平成十五年東京都議会会議録第十号

  午後一時一分開議

○議長(三田敏哉君) これより本日の会議を開きます。

○議長(三田敏哉君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(三田敏哉君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、東京都人事委員会委員の選任の同意についてが提出されました。
 これを本日の日程に追加をいたします。

○議長(三田敏哉君) 昨日に引き続き質問を行います。
 七十番三原將嗣君。
   〔七十番三原將嗣君登壇〕

○七十番(三原將嗣君) 石原知事の二期目の政策の主眼は危機管理にありますが、この点に沿って幾つか質問をいたします。
 国会は、やっと有事関連法案を成立させましたが、残念ながら、我が国は長い間、有事や危機管理の議論をタブー視するという感じでありました。そうした世論をあざ笑うかのごとく、北朝鮮による拉致やスパイ工作船の領海侵犯が行われていたのであります。
 その中で私たちの記憶に新しいのが、平成十三年十二月二十二日夜の、奄美大島沖で発生した日本の巡視船に対する不審船からの発砲と自爆自沈であります。
 後日の捜査で、これが北朝鮮の工作船であることが確定いたしましたが、明けて十四年の正月、石原知事は小泉首相に、梅雨のころまでに工作船を引き揚げなかったら、おれは倒閣運動をやるぞと、こう諫言されたそうでございます。ご記憶であると思います。
 小泉首相も、こうした声にこたえて引き揚げの政府方針を決められ、その年の九月十一日に、工作船は再び海上に姿をあらわしました。引き揚げてみると、驚いたことに、スパイ工作船どころか、対空機関砲、無反動砲、ロケットランチャー、迫撃砲、機関銃と火力が重装備で、まさに日本国を侵略する戦艦といったものでした。
 そして、この工作船が、去る五月三十一日から、お台場の船の科学館の敷地で展示をされております。私も早速見学に行ってきましたが、知事はごらんになりましたか。まだでございましたら、知事のお声がかりで引き揚げた船ですから、早い機会にぜひ見学していただきたいと思いますが、いかがでしょう。よろしくお願いします。
 工作船は、展示から三十二日間で三十万人の見学者がありましたから、いかに国民的関心が高いかがわかります。しかし、九月三十日で終了し、それ以後の保存と展示が宙に浮いているとの報道があります。これはまことに残念なことで、ぜひとも東京都の協力のもと、現在地で引き続いて保存、展示することを私は提案いたします。
 それは、東京都は美濃部知事の時代に、夢の島埋立地に廃棄されていたというだけで、第五福竜丸を原水爆反対のシンボルとして都立夢の島公園に展示し、二億円の建設費を拠出しました。都の一般会計が約二兆円のときの二億円ですから、今なら六億円を出したということになります。さらに、現在も、委託費として毎年約二千万円を建設局が支出しています。また、青島知事の時代には、この第五福竜丸のエンジンの寄贈を受けて展示をしています。
 こうした過去の東京都の取り組みから考えても、工作船の保存、展示に都が協力をすることは極めて妥当かつ適切だと私は思いますが、いかがでしょうか。
 特に知事は、北朝鮮になめられている、日本人の強い怒りを伝えない限り、失われた同胞は帰ってこない、東京都は東京都の責任でその意思表示をすると述べられ、朝鮮総連関係施設への課税を決断されました。同様に、この工作船は、国家主権への侵害事件の象徴として、また事件を風化させないためにも、知事本部が海上保安庁と相談し、せめて拉致事件が解決するまで首都東京で保存、展示することに最大の協力を都がすべきだと思いますが、知事の決断を伺います。
 次に、知事は四月の記者会見で、最大の課題は治安回復である、こういわれ、ここ一、二年が勝負ともいっておられますが、まさに治安回復は都民の危機管理そのものといえます。申し上げるまでもありませんが、首都東京の治安は戦後最悪といわれています。昨年の都内の刑法犯認知件数は約三十万二千件、わかりやすくいいますと、一分四十四秒に一件が発生したことになり、私がこうして質問している時間の間にも八件発生するという非常事態なんです。
 もちろん、警視庁も手をこまねいているわけではありませんので、次の点を伺います。
 警視庁は、治安再生元年と銘打って、三年以内に十年前の体感治安に戻すという意気込みで、内勤警察官をまちに出す等の総力戦を展開し始めています。つまり、限られた人数をどう有効に活用するかということですが、警視庁では、各署の実績や業務の負担に応じて定員を増減させる制度を始めたはずですが、その効果を警視総監に伺います。
 同時に、警察署の管轄区域を変更し、管轄面積のバランスをとることも重要な対応策だと思います。このことは、かねて我が党の吉原議員も提案しておりまして、例えば、八王子市に新設予定の警察署が隣接の町田市の一部を管轄するというようなことを提案しています。この管轄区域の増減、変更を警視総監はどう判断されますか。伺います。
 また、私は、機動隊員約三千百人をもっと弾力的に活用すべきだと思います。今年の三月に繁華街の新宿や渋谷のパトロールに活用しましたが、ぜひ再開をさせていただいて、常時二千人規模で継続的に出動させ、住宅街の犯罪多発地区にも投入していくべきだと思いますが、総監のご意見を伺います。
 現実には、警察官の人数に限度があるわけですから、知事のご提案のように、都庁職員を警視庁に派遣し、内勤の割愛できた警察官を現場に回す方法が極めて適切であり、今の急場はこれでしのぐしかない、こう私は思います。しかし、必ずしもまだ合意に達していないようなことですので、これこそ竹花副知事の初仕事にふさわしいと思いますので、ご尽力をお願いいたします。
 しかし、人材には限度がありますので、ならば、ハイテク機材でバックアップすることが当然必要であり、それが防犯カメラであります。
 平成十三年に新宿歌舞伎町に五十台設置しましたが、運用開始以来一年間で、路上犯罪等が目に見えて減少し、犯人逮捕にも七件活用されています。
 また、江戸川の小岩地区では、民間の寄附金で約三千四百万円かけて六十台のカメラを設置し、維持費の約二百五十万円は区役所が負担しています。こうした民間の管理運用委員会が運営しているという、すばらしい例があります。
 他の地区でも、犯罪抑止に大変効果が上がっていると、防犯カメラは好評であります。
 防犯カメラの設置には、必ずプライバシー保護の問題が提起され、昨日もこの議場において議論されましたけれども、犯罪の抑止を考えれば、甘受すべき範囲であると思いますし、地方自治体の参画で十分解決できるものと信じます。
 そこで私は、防犯カメラの設置費用は都が負担をし、維持費は区や市で負担する方式を知事に提案いたします。現在、新・元気を出せ商店街事業の補助金を利用するという方法もありますが、一、二年が勝負、こうおっしゃっているんですから、都が全額負担して、すぐ設置してこそ石原流の治安回復だ、こう思いますが、いかがでしょう。
 今年度は、約二億円ぐらいの補正予算を組んで五カ所に設置する、そして、向こう二年は、約六億円ぐらいの予算を組んで十五地区ぐらいに設置をするという決断をすべきだと思いますが、知事のお考えを伺います。
 なぜ今年度に、しかも、すぐ五カ所かといいますと、先般、警視庁のホームページで公開された犯罪発生マップでは、繁華街を除くと、ひったくり、車上ねらい、粗暴犯等の発生が最も多いのは、江戸川区、足立区、世田谷区、八王子市、町田市の合計五区市であります。もう一つ残念なデータを追加しますと、東京消防庁の報告では、放火が多いのは、足立区、練馬区、江戸川区の三区であります。
 よって、ぜひとも前述の五つの地区には大至急防犯カメラを設置するべきだと思いますし、区や市との協議を始めてもらいたいと思います。警察や役所は頼りにならないと、都民の間に不信感が醸成されたら、全く取り返しがつかないことになります。一刻も早い決断を知事に求めて、次の質問に移ります。
 昨今の激しい社会情勢の中で、商取引の複雑化、IT化、国際化が進み、社会的弱者の消費者や中小企業が不利益を受け、不安にさらされていることを解決していくことも、広い意味での危機管理に当たると思います。
 そこで、第一に、消費者保護の問題を伺います。
 都は、消費生活条例をもって都民の消費生活の安定と向上を図るべく努力をしています。しかし、極めてスピードアップした社会の動きに合わせて消費者被害の救済を進めていくのは大変難しいことで、先般の消費生活対策審議会は、時代に合わせた消費者被害救済のための新たな仕組みづくりをするよう答申をいたしました。
 この答申を受けて、具体的に何を実施するのか、特に紛争解決機能の強化のため、被害救済委員会の積極的な活用を求められておりますが、生活文化局長の見解を伺います。
 また、この答申でも、多様な被害を的確かつ迅速に救済する必要があると述べています。つまり、早く対処するということが一番大切なんです。
 国の調査では、被害のうち、行政への相談はわずか三・七%と推定しています。この数字は、役所に相談したってだめだよということを示していると私は思うんですが、東京全体では約十一万件の相談が年間ありますけれども、東京都の消費生活総合センターは年間約三万件の相談を処理しています。
 しかし、このうち九割は電話相談ですが、実は、年間十八万件の電話がかかってくると推測されますが、相談員と電話がつながるのはわずか一五%で、残りの十五万件はつながらないんです。しかも、土曜、日曜、祝日は相談はお休みです。知事、こんな不親切な相談の受け付けでいいんですか。
 その原因は、専務的非常勤職員といわれる相談員が一日平均十八人の勤務で、電話も十回線しかないんです。だからなんです。ぜひ相談員や電話回線をふやすべきだと思います。
 また、最近は、水道局や消防署や都税事務所の職員を名乗る悪質な手口も出現していますが、知事はご存じですか。悪質な業者を指導するのは特別機動調査班で、業者への厳しい処分の成果を上げていますが、これまた、わずかたったの十二人で大変な激務なんです。この特別機動調査班も増員すべきでありまして、それには退職警察官の活用が最適であると私は思います。
 相談センターと特別機動調査員に非常勤職員を倍増するだけで迅速に対応ができ、しかも効果が上がり、大勢の弱い立場の都民が救済されるわけですから、これはもう石原知事のツルの一声しかありません。知事の決断を伺います。
 また、最近、マスコミをにぎわせている悪質なやみ金融も社会的弱者の敵でありますが、相談センターと、今年開設した貸金業対策室が連携をして対応しております。そこで、悪質貸金業者の取り締まり手順と最近の行政処分の内容について、産業労働局長にお尋ねします。
 最後に、知的財産保護についてお尋ねします。
 東京には高い技術力を持った中小企業がありますが、それを特許などの知的財産権として確保していくことは至難のわざです。そこで、東京都は四月から、知的財産活用本部を創設し、総合センターを開設しましたが、中小企業等からの相談はどうなっていますでしょうか。伺います。
 そもそも中小企業の代表は、仕事一筋で来た人たちですから、工業所有権だの法律だのの手続に通じていないことは明白です。そこで、知的財産権への認識を高める普及啓発活動や、外国での特許取得の支援についても伺います。
 国も知的財産戦略推進計画を策定しようとしていますが、都も国に先駆け、海外における海賊版、模造品対策や訴訟支援等に力を入れてこそ、東京の活力をよみがえらせる産業上の危機管理といえますが、産業労働局長の意見を伺って、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 三原將嗣議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、北朝鮮工作船の保存、展示についてでありますが、先般、別件で日本財団に行きましたときに、曽野会長、それから、理事長の笹川さんと面談しましたときに、かなり詳細な資料を、工作船についての資料を見せてもらいました。そのときも、ぜひ実際に足を運んで見ていただきたいと。それを確約いたしましたので、必ず近々に私も参りたいと思っておりますが、いずれにしろ、一般の人がのぞけないところまで撮った写真もありまして、改めてかたずをのむ思いでございました。
 これが時間を限られてあそこから撤去されるのは残念でありまして、やっぱり置くべきところは国会の庭でしょうな。(笑声)もしそこがだめなら、都庁で引き受けても結構ですから。これはやっぱり、非常に北朝鮮という厄介な隣人が間近にいるということを私たちが認識することで、外交とは何か、国際関係とは何かということを、国民も熟知すべきそういう時期に来ているのではないかと思います。
 いずれにしろ、北朝鮮は、既に十数トンに及ぶ膨大な覚せい剤を持ち込んでおりまして、その頒布は日本の暴力団が片棒を担いでいるところもあるようでありますが、いずれにしろ、その覚せい剤によって異常を来した人間が、例えば、あの大阪の池田の小学校で児童を刺し殺した犯人も覚せい剤の常用者であったようですし、先般も神奈川県の大井松田で、車から通りすがりに人を刺した、女性を殺した、あの犯人も常習者であったようでありますが、こうした膨大な違法なドラッグが日本の国民をむしばんでいるということを私は看過するわけにいかないと思います。
 その大きなよすがになります、せっかく、最初は妨害していた中国にもお金を払って引き揚げさせていただいた工作船でありますから、我々、国民的な認識を持つためにも、私、もちろん参りますけれども、どこかに常時これを展示することが、場合によったら、日本じゅう回覧することも必要だと思っております。
 次いで、治安対策、防犯カメラについてでありますが、防犯カメラ、昨日の質問を聞きましても、いろいろアレルギーがあるようでございますけれども、今、警視総監に聞きましたら、江戸川区ではワンコイン運動ということで、協賛する方が五百円の硬貨を拠出することで、三千万目標でやりましたら、三千四百万拠金があったようでありますが、区によっては区長さんがこれを反対するところもあるようでして、私はやっぱりこういう運動が徹底していくことで、治安に対する区市町村の気構えが変わってくると。こういうものを拒否するような区に、プライバシーを構えて、犯罪がしわ寄せしていくということもあり得るのではないかという気がしました。
 いずれにしろ、せっかくそういう意思を都民の多くの方が表示していらっしゃる。コストも、聞きましたら、新宿で非常に成果を上げました、歌舞伎町で成果を上げましたあの投資額は二億円程度だそうでありまして、これは都全体ににわかにというわけにいきませんが、できるだけ数多いモデル地域をつくって、そこですることで、私はやっぱり、犯罪の発生率というものが上がったり下がったりするということで、私は、都の予算、なかなか逼迫しておりますけれども、モデル地域をつくって、必ずしもご指摘のところ全体になるかどうかわかりませんけれども、やるべきであると思います。
 次いで、消費者被害への迅速な対応についてでありますが、私、就任早々、警視庁と別館の、コンピューター関係の犯罪を取り締まる新橋の別館に行きまして、非常に強い印象を受けましたが、あそこでも刑事犯につながるそういう犯罪というものはコントロールしていて、また、一方の組織と連絡しながら対応しているようでありますけれども、人手が足りないということは明らかなことでありまして、ただ、すべてを東京都が引き受けるというよりも、つまり、東京都全体に広範囲に及ぶ、犯罪を行っている、違反を行っている人たちを対象にする組織と、それから、地域性の濃い、区市町村というものが主体となって取り締まる、そういう対象が二つある、カテゴリーが二つあると思います。そういうものを識別しながら、やっぱり被害が続出しているわけでありまして、これに対して積極的に対処していきたいと思っております。
 他の質問については、警視総監及び関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監石川重明君登壇〕

○警視総監(石川重明君) 初めに、警察署の定員見直しによる効果についてお答えを申し上げます。
 警察署の定員見直しは、変化する警察事象に的確に対応するために、限られた人員を効果的に再配置をいたしまして、各警察署間の業務負担の均衡を図ることを目的といたしまして、平成十四年の春から年二回行っているところでございます。これまで、新宿、渋谷、町田など、業務負担が増加をした警察署三十九署に約二百八十人をシフトいたしました。
 この定員をふやしたこと自体による効果というのは、なかなか切り出して申し上げにくいわけでありますが、各警察署で行っているさまざまな対策とあわせた総合的な結果でありますが、例えば、新宿、八王子等の各警察署におきましては、十四年中の刑法犯の認知件数が前年に比べて減少しておりまして、一定の効果があらわれているというふうに考えております。
 今後も、その時々の犯罪情勢に応じまして見直しを実施し、人員の再配置を行って、治安の万全を期してまいりたいというふうに考えております。
 それから、八王子市内の新設予定署に隣接をする町田市の一部を管轄させるというご提案についてお答え申し上げます。
 警察署の管轄区域は、警察法を受けまして、警察法施行令によって、警察の任務を能率的に遂行することができるように、人口、他の官公署の管轄区域、交通、地理その他の事情をしんしゃくして決定することというふうに定められておるところであります。
 ご指摘のとおり、管轄区域につきまして、担当面積を署ごとにバランスをとるというのも一つの要素かと考えるわけでありますが、警察行政の効率的な執行という観点から、個々具体的な場合に問題がないかどうか、あるいは、関係自治体や地域住民の理解が得られるかどうかといったようなことについて慎重に検討する必要があるように思います。
 次に、機動隊の弾力的な活用についてお答えを申し上げます。
 警視庁の機動隊は、我が国の政府中枢機能や皇室関連施設、諸外国の大使館などが一極集中をしております首都東京の警備を行う任務を負っておるわけでございますが、その一方で、平素は、レスキュー、アクアラング、山岳救助といったような機能別に部隊を編成いたしまして、各種の警察活動に多角的に運用いたしております。
 特に、この多角的運用の部分で、近年、機動隊の中に遊撃捜査二輪車部隊、遊撃警ら部隊を編成いたしまして、警備諸活動のみならず、犯罪実態に応じて、捜査、取り締まり活動にも機動的かつ弾力的に運用しているところであります。
 また、機動隊の一般部隊につきましても、集団警備力の特性を生かしまして、三月には、新宿地区や渋谷地区に大量の部隊を派遣いたしまして、街頭犯罪抑止対策、暴力団対策、国際組織犯罪対策などに従事をさせ、効果を上げたところであります。
 今後も、来日外国人要人の警護警備、雑踏警備などの警備情勢を勘案しながら、集団警察力をどのように運用することが最も効果的であるかということを念頭に置きながら、盛り場のみならず、住宅街の犯罪多発地区へも引き続き機動隊を派遣するなど、諸対策を効果的に推進してまいりたいというふうに考えております。
   〔生活文化局長三宅広人君登壇〕

○生活文化局長(三宅広人君) 東京都消費生活対策審議会答申の具体的実施についてのご質問にお答えいたします。
 答申で求められております消費者被害救済機能を高めるために、東京都といたしましては、次の三点に取り組んでまいります。
 一つ目は、区市町村では解決困難な案件について、統一的な処理ができないかどうかという点でございます。二つ目は、民間の相談、紛争解決機関の専門性を生かした連携の仕組みづくりについてでございます。三つ目は、他の行政機関との連携によりまして、悪質事業者の指導、処分等を促進することでございます。
 次に、消費者被害救済委員会についてでございますが、委員定数をふやしたり、部会を設置するなどしまして機動的運営を図ってまいりましたが、今後はさらに、区市町村等で受け付けた案件の付託や、処理結果の相談現場における活用を進めるなど、効果的な運営に取り組んでまいります。
   〔産業労働局長有手勉君登壇〕

○産業労働局長(有手勉君) 貸金業対策、知的財産保護など四点のご質問にお答えいたします。
 まず、悪質な貸金業者の取り締まり手順と最近の行政処分内容についてでありますが、貸金業対策室では、消費生活センター等からの情報、被害者からの苦情相談により、具体的な証拠等に基づきまして、登録業者に対しまして立入検査を実施し、違反事項を改善させております。特に悪質な業者につきましては、厳しい行政処分を実施し、必要に応じて警視庁に通知しているところでございます。
 最近の行政処分の内容でございますが、平成十四年度は、登録取り消し百五十四件、業務停止命令十六件、合計百七十件であり、かつてない規模となりました。平成十五年度も、六月までの三カ月間で、登録取り消し四十件など、合計五十件と積極的に行政処分を行っております。今後も引き続き適切に対処してまいります。
 次に、知的財産総合センターの相談実績についてでございます。
 中小企業の知的財産の活用を総合的に支援するため、都は本年四月に、知的財産総合センターを秋葉原に、支援室を城東、城南、多摩の各地域に設置いたしました。これらの施設で六月までに、権利取得や特許の活用に関するものなど六百三十件の来所相談などを受けたところでございます。
 今後とも、経済団体や区市町村など関係機関の協力を得まして、より多くの中小企業に知的財産総合センターの利用を働きかけてまいります。
 次に、中小企業に対する知的財産制度の普及啓発と外国特許取得支援についてでございますが、知的財産の活用の重要性が一層高まる中で、中小企業への知的財産制度の普及啓発が今強く求められております。
 そこで、弁理士会などの関係機関とも連携し、中小企業経営における知的財産戦略を考えるシンポジウムを今月二十四日に開催するほか、知的財産の活用事例をわかりやすく紹介した冊子を作成するなど、積極的に普及啓発を進めてまいります。
 また、多額の経費を要する外国特許の出願には、今年度から費用に対する助成を行いたいと考えております。
 最後に、海外における模倣品対策などについてのお尋ねでございます。
 模倣品対策は本来国の役割であります。都としても、でき得る限りの対策を講ずる必要があると認識しております。
 外国企業の模倣品による被害について、国や日本貿易振興会などの関係機関と積極的な情報交換を行うとともに、知的財産総合センターで中小企業の訴訟について相談を行っております。
 今後、国に対し、引き続き被害対策の充実を強く要求していくとともに、知的財産活用本部においても、模倣品対策についてさまざまな角度から検討を進めてまいります。

ページ先頭に戻る