平成十五年東京都議会会議録第二号

午後三時二十一分開議

○副議長(橋本辰二郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百七番石井義修君。
   〔百七番石井義修君登壇〕

○百七番(石井義修君) 都議会公明党を代表し、質問いたします。
 初めに、私たちの同僚であります曽雌久義議員の逝去に当たり、石原知事を初め執行機関の皆様、そして、三田議長を初め都議会各会派の皆様から真心のご会葬をいただきました。さらに、自由民主党の松原忠義議員から心温まる追悼のお言葉をいただきました。心から厚く感謝と御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
 まず初めに、財政問題について伺います。
 平成十五年度予算原案は、都税収入の減少のために、財政規模は対前年比三・〇%減の五兆七千二百九十五億円となりました。知事は施政方針の中で、都税収入が八年ぶりに四兆円を下回る見込みで、都財政を取り巻く環境は一段と悪化したが、濃淡をつけて財源を配分し、緊急課題、重点課題に集中的に対応したと述べております。
 私たち公明党は、基本的に知事のこの方針に賛成であります。予算案を点検すると、目下の最大課題である中小企業対策では、制度融資の拡充に手厚く予算を配分し、あわせて都市再生や雇用対策、ディーゼル規制に対する助成と補助の拡大を盛り込んでおります。さらに、都民の安心の拠点であるべき保健と福祉分野の構成比が前年を上回る一二・四%となり、認証保育所の整備や障害者地域生活支援緊急三カ年プラン、痴呆性高齢者グループホーム整備など、福祉施策の着実な推進が図られたことは評価いたします。
 一方、本年は知事の最終任期の年であり、それはまた、財政再建推進プランの最終年度でもあります。振り返ってみれば、この四年間は、厳しさを増す財政環境と格闘し、毎年、税収不足を補うための財源対策や歳出削減に知恵を尽くし、手を尽くす、必死の作業の連続でありました。
 その結果、財政再建推進プランの達成率は、税財政制度の改善以外すべて目標をクリアし、行革にも十分な成果を上げました。十五年度一千四十人の削減で、合計五千八百七十五人に上る定数削減、三百二十五億円の給与関係費の削減、起債を厳しく抑制して、四〇%を超える国や他の自治体をはるかに下回る七・六%の起債依存度の維持など、評価されるべきであります。
 しかし、問題は、厳しい環境は依然として続き、都財政の先行きはいまだ予断を許さないことにあります。
 さて、企業や民間とは全く性格が異なるとはいえ、東京都の予算は、特別会計、公営企業会計を合わせると十二兆三千八百億円規模の財政を展開し、減少したとはいえ、六千二百億円の投資的経費を持つ予算であります。この予算執行によって、今日の最大の課題である景気や雇用へはどう波及するのか、都民生活にどう潤いをもたらすのか、その波及効果など、予算の事後評価が求められる時代になりました。
 したがって、財政当局は、こうした観点から事後評価を予測、計量して、予算の編成、執行に当たるべきであると考えますが、所見を伺います。
 また、あわせて財政再建推進プランはおおむね達成されたとはいえ、財政の先行きは不透明であり、政府の経済見通しでも実質成長率〇・六%、民間ではマイナス成長を見込んでいます。したがって、都税収入の減少傾向に歯どめがかかることは期待薄であり、引き続き緊張した財政運営を強いられます。新たな財政計画あるいは新財政再建プランが不可欠であり、策定を急ぐべきであります。所見を伺います。
 また、予算編成作業に関連して、かねてから公明党が主張し、知事も提唱していた会計処理への複式簿記、発生主義会計を導入する公会計制度改革の推進が重要であります。今のところ、平成十八年度に実施とされていますが、今後の課題及び実施までの具体的スケジュールを伺います。
 次に、外形標準課税訴訟について伺います。
 さきの控訴審判決は、東京都敗訴という残念な結果となりました。
 都は、一審判決後、訴訟の取り組み体制を大幅に強化し、地方税の企画立案に携わった自治省関係者等に条例の適法性を裏づける意見書を裁判所に提出してもらうなど、総力を挙げて取り組んでまいりました。その結果、控訴審において、条例の大宗部分について都の主張が認められた点は評価いたします。
 銀行業等に対する外形標準課税は、都議会においても議論を積み重ね、成立したものであり、憲法で保障された地方自治体の正当な課税自主権の行使であります。地方分権を確立するためにも、この裁判は何としても勝ち抜かなければなりません。
 上告審においては、控訴審で指摘された税負担の問題について、都の主張の正当性をより論理的、実証的に明らかにすることが重要であります。知事を先頭に、さらに万全の体制で取り組んでいく必要があると考えますが、改めて逆転勝訴に向けた知事の決意を伺います。
 次に、中小企業対策について伺います。
 私たち公明党は、昨年の第三回定例会において、年末に向けて積極的な金融支援策を打ち出すことを主張し、これを受けて、都が昨年十月に年末金融対策を実施したことを高く評価するものであります。中でも、複数ある借入金をまとめ、毎月の返済負担の軽減を図る企業活性資金融資、いわゆる借りかえ融資は、資金繰りに苦しむ中小企業から大きな期待が寄せられてまいりました。
 しかし、現場の声に耳を傾けてみますと、この制度を使って債務の一本化を試みたものの、繰り上げ返済を受ける金融機関が同意を渋り、借りかえができなかった事例もあります。制度ができたにもかかわらず、金融機関側の消極姿勢で利用できないのであれば、問題であります。都は金融機関に対し、借りかえに協力するよう強く申し入れを行うべきであります。見解を伺います。
 また、企業再生への取り組みも重要であります。
 国は経済の活性化を図るため、産業再生機構を設置するとともに、中小企業再生協議会を全国に創設することになりました。しかし、肝心なのは地域の実情に応じた仕組みであります。東京と地方とでは中小企業の実態は異なり、全国一律の仕組みでは十分な効果は期待できません。中小企業再生協議会を初めとする国の制度が、都の実態に合わずに機能しないことのないよう、財政的な支援も含めて、国に対し強く働きかけを行うべきであると考えますが、見解を伺います。
 次に、商店街振興について伺います。
 これまで商店街振興に欠けていた視点は、主役である商人を養成する仕組みと、それを引き立てる店づくりへの支援策であります。
 公明党は、これまで、個店対策や人材育成にも支援の輪を広げるべきと主張してまいりました。その結果、新・元気を出せ商店街事業、輝け店舗支援事業、そして、進め若手商人育成事業という三つの事業で、商店街振興の総合対策が再構築されたことを評価いたします。
 この三事業は互いに関連し、いわば三位一体の商店街振興事業であります。各事業の効果を高めるためにも、これら三つの事業は総合的に実施されるべきであると考えます。見解を伺います。
 また、今年度まで実施されてきた元気を出せ商店街事業は、一過性のイベント支援事業ではないかと、その効果が疑問視されましたが、毎年事業を積み重ねる中で、今や認識度が高く、最も利用されている商店街支援事業に成長したのであります。
 しかし、一方で、輝け店舗支援事業と進め若手商人育成事業は、今のところ一年限りの単年度事業となっております。これでは、三事業による総合効果に疑問を持たざるを得ません。三位一体の商店街振興事業として、継続的な事業となるよう努めるべきであります。所見を伺います。
 また、商店街振興策の核となるのが次代を担う若手経営者の育成であります。したがって、若手商人育成事業に当たっては、事業経営はもちろんのこと、多様な分野で活躍するプロフェッショナルを招いて研究会を実施したり、パネルディスカッションを開催するなど、多彩なメニューを用意して事業展開に当たるべきであります。見解を伺います。
 次に、知的財産権である特許権の評価システムの構築について伺います。
 国も都も挙げて新規事業の創出、事業転換による雇用の創出を喧伝していますが、現実に新規事業者が、あるいは事業転換を図る事業者が金融機関を訪れると、担保としての不動産もしくは保証人、さらに一期分の黒字決算書と事業実績が要求され、特許権など知的財産は全く顧みられず、評価基準さえないのであります。
 アメリカは、我が国に先立ってバブル経済崩壊の洗礼を受けましたが、IT産業の台頭、ベンチャー企業の興隆によって立ち直りを見せました。そして、その原資となったのが知的財産である特許権でありました。資産評価専門会社が設置され、特許権の価格評価を行い、それをもとにベンチャーキャピタル及び個人投資家が投資を行って、アメリカ経済は立ち直ったのであります。
 アメリカの景気は、今またITバブルの崩壊によって傾いていますが、特許権の価格評価と投資のシステムは残り、ヒトゲノム、バイオテクノロジー等の産業に生かされているのであります。
 我が国では、経済産業省が研究会を立ち上げるなど、特許権の価格システムの必要性は認めながらも、現実の問題として、今日まで何一つ具体化されていないのであります。国がやらないのなら、ぜひとも東京都として、東京の中小企業のために、全国に先駆けて特許権の価格評価システムの構築を検討すべきであります。
 本年、産業労働局は知的財産活用本部の設置を発表しておりますが、その具体的実践組織を、東京都中小企業振興公社の中に設置することを検討すべきであります。特許技術を証券化し、マーケットで直接投資を受けられるアメリカに比べ、日本はまだおくれております。この一点を突破しなければ、日本は世界の孤児となってしまうのであります。中小企業再生に命をかける知事の見解を伺います。
 次に、雇用対策について伺います。
 今日の厳しい雇用情勢に的確に対処していくには、地域の実情に応じたきめ細かな雇用・就業対策を講じる必要があり、都や区市町村こそ職業紹介事業を実施できるよう法整備を行う必要があります。そこで伺います。
 第一に、公明党は、昨年十二月三日に坂口厚生労働大臣に直接要望したところでありますが、無料職業紹介権に関する現在の国の動向について、都の認識を伺います。
 第二に、この無料職業紹介権が地方公共団体に付与された場合、国と地方の二重行政とならない工夫が必要となってきます。そこで、都においては、大都市の持つ特性に対応し、例えば就職が困難な若者やリストラにより企業を離職した中高年齢者に対し、学校や産業界と連携し、雇用の確保を進める都独自の施策の構築に着手すべきであります。見解を伺います。
 第三に、現在、地方自治体に無料職業紹介権がないとはいえ、特に再就職が困難な中高年離職者に対する雇用の確保のため、都は別の角度から雇用対策を講じる必要があります。所見を伺います。
 第四に、地方自治体に職業紹介権のない中で、有効な雇用創出事業として、緊急地域雇用創出特別交付金についての補正予算が国会で成立しました。この特別交付金に対する都の取り組みを伺います。
 第五に、失業中の中高年世代へのケアの問題であります。
 失業を余儀なくされ、本人の懸命な努力と意欲にもかかわらず、雇用の機会を得ることができない中高年の方々の苦衷と悲哀は言語に絶するものがあります。とりわけ社会復帰と蘇生へのよすがとなるべきハローワークの相談窓口で、職員の罵倒にも似た、心ない言辞を浴びて、思い詰めて自殺まで考えたなどという話を聞くにつけ、胸が締めつけられる思いがいたします。
 そこで、私は、こうした中高年世代の失業者に対する精神的ケアを含めた相談事業の実施など、新たな環境整備を図るべきであると考えます。所見を伺います。
 次に、貸金業対策について伺います。
 警察庁の発表によれば、昨年一年間に全国の警察が摘発したやみ金融事件は、一昨年より一三%多い二百三十八件に上り、被害者数は五三%増の十二万二千百十五人と、初めて十万人を超え、このうち暴力団が関与した事件も二七%を占めていたことが判明をいたしました。
 法定の上限金利を上回る金利で貸し付ける高金利事件の被害者数は全体の九八%を占め、被害額は百四十四億四千四百十二万円、さらに、高金利事件の約半数は、業者が貸金業規制法で定められた都道府県への登録をしていない無登録営業で摘発されております。
 都は、公明党の提案を受け、貸金業者に対する指導監督については、昨年四月に担当職員をふやすなど体制を強化し、また、石原知事は昨年の第二回定例会において、かつてない規模で厳正な行政処分を実施すると明言をされました。悪質な貸金業者に対して断固たる対応をとるべきであります。都の実績と、今後の取り組みについて伺います。
 次に、震災対策について伺います。
 二〇〇一年に、大規模地震対策特別措置法によって東海地震の震源域の見直しが行われ、さらに昨年七月には、東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法が施行され、新たな防災対策の推進が図られようとしております。
 一方、マグニチュード八クラスの東海地震は、遅くとも二〇〇五年までに発生する可能性が高く、二〇三五年以降に南海地震が発生した場合は、マグニチュード八・四になると推定する説もあります。
 さらに、東海、東南海、南海の三つの地震が同時に発生すると、茨城県と新潟県を結ぶ線以西の九州に至る全都道府県では、震度五弱以上になると予想されております。その結果、関東以西の太平洋沿岸の多くが津波によって陸の孤島と化し、道路、橋梁、鉄道が寸断されるだけでなく、飛行場の事故や原子力発電所の損傷による災害など、さまざまな二次災害を引き起こす、いわゆるスーパー広域災害となる可能性があると指摘されています。
 京都大学防災研究所の河田教授は、日本が直面する最大の危機、スーパー広域災害への備えを急ぐべきだと警告を発しており、また、東京大学の溝上教授は、中部、近畿においては、東海地震に対するよりもワンランク高いレベルの防災対策を講じるべきだとしております。
 したがって、まず国に対しては、改めて全国単位の防災対策の体系化と内容の充実を強く求め、都においては、スーパー広域災害対策の検討を開始すべきであります。知事の所見を伺います。
 次に、基幹的広域防災拠点の整備について伺います。
 昨年十二月二十六日、首都圏広域防災拠点整備協議会において、東京湾臨海部における基幹的広域防災拠点の整備着手が決定されました。その結果、有明の丘は、平時には広域支援部隊の合同訓練や研修などを行い、有事の際は、国と地方の合同現地対策本部として、支援部隊のベースキャンプ、災害医療の支援基地となります。
 国は、拠点については公園事業の手法で整備するとしておりますが、災害時に十分な機能を発揮するためには、できるだけオープンスペースを確保し、災害時の多様な活動に対応できるようにすべきであります。国への提案を含め、所見を伺います。
 第二に、臨海副都心全体で、有明の丘の防災機能をバックアップできる体制の整備が必要であります。例えば、ビッグサイトやテレコムセンター、あるいはセンタープロムナードなどを活用した有明の丘バックアップシステムの構築や、各施設の役割分担をあらかじめ明確にし、実効性ある体制づくりを行うべきであります。所見を伺います。
 第三は、大規模災害時には、有明の丘の合同現地対策本部は、政府や七都県市並びに防災関係機関による被災地支援の中核となり、応急対策の牽引役を果たさなければなりません。有明の丘の合同現地対策本部が円滑な広域オペレーションを行うためには、国と七都県市間の連携を一層強固なものとし、必要なシステムを整備しなければなりません。所見を伺います。
 第四は、有明の丘自体の安全性の問題であります。
 八年前、阪神・淡路大震災では、埋立地のポートアイランドの液状化によって橋梁は断絶し、岸壁は崩れ、ポートアイランドの市民病院も全く使えなかったことは記憶に新しいところであります。
 ポートアイランドは六甲山の良質な土砂、岩石で埋め立てられたのに比べ、東京湾臨海部はさまざまな廃棄物によって埋め立てられた経緯があります。臨海副都心地域では共同溝など液状化対策を講じてきたことは承知しておりますが、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、バックアップ機能を備えた基幹的広域防災拠点とするために、さらなる液状化対策などの安全対策を講じるべきであります。
 また、東京湾岸地域には、横浜市から千葉県の君津に至るまで、八千四百基の危険物タンクがひしめいております。これらのタンクの危険物が流出した場合、有明の丘地区の安全性が脅かされると指摘する学者もおります。有明の丘地区を有効な防災拠点として整備するためには、液状化対策とともに、東京湾岸に散在する危険物貯蔵タンク等についての安全対策も不可欠であります。所見を伺います。
 次に、福祉対策について伺います。
 家庭的養護の充実に対する取り組みが進む中、知事が昨年訪問された八王子の養育家庭、坂本さんの著書が最近出版されました。この本の中では、著者が社会の偏見と戦いながら、十人の子どもたちと実の親以上のかたいきずなで結ばれ、成長してきた記録がつづられており、私も強い感銘を受けました。
 そこで、まず第一に、知事の養育家庭に対する認識を伺います。
 次に、養育家庭制度を再構築して一年が経過いたしましたが、この一年間の実績と、そこで明らかになった課題を踏まえ、養育家庭制度をより多くの都民が参加できるよう拡充すべきであると考えます。所見を伺います。
 養育家庭が預かる子どもは、ほとんどが精神的な傷を負っています。そのために、養育に当たってはさまざまな困難があり、助言が必要なケースも数多くあります。養育家庭の専門性を高めるとともに、手当の増額など、養育家庭を支える仕組みを整備することが必要と考えます。所見を伺います。
 続いて、障害者福祉について伺います。
 支援費制度導入まで、あと二カ月を切りました。障害者自身がサービスを選び、事業者と契約する制度になりますが、障害者とその家族は、自分が希望するサービスを本当に受けられるのだろうかといった不安を抱えています。
 障害者の不安は、第一に、ホームヘルプサービスの利用者負担についてであります。
 措置制度のもとでは、都独自の基準により、比較的所得の低い人は無料となっていますが、支援費制度に移行すると、多くの人が有料になると心配しております。ホームヘルプサービスは障害者が地域で自立した生活を送る上で必要不可欠であり、都独自の措置を講じてでも、低所得の人には無料制度を継続すべきと考えます。所見を伺います。
 また、障害者施設に対する都の民間社会福祉施設サービス推進費補助についてでありますが、この補助制度は、国基準である措置費を前提として、その上乗せ補助という形で実施されています。
 来年度から支援費に移行することにより、この補助制度を見直す必要があるのは理解できます。しかし、現時点においても支援費の単価など詳細が定まっていないことから、来年度は経過的措置を行うべきであると考えます。所見を伺います。
 福祉関連の最後に、生前の曽雌議員が実現を求めていた三宅島介護保険料についてであります。
 全島避難の長期化という厳しい状況のもとで、特別養護老人ホームへの入所者の大幅な増加や保険料収納率の低下などにより、来期の保険料には月額五千円を超える大幅な上昇が見込まれております。
 三宅村においては、間もなく来期の保険料設定について、条例提案のタイムリミットが迫っております。そこで、せめて近隣の島しょ並みの保険料となるよう、都は国と協調して財政支援を行う必要があります。今は亡き曽雌議員に明快な答弁をお願いいたします。
 次に、都立病院改革について伺います。
 都は本年一月に、都立病院改革実行プログラムを策定、そこでは、都と区市町村との役割分担に基づく都立病院の役割が示されています。それによれば、都立病院は高水準で専門性の高い行政的医療を提供するとしており、そのために、医療機能の集約化とネットワークの強化、医療情報提供の拡充、質の高い医療サービスの提供などを打ち出しています。
 都立病院改革は、医療改革の基本コンセプトを具体化するものでなければなりません。今回の実行プログラムでは、どの点が、開かれた医療、安心した医療につながるのか、所見を伺います。
 ところで、本プログラムにおいて、現在の都立病院のうち、大久保病院、多摩老人医療センター及び荏原病院は、その医療圏において大学病院などで高度医療が充足しているとの理由で、運営を財団法人東京都保健医療公社に移管するとされています。
 この都立病院の公社病院化に対しては、一部都民から、公社病院になると利用しにくくなる、医療機能が縮小され、サービス低下につながるなどの不安の声が上がっております。都立病院が公社に移管されることにより、提供する医療の質やサービスが低下しては、安心できる医療に逆行します。断じてそうあってはならないと考えます。所見を伺います。
 また、大久保病院は、公社移管まであと一年余りとなっていますが、公社への移管に向けた検討に当たり、地元の声を最大限に尊重することが必要であります。所見を伺います。
 次に、公明党はこれまで、女性専用外来を初めとする専門外来の拡充を強く求めてまいりました。女性専用外来を初めとする専門外来は、都立病院だけのものではありません。むしろ、地域病院と位置づけられる公社化病院にこそ必要であります。
 そこで、公社へ移管する都立病院においても、女性専用外来など専門外来の設置を検討していくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、東京北社会保険病院の問題について伺います。
 この問題は、昭和六十一年の国立病院再編計画に端を発しますが、この中で国は、北区にある国立王子病院を国立立川病院と統合し、新たに国立災害医療センターとして整備することとしました。
 この再編によって、王子病院が担ってきた北区の地域医療に空白が生じかねないことから、地元区は医療の確保について国に強く要望。その結果、社会保険庁が、社会保険都南総合病院を移転する形で王子病院を継承することが決まり、この四月、二百八十床の東京北社会保険病院として開院する運びとなりました。
 ところが、国は、昨年十二月末、医療保険制度の運営効率化を図るため、社会保険病院の全国社会保険協会連合会への一括委託方式を終了し、公益性の高い法人への経営委託に切りかえるという方針を決定。そのため、東京北社会保険病院は、開院を目前に急遽新たな委託先を選定することとなり、四月の開院が危ぶまれております。東京北社会保険病院の開院に期待を寄せていた地元北区や地域住民は、四月の開院が危ぶまれる事態に不安を募らせています。
 これに対し公明党は、一月二十三日、病院の一日も早い開業に向け、厚生労働大臣及び社会保険庁長官に対し、東京北社会保険病院の早期開院を強く申し入れしたところであります。これを受けて国は、鋭意新たな委託先を探すことを確約いたしました。
 したがって、都としても病院の開院に向けて可能な限りの協力を行い、一日も早い開院に努力すベきであります。見解を伺います。
 次に、造血幹細胞移植について伺います。
 造血幹細胞移植、すなわち骨髄移植及びさい帯血移植は、白血病や再生不良性貧血など血液疾患の有効な治療法であります。しかしながら、骨髄移植については、ドナー登録者の獲得目標達成が困難であること、また、臍帯血移植については、臍帯血を採取するための医療技術者の確保、無菌室の設置、臍帯血バンクへの移送体制の整備など、それぞれ課題があります。
 そこでお尋ねいたします。
 第一に、骨髄移植についてであります。
 現在、骨髄バンクでは、ドナー登録者の三十万人達成を目指した活動が全国で展開されておりますが、現時点における登録者は、その半分の十六万四千人にとどまっております。
 都としても、献血事業との連携や区市町村への協力の呼びかけを行っているところでありますが、さらにより積極的に行うなど、ドナー登録者の拡大を図るべきであります。
 なお、厚生労働省は、国の緊急地域雇用創出特別基金を活用し、ドナー登録推進を図る人員確保も検討するよう呼びかけております。所見を伺います。
 第二に、臍帯血移植についてであります。
 出産の際にこれまで捨てられていたヘその緒、すなわち臍帯血を利用する臍帯血移植は、骨髄移植に比べ多くのメリットがありますが、移植システムの立ち上げが後発であったために、技術面、運営面でさらなる支援が必要であります。
 私の知り合いの若いお母さんが、このようにいっておりました。かつては都立墨東病院でも臍帯血採取の病院として頑張っていたのに、なぜやめたのでしょうか。臍帯血移植を待っている多くの患者さんがいる一方で、貴重な臍帯血があたら大量に捨てられている。助かる命も助からない。都立病院は積極的に対応すべきではないですかと訴えていたのであります。
 都立病院では、このほか府中病院でも実施するはずでありました。都としてもホームページなどで普及啓発に取り組んでいるところでありますが、それだけにとどまらず、臍帯血バンクと連携し、臍帯血移植事業に都立病院を活用するなど、積極的にかかわるべきであります。
 このことは、日本さい帯血バンク支援ボランティアの会を初め、全国が注目しております。都立病院での臍帯血移植の実例、実施する場合の課題を含め、明快かつ前向きな答弁を伺います。
 次に、国語力の強化について伺います。
 都立高校生が芥川賞候補になり、芥川賞作家でもある知事の感想が多くの新聞で報じられておりました。慶賀すべきニュースではありますが、若い高校生が芥川賞候補に挙げられる一方で、若い世代の言葉の乱れ、相互理解の不足、コミュニケーション能力の低下、世界認識や社会認識の欠如など、言語能力や表現能力にかかわる問題が指摘されています。私はそこに、近年の国語教育の欠陥が影を落としていると判断をいたします。
 授業時間数は削減され、学習内容の見直しが行われた新学習指導要領の採用以来、広く児童生徒の学力低下を懸念する声が強まっています。理科離れ、算数嫌いの増加などは、一時マスコミでも取り上げられましたが、実は最も憂慮すべき学力問題は、国語力の低下であります。
 冒頭述べた言語能力、表現能力、認識能力の向上も、まず、読む、聞く、話すなど国語力の強化が前提となります。さらにそこから、思考力や論理構成力、文化や伝統、芸術への関心、異文化理解などへと発展し、人格の形成や視野の拡大、人生の豊かさの構築につながっていくはずであります。知事が提唱した心の東京革命においても、私はその核に、国語力の強化を置くべきであると考えています。
 ところが、現実の国語力の実態は、実に寒々しい限りであります。文化庁の平成十三年度国語に関する世論調査によると、子供たちの書く能力が、非常に低下した、やや低下したと回答した率が八八%。同様に、読む能力で六八%、話す能力で五九%、聞く能力で五七%が低下したと答えています。つまり、国語力の低下は既に国民周知の問題であり、共通の認識であるといえます。
 一方、学校現場の実態にも問題があります。国立教育政策研究所の調査では、宿題や授業以外では本を読まないという児童生徒が、小学生で一三%、中学生で二一%、高校生で三三%であり、上級学校に進むほど本を読まない児童生徒が増加しております。ちなみに、某有名進学塾が高校生を対象とした不得意科目の調査では、国語を不得意科目に挙げた生徒は、平成十年で三五%、十一年で三七%、十三年で四〇%と、年々増加しております。
 これらのデータから、国語力の低下が国民的課題でありながら、学校では十分に対処できていない現状が浮き彫りになっております。したがって、今こそ都教委は、具体的で効果的な対策を確立すべきであります。
 取り組むべき課題の第一は、読書の日常化、習慣化であります。もちろん第一義的には、親の責任で本に親しむ環境をつくることが重要ですが、学校でも可能な努力は行うべきであります。小学校低学年から読み聞かせ運動を行うなど、まず学校教育の入り口で活字になれ親しむ環境を整備すベきであります。
 また、小中学校における仮称美しい日本語教育推進校の指定、あるいは、言葉の乱れを是正するため、各学校で、話し言葉に関する自由発表コンクールや、話し言葉の今と今後のあり方自由討論会の開催などが考えられます。あわせて、副教材として、美しく正しい日本語学習帳の作成なども試みるベきであります。これには恐らく知事も異論はないと思います。
 さらに、国語力向上への意欲を高めるために、児童生徒の文芸創作活動に対する支援、表彰制度の創設、作文力を重視する観点から、入試における小論文や自己PRなどの導入、また、話す能力を重視する観点からは、入試での面接の実施、グループディスカッションやディベートなども有効であります。入試に関連づけることに批判もありますが、現実的な選択として、これには十分な合理性があります。
 そこで、国語力の低下に対する認識と見解、さらに、ただいま指摘した国語力強化への具体的な提案にいかに対応されるのか、知事並びに教育長の所見を伺います。
 次に、残留農薬対策について伺います。
 昨年七月、都内産キュウリから、食品衛生法の基準値を超えるディルドリン、エンドリンが検出されました。いずれの農薬も約三十年前に使用、販売が中止されましたが、生産されたキュウリから土壌に残留していた農薬が検出されたものであります。
 今回検出された農薬以外にも、残留基準が定められていない農薬が約二百種類もあるとされ、国は十五年度から三年程度で基準値の設定を行うとしており、都においても、残留農薬に対する積極的な安全確保策が必要であります。
 仄聞するところによりますと、農業協同組合などが自主的な取り組みを開始しておりますが、その際、農家に過剰な負担をさせることなく、作物や土壌における農薬の残留検査を実施すべきであります。見解を伺います。
 さらに都は、都内約八百カ所の土壌の残留農薬分析を行い、その結果、約一割の土壌で残留農薬が検出されたと発表しました。憂慮すべき事態であります。
 今回の分析結果を踏まえ、都では、土壌への残留が認められた農地について、他の作物への転作などの指導を行うとしておりますが、都は具体的にどういう指導を行っていくのか。また、対策として土壌改良の推進こそ必要と考えるものであります。所見を伺います。
 都内産農産物の安全を確かなものとするため、生産者である農業協同組合、消費者代表などの関係者を含めた協議機関を立ち上げるなどの対策が急務であります。あわせて見解を伺います。
 最後に、今定例会の焦点であります石原知事の去就についてであります。
 マスコミも都民の皆様も、知事の再選出馬に注目をしております。私は、この問題にとやかくいうつもりはありません。ただし、筋論からいえば、総額十二兆円の予算審議を願う執行機関の長として、みずからの出処進退を明確にすることは当然のことだと考えます。
 釈迦に説法になりますが、東京都知事という立場は、単なる一地方東京の首長ではありません。世界七番目の都市国家のガバナーであり、東京を中核とする神奈川、埼玉、千葉を含む三千万人、八都県市、すなわち首都圏合衆国のリーダーでもあります。
 今東京には、越えねばならない重要課題があります。最大の課題は、先ほど申し上げましたとおり、来る東京大地震、スーパー広域災害から、いかに東京を守るか、そしてその指揮をとれる人はだれなのかということであります。
 私は八年前、阪神・淡路大震災の翌日、平成七年一月十八日午後二時、だれよりも早く同僚の公明党都議会議員五人と神戸に入り、阿鼻叫喚の地獄を体験してまいりました。
 震災の指揮官がいないために、神戸市内は大混乱、まさに無政府状態のありさまでありました。出動命令が出されないために、兵庫県庁舎で待機中の自衛隊の隊長が悔し涙を流していた姿は、今も鮮明に心に焼きついております。自衛隊反対を党是としてきた判断力のない総理大臣が、さらに犠牲者を増大させていたのであります。
 同じ過ちを東京で繰り返してはならないと思います。いざ有事の際は、国を動かし、自衛隊はもとより、官民すべての組織を動員し、国民の生命、財産を守る、その最高司令官が東京都知事なのであります。
 また、東京の財政危機脱出も喫緊の課題であります。形の上では地方分権が確立したことになっておりますが、財政面では依然として国に自己決定権を剥奪されたままであります。国は都の外形標準課税を批判したにもかかわらず、ちゃっかりこれを横取りし、来年度から国税で実施するといい出しました。真の分権確立のため、地方自治体の先頭に立ち、国と戦う人こそ東京都知事なのであります。
 さらに、これも先ほど申し上げましたが、技術立国日本の産業再生システムづくりも、東京がその先頭に立たなければならない重要な課題であります。国はベンチャー支援のために創造法をつくりましたけれども、日本再生の優秀な技術、特許、知的財産を持ちながら、創業資金に苦しむ中小零細企業には全くといっていいほど適用されていないのであります。せっかく日本人がノーベル賞を受賞しながら、外国企業が事業化する欠陥を、今こそ是正すべきであります。産業空洞化対策として、東京から強力にメッセージを発信すべき課題であると思います。
 このほか、東京の社会犯罪、地球環境、少子高齢、心の教育問題など重要課題に果敢に挑戦し、スピーディーに解決できる能力の持ち主、その人こそ東京都知事たる人であると思います。
 ところで今、都民の皆様は知事の去就に注目をしております。現時点で知事の率直な気持ちをお聞かせいただきたいと思います。
 以上をもって代表質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 石井義修議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、今後の財政運営についてでありますが、財政再建推進プランに基づく四年間の取り組みによりまして、財政再建団体への転落は一応回避し、十五年度予算までに、都が独力で対応可能な取り組みについては、プランの目標額をすべて確保するなど、着実な成果を上げたと思います。
 その一方で、都財攻を取り巻く環境はさらに厳しさを増しまして、都税収入がプラン策定時の見込みを大幅に下回り、また、国から地方への税源移譲も一向に進んでいない状況にあるなど、都財攻の再建はいまだ道半ばと考えております。
 このため、引き続き、地方税財政制度の改革を国に強く求めるとともに、都税収入の実態を踏まえ、歳出水準を身の丈に合ったものとしていくなど、財政構造改革をさらに強力に進めることが必要であると思います。
 まあ、お相撲では、まだまだ土俵際に追い詰められて俵に足がかかったまま動きながらかわしているという感じで、下手をすれば幕下への転落可能性も依然として強い。そうなりますと、再建団体になりますと、都独自でやっておりました福祉その他の政策も、国が規定しますナショナルミニマムに甘んぜざるを得ないわけでありまして、何としてもこれは回避しなくてはならないと思っています。
 現在のプランは、十五年度が最終年度でありまして、ご指摘のとおり、財政再建をさらに推進するための新たなプランを策定することが必要と考えておりまして、これまでの取り組みや社会経済状況などを踏まえ、今後十分に検討をしていきたいと思っております。
 次いで、銀行外形課税の訴訟の問題についてでありますが、控訴審では、地方主権確立のための都の取り組みの正当性が認められましたが、ただ一点、先ほど申しました地方税法の七十二条の二十二ですか、それに触れないともいえないという表現でありましたが、いずれにしろ、都の課税が高過ぎると。それも、あれから先二、三年の経済動向の予測が正確に行われていなかったという理由ですけれども、しかし、これはちょっと、繰り返して申しますけど、十兆円の公的資金を銀行に投入し、銀行も大変喜び、これ助かりましたといっている。また、そういうかなり破天荒な対策を立てた政府も、これで金融を含めて日本の経済はよくなるといっている限り、私たちはそれを信用せざるを得ないわけでありまして、その見込みが違ったというのは、非難されるべきは国であり銀行であると思いますが、いずれにしろ、そういう点で今回の判決は納得しがたい。東京だけでなく、我が国の将来のためにも、上告審において都の正当性が十分理解されるよう、都議会のご支援をいただきながら全力で取り組んでまいります。
 次いで、中小企業の特許技術の証券化などについてでありますが、これは私、不明にして存じませんでしたけれども、アメリカに既にそういうシステム、機能があるということは、私は非常に暗示的だと思います。
 都内にはとにかく高い技術を持つ中小企業がたくさんございまして、その高い技術を特許として取得しておりませんし、特許が適正に評価され、ファイナンスに生かす仕組みも確立されておりません。
 これはやはり、日本の知的所有権に対する社会全体の認識がまだまだ希薄な証拠でありまして、形としてはついえましたが、興銀の最後の頭取でいらした西村君は私の親友で、彼にも、そろそろ興銀も、本来の目的というものが日本の産業というものの育成にあるとするならば、中小企業にも目を向けて、やはり担保制度ではなくて、技術というものを、ポテンシャルを評価して融資する方法に進んだらどうだと申しましたが、なかなか大にしろ小にしろ、企業の持っている技術というものの相対的な評価というのは非常に難しい、その専門家がいないということで難渋をしているのだということでありました。
 いずれにしろ、非常に大事なサジェスチョンであると思います。今後、これは積極的に実現するように研究し取り組んでいきたいと思っております。
 いずれにしろ、特許の流通には、まず、技術というものの将来性の評価の困難性、それから、その評価は人によってまちまち、不安定であるということ、それから、市場そのものの未整備などの問題がありますが、こうした課題への取り組みは、東京だけじゃなしに、日本の産業を再生する上でも非常に重要だと思います。
 今後、知的財産活用本部などを立ち上げまして、有識者の知恵もかりながら、知的財産に係る資金調達のあり方について、積極的に可能性を探りながら取り組んでいきたいと思います。これは非常にありがたい、大事な日本の産業の将来を開いていく上に大きな意味を持つ提案だと思います。
 次いで、広域災害への対応についてでありますが、都はこれまで、自助、共助と、それを支える公助を防災対策の基本として、七都県市の防災訓練を実施するなど、防災力の向上に努めてまいりました。
 広範囲にわたり甚大な被害を及ぼす大地震に対しては、これは自治体だけではなしに、国を挙げての取り組みが不可欠であります。
そういう点では、かつての神戸の大震災は、国の出足が遅く、あたら千人を超す人たちが犠牲に供されたという苦い苦い経験がございました。
 先般の三宅島の噴火のときも、私、専門家の説明を聞いてなるほどと思いましたが、東京の目と鼻の先に三つの大きなプレートがぶつかり合っているゾーンがありました。あのときも、もしこれで富士山の乗っているプレートが動き出したならば、えらいことになりかねないという予測がありましたが、幸いそこまで至りませんでしたけども、いずれにしろ、日本は世界最大の地震国であり、繰り返して申しますが、世界に現存する八百の活火山のうち、八十五が日本にあるという実情でありまして、都としましても、今後、大規模な災害対策について早急な充実強化を国に対しても強く求めていきたいと思っております。
 次いで、養育家庭に対する認識でありますが、坂本さんの著書も引き合いにお話しいただきましたけども、本当に私もあの家庭、あのご夫婦の努力を目にして、本当に胸が熱くなる思いがいたしました。昔、大映でしたか、三益愛子さんの主演する母ものの映画がございまして、生みの親より育ての親というのが主のテーマだったと思いますが、やはり子どもというのは、本来家庭の中で愛情に包まれながら成長することが当然でありますし、望ましい。しかし、さまざまな理由で、親とは一緒に暮らせない子どもも、しかし施設よりも、やはりできれば家庭的な環境で、血はつながっていなくても、心の温かい大人の手で育てるべきだと思っております。
 私の旧知の、今、アメリカの国務省の副長官ですが、アーミテージ氏は、ベトナム孤児も含めて、八人かの養子を抱えておられますけども、これまたやっぱり見事な一つの志だと思います。
 養育家庭は必ずしも周囲の理解が得られておりません。お金のためにやってるんだなんて陰口をたたく人がいたりして、そういう点で、まだまだ環境としては恵まれておりませんが、しかし、やはりその中でも、私たちもこれからも周囲の理解を積極的に努力してかち得ながら、社会の中でそういった志を持つ大人の方々が、子どもたちを自分の子ども同様に育てていただくことはありがたいし、私たち都民全体、国民全体が感謝しなくてはならないと思っております。
 多くの都民の方々、今後、養育家庭についての本当の理解を深めていただきまして、ご自身がそれを必ずしも行っていただかなくとも、しかし、近所におられるそういう養育の家庭の担い手に理解をいただき、また援助というか、共感も抱いていただきたいということを期待しております。
 次いで、都立病院改革実行プログラムについてでありますが、都立病院は、率先して東京発医療改革の改革方針である開かれた医療、安心できる医療、むだのない医療に取り組まなくてはならないと思っております。このため、このプログラムでは、カルテや都立病院に関する医療機能情報の都民への積極的な提供、さらには、専任リスクマネジャーの配置等による医療安全管理の充実、運営コストの削減策などを明らかにいたしました。
 今後、このプログラムを着実に実現し、都立病院が他の医療機関のモデルとして、東京発医療改革の推進の原動力となるように取り組んでいきたいと思っています。
 なお、ついででありますが、先般、ある私の知っているお医者さんから相談がありまして、これは、東京都立ではなしに国がつくった小児専門の病院が、非常に大きな立派な施設がありながら、情報が必ずしも社会に徹底していない。完全に機能していないと。東京都が少し力をかしたらどうかということで、早速、病院本部に取り次ぎまして、都も都なりの協力をしようと思います。せっかく国がつくった施設でありますから、国民であり、都民である東京在住の方々にこれを大いに活用していただきたいと思っております。
 今後、とにかくこのプログラムを着実に実現して、都立病院がほかの医療機関のモデルとなるように、東京発医療改革を東京改革の推進の原動力となるように取り組んでいきたいと思います。
 次いで、国語力の低下についてでありますが、今お話の中に、国語を苦手とする子どもが三○%、四○%いるということに、私いささかショックを受けました。今日の日本語が、正当な日本語であるかないかということは、人によって論が違うでしょう。時代が変わり、表現力が変わってくると、国語もまたその影響を受けて、ある世代から見ればわけのわからぬ言葉も流行するということでありまして、フランスのような国では、非常に保守的でありますから、過剰に自国語に自信を持ち過ぎて、ろくに数の勘定ができないフランス語というのは、やっぱり国際語として脱落していきましたが、しかし一方では、アカデミーは、お酒をまぜてつくるカクテール、コクテールという言葉をフランス語として入れるか入れないかに、十年以上の時間を費やして審議したという事例もございます。
 とにかく、情報が非常に錯綜し、多量に流通する時代に、その影響で非常にわけのわからぬ言葉が実はこの行政の世界にもありまして、先般も片仮名のエコカラーというのがありました。このエコカラーって一体何だといったら、これはエコロジーカラーで、要するに緑だという。これはちょっとお役人のひとり合点で、私たちにはちょっと通じない言葉で、早速やめさせましたが、それから、ついでにいいますと、環境に配慮した住宅のことをエコピアというんだそうで、これもとてもじゃないけどわからない。
 こういう思いつきの言葉のはんらんというのは、やっぱり、むしろ行政の担当者そのものが、多少古めかしくとも正確に伝わる言葉を使って正確な情報を伝えなくてはならないなと思っております。
 ただ、このごろは政治家も大分当てにならなくなりまして、私、国会におりましたときに、竹下内閣のときでしたが、運輸大臣をしていて、関係の問題で若い代議士の諸君と会談した。そのときの政調会長は渡辺美智雄さんでしたが、渡辺さんが、ちょっと筋の通らぬことをいう若い代議士諸君に、私の側に立って、それをたしなめるときに、さなきだにだなといわれたら、わからない。それで、後で何人かの議員が、聞いてくるのはましな方で、さなきだにというのはどういう意味でしょうかという質問を受けましたけども、いずれにしろ、こういう言葉は、無理に復活する必要もないかもしれませんが、やはり私たちが普通に使った言葉が、言葉として人の舌にのらないと。
 これは、教育の問題、教養の問題、いろんな問題があるでしょうけども、いずれにしろ、国語は、長い長い歴史の中で形成され、修練された文化の真髄でもあります。その文化というものを正当に継承し、新しい文化をつくっていくためにも、また日本人としての自覚や意識の拡充のためにも、重要なメタファーでありまして、これをどうやって健全な教養として市井に伝えていくかということは、これは行政一人でできることじゃありません。みんなで少し知恵を出し合って、何かいい方策を東京都からでも構えていきたいと思っております。
 最後に、私の去就についてでありますが、今、多分うぬぼれかもしれません、激励を兼ねていろいろお言葉をいただきました。先ほども申し上げましたように、私は、知事の仕事というのは最低二期は務めなければ物にならないと思っております。ただ、やっぱりいろんなことがありましたし、また、この四年間を私自身が厳密に、冷静に総括しなくてはならないと思っております。それが私の再選なら再選に臨むための一つの責任の履行であると思いますし、この定例会を含めて、この四年間というものを、この定例会中に私なりに総括し、反省もし、あるいはまた、自負も得て、それを踏まえて、最終日にお時間をいただきまして、私の去就を皆さんの前で披瀝させていただきたいと思っております。
 なお、他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 国語力の重要性とその対応策についてのお尋ねでございますが、国語教育は、言語によりまして表現し理解する能力を身につけることによって、確かな自己を形成して、他者とのかかわりを深め、人生をより豊かにする上で極めて重要でございます。
 都教育委員会は、児童生徒の読書活動に対する顕彰、あるいは国語教育の指導法に関する研究開発や教員研修などを実施しまして、児童生徒の国語力の育成を図っているところでございますが、ご指摘のように国語力の低下は憂慮すべき状況にあると認識いたしております。
 ただいま国語力向上に関する施策のご提言をいただきましたが、読書の日常化、習慣化につきましては、特に重要でございますことから、子どもたちが読書に親しむ環境づくりに向けまして、学校、家庭、地域社会等で積極的に取り組んでいく子ども読書活動推進計画を年度内に策定をいたす予定でございます。
 また、お話しの美しい日本語教育推進校や児童生徒の文芸創作活動に対する支援制度などにつきましても、ご提言の趣旨を踏まえまして、効果的、具体的な施策の実現に向けて検討してまいります。
   〔財務局長田原和道君登壇〕

○財務局長(田原和道君) 事業の効果を踏まえた予算の編成、執行についてのご質問でございます。
 十五年度予算におきましては、都財政の状況が極めて厳しい中にあっても、中小企業対策、雇用対策などの緊急課題や、都市再生など投資効果の高い事業には、限られた財源を重点的、効率的に配分をいたしまして、積極的な対応を図りました。
 今回の予算編成に当たりましては、最少の経費で最大の効果を上げることを基本といたしまして、行政評価や決算実績などを踏まえながら、景気や雇用、さらには都民生活などへの影響につきましても、十分考慮して取り組んでまいりました。
 今後とも、予算の執行や検証、評価の過程で各局とも連携をいたしまして、政策指標の達成状況や投資的経費の経済波及効果の測定などにつきましても、さらなる工夫を行いまして、予算執行の実効性を高めるとともに、予算編成に生かしてまいります。
 次に、公会計制度の実施につきましてでございます。
 都は、ストック情報やコスト情報が明らかにされない現行の官庁会計制度を根本から改めるために、十八年度を目途に複式簿記・発生主義会計を本格導入する予定であります。
 現在、東京都専門委員を含めました検討委員会を庁内に設置をいたしまして、具体的に準備作業を進めておりますが、導入に向けての大きな課題といたしましては、日本で初めてとなる行政における発生主義会計の処理基準を設定をしながら、財政管理などと連携をした新たなシステムを構築すること、また、単式簿記、現金主義の会計処理を義務づけております現行法との関係を調整することなどがございます。
 今後のスケジュールといたしましては、十五年度から新しい財務会計システムの開発に着手をいたしまして、三カ年かけて新システムの構築を行い、あわせまして試行を実施するなど、十八年度の本格実施に向けまして、着実に準備を進めてまいります。
   〔産業労働局長有手勉君登壇〕

○産業労働局長(有手勉君) 中小企業対策など十六問のご質問に順次お答えいたします。
 まず、借りかえ融資における借りかえの円滑化についてでございますが、複数の金融機関から受けた融資を借りかえる場合には、融資をまとめる金融機関以外の金融機関に対して、繰り上げ返済をすることになります。繰り上げ返済により、その金融機関は将来得ることが期待された利益を失うことから、円滑な借りかえのためには、金融機関の同意が不可欠でございます。
 返済負担の軽減という施策目的を実現するには、金融機関が繰り上げ返済にできる限り協力することが望ましいわけでございます。
 現在、都が実施しております借りかえ融資の実績は上がっておりまして、金融機関の協力が得られているものと認識しておりますけども、ご趣旨を踏まえまして、今後さらに円滑な借りかえに向けまして、一層の協力を要請してまいります。
 次に、中小企業再生支援協議会にかかわる国に対する働きかけについてでございますが、この協議会は、産業活力再生特別措置法に基づきまして、中小企業の再生支援の取り組みを強化するために、国が商工会議所、商工会連合会、商工会などに委託して、各都道府県に一カ所程度ずつ設置するものでございます。
 同協議会は、中小企業の要請に応じまして、相談に応ずるとともに、必要に応じて、再生計画の策定支援や金融のあっせんなどを行うものでございます。
 都といたしましては、東京の中小企業の再生が円滑に行われるよう、ご指摘の趣旨も踏まえつつ、状況に応じて、財政的な支援も含めて、国に働きかけてまいります。
 次に、新・元気を出せ商店街事業、店舗支援事業、若手商人育成事業の実施についてでございますが、商店街を振興するには、商店街を単位とした活性化対策に加えまして、魅力ある個店づくりや人材育成の視点が必要と考えまして、今回、施策の再構築を図ったところでございます。
 したがって、この三事業につきましては、相互に補完し合いながら総合的に取り組むことを想定しておりまして、それによっておのおのの施策が高い事業効果を発揮するものと考えております。
 今後は、こうしたねらいを踏まえまして、区市町村や商店街の意見も聞きながら、事業実施計画の策定などに取り組んでまいります。
 次に、商店街振興事業の継続性についてでございますが、商店街は地域経済を支えるばかりでなく、雇用機会の創出、生活の場の提供、コミュニティの維持などさまざまな役割を担っており、その活性化には商店街の自主的、自立的な粘り強い取り組みが必要であると考えております。輝け店舗支援事業、進め若手商人育成事業もそうした商店街の取り組みを支援するために実施するものであり、事業効果を見ながら取り組むべき新規事業と考えております。
 今後、新・元気を出せ商店街事業も含めて、高い事業効果を上げることによって、商店街の振興を安定的に展開してまいりたいと考えております。
 次に、若手商人育成事業の専門家活用についてでございますが、今後の商店街を支える人材育成には、若手商人が商売のおもしろさや商店街の魅力について理解を深めまして、商店街の活性化に対して関心を高めていくことが極めて大切でございます。
 ご提案の多様な分野で活躍する専門家を招いての多彩な催しは、若手商人に豊かな経験や深い洞察力などを与え、そういった意味で、非常に人生の機微に触れ、商売の機会を得る上で、大変重要なチャンスだと思います。そういうことで、商人としての意欲の向上に資すると思いますので、積極的に推進してまいります。
 次に、特許権の評価システムの構築についてでございます。
 特許権は、我が国では流通市場が未整備であること、技術進歩の激しい分野ではリスクが大きいこと、権利関係の確認や技術内容の理解に新たなノウハウが必要なこと、そして、担保とした特許権の処分が困難なことなど、評価について多くの課題がございます。
 そうした中で、昨年成立いたしました知的財産法では、この評価方法の確立は国の責務とされております。
 国でも、少し動きが見られますけれども、先ほど知事からお話がありましたように、都としては、この評価システムの構築について、専門家の意見も聞きながら、課題解決に向けてさまざまな角度から積極的に検討してまいりたいと考えております。
 次に、知的財産活用の実践組織の設置についてでございますけども、都内中小企業の持つすぐれた発明、製造ノウハウ、デザイン、ブランドなどの知的財産を戦略的に創造、保護、活用することにより、国際競争力を強化していくことは極めて重要であると認識しております。
 このため、都は来年度、中小企業への知的財産に係る支援を抜本的に強化するために、新たに知的財産活用本部を設けることとしております。
 また、事業の実施部門といたしましては、中小企業の育成、支援に経験や実績を有する東京都中小企業振興公社に知的財産総合センターを設置いたしまして、相談機能の強化や普及啓発の充実など、施策を拡充してまいります。
 次に、職業紹介に関する国の動向についてでございます。
 国におきましては、労働政策審議会が昨年十二月に、現在、地方自治体が行うことができないとされている無料職業紹介事業については、国と二重行政となることのないよう配慮しながら、地域性の強い施策を展開する上で、必要な職業紹介事業を行うことができるようにするという内容を含む建議を厚生労働大臣に行いました。
 現在、国におきましては、この建議の内容を踏まえた職業安定法等の改正案を作成中であり、本通常国会で審議されるものと聞いております。都は、これまで職業紹介権の付与について再三にわたり要請してきており、一日も早く法改正が実現されるべきであると考えております。
 次に、都が無料職業紹介権を取得した場合の対応についてでございます。
 現在のところ、職業安定法の改正法案の内容は明らかでございませんけれども、都といたしましては、無料職業紹介事業を活用し、ご指摘のとおり、学校や産業界、さらには区市町村等との連携を深めることによって、若者や中高年齢者などに対し、効果的な施策を講ずるなど、これまで以上に、地域の実情に応じたきめ細かな雇用・就業対策を展開できるように、機敏に対応してまいりたいと思っています。
 次に、中高年離職者に対する雇用対策についてでございますが、都では、昨年十二月より、四十歳以上の中高年離職者を高齢者事業振興財団がアドバイザーとして雇用いたしまして、中小企業等に派遣する中小企業助っ人千人事業を開始したところでございます。
 本事業は、豊富な知識と経験を有する中高年離職者の雇用の確保と中小企業の活性化の両面を持つ、全国でも初めての新たな取り組みでございまして、大変大きな反響を呼びました。事業開始から二カ月余りで既に七十件を超える派遣を決定したところでございます。
 都としては、この事業を通じて一人でも多くの中高年離職者が雇用に結びつくように、中小企業等に対するPRなど、全力を挙げて本事業の推進に取り組んでまいります。
 次に、特別交付金に関する国の補正予算への都の取り組みについてでございますが、国の平成十四年度補正予算において、緊急地域雇用創出特別交付金として八百億円が増額され、都に対して約六十四億円が追加交付される見込みでございます。
 都は区市町村と連携し、本基金を十分に活用して、若年者から高年齢者まで幅広く失業者の雇用創出を図るとともに、離職者の知識、経験を効果的に活用する事業を実施するなど、今後とも、創意工夫を凝らした多様な事業を展開してまいりたいと考えております。
 次に、雇用対策の新たな環境整備についてでございますが、中高年離職者を取り巻く厳しい雇用情勢の中で、実効性のある再就職支援を行うためには、一人一人のニーズに対応したきめ細かい就業対策事業が重要であると認識しております。
 このため本年度から、中高年就業支援フォーラムを開始し、セミナー、そして、キャリアカウンセリングなどを行いまして、離職者への個別対応を強化いたしました。
 また、高齢者につきましても、区市町村が都の支援のもとに、公益法人等を活用して、身近な場で職業紹介や職業相談などを行う、はつらつ高齢者就業機会創出支援事業を新たに開始いたしまして、失業者相互の情報交換も行えるようにいたしました。
 今後とも、こうした取り組みを区市町村とともに積極的に推進してまいります。
 次に、これまでの悪質貸金業者に対する都の処分実績と今後の取り組みについてでございます。
 悪質な貸金業者の排除には、厳格な処分を行うことが肝要でありまして、今年度は既に、登録取り消し百三十一件、業務停止十三件の合計百四十四件の行政処分を行いました。
 来年度は、貸金業対策室を設置し、一層取り締まりの体制を整備するとともに、迅速な立入検査の実施や警視庁とのさらなる連携の強化に努めてまいります。
 また、激増する苦情相談に対応するため、休日、夜間にも苦情相談の申し込み受け付けができる貸金被害受け付けダイヤルを四月に開設いたします。
 次に、農薬の残留検査についてでございます。
 都はこれまで、都民に安全な農産物を提供するため、残留農薬調査や農薬安全使用の指導を実施してまいりました。しかしながら、無登録農薬の問題や都内産キュウリからの残留農薬の検出など、食の安全への信頼性が問われております。
 このたび都では、来年度、農作物の残留農薬調査について、七作物から三十作物へ、八十検体から約八百五十検体へと対象を大幅に広げ、拡充して実施してまいります。
 また、都内全域を対象に、農家や農業協同組合が自主的に行います土壌の残留農薬検査について、支援を行ってまいります。
 次に、残留農薬が検出された農地での転作指導及び土壌改良についてでございますが、都としては、花類の栽培や、今回検出された農薬の吸収が少ないとされている野菜などへ転作ができるように、農業改良普及センターを通じて、農家の経営に合わせた、きめ細やかな指導をしてまいります。
 また、現在農業試験場において、土壌の深さと残留農薬の関係についての調査を進めておりまして、その結果も見ながら、効果的な土壌改良の手法を確立して、普及に努めてまいります。
 最後に、都内産農産物の安全対策についてでございます。
 都内産農産物の安全を確保し、都民の信頼を高めるためには、生産者のみならず流通業者、消費者など幅広い関係者による相互理解を深める取り組みが必要でございます。このため、都は、生産者、消費者、学識経験者などによる、仮称都民のための食の安全会議を設置し、残留農薬調査の対象や調査項目、生産履歴等の公開などについて協議し、都民の食の安全の確保に向けて積極的に取り組んでまいります。
   〔総務局長赤星經昭君登壇〕

○総務局長(赤星經昭君) 災害対策についての二点の質問にお答えいたします。
 まず、有明の丘の整備についてでございますが、広域防災拠点は、災害時にヘリコプターの離発着や緊急用車両の集結、ベースキャンプなどの活動拠点として対応できることが必要でございます。
 また、災害時に即応性あるものとするためには、平常時、この拠点を活用して必要な訓練ができることも重要でございます。
 このため、ご指摘のように、有明の丘につきましては、可能な限りオープンスペースを広く確保するという視点に立って整備するよう、国に働きかけてまいります。
 次に、大規模災害時におけます広域連携についてですが、有明の丘の合同現地対策本部が有効に機能するためには、七都県市と国との緊密な連携が必要でありまして、その体制整備が急務となっております。
 このため、七都県市首脳会議のもと、昨年十二月に広域防災・危機管理対策会議を立ち上げ、相互支援を行う上での課題について検討を開始いたしました。
 また、本年一月には、初めて七都県市と国と合同で図上訓練を実施いたしました。
 このような訓練を重ねることによりまして、災害時の広域的対応能力の向上を図りますとともに、情報のネットワーク化などを進め、七都県市と国との連携を一層強化してまいります。
   〔港湾局長高橋信行君登壇〕

○港湾局長(高橋信行君) 臨海副都心の防災機能に関連し、二点についてお答えいたします。
 臨海副都心全体での広域防災拠点への支援体制づくりについてでありますが、有明の丘広域防災拠点は、災害時の支援部隊の活動の拠点となる大規模なオープンスペースを備え、首都圏広域防災のヘッドクオーターとしての機能を担っております。
 また、有明の丘周辺には、緊急物資の海上輸送に対応する耐震強化岸壁や、ご指摘のような物資の保管、荷さばきに利用できるビックサイト、後方医療施設としての癌研究会有明病院や、避難生活への供給処理を行う有明クリーンセンターや給水所など、災害時に有用なさまざまな施設が立地しております。これらの施設を広域防災拠点と一体的に運用することで、より迅速で効果的な防災活動が可能となります。
 今後、国と七都県市で構成する首都圏広域防災拠点整備協議会における検討経過を見ながら、支援の内容や役割分担、連携方法などについて、臨海副都心全体としての災害時の支援体制を整えてまいります。そのために、まちづくり協議会などとの検討の場を設け、将来の体制づくりを進めてまいります。
 次に、臨海副都心の液状化対策についてでありますが、臨海副都心では、護岸や橋梁、共同溝などの都市基盤について液状化対策を実施するなど、防災モデル都市づくりを進めております。
 また、個々の建築物等の整備につきましては、臨海副都心まちづくりガイドラインなどに基づいた対策を行うこととしており、防災拠点の支援施設についても耐震対策を実施しております。
 国は来年度、有明の丘防災拠点における地質調査等を行う予定であり、ご指摘の点を踏まえ、今後、諸施設の整備に際しては十分な液状化対策を進めてまいります。
   〔消防総監杉村哲也君登壇〕

○消防総監(杉村哲也君) 危険物貯蔵タンク等の安全対策についてでありますが、危険物につきましては、大量に漏えいした場合、火災の発生、被害の拡大が予測されます。そのため、大規模地震発生時はもとより、危険物貯蔵タンクからの漏えい事故の未然防止を図ることは、安全対策上不可欠であります。
 湾岸地域に設置されている大規模な危険物貯蔵タンクは、破断しない構造とする等、厳しい耐震措置がとられており、また、万一危険物が漏えいした場合にも、施設外に危険物が流出しないように、当該タンク周囲に防油堤等の設置が義務づけられております。
 さらに、大量の危険物を貯蔵する事業所間では、事故発生時の応急措置、消火剤等の資器材の提供等について、事業所相互の応援を主体とした共同防災体制を確立しておりますが、ご指摘のような懸念がないよう、引き続き安全対策に万全を期してまいります。
   〔福祉局長川崎裕康君登壇〕

○福祉局長(川崎裕康君) 養育家庭制度など福祉施策に関します五点のご質問にお答えいたします。
 まず、養育家庭の拡充についてでございますが、都は今年度から、家庭的養護の推進を図るため、制度の抜本的見直しを図るとともに、さまざまなメディアを活用した周知活動に努めてまいりました。
 その結果、委託児童数の増加など、成果が上がりつつありますが、これをさらに大きくふやしていくことが課題でございます。
 そのため、来年度は、新たに区市町村の子ども家庭支援センターと連携し、養育家庭の開発に取り組むとともに、短期間の委託に限定した養育家庭の募集を行うなど、より多くの都民が参加しやすい仕組みをつくってまいります。
 次に、養育家庭に対します支援等についてでございますが、養育家庭が子どもの状況に応じたきめ細かなケアをしていくためには、専門性を高めるとともに、安心して養育できるよう支援を充実していくことが重要でございます。
 このため、専門養育家庭制度を創設し、被虐待や知的障害を持った子どもへの対応に取り組むほか、養育家庭全体の資質向上に向けた研修の充実に努めてまいります。
 また、毎日子どもと向き合って生活しております養育家庭の負担の軽減を図るため、新たに、一時的に子どもを預け、休息できるレスパイトケアを実施するとともに、手当を増額いたします。
 次に、障害者ホームヘルプサービスの利用者負担についてでございます。
 都は、ホームヘルプサービスが地域で暮らす障害者にとって必要不可欠なサービスとして広く利用されていることから、低所得者に配慮した都独自の基準により、八割以上の方の利用者負担を無料としてきました。
 支援費制度では、都の要望等を受けて、従来、利用時間に応じて支払う必要があった利用者負担に一カ月当たりの限度額が設けられました。
 さらに、ご提案を踏まえ、障害者が安心してホームへルプサービスを利用できるよう、従前と同様の水準で無料制度を継続してまいります。
 次に、障害者施設におけるサービス推進費補助の再構築についてでございます。
 サービス提供の仕組みが、本補助制度の前提でございます措置制度から支援費制度に変わるため、その整合を図るとともに、サービス向上に向けた施設の努力が報われる補助制度とするよう慎重な検討を進めております。
 しかし、現在、国は支援費単価を公式に定めておらず、また、支援費支給の前提となる施設入所者の障害程度区分の認定が来年度にずれ込む状況にあります。
 このようなことから、ご提案の趣旨を踏まえ、平成十五年度の障害者施設への補助につきましては、現行の運営費に配慮した経過措置的な取り扱いといたします。
 最後に、三宅村の介護保険料についてでございます。
 避難生活の続く島民の過大な負担とならないよう、これまでも国に対し、財政措置を含む可能な限りの支援を行うよう要望するとともに、東京都みずからの財政支援についても検討してきました。
 これに対し、国は、財政安定化基金からの借入金の償還期限を三年から九年に延長するとともに、三宅村の事情に配慮した特別な財政措置を行うこととなりました。
 都としましても、三宅村が来期保険料を条例で定めるに当たり適正な保険料額が設定できるよう、必要な財政支援を行います。
   〔病院経営本部長櫻井巖君登壇〕

○病院経営本部長(櫻井巖君) 都立病院に関する四点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立病院の公社移管後の医療内容等についてであります。
 移管に当たりましては、公社化する都立病院の現行の医療機能や施設、設備の状況等を踏まえ、地域の医療機関との密接な連携を図り、地域住民が安心して利用していただける医療提供体制を整備してまいります。
 このことにより、地域の中核的病院として、住民の医療ニーズに的確に対応しながら、地域全体の医療サービスの向上に努めてまいります。
 次に、大久保病院の公社移管に向けた検討についてでありますが、移管に当たりましては、住民に最も身近な地元新宿区や地域の医師会等、関係者の参画も得ながら、地域住民の医療ニーズや担うべき医療機能などについて検討を行っております。
 今後とも、平成十六年度の移管に向けまして、引き続き地元自治体等と具体的な検討を進めるとともに、移管後の病院が提供する医療機能等について、ホームページの活用など、さまざまな機会をとらえまして地域の皆様へ十分周知してまいります。
 次に、公社へ移管する都立病院への専門外来の設置についてでありますが、移管する都立病院は、地域全体の医療サービスの向上を図るため、それぞれの地域の医療ニーズや地域特性を踏まえ、その医療機能を整備する必要があります。
 このため、ご提案の女性専用外来など専門外来の設置につきましては、地域の要望も十分に勘案して、今後前向きに検討していきます。
 最後に、臍帯血移植事業に関する都立病院の取り組みについてであります。
 都立病院では、無菌室を有する駒込病院、府中病院、清瀬小児病院の三病院において、臍帯血移植に対応しており、平成十三年度に六件の移植を実施しています。
 現在、国においては、臍帯血移植の実施体制や、臍帯血をより安全かつ安定的に配分する管理体制などについて検討中であります。
 ご指摘の点を踏まえ、都立病院としましては、こうした国の動向や臍帯血バンクとの連携にも配慮しながら、臍帯血移植に積極的に対応し、都民の医療ニーズに的確にこたえてまいります。
   〔健康局長長尾至浩君登壇〕

○健康局長(長尾至浩君) 二点の質問にお答えいたします。
 まず、東京北社会保険病院についてでございますが、同病院が開院を目前にして、運営方法や時期が変更となるということについては承知しております。
 都といたしましては、この変更が健康保険法の改正に基づく見直しであることや、これまでの社会保険病院開設に向けての地元との協議経過などの事情を踏まえ、国とも連携を密にし、病院の一日も早い開設に向けて必要な協力をしていきたいと考えております。
 次に、骨髄ドナー登録者の拡大についてでございますが、都内の骨髄ドナー登録は、日本赤十字社の献血ルームや四カ所の都保健所におきまして通年で実施しているほか、休日には、イベント等の機会をとらえたドナー登録会を開催しております。また、平成十二年度からは献血会場におけるドナー登録にも取り組んでおります。
 都といたしましては、今後とも、日赤及び骨髄移植推進財団との緊密な連携を図りながら、区市町村に対し献血並行型ドナー登録の実施を積極的に働きかけるなど、登録者のさらなる拡大に努めてまいります。
 また、ご指摘の緊急地域雇用創出特別基金の活用についてでございますが、都内のドナー登録におきましては、普及啓発、会場設営など、さまざまな場面においてボランティア等の協力をいただいているところでございます。
 今後、都といたしまして、骨髄移植対策を推進する中で、骨髄移植推進財団と相談し、当該基金の活用についても検討してまいります。

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