平成十五年東京都議会会議録第十七号

   午後一時一分開議

○議長(内田茂君) これより本日の会議を開きます。

○議長(内田茂君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(内田茂君) これより質問に入ります。
 百十三番樺山たかし君。
   〔百十三番樺山たかし君登壇〕

○百十三番(樺山たかし君) 私は、東京都議会自由民主党を代表し、現下の都政が抱える喫緊の重要課題について質問をいたします。
 まず、過般の衆議院議員選挙におきまして、我が党はおかげさまで単独過半数を確保し、小泉改革推進内閣が信任をされたところであります。
 東京選挙区においては、都議会自由民主党所属の松本文明、中西一善、萩生田光一の三名の現職都議が出馬をさせていただいたわけでございますが、中西、萩生田の両名が当選し、小選挙区の議席数は八から十二、比例区は四から六、前回の失地を回復するとともに、今後の都政の展開に大きな力をいただくこととなりました。私どもは、この結果におごることなく、これからも責任政党としての役割を力いっぱい果たしていくことをかたく決意するものであります。
 改めて、今回、衆議院議員選挙に際しまして、大変な心からのご支援とご支持を賜りました石原知事に、この場をおかりいたしまして、心から御礼と感謝を申し上げるものでございます。ありがとうございました。
 今回の衆議院議員選挙は、いわゆる政権選択選挙と呼ばれました。この中で議席を拡大できたということは、我が党がこれまで、構造改革に対して着実かつ真摯に取り組んできたことや、景気、雇用、中小企業対策など都民生活の向上のために懸命に努力してきたことを多くの都民が積極的に評価をされ、引き続き政権を託すべきと判断されたものと受けとめております。
 こうした中、私は、第二次小泉内閣が発足したときの総理の会見が強く印象に残っております。会見で総理は、「天の将に大任をこの人にくださんとするや、必ず、まずその心志を苦しめ、その筋骨を労せしむ」という孟子の言葉を引用されました。つまり、あらゆる困難に耐え、改革に邁進して、これからも、いかなる批判や理不尽な罵声を浴びようとも、耐えに耐えて、改革の芽を大きな木に育てていきたいとの悲壮なまでのかたい決意であります。
 我が都議会自由民主党も、あらゆる困難にひるむことなく、都政において、東京から日本を変えるとの信念に基づき、現在進められている諸改革の芽を大きな木に育て、直面する諸問題を勇気を持って乗り越えてまいりたいと考えております。
 国内の社会経済状況は、さまざまなひずみが顕在化し、国民の不安は高まっております。このことが最も先鋭的にあらわれているのが東京における治安の悪化であります。地域コミュニティの崩壊による犯罪抑止力の低下や、青少年の心の荒廃や倫理観の希薄化を背景として、犯罪は激増いたしております。
 そのため、東京を中心とした都市政策の充実を、党本部はもちろん、政府に強く建言するとともに、これまで以上に東京の再生、そして、都民生活の安全と安心と安定のために全力を尽くすことをお約束いたします。
 さて、過日、イラク復興のために奮闘されていた外交官がテロの犠牲になられました。我々は、お二人に心から哀悼の誠を捧げるとともに、その志を受け継ぎ、このテロ行為という蛮行に断固たる姿勢を示し、国際社会における責任を果たさねばならないことを、ここで改めて申し上げ、質問の本論に入ります。
 それでは最初に、財政再建と都政の構造改革について伺います。
 都は、去る十月十七日に第二次財政再建推進プランを発表いたしました。都財政の再建は、財政再建団体転落の危機がいまだ去らない中で、最優先で取り組まねばならない重要課題であります。我が党は、財政再建に当たって、単に歳出を削減し、財源不足を解消することに終始するだけでなく、都政そのものの構造改革を進めることなくして真の財政再建は果たせないということを強く主張してまいりました。社会経済情勢の変化におくれることなく、都民の切なる願いにこたえ、東京独自の先進的施策を展開できる財政基盤の確立こそ財政再建の目的であります。
 そこで改めて、今回の第二次財政再建推進プランの策定に当たって、知事の基本的な考え方を伺います。
 この第二次プランでは、内部努力、施策の見直し、歳入の確保、税財政制度の改善などが取り組みの柱となっておりますが、まず何よりも重要なのは内部努力であります。
 去る十一月十八日、都と都労連は、退職手当について、国の水準を下回る形での見直しに合意をしたとのことであります。昨今の厳しい社会経済情勢を踏まえ、また危機的な財政状況にかんがみれば、必然的な合意の結果であります。
 しかし、今回の合意をもって一段落とせず、さらなる徹底した改革を強く求めるものであります。来年度に向けて、職員定数の見直し、事務の集中、統合化などの行政改革を今後どのように進めていくのか、所見をお伺いいたします。
 次に、税財政制度の改善であります。
 プランでは、地方税財政制度の改善は一千億円を見込んでおりますが、過般の経済財政諮問会議では、小泉首相が、十六年度予算において補助金の一兆円削減と税源移譲を指示したところであります。いわゆる三位一体の改革がいよいよ具体化し始めたものであります。国が負担すべき経費まで地方につけ回しをするような内容が、残念ながら各省庁から示されております。これでは、三位一体改革の本来の目的である、地方分権時代にふさわしい地方税財政基盤の確立が置き去りにされかねません。
 また、我が党は政府・与党の立場でありますが、都議会自民党としては、このような状況に強い危機感を感じるものであります。このため、先日、都とともに、都選出の自民党国会議員に対し、我が党の執行部が、地方主権を実現する三位一体の本物の改革などの実現の協力要請をしたところであります。
 そこで、税源移譲を獲得し、地方主権を確立していくために、今後どのようなアクションを起こしていくのか、お伺いをいたします。
 さて、去る十一月十一日には、十六年度予算の要求状況が発表されました。要求段階で五千三百億円を超える財源不足が見込まれるなど、第二次プラン初年度から極めて厳しい状況になっております。
 こうした中、まずは歳入の根幹をなす都税収入を的確に見積もることが求められるわけでありますが、十五年度の状況とあわせ、十六年度の都税収入の見通しをお伺いいたします。
 次に、都債について伺います。
 今般の衆議院議員選挙に当たっても、我が党に、何とか治安を回復してほしい、厳しい景気の中、中小企業に光を当ててほしいといった都民の切実な訴えがたくさん寄せられました。そこで、財政再建と都財政の構造改革に取り組みつつ、東京の再生などの重要課題を着実に進展させるためには、社会資本整備の貴重な財源である都債の活用が今後の大きなポイントとなるわけであります。
 都はこれまで、第一次財政再建推進プランにより起債を抑制し、この間、赤字地方債である臨時財政対策債は発行しないとか、あるいは起債依存度を五%から七%台に抑え込むなど、全国で最も低い起債水準を維持しております。
 一方で、都債は、世代間の負担の公平を図るとともに、財源の年度間調整を行うなど、重要な機能を持つ貴重な財源であり、将来の公債費負担に十分配慮することは当然の前提としながら、この都債の機能を都民のために柔軟に生かす工夫が強く求められております。
 こうした中で、市場の評価が高い都債ですら、いまだに国の枠組みの中で適時適切な起債ができない状況にあって、発行コストの増大にもつながっているところであります。国主導の現在の発行システムを、自治体が主体となるものに変えていくことも必要になっております。
 したがって、国からのおせっかいきわまりない制約を打破するとともに、東京の活力を高めるためには、都債の機能を可能な限り最大限に活用すべきと考えますが、今後の都債の活用について所見を伺います。
 また、銀行の外形標準課税にかかわる還付により、財政調整基金の残高は、ほぼ底をつきかけております。法人二税を中心とした現在の都の税収構造は、景気の影響を極めて受けやすく、平成十四年度の都税収入は、平成十三年度に比べて四千百五十七億円もの減収となったところであります。
 財政調整基金は、このような変動を緩和し、都民施策を安定的に実施し、自然災害など不測の事態に備えるものであります。財政状況が厳しいとはいえ、一定程度の基金残高をどうしても確保すべきであります。
 この都財政の安全弁とでもいうべき財政調整基金の残高回復と機能強化を、第二次財政再建推進プランの実施過程で何としても取り組むべきであると考えますが、所見をお伺いいたします。
 いずれにいたしましても、十六年度予算の編成は、都民の切実な願いにこたえ、都政の役割と責任を果たすため、徹底した内部努力と事業の見直しを進め、同時に、都債の適切な活用や国庫支出金の確保など、歳入歳出両面にわたるぎりぎりの取り組みを行い、万やむを得ない場合には臨時的な財源対策を講じていかざるを得ません。こうした困難が想定される十六年度予算編成に具体的に今後どのように取り組んでいくおつもりか、決意をお伺いいたします。
 ご案内のとおり、都は、二十三区の過重な固定資産税負担を緩和するため、独自に小規模住宅用地及び小規模非住宅用地に対する軽減措置を講じており、これらは、長引く不況の中で、経済的、心理的に、中小企業を初め都民の大きな支えとなっております。
 しかしながら、先般の第二次財政再建推進プランでは、構造的な課題が内在している制度として、その見直しが示唆されたところであります。また、先月発表された平成十五年度の東京都税制調査会答申でも、都区の財政状況や税負担の実態等を踏まえ、今後そのあり方を検討する必要があるとされました。
 都財政が厳しい状況にあることは、我が党も十分承知をしているところでありますが、我が国経済の先行きは依然として不透明であって、家計も企業も将来への強い不安を抱いております。そうした中で、都は、景気対策としての新築住宅に対する軽減措置をも含め、平成十六年度も独自の固定資産税等の軽減措置を継続すべきと考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。
 また、この第二次プランにも触れられていますが、我が党の大西幹事長が第三回定例会において指摘している私学助成について、保護者負担の公私格差は、高等学校で既に約七倍に達しております。私学の重要性を考えると、これ以上の負担の格差の拡大は、都民の教育選択の自由を真っ向から否定することにもなりかねません。
 教育は国家百年の計であります。このような厳しい時代にあっても、私学振興を一歩も後退させることのないよう十分な配慮をすべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、冒頭でも申し上げました安全・安心対策について伺います。
 我が国の治安は年々深刻さを増し、先日公表された平成十五年版犯罪白書においても、少年を中心とした路上強盗の増加、成人を中心とした屋内強盗の増加、暴力団と来日不良外国人強盗犯の増加、強盗の大都市圏への集中と近隣地域への拡散の兆候、被害の深刻化等を近年の特質として挙げておりますが、これらの点は、まさしく都民の体感治安の悪化を的確にいい当てております。
 我が党は、このような状況は到底看過できないという危機意識に立って、本年八月、党内に緊急治安対策本部を設置いたしました。今月十九日には、同本部主催の緊急都民決起集会を多くの地域団体の代表者の協力を得て開催し、都民の皆様と、治安の回復に向け、緊急に取り組んでいくことといたしました。当日、自由民主党本部八階ホールにお集まりをいただける多くの都民の方々の熱い思いを代弁して、東京の治安回復の取り組みについて何点か伺います。
 都は、去る十月一日から施行された東京都安全・安心まちづくり条例を実効あるものとするために、十月十日に東京都安全・安心まちづくり協議会を発足させ、具体的な活動を開始したと聞いております。
 犯罪に強いまちづくりを推進するに当たっては、警察だけに頼ることなく、地域からそのための機運を盛り上げる工夫が必要だと考えます。地域の犯罪防止活動を担うボランティアや地域団体、区市町村が相互に連携し、その活動を活性化していく仕組みをつくっていくことが極めて重要だと考えますが、具体的な方策について、担当副知事に伺います。
 さて、犯罪白書にも取り上げられていますように、来日不良外国人による組織犯罪の増加は、都民に大きな不安を与えております。
 そこで、都は先ごろ、法務省入国管理局、東京入国管理局及び警視庁と共同して、首都東京における不法滞在外国人対策の強化に関する共同宣言を発表し、五年間で不法滞在者を半減させるという目標を立て、積極的な取り組みを推進していると伺っております。不良外国人対策の具体的な問題について、国の機関と新たな方向性を示すことができたという点で画期的であって、今後、その取り組みの着実な実現が極めて重要であります。
 この共同宣言に基づく新たな方針による不法滞在者の取り締まりが、既に十月末から試行されていると聞いておりますが、現段階でその効果はあらわれているのかどうか、警視総監に伺います。
 一方で、最近、子どもが犯罪の加害者あるいは被害者となるさまざまな事件が多発をしております。都は本年十月に、子どもを犯罪に巻き込まないための方策を提言する会から緊急提言を受け、その中で取り上げられている六十六の方策について、今後積極的に取り組んでいくと聞いております。この緊急提言を具体化するために、現在どのような取り組みが進められているのか、担当副知事に伺います。
 ところで、さきの緊急提言の中では、罪を犯した子どもには、幼児期に虐待を受けた子どもも多く、暴力の再生産のような状況がうかがえるということで、児童虐待問題への対策を強化することが、子どもの非行の予防にも重要な役割を果たすとされております。
 児童の虐待問題は、子どもの非行問題と表裏をなし、別の面では少年非行問題に顕著にあらわれているところであります。このような負の連鎖を、この際、何としてでも断ち切らなければなりません。
 そのために大きな役割を果たすのが児童相談所であります。児童相談所は、児童虐待対策とともに、子どもの非行防止の取り組みに力を入れていくべきであります。その際には、現在の児童相談所の対応力が十分なのか、あるいは所長や児童福祉司の専門性は十分なのか、法的な対応を求められる問題への対応は十分なのかといった点を真剣にチェックし、そして見直す必要があると考えます。
 そこで、児童相談所における児童虐待対策、非行対策を充実する上で、その体制を強化すべきと考えますが、所見を伺います。
 また、児童養護施設などへ入所している半分以上が、保護者から何らかの虐待を受けており、児童養護施設を出た子どもたちの中には、せっかく就職しても、一年ももたずに転職してしまう子どもたちが少なくないとも伺っております。施設や里親などの社会的養護のもとで育った子どもが立派な社会人となれるよう、そして健全に自立できるよう、施策の充実を図るべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、青少年の健全育成について伺います。
 次代を担う青少年を健全に育成していくことは、我が国の将来の発展にとって極めて不可欠であります。
 現在の青少年問題の解決には、非行や犯罪に巻き込まれないよう、有害な情報や環境を見きわめる能力を我々大人が高めることはもとより重要でありますが、一方で、青少年を取り巻く有害な情報や危険な環境に対しては毅然とした態度で臨み、規制の徹底した強化を行うことも不可欠と考えます。青少年問題に対する認識と今後の対応についてお伺いをいたします。
 次に、都民の安全対策上、避けて通ることのできない重要な課題として、いわゆるSARS対策があります。
 我が党は、都が国に先駆け、都独自の冬場の対策を迅速かつ的確に打ち出していることを評価させていただいております。同時に、安全・安心を守る都の責任は大変重大であると考えております。
 SARS患者の発生は、一般的には海外からと考えられているわけでありますが、国際都市東京の特性を考えると、東京が再発の第一例となる可能性も全く否定できないところであります。香港での事例を見るまでもなく、WHOが指定する伝播確認地域がない非流行時の段階から情報の収集に努め、患者の発生を迅速に把握する体制を整備し、警戒していくことが重要だと思いますが、都の取り組みについてお伺いをいたします。
 ところで、我が国の自衛隊のイラク派遣に絡んで、アルカイダ系を名乗る組織が東京でのテロを警告していることが連日のように報道されております。
 例えば、フランス公共ラジオによると、テロ組織アルカイダのスポークスマンは、十一月二十一日、アラブの雑誌に声明を送り、トルコ・イスタンブールの同時爆弾テロの犯行を認めた上で、最初の日本の自衛隊員がイラクの土地を踏み込み次第、アルカイダは東京に深く潜入、攻撃すると警告したと報じております。このような声明が単なるおどしであるのかどうかは不明でありますが、我が党はこれまでも終始一貫して、簡単にテロに屈することなく、テロに対して断固とした態度をとることが必要であると主張してまいりました。
 ただ、一方で、実際に国名を挙げて名指しをされた日本、とりわけ東京都民にとっての不安感が増すことは否定できないところであります。そういった都民の不安感を解消するためには、何といってもまず、警備体制の一層の強化が必要であると考えます。小野清子国家公安委員長も、十一月二十五日の衆議院予算委員会で、こうした一連の動きに対して、標的となる可能性はあり得ると認識している、情報の信憑性、背景については分析中で、各都道府県警に対し警戒警備の徹底を指示していると述べております。
 この国家公安委員長の指示を受けて、警視庁として具体的にどのような対応をとろうと考えておられるのか、警視総監のご見解をお伺いいたします。
 知事は、治安の維持こそ最大の都民福祉であるとの認識に立ち、治安の回復を都政の最重要課題の一つと位置づけ、緊急治安対策本部を設置し、都職員を警視庁に派遣する考えを示すなど、さまざまな課題に精力的に取り組んでおられます。これを受け、国においても、警察官の大幅増員を認める方向で来年度の予算編成が進んでおり、治安回復に向けて積極的に取り組む姿勢が顕著となっております。
 しかしながら、警察官の増員のみでは、我が党が求めている抜本的な対策とはなりません。今後、都職員の派遣をも含めた体制整備をどのように進めていくのか、お伺いをいたします。
 先ごろ発表された来年度の重点事業には、新たに治安対策がつけ加えられました。そこでは、総合的な観点からさまざまな手法を用い、都政を挙げて治安対策に取り組む姿勢も見てとれます。知事には、さきに述べた我が党の緊急治安対策本部とも一致協力して、さきの第三回定例会でも申し上げたところでありますが、今後とも東京の治安の回復に一層努力をしていただくことを切にお願いする次第であります。
 次に、住宅の防火対策について伺います。
 東京消防庁管内では、建物火災の半分以上は個人住宅や共同住宅が占めるとともに、火災による死傷者のほとんどは、高層ビルや大規模な建物ではなく、このような個人住宅や共同住宅からのものと聞いております。
 また、近年、東京消防庁管内の住宅火災によって犠牲となられた方の数は、毎年百人前後で推移し、一向に減少する傾向がないばかりか、ことしに入ってからは、前年と比較して大幅な増加となっております。仮にこのままの状況で推移すると、年間の死傷者数は、過去十年で最悪となることが予想され、まさに緊急事態といえるのであります。
 そこで、東京消防庁はこれまで住宅の防火対策についてどのような取り組みをされてきたのか、お伺いをいたします。
 一方、諸外国においても、住宅防火対策は国策の重要な柱として取り上げていると聞いております。特にアメリカでは、過去、火災発生件数が日本よりもはるかに多く、犠牲も多数発生していたところ、その結果、住宅防火対策について国家的な取り組みを講じ、住宅火災による死傷者も大幅に減少したと聞いております。
 そこで、アメリカにおいてはどのような住宅防火対策が施され、どのような効果があったのか、伺います。
 住宅火災による犠牲者の発生や建物の被害は、個人の財産等の損失とともに、社会経済にも多大な影響を及ぼすところであります。消防庁は、火災から都民のとうとい生命と貴重な財産を守るために、住宅の防火安全について早期に実効性のある対策を講ずべきであると考えます。今後、住宅における防火対策をどのように推進していく所見か、お伺いをいたします。
 次に、都民の健康対策について伺います。
 都は、平成十三年十月に「二十一世紀の東京都保健所」を策定、発表し、以後、多摩地域の保健所再編について、市町村と精力的に調整を進めてきたところであります。このたび、現在の十二保健所を七カ所に再編することについて、市長会、町村会の了承を得るに至ったところであります。これを踏まえ、十六年四月に保健所再編を行うため、今定例会に保健所の設置等に関する条例の改正案が提案されております。
 平成十三年以来、三年越しの決着とも伝えられた保健所再編でありますが、市長会等との議論の中では、多摩地域の保健所は平成九年度に十七カ所を十二カ所に再編したばかりであって、今回さらに再編する理由が見当たらないとの厳しい意見も出され、調整、協議は極めて難航したと聞いております。
 そこで、東京都が今回再編する理由は何のためなのかを改めてお伺いいたします。
 また、都は、今度の再編により、保健所は今まで以上に広域的、専門的、技術的な機能を担っていくとしております。再編成った保健所が、来年度以降、多摩地域の保健医療施策の拠点として、特にどのような事業を強化し、推進していくつもりかお伺いいたします。
 今回の保健所再編整備は、二次保健医療圏を単位とする保健医療施策の展開という施策とも合致すると一口にはいっても、面積、人口要件や地理的、交通的要件など、その地域性は極めて多様であります。現在の保健所利用者が混乱を来すことのないよう十分な周知を図ることは当然として、再編後の保健所所管区域の状況に応じた対策が必要と思いますが、その考え方についてもお伺いいたします。
 次に、今回、都立病院改革に基づく再編整備の一環として、平成十六年四月一日に都立大久保病院を財団法人東京都保健医療公社へ移管するため、都立病院条例の一部改正が提案されているところであります。
 都内の医療機関に占める病床数がわずか六%にすぎない都立病院が、将来にわたって都民が求める医療ニーズに適切にこたえていくためにはどうすべきなのか、この理念を明確にしなければならないことは当然であります。
 こうした課題に対し、都は、都立病院改革会議報告を経て、マスタープランや実行プログラム等により、その道筋を具体的に明らかにし、また、都議会でも再三、都立病院改革の目的についてさまざまな議論を行ってきたところであります。
 しかし、もう一度改革の原点に立ち返り、その考え方を明らかにすべきであります。改めて、なぜ大久保病院を都立ではなくて公社に移管するのか、そもそも都立病院と公社病院の役割はどこがどのように違うのか、明確にご答弁いただきたいと存じます。
 また、今回の都立病院条例の一部改正の対象となっているものの中に、都立台東病院の廃止があります。都立台東病院は、既に平成八年度末で診療を終了しているわけでありますが、その後の地域医療の確保について、都と区が協議を続けてきたところであります。その中で、本年七月、台東区は新台東病院等整備計画を策定し、みずから病院を整備することとしたようであります。
 この台東区による整備については、区の地域医療の充実のための意欲的な取り組みであり、第二回定例会の代表質問において、我が党の新藤議員の質問に対し、都としてその実現に向け、さまざまな支援策に努めるとの答弁がありました。
 東京の医療提供体制をますます充実していくため、都は、台東区のような区立病院設置の取り組みをどのように認識しているのかお伺いいたします。
 ところで、地域の医療提供における都と区市町村との役割分担という点では、板橋区にも同様の動きがあるところであります。ことしの一月に出された都立病院改革実行プログラムでは、板橋区において豊島病院を区立病院化することについて一定の方向性が示されたところでありまして、板橋区の動向に留意しつつ、老人医療センターと豊島病院の再編整備について検討していくとされていましたが、本年十一月、板橋区から都に対し、豊島病院の区立病院化の実現に向けた検討に関する要望書が出されたとのことであります。この要望書において、板橋区からは、自治権拡充の観点からも大いに意義があると考えているので、豊島病院の区立病院としての運営を目指して取り組んでいくという、相当踏み込んだ意思表示が示されたとのことであります。
 台東区の区立病院整備と同様、この板橋区の動きも、基礎的自治体が地域医療に責任を果たしていくという立場から、都として積極的に対応すべきであると考えますが、この要望書をどのように受けとめ、そしてどのように対応していこうとしているのかお伺いいたします。
 次に、産業雇用対策について伺います。
 都民にとって、とりわけ中小企業にとって重大な関心の的となっている新銀行の創設についてであります。
 これまで知事は、都庁改革アクションプランを初めとして、民間に任せられるものは民間へという考えで、都政の守備範囲の見直しを強力に推進してこられました。そして知事は、ことし五月に、都が出資して創設する新銀行構想を公表し、先般、新銀行基本スキームを発表されたところであります。
 確かに、国が何ら有効な手だてを打てず、既存銀行も十分な資金の供給を行わないため、東京の優秀な中小企業が危機的状況に陥っているということは看過できない事実であります。
 しかしながら、既に述べたように、世の中の流れが民営化の潮流にある中で、地方公共団体みずからが銀行を創設するということは、その手法においては極めて異例のことだといわざるを得ません。
 そこで改めて、東京都の役割と、都が新銀行を創設する基本的な意義について、知事の基本的な所見をお伺いいたします。
 さらに、新銀行の役割の中で特に重要な中小企業融資について伺います。
 融資については、シンジケートなど三つの形態が発表されておりますが、重要なことは、新銀行が地域とかけ離れた、いわゆるミニメガバンクには絶対になってはいけないということであります。地域のニーズや生きた情報は、信用金庫を初めとする地域金融機関などが豊富に持っているものであります。それらと何らかのリンケージなしには、新銀行は創設の役割を果たすことはできません。
 新銀行は、さまざまな提携を戦略として掲げておられますが、信用金庫や商工会議所などと具体的にどのような連携を考えておられるのかお伺いいたします。
 今日、多くの地域金融機関の財務内容は傷んでおりまして、地域の中小企業のリスクを背負い切れず、必要な資金を十分供給することができない状況にございます。今、金融システムにおいて欠けているものは、地域金融機関の抱えるリスクを補完するシステムであります。
 そこで、連携の一つとして、信用金庫などの融資に対する保証や、いわゆる劣後ローンを初め、これに類似した資金供給にまで踏み切ることをぜひ検討すべきと考えるわけでありますが、ご所見をお伺いいたします。
 ところで、景気は少しずつ明るい日差しが差し始めたようでありますが、中小企業を取り巻く金融情勢は全く予断を許しません。東京の経済を回復軌道に乗せるためには、行政による力強い金融支援の手を緩めてはならないのであります。
 その際、中心的な役割を担うのが制度融資であります。今年度、都は融資目標額を過去最大の一兆七千五百億円とするとともに、年末年始の資金需要に対応するため、制度融資利用強化キャンペーンを展開しておられます。その姿勢は評価するところでありますが、中小企業の資金調達をより円滑にするためには、今後、さらなる制度の充実強化を図る必要があります。
 さきの第三回定例会代表質問においても、我が党の大西幹事長はこうした観点から質問を行い、都は答弁の中で、制度融資のさらなる利用促進に向けた制度改善の意向を示されたところであります。大いに期待をさせていただいているところであります。
 そこでまず、この制度融資をどのように改善しようとしておられるのか、具体的な考え方をお伺いいたします。
 現下の厳しい経済、金融情勢の中で、中小企業には多様な資金調達の支援が求められております。都は、従来から制度融資による金融支援を行っているところでありますが、融資による資金調達が困難なベンチャー企業や再生見込みのある企業に対して、いわゆる直接金融などの新たな支援策が必要であります。都は、こうした企業への直接金融による支援についても、さきの第三回定例会で我が党の代表質問に対して、早急に検討していくとの方向を示しました。
 これまでにも都は、投資事業有限責任組合の創設により、ベンチャー企業への出資を行っているところでありますが、投資法人による継続した支援の実現など、ベンチャー企業投資の充実や企業再生のファンドの創設を行い、中小企業支援をさらに強化すべきと考えますが、その後の検討状況についてお伺いいたします。
 次に、近年、商店街にはコンビニやファストフードなどのチェーン店やスーパーなどの出店が増加し、住民の消費スタイルや生活スタイルの変化を巧みにとらえ、商店街において集客の核となっている場合があります。
 しかしその一方で、チェーン店などは商店街組合へ加入しないことが多く、イベントや祭りなどにもなかなか協力をしないという実態があります。また、アーケードや街路灯などへの応分の負担はしない、そしていわば集客の上前だけを手に入れるという、ずる賢い展開も数多く見受けられているところであります。
 しかし我が党は、チェーン店やスーパーなどの進出から既存商店を守れというだけの主張をするつもりはありません。チェーン店等の利便性は住民に広く受け入れられている部分もあり、住民本位の考え方に立てば、商店街とチェーン店等が互いに切磋琢磨し、共存共栄していくことが必要であると考えます。その上で、ともに協力していくことが不可欠であります。
 世田谷区では、産業振興基本条例において、商店街で小売店等を営む者に対する商店会への加入や応分負担の努力義務を課す改正案が、この十二月五日の区議会本会議で可決されたとのことであります。こうした趣旨から、都としても、チェーン店等の本社が集まる東京の特性を生かして、チェーン店等と商店街が今後の商店街の振興をともに考えるための協議の場をつくるよう、関係者にぜひ働きかけていくべきではないでしょうか。見解をお伺いいたします。
 次に、東京には多くの大学や研究機関が集積し、先端的な技術を用いた最新の研究が行われております。すぐれた技術力を持った中小企業にとって、これらの機関の研究成果を自社の技術開発や製品開発などに生かすことができれば、小さな企業でも新たな需要を開拓し、その業績を伸ばすことができるはずであります。
 しかし、昨年度、都立の大学における企業との産学共同研究は三十六件、発明届け出件数は十五件という心もとない実績では、研究成果が産業界で有効に活用されているとはいえないのではないでしょうか。大学と企業との産学連携をさらに進めれば、東京のものづくり産業の競争力は一層強化されるものと考えます。
 都では、平成十六年度重点事業の中で、企業、大学、試験研究機関などが共同で研究を行う施設として、いわゆるナノテクノロジーセンターを設置することとしております。この施設はなぜ城南地域に設置するのか、また、中小企業が求める技術開発、さらに東京の産業力強化にとってどのような効果が期待できるのかを伺います。
 さらに、国では、ナノテクノロジーのほかに、ライフサイエンス、情報通信、環境の分野を研究開発の重点分野と定めております。都としても、これらの分野における産業の活性化に結びつく科学技術振興に今後とも力を入れていくべきだと考えますが、所見をお伺いいたします。
 さて、私の地元、葛飾柴又でありますが、ギネス映画「男はつらいよ」のおかげさまもありまして、現在、全国的な観光地になっております。ありがたいことであります。柴又駅から帝釈天までの参道には、下町情緒に裏打ちされた数々の老舗が建ち並び、人情が細やかで、おもてなしの心に満ちあふれ、年間を通じて毎日が縁日のようなにぎわいを見せております。千客万来の世界都市東京を実現するためには、この柴又のように、東京そのものに魅力がなければなりません。
 本年度、都は上野と臨海地域をモデル地区として、観光まちづくりの検討を進めておられますが、東京には、この二つの地区だけでなく、さまざまな顔を持った地域がたくさんございます。
 例えば、くどいようでございますが、我が葛飾区は、柴又、そして車寅次郎、そしてドナウ川と景観が酷似しているといわれる江戸川が取り持つ縁で、十五年ほど前にウィーン市フロリズドルフ区との友好姉妹都市の提携を結び、以来、今日に至るまで、年間を通してさまざまな交流活動を展開してまいりました。
 また、区役所の近くには、世界的な音楽の殿堂として名高いウィーン楽友会ホールを模して建設したシンフォニーヒルズがそびえ立ち、その正面玄関には、あのブルグ公園に建つモーツァルト像の、世界に一体だけ認められて建造された正式なレプリカが鎮座し、折に触れて訪れる音楽ファンを大いに感激させているところであります。このように、ミスマッチだの何だのと陰口をたたかれようと、葛飾区はただひたすら頑張りに頑張っております。
 したがって、その地域の特色を生かし、東京の至るところで世界じゅうの人々が交流し、にぎわいのあるまちをつくることが何よりも肝要であります。そのため、観光まちづくりの全都的展開に今後どのように取り組んでいくおつもりか、知事のご所見をお伺いいたします。
 続いて、去る十月十日から、上野地区では、国立博物館や寛永寺清水観音堂などのライトアップが始まりました。上野に昼間のにぎわいとは違う魅力が加わり、夜の過ごし方も大変豊かなものになりました。少しずつ上野のまちも変わっているようであります。今後、さらに、モデル地区である上野において観光まちづくりをどのように進めるお考えか、お尋ねいたします。
 続いて、ことしの夏、お台場ビーチでは海域浄化実験が行われ、子どもたちが水に親しみ、また、お台場冒険王という大きなイベントが行われたこともあって、大江戸温泉物語の人気とも相まち、約六百六十万人もの人々が臨海を訪れました。
 臨海地域には、水辺空間という観光資源を創出していく潜在的な力が十分にあると思います。今後、さらなる活性化のため、モデル地区である臨海において観光まちづくりをどのように進める考えなのかお尋ねいたします。
 さて、雇用対策でありますが、本年七月から九月の東京の完全失業率は四・八%と、前年同時期と比較して一%改善をしておりますが、それでもなお都内には約三十三万人の失業者がおります。
 雇用対策は、一義的には国の仕事でありますが、こうした状況のもと、都として一定の役割を果たすべきときではないかと考えます。その意味で、来年度の重点事業で具体像の一端が示された、知事のしごとセンター構想を心から応援するものであります。
 そこでまず、このセンターを設置する意義について、知事のお考えをお示しください。
 第二は、職業紹介機関としては、既に都内に十八カ所のハローワークがあります。その中で設置するしごとセンターは、ハローワークにない新たなサービスを行ってこそ意味があります。現在検討しているしごとセンターの具体的な特色についてお伺いいたします。
 第三は、しごとセンターは来年度開設する予定ということでありますが、事の重要性、緊急性を考えますと、もっと早期に開設すべきであります。そして、設置に当たっては、就職者数など具体的な事業の目的を掲げるべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、高い専門的知識や確かな技術を持った職業人の養成についてでありますが、現在、都内には約四百校ものさまざまな分野の専門学校があります。将来への夢を抱いた高校卒業者など十七万人以上が学んでおり、東京の活力を支える人材育成の場として大きな役割を果たしております。
 この三月にまとめられた専修学校構想懇談会の報告では、専門学校の役割を踏まえ、みずからが時代のニーズにこたえ、改革を進めようとする取り組みとして、評価システムの導入と情報公開の推進など六項目を提言しております。
 特に実現を急がれるのが、第三者による評価システムの導入であります。学校数が多く、教育内容も多様な専門学校において、客観的な評価の仕組みをつくり、信頼性を高めていくことは、非常に意義があることであります。東京都専修学校各種学校協会では、評価システムの構築、運用を行う機関を十六年度に新たに設立する予定と聞いており、東京都としてもこのような取り組みをぜひ支援していくべきと考えますが、ご見解をお伺いいたします。
 さて、近年、物流の統合管理の経営手法として、サプライ・チェーン・マネジメントといわれるようなIT技術を駆使した物流革新が急速に進行しております。物流革新が我が国経済の国際競争力強化のかぎを握っているといっても過言ではありません。
 都も、首都圏経済の活性化を実現するため、これらの動向に対応した物流政策を構築し、物流効率化への大胆な取り組みが必要であります。
 こうした中、先般開催された東京都港湾審議会において、東京港の二十年後を見据えた第七次改訂港湾計画の基本方針の中間報告が出されました。この中では、我が党の従来からの主張に即して、東京港の国際競争力強化のため、サービスアップ、コストダウンに向けたさまざまな提言がなされており、とりわけ物流効率化の重要性が強調されております。特に、今回、中央防波堤外側埋立地に一大高機能物流拠点を形成しようということですが、こうした拠点整備がなぜ東京港に必要なのかお伺いいたします。
 このたび発表のあった平成十六年度重点事業で、物流ネットワークの構築が取り上げられておりますが、東京港から内陸輸送に至る迅速、安定、低廉な物流の効率化の推進が、東京港の国際競争力強化に大きく貢献するものと考えます。港湾地域から背後圏への物資輸送の効率化についてどのような検討が行われたのか、また、今後の取り組みについてお伺いいたします。
 都は、首都圏全域を視野に入れた物流政策を構築し、首都圏、さらには日本の物流改革を先進的にリードすべきであると考えますが、そのご所見をお伺いいたします。
 次に、都市環境について伺います。
 ことしの東京は冷夏でしたが、欧州では記録的な高温で、フランスなどで一万人を超える死者が出たところであります。このことをまつまでもなく、温暖化が人々の暮らしに与える影響を深刻に受けとめるべきであります。
 また、ヒートアイランド現象は、都市特有の問題として、熱帯夜の増加や集中豪雨などを引き起こし、さらなるエネルギー使用や排熱の増加を招くという悪循環を招いております。
 このような中、東京都は環境基本計画において、ヒートアイランド現象や地球温暖化の進行を食いとめ、都市と地球の持続可能性を確保するという目標を掲げ、その具体化を図るため、昨年十二月、環境審議会に、東京都における実効性ある温暖化対策について諮問したところでありますが、まず、都の温暖化対策に対する基本的な認識を伺います。
 温暖化対策は、エネルギー使用と密接な関係があるため、経済活動への悪影響を与えるという見方もあります。しかし、環境対策と経済活性化を同時に進めることは不可能ではなく、資源や環境の制約への挑戦は、国際競争力を生み出す源泉ともなり得ると考えます。このようなことを踏まえれば、経済界とも認識を共有し、温暖化対策を果敢に進めていくべきと考えますが、ご所見を伺います。
 東京が温暖化対策についての戦略を明らかにし、具体的な制度を打ち出すことは、日本全体の温暖化対策を大きく進めることにつながると考えます。このような温暖化対策の重要性を踏まえ、早期にこれまでの検討結果をまとめ、幅広い意見を求めるべきと考えますが、現在の検討状況と今後の予定をお聞かせください。
 次に、東京の水資源について伺います。
 都は、これまで計画的に国の水資源開発に参画し、都市化の進展に伴う水需要の増加に対応してまいりました。そのため都では近年、幸いにも深刻な渇水被害に遭遇することなく推移してきております。
 しかし最近では、今述べたように地球温暖化現象の影響からか、異常少雨の年が頻発しており、利根川、荒川水系においても、二、三年に一度の頻度で河川からの取水制限が行われております。その意味で、都の水資源は決して安心できる状況とはいえないと考えます。
 一方、水資源開発は水源地域の住民に大きな負担をかけ、また、事業の計画から完成までに気の遠くなるような長い期間を要する事業であります。そのため、将来を見据えた計画と事業実施が必要であります。
 そこでまず、現在、国においては第五次水資源開発基本計画、通称フルプランを策定中と聞いておりますが、都は、都における将来の水道需要の動向についてどのような見通しを立てているのか、お伺いをいたします。
 現在、都は、群馬県の八ッ場ダムと戸倉ダム、埼玉県の滝沢ダムの三つのダムに参画しておりまして、そのうち、今回、事業費改定が上程されている八ッ場ダムは、現在、水没する道路、鉄道のつけかえ工事や、水没住民のための代替地の造成工事が本格化しているところであります。近年の水源状況や水道需要の見通し等を踏まえ、八ッ場ダムの必要性についてはどのように考えているのか伺います。
 知事はこれまで、都議会本会議の答弁の中で、水源事情や治水上の必要性も勘案し、必要なダム開発は進めていきますと力強く答弁をされております。長野県の田中康夫知事に、耳をかっぽじって聞かせたい話であります。
 将来にわたり、都民の水需要を担保する上で必要な水資源開発は、ぜひとも着実に力強く推進していただきたいと考えます。
 その一方で、厳しい財政状況の中で、都民の一定の理解を得ていくことも、これまた必要であります。今後の水資源開発の取り組みについて、知事のご決意とご所見をお伺いいたします。
 さて、都市生活における水の供給は、都民の生活と意識が大きく変化する中で、飲料水としての質の向上、震災対策、環境問題への対応など、これまでにない対応が強く求められております。
 こうした中で、水道局では、平成十六年度以降の新しい経営プランを策定する時期に差しかかっていると思いますが、引き続き、首都東京の都市活動と都民生活を守るため、今後の水道事業をどのように運営していくおつもりか、その基本的な考え方をお伺いいたします。
 次に、これまで水道局では、平成六年に水道料金を改定して以来、十年間据え置いていただいております。大変にありがたいことであります。
 一方、水道局が設置した経営問題研究会では、先般、今後の水道料金制度のあり方について最終答申をまとめております。
 答申の趣旨は、節水を促す仕組みづくりや水の需要構造の変化などを踏まえた負担の公平化を図ることと考えますが、結果として個々の都民負担に変化が生じることは明らかであります。現下の厳しい状況を考えますと、都民生活にどのような影響をもたらすのか、慎重に見きわめていく必要があります。
 このため、料金体系の見直しをもし問うのであれば、当然、事務事業の見直しはもとより、徹底した内部努力などによる都民負担への十分な配慮が求められるわけでありますが、水道局長の見解を伺います。
 次に、都市基盤整備に関連して数点伺います。
 羽田空港の再拡張、国際化は、首都圏はもとより国家再生のために不可欠な事業であり、一日も早い事業着手、完成が求められております。もとより、この事業は全国にその効果が及ぶ国家プロジェクトであり、知事の強力なイニシアチブにより、国を突き動かし、まさに緒につこうという段階に来ております。
 国土交通省はことし八月に羽田空港再拡張事業の事業スキームを発表し、事業の促進に向け、関係自治体に協力を要請したと聞いております。
 国が設置、管理する羽田空港の再拡張事業は、本来、国がみずからの責任において実施すべきものでありますが、現下の首都圏の航空事情は逼迫しておって、羽田は既に満杯、まさに待ったなしの状況であります。
 東京都が協力することで、このプロジェクトが実現に向けて大きく動き出すことができるか否かは、まさに知事の決断にかかっているといっても過言ではありません。改めて知事のご決意をお伺いをいたします。
 次に、中央環状新宿線大橋ジャンクション建設と一体となったまちづくりについてであります。三環状道路の一つである中央環状新宿線は、首都圏の再生や交通渋滞の解消に不可欠な路線であり、一日も早い整備が求められております。この新宿線の中でも、東名高速道路と結ぶ大橋ジャンクションは、高速道路ネットワークを形成する上で最も重要な施設であります。
 そこで、ジャンクションの建設とあわせて、周辺市街地と一体となったまちづくりに取り組むことは、具体的にどのような意義と意味があるのかをお伺いをいたします。つまり、このジャンクションの整備促進を図るためには、周辺のまちづくりを一日も早く進めていくことが肝要だということであります。そこで、まちづくりの現状と今後の取り組みについてお伺いをいたします。
 次に、踏切対策であります。私の一般質問でもたびたび取り上げ、昨年六月、ついに石原知事みずからが現場をごらんいただいた京成電鉄高砂一号、二号踏切を初め、都内に数多く存在する踏切は、自動車や歩行者の通行を阻害するなど、都民に大きな不安と不満を発生せしめております。
 連続立体交差事業は、踏切解消やまちづくりなどの面で非常に効果が大きいことから、これまでにも我が党は、連続立体交差事業などによる踏切対策の実施を強く訴えてきたところであります。
 しかし、鉄道の立体化には長い期間を必要といたします。そのため、短期間で実施可能なものもあわせて、早期に対策を進めていくことが必要であります。私は、都市再生の決定的な切り札として、首都東京の踏切対策を一刻も早く強力に推進すべきと考えます。いずれの日か、昔の東京には電車の踏切などという珍しいものが存在したと語られる日が遠からず必ずやってくるよう、全力で取り組むべきであります。
 都は、これまで、都議会での我が党の質問に対して、踏切対策の基本方針を策定すると前向きに答弁をされておりますが、その策定状況をも含め、今後の踏切対策についてどのように取り組んでいくつもりか、お伺いをいたします。
 ところで、小田急小田原線の代々木上原から梅ヶ丘駅間は、本年一月に都市計画変更が決定され、いよいよ事業化を迎える段階となり、地元を含めた関係者の長年の努力がようやく実を結ぼうとしております。地元の悲願でもある本区間について、早期に事業化すべきと考えますが、今後の都としての取り組みについてお伺いをいたします。
 次に、多摩地域の道路用地の取得についてですが、東京の活力をさらに高めるためには、東京の区部だけでなく、多摩地域全体の活力をさらに高めていく必要があります。
 多摩地域には三百九十万人もの多くの都民が居住しており、多数の先端技術産業が集積するなど、また多くの優秀な都議会議員の存在ともあわせ、大きな発展の限りない可能性を持ち、東京の経済活性化の一方の一翼を担っているところであります。
 しかし、多摩地域の経済活動の拠点を結ぶ幹線道路の整備は、残念ながら十分とはいえない状況であります。交通渋滞も慢性化し、都民の日常活動や産業活動に大きな損失を与えております。
 特に、調布保谷線、府中所沢線などの多摩南北道路の整備は、区部と多摩を結ぶ甲州街道や青梅街道などの東西方向の道路に比べ、いまだ十分とはいえない状況にあります。
 ところで、平成十五年二月には、都市再生のために国の大型補正予算が組まれ、とりわけ東京の都市基盤整備に向けての用地取得に約六百億円もの予算の内示があったと聞いております。東京の再生に資する多摩の道路整備を早急に進めるためには、多額の事業費を投入できる今が絶好のチャンスであります。こうした機会をとらえ、多摩地域の道路整備の大きなかぎを握る用地取得を積極的に推進すべきと考えますが、都の取り組みについてお伺いをいたします。
 次に、都市景観の再生に向けた横断歩道橋の撤去についてであります。
 都道では、交通安全対策の一つとして、歴史的に数多くの横断歩道橋が整備され、交通事故防止に大きく貢献をしてまいりました。しかし、近年、社会情勢や交通状況の変化に伴い、利用者が著しく少なく、その役割を終えたと思われるものも数多く存在をするものであります。
 このような横断歩道橋は、美しい街並みの創造による都市景観の再生や、ゆとりある歩行空間確保の観点から、思い切って撤去をすべきと考えますが、見解を伺います。
 最後に、東京のバリアフリー化についてでありますが、近年、我が国は、経済構造が成長型から成熟型へと移行する中で、急速な少子化と高齢化の進展という社会問題に直面をいたしております。東京は、日本の総人口の十分の一の人々が暮らし、その中には多数の高齢者や障害をお持ちの方も生活を営んでおられます。しかし、高齢者や障害のある方々を取り巻く社会環境は、物理的な面や情報面など、さまざまなバリアが存在をいたしております。こうした状況のもと、このたび都では、高齢者、身体障害者などが利用しやすい建物の整備を進めるため、新たな条例を提案をしております。
 そこで、都が今議会に提案している高齢者、身体障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例は、東京の都市づくりを進める上でどのような意義を持つのか、知事のご所見をお伺いいたします。
 また、条例の制定に当たっては、東京の実情に配慮すべきと考えますが、この条例ではどのように具体化しているのか、お伺いをいたします。
 さらに、東京のバリアフリー化を促進するための支援策としてはどのようなものがあるのか、お伺いをいたします。
 さて、激動の平成十五年もいよいよ暮れようといたしております。ことしは、江戸開府四百年という大変な節目の年でございました。江戸そして東京は、これまで、歌舞伎や多くの小説でも描かれた数々の歴史的事件の舞台ともなり、幾多の試練を乗り越え、今日に至るまで立ちどまることなく営々と発展をし続けてまいりました。今日の繁栄は、まさに、ローマは一日にして成らず、東京は一日にして成らずというべきものであって、これまでの先人先達の労苦のまさにたまものの結果であります。
 我々は、これら先人先達の筆舌に尽くしがたいご労苦に感謝し、そして、心から敬意を払いつつ、このすばらしい東京をしっかりと子孫に伝えていかねばなりません。江戸開府五百年を目指した東京づくりを行っていかなければならないと考えます。
 我が東京都議会自民党は、こうした観点に立ち、これまで述べてきた数多くの課題を解決しつつ、今まで以上に長期的視野を持って誠心誠意、都政に取り組んでまいります。
 そして、一千二百万都民の現在の暮らしを明るく豊かなものにするとともに、将来にわたって東京が、美しい、すばらしい世界の大都市としてさらに飛躍を遂げることができるよう、このたび新たに村上英子議員を加えた五十二名の精鋭が全力を尽くして、ただひたすら愚直に純真に真剣に都政に邁進することをここにお誓いして、私の代表質問を終わるものであります。
 長時間にわたりますご清聴、まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 樺山たかし議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、第二次財政再建推進プランの策定の基本的な考え方でございますが、これから進めようとしておる財政再建は、都民ニーズの変化にこたえまして、東京に活力を呼び戻す施策を実施するための財源を生み出す、将来を見通した積極的な取り組みであります。
 したがって、財政再建は単に財源不足の解消だけではなく、東京を再生させる先進的な施策展開を図りつつ、財政の弾力性を回復し、持続可能な都財政を構築していくものであります。
 都財政を取り巻く環境がいまだに非常に厳しい中にありまして、このような取り組みを進めるためには、第一次財政再建推進プランからさらに一歩踏み込みまして、都庁内はもちろん、都議会、区市町村を初め、都民の皆様と問題意識を共有し、あらゆる施策及び執行体制などについて、中長期的な課題も視野に入れまして、新たな発想で見直し、都政の構造改革を積極的に推進していかなければならないと思っております。このプランは、こうした考え方に立って策定したものであります。
 次いで、行政改革についてでありますが、都はこれまでも、約六千人の定数削減や監理団体改革など積極的に取り組み、かなりの実績を上げてきたと思います。しかし、現下の厳しい都財政の状況のもと、都民サービスの充実と東京の再生という重要課題に対応していくためには、引き続き、より一層な内部努力が必要だと思います。そのために、今後三年間で約四千人に上る定数削減に取り組むつもりでございます。
 さらに、第二次都庁改革アクションプランによりまして、民間活力のさらなる活用や仕事の進め方の抜本的な見直しを行いまして、政策推進のための組織再編や監理団体改革などについて一層踏み込んだ改革を推進していきたいと思っております。
 次いで、いわゆる三位一体改革に対する今後の取り組みでありますが、官僚主導の中央集権体制を今こそ打ち壊しまして、地方自治体による自主的、自立的な行財政運営を実現するためには、改革を確実に推進する必要があります。
 しかし、現在、国で行われている議論は、どうも各省の激しい抵抗がありまして、国庫補助負担金の削減だけが先行しまして、基幹税目の移譲を先送りしようというのは、改革の本旨にそぐわないものがございます。
 まさに、地方分権一括法ができましたとき、付記として、税財源の移転は中長期の目的であるというふうに書かれておりましたが、それを具体化するような、非常に、あってはならない現象が起こっていると思います。
 殊に、東京を初めとする大都市には、首都圏の再生や環境対策など膨大な財政需要がある一方で、税収は、東京以外の地方に手厚く配分されているのが実情であります。ちなみに、いわゆる目的税、高速道路の整備のために設置されましたあのいわゆるガソリン税、揮発税は、東京の売り上げが全国の九・四%に及んでいるのに、その還元率といいましょうか、東京に関する道路に対する税の使われ方はわずか一・八%でしかございませんし、また、都民は一人大体平均百八十万の納税をしておりますが、その還元率は大体概算一人六十万円という、三分の一に及んでおりません。高知県のごときは、なんと県民一人当たりが払っている税金の二・三倍の還元を受けているという矛盾した実情がございまして、こういったものもやはり強く勘案されて、三位一体改革というものが、自主的に、公平に行われていくべきだと私は思っております。
 大都市特有の課題の解決を図るためには、地方交付税制度の抜本的な見直しを含めまして、財政需要に見合った財源の確保が喫緊の課題であります。
 都は、これまでも、国と地方の税源配分を改め、地方税財源の充実強化を図るように、八都県市の首脳会議の場なども活用しながら、国に求めてまいりました。今後とも、首都圏を初めとする他団体とも連携しまして、地方の自主性、自立性を高める改革となりますよう、国に対して強く働きかけていくつもりであります。
 次いで、平成十六年度予算編成についてでありますが、平成十六年度予算では、第二次財政再建推進プランの初年度として、財政再建の取り組みをさらに充実強化させていく必要があります。そのため、都政の守備範囲、施策の体系、仕事のやり方、都庁組織などについて改めて新たな目で洗い直しまして、内部努力の徹底と施策の見直し、再構築に努めていかなくてはならないと思っております。
 同時に、重点事業の着実な実施などを通じまして、治安の回復や中小企業対策及び福祉、医療対策など、都政の緊急課題に対応し、都民の安全と安心を確保するとともに、東京を再生し、活力を呼び戻していけるよう、全力を挙げて取り組んでいくつもりでございます。
 このように、十六年度予算編成においては、厳しい財政状況のもとにありますが、あらゆる工夫を行って財源の確保と重点的な配分に努めつつ、都が直面する緊急の政策課題の解決に万全を期していくつもりでございます。
 次いで、固定資産税等の軽減措置についてでありますが、小規模住宅用地や小規模非住宅用地などに対する都独自の軽減措置は、その時々の社会経済状況のもと、全国一律の税制の中で過重となっている二十三区の税負担を緩和するとともに、中小企業対策などの観点から導入したものであります。そのあり方については、導入の目的、その後の状況変化などを踏まえた不断の見直しが必要であると考えております。
 平成十六年度の取り扱いにつきましては、景気の状況、都の財政状況、国の税制改正の動向なども勘案し、判断していきたいと思っております。
 次いで、東京都の役割と新銀行創設の意義についてでありますが、おっしゃるとおりです。民間にできることは民間に任せればよろしいと思います。そういう政治的なトレンドの中で、何で銀行に都庁が介入して新しいものを設けるんだというご懸念ももっともだと思いますが、いってみますと、既存の金融機関、銀行がほとんど国民の役に立っていないという実情をどうするか。これは、この改善というものを国にも期待しますけれども、なかなか時間がたち過ぎて、一方では被害者、救われない者がたくさん出ております。
 これまで都においては、都庁改革アクションプランを初め、民営化の重要性を十分認識し、都政改革を進めてはまいりましたが、重ねて申しますけど、既存の銀行は、膨大な不良債権などから自己資本の劣化が進み、中小企業の資金需要に十分対応できずにおりました。また、新たな金融サービスの創造も困難な状況にあります。一種の機能麻痺を起こしているのが現況でありまして、その結果、経済環境の悪化と相まって、東京の地域経済を支えた中小企業、非常に有能な、可能性のある中小企業への融資はこの二年間で約二割減りました。中小企業の倒産件数は都内においても七千件に及ぶなど、まさに危機的な状況が続いております。
 地域経済の再生には、生きた資金が循環する仕組みを回復させることが急務となっており、つまり緊急の輸血が必要であります。それだけではなくて、新しい金融のライフラインの構築のためにも、既存金融機関の体力の回復を待つ時間的な余裕はないと判断いたしました。東京都みずからが、地域経済や都民生活に真に貢献する新しい理念の銀行を設立することにより、都民や中小企業の期待にこたえていきたいと思っております。
 重ねて、信用金庫など、地域の経済に精通した、こういった金融機関との連携についてでありますが、新銀行が効果的に中小企業融資を行うためには、地域の中小企業を熟知して、ノウハウを持っている信用金庫や商工会議所、商工会などとの連携は、これはまさに不可欠であります。新銀行が行う融資に際して、融資先企業の紹介や新銀行の技術力の審査会への専門家の派遣など、さまざまな局面で協調を図っていきたいと思っております。
 また、信用金庫などが支援を行っている企業に対し、比較的大口あるいはリスクの可能性のあるケースであっても、シンジケートを、つまりチームワークを組むことで融資を実行するなど、緊密な連携を図っていきたいと思っております。
 次いで、既存の金融システムの補完についてでありますが、新銀行は、地域に根差したトランザクションバンクを、つまりいろんな機能というものをあわせて行う、そういう銀行を目指すとともに、現地の地域金融機関では不足しているリスク負担能力を補うことも重要な役割と認識しております。
 具体的には、新銀行は、地域金融機関と協調した融資や、地域金融機関の融資に対する保証を行うとともに、劣後ローンについても、新銀行の基本姿勢や体力などの諸条件を踏まえつつ、実施に向けた検討を行っていきたいと思っております。
 次いで、観光まちづくりの全都的展開についてでありますが、観光まちづくりは、地域が主体となり、住む人が誇りに思い、旅行者がいいなあと思って何度でもまた繰り返して訪れたくなるような、活力のあるまちを目指すものであります。
 東京のまちには、観光資源が実に豊富でありまして、それぞれの地域には埋もれた資源がまだたくさんございます。また、観光振興に必要な、外国人に対する語学能力を備えた人や、ものづくりなどの才能を持った、可能性を持った、多才な人材も他に比べて非常に豊富にあります。これらを活用して、地域ごとに観光の視点に立ったまちづくりを全面的に展開していきたいと思っております。そのためにも、いいながら、なかなか完璧になっておりません情報の整備と伝達というものを積極的に考え直し、合理化していきたいと思っております。
 こういったものを活用して、地域ごとに観光の視点に立ったまちづくりを全面的に展開しまして、これによって国内外から多くの旅行者を誘致して、東京の地域経済を活性化していきたいと思っております。
 次いで、しごとセンターを設置する意義についてでありますが、雇用対策は一義的には国の役割とされてきましたが、雇用問題の解決に有効な手を打てずにおります。
 東京においては、他県に比べて旺盛な求人ニーズがあるものの、雇用のミスマッチが生じて、高い失業率をいまだ構えております。
 このため、しごとセンターは、こうした東京の実情を踏まえ、都みずからが主体的に雇用問題に取り組むために設置するものでありまして、雇用のミスマッチを解消することにより、都民の不安を取り除くとともに、東京の産業を支える人材の確保を図っていきたいと思っております。
 また、多様なニーズにワンストップでこたえるとともに、東京に集中する民間人材ビジネス会社のノウハウを積極的に活用しましてサービスを提供するなど、全国に先駆けた新しい事業モデルを目指したいと思っております。
 次いで、温暖化対策の基本的認識でありますが、地球温暖化問題は、人類の存在そのものが問われる喫緊の課題でありまして、現に、このまま温暖化が進みますと、私、昔よくダイビングに行きましたマーシャル群島の小さな共和国ですが、あそこなどはもう水没して国土が消滅するという危機にさらされているわけでありまして、この二十一世紀は、そういう意味での地球と人類の存続をかけた百年になると認識しております。
 しかし、現実には、世界の動きは、京都議定書の発効の見通しすら立っていない状況にあります。地球温暖化対策は、国の役割が決定的に重要でありますが、日本政府はどうもまだ緩慢な動きしかしておりません。実効性のある対策を打ち出せないでおります。
 都は、国の対策を待つことなく、地球温暖化とヒートアイランド現象という二つの温暖化の進行を阻止するために、都独自の実効性のある対策について検討を進めていきたいと思っております。
 温暖化対策に率先して取り組み、都民や企業、他の自治体などと連携して、広く世論を喚起して、国を動かしていきたいと思っております。
 次いで、今後の水資源開発についてでありますが、水はまさに政の根幹でありまして、水を治め、治水する、水を安定的に供給することは、国や自治体の重要な責務であると心得ております。
 都は水源の大半を他県に依存しておりまして、これまでも、水源地の理解と協力を得ながら、必要なダムの開発を国や関係自治体とともに推進してまいりました。建設中の滝沢ダム、八ッ場ダムの完成によりまして、将来の安定的な給水の確保に一定の見通しが得られていると思います。
 現在、都は将来の水需要の見直しを進めておりまして、また、渇水に対する安全性などを総合的に検討しております。その結果、本格的な工事に未着手の戸倉ダムにつきましては、参画を見直し、事業から撤退する方針であります。
 今後とも、節水対策の推進も含め、総合的な取り組みによって、渇水に対する安全性を向上させていきたいと思っております。
 次いで、羽田空港再拡張、国際化についてでありますが、羽田空港の再拡張、国際化は、東京の再生ひいては日本再生の端緒を切り開く重要な国家のプロジェクトでありまして、本来は国が積極的に責任を持って実施すべきものでありますが、それが停滞していることで、東京が引き金を引いた形になりました。
 この羽田空港の再拡張事業の財源については、国土交通省は、東京都を含む関係自治体に、無利子貸付による協力を要請しております。
 首都圏の航空需要から見て、羽田空港の再拡張事業の緊急性は極めて高く、経済波及効果も大きいことから、東京都としましても、関係他県市とともに応分の協力はすべきものと考えております。
 いずれにしても、現在、国による関係者間の調整が進められておりまして、その状況を踏まえ、最終的に判断してまいります。
 次いで、高齢者、身体障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例の意義についてでありますが、東京が魅力のある都市として持続的に発展していくためには、若者たちだけではなく、高齢者、障害のある方々など、すべての人が自由に行動し、社会参加のできるまちの実現が重要であると思います。
 東京の高齢者は全国で最も多く、約二百十万人が生活しておられます。現況を見ますと、バリアフリー化はまだまだ進んではおりません。そこで、都は、全国に先駆けて、すべての人が利用しやすい建物の整備を促進するための独自条例を定めるわけでございます。
 この条例は、これまでの施策や法律を充実強化したもので、より質の高いバリアフリー対策を全国へ発信していきたいと思っております。
 他の質問につきましては、副知事、警視総監、東京都技監並びに関係局長から答弁いたします。
   〔副知事竹花豊君登壇〕

○副知事(竹花豊君) 治安問題に関します議員の強い関心と熱い情熱に感謝と敬意を表しつつ、三点お答えいたします。
 まず、ボランティア等の相互連携と活動の活性化についてでございますけれども、私は、副知事就任以来、各地のボランティアの方々や先進的な自治体の活動を見聞し、また意見交換をする機会を積極的に持ってまいりましたが、地域の犯罪抑止活動を促進していく上で、ボランティアや区市町村の役割が重要であることにつきまして、関心をますます深めたところでございます。
 同時に、これらが相互に必要な情報を交換し、連携協力することで、さらに大きな力が生まれ、犯罪抑止の成果がより期待できるのではないかと考えております。
 こうした観点から、去る十二月一日には、区市町村の相互連携等のきっかけとなるように、行政担当者を集めての交流会を実施いたしたところでございます。さらに今月二十日には、犯罪抑止活動に関係するボランティア団体やNPOが一堂に会する、「いいなぁ 安心 ボランティアの集い」を開催する予定で準備を進めております。
 こうした交流を契機といたしまして、都及び区市町村、ボランティア間での防犯情報の共有や相互発信を行うためのネットワークをつくり、相互の連携と、それぞれの活動の活性化を図りながら、一体となって犯罪防止活動を進めていくことといたしております。
 また、ご指摘の緊急都民総決起集会のような、行政レベルとは違ったさまざまな立場で安全・安心まちづくりのための運動が広がっていくことは、都全体での動きをさらに促進する上でも重要なものでございまして、今後の広がりを期待しているところでございます。
 次に、子どもを犯罪に巻き込まないための方策を提言する会からの緊急提言の具体化についてでございますが、六十六項目に及びます緊急提言は、その一つ一つが、子どもを犯罪に巻き込まないための有効な方策を含んでおりまして、できる限り早期に実現したいと考えております。
 具体的な方策として、非行、犯罪の被害防止教育が提案をされておりますが、来年度以降、すべての公立小中学校、都立学校で、非行防止や犯罪の被害防止を目的としたセーフティー教室を実施する予定でございます。
 その教育内容につきましては、今月十五日に、専門家による非行防止・犯罪の被害防止教育の内容を考える委員会を発足をさせまして、検討を進めることといたしております。
 また、凶悪犯罪を引き起こす子どもの中には、万引きなどの比較的軽微な罪を繰り返した上で重大な事件を起こすに至る者もおりまして、そうした軽微な万引きなどを起こさせないための指導や工夫を行うことも重要であると考えております。
 このため、書店、コンビニエンスストアといった関係業界や、警察、学校などの幅広い参加のもと、万引き防止のための協議会を年内に設立し、具体的な万引き防止策について検討し、実施をしていくこととしております。
 さらに、子どもを犯罪に誘いかねないさまざまな有害環境の改善が提起をされておりますが、これにつきましては、過日、知事から東京都青少年問題協議会に諮問を行い、現在、同協議会で検討を進めております。
 その他、少年の保護観察制度の実効性確保に関する規定の新設など、必要な少年法の改正を国に対して求めていくとともに、今後、警視庁、国、区市町村、ボランティア団体、NPOなどさまざまな関係機関や団体と連携し、提言の実現に向けた取り組みを進めてまいることといたしております。
 次に、治安回復に向けた態勢の整備についてでありますが、来年度予算におきまして、全国の地方警察官の増員が認められますれば、そのうち警視庁への大幅な増員が図られるよう、さらに要請してまいりたいと考えております。
 また、警視庁においてさらに業務の効率化を進められること、また警察官OBの活用を一層拡充することとあわせまして、都職員の派遣につきましても、警察官の増員その他の予算面の支援をあわせて、警察の執行力強化につながる支援策の一環として、派遣数、派遣期間などを含めた具体的内容を取りまとめ、できるだけ早くお示ししていきたいと考えております。
   〔警視総監石川重明君登壇〕

○警視総監(石川重明君) 初めに、首都東京における不法滞在外国人対策の強化に関する共同宣言に基づく活動の効果について、お答えをいたします。
 議員ご指摘のとおり、この宣言は、国や地方の枠組みを超えまして関係機関が連携して、外国人組織犯罪の温床となっている不法滞在者対策を行うためのものであります。
 その中の施策の一つといたしまして、十月二十七日から、早期かつ効率的に不法滞在者の退去手続を進めるために、他に余罪があるなどの悪質な場合を除きまして、不法滞在者を不法残留期間の長短にかかわらず、出入国管理及び難民認定法第六十五条を適用いたしまして、逮捕留置後四十八時間以内に入国警備官に引き渡すことといたしました。
 この結果を見ますと、十一月末までのほぼ一カ月で、昨年同期比二・八倍の不法滞在者約一千人を警視庁において検挙をし、このうち約六五%の人数を、本施策により入管に引き渡しております。
 したがいまして、従来の刑事手続における二十日間の勾留と、この間の取り調べ、あるいは裏づけ捜査等が省略できた分、検挙人員の増加につながるという効果があらわれているというふうに考えております。引き続き、こういった施策を推進してまいりたいというふうに考えております。
 次に、国際テロに対する警視庁の警備対策について、お答えを申し上げます。
 警視庁におきましては、一昨年の米国における同時多発テロ事件、あるいは米国等によるイラクに対する武力行使後の国際テロ情勢を踏まえまして、テロリストを国内に入れない、拠点をつくらせない、テロを起こさせないという三つの観点から、都内における国際テロ対策を推進するために、重要施設に対する警戒警備を強化をいたしているほか、昨年十月には、国際テロ対策を専門に担当する外事第三課を新設をいたしまして、実態の把握、情報の収集、違法行為の取り締まり等の諸対策を一層強化をしているところであります。
 今後も、現在の情勢のもとで、関係機関との緊密な連携を図りまして、テロリスト、武器に対する水際対策を講ずるほか、情勢の推移を見きわめながら、さらに警備部隊による警戒を徹底するなど、テロ対策を強力に推進をいたしまして、その未然防止に万全を期してまいります。
   〔東京都技監小峰良介君登壇〕 

○東京都技監(小峰良介君) 都市基盤整備に関する五点の質問にお答えいたします。
 まず、首都高速道路中央環状新宿線整備に関連します、大橋地区におけるまちづくりの意義についてでございますが、当地区には、中央環状新宿線と東名高速道路をつなぐ重要な施設でございます大橋ジャンクションが建設されます。この建設につきましては、地元住民等から、周辺環境への配慮と定住性の確保が強く求められてまいりました。このため、本年一月、ジャンクションの建設と一体となったまちづくりを行う、市街地再開発事業を都施行で実施することを決定いたしました。
 これを契機に、地元地権者等の理解と協力が得られ、公団によるジャンクション建設の着手とあわせ、地域の方々が住み続けることのできるまちづくりが可能となりました。
 次に、まちづくりの現状と今後の取り組みについてでございますが、大橋ジャンクションにつきましては、平成十八年度の中央環状新宿線の開業に向け、既に事業用地はおおむね八割取得しております。
 再開発事業につきましては、本年十月に都市計画案の説明会を実施するなど、地元住民等の意見を聞きながら手続を進めており、今年度中に都市計画を、来年度には事業計画を決定してまいります。
 今後とも、地元目黒区等や公団と十分連携し、ジャンクション建設と一体となったまちづくりの早期実現に努めてまいります。
 次に、小田急小田原線の下北沢駅付近の連続立体交差事業についてでございますが、本事業は、代々木上原駅から梅ヶ丘駅間、延長二・二キロを地下化し、九カ所の踏切の除却、地域分断の解消を図るとともに、複々線化により交通の円滑化やラッシュ時の混雑緩和を図る、効果の高い事業でございます。
 現在、トンネル構造物の設計や環境調査等を行うとともに、鉄道事業者と施行協定の締結に向けた調整を進めております。国や鉄道事業者との協議を早期に調え、今年度末に事業認可を取得してまいります。
 次に、多摩地域の道路用地の取得についてでございますが、多摩の南北道路等は、多摩地域の自立性の向上を図り、東京全体の活力を高める上で欠かすことのできない幹線道路でございます。
 その整備に当たりましては、道路用地を早急に取得することが重要であり、平成十四年度及び十五年度の二カ年で約一千億円、そのうち骨格幹線道路であります南北道路につきましては約五百三十億円の予算を確保し、用地取得に取り組んでおります。
 今後とも、国費等の財源確保に努めるとともに、移転資金の貸し付けや代替地のあっせんを行うなど、関係権利者の生活再建を支援しながら、きめ細かな折衝を重ね、積極的に用地取得を推進してまいります。
 最後に、横断歩道橋の撤去についてでございますが、横断歩道橋は、昭和四十年代に、交通安全対策上の緊急措置として集中的に整備され、これまで、歩行者の安全確保と自動車交通の円滑化に寄与してまいりました。
 しかし、近年、都民意識や交通環境などの変化に伴い、利用度の低い歩道橋も生じているため、これらについて、周辺の環境や利用状況などの調査を実施いたしました。
 今後、利用者が著しく少なく、近くに横断歩道があり、さらに通学路に指定されていないこと等の条件を満たす歩道橋につきましては、交通管理者と調整を行うとともに、地元住民の理解を得て段階的に撤去し、都市景観の再生と、よりよい歩行空間の整備を図ってまいります。
   〔主税局長川崎裕康君登壇〕

○主税局長(川崎裕康君) 平成十五年度の都税収入見通しについてでございますが、我が国経済は昨年後半より引き続き緩やかな回復基調となっており、都税収入は、企業収益が改善した法人二税を中心に、これまでのところ堅調に推移しておりますが、税収に大きなウエートを占めます十一月と、その後の十二月の税収状況をさらに見きわめていきたいと思っております。
 また、十六年度の都税収入見通しについてでございますが、現在精査中であります。今後、国の税制改正や景気動向を考慮しながら、的確に算定してまいります。
   〔財務局長櫻井巖君登壇〕

○財務局長(櫻井巖君) 財政運営に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、今後の都債の活用についてでありますが、戦後長い間、都債は国の枠組みの中で発行されてきたというのは、お話のとおりでございます。しかし、こうした制度は硬直化が進み、もはや十分機能しなくなってきておりまして、市場原理に基づく新たな仕組みに変えていくべき時期に来ていると考えております。
 また、都税収入の大幅な伸びが見込めない中で、都債は、東京の再生を図るための社会資本の整備などの貴重な財源としまして、その重要性を一層増しております。
 今後とも、こうした観点に立ちまして、国に依存しない都独自の都債の制度改革を一層進めていくとともに、都市再生など東京の活力を呼び戻す政策につきまして、将来の財政負担に十分配慮しながら、都債の機能を適時適切に活用してまいります。
 次に、財政調整基金の残高回復と機能強化についてでありますが、都税収入は、景気変動を受けやすい法人二税に大きく依存しておりまして、年度間の変動が大きく、この変動を緩和する工夫が、安定的な都民サービスの提供には不可欠でございます。また、突発的な財政需要への備えも適切に行わなければなりません。
 地方交付税の不交付団体である都は、税収の変動を補って財源を安定的に確保することが難しく、年度間の財源調整を果たす財政調整基金の役割は極めて大きいと考えております。
 税収の先行きが不透明な中で、財政調整基金の役割は今後一層重くなり、その機能を充実する必要があることから、第二次財政再建推進プランの実施に当たりましては、その残高回復と機能強化について前向きに取り組んでまいります。
   〔生活文化局長三宅広人君登壇〕

○生活文化局長(三宅広人君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、私学助成についてのお尋ねであります。
 東京の私立学校は、多様化する都民の教育ニーズに対応しながら、公立学校と同様、公教育における重要な役割を担っております。このため、都はこれまでも、公私格差の是正に配慮しつつ、より私学の実態に即した補助のあり方について見直しを行う一方で、新たな需要にも対応できますよう、振興策の構築にも取り組んでまいりました。今後とも、ご指摘の私学の現状を踏まえて、適切に対処してまいります。
 次に、青少年の健全育成についてでありますが、青少年を取り巻く環境は憂慮にたえない状況であります。青少年の深夜外出の制限や、大人でも目を覆うような不健全な図書等のはんらん防止など、大人が責任を持って子どもたちを守る環境を整備することこそ、今日、一刻の猶予も許されない、喫緊の課題であります。
 都は現在、青少年問題協議会に諮って、青少年健全育成条例の改正を検討しており、この答申を受けまして、所要の措置を講じ、青少年の健全育成を強力に推進してまいります。
 最後に、専門学校の評価システムへの支援についてであります。
 専門学校が、ご指摘のような東京の活力を支える職業人養成の場としての役割を踏まえ、その教育内容や運営状況をみずから公開するとともに、第三者機関による評価の仕組みをつくることは、学校運営の健全性や透明性を高め、東京の専門学校全体のさらなるレベルアップにもつながるものと考えております。
 都としても、東京都専修学校各種学校協会が設立を予定しております、私立専門学校評価研究機構の立ち上げが円滑になされるよう、支援してまいります。
   〔福祉局長幸田昭一君登壇〕

○福祉局長(幸田昭一君) 児童相談所及び子どもの自立支援に関します二点のご質問にお答えいたします。
 まず、児童相談所の体制強化についてでございますが、児童相談所では、これまでも、児童福祉司を増員するとともに、困難なケースに的確かつ効率的に取り組むためにチーム制を導入するなど、体制の強化を図ってまいりました。
 さらに、本年度は、これまでの児童相談センター虐待対策課の三年間の実績を踏まえ、児童虐待に迅速かつ機動的に対応するため、すべての児童相談所に虐待対策班を設置いたしました。
 今後、子どもを犯罪に巻き込まないための方策を提言する会からの緊急提言を踏まえ、児童虐待や非行への対策をより一層充実するためには、ご指摘のとおり、児童相談所の専門性や法的対応力を高める必要があり、平成十六年度の重点事業として、児童相談所長への民間人の登用や児童福祉司の増強を行うとともに、すべての児童相談所に非常勤弁護士を配置するなど、児童相談所の抜本的改革に取り組んでまいります。
 次に、社会的養護のもとで育った子どもたちの自立支援についてでございますが、児童養護施設などで育った子どもたちの多くは、保護者からの虐待による心の傷に加え、近年の厳しい経済状況などから、社会人として自立した生活を送ることが困難となっております。このため、就職しても一年足らずで退職したり、転職を繰り返す子どももおり、自立支援策の充実が重要な課題と認識しております。
 都はこれまで、中学、高校等卒業後、就労による自立を目指す子どもたちのために、就労や日常生活上の援助、指導を行う場となる自立援助ホーム事業につきまして、国基準を大幅に上回る補助を行うとともに、高校卒業後の進学の道を開くなど、都独自の支援策を講じてまいりました。
 今後とも、社会的養護のもとで育った子どもたちが社会人として自立できるよう、これらの施策の充実に努めますとともに、施設卒園生への訪問、援助など、精神面へのバックアップの仕組みづくりを行い、従来にも増して、より積極的な支援に取り組んでまいります。
   〔健康局長平井健一君登壇〕

○健康局長(平井健一君) 五つのご質問にお答えいたします。
 まず、SARSに対する警戒態勢についてでございます。
ご指摘のとおり、SARSの流行拡大を未然に防止するためには、非流行時からの対応が大変重要でございます。このため、都は、SARSの再発に備えまして、都内約七百の医療機関から、SARSが疑われる患者情報を迅速的確に把握する都独自の危機管理システム、東京SARSアラートを既に立ち上げたところでございます。
 今後とも警戒を怠ることなく、SARS対策に万全を期してまいります。
 次に、多摩地域の保健所を再編する理由でございますが、平成九年の母子保健事業の移管以降も、介護保険事業の開始や精神保健福祉事業の一部移譲など地方分権が進みまして、住民に身近な市町村で基本的な対人保健サービスを提供できる体制が整備されてきております。
 一方、SARSなど新たな感染症や食品の安全問題など、より広域的、専門的な対応を必要とする健康危機課題が発生しております。
 こうした状況の変化に的確に対応いたしまして、都の保健所が果たすべき機能を効率的、効果的に発揮できるよう、二次保健医療圏における総合的な保健医療施策の拠点として再編整備することとしたものでございます。
 再編後の保健所が強化していく事業でございます。
 現在策定中の地域保健医療推進プランに基づきまして、医療連携の推進による地域ケアシステムづくりや、青少年のひきこもり対策など、多岐にわたる健康課題の解決に、関係機関と協働して取り組んでまいります。
 また、身近な保健サービスを担う市町村への支援機能を強化するため、総合的な支援制度を創設し、市町村が行う保健施策を、人的、技術的、財政的に支援していきます。さらに、医療機関、警察、消防、市町村等をメンバーに、健康危機管理対策協議会を設置いたしまして、危機管理計画を策定するとともに、発生時を想定した実践的な訓練を行うなど、健康危機への対応に万全を期してまいります。
 次に、保健所再編後の所管区域の状況に応じた対策についてでございます。
 ご指摘のとおり、多摩の各地域には、面積、人口や地理的条件など、さまざまな特性がございます。このため、再編後の所管区域の状況に応じまして、保健所から市町村等への出張事業の拡充や、身近な会場を利用した講習会の実施など、必要な対応を図ってまいります。
 また、再編にかかわる市町村の地域特性等を勘案いたしまして、関係自治体と十分に調整、協議の上、必要に応じて、分室的機能の存置などの対策を適切に講じてまいります。
 最後になりました。区立病院設置の取り組みに対する認識についてでございますが、台東区のように、区が住民に身近な地域医療の充実のために、みずから主体的に病院整備に取り組まれることは、都と区市町村との医療提供における役割分担の観点から望ましいことであり、また、基礎的自治体である区市町村が住民に身近なサービスを提供することは、地方分権の流れにも合致するものと評価しているものでございます。
   〔消防総監白谷祐二君登壇〕

○消防総監(白谷祐二君) 住宅の防火対策に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、住宅の防火対策におけるこれまでの取り組みについてでありますが、火災による死者の約九割が住宅火災によるものでありますことから、東京消防庁では、春、秋の火災予防運動などの機会をとらえまして、放火火災の予防や、消防署員が住宅を訪問し住宅防火診断を行うなど、住宅防火対策を強力に推進してまいりました。特に、高齢者等災害時要援護者の住宅に対しましては、都及び区市町村と連携しまして、住宅用火災警報器の設置により、防火対策を図ってきております。
 また、平成四年からは、消防機関の努力義務として、防火意識の高揚、住宅の防火性能の向上などの推進、都民の努力義務として住宅火災の予防を火災予防条例で規定するとともに、住宅火災からの人命の安全を図るため、学識経験者、関係行政機関等から成る東京都住宅防火対策推進協議会を設置し、住宅用火災警報器等の普及のためのモデル事業やキャンペーンなどを実施してまいりました。
 さらに、平成十年からは、高齢者等災害時要援護者に対しまして、火災発生時に消防機関に自動的に通報できる火災安全システムの普及促進を図り、平成十二年からは、各消防署単位に署住宅防火等推進協議会を設置し、消防署、町会、自治会等が一体となり、住宅用防災機器等の普及促進、広報や住宅防火の意識啓発に積極的に取り組んできたところでございます。
 しかしながら、ご指摘のとおり、本年の住宅火災による死者は十月末日現在百人で、昨年と比較し三十五人増加しており、極めて憂慮される事態となっております。
 次に、米国における住宅の防火対策とその効果についてでありますが、米国では、一九七〇年代後半から、各州において住宅用火災警報器の設置義務の法制化が進められ、一九九七年には、五十州のうち四十一州で義務づけが行われるに至ったとのことであります。その結果、米国防火協会の調査によりますと、一九七七年におきまして住宅用火災警報器の設置率が二割にすぎなかったものが、一九九七年には九割を超え、これに伴いまして、住宅火災による死者数が年間約六千人から年間約三千四百人へと大幅に減少したと報告されております。
 最後に、今後の住宅防火対策の推進についてでありますが、本年十月、有識者等による住宅防火対策の効果的な推進方策に係る検討委員会を設置し、住宅防火対策の推進方策のあり方等について検討を重ねてまいりました。
 その結果、住宅火災による死者の低減効果の高い防火対策として、第一に、新築住宅に関しては、住宅用火災警報器の設置について、火災予防条例による義務化の方向で検討を進めていく必要があること、第二に、既存の住宅に関しても、住宅用火災警報器の設置について、火災予防条例において努力義務を規定化していく必要があること、第三に、住宅用消火器、住宅用自動消火装置など、住宅用火災警報器以外の住宅用防災機器等に関しては、火災予防条例による努力義務を明確にし、設置等をさらに推進していく必要があること、第四に、これらの住宅用防災機器等を適正かつ効果的に設置、促進するための具体的な方策として、住宅用防災機器等の低価格化及び性能確保、安心かつ容易な購入方策等の整備、不正な訪問販売等の防止、高齢者、障害者等への支援、住宅用防災機器等の有効性と設置普及についての積極的な広報活動の推進などの方策を図っていく必要があることが提言されたところであります。
 今後、本検討委員会の提言を踏まえまして、住宅用火災警報器の設置の義務化などにおきまして、火災予防条例の改正案を提出できますよう検討するとともに、住宅用防災機器等の普及を推進するための各種施策を積極的に図ってまいります。
   〔病院経営本部長碇山幸夫君登壇〕

○病院経営本部長(碇山幸夫君) 都立病院改革に関します二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、都立大久保病院の東京都保健医療公社移管についてでございますが、都立病院の役割は、全都民を対象にいたしまして、一般の医療機関では対応が困難な高度、専門的な行政的医療を適正に提供していくことにございます。一方、公社病院でございますが、かかりつけ医や地域の医療機関等との連携強化によりまして、地域全体の医療の充実を図ることをその役割としておるわけでございます。
 これまで、都立病院改革マスタープランなどにおきまして、都全体の医療提供体制を視野に入れました検討を行いまして、大久保病院につきましては、現行の医療機能や患者動向の地域性を踏まえ、地域の中核病院としてその機能を充実させていくこととしまして、その運営を公社に移管することとしたものでございます。
 次に、都立豊島病院の区立病院化に関します板橋区の要望書についてでございます。
 板橋区が地域医療の充実のために主体的に病院の運営に取り組むことは、医療提供におきます都と基礎的自治体との役割分担に合致するとともに、特別区の自治権拡充の観点からも望ましいことと考えておりまして、今回の区の要望を前向きに受けとめてまいります。
 なお、移管に関しましては、財政上の問題など、都と区双方において解決すべきさまざまな課題があるため、区及び関係局等と十分検討を進めまして、できるだけ早い時期に都としての方向性を明確にしてまいります。
   〔産業労働局長有手勉君登壇〕

○産業労働局長(有手勉君) 産業・雇用対策に対する六点のご質問にお答えいたします。
 まず最初に、制度融資の改善についてでございますが、制度融資の利用を促進するためには、中小企業及び金融機関の双方にとってわかりやすく使いやすい制度にすることが重要でございます。
 具体的検討状況でございますが、これまで複雑であった融資メニューを個別に点検いたしまして、目的や手続ごとに統合し簡素化するとともに、提出書類を簡略にすることなどを検討しております。また、中小企業への資金供給を促す観点から、金利設定を、従来の長期、低利、固定にとらわれず、弾力的なものとすることもあわせて検討中でございます。今後も、制度融資の改善に向けまして積極的に取り組んでまいります。
 次に、ベンチャー企業等に対する金融支援の検討状況についてでございます。
 ベンチャー企業や再生可能な中小企業を支援していくことは、都の産業を活性化する上で緊急の課題であると思っております。
 そこで、まず、技術力がありながら資金調達に苦しむベンチャー企業に対しては、民間資金を投入した投資法人を新たに設立して資金供給を行い、ベンチャー企業の株式上場を目指した成長支援の仕組みを検討しております。
 また、再生の見込みがありながら融資を受けることが困難な中小企業に対しましては、再生ファンドを活用した直接金融による支援とあわせ、経営支援を行い、企業再生を図ることを検討しております。
 次に、今後の商店街振興についてでございます。
 商店街とチェーン店等とは、地域経済を支えるほか、まちのにぎわいや安全の確保、住民の生活の場の提供などの役割をともに担っております。こうした役割を果たしていく上で、両者が話し合いの場を持ち、円滑な協力関係をつくっていくことは重要と認識しております。
 また、お話にございました、世田谷区が同様の趣旨で条例改正をしたことは十分承知しております。
 都といたしましては、商店街とチェーン店等が話し合い、地域コミュニティの核としての役割を果たしていけるよう、関係団体等の取り組みを積極的に支援してまいります。
 次に、上野地区の観光まちづくりについてでございますが、上野地区では、本年度、観光まちづくり検討会を設置し、歴史と文化が体感できる回遊性のあるまちづくりを目指しまして、基本構想を年度内に策定することとしております。今後は、この基本構想に基づきまして、商店街、文化施設や地元区などの参画を得まして、地域が主体となって上野地区の観光まちづくりの具体的な展開を図ってまいります。
 都は、これらの取り組みを強力に推し進める組織づくりを支援するとともに、課題となっている回遊性を高めるために、案内板の整備やイベント開催の促進などに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、しごとセンターの特色についてでございます。
 第一に、ハローワークが対象としていない起業、創業のほか、就農などの多様なニーズに一カ所で対処すること、これが第一点でございます。第二点、求職者の就職活動を支援することでありまして、個別のキャリアカウンセリングを中心に、適職診断、能力開発などを行うこと、第三点といたしまして、複数の民間人材ビジネス会社を競わせることで、民間のノウハウを引き出し、より高い事業効果を追求していくこと、第四点、福祉人材センターなどのさまざまな雇用関係の機関を集約して効率的にサービスを提供する、このような四点を主な特色としてございます。
 最後でございますが、しごとセンターの開設でございます。
 厳しい雇用情勢を考えますと、ご指摘のように、早い時点で対応する必要があると認識しております。平成十六年四月に運営を担う財団を発足させまして、来年夏を目途として、可能な限り早期の開設を目指してまいります。また、就職者数など具体的な事業目標につきましても、早々にお示しできるように鋭意検討を行ってまいります。
   〔大学管理本部長山口一久君登壇〕

○大学管理本部長(山口一久君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、ナノテクノロジーセンターについてでありますが、ナノテクノロジーは非常に小さい原子、分子レベルにおける物質の特性を生かした技術でありまして、応用範囲が広く、今注目されている技術分野でございます。
 このナノテクノロジーセンターを、単に大学や研究機関の研究にとどめておくのではなく、その最先端の研究成果や技術を企業に移転させ、製品化させていくことが重要であります。
 城南地域は、微細加工技術を初めとした日本を代表する高度な技術力を持った中小企業群が集積しておりまして、ナノテクノロジーを受け入れる素地がございます。このため、ナノテクノロジーセンターを平成十七年一月に城南地域に設置し、都立の大学や産業技術研究所などが連携しまして、その研究成果を中小企業の技術革新につなげ、新しい産業を創出するなど、東京の産業を強化してまいります。
 次に、ナノテクノロジー以外の分野についてでありますが、先月の二十七日に東京都産業科学技術振興基本指針を策定し発表いたしました。この指針では、ナノテクノロジーのみならず、IT、環境などの分野における産業科学技術の振興を都としても主要施策と位置づけ、国や首都圏の自治体との連携を図りつつ、総合的かつ計画的に推進することとしております。
 今後、都民や有識者の方から意見を聞きながら、来年二月には東京都産業科学技術振興指針として策定し、東京の特性を生かした産業科学技術の振興を図ってまいります。
   〔港湾局長成田浩君登壇〕

○港湾局長(成田浩君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、臨海地区の観光まちづくりについてでありますが、臨海地区の活性化のためには、海や運河、広大な空間など、ベイエリアならではの魅力を生かすことが必要でございます。とりわけ臨海副都心では、地域の魅力と民間活力をより一層引き出すための規制緩和を進め、地域と来訪者とのさまざまな交流の場を創出していくことが不可欠でございます。
 このため、こうした交流の場を人々が躍動する舞台に見立てた舞台都市を基本コンセプトといたしまして、当面の具体策としましては、今日のデジタル時代にふさわしい世界的なデジタルアートフェスティバルの開催を初め、お台場のビーチバレーの通年実施や、りんかい線国際展示場と東京ビッグサイトを結ぶ屋根つきの回廊の整備など、観光の視点に立ったにぎわい豊かなまちづくりを進めてまいります。
 次に、物流改革の柱となる高機能物流拠点の整備でございますが、経済のグローバル化により、海外に生産拠点が移転する中、首都圏物流の結節点となる東京港は、商品の調達、保管、輸送などを総合的なシステムとしてとらえ、効率化を図る物流革新、ご指摘のサプライ・チェーン・マネジメントもその一つでございますが、この物流革新に的確に対応しなければならないと考えております。
 そこで、増加する輸入貨物に対応するため、大井、青海コンテナターミナルに隣接しました中央防波堤外側埋立地に、ITを駆使した自動仕分け、流通加工などができる物流倉庫群や、トラックターミナルなどを有機的に集積させた大規模な高機能物流拠点を整備いたします。こうした取り組みにより、港湾サービスの向上を図り、東京港の国際競争力を強化してまいります。
 次に、港湾地域から背後圏への物流効率化についてでございますが、日本経済の国際競争力を強化するためには、物流全体の時間短縮、コスト低減が不可欠でございまして、そのために、港湾だけではなく、内陸部も含めた広域交通ネットワークの形成が必要でございます。
 また、喫緊の課題として、港湾地域と内陸部を結ぶ主要幹線道路におきます大型コンテナ車両に対する高さ制限や、橋梁部の重量制限などの物流ボトルネックの解消がございます。
 これらの問題を解決するため、規制緩和や道路の改良などにつきまして全庁的な推進体制を確立するとともに、国等関係機関への働きかけを行い、港湾地域から内陸部への迅速な物流の確保に努めてまいります。
   〔知事本部長前川燿男君登壇〕

○知事本部長(前川燿男君) 物流対策についてお答え申し上げます。
 我が国の物流の高コスト構造の改革は、日本の国際競争力の強化にとって喫緊の課題であると考えております。中でも首都圏は日本の物流システムのかなめの位置にありまして、道路、港湾、空港などの交通インフラ網の整備や情報基盤の充実など、物流の効率化に向けて実効性ある政策の展開が必要でございます。
 このため、都として、来年度、首都圏をにらんだ長期的な物流環境の改善を目指す総合物流ビジョンの策定に向け検討に着手をするとともに、当面、東京港の港湾コストの削減や貨物搬出入時間の大幅短縮、多摩地域の物流拠点の整備などに取り組んでまいります。
   〔環境局長小池正臣君登壇〕

○環境局長(小池正臣君) 温暖化対策に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、環境対策と経済活性化に関する経済界との認識の共有についてでございますが、基本的に環境と経済は相反する関係にあるのではなく、環境配慮が内在化された社会システムを実現してこそ、経済の持続的な発展が可能になると認識しております。
 温暖化対策を進めることにより、エネルギー効率の高い設備の開発や、ESCO事業などエネルギー管理産業の発展、省エネによるコストの縮減など、新たな技術開発や経済の活性化を促すものと考えております。
 今後とも、さまざまな機会を通じて経済界との認識の共有化を図り、東京の経済の活性化につながる温暖化対策の取り組みを積極的に進めてまいります。
 次に、環境審議会の検討状況と今後の予定についてでございますが、温暖化対策は社会システム全体にかかわるため、さまざまな立場から幅広い議論を進めていくことが重要と考え、昨年十二月、環境審議会への諮問を行いました。現在、大量のCO2を排出する大規模な事業所への対策など、実効性ある温暖化対策について精力的に検討していただいております。
 今後、これまでの検討結果を踏まえ、来年の二月ごろまでに中間のまとめをいただき、幅広く都民、事業者の方々の意見を聞いた上で、早期に審議会の答申をいただき、都の実施方針を策定してまいります。
   〔水道局長飯嶋宣雄君登壇〕

○水道局長(飯嶋宣雄君) 水道事業に関する三点についてお答えいたします。
 最初に、水道需要の動向についてでございますが、近年、水道需要は、長期にわたる景気の低迷やたび重なる渇水などの影響を受けまして、減少もしくは横ばいの状況で推移しております。
 将来の水道需要につきましては、近年の需要動向及び今後の経済成長率等の指標を踏まえまして、一日最大配水量を現行の六百五十万立方メートルから六百万立方メートルに見直しいたします。
 次に、水道事業運営についてでございますが、いうまでもなく、水道は都民生活や首都東京の都市活動を支える重要なライフラインであり、安全でおいしい水の安定的な供給は水道事業者に課せられた重要な使命でございます。また、多様化、高度化する都民ニーズに的確にこたえていくため、渇水への対応や震災対策を充実することなどによりまして、一層の安定給水を確保することはもとより、飲料水としての質の向上、サービスの充実などに取り組んでいく必要がございます。
 こうした点を踏まえて、新しい経営計画を策定いたしまして、効率的な経営のもと、首都東京にふさわしい質の高い水道サービスの実現に向けて局を挙げて取り組んでまいります。
 最後に、料金体系の見直しなどについてでございますが、水道料金のあり方は、事業経営上の課題でありますとともに、都民負担にかかわる重要な問題であると認識しております。
 料金体系につきましては、昭和五十年以降、基本的な枠組みを維持してまいりましたが、近年、水需要構造や都民の意識が大きく変化しております。特に、基本水量制につきましては、節水のインセンティブの付与や一律料金の是正などを求める要望が相当数寄せられておりまして、こうした都民の声に適切にこたえていく必要がございます。
 ご指摘のとおり、料金体系を見直す際には、都民サービスを一層充実していくことはもとより、効率的で成果を重視する視点で施策の見直しを進めますとともに、職員定数の削減など、さらに一層の企業努力に努めることによりまして、都民負担に十分配慮してまいります。
   〔都市計画局長勝田三良君登壇〕

○都市計画局長(勝田三良君) 水資源等、四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、八ッ場ダムの必要性についてでございますが、都はこれまで、都民への安定的な水供給を確保するため、必要な水源の確保に努力してまいりました。しかしながら、近年における少雨傾向等を考慮いたしますと、将来の水道需要の見直しを行ってもなお、水源の安定性を確保しているとはいえない状況にございます。
 八ッ場ダムは、将来の安定的な水の供給にとっても、また治水の上からも不可欠なダムでございます。八ッ場ダムは、昭和二十七年の構想発表以来、地元の長年にわたる賛否をめぐる論議を経まして、平成十三年にようやく水没関係者との間で合意を得るに至ったものでございます。都といたしましては、八ッ場ダムを一日も早く完成させる必要があると考えております。
 次に、踏切対策についてでございますが、都内にはいまだ約千二百カ所の踏切が残されておりまして、都市活動や住民生活に多大な影響を与えております。こうした踏切問題を解消し、都市再生を図っていくためには、連続立体交差事業を着実に実施していくとともに短期間で実施可能な対策も進めていくなど、総合的に対策を展開していくことが重要でございます。
 このため、現在、都内の踏切について、地域の実情を踏まえながら、重点的に対応すべき踏切を選定し、その対応策を示す基本方針を策定しております。今後、基本方針の骨格部分につきまして年内に中間的な取りまとめを行い、都民意見の募集などを経て、最終的な取りまとめを行っていく予定でございます。
 次に、高齢者、身体障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例の制定に当たり、東京の実情に配慮して具体化した内容についてでございますが、今回の条例では、高齢者のいる世帯のうち、共同住宅に住む世帯の割合が全国で最も高いことから、共同住宅をバリアフリー化の対象としております。また、人口の集中と都市機能が高度に集積している東京において、高齢者や障害者等の社会生活をより快適にするため、生活に身近で小規模な建物などについても対象としております。さらに、子育てをしている人たちが安心して活動できるための子育て支援設備の整備を基準に加えるなど、東京の実情に配慮したきめ細かい対応を行っております。
 最後に、バリアフリー化を促進するための支援策についてでございますが、建物の所有者等に対しては、条例等により義務を課すだけではなく、バリアフリー化への意欲を喚起することも大切でございます。
 このため、都は、質の高いバリアフリー対応がなされている優良な建築計画に対して容積率の緩和制度を積極的に運用するなど、建物の建てかえ等を促進してまいります。
 これに加え、所有者等に対する税制上の優遇措置や低利融資制度などの活用を拡大していくため、制度を解説したパンフレットの配布や、インターネット、広報紙などのさまざまな広報媒体を活用した普及活動などに積極的に取り組んでまいります。

○議長(内田茂君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時十六分休憩

ページ先頭に戻る