平成十五年東京都議会会議録第九号

○副議長(橋本辰二郎君) 八十四番大木田守君。
   〔八十四番大木田守君登壇〕

○八十四番(大木田守君) 石原都政の二期目のスタートに当たり、私は都議会公明党を代表して、知事選での公約を中心に、都政の重要課題について、知事並びに関係局長に質問いたします。
 今、日本は十年を超える長期不況の中にあり、だれもがこの停滞をわかっていながら、これを打破できないジレンマと閉塞感にとらわれています。こうした状況が引き金になり、さまざまな問題と社会現象が起きております。経済、財政の危機、治安、安全の危機など、私たちの東京はまさに国家的危機の真っただ中にあり、今こそ真の改革が求められております。こうした認識の上に立って、以下、質問に入ります。
 最初に、財政再建について伺います。
 都は、第一次財政再建推進プランの策定以来、内部努力を初め懸命な取り組みを続けてきた結果、財政再建団体への転落を回避したといえます。しかしながら、国からの税源移譲が一向に進まない中、見込みを大きく下回る都税収入によって、最終年度である本年度も、プランの目標達成には至っておらず、逆に二千五百億円もの財源対策を余儀なくされているのが現実であります。しかも、一兆円に及ぶ負の遺産ともいうべき隠れ借金まで存在し、従来型のやりくり算段の財源対策では、もはや限界に達したといっても過言ではありません。
 こうした観点から、我が党は、さきの第一回定例会で知事に対し、新たなる財政再建プランの策定を強く主張いたしました。知事はその必要性を認めた上で、さらに第二次財政再建推進プランの策定を、知事選の公約の一つに掲げたのであります。
 そこで伺います。まず初めに、都財政の現状、財政再建の進捗状況について、都の認識を改めて確認します。
 また、この際、今後の進め方、つまり行程表、ロードマップも明らかにすべきであります。同時に、都が発表した「途半ばにある財政再建」では、財政再建は第二ステップに進むとか、財政再建に向けての取り組みをステップアップするなどといった表現について、その意味するところは何か、あわせて明らかにしていただきたい。
 次に、今後の財政収支と財政再建の視点について伺います。
 都は、今後の財政収支について、都税収入に大幅な増加が期待できないとして、十六年度から十八年度にかけて、毎年度四千億近い財源不足が生じると見込んでおります。しかしながら、財政再建に当たっては、単なる収支の数合わせであってはなりません。巨額の財源不足を解消することは、最低限のテーマであります。それ以上に、都として社会経済情勢の変化に柔軟に対応できる強固で弾力的な財政体質をつくり上げることこそが、財政再建の主目的であります。
 これまで都は、職員定数の五千人以上の削減、管理事務費の節減など、厳しい内部努力を進めてきたことは事実であり、行革の量的側面に関しては一定の評価をいたします。しかし、これからの内部努力は、事務事業のアウトソーシングといった単なる減量にとどまらない、質の分野にまで切り込んだ構造的な取り組みが都庁の全部門でなされなければなりません。
 そこで伺います。今後の収支見込みや財政再建の目的などを踏まえつつ、第二次プラン策定に向けた新たな改革の視点、そして課題は何か、また、今後の具体的な作業手法についても伺います。
 関連して、都は、第二次財政再建プランの策定と並行して、新しい都庁改革アクションプランを策定するとしています。いうまでもなく、新しい都庁改革アクションプランは、現在のアクションプランの成果や課題を十分に生かすべきであります。この新たなアクションプランの作成に当たっての具体的な指針、そして作成時期を明示していただきたい。
 次に、新銀行構想についてであります。
 さきの所信表明において、知事は、全く新しいタイプの銀行を設立するとの決意を披瀝されました。そして、貸しはがし、貸し渋りに苦しむ中小企業に対して、従来のような担保主義ではなく、技術力や将来性を評価し、直接融資が可能となる方式を導入することを明言しています。
 長期化する不況の中で苦境にあえぐ中小企業を支援する新銀行構想に、我が党は一定の評価を行うものの、しかし、知事が強調する新銀行の理念を具体化するには、多くの克服すべき課題が存在することも事実であります。
 そこで、公明党は、党内に新しい銀行構想プロジェクトチームを立ち上げ、関係団体や学識経験者との意見交換を行うなど、これまで研究を重ねてまいりました。
 設立に向けて準備作業が開始された今、都は、可能な限り新銀行の具体像を都民の前に明らかにすべきであります。
 そこで伺います。第一に、全く新しいタイプの銀行を標榜していますが、機構、機能の両面について、その概念と概要及び行程を明らかにすべきであります。
 第二に、この構想の特徴の一つに、担保主義から脱し、企業の将来性や技術力に着目した無担保融資が掲げられていますが、数値化が困難といわれるこうした要素への評価を可能とする具体的な手法を明らかにするとともに、この作業に携わる金融専門家の確保策についても明らかにしていただきたい。
 第三に、新銀行設立に都は一千億円出資するとされていますが、もとよりこれは都民の血税であります。都は、一定の貸し倒れを前提に高目の引当率を設けるとしていますが、リスク管理体制の確立なしには、不良債権にあえぐ既存の金融機関の轍を踏むことになりかねません。貸し倒れによるリスクを防止するとともに、都財政への新たな負担とならないよう、効果的なリスク管理システムを構築すべきと考えます。所見を伺います。
 第四に、中小企業対策としては、公的融資制度を初めとして各分野の支援策が講じられているところであり、また、ローン担保証券や社債担保証券の制度なども推進され、一定の成果を上げているところであります。新銀行の設立に当たって、既存の制度と競合させるのではなく、むしろこれらの制度との有機的な連携による相乗効果を期待すべきです。所見を伺います。
 第五に、メガバンクはともかく、信用金庫、信用組合などは、従来、中小企業や個人事業者向けの地域金融機関としての役割を果たしてきました。これら金融機関との発展的共存を図ることが必須の課題といえます。このための基本的方策を示すべきであります。
 次に、治安対策についてであります。
 治安の維持こそ最大の都民福祉であるとして、今定例会に東京都安全・安心まちづくり条例を提案し、治安対策担当副知事のポストを新設するなど、治安回復に積極的に取り組む知事の姿勢を高く評価します。
 昨年、都内で発生した犯罪件数は三十万件を超え、一方、検挙率は年々低下をたどり、犯罪の凶悪化、多様化、国際化と相まって、都民の治安回復への要請はかつてないほど強くなっています。
 今回提案された条例は、警察だけでなく、行政や事業者、ボランティア、都民が一体となって、防犯活動や犯罪防止に配慮した環境づくりを進めるものとされていますが、それぞれの責務に関しては、単なる努力規定にとどまっていることが特徴といえます。
 そこで、条例の実効性を担保するための具体的運用のあり方が課題であり、また、条例の効果的実施に当たっては、行政はもとより、事業者、都民などとの緊密な連携が不可欠の要件となります。まず、この点について方針を明らかにしていただきたい。
 あわせて、指針の策定に当たっては、一般都民のプライバシー等にも配慮するなど、慎重な対応が求められますが、所見を伺います。
 次に、警視庁への都職員一千人派遣構想についてであります。
 まず、知事は都庁の職員を一千人、警視庁に派遣する構想を明らかにされていますが、この知事提案を警視庁はどのように受けとめ、職務体制に反映されるのか、所見を伺います。
 また、職員派遣は警察官の不足を補うという側面を持つものですが、これは緊急対応的な措置なのか、あるいは恒常的措置なのか、明らかにしていただきたい。
 次に、東京都の心身障害教育について伺います。
 国は、平成十五年三月に出された「今後の特別支援教育の在り方について」の中で、今後は、従来の心身障害教育の対象の障害だけでなく、通常の学級に在籍する学習障害のあるLD児や、多動性障害といわれるADHDなどの子どもたちも含めて、すべての障害のある児童生徒の自立や社会参加に向けて適切な教育を行い、必要な支援を行うとしています。従来、十分な体系的対応がとられてこなかった小中学校の通常学級に在籍するLD等の子どもたちへの教育的対応は、心身障害教育のみならず、小中学校の教育全般において極めて重要な課題であると考えています。
 我が党は、これまで再三にわたりこの問題を取り上げ、都においては、LD等の子どもたちに対する理解や専門的な教育の充実が進められてきたところであります。
 そこで、このたび東京都心身障害教育改善検討委員会の中間のまとめが発表されましたが、その内容について質問します。
 第一に、中間のまとめにおけるLD、ADHD等の児童生徒に対する教育的対応について、都教育委員会の基本的な考えを明らかにしていただきたい。
 第二に、LD等の児童生徒への適切な教育を実施する上では、その対象となる児童生徒の実態を把握する必要があります。国においては、全国的な実態調査を実施し、小中学校の通常学級に、LD、ADHD等と思われる児童生徒が六・三%程度在籍するとしています。
 そこで、都の特別支援教育体制整備等について検討していくためには、改めて東京都独自の実態把握が必要と考えますが、所見を伺います。
 第三に、特別支援教育体制づくりを進めていくには、対象の児童生徒を担任の教員だけに任せるのではなく、学校全体で取り組む必要があります。また、これらの児童生徒がいじめなどの対象にならないようにするためにも、通常の学級の担任がLD等について正しく理解し、児童生徒を指導することが重要であります。
 このような区市町村教育委員会の取り組みを都教委はどのように支援していくのか、見解を伺います。
 第四に、国の「今後の特別支援教育の在り方について」や都の中間まとめでは、LD等を含む障害のある児童生徒が通常の学級に在籍した上で、必要な時間を、小中学校に設置される予定の特別支援教室で教育を受けるとしていますが、心身障害学級から特別支援教室への移行に当たっては、固定学級がなくなることを不安視する多くの保護者がいます。その声に耳を傾け、都教育委員会としても、特別支援教室のあり方についてモデル事業を行い、不安の払拭を図っていくべきであると考えます。所見を伺います。
 次に、児童虐待について伺います。
 本年五月、東京都の児童相談所が、母親からの虐待が疑われる男児を保護するため、親の同意なしに立入調査を行い、歩くこともできないほど衰弱した小学六年の男児を救出したことが報道されました。このケースでは、親が養育を放棄するネグレクトの可能性が高いと判断され、医療施設で治療を受けた後、一時保護所に移されたということです。
 児童虐待防止法では、虐待のおそれがある場合、児童相談所が警察の援助を得て立入調査を行うことを認めています。しかし、親が拒んだ場合は、規定はありません。厚生労働省も、立入調査が拒否された場合の打開策は現行法にはなく、検討が必要と述べています。
 児童虐待防止法は、平成十二年十一月に施行され、施行後三年を目途として見直しを検討するとされています。そこで、都として、児童虐待防止法の見直しに関し、児童相談所の体制強化や司法の関与の制度化など、国に対して必要な提言を行うべきと考えますが、見解を伺います。
 児童虐待の問題は、虐待の早期発見に加え、虐待を受けた子どもに対する手厚い対応が必要です。例えば、虐待を受けた子どもは、緊急の場合は一時保護所に保護されますが、一時保護所が常に満杯の状況にあるため、非行などにより保護されている子どもたちと生活をともにしなければならず、それが虐待を受けた子どもにとっては大きな不安、心理的負担になっています。
 したがって、虐待を受けた子どもたちと、非行などにより保護されている子どもたちの生活の場を分けるために、養護施設や養育家庭で一時的に預かるシステムを確立すべきであると考えますが、見解を伺います。
 ところで、都は昨年度、社会的養護の仕組みを、施設養護中心から家庭的養護重視へと大きく転換し、養育家庭制度の充実を打ち出しました。我が党は、かねてより地域の中での家庭的な養育を推進すべきと主張してまいりました。しかし、一般社会においては、養育家庭制度の認識が十分に普及していないのが現状です。
 そこで、都は今年度から、専門養育家庭、短期限定の養育家庭など新たな制度を導入し、養育家庭制度の拡充に向けた新たな取り組みをスタートさせました。養育家庭の登録数、委託児童数を大幅にふやすための新しい制度の普及についての取り組みと、専門養育家庭制度の実施についてのスケジュールを明らかにしていただきたい。
 次に、高齢者虐待についてであります。
 先月、厚生労働省は、介護が必要であるにもかかわらず、放置したり暴力を振るったりする家庭内の虐待が深刻になっているとして、全国規模の調査を初めて行うことを決めました。高齢者への虐待は、暴力による身体的虐待だけでなく、介護の放棄、怠慢、乱暴な言葉による暴力の心理的虐待などがあります。その背景には、限界に近い介護者の肉体的、精神的負担と、孤独、孤立感があると指摘されています。
 特に大都市においては、地域とのつながりが希薄になりがちであり、問題が表面化せず、発見と適切な支援がおくれてしまう危険性があります。そのため、地域の在宅介護支援センターなどが核となり、虐待やその可能性のある高齢者を早期に発見し、必要な支援につなげていく取り組みがぜひとも必要です。都内の自治体における取り組みの実態と、都の考え方、方針について所見を伺います。
 また、高齢者の虐待や、その可能性のある高齢者など、問題を早期に発見し、必要な支援につなげていくためには、地域の高齢者支援の拠点として、在宅介護支援センターの役割を見直し、再構築していく必要があると考えます。見解を伺います。
 次に、都立福祉施設の民間移譲について伺います。
 この問題について、我が党は、昨年六月、都立福祉施設改革推進委員会の報告以来、利用者とその家族の方々の立場に立って、都の施策の転換は、将来にわたる家族の方々の安心感の確保に十分こたえることができないのではないかと、再三にわたって疑問を投げかけてまいりました。特に、重度障害者の親亡き後を考えるとき、民間移譲によって、果たしてサービス水準が都立施設並みに担保されるのかなど、我が党は、都の福祉施設改革について慎重に検討してまいりました。
 そこで伺います。石原知事のいう、都として責任を持った対応とは、具体的にどのような取り組みになるのか。この際、我が党としても百歩譲って、仮に都立施設を民間に移譲するとしても、都の責任と関与のもとで、サービス水準の向上が図られる新たなる仕組みづくりを行うべきであると考えます。それによって、将来にわたる利用者や家族の方々の安心感を都が保障すべきです。知事の前向きな答弁を伺います。
 あわせて、民間に移譲した場合、利用者サービス向上の観点からどのような効果が期待できるのか、具体的に示していただきたい。
 さらに、新たな仕組みづくりの構築に当たっては、重度障害者の入所待機者の一日も早い解消を図るために、既存の民間施設にまでその対象を拡大し、従来以上のサービス提供体制が確保できる方策を検討すべきであります。所見を伺います。
 次に、色覚バリアフリーについて伺います。
 これまで都は、福祉のまちづくりに関するさまざまな施策を進めていますが、色覚バリアフリーへの取り組みは極めて不十分な状況です。色弱など、いわゆる色覚異常、色覚障害を持った方々に対して、かつては就職や進学の際に不当な扱いがなされてきました。しかし、関係者の長年の努力によって、そのような事例は現在は少なくなり、今年度からは、学校の健康診断においても色覚検査は必須項目から外されました。
 色弱者は、男性で二十人に一人、女性で五百人に一人いるといわれており、全国で三百二十万人、都内には三十万人以上存在するといわれております。昨今の情報通信技術の進展、とりわけカラー印刷技術の向上により、多様な色彩による表現、表示区分が顕著な時代となりました。
 便利になり、わかりやすくなったといわれる反面、色弱者に配慮した行政サービスやまちづくり、いわゆる色覚バリアフリーがこれまで以上に重要さを増してまいりました。東京から先駆的に色覚バリアフリーに取り組む意味は、極めて大きいといえます。知事の所見を伺います。
 また、我が党は、都政に関する色覚バリアフリー点検を行うとともに、市民グループや研究者からも多くの声を聞きました。そこで、改善すべき事項として、以下の点について伺います。
 第一に、交通局が作成している十三色の地下鉄路線図であります。この地下鉄路線図は、各路線を色だけで区別しており、一般の人たちからも、見分けが難しいとの指摘があります。
 これが、現在の地下鉄路線図であります。去る六月八日の日本展示学会においては、伊藤啓東大助教授などが、東大の研究グループのアンケート調査から、路線図の中に路線名を入れたり、色分けの説明や数字、アルファベットを付記すればわかりやすくなるとの報告を行っております。
 これが、ちょっとわかりにくいと思いますけれども、路線名を入れ、色分けの説明や数字やアルファベットを付記した改善試案でありまして、知事もちょっとわかりにくいと思いますけれども、こういうところを路線名を入れたり、数字とかアルファベットとか、これらの改善に直ちに着手すべきであります。見解を伺います。
 次に、学校についてであります。
 最近では、教科書や副教材、地図などのカラー化は格段に進んでおります。色覚バリアフリーの観点から、改善が必要です。さらに、色分けしたチームに分かれて競技を行う運動会など、学校運営においても配慮が必要です。教員の色弱者に対する理解と、授業における配慮も欠かせません。見解を伺います。
 安全にかかわる問題では、例えば、最近導入されたLED、発光ダイオード型信号機などの改良も含め必要と考えますが、いかがでしょうか。
 さらに、都のホームページや各局が発行しているカラーの出版物、また、都庁舎を初めとした都立施設の案内標示なども工夫が不可欠です。こうしたバリアフリーのまちづくりを進めていくためには、各局でノウハウを共有して、色覚バリアフリーの指針をまとめ、例えばJRや私鉄各社、病院やデパートなど多くの都民が利用する施設に対して、色覚バリアフリー化を働きかけていくべきと考えます。所見を伺います。
 次に、新型肺炎、SARS対策について伺います。
 WHO、世界保健機関によると、国際的には新型肺炎の流行が終息に近づきつつあるとの見解を示しておりますが、感染が再拡大したカナダ・トロントの例もあり、予断を許しません。専門家の間では、冬季における再発が懸念され、その際にはインフルエンザとの区別が問題であり、対応の困難さが増すと指摘しております。
 我が党も、国内感染が憂慮されていた五月二十一日に、石原知事あてに申し入れを行ったところであり、また、公明党本部としても、制圧に成功したフィリピン、シンガポール、ベトナム等に、党SARS対策視察団を派遣しました。
 国際都市東京においては、諸外国と人、物の交流が多く、対策の手を緩めるわけにはいきません。
 その第一は、現在、都内に三十五万人を超える外国人の方々が居住しているといわれています。その中には、SARS感染者が数多く発生している地域との往来のある人も多く、SARS感染に不安を抱く人も少なくありません。したがって、こうした人に対して、的確な情報提供、医療相談が必要です。入国の際の検疫体制の強化を含め、都の対応を伺います。
 第二に、現在、大変危惧されているのが、不法滞在者にSARSの疑いが生じた場合であります。繁華街などで警察が不法入国者を摘発した際、SARS感染の疑いのある人物が出た場合、どのような対応が想定されているのか、明らかにすべきであります。
 第三に、コンテナ船などにより、大量の不法入国者が港などから上陸し、その中にSARS感染者が含まれていることも十分考えられます。こうした水際での不法入国者の取り締まりに当たっては、収容等の措置とあわせた特別なSARS対策の実施が必要と考えられますが、見解を伺います。
 次に、食品の安全性の確保について質問いたします。
 二〇〇一年秋に起きた日本初のBSE、そしてその後の食品業界全体に連鎖的に起こった産地偽装や違法表示などの事件を契機に、現在、食品の安全性が厳しく問われています。食品の安全性に関しては、先ごろ、国では食品安全基本法が成立し、食品安全委員会が、本日、内閣府に設置されました。
 しかしながら、食材や食品というものは、複雑な行程や流通を経るため、中央から一元的な統括は実質的に困難であり、今後自治体レベルにおいて、より積極的で細やかな仕組みが求められています。
 とりわけ、食品事故等の原因究明に資するとともに、食品の生産、製造の履歴情報を消費者へ提供する観点から、トレーサビリティーシステムの導入促進は極めて重要な課題です。都は、本年度の重点事業として、食品にかかわる生産地、使用農薬等の情報提供を促進する、都民のための生産情報提供プロジェクトを実施することとしていますが、まず、その進捗状況を明らかにしていただきたい。
 また、トレーサビリティーシステムで特に重要なのは、このシステムが多くの食品に適用されることと、都民にわかりやすい仕組みになることであります。このため、履歴の記帳にとどまらず、都民へのわかりやすい公示方法や、東京都独自の都民の食の安心ガイドラインなどを策定すべきであります。さらに、消費者にガイドラインを満たしている商品であることを示す東京都安心認定マークを設定し、制度全体を適切に運用、管理する仕組みを築くべきでありますが、所見を伺います。
 食品の不正表示などによる事故は、残念ながら後を絶ちません。都の新たなシステムの構築は、健康被害発生のリスク軽減や、風評被害のリスク対策の基礎となるだけでなく、一つの食品が、どこでどのように生産されたかを知る意味で、食の教育や、食の大切さを確認する上で極めて有効であります。
 このように多様な意義のある新たなシステム構築に対する都の積極的な姿勢を求めるとともに、知事の食の安全、安心への取り組みの決意を伺います。
 次に、ディーゼル車対策について伺います。
 ディーゼル車の排気ガスに含まれる粒子状物質については、発がん性や呼吸器系疾患への影響だけでなく、花粉症との関連や胎児への影響まで指摘されています。ディーゼル車を保有している事業者に聞いても、あの排気ガスの黒煙を解消することには、だれしも異論はありません。しかし、零細事業者、特に自分一人で一台のトラックを持って事業をしているような方々からは、とても車を買いかえる余裕がない、違反覚悟で走るか、廃業するしかないという切実な声が聞かれます。
 都は、これらの事業者のために、車を担保に、民間の保証機関を活用した新しい融資のあっせん制度を発足させましたが、いかに低金利時代といえ、五年間の返済期間では、一千万円借りると月々の支払いが二十万円を超えてしまいます。現実に零細事業者は、借りられない、返せないという塗炭の苦しみを味わっております。
 逆に、ディーゼル車メーカーは、廃止の予定の工場を操業延長したり、最大限の増産体制をとるなど、販売台数の拡大で利益もウナギ登りであります。
 そこで、ディーゼル車メーカーとの不公平を是正するため、例えば、ディーゼル車メーカーから、販売した車の台数に応じて基金を拠出させ、その基金を活用して、零細事業者のための支援制度や新たな環境対策などの創設を要請すべきと考えます。知事の見解を伺います。
 また、都は、PM減少装置に対する補助を実施していますが、国も今年度より補助要件を緩和し、全国十八の道府県に補助制度が広がりました。ところが、国は、六月十一日に予算枠を超えたとして、突然、補助の中止をいたしました。十五年十月の規制を前に、買いかえか装置装着かと悩み、これから本格的な対応を考えていた事業者にとっては、茫然自失の出来事です。
 都は、六月二十三日に、八都県市と連携して、国に対して予算の増額と補助受け付けの再開を要請し、国土交通大臣も前向きな姿勢を示していると聞いています。我々も早速、国土交通省に強く予算の追加措置を要請したところであります。都内の事業者はもとより、全国の事業者のために、何としても国を動かし、補助制度の再開を実施させるべきと思いますが、知事の決意を伺います。
 続いて、雇用問題について質問をいたします。
 中高年層はもとより、最近は若年層の雇用問題が大きな課題となっています。そんな折、今国会において、地方公共団体による無料職業紹介事業を可能とする職業安定法の改正が成立いたしました。今後、九カ月以内の施行に向け、政省令など具体的な運用方針が明らかになる見通しです。
 都議会公明党は、昨年十二月、同法の改正を強く厚生労働大臣に要望し、本年の都議会予算特別委員会においても、同法の改正を視野に入れた都独自の雇用対策の確立を訴えてきたところであります。
 若年層はもちろんのこと、厳しい現在の状況を考えると、雇用不安に直面している人々に対し、地方公共団体の責務として、都みずからが一刻も早く効果的な対策を講ずる必要があります。
 そこで都は、若年者から高齢者まで幅広い層を対象に、独自の職業紹介を行うワンストップサービスセンターを設置すべきことを提案いたします。
 なお、その際には、能力開発に関する事業や施設を十分に活用し、各種サービスと十分な連携を図るべきであります。ワンストップサービスセンターの設置に向けて、都の見解を伺います。
 また、今回の法改正を契機として、区市町村においても雇用・就業対策を行おうとする機運が高まりつつあります。都は、区市町村との連携を密にして、この事業の推進を図るべきであります。見解を伺います。
 次に、都市機能の充実という観点から、都市河川の整備のあり方について質問いたします。
 ここ数年、都市部では、雨の降り方が局地的に極めて強くなっており、水害被害もさま変わりしてきました。一方、国は、荒川下流部の広域洪水ハザードマップを公表し、埼玉や東京の、北区、足立区などの流域で、八千ヘクタールに及ぶ浸水被害が発生し、百万人近くが被災するという被害想定を示しました。
 しかし、危険だと指摘するだけでは意味がありません。やはり防災対策の観点から、改めて河川の改修など護岸整備を着実に実施すべきであります。
 そこで、まず降雨状況の変化や、河川、下水道の現状に対応して、都は新たなる水害対策に乗り出すべきでありますが、所見を伺います。
 次に、荒川では、通常の堤防整備のほか、堤防そのものを周辺地域の地盤に合わせて大規模に整備する、いわゆるスーパー堤防に取り組んでおります。
 このスーパー堤防は、堤防自体の強化はもとより、水辺に親しむ場所の創出としての意味もあり、今後、河川の整備や町の活性化に欠かせません。東京都においても、隅田川などでこうしたスーパー堤防整備に取り組んでおりますが、今後とも積極的に取り組むべきであると考えますが、所見を伺います。
 次に、今国会で成立した特定都市河川浸水被害対策法についてであります。
 この新しい法律は、我が党が、防災調整池の保全や都市部の震災対策を国に強く申し入れた結果、制定された法律であります。
 都は、この新しい法律の趣旨、目的を踏まえ、都市における新たな水害対策の確立に努める必要がありますが、都の所見を伺います。
 最後に、JR埼京線、十条駅付近立体交差事業と防災まちづくりについてであります。
 十条駅付近立体交差事業については、十条地区のまちづくりにとどまらず、東京の首都機能にかかわる重要な事業であります。今日まで、赤羽の高架事業が終わったら速やかに着手するとの答弁を何回も伺っておりますが、いまだ具体化していません。
 地元北区では、早くからまちづくり公社をつくり、体制を整えて、事業着工を待ち構えております。混雑率二〇〇%を超えるJR埼京線の輸送力の増強、十条駅付近の渋滞解消、十条駅西口再開発事業の推進、また都市計画道路の整備促進、あわせて木造密集地域を解消し、災害に強いまちづくりの事業化などを推進する意味からも、連続立体交差事業に積極的に取り組むべきであります。所見を伺います。
 以上をもちまして、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 大木田守議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、都財政の現状と財政再建の進捗状況についてでありますが、都はこれまで、ディーゼル車規制や福祉改革など、国に先んじた取り組みを進める一方で、財政再建推進プランに基づいて、内部努力や時代の変化を踏まえた施策の見直しに取り組んでまいりました。あわせて、何とか財政再建団体への転落を回避してまいりましたが、再三申してきたことでございますけれども、この長期にわたる国の景気の低迷から、都税収入は減少を続けておりまして、一方、国からの税財源移譲も一向に進んでいない現況です。
 このため、十五年度予算では、二千五百億円近い財源対策を余儀なくされました。さらに、今後も、毎年度巨額の財源不足が見込まれますが、これまでのように臨時的な財源対策を続けるということは、ご指摘のように、もはや不可能になっておりまして、このようなことから、財政再建はいまだ、まだまだもう道半ばという認識を持っております。でありますから、第二ステージとしては、かなり思い切った踏み込み、切り込みをしなくてはならないと心得ております。
 次いで、財政再建の第二ステップの課題と新たな改革の視点及びプラン策定の今後の進め方、ロードマップということですけれども、東京に活力を呼び戻す先進的な施策を進めるためには、今後の財政再建の取り組みは、これまでと同様の取り組みに安住することなく、第二、第三のステップとして、さらに充実強化して、強力に推進する必要がございます。
 まず何よりも、今後は、仕事のやり方や中身を、これまでにない大胆かつ新しい発想で見直すとともに、行政改革、財政再建、人事制度改革を今まで以上に一体化して行うことが必要であると思っております。
 いうには易しいんですが、なかなかこの新しい発想というのは、そうたくさん出てきませんで、あっぷあっぷしている現況ですけれども、とにかくこれらの都政改革を総合的に進めていく中で、都政の隅々にまで危機意識、コスト意識を徹底しまして、内部努力をさらに進めるとともに、高どまりしております経常経費にもメスを入れるなど、聖域のない施策見直しを推し進め、財政構造改革を断行していくつもりでおります。
 総論は、皆さん賛成していただけるんですけれど、なかなか各論になりますと、それぞれのお立場で反対がありまして、結果、なかなか難渋するのが常でありますが、そんなことやってられない状況まで、都の財政は来ているんじゃないかと思います。このため、今年の十月を目途に、第二次財政再建推進プランを策定してまいります。
 次いで、新銀行の機能、機構についてでありますが、この組織や人員体制は、前に申しましたが、既存の銀行と異なりまして、人間の数や店舗の数など極端に絞り込んだ、しかしそれを補う新しい機能というものを備えて、結果としては低コストなものにするつもりでおります。
 また、米国型企業統治形態とも呼ばれます、委員会などを幾つか設置して会社を運営するというシステムを採用しまして、経営監視と執行の役割分担を徹底した企業統治を確立したいと思っております。
 新銀行は、こうした体制に加え、不良債権ゼロから始める銀行として、中小企業融資に積極的に取り組みたいと思いますし、最先端のITや金融ノウハウを活用しながら、顧客本位の立場に立ち、豊富なサービスメニューを提供していきたいと思っております。
 また、この行程については、これからも幾つか段階を踏むことになりますけれども、まず、年内に新銀行の基本的な業務内容を含めて、全体の骨格をお示しできるように準備を進めていきたいと思います。
 なお、今の段階で具体的に申し上げられることは、後に出納長がお答えすると思います。
 次いで、既存の制度との連携についてでありますけれども、中小企業が保持しております力を十分に発揮させるためには、資金供給だけではなくて、経営、技術指導、取り組みあっせんなど、さまざまな支援策が必要であります。
 先般も参りました大田区の非常に画期的な発明をした企業が、小さな企業ですけれども、結局、手続、その他が煩雑でわからないために、うっかり内容を見せまして、アメリカの企業にパテントを盗まれてしまったなんていう例がございました。
 同行しました東京商工会議所の幹部がそれを聞いて非常に慨嘆しておりまして、商工会議所としてもそういう相談部門を設けているんだけれども、なかなかそういう情報が届いていなくて、こういうことになるんだなと慨嘆しておりまして、そういうことも重々気をつけまして、商工会議所や中小企業投資育成会社などと有機的に連携して、その相乗効果によって、一層効果的な支援を行っていきたいと思っております。
 次いで、地域金融機関との発展的共存についてでありますが、新銀行は、基本的に中小企業を熟知しております信金あるいは信組といった地域金融機関と協調しながら、新たな投資のビジネスチャンスを開拓していきたいと思っております。
 先般も例に引いたことがありましたが、金融庁の非常に無慈悲な融資基準に反抗してといいますか、隠れて、絶対有望な、その基準によれば、新しい機械を導入したために、せいぜい二百万、三百万の有限会社ですから、ローンを払うその月から、もう債務超過になっている。そういう企業に、いかに金融庁に対する報告をごまかしながら融資すべきかということで腐心している信用組合の末端の支店長と職員の特集をNHKで見ましたが、これは本当にこういうギャップがあちこちにあるわけでありまして、金融庁もそれに気づいたか、金融基準のテキストの別冊に、中小企業向けの、何か要領の得ないものをつくって頒布しておりますけれども。
 いずれにしろ、そうした中小企業の優秀性、それが日本の産業をいかに支えているかということを、知っているようで熟知していない国の役所の非常にずさんな金融行政というものをカバーするためにも、こういった新しい銀行が大いに活躍すべきであると思っております。
 いずれにしろ、新銀行の経営戦略の根幹にかかわるため、現段階では明らかにできない部分もございますけれども、各種のニーズを踏まえ、多面的なモデルを企画しております。
 あくまでも、今後、地域金融機関などと連携共同して検討を深め、審査及び協調融資の役割分担を含めた具体的なビジネスモデルを東京で構築し、発展的共存を図っていきたいと思っております。
 次いで、都立福祉施設の民間移譲についてでありますが、確かにこのユーザーの方々が都の管轄から離れて、これが民間に移譲されると、民間の企業にいいものも悪いものもありまして、そういう点で非常に都民の方々、不安を感じられるというのは、むべなるかなという気がいたします。
 いずれにしろ、都が進める福祉改革は、戦後構築された行政主導の非常に画一的、硬直的な福祉システムを改めまして、利用者本位の新しい福祉を構築するためのものでありまして、都立福祉施設の改革もその一環でありまして、昨年七月に民間移譲を基本とする改革方針を明らかにし、条件整備を行いながら、その具体化を進めております。
 特に、重度障害者施設の民間移譲に当たっては、施設を利用される本人はもとより、家族の方々の将来にわたる安心感を得たいという願いにこたえるということが最重要だと思っております。
 そのため、都立施設で現在提供されているサービス水準を、民間移譲後も都が責任を持って保証する新たな仕組みとして、都独自の認定制度を創設もしますし、移譲後は、民間事業の創意工夫により、きめ細かで効率的な運営が行われ、より高いレベルのサービスが実現できると思っていますが、先ほども福祉局長に申しましたけれども、この認定制度を創設して、それで認定して資格を与えるだけではなくて、一種の経過措置として、ある時間帯の中では、都がもう少し踏み込んだ監督というものをある期間すべきではないかということを申しました。
 次いで、色覚バリアフリーについてでありますが、私、今、色盲とか色弱という言葉が禁句なのかどうか知りませんけれども、私の高校時代に一緒にスケッチに行った仲間の中で、河原でイーゼルを立てて川の風景をかいたら、その男が赤い鉄橋を緑に塗っているんで、私はびっくりしたことがありますが。
 これは、そういうハンディキャップを持っている方はたくさんおられる。特に、東京に数十万おられるということは非常に危険な話でありまして、第一、信号の青かがわからぬわけでしょうから、こういった障害を持っていらっしゃる方々に、これだけ進んだ大東京の社会資本がバリアフリーという形で構えられないわけはないと思います。
 どういう事例にどういうふうに技術的に適用し、どれぐらいお金がかかるかも大事な問題ですが、それをひとつまた、質問側の方からもいろいろ具体的に事例を示していただきたいと思います。
 次いで、食の安全、安心への取り組みについてでありますが、東京は日本最大の消費地でありまして、食の安全の問題が最も先鋭にあらわれるスポットでもあります。
 私は、時々断食のサナトリウムに行くんですけれども、東京からアトピーとかアレルギーで来られた方々が、ある期間そこにおられて、治って帰られるんですけれども、また東京に戻ると、またその病気が再発する。さまざまな環境汚染もありましょうし、食の問題も絡んでいるんじゃないかと思う。
 私は、自分の子どもを含めて若い連中に、おまえら、食べているのは案外危険なものがあって、それをよくわからぬままに食べているから、これからの若い日本人というのは長生きしないんじゃないかといっておりますけれども、それで済むことじゃありませんし、やはりご指摘のように、いろいろな事件で都民の食の安全に対する信頼は非常に揺らいでおりまして、これは都が率先して食の安全への取り組みを進めることが重要と心得ております。
 このため、平成十五年度の重点事業として、食品安全条例の制定など、大消費地東京の特性を踏まえた都独自の仕組みづくりを進めてまいります。
 今後とも、生産、流通、消費の各段階を通した、総合的な食の安全安心確保対策に積極的に取り組んでまいります。
 次いで、ディーゼル車に関する零細事業者のための支援制度などについてでありますが、先般もトラック協会にちょっと用事があって立ち寄りました。そこに窓口が開かれておりまして、相談に来ている四十代の業者が二人おられましたが、私を見たら、石原さん、こんなことをされたら、おれはもう倒産するよと嫌みをいわれた。
 それは、その方々にとってみれば深刻な問題だと思いますし、そういう事態を国がどれほどとらえているのか。いずれにしろ、先ほどの質問にありましたが、ああいう補助金を、もう額が考えた以上にオーバーしたんで、これで打ち切ると。額はたかだか知れたものでありますから、こういう冷たいというか、現況を熟知しない、本質を心得ない国の行政の認識は、非常に腹立たしいし、歯がゆいし、こういった問題は、これからも都議会の皆さんのお声をいただきながら、国にはっきりと伝え、強い姿勢で臨みながら―国交省の現の大臣は、そうだ、そうだ、私、けしからぬと思うといっていましたんで。いつまでやっているかわかりませんが、あの人も。いずれにしろ、とにかく国を動かしながらやっていきたいと思っております。
 今申しましたが、そういう意味で、PM減少装置装着に対する国の補助金打ち切りというのは、これは本当に額が小さいだけに、割と無神経にやったかもしれませんが、これは識者が眺めてみれば、本当に無神経というか、私はあきれた行政措置だと思います。
 そういう点で、皆さんの声を取り次ぎながら、私の責任でも国と強い交渉をしていきたいと思っております。
 なお、その他の質問については、警視総監、出納長、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監石川重明君登壇〕

○警視総監(石川重明君) 提案中のいわゆる生活安全条例についてお答えいたします。
 この条例を実効あるものとするためには、警視庁を含む関係部局が協力いたしまして、安全・安心まちづくりに関するさまざまな事業を推進することが必要であります。
 この点につきましては、例えば地域住民による自主的な防犯活動の促進、犯罪の防止に配慮した環境整備のための諸施策、学校等における児童等の安全確保について、今後具体的な事業が取りまとめられることになっております。
 そして、このための推進システムといたしまして、東京都レベルの推進協議会、地域レベルの推進協議会がそれぞれ設置されまして、行政、事業者、都民等が緊密に協力連携しながら、これらの事業を計画的、継続的に進めていくことになるわけであります。
 また、ご質問の指針につきましては、現在、警視庁及び関係部局の実務者が共同いたしまして、住宅に関する防犯上の指針、道路、公園、自動車駐車場、自転車駐輪場に関する防犯上の指針、学校等における児童等の安全確保に関する指針について協議中でございますが、その策定に当たりましては、ご指摘のとおり、個人のプライバシー等に配慮するなど、慎重に検討したいというふうに考えております。
 次に、東京都の職員を派遣していただく場合の職務内容等についてでございますが、派遣される職員の規模、派遣時期や期間、また担当していただく具体的な職務内容、必要な業務研修等々につきましては、現在、鋭意、都と協議を行っているところでありますが、知事のご提案の趣旨を踏まえまして、基本的には一人でも多くの警察官を街頭、侵入犯罪抑止対策等に充てるために、現在警視庁の職員が行っている事務の一部を担当していただき、パトロールの強化などの治安対策に効果を上げていきたいというふうに考えております。
 最後に、LED式信号機についてお答えいたします。
 警視庁におきましては、現在、西日対策やヒートアイランド対策、さらには消費電力の低減などに効果があるLED式信号機の整備を計画的に進めているところであります。
 この信号機の整備に当たりましては、強度の色覚異常の方々は、黄色信号と赤色の信号を識別できない割合が高いという、財団法人日本交通管理技術協会の調査結果がございます。これを踏まえまして、黄色の信号機の光度を上げて識別をしやすくする工夫も行っております。
 しかしながら、色覚異常の方々の信号機の見え方にも個人差がありますことから、より見やすい、わかりやすい信号機のあり方については、今後とも検討を行ってまいりたいというふうに考えております。
   〔出納長大塚俊郎君登壇〕

○出納長(大塚俊郎君) 新銀行についての二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、技術力等の評価手法と人材の確保についてでございます。
 評価手法は、新銀行の経営戦略にかかわるため、現段階でその詳細を明らかにすることはできませんけれども、年内には、少なくともその骨格をお示ししたいと考えております。
 既に、準備組織発足前から、内外の有力企業等と守秘義務契約を締結した上でさまざまな検討を重ねてきております。今後、さらに詳細な検討を精力的に進め、具体的な手法を確立いたします。
 また、ご指摘のとおり、金融専門家等の確保は極めて重要でありまして、既に準備組織に外部の精鋭に参加をいただいておりますけれども、今後さらに必要な人材を充足させながら、創設に向け万全を期してまいります。
 次に、リスク管理システムの構築についてでございますけれども、従来の個別審査による融資とは別に、新たに融資先企業を固まりとしてとらえるポートフォリオ方式を採用いたします。全体の中で貸し倒れの損失を吸収し、あらかじめ設定したリスクの範囲におさまるように債権の管理を行ってまいります。
 一方、審査に当たりましても、スコアリングモデル等、民間の先端的なノウハウを活用するとともに、地域金融機関等と緊密に連携いたしまして、中小企業のリスク特性に応じた具体的かつ有効な審査マニュアルを作成し、対応してまいります。
 また、これらにあわせ、有力保証会社等とも連携いたしまして、複合的なスキームのもとで、全体として適正なリスク管理を行ってまいります。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 心身障害教育など、教育に関します五点の質問にお答え申し上げます。
 まず、LD等の児童生徒への教育的対応に関する基本的な考え方についてでございますが、都教育委員会としましても、小中学校の通常の学級に在籍しますLD等の児童生徒への学習や学級経営等における教育的対応は、重要な課題であると認識いたしております。
 今後は、小中学校におけるLD等の障害のある児童生徒一人一人のニーズに応じた指導に対して、都教育委員会として、区市町村教育委員会はもとより、医療、福祉等の関係機関とも一層緊密な連携を図りながら、適切な支援を進めてまいります。
 次に、都独自のLD等の実態把握についてでございますが、ご指摘のように、特別支援教育体制の整備を進め、適切な教育的対応を図っていくためには、対象児童生徒の実態を把握することが必要でございます。
 そのため、都教育委員会としましては、小中学校の通常学級に在籍しますLD等の特別な支援が必要な児童生徒の実態や、各学校が必要としております教育的支援の重点についての都独自の調査を七月から九月にかけて実施いたします。
 次に、区市町村教育委員会への支援についてでございますが、都教育委員会としましては、これまでもLD等に関する研修や実践的な研究を実施しまして、教員の理解、啓発を図りますとともに、研究の成果を資料として配布し、小中学校の教員の指導力の向上に努めてまいりました。
 現在、小中学校における校内支援体制づくりのために、一区一市を指定し、校内支援体制の核となるコーディネーターの役割や校内委員会のあり方等について研究しているところでございます。
 今後とも、LD等に対する理解推進を図る研修や専門性の向上に向けた研修を一層充実していくなど、区市町村教育委員会の取り組みを支援してまいります。
 次に、特別支援教室にかかわるモデル事業についてでございますが、お話のように、特別支援教育の展開にかかわりまして、心身障害学級が特別支援教室へ移行されるなど、制度的な変更を懸念する声が寄せられております。
 したがいまして、移行に当たりましては、これまでの固定や通級の心身障害学級の役割や成果を踏まえつつ、各区市町村教育委員会が地域の実情に応じて適切に特別支援教育体制の整備を進めていく必要がございます。
 そのため、都教育委員会としましては、特に特別支援教室への移行に当たって、その設置方法や指導内容、方法等のあり方につきまして、ご提案のモデル事業の実施を検討し、保護者等の不安の解消に努めてまいります。
 最後に、学校教育における色弱者に対する理解と配慮についてでございますが、色覚異常の児童生徒が安心して学校生活を送ることができますよう、学習環境を整備充実していくことは重要でございます。
 各学校におきましては、色覚に関する指導資料を活用して、教材の配色や掲示物の色遣い等に配慮した指導に努めてはおりますが、指導資料を配布後、間もないこともございまして、色覚異常に対する教員の正しい理解が十分に浸透していない面もございます。
 今後、各学校及び区市町村教育委員会に対しまして、家庭や関係機関との連携を密にするとともに、例えば教科書の挿絵の補足説明を行ったり、黒板のチョークの色遣いを工夫したりするなど、学習環境の整備充実を図るよう指導助言してまいります。
   〔東京都技監小峰良介君登壇〕

○東京都技監(小峰良介君) 都市河川、下水道の整備、立体交差事業など、四点の質問にお答えいたします。
 まず、新たな水害対策についてでございますが、都民の生命と財産を守るため、現在、一時間五〇ミリの降雨に対処する河川及び下水道の整備を進めておりますが、近年、都内では、この整備水準を大きく超える一時間一〇〇ミリ以上の降雨が観測されており、いわゆる都市型水害が発生しております。
 このため、従来から実施している河川の拡幅及び調節池などの整備をより重点的に進めるとともに、下水道の雨水整備クイックプランを着実に実施してまいります。
 加えて、河川と下水道による雨水の地下貯留池計画など、新たな連携施策についても検討を進めてまいります。
 次に、スーパー堤防整備への取り組みについてでございますが、スーパー堤防は、耐震性や親水機能の向上を図るとともに、まちの活性化や東京の顔づくりの観点からも極めて重要であり、都ではこれまで、隅田川や中川などで民間開発などのまちづくりと一体となって事業を実施しております。
 現在、北区の堀船西尾久地区など十七カ所で実施中であり、今後、綾瀬川の小菅地区や六町地区などでの整備を予定しております。
 今後とも、地元区や民間開発者などとの連携を密にし、地震に強く潤いのある水辺の創出に積極的に取り組んでまいります。
 次に、本年六月公布された特定都市河川浸水被害対策法を踏まえた浸水対策への取り組みについてでございますが、近年、全国的に都市部における浸水被害の危険性が増大していますことから、新法では被害の著しい都市河川及びその流域において流域水害対策計画を策定するなど、河川管理者、下水道管理者及び地方公共団体が共同して取り組むことを定めております。
 今後、政令の制定など、国の動向も視野に入れながら、関係局や区市と連携して、法の趣旨に基づく新たな取り組みについて積極的に検討を進めてまいります。
 最後に、十条駅付近の連続立体交差事業についてでございますが、連続立体交差事業は道路交通の円滑化や踏切事故の解消とともに、分断されているまちの一体化を図るものであり、その事業効果を高めるため、まちづくりと一体的に進めることが必要でございます。
 十条駅付近のまちづくりについては、現在、北区が中心となって、地域の防災性向上の観点も含め、検討が進められており、都も北区との意見交換を行ってまいりました。
 都といたしましては、これらまちづくりの進捗や都財政の状況など、種々の課題を踏まえながら、関係機関と調整を図り、立体交差化について総合的に検討してまいります。
   〔財務局長櫻井巖君登壇〕

○財務局長(櫻井巖君) 財政再建に関するご質問にお答えいたします。
 第二次財政再建推進プランの策定の具体的な作業手法についてでありますが、新しいプランを策定し、実行していくためには、都民の方々や都議会のご理解とご協力が不可欠でございます。
 そのため、今回、小冊子「途半ばにある財政再建」を策定し、引き続き厳しい状況が続く都財政の現状と課題をお示ししたところであり、これを素材としてさまざまなご議論をいただきたいと考えております。
 今後は、本定例会での議論を踏まえまして、中間のまとめとして、第二次プランの目標や財政再建に取り組む具体的な方策の基本的な考え方などをお示しし、都議会を初めとして、都民の方々からさまざまなご意見をいただいた上で、財政再建に向けた具体的な処方せんとして、第二次財政再建推進プランを本年十月を目途に策定していく予定であります。
   〔総務局長赤星經昭君登壇〕

○総務局長(赤星經昭君) 二点の質問にお答え申し上げます。
 まず、新しい都庁改革アクションプランについてでございますが、都はこれまで都庁アクションプランによりまして、例えば監理団体改革では、都の財政支出を約一千億円削減いたしましたほか、ネーミングライツを導入するなど、従来にはない取り組みを実施し、都民ニーズに的確にこたえられる都庁づくりを推進してまいりました。
 新しいプランでは、現行プランのスピードの重視やコスト意識の徹底などの改革の視点は継承いたしますとともに、これまでの実施状況を検証しつつ、社会経済状況の変化を踏まえまして、さらに徹底した内部努力を進めてまいります。
 九月を目途に取り組みの方向性を明らかにした上で、年内の策定を目指します。
 次に、警視庁への都職員派遣についてでございますが、近年の犯罪件数の増加や検挙率の低下は、都民の日常生活に深刻な影響を及ぼしておりまして、治安の回復に向けた取り組みは都として喫緊の課題となっております。
 都民が安心して暮らせる東京を早期に取り戻すため、警察力を高めていく過程での行政サイドからの支援の一つとして、都職員の派遣を検討しております。したがいまして、都職員の派遣は、緊急対応的な措置と考えております。
   〔福祉局長幸田昭一君登壇〕

○福祉局長(幸田昭一君) 児童虐待を初め福祉施策に関する八問のご質問にお答え申し上げます。
 まず、児童虐待防止法の見直しについてでございますが、都はこれまで全国に先駆け、虐待対策専管組織の設置、親子グループ療法等による家族再統合事業など都独自の施策を実施し、児童虐待に対して積極的に取り組んでまいりました。
 これらの取り組みを通して、現行の虐待防止法には、ご指摘の点を初め、虐待を行った保護者への指導など多くの課題があることが明らかになってきております。今回、国が虐待防止法改正の本格的検討に入ったことを契機に、児童相談所の立入調査に関して裁判所の令状によるなどの司法の関与の仕組みを創設すること、区市町村の役割と責務を法律上明確にすることなど、具体的な改善内容を示し、国に対して積極的に法改正に向けた提案要求を行ってまいります。
 次に、虐待を受けた子どもたちの一時保護についてでございますが、虐待を受けた子どもたちには、お話しのように、それまでに受けた心の傷をいやし、心身ともに安心して生活できる場が必要である。そのため、これまで児童相談所の一時保護所においては、保護している期間に子どもの状態に応じた生活指導を行うとともに、心理的ケアなど、きめ細やかな対応に努めてまいりました。
 今後、都としては虐待を受けた子どもが心身ともに安心して生活できるよう、一時保護の場として、家庭的な雰囲気の中で生活することが可能な養護児童グループホームや養育家庭の活用を図るなど、より一層の充実に努めてまいります。
 次に、養育家庭の普及に向けた取り組み等についてでございますが、社会的養護が必要な子どもをできるだけ家庭的な環境のもとで養育する養育家庭制度を普及するためには、登録家庭をふやすことが大変重要と考えております。このため、今年度から実施する専門養育家庭や、短期限定の養育家庭などの新制度を初め、制度全般について、区市町村と協力し、広範な都民への周知をより積極的に図ってまいります。
 特に、制度の担い手として期待する方々に、養育家庭における喜びや苦労などの体験を直接聞いていただく機会を設けたり、夏休みや週末を利用して児童養護施設の子どもを預かるフレンドホームへの参加を勧めるなど、養育家庭の普及に向けて工夫を凝らしたさまざまな活動を展開してまいります。
 また、専門養育家庭については、虐待を受けた子どもや知的障害児を預かり、子どもの状況に応じたきめ細やかな養育をしていただくため、七月から四カ月程度専門的な知識、技術の研修を十分に行った上で認定をし、十二月から委託を開始する予定でございます。
 次に、高齢者の虐待についてでございますが、都内の各区市町村においては、地域型在宅介護支援センターを中心に、近隣住民などからの通報、相談に応じておりますが、特に困難事例については、センター的機能を有する基幹型在宅介護支援センターなどにおいて、専門家を交えて対応しております。
 しかしながら、地域とのつながりが希薄な大都市では、虐待などの問題が表面化せず、発見と支援がおくれてしまう危険性があることはご指摘のとおりでございます。
 都としても、区市町村が高齢者虐待問題に十分対応できるよう、先進的な取り組みに対し、高齢者いきいき事業などを活用しながら積極的に支援してまいります。
 次に、在宅介護支援センターの役割についてでございますが、地域型在宅介護支援センターは、お話しのとおり、介護保険制度の導入後、ケアプランの作成など居宅介護支援事業所の業務が中心となっているところも多く、その役割が不明確になっているとの指摘があることは承知しております。
 現在、都におきましては、虐待問題への対応も含めて、高齢者が地域の中で安心して暮らし続けることができるよう、実態調査を踏まえ、在宅介護支援センターのあり方について区市町村と検討を行っております。
 今後、この検討結果も踏まえて、地域のネットワークづくりなど在宅介護支援センターを地域の高齢者支援の拠点として再構築するため、区市町村とともに、国に対し積極的に働きかけてまいります。
 次に、都立障害者施設を民間移譲した場合の効果についてでございます。
 都立障害者施設の移譲に当たりましては、広く民間から事業者を公募し、選定された優良な事業者が施設を自主的に運営することになります。このことにより、入所者の生活に即した柔軟で手厚い職員配置によるサービスの向上はもとより、地域での生活を希望する入所者に対する移行訓練の充実、さらに、地域における障害者の居住の場である生活寮の設置促進、デイサービスの拡充など、きめ細やかなサービスを効率的に提供することが一層期待できるものと考えております。
 なお、移譲後も当該施設において適切なサービスが確保されるよう、運営指導などの面で、都としても十分配慮してまいります。
 次に、新たな仕組みの民間施設への対象拡大についてでございますが、ご指摘のとおり、日常生活で全面的な介助を要したり、強い行動障害を持つなど、処遇が難しい重度障害者の入所待機の解消は喫緊の課題であると認識しております。そのため、このような重度障害者の方々の受け入れが広く進むよう、新たな認定制度の適用を民間施設にまで拡大し、必要なサービス体制が確保できる方策を具体的に検討してまいります。このことにより、重度障害者に対する支援策が大幅に充実し、施設入所待機者の早期解消につながるものと期待しております。
 あわせて、現在、都は、障害者地域生活支援緊急三カ年プランによる生活寮など、地域生活基盤の大幅な拡充により、希望する障害者の地域移行を進めております。これらの取り組みにより、障害者全体にわたる総合的な施策の一層の充実を図ってまいります。
 次に、色覚バリアフリーの推進についてでございますが、これまで都は、東京都福祉のまちづくり推進協議会において、都民、事業者と一体となって、福祉のまちづくりの具体的な整備基準を検討するとともに、普及拡大に向けたさまざまな施策の推進を図ってまいりました。
 情報バリアフリー化を東京都福祉のまちづくり推進協議会の新たな課題と位置づけ、今後、ご提案の趣旨を踏まえ、色覚バリアフリーを実現するための具体的方策についても整備基準に反映できるよう検討するとともに、庁内各局はもとより、事業者などと連携を図り、多くの都民が利用する施設で取り組まれるよう努めてまいります。
   〔交通局長松尾均君登壇〕

○交通局長(松尾均君) 地下鉄路線図についてのお尋ねでございますが、お客様の利便性向上を図るため、昭和四十五年七月から、交通局と帝都高速度交通営団との間で、路線別に基調色、いわゆるラインカラーを定め、路線のご案内をしているところでございます。
 今後、ご指摘の点を踏まえ、早急に路線ごとに路線名を表示するとともに、引き続き必要な改善に取り組んでまいります。
   〔健康局長平井健一君登壇〕

○健康局長(平井健一君) いわゆるSARS対策に関して三つの質問をいただきました。
 まず、SARSに不安を抱く在住外国人の方々への情報提供などについてでございます。
 都は、健康局のホームページで、英語によりSARS関連情報を提供しているほか、東京都保健医療情報センター「ひまわり」におきまして、英語、中国語、タイ語など、五カ国語による医療情報サービスを提供しており、この中でSARSに関する相談にも対応しておるところでございます。
 今後とも、外国人に対する情報提供体制の周知と充実に努めてまいります。
 なお、入国の際の検疫業務は、SARSコロナウイルスの国内侵入の未然防止の上で極めて重要であり、都はその体制強化を国に提案要求しているところでございます。
 次に、SARS感染の疑いのある不法滞在者への対応についてでございます。
 不法滞在者が摘発され、SARS感染が疑われる場合、入国経路や接触者を特定することなどに困難が伴うことが強く懸念されるところでございます。このため、都は、都民への感染拡大防止の観点から、警視庁等と密接に連携し、必要な疫学調査や防疫措置などを迅速に行ってまいります。
 さらに、コンテナ船などによる大量の不法入国者に関するSARS対策についてでございます。
 不法入国者対策は、基本的には国の責任において対処すべき問題と考えてございます。このため、検疫体制の強化とともに、感染の疑いのある不法入国者に対する隔離、収容等の防疫措置についても、国が主体的に対策を講じるよう提案要求しているところでございます。
 都は、万一の場合に備え、都民への感染拡大防止を含め、危機管理の観点から、経過観察のための臨時収容対策など、必要な措置について関係局、関係機関と総合的な検討をさらに進めてまいります。
   〔産業労働局長有手勉君登壇〕

○産業労働局長(有手勉君) 食品の安全性確保など、四点のご質問にお答えいたします。
 まず、都民のための生産情報提供プロジェクトの進捗状況についてでございます。
 本プロジェクトは、食の安全、安心確保に向けた都独自の仕組みづくりを目指しまして、十五年四月に開始しております。
 この中で、食品関係企業からの生産情報の提供促進と、農産物の広域的な安全、安心の確保について取り組んでいるところでございます。これまで食品関連企業から食品の生産履歴等の情報の記録、保管、消費者への提供など、いわゆるトレーサビリティーの実施状況などについて、聞き取り調査や意見交換を行ってまいりました。
 今後は、消費者の求める生産情報の提供などについて、都と企業が協働して取り組む効果的な仕組みの構築に向けて検討を進めてまいります。
 次に、都民の食の安心ガイドラインの策定などについてでございますが、食の安全、安心確保の前提として、生産情報の提供、トレーサビリティーシステムの普及拡大は重要であります。この推進のためには、多くの食品生産者や製造者が参加しやすく、また、都民にとってもわかりやすいシステムとする必要がございます。
 このため、都民のための生産情報提供プロジェクトの中で、東京都におけるトレーサビリティーシステム全体のあり方や、推進方策についても検討していきたいと考えております。
 また、ご提案のありました登録マークなど、きょうお話しいただいた趣旨も十分踏まえまして、都民への公示について、その実施方法の検討を積極的に進めてまいります。
 次に、ワンストップサービスセンターの設置についてでございます。
 若年者及び高齢者を含めて、現在の失業の原因といたしましては、求人、求職双方の雇用のミスマッチが大きいと考えております。ミスマッチを解消するためには、ご提案のように、関連する事業と連携しながら、ワンストップで職業紹介などのサービスを提供していくことが効果的であります。
 知事が表明いたしました「しごとセンター」構想を具体化する中で、ご提案の趣旨を踏まえ、検討してまいります。
 最後に、区市町村と連携した事業の推進についてでございますが、雇用・就業対策は、各地域の実情に応じて行われるべきであります。
 都は、地域に精通した区市町村と連携を図りながら、現在の厳しい雇用・就業情勢を改善するために、効果的な対策を推進してまいりたいと考えております。

○副議長(橋本辰二郎君) この際、議事の都合によりおおむね十分間休憩いたします。
   午後六時十四分休憩

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