平成十五年東京都議会会議録第八号

平成十五年六月二十四日(火曜日)
 出席議員(百二十二名)
一番谷村 孝彦君
二番東村 邦浩君
三番秋田 一郎君
四番矢島 千秋君
五番北城 貞治君
六番鳩山 太郎君
七番柿沢 未途君
八番後藤 雄一君
九番福士 敬子君
十番伊沢けい子君
十一番執印真智子君
十二番馬場 裕子君
十三番鈴木あきまさ君
十五番河野百合恵君
十六番長橋 桂一君
十七番小磯 善彦君
十八番野上じゅん子君
十九番ともとし春久君
二十番山加 朱美君
二十一番萩生田光一君
二十二番串田 克巳君
二十三番小美濃安弘君
二十四番吉原  修君
二十五番山田 忠昭君
二十六番臼井  孝君
二十七番野島 善司君
二十八番服部ゆくお君
二十九番山口 文江君
三十番酒井 大史君
三十一番初鹿 明博君
三十二番山下 太郎君
三十三番清水ひで子君
三十四番かち佳代子君
三十五番小松 恭子君
三十七番藤井  一君
三十九番中嶋 義雄君
四十番中西 一善君
四十一番松原 忠義君
四十二番田代ひろし君
四十三番三宅 茂樹君
四十四番川井しげお君
四十五番いなば真一君
四十六番近藤やよい君
四十七番高島なおき君
四十八番吉野 利明君
四十九番倉林 辰雄君
五十番新井美沙子君
五十一番樋口ゆうこ君
五十二番富田 俊正君
五十三番大塚 隆朗君
五十四番真木  茂君
五十五番花輪ともふみ君
五十六番古館 和憲君
五十七番松村 友昭君
五十八番丸茂 勇夫君
五十九番鈴木貫太郎君
六十番森田 安孝君
六十二番石川 芳昭君
六十四番遠藤  衛君
六十五番野田 和男君
六十六番中屋 文孝君
六十七番真鍋よしゆき君
六十八番林田  武君
六十九番高橋かずみ君
七十番三原 將嗣君
七十一番樺山たかし君
七十二番大西 英男君
七十三番田島 和明君
七十四番大河原雅子君
七十五番土屋たかゆき君
七十六番青木 英二君
七十七番河西のぶみ君
七十八番中村 明彦君
七十九番相川  博君
八十番大山とも子君
八十一番吉田 信夫君
八十二番曽根はじめ君
八十三番橋本辰二郎君
八十四番大木田 守君
八十五番前島信次郎君
八十六番桜井良之助君
八十七番野村 有信君
八十八番比留間敏夫君
八十九番鈴木 一光君
九十番こいそ 明君
九十一番星野 篤功君
九十二番古賀 俊昭君
九十三番山本賢太郎君
九十四番立石 晴康君
九十五番清原錬太郎君
九十六番小山 敏雄君
九十七番大山  均君
九十八番藤田 愛子君
九十九番名取 憲彦君
百番藤川 隆則君
百一番小林 正則君
百二番林  知二君
百三番東ひろたか君
百四番池田 梅夫君
百五番渡辺 康信君
百六番木内 良明君
百七番石井 義修君
百八番中山 秀雄君
百九番藤井 富雄君
百十番桜井  武君
百十一番新藤 義彦君
百十二番宮崎  章君
百十三番山崎 孝明君
百十四番松本 文明君
百十五番佐藤 裕彦君
百十六番川島 忠一君
百十七番矢部  一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十番田中 晃三君
百二十一番大西由紀子君
百二十二番尾崎 正一君
百二十三番田中  良君
百二十四番和田 宗春君
百二十五番坂口こうじ君
百二十六番木村 陽治君
百二十七番秋田かくお君

 欠席議員(三名)
三十六番 織田 拓郎君
三十八番 東野 秀平君
六十三番 土持 正豊君
 欠員
十四番 六十一番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事浜渦 武生君
出納長大塚 俊郎君
教育長横山 洋吉君
東京都技監建設局長兼務小峰 良介君
知事本部長前川 燿男君
総務局長赤星 經昭君
財務局長櫻井  巖君
警視総監石川 重明君
主税局長川崎 裕康君
生活文化局長三宅 広人君
都市計画局長勝田 三良君
環境局長小池 正臣君
健康局長平井 健一君
産業労働局長有手  勉君
住宅局長高橋  功君
港湾局長成田  浩君
交通局長松尾  均君
消防総監白谷 祐二君
福祉局長幸田 昭一君
水道局長飯嶋 宣雄君
下水道局長二村 保宏君
大学管理本部長山口 一久君
病院経営本部長碇山 幸夫君
中央卸売市場長森澤 正範君
選挙管理委員会事務局長押切 重洋君
人事委員会事務局長高橋 和志君
地方労働委員会事務局長久保田経三君
監査事務局長松澤 敏夫君
収用委員会事務局長山内 隆夫君

六月二十四日議事日程第一号
第一 東京都副知事の選任の同意について(一五財主議第七八号)
第二 第百四十四号議案
職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
第三 第百四十五号議案
東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第四 第百四十六号議案
都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百四十七号議案
特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第六 第百四十八号議案
市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第七 第百四十九号議案
東京都都税条例の一部を改正する条例
第八 第百五十号議案
学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第九 第百五十一号議案
東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第十 第百五十二号議案
東京都屋外広告物条例の一部を改正する条例
第十一 第百五十三号議案
東京都建築安全条例の一部を改正する条例
第十二 第百五十四号議案
東京都特別工業地区建築条例を廃止する条例
第十三 第百五十五号議案
東京都自動車排出窒素酸化物及び粒子状物質総量削減計画策定協議会条例の一部を改正する条例
第十四 第百五十六号議案
社会福祉協議会の行う事業の補助に関する条例の一部を改正する条例
第十五 第百五十七号議案
東京都母子福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
第十六 第百五十八号議案
東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
第十七 第百五十九号議案
東京都安全・安心まちづくり条例
第十八 第百六十号議案
警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第十九 第百六十一号議案
警視庁の警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する条例の一部を改正する条例
第二十 第百六十二号議案
警視庁職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第二十一 第百六十三号議案
特別区の消防団員に係る退職報償金に関する条例の一部を改正する条例
第二十二 第百六十四号議案
特別区の消防団員等の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第二十三 第百六十五号議案
東京消防庁職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第二十四 第百六十六号議案
都立葛飾ろう学校(十五)改築工事請負契約
第二十五 第百六十七号議案
都立大塚ろう学校(十五)改築工事請負契約
第二十六 第百六十八号議案
都営港南四丁目第三団地(第二期)建設工事請負契約
第二十七 第百六十九号議案
南田中トンネル(仮称)築造工事その四(十五―環八)請負契約
第二十八 第百七十号議案
北町・若木トンネル(仮称)築造工事及び擁壁工事(十五―環八)請負契約
第二十九 第百七十一号議案
旧江戸川(東葛西)防潮堤耐震補強工事(その十)請負契約
第三十 第百七十二号議案
北町陸橋(仮称)鋼けた製作・架設工事(十五―環八)請負契約
第三十一 第百七十三号議案
日暮里・舎人線荒川横断橋りょう鋼けた製作・架設工事(その三)請負契約
第三十二 第百七十四号議案
多摩地域ユース・プラザ(仮称)整備等事業契約の締結について
第三十三 第百七十五号議案
ヘリコプターの買入れについて
第三十四 諮問第二号
地方自治法第二百四十四条の四の規定に基づく異議申立てに関する諮問について
第三十五 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例及び東京都における銀行業等に対する事業税の課税標準等の特例に関する条例の一部を改正する条例の報告及び承認について
議事日程第一号追加の一
第一 東京都副知事の選任の同意について
(一五財主議第一五五号)
第二 議員提出議案第六号
安全で安定的な電力供給に関する意見書
第三 議員提出議案第七号
電力の安定供給に関する意見書
第四 議員提出議案第八号
地方税財政の確立に関する意見書
第五 議員提出議案第九号
税源移譲を基本とする三位一体の改革の実現に関する意見書

   午後一時二分開会・開議

○議長(三田敏哉君) ただいまから平成十五年第二回東京都議会定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。

○議長(三田敏哉君) まず、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
     八番 後藤 雄一君 及び
   七十一番 樺山たかし君
を指名いたします。

○議長(三田敏哉君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(谷村隆君) 平成十五年六月十七日付東京都告示第七百六十九号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、同日付で、本定例会に提出するため、議案三十三件の送付がありました。
 次に、地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例及び東京都における銀行業等に対する事業税の課税標準等の特例に関する条例の一部を改正する条例の報告及び承認について依頼がありました。
   〔発言する者あり〕

○議長(三田敏哉君) ご静粛に願います。

○議事部長(谷村隆君) 次に、知事及び監査委員外三行政委員会より、先般の人事異動に伴う東京都議会説明員の変更及び説明員の委任変更について、地方自治法第百二十一条及び会議規則第四十二条の規定に基づき、それぞれ通知がありました。
 次に、知事より、平成十四年度東京都一般会計予算外四件の明許繰越について、平成十四年度東京都一般会計予算外二件の事故繰越について、及び平成十四年度東京都都市再開発事業会計予算外六件の繰り越しについて、それぞれ報告がありました。
 次に、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づく専決処分について報告が二件ありました。
 内容は、訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告について、及び東京都同和生業資金貸付要綱による貸付金の償還免除に関する報告についてであります。
 次に、監査委員より、平成十四年度工事監査、平成十四年度行政監査、平成十四年度財政援助団体等監査及び例月出納検査の結果について、それぞれ報告がありました。
 また、監査結果に基づき知事等が講じた措置に関する報告がありました。
(別冊参照)

○議長(三田敏哉君) マイクのボリュームは制限をいたしておりませんので、ご静粛に願います。

○議長(三田敏哉君) 次に、閉会中の議員の辞職について申し上げます。
 去る五月十六日付をもって渋谷区選出の福島寿一君より、議員を辞職したい旨届け出がありました。
 本件は、地方自治法第百二十六条ただし書きの規定により、議長において、同日付をもって辞職を許可いたしました。

○議長(三田敏哉君) 次に、先般の人事異動に伴い、異動のありました説明員の方々をご紹介いたします。
 東京都技監建設局長兼務小峰良介君、財務局長櫻井巖君、主税局長川崎裕康君、健康局長平井健一君、住宅局長高橋功君、港湾局長成田浩君、消防総監白谷祐二君、福祉局長幸田昭一君、下水道局長二村保宏君、大学管理本部長山口一久君、病院経営本部長碇山幸夫君、中央卸売市場長森澤正範君、人事委員会事務局長高橋和志君、地方労働委員会事務局長久保田経三君、監査事務局長松澤敏夫君、収用委員会事務局長山内隆夫君。
   〔理事者あいさつ〕

○議長(三田敏哉君) 以上をもって説明員の紹介は終わりました。

○議長(三田敏哉君) この際、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第六号、安全で安定的な電力供給に関する意見書外意見書三件、知事より、東京都副知事の選任の同意についてがそれぞれ提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(三田敏哉君) 会期についてお諮りいたします。
 今回の定例会の会期は、本日から七月九日までの十六日間といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三田敏哉君) ご異議なしと認めます。よって、会期は十六日間と決定いたしました。

○議長(三田敏哉君) この際、知事より、発言の申し出がありますので、これを許します。
 知事石原慎太郎君。
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 平成十五年第二回都議会定例会の開会に当たり、今後の都政運営についての基本的な姿勢を申し述べ、都議会の皆様と都民の皆様のご理解、ご協力を得たいと思います。
 世界は今、人類の新たな災害ともいうべき疫病や間断なく繰り返されるテロの脅威にさらされ、重苦しい不安に覆われています。加えて我が国では、長期にわたって低迷する経済の先行きが一向に見えず、治安悪化などの社会不安と重なり、国民の間には閉塞感が充満しております。我が国は、潜在的な力を持ちながら、自己の主張と存在を世界に示せないばかりか、進むべき日本の将来すら描くことができぬまま、緩慢で無自覚な後退を続けております。
 こうした危機的状況を打ち破り、東京から変革の引き金を引くべく行動を起こしたのが、四年前のことでありました。以来、東京から日本を変えるための政策の苗を植え、その幾つかは芽を伸ばし、新しい動きも生み出されてきております。その一方で、国の不作為の壁に阻まれる場面も数多く、日本再生への取り組みは、いまだ道半ばと痛感しております。
 都民の皆様から負託された二期目、植えた苗がしっかりと根を張り、枝葉を広げるのを見極めつつ、新たな手だてを複合的に提起し、日本の頭脳であり心臓である東京から、日本再生の活路を切り開いていきたいと思います。
 喫緊の課題として、まず取り組むべきは治安の回復であります。
 かつて我が国は、世界最高水準の治安を誇っておりましたが、近年では、犯罪認知件数や検挙率が戦後最悪を更新し続け、都民生活に深刻な影響を及ぼしております。治安の崩壊は、ずさんな入国管理や不法残留者の手ぬるい摘発、刑務所、拘置所の絶対的な不足など、国が本来の役割を十分果たさず、国民の生命財産を軽視してきたことに起因しております。
 東京都は、こうした事態を座視することなく、あらゆる方策を講じて都民の不安を大幅に軽減していきたいと思っております。
 不法入国、不法滞在外国人に対しては、新宿歌舞伎町において、既に警視庁と入国管理局が合同で、一斉取り締まりをこの三カ月間連続して実施しております。今後とも、繁華街を中心に波状的な取り締まりを行い、外国人犯罪組織を壊滅に追い込んでいきたいと思っております。
 また、東京湾での密入国事件が相次いでおり、水際の守りを固める必要があります。東京都は、国に対して東京港全域の警備強化を強く求めるほか、港湾管理者として、ふ頭の密入国防止策を強化してまいります。
近年では、ひったくり、車上ねらいといった街頭犯罪や空き巣などの侵入犯罪が増加し、都民が治安の悪化を感じる大きな要因ともなっております。東京のまちに再び安全を取り戻すためには、身近な地域で安全、安心を実感できる水準にまで警察力を高めていく必要があります。既に機動隊による街頭活動を開始するなど対策を講じておりますが、これに加えて今後は、国に対して警察官の増員を求めるほか、警視庁の業務の効率化や行政サイドからの支援など、さまざまな方策を通じて街頭パトロールを強化してまいります。
 先日、繁華街の防犯パトロールを行っているボランティアの若者たちと話をする機会がありました。彼らの自主的な活動に見られるように、治安の回復には、地域、地域で犯罪を抑止することが大変重要であります。
 今定例会には、地域と自治体、民間企業などが力を合わせて安全なまちを実現するため、安全・安心まちづくり条例を提案しております。これにより、都民と行政が協力して協議会を立ち上げ、ボランティアなどの結集を図るほか、スーパー防犯灯や防犯カメラなどの設備の普及により、犯罪の起こりにくいまちづくりを進めてまいります。都民の皆様にも、これを機に、ぜひ地域の防犯を自分自身で担う問題として考えていただきたいと思います。
 治安の維持こそ最大の都民福祉であるといっても過言ではありません。この重要な任務のかなめの位置に、新たに担当の副知事を置きたいと考えております。治安対策担当副知事には、警視庁や国、首都圏自治体とのコーディネーターの役のほか、都民、事業者、NPOなどと一体となって、犯罪のないまちづくりを進める牽引役として活躍してもらいたいと思っております。
 次に、新しい銀行の設立についてであります。
 日本経済は、経済有事ともいうべき緊急事態に直面しております。デフレの進行には歯どめがかからず、都内の企業倒産は過去最悪の水準で推移し、景気回復の兆しはいまだに見えません。こうした事態に対して、国は、経済再生のための有効な手だてを講じることができず、立ちおくれた金融政策などのため、日本経済は苦境から抜け出せずにおります。
 経済活動の血液である資金の流れは、担保主義にしがみつく銀行の貸し渋りや貸しはがしにより著しく滞留し、技術力のあるすぐれた中小企業が必要な資金を調達できずにおります。
東京都はこれまで、独自の仕組みとして、CLO、ローン担保証券、CBO、社債担保証券の発行により、累計で三千億円を超える資金供給を行い、中小企業の資金調達の幅を広げてまいりました。これからは、東京の中小企業の活性化と金融システム再生を目指して、東京都が中心となって、負の遺産のない、全く新しいタイプの銀行を設立いたします。
既に、今月から準備組織を立ち上げており、今後、内外の有力企業と提携を進め、技術力や将来性にすぐれた中小企業を総合的に支援する銀行を平成十六年度中に創設したいと考えております。
新しい銀行の設立により、従来の担保主義に縛られない新しい融資モデルを構築し、日本経済の抱える負の連鎖を断ち切るための突破口としたいと思っております。
 次に、大気汚染についてであります。
 五月に発表した東京都の調査結果により、ディーゼル車の排気ガスが花粉症の要因であることが科学的に裏づけられました。ディーゼル車対策の重要性、緊急性が改めて確認されたと思います。
 小泉総理は、年初の施政方針の中で、世界一厳しい排気ガス規制を実施すると口にしましたが、しかし、先月送付した東京都の質問状に対する国の回答は具体性に欠け、また、自動車NOx・PM法の適用延期を正当化するなど、本来の問題の本質を理解しようとしておりません。大気汚染の改善には、自動車の大半を占める使用過程車対策こそ焦眉の急であるにもかかわらず、国は何ら抜本的な対策に取り組もうとせず、危機意識の欠如を露呈しております。
 しかも、国は、去る六月十一日、PM減少装置に対する補助申請の受け付けを、予算切れを理由に一方的に終了しました。この突然の打ち切りは、国と協調して事業者の支援を行っている全国の自治体の努力に冷水を浴びせるものであり、国に対して早急に必要な措置を講ずるよう、強く求めてまいりたいと思います。
 また、国が不正軽油撲滅の重要性について一向に認識できないことも、大きな問題であります。東京都は、国が一向に対策に乗り出さない中にあって、全庁を挙げて不正軽油撲滅作戦を進めてまいりました。その結果、昨年度の抜き取り調査による不正軽油の検出率は、平成十二年度の一四%からわずか一%に激減しており、悪質な脱税業者に大きなダメージを与えております。今後も、不正軽油の供給を元から絶つため、手を緩めることなく厳しく取り締まってまいります。
 本来の責任者である国が正当な現状認識を持ち得ず、実効性ある対策を講じようとしない以上、東京都は、引き続いて大気汚染対策を強力に前進させていかないわけにはまいりません。
 当面、最大の課題は、百日後に迫ったディーゼル車規制の確実な実施であります。厳しい経営環境に置かれている中小企業への支援を強化するため、本年三月、買いかえのための新しい融資制度を創設しており、また、個別相談会の開催や総合相談窓口の設置など、きめの細かい対策を進めております。今年度に入り、事業者などの規制への対応は着実に進んでおり、PM減少装置の補助申請数は二万五千台を突破したほか、都内を走る路線バスなど三千六百台への対応は、今月中に完了いたします。
 また、四月からは、東京都の要請にこたえて、石油連盟が低硫黄軽油の全国供給を開始しており、軽油に含まれる硫黄分は確実に低減しております。
 今後とも、国との対峙を恐れることなく、都民の皆様のご理解と関係機関の全面的なご協力を得ながら、東京都の総力を挙げてディーゼル車規制に取り組んでまいります。
 続いて、都政の抱える主要な課題について申し上げます。
 初めに、交通インフラの整備についてであります。
 時間的、空間的に狭小となった今日の世界では、交通インフラの量と質が、国や地域の将来を左右するほど大きな影響力を持っております。
 首都圏の空のアクセスを見れば、国際線も国内線も空港の容量はパンク寸前であり、残された時間はわずかしかありません。首都圏全体をにらんだ羽田空港の再拡張と国際化は、国家が背負うべき最優先の課題であります。先般開催された八都県市と国による協議会でも、国際化の必要性と今後解決すべき課題に対する共通認識を持つことができました。
 東京都は、国がみずからの負担と責任において、一日も早い実現に向け具体的な行動を起こすよう、首都圏の関係自治体とともに、引き続き強力に働きかけてまいります。
 かねてより主張してまいりました横田基地の軍民共用化については、五月に開催された日米首脳会談の場で、実現可能性を検討することが合意をされました。大きな岩がようやく動き始めたと感じております。軍民共用化は日本経済の再生、ひいては国力の回復につながるものでありまして、今後は、実務レベルでの協議を早急に開始し、国が主体的に取り組むことを強く要求してまいります。
 また、東京には、道路交通網が決定的に不足しておりまして、このことが都市活動の効率を著しく損ねております。
 首都圏交通の骨格を形成する三環状道路については、早期の全線開通を目指し、引き続き国を動かしてまいります。
 多摩地域を縦断する圏央道については、国の事業推進に東京都として全面的に協力してまいります。国と大深度地下の利用で合意した外郭環状道路については、地元区市とも協議を重ね、近く具体化に向けて計画を取りまとめてまいります。また、中央環状線のうち羽田につながる最終区間の品川線については、平成十六年度中の都市計画決定を目指し、早急に手続に入りたいと考えております。
 一方、連続立体交差事業では、JR中央線三鷹―立川間の西側区間が未着工となっていましたが、今月、西国分寺―立川間で工事を開始いたしました。多摩地域における南北交通の円滑化は、地元住民の悲願であり、一日も早い完成を目指したいと思います。
 東京は、渋滞という交通アクセスの中での致命的な欠陥を抱えております。新規の道路整備とあわせて、既存の道路をより効率的に活用し、渋滞解消に結びつけていく必要があります。
 即効性のある解消策として、これまで違法駐車対策、スムーズ東京21を進めてきましたが、来月から、対象となる交差点を大幅にふやす拡大作戦を開始いたします。国道を含む百四十カ所の交差点を集中的に整備し、混雑時の通過時間を二割削減したいと思います。あわせて、多摩地域を中心に、路線バス専用の停車帯の整備や踏切内の歩道の新設、拡幅を行い、渋滞の解消を図ってまいります。
 東京港については、アジアの主要な港との国際競争に勝ち抜くため、構造改革特区第一号として実施する通関業務の時間延長など、港湾機能の強化を進めてまいります。
 以上のような整備を積み重ねることで、陸海空の交通インフラを縦横につなげ、東京の潜在力を存分に発揮していきたいと思っております。
 次に、文化の振興についてでありますが、これまで東京は、従来の枠組みにとらわれることなく、若手芸術家に発表の場を提供するトーキョーワンダーサイトや、都内の映画ロケの総合窓口である東京ロケーションボックス、あるいはアジア舞台芸術祭など独自の取り組みを進めてまいりました。
 街角に驚きと笑いを醸し出すヘブンアーチストは、登録数が既に二百組を超え、新しい都市文化として根づき始めております。五月の連休には、銀座の中央通りに約四十万の観客を集め、大変な盛況でありました。
 今後は、大道芸に限らず、広く公共空間を開放し、都有施設の壁面をキャンバスとしても活用したり、空きスペースを演劇の練習場として提供するなど、都市の中の芸術空間の拡大につなげていきたいと思っております。
 また、東京都の文化施設を活用して、東京発の新たな舞台芸術の創造や、世界の著名な音楽家が集う国際的な音楽祭の開催などに取り組んでまいりたいと思っております。
 知的で都会的な娯楽であるカジノについては、日本全体で関心と期待が高まっておりまして、受け入れの素地が整いつつあると思います。現在、大阪府など方向性を同じとする自治体と共同で、国への具体的な提言に向けて研究を重ねております。今後、都民、国民の理解を深め、法改正に向けた迅速な対応を国に求めてまいります。
 都市型の新しいエンターテインメントの試みとして、東京ドームの施設を活用した競輪を再開したいと思います。これまでの常識を覆す、若者や女性も楽しめる斬新でスマートな競輪を目指し、かけごとという古いイメージを打ち破っていきたいと考えております。
 これにより、経済波及効果や雇用創出効果、歳入確保が見込まれておりまして、新たな観光スポットとしても期待されると思います。今後、こうしたメリットを関係者に十分ご理解いただきながら、早期の実施を目指して準備を進めてまいります。
 東京は、ロンドンやパリ、ニューヨークなど、世界の大都市と比べても遜色のない歴史と伝統を有し、すぐれた文化施設も数多く存在しております。今後、東京が有する文化的な資源をさらに活用しながら、東京の魅力を世界に発信していきたいと思っております。
 次に、深刻な雇用状況への対応についてであります。
 都内の平均失業率は、ここ数年五%台という最悪の水準で推移しております。景気の低迷による求人の減少が雇用状況の悪化の根底にありますが、求人と求職のミスマッチも実は大きな原因となっております。
 しかし、国がやっているハローワークだけでは―昔の職安ですが、縦割り行政の弊害に阻まれて、就職を希望する人に必要な情報が行き届かないばかりか、職業訓練との連携も十分ではありません。転職者のうち、ハローワーク経由で就職先を見つけた人は一割にも満たないといわれております。
 ミスマッチを解消するために、多様な情報を一元的に供給するとともに、職業能力の開発と連動して就業の場を確保していく必要があります。このため、東京都では、仕事に関するあらゆる情報を一カ所で提供できる「しごとセンター」を来年度開設したいと思います。相談体制の充実を図り、きめの細かいカウンセリングを実施することで、求職者の能力や適性に応じた仕事の紹介に結びつけていきたいと思います。さらには、商工関係団体と協力して求人を開拓するなど、都独自の就業支援策を展開してまいります。
 次に、福祉と医療の改革についてであります。
 これまでの施設偏重、行政中心の福祉が行き詰まりを見せる中、東京都は福祉改革に取り組み、多様な主体の参入による競争を促進し、利用者がサービスを選択できる仕組みづくりを推進してまいります。
 平成十三年八月に創設した認証保育所は、現在、既に百五十八カ所にまで拡大していますが、これは、民間の参入を促し良質なサービスを提供することにより、利用者のニーズをつかんだ結果であると思います。しかし、国は、この制度を規格外として、あくまで認めようとしておりません。東京都は、これまでの成果と利用者の声を背景に、国に対して制度の認知を強く迫ってまいります。
 また、痴呆性高齢者や障害者が地域で住み続けられるように、生活の場である町中のグループホームを大幅に増設する必要があります。既に、民間企業などによる高齢者グループホームを対象とした都独自の補助制度を創設していますが、今年度、新たに未利用の都有地を設置者に廉価で貸し出す方式を導入して、福祉インフラの整備を加速いたします。
 こうした認証保育所やグループホームの取り組みを福祉改革の起爆剤として、民間参入を促進し、福祉サービスの充実を図り、大都市の特性に応じた福祉の新しいあり方を東京から発信してまいります。
 医療の分野では、東京ERを墨東、広尾、府中の三つの都立病院に設置し、三百六十五日二十四時間の安心を提供する医療体制の整備を進めてまいりました。また、患者中心の医療をさらに推進するため、四月からすべての都立病院に患者の声相談窓口を設けており、来月からは、大塚病院に女性医師による女性のための専門外来を開設いたします。今後とも、患者の声に真摯に耳を傾け、東京発の医療改革を進めていきたいと思います。
 次に、教育改革について申し上げます。
 この春、学区制を全廃した都立高校の入学選抜では、進学指導重点校を中心に、近年、最高の応募倍率を記録しました。横並びを廃したことにより、高校間に健全な競争意識が芽生え始めていると思います。今後は、競争原理の導入による効果を教員の質の向上に結びつけていく必要があります。
 このため、来年度から、すべての都立高校で生徒による授業評価制度を開始します。現在、全都立高校の約八割で試行されており、この制度の導入によって、教員と生徒の意識改革に弾みをつけ、都立高校改革をさらに進めていきたいと思います。
 教育の担い手である教員の育成も、また重要であります。高い志を持った教員を学生の段階から養成するために、教員養成系の大学に呼びかけ、都独自の養成塾を来年度から開講いたします。東京都の教員を志す学生を対象に、学校現場での一年間にわたる実習や奉仕体験活動を通じ、実践的な指導力や強い使命感を持った教員を育てていきたいと思います。
 大学改革については、日本の教育の立て直しのため、今までにない全く新しい大学を平成十七年度に実現いたします。新しい大学では、教育と経営を分離し、知事が選任する経営責任者と、教育研究の責任を負う学長との役割を明確に区別してまいります。あわせて、教員に対する業績評価を徹底し、その結果を給与に反映させる仕組みも導入いたします。
 現在、専門家による検討会で、新しい大学における教育研究の具体的な内容について精力的に議論しており、夏までに一定の成果を得て、大学の全体像を明らかにしたいと考えております。
 目指すのは、学生の感性にこたえ、若い可能性を育てる大学、いわばおもしろくて楽しい学舎であります。開学後も引き続いて手を加え、新しい大学を長期の視点に立って造形してまいりたいと思います。
 教育改革は、個別の高校改革や大学改革を進める一方で、小学校、中学校、高校、大学といった枠組みを超えた視点に立って取り組む必要があります。そこで、学校、家庭、地域全体を視野に入れた教育ビジョンを今年度策定し、次代を担う人材を育てる観点から、新しい教育のあり方を示してまいります。
 さて、文明の進展は、時に思いも寄らぬ災禍をもたらし、不測の事態への対応いかんで、その国や自治体の力量が試されることになります。
 新型肺炎SARSの東アジアを中心とする蔓延は、皮肉にも、近代文明が生み出した大型旅客機が感染の恐怖を瞬時に拡大させるという、文明の逆説をまざまざと見せつけました。
 我が国においても、台湾人医師の来日中の発病が明らかになった際、国の初動対策のミスが重なり、国民に不安が広がったことは記憶に新しいところであります。
 東京都では、都内すべての医療機関の協力を得て、二十四時間の医療体制を確保するとともに、すべての救急隊に感染防止用の防護服を配備し、また、帰国児童生徒などへの対応方針を示すなど、いち早く初期対応の体制を整えました。万一の場合には、この四月に設置した危機管理監を中心に対策本部を迅速に立ち上げ、機敏に対応してまいります。
 東京は、電力不足という事態への対応も迫られております。今回の電力需給の逼迫は、東京電力の不祥事に端を発するものでありまして、国と東京電力は、原子力発電の安全確保と地元の信頼回復に全力を尽くすべきであります。
 東京は最大の電力消費地であり、東京都はこれまでも節電、省エネルギーに努めてきており、本年二月からは、全庁を挙げての省エネルギー運動を推進しております。電力需給が逼迫する夏に向け、本日より、ピークカット対策を強化した第二次省エネルギー運動を開始いたします。
 電源立地地域の住民の皆様の痛みをみずからのものとして受けとめることが何よりも必要であり、都民、事業者の皆様にも一層の節電に取り組んでいただきたいと思います。
 さて、三宅島の噴火によって全島民が避難して以来、既に三年近くがたとうとしております。この四月から短期滞在型の一時帰島を順次実施しておりますが、依然、火山ガスの発生が続いており、今後とも推移を注意深く見きわめる必要があると思います。
 先日、都民広場で開催された五木ひろしさんによる復興応援コンサートでは、千人近い人々が応援歌に聞き入っておりました。長期にわたる避難生活を強いられている島民の皆様の望郷の思いは、察して余りあるものがあります。東京都は、引き続き国とともに、帰島後の復興策も含め、支援に努めてまいります。
 これからも予期せぬ災禍が東京を襲ってくるかもしれません。危機管理監を先頭に、自然災害、大規模な事故、事件に対して、間髪を入れず対応できる体制をしっかりと整えてまいります。
 東京都はこれまで、時代の変化に即応して都民サービスの充実と東京の再生を実現するため、ディーゼル車規制や福祉改革、都市インフラの整備など、行政の各分野で先進的な取り組みを進めてまいりました。
 こうした政策展開を可能とするため、私は、就任後直ちに第一次の財政再建推進プランを策定し、これを確実に実行する努力を重ねた結果、辛うじて財政再建団体への転落を回避することができました。
 また、行政改革では、職員定数を五千九百人近く削減し、監理団体への財政支出を約一千億円削減するなど、着実に成果を挙げております。その一環として、かねてから懸案となっておりました東京国際フォーラムについては、民間から優秀な経営者を社長に迎え、来月には株式会社化して再生への第一歩を踏み出すことといたしました。
 こうした努力を続けてきたにもかかわらず、都財政は、依然として危機的な状況にあります。都税収入は、減少の一途を続け、国からの税源移譲も一向に進んでおりません。今後、毎年度四千億円近い財源不足が見込まれておりまして、これまでのように臨時的な財源対策によって背伸びをした財政運営を続けることは、もはや不可能となっております。
 こうした厳しい状況を打開し、今後とも東京に活力を呼び戻す先進的な取り組みを進めるために、第二次財政再建推進プランをこの秋までに策定し、財政再建に向けての新たな道筋を明らかにいたします。
 この取り組みと並行して、新しい都庁改革アクションプランを策定し、まず隗より始めよの言葉どおり、さらに徹底した内部努力を推し進めてまいります。
 今後取り組む改革では、都民サービスのさらなる充実のために、仕事のやり方や中身を大胆な発想で見直し、アウトソーシングの徹底や公営企業経営のあり方の検討などを進めてまいります。各種補助金を初め、高どまりしている経常経費にメスを入れるなど、聖域なしの施策見直しを行ってまいりたいと思います。
 改革の推進に当たっては、その目標と危機意識を都庁全体で共有することによって、相乗効果を発揮していくことが不可欠であります。行政改革、財政再建、人事制度改革、さらには分野ごとの政策展開を今まで以上に一体化し、総合的に取り組んでまいりたいと思います。
 しかし、補助金を四兆円減少、削減するとしながら、その内訳が示されず、また、削減分の八割しか税源移譲を行わないとする根拠など、これにより生ずる地方負担の解消策、
さらには移譲する税目も明らかにされておりません。―ちょっとおかしいね、これ。(発する者あり)まあ、後で補いますが―加えて、地方交付税については、総額抑制の方向性が示されるにとどまっております。
 このような今回の改革案は、内容が抽象的で具体性に乏しく、自治体がみずからの責任と判断により主体的に施策を展開できる条件を整え、地方分権を実のあるものにするには、なお多くの課題が残されているといわざるを得ません。
 申しわけありません。ちょっとこれ、三位一体についての批判をしているんですけれども、用意された原稿が一枚飛んでいるみたいで。いずれにしろ、大旨はおわかりいただけると思います。ご了承願いたいと思います。(発言する者あり)
 また、東京を初めとする大都市は、都市再生や環境問題、治安対策など特有の課題を抱えております。こうした行政需要に見合った財政基盤が確保されるべきであることは、大都市共通の悲願であり、これまでも八都県市や大阪府と共同でアピールを行ってきました。しかし、国の原案では、大都市圏のこうした実情に対する言及は全くありませんでした。
 国が今なすべきことは、地方分権に名をかりて国の財政負担を減らすことではなく、国と地方の役割分担を明確にして、地方主権を確立することであります。東京都は国に対して、三位一体改革を着実に実現するよう、引き続き強く要求してまいります。
 さて、ことしは、江戸に幕府が開かれてから、ちょうど四百年目に当たります。東京は、江戸、明治以来、今日に連なる長い歴史の上に築かれた大都市であります。先人たちの努力が蓄積され、政治、行政、経済の機能が高密度に集中する東京は、日本を牽引していく大きな役割を担っております。
 しかし、国はこうした認識を持ち得ず、いまだに首都移転の幻想に振り回されておりますが、一刻も早く移転論議に終止符を打ち、白紙に戻すべきであり、それが歴史の必然、また蓋然でもあります。
 羽村の取水堰に始まる玉川上水は、開削されて三百五十年になります。十八世紀半ば、江戸は、既に上水道の設備やリサイクルの仕組みが整備された世界最先端の百万都市に成長しておりました。
 武蔵野の大地を流れる玉川上水が江戸の産業と文化を支え、明治以降の近代日本の基礎づくりにも貢献したのであります。
 ことしはまた、多摩三郡が神奈川県から東京府に移管されてから百十年目の年に当たります。多摩地域には、水や緑など豊かな自然の魅力に加え、大学や先端技術産業などが集積しており、大きな発展の可能性を有しております。
 多摩地域の発展なくして東京の再生もあり得ません。今後とも、東京の一翼を担う存在感のある多摩の地域づくりを推進してまいります。
 さて、目を南に転じますと、小笠原諸島は、六月二十六日、返還三十五周年を迎えます。捕鯨とサトウキビの島は、大きく変貌を遂げました。今やエコツーリズムの先進地として新たな歴史を刻み始めております。このたび、世界自然遺産の国内候補地に選定されたことは、小笠原の未来をさらに明るくするものであると思います。
 こうした一連の節目に当たる今年、東京を築いた先人たちの苦闘の歴史を振り返り、将来の世代のために東京の再生に全力を傾ける決意を新たにしております。東京を変え、さらに日本を変えていくためには、何よりも国を動かすことが大切であります。
 よかれと信じるときには、たとえ国との衝突があったとしても、それを新たな価値の創造に向けたエネルギーに転換していきたいと思います。それが、都民のため、国民のためにとるべき東京の最善の方策であります。
 東京の起こす新しいうねりが国を変える力となるには、行政の取り組みだけでなく、都民、国民の一人一人の自覚もまた必要となります。
 立国は私なり、公にあらず、福沢諭吉がこう訴えているように、東京を思い、国を思うことこそが最も大切な私ごとであり、その意思の積み重ねこそが、国を動かす力となります。
 都民、国民の皆様には、ぜひとも東京の将来、国家の将来を自分の問題として深く考えることを厚くお願いいたします。
 以上、私の考えの一端を申し述べました。都議会の皆様とは今後とも、都政を推進する両輪として、東京のさらなる発展のため、より一層緊密に連携していきたいと考えておりますので、よろしくご協力をお願い申し上げます。
 最後に、本日提案しております副知事の選任の同意に関する議案について一言申し上げます。
 再任をお願いしております福永氏に加えて、治安対策の推進のため、外部から、この分野に精通した竹花豊氏を登用したいと考えております。現職の浜渦副知事と合わせて、当面三人体制で公約の実現に向けて取り組んでまいりますので、よろしくお願いいたします。
 なお、本定例会には、先ほど申し上げました行政改革の一環として、都民の目線から抜本的に見直しを行い、知事部局で特殊勤務手当を約三割削減する内容の東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例のほか、条例案二十一件、契約案八件など、合わせて三十四件の議案を提案しております。よろしくご審議をお願い申し上げます。
 以上をもちまして所信表明を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

○議長(三田敏哉君) 以上をもって知事の発言は終わりました。

○六十七番(真鍋よしゆき君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日は、質問に先立ち議事に入られることを望みます。

○議長(三田敏哉君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三田敏哉君) ご異議なしと認めます。よって、質問に先立ち議事に入ることに決定いたしました。

○議長(三田敏哉君) 日程第一、東京都副知事の選任の同意についてを議題といたします。
 本件に関する委員会審査報告書はお手元に配布いたしてあります。
 朗読は省略いたします。

   総務委員会議案審査報告書
東京都副知事の選任の同意について(一五財主議第七八号)
 本委員会は、五月九日付託された右議案を審査の結果、福永正通氏を選任することに同意すべきものと決定したので報告します。
  平成十五年六月二十日
         総務委員長 名取 憲彦
 東京都議会議長 三田 敏哉殿

○議長(三田敏哉君) 本件に関する委員会の報告は、福永正通氏を選任することに同意であります。
 お諮りいたします。
 本件は、委員会の報告のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三田敏哉君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、委員会の報告のとおり同意することに決定いたしました。

○六十七番(真鍋よしゆき君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 日程の順序を変更し、追加日程第一を先議されることを望みます。

○議長(三田敏哉君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三田敏哉君) ご異議なしと認めます。よって、日程の順序を変更し、追加日程第一を先議することに決定いたしました。

○議長(三田敏哉君) 追加日程第一、東京都副知事の選任の同意についてを議題といたします。
   〔谷村議事部長朗読〕
一、東京都副知事の選任の同意について一件

一五財主議第一五五号
平成十五年六月二十四日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 三田 敏哉殿

東京都副知事の選任の同意について(依頼)
 東京都副知事に左記の者を選任したいので、地方自治法第百六十二条の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお取り計らい願います。
       記
     竹花  豊

      略歴
現住所 東京都小金井市梶野町二―一二―一三
竹花  豊
昭和二十四年五月十八日生
昭和四十八年  三月  東京大学法学部卒業
昭和四十八年  四月  警察庁入庁
昭和六十一年  三月  在オーストリア日本国大使館一等書記官
平成元年    五月  警察庁刑事局刑事企画課理事官
平成二年    四月  警察庁刑事局捜査第二課暴力団対策室長
平成四年    八月  警察庁刑事局保安部薬物対策課長
平成六年    七月  警察庁生活安全局薬物対策課長
平成六年    八月  大分県警察本部長
平成八年    八月  警視庁地域部長
平成九年    四月  警察庁長官官房参事官(金融・不良債権関連事犯担当)
平成十一年   二月  警視庁生活安全部長
平成十二年   四月  警察庁長官官房首席監察官
平成十三年   九月  広島県警察本部長
平成十五年   六月  警察庁長官官房付

○議長(三田敏哉君) 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、知事の選任に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三田敏哉君) 起立多数と認めます。よって、本件は、知事の選任に同意することに決定いたしました。

○六十七番(真鍋よしゆき君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 日程の順序を変更し、日程第七を先議されることを望みます。

○議長(三田敏哉君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三田敏哉君) ご異議なしと認めます。よって、日程の順序を変更し、日程第七を先議することに決定いたしました。

○議長(三田敏哉君) 日程第七、第百四十九号議案、東京都都税条例の一部を改正する条例を議題といたします。
 本案に関し、提案理由の説明を求めます。
 副知事浜渦武生君。
   〔副知事浜渦武生君登壇〕

○副知事(浜渦武生君) ただいま上程になりました第百四十九号議案についてご説明申し上げます。
 この議案は、東京都都税条例の一部を改正する条例でございまして、地方税法等の一部を改正する法律の施行に伴い、都たばこ税の税率を改めるとともに、一定の卸売販売業者等に対する手持ち品課税を行うものであります。
 なお、本条例は、平成十五年七月一日の施行を予定しております。
 以上で説明を終わります。よろしくご審議をお願いいたします。

○議長(三田敏哉君) 以上をもって提案理由の説明は終わりました。

○六十七番(真鍋よしゆき君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております第百四十九号議案については、委員会付託を省略されることを望みます。

○議長(三田敏哉君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三田敏哉君) ご異議なしと認めます。よって、第百四十九号議案については、委員会付託を省略することに決定いたしました。

○議長(三田敏哉君) これより採決に入ります。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(三田敏哉君) 起立多数と認めます。よって、本案は、原案のとおり可決されました。

○六十七番(真鍋よしゆき君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 日程の順序を変更し、追加日程第二から第五までを先議されることを望みます。

○議長(三田敏哉君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三田敏哉君) ご異議なしと認めます。よって、日程の順序を変更し、追加日程第二から第五までを先議することに決定いたしました。

○議長(三田敏哉君) 追加日程第二及び第三、議員提出議案第六号、安全で安定的な電力供給に関する意見書及び議員提出議案第七号、電力の安定供給に関する意見書を一括議題といたします。
 案文はお手元に配布いたしてあります。
 朗読は省略いたします。

議員提出議案第六号
安全で安定的な電力供給に関する意見書
 右の議案を別紙のとおり東京都議会会議規則第十二条の規定により提出します。
  平成十五年六月二十四日
(提出者)
 河野百合恵  清水ひで子  かち佳代子
 小松 恭子  古館 和憲  松村 友昭
 丸茂 勇夫  大山とも子  吉田 信夫
 曽根はじめ  東ひろたか  池田 梅夫
 渡辺 康信  木村 陽治  秋田かくお
東京都議会議長 三田 敏哉殿
安全で安定的な電力供給に関する意見書
 安全で安定した電力の確保は、都民の暮らしと営業にとって、喫緊の課題となっている。
 しかるに、福島原子力発電所を始めとする原子力発電所の相次ぐ重大事故と事故による電力供給の減少は、都民と事業者に大きな不安を抱かせるものとなっている。
 そもそも、今回の「電力危機」の原因は、政府と東京電力を始めとする各電力会社が、根拠のない「安全神話」をもとに、技術的に未確立といわれる原子力発電を推進してきたことにある。
 原子力発電については、アメリカではスリーマイル島の原発事故後、「原子力発電は本来的に危険性の高いものである」とされ、スウェーデンやドイツなどが原発の全廃に踏み出すなど、脱原発が世界の流れとなっている。
 現在、柏崎刈羽原子力発電所六号機及び七号機を除く十五基の原子力発電が運転を停止しており、政府は、「夏に向けて増加する電力需要に対して供給力が不足する」としている。
 しかし、今回の事故の教訓に学ぶこともなく、今後も、「安全神話」にすがり原子力発電を継続することは、国民を原発事故による放射能汚染と、「電力危機」の危険にさらすことになりかねない。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、次の事項を実現するよう強く要請する。
一 原子力発電依存型の電力政策を転換し、小型水力、太陽光、風力などローカルエネルギーのネットワーク化など、安全で安定的な電力の開発、確保に努めること。
二 夏期の電力確保について全力を挙げ、停電などの事態を招かないよう努めること。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成十五年六月二十四日
東京都議会議長 三田 敏哉
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
経済産業大臣
環境大臣  あて

議員提出議案第七号
   電力の安定供給に関する意見書
 右の議案を別紙のとおり東京都議会会議規則第十二条の規定により提出します。
  平成十五年六月二十四日
(提出者)
谷村 孝彦  東村 邦浩  秋田 一郎
矢島 千秋  北城 貞治  鳩山 太郎
柿沢 未途  馬場 裕子  鈴木あきまさ
長橋 桂一  小磯 善彦  野上じゅん子
ともとし春久 山加 朱美  萩生田光一
串田 克巳  小美濃安弘  吉原  修
山田 忠昭  臼井  孝  野島 善司
服部ゆくお  酒井 大史  初鹿 明博
山下 太郎  織田 拓郎  藤井  一
東野 秀平  中嶋 義雄  中西 一善
松原 忠義  田代ひろし  三宅 茂樹
川井しげお  いなば真一  近藤やよい
高島なおき  吉野 利明  倉林 辰雄
樋口ゆうこ  富田 俊正  大塚 隆朗
真木  茂  花輪ともふみ 鈴木貫太郎
森田 安孝  石川 芳昭  土持 正豊
遠藤  衛  野田 和男  中屋 文孝
真鍋よしゆき 林田  武  高橋かずみ
三原 將嗣  樺山たかし  大西 英男
田島 和明  土屋たかゆき 青木 英二
河西のぶみ  中村 明彦  相川  博
橋本辰二郎  大木田 守  前島信次郎
桜井良之助  野村 有信  比留間敏夫
鈴木 一光  こいそ 明  星野 篤功
古賀 俊昭  山本賢太郎  立石 晴康
清原錬太郎  小山 敏雄  大山  均
名取 憲彦  藤川 隆則  小林 正則
林  知二  木内 良明  石井 義修
中山 秀雄  藤井 富雄  桜井  武
新藤 義彦  宮崎  章  山崎 孝明
松本 文明  佐藤 裕彦  川島 忠一
矢部  一  内田  茂  三田 敏哉
田中 晃三  尾崎 正一  田中  良
和田 宗春  坂口こうじ
東京都議会議長 三田 敏哉殿
電力の安定供給に関する意見書
 東京への電力の供給については、原子力発電所が立地する新潟県及び福島県を始め、電源が立地する他県の長年にわたる理解と協力によって確保されてきている。
 東京電力株式会社は、原子力発電所を新潟県及び福島県内に十七基(約千七百三十万キロワット)設置し、電力を首都圏へ供給してきた。原子力発電は、長期的、安定的なエネルギーの確保と地球環境の保全という観点からも、その重要性は認識されているところである。
 しかし、今回の東京電力株式会社による不祥事は、電源立地地域の住民に対し、原子力発電への不安と不信を呼び起こしている。安心・安全が何よりも求められている原子力発電所において、点検・補修等におけるもろもろの不正問題が発生し、事業者の信頼は失墜し、ついには全プラントの停止という最悪の事態に至ったことによるものである。
 その後、地元の理解を得て、新潟県の柏崎刈羽六号機及び七号機は運転を再開しているが、この二基のみで夏場の電力供給が間に合うかどうか危惧されるところである。仮に、供給不足による停電というような事態になれば、国民生活にとっても、我が国の社会経済全体にとっても深刻な影響を及ぼすことは明らかである。
 本来、この問題を引き起こした最大の原因は、東京電力株式会社の隠ぺい体質にある。東京電力株式会社がこの体質を改革し、失われた信頼を取り戻すことが最重要問題である。一方、東京電力株式会社を監督する国は、原子力発電の安全の確保に万全を期すとともに、東京電力株式会社の体質改革の実現のため監督責任を果たさなければならない。
 当然、このような事態を迎え、都民・企業・行政も、一層省エネルギーに取り組まなければならないことは言うまでもない。
 このため、関係当事者は、引き続き電源立地地域の住民と同じ目線に立ち、何よりも地元住民の安心・安全の確保を最優先に考え、信頼回復に向けた早急な取組が必要である。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、東京電力株式会社に対する指導、監督の徹底を図り、一日も早く、電力の安定供給に向けて運転が再開できるよう強く要請する。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成十五年六月二十四日
東京都議会議長 三田 敏哉
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
経済産業大臣
環境大臣  あて

○議長(三田敏哉君) まず、追加日程第二、議員提出議案第六号、安全で安定的な電力供給に関する意見書を採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(三田敏哉君) 起立少数と認めます。よって、本案は、否決されました。

○議長(三田敏哉君) 次に、追加日程第三、議員提出議案第七号、電力の安定供給に関する意見書を採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(三田敏哉君) 起立多数と認めます。よって、本案は、原案のとおり可決されました。

○議長(三田敏哉君) 追加日程第四及び第五、議員提出議案第八号、地方税財政の確立に関する意見書及び議員提出議案第九号、税源移譲を基本とする三位一体の改革の実現に関する意見書を一括議題といたします。
 案文はお手元に配布いたしてあります。
 朗読は省略いたします。

議員提出議案第八号
地方税財政の確立に関する意見書
 右の議案を別紙のとおり東京都議会会議規則第十二条の規定により提出します。
  平成十五年六月二十四日
(提出者)
 河野百合恵  清水ひで子  かち佳代子
 小松 恭子  古館 和憲  松村 友昭
 丸茂 勇夫  大山とも子  吉田 信夫
 曽根はじめ  東ひろたか  池田 梅夫
 渡辺 康信  木村 陽治  秋田かくお
東京都議会議長 三田 敏哉殿
地方税財政の確立に関する意見書
 地方分権と地方自治の確立を進める上で、地方税財政の確立が急がれている。
 しかるに、政府が進めている国及び地方の税財政に関する「三位一体改革」は、国庫補助金の大幅な削減の一方、地方自治体の強い要望である税財源の移譲については、補助金の削減と抱き合わせとされ、地方交付税についても、「財源保障機能の縮減」が提示されるなど、地方自治体の期待を大きく裏切るものとなっている。
 また、地方分権改革推進会議が政府に提出した意見書は、国庫補助負担金を「中長期的には廃止・縮減」することを始め、自治体間の財政力格差を是正するための地方交付税についても否定し、増税を伴う税制改革まで打ち出すものとなっている。
 このような方向で「改革」が実施されることになれば、地方財政は更に因窮を極め、住民サービスの大幅な後退を招来することになりかねない。
 そもそも今日の、地方自治体の財政難の原因は、国と地方の歳出の割合が概ね四対六であるのに対して、国税と地方税の割合が六対四と逆転していることにある。
 地方税財政の改革の本旨は、この歳出と税収の逆転を解消することにあり、大幅な税財源の移譲を始め、住民サービスの向上に資する国庫補助負担金などの拡充こそ、最優先に取り組まれなければならない。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、次の事項を実現するよう強く要請する。
一 地方財政を困難に陥れる「三位一体改革」は中止し、増税なしの税財源の移譲を直ちに進めること。
二 国庫補助負担金制度及び地方交付税制度を堅持するとともに、来年度予算編成に当たっては、義務教育費国庫負担金などの補助金、負担金の拡充を図ること。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成十五年六月二十四日
東京都議会長 三田 敏哉
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
経済産業大臣
経済財政政策担当大臣 あて

議員提出議案第九号
税源移譲を基本とする三位一体の改革の実現に関する意見書
 右の議案を別紙のとおり東京都議会会議規則第十二条の規定により提出します。
  平成十五年六月二十四日
(提出者)
谷村 孝彦  東村 邦浩  秋田 一郎
矢島 千秋  北城 貞治  鳩山 太郎
柿沢 未途  馬場 裕子  鈴木あきまさ
長橋 桂一  小磯 善彦  野上じゅん子
ともとし春久 山加 朱美  萩生田光一
串田 克巳  小美濃安弘  吉原  修
山田 忠昭  臼井  孝  野島 善司
服部ゆくお  酒井 大史  初鹿 明博
山下 太郎  織田 拓郎  藤井  一
東野 秀平  中嶋 義雄  中西 一善
松原 忠義  田代ひろし  三宅 茂樹
川井しげお  いなば真一  近藤やよい
高島なおき  吉野 利明  倉林 辰雄
樋口ゆうこ  富田 俊正  大塚 隆朗
真木  茂  花輪ともふみ 鈴木貫太郎
森田 安孝  石川 芳昭  土持 正豊
遠藤  衛  野田 和男  中屋 文孝
真鍋よしゆき 林田  武  高橋かずみ
三原 將嗣  樺山たかし  大西 英男
田島 和明  土屋たかゆき 青木 英二
河西のぶみ  中村 明彦  相川  博
橋本辰二郎  大木田 守  前島信次郎
桜井良之助  野村 有信  比留間敏夫
鈴木 一光  こいそ 明  星野 篤功
古賀 俊昭  山本賢太郎  立石 晴康
清原錬太郎  小山 敏雄  大山  均
名取 憲彦  藤川 隆則  小林 正則
林  知二  木内 良明  石井 義修
中山 秀雄  藤井 富雄  桜井  武
新藤 義彦  宮崎  章  山崎 孝明
松本 文明  佐藤 裕彦  川島 忠一
矢部  一  内田  茂  三田 敏哉
田中 晃三  尾崎 正一  田中  良
和田 宗春  坂口こうじ
東京都議会議長 三田 敏哉殿
税源移譲を基本とする三位一体の改革の実現に関する意見書
 政府においては、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇二」に基づき、国庫補助負担金、地方交付税、税源移譲を含む税源配分の在り方を三位一体で検討し、六月末までに改革案を取りまとめることとされている。
 しかしながら、先に経済財政諮問会議において示された原案は、削除する国庫補助金や税源移譲の対象となる税目が具体的に盛り込まれないなど、地方自治体が自らの財源と責任により地方分権を推進していくという点からは、不十分なものとなっている。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、「三位一体の改革」を進めるに当たっては、地方分権時代にふさわしい地方税財政基盤を確立する視点に立ち、国と地方の役割分担を踏まえた税源移譲による地方税財源の充実強化を基本として、次の事項を実現するよう強く要請する。
一 税源移譲に当たっては、税源の偏在性が少なく、税収の安定性を備えた地方税体系を構築するため、所得税、消費税などの基幹税目からの移譲を基本とし、国と地方の税収の配分割合を少なくとも一対一とすること。
二 税源移譲に当たっては、大都市特有の膨大な財政需要に的確に対応できるよう、大都市圏の地方自治体への税源配分に十分配慮すること。
三 地方の自主的・自立的行財政運営を確立する観点から、地方交付税制度及び国庫補助負担金制度の抜本的な見直しを行うこと。
四 国庫補助負担金を廃止・縮減する場合には、地方への税源移譲等を同時に行うこととし、単なる地方への負担転嫁はしないこと。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成十五年六月二十四日
東京都議会議長 三田 敏哉
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
経済産業大臣
経済財政政策担当大臣 あて

○議長(三田敏哉君) まず、追加日程第四、議員提出議案第八号、地方税財政の確立に関する意見書を採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(三田敏哉君) 起立少数と認めます。よって、本案は、否決されました。

○議長(三田敏哉君) 次に、追加日程第五、議員提出議案第九号、税源移譲を基本とする三位一体の改革の実現に関する意見書を採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(三田敏哉君) 起立多数と認めます。よって、本案は、原案のとおり可決されました。

○六十七番(真鍋よしゆき君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会し、明二十五日から三十日まで六日間、議案調査のため休会されることを望みます。

○議長(三田敏哉君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三田敏哉君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明二十五日から三十日まで六日間、議案調査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、七月一日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後一時五十五分散会

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