平成十四年東京都議会会議録第十八号

○議長(三田敏哉君) 五十番新井美沙子さん。
   〔五十番新井美沙子君登壇〕

○五十番(新井美沙子君) 都議会生活者ネットワークを代表いたしまして、質問をさせていただきます。
 都の財政再建推進プランは、平成十二年から十五年度の四カ年計画で実施されていますが、最終年度となる十五年度予算においても、約三千六百億円という巨額な財源不足が生じる見込みです。これは、景気低迷による法人二税の減収と、過去の過大な公共投資による都債償還がピークを迎えることが関係しているのは明白です。
 また、税源移譲の原資は、国庫補助負担金、地方交付税の見直しにより確保すべきという三位一体の理念が、次々と骨抜きにされています。
 郵政は民営化するという一方で、銀行の国有化がささやかれ、規制緩和で価格破壊が起きたにもかかわらず、規制緩和でデフレ対策をするなど、政府の政策は支離滅裂になっています。
 これは、政策の失敗の検証を避け、責任をとらない、リスクを考えない、問題先送り型の政治がまかり通ってきたことが一番の原因です。何度も同じ過ちを繰り返すことにより、バブル後の回復ができません。目詰まりしたところを正確に把握して、それを取り除くことが必要となります。
 このことは、実は都政においても同様です。
 平成十八年度には複式簿記を導入し、会計制度を改革することについては、大いに評価をいたしますし、本格的な連結決算を導入することが外郭団体の改革につながると期待もしています。事業評価、行政評価については、情報公開を徹底し、市民の視点で外部による第三者機関がチェックすることが必要です。
 さて、当初予算は事前に方針が示され、十分な議論の上、予算が編成されますが、補正予算ではそうした手続が踏まれていません。時間的な制約があることはわかりますが、国の景気対策に安易に乗って、事業の効果や必要性の議論が不十分なまま公共事業が予算化されることがあり、その財源は結局、都債に頼ることになります。
 現に十三年度は、決算では三千百三十三億円になったものの、最終補正予算で四千億円を超える都債が計上されました。
 今年度も、国は大型の補正を組むことが決まりましたが、都は、これらに踊らされることなく、身の丈に合った、本当に都民に必要な事業のみを厳選して編成すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、補助金の廃止が地方分権委員会の答申から抜け落ち、国から地方への税源移譲を含む分権は遅々として進みません。しかし、都から市区町村への大胆な分権と財源移譲が必要なことはいうまでもありません。
 地域経済の循環を取り戻し、安心して暮らせるまちにするためには、バリアフリーのまちづくり、学校の余裕教室の複合的な活用、商店街の活性化、助け合いの仕組みづくりなど、福祉、環境、教育、産業が融合したまちづくりを進めなくてはなりません。こうした小さな公共事業は、公だけでなく、民間、NPOなど、地域の実態を把握した人々による協働事業によってこそ可能となります。
 市区町村に対する都の補助金は、現在行われている縦割り、ひもつきのものでなく、地方分権の時代にふさわしく、市区町村の自主性を生かす、局を超えた包括的なものにすることが重要であると考えますが、見解を伺います。
 平成十五年度の予算編成に先立ち、重要施策二十二事業が選定されました。とりわけ、私たちが長年提起をしてきました食品安全条例制定の検討など、食品安全の総合施策を選定したことは高く評価をいたします。
 過日、多くの市民の危惧が寄せられる中、愛知県は遺伝子組みかえ稲の開発の中止を決め、事業者も安全審査申請の中止を決めたと聞きます。食の不安が増す中で、市民の動きこそ注目すべきです。都は、施策として、食品安全情報評価委員会の設置や食品衛生自主管理認証制度など、改革推進に取り組まれ、大いに期待するところですが、最大のポイントは都民参加です。
 現在、国では基本法制定とともに制度改正が検討されていますが、参加については不鮮明です。都は、条例の制定を検討していく場合、策定の目途と策定過程における都民参加をどのように図っていくのか、お伺いをいたします。
 また、昨今の偽装表示問題にあらわれるように、都域を超えて首都圏に製造所や生産地がある場合、食品の安全にとって、自治体の広域連携は不可欠です。今後、食品の安全確保のためにどのように自治体の広域連携を進めていくのか伺います。
 次に、環境重視の都市づくりについてです。
 ヒートアイランド対策やディーゼル車排出ガス規制を強化したことは評価いたしますが、ヒートアイランド現象の抑制や地球温暖化防止は、水路の復活や緑地の保全、多面的な機能を持つ農地の確保など、水と緑の施策も含めて総合的に推進しなければなりません。重要施策には、これらの視点が欠落しているといわざるを得ません。特に、二年前に改正された自然の保護と回復に関する条例の里山保全地域指定制度は、来年度で三年目を迎えますが、いまだ検討段階であることは問題です。
 人々の生活にかかわってきた雑木林、水田、湧水等と一体となって形成された丘陵部に見られる里山や、湧水によって涵養される湿地などで構成されている谷戸の保全について、どのような予算措置をされるのでしょうか。
 次に、多摩、稲城両市にまたがる多摩サービス補助施設について伺います。
 旧陸軍の軍事工場だった多摩弾薬庫跡地は、レクリエーション施設として、多摩サービス補助施設に名前を変更しました。その面積は約百九十六ヘクタールで、自然がそのまま残され、非常に貴重な緑地です。夏には市民に一部分が開放され、子どもたちがデーキャンプなどでその自然に触れていますが、それ以外はほとんど米軍の独占使用になっています。
 昨年、川崎街道の拡幅工事が完了しましたが、その際、多摩サービス補助施設から土地の提供を受け、都はその移転補償をいたしました。公共施設の機能の回復という位置づけで、ロッジ、ディスコ、バー、乗馬場、野球場など、ほとんどすべての施設を新築しています。都が公共施設として建設した施設を都民が全く使用できないというのは、理に合わないことではないでしょうか。地元でも施設の利用を求める声が高まっています。
 都内の基地については即時返還が原則ですが、せめて、返還に至るまでの間、都税をつぎ込んだ施設の、都民への全面開放を求めるべきだと思いますけれども、知事の見解を伺います。
 さらに、この多摩サービス補助施設では、ごみ処理の実態も不明ですし、汚水も下水放流ではなく、自己処理をした上で流しているといわれています。以前も他の基地では汚水による土壌や地下水の汚染が問題になり、地元市及び周辺住民の不安が高まったこともありました。施設内のごみや汚水処理などに起因する環境上の問題に都はどう対応されているのでしょうか。
 次に、アジア大都市ネットワークについて伺います。
 アジア大都市ネットワーク21は、異なる政治的な立場を超えて、アジア諸都市が強固なネットワークを形成し、共同で事業に取り組むことによって、社会的、経済的な連帯と協力の体制を確立しようとする試みであり、期待されます。
 共同提唱四都市と八つの参加都市が共同で取り組むテーマとして選定した、環境や都市問題、災害対策や新技術の共同開発など、テーマのいずれもが、今後のアジア地域の持続可能な発展に貢献するものであってほしいと思います。
 今年度行われた多くの事業は、東京が幹事都市となっていますが、その取り組み成果についてお伺いをいたします。
 デリーとソウルがともに幹事都市である女性の社会参画のテーマでは、九月にソウルでシンポジウムが行われましたが、東京からの参加人数は他都市よりも少なく、たったの二人でした。来年の開催都市はマニラに決まりましたが、東京からの参加の拡大は当然図られるべきです。ソウル宣言を踏まえ、これまで東京都が培ってきた人的ネットワークを使い、女性問題に活動してきたNGO、NPOなどの参画を求めるべきであると考えますが、所見を伺います。
 また、このシンポジウムは、女性の社会参画を積極的に進めている、韓国で最大、最新の国際会議場と宿泊施設、IT訓練センターやNGOセンターも備えた拠点施設であるソウル女性プラザで開催されました。そして、このプラザの運営に当たっているのは、ソウル女性財団です。
 翻って東京では、知事は、七千万円の削減効果しかないウィメンズプラザの直営化、女性財団の廃止方針を強行いたしました。再建案をみずから提案した理事、評議員の意思も無視し、アジア大都市ネットワークの中でも活躍したであろう女性財団の廃止は、暴挙といわざるを得ません。
 今後のアジアの発展に女性のエンパワーメントが欠かせないことは、衆目の一致するところであり、ソウル宣言にもあるように、女性の働く権利と、男女が家庭で平等に責任を分担する権利の認識なくして、少子高齢化、環境悪化の社会を持続可能なものに変えていくことはできません。
 解散が決まった女性財団の残余財産のうち、百万円は矯風会に、約三億円は東京都に寄附されることになったと聞いています。東京都に寄附される約三億円は、男女平等推進基金に積み増しすべきです。そして、特に今後のアジア大都市ネットワーク、女性の社会参画への参加を強化すべきと考えますが、所見をお伺いします。
 次に、欧米では、労働の質が同じであれば、働く時間の長さにかかわらず賃金は同じという、パートタイム労働と正規雇用労働の均等待遇の実現が進んでいます。一方、日本では、いまだパートタイム労働は家計補助的な低賃金労働でしかありません。パートタイムは、本来、短時間働くということが労働契約上の特性ですから、労働の質が同じであれば、正規労働者と同一の時間を得られて当然なはずです。
 生活者ネットワークで、二〇〇〇年に、男女合わせて七百六十名から回答を得た労働のあり方に関する調査によると、ライフスタイルや家庭の状況に応じて労働時間を選択できる仕組みという、労働形態の転換を男女ともに一位に挙げています。この働き方を実現するためには、均等待遇労働が欠かせません。
 これまでパートタイム労働は女性問題とされてきましたが、産業労働局で実施しているパートタイマーに関する実態調査によっても、この経済状況の悪化の中で、正規雇用者がパートタイマーに移行させられ、基幹労働を担っているという厳しい現状が見られます。また、高校や大学を卒業しても定職につかないでフリーターとなっていることも急増しています。
 早急に労働法を改正し、新しい働き方のルールとして、パートタイム労働と正規雇用労働の均等待遇を位置づけ、働く以上は、その働きに対して正当に報われる仕組みをつくることが必要ですが、国の動きはまだ見えてきません。
 パートタイム労働条例の制定も念頭に置きながら、書面による契約書の作成、苦情相談の充実、優良事業所の認定など、少しでもパート労働者の処遇改善を実現することが必要と考えますが、所見を伺います。
 先日、労政事務所でお話を伺いましたが、パート使用者への啓発を行っているパートアドバイザーがたった七名しかいません。その増員やNPOとの協働事業などによって使用者の意識改革を進めなければならないと思いますが、いかがでしょうか。
 来年度から支援費制度が開始されます。障害を持つ人も、自己選択、自己決定による契約でサービスを受けられるようになることは歓迎されていますが、一方で、今までのサービス量が確保できるのか、NPOを含む多様な事業者の参入による競い合いが本当にサービスの質の向上につながるのかなど、不安が持たれています。支援費制度への移行を進めるためには、サービスの基盤整備が急務です。
 二〇〇三年度重点事業にある障害者地域生活支援緊急三カ年プランでは、生活寮など五百五十八カ所、千三十人増と示されていますが、地域生活に移行するためには、地域においてさまざまなサービスが用意されていなければなりません。施設から在宅中心に移行するのであれば、社会福祉法人の経営改革によるサービス推進費の再構築をし、在宅サービスの充実を図るべきと考えます。
 そこで、障害を持つ人が住みなれた地域で暮らしていけるための支援を充実し、安心して地域生活を選択できるようにすべきですが、見解を伺います。
 支援費制度では、介護保険制度と違い、ケアマネジメントが位置づけられていません。申請手続、サービス契約やサービスプラン作成等、権利擁護の視点からも、障害者の生き方、暮らし方を支援する仕組みが不可欠です。ケアマネジメントの手法を活用した適切なサービスプラン作成が可能となる体制を区市町村が整備できるようにと、支援費制度利用援助モデル事業を進めていくことについては期待をするところです。今後、都独自のケアマネジメント体制を確立していくことが望まれますが、まずは、このモデル事業を積極的に拡充していく必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 最後に、包括補助金制度の拡大について伺います。
 高齢者いきいき事業と福祉改革推進事業の包括補助の制度がありますが、この効果は具体的にどのようにあらわれたのでしょうか。また、市区町村の評価はどうだったのでしょうか。
 来年度は、支援費制度が始まるだけでなく、高齢者福祉計画も改定されます。この際、市区町村がこれらの状況に応じてさまざまな事業を展開できるよう、包括的補助事業を大幅に拡充して利用しやすくすべきと考えますが、いかがでしょうか。
 以上、見解を伺いまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 新井美沙子議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、平成十四年度補正予算についてでありますが、補正予算の編成に当たりましては、今までも、おっしゃるとおり時間的な制約がありながら、それでもなお、事業の緊急性、必要性や効果などを厳しく精査して行ってまいりました。その財源としての都債を発行する場合にも、後年度負担に十分配慮して適切に活用してきたつもりでございます。
 国は先般、雇用対策の強化、中小企業対策の充実などによるセーフティーネットの構築と、都市再生の推進を初めとする公共投資促進などを柱に、補正予算を編成することを明らかにしております。
 都としては、厳しい財政状況にありますが、今後もこうした国の補正予算の内容を十分把握した上で、適切に対応していく考えでございます。
 次いで、多摩サービス補助施設についてでありますが、たまたまきのうも、来日中のアーミテージと、この問題についてちょっと話をいたしました。
 おっしゃるとおり、多摩サービス補助施設は、基地というよりも、本来軍事目的とはかかわりのないレクリエーション施設であります。元来日本の土地であるものを、日米安全保障とは直接かかわりのない形で副次的にアメリカが占有しております。
 その広大な緑地は、東京に残された貴重な、希有なる存在でありまして、直ちに返還され、広く都民のために開放されるべきでありますが、これは、横田の共同使用を、今、日本の航空行政全体のために羽田の国際化との関連で提案し、やっと小さな穴があき、あとは政府マターということで登録いたしました。
 ただ、このカードの出し方によって、相手に逆につけ込まれて、つまり、これだけ返ってきて共同使用は後ということになると、これまたいろいろ問題がありまして、そこら辺は、私は当事者でなくて、政府のこれからの外交というゲーム感覚の中でのカードの出し方だと思いますけれども、当面、つまり、当然これは返還までの間は共同利用を求めるべき、最低そういう問題でありまして、本来なら、あくまでもこれだけは即時返還という対象のものだと思いますけれども、あとはこれからの外交交渉でどういう進展を見るかということは、お互いに知恵の出しようだと思います。
 ただ、先般ワシントンに参りまして、アメリカは、ことしになってから大きな戦略転換を本質的にしました。ダレス以来続いていた、巨大な核の保有によって相手を封じ込めるという、そういう必要はもうなくなりまして、それにのっとって、お金のかかるアメリカの従来の世界戦略にかかわる基地というものの縮小といいますか、合理化をラムズウェルがいい出しておりまして、そういうトレンドの中で、軍部がそれをどういうふうに受けとめ、さらに日本がどういう交渉に向かうかということは、そもそも、外務省含めて政府が、アメリカの戦略転換の本質的な情報というものを把握しているか、いないかにかかわるわけでありますけれども、いずれにしろ、アメリカが、従来の冷戦構造下で続いていた戦略の展開というものを、ソビエトもロシアになって変質しましたし、その中で、私たち、この問題を十分に情報をとりながら分析し、あくまでも国益の一刻も早い成就のために、この問題を扱っていくべきだと思っております。その関連でこの問題も恐らく論じられるでしょうし、また論じられるべきだと思います。
 本質は、おっしゃるとおり、即時返還をされるべきものだと私は思っておりますけれども、事が、ある意味で、時間を経てから、あるよき方向に向かっての転換の可能性が出てきた今、つまりこれをどう使うかということは、あとは政府の力量だと私は思います。
   〔総務局長赤星經昭君登壇〕

○総務局長(赤星經昭君) 区市町村への都の補助金の質問についてお答え申し上げます。
 本来、自治体がみずからの判断と責任で主体的に施策を展開するには、それに見合う自主財源の確保が必要でございます。このため、税源移譲につきましては、これまでも強く国に働きかけてまいりました。
 区市町村の自主性、自立性を高めるために、当面、現行補助制度につきましては、第二次東京都地方分権推進計画に示されております少額補助金の統合、補助金のメニュー化、包括化について検討していくことが必要と考えております。
   〔健康局長長尾至浩君登壇〕

○健康局長(長尾至浩君) 食品安全に関します二点の質問にお答え申し上げます。
 まず、食品安全条例についてでございますが、都民の食への不安が広がる中で、食の安全確保に向けた都の基本的考え方や取り組みの全体像を条例という形で明らかにすることは、大きな意義を持つものと考えております。制定に当たりましては、課題も多くありますが、早期に条例制定が行えるよう検討を行ってまいります。
 また、本条例は都民生活に深くかかわるものであることから、広く都民の意見を反映できるように、策定手続についても十分配慮してまいります。
 次に、食品の安全確保のための広域連携についてでございますが、広域に流通する食品の安全を確保するためには、ご指摘のとおり自治体間の連携が不可欠であり、これまでも、関係する自治体がその都度協力し、対応してまいりました。
 さらに都は、O157事件を契機に、首都圏自治体に呼びかけて食品衛生連絡会を設置するなど、自治体間の連携強化に努めております。
 今後は、生産、流通、消費の各段階を通した食品の安全を確保するため、自治体間の連携強化に努めてまいります。
   〔環境局長小池正臣君登壇〕

○環境局長(小池正臣君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、里山保全地域の指定についてでございますが、里山保全地域の指定制度は、雑木林、農地、湧水等が一体となり、多様な動植物が生息、生育する良好な自然を回復し、保護することを目的としております。
 里山保全地域の指定につきましては、地権者の協力、都民、NPO、地元自治体による安定的、主体的な取り組み体制の確保が重要な課題となっております。
 このような観点から、現在、複数の地域におきまして、都民、NPO、地元自治体等との連絡会を設け、里山にふさわしい保全のあり方や実践的な保全活動の試行方法などにつきまして、協議を進めております。また、里山等の保全の仕組みとして有効な市民緑地制度の導入につきましても、引き続き検討してまいります。
 次に、多摩サービス補助施設をめぐる環境上の問題への対応についてでございますが、地元自治体が実施しております施設周辺の水質調査によりますと、施設内から流れ出る谷戸川につきましては、環境基準の類型指定はされておりませんけれども、施設の南側近くを流れる河川に適用されております環境基準値を下回っているなど、現在、環境上の問題は生じておりません。
 今後、生活環境の保全上問題が生じるようなことがあった場合は、地元自治体との連携を密にしながら、適切に対応してまいります。
   〔知事本部長前川燿男君登壇〕

○知事本部長(前川燿男君) アジア大都市ネットワーク事業についてのお尋ねでありますが、東京都が幹事都市となっている共同事業につきましては、まず、中小型ジェット旅客機の開発促進事業では、参加各都市の代表や関連の民間企業、国とともに、十月に東京でアジア旅客機フォーラムを開催し、百席前後の旅客機開発の促進などについて合意をいたしました。
 アジア舞台芸術祭、ウエルカム・アジアキャンペーンなどにつきましても、着実に成果を上げていると考えております。
 こうした成果につきましては、先月デリーで開催された第二回総会に報告し、方向性を確認いたしましたが、これらの取り組みによりまして、発足後一年のアジア大都市ネットワークの基盤が、より強固になったものと考えております。
   〔生活文化局長三宅広人君登壇〕

○生活文化局長(三宅広人君) 女性施策に関する二点の質問にお答えいたします。
 まず、マニラ首都圏で開催予定の、次回のアジア大都市ネットワークの女性の社会参画事業についてであります。
 その具体的開催内容につきましては、この共同事業の幹事都市でありますデリー準州とソウル特別市の二都市が、開催都市でありますマニラ首都圏と連携協力して準備を進めていくこととなります。
 都といたしましても、会議の開催時期や形式、テーマなど、事業案が明らかになった段階で、必要な対応を検討してまいります。
 次に、今後のアジア大都市ネットワーク、女性の社会参画事業への参加と東京女性財団の残余財産の取り扱いについてであります。
 女性の社会参画の推進は、社会の発展に不可欠なものとして、アジア地域共通の課題となっております。共同事業に参加し、アジアの大都市と情報を共有し合うことは、都の男女平等参画施策を進める上でも重要な意義を持つものと考えております。
 このため、今後も、各都市と連携協力しながら、共通の課題の解決に向け取り組んでまいります。
 また、東京女性財団の残余財産が都に寄附されるのは、清算事務の終了する平成十五年三月の予定となっております。その取り扱いについては、今後検討してまいります。
   〔産業労働局長有手勉君登壇〕

○産業労働局長(有手勉君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、パートタイム労働者の処遇の改善についてでございますが、都の調査結果では、パートタイム労働者の基幹労働力化が進む一方で、労働条件の書面による明示や年次有給休暇制度などにおいて雇用管理が適切でない実態が多く見られるところであり、雇用管理の適正化は、重要な課題であると考えております。
 このため都は、労政事務所におけるセミナーや労働相談などにより、パートタイム労働者の雇用管理の適正化に取り組んでおります。
 また、パートタイム労働者の処遇改善につきましては、国において、法改正も含めて検討中であると聞いておりまして、今後、都といたしましては、その動向にも留意しながら、処遇改善について検討してまいりたいと思います。
 次に、使用者の意識改革についてでございますが、パート労働者の労働条件の改善のためには、使用者の意識啓発が重要であります。このため都は、労政事務所にパートアドバイザーを配置し、年間で三千を超える企業を巡回することにより、使用者に対して、パート関係法規の普及や適正な雇用管理のあり方などについての助言を行っております。
 さらに、十一月をパートタイム労働月間として位置づけ、広報紙等を通じた普及啓発や、区市との共催によるパート教育相談会などを実施しております。
 今後とも、NPOなどの民間団体との協力などを含め、一層の事業の充実に努めてまいります。
   〔福祉局長川崎裕康君登壇〕

○福祉局長(川崎裕康君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、障害者の地域生活への支援についてでございます。
 都は、障害者が可能な限り地域の中で必要なサービスを利用しながら自立した生活を送ることができるよう、国に先駆けて福祉改革の取り組みを進めてきております。さらに、支援費制度に移行します平成十五年度を初年度として、障害者地域生活支援緊急三カ年プランを重点事業として新たに策定し、設置者の負担を軽減する特別助成を行うことといたしました。これにより、生活寮など地域における居住の場や、日中活動の場である通所施設の大幅な増設を図ってまいります。
 今後とも、障害者の地域生活を支えるサービス基盤の拡充に全力で取り組んでまいります。
 次に、支援費制度利用援助モデル事業についてでございます。
 都は、みずからサービスを選択し利用することが困難な知的障害者などが安心して支援費制度を利用できるよう、サービスプランの作成などを行う区市町村を支援するモデル事業を、来年度独自に創設する方針であります。このモデル事業を実施し、検証、評価を行う中で、今後の事業のあり方を検討してまいります。
 最後に、福祉に関する包括補助制度についてでございます。
 高齢者いきいき事業と福祉改革推進事業は、区市町村が地域の実情に応じた特色ある事業に主体的に取り組むことを支援する包括的な補助制度であり、福祉改革を推進する上で、極めて有効かつ重要であると考えております。
 これまでこの制度を活用して、区市町村においては、コミュニティバスの導入、障害者の就労支援の仕組みづくり、子育て支援施設の整備など、地域に根差した多彩な事業展開が積極的に図られております。
 今後とも、こうした区市町村の努力や創意工夫を一層支援するために、補助内容の充実に努めてまいります。

○六十七番(真鍋よしゆき君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(三田敏哉君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三田敏哉君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後七時五十六分散会

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