平成十五年東京都議会会議録第十六号

平成十五年十二月二日(火曜日)
 出席議員(百二十一名)
一番谷村 孝彦君
二番東村 邦浩君
三番村上 英子君
四番鈴木あきまさ君
五番秋田 一郎君
六番鳩山 太郎君
七番後藤 雄一君
八番福士 敬子君
九番林  知二君
十番伊沢けい子君
十一番執印真智子君
十二番富田 俊正君
十三番山下 太郎君
十五番河野百合恵君
十六番長橋 桂一君
十七番小磯 善彦君
十八番野上じゅん子君
十九番ともとし春久君
二十番中屋 文孝君
二十一番北城 貞治君
二十二番高橋かずみ君
二十三番山加 朱美君
二十四番串田 克巳君
二十五番吉原  修君
二十六番山田 忠昭君
二十七番臼井  孝君
二十九番山口 文江君
三十番柿沢 未途君
三十一番初鹿 明博君
三十二番酒井 大史君
三十三番清水ひで子君
三十四番かち佳代子君
三十五番小松 恭子君
三十七番藤井  一君
三十八番東野 秀平君
三十九番中嶋 義雄君
四十一番林田  武君
四十二番野島 善司君
四十三番服部ゆくお君
四十四番真鍋よしゆき君
四十五番三宅 茂樹君
四十六番いなば真一君
四十七番近藤やよい君
四十八番高島なおき君
四十九番鈴木 一光君
五十番新井美沙子君
五十一番花輪ともふみ君
五十二番真木  茂君
五十三番大津 浩子君
五十四番大塚 隆朗君
五十五番樋口ゆうこ君
五十六番古館 和憲君
五十七番松村 友昭君
五十八番丸茂 勇夫君
五十九番鈴木貫太郎君
六十番森田 安孝君
六十二番石川 芳昭君
六十三番土持 正豊君
六十四番こいそ 明君
六十五番倉林 辰雄君
六十六番小美濃安弘君
六十七番吉野 利明君
六十八番川井しげお君
六十九番矢島 千秋君
七十番野田 和男君
七十一番三原 將嗣君
七十二番田島 和明君
七十三番宮崎  章君
七十四番大河原雅子君
七十五番相川  博君
七十六番中村 明彦君
七十七番河西のぶみ君
七十八番馬場 裕子君
七十九番和田 宗春君
八十番大山とも子君
八十一番東ひろたか君
八十二番池田 梅夫君
八十三番中山 秀雄君
八十四番大木田 守君
八十五番前島信次郎君
八十六番桜井良之助君
八十八番比留間敏夫君
八十九番新藤 義彦君
九十番田代ひろし君
九十一番松原 忠義君
九十二番遠藤  衛君
九十三番星野 篤功君
九十四番山本賢太郎君
九十五番立石 晴康君
九十六番清原錬太郎君
九十七番小山 敏雄君
九十八番藤田 愛子君
九十九番土屋たかゆき君
百番田中  良君
百一番小林 正則君
百二番藤川 隆則君
百三番曽根はじめ君
百四番渡辺 康信君
百五番秋田かくお君
百六番木内 良明君
百七番石井 義修君
百八番橋本辰二郎君
百九番藤井 富雄君
百十番大山  均君
百十一番桜井  武君
百十二番古賀 俊昭君
百十三番樺山たかし君
百十四番大西 英男君
百十五番山崎 孝明君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十番田中 晃三君
百二十一番大西由紀子君
百二十二番坂口こうじ君
百二十三番青木 英二君
百二十四番名取 憲彦君
百二十五番尾崎 正一君
百二十六番吉田 信夫君
百二十七番木村 陽治君

 欠席議員(一名)
八十七番 野村 有信君
 欠員
十四番 二十八番 三十六番
四十番 六十一番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事福永 正通君
副知事浜渦 武生君
副知事竹花  豊君
出納長大塚 俊郎君
教育長横山 洋吉君
東京都技監建設局長兼務小峰 良介君
知事本部長前川 燿男君
総務局長赤星 經昭君
財務局長櫻井  巖君
警視総監石川 重明君
主税局長川崎 裕康君
生活文化局長三宅 広人君
都市計画局長勝田 三良君
環境局長小池 正臣君
健康局長平井 健一君
産業労働局長有手  勉君
住宅局長高橋  功君
港湾局長成田  浩君
交通局長松尾  均君
消防総監白谷 祐二君
福祉局長幸田 昭一君
水道局長飯嶋 宣雄君
下水道局長二村 保宏君
大学管理本部長山口 一久君
病院経営本部長碇山 幸夫君
中央卸売市場長森澤 正範君
選挙管理委員会事務局長押切 重洋君
人事委員会事務局長高橋 和志君
地方労働委員会事務局長久保田経三君
監査事務局長松澤 敏夫君
収用委員会事務局長山内 隆夫君
十二月二日議事日程第一号
第一 常任委員の選任
第二 第二百八号議案
平成十五年度東京都一般会計補正予算(第四号)
第三 第二百九号議案
特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四 第二百十号議案
市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第五 第二百十一号議案
電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律施行条例
第六 第二百十二号議案
東京都非常勤職員の公務災害補償等に関する条例の一部を改正する条例
第七 第二百十三号議案
職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第八 第二百十四号議案
職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第九 第二百十五号議案
職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
第十 第二百十六号議案
職員の旅費に関する条例の一部を改正する条例
第十一 第二百十七号議案
東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第十二 第二百十八号議案
東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第十三 第二百十九号議案
東京都知事等の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
第十四 第二百二十号議案
学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第十五 第二百二十一号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第十六 第二百二十二号議案
東京都立大学条例の一部を改正する条例
第十七 第二百二十三号議案
高齢者、身体障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例
第十八 第二百二十四号議案
東京都建築安全条例の一部を改正する条例
第十九 第二百二十五号議案
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
第二十 第二百二十六号議案
東京都養護老人ホーム条例の一部を改正する条例
第二十一 第二百二十七号議案
保健所の設置等に関する条例の一部を改正する条例
第二十二 第二百二十八号議案
東京都大気汚染障害者認定審査会条例の一部を改正する条例
第二十三 第二百二十九号議案
東京都感染症の診査に関する協議会条例の一部を改正する条例
第二十四 第二百三十号議案
東京都結核診査協議会条例の一部を改正する条例
第二十五 第二百三十一号議案
東京都立重症重度心身障害児者施設条例の一部を改正する条例
第二十六 第二百三十二号議案
食品衛生法施行条例の一部を改正する条例
第二十七 第二百三十三号議案
食品製造業等取締条例の一部を改正する条例
第二十八 第二百三十四号議案
東京都ふぐの取扱い規制条例の一部を改正する条例
第二十九 第二百三十五号議案
東京都健康局関係手数料条例の一部を改正する条例
第三十 第二百三十六号議案
東京都立病院条例の一部を改正する条例
第三十一 第二百三十八号議案
都立台東地区単位制高等学校(仮称)(十五)改築その他工事請負契約
第三十二 第二百三十九号議案
都立目黒地区中等教育学校(仮称)(十五)増築及び改修工事(その二)請負契約
第三十三 第二百四十号議案
平成十五年度新海面処分場Gブロック西側護岸地盤改良工事(その二)請負契約
第三十四 第二百四十一号議案
日暮里・舎人線鋼けた及び鋼支柱製作・架設工事(その十八)請負契約
第三十五 第二百四十二号議案
隅田川橋りょう(仮称)鋼けた製作・架設工事(十五 五―補一〇九)請負契約
第三十六 第二百四十三号議案
当せん金付証票の発売について
第三十七 第二百四十四号議案
八ッ場ダムの建設に関する基本計画の変更に関する意見について
第三十八 第二百四十五号議案
都道の路線の廃止について
第三十九 第二百四十六号議案
東京都水道事業の事務の委託の廃止及び武蔵村山市公共下水道使用料徴収事務の受託について
第四十 第二百四十七号議案
東京都水道事業の事務の委託の廃止及び多摩市公共下水道使用料徴収事務の受託について
第四十一 諮問第四号
地方自治法第二百四十四条の四の規定に基づく異議申立てに関する諮問について
第四十二 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した平成十五年度東京都一般会計補正予算(第三号)の報告及び承認について
議事日程第一号追加の一
第一 議員提出議案第二十二号
生活保護費国庫負担金負担率引き下げなどに反対する意見書

   午後四時十七分開会・開議

○議長(内田茂君) ただいまから平成十五年第四回東京都議会定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。

○議長(内田茂君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(内田茂君) まず、議席の変更を行います。
 議席変更の申し出がありますので、会議規則第二条第三項の規定により、お手元配布の議席変更表のとおり、議席の一部を変更いたします。
(別冊参照)

○議長(内田茂君) 次に、去る十一月三十日執行されました東京都議会議員の補欠選挙において当選されました議員の議席を、会議規則第二条第二項の規定により、村上英子さんを三番に、大津浩子さんを五十三番に、それぞれ指定いたします。

○議長(内田茂君) 次に、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
     八番 福士 敬子さん 及び
   六十四番 こいそ 明君
を指名いたします。

○議長(内田茂君) 謹んでご報告申し上げます。
 板橋区選出織田拓郎議員には、去る十月五日、逝去されました。まことに哀悼痛惜の念にたえません。
 ここに生前のご功績をたたえるとともに、故人のご冥福をお祈りし、議会として深甚なる弔意を表します。
 なお、同君のお別れ会に際しましては、議会を代表して議長より弔詞を贈呈いたしました。
 ここで、故織田拓郎君に弔意を表するため、いなば真一君より発言の申し出がありますので、これを許します。
 いなば真一君。
   〔四十六番いなば真一君登壇〕

○四十六番(いなば真一君) 追悼の辞。
 ただいま議長からご報告のありましたとおり、板橋区選出織田拓郎議員におかれましては、去る十月五日午後九時五十二分、ご逝去されました。
 享年五十四歳、あふれるほどの理想と限りない抱負を抱かれていた織田議員にとって、これからがまさに飛躍のときと思われていたやさき、病魔には抗し得ず、二度と帰らぬ旅路につかれましたことは、まことに痛惜のきわみであります。
 ここに私は、皆様のご同意によりまして、東京都議会を代表し、謹んで織田拓郎議員への哀悼の言葉を述べさせていただきます。
 ご承知のとおり、織田議員は、やわらかな雰囲気の中にも強い意志を感じさせるお人柄で、だれからも親しまれ、ご家庭にあっても、よき夫として奥様に、よき父として三人のお子様に限りない愛情を注いでこられました。
 本日、本議場に、そのようなありし日の織田議員のお姿が見られず、議員一同、ただ惜別の情を禁じ得ません。
 織田議員は、昭和四十八年三月、国立名古屋工業大学をご卒業後、公明新聞に入社、以来二十四年間、政治部の第一線の記者として、国会や地方議会を初め全国各地の現場を取材され、健筆を振るわれました。持ち前のお人柄と適切な判断力をもとに、新聞本来の使命である正論の喚起と迅速、正確な報道に徹底され、政治はもとより、社会経済、文化に至る幅広いニュースを提供し、何でもこなす万能記者として大きな役割を果たしてこられたと伺っております。
 そして平成九年、その長きにわたる記者生活で築き上げられた、人間のためこそ政治の原点という信念を貫くべく、板橋区民の圧倒的ご支持のもと、東京都議会議員に初当選されました。
 都議会におきましては、その先見性ある政策と持ち前の行動力で、財政委員会、都市・環境委員会の副委員長を歴任され、ひたすら都民の幸せを願い、行財政改革、生活環境や都市基盤の整備を初め、教育、福祉の充実など、都政の抱える重要課題の克服に向け、積極果敢に取り組んでこられました。
 私も、織田議員と時を同じくして都議会議員となり、織田議員のそのご活躍ぶりはよく存じ上げ、ご尊敬申し上げていた次第であります。
 特に、平等、奉仕、人権をモットーに、福祉の分野において大変な情熱を注がれ、痴呆性高齢者や障害者の方々へのリハビリテーションに大変効果的といわれる音楽療法を都議会で初めて取り上げ、また、乳幼児突然死症候群の対策にもご尽力なされるなど、その卓越した政治手腕と行動力は、余人の追従を許さぬものがございました。
 また、所属する都議会公明党におかれましても、当選以来、副政務調査会長の職責を立派に果たしてこられ、常に党内の中心的存在としてらつ腕を振るわれましたことは、万人の認めるところでございます。
 今、我々都議会議員には、石原知事とともに、都政が直面する危機に一丸となって取り組み、都民にとって住みよい東京に再生していくことが強く求められております。こうした折に、織田議員という得がたい都政の同志を失ったことは、極めて大きな損失でございます。
 私たちは、織田議員の死を深く悼みつつも、織田議員が生涯をかけ情熱を傾けてこられた都政の発展に向けて、これを引き継ぎ、一層邁進していくことで、そのご遺志にこたえてまいりたいと思います。
 織田議員、どうか安らかにお眠りください。
 最後になりましたが、ご遺族の方々がこの悲しみを乗り越えて力強く歩まれることを切望しつつ、織田議員のご冥福を心からお祈り申し上げまして、追悼の言葉とさせていただきます。
  平成十五年十二月二日
東京都議会代表 いなば真一

○議長(内田茂君) 以上をもって、いなば真一君の発言は終わりました。

○議長(内田茂君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(谷村隆君) 平成十五年十一月二十五日付東京都告示第千二百八十八号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、同日付で、本定例会に提出するため、議案四十一件の送付がありました。
 なお、第二百三十七号議案、都立世田谷地区工業高等学校(仮称)(十五)増改築及び改修工事請負契約について、平成十五年十一月二十七日付で、撤回の依頼がありました。
 次に、地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した平成十五年度東京都一般会計補正予算(第三号)の報告及び承認について、依頼がありました。
 次に、東京都選挙管理委員会委員長より、東京都選挙管理委員及び同補充員の任期について、来る平成十五年十二月二十二日をもって任期を満了するとの通知がありました。
 次に、知事より、平成十五年第三回定例会の会議において同意を得た東京都監査委員、東京都教育委員会委員及び東京都公安委員会委員の任命について、発令したとの通知がありました。
 次に、東京都人事委員会より、平成十五年十月七日付で、都の一般職の職員の給与について勧告等がありました。
 次に、知事より、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づく専決処分について、報告が二件ありました。
 内容は、警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例外一件の報告について、並びに訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告についてであります。
 次に、監査委員より、例月出納検査の結果について報告がありました。
 また、監査結果に基づき知事等が講じた措置に関する報告がありました。
(別冊参照)

○議長(内田茂君) この際、議員の表彰について報告いたします。
 平成十五年十月二十八日付をもちまして、全国都道府県議会議長会において、自治功労者として表彰を受けられました方をご報告申し上げます。
 在職四十年以上、藤井富雄君。
 在職三十年以上、桜井良之助君、橋本辰二郎君。
 在職十年以上、比留間敏夫君、野田和男君、星野篤功君、藤川隆則君、新藤義彦君、宮崎章君、野村有信君、丸茂勇夫君、三原將嗣君、松村友昭君、藤田愛子さん、大西英男君、樺山たかし君、東野秀平君、田島和明君、曽根はじめ君、小林正則君、藤井一君、大山とも子さん、田中良君。
 ここに敬意を表し、心からお祝いを申し上げます。
   〔拍手〕

○議長(内田茂君) 次に、閉会中の議員の退職について申し上げます。
 去る十月二十八日、大田区選出中西一善君、渋谷区選出矢部一君、中野区選出松本文明君及び八王子市選出萩生田光一君は、公職選挙法第九十条の規定により、それぞれ退職者となりました。

○議長(内田茂君) 次に、このたびの補欠選挙において当選されました諸君を順次ご紹介申し上げます。
 三番村上英子さん。
   〔三番村上英子君登壇〕

○三番(村上英子君) ただいまご紹介をいただきました、渋谷区より選出をされました、私が自由民主党の村上英子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)

○議長(内田茂君) 五十三番大津浩子さん。
   〔五十三番大津浩子君登壇〕

○五十三番(大津浩子君) ついおととい、渋谷区におきまして選出をされました、私、大津浩子でございます。どうぞ皆様、よろしくご指導のほどお願い申し上げます。(拍手)

○議長(内田茂君) 以上をもって紹介は終わりました。

○議長(内田茂君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 第三回定例会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。
文書質問趣意書及び答弁書は本号末尾(一二ページ)に掲載〕

○議長(内田茂君) 次に、閉会中の常任委員の所属変更について申し上げます。
 去る十一月六日付をもって、公営企業委員鈴木あきまさ君から厚生委員へ、常任委員の所属変更の申し出がありましたので、委員会条例第五条第三項ただし書きの規定により、議長において、同日付をもってこれを許可いたしました。
 お諮りいたします。
 本件は、議長の許可のとおり承認することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、議長許可のとおり承認することに決定いたしました。

○議長(内田茂君) 次に、閉会中の議会運営委員の辞任及び選任について申し上げます。
 去る十一月二十五日付をもって藤田愛子さんより辞任願が提出されましたので、委員会条例第十一条第一項ただし書きの規定により、議長において、同日付をもってこれを許可いたしましたので、ご報告いたします。
 なお、ただいまご報告いたしました委員の辞任に伴い、欠員を補充する必要が生じましたので、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、同日付をもって樋口ゆうこさんを指名いたしました。
 お諮りいたします。
 本件は、議長の指名のとおり承認することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、議長指名のとおり承認することに決定いたしました。

○議長(内田茂君) 次に、閉会中の平成十四年度公営企業会計決算特別委員の辞任及び選任について申し上げます。
 去る十二月一日付をもって林知二君より辞任願が提出されましたので、委員会条例第十一条第一項ただし書きの規定により、議長において、同日付をもってこれを許可いたしましたので、ご報告いたします。
 なお、ただいまご報告いたしました特別委員の辞任に伴い、欠員を補充する必要が生じましたので、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、同日付をもって富田俊正君を指名いたしました。
 お諮りいたします。
 本件は、議長の指名のとおり承認することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、議長指名のとおり承認することに決定いたしました。

○議長(内田茂君) 次に、閉会中の行財政改革基本問題特別委員の辞任及び選任について申し上げます。
 去る十一月二十五日付をもって新井美沙子さんより辞任願が提出されましたので、委員会条例第十一条第一項ただし書きの規定により、議長において、同日付をもってこれを許可いたしましたので、ご報告いたします。
 なお、ただいまご報告いたしました特別委員の辞任に伴い、欠員を補充する必要が生じましたので、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、同日付をもって青木英二君を指名いたしました。
 お諮りいたします。
 本件は、議長の指名のとおり承認することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、議長指名のとおり承認することに決定いたしました。

○議長(内田茂君) 次に、東京都議会友好代表団について申し上げます。
 本議会を代表いたしまして、去る十一月十三日から十九日まで、北京市及びソウル特別市へ友好代表団を派遣いたしました。
 友好代表団を代表いたしまして、報告のため、発言の申し出がありますので、これを許します。
 北京市及びソウル特別市訪問東京都議会友好代表団団長中山秀雄君。
   〔八十三番中山秀雄君登壇〕

○八十三番(中山秀雄君) 東京都議会友好代表団の北京市及びソウル特別市訪問についてご報告いたします。
 各会派の代表から成る友好代表団九名は、北京市人民代表大会常務委員会及びソウル特別市議会の招請を受け、十一月十三日から十九日までの七日間、北京市、上海市及びソウル特別市を訪問いたしました。
 この代表団は、東京都と北京市、並びにソウル特別市との友好交流を一層推進するとともに、両都市に共通する都市問題の課題等について、視察及び意見交換を行うことを目的としたものでございます。
 私から、その概要についてご報告申し上げます。
 まず、北京市への訪問ですが、最初に、于均波北京市人民代表大会常務委員会主任を表敬訪問し、東京、北京両都市が一九七九年に友好都市関係を締結して以来、二十四年間にわたり展開してまいりました、文化、経済、教育などの広範な分野にわたる交流の成果を確認し合うとともに、急速な発展と拡大を続ける両都市が抱えるさまざまな課題について、意見交換を行いました。
 また、于均波主任から、来年は、両都市交流二十五周年という節目の年を迎えることでもあり、この機会に両都市の友好関係をより一層深めていきたいとの発言がありました。
 これらの模様は、翌日の現地マスコミでも報道され、広く北京市民に紹介されたところであります。
 続いて代表団は、範伯元北京市副市長を表敬訪問。また、日本の国会に当たる全国人民代表大会常務委員会の表敬では、何魯麗副委員長から、両国、両都市の安定した発展が、東アジア、ひいては世界の平和につながるものであり、今後とも、両都市相互の交流がより緊密に展開していくことが望ましいとの発言があり、その際、来年の友好都市提携二十五周年を意義ある佳節としていくことがお互いに確認されました。
 次に、視察については、北京市の都市計画委員会に伺い、二〇〇八年のオリンピック開催を控え、都市計画や再開発に伴うさまざまな課題について、専門の担当官との間で活発に質疑を行い、極めて参考になる説明を伺うことができました。
 また、その後、北京市が伝統的な古い町並みの保存に力を注いでいる胡同を訪れました。この地域では、長い歴史の中ではぐくまれてきた北京の市井の生活文化が大切に守られており、実際に住民との交流の機会を得る中で、そうした文化の一端に、団員一同、肌で触れることができました。
 十五日からは、都市開発の進展著しい上海市へと移動し、上海市人民代表大会常務委員会、周慕尭副主任を表敬訪問しました。同副主任からは、北京市と東京都の長年の友好関係に敬意が表明されるとともに、上海市が取り組む都市開発の現状についての説明がありました。
 上海市では、世界が注目する浦東開発区を視察するとともに、新時代の交通システムとして、近く営業運転が開始されるリニアモーターに試乗し、三十キロの距離をわずか約七分間で走行するスピードを実際に体感してまいりました。その後、超高層ビルが林立する再開発地区を回り、巨大な市場の玄関口である上海の都市づくりの現場をつぶさに拝見し、大きな刺激を受けてまいりました。
 次に、友好団は、十七日からソウル特別市を訪問いたしました。
 最初に、ソウル特別市議会の李聲九議長を表敬訪問し、同議長とは、両都市十五年の交流の中で、文化、教育、スポーツ、技術等、多岐にわたる分野での交流の成果を確認する一方、今後、青少年の交流など、一層相互の友好関係を増進していくことで意見が一致しました。
 また、議会制度、議会運営の現状、両都市に共通する都市問題等について、活発な意見交換が行われました。
 さらに、李春植政務副市長を表敬訪問し、ソウル特別市における都市問題、財政、景気問題などの現状や課題について、率直な意見交換が行われました。
 翌日は、市の中心から北側に位置し、都市再開発モデルに指定されている吉音地区を視察。そこは、都市基盤施設の地域格差是正のため、民間の力を利用しながら市が再開発を進めている地域であり、雑然とした町並みが、今まさに整然とした良好な環境に生まれ変わりつつある状況を目の当たりに拝見してまいりました。
 七日間で三都市の訪問という極めて多忙な日程ではありましたが、各都市における充実した意見交換などを通じて、都市間相互の友好関係を一層推進するという当初の目的を達成するとともに、発展する北京市、上海市、ソウル特別市の真の姿を実際に体感し、学ぶことの多い訪問でありました。
 最後に、このたびの訪問に当たり、お世話をいただきました、北京市及びソウル特別市の皆さんに心より厚く御礼を申し上げまして、東京都議会友好代表団の報告とさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)

○議長(内田茂君) 以上をもって、東京都議会友好代表団の報告は終わりました。

○議長(内田茂君) この際、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第二十二号、生活保護費国庫負担金負担率引き下げなどに反対する意見書が提出されました。
 これを本日の日程に追加いたします。

○議長(内田茂君) 会期についてお諮りいたします。
 今回の定例会の会期は、本日から十二月十七日までの十六日間といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、会期は十六日間と決定いたしました。

○議長(内田茂君) この際、知事より発言の申し出がありますので、これを許します。
 知事石原慎太郎君。
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 平成十五年第四回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対する所信の一端を申し述べ、都議会の皆様と都民の皆様のご理解、ご協力を得たいと思います。
 去る十月五日、織田拓郎議員が逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 さて、江戸開府四百年に当たることし、多くの都民が、江戸東京の歴史に思いをはせ、その洗練された文化を改めて認識したことと思います。
 世界最大の百万都市であった江戸は、大名屋敷や寺院の豊かな緑が広がる中、かわらぶきの屋根と白壁によるモノトーンの美しい町並みが続いておりました。社会学者のスーザン・ハンレーが、十八、九世紀に生きるなら、このまちに庶民として住みたいと述べているように、江戸は、上水道が完備され、近郊農村を背景としたリサイクルの仕組みや寺子屋などの教育システムが整った先進都市でありました。
 この時代には、世界的には閉ざされた暗いイメージがありますが、二百年以上にわたる鎖国によって都市文化と人々の感性に磨きがかけられ、江戸は、世界に誇るべき成熟した社会が形成されておりました。商品経済が発達し、水陸の流通ネットワークが江戸と地方を縦横に結んでおりました。これらの営みがその後の近代国家の発展の礎となったのであります。
 しかし、日本は、戦後半世紀の成長の過程で、長い歴史がはぐくんできた独自の文化や美意識を無自覚のうちに置き去りにしてまいりました。太政官制度以来連綿と続く官僚体制は、アレックス・カーが指摘したとおり、オフスイッチのないターミネーターさながら、環境の変化にもかかわらず、一たん立案した計画をそのまま達成しようとして、美しい国土を傷つけてきました。東京のまちも、機能が高密度に集積した大都市に成長はしましたが、効率を優先する余り、美しく優雅な江戸のまちからはかけ離れた姿に変貌してしまったのです。
 日本のよい点、悪い点が象徴的にあらわれている東京を再生することにより、この国のゆがみと停滞を克服し、機能不全に陥った官僚統制国家の壁を打ち破っていきたいと思います。
 足かけ五年にわたり取り組んできた横田基地の軍民共用化について、先日、ハワイにおいて、横田基地の指揮権を持つファーゴ・アメリカ太平洋軍司令官と会談し、今後の具体的な協議に向けてお互いの理解を深めることができました。これにより、事態を大きく前進させることができたと思います。既に、都と国の関係省庁による連絡会の設置が決まっておりまして、年内にも実務レベルの協議を始める予定であります。首都圏の逼迫した空港需要に対応するため、羽田空港の再拡張とともに、横田基地の共用化を一日も早く実現させたいと思います。
 次に、ディーゼル車の排ガス規制についてであります。
 十月一日の規制開始から二カ月が経過いたしました。十一月末の違反車の割合が二%を下回るという大きな成果は、関係者の深い理解と骨身を削る協力によるものであり、皆様のご努力に心から感謝をいたします。先月、違反を続けた事業者四社に運行禁止命令を発動しましたが、今後とも違反車両に対して厳正に対処してまいります。
 初冬の大気が以前よりも澄んでいると感じる都民がふえております。都庁に寄せられた幹線道路沿いの住民の声などによっても、空気がきれいになった、洗濯物が汚れなくなったなど、生活実感として大気汚染が大幅に改善されている状況が明らかとなっております。私自身も、規制が未実施の関西に出かけた折に、空気の違いを実感いたしました。
 自動車からの浮遊粒子状物質の排出量は、規制対応が進展した結果、一日当たり、かつてペットボトル十二万本分が、五万本分にまで減少していると推計されております。また、実際の観測結果は、気象条件などに左右されるため、ある程度時間をかけて推移を見守る必要がありますが、現時点においても、昨年に比べて著しい減少傾向にあります。引き続き、東京にきれいな空気を取り戻すための努力を徹底して行ってまいります。
 今回の取り組みによって、首都圏の自治体は、広域行政の新しい連携の形を全国に先駆けて示すことができました。しかし、大気汚染は一都三県だけで解決できるものではなく、全国的な取り組みが不可欠であります。国もようやく、世界一厳しい規制を行うとは言明しましたが、効果的な規制を速やかに実施することはもとより、不正軽油の撲滅、さらには大気汚染健康被害者に対する救済制度の早期確立など、これに伴うメーカー負担の検討など、行うべきことは多岐にわたっております。国は、みずからの権限と責任において直ちに取り組むべきであります。
 次に、環状道路の整備についてであります。
 十月、東京地方裁判所において、圏央道あきる野インター予定地周辺の土地収用代執行手続を停止するとの決定がありました。この判断は、首都圏の交通事情の深刻さを全く考慮することなく、歴史の針を逆戻りさせるものであります。極めて遺憾であり、東京高等裁判所に即時抗告をいたしました。
 環状方向の道路整備のおくれが、首都東京の集積メリットの発現を著しく阻害し、加えて、大気汚染を深刻化させていることは紛れもない事実であります。さらに、日本全体の交通ネットワークの形成を損ない、物流コストを増大させて経済に悪影響を及ぼしていることも明らかであります。都は今後とも、国民全体の利益を実現するため、圏央道の早期整備を促進してまいります。
 また現在、環境影響評価の手続を進めている外環道については、インターチェンジの設置をめぐり、さまざまな意見が出されておりますが、高速道路の機能を発揮する上で、インターチェンジは欠くべからざるものであります。都民にとっても、首都圏にとっても交通利便性が向上するよう、広く関係自治体や都民の意見を受けとめて検討すべきであると思います。
 次に、治安の回復についてであります。
 東京の治安は、一分四十五秒に一件の割で犯罪が発生するなど、危機的な状況に直面しております。中でも憂うべきは、外国人犯罪者のばっこであります。日本人の警戒心の薄さや量刑の軽さに目をつけた彼らにとって、日本は不正に一獲千金のチャンスをねらえる無防備な国となっております。
 こうした外国人組織犯罪の温床となっている不法滞在者問題を解決するため、都は十月、これまでの縦割り行政の弊害を改め、相互に協力して対応することを目指し、法務省、警視庁と共同宣言を発表いたしました。
 入国審査を厳格化するとともに、警視庁が摘発した不法滞在者を入国管理局に速やかに引き渡し、迅速に強制退去処分を行うなど、三者が協力して対策を講じ、不法入国者の水際阻止と不法滞在者の徹底取り締まりを進めてまいります。こうした連携により、不法滞在者を短期間で激減させていきたいと思っております。
 留学、就学名目による滞在者の違法行為にも、入国管理局や警視庁と連携して、警戒を強めてまいります。
 東京には日本語学校の約半数が集中しており、先月、関係団体や文部科学省とともに、留学生・就学生の違法活動防止のための連絡協議会を設置いたしました。関係者が協力して就学やアルバイトの実態をチェックし、学生が犯罪に手を染めないように対策を講じてまいります。
 また、不法入国者や犯罪者を日本に出国させないよう、関係国に対し働きかけを行う必要があります。外国人犯罪をもとから絶つため、国家間での連携強化を国に求めてまいります。
 さらに、外国人組織犯罪の脅威にさらされている日本在住の外国人の方々とも力を合わせて対抗していくことも重要であり、今後、新たな方策を模索していきたいと思います。
 未成年を連れ去る卑劣な事件が、この一年間、全国で百五十件以上も発生するなど、子どもに関係する犯罪が後を断ちません。
 十月、子どもを犯罪に巻き込まないための方策を提言する会からの緊急提言をいただきました。今後、この提言に沿って、対策の具体化を早急に進めてまいります。
 教育の現場では、先月から、小中学生を対象に、犯罪から身を守るためのセーフティー教室を実施しておりますが、非行や犯罪を防止する教育をさらに拡充するため、今月中に専門家による委員会を立ち上げ、速やかに具体策を検討してまいります。
 街にはんらんする性に関する情報や犯罪を誘発しかねない風俗などから子どもたちを守るのは、我々大人の責務であります。子どもにとって好ましい社会環境を実現するため、青少年健全育成条例の改正を視野に入れ、さまざまな手だてを講じていきたいと思います。
 非行や虐待など深刻な事態に陥った子どもを保護、援助することも重要な課題であります。児童福祉司の増員や弁護士の配置を進め、児童相談所の機能の充実を図るなど、対応を強化してまいります。
 少年による凶悪犯罪が多発しておりますが、これを防止する上で、軽微な罪を犯した段階で早期に深い反省を促すことが不可欠であります。
 罪を犯した少年の約八割は家庭裁判所での審判や処分を受けないなど、十分な反省の機会が与えられていないのが現状であり、少年に対して多様な措置を講じることが必要であります。保護観察処分を受けた少年に対する再発防止に有効な仕組みを新設することも不可欠であります。このため、必要な法改正を国に強く求めてまいります。
 また、少年による万引きは、ほとんど罪の意識がないまま常習化することが多く、また、書店などの経営にも無視できない影響を与えております。このため、万引きの被害を受けている書店業界を初め、出版や警備などの関係団体と協力して、万引き防止対策協議会を今月中に設置し、総合的かつ具体的な対策を検討してまいります。
 十月、東京都安全・安心まちづくり協議会を、町会や学校、PTAなど六十の関係団体の参加を得て、設立いたしました。今後、この協議会を中心に、持ち場、持ち場で知恵を出し合って、防犯対策を進めてまいります。
 都も、防犯ボランティアの活動を支援するとともに、ひったくりの発生場所などの犯罪情報を提供するほか、防犯カメラの設置費用を補助するなど、地域住民の取り組みを積極的に支援してまいります。
 また、都の管理する公園や道路など公共空間を対象として全庁的に実施した安全総点検の結果を踏まえ、街路灯や防犯カメラを増設するなど、直ちに対策を進めてまいります。
 防犯カメラの設置には慎重な意見もありますが、安全がプライバシーの前提であることは自明の理であります。都が設置している防犯カメラについては、プライバシーにも配慮し、統一的な運用基準を年内に策定いたします。広くこの基準を役立てていただきたいと思います。
 まちの安全を警察だけにゆだねていれば済む時代は過ぎ去りました。これからは、都民一人一人が自助、共助の精神を発揮して、住みなれた地域で行動を起こしていただきたいと思います。昭島市の中学二年生、鈴木実樹さんが考案した安全・安心のまちづくりの標語のように、「いいなぁ 安心」と心から感じられる安全な社会を取り戻していきたいと思います。
 先日、イラクにおいて日本人外交官が襲撃を受け、殺害されるという痛ましい事件が起こりました。謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。日本に対するテロの脅威が増大していることを改めて実感いたしました。
 昨日、新たな脅威であるNBC災害に対処するため、天然痘ウイルスによる生物テロを想定した図上訓練を都独自に実施いたしました。私も訓練に参加しましたが、感染の拡大防止のために大変厳しい判断を迫られる局面もあり、有意義な訓練であったと思います。得られた知見を生かし、今年度中にNBC災害対処マニュアルを作成するなど、非常事態に備えていきたいと思います。
 本格的な冬の訪れを前に、SARSの再流行に対する警戒を緩めることもできません。十月末、繁華街に潜伏した不法入国者の間でSARSが発生したと想定した訓練を、入国管理局、警視庁、東京消防庁などと合同で実施しました。現行の国の対処方針のもとでは、不法入国者などで感染のおそれのある者に対して、経過観察のための行動制限ができない、収容施設がないなどの問題が明らかになりました。こうした事態を早急に改善するよう、先月末、国に対して緊急提案をいたしました。
 また、先月、ハノイで開催されたアジア大都市ネットワーク21の総会では、SARSを実際に経験した各都市から、具体的な生きた情報を得ることができました。これからの対策に生かしていきたいと思っております。今後とも、SARSに対して万全の体制で臨んでまいります。
 三宅島の火山ガスの発生は小康状態にあるものの、安全を確保できるレベルには至っておりません。島民の皆様は島を離れてから四度目の正月を迎えることになりますが、悲願である帰島に備えて、今から着実に準備を進めておく必要があります。都はこれまでも、道路などライフラインの復旧や一時帰島の支援に取り組んでまいりました。現在、十月に立ち上げた帰島プログラム準備検討会において、国、三宅村と協議を重ねており、帰島後の安全対策や基盤整備などの方策を今年度中に取りまとめてまいります。
 次に、都政改革について申し上げます。
 都政の構造改革を全庁挙げて一体的に推進するため、第二次財政再建推進プラン、第二次都庁改革アクションプラン、平成十六年度重点事業を策定しました。今後、これらに基づいて、政策、財政運営、執行体制の改革を総合的に進め、都民サービスの充実と東京の再生という都民からの負託にこたえていきたいと思います。
 私は就任当初から、財政再建を最重要の課題の一つと考え、全力を挙げて取り組んできましたが、いまだ道半ばであり、取り組みをさらに充実強化していく必要があります。今回のプランでは、四千人規模の人員削減を含む内部努力や制度の根本にさかのぼった施策の見直し、さらには地方税財政制度の改善など、具体的方策を明らかにしました。平成十八年度までに巨額の財源不足を解消し、経常収支比率九〇%以下に引き下げることを目指してまいります。
 財政再建は、単なる経費削減をねらいとするものではありません。将来を見通して、都民ニーズの変化にこたえ、東京の活力を呼び戻す政策を推進するために、強固で弾力的な財政基盤を確立することが真の目的であります。このため、今後、中長期的な課題や構造的な課題を抱え、財政再建に当たって検討すべき三十の事業を例示し、率直に問題提起を行いました。今後、全庁的に議論を深め、都民、都議会、区市町村など、十分な理解と協力を得つつ、財政再建を進めてまいります。
 財政再建と同時に、全庁的な行財政システムの改革にも取り組み、新たな課題に迅速に対応できる執行体制を構築いたします。
 PFIやネーミングライツなどにより民間の活力や資金をこれまで以上に活用するとともに、都立公園や体育・文化施設などの公の施設については、民間事業者の参入を可能とする指定管理者制度を導入し、管理運営の効率化を進めてまいります。
 また、給与や福利厚生などの総務事務について、IT化、委託化による事務処理のセンター化を進めるほか、資産の利活用、公共工事や施設の維持管理のコスト削減にも積極的に取り組み、より効率的で効果的な都政運営を実現してまいります。
 これまで都は、知事本部の設置や福祉局と高齢者施策推進室の統合など、時代の変化に即応した組織改革を行ってきました。こうした取り組みをさらに進め、まちづくりや福祉、医療改革など現下の政策課題に的確に対応するため、都市計画局、住宅局、建設局の再編や福祉局と健康局の統合を行い、新たな執行体制を整備いたします。
 監理団体は、都民ニーズに応じた柔軟な運営が求められており、その時々の社会経済状況を踏まえ、常に存在意義を検証する必要があります。
 今後、コスト、サービス両面で、民間との厳しい競争が不可避であり、団体みずからが経営改革を進め、真に自立的な経営を確立する必要があります。都も監理団体改革を誘導するため、統廃合や職員数の見直し、財政支出の削減を図りつつ、経営努力へのインセンティブを高める仕組みの導入などを積極的に進めてまいります。
 都政改革の取り組みを政策面でも進めるために、予算編成に先立って、平成十六年度の重点事業を策定いたしました。選定した三十のプロジェクトには、厳しい財政状況にあっても、財源を優先的に投入する考えであります。
 主な取り組みについて、以下、申し上げます。
 まちづくりの分野では、都有地を活用し、民間の創意工夫を引き出す先行まちづくりプロジェクトを推進いたします。先般、目黒駅前と東村山市本町地区の二カ所を指定しましたが、今後さらに地区を追加し、新しいまちづくりを本格的に展開してまいります。
 また、広くて質がよくて低廉な住宅の供給は重要な課題でありますが、そのためには、住宅ストックの九割を占める民間住宅市場を活性化する必要があります。例えば戸建て住宅の生産供給は、設計や資材調達、施工など各段階での合理化のおくれにより、都民が求める品質や価格を実現できてはおりません。今後、戸建ての住宅の品質確保とコスト低減、中古住宅の流通促進など、生産供給の仕組みを工夫することにより、東京の住宅の質の改善を進めてまいります。
 次に、産業の活性化についてであります。
 東京には多くの大学や研究機関が集積し、ものづくりの優秀な技術を持った中小企業も数多く存在するにもかかわらず、両者の連携が不十分なため、研究成果が必ずしも製品開発に結びついておりません。
 東京のものづくり産業の競争力を強化するため、来年度、ナノメートル、すなわち一メートルの十億分の一のレベルで製品開発や微少量生産システムの構築を目指すナノテクノロジーセンターを城南地区に設置し、民間企業、大学、都の研究機関の共同研究を行ってまいります。
 あわせて、ものづくり技術の実践的な研究を進め、即戦力となる優秀な技術者を養成するため、産業技術の大学院を、新しい都立の大学の一環として、平成十八年春に開設したいと思います。
 また、中小企業がみずからの技術を競争力の向上に生かすためには、知的財産の保護、活用が重要であります。そのため、本年四月に開設した知的財産総合センターなどにおいて、外国での模倣品被害への対策やデザイン力の強化への支援を充実してまいります。
 都民生活と東京の産業を支えているのは、首都圏、さらに全国に広がる経済の動脈、物流ネットワークであります。
 近年の物流を取り巻く状況の変化を踏まえ、首都圏をにらんだ長期的な物流環境の改善を目指して、総合物流ビジョンの策定に向けた検討を来年度から始めたいと思います。
 当面の課題として、圏央道の建設に合わせた多摩地区の物流拠点の整備と、昭和四十年代に設置された区部四カ所の拠点の機能更新について検討を進めてまいります。
 東京港においては、物流情報システムの構築やターミナルの二十四時間三百六十五日フルオープン化の推進などにより、港湾コストの三割削減、接岸から貨物搬出までの時間の大幅短縮を目指してまいります。
 高齢化が急速に進む中、都は、高齢者が地域で自立して生活するための施策を推進してまいりました。大幅な増設が急務となっている痴呆性高齢者のグループホームについては、昨年度、民間企業に対する補助制度を創設し、今年度は、社員寮などを改修して活用する仕組みを取り入れるなど、さまざまな工夫を凝らしてまいりました。
 こうした取り組みをさらに加速するため、整備率が特に低い区市町村などに重点的に補助を行うほか、未利用の都有地を廉価で事業者に貸し付ける都独自の制度を創設するなど、三年間、集中的にグループホームの整備を促進してまいります。
 少子化、核家族化などによって、家庭における救急対応能力は著しく低下しております。最近では、若い親が突然熱を出した子どもを前にうろたえることも決して珍しくありません。
 都は、インターネット版の子ども医療ガイドシステムを開発し、十月から、育児経験の少ない、また身近に相談相手のいない親を対象に、病気や子育てに関する基本的な知識の提供を始めました。十一月末までのアクセスは十万件を既に超えており、インターネット時代の知恵袋として活用していただきたいと思います。
 子育て世代の不安を解消する上で、小児救急医療体制の確立も急務となっております。小児初期救急の平日準夜間診療を平成十八年度までに都内全域で実現させるほか、小児科医師人材情報センターの設置や開業医に対する小児医療研修の充実などに取り組んでまいります。
 また、都民に身近な健康の安心スポットを確保することも重要な課題であります。地域の薬局などに着目し、その情報をインターネットなどを活用してきめ細かく提供するほか、薬剤師の研修を充実し、健康相談に幅広く対応できるようにしてまいります。
 次に、教育改革についてであります。
 近年、都内の不登校の児童生徒の数は減少を続け、現在では全国平均を下回る水準にまで急速に改善されております。これは、スクールカウンセラーを国の計画よりも二年前倒しで公立中学全校に配置するとともに、習熟度別学習を大幅に取り入れるなど、わかる授業を積極的に展開した成果であると思います。
 しかし一方では、ゆとり教育に関する議論が高まりを見せる中、都民の間に子どもの学力低下に対する懸念が広がっております。
 都は、国の緩慢な対応を待つことなく、義務教育に対する都民の信頼を回復するため、区市町村と連携した取り組みを進めてまいります。今年度から中学二年生を対象に、来年度からは小学五年生を加えて、すべての公立小中学校で一斉学力調査を実施し、この結果を都民に公表するとともに、授業改善計画を策定するなど、生きる力の土台となる学力の向上を目指してまいります。
 また、教頭が校長とともに学校経営の一翼を担う立場であることを明確にするために、教頭の権限を拡充し、名称を副校長としたいと思います。来年度からすべての都立学校に適用してまいります。
 次に、東京における自然と緑についてであります。
 この秋、白神山地に同行したアルピニストの野口健さんは、小笠原の自然について、国立公園である以上、環境省がスペシャリストを育てなければならない。しかし、国は何もせず、レンジャーを一人も常駐させていないと慨嘆していました。豊かな自然も、人間の無秩序な侵入を許せば、瞬く間に荒れ果ててしまいます。
 都は独自に自然保護の専門家を公募し、いわゆる都レンジャーとして育成することとしました。来年度から、小笠原諸島、多摩地域の自然公園などに配置し、密猟や不法採取の監視、観光客への指導、啓発などの任務に当たらせたいと思います。
 日本の都市計画公園の嚆矢である日比谷公園では、ことし開園百周年を迎え、さまざまな記念行事が行われており、都心のオアシスとして都民に親しまれております。こうした都民の財産である都市の緑をさらに充実させて、次の世代に継承していきたいと思います。
 そのためには、時代の変化に対応した新しい公園整備や緑の保全のあり方を検討する必要があります。これまでの行政主体による整備には限界があり、民間の力を活用する手法を新たに取り入れるなど、東京にふさわしい緑の創造戦略を立ててまいります。
 また街路樹は、神宮外苑のイチョウ並木に代表されるように、都市における貴重な緑の空間を形成しております。今後、東京駅前の歴史ある行幸通りの街路樹の再生などを進め、都市に風格と潤いを生み出していきたいと思います。
 東京の中小企業の活性化と金融システムの再生を目指す新銀行について、このたび、金融機関を初め多方面の企業の協力を得て、基本的スキームを構築いたしました。提携企業、金融機関、行政機関などが持つそれぞれの専門機能を連携させることにより、これまでの銀行にない効率性、機能性にすぐれた、新しいタイプの銀行モデルを提示してまいります。
 貸し渋りや貸しはがしに苦しむ中小企業に対して、信用金庫を初めとする地域金融機関と連携し、生きた資金を迅速かつ円滑に供給するため、キャッシュフローを重視し、原則無担保で融資するポートフォリオ型融資や、企業の持つ技術力を独自に審査し融資を行う技術力・将来性重視型融資など、新たな仕組みを積極的に取り入れてまいります。
 また、都銀、郵便局などと広範なATMネットワークを構築するとともに、交通機関や百貨店などと提携した多機能ICカードの発行により、生活に密着したさまざまな場面で利用できる新サービスを提供し、豊かな都民生活の実現に貢献してまいります。
 平成十六年度初めには準備会社を発足させ、十七年四月以降の開業を目指してまいります。東京の経済再生と都民生活の向上に貢献する新銀行の設立、発展により、東京発の金融改革を進めてまいりたいと思います。都民、都議会の皆様及び各方面からのご意見、ご提案をいただきたいと思います。
 この一年、さまざまな機会を通じて、多くの都民、国民に接し、切実な声を身近に聞くことができました。そうした中で、聞こえはいいが実体のない言葉だけがはんらんし、一向にこの国のあり方や改革の方向性、具体的な手だてが示されないことに、いら立ちやもどかしさを感じている人がいかに多いかを実感いたしました。
 イギリスの歴史家トインビーは、いかに発展栄華をきわめた国家も必ず衰弱し滅亡する。最大の原因は、自分で自分のことを決めることができなくなることである、と述べております。日本の発展を支えると自負してきた政治家や国家官僚たちは、この国にとって何が本質的な問題なのかを判断する能力を既に喪失しているという以外ない。
 私たちは、いま一度自分の足で立ち、頭で考えることで、みずからの運命を選び取っていかなければなりません。日本の進路を決めるのは、日々生きた現実に直面し、その課題の解決を迫られている私たち地方であり、改革の志を持った都民、国民であります。今こそ、自立した国の新しい形を造形すべきときであります。
 百年後、二十一世紀の初頭の現在が改革の始まりであったと評価されるように、江戸開府五百年に向けて、皆さんとともに新しい一歩を踏み出したいと思います。
 なお、職員の給与について、引き続く厳しい経済状況や雇用情勢を勘案して、ベースダウンなどを行うとともに、国や民間の動向を踏まえた退職手当の引き下げを行うため、条例改正を提案しております。
 本定例会には、ただいま申し上げた給与などに関する条例を含め、条例案二十八件、予算案一件、契約案五件など、合わせて四十一件の議案を提出しております。よろしくご審議をお願いいたします。
 以上をもちまして所信表明を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

○議長(内田茂君) 以上をもって知事の発言は終わりました。

○六十七番(吉野利明君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日は、質問に先立ち、議事に入られることを望みます。

○議長(内田茂君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、質問に先立ち、議事に入ることに決定いたしました。

○議長(内田茂君) 日程第一、常任委員の選任を行います。
 お諮りいたします。
 常任委員の選任については、委員会条例第五条第一項の規定により、新たに当選されました村上英子さんを文教委員に、大津浩子さんを公営企業委員にそれぞれ指名したいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、それぞれ議長指名のとおり選任することに決定いたしました。

○六十七番(吉野利明君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 日程の順序を変更し、追加日程第一を先議されることを望みます。

○議長(内田茂君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、日程の順序を変更し、追加日程第一を先議することに決定いたしました。

○議長(内田茂君) 追加日程第一、議員提出議案第二十二号、生活保護費国庫負担金負担率引き下げなどに反対する意見書を議題といたします。
 案文は、お手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

議員提出議案第二十二号
生活保護費国庫負担金率引き下げなどに反対する意見書
 右の議案を別紙のとおり東京都議会会議規則第十二条の規定により提出します。
  平成十五年十二月二日
(提出者)
 谷村 孝彦  東村 邦浩  村上 英子
 鈴木あきまさ 秋田 一郎  鳩山 太郎
 後藤 雄一  福士 敬子  林  知二
 伊沢けい子  執印真智子  富田 俊正
 山下 太郎  河野百合恵  長橋 桂一
 小磯 善彦  野上じゅん子 ともとし春久
 中屋 文孝  北城 貞治  高橋かずみ
 山加 朱美  串田 克巳  吉原  修
 山田 忠昭  臼井  孝  山口 文江
 柿沢 未途  初鹿 明博  酒井 大史
 清水ひで子  かち佳代子  小松 恭子
 藤井  一  東野 秀平  中嶋 義雄
 林田  武  野島 善司  服部ゆくお
 真鍋よしゆき 三宅 茂樹  いなば真一
 近藤やよい  高島なおき  鈴木 一光
 新井美沙子  花輪ともふみ 真木  茂
 大津 浩子  大塚 隆朗  樋口ゆうこ
 古館 和憲  松村 友昭  丸茂 勇夫
 鈴木貫太郎  森田 安孝  石川 芳昭
 土持 正豊  こいそ 明  倉林 辰雄
 小美濃安弘  吉野 利明  川井しげお
 矢島 千秋  野田 和男  三原 將嗣
 田島 和明  宮崎  章  大河原雅子
 相川  博  中村 明彦  河西のぶみ
 馬場 裕子  和田 宗春  大山とも子
 東ひろたか  池田 梅夫  中山 秀雄
 大木田 守  前島信次郎  桜井良之助
 野村 有信  比留間敏夫  新藤 義彦
 田代ひろし  松原 忠義  遠藤  衛
 星野 篤功  山本賢太郎  立石 晴康
 清原錬太郎  小山 敏雄  藤田 愛子
 土屋たかゆき 田中  良  小林 正則
 藤川 隆則  曽根はじめ  渡辺 康信
 秋田かくお  木内 良明  石井 義修
 橋本辰二郎  藤井 富雄  大山  均
 桜井  武  古賀 俊昭  樺山たかし
 大西 英男  山崎 孝明  佐藤 裕彦
 川島 忠一  内田  茂  三田 敏哉
 田中 晃三  大西由紀子  坂口こうじ
 青木 英二  名取 憲彦  尾崎 正一
 吉田 信夫  木村 陽治
東京都議会議長 内田  茂殿

生活保護費国庫負担金負担率引き下げなどに反対する意見書
 政府においては、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇三」に基づき、平成十六年度予算編成において、国庫補助負担金の削減、地方交付税制度の見直し、国から地方への税源移譲を三位一体で検討しているところである。
 しかし、去る十一月二十八日に厚生労働省が示した方針などによれば、生活保護費国庫負担金負担率の引き下げや義務教育費国庫負担制度の縮小などを行うとされている。これは、地方自治体の財源を圧迫し、地方分権を推進する観点からは、極めて遺憾である。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、地方分権時代にふさわしい地方税財政基盤を確立する視点に立ち、生活保護費国庫負担金負担率引き下げや義務教育費国庫負担制度の縮小などに反対する。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成十五年十二月二日
            東京都議会議長 内田  茂
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
文部科学大臣
厚生労働大臣  あて

○六十七番(吉野利明君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議員提出議案第二十二号については、原案のとおり決定されることを望みます。

○議長(内田茂君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、議員提出議案第二十二号については、原案のとおり可決されました。

○六十七番(吉野利明君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会し、明三日から八日まで六日間、議案調査のため休会されることを望みます。

○議長(内田茂君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明三日から八日まで六日間、議案調査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は十二月九日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後五時二十分散会


文書質問趣意書及び答弁書

一五財主議第四一五号
平成十五年十一月二十一日
            東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 内田  茂殿
文書質問に対する答弁書の送付について
 平成十五年第三回東京都議会定例会における左記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。
     記
三原將嗣議員
和田宗春議員
大山とも子議員
東ひろたか議員
藤田愛子議員

平成十五年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 三原將嗣

質問事項
一 医薬品の大型チェーン店での薬剤師の勤務について

一 医薬品の大型チェーン店での薬剤師の勤務について
1 私は、医薬品の大型チェーン店における薬剤師の勤務状態について平成十年十二月と平成十一年七月の本会議において、さらに平成十二年三月の予算特別委員会において質問致しました。
 それは、東京都内に展開する医薬品チェーン店約六百店のうち、営業時間に対する薬剤師の従事時間比率が五〇%未満の店舗が一割以上、同じく七五%未満の店舗が五割近くあるといった薬事法違反もはなはだしい悪質な営業状態だったからです。私はこれを是正する為に、ひいては都民の健康と安全を守る為に都の薬事行政の奮起を促したわけです。
 この質問を契機に都衛生局(当時)は、行政指導をさらに強化され、薬剤師の勤務状態が著しく改善されてきました。こうした行政指導の強化について石原知事は「極めて大事な専門家が薬剤師として薬局にいるわけ」であり「ミスが行われる場合、その薬を飲んだ人の人命にかかわること」で「都民の生命と安全のためにも、東京都はこういうケースは厳重に取り締まる」と答弁されました。
 このことをふまえて、医薬品大型チェーン店に対する現在の健康局の行政指導の実態と薬剤師の勤務状態をお答え下さい。
2 次に最近薬剤師が不在の場合、テレビ電話を活用して医薬品を販売することが話題となっています。
 かつて日本チェーンストア協会は「薬剤師が不足しており、営業時間中に常時配置することは困難なので不在は大目にみてほしい」といった内容のことを旧厚生省や都衛生局に陳情にきたと仄聞しており、経営には熱心でも、遵法精神や生命の安全についてはあまり熱意がないのでは、と想像しています。
 その業界の一部が、夜間の薬剤師不在の時間帯に、テレビ電話を活用して医薬品の販売を実施して「薬事法違反」との厚労省の指導をうけて中止しました。
 ところが、今度は販売ではなく「無料提供」をはじめました。この実態を厚労省は「法律に反する」との見解で重ねて行政指導を地方自治体に求めました。ところがこうした国の動きに対して石原都知事は「このIT時代に役人は頭が古い。大いに奨励する」と厚労省の見解を否定する発言をされたと報道されています。しかし、これは明らかに平成十二年三月の予算特別委員会における私への答弁と矛盾しており、現に行政を進めている健康局とも見解が違っています。会社は無料提供であって販売ではない、との考えのようですが、明らかに法の精神をなしくずしにするもので、緊急性、利便性をもって不在を認めると、他の業界の制度でも、すべて「資格者の不在」を許すことになり、世の中は混乱致します。
 しかも奇策を実行した会社の社長は「石原知事を囲む創業経営者の会」の会員で、知事と親交があり、直前に意見交換もしていると報道されては、知事の発言が「身びいき」との誤解をまねきかねません。
 もし石原知事の見解を是とすれば、まず薬事法を改正すべきで、頭が古いのは国会議員であり、いたずらに国と東京都の間で見解の違いが表面化することは、業界や都民を困惑させ、行政の遂行を妨げる元となります。現に健康局も各区役所も困っているのが現実であり、小零細の薬業者にも不安が生じています。また最近、市販薬(感冒薬・鼻炎薬・発毛剤等)の副作用で、三年間で十人死亡したとの報道もあり、薬剤師による店頭での指導の重要性が再認識されております。
 そこで知事と健康局の一致した、法律に基づく行政指導の統一見解をお示し下さい。

平成十五年第三回都議会定例会
三原將嗣議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 医薬品の大型チェーン店での薬剤師の勤務について
1 都内に展開する医薬品チェーン店において、薬剤師の従事実態が、薬事法違反もはなはだしい悪質な営業状態であったので、再三議会質問で、都の薬事行政の奮起を促した。医薬品大型チェーン店に対する現在の健康局の行政指導の実態と薬剤師の勤務状態を伺う。

回答
 医薬品大型チェーン店に対しては、都と特別区が分担して立入調査を行い、薬剤師の勤務状況が不良である店舗について、口頭または文書により改善を指導しています。
 また、各店舗への個別指導だけでなく、本社に対しても、都が指導を行っています。
 こうした指導の結果、平成十年十二月末に比べ、平成十五年三月末には、営業時間に対する薬剤師の業務従事時間の割合が五〇%未満である店舗が六十四店舗(調査時点の店舗総数の一〇%)から十四店舗(同二%)に、従事時間の割合が五〇%以上七五%未満の店舗が四百九店舗(同六七%)から二百三十店舗(同二八%)に改善されています。

質問事項
一の2 薬剤師が不在の場合、テレビ電話を活用して医薬品を販売することについて、知事は、「大いに奨励する」と厚生労働省の見解を否定する発言をした。いたずらに国と都との間で見解の違いが表面化することは、業界や都民を困惑させ、行政の遂行を妨げる元となる。知事と健康局の一致した、法律に基づく行政指導の統一見解を伺う。

回答
 医薬品の供給体制については、都民の生命と健康を守る観点から、安全性の確保を最優先にその整備を図っているところであり、医薬品の販売に当たっては、薬事法に基づいた薬剤師の役割が極めて重要であると認識しています。
 一方、最近では、情報技術の進歩・普及や深夜における社会経済活動の増加等の環境の変化があり、今後の法の運用においては、安全性確保の視点とともに、これらの変化を視野に入れ対応していく必要があります。
 テレビ電話を用いた医薬品の販売・授与は違法との大臣見解を示していた厚生労働省も、深夜・早朝における医薬品の供給確保のあり方について検討を開始しており、都としては、国の動向について注目しているところです。
 今後とも、業界や都民の混乱が生じることのないよう、適切に対応してまいります。

平成十五年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 和田宗春

質問事項
一 公文書館制度の改善点について
二 森づくり推進プラン(中間のまとめ)と東京の木による家づくりについて

一 公文書館制度の改善点について
1 東京都の都政史料館は昭和二十七年に明治時代から続けられてきていた史料編さん事業と東京府や東京市の公文書の保存事業を一元化するために設置されてきている。
 しかし、昭和四十三年九月までは内部者のみ閲覧を許可するという閉鎖的なものであった。
 その間に昭和三十四年には日本学術会議が「公文書の散逸防止について」の勧告を政府に行っている。
 さらに国立公文書館の設置を要望したり、地方公共団体に対し必要な措置を要請するなどしている。
 この時期から文書保存に対する学識者等の声が高まってきた。
 そして昭和四十三年十月に東京都公文書館が東京都職員研修所との合同庁舎として港区海岸一丁目に開設された。
 鉄骨・鉄筋コンクリート造、地下一階地上六階で現在は公文書館と水産試験場等との合同庁舎となっている。床面積は公文書館部分が八千六百平方メートル、書庫面積千九百平方メートル、書架延長一万三千四百メートルとなっている。
 空調設備は書庫を含むビルが一体となっているため、所蔵資料の環境はよくない。
 都道府県公文書館は四十七都道府県のうち二十八、政令指定都市公文書館は十三のうち七、市区町村公文書館は十一である。
 この都道府県二十八の公文書館を比較してみると、単独施設ではないことを含めて、見劣りのするものとなっている。
 そこで、近い将来、公文書館を独立施設として建設する方向を示すべきと考えるが、どうか。
2 また、昭和六十二年に制定された公文書館法では第三条で国及び地方公共団体は、歴史資料として重要な公文書等の保存及び利用に関し、適切な措置を講ずる責務を有する。とし、さらに第五条の地方公共団体の設置する公文書館の当該設置に関する事項は当該地方公共団体の条例で定めなければならない。としている。
 ところが東京都の公文書館は東京都組織規定で定められているにすぎない。
 法律制定の昭和六十二年よりはるか以前の昭和四十三年に公文書館が設置されているという経緯があったにしてもあきらかに法律違反である。
 早急に条例化するべきであり、その用意がなければ議員立法で対応していくことになる。
 早急に対応すべきであるが、どうか。
3 平成十二年一月から東京都情報公開例が施行されている。
 それをうけて平成十四年三月に「東京都公文書館における公文書等の利用に関する取扱規程」を定め、公文書館の閲覧制度について、情報公開制度との整合性を図っている。また各局の主務課長は長期保存文書、有期保存文書の公文書館への引き継ぎ、さらに公文書館のデータベース化、についても早急な検討が必要と考えるが、どうか。
4 最近、慶応義塾大学教授 草野厚氏が東京芸術劇場のパイプオルガンの選定委員会の議事録開示の請求をしたが、十年以上も前のことで書類が廃棄処分となったという不満を公にしている。
 マイクロフィルム化、電子化の時代である。
 保存期間の延長等も後世の資料のため必要と考えるがどうか。
二 森づくり推進プラン(中間まとめ)と東京の木による家づくり
 このたびのプランは平成十四年度の自然環境保全審議会や、農林漁業振興対策審議会からすでに出されている答申を前提にして平成十二年の「緑の東京計画」との整合性を図っているものである。
 この間の一連の東京の森を取り扱ってきている諸計画をより具体的に施策としている点では評価できるものである。
 しかしながら、東京都の森林の実態はきわめて厳しいと言わざるを得ない。
 森を育てて木を活かす産業である林業や木材産業は長期的な低迷の中にあって、管理放棄された人工林が増加するなど荒廃が進行している。
 このまま推移していくと森のもつ多面的な機能が発揮されず、災害の発生、都市環境の悪化などが必至の状態である。
 今日までの多摩の森林は、伐採して木を売った利益で次の木を植えるという循環を保ってきている。
 しかしながら、長年続いてきている輸入材による価格破壊が丸太の価格を下落させ、間伐などの保育管理や伐採後の植林による次世代の育成が困難となり、この循環が断ち切れてしまっている。
 また多摩の森に入ってみるとわかるが、搬出経費が賄えずに、間伐材のほとんどは伐り捨て状態で放置されている。
 そこで森づくり推進プラン(中間まとめ)で提案されている「とうきょう木づかい運動」に関連して四点にわたり質問する。
1ア 東京都がこのプランを提示する以前から東京の木を建築物や工作物などに使用することを普及してきた団体がある。
 私の知る限りでも、たとえば、「東京の木・家づくり協議会」、「東京の木で家を造る会」などがある。さらに木製玩具を造ろうという会もあるかもしれない。当局はこの種のグループをどれほど把握しているのか、伺う。
イ 聞くところによれば、これらの団体は、東京の森、森林産業のさきがけのための講演会の講師代にも不自由しているとのことである。都としてもしっかりと応援していくべきであると考えるが、これまで、都はその活動のためにどれほどの助成、都庁ホームページでの紹介などをしてきているのか、伺う。
2 プランでは東京産の木材であることなどを証明する制度を創設するとしている。
 たしかに東京産の木材を認定することは多摩産材の差別化を図ることであり、歓迎すべきことである。
 だがそのことで東京産の木材として需要が流通経路にのっていくものであろうか。とても動因にはならないと思う。
 現在、東京都は平成十二年度より景気対策などの面から二十三区内で木材等を使用した新築住宅の固定資産税や都市計画税を減免してきている。十三年度、十四年度で二十七万九千件、二百二十八億円となっている。しかしその対象が平成十六年一月一日までに新築された住宅となっているが、この期間を延長するべきであると考えるがどうか。
 さらに全国で地元産の材木を使用して住宅を建設した場合に税優遇をしている自治体はあるのか。また東京産の木材を利用して住宅を建設したときに税優遇策を考えることはできないか。
3 プランでは公共事業(治山・林道・道路・公園・河川等)や公共施設(学校など)で東京の木を率先して利用してもらうように普及・啓発するとしている。
 それを裏うちするのが「とうきょう木づかいルール」である。地球温暖化の防止、有害な廃棄物を出させず、資源循環型持続的な社会をつくるために、学校など公共施設や公共事業等で輸送エネルギーが少なく、自然素材である東京の木を使っていくルールを策定しようとするものである。
 ルールという以上はそれを守らなかった場合の不利益を用意しておくべきである。
 すなわち、第二の質問とも関係するのだが公共事業者、公共施設管理者がこのルールを自然に守らなければならないような木材使用のガイドラインを明示して強力に指導する姿勢が必要であると考える。
 ルールは精神訓話であってはならないし、実効のあるものでなければならない。当局はどのように対応しようとするのか、問う。
4 いわゆる西多摩地域にとって、かつて森林産業はまさに地場産業であり、多くの働き手がいて、活気づいていたものである。
 それが昨今では百人を切るという惨状である。
 プランを実行していくことの最終的な目標は西多摩地域に森林産業を通じて雇用が生じ、活力がみなぎるようにすることであると思うが、どうか。

平成十五年第三回都議会定例会
和田宗春議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 公文書館制度の改善点について
1 都の公文書館は、水産試験場等との合同庁舎となっているが、他の都道府県と比較して、単独施設ではないことを含めて、見劣りする。独立施設として建設する方向を示すべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 東京都公文書館は、昭和四十三年に東京都職員研修所とともに現在地(港区海岸一丁目十三番十七号)に開設されました。その後、平成九年一月に東京都職員研修所がテレコムセンタービルに移転した際に、閲覧室の装いを新たにし、また、書庫の整備拡充を図りました。
 公文書館については、今後保存していくべき文書量の推移、財政状況等を総合的に考慮し、慎重に検討していきます。

質問事項
一の2 公文書館法では、公文書館の設置に関する事項は、条例で定めなければならないとしているが、都は、東京都組織規程で定められているにすぎない。早急に条例化すべきである。見解を伺う。

回答
 公文書館法(以下「法」という。)に基づく公文書館は、現用文書を除く歴史的文書を保存し、利用に供すること等を目的として設置されるものです。この場合において、地方公共団体が法に基づく公文書館を設置する場合は、条例で定めなければならないとされています。
 しかし、東京都公文書館は、長期保存の現用文書及び都政資料を保存するとともに、都政に関する修史事業を行うことを主な目的として開設されたものです。
 このように、東京都公文書館は、法に基づく公文書館とは性格を異にするものであり、行政の内部組織として東京都組織規程に基づき設置されています。

質問事項
一の3 各局の主務課長は、長期保存文書、有期保存文書の公文書館への引き継ぎ、さらに公文書館のデータベース化についても早急な検討が必要と考えるが、見解を伺う。

回答
 東京都文書管理規則第四十九条の規定により、主務課長は、長期保存文書を作成の翌々年度に公文書館に引き継ぐことになっています。また、同規則第五十四条の規定により、公文書館長は、公文書館において保存する必要があると認める有期保存文書の引継ぎを求めることができ、その場合、主務課長は、特別の理由がある場合を除き、引き継ぐ義務があります。
 しかし、長期保存文書、有期保存文書とも必ずしも引継ぎが十分でない状況にあるため、公文書館では、引継ぎの促進のための説明会を開催しています。今後も、引き続き、引継ぎの促進のために適切な措置を講じていきます。
 また、公文書館では、引き継がれた長期保存文書、有期保存文書のデータベース化を逐次進めており、今後とも、より利便性が高く、使いやすいデータベースの実現に向けて取り組んでいきます。

質問事項
一の4 マイクロフィルム化、電子化の時代である。保存期間の延長等も後世の資料のため必要と考えるが、見解を伺う。

回答
 文書の作成量は、毎年膨大な件数(約三百五十万件)となることから、東京都文書管理規則に基づき、文書の性質に応じて保存期間を定め、その保存期間が満了した文書は廃棄することにしています。また、都の政策決定に係る文書等の歴史的にも保存する必要があると認められる文書については、長期保存文書として保存し、利用に供しています。
 文書の保存期間のあり方については、文書の電子化その他の文書を取り巻く状況の進展及び他団体の動向等を見極めながら、適切に対処していきます。

質問事項
二 森づくり推進プラン(中間のまとめ)と東京の木による家づくりについて
1 東京の木の使用を普及する団体について
ア 東京の木を建築物や工作物などに使用することを普及してきた団体があるが、都は、この種のグループをどれほど把握しているのか、伺う。

回答
 東京の木の利用拡大を図る上で、東京の木を優先的に使用する活動を展開している団体と積極的に連携を進めることが必要であると考えています。
 現在、「東京の木で家を造る会」や「生活協同組合・消費者住宅センター」、「秋川木材協同組合」の計三団体がこうした活動を行っており、引き続き連携協力に努めてまいります。

質問事項
二の1のイ 東京の木の使用を普及する団体の活動のため、どれほどの助成、都庁のホームページでの紹介などをしてきているのか、伺う。

回答
 都は、平成十四年度から、これらの団体が行う工務店や建築主を対象とした研修などの経費に助成を行っています。(平成十五年度は、七十四万九千円を助成)。
 また、東京都ホームページ及び関連サイトでは、これらの団体を紹介しており、今後も東京の木を優先的に使用する活動の紹介に努めてまいります。

質問事項
二の2 都は、平成十二年度より二十三区内で木材等を使用した新築住宅の固定資産税や都市計画税を減免しているが、その対象が平成十六年一月一日までに新築された住宅となっている。期間を延長すべきと考えるがどうか。
 また全国で、地元産の木材を使用して住宅を建設した場合に税優遇をしている自治体はあるのか。
 また、東京産の木材を利用して住宅を建設した時に税優遇策を考えることができないか。

回答
 新築住宅に係る減免措置は、景気対策等の観点から、期限を限って行っているものであり、平成十六年度の取扱いについては、景気状況、都の税収状況、施策の効果等を勘案し、今後、検討していきます。
 また、地元産の木材を活用した住宅については、岩手県紫波町が、住宅金融公庫等からの借入金に対する利子補助と併せ、固定資産税を五年間減免する制度を設けています。
 都において同様の減免措置を講じることについては、減免の効果、税以外のより適切な手段等を考慮すると、困難であると考えています。

質問事項
二の3 公共事業者、公共施設管理者が、「とうきょう木づかいルール」を守らなければならないようなガイドラインを明示して指導する姿勢が必要と考えるが、どのように対応するのか、伺う。

回答
 平成十五年九月に公表した森づくり推進プラン(中間のまとめ)では、地球温暖化を防止し、有害な廃棄物を出さない資源循環型の持続的な社会をつくるために、東京の木の積極的な利用が必要であるとしています。このため、学校など公共施設や公共事業等で優先して東京の木を使うことを求めており、その指針となる「とうきょう木づかいルール」を策定することとしています。
 ルールの策定にあたっては、今後、公共事業や公共施設管理を所管する関係部局による策定委員会を設置し、具体的な木材利用のあり方の検討を通じて、ルールの普及や実効性の担保にも努めてまいります。

質問事項
二の4 プランを実行していくことの最終的な目標は、西多摩地域に森林産業を通じて雇用が生じ、活力がみなぎるようにすることであると思うが、見解を伺う。

回答
 森づくり推進プラン(中間のまとめ)は、都民共通の財産である森の健全な育成に向けて、環境と産業の両面から重点的に取り組む施策について明らかにしています。
 健全な森を将来の都民に引き継ぐためには、林業だけでなく、環境や観光など多摩の森林資源を活かした産業の発展が不可欠だと考えています。
 このため、多摩を中心とする森林地域に、新たな産業としての森林産業を創出し、地域の活性化や雇用創出を図っていくこととしています。

平成十五年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 大山とも子

質問事項
 一 高齢者虐待について

一 高齢者虐待について
1 一九九八年に厚生省科学研究費補助金による長寿科学総合研究事業の研究班が、全国の在宅介護支援センターなど七百三十カ所を対象に行った調査では、それまでの二年間で一千件を超える高齢者虐待の事例が報告されています。その内容は、介護が必要な高齢者に対し、暴力や、睡眠薬などの過剰投与、酸素チューブを抜くなどの身体的虐待、あるいは介護の放棄、乱暴な言葉による心理的虐待など、深刻なものです。
 保健師やヘルパーなどの在宅介護の関係者から話を伺いましたが、「介護を受ける方の自宅を訪れて高齢者に接する時に、あざや傷を見つけたり、衣類、寝具、部屋の汚れや異臭があることなどから虐待に気づくことがある。また、夫が痴呆になった妻をたたいているところを見て、暴力はいけないと言っても、たたかなければわからないんだ、など虐待への自覚がない人もいる。しかし、現状では通報制度もなく、プライバシーの問題もあり支援に結びつけることが難しい。児童虐待の児童相談所、DVの配偶者暴力支援センターのような専門機関もない」などの声がよせられています。
 児童虐待防止法(児童虐待の防止等に関する法律)や、DV法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律)と同様の法整備を行い、問題を早期に発見し、必要な支援につなげていく通報と被害者保護の仕組みや、被害についての相談・支援の専門機関等を確立することが急務であると考えます。
 日弁連は今年三月、高齢者虐待防止法の制定を展望したシンポジウムを開催し、八月には日本高齢者虐待防止学会がスタートするなど、気運も高まっています。
 都として、高齢者虐待の実態と、高齢者虐待防止対策の重要性について、どう認識していますか。
2 国に対し、高齢者虐待防止法を制定し、早期発見の通報と被害者保護の仕組みや、相談・支援の専門機関等をはじめとした高齢者虐待防止システムを早急に確立するよう強く要請する必要があると思いますが、見解を伺います。
3 また、法整備を待つことなく、むしろ法整備を先導する姿勢で、都としてできることは直ちに具体化することが重要です。
 群馬県はすでに、県内の介護支援専門員や介護従事者と市町村の担当者を対象に高齢者虐待の実態調査を行い、事例集をまとめています。さらに今年度の新規事業で、高齢者虐待防止懇談会の設置、リーフレット作成等の虐待防止普及啓発、虐待防止一一〇番の設置を内容とした「高齢者虐待防止推進」事業を創設しています。また三重県は、今年度の六月補正予算に「高齢者虐待実態調査及び虐待防止普及啓発事業」を盛り込みました。
 さらに横須賀市では、保健福祉センターを中心とした虐待防止ネットワーク事業に取り組んでおり、金沢市は、相談窓口の整備をはじめとした予防と早期に発見し支援につなげるためのネットワークの構築を推進しています。
 高齢者の介護での虐待の場合、寝たきり状態の高齢者が放置されていても外に出て行かないだけに表面化しにくいのが実態です。新宿区の高齢者相談の方も表面化していないケースがすごく多いのではないかと語っていました。発見されるのは、ヘルパーが訪問してあざがあるとか、ケアの状態がいつも非常に悪い、また近所の方からの心配の連絡などでケアマネージャー、区の高齢者担当や保健師のところに相談が来るというケースです。東京では、今のところヘルパー、ケアマネージャー、自治体の高齢者担当、保健師などが連絡を取り合って何とか対応しているものの、高齢者虐待が起こる原因が、介護者が介護で疲れ果て精神的にも追い込まれて、手を出してしまう、ひどい言葉をあびせてしまう、また、息子が母を介護している場合など、母に指示されているうちは何とかなるが、状態が悪くなってくるとどうしていいかわからないから放置してしまうなどのケース、またこれまでの親子関係、夫婦関係などがあって、起こる虐待など、非常に根深く、複雑なだけに特別の対策が必要です。
 都の保健所で対応したものだけで、二〇〇一年度、保健師が家庭訪問した高齢者虐待のケースが四十三件、電話相談は七十四件と報告されており、緊急の対策が求められています。
 まずは、実態の把握ですが、保健所での家庭訪問や相談などの数の統計はあるものの、具体的な内容での実態把握はされていません。在宅介護支援センター、保健所などを始め自治体の協力を得て調査を行い、実態の把握を行うべきです。
4 都独自に、早期発見の通報と被害者保護の仕組みや、相談・支援の専門機関等をはじめとした高齢者虐待防止システムの構築に取り組むことを求めるものです。保健師、看護師、福祉施設職員、在宅介護支援センター、ソーシャルワーカー、ヘルパーなどの専門職が連携して支援できる体制と支援マニュアルの整備、これらの専門職に対する専門的教育の推進、介護の肉体的・精神的負担や孤立感に悩んでいる家族全体への支援、被害をうけた高齢者のカウンセリング等も重要な課題です。できることから直ちに具体化すべきです。お答え下さい。

平成十五年第三回都議会定例会
大山とも子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 高齢者虐待について
1 全国調査では、二年間で千件を超える高齢者虐待の事例が報告されている。法整備を行い、被害の通報と被害者保護の仕組みや、相談・支援の専門機関等を確立することが急務である。高齢者虐待の実態と、高齢者虐待防止対策の重要性について、どう認識しているのか、伺う。

回答
 都内の区市町村では、地域型在宅介護支援センターを中心に、虐待問題を含め、住民からの高齢者に関するさまざまな相談・通報などに応じており、特に困難な事例については、センター的機能を有する基幹型在宅介護支援センターなどにおいて、専門家を交えて対応しています。
 高齢者の虐待防止のためには、これらの既存の取組を着実に推進していくことが重要であると認識しています。

質問事項
一の2 国に対し、高齢者虐待防止法を制定し、早期発見の通報と被害者保護の仕組みや、相談・支援の専門機関等をはじめとした高齢者虐待防止システムを早急に確立するよう強く要請する必要があると思うが、見解を伺う。

回答
 高齢者の生活上の相談については、現在、各区市町村の在宅介護支援センターなどを中心に、住民からのさまざまな相談・通報に応じるしくみとなっています。
 また、虐待を受けた高齢者の保護・支援については、区市町村が、老人福祉法に基づく措置や成年後見制度を活用して対応することとなっており、基本的には、これらの現行の制度の中で対応していくべきと考えています。

質問事項
一の3 高齢者虐待について、保健所での家庭訪問や相談などの数の統計はあるが、具体的な内容での実態把握はされていない。在宅介護支援センター、保健所などを始め自治体の協力を得て調査を行い、実態の把握を行うべきである。見解を伺う。

回答
 高齢者に対する虐待の実態については、平成十五年度、国が、都を含む全国規模で調査を行うこととなっています。

質問事項
一の4 都独自に、早期発見の通報と被害者保護の仕組みや、相談・支援の専門機関等をはじめとした高齢者虐待防止システムの構築に取り組むことを求める。専門職が連携して支援できる体制と支援マニュアルの整備、専門職に対する専門的教育の推進、家族全体への支援、被害をうけた高齢者のカウンセリング等も重要な課題である。できることから直ちに具体化すべきだが、見解を伺う。

回答
 都は、これまでも、区市町村が担っている高齢者に関する相談支援機能を十分に発揮できるよう、在宅介護支援センターを中心とした地域のネットワークづくりや、高齢者いきいき事業による区市町村の先進的な取組への支援などを行っています。

平成十五年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 東ひろたか

質問事項
 一 シックスクール対策について

一 シックスクール対策について
 最近、都内の学校において、改築や改修工事、ITなど機材導入時に、室内化学物質でシックハウス症候群の被害を受ける、シックスクール被害が、あいついでいます。
 昨年の調布をはじめ墨田、江東など改修や改築後の小学校で次々と子どもたちに症状が現れました。九月十八日、練馬区は区内二十六の小学校の各音楽室と、一つのコンピューター室、二つの区立幼稚園でシックハウス症候群の原因物質、ホルムアルデヒドが国の基準を超えて検出されたことを明らかにし、すべての音楽室を使用禁止にしたと発表しました。
 学校における子どもたちの健康を守る上で、シックスクールをいかに未然に防ぐかが緊急の課題となっています。
 私は、明らかにシックハウス症候群と見られる生徒が発見されて問題になった都立世田谷泉高校を訪ね、調査をいたしました。
 同校では、本年三月十四日に耐震および教室の改修工事が完了し、この春オープンしたばかりの実習棟でシックスクール被害が発生。生徒の四割近い百九十三名に目や鼻、のどの痛みや頭痛などの症状がみられ、七月になっても三十四名に自覚症状が続き、九月の診断でも六人が要治療の状態です。
 また、都立学校で二十校検査したうち測定により有害物質が基準値を超えていた学校が十二校、区市町村でも検査した小中学校で次々発見されています。
 化学物質による症状は、いったん発症すると過敏になり症状が出やすくなるなど、子どもの健康に大きな影響を及ぼすといわれ、緊急の対処が求められる問題です。にもかかわらず国も自治体も、教育施設の工事などで有害物質を使わせないための工事契約や工事資材の仕様のあり方、検査や対策、症状が出た子どもの医療その他の負担問題、勉学への配慮など、ほとんどの課題が検討が始まったばかりです。
1 健康局のシックハウス対策マニュアルでは、シックハウスを防止するための、工事資材の選定や施工管理、事後検査などについて一定のアドバイスが行なわれています。
 これらも参考にしながら、多数の子どもが日中多くの時間をすごす学校において、工事資材から有害物質を排除するために、使用禁止材料の指定や引渡し前の検査を厳格におこない、教室の機材も何らかの基準を設けることなど、シックスクールの原因物質を学校内に持ち込まない仕組みづくりを急ぐべきです。答弁願います。
2 教育施設は、ホルムアルデヒド、トルエンなど四物質のみ規制していますが、すでに健康局は子どもの利用する施設について、十三種類の物質の基準をガイドラインとして定め、普及するとしています。教育施設も四物質では不十分なのは明らかです。少なくとも十三物質のガイドラインに基づく検査体制を確立することが必要ではありませんか。所見をうかがいます。
3 都立学校には簡易測定器が全校に配置されつつありますが、いち早い定期測定と、必要なところの本格検査を実施し対策を急ぐこと、小中学校でも同様の検査を実施できるよう、区市町村への財政支援や機材の貸し出しなど柔軟な支援が必要です。いかがでしょうか。
4 私は、シックスクールが発見された場合の対策を具体化する上で、都立学校でシックスクールが初めて確認された世田谷泉高校の経過と教訓を踏まえる必要があると考えます。
 ここでは実習棟の改修工事が終わった三月に、三十二教室のうち五箇所を選んで学校環境衛生基準で検査したら三箇所でトルエンが基準を超えていました。
 問題はこのとき三教室だけ使用中止して他の教室で授業を始めたことです。三教室のトルエン濃度が、換気対策などでもなかなか下がらず、五月に全教室の検査をしたら、現に使っていた七教室で、最大で基準値の八倍もの値が出たのです。その後の対策でも、いまだに一部教室が使えない状態です。
 検査や対策の方策が確立していなくとも、少なくとも検査したうち六割で異常が発見されたとき、全教室の調査を行なっていれば、生徒たちの被害を未然に防ぐことは可能だったはずです。事態を軽視していた教育庁の責任は免れません。
 教育庁は、都立世田谷泉高校におけるシックスクール被害を未然に防ぐ機会を逃した事実を認め、関係者に明らかに陳謝すると共に、症状が出た生徒の治療費、通院費などは全額公費の負担とすること、必要な治療の継続、勉学の保障など、十分配慮することが必要ではありませんか。
 また今回の事態を教訓にして、今後もシックスクール被害が発生した場合や原因物質が発見された場合の対応も、確立することを求めます。あわせてご答弁ください。

平成十五年第三回都議会定例会
東ひろたか議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 シックスクール対策について
1 健康局のシックハウス対策マニュアルでは、工事資材の選定や施工管理、事後検査などについて一定のアドバイスが行なわれている。学校において、使用禁止材料の指定や引渡し前の検査を厳格におこない、教室の機材も何らかの基準を設けることなど、シックスクールの原因物質を学校内に持ち込まない仕組みづくりを急ぐべきである。見解を伺う。

回答
 東京都教育委員会は、室内化学物質対策を総合的に検討することを目的として、平成十五年五月に都立学校室内化学物質対策検討委員会を設置し、十月に報告を取りまとめました。
 同検討委員会では、都立学校における室内化学物質対策の今後のあり方として、取組対象物質の拡大や濃度目標値の設定、新築・改築・改修工事における設計・施工、備品等に関する対策、室内化学物質の測定や安全対策等について検討をいたしました。
 今後、同検討委員会の報告を受けて、都立学校における室内化学物質対策を進めてまいります。

質問事項
一の2 教育施設は、ホルムアルデヒド、トルエンなど四物質のみ規制しているが、健康局は子どもの利用する施設について、十三種類の物質の基準をガイドラインとして定め、普及するとしている。教育施設も少なくとも十三物質のガイドラインに基づく検査体制を確立することが必要ではないか。所見を伺う。

回答
 都立学校室内化学物質対策検討委員会において、十三種類の室内化学物質について、それぞれの物質ごとに、使用状況や室内濃度の実態、使用建材の法規制や技術開発の動向等を踏まえて、対策を検討いたしました。
 十三種類の室内化学物質を測定の対象とすることについては、同検討委員会の検討結果を踏まえ、今後研究してまいります。

質問事項
一の3 都立学校には簡易測定器が全校に配置されつつあるが、いち早い定期測定と、必要なところの本格検査を実施し対策を急ぐこと、小中学校でも同様の検査を実施できるよう、区市町村への財政支援や機材の貸し出しなど柔軟な支援が必要である。見解を伺う。

回答
 室内化学物質の測定については、全都立学校でホルムアルデヒド等の測定を実施できるよう、平成十五年中に簡易測定器を配備します。測定の結果に応じて必要な対応を行い、安全で快適な学習環境の確保に努めてまいります。
 また、区市町村への支援については、各区市町村教育委員会が室内化学物質対策を適切に実施できるよう、担当者等への研修の充実を図るとともに、今後、室内化学物質対策についてのマニュアルを取りまとめ、周知してまいります。
 なお、ホルムアルデヒド及び揮発性有機化合物の定期検査については、国庫補助の対象とするよう、十五年度から国に要望しているところです。

質問事項
一の4 世田谷泉高校の全教室の調査を行なっていれば、被害を未然に防ぐことは可能だったはずである。被害を未然に防ぐ機会を逃した事実を認め、関係者に明らかにし陳謝すると共に、生徒の治療費、通院費などは全額公費の負担とすること、治療の継続、勉学の保障など、十分配慮することが必要ではないか、見解を伺う。

回答
 都立世田谷泉高等学校実習棟において、工事後の使用開始時期の適正さを欠き、生徒に健康被害を生じたことについては、遺憾であると考えています。
 同校の室内化学物質問題については、迅速に都民に公表するとともに、五回にわたり保護者説明会を行って経緯を説明し、改善のための対策を講じてまいりました。
 また、学校の管理下における児童・生徒の健康被害の医療費負担については、独立行政法人日本スポーツ振興センターが必要な給付を行っており、今回の医療費についても、災害共済給付の対象となります。
 なお、室内化学物質の影響による欠席等の扱いについては、生徒の不利にならないよう、教育上の配慮が行われています。

質問事項
一の5 世田谷泉高校の事態を教訓にして、今後もシックスクール被害が発生した場合や原因物質が発見された場合の対応も、確立することを求める。所見を伺う。

回答
 室内化学物質への対応策については、都立学校室内化学物質対策検討委員会において総合的に検討を行いました。
 今後、同検討委員会の検討結果を踏まえ、具体的な対応方法を取りまとめたマニュアルを作成し、都立学校の関係者や、区市町村の担当者を対象とした説明会等を開催して、周知してまいります。

平成十五年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 藤田愛子

質問事項
一 住民基本台帳ネットワークシステムについて

一 住民基本台帳ネットワークシステムについて
 住民基本台帳ネットワークシステム(以下住基ネット)は、二〇〇二年八月五日から一次稼動が始まり、本年八月二十五日には本格稼動となった。この間、不参加の自治体だけでなく、各自治体の条例等により運用されてきた住民の個人情報保護施策がさまざまな困難に直面している。
 当初不参加の態度をとっていた杉並区では、参加を希望する区民の意志を尊重し、選択制による参加という方式に転換したが、その説明として個人情報保護法等の成立を挙げているものの、個人情報のコントロール権の侵害についてはいかなる方法をもってして「保護」することができるのかという課題は、依然として解決されていない。
1 練馬区では、区個人情報保護条例第十八条により、区外に提供した個人情報の利用状況を、審議会、議会に報告し、また、一般の閲覧に供することが定められているが、住基ネットについては東京都への情報提供件数を報告するに止まっており、条例を執行することができない状況におかれている。
 地方自治法上、区市町村は国、都道府県と対等な独立した行政機関として位置付けられ、その自治権も保障されている。練馬区のように条例が執行できない状態にあることに関して、東京都は基礎自治体の自治権を侵害していると考えられるが、見解を伺う。
2 東京都は都民のプライバシー権を確保するために住基ネットで使用されている個人情報の利用状況を各自治体に報告する責任があると思うが、いかがか。
3 また、総務省をはじめ住基ネットによる個人情報を利用している各省庁に対しても、個人情報の利用状況に対する報告を求めていくべきではないか。
4 総務省は本人確認情報の提供情報を都道府県に提供することとしているが、その実行により二百六十四事務の表題を持ったリストに住基コードが付番された個人情報が都道府県に蓄積され、名寄せが簡単にできる状態になり、非常に危険である。そもそも基礎自治体は、住民基本台帳事務という自治事務にのっとり提供した住民の個人情報が危険な状態に置かれることに対しても、個人情報を保護する義務がある。都が各自治体間を越えて本人確認情報の利用をすることは、基礎自治体の自治権を侵害することのみならず、個人情報の自己決定権を侵害することになると考えられるが、いかがか。
5 東京都情報公開・個人情報保護審議会の議論でも指摘されているように、都道府県・市区町村を越えてネットワーク化された情報が、万一漏洩した場合、千二百万都民に対して都知事は都民の個人情報保護を確保するための手段を持っているのかといえば、国の住民基本台帳法の中で個人情報保護措置を定めている以上には、都知事としては何らの実質的な権限を持っていない状況である。
 万一の状況に備えて、自治体の長として知事から大臣に、または他の自治体の首長に対して、漏洩の可能性について調査・報告を求めるということを条例に規定する必要があるのではないか、伺う。
6 また、市区町村の中には、行政内部での濫用防止策についても条例等改正を行ない罰則規定を盛り込む動きもある。都条例については同様の改正を行なう考えはないのか。
7 今夏の本格稼動に伴い、各自治体が希望者に交付することとなったICカードについては、各種保険、納税、免許等さらには民間分野に至る独自の機能を一枚のカードに集約する構想が明らかになっている。すでにアジアでは韓国、台湾等の国々で試みられた電子住民カード、ICカード導入に関しては大きな社会問題となっている。これらの諸問題と日本でのICカード導入との関連について東京都はどのように認識しているか、基本的考え方を伺う。
8 長野県では、さきに本人確認情報保護審議会が「情報保護のセキュリティが不完全であることなどを理由に、県は、当面、住基ネットから離脱すべき」との報告を行なった。こうした経過を踏まえ、長野県では現在インターネット接続団体における侵入実験を行なっているところである。この件に関して、技術的には侵入は容易に行えると言われている。千二百万都民の個人情報を抱える東京都においては、率先して個人情報保護策を講じることは論を待たず、早急に侵入実験を行なうべきと考えるが、いかがか。

平成十五年第三回都議会定例会
藤田愛子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 住民基本台帳ネットワークシステムについて
1 練馬区では、区個人情報保護条例により、区外に提供した個人情報の利用状況を、審議会、議会に報告し、一般の閲覧に供することが定められているが、住基ネットについては都への情報提供件数を報告するに止まっている。練馬区のように条例が執行できない状態にあることに関して、都は基礎自治体の自治権を侵害していると考えられるが、見解を伺う。

回答
 住民基本台帳ネットワークシステムにおいては、住民基本台帳法第三十条の二十九の規定に基づき、区市町村から都道府県に通知された本人確認情報の安全確保について、都道府県が責任を持って適切に管理、運用を行うこととされています。

質問事項
一の2 都は都民のプライバシー権を確保するために、住基ネットで使用されている個人情報の利用状況を各自治体に報告する責任があると思うが、所見を伺う。

回答
  法律上、本人確認情報の提供状況を区市町村に報告する義務はありませんが、区市町村等から本人確認情報の提供状況を把握したいとの要望があることから、現在、四十七都道府県共同で、区市町村に対し自治体別・提供先別の状況を報告できるよう、準備を進めています。

質問事項
一の3 住基ネットによる個人情報を利用している各省庁に対しても、個人情報の利用状況に対する報告を求めていくべきではないか。見解を伺う。

回答
 国の機関等に対する本人確認情報の提供状況については、住民基本台帳法第三十条の十一第六項の規定に基づき、毎年少なくとも一回、提供先、事務の名称、提供年月、提供件数及び提供方法が官報に公告されています。
 また、現在準備を進めているシステムにおいては、都道府県の求めにより、自治体別に国の機関等に対する本人確認情報の提供状況が把握できることとなります。

質問事項
一の4 総務省は本人確認情報の提供情報を都道府県に提供することとしているが、基礎自治体は、提供した住民の個人情報が危険な状況に置かれることに対しても、個人情報を保護する義務がある。都が各自治体間を越えて本人確認情報の利用をすることは、基礎自治体の自治権を侵害することのみならず、個人情報の自己決定権を侵害することになると考えられるが、見解を伺う。

回答
 社会・経済活動が、自治体や地域の枠を越えて展開している今日にあっては、行政サービスの基礎的基盤となる住民基本台帳ネットワークシステムも、自治体の枠を越えた全国的なサービス提供ができてこそ、その役割を果たせると考えます。
 システムの運用に当たっては、個人情報の保護のため、法令面、技術面及び運用面のそれぞれにおいて十分な安全確保措置を講じており、今後とも引き続き努力していきます。

質問事項
一の5 都道府県・市区町村を越えてネットワーク化された情報が、万一漏洩した場合、都知事としては何らの実質的な権限を持っていない状況である。万一の状況に備えて、自治体の長として知事から大臣に、または他の自治体の首長に対して、漏洩の可能性について調査・報告を求めるということを条例に規定する必要があるのではないか、所見を伺う。

回答
 都道府県知事は、住民基本台帳法第三十条の二十三第二項の規定により、必要があると認めるときは、指定情報処理機関((財)地方自治情報センター)に対し、本人確認情報処理事務等の実施の状況に関し報告を求め、検査を行うことができます。
 また、都道府県知事、区市町村長及び指定情報処理機関は、それぞれ、住民基本台帳ネットワークシステムを利用する行政機関等に対する調査権を行使できます。
 さらに、都は、都民の本人確認情報が漏洩するおそれがある等の場合には、東京都訓令に基づき、緊急時においてはシステムを一時停止するなど適切に対応することとしています。
 これらにより、十分な個人情報保護対策が実施できると考えています。

質問事項
一の6 市区町村の中には、行政内部での濫用防止策についても条例等改正を行ない罰則規定を盛り込む動きもある。都条例については同様の改正を行なう考えはないのか、伺う。

回答
 現在、東京都情報公開・個人情報保護審議会においては、知事の諮問を受け、IT化の進展を踏まえた、都にふさわしい個人情報保護制度の構築に向け、東京都個人情報の保護に関する条例の改正について審議を行っており、その答申を踏まえながら、適切に対応していきます。
 なお、住民基本台帳ネットワークシステムについては、住民基本台帳法により、従事する職員等の秘密保持義務違反者に対し、通常より重い罰則(二年以下の懲役又は百万円以下の罰金)が科せられることとなっています。

質問事項
一の7 各自治体が希望者に交付するICカードについては、各種保険、納税、免許等、独自の機能を一枚に集約する構想が明らかになっている。韓国、台湾等の国々で試みられた電子住民カード、ICカード導入に関しては大きな社会問題となっている。これらの諸問題と日本でのICカード導入との関連について都はどのように認識しているか、基本的考え方を伺う。

回答
 住民基本台帳カードは、確実かつ迅速な本人確認を可能とし、住民サービスの向上と行政の効率化に資するものであり、今後は、公的個人認証サービスにも利用できるようになります。
 また、区市町村は、条例に基づき、証明書自動交付や施設予約等、広く行政サービスの向上のために活用することができます。
 高度のセキュリティ機能を備えているICカードである住民基本台帳カードは、今後の社会において、行政面で基礎的基盤となるものと考えています。

質問事項
一の8 長野県では現在インターネット接続団体における侵入実験を行なっている。この件に関して、技術的には侵入は容易に行えると言われている。都においては、率先して個人情報保護策を講じることは論を待たず、早急に侵入実験を行なうべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 住民基本台帳ネットワークシステムは、安全確保の面において、専用回線の使用、送信情報の暗号化及び不正侵入を阻止するファイアウォールの設置などの措置を講じた上で、これらを二十四時間監視し、仮に異常を検知した場合には、直ちに対応できる体制をとっていることから、都としては、改めて侵入実験を行う必要はないと考えています。
 なお、長野県が実施した住民基本台帳ネットワークシステムへの侵入実験については、今のところ、長野県からの公式な発表がなく、内容は不明です。

ページ先頭に戻る