平成十五年東京都議会会議録第三号

○副議長(橋本辰二郎君) 四十番松原忠義君。
   〔四十番松原忠義君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○四十番(松原忠義君) 防火、震災対策は、都や区市町村と町会・自治会といった地域住民との相互協力と密接な連携が不可欠との認識から、順次質問をいたします。
 まず、防災対策の推進について伺います。
 阪神・淡路大震災を契機に、一月十七日は、防災と災害時に対する意識の啓発を目指して、防災とボランティアの日と定められています。早いもので震災から八年が経過し、都民の防災意識は薄れつつあるのが実情ですが、阪神・淡路の教訓を我々は忘れてはならないと思います。
 そこで、昨年末に都がまとめた地域危険度測定調査について伺います。
 この調査は、地震に強い防災都市づくりの指標とすることが目的の一つと聞きますが、調査結果の概要についてお聞きいたします。
 地震災害に対する都民の防災意識の向上のためには、今回の調査結果を都民に周知することが重要ですが、公表に当たって都民にどのようにPRしたのか、また、都民の反応はどうだったのか伺います。
 調査結果を見ますと、私の地元大田区でもランクの高い区域があります。今回の調査結果を地域のまちづくりに活用していくことが重要と考えます。
 国においては、都市再生プロジェクトの第三次決定で、密集市街地の緊急整備を取り上げ、大火の可能性の高い危険な市街地を対象に重点整備し、今後十年間で最低限の安全性を確保するとしています。
 都においても、平成九年に策定した防災都市づくり推進計画に基づき、十一の重点地区などを中心に、各種の施策に取り組んでいることは承知していますが、整備が十分進んだとはいえない状況にあります。
 そこで、例えば特区を設けるなど、より一層重点化を図って、密集市街地の整備を促進すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、震災対策について伺います。
 このたび、東京都は震災復興マニュアルの中間のまとめを発表し、震災の復興には地域の取り組みが重要であるとして、地域協働型復興を提唱しています。そして地域の復興へ取り組む母体として、町会、自治会などを中心に、地域復興協議会を避難生活の段階から結成するとしていますが、このような協議会がいざというときに有効に機能するためには、日常のまちづくりや防災活動など、さまざまな地域活動の中で、震災後の復興も視野に入れた取り組みを行っていくことが重要であると考えていますが、ご所見を伺います。
 ところで、知事は、さきの施政方針説明の中で、首都圏では直下型大地震の発生が懸念され、広域的な対応が求められていると述べておられます。そのような意味から、去る一月十五日に、初めて七都県市と国が合同の防災訓練、図上訓練を実施したことは大きな意義があるものと考えます。
 そこで改めてお尋ねしますが、知事は訓練の結果についてどのような感想をお持ちになられたのか、お伺いをいたします。
 次に、耐震対策について伺います。
 地震に強い東京のまちづくりを推進するためには、公共、民間の所有を問わず、建築物の耐震性の向上を図ることが重要であると考えます。このため、日ごろから耐震診断や耐震補強などの耐震対策を実施する必要があります。
 とりわけ公共の建築物は、施設の用途に応じて、震災時にも果たさなければならない重要な役割があります。例えば、警察署や消防署は避難誘導や消火活動などの中心施設として、病院は救護の拠点として、また、学校は地域住民等の応急避難場所としての役割を担っているところであります。
 そこで、まず、都が所有する公共の建築物について、これまで耐震診断や耐震改修を進めてきたと思いますが、その実施状況について伺います。
 また、最近の報道によれば、公共の建築物の耐震対策のおくれが指摘されております。そこで、都は、今後どのように耐震対策を進めていくのか、所見を伺います。
 次に、ノーカーデーについて伺います。
 石原知事が、環境の危機から都民を守るために、不退転の決意でディーゼル車対策や温暖化防止に取り組んでおられることは、高く評価するところであります。
 地球の環境を守っていくために、象徴的なイベントとしてノーカーデー運動があります。この運動は、一九九七年、六年前にフランスのラ・ロシェル市が始めたもので、その後、各国に広がり、昨年九月には四十カ国、千四百四十六都市が実施しています。東京でも、その時期に合わせ、環境に優しい自転車を走らせ、東京の再発見をすることを目的に、日本サイクリング協会などが東京シティサイクリングを実施しています。
 地球の環境を守るためには、世界各国、各都市が手を取り合っていくべきであり、私は、全国に先駆けて都がノーカーデーに取り組み、国際的な運動を進める必要があると思います。
 ノーカーデーについては、国や他県の知事は所見を述べていないようですが、環境問題に深い見識と実行力を持つ石原知事の基本的な認識をお伺いいたします。
 次に、羽田空港の沖合展開並びに再拡張に伴う跡地について伺います。
 羽田空港の再拡張事業は、我が国経済社会全体の活性化、国際競争力の強化、さらには都市再生のため、極めて緊急性の高い国家プロジェクトであり、国には、みずからの責任で一日も早く本事業に着手し、円滑に事業を推進させることが強く求められています。
 このような中、国土交通大臣及び七都県市の長で構成される羽田空港再拡張事業に関する協議会が先月開催され、本事業の円滑な推進に向けた関係者間の取り組みが開始されたところであり、知事におかれましては、引き続きイニシアチブを発揮し、事業促進に努めていただくよう強く要望するところであります。
 さて、羽田空港の再拡張事業そのものについては、これらの取り組みにより進展が見込まれるところですが、これとあわせて非常に重要な課題として、羽田空港の沖合展開並びに再拡張に伴う跡地の取り扱いが挙げられます。再拡張後の羽田空港が我が国の玄関口として十分に機能し、かつ地元といかに共生していくかは、都市再生に向けた貴重な種地でもあるこの跡地をどのように活用するかにかかっているといっても過言ではありません。
 世界で最もすばらしい空港にするため、羽田空港のポテンシャルを考慮した土地の利用形態はもとより、地域の活性化や防災機能の向上等、跡地の利用について、都としてどのように取り組むのか、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、放置船舶対策について伺います。
 河川や港湾などに不法に係留されている船舶への対策として、東京都船舶の係留保管の適正化に関する条例が本年一月から施行され、強制移動措置など強い規制が可能になる一方、受け皿となる係留保管場所を都が確保するなどの取り組みが始まりました。
 こうした中、大田区周辺でも、京浜運河を中心に大型のクレーン台船などの放置が目につきますが、港湾区域内の放置船舶の実に八割以上を占めるこれらの工事用作業船は、水辺の景観を損なうばかりでなく、他の船舶の安全航行や災害時の救助活動を妨げるおそれもあり、条例の適切な運用により早期に解消される必要があります。
 しかし、その一方で、これらの船は、プレジャーボートなどのレジャー船と異なり、海上工事に使用される事業用の船舶であります。規制に当たっては、一定の配慮を行って対策を講じるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 他方、河川、港湾など都内の公共水域全体では、千三百隻を超える船舶が不法に放置されており、特に、住宅が近接した河川などの水域では、都民の生活環境に及ぼす影響は大きいものがあります。都は、公共水域におけるこれらの放置船舶について、条例に基づきどのように取り組んでいくのか、お尋ねいたします。
 次に、東京港の埋立地の護岸や水門など海岸保全施設の整備についてでありますが、海岸法の改正により、現在、都では、高潮災害からの防護に合わせて、環境や利用面にも配慮した整備を進めていくため、海岸保全基本計画を策定中と聞いています。
 これまでも護岸などの整備にあって、都民が親しめる空間を創造している努力は認めますが、東京港をこれまで以上に美しく、安全で、生き生きとした魅力ある空間とするためには、さらに環境や利用面からの工夫が必要であると考えます。
 例えば、遊歩道を整備しても、水門や橋で分断されて、都民が利用しにくいところもあります。一例を挙げるならば、平和島運河においては、大田区で仮称大森ふるさとの浜辺公園の整備を進めていますが、護岸上部の遊歩道や避難道路は、貴船水門や呑川水門などで分断されており、公園整備後も一体的な利用ができない状況にあります。
 特に呑川水門については、大田区民の避難場所の一つである昭和島運動場への避難道路を分断しているため、地域防災の面からも問題があると思いますが、こうした点についてどのように考えていこうとしているのか、お尋ねをいたします。
 また、対岸を見ると、昭和島などの埋立地の水際線は、古い護岸がむき出しの状況になっています。
 時代とともに昭和島のまちの姿も変わりましたが、このような埋立地の護岸の整備については、耐震上の安全性確保の観点のみならず、環境や水辺景観の向上などにも十分配慮し、都民から喜ばれるような魅力ある施設整備を進めていくべきと考えますが、いかがなものでしょうか。
 次に、大田区内を流れる内川など三河川の高潮対策と耐震対策について伺います。
 私の地元の呑川、海老取川、内川の沿川地域では、防潮堤や水門の整備はされているものの、地盤そのものが低いため、大地震が発生した場合、護岸の損壊による浸水被害が危惧されています。
 そこで、これら三河川の高潮対策と耐震対策の現状についてお伺いをいたします。
 次に、内川については、これまで地元要望を踏まえ、河川環境に配慮した護岸の整備が行われてきましたが、未整備の護岸の一部には老朽化が著しい箇所があり、地震が起きた場合、非常に心配です。内川における老朽化に対する当面の対策と、今後の整備の進め方についてお伺いをいたします。
 最後に、都内のものづくり企業への支援策のあり方についてお伺いいたします。
 大田区など特色ある工業集積地域では、これまで近隣の工場が互いに仕事を補完し合う地域内取引が活発に行われてきました。
 一方で、情報機器が整備されたことで、通信網を介した、いわばバーチャルな集積が、工場ネットワークの上で重要な役割を持つようになってきています。こうした現象は、工業集積の地域集積をその基本としてきたこれまでの概念を大きく拡大するものといえます。
 工業集積地域活性化支援事業は、地域に蓄積された技術や人材を活用した新分野への進出などを支援してきましたが、平成十六年度で終了をいたします。
 今後、工業集積に対する支援を新たに検討するに際しては、こうした広い意味での集積の概念を踏まえつつ、また、工場に対する地元対応のあり方などの地域特性を初め、さまざまな側面を視野に入れた上で、有識者の意見を積極的に活用して検討を行うべきと考えますが、いかがなものでしょうか。ご所見を伺います。
 以上をもちまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 松原忠義議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、七都県市と国との合同図上訓練についてでありますが、大震災を想定し、七都県市、国、そして関係機関が合同した大規模な図上演習を初めて実施した意義は、とても大きかったと思います。
 訓練では、緊迫した状況の中での決断の重さ、例えば、非常にあちこちに火災が起こって、どんどんどんどん火が広がっている。そのときに、自衛隊を要請して、二方面から自衛隊が来ているんですけれども、一部は間に合わない。やっと県境を越えて東京に入ったその自衛隊をどちらに振り向けるかということは、これは非常に難しい判断でありますけれども、図上ではありますが、そこで、知事としてそういう措置をとらざるを得なかったという選択を強いられまして、大変実感もございましたし、ためになりました。
 また、警察、消防、自衛隊の連携した力が大きな効果を発揮することも再認識するとともに、広域的な通信施設の充実が急がれることなどが確認できました。
 思いがけないいろいろ発見がありまして、関係している首都圏の地方自治体と国との連絡網はあっても、ともに被害を負っている県同士の連絡が実はとれない、そういったいろんな発見もございました。
 首都圏の住民の生命、財産を守るために、今後、このような訓練を重ねながら、七都県市の連携を深め、災害時の防災対応能力を一層強めていきたいと思っております。
 次いで、ノーカーデーに対する基本的認識でありますが、これは私も仄聞しておりまして、一度やってみたいなと思いますが、ただ、東京のように、これだけ稠密な人口で、かつ渋滞の激しい自動車の数の多いところでやることで、どういう影響が起こるか。
 いずれにしろ、我々は、この車社会によって便利な生活を享受する一方、その代償として、健康も阻害され、日々命を削っているわけでもございまして、そういった状況の中で、都としては、車社会のあしき副産物を取り除くために、ディーゼル車規制や渋滞対策など総合的な対策を推進しておりますが、一度こういったものを無理でも実現されたとすると、それはそれで、またいろんな教訓があると思いますが、非常に悪い副産物があってもならないと思いますので、なお慎重に考えながら、実現について考え、検討したいと思います。
 次いで、羽田空港の跡地利用でありますけれども、羽田空港は全国的な航空ネットワークの拠点であるとともに、これが国際化されますと、まさに国家の玄関口となるべきものでありまして、この空港に隣接する跡地は、東京のためだけではなしに、国家にとっても非常に重要な空間だと思います。
 跡地については、空港周辺の高さ制限などを踏まえつつ、羽田空港の再拡張、国際化にふさわしい利用計画が立てられなきゃならないと思っております。
 このために、都としては、跡地利用について、関係自治体とも調整しながら、あくまでも都のイニシアチブで主体的に取り組んでいきたいと思っております。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔都市計画局長勝田三良君登壇〕

○都市計画局長(勝田三良君) 防災都市づくりに関する三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、地域危険度測定調査についてでございますが、本調査は、防災都市づくり推進のため、おおむね五年ごとに行っているものでございまして、今回の調査では、都市計画区域内を約五千の地域に区分をいたしまして、建物倒壊、火災、避難の各危険度と総合危険度を五段階で示しました。
 その結果、総合危険度の高い地域は、大田区、品川区や荒川区などの木造住宅が密集している地域に多く見られております。
 次に、都民へのPRについてでございますが、調査結果については、新聞、テレビや東京都広報を通じ公表するとともに、都市計画局のホームページに掲載しております。
 また、調査報告書を都内の主な図書館や区役所、市役所で閲覧できるよう配布したほか、一般向けパンフレットを販売しております。
 その反応については、ホームページへのアクセス件数が一カ月で三万件を超えるなど、都民の関心は高いものと考えております。
 最後に、密集市街地の整備促進についてでございますが、都は、防災都市づくり推進計画に基づき、都市防災不燃化促進事業など各種の施策を進めておりますが、厳しい財政状況や景気の影響を受けまして、その進捗が伸び悩んでおります。
 現在改定中の推進計画では、限られた財源で効果的に整備を進めるため、事業の重点化と新たな施策に取り組むこととしております。
 具体的には、調査結果を踏まえた整備対象地域の絞り込みとともに、今議会に提案をさせていただいております新たな防火規制、街区再編まちづくり制度などの施策も導入してまいります。
 今後とも、区市と連携して推進計画を早期に取りまとめ、密集市街地の整備促進に努めてまいります。
   〔総務局長赤星經昭君登壇〕

○総務局長(赤星經昭君) 地域におきます震災復興への取り組みについての質問にお答え申し上げます。
 被災地域の復興には、住民自身の主体的参加が不可欠でございます。今回発表いたしました震災復興マニュアルの中間のまとめでは、地域住民を主体といたしました地域復興協議会を設立することを提案しております。この協議会は、町会・自治会やまちづくり協議会など、地域に根差しました日常の地域活動を行う住民団体で構成され、震災復興に際して大きな力になるものと考えます。
 このため、地域復興協議会の制度化を図りますとともに、区市町村と連携いたしまして、住民団体が行います震災対応活動を支援するなど、復興を速やかに行う体制の整備に努めてまいります。
   〔財務局長田原和道君登壇〕

○財務局長(田原和道君) 耐震対策の実施状況についてのご質問でございます。
 公共建築物の耐震対策は、都民の安心、安全の確保のために極めて重要であります。これまで順次、耐震診断や補強工事などに取り組んでまいりました。その結果、公共建築物のうち耐震診断が必要な建築物は二千六百七十棟でございまして、平成十三年度末には、そのうち七割に当たります千八百七十一棟の診断を終了いたしました。
 診断の結果、望ましい耐震性能を有しているとされた建築物と、既に補強工事など耐震改修を実施済みの建築物を合わせますと、千二百四十六棟となっております。
 次に、今後の耐震対策の取り組みについてでございますが、耐震診断が必要な建築物約八百棟につきましては、早急に診断を実施をするとともに、その結果、補強が必要とされた建築物につきましては、それぞれの施設の震災時における重要度や将来の利用計画なども考慮いたしまして、優先度の高いものから積極的に耐震改修を進めてまいります。
   〔港湾局長高橋信行君登壇〕

○港湾局長(高橋信行君) 放置船対策について一点、それから、護岸についての関係の二点、お答えいたします。
 最初に、放置船対策における、特に工事用作業船の規制についてでありますが、これらの船は事業用船舶であることから、事業者の理解と協力を得て取り組みを進めることが大切であります。
 このため、都は、海上工事関係事業者の団体に貯木場の空き水面の占用許可を与え、係留保管施設に必要なくいなどの整備と運営を行っていただくとともに、事業者にとって過度の負担とならないよう配慮を行いました。
 これらの措置により、整備の終わった施設への船舶の円滑な誘導を図る一方、指導、警告に従わない悪質な違反者に対しては罰則等を適用し、放置船舶の早期解消を実現してまいります。
 次に、都民が利用しやすい護岸整備についてでありますが、ご指摘の呑川水門につきましては、現在、遊歩道の連続化や避難道路の分断解消に向け、地元区と調整を図り、検討しているところであります。
 今後、遊歩道などが水門や橋で分断されているところについては、地域の人々が利用しやすいものに改善していく必要があると認識しており、順次計画的に改善を図ってまいります。
 最後に、埋立地の護岸整備に当たって配慮すべき点についてでありますが、ご指摘のように、昭和島など比較的新しい埋立地は、主として港湾施設などの利用を想定しており、また、比較的地盤の高い地域であったため、海岸保全の対象外となっている地区が多い状況にあります。
 こうした埋立地につきましても、市街化の進展による土地利用の変化や護岸の老朽度に応じて海岸保全区域に指定することとし、安全性の確保に加え、美しく生き生きとした海岸づくりにも配慮し、計画的に整備を進めてまいります。
   〔建設局長小峰良介君登壇〕

○建設局長(小峰良介君) 河川、港湾の水辺整備に関する三点の質問にお答え申し上げます。
 まず、放置船舶への取り組みについてでございますが、河川や港湾における放置船舶対策を総合的に推進するため、条例に基づき、平成十四年十二月に、適正化区域の指定等による船舶の放置防止と、受け皿となる係留保管施設の整備に関する適正化計画を策定いたしました。この計画に基づき、洪水等の影響が少ない河川を活用し、護岸工事等にあわせて係留保管施設を計画的に整備してまいります。
 また、指導、警告を強化する区域を順次指定し、放置を続ける悪質な違反に対しては、罰則の適用や短期間での移動措置を実施してまいります。
 なお、本年一月には、三百五十隻以上の係留施設を設置いたしました新中川を、強制的に船舶を移動できる重点適正化区域に指定いたしました。
 これらの施策により放置船舶を早期に解消し、災害時の輸送ルートの確保や、都民の良好な生活環境の保全を図ってまいります。
 次に、大田区内を流れる三河川の高潮、耐震対策についてでございますが、高潮対策については、昭和三十四年の伊勢湾台風級の高潮に対処できるよう、防潮堤等の整備を進めてきております。
 三河川のうち、内川では河口部の防潮水門等が完成し、海老取川と呑川では、一部の橋梁区間を除き防潮堤を整備しており、高潮対策はおおね完了しております。
 また、耐震対策については、阪神・淡路大震災級の地震に対応し改定された液状化の判定基準に基づき、三河川においても積極的に取り組んでまいります。
 最後に、内川の護岸整備についてでございますが、延長約一・六キロのうち、護岸の老朽化が著しい下流部の旧東海道内川橋付近の約百メートルにおいて、本年度、応急的に補強工事を行ったところでございます。引き続き、護岸のずれなどの変状調査を実施し、必要に応じて対策を講じるなど、護岸の安全性の確保に努めてまいります。
 また、本格的な整備については、現在実施中の耐震対策に関する調査結果を踏まえ、整備計画を策定してまいります。
 なお、策定に当たりましては、地域の方々の意見を聞きながら、遊歩道の確保や水辺の生物の生息などに配慮してまいります。
   〔産業労働局長有手勉君登壇〕

○産業労働局長(有手勉君) 工業集積に対する支援についてのご質問にお答えいたします。
 都はこれまで、地域的に特色のある工業集積地域が形成されていることに着目いたしまして、区市と共同して地域の特性を生かした積極的な産業振興を図るために、工業集積地域活性化支援事業を行ってまいりました。
 本事業は、平成十六年度にすべての事業が終了することとなっておりまして、ものづくりを振興する立場から、事業の成果を検証していく必要があると認識しております。
 お話のように、工業集積の概念の変化や産業構造の変化に伴い、今後、工業集積の意義や、そうした変化に伴う施策のあり方などについて、中小企業振興対策審議会において、有識者の意見を伺いながら幅広く検討してまいりたいと考えております。

○議長(三田敏哉君) この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後六時二十二分休憩

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