平成十五年東京都議会会議録第二号

○副議長(橋本辰二郎君) 百二十三番田中良君。
   〔百二十三番田中良君登壇〕

○百二十三番(田中良君) 私は都議会民主党を代表して、都政の主要課題について、知事並びに関係局長に伺います。
 まず冒頭に、去る一月二十一日にご逝去されました曽雌久義議員に対しまして、ここに謹んで哀悼の意を表させていただくとともに、心よりご冥福をお祈りいたしたいと思います。
 それでは、質問に入ります。
 先月三十日、東京高裁で争われていた東京都のいわゆる銀行税の判決が下されました。結果は、一審に続き敗訴でありました。私が思うに、今回の判決内容については、勝者も敗者も釈然としないというのが本当のところではないかと思います。
 地方税法七十二条の十九を根拠に、銀行業等に外形標準課税を課すことそのものを違法とした一審判決が覆され、適法との二審の判断が示されたことは、勝ったとはいえ、銀行にとってまさに薄氷を踏む思いであったでしょうし、地方税法七十二条の二十二第九項の均衡要件で違法とされ、負けた東京都にとっては、試合に勝って勝負に負けた悔しさが残る判決だったといえるかもしれません。いずれにせよ、極めて微妙な判決ですから、上告により司法の最終判断を求めることに異論はありません。
 しかし、高裁判決直後の記者会見での知事発言は、私たち議会に身を置く者として、聞き流すことのできないものでありました。それは、議会の同意を得て上告の手続を進めるといわれる一方で、自身の進退については三月七日に表明するとしたことであります。
 一審、二審敗訴という現実は、上告に大きなリスクと重い責任を負わせるものであり、その結果責任は、知事とともに私たち議会も負わなければならないものであります。
 私たちが知事から上告の同意を求められ、応じたということは、そのことに対する私たちの決意と覚悟を意味することになるのであります。知事もまた、この結果責任から逃げることはできないはずであります。
 みずから提案した条例にかかわる最高裁への上告、及び上告受理の申し立ての同意を議会に求めた以上、知事自身がその結果責任を正面から受けとめる覚悟と決意を、上告の同意を求める際、私たち議会に対して明確にすべきであったと考えますが、見解を伺います。
 上告審において、私たち並びに東京都の主張が認められるならば、全面勝利となるはずでありますが、一審、二審敗訴という現実を考慮するならば、上告審での敗訴の可能性を考えないわけにはいきません。結果として敗訴した場合、都財政は一転して深刻な危機に陥り、都民の血税から多額の環付加算金を銀行に支払わなければなりません。
 そこで、危機管理という視点からお尋ねしますが、現段階で知事は、平成十五年度も銀行税の徴収を従来どおり行うとしています。しかし、敗訴の可能性を考慮した場合のリスク回避の具体策として、十五年度分の課税を凍結することや、均衡要件に反すると高裁判決で指摘されたことを逆手にとって、税率を軽減する条例改正を行って十五年度分を徴収してはどうかなど、さまざまな意見がありますが、リスク回避についてどのような具体策を考えているのかお聞かせください。
 次に、道州制について伺います。
 今、国は制度疲労を起こし、自己改革さえままならない状態にありますが、そうであればこそ、自治体の側からこの国の形を変える構造改革を進める必要があります。
 例えば、青森、秋田、岩手の北東北三県は、北東北広域政策研究会を昨年四月に発足させ、年末には、二○一○年から一五年をめどに、北東北三県の合体などを経て道州制に移行するとの骨子案をまとめています。この北東北三県と北海道・北東北知事サミットを通して共同事業を進めている北海道は、道州制を基本とする分権型社会の基本構想を十四年度中に策定するとしています。さらに、昨年二月には沖縄を含む九州八県が、八月には四国四県が、それぞれ研究会や勉強会を発足させ、道州制の可能性などを探っています。
 東京都も、七都県市首脳会議の場を通じて共同事業を進めていますが、先日の朝日新聞のアンケート調査によると、都道府県合併や道州制への移行などの再編について、積極的に進めるべきだとした十人の知事の中に、石原知事の名は見られません。
 道州制は一朝一夕で実現するものではなく、五年、十年のスパンで構想しなければなりませんが、そうであればこそ、今から道州制の導入に向けた取り組みを発信すべきなのであります。知事の見解を伺います。
 昨年、小泉首相は、国庫補助負担金と地方交付税の削減、税源移譲を三位一体で進めることを宣言し、今後一年以内に改革の具体策をまとめるよう関係者に指示しました。しかし、花火を打ち上げるときは華々しく、その後は静かに消えていく小泉宣言の下では、国庫補助負担金と地方交付税の削減のみが進行しかねません。
 そして、このたびの平成十五年度一般会計予算案においては、一千二百五十六億円の都税収入の減を見込んでおりますが、その一方で、政府の税制改正によって、減収分を上回る一千三百四十二億円の減税補てん債の発行を余儀なくされております。自治体の税財源でありながら、政府の都合で左右される現状は許しがたきものであります。
 このような国から自治権、課税自主権を奪権するためにも、道州制導入を視野に入れた七都県市の取り組みが重要だと思いますが、少なくとも当面は、七都県市共同で地方税財政の抜本改革を強く政府に求めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 さて、道州制への展望を持つならば、基礎的自治体である区市町村のあり方についても新たな展望が必要であります。大都市行政のあり方、市町村交付金、都区財政調整制度を含めた財政調整制度のあり方、そして、新たな財政調整制度のもとにおける特別区の再編成も避けて通れない課題であります。
 特別区の再編成については、既に幾つかの提言も出されておりますが、東京大学の浅見教授らは、地方公共サービスの費用を効率化する特別区の再編の方法について、実証分析をもとに論じ、具体的に幾つもの基準によって再編案を提案しております。
 これらの基礎的自治体をめぐる課題について、この機に一つの方向を示されるよう求めるものでありますが、知事の見解を伺います。
 次に、平成十五年度予算案について伺います。
 十八年ぶりに実質収支が赤字となった東京都政を引き継いだ石原知事のもとで、実質収支の赤字は徐々に減少し、平成十三年度普通会計決算では百億円にまで縮小いたしました。経常収支比率も、平成十一年度の一○四・一%から、十三年度には九二・四%となっております。都税収入が八年ぶりに四兆円を割り込むこととなった十五年度予算案においても、起債依存度は七・六%、国の四四・六%に比べるならば、極めて低い水準にあります。
 内容を見ると、中小企業制度融資、商店街振興事業、雇用対策、ディーゼル車対策、食の安全対策、三宅島等の災害対策などに重点的に対応したものとなっております。
 石原知事は、この十五年度予算案を含めて過去四回の予算編成を行ってまいりましたが、これまでの予算編成に当たって知事が最も重視してきた点は何か、伺いたいと思います。
 個々の施策については後ほどお伺いいたしますけれども、ここでは果実活用型基金の取り扱いについて伺います。
 知事はさきの施政方針でも、果実活用型の五つの基金は、ゼロに近い低金利の中、運用の利益を見込むことができず、仕組み自体の存在意義が失われているとされました。このこと自身に異議はありませんが、十五年度において実質的な残高が二億円となる環境保全基金、十八億円となる中小企業振興基金、ゼロとなる地域福祉振興基金という、以後、事業には充当し切れない基金を残し、国際平和文化交流基金及び男女平等推進基金の二基金を廃止するという点には疑義を持たざるを得ません。
 財政調整基金等の残高確保の重要性も理解いたしますが、ならば、存在意義が失われた五基金を廃止し、事業に充当するものと基金に積み立てるものに仕分ければいいのではないでしょうか。にもかかわらず、二基金廃止を先行させたところに政治的意図を読むことになるのでありますが、いかがお考えか、見解を伺います。
 次に、環境対策について伺います。
 まず、東京の省エネルギーについてですが、昨年夏以降発覚した東京電力の原子力発電所をめぐる一連のトラブルを契機に、首都圏の電力の約四割を供給している原発十七基のうち、昨日の一基を含め、現在十三基が停止しています。しかも、現在稼働中の四基についても四月中旬までにすべてストップし、このままの状態が続けば、早々に電力不足という危機的な状況に陥ることが予想されております。まさに一九七〇年代に二度経験したオイルショック以来のエネルギー危機に我々は今直面しているのであります。
 東京都は、このほど都庁の省エネルギー運動を開始しましたが、こうした取り組みは単に目前の電力危機への対応だけにとどまるべきではありませんし、また、都庁単独の取り組みに終わってしまってはなりません。都民の皆さんとの協働で、地道な省エネ、節電の努力を積み重ねていくことが、東京全体の省エネルギー、すなわち地球温暖化対策へとつながっていくのであります。
 私は、今回の事態を契機として、省エネルギー運動を東京全体に広げていくべきと思いますが、知事の見解を伺います。
 次に、地球温暖化対策について伺います。
 京都議定書がことし後半には発効するといわれており、温暖化対策は待ったなしの状況にあります。既に東京都は、昨年十一月に都市と地球の温暖化阻止に関する基本方針を発表し、十二月、環境審議会に対して東京都における実効性ある温暖化対策について諮問し、実質的な議論をスタートさせているところであります。
 温暖化対策に総論で反対する人はいませんが、施策が具体化されればされるほど、経済活動や都市活動との関係、あるいは各人のライフスタイルとのかかわりなどで反対論が登場してくるものと思われます。私は、施策の検討に当たっては、あらかじめこうした動きも見越し、検討の早い段階から、経済界、各企業との意見交換を重視するとともに、詳細なデータや実態分析を行い、地に足のついた政策検討を進めるべきと考えます。
 基本方針の発表後、東京都と経済界との意見交換の状況と、今後、環境審議会での議論も含めた検討の進め方について伺います。
 温暖化対策を考える際には、各部門での省エネルギーと同時に、大都市東京において再生可能エネルギーの普及拡大をどう図っていくのかが重要な課題であります。
 先月中旬、臨海部の中央防波堤内側に巨大な風車が二基立ち上がりましたが、既にマスコミでも多数取り上げられ、見学の問い合わせも寄せられていると聞いております。また、臨海副都心に建設中の水素ステーションを拠点とし、都営バスにおいて全国初の燃料電池バスの営業運転が開始されることにもなっております。
 風力発電や燃料電池バスの導入という事業を、単発のプロジェクトとして終わらせるのではなく、全体として、都民の方々に、都市における新しいクリーンエネルギーの時代が始まったということを実感してもらうための機会とし、大いに活用すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、ヒートアイランド対策について伺います。
 東京都のヒートアイランド取り組み方針は現在策定中とのことですが、私たちがこれまで主張していた風の道など、都市づくりも含めた総合的な内容となることを切に望むものであります。そして、具体的な対策の前提となる知見や原因の詳細な分析を積極的に進めるとともに、東京の実態を踏まえ、地域ごとの特性に合った的確な対策を行っていくことが重要だと思います。
 東京都はどのようにして効果的なヒートアイランド対策を講じていくつもりか、見解を伺います。
 次に、ディーゼル車規制について伺います。
 ことし十月からの走行規制の施行を目前に控え、事業者の対応も本格化しております。ことし一月には粒子状物質減少装置の装着補助への申請が一万件を超え、また、古い車両の買いかえも一月に入ってから大幅にふえているようであります。
 このような中で、私は、自動車メーカーやディーラーに、あらかじめ酸化触媒を装着した、いい車を安く提供するなど、ディーゼル車規制への協力を強く働きかけていくべきと考えますが、見解を伺います。
 予算案では、中小事業者に対する補助金等の継続や新たな融資制度の創設など、中小零細事業者への支援策の充実が打ち出されております。しかし、制度が利用しやすいものとなるには、もう一工夫必要ではないでしょうか。
 私たちは、昨年十二月議会の代表質問において、補助金の手続についてさらに事業者が利用しやすくなるよう改善すべきと提案をいたしました。これに対し、事業者が装置の装着代金を支払った後に速やかに補助金が交付できるよう、運用面での簡素化が図られました。しかし、事業者の資金繰りの改善にはまだ十分とはいえません。例えば、DPF等の装着に対する補助金の申請をディーラーや整備工場が直接できるようにするなど、今回の改善に加え、事業者負担の軽減を図るため、さらに工夫すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、東京の都市づくりについてであります。
 石原知事は、今定例会に、東京のしゃれた街並みづくり推進条例案を提案しております。この条例案は、そもそも、都市づくりの基本理念や目標、NPOなど多様な主体の参画の促進、計画策定段階における合意形成のあり方などを体系的に定めた都市づくり基本条例として、都市計画審議会から答申されていたものであります。しかし、今回の条例案は、都市づくりの基本理念や目標などを定めるものではなく、二つの制度を提案するものにとどまっております。
 都市再生特別措置法の議論でも、都市全体のビジョンを明確に示すことなく、いたずらに規制緩和をすることに対して疑問の声が多く寄せられました。地方分権の推進により、各自治体で制定が進んでいるまちづくり条例でも、多くの場合、都市計画に関する基本方針や住民参加の手続などが定められています。
 現在、東京都は、都市計画マスタープランの策定について検討しているところですが、私は、都市づくりの基本理念や目標、あるいはそれに基づくマスタープランなどについても明確に位置づけていく必要があるものと考えますが、見解を伺います。
 条例案では、街区再編まちづくり制度と街並み景観づくり制度との二つの制度が新たに提案されております。
 中でも、街区再編まちづくり制度は、これまでハードルが高く、なかなか策定が進まなかった地区計画によるまちづくりを大きく前進させることを期待するものです。しかし、一方で、制度はあっても使われない、絵にかいたもちになってしまうことも危惧されております。私は、例えば公有地等を活用するなどして、東京都が街区再編まちづくりをモデル的に実施していくなど、この制度がより多くの地域で活用されるよう積極的に取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 また、街並み景観づくり制度は、街並みデザイナーによる街並み景観ガイドラインの策定により、魅力的な都市空間の形成を行っていこうというものです。しかし、古くからある町で、権利者が細分化されているような地域では、制度活用の取り組みが進まず、マンションなどのミニ開発によって、せっかくの歴史的、文化的な街並みが失われてしまうということが懸念されます。
 このように、古くからある歴史的、文化的な街並みを後世に継承していくために、東京都として街並み景観づくり制度の積極的な活用を考えるべきと思いますが、見解を伺います。
 次に、まちづくりに取り組むNPO等への支援について伺います。
 まちづくりに取り組むNPOは、環境や防災などの視点から地域のまちづくりを提案したり、専門家の派遣などを通じて地域の人たちのまちづくりのプランづくりを支援したり、さまざまな活動を行っております。
 私たちは、これまでも、繰り返し、こうした活動を行うNPOに対して積極的に支援すべきだと主張し、東京都が一昨年十月に発表した都市づくりビジョンでも、その支援を検討することが示されておりました。
 しかし、今回の条例案で提案されているまちづくり団体の登録制度は、NPOという言葉をまちづくり団体に変え、団体の行う活動内容も限定したものとなっています。私は、条例案の基本コンセプトが、都民の意欲と創意工夫を生かしたまちづくりにあるのであれば、なおさらまちづくりに取り組むNPOに対して積極的に支援していくべきと思うのですが、見解を伺います。
 また、条例案のまちづくり団体の登録制度での対象は、街並み景観づくりなど規則で定めるまちづくり活動を主体的に行う団体とされ、街区再編まちづくり制度については触れられておりません。現状では、ゼネコンなどの民間事業者に比べて、地域住民やNPOは、まちづくりについてのプランづくりのノウハウや交渉能力などで大きな差があります。だからこそ、地域の街並み整備方針を定める街区再編まちづくり制度において、こうした非営利を代表する部門と連携をしていく必要があると考えます。
 街区再編まちづくり制度におけるNPOなどまちづくり団体との連携について伺います。
 次に、中小企業対策についてであります。
 石原知事は、四年前の選挙で、銀行からの融資に頼る資金調達の脆弱性を克服するために、債券市場の創設を公約として掲げ、資金調達の多様化に取り組んでこられました。CLOやCBOといった、直接金融への門戸を開いた取り組みは、今後も引き続き積極的に推進していただきたいと思います。
 しかし、CLOやCBOは、中小企業といっても優良企業に許される資金調達方法であって、ほとんどの中小企業は、銀行などの金融機関からの融資に頼らざるを得ないのが実態であります。こうした間接金融は、金融機関の経営状況や経済状況の影響を大きく受けざるを得ず、今日では、貸し渋り、貸しはがしといった、金融機関のなりふり構わぬ資金引き上げがデフレ不況を加速させていると申し上げても過言ではありません。
 金融は、中小企業の血液であります。その円滑な流れを妨げる貸し渋り、貸しはがしという金融収縮が中小企業の首を絞め上げているのであります。我が国経済を支えてきた中小企業が、今、生きるか死ぬかの間際で必死にもがいております。
 昨年十二月の本会議代表質問で、私たちは、地域経済への貢献を情報公開させることで、貸し渋り、貸しはがしを抑制させる金融アセスメント条例の制定について伺いましたが、石原知事からは具体的な答弁はありませんでした。
 そこで改めて伺いますが、金融機関の地域経済における役割はいかにあるべきか、また、その役割を果たさせるために、今後どのように取り組んでいくつもりなのか、見解を伺います。
 次に、融資制度についてであります。
 東京都は、十五年度予算案では、制度融資の融資目標額を過去最大の一兆七千五百億円に引き上げたと胸を張っておりますが、返済余力の落ちた中小企業には、追加融資の道は閉ざされ、制度融資の門戸は閉ざされようとしております。こうした現状を直視し、中小企業に新鮮な血液を供給していくには、新たな融資の道を開拓していく必要があります。
 今、全国でこれまでとは異なる視点から資金供給の方策が開発されつつあり、希望の灯を何とか消さないでほしいという切実な声が私たちにも寄せられております。
 例えば、東京都は今回、ディーゼル車規制の実施を前に、信用保証協会による保証を受けられない中小企業に対しても、民間の保証機関が購入車両を担保とし、金融機関に対して債務保証を行う全国初の融資制度を創設いたしました。また、事業の発注に合わせて、事業費の支払いを担保に融資を実施し、受注した中小企業は、下請などの取引先と手形ではなく現金決済することで確実に現金を回すといった試みも始められています。
 このように、東京都の制度融資だけではなかなか資金の供給が受けられない中小企業への資金供給についても、具体的に新たな視点からその方策を検討すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、貸金業について伺います。
 銀行による貸し渋り、貸しはがしによって資金繰りが窮地に陥った中小企業が、出資法の上限金利を超える高い金利で貸し付ける悪質金融業者、いわゆるやみ金融によって恐喝まがいの取り立てを受けていることが大きな社会問題となっております。最近では、借りてもいない金銭を勝手に人の銀行口座に振り込んで厳しい取り立てを行う、押し貸しという手口が急増しています。
 昨年の三月に、東京都議会では、貸金業を許可制にするなどの規制強化や営業保証金制度の創設などを盛り込んだ意見書をまとめ、石原知事も昨年六月に、悪質業者の排除を宣言し、急増する悪質貸し金対策への取り組みを強化しております。しかし、やみ金融の中には、そもそも貸金業の登録を受けていない業者もおり、警察による積極的な刑事罰の適用による取り締まりも欠かせません。
 そこで、広く都民生活の安定を図る東京都と、犯罪の摘発を担う警視庁との強固な連携を図るべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、私は、貸金業者の登録のあり方についても改善していく必要があるものと考えます。貸金業者の登録は、必要書類さえ整えば簡単に登録ができ、そのために名前や住所を転々と変えている悪質貸金業者も多いようであります。都内貸金業団体からは、登録申請書の添付書類に登録申請者や事務所の写真を貼付させる、あるいは、知事登録の新規登録手数料四万三千円を、財務局登録と同様の九万円に引き上げるなど、すぐにでも改善できるような提案も見られます。
 私は、体制強化とあわせて、こうした登録手続などの改善にも積極的に取り組むべきではないかと思いますが、見解を伺います。
 次に、商店街の振興について伺います。
 今回提案されている新・元気を出せ商店街事業は、区市町村が策定したプランに基づいて計画的な商店街の振興が図られるようになること、NPOや未組織商店街などの団体についても補助のメニューが拡大されること、そして、ハード、ソフト両面にわたり包括的な補助が受けられるようになることが期待されます。その観点から、今回の提案は、私たちが主張していた商店街事業の再構築がなされたものとして評価するものであります。
 しかし、商店街の活性化という名の下に、何もかも補助の対象にするというのであっては、事業が再構築された意味がありません。例えば、イベント事業であっても、これまでのように、ただ単にイベントだけに補助するのではなく、アーケードの完成やポイントカードなどの導入とあわせて、より有効で効果的なイベントが実施できるよう、ほかの施策と連携したものにしていく必要があります。
 そのためには、新・元気を出せ商店街事業を活用したさまざまな取り組みが区市町村のまちづくり施策と連携したものになるよう、東京都としても積極的に取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 予算案では、このほか、輝け店舗支援事業と進め若手商人育成事業とが、それぞれ商店街にかかわる新規事業として提案されています。
 このうち、輝け店舗支援事業は、東京都が新たに個店対策に取り組むというものですが、幾つかの自治体の個店対策が、経営アドバイザーの派遣や、商店街のイメージに合った店舗改装など、それぞれの店舗に支援することであるのに対して、東京都の事業は、商店街の核となる個店づくりを支援するものと説明をされています。
 しかし、高齢化社会への対応や自然環境への配慮といった取り組み例では、どのような事業を実施するのか、明確ではありません。そこで、どのような個店を商店街の核として考えているのか、見解を伺います。
 また、進め若手商人育成事業は、商店街の次世代を担う若手商店主の育成を支援する事業ですが、商店街の発展のためには、単に既存商店の後継者を育成するだけでなく、新たに商売を始めようという若い人たちを育成していく必要があります。そして、そういった人たちに対して、空き店舗の活用や創業の支援を講じ、商店街に新たな血を注入することで活性化を図っていくという視点が欠かせないものと考えますが、見解を伺います。
 次に、福祉施策に関連して、障害者の地域生活支援について伺います。
 すべての障害者が豊かな地域生活を送るためには、利用者本位の考え方に立ち、個人の多様なニーズに応じた福祉サービスの量的、質的充実が図られていかなければなりません。
 東京都は、障害者の社会参加、社会参画の促進とともに、施設入所中心の施策から、地域での生活への移行や自立支援策の充実を進めております。加えて、来年度からは障害者みずからサービスを選択する支援費制度が始まります。そこでは、地域生活をしている障害者が必要とするサービスが地域に用意されていなければなりません。
 東京都は、平成十五年度重点事業として、新たに障害者地域生活支援緊急三カ年プランを策定し、特別助成により、地域居住の場や日中活動の場の整備を促進し、地域生活を支援する方針を打ち出しております。この点は評価いたしますが、施設入所を中心とした施策から、地域での自立した生活を支援する方向へと福祉施策が転換していることもあわせ、入所施設など既存施設の役割を転換し、地域生活支援の資源として活用するなどして障害者を支えていくべきと考えますが、所見を伺います。
 障害者へのサービスが全国統一の基準だけでは対応が困難であるのと同様に、東京においても地域によって事情が異なっており、都全体を画一のサービスのみでカバーすることは困難です。既に、地域の民間団体においては、家事援助、食事、移送といったサービスを行っているところもあります。こうした多様できめの細かなサービス提供を充実していくためには、地域の実情に応じて、必要とされるサービスの創出に区市町村が積極的に取り組んでいくことが必要であると思います。
 東京都は、今後これらの事業に対する区市町村への支援をどのように推進していくのか、所見を伺います。
 さらに、今後地域での福祉サービスの提供は、地域住民の積極的な参加と協力が重要な役割を担っていくことになります。東京都は、平成十三年一月から、生活寮の運営主体として積極的にNPO法人の参入を促しており、これを受けて、地域に住む障害者やその家族が協力してNPO法人をつくり、生活寮を立ち上げるという試みが行われておりますが、こうした法人は、資金力もなく、運営面でも人手不足など、さまざまな困難があります。
 私は、このようなNPO法人に対しても東京都の積極的な支援が必要であると考えますが、見解を伺います。
 次に、都立高校改革について伺います。
 都立高校の経営の自律性を確保していくには、地域や保護者の期待、生徒の願いを受けとめて、教育の質の向上を図り、開かれた学校づくりを一層推進することが大切であります。
 東京都教育委員会は、平成十三年度からすべての都立高校に学校運営連絡協議会を導入し、そこに地域住民や保護者で構成する評価委員会を設置しています。各学校では、この評価委員会における評価結果をどのように活用しているのか、現状について伺います。
 これは、学校が外部評価を導入することにより、自己評価だけでは気づかない問題点を改善する、開かれた学校づくりに向けた新たな取り組みといえます。しかし、すべての都立高校の改善を進めていくためには、現行の制度を一歩進めて、すべての都立高校に共通の学校評価システムを早期に確立することが望まれます。その上で、教育内容などの学校情報とあわせて評価結果を都民に公表し、それに対する都民の声をきちんとくみ上げ、多様な視点からの指摘が学校経営に反映される仕組みが必要だと思いますが、この点についてはいかがか、伺います。
 次に、治安対策についてであります。
 我が国の治安情勢が劣悪化の一途をたどり、今や、危機管理という側面からも、日常における都民生活の不安解消が大きな行政課題であることは論をまちません。石川警視総監の治安状況報告で明らかにされた、検挙が犯罪の発生に追いつかないという都内の犯罪情勢を看過するわけにはいきません。発生した凶悪犯罪に迅速に対応し、犯人検挙に全力で取り組むとともに、警視庁の総力を挙げて凶悪化、組織化する犯罪の撲滅に臨み、緩みない戦いを続けていることは、十分評価するものであります。
 しかし、検挙が犯罪発生に追いつかないのが現実であるとするならば、当然の帰結として出される方針は、犯罪発生抑止策の強化ということになりますが、いかがでしょうか。
 私たちは、これまでもそうした観点から、都民生活に身近な警察活動の充実の必要性を機会あるごとに提言し、警視庁も、みずから地域に密着した警察活動を目標に掲げ、努力を重ねておられます。
 しかし、現状では、一一〇番には、猫の死骸が放置されている、ネズミが出た、軒下のハチの巣を何とかしてくれといったような、警察活動の範疇を超えた要請が枚挙にいとまがないほど入り、その対応に振り回されていると仄聞しています。さらには、例えば放置自転車の処理、不法駐車のトラブルなど、地域社会あるいはそれぞれの行政機関で対処すべき問題まで、交番や駐在所、所轄署に持ち込まれているとも聞いております。
 地域に密着した警察活動も、本来の警察活動の妨げになっては、かえって問題であります。各機関それぞれの役割分担を明確化し、その上で地域社会との協力関係の確立を急ぐべきだと思います。犯罪発生抑止の実を上げるための一方策として、あえて提言いたします。石原知事の犯罪発生抑止に対する見解を伺います。
 次に、来日外国人を中心とする国際組織犯罪について伺います。
 最近の頻発する来日外国人を中心とする国際組織犯罪は、結果として犯罪を犯したのではなく、凶悪、凶暴であろうとなかろうと、初めから犯罪という手段で金品を収奪しようと来日し、犯罪を犯しているとしか受けとめようがありません。
 先日、警視庁の協力を得て、実際に偽造旅券や偽造住民登録カードを見せていただきましたが、一見してそれを偽造と見破ることは不可能だと認識いたしました。警視庁の担当者によれば、一般の住民に限らず、普通の公務員や警察官でも難しいとのことでありました。このような精巧な偽造旅券等を使い、住民の日常生活に入り込み、犯罪の機会をねらっている者がどのくらい存在するのかを考えると、背筋が凍る思いがいたします。
 これら偽造旅券等を見破るには、市販されている紫外線ライト、いわゆるブラックライトを使えば容易にできるそうですが、それならば、すべての交番やパトカーに配置することはもちろんのこと、警ら中の警察官に所持させることも必要なのではないでしょうか。また、ハローワーク、日本語学校や外国人を雇用する機会のある事業者などにも、偽造旅券等の見分け方を周知、啓発することが大切かと思います。いずれにしても、多発、凶悪化する外国人犯罪の摘発と、その発生抑止に対しての万全の備えが必要であります。
 警視庁が一昨年九月に組織犯罪対策本部を立ち上げ、さらに本定例会に組織犯罪対策部を新設するための条例案を提出するなど、不退転の決意で来日外国人を中心とする国際組織犯罪の撲滅に取り組んでいることは承知しておりますが、あえて警視総監の決意を伺うものであります。
 以上で、都議会民主党を代表しての質問を終わりますが、答弁によっては再質問をさせていただきたいと思います。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 田中良議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、都民への責任についてでありますが、東京が抱える多くの懸案に対し、私は都政を預かる者として、今の時点における最良と思われる判断を下しているつもりでございます。
 外形標準課税も、上告審において東京都の主張が認められるよう、都議会のご支援のもと、全力を尽くして取り組んでいるところであり、この点については都民の皆様のご理解を得られるものと考えております。
 なお、私の進退については、先ほども申し上げたとおり、今定例会を含めて四年間の総括を私自身で厳密に行った上で、今定例会の最終日に表明したいと考えております。
 銀行外形課税についてでありますが、高裁判決では、銀行業に外形標準課税を導入したことなど、条例の基本部分を初め、そのほとんどについて都の主張が認められました。唯一、税負担の水準に関しての理解を得られませんでした。税率は、過去十五年間の平均税収額をもとに制定したものであり、国の考え方とも軌を一にしております。条例制定後の銀行の経営状況を勘案すべきとした判決には納得できません。したがって、課税の凍結など考えておらず、来年度も現行条例による課税を継続していくつもりでございます。
 次いで、道州制の導入に向けた取り組みでありますが、我が国は、明治の太政官制度以来の中央集権の仕組みが続いておりまして、税源移譲を行う地方分権などの構造改革は、かけ声だけで、遅々として進んでおりません。まさに百年河清を待つ状況にあります。
 一方、環境問題などの都道府県の区域を越える広域的課題は山積しておりまして、各地で起こっている道州制の議論も、こうしたことが背景にあると思われます。都としても手をこまねいているわけではなく、都市再生による首都圏再生や、ディーゼル車規制などの七都県市共同の実質的広域行政を行っておりまして、これによって国を動かし、成果を上げつつあると思っております。こうした首都圏の連携を強化していくことこそが、やがては道州制につながるものと考えております。
 七都県市共同の取り組みについてでありますが、地方税財政制度の改革については、これまでも七都県市首脳会議において協調した取り組みを行っております。
 東京都が事務局を務めた昨年の第四十三回七都県市首脳会議においても、国と地方の税源配分の抜本的見直しや、課税自主権の確立、三位一体の改革の実現などについて共同でアピールを行い、国に対して強く働きかけてまいりました。
 経済財政諮問会議においては、本年六月までに新たな基本方針を取りまとめ、その中で三位一体の改革に向けた手順を示すこととしております。今後ともその動きを注視しながら、七都県市の連携を深め、国を動かすための働きかけを強化したいと思っております。
 次いで、基礎的自治体をめぐる課題についてでありますが、地域のまちづくりや福祉など住民サービスの一層の向上が求められている今日、住民に身近な基礎的自治体である区市町村にこれまで以上に大きな役割を果たしてもらう必要があると思います。
 一方、東京のように社会経済活動が広域的、一体的に展開されている大都市においては、広域自治体である都の役割も大変大きいと思います。首都東京が国際協力を強化し、豊かな都市生活を享受できるよう、道路、港湾などのインフラ整備や、環境、産業などの生活基盤の整備を積極的に推進していく必要があると思います。
 お話の基礎的自治体のあり方は、まずは基礎的自治体みずからが考える問題でありますが、都としても、こうした大都市行政の観点も踏まえ、基礎的自治体の行財政制度のあり方について、課題を整理し、問題提起をする必要があると考えております。
 これまでの予算編成についてでありますが、私がこれまで四回の予算編成において最も重視してきたことは、危機に直面した都財政を立て直し、財政の構造改革を強力に進めること、また、日本の牽引車である東京の活力を再生することであります。繰り返して申しますが、再建団体に転落することで国が一方的に規制してくるナショナルミニマムを回避して、都独自の行政を行っていきたいと念願しております。
 このため、財政の再建については、税収の減少など都財政への逆風が続く中で、懸命な取り組みを行った結果、財政再建団体への転落を回避するとともに、財政再建推進プランの取り組みのうち、都の独力で対応可能な部分について目標額を確保するなど、着実に成果を上げたと思っております。
 同時に、東京の再生に向け、都市基盤の整備や都民の安心、安全の確保などの施策には、限られた財源を重点的、効率的に配分し、確実な実行を図ってまいったと思っております。
 十五年度予算についても、こうした姿勢で臨み、財政構造改革の取り組みをさらに強化する一方、東京が直面する課題に的確に対応するため、重点事業を初めとして、ソフト、ハードの両面にわたり、必要な施策を積極的に展開するものとなったと考えております。
 次いで、省エネルギー運動の展開でありますが、東京電力の不祥事がきっかけで、現在の電力需給状況は厳しくなっております。今後、春から夏にかけてさらに深刻化することも考えられ、大変憂慮しております。
 東京電力も国も、こうした状況に対して、いささか危機意識がまだ不足しているのではないかと思われます。
 事態は深刻でありますが、これを奇貨として、都市におけるエネルギーのあり方や地球温暖化について都民一人一人が考える契機としたいと思っております。
 都は、今後とも、できる限りの省エネに率先して取り組んでいくつもりであります。都民、事業者にも、身近なところから省エネに取り組みを強く呼びかけたいと思っております。まさにちりも積もれば山となるということが省エネの肝要だと思います。
 貸金業者にかかわる警視庁との連携についてでありますが、昨年六月の第二回定例会において、悪質な貸金業者を排除するため、登録業者について厳格な処分を行うと表明いたしました。これまで積極的に百四十四件の行政処分を実施しました。ちなみに内訳は、業務停止十三件、登録取り消し百三十一件。
 この四月からは貸金業対策室を設置し、取り締まりを強化したいと思っております。
 無登録業者などの犯罪行為についても、警視庁との連携が非常に重要で、引き続き連絡会議の開催や情報交換など、関係を強化していきたいと思っております。
 次いで、犯罪の発生抑止についてでありますが、これまで我が国では、家庭、学校、近隣社会などから成る地域コミュニティと警察の連携体制が防犯に大きな役割を果たしてまいりました。しかし、近年、規範意識の低下、近隣への無関心の増大、国際化の進展など、地域コミュニティの崩壊が進み、犯罪件数増加の大きな要因にもなっております。
 警視庁では、こうした現況に対し、組織の見直しや警察官の増員、外国人犯罪の重点的な取り締まりなどを進めておりますが、本来警察が関与しなくても解決できることについては、家庭や地域社会、行政がそれぞれの責任を果たすことが犯罪発生抑止の実を上げるために不可欠であると思います。こうした観点から、地域コミュニティと警察の連携関係を再構築していく必要があると思います。
 治安の回復に成功したニューヨークの事例や、現在検討を行っている防犯対策のため、有識者懇談会でのアイデアなどを参考にして、安心して生活できる東京の実現のために総合的な取り組みを進めてまいります。
 なお、他の質問については、警視総監、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監石川重明君登壇〕

○警視総監(石川重明君) 初めに、犯罪抑止対策についてお答えをいたします。
 多発する犯罪の初動対応に追われて余罪捜査に手が回らないといったようなことで、検挙が犯罪の発生に追いつかないという現状を踏まえますと、犯罪の発生そのものを抑止することが大変重要であるということはご指摘のとおりであります。
 このため、昨年十二月に警視庁本部に副総監を長といたします街頭・侵入犯罪抑止総合対策推進本部を、また、管下全警察署にも推進本部を設置をいたしまして、犯罪抑止のために効果的な諸対策を推進をしているところであります。
 この対策は、特に都民の皆様が身近に不安を感じるひったくりでありますとか、侵入強窃盗、性犯罪等を重点とするとともに、盛り場や住宅地など、街頭、侵入犯罪が多発している三十四の警察署をそれぞれの重点推進警察署に指定をいたしまして、本部と警察署が一体となって、防犯、検挙の両面から街頭警察活動の強化を図りつつ、犯罪検挙対策はもとより、少年非行防止対策、来日外国人犯罪対策等を総合的に実施をしていくというものであります。
 一例を挙げますと、既に一月に、ひったくりの多発をしております多摩地区において、暴走族等非行集団検挙解体本部を設置をいたしまして、都内のひったくり犯人の約六割を占めております少年の非行防止等の対策を強力に推進をしているところであります。
 また、この対策の推進に当たりましては、特に定期的にその効果を分析、検証するなど、地域の犯罪実態に即したものとなるように見直しを加えていきたいというふうに考えております。
 また、防犯面については、地域住民の方々や関係機関、団体のご協力に加えて、都民自身が防犯に対する意識を高めて行動をしていただくことも重要でありますことから、警視庁ホームページ、「広報けいしちょう」等に防犯に役立つ犯罪情報を積極的に提供してまいります。
 警視庁といたしましては、以上申し述べたように、組織の力を横断的に結集をいたしまして、犯罪発生の抑止対策を強力に推進することにより、都民の体感治安の向上に努めてまいる所存であります。
 次に、来日外国人を中心とする国際組織犯罪についてお答えをいたします。
 国際犯罪組織につきましては、資金獲得を目的として来日し、殺人はもとより、身の代金目的の誘拐や、個人の住居、エステ店等をねらった侵入緊縛強盗、通貨やクレジットカード等の偽造、さらには少年や主婦をも対象とした薬物の密売など、さまざまな犯罪を都内で引き起こしております。
 当庁では、入国管理局、税関等関係機関との連携に努めて、水際での検挙や突き上げ捜査を推進をしました結果、昨年は外国人犯罪について、件数、人員ともに過去十年間で最も多い一万三十五件、五千七百五十五人を検挙しております。しかしながら、来日外国人を中心とする国際犯罪組織は、昨年の検挙事例にも見られますように、暴力団と結託して犯罪を敢行する傾向を一段と強めておりまして、依然として都民の体感治安に悪影響を与えている実態にあります。
 警視庁といたしましては、本定例会でお願いしております組織犯罪対策部のもと、関係機関との一層の連携の強化を図りながら、国際組織犯罪について徹底した取り締まり活動に全力を傾注してまいる所存であります。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 都立高校改革に関します二点の質問にお答え申し上げます。
 まず、都立高校におけます評価結果の活用についてでございますが、学校が保護者や地域住民の意向を的確に把握しまして、学校運営に反映していくことは、都民から信頼される学校づくりを行う上で極めて重要でございます。
 学校運営連絡協議会における評価委員会では、生徒や保護者、教職員等を対象にアンケートを行いまして、学校評価を実施いたしております。校長は、その評価結果を踏まえまして、学校経営方針を策定し、学校運営の改善充実を図っております。
 こうした評価結果及び改善策につきましては、学校要覧やホームページに掲載するなどしまして、生徒や保護者を初め広く都民に公開し、開かれた学校づくりを推進しております。
 次に、都立高校の評価結果の公表と学校経営の反映についてですが、都立高校の教育の向上を図るため、都教育委員会は、平成十五年度に各学校の教育活動、その他の学校運営に関する評価方法の検討を進めまして、平成十六年度には全都立高校の学校経営診断書を作成する予定でございます。
 この学校経営診断書は、校長が策定します学校経営計画とその達成状況や、学校運営連絡協議会の外部評価などにより作成しまして、広く都民に公表してまいります。
 都教育委員会は、この学校経営診断書をもとに、自律的な改革に取り組み、成果が期待できる学校には重点的に支援を行う一方、改善の取り組みを促進させる必要がある学校には指導と助言を行い、校長に経営改善計画の策定を求めるなどして改善を図ってまいります。
   〔財務局長田原和道君登壇〕

○財務局長(田原和道君) 果実活用型基金についてのご質問にお答えを申し上げます。
 地域福祉振興基金など五つの果実活用型基金につきましては、近年の超低金利のため、基金の運用利子をもって事業を行うという仕組み自体が役割を終えております。このため、これらの基金が有する多額の元本を財源として有効に活用するため、今回取り崩し等を行うこととしたものでございます。
 このうち、地域福祉振興基金、中小企業振興基金、それから環境保全基金の三基金につきましては、条例の定めに従いまして、それぞれの設置目的に沿った事業に元本を直接充当することといたしました。
 一方、男女平等推進基金、それから国際平和文化交流基金の二基金につきましては、多額の元本を直接充当する事業がなく、廃止をいたしまして財政調整基金に統合することとしたものでございます。
   〔環境局長小池正臣君登壇〕

○環境局長(小池正臣君) 地域温暖化対策とディーゼル車規制についてのご質問にお答えいたします。
 まず、都における温暖化対策の検討についてでございますが、温暖化対策の検討に当たりましては、日本経団連を初め、経済界や企業との意見交換を精力的に実施しております。この中で、温暖化対策は重要であり、お互いに協力して取り組みたい、過去の省エネ努力を評価してほしいなどの意見が寄せられております。
 今後とも、意見交換を継続するとともに、そこで得られました貴重な意見を環境審議会での議論に反映させ、二酸化炭素の削減に向けた実効性ある制度づくりや、積極的に削減に取り組んだ事業所が評価される仕組みづくりなどに生かしてまいります。
 次に、クリーンなエネルギーを都民に実感してもらうための風力発電施設等の活用についてでございますが、中央防波堤内側の風力発電施設は、大都市部では初めての施設であり、東京における再生可能エネルギーの利用拡大の象徴として位置づけ、建設を進めております。
 また、有明地区では水素供給ステーションを建設中であり、ここを拠点に試行する燃料電池バスの路線運行は、公共交通機関での水素エネルギーの利用に道を開くものでございます。
 都といたしましては、臨海部に位置するこれらの施設等を活用し、二十一世紀の新しい技術を都民に体験していただくなど、再生可能エネルギー普及拡大の起爆剤としてまいりたいと考えております。
 次に、ヒートアイランド対策についてでございますが、ヒートアイランド現象を緩和するためには、地域の熱環境の実態に即した対策をきめ細かく積み上げていくことが重要であります。
 このため、都では、昨年夏、区部を中心とした百二十カ所に温湿度等を計測するヒートアイランド観測網を整備し、得られたデータをもとに実態や原因の解析、より詳細な地域レベルでの熱環境の分析などに取り組んでおります。
 今後、都はそれらの知見を十分生かし、地域特性に応じた効果的な対策を検討し、全庁を挙げてヒートアイランド対策を推進してまいります。
 次に、ディーゼル車規制にかかわる自動車メーカー等への働きかけについてでございますが、この二月六日にディーゼル車メーカー七社に対し、自動車メーカーとしての社会的責任を踏まえ、事業者の負担軽減に特段の配慮を行い、ディーゼル車の買いかえ促進を図るように強く要請いたしました。
 これに対し、メーカー各社から、全面的に協力するとの積極的な回答を得るとともに、今後の具体的な取り組みについて定期的に協議していくこととなりました。
 都は、こうした場を活用するなど、引き続きメーカーやディーラーに強く働きかけてまいります。
 最後に、粒子状物質減少装置の装着にかかわる事業者負担の軽減を図るための工夫についてでございますが、本年一月より、補助金請求手続におきまして運用面での簡素化を図りました。このことにより、補助金交付までの期間が短縮され、事業者の資金繰りの改善の一助となったと考えております。
 事業者が厳しい経営環境の中にあることは十分認識しておりますので、今後とも補助金手続の改善につきまして検討してまいります。
   〔都市計画局長勝田三良君登壇〕

○都市計画局長(勝田三良君) 都市づくりに関する五点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、都市づくりの基本理念等についてでございますが、都市計画審議会の答申を踏まえて、平成十三年十月に策定をいたしました東京の新しい都市づくりビジョンでは、多様な主体の参加と連携による政策誘導型の都市づくりの推進を基本理念の一つとして掲げ、そうした取り組みを実現するため、条例によって都独自の制度を創設することが必要であるとしております。
 このビジョンで示した基本理念を具体化するため、都民等の意欲と創意工夫を生かしたまちづくりを推進する、東京のしゃれた街並みづくり推進条例を本定例会に提案させていただいたものでございます。
 次に、街区再編まちづくり制度の活用促進についてでございますが、本制度は、密集市街地の整備のほか、統廃合された学校敷地などの低未利用地と、その周辺との一体的な開発による再編整備についても適用対象としております。
 そのため、こうした低未利用地の公有地等を活用いたしまして、周辺市街地を含むまちづくりを進めることが効果的と考えられる場合には、関係区市町村などの意見も踏まえながら、街区再編まちづくりのモデル的な事業として、その推進に積極的に取り組んでまいります。
 次に、街並み景観づくり制度の活用についてでございますが、東京には歴史的、文化的な街並みなどさまざまな顔を持った地域があり、それぞれの特性に応じた街並み景観づくりに取り組む必要があると考えます。
 この制度は、都民等の意欲と創意工夫を生かしながら、個性豊かで魅力のある街並みづくりを推進しようとするものでございまして、地域住民等が街並みに関するルールを主体的に定めて運用する取り組みに対しまして、実効性を確保するため、都が専門知識を有する街並みデザイナーを派遣するなど、地域の活動を支援するものでございます。
 この運用に当たりましては、地域の特性に応じた柔軟な対応を行い、魅力ある街並み景観の形成に努めてまいります。
 次に、NPOに対する支援についてでございますが、本条例のまちづくり団体の登録制度は、特定非営利活動促進法に定めますNPO法人のみならず、中間法人、その他の法人も登録の対象に加えるなど、多様な団体を対象とする仕組みとしております。
 また、まちづくり団体の活動につきましても、現在対象としております街並み景観づくり活動に限らず、対象となる活動を拡大できる仕組みとしております。
 最後に、まちづくり団体との連携についてでございますが、専門的なノウハウを有するNPOなどのまちづくり団体が地域と連携をいたしまして、地権者等の意向の集約や都市計画の素案の作成に参加することは、街区再編まちづくりを推進する上で効果的であると考えております。
 このため、本条例では、都市計画法の要件に満たない小さな規模の共同建てかえ等につきましても、NPOなどのまちづくり法人が土地所有者等の三分の二以上の同意を得て、条例に基づく都市計画の提案等を行うことができることとしております。
 こうした仕組みを活用いたしまして、まちづくり団体との連携による個性豊かで魅力のあるまちづくり活動を促進してまいります。
   〔産業労働局長有手勉君登壇〕

○産業労働局長(有手勉君) 中小企業対策など六問のご質問にお答えいたします。
 まず、金融機関の地域経済における役割と今後の都の取り組みについてでございますが、金融機関は、地域経済を支えている中小企業などに必要な資金を供給し、生産と消費を拡大させるとともに、起業、創業などを促す、こういった重要な役割を担っていると考えております。
 一方、その役割を果たさせるための金融機関への指導監督につきましては、法律上、原則として国の権限となっておることはご承知のとおりでございますが、国はその役割を十分果たしていないと認識しております。
 都としては、今後も、直接金融の拡充、過去最大の融資目標額を設定した制度融資などにより、中小企業の資金調達を積極的に支援してまいります。
 次に、新たな視点からの資金供給方策についてでございますが、厳しい経済情勢が続く中で、資金繰りに悩む中小企業への円滑な資金供給は、極めて重要な課題でございます。
 都は、これまでも中小企業の置かれた状況に即して、常に新たな視点から金融対策を進めてまいりました。制度融資においては、返済負担を軽減する借りかえ融資や、資金需要に即応するつなぎ融資を実施するなど、迅速かつ的確に対応してまいりました。
 また、担保不足から融資を受けることが困難な企業も資金調達が可能となるように、売り掛け債権担保融資の普及に努めるとともに、CLO、CBOの発行など、資金供給方策の多様化を図っているところでございます。
 次に、貸金業者の登録手続の改善についてでございます。
 ご指摘の貸金業者の登録は、一定の事由に該当しなければ登録を拒否できない制度になっております。
 そこで、都は、平成十三年及び十四年の七月に、国に対しまして貸金業規制法の改正を提案要求してまいりました。また、現行法のもとでも、不正な登録を排除するためにいろいろ工夫しまして、既に申請書類に営業所の所在地図、平面見取り図などを添付させて、また、必要に応じて現地確認調査も行っているところでございます。
 ご提案がありました登録申請書などの際の写真を張る方法などにつきましては、効果的な改善策として今後検討してまいります。また、登録手数料につきましては、今後とも原価計算を行い、適切に対処してまいります。
 次に、新・元気を出せ商店街事業と区市町村のまちづくり施策との連携についてでございますが、都は、商店街を地域活性化やまちづくりに欠かせない存在と位置づけまして、区市町村に対して、この視点から商店街振興プランの作成を要請してまいりました。このプランに基づきまして、商店街が新・元気を出せ商店街事業に取り組むことができるように、都はこの事業をハード、ソフト、イベント事業一体のものとして再構築したところでございます。
 今後とも、この事業によりまして、区市町村と連携して、意欲のある商店街の多種多様な取り組みを積極的に支援してまいります。
 次に、商店街の核となる個店についてのお尋ねでございますが、都や中小企業庁の商店街実態調査報告書では、商店街が今後取り組む必要がある事業といたしまして、個店の改善、活性化が上位に挙げられており、個店対策への期待が高まっております。
 輝け店舗支援事業は、商店街全体を対象とした施策とは異なりまして、魅力ある個店が商店街全体を活性化していくという発想から取り組むものでございます。
 具体的には、高齢者に対する地域に合った独自の宅配サービスをやるとか、環境に配慮した商品の企画や販売など、個々の商店みずからのアイデアや創意工夫を凝らした取り組みを積極的に支援いたしまして、商店街全体の振興に結びつけたいと考えております。
 最後に、商売を始めたいという人への支援についてでございますが、商店街の活性化には、意欲的な商店経営者を育成していくことが肝要でございまして、商店経営に新たに取り組もうとする人に対して、啓発から資金調達まで幅の広い支援が必要でございます。
 このため、TOKYO起業塾によるセミナーの開催、総合相談窓口における専門家によるアドバイス、さらには制度融資における創業支援融資など、多方面から商店経営の新規参入支援策を講じてまいりました。
 今後は、これらの施策に加えまして、従前の空き店舗活用推進事業も取り込みました新・元気を出せ商店街事業も活用いたしまして、商店街を支える人づくりに取り組んでまいります。
   〔福祉局長川崎裕康君登壇〕

○福祉局長(川崎裕康君) 障害者福祉に関します三点のご質問にお答えいたします。
 まず、障害者施設のあり方についてでございますが、都は、TOKYO福祉改革STEP2に基づき、希望する障害者が地域で自立した生活を送れるよう、施策を強力に推進しており、豊富な人材やノウハウを持つ入所施設を地域生活を支えるサービス資源として活用することは、重要な課題であると認識をしております。
 このため、都は、障害者地域生活支援緊急三カ年プランにおいて、入所施設の地域生活支援機能を強化し、自活訓練事業や生活寮支援、デイサービス事業などの充実を図ることといたしました。
 今後とも、地域居住の場などの拡充とあわせ、入所施設の地域生活支援機能の強化を図ってまいります。
 次に、地域福祉推進事業についてでありますが、障害者が地域で安心して自立した生活を送るためには、地域の多様な供給主体によるきめ細かなサービスの提供が必要であります。
 このため、家事援助、食事、移送サービスなど地域に密着した事業を展開している、障害者の団体やNPO法人など多様な民間団体に対して、都は、区市町村を通じて、地域福祉推進事業により支援をしてまいりました。
 今後とも、地域福祉推進の主体である区市町村が、創意工夫を凝らして、地域の実情に応じた必要なサービスの提供に取り組めるよう、積極的に支援してまいります。
 次に、生活寮を運営するNPO法人に対する支援についてであります。
 都は、平成十三年一月より、生活寮の運営主体として、NPO法人にも門戸を開き、平成十五年一月末現在では、十六法人が二十の寮を運営しております。
 NPOなどの法人が生活寮を立ち上げるに当たっては、障害者地域生活支援緊急三カ年プランにより、施設整備費について特別助成を行い、設置時の負担を軽減するとともに、運営費補助についても増額し、生活寮運営の安定化を図ることといたしました。
 今後とも、こうした支援策により、生活寮の運営主体の多様化と設置促進を図ってまいります。
   〔百二十三番田中良君登壇〕

○百二十三番(田中良君) それでは、再質問をさせていただきたいと思います。
 きょうは、知事の進退についていろいろと質問が出ているようでありますけれども、私は、知事が次期都知事選に出馬するとか、しないとか、そういうことで申し上げているのではありません。
 銀行税は、結果として敗訴した場合、財政再建プランの達成が極めて困難になるということもあります。都財政は一転して深刻な危機に陥る。その上、都民の血税から多額の還付加算金を銀行に支払わなければならない、こういう状況になっております。
 そして、その結果責任というのは、知事とともに私たち議会も、これは負わなければならないわけです。当然そのことから私たちは逃げられませんし、逃げられるものではありません。私たちが知事から上告の同意を求められ、応じたということは、そのことに対して私たちが結果責任を負わなければならない、負うんだという決意と覚悟を同時に意味することになります。
 そもそも振り返ってみれば、この銀行税というのは、知事の強力なリーダーシップのもとに、秘密裏に準備をされ、そして発表されたものであります。知事の任期中に最も重要な会見になるだろうという切り出しで発表されたものでありまして、まさに石原課税といわれるゆえんであります。
 銀行側が裁判に訴えるということも早くからいわれておりましたし、そのことに対しては、都議会の審議の中で自信満々の答弁を行っていらっしゃったわけであります。それが今、現実問題として、一審に続き二審が敗訴になった。そして今回、上告を決定したということでありますけれども、それは同時に、都政に大きなリスクと重い責任というものを負わせるということになるわけであります。
 それならば、それに臨むみずからの決意と覚悟というものを、この議会に上告の同意を求める際に、同時に伝えるというのが、私は筋ではなかろうかということを申し上げているんです。ありていにいえば、まず知事が、どのような結果になっても先頭に立って泥をかぶるんだということをきちっと示した上で、私たち議会にボールを投げる、これがあるべき筋ではないか、こう申し上げているわけであります。
 しかし、敗訴の判決が出た、その当日の記者会見の同じ中で、みずからの進退を三月七日に表明ということをおっしゃったわけであります。つまり、この発言というのは、上告をするということで都政が背負うことになる大きなリスクや、自身の重い責任と、みずからの進退を全く切り離して扱っているという点で、私たちは納得がいかないということであります。
 知事と議会は、車の両輪ということをよくいわれますし、知事もそう述べられていたわけですけれども、一連のこの進退をめぐる経過というのは、本気で知事が議会と執行機関というものを車の両輪としてとらえているのかどうか、それが疑わしいという疑念を私たちに抱かせたということではないだろうかと思います。
 再度知事の答弁を求めて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。どうぞ誠意あるご答弁をよろしくお願いいたします。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) お答えいたします。
 財政再建も、そのための新税の設置も、これはすべて都の行政の一部であります。一部でしかありません。銀行の外形標準課税は、決して私一人の独断で行ったものでありません。私の出した宿題に各局が答えてきた中で、主税局の発案を是として私が取り上げ、そして形としては、都全体のチームワークで行ったものでありまして、そして、その行政の最高責任者は知事である私であります。ゆえにも、都の行政は、これ一つだけで決してありませんで、他の多くの部局があるように、いろんな案件が複合し、重層して、行政として成り立っているわけでありまして、その全責任は最終的に私にございます。
 でありますから、私は、この定例議会も含めて、私自身が責任者として担当してきたこの四年間を、自分で厳密に総括し、そしてその上で、それでなければ十全な責任が履行できないと思うから、私は出処進退について、この会期の最後に要するに表明すると申し上げた。これは私の信念であります。いささか行政に関する考え方に違いがあるようでありますけど、どうぞひとつご認識願いたいのは、これもまた、この銀行課税もまた、都のやっている行政の一部でしかありません。

○副議長(橋本辰二郎君) この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後六時十分休憩

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