平成十五年東京都議会会議録第十三号

○副議長(中山秀雄君) 十二番富田俊正君。
〔十二番富田俊正君登壇〕

○十二番(富田俊正君) 私は、都議会民主党を代表して、当面する都政の主要課題について、知事並びに竹花副知事、そして関係局長に見解を伺います。
 このほど、犯罪対策の強化、三位一体改革、郵政事業、道路四公団の民営化などを公約に掲げ自民党総裁に再選された小泉総理による小泉第二次改造内閣が発足いたしました。これまでも、改革なくして成長なしとして、さまざまな改革を掲げながらも、自民党内の抵抗を受けて遅々として改革が進まなかった小泉内閣でありますが、今回の再選も、政策的に一致しない勢力を多数取り込んでの再選であり、本当に改革が進むのか、危惧されるところであります。
 この第二次改造内閣の発足を受けて、石原知事は小泉内閣の今後の国政運営についてどのようにお考えなのか、所見をお伺いいたします。
 さて、日本経済は、昨今の株価上昇に見られるように、景気の持ち直しに向けた動きが見られ、ついこの間までの総悲観ムードは徐々に薄れつつあります。政府の九月の月例経済報告も、八月に続き二カ月連続で上方修正されております。企業の収益改善が続き、設備投資が回復し、輸出も持ち直してきています。しかし、企業の収益改善といっても、製造業の大企業が中心であり、いまだ中小企業は厳しい状況にあります。個人消費もおおむね横ばいの状態を脱し切れていません。国も東京都も厳しい財政状況のもとにありますが、この景気回復の芽を摘むことのない経済財政運営が求められています。現在の経済情勢について知事はどのような認識をお持ちなのか伺います。
 また、財政再建と景気回復の芽を育てるという一見相反する課題を抱えて、今後の財政運営をどのように進めようとお考えなのかも伺います。
 こうした中で、東京都は、去る七月の二十四日、都政の構造改革の視点と方向を示し、この視点と方向に基づいて、新たな政策展開のための平成十六年度重点事業、第二次財政再建プラン、新しい都庁改革アクションプランを策定するとされました。
 このうち、重点事業については、戦略的取り組みの方針も踏まえるなど、策定に際しての指針を定めていますが、ならば、この重点事業は石原都政の長期構想である東京構想二〇〇〇のどこに位置づけられ、あるいは実施計画のどこに位置づけられるのでありましょうか。現在の実施計画である三カ年推進プランは平成十三年度から十五年度までの計画でありますが、十六年度以降の実施計画は示されず、示す予定もないということであります。
 確かに各局の事務事業を積み上げただけの実施計画では意味がありませんが、重点事業だけではなく、都政が全体として何を目指して事業を実施していくのか、各局、各部、各課がその全体的取り組みの中でどの部分を担っていくのかを、単年度ではなく、複数年度の時間軸とともに示すことが、これら都庁の有能なる資源を最大限に生かしていく道ではないかと考えるものです。この点についてはどのようにお考えなのか、お伺いをいたします。
 次に、第二次財政再建プランについて伺います。
 去る七月に発表された中間のまとめの中では、時代の変化に即して東京都の施策の範囲及び水準を見直すとの考え方が示されました。今回、厳しい財政状況を背景に、改めて守備範囲の見直しが求められているのでありますが、そのためには、例えば東京都の役割は何かということを明確にするとともに、東京都と区市町村との役割分担を明確にすることが重要です。
 同時に、これまでも私たちが繰り返し主張しているように、分権改革と市町村合併といった動きを先取りし、東京都においても、道州制をにらみながら、今後の広域自治体のあり方を探り、広域連合を構成するなど、具体的な動きをとっていくべきです。
 先ごろ当選した上田埼玉県知事も、就任の会見で、県で対応できない部分は首都圏という枠組みの中で考える仕組みが必要だと述べ、首都圏連合に前向きな姿勢を示したところです。また、石原知事を初めとした四知事が、首都圏連合のもと、具体的な施策連携を推進することを決めたとも報じられています。東京都が広域自治体としての役割をより鮮明にしていくためにも、今後の広域連携へのビジョンと具体的取り組みが重要と考えますが、所見をお伺いいたします。
 首都圏連合を公約に掲げた松沢神奈川県知事に続く上田埼玉県知事の誕生によって、一都三県による広域連合の機は熟しつつあります。そして、これと同時に、今後の東京都と区市町村とのあるべき役割分担の形、すなわち広域自治体と基礎的自治体の役割分担のモデルを描き、東京発の分権改革を行って、日本全体の分権改革をリードしていくべきと考えています。
 いうまでもなく東京都は広域的な仕事に特化し、区市町村でできる仕事は、区市町村の意思と判断で行うことができるようにしていくべきです。既に東京都独自の取り組みとして、平成十二年に第二次分権推進計画が策定され、東京都から区市町村への事務の移譲、移管が進められているところですが、計画策定後の時代状況の変化とその進捗状況を踏まえて、今後どのように区市町村との間で分権改革を進めていくのか、お伺いをいたします。
 以上述べた点も踏まえまして、検討課題となっている東京圏の自治体のあり方を示す都政改革ビジョンⅡの策定にも早急に取り組むべきと考えます。私たちは、都政改革ビジョンⅡという中長期的視点に立ったビジョンのもとに、長期構想に対する実施計画のように後で述べます新しい都庁改革アクションプランも位置づけるべきだと考えています。そうした展望があってこそ、その年々の都政改革が生きてくると考えているからであります。幸い、行財政改革基本問題特別委員会における論議も、予定されていた審議事項についての論議を終え、本定例会後には、石原知事を招いての締めくくり質疑ともいうべき質疑が行われることになっています。これらの論議を踏まえ、早急に都政改革ビジョンⅡの策定に取り組むよう求めておきます。
 こうした検討を前提として、今回の施策の見直しに当たっては、各局が都政の役割や守備範囲をより根本に立ち返って検討すべきです。都の施策は皆それぞれ目的や意義を掲げて始められたはずでありますが、本来は民間や区市町村の判断と責任で行うべき物事まで東京都が手を出してしまい、今となっては身動きがとれなくなったという面はないのでしょうか。
 また、東京都からの過度な財政支出が、区市町村の自主的、主体的であるべき財政運営に影響を与えたことはなかったでしょうか。施策の検証がなされず、財政再建イコール単なる収支のつじつま合わせということになれば、今後も同じ間違いを繰り返す可能性があります。民間ではなく行政が、行政の中でも東京都が行うべきか否かという観点から、施策の目的、内容、そして効果をきちんと検討した上で、政策形成、予算編成を進めることが財政再建への近道と考えますが、第二次財政再建推進プランではどのような取り組みをなされようとお考えなのか、所見をお伺いいたします。
 東京都が財政再建をなし遂げるためには、まず、これまでも繰り返し取り上げられてきた、税財源の移譲、財政調整や超過負担、法人事業税の分割基準など、国政レベルで解決しなければならない課題も少なくありません。
 その一方で、東京都自身も、小規模宅地について都市計画税の軽減措置、新築住宅、小規模業務用地の固定資産税、都市計画税の減免によって、本年度予算で約七百億円の減免措置を行っています。いずれも、高地価のもとで苦しい生活を余儀なくされている特別区の区民に対する配慮でありますが、同じ都民の住む財政規模の小さな多摩地区の市町村にはなかなか実施が困難な措置でもあります。
 内部努力においても、職員のモラールの向上を図りながら、いかに総経費を抑えていくかという課題もあります。そして補助金、交付金においても、任意的補助金は本年度予算では七千億円余りになります。これら東京都が財政再建をなし遂げるために抱えている課題は、いずれも都民生活に密接にかかわるものであり、第一次プランの際に行ったように、これらの課題を率直に都民に公開し、都民とともに財政再建を考えることが必要です。最終的には議会が議決すべきことですが、その前に都民と情報を共有し、認識を共有することが、財政再建を真になし遂げるための第一歩であると考えます。所見をお伺いいたします。
 次に、新しい都庁改革アクションプランについて伺います。
 このプランについては、先日、中間のまとめが発表されましたが、その内容を見ますと、財政再建を主眼に置いた取り組みであるとの印象が強くあります。
 これは、旧プランの基本線を踏襲したこと、財政状況がさらに厳しくなっている状況を反映したという面もありますが、東京圏の自治体のあり方についての中長期的ビジョンが定まっていないのが最大の原因なのではないかと考えています。都庁改革においては、そうしたビジョンを踏まえながら、都民ニーズに的確にこたえていくために、都庁を今後どのように変えていくのかが重要ではないかと考えています。
 現状では一定の限界がありますが、当面の実施計画ともいうべき新たな都庁改革アクションプランにおいては、具体的に都庁をどのように変えていくつもりなのか、考えをお伺いいたします。
 また、組織体制の見直しにおいては、私たちが従来より提唱しているように、行政サービスの見直しや業務改革の推進などを踏まえ、事業の統廃合などによる間接業務の大幅な縮減や事業実施部門の政策形成能力の強化、効率化などを目指し、政策課題に的確に対応できる組織への再編成を実施すべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、電子都庁の取り組みについてお伺いいたします。
 東京都は、これまでにも電子都庁の実現に向けた基盤整備を進め、ITを活用した情報提供や申請、届け出業務の電子化などを進めてきましたが、これらの事業のために見積もった費用は、計画ベースで約百七十億円にも達しています。
 このような大規模な事業である電子都庁の推進に際しては、その効果をわかりやすい形で公開し、評価、見直しを行うことが不可欠です。とりわけ、投下費用に対してどの程度の効果が都民、そして企業、都庁にもたらされたのか、また、実際にどの程度の効果が創出されたのかという費用対効果分析を明確にし、都民の理解、協力を得ることが必要であります。
 そこで、情報システムの効果分析と評価に対する東京都の考え方と今後の取り組みについてお伺いをいたします。
 また、今後、都民にとって効率的で価値のある電子都庁を実現していくためには、情報システムの構築、運営のやり方自体も、民間企業における経営手法等を参考にしながら、より低コストで高品質なシステム開発や運用が行われる仕組みへと変えていくことが必要であると考えています。
 例えば、総務省においては、市町村の電子自治体化促進のため、共同アウトソーシングに関する研究、実証実験を複数の都道府県に委託する形で進めており、また、自治体においても、岐阜県のほか、大阪府も、庶務事務に係る情報システムの構築と構築後の事務運営に関する業者選定を行っています。このように、情報システムの効率的、効果的な構築、運用に関しては、民間企業の知識、技術力、ノウハウの活用は、東京都としても考慮すべき重要な要素であると考えられます。
 そこで、伺います。このような中で、東京都としては、情報システムの構築や運営に関するアウトソーシングについてどのような考えをお持ちなのか、お伺いをいたします。
 アウトソーシングにおいては、単なる情報システムの開発、運用の丸投げではなく、それぞれの自治体の戦略、意図に即したものとしていくことが重要であると考えています。最近、東京都庁では、コンピューターウイルスによる被害が発生したと報道されました。このような事態を防止するためにも、アウトソーシングに際しては、例えばコンピューター・セキュリティー・ポリシーのような、東京都庁のコンピューターシステムが備えるべき基本的な機能要件や約束事、あるいはその仕組みが提供する基本性能については、依頼主であるところの東京都が何らかの指針を示すべきではないかと考えられます。
 このようなことから、都庁の現状をきちんと踏まえた上で、機能要件、性能要件、セキュリティー要件、調達方式、事業評価方式などを総合的に勘案したコンピューターシステムの戦略的整備計画が必要だと考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、銀行業に対する外形標準課税について伺います。
 私たちは、本税の導入は、税制は国が定めるという固定観念にとらわれている現状に対して、自治体の課税自主権を行使することによって自治権の拡充を図る取り組みであること、そして、この取り組みによって、全国の自治体で課税自主権行使の機運が高まり、平成十五年度の税制改正では全業種に対する外形標準課税が実現することとなるなど、大きな成果を上げたものと評価をさせていただいております。
 今回の和解も、税率こそ大きな譲歩を余儀なくされていますが、税収自身で見るならば、四年間の推計では、地方税法上の所得基準税額では三百十七億円なのに対して、銀行外形では一千二百六十億円と、応益負担の要素を維持しており、条例自身も有効な条例として残ることになります。
 税法改正による課税自主権の制限、税率の適否等については常任委員会で改めて伺わせていただきますが、私たちは、さきの上告に際しても、財政負担リスク回避のためにも、課税の凍結、税率引き下げ等も選択肢の一つとして考え、その旨を繰り返し問題提起してまいりました。今回の知事の決断は、まさにそのとおりになったわけで、現実的な対応と考えております。
 しかし、知事は、さきの上告に際して、私たちが税率を軽減する条例改正を行うべきではないかとの指摘をしたのに対して、上告審においては都の主張が認められるよう全力を尽くすと明確に答弁し、裁判を闘い抜くとの姿勢を示されました。
 全力を尽くすとした時点から今回の和解に至るまでの間にどのような状況の変化があったのか、なぜ和解という道を選択したのか、都民、国民に対し十分に納得のいく説明が必要であると思いますが、所見をお伺いいたします。
 あわせて、知事は銀行業に対する外形標準課税の意義をどのように考えているのか、お伺いをいたします。
 また、本税の導入に際しては、本来オープンの場で議論されなければならない税の問題が、発表直前まで極秘裏に進められてきたという手法に対して、プロセスの民主主義の観点からも批判を受けてきました。今回の和解も、新聞辞令によって議会の知るところとなりました。何もかもが公になればいいというものではありませんが、これでは議会の存在が問われることになります。
 知事は、このような重要な課題について議会との関係をどのようにお考えなのか、所見をお伺いいたします。
 次に、自動車公害対策について伺います。
 いよいよあと六日で、ディーゼル車規制がスタートいたします。これまでの関係者のご努力を多とするとともに、事業者のご協力に心から感謝を申し上げます。
 規制を実施するに当たっては、東京都内の事業者の多くが、経営が厳しい中で規制対応に努力してきたことにかんがみれば、努力をしてきた事業者と何の対応もしていない事業者とを区別をしないと、まさに正直者がばかを見るという状況になりかねません。
 特に、東京都内には、都県域を越えて違反車両が流入してくることも予想されます。また、先日は、偽造された適合車両のステッカーがインターネットオークションで出品されるという事件も起きており、後で述べます確認証明書などの偽造も予想されています。
 東京都としても、取り締まりの実施など、きちんと対応した事業者の努力が報われるような積極的な取り組みが必要だと考えますが、見解をお伺いいたします。
 九月十二日、東京都は、新車やDPFを発注したものの、メーカーなどの都合によって納車や装着が間に合わない事業者に対して、八都県市確認証明書を発行し、一定の配慮をすることを発表しました。
 しかし、確認証明書を発行しても、取り締まりだけでなく、工事現場や配送の仕事などで不利な扱いを受けることがないかといった不安の声があるのも事実であります。
 こうした不安にこたえるために、規制の実施に当たっては、一都三県による取り締まりだけではなく、区市町村を含めた公共工事における取り扱いや、民民の契約における元請企業との関係なども含め、まじめに規制に対応しようとする事業者が不利な扱いを受けないよう、東京都としても責任を持って確認証明書の周知徹底に努めるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 ディーゼル車規制は、深刻な健康被害が懸念される粒子状物質を削減するための取り組みですが、自動車による大気汚染は粒子状物質だけではありません。
 例えば光化学スモッグは、自動車や工場から排出される窒素酸化物や炭化水素が紫外線と光化学反応を起こして有害なオキシダントをつくることにより発生するといわれています。
 東京都内の大気汚染の中でも、この光化学オキシダントについては、すべての測定局で環境基準に適合しておらず、改善が全く進んでおりません。しかも、過去三年の光化学スモッグ注意報の発令日数は、例年の二倍前後と悪化の兆しを見せており、昨年は、被害の届け出が過去十年で最多を記録しています。
 私は、この古くて新しい問題である光化学オキシダントによる大気汚染の改善に向けて、東京都としても積極的に取り組んでいくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 今申し述べた光化学オキシダントも、自動車が排出する窒素酸化物が大きな要因の一つになっていますが、東京都が毎年行っている都内の大気汚染状況調査によると、NOxも含めた環境基準未達成の測定局はまだまだかなり残されており、大気汚染の改善に向けた東京都の積極的な取り組みが求められています。
 今後も、ディーゼル車規制の着実な実施とともに、低公害車の普及、交通量対策、局地汚染対策など、八都県市の連携を強化しながら総合的な自動車公害対策を推進し、大気汚染から都民の健康と生命を守っていくべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、食品安全確保対策について伺います。
 科学技術の進展によりさまざまな科学的な知見が明らかになってくるに従い、食品の安全性は、シロかクロかといった形で論じることが不可能となってまいりました。
 また、従来の食品安全行政の反省点を踏まえ、我が国では食品安全基本法においてリスク分析の手法が導入されることになりました。これは、消費者の健康保護を最優先に考え、事故の後始末だけでなく、危害にさらされる可能性がある場合には事故を未然に防ぎリスクを最小限にするシステムの導入を意味しています。
 私たちは、今後の東京都の食品安全確保対策においてもリスク分析の考え方を取り入れるべきと繰り返し主張してきました。
 今回、東京都が公表した、食品安全基本条例の制定に向けた基本的な考え方においても、条例の目的を、食品の安全を確保することにより、現在及び将来の都民の健康を守ることとし、都民の健康保護を最優先する姿勢を示していますが、リスク分析の考え方に立つものかどうか、いま一つ明らかではありません。都民の健康を守るという趣旨からも、条例を含め、今後の東京都の食品安全確保対策はリスク分析の考え方を取り入れるべきだと考えますが、改めて所見をお伺いいたします。
 リスク分析を構成する三要素の中でも、危害要因とその危害の状態や安全確保のための方策についての情報を都民と事業者と行政が共有する、いわゆるリスクコミュニケーションは、単なる行政施策の普及、広報ではなく、施策を構築するプロセスとして極めて重要です。特に、国よりも消費者に身近な存在である自治体には、リスクコミュニケーションへの積極的な取り組みが期待されています。
 しかしながら、今回明らかにされた基本的な考え方においては、都のリスクコミュニケーションに対する考え方が明らかになっていません。東京都はどのようにリスクコミュニケーションを推進するのか、所見をお伺いをいたします。
 食品の偽装表示事件など相次ぐ事件により消費者は食の安全に敏感になっており、消費者の不信や不安に基づく特定の食品に対する拒否反応が市場を大きく左右する状態にあります。科学的に正しい情報であっても、危険性について誤解を与えるようなものであれば、風評被害を生み、混乱に拍車をかける場合があることは、BSE事件による教訓です。
 こうしたことを繰り返さないためにも、リスクコミュニケーションの前提として、都民がリスクを正しく認識して適切な選択をすることができるような取り組みを積極的に進めるべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 また、東京都は、都条例が及ばない他の自治体で生産、製造された食品の消費地であり、都内に流通している食品の安全を確保する上では、他県との共同の取り組みがポイントとなると考えます。特に、調査、措置勧告や自主回収報告制度などは、生産、製造地である他県との連携した取り組みによって初めて効力を発揮するものといってよいと思います。
 基本的な考え方においては、関係自治体との情報交換や調査協力など広域的な連携を進めると述べるにとどまっており、具体的な施策が見えません。都が率先して農産物や加工品など多様な食品の安全確保のための具体的な連携策を打ち出す必要性があると考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、総合的な子育て支援策について伺います。
 次世代育成支援対策推進法などの改正を含めた関連法が成立し、急速に進む少子化の対策を総合的かつ計画的に進めることになりました。自治体には目標と目標達成のために講ずる措置の内容を記載した行動計画の策定が求められていますが、中でも重要な位置を占める子育て支援についてお伺いをいたします。
 保育所不足による待機児童の解消が問題となって久しく、現に平成十四年度の東京都の待機児童は五千五十六人となっています。
 一方で、平成十二年労働経済局の調査では、仕事と家庭の両立を難しくしている要因として、社内制度の不備、所定労働時間が長い、残業が多いといった仕事面が約五五%、保育施設、保育時間などのサービス不足など保育面は約二〇%であります。
 さらに、平成十五年度の厚生労働白書によると、子育てしながら働く上での問題点として、子育て中の父親の三割から四割が、休みがとりにくい、子育てに十分時間がかけられないなどを挙げています。
 これらのことから、長い労働時間や子育て中の働き方の問題が保育ニーズを高めている側面がうかがわれます。現在ある保育ニーズを満たすことは喫緊の課題であり、東京都の認証保育所制度は都民からも高い評価と支持を得ています。
 しかし、さらに踏み込んで考えれば、都民の求めるところは、子育て中の休みのとりやすさ、残業の減少など、子育てに十分時間をかけられる働き方であると考えますが、見解をお伺いいたします。
 平成十三年、福祉局の「児童虐待の実態」によると、虐待者の五九%を占める実母のうち、就業していない者の割合が六五%と高く、密室、孤立育児によって引き起こされる問題は深刻であります。
 東京都の働く親への支援は、都民からも高い評価を得ていることは先ほど述べたとおりですが、今後は、保育サービスの充実に加えて、家庭での子育て支援のさらなる充実が必要ではないでしょうか。ご見解をお伺いいたします。
 さらに、子育て支援策のうち何を行政が行うのか、何を都民の自主的な取り組みが担うのかを区分けし、よりきめ細かで充実したサービスの供給体制を構築していく必要があるのではないでしょうか。
 私たちは、子育てや介護を通した都民の自主的な取り組みによる多世代交流は、地域を活性化させ、新しいネットワークが地域共同体の再構築へとつながることが期待できることから、積極的に育成、支援していくべきと考えています。
 そこで、東京都としては、子育て支援における都民の主体的な取り組みをどう位置づけているのか、所見をお伺いをいたします。
 次に、知事の公約である「しごとセンター」の検討状況についてお伺いをいたします。
 我が国の失業率は五%台で高どまりしており、さきに発表された東京都の四月から六月の失業率も五・三%と厳しい雇用情勢が続いています。その改善のためにも、東京都が地域で雇用就業対策を強化していくことが急務であります。
 ことしの第二回定例会で、私たちの代表質問に、知事は「雇用の需給ミスマッチを解消するため、独自の就業支援策として、仕事に関するあらゆる情報を一カ所で提供できる「しごとセンター」を開設する考えであります。」と答えられました。
 そこで、この「しごとセンター」の開設に向け、東京都はどのように検討を進めているのか、お伺いをいたします。
 また、雇用就業施策は、これまで東京都が実施してきた労政事務所での労働相談や技術専門校での職業能力開発などのセーフティーネットの施策と一体に展開されてこそ、その効果が上がるものと考えています。労政事務所での労働相談は平成十四年度では年間五万件を超えており、技術専門校の修了生の就職率も七三%にも上っています。こうした形であるということを踏まえた上で「しごとセンター」が設置をされ、これらの既存のセーフティーネットとしっかりと連携が図られることが期待されます。「しごとセンター」と労政事務所及び技術専門校等の連携について、所見をお伺いをいたします。
 次に、最後になりますが、治安対策についてお伺いいたします。
 知事は、さきの所信表明において、今日、都民の最大関心事は、治安の回復でありますとして、治安対策への強い意思を示されるとともに、震災対策やNBCテロに対する対策など危機管理にも万全の構えで臨むとされました。
 しかし、自民党総裁選挙の中、街頭演説における知事の発言が、テロを容認するものと受けとめられ、さまざまな混乱を招いています。知事は、十二日の記者会見でその真意を丁寧に説明されましたが、いまだにその懸念が払拭されたとはいえません。
 私たちは、テロ反対を掲げればすべてが免罪されるなどとは考えておりませんが、しかし、寸にして断たざれば尺のうらみありであります。
 今後、東京都の治安を回復し、都民が安心して町を歩けるようにする取り組みを進めるに当たって、テロリズムは決して容認しないという姿勢を明確に示す必要があると考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
 八月一日に発足した緊急治安対策本部では、さきの定例会で制定された安全・安心まちづくり、そして少年問題、外国人犯罪の三つを軸として治安対策に取り組んでおり、それぞれの課題について伺いたいと思います。
 まず、安全・安心まちづくりに関してですが、私たちは、前回の代表質問においても、防犯カメラが目的外使用されるということがないよう、運用基準などを定めた条例制定を求めたところです。
 先月、東京都が発表した、住宅や駐車場などにおける防犯上の指針案でも、防犯カメラの設置が求められており、また、緊急治安対策本部では、補助制度の創設や事業者への設置依頼など、防犯カメラの設置促進策を検討しています。
 私たち民主党は、国において、行政機関等による監視カメラの設置等の適正化に関する法律案を提出していますが、東京都においても、行政が主導してカメラの設置を進めるのであれば、プライバシー保護のためのルールをあわせて定めるべきであると考えています。
 改めて条例の制定を求めるとともに、当面の取り組みとして、最低限、運用基準の指針化を図るなど、防犯カメラが目的外使用されないような手だてを講じるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、少年問題についてです。
 八月二十一日、東京都は子どもを犯罪に巻き込まないための方策を提言する会を立ち上げ、十月中には同会からの提言がなされると予定されています。
 この会で検討課題に青少年健全育成条例の改正が上がっていますが、不健全な図書の指定の拡大や書店への立ち入り権限強化などについては、言論活動の自由などの関係で慎重な議論が求められる問題です。また、情報化社会にあっては、不健全図書の規制強化がどれほど効果を持つのか疑問であります。
 インターネットや携帯電話などのメディアによって多様な情報がはんらんする現代社会の中では、むしろ青少年自身の情報判断能力の育成、いわゆるメディアリテラシーに積極的に取り組んでいくことがより有効であるというふうに考えますが、見解をお伺いをいたします。
 次に、外国人犯罪についてです。
 六月の都議会において、私たちは、不法来日外国人対策として、水際での保安対策をただしました。その後、東京都は、東京湾保安対策協議会を設立させ、東京港だけでなく、千葉や横浜、川崎の各港とも連携した取り組みを展開しようとしています。
 各港の港湾管理者は、来年七月までに港湾施設保安計画を策定する予定ですが、ハード面も含めて可能なものは、計画策定の前であっても早急に整備していくことが求められます。
 また、水際での保安対策だけでなく、外国人登録証の交付手続の見直しや、日本語学校などの外国人就学生、留学生による風俗営業店での労働問題など、さまざまな対応が必要であります。これらの問題の解決に向けて、入国管理局にも積極的に働きかけながら、不法滞在外国人対策に積極的に取り組んでいくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、今定例会に提案されている迷惑防止条例の改正について伺います。
 今回の条例案は、昨年六月の議会において、私たち都議会民主党が、自民党、公明党とともに削除、修正した、いわゆるつきまとい行為等を改めて規制するものとなっています。
 今回の条例案の内容については、「正当な理由なく」という文言を加えたこと、規制されるべき行為についてより限定したこと、あるいは乱用防止規定を設けたことなどは、私たちの主張したところであり、評価するものです。
 しかし、それでもなお一部には労働運動、市民運動やマスコミの取材活動などへの規制を危惧する声が上がっています。警視庁はこれらの懸念についてはどのようにお考えなのか、お伺いをいたします。
 また、条例案では、ストーカー規制法で規定されている警告、中止命令、公安委員会の関与が盛り込まれず、直罰規定のみとなっています。私は、現場の警察官が誤って運用することがないよう求めるとともに、条例の趣旨を正しく理解することで、一昨年、都内で発生した母子殺傷事件のような事件が二度と起こらないように切に願うものです。条例の運用に当たって、警視総監の決意をお伺いをいたします。
 以上で都議会民主党を代表しての質問を終わります。知事及び副知事、警視総監、そして関係局長の誠意ある答弁をお願いし、以上ということにさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 富田俊正議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、小泉内閣の今後の国政運営についてでありますが、せっかくあの総裁選で自民党の派閥力学という非常に旧弊な因習というものを、人事並びに政策の立案、推進で壊したんでありますから、今後もっと大きな目的を達成し、壊すものを壊して、日本の国政を合理化、現代化していただきたいと思います。それは繰り返して申しましたけれども、太政官制度以来続いている中央集権、官僚統制という役人の壁というものを、ぜひ小泉総理に今後の国政を通じて打ち破ってもらいたい。
 しかし、大いに期待をしていますけれども、今までの小泉内閣が率いる国政の反応というのは、もう東京をいらいらさせる、非常にテンポの遅いものでありまして、今後はもっとスピードアップして、返事が来るのに数カ月かかるみたいな、こういうことでは困るんでありまして、どうかですな、やっぱり地方分権にしろ、規制緩和にしろ、ともかく物事を迅速に、的確にやっていただきたいと期待をしております。
 特に構造改革は、いうのは結構でありますけれども、やっぱり特殊法人という、隣のシナやソビエトがやっていた―シナって、悪い言葉じゃないですよ。これは、この間も向こうの政府がちゃんと発表した中に、我々の国に対する尊称であるというインターネットの説明が出ていましたから、皆さん、後学のために覚えておかれたらよろしいと思いますが、このシナや、かつてのソビエトがやっていた国営企業と同じものでありまして、こういったものをやっぱり征伐するのは、個々にいじるよりも、もっと大きな大謀網をかけて、きちっとした組織をつくって、上にしっかりした経済人を置いて、そして最後は会計検査院の役人を二十名ぐらい連れてきて、きちっとした要するに会計基準というのをつくって、これに該当しないものは全部とにかくつぶす。東京都が、国が決めましたが一向にあちこちでやらない外部監査を導入して、いろんなつまり矛盾というものがさらけ出されてきましたけれども、そういうことをやっぱり国も、今後は第二次小泉政権のもとにやっていただきたいと思います。
 次いで、現在の経済情勢についてでありますけれども、少し雲間から光が漏れてきたような気がいたしますが、しかし、これは決して健全な徴候とは私はいえないと思います。ともかく日本の経済が、これはあらゆる点でアメリカに引きずり回されて、アメリカの影響を受けている。これは私は否めないと思いますし、そもそも竹下内閣のころからアメリカの世界金融に完全に組み込まれて、日本はアメリカの金融奴隷に成り下がってきたわけでありまして、こういった要するに日本のかかわりというものを、力があるわけですから、日本は膨大な金融資本を持っていますし、外交のカードに有利に使えるいろんな技術力を持っているわけで、これを駆使しながら、やっぱり対等な関係というものを経済の面でも構築してもらいたいと思います。
 隣の中国の元が高くなり過ぎたということで、いろいろ物議を醸しておりますけれども、既にアメリカの議会は、場合によったらアメリカだけは二三・五%の関税を元にかけるという決心、その決議をしている。こういう一方的な措置というものをアメリカが決めて、しかも、周りの関係国というのを顧みないというのはおかしな話でありまして、こういったものにもやっぱり今の政府は、今後はそれが実現されるならば、元なら元にどう対応するかということを、日本の経済は非常に被害を受けているわけでありますから、きちっと物をいうべきだと思っております。
 次いで、今後の財政運営についてでありますが、これまで財政構造改革を進めて、都財政を立て直しつつ、東京の再生や都民の安心、安全を確保する施策などについては、財源を重点的、効率的に配分することを基本に財政運営を行ってきたつもりであります。これから進める財政再建は、時代の変化とともに、都民が新たなニーズというものを構える、それにも的確にこたえる施策の財源を生み出すための将来を見据えた取り組みでありまして、今後ともさらなる内部努力に取り組みつつ、それを踏まえて、聖域のない施策の見直しを徹底して行うとともに、東京の活力を呼び戻す先進的な施策を、これは発想の問題でありますけれども、積極的に展開していきたいと思っております。
 次いで、首都圏自治体の広域連携についてでありますが、これは首都圏連合とか連携とか、いろいろ後から出てきた言葉はありますけれども、だれが何をいおうと、とっくの昔からやっているわけでありまして、土屋埼玉知事、隣の神奈川県の知事さん、千葉県は、ちょっとやっかいな知事がなかなか動かなかったんですけれども、堂本さんになったら非常にスムーズになりまして、八都県市で、これまでもディーゼル対策、産業廃棄物対策、広域防災訓練、羽田空港の国際化など広域的な課題について共同の取り組みを積み重ね、着実に成果を上げてまいりました。今月二十二日には、首都圏と大阪圏の七知事が共同で国に対して警察官の増員などに関する提案も強く行いました。
 先般も、上田さんが当選したすぐ直後、一都三県の四知事で話し合いましたが、全く異論なしに、これからも思い切って、名前が何であろうと、実質的にとにかく広域行政をやっていこう。これはさらに、要するに、稠密な産業地帯につながっている中京地域、そして大阪とつながるわけでありまして、これは先ほど申しました銀行の新しい金融のライフラインというものが現代技術で構築されますと、もっともっと進んだ形になってくると思います。
 次いで、銀行業に対する外形標準課税についてでありますが、今回の裁判は地方の課税自主権を確立するための闘いでありまして、私もその時々の状況において最善の判断もしてきたつもりであります。今回、都の条例を契機として国の法改正が行われまして外形標準課税が導入されたこと、金融機関の財務内容が極めて悪化し、六月には、りそな銀行が破綻して二兆円もの公的資金が再注入されたことなどなど踏まえまして、そして、高裁の判決では、税負担の均衡を欠いているという趣旨の判定がございましたが、そういったものを勘案して、状況に応じて変わってくる裁判という戦局状況の変化を見据えながら、銀行側もその意思を表示してきまして、弁護団にもいろいろあつれきがあったようでありますけれども、向こう側の認識とこちらが折り合いまして、和解に応じることにいたしました。
 また、銀行外形の意義についてでありますけれども、今申しましたとおり、これはある意味で地方分権の税源分与のはしりでありまして、これからやはり各都道府県あるいは自治体が考量しながら、それぞれ策を講じる、それをまた実施していくことで、国は動かざるを得ないという状況が、歴史的な必然、蓋然として到来するものと思っております。
 次いで、この外形標準の提案、成立前の立案の過程で秘密主義ではないかという指摘もありましたが、率直に申しまして、都庁は、このごろ大分変わってきたようですけれども、就任当時は極めて情報の管理が悪くて、大事なことが非常に漏れました。新しい画期的な、要するにこういう施策を講じるときに、私は非常に不安を感じましたから、本当に限られた職員だけでこれを立案し、でき上がったところで幹部にも諮り、また議会にも諮ったわけでありまして、そういう点でいささかご不満があったと思いますが、しかし、議会の情報管理も、私、そう当てにしているわけじゃないんで、これはああいう形で持ち出してよかったんじゃないかと思っております。お気にさわったら、ひとつお許しいただきたいが、やっぱり守るべきものは情報として守って、これは別に全然開示せずに遂行したわけでもございませんので、ひとつそこはご理解いただきたいと思います。
 次いで、総合的な自動車公害対策の推進についてでありますが、東京の大気汚染は非常に深刻な状況にありまして、その大きな要因であります自動車排出ガスの削減は喫緊の問題であります。これは人間の生命にかかわる人道的な問題でありまして、都が国に先んじてその意識を持ち、かつまた、それに共感する業界の方々が、国の動きと全く対照的に迅速に対応し、共感してくださって、今日の運びになりました。そういう点では、私は日本人である国民の良識を信じるわけでありますけれども、その結果、規制の強化を一貫して八都県市で求めてまいりましたし、今日のこのディーゼル車規制に取り組み、実現に及んだわけであります。
 さらに、交通渋滞の解消や排出ガスの削減を図るために、三環状道路などの整備促進にも努めてきまして、これからも努めていきたいと思っております。
 今後とも、こうした問題について国の責任ある対応を求めるとともに、ディーゼル車規制の徹底や道路ネットワークの整備推進など、大気汚染の早期改善に向け、広範に取り組んでいきたいと思っています。
 次いで、テロリズムについてでありますけれども、立場が右であれ左であれ、こういう現代国家の中で、テロを頭から容認するばかはいないと思います。ただ、この世の中にそういう暴力行為が絶えないということも、またこれは一つの社会の現実でありまして、そして、あの北朝鮮による、状況証拠を含めれば百五十もの同胞が拉致、拉致というと聞こえがいいけど、とにかく誘拐され、ほとんどが殺害された。そういうものをテロとしても認めてこなかった。今、総理大臣も、あれはテロですかと新聞記者が聞くと、普通にいえばテロだなというんだ。普通にいえばテロというのは、どういうことなんですかね。テロはテロですよ。
 そして、自民党の中にも、拉致、誘拐というテロを事実として認めない人もいましたが、ほかの野党というのはほとんど認めなかったんでしょう。それで、それに呼応してかどうかは知りませんけれども、この二十五年間、幾ら問題提起しても、外務省は動いてこなかった。それは国民は怒りますよ。この怒りが、あの田中均なる非常にけしからぬ審議官が、ああいうマヌーバーかビヘービアか、だれのためかわけのわからぬ外交を断りもなしに展開する。それについてやっぱり国民が憤激するのはごくごく妥当で、私は、外務省がやっていることは一種の背信行為、売国でありまして、私は万死に値すると思いますね。
 それをそういう表現でしたんで、ちょっと舌が足らなかったようでありますが、実は私は蓮池透さんと話をして、これは一年たったら、だんだんこの問題が風化してきた。この総裁選と来るべき衆議院の選挙にもう一回試みて、これを政党間の、あるいは候補者の対立軸に据え直そうじゃないかということで、たまたまあの事件が起こりましたから、その機をとらえてああいう表現をいたしましたが、ゴルフでいうと、インテンショナルフックですな。これはうまくパーオンしたと思います。近々出る雑誌にも、そのことをインタビューで受けていいましたが、これはやっぱり投げたルアーに、片言隻句に喜ぶばかなメディアがダボハゼのごとく食いついて、結局、国民は、あの問題をきっかけにして、一体外務省が何をやったかということ、やっているかということを認識し直してくれたと思うので、私はあえてそのそしりを胸を張って受けるわけであります。
 ただ、先般、曽野綾子さんが、非常に的確にシニックに書いていらっしゃいましたけれども、テロはいけないという、何人も否定できないお題目だけを唱え、それで良識人の顔をしていれば事足れりとする反応には、物事の本質を見誤る危うさを感じざるを得ないと書かれていましたけれども、私もそう思います。
 私をとらえてとっちめようとした朝日新聞の記者に、なら、君は朝日新聞として、今やっている外務省の姿勢をどうする、批判するのかしないのか、妥当とするのかといったら、私が質問しているんですよ、おれが君に質問しているんだといったら、座って答えませんでしたな。
 なお、その他の質問については、副知事、警視総監及び関係局長から答弁いたします。
〔副知事竹花豊君登壇〕

○副知事(竹花豊君) 治安対策についてお答えいたします。
 まず、防犯カメラに関してですけれども、防犯カメラの有効性は明らかであり、治安対策を進める上で防犯カメラの普及は不可欠でありますけれども、あわせてプライバシーの保護については慎重な配慮がなされることが必要であると考えております。
 そこで、まず、現在都が管理しております防犯カメラにつきましては、それぞれの管理責任者が映像データの貸し出し等の管理運用を慎重に行っておりますけれども、より厳格な取り扱いを行うよう、今後、専門家の意見も聞きながら、貸出手続やカメラの設置の明示などを含む運用規程の整備を検討していきたいと考えております。
 また、都では、商店街振興事業の中で、本年度から防犯カメラの設置を補助金の交付対象としておりますが、その際、防犯カメラシステムの運用基準の参考例を示して、設置目的、画像使用の際の手続、画像の保存期間、設置箇所の明示等について当該商店街を指導しているところでございます。
 他の事業者、設置者におきましても、自主的に管理運用の規程を定めるなど、今後策定予定の都の規程等を参考にしながら、より一層適切な運用取り扱いを行うよう働きかけや指導を行いたいと考えております。
 なお、ご指摘の条例の制定につきましては、このような取り組みの中で、その必要性等について見きわめてまいりたいと考えております。
 次に、不法滞在の外国人対策への取り組みについてでありますが、都は、不法入国・不法滞在外国人対策を強化するため、先月、法務省や警視庁、警察庁などに呼びかけて連絡会議を設置したところであり、また、近く、日本語教育機関等とも、入国管理局を含めた就学生の指導に関する連絡協議会を発足させる予定であります。これらの機関、団体と緊密に情報交換、意見交換を進めつつ、ご指摘のような諸問題の解決に向けて積極的に取り組んでいく所存でございます。
〔警視総監石川重明君登壇〕

○警視総監(石川重明君) 初めに、今回のいわゆる迷惑防止条例案で労働運動などへの規制についての懸念はないかとのお尋ねでございますが、警視庁では、昨年の第二回定例会でいただきましたご指摘を踏まえて慎重な検討を行い、前回の条文案に所要の変更を加えた上で、今回の条例案を提出いたしました。
 それは一つには、「正当な理由なく」という文言を加え、二つには、規制対象を直接的かつ悪質なものに限定をしているところであります。こうした変更により、正当な労働運動、市民運動、取材活動等が規制対象外であることがより明確になったものと考えております。
 次に、つきまとい行為等の禁止規定の運用につきましては、このたび、都民の権利を不当に侵害しないように留意し、その本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを乱用するようなことがあってはならないと、いわゆる乱用防止規定を条例案に設けた趣旨にのっとりまして、真に都民の要望に沿ったものとし、いささかも権限乱用といったことのないように、適切な運用に努めてまいる所存であります。
〔知事本部長前川燿男君登壇〕

○知事本部長(前川燿男君) 都政の重点事業についてでありますが、昨年策定いたしましたいわゆる重要施策は、大きく二つをねらいといたしております。第一は、都政の取り組みの方向を戦略的に示すことであり、そのため、網羅的ではなくポイントとなる政策課題を重点的に取り上げております。第二に、こうした政策課題は、ライン化した縦割りの体制では十分に対応できないため、課題の解決に向けて都庁全体で横断的、総合的に取り組むこととした次第であります。
 こうした取り組みは、行政に本来求められているものでありますが、現在のような社会的な変革の時代にあっては、特に必要かつ有効であると考えております。今後とも、長期的な方向も見据えながら、こうした取り組みを充実強化し、都庁の潜在力を最大限に発揮させてまいります。
〔総務局長赤星經昭君登壇〕

○総務局長(赤星經昭君) 六点の質問にお答え申し上げます。
 まず、今後の分権についてでございますが、都はこれまで、住民に身近な行政は基礎的自治体が行うべきという考えに立ちまして、第二次東京都地方分権推進計画を策定いたしまして、区市町村との合意に基づき、順次、事務、権限の移譲を行ってまいりました。今後、分権改革を抜本的に進めていくためには、権限の移譲とともに、国が税財源を地方に移譲し、自治体の行財政基盤を強化することが必要不可欠でございます。都といたしましては、こうした視点に立ちまして、都議会の行財政改革基本問題特別委員会における審議などを踏まえながら、真の地方分権実現に向けた取り組みを進めてまいります。
 次に、都庁改革アクションプランについてでございますが、新たな都庁改革アクションプランは、都政の構造改革の視点と方向でお示ししました都政改革の基本的な考え方に基づき策定するものでございます。厳しい財政状況を踏まえまして、さらなる内部努力や制度全般にわたる見直しなど、業務改革の一層の推進を図りますとともに、政策実現を支えます執行体制の整備や行政サービスのあり方の見直しを行い、都民ニーズに的確にこたえられる都庁づくりを進めてまいります。
 次に、組織体制の見直しについてでございますが、都はこれまでも、大学管理本部や病院経営本部の設置など、都の政策課題に効率的、効果的に対応できる組織体制の整備を行ってまいりました。今後も、中間のまとめでお示ししましたように、まちづくりや福祉・医療、産業の振興など都の重要な施策を推進する上で最適な組織体制となるよう、組織の見直しを進めてまいります。
 次に、情報システムの効果分析と評価についてでございますが、都ではこれまでも、個別の情報システムごとに費用対効果や運用体制などの評価を実施してまいりました。電子都庁推進計画は、都政の幅広い分野にITを活用することによりまして、従来の制度、慣行を抜本的に見直し、都民や事業者との強力なパートナーシップをつくり上げ、新たな都政の創造を目指すものでございます。このため、今後、都民、事業者の利便性の向上など新たな視点を加えまして、民間の事例等を参考にしながら、計画全体について総合的に評価を実施し、電子都庁の推進に努めてまいります。
 次に、情報システムのアウトソーシングについてでございますが、都としては、事業の内容、セキュリティー、評価など、行政が行うべき分野を明確に示しつつ、民間企業が有しております高い技術力や資源を戦略的に活用することが重要であると考えております。こうした考えに基づきまして、東京都が区市町村とともに取り組んでおります電子自治体共同運営におきましても、アウトソーシングを予定しております。今後とも、ITの評価・活用能力を高めながら、セキュリティー等にも十分配慮して、情報システムのアウトソーシングを活用してまいります。
 最後に、情報システムの戦略的整備計画についてでございますが、都はこれまで、個人情報の保護やセキュリティー対策を初め人材の育成、コンピューターシステムの調達方式の見直しなどを行いながら、IT基盤の整備を図ってまいりました。今後、電子都庁の本格的展開と電子自治体の連携に当たりましては、これまで以上に都民の利便性の向上と安全で信頼できるシステムの確立に配慮するなど、総合的な視点から計画的に取り組みを進めてまいります。
〔財務局長櫻井巖君登壇〕

○財務局長(櫻井巖君) 財政再建に関するご質問にお答えいたします。
 まず、行政の役割分担の観点から、第二次財政再建推進プランではどのような取り組みを行うのかとのお尋ねでございます。
 都税収入の大幅な増加が見込めない中で、財政再建を進めつつ、東京の再生や都民サービスの充実を図っていくためには、都が行うべき事業を厳選し、限りある財源を重点的に配分するという厳しい施策の選択が不可欠でございます。そのためには、ご指摘のように、民間、国及び区市町村との役割分担を明確にし、施策の目的、内容、効果を検証した上で根本から見直していく必要がございます。例えば、区市町村の自主性、自立性を尊重する観点から、今までの都の関与を見直すとともに、都民にとってより質の高いサービスを効果的に提供できる事業主体を選定するなど、より本質的な見直しを行っていかなくてはならないと考えております。財政再建の新たなステップにおきましては、このような観点に立ちまして事業を所管する各局と連携し、都民サービスの充実に向けた取り組みを徹底してまいります。
 次に、都財政に関する都民への情報提供についてであります。
 財政再建の取り組みを進めるためには、何よりも都民の皆様方に都財政の現状や課題を正しくご理解いただくことが重要であります。都はこれまでも、適時適切に都財政に関する情報提供に努めてきており、この六月には「途半ばにある財政再建」を、また七月には第二次財政再建推進プラン中間のまとめを作成しまして、都財政の現状とこれから進むべき方向性を広く都民の方々にお示しをいたしました。財政再建の次のステップは痛みを伴う困難な過程も予測されるため、これまでにも増しまして都民の皆様方にご理解を得ながら進めていくことが必要であり、今後とも的確な情報提供に努めてまいります。
〔環境局長小池正臣君登壇〕

○環境局長(小池正臣君) 自動車公害対策に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、違反ディーゼル車への対応についてでございますが、規制開始を間近に控えて、厳しい経営環境の中ではありますが、多くの事業者の方々の理解と協力により、規制への対応が急速に進んできております。こうした事業者の努力に報いるためにも、偽造ステッカーへの対応はもちろんのこと、規制開始後は、他県からの流入車も含めて、違反車両には厳正に対処していく必要があります。このため、直接的な取り締まりとして、警視庁と合同した検問や、自動車公害監察員による、事業所、市場を初めとした物流拠点への立入検査などを実施いたしますとともに、配送や工事等での規制適合車使用の徹底を図るなど、公平で実効性あるディーゼル車規制を実施してまいります。
 次に、確認証明書の周知徹底についてでございますが、今回の証明書の発行は、条例を遵守する意思がある事業者に対し、単に取り締まりを猶予することにとどまらず、配送や工事等の契約で不利益を受けることがないように配慮するものでございます。
 このため、直ちに荷主や工事等の元請の立場にある上場企業約二千社を初め、約二百の各種業界団体等に対して周知文書の送付や個別訪問を行い、周知徹底に努めております。また、区市町村や監理団体に対しても、直ちに説明会を開催いたしました。
 今後とも、事業者がご指摘のような不利益を受けることがないよう、周知徹底を図ってまいります。
 最後に、光化学オキシダント対策についてでございますが、都は、これまで、光化学オキシダントの原因物質である窒素酸化物や炭化水素類などの排出削減を進めてまいりましたが、これらの物質の濃度が低下してきているにもかかわらず、近年、オキシダント濃度が再び上昇し、注意報等の発令回数も増加してきております。
 その理由として、原因物質の組成の変化やヒートアイランド現象との関係などが指摘されているため、本年六月、専門家で構成する光化学オキシダント対策検討会を設置いたしまして、発生メカニズムの解明と対策の検討を進めております。
 今後、検討結果をもとに光化学オキシダント対策の強化を図るなど、積極的に取り組んでまいります。
〔健康局長平井健一君登壇〕

○健康局長(平井健一君) 食品安全について、四点の質問にお答えいたします。
 まず、今後の食品安全確保対策におきますリスク分析の考え方についてでございます。
 食品安全基本条例の制定に向けた基本的な考え方におきましては、常に最新の科学的知見に基づいた安全行政を進めること、都民、事業者及び行政の相互理解と協力に基づいて安全行政を進めることなど、国際的にも評価されているリスク分析の考え方に基づいた理念を掲げております。
 次に、リスクコミュニケーションの推進についてでございます。
 食の安全に関しまして、できる限り多くの情報を提供するとともに、都民、事業者、行政が相互に情報や意見のやりとりをすることのできる仕組みをつくることが重要でございます。
 都は、これまでも保健所の相談窓口を初めとして、電話やメールによる都民の質問などに適切に対応するとともに、印刷物等による情報提供にも努めてまいりました。
 この八月からは、インターネット上で意見交換ができる場としての食品安全ネットフォーラムを開設しておりまして、今後もこうしたさまざまな手法を通じて、リスクコミュニケーションの充実を図ってまいります。
 次に、都民がリスクを正しく認識して適切な選択をすることができるような取り組みについてでございます。
 都民が食品を適切に選択するためには、食品の安全性に関する情報を正確かつわかりやすく伝え、正しく理解していただくことが必要でございます。
 このため、本年七月に設置した東京都食品安全情報評価委員会におきまして、現場から収集したさまざまなリスク情報を分析し、安全性の評価を行うとともに、その情報を都民に正しく理解していただくための方法についても検討してまいります。
 最後に、食品の安全確保のための自治体間の連携についてでございます。
 都は、これまでも首都圏十二自治体による連絡会を設置するなどによりまして、他県に製造施設がある場合の違反食品の措置や、広域的に発生した食中毒の原因究明などに役立ててまいりました。
 さらに、今年度の重点事業である都民のための生産情報提供プロジェクトにおきまして、農産物などの広域的な安全安心の確保に取り組んでいるところでございます。今後も、さまざまな取り組みを通じて、広域連携を図ってまいります。
〔産業労働局長有手勉君登壇〕

○産業労働局長(有手勉君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、子育て期間中の働き方についてでございますが、仕事と子育ての両立を推進するためには、保育施設の整備やサービスの向上等のいわゆる保育面での施策とともに、育児休業制度の普及や勤務時間の短縮など、仕事面での施策が重要でございます。
 このため、都は、国に対しまして、子育て期にある労働者が労働時間の短縮や時間外労働の削減を申し出ることができる制度の創設などを強く要望するとともに、企業や働く方々に対し、関係法令の周知や制度の普及を積極的に進めてまいります。
 次に、「しごとセンター」の開設に向けた検討についてでございますが、東京における厳しい雇用情勢に対処するため、「しごとセンター」を来年度に開設する方向で準備を進めております。
「しごとセンター」では、若年者から高齢者までの求職者に対して、多様な情報を一元的に提供し、相談体制の充実を図るとともに、必要に応じて職業能力を開発することによって、それぞれの能力や適性に応じた仕事と結びつけていくことが重要と考えております。
 現在、具体的な運営方法、事業規模等について、鋭意検討をしております。
 最後に、「しごとセンター」と既存のセーフティーネットとの連携についてでございますが、「しごとセンター」は、仕事に関する多様なニーズにこたえ、雇用、就業の促進を図ることを予定しておりまして、効果的に事業を実施するために、労働相談や職業能力開発などとの連携は、欠かすことができないものと認識しております。
〔福祉局長幸田昭一君登壇〕

○福祉局長(幸田昭一君) 子育て支援策に関します二点のご質問にお答えいたします。
 まず、家庭での子育てに対する支援についてでございますが、家庭や地域の養育力が低下し、少子化が進む中では、認証保育所制度など、子育てと仕事の両立を支援する施策に加えまして、在宅で子育てをしている家庭に対する支援の充実も重要と認識しております。
 これまで、都は、区市町村と連携し、子育て中の親の相談や交流の場となる子ども家庭支援センターや子育て広場の設置を促進するとともに、一時保育やショートステイなど、子育て支援サービスの充実に取り組んでまいりました。
 今後とも、在宅で子育てをしている家庭への支援サービスの推進に一層努めてまいります。
 次に、子育て支援における都民の主体的な取り組みについてでございますが、子育て支援は、行政はもとより、企業、地域を含めた社会全体で協力して取り組むべき課題であることから、子育て支援に主体的に取り組むさまざまな担い手との協働のもとに、対策を進めていくことが重要であると考えております。
 来年度予定している次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画の策定に当たりましては、こうした観点も含めて、子育て支援策の充実を検討してまいります。
〔生活文化局長三宅広人君登壇〕

○生活文化局長(三宅広人君) 治安対策における青少年問題についてお答えいたします。
 インターネットや携帯電話など新しいメディアが急速に普及する中で、青少年の情報活用能力の向上が求められております。都においても、いわゆるメディアリテラシー育成講座の開催等を行ってきました。
 一方、青少年を取り巻く現在の環境を踏まえますと、メディアリテラシーの向上に加えまして、不健全図書を初めとするさまざまな有害環境への規制をより効果的に行うことが、青少年の健全育成にとって喫緊の課題となっております。
 今後ともさまざまな対策により、青少年の健全育成に努めてまいります。

○副議長(中山秀雄君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後六時三十八分休憩

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