平成十五年東京都議会会議録第十三号

   午後一時三分開議

○議長(内田茂君) これより本日の会議を開きます。

○議長(内田茂君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(内田茂君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(谷村隆君) 平成十五年九月二十二日付で、知事より、本定例会に提出するため、議案三件の送付がありました。
 次に、知事より、地方自治法第二百四十一条第五項の規定により、平成十四年度東京都区市町村振興基金及び東京都用品調達基金の運用状況に関する調書等の提出がそれぞれありました。
(別冊参照)

○議長(内田茂君) この際、日程の追加について申し上げます。
 知事より、第二百五号議案、平成十五年度東京都一般会計補正予算第二号外議案二件、決算二件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(内田茂君) これより質問に入ります。
 百十二番大西英男君。
〔百十二番大西英男君登壇〕

○百十二番(大西英男君) 平成十五年第三回東京都議会定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問いたします。
 石原都知事が自由民主党総裁選の応援演説に立ち、発言内容が物議を醸したことなどが相まって、国民の大きな関心の中で、党員の圧倒的支持で小泉総裁が誕生し、去る二十二日、小泉第二次改造内閣が発足いたしました。閣僚には、憲政史上初めて、我が党東京都連所属の石原伸晃国土交通大臣を初め、三人の大臣が生まれました。私たち都議会自由民主党は、こうした絶好の機会をとらえて、首都東京にかかわる政策の充実を政府・党本部に提言し、都民のため渾身の努力を傾けていきます。
 我が国の社会経済は、長きにわたる低迷を続けています。最近では、GDP名目値のプラス化、日経平均株価の一万円台回復など、景気の底離れの兆しも見受けられます。しかしながら、今後、これらが企業の設備投資や個人消費の拡大につながり、景気が自律的な回復軌道に乗っていくかは、依然不透明です。国を挙げて構造改革を進め、次代に誇れる日本社会、日本経済を築いていくことが急務です。
 先日発表されました都の平成十四年度決算では、実質収支の赤字幅が拡大し、経常収支比率の改善も二年でとまり、財政状況が依然として厳しいことが改めて明らかとなりました。
 また、第一次財政再建推進プランの取り組みにもかかわらず、当面の間、毎年三千億円から四千億円の財源不足が見込まれるとの試算もなされています。都財政はいまだ財政再建団体転落の瀬戸際に立ち、何とか持ちこたえている状態です。
 財政再建の緊急性はだれもが認めるところであり、財源不足の解消のために、歳出の切り込みが不可避であります。早急に税収と歳出水準の間にある巨大なギャップを解消しなければなりません。
 ただ、財政再建を単なる財源不足の解消と歳出削減ととらえるのではなく、より深くとらえていく必要があります。それは、一日も絶えることなく、また、社会経済情勢の変化におくれることなく、都は都民に対し必要な行政サービスを提供しなければなりません。経済状況の厳しい今だからこそ、都民は都に対して新たな取り組みを求めているのです。
 この声にこたえるためにこそ、都は一日も早く財政再建を果たし、新しい東京の発展に取り組む力を蓄えねばなりません。そのためには、事業の徹底見直しはもちろん、都の組織や職員定数等をさらに見直すなど、職員みずからも身を削らなければなりません。我々議員自身も、痛みを伴う議会改革に全力を尽くしていかなければなりません。こうした都政の構造改革なくして、都民に納得していただける都財政の再建はあり得ないことを強調し、財政再建と構造改革の問題から質問に入ります。
 まず、十七日に基本了解に至った銀行税訴訟について伺います。
 このたび知事が、今日の金融機関の著しい体力低下や高裁判決の趣旨等を勘案され、話し合いによる決着の道を選択されたことは、まことに現実的な判断であり、最高裁における合意を踏まえて提案される今回の税率改正を支持するものであります。
 申し上げるまでもなく、この東京から変革の引き金を引くための新しい試みは、多くの都民、国民の支持を得、停滞する国政に大きなインパクトを与えました。
 平成十五年度の税制改正においては、都の取り組みが契機となり、長年国で議論されながら一向に実現できなかった外形標準課税が、全国の制度として導入されました。しかしながら、今回の改正では、対象となる法人については、自治体独自の外形標準課税を適用できないとされ、都の銀行外形は、課税期間を当初予定の五年から四年に短縮することを余儀なくされました。
 戦後、地方の自立を高らかにうたったシャウプ勧告から半世紀がたちました。しかし、明治維新当時に太政官制度を開始して以来今日に至るまで、我が国の政治、行政は、地方分権への動きがあるとはいえ、一世紀以上にわたり、その本質を全くといっていいほど変えておらず、制度疲労に侵された旧態依然たる中央集権システムがいまだ我が国を支配しております。分権の理念は掲げられるようになったものの、地方主権への道程はいまだ遠いというのが現状です。
 外形標準課税の実現で、硬直的で中央集権的な地方税財政制度に風穴があいたかのように見えますが、地方自治の立場からは到底あいているとはいえません。本当の意味で都の行動が風穴をあけたといわれるためには、何よりも地方分権を支える地方の自主財政基盤の確立が必要であり、税源移譲が不可欠です。都税調の提言にもあるとおり、少なくとも国、地方、一対一の税源移譲は、地方団体にとって不可欠です。
 そこで、知事は、課税自主権の行使としての銀行外形の意義をどのように考え、今後、地方主権を確立するためどのように取り組んでいかれるつもりか、所見をお伺いいたします。
 次に、施策の見直しについて伺います。
 財政再建団体への転落の危機がいまだ去ってはいませんが、一たび財政再建団体に転落してしまったら、都民生活に深刻な影響が生じます。そのためには、まず、都みずからが血を流し、組織や仕事のやり方を抜本的に改め、徹底的にスリム化すべきです。その上で、今後新たに必要となる施策のための財源が確保され、都民の切実なる願いにこたえることのできる弾力的な財政構造が確立されるように、施策の見直しを建設的に行っていかなければなりません。
 当然、今後、都民と痛みを分かち合うような困難な課題が生じてくるかもしれませんが、我が党は、構造改革を前提とする施策の見直しを強く望むものです。
 こうした考え方は、財政再建のために都民のサービスを切り捨て都民の暮らしを犠牲にしようとしているという、一方的で偏見に満ちあふれた考え方と全く相入れないものであることを明確に申し上げた上で、改めて都の姿勢をただしておきたいと思います。
 既得権益を守ることにきゅうきゅうとしているだけでは、東京は新しい時代に生き残ることはできません。また、そのような対応は、それこそ都民の生活に責任を持つ自治体の責任放棄です。今、財政再建に全力を挙げ、都民サービスの充実に力を尽くすべきときです。今後、施策の見直しをどのような考え方で進められていくのか、ご所見を伺います。
 先般、知事は記者会見で、区市町村への補助金の削減は不可避であると表明されました。都財政の危機の回避のため、区市町村に痛みを分かち合う観点からのやむにやまれぬ知事の発言であるとは思いますが、地方分権の理念を基礎に、都と区市町村との役割分担を改めて見直し、区市町村の自立性を高め、その自主性を妨げることのないよう、都との関係を見直していくといったこともあわせて進められるべきです。決して、国が今進めている三位一体改革のように、国の交付税や補助金をカットするための隠れみのとしてサービスの低下を招くようなことは、断じてあってはならないと思います。
 区市町村においても、程度の差はあれ厳しい財政状況にあり、こうした中での知事の記者会見での発言だったわけですが、自主性、自立性を高める観点から、区市町村に対する補助金の削減をどのように進めていかれるのか、伺います。
 次に、公立と対をなす私学助成について伺います。
 私立学校は、高等学校の生徒数で約六割、幼稚園で九割を超えるなど、独自の建学の精神に基づき、公教育の発展に大きな役割を果たしています。
 その一方、少子化の進行や長引く景気低迷の中で、保護者が負担する教育費の公私格差も、私立が八十二万円に対し都立は十六万円と、拡大したまま推移するなど、私立学校を取り巻く環境は非常に厳しい状況にあります。
 私学助成については、こうした現状を踏まえ、さらに、都立高校の生徒一人当たりの費用と、その二分の一で私立高等学校の教育が行われているような、都立高校の高コスト体質もしっかりと見定めて、後退することなく、一層の振興が必要であると考えますが、所見を伺います。
 次に、保有する財産の利活用についてですが、都の事務事業の見直しを進めていくと、当然、都の保有している土地建物のうち、不用なものが出てきます。しかし、この土地建物をそのまま各局が抱え込んでしまっては、全く意味がありません。セクショナリズムを排し、例えば少子化に伴って廃校となる都立高校の跡地を教育委員会の管理から知事の管理に速やかに移し、都の財産として一元的に管理して活用していくことなどが必要です。厳しい財政状況の中、都の保有する財産の徹底した利活用を進めていくべきと考えますが、ご所見を伺います。
 また、徴税努力にもさらなる充実を求めたいと思います。
 第一次財政再建推進プランの期間中、都は徴収率を向上させ、滞納額を圧縮し、歳入を確保しました。さらに、不正軽油撲滅作戦などを通じて、環境対策への取り組みや社会正義の実現を行ってきました。こうした取り組みは、都民の都政への信頼を高めるものであります。今後も手を緩めることなく徴税努力をさらに続けていくべきと考えますが、ご所見を伺います。
 次に、内部努力について伺います。
 財政再建を、既存の行財政機構を温存したまま、単に投資的経費や補助金を削減するといった小手先の手段で乗り切ろうとするのは論外です。何よりも都の執行体制を抜本的に見直し、高どまりする経常経費にメスを入れるため、都みずからが徹底した内部努力を実施すべきです。
 その第一に挙げられるのは、職員の給与や退職金の見直しです。
 厳しい社会経済情勢の中、極めて深刻な都民生活、中小零細企業の経営悪化、危機的な財政状況にかんがみ、我々はこれまでさまざまな問題提起をし、改善を求めてまいりました。民間企業であれば、経営が苦しくなれば経費を削り、給与を削り、その他さまざまなリストラ策を講じて、必死になって再建に当たります。
 都が、苦境にある中小零細事業者や失業にあえぐ都民と痛みを分かち合う姿勢を明らかにし、財政再建に向けた強い決意を示すことこそ重要なのです。これまでの都の取り組みは評価はいたしますが、職員給料の削減や退職金の見直しなど、引き続き厳しい内部努力をすることは避けられないと我が党は考えます。知事の所見を伺います。
 さらに、高どまりする人件費を削減していくためには、いうまでもなく職員定数の問題が重要です。職員が今後大量に退職する時期を迎え、これにどう対処していくかも重要であります。退職した職員を全部新規採用で埋め合わせるという安易な解決に走ることはまさかないと思います。今後、少子高齢化により生産年齢人口のパイが縮小しますが、今後の社会経済の発展を担う若者を官民で分け合わねばなりません。これからは、ある行政部門全体をアウトソーシングするようなドラスチックな取り組みにより職員定数を削減することが必要であると考えますが、いかがでしょうか。
 また、都の役割を再検討し、これまでの発想を大胆に転換し、民間でできることは民間に任せることが重要です。かつての電電公社や国鉄の民営化の例を見るまでもなく、日本経済の再生とさらなる発展のためには、官業を民間に開放し、民間の力を十分に生かしていくことが必要です。これにより、都の職員定数が減り、行政コストが削減されるだけでなく、都民はサービスの質の向上という果実を得ることができます。さらには、新たな市場、雇用を生み出し、東京の経済に活力を与え、ひいては我が国の景気を浮揚させることにつながります。官から民へという時代の流れを都みずからが積極的に推し進め、加速させていくことが、今、求められています。そのためにも、都の施設の運営について民間にゆだねていくことや、監理団体の民営化といったことに取り組んでいく必要があると考えますが、ご所見を伺います。
 さて、七月末には、平成十六年度の予算見積もり通達が出され、十六年度の予算編成が実質的にスタートしています。財政再建と都政の構造改革を予算編成の中で道筋をつけていかなければなりません。十六年度予算は、これまで述べてきたことを具体的な取り組みとして織り込み、都政の構造的改革に向けて新たな第一歩を踏み出しつつ、同時に、都が直面する課題に適切に対処する予算となるよう、強く要望いたします。十六年度予算編成にどのように臨んでいかれるのか、知事の決意を伺います。
 ところで、近年の東京の治安の悪化は極めて憂慮すべき状況です。治安悪化の大きな要因は、外国人犯罪の増加と少年事件の多発です。こうした状況にかんがみ、我が党もいち早く、さきの第二回定例会の代表質問及び一般質問で、今後の治安対策への取り組み、空き交番の解消策、警察官の業務配分や業務の効率化などについてただしたところです。
 これらを踏まえ、石原知事は、先月一日、竹花副知事を長とする東京都緊急治安対策本部を立ち上げるとともに、青少年の健全育成に関する具体策を検討する、子どもを犯罪に巻き込まないための方策を提言する会、密輸や密入国に対する首都圏の治安対策として、東京湾保安対策協議会を矢継ぎ早に設置されました。
 治安対策は現下の都政の喫緊の課題であり、我が党は、都議会における責任政党として、石原知事との連携を図り、課題解決に全力を挙げて取り組むため、今般、東京都議会自由民主党緊急治安対策本部を設置いたしました。
 東京はかつて、世界の大都市の中で最も安全な都市として世界から注目され、都民の誇りでした。こうした誇りを取り戻すべく全力で取り組むことをお約束し、質問に入りたいと思います。
 それでは、喫緊の課題である治安対策について伺います。
 我が国は、ここ数年来、治安状況の悪化が著しく、到底看過できる状況にはありません。昨年の刑法犯認知件数は、全国で約二百八十五万件、都内で約三十万件をそれぞれ突破し、全国レベルでは七年連続で戦後最多を記録する一方で、検挙率は、十数年前の六〇%前後から二〇%に急落、低迷しています。来日外国人を初めとする組織犯罪やひったくり等の街頭犯罪、集団化、低年齢化する少年非行の横行に、今や多くの都民は日常生活に不安さえも感じるようになりつつあります。
 さて、東京は、当面、犯罪に強いまちづくり、外国人組織犯罪対策及び少年問題対策を三本の柱として治安対策に取り組んでいくものと聞いておりますが、それぞれの取り組みに当たっての基本的な問題について、幾つかお伺いします。
 まず、治安対策の根幹に置かれるべきは、犯罪に強いまちづくりを進め、犯罪者から犯罪の機会を奪うことを目指すための方策です。
 第二回定例会で制定した東京都安全・安心まちづくり条例は、来る十月一日から施行されますが、東京都は、さきに、都の施設だけでなく、区市町村全域を対象として施設や地区の緊急安全点検を求めたほか、条例の施行を機会に、都民に対しても身の回りの安全点検を呼びかける予定であると聞いています。都民の生命、財産の安全を守るために、警察力等の充実はもちろん重要なことではありますが、都民や基礎的自治体がみずからの安全についてみずからも考え、具体的に取り組んでいくことこそ、まさしく自治の中核をなす事柄です。
 そこで、治安対策本部長である副知事に伺いますが、このような呼びかけ、働きかけの結果が具体的にどのような形で東京都の安全・安心まちづくりに、ひいては治安対策に反映されるのでしょうか。
 また、都は、都民の生命、財産の安全を守るという観点から、防犯カメラの普及を図ろうとしていますが、確かに、さきの長崎市における幼児誘拐殺人事件が早期に解決された理由の一つとして、商店街に設置された防犯カメラが非常に重要な働きを果たしたことが挙げられています。防犯カメラの設置に対しては、プライバシーの侵害の可能性などの問題を指摘する意見はありますが、現在の治安状況を考えれば、犯罪被害の未然防止や検挙率の向上を図り、都民が安心して暮らし、安全に歩けるまちづくりを目指すためには、防犯カメラの積極的な利用が必要であると考えます。
 都としても、無用なプライバシーの侵害を防ぎつつ、防犯カメラの普及を促進することが必要であると考えますが、担当副知事の見解を伺います。
 第二の課題は、来日外国人の組織犯罪への対策です。
 警察庁の資料によれば、外国人犯罪は組織的に多人数で行われる傾向があり、また、外国人による凶悪犯、知能犯、薬物事犯及び売春事犯では、不法滞在者の比率が高いとされています。東京には毎年数多くの外国人が訪れますが、中には、密入国したり、観光ビザや就学、留学ビザで来日し、期限が切れても滞在した上で、犯罪組織に加わったり、暴力団の傘下にある風俗産業に従事したりして、いわゆる組織犯罪に利用される者も少なくないといわれています。外国人がかかわる犯罪の根底には、このような不法滞在者の存在があるといわれていますが、彼らは、不法入国者約三万人を含めて全国で二十五万人に上っており、毎年四万人を強制送還してもなお、はかばかしく減少しないというのが実情です。
 そこで、まず、こうした不法滞在者の現況と、これを招いた原因についてどのように認識しておられるのか、担当副知事に伺います。
 また、不法入国者や不法滞在者の対策は、基本的には国の事務ではありますが、都として国にどのような働きかけをしているのか、都はどのような役割を果たすべきとお考えになっているのか、あわせて担当副知事に伺いたいと思います。
 さて、東京港は日本を代表する国際貿易港ですが、近年、密輸や密入国など、入港する船舶を使った犯罪が頻発しています。また、昨年寄港したことのある北朝鮮籍の「ポン・ス号」が、本年四月、薬物の密輸によりオーストラリアで拿捕されたことも記憶に新しいところです。我が党は以前から、水際での危機管理の重要性を指摘してまいりましたが、東京港や隣接する港湾において密輸や密入国の防止の徹底を図り、首都東京を初め、広く首都圏の治安の強化に貢献していくことが焦眉の急となっています。
 そこで、港湾における保安対策を充実させるため都はどのような取り組みを展開されようとされるのか伺います。
 三番目の課題として、少年問題対策についてお伺いします。
 長崎、沖縄のいずれも中学生による殺人事件など、昨今、マスコミで注目される事件が多発し、少年犯罪への社会的関心がますます高まっています。
 そこで伺いますが、現在、都内の少年犯罪の状況はどのようになっているのでしょうか。また、少年犯罪を抑止するためには、具体的にどのような対策を講じる必要があると考えておられるのか、警視総監の見解をお伺いします。
 少年犯罪の抑止には、非行の温床を除去する地域環境の整備などが必要である一方で、青少年が非行や犯罪に巻き込まれることなく、社会の宝として健全に育成されていくことが肝要です。都は、健全育成対策の一環として、青少年の有害環境の浄化や、心の東京革命の推進に取り組んでいます。少年の非行防止、少年の犯罪抑止の観点からも、東京都青少年の健全な育成に関する条例の改正を含め、より一層充実強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 また、先ごろ、小学校六年生四人が渋谷に出かけた後、行方不明になり、赤坂のマンションに監禁されるという衝撃的な事件がありました。学校教育の立場から、子ども、青少年の健全育成のための実効性のある取り組みについて、今後どのように進めていかれるのか、教育長にお伺いします。
 以上、現下の治安対策上の諸課題についてるるお尋ねをしてきましたが、我が党が緊急治安対策本部を設け、警察官の増員を国に対して要求するなど、強力な活動を展開しようとしているのも、冒頭に申し上げたとおり、現在の治安の状況に対する危機感が背景にあるからです。
 そこで、この問題の最後に、改めて東京の治安回復に向けての知事の揺るぎない決意のほどをお伺いし、次の質問に入らせていただきます。
 いよいよ規制開始が一週間後に迫ったディーゼル車規制について伺います。
 この規制の実現には、何よりも事業者の皆様の理解と協力が不可欠です。また、規制によって、物流など都民生活や経済活動に支障を来すことがあってはなりません。このため、我が党は、事業者や事業団体から細やかに意見をお聞きし、その実情をつぶさに把握して、時宜をたがえず都に対してさまざまな提案をしてまいりました。
 こうした中で、この間、我が党の主張を踏まえて、都はPM減少装置の補助予算の大幅な増額や特別融資制度の創設など支援策の充実を図り、中小零細事業者の規制対応を後押ししてまいりました。
 また、規制開始が近づくにつれて、経営が厳しい中でも規制に積極的に対応しようとしているのに、装置の装着や新車の納車が間に合わない、このままでは取り締まりの対象となるばかりか、公共工事などから締め出しを食いかねないといった事業者からの悲痛な訴えを受けとめ、まじめに規制に対応しようとしている事業者を、機械的に取り締まりの対象とすることはあってはならないという観点から配慮を求めた結果、証明書の発行による規制猶予の手だてが講じられることとなりました。
 このように極めて厳しい経済情勢のもとで、事業者の負担を伴うディーゼル車規制の施行に至る道筋は、決して平たんなものではありませんでしたが、国の無策に業を煮やした知事の決断と勇気を、我が党を初め議会としても正面から受けとめて、そして何よりも事業者がそれぞれの立場で血のにじむ努力をされたことで、今まさに歴史的ともいえる規制が実現しようとしているものと考えます。
 そこで伺いますが、行政と事業者の総力を挙げた取り組みにより、都独自のディーゼル車規制が今始まろうとしていることについて、知事はどのような認識をお持ちでしょうか。
 今後は、既に対応を終えている大方の事業者との公平の観点も考慮し、ディーゼル車規制を実効あらしめるよう、取り締まりを含め、適切な対応を行っていただきたいと思いますが、規制を目前に控えた現時点で、規制への対応はどの程度進んでおり、今後、他県からの規制未対応の流入車などに対してどのように対応されるのか、お伺いします。
 ディーゼル車対策は、十月一日の規制開始をもって幕を閉じるわけではありません。十月以降、新たに規制該当となる車両も残されており、我が党として、来年度も含め、事業者に対する細やかな指導と経済的支援の継続を要請してまいります。
 さらに、本来、大気汚染対策に責任を持つべき国は、相変わらず必要な対策を怠っており、また、メーカーも、社会的責任を自覚して、ユーザーの負担とならない形で技術開発に努めるという点で、まだまだ不十分です。メーカーのひとり勝ちという状況も生まれてきています。大気汚染の改善を求める都民の期待と、苦しい中でも規制に協力する事業者の努力にこたえるためにも、今後とも、国やメーカーに対してディーゼル車対策における責任をしっかりと果たすよう強く求めていくべきと考えますが、知事のご決意を伺います。
 次に、今夏の電力危機と、それを踏まえた今後の対応についてお伺いします。
 東京電力の原子力発電所をめぐる不祥事に端を発する今夏の電力危機については、冷夏の影響もありますが、電源立地地域の住民の皆様のご理解とご協力により、停電という最悪の事態は何とか回避することができました。
 我が党の代表は、去る七月に福島、新潟両県議会を訪問し、両県の深い理解と協力を要請したところです。
 しかしながら、今回の一連のトラブルは、都外からのエネルギー供給に大部分を依存する東京の電力供給体制の脆弱さを改めて浮き彫りにする結果となりました。
 東京の電力消費の約四〇%は、新潟県と福島県に立地している原子力発電所によって賄われておりますが、今回の原子力発電所の再稼動に当たり、これら電源立地地域では、国と東京電力に対する不信、不満を完全にぬぐい切れない中での、ぎりぎりの判断があったものと推察されます。
 今回の事態を教訓として、都として引き続き国や東京電力に対して徹底した対策を求めることが必要ですが、あわせて、我々都民の日常生活や旺盛な事業活動は、電力を初め、水源等の問題を含め、立地地域との相互理解なくして成り立ち得ないということを再度認識する必要があります。
 そこで伺います。都は、今回の電力危機の教訓を踏まえ、電源立地地域と消費地の相互理解をこれまで以上に深めるよう取り組んでいくことが重要と考えますが、知事の所見をお伺いします。
 次に、中小企業対策について何点か伺います。
 最初に、ものづくり産業施策について伺います。
 都内のものづくり産業を支える中小企業は、厳しい経営環境が続く中、付加価値の高い独自製品の開発など、さまざまな努力を続けています。こうした頑張る中小企業を支援し、二十一世紀をリードする産業を育てていくことが、これからの産業対策として極めて重要なことです。
 先ごろ、都は、企業や大学、研究機関など、地域の既存資源をベースにして、地域産業全体の活性化を目指した地域資源活用型産業活性化プロジェクトをスタートさせました。これまでの工業集積や企業間関係の枠組みを越えたユニークな取り組みであり、大いに期待するところです。
 こうした取り組みをも生かして、東京が持つポテンシャルを引き出し、東京の産業競争力を高めるような新しいものづくり産業集積施策を検討すべき時期に来ていると考えますが、所見を伺います。
 次に、中小企業金融について伺います。
 近年、金融機関においては、ビジネスローンやクイックローンなど、中小企業を対象とした新しい金融商品が生まれてはいますが、中小企業金融のかなめはやはり制度融資であり、その役割の重要性はいささかも失われていません。とはいえ、いかなる仕組みも利用者のニーズに的確に対応しなければ、期待された効果を発揮することはできません。制度融資については、中小企業にとって力強い味方である一方、制度が複雑であることもあり、わかりにくい、手続が煩雑だ、使いにくいといった声も耳にします。
 そこでまず、最近の制度融資の実績と、今後より一層の利用を促進するため、どのような対応を考えておられるのか伺います。
 さて、都はこれまで、制度融資の拡充を図るとともに、都独自の先進的なCLOやCBOによる債券発行やベンチャーキャピタルファンドによるベンチャー企業への出資など、直接金融による資金調達を促進してきました。
 ところで、現下の中小企業の現状を見ますと、平成元年以来、廃業率が開業率を上回る状況が続いています。このままでは、都の産業は低迷する一方です。資金調達に苦しむ創業間もないベンチャー企業や再生の見込みのある中小企業を支援し、このような状態を一刻も早く打破することが都政の緊急の課題だと考えます。
 ハイリスクに果敢にチャレンジし、高成長を図ろうとするベンチャー企業などに対する直接金融による資金調達がまだまだ不足しています。こうした切実な資金調達の要請については、都は早急に対策を講じるべきであると考えますが、見解を伺います。
 次に、新銀行について伺います。
 新銀行の詳細は、今後明らかにされるわけですが、そもそも銀行をつくるとなると、今後の経済動向等も踏まえた長期的な視野から、銀行の内容が適切といえるかどうか判断していく必要があります。
 そこで、今後、景気が本格的な回復局面に入るなどの経済動向が変化した場合に、新銀行の必要性をどのように考えておられるのか、所見を伺います。
 次に、新銀行の大きな特徴として、無担保による融資がありますが、これには経営に苦しむ中小企業から大きな期待が寄せられています。しかしながら、最近は、新銀行創設の影響かとも思われますが、既存金融機関においても無担保融資モデルが広がりつつあります。こうした中、新銀行はどのように対応していかれるのか、所見を伺います。
 また、最近の中小企業白書によりますと、倒産した企業経営者が再起を図ることのできない大きな理由は、資金調達の困難さにあるとされています。一方で、アメリカの経済が生き生きとしているのは、敗者復活戦を認め、こうした企業への社会的な支援制度が充実しているからだともいわれています。新銀行は、不幸にして行き詰まったことのある企業経営者の新たなる場での再起を図ろうとする場合、それを支援することが重要であると考えます。このような敗者復活を可能にするような融資を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、ヤミ金融対策について伺います。
 違法な高金利での貸し付けや強引な取り立てを行うヤミ金融の問題につきましては、全国に先駆けて、東京都議会として、既に昨年の第一回定例会において、貸金業規制法の改正に関する意見書を採択し、国会等に提出して、早期の実効性ある法改正を強く要請してきたところです。
 その結果、登録要件の厳格化、罰則の強化などを内容とする、いわゆるヤミ金融対策法が成立し、貸金業規制法及び出資法が一部改正されることになりました。
 そこで東京都は、今回の法改正を踏まえて、悪質な業者による被害防止のため、具体的にどのような取り組みをされるのか、お伺いします。
 次に、東京港の国際競争力の強化策について伺います。
 今日、世界の海運業界では、生き残りをかけた企業間競争が激しく展開されています。こうした中、強力なライバル港である釜山港や台湾の高雄港等と比較して一・五倍以上ともいわれている高コスト構造を是正し、世界の船会社から支持される港づくりをしなければ、東京港の未来は見えてこないのではないでしょうか。我が国港湾の高コスト構造の要因がどこにあり、その是正に向け、都としてどのように取り組んでいこうとされるのか、所見を伺います。
 港湾コストは、岸壁やクレーンなどの施設使用料を初めとした公共料金のほか、水先料や荷役料などの民間料金で構成されていると聞いています。港湾コストを低減していくためには、民間事業者にさらなる経営努力を求めざるを得ない状況にあることも事実です。しかし、民間サイドに厳しい努力をお願いする以上、港湾管理者としても、コスト低減に結びつく公共料金の見直しなど、国際競争力の強化策をみずから率先して打ち出していくべきです。
 もちろん、昨今の厳しい財政事情もあり、単なる減額や免除であってはならないことは当然でありますが、これまでの硬直的な公共料金の体系にもメスを入れ、取扱量の拡大や作業の効率化などの経営努力にまじめに取り組んだ事業者が報われ、結果的にコスト低減につながるような料金制度に変革していくべきだと考えますが、所見を伺います。
 次に、都市機能の強化の観点から伺います。
 まず、隅田川や中川などの低地河川の耐震対策について伺います。
 隅田川から東の東部低地帯では、地盤沈下により、満潮面以下の地域が区部面積の五分の一に当たる約百二十四平方キロにわたり広がっています。中でも荒川や中川を中心としたゼロメートル地帯では、既に干潮面以下となっています。これらの地域の堤防が地震により被災した場合の人的、物的な被害ははかり知れません。
 そこで、東部低地帯の河川の耐震対策を強力に推進すべきと考えますが、これまでの取り組みと今後の進め方についてお伺いします。
 次に、電線類の地中化についてですが、先月、国土交通省から新たな電線類地中化計画の骨子が発表されました。この中で、国道、都道などの幹線道路については、一定の整備進捗が図られてきましたが、区市町村道を中心に、欧米都市と比較して、依然として大きく立ちおくれていることが指摘されています。
 都においても、地中化を推進すべき道路がいまだ多くあります。整備に当たっては膨大な事業費が必要であることは十分承知していますが、防災面などから、地中化は喫緊の課題と考えます。
 そこで、現行の新電線類地中化計画の最終年度となる今年度末には、地中化事業の進捗はどのような状況になるのか伺います。
 また、平成十六年度から始まる次期地中化計画では、より一層の工夫を行い、事業を推進すべきと考えますが、計画策定に当たっての整備方針と事業方針の方策を伺います。
 次に、区部の環状道路の整備について伺います。
 首都圏では、圏央道や外環など、高速三環状道路の整備が進められていますが、その機能を十分に発揮させるためには、一般街路も含めた道路ネットワークの整備が不可欠です。交通渋滞の緩和を図り、都市活動や都民生活を支え、安全で快適な首都東京を創造するためにも、一般街路の整備を強力に推進する必要があります。
 中でも山手線外側の環状六号線、環状七号線及び環状八号線は、都心方向への通過交通を分散し、都内の慢性的な交通渋滞の緩和を図る上で、その整備効果ははかり知れないものがあります。都では、この区部三環状道路ともいうべき三路線のうち、昭和六十年の環状七号線の全線開通以降、環状六号線及び環状八号線の整備を重点的に行ってきていますが、この二路線の整備の見通しについて伺います。
 また、整備に当たり、どのような環境への配慮を行っているのでしょうか。
 さらに、これらの環状道路の整備により、東京の抱える課題がどのように改善されるのか、また効果はどうなのか、石原国土交通大臣によく聞こえるように、あわせてお伺いをいたしたいと思います。
 一方、公共交通についてですが、平成十二年の運輸政策審議会答申第十八号に位置づけられた路線の中には、営団八号線、十一号線、空港アクセスや区部周辺部の公共交通など、未着手の路線が幾つか残されています。
 このような路線は、都市再生の観点からも早期の整備が必要といわざるを得ませんが、整備財源や導入空間など多くの課題があることもまた事実であります。
 路線整備に当たっては、上下分離やPFIなど新たな整備方策や地元負担導入の枠組みづくりなど、都が積極的に役割を果たす余地が十分にあると考えますが、今後どのように公共交通網の充実を図っていかれるのか、都の考えを伺います。
 次に、東京が目指す新しい公園緑地のあり方についてお聞きします。
 都市の緑や公園は、都民の日常生活の中で安らぎの場であり、都市生活に欠かせないものとなっています。しかしながら、東京の緑の現状に目を向けますと、都が政策指標としているみどり率では、区部が二九%、開発余地が残されている多摩地域が八〇%となっており、多摩地域では今なおその緑の減少が続いています。
 また、公園の現状は、都市公園法が住民一人当たりの公園面積の標準を十平方メートルとしているのに対し、東京都全体では、いまだ四平方メートルにすぎません。
 このような中で、公園緑地の都市計画においては、長年、計画決定されたままで事業に着手されていない区域が、何と全体の約六〇%というふうに聞いています。
 この七月に、東京が目指す新しい公園緑地のあり方について、都市計画審議会公園緑地調査特別委員会から中間報告がなされましたが、その諮問に至った背景とねらいについてお伺いします。
 中間報告では、さまざまな主体が多様な方法で緑づくりを行うなど、東京の活力を生かした緑づくりを進めることが掲げられています。
 また、民設公園の条例化を初め、他事業との連携のもとに公園整備を推進するなど、これまでにない施策の芽が盛り込まれています。今後、これらの芽を大きく育てていくことが大切であり、積極的に取り組んでほしいと考えますが、所見を伺います。
 さらに、都市計画公園、緑地の見直しも急務です。同時に、公園の整備水準がまだまだ低い状況の中で、都が責任を持って公園整備を進めることが重要であり、さまざまな仕組みづくりやその展開も必要です。今後の取り組みについて伺います。
 次に、住宅政策について伺います。
 これまでの都の住宅政策は、都営住宅の直接供給など、住宅の新規建設が施策の中心でした。しかしながら、住宅ストックが量的に充足してきた現在、この住宅ストックをいかに良好に維持管理し、流通や建てかえを円滑に行っていくかが重要です。
 今後の都の住宅政策は、こうした新たな課題も含めて、民間住宅市場の活用を重視した効率的で広がりのある施策へと転換することが必要だと考えますが、今後の住宅政策の基本的方向について、知事の所見を伺います。
 さて、大都市東京では、全世帯の約四割に当たる二百五万世帯が民間賃貸住宅に居住しておりますが、賃貸借に関する苦情件数がこの五年間で約二倍に増加するなど、賃貸借に関する紛争が増加しています。
 さきの住宅政策審議会答申でも、安心して貸し借りできる賃貸住宅市場の確立を強く求めています。この答申を受けて、都としてどのような取り組みをされようとしているのか、お伺いします。
 また、少子化対策の観点からも住宅政策は重要な問題です。少子化は、経済のマイナス成長、社会保障制度の崩壊などに極めて深刻な影響を及ぼします。東京は、グローバル化が進展している中、二十四時間切れ目のない都市活動が求められております。これらの活動を支える人々の多くは、働き盛りの子育て世代であり、職住近接が不可欠な条件となっています。
 今回の答申では、都市の活力を支える形成期ファミリー世帯が、都心及び周辺での職住近接や駅近接居住ができる施策に今後重点的に取り組むべきとしており、これが推進されれば、少子化の歯どめに効果を発揮するのではないかと期待いたしますが、都としてどのような取り組みを考えているのか、お伺いします。
 次に、福祉のまちづくりについて伺います。
 本格的な少子高齢化社会を迎え、都市としての快適さや便利さだけではなく、安心や安全が保障された暮らしやすいまちであることが何よりも重要です。
 都はこれまで、福祉のまちづくり条例を制定し、病院やデパート、道路、さらには駅舎等のバリアフリー化の推進に努めてきました。また、平成十二年度からは、こうした流れを加速していく観点から、バリアフリー化緊急整備事業に取り組んできました。このような取り組みを通じ、バリアフリー化が私たちの目に見える形で進展してきたことは、我が党としても高く評価しております。
 そこで、まず、バリアフリー化緊急整備事業の具体的な成果と今後の課題について伺います。
 さて、先般、東京都福祉のまちづくり推進協議会から、二十一世紀の福祉のまちづくりビジョンについての意見具申がありました。内容は、ユニバーサルデザインを基本にしたまちづくりを進めるべき等という、二十年、三十年先を見据えたまちづくりの基本的考え方について言及したものであり、今後の東京のまちづくりのあり方を検討する上で大変参考になるものだと考えております。
 こうしたビジョンの提言を受け、都として、今後実効ある施策をどのように展開していくのか、ご所見を伺います。
 ところで、平成十四年度の都政モニターアンケートでは、都民の約八割が、東京のバリアフリー化が進んでいないと答えています。このような状況を踏まえますと、高齢者や障害者などが利用しやすい建物の整備に、これまでにも増して積極的に取り組んでいくことが求められていると思います。
 都は、高齢者等が利用しやすい建物の実現を目指す、いわゆるハートビル条例の制定を考えていると聞いています。その際には、大都市東京の地域特性を考慮した内容とすべきであると思いますが、所見を伺います。
 また、高齢者や障害者を含むすべての人々が自由で自立した生活が営めるような社会の一日も早い実現が求められています。そのためにも迅速な制度化が必要であります。今後どのように進めていくのか、伺います。
 次に、少子化対策について伺います。
 少子化対策は、今や国を挙げての喫緊の課題です。約二十年前、人口の四分の一を占めていた東京の十八歳未満の子どもの比率は、今や一五%を割り込んでしまいました。少子化がこのまま進めば、首都東京、さらには我が国の社会経済の活力に大きな影響を及ぼしていくことが懸念され、何としても少子化の進行を食いとめなければならないと思います。
 もちろん、これまでも保育施策の充実や児童手当の支給など、さまざまな取り組みが行われてきました。しかし、現実には、一人の女性が生涯に出産する合計特殊出生率は、一・五七ショックという言葉が使われた平成二年以降も、ほぼ一貫して低下し続けております。とりわけ東京の合計特殊出生率は、全国一低い状態が続いております。このまま少子化が進行すると、人口そのものが減少し、社会の活力が喪失してしまう懸念さえ生じています。
 それを裏づけるかのように、我が国の人口は、平成十二年の一億二千六百九十三万人が、五十年後には約一億人となり、百年後には半分の六千四百万人まで減少するだろうとの予測もあります。こうして見ますと、残念ながら、これまでの施策は十分であるとはいえません。
 さて、少子化は時代の流れ、出生率の向上は何をやっても無理という方もいらっしゃいますが、私は、決してそんなことはないと思っています。現にフランスでは、手厚い児童手当や税制面の優遇策など国を挙げた少子化対策を行った結果、出生率を二・〇近くまで回復させたと聞いています。
 さて、本年七月に、次世代育成支援対策推進法が成立いたしました。地方自治体と事業主には行動計画の策定が義務づけられ、いよいよ我が国でも国を挙げた少子化の取り組みが始まろうとしています。
 少子化の要因にはさまざまなものがあります。若い人の結婚や出産に関する価値観の変化、子育てや子どもの教育にかかる経済的な負担感の重さ等に加えて、地域のつながりの希薄化によって、子育てを支える力が弱まっていることなども大きな要因であると思います。
 現在、子育てを支える施策としては、子ども家庭支援センターによる相談事業やショートステイなど、さまざまな支援のメニューが整備されつつありますが、今後とも、家庭にいて子育てをしている母親や父親への支援策の充実が求められます。
 これまでの施策から一歩進めて、住民同士の共助を促す取り組み、例えば保育士の資格を持ち、子どもを育てた経験のある方が自宅をミニ保育所として開放し、若い方々の子どもさんの二、三人を預かり、育児やしつけなどを支援するような、江戸川区で行われている保育ママ制度のような制度の普及なども有効な方策になり得ると思います。
 そこで、都は、今後どのような考え方で子育て支援施策の充実を図ろうとしているのか、所見を伺います。
 また、今後少子化対策を進める上で、小児医療の充実は重要な視点です。小児医療体制を整備することは、子どもの健康保持、増進を図り、安心して子どもを産み、健やかに育てるための基盤となるものであり、少子化対策としても極めて重要な課題です。特に、小児の救急医療への需要は高まっている現状があり、早急な対応が求められています。
 そこで、まず、都では、小児救急医療体制の整備について、これまでどのように取り組んでこられたのか、伺います。
 また、我が党はかねてから、小児医療体制の充実を、萩生田議員を初め、強く主張してきたところであり、都は、こうした我が党の問題提起を踏まえ、本年三月に、多摩地域における小児医療体制についての検討会を設置し、この九月に取りまとめを行ったところです。そのまとめでは、多摩地域の小児医療の充実に向けた施策展開を行うことにより、それを基礎として、都全体の小児医療水準の向上を図っていくとしています。
 今後、都における小児医療の充実に向けて、具体的に施策を進めていくためにどのように取り組んでいかれるのか、所見を伺います。
 少子化の根本対策は、何といっても結婚し、子を産むことです。そのため、我が党は近々、少子化対策の一環として、ブライダルプロジェクトといったものを立ち上げ、若い人たちに対する結婚促進策の検討に入ることを申し上げ、次の質問に入ります。
 次に、健康危機管理対策について伺います。
 近年、SARSに代表される新興感染症の脅威はいうに及ばず、食品、医薬品などさまざまな分野で、都民の生活と健康を脅かす健康危機が顕在化してきています。
 そこで、まず、この冬場に向けて再流行が懸念され、知事も常々憂慮の念を示されているSARS対策について伺います。
 今月初めに開催された第一回アジア危機管理会議の実務担当者会議でも、SARS問題が取り上げられ、活発な意見交換が行われたと聞いています。また、シンガポールでSARS感染者が発生したと報道され、改めてSARSに対する都民の不安が高まってきています。シンガポールの事例に見られるように、今後いつ患者が発生してもおかしくない状況にあることから、SARS患者の発生に備え、現在の体制はどのようになっているのか、お伺いします。
 また、インフルエンザ流行の時期を間近に控え、SARSとの症状の見分けがつきにくいことなどから、都民及び医療機関の間で混乱が生じることも予想されます。都は、万一この時期に国内でSARS患者が発生した場合でも、都民が必要以上に不安を感じることなく、冷静かつ適切な対応がとれるよう、あらかじめ十分な医療体制の整備を図っておく必要があり、とりわけ初期診療を担う協力医療機関の役割は極めて重要となります。また、複数の患者が発生した場合、搬送体制を強化しておくことも重要です。これらの点についてどのように対応していかれるつもりなのか、伺います。
 次に、食の安全についてですが、食の安全確保も、健康危機管理の観点から重要な課題です。近年のBSE問題や食品偽装表示事件の発生など、食品の安全性や信頼性を揺るがす事件が相次ぎ、食品に対する都民の不安、不信はかつてないほど高まっております。
 こうした事態に対応するため、都は、平成十五年度重点事業として、食の安全、安心確保に向けた都独自の仕組みの構築を掲げ、食品安全情報評価委員会の設置や食品衛生自主管理認証制度の創設など、新たな仕組みづくりを着々と進められています。加えて、このたび、仮称東京都食品安全基本条例の制定に向けた基本的な考え方が示されました。
 東京は我が国最大の消費地であるとともに、我が国最大の流通地域でもあります。東京における食の危機が即、我が国における食の危機に直結することを考えますと、今回の条例においても、単なる理念規定にとどまらず、こうした東京の実態を踏まえた対策を講じる必要があると考えますが、知事のお考えを伺います。
 食品の安全を確保するためには、供給者である事業者に第一義的な責任があることはいうまでもありません。しかし、安全性調査、措置勧告や自主回収報告制度など、条例における新たな規制の内容次第では、事業者にとって過剰な負担となることも予想されます。事業規模や食品の種類などのさまざまな実態を踏まえ、対策を講じる必要があると考えますが、所見を伺います。
 条例の基本的な考え方においても、生産から消費までの一貫した食品安全対策を貫くとの姿勢が見えますが、実際には、各局がそれぞれの個別法に基づいた対策を所管しているのが現実です。一貫した対策のために、関係局がこれまで以上に一体となって取り組む必要があると考えますが、所見を伺います。
 最後に、教育改革について伺います。
 東京都は、新しい時代を切り開くべく、果敢に教育改革を断行してきました。この改革の成否は、都のみならず、国の行く末をも左右する重要なものであると受けとめております。改革の基本理念には、創造的で心豊かに、たくましく生きる日本人の育成をしっかりと位置づけることが必要です。
 まず、大学改革ですが、去る七月、さきの通常国会で、かねてより東京都が提案要求活動を行ってきました地方独立行政法人法が成立し、公立大学等についても法人化が可能となりました。法律の内容を見ますと、経営の責任者である理事長と教育研究の責任者である学長を別に置くことができる点、定款や中期目標について議会が関与を行う点などが国立大学の法人化とは異なっており、大学改革に当たっては、より積極的な意義を持つものと考えています。
 さて、知事は、ことしの第一回定例会において、二期目となります知事選挙への立候補を表明された際、都立の大学は一新し、全く新しい大学をつくりたいと述べられました。就任以来取り組んできた都立高等学校の学区の撤廃を初めとする東京からの教育改革は、都立高校の中退者の大幅な減少や雪谷高校の甲子園出場、足立新田高校相撲部の全国大会出場など、顕著にあらわれています。教育のいわば終着点である大学をつくりかえたいという意気込みの成果が、先般公表された新しい大学の構想という形であらわれたものだと理解しているところです。
 そこで伺いますが、この新しい大学の構想はどのような理念により策定されたのか。特に、新しい大学は、東京都が設置する大学として都民にとってどんな意義を持つ大学となるのか、まず、知事の基本的な考え方をお伺いいたします。
 地方独立行政法人法には、企業会計原則の導入や中期目標の策定と目標期間内における業務実績の評価などが盛り込まれており、これまで以上に効率的な大学経営が求められています。また、業績を反映した給与制度の導入も義務づけられており、教員の人事制度も一新していく必要があります。大学改革をなし遂げる上で、これらは重要なポイントとなると考えますが、知事は、新しい大学の経営をどのようにされるおつもりなのか、また、教員の人事制度をどのように構築していこうとされるのか、その基本的な考え方をお伺いします。
 次に、キャンパスについて伺います。
 今回の構想において、都心方面へ展開していく方針が示されていますが、現状の施設はどうされるのか、さらにどのように都心展開を図っていかれるのか、その基本的なお考えを伺います。
 次に、教員の能力の向上並びに処遇について伺います。
 子どもたちを取り巻く環境は、いじめ、不登校などの問題行動や非行の増加、規範意識の欠如など、困難な状況を見せています。こうした危機を打開するために、我が国は教育の根本にまでさかのぼった教育改革を進めていますが、この教育改革の成否は、学校教育の直接の担い手である教員の資質、能力に負うところが極めて大きいといえます。
 今、学校教育の現場では、教育者としての熱き情熱と高い理想を持ち、子どものために全力を尽くす教員を求めています。教員は、我が国の伝統や歴史や文化を尊重し、国を愛し、家庭、家族を愛する心を持っていなければなりません。
 既に石原知事は、第二回定例会での所信表明において、高い志を持つ教員を学生の段階から養成するために、都独自の養成塾を開講すると表明されました。このことを受けて、都教委は、東京都の教員を志す学生を対象として、東京教師養成塾を来年度設置するための準備を進めていると聞いております。都教委は、教員の資質や能力についてどのような問題意識を持ち、来年度設置する東京教師養成塾では、どのような教員を養成しようとされるのか、伺います。
 さて、教員の資質、能力の向上のための人事面での取り組みとして、能力開発型の人事考課制度や人事考課と連動した教員研修制度などを導入してきました。また、今回、全都的視野に立って人事交流を促進し、教員に多様な経験を積ませることにより資質、能力の向上を図ることを一つの目的とした、人事異動要綱の改正を行ったところです。
 教員の資質、能力向上のためには、こうした人事面の取り組みとともに、給与制度の改善にも取り組んでいく必要があります。現在、公立学校教員の給与については、国立学校教員の給与に準拠して定めるものとされていますが、国においては、平成十八年度実施を目途に、能力、業績を反映した給与処遇とするための新たな公務員制度の検討がなされていると聞いています。これは、教員給与について、めり張りのある処遇を実現できる大きな転換期が来ているということです。今後、都としては、教員給与制度についてどのような観点から見直していかれるのか、伺います。
 ところで、最近気になることがあります。それは、日本人のライフスタイルや考え方の変化です。自己中心的な風潮が広がるとともに、個性的に生きることと自分勝手に生きることを取り違えている人がふえているように感じます。特に、大都市では流入人口が大きいこともあって、地域社会への帰属意識が低下していることも気がかりです。こうした背景には、都市化の進展や情報化社会の発達が、近隣の人々とのつき合いなしでも日常生活ができるようになったということがあるのかもしれません。近年の犯罪や少年非行の急増には、こうした風潮が影響しているように思えてなりません。
 都市化が進み、交通やショッピング、通信手段などが飛躍的に発展し、都市生活が便利になっても、地域社会の安全を守る基本は、そこに生きる人々の連帯感や共同意識以外にはないと私は考えます。
 ところが、最近、私が住んでいる江戸川区のある駅前商店街で、街頭犯罪の多様化に業を煮やした地域の人々が立ち上がり、自治会などの協力を得ながら防犯カメラを設置いたしました。カメラのモニタリングから費用まで管理規定を設け、自前で運営しているとのことです。おかげで犯罪は約三割も減少したそうです。天はみずから助けるものを助けるを実践したものです。
 地域には、防犯を初め、防災や福祉、教育など、解決すべき課題がたくさんあります。地域の人々がこうした課題に立ち上がり、東京の各地に広がっていけば、東京は今よりももっと生き生きとした魅力的なまちになるのではないでしょうか。
 知事は、さきの定例会の所信表明の中で、福沢諭吉の、立国は私なり、公にあらざるなりを引用され、都民一人一人が義務と責任を果たすことこそが国を変える力となることを強調されました。地域の問題についても同じようなことがいえるのではないでしょうか。我が党は、それぞれの地域において、地域社会の復権や新たな形成に向け、全力を挙げて邁進してまいります。
 いよいよ衆議院議員選挙が目前に迫ってきました。我が都議会自由民主党は、松本、中西、萩生田の三都議を擁立し、石原知事の三男宏高氏も立候補することになりました。我が都議会自由民主党は、これら候補の必勝はもとより、東京自民党の勝利なくして、都市再生の実現や東京から日本を変えることはできないとのかたい信念のもと、石原都知事とともに力を合わせ、全力を尽くす決意を表明し、代表質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 大西英男議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、銀行業等に対する外形標準課税についてでありますが、銀行外形は、国に変化を迫るため、都が課税自主権を行使して導入したものでありまして、これを契機として国の法改正が行われるなど、停滞する国政にもかなり大きなインパクトを与えたものと考えております。
 ある新聞の論説には、総務省はこれで東京都に足を向けて寝られないだろうという文章もありましたが、いずれにしろ、国を一歩動かしたということは、この予期せぬ効果であったと思います。
 ただ、結果はああいう形での和解となりました。あるメディアなどは、いきなり、勝ったのか負けたのかという質問を向けてまいりました。また、ある論調には、東京都の財政が非常に大きな打撃を受けたというようなとんちんかんな批評もありましたが、いずれにしろ、差し引き千二百五十億の実入りがあったわけでありまして、ただ、今回の法改正では、外形標準課税部分の割合が四分の一とされるなど、必ずしも自治体の総意を満たしたものとはなっていないと思います。
 地方主権を確立するためには、何よりも自治体がみずからの責任と判断で自主的な行財政運営ができるように、財源を移譲することが不可欠でありまして、今後も都議会のご協力をいただきながら、八都県市を初め他団体とも連携を図りまして、財源移譲を基本とした三位一体改革の実現を、国に対して引き続き強く要求していくつもりでございます。
 次いで、施策の見直しの基本的考え方についてでありますが、都税収入の大幅な増加が期待できない中で、新たな都民ニーズにこたえる施策を展開していくためには、これまでの施策の見直しをさらに徹底させる必要があります。
 このため、時代の変化に適合するよう施策の再構築を行うとともに、民間や国、区市町村との役割分担を踏まえつつ、既に役割を終えた事業や必要性の薄れてきた事業については、大胆に廃止、休止していくつもりでございます。
 こうした取り組みを通じて新たな財源を生み出すことによりまして、初めて真の都民サービスの充実が可能となると考えております。
 次いで、都の内部努力についてでありますが、就任して以来、全庁的な行財政システムの改革に取り組んでまいりまして、職員定数五千九百人の削減や監理団体への支出千億円の削減を初め、目に見える形で着実に成果を上げてきたと思います。
 しかし、日本の経済の現況を眺めますと、一部にわずか明るい兆しが見られますものの、中小企業を中心に楽観を許さない状況が続いておりまして、それとの相関関係で、都財政は依然として危険水域を脱していないと思います。
 限られた財源の中で都政の重要課題に適切に対応していくため、事業の聖域なき見直しを行うとともに、職員給与や退職手当の見直しなど、引き続き内部努力を徹底して進めていきたいと思っております。
 次いで、十六年度予算編成に対する基本姿勢でありますが、これまでの都の努力にもかかわらず、都税収入の大幅な減少と一向に進まない国からの税源移譲などによりまして、都の財政再建はいまだ道半ばであります。しかし、いかに厳しい状況にありましても、東京の再生と都民サービスの充実をいっときたりとも停滞させることはできません。十六年度予算は、第二次財政再建推進プランの新たなスタートとして、財政再建の取り組みを強化、向上する予算となるべきであると思います。
 そのため、これまで以上に都みずからの内部努力を厳しく徹底するとともに、すべての施策及び仕事の進め方などについて、新たな発想で聖域のない見直しを行い、徹底した歳出削減を進めていきたいと思います。
 同時に、都民ニーズに的確にこたえ、東京の活力を呼び戻す施策展開が図れるように、限られた財源の重点的、効率的配分を進めていく考えでございます。
 次いで、東京の治安回復についてでありますが、東京の治安が悪化の一途をたどっていることは、都民が肌で感じていることでありまして、もはや多言を要しません。今この事態に手をこまねいておりますと、かつてのニューヨークのように取り返しのつかない事態に陥りかねません。
 都民の生命、財産を守ることは、知事としての最大の責務の一つと考えておりまして、所信表明でも述べたように、外国人犯罪や街頭犯罪などについて、目に見える形で犯罪を減らすことが、都民生活に安全と安心を取り戻すすべであると思います。
 このため、先月、竹花副知事を本部長とする緊急治安対策本部を設置いたしました。副知事には、警視庁、国、区市町村などの関係機関や都民と協力して、あらゆる手だてを講じることにより、一定の期限内に具体的な成果を上げるように強く指示をしております。
 調べてみますと、あのニューヨークを立て直したジュリアーニも、結果として十年かかっているわけでありますが、ただ、五年目にはかなりの効果が見えてきまして、犯罪の指数も半分に減ったようでありますが、それまでひど過ぎたので、よき結果という形には十年かかったようでありますが、ニューヨークに陥る前に、今から手だてを講ずれば、もっとタイムスパン短く治安の回復は可能なものと思います。
 特に、外国人による組織犯罪対策は最重要の課題でありまして、警視庁や国の入国管理局には、さらに徹底した不法滞在者の取り締まりを要請しまして、あわせて、不法な出国をしている側の入国管理も問題でありまして、この点については、国に対してさらに改善の努力をするよう促してまいります。
 先般も石川警視総監がソウルに参りまして、初めてのことでありますけれども、向こうの当事者と会談し、非常に情報を交換して効果があったと思いますが、先般も、私の知己でもあります野中広務氏に、北京といろいろ関係が深いようでありますから、強く要請しまして、北京の要人にかなり強い言葉でこの問題の認識を迫ったようでありますが、北京あたりでハオハオといわれても、それでらちが明くような国ではありませんので、今後はやっぱり東京側のそういう責任者を、根拠地であります広州であるとか、かつての東北県とか、そういうところに赴かせまして、あるいは向こうからそういう担当者を呼びまして、彼らの同胞がこの国で一体何をしでかしている実態を責任者として見させて、自覚を促すことも必要じゃないかと思っております。
 次いで、ディーゼル車規制についてでありますが、関係都県市の本当に協力と理解を得まして、今までなかった、前例にない広域行政が実現しつつあると思います。東京に限らず、首都圏の大気汚染は深刻な状況にありまして、特に都民、国民の生命と健康に大きな影響を及ぼしております。PMの削減は一刻の猶予もならない喫緊の課題であると自覚しております。
 本来、大気汚染対策には、責任は国が持つべきでありまして、どうも国に危機意識が欠けておりまして、抜本的な対策を講じようとしません。都から眺めると、その取り組みは極めて不十分であります。
 このため都は、率先して、世界でも例のない使用過程車対策をも条例で定めました。さらに首都圏の八都県市と連携した広域行政を行ってまいりました。
 この取り組みの過程で、国が困難としてきた低硫黄軽油の早期供給などは、あっという間にできました。これは、国のいい分ですと、十年間に一千億の要するに設備投資が要って、そのためには軽油を、軽油はごく安うございますが、一円値上げする必要があるといって、これがもうわけのわからない反対理由になったけれども、そんなもの無視して、良心的な自覚のある業界は、ほとんど瞬間的に低硫黄の、ヨーロッパ、アメリカ並みの軽油を供給してくれるようになりました。こういったものを一体国はどうとらえているのか。大体この業界を管轄している昔の通産、今は何というんですか、経産省がこれをどうとらえているのか、役人がそれをどう反省し、ざんきとして心得ているかということは、大臣もかわりましたけれども、私は、はっきり東京都として申し込んで、その真意というものをただしたいと思っています。
 しかし、今日厳しい経営環境の中でありますけれども、多くの事業者の理解と協力によりまして、規制への対応が着実に進んでいるというのは、これは本当にありがたいし、やはり日本人も捨てたものじゃないなと。国の役人がばかなだけでありまして、それに比べれば、はるかに市民、国民の方が事を理解している。
 規制開始後は、公平で実効性のあるディーゼル車規制を推進し、東京の大気汚染の早期改善に努めてまいりたいと思います。
 次いで、ディーゼル車対策における国やメーカーの責任についてでありますが、今日の大気汚染の元凶は、国の自動車排ガス規制の怠慢にあります。日本のPM規制は欧米からも実質十年近くおくれておりまして、やっと改正したNOX・PM法の規制適用も、最大二年半延期してしまいました。
 国は、平成十七年から世界で最も厳しい排ガス規制をするとはいっておりますが、その二年後には再びアメリカの後塵を拝することになりまして、そういう世界の情勢、自分たちの努力の、国際的に相対的な評価というものが自分でできないていたらくでありますが、今後とも、世界一厳しい規制の実施を国には強く求めてまいります。
 メーカーに対しては、社会的責任を踏まえて、今後とも、低公害車の早期開発、生産供給体制の強化や事業者の負担軽減に配慮した対応を求めてまいりたいと思います。
 次いで、電源立地地域との相互理解についてでありますが、この夏の電力危機は、立地地域のご理解により回避することができました。また、冷夏のおかげもありましたが、電力供給の大部分を都外に依存している東京の脆弱さが、杞憂には終わりましたけれども、ああいう危機というものの前に改めて明らかになったと思います。
 国と東京電力は、立地地域の安全、安心の確保に万全を期し、電力の安定供給体制を確立すべきだと思います。最大の電力消費地である東京においては、立地地域が果たしている役割について、改めて都民の一人一人が理解を深め、省エネに努めることが必要だと思います。
 今後、地元自治体との連携を密にしまして、交流事業の実施を通じ、電源立地地域との相互理解がより一層深まるように取り組んでまいりたいと思います。
 先般も、この夏の反省報告に東電の社長が来られましたが、そのときに強く申しましたことは、とにかくお上に近い体質で、おまえら素人だから黙っていろ、何も知らぬでいい、任せておきなさいという、いわゆるよらしむべし知らしむべからずの体質が非常に問題になったので、結局、別にそれほど大げさな補修もせずに、ややひびが入った機械は依然として使っているわけでありまして、それは要するに、専門家が見ればただの機械としてのインシデントでしかないのを、隠すために、一部の勢力が騒いで、あたかも事故を起こした、アクシデントのごとき喧伝をされて、結局機械を一時とめざるを得ない、そういうことが重なって行われたので、これからはもうちょっと情報として実態というものをどんどん開示して、周辺の電源地におられます住民の方々の安心を獲得し、納得を獲得するように努力するようにということを強く申しました。
 次いで、新銀行の必要性についてでありますが、いろいろな評価、期待もございましょう。ただ、この銀行の特質もいろいろありますけれども、いずれにしろ、新しくつくられるべき銀行は、ほかの銀行に比べて、まず、一円も不良債権がないというところから出発することも一つの大きな利点というか、性格の特性だと思います。
 いずれにしろ、既存の金融機関は、その体力低減と相まちまして、不良債権処理を優先し、依然として貸し出しを圧縮する姿勢を変えてはおりません。また、上場企業の今期経常利益が過去最高と予想される一方で、昨年の中小企業の倒産件数は一万八千件を超えるなど、三年連続の高水準で推移しております。今後も、景気回復があったとしても、当面、大手企業が中心となり、中小企業については厳しい状況が続く可能性が高うございます。現時点において、中小企業への資金供給は質、量ともに不十分でありまして、中小企業に総合的な支援を行う新銀行の必要性は大きいはずであります。
 また、決して今度の銀行の業務の目的は中小企業への融資だけではありませんで、ここではまだ発表できませんけれども、参加する企業の、その企業しか持っていない特殊的な機能というものを活用しまして、ほかの銀行が今後もできない新しい金融商品というものを提供したいと思っております。
 いずれにしろ、これが成功しますと、東京から大阪という世界に希有なる産業の東海道軸というゾーンそのものを、極めて安定した新しい金融に関するライフラインでつなぐこともできますし、国を待ってはできないことを、地方の自治体が協力することで、新しい金融の革命というものも可能ではないかと期待しております。
 次いで、今後の住宅政策の基本的方向についてでありますが、住宅は生活の基盤でありまして、良質な住宅を確保していくことは都市の活力を創出する上でも重要であります。また、住宅は経済波及効果が高く、その活性化は経済の再生にも大きく寄与いたします。
 住宅数が量的には戸数として確保されておりますけれども、なかなかその品質が価格の割には低い。そういう点でいろいろ工夫をして、この過剰供給のデフレスパイラルの中で、唯一、本質的な需要の高い住宅を都の工夫で大幅に供給することで都民の期待にこたえ、かつまた、住宅にかかわる、新しい什器の購入など、お金が生きた形で動くという事態を到来させることができるのではないか。
 先ほども関係の局長たちと話しましたが、例えば高級プレハブの製造をしている幾つかの企業は、決してその下に工務店を持っているわけでもないし、大工さんを抱えているわけでもない。品物を卸すことでマージンというものを非常に大幅にとりまして、結局ユーザーは高い住宅を買わされているわけですけれども、もし東京にたくさんいる大工さんなり配電屋さんなり水道屋さんをじかに抱えて、彼らに仕事というものを提供する、そういう流通というものを可能とするならば、同じ坪数の高級プレハブにしても、かなり廉価で都民が購入できる。必ずそれは可能だと思いますので、住宅に関する流通の体制というものを革命的に変えることを少しこれから本気で考えていこうと思っております。
 次いで、食品安全基本条例における、東京の実態を踏まえた対策についてでありますが、BSEや偽装表示問題が相次ぐ中で、都民は食に対する強い不安を抱いておりまして、食の安全確保は急務であります。国は、食品安全基本法を制定するなど対策をとってはおりますが、基準を設けて規制するというこれまでの枠組みは変わらず、依然としてその対応は不十分であります。
 都は、法の規制だけでは対処できない課題についても、独自の安全性調査、勧告を行いまして、その情報を公表することにより、これまでにない実効のある未然防止策を展開するつもりであります。食の危機を回避するため、我が国の食品安全行政を牽引していく決意であります。
 例えば、私もよく知りませんでしたが、子ども用の離乳食の容器であるとか、これはいってみると、かつて問題になったカップヌードルの容器に含まれる非常に好ましくない化学物質など、こういったものがあちこち例としてございますので、こういったものを対象に積極的な対策をしていきたいと思っております。
 次いで、新しい大学の構想の理念についてでありますが、日本の教育再建の取り組みの集大成として、教育のターミナルであります大学をつくり変えることが必要だと思います。そのため、既存の都立の四大学を廃止し、新しい大学を創設いたします。
 大学の使命はいろいろあるでしょうけれども、大都市における人間社会の理想像の追求ということを眼目にしまして、東京という大都市のキャラクターを存分に生かし、また、アジアの都市に共通する人口の稠密性やそれに起因する都市問題に取り組むなど、大都市の大学として現実に立脚した教育研究を行うつもりであります。
 大都市の特性を生かしまして、東京全体をキャンパスとする現場重視の教育や人格形成を促す寮などにより、大都市で求められる有用な人材を育成したいと思っております。
 また、大学の経営についてでありますが、これまでの都立大学には経営の視点が全く欠けていたとしかいいようがありません。このままでは、少子化の影響で厳しくなる大学間の競争にも生き残れませんので、このため、新しい大学には、一流の企業経営者を理事長に迎え、外部資金の導入や学生の就職率などの具体的な数値目標を定めて、経営に当たらせたいと思っています。それがまた、学長に就任される方にも、大きな学校経営全体のサポートになると思っております。
 既に非常にすぐれた人物に着目しまして、交渉中でありますが、必ず期待にこたえられる人物に、この学長なり理事長のいすに座っていただけるものと思っております。
 教員の人事制度についてでありますが、新しい大学には、象牙の塔にこもるのではなく、社会に目を向け、学問を通じて社会に貢献しようという意欲のある教員が不可欠であります。学生を有用な人材に育て上げ、社会に送り込む、教育力のある人材を教員として求めたいと思っております。
 そのためには、業績主義というものを徹底して、意欲や能力のある教員にとっては魅力的で、人材の交流を促すような制度にする必要があります。任期制とか年俸制の導入は不可欠であると思っております。
 いずれにしろ、ぬるま湯につかっていたい教員は反対するかもしれませんが、これはもう断固として排して、新しい大学にふさわしい人事制度を構築していくつもりでございます。
 なお、その他の質問につきましては、副知事、警視総監、出納長、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
〔副知事竹花豊君登壇〕

○副知事(竹花豊君) 治安対策についてお答え申し上げます。
 まず、安全点検結果の反映についてでございますけれども、都は、東京都安全・安心まちづくり条例によりまして、区市町村及び都民等と連携、協力して総合的な施策を実施する責務を負うております。
 今回の安全点検は、この条例が十月一日に施行されるに当たり、この責務を具体化するため行うものでございまして、都みずからはもちろんのこと、区市町村や都民とともに、それぞれが管理する施設、犯罪発生が危惧される地域などを一斉に点検することを通じて、関係者はもちろん、都民一人一人が治安問題に関心を深めるとともに、また、防犯意識の向上を図れればということを願っておるところでございます。また、ハード面での必要な対策も導き出したいと考えているところでございます。
 この点検の結果、今まで気がつかなかった日常生活での危険箇所、地域の問題点等が明らかになり、都民、行政、事業者、警察等がそれぞれ何を緊急に行わなければならないか、明確になることを期待いたしております。
 都は、それらの点検結果や区市町村の要望に基づきまして、防犯上の必要な情報をどのように都民に発信すればよいか、あるいは、防犯灯、防犯カメラ等の防犯設備の必要な場所はどこか、対策を行う際にネックとなっている行政上や法制面での問題点は何かなどを集約、検討いたしまして、具体的な対策に結びつけてまいりたいと考えております。
 次に、防犯カメラの普及についてでございますが、防犯カメラは犯罪の未然防止や犯人の検挙に効果があることから、都が管理する施設におけるカメラの整備にとどまらず、人が集まる場所、犯罪が起こりやすい場所、具体的には、駅、商店街、大規模店舗、金融機関、駐車場、公園、文化施設などを中心に、関係する行政機関や民間事業者等にも設置の促進を働きかけ、都内全域での一層の普及を図っていきたいと考えております。
 ご指摘のプライバシーの問題との調整につきましては、十分に配意しなければならない問題であると考えておりまして、現在都が管理しております防犯カメラにつきましては、それぞれの管理責任者が映像データの貸し出し等に関し管理運用を慎重に行っているところでありますけれども、より厳格な取り扱いを行うよう、今後、専門家の意見も聞きながら、貸出手続やカメラの設置の明示などを含む統一的な運用規程の整備を検討していきたいと考えております。
 また、都では、本年度から、商店街振興事業の中で防犯カメラの設置を補助金の交付対象といたしておりますが、その際、防犯カメラシステムの運用基準の参考例を示して、設置目的、画像使用の際の手続、画像の保存期間、設置箇所の明示等につきまして、当該交付対象の商店街を指導いたしているところでございます。
 他の事業者、設置者におきましても、今後策定予定の都の規程等を参考に、より一層の適切な運用取り扱いを行うよう働きかけや指導を行い、防犯カメラの普及に多くの都民のご理解をいただけるようにいたしたいと考えております。
 次に、外国人不法滞在者の現況とこれを招いた原因についてでございます。
 ご指摘のとおり、不法滞在者が二十万人を超えている事態が十年以上続き、それらの一部が外国人組織犯罪の多発の温床となっていることは治安上ゆゆしき問題であります。
 不法滞在者の中には、外国の組織犯罪集団やその周辺者が、一獲千金をねらって、我が国でそもそも犯罪を犯そうと考えて不法入国している者もございますれば、蛇頭などの組織犯罪者に、日本では簡単に金を稼げるとだまされて、その蛇頭に大金を払って不法入国した不法滞在者も多数おります。これに加え、もともとは就学、留学などの資格で合法的に入国したものの、学資や生活費に事欠き、いつしか組織犯罪者と接点を持つまでに至った者も想像以上の数に上るものと考えております。
 これらの者が、ピッキング等の手口により侵入盗を働くなど、全国各地で暗躍し、また、これまで我が国では見たこともないような凶悪事件を引き起こしていることに強い危機感を持っておるところであります。
 このような状況になった原因については、我が国の入国管理の脆弱さはもちろんでありますが、他方で、こうした不法滞在者を不法に就労させている者や、彼らの偽装結婚に手をかしたり、彼らの共犯者となっている暴力団の存在を無視することはできないと思います。
 さらに、不法出国を簡単に許している関係国の出国管理の甘さも指摘する必要があります。
 いずれ、不法滞在者の活動実態をさらに詳細に把握して、緊急に適切な対策を講ずることが必要であると考えております。
 次に、不法滞在者等に関する国への働きかけ等についてであります。
 さきに述べた不法滞在者の状況を早急に打開するために、都としても、国に要請するにとどまることなく、さきに法務省や警察庁などに呼びかけまして対策の連絡会議を設置をいたしました。この会議では、参加者のすべてが、この数年のうちに不法滞在者を半減させるということを共通の目標にして、さまざまな情報交換、意見交換を進めており、私は、入国審査業務の厳格化、効率化や不法滞在者の摘発強化などを強く要請をいたしておりまして、関係者は率直に、かつ内容のある意見を交換をしているところであります。
 この中で、都としても具体的にどのような役割を担うことが可能か、議論をいたしておりまして、入管体制の強化に向けての支援、多くの不法滞在者や刑法犯罪者を生んでいる原因となっているいわゆる日本語学校に対する指導の強化、あるいは関係国への出国管理の強化を求める取り組みへの協力などについて、積極的な貢献をいたしたいと考えております。
 いずれ、治安対策に向けてさらに全力投球してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
〔警視総監石川重明君登壇〕

○警視総監(石川重明君) 都内の少年犯罪の状況と少年犯罪抑止のための具体的な方策についてお答えを申し上げます。
 平成十五年八月末現在の都内における非行少年の検挙、補導人員でありますが、九千六百二十七人ということになっておりまして、前年同期と比べまして八十四人の増加となっております。このうち刑法犯では、成人を含む全検挙人員のうち、四人に一人が少年である、こういう実態にございます。十年前と比較をいたしますと、少年による強盗等の凶悪犯も増加を見ているところでありまして、総体として依然として深刻な状況にあるというふうに認識をいたしております。
 このうち特に街頭犯罪につきましては、総検挙人員の約五割が少年でございまして、中でも、路上強盗、ひったくり、オートバイ盗といった犯罪につきましては、それぞれ六割を超えているという状況であります。
 このほか、深夜徘回、喫煙などのいわゆる不良行為で補導をした少年は四万八千六十人に上っておりまして、前年同期と比べて四千六百四十六人、一〇・七%増加をしております。
 一方で、最近では、お話にもありました小学校六年生の女児四人を対象とする誘拐・逮捕監禁事件に見られるような、少年を被害者とする重大事件も発生をしていますし、また、児童買春・児童ポルノ法違反事件を中心に、少年の福祉を害する犯罪の検挙も増加をしているところであります。
 こうしたことから、警視庁におきましては、少年非行防止対策は犯罪抑止対策のキーポイントであるという位置づけを行っておりまして、暴走族等の非行集団の違法行為に対する徹底した取り締まりと解体補導を推進をいたしておりますほか、非行防止のための街頭補導活動を強化をしているところであります。
 今後とも、悪質な少年犯罪や少年の福祉を害する犯罪につきましては、関係法令を適用いたしまして、厳格な取り締まりを行う必要があるというふうに考えております。
 さらに、少年に注意、助言を与える一声運動や、ボランティア活動へ少年を参加させる活動等を通じまして少年の規範意識の醸成を図るということも重要でございますし、また、地域住民と関係機関、団体が一体となってピンクチラシの除去を行うといったような有害環境浄化活動の推進、キャラバンカーを活用した薬物乱用防止教室や非行防止教室、教育庁等の関係機関と連携をいたしまして少年サポートチームの結成を促進をしていくといったようなことにつきましても、さらに積極的に推進をする必要があると考えております。
 警視庁といたしましては、少年の非行や犯罪の防止、健全育成という問題の重要性にかんがみまして、さらに体制を強化して取り組みを強めてまいりたいというふうに考えているところであります。
〔出納長大塚俊郎君登壇〕

○出納長(大塚俊郎君) 新銀行についての二点のご質問にお答えを申し上げます。
 まず、無担保融資についてでありますけれども、最近、担保主義とは異なる動きが一部の金融機関で出てきておりますけれども、例えば、その返済期間は六カ月から長くても三年程度とされるなど、ニーズを必ずしも踏まえたものとはなっておりません。さらに、公的資金注入行に対して業務改善命令が出されるなど、総体として中小企業の資金需要には十分対応できていないのが現状であります。
 新銀行は、店舗、人員を極限まで絞り込んだ低コスト体質を生かすとともに、IT等を活用した効率的な運営を徹底することなどによりまして、無担保融資も含め、中小企業への生きた資金供給につながる中身のある融資を積極的に検討してまいります。
 次に、新しい融資についてでありますけれども、東京の経済の再生のためには、敗者復活を可能とするような金融面の支援が必要であります。これまでの厳格過ぎる個人保証のあり方や、一度破綻をすると融資をしない金融姿勢などが敗者復活の大きな阻害要因と認識をしておりまして、こうした現状の見直しが必要であります。
 今後、新銀行の融資モデルを構築するに当たりましては、過度な個人保証を要求しないとともに、事業計画や中小企業経営者の資質など、将来の可能性に重点を置いた融資条件あるいは審査方法を確立するなど、ご指摘の敗者復活を可能とするような方策を積極的に検討してまいります。
〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教育に関します三点の質問にお答えします。
 まず、青少年の健全育成の実効性のある取り組みについてですが、都教育委員会としましては、児童生徒の健全育成が極めて重要な課題であるということから、健全育成推進会議を設置をしまして、総合的な取り組みを進めてまいりました。
 しかしながら、お話のように、昨今の児童生徒をめぐる状況は危機的でございまして、日本の将来への警鐘であると受けとめるべきであることから、より実効性のある健全育成に取り組んでいくことが喫緊の課題であると認識しております。
 そのため、警視庁など関係機関や地域との連携を一層強化しまして、新たな具体的な取り組みの一つとしまして、子どもを非行や犯罪から守る教室の実施を小中高等学校で今年度から試行してまいります。
 また、青少年の健全育成は全庁的な課題として取り組むことが重要でありますことから、都教育委員会としましても、緊急治安対策本部と緊密に連携しまして、具体的な対応を図ってまいります。
 次に、教員の資質、能力の向上についてですが、教育は、国家の礎を築き、日本の将来を担う人間を育成する営みでございまして、その担い手である教員の役割は極めて重要なものと認識しております。
 これまでも、教員のライフステージに応じた研修体系を整備しまして、みずからの研修計画をキャリアプランとして作成させるなど、資質、能力の向上に努めてまいりましたが、これに加えまして、平成十六年度より東京教師養成塾を設置をしまして、東京都の教員を志望する大学生に対しまして、教員養成の段階から、一年にわたる教育実習や体験活動などを行い、教育に対する熱意と使命感、社会性及び実践的な指導力を兼ね備え、子どもに夢や感動を与えるすぐれた教員を育成してまいります。
 最後に、教員給与制度の見直しの観点についてでございますが、さまざまな教育課題の解決に向けた取り組みを進めていくためには、教育に直接携わる教員一人一人の資質、能力の向上が何よりも重要でございます。
 現在、庁内に教員の給与制度検討会を設置をしまして検討しておりますが、今後、国の動向を見据えつつ、年功・一律的処遇の見直し、懸命に教育活動に取り組む教員の処遇改善など、教員のモラールアップを図り、学校の教育力を高める観点から、能力、業績を適切に反映できるよう、教員給与制度の再構築を図ってまいります。
〔東京都技監小峰良介君登壇〕

○東京都技監(小峰良介君) 都市機能の強化にかかわる六点の質問にお答えいたします。
 まず、東部低地帯の河川の耐震対策についてでございますが、東部低地帯は地盤が低く軟弱で、満潮面以下の地域には百五十万人に及ぶ都民が居住しております。
 都はこれまで、都民の生命と財産を守るため、隅田川ではテラスやスーパー堤防の整備、江東内部河川では護岸の耐震補強などを行ってまいりました。計画延長百十キロのうち六割が完了しており、引き続き事業の進捗に努めてまいります。
 これらの事業に加えまして、新たに液状化のおそれがあると判定され、早急に整備を要する中川の三キロについて、十六年度から耐震対策に取り組んでまいります。
 今後とも、東京の都市再生に向け、地震に強く潤いのある河川の整備と水辺の創出を積極的に推進してまいります。
 次に、電線類地中化事業の進捗状況についてでございますが、電線類の地中化は、防災機能の強化、安全で快適な歩行空間の確保、良好な都市景観の創出、信頼性の高い情報基盤の整備を目的としております。
 これまで、昭和六十一年度から、四期にわたる電線類地中化計画に基づき事業を実施してまいりました。十五年度末の都道における地中化の状況は、対象延長二千三百キロのうち五百二十キロが整備され、地中化率は二三%となる見込みでございます。
 次に、次期地中化計画についてでございますが、次期計画では、区部のセンター・コアエリア、多摩の主要駅周辺地域及び緊急輸送路での整備を優先的に進めてまいります。
 また、地元区市等と連携し、よりコンパクトな次世代型電線共同溝の積極的活用により、従来からの幹線道路に加え、区市道等を含めた事業の拡大を図ってまいります。さらに、都市計画道路等の新設、拡幅に際しては、地中化を同時に実施してまいります。
 事業推進に当たりましては、電線管理者、地元関係者との協働を図るとともに、区市等への技術的支援、他事業との連携、さらなるコスト縮減や財源の確保に努めてまいります。
 次に、環状六号線及び環状八号線の整備の見通しについてでございますが、これらの路線に環状七号線を加えたJR山手線外側の三本の環状道路は、都民生活や都市活動を支える上で大変重要な幹線道路でございます。
 環状六号線は、延長二十キロのうち、渋谷区から豊島区内の未整備区間八・八キロについて、首都高速中央環状新宿線とあわせ、十八年度の完成を目指し、拡幅整備を進めております。
 また、環状八号線は、延長四十四キロのうち九割が完成し、残る四・二キロについて、現在、練馬区及び板橋区内で整備を進めており、相生町交差点の立体交差についても、この十月、事業に着手し、十七年度末の全線開通に向け整備を進めてまいります。
 次に、環境に配慮した道路整備についてでございますが、これからの道路づくりに当たりましては、円滑な交通の確保はもとより、歩行者や沿道環境にも十分配慮した質の高い整備を推進する必要がございます。
 環状六号線では、広幅員の歩道を生かした植栽や自転車道を設置するなど、環境に配慮した街路整備を目指しております。今年度は、新目白通りとの交差点付近など三カ所、一キロのモデル区間の整備を行ってまいります。
 環状八号線では、地元関係者と話し合いを重ね、のり面や隣接する国有地などを活用し、緑豊かな道路空間を創出してまいります。また、交通が集中する先ほどの相生町交差点においては、自動車排出ガス対策として、高架部にシェルターを設置するなど創意工夫を凝らし、道路整備を推進してまいります。
 終わりに、環状道路の整備効果についてでございますが、お話しの区部の三環状道路は、首都高速道路と相まって道路ネットワークを形成し、都心方向への通過交通の分散や交通渋滞の解消に役立つとともに、経済の活性化や沿道環境の改善など、都市再生を図る上でその整備効果は大変大きいものがございます。
 具体的には、環状六号線と環状八号線の整備により、明治通りと環状七号線の交通量がそれぞれ約一割減少し、慢性的な交通渋滞の解消につながるものと考えております。また、環状七号線の大和町交差点などの、特に沿道環境が厳しい箇所の環境改善にも寄与するものと考えています。
 今後とも、地元の理解と協力を得ながら、環状六号線及び環状八号線の全線開通に向け、全力を挙げて取り組んでまいります。
〔財務局長櫻井巖君登壇〕

○財務局長(櫻井巖君) 財政再建に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、区市町村に対する補助金の削減についてであります。
 強固で弾力的な財政体質を確立するため、都は、厳しい施策の選択を迫られております。今後とも、一層の内部努力とともに、聖域のない施策の見直し、再構築を進める必要があり、区市町村への補助金もその例外ではありません。
 今後、地方分権をより一層推進する観点から、これまでの都と区市町村との関係を見直し、区市町村の自主性、自立性を妨げることがないよう、個々の補助金の意義、目的、内容を精査していく必要があります。
 これらの見直しに当たりましては、都の置かれた現状について、区市町村にも共通の認識を持っていただき、その理解に向け対話を重ねながら、補助金の適正化に努めてまいります。
 次に、都が保有する財産の利活用についてであります。
 都は平成十二年度に財産利活用総合計画を策定し、未利用地などの把握とその活用を進めてまいりました。その結果、これまでの三年間で、各局が所管する未利用地の約一五%を転活用するとともに、利用する見込みのない財産の売却に努め、千四百億円を超える売却実績を上げてまいりました。
 今後、施策の見直しやサービス提供方法等の改善に取り組むことにより、これまで事業に供してきました土地建物の活用のあり方も大きく変化してまいります。このため、本年十一月を目途に、より一層全庁的な観点から、局の壁を超えた財産の活用を目指して新たな計画を策定いたします。
〔生活文化局長三宅広人君登壇〕

○生活文化局長(三宅広人君) 最初に、私学助成についてのお尋ねにお答えいたします。
 東京の私立学校が、都民のさまざまなニーズにこたえ、質、量ともに公教育の重要な役割を担っておることは、十分認識をしております。
 このため、都はこれまでも、時代の変化に即応しながら、より適正かつ効果的な補助のあり方について見直しを行うとともに、例えば、情報教育推進事業や、学校の防犯防災機能の強化を図る安全対策促進事業など、新たな需要に対応できるよう振興施策の構築にも取り組んでまいりました。
 今後とも、ご指摘の私学の現状を踏まえて、適切に対処してまいります。
 次に、青少年健全育成対策の取り組みの強化についてお答えいたします。
 ご指摘のとおり、都はこれまでも、心の東京革命の推進に取り組んでまいりましたが、今後はさらに、地域における担い手となる心の東京革命アドバイザーをふやすとともに、出前講演会においても、非行防止等のテーマについて取り上げてまいります。
 さらに、親や大人が本気になって非行防止に取り組むことを訴えるために、区市町村や民間団体と連携して街頭キャンペーンなどを積極的に展開してまいります。
 また、現在、有識者等で構成する、子どもを犯罪に巻き込まないための方策を提言する会において、具体的な方策を種々検討しておりますが、ここからの提言も踏まえて、東京都青少年の健全な育成に関する条例の改正も視野に入れながら検討してまいります。
〔主税局長川崎裕康君登壇〕

○主税局長(川崎裕康君) 徴税努力についてのご質問にお答えいたします。
 都の財政基盤の根幹をなす都税収入の確保は、唯一の歳入局であります主税局の使命であります。
 このため、これまでも、迅速的確な課税客体の捕捉や早期課税に努めるとともに、目標管理を徹底するなどし、滞納額の圧縮を図ってまいりました。この結果、徴収率は、平成七年度の九〇・四%から平成十四年度には九六・二%にまで向上しました。この間の全国の地方税平均徴収率が九四%の前後で推移しているのに比べ、際立った成果を上げることができました。
 今後とも、こうした取り組みを継続していくとともに、区市町村が徴収している個人都民税について、滞納整理が困難な事案を直接都が徴収するなどし、さらなる都税収入の確保を図ってまいります。
〔総務局長赤星經昭君登壇〕

○総務局長(赤星經昭君) 内部努力に関します二点の質問にお答え申し上げます。
 まず、職員定数の削減についてでございますが、都は、平成十二年度から十五年度までに五千八百七十五人の定数削減を実施するなど、内部努力に積極的に取り組んでまいりました。
 今後、現下の経済環境と都財政の状況を踏まえまして、事務事業の執行体制を厳しく見直してまいりますとともに、アウトソーシングの推進などによりまして、一層の定数削減に努めてまいります。
 次に、民間活力の積極的活用についてでございますが、都は従来から、養護老人ホームの管理運営への民営方式の採用や、ユース・プラザ整備へのPFIの導入を推進いたしますとともに、監理団体につきましても、東京国際フォーラムの株式会社化など、改革に積極的に取り組んでまいりました。
 今後も、質の高いサービスを効率的、効果的に提供するため、例えば、南青山一丁目団地建てかえプロジェクトにPFI的手法を活用いたしましたように、より一層の民間活力の導入を図ってまいります。
〔港湾局長成田浩君登壇〕

○港湾局長(成田浩君) 港湾に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、港湾における保安対策への取り組みについてでありますが、本年八月、我が国で初めて、都が呼びかけ、東京湾の各港湾管理者、都県警察、国の関係機関が、それぞれの垣根を越え東京湾保安対策協議会を設立いたしました。
 この協議会におきましては、密輸、密入国等の事件発生時の連絡体制の整備や情報の共有化等、相互の協力関係を強化するとともに、港湾におけるソフト、ハード両面での効果的な保安対策を検討しているところでございます。
 今後、我が国の港湾保安対策の充実に向け、水際で犯罪を防ぐための、この東京発の新たな取り組みをさらに進め、東京湾の港では密輸、密入国が不可能であると世界に向けて発信してまいりたいと思います。
 次に、港湾コストの低減に向けた取り組みについてでありますが、我が国の港湾コストが割高である要因といたしましては、ターミナル運営の効率化や港湾諸料金の見直し等の取り組みが必ずしも十分でなかったこと及び人件費の水準が高いことが挙げられます。
 都といたしましては、港湾コストの三割低減を目標に、各種規制緩和や水先料金の改定等につきまして、国際港湾特区の提案を通じて国への働きかけを行うとともに、ターミナル運営の共同化の推進等によるトータルコストの削減、港湾料金の見直し等に官民一体となって取り組んでおります。
 年内にこれらの施策の取りまとめを行い、新たなアクションプランに反映させてまいります。
 最後に、港湾使用料の見直しについてでございます。
 ご指摘のように、民間事業者の経営努力を引き出す料金制度の導入は喫緊の課題であります。
 このため、施設の効率的な活用と事業者の投資意欲を促すよう、荷さばき施設について、現在の一日単位の使用料を原則として長期の専用的使用料に改めてまいります。
 また、貨物の取扱量に応じてクレーン使用料金を低減させるボリュームインセンティブや、利用者が共同で集約的かつ効率的に施設を使用する場合のグループインセンティブの導入を具体的に検討してまいります。
 これら港湾使用料体系の大胆な見直しを通じまして、東京港の国際競争力の強化を図ってまいります。
〔環境局長小池正臣君登壇〕

○環境局長(小池正臣君) ディーゼル車規制の進捗度と今後の対応についてお答えいたします。
 都は昨年九月から、違反ディーゼル車一掃作戦を展開し、規制への対応促進に努めてまいりました。その結果、大変厳しい経営環境の中ではありますが、多くの事業者の方々の理解と協力によりまして、規制開始を間近に控えて、規制への対応は急速に進んできております。
 対応状況について自動車登録データに基づき推計いたしますと、平成十四年三月末時点で、規制対象台数は二十万二千台ありましたが、そのうちの約七割に当たる約十四万台が本年八月末時点で規制への対応を図っております。
 さらに、残り一カ月の進捗度を考慮いたしますと、規制開始までに約八割の対応が進むものと推定しております。
 規制開始後は、警視庁と合同で検問を実施するほか、自動車公害監察員による事業所や物流拠点への立入検査、配送や工事等での規制適合車使用の徹底などによりまして、他県からの流入車も含めて、違反車の一掃を目指してまいります。
〔産業労働局長有手勉君登壇〕

○産業労働局長(有手勉君) 中小企業対策など四点のご質問にお答えいたします。
 まず、ものづくり産業の新しい集積施策についてでございますが、近年、ソフトなものづくりの台頭や異業種の連携による商品づくりなど、東京のものづくり産業には新たな息吹が生まれております。また、東京には多種多様な経営資源が集積しており、それぞれが高いポテンシャルを持っていると認識しております。
 こうした東京の優位性を最大限生かしながら、企業間関係の変化や広域化などの視点も踏まえ、大都市東京にふさわしいものづくり産業の新しい集積施策を打ち出す必要があると考えております。
 このため、東京都中小企業振興対策審議会を近々に開催し、具体的な検討を進めてまいります。
 次に、制度融資の実績と今後の対応についてでございます。
 都の制度融資の八月末現在の実績は、速報値でございますが、前年同期比四%減の六千四百七十四億円余となっております。一方、都の制度融資を含む保証つき融資全体は、九%増の七千三百九十三億円余となっております。
 こうした状況は、現在、中小企業において、返済負担軽減のための借りかえ需要が多く、本年二月に創設された国の借りかえ制度の利用がふえているためでございます。したがって、資金需要には十分対応できていると認識しているところでございます。
 今後は、ご指摘の点も踏まえ、制度融資のさらなる利用促進に向け、中小企業、金融機関双方にとってわかりやすく使いやすい制度になるよう改善してまいります。
 次に、ベンチャー企業や再生可能な中小企業への支援についてでございますが、ベンチャー企業の多くは、物的担保が少ないため、成長途上の段階で必要な資金を得られず、存続が困難になるという、いわゆる死の谷といわれる状況に直面し、苦しんでおります。
 また、企業再生を果たそうとしても、必要な資金の融資を受けることができず、再生の見込みがありながら、機会を逸している企業も少なくございません。
 こうした融資による資金調達が困難な企業を支援していくことは、都の産業を活性化し東京を再生する上で、緊急かつ重大な課題であると認識しております。その支援策について早急に検討してまいります。
 最後に、悪質な貸金業者に対する取り組みについてでございます。
 都は、悪質な貸金業者に対し、厳しく行政処分を行うとともに、平成十三年から再三にわたり、貸金業規制法の抜本的改正を国に提案、要求してまいりました。
 今回の法改正では、暴力団関係者の排除や違法な取り立て行為の規制強化など、貸金業者はより厳しく規制されることとなりました。
 これを契機にいたしまして、都は独自に、登録申請した全営業所の現地調査を、新法が施行される三カ月前の十月から実施することといたしました。さらに、無登録業者の通告や密接な情報交換などについて、警視庁との相互連携を強めるほか、改正内容のPRなどに積極的に取り組んでまいります。
〔都市計画局長勝田三良君登壇〕

○都市計画局長(勝田三良君) 公共交通網の充実など六点のご質問にお答えを申し上げます。
 まず、今後の公共交通網整備についてでございますが、公共交通は、通勤混雑の緩和や都市環境の改善はもとより、都市再生の面からも極めて大きな役割を果たしておりまして、現在、都は、営団十三号線や日暮里・舎人線などの路線整備に鋭意取り組んでおります。
 一方、運輸政策審議会答申に位置づけられながら、いまだ着手されていない空港アクセス機能を強化する路線や、メトロセブンなど区部周辺部環状公共交通等につきましては、輸送需要や財源、整備運営主体など、さまざまな課題を解決することが必要となっております。
 このため、事業採算性を踏まえた検討とともに、路線の実情に応じた適切な費用負担のあり方や国の補助制度の充実など、新たな仕組みづくりに努めてまいります。
 次に、東京が目指す新しい公園緑地のあり方の諮問の背景とねらいについてでございますが、都はこれまで、公園緑地の整備や市街地整備の中で緑の創出を図ってまいりました。
 しかし、ご指摘のように、都民一人当たりの公園面積につきましては、五・四平方メートルと、世界の大都市と比べて著しく低い水準にとどまっております。
 このような中で、近年深刻化するヒートアイランド現象の緩和に緑の持つ環境改善機能を生かすことや、都市の再生に当たって、より緑豊かな質の高い空間づくりが求められるなど、新しい課題が顕在化しております。
 これらの課題に対応するためには、都市計画公園、緑地の見直しを初めといたしまして、規制緩和や新しい仕組みの導入を図るなど、今後の緑施策のあり方を明らかにする必要があるため、諮問したものでございます。
 次に、施策の積極的な取り組みについてでございますが、東京を緑豊かな風格ある都市として再生させるためには、これまでの緑づくりに加えまして、東京らしい緑づくりを積極的に進めることが必要でございます。
 そのための取り組みといたしまして、第一に、まちづくりにあわせて緑とオープンスペースを確保し、そのネットワーク化を図っていくこととし、そのためにガイドラインを策定する、第二といたしまして、民間が設置、管理する公園を認定する民設公園制度を新たに創設する、第三といたしまして、密集市街地の解消にあわせて公園整備の拡大を図るため、既設の公園地を活用した市街地整備を進めるなど、施策の具体化に積極的に取り組んでまいります。
 次に、都市計画公園・緑地の今後の取り組みについてでございますが、東京の緑づくりに当たりましては、その早期実現を図る観点から、先ほど申し上げました新しい仕組みの導入など、必要な見直しを適宜行ってまいります。
 また、都市計画公園・緑地の整備につきましては、今後とも、事業を着実に推進するため、さまざまな事業手法を導入しながら、重点的な事業推進に努めてまいります。
 次に、いわゆるハートビル条例についてでございますが、都では、高齢者や障害者、乳幼児を連れた人など、だれもが利用しやすい建物の整備を促進するため、これまでも、通称ハートビル法や建築安全条例、福祉のまちづくり条例などによりまして、建物のバリアフリー化に取り組んでまいりました。
 このたび、ハートビル法が改正されまして、地方公共団体が地域の実情に応じた独自の条例を制定することが可能となったことから、都といたしましては、新たな条例の検討に入ったものでございます。
 この条例では、都内の高齢者のいる世帯のうち、約四割が共同住宅に居住する世帯であり、その割合が全国で最も高いことを踏まえまして、共同住宅を対象とすることなどを考えておりまして、こうした施策の拡充を図ることによりまして、建物のバリアフリー化を一層進めてまいります。
 最後に、今後の進め方についてでございますが、条例の検討を進める上で都民の声を反映させることが重要であると認識しておりまして、現在、基本的な考え方を示しまして、都民の方々を初め、障害者団体や事業者団体などの意見を幅広く聞いております。
 今後、第四回定例会への提案に向けまして、具体的な整備基準等の検討を進めてまいります。
〔住宅局長高橋功君登壇〕

○住宅局長(高橋功君) 民間賃貸住宅に関する二点のご質問にお答えを申し上げます。
 まず、賃貸借に伴う苦情や紛争に対する取り組みについてでございますが、退去時の敷金精算に関する苦情など、賃貸借に伴う紛争が増加しておりまして、紛争防止のためのルールづくりが重要な課題となっております。
 このため、退去時に原状に回復する際の貸し主、借り主の負担区分を初めといたしまして、賃貸借の契約や管理に関しまして、あらかじめ取り決めておくべき事項の明確化など、市場の透明性を確保するための方策を現在検討しております。
 今後、早期に具体策を取りまとめ、都民が安心して貸し借りできる賃貸住宅市場の確立に積極的に取り組んでまいります。
 次に、形成期ファミリー世帯の住宅対策についてでございますが、都市の活力を支える形成期ファミリー世帯が、利便性の高い地域での居住を選択できるよう、必要な民間賃貸住宅の供給を誘導していくことは、少子化対策の面からも重要でございます。
 しかしながら、都民住宅など、これまで都が供給を促進してまいりました民間賃貸住宅は、こうした立地面での要請には十分な対応ができていない状況にございます。
 都は、さきの住宅政策審議会の答申を踏まえまして、都民住宅制度等を抜本的に見直し、都市計画等の特例や税制も活用しながら、ご指摘の利便性の高い地域での供給誘導に向けた施策の構築に取り組んでまいります。
〔福祉局長幸田昭一君登壇〕

○福祉局長(幸田昭一君) 福祉のまちづくり、少子化対策に関します三点のご質問にお答えいたします。
 まず、バリアフリー化緊急整備事業についてでございますが、この事業を通じ、都内ほぼすべての自治体におきまして、都民、事業者、行政が一体となって、地域のバリアフリー化を進める仕組みが構築され、地域が主体となったまちづくりの意識が醸成されてきたことは大きな成果でございます。
 また、それまで取り組みがおくれていた歩道の段差解消、公園におけるだれもが利用しやすいトイレの設置、建築物の出入り口の整備など、バリアフリー化の取り組みが大きく前進いたしました。
 さらに、公共交通機関におきましても、都内の六百八十六の鉄道駅の五六%に当たります三百八十三駅にエレベーターなどが整備され、ノンステップバスも民間路線バスに約一千台が導入されるなど、バリアフリー化が進んでおります。
 今後も、これらの取り組みを推進するとともに、これまでの駅や建築物といった、いわば点としての部分的な整備から、ソフト、ハード両面にわたる、地域の実情を踏まえた、一体的、面的な整備へと転換していくことが課題であると認識しております。
 次に、福祉のまちづくりビジョンの提言についてでございますが、お話のとおり、ユニバーサルデザインの推進や情報のバリアフリー化への対応などの二十一世紀における福祉のまちづくりに向けた九つの基本的視点と当面取り組むべき七つの重点課題について、東京都福祉のまちづくり協議会から貴重なご提言をいただきました。
 今後は、この提言を踏まえ、都民にとって身近なコンビニエンスストアやレストランなど、これまで届け出の対象外であった小規模建築物や音声、文字、サイン化などによる情報のバリアフリー化への対応など、新たな課題に積極的に取り組んでいく必要があります。
 このため、今後、小規模建築物等に対するガイドラインを策定し、都民が日常的に利用する身近な施設の整備を誘導するとともに、区市町村のソフト、ハード両面にわたる先駆的な取り組みに対する支援について検討するなど、ユニバーサルデザインの視点に立ったまちづくりを進めてまいります。
 次に、子育て支援策についてでございますが、東京の未来、日本の未来を担う子どもを安心して産み育てられる環境を整備すること、また、子どもたちが慈しみの中で健やかに育てられるよう取り組むことは、親はもとより、私たち大人に課せられた責務であり、社会全体の課題であると認識しております。
 都はこれまで、都独自の認証保育所制度など、子育てと仕事の両立を可能とする施策を進める一方、すべての子育て家庭を対象とした、地域全体で子育てをバックアップする仕組みを構築してまいりました。
 しかしながら、お話のように、家庭や地域の養育力が低下し、少子化が一層進む中では、これまでの施策を十分充実するとともに、これまで以上に区市町村と連携して、在宅で子育てをしている家庭への支援を行う必要があると考えております。
 こうした観点から、来年度予定している次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画の策定に当たりましては、庁内検討体制の整備など、早急に策定準備に着手していくとともに、ご指摘の趣旨も含め、子育て中の方から子育て経験豊かな方まで、幅広い参画を得て、子育て支援策の充実を検討してまいります。
〔健康局長平井健一君登壇〕

○健康局長(平井健一君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、小児救急医療に関するこれまでの取り組みでございますが、ご指摘のとおり、少子化対策を進める上で、小児救急医療体制の整備は重要な課題でございます。
 都は、小児の軽症患者に対応するため、区市町村が行う初期救急医療に対し支援を行っておりますが、十四年度からは新たに、小児科の専門医が診療に当たる平日夜間診療事業への補助を開始いたしました。
 また、入院を必要とする救急患者に対応する二次救急医療につきましては、土日に小児科医のいる病院が輪番または固定制で実施していた事業を、十三年度から、平日も含めた固定通年制の休日・全夜間診療事業として充実いたしたところでございます。
 次に、小児医療充実に向けた今後の取り組みについてでございます。
 今般取りまとめました多摩地域における小児医療体制についての施策の具体化に当たりましては、地域の実情や医療資源の実態等を踏まえ、市町村や医師会等、関係団体と密接に連携、協力しながら、多摩地域における小児医療提供体制の充実に取り組んでまいります。
 さらに、都全域を視野に置いて、現在七区一市で行われている小児初期救急医療事業を十八年度までに全区市町村で実施することや、開業医への小児医療研修、女性離職医師への復帰支援等による小児科医師の確保など、さまざまな施策の展開を行い、今後とも小児医療水準の向上に努めてまいります。
 次に、SARS対策についてでございます。
 SARS患者発生に備えた現在の体制についてでございますが、都はこの四月、国に先駆け、SARS対策本部を設置いたしまして、都独自に協力医療機関を確保するなど、二十四時間迅速に対応できる相談・医療体制を整備いたしましたが、この体制は現在も継続しております。
 また、八月二十五日には、国、千葉県、新宿区と患者発生を想定した訓練を実施いたしまして、広域的な連携体制の強化を図ったところでございます。
 さらに多数のSARS患者が発生いたしましたハノイ、台北、香港の実態調査を既に行いましたが、また、先日の第一回アジア危機管理会議におきましては、各都市間の緊急連絡網によるSARSの情報の交換と相互支援について提言いたしまして、参加八都市により確認されたところでございます。
 次に、この冬に備えた医療体制などの充実についてでございます。
 SARSの初期外来診療に重要な役割を担います協力医療機関に対して、簡易陰圧装置を備えた専用診察室の整備を支援し、感染防御資器材の提供を行うなど、診療体制の強化を図ってまいります。
 また、SARSウイルスの迅速な判定のため、健康安全研究センターに最新の検査機器を増強するとともに、患者搬送につきましても、専用搬送車の増配備など、体制強化に努めてまいります。
 なお、SARSとの混同が懸念されるインフルエンザにつきましては、東京都医師会などとも連携し、予防接種を奨励するなど、その予防について幅広く都民に働きかけてまいります。
 次に、食の安全について二点のご質問をいただきました。
 まず、事業の実態を踏まえた食品安全対策についてでございます。
 食品の安全確保は、都民、事業者、行政がそれぞれの役割を踏まえまして、一体となって推進する必要がございます。今回都が提案いたしました食品安全基本条例の制定に向けた基本的な考え方はこの理念に基づくものでございまして、知事の安全性調査、措置勧告制度や自主回収報告制度などは、事業者の協力を前提とした、都独自の健康被害未然防止のための措置でございます。
 条例の制定に当たりましては、ご指摘の趣旨を踏まえ、事業実態も十分勘案しながら、検討を進めてまいります。
 最後に、関係局が一体となった食品安全対策への取り組みについてでございます。
 都では、日ごろから関係局が情報を共有しながら、食品安全対策に取り組んでおり、BSE問題など食品に係る事件、事故が発生した際にも、適時適切に関係局間で連携を図って、対策を進めてまいりました。
 今回の条例の制定に向けた基本的な考え方につきましても、六月に設置した関係五局による食品安全対策推進調整会議において検討し、取りまとめを行ったものでございます。今後も、この会議を中心に、条例に基づく食品安全推進計画策定に向けた検討を行うなど、庁内一体となった食品安全対策を強力に進めてまいります。
〔大学管理本部長山口一久君登壇〕

○大学管理本部長(山口一久君) 新しい大学のキャンパスの配置の基本的な考え方につきまして、お答えいたします。
 工業等制限法の廃止など状況の変化を踏まえまして、都心における人材の集積など、大都市のメリットを活用して、東京全体をキャンパスとするという考え方を打ち出しました。
 具体的には、現在の南大沢は都市の文明を学ぶ教養教育や基礎的な分野などの教育研究の場とし、日野や荒川には高度な知的社会の構築や活力ある長寿社会の実現など、大都市の課題に密接に対応した実践的な学部等を配置いたします。晴海は法科大学院など高度専門職業人の育成の場としていきます。
 また、産業の活性化等に貢献する分野につきましては、現在区部にあります試験研究機関との連携を強化しながら、既存の施設の活用も含めまして、都心方面のキャンパス配置を検討してまいります。

○議長(内田茂君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時三十四分休憩

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