平成十五年東京都議会会議録第三号

○議長(三田敏哉君) 九十五番清原錬太郎君。
   〔九十五番清原錬太郎君登壇〕

○九十五番(清原錬太郎君) 初めに、お台場海浜公園における水遊びができる海水浴場化についてお伺いいたします。
 私は、平成十三年三月の議会で、お台場海浜公園の砂浜の一部を石積みの堤防によって仕切り、内部の水をろ過装置を使って浄化することにより、海水浴場の整備が可能であると具体的な提案をしました。その後、昨年十二月には、東京都はお台場海浜公園で、水域の一部を仕切って水質浄化の実験を実施すると発表しました。私の提案が実現に近づく第一歩と期待しているところでございます。
 そこで、この人気のスポット、お台場海浜公園の海辺で、都民が水と親しみ、海水浴を楽しむ姿を目に浮かべ、今後の事業の具体化に向けて、幾つかお伺いしたいと思います。
 初めに、お台場海浜公園では、子どもたちが現在既に水遊びをしている現状を踏まえ、さらに水質の改善を図ることが大切と思いますが、この実験の水質目標はどのぐらいのレベルと考えているのか、お伺いいたします。
 次に、海水浴をする場合、障害となる水質、特に大腸菌を含み、オイルボールが浮遊している海水について、この実験ではどのような技術をもって浄化しようとしているのかを伺います。
 私の夢としている海水浴場化は、水質浄化だけで達成できるものではありません。急に深くなる海底をどうするか、経済的に最適か、生態系への配慮はどうか等々多くの課題があります。
 また、公園利用者だけでなく、地域住民の意向を反映する必要もあります。これらを一つ一つ着実に解決して、都民の理想とする海辺を持ったお台場海浜公園となることを期待しています。
 さらに、お台場海浜公園という海辺の人気スポットを、子どもたちが安心して水遊びのできる場として生かすとともに、ビーチバレーや砂の彫刻コンテストを初めとするスポーツや芸術イベントの開催など、水辺や砂浜を使った都民が楽しめるような場として活用していくべきと思います。
 そこで、今回の実験の規模は、できるだけ広い区域とするようお願いしたいと思います。
 また、お台場海浜公園の海水浴場化に対する今後の進め方及び水辺の活用についての所見を伺います。
 最後に、貴重な水辺のある臨海部の公園のあり方について、知事の見解をお伺いいたします。
 都民にとって最も近い海、お台場海浜公園の海辺を、子どもから大人まで楽しめる魅力ある観光スポットとしていただくようお願いして、この質問を終わります。
 今日、都市はさまざまな危機にさらされています。水道事業についてお伺いいたしますが、平成七年一月の阪神・淡路大震災の記憶は、今も脳裏に焼きついています。一昨年、アメリカで発生した同時多発テロは全世界に大きなショックを与えました。首都東京に一たび大災害が発生すれば、その影響は、日本国内のみならず、世界各国にも波及することは確実です。こうした危機に対処するために、都としてもできる限りの危機管理対策を講じておくことが必要です。
 特に、首都東京のライフラインとして重要な役割を担っている水道が一たん停止すると、都民生活や都市活動に深刻な影響を及ぼします。こうした災害時等における水の重要性を踏まえ、水道における危機管理対策を一層充実することが必要と思いますが、知事のご所見を伺います。
 次に、具体的な危機管理対策の一環として、布設年度が古く耐震性の低い水道管、いわゆる経年管の取りかえについて伺います。
 これまで水道局では、経年管の取りかえを計画的に進めてきました。その結果、ほとんどの経年管の取りかえを終了し、漏水率も六%台まで低下してきております。こうした努力は評価できます。
 しかし、問題は、わずかとはいえ、大規模な経年管が残っていることであります。これらの経年管は、震災時や事故時の影響を考えますと、早期に解消すべきと考えます。大規模経年管の残存状況と、解消に向けた今後の取り組みについて伺います。
 次に、我が党が同時多発テロを契機に提案した、浄水場のろ過池などを覆う、いわゆる覆蓋化について伺います。
 具体的な整備計画についてはどうなっているのか、また、覆蓋化により生み出される上部空間を利用して太陽光発電を導入すれば、危機管理と環境対策の両面で一石二鳥の効果が期待できると考えられますが、いかがでしょうか。あわせて答弁願います。
 次に、都営住宅について伺います。
 近年、都営住宅居住者の高齢化が進んでおり、団地やその周辺地域のにぎわいが失われ、まちが衰退しつつあります。私は、若い世帯を優先的に期限つきで入居させて活性化を図る必要があると考え、取り組んできました。
 平成十三年、特定都営住宅を対象に、期間が十年間の期限つき入居制度が導入されましたが、一部の都営住宅に限ったものとはいえ、新たな施策を迅速かつ機敏に実施に移したものとして高く評価いたしました。
 この特定都営住宅を対象とした期限つき入居制度による募集はこれまで二回行われ、第一回の応募倍率は約四十七倍、第二回の倍率は百倍を超えたと聞いています。このように、期限つき入居制度は都民の大きな支持を得ていることがわかります。
 私は、昨年、この期限つき入居制度を一般都営住宅にも早急に拡大すべきであると要望いたしましたが、これに対し、昨年十二月には、都が独自に一般都営住宅への期限つき入居制度の拡大について条例改正を行ったことは、大いに評価いたします。都心部のまちのにぎわいを取り戻すためには、この制度を活用していく必要があります。
 そこで、都営住宅を建てかえる際に、例えば、その三割程度は若いファミリー世帯を期限つきで優先的入居扱いにするとか工夫して、期限つき入居制度の対象住宅をもっとふやすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 私は、都民共有の財産である都営住宅の活用に当たっては、若年ファミリー世帯への優先的な取り扱いと同時に、高齢者対策の充実にも努めていく必要があると思います。
 例えば、都営住宅を建てかえる際には、高齢者在宅サービスセンターなどの併設にも積極的に努めていくべきであり、今後とも高齢者の居住に十分配慮した活用を図るよう、強く要望して、次の質問に移ります。
 次に、大深度地下の利用について伺います。
 私はかねてより、大深度地下を利用した高速道路を整備することにより、首都高速道路、さらには一般道路の交通渋滞が大幅に解消されるのではないかと考え、提言してきました。
 その後、平成十三年四月には大深度法が施行され、地下四十メートル以下等の深い地下においては、地上の権利が及ばないこととなりました。
 また一方では、東京外郭環状道路においては、その方向性を定める中で、ジャンクション及びインターチェンジとの関係を考慮しながら、この大深度法の活用を検討すると聞いています。
 私はこれまで、大深度地下の利用は、電車、共同溝に先駆けて、まず高速道路に適用して交通渋滞を解消すべきだと考えてきたことが、具体化の第一歩を踏み出したものと歓迎しています。
 まず初めに、大深度地下を利用することによって、都市道路の建設にどういうメリットがあると考えているのかお伺いいたします。
 次に、このように、大深度地下を利用した高速道路には事業を推進する上で大きなメリットがあると思いますが、一方で、深い地中に道路を建設することから、さまざまな課題があると認識しています。そこで、大深度を適用するに当たっての課題は何か、お伺いいたします。
 次に、さまざまな課題はありますが、東京の交通渋滞を解消し、東京の再生を図っていくためには、今までと違った発想で高速道路の整備を考えていくべきと考えます。
 そこで提言いたします。大深度地下を利用して、東名と常磐道、東名と東北道、東名と関越道をそれぞれ直接結ぶことにより通過交通を排除することこそ、都内の交通渋滞を抜本的に解決する最も適当、適切な方法だと考えますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。
 次に、青山霊園の再生について伺います。
 昨年七月及び十月に、全国で都市再生緊急整備地域が指定されました。そのうち既存の市街地では、最も大きい規模で指定されたのが、港区の環状二号線新橋周辺・赤坂・六本木地域です。
 この地域に隣接する都立青山霊園を新たな空間として再生する計画があると聞いておりますが、私は、これは都市再生という時宜を得た画期的な取り組みと評価しています。都市の機能が高度化すればするほど、都民に潤いと安らぎを与える緑やオープンスペースの重要性はますます高まってくるのではないでしょうか。
 そこでまず、都市における公園緑地の役割と重要性について知事の所見を伺います。
 次に、青山霊園を市街地の空間としてどのような姿に再生していくのか、その将来像についての考え方をお答えください。
 ところで、青山霊園は、都内でも有数の桜の名所として多くの都民に親しまれています。また、近代日本の礎を築いた大久保利通や、志賀直哉、斎藤茂吉、国木田独歩、尾崎紅葉といった我が国を代表する文化人も数多くこの青山霊園に眠っております。
 そこで伺いますが、多様な可能性を秘めている青山霊園の再生を進めるに当たって、霊園の持つ貴重な財産をどのように活用していくのか、お答えください。
 今回の都議会でも、早速、青山霊園の再生に関する条例案、予算案が付議されております。聞くところによると、墓所の一部を四十三年ぶりに貸し付けるとのことですが、民間の霊園では、比較的小規模の区画や合葬式墓地も提供されているようです。貸し付けに当たっては、今の時代に即した対応が必要と考えていますが、所見をお聞かせください。
 さて、いずれにいたしましても、墓所の一部を貸し付け、その収入を再生事業に活用するということですが、これは、都心における良好な緑地空間の形成を進める上で画期的な事業手法と評価いたします。どうか一日も早く事業着手されることを期待して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 清原錬太郎議員の一般質問にお答えいたします。
 臨海部の海上公園についてでありますが、これまで東京港では、物流機能やさまざまな都市機能とあわせて海上公園を整備してもまいりました。海上公園は、人々が安心して水や自然と触れ合えるようにするものであり、その充実は、臨海地域の魅力の向上にも寄与するとともに、新たな観光資源を育成することにつながると思っております。
 おっしゃいましたお台場海浜公園の海水浄化実験は、小さな子どもでも安心して遊べる環境を整えることを目的としておりまして、将来、海水浴場化につながるような成果があることを願っております。
 先般、あそこに本社を構えているフジテレビの日枝会長とお目にかかったときも、フジテレビとしても、非常にこのプロジェクトに期待をしているということでありましたが、その後、下水道局長を呼びまして、規模について尋ねましたが、最初は実験ということで、ごく限られたプール何面かという面積のようでありますけれども、成功すれば、当然もっと大きな海水浴場として運営されることを私も願っております。
 今後も、海上公園がより都民の親しまれるものとなるように、さまざま工夫をしていきたいと思っております。
 次いで、水道における危機管理についてでありますが、大地震などの自然災害はもとより、NBC災害や大事故から都民の生命、財産と首都機能を守っていくことは、国や自治体の責務であります。
 中世に上水道を持っていた首都というのは日本の江戸だけでありまして、それを逆に利用して幕府の転覆をはかった由井正雪一派は、あの玉川上水に毒を投じて江戸の市民を大量殺すことで、不穏な計画を立てたようでありますけれども、幕府も管理が行き届いていて、それを察知して手を打ち、一網打尽に暴徒を抑えたという記録もございますが、いずれにしろ、おっしゃるように、水道というライフラインは、場合によっては致命的な影響というものを都民にも与えかねないものでありまして、外国のダムや浄水場では銃を携帯して厳重に警備している例などもございまして、これまで日本人が持ってきた、水と安全はただという認識をそろそろ改める必要があると思っております。
 東京の水道は、百年のストックを有する都市の基幹施設でありまして、水源から蛇口に至るまでの耐震性の強化と安全性の確保に万全を期し、危機管理を徹底していきたいと思っております。
 次いで、大深度地下の利用に向けた今後の取り組みでありますが、今から十五年ほど前、私が運輸大臣時代に、西武鉄道の堤氏が所沢から複々線で新宿まで線路を引きたいと。できたら、自分の持っている鉄道のジグザグの下ではなくて、コストの問題もあるので、直接まっすぐ大深度を走らせたいということでありました。それを聞いて、それが時代の要請だとも思いましたし、運輸省として原案をつくりましたが、不思議なことに、建設省は文句をいわなかったんですけれども、通産省が横やりを入れてきまして棚上げになりましたが、やっと去年、これが法律として認められた。しかも、それが最初に東京の環状線で活用されることになりそうでありまして大変喜んでおりますが、都内に流入する不要な通過交通を排除し、慢性的な交通渋滞を解消するためには、外環など首都圏三環状道路を初めとする高速道路ネットワークの充実が極めて重要であります。
 東名高速と常磐道、東北道、関越道をそれぞれ直結する案については、貴重なご意見として承っておきます。
 いずれにしても、東京の再生を図る観点から、大深度の活用という時代的な問題を、今後も前向きに検討していきたいと思います。
 日本には、それを優にかなえる技術もございまして、現にイギリスとフランスを結んだドーバー海峡は、これは日本の技術で完成したわけであります、トンネルは。これを、日本でこの技術として活用しないわけはないと思っております。
 次いで、都市の公園緑地の役割と重要性についてでありますが、公園緑地は、レクリエーションの場の提供、また自然環境の保全、都市景観の確保など、都民生活に欠くことのできない役割を果たしております。
 近年、都市再生の観点から、都市の気温上昇を抑えるクールアイランドの形成や大気浄化、震災時の救援、復旧活動の拠点、そして東京の顔となる、先ほどご指摘のありました、かつての有名な歴史をつくった方々が眠っておられる墓地が優に観光の資源にもなり得るわけでもありまして、そういった役割を特に期待されていると思います。
 このように、公園緑地は、これからの東京の魅力と活力を向上させる上で重要な都市基盤の一つと心得ております。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔環境局長小池正臣君登壇〕

○環境局長(小池正臣君) お台場海浜公園における水質浄化実験の水質目標についてお答えいたします。
 お台場海浜公園付近の水質はおおむね良好な状況にありますが、降雨の後には、ふん便性大腸菌群数が一〇〇ミリリットル当たり一万個を超えることもあり、このようなときは、子どもたちが安心して水遊びができるような状況にはございません。
 今回の実験では、公園の一部を仕切り、処理した海水を導入して水質浄化の効果を調査いたします。その際の水質の目標は、子どもたちが安心して水遊びができる水準を目指しておりまして、ふん便性大腸菌群数でいえば、国が定めた水浴場水質判定基準の水質Aに相当する、一〇〇ミリリットル当たり百個以下としております。
   〔下水道局長鈴木宏君登壇〕

○下水道局長(鈴木宏君) お台場海浜公園における水質浄化の技術についてお答えいたします。
 今回の水質浄化実験では、大量の海水を低コストで浄化できるよう、近隣の有明処理場を活用して海水浄化プラントを設置いたします。このプラントで、下水の高度処理を応用したろ過技術により海水の汚れを除去した後、紫外線により大腸菌を殺菌した上でお台場海浜公園へ送水し、実験区域内の水質を改善いたします。
 なお、潮の干満により浮遊するごみやオイルボールにつきましては、実験区域をオイルフェンス等で囲いまして進入を防ぐこととしております。
   〔港湾局長高橋信行君登壇〕

○港湾局長(高橋信行君) お台場海浜公園の実験の規模及び今後の取り組みについてのお尋ねでありますが、今回の実験は、小さな子どもでも安心して遊べる環境を整えることにあり、より多くの人々が水遊びをできるよう、また効果の検証も考えながら、できるだけ広い区域とすべく検討しております。
 また、お台場で海水浴ができるためには、ご指摘のとおり、水質以外にも、深さやあるいは傾斜など多くの課題がございます。今後、実験の成果を検証するとともに、これらの諸課題についても検討を行ってまいります。
 また、水辺や砂浜の活用については、ご提案のビーチバレーを初めとするスポーツや芸術のイベントの開催など、関係団体の協力を得て、地元や進出事業者と連携しながら一層の利用促進を図ってまいります。
   〔水道局長飯嶋宣雄君登壇〕

○水道局長(飯嶋宣雄君) 水道事業の危機管理などに関する二点のご質問にお答えいたします。
 大規模な経年管の残存状況と、その解消に向けた今後の取り組みについてでございますが、水道局では、経年管の取りかえを最重要課題の一つとして位置づけ、計画的に実施してきた結果、残存延長は百六キロメートル、残存率は全体の六%となっております。
 しかし、工事の施行環境はますます厳しさを増してきておりまして、大規模な経年管は、地下埋設物が密集した場所、交通量の多い交差点、さらには他の系統から補給できず断水が不可能な路線などに残存していることから、取りかえが極めて困難な状況となっております。
 これらの経年管につきましては、従来の手法にとらわれず、管路の埋設環境や機能に応じてさまざまな対策などを講じ、あらゆる創意工夫を凝らして解消に努めていく必要がございます。
 また、実施に当たりましては、道路・交通管理者などの関係機関や都民のご理解とご協力が不可欠でございます。このため、経年管の早期解消を目指して、経年管の頭文字のKとゼロを意味するK0ゼロプロジェクトをスタートさせました。
 今後とも、可能な限り早期に取りかえを終了するよう、全力を挙げて取り組んでまいります。
 次に、浄水場のろ過池の覆蓋化整備計画と太陽光発電の導入についてでございますが、覆蓋化を計画的に進めるため、平成十四年九月にろ過池覆蓋化基本計画を策定いたしました。
 整備期間は今年度よりおおむね五年間とし、平成十八年度までに、主要浄水場八カ所のろ過池について順次覆蓋化を進めていく予定でございます。
 また、ろ過池の覆蓋化によって、その上部には、東京ドームとほぼ同等の約五万平方メートルの有効活用できる面積が新たに生まれます。ご提案のございました、このろ過池上部を活用した太陽光発電につきましては、危機管理に加え、省エネルギーや環境対策にも資することから、覆蓋化整備にあわせて積極的に導入してまいります。
   〔住宅局長橋本勲君登壇〕

○住宅局長(橋本勲君) 若いファミリー世帯を対象とした都営住宅の期限つき入居制度についてのご質問でございますが、この制度は、都民共有の財産である都営住宅の利用機会の公平を確保するとともに、あわせて、高齢化が進む都営住宅団地及び周辺地域の活性化を図ることを目的としております。
 今回の一般都営住宅への拡大に当たりましては、対象とする世帯、地域及び住戸規模等を限定しており、今後、制度の確実な定着を図ることにより、若いファミリー世帯の優先的な入居に努めてまいります。
   〔都市計画局長勝田三良君登壇〕

○都市計画局長(勝田三良君) 大深度地下利用に関する二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、大深度地下を利用することのメリットでございますが、土地利用者等による利用が一般的に行われない大深度地下では、用地補償等を行うことなく導入空間を確保でき、事業を円滑に実施できること、また、地上の土地利用を勘案することなく合理的なルートの設定が可能となるため、事業期間の短縮やコストの縮減が図られること、さらに、地震に対する安全度が高いことや、騒音、振動の外部への影響が少ないことなど、さまざまなメリットがあると考えております。
 次に、大深度地下を道路として利用する際の課題でございますが、地中深い位置に入ることから、地上への避難路や緊急車両の通路の確保等の安全対策を十分に行う必要があること、また、地上からの出入り口部や地上に設置する換気施設は、従来どおり、権利設定や用地買収を伴うことなどの課題がございまして、具体化に当たっては、これらに対処していく必要がございます。
   〔建設局長小峰良介君登壇〕

○建設局長(小峰良介君) 青山霊園に関する三点の質問にお答え申し上げます。
 まず、青山霊園の将来像についての考え方でございますが、青山霊園は、明治七年の開設から百三十年の年月に培われた、千四百本を超える高木などの豊かな自然資源や著名人墓所など、日本の近代史を今に伝える人文資源が数多く存在しております。
 都といたしましては、これらの資源を良好に保全していくとともに、霊園使用者だけでなく、一般都民が日常的に親しむ場として利用できるよう、霊園と公園が共存した空間として再生してまいります。
 次に、霊園の財産の活用についてでございますが、青山霊園の再生に当たりましては、巨樹などを生かした広場、歴史を感じさせるエントランス、著名人墓所を探訪できる散策路などを配置してまいります。
 こうした整備により、由緒ある霊園の価値を一層高めるとともに、都民が身近に自然、歴史、文化に親しめる場となるよう、貴重な霊園の財産を活用してまいります。
 終わりに、四十三年ぶりの墓所貸付再開に当たっての対応についてでございますが、近年、都民の墓所に対する意識は、核家族中心の生活や単身者の増加などライフスタイルの変化に伴い、多様化しております。
 貸し付けに当たりましては、青山霊園の風格ある景観を損なわないよう配慮しながら、区画面積や合葬式墓地など墓所形態についても検討し、都民の多様なニーズに対応するよう努めてまいります。

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