平成十四年東京都議会会議録第九号

○議長(三田敏哉君) 七十一番三原將嗣君。
   〔七十一番三原將嗣君登壇〕

○七十一番(三原將嗣君) 最初に、人間の生死にかかわる救急救命士の業務内容についてお尋ねいたします。
 昨年、山形や秋田において、救急救命士が法令で認められていない救急処置であるところの気管挿管を実施して社会的な問題となりました。気管挿管とは、心臓や呼吸が停止した状態の人に対し、気管にチューブを挿入し、空気の通り道を確保して人工呼吸をするという最も確実な方法といわれておりますが、技術的に困難なこともあって、現在は医師に限られております。しかし、国家資格である救急救命士の技能水準からすれば、控え目に見ても、東京で昨年一年間に搬送した全心肺停止者八千八百三十三人のうち約一〇%は、気管挿管をした方が救命率が高まったと推測されます。
 つまり、実施するかしないかで約八百八十人の命が左右されるということですが、消防総監の見解を伺います。
 同じように、半自動式除細動器による心臓に対する電気ショック処置も、医師の具体的な指示なしでタイミングよく実施できるようにすべきだとの現場からの意見もあります。あわせてお答えをください。
 とにかく現場に医師がいないのですから、技能を持った救急救命士に任せた方が救急の効果があり、救命率が向上すると私は確信をしています。
 一方、国も実施の方向でようやく合意間近とのことでありますが、全国の救急搬送の約一五%を占める東京こそ、救急救命処置の範囲拡大を先頭に立って訴えるべきですが、知事の見解を伺います。
 次に、脱法ドラッグについてお尋ねします。
 警視庁は、少年の薬物乱用防止の運動を強力に展開しています。好奇心、たった一度が身の破滅という言葉のとおり、少年少女は、おもしろ半分で薬物に手を出します。その最初のきっかけとなるのが、合法ドラッグと称して販売される、法律に違反した脱法ドラッグであります。都内のアダルトショップや繁華街の露店で、麻薬類似成分が含まれながら、表向きはビデオヘッドクリーナーとか芳香剤とかいわれて販売され、気軽に入手して、幻覚作用や高揚感を楽しむことができるため、最終的には薬物に移行するゲートウェイドラッグといわれております。
 健康局は、任意に買い上げて調査分析を行い、販売停止や商品の回収を指導しておりますが、その努力にもかかわらず、抑止効果はなかなか期待できません。そこで、今日までの健康局の対策と問題点をお伺いいたします。
 一方、警視庁も、法規制がないために検挙の例はなく、歯がゆい思いをしているはずであります。昨今の社会情勢から見ても、既存の法令では取り締まりに無理がありますので、脱法ドラッグを取り締まる新たな条例の設置を目指して検討会を立ち上げるべきだと私は思います。
 定義づけにはなかなか難しい問題もありますけれども、製造、販売の業者に重点を置いた取締条例をつくれば、必ず成果が上がり、青少年の健全育成に資すること、極めて大きいと思います。石原知事のツルの一声ならぬ、タカの一声で国をも動かす条例をつくるべきだと思いますが、見解を伺います。
 次に、港湾行政について伺います。
 知事は、先日の所信表明において、東京を再生させるには、空港や港湾の基盤整備が重要であるとの見解を述べられております。現在の東京港は、日本一のコンテナ貨物取扱量を誇りながら、内陸部とのアクセスが脆弱なことが、国際競争力を強化する上で障害となっているといわれております。
 こうした中で、去る四月に東京港臨海道路の第一工区が開通いたしました。当然ながら、東京湾岸のアクセス向上に大きな効果があったと思いますが、周辺の交通状況や都市経済に及ぼす影響について、港湾局長に伺います。
 また、その機能を十分に発揮し、東京湾岸のアクセスをさらに向上させ、ひいては東京港の国際競争力の強化を図るために、若洲までの残り半分を早急に整備することが重要であると思いますが、第二期工事に対する国の整備方針と東京都の対応について局長の決意をお伺いして、次に移ります。
 今日、国では、いわゆる政と官の接触に関するルールが熱心に議論されております。この中で特に私が驚きましたのは、去る二月に外務省が、何年も前に秘で無期限と定めた文書の秘密を解除して公開したことであります。これは、官僚が国会議員に接触したときに独自に作成したメモを一方的に内部文書化したものでありまして、全く驚天動地のことでありました。
 振り返って、都庁におきましても、公式な場所以外で私どもが都民の要望や政策を理事者側とやりとりをいたしますと、同席した職員が一生懸命にメモをとっております。どうもこのメモが局長や部長に提出されると公文書となってしまうようでありまして、情報公開条例においても、そのような取り扱いになっております。したがって、公開の対象となるわけでありますが、私は公開されることには賛成でありますが、議員がメモの存在を知らず、かつ議員の主張とは違う内容であっても公開されるとなると、民主主義の否定になりかねません。
 確かに、こうしたメモは、議員から理事者側への、ある意味の不当な圧力の防止となるかもしれませんが、反面、自由闊達な議論の場を失うという大変大きなマイナスもあります。私は、相互の信頼があればメモを残す必要はなく、現に都庁においてはそのような公文書は残されていないと信じておりますけれども、議員の皆さん、議会としてきちっとした意思表示をしておくべき重大なことだと思いますが、ぜひご検討願いたいと思います。
 一方、あの宿泊税反対で有名な鳥取県知事は、非公式な席で県議から職員に要請や提言があった場合、その内容を実名入りで公文書として残し、情報公開の対象にするとの方針を固められたそうであります。石原知事は、しばしば鳥取県知事とは意見を異にされますが、この非公式の場での議員と職員のやりとりを公文書として残すことにどういう見解を持っておられるか、知事に伺っておきます。
 最後に、危機管理についてお尋ねいたします。
 さきに立石議員も発言されましたが、去る五月八日に、中国・瀋陽の日本総領事館において、中国の武装警察が、在外公館の不可侵権を保障するウィーン条約に違反する事件を起こしました。一連の経過はご承知のとおりですけれども、それにつけても、日本の外務省や大使館関係者の危機管理の欠如と能天気ぶりにはあきれるばかりであります。そして、今回の事件は、知事も主張されているように、日本国の主権のありようを問うものでありますから、日本は引き続いて強く中国に抗議し、陳謝を求めていくべきであります。
 かつて平成十年八月、北朝鮮がテポドンを発射して日本の上空を侵害したとき、我々都議会は直ちに厳重な抗議をする旨の決議を行っております。この前例に照らしても、今回も都議会として厳然たる行動をとるべきだと議員諸君にお呼びかけをする次第ですが、いかがでしょうか。同時に、石原知事の高邁なるご所感を伺いたいと思います。
 次に、入札制度に関する危機管理について伺います。
 相も変わらず、入札制度にかかわる不祥事が次々と全国で発覚していることはまことに残念であります。こうした社会情勢を踏まえて、東京都が入札制度の改革に本格的に取り組んでいることを高く評価いたします。
 そこで財務局長に伺いますが、去る三月まで試行的に実施して得られた成果と、四月一日からの本格的な改革の内容についてお答えをください。
 特に東京都は、入札予定価格の事前公表について、平成十年から試行を始められ、今年四月より、二百五十万円を超えるすべての工事案件の予定価格を事前公表されることになりました。知事、ここからよく聞いてくださいね。この予定価格は入札制度の根底をなすものですから、その公表数字に絶対に間違いがあってはならないのは当然であります。
 ところが、驚いたことに、去る一月、住宅局が公表した工事の予定価格は、正式な予定価格の約四%に当たる三千万円もの少ない金額で公表されるという重大なミスが発生いたしました。契約書では、物価の変動でも一・五%の差が出れば変更契約をすると定めているぐらいですから、四%は大変な数字です。しかも、その係員は、ミスの重大性に気づかずに、上司にも入札参加希望者にも報告をいたしませんでした。そして、落札と同時に正しい事前公表価格が判明して事の重大性が露見いたしましたが、落札業者は既にこの時点で、公表価格のミスもあって損害をこうむっている可能性も予測されるわけであります。
 よって、公正を第一とするならば、当然、この入札はやり直すべきだと私は思いますけれども、手続上どうなっているか、財務局長に伺います。
 私は、こうしたミスを三月中旬に関係者に非公式に確認をいたしましたが、住宅局は、財務局にこういったミスを相談したのでしょうか。また、こういう場合に、内なる危機管理としてマニュアルはあるのかどうか、財務局長にお伺いをいたします。
 しかも、この工事案件は、後日、住宅局が提示した設計図面にも記入ミスがあることが判明しました。積算の根拠となる部分で、別途工事と記入して、見積もりに重大な影響を与えたにもかかわらず、これまた、そのことを単純ミスと事務的に訂正処理をしたということですが、これまた極めて重大なことだと、こう思います。
 こうした一連のミスについて住宅局長は、いつ事実関係を承知し、監督責任者として、みずからの責任を含めて、部下に対してどう対処したのかを詳しく答弁を求めます。
 そして、今回の対応から推測するに、これまでもミスがあったのではないか、あるいは入札参加者からのクレームを封じてきたのではないか、そんな懸念もされるわけですが、両局長、いかがでしょうか。
 こうした職員のミスと事後処理の無責任さは、納税者たる東京都民を侮辱する行為と私は思います。断じて許されるものではありません。よって、責任ある答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 三原將嗣議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、救急救命処置の範囲拡大についてのお尋ねでありますが、都民の救命に直結する救急対策は極めて重要でありまして、都はこれまでも、東京ERの創設や休日・全夜間診療事業の実施など、救急医療体制の整備とともに救急活動体制の強化を図っております。
 しかし、そこの病院に到達するまでのプロセスで、救われるべき命が救われないということは非常に残念なことでありまして、救急救命のためには、より高度な救急処置を実施することが多くの都民の期待しているところであると思います。このために、東京都としては、救急救命士の処置範囲の拡大について、国や関係する機関に対してその必要性を訴えておりまして、早期実現に向けて働きかけていきたいと思います。
 ちなみに、議員もよくご存じでしょうが、調べてみますと、救急隊が出動した中で、到着したときに心肺が既に停止状態であった件数が六百五十四件でありました。このうちの一割ぐらいは気管挿管が必要であったと思われますし、また、この気管挿管は、これは学術的な問題ではなしに、むしろトレーニングによって培われる手技の部門でありまして、それを訓練を重ねることでマスターした救急救命士にある資格を与えて、救急の現場で病人を救うということは当然のことではないかと私は思います。
 ちなみに、二〇〇二年五月に心停止した六百五十四件のうちの七十一件は、気管挿管すれば助かったのではないかといわれておりますし、いずれにしろ、注射が結構下手なお医者さんもおりますから、それに比べて救急救命士が気管の挿管ぐらいは、トレーニングをすることで実績を示すということは、私は十分に可能ではないかと思っております。
 それから、いわゆる脱法ドラッグについてでありますが、質問をいただくまで、私は、残念ながら不明にして、この脱法ドラッグは合法ドラッグともいわれるそうで、非常に皮肉な呼称の矛盾でありますけれども、存じませんでした。こういった健康被害の防止、薬物による犯罪の抑止、将来を担う青少年の健全育成という観点からも非常に重要な課題であると思います。
 近年、インターネットなどを利用した通信販売や海外からの輸入など、こういったドラッグの流通形態は全国化、国際化しているようでありまして、また、麻薬に指定されていない成分を含有したこうしたドラッグが次々に出現し、流通するなどの問題がありまして、取り締まりが大変困難と聞いております。
 建前だけいえば、脱法ドラッグの取り締まりは、根本的には国による法規制が前提となるべきものと思いますけれども、しかし、こうしたもののはんらんは、やはり大都会を起点にして行われるわけで、ある意味で大都会的な現象、大都会ならではの一つの現象だとも思います。それをなお分析した上で、そういった認識が確かなものとなりましたならば、ご指摘のように、国に先んじて東京都が条例でそれを規制するということは、東京の将来のみならず、日本の若い子弟の将来のためにも必要ではないか。これから検討を急ぎたいと思っております。
 次いで、議員と職員とのやりとりを公文書として残すことについてでありますが、議員と職員のやりとりはさまざまな場面で行われて、その内容も多岐にわたるでしょうし、行政に直接関係ないものもあるでしょう。そういったやりとりを公文書として一々残すかどうかについては、それぞれのケースによって判断されるものと思いますが、議員にしろ職員にしろ、互いに人間でありまして、同じ日本人、同じ言語で話す限り、言語を超えたあうんの呼吸などもあるでしょうし、面倒くさいところは手話にするというわけにもいかぬでしょうから、私はここら辺は、一律にくくるということは、議員と職員の人間関係の中で行政が効率を上げていくことにとって、下手をするとマイナスの部分も出てくる、プラスの部分も出てくる。いずれにしろ、特に国に不祥事が多いために、こういった問題がいたずらにクローズアップされておりますけれども、ここら辺のことは、今限りの時点では、私は責任を持った答弁はいたしかねる。
 私も行政の管理者でありますけれども、国の役人と話をすることもありまして、それを一々メモにするつもりもございませんし、時に応じて確認の書類を交わすこともありますけれども、文書を交わすこともありますが、これはやはりケース・バイ・ケースで判断する以外にないのではないかと、今の限りでは思っております。
 次いで、瀋陽の日本総領事館の事件についてでありますが、私は衆議院におりますときに、ずっと外交防衛専門できましたけれども、とにかく日本の外務省というのは頼りにならない。彼らのやることは、外国にやって来た国会議員の買い物のつき合いのようなことがメーンでありまして、肝心のことは余り行わない。それで、陰では、言葉のできない国会議員の買い物のつき合いまでさせられることを完全看護などと生意気に称しておりますけれども、なら、ほかにするべき仕事をしているかというと、例えば中国のように、要するに、大都市で勝手に法律、条令というものを変えて、朝令暮改で、それがわからずに企業は投資をする。その結果、ひどい目に遭う。そういったクレームを、現地の人たちによって相手側の政府筋に直接持ち込んでも全く聞く耳を持たないということで、たまりかねて大使館に仲介を依頼しますと、ここは公館であって、民間のための機関ではないという、そういう非常に尊大な、勘違いした見当が返ってくることが多々ございます。
 アメリカなどはそういう点では、大使館あるいは領事館が踏み込んで、民間の企業のために一応口をききますが、相手が相手ですから、全部がかなうというわけにはいきませんけれども、そういう同じ日本とアメリカの在外公館の機能といいましょうか、姿勢というものの対比を見ましても、日本の外交官というものは、一体、国益をどこで背負っているか、果たしてそういう自覚があるのかないのか。先般のワールドカップを見ましても、あの選手たちは、非常にけなげに自分の肉体に国というものを背負って戦いましたが、そういう姿勢が一向に日本の外務官僚に見られないということは、まことに国民の一人として残念でございます。
 いずれにしろ、あれは主権の侵害でありまして、主権というものは一体何か、それを自分たちがどういうかかわりで代表しているかということを、日本の外交官にもっと、しかと持ってもらいたい。
 さきに非常に不当な行為がありまして、日本における朝鮮銀行に立入検査をしましたときに、在日の北朝鮮の人たちは、体を張ってそれを阻止して、何と、朝鮮銀行は自分たちの大使館と同じである、ここは治外法権などと筋違いのことをいって抗議しました。これはまたちょっと主権の履き違えでありますけれども、そこまでいかなくても、正式に登録された日本の在外公館が、せめてその半分ぐらいの意識を持って、国益というものを自分の体をもって表示してもらいたいということを改めて念願しております。
   〔消防総監杉村哲也君登壇〕

○消防総監(杉村哲也君) 救急救命士の気管挿管などの実施についてのお尋ねですが、救急活動には救急救命士の果たす役割が非常に重要なことから、東京消防庁では全救急隊に救急救命士を乗務させるなど、救急活動体制の充実、強化に努めております。
 心肺停止状態にある傷病者の救命効果をさらに高めるためには、ご指摘のとおり、最も効果的な気道確保の方法といわれている気管挿管や、医師の具体的指示を要しない早期除細動、さらには、それに伴う薬剤の投与などが必要であると強く認識しております。
 また、これらの行為は、平成三年の救急救命士制度発足当時から課題とされていたものであります。
 このため、救急救命士の処置範囲の拡大については、東京消防庁としても、平成十二年に関係省庁に対し強く要望したところでありますが、今回も、総務省消防庁や厚生労働省など関係する機関に対し、積極的に働きかけを行っております。
 なお、この処置範囲の拡大には、いわゆるメディカルコントロール体制の確立が今まで以上に必要であることから、現在、救急処置に対する医師による事後検証、病院実習を中心とした再教育、救急医療関係者で構成するメディカルコントロール協議会の設置など、体制の整備に努めております。
   〔健康局長今村皓一君登壇〕

○健康局長(今村皓一君) いわゆる脱法ドラッグの対策と問題点についてでございますが、都はこれまでも、市販されている脱法ドラッグについて、年二回、六十品目の成分検査を行い、違法性が判明した場合には販売停止や回収を指示するなど、厳重な指導と取り締まりを行ってきております。しかし近年、インターネットを利用した通販や海外からの輸入など、流通形態が国際化するとともに、麻薬に指定されていない新たな成分を含有した脱法ドラッグが次々に出現し、流通するなどの問題が生じております。
 脱法なるがゆえに、摘発、取り締まりが大変難しい現状でございますが、関係機関と協力して、条例制定も視野に入れながら、実効性のある対策を進めてまいりたいと考えております。
   〔港湾局長川崎裕康君登壇〕

○港湾局長(川崎裕康君) 四月に開通しました、城南島と中央防波堤内側を結ぶ東京港臨海道路の効果についてでございますが、利用台数は予測を大きく上回り、五月の平日で約二万六千台、六月は二万八千台を超えております。
 一方、レインボーブリッジの平日の平均利用台数が前年同月比約一万台減少するなど、周辺道路の渋滞は大幅に改善しております。
 また、環七大井ふ頭交差点と青海ふ頭間の所要時間で見ますと、供用前には三十分以上かかっていたものが、半分以下に短縮をされています。
 これらのことから、当初、二万四千台走行時に時間短縮と燃料節減によりもたらされると予測しておりました年間約二百八十億円を大幅に上回る経済効果が出てくるものと思っております。
 次に、東京港臨海道路第二期事業に係る国の整備方針と都の対応についてでございますが、中央防波堤外側から若洲に至る区間の整備は、東京港の物流機能の強化及び首都圏の道路交通の円滑化にとって大変重要であると考えております。
 国は、第二期事業について、平成二十二年度完成を目途に、今年度、調査、設計を開始いたしました。都としましては、第二期事業の陸上部分が廃棄物処分場内に整備されることから、ごみ地盤における建設技術面の課題解決や関係者との調整などにおいて事業に協力しつつ、引き続き国に対して整備の促進を働きかけてまいります。
   〔財務局長安樂進君登壇〕

○財務局長(安樂進君) 入札に関する三点の質問にお答えいたします。
 初めに、入札制度改革の内容と成果についてのお尋ねでありますが、入札は、特段の理由がない限り、できるだけ多くの人に参加の機会が与えられ、競争性が高くなることが望ましいものであります。
 このために、資格を有していれば希望者全員が参加することのできる一般競争入札の対象を、平成六年には五十億円以上の工事案件であったものを、この四月からは九億円以上に大幅に拡大しております。
 また、入札に伴うさまざまな疑惑を払拭し、透明性を高めるために、予定価格の事前公表を平成十年に九億円以上の工事について始めておりますが、この四月からはすべての工事の入札案件について行うことといたしております。
 これと同時に、談合などの不正行為へ対応するために、たとえ入札後であっても、疑惑の情報が寄せられた場合は、再調査をして、契約解除も含めて厳正に対処する方針をとっております。
 さらに、この四月から、入札情報サービスシステムによりまして、入札予定案件等の情報をインターネットによって提供しております。本年の三月には、外部委員で構成する東京都入札監視委員会を設置し、入札に関する苦情を第三者機関が処理する制度を設けたところであります。
 次に、住宅局の入札についてのお尋ねでありますが、今回の事件は、住宅局において、工事発注予定表を掲示した際に、担当職員が予定価格を三千万少なく記入したことに発端があります。担当職員は、この数時間後に誤りに気づきまして、掲示を訂正いたしましたが、その事実を上司には報告せず、一人で処理をいたしました。入札後に当該工事の落札者から、自分が見た予定価格と違っているという連絡が財務局に入りまして、初めて事件が判明したものであります。
 この事実経過に照らしてみますと、結果として二通りの予定価格が公表されていたことになります。一般的には、その二つの価格に著しい差異があった場合は、入札の公正性を損なったものとして、入札をやり直すこともあるというふうに考えられます。
 しかし、今回の場合は、予定価格を上回る失格者もなく、また、二つの価格の差異が総額の四%ということで、公正性を損なうほどのものではなかったと判断をいたしました。落札者と住宅局との協議結果も踏まえまして、契約を有効なものとして成立させたものであります。
 予定価格を間違って公表した場合の対応といたしましては、間違いを見つけた段階で直ちに公表を取りやめ、再度公表を初めからやり直すべきであり、これまでこのようなマニュアルがなかったため、この旨を三月に全局に通知しております。
 しかし、今回の例では、間違いの事実が他のだれにも知らされておらず、このような対応をとることもできなかったわけであります。そこで、今後は、入札の重要な要素である予定価格などについては、必ず複数の目でチェックするようにし、組織的に対応することが不可欠であります。ご指摘の趣旨を踏まえまして、速やかに指針を示し、各局の実情に応じたマニュアルを策定するように指導してまいります。
 次に、これまでも同様のミスがあったのでないかとのお尋ねでありますが、予定価格の事前公表は平成十二年十一月から実施しておりますが、今回のような予定価格を間違えて公表し、しかも、それを独断で訂正しただけで、何の善後措置もとらなかったということは前代未聞のことで、大変遺憾に思っております。
 また、このような場合に、どのような対応をとるべきかについて明確な方針がなかったことも、反省すべき点であるというふうに思っております。
 しかし、ご懸念のような、入札者からの苦情を発注者の立場で封じ込めたという事実は、調査の限りでは浮かんでおりません。
 なお、この三月に、外部委員で構成する入札監視委員会を設け、入札に関する苦情の処理は、行政からは独立した第三者機関が行うこととなっております。これによりまして、入札者の苦情に対する救済がさらに進むことを願っております。
   〔住宅局長橋本勲君登壇〕

○住宅局長(橋本勲君) 契約事務に関します二点のご質問にお答えいたします。
 まず、入札に係る監督責任者としての対処についてでございますが、ご指摘のようなことは、まさに本来あってはならないことでございます。初めに、このミスに関しまして、都民の皆様に対しまして陳謝いたします。
 事実が明らかになった段階で私に報告がありまして、早速対応を検討いたしました。ご指摘の契約は、各入札参加者が、自己の判断におきまして積算した入札価格で公正に競争したものでございまして、また、契約事務を所管する財務局が行った契約手続も適正に処理されているということから、有効に成立したわけでございます。
 しかし、発注予定表で公表する入札参加条件のうち、事前公表した予定価格は、入札参加者が入札価格を積算するに当たって、その妥当性の判断基準となるもので、誤った公表は許されないものでございます。
 今回、財務局から通知を受けた予定価格を転記する際にミスがあったこと、直ちに訂正したものの、訂正するに当たって周知の面で適切を欠くなど問題がございました。
 関係職員の処分につきましては、入札自体は有効に成立しておりますが、また、入札経過調書によっても公正な競争が確保されたと考えられること等を総合的に勘案し、職員には文書により、管理監督者に対しましては口頭により厳重注意を行ったところでございます。
 また、公表案件につきましては、今回の反省を踏まえ、ダブルチェックの徹底を図るなど、早速マニュアルを作成し、職員に周知徹底を図ったところでございます。このマニュアルによれば、今回のように発表当初の予定価格に誤りがあった場合、入札を中止するとともに、既に工事希望票を提出している事業者への事情説明と中止の伝達、また、入札中止の旨の掲示やホームページへの掲載等を行うことになります。
 今回の場合、ミスが判明した時点でこうした対処が適切に行われなかったことにつきまして、局として重く受けとめ、大変申しわけなく思っておるわけでございます。今後、再発防止のため、職員の指導に万全を期してまいります。
 次に、入札者からのクレームに対する対処についてでございますが、発注者の優位な立場を利用して入札者のクレームを封じ込めてきたのではないかという誤解をもたらしたとすれば、申しわけなく思います。しかし、そのような事実はこれまでございません。今後とも、誤解の生じないよう十分注意してまいります。

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