平成十五年東京都議会会議録第十号

○議長(三田敏哉君) 四十番中西一善君。
   〔四十番中西一善君登壇〕

○四十番(中西一善君) 二十一世紀初頭の現在、社会システムの前提は大きく変わってまいりました。地方自治においては中央集権から地方分権へ、経済においてはインフレ対応型からデフレ対応型へ、国家としてはキャッチアップ型からリーディングカントリー型に変わってきたわけであります。
 これらの前提の変化に対応し、国家観を持って社会システムを変革していくのが時代の要請であると確信いたしております。
 そこで、まず治安について伺いますが、今までは、水と安全はただである、これに象徴されるように、ノーリスクを前提としていた社会でありました。現在はリスクカバー型へ大きくシステムを変更しなければなりません。治安維持、危機管理においても明白であります。
 かつてのニューヨークのジュリアーニ市長が、壊れた窓理論、つまり、小さなことをおろそかにしないという方針で取り締まりを行い、殺人事件を八年間で六七%も減少させたということでありますが、石原知事は、ジュリアーニ市政については、治安回復から九・一一テロへの対応を含めた危機管理についてどのような感想をお持ちか、また、ニューヨークの状況と比べて東京の危機管理の状況をどのように認識されているのか、お考えを伺います。
 次に、東京港から北朝鮮の港に行き来する船舶に対する安全保障上の対策について伺います。
 「万景峰号」を初め、一千三百四十四隻に達する北朝鮮の船舶が日本の安全保障上極めて大きな問題となっております。
 先般、アメリカの上院で北朝鮮の元技師が、日本に向けられているミサイルの九〇%の部品が日本製であると証言をいたしました。日本の高度な精密部品が輸出され、最終的にノドンやテポドンというミサイルとなって日本に向けられているという現状は、日本の安全保障上許されるものではありません。まさに先ほどの理論のとおり、小さな輸出を取り締まることによって大きな脅威を防止するということになるのではないでしょうか。
 さらに、輸入貨物に紛れて薬物の密輸が行われているのではないかという点について、早急に取り締まりを強化していくべきであります。
 先日も、経済・港湾委員会の視察で博多港に行き、視察船で港内を回ってまいりました。そこでは、真っ赤にさびた船が北朝鮮の国旗をつけ、船上に車をくくりつけ、スクラップを満載し、中古の自転車をあふれんばかりに積んでおりましたが、今もその姿がまぶたに焼きついております。そのふ頭は乗用車で乗りつけられる状況でした。これでは、何をどう持ち込まれても全く防ぎようがございません。
 私が驚いていると、市の担当者は、北朝鮮籍以外にも多数の外国籍の船がチャーターされ、博多と北朝鮮の間を往復していると、ごくごく当たり前のようにいっておられました。それを裏づけるかのように、新聞報道で、新潟港から「万景峰号」で積み出し予定であった貨物が横浜港へ回り、パナマ船籍の船に積み込まれて北朝鮮に向かったとのことであります。
 日本海側の港は三けたに上る北朝鮮籍の船の入港がありますが、東京港においては、過去五年間で北朝鮮籍の船は十隻とのことです。しかし、パナマに籍を置く便宜置籍船などの外国船がチャーターされたり、第三国を経由して北朝鮮と往復するケースは相当数に上るのではないでしょうか。このことは日本の安全保障上極めて大きな問題であります。けれども、現在の法律では、PSC、ポートステートコントロール以外対策がないのであります。
 北朝鮮と往復する船舶が適正なチェックがなされず日本の港に入港することに対し、入港拒否を含め、東京から率先して条例を改正するか、もしくは何らかの対策をとるよう、国に対し法令改正などを働きかけていくことが日本の安全保障上非常に重要なのでないかと思います。
 そこで、港湾問題を含め、安全保障に対する知事のお考えを伺います。
 また、港湾局長にも伺いますが、北朝鮮と通航する船舶に対して、港湾管理者として今すぐ何ができるのか、お尋ねいたします。
 次に、中小企業の金融対策についてお伺いいたします。
 中小零細企業向け貸し出しは、平成九年には全国で三百五十五兆円ありました。しかし、平成十四年には二百七十九兆円になり、五年間で七十六兆円も減少しました。中小企業向け融資総額の二〇%を超える金額であります。それだけ巨額の資金が中小企業から引き上げられたのであります。これがいわゆる銀行の貸し渋り、貸しはがしの実態であります。人間の体でも、二〇%以上の血液が吸い取られたら命にかかわります。まさに日本の金融構造そのものが機能不全に陥り、間接金融が限界に来ている証左ともいえます。
 アメリカもベトナム戦争後の一九八〇年代、高インフレ、高失業に悩まされ、製造業は多くの分野で日本の後塵を拝しておりました。こうした中で登場し、急速に発展したのが直接金融で低格付、ハイリスク・ハイリターンのジャンクボンド市場であります。リスクの高い債券を扱うこの市場の規模は、一九八〇年にはたった五十四億ドルにすぎませんでしたが、現在は一兆ドル、日本円にして約百二十兆円の市場にまで拡大しています。アメリカ経済の再建に大きな役割を果たしたことは明白であります。
 このように、アメリカでは、日本に比べ中小企業の直接金融市場が格段に発達したわけであります。直接金融と間接金融の比率を見れば、日本は一対一〇であるのに比べ、アメリカの比率は六対一〇、実に大きな開きがあります。日米では中小企業金融の構造が全く異なるのであります。知事、いかがですか。
 都では、これまでCLO、CBOを発行してきました。技術力のある中小企業に、従来の間接金融の手法を超えた資金供給を行うこの仕組みは実に画期的であります。私は、こうした取り組みが、今後日本の直接金融の発展の導火線としての役割を果たし、知事がいわれるとおり、東京から日本を変える趣旨にもかなうものであると考えますが、見解を伺います。
 さて、問題は、日米の状況が全く異なるにもかかわらず、日本の金融検査マニュアルがアメリカのマニュアルのいわばカーボンコピーであることです。日本の実態を無視し、アメリカンスタンダードに即した金融検査が行われているのが実情であります。
 さらに、信組などの地域金融機関に対しても、マニュアル別冊により、大銀行と基本的に同じ考え方に立って金融検査を行っているということが大きな問題です。
 金融庁には、貸し渋り・貸しはがしホットラインなるものがあり、中小企業の苦情、相談を受け付けております。昨年十月に開設されてから、本年五月までに寄せられた件数は七百八十六件であります。全国の中小企業数は約六百万社であり、昨年の中小企業庁の調査では、従業員百人以下の企業の一〇%以上が、メーンの金融機関から貸してもらえなかったと回答しています。したがって、寄せられた声は被害に遭っている中小企業のわずか〇・一%にすぎないことになります。
 私が町を歩いていても、貸し渋り、貸しはがしに苦しむ中小企業の窮状を目にすることは多々ありますが、国は、こうした地域経済の土台である中小企業の声を全く把握していないと私は考えます。
 知事は、かつて私への答弁の中で、金融庁は金融庁のための役所であり、かつての中央集権と同じように、信組の管轄権までも収奪し、末端の実情を全く知らないフォーマットをかぶせているといわれました。現実、国の金融行政は地域実態を踏まえず行われています。これが中小企業を苦しめることにつながっています。
 さらに、地域金融機関である信組の指導監督は平成十二年に都道府県から国へ移管されました。地方分権の流れに逆行しているのは明らかです。
 そこで、都は、こうした金融行政の問題点を指摘し、国に対し積極的に物をいっていくべきであると思いますが、局長の見解を伺います。
 一方、金融機関は、担保偏重主義、いいかえると、金融マニュアル原理主義ともいえるものに固執しています。このため、技術力や将来性のある中小企業、また再生可能な企業に対し、担保がないなどの理由だけで十分な資金供給ができないでいます。
 また、日本では、企業の世界においても少子化が大きな問題となりつつあります。開業率は一九八〇年代まで六%以上で推移いたしましたが、最近は三・一%にまで落ち込んでおります。我が国において、ベンチャー企業などの中小企業が十分に育たなかったり、新陳代謝が行われないことの大きな要因となっています。
 加えて、すぐれた技術力を持ちながらも、担保を用意できなかったために、やむにやまれず悪質な貸金業者、つまりやみ金に駆け込み、悲惨な状況に追い込まれる中小企業の例さえ目にします。到底許容できません。
 こうした中、都は、従来の担保主義にとらわれない新銀行構想を発表しました。現状に対して何もできないでいる国に対して一石を投じるものであります。新銀行は新たな戦略的融資モデルを標榜していますが、中小企業への融資について具体的にどのようなことを考えているのか、見解を伺います。
 次に、羽田空港へのアクセスについて伺います。
 羽田空港の再拡張事業については、二〇〇九年までの供用開始を目指し、国は新たに四本目の滑走路を整備する予定であります。さきの羽田空港再拡張事業に関する協議会では、国際化について、知事を含め全員の合意がなされたと聞いております。しかし、空港そのものができても、アクセスが十分でなければ、空港の機能を完全に発揮することはできません。
 そこで、京急空港線と東急多摩川線を短絡する路線、通称蒲蒲線について伺いたいと思います。
 この路線に関しましては、平成十二年一月、運政審答申第十八号でA2路線として位置づけられております。例えれば、A2路線とは、松竹梅の竹でありまして、二〇一五年までに整備着手することが適当である路線であります。
 一方、国で、二〇一二年の空港需要を勘案し、羽田空港において年三万回程度の国際線の就航を想定しています。国際化を推進させるという意味で、蒲蒲線は補完的な役割を求められています。
 この蒲蒲線は、埼玉方面のハブステーションであります池袋を経由し、地下鉄十三号線、そして渋谷から東急東横線を経て東急多摩川線から羽田空港へ至るものであります。現在、地元大田区では、蒲蒲線整備に向け、予算化された調査が進められているとのことであります。
 空港アクセスを有機的に一体として整備することで、羽田空港をアジア諸国のハブ空港の中で一級の都市型空港とすることができると思います。本路線の現状と都としての取り組みについて所見を伺います。
 最後に、先月の「文藝春秋」で「坂の上の雲」が特集されておりました。その中で、明治時代には明確なる国家目標、つまり坂の上の雲がありましたが、現在はこれが見えにくい状況となっているとのことです。全く同感であります。そこで中曽根元首相は、我々が国民に提示すべき新しい坂の上の雲は何かと自問されておりました。
 知事、東京から日本を変えるかどうか、変えられるかどうかは、それは知事が国民に坂の上の雲を提示できるかどうか、この一点にかかっていると確信いたしております。
 私も、一政治家として、国家観、正しい歴史観をしっかり持って、坂の上の雲という新機軸、つまり目指すべき目標を自問しつつ求めていくことを決意し、私の質問を終わらさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 中西一善議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、ニューヨークを参考にして東京の治安の回復ということでありますが、私、レーガン大統領のイノギュレーション、就任式に招待されて行きまして、その後ニューヨークに移りましたら、白昼、午後二時ごろでありましたけれども、マジソンという非常に大きな通りでひったくりがあって、しかも、田舎から来た白人の女性が―今では何というんですか、アフリカ系アメリカ人というんですか、の一人に、していたネックレスをちぎって取られると思ったら、それが非常にかたくて、ひし形のものがつながって、それがちょうど糸のこぎりのように彼女の頸動脈を切って、路上で出血多量で死亡されました。それを目の当たりに見たんですけれども、あのころのニューヨークに比べると、東京はまだそこまで行っていないと思います、幸い。ただ、下手をするとそういうことになりかねない。
 しかも、きのう質問の中にありましたが、不法入国している外国人、特に中国の不法入国者が、例の―外国ではあれは北京肺炎といっていますけれども、SARSという新しい疫病の源泉地である中国からやってきた人間が、不法入国したまま一種のゲットーにたむろして、そこで発病したときにどうチェックするかという問題が指摘されまして、非常に新しい脅威を感じましたが、いずれにしろ、東京をそういう混乱に陥れてはならないと思います。
 先般も、ある人から、ジュリアーニがニューヨークでやったことの一冊の本をもらいまして、部分的には参考になるところがありましたけれども、東京は東京の特性もございますし、ニューヨークでやったことの成功の中で参考になるものは大いに活用しながら、いずれにしろ、東京をかつてのニューヨークまで陥れてはならないと強く自覚しております。
 私の友人の一人でありました国松警察庁長官がああいう狙撃に遭いまして、間を置いて、私、おととしですか、ダボスに会議で行きましたときに、彼がスイスの大使で迎えに出てくれまして、石原さん、中国系の広州を根城にして入っている、あのいわゆるスネークヘッド、蛇頭という組織犯罪を、よほど気構えを新たにして食いとめないと、イタリアのシチリアやナポリをベースにしたマフィアが誕生して、非常に強固な犯罪組織をアメリカでつくってしまった、そういうことになりかねませんぞという憂慮を聞きましたが、これも下手をするととんでもないことになる東京の要因の一つだと思います。
 ということで、私は私なりにいろいろ努力もしてきましたし、特に、おととしの九・一一の多発テロのときにたまたまワシントンにいまして、きのう訪れたペンタゴンが炎上するのを目の当たりにして愕然としました。帰ってすぐ国にはからいましたが、国の動きが遅いので、かつての警察の幹部であったある人物と相談して、ある人を一年間参与という形でもらい受けまして、首都圏を構成する八都県市の首長さんたちと話をして、首都圏FEMAのようなものを組織としてつくりました。
 いずれにしろ、私は手を尽くして、この日本の心臓部であり頭脳部である東京が犯罪のちまたにならぬよう、第二のニューヨークにならないように、この段階で万全の努力をしたいと思っております。
 次いで、港湾の安全保障についてでありますが、これはいろいろな問題が絡んでおりますけれども、特に、日本にやってくる、これは北朝鮮と限りませんが、非常に発展途上国の船舶というのは、日本でいうシーマンシップ、つまり船をいかに安全に操るかという技量に欠けていまして、常陸の沖とか大島の沖で座礁した船などは、海象―海の気象ですね―その中で、ああいう条件の中でどう船を処するかということも全く知らずに、ただただ恐ろしくて、陸に近づいてああいうざまになった。
 こういうものを私たち取り締まるすべを持たないわけですけれども、しかし、いずれにしろ、これは相手側の国の責任でありますけれども、そういう船員が乗っている船が東京湾という閉鎖水域に入ってきて、また事故を起こしかねませんが、いずれにしろ、今までの海上保安庁のやっている作業だけではとてもおぼつかない。警察が持っている水上班と海上保安庁とはいつもいろいろ抵触しまして、縄張り争いが盛んなんですが、こういったものを自粛させ、持てる力を総動員して、私は、東京だけじゃなしに、隣接している神奈川、千葉県とともに、この首都の玄関口であります、水の玄関口であります東京湾の安全というものを維持していきたいと思っております。
 次いで、日本においての中小企業の直接金融市場が発達していないという問題です。
 これは十分存じておりまして、ゆえにもCLO、CBOという新しい債券を発行したわけですし、また新たに銀行も今考えているわけであります。
 最初の都知事の選挙のときに、私、ご指摘のジャンクボンドについて発言しましたら、特に共産党は、ジャンクボンドを全く理解しないまま、わけのわからぬ反対をしておりましたが、他の候補は沈黙しておりましたけれども、CLO、CBOをもってジャンクボンドと申しませんが、こういうマーケットが日本に当然育っていくことで、日本の産業を支えている中小企業のダイナミズムというのは確保されるのではないかと思います。
 最後に、日本にとっての坂の上の雲は何か。
 これはやっぱり国会の指導者たちが積極的に考える問題でありましょうが、ただ、私も長く国会にいまして、東京を預かるようになって改めて感じることは、この東京が象徴しておりますけれども、眠っている力がたくさんあります、日本には。技術力もそうですし、金融市場もそうですし、こういったものをもっと的確に使うことで、やはり世界から存在感を認められるといいましょうか、敬意を持って期待をされる、そういう国家に十分なり得るわけでありまして、そういう具体的措置をいかに講じていくか。
 私、いつもいっているんですが、アメリカにいわれて買ったままに置いてある三百兆というアメリカの国債を売るとなったら、橋本総理のときにちょっと発言があって問題になりましたけれども、こういったものの使いよう、これを担保に組み込むことで基金をつくるなんてことは可能だと思いますし、その他この他、潜在している力というものを何でもう少し複合的に有効に使えないのか、非常に歯がゆい思いがいたしますが、それが的確に講じられることで日本はより明確な坂の上の雲を国民に提示し、また、国民もそのために発奮することができるんじゃないかと思います。
 他の質問につきましては、出納長及び関係局長から答弁いたします。
   〔出納長大塚俊郎君登壇〕

○出納長(大塚俊郎君) 中小企業への融資についてのお尋ねでございます。
 ご案内のとおり、金融機関の融資審査は金融庁の金融検査マニュアルによって行われておりますけれども、中小企業に関しては、これを補うものとして別冊の中小企業融資編がつくられております。
 しかし、別冊は、技術力、販売力や成長性等に対する見方につきまして、事例が幾つか掲載をされているだけでありまして、金融機関本体の体力低下等も相まって、現場の融資では、中小企業について依然として生きた資金の供給ができておりません。
 新銀行では、データベースを含めた先端的な金融ノウハウを活用するとともに、地域金融機関等と緊密に連携をして、定量的要素、定性的要素とをあわせ、具体的かつ有効な新しい基準を策定し、それに基づきまして、中小企業に対し円滑な資金供給を行ってまいります。
   〔港湾局長成田浩君登壇〕

○港湾局長(成田浩君) 北朝鮮との間を航行する船舶への対応についてのお尋ねでございますが、今日、北朝鮮の船以外にも、便宜置籍船を含めた外国船がチャーターされ、直接または第三国経由で我が国と往来しております。こうした北朝鮮と往来する船舶はもとよりのこと、東京港に入港しようとする船舶の安全性に問題がある場合など、港湾施設の管理運営に支障を及ぼすことが見込まれるときには、港湾管理者といたしまして、船舶の接岸を許可しないなど、必要な措置をとってまいります。
 また、密輸や密入国などに対しては、税関、入国管理局などの国の関係機関や警視庁との密接な連携のもとに日常的な監視を強めるとともに、万一、違法な事態が発生した場合には、厳正に対処してまいります。
   〔産業労働局長有手勉君登壇〕

○産業労働局長(有手勉君) 中小企業金融に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、CLO、CBOの発行についてでございますが、すぐれた発想力や高い技術力を持つ中小企業に直接金融への道を開き、資金調達の多様化を図ることは大変重要でございます。
 都は、これまで、CLO、CBOの発行により、約七千五百社の都内中小企業に三千億円を超える投資家の資金を供給し、直接金融への道を開いてまいりました。今後もさらに工夫を凝らしまして、こうした債券の発行により、中小企業の資金調達の多様化とステップアップを支援してまいります。また、民間における債券市場、ひいては日本の直接金融が大きく発展するための導火線としての役割を果たしてまいりたいと考えております。
 次に、国に対する金融行政の問題点の指摘等についてでございます。
 金融行政の展開に際しましては、何よりも地域経済の実情を踏まえることが不可欠でございます。
 都は、これまでも、金融検査マニュアルの適用について、資金調達の円滑化の観点から、中小企業の経営実態に即した適切な運用を図ることなどを国に強く申し入れてまいりました。今後も、議会の協力もいただきながら、国に対し、東京の中小企業金融の充実に向けた提言を積極的に行ってまいりたいと考えております。
   〔都市計画局長勝田三良君登壇〕

○都市計画局長(勝田三良君) 通称蒲蒲線の現状と都としての取り組みについてのお尋ねでございますが、羽田空港は、国内航空ネットワークのかなめを担う拠点空港でございまして、その役割は再拡張によりますます大きくなります。さらに、国際化の実現によりまして、国際競争力の強化にも大きく貢献する基幹空港施設となるものでございます。
 蒲蒲線は、この羽田空港へのアクセス強化を図る一つの路線といたしまして、ご指摘ございましたとおり、運輸政策審議会答申第十八号で位置づけられております。平成十四年度、大田区が導入空間につきましての調査を実施しておりまして、十五年度も引き続き建設費などの調査を予定しております。整備主体、事業資金などさまざまな課題がございますが、都としては、今後、大田区の検討状況などを踏まえ、必要な対応を図ってまいります。

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