平成十五年東京都議会会議録第三号

○副議長(橋本辰二郎君) 六十二番石川芳昭君。
   〔六十二番石川芳昭君登壇〕

○六十二番(石川芳昭君) 初めに、教育問題に関連して、子ども読書運動について伺います。
 我が党は、二十一世紀を子どものひとみ輝く世紀とするため、平成十二年に子ども読書運動プロジェクトを設置し、この間、子ども読書推進法の制定、読み聞かせ運動の拡大、朝の読書運動実施校の一万一千校突破、乳幼児の健診時に絵本を贈呈するブックスタート事業実施自治体の増加など、読書運動の推進に努力してまいりました。
 一方、都においては、現在、子ども読書活動推進計画の策定作業を進め、今年度中にまとめると聞いております。そこで、まず、東京都が策定するこの計画の取り組みの状況について伺います。
 第二に、読書離れの社会状況の中で、子どもの読書を習慣化していくための環境をどのように醸成するのかが最も重要な課題であります。その際、子どもの発達段階から、小学校低学年における読書活動が特に重要であります。そのため、保健所、保育所、幼稚園、学校、学童クラブが連携した仮称読書運動モデル事業を都の支援で行い、実践、研究を展開し、子どもたちの読書の習慣化への方向性を見出すべきであります。所見を伺います。
 第三に、都立図書館は、児童図書の選択に関する知識や、子どもの読書指導に関する知識と技術を有する司書の存在と、豊富で多様な資料により、子どもの読書活動を推進する上で極めて重要な場所であります。そこで、都立図書館のホームページに読書活動推進のページを開設するなど、関係機関のネットワーク化に積極的な取り組みを展開すべきであります。所見を伺います。
 次に、小学校の特別な教育的支援が必要な子どもたちに対する支援についてであります。
 国の特別支援教育のあり方に関する調査研究協力者会議が発表した、今後の特別支援教育のあり方についての中間のまとめによると、特定の学習面で著しい困難を持つLDや、行動面で困難を示すADHDなど、これまで心身障害者教育の対象とされてこなかった子どもたちが、小中学校の通常学級に六・三%いるという報告がありました。
 都教育委員会としても、このことを重くとらえ、区市町村教育委員会と一体となって、このような特別な教育支援を必要とする子どもたちの教育について取り組んでいくべきと考えます。
 また、現在、教育庁に設置されている東京都心身障害教育改善検討委員会において検討している、今後の心身障害教育の方向について、国でも行っているように、中間の段階で広く関係者、都民から意見を募集するなどして、最終答申に反映すべきと考えます。あわせて所見を伺います。
 さらに、学校教育法施行令が改正され、障害のある児童生徒の小中学校への就学基準が緩和されました。このことにより、小中学校の身障学級や通常学級に入る障害児の人数がふえるとともに、障害の重度化、重複化も進んでいます。
 そのため、相談員や介助員などの人的措置や施設のバリアフリーなどが必要となり、ソフト、ハード両面にわたって財政負担が増大していますが、すべて区市町村の負担となっています。そこで、こうした児童を受け入れやすくするため、国に対して財政支援の拡大策を強く要望するとともに、都としても積極的な支援が必要と考えます。所見を伺います。
 次に、高齢者施設であるケアハウスの整備促進について伺います。
 多くの高齢者の方は、介護を要する状態になっても、住みなれた地域で安心して暮らせることを望んでいます。そこで、要支援の状態から入居することのできる介護保険対応型のケアハウスは、必要なときにケアが受けられるとともに、入居者が自分に合った暮らし方ができる施設であり、高齢者のニーズにこたえるために、今後、整備を促進すべきであります。
 都では、平成十四年度から、福祉改革STEP2の中で、高齢者が在宅と入所の中間的なサービスが受けられるケアハウス及び痴呆性高齢者グループホームなど、多様な住まいの整備を推進しているところでありますが、ケアハウスについては、平成十六年度の設置目標完成ベース二千百人を達成するのは困難な状態になっています。
 私の調査では、ケアハウスを整備する際、建物に関する補助制度があるのみで、建設するための土地は、寄附を前提としなければならないのが現状です。こうした状況に加え、ケアハウスの運営による収入では、土地調達に必要な経費を賄うことが制度上できないことになっています。
 そこで、都においては、なぜ整備が進まないのか、調査研究を速やかに行い、新たな支援策を確立すべきであります。見解を伺います。
 次に、重度心身障害児の通所事業について伺います。
 養護学校を卒業した後の通所の場の確保は、本人の身体機能の保持やQOLの向上のために重要です。さらには、できるだけ長く地域で家族とともに生活を続けるためにも必要不可欠であります。
 現在、通所事業を実施している施設は、都内に十二カ所あり、練馬区を初めとした区西北部療育圏に在住の方は、杉並区内にある施設を利用しております。しかし、この施設は既に定員いっぱいの状態になりつつあります。また、練馬区内にお住まいの方の中には、区内の身体障害者施設を利用されている方もおりますが、区内の施設も満杯状態が続いております。今後の都立大泉養護学校の卒業見込み者数を考慮すると、現在の施設だけでは、通所先が確保できない方が出るのではないかと懸念されます。
 そこで、区西北部療育圏にお住まいの重症心身障害児が、養護学校を卒業した後に安心して通える通所施設を新たに整備すべきであると考えます。見解を伺います。
 次に、東京外郭環状道路について伺います。
 先月十日、知事は、この外環に関して早急に方向性を定めることを、扇国土交通大臣と合意したと発表しましたが、外環は東京都全体にとって必要であり、早期に完成すべきものであると考えていますが、今後どのように取り組んでいくのか、まず、知事の所見を伺います。
 第二に、この発表では、大深度法の活用を検討することや、インターチェンジなしを検討の基本とすることが示されています。
 私の地元練馬区は、現在、外環と関越の都内で唯一の出入り口となっており、高速道路関連交通が大泉ジャンクション周辺に集中し、生活道路への通過交通や交通渋滞などにより、大泉ジャンクション周辺住民の生活環境が脅かされています。したがって、外環にアクセスする交通を適切に分散するため、青梅街道などにインターチェンジを設置すべきと考えます。
 第三に、外環を大深度化で整備する際の住民の関心事の一つに、トンネルの換気施設があります。排気ガス対策としての換気施設の規模や設置間隔についてどのように考えているのか。
 第四に、今まで約四十年にわたる都市計画制限によっておくれている外環沿線のまちづくりを進めるために、関越以南から青梅街道の区間については、地上部利用などの沿線まちづくり計画を、都が責任を持って、外環の整備計画と一体的に検討することが必要不可欠であると考えます。
 第五に、大深度法の活用のいかんにかかわらず、長年にわたってこの計画が凍結されてきたために、自由に建てかえなどができずにいた関係住民に配慮する必要があります。そこで、用地の買い取りも含めて、早急に何らかの救済策を検討すべきであります。
 第六に、西武新宿線上石神井駅周辺では、一昨年十二月に、地元町会、商店街が中心となって、まちづくり協議会を設立し、外環整備のまちづくりに積極的に取り組んでおります。一方、地元練馬区と関係者による西武新宿線の踏切対策に関する研究に着手したと仄聞しております。今まで外環の凍結によっておくれていたまちづくりを償う意味でも、都は、地元区が取り組んでいる上石神井駅付近の踏切対策に積極的に支援すべきであります。
 以上五点について、都市計画局長の明快な所見を伺います。
 最後に、都営地下鉄大江戸線の光が丘から大泉学園町方面への延伸に関して伺います。
 大江戸線は、今や都民にとって欠かすことのできない重要な交通機関となり、また、汐留地区を初めとして、沿線地区のまちづくり、都市再生の起爆剤ともなっております。加えて、放射部の沿線住民にとっては、交通不便地域の解消という点でも大きな意義がありました。こうしたまちづくりへの効果や利便性を実感すればするほど、これからの延伸地域である光が丘から大泉学園町方面の住民の皆様にあっては、延伸実現が今か今かと心待ちにされているところです。
 地元練馬区では、このような地元地域住民の皆さんの熱意を背景に、去る二月一日から三日間、延伸の入り口である土支田地区において、まちづくりの先行区域として、新駅予定地周辺約十五ヘクタールの土地区画整理事業を提案しております。
 そこで、こうしたまちづくりへの機運の高まりの中にあって、私は、練馬区との連携を密にしつつ、土支田地区の残りの区域における地域のまちづくりへの支援を強化していくべきと考えますが、いかがでしょうか。
 一方、従前より都は、土支田通りから大泉学園町通り間の都道補助二三〇号線は、街路事業によって整備するとしております。この部分についても、練馬区の土地区画整理事業に呼応して早急に整備に取りかかる必要があると考えます。
 同時に、これらの事業に合わせて、交通局においては、早期の事業化を図れるよう、必要な作業を急ぐべきであります。あわせて両局の所見を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 石川芳昭議員の一般質問にお答えいたします。
 外環の今後の取り組みについてでありますが、外環は、首都圏の渋滞解消、環境改善、ひいては都市再生に不可欠な道路であります。いわば心臓の大動脈のようなものでありまして、そのため、去る一月十日に、基本的な方針を国土交通大臣とともに示したわけでありまして、引き続き、沿線の区長、市長を初め地元関係者との議論を深め、国とともに一刻も早い完成を目指してまいりたいと思います。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教育に関します六点の質問にお答え申し上げます。
 まず、子ども読書活動推進計画の取り組みについてでございますが、都におきましては、都教育委員会、生活文化局、福祉局、健康局を初め区市町村、公立及び私立学校の関係者等で構成します検討委員会を設置しまして、計画の策定を進めております。
 この計画は、平成十五年度から五年間を計画期間とし、各区市町村の計画の基本となるものでございます。計画の内容は、子ども読書活動の推進にかかわる都の施策の方向性を明らかにしますとともに、学校、家庭、地域、関係機関が子どもの読書活動に果たす役割などを示しております。
 現在、計画素案を都教育委員会ホームページに掲載しますとともに、都立図書館でも閲覧に供しまして、都民から意見を伺っているところでございまして、三月末には計画を策定し、広く都民に周知していく予定でございます。
 次に、子どもの読書の習慣化についてでございますが、ご指摘のとおり、小学校、中学校、保育所、学童クラブなど地域に密着した各施設が連携して、子どもの読書活動を展開していくことは、大変重要なことでございます。
 区市町村の子ども読書活動推進計画につきましては、都の計画策定を待って取り組まれることになりますが、平成十五年度に都が設置します東京都子ども読書活動推進会議におきましても、区市町村の小中学校、保育所、学童クラブなど各施設間の連携事業を含む、子どもの読書活動推進事業を具体的に検討していく予定でございます。
 次に、都立図書館の読書活動推進に係る取り組みについてでございますが、都立図書館では、ホームページに、子どもの読書に関するページを平成十五年四月に開設し、子どもの本に関する質問の受け付けや推薦図書リストの作成、各自治体や地域の児童館等における取り組みの情報提供を行う予定でございます。
 さらに、区市町村の意向や、子どもの読書にかかわる施設の整備状況を踏まえまして、子どもの読書活動に関する情報のネットワーク化について検討してまいります。
 次に、学習障害児等の教育についてでございますが、都教育委員会は、小中学校の通常の学級に在籍する学習障害児等への教育的対応につきまして、これは重要な課題であると認識いたしております。
 これまで、小中学校の教員を対象として、学習障害児等についての理解啓発や学習指導に関する指導資料の配布、研修会の実施などに努めてまいりましたが、さらに、指導体制の整備や指導方法の充実などが必要であると考えております。
 このため、現在、東京都心身障害教育改善検討委員会におきまして、都と区市町村のそれぞれの役割に基づく、学習障害児等の教育の充実のあり方について検討を進めておりまして、今後、国の動向を踏まえながら、適切に対応してまいります。
 次に、心身障害教育改善検討委員会における都民の意見の反映についてでございますが、都における心身障害教育の今後のあり方の検討に当たりましては、お話のように、広く関係者、都民の声を聞くことが重要でございます。このため、検討委員会には、外部委員として学識経験者や保護者、関係団体の代表を加えて、会議を公開しますとともに、関係団体等に対して、適宜、審議情報の提供や意見交換の場を設けてまいりました。
 今後、中間報告の段階で、広く都民の意見を聞きまして、最終答申に反映させてまいります。
 最後に、就学基準の改正と区市町村への支援についてでございますが、障害のある児童生徒の就学相談は、国の定めた就学基準に基づきまして、各区市町村教育委員会がその責任と判断により適切に実施すべきものでございますが、都教育委員会は、各区市町村の就学相談体制の充実に向けまして、相談担当者に対する研修会や、困難なケースについての訪問相談を拡充するなど、支援に努めております。
 また、障害のある児童生徒を小中学校に受け入れる場合に必要な学校施設の整備については、設置者である区市町村が適切に対応できるよう、国に国庫補助制度の拡充を強く要望してまいります。
   〔福祉局長川崎裕康君登壇〕

○福祉局長(川崎裕康君) 高齢者のケアハウスの整備促進についてお答えいたします。
 都は、ケアが必要となったときにも、できるだけ地域の中で安心して暮らし続けることのできるよう、ケアリビングの推進を図っております。
 ケアハウスは、痴呆性高齢者グループホームと同様、ケアリビングの重要な柱の一つであります。しかし、その整備につきましては、必ずしも順調に進捗しているとはいえません。
 今後の高齢期における住まい方や各種施設の役割などについて、平成十五年度に調査検討を予定しており、その中で、ご指摘の点も踏まえて、ケアハウスの問題についても検討してまいります。
   〔健康局長長尾至浩君登壇〕

○健康局長(長尾至浩君) 重症心身障害児の通所事業についてお答えいたします。
 ご指摘のとおり、重症心身障害児の在宅支援といたしまして、通所事業が重要な役割を果たしております。
 都としては、平成十七年度に開設予定の東部療育センター、これはまだ仮称でございますが、そこで通所事業を実施するなど、その充実に努めております。
 今後とも、区市町村や関係機関との連携をとりつつ、民間の療育施設に事業実施を働きかけるなど、新たな施設の確保に向けて努力していきます。
   〔都市計画局長勝田三良君登壇〕

○都市計画局長(勝田三良君) 外環に関する五点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、青梅街道などへのインターチェンジについてでございますが、インターチェンジは、高速道路を利用する沿道や後背地の交通利便性に資するものでございまして、その設置については総合的に検討されるべきものでございます。
 今後、国とともに、地元区市などの意見を十分聞いて取りまとめていきたいと考えております。
 次に、外環の換気施設についてでございますが、現時点では、トンネルの大きさ、勾配等の道路構造が定まっていないことから、換気施設の具体的な規模や設置間隔については、これから検討していくこととなります。
 外環の整備に当たっては、できるだけ周辺への影響を少なくするよう、事業者である国に働きかけてまいります。
 次に、外環に係るまちづくりについてでございますが、外環は既成市街地に計画されていることから、その整備に当たっては、周辺まちづくりとの整合を図る必要がございます。
 お尋ねの関越道から青梅街道間では、既に、地元商店街や町会を中心に、まちづくりへの取り組みが行われております。こうした取り組みに配慮をし、外環とまちづくりを一体的に検討する必要があると考えております。
 都といたしましては、今後とも、まちづくりの主体となる地元区市と十分に調整を図ってまいります。
 次に、外環の関係住民に対する救済策についてでございますが、計画の長期化により、地域にさまざまな影響を及ぼしております。そこで、地権者への救済措置として、今年度から、買い取り要望に対応する措置が国において制度化されました。
 その実施に当たっては、地元区市の協力が不可欠であることから、都といたしましては、国及び地元区市との調整を図り、早急に対応してまいります。
 最後に、上石神井駅付近の踏切対策についてでございますが、西武新宿線の練馬区内には十三カ所の踏切があり、地域交通の阻害要因となっております。このため、地元区において、本年一月に踏切対策等の勉強会が設置されました。ご指摘の上石神井駅付近の踏切についても勉強会での対象となっておりまして、都としては、今後の検討に当たり、必要な協力を行ってまいります。
   〔建設局長小峰良介君登壇〕

○建設局長(小峰良介君) 大江戸線の延伸に関する二点の質問にお答え申し上げます。
 まず、練馬区土支田地区のまちづくりへの支援についてでございますが、都は、土支田地区における区施行土地区画整理事業を推進するため、練馬区への職員の派遣や事業の実現に向けた指導助言など、技術的支援を行ってまいりました。
 今後は、区画整理区域はもとより、その周辺部も含めた、地区計画の策定を初めとするまちづくりのための支援を強化してまいります。
 次に、都市計画道路補助第二三〇号線のうち、土支田通りから大泉学園通りまでの整備についてでございますが、本路線は、区部北西部の道路ネットワークを形成するとともに、大江戸線の導入空間として重要な幹線道路でございます。
 このため、当該区間二・一キロにつきましては、既に現況測量を完了しております。さらに、この区間のうち、外環から大泉学園通りまでの一・三キロでは、平成十一年度に用地測量を実施いたしましたが、十分な地権者の協力が得られず、約五割の進捗にとどまっております。
 今後、地元区と連携し、関係住民の理解と協力を得るとともに、財源の確保を図り、早期事業化に努めてまいります。
   〔交通局長松尾均君登壇〕

○交通局長(松尾均君) 大江戸線の大泉学園町方面への延伸についてお答えいたします。
 交通局におきましては、これまで地質調査を実施する一方、地元練馬区が主催するまちづくり懇談会に参加してまいりました。また、補助二三〇号線道路の地下利用につきまして、国土交通省所管の地下空間利用計画に位置づけるなど、許可取得のための諸準備を行ってまいりました。
 今後も、区画整理事業や街路事業など、導入空間確保の状況等を踏まえ、地元区や関係機関と一体となって、事業化についての検討を引き続き進めてまいります。

ページ先頭に戻る