平成十四年東京都議会会議録第十二号

○議長(三田敏哉君) これより質問に入ります。
 百十三番山崎孝明君。
   〔百十三番山崎孝明君登壇〕

○百十三番(山崎孝明君) 平成十四年第三回東京都議会定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して、質問をいたします。
 さて、この十七日、小泉総理がピョンヤンを訪れ、金正日総書記とトップ会談を行い、懸案の日朝国交正常化交渉の再開の道を開きました。このことにより、我が国を初め、他の北東アジアの緊張緩和及び安全保障が大きく前進するものとして、我が党は今回の総理の政治決断と行動を高く評価するものであります。
 ただ、この会談で拉致被害者八人の方々の死亡が確認されました。被害者の心情を思いますと、まことに痛恨のきわみです。改めてご遺族の方々に哀悼の意を表するとともに、一刻も早く拉致事件の真相解明を求めるものであります。
 ところで、我が国経済は、株価がバブル崩壊後の最安値をつけるなど、デフレの重圧にあえいでいます。ことし上半期における東証一部上場企業の倒産は八件と、上半期として過去最高を記録しました。また、完全失業率も五・四%と依然高水準に張りついております。さらに、先月末に発表された四―六月期の国内総生産でも、名目値で五期連続マイナスであります。物価の下落が消費マインドや企業の売上減を招き、これらがめぐって税収の落ち込みをもたらし、財政を一層悪化させております。政府は、歳出削減、税制改革、規制緩和などの総合施策をなお一層推進し、一刻も早い経済の再生を図るべきであります。
 一方、都においても、先般、平成十三年度決算が発表されました。それによると、形式収支は千六百九十四億円の黒字ですが、実質収支は百億円の赤字となっております。前年度の赤字額が六百七十八億円だったことを思えば、かなり赤字額が減少したことになります。
 この赤字額の縮小には、財政構造改革に積極的に取り組んだこともありますが、何といっても、銀行業等に対する外形標準課税の寄与が大きかったと思います。いずれにしろ、現下の経済情勢から、都財政の先行きは依然として厳しく、予断を許さない状況にあります。引き続き内部努力や施策の見直しなどの取り組みをこれまで以上に強化し、財政構造改革を一層推進する必要があります。
 我が党は責任政党として、都民の皆様が安心し、安全に暮らせるよう、限りある財源を重点的かつ効率的に使い、都政の重要課題に積極的に取り組んでいくことをお約束し、質問に入ります。
 まず、税財政問題について伺います。
 さきに十三年度普通会計決算が発表されました。四年連続の赤字ではありますが、実質収支の赤字は、十年度の一千六十八億円に比べて十三年度は百億円、経常収支比率も十一年度をピークに九二・四%と改善しております。しかしながら、その要因としては、財政構造改革の成果に加え、都税の増収に負うところも多いと考えられ、今回の決算をもって都財政が置かれている厳しい環境も改善したと見るのは早計ではないでしょうか。
 都の歳入の根幹である都税収入は、十四年度予算では、前年度に比較して約三千六百億円もの大幅な減少が見込まれております。しかしながら、東京、そして我が国が置かれている現在の厳しい経済状況を踏まえれば、果たしてその税収を予算どおり確保できるのか心配されるところであります。
 そこで、まず十四年度の都税収入は予算における見込みどおり確保できるのかお伺いをいたします。
 次に、財務局が発表した十五年度の都財政の収支見通しによれば、都税収入が引き続き低水準と見込まれるなどにより、歳入と歳出の差である財源不足額、すなわち収支のギャップは三千六百億円見込まれております。十四年度予算を上回るほどの厳しい財政不足が見込まれる中で、今後、十五年度予算の編成がなされるわけであります。したがいまして、一般歳出総額の抑制は避けられず、財政再建の手綱を緩めることは許されません。
 一方で、都財政が厳しい中にあっても、都民を取り巻く閉塞状況を打ち破り、都民一人一人が夢と希望を持てるように、東京を力強く再生していくことがまさに急務であります。
 財政構造改革の推進と東京の再生へのチャレンジという、この二つの課題を前に、十五年度予算の編成に向けてどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
 次に、重要施策について伺います。
 今回、重要施策についての基本方針が示されました。十一月中をめどに取りまとめるということであります。重要施策は二年目の取り組みとなりますが、今回は、中長期的視点に立って構造改革を進めていくという新たな考えが示されております。
 そこで、今回そうした認識に基づき、どのように重要施策を策定していくのか、知事の基本的な考えをお伺いいたします。
 また、重要施策を実現するために十五年度に重点的に実施すべき事業と位置づけられている重点事業については、十四年度とは方針を変え、厳選するとしておりますが、今日の厳しい財政状況下で例外なく事業の見直しを行うといっている中で、どのような観点で事業を選定するのでしょうか。
 さらに、基本方針によれば、重点事業の選定に当たっては、これまでにも増して局間連携に留意するとあります。局間の連携は、これまでたびたびいわれながら、実現が難しい問題であり、まさにいうはやすく、行うはかたしでありますが、局を越えた課題にどのように取り組もうとするのか、あわせて所見をお伺いいたします。
 次に、国と地方の将来を決定づけるともいうべき地方税財政制度の改革について伺います。
 この六月、経済財政運営と構造改革に関する基本方針二○○二が閣議決定され、国庫補助負担金、地方交付税、税源移譲の三位一体の改革が打ち出されるという大きな展開がありました。
 いうまでもなく、真の地方自治とは、地方自治体が国からの移転財源や過度の関与に依存することなく、みずからの財源と責任に基づく行財政運営をなし得て、初めて確立できるものであります。国は、我が国経済のかじ取りや外交、国土の安全など、国家存続のための仕事を担い、地方自治体は、住民の声や地域の実情を踏まえ、地域に根差した行政サービスを提供するとの考え方が、国と地方の役割分担の根本であります。
 三位一体の改革は、国と地方の役割分担を踏まえ、国の地方に対する関与を縮小し、地方の権限と責任を大幅に拡大するとの考えのもと、国、地方を通じた歳入中立を前提としつつ、国庫補助負担金の削減や地方交付税の見直しとあわせ、税源移譲を含む税源配分を改革していくものであります。
 ところが、国の十五年度予算概算要求に当たっての基本的な方針では、地方公共団体に対し交付される補助金は、国、地方を通じた行政のスリム化を実現する観点から、廃止、縮減を目指すとされております。国の予算編成の過程で結論を見ることでありますが、仮にも三位一体の改革の中から国庫補助負担金の削減のみを先行するとすれば、これは地方への負担転嫁にすぎず、断じて許すわけにはまいりません。
 我が国を再生していく上で、地方分権は急務であり、そのために国に依存した現行の地方税財政制度を改革しなければなりません。今回の改革の議論が、将来の国、地方のあり方をしっかり見据えて進むように、地方自治体の雄である東京都が、国に対ししっかり主張していくことが大切だと考えますが、三位一体の改革とその進め方に対する知事の所見をお伺いいたします。
 次に、外形標準課税訴訟に関連して伺います。
 都の銀行業等に対する外形標準課税は、地方税法の許す範囲において、実施期間を限って導入するものであり、財政再建団体への転落を回避するため、緊急やむを得ない臨時的な措置であって、適切な政策判断に基づくものであります。課税対象を資金量五兆円以上の大手銀行等に限定したり、税率を三%とすることなどは、都の自主的な課税権の正当な行使であり、内容的にも合理的な政策判断だと考えます。
 また、地方分権一括法の施行によって、法定外目的税が新設され、法定外税に対する国の関与も許可制から協議制に変わってきております。自治体の自主課税権の拡大や財政的基盤の拡充は、今や歴史的な流れであります。遺憾ながら、さきの東京地裁の判決は、現行地方税法の解釈を誤った上、こうした地方自治の変化に対する理解を欠き、将来を見誤るものだと思います。
 都の外形標準課税条例については、都議会で圧倒的多数をもって条例案を可決した経緯があります。しかも、この税額が一千億円と、税収入でも大きなウエートを占めております。
 この訴訟の行方については、都民も多大な関心を持っております。住民投票をすれば、圧倒的な支持が得られるのは間違いありません。第一審判決後に都に寄せられた意見の八割は、都を支持するものでありました。都は、第二審においては、地方税制の企画立案に携わった旧自治省関係者の意見書で主張を補強するなど、勝訴に向けて並々ならぬ努力をされております。
 そこで、この際、銀行業等に対する外形標準課税訴訟の歴史的意義と見通しについて、改めて知事の所見をお伺いいたします。
 次に、現在重要な課題の一つとなっている中小企業の振興について伺います。
 まず、商店街の振興についてであります。
 平成十三年の東京都商店街実態調査では、約八割の商店街が、三年前の調査時点に比べ、商店街全体の景況が衰退している、または、売り上げが減少したと回答しております。こうした危機に臨んで、我が党は昨年、商店街振興議員連盟を設立するなど、党を挙げて商店街振興策に取り組んできたところであります。そこで、商店街振興に臨む都の基本的姿勢を伺います。
 ところで、これまでの商店街振興策を振り返りますと、我が党が提唱した元気を出せ商店街事業は、商店街の求心力を高め、商店主の意欲を引き出していますし、活力ある商店街育成事業によって着々と環境整備が進み、活気を取り戻す商店街が出現しております。
 しかし、商店街の方々からは、事業ごとに申請しなければならず、手間がかかる、都と区市町村で同じような事業を別々に行っていて、どちらを選択したらいいかわからないといった声も聞かれます。地域の実情に詳しい区市町村が行う地域特性を生かした個々の商店街の事業展開に対して、一層よき相談役となっていくことが都に期待されているところでありますが、一方、商店街の基本的課題といわれる後継者の育成や商店主の経営能力の底上げといった人づくりや個々のお店への支援がこれから商店街づくりには不可欠なはずです。これらさまざまな課題認識を踏まえた今こそ、商店街の振興策をより強力に推し進めるべきであると考えますが、見解を伺います。
 次に、ものづくりについて伺います。
 本年八月、知事は、中小企業振興対策審議会から、都のものづくりの振興のあり方について答申を受けました。それによると、平成二年から平成十二年までの間に、東京の製造業は、何と北海道の製造業全体より多い事業所と従業員数がなくなりました。また、製造業における景気の動向を指す指数である業況指数は低迷を続けております。ものづくりの現場では、仕事がない、単価の引き下げを求められ、採算がとれないなどの声が聞かれます。
 このような危機的状況にあるものづくりをいかに振興していくか、また、厳しい国際競争力を勝ち抜くためにいかに体力をつけていくかが、現在の都政の重要課題だと考えます。ものづくりの重要性に対する知事のお考えを改めてお伺いいたします。
 次に、中小企業融資について伺います。
 今月初め、銀行の貸し渋りや貸しはがしにより、資金繰りに苦しむ中小企業経営者が集会を開き、銀座でデモ行進が行われました。東京のど真ん中で千人以上が集まった集会では、追い詰められ、がけっ縁に立たされた経営者たちから窮状を訴える声が続きました。
 我が党としては、こうした中小企業の状況を見過ごすわけにはまいりません。東京の中小企業の活力なくして、首都東京の再生はなし得ないのであり、力強い金融支援策が今求められております。現下の厳しい状況にかんがみ、直ちに緊急対策を打ち出すべきと考えますが、都としてのご所見をお伺いいたします。
 ところで、中小企業は、一般に大企業に比べると、信用力の面などから資金調達力が弱いといわれていますが、それをカバーするのが信用保証協会の信用保証制度であります。信用保証制度は、中小企業が事業資金を必要とする場合に、保証協会が企業の保証人となることによって資金調達を容易にする仕組みであり、中小企業にとっては、まさに頼みの綱なのであります。しかし、信用保証協会が保証渋りをしていると巷間伝えられております。
 都として、これまで協会に対しどのような指導をしてきたのか、また、今後はこれまでよりも一歩も二歩も踏み込んだ保証をするよう強く指導すべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 この信用保証制度というのは、保証した企業が万一倒産などで返済できなくなった場合に、信用保証協会が肩がわりして金融機関へ返済し、その穴埋めを国の信用保険の保険金でするという仕組みであります。盤石な国の信用保険制度があって初めて積極的な信用保証が可能となるわけですが、最近の新聞報道によれば、中小企業総合事業団の信用保険収支が急激に悪化し、保険制度の先行きが危惧されております。中小企業総合事業団の信用保険収支の状況はどうなっているのでしょうか。国の信用保険制度を立て直し、信用保証制度の基盤を固め、中小企業向けの融資を積極的に進めていくために、都として国費の追加投入を国に対して求めていくべきと考えますが、ご所見を伺います。
 次に、観光産業振興について伺います。
 昨年の第四回定例会で、国際都市東京の魅力を高めるとともに、観光の振興を図る施策に要する費用に充てるため、ホテル、または旅館の宿泊者に宿泊税条例が可決されました。そして、いよいよ十月一日から実施されると聞いております。
 都は、外国人旅行者を誘致するため、十月下旬からロンドンとベルリンにシティーセールス訪問団を派遣するなど、宿泊税を財源とした具体的な観光振興策への取り組みを始めたと聞いております。
 東京都観光産業振興プランに示された外国人旅行者六百万人を実現するために、今後、観光産業振興施策をどのように展開していくのかお伺いをいたします。
 さらに、外国人旅行者の誘致のためには、さまざまな受け入れ体制が必要です。我が党は、去る三月、カジノ議員連盟を結成いたしました。カジノは新たな観光資源の一つであると同時に、産業、雇用の分野にも大きな効果があり、税収の確保にも大きく貢献することが期待されております。知事もカジノの設置については、来月、都庁舎の展望室を利用したカジノの疑似体験等のイベントを予定するなど、非常に積極的な姿勢が見られます。
 カジノの設置については、法整備も必要であり、一朝一夕にはなかなか困難と思われますが、今後どのような取り組みをされるのかお伺いをいたします。
 ところで、韓国や中国など諸外国では、大型免税店で外国人旅行客に世界の物産を販売する箇所を設けております。日本では、カメラや電気製品の単品を扱う店の売り場の片隅で消費税のみが免税になっているだけであります。国情や流通形態の違いもあり、日本での大型免税店、いわゆるデューティーフリーの設置が直ちに集客するとは思いませんが、各品目に課税されている関税も含めて免税にするような対応も必要と考えます。こうした外国人旅行客向けの新しい形のデューティーフリーが出店できる環境整備をするよう、国に対して働きかけることを強く要望いたします。
 次に、都市基盤の整備について、東京の再生という観点から何点か伺います。
 用途地域等の見直しについて伺います。
 大都市東京が国際競争力を高め、魅力ある町へと再生していくために、国際ビジネスセンターの形成や都心居住の推進などが重要であり、そのためにも用途地域の見直しが欠かせません。
 国においては、都市再生を一層強力に進めるため、都市再生特別措置法など新しい制度を創設したほか、商業地域や住居系用途地域の容積率アップなど、建築基準法等を改正し、まちづくりに創意工夫を生かすための制度改善を行いました。
 都は、こうした建築基準法等の改正にも対応するとともに、東京の新しい都市づくりビジョンに示された目指すべき都市像を実現するため、本年七月に用途地域等の指定方針、指定基準を策定し、都内全域を対象に、用途地域等の見直しに着手したと聞いております。今回の用途地域の見直しの特色、ねらいはどういったものかお伺いをいたします。
 また、建築基準法等の改正による高容積率のメニューを、都市再生を推進するという観点から積極的な活用を図ると同時に、郊外の住宅地においては、ゆとりある環境を創出するなど、めり張りのある用途地域の指定を行っていくべきと考えますが、所見を伺います。
 さらに、まちづくりの熟度などに応じ、用途地域の早急な見直し要望などがそれぞれの地元から上がると思いますが、その場合、早期の用途地域の見直しができるのかお伺いをいたします。
 次に、都市再生特別地区の指定についてですが、都は、都市再生特別措置法に基づき、都市再生緊急整備地域等の指定を国に申し入れ、七月に都内七地域について緊急整備地域の指定を受けました。
 そこで、この緊急整備地域の指定後、都市再生事業としてどのようなプロジェクトが検討されているのでしょうか、状況を伺います。
 また、緊急整備地域においては、都市再生特別地区など新たな制度も創設されましたが、民間事業者がプロジェクトを立ち上げる上でどのようなメリットがあるのか、所見を伺います。
 次に、首都圏三環状道路の整備について伺います。
 本年六月、政府は、道路公団などの改革に着手するため、道路関係四公団民営化推進委員会を設置しました。その後、民営化の形態や具体策が論議され、その経緯が先月末に中間整理としてまとめられました。これらによると、建設中、または計画中の路線については、投資事業費と料金収入の採算性のみを基準として一部凍結、規格の見直し等を含む再検討を求めております。道路は採算性のみならず、必要性やあるべき論等、根本から議論し、評価されるべきであるのに、その内容はどう見ても一方的としかいいようがありません。首都圏にとって、必要不可欠な三環状道路の早期整備に向けた取り組みについて、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、東京港の国際競争力について何点か伺います。
 近年、外貿コンテナ貨物の取扱量において、東京港が世界第十八位に辛うじてとどまっているなど、この十年間で我が国の港湾は、アジア諸港との競争の中でも相対的に地位を低下させてきております。
 首都圏の産業と生活を支える重要な拠点である東京港において、港湾機能を充実し、港の国際競争力を高めることは重要な課題であります。都は、この秋に港湾計画の改訂に着手するということですが、どのような戦略でこの問題に取り組んでいくのか、所見を伺います。
 ところで、国土交通省の交通政策審議会港湾分科会において、港湾の政策のあり方に関する中間報告が出され、国においても、港湾の国際競争力の強化にようやく具体的な取り組みを始めたと聞いております。その中で、全国に満遍なくコンテナふ頭を整備してきたこれまでの港湾政策を転換し、アジア諸港に対抗できる国際競争力を有する港湾を全国で数カ所選別し、ソフト面において大胆にふ頭運営などの変革を図るとともに、ハード面でも集中と選択により投資を行ういわゆるスーパー中枢港湾の選定が進められようとしております。
 都が全国の港湾を先導して、大胆な規制緩和を進める国際港湾特区とあわせて、スーパー中枢港湾の指定への取り組みを車の両輪として進めることが大切と考えます。都はこれらの課題にどのように対処してくのか、所見をお伺いいたします。
 また、我が国の港湾政策は大きな転換期にあると考えますが、知事は東京港をどのように位置づけ、改革していくのか、その決意をお伺いいたします。
 次に、環境問題について伺います。
 まず、ディーゼル車規制について伺います。
 東京都の環境確保条例が決めたディーゼル車規制は、都知事が定めた粒子状物質排出基準を満たさない車の都内走行を禁止するという、これまでに例を見ない先駆的なもので注目を集めております。国がやらないから東京がやるという都知事の強い決意を受け、石油連盟による低硫黄軽油の都内先行供給や粒子状物質減少装置メーカーによる装置開発など、実施のための条件整備が進んでいます。また、埼玉県や千葉県が都とほぼ同様のディーゼル車規制を条例で定め、さらに七都県市共同で粒子状物質減少装置の指定が行われるなど、都の提唱したディーゼル車規制は首都圏へ広がりを見せております。
 ディーゼル車規制は平成十五年十月から実施される予定であり、間もなく規制実施一年前となりますが、ここで改めて知事のディーゼル車規制実施への考えをお伺いいたします。
 ディーゼル車規制を実施していくには、何よりも規制対象となる事業者の協力が不可欠であります。事業者も都内や首都圏の深刻な大気汚染の現状と都の施策を理解しており、体力のある事業者は、新車への代替や粒子状物質減少装置の装着など、規制の対応を着実に進めていると聞いております。
 しかし、経営基盤の弱い中小零細な事業者にとっては、この不況下で規制への対応は重い経済的な負担となっております。これらの中小零細企業は、資金的な理由から、やりたくてもやれないという実情にあります。トレーラーやタンクローリー、クレーン車など特殊な車の場合には、価格が高いこともあって特に深刻であります。また、大型車はDPFがつかないとか、ついたとしても、馬力や性能が落ちる、装着に何日も車を休めなくてはならない等の声を聞きます。これでは廃業せざるを得ないという声があちこちで聞こえてまいります。DPFや酸化触媒が指定されていますが、すべてのトラックに完全に対応できるのかどうかお伺いをいたします。
 違反者を取り締まることよりも、クリーンなディーゼル車への買いかえが促進するよう、例えば、その事業者に対する特別な融資制度を設けるなど、中小零細企業者を支援していくことの方が重要であり、条例の付帯決議、「都民・事業者の意見を聞き、支援策を講ずること」の趣旨だと考えております。十分な支援が困難なら、思い切って実施を延長するくらいの覚悟で臨むべきではないでしょうか。改めてこれら事業者に対する支援策をお伺いいたします。
 次に、ヒートアイランド対策についてお伺いいたします。
 ことしの夏の暑さは特別なものがあり、ヒートアイランド現象の進行を実感せざるを得ませんでした。東京の平均気温は過去百年間で二・九度も上昇しており、これは地球規模での温暖化のスピードの実に五倍に当たります。
 ヒートアイランド現象は、環境への配慮が不十分であったこれまでの都市づくりの結果もたらされたものであり、今後は、知事も所信表明で強調しているように、環境に配慮した都市づくりの観点から各種施策を見直し、さまざまなレベルでの対策を実施していかなければなりません。
 施策の効果を高めるためには、都市づくり全体を見据えた明確な方針のもとに、各局が連携を強化し、一体的、集中的に取り組みを進めるべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 建築物の屋上緑化は、ヒートアイランド対策として極めて有効な手段であります。東京都では、昨年四月から全国に先駆けて条例で屋上緑化を義務づけましたが、これは新築等の建てかえの機会をとらえての緑化対策であり、今後、緑の量的拡大を図っていくためには、建てかえを待っての対策だけでは十分とはいえません。
 現在、この都議会議事堂では、屋上緑化の工事が着々と進められており、この完成が待たれるところであります。しかしながら、今後、既存の民間の建物に対する緑化を呼びかけていく手法としては、都議会の屋上緑化だけでは決定的に不十分であります。私は、都庁の緑化をさらに進めるために、議事堂前の都民広場を緑豊かなものに変えることを提案したいと思います。
 都民広場では、この夏、猛暑の中でいろいろなイベントが行われましたが、全面タイル張りの広場の上でのイベントは、参加者にも非常に過酷なものでありました。工夫を凝らして緑化を行い、都民広場を清涼感のあるものにすべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 また、新宿都庁舎だけでなく、都のさまざまな建物や事業所などで率先垂範、大々的に緑化対策を実施していくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 平成十三年度から保水性舗装の試験施工を実施し、その効果として、真夏の雨の降った後には、一般の舗装と比べて十度程度、路面温度が低減することが確認されたと聞いております。
 そこで、これまでの成果を踏まえ、保水性舗装について今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 また、保水性舗装の効果を確実に発揮させるためには、水の供給が不可欠です。このことから、都庁舎前での保水性舗装の試験施工では、建設局と下水道局が連携して取り組み、散水用水として下水再生水を活用しております。下水再生水の活用による効果と今後の取り組みについて所見を伺います。
 次に、ヒートアイランド対策に関連して、米軍横田基地における環境対策について伺います。
 横田基地は、離発着する航空機の数の多さとも相まって、周辺環境に多大な影響を与えております。横田基地の環境対策を万全なものにすることは、多摩地域の環境改善にとって特別な重要性を持つものであります。
 平成十二年第一回定例会における横田基地の環境問題に関する我が党の質問に対し、都側は、米軍施設といえども、国内に存在する以上、周辺地域の環境に十分配慮するのは当然と答弁しております。
 そこでまず、都は、この間、米軍横田基地の環境問題に関し、どのように取り組んできたのか伺います。
 都は、今春から、都内大規模事業者に、みずからの事業活動による二酸化炭素排出量の把握と、その排出抑制を求める地球温暖化対策計画書の提出と公表を求めております。しかしながら、民間事業者には対策計画書の提出、公表を求めながら、大量の燃料を消費する横田基地は、いわば野放しの状態にあります。アメリカは、京都議定書からの離脱に見られるように、温暖化対策には冷淡な姿勢を示しており、果たして横田基地がどのように二酸化炭素の排出抑制を行っているのか、いないのか、懸念されるところであります。
 都は、米軍横田基地に対しても二酸化炭素の排出削減を強力に求めるべきと考えますが、ご所見を伺います。
 次に、福祉改革について伺います。
 都は、先般、「福祉サービス提供主体の改革への取り組について」を発表し、福祉改革STEP2で掲げたサービス提供主体の改革に着手しました。この中で、当面五年間の具体的な取り組みの考え方が示された都立福祉施設改革について、民間でできるものは民間に任せるという考え方を基本にし、民間の力を有効に活用しながら改革を行うというものでありますが、今後、この改革を進めるに当たっては、現に入所している利用者に対しての配慮を十分に行うことが肝要であります。
 一方、今後とも増大するさまざまな福祉ニーズに対応していくためには、民間企業やNPO法人など多様な供給主体を参入させて、競い合いによりサービスの質と量を拡充していくべきものと考えます。
 社会福祉法人改革を行うに当たっては、社会福祉法人がこれまで果たしてきた役割を評価し、その上で改革を進めていくべきと考えますが、所見を伺います。
 また、この取り組みの中で、都は、行政が広範囲にわたってコントロールする既存の福祉の仕組みを根本から改め、利用者本位を徹底する新しいシステムを構築することを改革の基本理念として掲げております。この理念は、東京の新しい福祉を実現する上でまさに進むべき方向ではありますが、このような都の福祉改革の理念が、現在、都民や関係者に浸透されているかといえば、まだまだ十分ではないといわざるを得ません。今回の都立福祉施設改革についても、単に都の財政負担の軽減を目的として民間移譲や規模縮小を図っていくものというように、正しいとらえ方をされていないのであります。
 都が進める福祉改革について、都民や関係者の理解を十分に深めていくことが必要と考えますが、ご所見を伺います。
 加えて、国においては、現在、年金改革や医療制度改革など、都民の将来の暮らしに影響を及ぼすさまざまな見直しが行われているところであります。こうした状況にあって、都民一人一人が将来にわたって安心して暮らせる社会の実現を確信できるよう、東京の福祉の将来展望やそれに向けた具体的方策を明らかにすることが、今まさに求められております。
 そこで、都が目指す新しい福祉の全体像を改めて都民に示していくことが必要と考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
 一方、福祉改革の観点から、これまで進められてきた認証保育所を初めとする都独自のさまざまな取り組みも着実な成果を上げつつあります。中でも、高齢者や障害者が地域生活の中で自立し、安心して暮らせるよう、グループホームなどの地域のケアつき住まいの整備は喫緊の課題でありますが、今般、都は、地域のケアつき住まいのインフラ整備を進める区市町村を支援するため、緊急整備事業を創設し、特別推進地域を指定いたしました。
 今後とも、このような大都市の特性に合わせた都独自の支援策を積極的に展開するとともに、事業者に対する税制面での優遇措置を講じることや、南青山一丁目の都営住宅の建てかえ計画の例のように、都営住宅の建てかえの際に地域のケアつき住まいを併設するなど、さまざまな工夫を凝らして地域のケアつき住まいの設置促進を図っていくべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 また、このようなインフラ整備への支援とあわせて、ソフト面からきめ細やかな支援も重要であります。例えば知的障害者の生活寮については、現在、利用者負担の軽減のため、利用者に対する一定の家賃補助が行われておりますが、都内一律の助成額であるがゆえ、実際に利用者が負担する経費は、同じ東京にあっても、地域によってかなりアンバランスが生じております。地価の高い都市部における利用者負担の大きさが、都市部の地域のケアつき住まいの整備促進の隘路となることも十分考えられるところであります。
 そこで、家賃の助成額を地域ごとに設定するなど、地域の実情に応じたきめ細やかな支援策を講じるべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、医療改革について伺います。
 まず、保健医療計画の改定についてでありますが、近年、医療を取り巻く状況の変化には著しいものがあります。国では、平成十二年の第四次医療法改正を初めとして、診療報酬の改定や広告規制の緩和、健康保険法の改正など、次々と改革が行われ、新たな医療制度に向けた取り組みが始まっています。また、最近話題となっている高度先端医療の推進を目的とした規制改革特区構想や医療分野への株式会社の参入など、新たな考え方も示されております。
 医療改革は、医療法の問題もあり、国の施策が中心となりがちですが、保健医療の分野は都民の生活に直結しており、都民の関心も非常に高いものがあります。生活習慣病の増加やラッサ熱、結核などの新興・再興感染症の発生、BSEや有害化学物質による健康被害への不安、さらにはNBCテロなど、都民の生命を脅かす危機は多様化し、保健医療行政は新たな課題に直面しております。
 そこで、今回の医療法改正はどのような内容のものなのか、また、この改正を踏まえて、都はどのように対応していくのか伺います。
 都では、保健医療の基本計画として、平成元年から保健医療計画を策定していますが、こうした状況の変化を踏まえて、平成十年に改定した保健医療計画を、予定を一年前倒しして今年度改定すると聞いております。そこで、今回の改定に当たっての基本的な考えを伺います。
 知事は、就任以来、医療改革を都政の重要課題と位置づけ、東京から医療を変えるという、そういう強い気概を持って東京発医療改革に取り組んでまいりました。東京ERもその一つであります。医療における都民の関心が高い点からかんがみても、このことは重要な視点であると我が党は評価をいたしております。
 今後とも、知事の強いリーダーシップのもと、この保健医療計画を初めとして、保健医療を取り巻く新たな状況を勘案し、東京発医療改革をさらに強力に推し進めていくことを要望いたします。
 次に、都立病院改革について伺います。
 我が党は、都立病院がその役割と責任をしっかり果たすためには、都立病院改革マスタープランに示された考え方を実現することこそ、現実的で有効な方策であると考えるものであり、都立病院改革の着実な推進に大いに期待を寄せているところであります。
 しかしながら、都民が求めるすべての医療サービスについて、都立病院だけで担うことが不可能なことは明白であり、行政による対応が必要な医療に限って見ても、東京都だけではなく、国や基礎的自治体である区市町村にもそれぞれの役割に応じて担うべきものがあるはずであります。
 そこで、都立病院の果たすべき役割と区市町村との役割分担について改めて明確にする必要があると考えますが、所見を伺います。
 ところで、母子保健院は、総合診療基盤を有していないため、母体管理に必要なさまざまな診療科との連携が難しいなど、都立病院としての新たな役割を担っていくことが困難である上、施設の老朽化、狭隘化が著しいため、マスタープランに基づき、その廃止が提案されております。都立病院の新たな役割に照らせば、母子保健院の廃止はやむを得ないものと考えますが、同院がこれまで実態として担ってきた地域における小児医療の確保が重要な課題であることはいうまでもありません。
 都と区市町村の役割分担を踏まえて、地域における小児初期救急医療体制の充実を図るため、本年五月に都と世田谷区が協議会を設置し、去る八月十六日に基本合意に至ったと聞いております。
 そこで、地元世田谷区との基本合意の内容と、世田谷区に対する都の支援策について伺います。
 また、都立の小児病院の再編整備は、母子保健院の廃止だけでなく、清瀬小児病院、八王子小児病院、梅ケ丘病院の三病院を移転統合し、小児総合医療センターとして府中キャンパスに整備するなど、さまざまな計画が予定されておりますが、これらの病院が実態として担ってきた地域医療に大きな影響を与えることも間違いはありません。
 そこで、これらの三病院の移転統合に当たっても、地域医療確保のために地元自治体と早急に協議を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、食品の安全対策について伺います。
 まず、輸入食品の安全対策についてですが、この四月に、都は、国に先駆け、健康局に食と薬を総合的に所管する食品医薬品安全部を設置したところであります。
 一方で、食品医薬品安全部発足後五カ月を経た現在までの間、中国産冷凍ホウレンソウから基準値をはるかに超える残留農薬が検出されるなど、輸入食品の安全性についての問題が大きな社会問題となりました。これは、我が国がカロリーベースにして六〇%以上を輸入食品に頼っているにもかかわらず、輸入食品についての国の水際対策が万全でなかったことがその背景にあります。また、この夏には、中国から輸入されたダイエット食品と称する健康食品による被害があり、東京都内では死者も発生しました。
 これらの海外から輸入される食品等の検査は国の責務であろうと思いますが、やはり都民の食の安全を確保していくためには、輸入検疫を実際にはすり抜けてしまった食品等に対する検査については、現実として都が主体的に取り組んでいかなければならないと思います。
 そこでまず、これらの輸入食品について、国及び都の検査体制はどのようになっているのか、具体的にお伺いをいたします。
 次に、輸入されてから都民の口に入るまでのできるだけ早い段階で違反食品を発見し、排除するための体制を整備することが重要だと思いますが、ご所見をお伺いいたします。
 ところで、食の安全性の問題を考えるとき、生鮮食料品流通の大宗を担う中央卸売市場の果たすべき役割は大変重要であります。都は、これまでも無登録農薬を使用した野菜、果物などの流通実態の把握に努め、使用したことが明らかになった場合には、出荷を停止させるなどの取り組みを行ってきたと聞いておりますが、今後、同様な事例が増加するのではないかと危惧されるところであります。
 そこで、今後、都として、流通段階における食の安全性の確保にどのように取り組んでいくのか伺います。
 また、食による健康への危害を未然に防止していくためには、関係局が一体となって取り組んでいく必要があると思いますが、所見を伺います。
 次に、文化振興について伺います。
 来年は、江戸開府四百年事業の年であります。江戸東京四百年の魅力の再発見と未来への創造をテーマとして、民間や都、区市町村が連携して、さまざまな事業を展開することとなっております。
 この六月には江戸開府四百年事業推進協議会が設立され、現在、参加団体がそれぞれの事業の企画や掘り起こしを進めていると聞いております。この記念すべき年を盛り上げていくためには、例えば江戸開府の日や都民の日など節目となる時期に、都民だけでなく、観光客も大いに楽しめる事業を推進協議会として大きく展開していくことも必要なのではないでしょうか。そのため、都としても積極的な支援をしていくべきと思いますが、知事の所見を伺います。
 もう一つ注目したいのは、知事が発案されたヘブンアーチスト事業であります。先月、都民広場で行われた公開オーディションには、パフォーマンスや音楽など、東京の新しい芸術、文化を担うアーチストたちを前に多くの来場者があり、演じる側、見る側ともに大好評で、マスコミにも大きく取り上げられました。そして今では、都内各地の指定された公園や施設などで、ライセンスを持ったアーチストが演技を繰り広げております。
 今後、ヘブンアーチストの活動拠点を拡大し、限られた施設だけでなく、あちこちの街角でもパフォーマンスや音楽などを楽しむことができるようにしていくべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 これらの事業は、単に文化振興というだけにとどまらず、観光や商店街振興などに深くかかわっております。事業の実施に当たっては、関連団体ともよく連携して進めてもらいたいと思います。
 次に、教育問題について幾つか伺います。
 まず、教科書問題について伺います。
 本年五月、都教委は、過去のあしき因習を反省し、教科書選定を校長の権限で行うとともに、教科書採択は、教育委員会がその責任と権限において行うと明確にされたことは、画期的な成果だと評価いたします。
 さて、先般八月十二日の都教委第十四回定例会において、都立高校用教科書が採択されました。また、第十四回定例会の会議録に添付された、指摘事項にかかわる教科書の記述についての整理という資料が公開され、今年度採択の対象となった、新課程の山川出版社の日本史Bが名前を挙げて指摘されております。
 今回、教育委員会で指摘された問題点は九点あり、神話伝承の記述なし、聖徳太子の業績の軽視、大化の改新の記述の三割削減などで、近代史では、南京大虐殺数万から四十万人説の記述、学説の大勢ではない従軍慰安婦の登場、三光作戦など、中国側主張の歴史観の記述などであります。
 教育委員からの九点に及ぶ問題点は、それぞれまことに見識のある的確な指摘であります。教育委員会における教科書採択の手続の過程において、教育委員会でのこうした議論等を学校長に周知させることは大変重要なことだと考えます。この点について教育長の見解を伺います。
 次に、都立高校改革についてですが、都教委では、平成九年に都立高校改革推進計画を策定し、第一次実施計画、第二次実施計画を通じて施策の展開を図ってきたところですが、この十月には、新たに実施計画を策定される予定と聞いております。今回策定される実施計画は、都立高校改革推進計画を締めくくり、都立高校改革の流れを今後につないでいく非常に重要な役割を担う計画であると考えます。
 そこで、新たな実施計画では、どのような方向性を持って改革を推進していくのかお伺いいたします。
 実施計画策定に先立って明らかにされた新配置計画案では、特色のある新しいタイプの学校が示されております。その一つとして、中高一貫教育校が、新配置計画案では九校盛り込まれ、二次計画と合わせて十校の計画となります。中高一貫教育校は、戦後長く続いた六・三・三制の中で公立学校改革の大きな一つといえるものであります。
 また、生産から流通に至る過程を総合的に学習する産業高校についても、確かな職業観と多様な専門的能力を育てる学校として、これからの社会に求められている専門高校であると考えます。
 中高一貫教育校及び産業高校では、それぞれどのような人材育成を目指していくのかお伺いをいたします。
 次に、定時制教育について伺います。
 夜間定時制高校の役割が、勤労青少年への教育の場から、不登校経験のある生徒や全日制高校の中途退学者など、多様な生徒を受け入れる場へと変化をいたしております。一方、全日制課程との併置により、生徒への指導時間の確保や施設利用等に関して、相互の教育活動がさまざまな制約を受けているのも事実であります。
 こうした状況を踏まえて、今回の計画では、昼夜間定時制独立校の整備拡充を図っているわけでありますが、そのねらいとするところは何なのか、また、今後の定時制教育のあり方についてどのように考えているのか伺います。
 最後に、全島避難が続く三宅島の復旧状況について伺います。
 三宅島の噴火災害から、この九月二日で早くも二年が経過いたしております。この間、多くの村民は、早期に帰島できることを切に待ち望んでおりますが、依然として大量の火山性ガスが噴出しており、村民の一時帰宅についても、日帰りにならざるを得ないのが現状であります。
 このような中、七月には活動火山特別措置法の適用を受け、全島が避難施設緊急整備地域として指定されました。これを受けて都は、避難施設緊急整備計画を策定し、三宅村が今年度末を目途に、退避施設、いわゆるクリーンハウスを整備することになりました。このクリーンハウスの完成により、一度に約三百人の宿泊が可能となり、島民の滞在型の一時的な帰宅が実現することになります。
 知事は、所信表明の中で、火山ガスはいまだ終息の兆しを見せていないとしながらも、今後、帰島に向け島の安全性を検証し、帰島時期の判断材料としていくために、検討会を立ち上げて早急に検討に入るとしております。
 そこでお聞きいたしますが、この検討会では、どのような内容を検討し、いつごろまでに結果を出すのでしょうか。お伺いをいたします。
 ところで、この八月に来襲した十三号台風は、島西部の阿古地区や伊ヶ谷地区では三百ミリを超す噴火後最大の大雨となりました。今回の台風で土砂や倒木の流出があったと聞いておりますが、その状況と今後の対策について伺います。
 また、三宅村で大きな問題となっているのは、特別養護老人ホームへ入所する高齢者の増大による介護保険料の問題であります。介護保険料は、現在、月額三千二百六十五円ですが、避難生活が長引いている村民にとっては、この金額ですらも大きな負担であります。現在、村では介護保険事業計画の見直し作業が進められておりますが、こうした特養入所者の増加が、次期の介護保険料に大きな影響を与えることは必至であります。
 全島避難という緊急状態を踏まえるならば、次期保険料について何らかの対応が必要であると思われますが、都としての考え方をお伺いいたします。
 いずれにしても、島民の方々の帰島と島の復興は、同じ都民として早急に解決すべき課題であります。我が党は、その日が来るまで全力を挙げて支援し続けてまいります。
 以上、都政の各分野における施策の主要なものについて質問してまいりました。
 冒頭にも申し上げたように、我が国は十年余の長い経済不況にあえぎ、社会全体が明るさと活力を失いつつあります。
 一方、近年、こうした閉塞状況に風穴をあけるような軽やかな風も感じます。
 それは、国際化の時代を地でいく若者たちのたくましさです。例えば、ワールドカップサッカー大会後にサッカーの本場である英国に移籍した稲本選手や、ことし六月のチャイコフスキー国際コンクールのピアノ部門で女性として史上初めて第一位を獲得した上原彩子さんであります。彼らが今手に入れようとしている栄光は、持って生まれた才能以上に、ほかの人々以上の努力と、自分の夢を実現しようとする強い意志が生み出したものではないでしょうか。
 来月、知事が訪米しようとしていることも、彼らと同じように、政治家としての自分の夢を実現しようとする強い意志の表現であると思います。
 今日、我々政治家の役割は、平和ぼけした日本の状況、地道な努力を軽んずる安易な風潮、それらを打破し、夢の実現に向けて懸命に努力、邁進する姿勢を社会に示すことであります。やがてそれが次世代、つまり我々の子や孫に共感を与え、正統な国家社会の形成にいつの日か必ず結びつくものと確信するものであります。
 我が党は、こうした信念のもと、一人一人の議員が都民の声をしっかり聞きつつ、それぞれの夢を実現するために、精いっぱい努力を積み重ねていくことを申し上げて、代表質問 を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 山崎孝明議員の代表質問 にお答えいたします。
 まず、平成十五年度予算編成の基本姿勢でありますが、都財政を取り巻く環境は、景気の先行きが予断を許さない中で、都税収入は引き続き低い水準にとどまると予測されるなど、極めて厳しい条件でございます。このままでは、来年度予算において巨額の財源不足が生じることになります。
 このため、来年度予算編成に当たっては、財政再建推進プランの最終年度として、何よりもまず全体として歳出総額を厳しく抑制するなど、財政構造改革の取り組みをさらに進めていくことが不可欠であると思います。
 また、その一方で、首都東京の再生や、都民の安全と安心を確保するための課題に対しては、限りのある財源でありますが、それを重点的、効率的に配分して的確に対応していきたいと思っております。
 次いで、重要施策についてでありますが、私は、就任以来、東京が直面する危機を克服するために、まちづくり、環境、福祉などいろいろな分野で、国に先んじていろいろな取り組みを行ってきたつもりでございます。
 今後は、これまでの取り組みの成果を踏まえながら、さらに各局のラインを越えて、持てる力を、都の持てる力を複合的、重層的に発揮して都政の構造改革を進めていかなければならないと思っております。
 今回の重要施策は、こうした観点から、都政の課題と進むべき方向を明らかにするために策定をしたいと思っております。
 次いで、地方税財政制度の改革についてでありますが、現在国では、地方への税源移譲、国庫補助負担金の削減、地方交付税の見直しをあわせた、いわゆる三位一体の改革の議論がようやく本格化してきておりますが、こうした動きは、もう既に都の税調の提言などを初めとしました都の考え方に沿ったものであります。
 その一方で、国の来年度予算編成において、厳しい財政状況を背景に、ご指摘のような国庫補助負担金の削減のみを先行させていることがあるとするならば、それは地方の自主財源を強化するという改革の趣旨に反することになります。
 都としても、まず地方への税源移譲を進めるという基本姿勢に立って、東京を初め大都市が抱える膨大な財政需要に対応する税財源の充実を含め、地方税財政制度の改革の早期実現に向けて、都議会のご支援を得ながら、国に対して引き続き強く働きかけていきたいと思っております。
 次いで、外形標準課税訴訟についてでありますが、銀行業などに対する外形標準課税は、首都東京から新しい変革の歴史を切り開くために、課税自主権を行使して導入したものであります。この訴訟は、地方主権が確立できるかどうかの戦いだと思っております。
 控訴審では、弁護団を強化するとともに、局をまたいだ総力戦の体制をつくりまして裁判に臨んでおります。
 今になって反省をしておりますが、やはりライン化の悪い癖が出まして、第一審では、ほとんど私に報告がないままに、横から、皮肉なことに組合の委員長から、裁判どうも雲行きよくないぞなどという情報が伝わってきまして、慌てて当事者を呼びますと、もごもご答えが答えにならない。私は、何でもっと速やかに状況判断し、報告しないのかと叱責いたしましたが、これに懲りまして、これの発案者であります現在の大塚出納長を中心にしまして、一種の機動部隊をつくりまして、総力戦で二審に臨んでおりますが、その事前に、実は私の大先輩でもあります、自治省の担当局長、事務次官のときから、この地方の独立というもののための新しい税制について非常に画期的な発言をしてこられました奥野誠亮先生などから、一体どうなっているのかね、随分紳士的な、のんびりした裁判をしたものだなという叱責というか応援をいただきまして、奥野さん含めて、地方税の企画立案に携わった自治省の関係者や学識経験者から、条例の適法性を裏づける意見書を、非常に有力な意見書を裁判所に提出していただきました。
 あくまでも都民、都議会の皆様の力強い支持のもとに、都の主張に沿った正当な結果が得られるものとかたく信じております。そのための十全の努力を今後もいたしてまいります。
 次いで、ものづくりの重要性についてでありますが、物をつくらない国が栄えるわけはないと思います。ただ、今日のように供給過剰の時代でありますから、何をどうつくるかということが肝要でありまして、そういう基本的な要因というものを踏まえて、これから中小企業の振興について都としても配慮していきたいと思っております。
 ともかく、社会の繁栄にとって技術は決定的な意味がございまして、経済活動の基盤として非常に重要な要因であります。そうした意味で、日本のものづくりの高い技術はこれまでも世界に大きく貢献してまいりましたし、また、他国にない新しい技術の開発、製品の開発もしております。
 また、ものづくり産業は我が国の貿易黒字の大半を生み出しておりまして、東京の総生産の二割を占めております。
 こうしたものづくりの重要性にかんがみまして、中小企業振興対策審議会の答申を受けて、直ちに全庁を挙げた、ラインを越えた産業力強化会議を設置いたしました。民間のいろいろな方の知恵も活用しながら、規制改革から人づくり、あるいは知的所有権の保護など横断的な課題を検討して、一層有効な政策に結びつけていきたいと思っております。
 次いで、首都圏の三環状道路についての取り組みでありますが、道路はその国の社会資本の豊かさ、成熟の度合いを映す鏡であります。
 日本の再生には、東京の経済活動の高コスト構造の是正が必要でありまして、首都圏三環状道路の整備が条件となります。これらの整備は、採算性のみで議論せずに、トータルな社会経済効果を踏まえた議論が必要だと思います。
 特に外環は、東名高速や東北道など放射方向の、遠い日本の地方につながる高速道路を束ねる、いわば扇のかなめのような部分でありまして、国家にとっても重要な路線であります。これはあくまで国の責任において整備すべきものでありますが、また首都高速中央環状線は、都心部の慢性的な渋滞を解消するためにも早期に整備すべき路線であります。
 今後とも、国家、関係機関に対して、あらゆる機会をとらえて強力に整備促進を働きかけるとともに、民営化委員会には、東京の再生から日本の再生につなげる有意義な民営化論を期待もし、私もいろいろ助言をしていきたいと思っております。
 先般も、ある限られた議員でありますけれども、東京都が局をまたいでつくりました、非常にわかりやすい二枚紙の、いわゆる道路のコストパフォーマンスというか、経済効果というものはわかるようでわかりませんので、これをわかりやすく簡略なものにしまして、担当の大臣含めて全委員に頒布いたしましたが、非常に参考になるという答えが返ってまいりました。
 いずれにしろ、基本的な認識というものが甚だあいまいでありまして、大都市における、大都市圏における高速道路の意味合いと、地方における高速道の意味合いはおのずとはっきり違うわけですが、それがうやむやになっている。大都市の道路整備の目的というのは、経済集積や人口集積に比した絶対量が不足している、その不足の部分を解消するためのインフラでありまして、しかし、地方はこれとかけ離れて、その地域の活性化の手段であります。また、大都市の道路整備のコストが高いのは、これはごく当たり前のことでありまして、しかし、トータルな社会経済効果の視点から評価すれば、コストを上回る整備効果が期待できるわけであります。
 たびたび申しておりますが、あの環八の四面道のトンネルか、あるいは、ごく一部でありますけれども、湾岸地域のトンネルが開通しただけで交通量ががらっと変わる、時間も短縮されるという、そういう事例を案外委員の方々知らないものですから、この二枚紙の非常にわかりやすい資料を提出いたしました。議員の皆さんも、ご必要ならば本部の方にいっていただきたいと思います。
 それから、次いで、カジノの設置のための取り組みについてでありますが、カジノを設置するには、まず国が法の整備を行う必要がありますけれども、どうもこれはなかなか遅々として進んでおりません。
 カジノに対しては、余り十分な知識がないままに、非常に間違ったコンセプトで拒絶反応を示す方もおられますが、百聞は一見にしかずでありまして、実際にそれを体験すれば新しい認識も生まれてくると思いますので、来月、都庁の展望室で、これはたしか東商等の協力だと思いますけれども、イベントを開催いたします。カジノなるものはいかなるものかということを認識していただけば結構だと思います。
 これは、断っておきますけれども、何も東京だけの専売特許ではありませんで、東京に賛同する他の自治体とも協力しながら国に働きかけていきたいと思っておりますが、先般も他の県の知事さんのアンケートを募りましたら、わからないという人がほとんどでしたけれども、反対だという他県の知事さんの反対の理由は、世論ということで、これは世論といったって、どういう世論があるかよくわからない。どうもこの知事さんたちの気にしている世論なるものは、実態がわからないままに、昔の鉄火場のように、すったら、すってんてんになって裸になってほうり出されるみたいな、そういうイメージがばっこしているんじゃないかと思いますが、実態は全く違います。
 そういうことで、いろいろなパターンもあるわけでありますが、その一つとして、体験をしていただくために催し物をするつもりでございます。
 それから、東京港の今後の改革についてでありますが、これは、実は皆さんにもお願いしたいんですけれども、東京港というよりも東京湾港という概念を持っていただきたい。そこには横浜の港もあり、川崎の港もあり、千葉の幾つかの港もあるわけでありますけれども、この首都圏というものに面した東京湾という閉鎖水域というのは非常に有効性の高いものでありまして、ですから、私は、海を持たない埼玉県の海でも東京湾はあると思っております。
 そういうことで、首都圏を構成している七都県市の首長さんたちが新しい認識を持ちまして、国にもこの東京湾というものに――これは決して中央集権とかじゃなくて、国が要するに責任を持つポートオーソリティーなるものをつくりまして、どこどこの県のためということでなくて、積極的なこの東京湾の開発、活用というものを志していきたいと思っております。
 いずれにしろ、日本の港湾はどんどん競争力を失っておりますが、先般も見学に参りました、視察に参りましたシンガポールが、陸揚げするコンテナなどほとんどないままに、あそこで、昔の国鉄の、要するに貨物船の荷さばき操車場のように世界じゅうの荷をさばいておりまして、それで口銭を取って収入を上げている、そのソフトもハードも全部日本製であります。しかし、これが日本で活用されることがほとんどないままに、日本の港湾の機能というのは、著しく競争力を失い、おくれているわけであります。
 日本という地政学的な位置からすれば、この太平洋を囲む経済圏のために、シンガポールのような南の端っこじゃなくて、この栄えつつある東、ヨーロッパなり、あるいは対岸にアメリカを持つ、この日本の国土のいずれかが機能的な現代的な港湾として活用されればこれにこしたことはないということで、今般、国に対しても、東京だけのイニシアチブでなしに、幾つかの大きな港を抱える地方自治体とも協力して、いろいろな建言をしてまいっておりますが、いずれにしろ、日本の港湾が抱える規制や商慣行を大胆に見直しませんと、またIT化のような推進をしませんと、サービスの面で著しくおくれをとって、世界の港湾事業から日本が脱落していくことになりかねない。
 港湾物流の改革は、首都圏の活性化と日本経済の再生に寄与するものでありまして、そのためにも、東京湾の各港と情報を共有し、都が率先して連携した取り組みを進めることによって、この改革を実現していきたいと思っております。
 次いで、ディーゼル車規制でありますが、この東京の大気汚染は、この夏、極端な形で皆さん体験されたと思いますけれども、非常に深刻な状況にありまして、一刻の猶予もならないと思います。
 東京に生まれた乳幼児の大半は、アレルギーを持ったりアトピーに侵されたりして、非常に深刻な問題でありますが、こういう現場感覚が国に全くないために、おかしなことに、日本の技術をもってすれば簡単にできるディーゼルエンジンの排気ガスの原因になっている正当な軽油、インチキな軽油じゃない、正当な軽油も、なおヨーロッパ、アメリカの十倍に近い硫黄分を含む。向こうは五〇ppmから一五ppmにさらに改良しようとしているのに、依然として日本は五〇〇ppmでありまして、しかも、東京が主唱した自動車のNOx・PM法の適用開始を、一部の地方から強力な反対を受けると、環境省はたちまち後退して、前倒しをまたもとに戻すという、本当に信じられない、無責任といいましょうか、認識不足であります。
 一方、かねて非常に協力的でありました石油連盟から、たった今、低硫黄軽油の全国供給を前倒しする、全国供給を前倒しして来年四月から開始することを決定したという連絡がありました。これは本当にありがたいことでありまして、国の役人がこういう認識を持たないのに、国民の方がはるかに現況等を踏まえてそれなりの努力をするというありがたい傾向だと思います。
 昨日も、神奈川県において、都と同様のディーゼル車規制を行う条例が可決されました。これにより一都三県の足並みがそろったわけであります。首都というものを構成する首都圏の地方自治体が、国に先んじて環境というものに対する正当な認識を持ったということは、私は、都民の皆さんにも国民の皆さんにも喜んでいただけることではないかと思っております。
 今後も、この問題に限らず、首都を構成する七都県市が連携して、一種の広域行政として、いろいろな実を上げていきたいと思っております。
 次いで、ヒートアイランド対策の推進についてでありますが、この現象は、都市の利便性、快適性を支える多量のエネルギー消費と、際限のない都市化の進展による緑の喪失によって発生したものであります。近代都市文明がもたらした一つの弊害でもありますし、文明のあり方に対する重大な警鐘と心得ております。
 こうした事態に対応するために、先般、局の枠を越えた横断的な体制を整備いたしました。
 今後、都が一体となって、緑化の推進や人工排熱の抑制などに複合的に取り組み、環境配慮を徹底した都市づくりを実現していきたいと思っております。
 次いで、都が目指す新しい福祉の全体像を示していくことについてでありますが、都の福祉改革が目指すものは、これまで基本的に見直されることのなかった全国一律の画一的な福祉システムを改めて、東京という大都市の特性を踏まえながら、あくまでも利用者本位の新しい福祉を具体的に実現することであります。
 都独自の取り組みであります認証保育所や、民間企業に対する痴呆性高齢者グループホーム整備費補助の創設などによって、福祉改革は着実な成果を上げてきたものと思います。
 今後、これまでの成果も含めて、改革に向けたさらなる取り組みによりまして、充実していく福祉の全体像を都民にわかりやすく示していきたいと思っております。
 最後に、江戸開府四百年事業についてでありますが、当時の江戸は、中世において比類のない成熟した都市でありました。
 前にも申しましたか、プリンストン大学のスーザン・ハンレーという社会学の先生が「江戸時代の遺産」というおもしろい本を書いておりますけれども、日本にも翻訳されておりますが、中世において、特権階級ならざる一般の市民が文字書きも勉強し、飛脚という完璧な郵便制度が、時間はかかったけれども、この日本の列島というものを走り回り、そして非常に成熟した文明、文化というものが育っていったと。
 それは見事な歴史の事実でありまして、それを踏まえてこそ日本の急速な近代化があり得たわけでありますが、いずれにしろ、いちずに鎖国が好ましくないという人もいますけれども、私は、むしろ鎖国というものによって日本は本当に江戸時代に成熟した、それがその近代化の大きな要因になったと思いますけれども、その江戸を思い返し、記念し、これをある意味で見習いながら、そういう祖先のありがたい業績というものを踏まえ、認識し直すことで、私たちは新しい東京、新しい江戸を構築していくことができるんじゃないかと思います。
 そういう点で、東京商工会議所を初め、民間企業が中心となってこの事業を展開しておられますが、江戸東京の魅力をアピールすることによりまして、今後の東京も大いに盛り上げていただきたいと思います。
 都としても、産業や文化、観光など東京の活性化につなげるために、江戸開府四百年事業に対し、できるものについては積極的な支援を行っていくつもりでございます。
 なお、他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教育問題に関します四点の質問にお答え申し上げます。
 まず、教科書採択にかかわります教育委員会での議論等を校長に周知することについてでございますが、各都立学校が使用します教科書を都教育委員会が採択する際の判断材料の一つとして、今年度から、校長の責任と権限のもとに教科書選定委員会を設置しまして、教科書の内容等を組織的に調査研究を行い、生徒の実態等を踏まえた適切な教科書を選定し、その結果を選定理由とともに都教育委員会に報告をさせることといたしました。
 お話の、教科書採択の過程において、教育委員会での議論等を校長に周知することにつきましては、今年度の教科書採択の経過等を踏まえながら、今後の採択に向けまして、教育委員会において鋭意検討してまいります。
 次に、都立高校改革推進計画の新たな実施計画の方向性についてですが、学校の統合、改編による中高一貫教育校を初めとする特色ある学校の設置等のハード面の改革と、学校経営計画の策定を初めとした、自律的な学校改革を目指した学校経営のあり方を改善していくソフト面の改革を一体化させますとともに、生徒の個性や創造性を伸ばす教育の推進や地域との連携、教育諸条件の整備等を行うことによりまして、都民に信頼される、魅力ある都立高校の実現を図ってまいります。
 次に、中高一貫教育校及び産業高校における人材育成についてですが、中高一貫教育校では、六年間を通した一貫教育という特質の中で教養教育を継続的に行うことによりまして、使命観、倫理観、社会貢献の心や日本人としてのアイデンティティーを身につけた、さまざまな場面、分野でリーダーとして人々の信頼を得られるような人間を育成してまいります。
 また、産業高校では、産業構造や就業形態の変化に対応しまして、商品の生産から流通、消費に至る過程に関する知識や技術を身につけ、幅広い視野と確かな勤労観に裏づけられた職業人の育成や、商工業の知識をもとに将来みずから起業を目指そうとします志ある人間の育成を図ってまいります。
 最後に、昼夜間定時制独立校の整備拡充についてでございますが、ご指摘のように、夜間定時制高校に通う生徒が多様化する中で、多くの生徒にとって夜間の高校に通わなければならない必要性がなくなっているのが実態でございます。
 一方で、全日制課程と定時制課程の併置による課題や、単学級校など学校の小規模化による教育課題に対応しまして、夜間定時制教育の教育条件を改善することが求められております。
 今回の計画案では、こうした課題に対応しまして、生徒や保護者のニーズにこたえるために、昼夜間定時制独立校の整備拡充を図ってまいります。
 また、今後の定時制教育につきましては、今回の計画を着実に推進をしまして、定時制教育に対する多様な要望にこたえますとともに、教育諸条件の改善を図るために、将来的には、全日制課程と定時制課程の併置の解消を目指していきたいと考えております。
   〔主税局長安間謙臣君登壇〕

○主税局長(安間謙臣君) 十四年度の都税収入の確保についてのお尋ねにお答えいたします。
 我が国経済の厳しい状況を勘案し、今年度の都税収入は、前年度の当初予算額に対しまして三千六百億円の減収になると見込んだところでございますが、八月末現在で都税収入実績は、前年同月比で約二千三百億円の減となっております。
 今後の都税収入でありますが、我が国経済は、輸出増を中心として景気は一部に持ち直しの動きも見られますが、不透明感を増す米国経済や、国内の株価低迷、失業率の高どまりなど、景気先行きへの不安材料も多く、税収への影響が懸念されるところでございます。
 いずれにしましても、今後の税収に大きく影響する三月期決算法人の十一月末税収動向を見きわめる必要があり、現時点では確たることを申し上げる状況にはありませんが、今後の税収動向には十分な注意を払ってまいります。
   〔知事本部長前川燿男君登壇〕

○知事本部長(前川燿男君) 重要施策についての質問にお答えをいたします。
 現在策定を進めている重要施策は、東京が直面する危機を克服するため、これまでの発想にとらわれず、また、局の垣根を越えた総合的な取り組みにより都政の構造改革を進めていこうとするものでございます。
 重点事業は、こうした重要施策を実現するためのいわば手法でありますが、都民にとって効果の大きい、真に優先度の高い事業を厳選する方針といたしております。
 具体的な選定に当たりましては、局別の行政分野にとらわれず、必要に応じて横断的に課題を設定し、事業を選定していく考えでございます。
 策定の過程そのものにおきましても、現在、知事本部と関係局間で議論を進めておりますが、問題提起と検討を繰り返し、相互にフィードバックを行いながら作業を進めている次第でございます。
   〔産業労働局長有手勉君登壇〕

○産業労働局長(有手勉君) 商店街振興など六点のご質問にお答えいたします。
 まず、商店街振興に対する基本姿勢についてでありますが、住民の暮らしや地域経済を支える場として重要な商店街が、活力を取り戻し、地域コミュニティの核として役割を果たしていくためには、商店街が自主的、自立的に課題の解決に取り組むことが不可欠であります。
 このため都は、活力ある商店街育成事業などにより商店街の意欲ある取り組みを支援する一方、二十一世紀商店街づくり振興プランを策定いたしまして、商店街がみずから考え、行動するきっかけとなる戦略を示したところであります。今後とも、意欲的な商店街の取り組みに対して積極的な支援をしてまいります。
 次に、商店街振興策の強化についてでありますが、商店街が行う多種多様な取り組みを支援していくためには、現行の縦割りで複雑な振興策を、わかりやすく、選択の幅が広いものに改める必要があります。また、地域の特性を生かすためには、地域の実情に精通している区市町村の主体的、計画的な取り組みを支援することが重要であると考えます。さらに、商店街の活力の源泉である魅力ある個店づくりや、商店街を支える人づくりに着目して、振興策を考える必要があります。
 今後、このような課題に対しまして、施策の再構築を図ってまいりたいと考えます。
 次に、金融支援策の緊急対策についてであります。
 中小企業を取り巻く現下の厳しい状況にかんがみ、都としましても既存のメニューを最大限活用していくとともに、現行制度の改善や新たな融資制度の創設について検討を進めているところであります。今後、金融機関や東京信用保証協会とも連携を図りながら、できるだけ速やかに具体策を取りまとめてまいります。
 次に、東京信用保証協会に対する指導についてでございますが、これまでも制度融資における積極的な保証、利用者に対するきめ細かな対応を指導してきたところでございます。
 中小企業の置かれた大変厳しい状況にかんがみ、都としても、東京信用保証協会に対して積極的な保証を進めるように、一層強力に指導してまいります。
 次に、平成十三年度の中小企業総合事業団の信用保険収支の状況についてでございますが、過去最大の五千七百九十六億円の赤字となっております。
 国は、大手銀行に公的資金を投入する一方で、中小企業を支える信用保険には、抜本的な対策を講じてきておりません。また、大手銀行も、中小企業に対する融資規模を縮小している状況でございます。
 こうした状況を踏まえ、中小企業向け融資を支える根幹となる信用保険制度の財政基盤について、国が中小企業総合事業団へ出資するなどの財政措置により責任を持って充実強化を図るよう、都としても国に対して積極的に働きかけてまいります。
 最後に、観光産業振興策の展開についてであります。
 都は、観光の振興を図るため、東京都観光産業振興プランを策定し、これまで、ワールドカップサッカー大会時における二十四時間通訳センターの設置や、宿泊施設のバリアフリー化の推進に努めてきたところでございます。
 今後は、海外都市に対するシティーセールスの継続的な実施や、集客力のある国際コンベンション等の誘致を図るとともに、カジノ等による新たな観光資源の開発や、東京観光情報センターの開設、観光案内標識の整備などの施策を、区市町村や民間事業者との緊密な連携のもとに展開し、千客万来の世界都市東京の実現を目指して、全力を挙げて観光産業に努めてまいります。
   〔都市計画局長勝田三良君登壇〕

○都市計画局長(勝田三良君) 都市計画に関する五点のご質問にお答え申し上げます。
 用途地域の見直しについてでございますが、今回の見直しは、東京の新しい都市づくりビジョンで掲げた政策誘導型の都市づくりを土地利用の面から推進するとともに、建築基準法等の改正にも適切に対応し、東京の都市再生を着実に進めていくことを目的としております。
 次に、めり張りのある用途地域の指定についてでございます。
 地域特性に応じたまちづくりを実現できるよう、都市づくりビジョンで示しました五つのゾーンごとに指定基準を定めたところでございます。
 この基準に基づき、例えば都心部などでは、国際的ビジネスセンター機能の強化や、都心居住を推進するため、公共施設が整った地域などにおきましてまちづくりの方向を示しつつ、従来以上の土地の高度利用が可能となるような容積率の指定を行ってまいります。
 郊外部の、道路が未整備で低い建ぺい率や容積率が指定されている地域につきましては、ゆとりある住環境を形成するため、地区計画等を活用し、地域にふさわしい建ぺい率や容積率を指定していくなどの対応をとってまいります。
 次に、早期の用途地域等の見直しについてでございます。
 今回の東京都全域を対象といたします見直しは、都市再生を推進する観点から、区市町等関係機関との調整を迅速に行うことなどによりまして、できる限り早期に完了するように努めてまいります。
 また、全域の見直しとは別に、地区計画の策定や市街地再開発事業の具体化など、地元のまちづくりを進める必要が生じた場合には、時期を失することなく早期に用途地域等の変更を実施してまいります。
 次に、都市再生事業の検討状況についてでございます。
 現在、都内の七カ所の緊急整備地域におきまして、市街地再開発事業や、新たに創設をされました都市再生特別地区などを活用する三十を超える民間プロジェクトが検討されていることを、都として把握しているところでございます。
 その内容といたしましては、工場跡地の高度利用を図る業務・商業・居住機能などの複合開発や、道路の整備とあわせまして小規模敷地の統合化を図る再開発事業などがございます。
 最後に、民間事業者のメリットについてでございます。
 緊急整備地域における民間事業につきましては、地権者等の三分の二の合意をもって都市計画の提案ができ、その提案後六カ月以内に都市計画決定手続が行われますことから、迅速な事業の立ち上げが可能となります。
 また、国の認定を受けた場合、公共施設の整備に関する無利子貸付など金融支援を受けることができます。
 とりわけ都市再生特別地区につきましては、土地の高度利用を図るため、従来の制度では実現できなかった自由度の高い都市計画の提案を行うことができます。
 こうしたことから、民間の創意工夫を生かした優良なプロジェクトの迅速な実現が可能となると考えております。
   〔港湾局長高橋信行君登壇〕

○港湾局長(高橋信行君) 東京港の国際競争力を強化する戦略についてでありますが、ご指摘のとおり、東京港においては、国際競争力の強化は喫緊の課題であり、世界の大型船が寄港する基幹航路を維持拡充するとともに中継機能を強化するなどにより、低廉な輸送コストを実現していくことが不可欠であると認識しております。
 このため、第七次港湾計画の改訂に当たっては、コンテナ船の大型化への対応、ターミナル運営の効率化、物流ネットワークの充実などについて、港湾審議会において幅広く議論をしていただき、都としての基本方針を取りまとめていきたいと考えております。
 次に、国際港湾特区等への取り組みについてでありますが、東京港の国際競争力を強化するには、港湾の規制や商慣行を変革する必要があることから、大井及び青海コンテナターミナル地区を国際港湾特区とし、規制緩和を実施するよう提案したところであります。
 また、国は、アジアの主要港に対抗し得る港湾を数カ所、スーパー中枢港湾と位置づけ、コスト削減を図ろうとしております。これは特区の規制緩和と軌を一にしており、都は国に対し、東京湾全体を視野に入れ、東京港をスーパー中枢港湾として指定するよう、あわせて働きかけてまいります。
 今後も、国際競争力のある港づくりに、官民一体となって取り組んでまいります。
   〔環境局長小池正臣君登壇〕

○環境局長(小池正臣君) 環境問題についての五点のご質問にお答えいたします。
 まず、ディーゼル車規制にかかわる粒子状物質減少装置についてでございますが、都はこれまでにDPFを十二型式、酸化触媒を二十型式、計三十二型式の装置を指定しております。
 酸化触媒は、平成六年規制以降のトラック向けでありますが、比較的安価という特徴がございます。またDPFは、それぞれの技術の特徴から使用条件のつくものもありますが、トラック向けに汎用性の高い装置も二型式指定しており、基本的にすべての車種に対応できる状況にございます。
 今後も、装置の指定を順次拡大していくとともに、指定した装置メーカーに対しましては、特殊な用途に架装したトラックにも装着できるよう指導してまいります。
 次に、ディーゼル車規制の対象となる零細事業者への支援策についてでございますが、都は、条例制定時の付帯決議を踏まえ、現在、粒子状物質減少装置の装着や天然ガス車への転換に対する補助を行っております。また、最新規制に適合したディーゼル車や低公害車への買いかえ促進のため、融資あっせん制度を設けてございます。
 都といたしましては、これらの制度の活用を事業者に働きかけるとともに、ディーゼル車規制に係る融資あっせん制度につきましては、ご指摘の状況を踏まえ、利用しやすいものとなるよう、さまざまな検討を行っており、今後、支援策の充実を図ってまいります。
 次に、都の既存施設における屋上緑化についてでございますが、屋上緑化は、保水性舗装や人工排熱の抑制対策などとともに、ヒートアイランド対策を進める上で重要な柱であると考えております。また、屋上緑化の推進に当たりましては、新築、増改築時のみならず、既存施設における取り組みも重要な課題であると考えております。
 こうした観点から、都は率先して、都立広尾病院、水道局大田南営業所、都議会議事堂など既存施設の屋上緑化を進めてまいりました。
 今後とも、施工可能な施設につきまして、屋上防水の補修時期等をとらえ、計画的かつ積極的に屋上緑化を推進してまいります。
 次に、米軍横田基地における環境対策についてでございますが、生活環境の保全のためには米軍施設といえども、周辺地域の環境面に十分配慮する必要があると考えております。
 都は、これまで、航空機騒音の測定結果等に基づき、国や米軍に対しまして騒音防止対策の推進等を要請してまいりました。また、大気汚染の状況を把握するため、本年七月、東京防衛施設局に対し、基地内の施設の設置状況や排出ガスの状況等の具体的な情報の提供を要請しました。
 これに対し、先日、回答がありましたが、排出状況等の実態を把握するには十分なものとなってはおりません。このため、今後とも、国や米軍に対し、情報提供を求めるとともに、環境対策の推進を強く要請してまいります。
 最後に、横田基地の二酸化炭素の排出削減についてでございますが、都は、本年二月から地球温暖化阻止東京作戦を開始し、広く都民に温暖化対策の重要性を訴えてまいりました。
 こうした取り組みの趣旨からいたしますと、環境確保条例が適用されない米軍施設といえども、周辺地域の環境面はもとより、地球温暖化に対しても十分配慮することは当然のことと認識しております。
 今後は、米軍横田基地におけるエネルギー使用の実態把握も含め、基地内における二酸化炭素の排出削減を要請してまいりたいと考えております。
   〔財務局長田原和道君登壇〕

○財務局長(田原和道君) 都庁の緑化の推進についてのお尋ねでございます。
 ヒートアイランド対策において緑化を進めることは非常に重要なものであると考えております。都庁舎におきましても、敷地内の植樹などに工夫を凝らしまして、緑化に取り組んできたところであります。
 ご提案の都民広場の緑化につきましては、人工地盤であることによる荷重の制限、それから多目的広場としての機能の確保など、技術面や管理面で制約がございますけれども、これらの制約を十分精査をいたしまして、可能な限り緑の増加に努めてまいります。
   〔建設局長小峰良介君登壇〕

○建設局長(小峰良介君) ヒートアイランド対策など二点の質問にお答えいたします。
 まず、保水性舗装の今後の取り組みについてでございますが、これまでの試験施工の結果から、路面温度を低減する効果を確認しており、ヒートアイランド対策の一つとして期待できるものと考えております。
 今年度も規模を拡大して、中央区八重洲など都心部五カ所で試験施工を実施しており、大気の温度上昇抑制効果、保水機能の持続性、コスト低減などについて調査しております。
 今後は、調査の結果を踏まえ、土地の利用状況など、地域特性に合わせた効果的な整備のあり方について検討し、関係局や国、区などと連携を図り、保水性舗装の本格的実施に向けて取り組んでまいります。
 次に、三宅島における十三号台風の被害と今後の対策についてでございますが、三宅島においては、大量の土砂や流木が発生いたしましたが、一周都道は、立根地区を含め五カ所に仮橋を設置したことなどにより、通行どめに至るような被害はございませんでした。また、砂防ダム等を整備した伊ケ谷沢など十六の沢においても、土砂や流木による被害は発生しておりません。
 しかしながら、坪田地区の釜方沢など未整備の沢では依然として土砂が流出しており、新たな被害を生じるおそれがございます。
 住民の帰島に備え、今後とも、復興のかなめである一周都道の本格復旧に努めるとともに、道路、ライフライン、そして住宅などを守る砂防ダムの整備を推進してまいります。
   〔下水道局長鈴木宏君登壇〕

○下水道局長(鈴木宏君) 下水再生水の保水性舗装への活用による効果と今後の取り組みについてのお尋ねでございますが、下水再生水は、都市における貴重な水資源といたしまして、夏の渇水期でも安定的に供給することが可能でございまして、お話しのとおり、保水性舗装の効果を継続させ、かつ確実に発揮させる利点がございます。また、路面の温度を下げるという本来の効果に加えまして、散水によって路面のごみや粉じんを洗い流す効果もございます。
 今後、新たに汐留地区におきましても散水調査を予定しておりまして、これらの成果などを踏まえ、事業化に際しましては、関係局と連携を図りながら、下水再生水の活用に向け積極的に取り組んでまいります。
   〔福祉局長川崎裕康君登壇〕

○福祉局長(川崎裕康君) 福祉改革などのご質問にお答えいたします。
 まず、社会福祉法人の改革についてでございます。
 社会福祉法人は、制度創設以来五十年余にわたり、福祉ニーズに対応するため、地域に根づいた努力を行い、福祉サービス提供の中核的存在として大きな役割を果たしてまいりました。
 今日、社会福祉法人に求められているのは、これまで果たしたこうした役割を踏まえた上で、社会経済状況等時代の変化に対応し、利用者本位の新しい福祉を担っていくために必要な自己改革を実行していくことにあります。
 都としては、サービス向上に向けた社会福祉法人の主体的な自己改革への取り組みを支援してまいります。
 次に、福祉改革についての都民や関係者の理解についてであります。
 行政が広範囲にわたってコントロールする既存の仕組みを根本から改め、利用者本位を徹底する新しいシステムを構築することが、東京都の福祉改革の目指すものであり、今回の都立福祉施設改革もその一環であります。この改革を推進していくためには、利用者のみならず、広く都民の理解を得ることが必要でございます。
 今後、福祉改革のさらなる推進により、福祉を充実させていくとともに、都の福祉改革の意義について、都民や関係者の正しい理解が得られるよう努めてまいります。
 次に、地域のケアつき住まいについてであります。
 高齢者、障害者が地域の中で自立し、安心して暮らせるためには、地域のケアつき住まいを積極的に整備していくことが重要であります。こうした観点から、東京都は、整備に取り組む区市町村を用地確保の面から支援する暮らしの福祉インフラ緊急整備事業や、民間企業に対する痴呆性高齢者グループホームの整備費補助制度を今年度創設いたしました。
 今後、民間企業やNPO法人など多様なサービス提供主体による設置を一層促進するため、ご指摘の地域のケアつき住まいに係る税制面での優遇措置等についても検討してまいります。
 次に、知的障害者生活寮に対する支援策についてです。
 生活寮は、地域で自立して生活を営もうとする知的障害者の居住の場として重要な役割を担うものであり、東京都は、心身障害者施設緊急整備三カ年計画に基づき、その設置促進を図っております。しかし、地価の高い地域などにおいて生活寮の設置が進みにくい状況にあることはご指摘のとおりでございます。
 今後、知的障害者が身近な地域において生活寮を利用できるよう、ご提案の点も含め、きめ細かな支援のあり方について検討してまいります。
 最後に、三宅村の介護保険料についてです。
 三宅村では全島避難という状況の中で、特別養護老人ホームの入所者がふえるなど、給付費の大幅な増加が見込まれることから、次期の保険料について配慮していく必要があると考えております。
 都としては、三宅村の意向も踏まえ、島民の過大な負担とならないよう、現在、国と協議をしているところでありますが、できる限り早期に調整してまいります。
   〔健康局長長尾至浩君登壇〕

○健康局長(長尾至浩君) 保健医療計画と食品安全に関する四点の質問にお答えいたします。
 まず、医療法の改正についてでございますが、今回の医療法改正では、病床区分の見直し、広告規制の緩和などが行われたところでございます。
 病床区分の見直しでは、新たに療養病床が設定され、急性期に対応する一般病床と区分されることとなったところでございます。都といたしましては、こうした改正を踏まえまして、都民が住みなれた地域で安心して生活していくために、療養病床と一般病床の適切な配置を推進するとともに、医療機関の主体的な選択が可能となるような情報提供体制の整備を積極的に進めていく必要があると認識しております。
 次に、保健医療計画の改定に当たっての基本的な考え方についてでございますが、保健医療を取り巻く状況の変化が著しいことから、都民の今後の保健医療を展望し、生涯にわたる健康を享受するための東京の保健医療の将来像を明確にしていく、それが必要であると考えております。そのため、改定に当たりましては、真に都民が必要とする保健医療サービスの提供が可能となるよう、医療の情報化や多様化している健康危機への対応など、新たな施策についても盛り込みながら策定してまいりたいと考えております。
 次に、輸入食品の国及び都の検査体制についてでございますが、輸入食品につきましては、輸入時に国の検疫所において食品衛生法に基づく検査が行われております。しかし、実際に検査される輸入食品は品目数にして全体の一割弱であり、違反食品が国内に流入する可能性は否定できないところでございます。このため、都は、輸入食品の冷凍倉庫など流通拠点等において、専門の食品衛生監視員による収去、検査を実施しております。特にこの夏は、残留農薬の監視検査を中国産野菜を中心として重点的に行ったところでございます。
 最後に、違反食品を発見し、排除するための体制整備についてでございますが、近年、食生活の変化に伴い、輸入食品の種類や量が増大するとともに、流通の経路が多様化、複雑化してきております。そのため、違反食品をできる限り早期に発見し、排除するには、広域的、機動的に食品を監視する体制がこれまで以上に重要となっております。こうした状況を踏まえ、都では、今後、食品機動監視班による広域監視を一層強化するとともに、監視業務と検査業務の一体的な運用を図るなど、輸入食品の安全を確保するための体制整備について検討してまいります。
   〔病院経営本部長櫻井巖君登壇〕

○病院経営本部長(櫻井巖君) 都立病院に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立病院の果たすべき役割と、区市町村との役割分担についてであります。
 都立病院の役割は、全都を対象として、一般の医療機関では対応が困難な高度で専門的な、がん医療や救急医療などの行政的医療を広く都民に提供していくことであります。
 一方、行政の大きな流れとなっております地方分権の立場からも、基礎的自治体である区市町村は、住民に身近な地域医療の確保に主体的に取り組むことが求められております。こうした役割分担を明確にした上で、都は、区市町村や民間医療機関とも相互に連携協力しながら、医療提供体制を充実させ、都民に対する総体としての医療サービスの向上に取り組んでまいります。
 次に、世田谷区との基本合意の内容と、世田谷区に対する都の支援策についてであります。
 基本合意の内容は、小児の救急患者が多くなる夜間の時間帯に年間を通じて診療を実施するため、世田谷区が区内の都有地に小児の初期救急医療施設を整備する一方、都がこの事業に対し必要な支援を行うというものであります。世田谷区に対する都の具体的な支援策としましては、都有地の貸し付け、施設の整備及び運営に対する補助、国立成育医療センターを初めとする医療機関との連携体制の確保などを考えており、現在、世田谷区と最終的な協議を進めているところであります。
 最後に、都立病院の移転統合に当たっての地元自治体との協議についてであります。
 ご指摘のとおり、三病院の移転統合に当たり、これらの都立病院が実態として提供してきた地域における小児医療を確保していくため、都と地元自治体との間で相互の役割分担を踏まえ、十分協議していくことが重要であります。こうしたことから、この八月には八王子市と、今月に入っては清瀬市との間で、それぞれ地域の小児医療の充実に向けた協議を開始したところであります。今後とも都民が安心して身近な地域で適切な医療を受けられるよう、医療提供体制の充実に努めてまいります。
   〔中央卸売市場長碇山幸夫君登壇〕

○中央卸売市場長(碇山幸夫君) 卸売市場流通におきます生鮮食料品の安全性の確保についてでございます。
 今回の中国産スナックエンドウの残留農薬問題、また、ダイホルタンなどの無登録農薬の使用につきまして、直ちに卸売業者の販売原票等により取引状況をチェックし、地方卸売市場を含めますすべての都内の青果卸売市場に、当該食料品の上場禁止、それと販売差しとめを指示したところでございます。
 同時に、全国の出荷団体と国に対しまして、農薬の適正使用について、中央卸売市場の開設者団体であります全国中央卸売市場協会としましても、緊急要請を行ったところでございます。
 今後とも危機管理の観点に立ちまして、これまでのBSE対策と同様に、人の健康を損なうおそれのある食品を市場に入れない、出さないという基本姿勢で、都民の食の安全性の確保に万全を期してまいります。
   〔生活文化局長三宅広人君登壇〕

○生活文化局長(三宅広人君) 最初に、食品安全についての関係局の取り組みについてのお尋ねにお答えいたします。
 食品による健康への危害を未然に防止するためには、食品の生産、製造から、流通、消費に至るあらゆる段階で、迅速かつ適切な対策をとることが必要でございます。そのためには関係する部局が密接に連携し、事業協力することが不可欠であり、昨年来の食品をめぐる事件に対しては、横断的連絡組織である食品安全行政連絡会議において、関係各局における具体策を調整してまいりました。今後とも庁内一体となって、食品安全対策に積極的に取り組んでまいります。
 次に、ヘブンアーチスト事業についてのお尋ねでございますが、七月の公開オーディションはたくさんのメディアが取り上げ、大きな反響を得ましたが、今月から始まった公園などでの活動についても大いに注目されております。また、民間の商業施設や地域の商店会からも、ヘブンアーチストの活動を希望する声が数多く寄せられております。
 今後、こうした要望にこたえて、従来の都立公園や都営地下鉄などの公共施設だけでなく、民間の施設などへも対象を広げ、活動場所を倍増してまいります。そして、多くのアーチストに、みずからの芸を磨き、それを披露する場を開放するとともに、都民、観光客の方々に、まちの中で気軽に東京の新しい芸術文化を楽しむ機会を提供してまいりたいと存じます。
   〔総務局長赤星經昭君登壇〕

○総務局長(赤星經昭君) 三宅島の火山ガスに関する検討会についての質問にお答え申し上げます。
 この検討会は、都と国が共同して設置いたしますもので、火山ガスの現状分析、健康に与える影響、火山ガスに関する安全確保対策などにつきまして科学的に検討いたします。
 九月三十日に第一回の検討会を開催いたしまして、年内に中間のまとめを行い、今年度末までに最終報告を取りまとめる予定でございます。
 この検討結果につきましては、都及び国、三宅村が島民の帰島を判断する際の判断材料として活用してまいります。

○議長(三田敏哉君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時五分休憩

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