平成十四年東京都議会会議録第十三号

   午後一時開議

○議長(三田敏哉君) これより本日の会議を開きます。

○議長(三田敏哉君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(三田敏哉君) 昨日に引き続き質問を行います。
 百十七番矢部一君。
   〔百十七番矢部一君登壇〕

○百十七番(矢部一君) ことしのスイスの国際経営開発研究所の発表によりますと、日本は外貨、金保有高、高校進学率、一人当たりの研究開発支出額、寿命の長さ、ハイテク製品の輸出額、コンピューターの使用台数などで一位か二位にランクされています。反対に、外国人を雇う困難さ、大学教育が競争経済のニーズに適合しているか、起業家精神の広がり、株主の権利、責任の明確さ、文化の閉鎖性などの項目は最下位になっております。国全体としての国際競争力は、調査対象四十九カ国・地域の中で、日本の世界競争力ランキングは三十位となっております。首位は引き続きアメリカでありますが、十年前までは日本がトップにおりました。これは、国としての競争力は下がっているものの、個々の豊かさを客観的にあらわしているものだと思います。
 このように豊かな日本ではありますけれども、警察庁のホームページや警視庁のホームページを見ると、最近の話題として、カム送り解錠対策についてというような掲示が出ています。市販されている簡単な工具を使うことによりまして、ピッキングのように技術がなくても数秒でかぎがあいてしまうというものであります。何と、このタイプのかぎが日本じゅうで九百万個も使われておりまして、これを改善するには六千円から一万円の新たなる出費が必要とされているようでございます。何ともお寒い感じであります。
 こうした社会状況の中で、昨年十月、突然のマスコミ報道に端を発した、原宿の大規模留置場構想について、六万人を超える反対の署名が集まっております。そして、ことし三月の予算特別委員会におきまして、私は知事、警視総監に質問をさせていただいたところでもあります。
 質疑の中でわかってまいりましたことは、平成十年以降急激に留置人数が増加をしていること、外国人犯罪がふえ、留置日数も日本人の平均が三十日なのに対し、外国人は平均が六十日ということであります。しかし、不法滞在の外国人のピークは平成四年であり、そのころは留置人数も少なく留置場に余裕があったこと、最近の犯罪は組織的になっていること等であります。
 今回のことで、都民の中には、犯罪が減るなら留置場をつくってもよいのではないか、あるいは留置場をふやすということについての異論は少なくなってきたような感じもいたします。しかし、よくよく考えますと、留置場が足りないために犯罪がふえているようでもありませんし、留置場をふやせば犯罪が減るというものでもありません。
 ところで、私もそうでしたが、都民の皆様は、刑務所、拘置所、留置所の明快な区別はなかなかできにくいと思います。また、裁判に時間がかかり過ぎる結果として、拘置所に長期間拘留されて、その結果、本来拘置所へ移されるべき人が二二%も留置所をふさいでいるという構図が見えてまいります。ことしの二月、シンガポール視察でわかったことでございますけれども、シンガポールの裁判は一年ですべて結審するということであり、そのために提出する文書はすべてデジタルデータ化し、ブロードバンドを使っての遠隔地における証人喚問も行えるとのことでございました。日本でも司法改革が叫ばれておりますけれども、遅過ぎる感じがしてなりません。
 さて、ことし一月に東京都から渋谷区並びに地元に確認文書が提出されました。その後、五月に知事と区長の会談、さらには知事と地元代表との会談が行われ、知事からも、数については何も決まっていないし、無理にごり押しをするつもりもないという発言があり、ようやく話し合いを始める下地ができ上がったと認識をいたしております。その後、渋谷区では協力して取り組む必要から、地元、渋谷区、区議会、都議会議員の四者が定期的に協議をしながら対応してまいりました。一方、東京都では四月に基礎調査報告書ができ上がり、それについて四者と東京都との話し合いが、つい先日持たれました。今後、具体的な話し合いを進めていくことになるわけでありますけれども、東京都としての今後の進め方についてお尋ねいたします。
 予算委員会の場でも、知事はニューヨークの拘置所の写真をお示しになり、説明がありました。今回のことから、原宿に第二拘置所ができるのではないかという声もあります。第二拘置所ならば、それは本来国がつくるべきものであり、また、原宿につくる必要はないと考えます。知事のご見解を改めてお尋ねしておきたいと思います。
 さらに、今日までの留置場の考え方は、新設なり建てかえなりで警察署ごとに対応されており、一カ所に集中した大規模留置場という考えは存在し得なかったのではないでしょうか。警視庁のホームページによりますと、警察署の所在地等は載っているものの、敷地面積や床面積、あるいは留置場の規模等は未公開であります。
 いただいた資料から、現在ある九十六の警察署の敷地面積、延べ床面積、留置定員を見てみますと、新宿警察署が容積率もトップの一〇五九%、留置定員もトップの百一人であり、容積率の最小は三鷹警察署の六三%で、留置定員十四人と、バラエティーに富んでおります。その上、改築中の警察署は仮設建築物になり、留置定員はゼロになってしまいます。現時点での警視庁のおおむね平成二十年までの留置定員の合計は、原宿を現行のままといたしましても、三千百六十四人になると聞いております。余裕のあるところ、ないところ、さまざまでありますけれども、留置場の定員をアップするには、本来、各警察署ごとにふやすのが理想であり、それができないとするならば、一つの考え方として、警視庁の方面ごとに拠点的な留置場を設置する発想に立つべきであると考えますが、いかがでしょうか。
 かつて日本の治安は世界一といわれていました。しかし、今日では毎日のように重大犯罪のニュースがあり、重機を使った、金庫を丸ごと窃盗するというような、今までの常識が覆ってしまうようなことも起きております。知事も予算特別委員会で発言されていますように、日本の警察官も発砲するという事実がわかってから、微妙に犯罪の質が変わってきているように思えます。就任早々でございますけれども、石川警視総監に東京の治安確保についての決意をお伺いさせていただきたいと思います。
 次に、平成十一年の制度改正により、民間建築確認制度が始まりました。大いに期待するところではありますけれども、最近の行政の一貫性という観点から、極めて不都合が生じております。
 それは、役所が確認を行うときと、民間の指定確認検査機関が行うときで、紛争等が発生したときの処理の仕方に違いが生じる場合があります。同じ建築であり、同じ都民であるのに結果が違うのは、公平性を結果として欠くことになります。まず、建築紛争の案件に対して指定確認検査機関での確認は何件ぐらいあるのでしょうか。さらに、東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例において対応はどのようにされたのか、お尋ねいたします。
 建築主が民間の指定確認検査機関に申請を行ったときと役所が行ったときで確認事務の仕方に違いがあるようでは、行政の一貫性が保たれないのではないでしょうか。これからの方向としては、確認は民間というのであれば、なおさらのこと、建築紛争は究極は民事ではありますけれども、可能な限り紛争調整を東京都は積極的に行うべきであると思います。
 今日まで行ってきた都による調整と、それによる円満解決がより実効性を上げるには、都として不誠実な事業者に対し、企業名を公表するなどの措置を講ずるべきであると考えます。現状の対応とともに、その見解についてお尋ねいたします。
 都のあっせんが不調に終わった場合、次の段階として調停という制度がありますが、実際には調停に至るケースは極めてまれと聞いております。せっかくの仕組みとしてある、専門委員により構成された第三者機関の調停委員会をもっと活用するべきであると考えますが、いかがでしょうか。
 次に、昨年九月一日の歌舞伎町の通称雑居ビル火災、私はあえて複合ビルと命名させていただきたいと思いますが、その火災事故や、九月十一日のアメリカにおける同時多発テロ、建築家の一人として、建物が凶器のようになってしまう現実を目の当たりにしたときに、余りにもショッキングで、なかなか立ち直れない状況にありました。
 ことしの九月二日、新宿区が主催する形で防災シンポジウムが開かれました。そこでの報告の中で何点か気になったことがありました。その一つは、被災面積当たりの死亡者数というとらえ方をすると、ニューヨークのワールドトレードセンタービルの災害より、歌舞伎町の複合ビルの火災の方がはるかに率が高いという事実。さらに、驚くべきことは、記録に残る災害でこの比率が一番高いのは、関東大震災の被服廠による災害が史上最悪であり、歌舞伎町の災害はその次であるということです。さらには、被災者はほとんど逃げようとした形跡もない状況でありました。こうした悲惨な災害を再び起こさないための方策について、何点かお尋ねしたいと思います。
 第一は、確認申請は民間に開放し、行政は検査業務を充実するという方向のようです。先ほどの件とも関係しますが、民間で確認をした場合、建築物の図面などの資料は民間で保持することになり、行政がその後に行う検査業務や維持管理に関する報告に問題が生じないのか懸念されます。どのような場合でも、一貫して建築物は安全であり、利用する人々にとっても安心なものでなければなりません。行政としての対応はどのようになるのでしょうか。
 第二は、複合ビル火災から丸一年が経過しておりますけれども、複合ビルの防災、都民の生命と財産を守る立場から、建築行政の分野での、この一年の取り組みの状況と、今後改善をしていこうとされていることについてお尋ねをしておきたいと思います。
 次に、近年の不法駐車問題は極めて深刻な状況にあります。とりわけ渋谷駅周辺の休日の状況は異常ともいえるくらいであります。そこで、まず初めに、都が行った社会実験の結果を踏まえて始まった渋谷地区における路上駐車対策、荷さばきスペースの確保について、その内容と進捗状況を伺います。
 さらに、その社会実験から生まれた、インターネットを利用してのカーナビによる駐車場案内・誘導システムの開発状況についてお尋ねをいたします。
 ウイークデーと休日の違いは車の多さでありますけれども、反面、休日は利用できない駐車場が多くあります。休業中のビルの駐車場を有効にするには、管理上、警備上の課題もありますけれども、限りある資源を有効に活用するにこしたことはありません。都内にある休日のビル駐車場等の施設の有効活用について、見解をお尋ねいたします。
 最後にお尋ねをいたします。二十世紀の遺物であり、できれば二十一世紀へ持ち込みたくなかったPCBの処理についてお尋ねをいたします。
 平成十二年第二回定例会におきまして、PCBの保管現状と処理について質問をいたしました。その後、知事は東京構想二〇〇〇において、都内のPCBを十年以内に処理する宣言をされ、前向きな取り組みに敬意を表するところであります。ことしの四月には、知事みずから環境事業団による一都三県のPCBの広域処理施設の受け入れを表明され、ようやく見通しがつきつつある気がいたします。
 しかしながら、保管者から見れば、いつまでに処理されるのかわかりません。今日まで三十年以上放置してあったことが、今解決しようとしているのですけれども、広域処理施設の具体的な構想がいつ明らかになるのかお尋ねいたします。
 保管管理の体制についても、これを厳格に行うことは当然としても、保管管理をする方々への経済的な負担を極力軽減するような柔軟な運用が必要と考えますが、いかがでしょうか。
 広域処理を完成させるためには、都としても環境事業団任せでなく、積極的に関与していくべきだと考えますが、いかがでございましょうか。
 以上で私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 矢部一議員の一般質問にお答えいたします。
 原宿の日本社会事業大学跡地の利用についてでありますが、この土地には、老朽化、狭隘化した原宿警察署を移転、改築するに際しまして、現在の留置場不足に対処するための相当の規模の留置場を整備するという計画でございます。
 しかし、おっしゃるように、拘置所をつくるものでは絶対ございません。たまたま先回の予算委員会で示しましたのは格好の写真だと思いましたけれども、マンハッタンのど真ん中に、これはあくまでも拘置所でありまして、原則的に起訴された方をしまう、留置場は、たちの悪い酔っぱらいなんかも一晩泊めるということはありますけれども、そういう拘置所が、ある意味では留置場より性格の重い拘置所があの目抜きの場所に講じられおりまして、しかも、その写真にもありましたが、一階には人気の中華料理店があるなどという、なかなか暗示的な写真でございますので、参考の資料としてお示しいたしました。しかし、拘置所でもないし、まして網走番外地が来るわけでも決してございません。
 ただ、都内の留置場不足の一因として、本来国の管轄であります拘置所が満杯のために、代用監獄ということで留置場が使われているというのは非常に問題があると思いますが、こういう事実を踏まえて、ことし六月にも国に対して、都内の拘置所などの拡充整備についても強く要望いたしましたが、しかし、逆に、先般あるところで村井国家公安委員長に会いましたら、ひとつ渋谷のあの計画はぜひぜひ必ずお願いしたいと。これはまあ、ちょっと主客転倒というのでしょうか、そういうことをいわれても、国は国で日本の国家社会の現況に行政が追いついていないのではないか、その一つの証左だろうといいましたら、まあそれはわかりますけれども、ひとつこの計画でぜひ公安委員長としても実現していただきたいという要望がありました。
 国は国、都は都の責任でやるべきことはやらなくちゃいけないと思いますけれども、ともかく近年の犯罪件数の増加は著しく、国の対策を待つばかりでなく、都民の安全を確保するためにも、都として治安維持の基礎となる留置場の拡充を何としても進めなきゃならないと思っております。これまでも警察署の改築などにあわせて留置場の整備拡充に努めてまいりましたし、ひとつこの点をご理解いただきたいと思います。
 なお、仄聞いたしますと、警察当事者からも聞くのですが、不法入国、不法滞在している外国人の犯罪というのはこのごろふえていますけれども、この初歩の段階での軽犯罪を認めても、この外国人を留置するのに非常に手間暇かかるのと、コストもかかるので、一般の日本人ならば、警察官が見とがめて捕まえるのに、外国人だと留置場のいろいろ手続、問題がありまして、つい見逃すと。それがだんだんエスカレートして、もっと重要な犯罪につながっていくという傾向が強いようでございますが、そういうこともしんしゃくいただきまして、ひとつご理解を賜りたいと思います。
 その他の質問については、警視総監及び関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監石川重明君登壇〕

○警視総監(石川重明君) 初めに、方面ごとに拠点の留置場をつくったらどうかと、こういうことのご提言でございますが、お答えを申し上げます。
 その前提といたしまして、警視庁における年間の延べ留置人員でございますが、これは年々増加傾向にございまして、昨年は九十万人・日を超えているという状況でございまして、十年前の平成三年に比べますと二・六倍ということになっております。また、ことし八月末現在におきましても、昨年同期を四万三千七百六十四人・日上回っている、こういう状況でございまして、これは引き続き増加するということを懸念しておるわけでございます。
 こうした状況のもとで、警視庁におきましては恒常的に留置場の収容能力に不足を来しておりまして、警察署等について、順次計画的に留置場の整備拡充というものを行ってきておるわけでございます。昨年は菊屋橋分室を増設いたしまして、ことしは城東警察署の留置場の増設、あるいは多摩総合庁舎の留置場の新設を行うというようなことで、留置場施設の充実を図っておるわけでございますが、施設の規模の面から、現在の留置場不足を解消するにはいまだ至っていないということでございます。
 特に、原宿警察署の管轄を含む渋谷区や周辺の警察署におきましては、留置場が大幅に不足いたしておりまして、原宿に相当規模の留置場を設置するということは、私どもとしてぜひお願いをしたい、不可欠であるというふうに考えております。
 今後は、ご提案の方面ごとの拠点留置場ということにつきましても、各方面の留置需要、あるいは用地の確保の可能性といったようなことを勘案しながら検討してまいりたいというふうに存じます。
 次に、東京の治安確保の問題でございますが、警視庁の管内におきましても、さまざまな犯罪統計指標が示しておりますように、犯罪の凶悪化、国際化、巧妙化、組織化、スピード化といったようなことが一段と進展をしておりまして、これに伴って警察業務も複雑、困難化の度合いを一層強めております。こういうことで、大変厳しいものがございます。
 警視庁におきましては、こうした状況の中で、第一線の体制の強化を図りながら、何といっても都民の皆様の不安の源であるところの凶悪事件を初めといたしまして、悪質、巧妙化する組織犯罪、都民の身近なところで発生する街頭犯罪、さらには国際テロ等の各種テロ、ゲリラ事案の防圧や検挙に努めているところでございます。
 今後も、首都東京の治安維持、都民生活の安全、安心を確保するという観点から、迅速かつ的確に犯罪情勢を把握、分析をいたしまして、犯罪の抑止、検挙の両面から、より効果的な施策を講じて、そのために警視庁の全職員の力を結集して犯罪と戦って、警察に課せられた責務を全うしたいというふうに考えているところでございます。
   〔財務局長田原和道君登壇〕

○財務局長(田原和道君) 社会事業大学跡地利用に関する今後の進め方についてのご質問でございます。
 利用計画の検討に当たりましては、渋谷区を初め、地元関係者の理解と協力を得ながら進めていく必要がございます。現在、地元との話し合いを始めておりまして、その中で都の考え方をご説明するとともに、地元の意見、要望をお聞かせいただいて、十分に議論を重ねた上で、できる限り早い時期に施設の配置や規模、事業手法などを内容といたします基本構想を決定していきたいと考えております。
   〔都市計画局長勝田三良君登壇〕

○都市計画局長(勝田三良君) 建築行政等に関します九点の質問にお答え申し上げます。
 まず、建築紛争案件のうち、指定確認検査機関で確認が行われたものの件数についてでございますが、平成十三年度に東京都が扱った紛争案件四十六件のうち、三十三件でございます。
 次に、指定確認検査機関による建築確認に伴う紛争でございますが、建築紛争については、指定確認検査機関で建築確認を行う場合であっても、都または区市が調整を行っており、建築主等に対する指導やあっせん、調停による紛争解決に当たっております。
 都といたしましては、今後とも指定確認検査機関との連絡調整の場を積極的に活用するなど、紛争の防止に努めてまいります。
 次に、不誠実な事業者の企業名公表等についてでございますが、いわゆる建築紛争予防条例に基づいて、企業名を公表できるのは、あっせん、調停への出頭や関係資料の提出など、都の要請に理由なく従わなかった場合でございます。
 今後とも、建築紛争の解決に向け、建築計画の周知等、事業者に対しまして誠意ある住民対応を指導するとともに、必要に応じて企業名公表の措置を講ずるなど、条例に基づき適切に対応してまいります。
 次に、調停委員会の活用でございますが、あっせんから調停への移行は当事者双方の同意を基本としておりますが、同意を得ることが難しいのが実情でございます。
 今後、調停による紛争解決が見込まれる場合には、当事者双方に対しまして、調停への移行を積極的に働きかけるなど、調停制度の活用を図ってまいりたいと考えております。
 次に、指定確認検査機関が確認した建築物に対する安全性についてでございますが、指定確認検査機関が確認した建築物であっても、建築物の概要は都や区市に報告され、相互の連絡も密に行っております。また、都や区市は必要に応じて建築物の構造や設備などに関して報告を求めることができることとなっております。
 今後とも、指定確認検査機関と十分に連携をし、建築物の安全性の確保に努めてまいります。
 次に、複合ビルの防災対策に関する取り組みについてでございます。
 歌舞伎町の複合ビル火災を契機といたしまして、昨年、既存建築物の一斉点検を行い、避難施設等の法令違反があった建築物に対しての是正指導を行いました。
 また、風俗営業の許可等に際し、警察、消防、食品衛生部局との新たな連携体制を構築し、早期に実態を把握することにより、施設の安全を確保するための是正措置を講じることとしております。
 さらに、本年七月には建築安全条例を改正し、風俗店や飲食店のある小規模な複合ビルに対して避難施設の設置を義務づけいたしました。
 なお、現在、建築物の維持管理に関する定期報告制度について、ビル所有者等への普及啓発、督促の強化、報告済みマークの掲示など、その実効性が確保される方策の確立に取り組んでおります。
 次に、路上駐車対策についてでございますが、渋谷地区では、平成十二年度に車道の歩道寄り部分に荷さばきスペースを設けるなどの駐車マネジメントに関する社会実験を行い、道路の混雑状況が改善され、通過時間が大幅に短縮されるなどの効果を確認いたしました。
 これを受けまして渋谷区は、公園通りについて今年度、井の頭通りについては平成十五、十六年度で、路上に荷さばきスペースを整備する予定と聞いております。
 また、都といたしましては、十月に施行される改正後の東京都駐車場条例に基づき、ビル敷地内の荷さばき駐車施設の設置の促進を図るほか、商店街等に対しましては、地元区と連携し、共同荷さばきスペースの確保や自主的なルールづくりを働きかけてまいります。
 次に、インターネットを利用したカーナビによる駐車場案内・誘導システムの開発状況についてでございますが、都が開発し、現在特許を申請中の、目的地までの距離や駐車料金が即座に検索できるような駐車場案内・誘導システムの社会実験を、平成十三年度に渋谷地区で行い、参加いただきましたモニターの方の約七割から高い評価を受けるなど、その有効性を確認いたしました。
 今年度は、国や東京都駐車場公社、カーナビメーカーなどと仕様の標準化に向けた検討を行い、今後の普及につなげていく考えでございます。
 最後に、休日のビル駐車場の有効活用についてでございますが、休日に利用されていない企業等の駐車場を一般の利用に供することは、商店街における路上駐車を減少させ、交通の円滑化にも寄与するものと考えております。しかしながら、ご指摘のように、管理上や警備上など、解決しなければならないさまざまな課題がございます。
 今後、路上駐車の著しい地域において、商店街が主体となり、企業等の駐車場の活用ができるよう、地元区と連携して対応してまいります。
   〔環境局長小池正臣君登壇〕

○環境局長(小池正臣君) 環境行政についての三点のご質問にお答えいたします。
 まず、PCBの広域処理施設整備についてでございますが、PCB廃棄物の散逸に伴う環境リスクを一刻も早く取り除くため、広域処理施設につきましては、できるだけ早期に整備する必要があると認識しております。
 現在、PCBの広域処理施設につきましては、事業主体となる環境事業団が、施設の処理能力、処理の開始及び完了の予定時期などを内容といたします事業実施計画を鋭意策定中でございます。計画策定後、都知事への協議を経た上で、環境大臣の認可を受け、来月中には公表される見通しとなってございます。
 次に、PCB廃棄物の保管管理体制についてでございます。
 PCB廃棄物を含め特別管理産業廃棄物は、廃棄物処理法により、事業所ごとに資格を有する責任者を置き、管理することが義務づけられております。さらに、都におきましては、原則として専従の管理責任者を置くよう指導しております。
 しかしながら、PCB廃棄物は、日常的に発生、処理するものではなく、保管管理にとどまることから、こうした原則的な対応が困難な個人や中小企業者に限り、適正保管の確保を前提に、外部委託など、専従の管理責任者によらない保管管理を認めてきているところでございます。事業者指導に当たりましては、保管の量や場所などの実態を踏まえ、実情に即した対応をしてまいります。
 最後に、広域処理施設に対する都の関与についてでございます。
 都は、広域処理施設の受け入れ自治体として、PCB処理の安全性を確保し、地域住民の不安解消を図るために、施設の整備から運営に至るまで積極的に関与していく必要があると認識しております。
 こうした観点から、都はこれまで、安全性の確保等に関する受け入れ条件について、国や環境事業団との調整を行うとともに、施設の早期整備に向けて、地元関係区の理解を得るよう努めてまいりました。
 今後とも、処理方式の選定や収集運搬も含めた一元的な管理体制の構築など、さまざまな課題に対応するため、環境事業団と連携協力し、事業の円滑な促進を図ってまいります。

ページ先頭に戻る