございまして、そのために、保護者の不安を解消していくことは重要であると考えております。
 改善検討委員会では、中間まとめに対する多くの意見を踏まえまして、小中学校の心身障害学級の成果と役割を継承した特別支援教室の設置形態や、教員を固定的に配置することなどにつきまして最終報告に盛り込むべく、検討を進めているところでございます。
 次に、国への意見提出についてですが、本年八月に、国から、特別支援教育の制度化に関する意見や要望等の照会がございました。
 都教育委員会としましては、一つとして、特別支援教室については、特殊学級に準じた地域拠点的な設置形態も必要であること、二つとしまして、特殊学級に在籍をしている児童生徒の教育サービスの質を低下させず、かつ通常の学級に在籍するLD等の児童生徒の指導を行うために必要な教員の配置が必要であること、三つとしまして、すべての学校に特別支援教室を設置するためには、国において、区市町村教育委員会への施設整備費等の助成制度を整備する必要があることなどの意見を提出したところでございます。
 次に、特別支援教育への移行に当たっての国への要望についてですが、特別支援教育への移行は、ノーマライゼーションの実現を目指して、これまでの心身障害教育を大きく転換するものでありますことから、都教育委員会としましても、障害のある児童生徒の教育の充実に向けまして、円滑に移行できるよう、条件整備や移行のあり方などについて、国に対して、中央教育審議会での審議も含め、さらに十分な検討を進めていくよう要望をしてまいります。
 次に、スクールカウンセラーの研修の充実についてですが、いじめや不登校などの対応を効果的に進めるためには、スクールカウンセラーの資質の向上を図ることが極めて重要でございます。
 都教育委員会は、平成七年度より、全都のスクールカウンセラーを対象とした研修を実施をしまして、具体的な事例や相談状況に基づいて研究協議を行うなど、スクールカウンセラーの資質向上のための取り組みを進めてまいりましたが、今後、教育相談の成果をまとめた事例集を、今年度末を目途に作成をしまして、全中学校に配布するとともに、区市町村教育委員会及び専門機関との連携を深めまして、スクールカウンセラー研修の一層の充実を図ってまいります。
 次に、小学校のスクールカウンセラーについてでございますが、都教育委員会としましては、今年度、全国に先駆けて、国の計画よりも二年早く、公立中学校全校にスクールカウンセラーを配置したところでございます。現在、これらのスクールカウンセラーが、近隣の小学校に対しましても、児童や保護者からの相談を受けたり、校内研修会等において、小学校教員の教育相談に関する技能を高めたりしております。また、区市町村教育委員会によっては、固有のスクールカウンセラーを配置しているところもございます。
 今後とも、スクールカウンセラーをより効果的に活用し、小学校における相談や派遣要請などにも適切に対応する仕組みに関して、区市町村教育委員会と連携を図ってまいります。
 最後に、スクールカウンセラーの効果的な活用についてですが、スクールカウンセラーが、相談室での活動だけではなく、休み時間や放課後等に生徒と触れ合う機会をふやしたり、家庭訪問を行ったりすることは、相談活動を充実する上で極めて大切でありますことから、スクールカウンセラーや各学校に対して、効果的な相談活動を実施するためには、日ごろから生徒と交流し、信頼関係を築くことが重要であると指導してまいりました。
 今後とも、スクールカウンセラーが家庭や生徒とのつながりを深め、相談室での活動だけではなく、さまざまな場面において積極的に相談活動を行うよう、スクールカウンセラー連絡会や区市町村教育委員会の生活指導担当者連絡会などを通して指導してまいります。
   〔財務局長櫻井巖君登壇〕

○財務局長(櫻井巖君) 財政に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、第二次財政再建推進プランの進捗状況と、その成果の報告についてであります。
 プランの考え方、あるいは事項などにつきましては、予算編成の中で具体化するものでございまして、これまでも、各年度の予算案の発表の際に、その進捗状況と成果について都民に公表をしてまいりました。
 第二次財政再建推進プランにおきましても、その進捗状況につきましては、予算発表にあわせて都民の方々に公表していくことによりまして、行政の説明責任を果たせるよう引き続き取り組んでまいります。
 次に、第二次財政再建推進プランと施策の見直しについてでありますが、施策の見直しは、単に歳出削減のみを目的としたものではなくて、都民ニーズの変化に的確にこたえ、都民の活力を呼び戻す先進的な施策を展開する財源を確保するために行うものでございます。
 このため、新たな施策に要する財源は、目的を既に達成した事業や、時代状況の変化等により必要性の薄れた事業などをスクラップすることにより生み出していかなくてはなりませんが、その際には、お話のように、社会的に弱い立場にある方々にも十分配慮しながら施策を見直していく必要があると考えております。
 最後に、公共施設等のコスト縮減についてであります。
 コスト縮減は、最少の費用で最大の行政サービスを創造する上で重要な課題であります。そういう意味で、本年十月に公共施設等コスト管理委員会を設置し、全庁を挙げて取り組みを強化しております。
 この委員会では、公共事業につきましては、民間の新しい技術力や提案を取り入れた発注方式の導入、市場動向を反映した積算方式の見直しなどを行うこととしております。
 また、施設管理の面では、民間との比較を踏まえた管理方式の見直しや、民間資金により設備更新と省エネルギーを行うESCO事業の活用等を図ってまいります。
 こうしたコスト縮減方策を取りまとめ、数値目標を定めた行動計画を、十六年三月末を目途に策定してまいります。引き続きコスト縮減に向け積極的に取り組んでまいります。
   〔総務局長赤星經昭君登壇〕

○総務局長(赤星經昭君) 四点の質問にお答え申し上げます。
 まず、第二次都庁改革アクションプランの年次報告についてでございますが、アクションプランでは、これまでも、施策の実施状況につきまして、毎年度、都議会に報告の上、都民に公表してまいりました。
 第二次都庁改革アクションプランにおきましても、改革を着実に実施していくため、その実施施策につきまして、全庁的な観点から厳しく進行管理いたしますとともに、その結果につきましては、毎年度、都議会に報告の上、都民の皆さんに公表してまいります。
 次に、組織改革についてでございますが、第二次都庁改革アクションプランにおきましては、まちづくりや福祉、医療など、都の重要な施策を推進する上で最適な執行体制となるよう、組織再編を行うことにいたしました。
 例えば、都市計画局、住宅局及び建設局の市街地整備部門の統合は、現場感覚やノウハウを生かしました実効性ある都市整備の実現を図るものでございまして、福祉局と健康局の統合は、少子高齢化社会や都民の健康に対します不安に適切に対応することを目指しております。
 組織再編後は、都民サービスの一層の向上を目指しまして、再編の効果を発揮していけますよう、効果的、効率的な事業展開の確保に努めてまいります。
 次に、監理団体についてでございますが、監理団体改革に当たりましては、公の施設の指定管理者制度も踏まえまして、民間とも競争できる経営体質を構築できるよう、一層の経営の効率化に取り組みますとともに、利用料金制度の拡充など、努力した団体が報われる仕組みを導入いたしまして、真に自立的な経営の確立に向けて誘導してまいります。
 指定管理者制度を導入するに当たりましては、各施設の性格に応じまして、それぞれの設置条例等により、管理者の資格や選定方法、管理の基準などを定めるべきものと考えております。
 最後に、テロ等による災害対策についてでございますが、都では、NBC災害に対処するため、このたび、天然痘テロを想定いたしました図上訓練を実施いたしました。
 この訓練を通じまして、ワクチン接種の優先順位や具体的手順、都民への広報のあり方など、感染拡大や社会不安を防止いたしますために取り組むべき対応策を具体的に検証することができました。
 今後、訓練の成果を踏まえまして、今年度中にNBC災害対処マニュアルを作成いたしますとともに、さらに訓練を積み重ね、関係機関と連携して、テロ等による災害への備えに万全を期してまいります。
   〔福祉局長幸田昭一君登壇〕

○福祉局長(幸田昭一君) 生活保護費国庫負担金等、福祉施策に関します九点のご質問にお答えいたします。
 まず、生活保護費国庫負担金の負担割合の引き下げについてでございますが、生活保護制度は、憲法の理念に基づき、国がみずからの責任のもとに、すべての国民に対し健康で文化的な最低限度の生活を保障する制度であり、生活保護法においても、こうした国の責務が明確に規定されております。
 したがって、その財源については国が義務的に負担すべき性格のものであり、今回の国の見直し方針は、単なる地方への負担転嫁にすぎないと考えます。
 このため、都は、こうした国の方針が示された当日、東京の福祉行政に重大な支障が生じることから、負担割合の引き下げに強く反対する旨の緊急要求を行いました。引き続き都議会の皆様方のご協力をいただきながら、区長会、市長会などとも緊密に連携し、負担割合を引き下げることのないよう、国に対し強く働きかけてまいります。
 次に、民間社会福祉施設サービス推進費補助の再構築の目的についてでございますが、ご指摘のとおり、平成十二年一月の制度実施以降、社会福祉法の施行、障害福祉分野への支援費制度の導入、保育所や障害者施設における常勤職員の配置義務づけの緩和など、民間社会福祉施設をめぐる社会状況は大きく変わってきております。
 また、現行の補助制度は、施設の定員規模、利用者数、職員の平均経験年数などに基づく画一的な仕組みとなっており、施設における実際のサービス内容やサービス向上に向けた努力に連動するものとなっておりません。
 こうしたことを踏まえ、福祉サービスの質の向上を目的に、補助の仕組みを、都として望ましい福祉サービスの水準を確保し、施設のさまざまな努力が真に報われるものへと再構築するものでございます。
 次に、施設運営に支障が生じないための取り組みについてでございますが、今回の再構築に当たりましては、昨年八月に、東京都社会福祉協議会との間に懇談会を設置し、施設の代表者の方々と十二回にわたり意見交換を行い、合意を得たものでございます。
 合意に当たりましては、施設運営に支障が生じないよう、基本単価の見直し、経過措置期間の延長、最重度障害者加算など、努力・実績項目の設定などの配慮を行ったところでございます。
 今後とも、社会状況等の変化や都民ニーズの変化などに的確に対応するため、必要に応じて関係者との意見交換を行いながら、努力項目等の見直しを行ってまいります。
 次に、再構築後の人材確保に関する方針及びサービス向上策についてでございますが、今回の再構築におきましては、各施設で質の高いサービスが提供できるよう、利用者の立場に立って、多様なニーズに対応できる、すぐれた職員を継続的に確保するためのコア人材加算を設けるとともに、利用者サービスの向上に向けた施設の努力が真に報われるよう、努力・実績加算を設けました。
 これらの補助により、各施設においては、施設運営の中核を担う人材を確保できるとともに、障害者施設における最重度障害者の受け入れや保育所における延長保育、ゼロ歳児保育、障害児保育など、都民ニーズに応じた多様な福祉サービスの提供が図られるものと考えております。
 次に、都民に対する情報提供についてでございますが、ご指摘のように、利用者本位の新しい福祉を実現していくためには、利用者サービスの向上を目指した今回の再構築について、広く都民のご理解を得ることが重要でございます。
 こうした点を踏まえまして、都はこれまで、現場で利用者のニーズや状況を把握されている施設代表者との意見交換を積み重ねてまいりました。
 今後、再構築の目的や内容が十分に周知されるよう、各施設に対する説明会等を開催するとともに、都民への具体的な情報提供の方法についても、パンフレット等を作成するなど、施設の方々と連携しながら検討してまいります。
 次に、介護保険における、いわゆるサービスの囲い込みへの対応についてでございますが、介護保険制度が適正に運営されていくためには、公正、中立なケアマネジメントの実現が不可欠であると認識しております。
 このため、都は本年度、都内の居宅介護支援事業所及び介護支援専門員に関する実態調査を実施いたしました。この調査結果も踏まえ、来年度はモデル事業として一定の地域を指定し、そこに所在する居宅介護支援事業所について、サービス事業所との併設の有無や介護支援専門員と訪問介護員などとの兼務の有無などの違いが、ケアプランに基づくサービス利用に与える影響などを検証することにより、利用者本位で質の高いケアマネジメントを実現するための具体的な方策を検討してまいります。
 次に、介護予防の意義に関する都民への情報提供についてでございますが、介護保険制度の適切な利用に向けて、保険者である区市町村と共同し、都民の理解を促していくことは大変重要であると認識しております。
 このため、本年度、区市町村と共同して作成する介護保険活用読本の中で、ご指摘の訪問リハビリテーションや通所サービスの有効性についても、事例などを交えて、要介護高齢者とその家族にわかりやすく紹介する予定でございます。
 さらに、ご提案を踏まえ、来年度、中高年齢層を対象とする介護予防読本を同様に作成するなど、介護予防、健康づくりに関する情報を積極的に発信してまいります。
 次に、介護予防モデル事業の実施についてでございますが、要介護高齢者の急速な増加が見込まれる中で、介護予防は極めて重要な課題であり、都は、本年度より介護予防開発普及事業を実施するなど、区市町村において効果的に介護予防への取り組みが進められるよう、支援を行っているところでございます。

 この取り組みをさらに普及拡大していく上で、ご指摘のように、モデル地区を設定し、重点的に事業を実施することにより、その効果を実証して明らかにしていくことは、極めて有効な手法と考えております。
 今後、対象地域や評価検証の方法など、モデル事業の具体的な内容について十分に検討してまいります。
 最後に、多摩老人医療センターの救急医療体制についてでございますが、現在、同センターは、二次救急医療機関として、休日・全夜間診療事業に取り組むとともに、救急患者については、高齢者のみでなく、患者の年齢を問わず受け入れを行っております。
 ご提案を踏まえ、今後、地域のご要望も聞きながら、公社への移管に向けて、施設設備や運用体制の整備など、同センターの救急医療体制のより一層の充実に向けて積極的に対応してまいります。
   〔港湾局長成田浩君登壇〕

○港湾局長(成田浩君) 改正SOLAS条約への対応についてでありますが、都では、港湾保安対策を来年度の重点事業とし、本格的に取り組んでいくことといたしております。
 具体的には、まず施設の整備につきましては、条約が発効する来年七月までに、コンテナふ頭などのフェンスやゲートの整備を完了させ、引き続き監視カメラや照明設備などの整備を進めてまいります。また、運営面では、保安のための専任スタッフを新たに配置し、二十四時間の監視体制を構築するなど、的確に対応してまいります。
 取り組みに当たりましては、本年八月に発足いたしました東京湾保安対策協議会等を通じ、横浜港などの近隣港湾はもとより、関係機関や民間事業者とも十分に連携を図り、水際での保安対策に万全を期してまいります。
   〔病院経営本部長碇山幸夫君登壇〕

○病院経営本部長(碇山幸夫君) 都立病院改革に関します二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、都立大久保病院の東京都保健医療公社移管後の医療サービスの向上についてでございます。
 公社移管に当たりましては、これまで都議会等でのご意見、ご提案を受けまして、さまざまな医療サービスの向上に向けた取り組みを開始してまいりました。
 今後とも、地域の期待にこたえ、その医療ニーズに的確に対応できますよう、これまで大久保病院が取り組んでまいりました腎医療を引き続き実施するなど、公社病院として、地域特性を生かした弾力的な運営を行い、地域の中核的病院としてさらなる充実を図ってまいります。
 次に、今後の都立病院の同公社への移管についてでございます。
 多摩老人医療センター、荏原病院とも、大久保病院の公社移管に関します検討の経緯を踏まえながら、日ごろから地域の意見や要望を十分に把握している地区医師会や地元自治体の関係者から成ります運営協議会を順次立ち上げてまいります。
 この運営協議会におきまして、地域の意見やニーズを把握いたしまして、新たな病院の医療機能やサービスの向上策等につきまして十分に検討を進めるなど、移管に向け適切に対応してまいります。
   〔健康局長平井健一君登壇〕

○健康局長(平井健一君) 小児医療体制について、四点のご質問にお答えいたします。
 まず、子どもの病気等に対する相談体制の充実についてでございます。
 核家族化などによりまして若い世代の育児不安を解消するためには、子どもの病気等に対する家庭での対応力の向上が必要でございます。
 このため、今年十月、インターネットで病気や子育てについてのアドバイスなどを行います東京都こども医療ガイドを開始いたしました。当初の想定をはるかに超える多くの方々に利用いただいております。
 さらに、現在、平日の夜間に実施している、電話による母と子の健康相談室を、来年度から休日などにも拡大するほか、新たに、急病時の対応など、地域の小児科医による子育て世代へのセミナーをモデル事業として実施してまいります。
 次に、小児初期救急医療体制の充実に向けた施策の方向性についてでございます。
 初期救急医療の整備のためには、ご指摘のように、事業の実施主体でございます区市町村の実情などを十分踏まえることが必要でございます。
 このため、これらの地域の実情に応じた複数の自治体による共同実施方式に対しての新たな支援の実施や、地域の中核病院を利用した体制確保に対する支援の拡充など、今後とも小児医療水準の向上に努めてまいります。
 次に、小児科医師の確保についてでございますが、都では、小児の救急医療の担い手の確保を主な目的として、昨年度から開業医に対する小児医療研修を実施しております。来年度は、さらにその規模の拡大を図ってまいります。
 また、出産や育児などにより離職を余儀なくされた女性小児科医師などの再就職を支援するため、新たに最新の小児医療の知見を修得するための研修や、小児科医師の求人、求職情報を提供する人材情報センターの設置など、小児科医師の確保に積極的に取り組んでまいります。
 最後に、小児科専門医の育成についてでございます。
 平成十六年度から、医師免許取得後二年間の臨床研修が義務化され、専門医を目指す医師は、この臨床研修の後に専門研修を受けることとなります。
 今後、都では、都立病院における専門研修のカリキュラムの充実を初めとする研修体制の整備について検討を行うなど、小児医療体制の充実に努めてまいります。
   〔産業労働局長有手勉君登壇〕

○産業労働局長(有手勉君) 三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、しごとセンターにおける民間事業者の活用策についてでございますが、しごとセンターの特色の一つとしまして、民間の人材ビジネス会社のさまざまなノウハウを活用したいと考えております。
 具体的には、セミナーの開催、キャリアカウンセリング、求人開拓を初め、有料職業紹介の許可を受けた事業者を活用したマッチングなど、広範な分野で事業を委託する予定でございます。
 次に、しごとセンターにおける若年者対策の取り組みについてでございます。
 お話のジョブ・カフェは、地域の実情に応じて、地方自治体と地域の企業、学校等が連携協力し、若年者の雇用関連サービスを提供するものであり、若年者対策としての効果が期待されます。
 しごとセンターでは、国の施策であるジョブ・カフェを取り込み、東京における雇用・就業を促進するワンストップサービスとしての機能をより一層強化してまいります。
 最後に、若年者の職業意識についてでございますが、若年者の雇用問題を解決するためには、若年者自身が明確な職業意識を持ち、みずからが職業選択を行うことが重要であると考えております。
 そのため、しごとセンターでは、若年者を対象とした企業、業界による説明会や個別カウンセリング等を通じて職業選択を支援するとともに、学校の進路指導担当者を対象としたセミナーを開催いたしまして、必要な情報を提供するなど、職業意識面でのミスマッチの改善に向けた取り組みを推進してまいります。
   〔環境局長小池正臣君登壇〕

○環境局長(小池正臣君) ディーゼル車規制による大気汚染の改善効果についてでございますが、大変厳しい経営環境の中、事業者の方々の深いご理解とご協力により、本年十月一日からのディーゼル車規制を円滑に実施することができました。
 規制により大気汚染は確実に改善してきていると見ておりますが、その効果を科学的に検証し、都民や事業者にわかりやすく説明することは、都の責務と認識しております。
 今後、一定期間にわたる大気中の浮遊粒子状物質の濃度、環境基準の達成状況などを含め、総合的に分析し、改善効果を明らかにしてまいります。
 また、現在、浮遊粒子状物質のうち、ディーゼル車に起因する発がん性物質等に着目いたしまして、規制開始による濃度の変化について調査をしているところでございます。その測定、分析結果をできるだけ早期に発表したいと考えております。
   〔都市計画局長勝田三良君登壇〕

○都市計画局長(勝田三良君) 三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、八ッ場ダム事業費の増額理由でございますが、八ッ場ダムは、昭和二十七年の構想発表以来、長年にわたり賛否をめぐる議論がございました。その後、昭和六十一年の基本計画の策定によりまして、ようやく現地調査や水没世帯の生活再建についての調整が進みまして、平成十三年に補償基準の妥結に至ったものでございます。
 事業費増加の主因は、この間長期にわたり、改定の実施が事実上困難であったことにありまして、水没世帯への補償基準や生活再建対策の確定に係るものが、増額分全体の四五%を占めております。さらに、その間の物価上昇や消費税導入など、社会経済的要因も加わりまして、事業費の大幅な増加となったものでございます。
 次に、羽田空港の国際化についてでございますが、本年六月に開催されました羽田空港再拡張事業に関する協議会におきまして、国土交通省より基本的な考え方が示されております。
 これによりますれば、国際都市にふさわしい国際交流機能を確保するとともに、羽田空港を有効活用する観点から国際化を図るとし、その発着回数は、国内線の将来需要等を考慮し、年間総発着回数四十万七千回のうち、おおむね三万回としております。
 また、就航路線といたしましては、おおむね二千キロメートル圏を一つの目安とした近距離国際線としております。
 最後に、再拡張、国際化に伴う経済波及効果等の展望と試算についてでございますが、国土交通省によりますと、再拡張後に国内線のみを導入する場合に比べ、国際化を図った場合の経済波及効果はより大きくなるとしております。
 具体的には、東京都における効果といたしまして、国内線のみを導入する場合には、約六千五百七十億円の生産額増加と約四万五千人の雇用増加が見込まれるのに対しまして、国際線を年間三万回導入した場合には、約一兆六百九十億円の生産額増加と約七万五千人の雇用増加が見込まれると試算しております。
   〔住宅局長高橋功君登壇〕

○住宅局長(高橋功君) 東京都住宅供給公社の家賃改定につきまして、二点のご質問にお答えをいたします。
 最初に、家賃改定に対する認識についてでございますが、公社賃貸住宅の家賃は、立地や住宅の広さなどを勘案し算出をいたしました近傍同種の住宅の家賃と均衡を失しないように定めますとともに、継続して居住する方に対しましては、変更前の家賃等も考慮して改定を行うこととなってございます。
 都といたしましては、公社賃貸住宅の家賃は、このような考え方に基づきまして適時適切に対応していくことが重要であると認識をしております。
 今回の家賃改定は、こうした趣旨で行うものでございまして、前回の改定から既に三年を経過しておりますことからも、適切な家賃改定を行う必要があると考えてございます。
 次に、築年数が古い住宅の扱いと、高齢者や障害者に対する配慮についてでございます。
 公社の家賃改定は、古いものから新しいものまで、すべての住宅を対象に実施するものでございまして、築年数の古い住宅におきましても、建築時からの経過年数や設備水準などを考慮して家賃算定することとしてございます。
 また、公社においては、前回の家賃改定におきまして、継続して居住する高齢者、心身障害者等の方々のうち低所得者世帯に対しましては、家賃の特別減額措置を行っております。
 今回の家賃改定におきましても、同様の考え方で検討を進めているところでございまして、実施する際には、居住者向けの広報紙などによりまして十分周知を図ることとしております。

○副議長(中山秀雄君) この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後六時十九分休憩

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