平成十五年東京都議会会議録第十三号

   午後三時五十八分開議

○副議長(中山秀雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 五十九番鈴木貫太郎君。
〔五十九番鈴木貫太郎君登壇〕

○五十九番(鈴木貫太郎君) 私は、都政の重要課題について、都議会公明党を代表し、知事並びに関係局長に質問をいたします。
 さて、この夏、世界を代表する二つの都市、ニューヨークと東京で象徴的な出来事がありました。すなわちニューヨークでの広域的な大停電事故が世界の瞠目を集め、一方、東京では時ならぬ不順な冷夏による電力危機の回避が期せずしてもたらされたことであります。仮に東京がニューヨークと同様の事故に見舞われたならばと、電力危機回避と対置して、だれしもがほっと胸をなでおろしたに違いありません。
 また、国内では、長期化する不況の中、大規模事業所での事故の続発に加え、冷酷な凶悪犯罪の増加があり、国民生活の危機とも思える諸現象に、都民は不安を禁じ得ないところであります。
 都民の間に広まりつつある将来への懸念を払拭し、活力あふれる東京に再生させる真の改革を実現するため、今こそ私たちは渾身の力と知恵を振り絞るべきときでありましょう。この認識に立って、以下質問をいたすものであります。
 まず、財政再建について伺います。
 我が党は、これまで第二次財政再建プラン策定について、再三、都の基本姿勢をただしてまいりました。都は、財政再建に向けた処方せんとしての第二次プランをこの十月にも発表することを明らかにしております。
 第一次プランで六千億円近い財源を確保したにもかかわらず、第二次プランの中間のまとめでは、今後三カ年にわたる財源不足については、単年度で三千五百億円という巨額の規模を想定しております。
 さらに、いわゆる銀行税訴訟での和解に伴い、来年度の銀行からの外形課税では、七百億円に及ぶ税収の減少が見込まれ、これを加えると、何と第二次プラン策定の初年度で合計四千二百億円もの財源不足が招来するのであります。
 こうした巨額の財源不足を解消することが財政再建の最低限のテーマではあります。しかし、財政再建は単なる収支の数合わせであってはならず、東京の真の再生のため、新たな都民ニーズに柔軟に対応できる強固な財政基盤の確立を目指すものでなければなりません。第二次財政再建プラン策定に当たっては、この視点に立って、創意と工夫を凝らす努力が何よりも不可欠であります。
 そこで、以下何点か伺います。
 第一に、今後の財政再建は、節約型の対応にはもはや限界があります。事業のスクラップ・アンド・ビルドを徹底し、施策の範囲、水準や実施方法などを時代に適合させて、再構築を図ることが重要であります。その意味で、第二次プランの実施に当たっては、量的減量だけではなく、質の分野にまで切り込む、抜本的な事業の見直しや民間への委託などを進める視点が必要と考えます。
 第二に、行政における徹底したむだの排除、行政の高コスト体質の改善こそ重要であります。限られた財源を最大限有効に活用しつつ、将来を見据えた良質な社会資本を次の世代に残す努力を重ねなければなりません。
 第三に、中間のまとめの視点にも示されているとおり、財政再建を進めるとともに、最小のコストで最大のサービスを目指さなければならないということであります。財政再建のベクトルは行政サービスの向上に向けられるべきであり、決して都民サービスの低下を来すことが断じてあってはならないのであります。例えば受益者負担のあり方についても、低所得者や生活困窮者などに対して負担がふえることのなきよう、この際十二分に配慮すべきと考えます。
 第四に、財政再建に関連して、都は先日、新たな都庁改革アクションプランの中間のまとめを発表いたしました。この新たなアクションプランは、都政の危機的状況を乗り切るため、現在のアクションプランの成果や課題を生かしながら、年内を目途に策定されるとしております。本年七月に都政の構造改革の視点と方向が発表され、都政改革の大きな方針が示されてもおります。ここでは、都政の各分野で政策と内部改革の両面から構造改革を推進することが表明されております。新たなアクションプランにおける、この改革の視点と方向を具体化する基本的考え方についてであります。
 第五に、監理団体改革については、都財政支出の削減など一定の成果を上げてきたところでありますが、今後の厳しい都財政を考えたならば、一層の改革への努力が必要でありましょう。地方自治法の改正により、公の施設管理が民間にも開放されるなど、監理団体を取り巻く社会環境が大きく変化している中にあって、効果的な改革を進めるとともに、その体質の強化に一層努めるべきであります。
 以上五点について、所見を伺います。
 次に、銀行業に対する外形標準課税訴訟について伺うものであります。
 いわゆる銀行外形課税は都の課税自主権の行使ということであり、その導入は議会の議決を経て、成立を見たものであります。
 我が党は、一審、二審、そして上告審とも、都を全面的に支持してまいりました。それは、国と地方の税配分が極めて不均衡な状態の中で、地方自治体が憲法で保障された課税自主権を行使することは当然であるとの視点からであります。
 今回の訴訟はまさにその是非を問う闘いでもありましたが、このたび、これまでの税率三%を〇・九%に、本税二千二百二十一億円に還付加算金百二十三億円を含め、合計二千三百四十四億円を返還するなどの内容で、和解に向け、基本合意を見たのであります。
 知事は、さきの第一回定例会で、上告審において都の正当性が十分に理解されるよう全力で取り組む旨の答弁をなされております。なぜこの時期に話し合いによる終結を選択なされたのか、今回の税率改正に至る基本的考え方及び和解合意に至るプロセスについて、具体的に伺うものであります。
 また、全国の自治体において法定外税の創設が行われるなど、課税自主権行使の流れが大きく広がったことに対して、都の取り組みが大きな契機となったことは大いに評価をされるべきでありましょう。
 そして、平成十六年四月から国の制度としての導入が図られることも勘案するとき、先進的な都の銀行外形そのものが、地方税制のあり方が問われる中で、どのような役割を果たしてきたのか、この際検証されるべきと考えます。
 知事は、このたびの銀行外形に関する事実経過をどのように総括をこの際なされるのか、また、この検証を踏まえての今後の地方税制改革に臨む基本的な考え方を伺うものであります。
 次に、治安対策について伺います。
 昨年都内で発生した犯罪件数は三十万件を超える一方、検挙率は年々低下の傾向にあり、犯罪の凶悪化、多様化、国際化と相まって、都民の治安回復への要請はかつてないほど強くなっております。治安の維持こそ最大の都民福祉であるとして、第二回定例会では、東京都安全・安心まちづくり条例を提案するとともに、竹花治安対策担当副知事をトップとする緊急治安対策本部を去る八月一日に立ち上げ、都は治安回復に向け具体的施策の検討に着手をするなど、この課題に積極的に取り組む知事の姿勢を高く評価いたすものであります。
 そこで、以下伺います。
 第一に、所信表明の中で、知事は、警視庁など関係機関と協力をして、横断的、重点的に取り組むことによって、一刻も早く、目に見える形で犯罪を減らし、都民生活に安心を取り戻したいと、その抱負を述べておられます。目に見える形でと明言されていることに、知事の大きな決意を感ずることができます。それは、いわゆる体感治安の改善を意味するものと推察をいたしますが、治安回復を願う都民の強い要請にこたえるため、今改善に向け力を注ぐべき具体的課題について、この際、知事の所見を伺うものであります。
 第二に、いわゆる生活安全条例が十月一日に施行をされます。この条例の実効性を担保するための具体的運用のあり方について、我が党はこれまで指摘をしてきたところであります。この条例のもと、治安回復のための推進システムとして、都レベルの推進協議会、地域レベルの推進協議会がそれぞれ設置され、行政、事業者、都民等の緊密な協力連携が図られるとされておりますが、この準備状況をこの際明らかにしていただきたい。
 また、都緊急治安対策本部は、さきに、各区市町村に対し、それぞれの地域の安全点検を実施するとともに、治安上特に問題の多い地域などを安全対策重点地区に選定し、安全対策上の措置を講ずるよう求めております。適切な指導とともに、各分野にわたる具体的な支援が欠かせないものと考えるものであります。所見を伺います。
 第三に、警視庁への都職員一千人派遣問題についてであります。
 警察業務の事務負担を軽減し、警察官によるパトロールの強化を図り、街頭、侵入犯罪抑止対策に充てるとしておりますが、派遣時期と期間、具体的な職務内容、必要な業務研修計画などについて、この際明らかにしていただきたい。
 また、この派遣計画は、都民生活の現場から強い要請のある、警察官のいない、いわゆる空き交番の解消など、交番機能の強化を初め、警察官の職務質問など街頭活動による取り締まり強化に資するものでなければならないと考えるものであります。所見を伺います。
 第四に、公明党は、七月に発表いたしましたマニフェスト、政策綱領の中で、治安対策の一環として、警察官の増員とあわせ、警察官OBの活用、民間警備会社と連携した地域パトロールの強化などを掲げております。警察業務のうち、必ずしも警察でなくても対応可能な分野については、警察官OBの活用や民間への委託を行い、治安、警備などの分野に警察機能を重点化することも検討すべきと考えるものであります。所見を伺います。
 第五に、既に昨年末までに、日本を含む世界百四十六カ国で批准され、来年七月に発効する海上人命安全条約、いわゆるSOLAS条約への対応についてであります。
 改正条約の対象港である東京港においても、テロ対策のためのフェンスや監視カメラのほか、照明の設置、立入禁止区域の設定、巡回警備、保安計画の策定が義務づけられているものであります。
 一方、改正条約では、国際的にテロ対策が不十分な港から来る船舶の入港を拒否できるとしていることから、この対策のおくれはそのまま港湾の国際競争力を落とすことにもつながりかねません。条約改正を踏まえ、東京の港湾施設を保安基準に適合させ、密輸、密航、テロ、不審船対策に万全を期さなければなりません。
 東京港における現在までの取り組み状況と施設整備を含む保安対策への方針を伺います。
 また、テロ等に対する港湾施設保安対策については、一義的には国が責任を持って財政措置を行うべきと考えます。
 都議会公明党の要請によって、公明党は、平成十六年度の国への概算要求で、このことを訴えてきたところであります。都としても、この際、強く国に要求すべきと考えます。これらの対応は、都としても重点事業として最優先で取り組むべき課題の一つと考えるからであります。
 また、これに関連して、三月に発足した東京港密入国及びテロ対策連絡会についてであります。行政機関、港湾関連団体、所轄警察署など二十六団体で構成され、密入国やテロなどへの危機管理に対して、巡回の強化や早期通報体制の確立を、各構成機関がそれぞれの役割に基づいて実施することが確認をされております。その積極的な取り組みを多とするものであります。
 今回、SOLAS条約への対応として、保安計画が策定されることになりますが、計画を実効性あるものにするためには、この連絡会を活用をし、官民一体で行う合同訓練の実施などを提案をするものであります。所見を伺います。
 また、テロ、密輸、密航などについて、東京港がSOLAS条約に適切に対応し、水際での対策を強化していくことが重要ですが、同時に、より広範に、東京湾岸の周辺港湾の広域的な協力体制の構築が必要と考えます。所見を伺います。
 次に、悪質貸金業者の問題について伺います。
 悪質な貸金業者により、高金利を要求されるなどの被害が急増し、家庭崩壊や自殺などの悲惨なケースが今なお後を絶ちません。我が党はかねてから、都による監督の強化、被害者の相談体制の充実などについて、具体的な提案を含め、指摘をしてまいりました。都は、本年四月より、貸金業対策室を設置するとともに、休日・夜間にも対応する貸金被害受付ダイヤルを開設をするなど、施策を講じてまいりました。
 そこで、まず、これらのヤミ金融業者に関する苦情、相談の受け付け状況と、悪質な業者に対する都のこれまでの対策の成果と実績について伺います。
 また、さきの通常国会において、貸金業規制法及び出資法が一部改正を見ております。こうした法改正と相まって、都においては、これまで以上に被害者救済についての一層の体制の充実が求められます。我が党は、これまで、相談体制の強化策として、弁護士や司法書士による専門相談窓口を、都による既設の貸金業対策室と隣接して開設することを提案をいたしました。改めて、被害者救済のために、この窓口の開設を急ぐべきであります。また、被害者の相談体制の充実に向けて、街頭相談などの取り組みも効果的と考えます。あわせて、具体的な取り組みについて所見を伺います。
 次に、雇用対策についてであります。
 東京の完全失業率は、ことしの第二・四半期に至って、なお五・三%と高水準であり、長引く不況のもと厳しい雇用情勢がいまだ続いております。地方自治体における職業紹介事業を可能とする職業安定法が改正をされ、東京都としてこの事業の具体化が急がれる中、「しごとセンター」構想の中で、我が党が提案をした雇用促進のためのワンストップサービスを具体化するとの見解を既に示しております。
 さて、その「しごとセンター」構想の中では、失業者や無業者に対して、相談体制の充実を図り、きめの細かいカウンセリングを実施することで、求職者の能力や適性に応じた仕事の紹介に結びつけるといたしております。職業紹介事業には欠かすことのできない、こうしたカウンセリングについては、民間の職業紹介事業者が多くのノウハウと実績を有しております。その全事業所の約四割が東京に集中しているという都の独自性を発揮をしつつ、民間事業者を積極的にこの際、活用すべきと考えます。
 また、求職と求人の適合を図る、いわゆるマッチングは、センター機能の生命線ともいえるものであります。既設のハローワークの保有する求人情報は、雇用推進事業の展開に当たって極めて貴重なものであります。そこで、ハローワークからの求人情報の提供を可能とするなど、連携システムを整備すべきと考えます。所見を伺います。
 さらに、失業率が高どまりとなっている大きな原因でもある若年雇用対策については、大変に深刻であります。我が党がこれまでも主張してきたジョブシャドーについては、本年七月に出された東京都雇用・就業対策審議会の答申にも反映をされているところであります。
 ジョブシャドーは、年少の時代から職業観を身につけることを目的として、アメリカなどで実施されておりますが、年に一度、少年たちが職業を持つ大人と影のように行動をともにして、身をもって仕事の内容や社会的意味、手ごたえなどをつかむチャンスを提供する事業であり、大きな効果が期待をされております。都として、ジョブシャドー制度を早急にスタートすべきであります。所見を伺います。
 次に、都立福祉施設の民間移譲についてであります。
 我が党は、これまで再三にわたり、都立福祉施設改革の推進に当たっては、利用者とその家族の立場に立った改革をすべきであると主張をし、特に重度障害者施設の民間移譲については、将来にわたる関係者の安心を都が保証すべきであると、重ねて訴えてきたところであります。
 これに対して知事は、第二回定例会の中で、民間移譲に当たっては、現行のサービス水準を都が責任を持って保証する新たな仕組みとして都独自の認定制度を創設すると、我が党の意向を踏まえ、画期的な方針を明らかにされております。民間移譲後の利用者サービスを一歩も後退させない、そして一層のサービス向上を目指していくという知事の積極的な姿勢を高く評価をいたすものであります。
 そこで、まず、この認定制度の創設に当たり、利用者サービスを向上させていくため、その内容を速やかにこの際明らかにして、利用者や家族にさらなる安心感を提供をすべきであります。現在の具体的検討状況、制度の実施時期を明らかにしていただきたいと思います。
 さらに、都は、新たな制度の適用を民間施設にまで拡大していくことを検討する旨、方針を示されました。この認定制度を民間施設にまで拡大することによって、入所待機者の解消を図り、サービス水準の向上を目指す施策の展開は重要なものであります。
 この際、民間施設にまでこの制度を敷衍する知事の基本姿勢を改めて伺うとともに、今後の手順、具体的な方針を、この際お示しをいただきたいと思います。伺います。
 また、知事は、認定制度を創設して資格を与えるだけではなく、一種の経過措置として、都がもう少し踏み込んだ監督をすべきとの考えをも示されておりました。民間移譲後の不安解消へ、都が施設の監督を行うことは望ましいことではありますが、この際、認定制度創設後における指導監督体制のあり方についても、その実施期間、概要について具体的に伺います。
 次に、SARS対策について伺います。
 今月九日、シンガポールにおいて、世界保健機関のSARS患者基準には該当はしないものの、ウイルス検査が陽性反応となった患者の発生が報告をされました。警鐘の乱打ともいわれたこのケースでは、我が国への影響はありませんが、今後、冬のインフルエンザ流行期におけるSARSの再流行が懸念をされております。特に心配されるのは、発生しても潜在化が憂慮される不法入国者、不法滞在者からのSARSの感染の拡大でありましょう。過日、知事は池袋を視察し、不法入国者や不法滞在者の実態に新たな問題意識を抱かれたと仄聞をいたしてございます。
 さきの定例会での我が党の指摘に対し、都は、必要な措置について総合的な検討を進めるとし、その方針を明らかにしております。不法入国者、滞在者におけるSARS感染対策の具体的検討状況及び今後の対策について明らかにしていただきたい。所見を伺います。
 次に、都立病院改革問題について伺います。
 さきに、大久保病院の公社移管に関する公社化検討委員会報告書が発表をされております。この報告書によれば、公社移管後の大久保病院では、基本的にこれまでと同様、透析医療などを引き続き提供するとともに、在宅医療に対する支援策の強化を図ることなどが示され、地域医療機能充実に向けての具体的内容が明らかにされております。
 また、報告書では、さきの第一回定例会で、公社移管の検討に当たっては地元の声を最大限尊重すべきであるとの我が党の主張を受け入れ、関係地域の実態を踏まえるなど、患者や利用者の要請も反映したものとなっております。公社移管後の大久保病院の運営に当たっては、今後とも関係地域や利用者の声を十分に反映する具体的システムの確立を図ることが重要であります。所見を伺います。
 また、公社移管は、地元住民への医療サービスの低下につながるものであっては断じてなりません。大久保病院の公社移管がもたらす地域住民にとっての具体的メリットを、この際、提示すべきと考えます。所見を伺います。
 ちなみに、女性専用外来についてでありますが、我が党の働きかけにより、本年七月一日より、都立大塚病院に女性専用外来が開設をされ、診療が開始をされました。
 そこで、まず、この大塚病院における女性専用外来の診療の実績、現時点での予約の状況及び利用者の反響などについて具体的にお伺いをいたしたい。
 さらに、大塚病院のこの実績の検証を踏まえ、平成十六年度に予定されている墨東病院、府中病院での開設に向けての課題と取り組みについても所見を伺うものであります。
 また、公社化検討委員会の報告書では、特色ある医療の提供として、専門外来等の充実を挙げておりますが、我が党はこの報告を重視し、去る九月九日に、大久保病院に女性専用外来を開設すべきとの要望を、地元新宿区民を中心とする二万人余の署名とともに、都に対し行ったところであります。患者サービスの向上に大きく寄与する女性専用外来を公社移管する大久保病院にも設置すべきであります。所見を伺うとともに、あわせて開設の時期についても、この際、明確にすべきであります。所見を伺います。
 次に、教育問題についてであります。
 五月二十九日、東京都心身障害教育改善検討委員会は、特別支援教室に関する中間のまとめを発表いたしております。これに対し東京都教職員組合は、機関紙である「新聞都教組」で、現場への調査も聞き取りもなく、障害児学級の子どもをすべて通常学級へとの見出しを掲載。さらに、来年度にも固定学級が廃止されるなどと書いたチラシなどを作成し、児童を通じて保護者に配布したため、混乱と不安をあおる結果を招いておるのであります。また最近では、先生がころころかわるなどとも報道し、児童生徒や保護者の動揺を誘っていることであります。まず、この「新聞都教組」の報道とチラシの内容は事実であるのかどうか、教育長の見解を示していただきたい。
 また、都教委は、このような都教組のやり口をいつまでも放置をしておくべきではありません。この際、厳正な対処が必要であります。所見を伺います。
 特別支援教室にかかわる最大の課題は、従来の固定学級的機能をいかに継続させることができるかであります。我が党は第二回定例会で、保護者の不安を解消するために、モデル事業の実施を提案をいたしましたが、このモデル事業において固定学級的機能の継続について検証すべきと、この際考えます。所見を伺います。
 特に、一度は普通学級で学んだものの、いじめなどに遭い、固定学級に移らざるを得なかった児童生徒への対応策を検討し、都独自のあり方を確立すべきであります。所見を伺います。
 この特別支援教室は、見方を変えれば、障害児を取り巻く一般の児童生徒や保護者、そして学校、教員に対する鋭い問いかけでもありましょう。ノーマライゼーションにおける課題とは、そのほとんどは健常者の側の意識と行動の問題にほかなりません。都教委は、まさにそうした認識に立って、意識の啓発を含めた幅広い取り組みをこの際行うべきであります。所見を伺います。
 次に、都立高校の改革についてであります。
 平成九年度以降、さまざまな制度改革が進められてまいりました。しかしながら、制度改革と同時に、教育の根幹でもある授業そのものが改革されない限り、真の都立高校の改革は達成をされないのであります。授業改革の第一歩として、生徒による授業評価が、今年度より一部の都立高校で試行され、平成十六年度より、すべての都立高校において実施されると聞いております。これは、ぜひとも成功を期すべきであります。現在の試行の結果とその評価を明らかにするとともに、全校実施に向けての今後の体制づくり、あるいは生徒による授業評価を行いやすくするためのマニュアルづくりなど、都教委の今後の方針と具体策を提示をしていただきたい。所見を伺います。
 次いで、都立の新しい大学の構想についてであります。
 先般、新しい大学の構想が発表されておりましたが、そこでは、まず都が保有すべき大学として、知事はどのような大学像をイメージをされているのか、具体的にお示しをいただきたいと思います。
 これまで都立の各大学は、地味ではありながら、受験生からも、教員、研究者からも高い評価と信任を得てまいりました。これらを新しい時代に適合するよう、さらに発展させていくための知事の意欲をお聞かせをいただきたいと思います。
 新しい大学の構想においては、これまでの大学教育の限界を乗り越え、質の高い学生を輩出するシステムとして、単位バンク制度の導入が予定をされております。この単位バンク制度で期待できる効果、また、学生自身にとってのメリットを明示する必要があります。所見を伺います。
 また、今後、都立の大学には、都市機能や都市経済の再生、発展、さらに都市文化の創出、環境問題、新たな社会福祉の構築に貢献できる人材の育成が何よりも求められております。さらに、大都市東京に存在する大学として、生涯学習、そして社会人のスキルアップ、キャリアアップの機会を提供することも重要でありましょう。既に動き出したビジネススクール、ロースクールに続くその次の構想を、この際、都は明らかにしていただきたい。所見を伺います。
 次に、防災対策について伺います。
 まず、木造密集市街地整備の推進についてであります。
 東京の活力や魅力を高めていくには、都市再生に向けた取り組みを着実に進めていくことが重要であり、特に木造住宅密集地域の整備は、都市再生という観点のみならず、いつ起きてもおかしくない地震、火災の危険性から守るために、重点的に取り組まなければならない大変に重要な課題であります。
 ことしは、関東大震災から八十年を迎え、大都市の防災に多くの教訓を残した阪神・淡路大震災から八年が経過をいたしました。しかしながら、都市防災対策はいまだ不十分な現状にあります。東京の木造住宅密集地域は、環状七号線と山手線の間や中央線沿線を中心に帯状に分布し、大震災時には大きな被害が想定をされます。本年五月に発表された防災都市づくり推進計画によれば、依然として防火対策が必要な整備地域が六千五百ヘクタールもあり、早期に防災上の向上を図るべき重点整備地域に限ってみても、二千四百ヘクタールの地域が選定をされているのであります。
 先般、宮城県で震度六強の地震が発生をし、建物や公共施設などに大きな被害がありました。地震は待ってはくれません。木造住宅密集地域の整備は都市再生の最重要課題であるとの認識から、以下、伺ってまいります。
 第一に、都における組織体制についてであります。
 都の木密関連事業は、都市計画局での防災生活圏促進事業、建築規制、住宅局の木造密集地域整備促進事業、建設局の区画整理や再開発の事業を行っており、三局の縦割りになっております。木密地域の早期整備を進めていくためには、より一元的、総合的に推進する組織体制にすべきと考えます。
 第二に、木造密集市街地整備には、延焼遮断帯の形成、市街地の不燃化などの促進に必要な空地の確保が重要であります。しかし、事業などに活用できる種地が少ないのが現状であります。一方で、墨田区の鐘ヶ淵地区では、都が工場跡地三・二ヘクタールを買収いたしましたが、いまだ未利用のままであります。こうした未利用の都有地、国有地、さらには、今後、都営住宅、学校の再編などで生じる用地などの公有地を、木密地域の改善を目的とするまちづくりに活用をすべきでありましょう。このための具体的施策の推進が不可欠と考えます。
 第三に、民有地の隣地境界についてであります。
 木密地域の民間建物は、隣地との間に極めて狭い空間をとっています。ヨーロッパの町並みを参考に見たときに、すき間はなく、建物が連なっています。そこで、都においては、木密地域の建てかえの際は、隣地境界のすき間をなくすとともに、ここに耐火壁を建設する誘導促進策が有効と考えます。この措置によって空間の有効利用が促進され、かつ延焼防止にもその効果を発揮することが指摘をされています。
 第四に、木密改善の具体化のための計画についてであります。
 防災都市づくり推進計画の改定素案では、今後策定する整備プログラムの中で具体的内容を明らかにするといたしておりますが、策定時期及び概要をお示しをいただきたい。
 また、策定に当たっては、都が積極的にリーダーシップを発揮をして、地元区と連携強化のための協議会を設置すべきと考えます。
 以上、四項目について伺うものであります。
 最後に、都市部における水害対策について伺います。
 本年、北海道、九州地方において記録的な集中豪雨が発生をし、都市部などでも大きな被害が発生をしております。東京においても、一時間に一〇〇ミリを超える豪雨が近年多発いたしており、例えば、平成十一年には、一時間に一三一ミリという記録的な集中豪雨があり、地下室への浸水により死亡事故が発生した事例も記憶に新しいところであります。
 都においては、水害対策として、護岸や調節池の整備事業などが進められておりますが、例えば護岸整備率はいまだ五九%にとどまっている状況であります。これらの事業はさらに積極的に推進をされなくてはなりません。
 また、各分野の施設整備にとどまらず、地域住民が安全に避難する道筋を示した洪水ハザードマップの作成、水害の発生のおそれのある地域を示した浸水予想区域図の作成が防災上有効であります。平成十年八月に福島県の郡山市で起きた豪雨災害では、ハザードマップを見た人は、何と見ていなかった人に比べて平均一時間も早く避難をしていたということが現実に報告をされております。
 洪水ハザードマップの作成は、第一線の水防管理者である区市町村の役割でありますが、都内において既にその作成、公表が進んでいるのは、いまだわずか六つの区でしかありません。いつ起きてもおかしくない浸水被害に対して、都は早急にすべての区市町村と連携を図り、洪水ハザードマップの作成、公表について支援を進めるべきであります。所見を伺うものであります。
 また、ハザードマップが作成されても、都民に認知されなければ、全くその意味をなさないことにもなります。国の調査によりますと、洪水ハザードマップの住民の認知率は、平成十四年で六%にとどまっております。作成されたハザードマップが、いざというときに有効的に活用されるよう、さまざまな手段を講じて、都民に対してこの際、広報に努めるべきと考えるものであります。所見を伺います。
 また、都民が住居地区内の浸水予想と危険性を認識するとともに、みずからが避難対策を講ずる際に役立つ全都的浸水予想区域図を、都は早急に作成していくべきと考えます。その具体的な推進スケジュールをお示しを願いたい。同様に、この周知徹底についても積極的な推進を図るべきであります。あわせて所見を伺います。
 さらに、このようなハザードマップの作成支援の取り組みとともに、水害が発生するおそれのある場合、的確に都民に情報を提供していくことが重要でありましょう。特に、高齢者や体の不自由な方々にとっては、日ごろからどのような手段で避難するかなど、事前に正しい情報を伝えるべきであります。東京都では、情報提供手段として、インターネット、携帯電話を活用し、気象や雨量、河川水位などの情報提供を行っておりますが、これらが機動的、有効的にこれからも活用されるよう、一層の体制とシステムの整備を進めるべきであります。所見を伺い、私の代表質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 鈴木貫太郎議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、第二次財政再建推進プランの策定についてでありますが、財政再建は、単に収支の均衡を図ることにとどまらず、強固で弾力的な財政体質を造成し、新たな都民ニーズにこたえる先進的な施策の展開を可能とすることを目的としております。そのためには、都の役割をしっかりと踏まえまして、これまでの仕事のやり方や中身を、大胆な発想で抜本的に見直すことが不可欠であると思います。
 第二次プランの策定に当たりましては、このような視点を明確にするとともに、都庁全体で改革の目標と危機意識を共有し、財政再建と行政改革、さらに都独自の政策展開が一体となった都政の構造改革を進めていきたいと思っております。
 次いで、銀行業に対する外形標準課税についてでありますが、今回の裁判は、地方の課税自主権を確立するための闘いでありまして、私も、その時々の状況に応じて最善の判断をしてきたつもりでございます。結果として、相手からも歩み寄りがございました。
 その間、二つの予期せぬ出来事もございました。一つは、何といっても、国が刺激を受けて、それまで棚上げになっておりました外形標準を、形は違いますけれども、実行することに踏み切りました。もう一つは、あれだけの公的資金を投入して、これで銀行はよくなると政府は大見えを切ったわけであります。私たちも、それをそう思っておりましたら、とんでもない。結果として、りそななども破綻をいたしまして、銀行の状況というのはますます悪くなったという、この二つの現実というものを、あの時点で踏まえて判断をしたつもりでございます。
 控訴審の判決自体が、条例の適法性を前提に、ある意味では和解を促すような内容でもありまして、双方の弁護団において話し合いを進めることは自然の流れでもありました。
 そうした中で、今回のソフトランディングを決断しましたのは、都の条例を契機として、繰り返して申しますが、国の法改正も行われまして、懸案であった外形標準課税が導入されたこと、また、ご存じのような金融機関の今日の財務内容の泥沼的な悪化というものが徹底したわけで、ただ一点、税負担の均衡を欠いているとした控訴審判決の趣旨もしんしゃくしまして、こういう結論を下しました。
 また、銀行外形の検証と地方税制改革についてでありますが、条例の適法性を前提に合意が成立したということは、税収面における貢献だけでなく、地方の課税自主権を確立する上で大きな意義を有するものと考えております。
 また、都の条例を契機に国の法改正が行われ、停滞する国政にも大きなインパクトを与えたと思っております。
 しかし、自治体が主体的に施策を展開していくためには、その基盤となります税源の移譲がまだまだ不可欠でありまして、今後とも、都議会のご協力をいただきながら、工夫を凝らし、盲点をついて、三位一体の改革の実現を、国に対して引き続き強く働きかけていきたいと思っています。要するに、いろいろ今後も手を尽くして、国を揺さぶる必要がまだまだあると心得ております。
 次いで、体感治安の回復も、これはうまい言葉だと思いますが、要するにまちを歩いていても、昔みたいにのんびり歩いていられない、何かやはり、暗いところへ来れば前後左右、気にせざるを得ないというふうに、そういう緊張感というものを強制する治安状況だと思います。
 私の友人の検事が、この間おもしろいことをいっていましたが、奥さんが、必要があってATMに現金をかえに行こうと。とても女一人で行けないから、検事さんがわざわざ奥さんについていって、その作業を手伝ったというような、そういうまちになってきたわけでありまして、いずれにしろ、共通したそういう冷え冷えした体感というものを、治安に関して都民が持っているわけであります。
 都民の安全に対する不安は、街頭における強盗事件などいわゆる街頭犯罪や家屋に侵入して行う窃盗犯が激増していることで、ますます強いものになっていると思います。
 このような背景には、外国人組織犯罪の悪質、凶悪化と、これは確かに、今まで日本になかったパターンの犯罪がふえているわけで、また、これまた今までなかったような少年犯罪の深刻化がございます。
 この問題の解決策は多岐にわたりますが、警察や入国管理局における取り締まりが強化されることはもちろんでありますけれども、都は当然のこと、社会の各層が犯罪の生じる原因を除去して、また、犯罪を犯す機会を少なくするための方策をあらゆる角度から検討する必要があると思っております。
 例えば少年犯罪について申しますと、少年たちを犯罪の加害者にも被害者にも仕立てないような、学校での安全教育の拡充や少年の健全育成に有害な環境を改善するなど、いろいろの施策の検討が必要だと思います。
 また、犯罪の被害に遭わないよう、都民一人一人が努力することや、安全・安心のまちづくりを進めることも欠くべからざるものと思っております。
 いずれにしろ、できるだけ短期間に成果が上がるように努力をしてまいりたいと思いますが、江戸川の商店街で、ワンコイン運動ということで、一人が五百円の硬貨を出し合って商店街に防犯カメラをつけるということで、非常に効果が上がったりしておりますけれども、そうした住民の協力も得ながら、何とか短期間にこの治安というものを回復していきたいと思っております。
 次いで、障害者施設の認定制度の民間施設への適用についてでありますが、都が進める福祉改革は、行政主導の画一的、硬直的な福祉システムを改めまして、利用者本位の新しい福祉を構築するためのものでありまして、民間移譲を基本とした都立福祉施設改革もその一環でございます。
 認定制度は、都立施設で現在提供されているサービス水準を、民間移譲後も都が責任を持って保証する仕組みとして新たに創設するものであります。
 さらに、この認定制度の適用を民間施設にまで拡大し、都が必要なサービス体制を保証するものであります。
 このことにより、処遇が難しい重度障害者の民間施設での受け入れを促進しまして、入所待機者の早期解決を図り、重度障害者やその家族の方々の将来にわたる安心感を確保していきたいと思っております。
 次いで、新大学の大学像についてでありますが、才能と可能性を含めた若者こそが、東京の再生、日本再生、国家再生のダイナモでありまして、東京の新しい大学も、大都市に集まるそれらの若者の個性や独創性をはぐくむ、今まで以上にはぐくむ学舎にしたいと思っております。
 東京が持っております多くの現場を活用しながら、体験型の教育を取り入れるなど、現場体験重視の教育を実施したいと思っております。
 おっしゃっておりました単位バンクも、積極的に取り入れることで、飛びクラスも可能になると思いますし、それから、他の大学の限られた範囲での受講も可能にし、あるいは得がたい体験の海外協力隊などでの海外体験などは、これは本当に得がたいものでありますから、非常に単位数の高い学習の修了として認定していき、日本にとどまらずに、意欲のある若者が外国に出ていき、その体験をさらに日本の社会に帰ってきて生かすと、そういうものを取り入れる水口にしたいと思っております。この大学から巣立った人材が、次の東京を担うことを大いに期待しております。
 また、新しい大学をどう発展させるかについてでありますが、新しい大学は、これまでの都立の大学のインフラや人材を有効に活用しながら、それらを再構築して新たに設置するものでありまして、社会状況の変化にも対応して、大学の使命を、大都市における人間社会の理想像の追求と明確にいたしました。
 そのため、見直すべきところは大胆に見直しまして、都市環境学部など新しい時代にふさわしい学部を設置しまして、より評価の高い大学として発展させていきたいと思っております。
 他の質問については、副知事、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
〔副知事竹花豊君登壇〕

○副知事(竹花豊君) 治安対策についてお答えいたします。
 まず、安全・安心まちづくりの推進についてでありますけれども、ご指摘の条例に基づく都レベルの推進体制といたしまして、知事を会長とする東京都安全・安心まちづくり協議会を、来る十月十日に設立する予定で準備を進めております。
 この協議会には、約六十の地域団体、NPO、事業者団体等が参画する予定でありまして、この協議会を中心といたしまして、都民、事業者及びボランティアによる犯罪の防止のための自主的な活動の促進等を行っていくことといたしております。
 また、安全・安心まちづくり条例の施行を機に、区市町村におきまして一斉安全点検を行うことといたしておりますけれども、その際、安全対策重点地区を選定することも一つの方策として、区市町村に対応を促しておるところでございます。多くの区市町村は、これを積極的に受けとめるほか、さまざまな他の治安上の取り組みに積極的に対応いたしておるところでございまして、区市町村に対して敬意を表したいと存じております。
 都といたしましては、区市町村に対して、全国の各地での成功例を紹介するなど、必要な情報の提供を行うほか、警視庁とあるいは各警察署との緊密な連携を促すことを含めまして、当該地区の特質に応じた行政上、法制上の多様な支援をする用意がございます。
 そのためにも、区市町村の担当者と緊急治安対策本部との緊密なネットワークづくりを既に終えているところでございます。いずれ、都と区市町村が一体となりまして、安全・安心まちづくりを進めてまいりたいと考えております。
 次に、都職員の警視庁への派遣についてでございますけれども、東京の治安を回復するためには、警視庁の執行力を強化することが重要であり、そのためには、第二回都議会定例会での知事所信表明のとおり、国に対して警察官の増員を求めるほか、警視庁の業務の効率化や行政サイドからの支援など、さまざまな方策を講じる必要があると考えております。
 その一環として、都は、六府県知事とも協力いたしまして、緊急に警察官を増員し、大都市圏の犯罪特性に応じて重点配分することなどを要望したところであります。
 また、警察官OBの一層の活用についても検討いたしているところでございますが、ご指摘の行政サイドからの支援の一つとして、東京都職員を警視庁へ派遣することとして準備を進めております。
 その職務の内容につきましては、少年非行防止対策あるいは交通行政事務等を候補として現在検討を進めておりまして、派遣時期、期間なども含め、年内を目途に具体的な内容を詰めていきたいと考えております。
 また、この派遣計画につきましては、ご指摘のとおり、一人でも多くの警察官が街頭パトロールや侵入犯罪抑止対策等の現場での職務に従事できるように、また、空き交番の解消など、都民のご要望にこたえる一助となるように実施をいたしたいと考えております。
〔警視総監石川重明君登壇〕

○警視総監(石川重明君) 警察官OBの活用や民間への業務の委託につきましてお答えをいたします。
 警視庁におきましては、お話のような大変厳しい治安情勢に対処するために、限られた人員を最大限に活用する必要があるということで、特に現場の執行力を強化するための施策を推進しているところであります。
 その一つが、退職した警察官を非常勤職員として採用いたします再雇用制度でありまして、現在、この制度によって、千三百人余りを交番相談員、駐車取り締まり支援要員、生活安全相談員等として配置、運用をしているところであります。平成十六年度以降も、実質的に警察官の増員効果を有する再雇用職員の拡充を図っていく必要があるというふうに考えております。
 二つ目が、民間への警察業務の委託でございますが、これまでも、例えば自転車防犯登録の入力事務、あるいは違法駐車車両の移動、保管、パーキングメーターの管理等につきましては、民間へ委託をしてまいりました。
 また、現在、国の機関である警察庁におきまして、違法駐車取り締まり事務の民間委託の範囲の拡大を検討しているというふうに承知をいたしておりますが、警視庁といたしましても、都民の権利やプライバシーにかかわる警察業務の特殊性といったものについて十分勘案しつつ、今後とも、ご指摘の観点からも委託可能な業務を検討して、その拡大を図ってまいりたいというふうに考えているところであります。
〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教育に関します六点の質問にお答え申し上げます。
 まず、都教組の機関紙等で報じられている内容についてですが、ご指摘の都教組の機関紙等では、特別支援教室に出向いて週何時間かの指導を受けるとか、あるいは現場への調査も聞き取りなくなどと掲載しておりますが、東京都心身障害教育改善検討委員会では、特別支援教室において、週数時間の指導形態から、相当数の時間、固定的に教員を配置する指導形態など、柔軟なあり方を提案したり、改善検討委員会として、区立の心身障害学級への視察や現場の校長、教員との意見交換を行っております。
 これらのことから、機関紙等の記事は、一部内容が事実と異なり、また、誤解を招き、保護者等に不安を与えるものであり、まことに遺憾でございます。
 このため、次の質問ですが、都教組の機関紙等への対応についてですが、この都教組の機関紙等については、ただいま申し上げたように、一部事実と異なる記事内容が掲載されておりまして、不適切であると判断したため、本年七月に、東京都教職員組合に対して、文書により厳重注意をしたところでございます。
 次に、特別支援教室のモデル事業についてですが、改善検討委員会においては、特別支援教室のあり方について、これまでの心身障害学級での成果を継承できるよう、相当時数の指導を行う拠点的な設置形態なども含めた、特別支援教室の柔軟な設置形態を検討しております。
 お話のモデル事業につきましては、こうした点も踏まえまして実施をし、今後、固定学級的な機能の継承も含めた特別支援教室のあり方や指導方法などについて検証してまいります。
 次に、都独自の特別支援教室のあり方についてですが、改善検討委員会において検討しております小中学校の特別支援教育によって、障害のある児童生徒と障害のない児童生徒がともに学び、ともに育つことにより、相互の理解がより一層進むものと考えておりますが、一方で、お話のように、通常の学級でいじめ等が発生した場合におきましては、その状況に応じた柔軟な対応が必要でございます。
 このため、今後、障害のある児童生徒が通常の学級で教育を受けるときの課題や対処方法、及び特別支援教室での指導のあり方など、都独自の特別支援教室のあり方についても検討してまいります。
 次に、ノーマライゼーションの実現に向けての意識啓発の取り組みについてですが、小中学校における特別支援教育を推進していく上で、お話のように、心身障害学級の児童生徒や保護者、教員だけではなくて、通常の学級の関係者に対する理解啓発が不可欠であると認識いたしております。
 このため、都教育委員会としましても、今後の改善検討委員会の最終報告を踏まえまして、区市町村教育委員会とも連携しながら、各学校長や心身障害教育担当の教員はもとより、通常の学級の教員へも特別支援教育に対する十分な理解啓発を行いますとともに、新たにリーフレット等を作成、配布をしまして、すべての児童生徒や保護者に対して、特別支援教育の意義やあり方などの周知徹底を図ってまいります。
 最後に、生徒による授業評価についてですが、生徒による授業評価につきましては、教員がみずからの授業を客観的に評価するための一つの手法でございまして、指導力の向上や授業の改善を図る上で重要でございます。
 今年度、既に百七十六校の都立高校におきまして、生徒による授業評価を試行しておりますが、試行校におきましては、授業改善に向けた校内研修の活性化や生徒の授業態度の改善などの成果を上げております。
 また、こうした試行校の成果を踏まえまして、生徒による授業評価を実施する上での校内体制の整備や具体的な実施方法、評価項目などを示したマニュアルを作成しているところでございます。
 都教育委員会としましては、来年度から、すべての都立高校で生徒による授業評価を実施しまして、生徒一人一人が生き生きと意欲的に学ぶことができる学校づくりを推進してまいります。
〔東京都技監小峰良介君登壇〕

○東京都技監(小峰良介君) 都市部の水害対策についての五点の質問にお答えいたします。
 まず、洪水ハザードマップの作成、公表に関する都の支援についてでございますが、ハザードマップは、水害時における住民の避難が迅速かつ円滑に行われるよう、浸水予想区域や避難場所、ルートなどを住民にわかりやすく事前に提供し、洪水時の被害軽減に寄与するものでございます。
 このため、都は、区市や関係防災機関と連携し、治水施設の着実な整備とともに、浸水の深さや範囲を表示した浸水予想区域図やハザードマップの作成を進めております。
 今後とも、関連する自治体や防災機関による連絡会を活用し、基礎データの提供や技術的な助言などの支援を積極的に行ってまいります。
 次に、ハザードマップの都民への広報についてでございますが、これまでハザードマップを公表した新宿区など六区では、区の広報紙や公共施設での掲示に加え、各戸配布などにより周知に努めております。
 今後は、都のホームページへの掲載や防災訓練の機会なども活用して、多くの都民への周知を図るとともに、区市等と連携し、認知に関するアンケート調査を実施するなど、より一層の普及に努めてまいります。
 次に、浸水予想区域図作成のスケジュールについてでございますが、都では、流域の市街化が著しく、浸水被害のおそれが大きい二十七河川を対象に、十三年度から浸水予想区域図の作成、公表を進めており、これまでに神田川など十河川を公表しております。
 引き続き、旧中川などの江東内部河川及び城南地区の目黒川などについては、十六年の出水期を目途に、さらに多摩地域の野川などについても順次作成し、十八年度までに、残る十七河川をすべて公表してまいります。
 次に、浸水予想区域図の周知についてでございますが、浸水予想区域図は、洪水ハザードマップと同様に浸水被害の軽減に効果がございます。これまでも、「広報東京都」への掲載や公共施設において掲示するなど、周知に努めております。
 今後とも、水害の危険性や対策の必要性に対する都民の意識を喚起できるよう、区市や関係防災機関と連携して、ホームページに掲載するなど普及啓発活動を推進してまいります。
 最後に、雨量や河川水位などの情報提供の体制とシステムの整備についてでございますが、雨量や水位などの情報提供は、台風や集中豪雨などの際の、都民みずからの水害への備えや的確な避難に役立ちます。
 都はこれまでも、二百九十カ所の雨量や水位の観測データや、レーダー雨量計による降雨情報を、災害情報システムなどを通じて区市町村等へ配信しております。加えて、昨年四月から、これら情報をインターネットや携帯電話により、都民へ直接提供しております。
 今後は、区市町村と連携して、例えばケーブルテレビの活用など、高齢者を初め、だれにでも利用しやすい情報提供の体制やシステムの整備に努めてまいります。
〔財務局長櫻井巖君登壇〕

○財務局長(櫻井巖君) 財政再建に関するご質問にお答え申し上げます。
 まず、行政の高コスト体質の改善についてでありますが、ご指摘のように、行政の高コスト体質を改善し、良質な社会資本整備を図っていくことは重要な課題でありまして、公共施設の計画、建設、管理の各段階において、品質の確保を図りながらコスト縮減に努める必要がございます。
 そのため、警察、消防も含めた全庁的な検討組織を早期に設置し、すべての段階におきまして民間との比較を行い、民間活力の導入も含めた総合的な対策を立てて、低コストで良質な公共施設の整備に取り組んでまいります。
 次に、受益者負担についてでございますが、財政再建に当たりましては、最少のコストで最大のサービスを目指すことをまず第一の視点として取り組みますとともに、サービスを安定的、継続的に維持する観点から、住民間の負担の公平を図る必要がございます。
 このため、受益者負担の適正化を進めることは重要ではありますが、都はこれまでも、生活保護世帯を初め経済的に配慮が必要な方々につきましては、使用料等の減免などの措置を講じてまいりました。
 今後とも、ご指摘いただきました、特に社会的に弱い立場にある都民の方々の負担が、限度を超えて過重なものとならないような配慮もしながら、受益者負担の原則に立ちまして適切に対応してまいります。
〔総務局長赤星經昭君登壇〕

○総務局長(赤星經昭君) 都庁改革アクションプランについて等、四点の質問にお答え申し上げます。
 まず、新たな都庁改革アクションプランについてでございますが、プランでは、改革の視点と方向で明らかにいたしました都政改革の基本的な考え方と中長期的な方向性に基づきまして、具体的な改革策を示したいと考えております。
 都庁改革を次のステップに進めていくため、財政再建を進める、変化を改革に盛り込むなど、五つの重点テーマを掲げましてプランを策定してまいります。
 今後は、行政改革、財政再建、人事制度改革などを今まで以上に一体的にとらえまして、内部改革に総合的に取り組んでまいります。
 次に、監理団体についてでございますが、監理団体改革は都の行財政改革の大きな柱の一つでございまして、これまでも全力を挙げて取り組んでまいりました。
 今後も、民間との競い合いの中で鋭敏な経営感覚を磨き、自立した経営の確立を目指します。
 また、都財政支出額につきましても、既に三五%を削減するなど成果を上げてまいりましたが、さらなる削減に努めてまいります。
 次に、不法入国者、滞在者のSARS対策についてでございますが、不法入国者等の対策は、基本的には国の責任において対処すべき問題でありまして、国に対して、主体的に対策を講じるよう、提案要求してまいりました。
 しかし、万一、SARSに感染しているおそれのある不法入国者等を発見した場合には、危機管理の観点から、臨時的に収容し、検査を行うなどの措置を講ずる必要がございます。このため、都は、議会等の要望も踏まえまして、関係局、警視庁、東京消防庁等で構成する検討会議を八月に設置いたしました。
 現在、具体的な対応策を検討しておりまして、今後、この検討結果を踏まえまして、図上訓練を来月実施するなど、関係局、関係機関が連携して必要な取り組みを進めてまいります。
 最後に、木造住宅密集地域の整備に関する体制についてでございますが、木造住宅密集地域の整備につきましては防災都市づくり推進計画に基づきまして施策を展開しておりますが、今後、まちづくりについてより総合的、一体的な推進が可能となるよう、執行体制の見直しを進めてまいります。
〔港湾局長成田浩君登壇〕

○港湾局長(成田浩君) 海上人命安全条約、SOLAS条約に関する四点の質問にお答えいたします。
 まず、改正SOLAS条約への対応についてでありますが、東京港が今後とも日本を代表する国際貿易港として発展していくためには、来年七月までに、保安計画の策定等、条約に基づく所要の措置を講じていくことが不可欠でございます。国はいまだ明確な保安対策のガイドラインを示しておりませんが、都といたしましては、期限が限られていることから、保安監視体制や緊急時への対応、監視カメラやフェンスの設置等、条約に対応した対策への準備を鋭意進めております。今後、効果的かつ効率的な保安システムを構築し、東京港と世界を結ぶ海上輸送網の安全の確保に努めてまいります。
 次に、港湾の保安対策に対する財政措置についてでございますが、ご指摘のように、テロ対策は一義的に国の責務であり、都は本年六月、国への提案要求において、港湾管理者等が保安施設を整備し管理運営するに当たっては、国が責任を持って財政措置すべきことを要求いたしました。しかし、国土交通省の概算要求は、補助対象や補助内容が極めて不十分で、とりわけ公社ふ頭や管理運営が補助対象外となるなど、厳しい内容でございます。都といたしましては、港湾における保安対策の充実強化は喫緊の課題と考えております。今後ともあらゆる機会を通じて、必要な財政措置を講じるよう、引き続き国に強力に働きかけてまいります。
 東京港における合同保安訓練についてでございます。
 密輸や密入国等の犯罪を水際で阻止するためには、港湾に関係する行政機関と民間事業者が一体となって取り組むことが極めて重要でございます。官民一体となった保安訓練の実施は、港湾の現場を担う関係事業者と危機管理に関する問題意識を共有し、保安計画を実効あるものとしていく上で有用な方策であると認識しております。今後、東京港密入国及びテロ対策連絡会の構成メンバーの協力を得て、ご提案の趣旨を踏まえ、合同訓練の実施に向け検討してまいります。
 最後に、東京湾岸の港湾の広域的な協力体制についてでございますが、本年八月、東京湾の各港湾管理者、都県警察、国の関係機関が、都の呼びかけにより、東京湾保安対策協議会を設立いたしました。この協議会におきましては、密輸、密入国等の事件発生時の連絡体制の整備や、情報の共有化等、相互の協力関係を強化するとともに、港湾におけるソフト、ハード両面での効果的な保安対策を検討しております。今後、協議会を構成する各関係機関と緊密に連携して、広域的な協力体制を構築し、首都圏四千万人の安全で安心な住民生活の確保に向け、東京湾の水際における保安対策に万全を期してまいります。
〔産業労働局長有手勉君登壇〕

○産業労働局長(有手勉君) 貸金業対策及び雇用対策に関する五点の質問に順次お答えいたします。
 まず、悪質な貸金業者に関する苦情、相談の受け付け状況と都のこれまでの対策についてでございますが、貸金業対策室に寄せられた苦情相談件数は、平成十四年度は前年度に比べ二倍の約二万二千件と急増いたしました。このため、都は、平成十四年度に相談検査体制を強化し、行政処分を百七十件と、かつてない規模で実施するとともに、警視庁と密接に連携いたしまして、刑事罰による取り締まりに協力するなど、悪質な貸金業者の排除に努めました。
 また、今年四月からは、貸金被害受付ダイヤルを開設いたしまして、八月までの五カ月間で約千九百件の予約を受け付けるなど、休日・夜間の相談体制を強化したところでございます。
 次に、弁護士及び司法書士による専門相談窓口の開設等についてでございます。
 都は、貸金被害者からの相談に当たり、業者との法律問題に専門的に対応できるよう、都内の三つの弁護士会及び東京司法書士会と窓口設置について協議を重ねてまいりました。今般、これらの関係機関との協議が調いましたので、来月、平成十五年十月一日から、弁護士や司法書士による貸金被害無料法律相談窓口を貸金業対策室内に設置いたしまして、被害者救済の体制を一層強化してまいります。
 また、身近な被害者相談を行うとともに、法改正の趣旨及び相談窓口を広く都民に周知するため、早急に街頭相談を実施いたします。
 次に、「しごとセンター」における民間事業者の活用についてでございますが、労働関連法令の規制緩和の進展とともに、民間の人材ビジネス市場は急成長いたしまして、東京にはカウンセリングなどの豊富なノウハウを持つ民間事業者が多数存在しております。「しごとセンター」がより事業効果を上げるため、ご提案の趣旨を踏まえながら鋭意検討してまいります。
 次に、「しごとセンター」におけるハローワークとの連携システムの整備についてでございますが、現下の厳しい雇用情勢の改善のためには、国の機関であるハローワークや事業主団体などの協力のもとに連携した取り組みが必要であると考えております。「しごとセンター」の開設に当たりましては、提案の趣旨を踏まえまして、関係機関と協議を進めてまいりたいと考えております。
 最後に、ジョブシャドーの早急な実施についてでございます。
 近年、若者の働くことへの関心や意欲が低下し、無業者が急増する一方、たとえ就職しても短期間で離職する傾向が見られます。お話しのように、ジョブシャドーは、若年者が働くことに対するイメージを明確にし、職業に関する意識を高めていく上で有効な事業であると考えております。現在、関係部署と調整を行っておりまして、できるなら今年度中に試行したいということで、試行を前提に準備を進めているところでございます。
〔福祉局長幸田昭一君登壇〕

○福祉局長(幸田昭一君) 都立福祉施設の民間移譲に関します三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、障害者施設の認定制度についてでございますが、新たに設けます認定制度は、都立知的障害者施設を民間に移譲する際に、サービス水準の維持に必要な職員配置や医師、看護師など医療的ケア体制が確保されるよう、都が責任を持って保証するものでございます。移譲後には、民間事業者の創意工夫により、きめ細かで効率的な運営が行われ、より高いレベルのサービスが実現できるものと考えております。
 認定制度につきましては、施設を利用される本人や家族の方々の安心感を確保するため、来年度できるだけ早い時期に実施できるよう具体的に検討を進めてまいります。
 次に、認定制度の民間施設への適用のための今後の手順と具体的方針についてでございますが、民間施設が処遇の困難な重度障害者を一定数受け入れる場合におきまして、認定制度を適用し、民間移譲後の都立施設と同様の処遇体制が確保できますよう、来年度できるだけ早い時期の実施に向けまして具体的な検討を進めてまいります。
 認定制度の民間施設への適用によりまして、処遇の困難な重度障害者の受け入れが広く進み、重度障害者やその家族の方々の安心感が確保できるような仕組みとしてまいります。
 次に、民間移譲後の障害者施設に対する都の関与についてでございますが、移譲後の当該施設におきましても、利用者への適切なサービスが確保できるよう、指導検査や運営指導を重点的に実施していくとともに、本年七月に本格実施した福祉サービス第三者評価システムを積極的に活用してまいります。
 また、施設入所に際しましては、緊急度が高く処遇が困難な重度障害者が優先的に利用できるよう、入所待機者の解消の状況を見ながら、当分の間、都が責任を持って調整に努めてまいります。
〔健康局長平井健一君登壇〕

○健康局長(平井健一君) 大久保病院について三点の質問にお答えします。
 まず、保健医療公社に移管した後、大久保病院の運営に当たっての地元の声の反映についてでございます。
 大久保病院は、地域の中核病院として、地域の医療ニーズを踏まえながら、地域医療機関と積極的に連携を図り、運営していくこととしております。このため、病院に、地元自治体や医師会等の関係者から成る運営協議会を設置いたしまして、運営方針、事業内容、医療連携方策等について具体的にご協議いただき、地元の声を病院運営に反映させてまいります。
 次に、大久保病院の公社移管による地域住民にとっての具体的メリットについてでございます。
 基本的には現行の医療機能を踏襲しつつ、紹介、逆紹介制を推進することで、患者さんが身近な地域で症状に応じた医療を受けられるとともに、より多くの人がかかりつけ医を確保できる。また、開放型病院として、かかりつけ医と病院医師とによる共同診療が可能となり、一貫性のある医療を継続して受けることができる。さらに、在宅患者のための緊急入院ベッドの確保など、地域のニーズを踏まえた運営を行うことによりまして、地域全体の医療サービスの向上が図られることとなります。
 最後に、大久保病院の女性専用外来の設置についてでございます。
 地域の医療ニーズに対応した専門外来の設置は、住民の安心や信頼につながる重要な要素であると考えております。女性専用外来の設置には人材の確保等の課題はございますが、ご提案の趣旨を踏まえ、来年度からの開設に向け、公社と十分連携を図りながら具体的な検討を開始いたします。
〔病院経営本部長碇山幸夫君登壇〕

○病院経営本部長(碇山幸夫君) 女性専用外来に関します二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、都立大塚病院におきます女性専用外来の診療実績等についてでありますが、本年七月一日の診療開始からの二カ月間で延べ二百十四名の診察を行ってございます。既に年内は予約がすべて入っている状況でございまして、女性専用外来の特色の一つであります患者サイドに立ったきめ細かな診療は特に評価が高く、利用者の反響は大きいと考えてございます。
 次に、今後の女性専用外来の開設に向けての課題についてであります。
 ご指摘にもありましたとおり、都立大塚病院での実績を十分に検証いたしまして、墨東病院、府中病院での開設に生かしていくことが重要でございます。現在の大塚病院におきます予約状況等を踏まえますと、十分な診療枠を確保するために、女性の心身の疾患を総合的に診療できる女性医師の確保とその育成が必要であると考えてございます。また、プライバシーを配慮し、患者さんが安心して受診できます診察室等の環境整備に今後とも努めてまいります。
〔大学管理本部長山口一久君登壇〕

○大学管理本部長(山口一久君) 新しい大学の構想についてお答えいたします。
 まず、単位バンク制度の効果等についてでございますが、この制度は、約二百校の大学が集積している首都圏の特性を活用いたしまして、自分の大学の科目に限らず、ほかの大学で取得した単位も認定し、学生一人一人に応じたカリキュラムや柔軟な修学年数の設計を可能とする制度でありまして、これまでの大学教育の限界に挑戦するものでございます。この制度により、一度取得して単位バンクに登録した単位は、何らかの事情により学業を一たん中断した後も、年数にかかわらず有効となり、後に学習を再開するときには、それに単位を加算していくことができるものでございます。これによって、青年海外協力隊なども積極的に応援することも可能でありますし、社会人が再チャレンジに向けて大学で学習することも容易になります。
 また、外部有識者を入れた評価システムを導入し、学生が必要な能力を身につけているかどうかを評価した上で社会に送り出すことといたします。
 さらに、単位バンクにほかの大学の科目を登録するときには、各科目の評価を行うため、日本の大学教育全体の質的向上につながるものと期待しております。
 次に、ビジネススクール等に続く大学院構想についてでございますが、ものづくりの人材を育成し、東京の産業を活性化する観点から、大学院レベルの実践的な教育研究に対する社会的な要請が高まっております。このため、現場である企業と一体となりまして、教育研究面から地域産業の活性化に貢献する産業技術の大学院を大田・品川地域に設置することを考えており、年内を目途に庁内に関係局との検討会を立ち上げて、この大学院の開設に向けて検討を進めてまいります。
〔都市計画局長勝田三良君登壇〕

○都市計画局長(勝田三良君) 木造密集市街地整備に関します四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、木造密集市街地の改善のために公有地をまちづくりに活用する具体的な推進策についてでございますが、いわゆる木密地域の解消を図るためには、地元住民の理解と協力とともに、種地となります公有地の活用が不可欠でございます。
 具体的には、ご指摘の鐘ヶ淵地区の用地の活用はもとより、学校の統廃合や国の施設の移転跡地など、公有地が生じた場合には、土地を所有する関係機関とも協議をいたしまして、事業推進のための代替地や道路、公園などの防災空地、あるいは土地の共同利用など、可能な限りまちづくりに活用してまいります。今後も一層関係区及び地元住民とも連携し、木密地域の改善を図ってまいります。
 次に、木造密集市街地における建築物の整備についてでございますが、ご指摘のように、耐火壁を設置するなど、建築物の防火性能を高めた上で、隣地境界とのすき間をなくす、いわゆるテラスハウス型建築物による町並み形成は、敷地の有効利用という観点から有効な手法の一つと考えております。このような町並み形成に当たりましては、敷地の統合等を進める上で、容積率や斜線制限などを緩和できます、東京のしゃれた街並みづくり推進条例に基づきます街区再編まちづくり制度を活用することも可能でございます。また、住宅金融公庫の融資制度には、協調建てかえに対するものなどがございまして、木造密集市街地の整備に関係する諸制度の一層の周知、活用を図ってまいります。
 次に、防災都市づくり推進計画における整備プログラムの概要と策定時期についてでございますが、震災時に都民の財産、生命を守るため、建築物や都市施設等の耐震性や耐火性を確保するなど、防災都市づくりを早急に進めることが重要でございます。
 整備プログラムは、推進計画の改定素案における十一カ所の重点整備地域ごとに、整備の目標、スケジュール、手法などを明らかにすることによりまして、着実な整備の推進を実現させるものでございます。
 また、策定時期につきましては、地元区と具体的な整備方針を調整しているところでございまして、今年度内に策定する予定でございます。
 最後に、防災都市づくりに関する協議会の設置についてでございますが、今回、本計画の改定に当たりまして、危険度の高い地域で集中的に事業を実施することによりまして、早期に安全性を確保していくこととしております。このため、十一カ所の重点整備地域におきまして新たに整備プログラムを策定するとともに、防災都市づくり推進協議会を組織いたしまして、地元区との連携強化により事業を着実に実施し、防災都市づくりのより一層の推進を図ってまいります。

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