○副議長(橋本辰二郎君) 二十六番野島善司君。
〔二十六番野島善司君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕
○二十六番(野島善司君) 通告に従いまして、一般質問をいたします。
昨年、二十一世紀の扉は開きました。が、今日、政治、経済、社会のあらゆる分野で閉塞感が漂っています。この現状を打破するために、行政には、創造性を発揮し、果敢にして機動的な挑戦を行い、施策とその対費用効果を常に検証し、説明責任を徹底、そして施策の確立はもちろん都政の責任でありますけれども、最大の効果を発揮するために、その担い手を競争的に選択し、それぞれのセクターがしっかりと責任を果たしながら協働していく仕組みを構築していくことが今こそ求められている、そのような思いに立ちながら、四つの分野にわたりお伺いをいたします。
まず、住宅政策についてお伺いいたします。
知事は、さきの所信表明におきまして、南青山に官民一体となって多様な機能を備えた住宅開発に着手した旨、また、昨日は、我が党の古賀議員の質問に対し、東村山市において、新たなコンセプトに立った都営住宅整備を進めると表明なされました。
東京への人口集中が加速した昭和三十年代後半、とりわけ東京オリンピック以降、都営住宅等の公的集合住宅が大量に建設され、多摩はその受け皿でもありました。戸数の確保を至上命題とする、子育て世代の構成の高い、いわばワンパターンのまちづくりでもありました。
今日、建物が老朽化し、入居者も一斉に高齢化、商店街も活気を失い、公共公益施設ももてあましぎみであります。これらの現象は、地域の活力、コミュニティの醸成に大きな難題となっています。
今後、大規模公的住宅の建てかえ事業にあっては、過去の団地づくりを教訓とし、将来を見据えた住環境、関連施設の整備を進めるべきであり、中でも住戸については、多様な世代や世帯が入居し得る構成とし、ともに交流して暮らすことのできる住環境づくり、永住するコミュニティを実現しなければならないと考えております。
住宅施策も都市再生の重要な課題であると考えております。知事のご所見をお伺いいたします。
次に、住宅流通市場の活性化についてであります。
住宅の大部分を占めているのは民間住宅であり、そのストックの活用には、リフォームの普及や中古住宅市場の活性化など多くの取り組むべき課題があります。私のささやかな職業体験から申すれば、住宅流通は、情報の量とその正確さが大きな要素といえます。近年、共同流通機構の整備やIT活用など、市場もオープン化してまいりましたが、まだまだ中古住宅ストックが有効に活用されていないのが現状かと思います。
その大きな要因として、中古住宅の履歴情報がないことが挙げられます。修繕履歴などがわからないと、消費者から見ても、また販売業者から見ても、安心して売買ができず、商品価値が損なわれてしまいます。中古住宅の活性化に向けて、住宅の履歴情報を整備する必要があると思いますが、いかがでしょうか。
次に、多摩振興についてお伺いいたします。
昨年、多摩の将来像二〇〇一が策定されました。この将来像は、十五年後の多摩の姿を示したものであり、多摩都民の夢、願いを形にしていくためには、全庁挙げての取り組みと各分野の施策についての具体的踏み込みが必要と考えます。
こうした中、先日、多摩の将来像の実現に向けて、多摩アクションプログラムを策定するとの方針が打ち出されました。そこで、このアクションプログラムの位置づけとその内容についてお伺いをいたします。
多摩格差とかいわれておりますけれども、多摩内格差も現実であります。北多摩北外縁部における南北道路を初めとする都市基盤整備、地域特性を生かした産業振興、多摩の自然を守り、はぐくんでいくなどの課題が山積をいたしております。大都市経済圏、首都東京、そして多摩は一つの視点に立ち、多摩地域の活性化と快適な生活環境づくりに向けて、東京都の強いリーダーシップのもとで、これらの課題に着実に取り組んでいく必要があります。
その際には、各市町村との緊密な連携、協働しながらの取り組みが必要です。各市町村とも、都市形成の沿革、地域特性を踏まえ、目指す都市像の実現に向けて、基本構想、基本計画、実施計画、そして各年度予算という枠組みでまちづくりに取り組んできておりますし、西多摩、北多摩北部においては広域行政圏事業も展開をされているところであります。
そこで、このプログラムの策定に当たっては、地方分権の一層の推進も視野に入れ、市町村の意見、提案をよく聞くとともに、市町村と協力しながら取り組む事業や、市町村の連携による広域的事業を積極的に打ち出すなど、市町村と連携しての検討が大切と考えます。市町村との連携も含め、どのような手順でアクションプログラムを策定なさるのか、お伺いをいたします。
次に、教育行政について伺います。
四月から、小中学校などでは、新教育課程への移行、週五日制も実施をされました。評価制度の変更、総合的学習のカリキュラムづくり、新学習指導要領のもとでの指導の工夫など、多くの課題に取り組んでいかなければなりません。
都教育委員会においても、制度、組織、人の各般にわたってさまざまな改革施策が打ち出され、さきの所信表明においても、知事の教育改革の促進に寄せる情熱、そしてまた、先ほどは知事の教育の根幹についての考え方も拝聴をいたしたところであります。
教育や学校を語るときに、生徒が主役、社会に開かれた学校、家庭、地域との連携、こんなことがよくいわれるわけでありますが、その言葉はいささかスローガン的に終始し、具現化していく制度、組織、人、そして私たちの意識が十分には伴っていなかったのではないかな、こんなふうに思っております。
さまざまな制度改革が進行する今日、私たちは、改めて家庭、学校、地域の役割を再認識、発揮し、かつ連携していく必要があります。そのような認識に立ちながら何点かお伺いいたします。
一つは、学力低下についてであります。
新学習指導要領の実施、学校五日制も相まって、学力の低下が懸念され、マスメディア等でもさまざまな議論があったところでございます。いわゆる学力低下論に対する見解と、都教育委員会の重点目標とする基礎的、基本的な学力の向上の目指すところについて伺います。
二つ目は、学校五日制であります。
児童生徒にとっては、週のうち二日は、家庭、地域社会が生活の主たる舞台となるわけであります。知育、徳育、体育のそれぞれの領域にわたって、学校生活では得られないものが、とりわけさまざまな体験による知恵の習得が期待されます。家庭においての役割を改めて子どもたちに認識させることや、地域社会での思いやり、ルールを守る大切さを学ぶ機会を用意することは、石原知事の提唱される心の東京革命にも通じるものと思います。
もちろん、これらの取り組みの主体は市区町村教育委員会でありますけれども、東京都教育委員会の支援も重要でございますので、その取り組みについてお伺いをいたすところであります。
三つは、環境教育についてです。
私たちの快適、便利な生活が、温暖化や酸性雨、オゾン層の破壊など地球環境に大きな負荷を与え、五十億年かけて水と緑の豊かな星に変化してきた地球を破壊しています。
現在、環境に関する教育は、さまざまな教科指導や理科的な体験学習などを通じて行われていることと承知をしていますし、大いに推進していくべきであります。と同時に、私は、学校施設を活用した、体験する環境教育の推進を提唱いたします。
学校統廃合により新しい学校をつくる、あるいはまた大規模なリニューアルの際に、雨水を貯留しての再利用、ソーラー発電、施設内緑化の推進等、学校を望ましい環境そのものにつくり出していく施設、設備の改善が必要だと考えております。
自然のうちに見聞し、体験することが環境教育にとって極めて効果的と考えます。見解をお聞かせください。
四つは、心身障害教育についてです。
ノーマライゼーション、この理念は教育の現場においても実現されるべきものと考えます。これからは、子どもや保護者の教育ニーズに応じて、一人一人に必要にして適切な支援を行うという視点に立つ必要があります。
このことにより、障害があろうとも、特別に配慮された条件が整えば、通常の学級などで学習できることになると思いますが、受け入れる側、教える側、通学する、させる側にも多くのバリアがあるのも事実かというふうに思っております。
国においては、二十一世紀の特殊教育のあり方について提言するとともに、従来、盲・聾・養護学校や特殊教育の所管を特殊教育課としておりましたけれども、これを特別支援教育課と名称変更をいたしました。東京都教育庁も特別支援担当の主任指導主事を配置しており、わだちを一にするものなのかと評価をいたしております。
そこで、今後、都において心身障害教育のさまざまな課題に対応するため、総合的な改善の検討が必要と考えますが、所見をお伺いいたします。
最後に、都立病院改革を含む保健医療行政について伺います。
昨年十二月に策定されました都立病院改革マスタープランにおいては、都立病院の新たな役割に基づき、医療機関の集約とネットワークの充実を図ることにより、都立病院を再編整備していくこととなっております。
私は、このプランにあります、住民に身近な医療は市区町村が、都全体をカバーする高度専門的な医療は都が担うという考え方には基本的な理解を示す一人であり、限られた医療資源を、市区町村、都の公と民間に適切に配分し、それぞれが役割を発揮し、協働して住民の医療ニーズにこたえていく必要があると受けとめています。
が、しかし、地域の実態を見たとき、各自治体が確保すべき医療体制は、単純にこの役割論で構築できないのが実情であります。私の地元にあります清瀬小児病院は、小児医療総合センターとして府中病院に隣接して再編整備することとなっています。しかし、病院がなくなることに不安を抱く住民も多く、近隣市の各市長、各市議会からも存続の要望がなされていると聞き及んでおります。
ご承知のことと存じますが、清瀬市を含む北多摩北部二次保健医療圏は、清瀬市に医療機関は集中しているものの、療養型や結核病院が多く、いわゆる急性期を担う病院が少ない地域であり、それだけに、住民が安心して受診できる医療体制がぜひとも必要です。
そこで、最初に、小児医療センターを初めとする都立病院の再編整備について、病院経営本部の取り組み状況をお伺いいたします。
次に、先ほど申し上げました地域事情からしても、清瀬小児病院の移転再編整備にもかかわる小児医療を初めとする地域医療の確保は重要な課題です。都には、広域的な保健医療行政を担っていく役割があります。
四月から、旧衛生局は健康局と病院経営本部に再編成されました。行政の縦割りの弊害もよくいわれます。それだけに、都立病院の改革に取り組む病院経営本部と広域的な保健医療行政を担う健康局が一体となって、都立病院の再編整備にかかわる諸課題に対応していただくことを強く求めるものでございます。
そのような立場から、清瀬小児病院の移転再編整備に伴う北多摩北部第二次保健医療圏における地域医療、特に小児医療の確保に向けての健康局の取り組みについてお伺いをいたします。
るる申し述べましたが、地域医療の確保の諸課題は、地元自治体だけでは到底解決できるものではありません。加えて、清瀬小児病院の移転再編整備も大きくのしかかってまいりました。地域の実情に対応し、住民の医療に対する安心、信頼の構築が急務と考えます。
そこで、都立病院の再編、移転に伴う課題の解決に向けて、都は、所在地である清瀬市を初めとする地元自治体と地域医療確保のための検討会を設置し、協議していくべきと考えますが、いかがでしょうか、お伺いをいたします。
以上をもって質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
○知事(石原慎太郎君) 野島善司議員の一般質問にお答えいたします。
大規模の公的住宅の建てかえ事業についてでありますが、多摩を含めて都内に点在します都営住宅は、敷地の高度利用により事業用地を生み出すことができまして、東京の再生にとって大きな財産と心得ております。
都心部に引き続きまして多摩地域においても、民間の知恵もかりまして、郊外型のモデルプロジェクトに取り組んでいきたいと思っております。それによって新しいまちづくりを実現していきたいと思っております。
今後とも、都市再生のために、都民共有の財産であります都営住宅敷地の多面的な活用を通じて、多様な世代がともに暮らせる活力のある東京を実現していきたいと思っております。
他の質問については、教育長及び関係局長から答弁します。
〔教育長横山洋吉君登壇〕
○教育長(横山洋吉君) 教育に関します四点の質問にお答え申し上げます。
まず、いわゆる学力低下論についてでございますが、今議論されております学力低下論の多くは、従前の知識の量を尺度とします学力観と、新学習指導要領がねらいとします学力観、これが基本的に異なると、こういう認識が非常に薄いような気がいたしております。
私は、学力は単に知識の量のみではなくて、みずから学ぶ意欲であるとか思考力、判断力、表現力などを含めたものとしてとらえるべきであって、みずから学ぶ意欲を涵養することによって、真の学力が身につくものと考えております。
こうした観点から、新学習指導要領では、基礎的、基本的な内容の確実な定着や、みずから学び、みずから考える力などのいわゆる生きる力をはぐくむことをねらいといたしております。このねらいに基づきまして、教育課程を適正に編成、実施することによりまして、児童生徒に確かな学力を身につけさせることができると考えております。
都教育委員会では、この基礎的、基本的な内容の定着に関します調査の実施、児童生徒の理解や習熟度に応じた少人数指導の実施、さらに大学生のティーチングアシスタントの活用等を通しまして、個性豊かで創造力のある児童生徒を育成してまいります。
次に、学校週五日制に対応しました区市町村への支援についてでございますが、都教育委員会では、子どもたちのさまざまな体験活動の機会と場を整えていくことが必要でありますことから、平成十二年度に完全学校週五日制対応行動プランを策定したところでございます。
この間、区市町村と幅広く連携して、東京親子ふれあいキャンペーンという事業や、あるいは地域スポーツクラブの育成事業等を展開しますとともに、学校週五日制に対応する学校外活動の実態等の情報提供に取り組んできたところでございます。
また、今年度から新たに、地域住民が主体となり、地域全体で学校教育活動を支援することを目的としました地域教育サポートネット事業を実施する予定でございます。
今後とも、広域的な立場から、学校週五日制に対応した区市町村支援の充実に努めてまいります。
次に、環境に配慮した学校施設整備と、それを活用した環境教育についてですが、都立学校では、学校施設の新築、改築あるいは大規模改修を行う際に、校地や校舎の屋上を緑化しますほか、雨水を貯留して中水としてトイレの洗浄に利用するなど、環境に配慮した学校施設づくりに努めております。
公立小中学校の施設整備につきましては、設置者でございます区市町村が行っておりますが、都教育委員会としましても、区市町村に対して、国の助成措置を活用して、屋上緑化など環境に配慮した施設整備の推進を図りますとともに、こうした施設を利用して、環境を大切にする実践的な態度の育成を図るなど、環境教育を推進するよう指導、助言してまいります。
最後に、心身障害教育の改善についてでございますが、都立盲・聾・養護学校におきましては、児童生徒の障害の重度重複化や多様化、それから知的障害養護学校の児童生徒の増加等によりまして、教育内容、方法の充実や教育環境の改善が緊急の課題となっております。
一方で、区市町村立の小中学校におきましても、通常の学級及び心身障害学級に在籍する障害のある児童生徒が増加しておりまして、その対応や担当する教員の専門性の向上などの課題を抱えております。
こうした諸課題に対応するために、本年七月に、学識経験者なども加えました東京都心身障害教育改善検討委員会を設置をしまして、教育内容の充実、教育環境の整備、区市町村への支援のあり方につきまして検討して、都における心身障害教育の基本的な方向を明らかにしてまいります。
〔住宅局長橋本勲君登壇〕
○住宅局長(橋本勲君) 中古住宅市場の活性化についてでございますが、ご指摘のとおり、民間住宅についてストック活用を図ることは重要でございまして、そのためには、中古住宅の質の向上を図るとともに、中古住宅市場を活性化していくことが必要でございます。
その際に、住宅の維持、修繕等の状況を明らかにする履歴情報を整備することは、有効な手法でございます。
このため、都においては、国の施策と連携し、住宅の履歴情報の整備を含めた中古市場の活性化のための施策を進めてまいります。
〔総務局長大関東支夫君登壇〕
○総務局長(大関東支夫君) 多摩アクションプログラムの二点のご質問にお答えいたします。
まず、多摩アクションプログラムの位置づけとその内容についてでございます。
アクションプログラムは、昨年策定いたしました多摩の将来像二〇〇一をもとに、より具体的な多摩振興事業の取り組み手順を示すものというふうに位置づけております。
その内容は、特に重点的な取り組みが必要な十項目のチャレンジテーマを中心に、実施主体や実施地域、取り組み方法などにつきまして、可能な限り具体的に示すものでございます。
また、あわせて、今後の多摩地域の発展の芽となり得るモデル的、先導的な事業につきましても検討してまいります。
次に、多摩アクションプログラムの策定に当たっての市町村との連携でございます。
多摩地域の市町村は多様な地域特性を持っておりまして、今後は、それぞれの地域がみずからの個性を伸ばしながら主体的な発展を目指すことが必要でございます。
同時に、広域的な行政課題に対応するため、市町村同士の連携による広域的事業への取り組みもこれまで以上に求められております。
このため、市町村の意見、提案を十分に踏まえ、連携を図ることにより、地域特性や広域的課題に対応したアクションプログラムの策定を進めてまいります。
〔病院経営本部長櫻井巖君登壇〕
○病院経営本部長(櫻井巖君) 都立病院に関する二点のご質問にお答えいたします。
まず、都立病院再編整備計画の現在の取り組み状況についてでございます。
小児総合医療センターの開設を初めとする再編整備につきましては、都立病院改革マスタープランに基づき、各病院の運営理念、医療機能、施設規模、財政フレーム等を盛り込んだ実施計画を年内を目途に策定すべく、現在、精力的に検討しているところであります。
次に、都立病院の移転に伴う地元自治体との地域医療確保のための協議についてであります。
都立病院の移転、統合に当たっては、清瀬小児病院などがこれまで実態として担ってきた地域医療の確保について、清瀬市を初めとする地元自治体との十分な協議が必要なことは、ご指摘のとおりであります。
都としましても、地域医療の確保に主体的に取り組む地元自治体を支援する立場から、協議の申し入れがあれば、これを積極的に受けとめ、協議を行ってまいります。
〔健康局長今村皓一君登壇〕
○健康局長(今村皓一君) 清瀬小児病院の移転に伴う小児医療の確保に向けての取り組みについてでございますが、都立病院改革マスタープランでは、清瀬小児病院が担ってきた北多摩北部の地域医療に不足が生じないよう、多摩老人医療センターを地域病院として再編するに当たっては、新たに小児科を併設するなどの対策を講じることといたしております。
健康局といたしましては、今後とも、縦割りの弊害に陥ることのないよう心して、病院経営本部を初め関係局等との密接な連携を図りながら、こうした課題に対応してまいります。
○議長(三田敏哉君) この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後五時五十三分休憩
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