平成十四年東京都議会会議録第十九号

   午後一時一分開議

○議長(三田敏哉君) これより本日の会議を開きます。

○議長(三田敏哉君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(三田敏哉君) 昨日に引き続き質問を行います。
 四十八番倉林辰雄君。
   〔四十八番倉林辰雄君登壇〕

○四十八番(倉林辰雄君) 私は、都議会自由民主党の倉林辰雄でございます。
 初めに、石原知事の政治姿勢についてお伺いをしてまいります。
 思い起こせば、平成十一年四月、多くの都民の期待を受けて、石原知事が全国的にも注目の中で誕生したことは記憶に鮮明に残っているところでございます。
 就任直後の五月、第一回都議会臨時会での就任あいさつや、六月の第二回定例会の所信表明の中で、我が国の首都東京の知事として、その重責を改めて痛感し、首都東京を変え、日本を変え、時代の閉塞感を打ち破るための努力と、いかなる困難があろうとも、財政再建を断行し、首都東京が、かつまた国が進むべき新時代の航路にしっかりと灯をともしていく決意を披瀝されました。まさしくその言葉どおりの実践をされておられますことに改めて敬意を表しながら、質問をさせていただきます。
 まず最初に、北朝鮮拉致被害者の問題に絡めた知事の発言についてからお伺いをいたします。
 北朝鮮による拉致の問題は、我が国にとって大変重要な問題であり、政府も日本国そのものを問われているものととらえ、日朝交渉を国政の中心的課題として取り組む姿勢を見せております。まさに日本外交の真意を問われており、この問題に対する政府の対応を、国民全体が厳しく見詰めております。
 そうした中で、難民支援などを行う外務省認可の公益法人日本外交協会により、都など自治体が提供した非常用食糧が積み込まれ、北朝鮮に送られました。これは、拉致問題に対する国民、都民感情からすれば、信じがたい行為であり、裏切りであると思います。
 知事は、記者会見でこの件を明らかにし、けしからぬ話だ、国の努力を無視するなんてどういう神経だと痛烈に批判をいたしました。知事の記者会見の後、この問題はマスコミでも大きく取り上げられ、公私混同した運営実態が明らかになっております。
 外務省は協会に対し、食糧支援を見合わせるよう要請したとのことでありますが、日本外交協会がこのような行為に出たことは、拉致をした北朝鮮を支援する蛮行といわざるを得ません。
 既に東京都は、寄附した食糧のうち、外交協会が保有している分を北朝鮮へ送らないよう申し入れをし、外交協会からは、北朝鮮には送らず、他の国・地域へ送付する旨の回答を文書で受けたと聞いております。協会は、拉致問題が解決するまで、一切北朝鮮には支援すべきでないと考えます。
 ここで改めて、我が国の外交のあり方や外交協会の姿勢について、知事の痛烈な指摘と所見をお伺いいたします。
 知事は、拉致問題に関して、マスコミ、特にテレビの討論番組等でたびたび発言をされております。いわゆる石原節をもって持論とされております強気な外交姿勢を披瀝され、拉致被害者の家族の一人でも迫害したり殺したら、堂々と戦争したっていいと思うとも発言されております。ただ、この発言に対しては、一部の人は暴論と批判するものもありますが、当然、知事の発言を支持する視聴者もあり、一方で、戦後日本のあり方に対する強烈なアンチテーゼであり、無視すべきではないとする冷静な論調もあります。
 もちろん、直ちに戦争を起こすことは法を犯すことになるわけでありますが、知事の発言は、単に暴論、過激発言とされるようなものではなく、これまでの日本のひ弱な外交姿勢に対する批判を込め、政府に厳しい注文を飛ばしたものであると私は痛感をいたします。
 日本の首都東京の知事は、世界的に見ても一国のリーダーと同じレベルにあることは、私を含め多くの人々が当然だと思うのであります。その知事が、先日、所信表明でも、日本全体が非常にひ弱になっていると発言をされております。まさしくこれは、国のひ弱な姿勢をも憂える発言であると思います。
 こうしたことを考え合わせますと、拉致問題に対する知事の一連の発言は、私は、時と場合においては、仮に法律に規定されていないような場面に遭遇したとしても、拉致被害者の救済に最優先で取り組むべきだとのメッセージであると理解をしておりますが、テレビでの限られた時間の中では十分伝え切れなかったものもあると思います。
 そこで、知事の発言の真意を改めて私はお伺いいたしたいのと、また、国民、都民の安全を脅かす北朝鮮の核開発についても、どうぞ本会議場において生の声で、その厳しい見解を都民に存分披瀝をしていただきたいと思います。
 次に、横田基地の共用化の取り組みについてお伺いをいたします。
 この問題は、石原知事の公約の一つでもあり、本来の交渉当事者である国が全く動かない中で、首都東京の知事として現況を打開したいとの強い意欲のもと、訪米をされ、米国の複数の要人との会談で、横田基地返還と軍民共用化について理解を求められたとのことであります。そして、政府間の協議の重要な問題として登録されるべき問題だとして理解が得られたとのことでありました。
 この問題は、基地周辺自治体や東京都として、また、首都圏全体に及ぼす影響は、政治的、経済的な面なども含めて多大なものがあるということは言をまたないところであります。
 石原知事が日本と米国の両国間の重要問題として提起されたことは大きな意義があり、また、今後の促進行動として、国が積極的にこの問題に取り組むよう働きかけたいと表明されました。私も基地の周辺に住む者として、のみをとり、知事と一緒に風穴を広げていきたいとは思っております。
 そこで、先般の訪米の成果について、改めて知事に見解をお伺いいたします。
 横田基地の共用化を初めとした横田基地の問題について、さきの訪米で意見交換を行い、その結果を踏まえ小泉総理に進言をしたということでありますが、総理に何を話され、総理はどう認識をされ、政府とともに共用化に向けた取り組みは今後どのように進められていくのか、知事の所見をお伺いいたします。
 一方、横田基地は、共用化をする場合、騒音対策の問題を初め、空港への各種交通アクセスの拡充等の地元対策、地元調整を行うことが極めて重要であると思いますが、これについても所見をお伺いいたします。
 次に、二点目の多摩のまちづくりについて伺います。
 まず、多摩北部地域の大規模都営住宅団地建てかえ事業についてお伺いをいたします。
 本年の第二回定例会において石原知事は、都営住宅の再編整備に関する我が党の質問に答え、多摩地域において、例えば東村山本町団地についても、再編整備の郊外型モデルプロジェクトとして取り組んでいくとの姿勢を示しました。このことは、先駆的事例であります南青山一丁目団地建てかえプロジェクトのような事業を、都心部だけでなく多摩地域にも実施をしていくものであり、多摩地域の活性化のために高く評価をいたすところでございます。
 私は、都営住宅の再編整備を、多摩地域にある他の大規模団地についても積極的に進めていくべきという観点から、何点か質問をいたします。
 多摩北部地域には、東村山本町都営、武蔵村山団地、東京街道団地、東大和向原の大規模都営住宅四団地があります。建てかえ事業を現在行っておりますが、再編整備を行うには建てかえ計画を見直す必要があります。そこで、今年度までの事業実績と見直し後の事業予定についてお伺いをいたします。
 再編整備は、都営住宅の建てかえに際し、敷地の高度利用により生み出した用地を有効に活用するものと聞いております。四団地の再編整備において、このような土地の活用をどのように考えているのか、お伺いをいたします。
 また、再編整備により創出された土地の活用については、既に南青山一丁目団地建てかえプロジェクトで民間活用の実績があります。このプロジェクトは、PFI的手法を活用し、都営住宅と民間施設を一体的に整備するもので、民間事業者の提案により、すぐれた事業内容になったと聞いております。多摩北部地域の四団地についても、土地の活用は民間活用を視野に入れて検討すべきと考えますが、どのような活用手法を想定しているのかをお伺いいたします。
 続いて、道路関係についてお伺いいたします。
 これからの新しい時代に向けた道路整備に当たっては、交通渋滞の解消はもとより、だれもが快適に利用でき、ゆとりある豊かな道路空間の創出を目指すべきと考えております。
 一方、多摩地域の幹線道路の現状は、例えば甲州街道、新奥多摩街道など、四車線で既に完成しているにもかかわらず、幅員が二十メートル以下であり、必ずしも豊かな道路空間とはいいがたい状況であります。
 自然豊かで満足度の高い魅力的な都市の形成を目指して多摩地域の将来像を実現するためには、十分な機能を備えた幹線道路が必要不可欠であると考えますが、こうした現状について所見をお伺いいたします。
 また、これらの道路は、現在、朝夕のピークを初めとし、交通渋滞が慢性化しております。とりわけ新青梅街道では、東大和市、武蔵村山市及び瑞穂町の沿道二市一町において、面的事業など沿道のまちづくりへの取り組みが精力的に進められております。これに伴い、今後さらに交通需要がふえ、交通渋滞が一層激しくなるとともに、将来のまちづくりに見合った豊かな道路空間が求められていると考えますが、このことについてどう認識をされているのかをお伺いいたします。
 また、このような新青梅街道の状況を見ますと、新青梅街道を拡幅する必要性は非常に高いと考えます。このため、都市計画変更に向けた手続を早急に行うべきと考えますが、都市計画局長の明快なご答弁をお願い申し上げます。
 続いて、多摩の玄関となる外環道のインターチェンジについてお伺いをいたします。
 去る十一月二十九日に、外環道に関する東京環状道路有識者委員会から最終提言が出されました。その中で、インターチェンジなしの地下化案を検討の基本として議論を進めるべきだとしております。外環道には現在五カ所の計画決定がなされているにもかかわらず、なしを前提とした議論を進めるとは何たることかという思いであります。
 インターチェンジの計画地で区部と多摩を結ぶ道路は、青梅街道、東八道路、甲州街道がありますが、中でも多摩の利用圏域の広い青梅街道インターチェンジの設置は不可欠と考えます。高速道路にインターチェンジをつくらないことは、新幹線をつくって駅をつくらないのと同じだと思います。そのために、多摩の自立ある都市づくりを行う上でも、インターチェンジを設置し、交通不便地域を解消することが必要不可欠と考えますが、所見をお伺いいたします。
 続いて、河川整備についてお伺いをいたします。
 東京はこれまで幾度も水害に見舞われ、記憶に残る平成十一年八月の大雨では、都内で四百棟近くが浸水しましたが、被害のほとんどは多摩地域で発生し、空堀川流域では六十棟余りが浸水いたしました。
 河川改修により、多摩地域の中小河川が水害に対して安心できるものとなるよう、引き続き整備を進めていく必要があります。水害に強い都市づくりは、安全で快適な都市生活や地域の活力ある発展に欠かせません。力強い推進を求めますと同時に、多摩地域における中小河川の整備状況と今後の進め方についてお伺いをいたします。
 また、多摩地域では、市街化が進展した現在も比較的豊かな自然が残っております。都市の利便性と身近な自然との共存が地域の魅力となっております。河川の整備においても、例えば空堀川や野川では、水際まで近寄ることのできる広場や市民との協働による池が整備をされ、多くの市民が水辺で自然に触れながらさまざまなイベントを楽しむ姿が見られます。河川整備に伴うこれら自然の保全、再生への取り組みが、地域内での人々の交流や協働を生み出していることは喜ばしいことであります。
 今後の河川整備に当たっては、可能な限り多摩の自然を生かした親しめるものとすべきと考えますが、多摩の自然を生かした親しめる河川整備への取り組みについてお伺いをいたします。
 時間が来ましたので、以上で終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 倉林辰雄議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、我が国の外交についてどう思うかということでありますが、私は、このごろの日本の外交のていたらくを眺めておりますと、前にも申したかもしれませんが、日本の代表的な評論家でもあります福田和也君がかつて書いた論文を思い出す。それは、日本人はなぜかくも幼稚になったのかという非常に鋭い論文でありましたが、その中で彼は、幼稚な人間というのは、IQが低いとか、人の知っていることをよく知らないとかという人間ではない、肝心なことが何かということがわからない人間だ、肝心なことについて考えようとしない人間が幼稚な人間だといっておりました。まさに至言だと思います。
 今の外交は、肝心なことに対する対処が欠けているか、その認識がほとんど前にないということでありまして、外交というのは、互いにみずからの国の国益をかけ、相手と激しい駆け引きもし、火花を散らす一種のゲームとしての場でありますが、それに携わる日本の外務省の役人、あるいはそれを監督すべき国会の、これは与党も野党も含めてでありますけれども、多くの政治家に、国益というものが何かということを考えるそういう意識が欠落しているという気がいたします。
 私たちによく見えない、陰に陽に独特の平壌とのコネクションを持つ政治家が与党にも野党にも多いようでありますが、しかし、これは、私は決して国会議員のマジョリティーではないと思います。ならば、なぜ国会総体が党派を超えてこういった問題について積極的に動こうとしないのか、非常に残念な気がいたします。
 今回の拉致をめぐる画期的な動きに関しましても、かつてこれにそっぽを向いていた、また、こういう問題が存在しないとあえていい張っていた人たち、国会にも都会にもそういう人がいるようでありますが、その人たちは今沈黙を続けておりますけれども、しかし、別に殊さら反省をしていただく必要もないが、しかし、やはりざんきというものを胸に抱いて、これからやはり国民、都民の何を守るかというそういう自覚のもとに、直接、間接に日本の外交について考え、また、協力をしていっていただきたいものだと思います。
 まあ、末端のことでありますけれども、偶然この間、東京都が請われてただで差し上げた緊急食糧が、日本外交協会なる、これは明らかに外務省が関与している組織でありますけれども、その組織を通じて、この十一月というさなかに多量を北朝鮮に送られた。人道上の問題であるとはいいながら、片方でははるかにむごい人道上の問題が我が同胞に起こっているわけでありまして、一方、飢えている人々は世界じゅうにはんらんしているわけでありまして、北鮮に限らず世界じゅうにこういった状況があるのに、何であえて、理事会にもかけずに、専務理事がたまたま北朝鮮系のパチンコ屋さんの協会の幹部か何か知りませんが、友人だということだけで、その友情にかまけてこういった決心をする、決定をする。しかも、それを外務省はほとんど看過したということは、私はやはり重大な責任であると思うし、国自身が行っている外交に対する外務省自身の背信にもつながるのではないかという気がいたします。
 まあ、非常に不本意な、私たち、怒りを込めて認めざるを得ない事実があるわけでありまして、これも一つの反省のよすがにして、日本の外交をあるべき姿、つまり肝心なものを守る、国民の生命、財産を守る、国益を守るという本筋に、国民全体が声をそろえてこれを立ち直らせるという喫緊の大きな課題が存在していると思います。
 次いで、北朝鮮の問題でありますけれども、この国が従来、既に核を保有しているということは、もう中曽根さんの時代からわかっていたことでありまして、それは再三アメリカは日本にも忠告してきた。しかも、小泉総理が平壌に出向く直前にアメリカへ行った折にも、アメリカは話したといっております。これがなぜか総理の言動にも出てこなかった。
 それから、もっともっと前から、ソビエトがつくらなくなった、しかし、イラクやあるいは北朝鮮が保有しているスカッドミサイルのパーツをつくる国はもう北鮮しかなくなったので、この北朝鮮が、イラクが保有している、彼らが戦時態勢に備えて配備しているスカッドミサイルのパーツを世界で唯一サプライする、支給する、供給する国であったということは情報として入っているわけですけれども、これもなぜか日本の外務当事者は情報として流さない。あるいはメディアも、それを知りながら流さない。
 非常に面妖な話でありまして、現に、先ほどCNNでやっておりましたが、スカッドミサイルそのものを搭載した貨物船をアメリカがインド洋で捕獲したようでありますけれども、その以前に何隻も、例の日本に侵入した小型の工作船にパーツを積んで往復している事実もありますし、アメリカがこれを拿捕した例もあります。なぜかそれが、私たちの近隣の、非常に日本に敵意を持った国家がそういう作業をしているという情報として日本人の認識につながらないというのは、私は、これはやはり、政府の当事者なり、それを受けても流さないメディアの責任ではないかと思います。
 ともかく、有事法制を国会が議論しているときに、お金をちょろまかしてやめざるを得なかった、ある野党の女性の議員が、戦争、戦争というけれども、あなたは一体どういう戦争を想定しているんですかと食ってかかっておりましたが、現に百人に及ぶ同胞が拉致され、半ば以上が殺され、しかも、日本の暴力団がこれに絡んで、十五トンに及ぶ膨大な量の覚せい剤が持ち込まれ、しかも、その証拠が、この間引き揚げられた工作船の中にあった携帯電話に記録として残っているわけでありまして、こういうものに呼応して、日本の若い子弟をむしばむ覚せい剤を輸入しているやくざというのは、やくざの風上にも置けないやくざだと思いますが、こういった非合法な組織というものを操りながら、何のためか、とにかく、まさにアヘン戦争に近いそういう侵犯というものを行ってきている、こういった国家に対する正当な認識を、ようやく私たちは持ち得たわけでありまして、本来なら、憲法であろうが何であろうが、これは人間がつくったものであります。人間がつくった法律に人間が拘束されて、我々の同胞の生命というものを無視するわけにはいかない。
 私は、国家というものに国家の意識があるならば、この間、曾野綾子さんというしっかりした女性と対談したときに、私ならコマンドを送って奪回するわといったけれども、そういう組織も日本にあるわけでして、アメリカとのどういう情報協定があるか知りませんが、そういうものを踏まえながら、私は、超法規的な手段を日本がとることもあり得ると思いますし、あるべきであったかもしれないと思いますし、また、官房副長官、安倍さんは非常にしっかりしておりますけれども、この段階で拉致被害者の子どもに万一のことがあったなら、こちらにも考えがあると。私は、これは非常に強い重い言葉だと思う。北朝鮮側もこれをしっかりと受けとめて、日本に対する姿勢を決めていくべきだと思います。
 次いで、訪米についてでありますけれども、先般はテロの事件に妨げられて、ペンタゴンでウォルフォヴィッツに会った翌日、見たら、ペンタゴンそのものが燃え上がって、ニューヨークではああいう事件が起こったわけでありますが、残念ながら無為のままに帰ってまいりましたけれども、今回は、たまたま下院がイラクとの戦争を是認する法律を決めた前後でありまして、大変混乱しておりましたけれども、ほとんどの人に会うことができました。
 通じて私が得た確証と申しましょうか、相手がいったことは、私は、アメリカのような広大な国土を持っている国の政治家にはわかりにくいだろうが、日本のように、国土はイギリスに比べても――イギリスの方が日本の三分の二弱ですか、そういう狭小な国土、世界的には狭小な国土でありながら、イギリスは日本の八倍の可住面積を持っている。日本はほとんど山であって平地がない。そういう状況の中で、飛行場のような大きな社会資本をつくるということの困難さを諸君は理解できないだろうが、ちなみに地図を眺めてみたまえといって、もしそしてアメリカが日本の経済の再生を熱願するならば、これはやはり経済の促進の大きな要因でもある国際空港というものをもっと整備する必要があると。現に、私の親友のトム・ドナヒューというアメリカの商工会議所会頭が私のために催してくれました晩さん会でも、主なる財界人がそろいましたが、その人たちがひとしくいうことは、とにかく日本にビッグビジネスを構えて飛んでいこうと思っても、会社の専用機で飛べない。世界じゅうでこれを許してくれない国は日本だけであって、これは本当にビジネスに差し支えると。これは本当にそのとおりだと思います。
 ということで、それも含めて日本の経済の再生を願うならば、その一つの要因としても、横田の共同使用によって、あそこのスペースを国内線に活用し、その分を羽田に振り向けるという、こういった作業にアメリカも協力してもらいたいということを申しました。
 ほとんどの相手から、初めてわかりやすく複合的な説明を聞いたということで、その後、政府関係者が申しましたことは、これは、石原さん、あくまで政府対政府の問題である、私たちはそう認識していると。私もそのつもりでおります。もう国会議員のころからいったことですから、知事だといってきましたが。そして、あとは政府の問題であると。私もそれに同意しました。そして、ひとしく相手がいったことは、これはこれからの日米関係にとって、極めて重要な熱心に討論するに足る議題であるということを認識したと。
 おとといですか、東京でアーミテージに会ったときも、その確認を繰り返して行いましたが、いずれにしろ、その相手側が日本の外交を含めて皮肉にいったことは、日本の政府か外務省が日米関係についてのアメリカ側の動向の調査をほとんど依頼しているSCISという組織があります。これのナンバーツーのキャンベルというのは、クリントン時代に普天間のあの問題を扱った国防省の高官でありますが、彼が皮肉いっぱいにいうことは、あなたが初めてこのことをいってきたが、私たちは、横田の問題は当然日本の政府がいってくるだろうと思ってきたけれども、一回も聞いたことがない、実に日本の外務省は不思議な役所ですなあという話を逆にされまして、私も苦笑いいたしましたが。
 まあ、そういう会談も重ねて、とにかく議題として登録されたことは間違いありませんし、そのことを総理にもしかと申しました。総理は、だれやらこの問題についての特使を送ったようでありますが、まあ、その結果をまだ聞いておりませんけれども。
 加えて、横田の飛行場を、日本の国力の維持のためにも、民間のために共同使用し、その分を羽田に振り向けて国際化するということの問題で、政府としてきちっとした認識を持ってもらうために、先般、山崎、青木両幹事長とあるところで、ある人の立ち会いで会いまして、この問題の説明をいたしました。青木幹事長から、わかりました、この問題について、今、外務大臣が二人おります、そのうちの一人を連絡将校として都知事のところへ差し向けますということで、あしたかあさって会いますが、まあ、そういう連絡将校も含めて、政府ができるだけ早くこの問題に本当の理解を示して、問題意識を持って、非常に閉鎖的な日本の航空事情というものを打開する努力をしてもらいたいものだと思っております。
 今ご指摘にありましたように、加えて、やはりあの空港の周辺の整備、アクセスもそうでありますし、また騒音対策も含めて、こういった対処というものを早速すべき段階にやっと来たのではないかと思っております。
 両方の国がこの問題についてのワーキンググループをつくるということでも同意がありまして、ある財団にもお願いして、そのための基金も用意しようと思っておりますけれども、いずれにしろ、これは日本の国民全体が、日本のこれからの国力の維持のためにも、時間的、空間的に非常に狭くなったこの世界の中で、何といっても世界第二の容量を持っている経済大国の日本が、それを促進していくための不可欠な要因であります国際空港の整備というものをアメリカの協力を取りつけながら行っていくという、その世論というものを国民の皆さんに持っていただきたい。特に、羽田は東京にあります、横田も東京にあります大事な社会資本であるがゆえに、都議会の皆様を通じて、都民の皆さんにこの問題についての正しい意識を持っていただきたいと熱願しております。
 ちょっと長くなりまして失礼しました。その他の質問については、関係局長から答弁します。
   〔都市計画局長勝田三良君登壇〕

○都市計画局長(勝田三良君) 横田基地並びに道路に関します五点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、横田基地の民間航空利用についてでございますけれども、民間航空機が軍用機に比べ、消音装置や飛び方の工夫によりまして騒音の影響が相当抑えられていることについて、地元の方々にも十分に理解が得られるように努めるとともに、軍用機による騒音の軽減につきましても、地元市や町と連携して積極的に取り組んでいく必要がございます。また、基地周辺には、JR青梅線などの鉄道や国道一六号などの道路が通っているものの、民間航空が利用する飛行場への交通アクセスとしては、十分ではない状況にございます。
 このため、今後、共同利用の実現に向けた取り組みの中で、交通アクセスの確保策について検討をしてまいります。
 次に、多摩地域の幹線道路についてでございますが、都市計画道路の計画策定に当たりましては、円滑な自動車交通を確保するとともに、歩行者や自転車、さらには沿道環境に十分配慮した、安全かつ快適な道路空間となるよう努めております。
 一方、ご指摘ございました、既に完成しております幅員二十メートル以下で四車線の幹線道路につきましては、交通渋滞解消の上で必要な右折車線の設置や停車帯の確保が難しいこと、歩行空間が狭隘であることなど、今後検討すべき多くの課題があると認識しております。
 次に、新青梅街道の現状についてでございますが、交通渋滞が日常化している中、沿道の二市一町では、複数の地区での土地区画整理事業や、工場跡地を活用した大規模商業施設の開発などが進められております。こうした道路状況や活発なまちづくりの進展に対しまして、十分整合を図った道路構造とすることが重要であると認識しております。
 次に、新青梅街道の拡幅に関してでございますが、今後、本路線を含む多摩北部地域の幹線道路の位置づけにつきまして、広域的な道路ネットワークのあり方や沿道土地利用の変化等を踏まえ、検討してまいります。
 その上で、本路線の拡幅の必要性、優先性を検証いたしまして、都市計画変更についても早急に明確にして取り組んでまいりたいと考えております。
 最後に、外環にかかわるインターチェンジについてでございますが、ご指摘のとおり、東京環状道路有識者委員会では、インターチェンジなし地下案を検討の基本として議論を進めることを提言いたしました。一方、現行の都市計画では、青梅街道を含む五カ所にインターチェンジが決定をされております。インターチェンジは、高速道路を利用する沿道や後背地の交通利便性に資するものでございますから、その設置については総合的に検討されるべきものでございます。
 今後、国とともに地元区市などの意見を十分聞き、取りまとめていきたいと考えております。
   〔住宅局長橋本勲君登壇〕

○住宅局長(橋本勲君) 多摩北部地域の大規模都営住宅団地建てかえ事業に関します三点のご質問にお答えいたします。
 最初に、今年度までの事業実績と見直し後の事業予定でございますが、東村山本町、武蔵村山、東京街道及び東大和向原の四団地につきましては、大規模であることから、いずれも十年から十五年の長期にわたる事業を順次実施してきたところでございます。
 このうち、東村山本町団地を例にとりますと、今年度までに千九百六十戸を着工しましたが、管理戸数抑制の観点から従前の建てかえ計画を抜本的に見直し、新たな建設は行わないことといたしました。
 他の三団地につきましても、東村山本町団地と同様、従前の計画を大幅に見直し、都民共有の財産という視点から再編整備を行うこととしております。
 次に、再編整備における土地活用の考え方についてでございますが、都民共有の財産である都営住宅の建てかえに際し、敷地の高度利用によって生み出された土地を有効に活用することは、極めて重要でございます。
 多摩北部地域の大規模四団地の再編整備につきましては現在検討中でございますが、基本的には、多摩地域の豊かな環境と調和し、地域の活力を高める郊外型の生活空間を整備することを目指し、土地の有効利用を図っていく考えでございます。
 最後に、再編整備により創出された土地の活用手法についてでございますが、土地の活用に当たりましては、地域のまちづくりを視野に入れ、民間の創意工夫を生かし、事業の採算性やスピードが確保できる手法を採用することが必要でございます。
 多摩北部地域の大規模四団地につきましても、多摩の地域特性や周辺の開発動向等を踏まえた上で、ご指摘のとおり、民間活用のさまざまな手法について幅広く検討してまいります。
   〔建設局長小峰良介君登壇〕

○建設局長(小峰良介君) 多摩地域の河川整備についての二点の質問にお答え申し上げます。
 まず、中小河川の整備についてでございますが、都は、都民の生命と財産を守るため、一時間五〇ミリの降雨に対処することなどを目標として河川の整備を進めております。多摩地域におきましては、特に流域の市街化の進展が著しく、水害の危険性が高い空堀川や残堀川、鶴見川など十四河川で事業を実施しており、平成十三年度末の護岸整備率は六二%となってございます。
 今後とも、これら河川の整備を重点的に進め、多摩地域における中小河川の治水安全度を着実に向上させてまいります。
 次に、多摩の自然を生かした川づくりについてでございますが、河川改修に当たりましては、護岸や調節池など治水施設の整備に加え、河川が本来有している自然を生かした、親しみやすい水辺空間の創出にも取り組んでおります。これまでも、東久留米市の落合川や、あきる野市の平井川では、湧水の保全や瀬やふちのある川づくりを行っており、また、瑞穂町の残堀川では、今年度からカワセミが巣をつくりやすい護岸整備を進めております。
 お話のございました空堀川など多摩地域の河川においては、今後とも地域の特徴を生かし、地元の方々や市町村とも連携しながら、安全で自然豊かな親しみやすい河川整備に努めてまいります。

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