平成十五年東京都議会会議録第二号

午後一時一分開議

○議長(三田敏哉君) これより本日の会議を開きます。

○議長(三田敏哉君)この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(三田敏哉君)これより質問に入ります。
 百十三番山崎孝明君。
   〔百十三番山崎孝明君登壇〕

○百十三番(山崎孝明君)平成十五年東京都議会第一回定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問をいたします。
 今定例会は、石原知事の現任期の最後の定例会であります。現職知事の出処進退は、議会第一党の代表質問に答えることが議会の常道であると我々は考えます。しかし、我が党は、知事自身の思いを尊重し、今日まで一言も触れずにまいりました。来年度予算の審議がきょうから始まる折、しかも、第一党の最後の代表質問でもありますので、今後の知事の決意について、まずお伺いいたします。
 振り返ってみれば四年前、東京は、バブル崩壊後の後遺症に見舞われ、失われた十年のただ中にありました。日本の危機が縮図として先鋭的にあらわれ、都市としての魅力や活力を急速に失っておりました。東京を変えることで日本の再生につなげるという石原知事のメッセージは、混迷と閉塞感に覆われ、ダイナミズムを失いつつあった東京、そこに住む都民の、変化を熱望し、首都の復権を願う思いを明快に代弁したものでありました。
 率直に申し上げて、都議会自民党は、知事とは異なる立場で都知事選挙に臨みましたが、私たちは、その後はお互いに都民から直接選ばれた者として、わだかまりを持つことなく知事と接し、知事も、我々とともに真摯に接していただき、都民本意の立場で都政を論じてまいりました。結果として、この四年間、石原知事のもと、都政は目覚ましく変わったのであります。
 知事の就任当時、都政の課題は山積し、財政再建団体への転落を目の前に、がけっ縁に立たされておりました。そのような中で、知事は、都政運営の基本的な姿勢として、危機意識の徹底とスピードの重視を掲げ、国に直接働きかけ、動かしていくその姿勢は、これまでの都政に欠けていた、まさに画期的なものでありました。
 羽田空港の再拡張、三環状道路整備など、首都圏の再生のために不可欠なプロジェクトが、国へ働きかけることにより次々と動き始めました。アジア大都市ネットワーク21でのジェット機の開発の提案により、国は十五年度予算で小型ジェット機の研究開発を予算要求し、観光では、都は六百万人招致を提言すれば、国は一千万人を目指す観光立国懇談会を立ち上げました。
 国に先駆けたディーゼル車の独自規制の実施、債券市場の創設、都立高校改革、認証保育所の創設、東京ERの整備など、矢継ぎ早に、そして的確に数々の政策を実現されました。今定例会の施政方針においても、我が党の予算要望における主張を受け入れ、中小企業制度融資の拡大に積極姿勢を示されたことは、我が党に対する知事の配慮として、まことにありがたく受けとめております。
 財政再建に向けては、歳出に聖域を設けることなく徹底的な見直しを行い、特に、職員給与の削減、監理団体の整理統合などは、まさに我が党が従来から主張してきたことであり、前の知事ができなかったことを大胆に実行に移しました。
 これも、東京から日本を変えるという知事の明確な意思のもと、国政における豊富な経験と人脈を十二分に活用し、たぐいまれなるリーダーシップとスピード感で都庁を引っ張ってきた結果であると思います。国に先駆けた新しい政策がここ東京から実現され、都政の構造改革が進んでいくことに我が党も協力を惜しみませんでした。私たち都議会自民党は、石原知事のこれまでの四年間の取り組みを高く評価するものであります。
 さて、知事選を二カ月後に控え、石原知事が二期目に出馬されるのか、それとも国政復帰を目指し新党結成に向けて動き出すのか、知事の出処進退は、今、東京だけでなく、日本の政治の最大の関心事であります。
 都政では今、知事の植えた政策の苗が着実に育ってきておりますが、都財政は、景気の低迷による都税収入の落ち込みなど非常に苦しい局面を迎えておりますが、しかし、財政再建に着実に取り組み、都政の構造改革を進めてきた知事の手腕は、二期目にこそ、その真価が発揮されると思います。
 昨年十一月、私の地元にお招きした知事からは、東京をよくすることで必ず日本がよくなる、日本のかなめでもある東京を、山崎さんとスクラムを組んで強引に引っ張っていく、そういう激励の言葉をいただきました。また、十二月の知事主催のシンポジウムでは、都政を通じて日本を立て直そうと思っていると発言されております。さきの所信表明では、構造改革を通じて生まれ変わる東京が先頭に立って行動することで、新しい歴史の流れをつくり出していきたいと発言されております。
 我々は、こうした一連の発言は、再選への事実上の決意表明であると受けとめております。
 また、二月七日の夜、二人きりでお会いしたとき、都議会自民党の幹事長として私は知事の決意をはっきりお聞きしましたので、本日、都議会自民党として、総会の議を経て正式に石原知事の再選出馬を強く要請いたします。
 多くの都民、マスコミ、そして日本じゅうが、この議会での知事の発言に注目しております。知事、ここまで踏み込んだ我が党に対し、ぜひとも明快な答弁をお願いし、それをお聞きした上で質問に入りたいと思いますので、まず、このことをお答えしていただきたいと思います。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 山崎孝明議員の代表質問にお答えいたします。
 ただいまのお話についてでありますが、大変過分なお言葉をいただきまして、大変恐縮しております。
 この四年間を振り返ってみますと、幾つもの難局に遭遇しましたが、都民の皆様のご理解、そして自民党を初めとする都議会の皆様のご支援とご協力により乗り切ることができました。深く感謝しております。
 そもそも知事の仕事というのは、最低でも二期は務めなければ十分な成果は残せないものと、これは何も私だけではなしに、ほとんどの方々の共通した意見というか見方だと思います。
 一方、東京の危機的状況を考えた場合、一時的にせよ都政を停滞させることは許されるはずがございません。予算の面では、知事選に関係なく、年間総合予算を編成することが当然の責務でありまして、今は、ご提案している議案の審議に集中していただきたいと思います。
 私としましても、この四年間については幾つか反省すべき点もございますし、また、いささかの自負もございます。あくまでもこの定例会を含め、この四年間を私なりに冷静に総括し、反省なり自負を踏まえた上で、今議会の最終日にきちんとした形で進退をあらわしていきたいと思っております。よろしくお願いします。
   〔百十三番山崎孝明君登壇〕

○百十三番(山崎孝明君) ご答弁ありがとうございました。
 先ほども申し上げましたが、五日前の夜、私は知事と二人で会談いたしました。その折、知事ご自身から、その胸中を私だけにはっきり明らかにされました。知事の胸の内を聞き、感銘を深くしたところであります。
 そうした経緯の上でのただいまの知事の答弁は、明確な再出馬宣言と受けとめさせていただきます。
 知事は、三月七日の最終本会議で正式に発言すると述べられました。その折は、今後四年間の都政運営の目標、知事の公約等を表明されるセレモニーとなるでありましょう。
 我が党は、今後の一般質問、予算特別委員会の質問については、知事再出馬宣言の上での質問とするよう、党を代表して表明させていただきます。
 それでは、気持ちよく質問に入らせていただきます。
 我が国経済は、バブル経済崩壊後、十余年たった今日も、回復の確かな軌道に乗れず、低迷を続けています。こうした状況を反映し、資本力を高め、国際競争力を強化するために、有力な都市銀行同士で合併してできたメガバンクでさえ、デフレの重圧が加わる中で、巨額の不良債権処理にその屋台骨をも揺るがしかねない状況に追い込まれております。
 さらに、イラクや北朝鮮をめぐる国際情勢の緊迫が、貿易立国である我が国経済を一層圧迫しかねません。長期にわたる経済不況は、企業や家計はもとより、国家や地方自治体の財政に甚大な影響を与えています。
 一方、都財政については、石原知事は就任の翌年から本格的な財政再建に全力で取り組んだ結果、財政再建団体への転落を回避するとともに、財源を着実に確保してきました。
 また、この間、知事の強いリーダーシップのもとで、財政改革を初め、環境、福祉、医療、教育など、それこそ積年の都政の課題に果敢に挑み、改革の成果を着実に上げております。
 経済が低迷する中、我が国の社会経済構造の抜本的な改革が遅々として進まないのに比べ、知事の果断な都政改革への取り組みは、その強烈なパフォーマンスとも相まって、都政における存在感を高めております。
 我が党は、対応の遅い国にかわって、東京から日本を変えていくための知事の積極的な都政改革への取り組みを高く評価するとともに、今後とも、全力を挙げて協力してまいる所存であります。
 知事の存在感に触発されたわけではありませんが、我が党もかねてより、党としての政策立案能力を高めることが大きな課題でありました。このたび、政務調査会の大胆な組織改正を行い、従来の任期一年の四つの部会を廃止し、新たに幹事長経験者を委員長とする五つの政策委員会を立ち上げることといたしました。今後は、この政策委員会で都政の重要課題をじっくりと調査検討して、党の足腰をしっかりと鍛えてまいるつもりであります。
 本定例会でも、手始めに何点かの提案をさせていただくことを申し上げ、質問に入ります。
 さて、今定例会は、石原知事の現任期の最後の定例会であります。私たち都議会自民党は、石原知事のこれまでの四年間の取り組みを高く評価するものであります。また、一期目の最後の定例会であることから、四年間の都政運営について、改めて都民に説明すべきと考えます。都庁という組織の最高責任者としてどうであったのか、また、みずからが展開してきたさまざまな政策を振り返ってどうであったのか、思いどおりにいかなかったことも含めてお答えいただきたいと思います。
 次に、先月三十日に判決のあった東京高等裁判所の外形標準課税訴訟について伺います。
 この判決では、銀行業に対する外形課税の適用そのものや、業務粗利益を課税標準として選択することなど、条例の根幹に当たる部分については、東京都の主張を完全に認めたものであり、実質的な勝訴であると受けとめております。
 しかし、税負担について、所得を課税標準とした場合の税負担と比較して著しく均衡を失している可能性が大きいとして、都側敗訴としたことは極めて遺憾であります。
 また、今回の判決は、自治体の立法裁量の範囲を狭めるものとなっており、到底容認できるものではありません。これは結果として都民サービスの低下につながり、都民すべてが不利益をこうむることにつながるものであります。
 都民の税金である公的資金を大々的に投入されている大銀行が栄えて、都民が窮するという結果は社会正義に著しく反します。憲法で保障された真の地方自治を確立するため、また、真の社会正義を実現するため、最高裁においては何としても勝利をかち取らなければなりません。
 我が党は全面的に都を支持し、都民の代表としての責任を果たしていきたいと考えております。この訴訟を闘い抜くに当たって、知事の決意のほどを伺います。
 次に、財政に関して何点か伺います。
 知事は、就任以来、都政に新風を吹き込み、新しい発想を取り入れ、文字どおり職員の先頭に立ちながら、都政の将来を展望する都政改革に大胆に取り組んでこられました。そして、いよいよ知事の現任期最後の予算編成となったわけであります。
 知事は、十五年度予算を、財政構造改革に全力を挙げて取り組みつつ、現下の緊急課題や東京の再生に積極的に挑戦する予算としました。内容を見ますと、厳しい財政環境のもとで、中小企業雇用対策や都独自のディーゼル車対策を初めとして、食の安全性対策、都市再生に向けた取り組みなど、積極的かつ果断な取り組みが図られております。
 知事は、十五年度予算を発表するに当たり、一期目を締めくくる予算と表現されました。この予算にかける知事の思いを伺います。
 次に、財政再建についてですが、知事は前任者から一千億円を超える赤字を引き継ぎましたが、就任早々、十二年度から十五年度までを計画期間とする財政再建推進プランを策定し、職員給与の削減など、これまで聖域とされてきたところまで果断に踏み込み、都財政の再建を進めてきました。その結果、財政再建団体への転落という最悪の事態を回避し、財政の健全化も着実に進んできているわけであります。我が党は、こうした成果を高く評価するものであります。
 しかしながら、都財政を取り巻く環境は、推進プラン策定時よりさらに厳しさを増しており、今後の都税収入の伸びに期待できる状況にありません。
 都は、こうした状況を踏まえ、財政再建を真に達成するためには、いまだ道半ばの状況にあるとしておりますが、これからも厳しい財政環境が続くと考えられる中、東京の再生を目指す積極的な取り組みを行うためにも、財政基盤の確立が極めて重要であることは論をまちません。財政再建のこれまでの成果と今後の展望について、知事自身どのようにお考えか、お伺いいたします。
 次に、十四年度最終補正予算における経済対策への取り組みについて伺います。
 我が国経済は、企業倒産件数や完全失業率が高水準に張りつくなど、デフレの重圧下にあります。また、十四年の都内の企業倒産は、集計を始めた昭和四十年以降、最悪の数字を記録したと報じられました。経済対策は、国、都を通じた緊急かつ最重要の課題です。
 政府は、現下の厳しい経済情勢に応じ、雇用、中小企業等のセーフティーネットの構築や構造改革型の公共投資促進を柱とする十四年度補正予算を取りまとめ、さきに国会で成立したところであります。
 都もこの国の補正予算と歩調を合わせ、十四年度最終補正予算を編成し、景気浮揚に積極的に取り組むこととしたことは時宜を得たものと考えます。事業内容を見ましても、幹線道路や公共交通網の整備など、十五年度予算における取り組みと軌を一にして、都市再生を推進するものとなっております。
 十四年度最終補正予算に計上した経済対策について、速やかな執行に努め、十五年度に切れ目なく続けていくことが大事だと思いますが、お考えをお伺いいたします。
 次に、超低金利時代における果実活用型基金のあり方について伺います。
 来年度においても依然都税収入の落ち込みが続き、財源の確保が重要な課題であります。そうした点から見れば、都が設置する五つの果実活用型基金は、六百億円の実質残高であり、また、近年の超低金利を反映して、果実たる運用利子はわずか九億円だけという状況であり、その特性が全く発揮されておりません。
 こうしたことを踏まえ、我が党は、昨年の予算特別委員会で、果実活用型基金のあり方を見直し、財源として有効に活用すべきと提言したところであります。
 今回、果実活用型基金について、元本の取り崩しや廃止、財政調整基金との統合が図られておりますが、こうした取り組みは、役割を終えた果実活用型基金の元本を有効に活用するという観点で行われるものと理解します。
 一方、これに伴って、地域福祉、中小企業などの分野で、これまで基金の運用利子をもって行ってきた事業がなくなるということがあってはならないと思います。そこで、今回の果実活用型基金の元本の活用について、これまで行ってきた事業の取り扱いを含め、基本的な考えをお伺いいたします。
 次に、市町村に対する財政支援の充実について伺います。
 三百九十万人の人口を擁する多摩、島しょ地域は、地方分権の時代を迎え、地域の個性や独自性を生かしながら、各市町村の創意と工夫のもと、意欲的なまちづくりへの取り組みを進めております。
 さて、十五年度予算案においては、我が党の強い要望にこたえる形で、市町村振興交付金と調整交付金が復活予算案で増額され、それぞれ、八十億円、百八十億円が確保され、両交付金合わせて、前年度に比べて十億円の増となりました。
 そこで、お尋ねいたします。厳しい経済状況の中にあって、今後、多摩、島しょ地域が、豊かな自然や豊富な人材を生かし、魅力と活力あふれる地域として発展していく上で、両交付金による財政支援の重要性は従来にも増して大きくなっていると考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。
 次に、ディーゼル車規制について伺います。
 本年十月からのディーゼル車規制を円滑に実施するためには、厳しい経営環境の中にある中小零細事業者に対する支援策を強化することが必要であります。都は、十五年度予算案において、厳しい財政状況の中でも、我が党の要望を踏まえ、融資や補助予算の大幅な増額をしており、この点については評価を惜しみません。
 今回具体化された支援策を有効に活用する観点から、幾つか伺います。
 都は、ディーゼル車の買いかえ促進のため、民間保証機関と金融機関の提携による新たな融資制度を創設いたしました。この制度は、既存の融資制度を使うことのできない事業者も利用可能な制度とされております。運送事業者の中には、債務超過や赤字の企業も多く、これまで既存の融資制度を使うことができませんでした。新たな融資制度は、こうした事業者であっても利用することが可能なのか、まず最初に、この点について伺います。
 この新たな制度に加えて、来年度は融資制度だけでも三つのメニューが用意されることになります。さらに、DPFや酸化触媒の補助制度もあり、どの制度をどのように利用すればよいのか、選択に悩む事業者も多いと考えられます。
 都は、今回、こうした事業者のために相談窓口を設置しましたが、規制期限が迫れば迫るほど、相談件数もふえ、また、切実な相談が寄せられることになります。今後とも、相談体制の充実に万全を期すべきと思いますが、ご所見を伺います。
 ディーゼルトラックの販売台数は、ここ数年、長引く不況を反映して低迷しており、自動車メーカーやディーラーは、販売促進のために大幅な値引きをしてきました。しかしながら、本年十月からの首都圏全域での規制開始を前に、走行できなくなる古いトラックの大規模な買いかえが始まることになります。自動車メーカーやディーラーにとっては、いわば規制特需が始まることになるわけであります。
 ここで心配なのは、需要の増加を理由として、トラック市場が売り手市場になり、これまで行われていた値引きが行われなくなるのではないかということであります。もしそんなことになれば、行政側が幾ら支援策を強化しても、その分がメーカーやディーラーのもうけになってしまうことになります。もともと排出ガスの汚いディーゼル車を販売してきた自動車メーカーには、クリーンなディーゼル車を安価に販売する道義的な責任があるのではないでしょうか。都は、自動車メーカーやディーラーに不当な値上げをすることのないよう、強い態度で臨むべきと考えますが、ご所見を伺います。
 ところで、平成十三年の予算特別委員会において、私は、自動車メーカーの社会的責任を重視する観点から、メーカーに対し、環境負荷の度合いに応じて課税を行う、自動車メーカー税ともいうべき新税案の検討を提言いたしました。
 これに対し石原知事からは、環境負荷の少ない自動車の開発や生産のインセンティブとして、また、自動車生産者に対する責任の求め方として非常に有効な方法であり、都の税調で検討したいとの前向きな答弁をいただきました。
 東京都は今、喫緊の課題であるディーゼル車対策のために百三十億円もの予算を投じようとしています。また、自動車のユーザーも、本年十月から始まるディーゼル規制に対応するため、自動車の買いかえやDPFの装着という形で、苦境の中でもあえてコストを負担しようとしています。その中で、ひとりメーカーのみが高みの見物を決め込んでいるのが実態であります。都民の健康と生命にかかわる環境問題の解決のためには、行政、ユーザー、メーカーの三者が一体となって立ち向かっていく必要があります。
 知事のお言葉どおり、自動車メーカーへの課税については、昨年度の都税調で早速検討していただきましたが、最終的には、自動車の生産地と環境負荷の発生地とが乖離している状況の中では都単独の課税は困難であり、全国地方税として創設することが望ましいという内容の答申になりました。
 しかし、自動車の生産行為ではなく、自動車の走行に伴って発生する環境負荷そのものに着目するというアプローチが考えられないでしょうか。家電製品や容器包装においては、生産から流通、消費、廃棄に至るまで生産者が責任を負うべきだとする拡大生産者責任の理念が確立されております。自動車の世界も同様であり、自動車の生産段階だけでなく、使用段階における環境影響についても、当然その生産者が相応の責任を果たすべきだと考えれば、都独自の課税を行う道も開けるものと思われます。千葉、埼玉、神奈川も同時に実施できれば、全国に広がりを見せるものと思います。自動車メーカーの課税について、改めて知事の見解をお伺いいたします。
 次に、中小企業の振興と雇用対策について伺います。
 まず、東京の産業力強化と雇用・就業対策の基本的考えについて伺います。
 都内の企業倒産は、近年、年間三千件以上の高水準で推移し、昨年は過去最高の三千七百件を超えるまでになっております。また、完全失業率を見ても、五%台の厳しい状況が続き、完全失業者数は三十万人の大台に高どまって、一層の深刻化が懸念される状況が続いています。
 こうした状況の中で、今後、金融再生プログラムが実施され、不良債権処理が加速された場合、内閣府の試算によれば、企業倒産の増加等により、新たに全国で最大六十五万人の離職者が発生すると見込まれております。
 雇用対策が第一義的には国の役割であることは承知していますが、十分な効果が認められているとはいえません。今こそ、こうした事態の改善に向けて、都はこれまで以上に思い切って効果的な施策を講じていかなければ、東京の産業と雇用が一層憂慮すべき事態を迎えることは明らかであります。
 ともすれば、従来の雇用・就業施策は雇用確保の視点が中心でありましたが、今、産業力の強化や起業、創業なども視野に入れた、これまでにない新たな取り組みが求められていると考えます。今後の取り組みに当たっては、こうした新たな視点も取り入れるべきと考えますが、現在進められている東京都雇用・就業対策審議会でどのような視点に立って検討が行われているのか、お尋ねいたします。
 次に、中小企業融資について伺います。
 長引くデフレ、急激な不良債権処理など、かつてない厳しい金融環境の中で、日本経済を支えてきた中小企業があえいでおります。そうした中で、都は平成十五年度予算案において、中小企業制度融資の融資目標額を、過去最大規模となる一兆七千五百億円に据えましたが、今般知事は施政方針の中で、今後の状況によってはさらなる融資規模の拡大に踏み込むべきと、力強い決意を表明されました。まことに力強い限りであります。
 実際、ますます不透明感が募る現状からすれば、さらなる金融支援の必要性は高いと思われます。ぜひとも融資規模で二兆円に届く来年度の金融対策を今から視野に入れておくべきと思います。知事の熱意を施策として実現する、その責任を負うべき実務責任者である産業労働局長の見解を伺います。
 さて、都は我が党の主張を受けて、中小企業の返済負担の軽減を図るため、一昨年十二月から複数借り入れ金の一本化を、昨年十月からは、年末金融対策の一つとして借りかえ制度の実施をしてこられました。大いに評価するところであります。
 今般、国は、重い腰をやっと上げ、都に追随して資金繰り円滑化借りかえ保証制度を創設いたしました。この新しい制度の概要と都の対応、特に一日も早い実施を求めます。
 次に、商店街振興について伺います。
 商店街のにぎわいは、地域経済の活力を示すバロメーターとの思いから、我が党は挙党体制で商店街振興に取り組んでおります。
 さて、来年度の商店街振興予算は、都の単独事業費を大幅に増額するとともに、ハード事業、ソフト事業、イベント事業を統合した新・元気を出せ商店街事業を初めとする事業の統合化が図られたことに、大きな期待を寄せるところであります。
 今、都内三千の商店街はもとより、それをサポートする区市町村も、新年度に向けて地域特性を生かした振興策の構築に力を注いでいると聞いております。
 そこで、こうした意欲的な取り組みにエールを送る意味から、まず商店街振興の意義と都の姿勢について伺います。
 また、商店街振興は、東京の経済力を、そして経済活力をどのように維持、発展させていくかという視点から見れば、単に一つの地域に限らず、都全域に及ぶ問題でもあります。今後、新・元気を出せ商店街事業を実施していく上で、都はどのようにイニシアチブをとっていくのかを伺います。
 また、この事業については、広域行政を担う都という性格にかんがみ、補助対象事業の範囲も、従来より広く考える必要もあるのではないでしょうか。例えば、ことし大々的に実施される江戸開府四百年事業は、東京という都市全体を対象とした一大イベント事業でありますが、その一環として、各地の商店街が連合して、史上最大の商店街まつりといったイベントが企画されております。こうした区市町村という地域を超えて商店街の活性化を図ろうとする試みは、商店街振興の理念に決して反するものではないはずです。
 新・元気を出せ商店街事業は広域的なイベント事業にも活用されるべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、都市再生の根幹である都市の基盤整備に関して伺います。
 まず、羽田空港再拡張事業についてでありますが、この事業は、全国的な空港ネットワークの拠点である羽田空港の空港容量を大幅に増加させるとともに、東京や首都圏の国際競争力を高め、首都圏、ひいては国家再生のために不可欠な国家プロジェクトであり、一日も早い事業着手と完成が求められております。
 しかし、この間、国は、本事業にかかわる経費の一部を周辺自治体に求める考えを打ち出しましたが、都や関係自治体は、羽田空港の位置づけや本事業の意義を踏まえ、反対を表明してきたところであります。
 このような中、国においては、再拡張事業の着工準備調査費を来年度予算案に計上したものの、事業費の予算計上が十六年度以降に見送られる状況にあります。羽田空港の重要性をかんがみれば、再拡張事業の早期着手と完成の必要性は自明のことではありますが、今後、都としてどのような取り組みをしていくのか、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、街並み条例の制定について伺います。
 東京の都市づくりを総合的に進めるためには、大規模なプロジェクトなどの取り組みに加え、身近な地域で、地権者等の意欲を生かして、密集市街地の再編整備や街並み景観に配慮したまちづくりを着実に進めていくことが極めて重要であると考えます。その意味では、本定例会に東京のしゃれた街並みづくり推進条例を提案されたことは、こうした要請に的確にこたえるものといえます。
 そこでまず、この条例には従来の条例には見られない斬新な名称がつけられていますが、しゃれた街並みづくりという名称に込められた条例制定のねらいを知事にお伺いいたします。
 東京にしゃれた街並みを形成していくためには、都独自の新たな取り組みが必要であると考えますが、この条例により、どのようなまちづくりを進めようとしているのか伺います。
 また、この条例を効果的なものとするには、地権者等のまちづくりへの意欲を喚起することが肝心でありますが、そのためにどのような仕組みを講じているのか伺います。
 さらに、この条例が幅広く活用されるようにするためには、広く都民に理解していただくことが重要であると考えますが、今後どのように条例の普及を図っていくのか伺います。
 街区再編まちづくりを進めようとする地権者等は、一時的に多額の資金が必要となり、そのことが事業にブレーキをかける要因となりかねません。そのためには、区市等とも連携して、計画策定費等の補助制度の活用、充実を図るとともに、建てかえ資金の融資制度や債務保証制度の創設など、地権者等への支援策について要望しておきます。
 次に、低容積率が指定された住宅地の用途地域の見直しについて伺います。
 現在、用途地域の見直しを行っていると聞いておりますが、多摩地域や区部周辺部では、容積率六〇%、建ぺい率三〇%や、容積率八〇%、建ぺい率四〇%など、低い容積率が指定された住宅地が多くあります。これらの地域では、高齢化社会を迎え、在宅介護など二世帯住宅の必要性の高まりや、居住水準の向上などへの対応が必要となっておりますが、現在の低容積率では、建てかえに当たって必要な面積を確保できず、多様な都民の居住構成になじまない状況にあります。こうした低容積率の住宅地については、今回の見直しで容積率の緩和などを図っていくべきと考えます。
 そこでまず、在宅介護や二世帯住宅、三世代同居といった社会的な要請もあり、今後の地域福祉の重要性をかんがみれば、用途地域など都市計画の対応が必要と考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。
 現在、多摩及び周辺区部においては低容積率が指定されていますが、指定された面積がどの程度であり、また、ゆとりある住宅地を形成する観点から、我が党の提言として申し上げますが、容積率一〇〇%、建ぺい率五〇%に見直すべきと考えますが、都はどのような方針で臨むのか伺います。
 さらに、区部の木造住宅密集地域等は、敷地も狭く、二世帯住宅の確保が困難であるため、容積率一五〇%、建ぺい率五〇%へ見直すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、交通渋滞の改善に向けた取り組みについて伺います。
 都内の慢性的な交通渋滞は、都民の日常生活や企業活動に多大な時間的、経済的な損失を与えるばかりでなく、排気ガスの増加など大気汚染の大きな原因ともなっております。都内の交通渋滞は、基本的には東京の三環状道路など道路ネットワークが未完成であることが大きな原因であり、骨格となる幹線道路の早期完成こそが不可欠だと考えます。
 そこで、幹線道路の整備や交差点すいすい事業など、渋滞解消に向けた事業の現状と今後の取り組みについて伺います。
 交通渋滞の現状を直視すれば、それら道路の完成を待つことなく、できるところから一日も早く交通渋滞を改善していくことが、今強く求められているのではないでしょうか。これまでの渋滞対策の成果を生かしながら、より集中的に対策を実施する事業を、スムーズ・アンド・スピードアップ東京作戦と名づけて来年度の重点事業に位置づけ、各局の連携のもと総力を挙げて取り組むとすることは、遅ればせながら大変心強いものであります。ハードと道路パトロール等のソフト両面の対策をあわせ、しっかり取り組んでもらいたいと思います。
 また、交差点などの渋滞と並び問題なのは、あかずの踏切がいまだ数多く残されていることであります。東京には約一千二百カ所の踏切があり、そのうち朝夕のピーク時に四十分以上も閉まっている、いわゆるボトルネック踏切が三百六十カ所もあります。このボトルネック踏切の解消も都民の悲願です。
 多数の踏切を一度に解消する連続立体交差事業は、交通渋滞の解消に加え、地域のまちづくりにとっても極めて高い効果があり、都民も大きな期待を寄せている事業であります。
 こうした踏切解消を進めていく上での課題は何なのか、また、現在実施している連続立体交差事業のうち、平成十四年度に完成する箇所と、事業化を進めている路線の取り組みについて伺います。
 次に、国際港湾特区などの新たな港湾行政の取り組みについてであります。
 都は、港湾物流のIT化、スーパー中枢港湾指定への取り組み、国際港湾特区など、従来の方針を大きく転換するさまざまな施策を打ち出しておりますが、来年度はそれを実施するときであり、都の港湾行政は正念場を迎えたことになります。
 特に、躍進著しいアジア諸港との競争に打ち勝つためには、まず大胆な規制緩和を断行する必要があります。昨年十二月、構造改革特別区域法が成立し、国際物流の分野では、都の提案にもあった税関の土日開庁を国が試行するなど、規制緩和に向けた新たな動きを誘発することとなりました。しかしながら、各自治体から寄せられた多くの提案は、省庁の抵抗で骨抜きにされ、必ずしも思うような規制緩和が実現されたとはいえません。
 港湾の分野において、まだまだ規制緩和すべきことがあると考えますが、都はその必要性をどのように認識しているのか。
 また、この四月から実際に特区の認定申請が始まりますが、今回の申請で特区に指定されるとどのような効果が期待できるのか、さらに港湾の規制緩和に今後どう取り組んでいくのか、お伺いいたします。
 一方、国が選択と集中を旗印に打ち出したスーパー中枢港湾構想は、戦後ずっと続いてきた日本の港湾の管理、運営制度を問い直す契機になる可能性が極めて高く、国際港湾特区とともに車の両輪として取り組んでいくべきことは、昨年我が党が主張したとおりであります。
 都は、先般、指定に向けて立候補したわけですが、今後、スーパー中枢港湾として目指す姿をどのように考え、どう実現していくのか伺います。
 戦後港湾政策の大きな転換の引き金となるこれら二つの施策を有機的に結びつけ、体系的な港湾計画を構築するためにも、現在改定中の東京港港湾計画は従来にも増して重要なものとなります。ハード面だけでなく、ソフト面を重視した新たな計画を目指すとのことですが、改定に当たっては、どういう課題があり、どのような観点から検討していこうとしているのか、所見を伺います。
 次に、住宅対策について伺います。
 平成十五年度は、マンション建替え円滑化法等の本格施行とともに、都独自のマンション支援策についても、四月から優良マンション登録表示制度が運用開始されるなど、まさにマンション対策元年ともいうべき重要な年であります。
 都がこうしたマンション対策を総合的に推進するに当たっては、民間や区市町村との連携、都民への周知などを図り、都民にとって目に見える成果を上げていくことが不可欠であると考えますが、所見をお伺いいたします。
 また、木造住宅が密集している地域の整備も重要な課題であります。これらの木造住宅密集地域は、一たび火災が起これば、たちまち市街地全体が大火となり、多くの人的被害が発生するとともに、東京の都市活動にも多大な影響を及ぼします。また、道路、公園など都市基盤施設が不十分で、オープンスペースが乏しいなど、住環境も劣悪であり、住宅も狭小で老朽化しております。
 一方、これらの地域は、都心に近接し、大きなポテンシャルを秘めた良好な都心居住の可能性を持つ地域であり、この地域の整備は東京の再生にも寄与するものと考えます。
 都では、平成九年に策定した木造住宅密集地域整備プログラムに基づき、これらの地域の整備に取り組んできましたが、ほとんど成果が見えないのが実情です。現在、この整備プログラムの改定作業を進めていると聞いておりますが、迅速にかつ実効性が上がる事業展開が可能となるように見直すべきだと考えますが、どのような方針で臨んでいるのか、見解を伺います。
 その一方、真に住宅に困窮する人に対して、都は都営住宅を供給することとしております。都営住宅事業の運営には公平性や効率性が厳しく求められ、知事はこれまでも、我が党の指摘により、期限つき入居制度の一般都営住宅への拡大、滞納整理や高額所得者の明け渡しの強化、使用承継制度の見直しなど、改革を着実に実行してきています。
 しかしながら、多数の収入超過者の存在や、資産を保有していても居住は可能であるなど、一般の都民から見て、まだまだ不公平感が見られるとともに、都営住宅のコストや税金投入額など事業の経営実態について、都民に対し説明責任が十分果たされておりません。
 今後の都営住宅事業については、引き続き制度改革を行い、住まいのセーフティーネットの機能を強化するとともに、都民共有の財産として、都民全体のニーズを踏まえた政策にも活用していくことが必要であります。
 こうした観点から、都営住宅の目指すべき方向を踏まえ、バランスシート等を活用して、より効果的、効率的に事業運営を行うため、都営住宅経営の基本的考え方と今後の方向性について早急に取りまとめるべきであると考えますが、所見を伺います。
 次に、今後の中央卸売市場のあり方について伺います。
 築地市場の豊洲移転については、現在、築地市場の関係者と、基本構想の策定に向け協議を進めていると聞いております。新市場の整備に当たっては、二十一世紀の基幹市場として付加価値の高い、八百屋さんや魚屋さんなどが利用しやすい市場を目指すとともに、地域のまちづくりとの調和や環境にも配慮し、一般の消費者にも開かれた市場となるよう、地元区などの関係機関と十分協議を尽くしていただきたいと思います。
 これは提案として聞いていただきたいと思いますが、新市場の整備により、もう一つの巨大市場である大田市場とは道路を介して至近の距離となるなど、他の市場に大きな影響を与えるのは必至であります。そこで、新市場そのものの検討に加え、各市場の役割、機能、連携等を、市場の再編、統合も視野に入れ、中央卸売市場のあり方を総合的に検討し、改めて既存市場のあり方を明示していくべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、組織犯罪対策について伺います。
 昨年の東京における刑法犯の認知件数は、約三十万二千件と前年を上回り過去最多を記録し、殺人、放火等の一部の罪種は減少しているものの、そのほとんどは増加となっている状況です。
 ところで、近年、大都市における経済、消費活動の拡大や国際化の進展などの状況を反映して、都内における来日外国人犯罪は増加の一途をたどり、その犯行手口も凶悪化、巧妙化、広域化の傾向が顕著であり、背景には、潜在化した国際犯罪組織の関与が強くうかがわれるなど、極めて憂慮すべき状況にあります。
 また、暴力団は悪質化、凶悪化が一段と進む中、組織の維持、存続のため、場所のいかんを問わずけん銃を乱射して対立したり、あるいは不法入国事案や銃器、薬物の密輸、密売等、あらゆる犯罪に手を染めたり、犯罪者集団として性格を鮮明にするなど、平穏な都民の社会生活に対する直接の脅威となっています。
 このような中にあって、警視庁の本部組織に組織犯罪対策部を新設するなど、東京の治安を悪化させている国際犯罪組織や暴力団を徹底して取り締まる組織体制を構築することは、まさに時宜を得たものであり、また、全国の警察本部でも初めての組織であることなどから、都民の期待も大きなものがあると思います。日本の安全神話が崩壊してしまったような今日、来日外国人及び暴力団にかかわる組織犯罪徹底取り締まりに向けて、警視総監の決意を伺います。
 次に、福祉改革について伺います。
 まず、子育て施策についてですが、少子化は国の存亡にもかかわる重大な問題であります。国も、本年を次世代育成支援対策元年と位置づけ、ようやく少子化対策のための子育て支援に本腰を入れてきました。都としても、引き続き国をリードし、働きながら育児を行う人、家庭にいて育児を続ける人、両面からの子育て支援に積極的に取り組み、若い人が希望と喜びを持って子育てに参加できる社会を早急に築いていく必要があります。
 こうした中、都は、独自の認証保育所制度を創設し、その整備を推進してきました。延長保育の実施など、大都市の保育ニーズを的確にとらえたこの認証保育所は、一昨年八月のスタート以来、民間企業の積極的な参入と相まって、当初の計画を大幅に超える整備が進みました。今や新しい都市型の保育モデルとして定着した感があります。
 そこでまず、この認証保育所の設置がここまで進んできたことに対し、どのような感想を持たれているのか、知事のご所見を伺います。
 また、この認証保育所を一つの起爆剤として、数の面からいっても東京の保育の大きな役割を担っている公立及び社会福祉法人立の認可保育所を、都市型保育サービスが担い得るものとして転換させていくことも必要であると思います。そこで、都はこの点についてどのような認識を持っているのか、所見を伺います。
 さて、これは提案でありますが、女性の社会進出がこれほどまでに進んだ状況の中で、真に保育を必要とする働く女性を、さまざまな方策により社会全体でサポートしていくことは当然のことであります。しかし、生まれたばかりの子どもを保育所に預けるなんていうのはとんでもないという意識が、いまだ日本にはあります。また、保育所で子どもを預かれば、ゼロ歳児の場合、年間約三百六十万円もの税金がかかります。
 私もやはり、子どもはできるだけ親みずからが責任を持って育てていくのが望ましいことだと思っております。少子化対策は国家的な要請であることや、よき伝統や慣習が失われつつあることからも、家庭にいて育児を頑張り続けている母親や父親に対する支援を強化すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、障害者施策について伺います。
 いよいよこの四月から支援費制度が始まります。支援費制度が目指すものは、障害者の個人としての尊厳を重視した利用者本位の福祉の実現であり、本制度への移行は、障害者にとって望ましい姿への移行であります。
 一方、民間社会福祉施設サービス推進費補助については、措置費をベースにして、その上乗せ補助という形で実施されております。このため、障害者施設においては、来年度から措置費から支援費に移行することにより、本補助制度を早急に再構築する必要が生じています。しかし、現時点においては、支援費単価など、国が詳細を定めていない状況であります。
 そこで、障害者施設における民間社会福祉サービス推進費補助制度については、来年度は激変緩和的な措置をとるべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、保健医療対策について伺います。
 まず、本年一月には、都立病院改革マスタープランに基づき、平成十九年度までの五カ年を都立病院改革第二期として位置づけ、患者中心の医療の推進と経営革新の具体的内容、都立病院における危機管理体制の構築及び病院別再編整備などを示した都立病院改革実行プログラムが策定されました。
 我が党はこのプログラムを評価しつつも、都立病院の再編整備に当たって、都立病院が実態として担ってきた地域医療の確保に関する対策が今後の大きな課題であると考えております。
 特に、小児病院の移転統合が行われる多摩地域における小児医療の確保については、住民の不安を解消するためにも、都としてさらに一歩踏み込んだ取り組みを進めていくべきであります。都は、そのためにどのような取り組みを行っていくのか、具体的に伺います。
 さらに、都立病院改革実行プログラムでは、小児総合医療センターを初めとする都立病院の大規模な再編整備をその計画に盛り込んでおります。都民ニーズの高い医療に的確に対応するために、都立病院の再編整備は必要なことではありますが、限られた財源の中では、まさに知恵を絞った、より効率的な、効果的な計画の推進が必要であることは申すまでもありません。このような状況の中で、第二期を迎えた都立病院改革をどのように進めていくのか、知事の所見をお伺いいたします。
 さらに、今回の保健医療計画の改定に関して、患者中心の医療は、知事が東京から医療を変えるという強い気概を持って進めている東京発医療改革の大きな柱であることから、患者中心という視点は、医療のみならず、保健医療施策全体についても必須のものであります。患者中心の視点に立った保健医療政策の展開についての所見を伺います。
 次に、教育改革について伺います。
 都は、都立高校改革や都立の大学の改革など、先進的な取り組みによって、国をリードする教育改革を推進してきたところであります。十五年度の都立高校入学者選抜からは、全国に先駆けて学区制を廃止し、都立高校が競争原理の中で互いに競い合い、質の高い教育を目指していく環境が整いました。また、十五年度からは、都独自の取り組みとして、校長、教頭のもとに指導監督職としての主幹を設置し、学校が組織体として適正に機能するための改革を進めていくこととしています。我が党としてもこれまで、こうした改革の取り組みを支持し、ともに推進してきたところであります。
 一方、日本の戦後教育の弊害は余りに大きく、今日の教育の荒廃は極めて憂慮すべき事態に立ち至っているといわざるを得ません。こうした教育の現状を踏まえ、国においては、教育のあり方を根本にまでさかのぼって見直すことが必要であるとの認識に立って、現在、中央教育審議会で新しい時代にふさわしい教育基本法のあり方について審議が進められ、既に中間報告が文部科学大臣に提出されたところであります。
 この中間報告では、公共心、日本の伝統、文化を尊重する態度、郷土や国を愛する心の涵養などの理念を新たに盛り込むことや、教員の使命感や責務を明確に規定するなど、方向性が示されたところであります。
 中教審の中間報告が打ち出したこれらの教育基本法見直しの視点は、教育の現状を踏まえれば、占領下の残滓を払拭し、日本人として連帯感をよみがえらせ、気概を高めるものとして、これを高く評価したいと思います。
 そこで、中教審の教育基本法見直しの方向性について、知事の所見を伺います。
 これまで、国の教育改革の軸足がなかなか定まらない中で、国に先駆けた教育改革を推進してきた都としても、都立高校改革など個別の改革にとどまらず、東京の教育の再生に向けて、東京の教育改革の全体像を都民に明らかにしていく必要があるのではないでしょうか。
 そこでお尋ねします。
 都は、十五年度の重要施策の一つとして、学校、家庭、地域でのトータルな教育改革を位置づけ、次代を担う人材を育てるという視点から、東京都教育ビジョンを策定することとしておりますが、そのねらいは何か、伺います。
 教育ビジョン策定に当たっては、学校教育などに限定することなく、次代を担う人材を育てるという視点から、福祉や医療、産業などの分野との連携協力を視野に入れた検討が必要であります。また、行政内部での検討だけではなく、広く都民の意見を反映する工夫が必要であると考えますが、どのような方法で検討し、いつごろをめどに策定するのか、お伺いいたします。
 以上で私の質問を終わらせていただきますが、冒頭申し上げたように、知事の二期目への挑戦を、我々都議会自民党は強く要請して、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 山崎孝明議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、この四年間、都政運営についてどう思うかということでありますが、私、自分の人生の中で、こんなに時間が速く過ぎたという実感を味わったことはございません。国会議員でいるときの倍以上の速さで時間が過ぎたような気がいたしますが、いずれにしろ、一向に減らない懸案課題に追い立てられまして、あっという間に時が過ぎたという感じでございます。
 この間、一貫して、東京が変わらなければ日本は変わらぬという、都庁なり、そしてまた議会の認識の上で、やるべきことをやってきたつもりでございますが、まだまだ問題が山積しておりまして、特に国とのかかわりの問題が、我々が望むペースで運びません。私はもともと短気な人間でありますけれども、それにしても、いらいら、はらはらすることが余りにも多いという感じがいたします。
 先般も、環境問題の訴訟で東京都が負けまして、上告はあきらめましたが、その意思を総理に伝えにいきましたときに、いつも一つ覚えで持って歩いておりますペットボトルのばい煙、すすを見せましたら、これが一万二千本ですかというから、一万二千本じゃない、十二万本だといったら、うそというから、本当なんだといったら、総理が突然、よし、やる、とわめいて、何をやるのかねといったら、世界で一番厳しい規制をやると、私の前では絶叫してくれたんですけど、どうもその後が続かないで、それっきりになってますが、どうもこういうことが多過ぎてですね……。
 いずれにしろ、相手がだれであろうと、都としては、おどしてでも、すかしてでも、決して不当な主張をしているわけでございませんから、都民を代表し、国民を代表して、議会との協力のもとに、政府を動かしてもいきたいと思っております。
 次いで、銀行外形訴訟についてでありますけれども、控訴審では、銀行業に外形標準課税を導入したことなど、条例の基本部分を初め、そのほとんどについて東京都の主張が認められました。ただ一つ、税負担の水準に関しての理解が得られませんでした。
 裁判のいい分は、地方税法の七十二条の二二、著しく課税が均衡を欠いてはいかぬ、不均衡を講じてはいけないということでありますけれども、判決文を読みましても、必ずしもそうとはいえないが、なお、とにかくちょっと高過ぎるという話でありまして、その理由に、公金投入した後、銀行はこれで干天の慈雨であって、何とか立ち直りますといっていたくせに、ますます悪くなってきたし、不良債権の額も、隠していたのがふえるばかりであります。
 国も、十兆円の公金を投入した、つまり我々の税金を投入した後、これで銀行もよくなる、金融関係もよくなるといっておりましたが、これもまた全く違った事態になったわけでありますけど、我々としては、あの時点で、十兆円の公金の投入を仰いだ銀行のいい分と、それを施した国のいい分を聞いて、将来を判断せざるを得ないわけでありますが、しかし、なお結果は逆に出た。それを、都が十分予測、分析して課税すべきである、額を決めるべきであるという判決のいい分は私たちは承服できませんということで、最高裁に上告をしたわけでございます。その過程で、都はなお手を尽くして都のいい分を主張していきたいと思っております。
 次いで、平成十五年度予算についてでありますが、就任以来、税収の減少など、都財政への逆風が続く中で、財政構造改革を強力に進めつつ、東京の活力の再生に全力を私たちなりに注いでまいりました。
 十五年度予算編成においても、都税収が八年ぶりに四兆円を下回り、引き続き厳しい財政環境でありましたが、こうした姿勢を基本に、聖域のない施策の見直しをこれまで以上に進めるなど、徹底した歳出の抑制も図ってまいりました。
 その一方で、いかに厳しい財政状況にあっても、中小企業対策やディーゼル車対策など緊急課題や、都市の再生と都民の安心、安全の確保など、重点課題には積極的に対応することが必要と考え、限られた財源を重点的、効率的に配分して、濃淡をつけてまいりました。また、将来の財政運営にも十分配慮して、引き続き都債の発行抑制などに努めてまいりました。
 現任期最後となる十五年度予算は、未来への苗を植えて育てながら、重点事業を初めとして、ソフト、ハードの両面にわたる必要な施策を積極的に展開するものとなったと考えております。
 何しろ、この供給過剰型のデフレというのは、我々、過去に余り体験したことのないものでありまして、政府そのものもまさに手探り手探りで対処しているという感を否めません。その中で、ずうたいは大きくても、やはり地方公共団体としての限界がございまして、いらいらしながらも、こういう状況に甘んじながら、その中での最善の工夫というものを今後も凝らしていかなければならないと自覚しております。
 次いで、財政再建の成果と今後の取り組みについてでありますが、これまでの四年間、財政再建推進プランに基づいて懸命な取り組みを続けてきた結果、財政再建団体への転落は何とか回避するとともに、十五年度予算までに、内部努力や施策の見直しなど、都が独力で対応可能な取り組みについては、プランの目標額をすべて確保するなど、着実に成果を上げたと思っております。
 その意味では、瀕死の状態にあった都財政は、現在ではかなり回復の方向に向かっているとは思いますが、肝臓病でいったら、GOT、GPTの指数が五〇〇だの一〇〇〇だのを超してたのがやっと落ちついて、まあ一〇〇は切ったけれども正常値にはまだ遠いという感じでございますが、いずれにしろ、その一方、都財政を取り巻く環境はさらに厳しさを増しております。都税収入がプラン策定時の見込みを大幅に下回りまして、また、国から地方への税財源移譲も一向に進んでいない状況であります。
 したがって、今後とも、地方財政制度の改革を国に執拗に強く求め続けるとともに、昭和六十二年度の水準まで低下した都税収入の実勢を踏まえて、歳出水準を身の丈に合ったものとしていくなど、財政構造改革をさらに強力に進める必要があると考えております。
 次いで、平成十四年度最終補正予算における経済対策についてでありますが、国内の景気は回復の兆しがまた遠ざかり、依然として深刻な状況が続いております。先行きも予断を許さないものになっております。このため、極めて厳しい財政状況でありますが、国の補正予算と歩調を合わせ、今回、都市再生など経済対策に積極的に取り組む最終補正予算を編成いたしました。
 この経済対策の効果を最大限に発揮させるためには、ご指摘のとおり、補正予算に計上した事業に速やかに着手し、十五年度予算と一体となった切れ目のない取り組みを行うことが不可欠でありまして、執行体制にも十分工夫しながら、的確に実行していきたいと思っております。
 次いで、地域福祉振興基金など五つの果実活用型基金についてでありますが、ご指摘のとおり、近年の超低金利のために、基金の運用利子をもって事業を行うという仕組みが、それ自体が役割を終えてしまいました。このため、これらの基金が有する多額の元本を財源として有効に転用して活用するために、今回取り崩しを行ったものであります。
 いってみますと、金利のつきようのないたんす預金を置いておかずに、何かほかのローンがあったら、それの返済に向けるという形で活用するということでありまして、何か、これを取り崩すことで、それをうたっていた政策そのものを撤廃するというふうな誤解というか、無理やりなこじつけがあちこちにあるようでございまして、これは全く筋違いでありまして、これらの基金が充当されるべき政策については、他の方法で今まで以上の財源を充当しております。
 ゆえに、これまで基金の運用利子を充当して実施してきた地域福祉振興事業や中小企業創業支援事業、東京ウィメンズプラザの運営などの事業については、引き続き一般財源を充当して、効率的、効果的に実施していくつもりでございます。
 次いで、市町村に対する財政支援についてでありますが、市町村振興交付金、調整交付金は、都独自の補助制度として、魅力と活力にあふれた多摩、島しょ地域の振興に一定の役割を果たしてまいりました。とりわけ、財政基盤の脆弱な市町村にとっては、貴重な財源として重要な役割を担ってまいりました。こうした認識に基づきまして、都の財政も大変厳しい状況にありますが、平成十五年度予算案では最大限の配慮をいたしたつもりでございます。
 次いで、自動車メーカーへの課税についてでありますが、自動車がもたらす大気汚染などの環境問題は、もはやもう経済とのトレードオフではなくて、取りかえっこではなくて、都民や国民の生命との取りかえっこ、トレードオフの関係にある喫緊の課題であります。
 ご指摘のとおり、こうした環境問題を解決するには、行政やユーザーだけでなく、メーカーを含めた三者の連携を深めることが不可欠であると思います。大気汚染の元凶となる自動車を製造するメーカーの社会的責任の大きさにかんがみ、メーカー課税のあり方を都税調でも検討しましたが、さらに新たな視点から貴重なご提言をいただいたことでもありまして、引き続き検討を深めたいと思っております。
 ただ、自動車産業というのは国の一つの大看板でありまして、これに対する国の行政者の、非常に過敏といいましょうか、過剰な遠慮というものもあって、過去にも、議員時代にもそういうのを痛感したことがございますが、私はやはり、その自動車産業というものが国の基幹産業であればあるほど、それに応じた社会的な責任というものを果たすべきだと思っております。
 次いで、羽田空港再拡張事業についてでありますが、羽田空港は、国内線はもちろん、国際線を含めた日本全体のための空港であります。既にもう容量が限界に達しているという、国家的な危機に陥っているわけでありまして、羽田空港の再拡張と国際化は、日本の活力と国際競争力を強化していく上でも欠くことのできない、最も重要な国家プロジェクトであると思っております。
 ゆえに、森内閣時代、私の親しい仲でありました亀井政調会長に押しかけまして、彼の部屋から直接運輸省に電話をし、半ばおどして調査費をつけて、やっとこれをテーブルにのせたのでありますが、その後どうもその進展が遅くて、いらいらしておりますけれども、いずれにしろ、その工法がまだ未定でありまして、どうも、どこかで何がつながっているのかわかりませんが、委員長の椎名さんが慨嘆しておりましたけど、何を注文つけても全部同じ値段が出てくる。ならばもう、未聞のことでありますけれども、価格と工法を一緒にして入札をするということになりました。工法が決まらないうちはなかなか工費の計上というのは予算に望むべくもないので、これを夏前に決定し、概算要求の前に決定し、これを拡張工事の工費として予算にのせていくつもりであります。
 先月、首都圏七都県市の長と国土交通大臣による本事業に関する協議会が初めて開催されました。正式な協議の場所が整いました。今後、この協議会での七都県市の連携はもとより、本事業の早期完成に向け、国への提言を含め、あらゆる機会をとらえて積極的な活動を展開していくつもりでございます。
 次いで、東京のしゃれた街並みづくり推進条例についてであります。
 しゃれた名前がついたわけですけど、こういう条例がわざわざ構えられるゆえんは、いかに東京にしゃれたまちがないかということの証左だと思いますけれども、ゆえに、東京にも、例えば青山や代官山などにはなかなかの街並みもございますが、こうしたまちを、街並みを数多くふやしていくことが必要と思います。そのために、民間の意欲や創意工夫を生かしたまちづくりを支援して、個性豊かで魅力のある、しゃれた街並みを実現していくため、この条例を提案させていただきました。
 これによって、国が進める都市再生とともに、都独自の都市再生を進め、東京を魅力のある都市として育て直していきたいと思っております。
 次いで、在宅介護や二世帯住宅といった社会的要請に対する都市計画の対応についてでありますが、おっしゃるとおり、この多世代同居は、世代間の触れ合いなど、失われつつある人間関係、家族のきずなを回復するのに非常に有効な手だてだとかねがね思ってまいりました。
 高齢社会に対応して、二世帯住宅などへの建てかえが可能となる、ゆとりのある住宅地の再生は重要だと思います。そのためにも、地域福祉の充実に向けて、さまざまな施策を展開していく必要があり、用途地域の見直しもその一つと心得ております。
 次いで、国も共産党も反対してまいりました認証保育所についてでありますが、一昨年八月に第一号が開設してから一年半余りで、百二十八カ所、約三千四百人がユーザーとして使っていただきました。来年度はさらに九十カ所創設し、二千五百人の方が新規にここを使っていただけるということになりそうであります。
 大都市特有の利用者ニーズにマッチした新しい保育所のスタイルが都民から広く支持されたこと、そして民間事業者が非常に意欲的に参入してきてくださったこと、これらが相まった結果と認識しております。裏返していえば、これまでの国の全国一律、画一的な規制のもとに行ってきた、硬直した保育施策の限界と矛盾が改めて証明されたということであります。
 これはあくまでも、都の職員、担当部局の職員の発想で、特にJRなどの協力のもとに、こういった新しいスタイルの福祉制度というものが展開されたわけでありまして、これなどを見ましても、国に比べては、東京はまんざら捨てたものじゃないなという感じがいたしております。
 今後とも、こうした大都会ならではの都の独自の施策を展開することによって、福祉改革を積極的に推進していきたいと思っております。
 次いで、都立病院改革の今後の進め方についてでありますが、都民要望の強い医療サービスを充実向上させ、都民の医療に対する不安、不信を解消するためにも、都立病院改革を効率的、効果的に推進する必要があることはご指摘のとおりであります。
 そのために、第二段階を迎えた都立病院改革では、PFI等による建設コストの削減の検討や、医薬品、機械の効率的購入などの経営改善に取り組んでまいります。
 私は、就任早々でありましたけど、ある新設の病院の非常に重要な医療機器の単価を聞いて驚きました。その後、私の知人の非常に大きな病院チェーンを経営している男から、同じ製品を彼らが、都が購入した三分の二ぐらいの価格で購入しようとし、かつまた、それがもっと値切れそうだという話を聞いて驚きましたが、たまたまそのメーカーの社長が私の友人でありまして、聞きましたら、それでもなおそのメーカーは利益を上げることができる。一体こういう機材の購入のメカニズムはどうなっているかということを、それ以来、私、非常に着目するようになりました。担当局にも命令しまして、そういうものの合理化に一生懸命努めております。
 あわせて、医師を初め職員の意識改革、能力開発を強力に推進しつつ、民間のノウハウを積極的に取り入れるなど、さまざまな創意工夫を図り、東京発医療改革の目的である患者中心の医療を実現していきたいと思っております。
 次いで、教育基本法の見直しでありますが、日本の戦後教育は、国家、民族としての誇りや気概を極端に自己否定することから始まったような気がいたします。このため、戦後の教育は、国家を大切にする、あるいは日本人であるということを誇りにするというか、その自覚を強く持つという教育の一つの要件というものを著しく欠いてきたような気がいたしてなりません。
 今、教育基本法の改正がいろいろ問題になっておりますけど、いろいろ問題があると思いますが、仄聞しますと、国を愛する心を愛国心というべきか、べからざるかという、非常に瑣末な、何というか、基本を外れたつまらぬ議論がかまびすしいようでありますけれども、いずれにしろ、私たちは、国家や民族というものを離れて日本人としてあり得るわけではありません。
 そもそも、国家、ネーションという言葉は、ラテン語のナチオから来たそうでありまして、このナチオというのは決してナチスに関係ない。ローマ帝国時代に、広範なローマ帝国からボローニャ大学にやってきたエリートの学生たちが、ラテン語で話す一方、同郷の者たちとは故郷の言葉、故郷の歌を歌いながら酒を酌み交わしたという、いってみれば、私が寮におりましたときもありました県人会のようなものでありまして、そこで自分たちのアイデンティティーというものを確認し合ったというところから、このナチオ、ネーション、つまり国家という言葉が出てきたわけでありまして、いろいろ評価もあるでしょうけれども、しかし、いずれにしろ、共通の文化、共通の言語というものは、共通の感情、情念というものをはぐくんで、日本人としてのDNAを有形無形、形づくってきたわけでありまして、それをやはり心得ること、しっかりと心得ることが、日本人自身がナショナルであると同時に、それすなわちインターナショナルになり得るということで、私は思います。
 ということで、こういった点をフォーカス当てて、今回の教育審議会が教育基本法を見直そうというのは、当然のことだと私は思います。
 いずれにしろ、我が国の伝統、文化を尊重し、郷土や国家を愛する心の涵養を図ることは、すなわち、自分が何であるか、何人であるか、どういう国家に属するか、それに対する評価、好き嫌いは別にして、有無をいわさぬアイデンティティーというものが自分の中にあるんだ、他人と同じようにあるんだ、日本人としてあるんだということを、子どもたちが教育を通じてしまい直すということは、日本人のこれからのエネルギーにもつながっていくものだと思っております。
 今ご提言の中に、東京は、ひとつ東京の教育基本の姿勢というものを示したらどうだという提言がございました。大変結構だと思います。非常にタフな教育長を私たち持っておりますから、横山教育長のもとに、教育委員会がこういうものを取り上げて、皆さんのご意見をいただきながら、東京は、国が何だろうと、つまり日本の国家として、首都として、日本人である都民というのをこうやって東京都の責任で教育し直していくんだぞという姿勢を東京が構えるということは、私は、必ずしも東京だけじゃなしに、日本全体に大きな影響を与えるんじゃないか、大変有力なご提言だと思いまして、聞き取らしていただきます。
 なお、その他の質問につきましては、警視総監、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監石川重明君登壇〕

○警視総監(石川重明君) 組織犯罪の取り締まりについてお答えをいたします。
 東京、ひいては日本の治安を攪乱している大きな要因、最大の要因といってもいいと思いますが、それは、来日外国人を中心とする国際犯罪組織、暴力団等が互いに結びつきを強め、あるいは相互の対立抗争の過程で、繰り返し組織的に犯罪を敢行しているということにございます。
 具体的に申し上げますと、都内の刑法犯検挙件数から見た来日外国人の犯罪は、昨年は十年前の約一・三倍になっております。また、このうち共犯事件の割合は、今や約六四%を占めるということで、十年前の約九倍となっております。
 こうした中で、昨年検挙いたしました、新宿歌舞伎町の喫茶店内において、密入国者らによって構成された中国人の強盗グループが、けん銃を複数使用いたしまして、暴力団幹部ら二名を殺傷した事件に見られるような凶悪性、あるいは、中国人、マレーシア人、山口組系暴力団員らによる広域クレジットカード偽造・詐欺事件に見られるような事件の悪質、巧妙性といったようなことが顕著になっております。こうしたことが都民生活に対する脅威となっているということは、ご指摘のとおりでございます。
 当庁におきましては、これまで、組織犯罪対策本部の設置や、警察署への組織犯罪対策担当課の新設など、組織犯罪に的確に対応するための体制の整備を行いながら、この種犯罪の取り締まりの強化に努めてまいったわけでございますが、さらに都民生活の安全と安心を確保するためには、警視庁本部に、本定例会に上程をさせていただいておる組織犯罪対策部を創設し、一層強固な取り締まり体制を構築することが必要であると考えております。
 この新しい部におきましては、専属の部長を配置いたしまして、指揮命令系統と情報の一元化を図るとともに、諸対策に精通した捜査員を結集いたしまして、国際犯罪組織にかかわる殺人、強窃盗等の犯罪を初め、悪質雇用関係事犯等の防圧検挙、入国管理局、税関等を初めとする関係機関との連携による集団密航事件や、不法滞在者の摘発、組織的犯罪処罰法等の諸法令を適用した暴力団中枢幹部等の大量検挙、国際犯罪組織、暴力団などが深く関与をしております銃器、薬物の組織的な密輸、密売事犯の防圧検挙などなど、増加する不良来日外国人や暴力団による組織犯罪を徹底して取り締まり、目に見える形で都民の皆様の安全につながる結果を出していく所存であります。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教育ビジョンに関します二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、東京都教育ビジョンの策定のねらいについてでございますが、子どもたちを取り巻く問題といいますのは、相互に関連しておりまして、学校、家庭、地域の教育力といった個別の取り組みでは、問題解決には十分ではございませんし、また、幼児期から青年期までの各発達段階の問題も相互に連鎖しておりまして、個々の段階ごとの個別の取り組みだけでは抜本的な問題解決を図ることにはならないと考えております。
 このため、二十一世紀の東京の創造的発展を担う人を育てるという視点から、学校、家庭、地域、社会全体を視野に入れるとともに、発達段階をトータルにとらえた東京都教育ビジョンを策定しまして、東京都における新たな教育改革の道筋を都民に示してまいりたいと考えております。
 次に、東京都教育ビジョンの検討方法及び策定時期についてでございますが、東京都教育ビジョンは、教育、福祉、医療、産業など、子ども、青少年の育成にかかわる関係局による組織横断的なプロジェクトチームを設置しまして検討してまいりますが、ご指摘のように、これからの東京の教育のあり方について検討し、新たな教育改革の道筋を示していく上で、都民の意見の反映は重要であると考えております。
 このため、東京都教育ビジョンの策定に当たりましては、都議会はもとより、教育関係者、各界の有識者の意見を伺うほか、都民へのアンケート調査の実施や、中間段階での検討内容を公表しまして意見を求めるなど、広く都民の声をビジョンに反映するような工夫を図ってまいります。
 また、時期につきましては、平成十六年一月を目途に策定する予定でございます。
   〔環境局長小池正臣君登壇〕

○環境局長(小池正臣君) ディーゼル車規制に関します三点のご質問にお答えいたします。
 まず、ディーゼル車買いかえのための新たな融資制度の利用についてでございますが、この制度は、厳しい経営環境にある中小企業者の買いかえを支援するため、既存の融資制度を利用できない事業者も利用可能な仕組みとして構築いたしました。ご指摘のような債務超過などの事情がある場合でありましても、返済計画が認められれば、利用可能な制度でございます。
 都は、取扱金融機関に対しまして、本制度創設の趣旨に沿った融資の実行を要請しており、金融機関側も積極的な協力を約束しております。今後、金融機関の融資状況を的確に把握するなど、本制度が十分活用されるよう努めてまいります。
 次に、ディーゼル車規制に係る相談体制の充実についてでございます。
 この二月三日に、事業者からの広範な質問に一カ所でお答えする総合相談窓口を設置いたしました。現時点では、条例による規制内容や補助制度についての質問が多くを占めておりますが、ご指摘のように、規制開始時期が近づくに伴い、相談件数の増加や相談内容が切実になることが見込まれます。
 今後とも、事業者が規制に適切に対応できるよう、相談の状況に応じまして、専門的知識の豊富な相談員をさらにふやすなど、相談体制を充実してまいります。
 最後に、ディーゼル車規制に係る自動車メーカー等への働きかけについてでございますが、この二月六日に、ディーゼル車メーカー七社に対し、自動車メーカーとしての社会的責任を踏まえ、事業者の負担軽減に特段の配慮を行い、ディーゼル車の買いかえ促進を図るよう強く要請いたしました。
 これに対し、メーカー各社からは、全面的に協力するとの積極的な回答を得ますとともに、今後の具体的な取り組みについて定期的に協議していくことといたしました。都は、こうした場を活用するなど、引き続きメーカーやディーラーに強く働きかけてまいります。
   〔産業労働局長有手勉君登壇〕

○産業労働局長(有手勉君) 中小企業、商店街振興、それから雇用問題など、六点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京都雇用・就業対策審議会についてでございますが、現下の深刻な雇用失業問題を解決するためには、これまでの枠組みを超えた雇用就業施策が必要となっていると認識しております。このため、審議会におきまして、東京の産業を牽引する人材の育成、産業構造の変化にこたえる雇用の流動化促進、新時代を担う若者の就業推進、起業、創業等、多様な働き方の推進などについてご検討いただいているところでございます。
 本年六月には、二十一世紀を見据えた東京を再生させる新たな雇用・就業施策の基本的方向と具体的施策について、答申をいただく予定でございます。
 次に、平成十五年度の金融対策についてでございます。
 厳しい金融環境の中、中小企業の資金需要は大変根強く、中小企業の経営を支える制度融資の役割は、ますます大きくなっていると認識しております。このため、来年度の制度融資は、資金需要に対応いたしまして、事業再生融資やクイック型融資を創設するとともに、融資目標額を過去最大の一兆七千五百億円とし、充実を図ったところでございます。
 今後、この目標を着実に実行するとともに、経済動向を注視しながら、ご指摘の二兆円の融資規模を念頭に置いて、的確かつ積極的に金融対策に取り組んでまいります。
 次に、国の借りかえ制度の概要及び都の対応についてでございますが、国の借りかえ制度は、中小企業の月々の返済額の軽減及び資金調達の円滑化を目的とする都の借りかえ制度と同趣旨のものであります。取引先倒産等に関連した保証であるセーフティーネット保証や、安定化特別保証も対象に加えた点に特徴がございます。
 都は、こうした保証対象の拡大を踏まえ、セーフティーネット保証を取り入れた借りかえ制度を、早速あしたから実施いたします。また、国の制度の積極的活用を、金融機関及び信用保証協会に働きかけてまいります。
 次に、商店街を振興する意義と、都の役割、姿勢についてでございますが、商店街は、地域経済の活力を支えるばかりでなく、地域社会で、雇用機会の創出、住民の生活の場の提供、コミュニティの維持などの役割も担っております。近年、その活動が低下していることは、憂慮されるところでございます。
 そこで、都は、商店街の持つこうしたさまざまな役割にかんがみ、商店街振興を産業振興の重要な柱の一つと位置づけ、商店街にとって使いやすい支援策となるよう、施策を再構築するとともに、予算の増額をして事業規模の拡大を図ったところでございます。
 今後とも、意欲的な商店街の多種多様な取り組みを積極的に支援して、商店街の振興を図ってまいります。
 次に、新・元気を出せ商店街事業を実施していく上での、都のイニシアチブについてでございます。
 商店街の振興には、商店街の自主的、自立的な課題解決への取り組みが不可欠でございます。その上で、地域の実情に精通いたしました区市町村と連携して、都が支援する必要がございます。このため都は、区市町村の商店街振興プランづくりを支援するなど、積極的な取り組みを進めてまいりました。
 今後は、区市町村が策定する事業実施計画に対するヒアリングの実施や、区市町村の職員を対象とした先進事例を研究する研修会の開催などにより、連携をより一層強めながら、商店街のさらなる振興を図ってまいります。
 最後に、広域的なイベント事業についてでございます。
 商店街の行うイベント事業には、多くの方が参加することによって、売り上げの拡大といった経済的効果のみならず、商店街のイメージアップ、地域コミュニティの維持など、多面的な効果がございます。
 新・元気を出せ商店街事業は、こうしたイベント事業を核として、意欲ある商店街の多種多様な取り組みを支援することにより、その活性化を促すものでございます。したがって、広域的なイベントで、個々の商店街の主体的な取り組みによって、その活性化に資するものにつきましては、新・元気を出せ商店街事業の対象となるものと考えております。
   〔都市計画局長勝田三良君登壇〕

○都市計画局長(勝田三良君) 都市計画に関する五点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、東京のしゃれた街並みづくり推進条例によるまちづくりの進め方についてでございますが、東京の市街地は、敷地の細分化によりまして権利関係がふくそうしていることや、一体的な街並みをつくり上げていくための制度が不十分なことから、魅力や風格のある街並みを形成するには至っておりません。
 そのため、密集市街地等において、地域の実情に即した規制緩和を行うことによりまして、小規模なまとまりの共同建てかえなどを促進する街区再編まちづくり制度を創設をいたしまして、建物の高さや外観が整った街並みを形成してまいります。
 また、東京の街並み形成上、重要な地区におきまして、個性豊かで魅力のある街並み形成を図るための街並み景観づくり制度を創設し、地域の協議会が中心となった一体性のあるしゃれた街並みづくりを推進してまいります。
 次に、地権者等の意欲を喚起するための仕組みについてでございますが、街区再編まちづくり制度では、街並み再生方針に適合する建てかえ計画などに対しまして、都市計画の提案制度を柔軟に適用するとともに、地域の実情に応じた容積率や斜線制限などの緩和措置を講じてまいります。
 街並み景観づくり制度では、地域の協議会が、みずからの手で街並み景観をコントロールすることができるようにいたします。このため、協議会に対しまして、街並みデザイナーの派遣を行うほか、建築等を行う際に守るべきガイドラインを協議会がみずから定め、これに基づく街並み景観づくりを自主的に行うことができる仕組みとしております。
 次に、条例の普及についてでございますが、本条例は、地権者等の発意による共同建てかえなどの都市計画提案や、地域の協議会が作成する街並み景観ガイドラインなどを基本といたしまして、まちづくりを推進するものであり、都民等の理解と参加が極めて重要でございます。
 そのため、制度の仕組みをわかりやすく解説したパンフレットの配布や、インターネット、広報紙など、各種の広告媒体を活用した普及活動を実施するほか、区市町村とも連携を図りながら、都民に対しまして、街区再編まちづくり制度や、街並み景観づくり制度の活用促進を積極的に働きかけてまいります。
 次に、低容積率が指定された住宅地の用途地域の見直しについてでございますが、容積率六〇%及び八〇%が指定された地域は、約二万五千ヘクタールでございます。また、低容積率の住宅地におきましては、ミニ開発を防止するため、敷地面積の最低限度などを定めることによりまして、容積率一〇〇%、建ぺい率五〇%へ見直しすることが可能でございます。地域の特性や基盤整備の状況等を踏まえまして、適切な見直しが図られるよう、区市町と十分連携を図ってまいります。
 最後に、区部の木造住宅密集地域等における用途地域についてでございますが、これらの地域は、敷地が狭小であるため、二世帯住宅など、ゆとりある居住を実現していくためには、容積率一五〇%などの指定も必要であると考えております。地域の特性に応じまして、敷地の細分化の防止など、住環境確保の措置を講じながら、適切な指定に努めてまいります。
   〔建設局長小峰良介君登壇〕

○建設局長(小峰良介君) 交通渋滞の解消にかかわる三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、渋滞の解消に向けた取り組みについてでございますが、慢性的な交通渋滞は、社会経済活動や都市環境などに大きな影響を及ぼし、その解消は、都の最重要課題の一つでございます。
 このため、国などによる三環状道路の整備促進を図るとともに、都といたしましては、環状第八号線や調布保谷線を初めとする区部環状道路、多摩南北道路など、都市の骨格をなす幹線道路の整備を推進しております。あわせて、右折車線を整備する交差点すいすいプラン一〇〇や、荷さばき場などを設置するスムーズ東京21など、交差点での渋滞対策の強化にも努めているところでございます。
 今後とも、東京が国際競争力を取り戻し、活力と魅力ある都市として再生するため、幹線道路ネットワークなどの早期完成を目指して、交通渋滞の解消に積極的に取り組んでまいります。
 次に、ボトルネック踏切など、踏切解消を進めていく上での課題についてでございますが、踏切は、円滑な道路交通の妨げとなっているとともに、踏切により生じる渋滞が環境への負荷を与えていることから、その対策が強く求められております。
 道路と鉄道の立体交差化を進める上での課題といたしましては、交差する道路や駅前広場など、沿線のまちづくりと整合を図ること、鉄道事業者など多数の関係者との調整を図ること、膨大な事業費を必要とするため、国庫補助金を含め必要な財源を確保すること、並びに地元自治体がみずから負担する財源を確保することなどでございます。
 最後に、連続立体交差事業の取り組みについてでございますが、本事業は、交通渋滞や地域分断を解消するなど、都民生活と都市活動を飛躍的に向上させ、都市再生にとっても極めて効果の高い事業でございます。現在、JR中央線、京浜急行線など、八路線九カ所で事業を実施しております。
 このうち、昨年十二月に、小田急小田原線の世田谷代田駅から喜多見駅間では、すべての踏切を解消いたしました。また、本年三月には、西武池袋線の江古田駅から練馬高野台駅間で高架複々線化が完成するほか、京王線と鶴川街道との交差部においても、仮設立体による踏切すいすい事業の完成により、交通渋滞が解消いたします。
 次に、事業化を進めている路線でございますが、西武池袋線石神井公園駅付近につきましては、昨年来、国より新規着工準備採択の内示を受け、十五年度には概略設計などを行い、早期事業化に向けた準備を進めてまいります。また、小田急小田原線下北沢駅付近につきましては、本年一月に都市計画決定し、今後、国や鉄道事業者との協議を調え、十五年度に事業認可を取得する予定でございます。
 今後とも、財源確保を図りながら、地元区、鉄道事業者など関係機関と緊密に連携し、住民の理解と協力を得て、連続立体交差事業を積極的に推進してまいります。
   〔港湾局長高橋信行君登壇〕

○港湾局長(高橋信行君) 港湾行政の新しい動きについて、三点お答えいたします。
 最初に、港湾の分野の規制緩和についてでありますが、東京港の国際競争力を強化するには、港湾施設の充実や管理運営の改革を進めなければなりませんが、さらに、商慣行の見直しや、大胆な規制の緩和が不可欠であると認識しております。
 都が国際港湾特区を提案しました結果、今回、税関の土日開庁が実現し、コンテナターミナルでの貨物の搬出入時間が拡大され、フルオープン化が促進されることになりました。しかし、港湾の規制緩和はまだ不十分であり、検疫の執務時間の延長、水先制度の見直しなどの提案は実現されておりません。今後も港湾のコスト削減、サービス向上につながる措置を国に提案し、その実現を図ってまいりたいと考えております。
 二番目に、スーパー中枢港湾として目指すべき姿及びその実現についてでありますが、首都圏四千万人の生活と産業を支えていくため、東京港は、アジアの主要港湾に伍した競争力を持ち、基幹航路の大型コンテナ船が多数寄港する港でなければなりません。そのためには、コスト低減とスピードアップなど、サービス向上を図り、国際的にも遜色のない使いやすい港とする必要があります。
 今回、その一環として、ターミナル運営の協業化、共同化や、ヤード機能の拡充、利用者の経営努力を促すような管理運営の手法を検討するとともに、東京湾全体を視野に入れた広域連携を推進することなどを、スーパー中枢港湾を目指すに当たっての具体的な目標といたしました。
 今後、選択と集中に基づく国の重点投資を求めるとともに、スーパー中枢港湾の名にふさわしい港にするため、官民の力を結集し、改革に取り組んでまいります。
 三番目に、改訂港湾計画の課題と検討の観点についてでありますが、従来の計画は、施設整備に重点を置いてまいりましたが、国際競争力の強化を目指す今回の改訂では、ソフト面の改革を重視し、コスト低減やサービス向上などに寄与する港湾施設の管理運営手法、既存ふ頭の活用と再編、各種規制の緩和、総合的な物流体系の構築などを重要な課題としているところであります。
 また、その検討に当たりましては、急速な経済社会の変化に対応する柔軟で弾力的な発想とともに、広域的、総合的な視点や、経営効率性の観点からの取り組みが必要であると考えております。
 東京港が、アジア諸港と対抗し得る港であり続けるためには、この改革は待ったなしの段階にあり、実現可能な施策から実施してまいりたいというふうに考えております。
   〔住宅局長橋本勲君登壇〕

○住宅局長(橋本勲君) 住宅対策についての三点のご質問にお答えいたします。
 最初に、マンション対策の総合的な推進についてでございますが、本年四月に、建物の構造と管理の両面で一定の水準を確保する優良なマンションを登録し、都民に情報提供する制度を実施することとしており、現在、民間事業者や管理組合などへの働きかけを行っております。さらに、既存ストックの適切な維持管理を促進するため、マンション改良工事の助成戸数を五千戸に拡大する予定でございます。
 また、昨年十二月には、建てかえを含めた相談窓口が、都の支援によりすべての区市に設けられましたので、今後は区市との連携を一層強化することにより、相談や情報提供体制の充実を図ってまいります。
 次に、木造住宅密集地域の整備についてでございますが、こうした地域の整備に当たりましては、これまで以上に迅速かつ実効性のある事業展開を強力に図っていく必要がございます。そのため、地域住民や区市などの主体的な取り組みを踏まえた事業の重点化、民間事業者の活力や規制誘導策の活用、都営住宅の敷地等公有地の活用など、事業成果が目に見え、実効性のある戦略を取りまとめ、区市と連携し、都民が安心して生活できるまちづくりを進めてまいります。
 最後に、都営住宅事業についてでございますが、これまで使用承継制度の見直しや、期限つき入居制度の一般都営住宅への拡大など、都営住宅制度の改革を着実に実施してまいりました。今後の事業経営に当たり、バランスシート等を活用した、より効率的な経営の実現や、都民のセーフティーネットとして、不公平感を解消するためのたゆみない改革の推進が不可欠でございます。
 このため、収支の改善や管理の適正化など、経営の考え方と今後の方向を早急に取りまとめ、都民共有の財産である都営住宅を、都民全体のニーズを踏まえた政策への活用を含め、より都民に開かれたものとしてまいります。
   〔中央卸売市場長碇山幸夫君登壇〕

○中央卸売市場長(碇山幸夫君) 中央卸売市場の再編統合など、そのあり方に関しますご質問にお答え申し上げます。
 平成十三年四月の東京都卸売市場審議会の答申では、食品流通効率化の視点から、市場間の連携や再編統合の具体的な検討が必要であるとの提言をいただきました。
 都は、第七次東京都卸売市場整備計画を定めまして、淀橋市場の練馬分場を民営化し、地方卸売市場とするとともに、食肉市場の分場の本場への統合化を図るなど、その再編統合に取り組んでまいりました。
 今後、お話の豊洲新市場の開設に向けまして、食品流通構造の変化や東京市場全体への影響を踏まえまして、再編統合などについて市場業界と協議を行い、具体的な検討を進めてまいります。
   〔福祉局長川崎裕康君登壇〕

○福祉局長(川崎裕康君) 福祉改革に関します三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都市型保育サービスについてでございますが、既存の認可保育所は、長時間保育やゼロ歳児保育など、利用者の多様なニーズに柔軟、的確にこたえ切れていない現状がございます。
 一方、都独自の制度であります認証保育所は、多様な事業者がそれぞれ競い合いながら、質の高い保育サービスを提供しており、利用者からも高い評価を受けております。
 都としては、このような認証保育所の普及促進を通じて、認可保育所が競い合いにより、大都市特有のニーズに的確にこたえるものへと転換していくよう、取り組んでまいります。
 次に、家庭で育児を行う母親や父親への支援についてでございますが、少子化が進む中、家庭にいて子育てをしている親が安心して子どもを育てられるよう支援していくことは、大変重要であると認識をしております。
 このため、都では、子育てをしている親などが気楽に集い、相談や情報交換、交流などを図る場として、現在、子ども家庭支援センターや子育て広場の設置を促進しております。
 また、これらに加え、家庭で子育てをしている親の病気や出産などに対応するため、一時保育やショートステイなど、さまざまな子育て支援サービスの拡充も図っており、今後もこれらの施策の推進に努めてまいります。
 次に、障害者施設におきますサービス推進費補助の再構築についてでございます。
 サービス提供の仕組みが本補助制度の前提であります措置制度から支援費制度に変わるため、その整合を図るとともに、サービス向上に向けた施設の努力が報われる補助制度とするよう、慎重な検討を進めております。
 しかし、現在、国は支援費単価を公式に定めておらず、また、支援費支給の前提となる施設入所者の障害程度区分の認定が来年度にずれ込む状況にございます。
 このようなことから、ご提案の趣旨を踏まえ、平成十五年度の障害者施設への補助につきましては、現行の運営費に配慮した経過措置的な取り扱いといたします。
   〔健康局長長尾至浩君登壇〕

○健康局長(長尾至浩君) 保健医療に関します二点の質問にお答え申し上げます。
 まず、多摩地域における小児医療の確保についてでございますが、小児医療の充実は都としても重要な課題であると認識しております。
 ご指摘の多摩地域における小児医療の確保につきましては、都と市町村との役割分担や地域の医療資源の実態等を踏まえ、病院経営本部と一体となって検討の場を設け、小児救急医療や周産期医療などの体制整備を促進するための検討を具体的に進めてまいります。
 次に、患者中心の視点に立った保健医療政策の展開についてでございますが、都は、これまでも、東京発医療改革の柱として患者中心の医療を掲げ、全国に先駆け、患者の声相談窓口の設置などに取り組んできたものでございます。
 今後とも、診療情報の開示を促進するための電子カルテの導入や都民の医療機関の選択に必要な情報をきめ細かく提供する医療機関情報システムの整備、精神障害者社会復帰施設における第三者サービス評価の実施など、保健医療全般にわたりまして、患者中心、都民本位の施策展開に努めてまいります。

○議長(三田敏哉君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時五十六分休憩

ページ先頭に戻る