平成十四年東京都議会会議録第十二号

○議長(三田敏哉君) 百二十一番大西由紀子さん。
   〔百二十一番大西由紀子君登壇〕

○百二十一番(大西由紀子君) 私は、都議会生活者ネットワークを代表して質問いたします。
 昨今、ようやく国での税源移譲論議が活発になり、国庫補助金、地方交付税、税源移譲を含む税源配分のあり方を三位一体で検討という基本方針が示され、同時に、廃止する国庫補助金の対象事業の中で、引き続き地方が主体となって実施する必要があるものについては、その所要額を精査の上、地方の自主財源として移譲するとされています。しかし、一体だれが、地方が主体となって実施する必要がある事業の判断をするのかということについては明記されていません。
 補助事業の中には、NPOや社会福祉法人への補助金などのように、少額ながら地域に根差し、地域の人々にとってなくてはならない事業が数多くあります。これらの事業の実態を国が正確に把握しているとは思えず、こうした事業の必要性に係る判断については身近な自治体でこそ行うべきであり、事業の見直しに当たっても、住民の意向を的確に把握し、自治体がみずからの考え方に基づいて判断していくべきです。
 三位一体の改革に当たっては、そうした観点を踏まえつつ、自己決定、自己責任を可能とする地方税財政制度の確立を国に強く働きかけていく必要があると考えますが、知事の見解を伺います。
 税源移譲は、しかしながら地方の歳入拡大を目指すものではなく、地方にとっても魔法のつえとはなり得ません。行財政改革基本問題特別委員会で、都は、歳入総額が変わらなくとも歳入の質が向上することが税源移譲のメリットとしており、まさに今、都がみずからの手で財政規律を確立させる取り組みが求められているのです。臨海開発や市街地再開発事業のツケ、退職手当の増加など、重い負担が見込まれる都財政の窮地を借金に頼って将来世代にツケを回すことは許されません。
 昨年三月に公表された「機能するバランスシート」によって、黒字経営といわれていた国際フォーラムが、実は年間八十九億円の赤字で、損失解消の見込みがない事業であったことが判明しました。住宅局でも、「機能するバランスシート」が作成され、対象事業の資金の流れが明確に区分管理されるよう、都営住宅等事業を特別会計化しました。
 このようにバランスシートを作成することで、事業に潜在している問題点を明らかにし、事業評価につなげることができます。行政のアカウンタビリティーが問われる中、今後は行政コスト計算、バランスシートづくり、財務諸表の作成、連結決算の実施等を予算に反映させることが必要です。
 まずは、今後の行政評価対象事業で、「機能するバランスシート」の作成を義務づけるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 さて、東京都の商業地の地価水準は、一九九一年のピーク時に比べると四分の一以下に低下しました。しかし、問題は土地の値段ではなく、どのように利用されているかです。都内の新規マンション着工戸数は、この一年間で六万八百九十九戸と、これまでの最高水準であり、事務所の供給量でも、床面積にしてバブル期を上回っています。都心ではむしろ高層住宅やオフィスの過剰供給が心配されているにもかかわらず、国の指定した緊急整備地域は、大部分が都心三区を対象としています。
 真の都市再生とは、既に過剰供給が心配される都心の高層ビル建設に血道を上げることではなく、人口減少、地価下落をむしろ好機として、自然環境豊かな持続可能な都市を創造することです。成熟した都市にとって大切なことは、豊かな自然、澄んだ空気、ゆとりある交通、美しい町並みを楽しみながら過ごせる環境であり、都市再生ならぬ都市破壊を促しかねない国の開発政策と決別して、東京都は成熟都市としての都市政策を実施するべきだと考えます。
 こうした観点から、都市再生緊急整備地域内における民間事業者などの都市計画提案が、周辺の自然や生活環境と土地利用とが調和したものかどうか、より一層の環境アセスメントの実施と自治体の都市計画マスタープランの優位性を確保することが求められていると考えますが、見解を伺います。
 また、都市再生特別措置法に引き続き行われた建築基準法の改正で、容積率の緩和を総合設計制度の許可によらず、建築確認のみで適用される制度が導入されました。都においては、周辺環境への影響が大きいケースが多いので、従来どおりに十分な適格性に関するチェックが可能なように、いわゆる容積率制限を迅速に緩和する制度を都全域で適用除外とする必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 次に、福祉改革についてですが、福祉サービス提供主体の改革への取り組みについての策定においては、都立福祉施設の民間移譲を進めるというものです。福祉改革がいよいよ都立福祉施設にも及ぶものとして大きな波紋を投げかけています。
 知事は、所信表明において、これからの福祉は多くの事業者が競い合いの中から多様なサービスを提供し、利用者は自分に合ったサービスを選択できる仕組みとすべきであると発言しています。NPOなど市民の活力を生かした事業者の参入は歓迎すべきであると思っております。介護保険導入後、経済効率優先の企業の参入もあり、継続性の確保にも疑問が残ります。
 競争原理は必ずしもサービスの質の向上につながるものとは限りません。質の低下を防ぎ、さらに、どのような質の向上を目指すのか、見解を伺います。
 また、利用者にとって、よりよいサービスを選択するためには、事業者の情報が不可欠です。都は、今年度、東京都福祉サービス推進機構を開設し、利用者本位の福祉サービスを実現する新たな仕組みとして、平成十五年度から福祉サービスの第三者評価事業を本格実施する予定です。この第三者評価事業には期待しています。
 しかし、現在、評価機関の認証に向けての取り組みが進められている中、都民からは、行政の責任ある指導検査、指導監督にかわって、サービスを第三者評価にチェックさせるのではないかと危惧する声も聞かれます。
 指導監督を縮小し、これを第三者評価システムに責任転嫁するというならば、極めて問題です。第三者サービス評価に、行政が行う指導監督を肩がわりさせるべきではないと考えますが、見解を伺います。
 次に、医療費助成条例一部改正について伺います。
 国の医療制度改正に伴い、老人医療費助成、心身障害者医療費助成制度においても、患者負担の通院定額制を廃止し、一割負担を導入するための条例改正が提案されました。
 心身障害者医療費助成制度は、自己負担分の全額を都が負担する制度としてスタートしましたが、二〇〇〇年には、負担の公平を図るとして自己負担を導入し、今回は一般の通院自己負担限度額の上限が三千四百円から一万二千円と約三倍になりました。現在の社会状況において、障害を持つ方にとり、さまざまな経済的負担が予測されます。増額の対象は一部の人であるとしていますが、障害を持つ人にとっては極めて厳しい制度改正といわざるを得ません。見解を伺います。
 次に、母子保健院の廃止問題についてです。
 都立母子保健院は、地域周産期母子医療センターとして、世田谷区内では貴重な小児救急、夜間診療を行って、年間約千件を超える出産を引き受けてきた重要な医療機関です。
 母子保健院については、都が地域の医療環境を考慮し、当分の間存続させる必要があり、その間に必要な施設、体制の整備について可能な限りの対応を図っていくべきとしてきたように、見直しの条件は地域の医療環境の充足でなければなりません。
 都は、廃止理由に、五百床のベッドを持つ国立成育医療センターも開設し、入院患者への対応も進んでいると、あたかも母子保健院の代替施設となるかのように説明していますが、同センターは、小児、母子医療のナショナルセンターであり、第一義的には初期医療を想定していない施設であることは明らかです。都が、同センターの開設によって地域の医療環境が充足したとする根拠はどこにあるのでしょうか。
 実際に、国立成育医療センターとは、いつから、どのような協議を行ってきたのか。同センターが母子保健院の代替と考えられる協議の合意ができているならば、覚書などを交わし、区民の不安にこたえるべきと考えますが、所見を伺います。
 都の改革によって引き起こされる地域医療への影響は、基本的に東京都が責任を果たして解決すべき課題です。地域住民、自治体に対して、誠意ある代替策、支援策を行わずに廃止に踏み切るとするならば、今後予想される都立病院の統合廃止問題について、どのように患者、住民、地域の合意を図っていくつもりなのか、明快な答弁をお願いします。
 次に、さきに示された都立高校の新配置計画に関連して伺います。
 まず、中高一貫校については、地元自治体との連携による中高一貫校ではなく、いわば、都立中学を東京都教育委員会の意向のみで自治体の中に強引につくるという感が否めません。また、さきに指定された進学重点指導校とあわせて考えますと、従来の偏差値による輪切りをそのまま当てはめて、都立高校の序列化を加速させる表面的な改編としか映りません。
 中高一貫校の計画立案に関しては、教育の分権の視点に照らして、学区制や選考方法など、当該自治体との協議をどのように進めてきたのか、そして、この中高一貫校を通して、東京の中等教育をどのように改善していこうとしているのか、真意のほどを伺います。
 一方で、エンカレッジスクール、トライネットスクールなどの試みは否定するものではありませんが、そこに至る小中学校教育をどのように改善しようとしているのでしょうか。小中学校の校長以下職員の人事権を預かる東京都としては、ハード面の都立高校改革を進めれば事足りるというものではありません。都内一万人の不登校児童生徒がいる状況を考えたとき、ソフト面の改善を図る積極的な取り組みがない限り、子どもたち自身が学びの主体となる学校はつくれません。
 子どもの主体性を生かした新しい学校のあり方の一つに、フリースクールがあります。新しい学校づくりを実践しているこうしたフリースクール等に対して、学校法人と同等の認定や支援を行うとともに、むしろこうした運営方法から東京都が学ぶべき点があると考えますが、いかがでしょうか。
 何より都立高校改革の一番の問題は、教育関係者のみが計画立案に当たっていることだと考えます。そこには、子ども自身はもちろん、保護者も教職員の参加もありません。今回の定時制高校の統廃合については、各方面から大きな疑問の声が上がっています。せめて当該校の関係者が一堂に会し、二年なり三年なりの時間をかけて、統廃合の是非も含めて議論し合う時間が必要です。現状の進め方では、関係者の力を分断し、東京都への不信感を増幅することはあっても、今一番必要性が叫ばれている地域の教育力を生み出すことにはつながりません。
 特に定時制高校の統廃合については、当事者参加型での計画の推進、場合によっては見直しを含めての議論の場を設定すべきですが、お考えを伺います。
 最後に、化学物質対策について伺います。
 去る六月二十六日、いわゆる杉並病についての公害等調整委員会の裁定が出されました。裁定は、操業に当たり排出された化学物質が原因と推認するほかなく、因果関係は肯定されると解すべきとし、特定できない化学物質が健康被害の原因であると初めて裁定されました。
 東京都は、中継所が杉並区に移管される直前の平成十二年三月に、健康被害の原因を硫化水素とクレオソート油であるとの結論を出しました。今回の裁定では、都が原因としたクレオソート油は、周辺の大気環境に新たな負荷を及ぼしたという状況は認められず、また、申請人らの症状から、硫化水素だけに原因を限定できないとしています。このように、移管前の都の結論はことごとく覆されています。移管後も引き続き東京都が責任を持って対応していくと知事が答弁されているように、都には中継所を経済効率だけでつくり、健康被害を引き起こした責任があると考えます。今回の裁定についての見解を伺います。
 私たちは、この健康被害と化学物質に関連して、平成十年、予算特別委員会で初めてPRTR制度を提案しました。現在、都では、府中市で実施した化学物質リスクコミュニケーションのパイロット事業を拡大し、新宿と板橋でも行うとしています。
 パイロット事業は、地域コミュニティを構成する関係者である市民、行政、企業が、対話を通じて化学物質情報を共有するリスクコミュニケーションの最適手法を探るためのものです。このパイロット事業を拡大するとともに、市民の分析や判断を支援する機能を付加するなど、リスクコミュニケーションを充実させる必要があると考えます。このパイロット事業を踏まえ、リスクコミュニケーションを今後円滑に進めていく上でどのように取り組まれるのか、あわせて伺いまして、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 大西由紀子議員の代表質問にお答えいたします。
 地方税財政制度の確立についてでありますが、さきの分権改革、小渕内閣のときにできました地方分権一括法はまさに有名無実でありまして、肝心の地方税財源の分与を先送りしております。中長期といいますから、下手をすると数十年かかりかねない問題として付記に書かれているわけでありまして、いわば仏つくって魂入れずの感が否めません。
 おっしゃるように住民の意向を反映した自己決定、自己責任が可能な地方税財政制度の確立という観点から見ても、今回のこの税源移譲と国庫補助負担金、地方交付税の見直しをあわせた、いわゆる三位一体の議論、改革は、評価というか、当然のことであります。
 しかし、その場合でも、どうも傾向としては、地方の自主財源の拡充が基本であるのにもかかわらず、国庫補助負担金の削減のみが先行されている節がありまして、これが主唱者の総務省と、何でもかんでも自分の手に握りたい財務省との二つの役所の間のギャップが感じられますが、いずれにしろ首都東京の再生や都民の安全と安心の確保のために、都が責任を持って施策を推進するためにも、まず税源移譲を進めるという基本姿勢に立って、今後とも国に強く働きかけていくつもりでございます。
 実は、その方がまた国にとってもいい結果になりまして、国は違いますけれども、レーガンの時代に、アメリカの思い切った、連邦政府の仕事を財源も添えて地方の州に割譲するという施策は、結果として非常に足腰の強い連邦政府を誕生させたと思います。日本もそういう時代になっていると思いますので、ご指摘のとおり、都も努力をするつもりでございます。
 なお、他の質問については、教育長及び関係の局長から答弁をいたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教育に関します三点の質問にお答えいたします。
 まず、中高一貫教育校についてですが、今回の新配置計画案の策定に当たりましては、中高一貫教育校の整備に関する検討委員会を設置しまして、区市町村教育委員会及び学校関係者の参加を得た上で、中高一貫教育校の整備の考え方等について取りまとめを行ったところでございます。
 計画案における対象校の関係区市町村教育委員会に対しましては、都教育委員会として説明をし、ご理解をいただいているところでございます。
 また、中高一貫教育校の設置は、中学校から高等学校に進学するという従来の形に加え、六年間の一貫教育を取り入れることによりまして、公立の中等教育の複線化を図り、子どもや保護者の学校選択幅を拡大するものでありますと同時に、既存の中学校、高等学校の教育活動にも刺激を与え、既設校の活性化をも図ることによりまして、東京の中等教育全体をよりよいものにしていこうとするものでございます。
 次に、フリースクールについてでございますが、都教育委員会は、これまでも不登校対策として、スクールカウンセラーの配置や相談活動の充実などを図ってきたところでございますが、一方で、文部科学省が進めます不登校児童生徒の適応指導に関する調査研究委託事業を受けまして、都内の適応指導教室のみならず、いわゆるフリースクールも対象にしました、学校復帰を図るための支援方策に係る調査研究を実施しまして、その成果を不登校対策に生かしております。
 なお、不登校児童生徒がフリースクールで学校復帰を目指した指導を受けている場合には、校長の判断により、指導要録上出席扱いができますこと、あるいは小中学生の負担軽減措置として、通学定期券制度が適用されますことから、その旨を区市町村教育委員会に対し周知徹底を図っているところでございます。
 最後に、お話の当事者参加型の計画の推進についてですが、都立高校改革の新たな実施計画の策定に当たって、関係者の声を反映させていくことは重要なことと認識しております。
 このため、六月の配置計画案発表以降、学校関係者への説明を積極的に行っておりまして、今後とも関係者の理解を得るよう努めてまいります。
 また、新たな実施計画の推進に当たりましては、個別の学校ごとに委員会を設置しまして、新しい学校の教育課程等について検討する中で、保護者や教職員等の学校関係者の意見を反映してまいります。
   〔知事本部長前川燿男君登壇〕

○知事本部長(前川燿男君) 行政評価制度におけるバランスシートの活用についてのお尋ねでありますが、行政評価は、多面的、総合的な視点から行うことが必要でありますが、例えば有形固定資産を有するなど事務事業の性格によっては、事業コストをより的確に把握し、費用対効果などを検証していく上で、バランスシートの活用が有効であると考えております。
 今後、こうした視点から、各局において主体的に作成するバランスシートを行政評価における効率性などの評価材料の一つとして活用してまいります。
   〔都市計画局長勝田三良君登壇〕

○都市計画局長(勝田三良君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、民間事業者などの都市計画提案についてでございます。
 都市再生特別措置法を活用して、民間の創意工夫を最大限に発揮させ、都市再生を進めることは、都にとって極めて重要であると認識しております。民間事業者などの都市計画提案に基づき都市計画を決定する場合には、自治体の意向を踏まえて定められた都市再生緊急整備地域の地域整備方針や、自治体の都市計画マスタープランなどに適合することが求められます。
 また、事業実施に当たって、東京都環境影響評価条例等の規定に基づき、環境アセスメントが必要な場合は、所定の手続を行うこととなります。
 次に、容積率の緩和を総合設計制度の許可によらず、建築確認のみで適用する制度についてでございます。
 この制度は、都市再生を進める上で、住宅系建築物を条件として、容積率緩和の内容を事前に明示することや、手続の迅速化、簡便化を図り、プロジェクトの円滑な実施を確保するため創設されたものでございます。
 適用する区域及び緩和の限度は、特定行政庁が都市計画審議会の議を経て、法に定める範囲内で指定することができることとなっております。
 この制度の実施に当たりましては、都市再生を着実に推進する観点からも、区市町村と十分調整を図りつつ、適切な運用に努めてまいります。
   〔福祉局長川崎裕康君登壇〕

○福祉局長(川崎裕康君) 福祉改革などのご質問にお答えいたします。
 まず、都立福祉施設の改革についてでございますが、都立福祉施設の民間移譲等に当たりましては、都の方針であります「福祉サービス提供主体の改革への取組について」に基づきまして、適切な移譲先法人の選定等により、入所者のサービス水準を確保していくとともに、福祉改革を推進する中で、サービスの質の向上を図ってまいります。
 次に、福祉サービス事業者に対する指導監督と第三者サービス評価についてでありますが、都はこれまで、設備、人員、運営など法令等の基準に加え、適切にサービスを提供しているかという観点から指導監督を実施してきております。
 平成十五年度からは、利用者の選択とサービスの質の向上に資するため、東京都福祉サービス評価推進機構が認証した多様な評価機関による、福祉サービスの第三者評価を本格実施する予定であります。
 今後、都は、第三者サービス評価の普及、定着を図るとともに、その結果も活用しながら、指導監督の充実を図り、福祉サービスの質の向上に一層努めてまいります。
 次に、心身障害者医療費助成制度におけます自己負担額についてでございますが、本制度の対象者約十一万四千人のうち、九万四千人につきましては全額助成し、区市町村民税が課税されている二万人につきましては、老人保健法に準拠し、高齢者と同様の負担になっております。
 平成十三年度の実績を見ますと、外来受診は月平均約二・九回、医療費は月平均約二万五千二百円であります。うち、自己負担は現行の定額制では二千四百六十五円となります。この医療費の実績から推計いたしますと、定率一割負担となりましても、自己負担は二千五百二十円であり、現行と同程度の負担になります。
   〔病院経営本部長櫻井巖君登壇〕

○病院経営本部長(櫻井巖君) 都立病院改革についてのご質問にお答えいたします。
 まず、国立成育医療センターとの協議についてであります。
 都は、同センターの開設前から、国等に対して、都の医療提供体制への協力要請を精力的に行ってまいりました。その結果、同センターからは、いつでも、だれにでも開かれた成育医療の先導的役割を果たす病院として、小児救急医療や一般分娩にも取り組んでいくとの方針が示されております。
 同センターの休日・夜間の救急患者は、本年七月には、一日当たり四十四人で、母子保健院の実績の約九倍となっており、そのうちの七五%以上が世田谷区民でございます。
 こうしたことからも、同センターは地域の小児医療に実質的に大きく貢献していただいているものと認識しております。
 次に、都立病院の統合廃止問題に係る患者、住民、地域との関係についてでありますが、都立病院の廃止、移転統合に当たり、地域医療の確保等について、都と地元自治体及び関係機関との間で、相互の役割分担を踏まえ、十分協議していくことが重要であります。
 こうした考え方に基づき、先月、世田谷区と小児初期救急医療体制の充実について合意したところであります。また、八王子市、清瀬市ともそれぞれ検討の場を設け、地域の小児医療の確保に向けて協議を開始したところです。
 引き続き、住民に身近な地元自治体との間で協議を進めるとともに、地域医療の確保策等について、都民の皆様に周知してまいります。
   〔環境局長小池正臣君登壇〕

○環境局長(小池正臣君) 化学物質対策についての二点のご質問にお答えいたします。
 まず、杉並中継所に関する公害等調整委員会の原因裁定に対する都の見解についてでございますが、中継所と周辺住民の健康不調との関係は、平成八年四月から八月ごろについては操業が原因とされていますが、九月以降については、中継所が原因であることは棄却されました。このことは、従来からの東京都の認識を基本的に逸脱するものではないと考えております。
 しかし、原因物質が特定していないものの、硫化水素だけに原因を限定できないとの判断も示されたため、この裁定を尊重し、裁定結果で指摘された方々を対象に必要な措置を講ずるため、現在、医師、弁護士などで構成する専門委員会を設置し、検討しているところでございます。
 次に、化学物質対策にかかわるリスクコミュニケーションについてでございますが、化学物質による環境リスクを低減するためには、都民、企業、行政相互の情報の共有化、信頼関係の構築を図るリスクコミュニケーションの推進が重要であると認識しております。
 このため、都は現在、専門家による委員会でそのあり方を検討するとともに、本年七月からは、都民や企業の参加を得て、具体的手法を検証するパイロット事業を試行しているところでございます。
 今後、パイロット事業は、実施地域の拡大や環境学習リーダー等の活用を図るなど、内容を充実してまいります。
 これらの検討結果を踏まえ、リスクコミュニケーションの仕組みの確立に努め、化学物質対策を推進してまいります。
   〔百二十一番大西由紀子君登壇〕

○百二十一番(大西由紀子君) 先ほど福祉局長の答弁の中に、医療費制度の改革の問題なんですけれども、平均では同程度ですということでした。しかし、やはり一部は厳しい状況にあると思います。局でも、そういう医療費のレセプト関係は把握しているということは伺っているんですけれども、いわゆる障害者の生活実態とあわせて、そういう状況を把握しているのかどうか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
   〔福祉局長川崎裕康君登壇〕

○福祉局長(川崎裕康君) 先ほどの平均の値については、今おっしゃられたとおり、レセプトをチェックして出した数字でございます。これで、これ以上の、つまり平均以上の方がどの程度いるか、それから、生活実態等については把握はしておりません。ただ、福祉局としては、五年に一度のそういう調査もしておりますので、そのあたりについての資料については、今は持ち合わせておりませんけれども、局としては、そういう調査をやっているということでございます。

○六十七番(真鍋よしゆき君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(三田敏哉君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三田敏哉君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後八時三分散会

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