平成十五年東京都議会会議録第九号

○議長(三田敏哉君) 七十四番大河原雅子さん。
   〔七十四番大河原雅子君登壇〕

○七十四番(大河原雅子君) 私は、都議会生活者ネットワークを代表して質問いたします。
 まず、知事の二期目のスタートに当たり、都政運営の姿勢について伺います。
 知事は再選後のインタビューに答えて、これからはもっと過激にやると発言され、早々と新銀行構想を発表し、公約の実現に向けて精力的に活動されています。
 しかし、今定例会初日の公営競輪の再開発言にも明らかなように、住民感情や地域特性への配慮を欠き、意思決定過程が非公開の都政運営は大きな問題です。
 投票率は低かったにせよ、知事は三百八万票という多大な都民の信託に支えられています。この期待にどうこたえるかが課題であると同時に、さらには、知事に投票しなかった人、選挙に行かなかった人、選挙権のない子どもや若者たちからも理解が得られるような都政運営を目指すべきではないでしょうか。
 経済のゼロ成長時代の到来、高齢化と人口減少という、これまで日本が経験したことのない社会状況が進む今、都政に求められているのは、先見性に富んだ発想力と実行力であり、地域コミュニティを再生する多様な市民の活動を応援するしなやかな都政運営であると考えます。市民参加を徹底して進める真のガバナンス、対話型都政こそ目指される姿です。
 そして、情報公開を徹底し、異なる意見や少数意見をくみ上げつつ、女性、子ども、高齢者、市民、NPOなど、これまで優先されてこなかった政策課題に取り組むことこそ、新たな時代の要請です。
 こうした政策課題に取り組む上でも、また、国際社会のポジティブアクションの趨勢を踏まえても、実感と実行力を伴う女性副知事の誕生が期待されますが、知事のお考えを伺います。
 次に、都財政について伺います。
 これまで取り組んで来た財政再建推進プランの達成率は、九三・七%という成果を上げ、また、内容の是非はともかく、これまで公になることのなかったいわゆる隠れ借金も明らかにしました。しかしながら、財政再建がいまだ道半ばであることは問題です。
 都財政再建のかぎは、歳入面では、法人二税への依存度を下げる税制の仕組みをつくること、歳出については、税収に見合った歳出規模を維持することです。本来は、都民ニーズに合わせた事業を実施し得る歳出規模があるべき姿ですが、バブル期に膨らんだ負の遺産を抱え、財源不足が慢性化する中では、歳入の身の丈に合わせざるを得ないのが現状です。
 今後、さらなる施策の見直しを進めるに当たっては、都から市区町村への分権を進める自治体内分権の視点が重要です。二十三区では大都市事務も行っていますが、分権時代の都道府県行政を進めるべく、事務事業をさらに見直し、分権を図るべきです。
 また、行政の縦割りをやめ、局を横断して全庁的に実施するなどのほか、介護保険制度に伴って実施された包括補助金は、他の分野についてもさらに進めるべきと考えます。
 今後、第二次プランに取り組まなければならないということは、第一次プランの読みが甘かったといわざるを得ません。人口構成の変化や東京の産業構造の転換、バブル崩壊後の都税収入の推移などを踏まえ、低い経済成長の中で借金体質を転換し、都政のダウンサイジングを改革的に進めるべきではなかったでしょうか。
 今後、退職者の急増、高い水準が続く公債費、また、十七年度には一般外形標準課税の導入など、都財政には引き続き厳しい状況が続きます。
 こうした中で、第二次財政再建推進プランは、都財政の現状分析や今後の経済動向の推計など、国の情報だけでなく独自に判断をしながら進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 第二次プランに向けて洗い出された課題の中には、補助金の問題があります。都財政の現状を見れば、補助金といえども見直しの対象とせざるを得ないことは、数字の上では理解するものですが、補助金には一つ一つに経緯があり、意義があり、役割があります。したがって、こうした個別の事情をしんしゃくすることなく、一律に何割削減といったやり方は決してとるべきではありません。
 見直しに当たっては、個別の状況を精査し、例えば、区市町村に対する補助金ならば、対話による相互理解の労を惜しまず、自治体の真の自立を促す視点に立った見直し、再構築を工夫すべきと思いますが、見解を伺います。
 次に、新銀行構想について伺います。
 これまで都が進めてきた制度融資は、中小企業が金融機関から融資を受けやすくし、やがては自分の実力と信用で金融機関から資金を円滑に調達できるようにするための制度です。
 融資の実績は一兆九千億円もあり、有効に働いているといえます。無担保保証は八千万円まで融資可能で、実態に即し昨年新設したつなぎ融資、また、借りかえ融資は、目標額の倍以上の実績額に達しています。こうした使いやすく需要の見込まれる融資を今後さらに拡充すべきではないでしょうか、見解を伺います。
 私たちは、これまでも生活ニーズに即した地域サービスを提供するコミュニティ事業や、その経済的支援を行う緊急融資の重要性を提唱してきました。現在、ワーカーズコレクティブなどの新たな地域の起業家が、福祉の現場など多業種にわたり活躍しています。
 今後成長が期待されるこのような元気なコミュニティビジネスの担い手たちを対象とした柔軟な制度の充実など、ますます制度融資の役割に期待が膨らむところですが、見解を伺います。
 このような現行の制度融資があり、また、債権市場への参加が増加している中、新銀行は、どのような中小企業を対象とし、また、将来の宝となる成長企業を見きわめる基準づくりをどのように想定しようとしているのか不明です。
 新銀行が無担保主義といっても、何らかの融資の判断基準をつくらなくてはなりません。リスク管理には、まず中小企業庁が作成したCRDがありますが、中小企業の特殊性として、赤字先と黒字先でのデフォルト率がストレートにあらわれないなど、経営状況の把握は一筋縄ではいきません。
 こうした無担保融資制度のモデルを金融機関として新たにつくる必要がありますが、そのノウハウはどのようになっているのか伺います。
 私たちは、バランスシートの導入を高く評価し、その展開を求めてきました。この重要な点は、施策決定の中にコスト意識を持ち込むことであるとともに、施策の代替案や複数案の検討を可能にすることです。施策の将来展開を検討するため、私たちは、予定貸借対照表の作成を提案し、前向きに検討する旨の答弁を得たところです。
 新銀行構想は、斬新な提案ではありますが、一方で、都財政に大きなマイナスをもたらす可能性もあります。新事業の立ち上げには、まさにこのような予定貸借対照表の考え方を展開すべきです。
 これまでの都の融資制度は、少なくとも議会の同意が必要ですが、新銀行が株式会社になれば、株主の同意だけで済んでしまいます。しかし、都が一千億円を投入することを考えれば、誠実に多元的な議論を保障するため、収益見込みの構造を含めた可能な限りの具体的な構想を都民に明らかにすべきです。これまでの第三セクターのような状況を再びつくらないよう、都民への説明責任が重大となりますが、知事のお考えを伺います。
 次に、安全・安心まちづくり条例について伺います。
 市民の生命、安全を守るべき警察に不安と不信を持つ市民が多くなっている現状と相まって、警察の実態を反映するかのように、犯罪の検挙率が低下しています。こうした事態の改善のため、市民ボランティアが警察に成りかわり犯罪率を下げられるという種類の問題でないことは、いうまでもありません。
 桶川事件以降、警察刷新会議の提言により、警察の業務運営に民意を反映させるため、警察法の改正を受け、警察署協議会を発足し、警察署長が管轄区域内の住民から業務運営のあり方や地域の安全に関する意見、要望を聞くための機関が設置されています。しかし、抜本的には、警察、公安委員会の民主化、改革が必要であり、市民の代表による警察オンブズマンのような外部からの監督、救済機能を持つ監査制度が必要なのではないでしょうか。何よりも、警察の情報公開のあり方や個人情報保護策を講じるなどして、市民の不信を払拭すべきと考えますが、現状と対策について伺います。
 防犯カメラの設置、住民やボランティアと一体となった防犯対策、個人情報の提供の奨励なども含む今回の都条例は、監視社会、疑心暗鬼の社会につながり、それは私たち都民の望むところではありません。
 私たち都民が望む安全、安心は、地域コミュニティの育成を優先させる都政によってこそ醸成されるものであると考えます。ひとり暮らしの高齢者の見守りや児童生徒の放課後の居場所の確保や充実など、本当の安全、安心に至る社会基盤の整備は、いまだ不十分です。地域の安全、安心は、今回の都条例のように警察のリードでつくられるものではなく、暮らしからの視点でつくられるべきです。また、既に市や区では同様な条例が制定されていますが、新たに都条例を制定しなければならない理由について伺います。
 次に、化学物質対策について伺います。
 生活者ネットワークは、予防原則の視点から、成長期にある子どもに合わせた化学物質の基準づくりを求めてきました。子ども関連施設における揮発性有機化合物対策を実効性あるものにするため、東京都建築工事標準仕様書に、建物の施工完了、引き渡し前の室内空気測定の義務づけを求め、仕様書が改定されています。また、学校環境衛生の基準も改定され、教室の定期検査のほか、備品の搬入、新築、改築、改修時には、引き渡し前に臨時検査を義務づけ、基準をクリアしたことを確認することが明記されました。
 ところが、実際には、昨年の調布市の小学校に続き、ことしに入って墨田区、江東区の小学校、そして今回、都立世田谷泉高校でもシックスクール症候群と見られる健康被害が相次いでいます。
 アトピー体質やぜんそくを持つ子どもによっては、深刻な症状を誘発させることもあり、化学物質対策においては、何よりも未然防止の原則を徹底すべきです。さらに、化学物質アレルギーや過敏な子どもたちが他の子どもたちと一緒に学校で学ぶことができるよう、また登校することが不可能な子どもたちについて、学習権をどう保障していくのか、今後の大きな課題であります。
 今回の都立高校の場合は、検査結果を待たずに引き渡しが行われるなど、学校環境衛生の基準が守られておらず、都の責任が問われています。
 今後、建材等の選定から什器、備品等の納入や維持管理上のワックスなどの使用に至るまで、学校環境衛生の基準の遵守、徹底をどう図るのか。また、事業者との契約方法を抜本的に改善すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 室内化学物質対策検討委員会が設置され、現在、都立学校における化学物質対策は検討がされているということですが、単に建築や改修などのハードな面にとどまらない、子どもたちの学習環境全体を見通した対策が必要であることはいうまでもありません。
 こうした視点から、昨年埼玉県では、シックスクール問題対応マニュアルが策定されましたが、化学物質対策の先駆けとして、都は今後どのような対策を講じるつもりか、見解を伺います。
 今回、生徒や保護者についての説明や情報提供など、対応も後手に回ったことも問題です。その背景には、学校関係者の化学物質に対する認識不足があります。校長初め学校教職員への研修を早急に行うことはもちろん、リスクコミュニケーションについてもマニュアルに盛り込むべきであると考えますが、いかがでしょうか。
 また、検査体制については、現在、事業者が契約した検査機関が行っていると聞きますが、学校の管理責任者の立ち会いの義務づけとともに、第三者的な機関による検査体制の導入など、見直しが必要と考えます。見解を伺います。
 先日、十四年度の重要施策、化学物質子どもガイドライン、室内空気編の広報資料ができ上がりました。この七月から施行された改正建築基準法とともに、自治体で初めてつくられたこの子どもガイドラインの周知徹底が大いに期待されるところです。しかし、ガイドライン自体は強制力がないことから、将来的には、法的整備も視野に入れた総合的な推進体制が必要であると考えます。
 子どもを取り巻く環境から化学物質を削減し、子どもが利用するあらゆる施設において未然防止の原則を徹底し、実効性ある取り組みがなされるよう、この子どもガイドラインを今後具体的にどのように活用していくのか伺います。
 最後に、外環道計画について一言申し上げます。
 PI外環沿線協議会は、六月二十六日、中間のまとめを行いましたが、建設の必要性や方向性は示しませんでした。PI協議会は決定の場ではありませんが、必要性の議論から始めることが認められており、公正、公平な必要性の議論は、国と都が持つ情報が明らかにされた上で成立するものです。ところが、外環道の将来交通予測や建設費、維持管理費、それに対する税金投入の予測額など、具体的な議論の素材も提供されていない中で、国、都は極めて一方的に大深度地下方式での建設方針を発表し、沿線自治体にはインターチェンジなどについての意見を求めるなど、PI協議会を軽視する強引な建設推進の姿勢は極めて問題です。
 先日、青梅街道インターチェンジについては、区民、識者の声を聞いて、杉並区長から建設反対が表明されましたが、沿線自治体の合意形成と情報提供に最大限貢献することは、国と都の大きな義務であると考えます。国と都は真摯に基本的な疑問に答え、本質的な課題がPI協議会の場で協議されるよう求めておきます。
 再質問を留保いたしまして、生活者ネットワークの代表質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 大河原雅子議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、あなたのおっしゃるしなやかな都政というのは、何だかさっぱりわかりませんな。こういう言葉はいっときどこかではやったようでありますけれども、あなたも都民から選ばれた、せっかく東京の都議会議員でいらっしゃるんだから、いいかげんな日本語は使わない方がいいと思います。
 次いで、副知事の選任についてでありますが、六月二十四日の都議会本会議で、新しい副知事として竹花さんの選任をいただきましてありがとうございました。復活した福永副知事と浜渦副知事と合わせて三人の体制で、二期目の公約実現について進みたいと思います。
 なお、当面この体制で都政の課題解決に取り組んでまいりますが、今後の副知事の登用についても、重要な政策を実現するために、男女の別なく、最も適切な人選を行いたいと思っております。
 世の中のはやりか何か知りませんが、何でもいいからとにかく女性の副知事をつくれというような意見がないでもありませんが、これは、むしろ私は女性に対する一種の差別ではないかという気がいたします。
 次いで、一言、質問ありませんけれども、お答えしておきますが、第一回の財政推進プランが甘かったとおっしゃいますけれども、これは、あの状況の中で私たち、ぎりぎりのことをやったわけです。組合も協力してくれて、本当に血を吐く思いで内部努力もしましたが、残念ながら、我々を取り巻く環境、それを左右する国の政策が甘過ぎて、どんどんどんどん日本の経済が低迷したために、東京の立場はますます逼迫したわけでありまして、そういう相対感覚なしに人のことを結果として非難するというのは簡単でありますが、私は、それは正当な批判にはなってないと思います。
 次いで、都民への説明責任についてでありますが、新銀行においては、既存の銀行とは異なりまして、繰り返して申しますけれども、人員や店舗などを極限にまで絞り込んだ、非常に低コストの体質を実現していきたいと思っております。
 経営はあくまでも民間主体で行います。先端的な経営方法、手法を採用しながら、新たな企業統治を確立していきたいと思っております。
 経営戦略上、制約はありますが、こうした新銀行の具体的な姿を、一定の段階で、可能な限り、これから先、都民に明らかにしていくつもりでございます。
 他の質問につきましては、警視総監、出納長、教育長及び関係局長から答弁します。
   〔警視総監石川重明君登壇〕

○警視総監(石川重明君) 初めに、都民の信頼確保のための施策の取り組みについてお答えをいたします。
 この点につきましては、警察法の改正等を受けまして、公安委員会の管理機能の強化を初め、警察署協議会の発足など、これまでさまざまな制度改革や組織整備が行われてまいりました。
 ご指摘の外部監査制度につきましては、国会審議の過程で議論がなされたわけでありますが、これは適当ではないということで採用されなかったものであります。自浄作用の発揮のために、内部監察機能の充実強化などの諸施策を推進することによりまして、都民、国民の信頼が得られ、警察が機能を十全に果たすための警察改革に、現在真剣に取り組んでいるところであります。
 また、情報公開につきましては、かねてから条例の適正運用に努めているところでありまして、個人情報の保護につきましても、このたび公布された個人情報の保護に関する法律等の趣旨にかんがみまして、部内教育の徹底を期することなどにより、一層の適正管理に努めてまいります。
 次に、安全・安心まちづくり条例案の策定の視点についてのお尋ねであります。
 この条例案は、地域コミュニティの力を高めることによって犯罪を防止しようとする趣旨を含むものでありまして、具体的には、地域のボランティアによる防犯パトロールや保護者との連携を通じて、通学路や学校周辺の公園、広場等において児童等の安全の確保を図るなど、子ども、高齢者、女性など犯罪被害に遭いやすい人々を地域の力で守ろうとするものであります。いわば地域住民の視点に立った地域ぐるみの取り組みというものを目指しているものであります。
 このような施策を推進するためには、都民の生命、身体及び財産の保護を責務とする警察が、犯罪情報や防犯に役立つ情報の提供など、一定の役割を担うこともまた当然であります。
 また、幾つかの区市におきましても同様の条例が制定をされておりますが、今回の条例案は、都が設置、管理する道路、公園、学校等の防犯性を向上させるなど、都が行うべき事項について規定をするものであります。
   〔出納長大塚俊郎君登壇〕

○出納長(大塚俊郎君) 新銀行の無担保融資についてでございます。
 先ほどもお答え申し上げましたけれども、債権管理とそれから審査と、二つの面での新しい仕組みを考えております。
 債権管理につきましては、新たに融資先企業を固まりとしてとらえるポートフォリオ方式を採用いたします。初めから一定のデフォルトを想定いたします。ポートフォリオ全体の中で貸し倒れの損失を吸収し、設定したリスクの範囲におさめるように運用してまいります。
 また、審査につきましては、民間の先端的なノウハウを活用するとともに、地域金融機関等と緊密に連携をいたしまして、中小企業のリスク特性に応じた具体的かつ有効な審査マニュアルを作成し、対応してまいります。また、これらにあわせ、有力保証会社等とも連携し、全体として適正なリスク管理を行ってまいります。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 学校におけます室内化学物質に関します四点の質問にお答え申し上げます。
 まず、建材等の選定、什器等の納入における契約方法についてでございますが、都教育委員会としましては、都立学校における児童生徒の健康を確保するため、学校環境衛生の基準について一層の遵守、徹底を図ることが重要であるとの認識のもとに、室内化学物質対策検討委員会を新たに設置をしまして、現在、総合的な対策について検討を進めているところでございます。
 ご指摘の契約方法の改善につきましても、当検討委員会で検討しているところでございますが、室内化学物質の発生が少ない材料、製品を優先的に使用することや、ワックス、殺虫剤の適切な使用を徹底することを契約上明記するなど、契約方法の改善に努めてまいります。
 次に、今後の室内化学物質についてでございますが、都教育委員会としましては、児童生徒の安全で快適な学習環境の確保を目指しまして、国に先駆けて学校におけるホルムアルデヒドの基準を策定するなど、室内化学物質対策に取り組んできたところでございますが、新たにトルエン等の室内化学物質の削減を図るため、学識経験者及び関係各局で構成します室内化学物質検討委員会におきまして、総合的な対策を検討しております。九月に予定している報告結果を踏まえまして、都立学校における具体的な対応を年度内にマニュアルとしてまとめ、室内化学物質を一層強化してまいります。
 次に、学校関係者への研修等についてでございますが、児童生徒の安全を確保するためには、学校関係者が正確な知識を持って対応することが必要でございます。都教育委員会では、室内化学物質について、区市町村教育委員会の施設担当者や学校薬剤師に対する研修を実施しておりましたが、本年八月からは、校長を初めとする公立学校の教職員や学校医に対しても、専門家等による研修を継続的に行うことによりまして、学校関係者の理解を深めてまいります。
 また、室内化学物質対策に当たりましては、学校が保護者等と情報を共有しながら取り組むことが重要と考えておりますので、そうした取り組みの必要性についてもマニュアルに反映させるなど、その周知を図ってまいります。
 最後に、室内化学物質の検査体制についてでございますが、学習環境の安全性を確保していくためには、検査の客観性や透明性をより一層高めていくことが重要であると考えております。このため、教室等の使用開始の判断にかかわる竣工時の検査につきましては、ご指摘の、校長等の立ち会いを求めることや、事業者が第三者の専門的な検査機関に依頼するよう義務づけることなど、先ほど申し上げた検討委員会の検討結果を踏まえまして、検査体制の充実を図ってまいります。
   〔財務局長櫻井巖君登壇〕

○財務局長(櫻井巖君) 都財政に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、第二次財政再建推進プランの策定に当たっての都財政の現状分析や経済動向の推計についてであります。
 第一次プランの収支見込みでは、政府の経済見通しなどに基づきまして税収の伸びを見込んでいたところ、例えば十五年度予算における都税収入は、その見込みを大幅に下回るなど、現実は都にとって大変厳しい状況となりました。
 都の歳入は、景気変動の影響を受けやすい法人二税が大きなウエートを占めており、現在のような先行きが不透明な経済情勢のもとで、今後の動向を見通すことはなかなか困難であり、第二次プランの策定に当たっては、都財政が抱えている課題を十分に現状分析するとともに、国及び民間等の経済や景気に関するさまざまな情報を幅広く収集し、より的確な推計ができるよう努力してまいります。
 次に、補助金の見直しについてでありますが、都税収入の大幅な伸びが見込めない中、都は厳しい施策の選択を迫られており、今後とも一層の内部努力とともに、聖域のない施策の見直し、再構築をさらに徹底する必要があります。
 そうした観点から、一般歳出の四分の一を占める補助金についても、適切な見直しが求められております。現行の多種多様な補助金には、それぞれの経緯などがあることはお話しのとおりでありまして、すべての補助金を一律、機械的に削減することは適切ではありませんが、個々の事例を見れば、時代状況の変化から、制度創設時の必要性が薄れているもの、事業効果に疑問があるもの、あるいは現行の補助率が適正でないものなど、改革に向けて具体的な検証を進めるべきものが多いと考えております。
 したがって、補助金の見直しに当たりましては、個々の目的、内容を十分に精査しながら、都民ニーズや時代状況の変化に適合したものとなるよう、再構築を進めてまいります。
   〔産業労働局長有手勉君登壇〕

○産業労働局長(有手勉君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、制度融資の拡充についてでございますが、これまで都は、厳しい経営環境に配慮した制度融資の拡充を図るなど、中小企業金融の円滑化に大きな役割を果たしてまいりました。
 今年度は、事業再生融資やクイック型融資を創設するとともに、融資目標額を過去最大の一兆七千五百億円とし、充実を図ったところでございます。今後も引き続き制度融資の的確かつ積極的な運営に取り組んでまいります。
 次に、福祉の現場などにおけるコミュニティビジネスを対象とした制度融資についてでございます。
 福祉のまちづくり条例に基づくコミュニティビジネス等を行う営利事業者につきましては、制度融資の技術・事業革新等支援資金融資において、有利な条件による資金調達が可能となっております。一方、非営利法人につきましては、中小企業信用保険法の適用を受けないことから、制度融資の対象とはなっておりません。
   〔健康局長平井健一君登壇〕

○健康局長(平井健一君) 化学物質対策について、子どもガイドラインを今後どのように活用していくかとのお尋ねでございます。
 都は今般、施設管理者向けパンフレットや都民向けのリーフレットなどにより、化学物質の子どもガイドラインの周知を図る一方、関係業界に対しては、化学物質の少ない室内環境の実現に向けて要望を行いました。
 今後、子どもが利用する施設を所管する関係各局との連携を一層緊密にするとともに、新たに区市町村との連絡会を設置し、おのおのの施設の特性に合わせたマニュアルの策定を働きかけるなど、健康被害の未然防止に向けた実効性のある取り組みを推進してまいります。
   〔七十四番大河原雅子君登壇〕

○七十四番(大河原雅子君) 化学物質子どもガイドラインについて伺いたいと思います。
 ただいま健康局長からはご答弁をいただきましたが、化学物質子どもガイドラインは、知事の重要施策であります。生活者ネットワークも評価をしております。これまで策定されました塗料、そして室内空気、これに引き続いて、今後、農薬について、また食品関連についての分野でもガイドラインが策定される予定と聞いております。しかし、ガイドライン自体は強制力がなく、今回もシックスクールという、現実に健康被害が起こっている現状があります。将来的には、法的整備も含め、例えば子ども環境化学物質削減計画あるいは削減条例として整備すべきと考えますが、知事はどのようなお考えでしょうか、お答えください。
 特に東京都の責任は重大です。実際に健康被害を受けた子どもたちがいること、そのことを知事は都の責任としてどのようにお考えになっているのか、あわせてお答えをいただきたいと思います。
   〔健康局長平井健一君登壇〕

○健康局長(平井健一君) 先ほど申し上げたとおり、今後、子どもが利用する施設を所管する関係各局との連携を一層緊密化するとともに、新たに区市町村との連絡会を設置し、おのおのの施設の特性に合わせたマニュアルの策定を働きかけるなど、健康被害の未然防止に向けて、子どもガイドラインの実効性のある活用を図ってまいります。

○六十七番(真鍋よしゆき君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(三田敏哉君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三田敏哉君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後八時一分散会

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