平成十五年東京都議会会議録第十二号

平成十五年九月十八日(木曜日)
 出席議員(百二十三名)
一番谷村 孝彦君
二番東村 邦浩君
三番秋田 一郎君
四番中屋 文孝君
五番北城 貞治君
六番鳩山 太郎君
七番柿沢 未途君
八番鈴木あきまさ君
九番後藤 雄一君
十番福士 敬子君
十一番執印真智子君
十二番富田 俊正君
十三番伊沢けい子君
十五番河野百合恵君
十六番長橋 桂一君
十七番小磯 善彦君
十八番野上じゅん子君
十九番ともとし春久君
二十番高橋かずみ君
二十一番山加 朱美君
二十二番萩生田光一君
二十三番串田 克巳君
二十四番吉原  修君
二十五番山田 忠昭君
二十六番臼井  孝君
二十七番林田  武君
二十八番野島 善司君
二十九番山口 文江君
三十番山下 太郎君
三十一番初鹿 明博君
三十二番酒井 大史君
三十三番清水ひで子君
三十四番かち佳代子君
三十五番小松 恭子君
三十七番藤井  一君
三十八番東野 秀平君
三十九番中嶋 義雄君
四十番服部ゆくお君
四十一番真鍋よしゆき君
四十二番中西 一善君
四十三番三宅 茂樹君
四十四番いなば真一君
四十五番近藤やよい君
四十六番高島なおき君
四十七番鈴木 一光君
四十八番こいそ 明君
四十九番倉林 辰雄君
五十番新井美沙子君
五十一番花輪ともふみ君
五十二番真木  茂君
五十三番大塚 隆朗君
五十四番樋口ゆうこ君
五十五番相川  博君
五十六番古館 和憲君
五十七番松村 友昭君
五十八番丸茂 勇夫君
五十九番鈴木貫太郎君
六十番森田 安孝君
六十二番石川 芳昭君
六十三番土持 正豊君
六十四番野田 和男君
六十五番三原 將嗣君
六十六番小美濃安弘君
六十七番吉野 利明君
六十八番川井しげお君
六十九番矢島 千秋君
七十番田島 和明君
七十一番宮崎  章君
七十二番野村 有信君
七十三番比留間敏夫君
七十四番大河原雅子君
七十五番中村 明彦君
七十六番河西のぶみ君
七十七番林  知二君
七十八番馬場 裕子君
七十九番和田 宗春君
八十番大山とも子君
八十一番東ひろたか君
八十二番池田 梅夫君
八十三番橋本辰二郎君
八十四番大木田 守君
八十五番前島信次郎君
八十六番桜井良之助君
八十七番新藤 義彦君
八十八番田代ひろし君
八十九番松原 忠義君
九十番遠藤  衛君
九十一番星野 篤功君
九十二番山本賢太郎君
九十三番立石 晴康君
九十四番清原錬太郎君
九十五番小山 敏雄君
九十六番大山  均君
九十八番藤田 愛子君
九十九番土屋たかゆき君
百番田中  良君
百一番小林 正則君
百二番藤川 隆則君
百三番曽根はじめ君
百四番渡辺 康信君
百五番秋田かくお君
百六番木内 良明君
百七番石井 義修君
百八番中山 秀雄君
百九番藤井 富雄君
百十番古賀 俊昭君
百十一番樺山たかし君
百十二番大西 英男君
百十三番山崎 孝明君
百十四番松本 文明君
百十五番佐藤 裕彦君
百十六番川島 忠一君
百十七番矢部  一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十番田中 晃三君
百二十一番大西由紀子君
百二十二番坂口こうじ君
百二十三番青木 英二君
百二十四番名取 憲彦君
百二十五番尾崎 正一君
百二十六番吉田 信夫君
百二十七番木村 陽治君

 欠席議員(二名)
三十六番 織田 拓郎君
九十七番 桜井  武君
 欠員
十四番 六十一番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事福永 正通君
副知事浜渦 武生君
副知事竹花  豊君
出納長大塚 俊郎君
教育長横山 洋吉君
東京都技監建設局長兼務小峰 良介君
知事本部長前川 燿男君
総務局長赤星 經昭君
財務局長櫻井  巖君
警視総監石川 重明君
主税局長川崎 裕康君
生活文化局長三宅 広人君
都市計画局長勝田 三良君
環境局長小池 正臣君
健康局長平井 健一君
産業労働局長有手  勉君
住宅局長高橋  功君
港湾局長成田  浩君
交通局長松尾  均君
消防総監白谷 祐二君
福祉局長幸田 昭一君
水道局長飯嶋 宣雄君
下水道局長二村 保宏君
大学管理本部長山口 一久君
病院経営本部長碇山 幸夫君
中央卸売市場長森澤 正範君
選挙管理委員会事務局長押切 重洋君
人事委員会事務局長高橋 和志君
地方労働委員会事務局長久保田経三君
監査事務局長松澤 敏夫君
収用委員会事務局長山内 隆夫君

九月十八日議事日程第一号
第一 第百七十八号議案
東京都組織条例の一部を改正する条例
第二 第百七十九号議案
東京都震災対策条例の一部を改正する条例
第三 第百八十号議案
東京都都税条例の一部を改正する条例
第四 第百八十一号議案
東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第五 第百八十二号議案
東京都環境基本条例の一部を改正する条例
第六 第百八十三号議案
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
第七 第百八十四号議案
東京都廃棄物条例の一部を改正する条例
第八 第百八十五号議案
東京都保育士関係手数料条例の一部を改正する条例
第九 第百八十六号議案
と畜場法施行条例の一部を改正する条例
第十 第百八十七号議案
東京都健康局関係手数料条例の一部を改正する条例
第十一 第百八十八号議案
東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例
第十二 第百八十九号議案
東京都飼料検定条例の一部を改正する条例
第十三 第百九十号議案
東京都立芝浦屠場条例の一部を改正する条例
第十四 第百九十一号議案
東京都海上公園条例の一部を改正する条例
第十五 第百九十二号議案
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の一部を改正する条例
第十六 第百九十三号議案
警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第十七 第百九十四号議案
都立目黒地区中等教育学校(仮称)(十五)増築及び改修工事請負契約
第十八 第百九十五号議案
東部療育センター(仮称)建設工事請負契約
第十九 第百九十六号議案
警視庁西が丘庁舎改築工事請負契約
第二十 第百九十七号議案
警視庁三鷹警察署庁舎改築工事請負契約
第二十一 第百九十八号議案
日暮里・舎人線下部工事(その二十四)請負契約
第二十二 第百九十九号議案
日暮里・舎人線下部工事(その二十五)請負契約
第二十三 第二百号議案
日暮里・舎人線下部工事(その二十六)請負契約
第二十四 第二百一号議案
日暮里・舎人線隅田川横断橋りょう鋼けた製作・架設工事請負契約
第二十五 第二百二号議案
地方自治法等の一部を改正する法律による改正前の地方自治法第二百四十二条の二第一項第四号の規定による訴訟に係る費用の負担について
第二十六 第二百三号議案
道路築造工事妨害禁止等の請求に関する民事訴訟の提起について
第二十七 第二百四号議案
東京都道路公社が行う第二多摩川原橋有料道路事業及び八王子中央有料道路事業の変更に対する同意について
第二十八 諮問第三号
地方自治法第二百三十八条の七の規定に基づく異議申立てに関する諮問について
議事日程第一号追加の一
第一 東京都名誉都民の選定の同意について
 (一五財主議第二八二号)
議事日程第一号追加の二
第二 議長辞職の件
第三 議長選挙の件
第四 副議長辞職の件
第五 副議長選挙の件

   午後一時一分開会・開議

○議長(三田敏哉君) ただいまから平成十五年第三回東京都議会定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。

○議長(三田敏哉君) まず、議席の変更を行います。
 議席変更の申し出がありますので、会議規則第二条第三項の規定により、お手元配布の議席変更表のとおり、議席の一部を変更いたします。
(別冊参照)

○議長(三田敏哉君) 次に、会議録署名議員の指名をいたします。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
     八番 鈴木あきまさ君 及び
   六十六番 小美濃 安弘君
を指名いたします。

○議長(三田敏哉君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(谷村隆君) 平成十五年九月十一日付東京都告示第千三十二号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、同日付で、本定例会に提出するため、議案二十八件の送付がありました。
 次に、知事より、平成十五年第二回定例会の会議において同意を得た東京都人事委員会委員の任命について、発令したとの通知がありました。
 次に、知事より、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づき専決処分した訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告がありました。
 次に、監査委員より、例月出納検査の結果について報告がありました。
 また、平成十五年度各会計定例監査、平成十四年度執行分の結果について報告がありました。
(別冊参照)

○議長(三田敏哉君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 第二回定例会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。
 〔文書質問趣意書及び答弁書は本号末尾(一四ページ)に掲載〕

○議長(三田敏哉君) 次に、閉会中の議会運営委員の辞任及び選任について申し上げます。
 お手元配布の名簿のとおり、各委員よりそれぞれ辞任願が提出されましたので、委員会条例第十一条第一項ただし書きの規定により、議長においてそれぞれこれを許可いたしましたので、ご報告いたします。
 なお、ただいまご報告いたしました委員の辞任に伴い、欠員を補充する必要が生じましたので、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、お手元配布の名簿のとおり指名いたしました。
 お諮りいたします。
 本件は、それぞれ議長の指名のとおり承認することにご異議ありませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三田敏哉君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、それぞれ議長指名のとおり承認することに決定いたしました。

   議会運営委員辞任・選任名簿

○辞任
 山崎 孝明君(自) 宮崎  章君(自)
 新藤 義彦君(自) 星野 篤功君(自)
 こいそ 明君(自) 鈴木 一光君(自)
 真鍋よしゆき君(自) 林田  武君(自)
 高橋かずみ君(自)  中屋 文孝君(自)
 〔以上 平成十五年八月一日付〕
 田中  良君(民) 和田 宗春君(民)
 酒井 大史君(民)
 〔以上 平成十五年八月五日付〕
 樋口ゆうこ君(民)
 〔以上 平成十五年八月六日付〕
 木村 陽治君(共)
 〔以上 平成十五年八月二十六日付〕

○選任
 大西 英男君(自) 樺山たかし君(自)
 古賀 俊明君(自) 遠藤  衛君(自)
 松原 忠義君(自) 田代ひろし君(自)
 吉野 利明君(自) 川井しげお君(自)
 矢島 千秋君(自) 小美濃安弘君(自)
 〔以上 平成十五年八月一日付〕
 名取 憲彦君(民) 青木 英二君(民)
 樋口ゆうこ君(民)
 〔以上 平成十五年八月五日付〕
 富田 俊正君(民)
 〔以上 平成十五年八月六日付〕
 松村 友昭君(共)
 〔以上 平成十五年八月二十六日付〕

○議長(三田敏哉君) 次に、閉会中の行財政改革基本問題特別委員の辞任及び選任について申し上げます。
 お手元配布の名簿のとおり、各委員よりそれぞれ辞任願が提出されましたので、委員会条例第十一条第一項のただし書きの規定により、議長においてそれぞれこれを許可いたしましたので、ご報告いたします。
 なお、ただいまご報告いたしました特別委員の辞任に伴い、欠員を補充する必要が生じましたので、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、お手元配布の名簿のとおり指名いたしました。
 お諮りいたします。
 本件は、それぞれ議長の指名のとおり承認することにご異議ありませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三田敏哉君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、それぞれ議長指名のとおり承認することに決定いたしました。

行財政改革基本問題特別委員辞任・選任名簿

○辞任
 木村 陽治君(共)
 〔以上 平成十五年八月二十六日付〕
 近藤やよい君(自) 鈴木 一光君(自)
 こいそ 明君(自) 星野 篤功君(自)
 立石 晴康君(自) 松本 文明君(自)
 〔以上 平成十五年九月十二日付〕

○選任
 曽根はじめ君(共)
 〔以上 平成十五年八月二十六日付〕
 臼井  孝君(自) 野島 善司君(自)
 野村 有信君(自) 田代ひろし君(自)
 松原 忠義君(自) 山本賢太郎君(自)
 〔以上 平成十五年九月十二日付〕

○議長(三田敏哉君) 会期についてお諮りいたします。
 今回の定例会の会期は、本日から十月六日までの十九日間といたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三田敏哉君) ご異議なしと認めます。よって、会期は十九日間と決定いたしました。

○議長(三田敏哉君) この際、永年在職議員の表彰についてお諮りいたします。
 八十六番桜井良之助君及び八十三番橋本辰二郎君には、東京都議会議員として多年にわたり地方自治の確立と都政の進展のために貢献せられ、その功績はまことに顕著であります。
 本議会は、その功労を多として、表彰することにいたしたいと存じますが、これにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三田敏哉君) ご異議なしと認めます。よって、本議会は、両君を表彰することに決定いたしました。
 お諮りいたします。
 表彰文は議長に一任せられたいと存じますが、これにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三田敏哉君) ご異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 これより、議長において起草いたしました表彰文により表彰いたします。
    表彰状
             桜井良之助殿
 あなたは東京都議会議員として
 在職三十年以上に及び
 都政の発展に努力された功績は
 まことに顕著であります。
 ここに永年の功労を多とし表彰します。
   平成十五年九月十八日
東京都議会
 〔拍手〕

    表彰状
            橋本辰二郎殿
 あなたは東京都議会議員として
 在職三十年以上に及び
 都政の発展に努力された功績は
 まことに顕著であります。
 ここに永年の功労を多とし表彰します。
   平成十五年九月十八日
東京都議会
 〔拍手〕
 なお、表彰状の贈呈については、議長において取り計らいたいと存じますので、ご了承願います。
 ただいま表彰を受けられました両君よりごあいさつがあります。
 八十六番桜井良之助君。
 〔八十六番桜井良之助君登壇〕

○八十六番(桜井良之助君) ただいま全会一致の議決をもちまして表彰いただきました。身に余る光栄と心より御礼を申し上げる次第でございます。本当にありがとうございました。
 私は、このことをまずもって、八期にわたり温かく真心で支えてくださった地元世田谷の皆さんを初め、広範な皆様に深く深く感謝を申し上げる次第でございます。
 美濃部都政、鈴木都政、青島都政、そして現在の石原都政と、それぞれの時期に都政の最重要な課題にかかわらせていただきましたことは、私にとりましてかけがえのない無形の財産でございます。
 しかし今は、この三十年を振り返るというより、現下の東京の状況、そして都政の現状を考えると、振り返るよりは、前を向いてさらに進むことが大事ではないかと心に誓っているところでございます。
 本日のこの表彰を新たな出発点といたしまして、より一層勉強し、そして都政発展のために頑張ってまいる所存でございます。
 どうかこれまで以上のご指導、ご鞭撻を切にお願いを申し上げまして、御礼のあいさつとさせていただきます。
 本日はまことにありがとうございました。(拍手)

○議長(三田敏哉君) 八十三番橋本辰二郎君。
 〔八十三番橋本辰二郎君登壇〕

○八十三番(橋本辰二郎君) ただいま全会一致をもちまして在職三十年の表彰をいただきました。心から感謝と御礼を申し上げます。大変にありがとうございました。
 私は、昭和四十八年、一九七三年、各方面の方々、また都民の多数の皆様のご支援を賜りまして、東京都議会に初めて議席をいただきまして以来、美濃部、鈴木、青島、石原知事と、四代の都知事の皆さんとともに、激動のさまざまな都政の課題に対し、都民のための都政発展のために、誠心誠意、微力をささげてまいりました。
 そして、この二年間は、第三十四代都議会副議長の大任を仰せつかり、その責任を全うすることができました。これひとえに、三十年の長きにわたり、先輩議員の皆様、また知事並びに執行機関の皆様、現在ご交誼をいただいている同僚議員の皆さん、温かいご支援があったればこそと、ただただ感謝を申し上げるばかりでございます。
 とりわけ、私を八期にわたり都議会にお送りくださいました中野区の支持者を初め、多くの都民の皆様方の温かいご支援には心から御礼を申し上げるばかりでございます。
 どうぞ皆様にはこれまで以上のご指導とご鞭撻を賜りますようお願いを申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。
 本日はまことにありがとうございました。(拍手)

○議長(三田敏哉君) 以上をもってあいさつは終わりました。

 〔議長退席、副議長着席〕

○副議長(橋本辰二郎君) この際、日程の追加について申し上げます。
 議長三田敏哉君より、辞職願が提出されました。
 知事より、東京都名誉都民の選定の同意についてが提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○六十七番(吉野利明君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日は、質問に先立ち議事に入られることを望みます。

○副議長(橋本辰二郎君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○副議長(橋本辰二郎君) 異議なしと認めます。よって、質問に先立ち議事に入ることに決定をいたしました。

○副議長(橋本辰二郎君) まず、議長辞職の件を追加日程第二として、日程の順序を変更し、直ちに議題といたします。
 議事部長をして辞職願を朗読いたさせます。
 〔谷村議事部長朗読〕
   辞職願
 私儀、今般一身上の都合により議長の職を辞職したいので、許可されるよう願い出ます。
  平成十五年九月十八日
 東京都議会議長 三田 敏哉
 東京都議会副議長 橋本辰二郎殿

○六十七番(吉野利明君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本件は、願い出のとおり許可されることを望みます。

○副議長(橋本辰二郎君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○副議長(橋本辰二郎君) ご異議なしと認めます。よって、議長の辞職を許可することに決定いたしました。
 前議長三田敏哉君よりごあいさつがあります。
 百十九番三田敏哉君。
 〔百十九番三田敏哉君登壇〕

○百十九番(三田敏哉君) 貴重な時間をちょうだいいたしまして、ごあいさつを申し上げます。
 私は、平成十三年八月八日、本議場において、栄誉ある第三十八代の東京都議会議長にご指名をいただき、以来、橋本副議長と手を携えながら、誠心誠意、その使命を全うするために、この二年間務めさせていただきました。円滑かつ公正な議会運営に努めてまいったところでございますが、本日をもちましてその職を辞することとなりました。皆様方のご協力に心から厚く感謝を申し上げ、御礼を申し上げたいと存じます。
 顧みますと、議長就任の間、地方分権という大きな変革の波の中、都財政の再建と東京の再生を目指し、議長職を精いっぱい務めてまいったつもりでございます。
 就任時に目標といたしました、積極的に行動し信頼される都議会、積極的に政策を発信する都議会、そして改革を推進する都議会という三つの基本方針を掲げて議会運営を務めてまいったところでございます。
 この間、首都移転の白紙撤回を求める決議の議決、このことについては、平成七年八月の時点でございました、国会において首都移転問題に関する特別委員会の村田敬次郎委員長が、本格的に首都移転を遷都を含めて対応するような考え方が示されました。その情報をもとにいたしまして、都議会各党各会派の皆様方にもお願いを申し上げ、直ちに東京圏として千葉、埼玉、神奈川の県議会に赴き、移転反対を呼びかけた経過がございます。
 翌平成八年六月の国会において、法律の改正案に、全く東京が無視された法律の案文に、新しい候補地と東京と比較考量という文言を、当時の知事部局とも十分相談をさせていただきまして、この文言を、東京圏選出の国会議員の一致したご理解とご協力をいただき、法律改正に挿入することができました。
 そして、石原知事の誕生に伴いまして、首都移転断固反対が宣言され、東京国際フォーラムにおいて、議員の皆様方初め、多くの都民の皆様方のご参加をいただき、決起集会を開催いたしました。当日は、予想をはるかに上回る三千五百余人の方々が参加をされ、緊急アピールを満場一致で採択するなど移転反対に向けた決意を、国会に向けて都民とともに強くアピールすることができました。
 また、昨年十月には、都議会開設六十年の行事を盛会裏に開催することができました。開会式には友好都市としての北京市並びにソウル特別市の両議会の代表のご参加を得、さらに、本議場を開放して実施した都内中学生との意見交換においては、生徒から活発な意見を聴取するなど、都議会の歴史を振り返り、これからの都議会のあるべき姿を都民の方々とともに考え、都議会をより身近な存在としていただく契機となるなど、大変意義ある行事をとり行うことができました。
 また、この十月一日からは、ディーゼル車規制の条例に基づき実施が展開されるわけですが、私ども東京都議会におきましても、CO2含めての温室効果ガスの抑制の一翼を担うべく、都議会議事堂の屋上約七百七十平米を緑化し、都議会として環境問題に積極的に取り組むなど、都民にその大切さを示すことができたと確信をいたしております。
 このほか、全国都道府県議会議長会の、この統一選挙に絡めて、会長代理として地方制度調査会の委員に任命されました。真の地方分権の推進のための三位一体の改革が、地方公共団体の意向を十分に尊重し対応したつもりでございますが、同じ政府の諮問機関である地方分権改革推進会議において出された意見書は、税源移譲を含む税配分を税制改革まで先送りにするというふうな内容の意見書が提出されました。こういうことのないように、私ども地方六団体を代表いたしまして、税源移譲を前提とした三位一体改革を推し進めるよう、政府に強く申し入れたところでございます。
 思い起こせば、日々多忙な日程ではございましたが、大変有意義な行動を展開することができました。これもひとえに、議員の皆様方を初め、石原知事、理事者の皆様方のご支援、ご協力のたまものであり、改めてそれぞれの皆様方のご高配に心から感謝を申し上げる次第でございます。
 私は、今後議員として、東京都政と東京都議会のさらなる発展、躍進に向けて全力を傾注してまいる所存でございます。引き続きご指導、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。
 結びに、今日まで大過なくその職責を果たし得ましたことを、重ねて厚く御礼申し上げ、議長退任のあいさつとさせていただきます。
 皆さん、大変にありがとうございました。(拍手)

○副議長(橋本辰二郎君) 三田敏哉君のあいさつは終わりました。

○副議長(橋本辰二郎君) ただいま議長が欠位となりましたので、議長選挙の件を本日の日程に追加し、追加日程第三として、日程の順序を変更し、直ちに議長の選挙を行います。
 選挙は、投票により行います。
 議場を閉鎖いたします。
 〔議場閉鎖〕

○副議長(橋本辰二郎君) この際、立会人について申し上げます。
 立会人には、会議規則第二十七条第二項の規定により、百七番石井義修君、百十二番大西英男君、百二十一番大西由紀子さん、百二十四番名取憲彦君及び百二十六番吉田信夫君を指名いたします。
 これより投票用紙を配布いたします。書き損じの場合は、それと引きかえにかわりの用紙を差し上げますから、議長までお申し出願います。
 〔投票用紙配布〕

○副議長(橋本辰二郎君) 投票用紙の配布漏れはありませんか。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○副議長(橋本辰二郎君) 配布漏れなしと認めます。
 投票箱を点検いたします。
 〔投票箱点検〕

○副議長(橋本辰二郎君) 異状なしと認めます。
 念のため申し上げます。投票は、単記無記名一人一票であります。
 投票用紙に被選挙人の氏名を記載の上、点呼に応じて順次投票を願います。
 局長をして点呼いたさせます。
 〔局長点呼〕
 〔各員投票〕

○副議長(橋本辰二郎君) 投票漏れはありませんか。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○副議長(橋本辰二郎君) 投票漏れなしと認めます。
 以上をもって投票を終了いたします。
 投票箱を閉じます。
 〔投票箱閉鎖〕

○副議長(橋本辰二郎君) これより開票を行います。
 立会人の方々の立ち会いをお願いいたします。
 〔開票〕

○副議長(橋本辰二郎君) 局長をして投票の結果を報告いたさせます。

○議会局長(岡田重信君) 投票結果。
   出席議員数 百二十三人
   投票 総数 百二十三票
   有効 投票  百二十票
   無効 投票    三票
    有効投票中
    内田  茂議員 百二十票
以上。
 〔拍手〕

○副議長(橋本辰二郎君) ただいまご報告申し上げましたとおり、投票の多数を得られました
   内田  茂君
が議長に当選されました。
 議場の閉鎖を解きます。
 〔議場開鎖〕

○副議長(橋本辰二郎君) 議長内田茂君よりごあいさつがあります。
 議長内田茂君。
 〔百十八番内田茂君登壇〕

○百十八番(内田茂君) ありがとうございました。
 ただいま議員諸兄の温かいご配慮をもとにご推挙をいただきまして、栄誉ある東京都議会第三十九代議長に就任することになりました内田茂でございます。身に余る光栄と感激いたすとともに、その責任の重さを痛感いたしているところであります。
 今後は、皆様の温かいご支援を賜り、全身全霊、この議会運営にその力を傾け、円滑な議会運営を心がけてまいります所存でございますので、よろしくお願い申し上げる次第でございます。
 今、本世紀は地方自治の時代、そして都市の時代といわれております。全国の地方自治体、そしてこの東京都政も、基本的にはまさに住民の、また地域を構成する皆さんのために、その需要に見合ったすばらしい行政サービスを展開するためにも、地方分権と、そしてそれに伴う税源の移譲というのが大きなポイントになっているわけでございます。まさにこのことは、地方みずからがその自立を考え、自主的な運営を住民の皆様とともに果たしていく、この重要なときに当たって、都議会議長に就任をさせていただきまして、二元制の中で、そして議会の権能をきちっと果たしていく役割を、議会諸兄の皆さんとともに、一緒になって推し進めていきたい、心に誓ったところでございます。
 しかし、地方分権、税源の移譲といっても、国はなかなか理解をしてくれないところでございます。税源の移譲一つとっても、三位一体の改革といいながらも、我々はもっとその根本にさかのぼって制度の改正をしていかなきゃいけない、そういう立案をする東京都政というのは、地方自治のトップランナーとしての役割を持っているというふうに私は自覚をしているし、議員諸兄もそのように考えていると思う次第でございます。
 また、今日的な制度の改革があるまでの、大都市、そしてその自治運営というのはさまざまな課題が山積をいたしているわけでございますから、これにもしっかりした対応をする。その行政の展開を、議会として、執行機関の皆さんとともども果たしていかなければならないというのはご承知のとおりであります。
 こうした重要なときに、私は、都民の負託を受けた都議会の使命、責任を自覚し、都民の目線に立った政治を着実に進めてまいりたいと思う次第でございます。このためには、執行機関、そして都民の皆さんとともに考え、大いに議論を尽くしながら、都政が抱えるさまざまな課題の解決に向け全力を尽くす決意でございます。
 どうか議員諸兄、石原知事を初め理事者の皆さん、報道機関の皆さん、一層のご指導、ご鞭撻を賜るよう、よろしくお願いをいたす次第でございます。
 終わりに、三田前議長のこの二年余りの数々のご功績に対し、そしてご労苦に対し、心から敬意と感謝を申し上げ、私の就任のあいさつとさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)

○副議長(橋本辰二郎君) 以上をもって議長のあいさつは終わりました。
 内田茂君、議長席にお着き願います。
 〔副議長橋本辰二郎君退席、議長内田茂君着席〕

○議長(内田茂君) ただいま副議長橋本辰二郎君より、辞職願が提出されました。よって、副議長辞職の件を日程に追加し、追加日程第四として、日程の順序を変更し、直ちに議題といたします。
 議事部長をして辞職願を朗読いたさせます。
 〔谷村議事部長朗読〕
   辞職願
 私儀、今般一身上の都合により副議長の職を辞職したいので、許可されるよう願い出ます。
  平成十五年九月十八日
東京都議会副議長 橋本辰二郎
 東京都議会議長 内田  茂殿

○六十七番(吉野利明君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本件は、願い出のとおり許可されることを望みます。

○議長(内田茂君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、副議長の辞職を許可することに決定いたしました。
 前副議長橋本辰二郎君よりごあいさつがあります。
 八十三番橋本辰二郎君。
 〔八十三番橋本辰二郎君登壇〕

○八十三番(橋本辰二郎君) 副議長の退任に当たり、一言御礼の言葉を申し上げます。
 一昨年の八月に第三十四代都議会副議長を拝命して以来、三田議長とともに、公平公正を旨として、全力を挙げて職責を全うしてまいりました。
 二年余りのさまざまな出来事を顧みますと、ただただ皆様への感謝の気持ちでいっぱいになります。こうして無事に大任を果たすことができましたのは、各党議員の皆様、そして知事を初めとする理事者の皆様方、また報道関係各位の深いご理解とご協力のたまものであり、心から感謝を申し上げますとともに、重ねて御礼を申し上げる次第でございます。
 これからは一議員として心新たに都政発展のため全力を尽くしてまいる決意でございます。今まで同様よろしくお願いを申し上げますことを申し上げまして、退任のごあいさつにかえさせていただきます。
 本当に二年間ありがとうございました。(拍手)

○議長(内田茂君) あいさつは終わりました。

○議長(内田茂君) ただいま副議長が欠位となりましたので、副議長選挙の件を本日の日程に追加し、追加日程第五として、日程の順序を変更し、直ちに副議長の選挙を行います。
 選挙は、投票により行います。
 議場を閉鎖いたします。
 〔議場閉鎖〕

○議長(内田茂君) この際、立会人について申し上げます。
 立会人には、会議規則第二十七条第二項の規定により、百七番石井義修君、百十二番大西英男君、百二十一番大西由紀子さん、百二十四番名取憲彦君及び百二十六番吉田信夫君を指名いたします。
 これより投票用紙を配布いたします。書き損じの場合は、それと引きかえにかわりの用紙を差し上げますから、議長までお申し出願います。
 〔投票用紙配布〕

○議長(内田茂君) 投票用紙の配布漏れはありませんか。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) 配布漏れなしと認めます。
 投票箱を点検いたします。
 〔投票箱点検〕

○議長(内田茂君) 異状なしと認めます。
 念のため申し上げます。投票は、単記無記名一人一票であります。
 投票用紙に被選挙人の氏名を記載の上、点呼に応じて順次投票を願います。
 局長をして点呼いたさせます。
 〔局長点呼〕
 〔各員投票〕

○議長(内田茂君) 投票漏れはありませんか。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) 投票漏れなしと認めます。
 以上をもって投票を終了いたします。
 投票箱を閉じます。
 〔投票箱閉鎖〕

○議長(内田茂君) これより開票を行います。
 立会人の方々の立ち会いを願います。
 〔開票〕

○議長(内田茂君) 局長をして投票の結果を報告いたさせます。

○議会局長(岡田重信君) 投票結果。
   出席議員数 百二十三人
   投票 総数 百二十三票
   有効 投票  百二十票
   無効 投票    三票
    有効投票中
    中山 秀雄議員 百二十票
以上。
 〔拍手〕

○議長(内田茂君) ただいまご報告申し上げましたとおり、投票の多数を得られました
   中山 秀雄君
が副議長に当選されました。
 議場の閉鎖を解きます。
 〔議場開鎖〕

○議長(内田茂君) 副議長中山秀雄君よりごあいさつがあります。
 副議長中山秀雄君。
 〔百八番中山秀雄君登壇〕

○百八番(中山秀雄君) ただいま第三十五代副議長に選任をいただきました中山秀雄でございます。
 江戸開府四百年という節目の年に、伝統ある東京都議会の副議長の大任を拝し、まことに光栄に至るところでございます。と同時に、責任の重さを痛感をいたしているところでございます。議長を支えて、今後も円滑なる議会運営を進めていく決意でございます。
 議員の皆様方のご指導、ご支援を心からお願いを申し上げると同時に、関係者の皆様方のご支援もお願いする次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。(拍手)

○議長(内田茂君) 以上をもって副議長のあいさつは終わりました。

○議長(内田茂君) この際、知事より発言の申し出がありますので、これを許します。
 知事石原慎太郎君。
 〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) ただいま都議会議長並びに副議長が改選されました。三田敏哉前議長並びに橋本辰二郎前副議長には、二年にわたり議長、副議長の重責を果たされ、在任中賜りましたご指導、ご協力に心から感謝を申し上げます。
 新しく選任されました内田茂議長並びに中山秀雄副議長には、都政発展のために引き続きご指導、ご協力を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。
 平成十五年第三回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対する所信の一端を申し述べ、都議会の皆様と都民の皆様のご理解、ご協力を得たいと思います。
 ただいま、桜井良之助議員、橋本辰二郎議員には、はえある永年在職議員表彰をお受けになりました。都政の発展に尽くされた三十年のご功績に対して深く敬意を表し、心からお喜びを申し上げます。
 まず初めに、名誉都民の選定について申し上げます。
 このたび、名誉都民の候補者として、物理学者の小柴昌俊さんを選定いたしました。小柴さんは、超新星からのニュートリノを初めて観測するなど世界最先端の研究を続け、昨年にはノーベル賞を受賞されました。多くの都民が敬愛し、誇りとするにふさわしい方であります。都議会の皆様の同意をいただき、来月一日、都民の日に名誉都民として顕彰したいと考えております。よろしくお願いを申し上げます。
 さて、我が国が進むべき方向を見失い、本来の力を発揮できないままに、既に多くの時が流れました。日本の前途には、ことしの冷たい夏の空のように雲が重く垂れ込めているかに見えます。日本経済は、依然デフレ傾向が続いております。しかし、株価の持ち直しや設備投資の回復など、再浮上の兆しもかいま見えてまいりました。こうした動きは、新しい技術やアイデアを武器に新たな事業展開に挑戦する、東京を中心とする中小企業の活躍にも後押しされたものであります。
 また、都民の間にも新しい動きがあります。悪化する一方の治安に対して、その対策を警察任せにすることなく、住民が自分たちの手で何とかしなければと立ち上がり、防犯のための自発的な取り組みが各地で始まっております。
 また、北朝鮮による日本同胞の誘拐、拉致という忌むべき問題を契機として、長い間忘れられていた国家や民族に対する自覚がようやく呼び起こされ、新しい連帯感が生まれつつあります。
 こうした新たな社会潮流を確かなものとし、失われた時を取り戻すには、政治が社会の胎動を敏感に感じ取って進むべき方向を示し、行政がこれを政策として具体的に展開していくことが必要であります。
 今、この国の力量が試されるときを迎えております。しかし残念なことに、国の政治家、官僚には、この国を導く確固たる決意が感じられず、総合的な取り組みもいまだになされておりません。東京が先んじて動くことで国を動かし、日本再生の端緒を切り開いていきたいと思っております。
 今日、都民の最大関心事は治安の回復であります。日本の治安は、ことしの上半期、殺人や強盗といった重要犯罪が昨年同期よりも二割近くも増加し、一万件を突破して過去最悪となるほど、悪化の一途をたどっております。とりわけ東京の治安は、殺人が約三割、侵入強盗が四割以上増加するなど急速にむしばまれており、かつてのニューヨークのような事態に陥る前に抜本的な手だてを講じる必要があります。
 こうしたことから、先月、竹花副知事を本部長とする緊急治安対策本部を設置いたしました。夜の繁華街に赴いて実情を視察し、また地域住民とひざを交えて生の声を聞くなど、精力的な活動を始めております。今後、警視庁など関係機関と協力して、横断的、重点的に取り組むことにより、一刻も早く目に見える形で犯罪を減らし、都民生活に安心を取り戻したいと思っております。
 都民の安全と首都の治安維持を担う東京の警察官の数はとても十分とはいえず、また、留置場や刑務所、拘置所の不足も深刻であります。警視庁が所管する留置場に収容される者の数は十年前の三倍に膨れ上がり、そのうち四割が外国人という状況であります。警察官や拘置施設などの確保は、本来は国が責任を持つべき事柄でありまして、首都圏や関西圏の大都市と共同歩調をとり、国に対して強く要求してまいりたいと思います。
 東京の治安にとって最大の課題は外国人犯罪であります。不法入国、不法滞在外国人が犯罪組織をつくり上げて、凶悪事件を繰り返すなど、今や社会的な脅威となっております。不法滞在外国人は、公式記録によっても全国で二十数万に上りますが、その過半は東京に居住し、一部が地下社会を形成しております。
 こうした犯罪の温床を取り除くためには、まず密入国を阻止する必要があります。しかし、国の入国管理に携わる職員はわずか二千五百人にすぎません。国は、入国管理の態勢強化と迅速な手続の実現を目指して、マンパワーの確保と収容施設の拡充に全力で取り組むべきであります。
 過去一年間、東京港では密入国事件が四件発覚し、合わせて七十六人の中国人が摘発されていますが、これはごく氷山の一角にすぎません。こうした事態に対応するため、先月、東京都の提唱により、東京湾保安対策協議会が立ち上がりました。行政機関の連携をより強固なものとして、東京港のみならず、東京湾全域での水際の守りを固めてまいります。
 これに加え、不法入国、不法滞在外国人対策を強化するため、先月、法務省や警察庁などと連絡会議を設置し、情報交換、意見交換を進めております。歌舞伎町を初め、都内各地での取り締まりについても波状的に実施してまいります。
 都内の日本語学校や専門学校などに就学名目で来日した外国人が犯罪に手を染めるケースが後を絶たないことも問題であります。こうした事例は一部の学校に集中しているとも指摘されており、今後、正確な実情を把握し、区市などとともに、連携して指導を強化するなど、適切に対応してまいりたいと思います。できる限り短期間のうちに、外国人犯罪が減ったという実感が得られるようにしたいと思います。
 犯罪の被害は、地域社会の隅々にまで及んでおりまして、万引きの横行で書店の経営が危うくなったり、無法な落書きで町並みが汚され、さらに、自転車やバイクの盗難が日常化しております。こうした犯罪を見過ごすことなく、犯罪の芽を早期に摘み取ることは、凶悪犯罪を防止する上でも重要であります。軽微な犯罪の放置は、容疑者の大半を占める少年たちに、少しぐらいやっても大丈夫という間違った考えを植えつけることになります。
 社会運動家の賀川豊彦は、かつて、子どもにはしかられる権利があると述べていましたが、しかられる権利を奪われた子どもは不幸であります。とりわけ親には、我が子を真っ当な人間に育てる使命があり、仮に、子どもが犯罪を犯した場合に、経済的な償いを含め、親みずから責任を負うべきことを覚悟すべきであります。他人の子どもであってもしかるのが当たり前であった、日本のかつてのよき美徳を取り戻すことが、我々大人に課せられた義務であるとも思います。
少年犯罪が急増する一方で、子どもが犯罪に巻き込まれるケースも目立っております。少年少女が加害者にも被害者にもならないようにすることが、我々大人の責任だと思います。先日、専門家による、子どもを犯罪に巻き込まないための方策を提言する会を発足させ、近く具体的な提言をいただく予定であります。
 街角で、強盗やひったくり、暴行などの犯罪が多発しておりますが、中でも、新宿、渋谷、池袋の三つの繁華街は、警視庁がホームページで公開している犯罪発生マップを見ますと、発生件数が最も多いことを示す赤い色で塗りつぶされております。都民が歩くのをためらう場所が数多く存在する現況を、決して放置しておくわけにはまいりません。
 昨日、対策本部と、この三つの盛り場を抱える区長、所管の警察署長等が一堂に会し、安全を取り戻すための具体的な対応策について意見交換を行いました。今後、行政と地域が一致協力して防犯対策に取り組んでまいります。
 身近な地域で発生する犯罪を抑止するには、地域に潜む犯罪要因を的確に把握し、有効な対策を講じる必要があります。このため、安全・安心まちづくり条例の来月からの施行を機に、都内全域で緊急の安全総点検を実施いたします。
 既に今月から、都が管理する公園、駐車場、駅などの公共施設において、犯罪を誘発するおそれのある場所で防犯設備のチェックを実施しており、来月以降、区市町村においても、住民とともに地域の安全点検が一斉に開始される予定であります。さらに、都民に都が作成するチェックリストを配布しまして、一人一人が身の回りの安全点検を実施するよう呼びかけてまいります。
 既に都内各地で、自発的なパトロールや商店街ぐるみでの防犯カメラの設置など、住民みずからが地域浄化の行動を起こしていただいております。都も、警視庁や区市町村とともにバックアップしてまいりますので、都民の皆様にも、自分の地域はまず自分たちで守るという、自助、共助の精神を発揮していただきたいと思います。
 街角に安全を取り戻さない限り、東京の治安が回復したとはいえません。都民が安心して町を歩けるようにするために、今後、あらゆる手だてを講じたいと思います。
 また、ヤミ金融業者の悪質な取り立てなどによる被害が広がっております。ヤミ金融からの資金の流れは、暴力団組織の大きな資金源となっております。今回の貸金業規制法などの改正を機に、業務停止や登録取り消しをさらに厳格に行いまして、警視庁との緊密な連携のもとに、悪質業者や違法行為を厳重に取り締まってまいりたいと思います。
 また、今定例会には、迷惑防止条例の改正を提案しております。これは、悪意によるつきまとい行為などの防止を目的とするものでありますが、こうした行為を芽のうちに摘むことによって、大きな犯罪の発生を抑止していきたいと思います。
 ことしの夏は、東京電力の原子力発電所がすべて運転を停止する中、首都圏での電力危機が懸念されておりましたが、電源立地地域や、都民、事業者の理解と協力に加え、冷夏の影響もありまして、危機は何とか回避されました。
 折しも、先月中旬には、アメリカ北東部からカナダにかけての広範囲な地域で大規模な停電が発生し、五千万人以上の人が影響を受けました。多量の電力消費に依存する近代文明の脆弱さと、日常的な危機管理の重要性を再認識させられる出来事でありました。都は、こうした実例からも教訓を得ながら、東京の危機管理に万全を期していきたいと思います。
 初めに、三宅島についてであります。
 島民全員が島を離れて、今月二日で丸三年が経過いたしました。先月、児童生徒による二度目の一時帰島が行われ、つかの間、島に子どもたちの笑顔が戻りました。しかし、残念ながら、火山ガスの発生状況はいまだ改善されず、帰島のタイミングをはかる時期にはまだ至っておりません。
 引き続き、一時帰島の実施や、道路などのライフラインの復旧に取り組むとともに、帰島後の生活再建に備え、国、三宅村などと協力し、力を尽くしてまいります。
 七月の宮城県北部地震では、観測史上初めて一日に三回、震度六以上の揺れを記録するなど、改めて地震国日本の恐ろしさを思い知らされました。ことしは、死者、行方不明者十四万人以上の被害を出したあの関東大震災から八十年目に当たります。東京は、大地震がいつ起きてもおかしくない状況に置かれていることを肝に銘じたいと思います。
 大規模地震への対応は、行政だけではなく、住民による自主的な取り組みが不可欠であります。今月一日、日野市と合同で行った総合防災訓練では、災害時の住民による自助、共助体制の確立を眼目に据えて住民主体の訓練を実施したほか、傾斜地や河川などで、多摩地域の特性に応じた実践的な訓練を行いました。
 訓練の当日には、アジア八都市の危機管理担当者が視察に訪れました。アジア大都市ネットワーク21事業の一つであるアジア危機管理会議の一環として実施したものであります。この会議は、危機管理に関する各都市の経験やノウハウを交換することを目的としておりまして、第一回の今回は、八年前の地下鉄サリン事件など、テロ対策を中心に有意義な議論が交わされ、国際連携を深めることができました。
 災害対応能力の向上のためには、首都圏の自治体との連携も欠かすことができません。昨年設置しました八都県市の広域防災・危機管理対策会議では、現在、共通の防災行動指針の策定に取り組んでおります。ことしじゅうには中間のまとめを行い、来年度を目途に策定する考えであります。
 NBCテロの脅威への対応も、ゆるがせにできない課題であります。年内には図上訓練を実施し、今年度じゅうにNBC災害対策マニュアルを策定するなど、非常事態に対応する備えを固めてまいります。
 ことし、人類の新たな脅威となりましたSARSは、一たん終息したかに見えますが、この冬に再度猛威を振るう可能性を否定できません。不法入国や不法滞在の外国人問題と絡めて、密接にかかわりがありまして、万一の場合に備えた厳重な危機管理が必要であります。
 先月末、国、千葉県などの合同で、患者の発生から搬送、退院までの流れに沿った情報連絡訓練を実施いたしました。来月には、不法入国者に患者が発生した場合を想定した図上訓練を都独自に実施する予定でありまして、万全の備えで臨みたいと思います。
 また、エイズは、欧米諸国での沈静化の傾向が見られるものの、日本では患者、感染者の増加に歯どめがかかっておりません。東京では、一日一人のペースでエイズの患者がふえ続けております。都は、今年度から土日でも検査、相談の受けられるような体制を拡充しましたが、今後は、ともすれば忘れられがちのエイズ問題について、青少年層を中心に注意喚起を図り、国に対しても的確な対応を求めてまいります。
 次に、食の安全についてであります。
 BSEの発生や、偽装表示の発覚といった問題が次々に起こる中で、都民は食に対する強い不安を抱いており、都民の健康を守るため、食の安全確保が急務となっております。国は、食品安全基本法を制定はしましたが、基準を設けて規制するという事後対応の枠組みを一歩も出ておりません。未然防止の視点が全く欠落したままであります。省庁間の縦割りに阻まれて、食品に関しても総合的な施策の展開が一向にできておりません。
 これに対して、都は、この七月、食品による被害を未然に防ぐための情報提供などを行う食品安全情報評価委員会を発足させ、先月からは、全国で初めて、食品を扱う業者の自主的な衛生管理を認証する食品衛生自主管理認証制度をスタートさせるなど、日本最大の消費地である特性を踏まえた取り組みを進めております。
 このような都独自の施策をさらに進め、食品の生産から流通、消費に至る各段階で食の安全を確保する仕組みを総合的に構築するため、年度内を目途に食品安全基本条例を提案したいと考えております。国の規制だけでは対応が困難な課題に対して、都は独自に安全性の調査、勧告を行い、その情報を他の地方自治体のためにも公表するなど、これまでにない未然防止策を実施していきたいと思います。
 続いて、都政の重要課題への対応について申し上げます。
 まず、二週間後に迫ったディーゼル車の排ガス規制についてでありますが、多くの事業者、関係者の方々の努力と協力により、PM除去装置の装着や新車への買いかえなど、規制対応は着実に進んでおります。
 都はこれまで、八都県市と共同で対策本部を立ち上げ、一都三県が同様の規制条例を制定するなど、首都圏全体で取り組みを進めてまいりました。あわせて、厳しい経営環境に置かれている中小企業に対するきめ細かな対策として、補助制度の拡充や都独自の融資制度の創設などに取り組んでまいりました。
 規制開始後は、警視庁と合同で検問を実施するほか、自動車公害監察員を総動員しまして、事業所への立入検査や物流拠点での取り締まりを実施し、公共工事での規制適合車使用の徹底を図るなど、違反車の一掃を目指してまいります。
 適合車両やPM減少装置の納期のおくれなどで対応が間に合わない事業者については、八都県市が連携して一種の通行手形ともいえるものを発行し、猶予措置を講じることにいたしました。規制対応に積極的に取り組む事業者が取り締まりの対象とならないよう、十分配慮してまいります。
 公平で実効性のあるディーゼル車規制を実現し、東京にきれいな空気を取り戻していきたいと思いますので、都民、事業者の皆様には、ご協力をよろしくお願いいたします。
 次に、福祉改革についてであります。
 地域、選択、競い合いをキーワードに進めている福祉改革の取り組みは、着実に前進しております。国は、福祉サービスの評価についても全国一律の基準を押しつけようとしていますが、東京には、評価機関として活用できるNPOやシンクタンクなどが数多く存在しております。都は、こうした大都市の特性を生かして、利用者のサービス選択を可能とする福祉サービスの第三者評価に取り組んでまいりました。一年間の試行を経て、七月から評価対象を大幅に拡大して本格的な制度化に踏み出しております。
 今後、評価結果をインターネットなどを通じて公表するとともに、今年度じゅうに、都立のすべての施設で評価を実施いたします。将来的には、民間や自治体が行う福祉サービスが漏れなく評価を受けるようにしたいと思います。来月には、八都県市を中核として自治体による全国レベルの協議会を設置し、都独自の利用者本位の評価システムを広めてまいります。
 次いで、東京発の医療改革では、IT技術を駆使して迅速で質の高い医療サービスを提供してまいります。電子カルテは、先進的な病院で導入の取り組みが始まっていますが、これにより、インフォームド・コンセント、つまり、患者が納得する医療の充実や、迅速なカルテ開示、チーム医療の推進など、医療水準の総合的な向上が期待できるほか、他の病院とのネットワーク化が可能となります。
 都立病院では、府中病院において、電子カルテを中心とする病院情報システムを七月から稼働させましたが、今年度末までには駒込病院にも導入し、来年度以降順次拡大してまいります。
 都民サービスの向上と地域医療の一層の充実に向けて、町の診療所を含めた広域的な病院相互のネットワークの構築を目指していきたいと思います。
 次いで、中小企業支援策についてであります。
ようやく復調の兆しが見えてきたとはいえ、日本経済は依然として低迷から脱し切れてはおりません。都はこれまで、東京の産業を支える中小企業の活性化のため、CLO、つまりローン担保証券と、CBO、社債担保証券を発行し、中小企業に対する都独自の資金調達手段の拡充を図ってまいりました。既に発行は四回を数え、今年度は新たに都民が広く購入できるタイプを取り入れた発行を予定しております。
 都のこうした取り組みが先駆けとなって、他の自治体でも同様の動きが見られるようになりました。国においてもようやく検討が始まっております。
 第一回の発行の結果では、投資家に対して当初の設定どおりの一%を超える利回りを確保し、参加企業のうちの十一社が株式上場にステップアップするなど、大きな成果を上げたと思います。CLO、CBOは、中小企業の資金調達手段として定着してきたと思います。
 また、第二回定例会で提案した新銀行については、適正なリスク管理のためのポートフォリオ方式や、新しい経営形態としての委員会等設置会社方式を採用するなど、最新の手法を積極的に導入してまいります。現在、中小企業経営者との意見交換や、中小企業に対する資金需要の把握に努めておりまして、年内には、新銀行のより詳細な内容をお示ししたいと思います。
 次いで、新しい大学についてであります。
 都立大学などを束ねて設置する新大学では、首都東京の立地特性を生かし、都市環境の向上や、ダイナミックな産業構造による高度な知的社会の構築などを建学の精神として、大都市における人間社会の理想像を追求してまいります。東京でしか学べない都市文化、都市工学などを必須の教養科目とするほか、これまでの学問体系にとらわれずに、新しい大学の使命に沿って学部を再編いたします。
 新しい教育システムとして、単位バンクを導入します。また、国内外の他の大学で取得した単位や、海外協力隊などの貴重な国際体験を単位として認定することによりまして、修学年数や修学内容を、学生一人一人の事情に応じて弾力的に設定できるようにしてまいります。
 また、学生が寝食をともにしながら切磋琢磨し、互いの個性や独創性を刺激し合って人格形成をしていく場として、大学に寮を設置いたします。希望する学生を対象に、最初は五十人程度の規模でスタートさせるつもりであります。これは、新しい教育の構築といいますか、古きよきものをよみがえらす一つの大きなすべになり得ると思います。
 これまでの日本の大学にはないさまざまなシステムを新大学には意欲的に導入しまして、大学教育の限界を打ち破ってまいりたいと思います。現在、新大学にふさわしい名称を広く公募しておりまして、東京ならではの都市型の大学を平成十七年四月に開学いたしたいと思います。
 続いて、都市再生の新たな展開について申し上げます。
国際空港の整備は、二十一世紀の国力を決定づける重要なファクターであり、国家プロジェクトとして実現すべきものであります。羽田空港の再拡張については、これまで、国、関係自治体と協議を続けてまいりましたが、先月、国は新しい事業スキームを公表し、来年度概算要求に盛り込みました。新しい内容が含まれた提案でありまして、検討に値するものと思いますが、事業費負担や飛行ルートなど、依然未解決の課題も残されております。
 今後、国は、関係自治体などとともに、十分に合議を重ね、早期着工、早期完成に全力で取り組むべきであります。
 次いで、外郭環状道路の練馬―世田谷間の建設については、国土交通省の依頼を受け、七月から環境影響評価の手続に入りました。外環道は、東京の渋滞解消や環境改善のため、欠くべからざる道路の一つでありまして、経済効果もはかり知れないものがあります。
 事業着手に向けて一歩を踏み出したことは、東京の発展にとって大きな意義があると思います。今後とも、幅広く意見を聴取しながら、早期の実現を目指してまいります。
 都市再生緊急整備地域の一つである大崎駅周辺地域で、民間からの提案がありまして、都内初の都市再生特別地区の決定に向け、先月から都市計画の手続を開始しております。ここの地域では、りんかい線とJR埼京線の接続によりまして、都市活動のポテンシャルが急速に高まっております。今後、ターミナル機能や業務、商業、文化、居住などの複合的な機能がより一層充実することによって、新幹線の新駅が来月誕生する品川駅周辺との整備と相まって、東京の南の大きな拠点として発展するものと思います。
 国の都市再生事業とも連動させながら、都独自の取り組みによりまして、東京の再生を加速させてまいりたいと思います。
 都内には、都営住宅の建てかえなどによって、新たに利用が可能となる都有地が相当規模存在しております。こうした土地を活用しながら、民間の創意工夫を引き出し、まちづくりを誘導する先行まちづくりプロジェクトを実施いたします。都心居住の推進や木造住宅密集地域の解消など、地域ごとの課題に対応した目標を設定し、行政分野の縦割りを超えた横断的、総合的な取り組みにより、民間プロジェクトを誘導してまいります。
 こうした取り組みを通じて、東京の新しいまちづくりを実践し、目に見える形で東京の町を変えていきたいと思います。来月、第一弾の地区を指定する予定であります。
 続いて、都政の構造改革について申し上げます。
 都はこの四年間、第一次財政再建推進プランに基づき、徹底した内部努力と、聖域なき施策の見直しを行うとともに、徴税努力などにより歳入を確保したほか、都債の発行を可能な限り抑制するなど、改革を進めてまいりました。その結果、財政再建団体への転落は、辛うじて回避することができました。
 全庁的な行財政システムの改革に取り組み、職員定数約五千九百人の削減や、監理団体への支出約一千億円の削減を初め、目に見える形で着実に成果を上げてまいりました。政策面では、都民サービスの充実と東京の再生のためのディーゼル車規制や福祉改革など、大都市の特性を踏まえた都独自の政策を展開してまいりました。
 これに対して国は、みずから痛みを伴う努力を怠り、肝心の構造改革についても、いわゆる三位一体改革で税源移譲が一向に進まないなど、官僚組織の縦割りの壁に阻まれて、具体的な成果を国民に示すことができておりません。
 これまでの都の努力にもかかわらず、都財政は、七月に発表した第二次財政再建推進プラン中間のまとめで示したとおり、都税収入の大幅な減少と、一向に進まぬ国からの税源移譲などにより、依然として危険水域を脱してはおりません。財政再建は道半ばといわざるを得ません。むしろ、毎年度三千億から四千億円近い財源不足が見込まれるこれからが、都財政にとって最も過酷な時期になると思います。
 しかし、こうした厳しい状況にあっても、東京の再生と都民サービスの充実をひとときたりとも停滞するわけにはまいりません。政策のさらなる充実を目指すには、都庁全体で改革の目標と危機意識を共有し、横断的、総合的に取り組む必要があります。このため、七月、都政の構造改革の視点と方向を示し、都政の各分野で、政策と内部改革の両面から構造改革を推進していくことにいたしました。
 来月には、第二次財政再建推進プランを策定し、財政再建を次のステップに進めてまいります。
 先日、中間のまとめを発表した新たな都庁改革アクションプランについては、公の施設管理の民間開放など、業務改革の一層の推進を目指して、さらに検討を深め、年内を目途に策定いたします。
 今後、痛みを伴う困難な過程も予測されますが、都民の理解を得ながら、財政再建、行政改革、都独自の政策展開を一体のものとして、都政の構造改革を前進させたいと思います。
 さて、このところ、水泳、体操、陸上など、スポーツの分野で日本選手の活躍が続いております。世界水泳選手権バルセロナ大会では、荒川区出身の北島康介選手が、金メダル二つを世界新記録で獲得するという快挙をなし遂げました。先日、彼に会う機会がありましたが、まさに彼こそ、有言実行でみずからの意思を貫き通し、結果を出す、私たちが忘れかけていたタイプの日本人であると実感いたしました。
 今、アメリカの若者の間には、はやっているそうですけれども、日本に関する言葉として、ジャパニーズクールという言葉があるようであります。直訳すれば、日本はかっこいいということでしょう。アニメやゲームソフトはいうに及ばず、音楽、映画、芸術など、さまざまな分野で、日本の文化がようやく世界的な正当な評価を得つつあります。こうした現象を支えているのが日本の若い才能であり、彼らが中心となって世界に通用する文化的な価値を生み出しております。
 歴史をひもとくまでもなく、日本人には本来、北島選手や文化の若い担い手たちのように、世界に飛翔する才能と意欲が備わっているのであります。こうした潜在的な能力を都民、国民一人一人が開花させていくことで、この日本を再び世界の表舞台で躍動させることが可能だと思います。
 東京には、日本全国から才能と可能性を秘めた若者が集まっておりまして、彼らこそ東京再生、ひいては日本再生のダイナモたり得る存在であります。今、東京に必要なのは、殊さらに萎縮して、悲観論に浸ることではありません。みずからの力を信じ、旺盛な意欲と確固たる意思を持って、一歩を踏み出す勇気であると思います。
 最後になりますが、銀行業に対する外形標準課税について、条例改正を今定例会に提案したいと考えております。
これまで、双方の弁護団を中心に精力的な折衝を重ねてまいりましたが、昨日、最高裁において基本的な合意が成立いたしました。今回の改正は、この合意を踏まえ提案するものであります。現在、そのための準備を進めております。新しい税率を〇・九%とし、条例制定時の平成十二年四月にさかのぼって適用したいと思います。
 銀行は、今なお膨大な不良債権を抱えており、六月には、りそな銀行に二兆円もの公的資金が再注入されました。今回の都の決断は、メガバンクを初め、今日の日本の金融機関の体力が、条例制定時の予測をはるかに超え、著しく低下していることをしんしゃくしたものであります。
 また、控訴審判決では、条例の基本部分を初め、都の主張がほとんど認められ、ただ一点、税負担の水準について理解を得られなかったものであります。改正後の税率は、都の条例を契機として導入された国の外形標準課税の考え方と同様、直近十年間の平均税収をもとに算出しており、合理的な水準であります。
 条例制定以来、都議会を初め、多くの都民、国民の皆様から一貫して力強いご支援をいただいてまいりましたが、今回の条例改正についても、特段のご理解をいただきたいと思います。
 なお、本定例会には、住民による自助、共助の精神に基づく地域の復興活動を支援するための東京都震災対策条例の一部を改正する条例など、条例案十六件、契約案件八件など、合わせて二十八件の議案を提案しております。よろしくご審議をお願いいたします。
 以上をもちまして所信表明を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

○議長(内田茂君) 以上をもって知事の発言は終わりました。

○六十七番(吉野利明君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 日程の順序を変更し、追加日程第一を先議されることを望みます。

○議長(内田茂君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、日程の順序を変更し、追加日程第一を先議することに決定いたしました。

○議長(内田茂君) 追加日程第一、東京都名誉都民の選定の同意についてを議題といたします。
 〔谷村議事部長朗読〕
一、東京都名誉都民の選定の同意について一件

一五財主議第二八二号
平成十五年九月十八日
          東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 三田 敏哉殿
   東京都名誉都民の選定の同意について
 このことについて、左記の者を東京都名誉都民に選定いたしたいので、東京都名誉都民条例第三条の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお取り計らい願います。
       記
     小柴 昌俊

      略歴
          現住所 東京都杉並区
               小柴 昌俊
大正十五年九月十九日生
大正十五年  愛知県豊橋市に生まれる
昭和二十六年 東京大学理学部物理学科を卒業
昭和三十年  米国ロチェスター大学大学院物理学専攻博士課程修了、米国博士号取得
    同年 米国シカゴ大学物理教室研究員
昭和三十三年 東京大学原子核研究所助教授
昭和三十八年 東京大学理学部助教授
昭和四十二年 理学博士号を取得
昭和四十五年 東京大学理学部教授
昭和四十九年 東京大学理学部附属高エネルギ ー物理学実験施設長
昭和五十二年 東京大学理学部附属素粒子物理学国際協力施設長
昭和五十九年 東京大学理学部附属素粒子物理国際センター(現、東京大学素粒子物理国際研究センター)・センター長
昭和六十年  ドイツ連邦共和国大功労十字章を受章
昭和六十二年 東京大学理学部助教授を停年退官。東京大学名誉教授、東海大学理学部教授
    同年 仁科記念賞を受賞
昭和六十三年 文化功労者
平成元年   日本学士院賞を受賞
平成九年   文化勲章を受章、藤原賞を受賞
平成十二年  ヴォルフ賞を受賞
平成十四年  ノーベル物理学賞を受賞
平成十五年  ベンジャミンフランクリンメダル、勲一等旭日大綬章を受章

      事績
              小柴 昌俊氏
 大正十五年九月十九日、愛知県豊橋市に生まれる。
 昭和二十六年、東京大学理学部物理学科を卒業する。
 昭和三十年、米国ロチェスター大学大学院物理学専攻博士課程を修了、米国博士号を取得する。同年、米国シカゴ大学物理教室研究員となる。同大学での実験で、宇宙線の源が超新星であり得るとする初めての実験結果を発表。
 昭和三十三年、東京大学原子核研究所助教授となる。
 昭和三十八年、東京大学理学部助教授となる。
 昭和四十二年、理学博士号を取得する。
 昭和四十五年、東京大学理学部教授となる。
 昭和四十九年、東京大学理学部附属高エネルギー物理学実験施設長に就任する。同年からドイツ電子シンクロトロン研究所や欧州原子核研究機構での国際協同実験を主導し、現在の素粒子物理を形作る画期的な成果をもたらす。
 昭和五十二年、東京大学理学部附属素粒子物理学国際協力施設長となる。
 昭和五十三年、大型水チェレンコフ検出器による地下実験カミオカンデを提案する。
 昭和五十八年、岐阜県神岡鉱山において実験を開始する。
 昭和五十九年、東京大学理学部附属素粒子物理国際センター(現、東京大学素粒子物理国際研究センター)・センター長となる。
 昭和六十年、ドイツ連邦共和国大功労十字章を受賞する。
 昭和六十二年、世界で初めて星の終末である超新星爆発により発生した素粒子ニュートリノを観測し、ニュートリノ天文学という新しい学問分野を切り開く。このことにより、仁科記念賞を受賞する。同年三月、東京大学理学部教授を停年退官し、五月に東京大学名誉教授、八月に東海大学理学部教授となる。
 昭和六十三年、文化功労者となる。
 平成元年、日本学士院賞を受賞する。
 平成九年、文化勲章を受章、藤原賞を受賞する。
 平成十二年、ヴォルフ賞を受賞する。
 平成十四年、超新星ニュートリノを世界で初めて観測し、ニュートリノ天文学という新しい学問分野を切り開いたことによりノーベル物理学賞を受賞する。
 平成十五年、ベンジャミンフランクリンメダル、勲一等旭日大綬章を受章する。
 氏は、カミオカンデ装置により、十六万光年のかなたにある超新星SN一九八七Aからのニュートリノを捉え、重力崩壊による超新星爆発のメカニズムと星の進化の理論を初めて裏付け、ニュートリノ天文学を創始するなど、先駆的かつ世界的な研究成果をあげてきた。
 さらに、素粒子物理学及び宇宙線物理学の分野で世界最先端の研究を続けるとともに、多くの優れた人材の育成に貢献してきた。
 以上のような功績は、広く都民が敬愛し、誇りとするところである。

○議長(内田茂君) お諮りいたします。
 本件は、知事の選定に同意することにご異議ありませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、知事の選定に同意することに決定いたしました。

○六十七番(吉野利明君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会し、明十九日から二十四日まで六日間、議案調査のため休会されることを望みます。

○議長(内田茂君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明十九日から二十四日まで六日間、議案調査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、九月二十五日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後二時四十三分散会


文書質問趣意書及び答弁書

一五財主議第二八五号
平成十五年九月十日
         東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 三田 敏哉殿
   文書質問に対する答弁書の送付について
 平成十五年第二回東京都議会定例会における左記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。
     記
   後藤雄一議員
   福士敬子議員
   河野百合恵議員
   清水ひで子議員
   古館和憲議員
   吉田信夫議員
   東ひろたか議員
   坂口こうじ議員

平成十五年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

 提出者 後藤雄一

質問事項
 一 警察官が受領する謝礼について
 二 酒気帯運転のチェック体制強化について
 三 中小企業の助成事業のチェックについて
 四 監理団体の指導について
 五 小笠原母島「水槽」の原因究明について
 六 福祉局補助金適正化事件の対応について

一 警察官が受領する謝礼について
1 地域の剣道連盟(民間)が主催する剣道の練習に、警察官が指導員として参加している場合が多いと聞く。
 今年の二月、行革一一〇番の調査で、現職の警察官三名が港区剣道連盟の剣道指導員として毎週一回一時間程度の指導で五千円、月二万円から二万五千円の指導料(謝礼)を受けていたことが判明した。
 港区剣道連盟の関係者は、「現職警察官には、民間・警察OBと同じように正規の手続きで指導料(謝礼)を直接払うことができず、指導員の人数を水増しして請求し、現職警察官の指導料を捻出し、支払っていた。」と証言する。
 行革一一〇番が警視庁に事実を指摘、調査を依頼したところ、当該警察官は港区剣道連盟に受領した指導料(謝礼)を返還したという。
 返還すれば良いと言うものではない。
 地方公務員法三十八条には、「職員は、任命権者の許可を受けなければ、・・(中略)・・、又は、報酬を得て、いかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。」と明記されている。
 警視庁は行革一一〇番の指摘に対し、「現職警察官に支払われた金員は、指導料(謝礼)ではなく、実費弁償であるので問題はない」との見解を示している。
 しかし、民間・警察官OBの指導員は、同額の指導料を受け取り所得税(源泉徴収)を支払う。
 そこで質問だが、同じ剣道の指導員をおこない、同額を受け取っていながら、現職警察官は実費弁償という理由をこじつけて所得税を払わず、OB警察官・民間人は所得税を払う、という矛盾をどう説明するのか、警視総監の見解を伺う。
2 石原知事は、東京の治安回復の為に副知事に元広島県警本部長の竹花氏を迎え入れた。副知事に警察関係者がなっただけではダメで、現場警察官に対する都民の信頼がなければ治安の回復を達成することができない。
 今後も本件同様のケースが起こることが考えられる。そこで、本件のような謝礼受領の事案は、事前に任命権者に報告・相談をさせ、任命権者がケースごとに判断をし、認められものは許可を与えるなどの抜本的な制度の改革を行うべき、と考えるが、警視総監の見解を伺う。
二 酒気帯運転のチェック体制強化について
 四月二十九日、交通局自動車部渋谷営業所の運転手が、酒気帯び運転をしていた事件が、行革一一〇番の調査で発覚した。
 事件の概要は、遅刻をした職員が、始業点呼の際、前日のアルコールが残っているにもかかわらず、検査員のチェックでOKとなり、乗務についた。
 十五分程度バスを運転し、始発停留所の渋谷ターミナル駅に到着した。四月二十九日は祝日のため、バスに「日の丸の旗」をつけて運転することになっていた。本件運転手が「日の丸の旗」を忘れたため、渋谷発車場に借りにいったところ、発車場の職員が本件運転手が酒臭いことに気づき、本人に酒臭いことを告げ、交通局渋谷営業所に連絡した。連絡を受けた営業所は、本件運転手に営業所に戻ることを命じ、営業所でアルコール検知をおこなったところ、〇・一五ミリグラムだったので、乗務から外し帰宅させた。
 交通局では、乗車八時間いないに酒を飲むことを禁じている。そして、始業点呼の際、八時間以内に酒を飲んだものは申し出ること、としている。
 本件運転手は、ビールを一杯、焼酎割りを四~五杯を飲んだが、運転、八時間前には飲酒はしていない、というが、〇・一五ミリグラムのアルコールが検知されている。
 各営業所のアルコール検知器の設置台数を調べたところ、一台づつしか設置しておらず、ほとんど使用されていないことが判明した。そこで、行革一一〇番が、アルコール検知器を各営業所に複数台設置するよう要望したところ、認められ購入した。
 そこで質問だが、
1 各営業所の始業点呼時において、アルコール検知器でアルコールが検出されたケース等の使用状況をお伺いする。
2 路面電車も道路部分を走行する、路面電車の始業点呼時にアルコール検知器を使用する考えはないか?
3 また、交通局は赤字路線を「はとバス」に業務委託することが決まっている。「はとバス」の始業点呼の際、アルコール検知器を使用させるべきと考えるが、見解を伺う。
三 中小企業の助成事業のチェックについて
 財団法人東京都中小企業振興公社の中小企業助成事業(産学公提携事業)で、虚偽の申請等の手続きが行われたとして、助成金の支給が支給直前の平成十五年三月にストップされた。本件は新聞報道され、行革一一〇番も事実を確認している。中小企業振興公社は、警察当局に資料が提出していると聞くが、未だに告訴手続きをしていない。
  行革一一〇番が、本件助成事業を所管する産業労働局、窓口である中小企業振興公社にチェック体制の不備を指摘すると、「中小企業の研究・新製品開発・創業等を助けるのが本来の目的であり、チェックは不正を見破るのが目的でない」と公言する。そして、公社は今までに告訴・告発等は行ったことがない、と言う。このような甘い体質が今回の事件の背景にある、と考える。
  今後、本件同様の補助金・助成金の違法な申請・請求が発生することが考えられる。
 1 本件同様のケースにおいて、東京都・公社等には捜査権限はなく、放置することによって証拠の隠滅工作が行われる危険性がたかく、そこで、速やかに警視庁と連携をとり、捜査は任せるべき考える。
   「助成ありき!」ではなく、税金を投入する以上、厳正にチェックし、不正を行った企業等に対しては、告訴・告発をすること前提にすべき、と考えるが、見解を伺う?
 2 本件事案のようなケースにおいて、警視庁は、都等からの告訴・告発に対し、積極的、且つ、速やかに受理し、捜査は行うべき、と考えるが見解を伺う。
四 監理団体の指導について
 1 評議員に支払われる費用について
   監理団体には評議会がおかれ、評議会が開催された際、一万円から二万円が評議員に支給される。行革一一〇番は財団法人医学研究機構と財団法人駐車場公社の評議員になっているが、財団法人医学研究機構は、報償として二万一千八百八十円が支給され、源泉が徴収される。財団法人駐車場公社は費用弁償として一万五千円が支給され、源泉は徴収されていない。
   東京都は監理団体に対し様々な指導を行っている。
   そこで質問だが、
  ア 監理団体に設置されている評議員会の評議員に支給される金員を、報償なのか費用弁償なのか、どちらの指導をしているのか?
  イ また、東京都は税金の徴収を行っているが、この支払いを源泉の対象と考えるか否か?お尋ねする。
 2 監事ポストの人事・報酬について
   監理団体に監事という役員ポストがある。最近、財団法人医学研究機構の監事が交代した。前監事は天下り、今回の監事は、一度天下りした職場が他の監理団体の統合したため職がなくなったため、二回の天下り、つまり、渡りである。
   今回の人事について、担当者に聞くと、都総務局人事部からの推薦された人物だ。都からの口利きには逆らえない、と言う。
   今回の人事をみても東京都は監理団体を天下り先としていることが証明された。
   また、財団法人医学研究機構の監事の報償は、日給計算で一日五万円、月八日間出勤して、月額四十万円を支給している、という。そこで、行革一一〇番が、「仮に、不正等が発覚し、監事の仕事が多忙になり一カ月に二十日出勤した場合は百万円払うか?」と、評議会の場で問いただしたが、「月八日間しか出勤しませんので、・・・。」と明確に答えることが出来ない。
   そこで質問だが、
  ア 東京都は民間からの採用という選択肢を排除し、天下りに固守すべきではないと考えるが、いかがか?
   また、監理団体の人事にまで総務局人事部は口を出すべきでないと考えるが、見解を伺う。
  イ 監理団体の役員報酬の基準、監事の報酬の基準について、どのような指導を行っているのかお伺いする。
  ウ また、財団法人医学研究機構の監事の日額五万円について、金額、支払い方法等で、指導を行う予定はあるかお伺いする。
 3 駐車場公社が発行している保管場所承諾書について
   東京都は、都市計画駐車場(八重洲、日本橋、室町、新京橋、東銀座、板橋四つ又)を監理団体である財団法人東京都駐車場公社に管理を委託している。公共駐車場は税金を投入しているので、特定者に特定の場所を提供してはならない。と決められている。つまり、車庫としての使用を禁止している。
   〈公共駐車場は「駐車場の一定の区画について特定車に対し独占的な使用権を設定して他の自動車の使用を一切排除するような契約を締結した場合においては、当該部分は自家用自動車庫と同様となり、一般公共の用に供しているとはいえない。」駐車場法解説 建設省都市局街路課(監修)〉
   にもかかわらず、駐車場公社は、車庫証明に必要な「保管場所使用承諾書」を発行していることが、行革一一〇番の調査で判明した。
   (都市計画駐車場六場の収容台数千二百四十五台中、三百十三件に「保管場所使用承諾書」を発行している。内訳は、個人二十七件、会社が二百八十六件となっている)
   駐車場公社は発行理由として、「公共駐車場の経営は、大赤字であり、苦肉の策であること。また、違法駐車を減らす効果があること」を強調する。
   しかし、このような使用方法は以下の如く問題点が存在する。
   1) 公共駐車場なのに、一部の特定使用者が継続的に長年にわたり、利用しており、利用方法に問題がある。
   2) 車庫証明が取得できることを、一部の利用者にしか公開していない。
   3) 自動車保管場所施行令第一条抵触する。
   〈自動車保管場所施行令第一条に「保管場所として使用する権原があること」と定められている。東京都駐車場公社は「保管場所使用承諾書証明書」には、保管場所として特定の駐車スペースを記入、警察署に提出し、利用者に車庫証明を取得させている。しかし、全ての駐車スペースで「時間貸し営業」を行っている関係上、車庫証明を取っている利用者の駐車スペースは特定されておらず、また、満車の場合は駐車できない場合も考えられ、利用券(定期券)に、「満車の場合はしばらくお待ちください。」と書いてある〉
   そこで質問だが、
  ア 警視庁は、都市計画駐車場で車庫証明を取るために、駐車場公社が発行した本件「保管場所使用承諾書」の提出があった場合、どのような指導を行うのか、お伺いする。
  イ 建設局は、駐車場公社に対し、何か指導する考えはあるか、否か、伺う。
  ウ 都心において駐車場不足は深刻な問題である。利用形態を時代にあったものにかえなければならない。都として積極的に関係機関に働きかけ、制度改革に乗り出すべき、と考えるが、見解を伺う。
五 小笠原母島「水槽」の原因究明について
  「小笠原母島第一水槽」だが、水槽脇の道路に大きな亀裂ができた事件で、会計検査院が調査を行っている。この水槽は調査費が六百九十万円、建設費が一億三千万円をかけ建設し、平成十四年四月に供用を開始する予定であった。しかし、現在の工事箇所は、水槽と道路、そして、道路の中央部に亀裂、そして、鋼網で土留めした壁の部分が大きく膨らむという状態になっている。事業担当に原因と責任の所在を問いただしたところ、「現在のところ、原因究明より、補修方法の検討をしている」というが、地盤調査、設計、建設のどこかでミス、手抜きを行われたと推測される。
  業者のミス、手抜きが明らかになれば、補修等は業者の責任で行わせることができ、補償を請求することも出来る。原因究明を優先するべきと考えるが、如何か?
六 福祉局補助金適正化事件の対応について
  行革一一〇番が昨年の十二月議会で追及した社会福祉法人「西原樹林会」の補助金適正化違反事件で、関係者の処分が四月二十五日発表された。処分は元高齢者施策推進室参事(前児童相談センター所長)に減給十分の一、一月、元高齢者施策推進室保険福祉部副参事・元福祉局地域福祉推進部副参事に訓告である。
  平成十四年第三回定例会、行革一一〇番の文書質問に対し、『福祉局は、関係部課長を構成員とする「社会福祉法人西原樹林会に係る対策検討委員会」を平成十四年十月十五日に設置しました。今後、当該法人に対する、施設設備補助金の返還等については、国とも協議の上、入所者処遇に留意しつつ、適切に対応します』と回答している。
  関係者の処分もでて、内部的な対応は終了したと思われるが、施設整備費補助金の返還等についての方針、もしくは、返還が完了していると推測するが、現状がどうなっているのか報告を求める。

平成十五年第二回都議会定例会
後藤雄一議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 警察官が受領する謝礼について
  1 港区剣道連盟で指導を行い、現職警察官は、実費弁償という理由をこじつけて、所得税を払わず、OB警察官・民間人は、所得税を払うという矛盾をどう説明するのか、伺う。

回答
  給与所得以外の所得があった場合には、現職警察官も、所得税法に基づき、各個人が確定申告をすべきものと承知しております。

質問事項
 一の2 謝礼受領の事案は、事前に任命権者に報告・相談をさせ、ケースごとに判断し、許可を与えるなどの抜本的な制度の改革を行うべきと考えるが、見解を伺う。

回答
  警視庁では、職務専念義務や職務の公正の保持等への影響を勘案して、個別具体的に内容を検討して許可の判断をしております。

質問事項
 二 酒気帯び運転のチェック体制強化について
  1 交通局各営業所の始業点呼時において、アルコール検知器でアルコールが検出されたケース等の使用状況を伺う。

回答
   交通局では現在、各自動車営業所にアルコール検知器を設置し、始業点呼時に全乗務員が検知器を使用して酒気のチェックを行っております。
   このチェックにより、乗務不適とした例があります。
   今後とも、厳正な点呼を実施してまいります。

質問事項
 二の2 路面電車の始業点呼時にアルコール検知器を使用する考えはないか、伺う。

回答
  路面電車(都電荒川線)においても、すでに、点呼時に酒気をチェックするため、アルコール検知器を導入しております。

質問事項
 二の3 「はとバス」の始業点呼の際、アルコール検知器を使用させるべきと考えるが、見解を伺う。

回答
  株式会社はとバスが、交通局から路線バスの運行を受託している杉並支所においても、交通局と同様に始業点呼時に乗務員がアルコール検知器を使用して酒気のチェックを行っております。

質問事項
 三 中小企業の助成事業のチェックについて
  1 中小企業助成事業(産学公提携事業)において、速やかに警視庁と連携をとり、捜査は任せるべきと考える。不正を行った企業等に対しては、告訴・告発をすることを前提にすべきと考えるが、見解を伺う。

回答
  中小企業助成事業(産学公提携事業)は、中小企業が産学公の連携の下に行う新製品や新技術の研究開発などを支援するものです。
  助成金の交付申請、決定等に関して、犯罪により害を被ったとき又は犯罪があると思料するときは、法令の規定に基づき、適切に告訴・告発を行います。
  なお、本件につきましては、財団法人東京都中小企業振興公社において、平成十五年七月二十五日に警視庁万世橋警察署に告訴を行いました。

質問事項
 三の2 警視庁は、都等からの告訴・告発に対し、積極的、且つ、速やかに受理し、捜査を行うべきと考えるが、見解を伺う。

回答
  財団法人東京都中小企業振興公社からの告訴を七月二十五日付けをもって、万世橋警察署において受理しております。
  今後の捜査につきましては、適正かつ速やかに行ってまいります。

質問事項
 四 監理団体の指導について
  1 評議員に支払われる費用について
   ア 監理団体に設置されている評議員会の評議員に支給される金員を、報償なのか、費用弁償なのか、どちらの指導をしているのか、伺う。

回答
  監理団体に限らず、評議員会の設置・運営など、公益法人の運営に係る基本的な事項については、公益法人に関する一般的な指導監督に基づき、各団体が定めています。なお、公益法人指導上は、評議員に対しては費用を弁償することができるとしています。

質問事項
 四の1のイ 都は、税金の徴収を行っているが、この支払いを源泉の対象と考えるか、伺う。

回答
  評議員から徴収する税金の取扱いについては、税務調査を受けるなど所轄の税務署との協議・指導を通じ、各団体が適正に処理しているものと考えています。

質問事項
 四の2 監事ポストの人事・報酬について
    ア 民間からの採用という選択肢を排除し、天下りに固守すべきではないと考えるが、見解を伺う。また、監理団体の人事にまで総務局人事部は、口を出すべきでないと考えるが、見解を伺う。

回答
  監理団体の役員を民間から採用することは、団体の自主的な判断により可能であると考えています。
  また、都では、適材適所の観点から意欲と能力のある者を監理団体に推薦していますが、最終的な決定は団体自身が行っています。

質問事項
 四の2のイ 監理団体の役員報酬の基準、監事の報酬の基準について、どの様な指導を行っているのか、伺う。

回答
  監理団体の常勤役員の報酬は、その職務内容と職責、民間の中堅・中小企業の役員報酬額、国の関係団体の役員報酬額等を勘案しつつ、都としての基準を定め、各団体に対して指導を行っています。
  なお、役員報酬の基準は、あくまでも上限を定めたものであり、その範囲内において、団体自らが経営状況等を勘案して報酬額を決定しています。

質問事項
 四の2のウ 財団法人東京都医学研究機構の監事の日額五万円について、金額、支払い方法等で、指導を行う予定はあるか、伺う。

回答
 財団法人東京都医学研究機構の非常勤監事に支払われる費用については、今後とも、費用弁償の性格に照らして、必要な検討を行うよう指導してまいります。

質問事項
四の3 駐車場公社が発行している保管場所承諾書について
ア 警視庁は、都市計画駐車場で車庫証明を取るために、駐車場公社が発行した保管場所使用承諾書の提出があった場合、どのような指導を行うのか、伺う。

回答
 財団法人東京都駐車場公社が管理する都市計画駐車場を保管場所とする保管場所証明の申請があった場合には、他の駐車場と同様に自動車の保管場所の確保等に関する法律施行令に定める「保管場所の要件」に該当するかどうか審査した後、警察署長が自動車保管場所証明書を交付しております。
 財団法人東京都駐車場公社が発行する保管場所使用承諾証明書は、自動車の保有者が保管場所として使用する権原を有することを明らかにする書面であることから、今後も、自動車の保管場所の確保等に関する法律に抵触しない適正な管理を行うよう指導してまいります。

質問事項
四の3のイ 建設局は、駐車場公社に対し、何か指導する考えがあるのか、伺う。

回答
 都は、財団法人東京都駐車場公社に対し、これまでも、公共駐車場の管理者として適正な運営を図るよう指導してきました。
 保管場所使用承諾証明書の発行につきましては、一般の利用状況を的確に把握したうえで、特定の利用者を一般の利用者に優先させない範囲内で行っており、法令上問題はありません。
 今後とも法令を遵守し、適正な運営を行うよう指導していきます。

質問事項
四の3のウ 駐車場の利用形態を時代にあったものにかえなければならない。都として積極的に関係機関に働きかけ、制度改革に乗り出すべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 財団法人東京都駐車場公社は、現行法令の下で公共駐車場の管理者として適正な運営を行い、全体として収益を確保していることから、制度改正の働きかけは予定していません。
 一方で、公社は、駐車場の利用促進とお客様のサービス向上を図るため、インターネット等で「s‐park」として都内の総合駐車場案内を行うことや、駐車場内で携帯電話の使用を可能とする等の取組を進めています。

質問事項
五 小笠原母島第一水槽脇の道路の亀裂について、原因究明を優先すべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 母島玉川水系第一調整水槽は、小笠原諸島農業生産基盤整備事業により、母島評議平に農業用水の貯水、減圧及び分水の機能をもつ水槽として平成十三年度に設置したものです。
 平成十四年十月の長雨後、盛土部の管理道路と水槽の間に隙間が認められたので、同年十一月から都として原因の調査を開始し、盛土の復旧工法もあわせて検討してきました。その過程で会計検査院の検査対象となったため、両者で原因を究明しているところです。
 早急に原因確定を行うとともに、責任の所在を明らかにし、適切に措置してまいります。

質問事項
六 社会福祉法人「西原樹林会」の補助金適正化法違反事件について、施設整備費等補助金の返還等についての方針、もしくは、返還が完了していると推測するが、現状がどうなっているのか、伺う。

回答
 都は、社会福祉法人西原樹林会に対して、運営の適正化に向けた指導を行い、同法人は、平成十五年三月三十一日に新理事及び監事による新たな役員体制を発足させました。
 また、平成十五年四月に東京高等裁判所における判決が確定したことを受けて、都としては施設整備費等補助金返還に向けた検討を進めるため、さいたま地方検察庁に対して押収品の還付を申請するとともに、訴訟記録の閲覧申請を行っています。

平成十五年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

 提出者 福士敬子

質問事項
 一 新銀行創設について

一 新銀行創設について
1 都は、新銀行設立に対し一千億円出資するという。都財政は逼迫し、当面年間三千億円以上の財源不足が見込まれている中で、新銀行へ出資すれば、その年は合計四千億円以上の財源を確保しなければならなくなるが、財源はどのように調達するのか。六月に出された「途半ばにある財政再建―第二次財政再建推進プランの策定に向けて―」で補助金の削減が進んでいないとある中、補助金の割合が高い福祉予算などが必要以上に削られる懸念を感じる。新銀行への出資に関する財源を明示していただきたい。
2 新銀行設立に際し、民業圧迫、すなわち、既存の信用金庫などいわゆる銀行の仕事を奪う意図はないという。しかし、都内の中小企業向け貸し出しが四十七兆円である中、都が想定している新銀行の貸出額五兆円はその一割以上に及ぶ。限られたパイを新銀行と既存金融機関が奪い合うような民業圧迫が、起きないといえるか。
3 まず都が行うべき大胆な環境整備とは、一千億円も出資し民業圧迫の可能性もある新銀行設立であろうか。むしろ、既存の銀行が中小企業への貸し出しを行いやすくするよう、中小企業への貸し出しに対する金融検査マニュアルの柔軟な適用などを金融庁や金融担当大臣、さらには総理大臣に強く主張し、都民・国民や中小企業のために国を動かすことであろう。これについて、都として今まで何を行い、どういう成果を得てきたのか。
4 一方、新銀行では、現在の金融検査マニュアルを柔軟に解釈した自行用のマニュアルに基づき、中小企業への融資を行うという。本来なら、そのマニュアルを公開して既存の金融機関でも使えるようにすることを、まず進めるべきではないのか。
5 新銀行設立の最大の目的は、中小企業支援であろう。そして、中小企業の技術力などの評価実務は、提携する信用金庫等に依存することになるであろう。それなら都はまず、「技術力などのある中小企業への融資に対して保証業務を行う」という企画を積極的に支援すればよいのであり、貸出・預金を行う銀行を設立する必然性はないと思うが、いかがか。
6 新銀行が集めた資金は、基本的に中小企業への融資にまわると考えてよいのか。すでに公開されている資料では、「高い信用力とグローバルな資金運用力を誇る」金融機関との提携があげられている。これらの金融機関へ資金が流れ、中小企業融資とは全く別の、例えば海外での運用などもあるのか。
7 統合ICカードなどITの利用は、預金者など顧客にメリットを感じさせ、資金を集められ、それを行う新銀行には利益が見込めるであろう。しかし、それは本来、民間でもできることである。行政は、そういう民間の銀行など企業が育つことを支援し、それらがしっかり収益を上げた後、そこから税を取ることにより歳入とするのが本筋であろう。なぜ、民間活力を高めるという方向性を出した都として、民間ができることに対して、都が過半を出資する銀行を設立する必要があるのか。
8 都以外の株主はどう決まるのか。また、新銀行には、株式公開、いわゆる上場についてどう考えているのか。もし上場すれば、株主である都は上場益を得られるが、同時に、都以外の株主も上場益を得る。都の信用力を使う新銀行から得られる利益が、オープンでない場で決まる株主にもいくなら、問題であるがどうか。
以上

平成十五年第二回都議会定例会
福士敬子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 新銀行創設について
1 都は、新銀行設立に対し一千億円出資するという。財源はどのように調達するのか。新銀行への出資に関する財源の明示について、伺う。

回答
 新銀行への出資の財源については、財政当局と調整の上、都議会への予算案の上程の際にお示しいたします。

質問事項
一の2 都内の中小企業向け貸し出しが四十七兆円である中、都が想定している新銀行の貸出額五兆円は、その一割に及ぶ。民業圧迫が起きないといえるか、伺う。

回答
 新銀行は、基本的に現状の金融システムの補完を目指すものであり、いたずらに混乱を引き起こそうとするものではありません。既存金融機関とは健全な競争関係を保ちつつも、協調関係を維持していきたいと考えております。

質問事項
一の3 既存の銀行が中小企業への貸し出しを行いやすくなるよう、都として今まで何を行い、どういう成果を得たのか、伺う。

回答
 都はこれまで国に対し、平成十三年度は「ベンチャー企業や創業者への資金調達の円滑化」等について、平成十四年度は「民事再生法等に基づいて再生を図る中小企業に対する融資制度の創設」や「売掛債権担保融資制度の改善」について提案要求を行ってきました。
 その結果、再生可能な企業に対する保証制度が創設されるとともに、売掛債権担保融資が契約段階においても利用可能となるなどの改善が図られました。
 平成十五年度は、六月に「金融検査マニュアルの適用については、資金調達の円滑化の観点から中小企業の経営実態に即した適切な運用を図ること。」を提案要求しました。

質問事項
一の4 新銀行では、現在の金融検査マニュアルを柔軟に解釈した自行用のマニュアルに基づき、中小企業への融資を行うという。本来なら、そのマニュアルを公開して既存の金融機関でも使えるようにすることを、まず進めるべきではないか。見解を伺う。

回答
 そもそも融資マニュアルは、金融機関にとって最も重要な戦略的ツールの一つであり、当該金融機関が自己責任原則の下、自主的に作成するものであります。したがって、マニュアルを公開して既存の金融機関でも使えるようにすることは、想定しておりません。

質問事項
一の5 新銀行設立の最大の目的が、中小企業支援なら都は、まず、「技術力などのある中小企業への融資に対して保証業務を行う」という企画を積極的に支援すればよいのであり、貸出・預金を行う銀行を設立する必然性はないと思うが、見解を伺う。

回答
 あくまで保証業務は、他の金融機関が行う融資に対する付随的なものに過ぎません。主体的かつ戦略的に融資を行い、生きた資金を中小企業に行き渡らせるためには、銀行を設立する必要があります。

質問事項
一の6 新銀行が集めた資金は、基本的に中小企業への融資にまわると考えてよいのか、伺う。提携する金融機関へ資金が流れ、例えば海外での運用などもあるのか、伺う。

回答
 新銀行においては、創設の目的に照らし、集めた資金をできる限り中小企業への融資に振り向けることを目指してまいります。
 なお、中小企業に生きた資金を提供するためには、十分な余剰を生み出すことが必要であり、そのため、信用力が高くグローバルな資金運用力を誇る外資系も含めた金融機関を積極的に活用してまいります。

質問事項
一の7 民間活力を高めるという方向性を出した都として、民間ができることに対して、都が過半を出資する銀行を設立する必要があるのか、伺う。

回答
 既存の銀行は十分な資金の供給ができず、その結果、技術力のある優れた中小企業が危機的状態に陥っています。
 このため、現場を熟知する都としては、中小企業からの切実な要望に応え、都民、国民が真に必要とする全く新しいタイプの銀行を創設する必要があると判断いたしました。

質問事項
一の8 都以外の株主は、どう決まるのか、伺う。また、新銀行には株式公開についてどう考えているのか、伺う。都の信用力を使う銀行から得られる利益が、オープンでない場で決まる株主にもいくなら問題であるが、見解を伺う。

回答
 都以外の株主構成等については、募集の方法等を含めて、現在、検討中であり、しかるべき時期に都議会にお示ししてまいります。
 また、株式公開については、将来の検討課題と考えております。

平成十五年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

 提出者 河野百合恵

質問事項
 一 DV防止対策について

一 DV防止対策について
 二〇〇一年十月十三日に「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(以下「DV防止法」)が施行されました。
 ドメスティックバイオレンス(DV)は、配偶者または親密な関係の男女間の暴力であり、被害者の多くは女性です。DVは個人の尊厳を侵し、男女の平等を妨げ、命に関わる事態を引き起こす重大な犯罪行為ですが、長年にわたって被害者救済が十分に行われてきませんでした。
 二〇〇一年の法律制定によって、国、地方自治体、司法、警察などの責務が明確になり、被害者が救済を申し立て、保護を受けるしくみが確立されました。ある自治体の担当者は「法律ができたことによって、被害防止にむけて自治体の果たすべきことがはっきりした。警察との関係でも被害者が保護を求めやすくなった。なにより、これまで長い間、我慢をすることを強いられてきた被害者(ほとんどが女性)に人権意識の高まりが生まれてきた」と感想を述べています。
 しかし、未だDV被害は深刻で、東京都に寄せられたDV相談は二〇〇一年度三千三百三十四件、二〇〇二年度七千三百件と二倍以上に増えています。また、二〇〇二年度の全国のDV相談件数のうち、東京の相談件数は一六・七%を占めています。
 七月一日に板橋区で、DV法によって妻に接近禁止の保護命令をうけていた男性が妻の知人を刺殺するという痛ましい事件が起こりました。DV被害根絶にむけて取り組みを強化することが急がれています。以下、東京都の努力を求めて質問します。
1 DV被害の相談は、東京ウィメンズプラザと東京都女性相談センターで受けています。その他、区市町村の女性センターや福祉事務所、民間のNPO法人などにも多数の相談が寄せられています。現在、東京都が発表している相談の件数はウィメンズプラザと都の女性相談センターで受けたものだけです。各区市町村やNPO法人に寄せられている相談状況の調査を行ない、DV被害の実態を総合的に把握し、DV根絶の施策構築に活かすべきです。実態調査の実施について東京都のお考えを示してください。答弁を求めます。
2 東京都は、二〇〇二年度から担当職員を増やすなど「配偶者暴力相談支援センター事業」を強化しました。しかし、電話相談は「混み合っていてつながらない」ということがしばしばあるのが現状です。これでは、勇気をだして電話をかけた人が相談を諦めてしまうことにもなりかねません。DV被害は緊急を要することがあります。いつでも、被害者の拠り所になれることが必要です。相談体制をさらに強化するようもとめるものですが、お答えください。
3 DV被害者の保護は国と自治体の責務です。DV防止法が施行されたにもかかわらず、DVから逃れて身を隠すための一時保護所(シェルター)が不足していることが指摘されています。被害件数の増加に見合った施設の増設が求められていますが、増設にむけての東京都の見解をお示しください。
4 現在、都内では十六の法人が民間シェルターを運営しているとのことです。被害者は着の身着のままで避難してくることもあり、経済力が乏しくて、シェルターの入所費用の負担もままならないのが実情です。そのために、民間シェルターが費用負担を肩代わりせざるをえず、国や都の財政支援も十分でないことから、結局、法人への寄付金を主な財源として苦しい施設運営をしている例が少なくありません。「国や自治体が民間シェルターの運営について財政支援を強めて欲しい」との要望強まっています。
  ところが、国は今年度、補助の仕組みを一部変更し民間シェルターへの補助金を減額しました。あるシェルターでは「スタッフを一名減らすことになった」と国に対して批判を表明しています。東京都として国に対し、民間シェルターへの支援を強めるよう要請していただくことを求めます。答弁をお願いします。
5 東京都が行なっている民間シェルターへの支援は二施設あり、地域福祉振興基金で行なっている三施設への支援と合わせても五施設にとどまっています。都内の民間シェルターの運営実態を把握し、適切に支援を強める必要があると考えます。また、入所者の費用負担軽減策について、検討・実施することを求めます。合わせて、お答えください。
6 DV被害者が急を要して避難して来た場合、一時的な宿泊について費用負担の制度を設けている自治体があります。都としてもこのような制度を確立することが求められていると考えますがいかがでしょうか。お答えください。
7 DV被害者は自らの所在や氏名を明らかにすることが困難な立場におかれています。そのために、自立を志しても住居を定めること自体が容易ではありません。民間アパートなどは入居の際、保証人が必要ですが、適切な人を依頼できない場合が少なくありません。こうした問題を改善していくための東京都の支援策が必要です。DV被害者が保証人をたてなくても借家・借間の契約ができるような施策の検討を求めます。お答えください。
8 北海道では、DV被害者が、離婚成立前でも母子世帯向けの道営住宅に入居できるように対策を講じています。東京都としても都営住宅への入居ができるような対策をとることは可能と考えますが、いかがでしょうか。答弁をもとめます。
9 DV法は「施行後三年を目途に改正を行なう」とされています。板橋区でおきた事件が示すように、以前から指摘されてきた被害者の近親者(親、子、親戚、知人など)についても保護命令の対象範囲を広げていく検討が急がれます。東京都として、この点について国に強く要望を行うよう求めますが、いかがでしょうか。
10 昨年一月、東京都が策定した「男女平等参画のための東京都行動計画」(チャンス・アンド・サポート東京プラン二〇〇二)に、DVの「加害者である男性も社会のひずみの犠牲者である場合が多い」と記されています。実際、各自治体の女性センターには、被害者と連絡がとれなくなって戸惑っている男性の相談が寄せられています。こうした男性へのケアについて適切な対策を行なっていくことが、DV根絶のために重要になっています。カウンセリングの実施など、都としての施策の検討を求めます。お考えを示してください。

平成十五年第二回都議会定例会
河野百合恵議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 DV防止対策について
1 都が発表しているDV被害の相談件数は、ウィメンズプラザと女性相談センターで受けたものだけである。各区市町村やNPO法人に寄せられている相談状況の調査を行い、DV被害の実態を総合的に把握し、DV根絶の施策構築に活かすべきである。実態調査の実施について都の考えを伺う。

回答
 DV被害に関する相談は、配偶者暴力相談支援センター機能を担う東京都だけではなく、区市町村の女性センターや福祉事務所など、様々な関係機関で実施されています。
 このため、都では、区市町村の相談窓口や支援関係機関の実態把握のための調査を実施しているところであり、これらの調査結果も踏まえ、今後の配偶者暴力対策のあり方について検討を行っていきます。

質問事項
一の2 都は、配偶者暴力相談支援センター事業を強化したが、電話相談がつながらないことがしばしばある。相談体制をさらに強化するようもとめるが、見解を伺う。

回答
 都では、平成十四年度から、相談体制を拡充するとともに、東京ウィメンズプラザと東京都女性相談センターとの連携を図り、配偶者暴力相談支援センター業務を実施しています。
 同時に区市町村の相談員等に対する研修を実施し、区市町村とも連携した相談体制の強化を図ることにより、様々な状況にある被害者からの相談に対応できるよう努めています。

質問事項
一の3 被害件数の増加に見合った一時保護所(シェルター)の増設が求められているが、増設に向けての都の見解を伺う。

回答
 配偶者暴力被害者の一時保護は、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の施行に伴い、平成十四年四月から厚生労働大臣が定める基準を満たす施設に委託して実施することができるようになりました。
 都は、既に女性相談センターで実施している一時保護に加え、新たに四か所の施設で一時保護委託を実施し、受入枠の確保に努めています。

質問事項
一の4 国は今年度、補助の仕組みを変更し、民間シェルターへの補助金を減額した。国に対し、民間シェルターへの支援を強めるように要請することを求める。見解を伺う。

回答
 国は、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の施行に伴い、平成十四年度から配偶者暴力被害者の一時保護委託制度を開始しました。
 平成十五年度から一時保護委託に係る国の基準単価が引き下げられたことについては、物価の下落等が反映されたものと理解しています。

質問事項
一の5 都内の民間シェルターの運営実態を把握し、適切に支援を強める必要があると考える。また、入所者の費用負担軽減策について、検討・実施することを求める。併せて、見解を伺う。

回答
 民間シェルターは、いずれも独自の運営方針に基づき活動しており、運営の実態も様々です。
 都は、配偶者暴力被害者の一時的な宿泊など緊急の一時保護について、女性相談センター等において実施しており、この場合は入所者の費用負担はありません。

質問事項
一の6 DV被害者の一時的な宿泊についての費用負担の制度を設けている自治体がある。都もこのような制度を確立することが求められていると考えるが、見解を伺う。

回答
 都は、配偶者暴力被害者の一時的な宿泊など緊急の一時保護について、女性相談センターの一時保護所等において、適切に行っています。
 また、既に平成十二年度から、緊急一時保護ホテル宿泊費助成事業を実施している区市町村に対し、補助を行っています。

質問事項
一の7 DV被害者が、保証人を立てなくても借家・借間の契約ができるような施策の検討を求める。

回答
 DV被害者が自立するに当たって、住居の確保は重要な問題の一つと考えています。今後とも、都として、情報の提供などに努めていきます。

質問事項
一の8 北海道では、DV被害者が離婚成立前でも母子世帯向けの道営住宅に入居できる対策を講じている。都としても都営住宅への入居ができるような対策をとることは可能と考えるが、見解を伺う。

回答
 DV被害者については、離婚成立前でも、福祉事務所長の証明等により、婚姻関係の事実上の破綻が確認できれば、母子世帯として都営住宅への入居資格を認めています。

質問事項
一の9 DV被害者の近親者についても保護命令の対象範囲を拡げていく検討が急がれる。都として、国に強く法改正の要望を行うよう求めるが、見解を伺う。

回答
 DV被害者の保護とともに、被害者が同伴する子どもや親族の安全確保は重要な課題です。
 このため、都においては、配偶者暴力防止法の見直しに当たって、保護命令制度の対象の拡大など必要な方策が講じられるよう、国に対し提案要求を行ったところです。今後も、適切な対応が行われるよう、引き続き国に働きかけてまいります。

質問事項
一の10 加害者男性へのケアについて適切な対策を行っていくことが、DV根絶のために重要になっている。カウンセリングの実施など、都として施策の検討を求める。見解を伺う。

回答
 配偶者暴力の防止には、加害者対策が不可欠であることから、現在、東京ウィメンズプラザで実施している「男性のための悩み相談」において、DV加害行為に悩む男性からの相談にも対応しています。
 今後、さらに、加害者対策のあり方について検討してまいります。

平成十五年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

 提出者 清水ひで子

質問事項
 一 子育て支援・少子化対策について

一 子育て支援・少子化対策について
 まず在宅での子育て支援について伺います。
 核家族化がすすみ、ひとりで子育てをしている母親たちは、同じようなお母さんたちと知り合いたい、ほんの少しでも気分転換したい、自分の時間を持ちたい、子育てしながらでも勉強したい、そんな気持ちを強く持っています。
 そういう中で、「在宅で子育てしている親は、共働きより子育てに自信がなく、負担を感じている比率が高い」との調査結果もあります。増え続けている児童虐待の理由も、「経済的問題」に次いで、「近隣からの孤立」となっており、ひとりで子育てしている母親の状況が、深刻になっていることがうかがえます。
 このように、在宅での子育て支援をつよめることは、東京都が取り組むべき緊急の課題となっています。
  中でも、多くの方から共通して出される切実な要望は、一時保育の充実です。
 〇一年度の実績では、一時保育事業は、三十三区市町で実施されていますが、保育園の空きを利用する場合が多いため枠が狭く、「保護者の疾病、出産、看護等」理由が限定されている場合が多いなど、利用しにくい現状があります。
1 毎日毎日の子育てに追われ疲れてしまう、少し気分転換したい、あるいはスポーツがしたい、趣味の講座に通いたい、そんな時にも理由を問わず気軽に利用できて、リフレッシュしてまた元気に子育てに取り組むことができるような一時保育の受け皿を、抜本的に拡充する必要があると思いますが、どうですか。
  私は八王子市の多摩ニュータウンで一時保育を実施している私立保育園にお聞きしましたが、気分転換や、学校の行事などの理由による利用が大幅に増えているとのことでした。園長さんは、「一時保育でとくに気をつけていることは、子どもが集団生活に慣れていないため家庭と同じような保育が必要であり、ぎりぎりの補助でやっているため、園としては利益を期待したらできない。しかし若い母親たちが必要としているので一生懸命実施している」と話されていました。
2 また、0歳児の一時保育を受け入れているのは、十一区十五市一町にとどまっています。母親がいちばん育児に悩み、孤立しやすく、少しの気分転換でも切実に望むのは、子どもが0歳の時ですが、その受け入れが進まないのは、施設面と人員で、とりわけ困難が大きいからです。
  0歳児の受け入れをひろげるためにも、一時保育に取り組む施設への支援をつよめ、実施しやすい条件整備を進めることを求めるものです。
3 さらに、保育園だけでなく、乳児院や母子生活支援施設、児童養護施設を活用し、地域の子育て支援機能を強化して、一時保育やショートステイ(宿泊型一時保育)、トワイライトステイ(夜間一時保育)などの取り組みをひろげることが重要ではないですか。見解を伺います。
4 文化施設や社会教育施設などの都立施設で、子育て世帯が利用しやすい条件整備を進める一環として保育ルームを設置し一時保育を実施することは、都がやる気になればすぐにもできることです。都民が必要としていることにこたえる重要な課題だと思いますが、いかがですか。
5 在宅での子育て支援のために、子ども家庭支援センターの設置促進も重要です。
  先日、私は八王子市子育て支援センターを訪ねました。この施設では、親子ふれあい広場、子育て学習会、子育て相談室、子育て支援情報などの事業を行い、子どもを遊ばせながら親たちが交流し、ひとりで悩んでいる親の手助けをしています。訪ねた時にはちょうど、親子ふれあい広場で、七夕の飾りを作っていました。作業をしながら、子どもたちが年齢の違いをこえていっしょに遊び、親同士がおしゃべりに花を咲かせていました。案内してくれた方は、「みなさん、いま穏やかな顔をしていますが、この中には不安や悩みを抱えてくる人もいます。ここに来て少しずつ心を開いているのです。やがて子育てサークルをつくり、あるいは既存のサークルを紹介して仲間をつくり、ひとりぼっちの親をなくしています」と語っていました。若い母親にとって、心強い場所です。しかし、八王子市に一カ所しかありません。もっと身近な場所につくっていけば、楽しい子育ての輪がさらにひろがるのではないでしょうか。
  これまでの全区市町村に一カ所という子ども家庭支援センター整備の目標を早期に達成するとともに、すでに二カ所目が整備され三カ所目が課題になっている自治体もある中で、人口十万人に一カ所、都内百二十カ所ていどの新たな整備計画をつくり、支援を充実する必要があると思いますが、いかがですか。
6 乳幼児医療費助成制度の拡充も、子育て支援の重要課題です。
  私が繰り返し提案してきた所得制限の撤廃とともに、二十三区では、対象年齢を就学前からさらに引き上げてほしいとの要望が高まっています。所得制限をなくし、当面、小学校三年生までの対象年齢拡大に、ぜひ足を踏み出していただきたい。答弁を求めます。
7 最後に、不妊治療への支援です。
  子どもがほしいのに不妊が原因で子どもができない男女が、不妊治療を受けるケースが増えています。経済的負担が大きく、課題となってきましたが、最近、経済的支援に踏み出す自治体が次々に出てきました。朝日新聞の調査によれば、十六県の五十一市町村が実施しています。その多くが、少子化対策の一環として位置づけています。
  さらに県レベルでも、大分県が、不妊治療を受けた人への医療費助成を今年八月から始めると発表しました。人工授精、体外受精、顕微鏡受精の三種が対象となり、三種類すべてを対象にするのは全国初とのことです。京都府、富山県、佐賀県も、不妊治療に対する助成を実施する方針を打ち出しています。
  子どもをもちたい男女を支援する不妊治療への医療費助成に、東京都も踏み切るべきです。見解を伺います。

平成十五年第二回都議会定例会
清水ひで子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 子育て支援、少子化対策について
1 理由を問わず気軽に利用できて、リフレッシュしてまた元気に子育てに取り組むことができるような、一時保育の受け皿を抜本的に拡充する必要があると思うが、見解を伺う。

回答
 一時保育は、区市町村が実施主体となって、在宅で子どもを育てている保護者の傷病、出産、育児疲れの解消や断続的勤務・短時間勤務などの一時的な保育に対する需要に応えるものです。
 都はこれまで、経費補助等により、区市町村に対する支援を行っており、実施保育所等の箇所数は、平成十四年度末現在、三十七区市町、二百七十七か所に達しています。

質問事項
一の2 0歳児の一時保育を受け入れているのは、十一区十五市一町にとどまっている。0歳児の受け入れをひろげるためにも、一時保育に取り組む施設の支援をつよめ、実施しやすい条件整備を進めることを求める。見解を伺う。

回答
 0歳児を含めて、一時保育の実施に当たっては、一定の実施条件を満たす必要がありますが、施設面では、保育所の空き部屋・空きスペース及び児童館の空き部屋等での実施、人員面では、非常勤職員の活用ができるなど、弾力的な運営が可能となっています。
 今後とも、事業の実施主体である区市町村の創意工夫を凝らした取組を支援していきます。

質問事項
一の3 保育園だけでなく、乳児院や母子生活支援施設、児童養護施設を活用し、地域の子育て支援機能を強化して、一時保育やショートステイ、トワイライトステイなどの取組みをひろげることが重要ではないか。見解を伺う。

回答
 都は、在宅で子育てをしている家庭を支援するため、区市町村を実施主体とする子ども家庭在宅サービス事業を推進しています。
 ショートステイやトワイライトステイの実施については、既に乳児院や母子生活支援施設、児童養護施設の活用を行っています。

質問事項
一の4 文化施設や社会教育施設などの都立施設で、保育ルームを設置し、一時保育を実施することは、都がやる気になればすぐにできる。都民が必要としていることにこたえる重要な課題だと思うが、見解を伺う。

回答
 一時保育は、区市町村が実施主体となって、在宅で子どもを育てている保護者の傷病、出産、育児疲れの解消や断続的勤務・短時間勤務などの一時的な保育に対する需要に応えるものであり、公共施設等における託児施設の整備とは性格の異なるものです。
 都立施設で多数の人が集まる催しの際の託児サービスについては、主催者が必要に応じて適切に対応すべきものと考えます。

質問事項
一の5 全区市町村に一カ所という、子ども家庭支援センター整備の目標を早期に達成するとともに、人口十万人に一カ所、都内百二十カ所程度の新たな整備計画をつくり、支援を充実する必要があると思うが、見解を伺う。

回答
 区市町村が実施主体である子ども家庭支援センターは、地域の子育てを支える総合的な拠点であり、都としては、平成十六年度までに全区市町村への設置を進める方針です。現在、子ども家庭支援センターは、三十六区市町、四十三か所で設置、運営されており、今後とも、その設置が促進されるよう、区市町村を支援していきます。
 また、平成十五年度には、新たに児童相談所とともに虐待防止の機能を担う先駆型子ども家庭支援センターの設置を進めるなど、地域の子育てを支える総合的な拠点としての機能の充実を図っています。

質問事項
一の6 乳幼児医療費助成制度について、所得制限をなくし、当面、小学校三年生までの対象年齢拡大に、ぜひ足を踏み出していただきたい。見解を伺う。

回答
 乳幼児医療費助成制度における所得制限については、これまでも子育て家庭の経済的負担に配慮して緩和を図ってきましたが、本制度が子育て家庭への経済的支援策であること、また、老人、心身障害者及びひとり親家庭に対する各医療費助成制度において所得制限を設けていることとの均衡から、一定の所得制限は必要であると考えています。
 また、対象年齢については、平成十三年十月に小学校就学前まで拡大しており、小学校三年生までの対象年齢拡大は考えておりません。

質問事項
一の7 不妊治療への医療費助成に、都も踏み切るべきだが、見解を伺う。

回答
 不妊治療については、現在、国において、次世代育成支援の一環として、その倫理面・技術面、体制整備、経済的支援などの課題について検討しています。
 都としては、不妊治療への医療費助成については、国の動向を慎重に見極めながら検討すべき課題と認識しています。

平成十五年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

 提出者 古館和憲

質問事項
 一 都立老人医療センターと豊島病院との統合・民営化の根本的再検討について
 二 環状八号道路建設計画における東武東上線トンネル、若木~相生町の環境対策について
 三 後楽園・東京ドームでの競輪開催について

一 都立老人医療センターと豊島病院との統合・民営化の根本的再検討について
 東京都は、〇一年十二月に発表した「都立病院改革マスタープラン」に基づいて都立老人医療センターと豊島病院を統合し民営化する計画を進めています。しかし、この計画に「異議あり」「納得できない」という声は、地元板橋区では、区長、区議会だけではなく、医師会や多くの区民に共通の認識となっています。
 この六月十六日には、板橋区長が石原知事に対し、要望書を提出。「統合・民営化の都の方針により、板橋区内の医療水準の低下や地域医療連携の後退を招くのではないかと多くの板橋区民が危惧しております」と述べ、「高齢者専門の高度・先進医療への取組で名高い老人医療センターについて、豊島病院とは切り離し現在の医療機能を存続される方向で検討し、区民の不安を解消していただくよう強く要望」しました。
 また、続いて六月二十五日には、板橋区議会の議長、副議長、および各会派幹事長が、都議会議長に対し要望書を直接手渡しました。これには、私も含め、地元板橋区選出の都議会議員全員が同席しています。この要望書は、次のように述べています。
 「老人医療センターは、明治五年の養育院創立以来、一世紀以上にわたる歴史的な取り組みをへて、医療と福祉が連携された全人的・包括的な高齢者の専門医療機関として今日に至っております。また、併設されている老人総合研究所、及び板橋ナーシングホームは、老人医療センターと連携しつつ、様々な研究や先駆的事業に取り組んできました。豊島病院と老人医療センターを統合・民営化する都の方針は、医療機関としての規模の縮小や医療水準の低下が少なからず危惧されます。他方、平成十四年六月に発表された『都立福祉施設改革推進委員会』の報告の中では、ナーシングホームの廃止を示唆する方針も出されており、板橋区民も大変不安視しています」「老人医療センターの運営については、老人総合研究所、及び板橋ナーシングホームと連携した一体の施設として、今後も都の運営で存続されるよう、貴議会より強く働きかけていただくことを要請します。引き続き、現行の高度な医療水準を維持し、地域医療の連携、高齢者の医療と福祉の連携が損なわれることのないよう、切に要望いたします」。
1 東京都は、このような党派をこえた切実な要望を受け止め、老人医療センターは都立直営で存続し、現行の医療水準、地域との連携をはじめとした医療機能、および全人的・包括的医療を堅持することを、直ちに明確にすべきです。
2 そして統合・民営化計画そのものを白紙に戻し、豊島病院については、都立直営で存続することも含めて一から検討し直し、地域住民の要求に基づく改革を進めるよう求めるものです。見解を伺います。
3 豊島病院について、板橋区は区移管の可能性について検討を進めていますが、区の財政力で現行の医療水準と医療機能を維持することはできません。そのことを、都はどう認識しているのですか。
  もともと、都のまったく道理のない統合・民営化計画により端を発した問題であり、板橋区民に重い財政負担をともなう苦渋の選択を強いることは許されません。
4 たとえば、豊島病院の精神科救急は、都立松沢病院、都立墨東病院に続いてようやく開設された二十三区内第三の、なくてはならない拠点施設であり、都の責任で豊島病院において継続すべきものと考えますが、見解を伺います。
5 感染症医療も、都の責任で継続すべき行政的医療です。しかも、世界的に大きな問題となっている新型肺炎SARSへの対応で、きわめて重要な役割が求められています。ところが都の統合・民営化計画では、豊島病院の感染症指定医療機関としての機能は、他の都立病院に移転することとされています。そんなことになれば、板橋区はもとより、人口実に百七十余万人を擁する区西北部二次保険医療圏で、SARSに対応できる感染症病床は空白となってしまいます。これではSARS対策に逆行するのではないですか。豊島病院は、一八九八年(明治三十一年)に伝染病院として開設されて以来、百年をこえる感染症医療の歴史と実績があります。SARSに対するきびしい警戒体制を今後も継続する必要があるこの大事な時に、豊島病院の感染症医療の灯を消すようなことは絶対にあってはなりません。都の責任で継続すべきと考えますが、答弁を求めます。
二 環状八号道路建設計画における東武東上線トンネル、若木~相生町の環境対策について
1 東武東上線トンネルから板橋区若木そして相生町へと、環状八号道路の建設工事が今後本格的にはじまろうとしています。武蔵野の自然林が存在する緑豊かで静寂なところへの道路建設に対して、地元住民は、「今の環境を極力守ってほしい」と願い、「環八道路から住民の暮らしと環境を守る会」(環八の会)を結成し、都や区に環境をまもるための諸施策をそのつど精力的に提案し、実現する活動をすすめてきています。
  地域住民の要望が喫緊の一つとして求めているのが、六百メートル、四車線の東上線トンネルの排出ガスを浄化する問題です。
  「東上線トンネルの排出ガス除去を」の地域住民の要望に対して、都建設局は「電気集塵機を設置して浮遊粒子状物質は除去するが、二酸化窒素は技術的に除去できないので、高さ四十五メートルの換気塔をつくり上空に拡散する」との説明をくりかえしてきました。
  ところが、国土交通省などが平成四年から首都高速道路湾岸線空港北トンネル京浜島換気所で、二酸化窒素と浮遊粒子状物質を除去する低濃度脱硝技術の開発をすすめ、すでに十一年度には除去率八〇%以上を達成するまでになっていて、近く実用化が可能な段階にきているとのことです。ここには、私の紹介で、「環八の会」が現地を視察・見学して、担当者からも説明をうけています。
  この二酸化窒素の除去の技術開発については、去る六月十三日の板橋区議会でも石塚板橋区長が、わが党区議の質問に応えて、「低濃度脱硝技術が開発されていますので、その導入についても検討が進められると聞いております。今後、この設備導入について東京都に要望してまいりたいと思っております」と答弁するところとなっています。
  ところが、東京都建設局も第四建設事務所も、「二酸化窒素は除去できない」との回答を「環八の会」に繰り返すだけで、本年一月二十三日に行われた「環八の会」と都建設局との交渉で「首都高が二酸化窒素の除去装置を開発しているとのことで、調査を」求めたことに対して、「四建から回答します」としていながら、いまなお「環八の会」に調査結果の報告はないとのことです。
  そこで、おたずねしますが第一に、都建設局・四建が、国土交通省、首都高などが、二酸化窒素の除去装置の開発に取り組んでいることを承知しているのか。知っているとすれば、その時期はいつか、また、なぜいまだに調査結果の報告がないのか、明らかにしていただきたい。
2 第二に、この低濃度脱硝装置の開発・実用化のメドがたってきていることを板橋区長も認知しており、都に要望することを表明しています。この技術を東上線トンネルに、まず導入すべきではありませんか。
3 この環八の道路用地内の板橋区西台公園に隣接する自然林の敷地内に、キンランが自生しており、今年も可憐な花を咲かせました。四月二十八日の都の調査では十四株の群落が確認されました。キンランは、ラン科の多年草で、環境省レッドデーターブックによる絶滅危惧Ⅱ類に指定されている貴重な植物です。地元の住民は、キンランが発見された昨年から、現地での保存を強く求めてきています。今年六月十日には二千二百六人の署名をそえた要望書が、都知事に提出されてもいます。
  キンランが自生している場所は、環八道路用地内とはいえ、幸い道路そのものにはかからず、緑化ブロックが予定されているところであり、工夫すれば現状での保存は可能と思われます。ところが、都建設局、四建はキンラン保護のために真剣に研究・工夫をするのではなく、移植でことをすまそうと考えているようです。
  去る六月十三日の板橋区議会本会議で、わが党議員の質問に板橋区長が答えた内容は「東京都の報告によりますと、西台公園付近の九箇所でキンランの生育を確認したため、擁壁の構造を一部変更して、このうちの五箇所程度を現地保存していく予定であり、また現地保存できないものについては、専門家の意見を聞きながら移植をしていくとのことだ」と答弁しました。
  この東京都の「報告」が事実であれば、都は昨年と同じ過ちを繰り返すことになります。昨年の六月、都四建は、キンラン保存を求める住民の声や移植で成功した前例がないという専門家の忠告を無視し、突如としてキンラン全株を都立赤塚公園に移植するという挙にでました。当日は、住民の激しい抗議の結果、「実験的に五株を移植する」ことになり、結果は、移植した全てが育ちませんでした。もし、全株移植という都の軽率で無責任なやり方が通っていたら、キンランは絶滅の危険にさらされていたことでしょう。
  そこで質問します。第一、キンランが自生しているところは道路そのものにはかからず、緑化ブロックが予定されているところであり、創意工夫をこらしてキンランの保存に努めていただきたい。
4 第二に、若木~相生地域は、とりわけ武蔵野自然林が存在していた地域であり、そこに新しく幹線道路建設をすすめる計画なのですから、板橋区はもちろんのこと地域住民の意向が十分に反映されるように特段の配慮が必要だと考えるが、見解を求めます。
三 後楽園・東京ドームでの競輪開催について
1 石原知事は、今定例会の所信表明で、「都市型の新しいエンターテイメントの試みとして、東京ドームの施設を活用した競輪を開始したい」と、後楽園での競輪の復活を公然と表明しました。
  そもそも、後楽園における競輪は、一九七三年、当時のギャンブル廃止を求める世論と地元文京区および地元住民などのつよい廃止要求にもとづいて、廃止されたものです。
  競輪廃止にあたっては、東京都は、事業者である当時の後楽園スタジアムと、「昭和四十八年四月一日以降、施工者の如何をとわず、後楽園競輪場を自転車競技場の用に供してはならない」という協定をむすんだうえで、九十七億円の無利子融資をおこない、その後、後楽園競輪は再開しないことを明確な方針としてきました。
  当然、地元区、住民をはじめおおくの都民は、後楽園の競輪は過去のものとして理解してきたのです。
  こうしたもとで突然、知事が競輪復活を表明したことに対して、地元区、住民から怒りの声があげられるのは当然です。
  煙山力文京区長は、知事の所信表明のあった当日、緊急会見を開き、「三十年前に廃止した競輪復活とは時代錯誤」であるとして、きびしく批判するとともに断固反対を表明しました。文京区議会も、議長名で「東京ドームにおける公営競輪復活に反対する要請書」を都知事宛に提出するとしています。地元町会でも、「何をいまさら競輪だ」「三十年前への逆戻りはごめんだ」など、断固反対の態度を表明しています。日本共産党も、文京区議団、区民とともに、都に対して、競輪復活しないよう申し入れをおこないました。
  また、競輪復活反対の運動をすすめてきた「後楽園競輪復活反対文京区民集会実行委員会」の代表は、「当時は、父親がギャンブルにのめり込んだ末の心中騒動など、悲惨なことがあった」「学校も近くにあるし、子どもたちの教育に悪い」として、再開に絶対反対を表明しています。同会が二〇〇〇年におこなった世論調査では、回答者の九割が反対と答えています。
  ところが、知事は、こうした声を無視するだけでなく、本会議答弁で、「地元の区長さんの意向というものが、必ずしも地元のおおくの区民の方々の声を代表しているかどうか」と、競輪復活に反対の態度をとっているのは区長だけであって、区民や区議会はそうでないという主旨の発言をおこないました。その後の記者会見でも同趣旨の発言をおこないました。
  しかし、事実は、紹介したように、区長も区議会も区民もあげて反対しており、知事の事実をまげた発言に、地元関係者は、あらためて怒りをつよくしているのです。
  知事、あたかも区長だけが反対しているという発言は取り消し、文京区、同区議会、地元住民に謝罪すべきではありませんか。見解をもとめます。
2 知事はまた、「これまでの常識を覆す、若者や女性も楽しめる斬新でスマートな競輪を目指し、賭け事という古いイメージを打ち破っていきたい」とも述べました。
  現在、後楽園東京ドームは、子ども連れもふくめた野球ファンで賑わい、また、後楽園遊園地は、子どもや若者などおおくの人が訪れる有数のアミューズメント施設となっており、そこにギャンブル・競輪が設置されたらどうなるのか。知事は、意識的に、競輪をはじめとするギャンブルの弊害に目をつむろうとしていますが、現実を直視すべきではありませんか。
  すでに日本は公営ギャンブルにくわえ、パチンコなどギャンブル大国といわれるほどに、ギャンブルが蔓延し、その弊害が顕著に表れています。ギャンブル依存症になり、借金を重ね、職や社会的地位をうしない、さらには家庭崩壊にまでいたる例はおおく報告されています。また、ギャンブル依存症は「心の病」として、本人はおよばず家族にも被害を及ぼしています。
  実際に、後楽園競輪が実施されていた当時には、こうした被害に苦しむ都民が少なくなかったのです。現在でも、後楽園南側につくれられた場外馬券売り場の周辺は、競馬開催時には異様な雰囲気となっています。青少年への影響の点でも、すくなくない青少年が馬券を買い、中学生・高校生の補導は千件を超えるにいたっています。
  知事、ギャンブルの弊害について、どう認識しているのですか。見解を伺います。
3 また、後楽園の東京ドームは、都市計画公園内の施設であるため、ギャンブル施設は認められていません。そのため、建設にあたって、将来にわたって、競輪施設をつくらないことを条件で、都市計画法第五十九条第四項の規定にもとづく都知事の特別許可事業として認められた経過があります。
  知事は、法律を破ってまで競輪を復活させようと言うのですか。答弁をもとめます。
4 都は、競輪復活の狙いとして、経済効果や都税収入などあげています。しかし、社会的弊害のおおきいギャンブルに経済効果や税収効果を期待するのは邪道といわなければなりません。
  おこなうべきは、東京都の経済を支えている中小企業の復活のための強力な支援であり、都の財源の問題で言えば、都が負担する必要のない首都高速道路公団への出資・貸付金や国直轄事業負担金などを見直すことで、都が期待している税収程度はまかなうことは十分可能です。
  以上、あきらかにしたように、知事の後楽園競輪復活は、都民的合意もなく、道理にも説得力にも欠ける理不尽なものといわざるを得ません。撤回すべきですが、答弁をもとめます。

平成十五年第二回都議会定例会
古館和憲議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 都立老人医療センターと豊島病院との統合・民営化の根本的再検討について
1 都は、板橋区長、区議会、医師会、多くの区民の切実な要望を受け止め、老人医療センターは、都立直営で存続し、現行の医療水準、医療機能、および全人的・包括的医療を堅持することを直ちに明確にすべきだが、見解を伺う。

回答
 老人医療センターの改革については、平成十三年十二月策定の都立病院改革マスタープラン及び平成十五年一月策定の都立病院改革実行プログラムに基づき、着実に進めてまいります。
 なお、板橋区における豊島病院の区立病院化に関する検討の動向にも留意しつつ、老人医療センターと豊島病院の再編整備について引き続き検討を行っていきます。

質問事項
一の2 統合・民営化計画そのものを白紙に戻し、豊島病院については、都立直営で存続することも含めて検討し直し、地域住民の要求に基づく改革を進めるよう求める。見解を伺う。

回答
 豊島病院の改革については、平成十三年十二月策定の都立病院改革マスタープラン及び平成十五年一月策定の都立病院改革実行プログラムに基づき、着実に進めてまいります。
 なお、現在、板橋区において豊島病院を区立病院化することについて一定の方向性が示されているところですが、こうした区の動向にも留意しつつ、豊島病院と老人医療センターの再編整備について引き続き検討を行っていきます。

質問事項
一の3 豊島病院について、板橋区は区移管の検討を進めているが、区の財政力で現行の医療水準と医療機能を維持することはできない。都は、どう認識しているのか。見解を伺う。

回答
 平成十四年九月に板橋区がとりまとめた「区立病院の目指す基本的な方向について 中間報告」においては、「区民のための地域医療の中核病院を目指す」との基本方針のもと、今後、都とは「課題である土地、建物等財産の取扱いなどについてさらに協議を進めていく」としております。
 都としては今後、こうした区の意向を尊重しながら、検討を進めてまいります。

質問事項
一の4 豊島病院の精神科救急は、二十三区内第三のなくてはならない拠点施設であり、都の責任で豊島病院において継続すべきものと考える。見解を伺う。

回答
 豊島病院が担っております精神科救急については、都における精神科救急医療体制の確保の観点から、今後、関係局間で十分検討してまいります。

質問事項
一の5 都の統合・民営化計画では、豊島病院の感染症指定医療機関としての機能は移転することとされ、区西北部二次保険医療圏で、感染症病床は空白となる。豊島病院の感染症医療は、都の責任で継続すべきと考える。見解を伺う。

回答
 豊島病院が担っております感染症医療については、都における感染症医療体制の確保の観点から、今後、関係局間で十分検討してまいります。

質問事項
二 環状八号線建設計画における東武東上線トンネル、若木~相生町の環境対策について
1 建設局第四建設事務所は、国土交通省、首都高などが二酸化窒素の除去装置の開発に取り組んでいることを承知しているのか。その時期はいつか。なぜ調査結果の報告がないのか、伺う。

回答
 低濃度脱硝装置の開発については、国土交通省、首都高速道路公団などが、平成四年から平成六年にかけて首都高速湾岸線大井換気所でフィールド実験を実施し、平成九年からは首都高速湾岸線京浜島換気所でパイロットスケール実験に取り組んでいます。
 国土交通省よると、浮遊粒子状物質と二酸化窒素の除去装置を十九分の一スケールのモデルで、二通りの方法により実験中であります。
 二酸化窒素については、一日平均値で九割以上が除去できるデータとなっていますが、今後の実用化に向けては、設置スペースや建設コスト等について、現在、低濃度脱硝技術についての評価委員会の中で検討していると聞いています。

質問事項
二の2 低濃度脱硝装置の技術を東上線トンネルにまず導入すべきだが、見解を伺う。

回答
 東武東上線のトンネル部については、当初、堀割構造であったものを地元からの強い要望を受け、平成九年にトンネル構造に変更しました。その際、東京都環境影響評価条例に基づいて必要な調査を行い、窒素酸化物については、換気塔から上空に排出・拡散させることで、その予測値は環境基準以下となっています。
 都としては、環境確保条例に基づくディーゼル車の走行規制をはじめ、各種発生源対策が重要であると考えており、現段階で開発途上である低濃度脱硝装置を設置することは考えていません。

質問事項
二の3 板橋区西台公園付近のキンランが自生しているところは、道路そのものにはかからず、緑化ブロックが予定されているところであり、創意工夫をこらしてキンランの保存に努めていただきたい。見解を伺う。

回答
 西台公園付近で確認されたキンランは、極力、現状のまま保存できるよう、該当する区域の擁壁を緑化ブロック積擁壁から直立擁壁に変更します。
 また、道路にかかるため保存できないキンランについては、専門家の意見を参考にしながら、現状の生育環境に近い、近隣の都有地へ移植しました。
 今後、移植先のキンランについては、地元の方々とも連携をとり、適切な保護を図っていきます。

質問事項
二の4 若木~相生地域は、武蔵野自然林が存在していた地域であり、板橋区はもちろんのこと地域住民の意向が十分に反映されるよう特段の配慮が必要と考えるが、見解を伺う。

回答
 都は、これまで道路整備に当たり、事業説明会などを通じて、地元自治体や住民の意見を広く聞きながら事業を進めています。
 当地域においても、事業への理解を深めていただくため、インフォメーションセンターを設置したり、各種の説明会を度々開催するなど、地元の理解と協力が得られるよう務めてきました。
 さらに平成十四年十一月以降は、地元住民代表、板橋区ととも三者協議会を設置し、歩道及び側道の緑化整備について話し合いを進めています。
 今後とも、地元の理解と協力を得ながら、環状八号線の整備に取り組んでいきます。

質問事項
三 後楽園・東京ドームでの競輪開催について
1 あたかも文京区長だけが反対しているという発言は取り消し、文京区、同区議会、地元住民に謝罪すべきではないか。見解を伺う。

回答
 東京ドームにおける競輪の再開にあたっては、地元文京区の理解を得ることが必要であると考えております。
 第二回定例会においても、このような考え方のもと、地元の意向を精査した上で踏み込んだ話し合いを行う必要があるとの認識を示したものです。

質問事項
三の2 知事は、ギャンブルの弊害について、どう認識しているのか、伺う。

回答
 競輪については、基本的に競馬などと同様、自己責任のもと、個人の娯楽の範囲内で行うべきものと認識しております。
 現在、都内においては競輪場、競馬場等が円滑に運営されているところであり、東京ドームにおける競輪事業についても、これらと何ら変わるところがないものと考えております。
 むしろ、新たな「スポーツエンターテインメント」の実現によって、若者からシニア世代まで、幅広い年代が楽しむことのできる機会と場を提供することとなるものと考えています。

質問事項
三の3 東京ドーム建設に当たって、将来にわたって、競輪施設を作らないことを条件で、都市計画法第五十九条第四項の規定に基づく都知事の特別許可事業として認められた経緯がある。法律を破ってまで競輪を復活させようと言うのか。見解を伺う。

回答
 都は、昭和五十九年十月十三日、株式会社後楽園スタヂアムに対して、都市計画法第五十九条第四項に基づく都市計画公園事業の認可を行なっています。
 認可にあたって「将来にわたって競輪施設を作らないこと」という条件は付されておりませんが、「本申請内容以外の利用に供する場合は、事前に東京都知事と協議すること」との条件が付されていることから、競輪を開催する場合にはこの条件に基づいて協議をすることとなるものであり、法律を破ることになるとの認識は当たりません。

質問事項
三の4 後楽園競輪復活は、都民的合意もなく、道理にも説得力にも欠ける理不尽なものといわざるをえない。撤回すべきだが、見解を伺う。

回答
 都が東京ドームで行おうとしている競輪事業は、賭け事という古いイメージを払拭し、新しいコンセプトで展開していくものです。
 特に都心にあるという立地等を勘案すれば、新たな観光スポットとしても有効で、経済波及効果のみならず雇用創出の観点からも効果が期待されます。
 しかしながら、競輪の開催にあたっては地元文京区の理解を得ることが必要であると考えており、今後、地元や関係者のご意見を十分に聞きながら進めてまいります。

平成十五年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

 提出者 吉田信夫

質問事項
 一 外かく環状道路青梅街道インターチェンジ計画について

一 外かく環状道路青梅街道インターチェンジ計画について
 今、杉並の住環境とまちづくりにとって、重大な問題となっているのが、今年一月と三月に国と東京都が方針を発表し、外かく環状道路を大深度地下ですすめるとともに青梅街道にはインターチェンジを建設しようとしていることです。さらに目白通りから青梅街道までは地上部も道路にすることになれば、住環境破壊は多大なものになりかねません。
 そもそも、外かん道路計画は、住民無視の一方的な進め方においても、道路建設のために住み続けた住民を追い出し、貴重な水と緑、自然を破壊する点でも、都民の幅広い反対運動が広がり、一九七〇年に当時の建設大臣が計画の「凍結」を宣言せざるをえなかったものです。
 ところが石原知事は「都市再生」を都政の最大課題とし、都心部を中心としたビル建設ラッシュを促進するとともに、基盤整備のために三環状道路の建設を強力に国に働きかけてきました。いま杉並で大問題となっている一方的な外かん道路青梅街道インターチェンジ計画も、こうしたなかで引き起こされたものです。
 しかし、このような「都市再生」を続けるかぎり、大量のビル建設によって一日二十五万台もの自動車交通を発生させ、三環状道路をつくっても都内の自動車交通は十四万台以上増えることが予想され、大気汚染とヒートアイランド現象の増大で東京の環境はますます深刻化するだけです。
  それだけに、「都市再生」の名による、外かん道路計画のごり押しは中止すべきであり、青梅街道インターチェンジ計画の押し付けは撤回すべきです。
 以上の立場から、青梅街道インターチェンジ計画を中心に質問します。
 このインターチェンジ提案にたいして杉並区民からは、青梅街道と周辺道路への自動車流入による交通渋滞や、周辺の生活、教育環境の悪化、さらに善福寺地域の貴重な水脈切断など自然環境への重大な影響を懸念する声があがったことは当然です。しかし、国と都はこうした疑問にいまだに明確に答えないまま、さらなる具体化をはかろうとしています。
1 青梅街道インターチェンジ計画の疑問点について
 そこでまず、杉並区民から出されている主な疑問点について明確な回答を求めるものです。
ア インターチェンジ設置の場合、開削部などその構造と立ち退き範囲の地上の住民への影響について図面を含めて明らかにしてください。
イ インターチェンジを設置した場合の、利用交通量と青梅街道交通量の推計を明らかにしてください。とりわけ、これまで示された約一・八万台という推計交通量は、インターチェンジが五箇所設置されたことを前提としたものであり、かつ現況交通量を推計したものです。よって青梅街道一ヵ所のみの場合、及び将来推計の交通量をその根拠も含めて示していただきたい。
ウ インターチェンジ設置にともなって危惧される地下水脈への影響について、その認識を明らかにしてください。
  かつてJR武蔵野線の開通によって、地下水脈を分断し国分寺姿見の池の湧水が減少するという影響も生まれています。
  善福寺地域では、浅層地下水の分断が周辺の地下水脈に与える影響、東側地域での地盤沈下、西側地域での地盤隆起の可能性、さらに周辺の湧水などへの影響が既存の資料からも懸念されています。こうした地下水脈への影響についての現時点での認識とその根拠としての調査・研究の到達点を明らかにしていただきたい。
エ インターチェンジの計画対象地は桃井第四小学校と隣接しており、また周辺には善福寺北児童館、八幡幼稚園、善福寺保育園などの施設が多数設置されています。とりわけ、桃井第四小学校では学区域が分断され、通学路の一部が消滅するなどその影響は重大です。
  幼児、児童、生徒への影響が危惧されるがどのように認識しているのか、当該地域へのインターチェンジ設置計画が適切と考えるのか明らかにしてください。
2 インターチェンジ反対の区民の意見の尊重を国と都が三月に発表した青梅街道インターチェンジ設置提案は、「設置要望があった」ことを前提としているが、設置対象地域にあたる杉並区からは設置要望はだされておらず、PI協議会の場で提案もなく、一方的に発表されたものです。こうしたPI協議会での協議と地元区民の意向をまったく無視した国と都のすすめ方にたいし、杉並区長からも「誠に遺憾」との批判があげられたところです。
 ところが、石原知事は第二回定例会の所信表明において、三環状道路の「早期の全線開通を目指」すとし、外かく環状道路については「近く具体化にむけて計画をとりまとめてまいります」とのべ、道路構造とインターチェンジ計画の具体化をはかろうとしています。
ア しかし、青梅街道インターチェンジ計画については、杉並区が「みどり豊かな住宅地である善福寺地域の環境保全を重視すると、この地にインターチェンジは建設すべきではない」との態度を正式に表明しており、この地元区の意思は重く受け止め尊重されなければなりません。どう受け止め、対応するのですか。
イ 建設を前提とした国と都の方針発表にたいし、PI協議会の参加者からPI協議会の「存続そのものを危うくするもの」との批判があげられたことが「中間のとりまとめ」でも紹介されています。そもそもPI外環沿線協議会は、「昭和四十一年都市計画決定以前の原点に立ち戻って、計画の必要性から議論する」という原点にたった、地元住民、関係区市参加のもとで協議が続けられ、先日の「中間とりまとめ」でも「今後、外環計画について意義がないと社会的に判断した場合は、事実上計画を休止することもありうる」ことが明記されました。
  外かん道路建設を前提とした「具体化計画」の取りまとめはすべきでなく、PI協議会での合意を尊重して対応すべきではないですか。
3 地上部の計画と負担について
 今年一月の国及び都の方針では外かん道路は、沿線への影響を小さくするため大深度地下ですすめることが打ち出されたが、その直後の三月には目白通りと青梅街道間は地上部も道路とすることが打ち出されました。
 住環境への影響を小さくするためとして地下方式で安心させておいて、あとから地上部の道路計画も提案してくる国と都のやり方に怒りの声があがっています。
ア かつて計画沿線全体についても地下と地上利用の二重構造が打ち出された経緯もありましたが、青梅街道以南の地上部についても地上部利用の検討を進めるのか明確にしていただきたい。
イ 目白通り青梅街道間の地上道路は、都道として整備することもありうるのでないですか、その場合の費用負担はどうなるのでしょうか。
4 事業主体と都の財政負担について
 外かん道路計画は、インターチェンジの有無にとどまらず、国も都も厳しい財政運営が強いられるもとで、莫大な財政投入を必要としており、財政上の観点からも許されるものではありません。
ア 外かん道路を国と都の方針にそって建設した場合、総事業費はどの程度と推計しているのか明らかにしてください。
イ その事業主体については、六月十三日の説明会で国土交通省の担当者は、国土交通省だと明言をしたが、あらためて確認したい。
ウ 都としては国直轄事業となった場合、その総事業費の三分の一は都負担となります。それ以外にも、都が国と一体となって外かん道路を推進するのであれば当然、財政的負担はまぬがれません。国直轄事業となった場合、都の財政負担をどの程度と推計しているのか明らかにしてください。
以上

平成十五年第二回都議会定例会
吉田信夫議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 外かく環状道路青梅街道インターチェンジ計画について
1 青梅街道インターチェンジ計画の疑問点について
ア インターチェンジ設置の場合、開削部などその構造と立ち退き範囲など地上の住民への影響について図面を含めて、伺う。

回答
 都では、首都圏の交通渋滞の緩和、環境改善、都市再生や経済効果などの観点から外かく環状道路は早期整備が必要な道路であると考えております。また、インターチェンジについても、地域の利便性向上のため必要な機能であると考えております。
 外かく環状道路については、平成十五年三月十四日に明らかにした大深度を活用する方針に基づき、青梅街道インターチェンジを含む五箇所のインターチェンジについて、現在、設置に係る区・市の意向を伺っているところであります。
 現段階では、具体的な設計等を行っていないため、開削部の構造、立ち退き範囲などの資料は持ち合わせておりません。

質問事項
一の1のイ インターチェンジについて青梅街道一カ所のみの場合の利用交通量と将来推計の交通量をその根拠も含めて、伺う。

回答
 外かく環状道路に関する交通量については、国土交通省が、平成十一年度に実施した自動車交通量調査の現況交通量を基に、調査時点の道路網に加えて外かく環状道路など三環状道路が整備されたと仮定した場合の交通量を試算し、外環沿線協議会等に資料として既に提出しております。この中で、青梅街道インターチェンジ一箇所のみの場合のインターチェンジ利用交通量は、一日約二・五万台と推定しています。
 また、将来交通量については、推計を行っておりません。

質問事項
一の1のウ インターチェンジ設置にともなって危惧される地下水脈への影響について、現時点での認識とその根拠としての調査・研究の到達点を伺う。

回答
 外かく環状道路の沿線には、既存の文献調査の結果、地下水脈が存在することは把握しております。
 インターチェンジを設置した場合の地下水脈への影響などについては、今後、現地調査を実施した上で、事業に伴う影響を予測、評価し、必要に応じて対策を講じるなど、できる限り影響を少なくしていく必要があると考えております。

質問事項
一の1のエ 幼児、児童、生徒への影響が危惧されているが、どの様に認識しているのか、当該地域へのインターチェンジ設置計画が適切と考えるのか、伺う。

回答
 昭和四十一年の都市計画で決定されている青梅街道インターチェンジ付近に、小学校及び幼稚園が隣接していることは承知しております。
 青梅街道インターチェンジの設置については検討段階にありますが、設置する場合には、安全な通学路の確保、周辺環境の保全等に配慮をしつつ、計画を策定する必要があると考えております。

質問事項
一の2 インターチェンジ反対の区民の意見の尊重を
ア 杉並区が、インターチェンジは建設すべきでないとの態度を表明しており、地元区の意思は重く受け止め尊重されなければならない。どう受け止め、対応するのか、伺う。

回答
 外かく環状道路については、平成十五年三月十四日に国と東京都で大深度を活用する方針を公表し、現在、沿線区及び市の意見を聞いているところであります。
 杉並区からは、区民アンケートの実施や区議会での議論を踏まえ、「外環道路本線の大深度方針には賛成」、「青梅街道にインターチェンジを設置すべきでない」との意見があり、国と東京都の方針にお答えいただいたものと真摯に受け止めております。
 青梅街道インターチェンジの設置については、杉並区の区民アンケートで全体の六割の方が必要と考えているとの結果もあり、また、練馬区長からは、平成十四年十二月十六日付けの文書にて「青梅街道にインターチェンジを是非とも設置して欲しい」旨の要望書が提出されており、さらに本年五月三十日に行われた外かく環状道路沿線区長・市長意見交換会の場においても、青梅街道インターチェンジは絶対に必要であるとの発言もなされております。
  今後、国とも協力しながら、杉並及び練馬の両区と協議・調整を図ってまいります。

質問事項
一の2のイ PI協議会の「中間とりまとめ」でも事実上計画を休止することもあり得ることが明記された。外環道路建設を前提とした「具体化計画」のとりまとめはすべきでなく、PI協議会での合意を尊重して対応すべきではないか。見解を伺う。

回答
 外環沿線協議会の中間とりまとめでは、外環計画の必要性について、国は「今後、外環計画について意義がないと社会的に判断された場合は、事実上計画を休止することもありうる」ことを確認したと明記されております。
 都では、首都圏の交通渋滞の緩和、環境改善、都市の再生や経済効果などの観点から、外かく環状道路は早期整備が必要な道路であると考えております。
 このため、今後とも沿線区・市や住民の意見を聞きながら、早期に計画の具体化を図ってまいりたいと考えております。

質問事項
一の3 地上部の計画と負担について
ア 目白通りと青梅街道間は地上部も道路とすることが打ち出された。青梅街道以南の地上部についても地上部利用の検討を進めるのか、伺う。

回答
 昭和四十一年の都市計画決定では、嵩上げ式の外かく環状道路と別に、目白通り(放射第七号線)から東八道路(三鷹三・二・二号線)までの間は、地上式の平面街路が計画決定されております。
 都は、外かく環状道路が地下式になったとしても、この地上部街路については、地域の利便性、安全性及び防災性の向上などに寄与することから、今後、沿線区・市とともに検討してまいります。

質問事項
一の3のイ 目白通り青梅街道間の地上道路は、都道として整備することもありうるのではないか、その場合の費用負担について、伺う。

回答
 地上部の街路については、現在、沿線区・市の意見を聞いているところであり、今後、具体的な検討及び調整を図ることとしております。
 このため、現段階では施行者及び費用負担については、決定しておりません。

質問事項
一の4 事業主体と都の財政負担について
ア 外環道路を国と都の方針に沿って建設した場合、総事業費はどの程度と推計しているのか、伺う。

回答
 外かく環状道路については平成十五年三月十四日に国と都において大深度を活用した方針を公表し、現在、沿線区・市などから意見を聞いている段階であり、具体的な設計などの検討を行っていないため、総事業費の算定は行われておりません。

質問事項
一の4のイ 事業主体について伺う。

回答
 外かく環状道路は、国土開発幹線自動車道の予定路線に位置付けられており、現段階における事業予定者は国土交通省となっております。

質問事項
一の4のウ 国直轄事業となった場合、都の財政負担をどの程度と推計しているのか、伺う。

回答
 外かく環状道路は国土開発幹線自動車道路であり、事業予定者は国土交通省となっていることから、国の責任において整備されるべき道路であると考えております。

平成十五年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

 提出者 東ひろたか

質問事項
 一 高齢者介護の基盤整備について

一 高齢者介護の基盤整備について
 わが国が高齢化社会の時代を迎え、誰もが安心して老後を暮らせるように、という思いは、切実さを増しています。介護が必要となった場合でも、たとえ痴呆の状態となった場合でも、人生の最後まで人としての尊厳を保ち、尊重されたいと願うことも万人に共通した思いです。したがって、必要とされる高齢者介護の基盤整備を急ぐことは都政にとっても喫緊の課題です。
1 そこで、まずグループホームについて質問します。
 グループホームは、大規模な施設ではなく、また家族介護に依存せざるを得ない住宅介護でもない、新たな流れとしてひろがりつつあります。知事は所信表明で、痴呆性高齢者などのグループホームの大幅増設を強調しました。そして昨年度スタートした暮らしの福祉インフラ緊急整備事業につづき、今回、未利用都有地の貸出制度が創設されました。わが党は、これを歓迎するものです。しかし、まだ課題は山積しており、以下四点にしぼって提案します。
 第一は民家を改築するなど既存物件の活用に対する支援策をつよめることです。現状では、不動産業者を探し回ったが適当な物件が見つからない、家主の理解が得られないなど、たいへんな苦労がともないます。わが党はかねてから、グループホームなどに活用してよいという土地、住宅、アパート、マンションなどを登録する公的な窓口、福祉資源登録バンクの創設を提案してきましたが、実現にふみだすよう求めるものです。
2 第二は、利用料の負担軽減です。東京都社会福祉協議会の調査によれば、入居者が毎月払う家賃や食費、光熱費、介護保険自己負担などを含めた利用料の額は、痴呆症高齢者グループホームの場合、非常に高く、月二十万円以上が一八%におよびます。この問題を解決しなければ、お金がある人しか利用できません。暮らしの福祉インフラ緊急整備事業や未利用都有地貸出制度は、家賃の軽減に役立つものですが、対象となる施設はかぎられています。グループホーム整備の用地費助成や家賃助成が必要ではありませんか。
3 第三は、運営の充実です。現行の痴呆性高齢者グループホームは、利用者五人から九人に対し夜間の職員は宿直一人というように人員配置が弱く、医療対応も十分にできないため、介護の程度が重くなれば、特別養護老人ホームなどに移らざるをえないのが実態です。すでに、現在のグループホームで対応できなくなった利用者の退所後の受け入れ先がない、との悲鳴があがっています。このような現状を、どう認識していますか。利用者の重度化にも対応できるよう、痴呆性高齢者グループホームの職員配置を都独自に加算するなどの抜本的な充実が必要です。お答え下さい。
4 第四は、多様なかたちのグループホームをひろげていくことです。高齢者について国は、痴呆性高齢者グループホームしか制度化していません。しかし、わが党が提案してきたように、痴呆のあるなしにかかわらず利用できるグループホームや、養護老人ホームの対象となる高齢者のためのグループホームなどを国に対して提案し制度化を働きかけること、同時に都としても具体化を進めることを求めるものです。見解を伺います。
5 入所希望者が二万五千人をこえている特別養護老人ホームの整備促進も、緊急課題です。ところが都は、これまでの第一期介護保険事業支援計画では高齢者人口の一・五六%の特養整備をめざしていたのが、今年四月からの第二期計画では、高齢者人口の一・五一%まで目標を引き下げてしまいました。
  第二期計画では二〇〇七年度までの四年間で、四千六百人分を増やす計画にすぎません。緊急事態という認識に立ち、目標を大幅に前倒しして整備促進を図る必要があります。お答え下さい。
6 また、厚生労働省の高齢者介護研究会は先日、特別養護老人ホームともグループホームとも異なる、新しい在宅介護の仕組みを提案しました。グループホームの住まいとしての機能にとどまらず、日中の通所介護、一時的なショートステイ、緊急時や夜間の訪問サービスなどを兼ね備えた、地域密着の小規模多機能型施設を、中学校区または小学校区ごとに整備しようというものであります。これは、各地にひろがっている宅老所などを、そのモデルとしています。
 私は、このような地域密着の小規模多機能型施設について、国の動向を見るという姿勢ではなく、都としても独自に検討を行い具体化を図ることを提案するものです。見解を伺います。
以上

平成十五年第二回都議会定例会
東ひろたか議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 高齢者介護の基盤整備について
1 グループホームなどに活用してよいという土地、住宅、アパート、マンションなどを登録する公的な窓口、福祉資源登録バンクの創設に踏み出すよう求める。見解を伺う。

回答
 都は、痴呆性高齢者グループホーム等の設置促進のため、今年度、新たに都有地を低廉な賃料で貸し付ける「都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業」を創設し、区市町村からの照会に対して、未利用の都有地等の情報を提供しています。
 なお、私的な個別物件情報についての公的登録制度を創設する考えはありません。

質問事項
一の2 グループホーム整備の用地費助成や家賃助成が必要ではないか。見解を伺う。

回答
 現在、都は、痴呆性高齢者グループホームの整備を促進するため、
1 民間企業が新規に建物を整備する場合及び既存建物を改修する場合並びに建物所有者が運営事業者に貸与するために既存建物を改修整備する場合の整備費補助
2 未利用民有地等の有効活用による整備促進を図るための「暮らしの福祉インフラ緊急整備事業」による事業費の一部補助及び「都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業」による都有地の低廉な賃料での貸付け
3 地域のケア付き住まいに対する国定資産税等の減免を実施しています。
 痴呆性高齢者グループホームにおける居住費等については、介護保険制度上、利用者が負担することが原則となっており、痴呆性高齢者グループホームに対する新たな用地費助成や家賃助成を行う考えはありません。

質問事項
一の3 痴呆性高齢者グループホームは、人員配置が弱く、介護の程度が重くなれば、特別養護老人ホームなどに移らざるを得ないが、この現状をどう認識しているのか。痴呆性高齢者グループホームの職員配置を都独自に加算するなどの抜本的な充実が必要であるが、見解を伺う。

回答
 痴呆性高齢者グループホームは、要介護者であって痴呆の状態にある高齢者が少人数で共同生活する場として位置づけられ、これに必要な人員基準が定められています。
 痴呆性高齢者グループホームにおける入所者の重度化等への対応については、介護保険制度のなかで取り扱われるべきものであり、都として、職員配置についての独自加算を行う考えはありません。

質問事項
一の4 痴呆のあるなしにかかわらず利用できるグループホームや、養護老人ホームの対象となる高齢者のためのグループホームなどを国に対して提案し、制度化を働きかけること、同時に都としても具体化を進めることを求める。見解を伺う。

回答
 既に、都では、大都市特性を踏まえた、高齢期における住まいと介護のあり方に関する調査・検討に取り組んでおり、平成十五年第二回都議会定例会本会議で答弁したとおり、痴呆性高齢者だけでなく、要支援高齢者も対象とした「小規模なケア付き住まい」などについても検討を進め、介護保険制度の見直しに向け、国に対して働きかけていきます。

質問事項
一の5 緊急事態という認識に立ち、第二期介護保険事業支援計画の目標を大幅に前倒しして、整備促進を図る必要があるが、見解を伺う。

回答
 都は、「TOKYO福祉改革STEP2」で示した、重装備施設偏重の徒前の画一的な福祉を改革し、地域のケア付き住まいを重視した、きめ細かな福祉を実現するなどの観点に立ち、平成十五年三月に、高齢者保健福祉計画等を改定しました。
 その中で、特別養護老人ホーム等についても、介護保険の保険者である区市町村の整備計画と調整を図った上、必要な整備目標値を設定しました。
 本計画に基づき、特別養護老人ホーム等、介護基盤の着実な整備を進めていきます。

質問事項
一の6 厚生労働省の高齢者介護研究会は、地域密着の小規模多機能施設の整備による新しい在宅介護の仕組みを提案した。このような施設について、国の動向を見るという姿勢ではなく、都としても独自に検討を行い具体化を図ることを提案する。見解を伺う。

回答
 既に、都では、高齢者がそれぞれの価値観や生活スタイルに合わせて、地域で安心して暮らし続けることができるよう、大都市特性を踏まえた、高齢期における住まいと介護のあり方について検討を進めており、介護保険制度の見直しに向け、国に対して働きかけていきます。

平成十五年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

 提出者 坂口こうじ

質問事項
 一 東大農場(東京大学大学院農学生命科学研究科・農学部付属施設、約二十二・五ヘクタール)の移転と都立(仮称:東大メモリアル)公園等の設置について

一 東大農場(東京大学大学院農学生命科学研究科・農学部付属施設、約二十二・五ヘクタール)の移転と都立(仮称:東大メモリアル)公園等の設置について
 今年は一六〇四年の江戸開府から四百年の節目の年、また一八九三年多摩地域が東京に編入されてからちょうど百十年目の年にもあたります。
 周知の通り、西東京市は二十一世紀の幕開けの年二〇〇一年一月に、全国に先駆けて(旧)田無市と、(旧)保谷市が合併し誕生しましたが、早いもので今三年目を迎えています。「究極の行政改革」とまで言われた合併の試練と戦い、新市の建設計画に基づく事業に取り組みながら、いわゆる「一+一が三」になるような合併効果を生み出し、市民生活に還元することにより「二十一世紀を拓き、緑と活気にあふれ、一人ひとりが輝き、支えあうまちづくり」を目指し、行政・議会・市民が一体となって日夜努力を積み重ねている所であります。
 さて、そのような中で、平成十五年三月十八日東京大学評議会は、平成七年から検討を重ねてきた「東京大学キャンパス計画の概要(今後のキャンパス整備と利用等)」について、その方針を決定しました。その要旨は、西東京市を拠点に立地する「農学生命科学研究科付属農場(多摩農場及び二宮果樹園)用地を処分し」(中略)「多摩農場及び二宮果樹園の移転先として検見川運動場の一部を充てること」と言うものでありました。
 戦後の人口の増加・高度成長・都市化の中にあって、約七十年の歴史を持つ多摩農場は約二十二・五ヘクタールの広大な面積をもち、隣接する演習林約九ヘクタールの緑豊かな樹林とともに、教育・研究の拠点としての機能はもとより、都市の森・田園として、私たちの生活に安らぎや憩いの空間を提供してきました。
 世界や日本の社会・経済構造が大きく変化し、企業や研究・教育機関の移転・流出が相次いでいる今日、西東京市の今後のまちづくりや、多摩地域のまちづくりは、二十一世紀日本の都市再生の新たな挑戦であり、モデルでもあります。「温故創新」の精神で、歴史を振り返り再評価し、未来に向けての構想をより豊かで確かなものにしていきたいと考えます。そこで以下二点について伺います。
1 まず、東京大学農学部付属農場(多摩農場)および演習林誘致(一九三五年に移転)の歴史的背景とその経緯(沿革)について伺います。(以下東大農場と略します)
2 次に、七十余年に渡る東大農場(約二十二・五ヘクタール)・演習林(約九ヘクタール)による研究・教育活動の成果と、同施設の現状、および地域社会への貢献について伺います。
3 次に、これまでの約十五年間におよぶ地元市や市議会、多摩北部都市広域行政圏協議会等の要望を受け、都議会ではどのような質疑がなされ、それらに対して東京都はどのような取り組みをしてきたのか、事実経過の確認と、関連事項を含め以下五点にわたり伺います。
  まず、一九八七年に設立された多摩北部都市広域行政圏協議会から、東京都に出された、東大農場を含む公園・緑地整備の要望と、それに対する東京都の回答の要旨について伺います。
4 第二として、一九九一年二月都議会定例会における、(故)永沢豊晶議員の一般質問「東大農場の移転と跡地の有効活用について」、に対する鹿谷崇義総務局長の答弁の要旨について伺います。
5 第三として、一九九一年十二月都議会定例会における、私の一般質問「東大農場の移転と跡地の利用について」、に対する鈴木俊一東京都知事の答弁の要旨について伺います。
6 第四として、一九九二年六月(旧)田無市議会における「東京大学農学部付属農場の移転と都立公園の設置を求める決議」と、東京都への要望の要旨について伺います。
7 第五として、一九九五年六月都議会定例会における、私の一般質問「東大農場の移転と都立公園の設置について」、に対する青島幸男東京都知事の答弁要旨について伺います。
8 他方、国立大学の「法人化」を含む高等教育機関の構造改革が進む中で、東京大学においても、一九九五年九月頃から「柏キャンパスを含む大学全体の移転整備計画(柏、駒場、検見川)」とそれを進めるにあたっての「田無農場(東大農場)を含む処分財源捻出の検討」が始まったと聞いています。そこで伺います。
  東京大学評議会における東大農場処分決定に至る経緯と、二〇〇三年三月十八日の評議会において承認された「東大キャンパス計画の概要」について伺います。
9 この評議会での東大農場処分決定の情報を受け、地元の西東京市議会では、五名の市議会議員がこの問題を取り上げ、処分決定の内容・スケジュール・市の基本的な考え・将来の展望・今後の方針などについて活発な質疑展開しています。また課題を共有する有志の皆さんから、内容の正確な把握・東京都の今後の対応策・西東京市に対する支援等に関する要望をいただいている所でもあります。そこで以下二点について伺います。
  まず、二〇〇三年六月の西東京市議会定例会における、東大農場移転に関する、五名の市議会議員の一般質問に対する、市長および企画部長の答弁の要旨について伺います。
10 次に、東京大学評議会の決定後の『国立学校の用地処分の手続き』についてはどうなるか、また相手先は、東京大学・文部科学省・財務省(国有財産地方審議会)等と関係機関が複数になるが、東京都は地元西東京市とともに、どこを窓口として、どのような内容の協議を進めていく考えか伺います。
11、12 二〇〇一年八月東京都総務局が策定した「多摩の将来像二〇〇一」に基づく「多摩アクションプログラム」(二〇〇三年三月策定)では、その基本的な考え方として、〔1〕多摩地域の都市基盤の着実な整備、〔2〕豊富な人材の連携や、産業の集積など地域資源の活用による特色ある多摩の活性化、〔3〕水やみどりを守り、活用することによる多摩の魅力の向上、が打ち出されています。
  しかし、二〇〇二年東京都建設局が策定した「公園から始まる緑の都市再生」によれば、一九七四年から一九九八年までの約二十五年間に、東京都全体のみどりは、約七十平方キロメートル減少しましたが、これは山手線内側の面積を超える広大なものです。
  このような中で、東京都や市区町村は、緑豊かでうるおいのあるまちづくりのため、公園の整備を積極的に進めてきました。その結果一九六二年には都立・国立・市区町村立公園を合わせた都立公園等の面積が二千五十四ヘクタール、都民一人当り一・七九平方メートルであったものが、二〇〇二年にはそれぞれ六千六百一ヘクタール、五・四二平方メートルと約三倍に拡大しました。
  しかし、この面積は魅力的な海外の主な都市と比較しても、ストックホルム七十九・四、ロンドン二十六・九、パリ十一・八、バンクーバー二十六・五、ニューヨーク二十九・三、ロサンゼルス十七・八、ソウル十七・四、日本全国平均八・一(単位平方メートル)と、まだまだ少ないのが現状です。
  西東京市について見るならば、二〇〇二年四月現在で一人当たり公園面積は、なんと一・四四平方メートルで、区部平均の四・四五平方メートル、多摩部平均の六・三四平方メートルをはるかに下回っているのが実情です。それでも区部に比べ緑が多く感じられるのは、東大農場のような農地や屋敷森がまだまだ残されているからです。
  今後は、二十一世紀の将来を展望する中で、まち全体の構想(グランドデザイン)を市民参加のもとに策定し、計画的にこれらを保全するよう努めるとともに、「公園」や「公共の森」を再生し、緑豊かで活気にあふれ、一人ひとりが輝き、支えあうまちづくりを積極的に進めていくことが求められています。
  先の、「公園から始まる緑の都市再生」(東京都建設局)では、これからの公園づくりの目標を、「緑の東京計画」に基づき、東京の緑の将来像である「水と緑がネットワークされた風格都市・東京」の実現に向け、都立公園の整備を推進していくとしています。
  またその具体的な内容として、二〇〇二年四月現在、七十五公園、千六百七十七・二ヘクタールの都立公園を、二〇〇一年から二〇一五年までの十五年間に、約四百ヘクタール整備し、その累計を約二千ヘクタールにするとともに、都民一人当りの公園面積を七平方メートルにするという目標を掲げています。そこで伺います。
  そもそも東京都における「緑の東京計画」とは何か、また「水と緑がネットワークされた風格都市・東京」とはどのようなものをイメージしているのか、また、四百ヘクタールの整備に要する予算の規模、裏付けとなる財源確保の見通しについて伺います。
13 最後に、以上の質問を踏まえ、私の提案を含め知事にお伺いします。
  東大農場の今後の活用構想を検討するに当っては、これまでの歴史的な経緯と現状を踏まえつつ、「緑の東京計画」や、「多摩アクションプログラム」に示されている、「都市基盤整備、特色ある多摩の活性化、多摩の魅力の向上」という多摩振興施策の基本的な考えに基づいて、二十一世紀の東京・多摩を象徴するような、都立(仮称:東大メモリアル)公園の整備や、この場所に相応しい夢のある施設の整備を検討していくべきであると考えますが所見を伺います。
  また、今世紀初頭の大きな課題である多摩北部地域・多摩東部地域の都市再生や、二〇一三年に予定されている東京(多摩)国体の開催と成功等を展望しつつ、地元市の要望を十分踏まえ、今後密接な連携を取りながらこの問題に対応していくべきであると考えますが、石原知事の所見をお伺いします。

平成十五年第二回都議会定例会
坂口こうじ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 東大農場(東京大学大学院農学生命科学研究科・農学部付属施設)の移転と都立(仮称東大メモリアル)公園等の設置について
1 東京大学農学部付属農場(多摩農場)および演習林誘致の歴史的背景とその経緯(沿革)について、伺う。

回答
 東京大学大学院農学生命科学研究科附属農場(以下「東大農場」という。)及び東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林田無試験地(以下「演習林」という。)については、田無市史によると、昭和二年の西武鉄道高田馬場・東村山間開通に伴い、工場・施設などの誘致によって町の発展を期すために、田無町(現西東京市)が誘致したとのことです。
 東京大学の発表資料によると、東大農場は昭和十年に駒場から田無町に移転し、また、演習林は昭和四年に創設され、現在に至っているとのことです。

質問事項
一の2 七十余年に渡る東大農場・演習林による研究・教育活動の成果と、同施設の現状、及び地域社会への貢献について、伺う。

回答
 東京大学の発表資料によると、東大農場では、食糧生産・エネルギー等の確保と、環境や物質循環との調和・両立を図るために、生物生産の持続性、環境ストレス耐性に関する研究を展開しているとのことです。また、演習林は、研究フィールドや実験材料を提供するとともに、樹木の生理、育種、森林生態系に関する研究を行っているとのことです。
 施設の現状は、東大農場が面積二十二・二ヘクタール、演習林は面積九・一二ヘクタールであり、東京大学によれば、市民に広く開かれた憩いの場並びに社会・自然教育の場として利用されているとのことです。

質問事項
一の3 一九八七年に設立された多摩北部都市広域行政圏協議会から、都に出された、東大農場を含む公園・緑地整備の要望と、それに対する都の回答の要旨について、伺う。

回答
 平成元年十二月、多摩北部都市広域行政圏協議会から、「東大農場の有効利用について、都においても、広域的視野に立って積極的に検討されたい。」旨の要望を受けています。

質問事項
一の4 一九九一年二月都議会定例会における、故永沢豊晶議員の一般質問「東大農場の移転と跡地の有効活用について」に対する鹿谷崇義総務局長の答弁の要旨について伺う。

回答
 答弁の要旨は、「東京大学に確認したところ、現状のまま維持したいとの意向でした。多摩振興構想懇談会の提言などを踏まえながら、移転について要請してまいります。」というものです。

質問事項
一の5 一九九一年十二月都議会定例会における、私の一般質問「東大農場の移転と跡地の利用について」に対する鈴木俊一知事の答弁の要旨について、伺う。

回答
 答弁の要旨は、「東京大学に確認したところ、現状のまま維持したいとの意向でした。多摩振興構想懇談会の提言などを踏まえながら、移転について引き続き要請してまいります。」というものです。

質問事項
一の6 一九九二年六月田無市議会における「東京大学農学部付属農場の移転と都立公園の設置を求める決議」と都への要望の要旨について、伺う。

回答
 平成四年六月、田無市議会において「東京都が東大農場の移転を促進し、跡地に演習林の自然を現状のまま残しながら、これらとの調和を図りつつ、市民参加により緑豊かな公園を設置するよう要望する。」旨の決議が行なわれています。

質問事項
一の7 一九九五年六月都議会定例会における、私の一般質問「東大農場移転と都立公園の設置について」に対する青島幸男知事の答弁要旨について、伺う。

回答
 答弁の要旨は、「東京大学では、現状のまま維持していきたいとの意向でした。関係市と連携をとりながら、移転について国と折衝してまいりたいと考えております。」というものです。

質問事項
一の8 東京大学評議会における東大農場処分決定に至る経緯と、二〇〇三年三月十八日の評議会において承認された「東京大学キャンパス計画の概要」について、伺う。

回答
 東京大学によると、東大農場の移転については、平成十五年三月十八日の評議会において提案、承認され、同農場の機能を検見川キャンパスに移転し、処分するとしているとのことです。

質問事項
一の9 二〇〇三年六月の西東京市議会定例会における、東大農場移転に関する、五名の市議会議員の一般質問に対する、市長及び企画部長の答弁の要旨について、伺う。

回答
 西東京市によると、平成十五年六月の市議会定例会において、市長からは、「東大農場について、現時点では移転の方針が決定されたのみで、今後、時間をかけて市の方針を策定していきたいと考えている。」旨の答弁がなされ、企画部長からは、「今後、情報収集していきたい。」旨の答弁がなされたとのことです。

質問事項
一の10 東京大学評議会の決定後の「国立学校の用地処分の手続き」についてはどうなるか、また、相手先は、東京大学・文部科学省・財務省等と関係機関が複数になるが、都は西東京市とともに、どこを窓口にして、どのような内容の協議を進めていく考えか、伺う。

回答
 東京大学によれば、平成十六年四月に国立大学法人となるが、その後の大学用地の処分の手続きについては、現在のところ不明であるとのことです。

質問事項
一の11 都における「緑の東京計画」とは何か、また「水と緑がネットワークされた風格都市・東京」とはどのようなものをイメージしているのか、伺う。

回答
 「緑の東京計画」は、都の緑づくりの目標と施策の方向や推進策を定めたもので、平成十二年十二月に策定しました。この計画ではおおむね五十年後における東京の緑の望ましい将来像を見据え、平成十三年度から平成二十七年度までの十五年間に取り組むべき緑づくりと、それを実現するための具体的な施策を示しています。
 また「水と緑がネットワークされた風格都市・東京」のイメージとは、都市が風格を備えていく上で、緑の果たす役割は重要であることを踏まえ、東京の山地、丘陵地、河川、道路等の広域的な骨格としての緑から、家庭の玄関先から公園等の身近な緑までをネットワーク化し充実させ、都民が主役となって緑の持つ多様な機能を最大限に活用している緑豊かな東京の姿です。

質問事項
一の12 四百ヘクタールの整備に要する予算の規模、裏づけとなる財源確保の見通しについて伺う。

回答
 都は、平成三年度から平成十二年度までの十年間で、三百五十四・四ヘクタールの都立公園を開園いたしました。
 また、「緑の東京計画(平成十三年度から二十七年度)」の初年度から今年度までの三年間では、武蔵国分寺公園をはじめとして四十三・三ヘクタールの都立公園を開園しております。
 都の財政状況が厳しい中で、水と緑の骨格軸の形成や防災公園の整備などに事業の重点化を図るとともに、国庫補助の拡大や各種助成制度の活用に加え、国有地の無償貸付の要望など、さまざまな工夫により、財源確保に努めてまいります。

質問事項
一の13 東大農場の今後の活用構想を検討するに当たっては、二十一世紀の東京・多摩を象徴するような、都立(仮称東大メモリアル)公園の整備や、この場所に相応しい夢のある施設の整備を検討していくべきだが、見解を伺う。また、地元市の要望を十分に踏まえ、今後密接な連携を取りながら、この問題に対応していくべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 東京大学によると、東大農場については、移転の方針が決定されたのみであり、移転のためのスケジュール等については正式には決まっていないが、移転先を農場として整備するためには、耕地造成・土壌改良等を行う必要もあることから、移転が現実化するまでには、およそ十年程度かかるのではないかとのことです。
 また、地元市である西東京市は、これから方針を検討していくという状況です。
 都としては、こうした状況やこれまでの経緯、その後の社会経済情勢の変化を踏まえ、現時点では、関係者の動向を十分に見定めていきたいと考えています。

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