平成十五年東京都議会会議録第九号

  午後一時一分開議

○議長(三田敏哉君) これより本日の会議を開きます。

○議長(三田敏哉君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(三田敏哉君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(谷村隆君) 平成十五年六月二十七日付で、知事より、本定例会に提出するため、議案二件の送付がありました。
 次に、知事より、平成十五年第二回定例会の会議において同意を得た東京都副知事の任命について、発令したとの通知がありました。
 次に、知事より、先般の人事異動に伴う東京都議会説明員の変更について、地方自治法第百二十一条及び会議規則第四十二条の規定に基づき通知がありました。
(別冊参照)

○議長(三田敏哉君) 次に、先般、副知事に就任された方々をご紹介いたします。
 副知事福永正通君。
   〔副知事福永正通君登壇〕

○副知事(福永正通君) 去る六月二十四日、本会議におきまして都議会のご同意をいただき、六月二十五日付で副知事を拝命いたしました福永でございます。
 社会経済状況が大きく変化をし、新たな政策課題や財政再建など、都政が取り組むべき課題が山積をいたしておりますこの時期、副知事を再び就任いたすことに重大な責任を感じるとともに、新たな決意をいたしているところでございます。
 もとより至らぬ点ございますけれども、都議会の皆様方のご指導、ご協力をいただき、都民の方々の生活向上のために全力を尽くして知事を補佐してまいる所存でございます。よろしくお願いを申し上げます。(拍手)

○議長(三田敏哉君) 続いてご紹介申し上げます。
 副知事竹花豊君。
   〔副知事竹花豊君登壇〕

○副知事(竹花豊君) 去る六月二十四日の都議会におきまして選任のご同意をいただき、六月二十五日付で副知事を拝命いたしました竹花豊でございます。
 知事のもと、都政の喫緊の課題であります治安の維持回復に関係各方面と連携、協力しながら全力で取り組んでまいりますので、都議会の皆様方のご指導、ご鞭撻を何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)

○議長(三田敏哉君) 以上をもって副知事の紹介は終わりました。

○議長(三田敏哉君) この際、日程の追加について申し上げます。
 知事より、第百七十六号議案、東京都知事等の退職手当に関する条例の一部を改正する条例外議案一件が提出されました。これを本日の日程に追加いたします。

○議長(三田敏哉君) これより質問に入ります。
 百十一番新藤義彦君。
   〔百十一番新藤義彦君登壇〕

○百十一番(新藤義彦君) 平成十五年第二回都議会定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して、都政の重要課題について質問いたします。
 さきの都知事選挙におきましては、石原知事は総投票数の七割、三百八万票という圧倒的な大量得票を得て再選されました。これは、都民の事実上の信任投票であり、二期目の公約に掲げた治安対策の強化、ディーゼル車対策、新銀行の創設、雇用の促進など、具体的施策への期待のあらわれであります。これらの個々の問題につきましては、後ほどお伺いいたします。
 さて、世界は、平和と安定を求めて新たな枠組みづくりが進められております。先月初旬のフランス・エビアン・サミットでは中国が初めて参加し、昨年のカナナスキス・サミットで、二○○六年のサミットはロシアが議長国を務め、完全なメンバーになることが決定いたしました。
 紛争が絶えないパレスチナ問題では、アメリカを含めたイスラエル、パレスチナの三カ国の首脳が、頻発するテロ行為の中で懸命に平和の実現に向けた真剣な話し合いが続いております。
 さらに東アジア地域においても、北朝鮮での核開発や拉致問題などの解決に向けて、アジア各国は協力して共同歩調を確認するなど、世界は一体化に向けて進行しております。
 一方、国内では、長期にわたる経済の低迷が続き、かつての日本経済の輝きと活力は失われてしまいました。経済の低迷は、日本社会全体の変調をも引き起こしております。例えば、少年による犯罪の増加、また犯罪件数は戦後最悪を更新し続け、犯罪内容も凶悪化の一途をたどっています。
 都民の体感では、水と空気と安全はただという時代は終わり、さらにSARSのような新しい問題も発生し、都民の生活、生命、安全、健康をいかに守っていくかが都政に課せられた重要課題であります。
 これらの課題解決の裏づけとなる都財政の現状は、さきに財務局から発表された「途半ばにある財政再建」の小冊子によると、十五年度予算額をベースとした財政収支見通しでは、十六年度から十八年度まで、毎年三千億円から四千億円程度の財源不足が見込まれております。
 停滞を続ける景気の動向を踏まえると、今後、東京都の税収が急速に上向くとは思えません。反面、都市再生に伴う公共投資、治安向上、都市防災づくりなど金のかかる仕事はメジロ押しです。
 今後策定される第二次財政再建推進プランでは、政府に対する税源移譲を他の大都市自治体とも強く連携して要求していかなければなりません。都における支出についても徹底的に洗い直すとともに、効率的な執行体制に向けた民営化、さらなるPFIの活用などにより一層取り組むべきであります。
 さて、第二期石原都政も三百八万票という都民の圧倒的支持と期待を得てスタートし、知事の責任は今まで以上に重いものがあります。都政運営のかなめとなる副知事も三人の執行体制となって、知事の補佐も磐石となりました。
 そこでまず、本定例会冒頭で知事の所信表明をお聞きしましたが、改めて知事の今後四年間の都政に取り組む基本姿勢をお伺いいたします。
 次に、現下の都政の最重要課題について伺います。
 東京は、地震や火山活動などの自然災害に加え、さきに述べたSARSに代表される感染症やこれまでにない大規模な事件、事故等の人為災害などの新たな危機の発生が心配される状況にあります。人口が集中し、都市機能が高度に集積した東京では、その被害は広域かつ甚大なものとなることは十分予想されます。都民を新たな危機から守るためには、これを機会に、さまざまな事態を想定し、危機管理体制を強化していかなければなりません。
 今年度、危機管理監の設置を初め大幅な組織改正を行ってきましたが、今後、危機管理体制の強化にどのように取り組んでいくのか、知事の所見をお伺いします。
 次に、最近、喫緊の課題となっています治安の問題について伺います。
 最近の東京における治安の悪化は、犯罪に関するさまざまなデータに顕著にあらわれております。東京都の刑法犯の認知件数は、平成二年には二十万件程度であったものが、平成十四年度において三十万件の大台に乗るに至っております。また、凶悪犯罪の認知件数も千六百四十七件と十年前の一・五倍の水準にまで高まっております。
 このような犯罪情勢の悪化に追い打ちをかけているのが、都内の犯罪の検挙率の低下であります。東京における刑法犯の検挙率は、昭和六十年には六○%を超えていたものが、平成十四年には二五%程度にまで低下しております。
 このような危機的な状況にある東京の治安を回復するためには、これまでの延長線上にはない抜本的な対策を総合的に講ずる必要があると考えます。
 このような東京の治安について、新たに治安担当副知事になられた竹花副知事はどのような現状認識をお持ちか、また今後の治安対策への取り組みについての決意をお伺いいたします。
 ところで、東京における犯罪の防止に向けて、警視庁では懇談会を設置して、この三月には東京都安全・安心のまちづくりについての報告書が取りまとめられたところでございます。報告書の内容を踏まえ、本定例会には安全・安心まちづくりの条例も提案されております。
 同報告書の中では、安全・安心のまちづくりの推進に向けて、住民による自主的な防犯活動を促進することが必要であるとしております。実際に江戸川区では、地元にある相撲部屋の力士が自主的にパトロールを行って、治安の回復に協力しているとも聞いております。
 この安全・安心まちづくりの条例によって、警視庁はどのような取り組みを具体的に都内において展開しようとしているのかお伺いいたします。
 地域の防犯活動が重要なのはいうまでもありませんが、やはり最後に頼りになるのは警察の力であると考えます。今般、警察の力によって都内の犯罪を減らすため、知事も公約の中で、警官の増員が一目でわかるレベルまでパトロールをふやし、町中での犯罪を大幅に減らすとの考えを明らかにしております。都内で地域の交番が無人となる、いわゆる空き交番がふえて、住民の間で、いざというとき警察に頼ることができないのではないかという不安が広がっています。こうした中、知事の公約は非常に時宜を得たものであると考えます。
 警察官が交番などを拠点として町中で巡回し、軽微な犯罪でも厳しく取り締まることがその後の犯罪の抑止につながることは、ニューヨークのジュリアーニ前市長の取り組みを見ても明らかであります。我が国でも札幌市内で駐車違反を徹底的に取り締まり、繁華街での犯罪件数を大幅に減らすことに成功したと聞いております。
 知事は、警察官がパトロールに出る機会をふやすため、警察官のデスクワークを軽減すべく、都からの派遣職員がかわりに行うとの構想も披瀝しています。こうした知事の構想について、警視庁としてどのように具体化していく考えがあるのか伺います。また、現在の空き交番の状況やその解消にどのように進めていく考えであるのかについてもあわせてお伺いいたします。
 さらに、都からの派遣職員を受け入れるだけにとどまらず、警視庁みずからも、警察官のデスクワークを減らし、現場に出動できる警察官をふやすため、業務配分のあり方を見直していくことが重要であると考えます。警察の業務のあり方については、警察庁の違法駐車問題検討委員会などで、駐車違反の取り締まりについては民間委託をすべきとの考えも示されているところであります。
 また、さきに挙げたニューヨーク市警においては、警察のIT化によって業務の効率化を実現し、余裕のできた時間をパトロールに活用する取り組みを行ったと聞いております。
 このような活動を踏まえ、警視庁として現場で活動する警察官を増員するために、民間活力の活用を含めた業務配分のあり方の見直しや業務の効率化に関してどのような取り組みを展開していくのかお伺いいたします。
 次に、現下の東京都民に重大な影響を与える首都圏の電力危機について伺います。
 東京電力の原子力発電所をめぐる不祥事により、この夏の首都圏の電力需給は依然として危機的状況にあります。東京電力の発表によれば、夏の最盛期の電力需要予想は六千四百五十万キロワットですが、このまま十五基の原子力発電所の停止が続いた場合、五百五十万キロワット程度の電力が不足する見通しであると聞いております。
 東京電力は、原子力発電所の再稼働を目指す一方、追加供給力対策として、他の電力会社からの応援融通や大口需要家に対する電力消費の抑制を依頼するなどして、何とか切り抜けようとしています。しかし、原子力発電所の再稼働が当初の見込みより大幅におくれている現状では、当面綱渡りの状況が続くことが予想されます。
 こうした夏季の逼迫した状況を踏まえ、我が党は、山崎幹事長以下六名の代表が本年五月十五日に自民党福島県連を、同二十七日には自民党新潟県連を訪問して、地元の皆さんに対し、長年にわたり首都東京への電力の安定供給にご協力いただいていることに深く感謝を申し上げるとともに、原子力の安全の確保を大前提とした首都圏への電力供給についてご理解を賜り、ご高配くださるよう、都民を代表してお願いしてまいりました。
 地元に入ってわかったことは、原子力行政に関する国や東京電力への不信感が依然として深く横たわっていることです。立地地域の住民の皆さんの安全、安心を犠牲にした原子力発電所の再稼働はあり得ません。都議会自民党は、原子力発電所を早期に再稼働するためには、東京電力とそれを監督する国に対して、電源立地地域の皆さんと同じ目線で、厳しく信頼回復に向けた取り組みを求めていくことが何よりも重要と考えます。このため、都議会として、今定例会開会日に電力の安定供給に関する意見書を採択し、議場の照明を八割カットするなど、一定の姿勢を示したところです。
 そこで伺います。知事は、これまでの国や東京電力の対応、そしてその結果としての夏季の厳しい電力需給状況についてどういう認識を持っておられるのでしょうか。
 都は、このたびの電力危機にいち早く対応し、知事の指示のもと、本年二月から全庁挙げて都庁省エネルギー運動を開始し、率先して庁舎の省エネルギー対策に取り組んできました。さらに現在は、第二ステップとしてピークカット対策に取り組んでいると聞いております。しかしながら、こうした対策を講じても、なお猛暑、高需要時には停電の危険が完全にぬぐい去られたわけではないことも事実です。
 都は、今回の電力危機に対する備えとして、都有施設における停電時に備えた取り組みをどのように進めているのかお伺いします。
 次に、重症急性呼吸器症候群、いわゆるSARS対策について伺います。
 これまで全世界で八千人を超える感染者、また八百人に達する死者が発生しているSARSに関しては、近隣東アジア諸国での感染拡大はおさまりつつあるものの、依然として検査方法や根本的治療が確立されておらず、我が国においても引き続き警戒を怠ることのできない状況下にあります。
 これまでの国の対応は、現行感染症法のもとでの初めての事案ということをしんしゃくしても、先ごろの関西地方における台湾人医師騒動への対応に見られるように、後手に回っている感があります。
 一方、都においては、健康局及び病院経営本部が合同でいち早く対策本部を立ち上げ、医療体制の確保や防疫体制の整備など、患者発生時の感染拡大防止に向けた取り組みがなされました。
 このような都の体制が試されるかのように、先日、シンガポール、上海に寄港して東京港に入港した英国海軍の艦艇で、乗組員の中に発熱者が発生しました。一時はSARSの感染が疑われました。また、先週には、SARSの流行地域から入国した外国人旅行者が発熱と肺炎の症状を呈し、一時は可能性例として報告されました。幸いにも両者の事例ともSARSでないことが判明し、事なきを得たところです。今までのところ、都内での真性の患者、感染者の報告はありませんが、万一発生すれば、都民の間で大きな不安が広がることも十分予想されます。
 そこでまず、患者発生時の対応で最も肝心な医療について、現状どのような取り組みがなされているのか、改めてお伺いします。
 また、現在、感染拡大は終息に向かいつつあるものの、専門家の間では、冬場に再流行する可能性について懸念されているとも聞いています。
 そこで、発熱やせきなどの症状の似ているインフルエンザの流行する冬の時期にSARS患者が発生した場合には、都民が混乱することも予想されることから、今後も気を緩めることなく、引き続き医療体制などの充実を目指していく必要があると考えますが、所見をお伺いします。
 さらに、医療体制の充実に加え、適切な医療機関へ患者を安全に搬送することも大変重要です。SARSに関しては、症状が著しく重くなければ他に感染させる可能性は低いとされています。しかし、万一に備え、搬送に当たっては万全の準備と体制で行うべきと考えますが、所見をお伺いします。
 また、最前線で搬送に当たっている救急隊員の安全確保は極めて重要であり、その現状とあわせて今後充実すべき点についてお伺いします。
 次に、東京港の危機管理の取り組みについて伺います。
 東京港は、都民の生活と産業に必要な物資の流通を担う港湾として大きな役割を果たしていますが、最近、東京港において都民の安全、安心に重大な影響を及ぼしかねない事件が相次いでいます。昨年暮れ、多数の中国人が晴海ふ頭から密入国し、銀座で逮捕された事件はまだ記憶に新しいところであります。
 一方、全国に目を転じてみますと、新潟港では軍事転用部品の不正輸出や工作員の乗船などの疑惑のある「万景峰号」の入港をめぐる問題、茨城県日立港での座礁船への対応と、対岸の火事として見過ごすことのできない現実が突きつけられています。万が一、このような船が東京港に入港して同様の事件が発生した場合、東京港の機能は重大な支障をこうむることになります。
 このように、東京港を初め、世界につながる国際港湾の危機管理は極めて重要な今日的課題であります。東京港における密入国や密輸などの保安対策は、本来は国の責務であると思いますが、東京の海の玄関である東京港を管理する都は、都民の安全、安心を確保する上で極めて大きな責任を有しております。
 そこで、東京港の保安対策の現状はどうなっているのかお伺いします。
 いずれにせよ、最近の東京港の危機はますます高まっていると感じます。都は、港湾管理者として早急に保安対策の強化のための新たな計画を立案し、施設整備等を行っていくことが必要であると考えます。今後、どのような取り組みを進めていくのかお伺いします。
 次に、東京における深刻な大気汚染の改善に向けた取り組みについて伺います。
 自動車排ガス、特にディーゼル車から排出されるPMは、東京の大気汚染の大きな要因となっており、都民、国民の生命や健康を脅かしています。このPMの削減は、一刻の猶予もならない喫緊の課題となっています。
 そこで、まずディーゼル車対策について伺います。
 本年十月の規制開始まで、いよいよあと三カ月となりました。厳しい経済環境の中、事業者は大気汚染の改善に向けて懸命な努力を重ね、規制への対応を進めてきました。これに対して、都は事業者の規制への対応を促進し、規制を円滑に実施できるよう、さまざまな事業者への支援を行ってきており、平成十五年度予算においても、我が党の主張に基づいてPM減少装置の装着補助やディーゼル車買いかえのための融資制度の拡充を行いました。
 そこで、これらの制度の活用により、現時点で規制への対応はどの程度進んでいるのかお伺いします。
 条例制定以来二年半、マスコミを通じた広報や地域または対象事業者ごとの個別説明会の開催などの取り組みにより、規制内容そのものについてはかなり周知がなされているように伺っています。
 都は、残された三カ月の期間を最大限に活用し、すべての対象車が規制への対応を行うよう全力で取り組むべきと考えますが、どのような方向で規制対応を促進していくのかお伺いします。
 十月一日の規制を前に、DPF装着のほかに、規制適合車への買いかえに当たって、大手事業者と比べると中小零細事業者は、購入する際にはディーラーより前金を要求されたり、納期を長くされるという訴えを聞きます。
 また、東京ルールの基本理念によると、環境コストの公平な負担原則は、都民、事業者及び行政は、自動車使用に伴う環境負荷を低減するための費用をそれぞれ分担することとしています。しかしながら、DPF装着にかかる経費は、都予算では一台八十万円と算定し、その二分の一を都が補助し、その他の補助を含めて事業者の負担は十五万円程度との見込みでしたが、DPF一台八十万円のものが少なく、百九十万円するものもあるそうです。
 この現実は、特に厳しい経営にさらされている中小零細事業者にとって大きな打撃となっています。都は、このような現実を把握しているでしょうか。これが事実であれば、メーカー、ディーラー等関係方面に対する指導を徹底するよう強く要望しておきます。
 また、環境悪化をもたらすものとして、PMを増加させる重油や灯油と混和した不正軽油の製造、使用も放置することはできません。都は、これまで全庁一体となって不正軽油の撲滅に取り組んできましたが、その成果がどのくらい上がっており、今後さらにどのように取り組んでいくのかお伺いします。
 次に、地方税財政制度の改革について伺います。
 真の地方主権を確立するためには、地方税を主体とした自主財源の拡充が不可欠であり、現在、国から地方への大幅税源移譲を伴う地方税財政制度の抜本的な改革が切実に求められているところであります。
 国は、昨年六月の経済財政運営と構造改革に関する基本方針二○○二において、国庫補助負担金、地方交付税、税源移譲を含む地方と国の税源配分のあり方の三つを同時に、いわゆる三位一体で改革することとし、具体的な改革工程を含む改革案を一年以内を目途に取りまとめることが方針決定されました。また、その後、地方制度調査会や地方分権改革推進会議での審議、関係各機関での調整が行われてきました。
 東京都は、これまでも基本方針二○○三の取りまとめに先立ち、八都県市首脳会議を通じた意見表明や大阪府との共同アピールを行い、真の三位一体改革を実現するよう、国及び関係機関に対して重ねて提言を行ってきたところであります。
 こうした経緯を経て、先日、経済財政諮問会議がまとめた経済財政運営と構造改革に関する基本方針二○○三が閣議決定され、この中で地方税財政制度改革に関する政府の方針改革案が示されました。
 今回の基本方針では、おおむね四兆円程度を目途に国庫補助負担金の廃止、縮減を行い、これと連動し基幹税の充実を基本として税源移譲を行うこと、またその割合は八割程度を目安として移譲し、義務的経費については所要の金額を全額移譲することなどの方向が示されています。
 都議会も今定例会初日に税源移譲を基本とする三位一体の改革の実現に関する意見書を採択し、地方財源の充実強化を要望したところです。
 そこで、これまでの都の主張を踏まえ、知事は今回の基本方針で示された三位一体の改革の内容をどのように評価されているのか、また今後、都はどのような対応をするのか、ご所見をお伺いします。
 地方税財政制度の改革は、国が責任を持って行うべきでありますが、一方で都みずからの改革も各分野において一層進展させるべきことはいうまでもありません。東京から日本全体を覆う社会経済の閉塞状況を打ち破るため、知事が景気、雇用対策を初めとした都民サービスの充実にこれまで以上に力を注いでくれることこそを都民は待ち望んでいるのであります。そのためにも、改革の基盤である都財政の危機的状況の克服はもとより、個別分野の改革にとどまらない都政の構造改革が急務であります。
 知事も今回の所信表明において、行政改革、財政再建、人事制度改革、さらには分野ごとに政策展開を今まで以上に一体化し、総合的に取り組むと表明されましたが、今後の都政改革に向けての知事の決意をお伺いします。
 次に、都財政の問題について伺います。
 四年前、都財政は、都政史上最大の赤字が発生し、財政再建団体への転落が目前に迫る破綻寸前の状態にありました。知事は、こうした危機的状況を回避すべく、財政再建推進プランを策定し、都政の構造改革に取り組み、財政再建を進めてきました。我が党も都財政の再建に向けて真剣な議論を行ってまいりました。幸い、この間、財政再建団体への転落という最悪の事態は辛うじて回避されました。
 しかし、我が国経済は、バブル崩壊以降長期にわたり停滞しており、脱却の糸口がいまだ見えない状態です。デフレが続く中、企業の投資や個人消費は冷え込み、また不良債権問題は依然解消されず、金融機能は目詰まりを起こしています。景気の足元を見ても、不安定な株価や為替相場、米欧各国に広がるデフレ懸念、アジア経済へのSARSの影響懸念など、内外に数多くの不安要因があり、先行きに対する不透明感が増しております。現在の都政を取り巻く社会経済状況の厳しさは、かつてないものとなっております。
 そこで、二期目の任期のスタートに当たり、一期四年間の財政再建の取り組みを踏まえつつ、都財政の現状と今後の見通しをどのように認識しているのか、改めて知事にお伺いいたします。
 さらに、都財政の構造改革について伺います。
 先日、財務局より、冒頭にも触れましたが、「途半ばにある財政再建―第二次財政再建推進プランの策定に向けて―」という冊子が発表されました。この冊子においても、都財政の詳細な分析が行われ、財政当局の極めて厳しい現状認識や危機感が示されております。
 これまでも都財政は、税収の急減など幾たびか危機に直面してきましたが、内部努力や施策の見直しなどによって歳出をカットし、最終的には臨時的な財源対策を実施して、何とかしのいできました。
 しかし、もはや都財政は、背に腹はかえられない状況になっております。都税収入は、昭和二十六年から長きにわたり右肩上がりで推移してきました。オイルショックも物ともせず、日本経済の高度成長の中、総体としては堅調に推移し、バブル期に至ったといえます。しかし、バブル経済崩壊以降の税収は、明確に右肩上がりの終えんを示しています。
 そこで、都は、税収の水準が現在のような状況に至った理由をどのようにとらえているのか伺います。
 今後も、都税収入の増加に大きな期待を持ち得ない以上、歳入の水準に歳出規模を合わせるためには、さらなる厳しい歳出削減を必要とすることは論をまちません。それには、職員定数の削減や管理事務費の削減など、内部努力を今まで以上に徹底すべきは当然です。しかし、そういった内部努力に加えて、巨額の財源不足を解消するために、さらに何をどのように見直していくかが問題となります。
 財政再建推進プランに基づき、過去四年間にわたってさまざまな取り組みが行われ、既に六千億円の財源が確保されました。これだけのことをして、さらに数千億円の財源不足を解消していくのは、大変困難な作業であると予想されます。しかし、今、困難であるからといって歳出構造の転換を先送りすれば、いずれ都財政は行き詰まることになります。
 そこで、今後の財政再建において、歳出面でどのようなことが課題として上げられるか、お伺いします。
 また、いうまでもありませんが、財政再建は、収支を均衡させればよいというものではありません。長引く景気低迷の中で、雇用創出策や中小企業の支援、育成策を強く求められております。そういった要望にこたえる施策を展開し、地域経済を担う中小企業に活力を与え、失業率を低下させ、不況からの脱出を図っていかなければなりません。
 また、経済、金融のグローバル化が進展する中で、今後も日本経済が競争力を維持し続けるために、企業や人口が集中し、経済機能が集積した東京の再生が急務となっています。このためには、幹線道路網や公共交通網の整備などを進め、産業を活性化し、生活環境の改善を図るとともに、未来に良質な社会資本を残していく必要があります。
 このように、財政状況が危機的であるからといって、東京に活力をよみがえらせるために必要な先進的な施策まで停止や先送りをされてしまうことは、絶対に避けなければなりません。
 第二次財政再建推進プランは、単に、歳出削減一辺倒に陥ることなく、こうした先進的な施策の着実な推進との両立が図られるべきと考えますが、所見をお伺いします。
 ところで今般、特殊勤務手当の見直しが図られることになりました。この特殊勤務手当については、平成十四年の第一回都議会定例会において、職員の給与の特例に関する条例を可決した際に、特殊勤務手当については、社会経済情勢などを踏まえ、都民の目線から精査し、見直しを行うことという付帯決議を付しました。
 長期にわたる景気の低迷を背景に、多くの都民は、給料はおろかリストラの不安さえ抱える日々を送っています。付帯決議は、このような民間の厳しい状況を踏まえ、特殊勤務手当の見直しを、ぜひとも都民の目線に立って行ってほしいという議会の意思でもありました。この付帯決議にどのように理事者側がこたえるのか、我が党としても多大な関心を持ってその対応を見守ってきたところです。今回の見直しは、知事部局で特殊勤務手当予算全体の三○%、金額にして十二億円を削減するなど、議会としての意思を踏まえて見直しを行ったという点では評価します。
 そこで伺います。都民の目線から精査するとの付帯決議をどのように具体化したのか、見直しに当たっての基本的考え方についてお伺いします。
 問題は、これで満足することなく、今後も時代の変化に合わせて常に見直していくという姿勢が重要であると考えますが、所見をお伺いします。
 次に、新銀行の創設について伺います。
 我が国経済は、バブル経済崩壊後、十余年経た今日でも、景気回復の確かなシナリオが描けないまま低迷を続けております。都内の企業倒産も過去最高の水準で推移するなど、日本経済は危機に瀕しております。とりわけ、地域経済を支えてきた中小企業は、こうした経済の低迷に加え、銀行のいわゆる貸し渋りなどの厳しい貸出姿勢の影響を受け、資金繰りにあえいでおり、経営者の窮状を訴える声も絶えません。
 こうした日本経済の憂慮すべき事態の中で、去る五月、知事は、技術力や将来性にすぐれた中小企業を総合的に支援する新銀行を創設する構想を発表されました。我が党がこれまで主張してきた、東京の中小企業の活力なくして首都東京の再生はあり得ずとの考えにも合致するものです。
 ところで、六月十七日付の新聞によれば、都の新銀行の融資に関して、知事が魚屋さんだか八百屋さんだか、うちは貸してくれないというが、そんなとこ貸さないよ、商店街つぶれつつあるんだからと発言したとの報道がなされました。
 商店街振興は、我が党を挙げて取り組んでいる最重要課題であり、今年度から、各種の施策を統合し、予算も倍増して、新・元気を出せ商店街事業をスタートさせたところであります。
 商店街振興に対する都の施策を拡充しており、知事の発言の真意も、商店街がつぶれていいなどということはいっていないことはわかっておりますが、日々頑張っている商店街の方々に誤解を与えないためにも、改めて商店街振興に対しての知事の所見をお伺いします。
 次に、知事は、新銀行構想発表の際、全く新しいタイプの銀行を創設すると述べられていますが、なぜ都みずからが創設することとしたのか、その目指すところは何か、お伺いします。
 中小企業に生きた資金を供給するというのが新銀行創設の趣旨とのことです。一方で、新銀行が都の機関銀行となり、銀行として健全な役割を果たせるのか懸念する声もあります。
 新銀行の自主性を確保するためにどのような手だてを考えているのか、所見をお伺いします。
 次に、雇用就業対策について伺います。
 求職者と求人企業とのさまざまな条件面での不一致である雇用のミスマッチは、現在の厳しい水準にある失業の最も大きな原因といわれています。この結果、雇用をめぐる都民の不安が高まる一方で、産業を支える必要な人材も十分には確保されていないという閉塞的な状況に東京は陥っています。今、雇用のミスマッチを解消することによって現状を打破し、東京に活力をよみがえらせることが求められています。
 知事は、雇用のミスマッチ問題に対応するため、「しごとセンター」を設置することを表明しました。現下の厳しい雇用情勢に対して、国に任せるばかりでなく、都みずからが主体的に取り組んでいこうとする知事の強い決意を歓迎するとともに、この構想に大きな期待を寄せています。
 こうした中、新たに設置する「しごとセンター」では、どのような業務を行うことにより、雇用のミスマッチを解消しようとしているのかお伺いいたします。
 また、七月に答申が予定されている東京都雇用・就業対策審議会では、施策構築の方向性だけでなく、具体的施策についても提言されると聞いております。一刻の猶予もならない現在の雇用情勢をかんがみますと、その提言内容を早急に具体化すべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 次に、産業力強化のための都市計画上の規制の見直しについて伺います。
 今、東京の製造業は、平成二年から十二年までの十年間で、約一万八千の工場と二十四万人の雇用が失われました。実に北海道全体の製造業を上回るおびただしい数であり、東京の製造業はこれまでにない厳しい環境に置かれています。
 しかしながら、ものづくり産業は、東京の経済を支えるとともに、都民生活の基盤であります。この未曾有の危機を打開するためには、今こそ強力な産業振興策の展開が必要です。
 昨年八月の競争力ある東京のものづくり産業を築く中小企業対策審議会答申を受け、都は早速、産業力強化会議を設置しました。この強化会議では、幅広いテーマについて、全庁的に取り組まれていることは心強いところであります。今回の東京都特別工業地区建築条例の廃止についての検討も、この産業力強化会議で精力的に行われたと聞いております。
 かねてより、準工地区内の第二種特別工業地区、いわゆる二特地区における立地規制については、面積制限がネックとなって建てかえができないという企業の声や、団体などからの規制撤廃要望がありました。
 国においても都の要請を受け、昨年七月に都市部での工場立地を規制する工業等規制法を撤廃しています。今回の条例廃止提案は、この流れに沿うものであると考えますが、改めて産業力強化の視点から、どのような考えで規制の見直しに至ったのか、お伺いします。
 規制撤廃は産業振興に寄与しますが、住宅と工場が混在する二特地区の中では、住環境の悪化を懸念する声もあるように聞いております。何らかの工夫をすることによって、住環境の確保を図ることも大切だと考えますが、条例廃止による影響と区市町の受けとめ方はどうかお尋ねします。
 二特地区の特性上の住工の調和を図る何らかの工夫が必要だとしても、都と全く同じ規制を行うような条例を仮に区市町が新たにつくるならば、今回の見直しの意味がなくなると考えます。都条例の廃止に際して、これまで区市町に対して都はどのような対応をしてきたのか、また今後、都としてはどのように取り組んでいくのかお伺いします。
 時下の厳しい時代だからこそ、企業活動を活性化させるための思い切った支援策が必要です。今後も引き続き、ものづくり企業への活動支援をお願いします。
 次に、福祉改革について伺います。
 都は、先般、介護保険事業支援計画及び高齢者保健福祉計画を発表しました。この計画では、今後五年間に要介護高齢者が現在の二十四万人から四十一万人へと七一%も増加することが予想されております。
 こうした中、たとえ介護が必要な状況になっても、高齢者が地域の中で安心して暮らし続けられるためのインフラ整備、特に高齢者向けの質の高いケアつき住まいの整備が急務となっています。
 現行の制度上、いわゆるケアつき住まいには、痴呆性高齢者グループホームのほか、ケアハウス、有料老人ホームなどがあります。このほか高齢者優良賃貸住宅などがありますが、それぞれの住まいは、必ずしも役割や機能分担が図られているとはいえず、利用者や事業者にとってもわかりにくいものとなっています。私は、この際、このような細分化された制度を体系化し、それぞれの地域の実情に合ったケアつき住まいの整備がされるよう、何らかの支援を行っていくべきであると思います。
 ひとり暮らしの高齢者が多いという実態が東京にはあります。そこで、このような特徴を持つ東京において、特に家庭的な雰囲気の中でお互いに支え合いながら生活し、必要なケアも受けられることができるグループホーム的なケアつき住まいが必要であると考えます。また、このような住まいを地域の中に数多く整備するためには、民間企業も含めた多数の事業主体の参入も不可欠です。
 平成十七年度の介護保険制度の抜本的な見直しを控え、例えば、痴呆性高齢者だけでなく要支援高齢者を対象にしたグループホームなど、大都市東京のニーズに合った新たなケアつき住まいを提案し、国に対して積極的に働きかけていくべきと考えますが、所見を伺います。
 地域の中で暮らし続けたいという願いは、高齢者のみならず、障害者についても同様であります。
 都は、国に先駆け、施設から地域へという理念を提唱しています。このため、障害者地域生活支援緊急三カ年プランを策定し、知的障害者生活寮や通所施設の抜本的な拡充を図ることとしています。このような都の取り組みについては評価しますが、単にハードを整備すれば済むというものではありません。
 都が先般発表した地域生活移行支援マニュアルの中でも指摘されているように、障害者の地域生活への移行にはさまざまな課題があり、保護者の不安の解消や施設職員等の理解促進を図りながら、障害の特性など、利用者の状況を的確に把握した上で、きめ細かく対応していく必要があります。
 そこで、障害者の地域生活移行実現のために、今後、都としてどのように取り組んでいくのか所見をお伺いします。
 次に、旧都立台東病院跡地の病院整備について伺います。
 現在休止中の旧都立台東病院は、地元台東区の強い要望を受け、都が地域医療を提供する病院として再開する予定でしたが、その後の財政状況等から、まだ実現されていません。
 こうした中、地元台東区は、区の保健医療の基本計画である健康たいとう21推進計画に基づいて、高齢者の医療ニーズにこたえるため、この跡地を活用して、区が主体的に病院整備を行うことを決意し、このほど、その整備計画を取りまとめました。
 この台東区の計画は、都が建設する予定であった病院を継承するものではありますが、医療提供における都と区市町村の役割分担を明確にした都立病院改革の流れに沿って、区が開設する第一号の病院を目指すものであり、まさに画期的な取り組みです。
 都は、平成十四年の第一回定例会で、我が党の服部議員の質問に対して、跡地の活用について台東区から具体的な提案があった場合には、十分に協議すると答えています。
 台東区の地域医療の充実に向けたこの取り組みに対して、都として最大限の支援をすべきと考えますが、見解をお伺いします。
 次に、圏央道及びアクセス道路の整備促進について伺います。
 圏央道は、首都圏交通網の骨格を形成し、都心方向に集中する交通を適切に分散する役割を果たし、首都圏全体の交通の円滑化に寄与します。また、多摩地域においては、不足する南北方向の道路交通を分担することにより、国道十六号などの幹線道路の渋滞緩和が図られます。
 平成十四年三月に、青梅インターチェンジから日の出インターチェンジまでの区間が延伸したことにより、私の住んでいる昭島市も含め、多摩地域から関越道方向への利便性が格段に向上しました。
 圏央道の役割は重要と考えますが、都は圏央道の整備についてどのように認識しているのか、所見をお伺いします。
 圏央道東京都区間については、当面、中央道まで接続することで、広域的な幹線道路網としての機能がより発揮されるため、一日も早い完成が望まれています。そこで、東京都区間の今後の予定についてお伺いします。
 圏央道アクセス道路については、秋多三・四・六号線が平成十五年四月に完成するなど、多摩西部地域の交通の利便性の向上や地域の活性化に大きく貢献しています。圏央道アクセス道路の整備状況の今後の取り組みについてお伺いします。
 次に、多摩地域における渋滞対策について伺います。
 多摩地域は、片側一車線の道路が多く、右折車線のない交差点は慢性的な交通渋滞が発生しております。これが都民の日常生活や産業活動などに大きな損失を与えており、解消に向けた早急な対策が求められています。
 その対策の一つとして、右折車線を整備する交差点すいすいプランを進めていますが、この事業は、まさにコストとスピードを重視した事業であると考えます。例えば、私の地元の昭島市の和田橋交差点では、整備前には通過に五分かかっていたものが、右折車線の設置により三十秒で通過できるようになりました。
 このように、渋滞解消に大きな効果のある交差点すいすいプランの現在の進捗状況と今後の取り組みについて伺います。
 また、このプランは、既に平成六年度から九カ年を経過しています。そこで、多摩地域の交通渋滞のさらなる解消に向け、地元住民の期待も大きい、このすいすいプランの次期計画の策定を早急に進める必要があると考えますが、所見をお伺いします。
 次に、屋外広告物規制のあり方について伺います。
 都市景観に関する都民意識の高まり、広告技術の進歩、都市再生の推進など、屋外広告物をめぐる社会経済情勢が変化し、現在の広告物規制が実態にそぐわないものとなりました。
 このような状況に対応するため、都は、昨年十月に、東京都広告物審議会に今後の広告物規制のあり方について諮問し、本年一月、中間答申を受けました。この答申の提言により、本年三月、タクシーの車体利用広告の規制緩和が実施され、最近、環境への配慮を訴えた試行車などが見られるようになりました。
 我が党がかねてから主張してまいりました規制緩和が実施されたことは、経済活動の活性化や広告収入を活用した輸送の安全、サービスの向上の観点からも、喜ぶべきことと思います。
 都は、今定例会においても屋外広告物条例を改正し、中間答申の施策化を提案しました。そこで、今回の条例改正の内容とねらいをお伺いします。
 また、これからの屋外広告物行政は、都市づくりの中で広告物の果たす役割を考え、潤いと魅力のある都市景観の創出といった観点から進めていくことが、これまで以上に重要であると考えます。都は、東京にふさわしい広告物のあり方についてどのように考えているのか、また、今後どのように取り組んでいくのかお伺いします。
 次に、本年五月に発表された豊洲新市場基本構想について伺います。
 さて、このたびの基本構想は、豊洲新市場の建設に向けた第一歩であり、現下の厳しい経済環境の中で懸命に努力されている市場関係者の方々にとっても、将来の躍進に向けた新市場のあり方を示すものと考えます。
 そこで伺いますが、この基本構想が目指す新たな市場の将来像はどのようなものかお伺いします。
 この基本構想は、まだイメージの段階であり、今後、構想の実現に向けて、例えばITの発達によって市場取引にどのような影響があるのか、また、物流システムの効率化をどのように行い、それによりどの程度コストが削減できるのかなど、解決しなければならない課題が少なくありません。
 そこで、この基本構想を踏まえて、新市場づくりの実現を図るため、今後どのように具体的取り組みを進めていかれるのかお伺いします。
 最後に、教育の日について伺います。
 東京都は、現在、石原知事のリーダーシップのもと、子どもたちの健全な育成を促す取り組みとして、心の東京革命を推進しております。人が生きていく上で当然の心得を伝えるという都独自の視点に立ったこの心の東京革命は、いまだ広く都民の支持のもとで広がりを見せていません。
 そのような中、次代を担う子どもたちの教育の現状は依然として憂慮すべきものがあります。学校では、従来から行き過ぎた平等主義や画一的な教育から脱し切れず、いじめや不登校、学級崩壊など深刻な危機に直面しております。家庭、学校、地域の教育力が低下している現在、多くの子どもたちは自立心や規範意識が低下し、また、夢や希望を描けないまま、社会への参画意欲も希薄になっております。
 今後、東京から日本を変える人材を輩出していくことを目指し、心の東京革命のより一層の強力な取り組みや、また、今年度策定を予定している東京から新しい教育改革の道筋を示す東京都教育ビジョンの理念を広く都民に訴えかけて、教育への都民参加を促すためのきっかけをつくっていくことが大切です。
 そこで、都が設定を計画している教育の日についてお尋ねします。
 知事は、子どもの教育に責任を負うべき親や大人の現状をどう認識しているのでしょうか。また、これら大人たちが次代を担う子どもたちの育成をともに考える契機として、教育の日は有効であると思いますが、所見をお伺いします。
 教育の日については、広く都民の賛同を得て設定していく必要があると思います。今後、東京都としてはどのようにして教育の日を設定していこうと考えているのか、教育長にお伺いします。
 ところで、昨今、宇宙の話題が茶の間に頻繁に入ってくるような時代になりました。つい十日ほど前、日本初の火星探査機「のぞみ」が地球の重力を利用して進路を変えるスイングバイに成功したというニュースや、向井千秋さんが五年前、スペースシャトルの中で開花させたバラと再会したというホットなニュースもありました。
 宇宙レベルのニュースが入ってくる一方で、経済のグローバル化により、いや応なく地方自治体も大きな影響を受けております。大企業の海外進出は、得意先の移転に伴い、都内の中小企業への受注減や東京の産業の空洞化を招いております。アジアのハブ港は、空も海も釜山、香港、シンガポールへ移り、金融市場、国際会議なども同様、次々と東京から離れています。
 先日も、東京港の水先案内料金の問題で、国際競争力をつけたい東京都と国土交通省との間で攻防がありましたが、国の大局を見ない主張を見ても、東京から国を変える必要性を感じざるを得ません。
 我々東京都議会自由民主党は、石原都政二期目の出発に当たり、知事とともに豊かな住みよい東京をつくるため、責任政党としての役割を十分に果たしていく覚悟でございます。
 以上で私の質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 新藤義彦議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、再選されました後の今後四年間の基本姿勢についてでありますが、このたびの選挙で都民の皆様から大変多くのご支持をいただき、二期目の本格的なスタートに当たりまして、ますます重責を担う覚悟を新たにしているわけでございますが、選挙からこの間、いろんな方々に改めてお目にかかり、話を聞きましたが、そうした会話を通じて、東京の現況を眺めて、日本の危機が非常に先鋭的にあらわれているという認識を新たにいたしました。治安や景気、雇用などのさまざまな面で、事態がますます深刻化していることを痛感いたしました。
 今後、一期目で手がけてまいりましたディーゼル車規制や福祉改革、都市インフラの整備などの取り組みをさらに強化していくとともに、新たな手だてを複合的に提起しました大都市における治安対策など、国に先んじての政策を展開していきたいと思っております。新たな政策展開のためには、都政を時代変化に即応できるものにしていく必要がありまして、都政の構造改革にも全力で取り組んでいきたいと思っております。
 東京から日本を変えようということが、終始変わらぬ私の最たる指針でありまして、これまでの経験も生かしつつ、都民、国民の声を背景にし、あくまでも都議会のご協力をいただきながら、より直截に、より大胆に行動していきたいと思っております。
 次いで、危機管理体制の強化についてでありますが、仄聞しますと、危機の原語であるクライシスのそのまた原語の何とかというラテン語は、全く新しい事態が突然現出するということだそうでありまして、先般の全く新しい疫病のSARSの発生を見ましても、一体何がどこでいつ起こるかわからない、そういう時代になってきたという気がいたします。
 都は、自然災害、NBC災害などの危機に際し、指揮命令を混乱なく行うために、危機管理監を新設するとともに、情報機能を強化した総合防災部を発足させました。また、警察、消防、自衛隊から幹部職員の派遣を得て、各機関との連携を強化もいたしております。
 首都圏全体の広域的課題については、八都県市広域防災・危機管理対策会議で具体的に検討を行っております。
 今後も、多様な危機に迅速、的確に対応できる体制を早期に確立するため、全庁挙げて取り組んでいくつもりでございます。
 次いで、夏季の厳しい電力需給状況についてでありますが、実は先般、ある席で、例の拉致被害者の会の事務局長をしていらっしゃる、今般帰国されました蓮池さんのお兄さんの蓮池さんと面談しましたが、彼は東電の電気の方の技師さんでありまして、そのとき電力についてのいろいろな話もしたんですが、彼自身が自戒を含めて、とにかく人間のつくったものだから必ず古びもするし故障もすると。その故障を、日本人には例の原爆という体験で、異常なアレルギー反応も強いようでありまして、そのために一層、あくまで故障でしかない、インシデントしかない事態を隠し過ぎたと、これはやっぱり問題があるということを彼もいっておりましたが、こういうものを大いに反省してもらいまして、何といったってIAEAが、危機管理というか、原子力の管理については、日本が世界で一番進んでいるという評価もしているわけでありますから、その自信を踏まえて、これが過剰になりますと、例の東海村のああいうばかげた臨界のような現象も起こすわけですけれども、いずれにしろ、今後、こういった反省を含めて、原子力発電所の安全確保と地元の信頼回復に全力を尽くすことが望ましいと思っております。
 最大の電力消費地であります東京においては、電源立地地域の住民の皆様の痛みをおのずからのものとして受けとめ、節電に向け最大限努力していくことが重要だと思っております。それにしても、きょうはちょっと明るいですな、この間は暗かったのに。
 都は、ピークカット対策を強化した第二次省エネルギー運動に取り組むとともに、広く都民、事業者にも一層の節電を呼びかけてまいります。
 次いで、いわゆる三位一体の改革についてでありますが、明治の当初に発効いたしました太政官制度以来、実は日本の政治スキームというのは中央集権から全く変わっていないわけでありまして、これが地方分権に変わるということは、まさに歴史的必然、蓋然でありますが、どうも国にそうした基本的な歴史的認識が欠けているせいか、非常に動きが鈍い、なかなかそれが具体化しないという恨みがございます。
 今回の三位一体の改革につきましても、各省庁の間の激しい抵抗がありまして、この一年間、いたずらに論議を重ね、何とか基本方針がまとまったようであります。今回の基本方針は、国庫補助負担金の削減と、これに連動した基幹税の移譲は明記されておりますが、一歩改革に踏み出したといえばいえないことはありません。
 しかし、補助金を四兆円削減するとしながら、その内容、内訳が示されておりませんし、また、削減分の八割しか税源移譲を行わないとする根拠、これにより生ずる地方の負担の解消策、さらには移譲する税目も明らかにされておりません。地方交付税についても、総額抑制の方向が示されているにとどまっております。
 このように、今回の基本方針は、内容が非常に抽象的で具体性に乏しく、自治体がみずからの責任と判断により主体的に施策を展開できるものとはなっておりません。都市再生や環境問題、治安対策など、東京を初めとする大都市特有の行政需要に対する言及も全くありませんし、極めて不十分な内容といわざるを得ません。
 国が今なすべきことは、国と地方の役割分担を明確にして三位一体改革を実現し、地方主権を確立することであります。
 ちなみに、レーガン大統領の時代に思い切った地方分権を徹底しまして、そのおかげで中央政府は非常にぜい肉を落とし、それが財政効果となって、皮肉なことに、違う政党の民主党のクリントンの時代にアメリカは財政的に復活したわけであります。こういった身近な例というものを国も大いに参考にしながら、正当な歴史責任にのっとった地方分権というものを徹底して行ってもらいたいと思っております。
 都は、八都県市を初め、他団体とも連携しながら、今後も国に対して引き続き強く要求をしてまいります。
 次いで、都政改革についてでありますが、二期目の都政において、これまでの成果をさらに発展させるとともに、新たな政策展開を行っていくためには、危機的な状況にある都財政の立て直しが喫緊の課題であります。
 そのためには、各種補助金を初め、口では今まで随分いってきましたけれども、今回はいよいよ覚悟を決めて、聖域のない見直しというものを徹底して行うとともに、これも口だけではなくて、アウトソーシングを徹底するなど、仕事の仕方や中身を根本から変えまして、都政の構造にまで踏み込んだ改革を行うことが必要であると思っております。
 この秋には第二次財政再建推進プランを策定いたしますが、これと一体的にさらなる行政改革や人事制度改革、あるいは政策展開に関するプランの策定を進めまして、都庁全体が改革の目標と危機意識を共有し、相乗効果を発揮できるようにする考えであります。
 これらのプランの策定に向け、早急に改革の基本的な視点と長期的な取り組みの方向を明らかにしまして、都民サービスの充実と東京の再生に向けた都政改革を次のステップに移していきたいと思っております。
 次いで、都財政の現況と今後の見通しについてでありますが、私は、就任当初、一千六十八億円もの都政史上最大の赤字のもとで都知事に就任いたしまして、つくづくえらいところに嫁に来たなという感じがいたしましたが、この状況は本質的に変わっておりません。ディーゼル車規制や都市インフラの整備など先進的な取り組みを進める一方で、給与関係費の削減や監理団体の改革など、財政再建に全力を挙げて取り組み、辛うじて財政再建団体への転落という最悪の事態は一応回避もいたしました。
 しかし、都税収入が大きく減少し、今後も大幅な伸びが見込めないなど、都財政は依然として危機的な状況にございます。このままでは、十六年度以降も毎年度四千億円に近い財源不足が見込まれまして、これまでのように臨時的な財源対策によった財政運営を続けることは、もはや全く不可能であります。
 今後、こうした厳しい状況を打開して、東京に活力を呼び戻す先進的な取り組みをより一層進めていくためには、身の丈に合った歳出規模を実現し、強固で弾力的な財政基盤を確立していく必要がございます。
 そのため、都政改革を総合的に進めていく中で、第二次財政再建推進プランを策定し、全庁挙げて都みずからの内部努力の一層の徹底や、聖域なしの施策見直しなど、財政構造改革を不退転の決意で、より大胆に進めていきたいと思っております。
 次いで、商店街の振興についてでありますが、私のテレビでの発言が一部誤解されたようでありますけれども、東京のどこを眺めましても、商店街が疲弊しているのは否めない事実でありまして、これは東京の責任というよりも、むしろ国の大きなかじ取りが間違っていた。大店舗法を含めて流通そのものの形態が変わっている中で、国のかじ取りが非常にずさんであっただけではなく、また商店街自身も、こういった時代の変化というものを敏感に察知して、品ぞろえの機能というものを合理化する必要もあったと思いますが、とにかくここまで来てしまいました。
 いずれにしろ、便利には便利かもしれませんけれども、私たちすべて大店舗に頼るわけにはいきませんし、当然、そこで売っていない品物もたくさんあるわけでありますから、今後、商店街はやはり努力をして立て直していく必要があると思います。
 とにかく地域経済を支えているほか、地域コミュニティの維持などの重要な役割を担っている商店街でありまして、都は商店街振興を産業振興の重要な柱と位置づけてもおります。今年度からは、新・元気を出せ商店街事業など商店街振興施策を再構築し、予算及び事業を大幅に拡大、強化していきたいと思っております。
 今後とも、意欲的な商店街の多種多様な取り組みを積極的に支援し、商店街を振興していきたいと思っております。
 次いで、新銀行の創設についてでありますが、従来、本来は国がやらなきゃいけない中小企業対策の金融政策の一つとして、CLO、CBOを行ってまいりました。額にして三千億ですか、対象の企業は七千社に及んでおりますが、これはCBOに関しては、日銀も非常に評価する商品として登録されておりますし、大阪、福岡県などは、ぜひまねをしたいということで、専門家を都庁から派遣してノウハウを伝えておりますが、しかしそれでは追いつかない節が多々ございます。
 しかも、既存の銀行そのものが随分隠している事実があって、実質あっぷあっぷしている。りそながその最たるものでしょうけど、ほかの銀行も余り当てにならない。貸し渋りどころか、貸しはがしがばっこする時代でありまして、そのために、怠って、怠けて、可能性のない企業は、競争社会の中で当然脱落していくでしょうが、十分可能性があり、十分能力を持ちながら、日本の産業を底辺で支えている東京のすばらしい中小企業が、実は倒産にも向かいかねない現況でございまして、それを現場として熟知している都としては、そうした中小企業からの切実な要望にもこたえまして、都民、国民が真に必要とする新しいタイプの銀行を創設する必要があると判断いたしました。
 目指すところは、人員や店舗などを極限まで絞り込んだ低コスト体質によって、しかも信用力が高いグローバルな資金運用力を誇る外資系も含めた金融機関を活用することによって、十分な余剰も生み出し、それを生かして、生きた資金を供給する、そして優秀な中小企業が持てる力を十分に発揮できる環境を、限りはあるでしょうけれども、この銀行を通じて整えていくことであります。これにより、新銀行設立を日本経済の抱える負の連鎖を何とか断ち切る突破口として、日本経済再生への一つの、あくまで一つの礎としたいと思っております。
 次いで、新銀行の自主性の確保についてでありますが、経営はあくまで民間主体で行いまして、各分野のリーディングカンパニーなどの先端的なノウハウを十分に生かしていきたいと思っております。
 経営形態としましては、本年四月に導入された米国型企業統治形態とも呼ばれる委員会等設置会社を採用しまして、経営監視と執行との役割分担を徹底いたします。各委員会の委員の過半数を社外取締役としまして、透明性の高い経営を行い、自主的な運営を確保するつもりであります。
 なお、大株主であります都は、政策融資の必要性を含め、経営の大枠を監視する役割にとどまることになります。
 次いで、「しごとセンター」の業務内容でありますが、国がやっておりますかつての職安、ハローワーク、これはしゃれた名前はついているが、余り役に立たない。東京を調べますと、リストラされて再就職した方々の中で、このハローワークに行って事が成ったというのは一割もいませんで、非常に手間暇かかってごたごたしているだけで、一向にらちが明かないので、これをかつてやりましたロケーションボックスのように、手続をたくさんとって七つも許可書をもらわなかったらいけないようなものを一元化しましたが、同じように、一つのデスクでワンストップサービスとして、職を失った方々の需要にこたえていきたいと思っております。
 求人情報を初め、起業、創業や職員能力開発等、仕事にかかわる情報を幅広く提供するとともに、個々の求職者にきめ細かく対応して職業紹介を行うことによりまして、求人企業との溝を埋めようとするものであります。
 なお、具体的な内容は、東京都雇用・就業対策審議会の答申も参考にして、早急に固めていくつもりでございます。
 次いで、親や大人の現状と教育の日についてでありますが、このごろ本当に総じて、親も含めて大人は、他人の子どもは一層でありますけれども、非常に子どもに対する思いやりがなくて、かつて引用しましたが、賀川豊彦さんの言葉には、子どもは大人にしかられる権利がある、つまり子どもをしかる責任が大人にあるんですけど、それが一向に果たされない。これが教育の日の設定によって少し戻れば結構なことだと思います。
 いずれにしろ、一番間近にいる大人であります子の親は、一生涯子どもの教師でもあり、一人一人の個性を見きわめて、それを伸ばすしつけ教育の最高責任者でもあります。また、親を含めて大人たちは、国家、社会や人材育成について明確なビジョンを持って子どもたちを導き、みずからの生き方を子どもたちに示していかなくてはならないと思います。
 しかしながら、どうも最近、みずからの確かな信念に基づいて子どもたちに接し、しかったり子どもたちを褒めたりするような大人が余りにも少ない現況であります。こういった事態のためにも、教育の日を設定することによりまして、親や大人が子どもたちの未来に思いをいたして、国家、社会の基盤となる教育、しつけのあり方をともに考える機会となれば結構だと思います。
 しかし、幾ら年に一回教育の日を決めても、私は、親にとっては毎日毎日が教育であるということをやっぱり親に覚えておいていただきたいと思います。
 なお、その他の質問につきましては、副知事、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔副知事竹花豊君登壇〕

○副知事(竹花豊君) 東京の治安に対する現状認識と今後の取り組みについてお答えを申し上げます。
 私が副知事を拝命いたしましてから、私に多くの都民の方々から激励の声が寄せられておりまして、その声の中には、都民の現在の治安状況に対する不安が感じ取られたところでありまして、改めて一生懸命やらなきゃならぬという思いを強くしている状況にございます。
 東京の治安は、もう数字が示しておりますけれども、まことに憂慮すべき状況にございまして、都民生活に深刻な影響を及ぼしているだけでなく、日本の治安にも決定的な影響力を持っており、その回復は喫緊の課題であるというふうに思っております。
 治安悪化の要因はさまざまあるわけでありますけれども、外国人の組織犯罪が多発をしておりますし、また、依然として暴力団が暗躍を続けております。また、これは社会の病理的側面のあらわれともいい得るわけでありますけれども、規範意識が非常に薄くなる、あるいは犯罪抑止機能も低下をしてくるといったような問題も、犯罪の背景にはあるように思われるところでございます。
 このような状況に対処するためには、入国管理あるいは犯罪取り締まりといったものがさらに厳正に行われることが重要であることはもちろんでありますけれども、都を含め関係の行政機関が、少年の健全育成や犯罪に強いまちづくりなどの取り組みを抜本的に強化する必要があると思います。
 さらに、民間の事業者あるいはボランティアの方々の犯罪抑止のための活動が一層活発になりまして、また、都民一人一人の犯罪に対する警戒心がさらに向上することも望まれるところであります。
 このような観点から、今後、都民、有識者の方々、ボランティアの方々などの意見や要望を幅広く聞きながら、都の行政全般を見直すとともに、警察力の強化にも寄与していきたいと考えております。
 また、警視庁や国、首都圏自治体との連携強化を図り、都民、事業者、NPOなどと一体となりまして、治安悪化に対抗する社会の大きな流れをつくり、社会的な共同戦線を築くことで、首都東京の治安を回復していくべく、全力を尽くしたいと考えております。
   〔警視総監石川重明君登壇〕

○警視総監(石川重明君) まず、安全・安心まちづくり条例に基づく取り組みについてお答えを申し上げます。
 現在提案をしております条例案は、東京都の関係部局と都民、事業者が相互に協力、連携しながら、安全で安心して暮らせるまちづくりに取り組んでいくということを示した、いわば基本条例の案ともいうべきものでございます。
 そのための推進体制といたしまして、知事を会長として、行政、都民・地域団体、事業者団体の代表者で構成される東京都レベルの推進協議会、それから、区市町村、関係機関、警察署長、地域住民の代表者で構成される地域レベルの推進協議会がそれぞれ設置をされて、そのもとで計画的、継続的にさまざまな施策を推進しようというものであります。
 警視庁といたしましても、これらの協議会に参画をいたしまして、東京都の関係部局と協力しながら、一つには、地域住民による自主的な防犯活動を促進するため、犯罪情報等の積極的な提供、情報発信、各種ボランティアの結集、防犯に関心を持っていただくための生活安全教育の実施。二つには、犯罪の防止に配慮した環境を整備するため、スーパー防犯灯などの設置による公共空間における都民の安心確保、防犯性にすぐれた住宅等の普及促進システムの構築への参画。三つには、児童等の安全を確保するため、学校や通学路等における安全管理の充実、関係機関との連絡体制の強化などなど、関連施策の推進に努めていく考えであります。
 次に、知事のご提案に係る都職員の派遣構想の具体化についてお答え申し上げます。
 知事のご提案は、現在の東京における厳しい治安情勢を踏まえられたものと認識をしておりまして、限られた人員で治安対策に当たっている警視庁の窮状について理解をしていただき、大変ありがたいというふうに思っております。
 都の職員を警視庁に受け入れるに当たりましては、基本的には、警察官による地域のパトロール強化につながるような人員配置を行おうというふうに考えておりまして、この具体的な受け入れ先等につきましては現在検討中でございますが、なるべく早く成案を得て実施に移したいというふうに考えております。
 次に、現在の空き交番の状況や、その対策についてであります。
 現在、警視庁の管内には九百四十二カ所の交番があります。このうち七百三十五カ所につきましては警察官を常時配置して運用しておりますが、このほかの二百七カ所の交番につきましては、地域の犯罪情勢や警察事象等に応じて、必要な時間帯に必要な人員を配置するということで、可能な限り交番をあけるようにしているところであります。
 警視庁といたしましては、交番には常に警察官がいてほしいという地域の方々の強い要望にこたえることができるように、従来から、この空き交番対策を進めているところでありまして、警察官が不在となる交番に、退職をいたしました警察官OBを交番相談員として配置をするほか、交番を都市型駐在所に転換するなど、いろいろな施策を講じて、空き交番を少しでも少なくするように努めてきたところであります。
 また、事件、事故等への対応のために一時的に警察官が不在になる交番もあるわけでありますが、隣接する交番の勤務員やパトカーが重点的にパトロールをその時期において行うということで対応しているところでもあります。
 今後とも、地域の実態に即して、住民の方々のご意見、ご要望を真摯に受けとめて、空き交番に対する弾力的な対策を講じていく必要があると考えておりますし、また、地域警察活動を強化するために、国に対して警視庁の警察官の増員を強力に働きかけることなどによって、この空き交番の解消に向けてさらに努力をしてまいりたいというふうに考えております。
 次に、警察官を増員するために、民間活力の活用を含めた業務配分のあり方の見直しや業務の効率化に関しての取り組みについてお答えをいたします。
 警視庁におきましては、従来から、その時々の治安情勢に的確に対応するために、デスク部門の警察官を削減したり、あるいは一般職員へその業務を振りかえるといったことなどによって、警察官を現場へ配置転換するなど、合理的な人員配置に努めてまいりました。また、警察業務省力化推進委員会を部内に設けまして、IT化の推進等、業務の省力化、合理化にも取り組んでまいりました。
 その結果、平成十年以降、約千三百人を内部で捻出いたしまして、現場を中心に配置転換をして、例えば平成十三年につきましては、管理部門と機動隊の定員を削減いたしまして、本部実動部門や第一線警察署への人員のシフトを行いまして、この来日外国人犯罪等に対する捜査体制の強化を行ったところであります。
 また、昨年度及び今年度には、計三百八十人の警察官の増員を行ったわけでございますが、これに加えて部内のパワーシフトを行いまして、組織犯罪対策やピッキング等の侵入犯罪対策面での体制の強化をいたしました。
 一方、従来から、自転車の防犯登録事務や庁舎の清掃、文書集配等の業務を民間委託いたしております。近年、来日外国人犯罪の多発に伴いまして、民間人の通訳を多数お願いするといったようなことで、こうした形でも業務の効率化を図ってまいりました。
 今後とも、その時々の情勢に応じた不断の見直しを行うことによりまして、合理的な人員配置を行って、現場の警察活動強化のための組織体制の整備に努めてまいりたいと考えているところであります。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教育の日の設定に向けた今後の取り組みについてお答え申し上げます。
 ご指摘のように、教育の日は、広く都民の賛同を得て設定する必要があるものと考えております。このため、本年十一月一日に、心の東京革命三周年記念事業と連動しまして、広く各界の参加のもとに「東京の教育を考える都民のつどい」を開催しまして、この「つどい」において、国の定める教育・文化週間の期間内でもございます十一月の第一土曜日を教育の日として提唱しまして、各参加団体に、その趣旨に合った取り組みを主体的、継続的に行うことの賛同を得てまいりたいと考えております。
 これを受けまして、東京都として今年度中に東京都教育の日を設定しまして、今後、この日を中心に、教育の日にふさわしい取り組みを、各界と協力しつつ、継続的かつ効果的に進めてまいりたいと考えております。
   〔東京都技監小峰良介君登壇〕

○東京都技監(小峰良介君) 圏央道整備や多摩地域の渋滞対策など五点の質問にお答え申し上げます。
 まず、圏央道の整備についてでございますが、圏央道は、東京外郭環状道路や首都高速中央環状線とあわせ、首都圏三環状道路として首都圏の道路ネットワークを形成し、都心方向に集中する交通を適切に分散する重要な路線でございます。また、横浜、八王子、成田などの中核都市を結び、都市間の連携強化を担うとともに、都市構造の再編を促す道路であり、国の都市再生プロジェクトにも位置づけられております。
 圏央道の整備により、首都圏の慢性的な交通渋滞の緩和、環境の改善、多摩地域の発展など、広域的にも、また地域的にも大きな効果が期待され、早期整備が必要でございます。
 次に、圏央道東京都区間の今後の予定についてでございますが、圏央道は、国と日本道路公団により重点的に整備が進められております。東京都区間の日の出インターチェンジから中央道までの区間では、用地の大部分を取得し、現在、残る未取得用地の土地収用手続を進めております。工事につきましては、全線にわたりトンネルや橋梁などを施行中でございます。
 今後、日の出インターチェンジからあきる野インターチェンジまでについては平成十五年度末、あきる野インターチェンジから中央道に接続する八王子ジャンクションまでについては十六年度の完成を目指しております。
 沿線の各自治体から、早期完成への強い要望が寄せられており、都としても、国と連携して、圏央道の事業推進に積極的に取り組んでまいります。
 次に、圏央道アクセス道路についてでございますが、アクセス道路は、圏央道の機能を十分に発揮させるとともに、多摩自立都市圏の形成を図る上で重要な道路でございます。都は、六路線をアクセス道路と位置づけて、これまでに、新五日市街道、秋多三・四・六号線など五路線の整備を完了しております。残る新滝山街道については、二カ所、約二・七キロで事業を実施しており、このうち、あきる野インターチェンジから高尾街道までの約一・六キロの区間では、既に戸吹トンネルが貫通し、平成十五年度末の完成を目指しております。
 今後とも、地元関係者の理解と協力を得まして、積極的に事業を推進してまいります。
 次に、多摩地域の渋滞対策である、交差点すいすいプラン一〇〇の取り組みについてでございますが、都内の慢性的な交通渋滞を解消するため、都は、幹線道路の整備による道路ネットワークの形成を図るとともに、既存の道路をより効果的に改善するなど、円滑な交通流の確保に努めております。
 交差点すいすいプラン一〇〇は、多摩地域を中心に百カ所の交差点を選定し、右折車線の設置等を行うもので、比較的短期間に少額の投資で、交通渋滞の緩和、交通事故の防止、沿道環境の改善に大きな効果を上げております。
 進捗状況についてでございますが、平成十四年度末までに六十一カ所が完成し、本年度にはさらに十六カ所が完成予定でございます。
 今後とも、地元市や関係住民の理解と協力を得て、限られた事業費をより効果的、重点的に投入し、事業効果の早期発現に努めてまいります。
 最後に、次期計画の策定についてでございますが、現在整備を進めている交差点のほかにも、多摩地域には渋滞解消を必要とする箇所がなお残っております。本事業に寄せる都民の期待と要望は大変大きいものがございます。このため、次期交差点すいすいプランの計画策定に向け、現地の状況や事業効果予測などの調査を本年度より開始いたします。
   〔環境局長小池正臣君登壇〕

○環境局長(小池正臣君) 首都圏の電力危機とディーゼル車規制についてのご質問にお答えいたします。
 まず、都有施設の停電時に備えた取り組みについてでございますが、全庁的な調査を実施しました結果、都立病院等の医療施設や上下水道等のライフラインにつきましては、非常用発電設備で対応可能なことが確認されております。そこで、現在、緊急時に備え、非常用発電設備が確実に作動するよう、事前点検や燃料確保の徹底を図っております。
 また、事業所、文化施設等につきましては、停電時には通常どおりの業務遂行が困難となることが予想されますため、来庁者の案内や誘導が安全かつ速やかに行えるよう、災害時の対策マニュアルをもとに万全を期すことにしております。
 今後とも、都民サービスに重大な支障を来すことがないよう、万が一に備え、全庁的に取り組んでまいります。
 次に、ディーゼル車規制の現時点での進捗度についてでございます。
 都はこれまで、都内事業所約四千社への立入指導や業界団体への個別説明会、ダイレクトメール等により、都民や事業者に対し、規制内容の周知に努めてまいりました。また、支援策として、PM減少装置の装着補助制度や、新車への買いかえに対する融資あっせん制度を設け、規制への対応を促進してまいりました。
 その結果、自動車登録データによれば、平成十四年三月時点での規制対象台数二十万二千台のうち、約三分の一が、本年三月時点で規制への対応を図っております。
 今年度に入りましても、PM減少装置装着補助の申請件数が昨年度では一万三千件でありましたけれども、四月から六月までの三カ月間で一万八千件と急増するなど、買いかえとあわせまして事業者の対応が着実に進んでおりまして、六月末時点での進捗度は約五割と推定しております。
 最後に、残り三カ月の規制対応促進策についてでございますが、ディーゼル車規制の内容が事業者に広く周知され、厳しい経営環境の中でも規制への対応が急速に進みつつあります。
 今後は、対応がおくれている事業者について、きめ細かな相談、指導を行うとともに、金融機関、自動車メーカー、整備事業者等との連携により、買いかえやPM減少装置装着を促進するなど、重点的、効果的に対応してまいります。
 さらに、これに加え、規制開始を期して、不適合車は使用できなくなること、また、取り締まりの対象となることについて周知徹底を図り、規制への対応が促進されるよう、十月に向けて全力を挙げて取り組んでまいります。
   〔健康局長平井健一君登壇〕

○健康局長(平井健一君) SARS対策など四つの質問をいただきました。
 まず、いわゆるSARSに対する適切な医療の確保についてでございます。
 都はこの四月、国に先駆け対策本部を設置し、SARS対策専門家会議の意見も踏まえ、都立病院を中心に、都内すべての医療機関が協力する二十四時間の診療体制をいち早く確保いたしました。また、六月からは、SARSが疑われる患者の外来診療に、より適切に対応するため、都独自に協力医療機関を指定したところでございます。
 さらに、陰圧病床を持っている感染症指定医療機関との連携をより緊密にするなど、医療体制の充実強化をしておるところでございます。
 次に、今後の医療体制などの充実についてでございます。
 SARSとインフルエンザは初期症状がよく似ているため、この冬に向けて、都民の不安や医療現場における緊張が高まることが予想されております。このため、改めてSARSに関する予防方法など正しい知識の普及啓発に努めるとともに、保健所などの相談機能の向上、協力医療機関の拡充及び感染防御のための器材、設備の整備など、引き続き医療体制等の充実に万全を期してまいります。
 次に、患者の搬送体制についてでございます。
 SARSの所見を有し、症状も重篤な患者さんにつきましては、健康局の専用車両で搬送することとしております。また、SARSが疑われる患者さんの搬送につきましては、現在、東京消防庁の協力を得ながら対応しているところでございます。
 今後とも、警戒を怠ることなく、あらゆる事態に的確に対応できるよう、搬送車両の整備も含め、東京消防庁と緊密な連携を図りながら、搬送体制の強化に努めてまいります。
 最後に、旧都立台東病院跡地の病院整備についてのお尋ねでございます。
 区が、地域医療の充実のためにみずから主体的に病院整備に取り組むことは、大変望ましいことと考えております。台東区のこのたびの取り組みは、都の計画を継承するものでございまして、こうした経緯等も踏まえ、都はその実現に向けてさまざまな支援に努めてまいります。
   〔消防総監白谷祐二君登壇〕

○消防総監(白谷祐二君) SARSの疑いがある患者搬送に当たる救急隊員の安全確保等についてのお尋ねですが、ご指摘のとおり、SARSの疑いがある患者を搬送する上で、救急隊員の安全確保を図ることは、都民への感染防止のためにも極めて重要であると強く認識しております。
 このため、東京消防庁では、一一九番通報の内容から、感染地域からの帰国者等で、発熱、呼吸器症状がある場合には、防護衣、N―九五マスク、ゴーグルなどを着用して救急活動を実施しております。
 さらに、傷病者を医療機関に収容後、医師の助言のもと、救急隊員自身の消毒を行うとともに、医師が初診時におきましてSARSの可能性があると判断された場合は、専門の委託業者により、救急車及び救急資器材の消毒を行い、感染防止に万全を期しております。
 六月末日現在、これらSARSの疑いがある患者を医療機関へ搬送した人員は百四人であります。
 また、今後充実すべき点につきましては、特に、多数の患者が発生した場合に的確に対応できるよう、感染防止用資器材を増強するとともに、休日、夜間における消毒体制の充実に努めてまいります。
   〔港湾局長成田浩君登壇〕

○港湾局長(成田浩君) 東京港の保安対策の現状についてでございますが、近年、密入国事件が多発するなど、東京港を取り巻く状況が悪化してきております。このため、都は、港湾の機能を維持し、安定した物流を確保するとともに、都民の安全で安心できる生活を確保していく観点から、東京港の保安対策に全力を挙げて取り組んでおります。
 密入国などへの対策は、基本的には国の責務でございますが、こうした事態の発生を水際で阻止するためには、国、地方自治体、民間事業者の緊密に連携した取り組みが不可欠でございます。
 そこで、本年三月、都が呼びかけて、東京港密入国及びテロ対策連絡会を設立し、東京港における危機管理の三位一体の取り組みの第一歩を踏み出したところでございます。
 次に、東京港における今後の保安対策についてでございますが、アメリカでの同時多発テロ事件を契機に、国際的にも、港湾における保安対策の強化が求められております。国に対しましては、新潟港で見られたような、船舶の安全性を検査するポート・ステート・コントロールの徹底した実施や、エックス線装置を積極的に活用した密輸品の検査を求めてまいりたいと思います。
 また、都といたしましても、ハード面では監視カメラなどの設置、ソフト面では厳格なゲート管理の実施などを含む東京港の保安計画を新たに策定するなど、関係機関との有機的な連携を図りながら、港湾管理者としまして、水際での保安対策に万全を期してまいりたいと思います。
   〔主税局長川崎裕康君登壇〕

○主税局長(川崎裕康君) まず、不正軽油撲滅のこれまでの成果と今後の取り組みについてお答えいたします。
 不正軽油は、脱税の温床となるだけではなく、大気汚染の原因でもあり、社会と環境に対する犯罪であります。この不正軽油を撲滅するため、都では平成十二年九月から、全庁を挙げて不正軽油撲滅作戦に取り組んできました。その結果、不正軽油の混和検出率が平成十二年度一四%であったものが、平成十四年度には一%に激減するなど、大きな成果を上げてきております。
 しかし、激減したとはいえ、不正軽油はいまだ流通しており、複雑かつ広域化しているため、その撲滅は、一自治体の域を超えた課題となっております。
 そのため、昨年十一月、都が関係自治体に呼びかけ、現在十四都県で構成する不正軽油撲滅連絡会議を設置するなど、他県との連携を積極的に進めております。
 脱税防止はもとより、大気汚染の拡大を防ぎ、都民の健康を守るためにも、今後も、民間関係団体及び他県との連携協力体制の充実強化を図り、不正軽油を厳しく取り締まってまいります。
 次に、都税収入が現在の水準に至った理由についてでありますが、主税局は、唯一の歳入所管局として、これまでにない徴税努力を重ねてまいりました。しかし、バブル崩壊後の長期にわたる景気低迷を背景とした企業収益の伸び悩みや、国による恒久的な減税を初めとする税制改正の影響などから、都税収入の大宗を占める法人二税が大幅な税収減となっております。
 法人二税の税収は、平成元年度決算の二兆六千八百一億円のピークから、十五年度予算では一兆五千百三十二億円と、この間、一兆一千七百億円近い減収となり、これが都税収入全体を押し下げる要因となっているものと考えております。
   〔財務局長櫻井巖君登壇〕

○財務局長(櫻井巖君) 都財政に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、今後の財政再建における歳出面での課題についてでございます。
 これまでの四年間、財政再建推進プランの実現を図るため、内部努力の徹底や施策の見直しなどを行ってまいりましたが、給与関係費や補助費等の経常経費については、なお高どまりの状態が続いてございます。
 また、今後、都営住宅や橋梁などの社会資本の老朽化に伴う更新費用や、高齢者人口の急速な増加に伴う福祉関係費の増が見込まれるなど、都財政は構造的な歳出の増加要因を抱えてございます。
 そのため、都税収入の伸びが期待できない中、今後の財政再建では、歳出水準を身の丈に合わせて削減していくことが必要であり、全庁挙げてさらなる内部努力の徹底や補助費等の経常経費を含め、聖域のない施策の見直しなど、今までにも増して厳しく、かつ踏み込んだ取り組みが必要になると考えております。
 次に、財政再建と先進的な施策の推進との両立についてでございます。
 これまでも、財政構造改革を進めて都財政を立て直しつつ、東京の再生や都民の安心、安全を確保する施策などには、財源を重点的、効率的に配分することを基本に財政運営を行ってまいりました。
 今後とも、都税収入の大幅な伸びが見込めない中で、今まで以上に創意工夫や新たな発想で施策を見直し、徹底したスクラップ・アンド・ビルドにより財源を捻出して、新たな施策を進めていくことが重要であります。
 そのため、財政構造改革をさらに進め、時代の変化に的確に対応し、東京に活力を呼び戻すために必要な先進的な施策には、限られた財源をより効果的に配分できるよう、強固で弾力的な財政体質を確立してまいります。
   〔総務局長赤星經昭君登壇〕

○総務局長(赤星經昭君) 特殊勤務手当についての二点の質問にお答え申し上げます。
 まず、見直しに当たっての基本的な考え方についてでございますが、今回の見直しは、現在支給されております手当を前提とすることなく、手当の存在意義そのものについて原点に立ち返って見直し、手当全体の再構築を図ることを目指しました。とりわけ、特定の職種において本来当然求められる業務に支給している手当、社会状況の変化に伴い手当支給の妥当性が低下いたしました手当などについては、徹底した検証を行いました結果、今回ご提案した内容となったものでございます。
 次に、今後の特殊勤務手当についてでございますが、社会経済状況や支給対象業務の特殊性の変化を踏まえまして見直していかなければならないと考えております。
 今後とも、制度の安定性をも考慮しながら、一定期間ごとに、その時々の状況に適切に対応するよう、常に見直してまいります。
   〔産業労働局長有手勉君登壇〕

○産業労働局長(有手勉君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、雇用・就業対策審議会答申の早期具体化についてでございますが、厳しさを増している失業状況や少子高齢化の進展などに対処し、東京を再生させる雇用就業対策を構築するため、審議会においては、円滑な労働力の移動の実現、新時代を担う若者の就業推進、女性、高齢者等の活用など、五つの観点から精力的に検討を行っております。
 都といたしましては、審議会答申を踏まえて、実施可能な施策につきましては今年度から速やかに具体化を図り、一日も早い雇用就業情勢の改善に努めてまいります。
 次に、今回の特別工業地区建築条例の廃止に伴います規制の見直しの基本的考え方についてでございます。
 ご指摘のとおり、東京のものづくり産業は大変厳しい状況にあります。このような状況のもとで企業活動の増進を図るためには、工場の建てかえや拡張ができる限り自由に行える環境を整備し、事業継続を可能にするとともに、事業拡大の可能性を広げることが大切であります。
 急速な技術革新等により操業環境が変化し、業種の多様化が進む一方、環境を確保するための取り組みも進んでおりまして、これらを踏まえ、都内一律に行ってきた工場の立地規制を見直すことといたしました。
 今後も、さまざまな分野において規制の見直しなどを進め、産業力の強化に取り組んでまいります。
   〔都市計画局長勝田三良君登壇〕

○都市計画局長(勝田三良君) 産業力強化のための都市計画上の規制の見直しについてなど、四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、都条例廃止による住環境への影響と区市町の対応についてでございますが、各区市の意向を総合いたしますと、産業振興は重要な課題であるが、一方、地域によっては住環境への配慮も欠かせないと受けとめているようでございます。
 今後、各区市町においては、地元住民、工場主、議会等の意向を踏まえ、地域特性に対応した産業の振興が図られるものと認識しております。
 次に、都としての対応と取り組みについてでございますが、本年三月に、区市町の都市計画や建築行政の所管部署に対しまして、東京の産業力強化のために都条例を廃止する趣旨等についての説明会を実施いたしました。
 五月以降、知事本部、都市計画局、産業労働局の関係各局が協力をいたしまして、区長、市長等を訪問し、都の産業力強化にかかわる今後の対応について説明を行いました。
 今後の取り組みにつきましては、これまでの説明で各区市町には趣旨が十分理解されたものと考えておりますが、なお、円滑な事務処理のためには、必要に応じ助言等を行ってまいります。
 次に、今回の屋外広告物条例改正の内容とねらいについてでございますが、第一に、地域の景観特性に応じた広告物規制を図るため、地区計画で規定された屋外広告物に関する事項を広告物条例上の規制とすることによりまして強制力を持たせること。
 第二に、規制緩和による経済活動の活性化やにぎわい空間を創出する観点から、地下の歩行者道などへ広告表示ができるようにすること。
 第三に、広告収入を活用し、公益上必要な施設の整備促進に寄与するため、避難誘導標識等への広告表示を可能とすることでございます。
 最後に、東京にふさわしい広告物のあり方についてでございますが、広告物審議会の中間答申で示されました目標や課題を踏まえ、地域の町並みや景観特性に配慮した新たな広告物の規制、誘導のあり方、観光政策や福祉政策など諸施策との連携、違反広告物対策の強化とすぐれたデザイン広告の顕彰による実効性の確保などについて検討を進め、魅力ある都市景観の形成、経済活動の活性化などに貢献する広告物行政を目指してまいります。
   〔福祉局長幸田昭一君登壇〕

○福祉局長(幸田昭一君) 福祉改革に関します二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、新たなケアつき住まいについてでございますが、介護が必要になっても、高齢者が地域の中で安心して暮らし続けていくためには、ケアつき住まいの整備が重要であります。しかし、ご指摘のように、高齢者のケアつき住まいに関する現行の制度は複雑で、利用者にとってわかりにくく、また、必ずしも大都市の実態に対応できるものとはなっていないのが現状でございます。
 現在、都では、大都市東京の特性を踏まえた高齢期における住まいと介護のあり方に関する調査検討に取り組んでおり、その中で、ご提案のような要支援高齢者も対象とした小規模なケアつき住まいなどについて検討を進め、介護保険制度の抜本的見直しに向け、国に対して積極的に働きかけてまいります。
 次に、障害者の地域生活移行についてでございますが、都は現在、障害者地域生活支援緊急三カ年プランにより、地域における居住の場である生活寮などの大幅な拡充を進めておりますが、ご指摘のとおり、保護者の不安解消などソフト面での取り組みも重要であると認識しております。
 そのためには、いわば生活施設となっている入所施設を地域生活支援型へ抜本的に転換することを初め、さまざまな取り組みが必要であります。
 こうした観点から、今般、区市町村や施設などの取り組みを支援するために、地域生活移行に際しての課題を整理し、具体的な解決策を示したマニュアルを作成いたしました。
 また、都独自のアパート借り上げ助成により、地域生活移行に向けた訓練事業を昨年度充実しましたが、この訓練事業を、今年度からは都内全入所施設で実施することといたします。
 さらに、施設の豊富な人材やノウハウを活用して、利用者一人一人の障害の特性やニーズに応じた個別支援計画を作成し、きめ細やかな支援を行うなど、障害者の地域生活移行を強力に推進してまいります。
   〔中央卸売市場長森澤正範君登壇〕

○中央卸売市場長(森澤正範君) 豊洲新市場基本構想に関します二点のご質問にお答えいたします。
 まず、豊洲新市場の将来像についてでありますが、新市場は、築地から豊洲へ単に場所を移すだけではなく、将来の流通環境に適応した首都圏の基幹市場として再生する必要がございます。
 このため、新市場づくりに当たっては、取引規制や許可制度などこれまでの市場の仕組みを大胆に見直すとともに、最新技術を導入した物流システムの確立など、消費と流通の変化に対応した市場、千客万来ゾーンを設置した都民と消費者に開かれた市場、また、地域のまちづくりと環境に配慮した市場といったコンセプトの実現化を目指してまいります。
 次に、新市場に向けました今後の具体的な取り組みについてでありますが、今回発表した基本構想を踏まえまして、現在、市場づくりの骨格となる基本計画の策定に取り組んでおります。
 計画策定に当たりましては、ご指摘のとおり、将来の市場流通をめぐるさまざまな課題に対処するため、市場業界や関係団体と引き続き協議を重ねるとともに、有識者等からも幅広く意見を求めてまいります。
 この基本計画は、平成十六年度中ごろを目途に策定してまいります。

○議長(三田敏哉君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時三分休憩

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